2 :
皆様:
チーッ パチパチパチパチ…
オロ「…ふぅ……」
エル「ハクオロさん 遅くまでお疲れ様です」
オロ「ああ 有難うエルルゥ
丁度何かつまみたいと思ってたところなんだ」
エル「明日のご馳走用の食材の余りに軽く手を加えただけですけど」
オロ「どれどれ む なるほどこれは魚のすり身か」
エル「はい お茶をどうぞ」
オロ「ぷは――――… なんだか生き返った気がするな」
エル「クスッ ハクオロさん大袈裟ですよ」
オロ「そうか? ははは」
エル「でも、こんな遅くまでかかるなんてどうしたんですか?」
オロ「うむ……」
エル「Σ(゚д゚)! なんですかこの請求書の山は!?」
オロ「以前、遠方から芝居の劇作家とやらがこの國を取材に来てたろう」
エル「ああ、そういえば『うたはれるもの』という劇が大当たりして以来
この國を見物に来る旅人も増えましたね
え…でも、それがどうしてこの請求書になるんですか?
むしろ収入が増えたはずなのに」
オロ「それがな…」
3 :
新年:2008/01/01(火) 00:12:13 ID:AaPqbfzh0
※※※※※※※※※※※※※※※※
ボロ「やったぞ 兄者、こんなに儲かるものとはな」
ベナ「インカラ皇の頃に比べ大幅に税を軽くして年々厳しい財政だったのですが
これで聖上のお悩みもひとつ楽になったというものです」
オロ「そうだな これも皆が命懸けで働いてくれたおかげだ 礼を言う」
ボロ「そこで兄者 ひとつ頼みがあるんだが」
オロ「だめだ」
ボロ「…まだ何も言ってないじゃないか」
クロ「どうせ若大将はまた剣兵の錬兵場を増やせてえんでしょう?
そんな金があるんなら騎馬隊に廻したほうが余程役に立ちやすぜ
あの劇だって俺達騎馬部隊の活躍が一番の華ですからねえ」
ボロ「…そうだったな アルルゥがムックルに乗って現れたときの
あの 大 活 躍 は確かに一番の見所だった
芝居小屋で見たときは腹が捩れそうだったぜ」
ベナ「………やめなさい 二人とも」
ボロ「兎に角だ 兄者、新しい錬兵場を!」
クロ「総大将、馬小屋の建て増しをお願いしやす」
オロ「ベ、ベナウィ…」
ベナ「おっと もう巡回の時間ですね
それでは聖上、失礼致します」
オロ(に、逃げるのか――――っ!?)
※※※※※※※※※※※※※※※※
4 :
明けまして:2008/01/01(火) 00:13:28 ID:AaPqbfzh0
エル「…それで結局両方とも建てちゃったんですか!?」
オロ「ああ… まあ去年より金があったものだから断りきれなくてな」
エル「…………」
オロ「す、済まない」
エル「…………ぷっ うふふふ」
オロ「エルルゥ?」
エル「ちょっとだけ、安心しました
ハクオロさんはいつだってハクオロさんのままでいてくれて
私達、そんなハクオロさんのおかげでこうして……」
オロ「有難う、エルルゥ」
エル「んきゃっ!!?」
オロ「私もお前達が大事な時に助けてくれたからここまでやってこれたんだ
そうでなかったら今頃向こうでトゥスクルさんに張り倒されてたろうな」
エル「ひゃ…ひやぁぁぁ……そんなに…撫でられたら…わ…ら……ひぃ…」
オロ「ヤマユラにいた頃が懐かしいな…」
エル「…ら、らめぇぇぇぇぇ………っ……」
オロ「…あっ!? す、済まない 何の気なしに撫でたら…」
(こ、こんなところを触ってもそんな反応になるのか…)
エル「……んんぅ…」
オロ「ここここれはまずい…マズイデスヨ……」
エル「ああん………ハクオロさぁん」
ガラッ
?「おとーさん」
エル「んきゃっ!」
オロ「うおっ!? ななな何でもない 何でもないぞアルルゥ!!」
アル「…んー???」
5 :
おめでとう:2008/01/01(火) 00:14:18 ID:AaPqbfzh0
………
エル「……んもぅ、さっきちゃんと寝付くの見てからきたのに…」
アル「おばあちゃんが夢に出てきた」
オロ「トゥスクルさんが?」
アル「ん」
オロ(トゥスクルさん……か… やはりこの子たちはまだ…)
エル「ハクオロさん、おばあちゃんに邪魔してくれて有難う、って顔になってます」
オロ「えっ!? いや!そんなことは!!決して!!!」
エル「知りませんっ」
アル「ふぁぁぁ…」
エル「ほらほら、お部屋に戻って寝ましょうね」
アル「んー てくてくてく ぽてっ」
エル「ああっ!? こらっアルルゥ!ハクオロさんの膝から降りなさい!!」
アル「すぴー」
オロ「ははは まあそんなに目くじらを立てることでもないだろう」
エル「お…大有りですっ!!!」
アル「すぴゃー」
?「夜分恐れ入りますが…」
エル「んもぅ、今度は誰っ!!?」
6 :
ございます:2008/01/01(火) 00:15:06 ID:AaPqbfzh0
チキ「そんなに怒らないでください ムティカパの時より肝を冷やしましたです、ハイ」
オロ「ん? 今日お前を呼んだ覚えはないぞ
今年の大晦日の宴会は取りやめにしたんだ …ちと経済的事情でな」
チキ「えー 今年も年忘れの宴会があるかと思いまして
酒と肴を多めに仕入れてこちらまでお持ちしたのですが
先ほど御家来のかたにそのようにお伺いしました ただ……」
エル「ただ……?」
オロ「何となーく続きを聞きたくないのだが」
チキ「その御家来のかたが折角だから自分達で全て処分しておくと仰いまして…」
オロ「くはーっ…!!」
チキ「本年も最後まで有難うございますです、ハイ」
オロ「…そのー、ちょっと負かるわけにはいかない…のか…?
日頃の誼…というやつで……」
チキ「よよよよよ〜 年の瀬で物の動きも慌しい中で
私財をなげうって仕入れた貴重な大量の酒と肴
ここでお支払いを出し渋られたら妻と子らと年を越せずただ凍え死ぬのみ…」
オロ「あーわかったわかった 払うから払うから 払うから!」
チキ「毎度有難うございます 気前のいいお客様は神様です、ハイ」
オロ「…やれやれ」
7 :
本年もよろしく:2008/01/01(火) 00:16:34 ID:AaPqbfzh0
オロ「いるな、ベナウィ」
ベナ「はっ
私がいながらこんなことになってしまい申し訳ありません」
オロ「そのように爽やかな顔で言うな 説得力に欠ける」
ベナ「さすが聖上、金蔵に余分な金がなく御自ら宴会を口に出せず
それでも普段命のやり取りをしている家臣にたまには骨休めをして欲しいと
家臣の勝手な真似を黙認してくださるとは何と御心の広い…」
オロ「…………」
ベナ「…何か付け加える点が御座いますか?」
オロ「…一献どうだ?」
ベナ「有難く頂戴致します」
オロ「…ベナウィにしてやられてしまったな」
エル「えっ?」
オロ「このところ臨時収入やら出費やらで慌しくなってしまって
つい、ここの誰もが懸命に生き、過ごしていることを忘れていたようだ」
エル「ハクオロさん…」
オロ「ベナウィはそれに気付いて、周りにも拡がることが無いようにしたんだ
…私もまだまだだな」
エル「……大丈夫です…」
オロ「ん?」
エル「みんな、ハクオロさんがみんなのために一生懸命なことを知っています!
だからハクオロさんは、…悪くなんかありません……」
オロ「………
有難う、エルルゥ」
エル「……ハクオロさん…」
サク(どーして、出ていかないんですかーっ)
クー(馬鹿者、だからお前は啓矮と言われるのだ!)
サク(け……何ですかそれは?)
クー(よ、余もよくわからぬが、お前のような者のことをそう呼ぶらしい)
サク(うう、何か非道いことを言われてるような気が〜)
クー(よし、今年はここから祝うぞ! よいなサクヤ!!)
サク(ははっ! …え〜皆さん 新年おめでとう御座います!!)
クー(うむ! 皆にもよい年であるといいな!!)