葉鍵ロワイヤル!#5

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1名無しさんだよもん

基本ルール 、設定等は前スレ熟読のこと。


・読み手のマナー
自分の贔屓しているキャラが死んでも、あまり文句は言わないように。
ただ、あまりにもぞんざいな扱いだった場合、この範疇ではありません。
・書き手への注意

 前スレ前前スレを一言一句全て読み込んで下さい。
 SSパート以外にも、補足説明、状況まとめ等あります。
 しっかり把握し、矛盾出すのは避けましょう。

 後のことも考えて書きましょう。

 キャラを殺す際は、慎重に。

前スレ
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=990388662&ls=50
今回のデータ
http://www32.tok2.com/home/hakagitac/
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/1168/index.htm


2名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 01:59
一瞬でスレ消費したな…
3111:2001/05/23(水) 01:59
新スレ設置完了age
4マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:00
新スレおめでとー。
マターリかつデンジャラスに行きましょう。
5良スレ認定委員:2001/05/23(水) 02:00
殺人良スレ
6大志:2001/05/23(水) 02:00
これからどうなることやら・・・・
7111:2001/05/23(水) 02:01
葉鍵スレ最大の作品になることをひそかに希望
8名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:02
あ、しまった。前スレのときに言うべきだったけど
書き手のルールに「同人オンリーのネタはいくら有名でもNG」
を加えたほうがいいんじゃないですか?
9名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:02
なんか、NGが出る度にターボになるなぁ(w
10名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:02
とりあえず浩之殺そうぜ。
あいつのせいで何人無駄死にした?
理緒とか瑠璃子さんとかもったいなすぎ。
11名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:03
浩之は使い所間違えなければ非常に使える。
12名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:04
さおりんもだ。香奈子も瑠璃子も、ゲームを
ひっかきまわしてくれそうなキャラに限って
とっとと退場させられる。

伏線やなんや書いても書いても無駄になるばっかりでむなしくなってきたよ
13大志:2001/05/23(水) 02:04
でも浩之殺せるキャラいるかな?
14名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:04
>>10
私怨
15名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:04
浩之には改心して欲しい。
死ぬ間際でもいいから…
死ぬのだったらあかりに看取られて死んで欲しい…
マジで
16名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:04
あと結界組の続きをきちっと書いてくれる人もキボンヌ
17名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:04
>>10
あの辺荒らしだよ。出来ればキャンセルしたい。今のうちなら大丈夫そうだし。
でも無理か…
18マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:05
>>13
浩之はそろそろ薬が切れるので出血多量で死にます。
19名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:05
でもたしかに暴走しすぎ<浩之
便利なのは分かるがもう少し考えてくれ。ホントに。
20111:2001/05/23(水) 02:05
>>8
しまった入れ忘れた!?
どうしよう……きっとこの板金曜日には終わってるよ〜w
21名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:05
>>15
あかり庇う→死亡が良いな、でもあかりも殺されるの。
22名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:06
>>13
和樹チーム(機関銃所持)は?
そろそろ主催者制圧をはじめて欲しいぞ
23大志:2001/05/23(水) 02:06
出血死か、でもあそこまで暴れといてそれはどうでしょう
24マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:07
つーか、実際浩之は薬入ってるの?
素であれだけ強いならもう秋子さんくらいしか相手できないぞ(w
25名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:07
何かイベントがあると、そこに出てきたキャラは用済みとばかりにさくっと殺す話を付ける安直ヴァカがいるような気がする。
26111:2001/05/23(水) 02:07
>>18
ま、マターリいきましょ。
茜もいるし
27お姉さんなんだよもん:2001/05/23(水) 02:07
「ぴろー、ぴろー!」
沢渡真琴と椎名繭はぴろを探しながら歩いていた。
大声で叫びながら歩くということは自分の居場所を第3者に教えているということに気付かずに…
「あうー、全然見つからないよー、何処行ったんだろう?」
「みゅ〜」
「もう、疲れちゃったよ〜」
と、そのまま近くの木に寄りかかった。

そのとき、『カカカッ』と聞きなれない音が耳元で聞こえた。
振り返ってみると、その寄りかかった木に釘が数本刺さっているのが見えた。
「何これ?」
真琴ははじめわけが分からなかった。
するとまたすぐに『カカカッ』と同じ音がして釘の数がさらに増えた。
そうなって、初めて自分達が狙われてることに気付いた。
「うわっ!あぶないじゃない!!」
と叫んだとき、真琴の右手には釘が刺さっていた。
「って、いったーい!」
なおもまだ釘は飛んでくる。
「うわわっ、こうゆう時は漫画で見たように、…逃げるのよっ!」
そういって繭の手を握り森の中へと走りこんでいった。

「ちっ、もう少し近づかないとこいつは命中率が悪いぜ」
そういって、藤田浩之が姿をあらわす。
「何も反撃してこないってことは、あいつらたいした武器は持ってないってことかな?
 とりあえず一度狙った獲物は逃しはしないぜ!っと」
と言って藤田浩之も彼女らの跡を追った。
28名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:08
人とネタかぶったり勝手にキャラを殺されたりするのがいやなら
その人はリレー小説に向いていないんです、あきらめてください。
29大志:2001/05/23(水) 02:08
マーダー藤田浩之発進ですか
30お姉さんなんだよもん:2001/05/23(水) 02:09
「な、なんなのよ、あいつ!包帯とか巻いてるくせに全然平気っぽいじゃない」
「みゅ〜♪」
必死で逃げる真琴に対して、繭は鬼ごっこでもしているのかと思われるぐらい、あっけらかんとしていた。
そんな繭の顔を見ながら真琴はあることを決心した。
「そうだ、真琴はお姉さんなんだもん!絶対守ってあげるんだから!でもどうやって…」
そんなことをつぶやきながら走りつづけてると吊り橋らしきものが見えた。
「そうだ、これを渡った後に切っちゃえば…」
そう考え橋に近づいてみると、もうすでに何者かによって切られた後だった。
「うそ…」
「みゅ〜」
一気に追っ手を引き離すどころか、追い詰められたことに真琴は愕然とした。
周りを見渡してみると人が隠れるような場所はあるのだが、
たとえ、隠れたとしても少し探せばすぐに見つかるようなところばかりである。

突然、真琴は繭の手を引いて、木陰に座らせる。
「いい、ここから動いちゃ駄目だからね♪」
「みゅ〜」
真琴はとびきりの笑顔を見せながらそれだけを言うと、
近くにあったそれなりに大きな石を持ち上げると崖の下に放り投げた。
すると、浩之が森を抜け出てきた。
31名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:09
>>25
同意。一度出たキャラはもう殺していい、ってことじゃあないと思うぞ。
32名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:09
>>13
あるキャラ大事に育ててます。
まあ、返り討ち確実(W
浩之無敵だからなぁ…折り合いつかない。

つうか、放置しても放置しても誰も書かない某キャラ憐れ…。
俺が書くしかないやん…
もしかして前に書いた俺が悪いのか?(W
33お姉さんなんだよもん:2001/05/23(水) 02:09
『ザップーン』
水に何かが飛び込む音がした。
「はー、はー、どうも、まだ体が本調子とはいえねえなぁ」
まだ息を乱しながら、浩之が銃を構える
「だったら追いかけてこなけりゃいいじゃない!」
「まったく、そのとおりだな。だが、おれはこんなことさっさと終らせて家に帰りたいわけよ
 で、もう一人のほうはどうした?
 さっき、水音がしたみたいだがとびこんだのかよ?
 なかなか、勇気のある奴だな」
真琴は黙って浩之を見つめている。
「おまえはどうするんだよ?
 撃たれて死ぬか、飛び降りて死ぬか。
 どっちかは選ばせてやるよ」
「あんたなんかに撃たれて死んでたまるもんですかっ!」
と言い放ち、パチンコを浩之目掛けて撃ちながら崖を飛び降りた。
『バシッ』
真琴の最後に放ったパチンコ玉は浩之の左眼に命中した。
「てめっ!」
左眼をおさえながら崖下に銃を乱射する。
しかし、大きな水音が響き渡り目標がどこにいるのかすらわからなくなった。
「くそっ!狐の最後っ屁って奴かよ…あれ?狸だったかな?
 まあ、いい。まぶたに当たっただけだしな。
 でもこれじゃ、一時は見えやしねぇ…ついてねえぜっ…」
そういって、その場を離れていく浩之であった。

物陰に隠れた繭はすやすやと眠っていた。
34#4-6:2001/05/23(水) 02:10
戦闘が出来て良いネタ出来そうなキャラばっか死んで
鍵の戦闘非参加キャラがのうのうと生きているのはちょっと萎えます。
弥生使って掻き回そうかな。(けど今晩はもう書けない)
35111:2001/05/23(水) 02:10
>>28
ちょっと厳しいかもしれないけどそれはアリ。
僕も結構潰してるしね、ネタ。
36名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:11
ネタになりそうなキャラを適当に殺したりあとの人が使えそうな複線を考えなしに潰すなら、
その人はリレー小説に向いていないんです、あきらめてください。
37名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:11
真琴カッコイイ、萌え
38名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:12
沙織・理緒・千紗・瑠璃子・香奈子あたりはもっとひねって欲しかった……

どうでもいいが繭がムカついてしょうがないんだが。
どうにかなんないか。みゅーみゅー言ってりゃいいってもんじゃなく
理性モードにでもなってくれ(無理か)真琴が哀れすぎだ。
39名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:12
マーダーがすぐ殺されるのは、まったりしている人達を
あっけなく殺しちゃいそうだからじゃないか?
それ(あっけなく)は無いと思うのだが・・・。

浩之。みんなを納得させつつがんばれ!
40111:2001/05/23(水) 02:12
>>36
まあ糾弾しすぎてもしょうがないよ。
あとは書き手さんに期待、ということで。
先は長いよ〜。
4127.30.33:2001/05/23(水) 02:13
すんません、色々と言われてる浩之つかっちゃいました。
とりあえず、暇そうなマーダーがこいつくらいしかいなかったから
つかってしまいました。

ちなみに真琴の生死は今のところ不明です。
42大志:2001/05/23(水) 02:13
ふぅむ・・・書くときはその辺気ぃつけないとな
43マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:13
>>38
繭には是非キノコを食わせたいね(笑
昔どこかでそういうネタのSSを見たような気がする。
44名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:13
>>28
それはわかるんだけどね。
ただ浩之で簡単に殺しすぎ。
ネタよく考えて別のキャラでもやって欲しい。
45大志:2001/05/23(水) 02:14
千鶴さんってどうなったんでしたっけ?
46名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:14
一部の安置ヴァ書き手の思想
「これはバトルロワイアルだ!バンバン殺しちまおう!」
「あ〜、思いうかばね〜、そうだ浩之に殺させよう!」
「俺の好きなキャラは絶対に殺させんぞ!」
「NGNGうるせぇんだよ!そんなに文句があるんならテメェが書けヴォケが!!」
47#4-6:2001/05/23(水) 02:15
>>34…と思ったら
>>33で真琴大活躍だ…前言撤回します。
48名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:15
>>38
つーか、その辺でいろいろ考えてたのに、適当に殺されまくって萎えたよ。
人数減らすことしか考えてない狂殺厨房逝ってよし。
49名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:15
>>32
茜?
50名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:16
>>45
初音に(中華キャノン)撃たれて逃走中。
51111:2001/05/23(水) 02:15
キャラデータ集どしたろ?
そろそろ更新しないと僕らも大変らっしー氏も大変w
52名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:16
>>34
同意。
秋子さんなんか戦わずに帰ってきたもんな…萎え〜
53名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:17
理緒は「どうせ理緒だし」ってことで殺された感ありあり。
54111:2001/05/23(水) 02:17
ネタが潰されてもくじけずがんばりませう
55名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:17

初音の中華キャノンはコマネチでチャージしなくていいの?
56名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:17
無敵化はやめませう
やっぱりある程度リスクしょった方がいい。寝てない分体力ないとか。

あと、持ち物を無限に持たないように(w
57名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:18
和樹&詠美ペアは今…
58名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:18
>>46
いるいる。そしてそいつ多分自覚してない。
荒らしと同じだよな。マジでむかつく。
59#4-6:2001/05/23(水) 02:19
>>52
ゴメン…それ私にも責任の一端あるんです…>秋子非戦闘
60名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:19
>>53
ヒデェよな。夕霧並。あんま抗議なかったけど。
いろいろ葛藤してくれると思ってたんだが、あっさりだ。

あと、CDの伏線はみんな脳内から消去済み?
今は浩之が持ってるんだっけ?
61名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:19
懺悔。
千紗殺したのは自分。スマソ。
理緒が生還してくれたら別ネタで使いたかったけど、理緒死んだから助かる道はないと思った。
と、見苦しい言い訳。
62名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:19
よく考えたらマターリしてる奴等の方が
死にやすいのは当たり前のような気が。
63名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:19
雅史も安易に死んだしね〜
64名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:20
香奈子×佳乃を思いっきり期待してたんだけどなぁ…
愚痴スマソ
65名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:20
>>59
今度は見せ場を作ってあげましょう(w
66111@狂惑:2001/05/23(水) 02:20
「初音……」
千鶴は狼狽しながらさ迷っていた。
あの子がこの状況で前世の記憶に囚われていただなんて……。
それは恐ろしい推測へと連なった。
初音が、人を、殺す?

ぐっ。

下唇をかむ。
私が自ら手を血に染める……それはいい。
だがあの子。
初音にだけは……そんなことをさせたくなかった。
『天使の微笑み』
昔耕一さんが、初音の笑顔を評してそう言ったことがある。
本当にそうだ。
あの子は、うちの姉妹の中でももっとも純真な子で、
そしてどこまでもやさしくて……。

考えもしなかった。
私が人を殺すこと。
それはもう決めたことだからいい。
だが、もし自分の妹たちがそうしていたなら……。
私にはそれを受け止めることが出来る。
でも、むしろ自分自身が殺人の事実に耐えられないのではなかろうか。

血に染まった爪を眺めて、そんなことを思った。

殺す?
そんなことをさせるくらいなら……、

その前に、私がすべてをなぎ払ってしまえばいいんだ。
67マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:20
>>60
3枚(2枚だったかも)は浩之が持ってて、1枚は不明。
マナが持ってりゃいいかなーとも思ったけど、白きよみでも面白そう。そんな感じ。
68名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:20
とりあえず、書き手の皆さん。
自分が>>46でないかどうか一度胸に手を当てて考えてみてくれ。
69111@狂惑2:2001/05/23(水) 02:21
千鶴は冷ややかに笑みを浮かべた。
鬼が……疼く。
たとえその力を弱められていても、その本能はとどまる事もなくあふれている。
高槻……、あなたは一つだけ失敗を犯した。
鬼の本能は人間を凌駕する。
わたしに血を味あわせた以上、
あなたもまたいずれ同じ運命をなぞることになるのよ……。

鬼の力のほとんどを無効化され、
唯一の武器であった爪の片方を取り落としている。
だが不思議と不安な気がしない。
一度殺すと誓ったのなら、
その時既に自分は凶器を持ったようなものだ。
凶器……?
その言葉からもう一つの意味が思い出された。

――狂気。

「……そうね。既に私は狂っているのかも知れないわね」
一人でも多く殺そう。
そうすれば……、誰も苦しまずにすむ。誰も悲しますにすむ。
死者は何も語らない。
死者は何も思わない。
死者は何も苦しまない。
何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、
何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も、何も。


月は人を惑わすと言う。
そういえば私が初めてこの島で人を殺めたとき、
私が殺すことを心に決めたとき、
空には美しい月が輝いていた――。

70名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:21
往人はどうなったんんだろう?
71名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:21
>>58
俺かな(汗
72大志:2001/05/23(水) 02:21
組んでるキャラやっぱり多いですよね、単独で動いてれば
偶然誰かに会って打ち合いの末どっちか死亡ができそうなもの
だと俺は思いましたが、間違ってますかねえ
73名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:22
CDは二枚浩之。二枚不明。
個人的には、少年&詩子に一枚……
74名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:22
>>64
エロエロの後佳乃別人格発動で大乱闘とか予想してたーヨ
萌えー。

あと毒に頼りすぎなのはやめような、楽でオールマイティなのはわかるがな
75名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:23
>>61
あんたは悪くないと思う。
むしろ、あそこで理緒を浩之と遭遇させる理由が全くなかった。
夕霧以上に無意味な氏だったよな。
76名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:24
>>72
一人だと書きにくいんですよね(爆
だって…会話がないから
77111@狂惑2:2001/05/23(水) 02:25
>>46
僕は浩之がそんなに強いとは見てない。
展開的に往人や少年と当たったら遠慮なく殺すときは殺すし。
またその逆も然り。
ただこのキャラにはまだすることっつーか出来ることの
可能性が広いんであまり手をつけてないんだけど。

あ、話すすめるために千鶴さんあげ。
78名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:25
>>68
ついつい同じキャラ書くこと多くなるんだよね。俺の場合。
大事にし過ぎ。
まあ、他の書き手さんがもし殺しちゃっても文句言わんけどね。
79名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:25
>>76
独白で繋げ、茜のごとく(w
80#4-218:2001/05/23(水) 02:26
>>52
大丈夫。
#4でもちらっと書いたけど、そのためにいまどうやって名雪を殺そうか思案中だから。

>>59=#4-6さん
気にしても始まりません。
お互い頑張りましょう。
81名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:26
>>74
あゆにポイズンナイフ持たせておきながら同意。

毒で死ぬ展開はもうカンベソだな…
82名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:26
>>46
それって何か悪いのか?
そういう思想がなけりゃ、これはただのピクニック話だ。
83マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:26
>>78
むしろメインで書いてるキャラがどうやって殺されるかが凄い楽しみ。
聖では泣きかけたよ…マナにも華々しく散ってもらいたいところ。
84大志:2001/05/23(水) 02:27
浩之はあかりと出会うまで殺せないでしょ
85林檎:2001/05/23(水) 02:27
>>64
すいません。
佳乃を誰か(書き手さん)が逃がしてくれて、そのあとを香奈子が…
にするつもりだったのですが。
「ちょっと胸に鋏を突き立てるだけ。簡単よオ」とかを佳乃に向かわせる
複線にしてたのですが。まぁこれもリレー小説の醍醐味。

でしゃばりすぎたんでしばらく読み手にまわります。
この雰囲気の中で誰かを狂わせる(そういうキャラしか描けないから)って事は怖くてできません(藁
今までいろいろ愚痴って皆さんすいませんでした。
86名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:27
>>82
(・∀・)カエレ!
87名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:28
>>82
氏ね。
88セルゲイ@D:2001/05/23(水) 02:28
>>34
>弥生を使って引っ掻き回す
なんせ機械的とさえ評されることのある弥生さんだから、
相手が怯えて先攻してきたりすることはあるだろうと思う。
それに対しての反撃なら分かるけど、そうではなくて、
弥生さんをマーダー化させて引っ掻きまわすんならば、
それなりのプロセスが欲しかったり。

あと、弥生さんの台詞というか由綺の呼称補足。基本的にですが、
対外的(公的)なコメントの場合、由綺を『森川』と呼びます。
由綺に近しい人間人間の前では『由綺さん』と呼びます。以上。
89名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:29
>>58さん!>>58さん!
いましたよ!いましたよ!いましたよ!!

これが本日のしゅうかくで〜〜〜す☆
(・>>82)))△ イキがいいでしょ?
90名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:30
>>82
えーっと
91名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:30
>>82
厨房発見!
92名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:30
>>82
そうだな、確かに本家バトロワにも唐突に出て来て唐突に死ぬキャラとかいるよな。
うんうん、あんたの言う通り……

なわけねーだろ。
バトロワ買って読んでみろ。
どうしてそういうキャラがいても「オイオイ……」って話にならないか考えてみろ。
バトロワの本質がわかってないだろ。
93111:2001/05/23(水) 02:31
>>82
みんながみんなキレて殺しあうわけじゃないよ。
確かに危うい均衡の上に成り立っていて
本バトロの灯台みたいなことになるのは当たり前だけど……。
どんなヤツだって、殺す殺されるまでの助走がいるんだよ。
だからあっさり殺すととクレーム出まくりなんジャン。
94名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:31
>>82
君はもう書かなくていいよ、ていうか青紫。

読まなくてもいいよ、やっぱり青紫。
95マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 02:31
>>82叩きはそのくらいにしておこうよ
無駄に荒れるのは悲しい(´Д`;)
96名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:31
煽りに反応するのはやめましょ。

>>92
なぁ。
俺はバトロワは、一種の青春小説だと考えている。
97名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:32
>>82
とりあえず出てってくれ
98名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:32
>>82
>「これはバトルロワイアルだ!バンバン殺しちまおう!」
ここまではいい(んだよな?)

で、困ったから浩之って展開がげんなりなの。
9964:2001/05/23(水) 02:32
>>85
>香奈子はこのまま「襲う」展開にしようかなぁと考えてみる。
>霧島佳乃(031)。動かないかな?
>このままだと香奈子がオソッチャウヨ。
>香奈子が「襲え」るキャラを探さなきゃ

前スレから抜粋、これ見たら別の人が香奈子で一本書きたがってるのは解るんだし…
その辺を理解して欲しかった。
100名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:33
でもバトロワって実際たいした小説でもなかったよ
101名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:33
おいおい。
こんだけ荒れると、書き手も次のを書き込めないんじゃないのか?
ていうか、今は書き手に自粛させる方向?
102名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:33
>>98
微妙に違う。
殺すは殺すでも、シチュエーションが大事。
唐突でも、それなりの良いシチュがあるはず。
103名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:33
書き手の一人になりたいが、キャラを殺すのは怖くてできない。
インターミッションっぽい話のネタを考えるか……
104名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:34
バトロワであっさり死んだキャラは「泣き落としに騙された」
「友好を呼びかけて的になる」「信用できずに内輪もめのところを射殺」

……色々あるぞ。咄嗟に思いついたのだけでも。
105名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:34
>>98
いえ、これは「葉鍵ロワイアル」です。
似ているようで違います(w
106大志:2001/05/23(水) 02:34
>>100
俺は好きだったけどなあ
107大志:2001/05/23(水) 02:35
葉鍵は問答無用が多いんだな
108名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:35
もう止めよう。荒れるだけだ。
とりあえず>>82とそれの書いたとおぼしき厨編は放置の方向で。
109名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:36
本文が片手で数えるほどしか出てないのに、しかもこの時間帯に
100近くまで行っちゃった萎え
110111:2001/05/23(水) 02:37
>>98
同意見w
スレ立てると一回はこのセリフを言って貰わなくちゃならないんだよなぁ(笑)
111名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:37
ごめん、82にも一理あると思う・・・
死ななきゃ始まらない物語ではあると思うんだけどな。
112名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:37
とりあえず111をとってみたり。
113名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:38
失敗…
114名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:38
バトルロワイアル≠葉鍵ロワイアル
115名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:38
>>101
自粛というよりも現在スレ回転速すぎて、書いてる間に置いてかれる…
今の展開でネタがあるキャラは、登場しすぎてるから(俺は)自粛してるし。
116111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:38
あぎゃ〜やられた〜(爆)
117名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:39
そろそろ本家のパロディなんかも見てみたいんですが。
118偽りの朝餉と出発(1/3):2001/05/23(水) 02:42
 眠れなかった。
 霧島佳乃(031)と別れた後、民家に戻って来た柏木梓(017)は、
わけのわからない苛立ちを抑えながら眠ろうとした。
が、先程の出来事や、一人でいることへの恐怖から寝付くことが出来なかった。
結局、そのまま民家を探索することに時間を費やすことにした。じっとしているよりも気が紛れる。
 ――ふと気がつけば、朝日が夜の闇を鮮やかな蒼に染めようとしている。
「……朝か」
 憔悴しきった表情で、窓の外が明るくなっていくのを見つめる。
「結局、眠れなかったなぁ……」
 ため息をひとつ。そして大きな伸びをする。
「仕方ないか。……朝飯でも作ろう」

 驚いた事に、梓が忍び込んだ民家は、ガスも水道も電気も使用可能であった。
更に、冷蔵庫を開けるとそこには2、3日分の食材が鎮座ましましていた。
 ――あまりにも露骨に設備が整っている。毒でも入っているんでは無いかと思い、
梓はそこらの食材を調べてみたが――千鶴姉の作った料理と対峙した時のような
プレッシャーは感じなかった。
 腹が減っては戦は出来ぬし、滅入るばかりの気分を何とかして転換したかったため、
梓は深く考えずに朝食を作る事に決めた。
 とんとんとんとん……。
「〜〜♪」
 鼻歌交じりで包丁をリズミカルに振るう。と、その目が包丁に注がれる。
 ――これで、人を殺せる。
 梓は一瞬頭に浮かんだ考えをぶんぶんと振って追い払う。――そして何となく気付いた。
119名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:42
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=990388662&st=950&to=950&nofirst=true

おい、リアンパートかいていた奴って一人だったみたいだぜ、人気のないキャラだからしょうがないか。
120名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:42
「……いいカップルに見えたからな」をやりたかったんだが(w

みんな組んで行動してる上、能力者が固まっちゃってて動かしづらいんだよ。
パロディに出来てこっちの展開的に面白そうなのは……灯台編かな(笑
121名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:42
殺人数、こないだまでは茜が独走してたのに、浩之がトップに。
茜ってあんまり書かれないよね。何故?
122偽りの朝餉と出発(2/3):2001/05/23(水) 02:43
 この狂ったゲーム、最初の武器の優劣こそあれ、その気になれば
簡単に武器を手に入れることが出来るようにしているのだ。
 この包丁が良い例だ。――だから、無理に家や学校の施設を荒らしたりせずに
そのままの状態で放置してるのだ。その方が、武器を生み出し易い。
 そして、武器をみつければ殺し合う確率が高くなる。武器が無く、怯えて隠れるよりも。
「なるほど。ゲスの考えってわけね。……思い通りに行くもんか」
 と、タイミング良く、その時朝の定時放送が聞こえてきた。梓は舌打ちをしながらも
耕一たちが、そして佳乃が死者に入っていない事を確認して安堵する。
 梓は、止めていた手を再び動かし始めた。

 やがて、キッチンに炊き立てのご飯と、味噌汁の香りが漂う。
ぱちんと味噌汁の鍋にかけていた火を消すと、梓はいつものようにエプロンを外そう
――として、苦笑いする。
「そっか、アタシまだメイド服着てたままだったんだ」
 テーブルに典型的な日本人の朝食を並べると席につく。
「では、いただきます」
 ぽんと手を合わせて、梓は久し振りのまともな食事を堪能する事にした。
――それは言うなれば非日常であるキリングゲームの中で作られた、偽りの日常だった。
123名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:43
いっそのこと開き直って
「このキャラ達の話は執筆中なのでまだ殺さないで下さい」
とかネタ職人さん全員が書けばいいのに。
124名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:44
それ、つまんない。予約システムはちょっとなぁ。
125名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:44
>>99
同意。香奈子はおもしろくなりそうだった。
消すなら今のうちだが、ぽんぽん消すのも荒れる。あきらめか。
書き手一人撤退。
126偽りの朝餉と出発(3/3):2001/05/23(水) 02:44
「さて、これからどうしようっか……」
 食器を片付けながら、梓は呟く。
「まずは耕一たちと合流するのが先決よね。
それから、協力してあの主催者をぶっ飛ばす!」
 ぶんぶんと腕を振りまわしながら梓は叫ぶ。
「あ、そだ。耕一たち、お腹減ってるといけないから……」
 そそくさとキッチンに戻ると、余ったご飯で少々大き目のおにぎりをこしらえる。
その数、5つ。耕一と、千鶴姉と、楓と、初音と、――そして、佳乃の分。
「やっぱ、あのままじゃ納得いかないしね。ちゃんと理由を問いたださなきゃ」
 つ、と首筋に触ってみる。傷は――もう無い。幻覚か、
自分の治癒能力が活性化されているのかそれはわからなかったが、
とりあえず痕が残らずにほっとする。――この辺は、やはり梓もオンナノコである。
「耕一たち、千鶴姉の料理を食べる羽目になってないといいけど」
 くっく、と梓は笑いをかみ殺す。
「さて、行きますか」
 メイド服を整え、ネコミミをつけたまま梓はそっと玄関を出た。
そして歩き出す。ディバックに、おにぎり――それは日常の欠片
――を詰めこんで。

【大き目のおにぎり5個 柏木梓所持】
127名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:45
今んとこ組んでいるチーム挙げるのはどう?
現在の状況とか書いて…意外と面白そうな組み合わせが埋まっているかもよ?
128111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:45
それはそれで非難されちゃうし。
でもそれやると現在の書き手が何人いるのか判明していいかもw
129名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:45
SS本文を、無駄な発言でぶった切られると
読んでて萎える。
130名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:46
俺も撤退しようかな…マジで

香奈子はほんと適当に死んだよ、キャンセルしたいぐらいだ。
雫キャラのザコ化消費は大概にして欲しい。
もう祐介だけしかいねえし。
131名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:47
んなこと言っても、スレの流れが早いからな……
ハカロワ雑談スレでも立てる?
132名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:47
パロディだったら観鈴親子が崖からゴールがしっくり来るね。
133名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:47
>>129
スマソ、もう少し落ち付いてから書きこむべきでした。
とりあえず、今日はこの辺にしておきます。
134名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:47
書き手コテハン化はどうです?
書くことへの責任感がでますよ?
(あ、よく考えたら漏れが1番ヤバそう…)
135名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:47
>>131
やめれ。どっかに掲示板でも借りる?
136母と娘(その1):2001/05/23(水) 02:48
はぁはぁ・・・・お母さんもう走れないよ」
「観鈴、がんばるんや」

薄暗い林の中、神尾晴子(023) 神尾観鈴(024)は謎の相手と交戦、逃走中であった
相手は巧妙だった
常に一定の距離を保ち、じわりじわりと追い詰めていく
まいたかと思えば、五寸釘が飛んでくる
「くそっ」

手に持ったトカレフを釘の飛んできた方向に向かって連射するが、何の手応えもなく
またしばらく経つと、どこからともなく5寸釘が飛んでくるのだ

こうして逃げ続けること自体が奇跡であった、
2人の前方の視界が開ける・・・・・


そこには流れこそ緩やかであったが深い川が立ちはだかっていた

もはや、親子に逃げ場は無かった


林と違い、身を隠し弾を装填する場所は無い・・・・・
晴子はトカレフの残り弾数をチェックする
「残り2発・・・・・・」


藤田浩之(077)は余裕だった

奇襲こそ失敗したが、こうして追い詰めた
相手の弾が切れるのを待って、蜂の巣にしてやる
ダイナマイトを使えば早い話なのだが、うかつな事にライターのガスが切れていた
まぁいい・・・・・もはや時間の問題だ
137111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:49
>>135
なんか#3でそういうのあったきがする
138名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:49
また浩之かよ。
いい加減に止めろよ、>>82よう。
139名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:50
>>136=>>82
氏ね
140名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:50
現在トカレフ2丁…
デザートイーグルは3丁…
141名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:50
さっき真琴で使ったばっかりでしょうに。
浩之の使い方で頭悩ましてるのに、どうして火に油を注ぐことをする?
142名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:51
>>127
それ誰かにやってほしいな。
話が進むのが早くて、正直把握しきれてない……
143名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:51
漏れも撤退しようかな…
SSスレだか、SS避難スレだかわかんなくなってるもん。
144名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:51
>>136放置……お願いだから、スレの空気読んで。
145名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:52
荒らし扱いはしたくないが、「困ったら浩之」は止めて、ほんと。
146名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:53
コンビまとめる……ちょっと待って
147111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:53
>>136
うきゃう!?晴子観鈴やられた〜
と、このようにネタがつぶれることは良くあります。
皆さんがんばりませうw
148名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:53
>>145
>困ったら浩之
なんかの宣伝みたいでワラタ!
149名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:53
ふざけんな>>82
150大志:2001/05/23(水) 02:54
動物に殺されるのは駄目かなあ、熊とか蛇とか・・・・
151名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:54
>>130 書き手が減ってしまうと寂れてしまうので残念。

太田が生きていたほうが燃えた。
昼組みの感想によってはNGもありだと思う・・・。
まだ太田の死は誰ともリンクしてないし。
152名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:55
気に入らなければ脳内で補完したら?
そういうの得意でしょ?(藁
153名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:55
そうだ……あいつの死って、全然取り替えしきくじゃん。
154名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:56
>>151
そんな簡単に死んだキャラが生き返るのは萎えるぞ?
155名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:56
>>150
ヘビはアリかもしれませんね。
ハブ(沖縄とか限定)とかマムシとか…
でも(ヘビ!?萎える〜〜)みたいな抗議が恐い(w
156母と娘(その2):2001/05/23(水) 02:57
あうう・・・・ちょっと目を離したスキにこんな状態になってたなんて
申し訳無いです
NGで結構ですのでとりあえず最後までUPさせてください
これでも頑張って書いたんで


がさがさ・・・・

「!!」
たまらず晴子は音の方向に銃を発射する
「あと1発か、あかんこれじゃ思うつぼや」
無駄弾を使わせ、装填する瞬間を相手は狙っているにちがいない
そしてもはや打つ手は無いことを晴子は悟っていた
これまでか・・・・・・・
ズブリ・・・・わき腹に焼けるような痛み
案の定釘が飛んできたのは反対側の方向からだった

自分が死ぬことに恐怖は無かった
だが・・・・・観鈴はどうなる
敬介もすでに死んだ今、自分まで死ねば誰が観鈴を守る
しかしこのままでは、2人とも死ぬ
守る、なんとしてでも
あらかじめ2人分の荷物をまとめておいたデイバッグを観鈴の肩にかける
「ええか、観鈴あんただけこっから飛び降りるんや」
「いやだよ・・・・お母さんも一緒だよ」
「あほう、2人とも飛び降りたら誰がヤツを食い止めるんや、川の流れがゆる過ぎてええ的や、それにこのケガじゃ泳がれへん」
「が・・・がお」
「どうしても2人じゃないとあかんか・・・・・・しゃあないそれじゃ目ぇ閉じて1.2の3で行くで」
「う・・・うん」
「いくで、いちにの」
「さん」
その言葉と同時に晴子は観鈴を谷へ突き落とした
期せずして、痺れをきらした浩之の釘打ち器がうなりをあげる
全身を五寸釘に貫かれ、晴子はスローモーションのように地面に倒せふす
「あとは・・・・・たのんだで・・・・いそーろー」

神尾晴子(023)死亡
【残り63人】

157111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:57
>>136
ちょっと待った。
いつの間に晴子と観鈴合流してるの?
観鈴晴子にナイフ投げて逃げたじゃん。
158大志:2001/05/23(水) 02:57
>>151
バイオハザードじゃあるまいし・・・・
159名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:57
リレーのなんたるか。
160名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:58
>>157
氷上の仲介で合流した。
161名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:58
こんにちは浩之たん。
さようなら晴子たん。
162名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:58
いっそ、香奈子死の部分削れば?
163名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:58
>>155
配布武器で、蛇入り壷&蛇呼び笛のセットならなんとか…
164名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:58
もうそろそろいいかなーと思って戻ってきたんだが。
まだ、まともにSSを上げられる状態じゃないのか?
書き手としてもいいかげん萎えるかも。
165名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:59
>>162
NG萎え
166名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:59
流れ的にネタがあれば殺していいキャラと、
今の時点ではネタがあってもまだ殺しにくいキャラっているよね…
まあ、俺と他の書き手さんで違うだろうけど。
167111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 02:59
>>160
んだ。もう2000レスオーバーで分けわかんなくなってきたョ。スマソ。
168母と娘(その3):2001/05/23(水) 02:59
前スレの序盤で合流してたと思いますが・・・・・
手間取らせやがって、まぁそこそこ楽しめたが・・・・・・
浩之は憮然とした表情で林から姿をあらわす
ずいぶん釘を使っちまったな、まぁいいそこにある死体から何本か拾えばいいか
川の流れからいって、あの金髪はそれから追いかけても充分殺せる
気をうしなってるのであろう・・・・ぷかぷかと流されていく観鈴の姿は浩之の目から充分確認できた
浩之は晴子の死体から五寸釘を引きぬきにかかる
その刹那・・・・

息絶えたはずの晴子の右腕が動く
ずぎゅぅぅん・・・・
最後の一発が浩之の右手を直撃した
浩之は何が起こったのかわからないままにとりあえず右手を見てみる
親指を残してすべての指が吹き飛んでいた、視覚情報とともに激烈な痛覚が襲ってくる
「ぐおおおおおおおおおおっ」
そればかりではなく、晴子の体は浩之の行く手を阻むかのごとく
彼の体にしがみつき離れない

「てめぇ、いいかげんにしろ!!」
左手で握った釘でむやみやたらに晴子の体を刺し貫く
それでも晴子の体は浩之から離れようとはしない
ようやく振りほどいたときには、すでに観鈴の姿はどこにも無かった


あまりにおぞましい光景であったが・・・・・
それは紛れも無く娘を思う母の愛が生んだささやかな奇跡であった

藤田浩之・・・・右手使用不能
169覚悟:2001/05/23(水) 02:59

「観鈴! 行ったらあかん! 観鈴……!」

 ごめんね、お母さん。
 でもわたし、倒れてる人放っておくなんて、出来ないよ。
 死にそうな女の子を見捨てるなんて、わたしには無理。
 ほんとうに……ごめんね。すぐに戻るから……ごめんなさい。

 ……けど、辿り着いたときには。
「あの、大丈夫…ですか?」
 そろそろと、物音を立てないようにそばに寄る。

 ――――短い髪の女の子は、倒れたまま返事をしない。

 抱き起こそうと触った手は血まみれで、ぬるりとそれがわたしの指についた。
「………ぁ…」
 つめたい、身体だった。
 無駄のないそのからだは、ぼろぼろに傷ついている。
 痛かっただろうな。苦しかっただろうな。考えただけで胸がきゅっと締まる。
 死んだ人にさわっているのに、不思議と気持ち悪く感じなかった。

 その子のからだを一度だけきつく抱きしめて、
「助けてあげられなくて、ごめんね……」
 ちいさくちいさく呟いた。
 気休めでも、偽善でも、そうしてあげずにはいられなかったから。
 もう変わらないその表情がひどく安らかだったのが、まだしもの救いだったと思う。

「……もう、ええな」

 腕に女の子を抱えたまま、振り向く。
 見慣れたお母さんの顔があった。大好きな。
 ひとつ頷いて、わたしは女の子を近くの大きな樹にもたせかけた。
 眠っているようにも見えて、また悲しくなった。
170名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 02:59
一気に萎えたな。
もうダメか?
171覚悟:2001/05/23(水) 02:59

「えと……勝手なことしてごめんなさい」
 目が合わせられなくて、俯いたまま話す。
「えぇよ。観鈴は無事やったんや。けどな、もう無茶したらあかんで」
 戻ってきたわたしの頭に、やわらかい手が置かれる。
「あんたが死んでしもたら、うちにはなんにも無くなってまう。
 命はひとつっきりや。都合よう返ってくるもんやない。
 せやから、……うちら、生きなあかんのや」
 髪を撫でられて、思わず顔を上げる。……真剣な声に、涙がまじってた。
 それを見て、わたしは今さらながらに自分の行動を後悔した。
 わたしのせいで、お母さんが死んじゃったかも知れないのに。
 やっぱり――――わたしは頭の悪い子だ。

「……とりあえず、ここは危険や。この子をやったんがおるかもしらん。
 そやな、地図だと……向こうの住宅地の方、近いな。行こか」

 手にしたシグ・ザウエルショート9mmを固く握りしめて、お母さんが先を促す。
 今も、遠くから銃声が何発も轟くのがきこえる。
 その残響を耳から消せないまま、私はなるべく音を立てないよう歩き出し……

「……あ、あの…っ」

 弱々しい、女の人の声。逃げてきたんだろうか、服も手足も泥だらけだ。
「動かんといて。うちら、行かなあかんのや」
「お母さん!」
 お母さんが女の人に銃を向けた。袖を掴んでも、その目は険しいままで。
「あの、あの、神尾さんという人を見ませんでしたか……!?」

 私とお母さんは、同時に目を見開いた。
172名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:00
葵が死ぬ間際に見た金髪が観鈴じゃなかったのか?
173大志:2001/05/23(水) 03:00
>>155
でもほら、蛇にかまれてすぐ死ぬわけじゃないし
噛〜死の話、作れないかな?
174名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:00
美味しそうなマーダーキャラを殺すと萎える
例:かなこたん
175名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:00
香奈子の死と、今あがった神尾親子はどうするの。
NG?
176覚悟:2001/05/23(水) 03:01
葵を看取ったあと、あさひに会ったということで。
何発も響いた銃声は雪見や弥生、麗子の小競り合いです。

二人は2日目まで動かず潜伏してた、ってことにしてます。
177名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:01
書いてすぐNGの出るSSって…
178名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:01
>>172
幻覚の可能性あり
179名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:02
NG風潮と殺すな風潮が確実につまらなくしたと思われ。
もちろんA級戦犯は浩之だけど(藁
180176:2001/05/23(水) 03:02
ギャー かぶってるよ(泣

どうしましょう…橘と葵の伏線とか活かしてみたんですけど
181名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:02
さあ、荒らしSS作家のオナニーショーが始まりましたよ。
182名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:02
荒れすぎだぁ…
もうイヤ。
183111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 03:02
>>164
話があるなら逆に上げてもらいたいョ。
荒れてるのは話が少ないからだと思われ。
私も書きに入ります。
184名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:03
>>179
つうか、浩之に汚れ役押し付けすぎたやつらだろ。
185名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:03
>>173
大志パートで岩切に毒ナイフで切られても最期まで戦おうとした姿は燃えた。
柳川と瑞希の死は萎えた。
+-0
186名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:04
香奈子はあれでいいだろ…
随分前の事にNG出すとワケ解らなくなる。
187名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:04

>>156
気持ちはわかるけど
NG含みでUPするんじゃそれは荒らしと変わらないよ
でも浩之を弱体化させてくれたんで少しは感謝
タイミング悪過ぎたね

188名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:04
>「母と娘」シリーズ
本筋とは関係無いが、句点が全然
使われてないのが読んでて実に萎える。
何故?
189名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:04
ちょっと待って。
今、生存キャラとか軽くまとめてるから、香奈子の死はNGにするかしないか。
神尾親子のSSはどっちを取るかだけ決めて欲しい。
190名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:04
ああ、じゃ、かまわず書き込むぞ。(晴香編)
このSSに不満のある人が多いようなら、
漏れはもう撤退する。
191111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 03:05
グ…長編スレの中間にはこういうことがあるもんだ。
書き手の皆様がんばれ!
192名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:05
神尾親娘って初日のスタート直後から放置されてたよな?
アイディアは有るんだけど、文章にならない……。

>>136初日の浩之に、そんなに動く余裕あるんかよ?
193告白と決意と…(1/5):2001/05/23(水) 03:05
「ところでマルチ。」
「はいっ?」
智子は、ずっと疑問に思っていたことを問いかけた。
「あんた、あかりを助けた時、木の上に登っとったやろ。」
「はいー。そうです。」
「…なんで、あんな所におったんや。」
えーと。という仕草で思いだそうとする。
「じつは、怖かったので、出発してすぐ目の前にあった林に隠れてたんです。」
「ふんふん。」
「でも、それじゃあ見つかっちゃいやすいので。木の上に登ったんです。」
「そーかー。よく登れたなー。」
「はい。うまく登れるまで3時間かかりましたー」
「…よく殺されんかったわ、こいつ」
…マルチが来てから、ため息をつくことがめっきり多くなった気がする智子だった。

それと、もう一つ気づいたことを、今度は晴香に問いかける。
「なあ、晴香。」
「どうしたの?」
「いや、今気づいてんけどな、奴らが乗ってたジープあるやん。あれ、使えへんかな。」
昨日、智子達を襲った兵士。彼らは軍用ジープに乗ってやって来ていた。
「使うって…乗って行くってこと?」
「や、それもあるけど…もしかして、あの中に何か手がかりがあるかもしれんなー思て。高槻の。」
「…そうね。でも、あの場所に戻るのって危険じゃない?」
もともと出発地点の一つであった所だ。警戒されているかもしれない。
なにより晴香達は、あそこで兵士を倒している。
「どうやろ。でもあそこにウチらが戻ってくるゆうんは、
 さすがに向こうは考えてないんちゃうんかな。」
「…そうね。行ってみる?」
「うん。そやな。」
194名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:05
架空のキャラのSSでそんなに熱くならんでも(w
195名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:05
>>190
そのパートは動きなかったんで、逆にありがたい。
196告白と決意と…(2/5):2001/05/23(水) 03:06
廃墟と化した公民館跡。
それを臨む林の中に、晴香達はいた。
「だあれも、おらんな。」
「そうね。近づいてみる?」
「うん。…マルチ。」
「はいっ!」
呼ばれて、ぴんっ!と背筋をのばす。
「ちょっとの間、神岸さんと一緒にここにおって。ウチらで見てくるから。」
「はいっ。わかりましたっ!」


兵士たちの乗っていたジープに近づいてみた。
危険はなさそうなので、中の物を探ってみる。
「どや?」
「地図があるわね。やつらの拠点がいくつか書かれてる。…それと」
「なに?」
「いや、この無線、使えるのかしら。」
備え付けられてある無線機。壊れてはいないはずだ。
「それはちょっとヤバいんちゃうん?」
ぴーっ!
突然、無線機が音を発する。
二人、頷きあい、スイッチを押してみた。
「貴様ら、なにしてる!早く205中継基地へ来い。
 高槻殿がいらっしゃる前に来ないと、厳しく処罰されるぞ。わかったな!」
ぴーっつ!

「…どう思う?」
「ワナかもしれない。」
「うーん、難しいとこやね。」
「でも…」
「うん。行ってみよ。手がかりは今んとこ、これしかないんやしな。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――ー
追記:晴香達は戦闘中だったため、第2回死者発表を聞き逃している。
   ゆえに、カプセル爆弾のことは知らない。
   それに関連して。公民館での出来事は1日目。
   現在は2日目の状況。
   これならば時間に関する矛盾はないものと思われる。
197名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:06
とりあえず、作家の方々は書き込む前にリロードすれ
198名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:06
母と娘は作者が放棄してるから、覚悟の方が本筋になるんじゃない?
個人的な意見で申し訳ないが覚悟の方が良い話だと思うし。
199告白と決意と…(3/5):2001/05/23(水) 03:06
205中継基地。
その入り口で、兵士たちが慌しく動いている。

それを臨む丘の上。ジープを止め、様子を覗う晴香達。
「どうする?」
「高槻が来たら、中央突破して奴に詰め寄り、人質にする。これしかないやろ。」
あまり利口とはいえない作戦である。
「…無謀ね。」
「無謀結構やん。どのみちウチらは、地獄のデス・ゲームに放り
 込まれとるんや。なにもせんかったら殺されるだけ。
 万が一でも、みんなで生き残れる方法があるんやったら
 それに賭けてみるだけや。せやろ?」
「…そうね。」
たのもしいわね。と眼鏡の少女の言葉に思う。

「マルチ!」
言いながら、智子は後部座席を振り返る。
「今回はあんたにも、出番がぎょうさんあるで。頑張りや。」
「はいっ。がんばりますぅ!」
「それと」
晴香に向きなおり、言う。
「ちょっと時間もらえるか? …神岸さんに話があるんや。」
200名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:07
とりあえず、

香奈子たんの死はNGでファイナルアンサー?
201告白と決意と…(4/5):2001/05/23(水) 03:07
あかりと二人で。ジープを降り、丘を下る。
背の高い植物が生い茂る湿地。
晴香達に話を聞かれない場所であることを確認し、
智子は、言葉をかけた。

「神岸さん」
「……。」
あかりは、俯いたままだ。
「…あんた、気づいてるんやろ。藤田君のこと。」
「ひろゆき…ちゃん…。」
その悲しげな呟きに、智子も俯く。
「初めから、なんか妙やなー思うててん。」
…身体を翻し、あかりに背を向け、言葉を続ける。
「ウチら、出発地点同じやったろ。わたしの前に藤田君が出てったとき、
 …あー、多分藤田君は神岸さんと一緒に行くんやろなーって。」
表情を消したまま、あかりはじっと聞いている。
「で、次にわたしがあそこを出た時、もう藤田君はおらんかった。
 せやから、きっと神岸さんのことが心配で、だーっと急いで
 行きよったんやなーって、そう思とった。」
「……。」
「けど、わたしが悲鳴に気づいて、引き返して行ったときには、
 ………。晴香が、戦うてる所やった。」
その情景を思い出し、天を仰ぐ。
さらに智子はつづける。
「この前、神戸の同級生がおったて言うたやろ。あれ、ウソや。」
その言葉に、はっ、と顔を上げるあかり。
「あんた、わかってたんやろうけど。藤田君やったんや。」

  …藤田君、無事やったんやね…
  …ああ。おかげさまで…
  …でも、もうお別れだ…
  …生き残るのは、この俺だけでいい…

「あのとき、ああ、この人はゲームに乗ってしもたんやねぇって。
 でも、なんでか。ああ、藤田君らしいかもって、思ってしもてん。」
ふりかえり、自嘲ぎみの笑みを浮かべる。
「なんでやろな。…なんで、そないな薄情なこと、思たんやろな。」
「……。」
なにも言えないあかりは、唇をかみ締め、感情を押し殺そうとする。
202名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:07
復活すると萎える以前に、燃えるキャラがもういないと思われ。
香奈子死NG賛成
203告白と決意と…(5/5):2001/05/23(水) 03:07
一歩、あかりに近づく。
「なぁ、神岸さん。あんたのこと、あかりって呼んでもええか?」
「えっ?」
思わず顔を上げる。そして智子と視線が合う。
「一蓮托生でここまで来たんや。もう、友達やろ?」
「…うん。」
「なら、名前で呼びたい。晴香ばっかり名前で呼んでるんは不公平や。そやろ?」
智子のやさしい笑顔。あかりは思わず目に涙が浮かべる。
「うん。」
迷いなく返事を返す。
「なら、わたしのことも智子って呼んで。ええな。」
「智子…。」
「せや。わたしはあかりを守る。たぶん晴香もそう思うてる。
 まず高槻見つけて、どうかしてこのゲームをやめさせる方法見つけてから、
 それから…藤田君に会いに行こう。」
「…でも!」
あふれる涙。ぎゅっと拳を握る
「…たぶんな、あかりに会えば藤田君も改心するんやないか思うんや。甘い考えやろけど。」
智子は視線をまた空に向け、何かを見据えるようにして。
「なんとか説得して、みんなで帰るんや。平凡で退屈やったけど、幸せやった、あの日常に。」
視線をあかりに戻す。
「な、帰ろう。いっしょに。」
「…っつ!」
駆け寄り、智子に抱きつくあかり。
その頭を優しくなでながら、
「そうやろ…藤田君。」

―――――――――――――――――――――――――――――――――
追記:マルチの所持品は不明のまま。
204名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:08
>>200
NO。
205名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:08
香奈子を生き返らせても第二の浩之になるか、
ぬくぬくと生きるだけになりそうで・・・
目的はエロだっけ?
206名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:08
浩之論争でスレが荒れてるなぁ
確かにつかいやすい。
中途半端なとこで話が終ってないから暇だとみんな考えるんだろう。
茜は緒方兄妹のとこで、雪見は重傷で動けそうも無いんで、
元気いっぱいで人を殺すことをためらわなくなった浩之ちゃんはさぞかしつかいやすいことでしょう
だから、なんとかうまい具合に話を持っていけないかなぁ…
207名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:09
俺はNG反対。
208告白と決意と…の追記:2001/05/23(水) 03:09
…こういうの、ペナルティかもしれないが、
もし書かせてもらえるんだったら、このパーティー、
次にアップする分で、一度分けてしまいます。
組んでると萎える、という意見があるようなので。
キャラ殺しづらいからって、
監視役ばかり相手するのは萎える。

…っとか思ってたけど、萎えた。しばらく潜るか。
209名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:09
やべぇ、燃えた。
いいんちょマンセー
210名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:09
>>200
ファイナルアンサー!
211名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:11
母と娘の作者さんはSSを書いた事がないとみた。
まぁ修行しといでってことでNGね。
212名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:11
あ、潜るの。
このパートは何気に好きだったので残念。
213名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:11
さっきから香奈子の死んだ話ににNG出そうとしているの誰だ?
214名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:12
ここでNG出しちゃうとキャラが死ぬ事の重みが薄れるよ
香奈子は惜しいけど、例外なんて作ったらキリが無い
ここはひとつ彼女には人柱になってもらおうよ。
215111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 03:12
最新の浩之ちゃんは晴子殺しの時点だね?
216名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:12
>>208
いや、俺は面白かったよ。
委員長、いい。マルチもあかりも、晴香も好きだ。
また落ち着いたら、書き込んでくれると嬉しい。
217名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:13
001相沢祐一 003天沢郁未 004天沢未夜子 005天野美汐
009江藤結花
011大庭詠美 013緒方理奈 014折原浩平 015杜若きよみ(黒)
016杜若きよみ(白) 017柏木梓 018柏木楓 019柏木耕一 020柏木千鶴
021柏木初音 022鹿沼葉子 023神尾晴子 024神尾観鈴 025神岸あかり
027川澄舞 029北川潤
031霧島佳乃 033国崎往人 035倉田佐祐理
036来栖川綾香 037来栖川芹香 040坂神蝉丸
041桜井あさひ 043里村茜 045沢渡真琴
046椎名繭 047篠塚弥生 048少年 050スフィー
051住井護 053千堂和樹
061月宮あゆ 064長瀬祐介 065長森瑞佳
066名倉由依 068七瀬彰 069七瀬留美 070芳賀玲子
071長谷部彩 074姫川琴音
076藤井冬弥 077藤田浩之 078保科智子 079牧部なつみ 080牧村南
082マルチ 083三井寺月代
088観月マナ 089御堂 090水瀬秋子
091水瀬名雪 092巳間晴香 093巳間良祐 094宮内レミィ
096深山雪見 097森川由綺 099柚木詩子 100リアン

【残り63名】
香奈子は死。いろいろ不満もあるだろうが、過去の話になっている。
それに、NGをなるたけ少なくというのはスレの総意である。
かなり痛いけど、私を始め書き手がなんとかするので、我慢して下さい。
神尾親子は、独断により後者のSSをとってます。
218名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:13
神尾親子パートがかぶったのはどうするよ?
やっぱ先に書いたモノ勝ちってこと?
219名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:13
香奈子…異色のマーダー、浩之乱用防止
しかし、ヴァ書き手が香奈子を書くと女版浩之になるだけである
220名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:14
浩之、神尾はすまないけどNG。

浩之の最新は真琴絡み。
神尾はあさひ絡み。
221大志:2001/05/23(水) 03:15
結局、神出鬼没な汚れ役マーダーが増えるだけである
222名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:16
>>217
なんで勝手に決めてるんですか?
独裁者ですか?
223名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:16
「母と娘(136.146.168)」の少し前に、
「覚悟(169.171)」の話を持ってくればうまくつじつまは合うと思う。

それにしても、この設定では全員の希望をかなえることなんてできないのはあたりまえ。
無理とか矛盾などはしかたないかもしれないけど、
書き手さんの文章を尊重しようよ。って、荒らしを誘発するだけか。はぁ。

最後に「母と娘」は痛々しくもじわりとくる話だった。
224名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:16
これまでの流れをみたら217が妥当だと思うが。
225#4-650:2001/05/23(水) 03:17
香奈子の死はそのままで致し方ないと思う。
書かれてしまって、なおかつつじつまがある程度あっている以上NGにする必要はないと思うし。

そりゃ確かに、活躍してくれるかな〜、と思いつつ去らせましたが(藁。
そんなわけで死ってことにしましょう。

それと、覚悟を書かれた方。設定を上手く生かしてくださって、ありがとうございました。
再び名無しに戻りますわ。
226名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:17
他人の面白い展開を考え無しに潰すSSはNGになって当然
227名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:17
もう核ミサイルで総氏でもいいような気がしてきた
228名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:18
>>223
あさひの存在があるからつじつま合わせは難しいと思われ。
229名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:18
釘撃ち機の射程は短いのでは?
今更言っても遅いか?
230名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:19
覚悟がいいです。
理由:真琴(・∀・)カコイイ!
231大志:2001/05/23(水) 03:20
香奈子も結局生かしておいても誰かによって便利屋みたいな
マーダーになるのは明白
232名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:20
とりあえず、バトロワとしても葉鍵としても偽者だって事を念頭においておいた方が良いぞ。
皆こだわりすぎだ。

実際の桐山は別にゾンビでもなんでも無く、気配を察知したり攻撃を防いでたり
禁止エリアに追い込んだりと、無傷で勝ちあがれるだけの能力があって
それを発揮してただけなんだけど、しょせん偽者なんだからノリで進んでも良いじゃねえか。
233晴香パートの人:2001/05/23(水) 03:20
潜る前に一言。
雑談は、別スレ立てるか、他の沈んでるスレでも使ってやってほしい。
じゃなきゃ、書き手はみんな萎えるぞ。

感想は聞きたいが、雑音はもうイヤだ。
234名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:21
>>226
激しく同意!
235名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:21
>>229
銃も釘打ち機も、知識無いままに便利殺傷アイテムになってると思われ。
銃の反動も(撃てば傷口とかも開く)射程もあるし、
一般人はそう簡単に当てられるものではない。

弾の掠りや致命傷以外の小さな傷から出血多量で死んだりするのが現状。
236名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:21
>>223.228
神尾親子があさひと出会うも、なんらかの事情で分かれざるをえなくする、
という感じにすれば、つじつま合わない?
たとえば浩之との戦闘により、別れ別れになるとか。
237名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:22
香奈子の死はつじつまあってないような気が。
誰か突っ込んでたけど、瑠璃子の元に行く理由も無いし、瑠璃子がいなくても
より錯乱することはなさそうだし。

昼間組(他の読み手)の意見も参考にしたほうが良いのでは?
NG萎えうんぬんより、おもしろさ優先の方が良い。
ただでさえ荒れてきたし…
238名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:23
とりあえず神尾親子の扱いどうする?

俺は浩之がまた便利に利用されてるのがアレなので
今回は申し訳ないがパスして欲しいんだが、どうか。
239#4-218:2001/05/23(水) 03:23
>>233
本格的に同意。
俺も今の状態では絶対にリアンパートを書き上げてもUPしたく無い。
理由はここを見ている方々なら解るよね?
240名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:25
>>232
「偽物」という言葉で目が覚めたような気がしてきた。
どうせSSなんだ。マターリした者勝ちだよな。
熱くなりすぎてた。逝ってくる。
241名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:25
スタッフロワの方書き込みないし使えば?

あと、そっちで有志掲示板への誘導があったぞ
242名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:25
>>235
女性がトカちゃん走りながら片手で撃てるわけないよなぁ…
釘打ち機の設定もちゃんと書いてあるのに読まずに書いたってカンジだな…
萎えた。
243名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:26
書き手さんがそう言ってる以上、別なスレッドを用意した方が良いと思う
もし実行するなら適当なクソスレ使おう

こんなのとか
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989108228
244名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:26
ここでも使え。
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989671483
ハカロワ関連スレっぽいタイトルだと考えられなくもない。
245名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:27
>>241
スレッドレイプやめれ
246名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:28
釘打ち機は射程5メートルから10メートルでした
かな?
247名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:28
>>233
NGはどうなる?
ヴァ書き手はまだ潜んでいるし、NG連発は回避できないと思われ。
『雑談用スレに帰れ!』で逃げられるぞ(w
248名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:31
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=990556094&LAST=50
外部の掲示板にスレ立てました。
無許可で。

こちらで話し合い等やって下さい。

って……もう他あがってるの?
249名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:32
満足できる散り様なら誰も文句は言いません

例:訂正版 聖の死

みなさん、自分でも納得のいくストーリーを書いてくださいね。
250晴香パートの人:2001/05/23(水) 03:38
潜る、潜ると言いながらまた一言。
ウゼェっていうやつは、漏れの書き込みなんか無視してくれ。

漏れはSS書き込むのはココが初めてなんだ。
だからこのスレを大事にしたいと勝手に思ってる。

…っとか書くと、仕切んなウゼエとか言うんだろうが。

とにかく、ある程度書き手を尊重してくれ。

あと、書き手も。
かぶるのはしかたないし、許されると思う。
ただ、明らかに空気読んでない駄文のせるのは違くないか?
矛盾がないか、一度でもちゃんと読みなおしてから上げろ。
251名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 03:39
ハカロワ関係雑談スレッドは、
「みんな、ダンディとゲッツしない?」
というクソスレになりそうです。というか、もうなってます。
シナリオ批評や批判などもこちらへどうぞ。

http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989108228&ls=100
252決意:2001/05/23(水) 03:40
「生き残るのは、この俺だけでいい・・・・」智子は浩之の言った言葉を
思い出していた。(なんでや?なんであんなこと言えるん?嘘やってゆうて
ほしいわ・・・・神岸さん目の前にしても、あないなこと言えるんやろか・・・・
いや!藤田君は絶対正気に戻ってくれるはずや!このままやと神岸さん
可哀相すぎる。どんなことしても、いつもの藤田君に戻ってもらうんや!)
智子は改めて決意を固めた。
浩之を殺さなければならないという可能性は考えないようにしながら・・・・・
「疲れたなー」
「まぁ、仕方ないさ」
 詩子と少年は茜を探し歩いていた。
 といっても、探しているのは詩子で、少年はつきそっているだけだ。
(今はまだだ。もう少し状況が動かないと、高槻に対して何もできない)
 それまでやることもないので、少々危なっかしいこの少女についてやることにしたのだ。
「このCD、何に使うんだろうねぇ」
 詩子の支給品はCDだった。3/4と記入されている。
「これは……同じ物があと3枚あるんじゃないかな。4つ合わせて何か起こるとか」
「でもさぁ」
 不満声で言う。
「どこにある……っていうか、誰が持ってるかもわからないんだよ。
 使い方もわからないし。意味ないよ」
「それはそうだね」
 少年は微笑む。
「うー。また流されたよ」
 相変わらずの不満声。さっきから幾度となくこの応酬である。
「あーあ、面白くない……」
「静かに」
 突如、少年の声が変わった。
「誰かいる……」
 そう言って、道路脇の建物に目を向ける。
「すごーいね。わかるんだぁ」
「……敵意はないみたいだ。様子を見てこようと思う。
 ここで待っててくれるかい?」
「えぇーっ、つまんないよー!」
「! 声が大きい!」
 慌てて詩子の口を塞ぐ。
 すると、建物の中で何かが動いた。
「その声……まさかっ!?」
 続いて声。
「……え?」
 その声は、詩子にも聞き覚えのあるものだった。
 建物から人が現れる。
「……詩子……」
 その少年は、驚きの表情で詩子を見つめた。
 懐かしい顔。何年ぶりだろうか。
 どうして、こんな所で再開するのだろう。
「あ、相沢君……?」
  ──拝啓おふくろ様。
  相変わらずヤンキーと行動を共にしている僕という実存でありますが、
  探し人の住井は依然として行方知れずであります……。 夜が、あけた。目覚めはいいのだろうか、悪いのだろうか。それはよくわからない。ただわかることは、陽射しは飽くことなく、地上へと降り注いでいた、という事だけであるというだった。

 大前提として住井護との合流を果たさなければならないのではあるが、実際にこれといった切り札になるような武器も持ち合わせていない以上、無闇に動き回ることは得策とは言えなかった。その点に関して自分たちが現在いる森の中というのは恐ろしく安全であった。ここで一夜を明かした訳だが、何一つとして異状は無かった。
 そう考えてみると、100人もの人間が殺し合っているというのに、ここだけは切り取られて隔離された空間であるかの様な錯覚をおぼえる。

 しかし。

 「途方もない」と言うのはこういうことなのだろうか? 緩やかに八方ふさがりを食らってる気がする。そう思うとこの森自体が天然の監獄に見えてくる。そしてその監獄の中で北川潤(男子029番)はもずくを食べている。ただただもずくを食べている。そしてその隣で宮内レミィ(女子094番)ももずくを食べている。ニコニコしながら食べている。つまり表情に差はあれど、結局二人でもずくを食べている以外にやることはなかったのであった。

 そう。

 俺は、今、ヤンキーと、見知らぬ土地で、もずくを、たべている。
 そう。

 そうやって得体の知れない人間と一緒に珍フードを食べている自分が今ここにいる。そういえば似たような話がどこかであったはずだ。頭の中の記憶を掘り起こしてみると、ふと昔読んだ漫画のことが頭をよぎった。
 タイトルは忘れたが、確か冴えない高校生が突然現れた宇宙人と一緒に、日がな一日豚カツを食らっては血塗れになりながら墓に供え物を供えていた…とかいう話だった。さすがに昔に読んだだけあって細かいことは覚えていないが、ロクな内容でなかったことだけはよく覚えている。
 ふと、そのことを思い出して北川は背筋に冷たい物を感じて身を震わせた。このままもずくで血塗れパーティ。もずくまみれ。もずくで墓穴。ズボンははかない。もずく死。ファッキンもずく。もずく。パンツ。もずく。
 北川は慌てて頭をふって不吉な考えを追いはらった。奴らが食ってたのは豚カツであってもずくじゃない、もずくはもずくで豚カツは豚カツのはずでつまり俺達は血塗れじゃなくて塗れるのはあいつらでパンツをはかないんじゃなくてそれはズボンで────

 そう。

 僕は、今、ヤンキーと、見知らぬ土地で、もずくを、たべている、ます。

 目を閉じる。やさしいギターが流れ始める。もずくで作ったギターからもずくのメロディが静かに流れ始める。それは気持ちのいい音楽。聞こえるはずのない北川の耳にだけ響く新鮮なメロディ。

 あ、あ、あ、やっぱり、まだ、疲れてるな、元々こんな、キャラじゃ、ない、のに、なぁ、俺は

 温かい蒲団。気持ちのいい音楽。ハッピィライフ。
「知り合いかい?」
 少年が詩子に問う。
「昔の友達だよ。久しぶりだねー」
 満面の笑みで、詩子は言った。
「……本当、こんな所でな」
 祐一も笑顔で返す。
 しかし、その顔には、どことなく元気がなかった。
 詩子にはそれがわかった。
 一年間とはいえ、茜と一緒に、誰よりも親しかった仲なのだ。
「何かあったんだね……どうしたの?」
 今までの明るい声とは一転、深く、穏やかで、優しい声。
「……いや、なんでもないよ」
 隠しきれるとは思っていなかったが、流石に祐一は動揺した。
 詩子は本当に、昔から何も変わっていなくて。
 茜のことは黙っていよう……そう心に決めた。
「茜だね……」
 祐一の心を覗けるとでもいうのか?
 そんなタイミングだった。
「!?」
「茜に、何かあったんだね?」
「いや、全然そんなことはないぞ。腹が減っただけだ」
「嘘だね……わかるよ。私達、友達なんだからさ」
「……」
「言ったほうがいいんじゃないかな。君が隠し通せるとは思わないよ」
 第三者の声が入る。
 そうかもしれない、昔から、この少女はこんな調子で。
 友達の些細な変化を見抜き、気づかってくれた。
「何があったかは訊かない……なんて言えないよ。
 祐一個人の悩みならそっとしておくべきだろうけど、茜の問題でもあるんでしょ」
 心を揺さぶる声。これ以上は、隠せないか。
 詩子も、良い話ではないことを悟っている。
 それでも、覚悟して、訊いてくる。
 こいつは強い、昔から、今も変わらず。
 祐一は百貨店でのことを、全て詩子に話した。
 自分が茜に想いを告げたことも、隠さずに、全部。
「ついに言っちゃったんだね」
「え?」
 全て話し終えた第一声がそれだった。
「告白だって。やるねぇー。あの時うじうじして、結局転校だもんねぇ」
 明るい声に戻り、茶化す。
 顔が赤く染まるのが自分でもわかった。
「お前……知ってやがったのか!」
「当たり前じゃん」
「……〜〜!」
「あははははっ!」
 何も言えなかった。どこまで、この少女は……
 だが、少女の笑い声も、どことなく寂しさを含んでいた。
 時間がたっても、祐一にはそれがわかる。
 自分も変わらないでいられたことを、少しだけ喜んだ。

「でもさ……」
 祐一の考えを裏打ちするかのように、詩子の声はすぐに沈んだものとなった。
「やっぱり悲しいよね……」
 茜が、人を、コロシタ。
 その事実は、二人の前に、重くのしかかる。
「茜。自分のことは話したがらないとこあったもんね。
 何かあるんだよ、きっと。
 気付いてあげられなかった」
 詩子の声に涙が滲んだ。瞳にも、同じく。
「違うだろ」
 祐一は、気付けば、そんな詩子を抱き締めていた。
 始めてみる彼女のそんな姿を見て、こんなのは間違ってると思った。
「気付いてたんだろ、茜の想いに。
 あえて何も言わなかったんだろ、いつか話してくれることを信じて。
 それが茜にとって正しいことだとお前が思ったんなら、それは正しい。
 お前が思ったことだもんな」
 本心だった。
 こんな言葉で、彼女が救えるかわからなかった。
 だが――
「う……ふぇぇぇえぇん……」
 子供のように、声を上げて、泣いた。
 その涙は悲しみだけじゃなくて、
 祐一にもそれがわかって。
 自分出来ることは、まだまだある。
 そう確信した。
258結界の攻防(1/3):2001/05/23(水) 04:24

スフィーは到着と同時に流れ出る魔力をかき集めながら芹香の背中を叩く。
「3分耐えて。リアンを連れ戻すから」
 芹香はコクンとうなずくと、結界の強度を増した。
「何で連れ戻すのよ!!」
 綾香が現れたばかりのスフィーにくってかかるが、スフィーはそれを相手する
時間も面倒だと言わんばかりに怒鳴りつける。
「結界内の力が強すぎるからよ!!リアンじゃ無理だし、今の私でも無理!!!!
この子に対するにはそれなりの準備と時間が必要なの!!!!」
 そう言いながら呪文詠唱に入ったリアンを南が眺め見る。
「――――――なるほど――そういう事――」
 南の呟いた言葉を聞き取れたのはすぐ側にいた佐祐理だけだった。

「3分で戻ります。もし戻らなければ私達2人を見捨ててここから待避してくださいね」
 そういうと、スフィーはリアンに寄りかかるように倒れ込んだ。
 みるみるうちにスフィーの体がしぼんでいく。
 魔力=体力と言わんばかりに。

「芹香姉さん大丈夫?」
 綾香の問いかけに対して芹香は汗を流しながらコクンとうなずくだけだ。
 その瞬間も神奈備命からの攻撃は一向に止まない。

 約束の3分が経過し、リアンとスフィーは今だ意識を取り戻さない。
「舞!!!!」
”バリーーーン”

 佐祐理の悲痛な叫び声と同時に――――状況は一変した。

 牧村南が懐から手裏剣を投げつけるのと、芹香が保っていた結界がはじけるのはほぼ
同時だった。
259結界の攻防(2/3):2001/05/23(水) 04:25

 南の投げた手裏剣は舞の体に向かい突き刺さったかに見えた。
「ぽんぽこタヌキさん!」
 舞はそう呟くと南に向かって一気に詰め寄る。
「あれを裁ききれるの!!」
 南は捨て台詞を吐きながら一気に後ろへ飛びすさりながら手裏剣を投げつける。
 狙いは、リアン。同時に4枚投げつける。

 そのうち2枚を舞が弾き落とし、1枚を綾香が踵ではじき返すが、1つはリアンの腕に
グサリと突き刺さる。
 だが、リアンはピクリともせず、ただ刺さった部分から紅い血が流れ出す。

「あんた!!どういう了見だい!!」
 怪我をしたリアンを抱きかかえながら綾香は南に向かって怒鳴りつける。
「ふふ。内緒です――――――――よっと」
 舞の繰り出す竹槍を身軽にかわしながら南は綾香の問いかけに答えを返す。
 そして、そんな最中暴走した神奈の光弾が、あたり一面に降り注ぎ始めた。
 芹香は必死に失った防壁を微量ながら形成してスフィーを守り続ける。

「うわったったったったった!!舞さん。姉さんこれは以上ここにいるのは無理だから
早く逃げて!!!!」
 綾香の問いかけに首を振る芹香。しかし、そんな芹香を捕まえて一気に走り出したのは
芹香が守ろうとしたスフィーだった。
 前の身長から比べると2/3程度になってしまったろうか、見た目すでに小学生という
状態までスフィーはしぼんでいたが、それでも芹香と自分を守る結界をかろうじて張り
ながら、一気に山を下る方向へ走り始めた。

「みなさん遅れてゴメンナサイ。この山を下った所に小屋が一件あったからそこで
落ち合いましょう」
 綾香はスフィーの言葉にうなずき、スフィーとは別の方向へ下っていった。
綾香の腕に抱きかかえられていたリアンは苦しげな息をもらしながら、今だ気を
失っている様だ。
 他の人も気になるけど、今の優先順位はこの子を安全な場所で見ること。
 綾香は自分で自分に言い聞かせ、一気に山を下る方へ走っていった。

「舞さん、あとで山を降りたところで落ち合いましょう!!絶対来るのよ!!」

260昔も今も、かわらないひと:2001/05/23(水) 04:27
「そろそろ行くよ。俺」
 詩子が落ち着いてから、祐一は言った。
「茜を、絶対連れ戻すから。
 詩子は安心して、生き延びることだけ考えろ、いいな」
「うん……」
「あんた、詩子のこと、頼む」
 ずっと黙っていた少年に言う。
 少年は「わかってるさ」と笑った。
 二人の視線に見送られ、祐一は歩き出した。

「祐一?」
「ん?」
「茜は、変わってなかったよね?」
「あぁ、そうだな」
「……変えてあげてね?」

 その言葉の意味を考え、刻む。

「あぁ」
261結界の攻防(3/3):2001/05/23(水) 04:27

 その台詞を舞はコクっとうなずきながらも、目の前にいる南に対して攻撃する意志を
無くしていなかった。
「せめて少しはここで死んでくれないと、あとで困るから。舞さんゴメンナサイね」
 南はそう言って、手裏剣を佐祐理に向かって投げつけると同時に、山を下る方へ走り出した。
 舞は南を倒す事を断念し、佐祐理に投げつけられた手裏剣を竹槍ですべてはじき返す。
 が――――――――

「危なっ!!」

 神奈が一面に放った光弾が、舞に突き刺さる瞬間、佐祐理は舞の背中を庇うように
抱きかかえていた。
 舞と佐祐理はその衝撃で地面に叩き付けられる。
「佐祐理!!佐祐理!!」
 舞は地面に倒れながら自分を抱きかかえてくれる者の名を叫び続けた。
「離せ佐祐理!!ここから離れる」
 舞の叫びに対して、佐祐理はいつもの微笑を浮かべながら小さな声で呟いた。
「舞を守って死ねるなら――――本望ですわ」
 舞は後ろから抱きかかえている佐祐理を振りほどこうと、体を揺さぶる。
「お願い――――最後まであなたを抱きしめさせて――――」
 舞は、佐祐理の台詞に、振りほどく事を止めるしかなかった。
 たぶん最後に私がかなえてあげられる事。でも――――

「佐祐理!離せ佐祐理――――離せ!!!!
 離して――――佐祐理――――お願いだから――さゆり――――さゆり――――」
 舞は地面に倒れ伏して泣き崩れた。
 さっきまで自分を抱きしめていた力はもう感じられない。
「さゆり――――――――!!!!!!!!」

 神奈の光弾が止まったのは、ちょうどそのときだった。

 舞の絶叫は山の麓に届かんばかりにあたりに響き渡る。
 空は赤らみ始め、あたりを悲痛な叫び声がこだまする。

【035倉田佐祐理  死亡】
262名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 04:33
茜や祐一を誰も書かないので、なし崩し的に書いてました。
このスレの空気はどうかと思いちょっと書きましたが……
噂の最強ギャグ担当の人も書いてますね……
しかも、向こうの方が遥かにウケがいいです、自分の未熟さ痛感。
激しく鬱になったんで潜ります。
私よか上手い人いくらでもいるので、茜、誰か書いてやって下さい。
どう扱ってもいいので。
263名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:06
>>261
これで残り62名かな。
264忘却:2001/05/23(水) 05:09
川岸で一人の少女がうめいていた。
ぴくぴくと体が動いている。
「けほっ、けほっ」
かなり多量の水を飲んでしまっていたらしく、咽ながら水を吐き出していた。

「わたし、どうしたんだろう?
 ここはどこなんだろう?
 なんでこんなとこにいるんだろう?」
ふらふらになりながらも沢渡真琴はようやく体を起こしていた。
「あうー、ずぶぬれになってる。
 何で水の中なんか入ってたんだろう?
 あれ?っていうかわたしって誰?」
水の中から這い出てきて真琴はぐったりと倒れこんだ。
「あう!あたま痛い。思い出そうとすると頭がずきずきする…
 だめだ、何も思い出せない…
 わたし、こんなとこで何やってたんだろう?」
藤田浩之の魔の手から逃れたのはいいが、沢渡真琴は落下時のショックで記憶を失っていた。
「あうー、これからどうしよう…」
―――――相沢祐一
「あれ?今何か思い浮かんだような…
 そうだ、相沢祐一!
 わたしの憎むべき相手。
 わたしはこいつを探してたんだ。カリを返すために…
 よ〜し、待ってなさいよ!すぐに見つけてけちょんけちょんにしてやるんだから!」
そう言って、少女はおぼつかない足取りで川岸を一人歩いていた。


沢渡真琴の武器 《パチンコ》 川底に放置
265111[前々+前スレ]@命題:2001/05/23(水) 05:19
刀には感じ入るものがある。
それはかつて自分が使っていた、今はもう無いあの剣を思い出すからだ。
「懐かしい……」
かつての記憶が走馬灯のようによぎる。
それは武人として生きた、激動の時代への追想でもあった。
そして今も……。
坂神蝉丸が武人であることに変わりは無かった。

嘆くべきこと、それは戦いが今の時代ではゲーム扱いにされていることだった。
命を賭して戦うことの尊さは何よりも分かっている。
俺たちのときもそうだった。
国のために、天皇のために命を賭す国民と軍人。
それは正に国という一つの大きな怪物が、一体となって動き出したと言えただろう。
だが……この戦いに先は無い。
仮に生き残れたとして……それでどうなる?
他人の命をいたずらに奪ってしまったという呵責。
無理やりに死線をくぐらされ傷ついた心身。
大切な……家族や、友人や、恋人との別離。
そして……、信頼していたものの裏切り。
そんなものを経験した人間が、果たして安穏な生活に戻れるのだろうか……。

――答えはいつも同じ、
”否”だ。

だが、そんな正論を、常識を失わせる何かがここにある。
そうだ、ここは狂っている。
生き残らないものからすべてを奪う、ただの戦場ではない、狂った戦場だ。
かつての我々は……、
俺も、光岡も、岩切も、あまつさえ御堂であっても、お国のためと
心を結託し、戦場を邁進したものだった。
戦争では何人もの人間が死ぬ。数々の兵士が町で、山で、海で、空で、
散っていったことだろう。
しかし彼らの死はけして無駄ではない。
真の忠誠心というものを胸に戦った彼らには誇りがある。
そしてそれは死してもなお残るものであり、
後進を行くものに脈々と受け継がれていく。
だがここにはそれが無い……。
意志も、理念も、そして矜持すら無い。

ならば俺が戦う理由は、そんな理不尽さの中に散っていった、
今の仲間たちの弔いだとでも言うのか……?
266111[前々+前スレ]@命題2:2001/05/23(水) 05:19
苦悩。
純粋な苦悩。
だがそれすらも死ねば無意味になる。

死。
死ぬこと。
そう、ここでの死は人間の尊厳を認めない。
ただ、死者は敗者であり、そしてただの躯に過ぎないのだ。

そう、この島に来てから、いつだって蝉丸の足取りは重い……。

チャキッ。
刀の唾がなる。
蝉丸はいぶかしんだ。
別に普段ならなんでもない、偶然体か何かにでも当たって鳴ったんだろうと
思えるような些細なこと。
だが今は、それが何かの予兆であるとしか思えなかった。
――誰か、来る。

蝉丸は、自分の気配を殺しその場にとどまる。
……無論、刀はいつでも抜けるようにした。

ザワザワ……ザワザワ……。

木々のざわめき、その様子からは、蝉丸が警戒するようなものは何も感じ取れない。

ずざぁっ。
茂みを食い破って出てきた一人の影。

「ちくしょう……、腫れてきちまったぞ。どうする……」
左目を押さえ、やけに重そうな鞄を背負う男の姿。

かなりの手傷を負った、藤田浩之であった。
まだ、浩之は蝉丸に気付いていない。だが蝉丸を警戒させる何かが彼にはあった。
先手を打って出るべきか……、いや、それではこのゲームにのったことになる。
無益な殺生は、できるだけ避けたかった。
時間にして一瞬の、蝉丸の葛藤だった。
そう、見た目はまだ少年といって差し支えない……。しかし、彼からは血の匂いが、
というより死の匂いが強すぎた。
こんな子供にまで、殺生を強要すると言うのか!
蝉丸はその事実が歯がゆかった。
267111[前々+前スレ]@命題3:2001/05/23(水) 05:20
「!?」
少年がこちらに気付いたようだ
左目に当てていた手を離して拳銃を構える。
早い……な。
銃器の扱いに手馴れている。
おそらく昨日まで触れた事も無かったようなそれが、今では彼にすっかり
馴染んでいる。
その事実が……、なんだか無性に悲しいことに思えた。
「おっさん……いつからそこにいた?」
浩之はすこし焦った様子で言った。
「君が来る少し前からだ、少年」
蝉丸は身じろぎもせずに言った。
「なんだよ……、だったらあんたそれで斬りかかってくれば、俺を殺せたかも
 しれなかったじゃねぇかよ」
ピク……。
蝉丸のまゆが一瞬上がる。
「死に場所を求めているのか、少年?」
蝉丸の静かな問い。
「……知らねーよ。俺はただ、早く帰りたいだけなんだ」
蝉丸には、そのセリフのあまりの希薄さが不審に思えた。
「本当にそれだけか? まだ何かあるのではないのか、君をそこまで駆り立てる
 何かが……。少年?」
浩之の表情……、これまで躊躇いも無く人を殺してきたはずの鉄面皮が、初めて
苦渋の色を宿す。
「……知った風な口聞くんじゃねぇよ、おっさん」
暗い、憎悪にも似たその感情が、浩之の口から流れる。
「あんたに何がわかるってんだよ、何もわからずいきなり拉致されて。
 かき集められた先でいきなり殺し合えなんていわれて。
 そして目の前で一人、ナイフであっさり死んで。
 最後まで生き残った一人が無事に帰れるって、それで武器まで支給されて……。
 なんなんだよ、俺が一体どんな悪いことをしたって言うんだよ!?
 なあ、おっさん。応えろよ、応えてみろよ。ああ?」
浩之の独白にもにた物言い。
蝉丸はそれを無言で聞いていた。
「俺はもう人を殺したんだよ……。もう止まれねぇんだよ! 俺が俺を保つには、
 このゲームにのるしかねぇんだよ! 走り続けるしかねぇんだよ!」
少年……。
蝉丸はほんの少し憐憫の思いを催した。
この少年もまた、この狂った環境の犠牲者だったことに気付いて。
268111[前々+前スレ]@命題4:2001/05/23(水) 05:20
「まだ……、殺し続けるのだな」
「たりめーだよ」
ジャキッ。
再び銃を構えなおす浩之。
「さよならだ……」
浩之は発砲しようとした。
ならば、私はそれを阻止しなければならんだろうな。
蝉丸は言った。
「少年、そこからでは俺に当てることは出来ん。命中させたいのなら、
 もっと近くから狙うことだ」
それは掛け値なしの真実だった。
蝉丸もみすみす撃たれて死ぬ気は無かった。
そして彼にはそれだけの技能があった。
だが、それも今の浩之には挑発に聞こえたようで。
「見くびりやがって……」

ダンッ! ダンッ! ダンッ!
浩之は発砲した。
だがその弾道はすべて蝉丸には読めていた。
蝉丸は発砲の瞬間に体を翻す。そして一気に浩之に迫る!
「くっ!?」
十数メートルの距離を詰める。浩之は接近する蝉丸に向かってトリガーを引いた。
カチッ。
「何!?」
それは致命的な玉切れだった。
一瞬で浩之の懐に入り込んだ蝉丸は、彼を当身で吹き飛ばした。
どぉん!!
かなりの重装備だった。だが、にもかかわらず浩之の体は見事に宙を浮いていた。
ばたん!!
「ぐはぁっ!」
地面にたたきつけられる浩之。その装備が仇となり、衝撃で浩之は激しく喘いだ。
「がッッ……あああ……くはっ!」
当身の残身のまま蝉丸は立っていた。
吹き飛ばされた浩之を見る目は、どこか灰色で……。
「他に方法は無かったのか……少年」
蝉丸は一言、そう、呟いた。
269名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:26
蝉丸は月代といっしょのはずでは、、、
270名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:26
蝉丸って月代と一緒じゃなかったでしょうか?

でもカコイイ。
本編がアレだった分蝉丸には頑張って欲しいヨ。
271名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:27
月代は寝てるか、水汲みにいったかしてんだろ。
脳内補完脳内補完。

あんまり無意味にNG出すのもちょっとだし、
適当に理由付けしてくれると幸いです>>111
272名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:29
ハ〜イNG(ゲラ
273名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:30
おもしろいからぜひとも補完
してほしい
274111[前々+前スレ]@命題4:2001/05/23(水) 05:30
げっ魔ジスか!?
じゃあ続きで補完しマフ(泣き
275名剣らっちー:2001/05/23(水) 05:33
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/1168/index.htm

血ヘド吐きながらの更新です…回転速…。
今の今まで更新に付きっきりだったもんで、リンクチェックとかアナザー分類とか
曖昧だったりします(汗)。多分間違いないと思いますが、間違いなど見つけられ
ましたら報告の方お願いします…。
276名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:34
すげぇ……まじお疲れ。
277茜パート:2001/05/23(水) 05:39
>>275
細かいことですまんが
「昔と今と、変わらないこと(1)〜(3)」

「昔も今も、かわらないひと」
分けてくれませんかね?
書き手の勝手なこだわりです。
278茜パート:2001/05/23(水) 05:41
タイトルは↑で。
「と」と「も」とか、「変わらない」「かわらない」も上のまま。
謎こだわりです。
279名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 05:41
>>277
詩子書いたのはあなたでしたか。
…頑張ってくれると嬉しい。

俺も地道に書くつもりだから。
280111[前々+前スレ]@命題5追加:2001/05/23(水) 05:44

「蝉丸〜〜〜〜早くとってよ〜〜〜」
少し横道の方から聞こえてくる声
――月代だった。
「まだ水辺には着いていないぞ」
蝉丸はあっさり言った。
「え〜〜〜、それじゃまだコレ取れないのぉ〜」
「そのようだな」
なぜかくっついていた面は、無理にはがすと月代の肌を持っていってしまいそうだった。「もう少しだ、我慢しろ」
「うん……、ところで蝉丸。突然声が遠くなったみたいだけどなんかしてたの?」
「いや……」
喘ぎ苦しみ、その後失神した浩之を、蝉丸は荷物ごとおぶった。

「ちょっと野暮用でな」

蝉丸は月代を水辺へ促した。
281名剣らっちー:2001/05/23(水) 05:46
>>277
えぇっと…。
「昔と今も、変わらないこと」は199に、
「昔も今も、かわらないひと」は201にちゃんと分けて収録してますよー。
とりあえず、今日は#5-260までで一度作業打ち切らせてもらいますです。
もう眠いっす…おやすみなさい。
282111[前々+前スレ]@命題5追加:2001/05/23(水) 05:47
といふわけで追加。ああ心臓に悪い。
結局今日も徹夜だョ。
>>275
更新ありがとう。あなたのコレがなければ僕は追加を書けなかったw
283茜パート:2001/05/23(水) 05:49
>>281
あれ、マジだ……気づかなかった。
どうもすみません(汗)

>>279
そう言ってくれる人が一人でもいると、やる気おきます。
ありがとう。
284111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 05:56
>>283
あ、詩子さん動かしてくれてアリガト。
茜と深い関係のあるキャラだからどう絡ませようか悩んでたよ。
読んでて気持ちよかったよ。
できるなら、まだまだめげずに書いて欲しいな。
285名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:01
一応昼組のためにリンク貼っておこう

感想以外の雑談、細かい批評などはここでね↓

「みんな、ダンディとゲッツしない?」
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989108228&ls=50
286名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:08
祐一=杉村か?
いや、なんとなく。
287名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:20
結局>>136ってNG?
過去ログのページには正規扱いで載ってるみたいだが。
288名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:25
面倒なんで4枚のCDのデータが入ったDVD登場させていいですか?
289名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:26
>>287
その直後の>>169も正規扱いだ。

過去ログ補完さんも回転早くて大変だろうし、
そのへんはやっぱもっかい昼組で話し合おう。
ダンディでな。
290名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:27
>>288
「面倒だ」で4枚分出してしまうとCDの価値がなくなると思うんですが。

たしかに、脱出に利用できそうな道具を浩之が持ってるから意味無し、とか
未だに4枚目の持ち主が分からない、とか、まだ問題点はあるんですが。
291名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:28
>>288
せっかく張ってきた伏線を潰すようなことしないで下さい(涙)
292111[前々+前スレ]:2001/05/23(水) 06:29
>>288
CDの意味が無くなるから今は待つよろし……。
つーかまだ長い中盤が始まったばかりなんだよぅ(涙)
293名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:29
浩之は現在意識不明で蝉丸が荷物持ってます。
蝉丸はパソコン持ってます…………
…………ということは?
294名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:37
ここはSSと感想のスレです。
展開等の話題は>>285
295名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:37
「(・∀・)ゴメン、CD踏んじゃった」
296名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:40
>>295
藁タ。月代萌えだ。
297名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:45
実は(・∀・)イイ!の仮面には対となるゴルァ(゚Д゚)の仮面が…
298名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 06:49
どんな裏設定付け加えてくるか知らんが、表向きは金持ちの道楽であって
政府主導の強制プログラムってわけじゃないから、キャラ達からすれば
逃げられる手段さえあれば逃げちゃってOKなんだよな。
299両表のコイン1:2001/05/23(水) 07:09
朝……
夜を徹して寝ずの番を果たした和樹は、小さくあくびをした。
(不謹慎だよな、あんなことがあったってのに。)
明け方、あの高槻からの放送――由宇の名前が挙げられていた。

詠美の話から予想できなかったわけじゃない最悪の考え…
もしかしたら由宇ならば――。
和樹のかすかな希望すら打ち破られた。
「もう、許せねぇ……いや、ダメだ。」
和樹は煮えたぎる気持ちの昂ぶりをなんとか押さえる。
いくら和樹の武器が機関銃だからといって、むやみに突っ込んだところで犬死が待っているだけだ。

すぐ横で、詠美が静かな寝息を立てて寝ている。
和樹の迷いはそこにもあった。
最初は仲間を集めてみんなで敵を倒そう――。そんなふうに思っていた。

「甘すぎたんだな、俺は。」
瑞希は、もういない――。
いつも憎々しかったが、心の底では誰よりも固い絆で結ばれていたはずの大志。
裏切られて、そしていなくなった。
いつも大人っぽく、だけど本当は誰よりも子供のように慕ってくれていた郁美ちゃんも、いない。
そして、今また由宇までも。
それだけじゃない。まだどこかにいるはずのみんなも――詠美には会えたんだけど――ここにはいない。
これは、現実なんだ。虚構の世界じゃない。
だけど…

一度は自暴自棄になりかけた自分、それも詠美の存在を確認してもう一度自分を取り戻すことが出来た。
でも、このまま行動して本当にいいのか?
機関銃を手に取る。
共にあいつらを討つ仲間。探せばまだきっといる。和樹や詠美のように生き残って動いてる者もいるはずだ。
もしかしたらもう戦っている奴等もいるのかもしれない。
再度詠美の寝顔を見つめる。よほど疲れていたのだろう。最初は寝るのすらも恐がっていたのに。
和樹はためらっていた。詠美を連れまわして行動することに。
誰かに預ける――誰に預けるというのだろう。
おいていく――置いていけるわけがない。というか連れまわしたほうがよっぽどマシだ。
和樹は答えを見出せずにいた。だが、考えるのをやめるわけにはいかない。
後悔しないために。
300両表のコイン2:2001/05/23(水) 07:10
「――んっ…」
「おっ、起きたのか詠美?」
「えっ?……そっか……うん、おはよ……」
詠美が目をしばたたかせながら上半身を起こす。
「いつの間にか寝ちゃったんだ。」
「そうみたいだな、ぐっすりだったぜ。」
「ヘンなことしてないでしょうね。」
「するわけねぇだろ…」
「ポチは寝なかったの?」
「……俺は昼間、寝てたからな。(ポチはやめろよ、二人のときぐらい…)」
かすかに、腹部が痛んだ――。

「ほらよっ!」
「わっと、いきなり投げないでよね!で、でも……あんがと。」
二人で軽い朝食を取る。昨日食べなかった残りのパン。
人間の腹は良く出来ている。食欲はなかったが、パンを口に含むだけで何か充実感を感じる。
「ねぇかずきっ、わたしが寝てる間、何にもなかった?」
不安気に詠美。
「ん、ああ――」
詠美の視線を受けとめることができないままに呟く。
言えない。いつかは知ってしまうかもしれないが、今ここで由宇の死を、現実を伝えることはできなかった。

「ねぇ、これからどうするの?」
「ああ、仲間…同じ志をもった仲間を集めるんだ。抵抗、脱出、いくつか戦う手段はある。
だから行動しなきゃな。」
「うん……」
いつものような覇気が無い。
(だけど、これが本当の詠美なんだよな。)
和樹は知っている。虚勢の裏に隠された本当の詠美を。
(まあ、本人に言ったら罵倒されるのがオチだろうけどな。)
耳まで紅潮させて食いかかってくる詠美が脳裏に浮かんだ。
「あたしも、もちろんいっしょだよね。」
「……」
和樹が考えてもでなかった答えが、今そこにあった。
301両表のコイン3:2001/05/23(水) 07:12
「だ、ダメだダメだ!」
和樹は頑なに首を横に振った。
いざ決め付けられると、それはやはり不安になってくる。
「な、なんで!?かずきはあたしがじゃまなわけ!?こんなちょーびぼーの乙女なあたしを
こんなところでおきざりにしよーってわけ!?」
置き去りにする…そんなことできない。だけど、どうしても最後の決断、勇気が足りないのだ。
「……」
「うーっ!もういい、あたしかえるっ!」
目に涙を湛えて、詠美がきびすを返す。
「まてっ!」
そのまま走り出そうとする詠美の手をがっしりとつかむ。
「ううっ…」
今にも涙が溢れ出しそうな瞳。
「…分かった。じゃあ、こいつで決めよう。」
「ふみゅっ?」
和樹のポケットに入っていた、たった一枚だけのコイン。
「この10円玉の表が出たら詠美を連れて行く、裏が出たらどこか安全な場所にいればいい。」
「そ、そんな、まって……」
ピ―――ンッ……
詠美の静止の声も届かず、コインが舞った。
「――――っ!!」
詠美は目をぎゅっと閉じ、顔を背けた。
パシッ!
「詠美……」
「やだ……聞きたくない!」
「見ろよ、表だよ。」
「やだやだ……えっ!?それじゃあ…」
「おまえの強運には負けたよ、いっしょに行こうぜ。」
「う、うん…!!」
詠美の顔が、花が咲いたように明るくなる。

「ポチ!いくわよ!」
「離れるなよ…それと、俺はポチじゃねぇ。」
「あんたなんかポチでじゅーぶんよ!このポチまる!」

おれは、卑怯だよな…こんな形でしか…
コインを手に取る。だけど…
「勇気出たぜ、相棒。」
もう一度コインを天に放って、それをつかむと、なぜか力が湧いた気がした。
302名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 07:15
要望あったからとりあえず書いてみた。
詠美の武器ってでてないどころか伏線の「ふ」の字もなかったYO

ネタ考えるより文章書くより、それを確かめるのが一番時間かかった…
2000レスオーバー伊達じゃない。
303名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 07:25
おお、なんかバトロワの主人公ぽいぞ和樹。
そういえば、みちるが持ってた白蛇もポチって名前じゃなかったか(自信無し)
304さよならを、あなたに(1):2001/05/23(水) 07:26
「誰? じゃないわよ!? あなたがお兄ちゃんを殺したのね!」
 茜は、地面に横たわる死体と目の前の少女を交互に見た。
「…妹さん?
 …誤解です。私はこのが死ぬのを看取っただけです」
「嘘! そんなこと言われても信じられるわけないじゃない!」
 理奈の言うことも一理ある。茜は銃を持っているのだから。
 それにこの状況下、肉親の死体を前に冷静でいられるはずがなかった。
 理奈は大声で叫ぶことで恐怖心を押さえ、茜をきっと睨み付けた。
 対する茜は全く動じない。
「…だから、誤解です」
「許さない! 絶対、殺してやる!」
 そんなことが出来るとは思ってもいなかった。
 ただ、感情が先走り、叫んでいた。
 茜は「ふぅ」と溜息をつき、冷酷に告げる。
「…武器なしでですか?」
 理奈は凍り付いた。
 今手持ちのものといえば小型カラオケのみ。
 これで殴り掛かれというのか、相手は銃を持っているのに?
「うるさいっ!」
 そんなこと構いもせず、茜に殴り掛かる。
 茜は銃を理奈へと向け……思い直して、すっと左に避けた。
 勢いあまって理奈は転び、小型カラオケが地面に落ちる。
 起き上がったすぐ目の前に、英二の死体があった。
「だって……お兄ちゃんが……」
 そのまま英二の死体にしがみつき、泣き叫んだ。
 その光景をしばし見つめ、茜は再び銃を上げる。
 理奈の視線が、その動きを捕らえた。
 何も映さない、暗い銃口を見つめる。
「…あなたは私を殺すといいました。
 …だから、私もあなたを殺します。
 …さよなら」

 幾度とない銃声が、この森には響いていた。
 今度の銃声もまた、森の一部となっていった。
305さよならを、あなたに(2):2001/05/23(水) 07:27


 理奈の体が崩れ落ちる。
 傷口から血液が……流れていなかった。
 いや、そもそも傷口なんて存在しない。
 茜の撃った弾は、理奈に当たっていない。
 理奈は緊張に耐え切れず、失神しただけだった。

(…どうして外れたの。
 …やっぱり私は、人を殺せなくなったの。
 …違う、きっと、あの人は私を殺せなかったから。
 …私がここで、殺す理由がないだけ。
 …そうに決まっている。
 …もう行こう)

 そう心に呼びかけても、茜はしばらく、その場を離れることが出来なかった。
 残された少女は、これからどうするのだろう。
 そんなことを考えていた。
306茜パート:2001/05/23(水) 07:31
応援してくれる方が少しでもいるなら、書けます、私は。
ホワルバは全くやってないので、理奈の口調はテキトー。
よほど変だったら、この流れで誰か書き直して下さい。

別に今書く必要はなかったけど、あっちのスレで。
>オガタリーナは茜にさっくりやられて終わりなんだろうか。鬱
て意見がありましたから、早めに書きました。
その書き込み見ないでも、私は殺すつもりありませんでしたが。
他に茜を書きたがってた人がどうするつもりだったかは知りませんけど(いるのか?)

後は、御堂とあゆが別れてくれたら……
307名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 07:50
そういえば朝までの約束だたーね。

折角奇跡持ちのあゆがマスコットのみの役割しかないのも寂しいので
うぐぅうぐぅしか言わないのもそろそろ打ち止めにしてやってくれや。
まあ、能力は制限されてるけどな。
308名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 08:13
>>307
いっしょにいても展開考えつくよ、いろいろ。
もちろん別れても。
309名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 08:31
あゆと御堂いっしょにいてもわかれてもいいが、
御堂と麗子の会話の伏線はちゃんと使ってほしい
310名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 08:43
こっちの書き手さん、一応ダンディスレも見ておいて。

使えるかも知れない香奈子SSとか置いてあるから。
311名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 12:37
この回転の早さはなんだ?
つい最近まではマッタリしてたはずなのに……
312名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 12:45
荒れたから。状況も無茶苦茶になった
313#4-6:2001/05/23(水) 12:58
#4-698「一つの終焉(後編)」の続き(弥生パート)を書いたんですが…
一旦ダンディスレにUPしたほうがいいですかね?
314名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 13:12
それって、何かNGやら設定やらに引っ掛かる話でしたっけ?
でなかったら、いきなりここに載せたほうがいいと思います。
315名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 13:16
>>313
うーん…このスレッドでは、ライブ感もかなり重要な要素だと思います。

>>314 さんのおっしゃるとおり、
よく読み返してみて大きな矛盾や欠陥がないなら、ズバッと書き込んで
ください。ダンディスレは、あくまで読み手や書き手の設定調整、矛盾
説明の場とした方がいいと思います。
316休息:2001/05/23(水) 13:31
#4-6(>>313)です。NG設定には引っかからないと思いますのでこちらにUPします。
#4-698での戦闘「一つの終焉(後編)」の続き。


先程の死闘から数刻。

あの戦場から三、四百b離れただろうか。
小さな沢を目にした弥生はそのほとりに腰を下ろした。

リュックから水の入ったボトルを引っ張り出し一気に飲んだ後、呼吸を整え
周囲の安全を確認したうえで、携帯食を齧りながら武器の点検に入った。
銃口内の枯葉や土を除き、空うちして引き金の異常が無い事も確かめる。
弾を装填しほっと一息着いた際、澱みに映った自分の顔を見て自嘲気味に笑う。

鮮やかな御髪は乱れ、地面を転がった際の枯葉が所々ささり、
顔の右半分は雪見に一撃を加えた時の返り血で赤く染まっている。
「フフフ…まるで鬼ですね…」
伏せた瞼から涙が溢れ出し、頬を伝った赤い雫が水面に幾つもの波紋を作る。


一分が過ぎた。
“ザブザブザブッ”
おもむろに弥生は沢の冷たい水で勢い良く顔を洗い、タオルで念入りに拭う。
髪の枯葉や埃を払い髪を整え、ボトルに水を補充する。
身体中を点検して何処にも異常の無いのを確かめた後、ハンチング帽をかぶり直し武器を装備した。

「由綺さん…藤井さん…」
後に続く言葉を飲み込み歩き出す。
その顔に先程までの面影は無く、“いつもの“表情に戻っていた。
317休息(:2001/05/23(水) 13:33
…状況説明みたいになっちゃいましたね(汗
弥生は現在山を降りてふもとに近い所です。

#4-698での戦闘「一つの終焉(後編)」から3〜40分程経っています。
雪見の逃走経路は判りませんが、弥生とは逆方向に逃走したと思ってます。

弥生の現在の所持武器
     散弾銃(右手)弾用のベルト(腰)弾箱(リュック)
     44マグナム※拓也の死体から略奪(弾を抜いてズボンのベルトに)
     マグナムは弾が抜いてあり殴打にも使えます。
     マグナム用の弾(ズボンのポケット)

318#4-6:2001/05/23(水) 13:37
すみません、>>317のタイトルは無視しちゃってください。
(消し忘れてました)
>>318は只の補足事項です。
319マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 13:46
お、一晩空けて微妙に進んでる。本編もNG談義も。
個人的には、NGイケイケムードがちょっと怖いかな。
何度もNGフォローしてもらってる経験があるので(´Д`;)

冬弥、間に合うかなー。ドキドキ。
320名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 14:55
神尾親子、序盤に出てきただけでここまでずっと出てこなかったくせに
晴子あっさりちんじゃってかなり萎えた。
間の重要なエピソードなんかはなかったのかい?
321名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 14:57
>>320
死んでません、というかそこらへんもめてます。
詳しくはダンディスレにて。
322マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:18
一応聞いておきたいんだけど、住井ってあの後マナのあたりで使っても問題ないよね?
なんかあったらショックを隠し切れないんだが……(´Д`;)
323名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 15:37
>>322
大丈夫みたいですよ。前スレ689の後…ですよね?
えーと。…もしかしてその時、住井は前スレ758での現実逃避モードに
入っているんでしょうか? うーむ。
324マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:40
「おはよう、冬弥くん」
「ん……」
 冬弥はもたれかかっていた木から身体を起こすと、手の甲で目をこすった。
 俺はどうしてここにいるんだろう。どうして外で寝ていたんだろう。どうして由綺が俺の顔を覗きこんでるんだろう……。
(……っ)
 順番にゆっくりと戻ってくる記憶が、由綺があの女性を撃ち殺した時の忌まわしい光景を運んできた。
 思わず、由綺の顔をしげしげと見る。どうしたの? というように少し首を傾げて、いつも通り微笑っていた。
(夢……だったのかな)
 希望的観測から、どうしても思いはそちらに向かう。冬弥はスッと目を伏せた。
 ――夢ではない。落とした視線の先、由綺の手の中には、間違いない、あの時の短針銃が握られていた。
「行こっ」
 由綺はしゃがみ込んだ姿勢から勢いをつけて立ち上がった。
「緒方さんとの約束、今日のお昼くらいなんだよね? 早く行かないと、遅刻しちゃうよ」
「そうだね……」
「ほら、緒方さんすごくカンとか良さそうだし、他のみんなもササーッとすぐに見つけちゃってそうだよね。
 理奈ちゃんも、弥生さんも、マナちゃんも、はるかも、美咲さんも、きっともう向こうで――」
 ジジッ、と嫌な音がした。定時放送だ。
『おはよう諸君、元気に殺し合ってるかな――』
 そして、高槻の声が死者の名前を告げる。
 初めに読み上げられた名が、一気に冬弥の眠気を吹き飛ばした。
「は……るか……?」
「うそ……うそ……だよ、ね……」
 由綺の顔色がみるみる青ざめていく。――そしてきっと、俺も同じ。
 はるか。俺の、由綺の友達。軽口ばかり叩き合っていたけど、やっぱりあいつは親友で。
 かけがえのない、親友だった。
「…………」
「行こう、冬弥くん」
「え?」
 由綺が、冬弥の手を取って、駆け出す。
「ちょ、ちょっと待てよ、由綺?」
「早く……早く、緒方さんたちのところに行こう……!」
 ギュッと掴んでいる手が、震えていた。
325マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:40
「いいザマね」
「もぐーっ! むがーっ!」
 住井の両手両足を包帯で縛り、ついでに猿轡もかませると、マナはフフンと笑った。
「今後は初対面の女の子にそんな口きかないことね。それに、あなたみたいな人が調子に乗ってマシンガンなんか振り回してると、
 あっと言う間にタチの悪い人に見つかって、狙われて、殺されて、奪われて危険度がアップするんだから。荷物は私が預かっとくわよ」
「もがーっ! むぐぐーっ!」
「そんなにきつく結んでないし、植え込みにでも放り込んどくから心配しないで。
 その状態で狙われたらオシマイなんだから、ほどけるまでおとなしくしてることね」
 言いながら、マナは住井のマシンガンを取り上げ、自分の鞄の中に投げ込んだ。
 ナイフ、オートボウガン、そしてこのマシンガン。薬品や包帯が少々、それに中身は確認していないが聖の支給武器もあった。
 荷物は結構な重量になっていたが、使わないからと言って捨てるわけにもいかない。
 こんなものを転がしておいて、下手な人間に渡ったらそれこそ危険だ。
(その気になったら、普通に戦ってでも結構生き残れるかもしれないわね。……冗談よ、センセ)
 ポケットの上から、聖の形見であるメスに触れる。
 先端に睡眠薬が塗ってあるこのメスだけは、いつでも使えるようにポケットに入れてあった。
 メスを受けて倒れたあの男はまだ寝ているのだろうか。
(……また会ったら、今度は蹴っ飛ばしてやるわよ)
 今になって再び湧き上がってきた怒りに、思わず手近な住井を蹴飛ばしてやろうと思った時、遠くに人の気配を感じた。
「誰……?」
 マナは植え込みに身を潜め、注意深くその方向をうかがった。
 だんだん姿がはっきりと見えてくる。男と女、二人組だった。しかも……
「藤井さん! お姉ちゃん!」
 見慣れた二人。逢いたかった二人。やっと、逢えた。
 植え込みから飛び出し、パッと駆け出す。
「も、もがーーーーーっ!」
 道の真ん中に、身動きの取れない住井だけが残された。
326マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:41
「マ、マナちゃん!?」
 冬弥は向こうから走ってくる少女を見て驚きの声を上げた。
 ――まずい。まさかこの場で逢えるとは思わなかったが、今の由綺は恐らく……普通じゃない。
 万が一。万が一、いきなりマナちゃんを撃ったりするようなことがあったら。最悪の想像が頭をよぎる。
 だが。
「マナちゃーん!」
「お姉ちゃん!」
 由綺は持っていた短針銃をあっさり冬弥に預けると、走り寄ってきたマナの身体を優しく受け止め、抱き締めた。
 一連の動作はなんの澱みもなく、ごく自然なもの。あの時の狂気を感じさせるようなものは、何一つない。
(……そうか……)
 ――由綺の心は、無理矢理に作り出した虚構の日常の中にある。
 こうして俺だとか、マナちゃんとかと一緒に過ごす時間。
 由綺は今、こんなどこともわからない島じゃなく、いつもの通り、蛍ヶ崎の街にいるのだろう。
 それはひどく刹那的なアンリアルだった。
「ほんと、良かった……っ! お姉ちゃんがもし死んでたりしたらどうしようかと思ったわよ」
「マナちゃんも無事でよかっ……きゃ、足ケガしてるっ! だ、大丈夫!?」
「うん、ちょっと、ね。それよりお姉ちゃん、藤井さんをちゃんと守ってあげたみたいじゃない? 良かったわね、藤井さん」
 ドクン。
 マナの軽口に、冬弥の心臓が大きく脈打つ。
 が、あくまで由綺はニコニコと微笑んでいた。
「てへへ。私、冬弥くん守ったよねー」
「あ、ああ、うん。……由綺には感謝してるよ」
 冬弥はどう反応していいかわからず、曖昧に返事をした。
 外から見れば、この三人の輪は仲の良い三人が世間話でもしているように見えたのだろう。
 だから、それは起こった。
327マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:41
「おい、その人たちってお前の知り合いか?」
 道端に放置されることに憤りを感じた住井は、全身全霊をもって、必死の努力の末に戒めを解いてしまっていた。
「にしてもひでーな、お前。あんな状態で置いてくなよ、焦ったぜ……ところであんたら、美咲さんって言う――」
 由綺は無言で冬弥の手から短針銃を取ると、住井に向け、撃った。
 ジャッ!
 住井の胸から上が吹き飛び、辺りを一瞬、肉片と血飛沫の混じった紅い霧が包んだ。
「てへへっ、ちょっと服に血がついちゃったね……そこの水道で洗ってくるね」
 由綺はペロッと舌を出すと、側のマンションの敷地内の手洗い場に向けて走っていった。
「……どういう、ことよ」
「…………」
 マナの小さな肩が震えている。
 そんなことは冬弥自身が聞きたかった。どういうことなのか。どうしてこうなってしまったのか。
 何を話したらいいかわからなかった。しばらく、向こうで由綺が水道を使っている音だけが響いていた。
「……俺が」
 悩んだ末、この島に来てから今までのことを順に話していくことにした。
 英二と待ち合わせをしたこと。
 見知らぬ少年に襲われたところを由綺に助けてもらったこと。
 由綺が女性を撃ち殺したこと。
 そして、英二との約束の場所に向かう途中、ここでマナと出会ったこと。
 話し終わったところで、また沈黙が訪れる。ややあって、マナがゆっくりと口を開いた。
「幻滅ね」
 マナの目から涙が一筋、零れ落ちていた。
328マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:42
「どうして……どうしてお姉ちゃんを護ってあげられなかったの……!? そんな……そんな……」
「俺が……弱かったんだよ」
「……ッ!」
 言った瞬間、脛に痛みが走る。マナが蹴ったのだ。
 だがその痛みは、いつも家庭教師としてマナの側にいた時のそれに比べれば本当に弱々しいものだった。
 マナが冬弥の目を、濡れた瞳でキッと睨みつける。
「行くわ。……お姉ちゃんによろしく」
「マ、マナちゃん!?」
 振り返ることはなかった。
 冬弥に背を向け、早足でその場から離れていく。
 徐々に小さくなり、やがて消えていったマナの背中を冬弥はただ見送ることしかできなかった。
 ――そう。由綺がおかしくなったんじゃない。悪いのは俺なんだ。
 弱い、ちっぽけな俺を護るために、由綺は壊れた。俺が、壊した。
 恋人が、俺のために人を殺す。俺が、恋人に人を殺させている。
 俺が死ぬか、さもなくば俺自身が由綺を殺す。由綺がこれ以上罪を重ねる必要なんて、ない。
 でも、それは俺にはできない。俺は脆弱で、姑息で、臆病者だから。
 ……なら。
「あれ? 冬弥くん、マナちゃんは?」
「……行っちゃったよ」
 冬弥は、鞄の中から一振りの細剣(レイピア)を取り出し、刀身を太陽にかざしてみた。
 反射する光。そこに、粉雪の中で微笑む恋人の姿を見た気がした。
 ――それなら敢えて罪を犯そう。
329マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 15:51
本文長すぎエラーの制限が厳しい…切れすぎだよ(´Д`;)
なんかNG的表現があった時のこじつけ準備のため待機。
3303スレ-189:2001/05/23(水) 16:02
え〜では、冬弥の持ち物は伸縮式特殊警棒です・・。
そこを修正すればOKでしょう。
331林檎:2001/05/23(水) 16:03
そういえば由綺がニードルガンで女の子殺したときもNG騒ぎあったね。

>>324-328
由綺の壊れっぷりがイイ!! がんばれ
私が書くともっと壊れて削除されそうだから控える。
うう・・・
332マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 16:06
>旧スレ189氏
ぎゃー、武器はチェックしたつもりだったのにー(´Д`;)
「一振りの細剣(レイピア)」を「特殊警棒」に読み替えて下さい…サソクスそしてスマソ。
333名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:12
マナが(・∀・)イイ!!
由綺も(・∀・)イイ!!

個人的にはオリジナルマナエンドが見たかったりする(ヴォソ
334名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:13
>:マナー(゜д゜)さん
ttp://www32.tok2.com/home/hakagitac/weapon.htm(武器関係所持者)
によると冬弥の武器は「伸縮式特殊警棒」
細剣は「雅史との戦闘時では使わなかった」事になってると解釈しました。
335334:2001/05/23(水) 16:15
修正済みでしたね…失礼。>マナー(゜д゜)さん
336名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:23
どーでもいいけどまたスレ名がロワイヤルになってるね。
337名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:45
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989108228&ls=50

展開・設定の話題についてはこちらでお願いします。
338名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:50
ここで住井殺すの?勿体無い。
せめて北川と再開させてから殺してやれよ。
パソコンや携帯どーすんのよ。
339名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:52
>>338
展開等の話題はダンディスレでやれと言ってるだろうが。
そういう書き込みばかりになったから、書き手が何人か書くのやめちゃったんだよ。
わかってんのか?
340名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:56
そゆこというなよ。いいじゃねーか由綺がいい感じに仕上がってただろ。
お花畑で半無差別殺人をはじめる由綺とそれに翻弄される冬弥、面白くなり
そーじゃねーか。失われたネタもあるが新たなネタも提示してくれただろだろ?
341名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:58
すぐ上で展開の話題は別スレでって言ってるのに、なんでまだここで続けるかね。
342名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 16:58
>>339
五月蝿ぇ黙れ。
343名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:00
>>342
お前がな
344名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:01
>>341
別スレで愚痴ってもSS書いた人が見てくれるかどうか解らんだろうが。
リアルタイムで意見言いたい状況だってあるんだ。特にテレホ時間とかな。
345名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:03
住井の死にNG。由綺の暴走には賛成。
346マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 17:05
住井君は生かしとくべきでしたかー。
4つ目の5、6行目あたり修正すれば通りますか?
347名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:06
とりあえず、どうしたいかの候補は出揃っただろ。
続きはマジでダンディスレで決めてくれ……もう書き手が減るのは嫌だ。
348名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:07
>>345と同じく住井にはまだ生きていて貰いたい。
あそこで住井が死ななければ、住井でなければならなかった理由がまったく無く、
ノートパソコン等の伏線や北川との絡みを今潰すのは、勿体無いと思う。
349名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:08
・香奈子はダンディスレの香奈子SSから、本スレの死亡SSへ続く。
不本意だが、リレーSSの性質上、NGは我慢する。
・晴子のSSは「覚悟」を正規とし「母と娘」はアナザーとする。
・結界は本スレの佐祐理が死ぬルートはアナザーとして、ダンディスレの流れを採用する。

問題となってたいくつかの話題はこれで収拾がつきました。
編集者さんは、お手数ですが、お願いします。
350名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:09
>>346
ダンディスレの方では住井生存が圧倒的に多かったですね。
今から修正すれば間に合うと思いますよ。
香奈子みたいにスレッドが進行して間に合わなくなる前に、
修正するかどうか決めた方が良いと思います。
351名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:10
>>346
不満の声が少なからず上がり、書き手さんも了承して下さるなら、是非直していただきたいです。
やっぱり、あまりにも勿体無いので。
352マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 17:11
>>350
じゃ、早いうちに修正できるならしようと思います。
ところで、短針銃って弾どうなってんです?装填数とか弾倉交換とか。
353名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:12
リレーSSとして扱うには、大きくなりすぎたな。
面白い話が読めればそれでいいけど。
354名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:15
人の死って、むずかしいね。

>>352
全くわからん…スマソ。
355名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:18
小さい針を固めてペレット上にしたもの銃身に詰めて使う
SF-TRPGの設定でよければ装弾数2発リロード5秒くらいってのがあった
射程は30m(近未来SFのものなんで割り引いてください)

ダンディスレ行きません?
356名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:19
住井関連の話題は以降
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=989108228&ls=20
でお願いします。
次に住井の名を見るのは、訂正されたSSでありますよう。
357マナー(゜д゜)@差し替え部:2001/05/23(水) 17:28
「にしてもひでーな、お前。あんな状態で置いてくなよ、焦ったぜ……ところであんたら、美咲さんって言う――」
 由綺は無言で冬弥の手から短針銃を取ると、住井に向け、撃った。
 ジャッ!
「ぐぎゃっ!?」
 動作の素早さが逆に手のブレを呼び、射撃の精度を損ねたことが住井にとっては幸いした。
 撃ち出された針は本来の狙いを逸れ、住井の左肩の肉を吹き飛ばした。
「お、お姉ちゃん!?」
「ぐ、くっ!?」
 何が起こったかもよく理解できなかったが、住井の足は即座に由綺に背を向けて駆け出していた。
 肩が灼けるように痛い。流れる血の感触。熱い。
 だが、逃げなければ、確実に死ぬ。そして、まだ死ぬわけにはいかないのだ。
「美咲さん……みさきさん……ッ!」
 浮かぶのは、愛しい女性の顔。
 護る、そう約束した人の顔。
 ――美咲さんは、生きている。俺が、護る。
 生きて、護る。
「……あ」
 カチッ。カチッ。
 ニードルガンの装填数の少なさも住井には運が良いとしかいいようがなかった。
 由綺はヨロヨロと逃げていく住井に向けて数回トリガーを引いたが、針が射出されることはなかった。
 住井の後ろ姿が遠くに消えると、由綺は照れくさそうに肩をすくめた。
「てへへっ、ちょっと服に血がついちゃったね……そこの水道で洗ってくるね」
358名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:30
わざわざ差し換えありがとう、感謝する。
359名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:34
 ∧_∧   / ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ゚Д゚) < ゲッツ!
 (⊃ \⊃ \____
  \  )ρ
   く く
360名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:38
>>359
こっちに貼るな。
だがうまい。
ダンディスレに貼ってやってくれ。
悪戦苦闘してるようなので。
361名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:40
>>357
差し換え、お疲れ様です。
私見ですが、こちらの方が壊れ具合が上がってる気がしていいです。
頑張って下さい。
362あぼーん:あぼーん
あぼーん
363名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:50
住井生きてるんだね? 書いて良いですか?
364名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:51
生きてる。書いてよいです。
365あぼーん:あぼーん
あぼーん
366名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:54
今、殺戮続けてる浩之はクローンということにできない?
367あぼーん:あぼーん
あぼーん
368名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:56
>>366
また突飛な設定だな。
とりあえず、ダンディスレで続きを聞きたい。
369名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 17:57
>>366
なんでまた、面倒に成りそうな事言うかな?
ダンディスレで話せよ。
370あぼーん:あぼーん
あぼーん
371取れない仮面:2001/05/23(水) 18:00
月代と蝉丸は格闘していた。
…人と…ではない。
月代の顔に吸い付いて取れない仮面とだ。
二人は月代が見つけたあの水源地に戻っていた。

「(・∀・)水…つけてもはがれないよ?」
「…この面は、のりの類で貼り付いているわけではない様だな」
「(・∀・)…ど、どういうこと?」
恐る恐る月代が尋ねる。
「何かの呪いか…あるいは呪術の類か」
「(・∀・)の、呪い?!それじゃあ、もう一生取れないってこと?!」
「……」
蝉丸は何も言わない。いや、何も言えなかった。

月代を見つけたのは良かった。
だが月代の顔にくっついて離れないお面が曲者だった。
無理に取ろうとすれば月代は痛がる。だいたいお面の構造自体良く分からない。
水をつければ取れるだろうという発想も蝉丸が少年時代に一升瓶の口に指を突っ込んで抜けなかった時、
きよみが水を指と瓶の間に注ぎ、それでようやく抜けたことを思い出しての事だった。

「(・∀・)ええ〜〜〜〜っ?!やだやだ!!こんな顔じゃ、もうお嫁に行けないよぉ!!」
蝉丸に泣きつく月代、蝉丸は困惑していた。
蝉丸は月代を励まそうとしたようだがとんでもない言葉が飛び出してしまった。
「もし、一生その面が取れなかったら…俺が月代を嫁にもらってやる。だからもう泣くな」
「(・∀・)…えっ?ホント?」
蝉丸はそっぽを向く。今頃自分の言った言葉の重大さに気付いたようだ。
「(・∀・)ヘヘヘ…だったらこのまま取れなくても…いいかな」
「そういう意味で言ったのではない、必ずその面を取ってやると言う意味で言ったのだ」
ようやくフォローの言葉が出てきた、だが時すでに遅し。
「(・∀・)でも蝉丸の実家って何処だっけ?う〜ん、婿養子じゃダメかな?ねぇ、蝉丸〜」
「……」

その後、延々と月代の話が夢見る乙女状態だったのは言うまでもない。

372名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:00
コピペの人もダンディに来てね。
373あぼーん:あぼーん
あぼーん
374名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:03
>>371
ちなみに、浩之背負ったままだよね?
375名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:05
>>374
そのはず。
376あぼーん:あぼーん
あぼーん
377あぼーん:あぼーん
あぼーん
378あぼーん:あぼーん
あぼーん
379名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:09
ここ放棄する?
380名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:10
>>374
え?月代と合流してからいつの間に浩之が?
381名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:10
ここ放置する?
382悪夢〜Nightmare〜1:2001/05/23(水) 18:10
闇、一面の闇。
浩之はここがどこかも分からないまま走りつづけていた。
「はあ、はあ、ヘンな所に迷いこんじまったぜ…何なんだよここは…」
額の汗を拭う。
(ヘンだな……汗だくだと思ったのに…)
浩之の顔は、かなりの距離を全力疾走したのにもかかわらず綺麗なままだった。
「喉が乾いたぜ……」
口の中がカラカラだ。
携帯したボトルから水を取り出し、一気にあおる。
「……喉の渇きが消えねぇ……」
顔をしかめると、空のボトルを乱暴に叩きつける。
「また水源を探さなきゃな…」
光一つ通らないそこへ、もう一つの声。
「無駄だよ。あなたの喉の渇きは永遠に消えることはないんだよ…」
「誰だ!?」
浩之が銃を向ける。いつの間に持っていたのだろうか。
気がつくと浩之は手に銃を握っていた。
だが辺りは一面の闇。
「出てこい!」
見えざる敵へ恐怖で、浩之の声は震えていた。
「あなたの心が泣いてるよ。赤い涙。もう、血で真っ赤なんだよ……」
唐突に浩之の目の前に現れる、一人の少女。
「あ、あ、……なんで、お前、死んだはずじゃ…俺が殺したはずじゃ…」
後ろへあとずさる。だが、少しも距離は開かない。
むしろ、相手が動いてもいないのにその距離は縮まっていく。
まるで浩之から相手に歩み寄るようにゆっくりと。
少女――瑠璃子は浩之のあごにそっと手を当て、童子のような笑いを浮かべる。
浩之は恐怖のあまり、ピクリとも動けないでいた。
「クスクス、あなたの心が泣いてるからだよ。その心、癒してあげる――」
瑠璃子の唇がその頬に触れる。
「く、来るなぁ!!」
その刹那、浩之が瑠璃子に銃を放つ。
五寸釘が瑠璃子の胸に突き刺さる。しかし、そこから血は一滴も出なかった。
恐怖と狂気が浩之を襲い、脅えに顔が不自然に歪んだ。
383名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:11
>>366
の理由ですが、ダンディスレに書いときました。
384悪夢〜Nightmare〜2:2001/05/23(水) 18:11
「見てみてよ…ほら…あなたのお友達…」
何事もなかったかのように瑠璃子が微笑む。
また闇から一人、一人と現れる。
「藤田くん!良かったぁ、ここにいたんだね。すごく心細かったけど、藤田くんがいれば、
きっと大丈夫だよね。一緒に頑張ろう?」
雛山理緒が不安げな顔を散らして、元気に叫んだ。
だけど、だんだんとその顔が、その腕が、赤く染まって…

「そして、あなたの心に今も生きている人達だよ…」
目に光を感じられないけど、どこか暖かい印象の女の子――
まだ中学生位の無邪気な、少女――
自分の命を救ってくれた、ぶっきらぼうだけど優しかったはぐれ医師――
もみあげが印象的な、笑顔の似合う女の子――。
繊細で、触れただけで壊れてしまいそうな心をもった黒髪の優等生――。
――藤田くん…浩之さん……――
口々に知らないはずの浩之の名前を挙げていって。
だけど、彼女達の視界は、赤く染まって……

「あなたの、親友だよ。」
最後に現れたさわやかな少年。
「ぼくたち、ずっと友達だよね。」
「雅…史…」
泣き笑いで浩之がその少年を見つめる。
「そして……私だよ。」
385あぼーん:あぼーん
あぼーん
386名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:12
>>380
過去ログよく読んでね
387悪夢〜Nightmare〜3:2001/05/23(水) 18:12
作り物の真珠のような丸い瞳が浩之を捕らえる。
瑠璃子。
「来るなよ、俺に…近づくなよ…撃つぞ…」
「いいよ、わたしも、まだここで生きてるから…ね?」
浩之の胸に、あてがわれた白く細い手。
「藤田……浩之ちゃん…」
闇が、ひび割れていく。
「来るなよ、おい…来るな、その名で呼ぶな…俺の中に入ってくるなよっ…!!」
――浩之ちゃん――
瑠璃子の姿が歪む…
「やめろ、やめてくれ…あか…り…」
どうでもよかったあの頃。ただ過ぎていくだけの、だけど幸せだった日常。
気が付くと、浩之の頬には一筋の涙。
乾ききった浩之が夢で、心で、だけどここに来て初めて心から流す涙だった。
388あぼーん:あぼーん
あぼーん
389落日。:2001/05/23(水) 18:18
熱。――左肩に走るのは、どうしようもない痛み。
だが、そんな事に構っている暇はない。
――今は、ただ、――美咲さん。
鞄はさっき、置いて行ってしまった。パソコンも携帯も鞄の中だ。
脱出できる希望は、費えたかも知れない。
――残ったのは、右手に握りしめた、一丁のマシンガンのみ。
それでも、美咲さんを護るには充分だ――
住井は、込み上げてくる吐き気に耐えながら、森の中を彷徨った。
生きている。生きている、生きている。美咲さんも、オレも、まだ、生きている。

――思えば、今まで生きてきた、自分の短い人生には、何ら目的など無かった。
ただ、だらだらと過ごす日常。
なだらかな坂を上るように、ゆるゆるとした日常。
こんな非日常に放り込まれてなお、自分は暢気だった。
――死んでも良い、とも思っていた。
生き残れたら生き残りたい。けれど、死んだって別に構わない。
どうせ、自分には何の目的も、なかったのだから――。
――そこで、彼女に出会えたのは幸いだった。
自分が、目的を無理矢理作ったのかも知れない、とは考えなかった。
彼女を守るという事を自分の目的として、この島で戦おうという――そんな気は、まるでなかった。
彼女を自分の逃げ道にしたんじゃない。
心底、守りたかったのだ。
確かに一緒にいた時間は短かった。
けれど、――共に帰って、笑い合いたいと。

――もう一度、朝陽を見るって。
もう一度じゃない……何度だって、朝陽くらい見れたはずじゃないか。
390落日。:2001/05/23(水) 18:18
真っ赤な血が、その土に染みこんでいるのが見えた。
胸からだらだらと血を流して、彼女は俯せに眠っていた。
不思議そうに、住井は首を傾げた。
――こんなところで、美咲さんに逢えるなんて思わなかった。
住井は、無機質な目で美咲の身体をひっくり返した。
土で汚れた顔。――こんなところで眠っているからじゃないか。
ハンカチで顔の汚れを落とす。――ああ。なんて、綺麗な顔なのだろう。
「起きないと、キスするよ、美咲さん」
柔らかそうなそこに、唇を重ねた。
「死んだ振りしたって、身体こんなに温かくっちゃ……ばればれだよ」
……住井は。その力のない美咲の身体を抱き起こし、心底の力で、強く、強く、抱きしめた。
「……ちくしょう」
オレは――バカだ。

――殺してやる。
緒方英二。何があっても、殺してやる。
――殺してやる。
全部。全部。全部。全部、そう、全部――。
それが、オレの日常じゃないか。
彼女は、理由なく殺された。
それは、オレの、普段の目的意識を欠いた日常と――
同じじゃないか。

そうさ。目的なんて要らなかったんだ。
「――守りたいものなんかあったからっ」
こんなに苦しまないとといけないんだ――。
左肩に走る痛みなど今や何の問題でもない。
マシンガンを強く握りしめ、住井は立った。
その眼に宿る憎悪は――

彼が止まる瞬間まで、燃え尽きる事はなかった。
391あぼーん:あぼーん
あぼーん
392名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:20
と、いうわけで住井マーダー化です。
お好きにお使い下さい……
393あぼーん:あぼーん
あぼーん
394371ヘタレ書き手:2001/05/23(水) 18:21
なんと…浩之ちゃんもいたとは…
それでは4行目後の間に、

先程の少年は木陰で寝かせてある。かなり疲労が溜まっていたようで今は熟睡している。

を入れてつじつま合わせします…
あとはどこを修正したほうがいいですか?
395名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:22
>>390
一度死体は見てるんだけどな。
何か展開に違和感(矛盾じゃないぞ)感じる。
396名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:22
>>392
まぁ、マーダー化もやむを得ないかな・・・。
美咲が死んでしまったわけだし・・・。
397あぼーん:あぼーん
あぼーん
398名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:23
――死体見てるんすか?(;´д`)
いや、住井が美咲さんを見る前にマナと出会って、
それからやってきたもの、と考えてるんですが……
399名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:24
>>394
それで良いと思われ。
そこで熟睡して時、>>382の夢を見たと。
400名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:25
>>398
過去の話ちゃんと読もうね。
401悪夢〜Nightmare〜作者:2001/05/23(水) 18:25
>>394
起きてるという描写さえなければとりあえずオーケーだと思います。
なんか重なってごめん。
402あぼーん:あぼーん
あぼーん
403371ヘタレ書き手:2001/05/23(水) 18:27
>>399
おお!ホントだ!ちゃんと繋がってる。
円く収まって良かったです
404あぼーん:あぼーん
あぼーん
405名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:28
ああ……そうか、見てるんだね、そうか……
勝手に時間軸を、マナ→発見と思っていた。
ごめん、ちょいと書き直しを……

どうしよう、こんなんばかりだ。
激しく鬱。

406名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:29
うーむ、やはりこの企画は少々無茶だったのかな。
407あぼーん:あぼーん
あぼーん
408目覚めはまぶしくて:2001/05/23(水) 18:33
「……なんだったんだよ、畜生」
 俺は目を覚ました。
 涙の跡……泣いていたのだろうか。
 よくわからなかった。
「気がついたようだな」
「オッサン……」
 あの男が声をかけてくる。俺を殺さなかったのか?
 どいつもこいつも、甘すぎだ。
「泣いてたけど、大丈夫?」
「……なんだ、お前は?」
 目の前の女――多分――は、変なお面を被っていた。
 その表情がどうにも滑稽で、気がついたら俺は笑っていた。
「笑えるではないか、少年」
「……」
 オッサンが言った。
 何故だか、今の俺には『殺す』という感情が涌いてこない。
 それは、この島に来てから始めてのことで、なんだか気持ちがよかった。
 忘れ物を見つけた、そんな時の気分に似ていた。
409あぼーん:あぼーん
あぼーん
410名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:33
もう、浩之を解き放ってもいい気がしました。
ただ、それだけです。
411あぼーん:あぼーん
あぼーん
412390・一部改訂:2001/05/23(水) 18:36
真っ赤な血が、その土に染みこんでいるのが見えた。
胸からだらだらと血を流して、彼女は俯せに眠っていた。
――そう。
やはり、先程見たものは、幻ではないんだと。
先と全く同じ場所にたどり着き、まだそこにいた彼女を見て、住井は漸く確信した。
オレは――バカだ。
バカだ。
「美咲さんっ……」
美咲の力ない身体を抱き起こし、強く、強く抱きしめ、住井は泣いた。
喪失。――すべての喪失。
それが、彼の慟哭だった。

――殺してやる。
緒方英二。何があっても、殺してやる。
――殺してやる。
全部。全部。全部。全部、そう、全部――。
それが、オレの日常じゃないか。
彼女は、理由なく殺された。
それは、オレの、普段の目的意識を欠いた日常と――
同じじゃないか。
413あぼーん:あぼーん
あぼーん
414名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:38
>>412
住井が完全にいってしまった・・・。
415名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:38
で、矛盾はなくなった筈……
迷惑掛けました。
416あぼーん:あぼーん
あぼーん
417あぼーん:あぼーん
あぼーん
418名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:43
書き手は、ひとまず場が収まるのを待ちましょう。
419名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:44
>>389
まずいね…マシンガンはマナの鞄の中。
住井の鞄については触れられていなかったため、
むしろ所持品については逆の方が正しそうだ。
420あぼーん:あぼーん
あぼーん
421あぼーん:あぼーん
あぼーん
422名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:49
>>419
……マジ?(;´д`)
ごめん、本気で精読してなかった……もうオレ書くの辞めるわ、自信なくした(;´д`)
取り敢えずもう一回修正します。
423名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:50
そう簡単に凹まないでほしいが。
とにかく、今は書くのやめたほうがよいでしょ。
424あぼーん:あぼーん
あぼーん
425名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:50
>>422
個所が個所だから今から修正するのは厳しいかもね…
NGになるにせよそうでないにせよ、個人的にはもっと書いて欲しいなぁ。
無理強いするつもりはないが、やる気が戻ったら是非また。
426あぼーん:あぼーん
あぼーん
427名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 18:54
マシンガンの件ですけど
>マシンガンを強く握りしめ、住井は立った。
のマシンガンを拳に変えればOKなのでは?
もっとも素手で殺戮はつらいと思うが(藁
428412に付け加える形で:2001/05/23(水) 18:56
――しかし、今の自分には武器はない。
マシンガンも携帯もパソコンも、全部あの少女に奪われた。
だから、人を殺す事なんて出来ないかも知れない。
だが……一つだけ、見つかった。諦めかかった住井の目に入ったのは――。
――美咲さん、一応、ほら、護身のために、さ。オレにはマシンガンあるし……
そう――彼女に渡した、一人の人を殺している、刃物――。
美咲が強く握りしめていた、――自分が渡しておいた、そのバタフライナイフを。
住井は強く、右手に握った。

美咲さん。
429名剣らっちー:2001/05/23(水) 18:57
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Spade/1168/index.htm

えっと、とりあえず#5-328まで更新です(1日2回のペースで更新しないと死ぬので…)。

アナザーの件ですが、
・「結界の攻防は、佐祐理死亡ルートを188cとし、ゲッツスレに書かれていた方を正規ルートとしました。
 アナザーと正規で、文章がかぶりますが、削ると前後の展開が見えなさそうなんで、敢えて被せました。
・「覚悟」は196に、母と娘」は196bにしました。
・香奈子の「狂気の扉」は、香奈子死亡の191の手前に置きました。
 前述の神尾ルートのファイル番号改変の関係や、時間軸の関係上その方が都合が良かったので…。

>>349で書かれていた件については、これで何とかなっていると思います。

それでは皆さん、頑張ってください。
430あぼーん:あぼーん
あぼーん
431あぼーん:あぼーん
あぼーん
432名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 19:00
こ、これでなんとか……
ナイフが良祐に奪われたとか、そういう記述は、多分無いはず……。

どうしようもなく鬱なので、読者になります。
皆さん頑張ってください……
433あぼーん:あぼーん
あぼーん
434名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 19:07
キチガイ警報。
しばらくは、このスレに書き込みしない方が良いと思われ。
435あぼーん:あぼーん
あぼーん
436あぼーん:あぼーん
あぼーん
437あぼーん:あぼーん
あぼーん
438あぼーん:あぼーん
あぼーん
439あぼーん:あぼーん
あぼーん
440あぼーん:あぼーん
あぼーん
441あぼーん:あぼーん
あぼーん
442あぼーん:あぼーん
あぼーん
443あぼーん:あぼーん
あぼーん
444あぼーん:あぼーん
あぼーん
445あぼーん:あぼーん
あぼーん
446名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 20:10
とうとうぶち切れたか。
447あぼーん:あぼーん
あぼーん
448あぼーん:あぼーん
あぼーん
449あぼーん:あぼーん
あぼーん
450あぼーん:あぼーん
あぼーん
451名無しさんだよもん:2001/05/23(水) 20:22
一気に萎えちまったよ。
452あぼーん:あぼーん
あぼーん
453マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 23:53
 どれだけ走っただろうか。体力は既に限界だった。
 どうやら、また森に入り込んでしまっているようだ。適当に走り回ったため、方向感覚がない。
 立ち止まって、呼吸を整える。深く吸い込み、吐く。足の傷口がまたズキズキと痛みを訴えていた。
 ただ、あの場所にあれ以上いるのはいたたまれなかった。一刻も早く離れたかった。
 従姉の顔を見る自信が、なかった。
「どうしてよ……どうしてよ、お姉ちゃん……」
 小さい頃から、ずっと慕っていた。
 アイドルとしてデビューした時も、自分のことのように喜んだ。憧れとは少し違ったが、大好きなことに変わりはなかった。
 ……なのに。
「んっ……」
 鞄がやけに重く感じた。紐が肩に食い込んで、痛い。
 ふと見ると、道のすぐ脇は崖になっていた。マナは崖から少し距離を置いて座り込むと、鞄の中身を改めた。
 拳銃。ナイフ。オートボウガン。そしてマシンガン。中身は知らないが、また開けてみる気にもならないが、聖の支給品。
 いくら重いとは言え、これらは捨てられない。拾われるわけにはいかないからだ。
 救急箱は持っていたかった。いつ必要になるかわからないし、聖の持ち物を勝手に捨てるのも気がひけた。
(返せたら、ちゃんと返すからね……)
454マナー(゜д゜):2001/05/23(水) 23:53
 続いて携帯電話とノートパソコンに手を伸ばした時、不意に胸が締め付けられる思いがした。
 これらは住井からマシンガンと一緒に取り上げたものだ。
 名前も知らない少年。由綺に撃たれた、少年。確かにやや危なそうな人間だったが、でも撃たれる必要はなかったはずだ。
(……生きてなさいよね)
 携帯とノートパソコンを、崖に向かって投げ捨てる。
 大して軽くなったわけではないが、荷物を整理している間に少しずつ自分の気持ちも整理できていた。
 今はもう、誰が頼れるというわけでもない。なら、せめてできることだけでも、しよう。
 ――霧島センセイを、妹さんに逢わせてあげたい。
 それはエゴなのかもしれない。でも、他にできることが考えつかなかったから。
 妹さんの無事な姿を見せてあげられたら、センセイはきっと安心して眠れるから。
「行こう」
 マナは、また歩き出す。今度こそ、たった一人で。

 その頃、崖の下では突如後頭部に降って来たノートパソコンの直撃を受けた少年が、もずくを喉に詰まらせていた。
455名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:06
死ぬって、それ(w>北川
とりあえず、荒らしの反応ないなら書いてこか
456名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:07
一瞬「捨てちゃまずいだろ」と思ったがそう来るか(w
457名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:08
つ、続ききぼーん!<マナー氏
458名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:09
頭に直撃食らった北川よりもノートパソコンが壊れてないかどうかが心配だ(w
あ、それで通信が出来なくなるとか不都合な展開になるのか?
459名無しさんだおもん:2001/05/24(木) 00:16
ナ、ナイス過ぎる(w<マナー氏
460名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:22
レミイ「Oh!どうしたの?もずくがつまったの?」
北川「なんか一瞬『ドアの向こうで死んだおばあちゃんが手を振ってる』って感じがした、
だれだよ!山にゴミを捨てるのは、リサイクル法違反だぞ!」
レミイ「どうした、もずくが足りないの?Ah,I see.これが降ってきたのね」

レミイは北川の頭上から落ちてきた黒板のようなものを拾い上げた、

レミイ「ナニコレ?」
北川「…ちょっとよく見せて、ふーんでかい傷もないし動くかな?
!やった!!やったぜカアチャン!アイガッタイットだ!」

レミイの手を取り小躍りする北川、その頭には
希望への思いと小さなたんこぶができていた。

461名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:26
ま、まぁ崖が低かったんでしょう、多分
462名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:28
して、続きは
463マナー(゜д゜):2001/05/24(木) 00:31
PCの知識とかそんなにないんで、ノーパソの使い道に関しては他の方に期待。
レミィが落ちて「痛い」ですむくらいの高さらしいので、
ギリギリ下でもずくを貪る音が聞こえないくらいの距離、ということにしといて下さい(w
464名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:32
携帯はひろってないみたいですな。
465名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:33
>>464
当たってないだけでそのへんに転がってるんじゃ?
>>460には書かれてないけど、今後出てきても不自然ではなさそう。
466名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 00:38
マナー氏うまいなぁ。
467名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 01:03
ダンディスレ一段落したので、
今後の雑談はこちらでお願いします。

「葉鍵キャラロワ感想スレ 」
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=990556094&LAST=50
468ユガミ:2001/05/24(木) 01:20
「…天野さん、探していたツインテールの子って、もしかしてあの子?」

”自分達が手にかけた”死体を目の当たりにしてから、数時間。
”既にコト切れていた”瑠璃子さんを確認してから、数十分。
 おそらくこの数値は正確ではないだろう。
 あまりに連続した人の死の数々に、僕の心も身体も、すこし妙な具合に軋み始めているような感じがするからだ。

「いえ、違います。あの子はもうちょっとこう…なんて言ったらいいんでしょうか」
「どういう風に違うの?」
「ええと、まず髪の色はあの方よりすこし派手です」
 そう言った天野さんが指差す先には、なかのよさそうな女の子の二人組がいた。
 …それと、なぜか傍らにタライ。
(タライ…、行水でもするのかな?)

 ぼっ。

「祐介さん、顔、赤いですよ」
「え」
 言われてから、自分の顔が上気しているのに気が付く。
「なな…、なんでもない、なんでもないからっ」
 ばたばたと両手を顔の前で振る。
「どこか調子でも悪いんですか?」
「いいいいやそんなことはない、そんなことはないから大丈夫だよ」
「………そうですか」
 僕がそれこそ必死の思いで浮かび上がらせたつぎはぎだらけの笑顔に、それでも、天野さんは安心してくれたようだった。
(はあ…、なんか最近こういうのばっかりだな、僕)
 いつも――女の子のことがからむと特に――僕は妙に浮ついた気分になってしまう。
 こういうとき、沙織ちゃんだったら、
「祐くん、欲求不満なんじゃない?」
 なんて笑いながらちょっとふざけた台詞で僕を

 さおりちゃんはしんでいた。

(だめだ…、忘れろ。今は自分達の目的のことだけを考えろ)
 自分の心が彼岸に去り行く前に、必死で目の前の現実にしがみつく。
 例えその現実に猛毒の刃が光っていても、だ。
 その刃は決して現実の物ではないのだから、いくら掴んだって現実の僕は傷つかない。
 だから…、耐えるんだ。辛いこと、悲しいこと、やりたくはないこと、全て。
469ユガミ:2001/05/24(木) 01:20
「そういえば、あの子犬はどうしたんだっけ」
 すこしでも気を紛らわせるために天野さんに話を振ってみる。
「え、ピコのことですか」
「うん」
 自分で名前をつけた子犬。
 少し前までじゃれ付いてきてすこし鬱陶しくも思った子犬。
 いなくなったらなったで、寂しくも思う子犬。
 …たぶん、逃げていった子犬。
「朝、あの人を殺す前に私が逃がしてあげました」
「そう、か…」
 やっぱり逃げていったのか。
 僕は少しだけ安堵し、少しだけ落胆した。

「これから、どうしましょうか」
「そうだね…、僕たちの目的は人探しだから、人のことは人に聞くのが一番だと思うんだ。もうピコもいないし」
「私も同意見です。けど」
「けど?」
「…この状況下で、そもそもまともにコミュニケーションが取れるのか、心配なんです」
「つまり、あの二人がいきなり凶器を振り上げて襲ってくるかもしれないってこと?」
「はい」
「その点なら、心配しなくてもいいよ」
「どうしてですか?」
「一応、僕も男だしね。それに」
 見ててごらん、と言って、僕は右手首をひゅんっと前に振った。
 次の瞬間、ぱぱんと乾いた音を立てて、狙った場所の木の葉が二枚落ちた。
「…少しは、この武器の使い方も解ってきたんだ」
「………」
「こうやって、目潰し。時間稼ぎなら十分だと思う」
 天野さんは、驚いたような無表情で落ちた葉っぱを見ていた。
「今の、どうやったんですか?」
「種明かしをするとね」
 皮手袋の上から中指に巻いたピアノ線を、できるだけ速く手繰り寄せる。
「…ほら、先のほうに小さな石が括りつけられているだろう?」
「この石を使って、木の葉を落としたんですか」
「まあ、人間、やる気になれば大概の事はできるってことかな」
 ピアノ線をしばらく手のうえで玩び、それから手の甲側に収めた。
「いつ練習したんですか?」
「昨日の夜、緊張して眠れなくてね。コツをつかんだらすぐに寝ちゃったけど、あの時は」
470ユガミ:2001/05/24(木) 01:20
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん。僕が先に行くから、天野さんは後からついてきて」
「わかりました」

 そう言って、僕らは隠れていた茂みから外に出た。
 向うの二人が驚きの眼で僕たちのほうを向いた。
 僕は両手をあげて戦う意思のないことを表現する。
 二人のうちの一人が、もう一人を庇うように前に出てくる。

「…誰よ、あんたたち」

 女の子にしては妙にドスの利いた声で、先程のツインテールの子が言った。
471ユガミ:2001/05/24(木) 01:21
浩平と郁未と耕一がどこかの池で会っている時の話です。
時間軸、大丈夫かな?
472471:2001/05/24(木) 01:22
↑のは本文には入っておりません。念のため。
473名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 01:28
ふぅ〜
やっとここまで読み終わりました。
昨日、このスレッドを見つけてから
ここまで読むのに苦労しました。

最近、荒らされてるみたいですが
書き手の皆様負けずにがんばってください
474笑み(1):2001/05/24(木) 01:29
 笑えることはいいことだ。
 嘲笑の類いとは違う、真の笑顔。
 喜び、楽しみ、そういった笑顔。
 浩之が浮かべた笑顔は、まさにそれだった。
 笑顔は人の心に安らぎと希望の光をもたらす。
 どんなに辛い状況でも、その強さをもって、周りを安心させることのできる人間がいる。
 それは、ずっと昔から、そうだった。

「笑える強さがあるのなら、少年、君はもう大丈夫だ」
 蝉丸は浩之に告げた。
「何のことだかわかんねーよ。何がいいたいんだ、あんたは?」
 蝉丸を睨み付ける。その目には、殺気はこもっていなかった。
「君は先程、自分を保つ為には『殺す』しかないと言ったな。
 今もそうか? 本当に『殺す』ことしか見えないのか?」
 違うだろ、とでも言いたげに、蝉丸が問う。
 『殺す』感情が涌かないという事実。あの悪夢。
 最後に呼んだ名前。あかり。
 今まで自分がやってきたことと、その重さ。
 正面から、向き合って。
 聞こえてきた言葉。
(浩之ちゃん。本当は優しいから)

「俺はさっさと帰りてーんだよ。
 ――あかり達と、一緒にな――」
 たったそれだけの言葉を言うのに、長い、本当に長い時間がかかった。
「そうか」
 変わらぬ口調で蝉丸は言った。
 何を思っているのか、浩之にはわからなかったが、どうやら非難されてはいないらしい。
「あぁ。気付かせてくれてありがとな、おっさん。
 お人好しもいいとこだ」
 本来の浩之の、あの独特の笑み。
「む」
475笑み(2):2001/05/24(木) 01:29
「じゃあ、俺はそろそろ行くぜ」
 銃を含む自分の荷物を持ち、浩之は立ち上がった。
「気をつけてね〜」
 今だに面を被ったままの月代が言う。
「あんたもその顔。なんとかした方がいいぜ」
 からかうように言った。
「これからどうするのだ、少年?」
「そうだな……」
「君は相当に人を殺めているのだ。その姿が誰かに見られている可能性も大きい。
 協力者は期待できないぞ」
 蝉丸の忠告が飛ぶが、そんなことは承知の上だった。
 もとより、見ず知らずの協力者を期待する方が間違っている。
 だがそんなことは、今言うことではない気がした。
「わーってるよ」
 言って、空を見上げる。あの広い大空を。
「とりあえず、安心させてやりたい奴がいるから。そいつを探す。
 その後は。その時に決めるさ」
「そうか」
「おっさん、名前は?」
「坂上蝉丸だ」
「変な名前だな」
「む」
 浩之の失礼な台詞に、多少ムッとした顔をする。
「俺は藤田浩之だ。じゃあ、世話になったな」
 今までとは違う未来へ進む。
 その為の一歩を、今、踏み出した。

 人を人とも思わずに殺した過去を、受け止め。
 その上で、あいつに会おう、笑ってやろう。
 さっきまでは全然思い出しもしなかった、自分の殺した人達の顔がよぎる。
(自分勝手で悪いが、あんたらを殺した責任はきちっと取るぜ。
 絶対に、今までとは違う方法で、生き残ってやる。
 女医さんよ――あんたに助けられた命、無駄にはしないよ。
 あんたは医者の鑑だぜ)

 空を見る。
 聖が苦笑を浮かべていた、そんな気がした。
476もう一つの浩之:2001/05/24(木) 01:34
 面白くない。
 こいつはゲーム一使える奴だと思ったのに。
 人の為だと? 虫酸が走る。
 もうわかった、お前はいらない、こいつがいればいい。
 使うのが早いだろうが、この際構わない。

 高槻は一人の人間の『スイッチ』を入れた。
 藤田浩之と全く同一の姿をした『それ』は、ゆっくりと目を開いた。
 浩之が打ち勝った、殺人衝動。
 それを全て継承したまま、浩之クローンは動き出した。
477名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 01:37
「笑み」と「もう一つの浩之」書きました。
クローン浩之は突飛な設定ですので、話し合いスレで合意が出たならNGでも構わないっす。
クローンでも浩之ちゃんは浩之ちゃんなので、改心前の行動パターンでよろしく。
クローン浩之の記憶は、ゲームスタート直後の浩之の状態。
武器は後続書き手に任せます。採用されたらだけど。
478名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 01:39
っと、早速非難でてるので、取り消しでお願いします(汗)
 ――待たせた罰は二時間。
……私は七年待ったけど、祐一は二時間で許してあげるよ。
 あの雪の日。名雪は自分を置いて遠いところへ行った少年にコーヒーを差し出した。
「遅れたお詫びだよ。それと……再会のお祝い」
 だけどその缶コーヒーには、言葉にならないもうひとつの想いが込められていた。
『もう、私を置いて遠いところへ行かないでね』

 ――七年ぶりの再会には、そんな意味も込められていた。

「おねえちゃん達も、ありがとう。ぽちをよろしくね……ばいばい」
 それは別れの言葉。名雪は精一杯みちるの名前を叫ぶが、
その声がみちるに届く前に彼女の姿は消えた。
 後には、ぽちと名付けられた白蛇が残るだけだった。

「消えちゃいましたね……」
「うん」
 忽然と姿を消したみちるの安否を気遣って、名雪と琴音は沈んだ表情で語り合う。
秋子が二人にお茶を淹れてくれたが、名雪はあまり飲む気になれなかった。
手をつけず、じっとカップを見つめるだけの名雪に、琴音が心配そうに話しかける。
「名雪さん? ……顔色が悪いようですけど、大丈夫ですか?」
「ん? あ、だ、大丈夫だよっ」
 名雪は心配無い、と言う風にぶんぶんと手を振る。
「……そうですか?」
 怪訝な顔をしながらも、琴音はそれ以上は問い質しはしなかった。

 今までは、お母さんがいてくれるから安心だった。琴音ちゃんや、みちるちゃんも一緒にいてくれた。
 でも、ここを人が訪れるにつれ、名雪の心の中に言い様の無い不安が押し寄せてくる。
もし、お母さんがいなくなったら? 琴音ちゃんがいなくなったら?
現に、みちるちゃんは消えてしまった。お母さんたちもそうならないという保証がどこにあるだろう?
 もう、一人はいやだよ……。傍にいて欲しいよ……。
 ……祐一……。

 ――名雪は意を決して、ずっと考えていたことを秋子に打ち明けた。
「ねぇ、お母さん。……私、祐一を探しに行ってくる」
480名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 01:48
クローン浩之の武器はM−93R、スコーピオンをきぼ〜ん

>>476
っていきなりNG?
「ダメよ、名雪。危険だわ」
 秋子はいつものように了承しなかった。めったにないことに、名雪も驚きを隠せない。
「でも、祐一も私たちと一緒にいたほうが良いと思うよ。お母さん、祐一が心配じゃないの?」
「勿論、心配だわ。でも名雪。私は、あなたを危険な目に遭わせたくないの」
「……」
「お願い。これ以上お母さんを困らせないで」
 優しい微笑みを浮かべて、秋子は名雪を諭す。が、その口調には有無を言わせない迫力があった。
「さ、お腹空いたわね。……琴音ちゃんも、何か食べる?」
 はい、と気まずそうに答える琴音。秋子は了承、と答えると名雪たちに背を向ける。
その時だった。
「お母さん、変だよ。前のお母さんなら、私が心配だからと言って祐一を放っておいたりしないよ」
「……名雪?」
「お母さん、この島に来てから変わったよ。……私、今のお母さんは嫌だよ」
 困惑する秋子を、真剣な目で名雪は見つめる。
「私、祐一を探してくる。見つけたらすぐ戻って来るから。……行ってきます」
「ダメよ、名雪っ!」
 秋子が叫ぶ。が、その時には名雪はもう駆け出した後だった。
「……」
 困惑しながら見ていた琴音は、何も言えずただ座っているばかりだった。
「……琴音ちゃん?」
 と、突然秋子が声をかける。温和な笑みをたたえたまま。
「……は、はいっ!?」
「名雪を、連れ戻してきてくれる?」
 にっこりと尋ねる秋子に、只、琴音は頷くばかりだった。
「ありがとう。それじゃ、お願いね」
 慌てて飛び出す琴音を見ながら、困ったわ、という表情を見せる。。
――せっかく、祐一を探しに行こうなんて言い出さないために、往人に人物探知機を譲ったというのに。
「……難しい年頃ねぇ」
 秋子はそう呟いた。
482479:2001/05/24(木) 01:52
というわけで、喫茶店チームを動かしてみました。
だいたい、水瀬親子は祐一のゆの字も気にかけて無さそうだったんで(w。

某111氏。もしくは他の方。もし話が続けられるようであれば、お願いします。
483名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:24
そういえば食料のほうはどうなってんの?
食料に限りがあればマターリしてる場合じゃねえだろ
484名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:26
>>483
それは突っ込んじゃいけない点の一つでは?
話に必要あれば織り込められ、なければうやむやにされるという……
485名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:31
怖い想像をしてしまったぞ・・・>>食料
486名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:34
これ系でカニバリは基本だな(そうなのか?)
487名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:37
>483
メイド服で朝飯作ってるヤシも居たな
488名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 02:40
>>483
とりあえず、死体から握り飯をあさったりするのは基本でしょう。
…動物とかを狩るなら、カレー粉とかもほしい所ですね(w
489手負いの獣:2001/05/24(木) 02:51
山を抜け、廃墟と化した町へと進む――
誰も通らない道、そんな場所にある路地裏。
そこへと抜ける道は、人一人通りぬけるのも困難な場所だった。
入り口を少し進んだ場所、そこに赤い血が付着した罠が仕掛けられていた。
手入れされていない雑草に覆われたそれは、普通に歩いていたのではまず気づかれないであろう
巧妙な仕掛け。
さらにその奥……そこに死んだように眠る一人の女、深山雪見(096)。

雪見の左腕には、先ほど殺害した石原麗子の白衣が巻きつけられていた。
白衣が真っ赤に染まっていたが、どれが雪見の流した血なのか麗子の返り血なのかもはや分からなかった。
「……生きてるのね、私。」
やがて、雪見がゆっくりと目を開ける。
「もう私、駄目だって思ってたよ、みさき……」
雪見が空を見上げた。
「みさきが好きだった夕方まで、生きていられるのかな、私。」
疲労と苦痛に苦しめられながらも、親友達への復讐を胸に誓い、ここまでやってきた。
雪見に危害を加えるものは誰も来なかった。幸いだ。
先ほどまでは、戦える状態ではなかったのだから。
たとえ細い路地裏への道を利用して仕掛けた罠にかかった者がいたとしても、
とどめをさせたかどうか…。

雪見が手持ちの武器をもう一度確かめる。
アサルトライフル…残弾はまだ充分にある。
だが、既に左腕は動いてはくれない。片腕でそれを扱えるほど雪見は銃器を使いこなせてはいない。
「かまわないわ。壁や障害物に支えてもらえばまだいける。
もしなければ気力で支えればいい。それに、みさきや澪ちゃんがきっと私を支えてくれる。」
復讐への渇望だけが、今の雪見を突き動かしていた。
すでに引火して、なくなってしまったが、最後のひとつ――ジッポオイル水風船。そしてドラゴン30連花火。
「組み合わせて使えば…と思ったけど、浅知恵だったのかな。」
雪見の腰にはサバイバルナイフ。
「……私には、これが一番ね。」
(これで二人――殺した。もう後戻りはできないのね……)
そして視線の先には、雑草に隠された罠。


私は復讐者。きっとそこまで辿り着いてみせる。
「本当はもっと眠りたい。だけど私は――!」
罠を取り外すと、私は再び戦場へと歩き出す。
失った心――半身を取り戻すために。
490名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 03:49
一気に書き込みが減ったな。

スパイラルな連鎖荒れはやはり人を減らす効果だったんだろうか。
なんか、思うつぼみたいだ。
491名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 07:05
寂れage
492(・∀・)ダメ!:2001/05/24(木) 07:21
コノスレデ、終結セヨ!
493名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 07:34
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=990556094&LAST=50

[葉鍵キャラロワ感想スレ]
細かいことはこちらで話し合っているだけなんでご安心ください。
一応、昼向けの人用に、もう一度アップ。
494魔獣、その水の下へ。:2001/05/24(木) 13:48
柏木千鶴は、地図をスカートのポケットにしまい込み、足音もなく、
森の中を歩く。
(…住宅地は隠れている人間も多い分、危険性が高いわ)
指先の疼きを酷く感じた。
(森もそろそろこの時期になれば罠が仕掛けられている可能性が高い。
あの忌々しい主催のことだわ、参加者が仕掛けてなかったとしても、
あいつが仕掛けているかもしれない。罠は無差別、私がジョーカー
だと見分けてくれる筈はないわ。…見分けて作動する様な罠があった
場合は………。考えないでおこう。これ以上は精神衛生上、良くないわ)
そこまで思考して、ふっと笑う。
(精神衛生上?ダメよ。私はもう狂って居るんだから)
口元の微笑みは柔らかく、優しげなその目は笑っていない。
冷え冷えとした、人ではない者の、瞳。覚醒時の様な、赤黒い色で
ないだけに余計に残酷な色を帯びたその目が、目的の場所を捉えた。
(ここ)
口に出さず、呟く。
そこは川縁だった。森の切れ目から、その川の断片を佇み、眺める。
一見して、清らかな水の流れだとわかった。
(人が生きるのに、水は必要だわ)
慎重に人の気配を読みとる。背後の森へ、そして目的地の川辺へ。
(誰も、近くには居ないのね…)
早く。早く。殺さなくちゃ。千鶴の思考がぐるぐると廻る。
(梓も、楓も、初音も、…耕一さんも。私が、守るんだから)
だから、殺さなくちゃ。他の誰かを。物言わぬ亡骸に変えなくちゃ。
思考を、気配の察知を、研ぎ澄ませる為に、千鶴は川辺へと歩み寄る。
静かだった。静寂に、川の流れの音以外、何も聞こえない。
そっと、水に触れる。
冷たい。心地よく、冷たい。
スカートの埃を落とし、顔を洗って、少しばかり綺麗になったスカートで
顔を拭う。
(さあ、行かなくちゃ)
殺しに。大切な人達を守る為に、だれかの大切な人を、殺しに。

【柏木千鶴、川辺へ移動】
495名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 14:15
スカートで顔拭くとパンツ丸だしになりゃしないか。
関係無いけどさ。
496名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 14:21
千鶴さんのはいてるスカート長いし平気なんじゃないかな?
497水の下の、戦い・1:2001/05/24(木) 14:34
藤田浩之は、ようやっと森の出口を見つけ、ほっと安堵の息を吐いた。
ここまで誰にも遇わずに済んだのは、幸運としか言えないだろう。
(待ってろよ、あかり…。…委員長も)
今までの黒々としたものが、もうなくなっていた。
誰かを蹴落として、殺して、独りだけ生き延びる。
そんなのは俺のやり方じゃないと、どうして最初から気付かなかった?
級友を、見知らぬ者を、助けをくれた者を、俺は殺した。
それは大罪だと、今は、痛いほどにわかっている。
だから、俺は生きる。
その罪をなかったものにはできないから。
俺が、忘れない。そして責められる限り、この罪は消えない。
許されたくはない。許される筈がない。
正当防衛ではなかった。俺は望んで、人を殺したのだ…。
森の切れ目から川が、見える。
誰も居ない事を確認して、川辺へ足を踏み入れる。
水は綺麗だった。月代が汲んできた水もここのものだったのだろうか?
浩之は、水を口に含む。そして、少し深くなっているその川に頭を突っ込んだ。
顔も髪も汗と汚れ、血で汚れていたから、それを落とすために。
その瞬間、気配が、動いた。と、いうより唐突に現れた、そんな感じだった。
浩之は誰のものともつかない、その気配に顔を勢いよく上げ、頭上を見た。
目が、合った。冷たい、目。
浩之のあげた水飛沫にピクリとも動かぬ、人の物とは思えない、その目。
幸い、萎縮はしなかった。ただ、悲しくなった。酷く、酷く悲しい気分だった。
浩之はわかってしまったから。この女性も、このゲームに乗ってしまっている。
そう、直感したから。
「勘がいいのね…。気配、消していたのに」
口元も表情も慈愛の顔をしているのに、冷たい、美しい女性…柏木千鶴。
気配を消して、贄を待っていた、魔獣。
「俺を殺すのか?」
あんた、前までの俺と似たような匂いがするぜ…、いいかけて止めた。
止めざるを得なかった。
長い髪の美しい女が、浩之に攻撃を仕掛けて来た為だ。
ヒュッと、風を切る音と共に長い爪が頬を掠る。避けていなければ耳くらいは持って
いかれていた…いや、死んでいただろう。
498水の下の、戦い・1.5:2001/05/24(木) 14:35
「これが、答えよ」
冷たい声が響く。やはり、と浩之は唇を噛む。
「アンタ、それで満足なのかよ!」
必死に攻撃をかわしながら、浩之は叫んだ。全身の傷が痛む。そして、心も。
ダメだ。アンタ、そんに風にしてたら、俺みたいに、俺みたいになっちまうよ!
「大切な人を守る為なの。だから、満足よ。…それに」
言いさして、一撃。失われていない、千鶴の左の爪が、浩之の腕を掠る。
「貴方、血の匂いがするわ。一人、二人じゃないわね?殺したのは」
ピクリ、と浩之の動きが止まる。千鶴はそれを待っていたかの様に爪を繰り出す。
だが、それで勝負はつかなかった。

【藤田浩之・柏木千鶴戦闘中】
※浩之は頬と腕にかすり傷を新たに受けています。
499水の下の、戦い・2:2001/05/24(木) 15:14
千鶴は意図して少年の言葉を聞き入れなかった。
甘言にさそわれるのも、改心をもとめられるのも嫌だった。
そして、その声を聞き入れたくない一番の理由は、彼の体に、心に染みついている
血の匂いだ。
それは、一人や二人ではない。もっと…沢山の。
これから、自分に染みつく、…匂いだ。
だから、少し意地の悪いつもりで言った。そして、聞きたくない言葉の牽制に。
「貴方、血の匂いがするわ。一人、二人じゃないわね?殺したのは」
そして、この台詞で、少年の動きが止まることも予測していた。
この少年が、千鶴に説得を試みているのはわかる。
が、甘言で千鶴を殺そうとしているのかもしれない。そう、疑い出せばキリがない。
(だから、私は……貴方を、殺します)
突き刺すように繰り出した、爪。
それで勝負はつくと、思っていた。
完全に少年の、浩之の心臓を捉えていた。
だが。
彼はそれを受け止めた。
片腕を犠牲にして。
「なっ…!」
肉深くにまで達した爪は、するりとは抜けない。
「…もう、やめろよ。こんなこと…」
全身の痛みが酷い。腕が熱い。でも、やめられなかった。言葉をとめることは
出来なかった。
自らの腕に突き刺された、その爪を、黒髪の魔獣を離さないように、浩之は
掴んで離さない。
500水の下の、戦い・2.5:2001/05/24(木) 15:18
その、掴んだ手から、指先からも血が滴り落ちる。
「俺、殺して、沢山の人殺してさ。凄く辛かったから」
「……離しなさい」
「苦しいぜ?凄く、アンタが誰か大切な人を守るなら殺しちゃ、ダメだ」
目が合う。浩之の、悲哀に満ちた、その目が。
「綺麗事いわないで!貴方殺してるんでしょ!?沢山の人を!それでお説教です
って?…笑わせないで」
目は、伏せなかった。反撃がくるかもしれない。だから、恫喝する。
わかっている。それは、弱点だ。人を殺すこと、人の死は、何よりも苦しく痛い
とこを千鶴は知っている。知っているから。
「アンタ今、凄く悲しい顔してるよ。誰も死なせたくないのは皆、皆一緒なんだ。
皆、わかってても、弱いから、自分を守る為に、大切な人を守るために殺さなくちゃ
って誰かを殺す。…俺は、多分一番弱かったから、殺した。級友を見知らぬ人を
助けてくれた人を」
「……そう。わかっているなら…。離しなさい!それで私に殺されなさい!
私は弱いの。わかってるわ。主催側の甘言に乗った時点でそんなことは、わかりきって
いたのよ!」
鬼の本能が、能力をセーブされていることで弱まっている。人の心の方が、比重が大きい。
(だけど…!)
千鶴は、それを認めた上で浩之に攻撃をくわえるべく、蹴りをその腹部めがけて繰り出した。
「ぐァぁッ!」
爪が自らの手に、まだ3本残っている事を確認して、千鶴は蹴り飛ばした浩之に歩み寄った。

【藤田浩之・柏木千鶴戦闘中】
※千鶴の爪は本人のところに3本、浩之の腕に2本刺さったまま。
※浩之は腕を負傷。反対の手にも軽傷を負っています。
501名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 15:20
なんか、改心前と改心後でキャラが違いすぎ(w
いや、不満じゃなくて、どっちも良い。
私は、決めたのよ。決めたの」
浩之に歩み寄りながら、千鶴は囁くように言い含む。まるで、自分に言い聞かせるかのように。
「私はどんなに汚れても、構わないと。そう、例え愛する人達に顔向けできなくなったとしても、
よ。それがどれ程のものか、私は知ってるわ。だって、私は日常でも、人を殺そうとしたことが
あるんですもの……」
「…そんなに、悲しいのにか?そんなに苦しいのにか?…気付いてるのかよ、アンタ、…泣いてる」
千鶴の目から、雫が滴る。頬を伝わり、浩之の頬の上に、落ちた。
「そうよ。どんなに、どんなに苦しくて、悲しくて、どうしようもなくなっても、私はそうしなきゃ
いけないの。これが、私の宿命。鬼の血を引く者のね。どうしても、殺戮はさけて通れないのよ。
そうやって、私達は生きてきた。制御ができなくて、人をあやめることに苛まれ自殺した者も多いわ。
私の父も、よ」
一度言葉を切り、涙は拭わずに、瞳を閉じ、開ける。
「だけど、私は彼らほど強くないの。人を殺して生きていたくないと思えるほど強くないの。
どうせ、どうせ死ぬなら。大切な人達を守りたいの。心の自殺なのはわかっているのよ。でも。
でもね。私は、それを引き替えても、そうしてもあの子達を守りたいの。人を殺して恨まれても、
呪われても」
もう、千鶴は泣いてなかった。浩之に、言い、聞かせることで自分の決意を強めた。
偽善的過ぎる理由付けだけれども、納得していた。
「……アンタ、強いな。俺、アンタになら殺されてもいいかも。美人だし」
浩之はそう言って少し笑った。蝉丸達に、見せた、あの、笑顔で。
「ただ、ちょっと待って欲しいんだ。一言、謝りたい、大切な人がいるから、こんな俺でも、な。
だから、そいつらに一度だけ、一度でいいから会いたいんだ。それまで待って欲しい」
それに、と浩之は付け足していった。
「この怪我じゃ、アンタに殺されなくても死にそうだしな。わざわざ、アンタが手を汚す必要は
ねぇと思うし、俺が会いたがってる奴…あかりっていうんだけど、すげえ、可愛いヤツなんだ。
アイツには絶対いわねぇけど。アイツんとこ行く前に、俺、誰かに殺されるかもしれないし」
「…………わかったわ」
浩之が口を閉じて数秒の沈黙のあと、千鶴はそれを了承した。
確かに、この怪我では、生き残れない可能性が高い。だとすれば、大切な人に会いに行くことを
止めてまで、そうしてまで今、ここで…私が殺す必要はないのかもしれない。
「ただ、悪いけど、その爪返してくれないかしら?」
「ああ、わかった」
これは、お互いに賭けだった。
千鶴にしてみれば、抜いた爪を武器に、浩之が反撃をするかもしれない。
浩之にしてみれば、抜いた爪を渡した途端殺されるかも知れない。
この、猜疑心がこのゲームの一番の敵だ。
理性では、そんなことはないと思っても、恐怖心は消えない。
(全く、クソッタレたゲームだぜ)
その計略に嵌った自分が呪わしい。だから、今は、この人は、例え裏切られても信じよう。
そうすれば、強くなれる。強くなれる、気が浩之にはした。
浩之がやっとの思いで爪を抜くと、千鶴は自らのスカートを切り裂いて浩之の手当をした。
「…………」
浩之は黙ってされるがままになっていた。千鶴も、何も言わなかった。
この時、互いに信頼が生まれていたことに千鶴も浩之も、あえて口にしなかった。
「じゃあ、俺、行くから」
浩之がそう告げると、千鶴は「ええ」とだけ答えて、付け加えた。
「名前、教えてくれない?」
「藤田浩之。つっても、次でこの名前聞くときは放送かもしれないな」
「…そう、ね。そうならないことを祈りたいわ…私が言うのも、変ね」
千鶴は、小さく笑った。
人の、微笑み。
「なんだ、笑った方がいいじゃん……えっと…」
「千鶴、柏木千鶴よ」
くす、と笑ったまま千鶴が答える。
「私が言うのも、何だか変だけど…気をつけて」
「ああ、千鶴さんも、な」

【藤田浩之・柏木千鶴 戦闘終了】
※千鶴の武器、左手の爪は本人のもとに全部戻ってます。
※浩之の怪我は腕と、反対の手(わざと指定しませんでした)には千鶴が手当をしています。
※千鶴のロングスカートは手当の為、切り裂いているためスリット状(wになっています。
504千鶴・浩之戦闘作者:2001/05/24(木) 16:19
>>495
>>496氏が言うとおり、千鶴さんのスカートはロングの設定で書いてました。
説明不足で済みませんです。
>>501
モトに戻った浩之ちゃんが書きたかったっていうのと格好良くなっちゃっても
そろそろいいんじゃないかと思って。
ただ、あかりのこと言った時点で「料理美味いし」という発言があったらさっくり
殺されてたかもしれないですね、浩之ちゃん(w

今回の浩之のキャラ作り、賛否両論あるかと思われますが、感想、批判等はできるだけ、
http://green.jbbs.net/movie/bbs/read.cgi?BBS=568&KEY=990556094&LAST=100
こちらで願います。
505痛むハート:2001/05/24(木) 17:14
「名雪さん、待って下さいっ!」
 前を走る名雪に向かって、琴音は必死に呼び掛けた。
 だが、名雪は止まらない。差は広がるばかりだ。
『わたし、陸上部で部長さんやってるんだよ〜』
 そう言ってたのを思い出す。
 追い付かないわけだ。陸上部部長の名は伊達じゃなかった。
 もう息が上がっている。これ以上は走れないと悟った。
「名雪さんっ!!」
 最後に、もう一度、叫んだ。
 名雪の足が止まる。
「……わたし、ダメなんだよ。
 ……怖いんだよ。祐一がいないと、ダメなんだよ!」
 小さな声だった。
 いや、そう聞こえただけだった。
 琴音と名雪の距離はかなり離れている。
 琴音の位置から名雪の声が聞こえるということは、相当大きな声を出しているはずだ。
「祐一もお母さんもいないと、わたしこころから笑えないよ!!」
 それで、知った。
 自分が喫茶店に辿り着いてから、こんな状況を気にしてないかのように笑い続けてきた名雪。
 この人は強い人だ、琴音はそう思った。
 それは違っていた。表面では笑えていても、こころでは助けを求めていた。
 安らぎを求めていた――ここにはいない、祐一に。
 ――もう、限界だった。祐一に、傍にいて欲しかった。
「名雪、こっちに来なさい」
 琴音はビクッと体を震わせた。
 ――この人はいつの間に、自分の隣にいたのか――
「あなたの気持ちはわかるけど、それでも、あなたに危ない目に遇ってほしくないの。
 あなたが死んだりしたら、お母さん、どうすればいいの?」
 秋子の悲痛な声が響く。
 それが、最後だった。

「お母さんも勝手だよ!
 お母さんも勝手だから、私ももう勝手にするの!
 そんなお母さんなんて、大嫌いだよ!」

 泣き声が、叫びが、秋子の心に深く突き刺さる。
 それだけ言い捨て、名雪は走っていった。
 もう――誰も、追うことをしない。
「秋子さん……」
 琴音が声をかける。
「ごめんなさい。ひとりにしてもらえますか?」
 琴音にもわかるほど、悲しみを帯びた声だった。
 琴音は何も言わず――何も言えず、その場を後にした。
506名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 17:15
喫茶マターリ組離散させました。
時間的には……二日目朝なのでしょうか?
507この孤島、脱出不可能#2:2001/05/24(木) 17:17
白い砂浜、青く澄み渡る海。
「この島も、こうしてみれば悪いところでもないんですね。」
楓が、潮風に揺れる髪を押さえてそう呟いた。
「それにしても、島ひとつ…見えません。」
「ねぇねぇ、この辺って一体世界地図でいえばどのくらいなんだろうねぇ。」
玲子が楓の袖を引っ張る。
「どこでしょう?」
楓も控えめに首を傾げた。その仕草が傍目にとても愛らしい。
「SOS信号とか出して気づいてくれるかしら…」
「それ以前に、私達はSOSの仕方を知りません。」
「ま、まあそうなんだけどね、にゃはは。」

あまりに主催者側の手際――そう、あの放送の情報はどこから仕入れているのか――が良すぎる。
どこかに秘密の連絡通路があるのでは……そう玲子が提案した、二人の地下道脱出作戦は失敗に終わった。
入り口といえばマンホール…そんな安易な考えではやはり道は切り開けなかった。
もしかしたらもっと別の入り口があるのかもしれないが。
「船を作る!!……なんて無理だねよねぇ……道具もなければ、ここから一番近い陸地も見えないし。」
「そう悲観することもないです。考えることはものを創ることだから。」
楓は島の内陸部を見つめる。
(耕一さん、千鶴お姉ちゃん、梓お姉ちゃん、初音……)
心配でないわけではなかった。だが、あれだけ歩いても誰にも遭遇することはない。
黒い予感が晴れることはまだなかった。
(今は…私にできることをやるんだ。)
楓の決意は固かった。
「ねぇ、楓ちゃん、そろそろお腹すかない?向こうの岩場で休憩しよ☆」
「はい。」
玲子が二人の残り少ない食料を取り出しながら、笑った。
(みんなで、笑って帰りたいな。)
周りからは見つかりにくい岩場の陰へと移動しながら、そう祈った。
508111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 17:48
あら?千鶴さんも狂いモード解除か。
509名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 17:52
いや、まだマーダーじゃないか?
510名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 17:55
最初から狂ってないマーダーみたいなかんじやね。
511名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 18:01
このスレ、ホントに終わるのか?
512111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 18:01
じゃあ問題なしw
513千鶴さんの話書いたヤツ:2001/05/24(木) 19:58
>>508
理性的なマーダーとして書きました。
マーダーが全員見た目的にわかりやすく狂ってるのもどうかと思ったので。
千鶴さん自身、自分がやってることも理解してます。
巧くその辺利用してやって下さい。
514111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 20:03
ま、私もそんな感じで書いた(つもり)しね。
一番初めの千鶴書きでござ〜意w
515千鶴さんの話書いたヤツ:2001/05/24(木) 20:08
>>514
それならよかった。
ちょっとハラハラしていたので。
というか、こういう話は向こうのスレの方がいいと思いますが(^^;)
516白い、決意。 1:2001/05/24(木) 20:11
015杜若きよみ(白)は森の中を彷徨っていた。
(困ったわ……)
鞄の中に食料はもうない。途中黒髪の女性と出会った以外、幸か不幸か誰とも
会うことはなかった。
(蝉丸さん……会いたい…)
彼女の知る者は蝉丸、そしてもう一人の自分「クローン・黒きよみ」しかいない。
時代も眠っている間に流れ流れてしまった。
孤立。そう、彼女は孤立していた。
元来、お嬢様であったきよみは、森を歩くことも、ましてやサバイバルなど
縁遠いものだった。
木の実などを食べる知識もなく、方向感覚も殆どない。地図はあれども、意味
をなさない。
(どうしたら……いいのかしら?)
当てもなく森を彷徨っていても解決策がみつかるわけではないかもしれない。
立ち止まり、座るに丁度いい石の上に行儀良く座り、バッグの中身を改める。
入っていたのはもう少しで空になりそうな、水の入ったペットボトルとパン
の入っていた袋、地図、そして、4/4とかかれた謎の円盤、そしてハンドマイク。
武器になるものは何もない。つまりは、外れのバッグだった。
517白い、決意。 2:2001/05/24(木) 20:12
(私は、一度死んだようなものなのに……何故かしら、怖い)
弥生と遭遇した時、実際きよみは少しばかり、恐怖を覚えていた。
知らない時代の女性。
誰かを捜していた。その情報をつかむため、今も奔走しているのだろうか?
協力を仰げば良かったのかも知れない。
でも、そうするには、時代の隔たりは大きかった。
こんな状況で、「殺し合え」といわれて、見知らぬ時代の見知らぬ女性に
協力を仰げるほど、きよみに話術力はない。
下手を打って側にいて、いつ殺されるともわからない。
そう、戦争だ。
(私の、生きていた時代と同じ…)
人が人と殺し合う、血で血を贖わねばならぬ、状況。
(いつ、殺されてもおかしくない……)
それでもいいか、という程、命は安売りできるものではない。
自分の命は、そんなに簡単に捨てていいものじゃない…。
甲斐甲斐しく、私の面倒を数十年も、苦汁をなめながら看てくれた弟。
私の為に戦ってくれた蝉丸さん、光岡さん…。
彼らをないがしろにしていいわけがない。自分自身の命は、彼らが守って
くれたものなのだ。
(そう。…そうだわ)
独り、こくりと頷いて、きよみは歩き始めた。
その視線の先には、ある程度の高さのある建物が、木々の切れ目から覗いて
いた。

【きよみ白、移動中】
518111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 20:12
>>515
カキコが少なくてさびしすぎ。
テレホタイムまでこんなのは嫌だから少し書き込んで
人を引き込んでおく。
それでは感想スレに移行しますw
519千鶴さんの話書いたヤツ:2001/05/24(木) 20:15
>>518
成る程。策士ですね(w
俺もこのスレ好きなので、廃れるのは寂しいですね。
というわけで、白きよみを再登場させてみました。
ちょい役でしか出てこなかったので(苦笑)
520名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 20:17
>>519
永遠に日の目を見ることのないかと思われた白きよみを動かした貴方は偉い。
便乗して黒きよみ動かしてみようかにゃー。
521千鶴さんの話書いたヤツ:2001/05/24(木) 20:21
>>520
誰彼キャラ動かそうと思ったら白も黒もきよみたいして動いたなかったので書いてみました。
便乗(笑)して下さい。楽しみッス。
522復讐の序曲。 1:2001/05/24(木) 20:44
………どれくらい時間がたったんだろう?
緒方理奈は、意識を取り戻してぼんやりと辺りを見回した。
(誰も居ない…)
硝煙の匂いと血の匂いが微かに、鼻を突いた。
「兄さん…っ兄さん…!」
物言わぬ亡骸と化した兄。インテリを気取って付けていた小さな眼鏡は所々ひび割れ、
泥と血が付いていた。
「嘘、嘘よ!嘘嘘嘘嘘!!!」
こんなのってない。こんなの、きっと嘘よ。きっとこれは夢で、私はまだ目が
覚めないんだわ。いつも通りに、目が覚めたら、寝起きの悪い兄さんを起こし
て、歌の収録にいって、そう。そうよ、それで由綺もいるの。冬弥くんも。
休憩に喫茶店でいつものダージリンを飲んで、収録が終わったらレッスンを
して、帰ったらまだ兄さんは帰ってなくて、電話で「何時になるのよ?」って
いつも通りに訊いて。帰ってくるまで待つの。一緒にご飯食べて……。
そうだわ。言ってやらなきゃ。兄さんの部屋いつも換気しないから、葉巻臭い
のよ。いい匂いだけど、ちょっと、好きだけど。
そこまで、思考して、理奈は兄の遺体に取りすがってまた泣いた。
血の匂いに交じって、微かに愛飲していた葉巻の香りがしたのが余計に悲しかった。
「嘘だといってよ!兄さん!!」
523復讐の序曲。 2:2001/05/24(木) 20:45
…わかってる。これは現実だ。兄さんは死んだ。殺された。誰だかわからない
ような、あんな、あんな女に!
「私を、殺さなかったことを…後悔させてやるわ…」
ギリ、と自らの手を握る。
「必ず、必ず殺してやる!」
そう、叫ぶように呟いて、目を閉じる。
目を開き、涙を拭って、最愛の兄の頬をそっと撫で、泥と血を落とした。
その躯に、体温はない。
だが、もう理奈は泣かなかった。悲しみよりも、憎しみの方が、ずっと色が濃い。
(殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる!絶対に、兄さんをこんな目に遭
わせた、あの女を!)
英二の顔を綺麗にしてやると、理奈はその眼鏡をそっとポケットに忍ばせた。
「愛してるわ…兄さん。だから、私が敵を絶対に…とるわ」
立ち上がり、囁くように言って理奈は走り出した。
茜を、殺すためだけに。

【緒方理奈 移動】
※英二の遺品、眼鏡を持っています。
524111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 21:12
削除依頼がいつ機能するかわからん。
書き手読み手の皆様。
ここは今日中にこのスレを潰すような勢いでやっていきませんか?
緊急避難的にそういうのもありだと思います。
それではしばし失礼m(__)m
525名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 21:17
>【緒方理奈 移動】
>※英二の遺品、眼鏡を持っています。

こういう説明が最後についてると助かる
出来れば他の書き手さんも付けてほしいです。
526悪夢を拭い去るために(1/2):2001/05/24(木) 21:17

兵士達の動きが、さらに慌ただしくなった。
その様子を、丘の上から伺っている晴香達。
「もうすぐ、来そうやね。」
「そうね。…マルチ、あなた飛び道具は持ってるの?」
「鉄砲ですか?いいえ。そうゆうのは持ってないです。」
「…じゃあ、これをあげるわ。」
晴香に渡されたそれは、ニューナンブ。
公民館で入手した、3丁のうちの一つだ。
「あかり。あなたには渡せる銃がないから。ここで待ってて。
 あなたの爆弾が、最後の切り札になるかもしれないから。」
すこし寂しそうな表情をみせたが、うなずく。
「…うん、わかった。無事で帰ってきてね。」
「ええ。もちろん。」

「来たで!」
黒塗のリムジンが、基地の前に止まる。
敬礼する兵達に囲まれて現われたのは、やはり高槻だった。
それを見て、智子がイグニッションキーを捻る。
「じゃあ、行ってくるわね、あかり。」
「うん。晴香さんも、智子も、マルチちゃんも。気をつけて。」
「うん。」「わかっとる。」「はいー。」
三者三様返事を返す。そして、向かうべき場所を見据える。
「よおし。じゃあ、突っ込むでー!」
そう言うなり勢いよくアクセルを踏み込む。
そして。
ジープは砂塵を上げ、目指す場所へ突入していった。
527悪夢を拭い去るために(2/2):2001/05/24(木) 21:17
「どりゃーっ!」
兵士達をなぎ倒し、高槻へと迫るジープ。
それを見た高槻は、身を翻し、建物の中に消えた。
その入り口にジープを横付けする。
晴香達の前には、それを遮るように、兵士達が展開した。
「じゃまやーどけー!」
タタタタタン、タタタン!
智子の64式による一斉射、そしてマルチの首根っこをつかむ晴香。
「いけえっ!マルチカタパルト弾」
「はわわーっ!」
カタパルトでも何でもないのだが、人間爆弾は思いのほか効果的だったのか。
幾人かをなぎ倒し、兵士達がたじろぐ。
「ふみゅうーん」
抜刀し、駆け抜けざま、晴香はマルチの腕をつかみ、引きずる。
「よくやったわ!」
「ふえーん。あんなコトする人嫌いですぅー」
「…いらない敵をつくるわよ、そのセリフ。」
その後ろを、半身で銃を乱射しながら、智子が続く。
「ぐずぐずしてる間はないでぇ!高槻を追うんや!」
「わかってる!」
そう…わかっている。自分の為すべきことを。
この手で決着を。そして過去の悪夢の清算を。

―――――――――――――――――――――――――――――
追記:
 所持品
 あかり…クマのぬいぐるみ爆弾
 晴香……日本刀、ベレッタ92F
 智子……自動小銃(64式)、S&W M586
 マルチ…(支給アイテム)、ニューナンブ
528悪夢を拭い去るため 追記:2001/05/24(木) 21:18

書き込みが少なくって寂しいので、書きかけですが上げました。
もう一度、書き手に戻ってみようと思います。

111氏、了解です。
今夜中に、漏れももう1本上げます
529白い、決意。 3:2001/05/24(木) 21:20
(戦える術も、生き残る術も、私独りにはない…)
きよみ(白)は森の木々の間から覗く建物を見上げながら、走った。
あまり走ったことがないきよみに、ペース配分など、知る由もない。
(どうして、どうしてこんなことになったの?)
苦しい息の中、懸命に走って走って、その中で思考する。
(平和に、なったのではなかったの?どうして、また戦いが起こって
いるの?)
きよみにしてみれば、戦争中に病を患い、目が覚めていたら数十年
も立っていて、町は平和を取り戻していた。
浦島状態だった。
でも。
(でも。町は平和だったわ。国全体が、平和だった筈なのに)
弟が教えてくれた。今の時代は、女性も政治に携わることが出来る程
に平和になったと。女性も権利を獲得して、しっかり男性と一緒に働
くこともできるようになったと。階級も何も、軍も何も、なくなっ
たと。
(それなのに)
この島では、戦いが続いている。
離ればなれになった人々。戦いたくないのに戦わせられている人々だ
って、いるはずだ。そして、勝つことではなく、平和を望む人々が、
自分以外にもいるはずだ。
放送で幾人かがもう、命を落としている。
それを嘆き悲しむ人だって居るはずだ。
530非日常の再会(1/3)By林檎:2001/05/24(木) 21:21
「なんで助かったんだろ…。私…」
 理奈はだいぶ経ってからふと立ち止まる。
(気絶から覚めて…。そう、目覚めることができたんだ…)
 なんで助かったか彼女にはわからない。
 茜は理奈にとどめをささなかった。今までの茜なら理奈はこの場にいられなかった。
 このささいな歯車のずれがどう影響していくのか。
 理奈の脳裏に英二の亡骸が浮かんだ。
 憎しみが上回っているはずだった。
 あの場で、かたきをとると決心したはずだった。
 兄を不安がらせないようにしたかったのだ。
 自分はしっかりやっていけると、兄に教えたかったのだ。
(お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん……)
 涙が止まらない。
 兄の元から離れて、我慢していたものが噴出した。

 手の小型カラオケに目が行く。立ち去る際に無意識に持ってきてしまった。
「こんなもの…。なんの役に立つっていうのよ…」
 その場にへたり込む。
(冬弥君…。由綺…。会いたいよ…。助けてよ…)
 理奈は考えていた。
(自分はこんなに弱い人間だったんだ…。
 いつもの私は偽者なんだ…。
 さっきだって兄さんのことをお兄ちゃんって…
 こんなんじゃかたきなんてとれない…
 子供みたいだよ…。子供みたい…)
「うぐっ…。う…ぇ…」
(冬弥君…。由綺…。会いたいよぉ…)
 涙を止めるのはもうあきらめた。
 子供でもいい。子供扱いされてもいいから誰かに慰めて欲しかった。泣きつきたかった。
「理奈ちゃん?!」
531白い、決意。 4:2001/05/24(木) 21:22
途中、何度も木の幹や、石に蹴躓きそうになりながら、きよみは走っ
た。
(止めたい。この状況を、戦争を、止めたい。今の時代なら、今の私
なら、出来るかもしれない)
そう、何もしないで…何も出来ないで、ベッドの上にいた頃の自分で
は、もう、ない。
弟に、蝉丸に、光岡に、与えられた命なら、ちゃんとちゃんと出来る。
意志を持って出来ないことはないと、教えられた。私は教えて貰った
のだから…!
そういう考えの人間だっているって、他の人にもわかって貰いたい。
そうすれば、きっと誰かと協力出来るかも知れない。蝉丸や、自分の
クローンと、上手く行けば出逢えるかもしれない。
平和を、取り戻せるかもしれない。
国が、平和を取り戻したように。
危険は沢山あるけど。死ぬかもしれないけど。
何もしないで死ぬのよりは、価値があるから。絶対に…!
がむしゃらに走って、ようやっと森が切れた。
一度、立ち止まって、苦しい息を吐き出す。
もう暫くはなれた、頭上の建物を見上げ、きよみは意志を強め、鞄の
中のマイクの感触を確かめた。
「蝉丸さん、もう一人の私…どうか、気付いて…!」

【白きよみ移動中】
※森が抜けたところにいて、建物に向かっています。
532111[前々+前スレ]:2001/05/24(木) 21:22
>>528
ありがとう。
嵐などに負けていられない。
みんなのハカロワスレを取りかえそう。
533非日常の再会(2/3)By林檎:2001/05/24(木) 21:23
「えっ!」
 理奈にはその声が誰のものかわかる。
 森川由綺。彼女が今、最も会いたかった人間の一人。
 反射的に顔を向ける。
 そこに由綺がいた。
 駆け出す。そして抱きついた。
「り…理奈ちゃん?! ちょっと…」
「由綺! 由綺! うっ…あ……」
 由綺は当惑する。理奈が自分に泣きついてくるなんて考えてもみなかった。
 気丈な理奈が。
 由綺は理奈の頭をなでる。
 右手にはニードルガン。左手でなでた。
(可愛い…)
 彼女は泣きついてくる理奈が無性に可愛く思えた。
「理奈ちゃん」
 理奈の涙を舐めとってあげる。
「おいおい」
 冬弥が声をあげた。
「仲良いな」
「冬弥く…ん」
 理奈がやっと冬弥の存在に気づく。
 自分の最も会いたかった人間は2人。その両方に一度に再開できていたのだ。
 会いたかった人間…。
 触発されて彼女は兄のことを思い出す。
「冬弥くん…。兄さんが…。お兄ちゃんが…。」
 今度は冬弥に抱きつこうとする。
「?! 英二さんが?」

カチャリ

 冬弥に近づこうとした理奈の頭へ、ニードルガンの銃口が向いた。
534非日常の再会(3/3)By林檎:2001/05/24(木) 21:24
「冬弥くんに何するつもりよ」
 冷たい声がその場に響く。
 理奈は耳を疑った。
 でも声は確かに由綺のもの。由綺が銃口を自分に向けている。
 おそるおそる顔をそちらに向ける。
 わけがわからなかった。本当に…銃口が自分に向いている。
「冬弥くんは私が護るの。理奈ちゃん何しようとしたの? 殺しちゃうよ?」
(そんな…)
 理奈は冬弥に抱きつきたかっただけなのに。
 彼の胸で子供のように泣きたかっただけなのに。
「由綺。殺したいのか?」
 冬弥の声。なんという非日常的なセリフだろうか。
「うん。理奈ちゃん冬弥くんになにかしようとしたもの」
 その返事も、また…。
(え、え、え?!)
 理奈が二人から離れるように後ずさる。
「そうか…。由綺が殺したいのなら…」
 冬弥が一歩理奈に近づく。
「由綺が殺す必要はない。俺が殺そう」
 手には特殊警棒。
(由綺を説得するのは無理だろう)
 冬弥は思った。
 一度殺意を持ってしまったらもう手遅れだ。
 理奈はどのみち由綺が殺すだろう。ささいなきっかけで。
 なら由綺の手をこれ以上汚すことはない。
「今の俺達に近づくな」
 冷たい言葉。特殊警棒を大きく振りかぶりながらのセリフ。
(そ…そん…な…)
 理奈はとっさに森の奥へと向かって駆け出した。
 冬弥の警棒が大きく空を切る。
「もう二度と近寄らないだろう。深追いはしないぞ」
 由綺に言った。理奈を殺さないための口実だった。
「冬弥くんが危険な目にあったらやだもん。いいよ」

 周りの木が勢い良く背中の方へ流れていく。
 走る。走る。走る。
(なんで?! なんで?!)
 自分は甘えたかっただけなのに。
(みんな狂ってる。さっきの女だけじゃない。みんな狂ってるんだ…
 殺される殺される殺される。殺さなきゃ兄さんみたいに殺されるんだ)
 冬弥の遠まわしなやさしさに、彼女は気づかなかった。
535名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 21:26
>>533
絶妙な所で切るからリロード連打する羽目になったよ
狙った?
536名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 21:34
『……ろしあってくれたまえハハハハ――』
「ん〜……ふわぁ〜」
 島中に響き渡る高槻の定時放送により、佳乃は夢の世界から引き戻された。
「なんだかよく寝た気がするよぉ……あれ? ここ、どこ?」
 キョロキョロと辺りを見回す。
 そこは神社だった。朝の太陽の下、鳩が何羽か日向でひょこひょこ歩いている。
「鳩さん、おはよ〜」
 佳乃が近づくと、鳩たちは一斉にそそくさと飛んで行ってしまった。
 それを残念そうに見送ると、佳乃は頭をぶんぶんと振って、昨日のことを思い出していた。
(おかしいなぁ、昨日は確かボディーガードメイド1号さんと一緒に……あれ、一緒にどうしたんだっけ?)
 夜、民家に侵入して、そこで梓と交代で見張りをすることになり、自分がまず見張ることになって……と、そこまでは覚えている。
 佳乃は首をひねったが、そこから先はどうしても思い出せなかった。
「ま、いいよねぇ」
 それで簡単に片付けてしまうと、今日のこれからの行動について考え始める。
(やっぱり、まずお姉ちゃんを探そうっと。メイド1号さんにもまた会えるといいなぁ)
 佳乃は、目覚まし代わりとなった放送に、姉の名前が含まれていたことを知らなかった。
 そして、それは佳乃にとって幸運だったのかもしれない。
「じゃ、出発だよぉ〜」
 景気づけに右腕を高々と挙げる。黄色いバンダナが、風に揺れた。
 と、ちょうどその時、神社と下界を結ぶ石段の下からコツコツと足音が聞こえてきた。
 昇って来たのは、きよみ(黒)だった。
「おっはよ〜、キレイな黒髪さん」
「……動かないで。服の下から狙ってるわ」
 きよみのスカートのポケットが不自然に膨らんでいた。
 フェイクである。実際は中で指を二本、前に突き出しているだけだった。
 マナに指摘されたことを活かしてみた、ということだ。きよみは少しおかしくなった。
(さっきの生意気な子といい、この頭軽そうな子といい、妙なのばっかりに出くわすのね。
 まぁ、もう何十人も死んでるらしいし、殺人鬼みたいのに会うことを思えば運がいいんでしょうけど)
 そう考えたところで、少し反省する。目の前の少女が、殺人鬼でないという保証はどこにもないのだ。
537名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 21:34
 ――そういう甘いトコ、なんとかしないと早死にするかしら。
 そう思って、改めて佳乃のことを見てみたが、やっぱりそんな風には思えない自分に苦笑するのだった。
「あ。そういうことしちゃ、いけないんだぁ」
 佳乃は至ってのんきに言った。
 少なくとも、一般的に銃を突きつけられている――少なくとも本人はそう思っている――人間の態度ではなかった。
 きよみは少し苛立ちを覚えた。意識的に冷静な口調を作り、言う。
「ふざけないでね。私は本気よ」
「ううん。そんなことないよぉ」
「なんで――!?」
「キレイだもん」
 佳乃はにへーっと笑った。思わず言葉を失う。
「だから、君は人殺しなんかじゃないでしょ。ね?」
(……私って、なんか呪われてるんじゃないでしょうね……)
 きよみは深い深い溜め息をついた。
 これ以上この娘の相手をしていても時間の浪費だ。結論はマナの時と一緒だった。
「……もういいわ、私は行くから。拾った命、せいぜい無駄にしないことね」
「あっ、君、右手!」
「え?」
 きよみはポケットから手を抜くと、しげしげと見つめた。何の異常もない、いつも通りの手だ。
「右手がどうしたのよ」
「やっぱりウソだったねぇ」
 佳乃がクスクスと笑う。
538名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 21:34
 立ち尽くすことしばし。ようやくその意味に気づき、きよみは自分の頬が熱くなるのを感じた。
(……なんか自分がすごいダメキャラのような気がしてきたわ……)
 あの生意気な子のみならず、目の前のどう見ても頭の弱そうな子にまで看破された。
 きよみは半ば真剣に生きていく自信をなくしていた。文字通りに生き残るという意味のみならず。
「ほら、じゃあ行くよぉ」
 落ち込むきよみの手を、佳乃が握った。
「誰が?」
「君が」
「誰と?」
「私と」
「どこに?」
「それは今から考えるんだよ〜!」
「わ、きゃあっ!?」
 言うなり、いきなり石段を駆け下り始めた佳乃に引っ張られ、きよみは危うく転びそうになる。
「ちょっと、何するのよ!?」
「一人よりも、二人の方が楽しいよぉ、きっと!」
「そ、そうじゃなくて!」
 強引な佳乃に引きずられるようにしながら、実のところきよみはそれでもいいかな、と思っていた。
 諦めというのももちろんあるのだが、この佳乃という少女と一緒にいて不快な気持ちはしなかった。
「よし、じゃあ君を『おまぬけさん1号』に任命するよぉ!」
 きよみは、取り合えず佳乃を石段から突き落とすかどうかを本気で考え始めていた。
539堕ちる道化:2001/05/24(木) 22:01
すう、と空気が冷え込み、湿度が上がる。

流れる音はさらさらと。
それは、この地に流れた血潮のように。

さらさらと、さらさらと。
絶えることなく、ざわめいていた。

ちゃりん、かちゃりん。
硬質の異音が重なる。
無人の川に混じる有人の証が。
酷く虚ろで、禍々しく聞こえる。

ちゃりん、かちゃりん。
時折閃く反射光の眩しさが、それを刃物だと知らしめる。
近づけば微かに足音が聞こえる。
半ば呆けたような憑かれたような、刃物よりも危険な顔が見てとれる。

さらさら。
『り…理奈ちゃん?!』

かちゃりん。
弄んでいた刃物を、ぴたりと止めて握りこむ。
林道の木漏れ日が、さながら教会の狭間窓のように彼を照らしている。
下を見やれば河原道。

さらさらさら。
『兄さんが…。お兄ちゃんが…』
見える。知った顔は居ない。

さらさらさらさら。
『?! 英二さんが?』
(理奈?英二?)
凍結させていた思考を渋々回転させる。
そしてようやく、あの男の台詞を思い出す。
道化さながらに、ころりと騙された自分を思い出す。

「緒方-----理奈?兄さん?」
呟いた一言が、ぽんと背中を押していた。
住井護(051)はナイフを携え、崖を飛び降りる。

迷い無く。
涙無く。

暖かな想い出も、悲しさも届かぬ、地獄の底へと彼は落ちて行った。
川の音は、もはや聞こえなかった。
540一択(1):2001/05/24(木) 22:28
「…誰よ、あんたたち」
二人のうちの片方、ツインテールの子がなんとも女の子らしくないドスの効いた声で訊いて来る。
ちょっと気圧されそうになるけど、平静を装って僕は言った。
「人を、探してるんだ」
「人を?」
そう言いながらも、彼女の殺気は解かれない。
まあ、こんな状況で知らない人に出会ったら、こんなものなんだろうけど。
暫し、睨み合ったままの対峙が続く。
その均衡を破ったのは、
「やめなよ七瀬さん、話くらい聞いてあげようよ」
勝気な女の子、七瀬さんの後ろに居た子だった。

「え〜と、それじゃ、長瀬君と天野さんは、さわたりまこと、って子を探してるんだね?」
はい、と天野さんが小さく頷く。
叔父さんの事は伝えていない。
いち参加者にしか過ぎない彼女達…僕もだけど、が知っているとは到底思えないし、
何よりまだ打ち解けていない状態で下手に僕が主催者側の関係者であることを話すと、
天野さん共々殺されかねない。
僕はいいけど、天野さんが死ぬのは、嫌だ。
だから、まだ叔父さんの事に関する件は伏せておいた。
「それで、その真琴って子はどんな子なのよ?髪型とか、外見とか…」
替わって、七瀬さんが不機嫌そうに口を開く。
まだ僕らを信用しているわけではないようだ。
そんな事は意にも介さないのか、天野さんは平坦な口調で、その沢渡さんの特徴を話し始めた。
541一択(2):2001/05/24(木) 22:28
……話が終わった後。
「ふ〜ん…じゃあその子、今頃繭に髪引っ張られてたりするかもね」
けらけらと七瀬さんが笑う。
「…いえ、真琴の髪型はそんなに長くないです。
……ところで、その髪だとお風呂のときとかに水を吸って重くなりませんか?」
冷静に天野さんが突っ込む。でも、その言い方はちょっとマズイ気が。純粋に疑問なんだろうけど。
「あたしの髪型が変だって言うのッ!?」
あぁ、やっぱり怒った。
「やめなよ七瀬さん。天野さんもきっと悪気があって言ってるわけじゃないと思うんだよ」
七瀬さんの剣幕に、慌てて長森さんが止めに入る。
さっきからずっとこの調子。
天野さん本人に悪気は無いんだろうけど、どうにもその台詞がいちいち七瀬さんのイタイ所を突くらしい。
でも………
すっかり僕らは、打ち解けていた。

「それじゃあ、そろそろ私たちは……」
「え?行っちゃうの?」
腰をあげ、この場を出発しようとする僕らを、長森さんが引きとめる。
「…そうよ、あんたたち二人で行動するより、私たちと…あともう一人居るけど、行動したほうが安全でしょ?」
天野さんに激しく突っかかって居た筈の七瀬さんも止めようとしてくれる。
正直、とても嬉しいことだ。
「ありがとう。…だけど、僕たちは行かなくちゃいけないんだ」
二人は、もう止めなかった。
結局長森さんも七瀬さんも、天野さんが探している「沢渡真琴」の事は知らなかった。
それは残念だったけど、この狂気の島で、ほんの一瞬でも誰かと楽しく会話をし、
日常を感じる事が出来たのは、幸せだった。

でも、こんな甘ったるい馴れ合いは、島の意に反しているのだと、狂気の中の狂気だと、
僕らはすぐに気づく事になった。
542一択(3):2001/05/24(木) 22:29
「…良かったのですか?」
「何がだい?」
また二人になってしまった森の中で、天野さんがぽつり、と聞いてきた。
「…いえ、あのまま長森さんたちと一緒に行動したほうが、安全だったのではないかと」
「いや、確かに人数は多い方がいいかもしれないけど……
それじゃ、天野さんが探している人達が探せなくなってしまう」
それに、確かに二人は危険だけど、もしそんな状況になったら、僕が命を捨てても天野さんを守る―――
なんて台詞は、とても恥ずかしくて言えずに喉の奥に飲み込んだ。
「ありがとうございます…」
「礼を言われるような事、してないよ」
結局はこれも、僕のエゴなんだから。
その時だった。

がさり

ほんの、ほんの少し先で、何かが動く。
「…長瀬さん」
天野さんもそれに気づいたのか、声を潜める。
僕は、前方に視線を向けたまま、
「……下がってて」
天野さんを制止させる。

ワイヤーを握る。
さっきみたいに、話が通じるならいいけど、そうでない場合はどうなるかを、
僕らは既に1回、身をもって経験している。
…だから、慎重に行動しなければならない。
「……誰」
僕の気配を察知したのか、草むらから女の子が顔を出す。
驚いた事に、着ている服は色こそ違えど、天野さんが来ているのと同じだった。
そう言えば、天野さんは制服のまま連れ去られ、と言っていた。
だとするならば、この人は天野さんの学校の上級生だろうか?
僕がその子と天野さんを交互に見ている間に、女の子がまた口を開いた。
「…こっちは怪我をしてる人がいる。手を出さないで欲しい」
どうやら、草むらの影にもう一人居て、その子が怪我をしているから見逃して欲しい、と言う事だろうか?
このゲームのルールを考えると、なんとも無謀極まりない申し出だけれど、
殺さなくて済むなら、それにこした事は無い。
僕はそれを快諾し、ポケットの中でワイヤーを握っている手を緩める。
それが、油断だった。
「騙されませんよ……」
草むらの中から、声が響く。
「え?」
突然聞こえてきた声に、僕が反応したのとほぼ同時に。
543一択(4):2001/05/24(木) 22:30
だんっ

重い音が僕の耳を激しく突き、
なにかの塊が僕の頬を掠める。
視界の端が紅く染まってゆく。頬が熱い。
なんだ?なんだ?一体何が………
――それが、銃弾だと気づくまでに、僕のアタマは数秒を要した。
僕は混乱した。目まぐるしく変化する状況に思考が追い付かない。
「逃げて!」
と、目の前の女の子が言った。
なので、逃げる。
呆然としている天野さんの手を引いて、逃げる。
僕のアタマはちゃんと動いてくれなくて、それしか出来なかった。

「…………はぁ…はぁ…はぁ…」
走って走って、走りつづけた。
どこまで走りつづけたのかも分からないぐらい、走って、
膝が笑ったので、僕らは止まった。
二人で、死んだように木陰に横たわる。
…ようやく、僕のアタマは正常になりつつあった。
……つまりは、騙された、って事か。
甘かったんだ、僕は。
守るだけじゃ、話し合うだけじゃ状況はけして良くならないんだ。
『狂気』である状態が正常のこの島で『日常』を求める事なんて、
狂気の中の、さらなる狂気でしか無いと、今になってやっと気づいた。
…そう、この島のルールの大前提。
――殺して、生き延びろ。
結局、殺す対象の違いこそあれ、
選択肢なんかそれしか無かったって……ことなんだろうか。

【長瀬祐介 左頬を負傷】
※走っていった先がどんな場所かは、次の人にお任せと言う事で(笑)
544苦悩:2001/05/24(木) 22:31
走り去ってゆく二人の背中に、佐祐理は発砲を止めようとしない。
「やめて……佐祐理」
「舞……騙されちゃダメですよー。あの人たちはああやって怪しまれずに近づいてきたところで、
舞を殺そうとするにきまってます」
そう言って、また発砲。
既にわたしたちのほかに誰も居なくなった森に、銃声だけが響いた。

どうしてこんなことになってしまったのだろう。
佐祐理は私が守るって、決めた筈なのに。
でも、私の所為で、佐祐理は――――
「あははーっ、逃がしちゃいましたか。でも、舞を殺そうとするからこんな目に遭うんですよ。」
いつもと変わらない佐祐理の笑顔。でも…………
悲しくて。
私には、佐祐理を抱きしめる事しか出来なかった。
「どうしたの、舞?
……大丈夫です。佐祐理がいる限り、誰も舞には指一本、触れさせませんよ……」
その言葉まで、いつもの佐祐理の口調そのままで。
私は、腕にもっと力をこめて、強く強く佐祐理を抱きしめた。
545名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 22:33
>>540
舞&佐祐理コンビと会った、でいいのかな?
で、舞は戦闘を避けようとしたものの佐祐理が発砲。
こんな感じ?
546名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 22:34
あう、かぶり。スマねッス(;´Д`)
547名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 22:36
>>542
この口調で銃持った女の子って誰ですか?
548再会(1/3):2001/05/24(木) 22:38
江藤結花(009)と長谷部彩(071)は、昨晩来た道を逆にたどりながら再び森の中に入った。
しかし昨日の疲れがまだ残っていて、足取りは鈍い。
夜中にトカレフを拾って遠方の敵への備えは出来たとはいえ、女二人ではいささか心細
い。森の中の小道を、そろりそろりと進んでいく。

どれくらい歩いただろうか、道のはるか前方にわずかに人影が見えた。
「誰か来てる。隠れましょ」
二人は物音をたてぬよう、道ばたの草むらに身を隠した。
結花が、注意深く草むらの中から目を凝らす。
一人は三角頭巾をかぶったおとなしそうな女性、もう一人はピンク色の長髪の少女……
ピンク色?!
次の瞬間、結花は弾け飛ぶように駆けだしていた。
「スフィー!」
少女は一瞬の出来事にビックリしたが、その姿がはっきり見える距離まで来ると、
「結花さん!」
そうつぶやくと、トタトタと走り寄った。

「会いたかったよぉ…、寂しかったんだから、もう…」
スフィー(050)に抱きついたまま、結花は泣きじゃくっていた。
「こんなに小さくなって、大変だったでしょう…」
「結花さんも、無事だったんだね」
幾日ぶりの再会を体いっぱいに味わっていた二人の後方では、
「………」
「はじめまして…」
彩と来栖川芹香(037)が静かに挨拶していた。
549再会(2/3):2001/05/24(木) 22:40
4人は草むらに一列に座った。幸い道から見て窪地になっており、少々のことでは見つ
からないはずだ。
簡単な自己紹介の後、それぞれスタートからここまでの出来事を話し始める。
結花と彩が出会ったときの話、夜中に銃を拾おうとして危うく刺されそうになった事。
スフィーがリアンを助けに社に行き、結界を破ろうとした最中に牧村南に邪魔された事。
ここまでほとんど話しに加わらなかった彩が、突然つぶやいた。
「牧村…南…、南さんが…。嘘、嘘でしょ…」
「………?」(ご存じなんですか?)
「南さん…、簡単に人を殺めるような人じゃない。私の知っている南さんは、ルールを
守らない人には厳しいけど、普段はとても親切な方です。なのに、どうして…」
「そうなんだ。でもね、社で私たちを襲った時はとてもそんな風には見えなかったよ」
「そう…ですか…」
肩を落とす彩。
「うん、それで芹香さんと夜通し逃げてきた、ってわけ」

「それでねスフィー、そんなに小さくなっちゃったのは、その結界とかを破ろうとして
魔力を使ったから?」
「うん、でもそれだけじゃないんだ。けんたろが死んじゃった後も、この腕輪から魔力
が抜けているの」
「外せないの?」
「外すのにも魔力を使わないといけないから…」
そのとき不意に、
「………」
「えっ、芹香さんが?」
「………」
「黒魔術?」
「………」
「な、なんだかよくわからないけど、とにかくお願いします」
結花と彩を後ろに退けさせると、芹香は静かに目を閉じ、なにか呪文のようなものを唱
え始めた。そして3分ほど経っただろうか、
ビリッ、ビリッ…
スフィーの腕輪から音が聞こえだしたかと思うと、
パリン!
鋭い音を立てて、腕輪が真っ二つに割れた。
「あ……」
スフィーは喜びたい反面、ちょっと後ろめたい気分も感じていた。健太郎との思い出の
品でもあった割れた腕輪を見つめながら、小声で、
「けんたろ…、ごめんね」
そうつぶやくとそれを拾い上げて、
「ね、これ持ってたままでもいいよね。けんたろの事、忘れたくないから」
「そうね」
「うん、これでもう大丈夫。あの後芹香さんから魔力を少しずつ分けてもらってたから、
もう少しすれば体も大きくなるよ、きっと」
550再会(3/3):2001/05/24(木) 22:42
「ね、ところでスフィーの武器って何?」
スフィーは鞄から厚い本を取り出した。
「なんだか魔術書みたいなんだけど、よくわからなくて…」
結花はスフィーから渡された本をパラパラとめくってみた。
「あのさ、グエンディーナの魔術書って、日本語で書いてあるの?」
「えっ? そんなことない…よ」
今度は芹香が本を手に取る。
「………」
「ほら、芹香さんも<これは魔術書なんかじゃありません>って言ってるよ」
「は、ははは…」
スフィーは苦笑いするしかなかった。
「ほら、魔力が抜けてたから、必死だったんだよ、ね」
「………」(私に同意を求められても…)
その場が一瞬和んだ。
「う〜ん、こればっかりは私たちが何とかするしかないわね。芹香さんは社に荷物を置
いてきたままみたいだし」
「牧村南の武器って手裏剣なの、その上身のこなしも早くって忍者みたいだったんだよ。
もしここを襲って来られたら…」
「その時はこのトカレフで、バーンといっちゃうわよ! ねっ、彩さん」
「……あ、は、はい」

「う〜ん、まずはリアンたちと落ち合う事が先決、かな?」
「………」
「そっか、<南さんが追ってきているはず>かぁ…」
「その…、落ち合う場所って…、決めてあるんですか?」
「ぜんぜん。逃げるのに必死でそれどころじゃなかったもの」

「もう、とにかく動こう! じっとしてても仕方ないし、なんとかなるわよ」
結花が立ち上がった。
「うん!」
「………」
残りの3人も次々と立ち上がった。
茂みから道に戻り、芹香とスフィーが来た方向へ歩き出す。
結花の足取りは、先ほどよりもすっかり軽くなっていた。
一方、彩の足取りは依然重い。
「南さん…」
相変わらず牧村南の事を気にかけたまま。
551白い、決意。 5:2001/05/24(木) 23:07
……息が、苦しい。
きよみ(白)は、森での全力疾走でかなり疲労していた。
(こんなところで、挫けてる場合じゃない、のに)
膝ががくがくする。呼吸が乱れたまま戻らない。だが、数十分、走り続け
れば誰もがそうなる。
(…早く、早くとめなくては…これ以上誰かが傷つかないように。誰も、
死なないように…!)
だが、体は言うことを聞いてくれない。
こんなところを狙われたら、一溜まりもない。はじめて、きよみは全力で
走ったことを後悔していた。
(あそこ…あの場所で、呼びかける。もしかしたら、いえ、もしかしなくても
主催の意向に反したことだから、それによって…私は、殺されるのでしょう…)
だから。それをやるのは自分独りでいい。
他の誰も、この支給品がなければ出来ない事だから。
これは、宿命なのだ。
(私が、生きた証になりますように…)
息を整えて、きよみはまた走り出した。
前方に、川が見えた。
誰も居ないことを確認して、きよみは川辺に佇む。
水位はそう高くない。橋がなくても歩いて渡れそうだ。
水は清らかにさらさらと流れている。
そういえばもう水はない。急いで、川の水をペットボトルにいれ、ついで
に喉の乾きも癒す。
これから、呼びかけをする。
川に足を忍び入れ、川の中を真っ直ぐ反対の縁に向かって歩きながら、
きよみは思考した。もちろん、人の気配にも細心の注意を向けていた。
…それは、ずっと少しずつ、考えていたことだった。
552白い、決意。 6:2001/05/24(木) 23:09
呼びかけをする。それは危険な賭けだと、思いついた時からわかったいた。
如何に上手く、これをこなせるか否かで、この島にいる哀れな人達を救え
るかどうかがかかっている。
最初は、森の中や、人気のないところで呼びかけをするつもりだった。
でも、これは危険性が高い。
主催側による、腹部に爆弾が仕掛けられているという情報。嘘でない場合
は、新たな猜疑心の種として、生き残される可能性がある。
それは、自分の放送そのものが、主催側に利用されかねない、ということだ。
見知らぬ女性の、殺しあいはやめましょうという、放送。
見せしめに殺されるのであれば、それを考慮して喋ればいい。
だが、殺されなかった場合。
主催側が再度、自分の放送に似た…つまりは偽の放送を行い、人を集める。
そして、そこで殺し合わせる事も可能だ。更に言えば、そこに集まった人達
を一網打尽にしてやろうとする、主催側に協力的な人が出てくる。
…結果大量殺戮が起こるだろう。
姿を隠したままでは、上手くいかない。
だとすれば。
(死をもって、呼びかける…しかない)
自分が見せしめになる為の放送だ。
「死ぬかも知れない」ではなく「死ぬ」ことが確定、もしくは100%に
近い確率であることを、きよみはわかっていた。
ただ、協力しあってください、と言うのではダメだ。
自分が死ぬことを前提に、それに賭けていることをアピールしなくては。
恐ろしい。
(怖い…)
反対側の川縁に着いて、自分が震えていることに、きよみは気付く。
(特攻兵の人達も…こんな気持ちだったのかしら…?)
今、自分は死にに行くのだと、実感しながら、きよみは建物へと向かう。

【きよみ(白)移動中】
553その手を汚す価値:2001/05/24(木) 23:16
「茜、何処いったんだろう…」
詩子達と別れてからしばらく、祐一は茜を探し島中を歩き回っていた。
森の中に入って少しひらけた場所に出たところで祐一は突然立ち止まった。
物音がしたような気がしたからだ。
祐一は静かに硫酸入りのエアウォーターガンを構えた。

「やっと、見つけたわよ、相沢祐一」
森の奥からフラフラになりながらも、祐一の名を呼んだのは沢渡真琴であった。
「真琴!」
そう言って、構えたエアウォーターガンを降ろし、今にも倒れそうな真琴に近づき体を支えた。
「おまえ、どうしたんだよ!?」
「あんたのことを探してたのよ」
「おまえ、あの時パチンコ撃って逃げただろ?何であんな事する…んぐっ」
言い終わらないうちに真琴の手は祐一の首をつかんでいた。
「ま・まこと…」
「何でだかはよく覚えてないんだけど、あんたのことがすごく憎いの。だから殺すの…」

そして、祐一は地面に倒れ、真琴はその上に乗った。
いわゆる馬乗りまたはマウントポジションとも呼ばれる体勢になった。
真琴の力は非常によわよわしかったが、長い時間締められているとやはり苦しくなってくる。
「やめろ…やめるんだ真琴!」
ありったけの声を出して叫んでみるが、首を締められてるためあまり大きな声は出なかった。
「まこと?それが私の名前?」
首を締める手が一瞬緩んだ。
「おまえ、まさか記憶がないのか?」
「だから何?あなたが憎いことに変わりは無いもの」
祐一の意識が朦朧としてきた。
554その手を汚す価値:2001/05/24(木) 23:17
もう、だめかと祐一が考えたとき、祐一の頬にぽたりと雫が落ちる感触がし、
閉じかけていた目を開いた。
「何でだろう…憎いはずなのに…すごく憎いはずなのに…」
首を締める手がまた緩くなった。
「ま・真琴…」
緩められた首からゆっくりと呼吸を取り戻し、真琴の頬を流れる涙を拭おうとした。
次の瞬間、また祐一の頬にぽたりと雫の落ちる感触がした。
だが、今度は透き通った綺麗な涙でなく、赤く濁った液体だった。
「まことー!」
もう、完全に力の入ってない手を振り解き、祐一は倒れこんでくる真琴を抱きしめ起き上がった。
そこで見た光景は、ナイフを持ってカタカタと振るえて血まみれになった名雪だった。
名雪はこの場所に来る前に観鈴が投げたナイフの一本を偶然見つけ拾っていたのだ。
「ゆ・祐一、大丈夫?
 この子が悪いんだよ!祐一を殺そうとしてたから」
「なんで、なんでこんなこと…」
「だって、祐一が、ユウイチが…」
名雪は気が動転しているのか、まともに喋れていなかった。
「ゆう…いち…」
真琴が口から血を流しながら名前を呼ぶ。
「もう、いい。俺の前から消えてくれ。
 でないと、俺、おまえに何するかわからない…」
そう言って、エアウォーターガンを名雪に向ける。
「そんな、そんな………嫌、いや、イヤァァァァ!」
そう叫びながら名雪は森の奥に姿を消していった。
555堕ちた道化(1/1)By林檎:2001/05/24(木) 23:18
>>539 堕ちる道化 より続き

「あの様子だと…。英二さん死んでしまったみたいだな…」
 冬弥が由綺に話しかける。

ザッ

 崖下。静かに着地。
 住井にも聞こえた。信じたくない台詞。
 英二、あの男は自分が殺さなければいけなかったのに。
 信じられない。
 美咲さんのかたきをうつ。
 それが唯一無二の望み。
 決心したばかり。
 そう決心したばかりなのだ。
「嘘だ…」
『?!』
 冬弥と由綺が振り向く。
「嘘だ…。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だーーーーーーーーーーーーーー!!」
 早足に冬弥の方に近づいた。
「でたらめ言うんじゃねぇ!!!!」
 冬弥の目の前まで…
「死んでもらっちゃ困るんだ! 死んでもらっちゃ!
 あいつは俺が殺す!
 美咲さんを殺したあいつを!
 俺が! 俺が殺すんだ!」
(英二さんが美咲さんを?!
 なにを言っているのだろう。こいつは)
 冬弥の率直な感想だった。
「くそ! くそ!くそ!くそ! だったら今逃げていった妹の理奈って奴を!!!」

カチャリ

 住井は気がついた。
(こいつらさっきの…)
 銃口が自分に向いている。
 遅すぎた。
「あはは、あはははははは!!」
 笑いしか出てこない。
(なんて馬鹿なんだ俺は。これじゃまるっきり…)
「由綺…。俺がやるよ…」
(道化じゃないか…)
556強いと云うこと。(1/4):2001/05/24(木) 23:21

「あいたいあいあい……♪」
「だから歌うなっつってんだろうが!」
「……うぐぅ」
 御堂のお守りは二日目に突入していた。朝までだ、と念を押したにもかかわらず、
あゆはちょこちょことついて来る。結局、根負けして放っておくことにした。
――安宅みやが言っていたことが気になったわけでは、決して無い……はずだ。
「だって、つらいときや悲しいときは歌を歌うと元気になれるんだよっ」
「俺の体調は万全だ。ヘタクソな歌なんか聴いてられるか」
「うぐぅ……ひどいよっ。ボク、歌上手いもん。歌手デビューしたら、
きっとオリコン11位ぐらいに入れるよっ」
 おりこん、というのが何だかわからなかったが、
御堂はそれを尋ねるのは思いとどまった。
「知るか。……とにかく黙れ。てめぇの歌のせいで敵に居場所がバレちまうだろうが」
「うぐ……敵って?」
 きょとん、とした顔であゆは尋ねる。
「お前馬鹿か。こいつは殺し合いだ。自分以外は全部敵だろうがよ」
「自分以外は敵……でも、おじさんはボクを殺したりしてないよ?
そりゃ、怖いなぁ、って思うけど……」
「……何なら、今ここで殺してやろうか?」
「うぐぅっ!?」
 あゆはその場に飛び上がると、ぶるぶると泣きそうな目で御堂を見る。
「ムカつくガキだぜ……。いいか、忘れるな。お前なんざ、その気になったら
いつでも殺せるんだからな。俺にこれ以上手間をかけさせるな」
 こくこくとあゆは頷く。大人しくなったのを見て、御堂は歩き出す。
「……行くぞ。ち、全く。俺はさっさと坂神と殺り合うたいんだよ」
 ――その時だった。御堂が近づいて来る気配を察知したのは。
557名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 23:22
スレの回転数、また早すぎ。
もし一人で大量に書いてる人いたら、もっと落ち着いて欲しい。
状況把握がおっつかんよ。
558その手を汚す価値:2001/05/24(木) 23:22
「大丈夫か、真琴?」
「あれ、私、どうしたんだろ?
 なんで祐一はここにいるの?」
「もう、喋るな!安静にしてろ」
「あのね、なんか変な夢見てた。みんなでね、殺し合いするの。
 なんか漫画みたいだよね。でね、私は祐一を襲ったりするの」
「うん、わかったから…」
祐一は真琴の手を握りながら話を聞いていた。
「でね、途中で『みゅ〜』て言ってばっかりの女の子に会うの。
 その子はまだ子供だから、まことはその子のお姉さんになってあげたの。
 木の実をあげたり、変な人に襲われたときは真琴が守ってあげたりしたんだから!」
真琴は途中苦しそうな表情を見せながら、祐一にぽつりぽつりと語っていた。
「祐一はいっつも真琴のこと子ども扱いするけど、どう?わたしって、おねえさんでしょ?」
「ああ、そうだな。真琴はお姉さんだな」
「えへへ…もう、今度から子ども扱いしたらだめなんだからね!」
「うん、わかった」
祐一の目には涙が溜まり始めていた。
「ふぅ、なんかいっぱいおしゃべりしたら疲れちゃった。
 なんか眠くなってきちゃった。ぴろはいないけど一緒に寝ていいかな?」
「ばか、ねるな!眠っちゃだめだ!」
「おやすみ、祐一」
握っていた手が力なくだらりとたれた。
「くっ………」
その場はしんと静まり返った。
ただ、一人の男の嗚咽が続くだけだった…

【045 沢渡真琴 死亡】
【091 水瀬名雪 観鈴の投げナイフ1本所持】
【残り63人】
559強いと云うこと。(2/4):2001/05/24(木) 23:23
『何かが……来る』
 近づいて来る気配を敏感に察知した御堂は、近くの大木に身を隠す。
相手に気付かれないようにあゆを胸元に抱き寄せ、片手で口を塞いでおく。
あゆはもがくが無視し、息を殺してじっと身を潜める。
『ち、全く邪魔なガキだぜ。……そんなことより、この気配は只者じゃねぇ』
 近づいて来る者の気配は強化兵のそれとは違うが、辺りを押しつぶすような威圧感があった。
『殺気はしねぇが、この威圧感――敵に回したら厄介かもしれねぇな』
 そう考えて、御堂
『何ふざけたこと考えるんだ? 俺は強化兵じゃねぇか。完全体と呼ばれるに相応しい。
――その気になりゃ誰でも倒せる。坂上だろうが、誰だろうが、だ』
 その時――。
「にぃぁ〜〜」
 呑気な声で頭の上の猫がないた。
「? 何かいるの?!」
 しまった、と舌打ちをすると御堂は銃を取り出そうとして、――左手に鋭い痛みを感じた。
「うぐっ……はあっ、はあっ……おじさんがいけないんだよ。ボク、息が苦しくなって
ついつい噛み付いちゃったけど、あのままだと死んじゃうかと思ったんだからっ」
「……このガキ……!」
 どん、と御堂はあゆを突き飛ばすと、頭の上のぴろを掴んで放り投げる。
やはり、殺しておけばよかったと後悔するが、今更言っても始まらない。
 今は目の前に現れた敵を排除しなければ。
「あんた、何してるのっ!?」
 その声に御堂は振り向き、銃を構え――る途中で、思わず呆ける。
「何だ……その珍妙ないでだちは……?」
 突き飛ばされたあゆが腰の辺りをさすりながら、
御堂が対峙している敵の姿を見つめ、こう言った。
「うぐぅっ、痛いよ……。あ、それ猫の耳だねっ」
「にぃ〜〜」
 ぴろも同意するようにないた。
560556:2001/05/24(木) 23:25
強いと云うこと。を書きこんだ者です。
すみません、ルール違反と思いますが、続きはもう少しした後で書きこみます。

それと、>>553 さん、割り込みすみませんでした。
561そのころ:2001/05/24(木) 23:28
浩之と別れてから、簡単な食事を済ませ体力を取り戻したあと、
蝉丸と月代は山中の獣道を高台に向けて進んでいた。

月代は、蝉丸が念のために、として付近の竹藪から刀で切り出した
竹竿…いや、竹槍を振り回している。
「(・∀・)蝉丸…これからどうするの?」
「まずはきよみを探す。きよみは野外での生活に慣れていない…
 おそらく、どこかの建物か、洞窟などにいるはずだ。見晴らし
 の良いところに行ってそれらしい建物を探す。その後は…
 …分からん」
きよみはああみえて芯の強い娘だ。決して殺人の狂気などに囚われては
いないだろうが…。
蝉丸は考える。
今朝の放送を信じる限りでは、既に20人もの死人が出ている。
恐らく、それからも何人かの犠牲者が出ているのだろう。

仲間を、家族を、守りたい…多くの者はそう願っているはず。
だが、死者は確実に増えていっている。

――誰かが、殺している。
――誰が?

――一つは、この「げーむ」を「理解」した者。冷静に、自分が最後に生き残る
  ために動いている者。そう多くはあるまい。
――もう一つは、恐怖に溺れ狂いかけているもの。
――そして、最も多いであろうのが――
自分達と同じ境遇の――あるいは境遇だった者だ。
自分を、家族を、仲間達を守るためならば敢えて罪を犯そう。
そう考えている者達だ。
562そのころ(2):2001/05/24(木) 23:30
仮に相手が見知ったる仲間であっても信用できるとは限らない。むしろ、
知り合いであれば自分の弱点に通じてもいるかもしれないのだから。
時間が経つにつれ、信頼は不安に、不安は恐怖に変わり…さらなる悲劇が
起こるだろう。知り合いでない者ならばなおさらだ。

このままではいずれ、島中の多くの者が、己の為に人を殺めていくことになる。
――仕方がないと、心で泣きながら。心を凍てつかせながら。
先程の少年がそうだったように…

そして仲間を喪った者は、絶望とと怒りのままに己を犠牲にすることも厭わぬ
復讐者と化す。大半の者がそうなってしまえば、共に手を携えて脱出の方策を
練ることも、主催者を倒そうとする試みも叶うまい。

そもそも彼らはたった一人しか生き残らせない、と言っているのだ。嘘か真かは
知らぬが、腹中に爆薬を仕込んでいるとも言っていた。

(――どうすればいい? 光岡…お前ならどうする?)

軍に入った時から戦いにて命を落とす覚悟はある。
自分自身の死ならば従容と受け入れることもできよう。
だが…。
生かしたい者達がいる。
そのうち誰か一人を選ばねばならないとしたら…。
そして敵となる者の多くは――まだうら若い娘達なのだ。

考えれば考えるほど、額に険しい皺が刻まれていく。
「(・∀・)…どうしたの?」
「いや…心配するな」
月代の髪に手を置き、掻き回す。

それに――岩切は死んだが、御堂はまだ生きているだろう。
あの男と出会ったならどうなるのか。

…心を落ち着ける。ここはもう戦場なのだ。考え事に気をとられ続けるのはまずい。
当面やることは決まっている。
一刻も早くきよみと、そしてまだまともな理性を残している者達を探さねばならない。

きよみ。
…何か、胸騒ぎがした。
563名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 23:32
>>556
>「うぐぅ……ひどいよっ。ボク、歌上手いもん。歌手デビューしたら、
>きっとオリコン11位ぐらいに入れるよっ」
ワラタ
564561:2001/05/24(木) 23:34
とりあえず、蝉丸は建物とかの中を探し始めます。
その後は…どなたか、状況によって使ってみてください。
竹槍は…一応武器になるのかな?
565ちょっと見てほしい:2001/05/24(木) 23:44
近いうちに、死亡放送を流します。
時間的には『二日目正午』
今までの話の流れで、正午の時刻をまわったキャラは一人もいないものとします。
そして、ここ重要なのですが。

・放送以降(レス番号が)に書かれたキャラについては、基本的に全てのキャラが「二日目正午」以降になるようにして下さい。
・例外として、現在状況が進行中のパート(最終登場シーンが、戦闘中、会話中、出会い)で終わってるキャラは放送以前とします。
 後は、晴香パートもかな。あそこは極端に時間が遅い。
・放送以前のキャラについては、SSの冒頭に【放送以前】と記入して下さい。
 わかり易いので。

そろそろ時間軸はきちっと基準を定めたほうが良いです。
どんどん、ほころびが増えているので。
協力お願いします。
566報告By林檎:2001/05/24(木) 23:46
理奈。冬弥。由綺。住井のあたりは【放送以前】です。
直前といってもいいかもしれません
書き手さん。参考にどうぞ
567名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 23:48
祐介&美汐・舞&佐祐理パート書いた者です。
まだ放送までは結構な時間があるとは思いますが、
一旦切ってあるのですっ飛ばして放送へ行く事も十分可能だと思います。
568名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 23:55
>>567
ていうかむしろ、話が終わっているので無理矢理飛ばします。
そうでもせんと、まとまりません。
569定時報告@4:2001/05/24(木) 23:57
みんなーお昼の時間だぞー。
例によって定時報告いくぞー。

006石原麗子 010太田香奈子 012緒方英二 044澤倉美咲 045沢渡真琴
057橘敬介 058塚本千紗 060月島瑠璃子 062遠野美凪 073雛山理緒
081松原葵 087みちる

以上だ。ペースアップしてきたじゃないか。
この調子で頑張ってくれよ、ハハハハッ………
570名無しさんだよもん:2001/05/24(木) 23:59
定時報告かけました。
>>565を参照に、書き手にある程度制限つけることになりますが、状況整理のために協力してください。
【放送以前】のキャラについても、殺したければ殺して構いません。
放送に追加すればいいので。
ただ、あまり好ましくはないのですけど、ね。
571白い、決意。 7:2001/05/25(金) 00:05
川から出ると、その先は、また森になっていた。
どうやら、この森はさっきいた森よりは深さはないようだ。
そこまで確認して、きよみ(白)は慎重に森へ歩み寄った。水気を含んだ
スカートが重い。スカートをかがんで絞り、水気を切る。
大分マシにはなったが、靴の湿り気の不快感はどうしようもない。
最後にパンをかじってから、随分時間が経った。
空腹感は、ない。
疲労と、喉の渇きは酷いが、不思議と空腹感はなかった。
森の中はさっき彷徨っていた森よりも明るい。木の数が少ないのだろう。
誰にも会わないことを祈りながら、きよみは歩を進める。
殺戮者と化してしまった人より何より、今は、蝉丸に会いたくなかった。
死にに行くことを、決めた、その時から。
会ってしまえば、決意は鈍るだろう。
自分にしか支給されていないであろう、武器。
マイク。
足早に歩きながら、きよみは鞄のソレを確かめる。
(私は、私の戦いをする…)
その、代償がこの、命。
弟に、蝉丸に、光岡に、救って貰った命。
(もう、甘えたりしません…。だって、女性でも男性と同じように働いて、
生きていける時代に、なったのでしょう?)
蝉丸を心に思いながら、きよみは建物へ向けて、歩く。
(だから、悲しまないで。大丈夫、私は満足です)
独り、少し微笑んで泣いた。
意識せず、涙が零れる。
怖かった、怖くて仕方がなかった。ずっと震えは止まらない。
572名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 00:06
この状態で住井が生き残れる確立5%以下だ(W
573名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 00:06
>>571
話的には続いてるようだが、四回目放送は済んだと考えていいか?
574白い、決意。 8:2001/05/25(金) 00:07
だけど。
だけど、誰かが。
(戦う意志のない人が居ることを伝えなくてはいけない。伝えて、狂って
しまった誰かを、正気に戻さなければ)
そして、それが全員に、例え主催の贄となっても、伝えられるのは…
(私、だけ)
森が、切れる。
と、同時に放送が聞こえた。
心臓が痛いくらいに、ドキリと跳ねた。
聞き終えて、自分の体をぎゅっと抱きしめる。
(また、沢山の…罪もない人達が殺された…哀れな、同胞の手によって)
自分も、あの死者リストに載る。
だが、私は誰にも殺されないのだ。
参加者の、哀れな人達の手に掛かることはない。
卑怯な計略には、乗らない。

目の前に、建物がそびえる。
そっときよみはそれに近づいた。誰にも、出逢わなかったことを神に、感
謝しながら。そして、人の皮を被った悪魔を呪いながら。

【白きよみ、移動中】
※建物の前まで着いています。
575強いと云うこと。(3/4):2001/05/25(金) 00:09
「うるさいっ。アタシも好きでこんな格好をしてるんじゃないのっ。
それより女の子を手にかけるなんて、あんたそれでも男なの!?」
 頭から耳を生やし、メイド服を着た格好で柏木梓は御堂に対し怒りをあらわにする。
『ち……こんな女に威圧されるとはな。俺もヤキがまわっちまったぜ』
 御堂は自分の感覚が鈍っている――実は、そうではなかったのだが――ことに、
少々面食らっていた。
「黙って無いで、なんとか言ったらどうなの?」
「……うるせぇ」
 すっと御堂は銃口を梓に向ける。
「!」
 さすがの梓もそれに息を呑み、黙りこむ。じりじりと緊張が辺りを支配する。
 ――それを破ったのは。
「だめだよっ!」
 声がして、御堂の腕に何かが絡み付いた。
「く、このガキっ!」
「人を撃ったりしたらダメなんだよっ!」
 しがみつくあゆを、御堂は必死で振り払おうとする。――一瞬、御堂の注意が梓から逸れた。
「……今だっ!」
 ここぞとばかり梓は飛び出す。捨て身のタックル。――だが、それを見ても御堂は冷静だった。
 強化兵の本能にしたがって銃を真上に放り投げる。そして。
「うぐ?」
 その持ち得る怪力であゆを引き剥がすと――梓の方にめがけて投げ付けた。
「え、ちょ、ちょっと!?」
 思わず梓は姿勢を崩して、あゆを抱きとめる。そのまま勢いにまかせ、二人して倒れこんだ。
「ふん。俺に喧嘩を売ろうなんて、甘いんだよ」
 目の前には、放り投げた銃を再び手に取って、その銃口を梓たちに向けている御堂の姿があった。


【注:放送前の話です。細切れですみません】
576名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 00:12
み、御堂カコ(・∀・)イイ!
やっぱり御堂はこうでないと!モエー!
577名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 00:23
その手を汚す価値を書いた人です。
残り人数を間違えました。
残り62人ですね。
香奈子ちゃん見逃してました。
香奈子ちゃんは色々ありましたからねぇ…
すいません。
以降の書き手さん気をつけてください。
578白い、決意。 9:2001/05/25(金) 00:23
建物の扉は容易に開いた。というよりも、半壊していた。その中に人の
気配はない。
埃の匂い。自分の足跡が、うっすらとつくということは、長時間、放置されて
いた建物の様だ。
きよみ(白)は、安堵の息を吐いて、階段を探す。
屋上に向かうために。
死にに、行くために。
階段は程なくして見つかった。
(これは、天国への階段?それとも…地獄への階段?)
何に使われていた建物かは気にならなかった。それより、何より、きよみは
これから、最後の言葉を考えていた。
屋上に着くまでが勝負だと、確信している。
着いてしまったら、もう、後戻りは出来ない。
立ち止まってしまえば、もう、動けない。
恐怖に埋もれて、泣くしかできなくなる。
(そんなのは、嫌)
そう、嫌だ。
(蝉丸さんも、光岡さんも、もっと辛い戦場に居たはずなのだから。負けない。
私も、戦う。もう、守られるだけなんて嫌、嫌だから)
一歩一歩を踏みしめるように、階段を上る。
途中、放送を思い返して、ぎゅっと手のひらを握る。
(…止めて、みせます)
屋上への扉は、もう、目の前にある。

その時、声が聞こえた気がした。
死んでしまった…夕霧の、声が。
『がんばって』
想い出すまいとしていた。最初の放送。信じたくなかった。
(あんな、いい娘まで死ぬだなんて…殺されるだなんて)
でも、今は、それがきよみの決意に拍車をかけた。
(貴女の敵、討つわ…だから、見守っていてね…)

【白きよみ 行動開始】
※建物の屋上の前にいます。
579白い、決意。 10:2001/05/25(金) 01:02
きよみ(白)は、そっと、静粛な気分で扉を開けた。
少し強めの、風が吹き込んでくる。濡れたスカートが足にひやり、と冷たい。
もう、震えは止まっていた。涙も、乾いた。
あとは、マイクのスイッチを入れて、喋るだけ。
(私の生き様を、どうか、どうか焼き付けて…生き延びてくださいね、蝉丸さん。
それから、月代ちゃんに、よろしくと)
建物の、屋上は思ったより狭く、その中心に立っても、島を見渡せる程度のもの
だった。
(こんなに、狭い島で…今も人が死んでいく…同胞による無益な、殺し合いが…。
やれる限り、私は戦う。止めて、止めて見せます…!)
きよみは、マイクのスイッチを、入れた。

「聞こえますか?島にいる、皆さん、聞こえますか?
私は今、森近くの建物の屋上にいます。見えますか?」
自分の声が、島に、反響する。
言いたいこと、言うべき事を早く、伝えなければ。
いつ、殺されても、おかしくはない。
「私は、きっと、これから死ぬことになるでしょう。それは、主催の意に反する
ことをするからです。よく、聞いてください。これは、私の主催に対する宣戦布
告です!」
反響する、自分の声に重ねて、きよみは喋り続けた。
「あなた達は、何人殺しましたか?何人の友人を肉親を大切な人を、失いました
か?私は一人、大切な友人を、失いました。私は、酷く悲しかった。悲しくて、
辛くて、仕方がなかったのです。
あなた達はどうですか?これだけの人達が、同じ時代の同じ国に住む、普通の
人達が、殺し合いをさせられているのに、自分のことだけを思い、自分の大切
な人だけを守ることしか、できないのでしょうか?
…私は、嫌です。そんなことは死んでも、したくありません。
自分や、大切な人を守るために、誰かの大切な人を殺すだなんて、そんなこと
は出来ません。
もし、私に同意をしてくれるなら、手を取り合って人の皮を被った悪魔
の魔手から、逃げ果せて下さい。方法は、必ずあるはずです」
580白い、決意、そして終幕。:2001/05/25(金) 01:04
「人は弱いものです。とても弱い。猜疑心、嫉妬、劣情、優越、劣等…。あり
とあらゆる、負の感情があります。それでも。
大切な人がいるのであれば。守りたい人がいるのであれば、人は強くなれる。
私は、少なくとも、私はそう、思っています。だから、死を賭して、この場で
語りかけます。
疑うのも、争うのも、止めて、協力しあってください。
活路は醜い争いからは生まれません。決して、生まれないのです。
私は、これから主催の手にかかり、死ぬことにはなるでしょう。でも、それは。
無意味な死ではないと、そう思っています。
私は参加者の誰の手にも掛からずに、済むのです。そして、自らが出来る、たっ
た一つの反抗を、主催にしてやれたのです。
さあ、考えなさい。あなた達が、今するべき事を。本当の敵は誰か。想い出して
下さい」
そこまで、言い終えてきよみは腹部を押さえた。
何か、異物が、腹で膨らんでいる…!
「最後に!!蝉丸さん!!」
絶えきれず、膝をつく。コンクリートと膝のぶつかる音が、マイクを伝わり、島に
響いた。
「聞こえますか?私は、もう、ダメです。でも、悲しまないで。私は私の誇りに
従って、戦うことが出来たのです。私はこうして、私を守りました。
だから、蝉丸さん、月代ちゃんをみんなを守ってあげてください。
私は、こんなことしかできないけど、でも、蝉丸さんなら、切り抜けられる。そう、
信じてま……」
その瞬間、爆音が、響いた。
きよみの最後の断末魔として、島じゅうに、響く…。
その場に、残されたのは、無惨な躯だった。
生前の儚げな美しさはなく、ただ、惨い、肉塊になりはてていた。
だが、一部、無事だったその顔は、満足げに微笑んでいた。

【015杜若きよみ・腹部の爆弾により、死亡】
※荷物(特にCD)は、屋上入り口に放置。
581きよみパート書いたヤツ:2001/05/25(金) 01:06
残り人数忘れてました。

残り・61人
582111[前々+前スレ]@:2001/05/25(金) 01:19
JOKER:

    1 [略式]ばかげた事をする人、ふざけた奴、冗談の好きな人。
    2 どんなな影響か測れないもの。
    3 思いがけない事実。
    4 策略。


水瀬秋子の思考は常に大局の上にあった。
それはかつての経験によるものか、また自身が生来備えた素質のようなもののせいか。
それは誰にも分からなかった。
それはもはや彼女の特質として認められ、他人も、そして自身もそれを否定することは
無かった。
それが彼女にとっての、そして彼女の周りにとっての”普通”になっていった。
だがときにその振る舞いは他人から恐れられ、その冷静沈着さは人の怒りを買った。
水瀬秋子ですら”不完全”だった。
だが、むしろ”完全”などというものの方が、この世界に人間が勝手に作り出した欺瞞
あるということは言うまでも無いことだった。

多分、名雪は琴音ちゃんが追っていってくれているでしょう……。
琴音を放り出して、秋子は道を逆行していた。
――いや、正確には名雪を。
ふぅ……。
嘆息する。
穏やかな微笑、だが瞳にはかすかな憂い。
「やはりダメだったのかしらねぇ」
そもそもこの状況で正気を保っていられる方が普通でなかったのだろう。
常人にこの状況が耐えられるはずが無い。
名雪も知らず知らずの内に蝕まれていたのね……。
この島を包む、血と、硝煙と、死の匂いに……。
583111[前々+前スレ]@仮面2:2001/05/25(金) 01:21

「……だからといって」
だからと言ってあの子まで死んでしまうことは、
なんとしても避けなければいけなかった。

秋子はその言葉を最後まで口にはしなかった。

たった一人の娘。本来なら、今すぐにでも追いかけていって抱きしめてあげたい。
命に代えても守ってあげなくてはいけない。
だから……、今こうして名雪を放っておいたのは親としては恥ずべきことなんだろう。
あの子は……、優しすぎる。
それは他の参加者にも言えることだった。
今この島にいる人間のほとんどは無理矢理つれてこられ、なし崩しに殺し合いに
参加させられているのだろう……。日常を平和に生きてきた、会ったことも無い
彼らにとって、その要求はあまりに悪意にあふれたモノだったに違いない。

――ただ一人を除いては。
あの人物だけは分からない。あの人物だけは、私が掴んでいる情報の中で圧倒的に
他と”異なって”いる。
そしてそれが、一体この殺し合いにどのような影響をもたらすか……、それもまた
掴みきれていない。

その不審が消えないこともある。だが、それ以上に気になるのは主催者側の動向だった。もし前々回ゲームの生き残りとしての私が、彼らのシナリオの一端を担っていることに
なっているとすれば……。
そんなことを考えると、迂闊に自分が能動的になるわけにはいかなかった。

だが事態は私のそんな葛藤など無視して、無条件に進んでゆく。
それは主催者側の仕掛けた卑劣な罠。
『ジョーカー』
密かに島に入り込み、私たちと同じ境遇を装って接近し、一人づつ……、だが確実に
人間の命を狩っていく死の使い。
584111[前々+前スレ]@仮面3:2001/05/25(金) 01:21
だからこそ私は、少人数だけれど少しでも人間が無駄に殺されるのを防ぐために、
ここに留まった。
でも……、状況はそんなことを許してくれないみたい。

置いてきぼりにしておきながら、子供たちがこっちへ戻ってくる様子は無い。
当たり前のことだが、彼女たちを単体で行動させることに危険が無いなんてことは無い。だからこそ。
本来なら、今すぐにでも追いかけて、捕まえて、離さないようにしなくてはならないの
だろう。

だが、何も脅威はあの子達が向かった方ばかりにあるとは限らないのだ。
もうこの島において、安息できる場所などどこにも無いことは、とうの昔に分かりきっていたことだった。

スッ。

音も無く、袖口から小太刀を取り出す。左手にそれを構える。その構えは、
通常の剣を用いたところにおける剣術の、無行と呼ばれるものに酷似していた。
一つだけ違うところと言えば、刀身を逆手に構え、ある方向からはその姿を
確認できないようになっているところだった。

「……あなたも、そういう目的だったのかしら?」
秋子が呼びかけた相手は、彼女の後ろの方の、少し離れたところにいた。
――天沢未夜子。
一体どのような途を辿ってここまでたどり着いたのか、その表情は一歩間違えれば
廃人のように見えるほど虚ろだった。

「……あら、こんにちは」
声には、まるでそんなことに気付いていないような、いわゆる艶があった。
しかし、どうも彼女の様子は変だった。
声だけ聞けば……、確かに普通なのかもしれない。
でも、どこか覇気の無いような……。何かを偽っているような……。
そんなことを、秋子は未夜子に対して背中を向けたまま察知した。
未夜子は、口を小さく横に吊り上げて、引きつったような笑みを浮かべていた。
585111[前々+前スレ]@仮面4:2001/05/25(金) 01:22
「とぼけても無駄ですよ、大分前から近くにいたんでしょう?」
秋子は未夜子に呼びかけた。けして乱暴ではなかったが、あたりに良く通る声で。
「さあ……」
クスクスクスクス……。
引きつった口元は、かすかな笑い声へと昂揚していた。一体何がそんなに面白いのか、
その表情にはどこか無邪気さすらも垣間見えた。
「聞こえて……いたみたいね」
名雪の叫び声が。
彼女のことは、うすうす気配として捕らえることは出来ていた。
だからもし彼女が名雪を狙ったとしても、それを阻止する自信はあった。
だが、それはあまり考えたくないことでもあった。
「かわいい娘さんがいらっしゃるみたいですね――」
――やはり。
だが、それ自体に秋子が応えることは無かった。
「親子の絆というものは尊いものですよね……。ええ、私にも娘がいるから分かります。 あなたならご存知じゃないんですか? そんな事ぐらい。
 そうです、参加していますよこのゲームに。
 郁未……。私のかわいい郁未……」
「……なら、私たちは似たもの同士なのかもしれないですね」
秋子が静かに――未だ後ろを振り返ることは無く――言った。
「わざわざ見逃してあげた、とでも言いたいのかしら?」
「…………私は、ずっとFARGOにいたんですよ」
未夜子が発したのは、けして秋子の問いに答える内容ではなかった。
そう、まるでその語り口調は子供に昔話を聞かせるように……。
「ずっと私は一人だった、私は欠けたものを取り戻そうと思っていたの。欠けたものが
 なんなのかも知らずに。だからずっと考えた。そしてそれは幸せということだと
 思った。いろんな立場の幸せがあったの。それは娘としての幸せだったり、母としての 幸せだったり、女としての幸せだったりした。私はFARGOに入って、それらの人間と
 してのなにかを取り戻したかった。
 何かを得るためには何かを捨てなければいけなかったわ。だから私は平凡な日々を
 捨てたの。そしてここで気付いたの。何かを手に入れるために、何かを失わずにすむ
 方法を」
586111[前々+前スレ]@仮面5:2001/05/25(金) 01:23
秋子は何も言わない。ただ、空気のようにその場にいて、彼女の話に耳を傾けていた。
「それは力だったの。何者にも屈することの無い、脅かされることの無い、絶対の力。
 FARGOはそこに至る道筋を指し示してくれた――、だけど」
未夜子は、一度話を切って自嘲した。
「だけど、私にはそこまでいく事が出来なかった。私は選ばれなかったの。
 だから私には失うしかなかった……」
明らかに落胆していただろう内容。それなのに変わることの無い彼女の声のトーンは、
なにやら無気味に思えた。
「でもね、私の娘には力があった。選ばれるのにふさわしいだけの資質があったの。
 だから私にはそれがとてもうらやましく思った。そして、私があの子をずっと一人に
 していたことに気付いたの。一人、一人、一人、一人、結局、私があの子をそうして
 いたわ。だからね、私あの子の側にいて、ずっとかわいがってあげようって決めたん
 ですよ」
そう……、それは良かったわね。
秋子は心の中で相槌を打った。
「ああ……、あの子の好きなものをずっと作って上げられる。あの子の買い物にも付き
 合ってあげられる、あの子のおしゃべりの相手にだってなってあげられる。
 それは、郁未にとっても私にとっても本当に幸せなことだった……」
それならば、何故……。
喉まででかかった言葉を秋子は口の中で押しとどめた。
「でもね……、FARGOに二人分の居場所なんて無かった。二人そろって出るなんてこと
 できるわけが無かった。
 でも……、ここでならずっと一緒にいられる」
あなたの声は、そんなに乾いているの……。
「さっき、あの子に会えたんですよ。そごく驚いていました……、私があの子の目の前で あの子の友達を殺したことに」
秋子は未夜子のセリフにうすらさむいものを感じてきていた……。
「あの子ったら動転して私に攻撃しようとしてきたんですよ? おかしいでしょう。
 かわいい娘が親に向かってそんなことをするなんて」
587111[前々+前スレ]@仮面6:2001/05/25(金) 01:24
やけに饒舌に話す未夜子、岩のように口を閉じ黙して語らない秋子、奇しくもそれは、
お互いがお互いの正反対を映し出す鏡にでもなっているかのようだった。
「思わず、私も反撃しようかと思いましたよ? あの子、すごく震えていましたから。
 ええ、私からその場を離れたんです。郁未がそうしろって言うから」
未夜子の声に込められた気持ちのようなものが……、冒頭の頃とどこと無く変質してきている。秋子はそのことに気付いていた。
「私、その時思ったんです。殺してしまってもいいかなって」
さらにほんの少し、未夜子の口調が昂揚する。
「あの子言ったんですよ。
 ”今殺されるわけにはいかない。お母さんを止める人がいなくなるから”
 ”お母さんに殺されるぐらいなら、今ここで一緒に死んでもらうわ”
 なんて……。
 でもね、それもいいかなって。
 私があの子を殺してしまえば、ずっとあの子を側において置ける。あの子の側に
 いられる」
木々が、ざわめく。
「ずっと一緒にいられる、それなら私が一緒に死んでもいい」
空が、ざわめく。
「ずっと二人一緒……、私が生きていても、あたしが死んでも、結局あの子と一緒に
 いられることには変わりがないんですもの」
まるで、それ自身がその場に存在するのを拒むように……。

「そのために、私はこの役をかってでました」
588わたつみのような強さを:2001/05/25(金) 01:24
 死んだ。
 美凪も、みちるも。

 道を行く途中流れた放送で、往人は立ち止まった。
 守ろうと思っていた二人が。
 誰よりも大切にしていた二人が。
 死んでしまった。

 予感はしていた。
 ――ありがとう――そんな声が、あの時確かに聞こえていた。
 二人の、優しい声。最後に出会うことが出来たのだろうか、彼女達は。
 そうであって欲しい、きっと、そうだ。
 そう思い込むことにした。そうじゃないと、余りにも悲しすぎるから。

 夏の田舎町。
 旅の途中で路銀が尽き、必然的に留まることになった、あの町。
 夏と海の香りが風に運ばれ、どこまでも澄んだ青が、限り無く遠くまで広がっていた。
 交通の便も悪く、閉鎖的で、そこにある空気はまるで、千年も変わらぬものであるように思えた。
 廃線となり、人のいなくなった駅で、彼女達と出逢った。
 気付いたらいつも三人で、まるでずっと昔から、そうであったかのようだった。
 変わらぬ日々が、いつまでも続く、そんな錯覚を覚えていた。
 そしてその夢は、呆気無く、どこまでも呆気無く、終わった。

 感傷に浸るのはここまでにしよう。
 自分には、自分の役目が。

 一人また、死んだ。
 あんなものは理想論だ、現実は違う、そう思う。
 自分に出来ることは、ゲームに乗り無作為に人を殺す者を、殺す。
 主催者も、殺す。
 それだけだった。
 センチメンタルは他の奴に任せればいい。

 心に空虚を抱え、道を往く。
 それに押しつぶされない強さを。
 変わらない、わたつみのような強さを、もう持っていた。
589111[前々+前スレ]@仮面7:2001/05/25(金) 01:26
彼女の声に含まれていた笑いが、止まる。
「すべては、唯一つのことのために」
彼女は……、やはり裏の殺人者へと成り下がっていた。
ある程度予想できていたことだった。だがそれ以前から、既に彼女の心は破綻していたのではないか? そう秋子は感じた。

嘆くべきことだった。
本質的なところは、私と何も変わるところがない……。娘に対する、深い愛情。
それが悲しいまでに見事に反転してしまっている。
彼女は、もう一人の私の可能性。
今なお進行している、狂気の侵食。
そう、一人だったあのころとは違う、
私はもう一人ではないのだ――。

秋子の沈思黙考……、それは目の前、いや、後ろにいるはずの女性が自分を映す鏡であることを明確に肯定していた。

「ところで……。私たちは所詮母の立場でしかないですが……」
話のトーンが変わる。
秋子の無反応が気に食わなかったとでもいうのだろうか、未夜子は話を転換した。
「大好きな母親がいなくなってしまった娘は、どうなってしまうと思います?」

「!?」

秋子は後ろを振り向いた。そこには茶色い物体が向かって飛んできた!

ドン!!

秋子は一気に吹き飛ばされる。
だが、間違っても左手の小太刀を取り落とすことはしない。
590111[前々+前スレ]@仮面8:2001/05/25(金) 01:27
「あなただったら、分かりますよね?」
いささか笑みが混じった声。
立ち上がった秋子は、初めて彼女の顔を見た。
そこにあったのは、狂った一人の殺人者という、単純な人間では少なくとも無かった。

口が切れて、血の味が広がる。
秋子は口から血の塊を吐き出した。
「プチ主……ね。まさかこんなところで出くわすとは思っても見なかったわ」
秋子の呟き……。未夜子にも聞こえるように、やや大きい声の呟き。
「知っているなら話は早いわね。
 私が何を要求しているか、分かるでしょう?」
未夜子は……、平常な人間であれば不敵と表すのがもっともふさわしい表情で言った。

「ごめんなさい」
秋子は一言そう言った。
いぶかしむ未夜子。プチ主はその間に手元に戻ってきていた。
「生憎、まだ殺されるわけにはいかないの」
それに……。
「言うのは勝手よ、実現できるかはともかくとして」
未夜子はもういちどプチ主を放とうとした。

秋子は、小太刀を逆手に構えたまま、未夜子に向かって走り出していた。
「……無駄な抵抗ね」
走りよる秋子に向かって、未夜子はプチ主を放った。
プチ主は高速で秋子に迫った。だが、
「ふっ!」
体を沈ませて、縦に前転する!
そして秋子は、その軌道をまっすぐトレースするように小太刀を振るった。

スパン。

プチ主が真っ二つに分断される。正に刹那の出来事だった。
「それに、一度でも見たことのあるものに遅れをとるほど余裕は無いのよ」
果たしてその呟きが音声として認識されたかどうか……、
彼女は止まることなく、そのまま未夜子に接近していった。
591111[前々+前スレ]@仮面9:2001/05/25(金) 01:27
「ひ!?」
一瞬のことだった。未夜子が一言うめきをうげている間に、秋子の小太刀は
未夜子の胸から左腕を切り裂いていた。

血線が宙を飛ぶ。
未夜子はその一撃で錯乱していた。

「ひぃーっ、ひぃーっ」
右手で体を抑えつつ、未夜子はもときた方の反対へと逃げていった。
秋子は、なぜかそれを追おうとはしなかった。


「母親がいなくなってしまう娘を、あなたが仕立て上げてどうするというの……?」
秋子の表情は、少し沈んでいた。

592111[前々+前スレ]@仮面910:2001/05/25(金) 01:28
未夜子は逃走していた。
切り裂かれた痛みは鮮烈だったが、むしろ痛みより切られたこと事態が
大きな衝撃だった。
「ぐっ……」
苦しい……。
胸まで切り裂かれているのだから当たり前だった。
だが、むしろそんなことよりも今自分にはやらなければ行けないことがあったはずだった。
瀕死に追い込まれたせいで、いろいろな感情が爆発し、もう制御が利かなくなって
しまっている。
私は、死んでしまうのか……。
そうだ、だったら郁美を探さないと。
私が死んだことを知ったらあの子はきっと悲しむ。
だからあの子も殺して一緒に逝ってあげなきゃ。
みつからない娘を目指し、未夜子は血だらけの体を引きずるように歩いていた。風が吹く。
少し冷たく、でもあたたかい風が。

目がかすんできた……、なんだか視界が狭い……。
ぼやけた視界の中で、未夜子は何か黒い人影を見た気がした。


593111[前々+前スレ]@仮面11:2001/05/25(金) 01:28
風は風。
どこまでいっても帰ってくる。
それが風というもの。

大気は大気。
どこまでいっても広がっている。
それが大気というもの。

ほおを凪ぐやさしい風は、まるで子供をあやすゆりかごのようだった。


バシュウゥゥゥゥゥゥ!


千鶴は彼女の胸を、もとあったものよりもさらに抉り取った。「殺意なんていうものは……、所詮誰の心にも眠っている。
 所詮あなたは、ジョーカーにも母親にもなりきれなかったのよ……」そこから少し離れた場所で秋子が呟いた。

「――でも、状況に埋没した真のジョーカーが……、
 ふさわしい機会を待ち、この均衡を打ち破るべく潜んでいるわ……」


594強者の、綻び。(4/5):2001/05/25(金) 01:32
【強いと云うこと。(3/4)の続き。すみません、タイトル変更+5回になりました。】

「くっ……」
 目の前に銃を避けようと、梓は思わず身をよじる。
が、上にあゆがのしかかっているために思うように動けない。
 幾ら防弾チョッキを身に着けているとはいえ、頭を吹き飛ばされたらお仕舞いだし、
例えチョッキを狙われても、この至近距離じゃ貫通してしまうかもしれない。
 絶対絶命、だった。
「……この、卑怯者」
 せめて口だけでも、と梓は恐怖を押し殺して精一杯の悪態を吐く。
「いい度胸じゃねぇか。卑怯者らしく、存分に楽しませてもらってから殺してやろうか?」
 それでも御堂は冷静だった。静かに凄みを効かせて言った。
その言葉の意味を察して、梓の顔が青ざめた。
「ひっ……」
「ふん。張れもしねぇ虚勢なんか、最初から張るんじゃねぇ」
 あくまで御堂は冷静に言い放つ。そしてこのニ体の目標をどうしようかと思考する。
勿論、強化兵としての本能は、こいつらを殺せと命じている。――だが。
「……うぐぅ。殺すなんてダメだよっ、おじさん」
 梓の上に乗っかったまま、あゆが御堂をじっと見つめて、そう言った。
ち、と御堂は舌打ちする。
「……馬鹿かお前。まだそんなこと言ってるのか」
「うぐぅ。ボク、馬鹿じゃないもん」
「言ってるだろうが。殺し合いなのに、殺さないでどうする?」
「そんなことしないでも、みんなで一緒になればきっと帰れるよっ」
 御堂にとっては反吐の出る、甘い考えだった。御堂は何も言わずに、
ただ、銃口を向けたまま冷たい眼で二人を見ていた。
 しん、と。死の気配が辺りを支配する。
梓とあゆにとっては気が狂いそうになるぐらいの恐怖の時間。
――だがしかし。それを打ち破ったのは、他ならぬ御堂だった。
595強者の、綻び。(5/5):2001/05/25(金) 01:32
「もういい。――おい、お前。殺さねぇでやるからこのガキを連れてどこかへ行け」
『え?』
 意外な御堂の言葉に、梓とあゆの声がハモった。
「そいつがいると何もできねぇ。……そのガキは邪魔だ」
「うぐぅ。邪魔ってひどいよっ」
「黙れ」
「ひぐぅっ!?」
 あゆは自分に向けられた銃口に思わず悲鳴を上げる。
「いいか。今回だけは助けてやる。だが、次は無ぇ」
「……ど、どういうことよ?」
 うぐうぐと震えるあゆを両手で抱きしめて庇いながら、梓は御堂に尋ねる。
「言葉通りだ。次に遭った時は、その頭をふっ飛ばしてやるって言ってるんだよ」
「だ、だったら何故、今襲わないのよ……?」
「……」
 梓の問いに、御堂はしばし沈黙する。
――そして、ため息でもつくかのように言った。
「……知るか。ほんの気紛れだ」
「うぐぅ、おじさん……」
 あゆが何か言いたそうだったが、御堂は銃を構えたまま走り出した。
『ち。なんだったんだ、あのガキは。調子が狂うったりゃありゃしねぇ』

 御堂は走る。本来の目的を果たすため。坂神蝉丸を打ち破るため。
――だが、あゆと会う以前に持っていた強化兵としての本能は。
冷静に只、敵を討つだけの本能は、少しだけ。ほんの少しだけ、綻びが見えていた。

『俺は、坂神を倒すためだけにここにいるんだ。他のやつらがどうなったって構わねぇ。
――だから、見逃してやったんだ』

 御堂はそう言い聞かせると、更に走る速さを上げる。
……その背中にはいつの間にか、離れえぬようにぎゅっとしがみついたぴろの姿があった。
596強者の、綻び。(5/5):2001/05/25(金) 01:34
すみません、忘れてました。

【御堂 蝉丸を探して単独行動(ぴろ付き)】
【柏木梓 月宮あゆ 合流】
【時間帯は放送前の出来事】

と、いうことで。お願いします。
597名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 01:36
>>595
流されぬよう?
………………いや、なんでもない。
598111[前々+前スレ] :2001/05/25(金) 01:37
修正
>>586
殺した=殺そうとした
>>592
仮面910=仮面10

それからかなり改行ミスってます。
本来的にぼくはかぎ括弧の後に文は続けません。
また、通常文も読みやすいところで改行し、
常に右文字詰めで書いております。
申し訳ありませんがデータ処理の際にはそこを修正していただけると
幸いです。
599111[前々+前スレ]:2001/05/25(金) 01:42
>>598
あ、普通にブラウザのサイズ変えれば改選されるじゃ〜ん。
はずかし〜〜〜。
600111[前々+前スレ]:2001/05/25(金) 01:46
>>593
たびたびスマソ〜。以下が正しい行回し。
千鶴は彼女の胸を、もとあったものよりもさらに抉り取った。

「殺意なんていうものは……、所詮誰の心にも眠っている。
 所詮あなたは、ジョーカーにも母親にもなりきれなかったのよ……」

そこから少し離れた場所で秋子が呟いた。

「――でも、状況に埋没した真のジョーカーが……、
 ふさわしい機会を待ち、この均衡を打ち破るべく潜んでいるわ……」

601名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 01:49
で、未夜子は死んだのかな?
【残り60人】?
602111[前々+前スレ]:2001/05/25(金) 01:53
>>601
そのとおりです。
僕が書くときはそれは入らない前提ですね(泣)
たびたびたびたびスンマソン〜。
>>482
業務連絡〜業務連絡〜。
479氏、続きは書いておきましたので確認よろしく。
603無知の中の死(1/1)By林檎:2001/05/25(金) 03:25
「この住井護様ともあろうものが…はは」

ガッ!

 脳天に衝撃が走る。
 冬弥の特殊警棒。
(まぬけだなぁ…)
 住井の頭から血が次々と流れ出す。

(いろいろあったな。
 美咲さん。綺麗だった。
 最初に出会ったときは怯えてたな。
 でもすぐに打ち解けて。
 彼女はまな板を持ってたんだ…。
 違う。ノートPCだったんだ。
 従兄弟。潤に渡せばどうにかしてくれる。
 俺の携帯と合わせりゃなんとかできるかもしれない。
 探して。
 緒方英二さんが出てきて。
 なんであんな奴さん付けしてんだ! 俺は!
 クソ!!
 美咲さんを預けちまって。
 そうだ。キスされたんだ。
 別れてすぐに放送があって。緒方の野郎の嘘がわかって。
 変なチビガキにスネ蹴られて。
 違う。その前にもう美咲さんを見ていたんだ。
 あん時からもう狂ってたのかな? 俺。
 あのチビガキに縛られて…。
 …………。
 そんな趣味ないのに…。
 ………………。
 変な二人組に近づいたら左肩肉吹っ飛ばされて。
 美咲さんにナイフを渡されて。
 違う! もう死んでいたんだ。
 俺がナイフを取っただけだ。
 くそ! なんでこんなに間違えるんだ!!)

 彼は気づいていない。
 最も大きな間違いに。

(美咲さん。
 誰かに先を越されたけど、
 緒方の野郎は…。
 美咲さんのかたきは死んだってさ…)

 冬弥は住井の落としたバタフライナイフを拾う。

(ああ、潤のやつにも会いたかったな)
”もずくを食べる時ってなんで猫背になるのかな?”
 こんな話題で五時間は論議ができるおもしれー奴だった。
(いい奴だったな)

『ジジ…みんなーお昼の時間だぞー』

 住井の胸に…。突き立てられた。

「うっ…みさ…き…さ……」

『以上だ。ペースアップしてきたじゃないか 』

 冬弥は初めて人を殺めた。
 なのに…。
(放送と同時に死ぬと…。発表されないんだな…)
 頭に浮かぶ言葉はあまりにもつまらないものだった。

【住井護 死亡】
【残り59人】
【定時放送と同時】
604荒門:2001/05/25(金) 03:28
どうしよう。
結界組となつみの戦闘を書いてたら舞・佐祐理チームと芹香・スフィーチームは
もう他の方が書かれたようで使えなくなってしまった。
本編に反映されなくてまったく構わないので、のっけてもよろしいですか?
いいかどうか反応おねがいします。
ちなみに内容はかなりアレな感じですが…
605偽りの円舞(1/4):2001/05/25(金) 03:30
【放送以前】

走る。
高槻を追って。
そして…駆けてゆく誰かの白い服が、前方に見えた。
パン!
「きゃあぁ!」
「っ!智子っ!」
背後からの銃弾を腕に受け、智子が倒れこむ。駆け寄ろうとする晴香。
パン!
智子を撃った兵をマルチが倒す。
「晴香さん、行ってください。保科さんは私が!」
倒れたまま、智子が叫ぶ。
「せや!早ぉ行きや。高槻は目の前やで!」
「…わかった。マルチ!智子を任せる。」
「はいっ。必ず安全な場所へお連れします!」

再び駆ける。使えるだけの「力」を駆使して、スピードを上げる。
そして…
「高槻いっ!」
目の前に、高槻の姿を捉えた。

ここは最上階。
最奥の部屋に、高槻が逃げ込む。
追いかけ、そこに飛び込む晴香。
「いた!」
壁を背にし、シニカルな笑みを浮かべている。
…ついに辿り着いた。ここまで。
銃を構える。致命傷とはならないが、深手を負わせられるように、狙いをつける。
「どこを見ているんだ。」
後ろからそう声がし、振り返る。そこには…
スタンガンを手に晴香に迫る、もう一人の「高槻」がいた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
追記:ここまでが放送以前。
   これ以後のシーンは午後の出来事。
606名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 03:31
ダメ
607偽りの円舞(2/4):2001/05/25(金) 03:31

…気がつくと、薄暗い部屋の中にいた。
両手両足を頑丈な車椅子に固定され、身動きが取れない。
「…お目覚めかな、巳間晴香。いや、C-219。」
部屋の一部にライトが当たる。
そこには、下卑た笑みを浮かべる高槻がいた。

…ずっと憎んでいた、この男を。
悪夢のような日々を思い出し、その元凶たる男の睨みつける晴香。
「そんな恐い顔をしなくても良いだろう。これでも俺は、おまえの初めての男なんだからなぁ。」
「貴様っ!」
「はっ!威勢がいいな。だが、これでどうだ。」
カッ!
高槻の背後が明るく照らし出される。
そこには…身体を拘束され、壁に張り付けられた…智子と、あかりがいた。
「嘘…。」
二人とも、衣服をはぎ取られ、裸のままだった。意識が無いようで、頭をうなだれている。
「うそだぁ…。」
「あははははは。残念だったな。おまえの仲間は、すでに俺の手の中だ。」
言って、智子に近づく。
「悔しいか。憎い男に仲間を奪われて!」
智子の胸を、無造作につかむ。
「ほう、この女、お前よりも胸が大きいな。」
「やめろーっ!」
今度はあかりに近づく。頭をつかみ、その頬に舌を這わせる。
「やめてえぇ。お願い…」
その舌を強引に、口の中に突っ込む。なすがままにされるあかり。
「コイツらは、手篭めにしようが、どうしようが俺の自由にできる。」
「いやぁ…。」
「どうだ!悔しいだろう!こんなゲスにいいようにされて!」
涙を流しながら、晴香は二人を見つめる。
「コイツらを助けて欲しいか?なら、俺を感動させてみればいい。
 俺だって人の子だ。熱い友情を見せつけられたなら、情に負けて屈服してしまうだろう。」
「友情…。」
「そうだ。こいつらを救う為に…そうだな、まずは参加者を10人ほど殺して来い。」
そんな…。言葉を失う晴香。
「そうすれば、助けてやらんでもない。そうでなければ、こいつらは俺の慰み者だ。」
「……。」
「どうする。大事な仲間を見捨てるか、それとも見知らぬ他人を殺すか。」
この男は本物のゲスだと、晴香は知っている。あかりと智子が、どんな目に遇わされるか…
「…わかった。」
「ほう、では友情の為に殺人を犯すというのだな。では行け。
 そしてこのゲームのジョーカーとなれ!」
608一つの愛の形(1):2001/05/25(金) 03:31
 どうして、こんなことになったのだろう。
 何がいけなかったのだろう。
 隣を歩く佐祐理をじっと見る。
「ふぇ〜、舞、どうしたの〜」
「……なんでもない」
 それはいつもと変わらぬ佐祐理で。
 でも、佐祐理はもう、壊れていて。
 せめて、佐祐理は元の佐祐理に戻って欲しい。
 そのためなら、私は……

 二人の前に、突如影が躍り出た。
 左腕はボロボロで、全身傷だらけで。
 瞳だけが、まるで獣のようにギラついていた。
 深山雪見――
「……人を探しているわ。
 黒髪でおしとやかそうな女の子、大きなリボンをつけた小さくてかわいい子。
 この二人を殺した奴を探している。覚えはない?」
 静かに、暗い声で問う。
「……知らない」
「佐祐理もですねー」
 二人は揃って答えた。
 返事を聞いた雪見の表情に、失望の色が宿る。
「そう、なら用はないわ。私の気が変わらないうちに消えなさい」
 ――よくもまぁ、そんなことが言えるわね、私
   もう、ろくに戦えないというのに――
 自嘲しながらも、残された右腕はしっかりと、アサルトライフルを構えていた。
「待って、怪我してる……」
「だめですよーっ、舞ーっ」
 大怪我を追っている雪見を気づかいかけよろうとした舞を、佐祐理はとめた。
 そのまま、雪見に向かって銃を構え、言った。
「あなたも舞を殺そうとするんですねーっ。
 あははーっ、そんなこと、この佐祐理が許しませんよーっ」
「!? だめっ、佐祐理っ!!」
 舞が叫ぶ。
 だが佐祐理は耳を貸さない。
「そう……じゃあ死になさい、あなた」
 雪見もアサルトライフルを佐祐理に向け……。

 ダンッ!

 撃ったのは、佐祐理の方が早かった。
 そのまま、舞の体が崩れ落ちた。
609偽りの円舞(3/4):2001/05/25(金) 03:31

外に連れ出され、自由の身となった晴香。
だが、彼女の心は漆黒の闇に拘束されていた。

…友情の為に殺人を犯すというのだな…

そう。全てはあかりと智子を救うため。
もう、最初の目的など、どうでも良かった。
もし、わたしと同じこと…いや、それ以上の過酷な仕打ちをあの二人が受けたら…。
わたしにとっては、「不可視の力」の扉をあけてしまったほどの苛烈な仕打ちを、
あの二人が受けることになったら…
「そうは…させない。」
どうせ、この両手はたくさんの、本当にたくさんの血で汚れている。ならば…
死神に身を落とすことは、運命なのかも知れないと、そう思った。
610名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 03:32
あっちゃ…。総ボツった。
611偽りの円舞(4/4):2001/05/25(金) 03:32

晴香のいなくなった部屋で、一人ほくそ笑む高槻。
「簡単なものだな。小娘を騙すということは。」
そう言い、ポケットから取り出したメスを、あかりの頬に突き立てる。
つーっつと、そのメスを縦に下ろす。
その下から現れたのは…量産型メイドロボットの、冷たいマスクだった。「智子。我慢してね。」
その傷ついた肩を治療しながら、あかりが呟く。
「うん。あ、いたたたたっ!」
智子たち三人は、マルチの機転により中継基地を脱出していた。
…あの時、晴香の身体を担いだ高槻が、部屋から出て行くのを目撃した。
しかし、他の兵に遮られ、助けることが出来なかった。
かろうじて再び敵のジープを奪い、ここ…出発地点の一つである建物まで来るまでに、
高槻の放送で…少なくとも、晴香が生きていることを確認できた。
「全く…どないしよ。」
幸い腕に受けた銃弾は貫通していた。痛みは激しいが、動けないわけではない。
「どうにかして晴香を助けんと…」
その後ろでは、マルチが声を上げて泣いている。
「セリオさーん。どうして死んじゃったんですかー」
この建物の付近で見つけたセリオの死体。その上で泣き崩れている。
…こんなふうに、知らん間にわたしらの知り合いも、死んでいってるんやもんな。
「やっぱ…あいつに頼るしかないんかな…」
藤田浩之。すでにこのゲームに乗ってしまった友人。だが、本来なら一番頼りになる人物。
晴香を取り戻すためには、彼の力がどうしても必要だと思う。
…それに、晴香と同じ「不可視の力」を持つ者たち。
「とにかく、仲間になってくれる人を探して、晴香を助けるんや…」
そう呟き、窓の外。青く広がる空を見つめた。
612偽りの円舞 追記:2001/05/25(金) 03:36
あら、改行ミスった。
4番目の5行目、冷たいマスクだった。の後に改行が抜けてました。
すみません。

晴香、ジョーカーになっちゃいました。
智子達と出会わなければ、ジョーカー状態が続きます。
あとは、他の書き手さんにお願いします。

613一つの愛の形(2):2001/05/25(金) 03:48
 これでよかった……。
 あの人は……生きてる……。
 驚いているみたい……。
「舞っ、舞っ!」
 佐祐理の声が、遠くから……。
「……さ、ゆり……。
 もう、人……ころさないで……。
 ……さゆりが、そんなこ、とす、るの……
 見たくないから……」
 最後に私は笑えただろうか?
 佐祐理に笑いかけることができただろうか?
 佐祐理……
 ……佐祐理……
 ……さ、ゆ……り……

 雪見は目の前の光景が理解できなかった。
 それは佐祐理も同じだった。
 佐祐理の方が遥かに、銃を撃つのが早くて。
 もう終わったと、思った。
 次の瞬間、舞が佐祐理の手をつかみ、そのまま自分の方に向けた。
 それだけだった……。

「舞っ! 舞ぃぃぃ!
 どうして、こんなことするの!?
 佐祐理は舞のためにやったんですよ?
 舞が大好きだから、守りたかったから殺したんですよ!?
 どうして、舞っ!
 ま……」
 物言わぬ舞に抱き着き、喚く佐祐理。
 その隙を逃すことなく、雪見は持っていたナイフで、佐祐理の喉を切り裂いた。
 佐祐理は、一体どこで道を間違えたのだろうか。
 遠い昔に一弥を失い、そして、自分の居場所とも言える舞と出逢って。
 その時から、想いは曲がった方向に進んでいたのかもしれない。
 今となっては、わからなかった。
 舞と佐祐理の関係、最後に舞の言った言葉。
 それらは雪見にわかるはずもなく。
 血のついたナイフを拭い、佐祐理の手から銃を奪い、放り出したアサルトライフルを持ち直した。

027川澄舞 035倉田佐祐理 死亡
【残り57人】
【佐祐理の銃は雪見が回収】
【舞の武器(あったか?)は放置】
614名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 04:17
雪見の快進撃は続く。
615名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 04:21
今回は雪見というより、舞と佐祐理の自滅でしょ。
『まさかこのようなところで貴様と会うとはな。』
『かの裏庭で一戦を交えた以来か。俺に敗れて北に流れたと聞いていたが。』
『ああ。あのときの屈辱はいまだ忘れられぬ。』
『借りを返すには絶好の機会とでも言いたいのか?あのときの惨敗忘れたわけではあるまい。』
『黙れ!今の俺は違う!今の俺には守るべき人がいる。』
『その老人のことか?笑止!己の牙と爪、その他に戦いに意味あるものはない。
 さぁ、来い!格の違いというものを教えてやる!』

「うなー、にゃあにゃあにゃ。」
「ぴこぴこぴこっり。ぴこっぴっこ。」
「にゃあ。うにゃにゃあにゃー。」
「ぴこぴっこ?ぴこぴこぴっこりぴこぴこぴっこ。」
「にゃ!ふー!うなーうにゃ。」
「ぴっこりぴこ?ぴっこり!ぴこぴこぴっこり。ぴこ!ぴっこり!」

「にゃあだのぴこだのうるせぇ!」
付きまとう猫とどこからかやってきた毛玉に御堂は叫んだ。
「なんなんだよ次から次へと、ったく。暴れんなこら!」

【ポテト、御堂とピロと合流】
617無言、そして消えぬ罪1:2001/05/25(金) 04:54
『以上だ。ペースアップしてきたじゃないか。』
『この調子で頑張ってくれよ、ハハハハッ………』
どれだけの放送機器があるのかわからないが、島中に響き渡る不快な嘲笑。
それは最果ての海岸の岩場までも届く。
ただ明るい調子のその狂気の言葉が、現実を妙に遠く感じさせる。
楓は何も言うことができないでいた。
姉妹達、そして耕一の名がないことだけを確認して、ほっと胸を撫で下ろす。
「……」
そして玲子。――ただ泣いていた。
楓はハッと玲子の表情を覗き込む。
――知り合いの名前があったんですか?――その言葉もまた言えない。
やがて、玲子が涙を拭う。
楓の思いを汲み取ったのか、笑って
「違うよ。ただ……悲しかっただけ。私の知り合いは、せんどークン一人しかいないから。」
でもそれは寂しげな瞳で…
「……」
「どうして…こんなことになったんだろうね。」
見知らぬ他人の為に涙を流す、それが楓には出来ないでいた。
「楓ちゃんは強いね。こんなときでも。」
――違う、そう言いたかった。でも言えないでいた。
…結局自分の中に住み着いている鬼は、楓を人ではなくしているのかもしれない。
前世の記憶、最愛の男性を守るために同朋を、姉妹を、裏切った女。
そしてエルクゥとして切り捨てた数々の命。
そんな自分に、この世界は日常よりもより日常であったのかもしれない。
あの頃の、あの時の私は、まさしく修羅であったのだから。
618無言、そして消えぬ罪2:2001/05/25(金) 04:56
「休憩、終わりだね。……行こうか☆」
玲子が食したパンのゴミを投げ捨てると立ち上がった。
「これから……どうするんですか?」
楓がふと現実に引き戻される。
「脱出ルートを探さなきゃならないでしょ、帰るために。…生き残った人みんなでね。
私はね、やっぱりどこかに秘密通路があると踏んでるのよ。それでね――」

途中から楓の耳には何も入らなくなっていた。
迷走する想い、あの時の約束。
そして、ここでの約束。

――だったら、一緒にココを出ようね。約束だよ☆――

右手に光る鉄の爪が、より鬼の感情を呼び起こす。
(きっと私は一緒には出られないかもしれない。
かつて、血に魅せられた私が、確かにここにいるんだから。)
次郎衛門、その名が心にある限り彼女もまた殺意を呼ぶ鬼の娘だから。
胸を押さえて、少し寒さに震える。

それでもまた二人は歩き出す。この島を脱出するその時の為に。
619現実(1/2):2001/05/25(金) 05:07
和樹は自分が少しずつだが自分の考えが絶望へと傾いていくことを
感じずにはいられなかった。
行けども行けども死体しか発見できない。
そして正午の放送が追い討ちをかける・・・・・・千紗ちゃんが死んでいた。
瑞希、大志、由宇、郁美ちゃん、千紗ちゃん
こみパの仲間たちが次々と消えていく、たとえ助かったってもうあの日々は帰ってこない。
自分のすぐ隣でクスクスと笑い声が聞こえる
・・・・・・?、詠美?
「あはははっ、わかったわよ、ぽちぃ〜、これは全部夢!夢なのよう。」
「きっと、朝起きたら、いつものベットであたシはお魚にエサをあゲて、それかラがッコ行って
 原稿カいて、こみパでしたぼくがいっパい待っていて・・・・なのにどうして目が覚めないのぉ〜。」
「夢じゃ・・・・・ないんだ、俺たちは今ここで、殺し合いをしているんだ・・・・」
「うそぉ、パンダいルんでしょう!、ほらハリセン持って出てキなさいよ、ほうら出てこないわよ!
 アイツがいない時点で夢なのよ。」
「詠美・・・・由宇はもう死んだ。」
「あははハはは〜ほぅらやッパり夢〜ぽちがそンな酷い事あたシに言ウわけ無いもの」
・・・・・・・・・・狂い行く詠美を見ているうちに、和樹の心の奥底に秘めていた
今まで必死で押さえつけ、殺してきた感情が溢れ出していった。
もう、止められない。
620現実(2/2):2001/05/25(金) 05:08
「目を覚ませ!詠美、俺だって、俺だってこれが夢ならどれだけ良かったと何度思ったか・・・・だけど現実なんだよぉ
 瑞希も大志も由宇も郁美ちゃんも千紗ちゃんも皆死んだんだ!!、夢じゃないんだ!!
 夢じゃないんだよぉ〜〜〜〜!」
「帰りたい、帰りたいよぉ〜〜またこみパに行きたいよう〜でも、でももう誰もいないんだぁ。」
「死にたくない、死にたくないよう、でもでも怖いんだよぉ・・・・・どうすりゃいいんだよぉ
 誰か教えてくれ!大志ぃ、瑞希ぃ。」
いつのまにか和樹は詠美のひざの上で泣きじゃくっていた、そして詠美の瞳からは狂気の熱は消え
意志の光が戻っていた。
「ごめんね、かずきも辛かったんだね・・ごめんね、ごめんね、あたし助けられてばっかりで
 あたし1人だけ楽になろうとして・・・・逃げたりして。」
「もう大丈夫だから、あたしもう大丈夫だから、現実から眼をそむけたりしないから・・・・だから和樹も泣かないでよ。」
詠美は力いっぱい和樹の体を抱きしめる。
「怖いなら・・・・ずっとこうしてあげるよ・・・・それとも瑞希さんじゃないとダメ?」
「え・・・いみ」

そして2人はごくごく自然にお互いの肌を重ね合わせ、男女の行為へと及んでいった。
今こうしている間にも誰かが死んで、もしかしたら自分たちが殺されるのかもしれない。
それでも、たった1つくらいは肯定できる現実が・・・・・絆が欲しかった。
生き残るための支えが。
621名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 05:29
うわ、久々に見たらいつのまにか#5までいってる…
#3が立った頃までは知ってたけど、えらい短期間でここまで…
622僕とノートとヤンキーと:2001/05/25(金) 06:03

 ふう、と一つため息をついて北川潤(男子・029番)はノートパソコンの電源を落とした。

 ノートを立ち上げたとき、初めに北川が目にしたのは、彼もよく知っているありふれたOSの起動画面だった。落下のショックで破損してないことを確認すると、早速ノート内部のシステム周りをチェックしはじめた。あらかた中身を調べてみた結果、彼の確認した限りノートにはただOSがそのまま入っているだけで、まっさらな状態であることくらいしか分からなかった。
 ただ、気になったのが中に挿入されていたCD-ROMだった。表面のレーベルには「02/04」と書かれ、中身を調べても同じように"02"と書かれたフォルダに、同じく"02.nag"と書かれたファイルだけが入っているだけで、他は特に何もなかった。
 ただ、ボリュームラベルに「Cancellation_02」と付されていたこのROMの存在は先ほどから北川の心を捕らえて離さなかった。

「きゃん、せ、れいしょん……か」
 殺し合いもさることながら、腹の爆弾やら、ミサイルやらでこっちはお腹一杯だというのに、ここに来てまた一つ謎ができてしまった。そこで北川は肝心な事を忘れていた自分に愕然とした。それまではレミィ云々でそれどころでは無かったのである。

「そうだ、爆弾だ。アイツが言ったとおり本当に俺達の中に…」

 ──君たちが眠っている間に、胃の中に爆弾を仕込ませてもらった。
 ──遠隔操作で自由に爆発できるようになっている。

 高槻は放送で自分たちの中に爆弾を仕掛けたと言ってた。そしてさらに36時間以内に生存者が25人まで達してない場合、この島を吹き飛ばすとも。そしてその言葉を思い出すと北川は軽い嘔吐感を覚えた。
623僕とノートとヤンキーと:2001/05/25(金) 06:04

 ──あ、吐き出そうなんて考えるなよ。
 ──吐いたらその瞬間即ドカンだ。
 ──吐き気には注意することだな。

「くっそ、便通で流れ出た場合はどうなるんだっての。適当なこと言われても困るんだよなこっちはよ…」

 変な先入観があると、どうも自分の身体とはいえ信用がおけなくなる。北川は傍らにいる宮内レミィ(女子094番)を振り返って尋ねた。
「なあ、レミィ。お前、腹の調子が悪いとか変だとかないか?」
「え、どうして? ぜんぜんないともないヨー。オールグリーン! パーフェクトだヨ!」
 ぽんぽんと自分の腹を平手で叩きながらレミィは答える。あれだけ水っぽいもずくを浴びるほど食したというのに、まったくたいした消化器だと北川は思う。
「ん…そうか。わかった」
 やはり杞憂なのだろうか。それぞれの腹に仕掛けられた爆弾。主催者のほしいままに爆破させて人を破壊する爆弾。本来自分達の全滅をあちらさんが願っているのだったら、一挙に爆発させて覆滅させてしまえばそれでよろしい。または高槻が嬉しそうにほのめかしていたミサイルでもよかろう。まさに、どかんと一発、驚きの白さに。
「やっぱりブラフ……なのか?」

 大地にあぐらをかき、あごに指をあてて考え込んだところで結論はでない。だめだ、断定はできない。どう考えても情報が足りなさすぎる。さらにはボリュームラベルのあの単語”cancellation”。つまりは解除か。どういう意味なのだろう。これで何を解除できる? 何が解除される? 爆弾かミサイルか─はたまた彼らの防衛システムか。
 もう一度反芻してみる。実際このノートパソコンやCD-ROMが、あちらさんからの支給品であるとすれば、彼らにとって首を絞める物をこちらに送りつけたとはとても考えられない。また、殺し合いをやってる最中にいくらでも支給品は損壊する可能性がある。結局これらは最初から「あっても無くてもいいもの」、と考えてもいいのだろうか。
 となれば、仮にこのROMやノートが ”解除”されて向こうに痛くないものとはなんだ?
624僕とノートとヤンキーと:2001/05/25(金) 06:04

「やーめた」
 あぐらを解いて地面に大の字になって寝転がる。身体を伸ばしたときに全身がぽきぽき音をたててほぐれていくのがものすごく心地よい。
「やめちゃったんですカ〜?」
 よく分かってない、いやおそらく何もわかってないレミィがニコニコしながら北川をのぞき込む。見る人を安心させる微笑みだ、北川はそう思う。普段の彼女ならば、周りに友達や恋人を欠かすことはまず無いのだろう。

「そ、やめちゃったの。普段頭使ってないからさー、なーんか脳ミソがオートミルにかけられちゃってみたいにドロドロになっちまった。冷えて固まってムースになるまで当分は頭使わないことにしたんだ」
「あははっ、ジュンのノーミソがムースになるの? ちょっと振ってみたいデスー」
「だめだめ! 今振られると元に戻ったときおかしくなっちまうの!」
「きゃははっ! いいじゃなーい、なんか、おもしろそーダモン!」
「やーめーろーよーぅーぁー」
 そういってレミィは北川のすこし栗毛がかった髪に包まれた頭を両手でつかんでやさしく揺する。そうやって無防備に自分にじゃれついてくる彼女を見て北川は少し気恥ずかしくなった。

(ん、考えるのはやめだ。後は態度で示すとしますか。)

「さぁ、レミィ・クリストファー・ヘレン・ミヤウチ! 休暇は終わりぬ、だ。僕たちを外の雑音から守ってくれた庇をとっぱらうのは少々心苦しいけれども、そろそろ僕たちも書を捨てて町に出るとしますかぁ!」

 急にがばっと立ち上がった北川に、一瞬面食らった様子だったレミィだが、すぐにいつものスマイルにもどって、親指を彼の前に突き出した。

「イエス! ジュン、わっかりましタァ!」

 ま、殺し合いだけが脱出への方法とも限らないでしょ。地見屋だって立派な職業だしな。そうだろ、護?
625偽りの仮面1:2001/05/25(金) 06:30
初めての遭遇。それは玲子をおびえさせるには充分な出来事だった。
「だ、誰!?」
武器としては頼りない釘バットを両手で構え、前方を見据える。
細かに震える玲子より一歩前に出るように楓。
右手に装着された爪が不気味に輝く。
「あ、あら……」
息も絶え絶えなその眼鏡の女性、――牧村南が二人の姿を見つけ、たじろぐ。
「……」
既に戦闘モードに切り替わった楓は、いつでも動けるようグッと腰を下ろす。
鬼の力はほとんど封印されている。力も機敏さも鬼のソレの比ではない程発揮できない。
だが、幸い楓には使いやすい武器がある。
格闘戦であれば、闘いの素人相手に負ける道理は無い。その位の力の行使は可能だ。
この場合の問題はそこではない。敵の武器が楓にとって不利なもの――たとえば重火器――である時、
そして横で震える玲子だった。
「……」
玲子の前へと少しずつすり足で移動する。
相手もこちらを伺い、慎重に間合いを詰める。
それはとても長い時間だった。
それを破ったのは玲子の戸惑うような一声。
「あの…こ、こみパに……いませんでした?スタッフか何かで。」
「……こみパですか?スタッフですよ。」
少し柔らかい口調になる。場の空気が少しだけ緩やかなものになった。
「私に戦う意思はないんです……あなた達もそうなら、その物騒なもの、しまいませんか?」
南が両手を広げ、それを強調する。
「……助かったの……かな?それにしても……本当にこみパの人だったなんて…」
玲子が胸を撫で下ろしながら、本当に安心した顔をする。
「私もです。本当に世界は狭いわね……私も、別の意味で驚きました。」
二人が戦闘体制を解いても、楓は構えを解かなかった。解けなかったといったほうが正しいだろうか。
今までで一番強い黒く、嫌な予感。
「どうしたの?楓ちゃん。この人、この声、確かに聞き覚えがある。…さっきこみパの話したよね?
そのスタッフの人なんだ。毎回大きな声が通ってるの聞いてるから間違いないよ。」
楓が爪を下ろした。玲子にそう言われてはそうするしかない。
だが、爪は装備したままだった。
「えっと、お名前教えていただけるかしら?」
南は荒れた息を整えて、にこやかに笑った。
626偽りの仮面2:2001/05/25(金) 06:30
「玲子ちゃん達…そう、脱出ルートを探してるのね。」
南が話を聞き終えて感心したように呟く。
ゲームが始まり、初めての遭遇。それが殺人者でなくてよかったと楓は思う。
(でも何でだろう、この胸騒ぎ。)
楓の思考をよそに、南の話が始まった。
「私はこんなゲームのこと、よく分からなくて…帰りたいってだけ思ってたんですけど、
狂った人たちに襲われて、それで走ってたんです。」
本当に人心地ついたように南が笑った。
「詳しく話そうにも何がなんだか…この位しか分からないけれど、いいかしら?」
ゲームに乗せられ、狂ってしまった人達がいる。その事実に楓と玲子の顔が曇る。
(何で、この人は笑って話せるんだろう…)
――私のように、血に染まった過去があるわけでもないのに…
それは憶測に過ぎなかったが、ささくれとして楓の胸に波紋を呼び起こす。
「それで、お願いがあるんです…一人だと心細いので御一緒してもいいかしら?」
南の言葉に、玲子は二つ返事で了承の意を唱える。
「楓ちゃんも、いいよね。」
「玲子さんがそういうなら、私は構いません。」
確かに、この島を一人で行動するのは得策じゃない。
このまま一人にさせるわけにもいかない。
「とりあえず……周りに追ってきている気配はないみたいです。少し歩きませんか?」
楓の問いに、
「え、ええ、いいですよ。楓ちゃん、玲子ちゃん、よろしくお願いしますね。」
南と玲子が並んで歩く。こみパの話だろうか。漫画やゲームのキャラクターの名前が飛び出す。
(きっと気のせいですよね。)
楓は無意識のまま気づかない。記憶の彼方にある前世の自分が、
右手にある爪をはずさなかったことに。
>>593仮面11から続きです。

(真のジョーカー…)
「そう-----ですか」
構えもなく、だらりと垂らした手の先には鉄の爪。
風になびく黒髪が夜闇のように美しく、開いた左手は薔薇のように紅かった。

ひゅん、と空気が鳴る。
その短い悲鳴が耳に届いた時には既に爪と小太刀が交わっていた。
どちらからともなく、吸い込まれるように二人は踏み込んでいた。
そこに殺意が介在していたかは、誰にも解らなかった。

柏木千鶴 [鬼]。
秋子は前大会参加時の知識で鬼という生物を知っている。
今の自分があるように、彼女もあるならば。
たとえ異能者が、その能力を抑制されてるとは言え-----リスクが高すぎる。
「あなたは、どうして殺すの?
 私は娘のために生きるわ。
 たとえ世界を敵に回しても、名雪のために私は在るの」

小太刀を捻り、右手で爪を抑え、肘を浮かせ、脚を掛ける秋子。
爪をずらし、斜めに流し、腕を捕らえ、小手を握り、爪で裂く千鶴。

千鶴は体を崩しかけ、秋子の手からは浅手とは言え血が滴る。
二人は弾けるように距離をとった。
「わたしは、妹達のために。
 そして愛する人のために。
 たとえ私の心が滅びても、私は足掻き続けるでしょう」

二人の視線が合う。
ふ、と笑ったのは秋子のほうだった。
「お互い苦労してるわね-----心身ともに、ねえ?」
千鶴は何も答えず、ただ力を抜いて秋子を眺める。

「私は行きます。あなたと延々戦い続けるよりも、やらねばならないことが
 ありますから。柏木家の方々も縁があれば助けて差し上げます。了承?」
こくり、と頷く千鶴。
「私も名雪さんと-----縁が、あれば。」

『二人で探すのよ、それだけで縁は二倍じゃない?』
秋子の声は既に遠くなっていた。
目を閉じれば、そこは闇の中。
心の闇の中に、ひとすじの光明。
(あのときと、変わってないわね)

溜息ひとつ。
そう、私は闇黒に飲まれたわけではない。
元から、だった。
私は闇黒と共に生まれ育ったのだ。
(ばかな、わたし-----)
支えていてくれていたのは、妹達の存在だった。

それでも光の中で生きることを諦めかけた事があった。
(このまま殺しつづけて、本当にどうにかなると思っているの?)
あの時助けてくれたのは、耕一さんだった。

また、溜息ひとつ。
目を開けば光の世界。
そう、私は-----こちらの世界に、愛されたい。
(梓、楓、初音、待っててね?)

左手についた血糊を、ぴっと吹き飛ばす。
盛大に血塗られた左手と、その手にのみ握られた武器。
血飛沫ひとつ付着していない右手。肩には痕。
(なんて、アンバランスな。私にぴったりね…)

秋子との出会いは千鶴を微かに光のほうへと引き込んでいた。
しかし、まだ決定的ではない。
足元に横たわる死体を、路傍の石ころのようにまたいで歩き出す。
光を見つめ闇黒を往く鬼。
(ジョーカーを。[殺すもの]を、殺さねばならない。そしてみんなを、助けるの)

「縁が、あれば-----」
自分に言い聞かせるように千鶴は小さく呟き歩き始める。
光を見つめく闇黒を往く鬼。
(耕一さん?もう一度私を-----助けてくれますか?)
629名無したちの挽歌:2001/05/25(金) 07:49
>>627>>628
 千鶴さんと秋子さんは非積極的共闘です。
 どちらもマッドキラーではありませんが危険と思えば容赦なく
 速やかに殺すでしょう。

 また、お互いの探し人にも一応は注意をはらうようになりました。
630名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 07:57
>>622
CDって、浩之が2枚、詩子が1枚、あと白きよみが1枚じゃなかったっけ?
631荒門:2001/05/25(金) 08:31
う、やっぱしまずいものはまずいですか。
なつみは他の動かし方、頑張って考えます。
…DAKARAでも飲むか。
そこはかとなく鬱。
632名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 08:36
スマソ、神尾親子&あさひパート終わらんかった。

存外に難しいわ、やっぱ。なんとか仕事の合間縫って書きますが。
俺も小鬱。
63310@自治スレ:2001/05/25(金) 09:18
自分はこれから出かけるので、何か質問があれば自治スレにでもお願いします。
知ってる限りで答えますから。

葉鍵板における自治スレッド 3
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=990438282
634名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 10:05
少々問題(?)が出たので告知。詳しくは感想スレ521-522で。
635名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 10:10
636迷走演舞〜序〜:2001/05/25(金) 13:25
「………」
楓は無言のまま、歩いていた。
右手には鉄の爪。振り上げられることは無い。
「か・え・で・ちゃん!ど〜したのぉ、元気、ないよ?」
あくまで明るく、かつ心配そうに楓の顔を覗き込む。
「……いえ、何でもないんです。」
「下を向かないで行こう?」
「はい……」
牧村南を加え、芳賀玲子と柏木楓の二人は森の中を慎重に進んでいた。
「楓ちゃん、私達ね、こみパでサークル参加してるんだけど、一緒のサークルやらない?
あと三人程メンバーいるんだけどみんないい子達だし。ん…まあ、ちょっと生意気な子も一人いるけど
きっと楽しいよ?」
「………はい。」
自分を励ましてくれている、そう感じた楓はすぐ――といっても何か別の不安が無いわけでもない――頷いた。
「それと南さん、ここであったのも何かの縁、ちょ〜っとばっかしこみパ…当選させてくれない?
いや、次回だけでいいんですけど。」
玲子が楓の方を気にしながらそう切り出――
「不正はだめですよ。」
「……やっぱり?にゃはは…ダメかぁ…」
一秒で却下された。
「ふふっ、」
そのやり取りに
「あっ、楓ちゃんが笑った…やっぱり笑い顔のほうがぜんぜんいいよ☆」
「か、からかわないでください。」
気恥ずかしさからか、赤面する楓に南も控えめに笑う。
「私も早く帰ってこみパに専念したいです。待ってますからね、楓ちゃん。」
「は、はい。」
少しずつだが、楓も南に対して警戒を解きはじめていた。
そして、警戒の意識を徐々に周りへと飛ばしていく。
また、いつどこから誰が襲ってくるのか分からないからだ。
二人を守ってどこまで闘えるか――楓の手のひらの汗が消えることは今もない。

「―――!!!」
楓が突如、二人の前方に身を踊りだす。
「ど、どうしたの?」
突然の楓の変貌に玲子が声を震わせる。
「下がって――!何かくる!」
すごい勢いで向かってくるものすごい殺気の塊。玲子たちが下がる間もなく現れたそれ。
鬼――、一部ではそう呼ばれる魔物。
637迷走演舞〜惑い〜:2001/05/25(金) 13:26
鬼――女は走っていた。
(梓、楓、初音………耕一さん……)
その鬼は木々の間を風のように。
鬼の力を封じられているとはいえ、元々自分の中の鬼を100%飼いならしているその彼女にとっては
体力を残しつつ駆け抜けることなど造作もないことだった。
(と、いっても……)
この極限状態の思考の中で、精神的な疲れは確実に彼女の体力を削り取っている。
(何故なの?あの男、高槻は――)


――――それでですねぇ〜、やっていただけるんでしたら、せめてあなたの縁者の方々だけでも命を救って差し上げましょう。


妹達――少なくとも初音は――安全な場所にはいなかった。死と隣り合わせの戦場に身を置いているのだ。


――千鶴お姉ちゃん、今の私から逃げて!


今も彼女の耳にあの声が響く。
(初音は……私に牙を向けた。)
いつでも優しかった初音、一体何故こんなことになってしまったのだろう。
それ以前に、何故高槻は初音を……
いつでも、そして誰でも、誰をでも…ここで人を――殺せる。
それは狩猟者でなくても心のどこかで感じている感情。
「……愚問ね……」
現に妹達、そして耕一の名前は放送されてはいないではないか。
それは偶然であれ必然であれ、まぎれもない事実なのだから。

やがて人の気配。意識をそちらに飛ばす。
(これも私の所為ね。)
水瀬秋子の言葉を思い出す。
――縁があれば名雪さんを……ね。

鬼は走る。薄暗い森の中を。
そして――辿り着いた先、二人の女性、そして……
鬼が、いた。
638迷走演舞〜綻び〜:2001/05/25(金) 13:27
「千鶴……姉さん……」
楓は思わず鉄の爪を取り落としそうになった。
「楓……」
思いがけない再会。無事でいて……と思い続けたかけがえのない大切な人。
(無事でよかった……)
千鶴は声に出してそれを言うことができなかった。
千鶴が楓に近づこうと歩を踏み出す。
「来ないで…千鶴姉さん。」
楓が呟く。
「かえ……で……?」

楓の視線が一点に注がれる。どこで破れたかわからないがスリット状に変わったスカート、
その上に存在する白い服に……薄く血が着いていた。
そして、先程の殺気。
「また……人を狩るの?……昔みたいに。」
楓の声が、冷たく、刃物のように千鶴に襲いかかる。
「かえで……」
「人を…生きるものを…姉さん…」
自分で静止しておきながら、楓自身も千鶴に一歩近づく。
「……」
千鶴は楓の雰囲気に、圧倒的な威圧感に飲み込まれていた。一歩、また一歩と後ろへと下がる。
「……答えて…答えてリズエルッ!!」
激昂。普段の楓からはおよそ考えもつかないその叫び。
「いや……来ないで…かえで…」
今度は千鶴が静止を呼びかける。無意識のうちに口が開く。
「今度は私達を…狩るんですか?」
静かに、楓が、爪を横に凪いだ――。

「……」
何も言えないでそのやり取りを呆然と見つめる玲子。
その横で、静かなる一人のJokerが薄く笑っていた。
639迷走演舞〜慟哭〜:2001/05/25(金) 13:29
パッ!!
血飛沫が舞う。横に凪いだそれを千鶴が茫然自失で見つめた。
楓は一瞬で間合いを詰め、千鶴の腕の皮を軽く引き裂いたのだ。
もちろん、楓が故意にはずしたもの。
今の千鶴には楓とまともに闘えるだけの精神的な余裕はない――

我に返った千鶴が叫ぶ。
「や、やめて……私は…楓っ!」
楓の攻撃は続く。よけなくても、かわさなくともそれは致命傷にはならない攻撃の嵐。
だが、その攻撃の意図を千鶴には汲めない。
千鶴はソレを左手でいなす。だが、腕に、体に、少しずつかすり傷が増えていく。
「姉さん……」
楓の目からはとめどなく涙が溢れている。それを拭う手は今はない。
いつしか千鶴も、表情が変わっていく。
「やめて……やめてぇ、楓っ!!!」
その叫びが森の中にこだまする。哀しみの、悲痛の声だった。

――高倉みどり――確かに自分は人を殺した。
それは大事な人を守るためだけの悪魔の契約。
だけど、私は生来の狩猟者。その気になれば誰でも殺せる。
かつての自分がそうであったように。

楓の猛攻は続く。それは傍から――玲子達から――見れば、異種格闘技の上級者たちの試合に
見えたかもしれない。だが、これは死合いだ。
またもJokerが含みをもたす笑みをこぼす。それに玲子は気づくこともなくて。

楓……お願い…お願いよ…
もはや声にならない叫びを意味不明に呟きながら千鶴が尻餅をついた。
「……」
楓が振り上げた爪を千鶴の右手の爪へと振り下ろす――!!

『聞こえますか?島にいる、皆さん、聞こえますか? 』――

そのとき、二人の、いや、四人の耳にそれが響き渡った。
640迷走演舞〜想〜:2001/05/25(金) 13:30
『聞こえますか?島にいる、皆さん、聞こえますか? 』
楓の、そして千鶴の動きが止まる。
それだけの意思を持った、強い声だった。

『私は、きっと、これから死ぬことになるでしょう。それは、主催の意に反する
ことをするからです。よく、聞いてください。これは、私の主催に対する宣戦布
告です!』

一人の顔から笑みが消える。

『あなた達は、何人殺しましたか?何人の友人を肉親を大切な人を、失いました
か?私は一人、大切な友人を、失いました。私は、酷く悲しかった。悲しくて、
辛くて、仕方がなかったのです。
あなた達はどうですか?これだけの人達が、同じ時代の同じ国に住む、普通の
人達が、殺し合いをさせられているのに、自分のことだけを思い、自分の大切
な人だけを守ることしか、できないのでしょうか?
…私は、嫌です。そんなことは死んでも、したくありません。
自分や、大切な人を守るために、誰かの大切な人を殺すだなんて、そんなこと
は出来ません。
もし、私に同意をしてくれるなら、手を取り合って人の皮を被った悪魔
の魔手から、逃げ果せて下さい。方法は、必ずあるはずです』

ギリッ……!
その歯軋りの音はその強き少女の声の中聞こえるはずもなく……

少女の演説はさらに続いた。
『聞こえますか?私は、もう、ダメです。でも、悲しまないで。私は私の誇りに
従って、戦うことが出来たのです。私はこうして、私を守りました。
だから、蝉丸さん、月代ちゃんをみんなを守ってあげてください。
私は、こんなことしかできないけど、でも、蝉丸さんなら、切り抜けられる。そう、
信じてま……』
そして…爆発音。
そして、静寂……
641迷走演舞〜漆黒〜:2001/05/25(金) 13:36
「……」
「……」
誰もが無言だった。
千鶴が、ゆっくりと立ち上がる。そして――歩き出す。
楓もその動きを黙って見つめるだけだった。
そして、玲子たちの方へと歩いていく。玲子も、南も動かない。
そして――

(……………。)

「………っ!!」
すれ違いざまに闇が運んできた言葉。
それは千鶴にだけ、かろうじて聞き取れるものだった。
千鶴は、楓を、玲子を、そして南を一瞥し、再び風とともに消えた。
「……姉さん。」
楓も、すぐそばにいた玲子も、その短い一瞬の出来事に気づくことは無く――

(楓……初音……)
千鶴は駆けた。何も考えたくない。
少女の命を賭けた放送――そして。

――裏切ろうなんて、考えないほうがいいですよ。大事な人がいなくなってもいいんですか?
いつ、どこから彼女らの命を奪いにくるか。だって、私も――

Jokerは、まだ生きている。そして死のゲームに魅入られた哀れな人たちも。
(わたしも……同じね。)
千鶴は後悔の念を胸に、走り出した。もう、後戻りはできないのかもしれない。
642迷走演舞〜疑念〜:2001/05/25(金) 13:37
「さあ、気を取り直して行きましょう。」
沈黙を破ったのは南の手を叩く音だった。
「……どこへ……ですか?」
玲子はそう南に聞く。未だにこの現実を直視できないでいた。
「この先の……放送室。前に見つけたのよ。無人だったから、今のももしかしたらって……」

二人を先導し、南が歩く。
(都合が…よすぎます。)
放心したままの楓が、南の後姿を見つめる。それはいつもと変わらない。
(何故だろう…また…胸騒ぎ……)
最後の千鶴の様子はどことなくおかしかった。何か、おびえるようなあの視線。
そして、今の放送と、その場所を確信しているかのような立ち振る舞い……
だが、答えは出ない。それでも自然と、玲子と南の間に体を入れる。
なぜかそうしなければいけないような気がした。
「…ここだと思いますよ。」
その建物の屋上に、黒く何かが爆発したような痕跡。
そして、チラリと見えた赤い何か。
「……」
玲子の顔が青ざめる。
「玲子ちゃんはここで待っていたほうがいいかも知れないわね。」
南がそう呟く。玲子は力なくうなだれるように肯定した。
「楓ちゃんは…来るんでしょうね…」
それが当然と言わんばかりの立ち振る舞い。
「……そうですね。ご一緒します。」
そして、楓も南が来ることを当然のように受け入れ、答えた。

玲子を残し、二人は階段を昇っていく――。
(この人…慣れすぎている…何か…)
ずっと無言の時が続いた。
やがて屋上の扉の前まで来ると、躊躇無くそれを開け放つ南の両の手。

ギ…ィ……

(うっ……)
楓は思わずその状況に顔を背けた。玲子は来なくて良かったのかもしれない。
「杜若……きよみさんね…」
その躯の姿は南の背に隠れた。今、彼女がどんな表情でソレを見ているのか分からない。
「知りあいですか?」
(やっぱりこの人、血をみても平然と……?)
「……いいえ。私、記憶力がいいだけです。スタート時に見覚えがあったから…ね?」
言い聞かせるように南の声。それは優しい響き――
643迷走演舞〜終劇〜:2001/05/25(金) 13:39
「これは…」
屋上の入り口に意味ありげなCD。
「……これは……?」
楓がそれを拾い上げる。
「あら、…それ…」
南もそれに気づいて、手を伸ばす。
「私に貸してくれないかしら…?」
だが、楓はそれを何故か拒んだ。
(何故だろう…この人に渡しちゃいけない気がする…)
嫌な予感がとまらない。
(……怖い……)
漠然とそう、感じた。
時が止まる……静寂……そしてそれは永遠ともいえる凍りついた空間だった。
「……しょうがないわね。」
やがて、南が溜息とともに折れた。
「それはあなたが持っていて頂戴。そろそろ戻りましょう、下にいる玲子ちゃんが心配ね。」
「そう…ですね。」

楓は玲子の所に戻るまで、南の前を歩くことができなかった。


018 柏木楓 【CD回収】
※きよみ(白)のマイクは爆発とともに消えたと解釈しました。放置。
※千鶴の手傷は動くことになんら支障ありません。
644快晴:2001/05/25(金) 15:26
この調子で頑張ってくれよ、ハハハハッ………

死亡者発表が終わった。そこに彼女の名は――あった。
「石原麗子…確かに聞こえた。安宅も逝ったか…」
あの時の、彼女の言葉を思い出す。

――軍部はあなたを必要としなかった…でも今はあなたを必要としてくれる人がいるじゃない

御堂は悩んでいた。この島に来てからというもの、まるで自分が自分ではないような気がしてならなかった。
「俺は、強化兵だ。人を殺す…その為だけに造られた、甘えは許されねぇんだ…皆殺し、生き残るにはそれしか――」

――うぐぅ。殺すなんてダメだよっ

「うるせぇ!キレイ事言うな!!俺がその気になれば誰だって殺れる!!生き残るのは俺一人で充分だ!!」
彼は信じられなかった、自分はいつからこんなに他人の言葉に流されるようになったのか…
「坂神だ、とにかく坂神を殺る!それまでは他の奴らも皆殺しだ!!他人の命令なんて死んでも聞くものか!!」

『―――ますか?島にいる、皆さん、聞こえますか?
私は今、森近くの建物の屋上にいます。見えますか?』

放送…少女の声が島中に響き渡る。死亡者報告ではないようだ。

『私は、きっと、これから死ぬことになるでしょう。それは、主催の意に反する
ことをするからです。よく、聞いてください。これは、私の主催に対する宣戦布
告です!』

「何だ?一体誰が―――」

『…あなた達はどうですか?これだけの人達が、同じ時代の同じ国に住む、普通の
人達が、殺し合いをさせられているのに、自分のことだけを思い、自分の大切
な人だけを守ることしか、できないのでしょうか?
…私は、嫌です。そんなことは死んでも、したくありません。
自分や、大切な人を守るために、誰かの大切な人を殺すだなんて、そんなこと
は出来ません。
もし、私に同意をしてくれるなら、手を取り合って人の皮を被った悪魔
の魔手から、逃げ果せて下さい。方法は、必ずあるはずです』

自分の邪魔ばかりしていたあの少女の言葉を思い出す。

――みんなで一緒になればきっと帰れるよっ

645快晴:2001/05/25(金) 15:27
見知らぬ少女の訴えは続く。
『人は弱いものです。とても弱い。…嫉妬、劣情、…劣等…。あり
とあらゆる、負の感情があります』

なぜか嫉妬、劣情、劣等だけが御堂の耳にひときわ大きく響いた。
それは彼が坂神蝉丸に対して抱いている感情でもあったからだ。

『疑うのも、争うのも、止めて、協力しあってください。
活路は醜い争いからは生まれません。決して、生まれないのです。
さあ、考えなさい。あなた達が、今するべき事を。本当の敵は誰か。想い出して
下さい』

『ガクッ』
ふいに異様な音が聞こえた。
御堂は悟った。少女の命が短い事を…腹の中の爆弾とやらが暴れ出したのだろう。

『聞こえますか?私は、もう、ダメです。でも、悲しまないで。私は私の誇りに
従って、戦うことが出来たのです。私はこうして、私を守りました。
だから、蝉丸さん、月代ちゃんをみんなを守ってあげてください。
私は、こんなことしかできないけど、でも、蝉丸さんなら、切り抜けられる。そう、
信じてま……』



「なるほど、坂神の連れか…道理で強ええワケだ」
御堂は大きく息を吸った。そして、あの少女の声に負けないほどの大声で叫んだ。
「坂神ぃーーーー!!!!貴様との勝負はこの島を出るまでお預けだぁーーーー!!!!
俺は貴様を殺すまで絶対に死なん!!!!だから貴様も俺以外の奴の手にかかるんじゃねぇぞぉーーーー!!!!」

「どうやら俺は闘り合う相手を間違えてたみてぇだ、予定変更だ…行くぞ、獣共」
「にゃ?」
「ぴこ?」
御堂の表情はこの島の空のように雲ひとつなく、快く晴れていた。
646復讐の女神の目覚め(1/3):2001/05/25(金) 16:12
緒方理奈は、森を全力疾走していた。
(どうしてどうしてどうしてどうして!?)
自分に、銃口を向け、その照準をしっかりと合わせた、由綺。
そして、それに代わり、自分を攻撃しようとした、冬弥。
まだ、心臓がバクバクと高鳴っている。全力疾走の、所為だけでは、ない。
(酷い、酷い、酷い!)
兄を殺され、悲しみと怒りと恐怖の中で、やっと出逢えたと思っていたのに。
その安堵は、つかの間だった。
(由綺、どうしちゃったの!?何で、何で、あんな)
膝が重い。足場も悪い。これ以上走り続けるには限界だった。
「あっ!」
木の幹に足先を強かにぶつけ、転倒した理奈は、大きくでっぱった木の幹に
腹部を強打して、呻く。
その呻きは、すすり泣きに変わった。
(もう…疲れたわ…助けて、兄さん…っ)
どうなってもいいと、半ば投げやりになっていた。
兄さんは居ない、由綺も冬弥も自分を裏切った…。
腹部が、ジンジンと痛む。鼓動が、うるさい。
木漏れ日だけが、優しく降り注ぐ。今までの出来事が全部、全部嘘だったかの
ように平穏があるのに。
(なのに)
もう、兄は永遠に理奈の元には帰ってこない。
軽口を叩く兄を叱咤することも、一緒に買い物に行くことも、食事をすることも
……何もかも、出来ないのだ。
「こんなのって…こんなのってないよぉ…」
殺されるという恐怖よりも、今は腹部と心臓、そして想い出が痛く、強く、理奈
を縛り付けていた。苦しいくて切なくて、涙が止まらない。目頭が熱くて…。
647復讐の女神の目覚め(2/3):2001/05/25(金) 16:13

ガガッ!

不意に、スピーカーの音がした。高槻の放送が始まったのだ。
理奈は地面に倒れたままの姿勢で、涙を拭うことなく、ぼんやりとそれを聞いて
いた。
兄の名が、死亡者として、呼ばれた。
「…兄さんの名前、だ」
呟いて、顔を伏せ、すすり泣く。
(私は、何をしているの?ここで、こんなところで)
悔しい。悔しかった。何も出来なかった自分が。何もしていない自分が。何よりも
悔しかった。
高槻は、美咲の名をも告げる。
(…冬弥君と由綺の学校の、先輩……)
何度か、由綺や冬弥が話して聞かせてくれた、優しい女の人。
(そう、その人も…死んじゃったんだ…)
どうしてこんなことになったのだろう。理奈は、そっと、ポケットに忍ばせていた
兄の遺品を取り出した。
(私も、死ぬのかな…)
愛おしそうにそれを撫でる。
ヒビの入った、レンズに触れ、指がら血が滴った。
(痛い……)
レンズがフレームが、自分の血で汚れる。理奈は顔をしかめて、自分の服でそれを
拭い取った。
648復讐の女神の目覚め(3/3):2001/05/25(金) 16:14
(痛かった?兄さん…?殺されたとき、どんなだった…?)
殺されたとき。
殺された。
誰、に?
一気に、感情が爆発しそうだった。
それは、憎悪だ。
「兄さんを、殺した…あの、女」
ありありと目に浮かぶ、茜の顔。
「許さない…許さない…っ!」
自分を何故殺さなかったのかなんてわからない。
(そんなの、知らないわよ)
冬弥も由綺も、もういらない。
(今までだって、やってきたのよ。冬弥も、由綺も居ないときから、出逢う前から
ずっと、兄さんと二人で!二人でずっと生きてきたわ。その大切な大切な兄さん。
私の……一番大事な肉親を奪った女を殺すのは、由綺でも冬弥でも、ない!)
理奈は立ち上がり、睨むような一瞥を前方に向けた。
(…差し違えても、あの女だけは…私の手で八つ裂きにしてやるわ…!)
由綺と冬弥と決別したことで、理奈の殺意はこれ以上ないものになっていた。
(手負いの獣は……何よりも、獰猛だということを教えてあげる…)
その瞳にアイドルとしての輝きはなく、復讐に彩られた凄惨な笑みがあるだけだった。

【緒方理奈 移動】
※前回の林檎さんのパートから続いてます。
※英二の遺品で怪我してますが、指先を少し深めに切っただけです。
誰とも知らぬ女の最期を、どこか夢心地で聞いていた。
(………。)
確かに一理ある。

私も、大切なものを守るためになら…

そこまで考えて、やめる。

嘘ね。昔の私は弱虫で…あの子みたいに強くなくて…

光を失った少女。本当の強さを持っていたかは分からない。
その自分のすべてを受け入れる、それはあくまであの子の強さ、
そして、すべてをあきらめてしまったかもしれない弱さ、儚さだったのかもしれない。
今となっては、真実はすべて永遠の闇へと消えた。

守ってあげたかった、陰からいつでも支えてあげたかった。
だけどそれは二度と叶うことのない夢物語。

「だから奪うの。私から大切なものを奪った人からすべて……
必ず殺してやる…友達も…命も…大切だと思えることのすべてを。」
私の今の道標。見失わないよう前へ、前へ……

少しずつ、復讐から狂気へと――。
たくさんの人の死を扱うには、彼女の心は脆すぎた。

私は強くなる……守れなかったあの子の為にも…

本当は心の弱さであったのかもしれない。
だが、少しずつ狂気の扉を開きつつある彼女――雪見には、
その弱さを受け入れることはなかった。


※ここからはレス。きよみ(白)の放送は屋上からマイクであるから、
島全体に響き渡ることはまずないと思われ。
個人的に蝉丸には聞いてほしいけどナー。
の補足。
基本的に犯人(浩之&茜)分かってないので、
結局行動自体は変わらない(というか閑話休題の独白)と思う。
元々無差別マーダーではないっぽいので。
まあ、目的の為に手段を選んでませんが(w
651受け継がれた誓い(1):2001/05/25(金) 18:36

『…さあ、考えなさい。あなた達が、今するべき事を。本当の敵は誰か。
想い出して下さい』

『最後に!!蝉丸さん!!』

『…私は、こんなことしかできないけど、でも、蝉丸さんなら、
切り抜けられる。そう、 信じてま……』

爆音が響き――そして、永遠に沈黙した。
「(・∀・)せ、蝉丸…、今…の…」
月代が血の気が引いた顔で呟いた。
無意識のうちに腹に手を当てる。

放送が始まった時から立ち止まっていた蝉丸を見上げるが…。
背を向けたままで、表情までは分からない。

「…いくぞ、月代」
「(・∀・)…どこに?」
「今の爆音はこの向こうから聞こえた。そう離れてはいない」
蝉丸は歩き始めた。その足取りに澱みはない。
まだ足の震えが止まらない月代は、
「(・∀・)なんで、なんでそんなに、冷静なのっ? きよみさんが、
きよみさんが…」
蝉丸は応えない。そのまままっすぐに早足で歩き始める。
「(・∀・)ま、待ってよ…」
震える足をしかりつけて、月代は蝉丸の背を追った。
652受け継がれた誓い(2):2001/05/25(金) 18:37
ぽた、ぽた、ぽた…

「え…?」
そして気づく。
蝉丸の後を、月代の足音とは違う小さな音が追いかけていた。
小さな、本当に、小さなそれは――
握りしめられた拳から流れ落ちる、赤い滴がたてる音だった。

「(・∀・)………」
月代はもはや何も言わず、蝉丸と並んで歩き始める。
(…そうだ、きよみさんは命を賭けて、みんなを、蝉丸を信じたんだ。
 私だって蝉丸を信じて…頼ってるだけじゃなくて、助けないと!
 それで、この島からみんなで出るんだ!)

誓いは、受け継がれた。
そして少女はこの時から、ただの元気な少女であることを止めた。


そして二人は、建物にたどりついた。
最早あの後立ち入った後であるらしい。幾人かの真新しい足跡が残っていた。
階段を昇ったところの、屋上の扉は開け放たれていて、そこには――

月代の動きが止まる。呼気が乱れる。
「………!」
だが決して、取り乱しはしなかった。
そして『彼女』に祈るために、目を閉じた。


653受け継がれた誓い(3):2001/05/25(金) 18:38
蝉丸は、ただそれだけは奇跡のように残っていたきよみの顔に近づき、
手を当てる。
彼女の顔は、自らの血にまみれ汚れていたが――それでもなお、美しかった。
それは神が彼女の勇気に対して与えた、せめてもの慈悲だったのかもしれない。

(きよみ…)
後悔も、怒りも、悲しみも、憎しみも。全てが蝉丸の中にあった。
だが…それに溺れるわけにはいかない。
きよみは、あの時従容と死を受け入れようとした時と同じように、
いや、あの時以上に己の優しさと誇りを貫いて…逝ったのだから。

ならば自分は、応えなくてはならない。
きよみの信頼と遺志を裏切るわけにはいかない。
(きよみ。これから俺は、お国や、他の誰のためでもなく、
 お前の為に戦う。お前のその優しさのためにこの命を賭けよう)

そして、蝉丸はきよみの遺髪を切り取り、懐に収めた。

(たとえ…死出の道は別々のものであろうとも)
(おまえの想いは、常に俺と共にある)
(しかと見ていてくれ…きよみ)

残る遺志を奮い起こして立ち上がる。
探さねばならない。きよみの遺志を受け取ったものたちを。
振り返り、歩き出す。
「いくぞ、月代。急いで仲間になる者を、そして本当の敵を探しださねばならない
 …ついてきてくれ!」
「…(・∀・)うんっ!」
654名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 18:41
緊迫感を台無しにする(・∀・)。
だがそれがいい。
655#5-651(=561):2001/05/25(金) 18:52
あう、ちょっと修正
>>652
あの後立ち入った
→あの後誰かが立ち入った

…しかしなんで蝉丸がこういうキャラになったのだろうか。
656勝機(1):2001/05/25(金) 19:11
「調子はどうだい?A-12」
ねっとりと絡みつくような声に鹿沼葉子(22)は答えた。
「まるでだめです。あの放送で逆に警戒されてしまって。」
放送とは、初日に高槻が行った放送、
 003天沢郁未 022鹿沼葉子 092巳間晴香 093巳間良祐 066名倉由依
を殺せ、というものだ。
「なぜ、あの放送に私も含めたのですか?高槻様」
多少の非難を含めながら葉子は付け加えた。
「私もジョーカーの一人だというのに。」
「ああ、悪いな。」高槻は肩をすくめた。「手違いだ。」
「手違いですか…」
うそに決まっている。おそらくは高槻独断の嫌がらせだろう。
『Aクラスに手を出せないことを常々不満に思っていましたものね、この人は』
「ま、そんなとことはどうでもいいだろ?ジョーカー君。」
ニヤつく高槻に葉子は表情を変えずただうなずいた。
『そう、私はジョーカーです…あなたたちにとってのね。』
657名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:37
【定時放送(昼)後、きよみ(白)発言前から】


 名雪は走った――――
 あふれる涙を堪えられず、いつしか嗚咽混じりになりながらも名雪は
森の中をただひたすら走り続けた――

『もう、いい。俺の前から消えてくれ。
 でないと、俺、おまえに何するかわからない…』

名雪は必死に振り払おうと走り続けるが、祐一に言われた言葉をがどう
してもリフレインし続けてしまう。
「ゆういち………」

どれぐらい走り続けただろう、気が付いたとき名雪は息を切らせながら
大木に寄りかかり座り込んでしまった。

「ゆういち………、なんで………」(グスッ

 真琴ちゃんに首を絞められていた祐一を助けようとしただけなのに…

 祐一を助けたかったから咄嗟に体がうごいて、それで祐一と一緒
にいたかっただけなのに
 祐一を失いたくなかっただけなのに…

 名雪は膝を抱え込んでうずくまる。

「ゆういち………」
 名雪はうずくまって泣くことしか出来なかった
658名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:38
『ガサガサッ』
 名雪の耳に、草むらをかき分ける音が聞こえてくる。
 それは間違いなくこちらに向かって迫ってきており、名雪は震える
体を押さえながら必死に息を整えようとした。

 草陰からチラッと見えたのは、腕に怪我をした女性であった。
 女性。母に近しい年代の女性。
 腕の切り傷を押さえながら少しずつ近づいてくる。

 そして、名雪の目の前でその人はドサッと倒れ込んでしまった。

「お姉さん、大丈夫ですか!?」

 名雪は必死に問いかけるが回答は帰ってこなかった。

 怪我をしている人を放って置くわけには行かない。
 名雪は急ぎ、この女性の応急手当を始めた。

 名雪は自分の服の両袖をナイフで切り裂く。
 止血のため、上腕部分に切り裂いた服の片袖をきつく縛り付ける。
 そして、傷口に支給されている水をかけ、そっと拭いたのち、水が
染みている部分を傷口にあてがいながら、今度は多少緩めに縛り付けた。

 そんなおり、きよみ(白)の放送が流れたが、手当に集中していた名雪は
右耳から左耳状態であくまで手当に集中した。
 どこかいつもの放送と違うとは思ったけど、今はけが人を助けるのが先!


「どうにかして一度目を覚まして貰わないと………」

 名雪はあたりをキョロキョロ見渡したが、特に役に立ちそうな物は
なにも無かった。
 しかたなく、名雪は女性の頬を叩いてみたり、揺さぶったりしてみた。

「…………ん、ううん………」
「あさだよ〜。お姉さ〜ん、あさだよ〜〜おきて〜〜〜」
 気の抜けるような声で、名雪は必死に女性に叫び続けた。
659名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:38
「………、ん」
 ガバッ!

 天沢未夜子は目を覚ましたと同時に起きあがり、そして一気に後方へ
飛びすさると、名雪に対して問いかけた。

「あなた誰!!」
 名雪は必死の形相な女性を諭すように、お母さんの表情を思い出しながら
女性に話しかけた。
「私は水瀬名雪と言います」

 未夜子はその名前を聞くと、とたんにクスクスと笑い始めた。
 そう水瀬名雪――――
 私を傷つけた憎い女水瀬秋子の愛すべき娘が今私の目の前にいる――

「お姉さん、怪我大丈夫ですか?」
 名雪は心配そうに女性――――未夜子に問いかけ続けた。
「ええ、おかげさまで多少痛むけれど大丈夫そうよ。
  名雪さん――――」

 名雪は、ぱっと顔を綻ばせ、本当に嬉しそうにほほえんだ。
「よかった。最初見かけたときは本当に大丈夫かと思ったんですよ〜」
「本当にありがとう、名雪さん」

 未夜子は名雪にそう言うと、プチ主をいつでも出せる様に身構え
始めた。
 一撃で殺してはつまらない。
 この子には苦しんで、苦しんで死んで貰わないと――――
 未夜子の微笑はそれと分かる人間なら、即座に逃げまどう様な殺気
だったが、この場に至ってさえ平和ぼけしていた名雪は、そんな未夜子
の表情と気配を察する事は出来なかった。

660名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:39
「ところで、でお姉さんのお名前はなんて言うのですか?
 『お姉さん』ってちょっと呼びにくいですから、お名前教えていただけ
 ませんか」
「――――私の名前?私は天沢未夜子と言うのよ名雪さん」
 そう言って、未夜子はプチ主を名雪の左腕に解き放つ。
 名雪は、攻撃された事も気が付かず、いきなり吹き飛んだ。

「あぅ!!」
 名雪は左腕を押さえ、小夜子を見つめる。
「さっきね、あなたのお母様にお会いしたのよ」
 未夜子はプチ主を名雪の右足に解き放つ。
 激痛のせいで力が入らない右足のせいで、名雪は地面に倒れ込んだ。
 目の前に広がるのは土と草だけ。
 名雪は何が起きているのか全く分からないという表情で未夜子を見る。


「そのとき、あなたのお母さんに切られてね――――」
 今度はプチ主を左足に解き放つ。
「え、何でお母さんがあなたと殺し合ったりしたの?何で?」

「それはね、名雪ちゃん。私が主催側に付いている人間だからよ。
 あなたのような平和ぼけした子を、1人1人殺していくための存在だから」

 未夜子は名雪の喉元に対して指さす。
「――――私の痛み――秋子も感じるといいわ。
 ふふふ。そういう訳で名雪ちゃん。さようなら――――」

「お母さ――――――――」
 未夜子はプチ主を名雪の喉へ解き放った。
 名雪の言葉は途中で途絶え、地面を赤く染め上げる。

「ふふふ、これであなたは守るべき物が無くなったわけね。
 水瀬秋子――――今度会った時、あなたは私にどういう表情をするの
かしら。
 ホント楽しみだわ」


091水瀬名雪 死亡
【残り56人】
661勝機(2):2001/05/25(金) 19:40
鹿沼葉子は確かにジョーカーとして働くようこの大会にエントリーされた。
かつての自分だったら、その任務を忠実にこなしていただろう。
かつての自分…母を殺し、FARGOの教義だけがすべてと思っていた自分。
天沢郁未に出会うまでの自分ならば。
一日一時間程度、一週間にも満たない日数。
そんなほんの少しの時間だけれど。
郁未と共にとる食事の時間は
FARGOをすべてとしていた自分にとってそれは輝けるかけがいのない時間だった。
『郁未さんは、そんなたいしたものだとは思ってはいないでしょうけどね。』
少しさびしげに葉子は思う。
『まぁ、私の態度も誉めれたものではなかったけれど。』
それでも、郁未は自分のことを友達と呼んでくれたし、その友達に…
葉子は天沢未夜子、自分と同じジョーカー、のことを頭に浮かべる。
『私と同じ苦痛を味わせる訳にはいきません。』
だから、今ここに自分はいるのだ。ジョーカーとしての立場を利用して、
目の前の男にこの槍を突き刺すために。
662657:2001/05/25(金) 19:41
>>657-660
あ!!タイトル付け忘れました(ToT)
【嘆きの森】
でお願いしますです。

うぅ………ヘタレでスミマセン
663ジョーカー・ジョーカー1:2001/05/25(金) 19:43
「こ、この声は!?」
 助言で聞いた建物を求めて歩いていた弥生は、林の中で出会った女の声に
気が付いた。
 弥生は放送が終えるまで、と立ち止まった。
 そして、それが終わるまで耳をそばだてて聞いていた。
 放送は、むなしい爆発音と共に終わりを告げた。
 おそらく、きよみの信念は美しいのだろうと思った。
 しかし、弥生に理解できたのは、愛しい人たちに殺し合って欲しくない、
死んで欲しくないと言う部分だけだった。
 確かに他の方法もあるかもしれない。しかし、それが見つかる前に大切な
人間を失ってしまったら、どうするのだろうか。
 それに、弥生が脱出プランの一つに数えていたものは、どうやら使えそう
になかった。
── やはり、というべきなのでしょうか。腹部の爆弾というのはブラフ
ではなかったようですね──
 例の女が別の爆発物で殺された可能性も無いわけではなかったが、あまり
にもタイミングが良すぎる。
 やはり、現在のところ判明している脱出手段は、殺して、殺し合って、
殺し合い抜いて、最後の一人になることのみ、ということになる。
 主催者達を何とかやり込め、脱出の活路を求める、というプランは体内に
爆弾を抱えた状態では実現不可能だった。
 何とか、何とか助かる方法を見つけなくてはならない。
 既にあの方(英二)は逝ってしまった。
 次があの二人にならないとは限らないのだ。
 或いは、もう……。
 とにかく、まずは二人に出会うことだ。そして、助言の建物に……。

「どなたです!?」
 背後に気配を感じた弥生は散弾銃を構えて向き直った。
「おー、怖い怖い。撃たないで下さいよぉ?」
 のんきな声を挙げて出てきたのは黒服の男だった。
「あなたは?」
「1,ゲームの参加者ではありません。
 2,むしろ主催者側の人間です」  
 そこで、弥生は男に向けた散弾銃を強く握り直した。
 男は言葉を続けた。
664名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:49
>>657さん
未夜子は>>593で千鶴に殺されてます。
>>601->>602でその事についての質問と説明があります。

665名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:50
>>657-660
未夜子は死んでます……これは……NGにせざるをえないでしょう……
666名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 19:52
>>660
【残り57人】
が正解
667勝機(3):2001/05/25(金) 19:54
浩平たちに伝言を託した後、自分は高槻の元へ行くための理由を探していた。
ジョーカーとはいえもちろん胃に爆弾は仕掛けられている。
だが、FARGOの忠実な犬としてみなされている自分ならば高槻も油断するかもしれない。
「あー、それでお前を呼んだ理由だけどな。」
だが、その理由を思いつく前に高槻から呼び出しがかかった。
なぜかはわからない。
だが、千載一遇の好機。
今現在部屋の中にいるのは葉子と高槻とその間にいる何人かの黒服の男たち。
おそらくこの男たちも不可視の力の持ち主だろう。
葉子と高槻の間には不可視の力を使ったとしても二回の踏み込みが必要な距離があいている。
槍を手放していないとはいえ、成功する確率は十に一つもない。
成功したとしても高槻は所詮手先根本的な解決にはなっていなく、
自分はここで死ぬだろう。
けれど、自分はやるつもりだった。
表情を変えることなく、だけど槍を強く握り締めて…
そこで高槻は言った。
「まず、新しいジョーカーができた。092番、巳間晴香だ。」
668NG報告:2001/05/25(金) 19:59
>>657-660
未夜子さんは既に死んでいます。
この話はどうやっても辻褄が合わないので、申し訳ありませんがアナザー行きということで。
編集者さん、よろしくです。
669ジョーカー・ジョーカー2:2001/05/25(金) 20:12
「3,大切な人を守りたくて仕方のない貴方に提案があります」
「!?」
 男はにやりと笑う。
「おや、表情が変わりましたね? ビスクドールのようだとか、中にはくすだ
えりこが入っているに違いないと言われた貴方が、温度を感じさせないとまで
言われた貴方が、他人のことで表情をそこまで変えられるとは……。情報は
確かなようです」
「くっ」
「そんなにあの二人が大切ですか? 大切なんでしょうねぇ。自分の命を
犠牲にしてでも守りたい。イヤ、感服しました。そんな貴方にご提案がある
のですよ、ハハ……」
 男は散弾銃を突きつけられているにもかかわらず、笑いながら続ける。
「貴方にはジョーカーになっていただきたいのです」
 弥生は男の意図することが分からず、首を軽くかしげて続きを促した。
 男は、『よろしい』とばかりに頷き、続きを口にし始める。
「ジョーカー……。つまり、このゲームの参加者でありながら、むしろ我々に
近い立場になって、ゲームの進行をスムースにしていただきたい。そういう、
特殊な役割を演じていただきたいのですよ。そうしていただければ……」
 男はそこで言葉を切って、弥生の表情を確かめる。
 弥生の瞳は、その奥に訝しげな光をたたえているが、話には引き込まれた
ようだった。
「そうしていただければ、貴方の大切に思う二人が他の者に殺されることの
ないように、対処して差し上げましょう」
 言い終えて男がニヤリとするのと、弥生がそれに指摘を加えるのは同時だった。
「それで、主催者様のカードには何枚のジョーカーが入っているのですか?」
 ぴく、と男は一瞬だけ表情を変えた。しかし、すぐにその顔に張り付いて
いた笑みを呼び戻す。
「なんのことですかな?」
「あと何人とそのような約束を交わしているのかと聞いているのです」
 再び銃口を向けられ、男は戯けてみせる。
「さすがはあの緒方プロを裏方から支えてきただけのことはありますな?」
「戯れ言は結構。この程度のことは多少人生を歩んでくれば誰にでも浮かぶ
疑問です」
「ふむ、おだてにも乗らない……と。噂通りのお方だ。しかし……」
 男は値踏みするように弥生の体を、足下から首筋まで舐めるよう見つめた。
670勝機(4):2001/05/25(金) 20:13
その名前におぼえはあった。確か郁未の友人だ。
「巳間晴香?放送に会った5人の一人ですね。」
「ああ、FARGOに背いた、不可視の力の使い手だ。」
「…今度はどんな手を使ったのですか?」
高槻は得意げに一連の出来事を話す。
「そこで、だ。お前には任務がある。」
モニターに3人の顔が映し出された。
「025番神岸あかり、078番保科智子、082番マルチだ。こいつらは中継基地から脱出してしまってね。」
高槻は憎憎しげにモニターをにらみつける。
「わかるだろ?こいつらを巳間晴香にあわせるとおもしろくない。
 だからこいつらを消せ。」
「ああ、」葉子の問う視線に高槻は答える。「胃の爆弾を使えば話は早い。」
そこで、高槻は肩をすくめる。
「けど、上がうるさくてね。さっきもやっちまったし。」
じっさい、ジョーカーというのはこの大会でさほど重要な役割ではない。
この一件に関しては高槻独断の遊びとも言える。
今回の指令も出し抜かれた高槻の私怨だろう。
「あまりに爆弾を使うのは、上にしてみれば面白みがないんだろうさ。」
あざけるような高槻の声に、葉子の表情は変化がない。
ただ「了解しました。」と呟いて高槻に背を向ける。
『勝機は、高槻を倒す勝機はなくなりましたか。』
けれど、と葉子は頭を振る。
『晴香さんに…郁未さんの友人が取り返しのない罪を犯すことはとめられるかもしれません。
絶望するのはまだ早いです。未だ、好機はあるのですから。』
671ジョーカー・ジョーカー3:2001/05/25(金) 21:02
 おお……と男はやや芝居がかった感嘆の声を挙げる。
「いやぁ、実物は映像で見るよりも数段素晴らしい。その放漫なボディーには
不釣り合いなぐらいのマスク。どうです? 無事に本土に帰れたら、グラビア
モデルとしてデビューされては? っと、その怖いくらいの視線で、若者の心
は釘付けですな」
 弥生の視線を受けてもまるで動じない黒服の男。果たして人間か。
「それで、お話を戻しましょう。冷徹な、そして美貌の女ヒットマン……。
ムーヴィーではややありきたりの設定かもしれませんが、これが現実の話と
なれば、観客も大喜びでしょう。少しずつペースは挙がってきていますが、
ゲームはもっと刺激的でなくてはなりません。どうです? ご納得、いただけ
ましたでしょうか? 」
 弥生は迷っていた。この男が言うことの何処までが信じられるだろうかと。
――おそらく、私のような誘いを受けた者は何人かいるのだろう。しかし、
誰が、どのくらいの人数で承諾したのか。それが問題だった。さらに、この男
の言うとおりにしたとき、約束が守られる可能性は? 純粋にゲームを加速
させるためだけであるならば、守られる可能性もあるかもしれない。しかし、
約束が守られなかったことで、絶望する人間の顔を見ることまでが望まれて
いるとしたら……――
 弥生の思考を妨げるように、男がやや冷たく言い放つ。
「そうやって沈思黙考されるのも結構ですが、貴方様がご指摘なされたように
今こうしている間にも、他のジョーカー達が行動を起こしているかもしれません。
ご決断はお早めがよろしいかと思われますが?」
 弥生は答えを出さざるを得なかった。
――こうしている間にも二人のみに危険が迫っているかもしれない。そして、
あの二人は虫も殺せぬような暖かな人間なのだ。私はあの暖かさに惹かれたのだ。
それだけは確かだった。あの二人を守るためになら、私は修羅にでも成れる――
「それで、……具体的にはどうすればよろしいのですか?」
「おお、お受け下さるのですねぇ。さすがは賢明なる弥生様。そうですねぇ、
ざっと十人。そう、十人を殺していただければ、貴方とお二人には配慮を
いたしましょう
672ジョーカー・ジョーカー4:2001/05/25(金) 21:04
「十人……。私がそれを成し遂げるまでの間、お二人は?」
「それは我々の知るところではありません。ですからお早めに願いますよ?
全てが手遅れにならぬように」
 弥生は舌打ちをする。
「では、十人を殺したときにはどうすればよろしいのですか?」
「これを」
 男は手で握れるほどの大きさで、小さなスイッチのついた物を弥生に手渡した。
「これは?」
 弥生は今度は首をかしげたりなどせず、言葉で先を促した。
 気が急いているのが自分でも分かっていた。
「これは発信器のような物です。十人目を殺した時点でこのスイッチをお押し
下さい。すぐさま処置が行われるでしょう」
「最後にもう一つ。私は既に一人の少年を殺しています。これはその十人に
数えていただけるのでしょうか?」
 男は顎に手を当てて焦らすように、口元には笑みを浮かべつつ考え込んだ。
 弥生にとっては今や、一秒が一分、いや一時間にも匹敵する感覚だ。
 無闇な質問で出発を遅らせることになるのならするのではなかったとさえ、
思えてきた。
 実時間で1分ほど、男は考えた上で答えを出した。
 口元には笑みを浮かべつつ、結論を口にする。
「本来、その少年は貴方が自由意志で殺したものです」
 断じられて、弥生は動揺した。
――そんなことで動揺していては、残りの十人は殺せない――
 何とか心を落ち着かせようとする弥生を、男は楽しそうに見つめていた。
673ジョーカー・ジョーカー5:2001/05/25(金) 21:08
「しかし、我々はサービス精神が旺盛です。その少年を約束の十人に数えて
あげましょう」
 そこまで男が言ったところで、弥生は走り出した。
 それ以上は待てなかった。
――早く! 一刻も早く! あと九人の生け贄を捧げなくては! 二人が
殺される前に!――
 弥生は疾走する。
―― 自分が二人と幸せな生活をするというのはアンリアルだ。今私が望む
べきは、二人の意思を尊重した上で、由綺さんをトップアイドルにして差し
上げること。それ以上は望まない。私は既に一人の人を殺してしまっている。
これ以上何人殺そうと、今更大きな違いはない。今までだって、多くの犠牲の
もとに生きてきたはず。それがたまたま今回は他人の命であるだけ。それに、
もう、藤井さんと体を重ねることもない。どんなに綺麗にしようとしても、
もはやことを成し遂げたあとでは殺意の抱影は消えないだろう。由綺さんを
幸せにする。藤井さんと、幸せに暮らさせる!!――

 獲物を求めて、疾駆する弥生。
 二人が既に、幾人もの命をその手に掛けていようとは思いも寄らずに……。

【篠塚弥生:二人を見逃してもらう契約で、あと九人を殺すべく奔走 】
 アイテム:発信器のような物を黒服の男からゲット
 武器は散弾銃のまま。
674折原を待ちながら:2001/05/25(金) 21:14
【定時放送前】

「それにしても折原のヤツ遅いわね……私達をほったらかして一体
どこまで行ってんのよホントにもう」
七瀬留美(069)は浩平(016)の去っていった方を見ながらそう毒づいた。
「うん、そうだね……」
長森瑞佳(065)も自分の鞄を漁っていた手を止め心配そうに呟く。
「それで瑞佳の支給品見つかったの?」
「あ、うん……これだと思うけど……」
そう言って瑞佳が鞄から取り出したのは一冊の分厚いファイルだった。
「何それ?」
瑞佳は覗き込んできた七瀬と一緒にそのファイルを開いてみた。
開いたファイルの左側にはナイフの写真、そして右側には羅列された文字。
『アイテム001 スペツナズ・ナイフ』
「旧ソ連軍の使用していた発射式暗殺用ナイフ。
鍔にあたる部分にあるスイッチを押すことで刀を前方に飛ばす事が出来る」
「え、これって……」
パラパラと他のページをめくってみる。
『アイテム014 Colt M1911』
「一般的にはコルトガバメントという呼ばれ方の方が有名。
1911年に米軍に正式採用され米国政府が認証した、という意味で
ガバメント(Goverment=政府)と呼ばれる……」
といった具合に左側のページには武器の写真、右側に解説及び使用方法
などが書かれてるページが延々と続いている。
二人は理解した。
これは今回のゲームで配られた武器、及びアイテムのリストなのだと。
「うわ、何これロボットじゃない、きゃ白蛇って何なのよ!
 あーあたしに当たらなくてよかったわ」
「「あ、猫までいるんだ、私これがよかったなぁ」
「あ、ほら七瀬さんのタライもちゃんとあるよ」
「何なに……『アイテム079 金盥』洗面や洗濯の時に使う平たくて丸い容器。
上空から相手の頭上に落としたりして使用します。
緊急時には頭に被ったり盾変わりに使うと効果的です……
ってんなワケあるかー!!」

【長森瑞佳 アイテムリスト入手】
675マナー(゜д゜):2001/05/25(金) 21:21
 太陽は、高く頭の上にある。そろそろ正午か、それくらいの時間なのだろう。
 放送がかかったのは、そんな時間帯のことだった。
 聴神経をいちいち引っ掻き回すような、耳障りな高槻の声。どうしても耳を塞いでしまいたくなる。
 だが、それはできない。どれだけ目を背けたくても、今ここで現実から目を逸らすことはできない。
 そうして、また死者の名前が楽しそうに読み上げられる。
(緒方英二……? ッ、澤倉先輩……!)
 マナの表情が暗くなる。
 緒方英二。由綺の所属する、緒方プロダクションの経営者。
 多くのアイドルを世に送り出してきた彼の名前は、ラジオで歌番組をよく聴くマナには由綺のデビュー前から聞き慣れたものだった。
 そんな有名人がこの島で死んでいることにも驚いたが、それよりもむしろ美咲の死ははるかに衝撃的だった。
 『蛍ヶ崎学園の最後の良心』と皆から慕われていた美咲。マナも憧れ、尊敬していた。
 ――すごく、尊敬していた。
(限界……かもね)
 この島のどこかに、英二を、そして美咲を殺した人間がいる。
 その他、マナの知らないどこかの誰かを、やはり殺した人間がいる。
 しかし一方、これまでに名前を呼ばれた死者のうち、誰かは従姉である由綺が殺したものであり――
 今の放送で呼ばれた人間の中に、もしかしたら由綺が、冬弥が殺した人がいるのかもしれない。
 知り合いが人に殺され、知り合いが人を殺す。
 若干十七歳の少女が受け止めるには、一連の出来事は余りにハードで、重すぎた。
(私が何かすれば、何をすればなにもかもがうまくいくの……? ……セン、セイ)
 心の中でさえ、頼れる人間は既に聖しかいなかった。
 そして、聖はもういない。
676マナー(゜д゜):2001/05/25(金) 21:21
「ぅあっ……!」
 左足に激痛が走り、地面にへたり込んでしまう。
 血の滲んだ包帯が解けかけていた。
 だらしなく引き摺られ、薄汚れた包帯が、マナにはなんだか自分自身と重なって見えた。
「…………」
 少し向こうで、人の足音がした。
 マナは呆然とした表情のまま、ポケットの中のメスを握り締める。
 話し声が近づいてきた。
「はぁ……わかったから、とにかく、その握った手を離してちょうだい」
「ダメだよぉ、はぐれちゃったら困るでしょ? ……あれ〜、誰かいるねぇ」
「ちょっ、そんな大声で……って……あなた、一体なにやってるわけ?」
 瞬間の出来事だった。
 マナは、現れた二人に向かって飛び出した。
 その手に輝く銀色の刃物を認め、きよみは焦った声を上げた。
「なっ、なんで――」
 それは彼女のミスだと言えた。一瞬の判断の遅れが、いざという時には生死を分ける。
 だがどちらにせよ、きよみに避ける時間はなかった。マナは、その目の前に踏み込むと――
 両手できよみの手を包み込み、メスを握らせると、手は握ったままで、膝から崩れ落ちた。
 不可解な展開の連続に、きよみはすっかり混乱していた。
「あ、あなた、どういう……」
「――さいよ」
「何? 聞こえないわ」
 マナは視線を上げ、きよみの目を正面から見つめ、言った。
「殺しなさいよ。……殺してよ……」
 きよみの足元にすがりつき、丸めた背中を震わせ、マナは泣いた。
677マナー(゜д゜):2001/05/25(金) 21:24
時刻的には第四回放送後、きよみ死亡とほぼ同タイミングか、その直前。
場所が離れているため、きよみ放送は聞こえないということで。

黒きよみと佳乃は前回終了時(朝)から今まで移動した結果、現在地に。
島の地理がよくわからないため書いてませんが、脳内では森の中かなーとか思って書いてます。

なにかあったらツッコミよろしくです。
678名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 21:28
マナもそろそろアボーン?
だんだん面白くなってきた。
679657:2001/05/25(金) 22:04
うぁ、本当だ………
ちゃんと読んで出直します………

失礼いたしました………
680幕間劇(1/2):2001/05/25(金) 22:14
島の南端、さびれた共同墓地の地下深く
潜水艦「ELPOD」は故障のため、搬入用ドックに緊急停泊していた。

「ええい、復旧までどれくらいかかる?」
高槻の機嫌は悪い
愛らしい少女たちが血の海の中で、のたうち悶えながら死んで行く光景を
想像しながら自慰にふけっていた矢先(ちなみに今回のネタは神尾観鈴だ)の故障である

「故障原因、現在調査中」
HMX-13の事務的な回答が帰ってくる
「バカな、こいつは組織から与えられた最新鋭の潜水艦だぞ、通常航海でイカれるはずは無い!」

「故障原因不明、調査中」
再び機械的な回答
「ええい、もういい!!」
メイドロボのよこっ面を張り倒す・・・・・自分の手が痛くなっただけだった。
681幕間劇(2/2):2001/05/25(金) 22:16
元来が小心者なためわずかなほころびでも我慢が出来ない。
今こうしている間にも、奴らにここを発見される可能性が無いわけではない。
俺はこんなところで終わる男じゃない。
この任務を成功させれば、FARGOでの発言力も増し、明るい未来が待っている

だが・・・・・・失敗すれば、光差さぬ実験室で死すら許されぬモルモットとして
永遠を生きる運命が待っている。
 ハハハ・・・・・何を焦っているんだ、たとえ発見されても、戦闘用にチューンUPされたこいつらが俺の盾になる
戦闘用って事であそこのしまりはイマイチだがな、ヒャハハハハ
それでも止まらん奴らにはしかけた爆弾で、吹き飛ばしてしまえばそれでいいんだ。

コクピットのコンソールに備え付けられた起爆装置にほお擦りする。
が、起爆装置が勝手に起動していることに気がつく。
016・・・・杜若きよみ!
「バカな、俺は命令を出していない!こいつにはまだ利用価値がある!」
解除ボタンを力いっぱい押す、だが何の反応も示さない。

そのとき偶然か、高槻の胃がちくりと痛んだ。
まさか・・・・俺の胃の中にも・・・・・?そんなバカな。ハッハハハハ・・・・・ハハハハハ・・・

不安をかき消すように笑い続ける高槻の背後では
メイドロボたちの無表情な音声が途絶えることなく続いていた。

「故障原因未だ不明・・・・・・調査続行中」
「了解、調査続行」
682幕間劇(作者 ):2001/05/25(金) 22:18
高槻自身、自分の与えられた情報、自分の行為に疑惑を持ち始めつつあるってことで。
ミサイルもホントかどうか・・・・・・
感想スレで、クローンとマスターの関係について質問しましたが。
その理由として、葉子パートでの
「けど、上がうるさくてね。さっきもやっちまったし。」
とのセリフがあるため、矛盾を避けるための措置です。
そう解釈するかは皆さんにお任せします。
683「霧島」(1):2001/05/25(金) 22:21
「――ばかみたい」
 泣き続けるマナを冷ややかな目で見つめながら、きよみはつぶやいた。
「数時間前、私にケンカ売ったあなたはどこ行ったのよ。
 所詮はチビっ子だったということね。あーあ、ばかみたい」
 マナは顔を上げた。
 そして気付く。目の前の女の人が、数時間前出会った彼女だということに。
「何があったかなんて訊いてあげないわ。そんな必要もない。
 あなた言ったわよね? 『どうしてそんなことで殺さなきゃいけないの?』って?
 私も同じよ。なんであなたに泣きつかれて殺さなきゃいけないの。
 どうせ今のあなたなんかのたれ死にがオチね。
 どっかのキチガイに勝手に殺されるなり、好きにしなさい。
 自分の命を奪うも他人の命を奪うも同じことよ。
 それがわからないなんて、やっぱりあなたはチビっ子ね」
 どこまでも冷たく言い放ち、再び歩き出そうとする。
「うわっ、毒舌だよぉ」
 二人の間に立ち、おろおろする佳乃。
「……霧島先生……どうすればいいのよぉ……」
 涙混じりの声で呟く。
 返事は期待していなかった……が、その返事は返ってきた。
「え、お姉ちゃん?」
 佳乃が驚いたような声を上げる。
 その反応に今度はマナが驚き、気付けばきよみも立ち止まり、ことの成りゆきを眺めていた。
684682:2001/05/25(金) 22:36
そう解釈→どう解釈 です

一文字違うだけで意味が全然ちがう、早く気がついて良かった

685蒼天の雨(1/5):2001/05/25(金) 22:42

 一歩。また一歩。前へ進む。――その足取りは重い。
だが、深山雪見はそれでも歩みを止めない。
 鈍痛に、歯を食いしばって耐えながら、彼女は歩き続けた。
 ――後、一人なら。
 雪見は、考えていた。
 ――後、一人なら殺せる。例え、道連れになろうとも。
 だから、次が当たりになるように。そう願いながら、雪見は前へ進む。

「そんな怪我で、どこへ行くんだ?」
 男の声が、した。雪見は立ち止まり、荒れた呼吸を整えて答えた。
「……人を、探しているの」
「……どんな奴だ?」
「黒髪で、おしとやかそうな女の子。そして、大きなリボンをつけた小さくてかわいい子。
この二人を殺した奴を探してるの。……知らない?」
「知らない」
 男は、あっさりと答える。そこに、動揺は見られなかった。
「そう。じゃあ、用はないわ。さっさと消えて」
 また、違った。雪見は落胆の色を隠せない。またこの島を探しまわる羽目になるのか。
「こっちも、ひとつ聞いていいか?」
「さっさと消えて、と言ったでしょう」
 雪見は銃を構えると、ニ、三度引き鉄を引く。
「ちっ!」
 素早く転がって、弾を避ける男。
「おい! あんたは今みたいに、人を殺してきたのか!?」
「……関係ないでしょ。私は、二人を殺した奴を殺さないといけないの。邪魔をしないで」
「……そうはいかない」

 銃声が響く。

 次の瞬間、雪見は腹部が燃えるように熱くなって――そしてその場に倒れた。
「無秩序に人を襲うような奴を、放っておくわけにはいかない」
 国崎往人はそう言うと、構えた銃を下ろした。
686名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 22:43
「ねえ……ねえってば……ああもうっ!」
 御堂(089)が柏木梓(017)、月宮あゆ(061)から別れて数時間、梓たちはその場から一歩も移動していなかった。いや、出来なかったというべきか。
 その原因は御堂と別れた後に聞こえた放送。
 その放送は普段のものとは違った。あの嫌な高槻ではなく、若い女性のものだった。
 内容も普段の死亡者報告ではなく、休戦、そして皆で力を合わせて助かろうというものだった。
 そしてその放送をした女性は……殺された。
 おそらくは主催者側の手によって。
 彼女の持っていた拡声器(梓はそう判断した)はその一部始終を生々しく伝えた。

 その凄惨な状況により、月宮あゆは恐怖におびえ、その場で震えることしか出来なくなっていた。
 それから数時間、梓がどう説得しようとも、あゆはまったく動こうとしなかった。

(しばらくは駄目か。そりゃそうだ、アタシだって……)
 頭の中に浮かぶ情景。それを梓は頭を振って払いのけた。
「ふぅ…仕方ない、しばらくここにいるしかないか。でもこんなとこを誰かに襲われでもしたら……」
 大ピンチだろう。自分はともかくこの子が危ない。
 そして自分はこの子を見捨てることは出来ない。
 梓はそう判断していた。
「誰にも出会わないことを願うしかない……か」
 そうつぶやく。
 しかし世の中とはそううまく行くものではなかった。こういう場合はとくにだ。
 目の前から人の気配。
 梓は身構えようとし、横にいるあゆを気にした。
(どうしよう……この子……守りきれる?)
 相手が一人ならともかく複数だと無理だ。敵でないことを願いつつ、梓はあゆにバッグの中から取り出した服をかぶせた。
「聞いてるかどうか知らないけど、一つ言っておくから。アタシはあんたを見捨てたりしない。絶対にね」

 そして目の前の木の陰から姿をあらわしたのは
「千鶴姉!」
 側から見ると満身創痍の柏木千鶴(020)だった。


梓、あゆ組と千鶴、遭遇
あゆはうずくまってるところに防弾チョッキをかぶせられています
千鶴の傷はまったく深くないです、服がぼろぼろなのでそう見えるだけです
687「霧島」(2):2001/05/25(金) 22:44
「霧島……聖先生を……?」
 マナが問いかける。
「うん。お姉ちゃんは凄いんだよぉ。なんでも治せるお医者さんなんだぁ。
 なんと、トラクターも治しちゃうんだよぉ。
 私、お姉ちゃん、大好きなんだぁ」
 マナは、偶然というものに驚き、感謝した。
 だが、直後に沸き上がる疑問。
「あなた……お姉さんが死んだのに……悲しくないの?」
「……え?」
 佳乃の時間が、止まった。

「放送、聞いてなかった?
 霧島先生は私の前で……私は足手纏いにしかならなかった」
 今でも鮮明に思い出せる。
 血に染まった聖、その声、言葉。
 早く逃げろと、マナを思って、最後までそればっかりだった。
 そして口には出さなかったが、妹のことも最後まで思っていたはずだった。
 その妹が、今、ここにいる。

「嘘だよぉ……。
 お姉ちゃんが、死ぬわけないよぉ。
 だって、お姉ちゃんだよ?
 お姉ちゃんは、なんでも出来て、それで……それで……」
 佳乃の笑い声が、次第に悲しみに彩られていく。
「現実よ……。
 先生、きっと最後まであなたのこと気にしてた。
 会いたがってたから、連れて行ってあげる。
 いい?」
 動揺している佳乃に向かい、言った。
「嘘だよ……お姉ちゃんが、お姉ちゃんが……。
 そうだ!」
 佳乃は自分の手首に巻かれていたバンダナを外す。
 それは聖の施した枷であった。
 それが、聖の死によって、解かれてしまった。
「これを外せば、魔法が使えるんだよぉ。
 お姉ちゃんが言ったんだ、お姉ちゃんとお母さんに、帰ってきてもらうんだぁ……」
 わかっていた。
 そんなものは、存在しないということを。
 ずっと昔から、わかっていた。
 叶わない願いだということを、もう知っていたのだ。
688蒼天の雨(2/5):2001/05/25(金) 22:44

「くぅ……」
 まだ……まだ、大丈夫。もうだめだと思ったけど。まだ、大丈夫。
 行かないと。探さないと。二人を殺した奴を殺しに行かないと。
 足掻く雪見に、往人はゆっくりと歩み寄る。
「……もし苦しいんだったら、楽にしてやろうか?」
 銃口を雪見の額に突き付け、無表情で往人は言った。
だが、その申し出に雪見は首を振る。
「……良い。……みさきも、澪ちゃんも、きっと楽には死ねてないから」
「だから、自分も痛みを甘んじて受け入れる、ってのか」
 雪見は力無く頷く。往人は銃をしまい込むと、雪見の傍に腰を下ろしこう言った。
「変なとこで強情なんだな、あんた」
「……そうかもね」
 ひゅうひゅう、と雪見の弱々しい呼吸が聞こえる。
往人は何をするでなく、じっとその様子を眺めていた。
「……ねぇ。何で行かないの?」
「もう少し、ここにいることにする」
「……自分で撃っておいて、助けてくれるっていうの、私を?」
「いや」
 雪見の問い掛けに、往人は静かに首を振る。
「悪いが、俺に医学の知識は無い。知り合いに凄腕の医者はいたんだがな」
 『いた』と言う表現。
――もしかしたら、自分が手にかけた者の中にその人がいたのかもしれない。
 そんなことを、今更ながら思った。
「それに、あんたがまた起き出して人を殺すと困る」
「……だったら、止めを刺せば良いじゃない」
 往人は表情を変えずに、その問いにこう答えた。
「あんたに止めを刺して良いか聞いたら、断ったからな」
 雪見は、ふっと唇の端を歪めて微笑んだ。
「あなたも、変なところで律義ね」
「そうかもな」
689蒼天の雨(3/5):2001/05/25(金) 22:50

 相変わらず、雪見の呼吸は荒い。
「……ねぇ。お願いがあるの」
「なんだ」
 努めてぶっきらぼうに、往人は聞き返す。
「私、夕焼けを見たいの。友達が好きだった夕焼けを。でも……さっきから眠くて。
お願い、何か話して気を紛らわして……くれないかしら」
「……悪いが、話は苦手だ」
 しばし考えて、ぽりぽりと頭を掻く往人。
「そっか。じゃあ、一人でどこまで起きられるか頑張ってみようかな……」
「代わりに、こんなのはどうだ?」
 往人はズボンのポケットから何やら取り出すと、雪見の前にそれを置く。
「……何?」
 そしてこほん、と往人は一つ咳払いをし、前口上を述べた。
「――さぁ、楽しい人形劇の始まりだ」
690蒼天の雨(4/5):2001/05/25(金) 22:52

 とてとて……ぱたん。

 能力を制限された、往人の人形劇。
それは、いつものような華やかさは影を潜め、ただ起きあがって、歩いて、転ぶだけの。
――そんな、滑稽な代物だった。
「……つまんない」
 雪見のその感想に、往人は少々落胆するが、その通りだと頷く。
「俺もそう思う。普段なら、もっと派手に動かせるんだがな」
「そうじゃなくて……」
 雪見はじっと人形を見つめ――涙を流しながら言った。
「みさきと澪ちゃんを殺した奴を探して……誰か見つけて、殺して……そして傷つく。
……ほら、私みたいじゃない……。私、つまんなかったんだね……」

 とてとて……とん。

「そうかもな」
 と、往人はみさきの元へ人形を歩かせるとそのまま起立の格好で立ち止まらせる。
「でも、せめて自分だけは正しかったと思ってやれ。
俺も、殺人を正当化する気はないが、自分のやってることは間違っていないと信じてる」
「……うん。そうする……」
「よし」

 ふ……くるくる……とんっ……とととと、ぱたん。

 その答えに、往人は人形をふわりと宙に舞わせてくるくると回し、
見事に着地を決めようとして――転ぶ。
「ふふ……すごいね」
「特別サービスだ。……本当は、上手く着地を決めるはずだったんだがな」
「ありがとう。……今の、澪ちゃんに、見せたかったな……」
 雪見が、微笑う。だが、その瞳の光は鈍くなっていった。
691蒼天の雨(5/5):2001/05/25(金) 22:54

「ねぇ……夕焼けまでは、まだ、時間があるかな?」
「残念ながら、まだだな」
「……そっか」
 ――空は、まだ蒼く。

「ねぇ……お願いがあるんだけど」
「なんだ?」
「みさきと澪ちゃん……この二人を殺した奴を、殺してくれないかな……?」
「……考えておく」
「……ありがと」
 ――それは、嘘だとわかっているけど。

「ねぇ……」
「……」
 ――それでも、よかった。


 往人は、人形を仕舞うと立ち上がる。
 ――空虚な心に人の想いを抱えるのは、やはりつらい。
 そう思いながら、往人は涙をそっとぬぐった。

 矛盾した行動。
 人が死なないようにするために、人を殺す。
 自分で殺して、その死を悲しむ。
 狂っているこの島で。
 ――果たして、俺は最後まで正しい行動を取っていると信じ続けられるだろうか?

 ――蒼天に降る雨の上がり余韻を残さぬほどに早く。そして、悲しみを帯びていた。

096 深山雪見 死亡
【残り 57人】
692名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 22:56
56人な。
693「霧島」(3):2001/05/25(金) 23:02
「うわぁぁぁぁぁっ!!」

 佳乃は突然叫び声を上げ、傍に立っていたきよみの持っていたものに手を延ばした。
「!?」
 ふいをつかれたきよみは、その手にあった物を奪われる。
 それは――メスだ。
 マナが持ち、きよみに持たせ。
 大元は……霧島聖のもの。
「お姉ちゃん……っ!」
 佳乃はそのまま自分の手首を切り裂こうとした。
 そして、血が舞った。
 紅く、紅く――

 間一髪のところでマナが割り込んだ。
 メスは腕を深く切り裂き、動脈から勢いよく血が流れる。
 痛みはあった、だが、なんてことない。
 目の前の少女の痛みにくらべたら、これくらい――
 血にまみれた手で、佳乃を抱き締める。
「だめだよ――
 先生の想い、無駄にしちゃだめだよ――
 先生は、あなたに、生きて欲しかったんだよ?
 自分から、死んだりしちゃ、先生、悲しむよ――」
 マナの言葉に、佳乃は一瞬硬直した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」
 全ての悲しみを――ずっと昔から抑えていた悲しみを開放し、泣き叫ぶ。
 悲痛な声はこの島の大気に、流れ、溶けて、消えてゆく。
 佳乃に言い聞かせながら同時に、悟る。
 忘れかけていたこと、それは――
「わかってるじゃないの」
 きよみがぶっきらぼうに言った。
「この子に言ったこと、あなた自身にも言ってあげたらどう?」
 見下ろすその表情は冷たく、しかし声はどことなく、暖かみを帯びていた。
「……そうするわ」
 笑顔で、少しばかりの悲しみを含んだ笑顔で、言った。
「それでこそ、ね」
 ようやくきよみも表情を崩す。

 周りには、ただ、佳乃の泣き声だけが響く。

 それに別の音が混じったのは、次の瞬間だった。
694「霧島」(4):2001/05/25(金) 23:16
 タンッ、タンッ、タンッ

 三つの音、硬い音。
 崩れる。きよみの体がゆっくりと。
 佳乃の泣き声も、唐突に途切れた。
 そして――マナも。
 撃たれたのは理解できなかったが、何者かに攻撃を受けたのは、わかった。
 音のした方を見る。
 ――あれは……

(何よ。
 やっぱりあの時、殺しておけばよかったじゃない。
 ごめん、先生、妹さん、守れなかったよ……。
 会わせてあげられなかったね……。
 でも、私は先生の助手だから……。
 殺しておけばよかった。なんて、言っちゃいけないのかな?
 先生みたいな立派な医者に、なれないね。
 でも……私もやっぱり、甘いわね……)

 感覚が閉じてゆく。
 私は、妹さんは、先生に会えるかな?
 ……あいたい、な……
 ……せんせい……


 三つの死体に、ゆっくりと歩み寄る影。
「三人か。まぁ上出来か?
 かったりぃ……早く済ませて帰るぜ……」
 右手に銃を構え、『藤田浩之』は歩き出した。
 まさか自分が高槻に作られたクローンであることなど考えもせずに。
 ただ「早く帰る」その一念で動くのみだった。
 それは、まるで数時間前の藤田浩之そのものだった。

013緒方理奈 015杜若きよみ(黒) 031霧島佳乃 死亡
【残り53人】
【クローン浩之、始動】
695名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:18
クローン浩之の設定は保留だったはず。
ネタ的に使えると判断したので書いた。
非難は来るのだろうけど、承知の上で。
696名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:19
>>694は緒方理奈じゃなくて観月マナじゃないか?
697名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:19
大荒れの予感
698――落下性――:2001/05/25(金) 23:21

――初音は、長い、ひどく嫌な夢から、ようやく覚めた。
握り拳を作ってみて、体力が多少なり戻った事を確認した。
幾度か瞬きをして、ぼやけた視界の中時計を見る。針は既に十二時半を回っていた。
三時間ばかりの睡眠で、ここまで体調が戻ったのも僥倖と言えよう。
自分は人より幾分「重い」方らしく、毎月身体に至る痛みは、姉達の比ではないようだ。
それが、こんな緊迫した状況で、ここまで身体が楽になったのは、本当に幸運だった。
それにしたって、三時間も彰を待たせてしまったわけだ。
する事もなかっただろう。自分が無事だと云う事は、敵の来訪はなかったと云う事だろうか。
「彰お兄ちゃんー?」
返事がない。何処かに行ってしまったのだろうか。
立ち上がると少し眩暈がしたが、なんとか歩けるくらいまでは力が戻った。
あまりこの場所を動かない方が良いかも知れない、とも思ったが、
初音には、その理性的な思考よりも、自分に走った直感を信じる事にした――
今置いて行かれたら、自分は生きてこの島から帰れないのでは、という。

足を引きずりながら家の外に出ると、彰の姿を捜す。見渡しても、この外れにはいないようだ。
商店街に出て、曇天の空を眺めるように、初音は天を仰いだ。
太陽は見えない。気付けばこんな曇り空。
まるで人影がない。他の人はおろか、彰の姿すら見えない。
動悸が乱れている。それは単に体調が悪いから、という理由だけではない。
焦りだった。一人は嫌だ。一人は嫌だ。
武器は持っている。多分他の人が持っているどの武器よりも強力な兵器を。
それなのに、不安は、焦燥は、恐怖は、まるで消えない。
ごくりと生唾を飲み込んだ。がたがたと、身体が震える。
そう。自分が武器を持ったところで、何の意味があるのだろう。
どうせ、自分に人は殺せないのだ。
誰かがナイフを持って襲いかかってきたとして、自分にこの武器が使えるだろうか。
相手が傷つくと判って、わたしは、人にこれを向けられるのだろうか。
699――落下性――:2001/05/25(金) 23:21
ずきり、と頭が割れたような痛みが走る。

そう、だ。
わたしは、帰るんだ。
じろうえもん。
じろうえもん。
名前。それは、誰かの名前。

脳髄に走るイメエジ。
それは、大切なもの。

殺せる。帰るためなら、あなたは殺せる――。

がさり、という、何かを踏んだような音がひどく頭に響いたのは、そんな頭痛の最中だったからなのかも知れない
遠くに、彰がこちらに歩いてくる姿が、見えた。
凛。
――そんな、鈴の音が響いたような、そんな気がした――。

「彰お兄ちゃん」
その時初音が大きな声を出せなかったのは、近付いてくる彰の様子が、尋常でなかったからに違いない。
今まで見てきた、七瀬彰、という人格のすべてを否定しても構わぬような、そんな貌。
その眼は、優しいと言うより、ずっと、ずっと、哀しい眼。
こんな眼が出来る人だったのか、と、初音は果てしない怯えを覚えた。

「初音、ちゃん」
という、そんな、強い、強い声を、初音は聞いた。
「行こう、早く、君のお姉ちゃんを見つけに行こう」

自分の手を牽いて、彰は森の中を突き進んだ。
そこには、先までの彼の優しさ、思いやり、そんなものはなかった。
今、自分の前を歩く、七瀬彰、という、その青年は。
今まで自分が見た事がないような闇を、その手に秘めているような、そんな気さえした。

何があったのか、初音には判らない。けれど、想像は出来た。
自分が眠っている間にあった放送で――。

そして、意外にあっさりと、自分は再会できたのである。
700――落下性――:2001/05/25(金) 23:22
「あ、あんた……」
浩平は思わず、木陰から姿を現した。だが、相手はまるでこちらの話を聞く様子がない。
「覗き魔ー! 変態ー!」
「む、変態めっ」
てめえの方が変態じゃねえか、と言ったら、本気で殺される気がしますよ。女装マッチョ。バカだ。笑える。
だが、ぽきりぽきり、と拳の鳴る音がする。格好はアレだが、鍛えられた肉体は紛い物ではない。
あの太い腕に殴り殺される恐れもある。銃でも勝てそうにない相手とはこんな奴か。
七瀬、お前も強い強いと思っていたが、上には上がいるぞ!
って、今は七瀬のツッコミが入らなーい、どうしよう! ツッコミのない漫才なんてただのバカじゃないか!
「ま、待てっ!話を聞けっ!」
浩平は必死に弁明するが、顔を真っ赤にして怒り狂う少女とマッチョはまるで話を聞かない。
「の、覗いたのは悪かった! マジで謝る、とにかく話を聞け! あ、あんた、天沢郁未さん、だろ?」
そう言うと、水に浸かって顔だけを出しているその少女は、二度瞬きをして、何で知ってるの? と声を上げた。

服を着て現れた……って、スカート履いてないじゃないか。また艶な格好である。
その視線に気付いたのか、横の男がスカートを脱いで郁未に渡した。
うわあ、ビキニパンツ。間違ってるよあんた、というツッコミもいれたくなる。
――郁未は不可思議そうな顔をして、
「で、あなた、どうしてわたしの名前を知ってるの?」
と訊ねてきた。浩平はこほん、と小さく咳をすると、
「伝言があるんだ。確か、鹿沼葉子っていう人からだ」
「……葉子さん、が? 葉子さんに会ったの? 何処で? いつ?」
少女は呆然とした顔で浩平の言うのを聞き、そして直後、すごい勢いで訊ねてくる。
「ああ、取り敢えず伝言言うから聞いてくれ。――鹿沼葉子が、高槻を殺しにいきます、だそうだ」
少女は唖然として、浩平の顔を眺めた。
「……葉子さん、が?」
葉子さん、と、郁未は二度呟いた。
彼女の喉仏が動くのが見えた。
「葉子さんっ」
701名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:22
すでにCD4枚出そろっているため、
>>622-624はNG。
702――落下性――:2001/05/25(金) 23:22

立ち上がり、何処かあらぬ方向へと駆けていこうとする郁美の腕を、ビキニマッチョ……柏木耕一が掴んだ。
「郁未ちゃん、待て、俺にも事情を説明してくれ」
まるで俺が蚊帳の外じゃないか、と、不満げな顔で。
「俺にも話を聞かせてくれ。今まで一緒にいた縁だろ、郁未ちゃん」
郁未は、その力に抵抗できず、再び草の上に膝を付いた。

結構前に会ったんだ、と、目の前の少年――折原浩平は言った。多分高校生くらいのその少年は、
しかし歳の割に落ち着いた表情をする男で、喋り方にも自分が彼ぐらいの歳の時には信じられないような、
一歩引いた視点での冷静な雰囲気が滲み出ている。
冷静というか、単に物事に無頓着なだけの馬鹿、つまり自分と一緒な系統の人間、なのかも知れないが、
それは未だ判断のしようがない。
「あ、あの……葉子さん、高槻を殺しに行く、それ以外に何か言ってた?」
おずおずと訊ねる郁未に、浩平は軽く頷いて話を続けた。
「このゲームを仕組んだ黒幕について言ってたよ。確か――そう、FARGOが仕組んだものじゃないとかなんとか。
 それに、ミサイル発射に関する事が嘘じゃないか、とか、結界を破ればこのゲームがお終いになるだろう、とか」
郁未が唾を飲み込んだ。
「そう、……そうよね、FARGOが主犯の訳がない。それならあの少年だって……」
訳の判らぬ事を呟いている。耕一は溜息を一つ吐いて、浩平に判らぬ事を尋ねる事にした。
「ところで浩平君よ、その葉子さんとやらはどうやって重火器と戦う訳なんだね?
 良く判らないけど、結界が俺たちの力を抑制しているって事は判った。その葉子さん?
 って人も例外じゃあるまい。マシンガン一丁くらい持ってたとしても、
 凶悪な武装をしているはずの警備を乗り切る事が出来るだろうか?」
その言葉を聞くと、浩平は訳の判らない、といった顔で呟いた。
「槍一本で行っちゃったよ。あんなんで乗り切れるはずがないんだけどな……」
郁未は、……葉子さん、と、呆れとも感嘆ともつかぬ溜息を吐くばかりだったが、
耕一は、浩平のその言葉に、確かな違和感をそこに覚えた。
703――落下性――:2001/05/25(金) 23:23
「あのさ……」
と、耕一が言いかけた瞬間、郁未が立ち上がり、その声を遮った。
「わたしも行く! 葉子さん一人に無理はさせられない!」
そう云うと、耕一の止める声も聞かず、彼女は森の中に入って行ってしまった。
数分後、郁未が長い木の枝を持って現れたのが二人の目に入った。
「そ、それは無茶じゃないか?」
浩平が呆れた顔で言った。まさか、その枝で戦うつもりじゃないだろ? とでも言わんばかりの表情で。
「槍も木の枝も一緒だと思うけど?」と、郁未は不敵な笑みを見せて言った。
「うん……運動能力はそれほど落ちてないから、いけるかも知れない」
「それじゃあわたし、行きます。何処に本拠地があるかも判らないけど、なんとかやってみます」
このゲームをぶちこわしてやるから、と笑って。
郁未ちゃん、ともう一度声を掛けるが、郁未は勘違いしたようで、
「耕一さんも力が無いわけだから、無理はしなくて良いです。今は、わたしの方が、多分ずっと強いから」
と言うだけだった。
「違うんだ! 話を聞いてくれ」
走り去ろうとする郁未を、耕一は必死な声で呼び止めた。

浩平も、実は同種の違和感を感じていたのかも知れない。
耕一が話し出すのを聞いて、その違和感の正体をようやく理解した。
「……その……葉子さんが出発してから十時間くらい、立っているんだろう? ……不思議じゃないか?
 例えば、その葉子さんが高槻を殺したのなら、どうしてゲームはまだ終わっていないんだろう?
 ……つまり、葉子さんは襲撃に失敗した事になる。……ならば、何で放送されない?
 鹿沼葉子、死亡っていう放送が。さっき3回目の放送が流れて、その時にも何もなかった」
――氷上シュンが死んだのを聞いて、ショックを覚えた自分を思い出した。
もし郁未にとって葉子さんが重要な人なら、それを聞き逃す事など無いはずだ。
郁未が目を見開いて耕一を見たのは、それが、――何かの確信に繋がったからだろうか。
郁美はへたり込んで、ごくりと唾を飲み込んだ。
「まさか」
「……そういう事になるのかも、知れないな」
浩平も同時に理解した。
それは、――ジョーカーの、存在。
704名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:26
>>696
その通り。
マジ、スマソ………
705――落下性――:2001/05/25(金) 23:27

この殺人ゲームを終わらせるために、やる気になる人間とは、実は少ない。
だから、主催者側の情報を握らせ、殺人マシーンになる事を了承させる――
そんな存在が、あるのは、知っていた。だが、葉子が、という思いがあった。
葉子も高槻も死んでいない、というのが、その事実を如実に表しているではないか。
葉子はジョーカーなのだ。人数を半数近くに減らしたのは、彼女なのかも知れない――
「嘘よ! 葉子さんがそんな、そんな」
叫び声をあげると、郁未は立ち上がり再び駆け出そうとしたが、また耕一の腕に阻まれる。
「何処へ行くんだ、郁未ちゃん」
「葉子さんを捜す! 捜して問い質すの」
その細い腕の何処にそんな力があったというのだろう、
郁未は耕一の腕をはじき飛ばすと、森の中に駆けていってしまった。
今度は、二度と現れなかった。

「どう、しようか」
という、浩平の呆然とした声を聞いて、耕一は顔を歪め、ただ考えるしかなかった。
失策だった。彼女に強い身体能力があるとはいえ、木の枝で戦えるはずがない。
追おうにも、足が異常に速く、現在の自分では追いつきようもなかった。
「郁未ちゃんを、追おうと思う。もしも彼女の親しい友人の、葉子さんが、本当にジョーカーならば、
 何となく、だけどこう思う。――彼女が、郁未ちゃんがこのゲームの、本当の意味での切り札だ」
浩平が頷くのを見て、
「君はどうする」と訊ねてみた。
「思うに、一人じゃないんだろう?」
逡巡した挙げ句、浩平は少し悩んだ顔をしながら、
「……オレは、取り敢えず連れの所に戻ります。近場ですから、少し待っていてくれますか」
「ああ」
そう云うと、浩平は自分に背中を向けて走り出そうとした――
そこに。
706――落下性――:2001/05/25(金) 23:27

……幼い少女と、自分より少し年下と思われる青年が、立っていた。
その少女は、自分が誰よりも愛しいと思っていた、守らなければならないと思っていた少女。
「初音ちゃん!」
耕一は歓声を上げた。思わず駆け寄り、その弱々しく細い肩を抱きしめた。
「お、お兄ちゃん、痛いよ……」
という初音の声を聞き、ようやく力を緩めたほどである。
本当に良かった。
自分の手の届く範囲に、守るべきものがあるというのは、本当に心が落ち着く。
後は、千鶴さん、梓、楓ちゃんの3人だ。彼女たちにも逢えるだろうか。
自分が泣いているのが判った。やっと出会えたのだ。
「良かった――」
そう言うと、初音も自分の胸の下でこくりと頷くのが判った。
「それじゃあ、僕は行きます。……耕一さん、その娘を、ちゃんと守ってやってください」
青年の、凛、とした声が届いた。
そうだ、この青年は誰だ――
様子から察するに、今まで初音ちゃんを守っていてくれたのだろう。
「……ありがとう、今まで初音ちゃんを守ってくれて」
いえ、と青年は首を振る。
その仕草には、何処か無機質な、機械めいた匂いを感じずにはいられない。
707――落下性――:2001/05/25(金) 23:27
「あ、彰お兄ちゃん」
初音は振り返り、青年――彰というのだろう、彼に、不安そうな眼を見せて、その名を呟いた。
「初音ちゃん。……うん、また、逢えたら逢おうね」
「彰お兄ちゃんっ……!」
そう云って、彰は走り去ってしまった。

耕一と浩平は、呆然として、その後ろ姿を見送った。
まるで、何か果たさなければならぬ目的があるかのように、強い決意の眼、だった。
「彰お兄ちゃんが、わたしを守ってくれたんだ」
そう云う初音の声を聞いて、耕一は、先の青年が見せた眼に、ひどく不吉なものを感じざるを得なかった。
初音も同じようなものを感じたのだろう、不安そうに自分の胸の下で震えている。
「大丈夫、大丈夫だよ……」
無責任に励ましの言葉を並べ、耕一は初音をもう一度強く抱きしめた。

「で、郁未ちゃん追うのはどうするんです」
という浩平の声を聞き、耕一は慌てて、
「ここで待ってるから、連れの所に行ってきて……」
と返事をした。言うと、今度こそ浩平は駆けていった。
にしても、このビキニパンツはやばいなあ、と、裸で初音を抱きしめながら、耕一は強く思ったのである。
708――落下性――:2001/05/25(金) 23:30
その青年は、一つの事を誓っていた。
それは、復讐と呼べばもっと素敵なものになるだろうか。
やっと判り始めた。
自分がどれだけ愚かだったのか、という事に。
行きずりの少女に構っている暇は無かったのだ。
そんなもの、守っている暇など無かったのだ。
馬鹿だったから。
何がある。
そこに、何がある。
思うべきものがあるのか。
自分の名前を思い出せ。――そう、七瀬彰だ。
このゲームの管理人である長瀬の、分家だ。
鞄の中には、大きな袋。
重くて重くて仕方がない、
けれど、これが切り札。
何処にだって酸素は充分ある筈。だから。
だから、これで、一矢報いる事が出来るはずだ。
威力の程は知らない、だから、傷も負わせられないかも知れないけれど。
けれど、愛しい人を奪ったゲームを、終わらせられるかも知れない。
向かうべきは、ただ一つ――
管理者のいるところへ。

美咲さんの為だけじゃない。
すべての死んだ人のために。

叔父達に会えるかは判らない。
だが、なんとかして会って、そして、終わらせる。
その為の――切り札だ。

【七瀬彰 移動中(切り札持ち)】【折原浩平→七瀬達のところへ】
【柏木耕一・柏木初音 浩平達を待つ】【天沢郁未 移動中】
709ReStart (1/2):2001/05/25(金) 23:32

「んー、もう大丈夫やな。」
立ち上がる智子。
撃たれた方の腕を激しく動かさなければ、我慢できない痛みではない。
「せや、マルチ、頼みがある。」
「なんでしょうかー。」
「あんたの持っとる拳銃、あかりに渡してくれんか?」
「いいですよ。でも、どうしてですか?」
「あんたには、コレを使こおて欲しいんや。」
そう言って。自動小銃(64式)を見せる。
「…さすがにコレはもう撃てん。せやから、あんたに使こて欲しい。」
「…はい、分かりました。大切に使います。」

それから、と智子は問う。
「どうやった?例のサルベージいうんは。」
「はい。サテライトは使われていないようですが、本体内に蓄積されていた情報の方は。
 武器・弾薬・爆発物のデータ、電気、電子、通信関連のデータ。
 それから車の運転技能、そして薬草・野鳥に関するデータ。
 サバゲーのルール等のデータ。船戸与一の著書のデータ。そして『バトルロワイアル』のデータ。
 ただ、これについてはコミックス3巻分のデータしかなかったですー。」
 …あまり関係無いものもあるような…
「そーか。ただ、どうなんや。あんたの鳥頭で、そんなぎょーさん覚えられるんか?」
あうー、と言う感じで頭を垂れる。
「その分、優先順位の低いデータを消去しますから大丈夫ですよー。」
「そか。がんばって覚えなあかんで。あんたの友達の残してくれた、大切なデータやからな。」
…友達の残してくれた、大切なデータ。
その言葉に、ついと真剣な眼差しを智子に向ける
「はいっ!」
710ReStart (2/2):2001/05/25(金) 23:33

「じゃあ、マルチ。あんたにもう一つ頼みがある。」
外に止めてあるジープ。それを窓から見つめる。
「車に積んである無線使こて、情報を集めて欲しいんや。」
「はい。具体的にはどんな?」
「もちろん晴香のこと。それから高槻の動向。そして…藤田君が、今、何処におるか。」
…その言葉に、休んでいたあかりが振り返る。
そのあかりに向けて言う。
「…そろそろ、その件にも決着をつけんとあかんやろ。もう半分近お死んどる。
 ぐずぐずしとったら、藤田君が、それか私達が殺られることになる。」
「…うん。」
あかりの返事にうなずき返しながら、付け加えた。
「それとマルチ。もう一人探して欲しい人がおる。」
「どなたですか?」
「天沢郁未…晴香の、親友や…」
711名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:34
>>694
荒らし決定。(・∀・)カエレ!
712名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:46
713名無しさんだよもん:2001/05/25(金) 23:50
誰か今までの流れ全体を把握してる人おったら、
簡単でいいから、あらすじをまとめておいて欲しいんじゃが…
時々、ケアレスミスする書き手さんもおるでのう。
714折原を待ちながら2:2001/05/25(金) 23:57
アイテムリストは瑞佳(065)自身の『アイテム100 アイテムリスト』で
最後のページとなっていた。
途中目を引いたもの以外はパラパラと流し読みしたので詳しいことは解らないが
大半は普通の銃器や刃物、そして何の役に立つのか解らないようないわゆる
ハズレの支給品ばかりだったが注意するべきものもあった。
外見は普通のウォーターガンなのに中身は硫酸といったものや
6時にセットしてアラームが鳴ると爆発するという目覚まし時計、
熊のぬいぐるみに仕込まれた小型特殊爆弾等その外見からは想像できない
危険なモノがあった。
同時にメイド服型防弾チョッキとか(・∀・)仮面とかちょっとお間抜けなものも
あったりもした。
この事が分かっただけでもそれなりの収穫かも知れないが銃器に関しては弾数や
射程、威力といった細かな性能、それに使い方というか撃ち方まで明記されている
みたいなので今後何かの拍子に銃器を手に入れたならば自分や七瀬でもなんとか
扱う事が出来るかも知れない。
勿論そんな時が来ないにこした事はないけれど。
そして瑞佳にはもう一つ気になっているモノがあった。
「しかし……これだけ武器があるなら皆団結してこのゲームの主催者達と
渡り合うのも可能なんじゃないかな。爆弾やら何やらまで結構あったわよね
あいつらのいる所なんてバーンと吹き飛ばしちゃえばいいのよ」
横で七瀬(069)が物騒な事を言う。
「でも、始まってから時間が経ってるから今はもう残っていないのも多いんじゃないかな
何回か遠くで銃声や爆発音がした事もあったし……
それにあの高槻って人を殺すと核ミサイルが撃ち込まれるって
葉子さんは自分の力が解放されれば大丈夫って言ってたけどどうなったのかな……」
「う〜ん」
そう言って七瀬は頭をかく。
「それより七瀬さん、これって何だと思う?」
そう言って瑞佳が開いたページ左側には何の変哲もない普通のCDが一枚
右側に『アイテム049 CD1/4』とあった。
「ちょっと待って瑞佳、あ、来た来た、やっと戻ってきたわよあのアホ」
振り向くと瑞佳にも向こうから駆けてくる浩平(014)の姿が見えた。
【折原浩平、長森瑞佳、七瀬留美 合流】

(※)すいません前回浩平の番号間違っておりました。
715UNREAL:2001/05/26(土) 00:27
私にとっての友達とは、出会った時からなんとなく脳内にビビッっと電波が走るっていうかー。
ん、まあ、それも私の思い込みなんだけどね。
こういう世界に身を置いてると、なんかドラマティックな展開にあこがれちゃうから、特に私みたいなコは。
でも、そういうことってすごく大事だって思ってるんだ。

 本当は早く帰りたかった。
だけど、そこは絶海の孤島。ただ思うだけでは帰れるはずがなくて。
だから脱出口を探そうって切り出した。元々黙ってるのって性に合わないから。
それは空元気だったのかもしれないけど。

――だったら、一緒にココを出ようね。約束だよ☆――

この島で出会った大切なお友達。
いきなりこんなところに連れて来られて、『殺し合い』。
訳わかんなくなる。
だから、目の前にある現実だけを信じた。それがこのコ、柏木楓ちゃん。
割とおとなしいコだけど、いつの間にか打ち解けていた。
私の強い押しのせいかな?こんなときだけは私の生来の明るい性格に感謝する。
そして、約束したんだ。一緒に帰ろう…って。
ただの口約束だったけど、私は信じてた。
これで一緒に帰れるんだって…帰ったら電話で今日のこと、そしてこれからのことを笑って。
そして一緒にこみパで騒いで。

――来ないで…千鶴姉さん。また……人を狩るの?……昔みたいに――

あのコの声が耳の奥で響く。
あのコのお姉さん、たしか千鶴って呼んでた。
あのコがいつも心で無事を祈っていた、女の人。
だけど、あのコのお姉さんが、あのコが渇望して止まなかったはずの感動の再会は無かった。
爪、血、涙。ただそんな光景が目の前に広がって。
716UNREAL:2001/05/26(土) 00:27
昔こんなお話を本で書いたことがある。たしか大事な人を泣く泣く傷つけるってお話。
ずいぶん前の話だから結構忘れちゃってるけど。
男同士が、ひょんな事から互いを庇い合い、憎しみ合い、殺し合う。
それは愛する女性の為、そして友情の為。
それは本の中で、架空の世界だからこそできた綺麗事の夢物語。

目の前での二人、それは架空の綺麗事なんかじゃなくて。
見ていてつらく――哀しい。
私を守ってくれるような騎士様なんかじゃない。

そして放送があった。凛とした透き通る声の女性。
独白、そして爆発――
私はたぶん死ぬまでこのときの爆発を忘れない。

そのコの最期と見られる建物の側で、私は泣いた。
黒こげた建物の屋上と、こびりついた大量の血の痕…
私はやっと理解した。
私がここに来てから感じていたアンリアルは、全部嘘だったという事に。

今は、楓ちゃんが怖い。途中から一緒に行動していた南さんが怖い。
そして千堂クンが、この島にいるみんなが……怖い。
いつかわたしもこの島に住みついた狂気に飲まれてしまいそうだったから。

本当は、それでも信じなきゃいけなかったのかもしれないね。
この島で、本当に出会えて良かったと思える柏木 楓ちゃんを。
717名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 00:34
>>680
HMX-13はテスト型だったと思うが
量産型はHM−13じゃあないの?
718680:2001/05/26(土) 00:41
>>717
げげげげ・・・・その通りです。
申し訳無いです
719名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 00:55
>>686>>715で千鶴さんが大量発生しています。
書き手の方はくれぐれもご注意下さい。
720名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 00:57
715は回想でしょ?
大量発生してることには変わりないが、最近な。
721UNREAL作者:2001/05/26(土) 01:05
回想というか、独白です。
大量発生スマソ。

ちなみにキャラは玲子です、念のため。
722怨恨(1):2001/05/26(土) 02:13

余りにも無残な現実を見せ付けられるのと、

それが現実だと確認する事になる放送を聞いたのは、殆ど同時だった。

「……ま…こ……と」
僕達の探し人は、また、目の前で果てていた。
「…まこと……真琴!」
すでにタンパク質の塊と成り果てたモノを、天野さんは必死で揺さぶる。
もう決して開かれる事の無い瞼が、開かれる事を信じて。
そんな天野さんを遠くから見ていることしか出来ない、僕。
激しい無力感と自己嫌悪が、僕を傷めつける。
なんで。
なんでなんでなんでなんでなんで、僕はこんなにも弱いのだろうか。

ああ、天野さんが、泣いている。
遠くへと逝ってしまった、親友の為に。
そして、そんな彼女にかける言葉を持っていない僕は、情けない存在で。

――あの時、僕が気づいてさえいれば………

723怨恨(2):2001/05/26(土) 02:13
「真琴……」
返事を返すことの無い、躯に向かって美汐は囁き掛け続ける。
これ以上この場所に居ても、何か得られるわけでもないと、分かっているのに。
分かっているのに、美汐はこの場所から離れられなかった。
『あはははっ!美汐、騙された〜』
そう言って、真琴が突然目を覚ますことなんて、無いと、心では理解しているのに。
体が、動いてはくれない。この場を離れたくないと、悲鳴を上げていた。
そっと、頬を撫でる。
ひやり。
冷え切ったその頬に、美汐の涙が落ちた。

祐介は、そんな美汐の姿を、ただ見ていることしか出来なかった。
何も出来ない自分が不甲斐無く、ぎゅっと唇を噛んだ。
赤い血が一滴、唇の端を伝い、落ちた。

そんな時。

「……天野」
第3者の、声。

相沢祐一だった。
724怨恨(3):2001/05/26(土) 02:13
真琴の遺体を、木陰の目立たない場所に安置し、祐一が手向けの花を添えてやる。
それだけが、この島で朽ちていった者に出来る、精一杯の葬式。
「……誰が真琴を…殺したんですか」
怒りを押し殺した声で、美汐が祐一に尋ねる。
祐一は俯いて……搾り出す様に、言った。
「…名雪だ」
その名前を聞き終わるや否や、美汐は立ちあがる。
手には、きつく握ったデリンジャー。
「天野さん!」
祐介が美汐の前に飛び出し、道を塞ぐ。
「…どいて下さい」
祐介は、無言で首を振った。
「待ってくれ、天野」
代わりに言葉を発したのは、祐一。
「……いくら相沢さんの従姉だからといって、真琴を殺したことには変わりありません」
美汐は祐一とは目を合わせず、吐き捨てるように呟く。
「…違う、そうじゃない!名雪は…悪くないんだ」
祐一が叫ぶ。その悲痛な声は、美汐を振りかえらせるのに充分事足りた。

そして、祐一は話す。
記憶を失った真琴に殺されかけたこと。
そんな祐一を守るために名雪が真琴を殺したこと。
そして、死の間際に真琴が記憶を取り戻してくれた事―――
725怨恨(4):2001/05/26(土) 02:14
「私は…誰を憎めばいいのでしょうか」
誰にでもなく、美汐がぽつり、と言った。
祐一は答えない。否、答えられない。
だが、この中でひとり、答えを知っている人物が居た。
「……僕を憎めば、いい」
長瀬祐介は、確かにそう言い放った。
答えを知っているから。

「…長瀬さん?」
美汐が不思議そうな表情で祐介の顔を覗きこむ。
「おい、何言ってんだ」
祐一が多少声を荒げ、祐介を見遣る。
祐介は二人の視線を意にも介さず、自嘲じみた笑いを浮かべ、言った。
「……だから、僕を憎めばいい。僕がもしあの時気づいていれば、こんな事にはならなかったのかもしれないんだから…」
「どう言う事だよ」
獣のような低い声で、祐一が唸るように言った。
美汐は何も言わない。
「…分かったよ。じゃあ、話そうか」
祐介は顔を上げ、二人のほうに向き直り、語り始めた。
726過去:2001/05/26(土) 02:14
「起立、気を付け、例っ」

日直の号令が、今日の学校生活の終わりを告げる。
僕はひとつ伸びをすると、鞄を持って教室を後にした。

「ゆーくん、じゃあねー」
沙織ちゃんが体育館の入り口から元気に手を振っている。
僕はちょっと照れくさかったので、ひらひらと手のひらを動かすだけにしておいた。

そのとき、ふと体育館の裏のほうに歩き去ってゆく人の姿が目に入る。
(……あれ?あれって……)
叔父さん、だよね……
部活の顧問を受け持っているわけでもない叔父さんが、なんで体育館裏に歩いて行くのか?
(なにやら犯罪の……いやいや、ミステリーの匂いがするな)
つまらない事に首を突っ込むなと言う冷静な僕も、溢れ出る探求心の前では勝負にならず、
僕はこっそりと叔父さんの後を尾行ることにした。

体育館裏の、ちょうど袋小路のような場所。
そこに叔父さんは居た。こっそりと覗くと、誰かに電話をかけているようだった。
建物の影に身を隠し、聞き耳を立てる。
盗み聞きは悪事?知ったこっちゃ無い。
「………ええ。順調ですよ。…………ええ、ええ。
こちらも候補者の目処はつきました。きっと思う存分…………」
ちょっと場所が離れているので、何を言っているのか断片的にしか聞こえない。
なので僕は、
(なんかテレビアニメの悪役みたいな事言ってるなぁ……)
この程度の感想しか持つことは無かった。


あの時、僕が何か感づけていたならば、誰も悲しむ事は無かったかもしれないのに―――
727決意(1):2001/05/26(土) 02:15
「……と、言うわけ。僕が叔父さんの言葉に何か引っかかるものを感じていれば、
 誰も死なずに、誰も悲しまずに済んだんだ。だから……僕が悪い。僕を憎んでくれていいよ」
決して、視線を落とさずに。
祐介は言った。
非は、自分にあるのだと。
「おい」
祐一が、祐介の肩に手を乗せる。
祐介が顔を上げ、祐一の方を見遣るよりも、早く、
祐一は祐介を、殴り飛ばしていた。

「が……ッ」
ぼたぼたと血を吐きながら、祐介はむせ返る。
四つん這いになった態勢から、顔だけ起こすと、その眼前には祐一が居た。
「…お前な」
なんだい?と祐介は訊こうとしたが、それより早く祐一が口を開いた。
「お前な、何が「僕が悪い」だ?
 お前一人で何とかなるような話じゃなかったんだよ、もともと。
 自惚れるのもいい加減にしろ!
 それにな、お前が自分で悪いと思ってるなら、そうやって責任を放棄するような真似すんじゃねえ!
 責任感じてるんなら、逃げてねえで、憎まれようが殺されかけようがちゃんと責任とれ!」
一気に捲し立てた後、暫し息を荒げる祐一。
その祐一の姿を唖然と見ていた祐介だったが、
「…ぷっ」
気づいたときには、何故か笑っていた。
「…ったく、恥ずかしいこと言わせやがって」
祐一は、照れたように空を見上げた。
こんな場所でも、空は、青い。
728決意(2):2001/05/26(土) 02:15
「相沢さんも…人を、探しているんですね」
「ああ……ホントはもう会ったんだけどな、逃げられちまった」
ハハッ、と祐一は笑う。
美汐もそんな祐一に微笑みかけ、
「頑張ってください……私や、長瀬さんみたいに悲しむ人はこれ以上必要ありません」
と優しく語り掛けた。
「おう、任せとけ」
そう言って祐一はいちいち力こぶを作って見せる。
その動作もまたいちいちわざとらしくて、3人の間に自然と笑みがこぼれる。
「よし…行くか!おい長瀬、天野を死なせんじゃねーぞ。俺が真琴に怒られちまう」
祐一のその台詞は、目的を果たした後なら死んでも構わない、と言う覚悟の表れだろうか。
「お気をつけて」
祐一は手を振りながら、森の奥へとやがて消えていった。
ふぅ、と二人同時に溜息をつく。
やがて、よし、と気合を入れると、
「さぁ……行こう」
「ええ」
二人は歩き出す。
僕が僕の責任を果たすために。
管理者を倒す。
高槻を倒す。
…そして、叔父さんも。
どこまでやれるかは分からない。
だけど、天野さんだけは絶対に守って見せる。
空を見上げた祐介の目には、これまで無かった決意の色が表れていた。
729流れる涙をそのままに(1):2001/05/26(土) 04:25
「千鶴姉!」
びく、と振るえる千鶴。
怯えを含んだ悲しい瞳は、梓の視線を避けるように下を向いている。

ある意味、梓と千鶴は姉妹の中でも最も親しい。
もちろん生まれたはやさに由来する共に生活した日々の長さもあるのだが、
気性の凹凸がうまく合っているのか喧嘩もすれば助け合いもするという、互い
に腹蔵なくものを言える間柄なのだ。

しかし。
鬼の記憶に衝かれた初音に撃たれ、楓に切られ。
半ば心の拠り所をなくした千鶴は梓にかける言葉が無かったのだ。

「千鶴姉!!」
再び梓は叫ぶ。
叱られた子供のように、千鶴は涙を溜めて血塗れの面を上げる。
漸く口にした言葉には、ほとんど意味は無く。
「あず…さ…」
よろめくように、一歩下がる。
「ごめんなさい、あずさ…わたし、また…ごめんなさい…」
また一歩下がる。
「初音が、楓が…!」
踵を返して跳躍せんとする。
730流れる涙をそのままに(2):2001/05/26(土) 04:25
「千鶴姉!!!」
三度、叫ぶ。
「わかんないよ!ちゃんと聞かせてよ!
 いつもいつもいつもいつも独りでなんとかしようとして!
 失敗して、傷ついて、悲しんで!
 そのくせ家では笑ってて、なんかあっても全然教えてくれなくて!」
梓の激昂に、千鶴が、あゆが、目を瞠る。

「梓…」
二人の視線が合う。
「ううん、この島に放たれたときから、わかってたよ…
 きっと千鶴姉は手を汚してでも、みんなを助けようとするんだろうなって、
 思ってたよ…
 だから、聞かせてよ。ね?」
二人とも泣いていた。

「お腹、空いてない?
 おにぎり、あるよ?
 一緒に、食べよ?」
慌てて包みを開く。海苔の香りが広がる。
柏木家の食事はいつも梓が作っていた。
今では遠い平和な日常の香りが、たまらなく-----悲しく、嬉しかった。
「服もボロボロじゃんか、あたし二着あるし!
 着替えなきゃ、ね?」
あゆごと抱きしめるように服を示し畳み掛けるように言葉を重ねる。
「だから、だから、行っちゃだめだよ!」

流れる涙をそのままに。
ゆっくりと目を閉じて。
千鶴は小さく口を開く。
「だめよ、梓…」

梓がびくりと震える。
「ちづ…!」

「手を洗わないと、ね?」
にっこりと笑ったその顔は、日常の千鶴のそれだった。

流れる涙をそのままに。
こころの鬼は、祓われた。
731知恵比べ1:2001/05/26(土) 04:26
「……」
「……」
草葉の陰で二人は互いの肌のぬくもりを感じていた。
それはつかの間の暖かな時間。
「ねぇ、和樹…わたし、たよりにしても…いいんだよね?」
「ああ。頼りされたいし、頼りにしてる。」
何度も肌を重ね合い、愛し合った二人の声は、いつしか恋人へのそれと変わっていた。
「でも、いじょうなじょーきょーで結ばれたカップルは長続きしないって…」
涙声。和樹はそっと詠美の目尻を指で拭った。
「影響されすぎだ、馬鹿。」
「ごめん…」
二人は再び唇を重ね、激しく抱き合った。決して離さぬように、ぎゅっと強く。

ややあって、複数の足音。地面に寝そべるようにいた二人にそれははっきりと聞こえた。
「ちょっ…やだっ…かずきっ…!!」
「す、すまん、驚いて中で……」
「そんなばあいじゃないでしょ!」
ひそひそと怒鳴りあいながら和樹と詠美が衣服を羽織る。
いつもならすぐに着替えられるような服を、長い時間かけて着替える。
少なくとも二人にはとても長い時間に感じられた。
それは、その足音が殺人鬼であるという可能性よりも、
愛の営みを見られたくないという気恥ずかしさからきたあせりだったのかもしれない。

慎重に遠目からその姿を確認する、見知った顔二つ。
詠美には恐らくは一つだっただろう。
「南さん、玲子ちゃん!」
和樹が叫ぶ。もしもの時の為、詠美を手で押さえて隠しながら。
「も、もが…この、いたい…がずぎ〜。」
詠美の視界は、雑草で彩られた土で埋まってた。

もう一人、見知らぬ顔が一人。黒髪の少女。その可憐な風貌は、日本人形を連想させた。
声をかける前からすでにこちらを伺っていた少女。隠れていたのに。
和樹はうすら寒い思いをしながらも相手側の反応を待った。
「あら、和樹さん。無事だったんですね。」
南が顔を綻ばせて、手を振る。
玲子はこちらを伺って一瞬嬉しそうな顔を見せたが、何故かすぐにその表情が曇った。
「南さんも……よかった。」
それをしっかりと確認してから、和樹が詠美を伴って三人と合流した。
-----食後。

「それでさ、千鶴姉」
いまだもぐもぐと、おにぎりと格闘するあゆをよそに梓が話しかける。
服なんだけど、と二着-----スクールタイプとアイドルタイプの服-----を
並べて置く。
そのデザインにちょっと、いや相当げんなりする千鶴であったが、比較的
ましと思われるスクールタイプに着替える。
なかなか似合う。
子供の耕一が惚れるのも判ろうものだ。

「この歳でスクールタイプもなんだけど…これって…」
千鶴はアイドルタイプを手に取り立ち上がる。
-----大きい。
そこそこ長身の千鶴が肩の高さに持っても、余裕で引き摺っている。
3人目を合わせ、同時に首をかしげる。
「こんなの、誰が着れるっていうのかしら?」


「はっくしょん!
 ぬおおー、なんか悪寒がしたあー」
「お兄ちゃん、大丈夫?」

たぶん、大丈夫じゃない。

【梓のおにぎり5個から2個へ】
【千鶴着替え(スクールタイプ)】
733知恵比べ2:2001/05/26(土) 04:27
「こちらが…和樹さんは知ってますよね?芳賀玲子ちゃん。
そして、こっちが柏木楓ちゃん。」
お互いが、南を経て、自己紹介をすます。
そして、お互いの状況を確認し合う。

由宇との別れ、大志との離別、いろいろなことがありすぎた。
和樹も何度も心がくじけそうになっていて…
(だけど、詠美が、守りたい人を見つけたからな…)
「何よ、あんまり見つめないでよ…ぽちのくせに。」
照れ隠しからか、詠美がそう言って…目をそらさず和樹を見つめ返す。
「あらあら、なにかお熱いですね…何かありました?」
「ななな、なんにもないわよ!し、したぼくはしたぼく。
この詠美ちゃんさまにつくすのはとーぜんのことよ、ね、ぽち!?」
いつもならむかついていた詠美の悪態が和樹にはほほえましく感じられた。
もしかしたら和樹は大きく変わったのかもしれない――いろんな意味で。
(でも、南さんも変わらないよな……)
和樹が玲子と南をじっと見つめ、そう感じたままを思う。
(玲子ちゃんが元気無いのは気になるけれど、こんな島にいてもいつもと変わらず…
無理してるわけじゃないよな…?……っ!?)
突如、足に鋭い痛み――!!
怒りに身を任せた詠美の――足が和樹の足を踏み潰していた。
「ふふふ、今度は私達のほうですね。」
南が、淡々といつも通りの調子で事の顛末を語り出した――。

和樹の、詠美の顔が少しずつ青く、深刻なものになっていく。
ここにいる少女――何を考えているか分からないので和樹はどうも気を許せない――楓と、
その姉の闘い、そして、女――きよみの放送とその最期を。
いつもと変わらない南の口調だけが不自然に浮いていた。

胃の中に爆弾……和樹は由宇が遺した最後の手紙を思い出す。
(本当に……全員に…埋め込まれているものなのか?)
もしそうなら絶望的ではないか。和樹は唇を噛締めた。
闘うどころか、逃げることもままならないではないか。
自分たちの命はすべて向こうの奴等の思うがままということになる。
「……それはどうでしょう?」
今まで黙っていた楓が、和樹の心の問いに答えるように口を開いた。
734知恵比べ3:2001/05/26(土) 04:30
「仮に…爆弾が全員に埋め込まれてるとします。
起爆するときはリモコンか何かの遠隔操作だと思います。
それはどんなときに爆発するんでしょう……
たとえば、この島の裏側…地球で一番離れたところにいる人を爆発させることができますか?
どんなに優秀な科学者であろうとも、現代の科学力でそれを実行するには不可能だと思います。」
「そうか…」
和樹の顔に希望が見える。そう、爆弾には有効距離があるに違いない。
「それにあの女性を爆発させたとき――確実にあの人を爆破させました。」
哀しみに少女の瞳が揺れる。
「それは、爆弾を起爆させるスイッチがあるはずです。もちろん、一人一人区別して爆発させる方法…
小さなリモコンなんかじゃなく、大きなコントロール室みたいなものが。」
……その少女の見事な推理に、全員が水を打ったように静まり返る。
「あの人の死は無駄なんかじゃありません。」
ただの少女の憶測に過ぎなかった。だが、それは確かな理論に裏づけされていて。

つまり、爆弾には有効距離があるということ。
そして、それを起爆させるスイッチはおそらく大掛かりなもので、持ち運びなど出来ないだろうということ。
大体島全体が有効範囲だろうと、楓は呟いた。
この島から脱出、あるいはコントロール室を押さえることで、希望がみえてくるのかもしれない。

――ちなみに詠美だけは意味がわからず、その場で立ちつくしていた。

「私の推理はここまでです…そうは思いませんか?牧村――南さん。」
楓が南と正面から対峙する。
「………」
南は何も言わず、彼女を見ていた。
楓の行動に面食らいながらも、和樹達はそれを見守ることしか出来なかった。
735夕焼けの空の下で (1/4):2001/05/26(土) 12:30

…ざぁーっ…
夕焼けの海岸。
打ち寄せる波。
海面から突き出ている奇岩。
そこに腰をおろし、休息をとっている浩之。

そこから僅かに離れた場所に、ジープが到着する。
そのシートから降り立つ、あかりたち三人。
遠目に浩之の姿をみとめ、そっとあかりの背を押す智子。
あかりは頷き、ひろゆきの元へと歩いていく。
「…これは、賭けやな。」
殺戮者となってしまった浩之に、あかりの言葉が果たして届くのかどうか。
だけど…信じよう。二人の絆を。そして、あかりの想いの強さを。

…さく、さく、
近づいてくる足音。
閉じていた目を開け、顔を上げる。
そこには…ずっと会いたかった、本当に会いたかった、愛おしい少女の姿があった。
「……。」
言葉を交す事なく、見つめあう二人。
その時。少女の目から、ひと雫の涙がこぼれた。
「あかりっ!」
立ち上がり、抱き寄せる。
頬をすり寄せ、その暖かさを感じる。
言葉にならない想いがもどかしくて…二人、唇を合わせた。

736夕焼けの空の下で (2/4):2001/05/26(土) 12:31

「ここに来て…いろんな事があったね。浩之ちゃん。」
「…ああ、そうだな。」
本当に、いろんな事があり過ぎた。
「わたしね。最後に浩之ちゃんに会えて、本当にうれしい。」
そっと体を離すあかり。
「幸せだよ。とっても…だから、これで終わりにしたい。」
そう云い、あかりは自らのこめかみに銃口を当てる。
「あ…あかりっ!、なんでだよっ!」
「わたし、…汚されちゃったんだ。だからもう、浩之ちゃんとはいられない。」
どういう事だよ…。言葉を失う浩之。
「イヤなことがたくさんあった。だから、今、幸せなうちに、終わりにしたいんだよ。」
カチリ、と戟鉄にあてた親指を動かす。
「やめろよ!どんなになろうと、俺は…おまえが好きなんだ!それじゃぁ、ダメなのかよ!」
そう言う浩之に、あかりは涙を流しながら笑顔を向ける。
「ありがとう。わたしも大好きだよ。…さよなら。」
そう言って…引き金を引いた。
「あかりぃぃぃぃーっ!」

737夕焼けの空の下で (3/4):2001/05/26(土) 12:32

「大丈夫なんやろな。」
そう、つぶやく智子。
「はい。渡す前にちゃんと抜いてあります。」
「そうか…。」
言って、あかり達をみつめる智子。目を細める。


「…どうして…」
泣き崩れるあかり。
「ばか、死ぬやつがあるか!」
ひざまづいたあかりを、浩之が強く抱きしめる。
「俺だって汚れてる。この両手は。たくさんの血で」
その両手を握り締める。
「償わなくちゃいけない。そしてなにより、おまえを一人にしてしまったことを…」
少し身体を離し、あかりの目を正面に見据えながら、言う。
「償わせてくれ。俺は、お前を守る。どんなことがあっても。」
「ひろゆきちゃん…」
「だから、今は俺に、おまえの命をあずけて欲しい。な、あかり」
「ひろゆき…ちゃぁん。」
再び抱き合う二人、深く、深く。
そして少年の決意も、深く、力強いものだった。

738夕焼けの空の下で (4/4):2001/05/26(土) 12:32

「…行こか、マルチ。」
「えっ!? お二人に会わなくていいんですか?」
遠目に浩之たちを見やりながら、智子は言う。
「人の恋路をジャマするやつは…って言うしな。二人きりにさせとこ。それに。」
マルチの頭をかいぐりと撫でる。
「今のあんたは、結構頼りになるしな。うちら二人でもなんとかなるやろ。」
智子から初めて褒められて、顔を赤くする。
「あ、ありがとうございますぅ」
「生きとれば、また出会えることもあるやろ。だから、行こうや。」
「はいっ!」
返事をし、アクセルを踏み込む。

…クマのぬいぐるみと、そして幾許かの銃弾。
それだけを残し、ジープは海岸から去っていった。

739夕焼けの空の下で 追記:2001/05/26(土) 12:36

浩之も桐山を卒業したし、もうそろそろ七原役をさせてもいいかな?
と思って、二人を合流させた。
ゲームなら、このあとエチシーンに突入だな。そこまで書きたかったが(藁)
あかりについては書きたいことは書いてしまったんで、
このあとは、他の書き手さんにお願いします。

時刻は夕方にしてあるんで、
今、浩之単独で書いている人がいたら、
この出来事はその後の事ってことにしておいて下さい。

所持品に関しては、こうなっている。
 あかり:くま爆弾、ニューナンブ
 智子 :スミス&ウェッソン M586
 マルチ:自動小銃(64式)
740後少しだけ、約束1:2001/05/26(土) 16:53
「私の推理はここまでです…そうは思いませんか?牧村――南さん。」
すべてを話し終えた楓の声が、響く。
まるで、名探偵が話の最後に犯人に話しかけるかのように。
(楓……ちゃん?)
不安そうに詠美が和樹の腕をつかんだ。
(……よく状況がつかめない…)
和樹はただ何も言えずそれを見守ることしか出来なかった。

「……」
沈黙の時が続く。
南は、何か思案するように一人一人に視線を向けた。
「……そうですね…」
南が再び楓に視線を移す。
「すごいわ、楓ちゃん。私にはそこまで分からなかったもの。
まるでシャーロック・ホームズのように――」
「もう、やめませんか?」
楓が、南の話を遮る。
気がつくと南の顔からも微笑みが消え失せていた。
「……初めから気づいてました、南さん。
あなたも……私が疑っていること知ってたと思います。」
「……」
「答えてください…あなたは…主催者側の人間ですね?」
冷たい風が吹き抜けた――気がした。
「そうねぇ……どうしてそう思ったのかしら?」
はっきりと肯定こそしなかったが、その落ち着きぶりが
ただの楓の狂言ではないということを裏付けしていた。
「……証拠はないです。ただ、カマをかけただけですから。」
と、楓は返す。
「すごいわね。きっと将来大物になるわよ…将来があれば……の話ですけど。」
南の表情に再び笑みが戻る。だがその笑みはどこか冷たく残酷で――。
「ひっ……!!」
すぐそばにいた玲子が南から離れるようにあとずさる。
和樹にも、今目の前で起こっている事が悪夢のように感じられていた。
741後少しだけ、約束2:2001/05/26(土) 16:54
「きゃあっ!」
玲子の胸が血に彩られていく。
胸に、銀色の手裏剣。
ほぼ同時に、南のいた空間は楓の鉄の爪によって引き裂かれていた。
「玲子ちゃん!?」
悲痛な楓の叫び。とって返すように玲子のもとへ――
ヒュッ!
手裏剣が楓の行く手を阻んだ。
「手裏剣の練習した甲斐がありました。ここまで使いこなせるようになったんですよ。」
南が少し離れた場所から手裏剣を構えて立っている。
「………!!」
楓が憎しみを込めて南を睨んだ。
再び手裏剣がうなりをあげて飛ぶ。
キンキン!!
楓が爪でそれを弾きおとし、一気に間合いをつめようと隙を窺う。
だが……
「か、かずきっ!」
詠美の泣き声。詠美と和樹にも手裏剣が飛ぶ。
楓がそれに飛びつくように体を踊りだすと、それを叩き落す。

腹から無様に着地する。
「……くっ!」
痛みに顔をしかめながら楓が南を見ると、いつの間に持っていたのだろうか……
玲子の釘バットを振り上げた南の姿が眼前に広がっていた。
「よけないほうがいいですよ。後ろにいる玲子ちゃん…確実に死んじゃいますから。」
楓は地面に転がったまま南を見上げた。
この態勢から反撃はできなくても、釘バットをよけることはできるかもしれない。
だが、楓のすぐ背後に玲子の姿。
よければ玲子を直撃してしまうだろう。
鬼の力をもってすれば玲子を抱えて飛ぶこともできただろうが、
――それどころか同時に南を切り裂くこともできるだろう――
今は鬼の力なんてほとんど発揮できない。
「本当は千鶴さんの件があるからアレなんだけど…さようなら。」
「――!!」
絶体絶命。楓は死を覚悟した。
そして南のバットが振り下ろされ――!
「動くな……動けば撃ち殺す!!」
南の動きが止まる。
和樹が、まだ使われたことのない機関銃を持って立っていた。
742後少しだけ、約束3:2001/05/26(土) 16:55
南が和樹に視線を移す。
「和樹さん……」
和樹は震える手で銃口を南に向けていた。
「嘘だろ…?こんなこと…南さんがこんなことするわけないじゃないか…
誰でもいい…嘘だって言ってくれよ……」
だが、それに答える者はいない。
「頼む……撃ちたくないんだ……南さん、ここから何も言わず立ち去ってくれ……」
それは本当に悲痛な嘆願だった。
「……」
南が無言のまま、二人から離れる。
「……せっかく強力な重火器を持ってるんです。
でも、そんな甘いことではこの先生きていけませんよ。」
そう言い残し、南は森の奥へと消えた――。

「玲子ちゃん、玲子ちゃん!」
楓がその顔が血で汚れることも構わずに玲子の傷口に口をつけては吸い出す。
その機械的な作業をずっと続けていた。
手裏剣には毒が――塗られていた。
和樹は少しずつ呼吸が弱まっていく彼女の手を握りしめることしかできない。
詠美はただ、目の前の惨劇に嗚咽を漏らしつづけていた。
「ごめんね…私、楓ちゃんのこと…怖がってた…」
「もう、しゃべらないで…」
玲子は手の甲で楓の涙を拭う。
「わたし、ばかだから……一緒に、帰れなかったね…約束。」
「………!!」
何も言わず、何も言えず玲子を抱きしめる。
「千堂クン、私、こみパもう一度行きたかったな……」
抱きしめた楓の腕に、どこか玲子の体が重くなった気がした。
743後少しだけ、約束4:2001/05/26(土) 16:57
――どうして撃たなかったんですか?――
楓はそう聞けなかった。
本当は構わずに撃ってほしかった。
おそらく巻き添えで自分も死んでしまうだろう。
鬼の力を発揮できない今、弾丸をすべてかわすことなんて不可能なんだから。
楓には南と和樹の関係は分からない。
多分、かけがえのない人なんだろう。
それでも――そう思わずにはいられなかった。
(あの人は、また人を殺めるのだろうか。
何食わぬ顔で別の人と行動するんだろうか?)
それは楓には分からない。

「これから…どうするんだ?」
和樹が楓に尋ねた。
もう和樹に、楓に対し気を許せないという感情はなかった。
「……生きて帰ります。たとえどんな悲しみが待っていようとも。」
絶対に生きて帰る。それが楓に残されたもう半分の約束。
「……そうだな……生きて、帰ろうぜ。」
「和樹さん達は自分の思った通りに行動して下さい。
何かあったら……またここで。」
「一緒に来ないのか?」
「すみません。」
少し残念な気もしたが、冷静な楓のことだ、彼女にも考えあってのことだろうと深くは追求しなかった。
――何かあったらまたの場所で。
悲しみに溢れたここで再会の約束を交わして。
そして、楓もまた南の消えた森の奥に消えて行った。

「行こうぜ、詠美。」
「ふみゅ?」
まだ泣き止まぬ詠美にそっと口付けする。
「生きて……帰るためにな。」


080 牧村南  釘バット回収、手裏剣残数不明
070 芳賀玲子 死亡

    【残り52人】
744決意(1/3):2001/05/26(土) 17:31
森の中を、ゆっくりと進みゆく4人の姿があった。
前を行くのは、スフィー(050)と江藤結花(009)。
後ろには、長谷部彩(071)と来栖川芹香(037)。
そもそも4人は、社での戦いの時に別れ別れになった仲間と落ち合うという目的があっ
たのだが、自分たちが逃げたルートを全く覚えておらず、結果あっちをウロウロこっち
をウロウロと、実に不経済な移動をせざるを得なかった。

「もう疲れちゃったよぉ〜」
スフィーが思わず道の真ん中に座り込む。
「何言ってんのよ! 私だって疲れてるわ」
「だってぇ〜」
「大体スフィーが道を覚えてないからこういう事になるんでしょ!」
「結花さん、落ち着いて下さい…」
「………」
こういういざこざも、もう何度目になるだろうか。
長い距離を歩いたおかげで、4人の気分もすさみ始めていた。

その時、頭上の木がガサガサと変な音を立てる。
「!」
芹香が何かを感じ取った様を見て、他の3人も黙り込んだ。
そして、不意に頭上から声がした。
「あらあら、こんな所にいらっしゃったんですね」
そう聞こえたのとほぼ同時に、4人の前に音もなく人影が現れた…現れたというよりは、
降ってきたとでも言った方がいいのだろうか。
「さっきはもうちょっとの所で取り逃がしましたけど、今度はそうはいきませんよ」
その声の主こそ、牧村南(080)であった。
745決意(2/3):2001/05/26(土) 17:35
4人は多かれ少なかれ驚いたが、その驚きの時間さえ南は与えなかった。
矢継ぎ早に飛んでくる手裏剣をよけるように、二手に分かれて道の脇へ逃げた。
右にスフィー・長谷部彩、左に来栖川芹香・江藤結花。
しかし、南はすぐさま右に駆け出し、あっという間にスフィーの前に立ちはだかった。
「そこまでですよ」
一瞬のうちにスフィーを抱きかかえると、首筋に手裏剣の刃を押し当て、
「みなさん、早く姿を現して下さいね。そうしないと、スフィーさんの身の安全は保障しませんよ」

「南さん…、やめてください…!」
「あら、長谷部さんですね? こんな所でお会いするとは奇遇ですね」
「スフィーさんを、放してください…」
「いくら長谷部さんの頼みでも、そういうわけには行きません」
「南さん…、違う…、いつもの南さんじゃない…!」
「いえ? そんなことはありませんよ」
場の緊張感など全く感じていないかの様に、にこやかに南は答えた。
「長谷部さん、私がどうしてスフィーさん達を狙っているか、わかりますか?」
「………」
「この人達が、結界を破ろうとしたからですよ」
「結界…?」
「そう、私は結界を守るため、そして"力"ある者を倒すため、雇われたんです。スタッフとして」
「………、そんな…」
「だから、スフィーさん、そして芹香さんを…」
「もういいですっ…!」
振り絞るような声で、彩が叫ぶ。
「南さん…、こんな事する人じゃなかったのに…。見損ないました…」
彩の視線が、次第に鋭さを増す。
「私だって、人を殺したくはありません。でも、南さん…、今の南さんを見ていると…」
彩は、ポケットからゆっくりとトカレフを取り出した。
746決意(3/3):2001/05/26(土) 17:37
「スフィーさんを放してください。そうしないと…、あなたを…、撃ちます」
さっきまで持っていた南への迷いは、吹っ切れつつあった。
ゆっくりと両足を開き、地面を踏ん張り、銃を南に向け身構えた。
「あらあら、長谷部さん。あなたに拳銃なんて似合いませんよ」
「………」
南の言葉にも、彩はトカレフを降ろそうとしない。
お互い無言のまま、時は流れる。
南は彩に狙いを定めるべく、スフィーに突きつけていた手裏剣を構え直した。その時、
「痛っ!」
南の横っ腹にスフィーの渾身の膝蹴りが入った。一瞬の隙をつかれ、南は思わずスフィーを放しよろめく。そして、
パァーン!
彩のトカレフが火を噴いた。

しかし、弾道はあさっての方角へ伸びていくだけであった。
スフィーがいたからか、単に手元が狂ったのか。
そして発射の衝撃に耐えられず、彩はその場に倒れこんでしまった。
南はスフィーの逃げた方角へいくつか手裏剣を放ったが、動揺のせいか当たらなかった
ようである。
そして、スフィーを追おうとした南に、彩が叫んだ。
「南さん…、私が相手です」
地面に伏せた形になっていた彩だが、銃口はなおも南に向けられていた。
「うふふ、長谷部さんもいい度胸です」
ゆっくりと振り向きながら、
「じっとしててくださいね。今すぐ私が楽にしてあげますから」
と言いつつ、懐に手を伸ばした。しかし、
「…あら、手裏剣切れちゃったみたい。私としたことが、ちょっとミスっちゃいましたね」
南はペロッと舌を出した。
「でも、こういうのも用意してあるんですよね〜」
背後から取り出したのは、ビッシリと釘が打たれたバットだった。

# 南の手裏剣はなくなりました。回収しない限り使えません。
747名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 17:43
ありゃ?終わり?
748感染報告:2001/05/26(土) 18:12
黒服が進み出る。少し厚めのレポートを渡された高槻は、ちょっと意外そうな
顔をしてみる。
「ここんとこ、なんか大きな動きあったかあ?…ってお前は?」
椅子にだらしなく腰掛けて、くるくる回す音がきいきいと耳障りだ。
黒服は肩をすくめて言葉を濁す。
「例の、爆弾を仕掛けなかった二人、と申しますか二体の件なのですが…」

ぴたり、と回転を止めて不快そうに顔をしかめる高槻。
「あー、お前は来栖川重工の?アレか?
 ありゃあ上手く行かないもんだなあ、ポンコツのほうは日常データが多すぎて
 挟み込めなかったし、マトモなほうはさっさと壊されちまったしなあ」
最後は再びくるくると回転しながらおどけてみせる。
高槻の仕事振りは、やたら手回しはするくせにあまり熱心ではないというか、
手慰み同然のいい加減ささえ感じさせる。
「いえ…その日常データを切り捨てて例のウイルスを取り込んだようなのです。
 勿論発症するかどうかはデータ不足なのではっきりと断言出来ないのですが」

またもや回転を止める。
「ほ?ほおー…そりゃあ、また…」
上機嫌そうに気取って立ち上がる。
くるりと一回転。
「自殺行為、いや、他殺行為になるかな、そりゃあ?」

はっはっはと高笑いし手を打ち鳴らす。
いいぞ、いいぞう、と喚き散らす。
思わぬ展開に高槻は絶好調だった。
749名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 18:32
前の方に出て来た「クローン浩之」の扱いについて揉めています。
以降の作者は、申し訳ありませんが、ケリがつくまで「クローン浩之」の使用をお控え下さい。
こんなことは本来あるべきではありませんが、申し訳ありません。
750名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 19:39
751名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 19:43
改めて、ここの書き手と読み手の在り方に疑問を思うこの頃。
752名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 19:53
結局お気に入りが死ぬのは嫌ですの潔癖に押し切られるんだな……
やはしキャラでやるのは荒れるんか。
753「霧島」訂正版:2001/05/26(土) 19:59
 カチャン……という音が響く。
メスが、地面に落ちた音。
きよみが寸前で、佳乃の持つメスを蹴り飛ばした。

「いい加減にしなさいよ、あんた達……」
気付けば、きよみは震えていた。
「あんたらにとっては大切な人なんでしょうね!?
そんなの、今はいなくなった人間に甘えてるだけじゃないの!!」
マナと佳乃は、ただ呆然と、叫ぶきよみを見つめていた。
「で、その人が最後に『生きて欲しい』と願っても、あんた達はそうやって死を選ぶわけね!!
 大切な人とやらが最後に残した願いごとも、全部無駄にしちゃうんだ!!」
 止まらない。言葉が止まらない。
 ただ、自分勝手な彼女らが、許せなかった。
 綺麗事ばかり唱えて、それでも結局は自分勝手な彼女達を、嫌悪していた。
「その人に同情するわ!!
 大切に守っていきたかった人達が、よりにもよって自分の死なんかで死を選んじゃって。
 最後の願いすら叶わなかったわけ!!」
 こんなに、こんなに自分の感情をぶちまけたことが、今まであっただろうか。
 思い出せなかった――
754「霧島」訂正版:2001/05/26(土) 20:03
「……あなたに、何がわかるのよっ!?」
 呆然ときよみの言葉を聞いていたマナが、叫ぶ。
「こんな不条理なところで、大好きな人が殺されて!
 大好きな人が変わっちゃって!
 支えになてくれた人もいなくなって!
 あなたに何がわかるのよっ!
 弱くなることも許されないのっ!? 私にはっ!?」
 マナは泣き叫んだ。
 悔しかった。目の前の女が言ってることは、全部正しくて、事実だった。
「そんなの知らないし、関係ないわっ!!
 だから、死にたいなら、死になさい。
 先生とやらに謝りながら、後悔しながら死になさい、チビっ子!
 私は例え自分の存在がぐらつくことがあっても、強く生きるわ。
 あなたのような弱者を笑いながら、ね!」
 きよみの言葉の一つ一つが、マナの心をえぐる。
 もうこれ以上、聞いているのが辛かった。
 まだ持っていたメスに手をのばす。

 ――先生。弱くて……ごめんなさい……――

 ふと、誰かが手を掴んだ。

「……妹さん?」

 佳乃は、ただ俯き、首をふっていた。
 それでも、マナの手を離そうとはしなかった。

「あなたは、その子よりも弱いのよ。
 肉親を失った子でも、生きようと決めたのね。
 それでもあなたは、死ぬの?」

 静かに、静かに、空気が流れる。
 聞こえるのは、佳乃の泣き声。
 とても痛々しく、それでも、生きることを決めた。
 わずかに許された、弱さの声だった。
755「霧島」作者:2001/05/26(土) 20:05
編集様
途中から、この訂正版に変えて下さい。
浩之クローンはアナザーへ。
頭数行しくじってますが、手直ししていただければ嬉しいです。

【残り55人】
756補足:2001/05/26(土) 20:41
浩之クローンという設定そのものが「NG」になりました。
757名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 22:57
がさがさ。なんか茂みがざわついてる。

北川「なんだあれは」
れみ「しらない」

ぱん

「ぷじょー」

ぱん

「Ouch!」

御堂「あー、だりぃー」
あゆ「うぐー、なんか頭の中身ってゼリーっぽい」


【北川潤・宮内レミィ死亡 残り53人】
【→もずく・ノートPC・CD・水鉄砲回収】

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……」
どこまで走ったんだろう。
もう、そんなことも考えなくなってしまった。
ただ黒い想念で心がいっぱいになっていること、
それだけははっきり頭で分かっていたと思う。
「兄さん……、冬弥くん……、由綺……」
信じていた人は、もう、皆いなくなってしまった。
私は……、どこまでいっても一人で……。

森を抜けて、歩道を走って、もう結構な距離を経ていた。
足が痛む。
もしかしたら、気付かないうちにひねっていたのかもしれない。
でも、立ち止まったら泣き出してしまいそうで……。
そうなったら、もう私はただの女の子なだけ。
きっと立ち上がれない。
兄さんの……、敵をとれない。
だから、痛む足をこらえて、ずっと走っていた。

胸が苦しい。
気持ちはまだ走りたがっている。
でも、私の体力じゃもう走れない。
仕方なく立ち止まる。
そこは、見たことも無い場所だった。
「……ああ」
うめき声をあげる。
体の苦しさに耐えかねたのでも、どこかを痛めてたのでもない。
私の周りは、惨状だった。
焼け焦げた地面。
吹き飛んだ歩道。
黒ずんだ何かの塊。
視界に入ったものはそんなものだった。

嫌ぁ。
何で?
何でこんなもの見せるの?

生々しい肉片や血痕が残っているわけでもない。
だが、そこの状況は恐いくらいのシュールさで私に何か訴えてくる。
コレが、殺し合いということ。
この島のすべてが、つまりはこういうこと。

憎しみも、恐怖も、何もかもが暴走し始めてる――。

「……うえっ」
込みあがってくる吐き気。
耐えられないはずの何かが、もう限界を超えて沈殿している。
私はその場にうずくまった。
苦しい。
昨日は結局何も食べていなかったから、胃の中は空っぽだった。
痛い。
痛い。
黄色い胃液が、何度も私の喉からこぼれた。
「……うっ、うっ、うっ」
肺が引きつる。
何も考えられない。
頭が真っ白になりそうだ。

次第にふらふらになる意識の淵で、一筋、何か輝くものがあった。
私は、もうずいぶんボロボロになってしまった体を引きずって、
それを確かめにいった。
「……これ……は……」
やけに重そうで、それですごく乱暴な印象を受ける……ナイフ。
私はそれを拾い上げた。
見た目どおりに、いやそれ以上にそのナイフは重かった。

「……神様なんてものがいるんだとしたら、感謝しなくちゃいけないのかな……」

とうとう私に力が手に入った。
マイクなんかじゃ、人を殺すことが出来ない。
あれは歌を歌うためのものだ。
そして私には歌しかなかった。
歌うことは私を昂揚させ、時には見知らぬ誰かの事を癒すこともあっただろう。
でもそれじゃダメだった。
奪うための力が、傷つけるための力が必要だった。
嬉しかった。
私は両手でそのナイフを抱えた。
これで、あの女を殺せる。
大好きな兄を殺した、あの女を。
私は、再び歩き出した。


頬から流れ落ちる雫。
それは随喜の涙でも絶望のそれでもない。
だけど、その涙は頑として止まろうとしてくれなかった。
760名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:04
>>757
問題はコレが通るかどうかです。
ぼかぁ完全読み手だから文句は言いませんが。
761名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:10
>>760
さぁ、通るんでないの?
NG濫発で人減らないって事にようやく気がついた向こうも、人が死ぬ度にNGだすのはやめようって気運だし。
これから先どーなるかわからんけどね。
762名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:13
おいおい、今日も荒れるのか、このスレは…。
763名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:14
つか、どう見ても荒らしじゃねえの?
だって、御堂とあゆって既に別かれてるダロウガ!!
その辺も良く読んでないヤツが、
あんな適当に書いたようにしか見えないアレは……
それこそNGだ!!
764名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:14
荒れないでね荒れないでね(´Д`;)
荒れると頑張ってる書き手さん可哀想だよ・・・
765名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:15
>>761
通るはず無いだろ。文章が稚拙とかそれ以前の問題だ。
御堂とあゆはとうの昔に別れていて一緒に行動していない。
766名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:15
あまりにも度が過ぎてます、誰が見ても。
そもそも、御堂とあゆが一緒にいる時点で、時間軸の説明がつきません。
荒らしは放置でお願いします。NG以前の問題ですが。
767名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:16
誰がどう見ても>>757はNG連発による最近の殺伐とした状況に
便乗して確信犯的に書いた荒らし。
 祐一が。
 誰よりも信じていた祐一が……

『もう、いい。俺の前から消えてくれ。
 でないと、俺、おまえに何するかわからない…』

 どうしてだよ。
 祐一の為にしたことなのに。
 どうしてだよ。
 もう、誰も、信じられないよ……。
 ……誰も信じなくて……いいの?


「あ……名雪さん!」
 琴音は、血にまみれた名雪の姿を見つけ、立ち止まった。
 もう日は傾きかけている。
 だがしかし、一度はぐれた人とこんなに短時間で再開できるとは思ってもいなかった。
「名雪さん、どうしたんですか!?」
「……」
 名雪は答えない。虚ろな目を、琴音に向けるだけだった。
 そして、琴音は気付いた。
 名雪の右手に、血の滴るナイフが握られていることに。
「……名雪、さん……?」
 一歩下がる琴音。
 そこで始めて、名雪が反応を返す。
「……祐一の為にあの子を刺したのに。
 ……祐一が、私に銃を向けたんだよ。
 ……私、どうすればいいんだよ。
 ……私もう、笑えないよ。
 ……笑えなくなっちゃったよ……」
 その声は、夜の闇よりも深い絶望で染められていた。
 琴音は、その言葉だけで事情を察したようだった。
「名雪さん……」
「琴音ちゃん……一緒にいてくれる?」
 琴音の方を向き、哀しそうな、哀しそうな顔で、微笑む。
 その笑顔が痛くて。
 見ているのが辛くて、
「……はい、一緒に行きましょう」
 琴音は、笑い、微笑み返す。
 名雪はその返事に満足したように更に表情を崩す。

「嘘」

 琴音は何が起きたのか、一瞬に理解することができなかった。
 そして気付いた時には、ナイフを持った名雪の右手が、自分の左肩に延びていて。
 ナイフは自分の方を抉り、傷口からは、鮮血が流れ出ていた。
「い……きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!
 あ、あ、あうっ、あっ、あっ……ひ、い、いたい…いたいぃ……」
 悲鳴を上げ、琴音はその場を走り去った。
 名雪はそれを満足そうに眺め、つぶやく。

「嘘だもんね。
 もう、誰も信じちゃいけないんだよね?
 そうだよね、祐一……」

 誰とはなしに言った名雪の表情は、驚くほどの笑顔で。
 その顔は返り血を浴びて、異常な冷たさを発していた。


 肩のナイフを抜き、琴音は走った。
 ナイフは捨てない。何故かわからなかったが、捨てなかった。

 ――裏切られた。
 ――名雪さんに、裏切られた。
 ――なんて馬鹿だったんだろう、やはり誰も信じちゃいけなかったんだ。
 ――そう、信じられるのは。

 浩之、あかり……何人かの顔がよぎる。

 ――早く、あの人達に会おう。
 ――他の人は、狂っている。
 ――名雪さんみたいに、狂っている。
 ――だから、コロソウ。

 立ち止まり、自分の持つナイフを見つめる。
 本能が、その武器を捨てさせなかったのかもしれない。
 だが、これだけでは心許ない。
「銃があれば……」
 知らずのうち、言っていた。

「銃が欲しいですか!?」

 突然の声に、凍り付く。
 声も出なかった。
「あぁ、私は管理側の人間です、危害は加えませんので、心配なく」
 その声の方を向く。
 黒いコートを着た男が、小銃を手に、立っていた。
「もう半分くらいの人数になっていましてねぇ。
 この状況で銃がないのは、少々厳しいでしょう。
 そこで、我々からのサービスですよ。ゲームを公平にすすめるための、ね」
 男の言葉が真実がどうかはわからなかった。
 そんなことはどうでもいい、武器が手に入るのだったら。
 ゲームの参加者だったら、こんなこと言ってないでさっさと殺しているはず。
 この男は……ゲームの管理側だ。
 琴音はそう判断して、答える。
「……お願いします……」
 その声に迷いはなかった。

 琴音は、強くなった。
 それが正しいと信じて、曲がった方向に、強くなってしまった。
770名無しさんだよもん:2001/05/26(土) 23:49
771訓練(1/2):2001/05/27(日) 00:25
仲間を探し、そして本当の敵を討つ――
とはいえ、アテもなくさまようには限界があった。
蝉丸には問題無いだろう。鍛えられた軍人であり、
このような環境であっても冷静に落ち着いて行動できるだけの経験がある。
だが、月代にとってはそうではない。
「(・∀・)蝉丸ぅ〜ちょっとだけでいいから休ませて……。」
いかに運動神経がいいとはいってもやはり一般人だ。
ただでさえこの島は死の匂いが濃いのに…
月代の体力は限界に近いだろう。
(いかん…月代の事も考えてやらねば。)
蝉丸はあたりに人の――敵意の気配が感じられないのを確かめると、
近くの岩場に腰を下ろした。
「いや、少し…しばらく休憩してから行こう。体力は大事だ。」
「(・∀・)ありがとう……蝉丸。」

「(・∀・)蝉丸、休憩して無くていいの?」
月代の休憩中にも蝉丸は鍛錬を怠らなかった。
強化兵ではない今、蝉丸とて生き残れるかは分からない。
「大丈夫だ。…こうしているほうが落ち着くのでな。」
「(・∀・)……私も何か手伝う!」
「しかし…」
「(・∀・)走らないだけで休憩になるよ。私も…蝉丸の力になりたい。」
「む」
月代の顔は真剣だった…ような気がする。
「(・∀・)分かった…では。」
772訓練(2/2):2001/05/27(日) 00:27

月代に少し離れた場所から小石を投げさせる。
対銃戦闘への訓練だ。
「いくよ〜!」
もちろん見てからよけるのではない――というか、強化兵でもすべてよけられるものではない。
撃たれる前に、弾道を読むのだ。
小石が放たれる瞬間から蝉丸はそれをよけ続け、月代に近づいていく。
蝉丸の体術は見事なものだった。
その距離が3b、2bと近づいても小石程度ではかすりもしない。
そして…
「(・∀・)ばーーん!!」
月代が体ごと突っ込んでくる。蝉丸がその体を受け止めた。
「何事だ、どうした?」
「(・∀・)ダメだよ〜よけなきゃ。私がナイフ持ってたら死んじゃうよ?」
「む」
少々面食らってしまったが、思わず苦笑する。
「(・∀・)でもさ…嬉しいかな?蝉丸が、私のこと…受け止めてくれて。」
「む」
月代の顔が赤く…なってるような気がする。

蝉丸は泥沼に腰までつかって抜けられないような思いに駆られた。
773嫉妬:2001/05/27(日) 00:54
「笑えない私笑えない笑えない私笑えない笑えなくなっちゃたよ…」
名雪は呟きがらながら歩く。その手には今しがた琴音をさしたナイフが握られている。
「何で何で何でこんなことになったの、何が悪いの教えてよ裕一…
私悪くない悪くないよ、裕一を守ったんだよ裕一のためだったんだよ…」
名雪の呟きは止まらない。
「またなの、また私の思いを踏みにじるの、裕一」
名雪の脳裏に叩き潰された雪ウサギがうかぶ。
それは7年前、傷ついた裕一のための名雪の精一杯の気持ち。
踏みにじられた気持ち。
あの日の夜も名雪は布団に包まってこんな風に呟きつづけていた。
何が悪いんだろう、何でこんなことになったんだろうと、
何で裕一は私に振り向いてくれないんだろうと、
何で私はたった一週間ばかりしか過ごしていない女の子に負けたんだろうと、
あの子にあって私にないものはなんだろうと、
あの日から、名雪はずっと考えつづけてきた。
何度も眠れぬ夜を過ごしてきた。
それでも、裕一は帰ってきた。あの子はもういない。
今度こそ裕一は私に振り向いてくれるだろう。
自分でいうのもなんだけど、私はきれいになったと思う。
きっと裕一は私に振り向いてくれる。
だけど、またあの子が私たちに前に現れて…
「そっか、悪いのはあの子なんだね。」
裕一が私の思いを踏みにじったのも、私の前からいなくなったのも、全部全部。
「クスッ、泥棒猫だよ、あゆちゃん。」
みんなみんな嫌い、誰も信じられない。だけど、その中でもあの子だけは許せない。
「また、裕一もあゆちゃんにだまされちゃって…紅しょうがぐらいじゃ許さないからね。」
名雪の声が次第に明るいものになっていく。
「そうだ!まずはお母さんを探さなきゃ。」
誰も信じられない、誰も信じだれないけど、
お母さんは別だ。お母さんだったら私のお願いをきっとかなえてくれる。
いつものようにやさしい顔で、手に頬を当てて、
「了承」って言ってくれる。
「お母さんならあゆちゃんと裕一に『お仕置き』をしてくれるよね。」
名雪は弾んだ声でそういった。
774嫉妬書いた人:2001/05/27(日) 00:56
やっちった。祐一の字が全部間違ってるよ。
申し訳ない。
>>773
偶然見たんでいいかな?
× 裕一
○ 祐一
ね。
776名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 00:58
>>774
それ以前にナイフは琴音が持っています。
>>769を良く見ましょう。
777名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 01:04
ナイフ絡み、少し訂正加えてもらえますかね?>作者さん
778111[前々+前スレ]:2001/05/27(日) 01:09
>>775
クッキーそのままだった。
見苦しくてスマソ。
779嫉妬(訂正版):2001/05/27(日) 01:12
「笑えない私笑えない笑えない私笑えない笑えなくなっちゃたよ…」
名雪は呟きがらながら歩く。
「何で何で何でこんなことになったの、何が悪いの教えてよ祐一…
私悪くない悪くないよ、祐一を守ったんだよ祐一のためだったんだよ…」
名雪の呟きは止まらない。
「またなの、また私の思いを踏みにじるの、祐一」
名雪の脳裏に叩き潰された雪ウサギがうかぶ。
それは7年前、傷ついた祐一のための名雪の精一杯の気持ち。
踏みにじられた気持ち。
あの日の夜も名雪は布団に包まってこんな風に呟きつづけていた。
何が悪いんだろう、何でこんなことになったんだろうと、
何で祐一は私に振り向いてくれないんだろうと、
何で私はたった一週間ばかりしか過ごしていない女の子に負けたんだろうと、
あの子にあって私にないものはなんだろうと、
あの日から、名雪はずっと考えつづけてきた。
何度も眠れぬ夜を過ごしてきた。
それでも、祐一は帰ってきた。あの子はもういない。
今度こそ祐一は私に振り向いてくれるだろう。
自分でいうのもなんだけど、私はきれいになったと思う。
きっと祐一は私に振り向いてくれる。
だけど、またあの子が私たちに前に現れて…
「そっか、悪いのはあの子なんだね。」
祐一が私の思いを踏みにじったのも、私の前からいなくなったのも、全部全部。
「クスッ、泥棒猫さんだよ、あゆちゃん。」
みんなみんな嫌い、誰も信じられない。だけど、その中でもあの子だけは許せない。
「また、祐一もあゆちゃんにだまされちゃって…紅しょうがぐらいじゃ許さないからね。」
名雪の声が次第に明るいものになっていく。
「そうだ!まずはお母さんを探さなきゃ。」
誰も信じられない、誰も信じられないけど、
お母さんは別だ。お母さんだったら私のお願いをきっとかなえてくれる。
いつものようにやさしい顔で、手に頬を当てて、
「了承」って言ってくれる。
「お母さんならあゆちゃんと祐一に『お仕置き』をしてくれるよね。」
名雪は弾んだ声でそういった。


780(・∀・)ヨクナイ!:2001/05/27(日) 02:02
 ――拝啓おふくろ様
 もう、あなたに文を送るのはこれで最後にします。
 それというのも、便りが無いのはなんとやら、という言葉にあやかろうと思い立ったからです。愚かな考えではありますが。
 さて、バカ息子潤の近況をお話いたします。
 かのバテレン製らしきヤンキーともずくを摂取していましたところ、突如として脳天を、頑丈なノートパソコンに直撃されました。
 そしてその折、あなたをこの世に送り出したわがグランドマザアなどに再会致しました。周囲にはなぜか、ラツパなどを吹く羽の生えた子供などもおりました。
 今にして思えば、あれが臨死体験というものでしょうか。
 その後、その天からのプレゼントであるノートパソコンを起動いたしました。女の子に変形しないことには
並々ならぬ不満を感じましたが、私はもう大人ですので我慢致しました。誉めてやって下さい。
 CDドライブ(先ほどの横文字といい、敵製語を使う不忠義をお許し下さい)を覗いてみましたところ、果たして純白のCDが入っておりました。
 私は海綿体に熱き血潮をたぎらせ起動してみましたが、何も起きませんでした。
 改めてCDの内容を覗いてみると、残念ながら性的欲求を満たすようなものは入っていない事が判明致しました。
 日頃信仰している大ガディム神は、なぜかくも酷な仕打ちを潤になさるのでしょうか。

 ……とりとめが無くなってしまいそうですので、名残は尽きませぬがこの辺で。
 どうか潤が帰ったおりには、もずく以外の食事でお迎え下さい。
 では。
781(・∀・)ヨクナイ!:2001/05/27(日) 02:04
「宮内さん。このまま黙々と進むのも何だし、何か話でも」
「そうですネ。気を紛らわせるのも必要デス!」
 俺は、彼女に振れそうないくつかのネタを頭の中から検索した。

「ねえ宮内さん、やっぱ一日の回数は多いの?」
 ――自慰の。

「ねえ宮内さん、やっぱ経験豊富なの?」
 ――性交の。

「ねえ宮内さん、やっぱ人気ないの?」
 ――アンタの。

(いかんぞ。なんかヤバいネタばかりじゃないか)
 俺は焦りの雫を垂れ流し、ちらりと宮内さんの方を見た。
(そうだ。何か彼女の長所についての話題を振るんだ!)

「ねえ宮内さん」
「What?」
「ズったら気持ちいいでしょうね、その胸」
「……」
 なぜか、宮内さんが沈黙する。
「いえ。俺の知り合いもあなたほどではありませんが、やはり立派な胸をしていまして。
 男には『頼みづらいプレイ』ではありますが、やはり宮内さんには欠かせないかと」
「……」
 ガシャキッ、と宮内さんがウォーターガンを構えた。
「ぬ! 敵ですか!? 宮内さん、さがって!」
 俺はB級アクションムービーのように無意味に転がり、明後日の方向へ拳を構えた。
「どこからでも来い、ゲス野郎ども! あうっ」
 背中を水撃に打たれ、俺は仰け反った。
「……ワタシ、下品なネタは嫌いデス」
「す、すみません……」
 俺は、何が悪かったか理解できないまま謝った。

 おふくろ様。やはりメリケン製ヤンキーの考える事は潤にはわかりません。
782名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 02:09
>>780
一瞬コピペかとおもたよ(w
783名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 02:19
レミィも銃さえ持てば無敵なんだろうけどな。
そういえば、舞も最後まで剣を持つ事が無かったっけ。
784壊れた小銃:2001/05/27(日) 02:57
(うまくいった……)

 姫川琴音が走り去った後、彼女に銃を渡した男は内心ほくそ笑んだ。
 あの小銃は『壊れている』。
 撃ったらまず間違いなく暴発し、使用者の命を奪うはずだ。
 銃の扱い方を教えた際、「残弾は少ないから」と言って試し撃ちをさせなかった。
 そんなことをされたら、わざわざ壊れた銃を渡した意味がない。

 そもそもあの銃は、焼け落ちた公民館から偶然拾った物だった。
 だが少し調べてすぐに、この銃は使える状態にないことがわかった。
 銃の知識は、その程度には持っていた。
 そこで男は思い付いた。
 少しでも自分の良心が痛まないように、誰かを殺す方法を。
 自分が手を下す必要はない。勝手に死ぬように仕向ければいい。

(あの銃を使うか使わないかは彼女の判断だ。
 運が良ければ生き残るだろう。
 悪くない。自分は悪くない。
 悪くない。何も――)

 一日目に百貨店から無目的に奪ってきた黒いコートをなびかせて。
 男、巳間良祐は、その場を後にした。
 残された空間には、ただ、乾いた風が吹くばかりだった。


 琴音は走る。
 壊れた小銃を手に。
 ターゲットがどこかにいないかと、探りながら――
785おしゃべり南さん・1:2001/05/27(日) 02:58
“ゆらり”
南は釘バットを大上段に構えた。
彩との距離は5メートルあまり。

彩の顔に怯えの色が走る。
地面に伏せている自分にとってこの高さから振り下ろされるバットの打撃は
間違いなく致命傷になる。
(もし外したら…)
血まみれになる自分の顔を思い浮かべ、銃把を握る手に汗が滲む。

対照的に南の口元には余裕の笑みさえ浮かんでいる。
大上段の構えのまま世間話をするかの如く、彩に話し掛ける。
「そういえばですね、さっき和樹さんと詠美さんに会ったんですよ。」
「…?」
彩の脳裏を名前の二人がよぎる。
憧れの人(和樹)と大切な同人友達(詠美)…

南は言葉を続ける。
「二人、こんな状況でもまだ諦めてませんでしたよ。
和樹さんは瑞希さんが、詠美さんは由宇ちゃんが亡くなったのにね。」
「……」
「守らなければならない存在ができたのかも知れませんね。
和樹さんと詠美さん、お互いを見る目がいつもと違いましたし…」
「……(え?何…)」

彩は南の言葉から耳を離せなかった。

“じわり…”
彩が気付かぬうちに南は半歩前に出た。
786名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 03:43
おしゃべり南さん・1の作者です。
もう少し続きます(予定ではあと2話ほど)
フライング気味にあげてすんません。
787おしゃべり南さん・2:2001/05/27(日) 04:22
更に南の話は続く。
「―――恋人?そう、そんな雰囲気でしたね〜。あんな状況ですから、恐怖を忘れるために一時の快楽に身をまかせて〜」
「……(恋人?快楽?)」
彩にとって絶えがたい言葉が次々と投げかけられる。
憧れの人と友に対しての侮辱…

あと4メートル。

話は佳境に入った。
「まぁ、こみパで言うなら大手は大手とくっ付くって事かしら?島の常連の長谷部さん?(クス 」
…そして自分への侮辱…
「…許せません!」
銃把と引き金に力が入る。

あと3メートル半。


結花は動けなかった。

スフィーを芹香に任せ彩を援護すべく、すぐにでも南に跳びかかるつもりだった。
が…動けない…

釘バットを取り出す際に見せた南の笑顔。
“すぐにでも貴方達を殺すことができるんですよ”
そんな言葉がついてきそうなあの笑みが頭に浮かび結花の心を挫く。
また、そんな自分の弱さに焦り、苛立ち、いつしか足は鉛になっていた。
“動け、動いてっ、何で動かないのっ!”

あと3メートル。

「うふふ、安全装置が掛かったままよ」
「?」
完全に南のプラフだった。
しかし一瞬、ほんの一瞬だが彩は視線を南から切ってしまった。

“ビュン”
“パンッ、パンッ!”
風切る音と自分の拳銃の発射音を聞いたのを最後に彩の意識は途切れた。
788「黒船来襲」:2001/05/27(日) 04:29
「明日は競馬や、ダービーやで、みすず!」
「って、ここに場外馬券売り場なんてないから買えへん…残念や」
「せやけどなー、買ってたらあたってんねん。間違いなくあたってんねん!」

「なんでそんなに自信あるかなぁ…」

「いや、ジャングルポケットはかつねん。角田、がんばんねん。とにかく、ジャンポケやねん。一番人気でもええねん。金はふえんねん。今、実はウチ生活くるしいねん。給料低いねん、うち。橘家は全然かねくれんし。いっそここで死んだほうがうちら楽かもしれへん。どうや、みすず、死なんか?」

「おかあさんといっしょ!」

「えぇ、それええで、みすず。じゃじゃ丸、ぴっころ、ぽろりやな!」

「うん、にははっ」

ともかくここでは平穏に時は流れてました。
789名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 04:31
>>788
もちっと描写きぼーん。
790名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 04:33
>>788
おいおいおい! あさひは放置?
791788:2001/05/27(日) 04:34
>>789

 すいません。
 全部お酒が悪いんです。
 全部ラ王がおいしすぎるのがいけないんです。
 ToHeartのビデオ見ながら書いてたのがいけないんです。(ちなみに7話)
 本当にゴメンなさい。
792名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 04:35
あさひと会う前の話ってことで良いんじゃ?
793訓練の作者:2001/05/27(日) 04:35
今ごろ気づいた……
>>771の最後の行、
×「(・∀・)分かった…では。」
○「分かった…では。」
でお願いします。
蝉丸が(・∀・)化しちゃダメだろ……逝ってくる。
794名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 04:58
だんだんと殺伐としてきたからこういう気の抜けたギャグ展開も
たまにはいいんじゃないの?
AIRやってないんで元ネタわかんないけどなんか面白かったよ。
795黒船来襲 2:2001/05/27(日) 05:01

「と、そこの、ちょっとこっちきぃ」
 急に振られて少し(というか相当)、あさひはどきりとした。
「あ、はぃ……えっと、なんでしょう?」
 そういってあさひは神尾晴子のほうにゆっくりと、物怖じするうさぎのように、寄っていった。
「あんさん、声優やっとんねんてなぁ?」
「あ、はい…。一応……」
「実況できるか?」
 あさひはキョトンとした眼で晴子の目をみた。
 晴子の目は、真剣だった。
 え、実況? なんで? というかなんでここで? それ以前に実況ってアナウンサーの仕事なんじゃ……? えぇぇぇっ?
「あの、そのですねぇ……」
「なんや? できんのか?」
 晴子がキッっとこっちを睨んで、そういった。
「ひっっ、いや、できないわけじゃないわけじゃないんですけど……」
そういうと、晴子の顔が、にかっ、と明るくなった。
「よっしゃぁ、それなら善は急げや、みすず、紙だし!」
「はい、お母さん」
 神尾観鈴はポシェットから、メモ帳とペンをだして、晴子に渡した。
「えらいっ、さすが我娘や、ちゃんとペンまでだしとる」
「にははっ、みすずちんえらいっ」

 数分間、神尾晴子は紙に向かって何かを書いていた。そして、今、
「でけたっ! 完成や!」
 今書きあげたメモ帳5枚に渡る大作をあさひの目の前においた。
「よろしくたのむでー、嬢ちゃん」

 仕方ない。そうあさひは観念して、メモ帳に眼を通す。
「では、いきますっ!」

「さあぁっ、今年もついにこの日がやってきましたーっ!」

「ストップ!」

 あさひが一行読み始めた直後に、ストップがかかる。

「へっ?」

「ちゃう、違うんや、そうやない」

「さぁ、今年もついにこの日がやってきました。って淡々と読むんや! あんたのならアイドルのコンサートみたいやないかっ!」

 あの、私、一応声優アイドルなんですけど……。
 アナウンサーじゃないんですけど……。

 ともかく、ここは平和だった。
796名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 05:13
>>黒船来襲 2

この状況で弥生さん突っ込ませて皆殺しにしてぇ、してぇよ

最高だ・・・・ 
797黒船来襲 3:2001/05/27(日) 05:27
 神尾晴子のアナウンサー教室が開講して、1時間。
 いまだにそれはまだ、続いていた。

「ちゃう、そうやない。もっと気合いれぃ! 今、女性実況アナなんかおらんで? あんたがその一号や! フジでも関テレでもたんぱでもテレ東でもどこでも勤められるでっ!」
 神尾晴子は、鬼コーチだった。
「あさひちゃん、ふぁいとっ!」
 神尾観鈴は何故か応援してくれいた。

 わたしは思う。
 現実を忘れるってことも大事なんだな。
 これは、きっと神尾親子の気遣いなんだな。と。

 いや、えっと、忘れちゃ駄目なことがなにかあったはずなんだけど…。

 あさひはそれが何か、思い出すことはできなかった。

 それから1時間、更にトレーニングは続いた。

 「完璧や、完璧すぎや、嬢ちゃん」
 「あ、ありがとうございます、コーチっ!」

 桜井あさひは完璧に数時間でやりとげた。
 ダービー(晴子仮想、ジャングルP勝利)の実況を。
 さすが天才声優アイドル、桜井あさひ。

 「そうだっ、忘れてましたっ!」

 「ん? なんや? あさひちゃん?」

 あさひは急にいままでと違う雰囲気にのまれていった。
 それを察したように、晴子の顔から、笑いが消えた。

 「あの、いきなり現実に戻すようで悪いのですが……。その……」

 そこで、あさひは下を向いて、その後の言葉を出すことができなかった。

 「なんや? あんたが今言うことならなんでも受け入れられるような気がするから、なんでもいい。えぇ、ウチが好きやったら抱きしめてくれてもええんや。そんかわし、観鈴おらんとこでやろなっ」

 晴子はそういって、また、笑った。そして、

 「ちょっとこっちきぃ」

 あさひの腕を軽くひっぱり、木陰にもぐりこむ。

 「ん? お母さんどこいくの?」

 応援に飽きて、近くにさいていたたんぽぽで花輪を作っていた、観鈴が2人のほうを向いてそういった。

 「ちょっとな、トイレや、トイレ、すこしまっといてーな」

 「うんっ、まってる」

 そういって観鈴はこっちにお尻を向けて、又、花輪を作り始めた。
798おしゃべり南さん・3:2001/05/27(日) 05:47
“パンッ、パンッ!”
「くぅっ!」
彩の放った弾丸の一発が南の右手を破壊した。
そのぶん、軌道はややずれたが釘バットは彩の首の右側をとらえた。
“ズシッ”
手応えを感じたと同時に、南の右手に激痛が走る。
が、すかさず左手に持ち替え彩の動かない頭に向けて止めの一撃を―――

その瞬間、腹に強烈な風を受けて南は吹っ飛ばされた。
そしてそれが風で無い事に気付いたときには、目の前に猛スピードで振り下ろされる踵が迫っていた。

「うぁぁぁぁーーーーっ!」
叫び声と共に跳び出した、結花の胴タックルが南を吹っ飛ばし
踏みつけが南の顔、上半身を襲う。
“グジッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ……”
眼鏡が粉々に砕け、前歯が消えた。

釘バットを握ったままの左手は砕けた骨が見えるまで踏みつけ
最後に釘バットで南の両膝を砕いた。


「彩ちゃん…彩ちゃん…」
南を再起不能状態にした結花は彩に懸命に声をかけた。
彩の首は力なく揺れ、呼吸も弱々しくなりつつある。
かけつけた芹香、スフィーにも手の施し様が無い事は明らかだった。

「…ねぇっ、彩ちゃんの絵本、まだあたし見せてもらってないよ!壁さーくるってのになるんでしょ?」
彩はすまなそうに笑い結花の手をそっと握り締めた。
「ユ…カ…サン…ゴメン…」
「ねぇ、お願い…起きて…絵本…見せてくれるって…言ったじゃない…」
結花の涙が彩の顔にぽろぽろ落ちる。
最後にもう一回結花の手を握り、彩の瞼は閉じた。
「ごめん…ごめんよぅ…彩ちゃん…」

長谷部彩 死亡
牧村南 両手、両膝複雑骨折。顔面の損傷も激しく行動不能。

残り54人
前レスの訂正。
こっちにじゃなくて、2人のほうに、です。//最終行
それでは本文
=======================
「えっ…、ええっ、違うっ…、そうじゃなくて、その、えっと…」
 あさひは顔を真っ赤にしながら、慌てふためきながら、晴子のなすがままに、ひかれていった。
「もうこの辺でいいやろ。あんまり離れすぎても、アレやしな」
 晴子は脚を止め、あさひの手を離して、
「誰か、死んだんやな?」
 晴子は続けた。
「誰や? 居候か? それとも、敬介、か?」
「……私が知っているのは、後者、です……」
 そういって、あさひは目を閉じて、頭を地面に向かって、下げた。
「えぇ、どんなことああっても仕方ない。この状況や。どんな状況で死んだ、とかそんなことはどうでもええわ。ともかく、伝えてくれてほんまありがとう。それに、私は敬介の妻やないしな。別にあいつが死にやってもあんまり関係ないんや」
 でもな、と言って晴子は続けた。
「観鈴の父親なんや。アイツは。だからな、一応や。観鈴は、アイツのこと、ロクにしらんかもしれへん。でもな、一応アイツの前ではいわんといてくれんやろうか、お願いや」
「……わかりました。でも、そのです、本当に、その……あの……わたしっ、なんといっていいか……」
 あさひの目に、涙が溢れた。
「えぇ、ほんとええから。そんかわりや、あと、もうひとつ、あさひちゃんに頼みたいことがあるんや」
「……はい」
「観鈴の、友達になったってくれんか? あの子な、ロクにいままで友達おらんねん。だから、な? これがお願いや」
「……はい、判りました……ありがとう、ございます」
 あさひが崩れ落ちそうになるのを晴子は抱きとめて、
「そろそろ戻ろうか、みすずが心配や」
 そうして2人はさっきまでいた場所に向かって歩き始めた。
「ほら、これで涙ふきや。そんな顔で帰ったら、観鈴、驚くで?」
 あさひは、晴子から手渡されたハンカチで、涙を拭いた。
800名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 05:58
ええ話や…<晴子・あさひ
801名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 06:06
南さんスクラップ?
>>798の補足
結花、スフィー、芹香は少し離れた草原にて彩の遺体を簡易埋葬しました。
(南さんはあのまま放置>ヒデェ)

彩の武器はトカレフ(残弾僅か?)=結花、Gペン=スフィーが持っています。
釘バットは叩き折って使用不可状態。
彩の遺品である「潰れたペン先」(非支給品で彩が最初から持ってた。他への利用は不可)
を結花が持ってます。
一行はリアン、綾香を捜して散策中。

※潰れたペン先は結花が持つか和樹に渡す展開を考えてましたが
遺品の存在が不可なら無視してくださいませ。

辻褄の合わない所などありましたら指摘して下さい。
もう寝ますが(笑)
>>801さん
感想スレ#1・711の様に
行動不能になった南さんを高槻が爆発させるところまで
書きたかったのですが…睡魔には勝てません。ごめんなさい。>ALL
あと、南さんを酷い扱いにしてすんません。>南ファンの皆様。
「お姉ちゃーん、真琴お姉ちゃーん」
椎名繭(046)は先ほどまで、眠りにつく前まで一緒だった少女の声を呼びながら歩きつづける。
「真琴お姉ちゃーん…みゅー、いない…。」
あのつり橋脇の草群でずっと眠っていた繭だったが、島全体に放送が流れ、その音で繭は目を覚ました。
そして、自分が一人きりなのにきずいたのである。
「みゅー、お姉ちゃーん、ぐすっ。」
一人きりは怖くて、心細くて、でも、繭は泣くのをこらえていた。
それは面倒を見てくれた真琴が、自分の前で泣くのをがまんしているのを繭もなんとなくわかったからである。
だから、繭は泣かない。泣かないで真琴を探している。
『繭にもぴろを抱っこさせてあげる。』
そんな風にお姉ちゃんは約束してくれたのだから。きっとまた会えるはずだ。
「ぐすっ。真琴お姉ちゃーん。」
だけど、そんな風に大声をあげながら歩くことはとても危険なことで、
その呼びかけに答えた人は、真琴ではなかった。
「真琴?真琴を探しているの?」
「みゅ!?」
背後から声をかけられて、繭は振り返った。
視線の先にいたのは長い髪をしたちょっとのんびりしたかんじのきれいなお姉さん。
「君は、真琴を探しているのかな?」
その声はとても穏やかで間延びした声なのに。
「みゅー…うん…」
なのに繭はその人が好きになれなかった。それはその人の髪が多少乱れている性かもしれないし、
その目が少しうつろだったせいなのかもしれない。
「ふーん。えっと、お姉さんに名前教えてくれるかな?」
その人は繭の方に近づいてくる。
「…繭…」
「繭ちゃんだね。私は名雪、名雪だよ。」
その人はそう名乗って繭のほうへ両手を伸ばす。
「繭ちゃんはなんで真琴のこと探してるのかな。」
名雪の両手が眉の頬に触れる。
「みゅー…猫さん抱っこさせてくれるって約束してくれたから…」
「ふーん、猫さん?お姉ちゃんも好きだよ猫さん。でもね、」
そのては繭の頬をなでるように下におりて。
「約束を守るのは無理だと思うな。だって…」
あごを通過して首筋へ。
「私が殺しちゃったから。」
そして、その手に力がこめられる。
悲鳴をあげようとする繭、だけどつぶれたような声しか出なく、それにもかまわずギリギリ、と名雪は力をこめる。
「真琴がいけないんだよ、私悪くないもん、あんなやつ死んで当然だもん。」
その声は穏やかなままで、その顔はとてもきれいなままで。
「繭ちゃんもそうでしょ、きっと私を傷つけるんだ。」
抑揚のない声で名雪はしゃべりつづけるが、その声はもうほとんど繭には届かない。
もう、ほとんど名雪の顔が見えない。
だけど、次第に暗くなっていく視界の中で、
横から何かが飛んできて、名雪の頭に直撃した。


天沢郁未(003)は森の中を泣きながら走っていた。
葉子を探すために耕一たちのところから衝動的に飛び出して、自分のバックを引っつかんで走りつづけている途中で聞いていしまったのだ。自分の母の死を告げる放送を。
(お母さん、お母さん、お母さん、お母さん)
心の中で叫びながら、郁未は走り続ける。
もう息は上がって、足もそろそろ限界で、そもそもこんな風に無防備で走りつづける事が危険だとわかっているのに、
それなのにこんなふうに走っていなければ自分がどうにかなってしまいそうで。
(むちゃくちゃだ、私。)
今まで共に行動してきた仲間をほっぽりだし、怪我している由依のことも考えず、何のあてもなく葉子さんを探す。
『刹那的な感情で行動するべきではないよ。』
かつて少年にそういわれたのに。
(どうしたらいいの、ねぇ、どうすればいいの)
そんなふうに走る郁未は、危うくその光景を見逃すところだった。
「…!!冗談でしょ!?」
一人の少女がもう一人の少女の首をしめている、その光景がとりあえず郁未の心を静めてくれた。
方向を変えてそちらのほうへ向かう郁未、だが、間に合うかわからない。
郁未は走りながら地面から手ごろな石を拾い上げると、首を締めている少女、名雪のほうに投げつけた。
ゴッ、
牽制ぐらいになってくれればいい、と思ったその石は、しかし名雪の側頭部に直撃し、そんな鈍い音を立てる。
グラリ、と体がゆれて、名雪は横向きに倒れた。
郁未はそれでも油断せずに自分のバックから手斧(未夜子があの時おいていったものだ)を取り出すと、それを構えて二人の前に立つ。
長い髪のきれいな女の子の方は頭から一筋の血を流して倒れている。ピクリとも動かない。
「うそ…殺し、ちゃったの?」
あんな石があたるとは思えなくて、自分の力加減がどうっだたかなんてもう思い出せない。
「みゅ…」
呆然としていた郁未は、その声に慌てて振り返る。
「みゅー…けほっ、けほっ」
もう一人のもっと小さい女の子の方は激しく咳き込んでいる。意識も失っていないようだ。
「あなた、大丈夫なの!?」
郁未はその子に手を差し出すが、
「みゅ!」その子は驚いて後ずさりをする。
「おびえているみたいね…無理ないわ。でも無事でよかった。」
郁未は一息つくとバックと手斧を置いて、幾分かの冷静さを取り戻してもう一度倒れている女の子の方に向き直る。そうして、その子にに手をかけようとして、その場の空気が凍りついた。
「いったいこれは何の真似かしら。」
その声と共に。


すいません、上の番号4です。
一度寝てから続きを書きます。
809黒船来襲 5(観鈴パート):2001/05/27(日) 06:34
 少し時間は戻る。
 神尾晴子と桜井あさひが2人でこの場から離れて数分が過ぎたときのことだった。
 神尾観鈴は相変わらず花輪製作作業を続けていた。
 そのとき、
「ワオ! なにこれー! きれー。すごくきれいな花がたくさん咲いてるヨー! ワンダフル! 素晴らしいネ! ビューティフル! これぞ、お花畑に、サクラ咲くってヤツね! もずくとは比べ物にならないほどきれいヨ! みてよみてよ、ジュン!」

 本物のマシンガンよりもうるさいと思えるマシンガントークが、近づいてきた。

「んー、シロツメ草もたくさん生えてるな、ついでに、潤ちゃんのマメ知識からいわせて貰えば、シロツメ草の花言葉といえば、「感化」だ。タンポポは「愛の神託」だ」
それがどうしたって言われたら、どうでもないんだけどな。
「ともかく、そんなのどうでもいいよ! タンポポきれいね! タンポポ! すばらしい、ホントウにスバラシイよ!」
 そういってヤンキーは草むらをごろごろ猫みたいに転がりだした。
「たんぽぽと、シロツメ草と戯れるヤンキーか。これはこれでいいのかもしれない」
 そう思ってみていたら、ヤンキーの後ろに何かがいた。
 ヤンキーとは少し違うけど、近い色の髪をした、少女だった。
 これが、運命の出会いってヤツかもしれん。ともかくにこやかに、なおかつニヒルに話し掛けてみようじゃないか。片手を軽やかに上にあげ、スキップで北川は観鈴の方に寄っていった。
「やぁ、こねこちゃん! 一緒に遊ばないかい?(そこで花と戯れているヤンキーは放って置いて)」
「おかあさんといっしょなら……」
「おかあさんといっしょか! そうか! 僕はポロリが好きなんだ、君は?」
「じゃじゃ丸」
 観鈴はそう即答した。
「で、なんでおかあさんと一緒なのかな? ん?」
「おかあさん今、ちょっとあっちにいってるの、私帰ってくるの待ってるの」
 勘違いだったか、あのお母さんと一緒だと思ったのに。これなら話題豊富だったのに!
伊達に、NHK教育番組ラヴァーだったわけじゃないのに。

北川は心底残念そうだった。
810一歩、前へ(1):2001/05/27(日) 06:42
 ひとりきり、悪い夢に取り残されたようで。
 自分以外はみんな敵に思えて。
 人の心なんて解らないから、怯えることしかできなかった。
 橘さんと同行しているときでさえずっと、私はいつ殺されるんだろうと思ってた。

『君は逃げるんだ。ここは僕が食い止める』

 決して折れない強さを持ったその声を聞くまでは、ずっと。

 ……今の私には、目的がある。
 彼の言葉を伝えなくちゃ、生き延びた意味がない。
 怖くない。怖くない。怖くない。怖くない。怖くない。
 考えちゃダメだ。何も何も考えちゃダメだ。
 立ち止まったらおしまいになる。また弱い私に戻ってしまう。
 うずくまって耳を塞ぐだけの私には、もうなりたくない。
 前だけ視て、瞳を凝らして、少しの変化も見逃さないで、走らなくちゃ。
 そして誰かが行く手にいるのなら。

「あの、あの、神尾さんという人を見ませんでしたか……!?」

 せいいっぱいの声で、信じて、聞くだけ。
811一歩、前へ(2):2001/05/27(日) 06:43

 突然の来訪者……あさひは、橘の伝言を受け取っただけで、死に目を看取った訳じゃない。
 それなら彼は生きているのだと、信じ込みたかった。
 あの時の爆発音は、現場から遠く離れた晴子と観鈴の元にも届いていたから。
 爆心地に居て無事なはずがない、とか。当たり前すぎる理屈はどうでもよかった。
 晴子も、あさひも、細い糸のような希望に縋って、ただ信じることしかできなかった。

 なら私たちはばかみたいにいつも通りに過ごしてやる。
 笑って、ボケて、突っ込んで、なんの変哲もない日常ごっこをあえてやってやる。
 勝手に入った他人の家でも、見知らぬ島でも、殺し合いの場だとしても。
 そうしていれば必ずあの人はひょっこり顔を出してくる。この「場所」に帰ってくる。
 照れ隠しにつまらない冗談でも言いながら。
 ここへ、
812一歩、前へ(3):2001/05/27(日) 06:43


「………以上だ。ペースアップしてきたじゃないか……この…調…で…」
 一帯の放送設備が、少々破壊されているのかもしれない。
 雑音混じりの、耳障りな声。
 聞きたくなかった。知らずにいられれば良かった。
 それでも、容赦なく。逃げることも許されず、事実は突きつけられる。
 彼は帰ってこない。死んだ人だから。もういないから。
 もう。
 全員が何も言葉を発せないうちに、呆気なく、その放送は終わった。
 風はやわらかいまま、空は青いまま。
 空にはまるでにせもののような太陽。
 じわじわとゆがんで溶けていくだけの虚ろな白。
 まぶしくて見ていられないから、ぎゅっと目を閉じる。
 ワンピースに、雫が落ちた。
 顔もはっきり思い出せないけれど。
 ……名前は、まだ覚えてた。
813一歩、前へ(4):2001/05/27(日) 06:44

「あいつ、最後まで格好付け、やったんやな……」
 たった数分の、けれど数時間にも感じられる沈黙の後、ぽつりと呟きが漏れた。
 『すまなかった』と。伝えられた簡潔な言葉はあまりにもストレートで。
 だからこそどうしようもなく、取り返しが、つかない。
 観鈴とあいつと、三人で水族館に行く約束。一緒にごはんを食べる約束。
 長年のしがらみを越えてようやく笑えるようになったかもしれない矢先。
「アホちゃうか……ホンマもんの、筋金入りのアホやないか」
 死んだらなんにもならない。前に進めない。何もない。
(ああ、アホはうちらなんかな)
 ばかみたいにはしゃいで。
 みんな殺し合っているのに、怯えているのに、ぬくぬくと日常の真似ごとに浸かっていた。
 その罰なんだろうか。
 無茶苦茶な思考展開だと分かっていてもそれでも、
「……あんまり、自分を責めないでください」
 あさひのよく通る声に、思わず顔を上げた。
 彼女は唇を噛んではいたものの、その表情には何か決意のようなものが見えた。
「橘さんは、私を、ちゃんと守ってくれましたから。
 不安で怖くてダメになりそうだった私を、この世界に引っぱり上げてくれた。
 それから晴子さんたちに会えて、私また笑えるようになりました。
 観鈴ちゃんと晴子さんに会ってなかったら、とっくに壊れてたかもしれないです。
 あなたたち家族が居なかったら、こうやって話すこともきっと出来なかった」
 ゆっくりと優しい声で、あさひは話す。子守歌のような声。
「ありがとう、って……本当に、心から、感謝してます」
 小さな花にも似た、その笑顔。
 聞く者の感情をぐらぐらと揺らす、彼女の声の力。
「あさひちゃんは、すごいね」
 ふと気づけば。
 顔を涙でぐしゃぐしゃにしながらも。
「あさひちゃんは強い子だよ。わたしよりずっと強い子」
 観鈴が……笑っていた。
「ぶいっ、だね」

 声優って、ホンマに……人の心、動かせるんやな。
 せやったらうちらももう一度前見て、歩けるかな。
 諦めんと、頑張れるんかな。
814一歩、前へ(5):2001/05/27(日) 06:44

「……なぁ、あさひちゃん。信じてる人、おるん?
 この人だけは助けたい、この人にだけは会わないと悲しい、そんな人」
「え?」
 突然振られた急な言葉に、私は間の抜けた声を出すしか出来なかった。
「うちと観鈴にはおるんよ。ちょっとの間やけど、一緒に暮らした居候が」
「すごく面白くてね、ちょっとヘンだけど優しい人だったから」
「これからな、そいつ探してみよかー、て思いついたんや。
 どうせ誰かにやられてまうんやったら、せめて悔いなく生きたいやろ?」
「…………うん、できることしたいよね」
 唐突にも聞こえるその話の意を察したのか、観鈴も懸命に続いて話す。
 ……この子まで、覚悟を決めたんだ。
「あさひちゃんも一緒に行こう。きっと一人より楽しいよ」
「観鈴の言うとおりやで。旅は道連れて言うし」
 さっきまでの沈痛さが嘘のように、二人は明るく話す。
 気を遣ってくれてるんだ。もうこれ以上悲しくならないように、努めて元気に。
「な。ここの台所で食べられそうなもん探して、そしたら三人で行こ。
 あんたもうちらの仲間や。今さら嫌やなんて水くさいこと言わせへん」
 嬉しかった。こんなにも優しいこの人たちに会えて。こんなにも温かい言葉をかけてもらえて。
「ね、もうお友達だよね」

 そういえば。
 ファンレターをよくくれた彼は、もういないけど。
 私の事を好きだと言ってくれた彼は帰らないけど。
 その思いは残るから。
 私はその人の分まで、橘さんの分まで、出来るところまで頑張って生きようと思う。
 この家族と一緒に。

「はい。……私で、良ければ」

 頷きながら浮かんだ大事な人の姿は。
 即売会で出会った、あのひとだった。

【神尾親子&桜井あさひ チーム結成】
【第4回放送終了直後】
815優しい嘘:2001/05/27(日) 06:54
「………」
楓がそのままの姿勢で女を見下ろした。
――この島でこの状態ではもう助からないだろう――
それほどその人は傷ついていた。
「あら、あなた……追ってきたの?」
「はい……あの話を知っているあなたが生きているのは……都合悪いですから。」
「……そう。」
南がいつものように、笑って。
「ただね……夢を叶えたかったんですよ。私の夢をね。
こみパのような、大きな即売会を――。」
南と主催者の間で、どんなやりとりが行われていたかは分からない。
だが、南の表情は終始穏やかなまま。
「ひとつだけいいですか?どうせ死ぬんですから、どうだっていいと思います。
嘘も方便ですし。私は改心した、そう思ってくれませんか?」
楓が無表情に頷く。
「別にどうだっていいんですよ。私は……どんな理由があろうと…
ジョーカーなんですから。」
「……」
「ただ、最後には……夢を見させてあげたいじゃないですか。」
「……そうかもしれません。」
南が最後に、彩の最後に果てた場所を一瞥し――。
傷つきすぎたその表情は、もう楓には分からなくて。
「殺るんでしょ?どうぞお好きに。この状態じゃ、どうせ助かりませんから。
このまま生き長らえてもつらく、痛いんですよ……。」
本当に最後まで変わらぬ口調。
「はい。」
楓の鉄の爪が光る。
「和樹さん達にも嘘をついてくださいね。」
ドシュッ!
同時に楓の爪が南の胸に深く食いこんだ――。

(……本当は誰よりも哀しい女性だったのかもしれませんね。)
楓は南と、もう一人の女性の亡骸に会釈して、また森へ消えた。

080 牧村南 死亡

   【残り53人】
816優しい嘘ラスト:2001/05/27(日) 07:10
スミマセン、知ってたんですがついつい指が勝手に……
最後の一行
×楓は南と、もう一人の女性の亡骸に会釈して、また森へ消えた。
○楓は南の亡骸に軽く会釈して、また森へ消えた。

ということで。彩は埋葬されてるんで直していただけると幸い。
817relay:2001/05/27(日) 13:06
あれから、しばらく。
江藤結花・来栖川芹香・スフィーの間には、何とも言えない重い空気が流れていた。
この島に来てからまだ人が死ぬ場面を見てこなかった3人にとって、長谷部彩の死は
苦楽を共にしてきた仲間の死という事実以上に、受け入れがたい現実として3人の胸に
深く刻み込まれていた。

うつろに歩く3人の進む道、その道の脇に、一人の少女は息絶えていた。
もう何度も見た光景。
これまでなら無視して通り過ぎるのだが、その少女の横顔を見た結花が、
「あっ、この人…」
ゆっくりと歩み寄り、顔をのぞき込む。
「やっぱり…、そうだ」
静かにつぶやく。
「昨日の夜中、私を斬りつけようとした人」
深山雪見の事だった。ただ、結花も他の2人もその名前は知らない。

結花は、昨日の出来事を思い出していた。
あの時は、切羽詰まった表情で、私にサバイバルナイフを向けていた少女。
でも今の表情は、どことなく穏やかで、落ち着いた感じ。
そこに、少しだけ救いを見た気がした。
「この子も、誰かに殺されたんだ…」
「………」
「もう、私たちには止められないのかな。このゲーム」
「そんなことないよ」とスフィー。
「私、許さない。このゲームを動かしている人も、それに乗って人殺しをしている人も。
だから、早く結界を解こうよ」
「うん」
「………」

すぐ近くに生えていた花を2,3本ちぎり、そばに手向ける。
脇に落ちていたライフルと、荷物を手に取った。
「誰が殺したか解らないけど、この仇は私たちが取ってあげる。きっとね」
「………」
「そうだね。ゲームを早く終わらせよう」
3人はゆっくり立ち上がり、決意も新たに歩き出した。

# 深山雪見の持ち物のうち、防弾チョッキ(雪見が身につけていた)以外の物が移動。
#  江藤結花=アサルトライフル(マガジン含む)・デザートイーグル
#  来栖川芹香=100円ライター・ドラゴン30連花火・ジッポオイル入り水風船
#  スフィー=サバイバルナイフ
818水瀬親子マーダー化計画(w 5:2001/05/27(日) 15:31
「誰・・・なんですか・・・あなたは。」
声がかすれてうまくしゃべれない。
足が震えてうまく立てない。
手斧を拾って構えようとするけれど、手が汗ばんでうまく行かない。
それは恐怖、威圧、戦慄。
目の前の女性・・・少女とはいえないが中年というにはどこかためらわれる、そんな美人の人に郁未は圧倒される。
「聞いているのは私よ。一体これは何なのかしら?」
その人は頬に手を当てて、微笑みを浮かべたまま聞いてくる。
なのに、恐い。死んだ方がましだっておもえるくらい恐い。
それは繭も同じ事だった。地面に座り込んだままガタガタ震えている。
「正当・・・防衛です。」
この人を納得させるような弁明ができなければ、おそらく自分は死ぬ。
その認識が郁未の口を開かせる。
この状況下でそれが出来るというのは、賞賛に値するといっていいだろう。
「この人は、この女の子の、首を絞めていて、私は、それを、止めるために。」
その時、ガリッ、という音とともに、女性の指がその頬に食い込んだ。
819水瀬親子マーダー化計画(w 6:2001/05/27(日) 15:32
「そう・・・了承しました。それは災難だったわね。」
その微笑みは消えることなく、けれど頬に赤いものが滴って。
「名雪もまいっていたから・・・ひょっとしたらこんなことになるかもしれない、とは思っていたわ。」
頬に食い込む指はぎりぎりと音を立てて徐々に下に降りていく。その女性の美しい顔を汚していく。
まるで、その部分だけが他から貼り付けられたような光景。
「なのに、一人にしてしまって。だめな母親ね、私。」
「母・・・親?」かすれた郁美の問いに、
「けどね、あなただって悪いのよ?天沢郁未さん。」その人はそう応える。
徐々に郁未との距離を縮めながら。
「なんで、私の、名前・・・」
「あら、あたったの?」
その人はちょっと笑って。
「そっくりだもの、母親に。」
「お母さんに!?あったんですか!?」
「ええ、あの人がいなければ私もすぐに名雪の後を追えたのですけどね。」
そこで、その人はぱっとしゃがみこんで何かを拾ってそれを郁未の方へ投げつけた。
郁未はすんでのところでそれ、石、をかわす。けどそれでそのひとを一瞬見失ってしまって。
「ひっ!?」
横手の風きり音に、郁未は悲鳴とともにしゃがみこむ。
その上を小太刀が通過して、それをかわしたと認識するよりも早く、低くした郁未のあごに蹴りが飛んだ。
「ぐあっ!?」蹴り飛ばされる郁未。
けれどそうされながら反射的に郁未は手斧を横に振った。
手斧を手放さなかったのは奇跡といっていい。
その動きは女性にとっても多少の驚きではあったのだろう。
軽く後ろに飛んでそれをかわし、郁未との間合いをあけた。
(殺される、私殺される、なんで知ってるのお母さんの事、殺される、お母さん、私殺される、お母さんひょっとしてこの人に、)
恐怖と疑問で郁未の頭は飽和寸前。そして、
「あら、母親よりは反応はいいようね。」
その声で郁未の頭は真っ白になった。
820水瀬親子マーダー化計画(w 7:2001/05/27(日) 15:35
「あの・・・お母さんの・・・ことなんですけど・・・」
秋子は郁未の声に今までと違う響きがある事に気づいた。
「あなたが、お母さんの事、殺したんですか?」
途切れ途切れに郁未はそういいながら、しゃがみこんで前に手をつく。
秋子は郁未の問いに、「ええ、そうよ。」と応えた。
未夜子に与えた傷が致命傷のものだったとは思えないが、死んだという事はそういう事なのだろう。
「そうですか・・・」
郁未はしゃがんだまま腰を上げて、極端な前傾姿勢をとる。
それは、クラウチングスタートの姿勢に良く似ていた。違うのは手に斧を持っているという事だけ。
「あなたが、殺したんですね。」
その声に秋子は自分が震えている事に気づいた。
(おびえている?私が?)
「あなたがああああああああ!!」
裂ぱくの気合というには猛々しすぎる雄叫びを上げて、郁未は放たれた矢のごとく飛び出す。
その加速に乗った手斧の一撃は、
重く、強く、速く。
ギィインッという激しい音、
飛び散る火花、金属破片、
ガードした秋子の小太刀はいともたやすく破砕する。
それでも、秋子はその渾身の一撃をかろうじて流す事に成功した。
それで、小太刀は手から跳ね飛ばされてしまったけれど。
突進の勢いで激突する両者。
秋子は痛んだ手で、2撃目が来る前に郁美の手首をつかんだ。
ギリギリギリと互いの歯ぎしりが聞こえそうな距離で、両者は腕に力を込める。睨み合う。
とても醜い顔、秋子はそう思った。
怒りと、恐怖が郁未の顔を醜く歪めている。
自分もきっと同じような顔をしているのだろう。
いまや、二人は対等だった。
対等な力量。
対等な恐怖。
対等な威圧。
対等な怒り。
対等な憎悪。
「私は・・・あなたを・・・死んでも・・・殺したい。」
食いしばった歯のあいだから郁未はいう。
それは私も同じよ。秋子は声に出さずそう応えた。
そう、その殺意も対等。
そのような二人が戦うならば、
(どちらかは必ず死ぬわね?郁未さん。)
けれど、次の郁未の声は秋子の予想に反したものだった。
821111:2001/05/27(日) 17:44
かなしいなぁ・・・なぁ#5
822名無しさんだよもん:2001/05/27(日) 19:30
このスレッド大きすぎます
だってさ
823名無しさんだよもん
新スレはこちら。

葉鍵ロワイヤル!#6
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi?bbs=leaf&key=990948487