リトバス専用エロ妄想スレ2週目

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213わふーとくらそう 1/19
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前スレ  671-684 の続き


「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」

純和風の朝ごはんを美味しくいただき、僕らは後片付けをはじめる。
相変わらずクドの料理の腕はたいしたもので、僕も色々と勉強させてもらった。
そのせいで、昨日の新婚夫婦みたいですのネタはやっぱり忘れてしまったようだけど。
冷蔵庫を覗いてから、僕にクドが問いかけてきた。

「おコメや、もってきた調味料とかはありますけど、お昼と夕食のおかずがほとんどないです」
「そうだね。野菜は無人販売所で売ってたかな。それに、買ってくるのもいいけど、
 海が近いから釣りでもしてみようか。クドは防波堤での釣りはしたことある?」
「ありませんっ! やってみたいです!」
「元気な答えだね。確か裏に竿があるはずだ。そういえば、今の季節なら山菜も取れるかな」
「山菜ですか? トリュフを取るのはフランスでみたことあります」
「そんな高級食材は取れないけど。……でも、二つともしちゃうとあまり時間もないね。
 明日のお昼には帰らないといけないから。何かして遊んだほうがいい?」
「いえ、リキがいやじゃなければ、釣りも山菜取りも楽しそうです。やってみたいです」

そういって笑うクドに、もちろん僕は断る理由もなく、キャンプのような一日は始まった。

動きやすい服装に着替えた僕達はすぐそばに広がる山へと分け入る。
秋である今は木の実が豊富で、すぐにアクが抜けるものを選んで山菜ごはんにするために取る。
見分けるのが簡単なものに限ってキノコも探した。
自然薯が運良く見つけられたので、山菜ごはんだからとろろにせずに、短冊に切ってわさび醤油で
食べることにしよう。キムチの素につけて食べるのも美味しいけれど、今はないし。
2142/19:2007/09/16(日) 15:16:30 ID:0ZQmNQxz0
「リキっ、あれはなんですか?」
クドが視線を上げて僕に伝えてきた。見上げると、紫色の実が、ぱくりと割れていたり、
まだ割れずにいい具合に垂れ下がっている。

「綺麗な紫色です」
「アケビだよ。背の高い真人と謙吾が見つけるのが得意だったな。ちょっと待って」
「わふっ!」
僕はクドの腰を抱き、上へと持ち上げる。とても軽いクドだからできる芸当だ。
……昔は二人がかりで僕が持ち上がられていたけど。

「り、リキっ、なななな、なんですかー!?」
「まだ割れていない実を取って。優しくね」
「……ああ、なるほど。よおしっ、ラジャーなのですー! ではリキ、二歩右へ!」
「はい、ラジャー」
3個の実を取ると、そろそろ腕も限界で、僕はクドを下ろす。

「アケビというのははじめてみます。これはなんなんですか?」
「見たほうが早いと思うよ」
僕ははじける寸前のを選び、爪を入れてアケビを開く。
ぱかりと開いたアケビは、紫色から真っ白な中身をあらわにした。
その中心には、黒い種が透けて見える白い実が見える。

「うわあっ、これは綺麗です」
「食べてごらん。種は出したほうがいいよ」
「えっ、生でですかっ」
「うん、真ん中のところは、そうして食べるんだ。周りは調理する必要があるけど」
「リキがそういうのでしたら……ぱく」
僕が差し出したアケビに、クドは口を寄せて三分の一ほどを口に含む。
良く熟れているし、汚れもなかったからきっと美味しいだろう。

「甘いですっ! おいしいですっ!」
クドが目を輝かせて言う。アケビのほのかな甘みはクドをいたく感激させたようだった。
215名無しさんだよもん:2007/09/16(日) 15:17:40 ID:HINFXT860
sien
2163/19:2007/09/16(日) 15:18:19 ID:0ZQmNQxz0
「わふー、服になんかついちゃってます!」
都合の良い量を取りおえると、僕達は山を降りる。その途中でクドが声を出した。

「どこ?」
「ここです、なにかたくさんとげがあって痛そうです……」
クドは泣きそうな顔で触るに触れなく、それを見ている。それは僕には馴染み深いものだ。

「オナモミだね。大丈夫、それほど痛くないから」
緑色がすっかり抜け、くっつきやすくなったオナモミがクドの服に絡んでいる。
きっと僕のズボンにも少しは食いついているだろう。
クドを安心させるため、一つを取ってあげる。

「そ、そうですか。……? オナモミ、オナモミ……」
クドは何かを考えている。やがて思い出したのか、ぱっと笑顔を見せた。

「オナモミ、そういえば聞いたことがあるような気がします!
 たしか、女の子をもみもみするとか……
 ってリキ、そんなことするですかーっ!」
「いや、しないから」

誰が教えたんだ、そんなこと。

「は、恥ずかしいですけど、私なら我慢しますから、
 皆さんにはしちゃだめですーっ!」

クドが顔を赤くしたまま僕に体を寄せる。その肩に手をおいて、そこでとめた。

「しないってば。女の子をもみもみするところから離れてよ」
「じゃあ、リキがされるほうですかっ! もっとダメですっ!」
「いやいやいや……」

テンション高いなぁ……
2174/19:2007/09/16(日) 15:20:06 ID:0ZQmNQxz0
帰りに野菜を買って、山菜の下ごしらえをしながらお昼の用意に入る。
釣りをしながら食べるから、味噌の焼きおにぎりとさっき買った野菜の即席漬けにしよう。
おやつはさっきとったアケビがあるし。
お爺さんに教わったアクの抜き方を思い出しながら、クドへと教える。ちゃんとできたようだった。


「いい天気ですねぇ」
「そうだねぇ」

山の中ではひっかかるからつけていなかったトレードマークのマントと帽子を身に着けて、
僕とクドは釣竿を垂れていた。気候は暑くもなく、寒くもなく、さわやかで、絶好の釣り日和だ。
隣にいるのが恋人とくれば、これはもう最高だ。
これでアタリがくれば。

「釣れませんねぇ」
「そうだね」
釣れない釣りですることは一つだ。僕はクドと話をする。
宇宙のこと、英語のこと、リトルバスターズのこと。それに、クドの家族のこと。

「おじいさまはずいぶん大きな方ですよ。そーですね。
だいたい0.001のーてぃかるまいるだと聞いたことがあります」
「いや、かえってわかりにくいから」

「あの、リキが私のおじいさまのおうちにいってみたいということは、それは、お嬢さんを
 僕にくださいという、その、あれでしょーか。わふーっ、大事件ですーっ!」
「いやいやいや……」

「おじいさまは日本語の歌も大好きだったので、カラオケも取り寄せていましたよ。
 わたしのだいじなだんなさまー♪」
古っ!
「せーしゅんじだいがーゆめなんてーあとからーほのぼのーおもうーものー♪ わふー♪」
どっちにせよ古っ!
2185/19:2007/09/16(日) 15:22:15 ID:0ZQmNQxz0
日差しは暖かく柔らかく、クドは僕の膝で吐息を立てている。
こんなに良い日和なのに、先ほどから人の姿は見えることはない。
遠くの漁船だけが静かに動いているだけだ。

ポケットの携帯電話を取り出す。アンテナは立っているけれど、着信もメールも
何もない。それはクドのものもそうだ。みんなは僕らを二人きりにするために、
遠慮してくれているんだろうか。それとも、皆別の遊びでもしているんだろうか。

いつかこんな気持ちになったことがある気がする。けれど、その時とは一つだけ大きな違いがある。
それは僕の膝にかかる重みだ。

僕はクドが好きだ。クドも僕を好きでいてくれる。
その喜びは代えがたい。代えがたいからこそ、僕はひどく寂しくなる。
いつからか、僕の病気は起きることがなくなった。それはきっと、あの事故の後。
でも、それは眠っているだけなのかもしれない。

あれから何ヶ月か、発作が起きていないだけなのか。
あれから何ヶ月か、幸せな夢を見つづけているだけなのか。

今目覚めて、僕の膝にかかる重みが消えていたら。
今目覚めて、クドが僕のことを「直枝さん」と呼ぶことがあったなら。

失うことに耐えられない。それを僕は十分に知っていたはずだ。
それを僕はいつ克服したんだろう。
そして、それに僕はもう一度負けてしまうのだろうか。
そうしたら、僕はどこへ行くんだろう。あの彼女達の元へだろうか。

クドが起きるまで、僕はただ竿を振る。

そうして、ようやく一尾づつの釣果を得た僕らは、長く伸び始めた影を追いながら、
二人きりの家へと戻った。
2196/19:2007/09/16(日) 15:23:47 ID:0ZQmNQxz0
「美味しいです、リキっ」
「うん、美味しい」

山菜ごはんと煮びたしにした魚と自然薯をいただく。
甘みのあるごはんと、シャクシャクした歯ごたえの自然薯と、
自分達で釣ってきた魚は僕らのおなかに十分な満足を与えた。

「おなかいっぱいです」
「食べ過ぎたくらいだね」

柱を背に休んでいる僕の傍らにクドはいる。かまって欲しそうに僕に近づく。
昨日のお風呂でのように、後ろからぎゅっとクドを抱え込む。
わさわさと鼻先で髪をまさぐり、滑らかな髪から潮の匂いをかぎ分ける。
微量な汗のにおいと、潮の匂いが現実らしく、僕を安らかにした。

「リ、リキ、お風呂に入ってからがいいです」
「そう?」
「一緒に入りますか?」
「いや、今日は一人ではいるよ」
「そーですか。そのほうがのんびりはできますよね。
 ではリキ、まきでのお風呂の焚き方を教えてくださいっ」


「湯加減はどうですかー」
「ちょうどいいよー」
「じゃあ、お部屋に戻りますー」
「ありがとうー」
「どういたしましてー」

湯気が声をこもらせるように、僕らの声は間延びしていた。
2207/19:2007/09/16(日) 15:26:10 ID:0ZQmNQxz0
お風呂から上がった後、僕はどうすればいいんだろう。
けれど、本当は考える意味はないんだ。
僕はクドのことを大好きだ。ずっとクドのそばにいたいと思える。
クドと繋がりたい。クドと一つになりたい。この気持ちに偽りはない。

僕とクドがはじめて結ばれたとき。
忘れてしまえばよかったのかも知れない。でも、鮮明に覚えている。

そのときの言葉とクドの泣き顔が。

「こまり、大丈夫。僕は、ここにいるよ。ほら、手を握って」
「リキ、リキ、私、小毬さんじゃないです、どうしたですか」

「葉留佳さん、どうして泣いてるの」
「リキ、しっかりしてください、リキっ!」

「美魚、僕は君が好きなんだ。僕は君のそばにいたい」
「ちがいます、違いますっ!」

「帰らないで欲しい。帰ったらクドは……戻れない気がする」
「……! 違います……それは、私だけど……私じゃないんです」

それからしばらくして。先に気がついた僕は、泣いているクドを抱きしめた。
ぼうっとしていたクドは、少しして、僕がクドのことを好きだということは
理解してくれたのか、それから僕を制御するようにしてくれた。
僕を取り戻すために、その最中に自分へ意識をむけるような仕草をしたり、色々だ。

皆役に立たなかった。場所を変えたら。学校以外の場所でなら。
そう思ったけれど、結果は同じだった。昨日のことだ。

今まで、最中に、クドの体を傷つけるような真似をしていないのはまだしもだ。
そんなことをしていたら、僕はいくら自分とクドが嘆こうとも絶対にクドから離れていただろう。
2218/19:2007/09/16(日) 15:28:11 ID:0ZQmNQxz0
クドの元気が、少し怖い。
それが切れてしまったとき、僕はクドを失ってしまうかもしれない。
それが嫌なら友達に戻ればいい。それでも、どちらにしても僕はクドを失ってしまう。
それなら彼女達を切り捨てればいい。
けれど、あの人たちは、僕の大好きな皆の姿だ。みんな泣いている。
あのバス事故の、遠い、おぼろげな記憶の一つなのだとしたら。それを切り捨てることもできない。

僕はクドだけじゃなく、他の皆のことも好きなんだ。
それを切り捨ててしまったら、僕は彼女達をも失ってしまうんじゃないだろうか。

強くなったはずだった僕は、本当に失うことに直面し、その怖さを思い出している。
そうして、本当に大事なものを手放してしまうことを恐れながら、何もできずに
丸まっている子どものままなんだ。


「お風呂はどうでしたか?」
「うん、気持ちよかったよ」
「そうですか、じゃあ私もいただいてきます。長くなってしまうと思いますが、すみません」

鮮やかな寝着に着替えたクドがお風呂へと向かおうとする。

「あ、それと、私の荷物がテーブルのそばにおいてあるのですが、皆さんからいただいたものが
 入っているのです。あけてみてください」
「何?」
「それは開けてみての秘密です」

クドはいつもの調子で笑い、廊下を曲がった。
2229/19:2007/09/16(日) 15:30:34 ID:0ZQmNQxz0
大きな荷物の中は服が一揃いだった。
女の子どおしで買い物に行ったときのものだろう。
……メイド服。誰だ、こんなの選んで買った人は。というか、一人しかいないけど。

やれやれとため息をつきながら、それでもこれを着たクドは可愛いだろうなと、
それ自体には感謝する。

そして、袋の中には一通の封筒も入っていた。
走り書きのようなメモとともに。

『はじめに謝ります。
 リキから、皆さんが、私達のことを知っていると聞きました。
 その上で、私と、リキの秘密を、女性の方々に相談しました。
 悪いのは私です。皆さんを悪く思わないでください。
 その後、皆さんと買い物に行って、買ってきたものがこの封筒に入っています』
 
封筒の中には、小さなものがかさかさと音を立てている。
中身を出すと、それは、5枚のmicroSDだった。

『リキの携帯電話で再生ができるようになっています。
 けれど、リキが嫌なら、捨ててかまわないと皆さんに許可を得ています。
 何度も言いますが、ごめんなさい、リキ』

クドはお風呂から上がってこない。
僕は、テーブルに置いておいた携帯を取ると、全く形の変わらないそのmicroSDの
一枚をセットして、再生を開始した。
22310/19:2007/09/16(日) 15:32:12 ID:0ZQmNQxz0
「やあ、少年。ふむ。なんだか、話しにくいな。相手が応えないというものは。
 クドリャフカ君から話は聞いた。けれど、私はあまり覚えていないんだ。あのときのことを。
 それに、聞く限りでは、私は全く出てこないそうだ。
 ということは、きっと、私と君とは何もなかったのだろう。
 まったく、君は失礼なヤツだな。こんなナイスバディの美少女がそばにいても、
 何もしなかったとは。
 理樹君。だから、すくなくとも、私のことは気に病むことはない。
 というよりも、出ていないのだから、気に病むこともないか。
 なんだかそれはそれで少しは切ないものがあるな。だから、少しだけ気にしてくれると嬉しいな。
 無論冗談だが。
 最後に。おねーさんは君のことが大好きだし。クドリャフカ君のことも大好きだ。
 君たちのそばは、私が笑うことのできる、大切な場所だ。
 だからな。クドリャフカ君を不幸にしたら。
 ──殺すぞ」
22411/19:2007/09/16(日) 15:34:20 ID:0ZQmNQxz0
「私は直枝さんの前で泣いたりしませんし、それどころかHなことなどするわけがありません。
 図に乗らないでください。肖像権の侵害です。
 あなたが見ているものは、ありえた未来か失った過去なのかもしれません。
 けれど、それのせいで、能美さんを苦しめるなどひどいことです。
 デリカシイも何もありません。猛省してください。
 直枝さん。あなたが今しなくてはならないことは、能美さんを幸せにすることです。
 過去は過去なんです。直枝さんが苦しむためのものではありません。
 それを捨て去ることができないなら。せめて忘れないようにすればいいんです。
 直枝さんが忘れさえしなければ。
 飛べない翼にも意味はあるんです。それは、空を飛べた日の大切な思い出ですから。
 これは、ある作品の言葉ですが。
 あなたと能美さんは、テヴアという常夏の島へ行ってください」
22512/19:2007/09/16(日) 15:35:37 ID:0ZQmNQxz0
「やは、理樹くん。……なんだか、照れますね、これ。
 私が泣いているところとは、またレアなことで。どんな風に泣くのか、覚えてないや。
 ひょっとして、佳奈多じゃないのかな、それ。実はあの人は、意外と泣き虫なのですヨ、
 いや、本当の話。
 ……んー、話しにくいよ。よし、じゃあこの右手君を別の人として、相槌を打ってみよう。
 これなら話しやすいかも。
 ねぇねぇミギー、それで、理樹くんは私が泣いているところを見てて、それでクド公を泣かせてるんだって。
 そりゃひどいヤツだね。男の風上にも置けないね。
 そっ、そうかな。
 そうだよ、だってはるちんはもう泣いてないんでしょ。
 うん、正義のはるちんはもう泣いたりなんかしないよ。
 じゃあ、今泣いてる人は?
 んー、それはクド公だね。
 理樹ちんが今好きな人は?
 それもクド公。もう見せ付けられて大変なんですヨ、ホント。
 じゃあ話は簡単だよ。その、クドって子を助けてあげればいい。
 うんうん、やっぱりそうだよね。さすが私の右手だ、いいことゆーね。
 ……というわけで、理樹くんはクド公を助けてあげることに全はるちん一致で決まりました。
 だから、頑張ってね。
 クド公……クドを幸せにしてあげて欲しい。
 佳奈多にはもう一度私からあやまっておくから。
 それじゃ理樹くん、お土産よろしくねっ」
22613/19:2007/09/16(日) 15:36:56 ID:0ZQmNQxz0
「理樹君こんにちは〜。
 って、はわわわぁぁぁああああ〜、思い出しちゃった〜〜。
 だって、だってクーちゃんが私と理樹君がHなことしてるなんていうから〜。
 ようし、だから理樹君。そんなことはね。
 見なかったことにしよう。
 おっけー?
 見られなかったことにしよう。
 うん、おっけー。
 以上、うん、これで万事解決。簡単だね。
 そう、そこにいるのはクーちゃん。私達なんかじゃ、ないんだよ。
 だから、女の子を泣かせるなんてそんなことはしてはいけないのです。
 二人ならきっと大丈夫だから。笑っていられるから、自信持ってね。
 理樹君とクーちゃんが仲良しなら、二人は幸せ。
 二人が幸せなら、私達も幸せ。
 私達が幸せなら、二人も幸せ。
 ずーっとずーっと繰り返して、ほら、幸せスパイラル。
 だから、理樹君とクーちゃんの幸せが皆の幸せになるから。
 幸せスパイラルの為に。ふぁいとおー、なのです。
 神北小毬でした」
22714/19:2007/09/16(日) 15:38:42 ID:0ZQmNQxz0
「あー、もしもし。理樹か。あたしだ。……なんだ、返事くらいしろ」
「なんだか良くわからないが、今直接おまえと話すわけじゃないらしい。
 あたしの言葉を聞いていいのは理樹だけらしいから、みんなそばにいないけど。
 んー、まー、その、なんだ。
 ……あたしには、クドの言ったことはあまり良くわからない。
 あたしとくるがやは、ちょっと違うみたいだし。
 だから、わかるのは、クドが悲しんでるってことだけだ。
 クドが悲しんでるなら、あたしは理樹を責める。
 今蹴っちゃいけないらしいから、蹴らないけどな。感謝しろ。
 クドがやれといったら、もう大変だ。むちゃくちゃになる。
 いや、もうくちゃくちゃだ。くちゃくちゃにはなりたくないだろう。
 だから。
 クドはあたしの大事な友達なんだ。クドと一緒になるなら、文句はないから。
 クド一人くらい幸せにしてみせろ!」
22815/19:2007/09/16(日) 15:40:57 ID:0ZQmNQxz0
聞き終わった5枚のmicroSDが僕の前に並ぶ。
その人がすぐそこにいるのは、少し前から気がついていた。

「……クド」
「最後に、私からです」

襖を開けて入ったきたクドは、お風呂上りだというのに、顔色は青白い。
クドの言葉は他の誰よりも短かった。

「ずっと、ずっと、初めて会ったときから好きでした。
 あの事故のあとでも、今でも、それはかわりません。
 だから、あなたと恋人になることができて、本当に嬉しかったんです。
 ……でも、私は、あなたの歯車にはなりたくても、鎖にはなりたくありません。
 だから……私といることがつらいのでしたら。
 どうか、元の友達に戻ってください。
 もう決して、恋人とか、夫婦とかの言葉は出しませ……んっ!」

抱き寄せる。
唇を奪う。それは奪うという言葉が似合う、激しいものだ。いつもの淡いキスじゃない。
僕がクドのもので、クドは僕のものだと刻み込ませるような。
そんなことでしか僕はクドへの思いを伝えることができない。
その小さな唇を食み、舌先をこすりつけ、唇を犯す。
クドの顔色は紅潮を続けている。
皆の痛罵が僕を押す。子どものままでは、一人の女の子など、守ることができないと。

巻かれていたタオルを剥ぎ取り、クドの乳首にほんのかすかに歯を立て、ひゅくりと
縮こまる体を楽しむ。

「リキ、リキ……もっとゆっくり」
「ダメだよ」
22916/19:2007/09/16(日) 15:42:53 ID:0ZQmNQxz0
優しいセックスなんて今は必要ない。そんな気分だ。
キスマークを胸につける。
「そ、そんなところダメなのですっ!」
首筋にも容赦はしない。
……つもりだったけど、クドが本気で嫌がるのでやめてあげた。

「お、お尻なんて……あっ、わ、わふっ、はふっ、ふぁん……りき、りきー」
後背からクドを抱え込んで、身動きをとらせない。
尻尾がついていないのが不思議なほどのつるりとしたお尻を舌と歯で蹂躙する。
赤い噛み跡がほのかに残る。ねじ込んだ舌先は、クドの秘所に差し込んだ僕の指の圧力を
腸壁越しに感じるようにも思える。

「リキ、もうだめなのですっ、りきっ、りきぃっ、はふっ!」
不思議な声を出して、クドが跳ねる。最も敏感な場所に、鞘ごと触ったためだ。
そのまま鞘からこすりだすように、ほんのちいさな核を刺激する。

「いっ、いっちゃうのいやです、リキ」
高まりを感じて、クドが懇願する。愛らしい顔が僕への劣情に満ちているようだ。

「リキのを、いれてくださいっ」
クドのおねだりとともに、僕は秘所への愛撫を止めた。
クドは息を吐き、荒く胸元を上下させる。
そっとコンドームの袋を破り、僕ははちきれそうなそれにかぶせた。

見つめあう。クドは僕の言葉を待っている。

はじめてを失敗したときから。クドはその話題に触れることが多くなった。
それは恐怖からだったのか、いつかあきらめるためだったのかはわからない。
僕はそれに、ちゃんとした答えを返すことはなく、今まで曖昧な笑みで返してきた。
23017/19:2007/09/16(日) 15:44:37 ID:0ZQmNQxz0
「ずっと一緒にいよう、クド」
「ともに白髪が生えるまで、です。リキ」

古い言い回しで返す、クド。
ゆっくりと腰をすすめる。潤ったその場所は受け入れる。奥まで、最後まで。
そして、僕とクドの歯車はきしりと噛み合った。

クドの髪を梳く。僕の手にはクドの亜麻のひとすくいが残る。
クドの胸を吸う。僕の前にはクドの桜色の蕾が震えている。
クドの唇を奪う。僕の前にはクドの深蒼の瞳が映る。
クドの体を突く。僕の前にはクドの真赤な顔が映る。

今、僕が抱いている人は能美クドリャフカという人だ。
それが、僕の大好きな、大切な人の名前。

意識が爆ぜる。腰から、それをクドへと注ぎ込んでいるのがわかる。

そして、僕の精はクドへと届くことなくゴムの皮膜で遮られる。
けれど今はそれでいい。

いつか僕らが本当の大人になって。一緒にくらしはじめて。
僕達が望み。そしてその結晶を授かれば。
そのとき、僕は伝えよう。

世界は素晴らしい出会いに満ちている。
23118/19:2007/09/16(日) 15:46:38 ID:0ZQmNQxz0
「おはよう、クド」
「……おはようございます、リキ」
早起きした僕たちは最後の料理をする。慣れ始めたまきとの格闘もこれでおしまいだ。
鼻唄を歌いながら料理をするクドに、僕は赤くなりながら声をかけた。

「クド」
「はい? なんでしょう、リキ」
「こうしていると、まるで」
「はいっ」
「し、新婚夫婦みたいだね」
大事なところで噛んだ。顔がとてつもなく赤くなっているような気がして、僕は顔を背ける。
その最中に、クドの顔を見てしまった。満面の、いつもの笑みを。

「はいっ、そのとーりですっ!」

僕達はお世話になった家を綺麗に掃除して、鍵をかける。
今度、お爺さんにお礼状を書くとしよう。

「お世話になりましたっ」
その家を振り返って、クドが綺麗な挨拶をする。
僕も、それにあわせて挨拶をする。
そのまま、少ししてクドと見つめあった。それは長くはなく、僕の言葉で破られる。

「帰ろうか。僕らの場所へ」
「わふーっ、れっつりたーんとぅほーむ、なのですっ!」


僕らの駅に着く。夕闇はまだ全てを覆ってはおらず、金色の一射しが僕らを捕らえている。

「クド」
手を繋ぐ。その小さな手のひらをきゅっと掴む。
笑顔で僕を見返す。それに返す僕の笑顔も、そんな素晴らしい笑顔になっていると思う。
23219/19:2007/09/16(日) 15:48:42 ID:0ZQmNQxz0
「理樹と能美が帰ってきたぞーっ!」
寮の近くまで来て、大きな恭介の声が聞こえてくる。

「おかえりー、ふたりともー」
「二人とも遅いぞー」
「「理樹ー!!」」
「泣くな。アホだろお前ら」
「元気なように見えるな。何よりだ。しかし、クドリャフカ君のロリロリメイド服は
 有効に使われたのだろうか。ああ、早く私の前で着替えてもらいたいものだ。
 いや、むしろ今日は私の部屋に泊まってもいいんじゃないか」
「いやいや姉御、佳奈多も待っているみたいだし、クド公独り占めはダメですヨ」
「そうです、あんな手まで繋いで仲むつまじい様子のお二人を」
「ふむ、じゃあ皆や理樹君もおねーさんの部屋で泊まれば良い」
「おぉー、ゆいちゃん、それいいねぇ」
「ゆいちゃんは禁止。で、こんなこともあろうかと少年のサイズのメイド服も買ってある。
 二人が並んでいるところを想像しただけで……おっと、今ちょっとやばかった」
「……最初から買っていたような気もしますが、興味があるので何もいいません」
「うん、それは楽しそうだな」
「ふざけんな来ヶ谷っ! これから三日間分理樹と遊ぶんだからなっ!」
「そのとおりだっ、今日は徹夜だぁっ!」
「まあ、今日はこいつらに返してやってくれ。俺もジグゾーパズルをする真人なんて
 もう見たかない」
「いやいや、二人だって疲れてるんだから、休ませてあげたほうがいいんじゃないかと思うんですヨ。
 って、なんで私がこんなポジションでいなきゃいけないんだっー!! お前ら落ち着けぇー!!」
「はるかが一番うっさい」

相変わらずにぎやかに、寮の前で僕らを待っている。
そんなリトルバスターズの皆に、僕達は、大きな声でその言葉を伝えた。

「皆さん、ただいまなのですっ!」