「…気分はどう?相沢くん」
そう言って視線を床に―――手足を縛ってある相沢君の方に落とす。
「かお……り………?」
相沢くんは焦点の合ってない瞳をこちらに向けて弱々しく返事をする。無理もない。
逃げられないように縛ってから、ここに何時間も放置しているのだから。それに……
「私の居ない間、誰かに見られちゃった…?」
「…っ!」
相沢くんを放置したのは校舎の端の空き教室。位置的に人が来ることは――ほとんど無い。
それでも公の場に、しかも全裸で、縛って放置されているのだ。羞恥を煽るには充分だろう。
「折角放置しておいたのに……へぇ〜、誰も来なかったんだ……」
「かおり……もう…やめ……ひぐぅっ?!!」
相沢くんの言葉が途切れる。私が相沢くんのペニスを握りしめたからだ。
「こっちは期待しているみたいだけど…っ!」
言い聞かせるような口調でそう言い手を動かす。手の中のペニスがびくびくっと躍動する。
「あ……ぁ……んぁぁっ!! や、やめ……かお……りぃ…!!」
相沢くんは手の動きに合わせてか細い喘ぎ声をあげている。私は空いた手で相沢くんの顎を撫で上げた。
「相沢くん…可愛いわよ…」
嘘ではない。苦悶に耐える相沢君の表情はどこまでも扇情的で、女性的な色気を放っていたのだ。
快感に歪む相沢くんの顔をなぞりながら、私はペニスをしごく右手の動きを速めていった。
「んぁぁっ!! やめろ…! だめ……だめだ……っ!」
相沢くんの声が悲痛なそれに変わっていた。限界が近づいていたらしい。
「かおり……かおりぃぃ…………もぉ……だめぇ―――」
「まだよ。まだイカせないわ……!!」
相沢君の腰がひときわ大きく跳ね上がる瞬間、私はとっさに茎を持つ右手を握り締めた。
先端から白濁した液がわずかに漏れる。だが、中途半端な快感は却って苦痛を与えるものだ。
本来の射精で得られる快感とは程遠かったのだろう。相沢くんは切ない表情を浮かべ、私の方を向いた。
「本当に可愛いわね………相沢君のその表情、もっと見せて………」
耳に舌を這わせながら囁く。私の中で、甘い蜜のような感情がとろとろと湧き上がっていった。
「おねがいだ……もう……許してくれ……たのむ……」
射精できない苦しみに喘ぎながら、相沢くんは私に懇願してくる。
目に涙を溜めて許しを請うような顔を向ける相沢くん。私はそれを『可愛い』と思った。
もともと相沢くんは肌も綺麗で色白だし、中性的な顔立ちだし、デブでも筋肉質でもないし……
「今の相沢くんの表情………そっくりね……」
「え………?」
「……名雪」
「……?!」
一拍遅れて相沢くんの表情が豹変する。私の言葉の意味を察したようだ。
「かおり……? おまえ……なゆき…と……?」
「ええそうよ。相沢くんが来るまでは……ずっと二人で遊んでいたのに…
貴方が戻ってきた所為で…! 名雪、相沢くんにべったりになっちゃって……!」
醜い八つ当たりなのは自分でも判っていた。それでも、無性に悔しかった。
でもその人は名雪と同じ表情をする男の子で、私は……。
ぐいっ!
「ひぐぅっ!!」
「ほんと、感じるところも同じなのね……」
名雪が弱かった場所に指を差し込む。その反応も、初めてのときの彼女のそれと同じだった。
「えぐ…やぁ…痛いっ……かおりっ…!」
これもあの時と同じ。何も知らなかった私が名雪のアナルに無理やり指を入れて、泣かせちゃったっけ…。
「相沢くん……痛くしてゴメンね。ちゃんと気持ちよくするから……」
私は持っていた鞄からローションを取り出し、指とアナルにやや多めに塗りたくった。
「ぁ、冷た…っ」
「こういうのは一度でも怖い思いをさせると抵抗ができちゃうから…ちゃんと慣らしてあげるわ。」
今度は慎重に、周辺からじっくりと解していく。壊れ物を扱うようにゆっくりと指を這わせて…
「…ほら、入ったわよ?」
「ぁぅ…!」
今度は頑なな抵抗も無く、相沢くんの中に二本の指を沈めることができた。
「ん、ぁ………ぁふぅ…」
「どう? 気持ちいいでしょ?」
「ぅ……」
「相沢くん…っ!」
反応が無いのにいらだった私は指の抽送を開始した。激しく、相沢くんの理性を壊すように。
「ぁぁぁぁぁ…!」
「どう……気持ちいいのよね?」
もう一度、さっきよりも強い口調で問い直す。
「………………はい。」
「ぁ…!」
相沢くんが快感を受け入れた返事。その言葉を聞いただけで私は軽い絶頂に達してしまった。
ずっとショーツに溜まっていたおびただしい量の蜜が、粗相をしたかのように床にこぼれていった。
「かおり……?」
しばらく意識が飛んでいたのだろう。相沢くんの呼びかけが私を現実に引き戻した。
「あ……なんでもないわ……」
ごまかす様に指の抽送を再開する。ゆっくり、しかし深く、奥まで届くように指を。
途中で何回か腸壁を軽く引っかく。ペニスの付け根の裏側に当たる部分を念入りに、ぐにぐにと指を動かす。
「あ、だめ…そこは…なんだか……」
「ふふ、嘘はだめよ? さっきまで縮こまっていたのをそんなに大きくしているくせに……」
アナルに埋めた指を広げてみる。粘液で潤ったそこは、既に充分な余裕をもっていた。
「…そろそろ、私も楽しませてくれる…?」
私はショーツだけを外して、鞄からバイブ――女の子同士で使うペニスバンドを取り出した。
まずは、内側についている小さなバイブを自分の膣に。
そして外側についている疑似ペニスに自分の蜜を塗りたくってから、相沢くんのアナルに宛がった。
「相沢くん……いくわよ……」
「ぁ、ちょっとまって、こわ――ひぃぁぁぁああ!!」
相沢くんの返事を待たずに――もとい返事を待てなかった私は、相沢くんの躰を一気に貫いていた。
「ぐぅ、はぅっ、ひぎぃっ、んぁぁ……!」
「はんっ…! 初めてなのにちゃんと奥まで埋まるわね……名雪の時もそうだったわ……」
私は囁きかける。両手で相沢くんの胸を揉みしだきながら、首筋に舌を這わせながら。
「な…ゆ…き…?」
「そうよ…名雪のあそこやお尻の中を出たり入ったりしたものが…相沢くんの中に埋まっているのよ…!」
「ん…ぁぁ…あああぁぁ…っ!!」
名雪を引き合いに出したことで、相沢くんの中にあるスイッチが押された。私はそう確信した。
脂汗をどっと吹き出している。後ろからアナルを貫かれる彼女の姿を、今の自分と重ねたに違いない。
相沢くんは倒錯した快感を処理しきれず、狂おしいほどにペニスを膨らませていた。
「ぁぅ…!ぁぁあ…!! かおり……かおり…かおりぃ…!!」
「相沢くん…イキたいの…イキたいのねっ…?!」
「ぅぁあ…たのむ…………イカせて……ぐっ!」
「いいわよ…相沢くんのイクところを………可愛い姿を見せて…!!」
私は手を下に滑らせる。そして、欲望を溜め込んでいた部位を激しくしごき立てた。
「あ、あ…ああぁぁぁぁぁぁぁ………!!」
一際高い嬌声をあげると、相沢くんは、びくっ、びくっ、と白濁液を吐き出し続けた。
熱くたぎる精液を手のひらに受け止めながら、私の意識も薄らいでいった…。
意識が戻ったのは私が先だった。
気を失っている相沢くんの髪を優しく撫で。その顔が、彼の従兄妹のそれと重なった。
「……あ。すごい……」
視線を下に向けると、反応の無い相沢くんをよそに、その分身はいまだに硬さを保っていた。
「ねぇ……後戯になってしまうけど、もう一回楽しませてくれる…?」
僅かにペニスが動いたような気がした。私はそれを答と受け取り、ペニスバンドを外した。
相沢くんに施した全ての戒めを解放して、覆いかぶさるようにして交わった。
「相沢くん……相沢くんも…んっ…これで…仲間よ…? これからは……名雪と三人で……んぁぁっ!」
意識の戻っていない相沢くんの唇を奪う。舌を差し込むと、相沢くんの舌も私のものに絡み付いてきた……