「――ふっふっふ〜〜♪ 見ちゃった見ちゃった特ダネよ〜ん。
後夜祭に燃え上がる愛の炎!ってねー。あの吉井ちゃんが
ヒロをなんてねー。世の中判らないもんねー。ま、でもこれで
明日の志保ちゃんニュースはばっちしV!ね」
「――長岡さん」
「!っわっ!! ちょ、ちょ、ちょとぉ! おどかさないでよぉ」
「長岡さん。ちょっと話があるんやけど、いい?」
「な、な、何? あ、い、言っとくけど援交のウワサ流したのは、あ、
アタシじゃないからね」
「…あほ言い。そんなん違うよ」
「じゃあ、何よ?」
「今見たこと、他言無用にしといてもらえん?」
「!? 何? ひょっとしてアンタもアイツに気がある、とか……」
「……違う。それなら、流せ言うわ」
「それもそうよねぇ。んじゃ、何でまた」
「何でかな……。ま、吉井はええやつや、ってことかな」
「ま、そりゃ判らなくもないけど……答えになってないわよ」
「取引せえへん?」
「どんな?」
「そやな。午前中の休み時間に隣の席で騒いでもええわ」
「? ちょっと弱いわねぇ〜」
「ヤクドシェイクおごったる」
「……よし! ヤックシェイクのLで手を打ちましょ!」
「ヤクドシェイク」
「どっちでもいいじゃない。でも不思議ねー。よりによって
アナタが、なんて」
「ええやろ。人にはそれぞれ事情ちゅうもんがあるんや」
「ま、それもそうね。じゃ、ね、ヤックポテトも付けていい?」
「ヤクドポテト」
「……意外に面白い人ね」