岩切と入水自殺

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176名無しさんだよもん
こんな感じかな?

蝉丸「よく聞け、岩切。俺たちが組んだところで、この世を変えることはできん。
   俺たちのような危険な存在は、誰にも関わらずにひっそりと生きるべきだ。」
岩切「なにっ?お前、あたしの仲間になるのを拒否するつもりかっ!」
蝉丸「岩切、もう俺たちの生きるべき時代は過ぎ去ったのだ。50年も昔にだ。」
岩切「おのれぇっ、お前という男はっ!見損なったぞ。
   あたしの体を欲望のままに弄んでいながら、己さえ満足したらあたしを捨てるんだな?」
蝉丸「む。しかしあれはお前が・・・」
岩切「うるさい、うるさいっ。あたしに触るなっ!」
蝉丸「おいっ、落ち着け・・・うっ、んんっ!(!・・・血の味!!)」
岩切「ほほっ、きさまほどの者がこれほど取り乱すとはな。
   あたしの血を舐めたからには、そろそろ感じてきたであろう」
蝉丸「くそっ・・・・・・。っ!ぐお〜〜〜〜〜〜っ」
岩切「ほほほっ、あたしの虜になるまで責め抜いて上げるよ、坂神」
177名雪さんだおもん:2001/02/24(土) 23:01
ふと平和な生活に慣れて来ている自分に気付き、焦燥感に
かられる岩切。このままじゃいかんとばかりに決起した矢先に
帰宅した高子と鉢合わせ。
「あっ花枝さん、ちょうどいいところに…」
またひらひらした服をあてがわれたりするのだろうと思い、
払い除ける。床に落ち、つぶれたのはケーキだった。
気にしてないです、をリフレインしつつも力無く片付けて部屋に
戻る高子。その後、三井寺家に赴き、蝉丸に土下座する岩切。
「…坂神……あたしは他に相談できる者もいない…今だけ、これまで
 の事を忘れて頼みを聞き入れて欲しい──この通りだ!」
屈辱感に震えながらも高子の為に感情を殺す岩切。
その意思を汲み、月代に取り成す蝉丸。待っている間、蝉丸と
岩切は気まずい時間を過ごす。蝉丸からぽつりぽつり話しかける
事に対して視線は遠くにやりながらも、今日は少しだけ素直になって
こくりこくりと相槌をうつ。…そして、外はもう夜。
「よし、できたあ!」
178名雪さんだおもん:2001/02/24(土) 23:02
できたものを受け取り、家の外に出ると、何故か高子と出くわす。
「高子、これを…」
突然の平手打ち。呆然と見れば、高子は涙を一杯に湛えている。
「私のする事がイヤだったならいくらでも言ってください…
 でも、こうやっていきなりいなくなるなんて、そんな事だけは、
 絶対にしないでください…!」
しゃくりあげる高子に力一杯抱き締められてはじめて、今の生活を
省みず勝手に振舞っていた自分を知る岩切。
「は、花枝さん…これ」
岩切が月代に作ってもらったもの、代わりのケーキ。
「これでは、駄目だったか?」
玄関先で不安そうにしている月代達を見た高子は、目を閉じると
「花枝さんたら…これは、あなたのものだったのに」
星空の下、透き通るような歌声を響かせる。
──Happy‐birthday to you,Happy‐birthday to you…♪
意図に気付き、途中から声をあわせる月代。
『Happy‐birthday dear “花枝さん”』
兵器として軍部に生き、ましてや忌み嫌う西洋式の祝福など
受けたことの無い岩切にとって、それは不思議な唄だったが
それでも、何か安らかな気持ちに包まれていた。
「…誕生日がわからないから、一年前初めて会ったこの日を
みんなでお祝いしたかったんです…」