【エロも】リトバス専用妄想スレ【歓迎】

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539通常版写真撮影会 1/10
通常版のパッケージを見て思いついたSS。
思ったよりもボリュームのあるものになってしまいましたw

というわけで、投下。


僕たちだけの修学旅行も終わり、涼しくなりはじめたころ。
あいかわらず僕たちは、放課後になるとグラウンドに出て、野球をしていた。
ボールを追い、捕まえ、そして投げ返す。
試合相手なんて決まっていない。それでも、みんなで何かをやることが楽しかった。

恭介「みんな、しゅうーごーう!」
みんなも疲れてきたころ、恭介が手を挙げてみんなを呼んだ。
西園さんが待つ、グラウンド外れの樹の下に集まる。
恭介「これから、みんなで写真を撮る」
そう言うと恭介は、胸ポケットからデジタルカメラを取り出した。
葉留佳「おぉーーーっ!!」
小毬「すごいねぇ〜」
美魚「最新版ですか」
真人「そんなのいつ買ってきたんだよ」
恭介「リトルバスターズが想像以上に売れたんでな、ボーナスが出た」
いまさらながら、恭介の言っていることはワケがわからない。
恭介「それで、このカメラで集合写真を撮るわけだが」
恭介「これは通常版のパッケージを飾るものになる」
小毬「はぇ? つうじょおばん?」
謙吾「何を言ってるんだ、恭介」
みんなを見回すと、頭に『?』がついているような顔がしていた。
ただ、そうでない人もふたりいた。
来ヶ谷さんは、いつもの不敵な笑みを浮かべていた。
もうひとりは──クド? 緊張した面持ちで、恭介を凝視していた。
恭介「みんな、いい笑顔でよろしく」
そんなみんなにはお構いなしで、いつもの悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
540通常版写真撮影会 2/10:2007/09/06(木) 00:05:35 ID:JQFU/g5o0
恭介「さて」
といって、周囲をみまわす。
恭介「前回はたまたま笹瀬川が通りかかったから、頼んだわけだが」
恭介「今回はいない」
恭介「だから、セルフタイマーで撮ろうと思う」
「ちょっと待って」
僕は疑問を口にした。
「カメラを置く台が必要だね」
恭介「いや、地面からのローアングルでいい」
恭介「パッケージは縦長だから、下から撮れば高さが引き立つ」
だからさっきから何を言ってるのさ、恭介。
来ヶ谷「恭介氏もなかなかやるな」
来ヶ谷「そうやってぱんつの中を撮ろうとしているんだろう」
恭介「いや、全年齢対象だからそれはない」
口調は冷静だが、額に汗をかいていた。
来ヶ谷「そんなもの、後で編集すればなんとでもなる」
来ヶ谷「で、元の写真は恭介氏が大切に保管して…」
葉留佳「あ、じゃああたしは後ろでいいですヨ」
西園「私も後ろに下がります」
鈴「変態兄貴」
女性陣が軽蔑の視線で恭介を見る。
来ヶ谷「まあ、私は別に構わないが」
この人だけは別次元だった。
来ヶ谷「首と胴体が離れてもいいと言うのなら、な」
と思ったら静かに怒っていた!
恭介「ま、まあわかった。だったら、こういうのはどうだ」
恭介「カメラ位置のセッティングは女性陣に任せる」
恭介「セルフタイマーを押すのも女性陣に任せる」
恭介「それならいいだろう」
来ヶ谷「なるほど、それならもしぱんつが写ったとしても、恭介氏の責任にはならないわけだな」
来ヶ谷「ま、それで手を打とう」
541通常版写真撮影会 3/10:2007/09/06(木) 00:06:53 ID:JQFU/g5o0
恭介「それじゃあ、誰がカメラのセッティングを」
クド「はいっ! はいはいはーい! なのですっ!」
恭介が言い終わる前に、クドがぴんと手を挙げていた。
みんながざわめく。ここでどうして、クドが?
クド「私にまかせてくださいっ」
クド「これでもおじい様に、写真については鍛えられました」
クド「日本人はみんな、首からカメラを下げて生活していると言っていましたです」
相当昔の、それも観光地にしかいない日本人のイメージだった。
クド「だから私が日本に来た時には、首からカメラを下げてなくて、とまどいました」
クド「と思ったら携帯電話でみなさん写真を撮っていらっしゃいましたっ」
クド「時が過ぎても、日本人=(いこーる)カメラなのだと実感したのですっ」
クド「すごいのですっ」
クド「すもーるばっとしんぷるじゃぱん、なのですー」
両手をぱたぱたさせながら熱弁をふるうクド。
小毬「うん、じゃあクーちゃん、よろしくね〜」
謙吾「頼むぞ、能美」
クド「はいっ」
ま、クドならヘンなものは撮らないか。
542名無しさんだよもん:2007/09/06(木) 00:07:58 ID:azUCOXihO
>>352
みおっちの呪文にティルトウェイトが入っててワロタw
てかザラキ連呼はクリフト?

>>323
みおっち(*´д`;)ハァハァ
543通常版写真撮影会 4/10:2007/09/06(木) 00:08:28 ID:JQFU/g5o0
クド「えーと、えーと、じゃあライト線に背中を向けて、みなさん立ってくださいです」
日はまだ高い。逆光になることもなく全員が写真におさまった。
それからてきぱきとクドが立ち位置を指定していった。
クド「背の高い恭介さん、井ノ原さん、宮沢さんはいちばん後ろで」
恭介「おう」
真人「わかった」
謙吾「うむ」
恭介を中心に3人が肩を組む。
クド「その前に来ヶ谷さんとリキ、おねがいします」
「OK」
来ヶ谷「うむ」
僕と来ヶ谷さんがその前に立つ。
横を見ると、来ヶ谷さんの視線が、ほとんど同じ高さにあった。
クド「そのさらに前に、鈴さん、三枝さん、西園さん」
鈴「わかった」
葉留佳「了解デスっ」
美魚「わかりました」
中腰になって3人が僕の前に立つ。
西園さんは、あいかわらず日傘を開いたままだった。
クド「一番前に小毬さん、おねがいします」
クド「私はタイマーをセットしたら、小毬さんの横に入るです」
小毬「おっけーだよ〜」
結局、背の高さで並び順が決まったような物だった。
544通常版写真撮影会 5/10:2007/09/06(木) 00:09:23 ID:JQFU/g5o0
その後、クドの指示で僕が前に出たり、来ヶ谷さんが前の列に合流したりして、写真の構図は決まった。
恭介「能美」
クド「はいっ」
恭介「ちょっとカメラを、能美から見て左に傾けてもらえないか」
クド「はい?」
恭介「斜めにすれば、それだけ構図に面白みが生まれる」
クド「そうなのですかっ」
恭介「みんなの一枚絵だって、斜めのほうが多いだろ」
クド「そうですね、わかりましたっ」
いやクド、僕には恭介の言ってる言葉の意味がさっぱりわからないよ。


   『いよいよなのです…。
    みんなの前でリキとぺたぺたできる、千載一遇のチャンスなのです…。
    女クドリャフカ、このチャンスきっとものにしてみせるのです!』
   『それにしても、来ヶ谷さんには感謝感激亀田製菓のひなあられなのです…
    写真を撮ることを教えてくれて、しかもそのときに自分がシャッターを押せば
    位置は決め放題、寸前にリキとくっつき放題、と教えてくれましたです…』
   『はぁーっ、なんか緊張してきたのです…
    何か忘れていることは…忘れていることは…ないですか…』

「野球の試合に勝ったときのは、使えなかったの?」
僕は恭介に聞いた。
恭介「いや、あれはもうゲームの中で使ってるから、使えない」
恭介「やっぱり撮り下ろしのほうがいいだろ」
「まるで僕らがゲームの中の登場人物みたいじゃないか、恭介」
545通常版写真撮影会 6/10:2007/09/06(木) 00:11:30 ID:JQFU/g5o0
   『…ようしっ』

クド「おっけーですっ」
クド「これから写真を撮りますです」
恭介「セルフタイマーは3秒に設定しておいた。シャッターを押せばタイマーがスタートする」
恭介「シャッターを押して液晶画面に数字が出たら、3秒以内に立ち位置に移動すること」
クド「はいっ」
片側に木の枝をはさんで、角度を作ったデジタルカメラのボタンを押し、クドが走ってくる。
クド「わふっ」
思いっきりぶつかった。しかも僕の体に密着してくる。
クドの柔らかい肌が、服やマントの上からでも感じられる。
僕はまばたきだけはしないように、気をつけてその時を待った。
 …  ……   ………
シャッターが下りない。
葉留佳「クド公ぉ、ちゃんとシャッター押したぁ?」
クド「はいっ、まちがいなく押したです」
僕の体から離れながら、クドが後ろを向いて言った。
恭介「数字はちゃんと確認したのか?」
クド「ちゃんと『30』と液晶画面に出てたですよ」
来ヶ谷「えっ?」
謙吾「『30』?」
みんなの目が恭介に集中する。
恭介「…すまん。セルフタイマーが30秒になった」
全員が盛大にコケた。
鈴「そんな待てるかっ!」
鈴のローキックが恭介に炸裂する。
真人「ぐあぁぁぁぁっ!」
真人に誤爆していた。
クド「恭介さんなにしているですかっ!」
珍しくクドもキレる。
「ていうかよくそんなカメラあったね…」
美魚「30秒待つ、って、明治時代のカメラですか…」
546通常版写真撮影会 7/10:2007/09/06(木) 00:13:00 ID:JQFU/g5o0
そのまま待つことに。
『15秒前!』
デジタルカメラから、格闘技のリングアナのような野太い声が聞こえた。
いったいどこで買ったんだ。このデジタルカメラ。
…ことん。
木の枝が外れ、デジタルカメラの角度がなくなった。
小毬「あ、クーちゃん私が元に戻すよ〜」
「小毬さん、時間少ないから急いで」
小毬「わかった〜」
わかってなさそうな、のんびりとした口調だった。
小毬さんが木の枝をデジタルカメラの下に差し入れ、僕の背中の後ろに立つ。
小毬「あと2秒だよ〜」
フラッシュが光った。
クドが「おわりましたっ」と言いながらカメラに手を伸ばす。
その瞬間、フラッシュがもう一度光った。
クド「わふっ!?」
あわてて目を押さえるクド。
547通常版写真撮影会 8/10:2007/09/06(木) 00:14:48 ID:JQFU/g5o0
来ヶ谷「クドリャフカ君。最近のデジタルカメラはフラッシュが2回炊かれるのが通例だ」
来ヶ谷「フラッシュが1回だけだと、眼底の赤色がそのまま写ってしまう」
来ヶ谷「だから一度フラッシュだけを炊いて瞳孔を小さくしておけば、次に写真を撮っても目は赤くならない」
来ヶ谷「最近のデジタルカメラにはこういう『赤目防止機能』が大抵、ついている」
来ヶ谷「覚えておくんだ、クドリャフカ君」
クド「そうだったのですか…」
葉留佳「あはははははっ、クド公はやっぱりダメダメワンコだなァ」
クド「ごめんなさいです。赤目は知っていましたが、赤目防止機能は知らなかったのです…」
クド「現像液の作り方や、暗室の作り方だったら知っていたのですが…」
うつむきながら、クドは両手の人差し指を突付き合わせていた。
いや、現像液とか暗室とか、そっちを知っているのはすごいよ、クド。
「しょうがないよ。クドは知らなかったんだから」
「携帯電話にもカメラ機能はついているでしょ?それを使って勉強すればいいよ」
クド「ごめんなさいです、リキ…私の携帯電話にカメラはついていないのです」
ポケットから取り出した携帯電話は、ストレートで薄いタイプの物だった。
小さな手のクドに、使いやすいタイプを選んだのだろうか。

クド「うー、失敗しましたです…もう一度撮り直しましょうか…」
恭介「いや、これでいいじゃないか」
カメラを手に取った恭介が言う。
クド「そうですか?」
恭介「見ろ。この能美の姿を。女子高生ポーズを決めているみたいじゃないか」
美魚「その喩えは、少々古すぎると思います」
葉留佳「いやーそんな昔から女子高生ウォッチですかぁ、かないませんなァ」
来ヶ谷「そうか、恭介氏の性癖はそこから来ているのか」
鈴「やっぱり変態だ」
恭介「いや、みんなそう言うけど見てみろこれ!」
そう言って、恭介がデジタルカメラの液晶画面をみんなに見せた。
548通常版写真撮影会 9/10:2007/09/06(木) 00:16:18 ID:JQFU/g5o0
そこには、まぎれもなくリトルバスターズのかたちが、あった。

恭介がみんなを包み込むように、みんなを見つめ。
その恭介のまわりに、真人と謙吾がいる。
葉留佳さんは、はちきれんばかりに広げたピースサインを決め、
引っ込み思案な鈴は、横目でこちらを窺っている。
ミスティックな雰囲気を漂わせた来ヶ谷さんが、ウィンクで茶目っ気を出し、
その横で日傘を手に、物憂げな瞳でこちらを見る西園さん。
僕の前にはクドが手を伸ばしていて、
僕の後ろでは小毬さんが僕の肩に手をかけている。

幸せな世界。
それが僕らの、リトルバスターズ。
そこには一辺の陰もなく、すべてがきらきらと輝いていた。
549通常版写真撮影会 10/10:2007/09/06(木) 00:17:07 ID:JQFU/g5o0
葉留佳「改めて見るといいっすね、これ」
来ヶ谷「うむ。よくやったぞクドリャフカ君」
美魚「素晴らしい出来です」
真人「何かこう、うまく言葉にできねぇけど…スーパーグレートトロピカルランドって感じだよな!」
小毬「しあわせなふんいきでまくりだよ〜」
鈴「…あたしは嫌いじゃない」
謙吾「能美、ありがとう」
「僕もこの写真、好きだな」

クド「あっ、あ…ありがとうございますっ」
クドは声を震わせながら、僕たちに向かって最敬礼をした。
恭介「誰が欠けても、この写真は出来なかった」
後ろから声。
恭介「みんながいるから、この写真が撮れたんだ」
恭介「世界中のどんなカメラマンにも、この写真は撮れやしない」
恭介「なぜなら、俺達はリトルバスターズだからだ!」
恭介「ひゃっほーう!」
飛び上がる恭介。


   『とってもよく、撮れました…いや、撮らせてもらいましたです。
    私はリキも大好きですけど、それと同じくらい、リトルバスターズのみなさんも大好きです。
    ずっとずっと、いっしょにいられるといいです。

    私の…
    …私たちのリトルバスターズ。
    私の、帰る場所。』