ToHeart2 SS専用スレ 20

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402「すぐ、そこにある獲物」 1/6
 それはいつもと同じ帰り道なのに、なぜかいつもと違う感じがした。
 目に見えて、なにかが違うというわけじゃない。
 ただ、誰かに見られているようで、奇妙に落ち着かない。
 後ろをなにかが通ったような気がして、振り向くけど、そこには誰もいない。
 気のせいだ、なにかの思いこみだ、と自分に言い聞かせるけど、いやな感じは消えなくて――。
 住宅街の角を曲がり、細い、人通りの少ない路地に入り込んだとき、俺はその予感が正しいことを知った。
 一匹の猫が。
 どこにでもいそうな、茶色い毛並みの、やや大きめの猫が、遮るように道のど真ん中に立って、俺の方を真っ直ぐに見ている。
 今にも襲いかかりそうに、背中を大きく曲げて、前傾して。
 猫に恨まれる覚えはないけど、虫の居所とかもあるだろうし、そもそも動物に理屈は通用しない。
 これはまずいと、一歩足を引いたら――やっぱり。いつの間にか背後にも猫が。
 不幸を呼ぶという黒猫が、横切るのではなく、退路を断つ。
 振り向いたら、正面の猫は三匹に増えていた。
 そして左右の塀の上から、車の下から、ありとあらゆる物影から、無数の猫が現れて、俺を取り囲む。
 なんだ、一体? これが人間なら物取りかとでも思うところだが、あいにく俺は、ネコ缶もマタタビも持っていない。
 襲われる理由なんかなにもない。訳を聞こうにも相手は猫だ。
「にゃ、にゃあ……」とかネコ語で挨拶してみたけど、やっぱり通じるはずもなく。
 嫌な汗が浮かぶばかりで、じりじりと詰め寄る猫に、対抗する手段も和解する方法も思い浮かばない。
 そういえば、大きめの猫は、本気を出せば人間の大人よりもはるかに強いとかいう、嫌な話を思いだした。
 フーッ、と独得の息づかいが、背後から聞こえるたびに、冷や汗が落ちる。
 わずかに包囲の薄そうな方向に足を動かせば、それを察して猫も動く。
 十数匹の猫に囲まれた俺は、逃げる術さえ奪われて、後は狩られるのを待つばかり――って、なんで俺がこんな目に!?
 その包囲網は少しずつ小さくなっていき、ついに、その時が来た。
 正面の猫が飛ぶと同時に、一斉に、四方八方から猫が襲いかかってきた。
 俺は反射的に、情けない悲鳴を上げるしか為す術がなく――、
「そこまでだ」
403「すぐ、そこにある獲物」 2/6:2007/09/22(土) 01:57:26 ID:CImchH+e0
 背中から、静かな声が、強く響く。
 顔全体に、猫の腹の感触が被さった。……前が見えない。猫臭い。
 さらにどさどさと、勢いを殺し損ねた猫たちが、俺の上に次々とのしかかる。
 いつの間にか尻餅をついていた俺を、埋めるように。これがいわゆる猫布団という奴だろうか。
 生暖かくて柔らかい、こんな時でもなければ結構気持ちいい感触が、全身に重い。
 顔に被さった奴を引き剥がすと、そいつはもう殺気の欠片もない顔で、離せとばかりににゃーと鳴いた。
 他の猫たちも、興味なさそうに俺を遠慮なく踏んづけては下りていき、そして行儀良く並んだ。
 その視線の向こうには、雄々しくるーこが立っている。
 ……助かった。
 よく分からないけど、るーこが猫を……にゃー達を止めてくれたことは間違いない。
 俺は緊張が一気に抜けたのと、猫ダイブのダメージで、多少よろめきながらも立ち上がる。
「るーこ、助かったよ。ありが……」
「演習終了」
 るーこは満足げにそう告げた。
 ……ええええええええっ!?

「るーこの仕業だったのか……」
 いつもの公園に移り、七輪でサンマを焼くるーこを前に、俺はひたすら脱力していた。
 さっきのネコたちは大人しく、サンマの順番待ちをしている。
 この街、こんなに野良猫いたんだな……。
「まだ怒っているのか。狭量だな、うーよ」
「いや、怒っているっていうか、怒っているけど、でもなんかそれ以上に力が抜けたというか、もうなにをどう責めればいいんだか」
 不意に、るーこは心配そうに、
「ちゃんと爪はしまうように言い聞かせていたが、怪我でもしたか?」
 そんなことを言うから、怒れなくなる。
「……してないけど」
「そうか。なら問題ないな」
 今度はしれっと。ああもう。やっぱり一度がつんといってやろうか――なんて、思うだけで言えない俺。
 とにかく、理由だけでも聞いてみるか。
404「すぐ、そこにある獲物」 3/6:2007/09/22(土) 01:59:04 ID:CImchH+e0
「で、なんだったの、あれ」
「演習だ」
「……俺を襲う?」
「そうじゃない。狩りの演習だ」
 るーこは大まじめにそういった。俺は大きくため息をつく。
「なんでまた」
「見ろ、このにゃーたちを」
 顔を洗う。体を舐める。あくびをする。どこからどう見ても、普通の猫たちだ。
「えぇと、このにゃーたちがなにか?」
「こうして大人しく、るーがサンマを焼くのを待っている。礼節を守るのは大事だが、それだけでは生きていけない。
 自然の中に生きるのならば、狩りは避けて通れない。食料は、自らの手で確保するものだ」
「……だから、狩りを?」
「るー」
 肯定のるーだ。
「この街のにゃーたちは狩猟本能が消えかけている。それもこれも、うーたちが悪い」
「俺たち!?」
「うーたちが港で、余った魚をくれてやったりするから、にゃーたちも楽に生きることを覚えてしまったのだ」
 ……いや、そうかもしれないけどさ。そんなこと俺に言われても。
「それで俺を襲わせたんだ?」
「本能の薄れかかったにゃーたちの、初級講座として手頃だった」
「あのねぇ」
「るーの罠に引っかかった、実績を鑑みての選択だ」
 ううっ。いやな過去を。 
 不意にるーこは、俺を見て微笑んで、
「それにうーなら、こんな目にあわせても許してくれると思ったからな」
 ……そんな信頼をしてもらっても、嬉しくないけど。くそ、なんだ、ちょっと嬉しい。
405「すぐ、そこにある獲物」 4/6:2007/09/22(土) 02:00:10 ID:CImchH+e0
 るーこはサンマをひっくり返し、一部、焼けた部分をほぐして与えてやりながら、
「いいか、にゃーたち。これで分かっただろう。集団での包囲は、獲物を逃さず捕らえるのには都合がいい
 単独で狩りをするメリットもあるが、状況と獲物によっては集団の方がいい」
 分かってるんだか分かってないんだか、にゃーたちはるーこを見返すも、すぐにサンマに夢中になる。
「けどさ、人間を襲ったりしたら、まずいよ」
「大丈夫だ。うーはにゃーたちの口には余る。まずは本能を取り戻させ、徐々に素早い獲物にも対応できるように教育する」
 なんかそのうち、この街から鳥の姿が消えちゃいそうだ。
「にゃーたちの本能か……」
 たしかにあの瞬間、俺は限りない恐怖を感じたけど、嬉しそうに、るーこからサンマをもらっている姿は平和そのものだ。
 るーこが危惧するのも分かるような気もするし、半面――、
「もっとも、安穏に生きていけるこの世界では、もう、にゃーたちには必要のないことなのかもしれないが」
 俺の心を読んだように、るーこはちょっと、寂しそうに言った。

「るーでは、そんなに狩りが重要なんだ」
「生きる術だ」
 当然とばかりに、るーこは頷く。
「るーはあくまでも実用的だ。生きるためには狩りをし、火を点けるためにはちーを使う。
 たったそれだけだからこそ、その2つは貴いものとして、不変の価値を見いだされている。
 うーの世界は効率を重視するあまりに、意味のない紙切れに価値を与えている。
 それは本当に大切なものを見失わせる」
「そうかもなぁ……」
 なんとなく分かる。
 誰かが勝手に作って、誰かが勝手にこれだけの価値があると決めつけた紙切れ。
 確かに便利だけど、本当は百円とかで刷れてしまうんだろうな。
 そう考えると、確かにちょっと馬鹿らしい。
 燃やしてしまうには、俺は現代人としての常識が身に付きすぎていて、とても出来ないけど。
406「すぐ、そこにある獲物」 5/6:2007/09/22(土) 02:01:41 ID:CImchH+e0
「だからうーも狩りをやれ」
「うん……え?」
 ぼーっと考えていたら、なんかとんでもないことに頷いてしまったような。
「ちょ、ちょっとまった。俺には狩りは無理」
「大丈夫だ、るーがコーチする」
 いつもと同じ無表情だが、るーこは明らかに張り切っていた。
「いや、いいから。する機会ないから」
「バインダー式で、テキストも分かりやすく、わずか三日でたちまち狩りの名人になれるぞ」
「どこの通信教育だよ……」
「軽いジョークだ、うー」
「あのね」
 肩が落ちた。 
「手に職を付けることは大事だぞ」
「それは分かるけどさ」
 やる機会、ないし。
「狩りが得意だと、たくさんいいこともある」
「例えば?」
 一応、礼儀で、聞き返した。
「みんなで狩りをやったとき、仕留めたものは、一番おいしいところをもらえる」
 まぁ、狩りで生計を立てるなら、いいけどさぁ。
「1人で大物を仕留めたものは、勇者として尊敬を集める」
「大物って言われても……」
「知っているぞ。虎とか象とか鯨とか。あれらを仕留めたら立派に勇者だ」
「無理無理」
「るぅ〜」
 そんな泣きそうな顔をされても。
「勇者になりたくないのか」
「いや、なれるものならなりたいけどさ、俺には向いてないよ」
407名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 02:01:43 ID:bgpv8uMG0
支援
408「すぐ、そこにある獲物」 6/6:2007/09/22(土) 02:02:39 ID:CImchH+e0
 るーこは不満そうだったが、不意に、顔を上げてるーをする。
 これはいいアイデアだと言わんばかりの、輝かしい気配を発していた。
「うーに向いている獲物があった」
「なに、それ?」
 ネズミとかの小物じゃないだろうな。
「しかも大きな特典付きだ」
「特典?」
 ちょっと興味が湧いてきた。
「俺にも仕留められそう?」
「それはうーの努力次第だ」
 るーこはすました顔で言う。
 まぁ、そうかもしれないけれどさ。
「簡単なの?」
「いいや、非常に難しい」
「……じゃあ俺には無理じゃない?」
「そんなことはない。努力次第といったはずだ」
 なんかもったいぶるなぁ。
「なんなのさ、それ?」
 るーこは一瞬、目を伏せて、そして真っ直ぐに俺を見た。
 いつもの得意げな笑顔に、わずかに挑発の色が混ざる。
「ついてくる特典は、次期族長の座」
 え?
「獲物の名は、族長の娘だ」
 そして、聞いた。
「狩る気はあるか?」
 ――俺は耳まで真っ赤になった。多分、それが答えになっていたと思う。
409名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 02:05:07 ID:CImchH+e0
>>402-406>>408
以上、「すぐ、そこにある獲物」でした。
るーこかわいいよるーこ。

>>407支援thx
410名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 02:46:44 ID:WulLjJefO
>>409
GJ!!!
411恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 1/16:2007/09/22(土) 11:04:44 ID:nnAs1E8Z0
「ふんふふ〜ん…これで髪の毛も良しっと。リップも塗って…ふふふ。」
「あら、おめかしするのもいいけど、そろそろ学校に出かける時間じゃないの?」
「わかってるってばお母さん…でも手は抜けないのよ。女の矜持が懸かってるの。」
「あら…好きな男の子でもできたの?」
「う…ま、まあね。今好きな男の子の恋人の座を賭けて友達と勝負してるの。」
「まあ…おてんばの由真もやっとそういうことに目覚めたのね。」
「…実の娘をどんな目で見てるのか、よくわかったわ。とにかく、この勝負にはあたしの
 女としてのプライドとか未来とか…とにかくそう言うものが懸かってるのよ。」
「将来はダニエルの名を継いでくれるんじゃなかったのかの?」
「あー、今はパスパス。今はたかあきのハートをゲットするのが最重要課題なの!」
「な、なんじゃと!ダニエルを継ぐ事よりも男の尻を追いかけることのほうが重要じゃ
 と!…最近様子がおかしいと思っておったが、悪い男にたぶらかされておったとは。」
「げっ!おじいちゃん…いつの間に。」
「いかん!いかんぞ!男にうつつを抜かすなど、そんな一時の気の迷いに惑わされては
 ならん!…ぬ、な、何をするのじゃ。」
「お父様、大人しくして下さい。由真、おじいさまには後でよく言っておくから、押さえ
 ている間に行きなさい。」
「あ、ありがとお母さん。じゃ、いってきまーす。」
「いってらっしゃい。そうそう、そのたかあきくん一度連れていらっしゃいな。母さん
 会いたいわ。」
「あー、考えとくわ。…って、やばっ。いってきます!」
「ゆ、由真〜わ、わしは許さんぞ!」
「あらあら、お父様…あちらで私と少しお話しましょう。もうみっちりと。」
「な…わ、わしも仕事に出かけねば、」
「ほほほ、あと30分は大丈夫ですよ。」
412恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 2/16:2007/09/22(土) 11:07:05 ID:nnAs1E8Z0


    恋愛同盟 第5話  恋せよ乙女! 前編


「あ〜…家に帰るの気が重いわ。」
「どうした?元気が取り柄の由真にしちゃ珍しいせりふじゃないか。」
「…あんた、あたしのこと体力馬鹿だとでも言いたいの?」
「そうじゃないって…家で何かあったのか?」
 たかあきにそういわれて、朝のやり取りを思い出した。
 よりによって一番内緒にしてたおじいちゃんに貴明のことがばれるとは思わなかったわ。

「あ。」
 あたしが朝の出来事を思い出して考えに耽っていたら、たかあきが声を上げた。
「ん?なに?」
「いや、またあのリムジンが停まってるなと思って。たしか由真の関係者だっただろ。」
「え?うそ?」
 見覚えありすぎ。おじいちゃんのリムジンだった。
「…由真、どうかしたの?」
「愛佳…あれうちのおじいちゃんだ。」
「そういえば、乗ってたのは爺さんだったな…って、アレがおまえんとこの爺さんか?」
「たかあき…あたしの後ろに乗って。」
 あたしはMTBに跨りながらたかあきに声をかけた。たかあきはあたしの言ったことを聞いていたのか、聞いていなかったのか、ぽかんとして突っ立ったままだ。
「…何で?」
「今にわかるから。死にたくなかったらさっさと乗る!」
413恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 3/16:2007/09/22(土) 11:09:08 ID:nnAs1E8Z0
「ちょ、ちょっと由真さん。どういう事ですか。」
 あ、ドアが開いた。
「ほっとくと、筋骨隆々の老人にたかあきがどつき倒されて屍になっちゃうの!」
「はあ?なんだそりゃ。俺が誰に殺されるんだよ。」
「あそこにいるうちのおじいちゃんに。」
 あたしが指を指すと、みんな校門のほうを見た。
 そこには筋骨隆々でタキシード姿のうちのおじいちゃんが立っていた。
 あ、たかあきの顔見たとたんに体が一回り膨らんだ。きっと頭にきて戦闘体制に入っ
たんだ。なんか叫びながら走り出した。
「貴様が由真を誑かした男かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「げ、何なんだありゃ。」
「乗って!愛佳と優季はヤックで待ってて!」
「あ、う、うん。」
「また乗るのか…よっと。」
「うわっ、どこ捕まってんのよ!」
 よたよたしながら後輪の上に跨った貴明がふらついてあたしの体に抱きついてきた。
このむっつりすけべっ!
「よっと…つかまったぞ。」
 たかあきはふらつきながらもあたしの肩に何とかつかまった。
 もうおじいちゃんはかなり近くまで来ていた。あたしは裏山に抜ける道にハンドルを
切る。
「じゃ、いくわよ!しっかりつかまってなさい!」
「お、おう…って、うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
 あたしは全速力でペダリングを開始。あっという間におじいちゃんを引き離した。
 たかあきは後ろで固まってるみたい。
414恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 4/16:2007/09/22(土) 11:11:04 ID:nnAs1E8Z0
「貴明さん大丈夫でしょうか…」
「由真…たかあきくん壊さないでね…」

                   −

「ぜえぜえ…もう…由真の後ろには…二度と…のらねぇ…」
「はあはあ…あたしも…今日は…久々に…無茶したわ…はあ」
 由真の家の爺さんはパワーはあるが足は無かったようで、すぐにぶっちぎって裏山に
逃げ込めたのだが、裏山の祠から街中に出たところで、待ち受けていたリムジンの猛追を
受けて30分以上も走り回ることになったのだ。

 俺たちは商店街近くの駐輪場にMTBを置いてヤックに向かい、先に来ていた愛佳と
優季と合流した。
「お疲れ様です。」
「あ、ありがとう。」
 喉がからからになっていたので、優季が差し出してくれたアイスティーをそのまま飲み
干した。
「はー、旨い。」
「…」
「…」
「…♪」
 なんだか、愛佳と由真の視線が痛い。優季はニコニコしてるけど。
「な、なに?」
「…かんせつきす」
 由真が責めるようなジト目で俺を見ながら答えた。
415恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 5/16:2007/09/22(土) 11:13:05 ID:nnAs1E8Z0
「間接…キス?」
「それ、さっきまで優季さんが飲んでたんだけど…」
 そう言いながら愛佳が優季のほうを見ると…

 ぽん。

「ああ、そうでした。貴明さんがあまりに水分を求めて居そうな感じでしたので、思わず
 自分のを差し出してしまいまして。」
「…時々あんたが怖いわ、あたし。」
 なんだかわざとらしく手を打って答えた優季を、俺もちょっと怖いと思った…

 改めてセットを頼んで…ついでにさっき飲んでしまった優季の新しいアイスティと、
由真と愛佳のご機嫌取りのためにパンケーキとアップルパイも注文し、トレイ二つ分を
受け取って席に戻った。
 そして落ち着いたところで、俺は改めて由真を問い詰めることにした。
「で、何で俺が由真の家の爺さんに狙われなきゃならんのか説明してもらおうか。」
 俺が睨むと、由真の奴はぷいっと目線をそらした。
 しかし、俺が視線をそらさないとわかると、由真は観念したようだった。
「…あんたがあたしと付き合ってるとおじいちゃんが思ってるから。」
「…は?」
「今までは内緒にしてたんだけど、今朝お母さんと喋ってる時にね…おじいちゃんに
 聞かれちゃったのよ。それで朝から一騒動あって、今日は家に帰りずらかったのよ。」
 俺の事家族に話してなかったのかよ…
「それで、なんでお爺さんが怒るんですか?」
「まあ、単純にあたしに悪い虫が付くのを心配してるんだろうけど…昔、小学生のときに
 仲のいい男の子を家に連れてきた事があったんだけど、その時もおじいちゃんが凄んで
 泣かしたことがあったわ。」
416名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 11:14:10 ID:bgpv8uMG0
支援
417恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 6/16:2007/09/22(土) 11:15:10 ID:nnAs1E8Z0
 あのごつい爺さんが小学生相手にガンを飛ばしてる様を想像すると、頭が痛くなって
くる。
「大人気ないなぁ…爺バカってことか?」
「貴明の話をしたら、お母さんは喜んでたわ。おてんばの由真もやっとそういうことに目
 覚めたのね、だって。あたしを何だと思ってるのかしら。」
「色気が無いって事か。」
「たかあき…いっぺん死んで見る?」
「…ごめんなさい」
 イイ顔で拳を見せる由真に俺は思わず謝った。
「とにかく、そういう訳だから、たかあきは殺されないように気をつけてね。」
「おいおい。」
 しゃれになっていないぞ由真。
 あの筋肉ダルマの爺さん相手じゃ戦う余地なんてありゃしない。逃げるしか無いだろう。
「貴明さん。」
「な、何かな優季。」
 優季は心配そうな顔で俺の手をとって握ってきた。
「貴明さんを由真さんのお爺さんから守る手を思いついたんですが…」
「え、本当?教えてよ。」
「ええ…私が貴明さんの婚約者として名乗りを上げるんです。ほら、そうすれば由真さん
 との仲も誤解ということで…」
 などと、ニコニコ笑いながらとんでもない提案をしてきたが、すかさず由真がさえぎっ
た。
「却下。あんたドサクサ紛れになんてこと言ってるのよ。」
418恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 7/16:2007/09/22(土) 11:17:11 ID:nnAs1E8Z0
「えぇ…駄目ですか…しょんぼりです…」
「あ、じゃあ、代わりにあたしが…」
 さりげなく愛佳が代わりに立候補する。
「愛佳も却下…あんた、何気に図太くなったわね。太くなるのはウエストだけにしとい
 て。」
 がーん、という顔の愛佳。
「…そんなことないもん…ウエスト太くないもん…ないもん…」
 あ、完全にいじけちゃった…後でご機嫌とるの大変なんだよなぁ…

                   −

 その夜。
 俺は晩飯の支度をしていた。といっても、買い置きのカップラーメンにお湯を注ぐだけ
の毎度おなじみ3分クッキングだけど。
 優季たちにばれるとお説教食らうんだけど、この簡便さに慣れるとどうにもまともに
料理する気になれない。そこそこ旨いし。

 お湯を注いでキッチンタイマーを3分にセットする。
 待つ間、テレビを見ながら時間をつぶそうと、カップラーメンを持ってリビングに移動
したところで、

 ピンポーン

 こんな時間に誰だろう。このみかな。春夏さんに言われて何かおかずを持ってきてくれ
たんなら嬉しいけど。
419恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 8/16:2007/09/22(土) 11:19:03 ID:nnAs1E8Z0
 とりあえず手に持っているカップラーメンをテーブルに置こうとしたんだけど、

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!

 ああ、もう、せっかちだな。こりゃこのみじゃない。このみはこんな押し方はしない。
 仕方なくカップラーメンを持ったまま玄関へと向かった。

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!

「はいはい、今出ますよ。」
 鍵を開けて玄関を開くと、そこに立っていたのは、
「由真…?どうしたんだこんな時間に。」
 由真が立っていた。私服姿で、肩には大きなスポーツバッグを提げている。
 それに少しご機嫌斜めの様子で怒ったような顔をしていた。
「たかあき。」
「な、なにかな?」
「今日泊めて…っていうか、今日からここに住むから。」
「おいおい、ちょっと待てよ。」
 そう言っている間にも由真は俺を押しのけて家に入り、さっさと靴を脱いで上がり込ん
できた。そのままリビングへとずかずか入っていく。
「ちょっと待てよ。男一人の家に女の子泊める訳にはいかないだろ。」
「あたしは気にしないわ。」
「いや、俺が気にするっての。泊まるんなら愛佳か優季に頼めばいいだろ?」
「愛佳のところは今郁乃ちゃんが退院する寸前で色々忙しいし、優季のところにいきなり
 行くのもちょっと気が引けるから、一人暮らしのたかあきのところにしたの。ここは
 おじいちゃんにもばれてないし。」
420恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 9/16:2007/09/22(土) 11:21:07 ID:nnAs1E8Z0
「また爺さんがらみか。」
「それより、またそんなもの食べてるの?」
 俺が手に持ったままのカップめんを指して由真が言う。
「んあ…ああ。」
「こんなの食べるなって行ってるでしょ、もう。まあ、あたしが何か作ってあげるから、
 しばらく待ってなさいよ。」
 そう言って俺からカップラーメンを取り上げるとしっしっ、と俺をリビングに追い返し
てキッチンに入っていった。
「いったいなんなんだ…」
 俺はため息をつきながら、電話を手に取った。

                   −

 あたしが冷蔵庫にある材料で適当に料理を作って、お腹を空かせて待ってる筈のたか
あきを呼びにリビングに戻ったら、そこにはこのみちゃんと、このみちゃんに似た若い
お姉さんが座っていた。
 このみちゃんはあたしの顔を見るといつもの人懐っこい笑顔で挨拶してきた。
「あ、由真先輩今晩は。」
「ああ、丁度よかった。由真、こっちに座って。」
 たかあきに手招きされて、あたしはよくわかんないまま隣に座った。
「えっと…どうも。長瀬由真です。…ねぇ、このみちゃんはわかるけど、こっちのお姉
 さんはどちら様?」
 あたしが一番の疑問をたかあきに聞いたら、そのお姉さんはほほほ、と笑い出した。
「まあ、あなたみたいな若い子にお姉さんなんて呼ばれるなんて…私もまだまだ捨てた
 ものじゃないわね。」
421恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 10/16:2007/09/22(土) 11:23:22 ID:nnAs1E8Z0
「?」
「あー、こちら、うちの親が海外出張してる間の実質的な俺の保護者で、このみのお母
 さんの柚原春夏さん。」
「え…えええ!若っ!」
 このみちゃんって15歳…よね。うちのお母さんとほとんど同世代とは思えない。
 でも、そのこのみちゃんのお母さんが何でここに?
「で、なんでこのみちゃんのところのおばさんが」
「は・る・か、と呼んでくださいな。」
 い、今何かすごいプレッシャーを感じた気が…
「え、えっと…なんで春夏さんがここに?」
「言っただろ。女の子一人家に泊める訳には行かないって。だから監視役としてこのみ
 にも泊まってもらうことにした。」
「突然タカ君から電話があって、このみを家に泊めて欲しいって言われたけど、保護者と
 しては理由も聞かずにこのみを外泊させるわけには行かないし。それでこのみと一緒に
 理由を聞きに来たんだけど…あなたが由真さんなのね。」
「は、はい…」
「どうしてタカ君の所に泊まるとか言い出したのかしら。まさか夜這い…とかではない
 わね。まあ、家出かしらね…理由を話してくれないかしら。」
 春夏さんはニコニコと笑っていたけど、そこには有無を言わせない迫力があった。
 …言いたくないけど、仕方ないわね。
「おみあいです。」
「は?」
 貴明が間抜けな返事で返すから少しむっとしながらもう一度言い返した。
「お見合いよ。…今日家に帰ったら、お見合いの写真があって、あたしのだっておじい
 ちゃんが言うから…あたしはたかあきの事が好きだし、好きな人が居るのにお見合い
 なんかしたくないって言って、大喧嘩して家を飛び出してきちゃった。」
422恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 11/16:2007/09/22(土) 11:25:03 ID:nnAs1E8Z0
「ふぇえ…高校生のうちからお見合いなんてあるんだねぇ。」
 このみちゃんがおどろいた様子であたしを見てる。
「まあ、これでもそれなりにいいとこのお嬢様らしいからな。そういうこともあるんじゃ
 ないか。」
「…これでも、ってどういう意味よ。」
 あたしが睨んだら、たかあきの奴あさっての方向に視線をそらした。あとでしっかり
言い聞かせる必要があるわね。
「とにかく、由真ちゃんはお見合いが嫌で家出してきたと言うことね。…何はともあれ、
 お家のほうには連絡したほうがいいわね。今頃ご家族が心配して探し回っているかも
 しれないわよ。」
「…はい、でも…」
「大丈夫。私があなたのお母様と話してみるわ。電話をかけてくれないかしら?」
 春夏さんがやさしく笑ってあたしを諭すように言った。

                   −

 その夜、あたしは客間でこのみちゃんと二人で、いっしょに床に就いていた。
 あの後、春夏さんとうちのお母さんとの間で話が付いて、このみちゃんも一緒という
条件で、たかあきの家に泊まれる事になった。
 布団に入ってからは、女の子同士の気安さで胸の触りあいっことか…このみちゃんが
あたしの胸の大きさを羨ましがってた。環さんには負けるけど…ふざけあってるうちに、
いつの間にか眠っていた。
 
423恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 12/16:2007/09/22(土) 11:27:04 ID:nnAs1E8Z0
 ふと目を覚ますと、まだ真っ暗だった。
 時計を見ると1時ぐらいで1時間ちょっとぐらいしか眠っていなかった。
 隣ではこのみちゃんが眠っている。あたしは一人っ子だから姉妹という感覚はぴんと
こないんだけど、でもこのみちゃんみたいな妹なら欲しい気がする。環さんが本当の妹の
ように猫かわいがりしているのもわかる気がする。

 目がさえて眠れないので、キッチンでホットミルクでも飲もうと思って布団を抜け出し
た。
 このみちゃんを起こさないよう忍び足で部屋を出て、階段を下りる。
 そうしたら、キッチンの電気がついていた。入り口から覗くと、たかあきが居た。
「あれ、由真…眠れないのか?」
「うん…目が覚めちゃったの。そうしたらなんだか眠れなくって。」
「ふーん…お前も飲むか?ホットミルク。」
 よく見ればたかあきはミルクパンで牛乳をあっためて居た所だった。
「なんだ…たかあきも眠れないのか。」
「まあな…今日は色々会ったし。ちょっと興奮して寝付けないって言うか、な。」
「……」
 たかあきは温まったミルクを火から下ろしてカップに注いで、蜂蜜をひとさじ入れて
あたしに渡してくれた。
 ゆっくりとかき混ぜた後で、ふうふうと冷ましながら一口すすった。
「あつっ」
「ゆっくり冷まして飲めよ。」
 たかあきがあたしをみて笑う。

 ふうふうと吹き冷ましながらずいぶんと時間をかけてホットミルクを飲んだ。
424恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 13/16:2007/09/22(土) 11:29:05 ID:nnAs1E8Z0
 そして落ち着いたところで、あたしはたかあきに聞いてみた。
「ねえ…どうして泊めてくれたの?」
「どうしてって…追い出して欲しかったのか?」
「ううんそうじゃないけど…今日はごめん…あたし、迷惑かけてばっかり。」
「珍しくしおらしいじゃないか。明日は雨でも降るんじゃないか。」
「…失礼な奴。下手に出れば付け上がるんだから。」
「悪い悪い。でも、本当に迷惑なら追い返してるさ。…だけどさ、普段の由真なら、
 あたしみたいなかわいい娘が泊まってあげてるんだから感謝しなさい、ぐらい言うだろ。
 しおらしい由真なんてらしくないと思うぞ。」
 笑いながらそう言うたかあき。でもあたしはその台詞に含まれたある部分が気になった。
「…あたしの事…かわいいと思ってくれてるんだ。」
 あたしがそう言うと、たかあきも自分が何を言ったのか気が付いたみたい。
 真っ赤になってしばらく口を押さえていた。
「あ…ああ…かわいくて魅力的だと思ってる。…そうじゃなきゃ、由真の事を女の子と
 して気にするようにはなってなかっただろ。」
「そっか…そうだよね。そう思われてると思うと、ちょっと嬉しいかな。」
「でも、普段が普段だからな。」
「…あんたも、あたしの事をどういう目で見てるか頭の中一度調べてみたいわ。」
「ま、とにかく、俺の迷惑なんて気にするなって事さ。飲んだら寝ろよ。明日も学校なん
 だからな。」
「うん…ありがと、たかあき。」
 あたしはたかあきとキッチンを出ると、客間に戻って床に就いた。
 今度は眠れそうだった。

                   −
425恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 14/16:2007/09/22(土) 11:31:07 ID:nnAs1E8Z0

「電話してもらえれば、私もすぐに行きましたのに。」
 優季がそんなことを言ってため息をついた。

 朝はたかあきとこのみちゃんと一緒に歩いて登校して、今は放課後。
 優季と愛佳とたかあきと4人で玄関で靴を履き替えて出たところだ。

「別に抜け駆けして夜這いとかそんなんじゃないわよ。ただ家を飛び出して行く所が
 無かっただけなんだから。」
「でも、言ってくれれば家に泊まってもよかったのに…」
 愛佳も、あたしが遠慮した理由は話したのにそんなことを言っている。たかあきの家に
泊まってるのがやっぱり気になるみたい
「もー、愛佳も。お目付け役のこのみちゃんも一緒なんだから。」
「でも…」
「…おい、由真。あれ。」
 たかあきが校門のほうを指すと、そこには見覚えのあるリムジンと、家のおじいちゃん
が立っていた。
「…みんな、裏門から帰ろう。」
 そう言ってあたしは踵を返した。そうしたら、
「まて!由真!」
 おじいちゃんが走ってあたしの所までやってきた。
「…おじいちゃん…」
「由真…」
 あたしはしばらくおじいちゃんの顔が見られなくて、自分のつま先を見つめていた。
「由真…家に帰ってこんかの。」
426恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 15/16:2007/09/22(土) 11:31:40 ID:nnAs1E8Z0
「…嫌…あたししばらく帰らないってお母さんに言ったはずよね。」
「しかし…お前のような若い嫁入り前の娘が、一人暮らし男の家に泊まるなど、」
「二人っきりじゃないって言ったでしょ。」
「しかしな…悪いが、調べさせてもらったぞ。…河野貴明というそうじゃな、小僧。」
 おじいちゃんはそう言ってたかあきをにらみつけた。
「おぬし、由真のほかにもそちらの2人とも付き合っておるそうじゃな。」
「あー…はあ、まあ…」
「由真…男と付き合うなとは言わぬ。じゃが、こんな女にだらしの無い男と付き合わず
 とも、もっといい男がおるじゃろう。」
 おじいちゃんは、あたしたちとたかあきとの詳しい関係も知らずに、たかあきを女たら
しと決め付けてそんなことを言った。まあ、女たらしな所があるのは否定しないけど、
たかあきとの関係はそんな単純なものじゃない。…そのおかげであたしたちは苦労して
いるわけだけど。
 ともかく、あたしはそんなおじいちゃんの言葉が気に入らなかった。
「…おじいちゃんは、たかあきがそういう男で、あたしが男の見る目が無くて、たかあき
 に弄ばれてるって、そう言いたいの?…そして、おじいちゃんの選んだ、確かな身元の
 男と見合いして付き合えばいいって、そう思ってるの?なんであたしの進む先を勝手に
 決めちゃうの?」
「い、いや…あの見合いの写真はの、」
 あたしが怒ってるのがわかったのか、おじいちゃんはなんかしどろもどろになりながら
言い訳を始めた。でもあたしはそこで止まるつもりなんでもうなかった。
「そう。じゃあ教えてあげるわ。あたしたちはもうたかあきに身も心も奪われちゃってる
 の。もうメロメロって訳。だから人前でこんなことだって平気で出来ちゃうの!」
 そう言って、あたしはたかあきの首に両腕を回した。
「目ぇ閉じて。」
427恋愛同盟5 恋せよ乙女! 前編 16/16:2007/09/22(土) 11:33:06 ID:nnAs1E8Z0
「え?」
 たかあきが突然あたしに抱きつかれて目をぱちくりさせながら答えた。
 あたしは、貴明が目を閉じるのも待たずに顔を近づけた。
「え?」
「ああっ!」
 驚く優季と愛佳の声を聞きながら、あたしは自分の唇を、たかあきの唇に重ねた。
428物書き修行中:2007/09/22(土) 11:46:03 ID:nnAs1E8Z0
>>416さん 支援サンクスです

舌の根も乾かぬうちに新作をうpさせてもらいました
でも実際には第4話うpし終わった後から書いてたので、なんだかんだで丸々
1月以上かかってます。またアホみたいに長くなってしまいました。

>>401
ちなみにですが、漏れの場合
・横80文字(全角だと横40文字になる)/ぶら下げ禁則あり/
 25行/ページの設定のエディタで書く
・後で読み直してみて、誤字や開業位置を修正。
 改行が極力単語を切らないようにする。
・大体1ページ単位(25行前後)でこぴぺしながら書き込み
という手順で書いてます。
漏れの場合は文章みっちり書く傾向があるので多分30行まで書くと
文字数制限にかかるw

後編は午後か夜にUPします。
429恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 1/20:2007/09/22(土) 13:59:45 ID:nnAs1E8Z0
 気がつくと商店街のアーケードで、あたしは荒い息をしながらぽつんと立っていた。
 どこをどう走ったのかわからないけど、たかあきとキスした気恥ずかしさで頭が沸騰
して、呆然としていたおじいちゃんの横をすり抜けて学校から飛び出したのは覚えていた。
「ああ、もう…あたしったら…なんであんなこと…」
 キスしたとき、たかあきが驚いてあたしを見たのを思い出した。そして真っ赤になった
のも。そのときはあたしもきっと真っ赤だったに違いない。
 思い出すと、自分の大胆さにあきれながらも、顔がほてってくるのを押さえ切れな
かった。
「…ファーストキス…しちゃった…」
 自分の唇をなぞる。貴明の唇は、お昼休みに飲んでたカフェオレの味がした。
「……考えるとドツボにはまりそう…晩御飯の材料買って帰ろ…」


    恋愛同盟 第5話  恋せよ乙女! 後編


「こんなところまでつき合わせて、すまんの。」
「ああ、いや、いいすけど…」
「それで、お話というのは…?」
「……」
 俺と優季と愛佳は、キスした直後に尋常でなく真っ赤になった由真に置いてきぼりを
食わされしばらく呆然としていたのだが、我に帰った後で由真の爺さんに捕まった…訳
ではなく、頼み込まれて駅前のオープンカフェまでやってきたのだった。
「まず、おぬしらの関係を教えてもらおうかの。」
「あー、誤解の無いように言っておくけど、俺と由真たちはその…肉体的関係は…」
430恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 2/20:2007/09/22(土) 14:02:05 ID:nnAs1E8Z0
「わかっておる。わしはこれでも由真の家族じゃぞ。由真が生まれたときからの付き合い
 じゃ。…あの子が虚勢を張って大げさに言ったのもわかっておるわ。」
「じゃあ…順を追って話すと…」
 俺は1年生の終わりの、由真との出会いからゆっくりと話し始めた。

「なるほど、由真がの…」
 由真が始めたこの奇妙な関係までを話し終えたとき、爺さんはそう言ってため息を
ついた。
「あの子が変わり始めた…いや、そうではないのぅ…昔の由真に戻ったと感じたのは、
 春先じゃった。丁度小僧と出会った頃じゃ。」
「昔の由真?」
「…たかあきくん。前に言ったかもしれないけど、由真は始めてあったときから最近まで
 は、もっとおとなしい子だったの。」
 愛佳が言う。そういえば、前に由真と俺が話しているのを見て確かめてたことがあった
な…あんなふうに活発なところは見せたことが無かったのか・・・
「元々由真は明るく活発で、わしに似て負けん気が強いところもある子じゃったが、中学
 に上がる頃には大人しく聞き分けのいい子になっておった。わしもいつの間にかそれに
 慣れておったのじゃが…春先ごろから、わしの言葉に反発するようなそぶりを見せる
 ようになったのじゃ。」
「おれはその負けず嫌いで活発な由真しか知らなかったから、どうも大人しい由真って
 言うのが想像できないんだよなぁ。」
 俺が苦労しながらしおらしい由真を想像しようと試みている横で、爺さんは遠い目をして、ほう、とため息を一つ付いた。
「昔の由真はの、それはそれは快活で可愛らしくてのぅ…それこそ、目の中に入れても
 痛くないくらいじゃった。」
「爺バカでしょうか…」
431恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 3/20:2007/09/22(土) 14:04:34 ID:nnAs1E8Z0
「爺バカだよねぇ…」
 遠い目をして熱く語る爺さんを見て二人が言う。
 ほんと爺バカだよなぁ…。
「で、その由真がなんでそんなに大人しいふりなんかしてたんだ?」
 俺の疑問に答えたのは爺さんではなく愛佳だった。
「…たかあきくん。由真がさっき言ってたよね…なんであたしの進む先を勝手に決め
 ちゃうの、って。…由真は、おじいさんの跡を継ぐって言ってたけど…そのせいじゃ
 ないかな。」
 愛佳の問いかけに爺さんは苦い顔をして黙り込んだ。
 しかし、しばらくして、その重い口を開いた。
「そうじゃな。恐らく、ダニエルのことじゃろう。」
「ダニエル?」
「ダニエルというのはの、わしがその昔、先々代の御館様よりいただいた執事の称号の
 ようなものじゃ。」
「それで、そのダニエルさんがどうして由真さんと関係があるんですか?」
「うむ。」
 一呼吸おくように、爺さんは紅茶を一口飲むと、ゆっくりと話し始めた。
「あの子は、昔からよくわしに懐いておった…わしの働く背中を見ておって、憧れたの
 じゃろう。幼い由真がこう言ってくれたのじゃ。」
 爺さんは目を閉じてゆっくりと呟いた。

『おじいちゃん、あたしダニエルになる〜』
『ダニエルになる〜』
『なる〜……』
432恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 4/20:2007/09/22(土) 14:06:15 ID:nnAs1E8Z0
 はっ……言っているのは爺さんはずなのに、なぜか子供の頃の由真が見えた…
「わしも、その言葉がうれしくてのぅ…ついつい自分の持つ執事としての技能を由真に
 教え込んでおったのじゃ。いつかダニエルの名を次いでくれると思うてのう。」
「でも、それが由真さんから将来進む道の選択肢を奪ってしまったということですね。」
「…そうじゃな。わしは家族として将来有望な道を由真に勧めたかったのじゃが、それが
 由真を追い詰めておったのかもしれん。」
 爺さんはそう言うと、がっくりと肩を落とした。
「由真があたしたちに話してくれました…たかあきくんが昔の自分を思い出させてくれた
 って。昔はもっと色々な夢を持ってたはずなのに、いつの間にかおじいさんのの跡を
 継ぐっていう道を…『なれる自分』を安易に選んで、それに自分を当てはめようとして
 たって。」
 それは多分、最初に同盟が結成された夜の女の子だけの話し合いで話されたことなん
だろう。俺の知らない話ではあったけど、優季は知っているような顔だった。
 爺さんは悔しそうな、それでいて嬉しいような苦味を含んだ笑みを浮かべながら言った。
「わしは由真の将来のために良かれと思って様々に手を尽くしてきたつもりじゃった。
 じゃから、最近由真が昔のように明るくなったのが、ショックじゃった。しかもそれが
 おぬしのせいと知ってから、わしは年甲斐もなく嫉妬しておった…誰よりも由真に近い
 はずのわしには成し得なかった事を成した、とな。」
「…それで、由真さんと貴明さんを引き離すためにお見合いを用意したんですか?」
「それなんじゃがのう…」
 一転、爺さんは困ったように頭を掻いた。
「あれはわしが用意したものではなくてな…」
「は?」
「わしの姪が持ってきたものなんじゃ。そやつは縁談をまとめるのが趣味でのう…どうも
 回りに縁談を薦められる人間が居なくなって、年頃の由真に話を持ってきたのらしい
 じゃ。」
433恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 5/20:2007/09/22(土) 14:08:30 ID:nnAs1E8Z0
「じゃあ、爺さんが由真に見合いをさせようとしたってのは…」
「誤解じゃ。わしは娘に…由真の母親じゃが…しっかりと釘を刺されておるからのう。」
「…まあ、由真らしいって言うか…」
 勝手に誤解して、勝手に怒ってたわけか。
 俺があきれていると、爺さんは俺を見て頭を下げた。
「な、何だよ爺さん。」
「小僧…いや、河野貴明殿。由真の誤解を解いて家に戻るように言ってくれんかの。
 わしに似て頑固じゃから、今のあの子はわしの言葉には耳を貸すまい。じゃが、お主の
 言葉なら聴くじゃろう。」
 頭を下げたままの爺さんを前にして、俺には断る言葉など見つからなかった。
 何より、今のまま同棲する訳には行かない以上、いつかは由真を家に帰さないといけ
ないのだから。
「わかったから、頭を上げてくれよ爺さん。俺から説明してみるから。…もしそれでも
 駄目なときは、優季と愛佳にも協力してもらうから。」
 その言葉に二人も頷いた。
 さて、家に帰ったら頑固でじゃじゃ馬なお姫様を何とか宥めてみないと…

                   −

 今日はシチューにした。特に理由は無いけど鶏肉が安かったし、なんとなく食べた
かったから。

 一口大に切ったにんじん、たまねぎ、じゃがいも、とりもも肉をフライパンで炒めて
香りを出した。その後、鍋で小麦粉とバターでルーを作って牛乳とコンソメスープで
伸ばし、炒めた具財を放り込んだ。後は煮込むだけだ。あたしは時計を見た。
434名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 14:10:33 ID:dMXAd+yY0
支援
435恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 6/20:2007/09/22(土) 14:12:25 ID:nnAs1E8Z0

 とっくに帰ってきてもいい頃なのにたかあきはまだだった。多分おじいちゃんに捕まっ
たか、逃げ回ってるかのどっちかだろうけど。でもさっき無理矢理キスして逃げて今は
顔をあわせるのが気まずいから丁度よかった。

 おじいちゃんに捕まってないといいけど、捕まってたら…貴明ボコボコかしら。
 …ううん、おじいちゃんはああ見えてやたらと暴力を振るったりしないから、大丈夫
よねきっと。

 テレビを見ながら、時々シチューの火加減を見て過ごす。こうやってると、なんか
たかあきの奥さんになったみたいな気がする。
 そんなことを考えて、実はすごく大胆なことを考えてたことに気がついて、自分一人で
真っ赤になってこっぱずかしさに身悶えてしまった。

 あたし何考えてるのよ、なんてセルフ突っ込みしたりしてたら、
「ただいま〜」
 たかあきが帰ってきた。
 あたしは顔が赤くなっていたのを2、3回ばしばしと叩いて誤魔化して、玄関に迎えに
出た。
「…なに赤くなってんだ?」
 ぜんぜん誤魔化せてなかった。
 あたしは必死で頭の中で何とか誤魔化す台詞を考えた。でも駄目。さっきまで考えてた
事とか、学校でキスしちゃったこととかが、たかあきの顔を見たとたんに頭ん中でぐる
ぐる回りだして、逆に赤さが増しそうになった。
436恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 7/20:2007/09/22(土) 14:14:12 ID:nnAs1E8Z0
 そしてそんな状態で何とかひねり出した台詞は、そのときはウイットに富んだジョーク
のつもりだったんだけど、言ってから赤面物の恥ずかしい物と気がついた。
「え、えっと…あなた、お風呂にします?お食事にします?そ、それともわ、わた、たっ、
 わたしにします?」
 噛んだ。思いっきり噛んだ。
 しかも押しかけ状態この状況でこの台詞は洒落になってなかった。たかあきにマジで
「由真が食べたい」なんて言われた日にはあたしはどうすればいいのかしら。
 だけど、たかあきは冷静だった。
 たかあきは、はあ、とため息を一つつくとあたしの肩をぽんぽんと叩いて言った。
「由真…そういう台詞は冗談で言うものじゃない。」
「そ、そうよね…あ、あははは…」
 安心すると同時に、ちょっとがっかりした。
 あれ…ということはあたし少し期待してた…?うそ。
 そんなあたしの落胆を感じ取ったのか、たかあきが驚いた顔で聞き返してきた。
「…まさか、マジ?」
「ち、ちがうわよっ!この馬鹿っ!」
「はぶっ!」
 あたしは照れ隠しにたかあきを張り倒した。

                   −

 シチューはまあまあの出来だったんだけど、味わってなんていられなかった。
 あたしとたかあきは黙々と食事を進めていた。さっきの事もあるけど、校庭でキスを
した事はまだあたしの中では引きずっていて、気まずい状態だった。
 たかあきは平気な顔してパクパク食べてるけど…なんであたしだけこんなに悩んでなく
ちゃならないのよ。
437恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 8/20:2007/09/22(土) 14:16:06 ID:nnAs1E8Z0
 面白くないのでたかあきに話しかけてみた。
「ねえ、たかあき。」
「んー、何?」
「今日の放課後の事…突然奪っちゃって、ごめん。」
「え…?」
 たかあきは一瞬何のことかわからないという顔をしていたけど、少しして顔が真っ赤に
なった。
「あ、ああ…気にしてない…つか、気にならないわけじゃないけど気にしてないから。」
 たかあきも言葉使いが滅茶苦茶になりながら答えた。なんだ、忘れてただけなのか…
「感謝しなさいよ…あたしのファーストキスあげたんだから。」
「…気にしないで欲しいのか、気にして欲しいのか、どっちなんだよ…」
 たかあきの困った顔を見てあたしはくすくす笑った。

 食事も済んで、あたしとたかあきはテレビでも見ようということになった。
 テレビの向こうではバス芸人がさいころを振ってその出目の悪さに打ちひしがれていた。
 でもあたしの意識は、隣に座っている貴明に向いていて、なんだか落ち着かなかった。
「なあ、由真。」
 たかあきが突然話しかけてきた。
「な、なによ。」
「お前が逃げた後さ…爺さんと話しをしたよ。」
 やっぱり、おじいちゃんに捕まってたのか。
「…どんな話?」
「爺さんが、最近の由真は昔のように明るくなったって言ってた。そして、由真の笑顔を
 引き出した俺に嫉妬してたって。…お前を追い詰めていたこと、爺さんが後悔してた
 ぞ。」
438恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 9/20:2007/09/22(土) 14:18:08 ID:nnAs1E8Z0
「そっか…おじいちゃんがそんな事を…」
 別におじいちゃんは悪気が会ってあたしにダニエルになれと言っていたわけじゃないの
はわかっている。ただあたしの将来を心配していただけだ。でも、今回のお見合いは別。
「でも、あたしを貴明から引き離すために見合いさせようとしたのは許せないの。」
 それを聞いたたかあきは一つため息をついて笑って答えた。
「それも誤解だよ。あの見合いは、縁談をまとめるのが趣味の、お前の叔母さんが持って
 きて置いてったものらしい。爺さんは無関係だよ。」
「え、じゃあ…」
 もしかしてあたしが勘違いして一人で勝手に怒って立って事?
「まあ、由真らしいって言うか…一人相撲だな。」
「は……」
「は?」
「謀ったなぁぁぁぁ!」
 あたしは思わず…半分は照れ隠しの意味も込めて…そう言いながらびしっとたかあきに
人差し指を突きつけた。
「…久しぶりだな、それ。」
「ううう…」
「ま、今日は泊まって行ってもいいけど明日は家に帰ってやれよ。爺さんが心配してる
 ぞ。」
「おじいちゃんにどんな顔して会えばいいのよ…」
 ずっとたかあきの家に居るわけには行かないのはわかってたけど、でもこの展開は
予想外だった。「あわせる顔が無い」というのはこういう状況のときだと思い知ったわ。

「それにしても…このみの奴遅いなぁ。柚原家の夕食はとっくに終わってるはずだけど…
 電話してみるか。」
439恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 10/20:2007/09/22(土) 14:20:13 ID:nnAs1E8Z0
 時計の針が9時を回っても一向にお目付け役のこのみちゃんが来ないので、頭を抱えて
いるあたしを置いて貴明が電話をかけに席を立った。
「…あれ、留守電が入ってる。」

 ぴっ。

『用件は1件です』
『あ、タカ君、春夏です。実は急に家族で出かけることになってね、このみも一緒なので
 今日はそちらには行けません。まあ、タカ君のことは信用してるけど、女の子を啼かせ
 るようなことしたら駄目よ。』
「…ああ、春夏さん…なんか「泣く」の字が違う字になってる気がするのは俺の気のせい
 でしょうか…」
『…でも、もし何かあった時は、私もタカ君の保護者代理として「色々」考えなくちゃ
 いけないから。じゃあね、頑張ってね。』
「何をどう頑張れと…それとなにを「色々」なんでしょうか…」
 たかあきが電話機の前でたそがれてる…

 え、でも、ということは、今夜は…たかあきと…二人っきり?
 夕方にあんなことがあったばっかりなのに。
 しかも、さっきふざけ半分で玄関で言った台詞がよみがえってくる。

『…あなたぁ、お風呂にします?お食事にします?それとも…わ・た・し?』
      ・・
 そこ、妙なしなを作って捏造してるな脳内のあたし。さっきとぜんぜん違うじゃん。
440恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 11/20:2007/09/22(土) 14:22:21 ID:nnAs1E8Z0
 とはいえ、妙に意識しちゃって、またあたしの顔に血が上ってきた。
 とりあえず…お風呂に入ってしばらく逃げよ。
「あ、あたし、お風呂入ってくる…覗いたら殺すからね。」
「…あー、はいはい。覗かないよ。」
「なんかその言い方むかつく。あたしは覗く価値なしって言い方よね。」
「…お前は…覗いて欲しいのか覗いて欲しくないのか、どっちなんだよ。」
「…乙女心は複雑なのよっ!…とにかく、覗くの禁止だかんね。」
 そう言って、あたしは着替えを持ってお風呂場に逃げ込んだ。

「じゃ、風呂入ってくるから。」
「行ってらっしゃい…」
 あたしと入れ替わりで貴明がお風呂場に行った。
 覗かれはしなかったけど、あたしがお風呂から帰ってきたときにあたしの湯上り姿を見てたたかあきの目がエッチだった…気がする。
 座ってても落ち着かない。喉が渇いたのでキッチンに行って何か飲もうとした。
 キッチンに入ったところに、さっきまであたしがつけていたエプロンがあった。
 そのエプロンを見ながら、なんとなくぼうっと考えてしまった。
 エプロン…エプロン…エプロン…裸エプロンとか…裸エプロン!
 や、やだ、あたしなに考えてるのよ!

『…あなたぁん、お風呂にしますぅ?お食事にしますぅ?それとも…わ・た・し?』

 脳内のあたしがパワーアップしてた。裸エプロンで物欲しそうな顔でくねくねしてるっ
てどういうことよ!?
 頭を振って妄想を追い出しながら冷蔵庫を開いた。何か飲んで頭冷やさないと。
 ジュースを一本取り出してプルタブを開けると一気に飲んだ。キンキンに冷えた
ジュースを一気飲みしたせいで、すぐ後に頭痛が襲ってきた。くあー、効くー。
441恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 12/20:2007/09/22(土) 14:24:02 ID:nnAs1E8Z0
 でもそれが去ってしまうとまた悶々としてきて落ち着かなくなってくる。
 またジュースを飲もうかと冷蔵庫に手を伸ばしかけたところで、料理用においてあった
白ワインのビンが目に止まった。
 そうだ…酔っ払ってしまえば気にならなくなるかも知れない…
 そのときのあたしはそんなおバカな考えで頭がいっぱいになったまま、ワインのビンに
手を伸ばした…

                   −

 気がついたら周りは真っ暗だった。なんか頭も痛い…
「よう、気がついたか。」
 驚くほど近くからたかあきの声が聞こえて、思わずあたしは叫びそうになった。その
あたしの口をたかあきの手が押さえつけた。
 え、うそ、このままあたし、たかあきに身も心も奪われちゃうの?
 嫌じゃないけど…こんな強姦まがいなんじゃなくてもっと、こう、ロマンチックに…
「頼むから叫ばないでくれ…こんな夜中に大声で叫ばれた日にゃ、警察呼ばれちまう。」
 そう言うたかあきの声は落ち着いていて、あたしが想像したようなケダモノ寸前の状態
じゃなかった。
「落ち着いたか?…手ぇ離すから、叫ばないでくれよ。」
 こくこくとあたしが頷くと、たかあきの手があたしの口から離れた。
「なんでたかあきがあたしの布団に居るのよ。」
 まず最初に、あたしはは最大の疑問をたかあきにぶつけた。
 でもその疑問はあっさりと貴明に返された。
「一つ言っとくと、ここは客間じゃなくて俺の部屋で、ここは俺のベッドの中。」
442恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 13/20:2007/09/22(土) 14:26:14 ID:nnAs1E8Z0
 ということは…あたしの方から夜這いしちゃったの!
 でも、今あたしパジャマはちゃんと着てるし…
「…あたし、なんか変なことしなかった?」
「たっぷりされた…」
 えええええ!
「な、何したの…」
「お前、半分以上あったワイン全部空けただろ…ぐでんぐでんに酔っ払ってたんだぞ。」
「…」
 お、覚えが無い…
「酔っ払って俺に抱きつくわ胸当ててくるわ…挙句に危うくパジャマ脱いで裸になりかけ
 たから両手を使えないように抱き抱えてたらそのまま寝ちゃって…起きてまた暴れられ
 ても困るから、そのまま布団まで運んできて一緒に寝てた。」
「…もしかして、ずっと寝ないであたしの顔を見てたの?」
「ああ…さすがに女の子と添い寝状態でぐっすり眠れるほど神経太くないからな…」
「…すけべ。」
「何故に?」
「でも…一緒に寝られたのは嬉しいかな…愛佳と優季にばれたらやばいけど。」
「…そうだな…内緒にしておこう。」
 あの二人の不敵な笑顔でも眼に浮かんだのか、たかあきもあたしの意見に同意した。
「そうと決まれば…えへへへ。」
 たかあきにもっと擦り寄って、胸に頭を預けた。たかあきに抱っこされているような
状態で、胸元はたかあきのにおいがした。
「おい…あんまりくっつかないでくれよ…気になって眠れない。」
「責任とってくれるなら、エッチなことしてもいいわよ。」
「…勘弁してくれ。」
443恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 14/20:2007/09/22(土) 14:28:15 ID:nnAs1E8Z0
 たかあきのため息があたしの前髪をくすぐった。

 しばらくあたしたちは抱き合ったまま身じろぎもせずにいた。
 たかあきの胸のトクトク言う鼓動だけがあたしの耳に聞こえていた。
「…ねぇ、たかあき。」
「うん?」
「…明日、デートしよ。」
「は?」
「前に約束したでしょ…二人だけでデート。」
「ああ…そうだな。」
「デートしたら…家に帰るわ。」
「そっか…」
「…あたしが帰ったら、さびしい?」
「そうかもな。」
「でも、帰らなくちゃ…」
「そうだな。」
「そうと決まったら、早く寝よ。」
「そうだな。明日寝不足じゃつらいし。」
「…じゃ、お休み。」
「お休み。」
 目を閉じた。たかあきのトクトク言う鼓動の音が心地よくて、いつの間にかあたしの
意識は深く深く、沈みこんでいっていた。

                   −
444恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 15/20:2007/09/22(土) 14:30:03 ID:nnAs1E8Z0
 次の日は飛び切りの晴天で、デートにはもってこいだった。

 朝食を食べて大通りの映画館へ向かう。
 見ることにしたのは、この間たかあきと映画を見に来たときにポスターが貼ってあった
”Hard To Say”。
 素直になれないヒロインと主人公の男の子が恋する物語で、まるで今のあたしとたか
あきみたいな関係で、なんだか必要以上に感情移入しちゃった。

 映画が終わって外に出るとお昼を少し過ぎたところだった。
 お昼を食べるためにヤックに移動して、たかあきと映画の話をする。
「…今回は、ありえないって言わないんだな。」
「なにが?」
「この間映画見たときは…ディープキス見て、ありえない連呼してたろ。」
「ああ…今はああいう…キスしたくなる気持ちがなんとなくわかったから。」
「そうか……そういえば…昨日キスしちまったんだったな…」
 たかあきが口元を押さえて赤くなった。
 あたしも忘れかけてたのにまた思い出して顔がほてってきた。
「…思い出したら恥ずかしくて死にそうな気分になってきた。」
「…ごめん。」
 お互い真っ赤になったままうつむいて、恥ずかしくて言葉を交わせなくなってしまった。
 仕方なく、それからしばらく二人とも食べるのに専念する事になってしまった。

「もー、もうちょっとだったのに。」
「ま、鍛錬の差だよな。腕鈍ったんじゃないのか。」
 ヤックを出た後でいつものゲーセンで久しぶりに対戦して、それが一段落して外に出た
頃には大分日が傾いてきていた。
445恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 16/20:2007/09/22(土) 14:32:10 ID:nnAs1E8Z0
「そろそろ帰るか。」
「んー…最後にあそこに行ってみない?」
 あたしは、出来たばかりのツインビルを指差した。見上げると首が痛くなるような高い
ビルだ。
「この間、あの間の渡り廊下の開通式があったらしいわ。」
「ふーん。眺めはよさそうだな。」
「そうでしょ。…じゃ、競争よ。あたしはあっちから上るから、たかあきはそっち。
 用意どん!」
「うわっ、いきなりかよ。くそっ。」
 あたしは後れを取ったたかあきを差し置いてビルに飛び込んだ。

 中に入るとエレベーターをホールを目指す。でも上半分に向かうエレベーターは行った
ばかりでしばらく帰ってきそうに無い。
「もー、最悪。」
 たかあきならエレベーターに乗れないなら階段で上がるだろうからぼーっと待ってる
わけには行かない。
 仕方なく中層階用に乗って上がれるところまで上がってそこからは階段を駆け上った。

「はっ、はっ、はっ、」
 あたしが倒れ込みそうになりながら廊下に飛び込んだところで、誰かが私の体をしっか
りと受け止めた。
「お疲れ。」
 たかあきだった。たかあきは少しも疲れた顔なんかしていなかった。
「…なんでそんなに普通なのよ。」
446恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 17/20:2007/09/22(土) 14:35:17 ID:nnAs1E8Z0
「丁度エレベーターが来ててね。まあ、日ごろの行いの差だろ…」
「…むかつくわ。」
 あたしが膨れて見せると、それを見たたかあきは笑ってた。

 太陽が水平線にかかって、ゆっくりと沈んでいこうとしていた。
 あたしとたかあきは並んで立ったまま、その夕日を眺めていた。
「ねえ、たかあき。」
「なんだ?」
「あたし…たかあきに会うまで、将来の事なんて考えたことなかったんだ。」
「…夢とかは?」
「夢はいっぱいあった。…でも、おじいちゃんが自分の跡をあたしが継ぐと期待してて、
 その道に現実味が増してくると、あたしにはそれ以外の道が見えなくなって、あたし
 自身もその道を進むのが楽なんだってわかって、いつの間にかそれに自分を当てはめ
 ようとしてたの。」
 それは、周りが期待する「長瀬由真」のカタチ。
「…たかあきに出会って、ダニエル以外のものが見えたの。それまでのあたしは空っぽで、 ただおじいちゃんの言うままにダニエルを目指していただけの人形みたいなものだった
 けど、たかあきと喧嘩して、たかあきと笑って…たかあきに恋して、昔見た、かわいい
 お嫁さんになりたいって夢も思い出したわ。」
 そう言いながらあたしはたかあきの肩と自分の肩をくっつけて、ぴったりと寄り添う。
「ダニエルを目指すのをやめた訳じゃないの。でも、たかあきと出会えたおかげで、
 あたしの世界はぐんと広がった気がする…ありがとう、たかあき。」
「なんか、照れくさいな。」
 たかあきは赤い顔をしてそっぽを向いてた。だからあたしはたかあきの顔に両手を
添えて、あたしの方へとぐいっと捻じ曲げた。
「なっ、何するんだよ由真。」
447恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 18/20:2007/09/22(土) 14:37:12 ID:nnAs1E8Z0
「人が感謝の言葉を述べてるんだから、ちゃんとこっち見なさいっての。」
 そう言うと、かたあきは照れくさそうに笑ってくれた。

 気が付くとたかあきの顔が近い。…どきどきする。
「ゆ、由真…」
「たかあき…」
 たかあきの目があたしを金縛りにした。たかあきの瞳の中に、あたしの顔が映っていた。
「…好き…大好き。」
 普段のあたしじゃない、もう一人のあたしが素直にその言葉を口にした。
 それに導かれたように、たかあきの顔が近づいて、二人の距離が狭まる。
 あたしは目を閉じた。
 そして、あたしの唇に、たかあきの唇が触れた。
 夕日が最後の輝きであたしたちを照らし出した。

 どのくらいそうしていたのか。
 唇を離したときには夕日は水平線の下に隠れて、茜色を押しのけて紺色の空が落ちて
きていた。
「……」
「……」
 なんだか気まずい。
「…やっぱりあんたって、女たらしよね。愛佳にもそうやってキスしたんでしょ。」
「あー…その…つい…」
 たかあきが何か言い訳しようとして言葉に詰まっていた。
 でも、あたしはあたしで別のことを思っていて…
448恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 19/20:2007/09/22(土) 14:37:50 ID:nnAs1E8Z0
「今のが、ファーストキスだったら良かったのに…」
 昨日のはあたしから無理やりしたから…って、あれって良く考えたら協定違反よね。
「…昨日のはノーカウントでいいんじゃないのか。」
「だめ…そう言うごまかしみたいなのはあたしが気持ち悪いのよ。」
「…ふふふっ…そう言うところは由真らしいな。」
 貴明が笑う。なによ…笑わなくってもいいじゃないの。
「笑うな…」
「悪い悪い…じゃ、そろそろ帰るか。」
「うん。あたしもおじいちゃんが待ってるし…戻ろ、たかあきの家に。」
 すっかり夜の黒に染まった空を背にして、あたしとたかあきはツインビルを後にした。

                   −

「ふんふふ〜ん…髪の毛も良し。リップも良しっと。」
「相変わらず気合が入っているのねぇ…おめかしするのもいいけど、そろそろ学校に出かける時間じゃないの?」
「わかってるってばお母さん。」
「今日もあの小僧と待ち合わせかの?」
「そうよ…って、おじいちゃん?!」
 いつの間にか、後ろにおじいちゃんが立っていた。
「小僧によろしくの。…わしは何時でも由真を応援しておる。精一杯やって、後悔しない
 ようにの。」
「う、うん…ありがと。」
 まさか、おじいちゃんに応援されるとは思わなかったわ…
「まあ、おじいさまも認めてくださったみたいね。由真、がんばってたかあきくんを
 ゲットしないとね。」
449恋愛同盟5 恋せよ乙女! 後編 20/20:2007/09/22(土) 14:40:29 ID:nnAs1E8Z0
「う、うん…って、やばっ。いってきます!」
「いってらっしゃい。たかあきくん連れていらっしゃいな。母さん会いたいわ。」
「はいはい、考えとくわ。」

 家を飛び出してMTBを自転車置き場から引っ張り出すと素早く跨って力いっぱいペダル
を踏み込んだ。あっという間に加速して風を切って走り出す。

 昔のあたしは、自ら進んで周りを見ることをしなかった。でも今のあたしは、このMTBみたいに何処までもいける気がする。

 街中を素早く走り抜けると丘の上の学校が視界に入ってきた。そして、その上り坂の下
で待つたかあきたちの姿も見えた。

 たかあきはいつもどおりの顔。あたしはちょっと顔をあわせるのが恥ずかしかったけど、
でもあたしらしく、大きな声で挨拶した。

「おはよっ、たかあき!」
450物書き修行中:2007/09/22(土) 14:44:19 ID:nnAs1E8Z0
以上、第5話でした。長々とどうもすいません。
おまけに改行ミスの見落としあるし… orz
>>434さん支援サンクスです

前回と今回は一応自分の中でテーマを決めて書いていて、
「原作で出てくる複線や要素を押さえながら、原作とは違う切り口で書いてみる」
ということを意識して書いています。

その試みがうまく行ったかどうかは客観的な判断にゆだねたいと思いますが、
自分としては今回はちょっと苦しいかなぁという感じ。愛佳と優季がほとんど動いてないし。

次回のテーマはすでに決まっていまして、原作でもチラッと触れられていましたが
5月後半〜6月に起こる、とある行事で行きたいと思います。
451名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 14:46:05 ID:+xyz5r9m0
修学旅行か!
452名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 17:40:30 ID:bgpv8uMG0
雄二EDってオチか!?
453名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 17:51:41 ID:BGIpbYRx0
>>409
GJ。久しぶりにるーこSS読んだ気がするけど、るーこはかわいいよるーこw
文章も凄く読みやすくて内容も面白かったです。
忘れかけていたるーこ熱を思い出せて良かった。本当、ご馳走様です。

>>450
原作の要素を拾ってくような書き方は結構好きだし、読んでてそれほど苦しいものは
感じなかったので大丈夫だと思いますよ。サクサク楽しんで読めました。GJです。
強いて一つ言うなら、前編2で本題に入ったところで多少の状況説明がほしかったかも。
いきなり台詞で入ってきた小牧&草壁さんの存在がちょっとわかりにくいって言うか、
あ、二人も居たの?みたいな。口調や台詞のまわし方でわかるといえばわかるけど、
ここは地の文でのフォローがあった方が親切かな。
…なんて最近の流れに乗ってえらそうに批評してみたけど、修学旅行編期待してますw
454名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 18:32:03 ID:yxIMnTxy0
>>409
ひじょーによかった。
無駄に熱のこもった猫の描写が凄く良い。
455名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 18:52:57 ID:KFyFFt+w0
>409
GJ! >454の言うとおり、最初に猫の描写をうりゃーっとやって落とすので掴まれた
オチの照れ照れるーこも可愛いけど、途中ちょこっと貴明を褒めるとこもなかなか
あと俺は猫好き。ねこーねこー
>450
毎度GJ! これ書きながら合間で誕生日SSとかあげてるのか。器用だなあ
愛佳、由真ときて、次は本命の草壁さんですかね。戦いはこっからって感じかな?
しかしこの貴明は……正直ぶっこぉしたいぜ
456名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 19:17:49 ID:gCwtRRXs0
>>409
序盤をほぼ地の文だけで書き続けて、場面変化後は台詞をメインにすることで雰囲気の違いを演出できるし、
それが作品内で上手く作用している。
タイトルから見るとオチは簡単に予想できそうなものなのに、ギリギリまでオチをもってこないことで逆にラストを期待させる構成が上手い。
最後に貴明に台詞で答えさせないで一気に終わらせたのも、ラストが締まってて良い感じ。

るーこSSで一番難しいのはるーこのキャラや設定を活かした内容で話を考えることだと考えてるんだけど
(実際るーこSSが少ないのはこの作りづらさが影響しているのではないかと)
るーこらしさや設定をまるで損ねないで作れているのは素直に上手いと思った。


「――、」「〜〜。……」はやらない方が良い
――も……も、も。も文を区切ってるから二重に区切ってることになる。
句読点の後すぐに……を使うなら句読点自体がいらない。

……や――を使用したタメは多用しない方がいい。
演出としては有効だけど、使いすぎると陳腐に見える。
ラスト一行の使い方は上手い。言葉で返せなかったっていう間も表現出来るので、タメが凄く活きてる。

>俺は緊張が一気に抜けたのと、猫ダイブのダメージで、多少よろめきながらも立ち上がる。
ニュアンスでは伝わるけど、文章としては意味は伝わらない。
他にもこういったフィーリング文章があるので、もう少し意識してみるともっとよくなると思う。
457名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 19:48:20 ID:KFyFFt+w0
>456
……に頼りがちになるのは、俺も書いてて苦しむとこだな
書き手が読む速度を決められないという文章の泣き所で悩ましい

フィーリング優先で文章を崩すのは、俺は好きだからむしろどんどん使って欲しいが、
日本語としてはおかしいという自覚を持って使う必要はあるだろうね

でも、その例は意味が伝わらない文章だろうか?
「緊張が一気に抜けた」「猫ダイブのダメージ」はよろめく理由だから、読点は、
<俺は、緊張が一気に抜けたのと猫ダイブのダメージで多少よろめきながらも、立ち上がる。>
が正しいんだろうけど、(たぶんリズムを考えて)読点をずらしたのがフィーリング?
458名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 20:36:34 ID:nnAs1E8Z0
>>457
>>456さんはニュアンスでは伝わるけど、文章としては意味は伝わらないといっているので
文章としては正しくないということでは?
 句点位置は書いた本人次第の意図次第だけど、この場合文章としては
<俺は、一気に緊張が解けたのと猫ダイブのダメージで、多少よろめきながら立ち上がる>
 という感じじゃないかと思われ
459見習い氷:2007/09/22(土) 21:24:48 ID:n+AeZLAAO
>>409>>450
乙&GJ
恋愛同盟由真編、楽しめる内容でした。
参考にさせていただきます。


改めまして401です。
番号だと紛らわしくなるので一応「見習い氷」とさせていただきます。
誠に勝手ですが、ご理解の程お願いします。

現在手直し中の2作目。
明日の夜に投稿予定です。
本当は今日でもよかったのですが、2作も投稿されてますし、自重します。
…由真SSなのですが、恋愛同盟後に載せれる内容ではございませんw
なので、明日の夜あたりに投稿するつもりです。
460名無しさんだよもん:2007/09/22(土) 22:45:12 ID:gCwtRRXs0
>>457
意味は通じるよ。
フィーリング文章の例をあげるなら「頭痛が痛い」とかかな。
これは極端な例だけども、助詞を正しく使えていなかったりして
部分的に見ていったら意味はわかるんだけど、全体でみると文章の通りに伝わってこない文章とか
感覚で伝えようとしちゃってる文章のことを、俺はフィーリング文章ってよんでる。
その文章は、多分だけど一気に詰め込みすぎてるんだよね。

そのままだと、俺には現在進行形で猫ダイブのダメージを食らったように見えてしまうんだな。
「緊張が解けてバランスを崩したところへ、猫ダイブを食らってよろめいたけど踏ん張って立ち上がった」
そのままの文章で読んだらこう見える。実際はそうじゃないって読んでいれば分かるけど。

基本的な対策は、分けるか、いっかいまとめるかかな。
 俺は、一気に緊張が解けてへたり込む。
 すぐも起き上がろうとしたが、猫ダイブのダメージが抜けきっておらずよろめいてしまった。
とか
 俺は一気に緊張が解けたのと、猫ダイブのダメージで、すぐに起き上がることが出来なかったが、
 多少よろめきながらもなんとか立ち上がる。
とかかな。 
これが正解ってわけじゃないけど、その文章を崩さずに書くのなら、俺はこうする。
まあ俺は物書きでも文章に携わってる人間でもなから、変な部分はあるかもしれないが。
461物書き修行中:2007/09/22(土) 23:11:29 ID:nnAs1E8Z0
>>409
さっき〆の書き込みしたときに書き忘れてしまったので、まずは乙
漏れもるーこのエッセンスが上手に使われてるSSと感じました
るーこを愛しているんでつね…ヽ( ´ー)ノ
漏れもこの間誕生日フルコンプを目指す旨発言してしまったので、いずれるーこにも
手を付けなければならんのですが、るーこはキャラが独特でかなり扱いに困るので
今からガクブル物だったりしてどうした物やら…

>>459
2本もというか、漏れが一人で馬鹿でかいものを上げてしまっている感があるので
面目ないです。
でも見直しは大事ですよ。2日もかけて見直ししたのに誤字と改行ミスが…orz
それに>>453氏の指摘どおり、改めて読み直すとわかりづらい部分が…
まだまだ客観的視点で読み直す作業が出来てないお…

>>455
たしかに平行で書いていたのですが、由真とこのみの誕生日SSを書いてたあたりは
かなり詰まってたので、目先が変わっていい気分転換になりましたよ
それに由真SSについては由真のキャラクターを再確認する習作ともなったので
良かったかなと
462409:2007/09/22(土) 23:31:42 ID:sWisZXe50
えーと、なんか盛り上がっているので、ちょいとくちばしを挟んでみよう。当事者だけど。
の前に、まずは読んでくれた人達、レスくれた人達に感謝を。
やっぱるーこSSって少な目なのかな。
実は俺、あんまり人のSS読んだり、サイト巡りしたりしないから疎いんだけど。

さて、フィーリングと言われたが。それはそれでまったくもって外れてない。俺は感覚とリズム重視型の書き手だから。
だから「これで通じる」と判断したところは、文法を無視するケースもある。言葉を削るのは日常茶飯事だ。
例に挙がった部分では、「ニュアンスで伝わってるならそれでいいや」と、判断してしまう。
これはもう、ごめん、気にしないでとしか言えない。
ただ、今回指摘された点に関しては、ちょっとその解釈は、俺の中にはないなぁと思った。
ダイブのダメージ自体は、現在進行形で、貴明の中に残っているのだから。動詞と名詞の違いかな。
詰め込み過ぎといわれたらその通りだけど。うーん、でもこれ一動作だから、まとめたいんだよなぁ。
悩む。

さて三点リーダーについて。
色々と取りざたされることの多い彼だけど、今回、多用という面に関しては、ちょっと多かったかもしれない。
けれど、用法としては、変えられない。
>「〜〜。……」 ←特にこれ。
句読点は区切りだけれど、三点リーダーやダッシュは息づかいであり、間合いだ。これは明らかに役割が違う。
ピリオドと休符記号の差だね、これは。
念のため、多少、周りの小説などを調べてみたが、「――、」も含めて(これは句点の方が一般的なようだが)、プロも普通に使っているし。

実の所、演出面とかはほとんど考えず、ただ、この時こういう風に言っているから、ここに間合いを挟むんだ。って感じで使っている。
俺にとって、あれは実際にキャラが喋ったセリフの空白を、文字で描いているだけにすぎない。
だから、多用という面に関しても、必要とあらば俺はいくらでも入れてしまうと思う。
先も言ったように、リズム重視であることもあって。
あと、今回は貴明一人称であることも、多めに目に付く原因の一つだと思うが。

色々細かく読み込んで批評してくれているのに、ほんと申し訳ないが、
俺はスタイルをほとんど変えずに、このまま突き進んでしまうと思う。
すまぬ。
ではまた。
463名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 02:24:04 ID:JfLANr1u0
>>409
>>462
遅ればせながらGJだった
久し振りにるーこSS読んだけど、展開の仕方がうまいな
ちゃんと話全体が一つのストーリーに沿って進んでるというか

自分も小説書く人間として言わせると、「――、……」みたいな書き方って自分なりのルールがあるんだよね
俺も演出云々よりも、「この間は“――”で、こっちは“……”かな」みたいな感じで使ってる部分あるし
俺はとくに気にならなかったけど、ダッシュとか三点リーダ多用する人はリズムとかそういう意味合いで使ってる場合が多い
演出的な意味で使われてる場合とじゃ使い方が違うから、その辺はその人の味なんだろうな、って思う
実際、俺は気になるほど多用されてるとは思わなかったし。むしろ一人称ならこんなもんだと思うけど
まあ、読者のみんながみんなこう受け取るわけじゃないだろうから注意すべきなのかもしれないけど
うまく伝わらなかった部分は、読点の位置をいじったり、語順を変えてみたり、言葉を増やしたり、色々やりようはあると思う

まあ、なんにしろ一番優先されるべきは面白いかどうかなんで、そういう意味では十分いい作品
次回作も期待してます
464名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 07:02:11 ID:8/a6pbEh0
長文レスうざ
465名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 08:51:59 ID:tqIUb7hc0
>462
読んでてそう思った人がいる、っていう事だけだから
自分のスタンスを持っているならそれを大事にするのが良いし当然だろうさ

……が多くなると気になるってのは一般論ではあるけど、
(広く言えば……に限らず、同じ語尾やフレーズや言い回しの反復って事だよね)
今回のSSでそんなに多いかってと俺はそうでもない気がするし

今のスタイル全然OK。次回作も期待してまつ
466名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 10:46:03 ID:Z/Qe/eyo0
460だけど
>>462
俺は……と――を多用したりするとリズムが悪く感じるし、実際リズムが悪くなるほど多いと感じたのね。
間を意識してるのは読んでて分かったんだけど……や――は多いとリズムを壊すことにしかならないと思ったのでこう書いた。
考えがあってやってるってならそれでいいよ。

「――、」についてはすまない。こっちの勘違い。ただ一般的なのは「――。」だったと思う。
「〜〜。……」とやりたいなら改行すればいいと思うけど、ま、表現の方法だというならそれまで。
俺は文章として見るならそういう風にした方が綺麗だと思うけど。
文章的な綺麗さよりも表現したい描写を重んじるっていうならそれでも別に良いよ。
個人的には文章の書式的な綺麗さにもこだわって欲しいとは思うけど、強制するつもりはないし。
このレベルのストーリーの構築ができるなら、あとは文章を突き詰めていくのがいいかなって思ったので
あえて文章にだけいろいろと突っ込んでみたんだけど、大きなお世話だったみたいね。
引き続き頑張って。
467罰ゲーム1/10:2007/09/23(日) 20:33:51 ID:NF8jtYO40
「こ、こちら、お飲物です」
「『ご主人様』が足りてないんじゃないかね?」
「くっ!…わ、わたしがこんなこと…」
「二言はないんだろう?」
「…ご主人様、お飲物です」
「心がこもってないな。やり直しだ」
「ご主人様、お飲物でございます」
「はっはっはっ。くるしゅうない、くるしゅうない」
 とある休日の一コマ。
 由真がメイド服で雄二に奉仕している。
「もう!どうしてこうなるのよー!」
 …自業自得だ。
「そこ!うるさいよ!」

 ツインタワービルでの一件から、俺と由真は付き合っている。
 付き合っても、付き合う前とやることは特段かわってない。
 ただ、付き合ってきてから、由真はよくこっちのクラスに遊びにくるようになり、
 同じクラスメイトである雄二とは、ゲーマー(?)同士の会話がよく飛び交っていたのを見ていた。
 そして、いま、俺と雄二と由真の3人でゲームセンターに来ている。
 雄二と由真のどちらが強いのかどうか確かめたいそうだ。
「さて、お手並み拝見といきましょうか」
「俺、このゲームやりこんでるから自信あるぜ」
「ふぅん。そんな自信、簡単にへし折ってあげるわ!」
 こうして2人の熱い戦いが始まった。
468罰ゲーム2/10:2007/09/23(日) 20:36:41 ID:NF8jtYO40
「お、おかしいわよ!」
「あら?どうしたのかな〜?」
「く、くそぅ…」
 結果、由真の惨敗。
「嘘だっ!」
「おいおい、あんまり騒ぐなよ。ほかの客に迷惑…」
「こんな程度か?全然本気出してないぜ」
「こ、これで勝ったと思うなよ〜!」
 そう言い放った由真は凄い勢いで台を離れ、札を崩して100円玉に変えて戻ってきた。
「おい雄二。由真は単純だから挑発すると後で面倒なことになるぞ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。圧倒的差で勝ち続ければすぐに落ち着くって」
「そうかなぁ…」
 心配する俺を横目に由真と戦い続ける雄二。
 反対の由真側を見ると、台の上には100円玉の山。
 …連コインはマナー違反だぞ、由真。

「あのキャラのコンボ、威力高すぎない?」
「一応パワーキャラだしな。それにそっちが女キャラだから、HP少ないし」
「えっ!そうだったの!?」
「下手すりゃ3ゲージ使ったコンボで8割削るからな」
 由真は負けに負け、あの100円玉の山を使いきったところで諦めたらしい。
 今は相手の雄二からアドバイスや指導を受けている。
「ふぅん…なるほどね」
「おーい。これからどうするか?」 
 何もしてなかった俺が2人に尋ねる。

「負けたままで終わるのも気分が悪いわね…」
「おっ、やる気だな」
「そうね…ホッケーで勝負しましょうか!」
469罰ゲーム3/10:2007/09/23(日) 20:40:11 ID:NF8jtYO40
 やる気満々の2人。すっかり意気投合している。
 ホッケーはてっきり由真と雄二のタイマンで勝負するのかと思っていたのだが…
「俺は一人で。なんなら十波と貴明でやってもいいぜ?」
「援軍有りとは、随分余裕じゃない!」
「おいおい…」
「たかあき、やるわよ!雄二なんかケチョンケチョンよ!」
 巻き込まれてしまった。
「そうだ!負けたら罰ゲームね!」
「げっ」
「望むところだぜ!」
「お、おい…由真」
「いくわよ!」
 こうして罰ゲームを賭けたホッケー対決の幕を開けた。
「ちょっと!邪魔しないでよ!」
「あ、すぐ打ち返すなってば!」
「あらあら夫婦ゲンカですか?」
「「うるさい!」」
 あっという間に点差が開いていく。
「そんなんじゃ」
 カシャーン
「俺には」
 カシャーン
「勝てないぜ!」
 カシャーン

 ピピーッ
470罰ゲーム4/10:2007/09/23(日) 20:41:50 ID:NF8jtYO40
 ホッケー対決は雄二の圧勝。
 由真と俺のチームワークは最悪だった。
 由真はただ闇雲に打ち返すだけなのに対し、雄二は止めて的確に2人の間を狙ってくる。
 それに1人のほうが事故らないし、即席となればなおさらのこと。
 俺と由真はお見合いやぶつかったりと、醜態を晒していた。
 ここは雄二が由真の性格を掴んで、口車に乗せて試合を組ませた雄二の策略だったのだ。
「さて、罰ゲームだが…」
「言った以上、二言はないわ」
「潔いじゃないか…よし!決めた。」
 雄二のことだから何を言い出すかわからない。
 下手したらあんなこと(ピー)や、こんなこと(ピー)とか
 …少し由真の身が心配になってきた。
「よし!明日、貴明の家に来てくれ」
「「え?」」
「おい雄二。なに考えてるんだ?」
「いいからいいから。変なことはしないからよ」
 …ニタニタ笑いながら話すのはやめようぜ、雄二。
「わかったわ。こうなった以上、なんでもやってやるわ!」
「それなら話は早い。んじゃ、さらば、お二人さん〜」
「お、おい」
 言うやいなや店から出ていく雄二。
「まったく…勝手に決めやがって」
「負けたんだものしょうがないわ。明日の罰ゲームはどうなるのかな?」
「わからんな…」
471名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 20:42:07 ID:MXB/VbsN0
支援
472罰ゲーム5/10:2007/09/23(日) 20:44:12 ID:NF8jtYO40
 …そして現在に至る。
「二言はないと言うんじゃなかったわ!」
「いまさらそんなこと言っても遅いぜ?」
 由真は上目遣いでこちらに懇願してくる。
「たかあき〜どうにかして〜」
「自分で言った罰ゲームだし…我慢してくれ」
 そう言うほかなかった。
 罰ゲームは雄二持参のメイド服に着替えてのメイドごっこ。
 雄二は病気と言ってもいいほどのメイド好きである。
 (…いや、オタク?マニア?まぁどちらでもいいが。)
 衣装等も少ないながらも数点は持ってるほどのメイドマニアなのである。
 まったく…いったいどこから手に入れたのやら。
「こんなかわいいメイドがいるなんて…幸せだ。くうぅっ」
 由真のメイド姿を見て、あまりの感動に泣いている雄二。
 そこまでメイドというものはおまえの心を動かすほどなのか。
 そう思いながらメイド姿の由真の方に目を向ける。
 由真の格好はメイドの定番ともいえる白黒を貴重としたもの。
 スカートの先には白いフリルもこしらえてあり、頭には白いカチューシャ。黒いニーソックス。
 よくある典型的なメイドの格好だった。
「ち、ちょっと、こっち見すぎよ」
「あ、あぁ悪い。こういった姿の由真は初めてだからつい」
「は、恥かしいから、あんまりこっち見ないでよね!」
 雄二…なんとなくだが、わかる気がするぞ。
 たまにはこんな由真も悪くないと思っていた。
473罰ゲーム6/10:2007/09/23(日) 20:46:29 ID:NF8jtYO40
「じゃあ次はマッサージしてもらおうかな。肩だけでいいや」
「わかりました。ご主人様」
 …ヤケになったのか、マジメになったのか。
 さっきの態度とはうって変わり、文句を一言も出さずに雄二の肩を揉んでいる由真。
「いかがですか?」
「おじちゃん、感激しすぎて死にそう」
「ありがとうございます」
「お、おいおい…」
 由真に肩を揉まれている雄二を見ている俺。
 なんとなく雄二がうらやましく思えていた。
「あ〜気持ちよかった」
「それはよかったです、ご主人様」
「おい、雄二。そろそろやめといたら…」
「じゃあ次は耳そうじをしてもらおうかな」
「かしこまりました、ご主人様」
「雄二…」
 聞く耳を持たない雄二に少しイラッときた。
 いや、雄二だけじゃない。
 あれだけ嫌がっていたのに、今では板に付いたように奉仕している由真に対してもイラついていた。
 もはや俺と由真の関係が彼女・彼氏の関係ではないように感じる。
 雄二と由真がまさにその関係のように見えていた。
474罰ゲーム7/10:2007/09/23(日) 20:50:19 ID:NF8jtYO40
「あぁ〜いいねそこ。気持ちいいよ」
 そんな気分になっている俺を余所に、いつのまにか雄二は由真に膝枕してもらっている。
 さらに由真に耳掃除をしてもらっている。
(俺もまだしてもらったことないのに…。)

 ―ドクン

 心臓の音が一瞬だけはっきりと聞こえた。
 心の奥からじわじわ沸いてくるこの気持ち。
 知っている。
 雄二に向けられている感情は嫉妬であると。
 わかっている。
 雄二を憎みはじめていることを。
 自分は由真が他の人に奉仕をしているのを見ているだけ。
 まるで我慢大会のような生殺し状態であった。
 雄二は由真を自分の好きなようにしている。
 由真はどう思っているかしらないが。
 ただ、雄二の行為は、俺に不満を募らせていた。
475罰ゲーム8/10:2007/09/23(日) 20:51:40 ID:NF8jtYO40
「あれ?」
「…」
 そう思っていた矢先、由真は雄二の変化に気づく。
 雄二は由真の膝の上で気持ちよさそうに寝ていた。
「そうとう気持ちよかったのかな?」
「さぁね」
 少し不機嫌そうな声を隠すことなく返事をする。
「ま、いいや。寝かせておきましょ」
 雄二をソファーに寝かせ、由真がこっちにくる。
「どう?この格好?」
「別に」
「たまにはこういったのも悪くはないわね」
「そうか」
 そんな俺の冷たい態度を見て不満に思ったのか、由真は近くに寄ってくる。
「もしかして…嫉妬してた?」
 
 ―ドキッ

「し、してないよ」
「顔真っ赤だよ?」
 確かに俺は図星を突かれて、顔を真っ赤にしていた。
476罰ゲーム9/10:2007/09/23(日) 20:54:49 ID:NF8jtYO40
「だって…」
「ん?」
「目の前で付き合っている人が、他の人とイチャイチャしていてるのを見ていたら…」
「え?」
「…あっ」
 本音を漏らしていることに気づいた頃にはすでに遅かった。
 心の中で思っていたことを知らずのうちに、言葉としていた。
 しょうがない…ここは…。
「俺には我慢できなかった。だからやきもちを焼いていたみたいだ」
「え?あ、うん」
 いきなりの言動に困惑した表情を浮かべる由真。
 しかし、その表情は笑顔に変わる。
「そっか…へぇー。たかあきにもかわいいところあんじゃん」
「か、かわいいいうな」
「はいはい。よしよし〜」
 由真に頭をなでられている。
 でもそれは不思議と嫌ではなく、まるでお母さんにされているような。
 もっとしてほしい。
 俺をそんな気分にさせた。
477罰ゲーム10/10:2007/09/23(日) 20:56:52 ID:NF8jtYO40
「せっかくだし、たかあきにもしてやるか」
「ん?」
「ほら、こっちこっち」
 自分の膝を叩いている。手には耳掻き。
 少し躊躇もしたが、雄二は寝ているし、誰も見ていないことだから素直に横になった。
 由真のふとももは柔らかくて、温かかくて…耳掃除との相乗効果でとても気持ちよかった。
「どう?」
「ああ。気持ちいいよ」
「そう。よかった」
 いつもは些細なことでケンカしたり、対決したり、バカ騒ぎする仲。
 そんな喧噪の中ではわからない由真の優しさに触れて、俺はとても嬉しくなった。
「由真」
「どうしたの?」
「さっきはその…冷たく言って悪かったな」
「いいわよ。気にしてないし」
「その…に、似合ってるぞ」
「あ、ありがとう…」
 思わぬ一言に由真も戸惑いを隠せないようだ。
 由真に背を向けているが、きっとそうだろうと思う。
「そ、そうね。さっきは冷たくあたられたから、お詫びに何かしてもらおうかな」
「…さっき気にしてないっていっただろうが!っ!」
 反論するために上を向いた次の瞬間。
 由真の顔が目の前にあった。
 そして唇には湿った肉感。
 あぁ。キスしてるんだな。そうわかったのは唇が離れてからだった。
「こ、これでチャラね」
 俺がどれだけ落ち込んでいても、由真は俺を慰めてくれる。
 それは今、この瞬間だけじゃない。
 これからもずっとそうしてくれるだろう。
 改めて俺にとって、由真は大切な存在なんだなぁと感じた。
478名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 20:57:18 ID:MFTmxN8T0
479見習い氷:2007/09/23(日) 21:06:46 ID:NF8jtYO40
>>471
支援どうもです。

>>478
乙であります。

氷です。
今回は由真SSとさせていただきましたが…。
まったく自信がございませんw

ゲーセンでは高校生が初っ端ホッケーで遊ぶってのは微妙と思ったので雄二を戦わせました。
ちょっと長かった気もします。
メイド罰ゲーム後も少し雄二が多かったかも…。
たまには雄二にもいい思いを…ということで。
そのせいで肝心の貴明の出番が少ないように感じましたが、嫉妬→キスで威力倍増!
…ないですね。

一応文法等にも気をつけましたが、誤字&脱字ありましたらすいません。

ちなみに試験的に全キャラのSSを書くつもりです。
るーことか黄色い子とか双子とか…厳しいかもw
480名無しさんだよもん:2007/09/23(日) 22:05:14 ID:zrKBc2/R0
>479
乙! どんどん書いてくれたら読む側も嬉しい

読んでて、いっそ雄二×由真というのも面白そうだと思った
雄二に嫉妬する貴明も可愛いが(雄二も半分狙ってやってる……、いや、素か)
そういや由真シナリオの貴明って、結構積極的で、少し雄二に近い気がするかな?
個人的にはラストのキスで照れさせた方が落ち着くかな、という気もしたけど、
こういう、由真SSらしからぬ静かな終わり方もいいかもね。あ、照れてはいるなw
481物書き修行中:2007/09/24(月) 01:27:30 ID:DQQPXfyz0
>>451-452
回答編をどうぞ↓
482恋愛同盟5.5 次回予告 1/3:2007/09/24(月) 01:28:25 ID:DQQPXfyz0











    恋愛同盟 第5.5話  次回予告













483恋愛同盟5.5 次回予告 2/3:2007/09/24(月) 01:30:18 ID:DQQPXfyz0

北へ向かう寝台列車からー人の少年が姿を消した。

「いったいどうやって走行中の列車から姿を消したんだ!」
 親友を探し、高校生探偵・向坂雄二が奔る。

 行く先々で次々におそわれ、死んでいく女子高生たち。
「これで勝ったと…思うなよ…がくっ」
「きゅぅ…」

 少女に隠された秘密とは?
「女の子には秘密がいっぱいって言うでしょ。」

 そしてその背後に浮かび上がる、少年を巡る愛憎劇とは?
 巧妙に仕組まれた時刻表トリックから浮かび上がる犯人は一体誰か?

「貴明を殺したのは…あんただ。」
 向坂雄二の桃色の脳細胞が冴え渡る。

 そして北の大地で繰り広げられた殺人劇の結末は…

「メイド萌え探偵向坂雄二の事件簿 〜寝台特急「北斗星」殺人行・消えた親友〜
 最果ての地で見た女子高生の秘密 東京−札幌−旭川殺人ルート 犯人はヤス!」

 ご期待下さい。
484恋愛同盟5.5 次回予告 3/3:2007/09/24(月) 01:36:10 ID:DQQPXfyz0

                   −

「…なんて感じだと、面白いと思いません?」
 ニコニコしながらトンデモ発言をぶちかました優季に、みんな呆気に取られていた。
「…いや、俺殺されるの?それに犯人はヤスってタイトルでばらしてるし…っていうか、
 ヤスって誰?…ああもう、何処から突っ込んだらいいのか…」
「何であたしも死ぬのよ…」
「いや、俺を主人公に選んだ優季ちゃんはさすが目が高いぜ。ついでにどう?貴明から
 俺に乗り換えてみない?」
「ミステリーより、ミステリなんよ。北海道といえばUMAの宝庫、クッシーにトッシー
 に支笏湖の巨大魚なんよ。タイトルは『笹森花梨探検隊シリーズ「恐竜か怪魚か!?
 幻の巨大魚を北の大地に追え!」』」
「むっき〜」
 ぽむぽむぽむ!
 机を叩く音でみんながマジ泣き寸前の愛佳に注目した。
「もー、みんなまじめに相談してよぉ。行動予定表が提出できないと自由行動なくなっ
 ちゃうよ。」
「「「「「はーい」」」」」

 季節は春から夏へと移り変わろうとしている。
 俺たちは修学旅行を目の前にして準備に余念が無かった。
 そして、俺たちの心はすでに北の大地への期待ではちきれんばかりに膨らんでいた。

 出発が待ち遠しかった。
485物書き修行中:2007/09/24(月) 01:47:14 ID:DQQPXfyz0

毎度おなじみシャレ閑話ですが、次回は修学旅行をテーマにする予定です
何か新しい人も増えてますが、まあそれは本編を読んでのお楽しみということで

>>479
乙です
良かったと思いますが、一つだけ
冒頭で、由真が「わたし」といっているのは「あたし」としたほうが良いと思います。
るーこなどは一人称の自分の呼び名が独特なので別ですが、細かいことですが読者に
対して「あたし」「わたし」「私」のキャラクターの印象の差は意外に大きいので、
出来るだけ原作に忠実なほうがいいと思います。

テンプレにも在るんですが、以下が参考になるかと思います
ttp://botan.sakura.ne.jp/~siori/hth/leaf/th2rel2.html
486物書き修行中:2007/09/24(月) 01:54:35 ID:DQQPXfyz0
↑とかいいつつ、漏れも結構間違ってますなw
487見習い氷:2007/09/24(月) 07:02:25 ID:3V4EAmjWO
>>480
乙です。
出来るだけ多く書くよう努めますが、すでにネタ詰まりw
誰にしよう…。

>>485
乙です。
閑話期待してます。

一人称の呼び方間違ってましたね。すいません。
昨日、原作やろうと思ったらいつの間にか無くなってまして…。
キャラ設定なんかが脳内設定になってます。
原作と違う部分が多々あると思いますが、サイト等巡って正しい設定・知識を身につけなければなりませんね。
488学食に行こう第六話 1/15:2007/09/24(月) 10:58:37 ID:xFypqwo20
「……という訳」
久寿川先輩達に俺が女装するに至った経緯を一通り説明すると、最初こそ皆驚き半分、呆れ半分
といった表情を浮かべていたが、結局まーりゃん先輩のすることだからと得心したみたいだ。
「はあ、そういうこと。河野さんも災難だったわね」
溜息をつく久寿川先輩。その表情には同じ苦労を分かち合う同士への憐憫の情が感じられる。
「まあ、そういった経緯はいいとして……タカ坊、さっきはよくも私達を騙してくれたわね」
……どうやらタマ姉は、さっきのドッキリにご立腹のご様子。ひょっとしたら事情を話せば笑って済ませて
くれるんじゃないかという思惑は、ととみ屋のカステラ以上に甘かったらしい。
「え、えーと、言うまでもないと思うけど、さっきのドッキリの企画立案は……」
まーりゃん先輩だから、と言葉を続けようとして、その先輩がこつ然と部屋から消えていることに気付く。
「……あの、まーりゃん先輩は?」
「まーりゃん先輩だったら、さっきタカくんが説明してた最中、部屋から出て行ったけど」
……に、逃げやがりましたか。あの先輩。
「まあ、主犯がまーりゃん先輩だったしても、タカ坊がその片棒を担いだのは事実でしょう?」
「い、いや、さっきのはドッキリと言いつつも、実際は逆ドッキリみたいなものだったから、むしろ俺は被害者……」
「問答無用。タカ坊、覚悟できてるわね」
「ひ、ひえぇっ」
捕食者の目に変貌したタマ姉を見て、すぐさま回れ右して逃げようとしたものの、襟首を掴まれ即捕獲される。
「さーて、どうしてくれようかしら? 頬をつねるのも飽きたことだし、タカ坊もそろそろ雄二を見習って
アイアンクロー辺りにステップアップしてみる?」
「た、環お姉様、そ、それは勘弁……」
つうかそんなことされたら、耐性のついた雄二と違って常人の俺は確実に死ねる。
そんな、捕獲された小動物のように震える俺を見つめていたタマ姉だったが、突然その表情がふっ、と和らぐ。
「……なーんて、冗談よ、冗談。今回のところはタカ坊の可愛さに免じて許してあげる。
ん〜、子供の頃に女装させて遊んだ事あるけど、今だにこれだけの変貌を遂げるだなんて盲点だったわ。
『男子三日会わざれば刮目して見よ』とはよく言ったものね」
489学食に行こう第六話 2/15:2007/09/24(月) 11:03:08 ID:xFypqwo20
……いや、それ使い方が微妙におかしい上に、女装した相手に言う台詞じゃないような。
まあ、何はともあれ学園内での猟奇殺人事件発生という、最悪の事態は回避出来たみたいだ。
「あ〜もう、可愛い♪ 本当、こんな面白いことに気付かせてくれたまーりゃん先輩には逆に感謝しないと」
スリスリと頬をすり寄せて俺を抱きしめるタマ姉。や、やば、このパターンは……
ぎゅ〜
「や、やっぱ…り、た、タマ姉……ぐ、苦し……ぐえ」
いつもながら万力を彷彿させるタマ姉の抱擁。しかも今回に至っては何故か普段より出力が増しているようで、
すぐさま意識が遠のいていく。……ああ、ゲンジ丸、僕、眠くなってきたよ……
「……あの、向坂さん。河野さんの顔が紫色になってるのでその位で」
「え!? た、タカ坊、大丈夫? しっかりしなさい!」
「げほっ、げほっ……し、死ぬかと思った」
「そこまできつく抱きしめてないじゃない。全く、大袈裟なんだからタカ坊は」
……いや、さっきのは冗談抜きにヤバかったんですけど。
「あ、あはは。……けど、タカくん本当に女装が似合うよね。全然気づかなかったよ」
「いや、こっちとしては即座にバレると思ったんだけどな。むしろ十年来の付き合いの幼馴染が、実は俺の顔をろくに
覚えてなかったと知って、逆にショックを受けたくらいだし」
「うっ……え、えへ〜」
……笑って誤魔化したな。
「くそーっ、ショックなのはこっちの方だっつーの! あぁあああっ、よりにもよって初恋の相手がお前だったなんて
悪夢そのものじゃねーか!」
頭をワシャワシャと掻き毟る雄二。……ああ、そういえばこっちの問題も残っていたか。
「そう言えばそんな事言ってたわね。雄二、その話詳しく聞かせてもらえる?」
「あん? 詳しくも何も、ほぼそのまんまの話だよ。さっきの姉貴の話からすると、貴明の事を女装させて遊んでたみたいだし、
でっかいリボンのついた白い帽子と白いワンピースの格好にしたって、確か姉貴があんな服持ってた気がするしで、
もろビンゴじゃねーか!」
「ふーん? そう」
なにやら考え込むタマ姉。その様子だと当時の事を思い出したみたいだけど……
490学食に行こう第六話 3/15:2007/09/24(月) 11:06:57 ID:xFypqwo20
「いいえ、タカ坊を女装させたことはあったけど、そんな服を着せた記憶はないわね。……タカ坊も、さっきのは雄二に
釣られて話を合わせただけなんでしょ?」
「へ? いや、それは……あだだだだ」
違うと言おうとしたら、雄二から死角になる部分を思いっきりつねられる。これは話を合わせろって事なのか?
「そ、そうそう。暫く前、公園にわざわざ寄ってその話聞かされたことがあったろ? だから大まかな話は知ってたからつい。
悪いな雄二」
「……そうか、貴明じゃなかったのか。じゃあ、あの娘は実在するんだな。……よ、良かった、本当に良かった……」
感動に浸って一人さめざめと泣いている雄二を尻目に、不可解な行動をとったタマ姉に小声で話しかける。
「タマ姉、一体何を企んでるのさ?」
「別に、何も企んでないけど」
「いや、これだけ思わせぶりな行動とっておいて、何もない訳ないだろ」
「……初恋の思い出は、綺麗な方がいいじゃない」
「えっ、タマ姉、何か言った?」
「何でもないわよ。はい、この話はこれでおしまい」
早々と話題を打ち切るタマ姉。その前に何か呟いていたみたいだけど、生憎と声が小さくて聞き取れなかった。
……けどその際、タマ姉が一瞬浮かべた悲しげな表情に、何故か胸の奥がチクリと痛んだ。

「まあ、たかりゃんは悪いと思ったなら、後でゆーりゃんにメイド姿でも披露してあげれば?」
「……突然消えたかと思えば一体いつの間に湧いて出たんですか? ていうか俺を置きざりにして何処に行ってたんです
まーりゃん先輩!」
真っ先にトンズラしておいて、普通だったら一体どの面下げて戻って来たといったところだが、あいにくと相手は普通という
言葉と最も縁遠いまーりゃん先輩。案の定その表情にはなんら悪びれた様子もなかったりする。
「いや〜あちしも色々と忙しくてさ。それにこれまでの経緯を説明するだけだったら、たかりゃん一人でも充分でしょ?
わざわざ二人揃って若い命を散らす必要も無いだろうし」
「……その理屈だと、むしろ主犯のまーりゃん先輩が率先して責務を負うべきだと思うんですけど」
「だって、あたしよりたかりゃんを生贄に捧げた方がたまちゃんも喜ぶじゃん」
「まあ、確かにそうね」
491学食に行こう第六話 4/15:2007/09/24(月) 11:10:10 ID:xFypqwo20
「そういう問題じゃありません! あとタマ姉も納得しない!……大体忙しいとかいっても、実際のところは
ほとぼりが冷めるまで暇潰してただけでしょう?」
「うむ、その通りだ。はっはっは、って、ああうぅ〜」
そんなたわけたことをぬかす先輩に、遠慮なくこめかみをグリグリしてやる。
「あぁん、たかりゃん……そこ、そこは駄目……あっ、あっ」
「こめかみを圧迫してるのに、なんでアヘ声を出してるんですか!」
それを聞いてるこっちのほうが恥ずかしくなって慌てて手を離す。この人の感覚神経はどういう繋がり方をしてるんだ?
「ふっ、その程度のことで責めを中断するだなんて、あい変わらず素人童貞な反応だな、たかりゃんは」
「どんな反応ですかそれは! それにその、さも玄人さんには経験があるみたいな言い方はやめて下さい!」
「ちぇ〜。それにしても最近たかりゃん怒りっぽいぞ。ちゃんとカルシウムとってる?」
「先輩がそうさせてるんでしょうが!」
ぜぇ、ぜぇ……つ、疲れる。この先輩の相手は本当に疲れる。というより、もういい加減この先輩はグーで殴ってもいい気がする。
「で、たかりゃん。他にも何か言いたそうだったけど?」
「……いや、もういいです」
「そう? じゃあ話を戻すけど、ゆーりゃん、さっきのナイスアイディアだと思わない?」
さっきの……って俺のメイド姿云々言ってたやつか?
「いや、いくら雄二がメイドフェチとはいえ、俺のメイド姿なんて見たって嬉しくもなんとも無いだろう?」
「まあそうだな。こいつのメイド姿なんて見てもちっとも嬉しく……」
……なぜに言いよどむ? しかも顔を逸らした雄二の頬が何故か赤く染まっていたことに俺は一抹の不安を感じずにはいられなかった。

「よーし、話も丸く収まったことだし次はたかりゃんお待ちかねの罰ゲームを発表するぞ」
くっ、覚えていたか。英単語は5秒で忘れるくせに、こんな時だけ記憶力を発揮するだなんてホント傍迷惑な先輩だ。
「で、何です? 今回はどんな辱めを受けなきゃならないんですか?」
「そう身構えなくてもいいって、今回は簡単だから。さっきと同じ要領で、ずっと女の子のフリをしてればOK」
そうか、ずっと女の子のフリをし続けるだけか……って、ずっと!?
492学食に行こう第六話 5/15:2007/09/24(月) 11:13:09 ID:xFypqwo20
「あの、それだと延々と女装の格好をし続けてなきゃいけないことになると思うんですけど……授業はどうするんですか?」
「まあ、そこは気合で何とか」
「……いや、どう足掻いても無理ですって」
そんな気合だけでどうにかなるような世界だったら、某浜口女史はオリンピックで金メダル量産してるでしょうに。
「ちぇ、しょうがないな。じゃあ授業が終わってからたかりゃんが家に帰るまで。これなら出来るでしょ?」
「まあ、それなら出来るか出来ないかの話であれば出来るんでしょうけど……」
「うむ、じゃあ決定。もし関係者以外に正体がバレたらさっきと同じく罰ゲームだぞ」
「実際やるとなると正直キツイものが……って、人の話を最後まで聞いてくださいよ!」
そんな俺の反論に対し、まーりゃん先輩は逆に呆れたような表情でこちらを見つめ返す。
「あ〜、たかりゃん? 前にも言ったけど今回の学食の件については、規制で衣装に縛りのあるさーりゃん達じゃなく、
あくまでたかりゃんがメインなんだぞ。つまりこのイベントが成功するか否かは、ひとえにたかりゃんの双肩に掛かっている訳だ。
なのにそんなやる気の感じられない、いまどきの無気力っ子みたいな体たらくでどうする?」
「……いや、むしろそこまで本腰入れてやるつもりだったんですか?」
「やるからには当然じゃん。目標は全国制覇だ!」
今回のイベントは俺を女装させるための方便と思っていたのに、予想に反して、やけにやる気を見せるまーりゃん先輩。
ただ、学食で全国制覇とかマジで意味が分からん。単に全国制覇って言いたかっただけじゃないのかと。
「あ〜、ちなみにさっき言った罰ゲームを前もって発表しておくと……」
そう言葉を区切ってからまーりゃん先輩は、さっきまで失踪していた間に持ってきたのか、机の下から黄金色の箱を取り出して
「この黄金BOXに入っている紙を引いてもらって、そこに書かれた罰ゲームを有無を言わさずやってもらうという塩梅。
ギリギリまで責め苦が分からないところなんか、Mっ気のたかりゃんには堪えられない素敵仕様でしょ?」
「勝手に人をマゾにしないで下さい! そもそもさっきの罰ゲームにしたって、まだやるとも言ってません!」
「なんでさ? たかりゃん今更往生際が悪いぞ。さーりゃんもそう思うでしょ?」
493学食に行こう第六話 6/15:2007/09/24(月) 11:16:10 ID:xFypqwo20
そう話を振られた久寿川先輩は、ひとつ溜息をつくと
「私も反対です。第一、今回の女装の件にしたって河野さんを騙したようなものなのに、罰ゲームまで設定するのは、
幾らなんでも河野さんに負担が掛かりすぎます」
毅然とした態度で俺の心境を代弁するかのような意見を述べる久寿川先輩。タマ姉がおそらく女装推進派に組している以上、
久寿川先輩こそが、この状況を打破する唯一の希望と言っていい。そんな俺からの期待の視線に気付いた先輩が
何も言わなくていいとばかりにコクリと頷く。……ああ、今の先輩が女神に見える。
それに対しまーりゃん先輩は、何だそんなことかといった表情を浮かべて
「さーりゃん、大丈夫だって。この罰ゲームはなにもたかりゃんだけでなく、ここにいる生徒会メンバー全員が対象だから」
「……はい?」
呆けた表情のまま固まる久寿川先輩。それは成り行きを静観していたタマ姉達も同様のようで、全員がその真意を
問いかけるように、まーりゃん先輩に視線を向ける。
「だって今回の売りはさーりゃんやたまちゃんに勝るとも劣らない、ぷりちぃなおにゃのこが萌え衣装で
接客するところなのに、本番前に女装のことが知れ渡っちゃったら学食の売り上げがガタ落ちになっちゃうでしょ? 
そんなイベントの成否に関わる最重要機密事項に緘口令を敷く意味でも全員を罰ゲームの対象にする訳。
だからたかりゃんだけが罰ゲームする訳じゃないから、さーりゃんも変に気に病む必要は無いぞ」
「で、ですけど……」
その返しは想定外だったのか返答に窮する久寿川先輩。やっぱりこういった論戦となると、不測の事態にあまり強いとはいえない
久寿川先輩に対し、存在自体がイレギュラーなまーりゃん先輩が相手というのは、もはや天敵と言っても過言じゃないくらい
相性最悪な組み合わせみたいだ。
……おっと、のん気に分析してる暇は無かった。早く先輩のフォローに回らないと……。
「そういうことなら私も反対ね。タカ坊が女装するだけなら歓迎だったんだけど、私達まで巻き込んでの罰ゲームというのは
やりすぎじゃないかしら? そこまで堅苦しいのはちょっとね」
「……このみも秘密にしておく自信無いかも」
494名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 11:16:20 ID:whdCTH/P0
sien
495学食に行こう第六話 7/15:2007/09/24(月) 11:19:09 ID:xFypqwo20
そんな俺がもたもたしている間、先輩にフォローを出したのは意外にもタマ姉。そしてそれに追随するようにこのみも意見を述べる。
確かにこのみの場合、当人に話すつもりがなくても、ついうっかりという可能性が大いにありそうだ。
「まあ確かに、まーりゃん先輩の考えた罰ゲームなんざ、まず半端ねえ代物ばかりだろうしな。俺もパス」
最後の一人だった雄二も反対に回る。まあ今の俺の窮状を見たうえで罰ゲーム上等なんて言う酔狂な奴もいないだろう。
まーりゃん先輩にとっては下手に罰ゲームを設定したことが、逆に自身の首を絞める結果に繋がったみたいだ。
「そっか、みんな反対か」
困ったような声を上げるまーりゃん先輩。……だというのにその表情には全然困っている様子はない。
全員が反対派に回ったこの状況から、一体どんな巻き返しの手段があるっていうんだ? 
「残念だな〜。黄金BOXに入れる罰ゲームはさーりゃん達も投函OKなのに」
まーりゃん先輩が呟いたその何気ない発言に、何故か俺を除いた反対派の全員がピクリと身を震わせる。
「あ〜あ、たかりゃんを合法的に、あんなことやこんなことできちゃう唯一無二のチャンスなんだけどな〜」
……ちょっ、ちょっと待った、何だよそれ。そんなものに釣られるヤツなんているはずが……
「こ、河野さんに、あんなことやこんなこと……」
「タカ坊を合法的に、か。……いいわね。一体何をやらせようかしら?」
「ど、どうしよう。タカくんに色々してもらえちゃうのかな?」
……何? この異様なまでの食いつきっぷりは。
「まあそんな訳だから、どう? さっきの件、考え直してみる気はない?」
「そ、そうね。今回はタカ坊に期待するしかないんだから、それを考えるとこれくらいの荒療治も仕方が無いわよね」
「う、うん。タカくん、責任重大なんだし」
まーりゃん先輩の甘言に乗せられ、あっさり寝返る幼馴染が二人。二人揃ってそんなに俺を辱めるのをご所望か。
「そうだな。罰ゲームは俺たちも対象なんだから、条件的にはあくまでフェアなんだし」
「ちょ、ちょっと待った。雄二、何でお前まで鞍替えしてるんだよ」
あれよあれよという間に、残る反対派は俺を含めて二人だけ。そのもう一人の久寿川先輩に目を向けると、
先輩はどこかぎこちない引きつったような笑みをこちらに向ける。ま、まさか……
496学食に行こう第六話 8/15:2007/09/24(月) 11:22:15 ID:xFypqwo20
「こ、河野さん……こういうのは、やっぱり普段から慣れておいたほうがいいと思うの」
……神は死んだ。
終わってみれば四面楚歌なこの状況、もはや罰ゲームの連鎖から逃れ出るすべは無いのか。……いや、まだあきらめるな。
和製カーネルおじさんも『あきらめたらそこで試合終了だよ』という名言を残していたじゃないか。
「ちょっと待った。よくよく考えてみたら、みんなは俺と話しているときだけ注意していればいいのに、それに対して
俺の方は女装している間、四六時中気を張ってなくちゃいけない。もうその時点でフェアじゃないと思うんだ」
「何言ってるのよタカ坊。むしろそのほうが好都合じゃない」
「……いや、こういった議論の場で、エゴ剥き出しな開き直りをされても困るんだけど」
「ああもう、男のくせに細かいこと言わないの。い・い・か・ら、やりなさい」
「……はい」
かくして試合終了のブザーが鳴る。安○先生……この境遇から脱却したいです。

「じゃあ、たかりゃんが性転換を決意してくれたということで続きいこうか」
「いや、そこまで了承してませんから。ていうか続きって何です?」
この期に及んで、まだ死人に鞭打つつもりですか? この先輩は。
「いや〜、だって肝心なことがまだ決まってないじゃん」
「……肝心なこと?」
「たかりゃ〜ん、偽名、偽名。たかりゃんがどれだけ完璧な女装をしても『河野 貴明』で呼んでちゃ一発でバレるでしょ?」
「まあ、それは確かに。けど、一体なんて名のればいいんですか?」
「大丈夫、その辺も抜かりなく考えておいたから。『クリスチーネ剛田』なんてどう? クリスチーヌと間違えやすいから
そこんとこ要注意な」
「よりにもよって、未だに本名不詳の国民的アニメキャラのペンネームとか、どんだけぶっ飛んだチョイスですか!」
「ちぇ〜、だったら『宮○路 ○穂』でどうだ」
「いや、それゲームが違います……ていうか、マジメに考える気ないでしょう?」
「全くたかりゃんは早漏……じゃない、せっかちなんだから。じゃあ普通に『河野矢 貴子』なんて名前はどう?」
「……なんか、いかにも即興で決めましたって感じで、すぐさまバレそうな名前だと思うのは俺の気のせいですか?」
497学食に行こう第六話 9/15:2007/09/24(月) 11:24:18 ID:xFypqwo20
逆にバレ易くして、罰ゲームをやらせるつもりなのかと邪推してしまう俺は、もう心がすさんでしまったんだろうか?
「大丈夫だって。一般的な認識として、さーりゃんみたいに普段から表舞台に立っている生徒会長ならともかく、
その他の生徒会役員なんて顔と名前も一致してない生徒が大半だから。ましてやたかりゃんなんて、当時生徒会長だった
あたしすらよく覚えてなかったでしょ?」
……ああ、そう言えばそんなこともありましたっけ。ていうか未だに記憶していたところをみると、何気に根にもってたんだろうか?
「けど、あまりに本名に似通り過ぎじゃないですか?」
「じゃあ逆に聞くけど、たかりゃんは全く違う名前で呼ばれて咄嗟に反応できる? その辺りも考えておかないと
すぐにボロが出ちゃうぞ」
……言われてみれば確かに、まーりゃん先輩の言うことは一理あるかも。
「まあ、本番となれば接する人数が半端なく増えるんで、偽名とはまた違った対策を取らなきゃならないだろうけど、
それまでは、とりあえずその名前を使用するということでいいでしょ?」
「はあ、分かりましたよ。じゃあその方向で」
なんか、まーりゃん先輩の思惑通りに事が進んでいる気もするけど、かといって代替案が他にある訳じゃないしな。
「うむ。ここまで決まれば、後は人目についている間、互いにどう呼び合うかを確認しとけばOK。まあ、似通った
名前にしたことで、たかりゃんはもとより、名前を呼ぶさーりゃん達も負担が軽くなってるから一石二鳥だな」
「そうですね。私は河野矢さんって呼べばいいから、ほとんど変わらないわね」
「流石にタカ坊は不味いわよね。まあ貴子って呼べばいいか。なんとなく語呂も似てるし」
「うーん、タカさんだと、とん○るずの人になっちゃうから、やっぱりタカ先輩って呼ばなきゃ駄目かな?」
「俺の場合は貴子って呼び捨てでいいよな?」
「そしてあちしはたかりゃんのあだ名を大幅リニューアルして、たかにゃんと呼んでやろう」
いや、それ一文字しか変わってないんですけど。
「まあ、俺への呼び方はそれでいいんじゃないかな。逆に俺からの呼び方としては、まーりゃん先輩、久寿川先輩、雄二、
このみはそのままでいいとして、タマ姉はどうしよう? いっそのことタマお姉様とでも呼んだ方がいい?」
498学食に行こう第六話 10/15:2007/09/24(月) 11:27:07 ID:xFypqwo20
俺の冗談交じりの発言に、タマ姉はげんなりした表情を浮かべ首を振る。
「あ〜それはやめて。前の学校で散々お姉様って呼ばれてたからもうこりごり。普通に先輩でいいわ」
「そう? じゃあタマ先輩って呼ぶよ。とりあえず呼び方はこれでOK?」
一応、念の為の確認だったのだが、意外にも雄二のヤツが不満そうに俺の肩をちょいちょいと軽くつついてくる。
「おいおい貴明、俺の名前は呼び捨てかよ。幼馴染相手にはもっと相応しい呼び方があるだろ?」
「何だよ、呼び捨てじゃ不満なのか? じゃあどんな呼び方がいいんだよ」
そんな俺の問いに、雄二はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情を浮かべ、その言葉を口にした。
「雄二ちゃん、これしかねーだろ」
「却下」
「くはーっ!? 即決かよ。貴明、お前は幼馴染にちゃん付けで呼ばれる男のロマンが分からないのか?」
「いや、あいにくと俺には理解できないわ。第一、女装している間は幼馴染の関係ですらないんだから、その呼び方だとおかしいだろ?」
「まあ、それはそれ、これはこれ」
やけに諦めが悪いな。どうあってもちゃん付けで呼ばれたいのか?
「ふ〜ん、ちゃん付けで呼ばれるのが男のロマンなんだ。ユウくん、今度から雄二ちゃんって呼ぼうか?」
「チビ助が? あ〜、駄目駄目、あくまで同い年の女の子にちゃん付けで呼ばれるから萌えるんじゃねーか」
つくづく妙なところにこだわりのある男だな。それだけ細かいくせに女の子じゃなく女装した男に呼ばれるのはいいのか?
「あー、分かった分かった。雄二ちゃん♪ ……これでいいんだろ?」
そんな俺の呼びかけに、雄二は暫し固まっていたかと思えば、直後慌てて口元辺りを押さえうずくまる。
「お、おい!? どうしたんだよ、大丈夫か?」
「い、いや、不意打ちで呼ばれたもんだから、鼻血が……」
……雄二。お前、一度病院に行って検査してもらった方がいいぞ。……特に脳の辺りを念入りに。
499学食に行こう第六話 11/15:2007/09/24(月) 11:30:09 ID:xFypqwo20
まあそんなこんなで呼び方も決まり、ようやくひと段落。もう時間が時間だし今日のところはそろそろお開きかな?
「……」
そんな事を考えていると、向かいに座っていたこのみが無言のままじーっと俺を注視しているのに気付く。
いや、俺を見ているにしては少し視点が低いような。……ははあ、なるほど。 
「ねえ、タカくん。ずっと気になってたんだけど、それってパッド入れてるの?」
「ああ、そうだけど」
そう、俺の胸は現在パッドの恩恵により、久寿川先輩やタマ姉に勝るとも劣らない双丘がそびえ立っていたりする。
「む〜、タカくんずるいであります」
「いや、そんなこと言われてもなあ……」
まあ、その気持は分からなくもないけど。
「ねえ、タカくん。ちょっと触ってみてもいい?」
「了承を得る前に回り込んで来るだなんて、もう既に触る気満々じゃないか。……しょうがないな、少しだけだぞ」
「やたー、じゃあ触るね」
俺からのOKが出た瞬間、まるでお預けを食らっていた飼い犬が餌に貪りつくみたいに、このみが俺の胸に手を伸ばす。
「うわぁ、柔らかくて気持ちいい。なんかマシュマロみたい」
「おいおい、乱暴に扱うなよ」
そんな、このみが俺の胸を玩具みたいにフニョフニョしている様を見てタマ姉も気になり始めたのか、このみに声をかける。
「このみ、そんなにいいの?」
「うん、なんか緩衝材のプチプチみたいに触るの止められないの」
「そう? そんなにいいんだ。じゃあ私も触らせてもらおうかしら? タカ坊、いいわよね?」
「いや、タマ姉はだ……どうぞ」
……なにもそんな顔で睨まなくても。
「うわ、何よこれ? まるで本物そっくりの感触じゃない。最近のパッドでこんなに凄いの?」
驚愕の声を上げるタマ姉。だが生憎と俺の方は、本物を比較できるほど揉みしだいた経験がないので、どれだけ凄いのか
実感できないけど。
「おいおい、そんなに凄いのか? そんなことなら俺にも……」
「雄二、あなたは遠慮しなさい」
「ごふぁっ!」
タマ姉のバックブローに沈む雄二。……合掌。そんな床に転がっている雄二に気を取られていると
「なっ!? タマ姉。何制服の下から手を突っ込んでるのさ?」
500学食に行こう第六話 12/15:2007/09/24(月) 11:33:12 ID:xFypqwo20
「いいじゃない、減るもんじゃないし。ふーん、パッド入れてる訳だから、ちゃんとブラはしてるみたいね。
その中に収まっているパッドは……あら?」
なにやら違和感を感じたのか、怪訝そうな表情を浮かべるタマ姉。暫しそうしていたかと思ったら、突如何の前触れもなく
俺の制服のタイを引っ張って解いた上に、そのまま制服のファスナーを引きおろす。
「へ? た、タマ姉?」
そんな、あまりに急な出来事に俺が唖然としたままなのをいいことに、タマ姉はその勢いのままブラをたくし上げる。
直後、プルンという擬音とともに、今までブラに押さえつけられていた豊かな双丘が露になった。
「……」
目の前の光景が信じられないのか、タマ姉、そしてその一部始終を見ていたこのみ、二人してフリーズしたかのように動かない。
そんな暫しの沈黙の後、二人が驚愕の声を上げたのは全くの同時だった。
「な、なによこれ!?」
「えっ? ええええぇ〜!?」
「ど、どうした? 一体何があったんだ?」
「雄二、あなたは見ちゃ駄目」
復活した雄二がタマ姉の肩越しからこちらを覗き込もうとしたが、そこにノールックでタマ姉の目突きが繰り出される。
プス
「うぎゃあぁあああっ! 目がぁ〜目がぁ〜!」
それがモロに命中したのか床をのたうち回る雄二。……む、惨い。まあ雄二はこの際置いておくとして
「一応、パッドらしいんだけど……」
そんな俺の回答を補足するように、今まで成り行きを見ていたまーりゃん先輩が説明を加える。
「どう? 女体の研究に命を捧げた技術開発者集団、来栖川エレクトロニクスが、メイドロボで培った技術を惜しみなく
投入した最新型のパッドは。まあ、あまりにリアル過ぎて装着していない状態だと、まるで乳房周辺だけ切り取った
みたいでちょっとキモイんだけどな」
「メイドロボのことはよく知らないけど最新の技術って凄いのね。じーっと目を凝らさないと地肌との境目が分からないだなんて」
「うわ〜、本物の胸にしか見えないよ。いいなぁ〜、いいなぁ〜、タカくん」
「……」
「久寿川さん、興味があれば触ってみたら?」
そんな二人の盛況ぶりから、今まで遠巻きに様子を見つめていた久寿川先輩も興味を持ったらしく、それに目ざとく気付いた
タマ姉が先輩に声をかける。
501名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 11:35:20 ID:4I3oT0+b0
支援
502学食に行こう第六話 13/15:2007/09/24(月) 11:36:07 ID:xFypqwo20
「河野さん、いいの?」
まさかこのみやタマ姉にOKを出しておいて、先輩だけ断るわけにもいくまい。
「ええ、いいですよ。どうぞ先輩」
「ありがとう。じゃあ、触らせてもらうわね」
そんな俺の返事に先輩は少し嬉しそうな表情を浮かべ、席を譲ったタマ姉に変わり、おずおずと手を伸ばしてくる。
フニュ
「……凄い。確かにこの肌触りとか本物としか思えないわ」
驚きの声をあげる久寿川先輩。それとは別に、このみはさっきから熱に浮かされた様に、もう片方の胸をモミモミし続けている。
そんな二人を正面から見据えるのが何故か気恥ずかしくなり視線を逸らすように天を仰ぐと、いつの間にか背後に回り込んでいた
タマ姉と目が合う。……何か嫌な予感が。
「えーっと、どうしたのかなタマ姉?」
「いやね、ちょっと気になったんだけど、タカ坊、下の方はどうなってるの?」
……やっぱりそのツッコミが入ったか。
「そ、それは……」
「それは?」
「うふ♪ それは禁則事項です(はあと)」
「何が禁則事項です(はあと)よ。ほら、さっさと見せなさい!」
「いやあぁああっ、スカート捲っちゃだめえぇええ!」
ガラッ
「あの〜失礼しま……あひぃあああ!?」
タマ姉が俺のスカートに手を掛けた瞬間、扉の方から悲鳴が上がる。だ、誰だ? よりにもよってこんな時に入ってきたのは。
慌てて扉に視線を向けると、そこに立ち尽くしていたのは、こういった間の悪い状況で抜群のエンカウント率を誇る、いいんちょこと
小牧愛佳その人だった。まあ小牧のことだから事前にノックくらいしていたんだろうけど、全員が夢中で気付かなければ意味はない。
そして小牧の眼前に写るのは、さらけ出された胸を揉みしだいている久寿川先輩とこのみ。そして背後からスカートを
捲り上げようとするタマ姉とそれに必死で抵抗する俺の姿。……どう見てもレズ真っ最中です。本当にありがとうございました。
「あ、あ、あ、あわわ」
扉の前であわあわ言ってる小牧に何か声をかけなければとは思うものの、この状況でどんなフォローを入れれば
いいのか妙案が思い浮かばない。それは久寿川先輩やタマ姉も同様らしく、引きつった表情で口を噤んだままだ。
503学食に行こう第六話 14/15:2007/09/24(月) 11:38:09 ID:xFypqwo20
そんな静けさに満ちていながらも一触即発のふいんき(←なぜか変換できない)の中、まーりゃん先輩が小牧にずいっと一歩近づく。
なにか起死回生の策があるのか? 皆の注目が集まる中、まーりゃん先輩はおもむろに制服のファスナーを下ろしながら一言。

「やらないか」

「ひっ!? ひぃいやあぁああああああああああああああああ〜〜!!」
パタパタパタパタ…ベシャ…パタパタパタパタ……
普段の小牧からは想像できない迅速さでその足音が遠ざかっていく。とはいえ途中慌てて転んだような、ベシャという
音が聞こえたのが、小牧らしいといえばらしいけど。
「ちぇ、なんで逃げちゃうのさ。俺はノンケだってかまわないで食っちまう人間なんだぜって言いたかったのに。って、あうっ」
「フォローを入れなきゃいけない場面で、トドメを刺してどうするんですか!」
……ああ、急場の出来事とはいえ、この先輩に任せたのがそもそもの間違いだった。
だが過ぎてしまったことをとやかく言っても仕方がない。これからどうすべきかを考えないと。
「……」
部屋がシンと静まり返る。あいにくと俺には、今更小牧にどんなフォローを入れればいいのか検討もつかない。
けど幸いにも生徒会には久寿川先輩とタマ姉、そんな学園でも指折りの人材が二人も揃っている。
二人なら……二人ならきっと何とかしてくれる。そんな静寂に満ちた生徒会室で、第一声を発したのは久寿川先輩だった。
「そ、そろそろ帰りましょうか?」
ズルッ
「そ、そうね。タカ坊、変な噂が立たないよう小牧さんにフォロー宜しくね」
「ちょっと待った。小牧をそのままにしておいて良いんですか? タマ姉もさらっと重要なことを言ったまま
撤収の準備に入らないでよ!」
つうか学園屈指のブレインが出した結論が、問題の先送りと丸投げってのはどういうことよ?
「けど今追いかけたところで、何の策もなければ更に状況を悪化させるだけだし、むしろ時間を置いたほうが
小牧さんも落ち着くと思うの。幸いにも彼女は辺りかまわず吹聴して回るような人ではないから」
クラスの委員長として生徒会に関わりのあることから、それなりに面識のある小牧の人となりを考慮にしたうえでの
久寿川先輩の意見。まあ、下手に藪をつつくのではなく、様子見するという理屈は分からなくはないけど……
504学食に行こう第六話 15/15:2007/09/24(月) 11:40:11 ID:xFypqwo20
「けどそれにしたって何もしないというのも危険じゃないですか?」
「だからタカ坊に頼んでるのよ。小牧さんの様子を伺いながら、それに応じて即座にフォローを入れられるのは、
同じクラスのあなたにしか出来ないんだから」
「……いや、同じクラスっていうことなら、雄二だってそうなんだけど」
「雄二じゃ当てにならないからタカ坊に言っているんじゃない」
溜息を吐くタマ姉。その雄二はというと、未だに床で悶えたまま……かと思いきや、ようやく復活したようで
よせばいいのに早速タマ姉に食って掛かる。
「こ、この暴力姉貴。俺を失明させる気かよ? 目突きなんてデンジャーな技使いやがって」
「大袈裟ね。まぶたの上からちょんと突いただけでしょ? 本当に失明させるつもりだったらしっかり抉ってるわよ」
「え、えぐ!?」
ナチュラルに物騒なことを言い出すタマ姉に、食って掛かった勢いはどこへやら、既に及び腰の雄二。
「それに名前を呼ばれただけで鼻血を出してたあなたが、あんな刺激的なものを見たら大変だと思って咄嗟に対応して
あげたんじゃない。それなのに感謝するどころか逆に食って掛かるだなんて。……弟の身を案じる優しい姉心を
解せないような愚弟には、少しお灸が必要かしらね」
「お、お姉様、私が悪うございました。だ、だからやめ、ぎゃああああ、割れる割れる割れる割れる、割、れ、る、わ……れ……」
「まあそういう事だからタカ坊お願いね。勿論私達も色々考えてみるから」
「さ、サー、イエッサー」
ビクンビクンと痙攣している雄二を掴んだまま微笑むタマ姉に、それ以外の返事をすることが出来ようか? いや、出来まい。
ただ、そうはいっても女装に続いての新たな頭痛のタネに頭を抱えたくなる。そんな現実から目を背けるように
窓の方へ目を向けると、いつの間にか外は綺麗な茜色に染まっていた。
505名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 11:42:09 ID:xFypqwo20
以上、第六話投下させていただきました。支援有難うございます。 
ちなみに今回出てきたパッドにつきましては、ゲーム中にそんなものは出てこないわけですが、
あれだけ人間そっくりのメイドロボがいる以上、そんなものが有ってもおかしくないんじゃないかと
いうことで捏造してみました。
しかし、毎日のようにSSが投下される、最近の盛況ぶりは嬉しい限りですね。
506見習い氷:2007/09/24(月) 13:04:57 ID:3V4EAmjWO
>>505
乙です。

うーやばいよー話のネタがないよーw
507名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 13:30:00 ID:4I3oT0+b0
>ちなみに今回出てきたパッドにつきましては、ゲーム中にそんなものは出てこないわけですが、
>あれだけ人間そっくりのメイドロボがいる以上、そんなものが有ってもおかしくないんじゃないかと

そのうちメイドロボならぬ、美男子的な執事ロボも開発されたりして・・・
508名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 15:17:49 ID:9aiXCsGg0
>>505
笑わせてもらいましたwこういう笑えるのが書けるって凄いなー
509物書き修行中:2007/09/24(月) 18:33:26 ID:DQQPXfyz0
>>504
乙です
相変わらずのテンポのよさとキャラの動きで、読んでて単純に楽しくなるSSでした
ご馳走様です

>>487 >>506
締め切りがあるわけではないのでゆっくり考えては?
ネタ出しの秘訣をアドバイスできると良いんですが、漏れも思いつきに近いんで…

それと5.5話の予告じゃなくて5.5話「次回予告」ってタイトルですんで
5.5話の本編はありませんよw
510名無しさんだよもん:2007/09/24(月) 22:01:07 ID:no/2AHDx0
>505
乙。お値段はともかく、存在は間違いないだろうから捏造GJ(w <パッド
盛況ぶりには、貴公も貢献しているわけですから引き続きガンバです
>506
好きなペースで書けるのがSSの利点なわけで、思いついたら書けばいいっすよ
511505:2007/09/25(火) 01:42:53 ID:UeGdE9xQ0
レスありがとうございます。
今回は結構長くなってしまった為、文字数制限ギリギリで区切ったのですが、
ここまで文字みっしりだと、傍目から見て読む気が失せるんじゃないかと
投下中に不安になりましたが、読んでいただき幸いです。

>>509
こちらこそ毎回楽しませてもらってます。修学旅行編、執筆頑張って下さい。

>>506
ゲームの方を無くしてしまわれたようですが、やっぱり、どうにか探し出して
ゲームを再プレイするといいんじゃないですかね? ネタの発掘だけでなく
各キャラの台詞回しも再確認出来るしで、一石二鳥だと思います。
512名無しさんだよもん:2007/09/25(火) 19:49:21 ID:iDDXF6WVO
>>511
文中のなぜか変換できないというのは仕様じゃないですよね。

ふいんき→ふんいき(雰囲気) です。まあ間違えやすいですが
513名無しさんだよもん:2007/09/25(火) 19:58:17 ID:gTcTnm/k0
514名無しさんだよもん:2007/09/25(火) 20:25:10 ID:Rxi96eh+0
ベタすぎて故意か天然か理解できないほどがいしゅつ(←何故か変換できない)


と思ったら最近のATOKはふいんきもがいしゅつも変換してくれるのねw
515名無しさんだよもん:2007/09/25(火) 21:23:01 ID:dhrF1A5x0
辞書に登録されてりゃ出る罠

まあ、本気で読み方間違えてる奴は(←なぜか変換できない)とは注釈はつけない罠
それが正しいと思ってるんだから。
516名無しさんだよもん:2007/09/27(木) 00:17:51 ID:ant3CwQI0
書庫を見てみると、各キャラごとに作品数のバラつきがあったりするけど
環あたりが意外に少なかったりして、必ずしも人気順ではないところが
結構興味深いね。AD発売後はどうなるかな?
517名無しさんだよもん:2007/09/27(木) 09:45:41 ID:gkzUFioX0
タマ姉は自分がメインになるとダメになる人だから。
518見習い氷:2007/09/27(木) 23:51:55 ID:YOjQIec7O
確かにタマ姉ってメインになると性格変わる気がしますね。
そのせいでタマ姉らしくない雰囲気が生まれてしまうのはしょうがないか。

次はタマ姉の予定ですが少し苦戦しそう…。
いまちょっとテスト前なので、新作はしばしお待ちを。
519名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 02:17:38 ID:fcghceof0
ヤンデレSSってないかな?
イルファさんメインで、「瑠璃ちゃん解体新書」 とか
このみメインで、「ひぐらしの鳴くこのみ」 とか
520名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 03:34:14 ID:0rhfNLYb0
スクイズ厨はどこもかしこもうざいな…
521名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 06:05:17 ID:gee/sCi30
別にヤンデレ属性を否定するつもりは無いが、原作でそんな要素が無いキャラを
わざわざ病ませて楽しむような無理矢理な真似は正直勘弁して欲しい。
TH2にヤンデレ要素のあるキャラなんて居ねえだろ。
もうちょっと詳しく言うなら、例え病んでも自分を責めるばかりで
外に向けて発散するようなキャラが居ないと言うべきか。
522名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 06:14:06 ID:fY+wKDyW0
ないかな?って訊かれてんだから「あるよ」ってだけ答えときゃいいのに
523名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 08:38:13 ID:z4gAPZ0M0
あるなら、具体例も教えてやれよ。
俺は知らんけど。
524名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 15:01:47 ID:3ukJpXnW0
精神的にぶっ壊れたささらが、妄想の世界で貴明に抱かれて
実際は貴明はこのみとやってて、ささらのは妄想だって説明したら
ささらが貴明と、かばったこのみをナイフで刺して、その後自分を刺して死んだ。

っていうSSなら知ってるよ。
525名無しさんだよもん:2007/09/28(金) 15:19:36 ID:KNG44Ozg0
このみのなく頃にとか、りゅうおうたん保管庫とか、SS書庫のこのみの項とか見ると、
SSも探せば駄作が腐るほどありそうなんだがな<黒このみ
526スイーツ・トラブル 1/6:2007/09/28(金) 22:42:17 ID:nksN8nKY0
 それはある日の小牧家での出来事。
「あれぇ…無いなぁ…」
「お姉ちゃん、何やってるの?」
 キッチンに足を踏み入れた郁乃は、真剣にテーブルの下を覗き込んでいる姉の姿を
見かけて、そんな言葉をかけた。


    スイーツ・トラブル


「あ、郁乃。ケーキの箱知らない?…たしかこの辺に置いたと思ったんだけど。」
 そう言いながら愛佳は小さな箱をテーブルの上に身振りで描いて見せた。
 だが学校から帰ってきてから今の今まで部屋で読書に耽っていた郁乃が知るわけもなく、
自他共に認めるツンデレ娘である郁乃はいつも通りそっけない返事で返した。
「そんなの知らないわよ。…それよりお腹すいたんだけど。」
「ごめんねぇ…とりあえず、たかあきくんに貰ったクッキーでも食べてて。」
 そう言って愛佳はダイニングテーブルの上に載っていたクッキーの丸い缶を指した。
 外国の有名な老舗菓子店の高級品と思われるそのクッキーは、傍に包み紙と外箱が
あって、今出したばかりといわんばかりの状態だった。
 郁乃が缶をの蓋をあけると中には香ばしい香りを放つ様々なクッキーが納まっていた。
「これどうしたの?たかあきの奴外国に行ってた…わけないわね。」
「外国のご両親が送ってきたんだって。この間たかあきくんの家に遊びに行ってた時にね、
 偶然ご両親からお電話がかかってきて…たかあきくんがあたしのこと紹介してくれて。
 そしたらぁ、たかあきくんのお父さんに、息子をよろしくって言われちゃった。」
「あーはいはい、惚気はいいから。」
 夢見心地で惚気始めた愛佳を生暖かい目で見ながら郁乃は1枚クッキーを口に運ぶ。
 濃厚なバターの香りが口いっぱいに広がってかなり旨い。
「それでぇ、たかあきくんのご両親があたしにって、送ってくれたらしいの。」
「良かったわね、ついに親公認じゃない。…で、晩御飯はいつになるの?」
 惚気をあっさりと受け流しつつ郁乃は話を本題に戻した。
527スイーツ・トラブル 2/6:2007/09/28(金) 22:43:13 ID:nksN8nKY0

 小牧家は親が共働きの関係で晩御飯は愛佳の担当になることが多い。
 そして、郁乃は少し前まで病人ではあったものの、姉に似て健啖家だった。
 ぶっちゃけ、郁乃にとっては腹の足しにもならない惚気話よりも夕食の献立のほうが
重要だった。

「郁乃、そんなにお腹すいたの?…もしかして。」
「…何よその目。何か言いたいことでもあるの?」
「郁乃…お姉ちゃん怒らないから、正直に言ってほしいなぁ。」
「…なに、その子供を諭すような物言いは。」
 突然変わった姉の様子に、郁乃は怪訝な表情を浮かべた。
「郁乃…あたしの買ってきたケーキ…お腹がすいて食べちゃったんじゃない?」
「はぁ?」
 郁乃は自分が姉のケーキをつまみ食いした犯人と疑われているらしいことに、思わず
むっとしながら反論した。
「なんでお姉ちゃんのケーキをあたしが食べるのよ。」
「だって、お腹すいてたんでしょ?お腹がすくのは健康な証拠で、郁乃にとっては良い
 ことなんだから、正直に行ってくれればお姉ちゃん怒らないよ?」
「だからあたしは食べてない!大体なんであたしがこそこそつまみ食いなんてしなきゃ
 ならないのよ。つまみ食いはお姉ちゃんの得意技でしょ。」
「あ、あたしはつまみ食いなんてしないよぉ。」

 売り言葉に買い言葉。ほのぼのした姉妹の会話から一転、言い争いに発展した。
528スイーツ・トラブル 3/6:2007/09/28(金) 22:44:14 ID:nksN8nKY0
「嘘おっしゃい。この間だってあたしが取っておいたプリン食べちゃったでしょ。」
「あ、あれは…郁乃が食べないのかと思って…賞味期限ぎりぎりだったしぃ。」
「やっぱりあれ食べたのお姉ちゃんだったのね。」
「う…そ、それはそれ、これはこれ、郁乃だってケーキ食べたんでしょ。」
「だから食べてないっての。…姉はどうしてもあたしをつまみ食いの犯人にしたい
 のね。」
「だって、郁乃が正直に言ってくれないから…今、家にはあたしと郁乃しかいないんだし、
 あたしは食べてないんだから郁乃しかいないじゃない。」
「もういいわ、あたしが何言っても聞く気無いんでしょ。…さよなら。しばらく家には
 帰らないから。」
「い、郁乃!」
 度々の入退院生活のおかげで手慣れた手際で荷物をまとめると、郁乃はあっさりと家出
した。

                   −

「というわけで、姉と喧嘩して家出してきたから。しばらくよろしく。」
「なんでウチに逃げてくるんだ。」
 少しも悪びれることもなく堂々と言い放った郁乃を前にして貴明は頭を抱えた。

 家でくつろいでいた貴明が来客のチャイムで玄関を開けたのは、すっかり暗くなった
夕食時の話である。
 何を食べようかと頭を悩ませつつドアを開けた貴明は、玄関先に立っていた郁乃の姿に
驚いた。
 そして郁乃はというと、驚いて停止状態の貴明に一方的に事情を説明し、家主の意向を
差し置いて勝手にあがりこんで、リビングでくつろいでいた。
529スイーツ・トラブル 4/6:2007/09/28(金) 22:45:09 ID:nksN8nKY0
「ところで、何か食べるものない?あたし晩御飯食べないで出てきちゃったから、お腹
 ペコペコなのよね。」
「いや、俺もこれから晩飯なんだけど…って、本気で家に泊まるつもりか?」
「悪い?どうせ貴明しか居ないんでしょ。あたしが泊まるぐらいどうって事無いじゃ
 ない。」
「いや、年頃の女の子が一人住まいの男の家に泊まるとか駄目だろうが。」
 まるで自分の家で寝る事の何が悪いといわんばかりの口調に貴明が反論する。
 だが郁乃は少しも心配した様子もなく答えた。
「それなら大丈夫よ。あんたウチの親にはかなり信頼されてるから。それとも、あんた
 女なら見境無しに襲うような節操無しなの?もしかして姉妹丼やって見たいとか…ああ、
 やだやだ、男って女を性欲の対象としてしか見られないのかしら。」
「人を色魔みたいに言うなよ。」
 貴明がげんなりしながら反論すると、郁乃はニヤニヤしながら貴明に言った。
「姉とはさんざ乳繰り合ってるでしょう。前に姉の太股の内側にキスマーク付いてたの
 知ってるわよ。あんな場所についてたらサカってますって言ってるようなもんじゃ
 ない。」
「うっ…いや、アレは…」
 征服欲に駆られて愛佳の白い内腿に付けたキスマークのことを思い出し、貴明は言葉に
詰まった。
「ま、姉に仕返しするためにあんたを誘惑して寝取るってのも手よね…どう?やって
 みる。」
 郁乃がニヤニヤしながら、しなを作って見せた。
 しかし、いい加減うんざりしていた貴明はその誘いにため息で返した。
「アホか。そんなことするかよ。お前はこのみと同じで俺に取っちゃ妹みたいなもので、
 恋愛対象じゃない。」
「ま、そうよね。将来姉と結婚したら義妹になるかもしれない相手に手を出すわけには
 行かないわよねぇ。」
530スイーツ・トラブル 5/6:2007/09/28(金) 22:46:00 ID:nksN8nKY0
「…う、五月蝿い。」
「ま、からかうのはこれくらいにして…それにしてもお腹空いたぁ…」
 貴明を弄るのにも飽きた郁乃はそう言いながらお腹を押さえた。タイミングよく、
きゅう、とかわいい音がお腹のあたりから聞こえてきた。
「そんなに腹減ってるのかよ。…食いしん坊なのは愛佳と一緒か。」
「うっさい。」
「…そういえば。」
 貴明は何か思い出したのか、キッチンに引っ込むと冷蔵庫をあさり始めた。
「何やってるのよ。」
「いや、愛佳に貰ったケーキがあったなと思って。とりあえず食うだろ?」
「…ケーキ?」
 妙な符合を見せる単語の登場に、郁乃は引っ掛かりを感じて貴明に問いただしてみた。
「それいつ姉から貰ったの?」
「今日うちに来たときに持ってきてくれたんだ。親が送ってきたクッキーの包みを渡した
 ら、愛佳の奴夢見心地で大事そうに抱えて帰っていったんだけど、代わりにケーキ置い
 ていったんだ。」
「…あんた、あたしのさっきの説明聞いてたわよね。」
「ああ…それがどうかしたのか…あれ?ケーキ?」
「…あんたたちは…ばかっぷるじゃなくて真性のバカよ!」
 激昂した郁乃の拳が貴明の横っ面に炸裂した。

                   −
531スイーツ・トラブル 6/6:2007/09/28(金) 22:46:56 ID:nksN8nKY0
「しかし、グーで殴ることないだろ。グーで。」
 貴明は張られたシップの上から右頬を撫でながら、熱心にケーキを口に運んでいる郁乃
抗議した。シップの下には青黒くくっきりと郁乃の小さな拳の跡が付いている。

 ここは女の子の間ではケーキが美味しいことで有名なカフェである。
 貴明をノックアウトした後、郁乃がかけた電話によって愛佳は自分の色ボケによるポカ
ミスを知ることになり、あらぬ疑いをかけてしまった郁乃に平謝りすることとなった。
 そして、そのお詫びとして郁乃から提示された条件が、このカフェでのケーキ食べ放題
である。
 言っておくが、このカフェのメニューにはケーキ食べ放題などない。郁乃の一人食べ
放題であり、その代金は愛佳の懐からまかなわれるのであり、そのあたりが愛佳に対する
罰なのである。

「ねえ、郁乃ぉ…お腹壊すよ?少し頼むの控えたら…
 学校帰りにカフェに直行し、メニューにあるケーキを片っ端から頼んでは食べ始めた
郁乃に、愛佳は心配そうに声をかけた。半分は言葉どおり郁乃の体を心配してのものだが、
残り半分はケーキを食べる郁乃への羨ましさと自分の懐を心配してのことである。
「大丈夫よ。お姉ちゃんが自分で言ってたでしょう。あたしはのお姉ちゃんの買ってきた
 ケーキをこっそりつまみ食いするような食いしん坊なんだって。…あ、すいませーん、
 この「秋の特選フルーツショート」と「新栗のモンブラン」追加で。」
「い、郁乃ぉ〜〜〜〜」
「…諦めなよ。今回は愛佳が悪い。」
「たかあきくんの意地悪ぅ〜」
 すでに半べそ状態の愛佳の横で、ケーキを頬張る郁乃は上機嫌だった。

  ×愛佳−郁乃○ 決まり手:うっかり
532物書き修行中:2007/09/28(金) 22:58:51 ID:nksN8nKY0
流れを無視して投下してみまつた
小牧姉妹物ですが、久しぶりに3人称で書いたら何かうまくかけないYo(´・ω・`)
困ったもんだ

>>517
まあ、ゲームをやってればわかる話だけど、タマ姉は実は臆病者だからねぇ
普段は面倒見が良い姉御肌だけど、実際のところ貴明に対しては
極端に臆病で小心者という側面があるから。
だから貴明がタマ姉に好きだといったとたんに、3点フルコースサービスで
貴明を逃げられないようにし、さらに自分の家に囲い込んでこのみの手からも
遠ざけるなど、あの手この手で貴明をがんじがらめにしてしまうという…

キャラとしてキライというわけではないけど、個人的にはTH2の中では
実際に居たら付き合いたくないヒロインのトップかもしれん。
533もってけ大三元 ◆BZe2SoTGBo :2007/09/29(土) 01:56:54 ID:H7dtdHJhP
決まり手吹いたwwwww
534名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 14:26:31 ID:900Qqm7m0
いい決まり手じゃない!
535名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 15:29:25 ID:29fppryL0
ナイス決まり手!
作者さんお疲れ様です。






関係ないけど、今さっきようやく「河野家〜」を読み終えたけど、すごかったな。
536見習い氷:2007/09/29(土) 16:28:45 ID:FP3ybtutO
決まり手:うっかり
うははw
毎度ながら乙です。

雰囲気掴むためにXRATEDを、文章読むのに「半分の月が昇る空」を借りました。
テスト中なのでまだ手をつけてませんが、それぞれから学び、次作を投稿したいと思います。
537名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 16:35:38 ID:vKGf8YTo0
半月は…やめといた方が……
538名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 20:23:45 ID:4LoTdYoS0
半月はハルヒやシャナ以上に文が下手だからな
読むなら狼かミミズクくらいにした方がいい
539物書き修行中:2007/09/29(土) 21:28:02 ID:Y1Gauv0T0
決まり手の一行は、何か締りが悪いので最後に1行付け足しただけ
だったんですが、何か予想外に受けてるw

「半分の月が昇る空」というのがどういう話かは知らないんですが、
文章を読んで血肉とするという意味ではラノべは向いてないなぁ、
と30代のオサーンのワシは思ったりします。

理由は色々ありますが、単純に書き手のスキルが駄目な場合もあるし、
人によっては独特の書き方をする人もいるので。
個人的にラノべ自体は好きなんですけどね。さくさく読めるし。

漏れがラノベの作家でうまいなぁと思った人は賀東招二かなぁ。
世界観の作り方の上手さとか、設定を巧みに利用した物語の組み立ての
上手さとかが企画上がりの人らしくてラノベにしてはすごく密度の高い話が
かける人かなと思ってたりします。
まあ、この辺はものすごく個人的見解なので。そうじゃねえって人も居ると思います。

ところで、TH2のOVA第3話見たんですが、なんかまーりゃん先輩が傍若無人な人を
通り越してはた迷惑な痛い人になってるのはどうだろう…
それに時々作画がいい加減なところがあるのが気になる。
前2作が良かっただけに色々がっかり感が拭えない…
540名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 21:35:11 ID:vKGf8YTo0
プロとして下手っていうよりアマチュアレベル以下だよなあれ
541名無しさんだよもん:2007/09/29(土) 23:11:09 ID:39+F2LR60
ラノベは文章を読むというよりも話を楽しむことに重きを置いてるからね。
後は読み易さか。
だから単純に文章レベルを上げたいならラノベはあまり向かないと思う。

とはいえ>>539が上げた賀東招二とか、個人的には秋田禎信なんかは上手い作家だと思う。
ただ文章に意識向けすぎると雰囲気が硬くなり過ぎることもあるし、そこら辺は一長一短だよね。
542名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 01:21:07 ID:q/ioBco60
半月はやったモン勝ちのネタを書いたラノベ。
似たようなの書いたら間違いなく外れる。

…いや、半月好きで全巻持ってますよ?
543名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 03:02:18 ID:2o6GpVfeO
あれ、書き込んでないのにオレがいる?
それはそれとして・・・

何というか半月は文の書き方が良く言えば超主観的、悪く言えばそれがダメなとことなるとこ
話自体は面白いとは思うけど、
あの文の書き方を真似るなら東鳩2をもう一度やったほうがいいんじゃないかと
544名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 09:06:00 ID:+vjCACQA0
超ご都合主義な話の流れ
存在する意味が分からないキャラクター群

あれを手本にしてSS書いたらダメSSの典型が書けるだろうと思うのは俺だけか
545名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 10:30:40 ID:+MNbdZr+0
なんかその半月とか言うラノベ叩きの流れになるならそろそろやめとけ
546名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 12:19:41 ID:RCLfzqVC0
>>393
指摘thx
調べたところ、ほかにも何作か保管漏れていたようで
早速修正しますたm(__)m
547名無しさんだよもん:2007/09/30(日) 18:43:53 ID:EgLodRIP0
>546
更新乙!
548物書き修行中:2007/09/30(日) 21:16:04 ID:S7xK473o0
>>546
対応ありがとうございます&更新乙ですm(__)m
549したいわけ 由真編 1/5:2007/10/01(月) 22:46:19 ID:YevblON70
「ふふーん…いつもいつも好き勝手してくれてたからね…覚悟しなさいたかあき。」
 俺を見下ろした由真が不敵に笑った。
 一方俺はというと、自分の部屋の自分のベッドに上で、すっぽんぽんの状態で両手両足
を縛られて貼り付け状態という、これ何て○ランス書院?と言わんばかりの状態だった。


                   −


 時間は少しさかのぼる。
 俺と由真が恋人同士の間柄となってからも、やることはあまり変わらなかった。増えた
のはキスしたり文字通りヤる事ぐらいで、大部分はデートと称して二人で遊びに行ったり、
二人で勝負したり、まあそんな感じだ。

 今日も今日とて放課後に2人で繰り出したのはいつものゲーセン。いつもの勝負だ。
「ぬぐぐぐぐ…次はこれで勝負よっ。」
 格ゲーで俺が圧勝したために、由真は別のゲームでの勝負を提案した。それは、格ゲー
と並んで俺たちの間では因縁の勝負となっている脱衣麻雀だ。
 最初にやった時は由真が負けてゲーセンで本当に脱衣しそうになって止めたのだが、
恋人同士になってからの対戦では、やる事はすでにやってる仲なので俺の家で存分に脱衣
してもらい、その後美味しくいただくという流れが出来ていた。
 そう言うご褒美もあって、今のところ俺の全勝が続いている。
 そしてその雪辱を果たさんと由真は俺に挑んできたのだ。
「ふふーん、解ってるだろうけど、負けたらいつものアレだからな。」
「くっ…このむっつりスケベ。今日こそは勝って復讐するのよ。」
 俺たちは向かい合わせの筐体の前に着席。そしてゲーム開始。だがしかし、
550したいわけ 由真編 2/5:2007/10/01(月) 22:47:03 ID:YevblON70

「あ、天和」
「え?」

「…あ、それあたり。」
「は?」

「…あ、ツモ。」
「…あ、ありえん。」

 どういうわけだか、いつもと立場が逆転して由真は高額手で上がりまくり、あっという
間に俺はマイナス転落してあっさり負けたのだった。
「さて、たかあき。今日はあたしの言うことを聞いてもらうわよ。」


                   −


「どう?今の気分は。」
「…おまえ、SM趣味だったのか。」
「違うわよっ!」
「とはいえ…いつもと立場が逆で俺が自由を奪われてる以外は一緒じゃないのかこれ?」
 客観的に見るとかなり情けない状態ではあるが、まあナニをいたそうとしている部分で
は変わりない。
「そう言っていられるのも今のうちよ。」
 由真はにやっと笑うと、自分のセーラーに手をかけた。
 1枚ずつはらりはらりと脱ぎ捨て、そして下着も脱ぎ去って由真も裸になった。
551したいわけ 由真編 3/5:2007/10/01(月) 22:47:45 ID:YevblON70
 活発な由真らしいメリハリの利いたプロポーションを目にすると、思わず俺の「バール
のようなもの」もいきり立った。
「勃ったわね。」
 そう言いながら由真が取り出したものは、
「…輪ゴム?」
「そうよ。これをこうして…」
 由真は輪ゴムを2重の輪にすると、はちきれんばかりに膨張しているマイサンの根元に
はめた。
「うあ、イテ、痛いって。」
「この状態でかわいがってあげるわ。イきたくてもイけない状態でね。」
「う、ちょ、や、やめろ。」
「じゃあ、行くわよ。…む…ちゅ。」

それからの数時間は天国のような地獄といっても良かっただろう。
「ふ…あ…ん…ふっ、はっ、はっ」
由真は口、胸、素股ときて、現在騎乗位で俺を攻め立てている。
「く…輪ゴム外してくれ…ち、千切れる…」
「ふっ…駄目…は、はっ…ま、参ったって…言っても…許してあげない…ん、あ」
 由真の生の感触が俺のナニをこすりあげて物理的刺激を与え続け、目の前で弾む由真の
肉体…特に、腰を振るたびにたゆんたゆんと揺れるバストと、快感で蕩けた淫靡な由真の
表情が…視覚的刺激を与えて俺に性的興奮を与え続けている。
 そして性的興奮にあわせてナニが勃起の度合いを強め、それに従い体積が増すのだが、
それに伴って根元にはめられた輪ゴムがぎりぎりと食い込んで強烈な痛みを与えてくるの
である。
 おまけにすでに数度絶頂の波が襲ってきていて尿道もパンク寸前である。

 これは…マジで使用不能になるかもしれん。
552したいわけ 由真編 4/5:2007/10/01(月) 22:48:21 ID:YevblON70
 そんな事を思いながら、ナニの痛みとイきそうでイけないその中途半端な快感で意識が
朦朧となり始めていた。
「ん…あ…はん…は…いきそう。」
 由真が何度目かの絶頂を前にフルフルと背筋を振るわせた。
「…う」
 朦朧とした意識の中、俺もまた絶頂を迎えようとしていた。
「ん…はっ、あっ、ああっ」
 由真のアソコが俺のナニを強烈に締め上げた。そのとたん、俺もまた何度目かの絶頂を
迎えた。
「うあっ!」
 溜まりに溜まったものが、今度こそ噴出せんと、今までに無い圧力で押し出された。
 そのとたん、

 ぷちん

「うわぁっ…あ〜〜〜〜〜〜〜」
 俺は体を痙攣させながら、溜まりに溜まっていたありったけの精液を、情けない声と共
に由真の中へとぶちまけた。
「あっ…熱っ…すご…」
 体内に噴出した大量の体液の熱さに由真のうめき声を漏らした。
 まるで魂まで搾り出すかのような長く大量の射精に、俺は意識が朦朧となりながらも、
今まで味わったことも無いようなえもいわれぬ快楽を味わっていた。
「あ…はあっ、あっ、はっ」
 由真もまた、俺の体にしがみついてびくびくと体を震わせながら俺の射精を受け止め
続けた。
553したいわけ 由真編 4/5:2007/10/01(月) 22:49:25 ID:YevblON70

 かなり長い間二人ともぐったりしていたが、先に正気に戻ったのは由真だった。
「な、なんで…なんで出ちゃったのよ。」
「…お前やりすぎだよ。溜めすぎて輪ゴムが圧力に負けて切れたんだ。」
「う、うそ…」
「おかげで出た瞬間は物凄い気持ちよかった…二度とやりたくないけどな。今までで一番
 大量に出たんじゃないかな。」
「あああ…ど、どうするのよ!」
 なぜか由真は慌てふためいていた
「どうするのよ、って…出ちゃったものはしょうがないだろ。」
「今日は危険日なんだってば。それなのにあんなにどばどば出しちゃって。」
「え゛」
 今度は俺があわてる番だった。
「な、なんでコン○ームとか付けなかったんだよ!」
「それじゃ感触が鈍くなってお仕置きにならないでしょ!ううう…出来たら責任とって
 貰うからね。」
「うっ…」
 由真と結婚するのはやぶさかではないが、それは未来の話であって、こんな展開は想定
外だった。

 結局、由真の次の生理が来るまで、毎日戦々恐々としてすごさなければならなかった。
 だけど、その間ウエディングドレスのカタログを見る由真の顔が何処となく嬉しそう
だったのは気のせいではないだろう。
554物書き修行中:2007/10/01(月) 22:54:40 ID:YevblON70
死体分け、もとい、したいわけ由真編でした
一応俺史上最高エロ…かな?

恋愛同盟書かなきゃと思いつつ、書かなきゃと思っているものとは
別のネタがぽんぽん出てくるんですよね、これが。
ところで、昨今の高校の修学旅行って何泊ぐらいの日程なんですかね。
なんせ当方当年とって三十ウン歳なもんで、修学旅行はもう20年近くも
前の話…どなたか知りませんか?
555名無しさんだよもん:2007/10/01(月) 22:54:45 ID:mVdLO+DQ0
支援
556名無しさんだよもん:2007/10/01(月) 22:56:12 ID:mVdLO+DQ0
うお……まだ続くと勘違いしたあげくあとがきの後に支援なんて……
吊ってきます……
557名無しさんだよもん:2007/10/01(月) 23:05:40 ID:XwVqbR4o0
じゃぁ俺も支援
558物書き修行中:2007/10/01(月) 23:12:41 ID:YevblON70
うあ…番号間違ってましたな
最後5/5に書き直すの忘れた

漏れも吊ってくる……
559名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 00:29:50 ID:8UBCfsFE0
>>554
私立は知らんが公立はたぶん3,4泊。
560見習い氷:2007/10/02(火) 00:46:20 ID:xTBUCa5GO
私のところ(私立)は3泊4日でしたね。
修学旅行と言うよりは研修旅行でしたが。

やっと試験終わりました。
…結果?
…聞かないでくださいw
さて、これから作っていかねば。
561名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 01:02:21 ID:19r2Q61N0
短いな。うち公立だけど、5泊はしたぞ。6泊だったかもしれん。
562名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 03:03:29 ID:r4tqgkVdO
俺は公立だったが修学旅行は海外で3泊5日だったぞ
563名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 07:26:20 ID:BQwIEH8e0
俺のところは2泊3日だったよ、俺は途中で陸上の試合があったからかえって1泊2日だったけど。
中学と違って高校の修学旅行はしょぼくて、きびしくてつまらなかった・・・orz
564名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 18:08:01 ID:jsPbkbLk0
5泊6日 私立高校
565名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 20:48:47 ID:P5tYpMMC0
修学旅行なんてなかった。男子校だからどうでもいいけどさ
俺達の前の年までは、移動ホームルームっていう1泊2日のクラス行動があった
566物書き修行中:2007/10/02(火) 21:45:17 ID:/hwNoK/v0
>>559-565
結構色々あって面白いですな
大体間を取って4泊5日ぐらいというところでしょうかね

ちなみに漏れが高校のとき(北海道)はたしか2泊5日で、寝台特急泊が2泊ありました。
(寝台が3段だったのでたぶん「ゆうづる」か「はくつる」)
当時青函トンネル開通直後で、青森まで特別列車でとろとろ走っていったのですが、
トンネルに入った瞬間歓声をあげた覚えがあります。
風景が変わらないので10分ぐらいで飽きましたが。

話が脱線しましたが4泊5日を目安にプロット組んでみる。
当方鉄分高い人間なので飛行機じゃなく列車で組む予定。
567名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 22:01:59 ID:pvEVfGW80
関東の公立だったけど6泊7日だったよ。

うちの高校ひどいことに、
京都→沖縄→京都→沖縄→京都→沖縄
と1年ごとに換わるのよ。


もちろん俺らの年は京都でしたがorz
568名無しさんだよもん:2007/10/02(火) 23:32:26 ID:hS2ZUD5o0
お前ら、甘いぜ
俺の高校なんか、修学旅行先がオーストラリアから国外情勢鑑みて北海道に変更だ
まあ、俺の先輩は高校にでかいバッグ運び込む前日にハワイ行き中止されたんだけどな
569563:2007/10/02(火) 23:48:15 ID:BQwIEH8e0
うちの高校(県立)は、修学旅行先が香川と岡山で2泊3日。
さらに新幹線の中ではおしゃべりやトランプ禁止。途中の買い食い禁止。夜中は完全見回り状態で騒げず。
岡山の藩校なんて時間がめちゃくちゃ長く感じたよ。

中学(東京へ修学旅行)では、先輩はサリン事件のおかげで色々大変だったし、
俺たちは国会議事堂に行く朝に、ニュースで「国会に車が突っ込んだ」って放送されたし・・・
上野では外国人に「テレカ?テレカ?」って偽造テレカ売られそうになったし・・・
宿は東大近くにあるぼろい旅館だったし(俺の後輩はTDLのオフィシャルホテルやプリンセスホテルとかだったらしいが)

小学校(伊勢へ修学旅行)は・・・特に問題なかったかな?
570見習い氷:2007/10/03(水) 00:54:16 ID:Q9Dnf9VTO
>>569
それは災難ですね。
せっかくの行事が台無しになるのはある意味思い出に残りますがw

新作とりあえず完成しました。
タマ姉ssです。
また違った設定やオリジナル要素含んでたりするんで、何かありましたら指摘よろしくお願いします。
3日の夜に投稿予定です。
…しばらく日を空けていたから書き方忘れてましたよw
571clover story 1/9:2007/10/03(水) 21:30:17 ID:ZryIK9fl0
四つ葉のクローバーには4つの意味が込められている。

一つは『誠実』
真心がこもっていて,うそ・偽りがないこと。

次に『希望』
将来に対する明るい見通し。

さらに『幸運』
運のよいこと。しあわせ。

そして『愛』
価値あるものを大切にしたいと思う,人間本来の温かい心。

―クローバーで結ばれたとある2人のとある物語―
572clover story 2/9:2007/10/03(水) 21:31:16 ID:ZryIK9fl0
「いい天気ね」
「そうだね」
「気持ちいいわね」
「うん。とても暖かくて眠くなりそう」
「タカ坊。せっかく一緒にいるんだから寝ちゃだめよ」
「わ、わかってるよ、タマ姉」
ついこの間まで咲いていた桜はいつの間にか散り、桜並木は緑の葉をつけていた。
今、俺はタマ姉と一緒に河原に寝そべっていた。
「今日はいい天気ね。そうだ。せっかくだから河原にまで行ってみない?」
貴重な休みである日曜日の朝、タマ姉は突然家にくるなりそう言ってきた。
「いや、今日は遠慮しとくよ。」
正直、今日は家でのんびり過ごしていたかった。
しかし、タマ姉はそう簡単には譲らない。
「ダメよタカ坊。家に籠もってばかりでは体が弱くなるわ。太陽の光を浴びて、健康になるのよ」
「でも…」
「いいから早く着替えなさい。お姉さんが手伝いましょうか?」
「わ、わかったよ。着替えるからちょっと待ってて」
結局俺は、半分脅迫気味に連れ出されたわけだった。
573clover story 3/9:2007/10/03(水) 21:32:24 ID:ZryIK9fl0
「確かに気持ちいいなぁ」
半強制的に外に出されたが、出てみると外は暑すぎず、寒すぎず。
空には雲一つなく、太陽の光を遮るものは何一つ無かった。
太陽の光もまた体をぽかぽかさせ、心地よかった。
「でしょ?小さい頃はよく一緒に外で遊んだものね」
「俺と雄二とこのみはいっつもタマ姉と遊んでたっけな」
「あの頃はまだホントに小さかったわね」
木陰に仰向けに寝ながら昔を懐かしむ俺とタマ姉。

―「タカ坊は、生涯ワタシのことを愛しつづけることを誓います。
もしワタシたちが離ればなれになることになっても、
かならず再会して想いをそいとげることを、ここに誓います」
まだ小さい頃の話。公園で行われた小さな告白。小さな儀式。
まだ小さかった頃の俺には理解できなかった。
返事をすることもできなかった。
それからタマ姉とは離ればなれになった。
しかし、タマ姉はこの春、九条院から帰ってきて、俺の通ってる学園に転校した。
一緒に過ごしてきた日々。
そしてついこの間。
―「タカ坊は、生涯ワタシのことを愛しつづけることを誓います。
もしワタシたちが離ればなれになることになっても、
かならず再会して想いをそいとげることを、ここに誓います」
再び耳にした告白の台詞。
前と違い、声には決意のこもっているように聞こえた。
俺は迷うことなく返事をする。
―「私、河野貴明は、生涯、向坂環のことを愛しつづけることを誓います」
それから俺とタマ姉の関係は幼なじみから恋人となった。
574名無しさんだよもん:2007/10/03(水) 21:33:30 ID:lhPCGzqv0
支援
575clover story 4/9:2007/10/03(水) 21:35:50 ID:ZryIK9fl0
「………ぼ…………と…る?」
「ん?」
「タカ坊?ちゃんと聞いてる?」
「え?ああ。聞いてるよ」
「タカ坊。聞いてなかったって顔にでてるわよ」
どうやら少しの間自分の世界に入り込みすぎていたようだ。
「もう…せっかく話をしてたのに聞いてないなんて。」
「ごめん、少し考え事していて。で、なんだっけ?」
「クローバーよ」
タマ姉が手に1つのクローバーと手にしながら問いかける。
「え?」
「覚えてない?まぁあれの前日の話だから覚えてないのも無理無いかな…」
クローバー?なんだ?しかもあの告白の前日?
「う〜んと…」
ダメだ…全く覚えていない。
「…タカ坊はクローバーに込められた意味って知ってる?」
確か前に調べたことがあったな。
「えっと、『幸運』と『希望』。それから…」
「そう。それに『誠実』と『愛』よ」
「そうそう、それそれ」
「でもね他にもあるのよ?」
「他に?」
あ、クローバーの話、思い出したぞ。
「他の意味はね…」
そうだ。あれは確か…
576clover story 5/9:2007/10/03(水) 21:36:36 ID:ZryIK9fl0
時を遡る。
「みつけたわ!」
「たまおねえちゃんすごおい!」
「おいたかあき!みつけたか?」
「いや、まだ…あ、あった!」
4人の子供が地面を食い入るように目を凝らして何かを探している。
「なかなかないなぁ…四つ葉のクローバー」
きっと一度は体験したことがあるだろう。
幸運の象徴である四つ葉のクローバー。
たくさんの三つ葉の中から稀にある数少ない四つ葉のクローバー。
目を凝らさないと意外と見つけられない四つ葉のクローバー。
4人の子供はその四つ葉のクローバーを探している。
ひょんとしたことで、子供というのは夢中になるもので、日が暮れるまで探し続けていた。
「このみ1つしかみつけられなかった…」
「このみ、がんばったわね」
「おれなんか7つ見つけたぜ!」
「ゆうじ、それ葉をちぎってるだろ!ごまかすなよ!」
…雄二はこのころからこんなだったか。
「ゆうじ!うそはダメよ!」
「アテテテテ!いたい!いたい!」
…タマ姉のアイアンクローもこの頃からか。
「タカ坊ははいくつ見つけた?」
「ぼくは3つ」
「あら、わたしは4つ見つけたわ」
この頃から既にタマ姉は俺たちの上だったな。
何をしてもタマ姉を上回ることは出来なかったな。
577名無しさんだよもん:2007/10/03(水) 21:37:29 ID:1zkoJ+xR0
支援
578clover story 6/9:2007/10/03(水) 21:37:39 ID:ZryIK9fl0
「そっか…タカ坊。これ、あげるわ」
「え?」
突然、タマ姉からクローバーを渡される。
「できれば…大切にしてほしい」
「え?あ。うん」
当時はわからなかった。今考えるとそのときのタマ姉の表情には寂しそうに感じた気がした。
「ゆうじ!帰るわよ!」
「はいはい。またな、たかあき」
「バイバイ、ゆうじ」
「またね!たまおねえちゃん!」
「またね、このみ」
そして、翌日には告白され、返事を聞かぬまま、タマ姉は九条院に行った。
579clover story 7/9:2007/10/03(水) 21:38:54 ID:ZryIK9fl0
「他の意味はね…『私を思いだして』っていう意味があるの」
「『私を思いだして』…か」
そうか。あの時既に、タマ姉はもう会えなくなることわかっていたんだ。
クローバーに込められた意味を知っていて俺にあげたのか。
そしてその翌日にあの告白…。
俺はあの時気づいてやれなかった。タマ姉の気持ちに。
あの時に返事をしていたら。
クローバーの意味を知っていたら。
今の関係が嫌というわけではない。
ただ、今とは違う形でタマ姉と。
そう考えていた。
「それともうひとつあるのよ」
タマ姉の顔に赤みを帯びる。
「『私のものになって』」
「そ、そんな意味があるの?」
なんとなくタマ姉らしい感じがした。
「私もこれに気づいたのは最近なんだけどね。あの頃はまだ幼かったしね」
…小さいときからそんなこと言うようなのは困りものだが。
580clover story 8/9:2007/10/03(水) 21:39:50 ID:ZryIK9fl0
「でも、時間は掛かったけど実現したし」
タマ姉が寄り添ってくる。
あぁ…やわらかい…じゃなくて。
「お、俺は物、なのかな?」
一応聞いてみる。
「ほら、よく聞くじゃない。『俺の物は俺の物。お前の物も俺の物。』って」
…なんというジャイアニズム。
タカアキの目の前が真っ暗に…なる寸前に。
「ふふっ、冗談よ、タカ坊」
本気だったら俺はこの人から一生逃げることは出来ないのだろう。
「タカ坊。好きよ」
突然の告白。さらに近づいてくる。
顔が近い。
いまにもキス出来そうな距離。
「俺も。好きだよ。タマ姉」
自然と重なる唇。
タマ姉が震えているように感じたが、徐々に震えもとれ、唇を甘噛みされる。
なんとなくそういった仕草にホッとしてしまう。
581clover story 9/9:2007/10/03(水) 21:40:27 ID:ZryIK9fl0
その日の午後。
俺とタマ姉で商店街を散策し、とある店で四つ葉のクローバーのデザインをしている指輪を発見した。
内側に字を彫れるらしく、お互いの名前と字を彫ったのを注文し、2人で薬指にはめている。
まるでエンゲージリングのように。

     〜I Love You Forever〜
582名無しさんだよもん:2007/10/03(水) 21:41:56 ID:1zkoJ+xR0
GJ!!
583見習い氷:2007/10/03(水) 21:52:58 ID:ZryIK9fl0
以上、タマ姉SS投稿させていただきました。
今回は小さい頃の4人を登場させてみました。
このみ→まだ小さいから言葉使いに特徴つけるためにひらがな
貴 明→このみよりは年上だが、雄二と区別するために一人称「ぼく」
雄 二→「おれ」正直どうでもよか(ry
タマ姉→漢字も交え普通に
こんな設定でやってみました。
久しぶりだったので粗いとは思いますがご了承を。
設定もオリジナル入ってるかも…。
誤字報告&指摘等ありましたらお願いします。

…次は誰書こうかな。
あと、テンプレの「容量が480k?」で越えてますがどうしたらいいのでしょう?
こういう掲示板使い慣れてないからどうすればいいか。

>>574
>>577
支援どうもです。

>>582
とりあえずGJ
584物書き修行中:2007/10/03(水) 22:39:40 ID:dVatFDxQ0
>>583
乙です
漏れも良く突っ込まれるけど、時間の行き来がある部分がわかりずらいかなと思った
でも全体的にあまあまな感じでいいんじゃないかとオモタ

あと次スレ立てですが、漏れもやったこと無いけど、葉鍵板のページの一番下に
新規スレッド作成ボタンがあるのでそこからやると思われ
でも立てた直後に過疎ったりするといきなり即死したりするんで…
でも何事も経験だからやって見るかのう…
>>1-2のテンプレ張ればいいんだよね?
585物書き修行中:2007/10/03(水) 22:56:27 ID:dVatFDxQ0
立てますた

ToHeart2 SS専用スレ 21
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1191419513/

ついでにテンプレにXRATEDとAnotherDays公式のリンクも足しときました
586名無しさんだよもん:2007/10/04(木) 00:58:48 ID:YVTAVBtd0
>>583
乙。

以下気になった部分の指摘とかなんで、ウザかったらスルーしてくれ
まず、回想部分。>>584も言ってるように、ちょいとわかりづらい
前後一行か二行空けて区別するとか、鉤括弧を二重鉤括弧(『』)にすると少しはわかりやすいかも
あと、やっぱりリズムがちょっと気になる
やっぱり「〜た」で終わる文が多いんで。それと、句読点で区切った文の長さが似通ってる部分が多いのもその一因かと
次に、ダッシュについて。文章作法云々ってわけじゃないけど、ダッシュは「――」みたいな感じで二つ繋げた方がいい
一つだけだと、漢数字の「一」に見えるんでちょいと紛らわしい。それと、『――「』って使わないで、『――』だけでもいいかと
最後にもう一つ。前に「〜いる」を「〜る」って書いてもいい、って言ったのは俺なんだが、ちょいと誤解があるみたいなんで
一人称でも、地の文では「〜いる」って書いた方がいい(場合によっては「〜る」でも可)。俺が言いたかったのは会話文
会話文は話し言葉なんで砕けた感じで書いていいんだけど、描写とか説明を担当している地の文だと砕けた表現はそぐわないんで

まあ、何はともあれ、話の展開としては良くなったかと
最近はすっかり珍しくなった気がするタマ姉小説ってことで楽しめた
文章が読みやすくなればもっと良くなると思うんで、また次回作に期待
587名無しさんだよもん:2007/10/04(木) 05:50:21 ID:NSZuUhJ70
四つ葉のクローバーを渡すっていう遠回しな告白の翌日にリアル告白だと
なんか無理に原作につなげましたって感じの無理矢理感を感じる。
やるなら告白しようと思った理由を追求するから意味があるんじゃないかね
588見習い氷:2007/10/04(木) 11:55:47 ID:eyfHAH5lO
>>584
いい言葉が見つからなくてそのままにしちゃいました。

>>586
書き方すっかり忘れちゃってましたね。
回想と会話文、ナレーションの部分も以降考えさせていただきます。
>>587
設定ミス…ですかね。
cloverの意味を考えるとあの前にとか考えてましたが、ダメでしたね。
589名無しさんだよもん:2007/10/04(木) 14:34:08 ID:cpMCl36/0
1レス目を読んで菜々子ちゃんSSキタコレ!と思った俺は決してロリではない。
590名無しさんだよもん:2007/10/04(木) 18:51:27 ID:Udgf1a+E0
>>558
輪ゴムとかで尿道塞いでても射精はするよ
膀胱に逆流するけどね
591物書き修行中:2007/10/04(木) 20:24:29 ID:75ItoBAN0
>>590
いや、女の体はようけ解らんけど、男の体の方は男30ウン年やってますから
言われなくても知ってますが…輪ゴムでやったことは無いけどね
592名無しさんだよもん:2007/10/05(金) 04:40:15 ID:0PZxgc1O0
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593名無しさんだよもん:2007/10/05(金) 04:41:11 ID:0PZxgc1O0
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594名無しさんだよもん:2007/10/05(金) 04:53:37 ID:0PZxgc1O0
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595名無しさんだよもん:2007/10/05(金) 04:54:51 ID:0PZxgc1O0
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598名無しさんだよもん:2007/10/05(金) 04:59:39 ID:0PZxgc1O0
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599名無しさんだよもん
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スレ埋めーーーーーーっ! 終わりっ!