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第1話
<ラーメン屋の帰り>
「あー、お腹いっぱい。おいしかたわねー」
「むう、たしかに。でも辛味が効きすぎてたぜ」
「それはコショウかけすぎたからよ」
「そういう説も無きにしも有らずだな」
浩之と綾香、屋台を出て帰り道。
「ねえ、浩之、勝負しよっか」
唐突に綾香はそう言った。
「何?何を?」
「あの信号までダッシュ。負けた方はジュース代おごりね、はい、よーいドン」
「ゥエップ、待て、俺はまだこた……、負けるかっ」
浩之の答えを待たずに走り出す綾香と、少し遅れながらもなんだかんだいって走り出す浩之
ラーメン代で金をほとんど使い果たした浩之は死にもの狂いで追いつこうと走る。
「よっしゃ、これなら追い越せる。」
そう思いながら綾香の背を追いかける浩之。
突然、ゴールの信号がある十字路から物凄い勢いで暴走自動車が綾香に迫っていた。綾香は信号に目がいっていて気づいていない。
「危ない!!、綾香、左見ろ!」
「え?」
気づいた時にはもう目の前だった。
ドン! ガッシャーーーン!キュルキュル……「浩之!浩之!浩之!」
叫ぶ綾香。
「…こんなことなら…受身の一つでもお前に習っとけば良かったぜ。」
「馬鹿!、何言ってるのよ!」
浩之はなんとか追いついて、綾香を安全な方へ突き飛ばしたのだった。
自分を犠牲にして。
彼は血だらけで、手足もあらぬ方向に向いていた
「綾香……この勝負…俺の勝ちだな」
そう言って意識を失う浩之。
浩之は信号の真下に倒れていた。