>>489 >>490 当然栞は、姉が同じ舞台上で木に扮していることすら知らず(w
本番中、台詞を忘れて固まる栞に小声でそっと教える香里。
栞 「お・・お姉ちゃん!?な、なんで・・しかも・・・木?」
香里 「しーっ!・・・・"それは違います。貴方は誤解なさっています。"」
栞 「う、うん・・・・"それは違います。貴方は誤解なさっています。"」
香里 「"このような言葉を、口から出まかせに言える筈が無いではありませんか。"」
栞 「こ・・、"このような言葉を、口から出まかせに言える筈が無いではありませんか。"」
香里 「"私は・・・・貴方を、愛しています。心から、愛しているのです。"]
栞 「"私は・・・・貴方を、愛しています。心から、愛しているのです。"]
祐一 「ああ・・・俺もだ。俺も、お前を愛している。」
舞台上でしっかと抱きあう栞と祐一。ゆっくりと降りる幕。
客席からは割れんばかりの拍手喝采。
その光景を真後ろで見つめながら、香里はもう一度、同じ台詞を呟く。
まさに今、手を伸ばせば届く距離にいる王子様に向かって。
もう決して自分のほうを振り向く事の無い、彼に向かって。
まるで自分こそが、ヒロインであるかのように・・・・。
「"私は、貴方を、愛しています・・・・"」
しかしその言葉も歓声に掻き消され、虚空へと霧散する。
香里の手に握られた枝から木の葉が一枚、はらりと落ちた・・・・
(・・・・な、何を書いているのだろう?)