ToHeart2 SS専用スレ 24

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どうも。
他のSS落としたりして、結構間を空けちゃいましたが、“イブ”の続きです。
534近未来のイブ その十三(1/9):2008/06/14(土) 03:52:16 ID:K3RY8Knp0

――――――――――――

夕食時を迎えていた姫百合珊瑚・瑠璃姉妹の住まうマンションの、広い部屋の中。
今、来客を告げるチャイムが鳴り響いた。
「ミルファ〜!うちもイルファも手がはなせんから出たってや〜!」
まな板上で玉葱を刻みながら瑠璃が叫んだ。
「はいは〜い!」姿見から離れて小走りでインターホンに向かったミルファ。
「はい、どちら様ですか?」
「おお、ミルファか。私だ。源五郎だよ。」
「おじさん!?わ〜い☆今開けるね!」

ドアを開けると、廊下には、眼鏡の奥の知的な眼差しが印象的な、背広姿の中背の中年男性が佇んでいた。
「こんばんは、ミルファ。」
「長瀬おじさん!ほら入って入って!どうだった?どうだった?」
源五郎の手を取り、脱いだ靴を揃える間も与えずに部屋の中へ引っ張り込もうとするミルファ。
「おいおい、ちょっと、待ちなさい!」

ミルファに引っ張られて居間に現れた源五郎の姿を見るなり、バンザイのポーズをした珊瑚。
「わ〜、おっちゃんや〜。るー☆」
「こんばんは、長瀬のおじさま。」イルファが台所でペコリとおじぎをする。
「おっちゃん、こんばんは」鍋を前にしゃもじを持ちながら、瑠璃。
「こんばんは、珊瑚君、瑠璃君、イルファ。今日の報告をしたいと思ってね。」
535近未来のイブ その十四(2/9):2008/06/14(土) 03:53:32 ID:K3RY8Knp0

珊瑚がノートPCを広げている丸テーブルの、丁度珊瑚の対面側の床に座布団を敷き、源五郎を座らせるミルファ。
「で、どうだったの、おじさん、学校は?」
源五郎の傍らで、両手を床について身を乗り出しながらミルファが源五郎に訊ねた。
「うん、手続きはとってきた。いつでも都合がいい時に登校しなさい。」
「わ〜いっ!ありがと〜っ!おじさん!」
大喜びで、源五郎の背に抱きついたミルファ。
姉イルファと比べても大きなその胸のふくらみが、源五郎の背に押し付けられてムニュッと広がる。
「ミルファ、おいおい、こら、ちょっと!」
ロボサッカー試合時の事故の修理の際に、彼女のバストサイズ3センチ増量を引き受けたのは源五郎だったから、頭では分かっていたつもりだったが・・・・・・
これは、流石に、色気が過ぎるのではないか、と思わずにはいられなかった。
これから、彼女のフィジカルコミュニケーション攻撃を受けることになると思われる少年・・・・河野貴明・・・・にとっては、たまったものではないだろう。
その感触を確かめながら、同時に、設計者としての分析が働く。
・・・・うむ、我ながら、よく出来ている。人間と寸分違わぬ感触・・・・・これは、なかなか・・・・・
・・・・いやまて、私は一体、何を考えているんだ!?
「みっちゃん、おっちゃんの顔、真っ赤や〜。もう解放してやったらんと〜☆」 その様子を眺めて珊瑚がニコニコしながら言う。
「あっ!?え、えっと!・・・・えへへ〜・・・・」 ミルファも赤くなって、さっと身を離した。
「おじさま、丁度、カレーが出来たところなんです。召し上がって行かれませんか?」
鍋を両手で持ちながらイルファが言った。
ロボ姉妹2人の様子を今暫く観察したくもあったので、その誘いに乗ることにした源五郎であった。
536近未来のイブ その十五(3/9):2008/06/14(土) 03:54:34 ID:K3RY8Knp0

――――――――――――

「ごちそうさま。おいしかったよ。」 カチャリと、スプーンを置いた源五郎。
「おっちゃん、おかわりせえへん?」 瑠璃が勧めてきたが、いやあまり長居をする訳にもいかないから、と断った。
「イルファ、君が保護者という事になってるから、初日は君が付き添っていってやってくれ。」
瑠璃の脇で佇んでいるイルファに言う。
「はい、わかりました。」 チラリと、源五郎の傍らの椅子に座っているミルファを見やってから返事をするイルファ。

「しかしね・・・・よくわからないのが、なんだって、向坂の家から、私のところに、珊瑚君のところのメイドロボを学校に入れてくれ、なんていう打診が来るのかな、ミルファ?」
源五郎の問いかけに、一瞬、ギョッとしてから、「あ、あは、あはは・・・・・」 と、引きつりながら、笑って誤魔化そうとするミルファ。
「そうや、ミルファ。なんで、うちらや長瀬のおっちゃんにはじめに相談せんと、よりによって、雄二の“アホーッ!!”、なんかに、相談したんや!?」
続けて瑠璃も問い詰める。
「う〜っ、だってぇ・・・・」唇を尖らせ、両手の人差し指をツンツンとつき合せながら、ボソリボソリと話すミルファ。
「ゆーじくんにダーリンの事、聞きにいったら、何でも相談に乗ってくれるって、言ったんだも〜ん。それに・・・」
今度は、イルファの方をチラと見やってから、
「いっつも、あたしの事、おぽんちとか言ってバカにするから、学校行きたいなんて言ったら、どうせまともに聞いてくれないと思ったしぃ・・・・・」
ふぅっ・・・・と、嘆息したイルファ。
「だから、おぽんちさんだって、言うんですよ、ミルファちゃん。勉強嫌いのあなたが学校行こうと言うんだったら、大賛成に決まってるじゃないですか。」
「そうやな〜。むしろ、なんか調子おかしゅうなったんかと思うくらいや」 意地悪な笑みを浮かべて瑠璃が言う。
「ぶーっ!またおぽんち言ってるしぃっ!!」 ふくれっ面になるミルファ。
537近未来のイブ その十六(4/9):2008/06/14(土) 03:55:55 ID:K3RY8Knp0

そんなやりとりを聞きながら、源五郎は、この2番目のHMX-17型の気質なり思考に見られる特徴を考察していた。
確かに、姉に比べれば、あまり整然とした論理的思考に長けているとは、現状では言い難い。
が、回路設計的に、劣る要素がある訳ではない。あくまで、DIAのパラメータが、感情優先に組まれた結果だ。
一方で、直観力というか、勘というか、無作為に与えられたデータから、途中の思考を飛ばして重要な事実を割り出す能力に長けていそうな節がある。
これは、美点と言ってよい。まったく的外れな場合も決して少なくはないのだが。
むしろこれこそが、DIAに期待されている能力ではなのか。
さほど学習しない割には、言語能力には見るべきものがあり、知的可能性は決して低くはない事を示している。
人間に例えるなら、非常に気分屋で好き嫌いが激しく、興味を抱いた分野には情熱的に取り組むが、興味のない事柄については、とことん冷淡。
B型気質と、俗に言われるものに近いか。
驚嘆に値する運動能力。これが、彼女の目下の興味の対象だからだが、これとて、学習なくては為しえない成果だ。
・・・・・・
特定の人間の男性に対する、偏執的とも言える興味・・・・もとい好意。
これは、珊瑚のDIAの、人間味を持たせるための働きの一つによるもので、論理的認識力とは直接的には関係ないが、そこに与える要因はもちろん少なくない。
感情をシュミレートするに当たって、情緒的安定をもたらす為に、ある程度はやむを得ない仕掛けだった。
三原則が組み込まれていない彼女達の、安全装置としての役割も果たしている。

いいではないか・・・・彼女達は、ロボットではない。女なんだ。そのつもりで、私も珊瑚君も彼女達をつくったのだから。
そんな、とりとめのない結論が出たところで、急に横からミルファが切り出した。
「おじさん、“あの件”は、大丈夫だよね?」
唐突に思索をさえぎられてびっくりした源五郎だったが、ミルファの言う、“あの件”の事を、思い出そうとした。
・・・・ああ、そうか、あれか。
538近未来のイブ その十七(5/9):2008/06/14(土) 04:28:17 ID:K3RY8Knp0
「うん。先生方には、校長先生から緘口令が敷かれる筈だよ。お前は、人間の女の子として、入校するんだ。」
斜向かいの席でカレーに手をつけていた瑠璃が、ふぅっ、と溜息をつきながら言った。
「ミルファも、おっちゃんも無茶するわ。そないなことして、どないな意味あるん?」
イルファも続く。
「私も、そう思います。そのうち、バレてしまうでしょうし、むしろその時の反動の方が・・・・」
源五郎の正面の珊瑚が、ニコニコしながら言った。
「ええやん。なかなかおもろいわぁ〜。」
ネガティヴな意見が続いたところに味方を得て、ミルファは勢いづく。
「だよね、だよね〜!さんちゃん、話せる〜!☆」
源五郎も、にやりとしてから、言った。
「いいんじゃないか?私も、ミルファが、どれだけ人間として受け入れられるか、大いに興味があるね。」
―――その名前のままじゃ、駄目よね。人間らしいの名乗っていかないと。
―――ふふ〜ん、もう考えてあるも〜ん。“はるみ”とかって、どうかな〜?
―――はぁ・・・。もう、なんておぽんちなネーミングなの。
―――ぶぅーっ!おぽんち言うの、禁止っ!!
ロボ姉妹のやり取りを遮るように、源五郎が切り出した。
「さて、そろそろ、おいとましようかな。ありがとう。お邪魔したね。」
「あ、はい、おやすみなさいませ、長瀬のおじさま。またいらして下さいね。」ペコリとして、イルファ。
「おっちゃん、またな。ほなおやすみ。」
「おやすみ〜」
「バイバイ、おじさん☆」
玄関に向かう途中で、見送ってきた珊瑚に源五郎が言った。
「あ、そうだ。珊瑚君、ちょっと、いいかな?少しだけ、話があるんだが。」

――――――――――――
―――意味は、あるもん・・・・
源五郎が去った後、再び、姿見の前に佇み、ミルファがひとりごちた。
―――ダーリンには、先入観なく、今のあたしを好きになって欲しいから―――
姿見に映った自分の姿を眺めながら、両の耳に装着されている、イヤーバイザーに手を当てがった。
―――もう、こんなもの、必要ないよね。あたしは、人間になるんだから。―――
カチリと、バイザーを掴んで外すと、その下から、人間と変わらない耳が現れてきた・・・・。
539近未来のイブ その十八(6/9):2008/06/14(土) 04:29:53 ID:K3RY8Knp0

――――――――――――
マンションの廊下に立つ、源五郎と珊瑚。
「実は、今日、学校に寄った後、来栖川ホールディングス本社に呼ばれて行ったんだが・・・」
そう言って、鞄の中をがさごそとまさぐってから、一つの書類を取り出した。
珊瑚の手に渡されたその書類の表題には、

――HM-18 開発企画書――

とある。
「あっ!?おっちゃん、とうとう、次世代機の開発、着手するんやな?」
「その企画書は、HM開発室から出したものではないよ」
不満な様子も露わに、源五郎が言った。
「エレクトロニクス出身の、ホールディングス本社の営業担当取締役から、私に渡されたものだ。」
へー、と言いながら、珊瑚が書類の最初の項をめくりにかかる。
「HMシリーズは、今、最も売れているヒューマノイドロボットだ。来栖川では、更に増産を計画している。」
「ほな、いっちゃん達の成果も、生かされるんやろうな。“だいこんいんげんあきてんじゃー”と、ロボ三原則の折り合い、どう付けるん?」
源五郎は、首を振った。
「我々は、ずっと一貫して、自律型ロボットの可能性を探って来た。HMXの開発を通じてね。」
企画書の数行を読み進んでいって、やがて、珊瑚の表情が険しいものに変わる。
そして、源五郎を見上げて、叫んだ。
「――!おっちゃん?なんやねん、これっ!?」
「HM-16リオンでは、データリンクシステムの応用機能を強化してみた。それが、幹部どもに、余計なヒントを与えてしまったようだ。」
苦々しげに源五郎が語る。
「“共同意識体”などと呼んでいるが、愚劣の極みだ。奴らは、HMの頭脳と手足を切り離して、エレクトロニクス社内に設置された超大型CPUに制御される、手足を持った、ただの端末にしてしまおうと計画してるんだ。」
540近未来のイブ その十九(7/9):2008/06/14(土) 04:35:37 ID:K3RY8Knp0
「そな、あほな・・・」 珊瑚も、流石に空いた口がふさがらない。
「厳密には、全く頭脳を持たない訳じゃない。起動したり、緊急時の最低限の自律的動作を行わせるための頭脳は残される。
しかし、大半の動作機能と、仕えるマスターの元で得られたパーソナルデータ、学習経験などは本社のホストの各HM−18ごとのフォルダに納められ、都度、データリンクシステムを通じて動作指示が発せられるんだ。」
そうやって、HM本体の大幅な簡素化と低価格化を実現し、一気に大量生産による普及を図る目論見であった。
「彼女達をせいぜい高度な家電と捉えた、その営業販売戦略と見れば、お見事という他ない・・・・・しかし、あえて愚劣と言おう。」
怒りを込めながら、源五郎が続ける。
「長年月に渡って追求し続けてきた、人間のパートナー、友人としてのロボットの可能性を、180度、後退させようとしているんだ。」
そう言って、こぶしをギュッと握り締める。
「しかも、困った事に、試作機HMXも、今後は、この方向性に沿って開発をしていくよう、求められている。」
「なんやて!?」目を一層見開いて、珊瑚が言った。
「私は、勿論反対した。しかし、ホールディングスの執行役員会議の議案にまで上っては、もう、抗しきれないかも知れない。」
肩を落とす珊瑚。「そんなぁ・・・ほんなら、“だいこん・いんげん・あきてんじゃー”は、どうなってしまうんや?」
「部分的には共同意識体型HMにも応用可能だろうが・・・・しかし、完全自律型ロボットに組み込まなければ、何の意味もないのは言うまでもない。」
放心してしまう珊瑚。
「うちは・・・・友達が欲しいだけやったのに・・・・」
見るからに憔悴してしまった珊瑚に、源五郎が言った。
「だからこそ、HMX−17達に、賭けたいんだ。」
541近未来のイブ その二十(8/9):2008/06/14(土) 04:39:31 ID:K3RY8Knp0
えっ?と、珊瑚が顔を上げる。
「せめて、試作機HMXだけでも、自律型ロボットを製作していく許可とその予算枠だけでも残させたい。数字や利益で測れない価値を見出させてやってね。」
そう、それは・・・・
「“感動”だよ。拝金主義に支配されてしまった幹部どもに、今一度、純粋な気持ちから沸き起こってくる感動というものを呼び覚まさせてやりたいんだよ。」
源五郎をじっと見つめる珊瑚。
「だからこそ、ミルファが学校に行くのも認めた。彼女の、人間の男性に対する恋も、後押ししてやる気にもなった。人間とロボットが愛し合う姿を見せてやれば、これは、感動を生み出せるんじゃないかね?」
うんうんと、首を縦に振る珊瑚
―――そうや。みっちゃん、頑張れ。―――

「それから、もう一つあるんだが・・・・・」
話題を変える源五郎。
「シルファのことだ。」
シルファ。3番目のHMX-17。ミルファとは1日違いの姉妹機だ。
起動後の状況が思わしくなく、いまだに研究所に預けられたままである。
「聞いてると思うが、最近、ますます状態が芳しくない。もう、研究所員達も、どう接したらいいのか、途方に暮れ出している。」
シルファには、イルファとミルファの中間的なDIAの感情パラメータが与えられている。バランスを考えてのことだったのだが・・・・
それが、中途半端だったのだろうか?
イルファはロボットとしての自分によく言えば達観的、やや冷めたところがあり、ミルファは過剰なまでに自己の意識、“心”に、自信を抱いている。
しかし、シルファは、自意識は強いのだが、ささいな事からコンプレックスを抱くようになり、それが、対人恐怖へと繋がって行ってしまったのだった。
「打ち解けようと話しかけても、それから逃げ出して部屋奥のダンボールに引き篭もってしまったり、まる1日研究所内を逃げ回って、やっと探し出した事もあった。」
以前から多少なりともそうした行動は見受けられたが、最近は極端である。
「どうもね、人間で云うところの、魂の病に罹りかかってるんじゃないかと、見受けられる。」
542近未来のイブ その二十一(9/9):2008/06/14(土) 04:42:53 ID:K3RY8Knp0
「おっちゃん、もっと端的に言って。精神病やと言うんやな、しっちゃんは?」
力なく、頭を縦に振る源五郎。
「はっきりと言い切れる状態ではないがね。しかし言えるのは、このままでは、間違いなく、彼女は、本当に狂ってしまう。」
自分を制御出来なくなった実験体が、どうなるかは、珊瑚にも想像はついた。
過去、いくつもの、失敗作として打ち捨てられざるを得なかったHMX達の話・・・・・
「最後の手段を講じるかどうか、その決断を迫られる時が近いかも知れない。珊瑚君、ある程度、覚悟はした方がいいかも知れん。」
蒼白になっていく珊瑚。
「つまり、“殺して”、しまうんやね、しっちゃんを・・・・・・」
人間に遥かに勝る身体機能を持ったHM型を、狂ったままで放置しておく訳にはいかないのは、勿論、珊瑚もわかっている。
でも、でも・・・・・・
「厳密には死ぬわけじゃない。また新たなプログラムをインストールすればいいだけだよ。」
「フォーマットして、あの子の“人格”を跡形も無くしてしもうたら、殺してしまうんもおんなじやっ!!」
そう叫んでから、両手で顔を覆い、さめざめと涙を流し始めた珊瑚。
「そんな・・・・・なんの為に、生まれてきたんや、あの子・・・・・・」
源五郎も、同じく、うなだれていた。
彼とて、そうしたくないのは山々である。
ほれ見たことかと、産業用ヒューマノイドロボットを手掛けるライバル部署の開発主任が嘲笑しているのを、伝え聞いている。
産業用機にも、マルチやセリオ達によって蓄積された技術が応用されているというのに。
・・・・・いや、何よりも、かつて、失敗作と断じられたHMX達の、廃棄処分を下さざるを得なかった、苦い思い出が、脳裏をよぎる。
彼にとって、HM達は“娘”である。もう、そんな苦痛を味わいたくない。
ポンと、珊瑚の両肩に手を置いて、言った。
「まだまだ、やれる事はあると思う。いろいろ考えて、手を尽くしてみようじゃないか。」
543近未来のイブ その二十二:2008/06/14(土) 04:58:13 ID:NlE1Krl30
そう言いながら、源五郎が考えていたのは・・・・
―――彼女の情緒を安定させてくれる、マスターの存在があれば、或いは・・・・―――
思えば、イルファも、起動直後は不安定だった。瑠璃というマスターがいるからこそ現在がある。
ミルファも、やや情緒不安定な傾向があったが、一人の少年への想いが、彼女の“心”の存在に対する自信を、確かなものにしたのだ。
しかし、そのマスターは、シルファ自らが求めなければならない。
「イルファ達が見舞いに行ってやるのもいいかも知れない。とにかく、まだ諦めずに頑張ってみよう。」
「・・・・・・うん。」 顔を上げて、珊瑚がゆっくり、うなずいた。

(つづく)
544543:2008/06/14(土) 05:03:20 ID:NlE1Krl30
どうも。今回は、これでおしまいです。
“メイドin有明”で、結構ドタバタでやりたい事はやってしまったので、こちらはシリアス風味で。
投稿当初は、正直、方向性決めてなかったのですが、ようやく見えてきました。
先に言っちゃいますが、はるみ√が念頭にあります。
でも、別にゲームの補完とかをしたいわけじゃないです。
ロボットと人の在り方を模索し続けて、理想と現実の間で葛藤する長瀬のおっちゃんと珊瑚のお話・・・・に出来ればいいなと思ってますw
では。
545名無しさんだよもん:2008/06/14(土) 13:33:04 ID:nTgmyzd40


モチベーションをごっそり削ってしまうかもしれないんだが…
ミルファが編入することを『無駄に大ごと』にしすぎてないかなあ?
確かに、シリアスさを演出するためには、こういう切羽詰まった状況にしちゃうのが手っ取り早いんだけどさ
うーん、なんかピンとこない設定が多くてあんま面白くないな

スマンね
546543:2008/06/14(土) 14:22:20 ID:NlE1Krl30
>>545
正直言って、私も面白くないんで、別なのに先に手をつけてしまった次第です(マテ
でも最初に落としたのがこれだったんで、何とか終わらせようと無理した部分はあります。
お子さん達が面白おかしく暮らしてる背後で、おっさん達は色々難しい仕事してるんだという雰囲気を
お見せ出来ればくらいの気持ちで、ちまちま落とします(^^;。
多分、数千台のHMを制御するホスト設置する方が、お金はかかるだろうと思いますけどw
スピリッツで連載してる漫画の、分裂生殖するオメガ見てつい影響されてしまったという(^^;
547543:2008/06/14(土) 14:39:59 ID:NlE1Krl30
しまった上げてしまった失礼しました
548名無しさんだよもん:2008/06/14(土) 14:42:26 ID:NvYzIoet0
>544
乙〜

シリアスならシリアスでいいと思うよ。この手のは反発くいやすいのは確かだろうけど、
だからって自分で自分の作品を卑下する必要はない。思い切りやりなされ
549名無しさんだよもん:2008/06/14(土) 17:53:15 ID:UPZcCOBh0
作者自身が卑下してる作品を、無理に持ち上げる必要もないと思うけどなあ
550名無しさんだよもん:2008/06/14(土) 18:19:21 ID:NvYzIoet0
>549
作者自身に卑下されたら、書かれた作品やキャラが可哀想だと思うから
例え自分で出来が悪いと思っても、書きたいものを書いたんだから、
胸を張って「精一杯書いた。つまんなかったらゴメソ」って言ってあげなよと

ギャグ飛ばす時も自分で引いてたら話にならんでしょ。捨て身でいけ捨て身で(無責任w
551543:2008/06/14(土) 19:45:27 ID:NlE1Krl30
諸兄ご意見方有難うございます
連載終了が決まった漫画並にあっさり流そうと目論んでいたものが
こってり描こうかとか思ってしまったではありませんかw
・・・しませんけど(ォ
壁紙制作の方が本業なんで遅々として進みませんが、合間見てまた
そのうち落としますね
552名無しさんだよもん:2008/06/14(土) 21:38:17 ID:IOi+vs8X0
挿絵つきで作品投下ということですねわかります。
553名無しさんだよもん:2008/06/15(日) 21:45:42 ID:wDH4wY4g0
挿絵つきとは・・・期待だな
554543:2008/06/16(月) 00:42:55 ID:InifN49Y0
こんばんは。
残念ながら挿絵はございませんが、また落とします。
修羅場スキーです。ご不快に思われる向きは、どうか途中で読むのお止めになるのを推奨します。
それでは。
555近未来のイブ その二十三(1/7):2008/06/16(月) 00:43:43 ID:InifN49Y0
エレクトロニクス本社から源五郎が戻った時、研究所は大騒ぎになっていた。
慌てまくっている部下の研究員に促され、所員の休憩所に入ってみると・・・・・
部屋の一方の隅では、高校のセーラー服を着たミルファが、イルファと、もう一体のHMに押さえられていた。
その表情は、恐ろしい怒気をはらんでいる・・・・・これほど怒り狂ったミルファを、およそ見た事がない源五郎であった。
通常のHMよりも強い力を与えられているミルファだったから、押さえつけるのがやっとである。
一方の隅を見ると、周りをやはり数体のHM達に囲まれて、うずくまっているおさげ髪が見えた・・・・シルファだった。
部屋の中は什器や調度品が倒れたり割れたりして、酷い有り様である。
入口の脇では、珊瑚と瑠璃が抱き合って、呆然としながらこの修羅場を見つめていた。
「この卑怯者っ!ひっきーっ!逃げ回ってないで、勝負しなさいよっ!!畜生!ぶっ飛ばしてやるっ!!」
「やめて、ミルファちゃんっ!お願いだから、やめてっ!」
イルファが、ミルファの体の一部をつつくと、ビクンと痙攣して、急に膝から崩れ落ちてしまった。緊急停止用の消電スイッチを、押したものらしい。
「くっ、はぁ・・・・な、何すんのよぉ・・・・」 床にへたれ込んでしまったミルファだった。
そして、今度はシルファのいる隅に向かっていくイルファ。
「シルファちゃん!あなたも!何てことを言うの!」
「ぷぷぷ、いい気味れす。お脳の足りないミルミルを、からかってやったのれす。」
その言葉に、一瞬、怒気を孕んだ表情を見せてから、ミルファにしたように、シルファの緊急停止スイッチをつつくイルファ。
「ぴっ!ぷっ、ひゃあぁ・・・・」 シルファもまた、崩れ落ちて四つんばいになってしまった。
・・・・彼女にスイッチの位置を教えた覚えはないのだが。どうやって覚えたものか。
「珊瑚君、瑠璃君、イルファ!一体、何があったんだ?」
556近未来のイブ その二十四(2/7):2008/06/16(月) 00:46:12 ID:InifN49Y0
事の顛末を、イルファから聞かされる源五郎。
珊瑚達は、数日前の、源五郎の助言に従って、イルファとミルファを連れ、研究所へシルファの見舞いに訪れた。
イルファは気が進まかったのだが、源五郎の勧めという事で、珊瑚は素直に従ってしまったらしい。
人間との接触を恐れているのなら、せめて、同じメイドロボの姉妹達ならば・・・・・という程度の安易な考えだったが、ここ最近の、ミルファとシルファの関係を考慮すれば、そんな発想は浮かばない筈だった。
深い後悔にかられる源五郎。
ミルファは学校帰りの直後だったが、彼女が高校の制服を着ていた事が、余計、シルファの神経を逆撫でしてしまったものらしかった。
「本当は、作り物の自分に自信がないから、人間ごっこをしてるんだって・・・・・。それで、ミルファちゃん、酷く傷ついちゃったらしいんです。」
あぁ・・・・それが、彼女達の、一番のウィークポイントなのだろう。
それを克服したくて、ミルファは殊更に外に向かって自分の人間性を強調し、かつ人間の愛情を得てそれを確かめたがるのだろうし、内向性の強いシルファはそれが出来ずに、袋小路に入り込んでしまっている。
その言葉は、ミルファだけではなく、シルファ自身をも傷つけているに違いなかった。
シルファの“心”の苦しさのはけ口は、しばしば、自分にはない外向性を持ったミルファにぶつけられるのだ。
「姉妹なのに・・・・なんで、こんな事に・・・・」
両頬を押さえてうつむいてしまうイルファ。人間だったら、彼女の頬をはらはらと涙が伝っているのは間違いないだろう。
珊瑚も、瑠璃も、放心したまま、じっと抱き合っている。
「珊瑚、瑠璃、イルファ。さぁ、出よう。お前達!ミルファとシルファを、連れ出してやってくれ。」
『イエス・マスター。』と答えて、HM達が身動きの取れなくなっているミルファとシルファを抱え、引きずり出していた。
「畜生・・・・あいつ、許さない・・・・絶対に、許さないんだからぁ・・・・」
「ぷぷぷ・・・惨めれす、滑稽れす・・・・。所詮、めいろろぼが、人間になんて、なれるわけが、ないのれす・・・・・。」
557近未来のイブ その二十五(3/7):2008/06/16(月) 00:48:47 ID:InifN49Y0

余計に、火に油を注いでしまった格好だ。
さて、どうすればいい・・・・・?
源五郎は、いよいよ頭を抱えてしまった。
学校での、ミルファの弾けっぷりを伝え聞いて、頭痛を感じていた源五郎だったが、そんなものは結局、笑い話に過ぎない。
これは、遥かに深刻な事態である。
自分の“身内”をも、拒絶してしまったシルファ。一体どうすれば、彼女の凍てついた心を溶かせるのか?
“最後の手段”の可能性を珊瑚に示唆した源五郎だったが、実のところ、彼自身が、その手段の行使を最も強く拒否していた。
既に珊瑚と瑠璃は先に帰して、今、源五郎の執務室には、イルファだけが残っている。
「・・・・おじさま、私に、考えがあります。どうか、私にお任せ下さいませんか?」
はっとして、イルファの顔を見やる源五郎。
何やら、確信めいたものを感じさせる表情だった。

自分はロボット工学者ではあるが、ロボット心理学者ではない。
そもそも、DIAを搭載したロボット達の心理など、今の段階では、深く推し測りようもないのだ。
プログラムを組んだ珊瑚とて、それは同様である。どう廻っていくのかを検証するために、そもそも三姉妹は生み出されたのだから。
シルファの気持ちを最も良く理解し得るのは・・・・・他でもない、同じDIAを組み込まれた、イルファではないのか?
ここは、彼女の知恵にすがるしか、方法は無いのかも知れない・・・・・
そう考え、決断した源五郎だった。
「分かった、イルファ。ここは、お前に任せるよ。それで何があっても責任は私が持つ。」
558近未来のイブ その二十六(4/7):2008/06/16(月) 00:51:08 ID:InifN49Y0
住宅街の中の小路を、非常なスピードで駆け抜けていく、桜色のセーラー服を着た少女。
ピンクの髪が、その風圧になびく。
そして、急に立ち止まり、今度は周囲をキョロキョロと見回した。
「あれぇ?・・・・・ダーリン、また見失っちゃった。もう、なんで、逃げられるんだろ・・・・」
その少女、“河野はるみ”は、メイドロボ・ミルファとして住んでいる姫百合家に向かって、しょげながら、とぼとぼと歩み出した。
姫百合姉妹の住んでいるマンションが彼女の視界に入って来る。すると、その前に、一台の白いライトバンが走ってきて、停車するのが見えた。
ライトバンの助手席から降りてきて、後部のハッチバックを上げ、大きなダンボールを引きずり出している少女がいる。
ミルファと同程度に小柄ながら、そのダンボールを、ひょいと苦もなく、肩に抱え上げているのは・・・・・
青い髪、イヤーバイザー、そして、HMシリーズロボットの制服。
「・・・・イルファお姉ちゃん。何だろ、あの荷物?」
冷蔵庫の箱に見える。しかし、既に大型のが設置してあるし、小食の珊瑚と、瑠璃二人の食欲を満たすのに、これ以上冷蔵庫が必要には思われなかった。
ライトバンの運転手に礼を述べた後、ダンボールを抱えたまま、トントンと踊り場の階段を登っていくイルファだった。
559近未来のイブ その二十七(5/7):2008/06/16(月) 00:53:05 ID:InifN49Y0
 
「ただいま〜。」
「あら、おかえり、ミルファちゃん。」
ミルファが部屋に入った時、イルファは、立ち尽くして、なにやら考え事に耽っていたようだった。
部屋の中に、先程イルファが持ち込んできた荷物がないか見回したミルファ。
・・・・・あった。リビングの隅の方に、それは鎮座している。やはり冷蔵庫で、“ミツヨシ”製のものだった。
「どうしたの、ミルファちゃん?」
「あ、いやさぁ、お姉ちゃん、さっき、荷物抱えてこなかった?」
一瞬、ハッとしたような表情を見せたイルファであったが・・・・すぐに、平然とした表情になり、冷蔵庫の箱の方に顔を向けた。
「あら、見てたの。・・・・それね、珊瑚様に頼まれて、持ってきたの。お友達の家に送るまで、ちょっと仮置きしておくのよ。」
ふーん、と、訝しげな表情で、気のない返事をするミルファ。
・・・・な〜んか、様子がおかしいんだよなぁ、お姉ちゃん。
ミルファに組み込まれたDIAが編む“女の勘”が、ピクピクと働いていた。
「・・・・ミルファちゃん、シルファちゃんの事、許してあげられない・・・・?」
「・・・!?」
560近未来のイブ その二十八(6/7):2008/06/16(月) 00:56:30 ID:ogOh0KXW0
唐突に、その、一番聞きたくもない名前を切り出され、考えを妨げられたミルファ。
「あの子、本当はかまって欲しいのに、ああやって、いっつも裏腹なことばかり言ってるのよ・・・・自分を傷つけるようにね。」
「・・・・あたしは、あ〜んな根暗じゃないから、いつまでも根にもったりしませんよ〜だ!」
「そう・・・・・なら、いいんだけど・・・・・」
―――今は、ダーリンの事だけでいっぱいいっぱい。あんな奴の事思い出したら、ダーリンに不愉快な顔見せちゃうもん。―――
「実はね・・・・シルファちゃん、お仕えするご主人様が決まって、近々、研究所を出る事になったの。」
「・・・えっ!?」
それは、どうにも、俄かには信じがたい話である。
果たして、あんな状態のシルファの、引き受け手など、いるのだろうか?
そもそも、対人恐怖症のあいつが、素直に従える筈がない。
・・・・ひょっとして、これは、実質的に、捨てられたという事ではなかろうか。
「へぇ〜、あいつがね〜。そうなんだ〜、ふ〜ん。どんな酔狂なご主人様だろうね〜。」
明らかに、信じてないなという感情をミルファの表情から感じ取りながら、ポーカーフェイスを装おうとしているイルファ。
「私、ちょっと、お夕食の買物に行って来るわね。あ、持ってきた荷物、とても大切なものだから、絶対、開けちゃったら駄目よ。」
ハ〜イ、と返事しながら、登校カバンを、自分の居間に置きに行こうと歩んでいくミルファ。
そして、イルファが出て行って、廊下を歩き去っていく音を確認してから、ニヤリとほくそ笑んだ。
「・・・・な〜んか、絶対、怪しいんだよなぁ、お姉ちゃん。・・・・よ〜し、開けちゃえ。」

マンションの外に出てから、顎に手をやり、また、考えに耽るイルファ。
―――何で、躊躇して、一旦ここに運びこんじゃったんだろう、私ったら。直接、送り出しちゃえば良かったのに―――
―――よりによって、ミルファちゃんが追い回してる、あの方のところだし・・・・その内必ず、知れてしまうだろう―――
―――えぇい!他に、頼れる方が、いるというの!?ここは、思い切って、やってみなきゃ!
561近未来のイブ その二十九(7/7):2008/06/16(月) 00:58:57 ID:ogOh0KXW0
 
―――鬼の居ぬ間に、とばかり、ダンボールに手を掛けたミルファ。
ダンボールを見ると、それは、開け口を紐で縛っているだけの状態で、きれいに廻せば、開けた痕跡は残らない筈。
クルクルと紐をほどいて、両側の蓋を上げた。
そして、内蓋も開けて、中を覗き込むと・・・・・
「・・・・・きゃっ!!」
びっくりして、思わずのけぞったミルファ。
・・・・・人間の、手!?
・・・・・いや、この、袖口。白と紺の、制服は・・・・メイドロボ!?
さらに覗き込むと、目に入ったのは・・・・・金髪の、お下げ髪。
「・・・・これは・・・・ひっきー妹S!?」
紛れもなく、あのいまいましい妹、シルファであった。
燃料電池を抜いてあるか、強制スリープモードに、されているのであろう。ピクリともしない。
「お姉ちゃん・・・一体、何で・・・?」
―――先程の、イルファの話を思い起こしたミルファ。
“お仕えするご主人様が決まって、研究所を出る事になったの”
―――な〜るほどぉ〜。そのご主人様のところに、ポイされちゃう訳ね。だぁ〜からぁ〜、こっそり、送り出すんだぁ〜。―――
「ぷぷぷ・・・・いい気味だわ。いい気味ついでに、赤っ恥、かかせてやろうっと。」
シルファの着ている服に、手を掛けるミルファ。

・・・・・くっくっく・・・・剥いちゃえ!♪

(つづく)
562561:2008/06/16(月) 01:03:26 ID:ogOh0KXW0
・・・なんか、とても黒いですね。
もうこの調子で、一気に行こうかと。
それでは今回はこの辺で。
563名無しさんだよもん:2008/06/16(月) 22:03:54 ID:Me5yeIsB0
>>562
まぁ予想していなかった展開じゃないけど、なかなか黒い展開だがおもしろくなってきたよww
まだまだおもしろくなっていきそうですね
564名無しさんだよもん:2008/06/16(月) 22:22:33 ID:CnCzzvgx0
黒い。これは黒い
565名無しさんだよもん:2008/06/16(月) 23:01:38 ID:XG6rnk3x0
黒いか?俺はこんくらいが好きだ。
DIAはどう考えても病むだろ。機械の身体に人間の精神は危険だって。
イルファさんだってどっか危ないじゃん??
でもそんなところが好き。

というわけで>>562乙&GJ。
今後にも期待。
566562:2008/06/17(火) 23:44:35 ID:I0XTsKQo0
こんばんは、562です。
ゲームで内で語られてた、シルファがミルファに言った“ひどい一言”とか、素っ裸で河野邸に送られてきた顛末とか、
もうおおむね描きたいものは出しちゃったので、一気に連載終了にかかります(^^;
ご期待に添えず申し訳ございません、と、最初に謝っちゃいます。

それでは。
567近未来のイブ その三十 (1/18):2008/06/17(火) 23:47:46 ID:I0XTsKQo0

――――――――――――

来栖川エレクトロニクスロボット研究所次長、HM開発室主任・長瀬源五郎は、執務室に一人、机に向かいながら、ホールディングスのS専務から渡された“HM−18 開発企画書”の表紙を眺めて考えに耽っていた。

これから以後は、彼の視点から、話を追っていこう。

・・・・・私としたことが。科学者らしくもない、ここは、もう少し、冷静になってみようか。
このたびのHM仕様変更の打診は、今までの、私の社内でのスタンスを客観的に捉え直す、或いはいい機会なのかも知れない。
私自身は振り切ってきたつもりだが、やはり、グループ内での長瀬一族の影響力が助けとなって、私の、ともすれば恣意的とも取れる理想追求型のロボット開発も、多目に見られてきた面が多々ある筈だった。
営利企業の商品開発担当である以上、より利益を生む商品の開発を第一義とすべきで、どう考えても、ユーザーどころか人そのものを拒絶するようなメイドロボの研究開発が、経営職や株主の理解を得られる筈がない。
エレクトロニクス及び重工の営業収入が鈍化傾向にある中、ロボット販売事業だけが気を吐いている状況である。。
売れ筋商品のテコ入れを図りたいのは経営者なら当然で、そこに雇われる技術者は、その期待に応える義務がある。
従って、純粋に収益の観点から、改めて、今回のS専務の提案を検討してみる事にしよう。
568近未来のイブ その三十一 (2/18):2008/06/17(火) 23:49:50 ID:I0XTsKQo0

遠隔操作型・自律機能限定型HMの場合、その制御の負荷に耐え得る強力なホストの設置に要する、多大な初期投資に見合うだけのセールス面での成功が当然前提となる。
現行のHM-16型がこなしているだけの各種状況判断を、肩代わりするためのホストの、その製造コストをざっと試算してみる。
あくまで、同時並列処理可能な機体数の限界値を現実的な数字で捉えた上で。
そして、機能簡素化によるHM単体の製造コスト下落幅を試算する。
ホールディングスの電機事業部のマーケティング担当が想定する販売台数で、その収支を計算すると、まぁ確かにかなりの増収効果はある。
しかし、メイドロボは生活必需品ではない。確かに、昔からこの手の商品の根強いニーズがあるのはわかるが、そこまで普及するかと言えば、経験上疑問符が付く。
廉価化されると言ってもせいぜいがミドルクラスの上級車から大衆車になる程度で、購買層のハードルを下げたところで、必需品でないものを中・低所得層がわざわざ買うか?
逆に、こういうモノを欲しがる人間の心理から言って、この機能制限は、許容し難いスペックダウンと捉えられる可能性がある。
“自分だけの”メイドロボを欲しがる傾向があるのだ。例え、HMXのような“心”は持っていなくても、遠隔操作とは訳が違う。
そういう要素も考え合わせて行くと、本社の販売想定台数は、いささか過大に思われる。私の考える現実的な数字で収支計算してみると・・・・
現行とトントンか、下手をすれば赤字となる。しかも、ホストは汎用性がほとんどないのだ。
あくまで、現行機の延長的な仕様で、可能な限りの資材大量発注による製造コスト引き下げとそれを反映した新価格設定で、若干の増収を見込んでいくという、手堅い商売という選択肢もあるのだという事を、対案としてぶつけてみるか。
少なくとも、それで赤字はない。
569近未来のイブ その三十二 (3/18):2008/06/17(火) 23:51:41 ID:I0XTsKQo0
自律機能特化・感情付加型HMXの開発の見直しについては、何も、遠隔型HMの開発との連携から出てきただけの話ではない。
私の恣意的な開発姿勢への、やっかみの部分もかなり含まれると思われるのだ。
ここは少し大人しくして、特殊なオーナーの嗜好にも最低限応えるという範疇での、量産機にほぼ転用可能なレベルでのDIA評価機製造へと、切替えていく事で矛先をかわすか。
珊瑚君は不満だろうが、死んだふりをしてでも、開発枠を温存する事がまずは肝心だ。
人とロボの恋物語で感動云々は・・・・・もう考えるのは、よそう。
イルファや珊瑚君の報告から伝え聞くミルファの振る舞いを想像すると、思わず冷や汗が出てくる。これには参った。
思わず、“おぽんち”という言葉が脳裏をよぎる・・・・・すまんね、河野貴明君。
感動させられたとしても、せいぜいが喜劇としてだ。
570近未来のイブ その三十三 (4/18):2008/06/17(火) 23:53:46 ID:I0XTsKQo0

――――――――――――

ミルファが下肢をかなり損傷した状態で、イルファに連れ込まれて来た。
イルファが引っ張ってこなければ、当分そのままでいるつもりだったらしい。
自分からは決して話そうとしないのだが、高所からのダイブ等による圧損である事は明らかだ。
最近の彼女の行動パターンから察するに、これも、河野貴明君絡みだとすると・・・・ぞっとする。
ロボット3原則を組み込んでいない彼女らが惹起する人身事故に関しては、一切合切我々が過失傷害致死の責を負うのだ。
HM事業停止どころでは済まなくなる。
イルファにはこれまで以上の監視を頼まないと。他に追いかけられる者がいるとは思えないし。
それにしても、想像される状況で瞬時に痛覚を切る事は難しいだろうから、直後の苦痛はかなりのものだった筈だ。
我儘気ままな印象とは裏腹に、ミルファは相当に我慢強い。これは、留意しておく必要がありそうだ。
スポーツロボの耐性なのかも知れないが。
他にも不調箇所を黙って抱えている可能性があり、メンテナンスは入念に行った方が良いだろう。
ただでさえ、イルファ、シルファに比べてボディを酷使する傾向がある。
今後DIA評価試験機製造が限定的になりそうなのを考え合せると、彼女は大事な実験体なのだ。
・・・・いや、単に、私が“親バカ”なのかも知れんが。馬鹿な子ほど可愛いと言うあの類のやつだろうか?
571近未来のイブ その三十四 (5/18):2008/06/17(火) 23:55:46 ID:I0XTsKQo0

――――――――――――

研究所からシルファが忽然と消え失せた事による、研究所内の反応は、或いは困惑、或いはほっとしたという声、寂しがる者、様々。
私からは、もっと実地的な評価実験のため、とあるオーナーの元へと送った、としか所員には話していない。
そんな事が出来る状態ではなかった筈、と、一応皆が思っているようではあるが・・・・
私も、送り込まれた先が、くだんの河野貴明君の家、とイルファから聞かされた時は、流石に、我が耳を疑った。
何とも、突拍子もないというか乱暴な方法を・・・・・
来栖医大リラクゼーション研究所での、貴明君の“ヘタレ力”認定の結果だとか、怪しげな理由も一応、話していたが・・・・
つまるところ、貴明君は、彼女が考える“理想のご主人様”で、シルファにも同様な効果を及ぼし得る筈だという、“女の勘”、らしい。
改めて珊瑚君から伝え聞けば、イルファも、貴明君に対して、ミルファに負けず劣らず、ただならぬ“危険な感情”を、抱いているのだという。
・・・・・イルファも、私が考えていた以上に、大胆なところがある。それが表面化する事は普段あまりないのだが。
やはり、DIA搭載の3人、程度の差はあれ直情径行的な部分が共通して見えてくる。
してみると、ミルファ、シルファはそのパラメーターが少々強過ぎたのかも知れない。
シルファの“矯正”については、彼女のパーソナリティの根幹的な部分は極力残して、対人恐怖に至っていくまでの過程の記憶だけ消去する事も検討していた。
しかし、彼女の場合、起動からごく早い段階に生じてしまった口調の問題に、起因する部分が大だったので、そこまで遡って消すと、ほとんど赤子の状態に戻ってしまう事を意味していたのだ。
ここは、イルファのとった手段が、奏功する事を願うか。
572近未来のイブ その三十五 (6/18):2008/06/17(火) 23:56:32 ID:I0XTsKQo0

――――――――――――

この研究所、純粋に新機体の研究開発に専念出来る環境ならば有難いが、なかなかそうも行かない。
研究開発だけではなく、サービスセンターでは手に負えない修理・メンテナンスや金に糸目をつけないオーナーのカスタマイズの要望に応じるための、メンテナンス工場としても研究所は機能している。
そのための人員は、決して充分とは云い難い。
かつ私個人の立場では、問題のHMの仕様変更であるとか、HM開発部以外のロボット開発部所との予算枠の綱引きなどの、社内のあくどい駆け引きに忙殺されるシーンが非常に多いのだ。

来栖川相談役の家のお嬢様、綾香嬢が、セリオを連れて、研究所にやって来た。かなり久しぶりだったと思う。
勿論VIP待遇のオーナーだから、普段はサービスセンターで一番腕のあるメカニックが定期メンテナンスを担当している。
が、今回は少々大掛かりなオーバーホールのため、研究所に“戻って”来た、という云うわけだ。
既存のHMXの、現在の蓄積データを生かしたままDIAを組み込む事が可能かどうか、珊瑚君に検証してもらおうとした事があるが、とりあえずは綾香嬢は、現在のセリオに満足している、との事。

相談役が、“セバスチャン”に気を使ってか、私にホールディングス本社の椅子を用意しようと動いてくれているのだと、綾香嬢から聞いた。
正直なところ、それはあまり有難くない話で、その手の話が舞い込む度に、私は断り続けていた。
ロボット開発の現場から引き離された自分の姿など、今はおよそ想像出来ない。
来栖川家の番頭、お庭番としてのしがらみをあえて断ち切って、私はこの道に入ったのだ。
・・・・たまに開かれる長瀬家の親族親睦会でも、私は、“父”とは、ほとんど口を聞かない。
573近未来のイブ その三十六 (7/18):2008/06/18(水) 00:02:17 ID:qam6bx380

――――――――――――

ミルファが、学校の体育会系の部活に入ろうと、体験入部などして物色を始めたという。
スポーツロボとしても卓越した運動性能を見せた彼女のことだ、それはさぞ目立った事だろう、尋常ではなく。
彼女は、人間の“河野はるみ”として在籍しているのだ。全国大会等で露出する羽目にでもなったら、これは目も当てられない。
珊瑚とイルファに言って、早速断念するように伝えた。
いくらなんでも、許容出来る限度というものがある。

非常に驚いた事に、シルファが、メイドロボとして、まともに貴明君のために働いているらしい!
・・・・一体全体、河野貴明君というのは、どういう特性を持った人間なのか、今ひとつよくわからない。
イルファ達と一緒にいた彼を見た限りでは、普通、というか、むしろ冴えない、頼りなさげな少年だ。
“とてもお優しい方”とか、“優しいダーリン”とか、そんな単純な理由で済ませられるものだろうか。
恐らくは癒し系のキャラなのだろうが、そんな特技があるなら、将来的にうちの研究所にスカウトでもしたいものだ。
神経質なメイドロボの調教係にはもってこいだ。
574近未来のイブ その三十七 (8/18):2008/06/18(水) 00:03:58 ID:qam6bx380

――――――――――――

HMの、中古販売についての論議が、エレクトロニクス、系列販社、中古販売業者との間で、巻き起こっている。
転勤、経済的な理由、新型機への買い替え、等々、“ご主人様登録”を解約されたメイドロボは、全て、エレクトロニクスで引取る。
専業の中古販売会社が直接オーナーから買い取るシステムはない。
エレクトロニクス直営の販売店か、系列の販社のみが新たな“ご主人様”への販売契約窓口になる。
個人情報保護法の絡み、軍事転用可能な高度な技術情報海外流出の防止、等々が主な理由だが、プライバシーマークを持った業者が、それは独禁法違反だろうと言い立てている。
またこれに、エレクトロニクス及びホールディングスの電機事業部が、中古販売を絞って新型機の普及を図るものだから、安価な中古HMを望む市場ニーズに応えきれない、と、販社から悲鳴の声が上がっている、という次第だ。
個人的には、新型機普及の為に、スクラップにされるのか、クリーンインストールされて、“前世”の記憶を全て失ってから、新たなご主人様に仕えさせるのと、どちらがマシなのか、という問題を、珊瑚君あたりがどう見るかというのにいささか関心がある。
HMX-17型のような“心”を有したロボットの記憶を一切消去してしまうのは、確かに“死”に近い感覚がある。しかし、一般販売用HMには、心とまで呼べるものはないのだ。
日常的に行われているそういった行為にまで、残念ながら思いをいたす程の余裕は私にはない。
しかし、研究所に付属しているHMの再生工場の現場を見たら、珊瑚君はさぞかしショックを受けるのではないだろうか。
575近未来のイブ その三十八 (9/18):2008/06/18(水) 00:07:21 ID:qam6bx380

――――――――――――

まことに遺憾というか、残念な出来事が起きてしまった。

かねて懸念されていた通り、ダメージの蓄積していたミルファに電気系トラブルが発生し、動作障害を起した挙句、電子脳にも深刻なダメージが及んで、メモリのかなりの部分が飛んでしまったのだ。
高度にカスタマイズされた機体なだけに、メカニカルな部分の復旧にも手間はかかったが、残存したメモリーをサルベージする作業が、非常に困難を極めた。
珊瑚君も私も、手を尽くしてはみたが、どうしてもリカバリーし得ない障害が残った・・・・・約半年分の記憶が、彼女から消えていた。
彼女には、バックアップ記憶などはない。定期的なデータ採集も、極めて抽象化されたものでイメージで再生出来るものはなかった。
彼女達自身がそれを望んでいたからだが、今更悔やんでも覆水盆に帰らず、である。
彼女の“人格”を構成する根幹的な部分を残す事には、辛うじて成功したようだが・・・・・。
失われた記憶の中で出会っている人間は、もはや知らない人だし、その人間から見た彼女は、また“別の人”に見えるだろう。
例えば、彼女があれほど追い掛け回していた河野貴明君は、その“見知らぬ人”になってしまっていた。
576近未来のイブ その三十九 (10/18):2008/06/18(水) 00:09:40 ID:qam6bx380
 
これで、今後のHMXとDIAに生かせたであろう多くのデータが失われたかと思うと、まことに遺憾なことである。
・・・・・などと、彼女を単なる実験体として突き放した、無味乾燥な感想など、とても言えるものではない。
一人の“親”として、とても辛いし、ひたすら悲しい。
珊瑚君は言うに及ばず、イルファなどは、仕草に支障が現れるくらいにショックを受けている。あれほどいがみ合っていたシルファも、伝え聞いて相当に動揺しているらしい・・・・。
兎にも角にも、今は、“生きていて良かった”と、そこにせめてもの慰めを見出すのみである。

まず心配されたのは、記憶にポッカリ穴が空いている事で、パニックを起さないかという事だったが、気丈な子で、多少の情緒不安定に留まっている。
猪突猛進型ではあるが、前向きで楽天的な性格に大いに助けられている感がある。
あと今後の懸念材料は、半年間の記憶は、クリーンに消去された訳ではなく、まだ断片化された、いくつかも記憶の塊が残存している事だ。
その隙間を、今後外部から得られる情報などから補完していく事を期待して、消すに忍びなくあえて残したものだったが、逆に、これからまた新たに経験を積み重ねていくにあたり、心の中の棘となって、彼女を苦しめる事にもなりかねない。
安定してくるまでは、不用意にそれらを呼び起こそうとして、棘が突き刺さるような事は避けなければならないだろう。
あとは、ダメージの残ったボディを再度入念に調べて、トラブルの芽をつぶし込んでいく事だ。
577近未来のイブ その四十 (11/18):2008/06/18(水) 00:13:29 ID:qam6bx380
 
――――――――――――

暗く沈み込んでいた状況に、かなり明るい光明が差してきた。
ミルファと貴明君の“ご主人様登録”は、書類上まだ生きていた(ミルファが勝手に登録したもの)・・・・
・・・・・が、貴明君はそれに拘らず、彼女に恋人候補として名乗りを上げる事で、彼女の失われてしまった“人格”の、思いを引き継ごうと決意したのだった。
このような事になる直前に、“はるみ=ミルファ”は、貴明君の心を掴む事に成功していたのだ。

それが出来れば、彼女の心の傷も癒える事だろう思われた。
イルファと珊瑚は勿論、それで全てうまくいく間違いなし、と太鼓判を押していたし、私も、シルファが立ち直る様子を見て、ここは一つ、彼に委ねてみようという気になった。
頼りなげな第一印象も何のその、当初はミルファに邪険に遠ざけられた貴明君だが、粘り強く彼女のもとに通いつめ、驚く、数週間あまりで、再びミルファと親密な関係を構築してしまったようである。
望外の展開で、私も素直にこれは嬉しい。
・・・・・恥ずかしながら、“感動”を、覚えさせられた。
578近未来のイブ その四十一 (12/18):2008/06/18(水) 00:15:36 ID:qam6bx380
 
――――――――――――

長瀬家の親族間の会合が、定期的に開かれている。
私は、父、セバスチャンこと源四郎に逆らうように技術者の道を歩んだ経緯があり、正直、ここに来るのは気が進まない・・・・
が、来栖川の要人の多くと関わっている親族達からの情報は、社内のパワーゲームに通じて、HM開発室の立場をより有利なものにする為に必要なので、最近は可能な限り顔を出すようにしている。
有難い事に、父は、相談役の海外視察のお付という事で、この日は欠席だった。
ホールディングスの会長の執事を務めている、一族の中でも枢要な位置にいる人物・・・・皆が“ダニエル”と、呼んでいる老人がいる。
先日、無くした記憶と現在の感情の齟齬からパニックを起しかけたミルファを貴明君が追った際、このダニエル老の孫娘のマウンテンバイクを借り受け、挙句お釈迦にしてしまうという、ちょっとした事件があった。
結果的に、貴明君とミルファは、これで再び深く結ばれて、まずはめでたしめでたし・・・・・だったのだが、バス会社への補償も含め、後始末が結構面倒な事になってしまった。
とりあえず、マウンテンバイクの代品用立てやバス会社からの請求に対しては対応したし、私も後見人として詫び状をしたためたのだが、まだ直接には謝罪していない。
ここはまず、それを優先すべきだと思い、ダニエル老に近付いた。
579近未来のイブ その四十二 (13/18):2008/06/18(水) 00:18:04 ID:qam6bx380
「由真お嬢様のマウンテンバイクの件、まことに申し訳ございません。私共の監督不行き届けで、大変ご迷惑をお掛けしました。」
「いやいや、はっはっは!あれは傑作じゃな!なかなかあんな傑作な話にはお目にかかれんよ!惨事にならんでよかったの。
あの娘っ子が、メイドロボじゃと?坊主と一緒に、ワシのところに謝りに来たんだが・・・・いや、相談役のところのお嬢様お付の、あのロボットにも驚かされたもんじゃが・・・
お主のところの技術は、一段と進化しとるようじゃな。」
「はぁ・・・恐れ入ります。」
「来栖川の会長も、お主のところの製品には、一目置いとるようなんじゃよ・・・小耳に挟んだんじゃが、ロボット共を本社のコンピュータの、操り人形にする計画が、あるそうじゃな?」
「・・・ええ、はい。その通りです。近々、執行役員会議に諮られる筈ですが。」
「そんな馬鹿な話はやめろ、と、一喝されておったよ。世界に冠たる来栖川のロボット技術を、そんな家電まがいの仕様に堕とすな、とな。恐らく、その話はおシャカになるだろうて。」
「・・・そうですか。ありがとうございます。」
「しかしな・・・この老骨の意見も、聞いて貰えるかの?」
「はい。」
「あのロボットの娘っ子はいかん・・・いかんよ。・・・確か、ミルファと言ったかの?・・・・・何がいかんって、別嬪過ぎるじゃないか!
しかもそれで、人間と同じに、恋もするじゃと・・・!?あんまり人間に近付け過ぎるのも、ワシは感心せんの。特に、女にはな。」
「そうでしょうか?ロボットをより人間に近付けていくのは、人類の長年の夢だった筈ですが」
「お主は、相変わらず、固いな・・・。いや、別に、小難しい倫理だの哲学の話をしとるんじゃないぞ。あんなものを作り続けておったら、世の女どもが、黙っちゃおるまいて。」
「?」
580近未来のイブ その四十三 (14/18):2008/06/18(水) 00:21:07 ID:qam6bx380
「女の嫉妬は、恐ろしい・・・・ワシも、これで若い頃は、かなり浮き名を流したもんじゃが・・・・それで、色々、怖い思いもした。女にはかなわん、とな。」
「はぁ。」
「人間同士でも、色恋沙汰の修羅場が絶えんのに、自分の亭主や恋人を、ロボットに寝取られたなんて話がどんどん出てきたら、それこそ、大変な事になるな。
現代版のラッダイト運動が巻き起こるかも知れんの。世の女房どもが、メイドロボをブチ壊しまくるぞ。」
「ロボット3原則で、主人の不利益になるような行為は、出来ないようになっておりますよ。」
「じゃが、あの娘っ子は、そうじゃないんじゃろう・・・・せいぜい、実験用途だけに留めておくがいい、自由恋愛が出来るロボットはな。」
「ご意見、大いに参考にさせていただきます。」
「いや、由真の奴めも、あの坊主にちょいと気があったようじゃからの・・・・ワシには分かるよ。もし執念深い女じゃったら、由真のようにあっさり諦めたりはせんじゃろうな。」
「・・・・・。」
「あのロボットの娘っ子の、特にあの胸!素晴らしいの!ワシも若かったら、是非あやかりたいもんじゃが。はっはっは!!いやいや冗談じゃよ。」

ダニエル・・・・源蔵従叔父の話から推測すると、共同意識体型HMの話は却下になりそうなこと、それから、自律型HMXの開発実験も、継続させて貰えそうだ、という事だった。
まずまずの結果と言えるだろうか。珊瑚君もほっとする事だろう。
581近未来のイブ その四十四 (15/18):2008/06/18(水) 00:23:57 ID:qam6bx380
 
ミルファの事故後の経過も、まずは順調と言えた。
当初は失われた記憶、その間に存在していた“はるみ”の記憶に触れる事を頑なに拒んでいた彼女だったが・・・・結局は、好奇心の方が勝ったのだろう。
勿論、消去されてしまった記憶は戻らない。が、彼女には、想像力がある・・・・単なる推理ではない・・・・DIA装備型にだけ、許された能力だ。
最近では、いくつかの残存記憶と、残っていた思い出の品とを照らし合わせて、ぴたぴたと、パズルの組みあがる感触を、楽しんでいるようにも見える。
フラッシュバックのように現れる記憶の欠片に苦しんでいた様子も当初は見受けられたが、やがてそれも癒えることだろう。
何にせよ、彼女の精神はまだ若くて、柔軟なのだ。まだまだ先は長い。そして見通しは決して暗くない。

シルファもすっかり立ち直ってくれた。半年前には想像も出来なかった事なのだが。
あの少年、河野貴明君以外に、同じ事が出来ただろうか・・・・?
信頼出来るマスターに巡り会えれば、それはYESなのだろうが・・・・多分、ずっと時間はかかったに違いない。
今更ながらに、イルファの判断力には恐れ入る・・・・いや、“女の勘”、と呼ぶべきか?
・・・・・困ったのは、貴明君を巡って、ミルファとシルファのいさかいがいまだに絶えない事だ。
まぁこれは、痛し痒しという他ないのだろうが。
それでも最近は、以前のような、性格の相違からくる深刻なものではなくて、むしろ姉妹同士のじゃれ合いに近い。
お互い、際どいところで、“譲る”事を学んだからだと思われるが、それは、何がしかの“自信”に、裏打ちされている筈だ。
彼女らの心を安定させる、太い筋が通ったという事だろう。
人間の心の成長の過程とて、それは同じだ。
582近未来のイブ その四十五 (16/18):2008/06/18(水) 00:26:05 ID:qam6bx380

――――――――――――

ある日、珊瑚君が、少々ショッキングな話を聞かせてくれた。
想いが募るあまりに暴走し、記憶をなくしてしまった可哀想なメイドロボと、その想いを引き受けて、再び彼女と結ばれた男子生徒の話は、当初、おおむね美談として学校内では語られていたようだ。
しかし、どういう訳か、河野貴明君は、女生徒に非常に人気がある・・・・彼を狙っていた女生徒も、彼自身が認識している以上に大勢いるらしかった。
珊瑚君に文句を言いに来た少女がいる。彼女も、その一人だった。
彼女が、珊瑚君に言ったらしいのは・・・・・
“あの、河野さんと付き合ってる、人間の女の子そっくりな機械作ったの、あなたなんですって?”
“・・・・うん、そうやけど?(・・・機械言うな!)”
“・・・・・・河野さんを、返して!あんな、恋愛機械なんかじゃなく、ちゃんと、人間の女の子と恋が出来る河野さんを!!”
“・・・・何を、言うとんの?・・・・それに、みっちゃんを、機械呼ばわりすんの、やめてえや!”
“うるさいっ!・・・・ちゃんと、人間の彼女が出来たんなら、私だって納得出来るわよ・・・・・でもあいつは、ロボットじゃない!子供も生めない機械のくせに!!”
“・・・・!?”
“あんな、化け物ロボット作って!!人間の恋人奪っちゃうお化けみたいな機械を!!みんな、泣いてるよっ!返してよ、貴明さんをっ!!”
―――“さんちゃんに、何するんやーっ!!”―――
583名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 00:30:22 ID:of6D+b+E0
一応支援
584近未来のイブ その四十六 (17/18):2008/06/18(水) 00:30:32 ID:f1ZKwUKf0

「・・・・みっちゃんの事、お化けやて・・・・」
そう言って両手で顔を覆い、珊瑚君は泣き崩れていた。
「うち、なんか、いけない事してるんやろか・・・・?」
被害妄想も甚だしい、と、珊瑚君を慰めようと思ったのだが、ふと思い起こしたのは、ダニエル老の、語った言葉だった。
"あんまり人間に近付け過ぎるのも、ワシは感心せんの。自由恋愛が出来るロボットは・・・・。"
人生経験豊富で、様々な人間の機微に通じていると思われるダニエル老の忠告は、やはり、それなりに、多くの含蓄があったと捉えるべきなのだろうか。
どれだけ世の中が進んでも、やはり、異質なものに対するアレルギーは存在する。それに寛大な人間ばかりじゃないという事。
私も若くはないが、それでも、これまで技術畑一筋で、今一つ、人間の感覚に対する理解が足りないのかも知れない。
人の心を造りだす研究をしてきたと言うのに。

ともあれ、我々は、今更、引き返すわけにはいかないところまで来ているのだ。
生み出してしまった者たちに対しても、私らは責任を負っている。
珊瑚君を慰めつつ、決して、間違ってはいない筈だと、自分に対しても言い聞かせるしかなかった・・・・。
585近未来のイブ おまけ (18/18):2008/06/18(水) 00:33:12 ID:f1ZKwUKf0

――――――――――――

人間がロボットを許せない要素は、いくつかある。
とりわけ、大きな溝となるのは・・・・
彼ら、彼女らは、同世代に生きていた人間達が死んだ後も、そのつもりになれば、ずっと、稼動し続ける事が出来るのだ。
特に、女性にとって、ほぼ半永久的に若さを保ちえる“彼女”らは、心の奥底では、許しがたい存在なのだった。

さて、この老骨も、そろそろ、退場する時が来たらしい。後を、次の世代に譲って・・・・・

――――――――――――

「部下達を連れて来たんだ。何か、出してやってくれないか、春美。」

「は〜い、ダーリン♪」

・・・・・・・

「いらっしゃいませ。つまらないものですが、どうぞ。」

・・・・・・・

「へぇ〜。娘さんですか。可愛いですね、河野部長。」

「・・・・いや、妻だよ。」
586585:2008/06/18(水) 00:36:55 ID:f1ZKwUKf0
正直、苦痛になってきたんで、かなり駈け足でやっつけてしまいました。
消化不良気味というか前半とあまり繋がってない仕様で申し訳ございません。

というわけで、やっと終了です。ありがとうございました。
最後は、本当にオマケのネタでして・・・
587名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 00:57:27 ID:of6D+b+E0
果たしてこの終わりはグッドなのかバッドなのか……
とにかく乙でした
588586:2008/06/18(水) 06:54:30 ID:J6+1fiMw0
やっぱり、これは、連載打ち切り仕様ですね。
すみません・・・・orz
ズルズル続ける価値もないと思ったんで・・・
お詫びに壁でも置いときます
2月頃落としたやつの焼き直しのWUXGA版です
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5046.jpg.html
DL PASS:お詫び品
589名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 07:02:31 ID:CAd1YCX70
力作乙でした

ミルファシナリオの黒い裏側、ということでまあこういう発想もあるんだなと思ったけど
けっきょく源五郎ちゃんが何を言いたくて何をしたのか俺には良く分かんなかったかな
でも、必ずしも仲良しと言い切れない姉妹関係とか、キャラの書き方では結構共感する部分があった
AD本編からもそういう要素は感じられると思うから、それをあからさまにしたらこの辺まではアリかも

ときに、珊瑚に文句を言ったのは特に誰ってわけではないのかな?
あそこは「タカくんタカくんタカくんタカくんタカくんタカくん……」が出るかと思ったぜw
590586:2008/06/18(水) 07:29:13 ID:J6+1fiMw0
>珊瑚に文句を言ったのは特に誰ってわけではないのかな
裏でそそのかしている人がいる仕様です。
“俺が最も好きな言葉は、略奪愛だ”とかなんとか
591名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 15:44:34 ID:XAJq1fhl0
そろそろ次すれの季節・・?
今回のスレ登場が多いのはメイドロボ軍団かしら。
592名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 16:59:47 ID:ti5yVosy0
よっちゃる分が足りない
593名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 17:47:19 ID:dCO9+u+g0
よっちSS書こうとしたら、結局ラストのロボ軍団侵略ネタになってしまう悪寒
594名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 19:00:04 ID:pWWwPH930
>>586
ご苦労様です
>最後は、本当にオマケのネタでして・・・
髪の色つながりですねわかります。
595名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 19:35:11 ID:4Hhvzdys0
>591
いま381kbだからまだ大丈夫かと
596名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 21:09:46 ID:tRhm1t2z0
確かに
まだ100kb以上あるじゃん
次スレ立てる算段の前にこのスレを埋めてくれる書き手を募らんと
597名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 21:28:22 ID:4Hhvzdys0
書き手さんも一時期に比べると居るような。連載抱えてる人達がんばれw
あとイルファさんSSの人あたりそろそろ一本書いてくんないかなーと期待してみたりするtest
598名無しさんだよもん:2008/06/18(水) 21:47:30 ID:XAJq1fhl0
あと5万文字か…
599名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 07:40:38 ID:K1KCEohz0
名古屋に、登山にやって来たいつものメンバー

郁乃:「だから、あたし、糖尿だって」
はるみ:「あ、ダーリン、ごめん、あたし、食べられないしぃ〜・・・あはははは・・・・」
環:「これは・・・愛情、てんこ盛りね・・・マスターの。負けたわ」
貴明:「こ、小牧さん、甘いもの、大好きだったよね・・・?愛知県民だし」
いいんちょ:「だから、名前は小牧だけど、愛知県民じゃないから、あたしたち!」
シルファ:「ぷぷぷ、これは、まさに、野蛮人にふさわしいエサなのれす」
よっち:「へっきーはここで漢を証明するっす!」
ちゃる:「先輩・・・覚悟を、決めた方がいい」
このみ:「全部、食べられたら、大殊勲間違いなしでありますよ隊長!」
一同:“だから、全部一人で食べてよね!河野貴明さん!”

こういうSSを、俺は書かない
600名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 12:46:35 ID:oKK2qBRg0
何食ってるのかわかんねえぞ、と思ってもう一度読み返して気がついたw
601名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 13:55:24 ID:xtF3pAdj0
名古屋 登山でググってやっとわかったw
これは是非書いてくれw
602名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 14:06:23 ID:V58wxAKW0
喫茶マウンテンか
603名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 14:28:35 ID:YcGWGhaf0
俺、遭難したことあるよ
思い出しちまったじゃねーか orz
604名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 21:10:53 ID:ognodRka0
シルファSS書いてたら、SSデータ消えちゃったぜ☆…
605名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 21:36:04 ID:WNTTw4T70
もっとパイズリする!
606名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 21:36:40 ID:WNTTw4T70
あ・・・書き込めた。
規制解除されたんだ。
だったらもっとまともなことを書けばよかったよ・・・
607名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 21:41:18 ID:V58wxAKW0
ワロタww
608名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 21:43:31 ID:YoYq/wEH0
いや、おまえはそれでいいと思うぜ!
609名無しさんだよもん:2008/06/19(木) 22:18:18 ID:Z+yahfoW0
むしろお前はその道の第一人者を目指すんだ!
610名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 13:27:43 ID:vPrnHJPo0
そのリビドーをSS作成にぶつけるんだ!
611ZERO - the man of the creation - 忘却の半年 -:2008/06/20(金) 15:30:22 ID:Mc9XW/KG0
この世のありとあらゆる物――それこそ、人までも――完璧に複製・再現する、「神の手」の持ち主である贋作者、ゼロ。
彼が創り出すものは、まさしく、「本物」に、他ならない―――

「ゼロのおっちゃん!お願いや!みっちゃんの記憶を、元に戻して欲しいんや!」
「――報酬を、いただこうか。」
「来栖川から入って来るHMシリーズ開発の功労金や、今後入ってくる筈のうちが作った発明のパテント料、みんな、おっちゃんの
スイス銀行の口座に振り込んだる。
うちはお金なんかいらん!みっちゃんの記憶が戻るんなら!」
「――承知した。」

彼はクマのぬいぐるみを購入し、その立場に我が身を置き換えてみる事で、クマ吉の心情を理解しようとした。

そして、学校の音楽室。彼は、決死のダイブを敢行した。
「タァッ――ッ!」

高所からの落下よる、全身打撲。重傷を負ってしまった、ゼロ。
その後遺症により、彼は、半年間の記憶を失った。
こうして、彼は、事態の全てを、完全再現して見せたのだった。

「――なんの解決にも、なっとらん――っ!」


こういうSSを書こうと思ったが、途中で嫌になったのでやめた
612名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 16:22:08 ID:+zwmnfZCO
>>611

俺は応援する
613名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 18:18:51 ID:WyTsnZsG0
俺はやめて正解だと思ったw
614名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 21:05:43 ID:Mc9XW/KG0
そもそもなんでゼロの旦那はメイドロボの贋作?を作るところから始めないのかと小一時間t(ry
その場合、完全な記憶を持った「本物」が残されて、記憶の欠けた「偽者」は捨てられるわけですねわかります
615名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 21:10:33 ID:Mc9XW/KG0
↑あっと失礼611です
マジで書いちゃいましょうか?
616名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 21:26:29 ID:7Y94VX930
>>615
書くのはいいが、はたしてそれがToHeart2のSSと言えるものになるのか
どうか、それが問題だ
個人的には読んでみたい気はする
617名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 21:37:51 ID:MOuNqqXh0
細かい事は気にしなさんな。思い浮かんだら書くべし書くべし
618611:2008/06/20(金) 21:42:32 ID:Mc9XW/KG0
単発のネタならいいが、SSにしちゃったらギャグで済まなそうなので
やめときますわ(^^;
619名無しさんだよもん:2008/06/20(金) 23:37:23 ID:BYmZc+Z40
OK
ならばパイズリだ
620めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 0/11:2008/06/22(日) 22:37:50 ID:bfEtvtth0
パイズリでなくてすみません。>232の続きです

本SSは ★AD準拠★ (のつもり) です


621めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 1/11:2008/06/22(日) 22:39:29 ID:bfEtvtth0
 
「ぃくのぉ? ぉきたぁ?」
「……。」

 寝たふり。寝たふり。私は寝起きが悪いのだ。

「うぅう」
 部屋の隅っこでいじいじしてる気配。無視無視。
「朝〜、朝だよ〜、朝ご飯食べて学校行くよ〜」
 今日は休日だよお姉ちゃん。
「外は晴れてて〜気持ちいいよ〜」
 微妙に遠くも近くもない距離から、小声で続く音波攻撃。
「早く〜起きないと〜いっちゃう〜よ〜」
 妙な節までついてる。なんか食べ物の販売であったわねこんなの。
「朝ご〜〜〜はん」
 わ○びもち。
「早く〜来ないと〜食べちゃうよ〜」
 ……むく。

「あっ、おはよう郁乃、起きた起きた?」
 やたらめったら嬉しそうに覗き込んでくる我が姉。
「……うるさい。今、何時だと思ってんの。あたしはまだ寝る」
「ご、ごめんね、あ、でもほら、早起きは三文の得って昔から」
「待ち合わせは10時。休日に朝6時前に起きるなって大阪のお爺ちゃんの遺言。あたしは寝る」
「大阪のおじいちゃん生きてるよぉ〜!」
「とにかく寝る。朝ご飯食べたら、殺すからね」
 ばた。
 喚いてる姉をほっぽって、私は布団を被りなおした。
「うぅ、だって、落ち着かないんだもん。郁乃ぉ〜」
 もっとも、姉の気持ちも判らないでもない。

 今日は、姉と私と、河野貴明で遊園地に遊びに行く日だから。
622めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 2/11:2008/06/22(日) 22:41:17 ID:bfEtvtth0

 んなもんで、待ち合わせ場所に向かう途中も、姉は落ち着きがなかった。

「お、おかしくないかな?」
 さっきから何度も服装を直し、何度も私に尋ねる。
「別に。何度も同じこと聞かないで」
 男子と遊びに出るのなんて初めてだろうから無理もないけど、いい加減しつっこい。
「ごめん……」
 しゅんとなって、また裾をいじくる姉。
 ああ、だめだこりゃ。少し自信を持たせてあげないと今日一日蛆っ子になりそうだ。
「……こほん」
 ちょっと咳払いに、ビクビクとこっちを伺う姉。私はひとつ間を置いてから、言ってあげる。
「似合ってるわよ。可愛いんじゃない?」
 台詞に芸がないとか言うな。面と向かって誉め言葉って言いづらいんだからね。
 実際、今日のお姉ちゃんは珍しく水色ミニのワンピースなんか着たくらいにして、たぶん街ですれ違った男どもの半分くらいは振り向きたくなる出来映えだろう。
「えっ? ホント?」
 その出来映えをいささか削いでいたイジケ顔も、私の言葉ひとつでぱあっと明るくなる。
「ホント? ホントにそう思う?」
「はいはいホントホント」
「あはは、そう、かなぁ」
 にやける姉は、けっこう現金な性格をしていると思う。
「ありがとう、郁乃も可愛いよっ!」
「あたしは普段どおりでしょうが」
 翻って私はいつもの制服姿。今日は姉と奴の様子見なんだから、私がお洒落したって仕方ない。
 ……ブルマは履いてるから、念のため。
「うん、普段どおりに可愛いねえ」
 ぶはっ。
 何言い出すのよこの過保護姉っ。ほら、周囲が変な目で見てるでしょっ!

 そんなこんなでジタバタしながら、
「やあ、小牧、郁乃ちゃん、おはよう」
 私と姉が9時37分に指定の場所に到着すると、河野貴明も既にやってきていた。
623めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 3/11:2008/06/22(日) 22:42:54 ID:bfEtvtth0
 
「お、おおおはよう河野くん」
 可愛く上擦った姉の声。
「おはよ」
 私の声が可愛くないのは、生まれつきだから仕方ない。
「あはは、なんだかいいねぇ二人とも」
「あたしはいつもと変わらないわよ」
「それじゃあ、普段どおりに可愛いってことで」
 ぐ。姉と同じ戦法を。
「……何がそれじゃあよ」
 悔しい。ちょっと詰まった。
「じゃ、じゃあさっそくっ、何から回ろうかっ!」
 すかさず姉の声が挟まって、私は少し考える。
 やっぱり私と貴明の会話には神経過敏気味かしらね。気を付けましょ。

「そうね……」
 で、今度は遊園地巡りのルート選択。
 ここで再度確認するが、私の目的は引き続き河野貴明の分析と、今日は加えて姉との相性の推察。
 河野貴明の性能を把握する意味では奴に選択させてみようかとも思ったが、視線を向けても曖昧に笑って手番を渡してくる腑抜け野郎。
 そうなると、私としてはできるだけ二人を接触させて反応を見たいところだけど、姉はあの性格だから自分からは近寄らないだろうな。
 幸い、遊園地には男女の距離を近づけるようなアトラクションが沢山ある。私の視線はジェットコースターや観覧車を彷徨う。だがしかし、最初からあまり過激なのは無理だろうから……
「あれなんかどう?」
「コーヒーカップ?」
 手近で並んでないし、手頃に狭い空間に集まるし動くし、手慣らしには良さそうよね。
「さ、三人で一緒に乗るの?」
「当たり前でしょ。この年で一人で乗ってたらかえって恥ずかしいじゃない」
 車椅子を進めて辿り着くと、内部は一人掛けと二人掛けの三人乗り。
 よし、
「え? 郁乃そっち?」
 私が敢えて一人用の席に座ってやろう。これで必然的に、姉と奴は同じシートに、
「え、えーっと、えいっ!」
 こら姉、無理矢理あたしの隣に尻を入れるなっ!
624めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 4/11:2008/06/22(日) 22:44:17 ID:bfEtvtth0
 
「ふええ、目が回る〜」
 いつもより多く回して、いたのかどうかは知らないけど、このコーヒーカップはけっこう激しく回転したもんで、降りる頃には全員フラフラだった。

「っととと」
 脚の弱い私は、三半規管の狂いを意識しながらカップを降りる。
「大丈夫? いやあ、見かけよりハードだったね」
 河野貴明は、先に降りて車椅子を用意してくれた。
「言う割に平気そうね、アンタ」
「いや、実は途中から朝飯が逆流しそうになっててさ」
「こっちによりかかんな!」
「あふぅ」
 最後に降りた姉が、妙な声色と妙な足取りでへろへろ絡まってくる。けっきょく、姉は私と相席だった。うーん。
「つ、次はもうちょっと優しくしてえ」
「あたしが回したわけじゃないわよ」
 自転ハンドルは、河野貴明が最初にちょっと回しただけだし。
「じゃあさ、次は小牧が選んだらいいよ」
 その河野貴明は、相変わらず主導権を取るつもりはない模様。
「え、い、いいですよあたしは、郁乃に任せるから」
 姉の反応は予想通り。
「ははっ。じゃあ、郁乃ちゃんどうぞ」
 また私のターン? でも、その前に。

「あのさ、その小牧と郁乃ちゃんって呼び方、なんとかなんない?」
「え、だって小牧と小牧じゃ区別つかないし」
「なんであたしだけ下なのよ。姉の事も名前で呼びなさいよ」
「あー、うん……小牧?」
「わ? わたしは構わないですよっ? うん」
 よしよし、うんうん。

「了解。じゃあさ、郁乃ちゃんも、俺の事は名前で呼んでよ」
 う?
625めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 5/11:2008/06/22(日) 22:45:42 ID:bfEtvtth0
 
 ふたつ目のアトラクションは、お化け屋敷。

「なに後ろに隠れてんのよ、お姉ちゃん」
「うぅ、ホントに入るのぉ?」
 車椅子に両手を掛けて腰が引けている姉は、まあ見た目通りの怖がりだ。
 遊園地のお化け屋敷なんてたかが知れてるけど、この姉ならそこそこリアクションしてくれるだろう。
 さすれば奴、改め、河野貴明、改め、
「なに離れてんのよ、こっち来なさいよ、……貴明」
「あ、う、うん。なんかちょっと、ね」
 半端なにやけっぷりでウロウロしている、貴明、の対応もチェックできるというもの。

 ……名前で呼べっていうから呼んだだけよ。いつまでもフルネームは面倒くさいし、ね。

「二人が仲良さそうなもんだからさ、気後れしちゃった」
「え? そう? そう見えた?」
「なにバカいってんのよ」
 ぱぱっと明るくなる姉の声と、つっけんどんな私の声。
 そんなやりとりをしながら、そう大きくもない建物に三人で入る。
「暗いよぉ〜」
 姉が寄ってくる。
「当たり前でしょ。お化け屋敷なんだから」
 突き放す。わざと貴明を回り込むようにして前に出る。これで私と姉の間に貴明が、
「おっとっと」
 ちょっと、無理矢理前に出ないでよ。
「いや、でも段差とかあるしさ」
「アンタが気にする事じゃないわよ」
「そういうわけにはいかないだろ」
 ごちゃごちゃごちゃ。

「ああん、二人とも、置いていかないでぇ〜」
 あ、ごめん。
626めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 6/11:2008/06/22(日) 22:47:57 ID:bfEtvtth0
 
 何かに怯える度に抱きついてくる姉と、勝手にそこらをうろつく貴明の位置調整に手間取って、私の理想どおりに私−貴明−姉のラインが出来たのは、お化け屋敷ももう終わりに近づいた頃だった。

「見た目より本格的だったね」
 怖いというよりは興味深い様子で、奴なりに楽しかったらしい貴明。
 それには同意できるけど、せっかく並べたんだから私じゃなくて、
「も、もうすぐ出口、もうすぐ出口」
 ぶつぶつと口の中で呟きながら下向いて後ろをついてくるお姉ちゃんの方を気にして欲しいんだけど。
"←EXIT 無事脱出おめでとう!”
 あ、着いちゃった。
「出口? よ、よかったぁ……」
 ガタタンッ!
「グワァアアアアッッッ!!!」
 先頭の私が出口っぽいゲートをくぐった瞬間、最後尾の姉の後ろから派手な音響と共に、ジョーズのできそこないみたいな化け物ギミックが飛び出してきた。
 センサー仕掛けで最後尾を狙うとは凝ってるわね。ホントに子供くらい飲み込みそうな大きさで、再収納するのも大変だろうに。
「ふきゃう〜んっ!」
 私が感心したくらいの迫力だから、姉はひとたまりもない。飛び上がって間にいた貴明に抱きつく、
「おっとっと」
 かと期待したけど、貴明を飛ばして私に飛びついてきた。ブレーキを掛けてない車椅子が後ろから押されて一気に出口へ。
「うわわわわっ! 危ないでしょバカ姉っ!」
「ご、ごめんなさい〜っ!」
 三人もつれて建物の外に飛び出す。姉はまだ私の背中にしがみついていて、貴明の方はと見ると。
「あたたた」
 どうやら姉と私に突き飛ばされて転んだらしく、私の正面に尻餅をついて腰をさすっている。
「だいじょうぶ?」
「うん、まあ、なんとか……あ」
「う?」
 貴明が不自然に目を逸らすのに、私は不審の念を抱く。何を見たのかしら? お? 見た? 尻餅で? 車椅子に座った私の正面で? 私は今日は制服で? すなわちスカートで?

「ぶ、ブルマ履いてるんだよねげっ?」
 めりっ。
 無駄な言い訳の途中で、私の靴裏は貴明の顔面にめりこんだ。
627名無しさんだよもん:2008/06/22(日) 22:48:33 ID:rvoADBA40
支援
628めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 7/11:2008/06/22(日) 22:49:50 ID:bfEtvtth0
「もうお昼だね、休憩しようか?」
「あっ、私、サンドイッチ作ってきましたっ」

 私と姉と貴明は、ちょっと小高くなった芝生スペースの、木柵の脇に陣取った。
 姉が持参したビニールシートに三人で腰掛けて、これまた姉が持参した昼食を広げる脇で、私は自分の荷物を取り出してがさごそ。
「何それ?」
「注射器」
 血糖値を測り終えたあたりで口を挟んできた貴明の質問に短く答えると、私はスカートを捲った。
「! っ」
「別にいいわよ。ブルマ履いてるから」
 慌てて目を逸らした貴明を鼻で笑って、右手で注射器を振りつつ左手で太股の皮を摘む。
「さっきは蹴ったくせに」
「スカートのなか覗き込まれんのは違うわよ」
 だからって見せたいわけでもないけど、注射部位は腕、腹、脚とローテーションを組んでいるので崩したくない。
「大変そうだね」
 貴明の声は、自然な同情を含んでいた。それが太股に残る注射痕を見てのことか、医療行為自体についてかは知らない。けど。
「……前言撤回、やっぱり見るな」
 考えてみれば、後ろを向かせることに何の問題もなかったのだ。私は別に、貴明の同情を引きたいわけではないのだから。
「なんだよそれ」
「なんでも。それより、顔に足跡ついてるわよ」
「うげっ? 今頃言うなって」
 ごしごしと顔を擦る貴明。取れてない。
 私はハンカチを取り出したが、そのままそれを姉に放った。
「お姉ちゃん、拭いてあげなよ。あたしは動けないから」
「え? あ、う、うん、う、動かないでね」
「あ、ああ、サンキュ」
 姉は私のハンカチで貴明の顔の靴痕を拭き取ると、そのまま自分のポケットにしまった。うーむ。解釈の難しい行動だわ。

「さて、いただきます」
 姉お手製のサンドイッチをパクつく私。美味しいのは分かっている。姉もニコニコ。食べるのも食べさせるのも好きだから。そして貴明も、
「いただきま……うひゃ!?」
 食べようとして口元に持っていったサンドイッチが、しかし、突如として貴明の手から消え失せる。
629めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 8/11:2008/06/22(日) 22:51:26 ID:bfEtvtth0
 
「う、うわっ、なんだ?」
「こ、河野くん、後ろ、後ろーっ!」
「へ? おわっ ヤギっ!?」

 どうやら此処は、動物ふれあいコーナーとの境界だったらしい。
 さっきは遠くにいて見えなかった山羊の群れが、匂いに釣られてかいつのまにか寄っていた。
 うち一頭が、一番近くに座っていた貴明の手から食料をかっさらったというわけ。
「あはは、食いしん坊なヤギさんだねえ」
「誰かさんに似てるわ」
「うぅ、誰のことぉ?」
「二人とも酷いや、他人事みたいに」
 私と姉は、シートの反対側に座っていたので被害はない。
「他人事だもの」
「あ、ほら、まだまだサンドイッチは沢山ありますから」
「そっちに寄っていい?」
「30センチ以内」
 貴明がこちら側に移動する。あたしは心持ち後ろにさがって場所を空けた。姉は、
「きゃ」
 退がりすぎてシートから落っこちた。そんなに意識しなくてもいいのに。
「じゃあ改めて、いただきます」
 ぱくりとサンドイッチを頬張って、ありきたりな誉め言葉を発して、姉は過剰に謙遜して。
 うん、なんかいい感じかな。こういうのも。

 メェ〜ッ。
 山羊が柵の向こうで鳴く。
「もう取られないよ。ほら」
 よせばいいのに、彼等の目の前にわざわざ食物を見せびらかす貴明。
 ぶるるるっっ!
「うわっ!? 鼻水飛んできたっ!?」

 あはははは、バカ。指さして笑ってやったら、姉も一緒になって笑った。
630めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」 9/11:2008/06/22(日) 22:52:50 ID:bfEtvtth0
 昼食の後も、三人でいくつかのアトラクションを回った。
 この頃になると、姉も貴明も慣れてきたのか会話も増えて、その辺は収穫なんだけれども。
「郁乃、どうしたの? 疲れた?」
「大丈夫? 郁乃ちゃん」
 二人とも、私を挟んで会話するのよね、何故か。
 貴明の姉への反応を見たい私としては、何度か姉に貴明を構うようにしむけたけど、やっぱり位置的に車椅子の私は二人の間に入りがちになる。
「平気。だけど、そろそろ締めかもね」
 そして持病持ちの私は、残念ながら一日中遊び回る体力を持ち合わせていない。
「うん、その方がいいねえ、混んできたし」
「何にする?」
 選択肢はずっと私。後がないここは、もう強制的に二人にできるアトラクションを狙おう。
「ジェットコースターかな、やっぱり」

「はい、じゃあ次の、あ、さっきの方ですね。車椅子はこちらへどうぞ」
 しばらく並んで出番。足が悪い私が乗れるかどうかは、並ぶ前に貴明が確認してくれた。こういうとこ、良く気の付く男だと思う。
「結構凶悪そうなんだよね、ここの」
 山あり谷あり渦巻きあり、はジェットコースターだから当たり前だけど、各パーツの規模には、なかなか期待できそうなものがある。
「うぇぇ、乗るのぉ〜?」
 よしんば多少期待外れだとて、姉を大騒ぎさせるには十分だろうし。
「今更がたがた言わないの。じゃあ、前に乗ってね」
「え? 郁乃?」
 有無を言わせずに−なんかぶつぶつ言ってるけど−二列空いた後ろの乗り場側を占領する私。
 釈然としない表情ながら、後ろも支えては大人しく二人で私の前列に座る姉と貴明。

 がたん、ごとん、がたん、ごとん。ゆっくりと登っていく玩具の車両。そして一気に、だんんっっ!!
「うひゃ!? お、おおおおうっっ!?」
 私も思わず声が大きくなったスピード感と落下感。そして一気に上昇! 回転! スパイラル!
「ひきゃああああああああああっっっっ!!!」
 姉の悲鳴が、あまり上品とも言い難いながら可愛く響く。ここまでは狙い通り。そして貴明の反応は!?

「うえええ〜」
 ……あんたまで頭を抱えててどうすんのよ。このヘッキーめが。
631620:2008/06/22(日) 22:58:58 ID:RsXJK6D+O
さるさんされたので小一時間ほど中断します。あと鯖重いかも
632めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」10/11:2008/06/22(日) 23:17:01 ID:bfEtvtth0
「楽しかったね」
 帰りのバスで月並みな台詞を吐くのは貴明。
 うんうんと、むやみに一生懸命頷いたのが姉。
 私はどうかというと、うーん、当初の目的の達成度を考えるに。
「70点」
「「な、なんの点数!?」」
 こういう時だけ妙に息が合う二人を眺めて、ため息。

「でも、まあ、良かったわよ」
「そうだよねっ? そうだよねっ?」
 オーバーリアクションの姉は、そのまま私の方に顔を寄せた。
「あ、あのね、郁乃?」
「何よ」
「……また、一緒に遊びに行きたいなぁ」
 急に声を小さくして呟くように言ってから、ちらりと貴明の方を気にする。
「あまり二人で出かけないの?」
「ふえっ?」
 気にされた方は、ばっちり聞こえてたみたい。慌てて手をバタバタさせる姉。
「う、うん。郁乃が、付いて来るなって、いっつも、ぐすん」
「のべつまくなし付いて来ようとするからでしょうが」
 軽くあしらいながら、姉の視線の意味を考えてしまう私。
 私と遊びたいというのは常に山々なんだろうけど、ここで話をしたってことは貴明を意識してるんだろうな。
 今日のデート(?)はその点で不完全燃焼気味でもあったし、もう一度誘って見るのもいいかもしれない。
 しかし女が男を二度目の遊びに誘うというのは、特殊な意味に取られるおそれもあるかしら、一般論的に……

 車掌のアナウンスが、小牧家の最寄りの停留所を告げる。時間切れ。
「あっ、もう着いたんだ。それじゃ、河野くん、今日はありがとう、付き合わせてごめんね」
「こちらこそ、こんな事なら喜んで」
 ふうん、そう。
 そう思った次の瞬間、言葉がつい口をついて出た。

「だったら、また三人でどっか行く?」
633めーぷる☆しろっぷ 第4話「Triple Heart」11/11:2008/06/22(日) 23:18:20 ID:bfEtvtth0
 
 きょとんとする二人。停止するバス。私は車椅子を回す。

「ふ、二人がいいなら、喜んで」
「わ、私は、いいよ、うん。ぜひぜひ」
 反応は、貴明の方が屈託がなかった。姉の方は、少し何かを含んで聞こえる。
「じゃあ、場所考えといて」
「俺?」
 当たり前でしょ。これはいわば、アンタの追試なんだから。
 こくっと背中で頷いて、降車口に車椅子を進める私。ふらふら後を追ってくる姉。

「来月頭に、水族館で!」
 背中に返事が還ってきて、少し驚いた。今決めろと言ったつもりは、なかったのだが。
 ってか、車内に他の乗客がいるのに。
「大声出すなぁ! みっともない」
「い、郁乃こそ恥ずかしいってばっ。じゃぁね、河野くん」
 つい言い返した私をなだめながら、姉が小さく手を振って、私達はバスを降りる。

 バスの窓から、貴明も軽く手を振っていた。例の曖昧な笑いを浮かべていた。
「か、帰ろっか、郁乃」
 無理に平静を装った姉は、私が貴明を誘った理由を聞きたそうだった。
 それらを無視して家路についた私は、この時、姉と貴明の関係ばかり気にしている。

 だから、気付かなかった。
 今日のこの場を、もう一度再現したいと思ったのが、ほかならぬ自分自身の願いであったことを。
 だから、気付いていなかった。
 姉と私の、そして貴明と私の関係が、大きく変化する可能性を孕んでいることを。
 
 その可能性が実現するのは、ほんの数週間後のことだったというのに。
634名無しさんだよもん:2008/06/22(日) 23:19:59 ID:bfEtvtth0
以上です。書き込みが多い時間帯のせいか、意外と短時間でさるさん消えましたね
長くもない癖にノロノロ運転ですが、あと2話の予定ですのでよしなに。

次回第5話「スイーツ(涙)」
635名無しさんだよもん:2008/06/23(月) 00:06:19 ID:8GCXJoXH0
>>634
続きも楽しみにしてます。乙でした
636名無しさんだよもん:2008/06/23(月) 20:35:07 ID:7A7tiIZ90
こんばんは。
また性懲りもなく落とします。
イブとかこみパ落とした人ですが。

またロボで済みません(^^;
ちょっとだけ、パイズリネタも取り入れてみましたがw

それでは、宜しくです。
637いわゆる普通のメイドロボ 第一話(1/7):2008/06/23(月) 20:36:58 ID:7A7tiIZ90
 
この学園に、ちょっと普通じゃないカップルがいます。
先生方やクラスメート達は、女の子の方を“奥様”と呼び、男の子の方を“旦那様”と呼んでいます。

奥様の名前はミルファ。そして、旦那様の名前はダーリン。
ちょっと普通じゃない二人は、ちょっと普通じゃない恋をし、ちょっと普通じゃない結ばれ方をしました。
――― そして、いちばん普通と違っていたのは、奥様はロボだったのです。

はじめは、悲運のカップルとも呼ばれました。それから一転、人とロボの垣根を越えた、奇跡のカップルと呼ばれるようになりました。
・・・・そして今は、学園中の誰もが認める、究極のバカップルと呼ばれています。

―――ちょっとぉっ!何よこのSSの作者っ!バカッて言った方がバカなんだからぁ〜〜っ!!―――
638いわゆる普通のメイドロボ 第一話(2/7):2008/06/23(月) 20:39:11 ID:7A7tiIZ90
 
――――――――――――

「・・・・しっかし、すげえな河野の旦那。気分悪いって授業抜け出して、実は屋上ではるみちゃん・・・じゃない、ミルファちゃんにパイズリされて果ててたらしいぜ」
「そしてその数時間後には、体育用具室から出てくる二人が目撃されている。旦那の方は見るからにやつれ果てた様子だったそうな」
「恐るべし来栖川の最新ウェポン。ご主人様をとことん満足させる超仕様と云えよう。自分が満足してるだけにも見えるが」
「いやいや、それに付き合える河野の旦那も大したもんだ。女苦手と云いながら、よっぽど、今まで溜まってたんだろうぜ。」
「チックショーッ!羨まし過ぎるぜ河野貴明っ!あの時、姫百合姉妹の家に俺が押しかけてれば今頃はっ!!」
「いや、お前、それ無理。河野貴明は、ほれ、“特異体質”ってやつだから。ヘタレ力とか何とか。」
「そういう“選ばれた奴”じゃないと見向きもしないらしいしな、あのタイプのメイドロボちゃんは。」
「いやそれ以前に俺たちじゃ、姫百合姉妹とか、周りの女の子達に接点ねぇだろうが。基本から違うんだよ奴は」
「許すまじ河野貴明!いざっ天誅を加えんっ!!」
「やめとけって。奥様になぎ払われるだけだから。ロボット3原則も組み込まれてないらしいからな、どうなっても知らんぞ。」
一同 「ハァ〜〜・・・・。」
639いわゆる普通のメイドロボ 第一話(3/7):2008/06/23(月) 20:40:53 ID:7A7tiIZ90
 
「ハァ〜ッ・・・・」
放課後の教室。
机に突っ伏し、憔悴しきった顔でため息をつく、河野貴明。
周囲の哀れみとも蔑みとも妬みとも取れる視線があまりにも痛い。痛すぎる。
そして何より・・・・もうすっかり、精力吸い取られてます。こう毎日、この調子では、死んじゃいます。
本気で命の危険を感じている貴明であった。
あぁ・・・・でも・・・・本当に凄いんです、ミルファちゃんのパイズリは。
一旦その快楽に身を委ねてしまえば、もうこのまま、逝ってしまってもいいと思えてしまいます。
でも僕は、学業が本分の、普通の高校生なんです。まだ逝く訳には参りません。
―――お父さん、お母さん、いけない世界に足を踏み込んでしまった、この僕を許して下さい・・・・。―――

「よぉ貴明。どうした?すっかり人生に疲れ果てたような顔してよぉ」
雄二がそんな貴明の顔をニヤニヤしながら覗き込んで言った。
「うん・・・・もう、何十年も、生きてきた感じだよ・・・・」
遠い目をしながら、ゲッソリした様子で貴明がそんな事をつぶやいたので、ムッとした様子で背をかがめて、貴明に視線を合わせた雄二。
「何だお前は。そんな何十年分にも当たるような極楽体験を、ミルファちゃんにさせて貰ってるのか?それで何だ?不満があるってか!?」
「いえ。感謝してます雄二さん」
それは偽らざる心境である。どんな思惑があったにせよ、彼女が“はるみ”としてこの学校に現れるまでの手引きをしてくれたのは雄二である。
「でもなぁ・・・・」
物事には、限度ってものがありまして。
640いわゆる普通のメイドロボ 第一話(4/7):2008/06/23(月) 20:45:28 ID:7A7tiIZ90
確かに、あの事故の後、自ら彼女を求めていったのは、事実です。
しかし、ここまで凄いとは・・・・何がって、HMX-17型の情欲が。
一旦、好き好きスイッチが入ってしまうと、その対象を骨の髄までしゃぶり尽くす仕様にでもなってるのか?
もちろん、はるみ時代にもその一端は窺い知れたけど、もう少し、初々しい感じだったような。
思えば、イルファさんの言動とか行動にも、時々、ゾクッとさせられる瞬間がある。やっぱり、DIA、って、そういうもんなのか?
・・・・うちの住み込み箱入り末っ娘は最近冷たいけどね。
思うに、なまじ、こっちから求めていっちゃったもんだから、彼女の情念に火をつけちゃったのかなぁ・・・・
「“でも”、だとぉっ!何だ、“でも”ってぇのはっ!!」
雄二は突然いきり立ち、ガッと貴明の襟首を掴んで、無理矢理椅子から引っ張り上げた。
「何が気にくわねぇっ!テメェから突っ込んでったんだろうっ!あの時覚悟したんじゃなかったのかっ!みんな、お前に協力したんだぞ!
・・・・・俺は知ってんだよっ!姉貴もチビ助も陰で泣いてんのをっ!今更不満なんか言えた筋合いじゃねぇだろうがお前はよっ!」
雄二がそう叫んで、拳を振り上げた時・・・・・
「ダーリンに何すんのよぉっ!!」
突如あらわれたミルファに、今度は雄二が襟首を掴まれ、ブンッ、と、黒板に向かって叩きつけられる。
――― ドゴンッ!! ―――
教室に、轟音が響き渡る。
「ぶごわっ!!」
もうもうとチョークの粉が舞う奥で、黒板に背をめり込ませて白目を剥いている雄二。
それを、真っ青になって呆然と見つめているクラスメート達。
641いわゆる普通のメイドロボ 第一話(5/7):2008/06/23(月) 20:49:39 ID:7A7tiIZ90
「ダーリンをいじめる奴は許さないんだからぁっ!!いくらゆーじ君でもっ!!」
ミルファは小テストの点数が0点だったため、職員室で担任からこってりしぼられた後、教室に戻ってきたのだった。
ずっと彼女が貴明の傍にいたら、雄二はこんな無残な目に遭わずに済んだかも知れなかった。
「さ、ダーリン、帰ろう♪」
ぐっと、ミルファは貴明と腕を組んで、ずんずんと教室の扉に向かって彼を引っ張りながら歩んで行く。
おぼろげに視界から遠ざかっていく二人の影を目で追いながら、朦朧とした意識の中、雄二はつぶやいた。
「ちっ、畜生・・・・俺だってなぁ、いくつも、いくつもチャンスがあったのを、お前の為に踏みとどまってたんだぞ・・・・それを、それを・・・・不満があるってんなら、許さねぇ・・・・」

――――――――――――

「さぁ、ダーリン、帰って続き☆続きしよ☆はやくはやくはやくぅ〜♪」
るんるん顔で貴明の腕を取り、それを自分の豊かな胸に包み込みながら枯葉の舞う街路を歩むミルファと、引っ張られつつ歩を合わせている貴明。
足は貴明の家へと向かって進んでいる。
「え、えっと、その、さすがに、そろそろ控えないと、シルファちゃんの機嫌が・・・・」
最近のシルファの様子を思い浮かべる貴明。
明らかに、冷たい。
とても。
「えろえろな野蛮人のエサを作ってるほろ、シルファは暇じゃないのれす」
とか言って、ずっとTVのドラマを見てたり。
ここのところ、ろくに食事が出てこない。勿論、弁当なんて作って貰ってないし。
ミルファとの情事の後、ぐったりして遅刻ギリギリの時間まで寝ていても、そのまま放置されていたり。
ニードロップで叩き起されていた頃の方が、まだしも親切だったと言える。
「もぉー、なに地味妹なんかに気を遣ってんのよぉ。・・・・あ、いじめられちゃうんだぁ。ひっきー、ネクラだもんね。じゃあ、あたしんち行こうあたしんち〜☆」
そう言ってくるりと向きを変え、今度は姫百合家の方へ向かって貴明を引っ張り始めた。
642いわゆる普通のメイドロボ 第一話(6/7):2008/06/23(月) 20:52:55 ID:7A7tiIZ90
「どうせ、地味妹にタワシコロッケとか出されてるんでしょ〜? えへへ〜、あたしとお姉ちゃんと瑠璃ちゃんでおいしい夕食作ったげるからね。そしてぇ〜、その後はぁ〜・・・♪」
その後が問題なのだった。もうさすがに休ませて欲しいと、切実に、体が、下半身が訴えかけてくる。
しかし、盛りのついてしまったミルファちゃんにおあずけを喰らわせると、ある意味、シルファちゃんの嫉妬よりも、恐いものがある・・・・・
さぁ、どうしよう。ここは、何とかしないと・・・・・
「あっ!そうだっ!ミルファちゃん、デートしようよデート!久しぶりだし、いいよね!?」
思いつきで言ってみた貴明。
肉体の関係まで持っててデートもないだろうとは思いつつ。
結局は、その場しのぎにしかならないだろうが、とりあえず、彼女を怒らせない方向で。
「もぉ〜、何でぇ〜、今更ぁ〜?・・・・・ま、いいっかぁ☆」
643いわゆる普通のメイドロボ 第一話(7/7):2008/06/23(月) 20:54:57 ID:7A7tiIZ90
――――――――――――

ゲームセンターのクレーンゲームにひとしきり興じた後、商店街のアーケードをねり歩く貴明とミルファ。
「ダーリン、なんか甘い物でも食べる?あたしはいいけどね☆」
「う〜ん、いや、いいよ。それよりも、何か、買い物でもしようか。」 と、貴明。あんまりお金ないけど。
さて、ロボットの女の子の感性に合いそうなものって、何だろう・・・・?
ま、そんな事気にする必要、ないかな。そうだ、サッカーグッズのショップでも行くか。Jリーグの優勝争いの話題も盛り上ってる事だし。
などと思って歩を進めようとすると・・・・・
どこかで見た事のある女の人の後姿が見えた。丁度、模型店らしき店から出てきたところだった。
黒い、シックだけどどこか色っぽい雰囲気のコート姿のその女性は・・・・
「春夏さん!」
貴明に呼び止められて、振り向いた春夏。
「あら、タカくん。それにミルファちゃんも。奇遇ね、こんなとこで会うなんて。」
そうニコニコしながら言う春夏の左腕には、姫路城の模型の箱の入った袋がぶら下がっていた。
「どうしたの、二人とも。なんか楽しそうだけど」
「えへへぇ〜、ダーリンとデート☆」
ミルファがそう言ってまた貴明の腕を取り、彼女の胸に包み込んだ。
「あら、そうだったの。うふふ。それじゃぁ、あんまり邪魔しちゃ悪いかもね。私はそろそろ失礼するわね。」
そう言って小さく手を振り、二人から離れようとした春夏。
すると・・・・
「あっ」
と、小さく叫んでから、歩みを止めて二人に振り向いた。
「そうだ、タカくん、私、商店街の特別企画の抽選券持ってるんだけど、使ってみる?」
そう言って、また貴明の方へ戻って来てから、がさごそとバッグの中をまさぐり、その抽選券を数枚差し出した。
「え、春夏さんはいいんですか?」
と貴明に尋ねられると、
「いいのいいの、私はあんまりクジ運良くないし、ここは彼女運とかいいタカくんが有効に使ってちょうだい。」と、春夏。
“彼女運がいい”とか聞いて、むふ〜ん、と、にんまりしているミルファ。
「この先のパチンコ屋の横の特設会場でやってるわ。それじゃあ、頑張って一等賞当ててねタカくん☆」
抽選会場にやって来た二人。
春夏から貰った抽選引換券を抽選場のスタッフに渡すと、クジの入った箱が差し出された。
「3回分ありますので。3回引いて下さい。」
引いた。1回目は・・・・ハズレ。 そして、2回目も・・・・ハズレ。
まぁそうそう当たるもんじゃない、と、軽い気持ちで3回目にトライしようとする貴明。
隣を見ると・・・・
「神様、ダーリンが当たりますように・・・・・」
と、ミルファが手を組んで目を閉じ、神頼みをしている。
・・・・メイドロボの神様って、何だろう?
アシモフとかクラークとかフィリップ・K・ディックとか、そういう人達でしょうか?
そんな事を思いながら、3回目にトライし、クジを引き出して、抽選員に渡した。
すると・・・・・
「おおっ!お兄さん、二等賞だよ!おめでとう!」
お〜、パチパチパチ、と、周囲の客達から拍手と歓声があがる。
「わーいっ!すごいすごいすご〜いダーリンっ!!」
そう言って、貴明の首に手を回して、抱きついてくるミルファ。
驚きと当惑を隠せない貴明。
何で、物事、こう異常にツイてるんだろう、俺って・・・・・・
「さ〜て、二等賞の賞品は・・・・」
そう言って、抽選員が席の傍らから、パンフレットを引っ張り出してきて、貴明に渡した。
「お兄さん、やったね!今大評判になってる、来栖川の最新式メイドロボ!“HM-16”の、半年間無料体験だよっ!!」

えっ・・・・
一瞬、目が点になって、同じように唖然としているミルファと、目を見合わせる、貴明。
――― えええぇぇぇ〜〜〜〜っっっ!!!―――
二人で声を上げる。ちょっ、ちょっと、メイドロボって・・・っ!?
あの〜、僕、2体、というか、既に、二人のメイドロボの、ご主人様だったりするんですが・・・・
ミルファは、別な意味で驚いているようだった
「・・・・HM-16、って、・・・・リオンお姉ちゃん!?」

つづく
645644:2008/06/23(月) 21:00:48 ID:7A7tiIZ90
というわけで、今回はこれで終了です。

これは、雄二メインのお話にしようと目論んでますw

それでは。
646名無しさんだよもん:2008/06/23(月) 21:17:18 ID:aS2aBh4+0
メイドロボとメイドいいんちょとメイドこのみとメイドタマ姉

誰が一番破壊力があるか・・・
647名無しさんだよもん:2008/06/23(月) 22:08:12 ID:EkI+21s20
乙〜
メイドロボが当たる商店街の抽選って凄いな。しかも試作機出品するか来栖川w
雄二メインって、リオンと? なかなか難しそうな組み合わせだけど頑張れ

個人的に気になったのは、丁寧語通常語チャンポンの法則がよく判らなかったとこ
3/7の貴明の独白と地の文が交互に出るところとか、4/7の一行目だけ丁寧語とか、最後もかな、
何か効果を狙ったのかもしれないけど、ちょっと混乱した気がする
648644:2008/06/23(月) 22:24:28 ID:7A7tiIZ90
>>647
リオンはこの時点で既に発売済み、という設定で。
あくまで、お試しキャンペーンで半年間の貸与なのですw
で、貴明が引き当てたこの娘は、実は、ちょっと秘密が・・・という感じで。

> 丁寧語
すっかり毒気抜かれた貴明の、気弱になってる雰囲気出そうと思ったんですが、やっぱり変ですかね。
次は止めておきましょう。
649名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 00:06:18 ID:O5x6vp9M0
一行が長くなる時は改行挟んで欲しいな
読みづらくてかなわん…
650名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 00:24:10 ID:0Ws9apiE0
>>649
確かに。
『改行多過ぎ』とか何度かはねつけられたんで意図的に減らしてました。
レス数増えてももうちょっと余裕入れます・・・orz
651名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 00:52:36 ID:pmVpC9R10
読みやすいと思う横の桁数を決めておいて
それを超えたら改行する様にしておくといいと思うよ
652名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 06:55:40 ID:Pfa63cG00
>648
貴明の独白の一部で丁寧語を混ぜるの自体はいいと思うので完全に捨てるのは勿体ない
あまりやりすぎないのと、独白(一人称視点)と地の文(三人称視点)の混ぜ方、分け方を意識したら良いかと
具体的にどうやるのって聞かれると困るので結局は自由に書いてもらっていいんだがw
653644:2008/06/24(火) 10:52:48 ID:grFPJAxc0
ご指摘どれもごもっともで、後で読み返してみて、、「これはなぁ・・・」
と思うような事が全て指摘されてる感じですねぇ、実のところ。
思いついたままのテキストそのまま落としてるだけで、子供の作文程にも練って
ませんね。
何を焦ってるんだか orz
もうちょいペース落として納得いくもの落としますわ。
654名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 15:15:33 ID:CGGHre9a0
>>653
読んでほしいのならやっつけはヤメとけと言っておく
とりあえず俺はもうおまえのは読まんよ
655名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 16:30:44 ID:aOLdZfgb0
>653
思うままに書くのがSSの基本だから別に悪くはないよ
勢いに任せて書き殴った方が色々悩んだものより出来がいいなんてザラだしなw

もちろん丁寧に書くことにチャレンジするならそれはそれで良し、
書いた端から投下するのもそれはそれで良し。とりあえず俺は読むぜ
656名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 16:39:03 ID:XwnOeDLi0
軽く寝かせて見直せばそれだけで良いんじゃないかな。
構成とか考えてなんて俺にはできんw

って事だから俺も落とされた物は美味しく頂きます。
657名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 17:07:11 ID:Qg1GVEwf0
専業の物書きじゃないにせよ人に読ませる文章だったらそれなりに見直すのは当たり前だろ
そんなもん義務教育でも習った筈の基本だろうが
ましてやネットなんて不特定多数が閲覧する場所にあんなの落としてて恥ずかしくないのか>>653
まずは日本語から勉強しろ。一体どこのDQNだよw
まあ今時TH2のSSなんか書いてる時点で既にかなりイタイわけなんだけどな
658名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 17:12:58 ID:unmMIR1EO




659名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 17:25:09 ID:LaWtqvmO0
>まあ今時TH2のSSなんか書いてる時点で既にかなりイタイわけなんだけどな

このフレーズを好んで使うやつがいるが、なんで痛いんだろう?
根本的な問題として、どうしてそのTH2SSが投下される場所を見ているのだろう?
叩かれて書くの辞めた元作者さんですか?
660名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 17:29:49 ID:WY75+lu+0
最後のは余計過ぎるが、その他はおおむね657に同意
もう来なくていいよ653は。
661名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 17:36:54 ID:6o2SksA30

★★★以下しばらく、鳩2のSSとは関係のないスレになります★★★


662名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:20:18 ID:VpCx7clR0
誰かが叩き始めたらいきなり人増えるんだな。いつものことだが
663名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:23:41 ID:X5pf3V6U0
どっちにせよ653が落とすと荒れるから擁護はしない方がいいな
悪いが自重してくれ
664名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:33:23 ID:VpCx7clR0
荒れるじゃなく荒らすの間違いだろう
665名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:41:51 ID:XwnOeDLi0
そしてそのうちdat落ちですね、分かります。
666名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:46:37 ID:wpnJUCLo0
馬鹿はどんなところにもいる
そんなやつらのことなぞ気にせず、SSを楽しめばよい
667名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:46:59 ID:QHQ2VyP/0
ID:Qg1GVEwf0がそれなりに見直して書いた日本語が>657らしい







確かに名文だなw
668名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 18:55:12 ID:UPie8AVR0
こうして作家がまた一人消えた(´・ω・`)
いい加減にしてくれ
669名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 19:42:29 ID:uPU8+1xK0
作者叩きはよそでやれっつーの
専用スレがあるんだから(>>188参照)
670おっぱい様の言うとおり 0/20:2008/06/24(火) 20:28:45 ID:GvbYlYqi0
流れは流れとしてよっパイズリSSが書き上がったのでいきまーす

AD準拠。途中で容量オーバーしたら次スレはよろしくお願いします(無責任)
671おっぱい様の言うとおり 1/20:2008/06/24(火) 20:29:34 ID:GvbYlYqi0
 ふにふに。むに。むにむに。ふに。
「ん、あん……っ、センパイ……」
 もぎゅっ。
「ああんっ」
 可愛い呻き声と共に、俺の手の中で形を変える自在な膨らみ。

 ああ、いいなあ、チエのおっぱい。

「あん、もうセンパイってば、来て早々スケベなんスから」
 日曜の朝から俺の家に遊びに来て、リビングのソファに腰掛けて、否、ソファに腰掛けた俺の膝の間に座って、俺に抱っこされて文句を言うのはチエことよっちゃんことよっちこと吉岡チエ。俺の彼女。ちょっとラブラブ。
「だって、気持ちいいからさ、チエのおっぱい」
「ああもう、……ん」
 むにゅんっ。
「うぅ、センパイが揉みまくるから、最近またブラが合わなくなってきたんスよ?」
「ごめんね」
 ぐいぐい、ふにゃふにゃ。
「くふぅん、反省してないッスよ、あんっ、全然んぅんっ」
「そうかも」
 なでなで。
 だって、こんなに良い物体が目の前にあるのに、手を出さないわけにはいかないじゃないか。
「ん、そ、それはいいとして、そろそろ、今日どうするか考えないと」
「うーん、そうだねえ」
 さわさわ、つんつん。
「ショッピングもいいし、あん、一緒にお散歩もしたいっス、んっ、あっ」
 みもょみもょ。
「あふぅ、でも、センパイがしたいなら、その、まだ午前中っスけど、あう、うぅ……」
 もみょもみょ。
「せ、センパイ、その……」
 くりくり、もにもに……

「センパイっ! いい加減にするっスっ!!!」
 うわわたっ!!?
672おっぱい様の言うとおり 2/20:2008/06/24(火) 20:31:31 ID:GvbYlYqi0

「チ、チエ?」
 突然俺の膝から飛び出したチエを、驚いて見つめる俺。
「最近のセンパイは、いつもそうっスよ!」
 そ、そうって?
「あたしに会う度に、おっぱいばっかりいじって」
「い、いや、そんな事は……」
 ……あるかも知れない。
「それはそれで良いんスけど、いや良いって変な意味じゃなくて、いやその変な意味でも良いんスけど」
 自分で自分の言葉にワタワタしているチエもまた顔映ゆし。
「とにかくっ!」
 なんて言ってる場合じゃ、今はないみたいで、彼女は腰に手を当てて俺を睨む。ぷるんとその動きで胸が揺れる。

「センパイはあたしとあたしのおっぱいの、一体どお〜っちが好きなんっスか!」

 いやでも、そんなこと聞かれましても。
「もちろんチエが好きだよ……けど、チエのおっぱいも好き」
 としか答えようが。
「センパイのどスケベ! ヘンタイ! ヘッキーじゃなくなったと思ったらヘンタイになったぁ! うわああああん!」
「い、いや、泣かないでよ、よっちゃん」
 弱気になると、つい恋人同士になる前の呼び方に戻っちゃったりして。俺も立ち上がって少女の頭を撫でる。
「ぐすっ。センパイはヘンタイでも、ヘッキーでもいいっスけど、すんっ」
 それで少し落ち着いたのか、すうっと深呼吸、
「おっぱいしか見てくれないんじゃあたしも困るっス」
「いや、そんな事は」
 ないんだけど、といいつつ呼吸の度にゆっくり上下する胸についつい目が。
「また、おっぱい見てますね?」
 バレた。
「ホントにもう、しょうがない男っス、センパイは。少し根性をたたき直さないといけないっス」
 な、何をするの?

「センパイ、今日一日、おっぱい禁止!」
673おっぱい様の言うとおり 3/20:2008/06/24(火) 20:33:07 ID:GvbYlYqi0

 10分後、二人でおでかけ。

「なあチエ、」
「センパイはこっち向いちゃダメです」
 隣を歩くチエを振り向いた途端、ビシッと指を突きつけられた。
「なんでだよ」
「こっちを向くと、おっぱいばっかり見るんだから」
「ばっかりは見てないってば」
 苦笑して再度チエの方を向く、まあそりゃ、体積が大きいから目には入るんだけど。
「ほらっ! やっぱりい〜」
 つんと口を尖らせ両腕で胸を隠すと、チエは飛び跳ねるように俺の前に出た。
 そのまま首だけを振り向けて、拗ねた目でこっちをひと睨み。
「スケベ」
「違うってば、ほら、こっち来なよ」
 両手を広げて害意のないことを示すと、チエは身体を回して俺の隣に戻ってくるが、両腕は身体の前で組んだまま。
「腕組もうか?」
「前見て歩いてください!」
 とほほ。
 いつもなら必ずといっていいほど腕を組む、というかほとんど抱きついて身体を押しつけてくるのに、今日は意地でも胸を触らせないつもりらしい。
 仕方なく、チエに極力顔を向けないようにしながら並んで歩く。

 とこ、とこ、とこ。
 うーん、なんとなく落ち着かないし、やっぱり左手が寂しいなあ。
 なんて思っていたら、
「センパイ、こっち向かないで、手だけ出して」
 斜め下からチエが声を掛けてきて、差し出した左手を、そっと握られる感触。
「たまには、胸じゃなくて手と手ってどうスか?」
 そういえば、付き合って結構になるのに、あまり手を繋いで歩いた記憶がないな。いっつも腕にぶらさがってくるから。

「あはっ、なんだか腕組むより恥ずかしいっス」
 チエも同じような感覚なのか、俺がそうっと絡めた指を曲げると、照れくさそうな声と共にぎゅっと握り返してきた。
674おっぱい様の言うとおり 4/20:2008/06/24(火) 20:35:00 ID:GvbYlYqi0
 けっきょく、この日は街を二人で歩き回って夕方。
「はい、オレンジジュース」
「ありがとうございますっス。あ〜、疲れた〜」
 公園のベンチに並んで腰掛けて、一休みを決め込む俺達。

 プシュッ。プシュッ。二人揃って缶ジュースを開ける。
「いやー、楽しかったっスね」
「うん」
 気分良さそうな声色に、つい視線を向けると。
「こっち見ちゃダメっス」
 腕組みして睨まれた。
「まだ禁止なのかよ〜」
 意識して胸の話題と接触を避けた今日のデートは、意外と新鮮で魅力的だったのだけど、そろそろ解禁してくれても。
「センパイのヘンタイ目線が治るまで我慢してもらうっスよ」
「チエだって人のこと言えないじゃないか。妖しい下着屋さんとか覗いてさ」

 今日の午後、街で見かけた下着屋に入ろうと言い出したのはチエの方。
 おっぱい禁止の俺としては、店の壁にずらり並んだ蠱惑的なブラジャーの群れを眺めるのも辛かったのに。
「それとこれとは別っスから」
 チエがべっと舌を出して閑話休題。
「センパイ、コーヒーブラックっスか?」
「ん。飲む?」
「少し」
 飲み差しの缶を差し出すと、ヒョイと取り上げて口元に運ぶチエ。
「うえ、苦っ」
 一口舐めて顔をしかめる彼女は、コーヒーが飲みたかったわけではないんだろう。
「俺にも、そっち頂戴」
 チエが飲んでいたオレンジジュースを示す俺も、別にジュースが飲みたくなったわけじゃなくて。

「いいっスけど……あふっ?」
「こっちから飲みたいな」
 缶ごとチエの右手を掴まえて押し返すと、俺はチエをベンチの背もたれに押しつけるようにして唇を塞いだ。
675おっぱい様の言うとおり 5/20:2008/06/24(火) 20:36:12 ID:GvbYlYqi0
「あむ、ん、センパイ、こっち向いちゃ、あんっ」
「おっぱい見なければいいんでしょ。見えないよ、全然」
 顔と顔をくっつけてるからね。当然。
「んもう、エッチなんスから、んむっ、んっ」
「チエもだろ、っ」
 舌を割り込ませようと唇を割ると、間からチエの舌が飛び出してきて逆に俺の唇を舐める。
 それをついばむように吸ってから、俺も口を開いて舌と舌を絡め合う。
「あふっ、くぅっ、んっ」
 やがてチエがもどかしそうに身をくねらせたのを合図にして、今度は唇同士を深く押しつけて、
「んっ、むぅっ、くちゅ、あゅっ」
 吸ったり吸われたりしながら、お互いの口腔内を思うまま舐め尽くして。
 ……頃合いかな。
 チエの表情がとろんと蕩けたのを見て、俺は右手を少女の身体に伸ばす。
 行き先は、いつもなら迷わずおっぱいなんだけど、
「あうっ、せ、センパイ、いきなりそっちっ?」
 太股の内側をなぞり始めた俺の指先を感じて慌てた声を出すチエ。
「あ、あのっ、こんな所で下は、ひぅんっ!」
 口で何を言っても、両脚は侵入に全く無抵抗で俺の指を誘い、薄布一枚に覆われた少女の女の部分を、俺は簡単に占領した。
「だっておっぱい禁止だろ? だからチエの、おっぱい以外をいっぱい触ってあげる」
 つつっと指を縦に這わす。
「や、やだぁああんっ気持ちいぃっ」
「どっちなんだよ」
 下着越しに割れ目をなぞりながら、少し意地悪な俺。おっぱい禁止令のせいだな、うん、チエが悪い。
「気持ちはいいっスけど、うんっ、こ、ここじゃあ、せめて、そっちに……」
 視線で藪を指す。
「いいのか。止まんないぞ、そこにいったら」
「あたしも、ふぅんっ、ここまで来て、んっ、止まる気は、あんっ、ないッスよんんっ」
 よし、意思表示OK。
 俺はチエの身体を、胸を触らないように支えてベンチから立たせ、手近な灌木の茂みの中に……

 隠れようとしたら、そこに人がいた。
676名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 20:37:25 ID:AXcJ2/B10
支援
677おっぱい様の言うとおり 6/20:2008/06/24(火) 20:37:51 ID:GvbYlYqi0

「「のうわっ!?」」
 二人揃って飛び退る。いっぽう相手の方は、至って平然と茂みからがさごそと。

「うーが泣いているのが聞こえた。うーが泣かせていたのか」
 全身が現れると意外と小柄で、白い肌にピンクの長髪の、みるからに不思議な女の子。言葉も変だ。外国人?
 なんて、観察してる場合じゃないか。
「あ、あの、ですね、泣かせてたわけではなくて」
「泣いている」
 ピッとチエを指さすピンクの女の子。チエは両手のひらを女の子に向けてあたふた。
「いや、それは、その、なんというか」
「えーっと、あたしが涙が出てるのは、その、かんというか」
 せ、説明しづらいっ!
「とにかく、あたしは心配いりませんからっ」
「そっちのうーではない。泣いているのは、こっちのうーだ」
「へ?」
 チエを指さしたままの女の子の言葉を理解できず、俺達は固まった。

「こっちって?」
 思わず背後を振り返ったりするチエ。もちろん他に人影はない。
「こっちじゃなくて?」
 女の子に向き直り、自分の鼻先に人差し指を向けて尋ねる。
「違う。こっちだ」
 それでも女の子の指は依然としてチエちゃんの胸元。
「「???」」
 二人して首を傾げると、女の子はムッとした表情を浮かべた。
「なぜわからぬ。こっちのうーではなくて」
「うひゃ?」
 べたっとチエの顔を手で掴む女の子。チエが驚いて顔をしかめるが、女の子はすぐに手を離す。

「こっちのうーだ」
 そして女の子は、今度は両手でむにゅっと、チエの、その、おっぱいを。わしづかみにしたのだった。
678おっぱい様の言うとおり 7/20:2008/06/24(火) 20:39:23 ID:GvbYlYqi0

 ぐにん。女の子の指の間から溢れそうなチエのおっぱい。

「ふにゃっ!?」
 奇声をあげてバックジャンプで逃げるチエ。
「こ、これはあたしっ! あたしの身体っ、あたしのパーツっ!」
 女の子にもぎ取られるのを防ぐかのように両腕で胸をガードする。
「るーにはないぞ。そんなけったいなものは」
「けったい言うなっ!」
「怒るな。翻訳機の故障かも知れぬ」
 うーん、確かに女の子の白い服の、その辺に膨らみらしい膨らみは見受けられないけど。
「ま、まあその辺は個人差があるけどさ」
 間に入って俺。
「なんで、その、“こっちのうー”が泣いてると思ったの?」
「泣いてると思ったわけではない。泣いているのだ」
 断言する女の子。
「だからなんでよっ」
 チエが俺の疑問を引き継いで文句を言う。
「我は此処でそなた達の会話を聞いていただけだ。詳しい事情は分からぬ」
 どっから聞いてたんだろ……。
「だが、うーはうーとうーに無視されて寂しいと泣いている」
 え?

「おそらくうー達は一緒にいながらそのうーの事を避けていたのであろう」
「いやまあ、避けてたといえば避けていたけど」
 なんせおっぱい禁止だったからな。
「それはその、別に仲間外れにしたわけじゃなくって、逆にちょっとアクセントを……ていうかっ!」
 しどろもどろに言い訳を始めた途中で、チエは話の根本に気がついたらしい。

「あたしのおっぱいなんだから、あたしの勝手でしょっ!」
 いや、そんな大きな声でおっぱいとか叫ばないで、お願いだから。
679おっぱい様の言うとおり 8/20:2008/06/24(火) 20:41:10 ID:GvbYlYqi0
「ふむ。それは独立したうーではないのか?」
 首を傾げる女の子。
「違うっ! さっきからそう言ってるでしょ!」
「うんうん。これは、チエのだよ。半分は俺のだけど」
「センパイはおっぱい禁止っ!」
 伸ばした手を弾かれた。ちぇ、援護しようと思ったのに。
「そうか。そのうーには、けったいな部位が存在するのだな」
「だからけったいじゃないっ! アンタが貧乳なだけっ!」
 外国人というより宇宙人みたいなこの子に、貧乳なんて単語わかるんだろうか。でも、なんだか目つきが険しくなった。
「いずれにしても、仲間割れはよくないことだ」
 そういうと、両手を大きく空に掲げてバンザイポーズを取る。

「るーが特別に、うーとうーが“こみゅにけーしょん”を取れるようにしてやろう」

 それで、外見上は何も変わらなかった。
 チエの胸が勝手に動き出すとか、そいういうエキセントリックな絵はなくて。
「ふえっ!?」
 ただ、チエが突如として目を丸くした。
「どうした、大丈夫?」
「い、いや、たぶん気のせい、へっ!?」
 会話の途中で、またしゃっくりでもしたみたいな顔。
「いや、そんなことは、あたしはただ、センパイがその、そっちばっかだから、その」
 急に独り言?
「だからその、やっ、そんなのダメだってば、その」
「誰と喋ってるの、本当に大丈夫?」
「い、いや、その、センパイ、今はちょっと来ないで、あの、うわわ、また明日ーっ!」
「チ、よっちゃん!?」
 俺の制止も聞かず、チエは全速力で公園から走り去った。

「な、なにをしたんだよっ!」
 詰め寄ってもピンク髪の女の子は答えず、ただ、にやーと笑った。
680おっぱい様の言うとおり 9/20:2008/06/24(火) 20:42:18 ID:GvbYlYqi0

 それで、翌日。

「大丈夫かな、チエの奴」
 昨日あれから、彼女の家に電話を入れてみたのだが、チエの話は要領を得なくて。
「だ、大丈夫っス、ちょっと体調が悪くなっただけ……こらっ、余計な事を言うなっ、……いや、こっちの話っス気にしないでください」
 余計に気になる。

 キーンコーンカーン……。
「お疲れっ!」
 俺は6限終了のチャイムと同時に教室を飛び出した。
 とにかく、寺女まで迎えに行こう。そう思ったのだけれど、校門で。
「あ、あれ? チエ?」
 チエの方が俺を待っていて、
「来てたんだ。今からそっち行こうと思ってたんだけど……」
「センパイっ!」
 ひし。
 いきなり人目もはばからずに俺に抱きついてきた。

「ちょ、ちょっとチエ?」
 人前で色々というのは過去にも色々あって、周囲の目は「またか」という雰囲気だったけど、だからといって恥ずかしくないわけでもない。
「ご、ごめんなさいセンパイ、あたしもうダメ」
 紅潮した頬に涙目で謝るチエ。いったい何があったんだろう?
 ……その前に退避だな。
「とりあえずこっちへ」
 抱きついたチエを引きずるようにして物陰に。こういう時、ウチの学校は植栽が多くて助かる、ってのは変か。
「それで、昨日から様子がおかしいけど、何があったの?」
「……頭おかしいって、言わないでください」
 俺が尋ねると、チエはそう前置きして、俺が頷くのを確認してからこういった。

「おっぱいが、おっぱいがあたしに話し掛けてくるっスぅ〜!」
681名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 20:42:43 ID:ChZjmKba0
sienn
682名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 20:45:43 ID:Jf2yjx9eO
10レスさるさん。しばし中断
683おっぱい様の言うとおり10/20:2008/06/24(火) 21:01:18 ID:GvbYlYqi0

 なにが話し掛けてくるって? と聞きかけたけど、そこは疑わない事にした。
 昨日の女の子もそんな事を言っていたし、俺は多少の超常現象には耐性があったりもする。
「何を? 何か困ったこと?」
「センパイ、センパイに、触ってもらえって」
 ぶっ。
「昨夜からずっと頭の中で繰り返してて、今朝になっても、昼間も収まらなくて、それで、あたし、もう」
 ぎゅうっと身体を擦りつけてくる。
 そっか、紅潮してるのは、恥ずかしさだけじゃなくて。しかし、まさか、そんな事が。
「センパぃ、助けて……」
 なんて、考えても仕方ないか。
「えーっと、事情はよく分からないけど」
 こほん。
「とにかく、触って欲しいなら触るよ、いくらでも」
「お、お願いですっス」
 こくんと頷いたチエの身体を腕の中で引っ繰り返し、背中から抱きしめて腕を回す。
 ぎゅっ。
「んっ」
 ボリュームのある柔らかい膨らみを強めに握ると、チエは羞恥と、たぶん快感で目を瞑った。

 ぐいっ、ぐにゅっ。
「あ、あふぅ」
 昨日一日おあずけだったせいか、なんだか懐かしい気がする感触。
 ……や、冷静に考えれば昨日の朝に散々いじくったばかりなんだけど。
 肩の上から回した手で、下から持ち上げるように揉み込むと、ずしっとくるこの重量感。
 手を広げて撫で回すと、ブラウスとベストの上からでも肌がくっついてくるようなこの柔軟性。
 そして手のひらに感じるコリっとした突起物。
 ん?
「あれ、チエ、今日ノーブラ?」
 でも、下乳の方にはブラの手応えがあったような。
「ち、違うっス、違うんスけど……」
684おっぱい様の言うとおり11/20:2008/06/24(火) 21:02:31 ID:GvbYlYqi0

 もじもじと、耳まで真っ赤なチエのうなじ。
「も、もうっ、おっぱいが変な事言うから」
「どうしたの?」
 俯くチエ。いいや、答えを視ちゃえ。
「あっ」
 俺の手がベストの裾にかかったのを見て、チエ声を挙げるが抵抗はない。
 薄手の生地を捲り上げ、その内側のブラウスのボタンを外す。
 白い布地を突き上げる大きな膨らみが中から溢れて、その先端に小さく膨らんだ乳首が露わになって。
 やっぱりノーブラ? いや、でも下から支えてるし肩紐もある。ええと、なんかで見たことある、
「トップレスブラ、だっけ?」
「わ、わかんないッス。昨日あれから下着屋に戻らされて」
「戻ったんじゃなくて?」
「頭の中にガンガン響いてくるんスよ〜、「いつもは息苦しい」ってえ」
「ふうん」
 このおっぱいがねえ。まあそれくらいの自己主張はしてもおかしくない代物ではあるな。

「あ、あんっ、センパイ、ここじゃ、これ以上は……」
 ついつい没頭してしまった俺に、切ない声で訴えるチエ。
 おっぱいだけじゃなく、本体も出来上がってしまったみたい。
「ウチに、来る?」
 勢いがつくと公園でしちゃったりする俺達だけど、いくらなんでもここじゃヤバすぎる。
「はい……」
 こくんと首が素直に頷いたのを見て、俺は開いた胸を閉じようとする。
 ぐい。
 手首を掴まれた。
「え?」
「あ、う、いや、あたしじゃないっス。離しなさい、こら」
 傍目には怪しい独り言を言いながら、自分に言い聞かせるチエだが、

「センパイと離れるのがヤダって言ってるっスぅ〜」
 わがままなおっぱいだな。誰に似たんだか。
685おっぱい様の言うとおり12/20:2008/06/24(火) 21:04:02 ID:GvbYlYqi0

「は、恥ずかしいッスね」
 チエの声は、耳元で聞こえる。髪の毛が頬にかかりそうな距離。
「何をいまさら」
 言って俺は、両手に乗った彼女の膝裏を抱え直す。背中の重みが、んっと小さく吐息。

 俺は、チエをおんぶして家路に就いていた。

 ……仕方ないだろ、離れないんだから、チエのおっぱいが。
「あふぅ」
 でもって、そのおっぱいは、開いた胸元もそのままに俺の背中に押しつけられている。
 ブラの下支えもあって学生服の上からでもずしりとくる重量感と、二箇所に感じるコリっとした固形物。
 それがまたグリグリと。
「うくっん」
 見えないから通報はされないと思うけど、なんというか、この、心臓に悪いです。
「あ」
「なあに?」
「センパイの心臓がドキドキしてるって言ってる」
 言わなくていいから、そういうことは!

 長いような短いような、ひっついたままの通学経路を抜けて。
「た、ただいま〜」
 俺は自宅に到着。誰もいないんだけど、この間までちょっとメイドロボが居候してた関係で挨拶してしまったり。
「お、お邪魔しますっス」
 俺の背中から降りるチエ。相変わらず紅い頬で熱そうな仕草を見せる。
「汗かいたよね、シャワー浴びる?」
「うぅ、余裕ないっス、今」
 ぐいっと俺の正面から抱きついてくる。

 しゃあない、このままやっちゃえ。 

 そう思って手を少女の下半身に伸ばしたが、チエは腰を引いた。
686おっぱい様の言うとおり13/20:2008/06/24(火) 21:05:22 ID:GvbYlYqi0

「え?」
「ち、違うっス、あたしじゃないっスこれは」
 ったく。
「こっちか」
 ぐにっと右手を上方に戻して、はだけたままの胸を強く掴む。はぁっとチエが強く息を吐く。
 そのまま左腕でチエを抱き抱え、なんとか居間のソファまで運ぶ。
「センパイぃ……」
「っと?」
 ふと、チエの足がもつれて、絡み合うようにソファに倒れ込む俺達。
 どさ、ふぎゅ。
 顔面に慣れ親しんだ柔らかい肉感。斜めに崩れ落ちた体勢も直さず、俺はその豊かな乳房に吸い付いた。
「はぁんっ!」
 後頭部に両手、ぐっと強く俺の頭を、自分の胸に掻き抱くチエ。
 きめ細かいチエの全身の肌のなかでも、一番滑らかでソフトな感触を唇と頬に感じて、いつものように俺は夢中になる。
「んくっ、ああっ、センパイっ、くふぅ!」
 耳に入る切なげな声。
 そろそろいいかな。俺は大きな膨らみを掴んでいた右手を離して、チエの太股に手を、
 くいっ。
「う?」
「あ、あんっ、意地悪っ!」
 俺じゃないって、避けたのはそっち。
「きょ、今日は、自分が満足するまでさせないって言ってるっスぅ」
 む。生意気なおっぱいめ。こうしてくれる。
 ぐぐっと両手を右の乳房に添えて絞るように強く揉み込む。
「ふあぅっ! 強すぎっ! んっ」
 チエのものかチエのおっぱいからか分からない抗議を無視して、俺はさらに浮き出てきた乳首を吸う。
「あう、ふうっ、くうんっっ!! セン、先輩っ!」
 身を震わせるチエ、どうだ、思い知ったか……
 がばっ。
「うわっ?」
 突如チエがぐるっと身体を回してきて、巻き込むように俺と上下が入れ替わった。
687おっぱい様の言うとおり14/20:2008/06/24(火) 21:06:54 ID:GvbYlYqi0

「うぷうっ?」
 上から攻めていても重量感のある胸に、今度はのし掛かられて、俺は息をする場を失う。
 両手で必死におっぱいをなんとかしようとするが、
「う、くっ、むぅ〜っ!」
 掻き分けても掻き分けてもチエの胸。た、たすけて、本気でしぐ(死ぬ)。
 俺がじたばたし始めた時、やっと少し隙間が空いた。
「ぶはっ!」
 ぜーぜーはーはー。酸素を補給する俺の耳元に、甘い息がかかる。
「ふふっ、先輩っ♪」
 さっきと違って、荒い呼吸の中にも若干の余裕を含む声。
「どうっすかー、チエのおっぱい様はー」
 な、なんだ?
「どうしたチエ、なんかおかしむぐわっ?」
 言い終わる前に、再び柔肌で塞がれる唇。

「チエじゃないっしょー。チエのおっぱい様っしょー?」
 口調まで変わってる、の、乗っ取られた?

 う、うぷ、そんな事考えてる場合じゃない。
 滑らかな肌質と豊かな脂肪分が仇となって、俺の唇を塞ぐおっぱいの密着度は再び俺を酸欠に追い込むに十分だ。
「気持ちいいっしょー」
 気持ちはいい。凄くいいけど、そのまま天国まで連れて行かれるのは勘弁して欲しい……。
 ぷはっ!
「せ、センパイ、大丈夫っスか?」
 あ、戻った。
「うふふふふ、いいっしょー」
 ぐぷぅっ!
「ご、ごめんなさいっス」
「何をマグロになってるんすかー」
「ああっ、今のはあたしじゃなくてっ」
「ほらほら、チエのおっぱい様ですよー」
688おっぱい様の言うとおり15/20:2008/06/24(火) 21:08:31 ID:GvbYlYqi0

 めまぐるしく調子を変える口調と形を変える胸に翻弄されながら、俺は窒息死を免れる術を考える。
「あ、あの、よっちゃん?」
 へんじがない。ただの、おっぱいのようだ。
「えーっと、チエのおっぱいさん?」
 むぎゅー。し、しぐぅ。
「おっぱい様とお呼びー」
 マジですか。
「あ、こ、こらっ、なんて事いうのよ、あはは、センパイ、気にしないでわわぅ」
「……おっぱい様?」
 相変わらず主導権争いが続いているらしい。なら、下手に出るにしくはない。
「なんですかー?」
「どうすれば満足してくれるのかな、君は」
「センパイ、こんな奴の言うこと聞く必要ぅがあっ」
 一瞬起こしかけた上体が再びボディプレス。しかし、そうでなくとも。
「同じチエなんだから、仲間割れは良くないよ」
「わかってるねー先輩♪」
「な、生意気だぁ」
 同口異音とかいうのか、なんだかシュールな光景。
「それで、どうしたい?」
 優しく声を掛ける−いくらワガママだとて、チエの身体に冷たくはできない、……いつもお世話になっている部分でもあり−と、チエは何故だか頬を赤くして身をよじらせた。

「ど、どうしたの?」
 ようやく身を起こせた俺の腰に抱きついて、もじもじと身体を動かすチエ。
「っ? あ、あたしにそれを言えって?」
 発言してるのは恐らくチエ本体。
「どうしたの?」
「い、いや、その……不肖あたしのおっぱいめが、変な事を」
「いいから言ってよ。できることなら、してあげるから」
 促すと、ああもぅ、分かったよぅ、等とぼやいてから、チエは恥ずかしそうに言った。

「そ、その……おっぱい、胸で、おっぱいだけでイキたいって……」
689名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:08:49 ID:AXcJ2/B10
支援
690おっぱい様の言うとおり16/20:2008/06/24(火) 21:09:48 ID:GvbYlYqi0

 あー、まあ、その、なんだ。

「いっつもおっぱいから入るクセに、最後は放置されて寂しいんだって言うんっス」
 確かに、チエとえっちする時は、始まりは胸でもフィニッシュは彼女の中か外。
 何故かといえば、チエのおっぱいは最高だが、チエの他の部分もまた最高だし、
「うーん、要望には応えてあげたいけど……」
 いくら感度が良くても胸だけでは(チエが絶頂まで達するのは)難しい。

 悩んでもしょうがないか。やってみよ。

「よっ」
「あっ、センパ……あんっ!?」
 俺の膝の上で大人しくなっていたチエの身体を、下に手を差し入れて仰向けに返す。
 不意をつかれて驚く少女を組み敷いて、ぶるんと大きく揺れた胸にむしゃぶりついた。
「あぅっ、んんんっ、あんっ、強いぃいいーっ」
 いつもより強めに吸っております。
 豊満な乳房を揉みしだく両手にも、精一杯力を込める。
「あんっ、ふあっ、あ、ぅあっ、ああぅっ」
 チエの方も俺の意図を察してか、神経を責められている箇所に集中している。
 よし、この調子で……
「あぅっ、痛っ!」
「ご、ごめん」
 甘噛みが強すぎた。やはり調整が難しいか?
「せ、センパイっ」
 ぐぐっと俺の下で、チエの身体が動き出す。
 吸い付いていた口から乳房が外れると、チエの腕は俺の腰に絡みつく。
「こっちで、して欲しいって、おっぱい、様、が」
 チエが胸を擦りつけてきたのは、位置的に必然的に俺の足の間、というか、股間、というか、アレ。
 腰に回していた両手を腰の前に持ってきて、ズボンのベルトを外し始める。

 やがて引きずり出された、当然ながら既にフルパワーの俺の男性器に、チエは乳房をぶつけるように押しつけた。
691おっぱい様の言うとおり17/20:2008/06/24(火) 21:11:55 ID:GvbYlYqi0

 男の持ち物を女性の乳房に擦りつける行為。いわゆるパイズリ。
 立派な胸の持ち主であるチエに、俺は意外とそれをしたことが少ない。
 もちろん、柔らかいチエの乳房は無茶苦茶気持ちいいんだけど、
いかんせんこの体勢は攻め手がないので、彼女を気持ちよくしてあげられていないような気がしてイヤだったのだ。

 しかし、チエのおっぱい、様、が望むというのら否応もない。
 俺は彼女の肩を掴んでベッドに押しつけると、ピンと尖った乳首の片方を目途に硬化した肉棒を突きつける。
 ぐにゅっ。
「うおっ?」
 擦るつもりが、乳房に埋もれていく亀頭部分。
 慌てた次の瞬間、俺の一物は柔らかな肌を滑って胸から弾き出される。
「ああんっ」
 その感触はチエにも伝わったのか、身震いと共に喘ぐ少女。
 片方のおっぱいでこれなら、谷間になんか埋めたら……

 うおっ、見えねえ。
 たぶん平均値よりは上のサイズである筈の俺のものが、両側から覆い被さった物体で完全に覆い尽くされている。
 そのまま腰をグラインドさせると、チエの下の口のような締め付けこそないものの、
 豊かな脂肪分と温かな人肌が、まるで海のように俺を包み込む。
「んうっ、か、掻き回されてるっスぅ」
 不思議なことに、チエもまるで女の部分を責められているかのような感想を漏らす。
 久しぶりの体位が新鮮なのか、おっぱい様の存在のせいなのかは分からないが、これならいけるかも。
 にゅるぅっ。
 ……お、俺の我慢が利けば、だな。き、気持ちよすぎ。
「くっ」
 単純に腰だけ動かしてたら100%保たない。俺は両胸を押さえるだけだった手の位置を変え、
「あ、あんっ、握っちゃっ!」
 ぐにぐにと、乳房の形を変えてゆく、やがて絞り出される突起物。そこをめがけて。
 ずりゅ。
「ひゃうんっ!」
692おっぱい様の言うとおり18/19:2008/06/24(火) 21:14:24 ID:GvbYlYqi0
 ずりゅ、ずりゅっと、尿道に沿って乳首を男根で擦る。
 土台が柔らかすぎて、右に左に逃げ回る桜色の突起物を指でサポート、ついでに刺激を与えるのも忘れない。
「あっ、はうっ、ううんっ」
 これならこちらの快感は最小限で済むし。といっても強烈に気持ちはいいんだが、なんとか。
「んっ、先輩〜っ!」
 と、ぶるんと大きく身体を震わせると、チエの両手が抗うように俺の腰元に迫る。
「チ、チエ?」
「が、我慢できないっ!」
 がしっと両手で掴まえたのは、彼女の乳房を蹂躙していた俺の肉棒。
 そのまま胸に掻き抱くように押しつけて、左右に激しく身体を揺する。
「うおっ」
 縦の動きから横の動きへの変化。
 右の乳房から左の乳房へ、山谷山を往き巡る。
「や、やばいっ」
 自分の腰の動きと無関係な不意打ちもさることながら、移動距離も伸びれば擦過面積も数倍。
 猛烈な快感が押し寄せて、接触している筈の剛直から感覚が失われていく。
「ご、ごめん、もう保たないかもっ」
 だが、
「あたし、あたしもっ、あうっ、あんっ、ああっ」
 下方からでも主導権を握っている筈のチエの声も、相当に切ない成分を含む。
「ち、チエッ」
 だけじゃダメか。
「と、チエの、おっぱい様っ!」
「あんっ、センパイ、先輩、センパイ、来る、あんっ」
 喘ぐのがチエなのか、チエのおっぱい様なのか、それももう分からない。
 俺は両手で二つの山を押さえ付けながらひたすら腰を打ち付け、少女は激しく乳房と乳首を震わせながら、彼女自身の手でその膨らみを揉み砕く。

「う、うあっ、チエっ! おっぱい様っ!」
「せ、先輩、センパイ〜っ!」
 どくっ、どくどくっ、ぶるっ、ぶるるっ。

 普通にセックスしている時でも滅多にないくらいの一体感を持って、俺とチエと、チエのおっぱい様は同時に果てた。
693おっぱい様の言うとおり19/19:2008/06/24(火) 21:17:16 ID:GvbYlYqi0

 コトが終わると嘘のように、チエのおっぱい様は自己主張をしなくなった。
 いや、結局のところ俺にはよく分からないんだけど、チエによると話し掛けてくることもないそうだ。

「あの女の子の超能力だったんスかね? 満足したから消えた?」
「わかんないけど、そう思うしかないんじゃない?」
 公園の前を散歩しながらの会話。
 あれからあの女の子とも会う機会はないけれど、今となっては特に尋ねる事もない。
 だって。
「へへっ、センパイ」
 ぶらんっと左腕にぶらさがってくるチエは、相変わらず可愛くて。
 ぎゅっ。押しつけられる柔らかい膨らみ。
 可愛くてそして、
「エッチだなぁ、チエは」
「チエじゃないっスよ、おっぱい様が寂しいって言ってるんスよ」
 都合のいい時だけおっぱい様を復活させる少女は、もうおっぱい禁止なんて言わないから。

「そんなんだと、襲うぞ、此処でも」
「あっ、そういう感じっスか? センパイ、いま」
 なんという両性の合意。もはやこれは植え込みに一直線するしか。
「あんっ、まだ何も言ってないっスよ、センパイ」
「家に戻ってからにする?」
「あっ、それはおっぱい様が許さないっスね、たぶん」
「おっぱい様だけ相手にしてもいいよ」
「センパイのいじわるぅ〜」

 “仲良きことは、美しきかな、だぞ、うー。”

 チエを灌木の間に引きずり込む時、そんな声が聞こえたような気がしたけど、空耳にしておいた。
694名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:17:41 ID:AXcJ2/B10
もう一支援
695名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:23:54 ID:Jf2yjx9eO
以上です。支援どもでした。総レス数まちがいた(恥
タマ姉もミルファも魅力的巨乳の持ち主ですが、
俺的にはやはりよっち(と草壁さん)の乳に轢かれますね。いや、惹かれますね
696653:2008/06/24(火) 21:25:50 ID:AXcJ2/B10
>>695
不足が指摘されていたよっち分補充、乙でした。
お見事です。
やっぱり、おっぱいは正義、おっぱいは宇宙、おっぱいは人生ですよ。
とても興奮しましたw

さて、当方ですが、これ以上この場を荒らすわけには参りませんので、今後投稿はとりやめる事にします。
これまで、駄文で板を汚してしまい、大変失礼いたしました。

中途半端に終わった投稿物が少々心残りではありますが。
一応、ラストのネタまで考えてあったので。

ご支援も頂きまして、まことにありがとうございました。<(_ _)>

それでは、去っていく奴は無視していただいて、695さんへのご感想をどうぞ。
697名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:30:22 ID:u0aBmPDo0
>>695
乙でした。会話のテンポというか話の間というか、うまいなぁと思いました

>>696
そんなこと言わず、自分の満足できるものが書けたらまた投下してください。待ってます
698名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:44:07 ID:4L7Cj9+d0
>695
乙。その後書きは次に草壁さんのパイズリSSを書くという伏線だな。頼んだぜ

>696
荒らしに叩かれて嫌気が差すのは分かるけど、
マトモな住人がそれなりに気を遣ったのに簡単にとりやめ宣言とかするんだな
これでもう消えても復帰してもスレには禍根を残すことになっちまった
やめるも続けるも、いつでも宣言できたんだからせめて2,3日黙ってりゃ良かったのに

掲示板では「書かない勇気」を持つこと(SSのことじゃないぞ)が大事なのは超一般論。せめて他スレでの今後の行動の参考にしてくれ
699名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 21:50:47 ID:dhgxCk2I0
>>695
   _、_
 ( ,_ノ` )      n
 ̄     \    ( E) グッジョブ!!
フ     /ヽ ヽ_//
700名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 22:01:36 ID:f9tHdiul0
>>696
荒らしてるのは貴方じゃないでしょ
このスレは書き手がいないと成り立たないんだから荒らしは無視して続き書いて欲しい

貴方の落ち度は感想レスに反応しすぎたこと
黙ってるか他人のふりしてたほうがいいよ
701名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 22:07:38 ID:pmVpC9R10
>>695
なかなかいい感じでした ごっちゃんですw
ここまでエロ描写の入った物も思えば久しぶりな気がする

>>698
あんたも自分の書き込み見直したほうがいいと思うが…
自分ではアドバイスのつもりなんだろうけど嫌味にしか見えんぞ
702名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 22:11:09 ID:dhgxCk2I0
>>700
その通り、2ちゃんでは荒らしはスルーが基本
こんな事で書き手が減ってしまうのはさみしい
703名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 22:51:17 ID:XjU6yRrD0
そして何度でもいおう
そんなことよりSS書こうなんだぜ。!
704名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 22:59:31 ID:BXP553N10
>>695
「おっぱいが、おっぱいがあたしに話し掛けてくるっスぅ〜!」
おかしすぎるww
705名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 23:11:33 ID:UglJp67Q0
>>695
最高だったぜ!
706名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 23:44:16 ID:0IshSNh60
>>695
いい意味でバカ野郎wwww
GJ!
707名無しさんだよもん:2008/06/24(火) 23:59:32 ID:m9Q5hi/80
>>696
書き手さんが居なけりゃこのスレが存続しないんだから気にしない方が良いぜ。
批判厨乙、とでも言ってやれ。
708名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 02:24:08 ID:ZK/URGU10
まあ最終手段として、コテハンとトリップ付けて
「私の作品に不快感を持ってる人は注意してくださいね」
みたいなことを最初のレスで書いとくのもアリだね。
709名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 04:36:33 ID:CyJY12CW0
>708
そんなことしたら「オレに粘着してください!」って言ってるようなもんだ
名乗らなければ誰だかわかんない事もあるんだし、黙って書き続けるのが吉
710名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 07:46:29 ID:6wBaZ3hy0
そんなことよりSS書こうなんだぜ。!
711名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 08:39:23 ID:mF2XdyCr0
696だが、あんだけ明言しといていまさら撤回する恥知らずもおるまい
黒歴史だったと思って忘れ去るが吉
それはそうと、未完成決定のSSも保管庫には保存するのか?
712名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 08:41:45 ID:mF2XdyCr0
↑微妙な書き方になっちまったが、俺は696じゃないぜ
713名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 10:36:38 ID:4Pz6jPrL0
>>695
GJ!

>>696
なんでSS投下直後に水を差すような書き込みをする?
それに、698も言ってる通り、粘着すれば作家追い出せる前例つくって、荒らしに勢い与えちまったんだお前は
もう二度と来るな
714名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 11:46:37 ID:40+Oz/PBO
ほれー、みれー。
嫌味ったらしく叩かれると書く気失せるんだってばよ。
書き手になんか言う前に、批判と嫌味を書き分けるくらいの文章力を持とうぜ。


>>695
よっぱい乙でした。
今度は貧乳の友人たちの逆襲?とかも見たいな。

ふと思ったんだけど、よっぱいエンド後にシルファは帰るだろーか?
なんとなくだがタカ棒奪還の為に居座りそう&イルイルが居座らせそうという気もするねw
715名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 11:51:00 ID:40+Oz/PBO
>>696
出来れば立ち直って帰ってきてくれると嬉しいな。
気分はわかるけど、俺みたく待ってる奴もいる事を忘れんでくれ!
なに。もうじき次スレだし、すぐほとぼりも冷めるってw
716名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 14:08:40 ID:0y6OrXv+0
>713
>698だが、別に前例云々は言ってない

っつーか、追い出しは過去にも普通にあるので今更一人増えたってどうってことない
ジャンクション、白詰、物書き修行中、etc.・・・荒らしが同一人物か知らんけど、
コテハンや常連化しかかった作家さんは相当な確率で、揚げ足取りから追い出しのコンボが一度は入ってくる稀ガス

で、叩かれたら、しょうがないので黙ってるしかないんだよね
周囲はどうせわぎゃわぎゃ議論する(しなければ荒らしが自演で騒ぐから確実)ので、
他人事だと思って眺めていればいいんではないかと

叩きレスが見かけ上何個あってもそれは気にしなくていい(大概一人か二人だから)、
擁護してくれる人間が誰も居ない時に、初めて自分の行動を見直して見ればいい
どっちにしろ、スレが落ち着くまでは沈黙が金
717名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 15:20:32 ID:GrwdO4dp0
もっとよっちのSS読みたい
718名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 18:05:37 ID:OeulBFTn0
>>715 その他
一旦モチベーション削がれた後で、何ヶ月も経ってから書く気なんて起きないって。
書き手の心理としてな。
もう待ってるとか言うのやめとけ。
719名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 18:24:15 ID:b9zolTbY0
俺は素直になれない女の子との日々の続きもやゆよトリオの続きも郁乃専属メイドの続きも待ってますが何か?
720名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 18:58:25 ID:6sG5Ah1oO
ちゃるSS少なすぎないか…?
721名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:03:38 ID:smd6yG0B0
とことん雰囲気悪いんだな、ここ
俺も一本落とそうかと思ったけど、あんまし自信ないしやめた
袋叩きに遭いたくないし

じゃあね
722名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:10:19 ID:z6OMqAk4O
>>721
さすがにそれはわざとらしいだろ
723名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:11:00 ID:MadJywUz0
>720
よっちと比べると性格が難しいのでネタにしづらい気はするね
脇役でちょこっと出す分には、良い味出すと思うんだけど
まあ、よっちも少ないけどね。長編は「言葉はいらない」くらいかな?
724名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:15:07 ID:bBoCrSvy0
>>721
あっそう
725名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:35:00 ID:ptmnxNfP0
>>720
巨乳だとか特徴的な口調とか、分かりやすいキーワードにいまいち欠けるんで
描くのが難しいと思われてるんじゃないかな。
でも感情描写巧みな書き手さんなら、情緒的ないいSSになりそうな気はする
726名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 19:57:45 ID:ZK/URGU10
実家がヤの付く人ってネタもあったけど、あれはパロディネタに近いしな……
ADやってないんだが、そっちには何か新しいネタあったか?
727名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 20:00:57 ID:GrwdO4dp0
ちゃるの実家は間違いなくヤの付く人です
728名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 20:47:49 ID:1T9j25c40
最近の奴は打たれ弱いな・・・
いいじゃないか、好き放題書いたって。
叩かれながら面白いものを作ればいいし、
みんなで作り上げていこうと言う気概があってもいいじゃない!

ちなみにいいんちょネタならいつでもウェルカムっすよ♪
あ・・・このみもいいかも。
729名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 21:02:58 ID:/eAUj1y80
>>728
では君が書いてみるのだ
みんなで手取り足取りアドバイスしよう

にしても、後38KBか
この調子だと投下も滞りそうだし、次スレはしばらく先だな
730名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 21:10:55 ID:gAm2j5220
>>728
>みんなで作り上げて

ないない、ありえない
しょせん書いてんのは一人だけ、叩かれんのも一人だけ
こないだまでイイ感触だと思ったら次の日には投下即荒らし扱い
んな状況で書くなんて正気の沙汰じゃない
逆に言えば、まともな神経してる奴だったら書かないってこと、OK?
731名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:06:18 ID:NKyYDYpq0
>>657って>>730

お前が心に傷負ったのは分かったから黙ってろ、な?
732名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:14:49 ID:gAm2j5220
>>731
おまえ面白いこと言うなあw
どこをどう読んだらそうなるのか、わかりやすく説明してくれw
733名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:23:01 ID:sMeUEXUG0







734名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:33:22 ID:Jhz/UTPa0
とりあえず荒らしはスルーしようぜ
735名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:37:01 ID:rYqQiyYN0
とりあえず、>>730が黙っていれば問題なくね?
736名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 22:40:11 ID:gAm2j5220
おまえらさあ、なにがなんでも
どうして書き手が居着かないか、ってことを考えたくないんだな
そんなんだからせっかくの書き手に愛想つかされて過疎るんだよ
737名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:01:11 ID:GC1cx9/I0
>>736
それは、お前が書き手なのに叩かれたって事が言いたいんだろ?
例えお前がどれだけ良い文章を書ける書き手であっても
お前のような奴は迷惑なんだよ。
ss投下したら何してもいいなんて思うな。
738名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:06:05 ID:gAm2j5220
>>737
投下してるやつと待ってるやつに差なんかねーよ
対等の関係に決まってんだろが。んなこともわかんねーのかw
739名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:10:36 ID:z6OMqAk4O
会話について行けないのは
俺の理解力が劣っているせいなのか?
740名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:17:15 ID:n7ITuEfr0
>>738
どっちかちゅうと投下するヤツの方がエライと思うのは俺だけか?
741名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:22:57 ID:gAm2j5220
>>740
読む奴がいなかったら書かないだろうから、やっぱり対等じゃねえの?
どっちが欠けてもだめだろうし
742名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:34:25 ID:tDb9jHQw0
>>741
いや、どう考えても書き手のほうが大事だろ
書き手は簡単に読み手になれるけどその逆はない
ただでさえTH2のSS書く人減ってるんだから大事にしようぜ
743名無しさんだよもん:2008/06/25(水) 23:39:48 ID:gAm2j5220
>>742
意外と読むのだって難しいんだぜ?
でも最後の行は同感だ。sslinksもたまに滞るしなー
744名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 01:27:10 ID:Uj/4tVm3O
ID真っ赤にして必死だねぇw
745名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 01:36:15 ID:DiSnB7ID0
>意外と読むのだって難しいんだぜ?
この発想はなかったわw
どんな高等技術を用いて読んでるんだよ
それとも俺が低レベルなだけでここではこれがデフォなのか?
746名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 01:47:04 ID:aFhf4yw90
書く方も読む方も、ヘンに片肘張りすぎだろ。
SSがなくても死ぬワケじゃない。SS投下して酷評されても死ぬワケじゃない。
もっと気楽にいかないか?w

よっちSS読んだけど、まさかおっぱいが意思を持つネタとは意表を突かれたぜ。
何故か様付けとか、そういう細かいところが面白くて吹いたw
どーでもいい話なんだが、最後は貴明のチンコが喋るようなオチだと個人的には最高だったよ。
なにはともあれ他キャラの話も期待してます。
747名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 06:29:12 ID:CgX9zfi00
そんなことよりSS書こうなんだぜ。!
748名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 06:33:42 ID:Q03PvN1+0
自分のちんこと会話するのはよつばとのエロパロで見かけたな
しかし貴明のちんこでは「もっとセックスする!」くらいしか言いそうにないw
749名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 11:17:54 ID:VIRObl0G0
3姉妹スレに出没してる者だけど
どう見てもミルファびいきの696の投下ブツ、密かにアテにしてたんよ…orz
まあイルミルシルものは今後も多く出そうだからそれに期待するしか
750名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 12:48:16 ID:P1WAI5v6O
>745
読むのは簡単かどうか知らないが、少なくとも読んで感想をつけるのは簡単ではないのだろう
と、ここのSS投下数とSSへのレス数をみて思う
751名無しさんだよもん:2008/06/26(木) 23:21:29 ID:CgX9zfi00
たぶん最もきれいな形というのがあるんだよ。
現状:ss投下→「面白くない」→「文句言うな」→「ごめんなさいでしたーもうかくのやめます。」→雑談
きれいな形:ss投下→「面白くない」→「ごめんなさい」→ss投下→以下ループ

そんなことよりssかこうなんだぜ。!
752名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 01:15:47 ID:7G7Qct5jO
書き手にも士気というものがあるだろ。
甘やかす必要はないけど、気ぃ〜くらい使ったってもバチはあたらないんじゃね?
少なくともやる気を削ぐようなキッツい嫌味はやめた方がいいと思うなあ。
753名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 01:34:59 ID:ks5jWWSD0
>>750
感想を書くのは大変だと思うが、文句言うだけのやつより書き手の方が遥かに大事だろう。
止めろだとかただ面白くないとだけ言うやつ、作品の感想は一切無く作者批判だけするやつは
SSとかTH2自体が大嫌いで攻撃してるのかね。
それならこの板にこなきゃいいのに。
754名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 03:07:42 ID:ijFwhFhj0
つーかさー、そうやって無理矢理に作家をもてはやした結果がこれなんだろw
個人的には、気を遣うのも無理にもてはやすのも好きにすればいいと思うが、そうやって優しくしておいて
作家が調子に乗り始めると手のひら返すんだよなw
696も、ちょっと前の物書き修行中も、全く同じパターンで姿消したぞ。

すぐ調子に乗っちゃう作家と、一度与えた優しさを取り上げる読者、どっちが悪いんだよw
755名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 06:18:24 ID:Jnrw9XXV0
善悪をとってもしかたがない。
不特定多数の出入りする場所で正義を振りかざしてもその正義を遂行するには体制を作らなくてはいけない。
そうすると閉鎖的になる可能性がある。
コンスタントに>>751 3行目が一番てっとり早いと思いますよ。

そんなことよりSS書こうなんだぜ。!
756名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 06:54:15 ID:mRzlkoO10
>751>755
まずおまえがTH2SS書こうなんだぜ!

作者を叩いてる奴は、単に自分がリアルでもネットでも相手にされないが故に
自分以外の人間が相手にされてるのが悲しくて仕方ないだけだから叩きは止めようがない

それよりも書き手にしろ読み手にしろ、
多少なりともSSスレを盛り上げようと思ってる人間がどういう行動を取るか、だがね
確かに書き手はもうちょっと煽り耐性を身につけるべきだろうし、
読み手はつまらなくても簡単な感想はつけてあげた方がいいとも思うけど・・・

正直、あまり悩んでも楽しくならんよ。書きたいように書いて、読みたいように読めばいいさ
757名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 07:30:22 ID:n4I5Nn7c0
容量半端だのう。このまま雑談で梅か

SS作家さんへの三箇条(私見)

・自分で自分のSSを卑下しない
 →自分でダメだと思ってるなら何故投下したんですか?
  投下した以上は胸を張ってSSと心中すべし。

・批判には凹まない
 →批判する方も素人の浅知恵です。ものが分かって言ってる奴なんか一人もいません
  軽い気持ちで指摘してるだけなので有り難く受け流すべし。

・叩かれたと思ったらしばらく退避
 →叩き屋さんは寂しがりなので謝っても開き直っても粘着してきます。
  黙っててもスレは荒れますが、作家さんに全く責任はありませんので他人事を決め込むべし。
758名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 10:06:14 ID:c1bFyIpM0
>>754
「調子に乗る」の基準がいまいちよくわからないんだが…
今回去っちゃった人なんかも、少なくとも意見聞く耳は持ってたし改善しようという意志は見えた
図に乗っていたようには見えないけどね。
やる気が出てきて多作になってくのまで、調子こいてる=図に乗る、で括られちゃうと、板を盛り上げたい
という皆さんの希望とは矛盾してるんとちゃうんかな
759名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 11:19:01 ID:OIrHnt0/0
>>758
さすがに論点ずれすぎ。
>>754のは住人の問題点の指摘だから、書き手に問題があったかはまた別の話。
しかも多作になることを調子(図)に乗るなんて言ってないだろ。
それと、「調子に乗ってたかどうか」は感じ方一つで変わるから決めようがない。
760名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 11:45:49 ID:tZu0kGGA0
書き手に、煽りに屈しない耐性があったとしても、餌与えないように気を遣って控えるという事はあるだろう。
そうなると、どっちにせよスレへのSS投下は減る。
荒らしがのさばらんようにするしかないんだろうが、昔から決定打というのはないんだろうかね
一定期間置いたところで、粘着はその書き手の次の投下でもまた暴れるだろうし
だから粘着という
761名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 12:22:14 ID:ZFHybdXo0
まあ粘着もそうだけど、結局住人がスルー出来ないのが問題なんだろうけど

今回もそうだけど、ネガティブな感想(これは荒らしとかではなく純粋に感想なんだろう)を書くと
それを足がかりに荒らしが煽って住人がそれに乗って騒いじゃうという悪循環なんだよね
読み手も書き手も、住人全員が軽く流せればそれで済む話
762無題:2008/06/27(金) 14:57:33 ID:Jnrw9XXV0
「うめ〜うめや〜」
「うめですね。そろそろ収穫の季節も終わりのようです。」
ーずどん
「もってきたよー。研究所のうめー」
「わけがわからないれす。何れ研究所にうめがあるんれすか。」
「社内緑化もとい観賞用だそうですよ。白くてかわいい花が咲くそうです。
ただ見るだけだともったいないので、実がなるものを選んだみたいです。長瀬おじ様が。」
「でもどうすんのー?うめこんなにあっても食べられへんでー」
「梅干しにしてもこんなにあったらさんちゃんと食べても何年ももつなー。
まぁ、とりあえずこのまま置いといてもしかたないから漬けよか。」
「はい。お手伝いします瑠璃さま。」
763無題:2008/06/27(金) 14:58:45 ID:Jnrw9XXV0
「うーん。あ。貴明におすそわけやー。」
「さんちゃんそれいい!きっとダーリンも喜ぶよ。」
多分喜ばない。
「ご主人様のうちらけに大量に持っていってもしかたがないので、
たまたまやこのこのにも持っていってやるのはろうれすか。」
「そうやなー」
764無題:2008/06/27(金) 15:01:04 ID:Jnrw9XXV0
「あ、そうそうさんちゃん。おじさまが杏飴食べてたんだけどねー
おいしそうだからもらってきたよー」
「わー。ありがとー。でもなんで杏飴?」
「それはこの文章がうめだからです。珊瑚様。」
「杏と梅と何の関係があんの。」
「瑠璃さま。杏は学問的な分類では梅にちかいものなのです。
ちなみに、両方サクラ属で、春の季節のハートフルなSSにぴったりです。」
「で?」
---
起承終でお送り致しました。
書けと言われたから書いた。反省はしない。そろそろスレが終わるからうめようの燃料(上で否定されている行動)投下。

こんなくそえすえすをかいてごめんなちゃい。いままでも、そしれこれからもくそをたれながしつづけます。

そんなことよりSS書こうなんだぜ。!
765名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 15:05:59 ID:Kflv+TW30
>>764
こういった手軽に読めるSSもいいね
766名無しさんだよもん:2008/06/27(金) 18:09:21 ID:rqgaqfn40
>>764
うめSS、乙です。こういう短篇ってまとめるのが難しいんだよね
767名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 00:25:13 ID:Xqbjb6kx0
一方そのころ、向坂家では

貴「ど、どうしたの梅干しばっかりこんなに一杯?」
環「親戚の家で作りすぎたらくして、本家にって送ってよこしたんだけど、
  今ここには私と雄二だけでしょう? とても食べ切れないから協力して頂戴ね」
こ「こ、このみは、すっぱいのはちょっと苦手で……」
環「砂糖漬けもあるから、分担しましょ?」
こ「甘いのならいくらでも平気だよっ!」
雄「好き嫌いしてっと大きくならねえぞ、このみもこれを喰え」
こ「ええ〜、ユウ君の意地悪〜」
貴「そっちの箱もなの? こんな量、四人でも無理じゃないの?」
768名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 00:25:59 ID:Xqbjb6kx0
環「そうねえ、そうだ、タカ坊の知り合いの双子の女の子、姫百合さんだっけ、あそこ大所帯じゃなかったかしら?」
こ「おすそわけでありま〜す」
貴「いや、あそこは八割方ロボだし」
雄「学校にでも持ってくか、いいんちょあたりに渡せば捌いてくれそうだ」
貴「……困るだろうな、愛佳」
環「でも、少なくともあと2,3人は応援が欲しいところねえ」

 ピンポーン。
769名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 00:27:21 ID:Xqbjb6kx0
「「「お邪魔します、お姉様!」」」
環「あら、貴方達、いい所に来たわね、これ、片付けるの手伝って頂戴」
薫「梅干しですか、しかし、凄い量ですね、さすがお姉様」
カ コクコク……。
玲「わ、私は梅干しは苦手で……こちらのアーモンド入りのチョコ菓子を担当させていただければ」
雄「それは梅と関係ねえだろ」
カ フルフル……。
薫「アーモンドは梅と近縁の植物です」
雄「そ、そんなの知らねえよ」
玲「常識ですわ! まったく、お姉様の弟とも思えませんわね」
貴「でも、そのチョコボールってピーナッツだよ?」
---

上のをパクって適当に書きました。反省はしない。推敲もしない。続けない。うめ。
770名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 06:48:46 ID:orY+Qjyy0
私の書くネタは続けられる傾向があることが分かった。(2回中2回だけど。
多分あまりにも投げすぎているのが原因かもしれない。

ところで、>>765に既視感がある。不思議。

すれ立てた。
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1214603211/
申し訳ない。保管庫のh抜くの忘れた。
771名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 07:43:46 ID:X+5iorpFO
>>770
スレ建て乙。
新しいスレは荒れないといいねえ。

しばらく書けてないからオイラもトライしてみようかなぁ。
もやっとしたイメージはあるんだけど、ココんトコ形にする努力をしてへんかった。
772名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 09:46:07 ID:e3/7XJvm0
無理しない程度にがんばってくれ
期待してるよ
773名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 10:00:24 ID:y5JwFduE0
埋めSSをリレーするのは古来から我が国に伝わる風習でありこの伝統を引き継いでつまり春夏さん陵辱キボンヌと私はうわなにをするやめrgthyじゅきぉp
774名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 12:10:13 ID:ZXWEFc0A0
リレーじゃないけど梅
(梅ねたじゃないけどね)
775今日の向坂雄二〜朝:2008/06/28(土) 12:12:26 ID:ZXWEFc0A0
 おう、俺向坂雄二。
 赤毛がチャームポイントのナイスガイだ

 今日は日曜日。天気もいいし、あいつの女嫌い克服もかねて貴明とナンパにでも
繰り出そうかと思ったんだが朝からあいつ家にいやがらねぇ。
 まったく、休日の朝っぱらからどこに行ってんだか。仕方ないんで一人で街に繰り出した。
貴明の奴は俺のメインターゲットである年上のお姉さんに受けがいいからデコイにはもってこいなんだけど、
まあ今日は俺のこの甘いマスクだけで勝負するとするさ。

 駅前で暇そうなおねぇさんに声をかける。……くそう、ガードが固いぜ。
だがしかーし、そんなガードを突き崩しての成功こそナンパの醍醐味ってもんだ。
 って、おや?
 あっちから歩いてくるのはいいんちょじゃねぇか。
 おーい、いいんちょ〜
「向坂君?」
 声をかけると小動物みたいなきょとん、とした顔で俺を見てからいいんちょはこっちに歩いてきた。
 ……っと、人の流れに巻き込まれて流されてってる……あ、今度は逆方向。
「はぁ……はぁ……はふぅ……」
 大丈夫か? いいんちょ。
「ら、らいじょうぶ、らいじょうぶれすぅ〜ど、どうしたんですか向坂君?」
 いや、ちょっといいんちょが歩いてるのが目に止まったから呼んで見たんだけど。
 お、そうだ。いいんちょ、暇なら俺とお茶しねぇか?
「え?……いいいいいいえぇ…け、けっこうですぅ!」
 ……そんな全速力で後ずさりしなくてもいいじゃん。
 別にとって食やぁしないって。俺は紳士なんだぜ?
「あっ、あのあのあの、あたし家に帰ってマフィン焼かなくっちゃ、なのですっ!」
 そう言っていいんちょは手に持っていたレジ袋を俺の目の前に突き出して見せた。
 なるほど、卵に小麦粉にバターが入ってる。
 まあ、用事があるんなら仕方ないな。じゃ、また今度機会があったら頼むぜ。
「えっと、ご、ごめんなさい。それじゃ〜」
 普段からは想像もつかない早足でいいんちょは去っていった。
 そんな、逃げなくても良いのになぁ。
776今日の向坂雄二〜昼その1:2008/06/28(土) 12:15:11 ID:ZXWEFc0A0
 昼までがんばってみたものの電話番号を聞きだすことに成功したおねぇさんは0。
 なかなかつらいぜ…
 とりあえず腹が減ったので一人寂しくヤックで飯でも食うか。

 商店街へ移動してヤックに入ろうとしたところで見知った顔が店から出てきた。
 おう、十波じゃねぇか。
「ああ、あんた。」
 十波は手に大きなヤックの袋を持っていた。
 十波もメシ? なら一緒に食わねぇ? シェークぐらいおごるぜ。
 スマイルをふんだんにサービスして、俺は仏頂面の十波にフレンドリーに話しかけてみた。
「何であんたと一緒に食べなくちゃならないのよ。……もしかしてナンパ?」
 おう。今流行のツンデレ美少女と一緒にメシなんてのもオツじゃないか。
「あたし、ナンパな男って踏み潰したいぐらい嫌いなの。タダでさえ罰ゲームでパシリに
 されてるって言うのに……ぶつぶつ」
 十波はぶつぶつ言いながら俺の目の前を通り過ぎて人波の波間に消えていった。
 ……おれバカみてぇ。
777今日の向坂雄二〜昼その2:2008/06/28(土) 12:17:33 ID:ZXWEFc0A0
 ヤックの前でアホ面晒してしまったので恥ずかしくて入る気をなくし、代わりにカフェで飯を食うことにした。

 カフェまで来ると、一人目立つ髪色のメイドさんがいた。お、ありゃるーこちゃんじゃねえか。
 よ、きょうもかわいいねぇ。
「お世辞を言ってもサービスはおなじだぞ、うーじ。」
 そんなんじゃねぇよ。今のはフェミニストである俺の流儀って言うか。
 俺って奴はかわいい女の子には賛辞を送らずには居られないのさ。
「そうか。注文はなんだ?」
 そうだなぁ……ホットサンドに紅茶ひとつ。
「わかった。少し待っていろ。」
 そう言ってるーこちゃんはお店の奥に引っ込んで、10分ほどで戻ってきた。
「るーの特製ホットサンドだ。ほっぺが落ちるぞ。」
 そう言ってるーこちゃんは俺のテーブルにホットサンドの載った皿を置いた。
 そして、ティーポットを高々と差し上げると、もう片方の手に持ったカップに向かって見事な手さばきで注ぎ始めた。
 へぇ……貴明に聞いちゃ居たけどこれは見事だな。
「る……お茶も入ったぞ。さっさと食え。」
 相変わらずのクールさだなるーこちゃんは。じゃ、いただくとするかね。
「るーちゃん!」
 俺がホットサンドにかぶりついたところで、聞き覚えのある声が聞こえた。
 ……ありゃ、ミステリ研の笹森じゃねぇか。
「るー!」
「るー」
 笹森は俺の目の前でるーこちゃんと二人して両手を高々と差し上げて挨拶してる。
 恥ずかしくないんだろうか……恥ずかしくないんだろうなぁ。
「ねぇねぇ、るーちゃんは今日の夜の天体観測に来るんだよね?」
「るー、勿論だ。るーの故郷を見せてやろう。」
「たのしみなんよ〜」
 天体観測ねぇ…さすがミステリ研だな。ま、その調子でUFOでもUMAでも見つけてくれや。

 ちなみに、るーこちゃんの作ってくれたホットサンドは美味かった。
 お礼にお茶でもご馳走したいところだったが、るーこちゃんはバイト中なので諦めた。残念。
778今日の向坂雄二〜午後その1:2008/06/28(土) 12:19:16 ID:ZXWEFc0A0
 腹も満ちた事なので俺はナンパを再開する事にした。
 今度はショバをかえて、若い女の子たちに人気のアイスクリーム屋の前で張ってみる事にした。
 …っと、おや、あそこでアイスを頬張ってるのはちびすけたち1年生軍団か。
「あれ、ユウくん。どうしたの?」
「あ、向坂先輩、おつかれっす。」
「おつかれ…」
 これはいつもの3人組、ちびすけにチエちゃんにミチルちゃんだ。
「る〜」
「あ〜!スケベの片割れや!」
「どーも。」
 加えて、これはお団子頭の双子姉妹に車椅子に乗ったいいんちょの妹の郁乃ちゃんだ。
 俺の好みからはちょいと外れちゃ居るが、どの子もみんなかわいい。ま、ちびすけは少々ガキっぽいがな。
「む〜、ひどいよユウ君」
 そのアイス一口食わせてくれたら考え直してやっても良いぜ。
「ユウ君自分のお小遣いで買いなよ。」
 貴明の奴とは食べさせっこしてるのに……こうも態度がちがうもんかね。
「それが本命とただの友達との差。」
「うわ…ちゃるきっついな〜」
「よっちの顔ほどじゃない。」
「なんですと〜」
 ああ、みんなつめてぇな…貴明の奴のどこが良いんだよ。
「じゃぁ、向坂先輩の売りって何ですか?」
 良くぞ聞いてくれた郁乃ちゃん。
 俺の売りはこの甘いマスクと常に忘れない女性への気配り、そしてちょっとのスケベ心…もとい男の色気だよ。
「とりあえずスケベ心はどっかに捨ててきてください。」
 うわひでぇ。
「やっぱりこいつもすけべぇや……」
「雄二にーちゃんスケベなん?」
「さんちゃん近寄らんとき! スケベがうつってまう!」
 俺ばい菌扱いかよ。
 なんか容赦ないなこの後輩たち……
779今日の向坂雄二〜午後その2:2008/06/28(土) 12:26:02 ID:ZXWEFc0A0
 後輩の女の子たちに予想外の袋叩きにされてグロッキーになったおれは、ぐったりしながら商店街を歩いていた。
 そして紅茶専門店の前を通りかかったとき、見覚えのある後ろ姿が目に止まった。
 長い黒髪が特徴的なあの後姿は……優季ちゃんじゃねぇの?
「あ、向坂君。」
 優季ちゃんは振り返るとにこっと笑った。うーん……いいねぇ、美少女のスマイルは心が和む。
 優季ちゃん今日は紅茶の買出し?
「ええ。今夜のお茶会用に。」
 今夜のお茶会?
「ええ、皆さんで星を見ながらお茶会をするんです。」
 美少女と夜空のお茶会かぁ……いいねぇ。どう? 俺とお茶しない?
「残念ですが辞退します。私はたかあきさん一筋ですから。それに今日は急いでいるので。」
 やっぱり貴明か……くそう。なぜ奴ばかりがもてるのか。
「それでは、失礼しますね。向坂君。」
 そう言ってぺこりとひとつお辞儀をすると優季ちゃんは足早に人ごみの中に消えていった。
 いいなぁ……正統派美少女。
 あんないい子に気を持たせたままなんて、貴明めふてぇ野郎だ。
780今日の向坂雄二〜夕方その1:2008/06/28(土) 12:28:40 ID:ZXWEFc0A0
 商店街を歩いていくとまたしても見覚えのある人がいた。
 ありゃぁ久寿川先輩じゃねぇか。

 久寿川先輩は人待ち顔できょろきょろしながら立っていた。
 いいよなぁ……美人だし、スタイルいいし、ちょっと変わってるけど姉貴と違って性格も悪くないし。
 それにしても、誰を待ってるんだか。
 ……まさか、貴明じゃねぇよな。
 とりあえず声かけてみるか……久寿川せんぱ〜い!
「あ、向坂さん。どうしたんですかこんなところで?」
 いや、適当にぶらぶらしてただけっすよ。
 先輩こそこんなところで、誰かと待ち合わせっすか?
「ええ。約束があって……でも遅れてるみたい。」
 ……もしかして、貴明の奴ですか?
「いいえ。河野さんじゃないの。」
 またまーりゃん先輩に放置プレイさせられてるとか。
「ちがいます。」
 あ、怒りました?
 すんません。お詫びにお茶でも奢りますから、ちょっとそこの喫茶店でも入りませんか?
「でも……」
 約束ですか?時間に遅れてくるような奴に気を使う必要なんかないっすよ。
 ま、なんか会っても俺が話しつけますから。
「あの……向坂さん。」
 え?なんすか?
「いえ、向坂さんじゃなくて……」
 何でそんな困った顔してるんですか?
 先輩は困った顔してるより、笑ってるほうがかわいいんですから。
「ありがとう、そう言ってくれるのは嬉しいわ。でも、」
 一体何が先輩の笑顔を曇らせてるんですか?
 先輩が笑顔を見せてくれるなら俺は何だってしてみますよ。
 例えうちの凶暴姉貴にボロボロにぶちのめされたって立ち上がって見せます!
781今日の向坂雄二〜夕方その2:2008/06/28(土) 12:30:16 ID:ZXWEFc0A0
「へぇ……そう。じゃあ、試してみようかしら?」
 ……いますげぇ聞き覚えのある声が背後から聞こえたんすけど。
 久寿川先輩が俺の後ろのほうに視線を向けておろおろしてる。ってことは、いるんだろうなぁ……赤いオニが。
「うふふふ……赤い鬼なんて、洒落が言えるほど雄二は余裕なのねっ!」

 がしっ! ぎりぎりぎり……

 うわっ! やっぱり姉貴!
 割れる割れる割れる!
 ごっ、ごめんなさいお姉さまっ! 許してくれ〜
「ナンパに精出すような軟弱な弟の性根をたたきなおさなくちゃ……ねっ!」

 ごきっ。

 あ、割れた。
 それっきり、俺の意識は闇に飲まれた。

                    ◇

 俺が商店街の冷たいタイルの上で目を覚ましたときにはもう夕方になっていた。
 ずきずき痛むこめかみをさすりながら俺は家に帰った。

 途中愚痴でもこぼそうかと思って貴明の家に寄ったんだが未だ帰ってきてなかった。
 あの野郎どこに行ってやがるんだ。

 家にも誰も居なかった。
 あのあと久寿川先輩と二人でどこかに出かけたんだろう。

 ああ、今日は散々だったなぁ。
 俺は自分の部屋にこもって不貞寝を決め込んだ。
 くそう……腹減ったなぁ……ぐぅ……
 満天の星空。
 山の中腹に立つ学校の屋上からは綺麗な夜空が良く見えた。
「タカ君タカ君、すごいねぇ。お星様がいっぱいだよ。」
 そうだなぁ。俺も草壁さんに教えられるまでここがこんなに夜空が綺麗だ何て知らなかったよ。
 でも草壁さんはどうしてここの夜空が綺麗って知ってたの?
「うふふ……それは秘密です。」
 そう言って草壁さんは俺にウインクして見せた……ちょっとドキッとした。

 今日は朝から準備して、生徒会役員の特権を利用して学校の屋上で天体観測兼夜のお茶会を開いていた。
 貸切の屋上には数台望遠鏡が並んでいて笹森さんとるーこが一緒になにやら話し込んでいた。
 ちなみに望遠鏡は笹森さんの私物。さすがミステリ研会長。
 このみたち−なぜか他校生徒2名も入った−1年生組も夜空を見上げてなにやら話し込んでいる。

 屋上の真ん中には生徒会室から持ってきた折りたたみテーブルと椅子で作られた即席の食卓があって、
そこには小牧さん手作りのお茶菓子とタマ姉が用意してきた軽い夜食がいくつか並んでいた。
 その横ではキャンプ用のストーブで沸かしたお湯で、小牧さんと草壁さん、それに由真が慣れた手つきで
お茶の用意をしていた。へぇ…意外だな。
「ふふーん……あたしはこういうことも得意なの。」
 由真は普段が普段だから粗暴な印象しか無いけどね。
「くっ……河野貴明、覚えてなさいよ。」
 タマ姉と久寿川先輩は小牧さんの焼いてきたスコーンを温めなおしに調理室に行っている。
 そして、こういう催し物にはなにかと顔を出したがるまーりゃん先輩だけど……タマ姉が何か策を弄して
絶対来られない状況にしたみたいだ。……タマ姉、一体どんな手を使ったんだろう。
「あら、知りたい?」
 ……お願いだから気配を消して近寄った上に耳元で囁くのはやめてください。
「スコーン、あったまったわよ。そろそろお茶にしましょう?」
 そう言ってタマ姉と久寿川先輩がテーブルにスコーンを並べ始めた。
 それにあわせて草壁さんたちも並べてあったカップに紅茶を注ぎ始めた。
「このみ、お茶の時間だってさ。るーこと笹森さんも。」
 俺が声をかけるとみんなが集まってきてテーブルに着いた。
 夜空のお茶会の始まりだ。

 それにしても……雄二の奴どこに行ったんだろうな。
 誘おうと思ったら家にも居なかったし。タマ姉知ってる?
「さあ? 今頃頭痛で寝込んでるんじゃないかしら。」

                    ◇

 へぷしっ。
 う〜、路上で寝てたせいで風邪引いちまったかな……
784名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 13:10:50 ID:ZXWEFc0A0
昨日の夜電波を受信して埋めネタとして突貫で書いてたんだけど
途中で一休みと思って寝転がったらそのまま朝だったよw
785名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 13:11:39 ID:foAIB8vn0
GJ
786名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 13:15:25 ID:S/4m9Imd0
GJ!!

それにしても雄二は哀れですね(笑

せめて、接点のあるいいんちょとこのみからは、
もう少し雄二にやさしくしてもいいと思うんだけどな・・・
世の中不公平ですよね・・・
787名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 14:25:50 ID:X+5iorpFO
面白かったっす!
しかしゆーじは不憫だな(;_;)
いかにもありそうなのがまたなんとも言えず……

それにしてもすごく気になる事がひとつ。

まーりゃん先輩が絶対来れない手配ってなんだろう??
まー母利用あたりが思い付くけど、確実にとなるとそれも難しいような……。
788名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 19:32:01 ID:ZXWEFc0A0
>>787
それについてはタマ姉に答えてもらおう

「そうねぇ……企業秘密、とでも言っておきましょうか。
 女の子には秘密がいっぱいあるのよ、うふふ。」
「あ……それ、私の台詞です……」


ま、単にまーりゃん先輩出すと話が面倒になるのでそうしただけなんで細かいところはスルーで

それにしても、愛佳ルート以外だと愛佳と雄二のコンビで貴明に絡むイベントが多いから結構相性よさそうだよな。
ということで次スレで誰かが書いてくれる事をひそかに期待埋めw
789名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 21:06:08 ID:q+E1Zays0
>>786
愛佳は男性恐怖症だから、この反応で合ってるんじゃないか?
ゲーム開始時点では貴明からも思いっきり逃げてたし。
790名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 21:18:28 ID:ys4sYXeb0
雄二の扱いがひどいのは今に知ったことじゃないけど、同じ男としてすごく…うん…
791ゆうじに生誕の祝福を:2008/06/28(土) 21:51:39 ID:orY+Qjyy0
「おめでとうございますゆうじさん」
「おめでと」
「おめでとうございますです。」
「おめでとさん。」「おめでとうや〜」
「おめでとうございます」「おめれとうれす」「おめでとー!ゆーじくん」

夢か・・・
 へぷしっ。
 う〜、路上で寝てたせいで風邪引いちまったかな……
792名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 22:19:55 ID:0PO6/1L20
乙です。
こうなったら、メイドロボに走るしかないなw
ひとつ気になったのは、悠二は由真のことを『長瀬』で認識してるのでは?
793名無しさんだよもん:2008/06/28(土) 22:22:04 ID:0PO6/1L20
あ、しまった。ユウジ違いだw
向こうに戻ります。
794名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 17:32:33 ID:NObay1ZE0
あと8Kがなかなか埋まらんね   梅
795名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 17:34:06 ID:QvVuNp390
ちなみに次スレってもう立てたの?
まだなら、ここにテンプレ張っておけば?
796名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 17:36:34 ID:NObay1ZE0
797名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 17:47:03 ID:W4vEfXZj0
容量ってどこでみるの?IEの、ファイルのプロパティ?
798名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 18:00:07 ID:o9qlmUkW0
Jane Doe Styleだと枠の下のとこかな。専用ブラウザ使いなよ。
799名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 18:18:15 ID:IZhwCal20
800名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 18:38:59 ID:QvVuNp390
残り容量できれいに収まるSSを
計算して作ったらすごいよな・・・
801名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 18:49:50 ID:W4vEfXZj0
>>798
ありがとう。

>>800
適度に密度の低い話を書いて、破綻しない程度に削るのはそんなに難しくなさそう。
書いてみたいけどそもそものねたがないし気力もないのであきらめる。
802名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 19:01:08 ID:QvVuNp390
もしも、このみがこのスレのSSをみていたら・・・
もしも、いいんちょがこのスレのSSをみていたら・・・
もしも、タマ姉さが・・・以下略

っていうのを思いついたことが合ったけど、
思っただけで膨らませることができなかったorz

>>801
何気に801ゲットおめ
803名無しさんだよもん:2008/06/29(日) 23:13:57 ID:NObay1ZE0
普通にテキストで書いて容量あわせても
実際書き込んで見るとちょっと膨らんだりするから
丁度埋まる容量って意外とむずいよ 埋め
804名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 14:37:19 ID:XkzTRHno0
あなたがいた頃は 笑いさざめき
誰もが幸福に見えていたけど
人は人と別れて あとで何を想う
鳥は鳥と別れて 雲になる 雪になる
私の心が空ならば 必ず真白な鳥が舞う
鳥よ 鳥よ 鳥たちよ
鳥よ 鳥よ 鳥の詩

あなたを想うのは 日ぐれ時から
あたりが夕闇に沈む時まで
人は人と別れて 夜にひとり迷う
鳥は鳥と別れて 月になる 風になる
私の心が水ならば 必ず北から鳥が来る
鳥よ 鳥よ 鳥たちよ
鳥よ 鳥よ 鳥の詩

あなたはいつの日か 巣立つ私を
静かな微笑みで見つめてくれる
人は人と別れて 愛の重さ覚え
鳥は鳥と別れて 春になる 秋になる
私の心が湖ならば 必ずやさしい鳥が棲む
鳥よ 鳥よ 鳥たちよ
鳥よ 鳥よ 鳥の詩
805名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 14:38:05 ID:XkzTRHno0
すまん、誤爆した
806名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 14:57:12 ID:SpmkyawdO
どんな誤爆じゃww
807名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 22:21:57 ID:YkMMzKme0
元祖鳥の詩はガチ名曲。むろんLiaのも好きだがね
808名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 22:52:17 ID:/ufA9wyd0
>>807
始祖鳥の詩に見えたw
809名無しさんだよもん:2008/06/30(月) 23:26:50 ID:askhmR9w0
>>808
そりゃまたずいぶんと歴史のありそうな歌だなw
810名無しさんだよもん:2008/07/02(水) 01:20:08 ID:xo3Cxh6a0
ぴったり埋めに挑戦してみる
811初恋 〜 Yuji's Memory 1/2:2008/07/02(水) 01:21:06 ID:xo3Cxh6a0
「はい、たかあきさん。今日のお弁当です。」
「あ、ありがとう草壁さん。」
「もうっ。ゆ・う・き、ですっ。」
「え、えっと……優季。」
「はい。」
「……ええい、毎日俺の目の前でいちゃいちゃしやがって……それは俺に対する嫌がらせか。」
 目の前のカップルのゲロ甘ぶりに辟易した様子で、赤毛の少年……向坂雄二は嫌味を口にした。
「いやぁ……そんなつもりは無いんだけどさ。」
 ははは、と苦笑いで幼馴染の少年……河野貴明は返した。
「今まで離れ離れでしたから……ついついたかあきさんに甘えてしまって……すいません。」
 そう言って黒髪の美少女……草壁優季も恥ずかしそうに詫びた。
「雄二、男のひがみはみっともないわよ。」
「そうだね。ユウ君かっこ悪いよ。」
 お弁当に舌鼓を打ちつつ姉妹以上に姉妹のような阿吽の呼吸で向坂環と柚原このみが雄二に突っ込みを入れた。
「うるせぇ。大体な、昔の女の子の知り合いなら俺にだって居るんだ。
 ほら、前に貴明に話した事あっただろ。白いワンピースの女の子。」
 その瞬間、貴明の顔がわずかに引きつった。
 そして、環の顔が必死に何かを堪えるようにわずかにゆがんだ。
 天然ボケのこのみと事情を知らない優季は雄二の話に感心したような表情をしていた。
「いつかまた会えるといいですね。」
「おう。ありがとう。でもあの頃もかわいいなと思った位だから、今頃は結構美人になってるかもな。」
 そう言って昔を懐かしむそぶりを見せる雄二を見ていた環は、何事か思いついたようににやり、と笑った。
「ねぇ雄二、そんなにその子に会いたいの?」
「あん? 姉貴、あの子と知り合いだったのか?」
 食いついてきた雄二に手ごたえを感じている環の目の前で、貴明はいやいやするように首を振っていた。
「まあね……そういえば、明日は雄二の誕生日だったわね。誕生日のプレゼントにあわせてあげるわ。」
「なにっ! あ、姉貴…いや、環おねぇさまっ!」
「よしよし、タマおねぇちゃんに任せなさい。」
812初恋 〜 Yuji's Memory 2/2:2008/07/02(水) 01:21:44 ID:xo3Cxh6a0

 雄二が去った後で、のこりの面子で作戦会議が開かれた。
「た、タマ姉、どうするのさ。あれは昔女装させられた俺のことを雄二が女の子だって勘違いしてるんだって。」
「だから、またタカ坊が女装すればいいじゃない。大丈夫、メイクもすればばれないわ。」
「いや、そう言う問題じゃ。」
「そうですか、向坂君は女装した貴明さんに恋していたんですね……ちょっとジェラシーです。」
「ジェラシーとかそう言う問題じゃないから。」
「というわけで、雄二の初恋の思い出のために協力しなさい、タカ坊。」
「協力してあげてください貴明さん。」
「い〜や〜だ〜」
「もうっ、しょうがありませんね。向坂先輩、貴明さんを抑えて置いてください。」
「はい了解。よっと……それで、どうするの?」
「これですっ。」
 優季は自分の髪を1本引き抜いて、小銭入れから取り出した5円玉を結わえると貴明の目の前にぶら下げた。
「そっ、それはっ!」
「うふふ、笹森さんに教えてもらっちゃいました。は〜い、あなたはだんだん眠くな〜る……」

                   ◇

 夕焼けの公園に、その女の子は立っていた。
 あの時と同じ、白い帽子と白いワンピースの女の子が。
「あ、あのっ。」
 雄二が声をかけると、うつむいていた女の子は顔を上げた。
 目が若干空ろだったが、それは違わずあの時の美少女だった。
「おっ、俺っ……昔、君とこの公園で会ってからずっと君の事す…」

 そのとき、一陣の風が吹いて少女のワンピースの裾が翻った。
 そして、その下の純白のパンティと、その真ん中の、いわゆる「もっこり」が雄二の網膜に焼きついた。

 そして…
 夕方の公園に声にならない絶叫が響き渡った。
813名無しさんだよもん:2008/07/02(水) 01:22:35 ID:xo3Cxh6a0
うわ

ちょっと足んなかったか
814名無しさんだよもん:2008/07/02(水) 07:02:21 ID:UNkPQacE0
おちゅ。
ちょっと説明がくどすぎる感じがするね。
読むときに詰まってテンポが悪くなっちゃう。私だけかもしれないけど。
815名無しさんだよもん:2008/07/02(水) 08:22:13 ID:zGX+djQAO
乙。埋まりきったかな?
816名無しさんだよもん
やりました!今度こそ私が>>1000鶴です!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                A_A
                '´ M ヽ.
                ! ノ从 リ)〉
           /\/\|lゝ ´ヮノ!
          / /\  \介 l ヽ  ヽ
        ())ノ___   へミ⊂ |ノ ヽ  ヽ
       / /||(二二)- \_ ノ―几~ ~
    Y ⌒ /|V||彡Vミニニ〈〈二二ノl0リ               >>999
   l| (◎).|l |((||((゚ )||  (⌒ )|三・) ||  (´⌒(´           ∩;:;;:;.
__ ゝ__ノ     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ゝ__ノ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡ .⊂⌒~⊃, ITI 、>⊃
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(´⌒(´⌒;;  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'''' ' ;:∨ ̄∨::' '' ̄


私は美女!  私は会長!  私は最萌!
I am a beauty!  I am the chairwoman! I am the maximum 萌!

>>2女へ どうやら人気と胸の大きさは関係ないようね。
>>3女へ あなたは私の味方よね?
>>4女へ リゾット作ったんだけど食べる?
>>51さんへ あなたを殺します。
>>144さんへ 梓を貰って下さいますね?
>>5さんへ 家にいると言った覚えはありませんよ。
>>87川さんへ よくも耕一さんを・・・絶対許しません、悪いのはみんな貴方です。
>>35さんへ 鬼の事を調べてるんですか? 何が起きても知りませんよ?