1 :
名も無き戦士:
2000年冬から2001年へ不意に続く、もう一つの世界。
葉鍵キャラがオリジナル設定で大暴れしまくりな日記形式のリレー小説だゴルァ(゚д゚)
書き手も読み手もルール守ってマターリ逝こうぜゴルァ(゚д゚)
1 基本的にsageでお願い致します。
2 どんな人間がどのキャラを書くのも構いませんが、それまでの伏線は重視する方向でお願い致します。
3 あまりに立て続けのカキコは自粛しましょう。
4 これはあくまでの2chのスレッドです。
当然書き手に否定的な意見等もあるかもしれませんが、いちいち反応せずに作品で結果を見せましょう。
5 他の書き手が納得出来ない展開はご遠慮下さい。
6 新規参入者は、過去ログを熟読して下さい。
7 1つの書き込みをした後には必ず2回ほど回して下さいますようお願い致します。
なお、連続で書き込む場合は、書き込みが終了した後に数回回して下さい。
8 書き込みの無い日はできればsageでメンテカキコをすることをお勧めします。
(dat逝きを防ぐためです)
では、貴方も葉鍵な聖戦の世界へ……
なお、過去ログ等は
>>2-10にございます。
新スレおめでとうだよもん。名も無き戦士さんお疲れ様だよもん。
でもsageだよもん。
お疲れ様です〜
葉鍵聖戦もついに4THに……
dat逝き今度こそ避けたいな。
ああ、今日は書ききれなかった。明日にします。寝ます。
緩やかな傾斜の坂道が続いていた。
視線の先には木が聳え立つばかりで終わりは未だに見えない。
「繭、ちょっといい?」
物の怪の丘の頂上部までは、もう少し掛かるようなので雑談よろしく訊いておく。
「はい、何でしょうか?」
「どうやって名雪に勝ったの?」
「……唐突ですね。そんなに不思議ですか?」
質問を質問で返しまた返される。ほとんど会話になっていなかった。
「不思議というより純粋な疑問なのよ。繭ってそんなに強かったっけ?」
「言ったとは思いますけど、あれは永遠の力なんですよ」
「そう、それよ。今いち永遠≠チて何なのか分からなくて」
それを聞いておこうと思ったのは、やはり九尾の力のせいだった。
あたしは真琴の側に誰よりも近くにいたので知っている。
九尾は強い。何でもいいから対抗手段のひとつも持っていたい。
ここから先に進むことの意味を、あたしは理解しているつもりだった。
無駄死にだけはしたくない。いやもう誰にも死んでほしくなんてなかった。
もちろん真琴も含めて。
「永遠とは何か話したことありましたよね?」
あたしは頷いた。みさきさんは首を傾げていたけど仕方なかった。
みさきさんと合流する前に聞いた話だったからだ。
「それではお浚いです。永遠とは瞬間です。その瞬間という煌めきを永遠のものにするのが永遠の力です」
繭はどこか面倒な言い回しを使って説明を始めた。みさきさんにも分かるようにだと思う。
「永遠の世界は記憶の世界――つまり仮初であって真実ではない。時間が流れることを忘れているだけの世界です。
私たちの記憶が消えたのは、その記憶の世界に思い出が保存されたからです。ここまではいいですか?」
「繭ちゃん先生、質問です」
「はい、川名さん、質問を許可します」
「その説明だと繭ちゃん先生が名雪ちゃんに勝った理由にはならないですよ」
「いい質問ですね、それではさきほどの戦いを検討していきましょう。答えはそこに有ります」
「はーい」
NHKの教育番組……。
あたしの脳裏にそんな単語が浮かんでは消えていった。
「七瀬さんは永遠を何だと思いますか?」
「――え? あたし?」
いきなり話を振られたせいか少し緊張してしまう。
「えーと、さっきの話からの推測だと……記憶ってことになるんじゃないかな?」
「そうですね。ただ、それだけでもありませんよ。
永遠というのは無限でもあり、不変でもあり、瞬間でもあります」
「……それって、何でもありってことなのかな?」
みさきさんが不思議そうに訊ねる。あたしもそう思った。
「正しくはよく分からないもの≠チてことでしょう。何をとってもイコールでは繋げられません」
「……なんか適当よね、永遠って」
あたしは何気なく呟いていた。結局よく分からない≠ネんていう結論だと思ったから。
でも、繭は驚いたように目を丸くして、あたしを見ていた。
「残念です……」
なにが可笑しいのか繭はくすっと笑い出していた。
恐る恐るあたしは訊いてみる。
「残念って……答えが出なかったこと?」
「いいえ。反対ですよ。答え……出てしまったようですね。詰まんないです」
「……えっ? 答えが出たってどういうこと?」
繭は冗談を言う性格ではなかったし、嘘を付くなんて尚更だった。
……と言うことは、正解はそれなのだろう。
「つまり適当≠ネんですよ、永遠は。それですべて丸く収まります」
「……そんなんでいいわけ?」
一応、突っ込んでおく。
「はい。構いません。むしろそうでなければ可笑しいんですから」
「…………?」
「永遠は望んだ世界……在り得ない事象こそが望まれた世界です。
それは、記憶……大切な思い出、すなわち――野望(ゆめ)を叶えることなんですよ」
「この地に降り立ったすべての人達は、己の夢を実現しようと行動していました」
ここまで来たら隠すことも無いので私は正解を言うことにした。
「九尾の復活を求めたもの。永遠を求めたもの。戦いを求めたもの。強さを求めたもの。
……理由は様々ですが、みんなは何かしら目的があって、この街にたどり着いたんですよ」
「わたし達も例外なくなんだね……」
川名さんが言うのを聞いて私は首を縦に動かした。
「ちょっと待ってよ。なにか目的があるって当然のことじゃないの?」
七瀬さんの疑問は至極当然のことだった。私は説明に苦労しそうだと考えを巡らせる。
「実際には、実現可能ではない目的なんて夢物語なんですよ」
「そうかもしれないけど……今は――」
私は指先を突き出して答えを急がないように七瀬さんを諭す。
「……いいわ。続けて」
「ありがとうございます。七瀬さんが言いたいことは分かりますよ。
皆さんの願う夢は別に実現不可能なものばかりではない。しかしです――」
七瀬さんと川名さんの表情を伺ってから言う。
「何故今なんです?」
「……あたし達の計画は九尾と神奈の復活がないと駄目だったんじゃないの?」
「はい、そうです。でも、どうしてこの街の、この時代の、この瞬間なんだと思います?」
「そんなの……九尾の復活が今だからでしょう?」
「では、どうして九尾は今復活するんです? 千年目の区切り? そんな粋なものでしょうか?」
「それは……それは…………それって……どうして……なのよ……?」
七瀬さんが押し黙ってしまう。川名さんもよく分からないみたいだった。
そう。これにはある理由があるのだ。とても巧妙な細工だろう。私だってやっと分かったのだ。
なにかある……その特別なファクターがどこかにあるのだと。
「答えはシンプルですよ、とても。気づいたんです……世界に疑問を持つことが始まりでした」
私は力強く言い切っていた。
「気づいたって……何を気づいたの?」
「永遠と同じ理屈ですよ。永遠も気づかなければ知らないうちに侵食されてしまいます」
時間の流れが無いことに気づかない。自分の生理現象にも気づかない。
もしかしたら……誰かが居なくなっても気づかない。
「ここで最初の話題に戻りましょう。私が名雪さんに勝った理屈です。
川名さんは見ていたので知ってますよね? どうやって私が勝利したのかを」
「うん。でも繭ちゃんは言っていたよね? 方術の初歩的なものでも使えないって」
私が頷くのを確認してから、川名さんは先を続けた。
「だったら、話は可笑しくなるんだよ。繭ちゃんが逃げながら結界を張っていったの知ってるよ。
でも、森の木々に掛けていた生物の運動能力を活性化を助ける術は間違いなく、方術だったとわたしは思うんだ」
「……はい、川名さんの見解に間違いはありません。
私は木々の活性化を助けて、結界の中で圧縮した空間を酸素で満たしました」
「結界と言うのは永遠の力だと思うんだけど、木々の活性化を助ける促進術は一体何だったのかな?」
川名さんは惚けたように私を見てくる。その答えを薄々と感じていながら。
「……川名さんが思ってる通りで合ってますよ。それも永遠の力です」
私が言うと、やっぱり、という風に川名さんは頷いた。
「その空間で火花を散らせば炎はあっという間に燃え広がります。
私自身は存在を誤魔化して炎の対象外だったんですよ。名雪さんだけ焼かれるという寸法です」
私は思わず溜息まじりの声を出してしまった。
「便利すぎますよ。方術とか妖術とか不可視の力とか魔法とか……そう思いません?」
「じゃあ、永遠の力って……一体なんなの?」
七瀬さんが言う。髪の毛をさらっと風が梳いていく。
「ここで先の話が生きてくるんですよ。永遠は記憶だと私は言いました。
様々な記憶に干渉できるんですよ。永遠の世界……永遠の記憶……言ってしまいましょうか?」
私は肩を竦めてみせた。
「翼人は星の記憶をどこに届けると思います?」
川名さんと七瀬さんの顔つきが変わった。
「……ちょっと待って……頭が破裂しそうだわ」
留美ちゃんが頭を抱えていた。わたしも同じ気持ちだったけど、
少し考えれば分かったことだと自分に言い聞かして無理矢理納得してしまうことにした。
「それが、永遠の世界の存在意義なんですよ」
「……つまり永遠の世界に保管されていた星の記憶の中に方術という事象があった。
繭ちゃんは、その記憶を現在に引き出して行使した……そういうことでいいのかな?」
「まあ、概ねそんなところですね」
何ともなしに言うのを聞いてわたしは怯えにもた感情を抱いてしまった。
繭ちゃん自身に対して……。
「それって、どういうことか分かってる?」
「……はい」
繭ちゃんは頷いた。でもわたしは更に言い募ってしまった。
「とんでもない力だよ。自由に永遠の記憶を引き出せるなんて計り知れないよ!」
「みさきさん……」
留美ちゃんが何か言おうとするのを遮って繭ちゃんが言葉を挟んだ。
「そうですね。でも実際のところはそれほど……川名さんが思うほど万能ではありません。
氷上シュン以上に永遠を使えるようにはなりましたが、永遠の力は防御専用で攻撃に使えはしません」
「嘘をつかないで。名雪ちゃんを圧倒したのは永遠の力なんだよね?」
「応用ですよ。宝の持ち腐れはしないつもりです。それに九尾や邪術士に対抗できる力とも思っていません」
「……分かった。それで納得しとくよ」
「ありがとうございます」
わたし達が力強く言葉を交わしていたせいか留美ちゃんは今のでほっとしたようだった。
胸に手を当てて安堵の溜息をついている。
「……わたしこそごめんね、きつい言い方だったよ」
「いえ。危惧する気持ちは分かっているつもりですから……構いませんよ」
繭ちゃんはにこっと笑う。それを見てわたしもやっと安心できた。
そう。あの力を繭ちゃんが持っているのはある意味で安全だろう。
他の人が永遠の力を使えるとしたらぞっとしない。使い方を間違ったら大変なことになる。
「でも、繭ちゃん……ひとつはぐらかしたね」
「……なんのことですか?」
平静に言い返す繭ちゃんを見て確信犯だと思いながら、
「何に気づいたの……繭ちゃんは?」
「それは言えません。今の段階で、という意味ですけど」
「秘密なわけ?」
留美ちゃんの問いかけに繭ちゃんは困ったように苦笑を浮かべていた。
「そういうわけでもなんですが……気づくこと、ですから教えられることではないんです。
だから、これは次までの宿題ということにしますね……いえ、時間は掛からないと思いますよ」
前方から光が差し込んでくる。
温かい光。冷たい闇。悲しみの欠片。交錯する想い。
「森が開けました」
眩しい閃光の中で二つの影が激しく衝突していた。
「……ついに来たってことね」
「もう、戦いは始まってたんだ……」
ぽつりと呟く。あまりの猛攻に目を奪われて。
「はい。それでは観戦と洒落込みますか。戦いの行方を」
「……それでいいの?」
神妙な面持ちで留美ちゃんが言う。
少なからず真琴に対しての情念もそこにはあった。
「すみません。言い方が悪かったですね。
もう両者は止まりません。私たちはせめてこの戦いを見届けましょう」
「それこそが千年の戦いに対する礼儀なんだね」
繭ちゃんは頷く。
「助けが要るなら……それは私たちの役目ではありませんから」
だから、わたし達は今を見届ける。
未来の先を見るように。そこに希望が残ることを祈って。
それでは回すだよもん。
連続書き込みでエラーだよもん。
鬱だよもん。
私は、二人の……そう、母である沢渡真琴と、主である神奈様を宿らせた天野美汐の戦いを見ていた。
母上様が『尾』の真の力を解放したために、天野さんは防戦一方になっていた。
しかも、総てではない。9本の尾のうち、たった2本の力を解放しただけ。
あらゆる物質に変化する、『四精の尾』
空間を裂き、世界を渡る、『次元の尾』
母上様の娘である私とて、総ての尾が開放されたところを、見たことがない。
そう、神奈様との戦いにおいてさえ、5本の尾の力を使ったに過ぎなかった。
私が知りうるのは、相手の魂を食らう闇の『魂凪の尾』と、生命を司る『慈悲の尾』
の、4本だけ。もし、母上様が総ての尾をお使いになられたら、それはこの世の
終わりを意味するのかもしれない。
母上様の『四精の尾』が、大地に突き刺さり、次の瞬間、地面から巨大な剣が、
天野さん目掛けてそそり立った。
彼女は辛くもそれをかわすと、『縮地』の法を使い、瞬時に母上様との間合いを詰める。
「いけないっ!!!」
思わず叫んだ私の声で、天野さんの動きが止まった。その目の前に、糸が張ってあるのに、気付いたようだった。
ただの糸ではない。『次元の尾』を構成する、無限の毛の一本。
この世のどんな刃よりも、たやすく物質を切断する。たとえ空間を渡る縮地でさえ、
その先に空間の断裂があれば、それに切り裂かれる。
「ばれたか。さすが、わが娘」
私が教えたにもかかわらず、母上様は上機嫌に笑う。天野さんは唇をかみ締めると、
大きく跳び下がって、再び術を唱えた。だが、『次元の尾』が存在する限り、
彼女の技は、総て無効化されていしまう。
接近戦に持ち込みたくとも、すでに、このものみの丘の周りには、無数の『結界』
が張られていた。
力あるものなら、この丘に張り巡らされた、無数の煌きが見えるだろう。
それは、結界。母上様の尾の毛が、あちらこちらに突き刺さり、時には中に浮かび
戦いを邪魔しようとするするものを、確実に切り裂くだろう。
小さなものなら、一寸程度。大きなものは、人ぐらい。
それが、ぐるりと丘を包み込んでいる。
神奈様の力なら。翼人の力なら、これら全てを吹き飛ばせるし、同格のの力を持つ
者なら、毛を壊すこともできる。
だが、それは母上様も百も承知なのだ。
天野さんの術が、周囲の毛を薙ぎ払う。だが、母上様が尾を一振りするだけで、
再び無数の刃が、あたりに漂う。
このままでは、天野さんも、神奈様も、母上様に勝つことはできない。
母上様が望むだけで、この毛は、燃え盛る炎にも、猛毒の霧にも変わるのだから。
(また……私は、見ていることだけしかできないの?)
母上様。神奈様。そして……柳也様。
私はまた、最後まで生き残ってしまうのでしょうか……?
また、愛する者が、失われていくのを、見ることになるのでしょうか?
また……心が、張り裂けそうな……苦しみを背負うことになるのでしょうか…
柳也様………私は、どうすれば………
回し
まわ回し
美汐最近活躍してない…
キャラが多すぎて、全員丘に集合させられるのだろうか……?
秋子さんどうしてるのだろう
jbbs落ちてるせいで掲示板にいけねえYO!
>>21 どうでしょう?
必要がなければ全員丘に集合しなくても決着はつけていいような気もしますが。
今日中に仕上がるかな? 一応保存sageです、
「……智子の所に送れだ? 寝言にしても笑えないな」
「私は本気ですよ」
「頭を冷やしてきな……俺は忙しいんだよ」
「……智子さんは、このままだと危ないんじゃないですか?」
「てめー、俺と言葉遊びでもしたいのかよ?」
「もう迷ってる暇は無いんですよ……」
「…………」
「今まで不思議で仕方なかったんだけど、ようやく分かったような気がします……」
「……何がだ?」
「どうして私にこんな力があったのか、がですよ」
「……すまねい、話を聞かせてもらえるか?」
……辛そうなのはどちらかと言うとスフィーさんだったような気がする。
「死ぬなよ……」
最後にそう言ってくれたのが嬉しかった。
命懸けなのは百も承知だったし、実際、死ぬ覚悟とやらは出来ているつもりだったけど……。
何気ないそんな一言は、涙が出てしまうくらい嬉しいものだった。
だから、この戦いで散ってしまってもいいと私は思った。
「具体的にはどないしたらええんや?」
「水瀬秋子の気を引いてください……それだけで充分です、それと――」
「……なんや?」
私は息を飲もうとしてして失敗した。噎せたように言葉が弾けただけだった。
これから言うことは……多分、人として言ってはいけないこと……。
でも、命を懸けるというのは、私が考えているより甘くは無くて、惨酷なだけで……。
「……死ぬかもしれません――いえ、私に智子さんの命を預けてください」
彼女は、ちょっとだけ苦笑して、それでも……心のそこから笑ってくれたように。
「……ええで、私――保科智子の命、あんたに預けたる」
「智子さん……いいんですか?」
「無駄死にだけはご免やで」
言うべき言葉も見つからないまま、私は智子さんに感謝する。
炎の魔女との異名すら、そこには関係なく、ただ独りの友として……。
炎が舞っていた。伝説にある不死身の鳳凰のように天高く翼の火毛も滾らせて。
紅い火炎の中にいる少女の名を……保科智子といった。
「……三分です。三分だけもたせてください」
「ほう、そんなもんでええんか?」
智子さんは意外に素っ気ない笑みを見せてくる。
「……無理ですか?」
「アホ! なに抜かしてんねん! さっきまで互角やってんで!?」
「……すみません」
「まあ、ええわ。何をするんかは知らんけど、三分経っても間に合わんようやったら、私が秋子をぶちのめしてるで!?」
「……それなら、それで結構ですよ、遠慮なくお願いします」
笑う。そう笑うこと。不純だろうか? こんな時に笑顔を向けることは?
いや……そうじゃなんだよ、きっと。自分にしか出来ないこと。自分になら出来ること。
運命とか、そういうんじゃなくってさ、この……今この時を一緒に戦う。
「ほな、いこか?」
「……いつでもどうぞ」
智子さん、それにスフィーさん……冬弥、みんなのために……。
今を頑張りたい――
「さて、話は終わりましたか?」
邪術士・水瀬秋子は圧倒的な威圧感をもって、私たちの前に立ちはだかっている。
本来なら、逃げだしたいくらいに怖い……だが、それ以上に今は勇気が無限に湧いてくる。
「おかげさまでな」
「そう? 何を企んでいるのかは知らないけど、負けは負けなのよ」
「――違う!」
森の中に絶叫が木霊した。誰が発した声かは分からない。
でも、秋子の視線が私に向かっていることで、知らないうちに私が叫んだのだと理解した。
そして、続いて、言葉が紡ぎ出される……。
「人は諦めない限り負けはしない――」
「それなら、光ない絶望をあなたたちにお贈りすることを約束しましょう」
邪術士は薄く目を開けて面白そうに呟く。
――火花が散った。
「オラァーーーーーー!」
先に動いたのは智子さんだった。
自身が燃える太陽のように真っ赤になって秋子を牽制する。
「……まだ動けるんですか? さっきの戦いで疲れてるようなのに頑張りますね」
しかし、秋子はまったく意に介さず智子さんの攻撃を受け止めていた。
これが間近で見る邪術士・水瀬秋子の強さだった。
「なんなのこれ……」
私はごくっと息を呑んでいた。すでに智子さんの息は上がっていた。
無理をしてるのは傍目でも分かる――からこそ、私は涙に気づかない振りをして呪文を唱えた。
「左手よりいでしは天を貫く虚数の刃、御前に姿を持って形となりて現れよ」
闇が現れた。天に達するほど巨大な闇の束が左手から湧き出ている。
気を抜くと意識をもっていかれそうな感覚もまた走る。
「――これは、光と闇の融合の召還術!?」
どこかで驚愕の声が上がっていたが、もう私の心はそこになかった。
「右手よりいでしは光を放つ正数の盾、御前に姿を持って形となりて現れよ」
想いが形をつくる。誰かの大切な想い。託された力。
たくさん死んだ……。この北の地は白い雪では誤魔化しきれない鮮血で染まっている。
終わりにしたい。終わらさなければならない。夢の続きは現実の中で見よう。
「正は負を飲み込もう。負は光に浄化されよう。暗黒の刃と聖光の盾よ。無はそなたから始まろう」
そこには何もない≠ェ生まれていた。極小の無≠フ存在。
暗黒の刃はすべての物質の存在を許さない。聖光の盾はすべての存在を護りうる。
それは、矛盾だった。
「――させません!」
遠くからの声は誰のものだったろう。私の存在が希薄になっていく。
考えることも出来ない。体は放たれた矢のように的に向かって飛んでいるのに何も分からない。
でも、私は無意識のうちに言っていた。呟くように……それは小さな声だった。
「智子さん、逃げて……」
闇に包まれていた。光に抱かれていた。
……とても心地良かった。
「今更何を……言ったやろ、死ぬ時は一緒やで」
無が広がっていく。私の他に二つの影が虚無≠ノ沈んでいった。
そこに……残ったものは、何も意味をもたなかった。
とりあえず秋子さんは物語から姿を消しただよもん。
でも、本当は……なのかもしれないだよもん♪
後は展開次第だよもん。
がんばるだよもん。
「ぴこぴこ〜」
あたしの胸に飛び込んでくるポテト。
信じてたよ。来てくれるの。
夢中になって思わず抱きしめちゃった。
「にゃあ〜、ちょうどいいところで出会ったです〜。ぜ〜ったい殺してやるですよ」
あたしの目の前にいる千紗とかいう妖狐はさらに不気味な笑みを浮かべた。
悪い予感がするよぉ……。
「懲りねぇな、てめぇも。おとなしくものみの丘でヒッキーやってりゃいいものを」
妖狐の目の前にいる、ポテトが連れてきた青い髪の眼鏡の女の子はにやにやしていた。
ツインテールが金色に光っていても、全然動じてないよぉ。
「うるさいです!!」
怒鳴り声とともに、いきなり強い風が吹き荒れてきたよぉ。
こ、これがツインテールの力なの……。
その間にも吹き飛ばされそうになったけど、横にいた水色の髪のツインテールの女の子が
何とか体を支えてくれていた。
「いい、とにかくふんばってね。力をちょっとでも抜いたら吹き飛ばされるわよ!」
その水色の髪の女の子に言われるまま、ポテトを右腕で抱きしめたまま、あたしはその場
にじっとふんばった。
マジで喧嘩売ってやがんな……この犬畜生……。
俺は目の前の腐れツインテールを挑発しつつも、ちらっとだが、背後にいるショートカッ
トの娘に抱きしめられている犬畜生を睨み付けてやった。
犬畜生が行く道を俺たちは付いてきてやった。
そうしたら、行き着いた先には千紗の奴……おめでたすぎるぜ。
だが、この妖狐が本気をだしちまったら、さすがの俺でも太刀打ちできるかどうか。
……正直、自信はなかった。
でも、やるしかねぇか……。
俺は覚悟を決めた。
それは彩も岡田も同じだった。
背後では彩が岡田とショットカットの娘を支える振りをしながら、何かを岡田に耳打ちし
ていた。そして岡田が小さくうなづいていた。
そういえば、俺が先程千紗の奴に鉛玉の雨を浴びせてやる直前に、彩はこう言っていた。
「……とにかく、思い切り挑発してください……」と。
最初は自殺行為じゃねぇかと思ったが、彩のことだ……何か策があるのだろう。
俺はさらに挑発を浴びせる意味で、余裕のにやつきを千紗に見せ付けてやった。
「にゃあ!! 生意気にするのもいいかげんにしなさいです!!」
千紗は思い切り興奮したかと思うと、いきなり巨大な竜巻をいくつも放ってきた。
だが動きが遅く簡単に回避できる上に、無秩序に竜巻を作るものなので、竜巻同士がぶつ
かりあって互いに消滅してしまうのも多数あった。
現に俺はもちろん、背後にいる3人にも直撃するどころか、掠り傷一つ付けなかったこと
をつけくわえておく。
しかし、この千紗という腐れツインテール……マジでおちょくりがいがあるな(藁)
即効でテンパりやがるしな。
「にゃあ!! あなたたちとっとと死になさいですぅ!!」
いきなり千紗の奴は何を考えたのか、俺の横を通り越して彩の正面に立った。
そして……拳で殴りつけた。
途端に彩の体が大きく吹っ飛んで、近くにあったブロック塀に体を打ちつけて、そのまま
その場にうずくまった。
「にゃあ!! 特にあなたのそのすました表情が気に食わないですぅ。まずはあなたから殺し
てやりますから覚悟してくださいですぅ〜」
千紗は彩の近くに駆け寄ると、即座につま先で彩の腹部を何度も蹴りまくっていた。
さらに右手を掴みあげたかと思うと……
「うぁっ……」
彩の顔が苦痛で歪む。
そう……千紗は彩の右腕をねじ切った上に、骨を折ったのだ。しかも千紗は彼女の右腕を
放す気配は無い。腕をもぎ取りにかかるってか?
「にゃあ〜。まずはあなたの腕をもぎ取ってやるですぅ。そうしたらお得意の銃器は使えな
いですぅ〜」
千紗は勝利を確信した笑みを浮かべてやがった。そして、さらに彩の腕をひねり出す。
だが……彩の表情はさらに歪むどころか……元の仏頂面に戻った。
そして……今まで見たことの無い不気味な笑みを浮かべていた……。
「にゃああああああ!!」
千紗の悲鳴が周囲に響き渡った。
見ると、今まで彩の右腕を掴んでいた奴の左腕の付け根からおびただしい量の血が流れ出
ている。そして僅かながら、その傷口からは煙が立っていた。
足元には金属らしき破片が飛び散っている。
どうやら、小型の爆弾を投げつけたようだった。
「……勝った気でいるなよ……このガキ……」
彩は傷ついた右腕を特にかばおうとせず、ゆっくりと立ち上がった。
そして、飛び散った千紗の返り血が吐いた左手の掌を……ぺろりと舌で舐めた。
さながら蛇のような目つきで千紗をねめつけながら……。
「……どうやら……久しぶりに楽しめそうだな……」
ゆっくりと立ち上がる彩の瞳はただ一つ――狂気で塗り尽くされていた。
この状態の奴を見たのは久しぶりだった。
だが、その時俺は奴に怯えさせられたものだった――。
「……早くさっき言った事をやりな。でないと、あんたらもとんでもないことになる……」
そう呟く彩の言葉に、俺たちは手はずどおりに実行に移すことにした。
それを確認したのか、彩はこっそり左手に忍ばせていた発光弾を千紗の方に放り投げた。
――破裂音。
瞬間、目の前が見えなくなった。
目の前がいきなり光った。
一体何が起こったのか、まったく分からなかった。
「……危機一髪だったわね」
女の子の声がしたので、目を覚ました。
でも、暗くて何も見えなかった。
それに……なんか変な匂いがするんだけど……。
「おい、さっきから言ってるけど明かりはどうしたんだ?」
今度は違う女の子の声。最初の声よりかは幼い感じの声だが、口調はかなり乱暴だった。
「ごめん。ちょっと待って」
最初の女の子の声がしたかと思うと、急に目の前に小さな光の玉があらわれた。
いきなり差し込んできた光に、あたしは思わず目を手で覆った。
「あら? まぶしかったかな?」
あたしは目を覆っていた掌をゆっくりと下に下ろした。
目の前には、さっき会ったばかりの水色の髪のツインテールの女の子がいた。右手に火の
ついたライターを手にしながら、じっとあたしの顔を覗き込んでいる。
その女の子の後ろには、やはりさっき会った眼鏡の女の子がライターの小さな光で淡く照
らされているのが見えた。
「悪かったね。いきなり目の前でライターをつけちゃって」
水色の髪の女の子がそう言って、手にしたライターを遠ざける。
「ううん。もう大丈夫だから、気にしなくていいよぉ」
あたしは笑顔を返した後で、ゆっくりと立ち上がった。さっきまでとは違って、少しばか
り体が楽になった気がしていた。
「そりゃそうだろう。一応、回復魔法をかけておいたからな」
眼鏡の女の子がいかにも当然といった顔つきで言った。そして、そのまま暗闇の奥の方へ
とすたすたと歩いていく。
「でも……さっきの黒い髪の女の人だけ残して本当によかったのかなぁ」
あたしは思っていた疑問を口にした。
「彼女のことなら気にしないで」
水色の髪の女の子はそれだけ言うと、さっきの眼鏡の子に続いて奥へと進んでいく。
「とにかくぐずぐずしていられないよ。先へ進むわよ」
ここは下水道の通路だった。嫌な匂いがするはずだよ。
水色の髪の女の子こと岡田さんと眼鏡の女の子ことリアンさんはライターの火だけを頼り
に下水道の中を歩いていった。
「ぴこ〜」
あたしの後ろからポテトがついて来ている。ポテトも匂いに耐えられないといった感じ。
やがて、奥の方からなにか工事をしているような音が聞こえてきた。
ちょうどここで下水道は右と左に分岐していたが、左の方からかすかに光が差し込んでき
ているのが見えた。音も同じ方向からしてきている気がする。
「やってるやってる」
通路を曲がってしばらくいくと、大型の電灯が下水道に取り付けられていた。電灯が照ら
す先は壁だったが、他のところと違うのはそこに大きなあながぽっかりと開けられているこ
とだった。
その穴には所々に電灯が取り付けられていた。
一体、何のために掘っているのだろう思いつつ進んでいく。音も奥に行くにつれて大きく
なっていく。
やがて、その穴の奥に到着した。
そこにはショートカットの髪の女の人と、オレンジ色のワンピースを着た女の子がドリル
で穴を掘っていた。
「お疲れ」
リアンさんはそっと彼女らに声を掛けた。
「おっ、リアンじゃない。もうあと30センチだから、もうちょい待ってね〜」
ショートカットの髪の女の人は笑みを浮かべながら、あたしたちの方を見てきた。今まで
穴を掘っていたせいか、顔には所々に泥が付いていた。
「コリンにも手伝ってもらって本当に悪いね」
「いいのよ。この先には早く運び出さなければいけない人もいるんでしょ」
「まあな」
そんな言葉を彼女らが交わしているうちに、ショートカットの髪の人が大声をあげた。
「にゃ〜ははは。ついに穴があいちゃったよ」
「ナイス、玲子。その先はどうなってる?」
「ん〜とね……。何か倉庫のようだけど、誰もいないみたい」
「計画通りだな。それなら早速、穴を広げるとすっか……」
リアンさんはそう言って、近くにあった別のドリルに手を掛けると、先程の小さな穴の周
囲にあてがい始めた。見る見るうちに、穴の大きさが広がっていく。
そして、5分もしないうちに人が十分通れるほどの穴があいた。
「さぁて、行くとすっか……」
リアンさんはドリルを足元に放り出すと、その穴を潜っていった。岡田さんや玲子さんら
も後に続く。
あたしもそのあとに続くことにした。
穴を通り過ぎると、そこは玲子さんの言った通り、何かの倉庫のようだった。
でも、そこは見覚えのある場所だった。
何しろ、そこはスフィーさんが結界を張っていた――そして、さっきまであたしがいたア
ジトの地下倉庫なのだから。
「び、びっくりさせないでよ〜」
地下倉庫を出た途端、見覚えのある顔に出くわした。理緒だった。
「すまねぇな。でも、事態は急を要しているんでな」
俺は唖然とする理緒を尻目に、地上へと通じる階段を上っていった。
そこにも数人の人間がいたが、いずれも負傷して動けないといった状況だった。
俺はそいつらの姿を確認すると、すぐさま2階に上がった。
「……遅いじゃねぇか。何油売ってやがった?」
「せっかく来てやったのに、その言い草はなんよ? 喧嘩売ってんのか、コラ」
姉貴はまったくといっていいほど不機嫌だった。
まあ、それも無理は無い。姉貴の話から、俺がここに来るまでに相当の犠牲が出たという
のだから。こんな腐れきった姉貴でも、一応責任感は持ち合わせている。
犠牲を出してしまったことで、自分の無力さを恨んでいるといったところだろうか。
さらに聞くと、智子とはるかがあの腐れ邪術士を討ちに飛び出してしまったという事だ。
なんてこった。本当にイカレてやがる。
てめぇは何をしていやがった、と姉貴に問い詰めようとしたが、それは躊躇われた。
姉貴も悩みに悩みぬいて出した結論なんだから。
智子らが邪術士の息の根を止められれば、それに越したことは無い。
逆に、智子らが逝かされちまったら――それはそれで仕方がないとしか言い様が無い。
とにかく、まずはここにいる怪我人どもを一刻も早く、この区域から脱出させることだ。
コリンが言うには、俺たちが通ってきた下水道を経て、とある倉庫に通じるマンホールま
で運ぶという。その倉庫の中にトラックを2台停めているということで、怪我人は最終的に
そのトラックに乗せて、区域の外に運び出すといった段取りで進める予定だという。
「とにかく、怪我をしている人たちを運び出すけど、いい?」
「ああ、是非頼むぜ」
姉貴も即刻承諾したので、コリンと玲子はすぐに怪我人をストレッチャーに乗せて地下倉
庫にてきぱきと運び出す。
また、岡田と佳乃にも手伝ってもらい、最終的には彼女らも区域の外に脱出させようとし
たが、なぜか佳乃はそれを拒みやがった。
佳乃の奴が脱出を拒んだ理由――それは言うまでもなく、姉の聖を放っておけないからだ。まあ、当然といえば当然の理由だが。
だが、さすがに今はそんな悠長なことは言っていられない。
とにかく、佳乃の奴に関しては姉貴とともに動くようにとだけ言っておいた。
怪我人の搬出が終わったら、ヤブ医者……もとい聖と、理緒の奴も脱出させる算段だ。
(って、おっと……雅史の奴を忘れていた(w))
あと、厄介なのが勝手に飛び出していきやがった志保と浩之だが、こいつらに関しては姉
貴は最悪の場合、放っておかざるをえないと言った。
そういえば……あと一人、肝心な人物がいないことに俺は気づいた。
健太郎の奴だ。家の中を見た限り、どこにもいない。
聞くと、なんでも「神奈様はどこにおられるのか」などと、妙なことをのたまわった挙句
に理緒を殴りだしてどこかに消えてしまったとの事。
本当に滅茶苦茶だ。いらない労力を掛けさせられている気だけがする。
まあ、ぐだぐだ言っても仕方が無い。
彩の事も気にかかるしな……。
俺は一人で彩のところにすぐにも戻るつもりでいた。
殺しの腕は相当あるとはいえ、所詮は魔術などは一切使えない生身の人間だ。
しかも相手は妖狐のナンバー2ときている。
彩に何かしらの算段があるのだろうが、相当の苦戦は覚悟しなければならねぇだろう。
かといって俺も千紗の奴に太刀打ちできるか否かは全く分からねぇがな……。
俺は玲子らが順調に作業を進めているのを見届けて、来た道を引き返していった。
さて、回しにかかりますか。
ちょい、ここで訂正。
>>39のタイトルについてですけど、正しくは(6/9)でお願いします。
ついで、
>>40のタイトルについては正しくは(8/9)……。
思い切りスマソ……。
しかしここまで間違いまくるとは……。
宇津陀……。
寝ぼけているていってもね……。
とにかく、今日はここまでにして……。
これの続編はまた後ほど……。
では、おやすみなさいだよもん。
保存sageだよもん。
sageだよぉ〜。
――消えた?
頭に響くような痛みが走っていた。
俺は虚ろだったのだろう。覚束ない足取りで遠野の傍らに歩み寄っていた。
そこには少女の姿があったはずだが、今は欠片もない。
「……重傷だな」
「お前はいちいち癇に障る……!」
柳也の襟首を掴み上げて俺は殴りそうになったいた。
しかし、やつは涼しい顔で俺に言ってみせた。
「薬だ、使え」
懐から液体の詰まった小さなビンを取り出していた。
「即効性だ。見たところ魔法の秘薬だろうな」
「……そういうことは先に言え」
いまいち俺は柳也のことがつかめなかった。
気に入らない、のは確かだった。それなのに嫌う理由が見つからない。
「…………」
俺の視線に気づいたのか、柳也は苦笑する。悪意はなかった。
「先に行く、そこで神奈が待っているからな」
「……あ、そうか」
何かが胸の中を横切った。分かったような気がしたのだ。
柳也……あいつは、似ているのだ。
「ああ、そうだろう。でも今を……この時代を生きているのは、お前たちだ。
過去の因縁は、俺みたいなやつが取り除くべきなんだろうな……」
「……あとで必ず追いかける」
呼び掛け。約束。今は任せたい。
「期待してるよ、往人」
初めて、名前を呼ばれたような気がした。
「ああ、柳也、オマエモナー」
駆けていくあいつの後ろ姿を見送って、俺は今、遠野の側に……。
「似ているか……」
何気なく苦笑している自分にさらに苦笑する。
「遠野美凪か、あいつと女の趣味まで同じだとはな……」
どことなく彼女には裏葉の面影があった。
そして、気合を入れる。
この先には、裏葉はもちろん、九尾や神奈もいるのだから。
「――見えた!」
結界がある。蜘蛛の糸のように無数の毛が張られている。
それは丘だけではなく九尾や神奈の二人の周囲にも張り巡らされていた。
戦いの邪魔をさせないようにか、それとも力が外に漏れないようにか……。
恐らく後者だろう、裏葉を巻き添えにしないようにだ。
「ふっ、互いに姿は変わっても、力だけは衰えを見せず、か」
手元にあった唯一の力を俺は解放した。
妖刀・村雨……昔の俺の愛刀だったものが現在にも存在する。
「これも因縁なのかもな」
――断!
結界が裂ける。小さな裂け目だった。しかしそれで充分だった。
「柳也様!」
裏葉の声がした。懐かしい、とても……。
「……誰?」
きょとんとして俺を見るのは天野という娘だった。
今の神奈の器……いや、強い子なのだろう。
「ほう、誰かと思えば……裏葉をかどわかせた男か、また殺されたいようだな……」
冷たい視線。最強の妖弧・九尾の真琴。
そして、俺は……。
「正八位衛門大志・柳也――ここに見参する!」
そう、ここからが始まりだった。
『柳也殿こそまことの士』
『まことの忠臣だぞ……』
――神奈、もうお前を泣かせたりはしない。
「ああ、柳也様……」
再会……永かった時の中でようやく逢えました。
「裏葉は嬉しゅうございます」
笑いながら頬を伝う涙も今だけは晒されてもいい。
滑稽でもいい。弱虫だと笑ってくれてもいい。
時を越えて柳也様と再会できたこと。
「馬鹿、泣くやつがあるか」
「……はい、そうでございましたね」
泣くのは後でいい、と柳也様は言ってくれた。
そう、今のわたくしに出来ること……したいこと、しなければならないこと。
「今度こそ、神奈をひとりにはさせない」
「はい、わたくしも出来る限りのお手伝いをさせていただきます」
……本当は怖かった。
今まではっきりと口にすることは憚れてしまった。
でも、とわたくしは思った。
お母様を見る。子供の頃からずっとわたくしの側にいて愛してくれたお母様を……。
そして、そっと目を閉じる。
涙がこぼれ落ちないでいいように、と……。
「お母様……わたくしはやはり、神奈様と柳也様と一緒にいとうございます」
「……それが答えか、我が娘よ」
一瞬の沈黙。風のように穏やかに幼い頃の記憶が流れていく。
そして、わたくしは頷きました。
「はい。もう裏葉は子供ではありませんから」
優しかった、厳しかった、お母様……。
「……死ぬことになってもか?」
「はいっ!」
憂いの表情。お母様はひとしきり何かを考えてから、
「裏葉よ、掛かって来るがいい!」
九尾と呼ばれるものの、瞳でわたくしを見た。
後悔はしない……。
道を選んだのはわたくし自身なのだから。
涙は、もう零さない。
「どうして?」
九尾とその娘の裏葉さんと高野の柳也さん。
その中にいる、私……場違いのようにしか思えなかった。
そう、みんなが求めているのは神奈だった。
私ではない私だったから。
このままでは、九尾には勝てない……。
でも、神奈をこの身に降ろせたなら状況は違ってくるのだろう。
チャンスは一度……。やり直しは利かない。
「…………?」
どうしてか負が心を巡っていた。
分からない。抑えていたつもりだったのに……。
嫉妬? まさか、そんなものあるわけ……ないの、かな?
必要とされる。されない。そう、教室でいつも独りだった誰かの姿……。
寄り添うように、求めていた出会いと温もり……。
九尾? いや、違う真琴だった。
私の心を癒してくれたのは、沢渡真琴という女の子だった。
現世? 前世? この記憶はいつのもの?
いや来世になろうとも変わらない盟約ではなかったか。
負の力。どうして私の心を蝕むの……。
「天野、神奈の依代よ! もうお前はよい――神奈を降ろせ!」
九尾が声を高らかに叫んでいた。
私はどうでもいいのか? 本当に私は今まで弄ばれていただけなのか?
神奈、翼人を降ろす――どうして、今更、戸惑うの?
望んで力を手に入れたのは、私だったのに……。
「違います!」
裏葉さんが声を張り上げていた。悲痛な声だった。
「天野様、神奈様の御力を信じてください。その力こそ天野様の御力となり九尾を討つ力となりましょう」
「……そうなんだ」
私は素っ気なく返事していた。誰も彼も神奈かんなカンナ≠セった。
まるで笑えない。今までの自分は何だったのか?
「そう、そうなの……」
私は薄笑いを浮かべて九尾を睨んでいた。
「そんなに神奈の力を見たいのなら、見せてあげる……負に染まった神奈の力をね!」
迷いは人を弱くする。だったら、私は……。
だよもんだよもん。
ちょっと美汐たんが暴走しそうだよもん。
でも、負の設定が埋もれてしまうのも残念なんだよもん。
とりあえず回しだよもん。
>>56 誤字だよもん。
× 柳也の襟首を掴み上げて俺は殴りそうになったいた
○ 柳也の襟首を掴み上げて俺は殴りそうになっていた
推敲が足りないだよもん。
鬱だよもん。
村雨は千年前にはないんじゃないか、というツッコミする人嫌いですーだよもん。
「ついに…始まっちまったな……」
眼下で行われている、人外の闘い。翼人の力と、九尾の力が、真っ向からぶつかる。
だが、九尾の尾は、非常に特殊かつ強大な力を持っている。
例え神奈の力を宿し、たぐいまれなる素質を持つ天野と言えど、数千年を生きた狡猾なる
沢渡真琴を倒す事は、至難の技だろう。
だからこその、神奈の力……なのだが。
「どうするの、ヒロ……?」
俺の傍らで、志保がつぶやいた。その姿は、以前のショートボブではない。
髪は腰まで伸び、力あるものが見れば、こいつが以前のただの人間ではないとわかるだろう。志保は、俺と一緒について来ることを告げた。もう、離れ離れになりたくはないと。
そして、俺は志保を抱いた。俺の力は志保に宿り、志保は力を得た。
だがそれは、相手を滅ぼす力ではない。俺と共に、この闘いを、生き抜くための力だ。
見慣れない姿ではあるが、志保が志保である事に変わりはない。
あの時。綾香が……俺の愛する者が死んで、ただ俺一人生きかえってしまった時。
俺の心は、その重圧に押しつぶされ、俺はただの生ける屍となった。
いるはずのない綾香の姿を求め、街をさ迷う俺の前に、あいつが現れた。
長岡志保。俺の悪友。俺は、気付いていたはずだった。綾香と志保は、似ている所がある。
けれど、二人は、決して同じではない、と。
それでも俺は、あいつを綾香と呼び、あいつは、俺を浩之と呼んだ。
いつもの、“ヒロ”ではなく“浩之”と。綾香の振りをして。
俺はその胸に抱かれ、言い知れない安心を覚えた。俺は、俺の愛するものと共にいる。
俺は綾香と一緒にいる。目の前の事実を誤魔化し、自分の心を守る為、偽りを望んだ。
その事で、志保が…………どれだけ苦しむことになるか、わかっていたのに。
それでも俺は、俺のために、志保の心を利用した。
だが、やはり俺は耐えきれなかった。
俺の頭を膝に乗せ、優しく頭を撫でる手。囁きかける声。抱きしめられる胸の中の熱さ。
綾香と同じではない。その事を知りながら、俺はそれに安堵した。
志保である事を知りながら、俺は志保と一緒にいる事に、安らぎを覚えていた。
いつの間にか、綾香といる時と同じ…あるいは、それ以上に。
だから、俺は恐怖していた。
いつしか、綾香の事を、忘れようとしている自分に。
綾香ではなく、志保に引かれている自分に。
自分の心を守る為、俺は綾香を忘れ、心を癒す為、志保の心を利用しようとした。
そんな醜い自分の心を認めたくなくて、俺は必死に綾香の影を求めた。
志保を綾香と呼び、綾香を忘れる事で癒そうとする心の治癒行動を否定し、それゆえ、俺
は抜け殻同然となり、志保に頼りきりになり、余計に志保を苦しめた。
綾香の名を呼びながら、志保の身体を抱いた。
あいつの秘部から流れ出る血に、気付かない振りをした。
他人の顔を被りながら、愛する男に抱かれる事で、どれだけ志保が苦しんだのか、俺は
想像することさえ出来ない。
……俺は、最低の男だ。だが志保は、そんな俺を、変わらず愛してくれた。
俺も、志保も、寄り添い合い、互いを求めながら、自分の心を切り刻んでいたのだ。
俺は、綾香を忘れようとしている、自分の心の弱さから。
志保は、自分ではなく、綾香を求めている事を知りながら、偽りのペルソナを被り、苦しみ
ながら、それでも俺と共にいる事に。
綾香の残留思念を受けたセリオが現れた時、俺は審判の時が来たと思った。
偽りの綾香。俺が愛した女。
俺はその時、確かにセリオを、綾香だと思った。
綾香が二人いる。
綾香の銃口がもう一人の綾香を狙った時、俺は唐突に気付いた。
そして、俺は………志保を、かばった。
銃弾をこの身に受けながら、俺はようやく、自分が志保を愛していた事を認めた。
俺は、愛する女を守って、愛した女の放った銃弾に、殺される。
傑作だ。もう動かない身体の中で、俺は一人、笑い続けた。
もっと早くに気付いていたら、こんなにも……あいつらを、苦しめなくてすんだのに。
だが。
薄れる視界の中、志保がセリオの銃弾に身体を貫かれた時、俺の中で、何かが目覚めた。
もう、愛する者を、これ以上失いたくない、と。
俺の持つ力。プラス因子を持つ、次元修正能力。
その力はあまりにも強大で、それまで俺は、まともに制御できていなかった。
だが、その少し前に、俺は、俺の力を河島はるかに託していた。その為力が減少し、俺は次元修正能力を制御できたのだ。
そして今、俺は完全に、自分の力を己のものにしていた。
これほどまでに大きな力を、自分が持っていたなんて、信じられない。
俺が始めて志保を志保として抱いた時、あいつは涙を流し、それでいて無理に笑いながら
「これが、志保ちゃんのロストバージンよ」と言った。そう、俺は始めて、“志保”を抱いたのだ。
俺の……次元修正能力を持つ者の精を受け、心が通い合った事で、志保は俺の力を得た。
精は何度となく受けていたから、志保は難なく力を制御した。
長い髪が、その証だ。
俺は、目の前で揺れる志保の髪に触れた。
多分、俺は一生、こいつには頭があがんないんだろうな、と思いながら。
志保が、くすぐったそうに顔をしかめる。
「ちょっと、やめてよねヒロ。それよりも、あの二人、放って置いてもいいの?」
「いや……だが、まだだ。相沢祐一があの場に現れ、神奈が出現し……役者が揃った
時、俺達の力が必要になる。因果律の歪みが頂点に達し、全ての過ちが、一つになった時に」
「そう、ね。この、ヒロの力……すべての不幸を覆す、最大最強の力が、ね」
ものみの丘を見渡せる、この街で最も高い木の上で、俺達二人はその時を待ち続ける。
その時、志保が何かに気付いた。
「ヒロ!病院の方!」
俺が振り向くと、確か、スフィー達がいる病院が、白い狐たちの総攻撃を受けている所だった。志保が、唇をかむ。
「ちょっと行ってくるわ、ヒロ」
「……止めても無駄か……だが、危なくなったら、すぐ俺を呼べよな」
「わかってるって。あたしは、絶対生き残る。その為の、この力だもんね」
志保はくすりと笑って、俺にキスを送ると、大きく跳んだ。
次の瞬間、志保の身体が、空間を渡って消え去った。俺はそれを見送ると、再び視線を九尾に向けた。
じりじりと、ただ時間だけが過ぎて行く。
回し
志保が、少しでも綾香に見えるように、自分の髪を伸ばし始めた。
ってのも考えたんだけど。さすがに時間が合わない…
回し
とうとうクライマックス…
500超えてるってのは…ageは回し終わったら、定期的にした方がいいのかな
(何をやっているのかしら……)
戦いの最中、瞳は漫才でもやってるみたく強化兵の面々に向けられていた。
(時間稼ぎをしてほしい、とは言ったけれど……)
結局、私は溜息をつくことで自分を納得させることにした。
(それにしても……失敗かしらね、こっちは)
いくつものレーザー照準が私の身体をロックオンしている。
量産型のHMX−12型の仕業だった。
「もう少しはいけると思ったんだけど……期待し過ぎってことかもね」
「ターゲット確認、攻撃に移ります」
機械的な口調と動作で、量産型マルチは腕に装備されているロケットランチャーを構えた。
「しかし、遅すぎるのよねー」
私はすでに量産型マルチの前まで来ていた。あっさりとメスでその腕を切り落とす。
すると、マニュアルとは違った対応で……量産型マルチは自爆した。
「……御堂のやりそうなことよ」
マルチの設定を変えてあるとは思ったのだ。手段としては二流だが帝国軍人としては一流なのだろう。
敵は殺れるときに殺る。生き恥は晒さないように自爆する。
「もっとも、そんなもので私は殺せないけど……頭には来るわ」
また別の量産型マルチのもとに私は赴いていた。これも迅速に私は処理する。
「ターゲッ……」
今度は量産型マルチが動く前に終わらせた。
「これをあと二百八十八回も繰り返すの?」
冗談にもならない、と私は切り札を出すことにした。
もっといいデータが取れると思ったんだけど、どうやら失策に終わるらしい。
「軍事利用は、まだ実用可能範囲じゃない、か……上には、そう申告しときましょう」
もっとも相手が私じゃなかったら、いい線いってたかもしれないけど……。
それを報告する義理はなかった。
「来栖川も軍部も、これで少しはこりるかしら?」
すべての照準に晒されるよう私は、障害物のない空き地……道路の中央に立つ。
量産型マルチは思いのほか警戒してるのか、ガレキを盾に私を狙ってはいたが……。
「まったく、自爆装置ってなんのためにつけると思ってるのかしら?」
私は白衣の袖から小さなリモコン式の装置を取り出す。
「さようなら、機械仕掛けのマリオネットさん」
――破壊が巻き起こった。
爆音が鳴り響いていた。石原麗子がやったのだろう。
すべての量産型の機械仕掛けは首から上がなく見るも無残な姿にされていた。
「なんだありゃ……」
「くっ! あそこまでとは……」
御堂と岩切は驚嘆と畏怖を込めて石原麗子を見ていた。
「降伏しろ! もう勝敗は目に見えている!」
ここまで来たら戦いも虚しいだけだったので俺は告げる。
しかし、この勧告を大人しく聞いてくれるわけもなく二人は吐き捨てたように言った。
「けっ。ボケやがったか? 帝国軍人に降伏はない!」
「その通りだ。貴様らに一矢報いなければ我が強化兵の名折れというものだ」
「……仕方あるまい」
俺は静かな動作で鞘から刀を引き抜いていた。
跋扈の剣。俺の鳳凰だ。
「さあ、いつでも掛かって来るがいい!」
御堂が左に。岩切が右に動く。左右からの挟み撃ち。
銃弾が唸った。御堂の予備の拳銃だろう。だが、やつが射撃の名手なら俺は剣術の皆伝者だった。
カン! カン! 小さな二つの音。俺は刀で銃弾を叩き落していた。
……分かっている、これが誘いということは……。
「消えろー!」
岩切が不意打ちの形で俺に攻めって来ていた。
速い。この雪の街には、水中にいるのと変わらないくらいの水分が空気中にあった。
しかし――
「爆ぜろ! 回流・鳳凰の舞!」
水には火が効果的だった。当然だろう。剣を下段に構えて力の限り振り上げる。
炎が飛んだ。それは羽ばたく鳳凰のように舞う。
「――――!」
圧倒的な熱量に岩切は呆気なく沈黙した。気絶したのだ。
これで、後は御堂ひとりだけ……と思いきや、やつは視界の遠くですでに血塗れになっていた。
「潤の仇だ……死ねよ」
そこには先の若い少年が悪鬼の表情で立ち尽くしていた。
……馬鹿らしい。
何もかもが馬鹿らしくてしょうがない。
笑える? まさかっ! 奴らの遣り取りは温くて嫌気がさす。
聖さんには悪いけど、こいつらは僕が殺したい。そうだ。八つ裂きにしてやりたいのだ。
どうやら、聖さんは奴らの遣り取りに夢中になって、僕には意識が向いていない。
桑島という人の回復の術で身体もかなり良くなってきていた。
――殺れる!
実行するのはとても簡単だった。そして制するのは容易かった。
降伏しろだって? 笑わせる……殺してしまえ。何も難しいことじゃない。
「何なら、僕が手本を見せてあげるよ」
蝉丸とか言う奴に他の強化兵……そう潤の仇が攻めかかっていた。
銃を放つ……御堂とか言う男を、後ろから蹴り付ける。
サッカーで鍛えていた足に、さらに霊力を付け加えてのオーラーシュートを放っていた。
とても容易に、奴の内臓を抉ってやることができた。
「強化兵? ふん、この程度なのか?」
僕は更に御堂の腹を蹴り上げた。血が辺りに跳んだ。とても汚い。
「僕の服を汚すなよ!」
さらに怒りが加わって面白おかしく毛玉のように何度も何度も腹や顔や急所を蹴ってやった。
サッカーより全然楽しい。愉快だ。死ぬまでこうして遊んでやろう。
頭を胴から切り離して、壁サッカーをするのはどうだろう?
ボールが惨めに破裂するまでコンクリートに叩きつけて遊んでやるのだ。
それとも、聖さんに人体解剖をしてもらおうか?
生きたまま手をもぎ取って、足をのこぎりで切断して、熱湯をかけてみたりするのはどうだろう?
そっちも面白いかもしれない。聖さんも喜んで協力してくれるだろう。
「止めるんだ佐藤君」
止める? 誰が止めろって言ったの? ああ、そうか、聖さん……大丈夫だよ。
聖さんが楽しむ分もちゃんと取って置きますから。
「どこにします? 眼球とか抉ってみましょうか? 歯を一本ずつ抜いていくのもいいかもしれませんね。
指とかも同時に切っていくんですよ。爪をはいで第一関節まで切り落として、次は根元から……そうそう忘れてた。
傷口にアルコール吹きかけないと、腐っちゃいますよね。それから、針をそこに刺しましょうよ。何本くらい刺さるのかな?」
「佐藤君、君は……」
聖さんはどうしてか賛同してくれなかった。
それもそうだ。僕なんかより聖さんの方が拷問が得意なのだ。
きっと、僕よりもいい案が在るのだろう。
「あはははっははははっはははっはははははっははははっははっーーーーーーー!」
僕はそれを想像してとても楽しく笑わせてもらった。
とりあえず回しだよもん。
まだまだ回すだよもん。
そろそろDC版こみぱ発売だよもん。
すばるは出せるかだよもん。