488 :
名無しさんだよもん:
「はるちゃんおめでと〜」
「お誕生日おめでとうございますっ!」
小毬さんとクドが葉留佳さんと何かを持って寄っていく。
そう、今日は葉留佳さんの誕生日だ。
みんな葉留佳さんに隠れてプレゼントを用意していたようで、朝には西園さんからは本、鈴からは猫の形をしたクッキー、さっきも真人がプレゼントを渡していた。
…まぁ、予想通り真人のはプロテインだったんだけど。
「うわーありがとう、小毬ちゃんとクド公!…開けてもいい?」
「どうぞどうぞ〜」
「はいっ!どうぞ!」
「んじゃあ、小毬ちゃんのから…」
可愛らしく飾り付けられたリボンをほどき、ガサゴソと袋を広げて中を見る。
「おぉ!これは美味しそうなワッフルですネっ!」
「頑張って作ったよ〜」
「小毬ちゃんの手作りか〜。ありがとね、後で美味しくいただきますヨ」
さすが小毬さん、手作りお菓子か…
ちなみに鈴のクッキーも小毬さんと一緒に作ったらしい。
「んじゃ次はクド公のを…っと、ん?犬のストラップ?」
「はい!ストレルカと同じシベリアンハスキーのストラップですっ!」
「丁度新しいストラップを買おうと思ってたんだよね、ナイスタイミングクド公!ありがとネ!」
「どうい
「どういたしましてですっ!」
葉留佳さんは嬉しそうに2人と少し会話し、こちらへやってきた。
「凄い荷物だね、葉留佳さん」
「ヤハハ、大変だけど嬉しいデスヨ」
少し照れたような笑顔でみんなからのプレゼントを大事そうに抱えている。
「やぁ葉留佳君、理樹君、おはよう」
「オヨ、姉御!おはよっス!」
「おはよう来ヶ谷さん」
「うむ、葉留佳君にプレゼントを持ってきたのだが…大変そうだな」
「ヤハハ、嬉しい悲鳴が出そうですヨ」
「まぁこんなことになるだろうと思って、プレゼントと一緒に紙袋も用意しておいた」
流石は来ヶ谷さん、準備がいい。
「プレゼントは紙袋に入っているぞ」
「ありがとっス姉御!…おっ?髪留め?」
「うむ、葉留佳君は髪留めは1種類だけだからな。たまには違うのも良いだろうと思ったんだ」
「姉御ありがとっス!活用させて貰いますヨっ!」
紙袋に他のプレゼントを移し、さっそく新しい髪留めで髪を結っている。
…髪を降ろしたらイメージ変わるなぁ。
「よっと…どう?似合う似合う?」
「よく似合ってるよ」
「うむ、見立て通りだ」
「ほんと?ほんと?ヤハハ…姉御サンキューですヨ」
「あっそうだ、僕もプレゼント渡すよ」
僕は鞄からラッピングした小箱を取り出す。
「はい、お誕生日おめでとう」
「うわ〜ありがと理樹君!開けてもいい?」
「うん、どうぞ」
「ん?…わぁ…」
「ほう、紫のブローチとは理樹君、なかなかセンスがいいな」
「うんうん、センスいいですヨ理樹君!」
「ありがと。迷った甲斐があったよ」
「へへ〜、もう幸せデスヨ」
葉留佳さんがこれ以上無いくらいの満面の笑みになっている。
…隣の来ヶ谷さんが少し暴走しそうになってるのはあえて気にしない。
「葉留佳、やっぱりここにいたのね」
「あれ?お姉ちゃん、どしたの?」
「いえ、あなた今日誕生日でしょ?だからプレゼントをね」
はい、と、二木さんが葉留佳さんにプレゼントを渡す。
「ほんと!?ありがとうお姉ちゃん!開けていい?」
「ええ」
「っと…あ…ビー玉…」
「うん…色々考えたんだけど、やっぱりね…」
「お姉ちゃん…」
2人とも懐かしむような顔で手の中のビー玉を見つめている。
詳しい話は知らないけど、何かビー玉にまつわる思い出があることは聞いたことがあった。
それを思い出してるんだろうか。
「ヤハハ、実はわたしもお姉ちゃんにプレゼントを用意してたんですけどネ…」
「え?」
「そうか、そういえば二人は双子だったな」
「うん、…でプレゼントなんだけど…ハイ」
「…ありがとう、葉留佳…。開けるわね?」
「うん、いいよ」
袋を開けて中から出てきたのは、二木さんが葉留佳さんにプレゼントしたのと同じビー玉だった。
「葉留佳…」
「考えることは同じみたいデスネ」
「クスッ…そうみたいね」
「ペアルックですネっ」
二人が微笑む。
少し前からは考えられないこの光景。
でも、今の二人はもう仲の良い姉妹だった。
「そうだ、僕も二木さんにプレゼントがあったんだ。」
「え?直枝くん?」
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとう…」
二木さんは照れ臭そうに受け取ってくれた。
「開けてもいいかしら?」
「うん」
ガサゴソとラッピングを剥がし、小さな箱を開けて中から出てきたのは、青いブローチだった。
「あれ?理樹君これって…」
「ほぅ、少年も粋な計らいをするな、色違いをプレゼントするとは」
「色違い?」
「うん、葉留佳さんが紫で、二木さんが青」
「ほらお姉ちゃん、これ」
葉留佳さんが紙袋から紫のブローチを取り出す。
「ヤハハ、ブローチもビー玉もペアルックになっちゃいましたネ」
「本当ね…ありがとう、直枝くん」
「どういたしまして」
「そうだお姉ちゃん、お互いに着けようよ」
「ええ、いいわよ」
お互いにブローチを着けて、満面の笑みの葉留佳さんと、少し照れた風に微笑む二木さん。
どうやらこのプレゼントは成功だったようだ。
「いやぁ…プレゼントいっぱいで幸せデスヨ…」
「私も嬉しいわ…プレゼントなんて貰うの久しぶりだったから」
「おっと2二人とも!まだ物凄いプレゼントが残ってるぞ?」
「「え?」」
一斉に窓を見る。
そこにはいつも通り恭介の姿が。
493 :
名無しさんだよもん:2007/10/13(土) 21:48:33 ID:jQx8Agi7O
「…危険行為は止めてもらいたいのだけど」
「ん、まぁそれは多目に見てくれ」
「それより、物凄いプレゼントってなんですか?」
「それを知りたいなら、食堂に集合だ!」
「準備が済んだんだね、恭介」
「ああ、バッチリだ」
「準備?いったい何の?」
「行けばわかるさ、二木女史。さあ、葉留佳君も」
「そーデスネ、いこっ!お姉ちゃん!」
食堂前には、小毬さんと鈴が待っていた。
「よくきたなっはるか、ふたき」
「いらっしゃ〜い」
「さ、入るがいい」
2人が食堂の扉を開ける。
途端にクラッカーの音と、「誕生日おめでとーっ!」の声。
そう、物凄いプレゼントとは誕生日パーティーのことだ。
「うわぁー!すごいすごい!!」
「これは…すごいわね…」
「料理はわたしと鈴ちゃんとクーちゃんが作ったんだよ〜」
「飾り付けなどは私と宮沢さんと井ノ原さんがやらせていただきました」
「ちなみに私と理樹君は買い出しだ」
葉留佳さんはとても楽しそうな顔で、二人さんは呆気に取られたような顔で驚いていた。
494 :
名無しさんだよもん:2007/10/13(土) 21:49:13 ID:jQx8Agi7O
「ささ、座ってください!」
「あ、うん。お姉ちゃん行こっ!」
「え、ええ」
2人が席に着くと、恭介がどこからかマイクを取りだした。
「今日は三枝葉留佳と二木佳奈多、2人の誕生日だ!誕生日おめでとう!」
「「「「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」」」」
「みんなありがとう!!」
「あ、ありがとう…」
葉留佳さんは心底嬉しそうに、二木さんは照れながらもみんなにそう返す。
「今日は年に一度の誕生日だ!2人とも楽しんで行ってくれ!!」
これからパーティーが始まる。
きっと、とても楽しいものになるだろう。
葉留佳さんと二木さんの、良い思い出になることを願って…
「さあ、パーティースタートだ!」