けたたましい音を立てて、水瀬家の電話が鳴った。
「はい水瀬です・・祐一さん、あなたによ。」
秋子さんから受話器を手渡される祐一。
「もしもし、ああ、栞か。今どこにいるんだ?・・学校!?
何でそんな所に?今日は一緒に遊園地に行くんだろ?」
「もしもし!・・10時に出発なので、忘れ物をとりに
学校のほうに寄っていたんです。そしたら・・」
「え!?よく聞こえない。もっと大きな声で!・・・何!」
「相沢さん、切符は相沢さんが持っていましたよね。
私は、もう間に合いません。相沢さんは先に行って下さい!」
私は・・必ず・・・相沢さんのところへ・・・」
「な・・!駅前へ出るんだ!歩いてでも這ってでも駅前に!」
「遊園地、遊園地で・・・あ、テレカが(プツン)」
(ツー、ツー、ツー、ツー、)
「馬鹿な・・・そんな馬鹿な!!」
慌てて飛び出していく祐一。
「ちょ、ちょっと祐一さん?荷物は、荷物はどうするの!」