リトバス専用妄想スレ 4周目

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毎年、誕生日が近づくと、お山の家ではいつもの暴言が増す。
その話題が出るだけで私はその場にいることはできなくなる。
だから、誕生日というものがいいものなわけがない、そう思ってた

学園に来て初めてわかった。誕生日とは、嬉しい日らしい。
そんなわけない。生まれてきたことを喜ばれることなんてなかった。
むしろ忌むべき日だ。かつてはそうだった。

今の私には、リトルバスターズがいる。お姉ちゃんがいる。お父さん、お母さんもいる。
この人たちは私の世界を変えてくれた、ここで居場所を見つけた。
私がここにいることができるのは、みんなのおかげ。
みんな私に、居ていいんだよ、と言ってくれた。
だから私は・・・みんなに感謝したい。

明日は私の誕生日だ。同時にお姉ちゃんの誕生日でもある。
誕生日は嬉しい日、私がみんなにプレゼントをあげると嬉しい日になるだろうか。
何がいいかな、正直、お金はあまりない。
・・・気持ちが大事なのかな、きっとそうだ。
私の得意なマフィンがいい。いっぱい作れるし。
それがいい、台所に降りよう。材料は十分にあるはず。

台所に行くとお母さんがいた。
「お母さん、オーブン使わせて」
「ええ、いいわよ」
私はお母さんに断ると、さっそく行動を開始した。
10月13日(土)
「葉留佳、起きなさい。何時だと思ってるの」
「あ・・・お姉ちゃん・・・おはよふぁあああ」
「挨拶かあくびか、どちらかにしなさい」
そうだ、実家だったんだ。眠い。

朝ごはんを食べてから学校に向かう。もちろん、お姉ちゃんと一緒に。
そして手には、マフィンの入った箱を入れた袋。
「葉留佳、歩きながら携帯をいじるのは止めなさい」
「えーちょっとぐらいいいじゃん」
私はリトルバスターズのみんなにメールを送っていた。
題名:おはよう諸君
件名:今日ははるちん☆スペシャルがあるので絶対練習に来るのですヨっ(≧▽≦)ノ
   来なかった人にはもれなく三枝クオリティをプレゼント〜
こんなものでいいか。
「ほら、危ないわよ」
「わかってるって」
送信完了。

学校に着いた。時間は・・・お、ぎりぎりセーフだ。
「風紀委員がこんなんじゃ、他の生徒に示しがつかないわ」
「ま、その妹が遅刻常習犯でしたからネ」
「本人が何を言ってるのかしら」

授業終了、今日は土曜日だから午前中で終わりだ。
さて、学食に行こう。
いつものように学食は混んでいる。
しかし、あの5人の席はいつでも空いているらしい。七不思議?
「やはーガイズ」
「よう三枝、お前も学食か」
「そうそう、みんなは何食べるの?」
「鈴、ミッションだ。三枝と俺たちの学食を持って来い」
「わかった」
わかっちゃうんだ。
「なんて言うと思うかボケェ」
「やっぱり無理だったか、このノリならいけると思ったんだが」
「いや、無理やりすぎだから」
結局みんなで券売機に並んだ。

「そういや今日何をやるんだ、三枝」
と謙吾くん、完全に疑ってるね。今までが今までだからしょうがないケド。
「それは来てからのお楽しみということで」
「何かやることがあるなら手伝うよ」
「大丈夫、大丈夫、理樹くんは優しいなぁ」
「必要なものがあったら言ってくれ。できる限り準備しよう」
「ありがとう、恭介くん」
「俺の筋肉も分けてやろう」
「それは遠慮しときますよ、やはは」
そもそも筋肉をどうやって分けるのかが疑問ですネ。
「はるか」
「何?鈴ちゃん」
「楽しみにしている」
「まかしといてくださいヨっ」
お昼ご飯を食べ終わると。
「よし、理樹腹ごなしに遊ぼうぜ」
「なんだとぅ。理樹と遊ぶのはこの俺だ」
「いや、理樹はあたしと遊ぶんだ」
大人気だね、理樹くん。
「よし、理樹取りゲームだ。先に捕まえた人は昼休み中理樹を好きにできる。
 逃げ切ったら理樹の勝ち」
みんなの目が理樹くんに集中する。
「ミッションスタートだ」
「って恭介ぇええええ、僕が勝った場合はどうするんだよぉおおお」
「「「待てっ、理樹」」」
理樹くんは器用に逃げていった。
「はっはっは、今日も騒がしいな」
「よう来ヶ谷。お前は追いかけないのか」
「最初に捕まえた人は理樹くんを好きにできるらしいですヨっ」
と言ったときには姉御はすでにいなくなっていた。早すぎ。
「さて、俺たちもそろそろ行くか」
「そうですネ」
食べたばっかりで動く気力はないのですが。

結果、小毬ちゃんの勝利!
「え?わ、私?」
「この私が負けるとは・・・」
「いや姉御、理樹くんがこまりんに逃げただけですって」
正直、こまりんが一番害がないですからネ。
しばらくしてから、みんなでグラウンドに。
クド公はお姉ちゃんと家庭科部室で何か作ってるらしい。
丁度いいので、終わったら私とお姉ちゃんの部屋からジュースを持ってきてくれるように頼んでおいた。
練習が始まる前に、恭介くんが部室付近から機械を持ってきた。
「今日はこれを使ってみようと思う」
「それは、ピッチングマシン!」
「バッティングが苦手な、小毬と三枝を鍛える。西園、手伝ってくれ」
「わかりました」
みおちんがピッチングマシンに球を入れる係。打つのは私。
みんなバラバラに守備につく。
「練習開始だ」
「ぶっ飛ばしちゃいますよ」
「ちょっと待ったぁあああああああ」
私の目の前を剛速球がしゅごごごぉおおおおおおっと通り過ぎていった。
「みおちん私を殺す気かっ、しかもそれは私の役目っ」
「お約束はやらないといけませんから」
とまぁこんな感じで練習した。

しばらくして、
「葉留佳さん、お待たせしましたー」
クド公が2本のジュースを持ってやってきた。
「クド公、ありがとね」
「はい、どうぞ」
でも2本もあったっけ?
「お、これから始まるのか」
「なんだろうね、楽しみー」
みんなで部室に向かった。
「今日はみんなにプレゼントがあるのですヨっ」
私は、箱を4つ取り出して蓋を開けた。
すると、辺りにバターの香ばしい匂いが広がる。
「ほう、これはいい匂いだな」
「うわー、美味しそうだねぇー」
「4種類も作ったのですか」
ちなみに作ったのは、プレーン、レーズン、チョコチップ、抹茶のマフィン。
これならみんな見た目でわかるから、わかりやすいはずだ
「おい、早く食おうぜ。ってか食わせろ」
「全員分のジュースが注ぎ終わるまで待ってください」
私はみおちんに手伝ってもらい、コップに黒い炭酸のジュースを注いだ。
あれ?これ炭酸入ってるのかな。泡が少ない。
「よし、じゃぁ乾杯〜」
「「「「「「乾杯〜」」」」」
私はコップに口を近づける。
そこで気づいた、これは飲み物じゃない。
「ぶはっ」
「げほっ」
「ふぇええー」
「しょっぱいです・・・」
あー真人くん、謙吾くん、小毬ちゃん、クド公に当たっちゃった。
「「三枝ぁああああーーー」」
「あの、えーっと、ゴメンネっ」
「はるちゃん、これ醤油・・・」
「わふーっ、すいません。間違えたの私です」
そう、これはお姉ちゃんの醤油だった。
身内なので名前を書くことはしていなかったのでクド公が間違えて持ってきてしまったのだ。
なんでこんな似たもの容器に醤油を入れるの、お姉ちゃん。
「ゴメン、クド公。もっと早く気づいてれば」
「いえ、私も佳奈多さんに確認するべきでした」
みんなに楽しんでもらおうとしたのに、これじゃ・・・
「ほら、葉留佳さんもクドもそんな落ちこまないで。楽しくやろうよ」
「三枝、お前が落ち込んだら俺たちはどうすればいいんだ」
理樹くん・・・恭介くん・・・
そうだ、これは私からみんなへの感謝の気持ちなんだ。ちゃんとやらないと
私は気を改めて、音頭を取り直す
「よーし、乾杯ではぐだぐだになっちゃったけどみんな食べちゃえー」
「「いよっしゃーー」」
謙吾くんと真人くんが真っ先に食べ始めた。みんながそれに続く
「ふむ、これは美味い、程よい甘さでしっとりしている。これは味の・・・」
「筋肉革命だぁあああーーーー」
「「筋肉関係ないだろっ(でしょ)」」
「おお、鈴と理樹が同時に突っ込みを」
「おいしいよー」
「美味しいです。上達してますよ、葉留佳さん」
「かなり美味いぞ、葉留佳君」
みんな本当に美味しそうに食べてくれた。
よかった。美味しいって言ってもらえた。プレゼントを受け取ってくれた。
しばらくして、コンコンというドアをノックする音が聞こえた。
「こんな所に僕たち以外の人が来るなんて、誰だろう?」
理樹くんがドアを開けにいく。
「直枝理樹。クドリャフカはいる?」
お姉ちゃんが現れた!
「佳奈多さん、すいません〜醤油ですね」
「ええ、まさか間違えて持っていくなんてね。
 ところでこれは、お誕生会でもしてるのかしら?」
「今日はだれかの誕生日なのか?」
「心当たりは葉留佳しかいないのだけど」
私とお姉ちゃん以外の動きが止まる。
そしてみんなの目が私の方を向き、
「「「「はぁああああーーーー????」」」」
ガイズの絶叫が響く。特に大きな二人の声が大きい。
「や、そういうことですヨ」
「これには私もびっくりだ」
「はるちゃん、言ってくれればよかったのに」
「本当に三枝さんのやることは全く想像がつきません」
「ということは佳奈多さんの誕生日でもあるわけですね」
えっと、これはまた空気読めてない子ってことですかネ。
「なんか、ゴメン?」
「はるか、誕生日がどういう日なのかしってるか?」
「え?私がみんなを祝う日?」
みんな苦笑い。ちょっと待ってよ。私はどうすればいいのーー!?
「さて、何故か俺たちが祝われてしまったわけだが・・・えっとだな」
「恭介もだいぶ混乱してるね」
「三枝と二木を祝おうと思う。まだ時間はある。大急ぎで準備するぞ」
「そうだな、俺たちが祝われても仕方ねぇ」
「場所は真人と理樹の部屋がいいか」
「ああ、流石に学食を貸しきるのは無理だ」
「みんなはここを片付けておいて、お願い」
「三枝、マフィン、とてもうまかったぞ」
ガイズが大急ぎで飛び出していった。
「さりげに私の名前も入っているわね」
あの、わけがわからないんだけどマジで。
「三枝さん、誕生日というのは、一般的に回りの人がその人を祝う日なんです」
「みんなでごちそう食べたりお菓子食べたりするんだよ〜」
「あたしの周りではあいつらが馬鹿騒ぎするけどな、特に恭介が」
「ってことは全部私の勘違いってコトデスカー」
じゃ私のやってたことはなんだったのさ。
「まぁ、そういうことだ」
「ドンマイです、葉留佳さん」
「しかし、間違ってはいません。その人がみんなに感謝する日でもあります。
 それはなかなか思えることではありません」
「そうだね、その気持ちが大切なんだよー」
もう私は何も言えなくなっていた。
「放心している葉留佳君とは、珍しいにもほどがある」
「では、来ヶ谷さん。あとはお願いします」
「君も強制参加だ」
「やっぱりそうなるのね」
「わふーっ、葉留佳さんと佳奈多さんのお誕生会ですー」

と、こんな感じで話が進んでいき。私とお姉ちゃんのお誕生会というものが開かれた。
嬉しかった、本当に嬉しかった。こんなの初めてだった。楽しかった誕生日なんて、今までなかった。
私は、今日と言う日を絶対に忘れない。リトルバスターズという仲間を持ったことを誇りに思う。
687おまけです:2007/10/16(火) 00:27:29 ID:DlvNrFp70
私は携帯で実家に連絡をとった。
「もしもし、母さん」
『あら、どうしたの佳奈多』
「今日は家に帰れないかも」
『どうして?あなたと葉留佳の誕生日じゃない』
「とてもお節介な人たちがいて、私たちのお誕生会を開いてくれるらしくてね」
『そう、そういうことなら仕方ないわね』
「全く、あの子はいい仲間をもったわ」
「かーなーたーさーん、そろそろいきましょうー」
クドリャフカが私を呼ぶ。
「じゃ、切るわ」
『ええ、楽しんでいらっしゃい』
私は電話を切り、クドリャフカのところに向かった。
「さて、行きましょうか」
「はい、いきましょー」
もう葉留佳は大丈夫。あの子は強く生きていける。
リトルバスターズという集団に感謝すべきね。
私には十分すぎるプレゼントだわ。