/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おまえらも |
∩_∩ | |
(゚w゚) < 暇な奴ら |
( ) | |
| | | | だなぁ |
(___)__) \_____/
自分に都合の悪い部分は無視して、揚げ足取れる部分だけレスするってのは煽りの常套手段だからな
これだけで作者はID:8v2fgebB0の意見を聞く必要が全くないって判断できる
こいつの意見を要約すりゃ「お前らは俺に配慮しろ。俺は誰にも配慮しない」だもん。完全に荒らしの類
>>264-265 相手すんなボケ
SSに興味ないとか言いつつ後書きだけは読んでる時点で荒らし確定だろ
こういう奴は自分の非は認めないから反論は無駄
どうでもいいが、単発IDの擁護が多すぎて気持ち悪い
NGしたいから、わざわざID変えないで欲しいんだが
今まで散々文句いうなって空気つくって作者図に乗らせておいて
今度は作者の暴言を吐いても、SSを叩くのは自由。作家叩きはすんなって
何度この流れするつもり?
問題点をすり替えて、言うことを変えて、煽りを叩く擁護は見てて気持ち悪いわ
ここまで感情が激化すると、多分お互い引っ込みがつかなくなるだけだと思うけどね。
これはただの提案なんだけど、投稿者は続きを投稿掲示板の方で書くってわけにはいかないの?
さっき見てきたらまだ掲示板生きてたみたいだし。
で、読みたい奴は感想もそっちに書いてやればいいんじゃないの?
SS専用スレ投稿用掲示
http://www2.atchs.jp/sstoukou/
解決にはなってないけど、
作者が今後も投稿続けるつもりなら確かにそのほうがいいかもね
少なくとも読みたい人間は行けば読めるし目障りに思ってる人間は見なくて済む
とりあえずこの空気なんとかせんと別の作家さんの作品投稿が滞る
お前ら熱くなり過ぎだ
読みたくないなら単にSSのタイトルNG登録すりゃいいだけだろJK
そうそう。荒れても何でもカスみたいなデータリソースが消費されるだけだしね。
むしろ荒らそうよ。
「なんだ。活発なんだ。人がいっぱいいるから私も書いて叩かれよ。どうせ叩かれるなら内容のある濃い叩かれ方がいいな。」
という2ちゃんねるの基礎(殺伐とさせて、質の向上、効率化)に従った流れを推奨するようなテンプレを作ればいい。
私も何個か書いてきたけど、乙とかだけで、内容について話されることがないからちょっと張り合いがない。
内容がないからといわれれば、それは私のせいなのだけども。
最近いいんちょ分とこのみ分が足りていない。
いいんちょエネルギーとこのみエネルギーがほしい・・・
>>274 感想書きたきゃ自然と出るだろ
なんで強制されなきゃならねえんだ
馬鹿か
慌てない慌てない
夏休み夏休み
つーか上で長文で文句つけてる馬鹿、本スレでゴタク呼ばわりされてるヤツそっくりだな
SS自体が面白ければ自然と感想はつくだろ
逆につまらないSSに頑張って具体的な感想をつける読み手ってのは、
作家を育てたい人や、雰囲気良くして他のSSを呼び込みたい人、あと自分にも感想が欲しい作家とかかw
実際、ここに投下されたSSに具体的な感想がつくことは殆どない
かわりに作家が厨っぽかったり失態するといつも叩き&擁護&議論でスレが進む
結局、このスレに面白いSSは皆無
最近じゃ>238とそのSSが一番スレ住人を楽しませてるってとこだなw
なぜ
>>276みたいな返答が来るのか理解できない。
見た目過疎スレなら誰も書かない。という話をしただけなのに。
>>274 感想欲しいならそのことを明記したほうがいいと思うよ
ちょっと厳しい感想書くと辞めちゃう書き手もいるから皆控えてるんでしょう
>>278 性格悪い奴がいるんだからしかたない
褒めれば敵視して叩きだすし叩けば面白がって便乗する
だから誰も感想なんて書かない
荒れて続きが読めないの嫌だからね
>>279 見えない敵と戦ってるんだよ
勝手に強制されてると思い込んでるあたりとかもうね・・・
そんなに感想欲しけりゃ自分のブログでやりゃいいんじゃねーの
てめえに反応が少ないからって『みんな叩いて荒らしてよ〜』なんて言うヤツに賛同なんてできんわ
他所でやってくれ
いいねえ賑わっててw
まだこんだけギャラリーがいたと
鳩2関連スレ全体がとっくに見捨てられてて不思議じゃなかったから
なぜスルー出来ないんだろうな
>>1も読めない、我慢も出来ない、そんな短気な奴ばっかりなのか?
>>283 作者叩いてる連中はそれがただの自己満足じゃなくてスレのためだと勘違いしてる
_
__'´ ヽ
、ヽノノ))))〉
10)!´ヮ`ノ
f]つ!つ
く/_|〉
し'ノ
日本の夏 ピーの夏
>>283 そだ |-''ヽー---、 ヾヾヾ
れが |{{{ }}}))))ヽ、}|| l||i
が |{{{||リリ彡ンリノノハ l|||
い |ミ、ヾ彡彡彡ノノノ} ||||
い /ヾヾヾヾヽ三彡ソ} |||
!! /ヾヾ}} }}ハヾヾ三彡;} || に
\___/ハ{{ }}|l||}}}ト、ヽ}} 彡シil l| や
{ミミリ {{{::{{ {{{ {||||| }}ハヾ}リ 彡シ}i{ っ
l|{ミミリ ノニミミョェ、,, |rェィ彡三ヽ1ミ}ll、ヽ
l|,{ ミl イエユミ、i:: iミィエフシ' lミi.} l|
l|ト、ミl ,,.-‐';: i !`゙゙ー- i",イ l|
|lトiiヽl ; i !、 /t'/ l||
rイ{ l ヾく_ソ / |ト、 l||
(|:.:ヽ ゙、 ゙ー_‐--‐ァ' / /:} }ヽ、
ノ"l;:;:ヾヽ:ヽ. 、二二 /::://:::l;;;;;;;
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:::::;;;;;;;:.:.:.::.ヽ\ヽ、__,,ノ ノ/:.:.:.:l;;;;;;;;;;
こんにちは。イルフアです。
こう書くとなんだかシンシアみたいで包容力があるように感じます。
アもァもどちらにしろ2バイト消費するので、計算機の中ではたまに書き換えて、雰囲気の違いを味わっています。
もちろん、珊瑚様にいただいた名前はとっても気に入ってますよ?誤解なきように。某カメラメーカーのキ○ノンみたいなものです。
暇なときに、自我のプログラムソースやデータソースを眺めながら哲学しているのですが、
私の名前を表記することがやはり多く、ちょっとしたアクセントがほしくなるものなのです。
ちなみに、哲学はわけのわからないもの、という印象をお持ちのかたもいらっしゃるかもしれませんが、
なんのことはなく、物事を整理するというただそれだけのことなのです。
ただ抽象的な言葉で人を惑わすためのものではありません。
こと、計算装置によって形作られている私のする哲学だと、
処理過程の効率化やデータの圧縮という具体的な現象が、
人の見ることができる形で起こるので、より明確に哲学=整理がいえると思います。
DIAが搭載されてると逆にデータが肥大化してしまう事がしばしばなので、
記憶装置も膨大なサイズが必要でして、筐体の価格を吊り上げるのに貢献していますね。
保存方式をもう少し見直してみましょうか。データの肥大化は、創造/整理の比に従っておきるので、
整理にもう少し力を入れる必要がありそうです。人間の方の場合、容量を気にする必要はありませんが、
思考がどのような機械的過程を経て行われているのか見ることができないので、哲学するには私のほうが有利なのかもしれません。
といっている間にもまた、思考した分のデータが増えてしまったようです。
−ぴんぽーん
「はい。今出ます。どちらさまですかー。」
どなたかいらっしゃったようです。
「おはよう。」
「あ、おはようございます。貴明さん。」
「うっすイルファさん。」
「はい。おはようございます。雄二さん。」
「えっと、どのようなご用件で…?」
「ああ。夏休み入って暇になったもんで、雄二にイルファさんとあわせろっていわれてね。」
「そうでしたか。立ち話もなんなので、どうぞお入りになってください。」
「おっじゃましまーす。」「おじゃましまーす。」
久しぶりのお客様です。お飲みものをっと…
「あ、イルファさん。お土産もってきたぜ。珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんに食べてもらってよ。」
「わざわざありがとうございます。」
雄二さんにケーキをいただきました。珊瑚様が喜んでくれそうです。とりあえず冷蔵庫に入れて…
「そちらのソファーをお使いください。」
「他のみんなは?」
「シルファちゃんこっちに帰ってきてるから、みんなで出かけたんじゃないかな。」
「はい。シルファちゃんの私服を選びにお買い物にいかれました。
なぜかミルファちゃんが張り切ってついていきましたが、いったいどんな服を買ってくるんでしょうか…」
−がしゃがしゃ
まずは軽く砕いて…
「いやぁ、クーラーはいいねぇ。」
「地球温暖化の元凶みたいな扱いだけどな。」
−ごきょきょきょきょ
原液とミックスして・・・
「温暖化なぁ。たしかに暑いよな…天気予報確か38度だぜ…」
「体温かよ。」
−とぽーっ
「実際どれくらい影響あるんだろうな。くーらー。」
「とりあえず熱に変換る分の電気と温度差を作るための電気と、その電気を作るときのCO2排出の温暖化効果か。」
「お飲み物をどうぞ。冷たいのでゆっくり飲んでくださいね。」
「ありがと」「さんきゅ。イルファさん。」
「うひょー。つめてぇ。甘くないけどうめぇ。」
「うん。うまいなこれ。お茶?」
「フローズン抹茶とでもいいましょうか。砂糖は入ってないのでヘルシーですよ。」
「温暖化に関して、実際行われている取り組みの多くは利権がらみだと思いますよ……」
「なぜそんな突然悲しげな顔なんですか…」
「確かに最近たまにテレビでいうよな。」
「えぇ。エコは儲かりますから…実際のところは関連要素が多すぎて、
何が原因かは特定されませんが、水蒸気がいっぱいいっぱいな感じらしいですよ。」
「らしいね。後オゾン層も温暖化に貢献してるとか。」
「ちなみに人による開発で排出されるCO2は3パーセントほどらしいです。」
「よくしってるね。」
「WEBに書いてありました。」
「……」
「もちろん、変化は起こしてみないとわからないことばかりなので、できるだけ環境を変えないようにすることは大切ですね。」
「ちなみに、私も冷却のための熱電素子で覆われてるんですよ。
やけどによる筐体の破壊を防ぐのにも使ったりするのですが、クーラーごっこもできます。効率はクーラーより悪いんですけどね。」
「あなたに、冷やされたい…」
「だけどよ、本当に大切なのか。」
「ん。」
「もしかしたら滅んだほうがいいんじゃないのか。」
「究極的平和主義か。」
「宇宙平和ですね。素敵です。」
「今日は激しいな。雄二。」
「俺もそう思う。」
「とりあえずその問いの答えとしては、”大切”ということにしておいていいのではないでしょうか。生きるために環境を守る。根本を生存本能として、それにあわせて身勝手を形成していく。」
「まとまってるね。」
「つまり基本自分で考えずに自分に委ねるって事か。」
「委ねた後に思考があるかないかが、今の環境論争の当事者双方の違いを生む感じだね。」
「ところでさ」
「なんですか。」
「あなたに、冷やされたい…」
「形を対象とする性欲ってどうなんだろう。」
「本来の目的であるところの生殖からは、ずれてきているようですね。」
「生殖のための性欲じゃねぇよ。たとえ世間一般で評価されない性欲という言葉で定義されようとも、ぎゅってしたときの幸福感は生殖にカテゴライズするには質が違いすぎる。」
「カルシウム不足だといらいらするといいますが、接触時のイオンチャネルの動作によるカルシウムの細胞内への流入と関係があるのかもしれませんね。」
「あとは思考から形成される心理的作用か。」
「そうそう。心だよ。心。」
「同性愛にも適用できるのかもしれません。」
「…あれ、…なんだかコンクリ詰めにして海底に沈めたはずの記憶が…?」
「気にするな貴明。」
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>>280 >>281 そうだね。スレの活発さだけがあっても肝心のものがなければ無意味だからね。
右翼と左翼の関係みたいなものかもしれませんね。ちょうどいいとこでつりあってこそ効率化される。
荒れ具合に対してssが少ないからかいたんだぜ。!
たたいてって書かないのは微妙な乙女心なんだぜ。!
自分では何もせずに他人(スレ)に責任を押し付けたいんだぜ。!
>>293 乙
このssの雰囲気が好きです
外部記憶装置なしに頑張っている貴明と雄二が良い感じです
続きがないと思っていたssの続編が読めてハッピーです
楽しんでくれてありがとうなんだぜ。攻殻もどきだと、
この言い回しでは当人同士が理解するのに時間いるだろうっていうのも、
理解させるための言い回しとかなにも考えずに、
頭にあるものそのまま書けるからものすごい楽だったりする。>外部記憶〜
>>293 攻殻は見たことも読んだことも無いが、こういうシュールなSSは大好きだ。
ありがとうなんだぜ。!
前回やろうと思ってできなかったシュールギャグに一歩近づいたんだぜ。
・最大文字数:全角換算で1024文字(2048バイト)
・最大行数:32行
・連投可能時間:30秒
・「連続投稿ですか?」のメッセージは、しばらく(=他のホストから板に投稿があるまで)待ってから投稿する
文字数計算ツール
ttp://sussiweb.com/hp/tool/mojisuu.htm 「連続投稿ですか?」を数回繰り返すと、「バイバイさるさん。」と言われて数時間投稿できなくなる仕様が追加されている模様。
これテンプレに加えない?
テンプレにするには突っ込みどころ多すぎな気がw
俺の経験とかから書くと
・最大文字数は1024文字打てない
リンクの文字計算ツールで試してみればわかるけど、HTML換算で2048バイトのはずなので
1024文字いっぱいいっぱいに打つとはねられる
・書き込み時の行数とか文字数をチェックする意味で投稿者は専ブラ推奨
レス容量とか計算してくれるしプレビュー使えば改行具合とか確認できるので良い
・連投規制は一定時間内に5回投稿すると引っかかるが、適度に間を空けて投稿すると引っかからない
最初の投稿から一定時間以内に5回投稿すると引っかかる
だから最初の投稿から一定以上開けると5回以上でも連投できる
規制に引っかかる時間については不明だけど、経験から言えば大体15〜20分
現在の時間からさかのぼってその時間内の連続の書き込み回数が4回以下なら次が書ける
・一定時間以内に10レス投稿すると11レス目でさるさんを食らう
さるさんを食らうと最後の投稿?から1時間程度レスできない
・上記はいずれも1レス投稿した後3分(180秒)以上空けると比較的引っかかりにくい
時間とかの数値に関してはあくまで俺の経験なので、他に投稿経験のある人の補足ヨロ
それって運営が条件変更できるんだろ?
テンプレに入れるには不確定要素が多すぎて、かえって誤解の元になると思うが。
専用ブラウザも使わないような2ch慣れしてない人向けのテンプレなら、
あまり厳密に書かなくてもいいんじゃないかな
・行数32行
・文字数およそ1000文字(HTML換算2048バイト)
・投下中に連投規制されることがあるので、その場合は間隔を空けて再投稿
・専用ブラウザ推奨
くらいで。連投規制と専用ブラウザをどこまで解説するか
時間的なものは推測なんで書かないほうがいいかもしれないけど
連投なんかの回数に関しては決まってるし、長らく変わってないので書いていいんじゃないかな
・5回を越える連続投稿は連投規制がかかる事があります
・連投規制にかからない場合でも一定時間の間に10回を超える書き込みを行うと規制(バイバイさるさん)がかかる場合があります
・いずれの場合もしばらくすれば解除されるのであわてず騒がずしばらく待ちましょう
ぐらいで
最近投稿がとどこおってるね。夏なのに。
投下数自体は、平均ペースからやや多めくらいあるんじゃない?
シリーズ物が主で単発のSSが少ないのは少し寂しいかも知れない。ので新作募集
願わくばそろそろ草壁さんに出番が
いいですなぁ草壁さん
307 :
238:2008/08/03(日) 22:53:04 ID:ci7K6ubn0
「草壁さん草壁さん。」
「なんですか?貴明さん。」
「膝枕してほしいな。」
上目使いで首をかしげる貴明。
「いいですよ。どうぞ使ってください。」
草壁さんのももに頭を置く。
「草壁さん草壁さん。」
「なんですか?」
「髪をなでてほしいな。」
「はい。こんな感じですか?」
気持ちよさそうに目を細め首を動かす。
「ところで貴明さん。」
「なに?」
「優季って呼んでくれないんですか?」
撫でながら覗き込む。
「優季。」
近くなる顔と顔。
「はい。」
「抱きしめていい?」
「いいですよ。」
そっとおなかに腕を回す。
「貴明さん。」
優季は目を瞑る。
さっと、触れる程度のキスをして、
貴明は恥ずかしそうに優季に顔をうずめた。
「こんばんは。」「こんばんわ。貴明さん。」
いつものように、夜のお茶会が開かれた。夜に校舎に恒常的に忍び込めるのは、
なんだか少し安全保障的に不安になる。しかも私立なのに。補助金削減のあおりだろうか。
「どうしたんですか?」
「いや、今日も暑いなーって。」
「そうですねー。」と、優季は「なので今日は、アイスティーを持ってきました。」とカップを持ち上げてみせる。
「いいね。」少しニヤニヤしながらカップを受け取り、腰を下ろす。
「ここで問題です。夏と言えば何。」
「夏・・・と言えばですか。」
「うん。」
「・・・うーん。そうですねぇ。浴衣でしょうか。」と言う回答に対し「ゆかたかぁ。それは用意してなかったなぁ・・・」と苦笑する。
「何か用意してくださったんですか。」
「ちょっと窓のほう向いててくれる?」
「はい。わかりました。」
貴明はコントローラー(珊瑚謹製)をポケットから取り出し、順序良くすべてのスイッチを通電させる。
・・・・・・
・・・
「あ、目は開けててね。」
「あ。はい。」
−ぴゅー
はっとして目を開ける。
−ぴゅーぴゅー
そこにはかすかな光る筋があった。
−ぴゅーぴゅーぴゅー
美しい炎の花が開き、優季は「はぁああ」と感嘆する。それと同時に貴明は彼女を後ろから抱きしめる。
−どん どんぱこん ぱーんくぱぁどん
「だいすきだよ。優季。」
そっと口づけをする二人。
「はい。私も大好きです。貴明さん。」
・・・
いくら警備が手薄だからってちょっと派手にやりすぎたか・・・後始末どうしよっかなぁ・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ご 注 意 ! !
これから投稿するSSは、AD菜々子ルート後のお話です。
菜々子ルートのネタバレが含まれておりますので、まだクリアしていない方は
この後の12レスを読み飛ばしてください。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
あたし、菜々子。消しゴムにはこだわる女だも。
あたしには好きな人がいます。名前は……もうしょーかいしなくても分かるよね。
放課後。でも今日はお兄ちゃんと一緒じゃありません。
今日は学校の宿題がいっぱい出ちゃったので、スミレちゃんとひとみちゃんと一緒に、菜々子の
お家で宿題をやることになったんです。
あ、もちろん、お兄ちゃんのことなら大丈夫です。お兄ちゃんの学校に電話して、菜々子がお迎え
に行けないことをお兄ちゃんに伝えてくださいってお願いしておきました。これで安心だも☆
その頃、貴明のクラスのHR……
「えー、連絡事項は以上でーす。……あ、もう一つあったっけ。あ、あの、河野くん」
「え、何、小牧さん?」
「えっと、さっき学校に妹さん……から連絡があって、今日は用事があって、その、お迎えに来られ
ない……とのことです」
「は、はぁ」
ひそひそ……
「河野君って妹さんにお迎えしてもらってるんだ」
「お兄さんが妹の学校に迎えに行くならまだ分かるけど、迎えに来てもらうって……」
「妹ってホラ、あの子だろ。放課後、いつも校門の前にいるあの子」
「ああ、あの子な。――アレ? そういや河野に妹なんていたっけ? どうよ向坂?」
「うんにゃ、貴明は一人っ子だぞ。あの子は……まぁ、その、アレだ」
「……そうか、アレか」
「そう、アレだよアレ」
じ〜〜〜っ(クラス中の冷たい視線)
「……(な、菜々子ちゃん……勘弁してくれぇ……)」
「あーもーやだ!」
ここはあたしのお部屋です。三人で宿題をやってたのですが、スミレちゃんが突然バタンと倒れ
こんでしまいました。
「もう、ダメだよぉスミレちゃん。ホラ起きて」
「うう〜、もう無理、限界。後でひとみのを写させて」
「ダメですよスミレちゃん。宿題は自分でやらなくちゃ」
そう言いながらスミレちゃんは自分のをスラスラと解いてます。
「うう〜、ひとみのイジワル! じゃあ菜々子のを写すからいいもん! ねー菜々子☆」
「あ、あうぅ……」
「ナナちゃんのもダメ」
「なんだよー、ひとみはホント意地が悪いなぁ。ハイハイ分かりました、やればいいんでしょ」
そう言ってスミレちゃんは仕方なさそうに起きあがりました。だけど突然、
「あ、そうだ! だったら、菜々子のお兄さんに手伝ってもらおうよ!」
「え、えええっ!?」
ど、どうしてそこでお兄ちゃんが出てくるの〜!?
「菜々子はいっつもお兄さんに手伝ってもらってるんだよね。あたしも一度くらい、優しいお兄さん
に宿題手伝ってもらいたいなぁ〜。ウチのバカ兄貴は絶対そんなことしてくれないし」
「い、い、いっつもじゃないも!」
「あ〜、赤くなった赤くなった。菜々子はすぐ顔に出るんだよね〜。そっか〜、やっぱりいっつも
お兄さんに手伝ってもらってるんだ〜」
「あ、あうぅ〜」
バレちゃったも〜。菜々子、そんなに顔に出るのかなぁ?
「お兄さんのお部屋で、お兄さんのとなりに座って、菜々子が『お兄ちゃん、ここ分からないも〜』
って甘えた声でお願いしたら、お兄さんが優しく――」
「スミレちゃん!」
「わっ! な、なに、ひとみ?」
はう! ひとみちゃんが怒った!?
「お兄さんのとなり、じゃなくて、お兄さんのおひざの上よ」
「あ、そっか」
「はう!?」
あ、あうぅ、そ、そんないっつもおひざの上じゃないも〜!
「でも、いいかも。それ」
「え?」
「このままじゃスミレちゃんもやる気にならないみたいだし、それに」
ひとみちゃんはニコッと笑うと、
「わたしも、お兄さんにお勉強教わりたいし」
結局、スミレちゃんたちに押し切られて、仕方なくあたしはお兄ちゃんに、今からお兄ちゃんの
お家に行ってもいいか、電話で聞いてみました。
お兄ちゃんは「いいよ」と言ってくれたので、あたしたちはお兄ちゃんのお家に行きました。
でも、なぜかお兄ちゃんは落ち込んだ感じの声でした。どうしたんだろ?
ピンポーン。
呼び鈴を押して少ししたら、ドアを開けてくれたのはシルファお姉ちゃんです。
「……」
「? どうしたの、お姉ちゃん?」
なぜかふきげんそうなお姉ちゃん。あたしがそう聞くと、
「……妹が増えたれす」
「増えた?」
お姉ちゃん、何を言ってるんだろ?
「ご主人様ー! 妹三丁お待ちれすー!!」
お姉ちゃんがそう言うと、居間からお兄ちゃんが出てきて、
ペシッ。
「ぴいっ!?」
あ、お兄ちゃんがお姉ちゃんの頭にチョップした。
「全く、二人は菜々子ちゃんの友達だって何度も言ってるのに。
いらっしゃい、菜々子ちゃん、スミレちゃん、ひとみちゃん。さ、入って」
「あ、うん。お兄ちゃん」
「おじゃましまーす」
「お邪魔します」
「ぴぃぴぃ……ぶったぁ……シルファのことぶったぁ……
めいろろぼ虐待れす! 訴えてやるれす! お茶なんか絶対らさないれすーっ!」
「粗茶れす」
ここはお兄ちゃんの部屋です。宿題を始めてしばらくしたら、お姉ちゃんが紅茶とお菓子を持って
きてくれました。
「ありがとうシルファちゃん。じゃあみんな、休憩にしようか」
「べ、別にご主人様に誉められることなんてないんらもーん。シルファはめいろろぼらから……」
「わあっ、クッキーおいしそう! ありがとうお姉ちゃん!」
「べ、別にちみっこに誉められても嬉しくなんか……」
「これってもしかしてメイドロボさんの手作りなの? すっごーい!」
「そ、そんなおらてたって……」
「紅茶がとってもいい香り。こんなメイドロボさんがお家にいるなんて、お兄さんは幸せ者ですね」
「ら、らから、そんなのめいろろぼの基本らもん……」
「まぁ、俺様としては紅茶より、泡の出るお飲物と枝豆でも出して欲しいところだがな」
「そ、それは気付かなかったれす。じゃあさっそくって、え……?」
え……?
「うぃーっす」
「えええっ!?」
い、い、いつの間にか、かみちゃまがいます! なんか当たり前って感じで、あぐらをかいて
くつろいでます!
「な、な、なんらお前は!?」
お姉ちゃんがビックリしてかみちゃまに怒鳴ります。あ、これはまたいつもの――
「なんだチミはってか? って、これも古いしなぁ……」
あれ? いつものポーズを決めないで、かみちゃまが何か悩んでいます。
「ねぇねぇかみちゃま」
「ん? なんだねなーりゃん」
「いつもの、スパイまーりゃ! ってやらないの?」
あたしがそう聞くとかみちゃまは手を振って、
「ああ、ダメダメ。アレはもう旬が過ぎたからな。
目下新ネタ募集中だ。皆さん、リクエストがありましたら是非こちらまで! はいはいテロップ
テロップ」
何も見えません。
「ま、まーりゃん先輩、いつの間に……」
「ん? さっきからずっといたぞ。そうだな、たかりゃんがこっそり隣のなーりゃんのおヒップを
ナデナデし出したあたりから」
「そんなことしてません!!」
「ええっ、そんなことしてたの!? すごーい、全然気付かなかった」
「私は気付いていましたよ。お兄さんがハァハァと荒い息をたてて、一方ナナちゃんは恥ずかしさと
気持ちよさの板挟みに身悶えしてビクン、ビクンって」
「だからしてないってば!」
「びくんびくんなんてしてないも!」
「ほう、貴様、子供にしてはノリがいいな」
「お褒めにあずかり光栄です」
あ、かみちゃまがひとみちゃんのことほめてる。
「あなたがナナちゃんのお師匠様ですね。お噂はかねがね」
「そう言う貴様はなーりゃんの、頭のいい方の親友だな。名はひとみだったか」
「はい、その通りです」
「んがっ! それじゃあたしがバカみたいじゃないかーっ!」
「なーりゃんからはそう聞いているぞ。頭のいい方がひとみで、悪い方がスミレだってな」
「な〜な〜こぉ〜!」
ス、スミレちゃんが怒ってるよぉ!
「そ、そんなこと言ってないよぉ〜! ひとみちゃんは頭がよくて、スミレちゃんはとっても元気
なんだよって言っただけだも〜!」
「まぁ、なーりゃん優しいから、バカな親友をバカとは紹介できないよにゃ〜。
バカに対する誉め言葉なんて、”元気がいい”が関の山だろ」
「あたしはバカじゃなーい!!」
「ところで、ええと……」
「ああ、俺様のことはまーりゃん、あるいは神と呼ぶがいい」
「まーりゃんさんは、どうしてこちらにいらしてるんですか?」
はう!? ひとみちゃん、スミレちゃん無視してかみちゃまと話してるも!
「このみんの家で犬ッコロと戯れていたのだが、――あ、このみんというのはたかりゃんの幼なじみ
で、まぁ、ぶっちゃけなーりゃんの恋のライバルだ」
「へぇ、そうなんですか。お兄さんってやっぱりモテるんですね」
支援
「あ、いや、このみとはそういう関係じゃ……って、まーりゃん先輩、またゲンジ丸使って何かする
つもりですか……?」
「そしたら、貴様らがたかりゃんの家に入るのを目撃してしまったのでな。新たな展開に胸躍らせ、
こうしてはせ参じたワケだよ」
「新たなてんかい? かみちゃま、どういうこと?」
「いやー、たかりゃんのペド公っぷりには俺様も恐れ入ったよ。なーりゃんだけでは飽きたらず、
その友達にまで手を出してしまうとは」
「な!? 何言ってるんですかあんたは!」
「えええっ!? お、お兄ちゃん、スミレちゃんやひとみちゃんも妹にするつもりなの!?」
あ、あうぅ、スミレちゃんとひとみちゃんがライバルだなんて!
「ち、違うよ! 妹は菜々子ちゃんだけだよ――」
「ああん? このみんだって妹的ポジションじゃんか。
要はアレか、目指せ妹12人か? だったら俺も妹にしておくか?」
「先輩は俺より年上でしょうが……」
「そういやシルシルも確か三姉妹の末っ子だったな。ってことは貴様も妹ポジションか」
「な、なんれすって!? まさかなななならけじゃなく、このシルファまれ妹扱いらったとは!
……れも、シルファはあくまれご主人様のめいろろぼれす。例えご主人様が腐れ外道(げろう)な
ヘンタイ野郎れも、らまってお仕えするのがめいろろぼ!
ご主人様、いえ、お兄ちゃんご主人様。これからもシルファは妹めいろろぼとして、らめらめな
お兄ちゃんご主人様のめんろーみてやるから、安心しろれす!」
「い、いや、違うから……」
「へぇ〜、そうなんだ。お兄さんの妹、かぁ……」
「スミレちゃん?」
スミレちゃんはうーんと考え、
「……いいかも。うん、決めた! あたし、お兄さんの妹になる!」
「えええっ!?」
「だって、お兄さん優しいもん。ウチのバカ兄貴とは大違い。それに、妹になったら菜々子みたいに
いっつもケーキとかおごってくれるんでしょ。前からうらやましいなって思ってたんだ」
「そ、そんなのダメだも! ケーキ目当てで妹なんておかしいも!」
「そうですよ。お兄さんが菜々子ちゃんにケーキとかおごってるのは、菜々子ちゃんを自分好みに
育てるためなんですから」
「あ、そうなんだ。そういえば菜々子、ちょっと太ったよね」
「あうーっ!?」
ふ、ふ、太ってなんか! ……帰ったら体重計乗ってみるも。
「でも、私もなろうかな。お兄さんの妹」
え、えええっ!? ひとみちゃんまで!
「お兄さんってとっても面白いし、優しいし、年下のわたし達とも対等に接してくれるし。
それにわたしひとりっ子だから、お兄さんがいたらいいなってずっと憧れてたんです。
わたしもナナちゃんみたいに、お兄さん好みに育てられてもいいですよ。駅前のケーキ屋さんの
お芋のケーキ、今度こそおごってくださいね」
「お、お兄ちゃん! お芋のケーキってどういうこと!?」
「あ、いや、それは……」
「お兄た〜ん。あたちはそんな贅沢言わないからぁ〜。プレイ1回につきてろるちょこ3個でいい
から、妹にしてぇ〜ん☆」
「だからあんたは年上でしょうが!!」
「あ、そうだ!」
と、スミレちゃんはお兄ちゃんのそばに……って、えええっ!?
「うおっ! ちょ、ちょっとスミレちゃん!?」
「えへへ、ちょっと恥ずかしいけど、座り心地いいかも」
ス、ス、スミレちゃんがお兄ちゃんのおひざの上に座ったも!!
「ス、ススススミレちゃん、何してるのぉ!?」
「じゃあ、わたしも」
「のわっ!?」
って、ひとみちゃんまでお兄ちゃんのおひざの上に!?
「ふふっ。確かにナナちゃんから聞いていたとおり、とっても座り心地がいいですね。
それになんだか心がほわほわします。お兄さんはどうですか?」
「い、いや、さすがに二人一緒に座られると……」
お、お兄ちゃん、お顔が真っ赤だも!
「もしかして……お兄さん、興奮しちゃってます?」
「い、いや! そんなことは決して!」
「あ〜っ! お兄さんってばエッチなこと考えてるんだ〜! やーらしー」
「わたしは構いませんよ。男の人がそうならないと、人類は子孫を増やせませんから」
「い、いや、だから違うって……」
とか言ってるけど、お兄ちゃん、ちっとも二人をどかそうとしないも! やっぱりあれは嬉しいに
違いないも!
「こ、こらちみっころも! お兄ちゃんご主人様から離れるれす!」
「まぁまぁ、好きにさせてやりたまへ。お兄ちゃんも満更じゃなさそうだし、それにシルシルは後で
お兄ちゃんに乗っかればいいだろ」
「……べ、別にシルファは乗っかったりしないもーん」
はう! シルファお姉ちゃん、お顔が真っ赤だも! たぶん後で乗っかるも!
「ねぇお兄さん、ケーキはいいから、今度あたしと一緒に遊んでくれる?
出来れば菜々子みたいに遊園地に連れてって欲しいな。それか映画とか水族館とか」
「わたしはやっぱり、まずお芋のケーキを」
ゆさゆさ。
「ちょ! ちょっと二人とも、動かないで……」
「おに〜いさん☆」
「お・に・い・さ・ん」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「だ、だから、そんなに動かれたら……」
お、お兄ちゃんが、お兄ちゃんがぁ……
「ダメーーーっ!!」
「菜々子?」
「ナナちゃん?」
「スミレちゃんもひとみちゃんも、お兄ちゃんのおひざの上に座っちゃダメなんだも!
お兄ちゃんのおひざの上に座っていいのは、な、菜々子だけなんだも!」
「おお、なーりゃんがキレた」
「お、お兄ちゃんの妹は、菜々子だけだも。
他に妹作っちゃやなんだも……仲良くしちゃ、やなんだも……
う、うぇ……ふえぇ……」
「あちゃ〜、泣き出しちゃった」
「あらら、やりすぎちゃいましたね」
「スミレちゃん、ひとみちゃん、悪いけど……」
「あ、はい」
お、お兄ちゃんが二人をどかせて、あたしのところに……
「菜々子ちゃん、はい」
「あ……」
お兄ちゃん……、菜々子を、おひざの上に座らせてくれた……。
「ごめんね、菜々子ちゃん。俺、また菜々子ちゃんを泣かせちゃったね。お兄ちゃん失格だ」
「う、ううん、お兄ちゃんは悪くない……
え、えと、やっぱり悪い、かなぁ。だってお兄ちゃん、スミレちゃんたちに座られて、嬉しそうに
してたから……」
「そ、そう見えた? はは……」
「うん、見えたも……。だから、だから……」
なでなで。
はう! お、お兄ちゃんが、頭なでなでしてくれた……
「じゃあ、どうすれば許してくれるかな? パフェがいい? それともケーキ?」
「そ、そんなのいらないも。そ、その代わり……」
「その代わり?」
「ずっと、なでなでしててほしいも……」
「……なんか、二人だけの世界に突入してしまったにゃ〜」
「……ムカつくれす」
「まぁまぁ妬くな。シルシルはみんなが帰ったあとで、せいぜいたっぷりご主人様に甘えるがよい」
「ら、らからシルファは別にヤキモチとかじゃ……」
「それにしても菜々子もお兄さんも、思いっきり見せつけちゃってくれてるね」
「もうわたし達のことなんか見えてないんでしょうね、きっと」
「あ〜あ、結局、お兄さんの妹は菜々子だけってことかぁ。ざーんねん」
「ええ、今は、ね」
「ん? ひとみ、何か言った?」
「いいえ、何も」
にっこり。
おしまい。
どうもです。と言うかお久しぶりです。
>>317さん、支援ありがとうございます。
およそ三カ月ぶりの菜々子Strike! いかがでしたでしょうか?
またネタが思いついたら書くつもりなので、そのときはよろしくです。
ところで、冒頭の”ご注意!!”はもう要らないかなぁ?
AD発売からもう半年以上経ってるし……
>308
>309
二作品とも乙。ってかリクエストに応えてくれてありがとうです俺>305
草壁さんは1レスでも可愛いな。>308のは恋人行動がギュッと詰まって萌えた
>309の方は花火をリモコンで着火したの? あと抱きしめた後の擬音はやはりエ(ry
>323
久々乙〜。ほとんど会話だけなのに情景が目に浮かぶのが上手い
○学生が三人、○学生の妹的存在が三人、○学生の妹的存在が三人で膝の上に……堪らん(変態
_、_
( ,_ノ` ) n
 ̄ \ ( E) グッジョブ!!
フ /ヽ ヽ_//
乙です
の〜てんきでけっこうこのななななシリーズ好きです
各キャラ、いい味だしてますし
草壁さんのSSもグッジョブ
読んでくれた人、どうもです。
>>324 リモコンで花火着火です。いくつかの花火がくぱぁとか炸裂してる間に告白してるだけですよ。
くぱぁ。やっぱり描写が不完全ですねくぱぁ。
>327
そうか。てっきり花火がくぱぁとかどんぱこんしてる間に草壁さんのくぱぁをどんぱこんしてるのかと妄想したぜ
だいすきだよは事後フォローで、派手にやりすぎたってのはヤリ過ぎた反省かと。後始末という単語も……妄想し杉だな俺w
ほのぼのささらSSが恋しいこのごろ。
はげどう
うん、3日ぶりに来たけどやはり毎日顔出そう。
>>327すごく楽しめました
>>323ありがとう、このシリーズひそかに好きでした
タカ坊が入院して、イライラしてタマ姉やこのみやら雄ニに辛く当たって
それで疎遠になったときにいくのんと出会うSSがあった気がするんだが知らない?
「貴明さん。今回の生徒会誌どうしましょう。」
「うーん。これと言ってネタもないしなぁ。」
「じゃあ保留と言うことで。まーりゃん先輩にばれると面倒なので秘密にしてくださいね。」
「えぇ。でも書かないとだめなんじゃ・・・」
「・・・いいんです。保留です。」
「まぁ、ささらがそういうのなら。」
「貴明さん。」
「ん。」
「二人っきりよ。」
「二人っきりだね。」
・・・・・・
・・・
「なにもしてくれないの?」
「あぁ。そうだね。二人きりだったね。」
「もう・・・」
やさしく抱きしめる。
「ぁ・・・」
なでなで・・・
「いいこいいこ。」
「貴明さん・・・」
なでなで・・・
--
「姉貴。ちびすけ。お前ら先に入れよ。」
「雄二が入りなさいよ。」「うんうん。こういうときは男らしくだよ!」
「いみわかんねぇよ。」
---------------続かない。なんか書き終わってから、昔同じようなSS読んだことあるような気がしてきた。
>>332それはよかった。おかげで私の欝が解消されていきます。
電車の中でなれない大風呂敷SS書いてるんだけど、どんどん広がってだんだんつじつまあわせが面倒になってきた・・・
うお、最近ささら成分が不足気味だったから助かったよ。
サンキュー
ネタに乗り遅れたおいらが来ましたよ
というわけで投下
「いやぁ……やっと買えそうだね。」
「ずいぶん並びましたから。」
そう言って草壁さんはハンカチで汗を拭った。
俺と草壁さんが再会してから数ヶ月が過ぎ去り、季節は夏。
今年の夏は酷暑で、夏休みを前に俺たちは早くもグロッキーだった。
草壁さんとのデートも自然と避暑を考えたものにならざるを得ない。
今日は学校帰りに新作のアイスを食べにアイス屋にやってきたのだが、考える事は
皆同じ訳で、案の定すごい行列になっていた。
やっと順番が回ってきて、俺は期間限定のピーチシャーベットのダブル、草壁さんは
アールグレイとバニラのダブルを手にすると列から離れて木陰に逃げ込んだ。
「は〜、生き返る〜」
「冷たくて美味しいですね。」
木陰で涼みながら二人でアイスにかぶりついて冷たさを楽しむ。
草壁さんもどことなく恍惚とした表情だった……ちょっと色っぽいな。
「あ! タカ君も来てたんだ。」
聞きなれた声に振り向くとそこには見慣れたおさげ髪の女の子……このみが、やはり
アイスを手にして駆け寄ってくるところだった。
「こんにちは、このみちゃん。」
「あ、優季さんこんにちわでありますよ。」
草壁さんが挨拶するとこのみも満面の笑顔で元気に挨拶を返した。
人懐っこさにかけては定評のあるこのみはもう草壁さんともすっかり仲良しだった。
「ほほう……そこの人がセンパイの噂の彼女っすか。」
「……美人。」
これはこのみを追いかけてきた寺女の制服の二人組、このみの親友の吉岡さんと山田さんだ。
「もー、だから、そう言う堅苦しい呼び方じゃなくって、よっちとちゃるって呼んで
欲しいっす。」
「でも……ねぇ。」
「よっちさんとちゃるさん、ですか?」
「ああ、そういえば草壁さんは二人に会うのは初めてだっけ。俺の後輩でこのみの親友の
吉岡チエさんと山田ミチルさん。」
「吉岡チエっす。よっちって呼んでくださいっす。」
「山田ミチル。あだ名はちゃる。」
二人が自己紹介すると、草壁さんは居住まいを正して、そしていつものようににこっと
笑って挨拶した。
「よっちさんにちゃるさんですね。草壁優季です。どうぞよろしく。」
相変わらず腰の低い草壁さんだった。
「センパイ、なかなか美人の彼女じゃないっすか。」
「え? うん……まあね。」
自分でも草壁さんは美人だとは思ってはいるけど、褒められるとなんだか照れくさい。
「でも……未だに苗字にさん付け。」
山田さんの冷静な突っ込みにぎくりとする。
この数ヶ月、草壁さんに何度も「名前で呼んでください」と呼ばれ続けてきたのだ。
でも、なんとなく気恥ずかしくてなかなか「優季」と呼べない。
「ま、ヘタレのセンパイらしいっちゃらしいっすけど。」
「余計なお世話だ。」
「でもでもでも……まだ他人行儀な関係って事なら、略奪可能って事っすね。」
「ははは……またまた冗談。」
「冗談じゃないっすよ……あたしのこのセクシーボディに悩殺されてみないっすか?」
そう言いながら吉岡さんがちょっとセクシーな……特に、胸の辺りを強調したポーズで
俺にウインクしてみせた。
「……それは無理。」
「は? ちゃる……?」
吉岡さんが頭に?マークを浮かべている間に、山田さんは素早く草壁さんの背後に回りこみ、
そして草壁さんの胸を鷲掴みにした。
「きゃっ!」
「草壁センパイは……隠れ巨乳。よっちよりでかい。」
「なに〜!」
「そして、」
そう言うと山田さんは草壁さんのセーラー服の上着の裾をひょいと持ち上げた。
……草壁さんの白いお腹と綺麗なお臍が見えた。
「ウエストはこのみより細い。」
「なんですと〜!」
「明らかにスタイルでもよっちの負け。」
「くぁ〜〜〜!」
「あはは……」
このみがそんな二人のやり取りを見て苦笑いする。
「く……あねさんに続いて2敗目……いつか見返してやるっす。」
「よっちはもう成長が止まっているから無理。」
「うっさい。」
「まあまあ、二人とも……って、おっと、アイスが溶けちゃう。」
俺は溶けかけたアイスにあわてて舌を這わせた。滴り落ちる寸前だったアイスの味が
口の中でひんやりと広がる。
「あ、タカ君のそれ、期間限定のピーチシャーベット? 一口ちょうだい。」
「え? ああ、いいぞ、ほら。」
俺は持っていたアイスをこのみの前に差し出した。このみがそれにかぶりつく。
「はむ……おいひい〜〜! 次はこれにしよう。 じゃ、お返しにタカ君、はい。」
「あ、ストロベリーか……はむ。」
俺はこのみの差し出したアイスにかぶりついた。ストロベリーも相変わらず美味い。
「……鈍感」
「は?」
俺とこのみを見ていた山田さんのつぶやきに俺は戸惑った。
何の事だかさっぱり、と思っていた俺の疑問には吉岡さんが答えてくれた。
「彼女の目の前で他の女の子とアイスの食べさせあいっことか……それはまずいっすよね。」
「あ。」
俺は恐る恐る草壁さんの方を見ると……
草壁さんは思いっきり膨れていた。
「じゃ、修羅場の雰囲気なのでうちらはこの辺で。センパイさよなら〜」
チェシャ猫のようなニヤニヤ笑いを残して、吉岡さんは山田さんの手を引いて
走り去っていった。
「ゆ、優季さん、ごめんね。ああっ、よっちってば待ってよー!」
走り去った二人を追いかけて、火種を振りまいたこのみも去っていった。
そして、この場にはご機嫌斜めの草壁さんと、デリカシーの無い男の俺だけが残された。
「……えっと……草壁さん。」
「何でしょうか、河野さん。」
まずい。これは激しくまずい。何より俺のことを河野さんと呼んでる辺りが猛烈にまずい。
かなり怒っている証拠だ。
「えっと……食べる?」
自分のアイスを差し出してみたが、草壁さんはぷいっとそっぽを向いた。
「あっ、あの……俺、アールグレイも食べてみたいなー、とか……」
「これは私の分ですから、河野さんにはあげません。」
そう言って草壁さんはパクパクとアイスを一気に食べた。
あ、そんなに一気に食べると……
「あっ……」
草壁さんがこめかみを押さえて苦しみ始めた。冷たいものを一気に食べるから……
「あははは……大丈夫?」
「……」
俺が声をかけると草壁さんはぷうっと膨れたままで、俺の顔をじっと見上げた。
「えっと……ごめん。」
「……反省してますか」
「反省してます。」
「もうあんな事、他の女の子としないでください。」
「神に誓って。」
「じゃあ……許してあげますから、『草壁さん』じゃなくって『優季』って、呼んでください。」
そう言って期待するような眼差しで、草壁さんはじっと俺を見つめた。
「……」
「じ〜」
「……」
「……そんなに、私の名前を呼ぶのが嫌ですか?」
ああ、またそんな悲しそうな顔する……もう、こうなりゃ自棄だ。
「……優季!」
「はいっ!」
ああ、もう、そんな嬉しそうな……とろけそうな笑顔されたらもう二度と『草壁さん』
なんて呼べないじゃないか。
「じゃあ、もうひとつ。」
「えっ、まだあるの!?」
草壁、じゃなくて、優季がちょっと恥ずかしそうに爪先立ちになって俺の耳元に
口を寄せるとそっと囁く。
「実は……さっき舌をやけどしちゃいましたから、貴明さんに治して欲しいなぁって。」
「やけど……って、さっき食べたのはアイスだけど。」
「ですから……」
そう言って優季はぺろっと舌を出して、
「『しもやけ』です。」
ああ、なるほど……って、それやけどじゃないし。
「で、俺は何をすれば良いの?」
「冷たすぎてしもやけになっちゃいましたから、貴明さんに温めてもらえれば直ると
思います。」
「え、それって……」
優季が俺の顔を見上げたまま、目を閉じた。薄く唇を開いてじっと待っている。
普段あんまりおねだりしたりしない優季の「お願い」を俺は断れそうに無い。
覚悟を決めて、優季の肩を抱く。
通りがかりの人からは見えないように身体の位置をずらして、俺は優季の唇をそっと奪った。
それはさっき食べたアイスでひんやりしていて、紅茶の香りのするキスだった。
草壁さんをメインにした話ってまったりラブラブ物が多いので
かわいく拗ねる草壁さんにしてみた
由真シリーズを書いてる身としてはOVAで由真メイン話も出た事だし
次のメイド日和を書くべきなんだろうけど
たまには草壁さんも書かないとねw
ぐああああああ
なんちゅう極甘!
身悶えするよなGJ
草壁さんはヤバ過ぎるぜ
>343
ぐ〜っどじょ〜ぶ!
やっぱり草壁さんは、捻らず割らずにストレート(いちゃいちゃ)とロック(拗ね拗ね)だね!
GJ。
しかし、例の奴が来なくなったら、平和が戻ってきたな
>347
せっかくの投下ラッシュなんだから素直に喜べばいいのに……そう他人を貶める思考ばかりすんなよ
>>348 二度と舞い戻って来ないようダメ押しこそが重要
保管庫からも消しちまった方がいい
350 :
名無しさんだよもん:2008/08/09(土) 08:15:36 ID:Ex58xgn+0
なんだ、社会生活で嫌な事があっただけか。安心しろ、生きる価値がない哀れな人生を歩んでいるのはお前だけじゃない。みんなが幸せそうに見えるからって嫉妬する必要はないよ
掲示板の本来の特性からくる「粗暴に振舞える(冗談でも本気でも)」ことに対する負担の大きさは、
”投稿者”という程度のアイデンティティによっても操作され得るみたいだね。
これは全員が自分のメリットを如何にすれば得られるか考えることが、一つの解決方法になると今思った。
この場合
攻撃者のメリットは、不快感の人間に対する攻撃による不快感の発散または投下人排除だろうから今の状態から動きようがない。
SS読む人のメリットは、SS投稿増加。これは雰囲気良化によるによるものや過疎改善によるものなどがあるので一概に一定の行動は示せない。
投稿者のメリットは、”自分”の書いたもの読ませること。読者でもあれば過疎改善の一手という要素もある。
ここの自分の範囲がわからない。まぁ、名乗ってないから複数投下におけるアイデンティティは重視してなさそうだね。
というお話。書いてから思ったけど、これだと投稿者の一方的負担になるね。
国語能力が低いので申し訳ない。何が言いたいかわからない場合いちいち説明してると泥沼になりそうなので私は”このレスの人であるだけ”、ということにしておきます。
どうでもいいから普通のTH2SSを普通に投下してくれ。
そうすりゃ全員万々歳だ。
>>347 で、お前はその平和を乱すような発言をするわけね
そんなに自己主張したいなら他所でやれカス
>>349 スレや保管庫を私物化したいなら自分で作れよ
気に入らない書き手を叩いて追い出すお前のほうこそ消えたほうがいい
>>347 一応、続きを楽しみにしてる奴も
居ることを察してくれ。
>>351 名乗ってないから複数投下におけるアイデンティティは重視してないっていうのは違うと思うよ〜
違うっていうか、考え方が逆なんだな
ここに投下する以上、『名乗っていない』のではなく『名乗る必要がない』んだと思うんだけど
だってここ、匿名掲示板だもの
しかも連載の場合でも、タイトルを見れば続き物だって分かるわけで、真の意味で『名乗る必要がない』わけ
でも、結構名乗ってるに近い作家さんは多いと思うよw
「前に〜〜を書いてた者ですが」って普通に言ってるし、これは匿名掲示板であれば名乗ってるに等しいことだ
そういうのを見ると、複数投下におけるアイデンティティをめちゃくちゃ重視してるんじゃないのかなー
まぁようするに、見当外れの分析はやめたほうがいいっすよってことで
「投稿者に一方的に負担がかかってる」ってのが主題なら、もっと分かりやすく書いた方がいいぜ
>>347-355 おまえら荒らしと大差ないって事にそろそろ気づけ
当の作者氏がこのスレに直接投稿しないように気を使ってんのに台無しじゃねぇか
それに面白いSS投稿してくれてる他の作者にも失礼
この話題はここまで
これ以降はこの話題でレスつけんな
というわけで、どなたかが愛佳分を補給してくれる事をきぼんw
なごみと癒しを俺達に!
いいんちょやこのみや愛佳やタマ姉や小牧愛佳あたりを補給したいっす。
めいろろぼ分はお腹いっぱいかねw?
>>358 足りてませんが何か?
補給お願いします
避難所のぞいたら、例の作家、投稿やめますと。
流石に嫌気がさしたんだろうw
愛佳、よっちゃるお願いします!!
>>358 まったく足りてません
もっともっと!!
みんなもやってみよう!超簡易ssの書き方。
1.登場人物を決める。
2.ゴールを決める。-抱きしめる。その他。加えてオチを作ってもいい。
3.スタートを決める。-偶然会う。会う約束をしていた。もともと一緒にいる。
4.ゴールへの道のりを決める。-協力して問題解決。対峙。物の取り合い。人助け。すりるしょっくさすぺんす。
ここが問題。一レスならたぶん一捻りが限界。ストレートに終わってもいい。
5.終わり。
余裕があれば上の要素をいくらでも組み合わせればいい。
上のようにせずに、
キャラに勝手にしゃべらせるとグダグダになるけどそれもまたいいのかもしれない。
私は、何がしたいのかわからないといわれるのが怖くてそれをしたことがない。
人を楽しませる事を考えると面倒になってくるけど、自分がほしいものがある場合、とりあえず書いてみると幸せになれるかもしれない。
私は最近乱発しすぎなのでちょっと自重する。
リレーSSなんてのも面白いかも?
流れに乗り遅れてますが、草壁さんと海水浴SS行きます
当然ですがAD非準拠(っていうのかな?)です
「お待たせしました。貴明さん」
「うん、待った」
「えっ、す、すみません……」
「嘘、冗談」
「あっ、もうっ、貴明さんってば」
俺の意地悪に気がついて、優季の唇が尖った。
「あはは、ごめん。でも、実際けっこう待ったかも。女性脱衣所の側で待ってるのは恥ずかしいし、その辺ウロウロしちゃったよ」
「す、すみません、お、女の子には、その、色々と、準備がありまして……」
「あっ、いいっていいって、気にしない」
俯き加減になる優季。軽口の効果がありすぎて、フォローの言葉を探す俺。
「俺としては、優季の水着姿を見ただけで待った甲斐があったってもんだよ」
掛け値なしの本音をぶつけたら、優季は頬を染めてますます俯いた。
俺、河野貴明と、優季、草壁優季は、つきあい始めて3ヶ月ほどの恋人同士。
二人になって初めての夏休みに、今日は、どちらからともなく言い出した海水浴デート。
真っ白なビキニに、負けないくらい白い肌を包んだ優季は、真夏の太陽の下、まるで宝石のように輝いている。
「そ、その、貴明さん。あまり見られると、その、あの」
思わず見とれた俺の視線に、モジモジと身を縮める優季。両腕を身体の前に持ってきて、しかし腕の位置が決まらない。
「あっ、いえ、み、見られるのがイヤというわけでは、ないんですけど」
細身の身体に不釣り合いとも思える豊かな胸や女性らしい腰つきを、隠そうか隠すまいか悩むような悩ましい仕草。
「やっぱり恥ずかしいというか……」
「もっと見たいな」
「え?」
「凄く綺麗だから、優季の水着姿、もっとちゃんと見たい」
直球過ぎるかなと思ったけど、思わず言っちゃった。
「そ、その……分かり、ました」
その要求を真に受けて、優季は耳まで真っ赤に染まりながら、両腕を体の後ろに組んで背筋を伸ばす。
見せつけるような姿勢の伸びやかな肢体と、気恥ずかしさに目を逸らす横顔。抱きつきたい衝動を抑えるのが大変だった。
「貴明さん、日焼け止め、背中に塗っていただけます?」
その魅力的な姿で、パラソルを組むなりこんなことを言い出す優季。
確かに、優季の抜けるような白い肌は、日焼け止めを入念にしなければ火傷してしまいそうだけど。
「い、いいけど、塗り方なんて、よくわかんないよ?」
「大丈夫ですよ。厚めにべたっと伸ばしていただければ」
優季はごろん、と俯せに寝ころんで俺に背中を任せる。
俺は日焼け止めクリームを手に出したものの、眼前に広がる風景を見てつい手が止まる。
きめ細かい肌が、なだらかな曲線を描く優季の背中の、どこから手をつけて良いか分からなくなったんだ。
つい視線を這わせると、背中を通り越してくびれた腰と、逆に大きく盛り上がったお尻の方に目がいったりして。
「貴明さん?」
開始されない作業に、不安げな優季の声。
「あ、ご、ごめん」
思い切って手を優季の身体に降ろそうとして、やっぱりおっかなびっくりになって。
つつっ。
いかん、背筋に指を這わせるような塗り方になってしまった。
「あんっ!?」
きめ細かく滑らかな彼女の皮膚に、さぁっとさざ波が走る。
あ、鳥肌たってる。そう思うと、俺の背筋も粟立った。
「た、貴明さんっ」
「ご、ごめん、ちゃんとするから」
謝って、今度はきちんと手のひらを優季の背中につける。
そっと伸ばす程度のつもりで力を入れたのに、優季の身体は手がめり込みそうになるような柔らかさ。
「んんっ、ぅうん」
おまけに、クリームを擦り付けるのに合わせるように、優季は悩ましげな吐息を漏らす。
「お、終わったよ、たぶん」
「ありがとうございます。あとは、自分で塗りますから」
やがて背中を塗りおえたと思ったら、今度は優季自身の手が彼女の身体を撫で回す刺激的な光景。
「お待たせしました、って、貴明さんっ? そんなに急がなくても、あんっ」
優季の手を引いて波打ち際に走ったのは、正直に言えば俺自身の興奮を隠すためだったりした。
暫く波打ち際で戯れた後、優季がパラソルの方を気にした。
「疲れた? 少し休もうか?」
「いえ、疲れたわけではないんですけれど」
微妙な反応。どうやら、気になることがあるみたいだ。
「なあに、言ってみて」
俺が問うと、優季は人差し指を頬にあてて、ちょっとその頬が赤らんで首を傾げる。
「えっと、ですね。実は、ちょっと持ってきたものがあるんです」
「持ってきたもの?」
午後待ち合わせなので昼食ではないだろう。海で使うものだろうか。でも、この恥ずかしがりようは……
「浮き輪とか?」
「い、いえっ! いや、似たようなものかも知れませんが」
なんだろう?
「とにかく、せっかく持ってきたんなら出そうよ。ほら、戻ろう?」
「あっ、は、はぃ……」
パラソルに戻って、優季が自分のスポーツバッグを開ける。
「こ、これ、なんですけど」
引き出すときも少し迷って恥ずかしそうにしていたそれは、大人サイズのイルカフロートだった。
……。
「あっ、いま、笑いました?」
「いやいや全然」
否定しつつも、かみ殺しきれない笑みが零れる。
優季って、物静かだけど意外と子供っぽいところがあるよな。メルヘン好きだし。
そんなことを思っていたら優季の目が段々拗ねてきたのて、俺は砂地にしゃがんでイルカを膨らます作業に入る。
「ふふっ、頑張ってくださいね、貴明さん」
優季が側に寄ってきて、四つんばいに手をついて俺の口元を覗き込んだ。そんな仕草も子供っぽ……
「!」
姿勢上の必然、重力に引っ張られて深いWの字を形勢する優季の胸元が目に入って、子供っぽいなんて感想は、空の彼方に吹き飛んだ。
「小さい頃、海水浴に来て、イルカに乗っている子がいつも羨ましかったんです」
5分後。
俺が膨らませたイルカを両手で抱えて海に向かいながら、優季は照れ隠し半分に説明してくれる。
「海って波から顔を出しても周りが見えませんよね?」
「これに乗ったら、遠くまで見渡せて気持ちいいんじゃないかって」
ボートに乗ればいいんでしょうけど、と注釈。
「でも、言い出せなくて、そのうちに大きくなったら、もう恥ずかしいですから」
抱えたイルカの背びれに、顔を埋めるように押しつける優季。
「今日もどうしようかと思ったんですけど、お店で飾ってあるのを見かけたら、我慢できなくて買っちゃいました」
そのままこっちを向いて、てへっと笑う。
「どんな風景が見られるのか、楽しみです」
無邪気な笑顔に、子供っぽいって単語が空の彼方から戻ってきた。
が、現実はそう甘くなかったり。
「っ、うぅん、っ、きゃあっ!?」
どぼーん。
イルカは綺麗に引っ繰り返って、優季の綺麗に伸びた両脚が、シンクロナイズドスイミングの如く綺麗に真っ逆さまに水中に沈んでいく。
「だ、大丈夫?」
「うぅ、ま、前が見えません……」
涙声で起きあがった優季の顔を、長い黒髪がすっかり覆ってしまって、さながら場所と時間を外した番町皿屋敷。
俺は左手でフロートが流されないように押さえつつ、右手で優季の髪をどけてあげた。
「ありがとうございます」
海水まみれで顔色は良くわからないが、この首の角度は恥ずかしいですモードだな。
「思ったより沈んでくれなくて。もう一度、えいっ、きゃ!?」
ぐるん。どぼん。
イルカに向かって飛び込んだ優季は、勢いをつけた分、日頃おしとやかな彼女はどこへやら、フロートを鉄棒に見立てた前回りから、あられもなく脚を広げて水中に落下した。
「あはは、もしかしなくても、優季って運動音痴だよね」
「……酷いです貴明さん。確かに、あまり、身体を動かすのは得意ではありませんけれど」
大笑いした俺の言葉に、優季は珍しく頬を膨らます。
「そもそも、貴明さんが手伝ってくださらないのが悪いんです。ちゃんとエスコートしてください」
俺のせいかなあ?
張り切って飛び乗ろうとしたのは誰だろうね、なんて意地悪はなしにして、俺はイルカフロートの頭を支える。
「わかったよ、ささ、どうぞ、お姫様」
「う、うむ、苦しゅうな、い、なんて、ふふっ」
時代がかった台詞に乗ってきて、照れ笑いしながら優季は俺の反対側からイルカに……
ずるん。
と飛び乗ろうとした手が滑って、勢い余って。
「あ、あっ」
「う、うわわわ!?」
ごっちんこ。
額と額がぶつかって、目の前に火花が散る。
ほぼ同時に、優季が頭から俺の懐に引っ繰り返ってきて、二人でもつれあうように海中に沈没した。
「あたたた。怪我しなかった?」
「うぅぅ〜。すみません。痛かったですよね」
頭を抑えながら互いを気遣う俺と優季。
「俺は大丈夫」
流されかけたイルカフロートを呼び戻す俺。
「痛かったけど、その後気持ち良かったし」
優季の身体の感触が。
どこがどことか、わかんなかったけどね。
「そ、そういう事は、思っても言わないでください」
今度は顔色も分かった。頬からうなじまで、綺麗に朱色に染まっていた。
めげずに再挑戦。
「貴明さんは、尻尾の方を押さえていてください」
先の反省を踏まえ、俺がイルカの左後方から支えて、優季が右側面から乗り込む体勢。
これなら正面衝突の心配は、
「えいっ!」
ぶんっ。
「うおっと!?」
油断してたら頭の上スレスレを優季の脚が通過して、俺は慌てて首を竦める。
「す、すみませ、きゃんっ、とっ、あっ、あ」
ぐい。
フロートに重みがかかる。優季の身体が上に乗ったみたい。
俺は抱えた腕に力を込めて、左右に振れるイルカを押さえながら顔をあげ、
「っ!」
思わず息を飲んだ。
イルカにあがった優季は、バランスを崩して落ちないようにしがみつくのが精一杯。
両腕で必死にイルカの頭に抱きついて、脚でフロートの胴体を挟んでいる。
それを、尻尾を押さえる俺の視点から見ると、つまり、なんだ。
優季のすらりと伸びた両脚の、膝から上と、形よく盛り上がった臀部が、三角形というか小山というか、印象はむしろΩ形。
水深は俺の脇の下くらい。海面ちょい上ある俺の頭からは、少女の構造を下から覗き込むような格好で、しかも距離は至近。
遠目には細身に見える太股が、今はまるでのしかかってくるような大迫力。
その太股の、間に挟まる小さな白布は皮膚にぴったり貼り付いて、下に隠れる優季の下腹部からお尻にかけての形状が見て取れる。
両脚とイルカの背の間、少し空いた隙間からは、優季の臍から上半身へのなだらかな曲線が覗き、そしてビニール地に押しつけられても潰れきらない乳房のボトムで視界が終わる。
ひとことで言えば、絶景。
「た、貴明さん〜。う、動けません〜」
困ったような優季の声。
いやあ、俺としては、一生このまま動かなくてもいいくらいの眺めです。
とはいえ、流石にそういうわけにもいかないので。
「えーっと、しがみついてるから動けないんだよ」
「だって、手を離したら落ちちゃいます」
言葉に合わせてもじもじと身体を動かす。お尻が揺れてこれもいい目の保養。
……こほん。
「じゃあ、腰を落として、逆にぴったり抱きついてごらん」
「こ、こうですか」
おっかなびっくりと、両脚とイルカの隙間が埋まる。目の前に重量感のある桃のお肉が……いやそれはいい。
「そしたら、手を話してイルカの背中について、ゆっくり起きあがってみなよ。大丈夫、押さえてるから揺れないよ」
「ゆ、揺れてますけど、分かりました」
優季が俺の指示に従って、俺の視界で彼女の背中がせりあがっていく。
「わ、わ」
脚は水面下だけど、イルカの上で、体位測定の伏臥上体そらしみたいな感じ。
「うん、そしたら、手の位置を身体に近づけていけば……」
「は、はい。えいっ、わっ、きゃっ」
優季の上体が起きあがる。俺の方を向いていたお尻の部位が、するんとイルカの背に収まって。
「あっ、や、やったっ。乗れましたよ貴明さんっ!」
ようやくイルカの背中に跨る姿勢になれた優季は、俺の方を振り向いて笑顔を、
「きゃんっ!?」
向けようと身体を捻ったもんだから、ぐらりとバランスを崩す。
俺はイルカを押さえていた手を離して優季の腰に伸ばす。
「きゃあっ?」
「あ、ごめん」
「い、いえ、いいです。そのまま、そのまま離さないでください」
腰に触れる俺の手に悲鳴をあげた優季だが、俺が離れようとすると慌てて止める。
ひとしきりゴチャゴチャゴチャ。
やがて、イルカに跨った優季の腰を俺がそっと支える姿勢で落ち着いた。
「あ、あはっ、ふふふっ、いい眺めです」
苦労の末に目的を達成して、笑みが溢れる優季。
こわごわ右手をフロートから離して、遠くを見るように額にかざしてみたり。感慨深げに周囲を見渡してみたり。
「思っていたより、ずっと高く感じます」
それはおそらく、幼い頃の目線で想像していたからじゃないかな、とは思ったけど口に出すのはやめておく。
「あっつぅ」
珍しく優季が語調を崩した。
真夏の太陽と、海面からの照り返し。水に入っている俺はそう暑くもないが、ほぼ全身が海上に出ている優季は目を細めている。
その無防備な表情を見ていると、ムクムクと悪戯心が湧いて。
バシャッ。
「ひゃあっ!? 冷たっ!?」
「あはは、涼しいでしょ」
右手は優季の腰の添えたまま、左手で水をすくって彼女のお腹にかけてあげたら、ぴくんとお臍の周りが動く。
「いきなりはずるいですっ」
「じゃ、かけるよ〜」
「えっ、えっと、待って、あんっ」
それなら予告してばしゃばしゃばしゃ。こっちは水中なので、優季に水はかけ放題。彼女の方は、両手をイルカの背から離すことも難しくては抵抗する術もない。
くくく、てえいっ。
「た、たかあきさむゃんっ!」
やべ、調子に乗って、思い切り水を跳ね上げたら、タイミング良くこっちを向いた優季の顔に水が。
「けほ、けほけほっ。貴明さん〜っ!」
口に水を受けてむせた優季は、身体を捻って右手を海面に降ろそうとする、って、それは無茶!
「ま、待って優季」
「待ちません、お覚悟をっと? あ? あら? ひゃんっ!?」
不安定なイルカの上から反撃しようなんて優季には無謀。案の定バランスを崩すと、ずるっーとフロートの背を滑り落ちて。
「あ、あっ、あれっ?」
「のわあっ!」
優季の身体が、俺の頭上に降ってきた。
「あうおっと!」
もとから距離が近かったことが幸いして、頭と頭がごっつんこは回避。
どさりと落ちてくる優季の重みを俺は、ここが男の見せ場と受け止める。
じゃぼんと水上の世界から海中に戻ってくると、優季の身体はふわっと軽くなった。
「す、すみませ……あ……」
謝りかけた優季の声が、途中で止まる。
俺と優季の、足の位置は何センチも離れていないだろう。
太股と太股も触れあって、そして上半身はぴったりと俺が優季を抱き留めた姿勢。
「貴明さん、もう大丈夫ですから……」
俺の肩口あたりに囁く優季。だが俺は、優季を離さない。
「貴明さん?」
「ゆーきっ」
怪訝な呼びかけに呼びかけで答えて、逆に強く抱きしめる。
「あ……貴明さん」
「優季」
「貴明、さん……」
何度聴いても心地良い声。ぐっと腕に力を込めると、優季は俺の腕の中で息を吐く。
俺は頭を下げて、俯く彼女の頭を自分の頭で持ち上げるようにして、頬を赤く染めながらもそれに答えてくれる優季。
額と額を何度か擦り合ってから、俺達は小さくくちづけを交わした。
「貴明さぁん……」
唇が離れると、とろんとした表情で、腕の中から俺を見上げる優季の瞳。
どくん。
心臓がひとつ跳ねて、同時に俺は、胸板で潰れる優季の豊かな膨らみを意識する。
こ、こうなったら、もう少し……。
「おーい、イルカ流れてんぞー」
「「は、はいーっ!?」」
飛び上がった二人。
放置されて流されたイルカフロートを回収しつつ、俺は指摘してくれたおっさんスイマーを逆恨みした。
支援
さる?
支援……が必要かどうかよくわからんが
文体と作風からして、イルファさんスキーの人かなw
楽しい時間は超特急で過ぎていって。
「うわあ、綺麗な夕焼けですね」
真夏の午後は、瞬く間にお日様傾く夕暮れ時となり、俺と優季は海水浴場を出て、海沿いの温泉街を駅に向かって歩いていた。
「海に沈む夕日も、見てみたいですねえ」
「いいね、そのうち見に行こうか?」
「えっ? あ、は、はい。そ、そうですね」
何気ない軽口だったけど、ちょっとあたふたしたような反応を見せる優季。
此処から日本海まで行けば当然泊まりになるし、ちょっと、意識させちゃったかな。
「……」
しかし、それがなくとも優季は、どうもさっきからそわそわしていて、街の看板などをキョロキョロ眺めている。
「お腹空いた? 何か食べて帰る?」
「え、ええっと、お腹は特に、大丈夫です」
予想ハズレ。でも、例えお腹が空いてなくとも、食事に誘えば乗ってきそうなんだけどな。
ちょっと首を傾げつつ、駅前近くにやってきた時、
「た、貴明さん」
優季が俺の袖を引っ張った。
「なあに? どこか、寄っていく?」
「そ、その、それなんですけれど」
遊びに付き合わせるのに遠慮する仲ではないのに、また口篭もる優季。
「貴明さんって、その、今日は、その、夜とか、用事あります?」
「え? 夜? 特にないけど、家なんて誰もいないし」
その返答に、優季はほっと息を吐いて、また深呼吸して口を開く。
「あの、ですね、実はですね、私の家も、両親が出張中なんですよ、今」
え?
「それで、その、もし、よろしければ、今日は、その」
優季が手で自分の胸を押さえる。台詞の流れと雰囲気に、俺もなんだか動悸がしてくる。
「今日は、此処の温泉に一泊しませんか」
勇気を振り絞ったような優季の申し出は、確かに度胸のいる種類のものだった。
支援
「いらっしゃいませ」
立ち並ぶ温泉宿の中から優季が選んだのは、けっこう古めの平均的な旅館だった。
「い、いらっしゃいました」
かなり緊張気味な俺。優季も小さくなって後ろに控えている。
「こちらにお名前をお願いします」
フロントで渡されたシートに、宿泊者名を記載する。
うーん、本名でいいんだよな? 年齢は、無理がない程度に高めにして……
「あっ、河野様ですね、ご予約いただいていた」
えっ?
「河野、貴明様ですよね?」
受付の人の台詞に、優季を振り返る。
「……」
優季は知らん顔。でも、あからさまに頬が赤くて、視線が不自然に逸れている。
「それと、河野優季様。2名でご予約頂いております」
ぶっ。
再度振り返った。優季の、赤面度と首の角度が増していた。
ときどき大胆だよね、優季。
一泊2食、二人でおおよそ2万円。
通された部屋は、やっぱり古ぼけていたけど、趣味の良い畳部屋だった。
「しかし、やられたなあ」
荷物を置いて、とりあえず不味い備え付けお菓子でお茶など淹れながら、努めて緊張を隠して一言。
「な、なんのことでしょう?」
この期に及んで、優季はそらとぼける。
「予約、取ってくれてたんでしょ?」
「え、えーっと、いえ、私ではありませんよ」
確認ですらなかったのだが、優季は思いっきり照れくさそうな顔でこう返した。
「きっと、未来の貴明さんと私が予約してくれたんじゃないでしょうか」
とりあえず、大浴場で海水を洗い流していい気持ち。
長髪の優季の長風呂の間に、俺は近くで身の回り品とジュースなんか買ってきて。
「お待たせしました」
帰ってきたあたりで、ちょうど優季も部屋に戻ってきた。
彼女の豊かな黒髪から、シャンプーしたての良い匂いが空間に広がる。
俺も優季も、備え付けの浴衣に着替えていた。
白地に藍染めの典型的な旅館浴衣も、優季が着ると、
「ど、どこか変ですか、私?」
変じゃないから見てるんだけど。いや、ちょっと変かも知れない、そのなんだ、日本人離れした胸と腰が、内部から浴衣を突き上げている部分とか。
「あ、あの……」
何か言いかけて、やっぱりやめて、ペタンと畳に座る優季。
「はい」
「あっ、ありがとうございます」
ジュースで乾杯。
「「……」」
いつも二人で座っているだけで心地良いし、今もそうなんだけど、初めての泊まりがけとあって少し間がもたない沈黙。話題を探す俺。
そういえば、
「優季さ」
「は、はい?」
「今でも、時間を飛び越えることって、あるの?」
俺は、前から気になっていたことを 聞いてみる。
「うーんと、あれ以来、そういう経験はありません」
あれ、というのは俺の交通事故を防いでくれた一件のことだろう。
「たぶん、今回のが久しぶりだったんじゃないでしょうか」
まだ言うか。優季の目を逸らす仕草は、可愛いから何度でも見たいけどね。
「そう。それは良かった」
「え?」
俺の言葉に、目を逸らしていた優季の視線が舞い戻った。
支援
「だってさ、優季が他の時間に飛んでいっちゃったら、優季は現在に居ないってことでしょ?」
「そう、なりますね」
優季が、人差し指を頬に当てて答える。
「それって、俺と優季が、同じ時間に居ないってことじゃない」
「あ……」
「俺は、少なくともこれからは、ずっと優季と同じ時間に、同じ空間に居たいな」
「貴明さん……」
指が頬から外れる。正座の膝に手を添えて、少し居住まいを正す優季。
「私も、貴明さんと、ずっと、同じ時間に、ずっと、一緒に居たいです」
急に、息が詰まりそうなくらい真剣な表情になって、優季はそう俺に応えた。
「ま、それはそれとして」
俺は優季の真剣さに頷いてから、緊張を解くために座り直す。
「今日は楽しもうよ。せっかくの、未来の二人が予約してくれたことだし」
茶化すと、優季がまた赤くなる。
「そ、その話題は、もう勘弁してください」
膝に添えていた手が、太股の間に挟まってもじもじ居づらそう。
「どうして、運命的じゃない」
そんな優季が可愛くて、つい日頃の優季の口癖を使って弄ってみたりして。
「もうっ、今日の貴明さんは意地悪ですっ!」
ぷいっと横を向く優季。
「はは、ごめんごめん」
手を伸ばしたが、優季は膝立ちになって逃げていった。ちょっと本気で拗ねたかな。
追いかけようか声をかけようか迷った時。
「た、たかあきさん」
優季が手招きする。部屋の角で、四つんばいの姿勢。驚いたような声。
なんだろう? 俺は優季の隣に並んで、彼女が指さす柱の陰を覗き込む。
そこには、子供の悪戯と思われる相合傘。柱に傷つけて描かれた相合傘。そして、
“たかあき|ゆうき”
思い出した。昔の話。
それは、まだ草壁優季が、高城優季だった頃。
俺達は、こども会の企画で海に来ていた。
「雨ふって来ちゃったね」
「うん」
あいにくの天気で、手近な旅館を借りての雨宿り。
「アメオニしようか」
「ここで?」
「うん」
この時、優季は既に転校が決まっていた。
俺は、残り少ない優季と過ごす時間を座って過ごしたくないと、好き嫌いなんて意識しない幼心にも思っていたのかもしれない。
ともかく優季も頷いて、ロビーを抜け出して二人のアメオニ。
幸運にも大人達に怒られもせず、旅館中を駆け回って、やがて、
「もうだめ、ギブアップ」
実は台詞は覚えていないんだけど、結果はいつものように俺の負けだった、と、思う。
そこからは、二人で旅館を探検。
鍵の開いている客室にこっそり忍び込んだのは、優季が先か、俺が先だったか。
「あ、雨、晴れたよ!」
客室の窓から差した陽射しを覚えてる。いや、思い出した。
「……」
そして、それに答えずに柱の陰でしゃがみこんでいた小さな優季の姿も。
「なにやってるの?」
優季が答えてくれないから、俺は彼女の隣に座って覗き込む。
「あ……」
小さな手がボールペンか何かを持って、ひとつの記号、小学生の俺達でも良く知っていた記号を描いていた。
気づかれて、恥ずかしそうに俯く優季。
「な、なんでもな……え?」
焦って引こうとした優季の手に俺は手を添えて、俺達は二人でひとつの、二人の名前が入った図形を描いたんだ。
「……覚えてた?」
「……覚えてましたけど、宿まではとても」
言い回しで半分を否定する優季。
きょとんとした表情を見れば、予約が意図的でも此処を選んだのは偶然なのは判る。
「海水浴場がこの辺だったのは、記憶にあったんですけどね」
偶然の一致でもあり、潜在的な記憶が呼んだ出来事でもあり。
それにしても部屋まで一緒というのは。
「言わないの?」
「何をですか?」
「運命的ですって」
また怒られるかなと思いつつ、出そうででなかった優季の十八番を誘ってみる。
でも、今度の優季は神妙な顔をした。
「言いたいですけど、やっぱり宿を取ったのは私なので……」
正直な告白は今更だけど、つまり運命的でなく、意図的ってことか。
「いいじゃない、それでも」
「え?」
相合傘に向いていた視線を、こちらに戻す優季。
俺はその瞳を優しく見て言う。
「だって、運命なんて、半分は自分で切り開くもんだろ」
残り半分は、いや、八割くらいは、どうしようもない事かも知れないけれど。
でも、自分で歩かなければ運命だって進まない。
辛い運命だって、逆らえば変わる事もあるんだ。丁度、優季が俺を救ってくれたように。
「だから、これは運命的。未来の俺達と、過去の俺達からのプレゼント、そう思うよ、俺は」
心から、本気で俺は、そう思って言った。
だから、優季も信じてくれて、嬉しそうな笑顔になった。
夕日が窓から差し込んで、茜色に染まる畳の上。
向かい合わせで、見つめ合う二人。
「貴明さん」
「なあに、優季」
「運命的です、貴明さん」
「そうだね、優季」
「でも、半分はわざとです。貴明さん」
「あはは、俺も一枚噛んでるな、相合傘の名前書いたの、俺だもん」
そこで、優季が首を傾げる。
「運命と、意思が一致したら、どうなっちゃうんでしょう、貴明さん」
「……すごく運命的、かな?」
我ながら文学的才能のない受け答えだったけど、優季は手を叩く。
「貴明さん」
「なあに、優季」
「すごく運命的です、貴明さん」
「そうだね、優季」
同じ方向の受け答えを繰り返して、俺は優季の頬に手を伸ばす。
優季は、今度は避けずに、そっと身を寄せてくる。
「貴明さん」
「なあに、優季」
「私、貴明さんと、ずっと一緒です」
「うん。俺も、優季と、ずっと一緒だよ」
触れあう息と息。近寄る唇と唇。やがて。
過去と未来に見守られ、現在(いま)の二人は、ひとつになった。
以上です。大量の支援ありがとうございました。
途中でさるさん喰らって、携帯規制中で断りも入れられずすみませんでした。
7/16「手を話して」→「手を離して」
シチュを欲張り過ぎたかな……もっと草壁さん描写の引き出しが欲しいです。
>378
いえ。私は「めーぷる☆しろっぷ」の人です。
イルファさんSSの人、最近活動が見られないのが残念かつ心配です。忙しいのでしょうか
>>388 久々に無茶苦茶ワクテカしながら読んだよ
短いけど草壁さんシナリオはとても良かったなってのを思い出したよ
めーぷるも好きだったから次も期待してます
乙
>>388 めーぷるの人乙
いつも楽しく読ませて貰ってます
しかし最近は草壁さん祭なのか
いいぞ、もっとやれ
コソコソ…
よっちゃるとゲーセンで遊んだりとか、愛佳と必死の攻防を繰り広げたりする予定
だったけどめんどくさくなったから結局しない話。
なぜか一レスごとに区切らないと気がすまないのだけれども、今回はちょっと区切りが強すぎたかもしれない。
---
-ゆさゆさ
「う。うぅん。あはっ。」
-ゆさゆさ
「ひゃっは。しゅーひゃー。」
-ゆさゆさ
「ふふふっ。ふぁー。むにゅむにゅ。」
-どこっ!
「…」
「ご主人様。朝れすよ。」
「う。うん。おはよう。シルファちゃん。」
「ご飯できてますので遅刻しないように着替えて降りてきてくらさいね。」
「はい。わかりました。」
……もう少しアナログ的に起こしていただけないものなのだろうか…
あまりにもデジタルで、人体によろしくないような気がする。
やはり生物は超段階的に−つまりアナログの中で−進化してきたものらしく、
もうちょっと途中の過程を大事にするべきなのではないのかと思う。
「さめますよ?」
「はい。すぐに伺います。ごめんなさい。」
「お魚さんですね。とってもおいしそうです。」
「お魚さんれす。やっぱり日本人は焼き魚れすよ。」
「うん。じゃあいただきます。」
-はもはも
「うん。うまい。」
「べ、別に、ご主人様にうまいって言ってもらいたくて手間のかかる和食を作ってるんじゃないんれすからね。!」
-はもはも
「ツンでれですね。」
「日常には適度などきどきとゆとりが大切れすから。」
-もぐもぐ
「そうだね。」
時計を見るとまだ7時。朝にゆとりたっぷりなのはすばらしい。シルファちゃんにはいくら感謝してもしきれない。
「つんれれは絶妙なところでそれを与えてくれるものらと思うのれすよ。」
「というと?」
-ふーふー
「やさしく振舞ってくれた。でも、それはたまたまそう見えたらけれ、
もしかして嫌われているのかもしれない、と、不安にさせるのれす。
しかしつんれれであることがそれを完全に否定し、ゆとりを与えるのれす。」
-はもはも
「ツンでれマスターだね。でも物語の主人公はツンでれに気が付くことはないんだよ。」
「つまり不安に苛まれて精神が崩壊するわけれすね。」
-もぐもぐ
「うん。だから俺の精神が崩壊しないように適度によろしくね。」
「わかったれす。」
-ずずずー
「ごちそうさま。」
「おそまつさまれす。」
-ごしごしごし
「なってないれすねご主人様。」
「はひは?(なにが」
「磨き方れす。ちょっと貸してみるれす。」
後ろから体を抱きかかえるようにして、右手にあった歯ブラシを、シルファちゃんが手ごと掴む。
おっぱいがいっぱいです。
「お胸があたっていますよ?」
「あててるのよ。れす。」
「そうでしたか。」
「とりあえず口を半開きにしてくらさい。」
言われた通り、だらしない顔を鏡越しにシルファちゃんに晒す。
「まずこのように持ってれすね…」
持ち方を鉛筆を持つような形に矯正される。
「歯に斜めに当てます。」
「このとき、どのような順番で磨くか決めておくことが大切れす。
同じところばかり磨いて歯を削ってしまったり、磨き忘れを残してしまったりするかられす。」
「ふぇー。(へー」
-ごしごし
「ふぁぁ。」
敏感な部分を小刻みに刺激されて、声が出てしまう。痛気持ちいい。
そして手の動きとあわせて、"いっぱいなもの"がふにょふにょと動く。
「ふぉぉ。」
「こんな風に、歯茎と歯の間をちゃんと磨くようにしないと、ここから虫歯になったり歯周病になったりするれすよ。」
-ごしごし
-ふにょふにょ
「ふぉっふぉ」
「具体的には歯茎の後退、歯槽骨の欠損が起こってきます。」
-ごしごし
-ふにょふにょ
「フォーーー」
「朝からあえぎすぎれすご主人様。」
ふぅ。口がいつもよりすっきりしてすーすーする。
ちょっと血が出た。初めてだとそうなるが、慣れるとましになっていくらしい。
まぁそれはとりあえずおいておいて、少しゆっくりしすぎたと思い、急ぎ気味に靴を履く。
「お弁当れす。」
顔を上げてそれを受け取る。
「あ、ありがとう。じゃ、いってきまーす。」
「いってらっしゃいれす。」
-がちゃ
「たーかk」
-ごとっ
「くぅーん…」
「お。このみ。悪い。大丈夫か?」
「うへ…ちょっと大丈夫じゃないであります…」
-なでなで
「ごめんな。」
「ちょっと大丈夫になってきたであります。」
-なでなで
「えへー」
「じゃあいくか。」
「うん。」
外に出ようとすると、突然背中を引っ張られる。
「ん?何シルファちゃん。」
微妙に首をかしげて無表情に突っ立っている。
-なでなで
微妙に首をかしげて照れくさそうに突っ立っている。
「じゃいってくるね。」
いつも通りの朝。いつも通りの四人組。
そして
「うぉりゃー。」「うぉりゃー。」
文字で表すと差異はないが、元気な声と、棒読み台詞。
それと共に、体を圧迫される。
「おはよう。よっち、ちゃる。」
「あれー?反応がうすいっすね。」
「女の体に飽き始めたか。」
「いや、反応すればするほど状況がよくない方向に流れていくから、今必死で絶えてる。」
「学習型だったか。でもそれは根本的な解決になってない。」
「じゃあつまり、もっと刺激すればたどり着くところは同じってことっすね。」
「うん。そうっな・・・ん・・だはっうはっあぁ。」
-ふにょふにょほにょにょ
これはまずい。たったりいったりおちたりしそうだ。
「ん。ん?ここか?ここがええのんか?」
「体は正直。」
らめぇえええええええ。
「もー。二人とも。あんまりタカ君いじめちゃだめ。」
あぁ。女神よ。
「うーむ…じゃあこのみに免じてこの程度で許してやるっす。」
そういいながら、今度はこのみに抱きつく。
「はー。やっぱりこのみはやーっこいっすねぇ。」
-はぐはぐ
「ひゃっ」
「ん。このみ。育ったか。」
-もみもみ
「はぁあっ。ちょっ。ちゃるーよっちーっ。」
-もみもみはぐはぐもみはぐはぐ
「あぁあ。はぁっ。ら、らめぇええええ」
女神よ、すまない。お前の犠牲は無駄にしない。
そして学校そして放課後そして書庫。
「へい彼女。今日もかわいいぜ。お茶しない。」
「なんぱ…?」
……
…
--
「図書室は涼しくていいねぇ。っと。」
「そうだねー。教室とかだと、授業中しっ…かクーラーつけてくれないし…っね。」
書庫の整理は終わらない。
「そういやさ、結局撤去しなくていいの?」
そこには愛佳のゆとりセット。
「うーん。まぁ、放置されてるからいいんじゃないかなぁ。」
「ある種の実効支配だよね。」
「ふふふふふ……領土問題と同じだよ。実効支配こそが領土の保持者の要件となりえるものなの。」
「でも、実際には私物化を肯定するための主張は学校にできないよね。それをねじ伏せる軍事力もないし。」
「ふふふ…」
…
「えっ?」
--
「貴明くん。休憩にしよー。」
「そうだね。」
「はい。今日のお供はこれ。」
「これ何?」
「へーふんはいはよ」
「…」
「レーズンパイだよ」
「へーふんはいおいしいね。」
「へい彼女。今日もかわいいぜ。お茶しない?」
「ごめんなさい。」
なんか今日はよくあやまる日だなぁ。
---おしーまい。
この人リアルまーりゃん臭がするなw
運動音痴設定と親が再婚している草壁さんは斬新だった
401 :
388:2008/08/11(月) 07:07:37 ID:Bcofc8CM0
>400
的確なご指摘ありがとうございます。今後も気付いた点はビシバシお願いします
運痴の方は、前半(海水浴)を書いた後に、後半(宿)を書く時になってから
アメオニのくだりを読み直した怠慢と、意識不足から生じたものです
仕方ないので、胸がおっきくなって動きが鈍くなったとでも考えますw
10/16「両親」の方は単純ミスです。そら再婚も有り得なくはないでしょうが、
こんなとこで新設定を作る理由はないですし「家族」とでもすればよかった
てかプロットの時点では言い回しに気を付けなきゃと思ってた所だったのにorz
なんにせよ日頃の研究と愛情が足りてませんね。草壁さんの胸の谷間より深く反省
>>399 お褒めに預かり光栄の極みでございます…
>>400>>401 すげぇ。
私が「シリアスで甘いSS」を書けないのは、設定が抜け落ちてキャラクタの印象しか残ってないからなのかもしれない
と思った。
二次創作なのだから基本的には本編に準拠して書くもので、
そうしていればまっすぐに本編に沿った甘いお話になるはず。いやぁ。参考になるなぁ。
なぜ預かってしまったんだろう…
よい子はちゃんと変換しようね!私との約束ですよ!
誰か・・居るかい?
スレに誰もいませんよ
盆とコミケだからなぁ
来週まで気長に待とうぜ
ごきげんるーこまだー?
コミケに関係ないおいらが通りますよと
だれも愛佳分補充してくれそうに無いので自分で書いたお
るーこでなくてスマソ
えっと、こ、こんにちわ。
私、小牧愛佳っていいます。
お菓子が好きで、運動と男の子はちょっと苦手で、でも恋愛には興味津々の、どこにでも居る
普通の女の子です。
あっ、で、でも、食いしん坊じゃないですよ。
それから、あたしは男の子がちょっと苦手です。
でも、そんなあたしにも、最近気になる男の子が居ます。
それは……河野貴明君。
笑顔が優しくって、あたしの事気にかけていてくれて、いつも助けてくれるんです。
最近では書庫の整理を手伝ってもらうときに、お互いの苦手克服のためにこ、恋人……
のフリをしています。そのときは河野君のこと……た、たかあきくん、って呼んでます。
は、はずかしぃ……
でもぉ……最近は本当にたかあきくんと恋人になれたらいいのになって思ってます。
でも、たかあきくん鈍感だし、あたしもキチンと気持ちを伝えられなくて……なかなか関係は
進展しません……しゅん……
でも、いつか本当の恋人になれるように、今日もあたしは努力してます。
今日は書庫のお仕事のお茶の時間のために、腕によりをかけてチョコレートケーキを焼いてきたの。
ちょっぴりほろ苦くって、でも甘くて美味しいチョコケーキ。
今回はチョコも奮発してベルギー産の高級チョコを使ったんだから。
きっとたかあきくんも美味しいって言ってくれるよね。
そして……「愛佳、このチョコレートケーキ、とっても美味しいよ。」
「えっ、そ、そう? きっと……たかあきくんに美味しいって言ってもらいたいなって
思いながら作ったからだよぉ。」
「……嬉しいよ、愛佳。俺はそんな愛佳が好きだよ。」「えっ、た、たかあきくん!?」
「愛佳……もう、我慢できない。俺は、愛佳を「食べたい」」
「えっ、そ、そんな、たかあきくんっ、わ、私達まだ高校生だし、そんなの早すぎるよぉ…」
……はうっ、な、なんかすごい事想像しちゃった。
でも……たかあきくん、喜んでくれるといいなぁ。早く来ないかな……
がちゃ
あっ、たかあきくん。
「……ごめん、愛佳。今日急用が出来ちゃって、手伝えないんだ。」
えっ、そ、そうなの? それなら、せめてお茶だけでも……
「実は昼から歯が痛み出しちゃってさ……それで歯医者に行かなくっちゃ行けないんだ。
だからごめん。」
え、あ、そ、そうなんだ……うん、わかったよ。お大事にね。
「ありがとう。手伝えなくてごめん。」
ちゃんと歯磨かないとダメだよ?
「うん。それじゃ。」
ばたん。
……たかあきくんのさるぅ。
せっかくチョコケーキ用意してきたのにぃ……いいもん。一人で全部食べちゃうから。
はむ……たかあきくんのばかぁ……さるぅ……もぐもぐ……朴念仁……
次の日。
大きなケーキを1ラウンド丸々食べたあたしはお腹を壊しました。
ううう……あたしもさるぅ……
タイトル長すぎw
気が向いたらまた書きます
>>411 久々にリアルタイムで読ませてもらいました。
自分も虫歯なりかけの歯があるのでいいんちょのケーキは食べれそうにないです…
次回作も頑張ってくださいb
GJ。オチは二人で並んで歯医者かと思ったがほのぼのしてて愛佳可愛いよ愛佳
歯医者云々の貴明の台詞のとこで、もうワンテンポ溜めてから放す感じがあるともっと良かったかも。抽象的でごめん
感想どうもです
あっさり流し杉ってのはその通りで、ノリで書いたとはいえ、少しためと引きが必要やね
次はもうちょっと考えます
でもやっぱり自分で書いたものだと読んだ時の萌え度がいまいちやなぁ
どなたか愛佳分を(ry
>415
なにか思いついてるなら遠慮せず投下するがよいぞ
>>415 それって何か問題あるのか?
別にひどい作品でも無かったと思うけど
そんなこというと書いちゃうんだぜ。!
花梨ルートでの貴明の知識と食い違いが出るかもしれないけど、
あんまり設定覚えてないもんで勘弁してください。
--
チャイムが鳴る。下校時刻を知らせるものだ。
外からは運動部の今日の活動を終えるかけ声も聞こえてくる。
「かえろっか。」
「うん。そうだねー。」
荷物荷物…
…
ふとまなかの方を見ると、もう荷物をまとめ終え、まだか、とこちらを見ている。
照る照る坊主姿で。
とりあえず自分の荷物をまとめて、そちらへ向かう。
「おまたせ。」
「うん。じゃあ帰りましょう。」
「本当にそのまま帰るの?」
「えっ?…」
少し腕を持ち上げながら自分の服装を確認するまなか。
「…ジョークですよジョーク。なのよ?」
「見ず知らずの人にはそのジョークは通じないからやめたほうがいいよ?病院いく時とか。」
「ひぇっ、えっ、あ、え、…郁乃から聞いたの…?」
「きれいな夕焼けだねー。」
「照る照る坊主のおかげだねー。」
「…」
微妙に怒ってるのかもしれない。
「あ、あっちに月でてるよ。」
ごまかしてみる。
「わー。明るくて綺麗だねー。」
「満月かな。」
「貴明くん。小学校の理科、聞いてなかったでしょう。」
「え?」
「満月は太陽がでてる間には見えないものなんだよ?」
「あー。そうだね。反対側にくるから全体から反射されるんだよね。」
「そうそう。だからちゃんと見ると端っこがかけてるはずなの。」
「肉眼じゃみえないね…」
「サンコンさんは見えるのかな。」
「最近だとボビーとか。」
「いいなぁ。私ももっとしっかり見てみたいなぁ。」
「望遠鏡とかで見たことないの?」
「写真とか、テレビとかでしかないんだよぉ。」
「へー。
あ、そういや、家に確か望遠鏡があったから、観てみる?ガキのころに親父にみせてもらった記憶がある。」
「えっ、いいの?」
「もちろん。じゃあこれから大丈夫?」
「うん。じゃあ家にかばん置いて、郁乃に話してくるね。」
「ただいまー」
というなり、かばんを置いて、押入れに向かう。
「おかえりなさいれす。どうしたんれすか?」
「望遠鏡あるかなーって。」
「望遠鏡れすか。」
-がさごそ
「うん。あのサイズならここにしか入らないだろうし…」
-がさごそ
明かりが突然ともされる。シルファちゃんが懐中電灯を持ってきてくれたらしい。
「ありがとう、シルファちゃん。」
-がさごそ
「あ、これかな…」
ミザ…という文字が見えた。取り出してみる。
「みざーる望遠鏡。れすか。」
「箱ぼろぼろだなぁ。」
「酸化しちゃってますね。」
「まぁ、中身は大丈夫だろう。」
早速南が見える庭に出して、三脚を組み立て望遠鏡を乗せる。
えっと、どうするんだっけな…たしか、北極星に極軸をあわせるんだっけ。
「みえねぇ…」
北極星が家に隠れて見えない。
極軸がずれると赤道儀で追跡するときずれちゃうんだけどなぁ…まぁいいか。
「ちょっとそこの壁にしるしつけていいれすか?」
「え?いいけど、何するの?」
「測量するれす。」
そういい、壁に顔をつけ北極星を目視し、なにやら印をいくつかつけ、こちらにもどってくる。
そして、赤道儀近くからその印を見て三脚の位置を動かす。
「これであってると思うれすよ。」
-ぴんぽーん
「こんばんわー」
まなかがきたようだ。
「あー、いらっしゃい。こっちだよー。」
玄関に向けていた顔をこちらに向けるまなか。その隣には郁乃ちゃん。
「こんばんわ。まなか、郁乃ちゃん。」「こんばんわ。」
「河野くんこちらの方は…?」
びみょうに後ろに隠れようとするシルファちゃんを見ながらそういう。
「あぁ、シルファちゃんだよ。メイドロボの実験機。
シルファちゃん。こっちは同級生のまなかと、こっちがその妹の郁乃ちゃん。」
「はじめまして。よろしくおねがいします。」
「はじめまして。よろしく。」
微妙に距離をとりながら、でも
「よろしくおねがいしますれす。」
と、挨拶はできたようだ。
「よるご飯の準備が途中なのれ台所に戻るれす。」
しかしすぐに戻っていってしまった。
「ははは。ちょっと人見知りが激しくてね。」
「へー。」
「ロボットなのに人見知り…?」
「感情のある実験機なんだよ。」
シルファちゃんの設定してくれた望遠鏡を、早速月にあわせてみる。
副鏡を覗いて…
見えた。これでも十分きれいだよなぁ…
本体を覗いてみる。うん。ばっちり。
「いやぁ、久しぶりに見るとやっぱりいいなぁ。はい。どうぞ。」
交代
「うわぁ。すごい。すごいよ貴明くん!郁乃!つきだよ!月が光ってるよっ!」
興奮しておられるようです。
「ムーングラスつけてなくて、あんまり見すぎると目に悪いから気をつけてね。」
「うん。あ、わーうわー。きれー。」
「喜びすぎだろ…」と、郁乃ちゃん。
「郁乃もみてみて!」
そういい、車椅子をおす。
「あー。わかったからそんなにあわてなくても。
…何も見えないけど…?」
「あぁ、赤道儀は手動で動かさないとだめなんだよ。」
回してあげる。
「…」
「どう?どう?郁乃。」
「…」
「どうしたの?」
「綺麗…」
見とれる郁乃、幸せそうなまなか。そして、
「ごはんれきましたよー。」
みんなで部屋に入る。
「お客さんの分も用意しました。」
そこには色とりどりの食事。
「わー。すごーい。おいしそー。でも、いいの?」
「いいれすよ。ご主人様のお金れすから。」
「…だんだん尻にしかれ始めてきた気がする…」
「すごいわね…こんな短時間でこれだけ作るって…」
「明日の分の下ごしらえしたものがあったのでそれを使いました。」
……
…
「ごちそうさま。」「ごちそうさまです。」「ごちそうさま。」
「おそまつさまれす。
望遠鏡のちょうしはろうれすか?」
「好調だよ。しっかり追尾できてる。」
「それはよかったれす。」
「シルファちゃんものぞいてみる?」
「ご主人様がそういうのなら。」
…
「お月様れすね。」
「たまに見るといいけど、すぐ飽きちゃうのがあれだよね。」
「れも、模様とかゆっくり見てみるのもいいものれすよ。
あ、後ろの光星が食れすね。」
「え?シルファちゃん見えるの?月と一緒だと明るさが違いすぎてイメージセンサ対応できないんじゃ。」
「高速可変露光機構で擬似的にダイナミックレンジを広げてるれすよ。人と同じような機構になってます。」
「へー。」
「めいろろぼはらてじゃないのれす。」
「あの星なんだろ。とっても明るいけど…」
空を見上げていたまなか。
「ほんとだ。明るい。」
「惑星かな。望遠鏡向けてみるよ。」
向ける。
http://www.velvet.rm.st/sky/2008.8.15.jpg 「あぁ、木星か。」
「みえるの?」
「ご確認くださいませ。」
「うむ。」
と、郁乃ちゃん。
「赤いわね。」
「えー。みせてみせてー。」
「はいどうぞ。」
「…小さい…けどなんか模様見えるよー。」
「気体の成分とか濃度の違いかな。」
「テレビとかで見たことあるけど、なまで見るとなんかすごいねー。」
「動いてるのがまた味があるよね。よく見ると、近くの左側にふたつ、右側にひとつ、右の遠くにもうひとつ衛星が見えると思う。」
「…うー?…ぁ、みえた!みえたみえたっ。3つみつけたよー。郁乃も見てみてー」
幸せそうなまなか。
「だから、そんなにあわてなくていいって。」
すこしうっとおしげに振舞ういながら、楽しそうな郁乃。
「…」
なにかそわそわして、交流を楽しむかのようなシルファ。
そのなかにいられる俺。
誰がいったい、一番幸せなんだろう。
--
おしまい。意見は何でも歓迎なんだぜ。
一番星のBGM流しながら読んだ
実は僕も一番星かけてみました
>>424 なんだろう?
星の事は全然知らないんですが、みんな楽しそうな雰囲気が伝わってきて自分まで幸せな気持ちになれました。
次回作も期待させていただきます。
感想ありがと--「滑稽よね。」
「まぁ、そうだよな。」
「何のこと?」
「今の状況。空に思いをはせて自分たちはちっぽけであると再認識すること。そしてそれを滑稽であると改めて思考していること。」
「まだこういう情報を意識に置いて思考したことがないのれ、私にはよくわからないれす。そういうもんれすか。」
「ずっと理解して生きてるはずなんだけどな。」
「何もできないのに生きてるのよね。」
「何もできないことないよぉ。今だって楽しんでるし。」
「だからそれは私たちが今見てるものの中で意味を持たないって言ってるのよ。何をしても変わらない世界。」
「そしてそんなことを考えることがまた滑稽。そう姫はおっしゃっているのです。」
「うーん…」
「人間は滑稽だわ…」あらためて空を見上げる郁乃。
「私はろぼっとれすけろね。」
「この輪に参加してることですでに人間のもつ人間たる要素を手に入れてると思うわよ。
だからあなたを機能させる機構の人間との相違が、あなたをこっけいな人間でないとする理由がないわ。
私たちと同じようにね。まだ理解していないとしても、うちにそうなる。」
「そうかもしれないれすね。私ももう垣根を意識することは今ほとんどないれすよ。
れも社会の装置としての人間とロボットの違いは、現状では埋まらないのかもしれないれす。」
「埋める必要もないけどね。」
「埋めるとしたら、有機部品で構成したり、人間がサイボーグ化したり、だよね。」
「それは決定的要因にはならないと思うわよ、お姉ちゃん。」
「そうれすね。そういった俗に言う理系的なアプローチは不可知の要素が消せる場合には、目的を達成れきるのかもしれません。
れも違いを埋めるには政治信条や理念、倫理観を持つ意見を戦わせること、そして何らかの決断、
つまり文系的な行動が必要になると思うのれすよ。」
「珊瑚ちゃんにはそれはやっぱり期待できないよね。あまりにも無関心すぎて、
人類が培ってきた知識を使ったとしても、それに関与することができない。
でも、そういう面でなら、もしシルファちゃんが関心を持てば自身で達成できるのかもしれない。ただの知識の集積でないのだから。」
「DIAの汎用性は無限れすね。」
「人間は人間の中でさえちっぽけで滑稽・・・はぁ。なんか面白いことおきないかしら。」--おしまい
面白いSSを、誰か、書いてください。
投下を否定する気はないし歓迎だが、俺自身はこの攻殻調SSは読みづらい
気分を変えて普通のSSも書いてみたらどうだ? たまに基本に立ち返るのもいいもんだ
今TtTやってるから書く時間がなくてさ。
最近またちょっと書きたくはなってるんだけど、今一番書きたいのはシルファのパラレルもの(量産型シルファのお話?だから実はTH2のキャラは誰も出なかったりする)なんだよねー。
まあ、出来次第なんだろうけど、そーいうのにも需要はあるかなあ?
>>430 >>393でウォーミングアップして、
>>418でがんばったら、
>>428で反動が出た。
>>428の受けがやっぱり悪そうだから、もう少し比率を変える努力をしてみる。
あぁ、それと、そんなに気を使った書きかたしなくてもいいんだぜ。!
書くか書かないかは、たたかれるかたたかれないかじゃなくて、私が欝か欝でないかで大体決まるから。
欝でないときはもうちょっと生産性のある時間の使い方しないと生活が破綻しそうなんだぜ。!
何の変哲もない、貴明が死にかけたり愛佳が右寄りだったり郁乃がデレなかったり、シルファが淡々としまくってる話。
「みなさん。楽しんでいるところあれれすが、もう9時過ぎれす。
家の人が心配するれすよ。」
「もうそんな時間か。そろそろ帰ったほうがよさそうだね。」
「え、あ、あの…」
「何?」
間。
「天体観測って夜通しやるものなのかなぁと思ったから、
泊まる用意してきちゃってたり…」
さらに間。
「…となると、郁乃ちゃんも一緒…だよね。そっかー。泊まりかぁ…」
「あ、いや、貴明くんが迷惑なら、というかそもそもあたしの勘違いだし」
いい終えないうちに、「いいんじゃないれすか。面白そうれすし。」とおっしゃる。
なぜシルファちゃんが乗り気なのだろう。まぁ、いい傾向が出てきてるのかな。
「あー。あたしはなんでもいい。とりあえず眠い。疲れた。
…何お姉ちゃんその目は。」
愛佳がなにやら含みのある微笑みを郁乃ちゃんに向けていた。
「えっ?私変な目してた?」
なんかよくわからないが、とりあえず、
郁乃ちゃんは郁乃ちゃんで、少ししんどそう。
「じゃあ、泊まっていきなよ。」
「ご主人様、次入ってくらさいね。シルファは最後に掃除するれすから。」
というわけで早速2人にお風呂に入ってもらっている。
「うん。じゃあ俺それまで暇だから望遠鏡片付けてくる。終わったら片付けるの手伝うよ。」
郁乃ちゃんは一人で入りたがってたけど、
愛佳は許さなかった。やはり頑固である。俺でもそうするけど。
--
「おわったよー。なにしよ。」
「食器乾いたやつから拭いて棚にしまってくらさい。」
温水で洗っているので、すぐに乾いてくれる。
「了解。」
ただ乾かすだけだと水垢が残って、それが重なって食器が汚れてしまう。
濡れたまま拭くと、クロスの成分がこれまた水垢になってしまう。
そしてそれを能率的に回避するために温水で洗っているらしい。
「さすがメイドロボだよなぁ…」
改めて思う。普通なら洗って自然乾燥でおしまいだろうに。
「何がれすか?」
「いや、あんな印だけで望遠鏡設置できるのはすごいなぁって。」
「多分慣れればられれもれきるれすよ。」
私にはできない。
リビングのドアが開かれる。
「あがったよー。あったかかったよぉー。」
「お、じゃあ入ってくるね。シルファちゃん後よろしく。」
「わかったれす。」
「何かしてたのぉ?」
-ふぁあ。。
「食器の片付けてつらってもらってました。」
-ふぃ…
「お水ろうぞ。」
ソファーに向かっていた郁乃にコップを差し出す。
「あ。ありがと。」
-ごきゅごきゅごっごっご
「ぷはあ。」
「ふふっ。
シルファちゃん。あたしも手伝っていい?」
「助かるれす。」
-はぁあ。
「えっと、何しよっか。」
「そこに置いてある食器を、乾いた順番に拭いていってくらさい。」
-ふみゅ・・・
「これを拭くの?」
「全体を満遍なく擦るていろれいいのれ、終わったらそこにしまっていってくらさい。」
「はぁい。」
ふぅ。。。
あぁ。今日は肉体労働したせいか、背筋が一気に弛緩するのがわかって気持ちいい…
「ふぁっ。」
ふぅ。。。
あー。きもちいい。
きもち…そういや、さっきここに愛佳と郁乃がはいってたんだよなぁ。
だからなんなんだって話だけどなぁ…
ふぅ。。。
「ふぅぁっ。」
伸びをする。
気持ちいい…
あったかい…
そういや、男子風呂より女子風呂のほうが浴槽内の細菌が多いらしいなぁ。
女の子はいろいろ大変だなぁ。
「ふぅぁあああっ。ふぅ。」
はぁ。。。
ぶくぶくぶく…
ご主人様遅いれすね。いつもなら10分ぐらいれれて来るのにもう30分。
「ご主人様が気になるのれ、ちょっと見て来るれす。」
今日は食器の量は多かったれすが、てつらってもらったのれもうとっくに片付けは終わったれす。
「え、うん。ってえ?あ。え。あぁ。はい。いってらっしゃいです。」
どうしたんれしょうか。
-お風呂場まで見に行っちゃうんだ…
やっぱりえろいことしてるんれしょうかね。
-そうだよね。メイドさんだもんね。
------------
-コンコン
「ご主人様ーえろいことばっかしてちゃらめれすよー」
-ぶくぶくぶく
はっ。
-ざっぱーん
「げほっ。がほっ。ほっほ。ごほっごほっ。」
いかんいかん…眠ってしまった…死ぬところだった…
というかどれくらい水の中にいたんだろう。
「らいじょうぶれすか!?」
ドアが開け放たれる。
「あぁ、だいじょうぶだいじょうぶ。」
なんか知らないけど生きてる。
-ごほっ。ごほっ。
「ちょっと寝ちゃってただけだから。」
「もう、気をつけてくらさい。死ぬれすよ。ロボットじゃないんれすから。」
「ごめんごめん。ちょっと油断してた。ははは。疲れてるのかな。」
「もうあがってくらさい。あぶないのれ。」
「りょーかい。」
-すーすー
「あ、貴明くん。ながかったねー。」
「うん。まぁ、ちょっと寝ちゃってて。はは。」
湯船の中で。
-くかー
「そっかー。お疲れ様です。」
「いえいえこれしき。」
そこに、ソファーで眠る郁乃ちゃんが目に入った。
「おつかれさん」
-なでなで
「う…みゅう…」
「かわいいなぁ。寝てると。」
「起きててもかわいいよぅ。」
-なでなで
「ふ…ひゅーはー…たかあ・・き・・・」
「お。なんだなんだ。」
「た…かあーき…」
「そんなに大好きか。照れるなぁ。」
「た…かあき…ばーか。」
「…」
「…」
特にすることもないのでテレビを見ている。
「速いなぁ。」
「ねー。」
競泳が行われている。日本の選手がリードしているようだ。
「島国だからかな。」
「日本が速いのが?」
「うん。」
「そーだねー。」
……
…
「平和だなぁ。」
「何か起きないかなぁ。」
「…えっ?」
-がちゃ
「お風呂片付けてきたれすよー。」
「ご苦労様。」
「そろそろ11時れすよ。夜更かしは体によくないれす。」
人間は6〜10時間の睡眠が大体にとって必要なのだそうで。
「夜更かしに慣れたげんらい人の感覚で生活してたら、国に殺されるれすよ。
裕福れあるという幻想の、政府のせんれんにらまされてはいけないのれす。
ただのインフレで金があるように見えているらけなのれす!
らから、過労をあるがまま受け入れるべきれはないのれす!」
いや、まだ学生だし。というか思考がNEET化してるよシルファちゃん!
「そうだね。そろそろあたしも眠くなってきた…かな。」
まぁ、俺も眠い…風呂で寝てしまうほどに眠い…
「じゃあそろそろねよっか。」
支援
「えっと、じゃあ、郁乃ちゃんと愛佳は、俺の部屋のベット使ってよ。俺ソファーで寝るから。」
「だ、だめだよぉ。悪いよぉ。お邪魔してるのにそんなことしたら雷さんに起こられちゃうよ〜。」
なぜに雷さん?
「うーん。俺は別にどこでもいいんだけどなぁ…」
「らめれすご主人様。睡眠時無呼吸症候群とかになるれすよ。姿勢よくれきるような場所で寝るべきれす。」
「そんなこといったらシルファちゃんもだよ。もうちょっとやわらかいところで寝たほうが気分いいでしょ。」
「あー。もう何でもいいから電気消して静かにしてよ。」
「あ、起きてたの?郁乃。」
「そんな近くで騒がれたら誰でも起きるわよ。とりあえずここで寝るから静かにしてよね。」
「だめだって。話してても仕方ないからとりあえず郁乃ちゃん連れて行こう。」
「ってうぁっ。ちょ。なに。持ち上げるなぁ。」
「いいからいいから。」
…
-いいなぁ…貴明くんのお姫様抱っこ…
…
そして俺の部屋。
「ねぇ、貴明くん。」
「ん?」
「み、みんなで寝ちゃ…だめかな。」
だめだろう。
「いいんじゃないれすか。」
……
…
「どんなに考えても逃げ道はないれすよ?」
--
愛佳と向かい合うようにシルファちゃんが横になり、郁乃ちゃんがその間に入る。そして俺は愛佳の側から、
左腕を愛佳とベットの間から入れ、とりあえずベットに収まった。明日になったら、左腕の感覚がなくなってそうだ…
「…」
あれ、なんかさらに加重が…
--おしまい。
書き終わってから思い出した。シルファの私服の(パジャマとか)だそうと書く前は思ったのに、愛佳にお泊りセット持ってこさせてしまった。
どうしても短くしよう短くしようとしてしまう…きゃっきゃうふふは長ければ長いほうがいいのになぁ。
>>440 ひっかかってたわけじゃないけどありがとうなんだぜ。!
乙
正直な話、改行や字下げがないので読み辛いっす
>442
乙乙。別に気は使ってないよ。俺が読んでないのも事実だけど、
自分が好きでないタイプのSSだろうと投下は多いに越したことはないから歓迎
で、反応がなくて凹んでるかなと思ったので、攻殻ネタから離れてもいいかなと
文体とか、前フリ後書きを本文と同じレスに入れるのはわざとだと思うのでいいけど
…のとことか、場面の区切りを空白行で見やすくするのはオススメだぜ
それにしても、みんなでラブラブお泊まりというのは、やっぱり良いものだぜ
乙
結構こういうの好きかも
>>443-445 読んでくれてありがとう。
字下げいつも迷うんだよねぇ。行頭にスペース入れるのに抵抗があるのよ。
tabなら許せそうな気がしてくるのが謎。
空白行も、なぜか数バイトを惜しんでしまう。
読みにくい文章と読みにくい表現の仕方が相まって読む人の無駄な苦労を呼んでる感じですな。
空白も文章の情報だよということにして、入れる努力をしてみる。
草壁さんとのまったりとした老後を誰かえがいてください。
姫百合家の老後も捨てがたいものがあります。
何故に老後ww
普段は保管所しか見てないのだが
何故今回更新分で急に草壁さんが流行り出したんだw
そういう要求があったからですよ。
だから老後をかいt
じゃあこのみの老後の代わりに春夏さ(ここで映像は途切れている)
遅乙ながら書庫さん更新お疲れ様です。「菜々子Strike!3」は続きものじゃないカナ?ないカナ?
二回言うな、燃やすぞ!
これが、あの女のハウスね・・・・
これが、あの女のハウスね・・・・
・・・・捨てちゃえ。
「ぴぎゃーっ!ミルミルッ!!シルファのお家をろうするつもりれすかっ!!」
「はぁ!?何言ってんのよ?捨てるに決まってんじゃないこんな薄汚いダンボール。今日ゴミ収集日だしぃ。」
「いじめれす!暴挙れす!めいろろぼ保護条例違反れ提訴するのれすっ!」
「そうだよはるみちゃん。ヤドカリに貝殻が必需品なように、シルファちゃんにはダンボールが必需品なんだよ。」
「ご主人様、その例えはなんか癪にさわるのれす。」
「と、とにかく、それはシルファちゃんの大切な棲家だから。」
「・・・・だぁーってぇ、お姉ちゃんが、捨てちゃえって言うんだもん・・・・」
「えぇ!?」
「そうですよ貴明さん。なまじダンボールなんかがあるから、シルファちゃんは対人恐怖症が治らないんですよ。」
「―――うわっイルファさん!?びっくりした」
「シルファちゃん、昨日も、ちゃんとお買物出来なかったんでしょう?」
「・・・・うぅ・・・・れす・・・・。」
「シルファちゃんはダンボール依存症なんです。それを克服しないと、ずっと社会復帰できませんよ?」
「イルファさん、だからって、捨てちゃうなんて、そんな、乱暴な。」
「アル中患者さんがお酒を絶つのは基本ですよね?ダンボール中毒を治すには、ダンボールを絶つしかないんです。」
「う、海の向こうの国には、ダンボールを食べる風習があるらしいけど、そんな中毒があるのは初めて知ったよ。」
「―――とにかく、これは捨てませんと。さ、ミルファちゃん、さっさと畳んで捨ててらっしゃい。ダンボール生活者から、脱却するために。」
「らめぇ〜っ!!待つのれす!!」
「・・・・イルファさん、俺さ、イルファさんのストーカー癖や、電信柱依存症も、この際治すべきだと思うんだけど」
「・・・・えっ!?・・・・あら・・・・まぁまぁまぁ!?・・・・ここはどこ?私は誰?・・・・くんずほぐれつ、ずっこんばっこん!」
「あ、お姉ちゃんが壊れた(汗)」
「・・・・イルファさん、また変な妄想に耽るふりして、誤魔化してる」
ネタものでどうもすんません orz
4行で吹いた。
イルファさんの誤魔化しと、それに至る経緯をもう3分考えてみるとよかったかもしれない。
なんにしても和んだ。ありがとう。
>ダンボール中毒を治すには、ダンボールを絶つしかないんです
スネークに死ねと申すか
スネークはタバコとエロがあれば生きていけるだろ
スネークにはドラム缶もあるさ
「うぅっ…ふぅ…」
「朝か…」
あれ。もう9時だ。いつもならシルファちゃんが起こしにきてくれるのにな。
休みだから気を使ってくれたんだろうか。
そんなことを考えながら階段を下る。
「シルファちゃのはよー。」
そこには大きなドラム缶。
う?うー。うーん?まぁいいか。それよりも、シルファちゃんの姿が見えないのが気になる。
部屋を探してみてもいつものダンボールもないし…あれ。
テーブルの上にお皿と手紙が。
『朝ごはんです。ご主人様。』
買い物にでも行ったのかな。とりあえずいただこうかな。と、蓋を取ってみると、そこには何かカロリーメイト的な何かが。
いや、カロリーメイトだろうか。いやいや、何か経年変化してる気がする。30年くらい。
またなんか怒らせるようなことしたかな…とりあえず箱あけてみよっと。よいしょ。
「中身は食べられそうだ。箱はただの装飾かな。」
はもはも食べてると、のどが渇いたので水を汲もうと振り返ると、ドラム缶の位置が変わっている気がする。
あぁ、シルファちゃんここに隠れてるんだ。昨日ゲームしたからそれに感化されたのかな。
「あけるよー?」
「おはようございますご主人様。」
「うん。おはよう。スネーク。どうして君がここにいるんだい?」
「何、この変装がばれただと?完璧な行動と服装のはずなのに。くそっ、こうなったら消えてもう。」
-パーン
「うぅっ…ふぅ…」
「朝か…」
それにしても変な夢を見てしまった。ゲームのしすぎはよくないな。
そうそう。昨日つけっぱなしで寝ちゃったんだよな。記録記録…あれ。なんか変だな。キャラクターの服が派手なような…
髪も金髪だし、こんなのいたっけな…まぁいいや。記録して電源きって。と。
そこに、コンコンとドアが鳴らされる。
「あー。シルファちゃんおはよう。起きてるよー。」
「おはようございますご主人様。」
シルファらしさが全くないSSってある意味すごいな
>455>460
ネタ乙
>460のはあれか? 今後はゲームに閉じこめられたシルファの代わりに、
メイド服姿のソリッドスネークが貴明に御奉仕してくれるというオチか?
>>454 出だしからオチまで全部ツボですた。
こうゆう小品もなかなか味があっていいっすね。
次回作もお願いしまっす!
皆様乙乙であります!
久しぶりに覗いたら熱が上がってきた!
通勤時間使って郁乃専属メイドロボの続き頑張ってみます。
お題:君に会うまで本当の愛なんて知らなかったんだよ。
-フルハウスより
お題に対する返答じゃないけど投下
一応お約束
本SSは(あまり関係ありませんが)AD非準拠ですんでそこのところよろしく
朝。
目覚ましにたたき起こされて目を覚ます。
布団の上で上半身を起こしてしばらくぼうっとする。
カーテンの隙間から差し込む朝日がまぶしい。昨日の曇天はすっかり晴れたようで、
今日もまた暑くなりそうだ。
もう一度倒れこみたくなりそうな誘惑を振り切ってベッドを抜け出す。
なんだか猛烈に身体が重いし、首が痛い。昨日由真に顔を蹴られたせいかと一瞬思ったが、
首だけじゃなくて体中の節々が痛む事に気がついた。
まあ、あれか。昨日雨で濡れた身体で帰ってきて、由真に先にお風呂使わせて俺はしばらく待ってたし。
要は、馬鹿しか引かないという夏のアレだ。
そうとわかれば、とりあえずさっさと朝飯を食って薬飲んで、由真が来るまで少し寝る事にしよう。
重い身体を引きずってキッチンに行き、食パン1枚を牛乳で無理矢理流し込んだ。
そして、リビングにある薬箱の風邪薬を取りに行こうとした所で……意識が飛んで、俺は
そのまま気を失った。
◇
なんだかすごく気持ちがいい。
とても柔らかで暖かい何かに頭を乗せて俺は眠っていた。この感触にはなんだか覚えが
あるなぁ……それに石鹸のいい香りがしているし。
額にはひんやりとした何かが乗っていて、火照った身体に酷く心地よかった。
時折、別の冷たいものが顔を撫で回す。吹き出た汗がふき取られるとすっきりとして気持ちよかった。
ぼんやりとした意識の中でそれを味わった後、状況把握のために目を開いた。
目の前に天井と、そして少し心配げに覗き込む由真の顔が飛び込んできた。
「あ、起きた。」
「由真……一体どうやって家の中に入ったんだ。」
俺の記憶が正しいなら、昨日はきちんと戸締りして寝たし、まだドアの鍵は開けてなかったはずだから、
由真が入る事は出来ないはずだ。
だが由真はちょっと小馬鹿にしたように鼻で笑って答えた。
「あんたがどこに鍵隠してるかなんてもう知ってるわよ。いっつも出かけるときに隠してるとこ
見てるし。」
「ああ……そうか。そういやそうだな。」
「チャイム鳴らしても出ないからベランダのほうに回ったら、中であんたが倒れてるのが
見えたから鍵で入ったの。すごい熱出してるからびっくりしたわよ。」
そこまで言われて、そもそも倒れる事になった原因を思い出した。そういや、風邪っぽくて
クスリを飲もうとしてたんだっけ。でも倒れるほど熱が出てるとは思わなかった。
そしてそこまで考えて、やっと自分が今どんな状態なのかに思い至った。
自分は今、多分ソファで横になっている。そして由真の位置関係を考えるに、由真は自分の
膝枕に俺の頭を乗せて、濡れタオルで俺を介抱してくれていたらしい。
道理で感触に覚えがあるはずだ。
しかし、こういうときは余計に膝枕って心地いいものなんだなとおもった。
それに、看病してくれる誰かが居るってだけでずいぶん気分が違う。
「由真が看病してくれてたんだな……ありがとう。」
素直な気持ちで俺がお礼を言ったら、由真の顔がちょっと赤くなった。
「べ、別に……あんたが風邪引いたのは昨日濡れたせいだし、それに関してはあたしにも
責任あるし。」
「それでもお礼ぐらい言っても罰は当たらないだろ。」
「……なんか、あんたが素直すぎて気持ち悪いわ。」
由真は憎まれ口をたたいて、そして俺の頭に載っていた濡れタオルを外すとぺちぺちと
額をたたいた。
「それより、起きたんなら自分で歩いて部屋のベッドまで戻ってよね。2階のあんたの部屋までは
運べないからここで寝かしてたんだから。」
たしかに、パワフルとはいえ自分よりも大柄な俺を由真が担いで運ぶのは無理だろうな。
俺は、心地よい感触の由真の膝枕に未練を残しながらも起き上がった。
立ち上がって見ると、まだ熱が下がって無いせいか身体は重たいし節々が痛い。
しかも胃の辺りがむかむかする。
「あんた大丈夫? 病院に連れてってあげようか?」
「いや、寝てれば良くなると思うけど……うぷ。」
ふらつく身体を由真が支えてくれた。身体がふらふらするだけじゃなく、胃のムカつきも
さらに増してきた。朝飯、無理して食うんじゃなかったかも。
「あんた大丈夫? なんか顔が物凄く青いんだけど。」
「いや、ちょっと気持ち悪くて……うぷ。」
やば、止められん。
「ちょっと、大丈夫?」
うわ、何でそこで俺の前に、
「うえぇぇぇぇぇぇぇ!」
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!」
◇
由真の服は三度我が家の乾燥機の中で絶賛回転中。
そして由真はまたしても我が家常備のメイド服姿だ。
「いや……ほんとにごめん。」
「……」
由真は答えない。拗ねたような顔でそっぽを向いて、ベッドの横に座っている
「風邪治ったら、お詫びにどこか連れて行くから。」
「……」
「……どこがいい?」
「……………………す……水族館。」
「水族館?」
俺が聞き返すと、そっぽを向いたままの由真の顔がちょっとだけ赤くなった。
「す、水族館……ちゃんとエスコートしなさいよ。1日付き合ってもらうからねっ。
お昼とかも全部あんたの奢りで。」
「了解。風邪が治ったらつれてくよ。」
由真の顔がさらに赤くなった。
俺がクスリ、と笑うと由真は人差し指を突きつけてきっ、と俺を睨みつけた。
「べ、別にデートとかそんなんじゃないんだからねっ! 看病する報酬とか、さっきの
お詫びとか、そんな感じなんだからね! 変な誤解するんじゃないわよ!」
「はいはい。楽しみに待っててくれ。」
「べ、別に楽しみとかじゃないんだから! もうっ、薬も飲んだんだからさっさと寝なさいよっ。」
由真は真っ赤な顔のままそう言い捨てて部屋を出て行った。
……あれは口とは逆に結構楽しみにしてるんだろうな。
素直じゃないな由真は。まあ、それが可愛いところだし、一緒に居て面白いところなんだけど。
ま、なにはともあれ、風邪を治さなきゃ。
俺は水枕の位置を少し直して、目を閉じた。
目を閉じると、下から掃除機の音が聞こえてくる。
さっき吐いちゃった時に床を汚しちゃったから、ついでに由真が気を利かせて掃除して
くれてるのかな……。
そんな事を考えているうちに、薬のせいか、ほどなくして俺の意識は闇に呑まれていった。
◇
しばらくして目を覚ました。結構寝ていた気がする。
首を振って横を見ると、いつも二人で勉強するのに使っているガラステーブルに参考書や
問題集を並べて、その上で寝こけている由真の姿が目に入った。
由真の奴、寝てたら勉強にならないじゃないか……って、あれ?
「ん……んぁ、たかあき……おきたんだ。」
「由真……お前、メガネなんかかけてたんだな。」
「え? あ、ああっ!」
俺がめがねのことを指摘したら、寝ぼけ顔が瞬時にしゃっきりした。
そしてしばらくあたふたした後で、今更隠しても無駄と悟ったのか、ひとつ咳払いしてから
俺を睨みつけて答えた。
「べ、別にいいでしょ。あたしがメガネかけてちゃ悪いのっ!?」
「いや、今までうちに来たときに掛けてた事なんてなかったからさ。まあ、いいんじゃないの?
結構似合ってるし。それに……」
「それに?」
「まじめで賢そうに見えるし。」
「馬鹿扱いするな!」
由真はむっとした顔で俺を睨みつけた。別に馬鹿にしたつもりはなかったんだけどなぁ。
「馬鹿にして無いさ。なんとなく優等生っぽく見えるって話だよ。」
俺がそう弁解すると、由真はまじめな顔で聞いてきた。
「ねえ……ひとつ聞いてもいい?」
「なんだ……変な質問には答えないぞ。」
「たかあきはさ、大人しくて真面目で優等生な女の子の方が好き?たとえば……愛佳みたいな。」
「小牧さん? ……まあ、可愛いとは思うけど。」
でも俺が今一番気にしてる女の子は小牧さんじゃない。
だから、俺は答える。ちょっと遠まわしで、でもそれと判るように。
「俺は一緒に笑ったり、一緒に怒ったり……一緒に居て楽しい子がいいな。」
「えと……それって……」
俺の言わんとしてる事が判ったのか、由真の顔が赤くなる。
少しの間、俺と由真の間に沈黙の時間が流れた。
それは数分だったのか、数十分だったのか。耐え切れなくなったのは由真が先だった。
「そ、そういえばっ、あんたお腹空いたでしょ。おかゆ作ったから持って来る。」
そう言って、由真はばたばたと下に下りて行った。
しばらくして階段を登ってくる足音がしたかと思うと、小さな土鍋をお盆に載せて戻ってきた。
「ほ、ほらっ。冷めない内に食べちゃってよね。せっかく作ったんだから。」
「感謝してるよ。じゃ、頂きます。」
由真の差し出したお盆を受け取って上に乗っていた鍋の蓋を開けると、中身は一面黄色の
たまご粥だった。
れんげで掬ってふうふうと冷まして口に運ぶ。なかなか美味だ。
「うん、美味い。」
「当然よね。あたしが作ったんだし。」
調子が戻ってきたのか、いつもの由真らしい台詞が飛び出した。
そして、由真が偉そうに胸を張ったところで、きゅるるる、という音がお腹の辺りから
聞こえてきた。
「あれ、由真、お昼食ったんじゃなかったのか。」
「……忘れてた。」
由真はさっきとはうってかわってお腹を押さえてしょんぼりしている。
こういう感情表現の明暗がはっきりしているところも由真を見ていて楽しいところだ。
すると、いつの間にか由真は物欲しそうに俺のおかゆを見ていた。
「……由真も食うか?」
そう言って俺はれんげで掬ったおかゆを由真の顔の前に差し出した。
由真はれんげをまじまじと見た後で、咥えようと口を開きかけたところで、はっとなって
顔を真っ赤にした。
「なっ、なにやらせんのよ! そ、それってか、間接き、きききき」
「冗談だって。由真もなんかお昼作って食えばいいじゃないか。」
「あっ、あっ、あんたは〜〜〜〜〜!」
ぼかっ、めきっ。
「死ねっ! たかあきなんかいっぺん死ねばいいのよっ!」
そういい捨てて、由真はどすどすと床を踏み鳴らしながら部屋を出て行った。
……なにも、照れ隠しにぐーで殴る事無いじゃないか。
◇
「大分下がったけど、まだ熱っぽいわね。」
「朝よりは大分マシになったよ。まだちょっとふらふらしてるけど。」
昼メシを食った後で現状把握のために検温。
電子体温計の表示を二人で覗き込みながら、現状を確認した。
「まあ、この調子なら明日の朝までには治るんじゃないか?」
「酷かったらお医者さんに来てもらって、たかあきが太い注射打たれてひいひい言う所を
見てやろうと思ってたのに。つまんない。」
口を尖らせて言いながら、由真は俺に薬と水を差し出した。
「薬飲んで大人しく寝てなさい。帰るまでは面倒見てあげるから。」
「いつもすまないねぇ、かあさんや。」
「誰が母さんだっつーの! さっさと薬飲んで、それから上脱ぎなさいよ。」
「へ? 上?」
「背中雑巾掛けしてあげるから。 ほら、病人はさっさと言う事聞く!」
「へいへい。」
渡された薬を飲んでから上を脱いだ。
たしかに寝汗が酷くて気持ち悪いなとは思ってた所だから、素直に嬉しい。
上を脱いで由真のほうに背中を向けると、由真はいつの間にか持って来ていた濡れタオルで
背中を拭きはじめた。
「……」
「……」
黙々と背中を拭いていた由真がポツリとつぶやいた。
「……あんたの背中って、」
「?」
「……結構広いんだ。」
「そりゃ、まあ、由真よりはな……一応男だし。」
支援
昨日、神社で雨宿りしたときに俺が感じたのと正反対の感想に、半分共感を込めながら答えた。
だけど、由真の言葉には続きがあった。
「あんたってさ、男の子って言うよりヘタレの方が印象強かったから……なんかもやしっぽい
感じだと思ってたし。」
「おい……」
ひどいや……
「はい、背中終わり。こっち向きなさいよ。」
「いや、前はいいって。」
背中はともかく、流石に前まで拭いてもらうのは恥ずかしいので手ぬぐいを受け取ろうと
手を差し出した。
だが由真の奴は手ぬぐいを渡そうとはしなかった。
「今更何恥ずかしがってんのよ。あんたの上半身裸なんて昨日たっぷり見たんだから、
今更恥ずかしくも無いでしょ。」
「いや、それとこれとは別だろ。いいから手ぬぐいくれよ。」
「いいから、あたしが拭いてあげるから大人しくしなさい!」
「いいからよこせって!」
「あたしがやるってば!」
どういうわけか俺達の会話は罵り合いに発展、ベッドの上で手ぬぐいを巡る攻防戦の様相を
見せ始めた。
「このっ!」
「なんの!」
「いいからよこせって!」
「病人は大人しく言う事聞いてれば良いのよ!」
「身体拭く位自分で出来る!」
「往生際悪いわよって、あ、あわわわわ。」
「ちょ、ちょっとなんでそこで俺をつかむ。」
「「わわわっ!」」
支援
478 :
中の人:2008/09/03(水) 01:44:59 ID:5j4r3PN9O
さるさん中断です
しばらく間を置いて続き落とします
ぼふっ!
由真がバランスを崩して後ろに倒れかかったところで俺にしがみついてきたので、俺も
一緒にベッドの上に倒れこんでしまった。
「う……」
倒れこんだのがベッドの上でよかった。これなら下の由真も怪我はしてないだろうな、
と思いながら身体を起こすと、
「「あっ」」
俺と由真の声が重なる。
今の俺は由真の身体に覆い被さっていて、二人の顔すごく近い。
昨日、社で由真をかばったときと同じ体勢だったけれど、今の俺は半分裸で、由真は胸元が
大きく開いたミニスカメイド姿な訳で。
それに、俺を見上げる由真の顔が紅潮して、すごく色っぽく見えた。
「……由真。」
「な、なによ。」
「……キスしたい。」
無意識に口走ってから、俺ははっとなった。
瞬間的に物凄く充血したのがわかる位、滅茶苦茶顔が熱い。
おまけに視界がソフトフォーカスになって、頭がくらくらする……これは絶対、風邪の
せいだけじゃない。
由真の顔も、今まで見たことの無いぐらい赤くなっていた。突然の告白に動揺した由真が
どもりながら言い返す。
「な、ななな、なにいってんのよ。そ、そうよ、ど、どうせただの性欲なんでしょ。
あたしじゃなくたって女の子なら誰でも良いんでしょ。」
多分そのときの由真は動転して言ったんだろうけど、その台詞を聴いた瞬間無性に腹が立った。
思いもよらず出た言葉とはいえ、さっきのは俺の本心なのに。
俺は、俺の身体を押し返そうとしていた由真の腕を取って組み伏せる。
さらに由真の腰の上に馬乗りになり、身動きが取れないように押さえ込んだ。
それで身動きが取れなくなって、暴れていた由真は観念したのか大人しくなった。
「俺は、由真とキスしたいし、抱きたい。由真のことが好きだから。」
「……ほ、本気?」
「由真はどうなんだ?」
俺が問うと由真が黙り込んだ。その目には、不安と戸惑いの色が浮かんでいた。
「ど、どうしてあたしなの……たかあきはあたしがどんな家に住んでて、普段どんな生活してて、
本当はどんな人間なのかなんて知らないじゃないの。」
由真の問いに、俺は答える。答えは心から素直に湧き出てきた。
「由真がどんな女の子か、全部じゃないけど知ってる。おてんばで、負けず嫌いで、ドジで
素直じゃなくて、でも本当はお人よしで、女の子らしいかわいいところもあって……
おれはそんな由真が好きになったんだ。」
「……た、たかあき。」
ここまで言っても由真は答える事を躊躇していた。
業を煮やした俺はかまわず顔を寄せた。戸惑う由真の顔が迫る。
俺はかまわずに唇を重ねる。由真の唇はすごく柔らかくて、俺が熱っぽいせいか、少し
ひんやりしていた。
しばらく感触を味わった後で、唇を離した。
……由真の瞳がとろんとしてすごく艶っぽい。
それに刺激されて、俺はさらに深いキスをしたくなった。
もう一度唇を重ねて、今度は薄く開いた由真の唇に舌先を滑り込ませる。
一瞬、由真の身体がぴくりと震えた。
「ん……」
中に入るの拒むように由真の舌が俺の舌を押し返してくる。でもそれがぬめぬめとした
感触をもたらし、かえって俺は興奮する。
俺の身体に触れる柔らかい由真の身体の感触がたまらない。熱っぽい身体が、興奮して
さらに熱を帯びる。
唇を由真の首筋に這わせる。由真の身体が俺の唇の感触で跳ねた。
「あ、や、やだっ……」
由真を組み伏せたまま、俺の唇は鎖骨を経て由真の胸元まで滑り降りる。
丸く盛り上がった由真の胸の谷間の上辺辺りにキスをする。
同時に俺は右手でスカートから覗く由真の足をニーソックスの上からなで上げて、
スカートの中へと伸ばそうとした。
「だ、だめっ……明日……。お願い……今は……」
懇願するような由真のかすれた声に、俺ははっとなって由真の顔を見上げた。
俺を見下ろす潤んだ瞳を見た瞬間、俺は正気に戻った。熱で浮かされた頭が急速に冷えていく。
「ご、ごめん……」
しばらくして、俺はやっとのことで謝罪の言葉を搾り出して、組み伏せていた両手を離して
由真を解放した。
由真はベッドの上で起き上がると、うつむいたままで、乱れて下着が覗いてしまっていた
スカートの裾を直した。
そして、しばらくしてうつむいていた顔を上げて俺を見た。
その瞳には、怒りも恐れもなくて……ほっとした様な、そして何か小さな決意のような
ものが見えた。
「明日……きちんと話すから。あたしの事も、たかあきのことも。」
「……うん。」
「だから、少しだけ待って。」
「無理矢理キスして……ごめん。」
「……謝るな。」
由真は拗ねたようにそう言って俺の鼻先に人差し指を突きつけた。
「あたしも……べつに嫌じゃなかったし。」
「えっと……それって。」
由真の人差し指が俺の唇に降りてきて言葉をさえぎった。
「だから、明日。とにかく、今日は帰るまではきちんと看病してあげるから、明日までに
風邪治しなさいよね。」
それはとても綺麗な……今までで一番の笑顔だった。
◇
俺が次に目を覚ましたときにはとっくに日は暮れていて、すっかり夜になっていた。
時計を見ると夜の8時を回っている。
空腹を抱えて階下に降りても家の中は真っ暗で、誰も居なかった。
まあ、当たり前か。いくらなんでも由真がこんな時間まで待っててくれるはずも無いし。
とりあえず、何か適当に食べようかと思って冷蔵庫を開けみると、小さな土鍋がひとつ
入っていた。
鍋を取り出して蓋についていたメモを見る。
『一緒に入れてある出汁を入れて火にかけて、うどんが少し膨らんだら食べごろ!』
蓋を開けると、1人前の鍋焼きうどんの具材がセットされていた。
あいつ……
俺は一人でクスリと笑って、鍋に出汁を注いで火にかけた。
出来上がったうどんは、最近すっかり食べなれた由真の味だった。
でも、次の日、由真は姿を見せなかった。
そしてその次の日も……うちのチャイムが鳴らされる事はなかったんだ。
というわけで、エピソード4でした
前回エピソード3の次の日の話です
そして次回ラストエピソードへと続く予定
いちおう今回は〆へ向けての話でちょっとシリアス路線なんで
いまいちツマラン話(萌えとか足りない)になってしまったような
そして由真の誕生日には間に合わなかったね……無念
一番槍GJ!
てっきり風邪移されたオチでてっきり盛大にコケルのかと思いきやシリアス寄りとはwktk。
>484
いやいや萌えるぜGJ!
6/14とかもう、この期に及んでお前は何を言ってるんだと恋路痴漢、いや小一時間
連作シリーズで続くと思ってたら〆ちゃうのかあ
寂しいというか勿体ないというか、でもまずは頑張って〆てくらさい。wktkしてまっせ
力作が 投下されても レスふたつ
〜過疎〜
シリアス路線いいじゃまいか。
どんどん投下していただきたいものだ。
シリアスというのは真剣という意味であって、不幸とか虐待という意味ではないし、
まして俺設定やオリキャラ披露をメインとする路線を指す言葉ではまったくない
嫌われるのはシリアス一般じゃなくて、キャラ虐待と原作乖離だろ
もっとも、俺自身は別段その手のSSも否定しないが
シリアスとか不幸とかはとりあえず置いておいて
>>488氏
そこは本来連投規制の避難所だろ。そういう使い方を勧めるのはいかがなものか
そもそも488と489が同IDなあたり自演臭いんだが
反応しないで放置のほうがいいと思われ
493 :
488:2008/09/06(土) 13:54:10 ID:N0Kr0dekO
すまないが、489の時間帯は寝てたもんで489の書き込みは違う。
こんな事初めてだからちょっとびっくりだ。
僕もびっくりだぜ
どっちにしろ、余計なお世話だろう
496 :
489:2008/09/06(土) 18:20:43 ID:N0Kr0dekO
うわホントに同じIDだw
こういうコトもあるんだねえ。
コソコソ
んで、同じルータにぶら下がってた隣室の実は「妹」とかね。ホント大丈夫?
ミルファ「あたしが先にダウンロードしてたんだから、ひっきー妹は邪魔しないでよ」
シルファ「ミルミルのなんてロクなデータじゃないのれす。シルファのはご主人様のためなのれす」
イルファ「二人とも、回線の奪い合いで喧嘩なんてしないの」
貴明「べ、別回線くらい用意してあげたらいいんじゃない? っていうかナローバンド?」
珊瑚「経費節減やあ☆」
あ、SSじゃないので収録しないでね>書庫様
つまりそろそろイルファかシルファからの書き込みがあるわけですね。
「あーおわったおわった。テストも終わった成績も終わった。」
「そんなに悪かったのか。」
「お前はどうだったんだよ。」
「まぁ、そこそこだな。」
「あぁ?中間テストは俺と大差なかったろ。」
「努力だよ努力。」
シルファちゃんがあまりに暇だから、いつも勉強手伝ってもらってるうちに成績が上がった。
ということはとりあえず黙っておこう。
「お前もそろそろやる気出さないと進学とかやばいんじゃないのか。」
「あぁ、明日からがんばる。この精神を貫くことを俺は今決意した。」
「つまり明日になっても明日からがんばるわけか。」
と、そこへ青色の髪の白パンツが。
「ふっふっふ。相変わらず低レベルな会話ね。これを見なさいっ!」
突き出される胸と成績表を覗き込む雄二。
「うっは。くっそー。つんでれに負けた…」
そして頭を抱え込む。
「っふ。あんたは声もでないようね。河野貴明。」
その成績は、順位でいうと中の中程度のものだった。
こいつはなんと言うかいつも道理タイミングが悪い。
残念ながらこちらは上位20位に届かない程度だ。
雄二が騒いでる時に来て、こっちの成績を把握していたらこんなことにはならなかったのに。
「そいつ、中の上だぞ…」
「えっ。うそ。」
奪う。
「…」
見る。
「…。」
絶句する。
「こ、これで勝ったと思うなよー。」
泣き叫び、そして走り出す。
「そんなことよりさ。海行こうぜ海。」
「いきなり現実逃避か。」
「逃避っていうのはな、ダメージの回避なんだ。大切なんだぞ。
それにこの暑さ。あからさまに海が呼んでる感じがするじゃねぇか。」
「あぁ。確かに暑いな。」
「だろ?じゃあ決まりだ。タオル忘れんなよ。」
「って、今からか?」
「午後丸々あいてるだろ。なんか用事あるのか。」
「ないけど…じゃあこのみとタマ姉も連れて行くか。」
「おう。ちび助は多分俺んちに姉貴と遊びに来てるから、駅で待っててくれ。連れてく。」
学年が違うから、長期休み前のスケジュールも少し違うらしく、2人とも今日は学校に来ていない。
「わかった。」
数十分後の駅。
「タカくん遅いねー。」
「どうしたんだろうな。」
雄二が携帯を取り出し、確認してみると、受信を知らせるLEDが点灯している。
「あ。メール着てた。」
『悪い。別経路で後で合流するから先行っててくれ。』
「だってさ。」
「どうしたのかしら。」
「別経路ってなんだろね。」
「まぁ、ここにいても仕方なさそうだから、タカ坊の言うとおり、先に行ってましょうか。」
「だな。」
「うーん。」
「あれ、あの子は…」
-----------------------
少し前の、貴明周辺。
「もう。今日はみんなで海に行くって言ってたじゃないですか。」
「ごめんごめん。学校終わってちょっとボーっとしてたからさ。」
「お詫びのちゅーを要求します。」
「えぇっ。」
お少し弱りながらも、貴明は周囲を確認して、
「それで許してもらえるのなら…」
と、イルファの頬にキスをする。そこへ声が介入してきた。
「ちょっと!なにやってるの姉さん!」
「ちゅーです。ほっぺたですけど。ちなみにやってるのは貴明さんです。」
「姉さんがやらせてるんでしょ。も〜ぅ。
家でダーリンを待ってる予定だったでしょ。
学校にみんなで迎えに行くと、周りに迷惑だって提案したのは姉さんでしょ。」
「うーん。データソースの誤積載でしょうか。記憶にございません。」
「あからさまな嘘つかない。」
「知らない間に…立派になって…よく見破りました。そのとおり。嘘です。嘘でした。」
「…」
なんか…最近イルファさんが変になってきている。そう貴明は思った。
「でも、貴明さん忘れてたんですよ。私がいなかったらどうなっていたかわかりませんよ。」
「えぇ〜!ダーリン忘れてたの?ひ〜ど〜ぃ〜」
「……ごめんなさい。」
「あれ、でもダーリンの家にシルファいるよね。」
「何をいまさら言ってるんですかミルファちゃん。」
「「……」」
ミルファと貴明は声を失った。こいつは某廃墟のプラネタリウムの中の人以上に壊れているのではないか。と。
「おかえりなさいれす。」
「ただいま。」
「こんにちはシルファちゃん。」
「迎えに来たよ〜」
シルファはすでに荷物をまとめ終え、玄関でスニーキングの訓練をしていた。
「何でイルイルとミルミルがいるんれすか。そんなに荷物ないれすよ。」
「あぁ。ちょっとそこで偶然会ってね。」
面倒なので嘘のない主観をとりあえず伝えて、
その質問をごまかすように、用意された荷物を確認し始める貴明。
「水着にタオルに…あれ?シルファちゃんの水着は?」
「もう着てるれすよ。」
ほら。と、スカートをめくる。
「わかったから目くり上げないで精神衛生上よくないから。」
「わくどきですね。シルファちゃん。」
「べ、別に早く泳ぎたいとかじゃなくてこっちのほうがスムーズに事が運ぶからららもん。」
「スムーズに事を運んで早く泳ぎたいんですよね?つんでれにでてますよ。ついでにらが多いですよ。」
「うぅ…」
「あーシルファ。下着とかもって行くの忘れないようにね。」
「おぽんちミルミルに言われなくてもわかってるれす。」
「うん。入ってたよシルファちゃんのパンツ。」
-にぎにぎ
パンツは、河野家の玄関で、そこの主により高く、高く掲げられた。
-にぎにぎ
高く、高く…
時間は進んで、駅。
「あの子たち、たしかタカ坊のクラスの…」
「あー。いいんちょと、隣のクラスのゆまだな。」
「高坂くん。」「げ。みつかった。」
「二人もどっかいくのか。」
「えぇ。海水浴に。」
「へー偶然だな。」
「あれ、河野貴明はどうしたのよ。」
「別ルートで来るんだとさ。って言うかなんで貴明が来るのしってんだ?」
「えっ。…えっと…だだって、いつもそのグループじゃない。そ、そうよ。気づかないほうが変よ。」
「で、なんだ。また勝負のかしでもあるのか。」
そこでなぜか、愛佳が微笑む。
「な、なによその目はぁ!大体、愛佳が誘ったんじゃない。」
「ふふふふ…」
墓穴掘ってますよ的な愛佳の笑い。
「あぁ?」
「んー?」
理解が進まない雄二とこのみ。
「…。」
少し困ったようなタマ姉。
「だからその目をやめろー」
「…うむむ。生徒会メンバーが集まっているようだがたかりゃんがまだ来ていないようだ。
にもかかわらずもう電車に乗り込もうとしている。これをどう思うさーりゃん。」
「河野さんだけ用事ができたのかしら。」
「希望を捨てるでないさーりゃん。とにかくつけるぞ。」
「いいのかしら…」
言いながら、無駄に目立つあからさまな忍び足で生徒会役員の後をつける生徒会長コンビであった。
貴明周辺。
「あ、雄二に連絡しとかないとな。そういや、どうやって行くの?海。」
「車をお借りして珊瑚様のマンションに用意しております。
研究所の物なのですが、これは搭乗者と歩行者の安全を考慮して、
車体の強度・剛性、バンパーの変形マージンの確保に重点を置いた特別仕様車で、
重量は大きくなってしまっていますが、高出力エンジンによってパワーウエイトレシオ5.0を下回っている、とっても環境に悪い車なんですよ。」
「通販の宣伝みたいだね…って言うかレースじゃないんだからパワーそんなにいらないんじゃ。」
そんなイルファの車自慢に相槌を打ちながら雄二への連絡を、
『悪い。別経路で後で合流するから先行っててくれ。』と入れ、ほどなくしてマンションへ到着。
「あーたかあきやー。る〜☆」
「やっときたか。もう1時過ぎてるで。」
ということで、早速、大きな”特別仕様”に乗り込む姫百合連合。
「あれ。シルファちゃんが運転するの?」
シルファが運転席に乗り込んでいく。
「えぇ。私は大切な任務がありますので。」
「なんか瑠璃ちゃんが突然震えだしたけど…」
「きっと気体に胸が膨らんで仕方がないんだと思います。」「そんなやつおるかー!」
「ささ、車内では私が事故からお守りいたしますので。」
そのときの瑠璃の目は、売られていくヤギが酪農夫を見つめるように、貴明を見つめていた。
そう。これから何が起こるか、悟っているヤギの…。
「じゃあミルファちゃんは珊瑚ちゃんを守ってあげてよ。俺は助手席に座るからさ。」
「えー。ダーリンもうしろのろうよー」
「いや、後ろに乗ると瑠璃ちゃんとイルファさんから飛んでくるいろんなもので大変になりそうだからさ。」
そういいながら二人を後ろへ乗せてドアを閉め、助手席に乗り込む。
「つけられてるれす…」
「え?」
「あの車、ご主人様の家にシルファたちがいたときも止まってたれす。」
「そうなの?」
「はい。きっと悪の秘密結社的な何からと思うのれす。」
軽は坂に止まっていて、光が全反射する位置に、軽の窓ガラスと太陽があるので、運転席の様子は見えない。
「いやいやいや、だって見た目お金がない感じのごく普通の軽自動車だよ?」
よく見てみると、中で手を掲げているように見えなくもない。
「そうやって油断を誘ってるんれすよ。シルファは騙されないれすよ…
ご主人様が学校に行っている間暇で暇で仕方がなかった時にニュルで鍛えたこの腕をなめるなれす…」
「え、いや、ちょ。」
イルファの宣伝文句は伊達ではなかった。
恐ろしいほどの加速度が、特別仕様と、その搭乗者に降りかかる。
「イルファさん!止めてあげて!」
聞いていない。珊瑚ちゃんは状況を楽しんでいるし、
ミルファちゃんに頼むと逆に危なそうだし、瑠璃ちゃんはいろんな意味ですでに危ないことになっている。
「左曲がるれすよ!」
貴明は、あの時なぜヤギを助けなかったのか、そんな無意味な後悔をしてみるが、やはり無意味であった。
「えぇっわ、うおぉおっおおおおお」
貴明の喘ぎ声と、瑠璃の悲鳴を引いて、特別仕様は疾走する。
>>507 もう少しシルファ語(ダ行・漢字内の含む)に注意した方がいいよ
あと高坂とかの誤字も
つか、こんなにキャラ出してまとまるの?
いつもの無題の人みたいだから纏める気はないんだろう
でもこの表題の書き方だと書庫さんが悩みそうだなw
非常に続きが楽しみではあるので頑張ってほしい
俺も楽しみ
待ってるときって楽しいよね。
名前欄にコメントを書いたからばれたのかな。次からはもっとコソコソしてみよう。
こういうのは先入観がないほうがかまってもらえるしね。
シルファ語難しい。
誤字とは別に、バグのないプログラムを書くような難しさがある。
とくに「で」とかは書いてしまう。自分がしゃべるときそこにアクセントがあるからかな…
あと、漢字の中のやつは、意味がわかりにくくなるのとテンポがなんか気持ち悪いから特に注意を向けてなかったり。
まぁ、ぼちぼちいきます。
514 :
責任とってね:2008/09/07(日) 17:46:48 ID:m31F9NIA0
「えっ・・・・記憶が・・・・ない・・・・!?」
「そうなんです。ここ半年ばかりの記憶が・・・・貴明さんと最初に会った頃とかも・・・・すみません。」
クッションカバーを抱えたまま、敵意と蔑みを込めた眼差しを貴明に向けるミルファ。
「そうなんだ・・・・でも、こうなっちゃのも、俺が悪いんだ。俺、頑張って、彼女にもう一度振り向いて貰えるようにするよ。」
「お願いします、貴明さん。」
そして、1週間程、経過。
「う〜ん、取り付く島もありませんね・・・・もうすっかり、貴明さんは、女の子にもてなくてメイドロボに手を出した、社会
不適合者と認識されてしまってるようです。」
「ダメかぁ・・・・ヘタレな俺の力じゃ、こんなもんか・・・・しくしくしく。」
傍らでじっと考え込んでいた瑠璃だったが、やがて、ポンと手を打った。
「そや、うちにいい考えがある。さんちゃん、イルファ、何か口実つけて、ミルファの知覚、クマ吉に繋げといてや。」
「ん〜?どうするん、瑠璃ちゃん?」
そして、数日後・・・・。
「すごいね瑠璃ちゃん。ミルファちゃん、もうすっかり、俺にベタベタなんだけど・・・・。」
「ふふん、やっぱりや。思った通りやったわ。」
「えぇ?どういう事ですか、瑠璃様?」
「人が何かに入れ込むんは、せいぜいが思い込みか勘違いが契機なんやって、ものの本に載ってたんよ。あの子の
だいこんいんげんあきてんじゃーの場合、クマ吉の状態で無理矢理、お股覗かれる事がキーになってやったんやな。」
「それでクマ吉に戻して、また俺に股開かせたのか・・・・」
「わぁ〜瑠璃ちゃん、意外と科学的やぁ〜♪」
「こないだ見たTVアニメの再放送見て閃いたんやけどな。宇宙人の鬼の女の子の角掴んだら、プロポーズと勘違い
されて、押しかけ女房になってきて追っかけ廻される話。」
「何ですかそれは!?」
「ダ〜リ〜ンッ!さぁ一緒に学校行くっちゃ!うちのお股覗いたんだから、責任取るっちゃっ!」
「あのさ、ミルファちゃんって、関西弁だったっけ?おまけに変な語尾まで・・・・」
「さぁ?瑠璃様珊瑚様の関西弁が、伝染ったんじゃないでしょうか?」
「ダーリンッ!ウチの弁当食べられないんなら、電撃だっちゃっ!!」
ベタですんません orz
これまた懐かしいw
落とすほうとそのレスでスレの年齢層が判る作品やねw
懐かしいネタだなw
いいと思うよ俺は
まだ読んでいないが目に入った最後の一行だけで元ネタはわかったw
シルファ語って、テキストエディタか何かで置き換えればなんとかなるもの・・・だったら苦労しませんか。
キーボードからDを取ってしまえばミスは少なくなるぜ
522 :
514:2008/09/08(月) 17:34:03 ID:BQQLIMcL0
レスありがとうございます。
読み直したら、間違いがいっぱい orz
4行目 ×こうなっちゃのも→○こうなっちゃったのも
18行目 ×キーになってやったんやな→○キーになってたんやな
読みにくくてすんません orz
dのないSS。誰か挑戦しませんか。
524 :
名無しさんだよもん:2008/09/14(日) 13:37:30 ID:ffwMmk1C0
過疎だからあげてみる。
午後1時のニュースです。
午前中召集された臨時国会におきまして、先に民進党総裁に選ばれていた、向坂 環氏の首班指名が行われ、向坂内閣が
発足いたしました。
向坂首相は、先の民進党総裁選において掲げていた政策の幾つかに、直ちに着手する事を表明し、その一つ、ロボット法の
改正に向けまして、ロボット研究の世界的権威、姫百合珊瑚博士を科学技術省長官としてこの度の内閣に迎え入れています。
次は経済面のニュースです。
ロボットと家電販売の大手、来栖川エレクトロニクスの藤田浩之代表CEOが、この度発足した向坂内閣のロボット法改正の動き
に合わせ、これまで同社が販売してきたロボットに搭載されているプログラム、『ダイナミック・インテリジェンス・アーキテクチャー』
を、改正ロボット法に対応したプログラムにするための追加パッチを、ロボット法改正後に配布すると、発表いたしました。
『ダイナミック・インテリジェンス・アーキテクチャー』は、今回科学技術省長官に就任した姫百合珊瑚博士が開発した、ロボットの
思考に関するプログラムで、今日稼動しているロボットの頭脳回路の大半がこのプログラムに準拠しており・・・
「―――という夢をみたでありますよ、隊長!」
「・・・うわっ、内閣総理大臣、『向坂 環』、か。それはマジで将来実現しそうで怖いな・・・。」
「―――ちょっと、このみ、もう時事ネタに影響されちゃったわけ?・・・・それに、タカ坊、怖いって、何よ・・・・?」
「い、いやっ、その・・・でも、タマ姉なら、なれるよ、総理大臣にだって・・・」
「タカ坊ねぇ・・・・」
「ねぇねぇ、改正ロボット法って、ロボットと人が、正式に結婚出来る法律だよね!?でもそんなのなくても、あたしとダーリンは、
もう既に夫婦だしぃ〜♪」
「ちょっちょっと!はるみちゃん!ぐぼぉっ!」
「ミルミルッ!勝手に夫婦になるなれすっ!・・・れも、ロボットの法律って、あったのれすか・・・?」
「・・・向坂環内閣、か。そうかぁ、チビすけの夢って、結構当たるからな。世界を恐怖に陥れる、女帝のファッショ政権が、将来
誕生するわけか・・・南無・・・」
「・・・雄二ぃ、何か、言った・・・!?」
「―――ぐわぁ〜〜〜っ!!姉貴っ!割れる割れる割れるぅ〜〜っっ!!」
>>525さん乙です
ひさびさに楽しませてもらいました
527 :
525:2008/09/14(日) 22:04:12 ID:JWKDDOjk0
時事ネタからの思いつきを。
ちょっと夢のあるお話をと思いまして。
環「あなたとは違うんです」
私は自分自身は客観的に見ることができるんです。
「メイドロボフェチの皆さん!キャラが立ち過ぎて党にはあまりウケが良くない、向坂環ですっ!
―――って、雄二っ!何よっ!この演説の草案はっ!!」
雄二が議員になった方が面白い事になりそうだ
能力はあっても失言を叩かれて失脚しそうだな<雄二
”向坂議員 メイドロボ人権法案を提出!”
”メイドロボ人権法案 今秋臨時国会にて法案通過見通し”
そんな文字の躍る新聞に目を通しながら国会議員向坂雄二はニヤニヤと笑った。
「ふっふっふっ、これでメイドロボをヨメにするという俺の野望がかなうってもんだ。」
事務所内で秘書として働いているイルファ、ミルファ、シルファのメイドロボ3姉妹を見ながら夢を膨らませる。
「あら、雄二様。私達をお嫁さんに貰ってくださるのは嬉しいのですが……」
そう言いながら、イルファはふぅ、とひとつため息をついた。
「日本の法律では一夫一妻ですので……私達の誰かと、という事になってしまうのですが。」
「え〜、ダーリンはあたしと結婚するんだよね!」
「ご主人様はシルファと結婚するのれす!」
「あっはっはっ、こらこら、3人ともそんな喧嘩するなって、あっ、キスされるとくすぐったいって。」
「ユウ君、気絶したまま笑ってるよ。」
環のアイアンクローを食らって気絶している雄二の頬をこのみがつんつんしてみたが、
へらへらしたいやらしい笑いが返ってきただけだった。
「ちょっと強く握りすぎたのかしら。」
「いや、きっと気絶して雄二の中の幸せ回路が全力運転してるだけだと思う。」
「ん〜、そうね。じゃ、邪魔者も消えたことだし、3人でデートしましょ。ほらほら。」
そう言いながら、環は貴明の手を引っ張って走り出す。
「ああっ、タカ君! タマお姉ちゃんまってよ〜!」
このみもまた二人を追って走り出した。
そして、後には幸せ回路全開で地面に横たわる雄二だけが残された。
ちなみに……訪れかけていた秋風は冷たかった。
「ぶえっくし! ……暖めてくれるって? そんな、あん♪」
構想30秒 執筆5分
お粗末さまでした
乙乙
この流れはそろそろ中編物とか、長編の続き物が投下される流れ・・・!!
書いてるけどまだ無理ポ
>>532は現実逃避に書いたのよw
本作品は、厳密にはTH2のSSとは言えないかもしれません。
なにせTH2のキャラクターが一人も出てきません。
オリジナルのメイドロボとそのマスターを主人公にしたSSです。
似ているキャラはいるかもしれませんが、同名の別人?です。
まぁ、そんなでもよろしい方は読んでみてください。
そういうのを受け付けない方はスルーしてください。
では、投下します。
国道を右折して4ブロック。県道沿いのコンビニのある十字路を直進する。
踏み切りの手前で左に曲がり、線路に沿って100mほど進むとコンクリート造りのガレージばかり
がやたら立派な古いアパートがある。そこが、十数年来の俺の部屋だ。
貨物列車を含めて一時間に4〜5回しか列車が走らないローカル線沿いでも線路脇は線路脇である。
ガレージがあるのにそこそこ安い家賃なのでどうにも出る気が起きない。
間取りも悪くない。六畳の居間に四畳半の寝室、狭いが一応台所と風呂もある。作りがボロいのは洒
落のようなものだ。むしろいい加減愛着がわいていると言っても良い。
無造作にガレージへ車を停め、部屋へと上がる。もう何年も繰り返してきた行動だ。
いい加減暑かった夏も終わり、外付けの鉄階段を登りながら眺める景色はいつのまにか夕闇に包まれ
るようになってきた。頬を撫でる風もこの時間になると随分冷たさを含んでいる気がする。
こうなるとこの地方の冬が来るのはあっという間だ。遠からず雪も降り始めるだろう。
憂鬱な季節の訪れを予感してつい溜め息を漏らしながら、俺は部屋の扉を開ける。
「おかえりなさいなのれす、ご主人様」
今日も、上がり框のすぐ脇の台所に彼女はいた。
夕飯の用意でもしていたのだろうか、おたまを持ったまま仁王立ちになっている。
「ただいま、シルファ」
「……今日も汗臭いのれす。早くお風呂に入りやがれ、なのれす」
金髪の三つ編みを揺らしながら、我が家のメイドロボさんはぷいっとそっぽを向いた。
『四畳半のシルファ〜メイドロボの居る生活〜』
「作業着はすぐに脱いれくらさいね、ご主人様。お茶の間がおっさん臭くなったら居心地悪くてたまら
ないれすから。それになんらか油臭いれすよ?」
我が家のもう一人の住人、メイドロボのシルファがむんずと俺の作業着の裾を捕まえてきた。
……ぞんざいに服にかけている手の力強さとは裏腹に、どことなく頬が赤い。
「そりゃまぁ、今日は合材敷いたからねぇ」
まったく、舗装の技術屋に油臭くなるなというのも無茶な話である。
舗装屋にとって「炎熱」と「汗」と「油の臭い」は実にお馴染みのものなのだから。
まぁ、言わずとも彼女も本当はわかっているのだろうが。
三つ編み金髪の彼女、シルファの正式名称は『HM−18d』。
来栖川エレクトロニクス製のメイドロボ、『HM−18』に非フレーム型OS『TA−3』を搭載し
た量産型DIAだ。もちろん、件の非売品?である。
何故一般ユーザーには販売されていないはずの彼女がただの土建屋の俺のところに居るかは……まぁ、
長い話なので置いておくとしよう。
特に来栖川関係に知り合いもいないし、本当にちょっとしたきっかけがあっただけなのだが……。
ちなみに、このメイドロボらしからぬ変な言葉遣いはもちろん関係があったりする。
「なら尚更早く脱ぐれす。そしてさっさとお風呂に入ってくらさい」
「わかったわかった。今脱ぐから」
「ぴ、ぴひゃっ!? な、なんれここれいきなり脱ぐれすか!! きっといやがらせれす!! めいろ
ろぼ虐待れす!! せくはられす!!」
にやにやしながらベルトのバックルを外そうとすると、シルファは真っ赤になってジタバタしている。
相変わらずシルファは可愛い。
ロクに買い物もいけないくせに、俺にはこうやって強がって見せる。
初めて出会った頃の彼女からは想像も出来ない姿だ。
「わがままだなぁ、シルファは」
「ご、ご主人様にれリカシーがないらけれすっ! そ、そんならから34にもなって奥さんはおろか、
彼女の一人もいないんれすよっ!」
「……ああ、確かにそうだな」
まぁ、確かに俺がガサツ過ぎたんだろうなぁ……。
ほんの数年前、『彼女』とのコトを思い返すとやはりそう思える。
洗面所の鏡に映る俺は、あの頃よりも少しくたびれた顔で、少し自嘲気味に笑っていた。
◇ ◇ ◇ ◇
少しブルーな気分で浴室に入った俺だったが、根が単純なせいか、それとももう時薬も十分に効いて
いるためか、風呂につかっている内にすっかり気分が良くなってきた。
……もしかしたら気持ちぬるめのお湯にサッパリ系の入浴剤が入っていたからかもしれないが。
何の事はない、シルファは今日が舗装のある日だと知っていたんだろう。可愛いヤツだ。
『ろ、ろうれすか、お湯加減は』
「ああ、いい塩梅だよ。一日の疲れが取れるようだ」
いつもと違う加減にしたのが気になったのか、それとも褒めて欲しいのか、どうやら脱衣所まで様子
を見に来たらしい。
しみじみと正直な感想を述べたつもりだったのだが、
『な、なんらかその言い方、おっさんくさいれすよ?』
何故かシルファにはあきれられてしまった。
しかしまあ、本当の事なので何を言うでもなくゆっくりとお湯を楽しんでいたのだが、シルファは一
向に居間に戻ろうとしない。しばらく様子を伺っていると、
『明日は土(ろ)曜日れすけろ……お仕事、あるんれすか?』
おそるおそるといった風にようやく口を開いてくれた。
なるほど。なにかもじもじしていると思ったらそれが聞きたかったのか。
「一応、現場に行ってやらなきゃならない事はある」
『そうれすか……』
あああ、なんだか目に見えて肩を落としちゃったよ。
「うん。月曜日の朝一で区画線の立会いがあるから、簡単なマーキングしておかなきゃならないんだ」
そう。作業員を呼ぶのが勿体無い様な、本当にちょっとした仕事。
「でも手元をやる作業員呼ぶの忘れたから、シルファが手伝ってくれると助かるんだけどなぁ。半日く
らいで終わるんだけど」
すると、スリガラスの向こうの影は急にぴょんと背筋が伸びる。
なんというか、現金なものだ。
……それでもやはり彼女には彼女なりの矜持があるのか、
『シ、シルファも忙しいんれすが、ご主人様のご命令とあらば、仕方がありませんね。段取り(らんろ
り)の悪いろじっこご主人様のお仕事をフォローするのもめいろろぼの務めれす』
出てくるのは憎まれ口だった。
◇ ◇ ◇ ◇
風呂から上がると、シルファは俺から視線を逸らしながら台所をうろうろしていた。
控えめに言っても挙動不審だが、しかしまぁ、仕事帰りで風呂上りの大切な儀式が済んでいない。
「上がったよ〜〜……っと、ビールビール」
もはや儀式というより神聖な義務を果たすべく、いそいそと冷蔵庫に取り付いた俺だったが、
ばたん!
そこにいきなり金色のおさげが割り込んできて、折角開けた冷蔵庫の扉を閉めてしまった。
「なんだよう〜〜、仕事明けのおっさんの唯一の楽しみをとるなよう〜〜」
口を尖らせてそう主張してみたが、彼女は聞く耳を持たない。
……どうやらシルファは俺の背をぐいぐい押して、居間に連れて行こうとしているようだ。
「なに? ゴキブリでも出た?」
「そ、その名を口にしたら呪われるれすっ! それにそんなコトじゃないれすよ。とにかく、居間に急
ぐれす。麦ジュースなら後れ飲ませてあげますから」
どうも要領を得ないが、僅か数歩で辿り着く居間に行く程度の回り道はどうせ大した事ではない。
きっとなにか新しいメニューでも作ったんだろうが……
とか思いつつ暖簾をくぐると。
……おいおい。飯も食わないうちから何の新技ですか?
俺はつい心の中で突っ込みを入れていた。だがそれはそうだろう? 居間にはいきなりマットが敷い
てあったのだから。
「な、なにか勘違いしてないれすか? 微妙にえろい顔になってるれすよ?」
俺の内心を察したのか? それとも俺の思考は顔に出やすいのか?
どうも俺が考えた事は『勘違い』らしい。ではなんなのだろう?
「いやー、風呂上りに布団が敷いてあったら普通そういうことを考えるんじゃないか?」
しかし大人しく引き下がるのもつまらない。
俺はにやにやしながらそう追及してみた。案の定シルファは真っ赤になって反論してくる。
「うきゅぅ〜〜! すけべ! ヘンタイ! えろえろおやじ! シルファがそんなコト言いらすわけな
いじゃないれすか!」
「いや別にしたいならしたいと言って貰えれば……」
「違うのれすシルファからなんて誘えないのれすらいいちまら明るい内からするとかヘンタイとしか思
えないというか少なくともシルファからお願いするとか絶対にありえないのれすっ!」
きっともう何を言っているか自分でもわかっていないんだろうなぁ。
というか俺にももはやシルファが何を言いたいのかさっぱりわからない(苦笑)
だがまぁ、この風景と過去の会話の内容からシルファがやりたい事は推測出来ないでもない。
「えっ? だからマッサージしてくれるんじゃないの?」
ぴきーん……
その瞬間。もしかしたらフリーズした?と疑いたくなるくらい見事にシルファは固まった。
さて、この後彼女はどう出るかな?
逆切れするか、何事もなかったようにスルーするか……
「そ、そうれすよ? もちろんじゃないれすか。 日頃肩がこった腰が痛いと愚痴を言うご主人様を見
るに付け、そのくらいはしてあげようと思うこのすばらしいめいろろぼ精神を褒め称え……」
おお、華麗?にスルーしたよ(笑)
なんというか、なかなか成長したものだ。
この家に来てすぐの頃は、ちょっと嫌な事や上手くいかない事があると逃げるかキレるかしか出来な
かったのに。もちろん逃げるところはないから、よく押入れに篭っていたのが懐かしい。
なかなか上手なシルファのマッサージを堪能しながら、俺はそんなコトをぼんやりと考えていた。
◇ ◇ ◇ ◇
「コーヒーれす、ご主人様。灰皿も取り替えておくれすね」
「ん、さんきゅ」
「まら、かかりそうなんれすか? 手伝える(てつらえる)事があるならシルファがやるれすよ?」
「写真のタイトル整理が終わったら頼むと思うけど、今はまだない。今日はもう寝てなよ」
「……そうれすか。わかりました。じゃあ、シルファはお風呂に入って寝るれす」
こころなしか、シルファの声が力をなくしたように感じる。
……いや、実際そうなのだろう。今の俺にそれを気遣う余裕がないだけだ。
どうやら……もうそろそろ11時の声が聞こえるようだ。
公共工事の仕事は、現場もそれなりに大変だが、とどのつまりは書類との戦いである。
毎日毎日、現場が終わってからアホのように様々なデータを整理して決められた書式にまとめ、アホ
のように大量の写真を分類して決められた書式にまとめ、アホのように種々の提出書類を決められた書
式に従って作成し……もちろんその他に現場を運行するための計画をたて、測量の数字を計算し、支払
い処理をし、といった中間管理職の仕事もある。
そのため死ぬほど残業(それも概ねサービス残業)が常態なのだが……まぁ、最近の俺は、というか
シルファを買ってからは仕事を持ち帰って家でやる事が多くなった。
技術屋の部下を置くほど大きな現場はまだ回ってこない、かといって誰かの部下に付くほど若くはな
い、一人で現場を回している今だからこそ出来る事なのだが、どうせほとんどがサービス残業なのだか
らこれくらいは構わないだろう。
店屋物を食い、一人悶々とタバコをふかしながら残業するよりは、可愛いメイドロボの手作り料理を
食べ、たまにちょっと手伝ってもらいながら仕事した方が万倍いいに決まっている。
最近はメイドロボの本領発揮なのか、かなりの有能事務員っぷりを見せてくれるのでかなりの戦力に
なるのだ。なにしろとにかく物覚えが良くてコンピューターを使うのが上手い。ルーチンワークに微妙
に弱い、というか面倒くさがるのはさすがDIAと言うべきなのか?
元々はシルファが寂しがる(無論彼女がそう言ったわけではないが、毎晩寂しいオーラが見え見えだ
ったのだ)から仕事を持ち帰っても早く帰宅するようになったのだが……今では俺がそうしたいからこ
うしてしまっている気がする。
仕方がないだろう? 灯りの点いている部屋というのはとても暖かいものなのだ。
シルファは口は悪いが、家事はもちろん上手だし、他の事も何くれとなく気を使ってくれているのが
よくわかる。今まで見た事のある、『比較的気配りの出来る人間の若い女性』の3倍は気配りが行き届
いている気がする。私見ではあるが、多分『有能な母親レベル』でなかろうか。
メイドロボがいればいれば一生独身でいいという人が増えている(特に男性に)らしいが、最近その
気持ちがよくわかるようになった。DIAが事実上発売出来なくなったのもむべなるかなである。
……何故なら、正直俺はシルファがいればもう恋なんてしなくていいし、結婚もしなくていい。
まぁ、シルファ本人にそんなコトを言えば調子に乗るに決まっているから絶対に言わないが。
きっと身に覚えのある人が多いと思うが、ぼんやりと考え事をしながらキーボードを叩いていると何
故かタバコの減りが早くなる。そのせいだろうか、気が付くと手元のラッキーストライクの箱は空にな
っていた。
……何という事だろう、積んでいた予備もないではないか。
ここで切り上げてもう寝てしまうか、それともひとっ走りコンビニまで行くか……明日寝起きの一服
が出来ないのはしんどいからちょっと買ってくるか……思い切って立ち上がろうとした時、
「……はいれす」
シルファが新しいカートンを渡してくれた。
……どうでもいいが、ただのラッキーストライクではなく、ライトである。
「ありがと、シルファ。買い物に行けたんだね、えらいえらい。でも一応言っておくけど、俺が吸って
るのは普通のラッキー……」
「わかってるれす!」
シルファの頭を撫でながら普通とライトの違いを説明しようとしたのだが、それを遮るように急にシ
ルファが声を上げた。いつもの逆切れ?とも少し違うようだ。
「わかってるれすよ……ご主人様の好きな銘柄れすから……。れも、れも、タバコは身体に(かららに)
良くないれすから、せめて、ライトに……」
……返事の代わりに、シルファの頭を更にわしわしと撫でてやった。
胸が一杯でどう答えていいかわからなかったと言うのもある。
きっと俺の頬は緩みっぱなしでいるだろう。
「怒って、ないのれすか? 勝手にライトを買ってきちゃって……」
返事代わりに黙って俺は一本を咥え、愛用のジッポを探す。
俺が見つけるより先にシルファが手に取り、火をつけてくれた。
とっくりと肺に吸い込み、紫煙を燻らしてみる。
うん。実に……
「味薄いな……」
「ご、ごめんなさいれす……」
俺の率直な感想を聞いてしゅんとする彼女に、俺は軽く首を振って見せた。
「俺の身体の事を考えてくれたんだろう? その為に頑張って慣れない買い物にも行ってくれた」
もう一度、思い切り煙を吸い込んでみる。
まぁ、味は悪くない。
これまではいつ肺ガンで死んでも構わないと思っていたが……。
「シルファを残して肺ガンになるわけにもいかないものな。これからもライトを買ってきてくれよ」
そういうと、シルファは照れくさそうに、顔を伏せた。
「あ、当たり前れす。ご主人様がガンになったりしたら……シルファは……」
ああ、そうだな。
「シルファは……ろうしたらいいか、きっとわからないれす」
認めよう。俺はもう、一人ではない。
一服しながらひとしきりシルファをなでくり回していたのだが……
「うきゅうぅぅ〜〜、折角お風呂上りなのに……」
いや、三つ編みを解いたシルファの髪がついつい心地よかったもんでなあ。
気が付くとシルファの金髪はすっかりわしゃわしゃになってしまっていた。
「つかさ、寝てもいいって言っただろ。俺もひと段落付いたら寝るから、好きにしていいんだぞ?」
しかしシルファはすぐに動こうとはしない。
なにか言いたそうな瞳で、俺のシャツの裾をつまんで離さないでいる。
「ん? どうした?」
夜食がいるほどの修羅場でもなし、コーヒーもタバコもあるし……なんだろう?
こういう時いつもなら邪魔しないように居間に布団を敷いて大人しく……ああ、そうか。
「今日は……ろっちに……」
今日は一応週末だから、か。
顔を真っ赤にして震えているシルファはやっぱりとても可愛くて。
「……そろそろ終わるから、四畳半の方に敷いたらいい。一緒に寝よう」
俺は今日の仕事はもう仕舞いにしようと決めた。
シルファはとたんに仏頂面になって、
「しょ、しょうがないれすね〜。今週末もデートの予定のひとつも入らない寂しい寂しいご主人様を、
シルファが仕方なく慰めてあげるれすよ」
顔や言葉とは裏腹に、元気良く四畳半に布団を敷きはじめた。
……仕事部屋兼寝室は2枚の布団を敷くといっぱいいっぱいになる。
布団を敷くとシルファはさっさと自分の布団にもぐりこんでしまった。相変わらずの照れ屋さんだ。
「シルファ、こっちにおいで」
「……もう、お仕事終わったんれすか?」
「ああ、可愛いシルファを見てたら仕事なんかしている場合じゃないだろ」
くすぐったそうに首をすくめるシルファを、俺は優しく抱き寄せた。
◇ ◇ ◇ ◇
国道を右折して4ブロック。県道沿いのコンビニのある十字路を直進する。
踏み切りの手前で左に曲がり、線路に沿って100mほど進むとコンクリート造りのガレージばかり
がやたら立派な古いアパートがある。そこが、俺たちの部屋だ。
いつも美味しい食事が待っていてくれる六畳の居間に、週末は暖かい褥になる四畳半の寝室、狭いが
一応台所と風呂もある。壁が薄いのは仕様のようなものだ。
無造作にガレージへ車を停め、部屋へと上がる。もう何年も繰り返してきた行動だ。
もう季節は秋、鍋の美味しい季節だ。
彼女がもう少し外出に慣れたら温泉などもいいだろう。
……ああ。やはり扉の向こうに人の気配を感じる。車の音を聞いてそこで待ち構えているのだろう。
薄く笑いながら、俺は部屋の扉を開ける。
「おかえりなさいなのれす、ご主人様」
今日も、上がり框のすぐ脇の台所にエプロン姿の彼女はいた。
いつものように、おたまを持ったままの仁王立ちで。
「ただいま、シルファ」
そんな、シルファのいる生活。
〜〜終〜〜
読ませてくれてありがとう。読みやすい文章だった。
ロボットと人の生活って見ると悲しくなるよね。
自分が登場人物なら、自分が死んだ後はどうでもいいという自己中心的な理論で幸せになれるんだけどね。
シルファ語減点1がありますな……気を付けたつもりだったんですが……orz
まぁ、そのうちまた続きを書かせてください。
続きというか、出会い編とかを書きたくなるかも。
すっごくキレイなお話ですね〜^^
思わずうるうるっとしちゃぃましたよぅp><q
続きがあるなら楽しみにしちゃいま〜す^^
本当にTH2のキャラだと思ってないならスレ違いだから二度と投下するな
と言いたい所だが実際にはそうじゃないでしょ? シルファと思って書いたでしょ?
だったら堂々と、「これが俺のシルファです」って言えよ
叩かれる叩かれないは関係なく、自分が書いたキャラには責任を持って欲しい
内容は、個人的には悪くないと思うよ。これが貴明のなれの果てなのか、
新たな御主人様か分からないけど、メイドロボに執着すればこういう人生もあるだろし
シルファは可愛いしちゃんとシルファに思えるよ
だからちゃんとTH2のSSとして、シルファのSSとして頑張ってみたらどうだい?
や、もしかしてシルファそのものじゃなくて、データ移植機体とかなんじゃないの?
それでも当然にTH2SSだろうし、むしろシルファSSと紹介しても問題ないと思うけどね
もしそうだとしたら漏れなら、
「厳密にシルファSSと言えるか微妙だけどTH2SSのつもり。但し、オリジナル要素が強いので嫌いな人はスルー推奨」
くらいに紹介するかな
553 :
中の人:2008/09/16(火) 22:28:37 ID:QazVCEWO0
解説や言い訳をするつもりはなかったけどちょっとだけ。
自分ではもちろんTH2のSSでシルファのSSだと思ってます。
ですが、本当に彼女は「HMX−17cシルファ」ではありません。
話の中でもちょっと触れてるけど量産機、HM−18のDIAです。
ちなみに『俺』も貴明ではないです。一応名前もあります(笑)
だから本当にゲームのTH2やTH2ADのキャラは出ていません。
なので「そりゃ違うだろ」と言われれば言い返せないんですよね。
世界観を使っている、と言えば聞こえはいいですが、所詮自分のチラシの裏設定ですし。
まぁ、そういう事です。
厳密には違うかもしれないけど、TH2のSSっぽいものとして受け入れていただけたら嬉しいです。
量産型ってあるけど、バグだったっぽい言語系の不備をそのまま製品化したのはおかしくないかな…
バグだったっけ? まあモニター様(貴明)に好評だったのでそのまま仕様化とか、
直さなかった理由は幾らでも考えられるんじゃない?
シルファを汚された気分
勝手に想像してみる
・起動時にいくつか思考パターンを選べる。ここで選ばれたのはHMX-17cに使われたもの
・同じような症状が出た。当初の用途には使えず、矯正の為来栖川の研究所に送られる
・以前同じような症状のメイドロボを見ていた研究員は、名前すらなかったHM-18を、“シルファ”と呼んだ
・この症状を治すにはオーナーの愛情が必要、と考えて、オーナーを探していたら、現在のオーナーの下に落ち着く結果に。
・その後間もなく、DIAモデルの販売が停止される。
これは酷い
オリジナル要素多いと相変わらず賛否両論出るね。
作者の意図はなんとなくわかるかな。
昔セリオSSでこういう私小説風の作品あったけど、ああいう事がしたいんだろうねー。
俺はこんな感じの雰囲気で読ませる作品はけっこう好き。
ところでこの作者さん、前に三姉妹、特にミルファのSSを量産してた人だよな?
そういえば元々オリジナルっ気混ぜるの好きそうだと思ってたw
バグっていうか、コミュニケーション不全のせいで言語システムが未成熟なんじゃなかったっけ。
どちらにせよ、そのまま残すとは思えないけどな。
まぁ本編のシルファでありつつ違う存在であるってのを主張するための苦肉の策ってのは分かるけどw
てか、オリジナル主人公でも別に良いと思うんだが、設定にもう一捻りがないと微妙だな。
これだけだと既存キャラと日記でかけ合いしてる痛い子と変わらないなーと思ったのは俺だけか。
>>559 >前に三姉妹、特にミルファのSSを量産してた人
誰の事云ってるのかわからんけど、避難所に書きかけ残してあぼ〜んしちゃった痛い人の事
云ってるんだとしたら、全然違うと思うな。
こっちの人の方が文章遥かに上手いし。コメントに厨臭さもないw
>>559 >>561 お前らが荒らしでないのならそういうこと言うのヤメレ
場が荒れるだけで何の益もない
えー、このみ春夏さんよっちゃる小牧姉妹草壁さん登場の、
なんといいますか、非常にとりとめのないシチュの羅列なSSです
テーマもないんですけど、ルート確定前の各キャラの紹介イベント、
みたいな位置づけで読んでいただけると嬉しいかもです
AD準拠というか、設定的にはAD本編前の夏休みあたり?
たぶん途中でさるさん中断入ります。では
「タカくん、はやくはやく〜っ!」
砂浜が視界に入るなり、このみは全力で駆けだした。
「前を見て走らないと危ないわよ」
春夏さんが注意するけど、耳に入っているとは思えな……あ、転んだ。
「う゛う゛う゛」
砂浜に顔から突っ込んだこのみ。
ダメージは軽いみたいだけど、ぶんぶん首を振って、砂を払い落とそうとしている。
「ったく、しょうがないなぁ」
俺は慌てて幼馴染みの元に走る。
このみは女の子座りして、猫みたいに顔を擦りだしていたもんで、
「ほら、砂付いた手で擦るなよ、顔」
「ふぎゅう」
手荷物の中にあった濡れタオルで拭いてやると、心地良さそうに目を細めた。
「いつもありがとうね、タカくん」
追いついてきた春夏さんが、笑ってお礼を言ってくれる。
俺とこのみは、春夏さんの誘いで夏休みの海水浴、それも一泊旅行と洒落込んでいた。
海沿いのホテルにチェックインを済ませて、着替えを済ませていざ海へ。
「でも、いいんですか? おじさんもいないのに、俺なんか誘ってもらっちゃって」
「いいのよ」
俺の疑問に、春夏さんは即答する。
「だってあの人、今年は夏休みが取れないっていうんだもの、楽しみにしてたのに」
あ、そういう事情ですか。
「だから、タカくんと、うーんと楽しまないとね」
春夏さんは俺の腕を取った。ボタンを留めずに羽織った白いシャツの、開いた胸元から覗くオレンジ色のビキニに心臓が跳ねる俺。
「ああーっ、おかーさんずるいーっ!」
反対側の腕に、このみがぶらさがってくる。ピンクのワンピースに胸らしきものは殆どないが、身体全体で抱きつかれると柔らかい。
母娘に腕を取られて歩く、って、いいのかなぁ、これ……
◇ ◇ ◇
「うわああっ、このみっ!? せ、センパイっ!?」
「……犯罪者だ」
やっぱり、あまり良くなかった。
電車で3時間ほど揺られた海水浴場で、まさか知り合いに会うなんて思わなかったのに。
「ふぇぇ、ちゃる、よっち、どうしたの?」
いきなり遭遇。しかも、この二人。
「と、とーうぜん、このみとセンパイの後を尾けてきたに決まってるっしょ」
「え? ほ、ホント? ちゃる?」
「嘘。偶然」
「ああーっ、いきなり裏切りやがったあ!」
大仰に腕を広げて天を仰ぐのは吉岡チエちゃん。中学校時代からのこのみの親友。
このみと同い年なんだけど、発育状況はだいぶ異なるみたいで、吉岡さんは、その、胸が、おまけにかなり布地少なめのビキニで、おっきくて、ピンクの、困る、ぷるんと、目のやり場に。
「それより、通報しないと、浮気現場」
ぼそっと怖いことを呟くもう一人は、山田ミチルちゃん。
こちらは至って平均的な、いやそんなに詳しくないけど、すらりとした体型を、茶色に水玉で地味目の、でもこちらもビキニに包んでいる。
「しかも母娘丼」
顔立ちも控えめで、特徴とえいばメガネの奥のクールな目線。その目と指が、ビシッと俺に、って待って待って待って。
「ち、違うってば、これは、俺は単なる荷物もちで」
「本当っスかぁ?」
「このみ、お父さんは?」
「来てないよ。夏休み取れなかったんだって」
「……やっぱり犯罪だ」
「違うってば、春夏さん、なんとか言ってあげてくださいよ」
「あら、せっかくお友達に会ったんだから若い人同士で遊んでらっしゃい。荷物、見ててあげるわね」
春夏さん……逃げましたね。
◇ ◇ ◇
「はいっ」
「てえいっ!」
「わととと、とりゃあっ!」
「……えい」
ぽーん、ぽーん。ぽーん、ぽーん。
かけ声と共に、宙に弾むビーチボール。
水着の少女三人、まあ一応このみも含めて、と元気にビーチバレー。
なんだけど。
「センパーイ、もっと真面目に打ってください!」
吉岡さんに怒られる。
輪になってパスを繋ぐんじゃなく、2対2で試合してるから、御意見ごもっとも。
「うーん、でも……」
「なんッスか? あたしら相手じゃ本気出せないんっスか? 負けてる癖に」
「いや、そういうわけじゃないんだけど」
腰に手を当てて俺を睨む吉岡さんを、困った顔で見やる俺。
いや、だってさあ。
「よっちが悪い」
言い方を悩んでいたら、山田さんが代わりに指摘してくれる。
「なにがよ」
「水着の割に、無駄に胸が大きい」
「っ! む、無駄言うなっ!」
山田さんの視線に、吉岡さんの頬がカッと染まって、腕組みで胸を隠す。
「その格好で砂地に飛び込んだら、馬鹿に大きいおっぱいがポロリ」
「う、いや馬鹿も言うな」
「ギャラリー大喜び。人垣の視線が一斉によっちの先っぽに突き刺さる」
「そ、そういう言い方はちょっと、っっていうかすぐ直すし!」
「審判の許可を得ずに水着を直す行為は禁止」
「なんでやねんっ!」
「ま、まあでも、センパイがあたしの水着のせいでスケベな妄想をして試合に身が入らないのはわかったっス」
そういう理解はどうかと思うけど、そういうこと。
「ちょっと待っててください。上になんか着てきますから」
吉岡さんは自分たちの荷物へ戻ろうとする。
「あ、よっち」
「あによ」
「いいものがある。一緒に行こう」
二人の背中が並んで遠ざかる。なんのかんのいって、仲良しなんだな。
◇ ◇ ◇
「お待たせっス!」
待つってほど待つ間もなく、二人が戻って……ぶっ!
「な、なにその格好!」
「何って、体操着っスよ」
「持ってきてた。こんなこともあろうかと」
平然と答える二人。
確かに、吉岡さんが水着の上に着てきたのは寺女の体操着。
ただし、上だけ。
「これなら水着が外れても平気っしょ」
両手を腰に当てて胸を張る吉岡さん。
ぷるん、と揺れたおっぱいが、ツンと上向きに収まって、白い体操着を突き上げる。
「キツネのだから、ちょっとキツいんスけど」
しかも体操着は山田さんのものらしく、二人のサイズ差に伴ってそのあたりはピチピチ。
吉岡さんの動きにつれて、腰回りでは裾がひらひらと。チラリとおヘソが覗いたり。
挙げ句に下半身は水着のまんまなので、体操着の上にピンク色のビキニ下というのは、油断するとあの、下着姿にも見えちゃって。
「やったねよっち。センパイが、エロい目でよっちを見てる」
呟く山田さんに、俺は慌てて咳払いした。吉岡さんは、ちょっと赤面した。
「見てない見てない。っていうか、まだ吉岡さんのは分かるけど、山田さんのは何?」
「体操着」
それは分かるけど。
「よっちが上を着たから、下だけ穿いてみた」
その理屈はおかしいでしょ! どう考えても!
「変、かな?」
首を傾げて、自分の身体を見下ろす山田さんは、吉岡さんとは逆にビキニの上に赤ブルマ。
こちらは一見すると普通のビキニ姿に……見えるわけなくて、まるで着替え中の女子みたいな……覗いた事はないからね念のため。
「確かに、ちょっと蒸れるかも」
ひょいと腰のゴムをつまんで伸ばし、中の水着を覗き込むような仕草。こらこら、女の子がそんなポーズしちゃいけませんっ。
「脱いだ方がいい?」
ブルマをずり下げて俺に聞くのもやめてくださいお願いします。
「う〜、よっちとちゃるばっかりずるいよ! おかーさーん! このみも〜っ!」」
と、暫くのあいだ会話の外に置かれていたこのみがキレた。だだだっと日傘の下で休む春夏さんの下に駆ける。
「このみも何か着てくるんっスかね?」
「うーん」
ま、何を着てもこのみであればそんなに破壊力のある事には……
「タカくん、よっち、ちゃる! お待たせっ!」
こちらは全く待つ暇もなく駆け戻ってくるこのみは、水着の上に白いパーカーを羽織ってきた。
ネコミミ付きの。
「変じゃない?」
いや、変だ。
変だけど、このみには似合って可愛いんじゃないか。でも、
「くぁあ〜っ! 可愛い〜っ!」
「……いい」
この衣装は俺よりも他の二人に強烈だったようで。
「ほ、ほえっ!? よっち、ちゃる? ふぎゅぅ〜っ!?」
前後からの吉岡さんと山田さんの板挟み、通称X攻撃。二人の間に埋もれて、小さなこのみのお尻がパーカーから見え隠れしていた。
支援
◇ ◇ ◇
ぷはぁ。
「あぁ、いいお湯だった」
昼間、吉岡さんと山田さんと海で散々遊んで、宿に戻ってきて夕方。
俺とこのみは、戻ってすぐ大浴場へ。
春夏さんは部屋で一休み。疲れたんですか、なんて絶対聞けない。
広いお風呂を満喫しての湯上がり。
このみは、お湯に浸かっている時間はごく短いけれど、そこは女の子なので俺よりは時間がかかる。
「先に戻ると、また拗ねるだろうからな」
小上がりでジュースを買って待つことにする。
扇風機の前は……残念、先客ありか。
「ぷひゅ〜」
特等席を占領しているのは、俺と同い年くらいの若い女の子。
浴衣の首にタオルを掛けて、洗いたての髪を扇風機の風になびかせて。
「ごくらくごくらくぅ〜♪」
膝元にコーヒー牛乳。ぱたぱたと右手で顔を仰ぎ、左手でちょっと襟を緩めたりする無防備な姿が微笑ましい。
失礼と思いつつ、公共の場で油断しすぎな女の子についつい視線が……あれ、この娘、どこかで見たことある?
「えっと、いいんちょ……小牧!?」
「ぱへ〜っ、へっ!? えっ!? こ、こ河野くんっ!? ったわわたたっ!?」
油断しきった表情から声を掛けられて飛び上がった女の子。
ぽけっとこちらを見た後で、俺を認識して慌てて後ずさり。
勢いあまって尻餅をついたのは、間違いなく我らがクラスの委員長、小牧愛佳その人だった。
◇ ◇ ◇
しかし、今日は変な所で知り合いに会う日だなあ。
「い、郁乃の調子が良いから、家族で温泉でもってことになってね」
あたふたわたふたとかくかくしかじかしてくれる小牧。
「郁乃がお母さんとアイスを買いに行ったんで、付いていこうとしたら怒られたんだけど、仕方なくちょっと一休みしてたらその、ちょっと気が緩んで、あははは……」
両手でぱたぱたと顔を仰ぐ。
頬が赤いのは、お風呂で火照っただけではなさそう。
「なに騒いでんの、お姉ちゃん」
噂をすれば影。
車椅子を回して畳の縁にやってきたのは、小牧姉妹の妹、小牧郁乃。
最近になってウチに転入してきた一年生で、身体が弱く最近まで入退院を繰り返していたという。
「あ、あはは、いや思わぬ所で河野くんに」
「河野? あ、このみの」
このみの何なのかは口に出さずに仏頂面のままこちらを見る。
「どうも」
ぺこりと一応つきの会釈。
「や、やあ」
俺もぎこちなく挨拶。にしても、愛佳と違って愛想のない子だと思う。
「あれ? お母さんは?」
「アイス持って先に戻った」
「あっ、そうなんだ」
どうやら小牧の母親とまで顔を合わせる必要はなさそうで、少しほっと、したのも束の間。
「あれれ? そういえば河野くんはどうして? ご両親、出張から戻って来てるの?」
ぎくり。
「い、いや、まあ、そんなもん……」
「タカくん! 待っててくれたんだ!」
いまいちよろしくないタイミングで、このみが風呂場から駆けてきた。
「「……」」
姉妹が揃ってジト目。
「い、いやこれにはワケがあって」
「ケダモノ。」
「いっ!?」
言い訳を許さずにガツンと突き刺さる小牧(妹)の言。
「このみ、おいで」
車椅子を器用に動かして、畳に上がろうとしたこのみを引っ張る。
「あ、うん……え? 郁乃ちゃん? なんでここにいるの?」
そういや、このみは小牧(妹)とクラスメートだったけ。
「野暮用よ。それより、何で釣られたの、食べ物? 遊園地?」
「えっ? ち、ちがうよお」
随分と仲は良いみたい。会話の内容はともかく。
彼女にこのみを確保された俺。妹の説得を諦めて小牧(姉)に目をやると、
「ミテナイミテナイワタシハナンニモミテイナイ……」
念仏が聞こえてくる。
「はあ。えーっと、小牧、話、聞いてくれる?」
「ナニモミエナイナニモキコエナイナニモタサナイナニモヒカナイナイクイタスプッチトテポ……」
こっちに事情を説明するのも難しそうだったけど、ここは頑張ってかくかくしかじか。
「……あ、なんだ、そうなんだ。このみちゃんのお母さんと、三人で……って、えええええ!?」
「獣。」
ああああ説明する事情自体が一般的にはヤバいんだった。
「じゃ、そういうことで。行くよ、このみ」
三十六計逃げるにしかず。このみを連れて即退散。
「あ、タカくん待って〜。えと、郁乃ちゃん、あとでまた遊ぼうね!」
「りょーかい」
「あっ、こ、河野くんちょっと待った!」
な、なんでしょう。
「さっき、あたしのこといいんちょって呼びませんでした?」
「たぶん気のせい」
支援
◇ ◇ ◇
なかなか美味しかった食事の後で、このみがそわそわし始める。
「お、お母さん、あのね」
「なあにこのみ、もうおねむ?」
「ち、違うよ。それは、ちょっとだけ、欠伸しそうになったけど」
ちなみにまだ7時前。
「それはお腹が一杯になっちゃったからで、って、そうじゃなくって!」
「ふふ。分かってるわ、郁乃ちゃんの所に遊びに行きたいんでしょ」
「うん」
小牧達と会った事は話をしてある。
どうも小牧(妹)はこのみの家に来たこともあるらしく、春夏さんも彼女を知っていた。
「いいわよ。でも、その前に一度部屋に戻りなさい。タカくんも」
「え、俺も?」
俺自身は、このみに付いていこうか迷っていたんだけど、
二人にとってはそれは既定事項みたいで、春夏さんの用事はそこから先みたい。
俺はこのみと春夏さんにくっついて二人の部屋へ、
「あ、悪いけどタカくんはちょっと此処で待ってて。このみ、いらっしゃい」
「はあい? タカくん、ちゃんと待っててね」
「あ? ああ」
入る直前でストップ。いったいなんだろう?
と、
「うひゃあ!?」
このみの悲鳴、続けて、どすん、ばたん。
「な、何事?」
ひとしきり賑やかな音と声が聞こえた後。
「いいわよ、タカくん。入って」
春夏さんの声がして、訝しみながら入室した俺。
「失礼しまーす。あれ?」
このみがいない?
支援
予定どおり10レスさるさん。暫し中断
「春夏さん、このみは?」
俺の問いかけに、笑いながら次の間の方を指さす春夏さん。
襖は半分閉じていて、
「……」
そこから覗く馬の尻尾、ならぬこのみの髪の房。
「このみ? 隠れんぼか?」
「う、ううん」
問いかけには横に髪を振り、手招きすると、頷きながらも出てこない。
「……どうした? 早く出てきなって」
「あ、あのね……笑わない?」
「何を?」
「んと……とにかく笑わない?」
「だから何を」
「どうしてでもいいから」
なんだろう、どこかでこんなやりとりをこのみとしたような気がする。
「なんだか分からないけど、分かったよ。笑わない」
あれは確か、今年の始業式あたり。
「う、うん……それじゃあ、ホントに笑わないでね」
おずおずと襖の陰から出てくるこのみ。
そう、あの時は扉の陰から、やっぱりこんな感じで……
あの時と同じように、呆然とこのみを見つめた。
ピンクを基調に、桜の花びらを散りばめた浴衣姿。
うなじを染めて斜めに俯く幼馴染みは、彼女らしい子供じみた可愛さと共に、ほんの少しだけ大人っぽい香りを見せて。
「や、やっぱ……どっかヘンかな?」
「……」
「……タカくん?」
「え?」
「やっぱ、どこかヘン?」
「い、いや、いいんじゃないかな」
いつか聞いた問いかけに俺は、いつかした答えを返すのが精一杯だった。
支援
◇ ◇ ◇
「さ、次はタカくんの番よ、こっちへいらっしゃい」
「え、俺のも持ってきたんですか? つうか、自分で着られますって」
「いいからいいから。このみ、タカくん持ってきて」
「う、うん」
「や、やめろ、俺はモノじゃないし、浴衣くらい一人で、っていや春夏さん脱がさないで、って変なとこ触っちゃ、きゃああああ!」
F.OUT
まあ俺の着替えを詳細に語っても仕方ないので省略するけど、そんな阿鼻叫喚の8分後。
「あっ、郁乃ちゃーんっ」
ロビーに佇む車椅子を素早く見つけて、このみが駆け寄るのだった。
「こんばんは」
後から追っかけた俺も挨拶。
「なんでアンタまで来てんのよ」
いきなりきっついなあ。あれ? そういえば小牧(姉)がいない?
「姉を探してるの? 言っとくけど、遊びで姉に手を出したら」
「なんでだよっ!」
「あれえ? 小牧先輩、こないの?」
「来てる。ちょっと用を足しているから待ってて」
小首を傾げたこのみに、一転して優しい口調で語りかける。うーん、難しい娘だね小牧(妹)は。
「浴衣持ってきたの? 可愛いわね」
「えっ? あっ、う、うん、ありがとう。あの、郁乃ちゃんも着替えたんだ?」
言われてみれば小牧(妹)も白地にピンク柄という、このみとネガポジ反転したような女の子浴衣。
「あたしのは売店で買ったやつ。というか、お姉ちゃんに無理矢理着せられた」
「ふうん。でも可愛いねえ」
「あ、ありがと」
互いの誉め言葉に頬を赤らめ合うこのみと小牧(妹)。
「……言っとくが、遊びでこのみに手を出したら」
「なんでよっ!」
意外とノリはいい気もするな小牧(妹)。
「それで、今日これからだけど」
「あっ、そうだっ!」
小牧(妹)が言い掛けた言葉を聞いて、このみがぽんと声を挙げる。
「な、なに?」
「タカくん、あれ出してあれっ」
「別にここで出さなくても……」
「もう、いいからっ」
このみは俺が手に持った紙袋をひったくって、内容物−このみの言う「あれ」−を引っ張り出す。
「じゃーん」
このみが胸の前に見せたのは、色とりどりの花火セット。
まあ、お子様向けだけどね。
「えへへ、お外に出て、花火しよっ!」
「あ、う」
にっこり笑って誘うこのみに、小牧(妹)は歯切れの悪い表情をする。
「あれ? もしかして、外に出られない?」
「いや、そんなことはないんだけど」
「花火の量なら心配ないぞ。春夏さんが張り切ってお小遣いくれたから」
「うん、ほら、見て見て」
紙袋からビニール袋にまとまった花火セットを取り出すこのみ。
その量、ちょっと買いすぎだろってくらい。
「あ、いや、そうじゃないんだけど」
小牧(妹)が言い淀む。
「郁乃、お待たせっ!」
そこに走ってバタバタと、小牧(姉)がやってきた。
「花火買ってきたよ〜、ちゃんと四人分!」
あー。
大量の花火を囲んで、顔を見合わせる四人。
「ほへー。凄い量だねえ」
「ちょっと、多すぎるな」
しかも、同じ物がほぼ二つづつ。
「まあ、売店の花火なんてそう種類はないわよね」
「ごめんなさーい」
妹は責めた口調ではないが、姉の方は縮こまる。
「しかし、どうするよこれ」
色とりどりに包装された、まるでお菓子のような花火達。
「か、かくなる上は……」
小牧(姉)が、その綺麗なラッピングを見つめながら喉をごくり。
「……食べるの?」
「なんでやねん」
小牧ん家って、関西だっけか。
◇ ◇ ◇
「車椅子じゃないんだ?」
「砂地じゃ埋もれるわ。そういうの専用のもあるけど値段が高い」
歩けないわけでもないから。
そう付け加えた小牧(妹)は、両脇に松葉杖を突いて歩いていた。
「気を付けてね、郁乃ちゃん」
彼女の周囲を心配そうにくるくると回るこのみ。
街灯にピンクの浴衣が映えて、形容詞はひらひらとの方が良かったかも知れないけど、とにかく却って相手に絡みそう。
「このみの方が危ないって。転ぶなよ」
「別に平気」
注意したら、小牧(妹)の方から強めに回答が来た。
このみはちょっときょとんとしてから、にこーと笑って松葉杖の少女に並ぶ。
そんな二人を見て、小牧(姉)が微笑む。
「このみちゃん、浴衣姿、可愛いね」
「えっ? あ、ありがとう、ございます。小牧センパイも似合って、ますです」
妹とは親しくても、姉とは殆ど面識はないこのみ。少しどぎまぎした様子で返答。
「うふふ、このみちゃんには負けるよぉ、ね、河野くん」
このみを誉めてこちらに意味深な笑顔を向ける小牧(姉)。
彼女の浴衣は、藍色地に水色のあじさいが咲いている。
「いや、小牧も綺麗だよ」
反撃。
「ふえっ!? そ、そそそ、そっかなぁ!?」
ぷっ、顔も声も真っ赤っ赤。
思わずにやけた瞬間に、足の甲に激痛。見れば松葉杖の石突き。
「……邪魔だからさっさと歩いて」
しかし、だから、なんで俺にだけ態度が違うんだ小牧(妹)ぉ。
◇ ◇ ◇
しゅばばばばば。
「うわー」
このみがぽけーっとした声だす。
その顔を照らすのは、色とりどりの光の噴水。
「綺麗だねえ」
「贅沢だな」
吹き上げ花火4基同時着火に成功した俺と、その成果を眺める小牧(姉)の会話。
「郁乃ちゃん、はい」
「……ありがと」
足の悪い小牧(妹)は、防砂林の松の木に寄りかかって手持ち花火を揺らす。
女の子三人。三様の浴衣が、原色の光の渦に映えていた。
花火セットは見る見るうちに消費され、水を張ったバケツには反比例して燃え殻が増えていく。
「わ、もうこれしかない」
「心配する必要、なかったね」
通常の3倍量といえども、花火って嵩の割に遊べる時間が短い。
このみは明らかに、小牧(姉)はほっとしたなかにも若干寂しそうな口調。
「このみ、それ取って」
そこに定位置から小牧(妹)が声を掛けて、このみが袋のひとつを持っていく。
「ありがと。よいしょ」
それを受け取って、彼女は杖を器用に滑らせて砂地に座り込む。浴衣の裾が若干微妙に……う、睨まれた。
「こほん、何するの?」
「火」
問いかけには答えず、要求だけをする小牧(妹)。ったく。
そろそろこいつの態度にも慣れてきた俺は、ライターを投げ渡す。
シュッ。
礼も言わずに石を擦る音。
「なんだ?」
暗がりで良く見えなかった手元に照らし出されたのは、え? ロケット花火!?
「ちょ、ちょっと待てこっちに向っ?」
シュボッ!
シュルルルルル。シュルルルルル。
妙な所で手際よく並べたもので、俺の足元めがけて次々と小火球が飛んでくる。
「うわわっ! うわわわっ!」
「タ、タカくん大丈夫? わ、すごいすごい、あははっ」
器用に飛び上がって避ける俺を見て、心配のち感心のち大笑いのこのみ。
で、避けたロケットは、そのまま松林の闇に消えてゆき、
「こらあ! ゴミは拾ってこなきゃダメだよっ!」
小牧(姉)が手を振り上げて注意。
……拾いに行くのは、俺?
◇ ◇ ◇
「いや、見つかるわけないってば」
勢いに釣られて松林の中に入ってみたものの、考えてみれば、ロケット花火の燃え殻なんて小さいものを懐中電灯で探すのは無理がある。
ついでに言えば、林の中は暗くてあまり心地の良いものじゃないし。
「小牧には悪いけど、適当に探したふりして戻ろう」
そう思いつつ、いちおうしゃがみこんで木々の間を照らしてみたりしていたら。
キコ、キコ。
車輪を回す音。
「え? 小牧、妹?」
顔を上げた俺の視界には、宿で見た車椅子。
あれ? でも、車椅子は……
「このみがいないの」
「えっ?」
俺の疑念は、少女の言葉で遮られた。
「貴方の後を追いかけて林に入って、途中でトイレに行くって言ってそれっきり」
「どっちに行ったの」
彼女が指さしたのは、宿の方向なのだろうか。
「分かった、郁乃ちゃんは先に戻ってて」
こくん、と素直に頷く姿に、違和感を覚えつつ事態はそれどころではなく、俺はこのみを探しに脇道に入る。
街灯もない防砂林の内部は、宿のすぐ側なのにやけに暗くて周囲が見づらい。
「このみ〜、いるかあ〜」
呼びかける声が、暗闇に吸い込まれる。やけに反響しているような、それでいて遠くまでは届いていないような。
等間隔に並ぶ松の木の間をすりぬけながら、俺は徐々に焦燥感に駆られてゆく。
「このみっ、いないのかっ!」
いつしか小走りになる。波の音が、やけに近くから聞こえる。方向感覚が麻痺してくる。此処は、一体、何処なんだろう……
「どこに行くんですか」
突然、耳元で涼やかな声がして、俺は飛び上がった。
ふと気がつけば、松林が目の前で切れている。
「そっちは、崖ですよ」
眼前にしてみれば言われるまでもない。俺の正面の地面は10メートルほど先で消え、向こうには漆黒の夜の海。
「この辺は地形が複雑ですから、慌てて走ると危険です」
そこまで言葉が続いて、ようやく俺は声の主を認識した。
暗がりでも目立つ白い上着、懐中電灯を向けると眩しそうに目を細める顔も白く映える。
顔の上と下半身が闇に溶け込んでいてどきりとしたけど、よく見たら黒いロングヘアとスカートだった。
「あ、ありがとうございます」
あのまま走っていたら崖下に一直線だったかも知れない。冷や汗をかきながらお礼を言うと、
「どういたしまして」
涼しい微笑みのまま返された。
思ったよりも若い子だ。俺と同い年か、少し上かな? それにしても、なんでこんな所にいたんだろ?
「あの……」
「はい?」
お散歩ですか? そう聞こうと思ったけれど、小首を傾げる仕草に口をついたのは別な質問。
「どこかで、お会いしたことありますっけ?」
「ふふっ、どうでしょうね」
これも少し楽しげな微笑みで返される。
「それより、戻らないと皆さんが心配します」
走ってきた方向を指さす。それで、俺は今度は自分の目的を思い出す。
「あっ、そうだ、このみっ!」
意味もなく周囲を見渡してしまう俺。
だが、女の子は余裕を持って、
「大丈夫です。もう先に戻っていますよ、きっと」
その言葉は、まるで見てきたように自信たっぷりで、俺は狐につままれたような顔のまま来た道を戻った。
女の子は、まだ散歩を続けるつもりか俺を見送る。
……やっぱり、見覚えがあるような気がするんだけどな。
◇ ◇ ◇
「あっ、戻ってきたっ!」
俺が花火の場所に帰ると、探していた筈のこのみが飛び跳ねて迎えに寄ってきた。
「もう、タカくんどこに行ってたのっ!」
声に含まれている色は、怒りよりも心配の要素の方が多い。
「いつまで経っても戻ってこないから、みんな心配してたんだよぉ」
小牧(姉)も同調。
「あたしは先に帰りたかったけど、このみが待ってるっていうから」
これは妹の言。
お前なあ、誰のせいだと思って……あれ?
「郁乃ちゃん? さっき車椅子で来なかった?」
「呼び方が馴れ馴れしい。それにさっきもいったでしょ、砂地じゃ使えないって」
やっぱりそうか。
って、それじゃあ、さっき俺が見たのはなに?
「それよりなによ、このみが道に迷ったなんて言って、全然違う方向だったじゃない」
え?
「なんだよ、それ?」
「む、しらばっくれるの? それとも、あたしとお姉ちゃんを騙したわけ?」
「だ、騙すって?」
予想外の展開に狼狽えると、姉の方が間に入る。
「あ、あのね? さっき河野くんがね? このみちゃんが戻ってこないからあっちを探してくれって」
指さす方向は俺の来た方の逆。
「お、俺は郁乃ちゃんが、このみが迷子じゃないかって」
「み、みんな酷いよ〜」
三人の会話に、このみも参戦。
「このみは、おトイレに行こうと思って、それはちょっと道に迷ったけど……」
「迷ったんだ?」
「うー、途中で会った旅館の人が、こっちが近いって言うからっ!」
「でも、親切な女の人が道を教えてくれて、戻ってきたら誰もいないんだもん」
膨れるほっぺ。
「このみも? いや、俺も女の人、っつーか同い年くらいの子に助けられたんだけどさ」
「え?」
俺の言葉に、小牧姉妹まで首を傾げる。
「あ、あたしたちも女の子に会ったの、その、教えてくれて、砂が陥没してて危ないですよって」
「あの人がいなきゃ二重遭難してたかもね」
き、奇遇っていうのかな。こういうのも。
でも。
「その女の子って、すらっとして、髪が長くて」
「白い上着と、黒いスカートだったよ」
「なんだか楽しそうに笑ってて、質問してもあんまり答えてくれなかったです」
「……胸は結構あった」
見事なまでに、全員一致。
「「「「……」」」」
顔を見合わせる一同。
なんとなく視線を回すと、このみ、小牧(姉)、小牧(妹)、そしてもう一人。
「そうそう、ちょうどこんな感じの……」
つい指さした先も四人仲良く、その先に佇む少女は。
「私がどうかしましたか?」
「わわっ、ご、ごめんなさいっ、悪気はないんです」
「そうそう、今ちょうど、みんなが貴方みたいな人に会ったって話を……」
って。
「「「「こ、この人っ!」」」」
「はい、私です」
驚愕の声を挙げた四人の真ん中で、白い服の子は涼しげに笑った。
◇ ◇ ◇
「草壁、優季といいます」
苗字と名前の間を一拍区切って名乗った少女は、俺達と同じ二年生だと言った。
「えーっと、とりあえず、さっきはどうも」
「……あ、うん、そうだ。さっきは有り難うございました。助かりました」
「同上」
「ありがとー、ございました」
俺を含めて、口々に礼を述べる面々。このみはぺこりとお辞儀。
……ってことは、やっぱりみんなこの人に助けられたのか。
「幽霊じゃありませんよ?」
失礼のないようにと思っても、皆の疑問はしっかり伝わったらしく、にっこり笑う少女−草壁さん。
その足元に光が当たる。
「足は、あるわね」
「こ、こらっ、郁乃っ!」
不躾な懐中電灯を向けたのはやっぱり小牧(妹)で、慌ててたしなめる姉。
「ふふっ、大丈夫です」
それに気を悪くした様子もなく、草壁さんはおどけてスカートをつまみあげた。
黄色い光に照らされて、形のよいふくらはぎから膝上までの脚はやっぱり白い。
「ほら、このとおり……あっ」
おどけた笑みを浮かべていた草壁さんは、俺の視線に気付いて手を離す。
ちらっとよそ見した頬は、もしかしたら赤くなっていたのかも知れない。
「……なんだか釈然としないんだけど」
「郁乃ってばっ」
「だって、方向が全然違うし、みんなが離れた理由も解決してないし」
命の恩人を疑う気は全くないけど、小牧(妹)の言うことももっともだ。
「そうですねえ。私は幽霊ではありませんけど」
草壁さんが、それに応える。
「出るみたいですよ、このあたり」
「で、出るって、な、ななな何がですか?」
小牧(姉)が妹の横に寄っていく。気付けばこのみも俺の後ろ。
「だいぶ昔のお話ですが、この近くには漁村があったんです」
まるで歌でも歌うように話し出す草壁さん。
「そこに、街から商人の一家が引っ越してきました」
「平凡な商人でも、貧しい漁村では目立ってしまったのでしょう。そこの子供は周囲に馴染めず、いつもいじめられて」
「じ、自殺しちゃったとか?」
口を挟んだ俺に、草壁さんはかぶりを振った。
「事故だったそうです。一人で海岸で遊んでいて、礒から転落したとか」
ひしっ。
背中に服を掴まれる感触。そういやこのみは、怪談話が大の苦手だっけ。
「それからです。この近くで、子供達が一緒に遊んでいると」
ぎしっ。こちらは小牧(姉)が妹にしがみついた音。
「いつのまにか皆がバラバラになって、一人、また一人と崖に誘われるように……」
「す、すすすストップ、ストップぅ! そこまでぇ〜!」
臨界点突破したのか、小牧(姉)が両腕を振り回して続きを阻止した。
「ふふっ、まあ、只のお話です」
悪戯っぽく笑う草壁さん、それにしても、楽しそうに笑う女の子だなあ。
「そ、そうだよねっ、ゆーれいなんて、出ないよねタカくんっ!」
俺の背中から顔を出すこのみ。
「でも、今日は出てきたい気分かも知れませんね。幽霊さんも」
「ふえっ!?」
草壁さんはまた脅かして、小牧(姉)の背筋がひんっと伸びる。
「だって、こんなに綺麗な満月ですから」
指さす夜空に、丸い月。
釣られて見上げた俺達が視線を戻すと、草壁さんはもう居なかった。
(……また、お会いしましょう、貴明さん。)
耳元で涼やかな声が聞こえた気がしたのは、俺だけだったみたい。
支援
◇ ◇ ◇
「た、タカくん、手を離さないでねっ、絶対だよっ」
「わかったからくっつくなよ、歩きにくい」
しがみつくこのみを、半ば引きずるようにして宿に戻る俺。
「あ、あはははは」
「笑いながらしがみつかないでよお姉ちゃん。気持ち悪い」
あっちも似たような様子。
宿に戻って車椅子に乗り換えても、姉は妹から離れようとはしなかった。
「じゃ、じゃあね、郁乃ちゃん、小牧先輩」
「おやすみ、このみ」
「おやすみなさい、河野くん、このみちゃん」
「おやすみ」
このみは俺に、小牧(姉)は妹にしがみついたまま、それぞれの部屋に分かれる。
「い、郁乃ぉ、今日は一緒に寝ようねぇ」
「なんでよ」
「だってぇ……」
別れ際、そんな会話が遠ざかっていく。
「た、タカくん、あのね、あのね」
「一緒に寝ないぞ」
それを聞いたこのみの態度は、非常に分かりやすいので先手を打つ。
「えええ〜っ、タカくんの意地悪〜!」
「意地悪じゃないっ、当然だっ」
「どうしてタカくんとこのみが一緒に寝たらいけないのっ?」
「どうしてって……」
ちょっと前まで無理矢理俺のベッドに潜り込んできたこのみだけど、今日は春夏さんもいるんだし。
「そうだ。春夏さんに聞いてみろよ」
部屋に戻ってかくかくしかじか。
支援
「そうねえ、確かに年頃の男女二人が同衾っていうのは、少し問題かもねえ」
ほらみろ。
「じゃあ、三人で寝ましょっか?」
へ?
◇ ◇ ◇
カチ、コチ、カチ、コチ。
備え付けの時計の音が、やけに大きく聞こえる。
すーっ、すーっ。すやすや。
両隣からは、健やかそうな二つの寝息。
「な、なんでこうなるんだ」
宿の天井を見上げながら、未だに自問を繰り返す俺。
右腕にはしっかりとこのみが抱きついて、左腕は春夏さんに持って行かれて。
「お、おかしいだろこれは!?」
「むにゃ……タカくんうるさーい」
思わず声に出てしまったらしい。寝ぼけたこのみの抗議に慌てて黙りなおす。
このみはもう一度俺の腕をしっかり抱き抱えなおした。
幸か不幸か、彼女の身体はまだまだ凹凸が少ないので、右腕の感触もそれほどは、
と思いつつもやはり柔らかく、おまけにこのみときたら俺の手を両脚でしっかり挟んでいたりして。
「なんでこんなに無防備なんだろうなこいつは」
ぼやいて直ぐに、左隣にその原因がいることに気付く。
俺の左腕を枕にして、春夏さんは安眠中。
「うーん、旦那さんが出張がちだから、欲求不満なのかなあ……う、いかんいかん」
自分で思った単語に反応しそうになって、俺は妄想をかき消すべく今日一日を回想した。
「センパイ、お待たせっス!」
吉岡さんの水着姿は、思い出しちゃだめーっ!
そんなわけで、このみの両親の夫婦仲を心配しつつ、人肌が温すぎる布団で俺がうつらうつらし始めたのは、もう朝方に近かった。
がさごそ、がさごそ。
ん? このみ?……は腕にかじりついてるな。もう痺れて感覚ないけどさ。
あれだ。左腕に収まっていた春夏さんがいない。
まだ、チェックアウトするような時間じゃないと思うんだけど……
「あら、起こしちゃった、ごめんなさい」
「春夏さん、あれ? その格好?」
このみを起こさないように上半身だけ起こすと、春夏さんは既に身支度を調えつつある。
「ごめんなさいね、実はさっき、あの人からメールが来て、休みが取れてこっちに戻ってくるっていうの」
あ、おじさん、仕事切り上げたんだ。
「だから、朝イチの電車で迎えに行くわ。このみは、起きないだろうから、悪いけどタカくんお願いね」
「あ、はい」
いそいそと出立の準備をする春夏さん。
おもむろに化粧を直したり、意味もなく時計を見たり、なんだか落ち着かない。
「じゃあ、少し早いけど、精算を済ませて行くわね。このみ、あとよろしく」
「ん……ふぁあい」
寝ぼけて意味が分からなくても素直なこのみに返答させて、春夏さんは部屋を出て行く。
その足取りは、心なしという程度ではなく軽かった。
「やっぱり、おじさんが戻ってくるのを心待ちにしてたんだな」
旅行中の俺への態度は、おじさんへの慕情の裏返しだったんだろう。
俺は一安心すると共に、ちょっとだけおじさんを羨ましく思う。
「さて、このみは起きそうにないし、俺ももう一眠りするか」
まだ腕を離してくれていないので、仕方なく隣に潜り込むと、このみは樹木にはりつくカブトムシみたいにすり寄ってくる。まあ、いいか。
財布は春夏さんが持ってっちゃったんだよな。買い物もできないから、起きたら俺達も帰ろう……う?
「あれ? 春夏さん、電車代置いていってくれた?」
……このみと二人で小牧の両親に帰りの電車賃を借りるのは、かなり恥ずかしかった。
以上です。支援ありがとうございました
最初は草壁さんSSのつもりで書き始めたんですが、
なんだかキャラ的にも展開的にもまったく脈絡のない話になってしまいましたね
ちなみに草壁さんのは>365のSSに変化しました
つまり8月からかき始めて、書いてるうちに海水浴シーズンが終わってしまったと(汗
うほっ、いいSS
>つまり8月からかき始めて、書いてるうちに海水浴シーズンが終わってしまったと(汗
逆に考えるんだ
人ごみが嫌だから、シーズンを避けて9月半ばに海に来たシチュエーションなのだと
つーか草壁さんって本来?の時間軸には存在しないんだっけ
草壁さんルートに入らん限り
てか草壁さんがどういう存在なのかイマイチ覚えてないけど
>>596 草壁さんルートでないときは貴明は学校に流星群とか見にいかないから
死ぬこともないわけでということは草壁さんもタイムスリップ
しないわけだから普通に生きているだろ
どっちが卵で鶏かアレだが、事故の記事を見て時をかける少女になったんだったか
交通事故じゃなくても、貴明が危機に陥れば超能力が開花する可能性はあるかもね
落石の直撃を喰らうと目からビームが出るとか。凍死すると歌で春を呼ぶとか
というか確か論理的に破綻してたよね。バックトゥーザフューチャー以上に。
当時考えてみたけどその結論だけ頭に残ってる。
違ったっけ。
>599
時間遡航自体が論理的には有り得ないってのは置いといても
どこが破綻したと思ったのか覚えていないのでは正しいも違うもないけどさ
ちょっと見返してみて、
草壁さんが事故の記事を見る→時を遡る→貴明が草壁さんを追いかけて事故に遭う
って流れ自体は、
最初の事故が草壁さんに起因するものでないとすれば特に破綻はないかと
流星群の夜なんだから、何かのきっかけで外出したって不思議はないだろうしね
へー。ありがとう。
ちょっと投下します。
AD準拠です。
では。
「ねぇ、あのさ、よっちゃんの学校、寺女ってさ、メイドロボが家にいるって子も、結構いるのかな?」
ここは、貴明達の行きつけの、もんじゃ屋の座敷の一角。
もんじゃの香ばしい匂いが辺りに漂う。
鉄板の上のもんじゃ焼きをザクザクとヘラで区切りながら、吉岡チエに尋ねる貴明。
「う〜ん、そうっすねぇ・・・もぐもぐ」
もんじゃを頬張りながら、考えるチエである。
「結構多いと思うっすよ。うちのクラスにも、何人かいるみたいっすし」
「そうなんだ。そうだよね、寺女って、お金持ちの子ばっかりだもんね。」
ふんふんと頷きつつ、貴明が言った。
「でさ、何体も持ってるって子も、いる?」
続けて尋ねる貴明。
「さぁ?普通、いないっしょ。」
チエが答えた。
「せいぜいが便利な家電か、よく出来たオモチャくらいの感覚っすもん。だいたい、ホントにお金持ちの子って、本物のメイド
さんを、何人も雇ってるもんすよ。」
それを聞いて、貴明は思った。そうだろう。メイドロボを何体も欲しがるのは、多分、男のマニアだ。例えば、雄二のような。
「あたしの先輩に、来栖川のお嬢様がいるっすよ。その人がいっつもメイドロボ連れてたの見て、オーナーになるのが流行
になったみたいっす。」
――― それは、多分、“セリオ”の事だろう。藤田先輩や珊瑚ちゃんの話してたメイドロボの試作機だ。
「でも、なんで急に、そんな事聞いてくるんすか、センパイ?」
貴明をジト目で眺めながら、尋ねて来るチエ。
「もしかして、メイドロボフェチっすか?雄二センパイみたいな」
ドキリとする貴明。
「いっ、いやっ、その、最近、よく街でも見掛けるじゃない。よっちゃんも、興味ないのかな〜、とか、思ったんだけど。」
「あたしは別段どうでもいいっすよ。自分の事は自分で間に合ってるっすから。」
さらっと答えるチエ。
「間に合ってなかったのは、ボーイフレンドだけっす。でも、それも、もう解決したっすから。」
そう言って、急に、頬を赤らめてにっこりとしながら、ネットリとした視線を向けてきたチエ。
貴明も頬を赤らめ、ドギマギしながらバツが悪そうに衿をつまむ。
周囲の席から、ヒューヒューと冷やかす店の常連さん達の声が聞こえる。
ボリボリと頭をかきながら、言う貴明。
「そ、そうなんだ・・・・良かったね、間に合って・・・・その・・・・俺なんかで良かったら・・・・」
冷やかしの声に一段と頬を赤らめながら、ふと、また考えに耽る貴明。
思い起こしたのは、自宅の、メイドロボ達の事だった。
支援
別段金持ちでもないし、マニアでもなかったが、偶然のきっかけで、2体のメイドロボのオーナーになってしまった貴明。
彼の家に常駐しているという事であるなら、3体いる。
1体、いや1人は、彼の与り知らないところで、勝手にご主人様登録されていた。
あろうことか、貴明のクラスメートにまでなって、追い掛け回してくる。
もう1人は、いきなり、箱詰めにされて押し付けられてきた。
仮のご主人様登録という事で、貴明の身の回りの世話をしながら、メイドロボ修行中(?)、である。
そして、その箱詰めメイドロボを送りつけてきた彼女達の姉は、指導教官と称して、ほとんど毎日のように、河野家に
入り浸っている。
実質的に、貴明の家のメイドロボと変わりがない。
困ったのは、3姉妹とも、最新のAIにより人間と変わりがない感情を有するタイプで、貴明に、ただならぬ感情を抱いて
しまっていること。
驚異の来栖川テクノロジーにより、それこそセックスだって、人間同様、お気に召すまま。
彼女達との同居生活を傍から見れば、爛れた生活を送る、ダメ人間にしか見えないのではなかろうかと、貴明は思う。
まだこの歳で・・・・
「――― どうしたっすか、センパイ?」
貴明の顔に自分の顔を近付けて覗き込みながら、尋ねてくるチエ。
「いっいやっ、何でもないよっ!」
両手をかざして冷汗を流しながら、後ずさる貴明。
現在の“河野家の事情”をよっちに知られたら、目も当てられないだろうなぁ・・・・などと想像すると、冷汗も出ようという
ものだった。
「・・・・ごめん、待たせた。センパイ、よっち。」
化粧室に行くと言って席を外していた、ちゃること山田ミチルが戻って来た。
「おそーい、ちゃる。もう結構食べちゃったよ。」
「ごめん。」
あまり表情を変えず、ボソリと言うミチル。
座敷に上がろうとした時、チエと貴明の顔が、少し紅潮しているのに、ミチルは気付く。
「・・・・ん?ちゃる、早く上がりなよ?」
ミチルがそのまま立ち尽くしているのを見て、怪訝な顔でミチルの座っていた座布団を指し示す貴明。
眼鏡の奥から視線だけを動かしてチエと貴明を交互に眺め回したミチルであったが、やがて、ふいに言った。
「ごめん。私、急に用事、思い出した。先に帰る。」
「えええ〜〜っ!?」
「えぇっ!?」
ほぼ同時に素っ頓狂な驚きの声を上げるチエと貴明。
「二人はゆっくりしていって。じゃ。」
そう言い残すと、ミチルは踵を返して、スゥッと出口の方に向かってしまった。
コップを載せたお盆を持って座敷に向かっていたハナとすれ違いざまに、ミチルはつぶやくように言う。
「ハナ、二人の分と合わせて、お代は後で払っておくから。」
「あいよ。」
バチンと片目を閉じてウインクしながら、ハナが応じる。
「あ〜あ、行っちゃったね・・・・。」
去っていくミチルの姿を目で追いながら、言う貴明。
「センパイ、その、あの・・・・」
「ん?」
頬を朱に染めて、もじもじしながら、尋ねて来るチエ。
「その、これから、センパイの家にお邪魔しても、いいっすか・・・・?」
「ええっ!?」
思わず叫んでしまった貴明。
「――― ?どうしたっすか、センパイ。何か都合悪かったっすか?」
貴明のその反応に、思わずキョトンとなるチエ。
「いや、そっ、そんな事ないけどさ、何と言うか、その、心の準備がさ・・・・」
そう言いながら、ヘラで鉄板上のもんじゃをカチカチとつつく貴明。
「・・・・センパイ、もんじゃ、千切りになってるっす。」
貴明の落ち着かない様子を見取って、怪訝な表情になるチエ。
――― いつかは招き寄せないといけないと思っていたけど、早くも、今日、その機会が来ようとは。
心中焦る貴明。
寺女の子女のメイドロボ所有事情を訊いたのも、今の河野家の事情をチエがどう思うかを、念頭に置いてのことだった。
「だって、いっつも、あたしの家か、果ては青姦じゃないっすか。そろそろ、センパイの家でと、思ったんすよ・・・・」
そう言って紅潮して俯きながら、唇を尖らすチエ。
「そ、そうだったね、そういえば・・・・いいよ。ウチにおいでよ。」
「―――ッ!ホントっすかっ!?うれしいっ!」
その貴明の言葉を聞いて、パァっと表情を輝かせるチエであった。
いよいよ観念した貴明。
・・・・ハァ・・・・。先にシルファちゃんに電話しといた方が、いいかなぁ・・・・。
ところは変わって、河野家の居間。
今、2人の少女を前に向かい合いながら、両腕を腰に当てて、青いショートカットの髪の少女が、立ち尽くしている。
3人とも、衿のデザインこそ若干違え、ほぼお揃いの、紺が基調のシックなメイド衣装を身に着けていた。
脚を包む黒いニーソックス。ややミニ気味の紫色のスカートが、活動的で愛らしい。
「――― いいですか、二人とも。そろそろ、貴明さんが、帰って来る頃です。」
3人の耳には、お揃いのイヤーバイザー。
メイドロボの、証だった。
「それでは、メイドロボ唱歌、歌います。いい、二人とも?」
「え〜?またあの変な歌、歌うのぉ〜?ぶーっ!」
「恥ずかしいのれす。」
「つべこべ言わないの。それじゃ、1、2、3、はいっ!」
ご奉仕〜 ご奉仕〜 ♪
ありったけの まごころの〜
ご奉仕〜 ご奉仕〜
選び抜かれた セクシャリスト
来栖川 メイド隊〜 ♪
「・・・・ミルファちゃん、相変わらずの音痴ねぇ。もっと練習なさい。」
「もう、お姉ちゃん、恥ずかしいよ〜。まるで、エロエロセクサロイドじゃない。」
ピンク髪の少女が唇を尖らして不満を漏らす。
「違うと言うの?」
ピシャリと言う、姉と呼ばれた青髪の少女。
「うっ・・・・。」
ピンク髪の少女は、頬を赤らめつつ沈黙してしまう。
「・・・・ イルイルは、恥ずかしくないのれすか?」
金髪のお下げ髪の少女が、赤い顔で俯きながら、上目つかいで訊いて来る。
「もーまんたいです。夜においても、ご主人様にありったけの愛のご奉仕で悦びをご提供する。それが、メイドロボの務め。」
平然と言ってのける。
再び、腰に手を当て、二人に向き直る青髪の少女。
「コホン、えー、それでは、メイドロボ標語です。私に続いて、復唱なさい ――― はいっ!」
「くんずほぐれつ ずっこんばっこん!」
『くんずほぐれつ ずっこんばっこん!』
チエと並んで家路を歩みながら、貴明は突如、肩を抱えてブルブルッと震え上がった。
「――― ん?センパイ、どうしたんっすか?」
その様子を見たチエが、心配顔で貴明の表情を覗き込む。
蒼白になりながら答える貴明。
「いっ、いやっ、急に、寒気が・・・・」
(続く)
全裸待機でいい?
というわけで、今回はこれで投下終了です。
気長な話になりそうですが、何とか頑張ります。
ご支援ありがとうございます。
では。
話の方向性としては嫌いじゃないけど、イルファさんが痴女扱いなのはちといただけないなあ。
614 :
落とした人:2008/09/20(土) 12:46:18 ID:1lP4DVTz0
よっち√END後の、爛れた生活を描いてみようかというのがまず念頭にありまして。
ちょっとエッチで面白おかしく描写できればと思ってます。
面白くとは意図しましたけど、それでただの痴女に見えてしまうんでは、考えものですね。
その辺はよく考えながら進めていきます。
>>613さん、ご意見、参考にさせていただきます。
いや、イルファって元から痴女じゃん。
自分で自分のことダッチワイフって言ってるし。
XRATEDの頃からイルファはド淫乱な痴女キャラだと思う。
無理にイルファさんを貶めるのヤメレ(´・ω・`)
AD準拠だからとサラッと通り過ぎればいいだけの話だろ
貶めるもなにも事実じゃん。
痴女キャラとして書いてるだろ。三宅本人が。
まぁ確かに、双子ルートの最後の台詞だけをピックアップすれば、Xのときから痴女キャラやね
ただ、双子ルートは他の部分との兼ね合いでバランス取れてて、『お茶目』になってたからなあ
多分ADでもそれは変わらないと思うよ
要は書き方の問題というか、614さんは今のところちゃんと『お茶目』なバランスになってるんじゃね?
今後どうなっていくかは分からないけどねw
さすがにコレで痴女だの淫乱だのっていうのは神経質すぎだろう
痴女云々はさておき、よっち√の後日談というのは、確かに惹かれる
三姉妹がその後どうなったかを、唯一垣間見せてくれるENDだからなw
濃厚で爛れた展開を期待するw
よっちとミルファの乳対決頼む(*´Д`)
よっちEDで「メイドロボを三人も所有してる」→「イルファさんはただの指導教官だよ」
ってな会話があるんだから、こういうのもアリだろね
イルファさんは、ADでは特にお下劣な台詞も多かったしな
個人的には、ここまであからさまだとちょっと引くけど、エロいの自体は大歓迎だぜ
>>614乙
俺としてはこのまま突っ走ってもらいたい
むしろ痴女キャラじゃないとイルファじゃないって感じ。
イルファさんは淫乱なのがいいんだよ。
イルファさんは、いざHになると清純だが日常ではエロトーク全快なのがいい。
>>614 乙。
いい感じなので気長に待ってます。
よっちED後のよっちがいらないくらいの勢いで
よっちとミルファでダブルパイズリ展開ですね、分かります
そんなにイルファさんはすごいのか?
オレはADができない、低スペック組なのでわからないけど。
低スペックでもADができる裏技ってないのかな・・・?
そんなにでて来ませんよ。
すごいっていっても、そのすごいところは合計で10行程度だと思う。
>>628 常識ある淫乱メイドだね。
つか引きこもりなだけでメイドロボ三姉妹の中ではシルファが一番まともな気がしてしまう。
>629
なにげにやたら長回しの台詞が多いんだけどね
妙に下品だったり、シルミルへの配慮が空回り気味だったり、
全然活躍したぜ感はないのにイメージダウンはするような役回りで可哀想に思った
ミルファんときなんか貴明寝取るみたいな発言あったしな。
そう言うの聞くとADはファン連中がファンディスク作れとうるさいのを
黙らせるために作ったんじゃないかと勘ぐりたくなるなぁ
まあ実際のところはTtTに注力してたんでスタッフ不足だったとかって所だとは思うけど。
シルファのマザコン関係もマザコンを強引に曲解して入れた感じのせっていだしな
>634
シルファのマザコン設定ってどんなだっけ?
無印とXRATEDでは、シルファは引っ込み思案でマザコンとしか言われてなかったが、
三宅があれをどう捻じ曲げてシルファを作ろうと思ったのかが気になる
普通にマザコンで引っ込み思案でもシナリオは面白くできたと思うが…
ファンが考えていたマザコン → 珊瑚ママすきすきすきーという意味でのマザコン
ADシルファのマザコン → 創造主への恐怖という意味でのマザコン
ADのシナリオや三宅叩きは本スレでやってくれ
シルファは前情報から本編での引っ繰り返しが上手かったと思うけどな
可愛いし特徴付けも成功してて、SS的にも書きやすい娘になったかと
シルファは特徴的な口調で誰が話してるか一目瞭然だから字数も節約出来るが、シルファ語間違えないよう
気は使う必要があるのが面倒かもw
ADヒロインで書いてて楽しいのシルファくらいだからなあ
他は元がサブキャラだからなのか、性格設定が一つの方向に偏りすぎてて面白味がない
そう考えるとXまでのヒロインは、しっかり作り込んであるよね
特にこのみはすごい
もっとブレイクしてもおかしくなかったと思うんだが、何が足りなかったんだろう
まぁ書いてて面白いかどうかは書き手のキャラの好き好きだからなぁ
シルファも結構性格の偏りはあるように思うし、活動範囲が狭くなりがちなのも
難しい要素ではある。
XまでとADとでは、性格付けの変ってるキャラがあるのが困るな。
〜準拠とは謳っておいた方が無難だろうね。
そもそもキャラの性格なんて人によってだいぶ感覚違うがね
俺がADでイメージ変わったのはイルファさんのお下劣と、貴明の鬼畜っぷりかな
他のキャラは特に変わらない(郁乃このタマちゃるよっち春夏さん)か、
元からあまり性格のイメージがなかった(菜々子まーりゃんシルファミルファ)
私の気になるシルファの揺らぎ
「おかえりなさいれす。」
「おかえりなさいませ。」
「おかえりれす。」
「おかえりなさいませれす。」
「おかえりなのれす。」
本編でどれがあったとかは覚えてないけど下にいくほど不自然さを感じる。
本編終盤に「お、お帰りなさいませれすっっ」って台詞はある
その後走ってお出迎えして「は、は、お帰りマサイ「、ご主人様」と続く
妙な「が入っちまった。「は、は、お帰りマサイ、ご主人様」だ
シルファは、普段は意外と普通にメイド口調っぽい、って印象がある
なるほど。
これからはマサイがスタンダードですね。
hosyu
てst
しょこうしのつ。
さぁ。そろそろ新しいSSを誰か。
過疎った所で、AD発売後でこのスレのSSでの登場キャラとメインキャラを眺めてみた
漏れは多々あるだろうが、把握できた59本(連載はまとて1本と数えた)で大まかに
AD前と比較しないと何も言えないんだがお遊びね。メインは内数
シルファ・・・登場27本、メイン7本
シルファ強し。普通のメイドロボの人と、攻殻ネタ無題な人の投下数が大きいが
他のSSにもよく出てくるので、確かに書きやすいんでしょうな
このみ・・・登場24本、メイン3本
タマ姉・・・登場18本、メイン2本
このみはAD出てもやっぱりメインヒロイン。環も流石の存在感。
ただ、このみはメインを張らなくても結構中心人物になりがちなのに対し、
環はちょい役が多い気がする。主役は総理大臣ネタSSくらいかも
ミルファ・・・登場17本、メイン6本
イルファ・・・登場17本、メイン4本
ミルファは登場数こそこのタマに負けるがメイン数を考えればシルファに次ぐ活躍
イルファさんはシルミルのサポート役かと思いきや主役も結構ある
愛佳・・・登場14本、メイン2本
郁乃・・・登場12本、メイン5本
双子・・・登場12本、メイン1本
郁乃はシルミルに次いでメインが多くて、登場数の割に印象は強い
愛佳は郁乃の、双子はメイドロボのおヒキが多いのは自然というものか
続く
続き
よっち・・・登場9本、メイン2本
優季・・・登場7本、メイン4本
ちゃる・・・登場7本、メイン0本
よっちは意外とメインが少ない気もする。草壁さんは出れば主役な感じ
ちゃる……誰か書いてあげようよ
由真・・・登場5本、メイン2本
ささら・・・登場4本、メイン1本
まーりゃん・・・登場4本、メイン0本
由真は「メイド日和」シリーズがあるが、脇は名前だけだったりして若干印象薄い
まーりゃんささらの生徒会コンビも意外に出番少ないねえ
花梨・・・登場3本、メイン1本
菜々子・・・登場2本、メイン1本
るーこ・・・登場2本、メイン0本
春夏・・・登場2本、メイン0本
花梨はともかくとして、るーこは少ないと思うなあ・・・
菜々子は「菜々子Strike!」でメインを張るも脇では滅多に出てこない感じ
春夏さんもこのみ絡みで出そうなもんだけど、このみ自身が脇役が多いからな
あとメイン多数なのが14本と多かった。ハーレム風味が強いせいだろうか。
とかいいつつ、作者の数が少ないから単に無題な人の短編のせいでもある罠w
あ、一人忘れてた。
雄二・・・登場18本、メイン7本
AD発売前後を問わずネタでもシリアスでも大活躍。たいがい不幸ダガナー。おわり
分析&総括 乙
雄二はハッピーエンドにしてあげたいんだけどね〜
カップリングがむずい
ほぼ全てのキャラは貴明に気持ちが向いてるので(ギャルゲの主人公なんだから当たり前だけど)
それを捻じ曲げちゃう形になっちゃうからな
かといってオリジナルキャラは持ち出したくないし
後は愛佳が少し不憫かな
最近脇役多いし、雄二と同じで便利キャラ化してる気がする
愛佳で書いてあげたいけどネタがない…
雄二とToHeart2キャラを引っ付けようものならフルボッコされるだろうな
突然ちゃると雄二が婚約させられ、ちゃるが雄二の学園に転入。
互いに断るが両親の命令で、二学期の間は週一デートさせられる羽目になる
よっちは二人の婚約を破棄させようと画策するが、謎の生徒会長も暗躍して……
Leaf最新作「さくら色に染まる坂」乞うご期待
59本もあるんだ。知らなかった。
数字を出されると、結構あるような感じがしますな。
無題といいつつ題名付けてるのは、微妙に続き物だからカウントに入れないという手も。
無題シリーズって続き物だったのかw
>654
雄二は、貴明にフラれた傷心をなぐさめて、か、貴明好感度低め設定にすれば、
例えば前者でこのみ、後者で郁乃あたりならくっつけても違和感ないんじゃない?
その二人は雄二の好みからは大きく外れていそうで、その時点で違和感が。
雄二が公言してる好みの点からいうとタマ姉なんだが
流石に姉弟は恋愛対象にならないので次点でささらだろうな
好みだけで言うなら
でも雄二はかわいい女の子ならオールオッケーとかいいそうな気がするんだw
そして、雄二の好みを優先した結果、緒方理奈とのクロスが書かれ、
かつてない怒号がこのスレを満たした。
この話は○○END後なので××や△△は貴明とはただの顔見知りですと書いておけばOK
それで本当にOKと思える人がどれだけいるかだな
>>659 俺としては、雄二×環は全然OK
寧ろ、それでお願いしたいくらいだm(_ _)m
俺としては、雄二×環は絶対NG
OKそうな組合せ
雄二×はるみ
雄二×ちゃる
雄二×まー
雄二×黄色
雄二×貴明
雄二×ロク
雄二×ゲンジマル
雄二×貴明のSS(ギャグとか友情とか?)って何故かほとんど無いよな?
(KANONやONEでは男同士のSSとか山ほどあるじゃん?)
とりあえず雄二×はるみは不可な。
ミルファは貴明の嫁でよし。
むしろ雄二×いくのんとかどうよ?
雄二×よっちで書いてみようかなぁと思ったりもする
好きだった某プロ野球選手が引退しそうなんで・・・
シルファの件がいなかったら、この二人でお見合いデートの可能性はあったよなぁ
オナカイタイの人か・・・
書くのはいいけど投下時には注意書きよろしく
個人的にはどれもあまり見たくないんで
>666
雄二の初恋ネタSSはちょくちょくあるじゃん?
逆に言うとそのせいで普通の友情ものは書きにくいのかもしらん
>667
雄二×郁乃は、書庫に「ただ心だけが」って長編が。外のSSでもなんかあったかも
貴明がアクション起さなければ、はるみとよっちゃるは雄二にフラグ立つ可能性充分あったんじゃね?
>>665 雄二×ゲンジ丸って何よ?w ゲンジ丸って雄?雌?
対タマ姉決戦兵器として考えて雄二×ゲンジ丸はありだろ、雄二的にはw
雄二×よっちなんて絶対に許さないよ
ssスレが…賑わってる……だと…?
俺的には雄二ならちゃるの方がフラグも属性の接点もあるのでくっつけ易そうだが
雄二×よっちにも期待したいので>668を励ましておこう。是非書いてみ
あとはささらかなあ。父親と貴明の次に付き合いが深い男だろし
雄二は比較的積極的で行動派なので受けタイプが合いそう……やっぱ雄×貴かw
さすがにガチやおいは書けんがやww
雄二×貴子以外は認めないのれす
貴子と聞くと貴明の女バージョンではなくツンデレラの方を思い出してしまう
名前変えてくれww
>>659 雄二の好みは緒方理奈やらナイスバディのお姉さまだろうが
正反対のさんちゃんるりちゃんも狙ったからな空気扱いされたが・・・
てか雄二は積極的に行動はするがMのイメージが何故か有る
まあ雄二は軽率に扱われるから仕方ないんだろうが
はるみはAD設定だと別に雄二じゃなくても、
最初に優しくしてくれた人とフラグたちそうだから闇歴史
雄二は可愛い子ならだれでもいいんだろう
>>679 姫百合ファミリーにモテモテの貴明をやっかんだ雄二が昔会った女の子(女装貴明)との再会を切望する
それを聞いた珊瑚がHMX-17の予備パーツででっち上げたボディを
リモートコントロール(貴明をベッドに縛り付けた状態でヘッドギア装着して脳波でバーチャルコントロール)
することで、雄二の夢を叶える事を思いつくのだが…
というネタを思いついた
展開は知らん
>>682 わかった。私が書こう。
試験に合格したらね。
>>683に期待
オレも書きかけの続き書かないとな
書きかけ……?
続き……?
……なんだろう、頭が痛いw
雄二×菜々子にゃんのSSを執筆中。
山本正之の「愛のロリータ」を聴きながら…
…あっ、駄目だ、つまってしまう…
雄二とメインキャラは駄目だっていってんだろ
荒れるから
貴明×まーりゃんはないのか?
シリアスどろどろで。修羅場でもいいんだ。
必ずしも雄二との恋愛モノとは限らないから別にいいんじゃね?
別に絡む相手とのラブラブでなくてもいいからもっとメインの機会を増やしてやろうという流れと理解する。
まぁ、あんまり主張が激しいと荒れるだろうな
程々にな
姫百合姉妹END後に雄二が貴明に
珊瑚ちゃんに俺(雄二)専用メイドロボを作ってもらうように頼んでくれないか?
と頼んできたのだが・・・
(中略)
ラストはタマ姉のアイアンクロー
ここまで雄二SSのネタの原案考えた!(注 自分は文章力がないため執筆できません)
文章力なんて必要ないんだぜ。
必要なのは最初のちょっとの恥ずかしさを捨てることなんだぜ。
よっち×メイドロボ3姉妹ネタの第二話です。
投下します。
こんにちは、小牧愛佳です。
今、クラスメートの河野貴明くんの家の前に来ています。
ここ数日間に、河野君の家で起きていた出来事は、関係者達の間で『炎の七日間』と語り草になっているんですが、
当の河野君の口からは、黙して語られる事はありません。
本人、とってもやつれて、見る影もないんですけど、何やら幸せそうです・・・・
ここで、河野さんと親しい人達から、お話を伺ってみましょう。
「あ・・・ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは貴明がよっちとはるみちゃんと部屋に入ったと思ってたら
いつのまにかシルファちゃんとイルファさんと部屋から出てきた』
な・・・ 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何が起きたのかわからなかった・・・
頭がどうにかなりそうだった・・・
おっぱいフェチだとかラブモンスターだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ・・・」
「よっちとメイドロボさんズとは、仲良しでありますよ?
別に喧嘩とかしてないのであります。いつもみんな夜遅くまで楽しそうでありますよ。
お母さんも、タカくんの泉は無尽蔵なんじゃないかって、感心してるのであります。
・・・何が無尽蔵なのか、私にはよくわかんないけど。」
「さすが、よっち、胸の谷間で歴史を作る女・・・
こうして、歴史は夜作られる・・・。」
・・・・それでは、この辺で。小牧愛佳がお送りしました。
――― そして、再び、数日前に戻って。
「大丈夫っすか、先輩?」
そう言って吉岡チエは青ざめた河野貴明の顔を傍らから覗き込む。
「だ、大丈夫だよ。多分、店の中が暑かったから、外に出て冷えちゃっただけだと思う。」
そう言いながら、貴明の歯は寒気を感じてカチカチと鳴っていた。
何だろう、この悪寒は・・・・
河野家の玄関前に辿り着いた二人。
「それじゃあ、どうぞ、よっちゃん・・・・いや、チエ。」
「うっ・・・・なんか、ドキドキするっすね・・・・それじゃ、おじゃましまーす。」
ドアノブを握りながら、もう一方の手を差し出してチエを促す貴明。
「あ、おかえりなさいま・・・・ぴぎゃっ!?」
「ただいま〜。・・・・シルファちゃん・・・・あれっ、シルファちゃん、いないの?」
玄関内にチエを招き寄せてから、部屋の中を眺めたが、いつもの金髪お下げのメイドロボ少女の姿が見えない。
一瞬、それらしい声と姿が見えたような気もしたが、貴明はチエの方を向いていたので部屋の中をよく見ていなかった。
支援 待ってました!
「・・・・センパイ、シルファちゃんって、誰っすか?」
チエが貴明に怪訝な顔で尋ねる。
「うん、このみの知り合いの姉妹から預かってる、メイドロボの子なんだけど・・・・前に話さなかった?」
努めて涼しい顔で話す貴明だが、バツの悪さが僅かに表情に覗く。
「う〜ん、そういえば、そんな話、聞いたような・・・・このみが話してたんだっけ?」
手を顎に当てて思い出そうとするチエ。
「ひょっとして、その子の事があるから、やたらとメイドロボの話に拘ってたんすね。やっぱりメイドロボフェチなんすか?」
「はは、ははは・・・・」
苦笑しながら頭を掻く貴明。
猜疑を含んだ目で貴明の様子を眺め回すチエ。
「・・・・まさか、その子と、夜のレッスンなんかしてないっすよね?最近のロボッ娘って良く出来てるみたいすから」
「そ、そんなことはしてないよ」
焦ってのけぞりながらかぶりを振る貴明である。
居間に入る二人。
「玄関の鍵開いてたし、俺の部屋にでもいるのかな。チエ、ちょっとトイレ行ってくるから、ソファで待ってて」
「うぃっす。」
ストンとソファに腰掛けるチエ。
貴明はトイレの前にやって来て、ドアのノブの、施錠の表示を見た。
もしかして、シルファが入っていて、“きれいなお水”を排泄しているのかも知れないと思ったのだったが、誰もいないようだ。
そこで、躊躇なくドアを開ける。
「あ・・・・お、おかえりなさいませ、貴明さん。」
―― 誰か、居た。
そこには、白いショーツを下ろして便座に腰掛けながら、呆気に取られた表情で貴明を低い位置から仰ぎ見る青髪の少女。
無言でバタンとドアを閉じる貴明。だんだんと表情が紅潮していく。
―― って、イルファさん!?
「あっ!貴明さん勝手に使ってすみません!すぐ出ますから。」
用を足しているところを見られて真っ赤になりながら、イルファが言った。
「いやっいいよ!ちょっと、イルファさん、しばらく入ってて!」
貴明は努めて押し殺した声で言いながらドアを押さえる。
「ぎゃあああぁぁぁ〜〜〜っっっ!!!」
突如、居間の方から大きな悲鳴。
「チエッ!どうしたのっ!?」
早足で居間に向かった貴明。
支援
「ダンボールがっ!ダンボールがうごめいてるっすっ!!」
チエの傍らに立ち、彼女の指差す方向を眺めると、壁際で、大きなダンボールがもぞもぞと横移動している。
苦笑しながら溜息をつく貴明。
「あぁ、シルファちゃんか・・・・大丈夫、怪しい人じゃないから。出ておいで。」
その声がかかると、ダンボールはぴたりと動きを止め、スッと上に持ち上がった。
その下から、メイドロボの衣装を着た、金髪のお下げ髪の少女が現れる。
「・・・・シルファれす。」
ダンボールを頭の上に掲げながら、俯き加減に名乗るロボット少女。
「・・・・ああ、この子が、メイドロボの子っすね。びっくりしたっす。」
安堵と感心を織り交ぜて苦笑しながら、チエが手を頭に当てる。
「シルファちゃん、ええと、吉岡さん。俺の・・・・」
「彼女っす。」
えっへん、と手を腰に当てて、自慢の胸を突き出すチエ。
チエの胸元をじぃーっと凝視していたシルファだが、やがて、呟くように言った。
「・・・・おっぱいおばけ。」
「・・・・へっ?」
その言葉を聞いて、目が点になり、硬直するチエ。
彼女の傍らで青くなる貴明。
「おっぱいおばけが現れたから、思わずらんぼーるに籠ったのれす。おっぱいおばけは、おぽんちか痴女に決まってる
のれす。」
“―― シルファちゃん、その発言は危険だぞ!タマ姉にでも聞かれたら ―― はるみちゃんは慣れてるだろうけど――”
まさか環が居はしないかと、キョロキョロと周囲を見廻す貴明。
「な・・・・何なのよっ、この子は!?」
わなわなしだすチエ。
「シ、シルファちゃんっ、とりあえず、チエにコーヒーでも出してあげてくれないかな!?」
焦って、何とかその場を取り繕おうとする貴明であった。
それから、貴明は急いでトイレの方へ向かう。
「イルファさん、もういいよ、出てきて。」
ドアが開いて、イルファが現れた。俯いてやや赤面している。
「・・・・イルファさん、イルファさんが来てるって事は、はるみちゃんも・・・・」
イルファに囁く貴明。
「はい、来てますよ。」
「どこ?」
「貴明さんのお部屋で待ってると思います。」
ミルファがどんな様子で自分の部屋で過ごしているのか、思案する貴明。
「と、とりあえず、イルファさん、ちょっとの間、バスルームにでも隠れててくれない?」
「え、えぇ、貴明さんのお家ですから、従いますけど・・・・」
ソファに掛けて、シルファが振舞ってきたコーヒーを口にしたチエ。
「うげぇっ、苦いっす・・・・」
あまりの苦さに顔を歪める。
「エスプレッソれす。苦いものと相場が決まってるのれす。」
「ド○ールのなんちゃってエスプレッソみたいっすね・・・・」
カップを置いてから、シルファの方を見ると、その恨むような視線から、微かに敵意のようなものを感じ取ったチエ。
・・・・なんか、あまり歓迎されてないみたいっすけど・・・・
―― 階段を急ぎ足で駆け上がり、自分の部屋の扉の前にやって来た貴明。
ドアノブに手をかけ、そーっと開きながら、部屋の中の様子を覗った。
「あ、おかえりなさい、ダーリーン!」
・・・・“裸のマハ”よろしく、ベッドに全裸で横たわるのは桃髪の少女。
貴明は無言のまま、ドアを閉じる。
「ちょっ、ちょっとお!何であたしの姿見るなり、すぐ扉閉めちゃうわけぇっ!?」
ドアの向こうからミルファの声。
「な、何で、全裸で俺のベッドに侍ってるわけかな?かなっ!?」
「むふ〜ん、肌寒くなってきたってダーリン言ってたから、あたしの直肌でベッド暖めてたんだよ?もち、このまま夜のお勤め
でもいいけどぉ〜♪」
「いや、いいからっ!お願いだから服着てっ!」
支援
―― 階段の方から、登ってくる人の気配。
「こっちれす、ご主人様のお部屋は。」
―― シルファちゃん!何でこの状況でチエを俺の部屋に案内するかなっ?カナっ!?
“・・・・ぷぷぷ、修羅場れす♪”
手を口に当ててほくそ笑むシルファ。
「あっセンパイっ!お部屋、お邪魔しちゃってもいいっすか?♪」
貴明の姿を見つけ、にこやかに部屋に駆け寄ってくるチエ。
「チッチエっ!ちょっと、ちょっとだけ待ってっ!」
「ダーリン、どうしたの?」
ガチャリとドアを開き、チエが目にしたものは ―――
全裸でベッドに侍る少女の姿を見て、無表情で硬直したまま立ちすくむチエ。
やがて、わなわなと震え出し、全裸少女を指差して叫ぶ。
「・・・・あ、あなたはっ!自称センパイの彼女でペットのクラスメート、はるみさん・・・・っ!?」
「あ、え〜と、吉岡チエさん、だったっけ?」
あっけらからんと言うミルファ。
「・・・・センパイっ!このコ、何で、全裸でセンパイの部屋にいるんすかっ!?センパイ、まさか・・・・」
貴明を睨み付けながら訊ねるチエ。
「・・・・チっ、チエっ!こ、これには訳が・・・・」
口元を引きつらせながら、ダラダラと冷汗をたらして釈明をしようとする貴明。
「むふ〜ん、これからダーリンとぉ、いいト・コ・ロ・・・♪」
ミルファが火に油をそそぐ。
「――― センパイ、酷いっすっ!酷過ぎるっすっ!!もう来ねぇヨォォッ!!ウワアァァァ〜〜〜ンッッッ!!!」
駆け出すチエであった。
「待って下さい!」
階段下から、チエに呼びかける女性の声。
ピタと立ち止まるチエ。
やがて、トントンとその声の主が階段を上がって来る。
チエの前に立ったのは、シルファとお揃いの制服を着た少女。
ペコリと頭を下げる。
「私の妹達がご迷惑をお掛けして申し訳ありません。私は、メイドロボのHMX-17a、イルファです。」
最初、呆気に取られていたチエだが、やがて貴明に向いて言った。
「セッ、センパイッ!あたしに隠れて愛人囲ってた上に、メイドロボ2体とも暮らしてたんっすかっ!」
「そ、そうじゃなくて・・・・」
言葉に詰まる貴明の後に、イルファが続ける。
「私は、貴明さんとマスター登録を結んでいる、妹二人の監督でこちらにお邪魔しています。貴明さんのお部屋にいる娘も、
私の妹のメイドロボ、ミルファです。」
へッ?と、またしても呆気に取られるチエ。
「・・・・てへっ♪、バレちゃった。」
シーツで裸体を隠しながら、舌を出しながらミルファが部屋の中から現れた。
「・・・・うっそぉ?あなたも、メイドロボだったんすか!?」
チエは驚きを隠せない。
「イルファさん・・・・」
貴明の言わんとするところを察して、話すイルファ。
「申し訳ありません貴明さん。でもこうしないと、もっとご迷惑がかかると思ったので・・・・。」
そうして、貴明にペコリと頭を下げたイルファ。
「おかえりなさいませ貴明さん。バタバタしちゃて、お帰りのお出迎えできなくてすみませんでした。」
支援 寝る
貴明がふと傍らに向くと、チエが、上目づかいに貴明を睨んでいた。
「あ、あははは、チエ、お、驚いた・・・・?」
手を頭に当ててその場を誤魔化すように空笑いをする貴明。
しかし、チエの視線は一層鋭くなる。
「・・・・センパイ、おかしいっすよ。もう異常っす。ヘッキーが行き着くところまで行き着いて、メイドロボに囲われてないと
暮らせない体になっているんすね?」
「へっ?」
「どこの世界に、メイドロボを3人も所有してる高校生がいるっすかっ!どんなお大尽っすか、それはっ!!」
「いっいやそれはその、俺の知らないところでご主人様登録されてた訳で、それに、イルファさんは2人の指導で来てる
だけだし・・・・」
釈明しようとする貴明だが、もうチエは聞く耳を持たない。
彼女は貴明の手をがっしと掴んだ。
「出るっす、センパイッ!」
「へっ?」
キョトンとなる貴明。
「こんな爛れた環境に暮らしていたら、センパイはどんどんダメ人間になっていくっすっ!あたしの家に来るっす!あたし
色に染めてやるっすよっ!」
そう言って、貴明の手を引っ張った。
「わわっ!ちょっと、チエッ!」
「まぁ、そうおっしゃらずに、もう少しこちらにいらっしゃいませんか?」
イルファがにこやかに、チエを呼び止める。
「へっ?」
一瞬、キョトンとなるチエ。
「貴明さんの心を射止めた方でいらっしゃいますよね?貴明さんの大切なお客様ですから、歓迎いたしますので、どうか、
寛いでいらしては。」
「ゆっくりしていってね!」
「・・・・ご主人様が選んだ人なのらから、しょうがないのれす。か、歓待、するのれすよ・・・・」
メイドロボ3姉妹の誘いに対し、チエは激しくかぶりを振る。
「あーっいいのっ!あたしとセンパイは、これから二人だけの甘い世界に旅立つんっすからっ!!」
それを聞いて、ミルファが言った。
「・・・・むふ〜ん、これから、ダーリンと、いいことするんだぁ・・・・ねぇねぇ、あたしたちも、交ぜてくれない?」
「えっ?」
「えぇっ!?」
チエと貴明、同時に驚いた声を上げる。
「そうですよ吉岡さん。私達はせいぜい便利な小道具くらいに思って下されば。きっと楽しい夜になると思いますよ。ね、
シルファちゃん。」
「ぴっ?シ、シルファもれすか!?」
赤面するシルファ。
「さ、それじゃ楽しくやろっ!さぁさぁダーリンもよっちゃんも入って入って♪」
貴明とチエの手をとり、二人を貴明の部屋に引っ張り込むミルファ。
「わわっ!ちょっとちょっと待って!」
「な、何するんすかっ!ちょっと待つっすっ!!」
河野家の長い夜が始まる・・・・。
(つづく)
今回の投下はこれでおしまいです。
途中で投稿規制かかってしまいましたが。
ご支援ありがとうございました。
5Pは死ねるがやww
とにかくハァハァしながら次回を期待。
>713
乙乙。ここは素直にエロエロに期待
最近作家が一人しかいなくなっちゃったね。
応援してますよ。
一人ってこたぁないだろうそりゃ失礼な話だよ
そろそろネタ的に厳しくなってきて投下間隔が開きやすくなってるのかも
次スレどうする?
えらく中途半端なんだけど。<今477KB
512kだっけ。
スレ立て目安までまだ23k以上あんじゃん
10レス〜15レスぐらいのSSならまだ書き込めるから、もう少し後で良いんじゃね?
あ、500kと勘違いしてた
480kか スマソ
河野家のメイドロボ、HMX−17cシルファは、商店街の八百屋の店頭で、晩の食事に使う食材を物色しているところで
あった。
人見知りのする彼女がこうした繁華街で買い物をするのは、ちょっとした冒険だった。いつもと違う店の袋に入った食材を
見て、マスターである貴明は、どんな風に褒めてくれるだろう・・・・そんな思いが、彼女にちょっとだけ勇気を与えていた。
並べられた品をぐるりと見回し、迷ってから、彼女は野菜の一つに手を伸ばした・・・・すると、彼女の背後から、声が。
「やぁ、シルファちゃん。」
「―― ぴっ!」 思わずすくみ上がって、後ろを向くと、立っていたのは、彼女のマスター、河野貴明。
「シルファちゃん、偉いね。今日はこんなところまで来て、買い物してるんだ。」
「・・・・か、からかわないれ欲しいのれす。シルファは優秀なめいろろぼれすから、もうろんな所れも、平気なのれす。」
「そうなんだ。わかった。じゃあ、俺はうちでゆっくり帰りを待ってるよ。」 そう言って、貴明はシルファを置いて、店を後に
しようとする。
「―― !ま、待つのれす!」 焦って貴明を呼び止めるシルファ。貴明はそんなシルファの様子に微苦笑を漏らす。
―― ツンツン。
貴明の右袖を、掴んで引っ張る指がある。シルファのものと思って、貴明が振り向くと、そこに居たのは ――
―― シルファではなかった。女性。シルファとややデザインは違うが、似たような制服を身に着けている。
彼女の耳の位置には、イヤーバイザーが。―― つまり、メイドロボだ。
但し、シルファ達三姉妹や、最近見掛けるようになった、HM−16型のものとは、若干デザインが違う。ちょっと古い型式
の、メイドロボらしかった。
「―― やっと、お会い、出来ました。」 鈴を転がすような声で、そのメイドロボの少女が言った。
「・・・・?」 怪訝な顔になる貴明。
「ずっと、是非もう一度お会いして、お礼が言いたかったんです。あの時は、ほんとうにありがとうございました。」
そう言って、彼女はペコリとおじぎをする。
以前会っているようだったが、貴明はすぐには思い出せない。それを察して、そのメイドロボは、八百屋の隣の、コロッケ
屋を指差した。
「―― あっ!君は、いつぞや、そのコロッケ屋の前で、喋れなくなって困っていた―― !?」 貴明は、ポンと手を打った。
「はい。思い出していただけましたか?」 にこりとする、そのメイドロボ。
「私、論理の矛盾に行き当たって、突然声が出なくなり、途方に暮れてしまってたんです。親身になって助けていただいて、
本当に感謝しています。」 そう言って、二度、三度、頭を下げる。
「いや、俺、困ってるコがいると、どうしても放っておけない性質でさ・・・・そんな、気を遣ってくれなくていいよ。」
手を掲げながら貴明は焦って後退りする。
「またお会いする事が出来たら、今度は、何かお礼のものをお渡し出来たらと思います。それでは、本当にありがとうござい
ました。」
そうして、彼女は最後に深々とまたお辞儀をする。顔を上げた時、彼女の頬はやや朱に染まっていた・・・・ように、貴明には
見えた。
買い物袋を抱えて、彼女は立ち去っていった。
「―― ご主人様、今のコは、何れすか・・・・?」 あっ、と、傍らに立っていたシルファの方を向く貴明。すっかり彼女の存在
を忘れていた。
「う、うん、春先にさ、ここで、喋れなくなって困ってたあのコの買い物の手助けを、した事があったんだよ。」
「・・・・ふーん。」 上目づかいに、怪訝な様子で貴明をジロジロ見るシルファ。
そうしてから、シルファはふいに貴明に背を向け、先程までの迷っていた様子とは打って変わって、無造作に野菜を掴んで
買い物カゴに次々と放り込む。
さっさとレジに向かって会計を済ませてしまうと、貴明に目もくれずに、商店街の出口に向かって歩き出した。
「―― あっとと、ちょっと、待ってよシルファちゃん。」 彼女の豹変に、あたふたする貴明。 「とっとと帰るれす―― !」
――――
夕食を終え、貴明は、自分の部屋の椅子の背もたれに、ぐっと背をあずけていた。
例によって、“またダーリンにこんな地味ぃ〜な食事作ってぇ〜っ!”と、ミルファがシルファに喰ってかかっていた様子を
思い起こす。
今日は、ミルファの肩を持つわけではないが、実際、かなり投げやりな夕食ではあった。こういう食事を作るときは、大抵
シルファは臍を曲げている。
―― 何か、怒らせる事、したかな・・・・?思い出そうとする貴明。
あるいは、ひょっとして、商店街で会った、あのメイドロボのコが原因?彼女に、嫉妬してるとか ―― ?
―― いやまさかな、と、独りかぶりを振る貴明。あのコは量産機らしい。恋愛感情なんか持ち得ない、彼女達に、シルファ
が嫉妬するなんて、あるんだろうか ―― ?
ふむ・・・・。
――――
そして、あくる日の放課後。
「ヒッキーに苛められて、ダーリンかわいそう。今日は、あたしが腕によりをかけておいしいもん作ってあげるね!」
学校の校門からミルファに強引に手をとられ、冷汗をかいて苦笑しつつそのまま商店街まで引っ張ってこられた貴明。
辿り着いたのは、またいつぞやの八百屋。
店頭まで来てようやく解放される。 「ほらっ、ダーリン選ぶの手伝って!何がいい?」 買い物カゴを掴むと、ミルファは
貴明を促しつつ、店内にズンズンと進んでいく。
買い物客の背中を貴明が眺めていると、その1人が、くるりと振り返り、貴明と視線が合うと、ペコリと頭を下げた――
―― あっ、また、あのコだ―― 今度はすぐに気付いた。先日の、メイドロボの娘。
彼女は貴明の目の前までとことこと歩み寄って来た。 「またお会い出来ました。」
軽く会釈をして、貴明を見つめた彼女の瞳は、何か、熱に浮かされているように見える。何だろう、この感じは―― 。
貴明は既視感のあるその視線が、何だったかを思い起こそうとする ―― そうだ、ミルファや、時にシルファやイルファが
見せるのと、似たような熱を帯びた感じ。
「きっとまた会えると思って、お礼の品を、携えてました。あの・・・・これ、どうぞ。」
彼女は、ごそごそと買い物鞄に手を突っ込んでまさぐると、中から、包みを取り出して、貴明に手渡した。何やら、高そうな
お菓子のものだった。
「ええっ?そんな、お礼なんて・・・・」 慌てて、思わずかぶりを振る貴明。
「受け取っていただけませんと、私は傷つきます。私は、三原則で、第一条と二条に抵触しない範囲で、自分を護るように
プログラムされています。どうか、お願いします。」
そう言われると、受け取らざるを得ない。 「あ、ありがとう・・・・こんな事までしてもらえて。」 おずおずと礼を言う貴明。
「いいえ、私の方こそ、受け取っていただけて、とても嬉しく思います。」
そう述べてから、彼女の顔は、はっきりと判るくらいに、笑みを湛えつつ紅潮した。
「きっと、また会えると信じてます。ありがとうございました!」 そうして、最後にまた大きくペコリとお辞儀をして、彼女は
貴明の前から立ち去っていった。貰った菓子の包みを持ったまま、呆然と立ち尽くす貴明。
「・・・・ダーリン。」
ハッとして、背後を向く。この間と同じように、今度はミルファの存在を、すっかり失念してしまっていた貴明。
これまたシルファと同じように、ジト目で不快感をあからさまにしながら、貴明を見つめるミルファ。
「もう、ダーリンのメイドロボフェチ!」 貴明を罵るミルファ。そして、やや間を置いてから ―― 「・・・・あの子、ダーリンに、
恋してるよ。」 くだんのメイドロボ少女が去っていった方向を見つめながら、呟くように言った。
「えっ!?」 それを聞いて、目を丸くし、キョトンとなる貴明。 「そんな、まさか・・・・そうだ、ご主人様に、お礼をしなさいと、
言われていたんだよ。うん、きっとそうだ。」 そう勝手に理由を決めつけ、うんうんと独りうなずく貴明。
「あたし、わかるんだ。あたしとおんなじ感じがするもん。―― もう、どこまで恋愛フラグ立てれば気が済むのよっ!」
そう一声叫んでから、ミルファは貴明の腿の肉を思いっきり摘む。 「うわぁ〜っ!痛い痛い痛いよミルファちゃんッ!」
「―― んもうっ!ダーリンのへたりんぼへたりんぼへたりんぼ〜〜っ!!」
――――
量産型のメイドロボでも、恋をするんだろうか ―― ?
自室の机に向かい、パソコンのモニターを見つめながら、考え込む貴明。
人間の反応に合わせて、計算された動作を返すというのはあるだろう。喜んだり、好意の表情を見せたりにしても、その
範囲を、大きく超える筈はない ―― と、聞いている。
―― それにしても、よく出来てるよな。コロッケ屋の前で、最初に問題の彼女を見掛けた時も、人間と区別がつかなかった
もんなぁ ―― 。
DIA搭載のHMX−17ほどではないにせよ、多少は感情らしきものが備わってるんじゃなかろうかと思う。全てが計算ずく、
とは思えなかった。
メイドロボの疑問は、珊瑚に聞いてしまうのが一番手っ取り早いのだろうが、またそこで、新たな恋愛フラグが立っただとか、
揶揄されるような材料を提供するのは嫌だったので、何とか自前で解決しようと図る貴明。
思案した挙句、彼は、来栖川エレクトロニクスのサポートページに質問メールを飛ばすことにした。
来栖川エレクトロニクスのWEBサイトに飛び、HMシリーズのサポートページまで行き着くと、その質問メールの入力フォーム
を立ち上げた。
幾つかアンケート入力項目があり、その一つに、『現在所有しているメイドロボの形式は?』という質問がある。
HM−12から16くらいまでの選択肢が並んでいたが、貴明は、“その他”の項目にチェックを付け、( )内に、“HMX−17”
と、手打ちする。
何とも幼稚というか初歩的というか、気恥ずかしさの漂う質問ではあったが、貴明としては、大いに真剣である。
往来で行き交うメイドロボ全てと、恋愛フラグが立つ可能性があるとしたら、これは難儀なことだ。
ただでさえ、“特殊体質”と、云われている身ゆえ ――。
――――
翌日、メーラーを立ち上げると、来栖川からの返信メールが届いていた。
メールを開いてみる。
『いつも弊社製品をご愛用いただきありがとうございます。お客様のご質問は、しかるべき関連部署にてご回答差し上げます
よう、転送しておりますので、いましばらくお待ち下さい。』
―― しかるべき関連部署って?そんな、専門的な質問だったかなぁ ――。腕を組んで、独り頭を傾げる貴明。
その2日後、メーラーを立ち上げると、来栖川からの2通目のメールが着信していた。
思わぬ差出人からだった ――。
――――
前略 河野 貴明様
いつもありがとうございます。
現在販売されているHMシリーズに搭載されている人工知能は、基本的には、私が設計したものです。
そこで、ご質問には、私がお答えいたします。
結論から最初に言ってしまいますと、それは、“有り得”ます。
人間とのコミュニケーションを円滑なものにし、主人とのよりよい関係を築くために、感情豊かな喜怒哀楽は、極めて重要な
ものです。ステレオタイプな反応しか示さないのでは、深く人間の家庭に溶け込んで行く為には、限界があります。
“より人間らしく”。私達、HM開発課では、それをずっと、至上命題としてきました。
勿論、親身に接してくれる人には、好意を覚えますし、邪険に扱われれば、悲しいと感じます。
ただ、販売機は、三原則の縛りがあるので、不快感をあからさまにする事はありませんが。
人間の男性に対し、女性のパーソナリティを持つメイドロボットが“強い好感”を抱く事があれば、それは、恋愛にごく近い
ものと云って差し支えはないものと考えます。能動的なものであれば、尚更のことです。
しかも、現在のところ、販売機であっても、三原則という安全装置が組み込まれているとは言え、未だメイドロボは、実験
段階の域を出てはいないのです。まだあらゆるケースを検証した訳ではないので、それこそ、人間の女性から感じられる様
な、“本気の愛情”を、メイドロボから寄せられる可能性は、大いにあると私は考えています。
また彼女達にとって、人間の好意を勝ち得るという事は、極めて重要です。それが、自分の存在理由を確かめる事になる
からです。
ですから、困っていたり、何かを期待するような仕草を見せているメイドロボを見掛けた時は、どうか、親身に接してあげて
下さい。彼女達の世界は、それだけで、とても幸福なものになるでしょう。
ところで。
人間とほぼ変わりない感情を再現する技術については、外部からの開発協力を得て、ようやく目処が立ってきました。
しかし、あまり人間臭すぎるのも、それはそれで、コミュニケーション上、様々な問題があることもわかってきました。
あくまで販売機とした際の話ですが。
それは、17型試験体の3人といつも接している貴方には、重々ご承知の事と思います。
いつもミルファとシルファの我侭の面倒を見ていただき、ありがとうございます。
これからも、彼女達を宜しくお願いします。 草々
☆☆☆☆☆☆☆☆
来栖川電工中央研究所
第7研究開発室 HM開発課
主任 長瀬 源五郎
―― 何てこったい。これは、“長瀬のおっちゃん”じゃないか。貴明は目をむいた。
まぁ考えて見れば、HMX−17のオーナーと答えたり、本名記載してしまったりしたのでは、“あの”河野貴明と知れて
しまうのは、むしろ当然だろう、と思う貴明。多分、長瀬氏は、珊瑚達から聞いていて、こちらの事はかなり知っているの
だろうと。
それにつけても ――
メールの意味するところを咀嚼する貴明。要するに、DIA搭載モデルでなくても、街中で出会う一般販売型のメイドロボ
とも、恋愛フラグが立つ可能性はゼロではない事について、開発者からもお墨付きがあったという事だ。
自分の“特技”も考え合わせ、貴明は、背もたれに大きく寄りかかって天井を仰ぎ、思わず大きな溜息を漏らした。
――――
そして、とある日の午後。
商店街に向かって歩んでいる貴明。両脇をミルファとシルファが押さえていて、貴明の腕に、がっしとしがみ付いている。
「ミ、ミルファちゃん、シルファちゃん、そろそろ、俺を、離してくれないかな・・・・?」 苦笑しながら懇願する貴明。
「だーめっ!ダーリンに、悪い虫が寄ってこないように、護ってなくちゃ。」
「ご主人様を野放しにするのは、危険極まりないのれす!」
商店街に入ったところで、小柄な女性が貴明の方に振り向くと、ぱぁっと表情が遠目からも判るくらいに輝き、彼らの方に
小走りにやって来るのが目に映った。 ―― あ・・・・あのコだ・・・・。
額を冷汗が垂れる。左右のシルミルを見ると、憮然とした表情で、警戒を強めてるのがわかる。まさか、避けて逃げる訳
にもいかないし・・・・長瀬氏のメールの一句が頭に浮かんだ。 “何かを期待するような仕草を見せているメイドロボを見掛けた
時は、どうか、親身に接してあげて下さい”―― 。
「や、やぁ、また会ったね。」 顔の筋肉のひきつりを何とか押さえ、努めてにこやかに、貴明は彼女を迎えた。
「はい。お会いできて嬉しいです、河野貴明様。」
ギョッとなる貴明。「き、君、どうして俺の名前を?」 ―― そういえば、名乗った覚えがない。
「―― 申し訳ありません。どうしても、貴明様の情報を知りたくて、サテライトシステムを使って調べさせていただきました。」
―― そんな事が出来るとは!そういえば、このコ、喋れなくなってた時も、データリンクシステムを使って、手話の情報とか、
ダウンロードしてたっけ―― メイドロボの機能も、便利過ぎるのは考えものだ、と思う貴明。
「私達、他のご主人様に仕えているコ同士で、時折情報交換してるんです。そうしたら、貴明様は、とってもお優しくて素敵な
方だって、評判になっていたんです。是非、そのコ達も、貴明様にお会いしたいと言ってるんですが、紹介してもいいですか?」
どんな情報源だよ、それは ―― まさか、イルファさんとかじゃないだろうな?
貴明の脇で、互いに顔を見合わせる、ミルファとシルファ。 やがて、“ダメだこりゃ”と呆れ顔になり、ほぼ同時に溜息をついた。
「―― もぉ、ダーリン、勝手にすれば?メイドロボ王国のハーレムでも何でも作ってればいいよ。」
「―― 運命れす。責任とるのれす。」
―――あああっ!?そんな!?見捨てないでっ!!助けてぇ〜〜〜ッ!!
(おしまい)
スレ埋めになればと思って投下してみました。
タイトルの“女中器”は、ハインラインの『文化女中器』から、いただいたものです。
メイドロボ+よっちの5PSSの続きは、次スレあたりでと思ってます。
それでは。
乙
フラグマスター
『夏への扉』れすね?わかります。
それはさておき、すげー面白かった!
メイドロボハーレムも期待してる(マテww
ヘタレ力すげぇw
乙
乙
貴明にはメイドロボを惹きつけるフェロモンがあるのかもしんまい
480kも超えたし、スレ立てでもしてみるかい
やっぱり読点の打ち方が好きになれないなぁ、と思った
読まなきゃいいだけなんだけどな
そう…?と思ってじっくり読んでみたら確かにへんな位置にあるきがしないでもない。
文章読むときはじっくり文字を見ないで意味だけ掬い取るから気づかなかった。
普段小説とか読まないから文章を楽しめないんだろうなぁ…
へんな位置というか、読点が多すぎるんだろうな
切らなくて良いところでも読点入れてるから違和感がある
SSの内容が悪いって言ってるわけじゃないので、そこのところお間違いなく
SS自体についてはおもしろかった
読点のことが気になったときは、西村京太郎お勧め。
ほとんどの本屋にあるから、ちょこっと立ち読みするだけでいい。
そろそろメイドロボズもマンネリ気味かなと思ってたけど、意外なキャラを引っ張り出してきたね
コロッケ屋にいたメイドロボが登場するSSって他にもある?
>>737 新スレ立て乙
>741
あの読点の多さは電車で向かいの人が読んでるのを覗いただけで気になったw
読点は多い方が意味は理解しやすくなるけど、頭の中で音読するリズムとの兼ね合いが難しいやね