量産型ってあるけど、バグだったっぽい言語系の不備をそのまま製品化したのはおかしくないかな…
バグだったっけ? まあモニター様(貴明)に好評だったのでそのまま仕様化とか、
直さなかった理由は幾らでも考えられるんじゃない?
シルファを汚された気分
勝手に想像してみる
・起動時にいくつか思考パターンを選べる。ここで選ばれたのはHMX-17cに使われたもの
・同じような症状が出た。当初の用途には使えず、矯正の為来栖川の研究所に送られる
・以前同じような症状のメイドロボを見ていた研究員は、名前すらなかったHM-18を、“シルファ”と呼んだ
・この症状を治すにはオーナーの愛情が必要、と考えて、オーナーを探していたら、現在のオーナーの下に落ち着く結果に。
・その後間もなく、DIAモデルの販売が停止される。
これは酷い
オリジナル要素多いと相変わらず賛否両論出るね。
作者の意図はなんとなくわかるかな。
昔セリオSSでこういう私小説風の作品あったけど、ああいう事がしたいんだろうねー。
俺はこんな感じの雰囲気で読ませる作品はけっこう好き。
ところでこの作者さん、前に三姉妹、特にミルファのSSを量産してた人だよな?
そういえば元々オリジナルっ気混ぜるの好きそうだと思ってたw
バグっていうか、コミュニケーション不全のせいで言語システムが未成熟なんじゃなかったっけ。
どちらにせよ、そのまま残すとは思えないけどな。
まぁ本編のシルファでありつつ違う存在であるってのを主張するための苦肉の策ってのは分かるけどw
てか、オリジナル主人公でも別に良いと思うんだが、設定にもう一捻りがないと微妙だな。
これだけだと既存キャラと日記でかけ合いしてる痛い子と変わらないなーと思ったのは俺だけか。
>>559 >前に三姉妹、特にミルファのSSを量産してた人
誰の事云ってるのかわからんけど、避難所に書きかけ残してあぼ〜んしちゃった痛い人の事
云ってるんだとしたら、全然違うと思うな。
こっちの人の方が文章遥かに上手いし。コメントに厨臭さもないw
>>559 >>561 お前らが荒らしでないのならそういうこと言うのヤメレ
場が荒れるだけで何の益もない
えー、このみ春夏さんよっちゃる小牧姉妹草壁さん登場の、
なんといいますか、非常にとりとめのないシチュの羅列なSSです
テーマもないんですけど、ルート確定前の各キャラの紹介イベント、
みたいな位置づけで読んでいただけると嬉しいかもです
AD準拠というか、設定的にはAD本編前の夏休みあたり?
たぶん途中でさるさん中断入ります。では
「タカくん、はやくはやく〜っ!」
砂浜が視界に入るなり、このみは全力で駆けだした。
「前を見て走らないと危ないわよ」
春夏さんが注意するけど、耳に入っているとは思えな……あ、転んだ。
「う゛う゛う゛」
砂浜に顔から突っ込んだこのみ。
ダメージは軽いみたいだけど、ぶんぶん首を振って、砂を払い落とそうとしている。
「ったく、しょうがないなぁ」
俺は慌てて幼馴染みの元に走る。
このみは女の子座りして、猫みたいに顔を擦りだしていたもんで、
「ほら、砂付いた手で擦るなよ、顔」
「ふぎゅう」
手荷物の中にあった濡れタオルで拭いてやると、心地良さそうに目を細めた。
「いつもありがとうね、タカくん」
追いついてきた春夏さんが、笑ってお礼を言ってくれる。
俺とこのみは、春夏さんの誘いで夏休みの海水浴、それも一泊旅行と洒落込んでいた。
海沿いのホテルにチェックインを済ませて、着替えを済ませていざ海へ。
「でも、いいんですか? おじさんもいないのに、俺なんか誘ってもらっちゃって」
「いいのよ」
俺の疑問に、春夏さんは即答する。
「だってあの人、今年は夏休みが取れないっていうんだもの、楽しみにしてたのに」
あ、そういう事情ですか。
「だから、タカくんと、うーんと楽しまないとね」
春夏さんは俺の腕を取った。ボタンを留めずに羽織った白いシャツの、開いた胸元から覗くオレンジ色のビキニに心臓が跳ねる俺。
「ああーっ、おかーさんずるいーっ!」
反対側の腕に、このみがぶらさがってくる。ピンクのワンピースに胸らしきものは殆どないが、身体全体で抱きつかれると柔らかい。
母娘に腕を取られて歩く、って、いいのかなぁ、これ……
◇ ◇ ◇
「うわああっ、このみっ!? せ、センパイっ!?」
「……犯罪者だ」
やっぱり、あまり良くなかった。
電車で3時間ほど揺られた海水浴場で、まさか知り合いに会うなんて思わなかったのに。
「ふぇぇ、ちゃる、よっち、どうしたの?」
いきなり遭遇。しかも、この二人。
「と、とーうぜん、このみとセンパイの後を尾けてきたに決まってるっしょ」
「え? ほ、ホント? ちゃる?」
「嘘。偶然」
「ああーっ、いきなり裏切りやがったあ!」
大仰に腕を広げて天を仰ぐのは吉岡チエちゃん。中学校時代からのこのみの親友。
このみと同い年なんだけど、発育状況はだいぶ異なるみたいで、吉岡さんは、その、胸が、おまけにかなり布地少なめのビキニで、おっきくて、ピンクの、困る、ぷるんと、目のやり場に。
「それより、通報しないと、浮気現場」
ぼそっと怖いことを呟くもう一人は、山田ミチルちゃん。
こちらは至って平均的な、いやそんなに詳しくないけど、すらりとした体型を、茶色に水玉で地味目の、でもこちらもビキニに包んでいる。
「しかも母娘丼」
顔立ちも控えめで、特徴とえいばメガネの奥のクールな目線。その目と指が、ビシッと俺に、って待って待って待って。
「ち、違うってば、これは、俺は単なる荷物もちで」
「本当っスかぁ?」
「このみ、お父さんは?」
「来てないよ。夏休み取れなかったんだって」
「……やっぱり犯罪だ」
「違うってば、春夏さん、なんとか言ってあげてくださいよ」
「あら、せっかくお友達に会ったんだから若い人同士で遊んでらっしゃい。荷物、見ててあげるわね」
春夏さん……逃げましたね。
◇ ◇ ◇
「はいっ」
「てえいっ!」
「わととと、とりゃあっ!」
「……えい」
ぽーん、ぽーん。ぽーん、ぽーん。
かけ声と共に、宙に弾むビーチボール。
水着の少女三人、まあ一応このみも含めて、と元気にビーチバレー。
なんだけど。
「センパーイ、もっと真面目に打ってください!」
吉岡さんに怒られる。
輪になってパスを繋ぐんじゃなく、2対2で試合してるから、御意見ごもっとも。
「うーん、でも……」
「なんッスか? あたしら相手じゃ本気出せないんっスか? 負けてる癖に」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
腰に手を当てて俺を睨む吉岡さんを、困った顔で見やる俺。
いや、だってさあ。
「よっちが悪い」
言い方を悩んでいたら、山田さんが代わりに指摘してくれる。
「なにがよ」
「水着の割に、無駄に胸が大きい」
「っ! む、無駄言うなっ!」
山田さんの視線に、吉岡さんの頬がカッと染まって、腕組みで胸を隠す。
「その格好で砂地に飛び込んだら、馬鹿に大きいおっぱいがポロリ」
「う、いや馬鹿も言うな」
「ギャラリー大喜び。人垣の視線が一斉によっちの先っぽに突き刺さる」
「そ、そういう言い方はちょっと、っっていうかすぐ直すし!」
「審判の許可を得ずに水着を直す行為は禁止」
「なんでやねんっ!」
「ま、まあでも、センパイがあたしの水着のせいでスケベな妄想をして試合に身が入らないのはわかったっス」
そういう理解はどうかと思うけど、そういうこと。
「ちょっと待っててください。上になんか着てきますから」
吉岡さんは自分たちの荷物へ戻ろうとする。
「あ、よっち」
「あによ」
「いいものがある。一緒に行こう」
二人の背中が並んで遠ざかる。なんのかんのいって、仲良しなんだな。
◇ ◇ ◇
「お待たせっス!」
待つってほど待つ間もなく、二人が戻って……ぶっ!
「な、なにその格好!」
「何って、体操着っスよ」
「持ってきてた。こんなこともあろうかと」
平然と答える二人。
確かに、吉岡さんが水着の上に着てきたのは寺女の体操着。
ただし、上だけ。
「これなら水着が外れても平気っしょ」
両手を腰に当てて胸を張る吉岡さん。
ぷるん、と揺れたおっぱいが、ツンと上向きに収まって、白い体操着を突き上げる。
「キツネのだから、ちょっとキツいんスけど」
しかも体操着は山田さんのものらしく、二人のサイズ差に伴ってそのあたりはピチピチ。
吉岡さんの動きにつれて、腰回りでは裾がひらひらと。チラリとおヘソが覗いたり。
挙げ句に下半身は水着のまんまなので、体操着の上にピンク色のビキニ下というのは、油断するとあの、下着姿にも見えちゃって。
「やったねよっち。センパイが、エロい目でよっちを見てる」
呟く山田さんに、俺は慌てて咳払いした。吉岡さんは、ちょっと赤面した。
「見てない見てない。っていうか、まだ吉岡さんのは分かるけど、山田さんのは何?」
「体操着」
それは分かるけど。
「よっちが上を着たから、下だけ穿いてみた」
その理屈はおかしいでしょ! どう考えても!
「変、かな?」
首を傾げて、自分の身体を見下ろす山田さんは、吉岡さんとは逆にビキニの上に赤ブルマ。
こちらは一見すると普通のビキニ姿に……見えるわけなくて、まるで着替え中の女子みたいな……覗いた事はないからね念のため。
「確かに、ちょっと蒸れるかも」
ひょいと腰のゴムをつまんで伸ばし、中の水着を覗き込むような仕草。こらこら、女の子がそんなポーズしちゃいけませんっ。
「脱いだ方がいい?」
ブルマをずり下げて俺に聞くのもやめてくださいお願いします。
「う〜、よっちとちゃるばっかりずるいよ! おかーさーん! このみも〜っ!」」
と、暫くのあいだ会話の外に置かれていたこのみがキレた。だだだっと日傘の下で休む春夏さんの下に駆ける。
「このみも何か着てくるんっスかね?」
「うーん」
ま、何を着てもこのみであればそんなに破壊力のある事には……
「タカくん、よっち、ちゃる! お待たせっ!」
こちらは全く待つ暇もなく駆け戻ってくるこのみは、水着の上に白いパーカーを羽織ってきた。
ネコミミ付きの。
「変じゃない?」
いや、変だ。
変だけど、このみには似合って可愛いんじゃないか。でも、
「くぁあ〜っ! 可愛い〜っ!」
「……いい」
この衣装は俺よりも他の二人に強烈だったようで。
「ほ、ほえっ!? よっち、ちゃる? ふぎゅぅ〜っ!?」
前後からの吉岡さんと山田さんの板挟み、通称X攻撃。二人の間に埋もれて、小さなこのみのお尻がパーカーから見え隠れしていた。
支援
◇ ◇ ◇
ぷはぁ。
「あぁ、いいお湯だった」
昼間、吉岡さんと山田さんと海で散々遊んで、宿に戻ってきて夕方。
俺とこのみは、戻ってすぐ大浴場へ。
春夏さんは部屋で一休み。疲れたんですか、なんて絶対聞けない。
広いお風呂を満喫しての湯上がり。
このみは、お湯に浸かっている時間はごく短いけれど、そこは女の子なので俺よりは時間がかかる。
「先に戻ると、また拗ねるだろうからな」
小上がりでジュースを買って待つことにする。
扇風機の前は……残念、先客ありか。
「ぷひゅ〜」
特等席を占領しているのは、俺と同い年くらいの若い女の子。
浴衣の首にタオルを掛けて、洗いたての髪を扇風機の風になびかせて。
「ごくらくごくらくぅ〜♪」
膝元にコーヒー牛乳。ぱたぱたと右手で顔を仰ぎ、左手でちょっと襟を緩めたりする無防備な姿が微笑ましい。
失礼と思いつつ、公共の場で油断しすぎな女の子についつい視線が……あれ、この娘、どこかで見たことある?
「えっと、いいんちょ……小牧!?」
「ぱへ〜っ、へっ!? えっ!? こ、こ河野くんっ!? ったわわたたっ!?」
油断しきった表情から声を掛けられて飛び上がった女の子。
ぽけっとこちらを見た後で、俺を認識して慌てて後ずさり。
勢いあまって尻餅をついたのは、間違いなく我らがクラスの委員長、小牧愛佳その人だった。
◇ ◇ ◇
しかし、今日は変な所で知り合いに会う日だなあ。
「い、郁乃の調子が良いから、家族で温泉でもってことになってね」
あたふたわたふたとかくかくしかじかしてくれる小牧。
「郁乃がお母さんとアイスを買いに行ったんで、付いていこうとしたら怒られたんだけど、仕方なくちょっと一休みしてたらその、ちょっと気が緩んで、あははは……」
両手でぱたぱたと顔を仰ぐ。
頬が赤いのは、お風呂で火照っただけではなさそう。
「なに騒いでんの、お姉ちゃん」
噂をすれば影。
車椅子を回して畳の縁にやってきたのは、小牧姉妹の妹、小牧郁乃。
最近になってウチに転入してきた一年生で、身体が弱く最近まで入退院を繰り返していたという。
「あ、あはは、いや思わぬ所で河野くんに」
「河野? あ、このみの」
このみの何なのかは口に出さずに仏頂面のままこちらを見る。
「どうも」
ぺこりと一応つきの会釈。
「や、やあ」
俺もぎこちなく挨拶。にしても、愛佳と違って愛想のない子だと思う。
「あれ? お母さんは?」
「アイス持って先に戻った」
「あっ、そうなんだ」
どうやら小牧の母親とまで顔を合わせる必要はなさそうで、少しほっと、したのも束の間。
「あれれ? そういえば河野くんはどうして? ご両親、出張から戻って来てるの?」
ぎくり。
「い、いや、まあ、そんなもん……」
「タカくん! 待っててくれたんだ!」
いまいちよろしくないタイミングで、このみが風呂場から駆けてきた。
「「……」」
姉妹が揃ってジト目。
「い、いやこれにはワケがあって」
「ケダモノ。」
「いっ!?」
言い訳を許さずにガツンと突き刺さる小牧(妹)の言。
「このみ、おいで」
車椅子を器用に動かして、畳に上がろうとしたこのみを引っ張る。
「あ、うん……え? 郁乃ちゃん? なんでここにいるの?」
そういや、このみは小牧(妹)とクラスメートだったけ。
「野暮用よ。それより、何で釣られたの、食べ物? 遊園地?」
「えっ? ち、ちがうよお」
随分と仲は良いみたい。会話の内容はともかく。
彼女にこのみを確保された俺。妹の説得を諦めて小牧(姉)に目をやると、
「ミテナイミテナイワタシハナンニモミテイナイ……」
念仏が聞こえてくる。
「はあ。えーっと、小牧、話、聞いてくれる?」
「ナニモミエナイナニモキコエナイナニモタサナイナニモヒカナイナイクイタスプッチトテポ……」
こっちに事情を説明するのも難しそうだったけど、ここは頑張ってかくかくしかじか。
「……あ、なんだ、そうなんだ。このみちゃんのお母さんと、三人で……って、えええええ!?」
「獣。」
ああああ説明する事情自体が一般的にはヤバいんだった。
「じゃ、そういうことで。行くよ、このみ」
三十六計逃げるにしかず。このみを連れて即退散。
「あ、タカくん待って〜。えと、郁乃ちゃん、あとでまた遊ぼうね!」
「りょーかい」
「あっ、こ、河野くんちょっと待った!」
な、なんでしょう。
「さっき、あたしのこといいんちょって呼びませんでした?」
「たぶん気のせい」
支援
◇ ◇ ◇
なかなか美味しかった食事の後で、このみがそわそわし始める。
「お、お母さん、あのね」
「なあにこのみ、もうおねむ?」
「ち、違うよ。それは、ちょっとだけ、欠伸しそうになったけど」
ちなみにまだ7時前。
「それはお腹が一杯になっちゃったからで、って、そうじゃなくって!」
「ふふ。分かってるわ、郁乃ちゃんの所に遊びに行きたいんでしょ」
「うん」
小牧達と会った事は話をしてある。
どうも小牧(妹)はこのみの家に来たこともあるらしく、春夏さんも彼女を知っていた。
「いいわよ。でも、その前に一度部屋に戻りなさい。タカくんも」
「え、俺も?」
俺自身は、このみに付いていこうか迷っていたんだけど、
二人にとってはそれは既定事項みたいで、春夏さんの用事はそこから先みたい。
俺はこのみと春夏さんにくっついて二人の部屋へ、
「あ、悪いけどタカくんはちょっと此処で待ってて。このみ、いらっしゃい」
「はあい? タカくん、ちゃんと待っててね」
「あ? ああ」
入る直前でストップ。いったいなんだろう?
と、
「うひゃあ!?」
このみの悲鳴、続けて、どすん、ばたん。
「な、何事?」
ひとしきり賑やかな音と声が聞こえた後。
「いいわよ、タカくん。入って」
春夏さんの声がして、訝しみながら入室した俺。
「失礼しまーす。あれ?」
このみがいない?
支援
予定どおり10レスさるさん。暫し中断
「春夏さん、このみは?」
俺の問いかけに、笑いながら次の間の方を指さす春夏さん。
襖は半分閉じていて、
「……」
そこから覗く馬の尻尾、ならぬこのみの髪の房。
「このみ? 隠れんぼか?」
「う、ううん」
問いかけには横に髪を振り、手招きすると、頷きながらも出てこない。
「……どうした? 早く出てきなって」
「あ、あのね……笑わない?」
「何を?」
「んと……とにかく笑わない?」
「だから何を」
「どうしてでもいいから」
なんだろう、どこかでこんなやりとりをこのみとしたような気がする。
「なんだか分からないけど、分かったよ。笑わない」
あれは確か、今年の始業式あたり。
「う、うん……それじゃあ、ホントに笑わないでね」
おずおずと襖の陰から出てくるこのみ。
そう、あの時は扉の陰から、やっぱりこんな感じで……
あの時と同じように、呆然とこのみを見つめた。
ピンクを基調に、桜の花びらを散りばめた浴衣姿。
うなじを染めて斜めに俯く幼馴染みは、彼女らしい子供じみた可愛さと共に、ほんの少しだけ大人っぽい香りを見せて。
「や、やっぱ……どっかヘンかな?」
「……」
「……タカくん?」
「え?」
「やっぱ、どこかヘン?」
「い、いや、いいんじゃないかな」
いつか聞いた問いかけに俺は、いつかした答えを返すのが精一杯だった。
支援
◇ ◇ ◇
「さ、次はタカくんの番よ、こっちへいらっしゃい」
「え、俺のも持ってきたんですか? つうか、自分で着られますって」
「いいからいいから。このみ、タカくん持ってきて」
「う、うん」
「や、やめろ、俺はモノじゃないし、浴衣くらい一人で、っていや春夏さん脱がさないで、って変なとこ触っちゃ、きゃああああ!」
F.OUT
まあ俺の着替えを詳細に語っても仕方ないので省略するけど、そんな阿鼻叫喚の8分後。
「あっ、郁乃ちゃーんっ」
ロビーに佇む車椅子を素早く見つけて、このみが駆け寄るのだった。
「こんばんは」
後から追っかけた俺も挨拶。
「なんでアンタまで来てんのよ」
いきなりきっついなあ。あれ? そういえば小牧(姉)がいない?
「姉を探してるの? 言っとくけど、遊びで姉に手を出したら」
「なんでだよっ!」
「あれえ? 小牧先輩、こないの?」
「来てる。ちょっと用を足しているから待ってて」
小首を傾げたこのみに、一転して優しい口調で語りかける。うーん、難しい娘だね小牧(妹)は。
「浴衣持ってきたの? 可愛いわね」
「えっ? あっ、う、うん、ありがとう。あの、郁乃ちゃんも着替えたんだ?」
言われてみれば小牧(妹)も白地にピンク柄という、このみとネガポジ反転したような女の子浴衣。
「あたしのは売店で買ったやつ。というか、お姉ちゃんに無理矢理着せられた」
「ふうん。でも可愛いねえ」
「あ、ありがと」
互いの誉め言葉に頬を赤らめ合うこのみと小牧(妹)。
「……言っとくが、遊びでこのみに手を出したら」
「なんでよっ!」
意外とノリはいい気もするな小牧(妹)。
「それで、今日これからだけど」
「あっ、そうだっ!」
小牧(妹)が言い掛けた言葉を聞いて、このみがぽんと声を挙げる。
「な、なに?」
「タカくん、あれ出してあれっ」
「別にここで出さなくても……」
「もう、いいからっ」
このみは俺が手に持った紙袋をひったくって、内容物−このみの言う「あれ」−を引っ張り出す。
「じゃーん」
このみが胸の前に見せたのは、色とりどりの花火セット。
まあ、お子様向けだけどね。
「えへへ、お外に出て、花火しよっ!」
「あ、う」
にっこり笑って誘うこのみに、小牧(妹)は歯切れの悪い表情をする。
「あれ? もしかして、外に出られない?」
「いや、そんなことはないんだけど」
「花火の量なら心配ないぞ。春夏さんが張り切ってお小遣いくれたから」
「うん、ほら、見て見て」
紙袋からビニール袋にまとまった花火セットを取り出すこのみ。
その量、ちょっと買いすぎだろってくらい。
「あ、いや、そうじゃないんだけど」
小牧(妹)が言い淀む。
「郁乃、お待たせっ!」
そこに走ってバタバタと、小牧(姉)がやってきた。
「花火買ってきたよ〜、ちゃんと四人分!」
あー。
大量の花火を囲んで、顔を見合わせる四人。
「ほへー。凄い量だねえ」
「ちょっと、多すぎるな」
しかも、同じ物がほぼ二つづつ。
「まあ、売店の花火なんてそう種類はないわよね」
「ごめんなさーい」
妹は責めた口調ではないが、姉の方は縮こまる。
「しかし、どうするよこれ」
色とりどりに包装された、まるでお菓子のような花火達。
「か、かくなる上は……」
小牧(姉)が、その綺麗なラッピングを見つめながら喉をごくり。
「……食べるの?」
「なんでやねん」
小牧ん家って、関西だっけか。
◇ ◇ ◇
「車椅子じゃないんだ?」
「砂地じゃ埋もれるわ。そういうの専用のもあるけど値段が高い」
歩けないわけでもないから。
そう付け加えた小牧(妹)は、両脇に松葉杖を突いて歩いていた。
「気を付けてね、郁乃ちゃん」
彼女の周囲を心配そうにくるくると回るこのみ。
街灯にピンクの浴衣が映えて、形容詞はひらひらとの方が良かったかも知れないけど、とにかく却って相手に絡みそう。
「このみの方が危ないって。転ぶなよ」
「別に平気」
注意したら、小牧(妹)の方から強めに回答が来た。
このみはちょっときょとんとしてから、にこーと笑って松葉杖の少女に並ぶ。
そんな二人を見て、小牧(姉)が微笑む。
「このみちゃん、浴衣姿、可愛いね」
「えっ? あ、ありがとう、ございます。小牧センパイも似合って、ますです」
妹とは親しくても、姉とは殆ど面識はないこのみ。少しどぎまぎした様子で返答。
「うふふ、このみちゃんには負けるよぉ、ね、河野くん」
このみを誉めてこちらに意味深な笑顔を向ける小牧(姉)。
彼女の浴衣は、藍色地に水色のあじさいが咲いている。
「いや、小牧も綺麗だよ」
反撃。
「ふえっ!? そ、そそそ、そっかなぁ!?」
ぷっ、顔も声も真っ赤っ赤。
思わずにやけた瞬間に、足の甲に激痛。見れば松葉杖の石突き。
「……邪魔だからさっさと歩いて」
しかし、だから、なんで俺にだけ態度が違うんだ小牧(妹)ぉ。
◇ ◇ ◇
しゅばばばばば。
「うわー」
このみがぽけーっとした声だす。
その顔を照らすのは、色とりどりの光の噴水。
「綺麗だねえ」
「贅沢だな」
吹き上げ花火4基同時着火に成功した俺と、その成果を眺める小牧(姉)の会話。
「郁乃ちゃん、はい」
「……ありがと」
足の悪い小牧(妹)は、防砂林の松の木に寄りかかって手持ち花火を揺らす。
女の子三人。三様の浴衣が、原色の光の渦に映えていた。
花火セットは見る見るうちに消費され、水を張ったバケツには反比例して燃え殻が増えていく。
「わ、もうこれしかない」
「心配する必要、なかったね」
通常の3倍量といえども、花火って嵩の割に遊べる時間が短い。
このみは明らかに、小牧(姉)はほっとしたなかにも若干寂しそうな口調。
「このみ、それ取って」
そこに定位置から小牧(妹)が声を掛けて、このみが袋のひとつを持っていく。
「ありがと。よいしょ」
それを受け取って、彼女は杖を器用に滑らせて砂地に座り込む。浴衣の裾が若干微妙に……う、睨まれた。
「こほん、何するの?」
「火」
問いかけには答えず、要求だけをする小牧(妹)。ったく。
そろそろこいつの態度にも慣れてきた俺は、ライターを投げ渡す。
シュッ。
礼も言わずに石を擦る音。
「なんだ?」
暗がりで良く見えなかった手元に照らし出されたのは、え? ロケット花火!?
「ちょ、ちょっと待てこっちに向っ?」
シュボッ!
シュルルルルル。シュルルルルル。
妙な所で手際よく並べたもので、俺の足元めがけて次々と小火球が飛んでくる。
「うわわっ! うわわわっ!」
「タ、タカくん大丈夫? わ、すごいすごい、あははっ」
器用に飛び上がって避ける俺を見て、心配のち感心のち大笑いのこのみ。
で、避けたロケットは、そのまま松林の闇に消えてゆき、
「こらあ! ゴミは拾ってこなきゃダメだよっ!」
小牧(姉)が手を振り上げて注意。
……拾いに行くのは、俺?
◇ ◇ ◇
「いや、見つかるわけないってば」
勢いに釣られて松林の中に入ってみたものの、考えてみれば、ロケット花火の燃え殻なんて小さいものを懐中電灯で探すのは無理がある。
ついでに言えば、林の中は暗くてあまり心地の良いものじゃないし。
「小牧には悪いけど、適当に探したふりして戻ろう」
そう思いつつ、いちおうしゃがみこんで木々の間を照らしてみたりしていたら。
キコ、キコ。
車輪を回す音。
「え? 小牧、妹?」
顔を上げた俺の視界には、宿で見た車椅子。
あれ? でも、車椅子は……
「このみがいないの」
「えっ?」
俺の疑念は、少女の言葉で遮られた。
「貴方の後を追いかけて林に入って、途中でトイレに行くって言ってそれっきり」
「どっちに行ったの」
彼女が指さしたのは、宿の方向なのだろうか。
「分かった、郁乃ちゃんは先に戻ってて」
こくん、と素直に頷く姿に、違和感を覚えつつ事態はそれどころではなく、俺はこのみを探しに脇道に入る。
街灯もない防砂林の内部は、宿のすぐ側なのにやけに暗くて周囲が見づらい。
「このみ〜、いるかあ〜」
呼びかける声が、暗闇に吸い込まれる。やけに反響しているような、それでいて遠くまでは届いていないような。
等間隔に並ぶ松の木の間をすりぬけながら、俺は徐々に焦燥感に駆られてゆく。
「このみっ、いないのかっ!」
いつしか小走りになる。波の音が、やけに近くから聞こえる。方向感覚が麻痺してくる。此処は、一体、何処なんだろう……
「どこに行くんですか」
突然、耳元で涼やかな声がして、俺は飛び上がった。
ふと気がつけば、松林が目の前で切れている。
「そっちは、崖ですよ」
眼前にしてみれば言われるまでもない。俺の正面の地面は10メートルほど先で消え、向こうには漆黒の夜の海。
「この辺は地形が複雑ですから、慌てて走ると危険です」
そこまで言葉が続いて、ようやく俺は声の主を認識した。
暗がりでも目立つ白い上着、懐中電灯を向けると眩しそうに目を細める顔も白く映える。
顔の上と下半身が闇に溶け込んでいてどきりとしたけど、よく見たら黒いロングヘアとスカートだった。
「あ、ありがとうございます」
あのまま走っていたら崖下に一直線だったかも知れない。冷や汗をかきながらお礼を言うと、
「どういたしまして」
涼しい微笑みのまま返された。
思ったよりも若い子だ。俺と同い年か、少し上かな? それにしても、なんでこんな所にいたんだろ?
「あの……」
「はい?」
お散歩ですか? そう聞こうと思ったけれど、小首を傾げる仕草に口をついたのは別な質問。
「どこかで、お会いしたことありますっけ?」
「ふふっ、どうでしょうね」
これも少し楽しげな微笑みで返される。
「それより、戻らないと皆さんが心配します」
走ってきた方向を指さす。それで、俺は今度は自分の目的を思い出す。
「あっ、そうだ、このみっ!」
意味もなく周囲を見渡してしまう俺。
だが、女の子は余裕を持って、
「大丈夫です。もう先に戻っていますよ、きっと」
その言葉は、まるで見てきたように自信たっぷりで、俺は狐につままれたような顔のまま来た道を戻った。
女の子は、まだ散歩を続けるつもりか俺を見送る。
……やっぱり、見覚えがあるような気がするんだけどな。
◇ ◇ ◇
「あっ、戻ってきたっ!」
俺が花火の場所に帰ると、探していた筈のこのみが飛び跳ねて迎えに寄ってきた。
「もう、タカくんどこに行ってたのっ!」
声に含まれている色は、怒りよりも心配の要素の方が多い。
「いつまで経っても戻ってこないから、みんな心配してたんだよぉ」
小牧(姉)も同調。
「あたしは先に帰りたかったけど、このみが待ってるっていうから」
これは妹の言。
お前なあ、誰のせいだと思って……あれ?
「郁乃ちゃん? さっき車椅子で来なかった?」
「呼び方が馴れ馴れしい。それにさっきもいったでしょ、砂地じゃ使えないって」
やっぱりそうか。
って、それじゃあ、さっき俺が見たのはなに?
「それよりなによ、このみが道に迷ったなんて言って、全然違う方向だったじゃない」
え?
「なんだよ、それ?」
「む、しらばっくれるの? それとも、あたしとお姉ちゃんを騙したわけ?」
「だ、騙すって?」
予想外の展開に狼狽えると、姉の方が間に入る。
「あ、あのね? さっき河野くんがね? このみちゃんが戻ってこないからあっちを探してくれって」
指さす方向は俺の来た方の逆。
「お、俺は郁乃ちゃんが、このみが迷子じゃないかって」
「み、みんな酷いよ〜」
三人の会話に、このみも参戦。
「このみは、おトイレに行こうと思って、それはちょっと道に迷ったけど……」
「迷ったんだ?」
「うー、途中で会った旅館の人が、こっちが近いって言うからっ!」
「でも、親切な女の人が道を教えてくれて、戻ってきたら誰もいないんだもん」
膨れるほっぺ。
「このみも? いや、俺も女の人、っつーか同い年くらいの子に助けられたんだけどさ」
「え?」
俺の言葉に、小牧姉妹まで首を傾げる。
「あ、あたしたちも女の子に会ったの、その、教えてくれて、砂が陥没してて危ないですよって」
「あの人がいなきゃ二重遭難してたかもね」
き、奇遇っていうのかな。こういうのも。
でも。
「その女の子って、すらっとして、髪が長くて」
「白い上着と、黒いスカートだったよ」
「なんだか楽しそうに笑ってて、質問してもあんまり答えてくれなかったです」
「……胸は結構あった」
見事なまでに、全員一致。
「「「「……」」」」
顔を見合わせる一同。
なんとなく視線を回すと、このみ、小牧(姉)、小牧(妹)、そしてもう一人。
「そうそう、ちょうどこんな感じの……」
つい指さした先も四人仲良く、その先に佇む少女は。
「私がどうかしましたか?」
「わわっ、ご、ごめんなさいっ、悪気はないんです」
「そうそう、今ちょうど、みんなが貴方みたいな人に会ったって話を……」
って。
「「「「こ、この人っ!」」」」
「はい、私です」
驚愕の声を挙げた四人の真ん中で、白い服の子は涼しげに笑った。
◇ ◇ ◇
「草壁、優季といいます」
苗字と名前の間を一拍区切って名乗った少女は、俺達と同じ二年生だと言った。
「えーっと、とりあえず、さっきはどうも」
「……あ、うん、そうだ。さっきは有り難うございました。助かりました」
「同上」
「ありがとー、ございました」
俺を含めて、口々に礼を述べる面々。このみはぺこりとお辞儀。
……ってことは、やっぱりみんなこの人に助けられたのか。
「幽霊じゃありませんよ?」
失礼のないようにと思っても、皆の疑問はしっかり伝わったらしく、にっこり笑う少女−草壁さん。
その足元に光が当たる。
「足は、あるわね」
「こ、こらっ、郁乃っ!」
不躾な懐中電灯を向けたのはやっぱり小牧(妹)で、慌ててたしなめる姉。
「ふふっ、大丈夫です」
それに気を悪くした様子もなく、草壁さんはおどけてスカートをつまみあげた。
黄色い光に照らされて、形のよいふくらはぎから膝上までの脚はやっぱり白い。
「ほら、このとおり……あっ」
おどけた笑みを浮かべていた草壁さんは、俺の視線に気付いて手を離す。
ちらっとよそ見した頬は、もしかしたら赤くなっていたのかも知れない。
「……なんだか釈然としないんだけど」
「郁乃ってばっ」
「だって、方向が全然違うし、みんなが離れた理由も解決してないし」
命の恩人を疑う気は全くないけど、小牧(妹)の言うことももっともだ。
「そうですねえ。私は幽霊ではありませんけど」
草壁さんが、それに応える。
「出るみたいですよ、このあたり」
「で、出るって、な、ななな何がですか?」
小牧(姉)が妹の横に寄っていく。気付けばこのみも俺の後ろ。
「だいぶ昔のお話ですが、この近くには漁村があったんです」
まるで歌でも歌うように話し出す草壁さん。
「そこに、街から商人の一家が引っ越してきました」
「平凡な商人でも、貧しい漁村では目立ってしまったのでしょう。そこの子供は周囲に馴染めず、いつもいじめられて」
「じ、自殺しちゃったとか?」
口を挟んだ俺に、草壁さんはかぶりを振った。
「事故だったそうです。一人で海岸で遊んでいて、礒から転落したとか」
ひしっ。
背中に服を掴まれる感触。そういやこのみは、怪談話が大の苦手だっけ。
「それからです。この近くで、子供達が一緒に遊んでいると」
ぎしっ。こちらは小牧(姉)が妹にしがみついた音。
「いつのまにか皆がバラバラになって、一人、また一人と崖に誘われるように……」
「す、すすすストップ、ストップぅ! そこまでぇ〜!」
臨界点突破したのか、小牧(姉)が両腕を振り回して続きを阻止した。
「ふふっ、まあ、只のお話です」
悪戯っぽく笑う草壁さん、それにしても、楽しそうに笑う女の子だなあ。
「そ、そうだよねっ、ゆーれいなんて、出ないよねタカくんっ!」
俺の背中から顔を出すこのみ。
「でも、今日は出てきたい気分かも知れませんね。幽霊さんも」
「ふえっ!?」
草壁さんはまた脅かして、小牧(姉)の背筋がひんっと伸びる。
「だって、こんなに綺麗な満月ですから」
指さす夜空に、丸い月。
釣られて見上げた俺達が視線を戻すと、草壁さんはもう居なかった。
(……また、お会いしましょう、貴明さん。)
耳元で涼やかな声が聞こえた気がしたのは、俺だけだったみたい。
支援
◇ ◇ ◇
「た、タカくん、手を離さないでねっ、絶対だよっ」
「わかったからくっつくなよ、歩きにくい」
しがみつくこのみを、半ば引きずるようにして宿に戻る俺。
「あ、あはははは」
「笑いながらしがみつかないでよお姉ちゃん。気持ち悪い」
あっちも似たような様子。
宿に戻って車椅子に乗り換えても、姉は妹から離れようとはしなかった。
「じゃ、じゃあね、郁乃ちゃん、小牧先輩」
「おやすみ、このみ」
「おやすみなさい、河野くん、このみちゃん」
「おやすみ」
このみは俺に、小牧(姉)は妹にしがみついたまま、それぞれの部屋に分かれる。
「い、郁乃ぉ、今日は一緒に寝ようねぇ」
「なんでよ」
「だってぇ……」
別れ際、そんな会話が遠ざかっていく。
「た、タカくん、あのね、あのね」
「一緒に寝ないぞ」
それを聞いたこのみの態度は、非常に分かりやすいので先手を打つ。
「えええ〜っ、タカくんの意地悪〜!」
「意地悪じゃないっ、当然だっ」
「どうしてタカくんとこのみが一緒に寝たらいけないのっ?」
「どうしてって……」
ちょっと前まで無理矢理俺のベッドに潜り込んできたこのみだけど、今日は春夏さんもいるんだし。
「そうだ。春夏さんに聞いてみろよ」
部屋に戻ってかくかくしかじか。
支援
「そうねえ、確かに年頃の男女二人が同衾っていうのは、少し問題かもねえ」
ほらみろ。
「じゃあ、三人で寝ましょっか?」
へ?
◇ ◇ ◇
カチ、コチ、カチ、コチ。
備え付けの時計の音が、やけに大きく聞こえる。
すーっ、すーっ。すやすや。
両隣からは、健やかそうな二つの寝息。
「な、なんでこうなるんだ」
宿の天井を見上げながら、未だに自問を繰り返す俺。
右腕にはしっかりとこのみが抱きついて、左腕は春夏さんに持って行かれて。
「お、おかしいだろこれは!?」
「むにゃ……タカくんうるさーい」
思わず声に出てしまったらしい。寝ぼけたこのみの抗議に慌てて黙りなおす。
このみはもう一度俺の腕をしっかり抱き抱えなおした。
幸か不幸か、彼女の身体はまだまだ凹凸が少ないので、右腕の感触もそれほどは、
と思いつつもやはり柔らかく、おまけにこのみときたら俺の手を両脚でしっかり挟んでいたりして。
「なんでこんなに無防備なんだろうなこいつは」
ぼやいて直ぐに、左隣にその原因がいることに気付く。
俺の左腕を枕にして、春夏さんは安眠中。
「うーん、旦那さんが出張がちだから、欲求不満なのかなあ……う、いかんいかん」
自分で思った単語に反応しそうになって、俺は妄想をかき消すべく今日一日を回想した。
「センパイ、お待たせっス!」
吉岡さんの水着姿は、思い出しちゃだめーっ!
そんなわけで、このみの両親の夫婦仲を心配しつつ、人肌が温すぎる布団で俺がうつらうつらし始めたのは、もう朝方に近かった。
がさごそ、がさごそ。
ん? このみ?……は腕にかじりついてるな。もう痺れて感覚ないけどさ。
あれだ。左腕に収まっていた春夏さんがいない。
まだ、チェックアウトするような時間じゃないと思うんだけど……
「あら、起こしちゃった、ごめんなさい」
「春夏さん、あれ? その格好?」
このみを起こさないように上半身だけ起こすと、春夏さんは既に身支度を調えつつある。
「ごめんなさいね、実はさっき、あの人からメールが来て、休みが取れてこっちに戻ってくるっていうの」
あ、おじさん、仕事切り上げたんだ。
「だから、朝イチの電車で迎えに行くわ。このみは、起きないだろうから、悪いけどタカくんお願いね」
「あ、はい」
いそいそと出立の準備をする春夏さん。
おもむろに化粧を直したり、意味もなく時計を見たり、なんだか落ち着かない。
「じゃあ、少し早いけど、精算を済ませて行くわね。このみ、あとよろしく」
「ん……ふぁあい」
寝ぼけて意味が分からなくても素直なこのみに返答させて、春夏さんは部屋を出て行く。
その足取りは、心なしという程度ではなく軽かった。
「やっぱり、おじさんが戻ってくるのを心待ちにしてたんだな」
旅行中の俺への態度は、おじさんへの慕情の裏返しだったんだろう。
俺は一安心すると共に、ちょっとだけおじさんを羨ましく思う。
「さて、このみは起きそうにないし、俺ももう一眠りするか」
まだ腕を離してくれていないので、仕方なく隣に潜り込むと、このみは樹木にはりつくカブトムシみたいにすり寄ってくる。まあ、いいか。
財布は春夏さんが持ってっちゃったんだよな。買い物もできないから、起きたら俺達も帰ろう……う?
「あれ? 春夏さん、電車代置いていってくれた?」
……このみと二人で小牧の両親に帰りの電車賃を借りるのは、かなり恥ずかしかった。
以上です。支援ありがとうございました
最初は草壁さんSSのつもりで書き始めたんですが、
なんだかキャラ的にも展開的にもまったく脈絡のない話になってしまいましたね
ちなみに草壁さんのは>365のSSに変化しました
つまり8月からかき始めて、書いてるうちに海水浴シーズンが終わってしまったと(汗
うほっ、いいSS
>つまり8月からかき始めて、書いてるうちに海水浴シーズンが終わってしまったと(汗
逆に考えるんだ
人ごみが嫌だから、シーズンを避けて9月半ばに海に来たシチュエーションなのだと
つーか草壁さんって本来?の時間軸には存在しないんだっけ
草壁さんルートに入らん限り
てか草壁さんがどういう存在なのかイマイチ覚えてないけど
>>596 草壁さんルートでないときは貴明は学校に流星群とか見にいかないから
死ぬこともないわけでということは草壁さんもタイムスリップ
しないわけだから普通に生きているだろ
どっちが卵で鶏かアレだが、事故の記事を見て時をかける少女になったんだったか
交通事故じゃなくても、貴明が危機に陥れば超能力が開花する可能性はあるかもね
落石の直撃を喰らうと目からビームが出るとか。凍死すると歌で春を呼ぶとか
というか確か論理的に破綻してたよね。バックトゥーザフューチャー以上に。
当時考えてみたけどその結論だけ頭に残ってる。
違ったっけ。
>599
時間遡航自体が論理的には有り得ないってのは置いといても
どこが破綻したと思ったのか覚えていないのでは正しいも違うもないけどさ
ちょっと見返してみて、
草壁さんが事故の記事を見る→時を遡る→貴明が草壁さんを追いかけて事故に遭う
って流れ自体は、
最初の事故が草壁さんに起因するものでないとすれば特に破綻はないかと
流星群の夜なんだから、何かのきっかけで外出したって不思議はないだろうしね
へー。ありがとう。
ちょっと投下します。
AD準拠です。
では。
「ねぇ、あのさ、よっちゃんの学校、寺女ってさ、メイドロボが家にいるって子も、結構いるのかな?」
ここは、貴明達の行きつけの、もんじゃ屋の座敷の一角。
もんじゃの香ばしい匂いが辺りに漂う。
鉄板の上のもんじゃ焼きをザクザクとヘラで区切りながら、吉岡チエに尋ねる貴明。
「う〜ん、そうっすねぇ・・・もぐもぐ」
もんじゃを頬張りながら、考えるチエである。
「結構多いと思うっすよ。うちのクラスにも、何人かいるみたいっすし」
「そうなんだ。そうだよね、寺女って、お金持ちの子ばっかりだもんね。」
ふんふんと頷きつつ、貴明が言った。
「でさ、何体も持ってるって子も、いる?」
続けて尋ねる貴明。
「さぁ?普通、いないっしょ。」
チエが答えた。
「せいぜいが便利な家電か、よく出来たオモチャくらいの感覚っすもん。だいたい、ホントにお金持ちの子って、本物のメイド
さんを、何人も雇ってるもんすよ。」
それを聞いて、貴明は思った。そうだろう。メイドロボを何体も欲しがるのは、多分、男のマニアだ。例えば、雄二のような。
「あたしの先輩に、来栖川のお嬢様がいるっすよ。その人がいっつもメイドロボ連れてたの見て、オーナーになるのが流行
になったみたいっす。」
――― それは、多分、“セリオ”の事だろう。藤田先輩や珊瑚ちゃんの話してたメイドロボの試作機だ。
「でも、なんで急に、そんな事聞いてくるんすか、センパイ?」
貴明をジト目で眺めながら、尋ねて来るチエ。
「もしかして、メイドロボフェチっすか?雄二センパイみたいな」
ドキリとする貴明。
「いっ、いやっ、その、最近、よく街でも見掛けるじゃない。よっちゃんも、興味ないのかな〜、とか、思ったんだけど。」
「あたしは別段どうでもいいっすよ。自分の事は自分で間に合ってるっすから。」
さらっと答えるチエ。
「間に合ってなかったのは、ボーイフレンドだけっす。でも、それも、もう解決したっすから。」
そう言って、急に、頬を赤らめてにっこりとしながら、ネットリとした視線を向けてきたチエ。
貴明も頬を赤らめ、ドギマギしながらバツが悪そうに衿をつまむ。
周囲の席から、ヒューヒューと冷やかす店の常連さん達の声が聞こえる。
ボリボリと頭をかきながら、言う貴明。
「そ、そうなんだ・・・・良かったね、間に合って・・・・その・・・・俺なんかで良かったら・・・・」
冷やかしの声に一段と頬を赤らめながら、ふと、また考えに耽る貴明。
思い起こしたのは、自宅の、メイドロボ達の事だった。
支援
別段金持ちでもないし、マニアでもなかったが、偶然のきっかけで、2体のメイドロボのオーナーになってしまった貴明。
彼の家に常駐しているという事であるなら、3体いる。
1体、いや1人は、彼の与り知らないところで、勝手にご主人様登録されていた。
あろうことか、貴明のクラスメートにまでなって、追い掛け回してくる。
もう1人は、いきなり、箱詰めにされて押し付けられてきた。
仮のご主人様登録という事で、貴明の身の回りの世話をしながら、メイドロボ修行中(?)、である。
そして、その箱詰めメイドロボを送りつけてきた彼女達の姉は、指導教官と称して、ほとんど毎日のように、河野家に
入り浸っている。
実質的に、貴明の家のメイドロボと変わりがない。
困ったのは、3姉妹とも、最新のAIにより人間と変わりがない感情を有するタイプで、貴明に、ただならぬ感情を抱いて
しまっていること。
驚異の来栖川テクノロジーにより、それこそセックスだって、人間同様、お気に召すまま。
彼女達との同居生活を傍から見れば、爛れた生活を送る、ダメ人間にしか見えないのではなかろうかと、貴明は思う。
まだこの歳で・・・・
「――― どうしたっすか、センパイ?」
貴明の顔に自分の顔を近付けて覗き込みながら、尋ねてくるチエ。
「いっいやっ、何でもないよっ!」
両手をかざして冷汗を流しながら、後ずさる貴明。
現在の“河野家の事情”をよっちに知られたら、目も当てられないだろうなぁ・・・・などと想像すると、冷汗も出ようという
ものだった。
「・・・・ごめん、待たせた。センパイ、よっち。」
化粧室に行くと言って席を外していた、ちゃること山田ミチルが戻って来た。
「おそーい、ちゃる。もう結構食べちゃったよ。」
「ごめん。」
あまり表情を変えず、ボソリと言うミチル。
座敷に上がろうとした時、チエと貴明の顔が、少し紅潮しているのに、ミチルは気付く。
「・・・・ん?ちゃる、早く上がりなよ?」
ミチルがそのまま立ち尽くしているのを見て、怪訝な顔でミチルの座っていた座布団を指し示す貴明。
眼鏡の奥から視線だけを動かしてチエと貴明を交互に眺め回したミチルであったが、やがて、ふいに言った。
「ごめん。私、急に用事、思い出した。先に帰る。」
「えええ〜〜っ!?」
「えぇっ!?」
ほぼ同時に素っ頓狂な驚きの声を上げるチエと貴明。
「二人はゆっくりしていって。じゃ。」
そう言い残すと、ミチルは踵を返して、スゥッと出口の方に向かってしまった。
コップを載せたお盆を持って座敷に向かっていたハナとすれ違いざまに、ミチルはつぶやくように言う。
「ハナ、二人の分と合わせて、お代は後で払っておくから。」
「あいよ。」
バチンと片目を閉じてウインクしながら、ハナが応じる。
「あ〜あ、行っちゃったね・・・・。」
去っていくミチルの姿を目で追いながら、言う貴明。
「センパイ、その、あの・・・・」
「ん?」
頬を朱に染めて、もじもじしながら、尋ねて来るチエ。
「その、これから、センパイの家にお邪魔しても、いいっすか・・・・?」
「ええっ!?」
思わず叫んでしまった貴明。
「――― ?どうしたっすか、センパイ。何か都合悪かったっすか?」
貴明のその反応に、思わずキョトンとなるチエ。
「いや、そっ、そんな事ないけどさ、何と言うか、その、心の準備がさ・・・・」
そう言いながら、ヘラで鉄板上のもんじゃをカチカチとつつく貴明。
「・・・・センパイ、もんじゃ、千切りになってるっす。」
貴明の落ち着かない様子を見取って、怪訝な表情になるチエ。
――― いつかは招き寄せないといけないと思っていたけど、早くも、今日、その機会が来ようとは。
心中焦る貴明。
寺女の子女のメイドロボ所有事情を訊いたのも、今の河野家の事情をチエがどう思うかを、念頭に置いてのことだった。
「だって、いっつも、あたしの家か、果ては青姦じゃないっすか。そろそろ、センパイの家でと、思ったんすよ・・・・」
そう言って紅潮して俯きながら、唇を尖らすチエ。
「そ、そうだったね、そういえば・・・・いいよ。ウチにおいでよ。」
「―――ッ!ホントっすかっ!?うれしいっ!」
その貴明の言葉を聞いて、パァっと表情を輝かせるチエであった。
いよいよ観念した貴明。
・・・・ハァ・・・・。先にシルファちゃんに電話しといた方が、いいかなぁ・・・・。
ところは変わって、河野家の居間。
今、2人の少女を前に向かい合いながら、両腕を腰に当てて、青いショートカットの髪の少女が、立ち尽くしている。
3人とも、衿のデザインこそ若干違え、ほぼお揃いの、紺が基調のシックなメイド衣装を身に着けていた。
脚を包む黒いニーソックス。ややミニ気味の紫色のスカートが、活動的で愛らしい。
「――― いいですか、二人とも。そろそろ、貴明さんが、帰って来る頃です。」
3人の耳には、お揃いのイヤーバイザー。
メイドロボの、証だった。
「それでは、メイドロボ唱歌、歌います。いい、二人とも?」
「え〜?またあの変な歌、歌うのぉ〜?ぶーっ!」
「恥ずかしいのれす。」
「つべこべ言わないの。それじゃ、1、2、3、はいっ!」
ご奉仕〜 ご奉仕〜 ♪
ありったけの まごころの〜
ご奉仕〜 ご奉仕〜
選び抜かれた セクシャリスト
来栖川 メイド隊〜 ♪
「・・・・ミルファちゃん、相変わらずの音痴ねぇ。もっと練習なさい。」
「もう、お姉ちゃん、恥ずかしいよ〜。まるで、エロエロセクサロイドじゃない。」
ピンク髪の少女が唇を尖らして不満を漏らす。
「違うと言うの?」
ピシャリと言う、姉と呼ばれた青髪の少女。
「うっ・・・・。」
ピンク髪の少女は、頬を赤らめつつ沈黙してしまう。
「・・・・ イルイルは、恥ずかしくないのれすか?」
金髪のお下げ髪の少女が、赤い顔で俯きながら、上目つかいで訊いて来る。
「もーまんたいです。夜においても、ご主人様にありったけの愛のご奉仕で悦びをご提供する。それが、メイドロボの務め。」
平然と言ってのける。
再び、腰に手を当て、二人に向き直る青髪の少女。
「コホン、えー、それでは、メイドロボ標語です。私に続いて、復唱なさい ――― はいっ!」
「くんずほぐれつ ずっこんばっこん!」
『くんずほぐれつ ずっこんばっこん!』
チエと並んで家路を歩みながら、貴明は突如、肩を抱えてブルブルッと震え上がった。
「――― ん?センパイ、どうしたんっすか?」
その様子を見たチエが、心配顔で貴明の表情を覗き込む。
蒼白になりながら答える貴明。
「いっ、いやっ、急に、寒気が・・・・」
(続く)
全裸待機でいい?
というわけで、今回はこれで投下終了です。
気長な話になりそうですが、何とか頑張ります。
ご支援ありがとうございます。
では。
話の方向性としては嫌いじゃないけど、イルファさんが痴女扱いなのはちといただけないなあ。
614 :
落とした人:2008/09/20(土) 12:46:18 ID:1lP4DVTz0
よっち√END後の、爛れた生活を描いてみようかというのがまず念頭にありまして。
ちょっとエッチで面白おかしく描写できればと思ってます。
面白くとは意図しましたけど、それでただの痴女に見えてしまうんでは、考えものですね。
その辺はよく考えながら進めていきます。
>>613さん、ご意見、参考にさせていただきます。
いや、イルファって元から痴女じゃん。
自分で自分のことダッチワイフって言ってるし。
XRATEDの頃からイルファはド淫乱な痴女キャラだと思う。
無理にイルファさんを貶めるのヤメレ(´・ω・`)
AD準拠だからとサラッと通り過ぎればいいだけの話だろ
貶めるもなにも事実じゃん。
痴女キャラとして書いてるだろ。三宅本人が。
まぁ確かに、双子ルートの最後の台詞だけをピックアップすれば、Xのときから痴女キャラやね
ただ、双子ルートは他の部分との兼ね合いでバランス取れてて、『お茶目』になってたからなあ
多分ADでもそれは変わらないと思うよ
要は書き方の問題というか、614さんは今のところちゃんと『お茶目』なバランスになってるんじゃね?
今後どうなっていくかは分からないけどねw
さすがにコレで痴女だの淫乱だのっていうのは神経質すぎだろう
痴女云々はさておき、よっち√の後日談というのは、確かに惹かれる
三姉妹がその後どうなったかを、唯一垣間見せてくれるENDだからなw
濃厚で爛れた展開を期待するw
よっちとミルファの乳対決頼む(*´Д`)
よっちEDで「メイドロボを三人も所有してる」→「イルファさんはただの指導教官だよ」
ってな会話があるんだから、こういうのもアリだろね
イルファさんは、ADでは特にお下劣な台詞も多かったしな
個人的には、ここまであからさまだとちょっと引くけど、エロいの自体は大歓迎だぜ
>>614乙
俺としてはこのまま突っ走ってもらいたい
むしろ痴女キャラじゃないとイルファじゃないって感じ。
イルファさんは淫乱なのがいいんだよ。
イルファさんは、いざHになると清純だが日常ではエロトーク全快なのがいい。
>>614 乙。
いい感じなので気長に待ってます。
よっちED後のよっちがいらないくらいの勢いで
よっちとミルファでダブルパイズリ展開ですね、分かります
そんなにイルファさんはすごいのか?
オレはADができない、低スペック組なのでわからないけど。
低スペックでもADができる裏技ってないのかな・・・?
そんなにでて来ませんよ。
すごいっていっても、そのすごいところは合計で10行程度だと思う。
>>628 常識ある淫乱メイドだね。
つか引きこもりなだけでメイドロボ三姉妹の中ではシルファが一番まともな気がしてしまう。
>629
なにげにやたら長回しの台詞が多いんだけどね
妙に下品だったり、シルミルへの配慮が空回り気味だったり、
全然活躍したぜ感はないのにイメージダウンはするような役回りで可哀想に思った
ミルファんときなんか貴明寝取るみたいな発言あったしな。
そう言うの聞くとADはファン連中がファンディスク作れとうるさいのを
黙らせるために作ったんじゃないかと勘ぐりたくなるなぁ
まあ実際のところはTtTに注力してたんでスタッフ不足だったとかって所だとは思うけど。
シルファのマザコン関係もマザコンを強引に曲解して入れた感じのせっていだしな
>634
シルファのマザコン設定ってどんなだっけ?
無印とXRATEDでは、シルファは引っ込み思案でマザコンとしか言われてなかったが、
三宅があれをどう捻じ曲げてシルファを作ろうと思ったのかが気になる
普通にマザコンで引っ込み思案でもシナリオは面白くできたと思うが…
ファンが考えていたマザコン → 珊瑚ママすきすきすきーという意味でのマザコン
ADシルファのマザコン → 創造主への恐怖という意味でのマザコン
ADのシナリオや三宅叩きは本スレでやってくれ
シルファは前情報から本編での引っ繰り返しが上手かったと思うけどな
可愛いし特徴付けも成功してて、SS的にも書きやすい娘になったかと
シルファは特徴的な口調で誰が話してるか一目瞭然だから字数も節約出来るが、シルファ語間違えないよう
気は使う必要があるのが面倒かもw
ADヒロインで書いてて楽しいのシルファくらいだからなあ
他は元がサブキャラだからなのか、性格設定が一つの方向に偏りすぎてて面白味がない
そう考えるとXまでのヒロインは、しっかり作り込んであるよね
特にこのみはすごい
もっとブレイクしてもおかしくなかったと思うんだが、何が足りなかったんだろう
まぁ書いてて面白いかどうかは書き手のキャラの好き好きだからなぁ
シルファも結構性格の偏りはあるように思うし、活動範囲が狭くなりがちなのも
難しい要素ではある。
XまでとADとでは、性格付けの変ってるキャラがあるのが困るな。
〜準拠とは謳っておいた方が無難だろうね。
そもそもキャラの性格なんて人によってだいぶ感覚違うがね
俺がADでイメージ変わったのはイルファさんのお下劣と、貴明の鬼畜っぷりかな
他のキャラは特に変わらない(郁乃このタマちゃるよっち春夏さん)か、
元からあまり性格のイメージがなかった(菜々子まーりゃんシルファミルファ)
私の気になるシルファの揺らぎ
「おかえりなさいれす。」
「おかえりなさいませ。」
「おかえりれす。」
「おかえりなさいませれす。」
「おかえりなのれす。」
本編でどれがあったとかは覚えてないけど下にいくほど不自然さを感じる。
本編終盤に「お、お帰りなさいませれすっっ」って台詞はある
その後走ってお出迎えして「は、は、お帰りマサイ「、ご主人様」と続く
妙な「が入っちまった。「は、は、お帰りマサイ、ご主人様」だ
シルファは、普段は意外と普通にメイド口調っぽい、って印象がある
なるほど。
これからはマサイがスタンダードですね。
hosyu
てst
しょこうしのつ。
さぁ。そろそろ新しいSSを誰か。
過疎った所で、AD発売後でこのスレのSSでの登場キャラとメインキャラを眺めてみた
漏れは多々あるだろうが、把握できた59本(連載はまとて1本と数えた)で大まかに
AD前と比較しないと何も言えないんだがお遊びね。メインは内数
シルファ・・・登場27本、メイン7本
シルファ強し。普通のメイドロボの人と、攻殻ネタ無題な人の投下数が大きいが
他のSSにもよく出てくるので、確かに書きやすいんでしょうな
このみ・・・登場24本、メイン3本
タマ姉・・・登場18本、メイン2本
このみはAD出てもやっぱりメインヒロイン。環も流石の存在感。
ただ、このみはメインを張らなくても結構中心人物になりがちなのに対し、
環はちょい役が多い気がする。主役は総理大臣ネタSSくらいかも
ミルファ・・・登場17本、メイン6本
イルファ・・・登場17本、メイン4本
ミルファは登場数こそこのタマに負けるがメイン数を考えればシルファに次ぐ活躍
イルファさんはシルミルのサポート役かと思いきや主役も結構ある
愛佳・・・登場14本、メイン2本
郁乃・・・登場12本、メイン5本
双子・・・登場12本、メイン1本
郁乃はシルミルに次いでメインが多くて、登場数の割に印象は強い
愛佳は郁乃の、双子はメイドロボのおヒキが多いのは自然というものか
続く
続き
よっち・・・登場9本、メイン2本
優季・・・登場7本、メイン4本
ちゃる・・・登場7本、メイン0本
よっちは意外とメインが少ない気もする。草壁さんは出れば主役な感じ
ちゃる……誰か書いてあげようよ
由真・・・登場5本、メイン2本
ささら・・・登場4本、メイン1本
まーりゃん・・・登場4本、メイン0本
由真は「メイド日和」シリーズがあるが、脇は名前だけだったりして若干印象薄い
まーりゃんささらの生徒会コンビも意外に出番少ないねえ
花梨・・・登場3本、メイン1本
菜々子・・・登場2本、メイン1本
るーこ・・・登場2本、メイン0本
春夏・・・登場2本、メイン0本
花梨はともかくとして、るーこは少ないと思うなあ・・・
菜々子は「菜々子Strike!」でメインを張るも脇では滅多に出てこない感じ
春夏さんもこのみ絡みで出そうなもんだけど、このみ自身が脇役が多いからな
あとメイン多数なのが14本と多かった。ハーレム風味が強いせいだろうか。
とかいいつつ、作者の数が少ないから単に無題な人の短編のせいでもある罠w
あ、一人忘れてた。
雄二・・・登場18本、メイン7本
AD発売前後を問わずネタでもシリアスでも大活躍。たいがい不幸ダガナー。おわり
分析&総括 乙
雄二はハッピーエンドにしてあげたいんだけどね〜
カップリングがむずい
ほぼ全てのキャラは貴明に気持ちが向いてるので(ギャルゲの主人公なんだから当たり前だけど)
それを捻じ曲げちゃう形になっちゃうからな
かといってオリジナルキャラは持ち出したくないし
後は愛佳が少し不憫かな
最近脇役多いし、雄二と同じで便利キャラ化してる気がする
愛佳で書いてあげたいけどネタがない…
雄二とToHeart2キャラを引っ付けようものならフルボッコされるだろうな
突然ちゃると雄二が婚約させられ、ちゃるが雄二の学園に転入。
互いに断るが両親の命令で、二学期の間は週一デートさせられる羽目になる
よっちは二人の婚約を破棄させようと画策するが、謎の生徒会長も暗躍して……
Leaf最新作「さくら色に染まる坂」乞うご期待
59本もあるんだ。知らなかった。
数字を出されると、結構あるような感じがしますな。
無題といいつつ題名付けてるのは、微妙に続き物だからカウントに入れないという手も。
無題シリーズって続き物だったのかw
>654
雄二は、貴明にフラれた傷心をなぐさめて、か、貴明好感度低め設定にすれば、
例えば前者でこのみ、後者で郁乃あたりならくっつけても違和感ないんじゃない?
その二人は雄二の好みからは大きく外れていそうで、その時点で違和感が。
雄二が公言してる好みの点からいうとタマ姉なんだが
流石に姉弟は恋愛対象にならないので次点でささらだろうな
好みだけで言うなら
でも雄二はかわいい女の子ならオールオッケーとかいいそうな気がするんだw
そして、雄二の好みを優先した結果、緒方理奈とのクロスが書かれ、
かつてない怒号がこのスレを満たした。
この話は○○END後なので××や△△は貴明とはただの顔見知りですと書いておけばOK
それで本当にOKと思える人がどれだけいるかだな
>>659 俺としては、雄二×環は全然OK
寧ろ、それでお願いしたいくらいだm(_ _)m
俺としては、雄二×環は絶対NG
OKそうな組合せ
雄二×はるみ
雄二×ちゃる
雄二×まー
雄二×黄色
雄二×貴明
雄二×ロク
雄二×ゲンジマル
雄二×貴明のSS(ギャグとか友情とか?)って何故かほとんど無いよな?
(KANONやONEでは男同士のSSとか山ほどあるじゃん?)
とりあえず雄二×はるみは不可な。
ミルファは貴明の嫁でよし。
むしろ雄二×いくのんとかどうよ?
雄二×よっちで書いてみようかなぁと思ったりもする
好きだった某プロ野球選手が引退しそうなんで・・・
シルファの件がいなかったら、この二人でお見合いデートの可能性はあったよなぁ
オナカイタイの人か・・・
書くのはいいけど投下時には注意書きよろしく
個人的にはどれもあまり見たくないんで
>666
雄二の初恋ネタSSはちょくちょくあるじゃん?
逆に言うとそのせいで普通の友情ものは書きにくいのかもしらん
>667
雄二×郁乃は、書庫に「ただ心だけが」って長編が。外のSSでもなんかあったかも
貴明がアクション起さなければ、はるみとよっちゃるは雄二にフラグ立つ可能性充分あったんじゃね?
>>665 雄二×ゲンジ丸って何よ?w ゲンジ丸って雄?雌?
対タマ姉決戦兵器として考えて雄二×ゲンジ丸はありだろ、雄二的にはw
雄二×よっちなんて絶対に許さないよ
ssスレが…賑わってる……だと…?
俺的には雄二ならちゃるの方がフラグも属性の接点もあるのでくっつけ易そうだが
雄二×よっちにも期待したいので>668を励ましておこう。是非書いてみ
あとはささらかなあ。父親と貴明の次に付き合いが深い男だろし
雄二は比較的積極的で行動派なので受けタイプが合いそう……やっぱ雄×貴かw
さすがにガチやおいは書けんがやww
雄二×貴子以外は認めないのれす
貴子と聞くと貴明の女バージョンではなくツンデレラの方を思い出してしまう
名前変えてくれww
>>659 雄二の好みは緒方理奈やらナイスバディのお姉さまだろうが
正反対のさんちゃんるりちゃんも狙ったからな空気扱いされたが・・・
てか雄二は積極的に行動はするがMのイメージが何故か有る
まあ雄二は軽率に扱われるから仕方ないんだろうが
はるみはAD設定だと別に雄二じゃなくても、
最初に優しくしてくれた人とフラグたちそうだから闇歴史
雄二は可愛い子ならだれでもいいんだろう
>>679 姫百合ファミリーにモテモテの貴明をやっかんだ雄二が昔会った女の子(女装貴明)との再会を切望する
それを聞いた珊瑚がHMX-17の予備パーツででっち上げたボディを
リモートコントロール(貴明をベッドに縛り付けた状態でヘッドギア装着して脳波でバーチャルコントロール)
することで、雄二の夢を叶える事を思いつくのだが…
というネタを思いついた
展開は知らん
>>682 わかった。私が書こう。
試験に合格したらね。
>>683に期待
オレも書きかけの続き書かないとな
書きかけ……?
続き……?
……なんだろう、頭が痛いw
雄二×菜々子にゃんのSSを執筆中。
山本正之の「愛のロリータ」を聴きながら…
…あっ、駄目だ、つまってしまう…
雄二とメインキャラは駄目だっていってんだろ
荒れるから
貴明×まーりゃんはないのか?
シリアスどろどろで。修羅場でもいいんだ。
必ずしも雄二との恋愛モノとは限らないから別にいいんじゃね?
別に絡む相手とのラブラブでなくてもいいからもっとメインの機会を増やしてやろうという流れと理解する。
まぁ、あんまり主張が激しいと荒れるだろうな
程々にな
姫百合姉妹END後に雄二が貴明に
珊瑚ちゃんに俺(雄二)専用メイドロボを作ってもらうように頼んでくれないか?
と頼んできたのだが・・・
(中略)
ラストはタマ姉のアイアンクロー
ここまで雄二SSのネタの原案考えた!(注 自分は文章力がないため執筆できません)
文章力なんて必要ないんだぜ。
必要なのは最初のちょっとの恥ずかしさを捨てることなんだぜ。
よっち×メイドロボ3姉妹ネタの第二話です。
投下します。
こんにちは、小牧愛佳です。
今、クラスメートの河野貴明くんの家の前に来ています。
ここ数日間に、河野君の家で起きていた出来事は、関係者達の間で『炎の七日間』と語り草になっているんですが、
当の河野君の口からは、黙して語られる事はありません。
本人、とってもやつれて、見る影もないんですけど、何やら幸せそうです・・・・
ここで、河野さんと親しい人達から、お話を伺ってみましょう。
「あ・・・ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは貴明がよっちとはるみちゃんと部屋に入ったと思ってたら
いつのまにかシルファちゃんとイルファさんと部屋から出てきた』
な・・・ 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何が起きたのかわからなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった・・・
おっぱいフェチだとかラブモンスターだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・」
「よっちとメイドロボさんズとは、仲良しでありますよ?
別に喧嘩とかしてないのであります。いつもみんな夜遅くまで楽しそうでありますよ。
お母さんも、タカくんの泉は無尽蔵なんじゃないかって、感心してるのであります。
・・・何が無尽蔵なのか、私にはよくわかんないけど。」
「さすが、よっち、胸の谷間で歴史を作る女・・・
こうして、歴史は夜作られる・・・。」
・・・・それでは、この辺で。小牧愛佳がお送りしました。
――― そして、再び、数日前に戻って。
「大丈夫っすか、先輩?」
そう言って吉岡チエは青ざめた河野貴明の顔を傍らから覗き込む。
「だ、大丈夫だよ。多分、店の中が暑かったから、外に出て冷えちゃっただけだと思う。」
そう言いながら、貴明の歯は寒気を感じてカチカチと鳴っていた。
何だろう、この悪寒は・・・・
河野家の玄関前に辿り着いた二人。
「それじゃあ、どうぞ、よっちゃん・・・・いや、チエ。」
「うっ・・・・なんか、ドキドキするっすね・・・・それじゃ、おじゃましまーす。」
ドアノブを握りながら、もう一方の手を差し出してチエを促す貴明。
「あ、おかえりなさいま・・・・ぴぎゃっ!?」
「ただいま〜。・・・・シルファちゃん・・・・あれっ、シルファちゃん、いないの?」
玄関内にチエを招き寄せてから、部屋の中を眺めたが、いつもの金髪お下げのメイドロボ少女の姿が見えない。
一瞬、それらしい声と姿が見えたような気もしたが、貴明はチエの方を向いていたので部屋の中をよく見ていなかった。
支援 待ってました!
「・・・・センパイ、シルファちゃんって、誰っすか?」
チエが貴明に怪訝な顔で尋ねる。
「うん、このみの知り合いの姉妹から預かってる、メイドロボの子なんだけど・・・・前に話さなかった?」
努めて涼しい顔で話す貴明だが、バツの悪さが僅かに表情に覗く。
「う〜ん、そういえば、そんな話、聞いたような・・・・このみが話してたんだっけ?」
手を顎に当てて思い出そうとするチエ。
「ひょっとして、その子の事があるから、やたらとメイドロボの話に拘ってたんすね。やっぱりメイドロボフェチなんすか?」
「はは、ははは・・・・」
苦笑しながら頭を掻く貴明。
猜疑を含んだ目で貴明の様子を眺め回すチエ。
「・・・・まさか、その子と、夜のレッスンなんかしてないっすよね?最近のロボッ娘って良く出来てるみたいすから」
「そ、そんなことはしてないよ」
焦ってのけぞりながらかぶりを振る貴明である。
居間に入る二人。
「玄関の鍵開いてたし、俺の部屋にでもいるのかな。チエ、ちょっとトイレ行ってくるから、ソファで待ってて」
「うぃっす。」
ストンとソファに腰掛けるチエ。
貴明はトイレの前にやって来て、ドアのノブの、施錠の表示を見た。
もしかして、シルファが入っていて、“きれいなお水”を排泄しているのかも知れないと思ったのだったが、誰もいないようだ。
そこで、躊躇なくドアを開ける。
「あ・・・・お、おかえりなさいませ、貴明さん。」
―― 誰か、居た。
そこには、白いショーツを下ろして便座に腰掛けながら、呆気に取られた表情で貴明を低い位置から仰ぎ見る青髪の少女。
無言でバタンとドアを閉じる貴明。だんだんと表情が紅潮していく。
―― って、イルファさん!?
「あっ!貴明さん勝手に使ってすみません!すぐ出ますから。」
用を足しているところを見られて真っ赤になりながら、イルファが言った。
「いやっいいよ!ちょっと、イルファさん、しばらく入ってて!」
貴明は努めて押し殺した声で言いながらドアを押さえる。
「ぎゃあああぁぁぁ〜〜〜っっっ!!!」
突如、居間の方から大きな悲鳴。
「チエッ!どうしたのっ!?」
早足で居間に向かった貴明。
支援
「ダンボールがっ!ダンボールがうごめいてるっすっ!!」
チエの傍らに立ち、彼女の指差す方向を眺めると、壁際で、大きなダンボールがもぞもぞと横移動している。
苦笑しながら溜息をつく貴明。
「あぁ、シルファちゃんか・・・・大丈夫、怪しい人じゃないから。出ておいで。」
その声がかかると、ダンボールはぴたりと動きを止め、スッと上に持ち上がった。
その下から、メイドロボの衣装を着た、金髪のお下げ髪の少女が現れる。
「・・・・シルファれす。」
ダンボールを頭の上に掲げながら、俯き加減に名乗るロボット少女。
「・・・・ああ、この子が、メイドロボの子っすね。びっくりしたっす。」
安堵と感心を織り交ぜて苦笑しながら、チエが手を頭に当てる。
「シルファちゃん、ええと、吉岡さん。俺の・・・・」
「彼女っす。」
えっへん、と手を腰に当てて、自慢の胸を突き出すチエ。
チエの胸元をじぃーっと凝視していたシルファだが、やがて、呟くように言った。
「・・・・おっぱいおばけ。」
「・・・・へっ?」
その言葉を聞いて、目が点になり、硬直するチエ。
彼女の傍らで青くなる貴明。
「おっぱいおばけが現れたから、思わずらんぼーるに籠ったのれす。おっぱいおばけは、おぽんちか痴女に決まってる
のれす。」
“―― シルファちゃん、その発言は危険だぞ!タマ姉にでも聞かれたら ―― はるみちゃんは慣れてるだろうけど――”
まさか環が居はしないかと、キョロキョロと周囲を見廻す貴明。
「な・・・・何なのよっ、この子は!?」
わなわなしだすチエ。
「シ、シルファちゃんっ、とりあえず、チエにコーヒーでも出してあげてくれないかな!?」
焦って、何とかその場を取り繕おうとする貴明であった。
それから、貴明は急いでトイレの方へ向かう。
「イルファさん、もういいよ、出てきて。」
ドアが開いて、イルファが現れた。俯いてやや赤面している。
「・・・・イルファさん、イルファさんが来てるって事は、はるみちゃんも・・・・」
イルファに囁く貴明。
「はい、来てますよ。」
「どこ?」
「貴明さんのお部屋で待ってると思います。」
ミルファがどんな様子で自分の部屋で過ごしているのか、思案する貴明。
「と、とりあえず、イルファさん、ちょっとの間、バスルームにでも隠れててくれない?」
「え、えぇ、貴明さんのお家ですから、従いますけど・・・・」
ソファに掛けて、シルファが振舞ってきたコーヒーを口にしたチエ。
「うげぇっ、苦いっす・・・・」
あまりの苦さに顔を歪める。
「エスプレッソれす。苦いものと相場が決まってるのれす。」
「ド○ールのなんちゃってエスプレッソみたいっすね・・・・」
カップを置いてから、シルファの方を見ると、その恨むような視線から、微かに敵意のようなものを感じ取ったチエ。
・・・・なんか、あまり歓迎されてないみたいっすけど・・・・
―― 階段を急ぎ足で駆け上がり、自分の部屋の扉の前にやって来た貴明。
ドアノブに手をかけ、そーっと開きながら、部屋の中の様子を覗った。
「あ、おかえりなさい、ダーリーン!」
・・・・“裸のマハ”よろしく、ベッドに全裸で横たわるのは桃髪の少女。
貴明は無言のまま、ドアを閉じる。
「ちょっ、ちょっとお!何であたしの姿見るなり、すぐ扉閉めちゃうわけぇっ!?」
ドアの向こうからミルファの声。
「な、何で、全裸で俺のベッドに侍ってるわけかな?かなっ!?」
「むふ〜ん、肌寒くなってきたってダーリン言ってたから、あたしの直肌でベッド暖めてたんだよ?もち、このまま夜のお勤め
でもいいけどぉ〜♪」
「いや、いいからっ!お願いだから服着てっ!」
支援
―― 階段の方から、登ってくる人の気配。
「こっちれす、ご主人様のお部屋は。」
―― シルファちゃん!何でこの状況でチエを俺の部屋に案内するかなっ?カナっ!?
“・・・・ぷぷぷ、修羅場れす♪”
手を口に当ててほくそ笑むシルファ。
「あっセンパイっ!お部屋、お邪魔しちゃってもいいっすか?♪」
貴明の姿を見つけ、にこやかに部屋に駆け寄ってくるチエ。
「チッチエっ!ちょっと、ちょっとだけ待ってっ!」
「ダーリン、どうしたの?」
ガチャリとドアを開き、チエが目にしたものは ―――
全裸でベッドに侍る少女の姿を見て、無表情で硬直したまま立ちすくむチエ。
やがて、わなわなと震え出し、全裸少女を指差して叫ぶ。
「・・・・あ、あなたはっ!自称センパイの彼女でペットのクラスメート、はるみさん・・・・っ!?」
「あ、え〜と、吉岡チエさん、だったっけ?」
あっけらからんと言うミルファ。
「・・・・センパイっ!このコ、何で、全裸でセンパイの部屋にいるんすかっ!?センパイ、まさか・・・・」
貴明を睨み付けながら訊ねるチエ。
「・・・・チっ、チエっ!こ、これには訳が・・・・」
口元を引きつらせながら、ダラダラと冷汗をたらして釈明をしようとする貴明。
「むふ〜ん、これからダーリンとぉ、いいト・コ・ロ・・・♪」
ミルファが火に油をそそぐ。
「――― センパイ、酷いっすっ!酷過ぎるっすっ!!もう来ねぇヨォォッ!!ウワアァァァ〜〜〜ンッッッ!!!」
駆け出すチエであった。
「待って下さい!」
階段下から、チエに呼びかける女性の声。
ピタと立ち止まるチエ。
やがて、トントンとその声の主が階段を上がって来る。
チエの前に立ったのは、シルファとお揃いの制服を着た少女。
ペコリと頭を下げる。
「私の妹達がご迷惑をお掛けして申し訳ありません。私は、メイドロボのHMX-17a、イルファです。」
最初、呆気に取られていたチエだが、やがて貴明に向いて言った。
「セッ、センパイッ!あたしに隠れて愛人囲ってた上に、メイドロボ2体とも暮らしてたんっすかっ!」
「そ、そうじゃなくて・・・・」
言葉に詰まる貴明の後に、イルファが続ける。
「私は、貴明さんとマスター登録を結んでいる、妹二人の監督でこちらにお邪魔しています。貴明さんのお部屋にいる娘も、
私の妹のメイドロボ、ミルファです。」
へッ?と、またしても呆気に取られるチエ。
「・・・・てへっ♪、バレちゃった。」
シーツで裸体を隠しながら、舌を出しながらミルファが部屋の中から現れた。
「・・・・うっそぉ?あなたも、メイドロボだったんすか!?」
チエは驚きを隠せない。
「イルファさん・・・・」
貴明の言わんとするところを察して、話すイルファ。
「申し訳ありません貴明さん。でもこうしないと、もっとご迷惑がかかると思ったので・・・・。」
そうして、貴明にペコリと頭を下げたイルファ。
「おかえりなさいませ貴明さん。バタバタしちゃて、お帰りのお出迎えできなくてすみませんでした。」
支援 寝る
貴明がふと傍らに向くと、チエが、上目づかいに貴明を睨んでいた。
「あ、あははは、チエ、お、驚いた・・・・?」
手を頭に当ててその場を誤魔化すように空笑いをする貴明。
しかし、チエの視線は一層鋭くなる。
「・・・・センパイ、おかしいっすよ。もう異常っす。ヘッキーが行き着くところまで行き着いて、メイドロボに囲われてないと
暮らせない体になっているんすね?」
「へっ?」
「どこの世界に、メイドロボを3人も所有してる高校生がいるっすかっ!どんなお大尽っすか、それはっ!!」
「いっいやそれはその、俺の知らないところでご主人様登録されてた訳で、それに、イルファさんは2人の指導で来てる
だけだし・・・・」
釈明しようとする貴明だが、もうチエは聞く耳を持たない。
彼女は貴明の手をがっしと掴んだ。
「出るっす、センパイッ!」
「へっ?」
キョトンとなる貴明。
「こんな爛れた環境に暮らしていたら、センパイはどんどんダメ人間になっていくっすっ!あたしの家に来るっす!あたし
色に染めてやるっすよっ!」
そう言って、貴明の手を引っ張った。
「わわっ!ちょっと、チエッ!」
「まぁ、そうおっしゃらずに、もう少しこちらにいらっしゃいませんか?」
イルファがにこやかに、チエを呼び止める。
「へっ?」
一瞬、キョトンとなるチエ。
「貴明さんの心を射止めた方でいらっしゃいますよね?貴明さんの大切なお客様ですから、歓迎いたしますので、どうか、
寛いでいらしては。」
「ゆっくりしていってね!」
「・・・・ご主人様が選んだ人なのらから、しょうがないのれす。か、歓待、するのれすよ・・・・」
メイドロボ3姉妹の誘いに対し、チエは激しくかぶりを振る。
「あーっいいのっ!あたしとセンパイは、これから二人だけの甘い世界に旅立つんっすからっ!!」
それを聞いて、ミルファが言った。
「・・・・むふ〜ん、これから、ダーリンと、いいことするんだぁ・・・・ねぇねぇ、あたしたちも、交ぜてくれない?」
「えっ?」
「えぇっ!?」
チエと貴明、同時に驚いた声を上げる。
「そうですよ吉岡さん。私達はせいぜい便利な小道具くらいに思って下されば。きっと楽しい夜になると思いますよ。ね、
シルファちゃん。」
「ぴっ?シ、シルファもれすか!?」
赤面するシルファ。
「さ、それじゃ楽しくやろっ!さぁさぁダーリンもよっちゃんも入って入って♪」
貴明とチエの手をとり、二人を貴明の部屋に引っ張り込むミルファ。
「わわっ!ちょっとちょっと待って!」
「な、何するんすかっ!ちょっと待つっすっ!!」
河野家の長い夜が始まる・・・・。
(つづく)
今回の投下はこれでおしまいです。
途中で投稿規制かかってしまいましたが。
ご支援ありがとうございました。
5Pは死ねるがやww
とにかくハァハァしながら次回を期待。
>713
乙乙。ここは素直にエロエロに期待
最近作家が一人しかいなくなっちゃったね。
応援してますよ。
一人ってこたぁないだろうそりゃ失礼な話だよ
そろそろネタ的に厳しくなってきて投下間隔が開きやすくなってるのかも
次スレどうする?
えらく中途半端なんだけど。<今477KB
512kだっけ。
スレ立て目安までまだ23k以上あんじゃん
10レス〜15レスぐらいのSSならまだ書き込めるから、もう少し後で良いんじゃね?
あ、500kと勘違いしてた
480kか スマソ
河野家のメイドロボ、HMX−17cシルファは、商店街の八百屋の店頭で、晩の食事に使う食材を物色しているところで
あった。
人見知りのする彼女がこうした繁華街で買い物をするのは、ちょっとした冒険だった。いつもと違う店の袋に入った食材を
見て、マスターである貴明は、どんな風に褒めてくれるだろう・・・・そんな思いが、彼女にちょっとだけ勇気を与えていた。
並べられた品をぐるりと見回し、迷ってから、彼女は野菜の一つに手を伸ばした・・・・すると、彼女の背後から、声が。
「やぁ、シルファちゃん。」
「―― ぴっ!」 思わずすくみ上がって、後ろを向くと、立っていたのは、彼女のマスター、河野貴明。
「シルファちゃん、偉いね。今日はこんなところまで来て、買い物してるんだ。」
「・・・・か、からかわないれ欲しいのれす。シルファは優秀なめいろろぼれすから、もうろんな所れも、平気なのれす。」
「そうなんだ。わかった。じゃあ、俺はうちでゆっくり帰りを待ってるよ。」 そう言って、貴明はシルファを置いて、店を後に
しようとする。
「―― !ま、待つのれす!」 焦って貴明を呼び止めるシルファ。貴明はそんなシルファの様子に微苦笑を漏らす。
―― ツンツン。
貴明の右袖を、掴んで引っ張る指がある。シルファのものと思って、貴明が振り向くと、そこに居たのは ――
―― シルファではなかった。女性。シルファとややデザインは違うが、似たような制服を身に着けている。
彼女の耳の位置には、イヤーバイザーが。―― つまり、メイドロボだ。
但し、シルファ達三姉妹や、最近見掛けるようになった、HM−16型のものとは、若干デザインが違う。ちょっと古い型式
の、メイドロボらしかった。
「―― やっと、お会い、出来ました。」 鈴を転がすような声で、そのメイドロボの少女が言った。
「・・・・?」 怪訝な顔になる貴明。
「ずっと、是非もう一度お会いして、お礼が言いたかったんです。あの時は、ほんとうにありがとうございました。」
そう言って、彼女はペコリとおじぎをする。
以前会っているようだったが、貴明はすぐには思い出せない。それを察して、そのメイドロボは、八百屋の隣の、コロッケ
屋を指差した。
「―― あっ!君は、いつぞや、そのコロッケ屋の前で、喋れなくなって困っていた―― !?」 貴明は、ポンと手を打った。
「はい。思い出していただけましたか?」 にこりとする、そのメイドロボ。
「私、論理の矛盾に行き当たって、突然声が出なくなり、途方に暮れてしまってたんです。親身になって助けていただいて、
本当に感謝しています。」 そう言って、二度、三度、頭を下げる。
「いや、俺、困ってるコがいると、どうしても放っておけない性質でさ・・・・そんな、気を遣ってくれなくていいよ。」
手を掲げながら貴明は焦って後退りする。
「またお会いする事が出来たら、今度は、何かお礼のものをお渡し出来たらと思います。それでは、本当にありがとうござい
ました。」
そうして、彼女は最後に深々とまたお辞儀をする。顔を上げた時、彼女の頬はやや朱に染まっていた・・・・ように、貴明には
見えた。
買い物袋を抱えて、彼女は立ち去っていった。
「―― ご主人様、今のコは、何れすか・・・・?」 あっ、と、傍らに立っていたシルファの方を向く貴明。すっかり彼女の存在
を忘れていた。
「う、うん、春先にさ、ここで、喋れなくなって困ってたあのコの買い物の手助けを、した事があったんだよ。」
「・・・・ふーん。」 上目づかいに、怪訝な様子で貴明をジロジロ見るシルファ。
そうしてから、シルファはふいに貴明に背を向け、先程までの迷っていた様子とは打って変わって、無造作に野菜を掴んで
買い物カゴに次々と放り込む。
さっさとレジに向かって会計を済ませてしまうと、貴明に目もくれずに、商店街の出口に向かって歩き出した。
「―― あっとと、ちょっと、待ってよシルファちゃん。」 彼女の豹変に、あたふたする貴明。 「とっとと帰るれす―― !」
――――
夕食を終え、貴明は、自分の部屋の椅子の背もたれに、ぐっと背をあずけていた。
例によって、“またダーリンにこんな地味ぃ〜な食事作ってぇ〜っ!”と、ミルファがシルファに喰ってかかっていた様子を
思い起こす。
今日は、ミルファの肩を持つわけではないが、実際、かなり投げやりな夕食ではあった。こういう食事を作るときは、大抵
シルファは臍を曲げている。
―― 何か、怒らせる事、したかな・・・・?思い出そうとする貴明。
あるいは、ひょっとして、商店街で会った、あのメイドロボのコが原因?彼女に、嫉妬してるとか ―― ?
―― いやまさかな、と、独りかぶりを振る貴明。あのコは量産機らしい。恋愛感情なんか持ち得ない、彼女達に、シルファ
が嫉妬するなんて、あるんだろうか ―― ?
ふむ・・・・。
――――
そして、あくる日の放課後。
「ヒッキーに苛められて、ダーリンかわいそう。今日は、あたしが腕によりをかけておいしいもん作ってあげるね!」
学校の校門からミルファに強引に手をとられ、冷汗をかいて苦笑しつつそのまま商店街まで引っ張ってこられた貴明。
辿り着いたのは、またいつぞやの八百屋。
店頭まで来てようやく解放される。 「ほらっ、ダーリン選ぶの手伝って!何がいい?」 買い物カゴを掴むと、ミルファは
貴明を促しつつ、店内にズンズンと進んでいく。
買い物客の背中を貴明が眺めていると、その1人が、くるりと振り返り、貴明と視線が合うと、ペコリと頭を下げた――
―― あっ、また、あのコだ―― 今度はすぐに気付いた。先日の、メイドロボの娘。
彼女は貴明の目の前までとことこと歩み寄って来た。 「またお会い出来ました。」
軽く会釈をして、貴明を見つめた彼女の瞳は、何か、熱に浮かされているように見える。何だろう、この感じは―― 。
貴明は既視感のあるその視線が、何だったかを思い起こそうとする ―― そうだ、ミルファや、時にシルファやイルファが
見せるのと、似たような熱を帯びた感じ。
「きっとまた会えると思って、お礼の品を、携えてました。あの・・・・これ、どうぞ。」
彼女は、ごそごそと買い物鞄に手を突っ込んでまさぐると、中から、包みを取り出して、貴明に手渡した。何やら、高そうな
お菓子のものだった。
「ええっ?そんな、お礼なんて・・・・」 慌てて、思わずかぶりを振る貴明。
「受け取っていただけませんと、私は傷つきます。私は、三原則で、第一条と二条に抵触しない範囲で、自分を護るように
プログラムされています。どうか、お願いします。」
そう言われると、受け取らざるを得ない。 「あ、ありがとう・・・・こんな事までしてもらえて。」 おずおずと礼を言う貴明。
「いいえ、私の方こそ、受け取っていただけて、とても嬉しく思います。」
そう述べてから、彼女の顔は、はっきりと判るくらいに、笑みを湛えつつ紅潮した。
「きっと、また会えると信じてます。ありがとうございました!」 そうして、最後にまた大きくペコリとお辞儀をして、彼女は
貴明の前から立ち去っていった。貰った菓子の包みを持ったまま、呆然と立ち尽くす貴明。
「・・・・ダーリン。」
ハッとして、背後を向く。この間と同じように、今度はミルファの存在を、すっかり失念してしまっていた貴明。
これまたシルファと同じように、ジト目で不快感をあからさまにしながら、貴明を見つめるミルファ。
「もう、ダーリンのメイドロボフェチ!」 貴明を罵るミルファ。そして、やや間を置いてから ―― 「・・・・あの子、ダーリンに、
恋してるよ。」 くだんのメイドロボ少女が去っていった方向を見つめながら、呟くように言った。
「えっ!?」 それを聞いて、目を丸くし、キョトンとなる貴明。 「そんな、まさか・・・・そうだ、ご主人様に、お礼をしなさいと、
言われていたんだよ。うん、きっとそうだ。」 そう勝手に理由を決めつけ、うんうんと独りうなずく貴明。
「あたし、わかるんだ。あたしとおんなじ感じがするもん。―― もう、どこまで恋愛フラグ立てれば気が済むのよっ!」
そう一声叫んでから、ミルファは貴明の腿の肉を思いっきり摘む。 「うわぁ〜っ!痛い痛い痛いよミルファちゃんッ!」
「―― んもうっ!ダーリンのへたりんぼへたりんぼへたりんぼ〜〜っ!!」
――――
量産型のメイドロボでも、恋をするんだろうか ―― ?
自室の机に向かい、パソコンのモニターを見つめながら、考え込む貴明。
人間の反応に合わせて、計算された動作を返すというのはあるだろう。喜んだり、好意の表情を見せたりにしても、その
範囲を、大きく超える筈はない ―― と、聞いている。
―― それにしても、よく出来てるよな。コロッケ屋の前で、最初に問題の彼女を見掛けた時も、人間と区別がつかなかった
もんなぁ ―― 。
DIA搭載のHMX−17ほどではないにせよ、多少は感情らしきものが備わってるんじゃなかろうかと思う。全てが計算ずく、
とは思えなかった。
メイドロボの疑問は、珊瑚に聞いてしまうのが一番手っ取り早いのだろうが、またそこで、新たな恋愛フラグが立っただとか、
揶揄されるような材料を提供するのは嫌だったので、何とか自前で解決しようと図る貴明。
思案した挙句、彼は、来栖川エレクトロニクスのサポートページに質問メールを飛ばすことにした。
来栖川エレクトロニクスのWEBサイトに飛び、HMシリーズのサポートページまで行き着くと、その質問メールの入力フォーム
を立ち上げた。
幾つかアンケート入力項目があり、その一つに、『現在所有しているメイドロボの形式は?』という質問がある。
HM−12から16くらいまでの選択肢が並んでいたが、貴明は、“その他”の項目にチェックを付け、( )内に、“HMX−17”
と、手打ちする。
何とも幼稚というか初歩的というか、気恥ずかしさの漂う質問ではあったが、貴明としては、大いに真剣である。
往来で行き交うメイドロボ全てと、恋愛フラグが立つ可能性があるとしたら、これは難儀なことだ。
ただでさえ、“特殊体質”と、云われている身ゆえ ――。
――――
翌日、メーラーを立ち上げると、来栖川からの返信メールが届いていた。
メールを開いてみる。
『いつも弊社製品をご愛用いただきありがとうございます。お客様のご質問は、しかるべき関連部署にてご回答差し上げます
よう、転送しておりますので、いましばらくお待ち下さい。』
―― しかるべき関連部署って?そんな、専門的な質問だったかなぁ ――。腕を組んで、独り頭を傾げる貴明。
その2日後、メーラーを立ち上げると、来栖川からの2通目のメールが着信していた。
思わぬ差出人からだった ――。
――――
前略 河野 貴明様
いつもありがとうございます。
現在販売されているHMシリーズに搭載されている人工知能は、基本的には、私が設計したものです。
そこで、ご質問には、私がお答えいたします。
結論から最初に言ってしまいますと、それは、“有り得”ます。
人間とのコミュニケーションを円滑なものにし、主人とのよりよい関係を築くために、感情豊かな喜怒哀楽は、極めて重要な
ものです。ステレオタイプな反応しか示さないのでは、深く人間の家庭に溶け込んで行く為には、限界があります。
“より人間らしく”。私達、HM開発課では、それをずっと、至上命題としてきました。
勿論、親身に接してくれる人には、好意を覚えますし、邪険に扱われれば、悲しいと感じます。
ただ、販売機は、三原則の縛りがあるので、不快感をあからさまにする事はありませんが。
人間の男性に対し、女性のパーソナリティを持つメイドロボットが“強い好感”を抱く事があれば、それは、恋愛にごく近い
ものと云って差し支えはないものと考えます。能動的なものであれば、尚更のことです。
しかも、現在のところ、販売機であっても、三原則という安全装置が組み込まれているとは言え、未だメイドロボは、実験
段階の域を出てはいないのです。まだあらゆるケースを検証した訳ではないので、それこそ、人間の女性から感じられる様
な、“本気の愛情”を、メイドロボから寄せられる可能性は、大いにあると私は考えています。
また彼女達にとって、人間の好意を勝ち得るという事は、極めて重要です。それが、自分の存在理由を確かめる事になる
からです。
ですから、困っていたり、何かを期待するような仕草を見せているメイドロボを見掛けた時は、どうか、親身に接してあげて
下さい。彼女達の世界は、それだけで、とても幸福なものになるでしょう。
ところで。
人間とほぼ変わりない感情を再現する技術については、外部からの開発協力を得て、ようやく目処が立ってきました。
しかし、あまり人間臭すぎるのも、それはそれで、コミュニケーション上、様々な問題があることもわかってきました。
あくまで販売機とした際の話ですが。
それは、17型試験体の3人といつも接している貴方には、重々ご承知の事と思います。
いつもミルファとシルファの我侭の面倒を見ていただき、ありがとうございます。
これからも、彼女達を宜しくお願いします。 草々
☆☆☆☆☆☆☆☆
来栖川電工中央研究所
第7研究開発室 HM開発課
主任 長瀬 源五郎
―― 何てこったい。これは、“長瀬のおっちゃん”じゃないか。貴明は目をむいた。
まぁ考えて見れば、HMX−17のオーナーと答えたり、本名記載してしまったりしたのでは、“あの”河野貴明と知れて
しまうのは、むしろ当然だろう、と思う貴明。多分、長瀬氏は、珊瑚達から聞いていて、こちらの事はかなり知っているの
だろうと。
それにつけても ――
メールの意味するところを咀嚼する貴明。要するに、DIA搭載モデルでなくても、街中で出会う一般販売型のメイドロボ
とも、恋愛フラグが立つ可能性はゼロではない事について、開発者からもお墨付きがあったという事だ。
自分の“特技”も考え合わせ、貴明は、背もたれに大きく寄りかかって天井を仰ぎ、思わず大きな溜息を漏らした。
――――
そして、とある日の午後。
商店街に向かって歩んでいる貴明。両脇をミルファとシルファが押さえていて、貴明の腕に、がっしとしがみ付いている。
「ミ、ミルファちゃん、シルファちゃん、そろそろ、俺を、離してくれないかな・・・・?」 苦笑しながら懇願する貴明。
「だーめっ!ダーリンに、悪い虫が寄ってこないように、護ってなくちゃ。」
「ご主人様を野放しにするのは、危険極まりないのれす!」
商店街に入ったところで、小柄な女性が貴明の方に振り向くと、ぱぁっと表情が遠目からも判るくらいに輝き、彼らの方に
小走りにやって来るのが目に映った。 ―― あ・・・・あのコだ・・・・。
額を冷汗が垂れる。左右のシルミルを見ると、憮然とした表情で、警戒を強めてるのがわかる。まさか、避けて逃げる訳
にもいかないし・・・・長瀬氏のメールの一句が頭に浮かんだ。 “何かを期待するような仕草を見せているメイドロボを見掛けた
時は、どうか、親身に接してあげて下さい”―― 。
「や、やぁ、また会ったね。」 顔の筋肉のひきつりを何とか押さえ、努めてにこやかに、貴明は彼女を迎えた。
「はい。お会いできて嬉しいです、河野貴明様。」
ギョッとなる貴明。「き、君、どうして俺の名前を?」 ―― そういえば、名乗った覚えがない。
「―― 申し訳ありません。どうしても、貴明様の情報を知りたくて、サテライトシステムを使って調べさせていただきました。」
―― そんな事が出来るとは!そういえば、このコ、喋れなくなってた時も、データリンクシステムを使って、手話の情報とか、
ダウンロードしてたっけ―― メイドロボの機能も、便利過ぎるのは考えものだ、と思う貴明。
「私達、他のご主人様に仕えているコ同士で、時折情報交換してるんです。そうしたら、貴明様は、とってもお優しくて素敵な
方だって、評判になっていたんです。是非、そのコ達も、貴明様にお会いしたいと言ってるんですが、紹介してもいいですか?」
どんな情報源だよ、それは ―― まさか、イルファさんとかじゃないだろうな?
貴明の脇で、互いに顔を見合わせる、ミルファとシルファ。 やがて、“ダメだこりゃ”と呆れ顔になり、ほぼ同時に溜息をついた。
「―― もぉ、ダーリン、勝手にすれば?メイドロボ王国のハーレムでも何でも作ってればいいよ。」
「―― 運命れす。責任とるのれす。」
―――あああっ!?そんな!?見捨てないでっ!!助けてぇ〜〜〜ッ!!
(おしまい)
スレ埋めになればと思って投下してみました。
タイトルの“女中器”は、ハインラインの『文化女中器』から、いただいたものです。
メイドロボ+よっちの5PSSの続きは、次スレあたりでと思ってます。
それでは。
乙
フラグマスター
『夏への扉』れすね?わかります。
それはさておき、すげー面白かった!
メイドロボハーレムも期待してる(マテww
ヘタレ力すげぇw
乙
乙
貴明にはメイドロボを惹きつけるフェロモンがあるのかもしんまい
480kも超えたし、スレ立てでもしてみるかい
やっぱり読点の打ち方が好きになれないなぁ、と思った
読まなきゃいいだけなんだけどな
そう…?と思ってじっくり読んでみたら確かにへんな位置にあるきがしないでもない。
文章読むときはじっくり文字を見ないで意味だけ掬い取るから気づかなかった。
普段小説とか読まないから文章を楽しめないんだろうなぁ…
へんな位置というか、読点が多すぎるんだろうな
切らなくて良いところでも読点入れてるから違和感がある
SSの内容が悪いって言ってるわけじゃないので、そこのところお間違いなく
SS自体についてはおもしろかった
読点のことが気になったときは、西村京太郎お勧め。
ほとんどの本屋にあるから、ちょこっと立ち読みするだけでいい。
そろそろメイドロボズもマンネリ気味かなと思ってたけど、意外なキャラを引っ張り出してきたね
コロッケ屋にいたメイドロボが登場するSSって他にもある?
>>737 新スレ立て乙
>741
あの読点の多さは電車で向かいの人が読んでるのを覗いただけで気になったw
読点は多い方が意味は理解しやすくなるけど、頭の中で音読するリズムとの兼ね合いが難しいやね