夜、明日のお弁当のための仕込をしている茜。と、そこに浩平からの電話。
内容は、学校の宿題に関してのことなど。思いがけない浩平からの電話に
内心喜びつつ、隣で煮出している鍋の様子などが気になる茜。
「ん? どうかしたのか?」
「いえ、なんでもないです」
と、いいつつも電話を切らずに料理を続けようとする茜。肩口で受話器を
はさみながらなんとか料理を続ける。包丁で食材を刻む手つきももどかしい。
その音に気がついたのか、
「今料理中か? 邪魔なら切るけど」
という浩平の問いかけに、
「い、いえ、大丈夫ですから」
と答えつつ、なんとか料理を続ける茜。でも受話器のせいで片手がうまく
使えない。
「あっ」
「ん? どうした?」
「いえ、なんでもないです」
「そうか。じゃあ、そろそろ電話切るな。明日学校で」
「…はい」
翌日、学校にやってきた茜の指にはバンソウコウが。
でもそれを見るたびに浩平との電話を思い出して、ちょっとだけ嬉しい茜。
そんな茜の作った料理が食いたいなぁ。