萌える!葉鍵シチュエーション#4

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222名無しさんだよもん
 〜萌えもいいけど切なもね〜

目を疑った。
人影もまばらな大学構内。植栽の影に隠れるようにして、見知った人が
泣いていた。
その人はいつも笑っていて、居るだけで周りの空気を日溜りのように
柔らかくする人で。

「…佐祐理、さん?」

訳もわからず駆け寄ろうとした俺の肩に手が掛けられた。その行動を
制するように。

「…舞。佐祐理さんが泣いて…」
「知ってる。行っちゃ、駄目」
「どうして? 何かあったのかもしれないのに」
「時々、ああして佐祐理は泣く。一弥君のことを思い出して」
「……」
「祐一でも、私でも、助けてあげられない」

悲痛な色をたたえる舞の瞳に、俺は何も言えなくなる。

「わたしにとっての祐一みたいな人。その人に出会うまで佐祐理は
 泣き続ける。だから、今はまだ、無理」

声を立てず、両の手を胸の前にかき抱いて、滂沱と涙を流す佐祐理さん。
きっと今夜も俺達の前ではいつもみたいに笑うのだろう。
欠けた心をひた隠しにして。