■SS投稿スレcheese3

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588Kanon〜永遠の笑顔・1
しかし彼女の誕生日も間近に迫ったある日、栞の容体は急変した。
好きなパソコンを取り上げられICUに運び込まれた。
それから栞は生死の境をさまよった。家族全員で連日病院に泊り込んだ。
ようやく栞が目を覚ましたその日、喜びにあふれる家族を担当医が呼び出した。
そして栞はもう長くないこと、なにかあの子に思い出を残してあげるようにと告げた。
「お姉ちゃん、私ね、お願いがあるんだ」泣きむせぶ香里に栞はそういったのだ。

「なぁに?栞。何でも言ってごらん。」「私、2CHがみたいな」
香里は素直に栞の要望を聞き入れた。そんなことでこの子が喜ぶなら――と。
手の筋肉がすっかり衰えてしまった栞はおぼつかない手つきでパソコンを起動させた。

そしてブラウザを起動させ2CHに入った。闘病生活で大分衰弱した栞の体は
マウスを動かすだけでも重労働だ。胸のあたりが痛い。苦しい。目が霞んできた。
そう、この時栞は最後の力を振り絞っていた。これで死んでも良い。2CHが見れるなら。
目が霞んで今何処の板にいるかわからない。でたらめにマウスをクリックした。
そして最後の力を振り絞って画面に目の焦点を合わせた。

「!?・・・こんな・・こんなのが最後・・!?こんなのってないよ・・・!!!」

ガクッ  ピーーーーーー  彼女の最期を告げる心電図の非情な音。

「・・・・・栞!?」「栞っ!しっかりするんだ!」栞は目を閉じたまま返事をしない。
画面には「庭で栞がアイスを食ってます!助けてください!!!!」の文字。
「うわあぁぁ!!!栞ーーっっ!!」
その時窓の外に雪が降っていた―――