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331まごころを君に
*警告!ド不幸指定作品*
☆Air☆ 神尾観鈴18禁SS 『まごころを君に』

神尾観鈴は真夏の太陽の下、自宅の玄関先でずっと人を待っていた。
『・・・往人さん、もう来てくれないのかな・・・』
額に浮いた汗をハンカチで拭いながら一人呟く。
『せめて・・・お別れくらい言いたかったな・・・』

観鈴は寂しそうに呟き、腕時計をポケットから取り出し時間を見る。
『あ・・・もうお昼すぎてる・・・』
『結局、学校さぼっちゃった・・・』

観鈴は国崎に今日から迎えに来てもらうのをやめ、別れを告げる為、
朝からずっと焼け付くような太陽の下、外で国崎を待っていた。
時間を確認した後も観鈴はしばらく国崎を待ち続けていたがやがて
待つのを諦め、観鈴は自宅の中へ戻った。

『汗いっぱいかいちゃった・・・』
『シャワーでも浴びよ〜っと♪』

ぱたぱたと風呂場に駆けて行き、服を脱ぎ風呂場に入るとシャワー
の栓を捻る。
冷たい水が観鈴の火照った体を冷やしていく。
『冷たくって気持ちいい〜♪』
ぐうぅぅ。 不意にシャワーの音とは違う音が観鈴の腹からした。
『おなかすいた・・・はやく出てご飯つくろ〜っと』

観鈴は風呂から上がると、すぐに食べられるように焼そばを作った。
だが、フライパンの中にある物は観鈴だけで食べるにはいささか量
が多すぎた。
『あ・・・間違えてふたり分つくっちゃった・・・』
『にははっ、観鈴ちん大失敗☆』
笑いながら自分で自分の頭を拳で軽く小突く。
『・・・おなか空いてるからふたり分くらいぺろり、だもん』
『冷めちゃうから早くたべよ〜っと』

観鈴は一人言を言いながら焼そばを皿に盛り、テーブルで食べはじ
める。
『うん♪ 我ながらおいしく出来たっ』
『おいしい、おいしい』
焼そばをうまそうに笑顔で食べる。

『おいし・・・』
不意に焼そばを掴むはしが観鈴の手から落ちる。
・・・かたん。

『・・・おいしくない・・・』

『ひとりで食べても全然おいしくないよ・・・』

観鈴の瞳から涙がぽろぽろとこぼれ始める。
テーブルと焼そばの上に観鈴の涙が落ちてゆく。

『あ・・・ぐっ・・・』

『・・・うわあぁぁぁぁぁぁぁんっ!!』
とうとう堪え切れずに大声で観鈴は泣き出した。

『うぅ・・・ぐす・・・』
しばらく泣いた後、観鈴は涙を拭うと自分の部屋へと戻る。

自分の部屋で一人でトランプをしながら観鈴は誰にともなく呟く。

『・・・一人だって平気だもん・・・』

『・・・いつもと同じに戻っただけだもん・・・』

『・・・夏休み・・・私一人でも楽しく過ごせるもん・・・』

部屋の窓から見える空はいつのまにか赤い夕焼け空にかわっていた
・・・。

                          つづく