「お帰りなさいませご主人様」
玲於奈は、入室してきた客に頭を下げた。
ほぼ黒に近い濃紺のワンピースに白のエプロンドレス。
膝丈の裾にはフリルが揺れて、すらっと伸びたふくらはぎにはニーソックス。
赤髪にカチューシャを付けた少女の格好は、いわゆるひとつのメイドさん。
「うわ、可愛いコ」
「写真撮れねぇかな」
こそこそ小声の会話を交わしながら、三人組の客がテーブルにつく。
テーブル、といっても机を4つ組み合わせて、上からクロスを掛けたもの。
椅子はそのまま学校椅子。
黒板に引いた暗幕の上に、模造紙でディスプレイ。
<☆2−A主催 メイドカフェ “To Heart”☆>
「な、なんになさいますかご主人様」
「うーん、あ、とりあえず、これ」
ニヤニヤ笑いながら客が指差したメニューは。
<笑顔・・・PRICELESS>
(……誰ですの、こんなメニュー作ったのは……)
○クドナルドと混同したような記載を心の中で嘆きながら笑顔を作る。
「うーん、もうちょっと笑って欲しいなあ」
「一枚撮っていい?」
「ご、ご注文が決まりましたらお呼びくださいっ」
携帯のカメラを向けられて慌ててカウンターに退却する少女。
注意書きには「撮影は御遠慮願います」と明記されているのだが、指摘する余裕はない。
「まったく、どうしてこんな事に……」
バックヤード−単なる隣の教室−でぼやく少女を、他の女子生徒達が面白そうに眺めていた。
時間を遡って、午前10時。
カレンダーは11月。今日は学園祭、二日目。
「お待たせしました、雄二さんっ!」
「いや、俺も今抜けてきたとこ。もういいのか?」
文化部の活動発表的な色彩の濃い初日の校内祭と違って、
二日目は学園内の各コミュニティが出店やイベントを企画する一般開放。
文化部、運動部、委員会、クラス。
生徒はそれぞれ、自分の属する集団のうち好きなものを選んで企画に参加する。
するのだが、所属らしい所属がない連中も当然いるわけで。
「クラス催事の準備を手伝ったんですけど、あまりすることもなくて」
「俺もだ。どっちかっつーと、邪魔者だな」
「ふふっ、じゃあ、行きましょうか」
適当にお茶を濁して見物に回る雄二や玲於奈のような生徒達もまた、学園祭の一部である。
「ずいぶんと外から来る方が多いのですね」
「学祭はどこも、こんなんじゃねえの?」
「九条の学園祭は、生徒の関係者にしか公開されませんので」
お祭りというよりは、部活動を父兄に参観してもらうのが主旨になるという。
「大学の方は、一般客も受け入れているのですが、場所が山奥ですから」
おまけに身なりの悪い人間は警備員に門前払いされるので、開放的とは言い難い。
「窮屈そうだなぁ」
「中等部と高等部の合同企画とか、それなりに刺激的な事はありますけれどね」
懐かしむような玲於奈の声。
自分も関係者である事を思い出し、行ってみるかと誘い掛けた雄二だが、
関係者たる所以の姉の顔が思い浮かんでそれは保留。
「昨日と違う展示も多いから、ぐるっと回ろうぜ」
そう言って、とりあえず恋人の手を取った。
「でいやーっ! どらいぶしゅーとーっ!」
「びえーっ、おかーさーん。えぐっ」
「あ、ええっと、すぐ戻ってくるからね」
「おしっこーっ」
図書室の扉を開けると、そこは戦場だった。
「……凄いな」
「壮絶ですわね」
「あはは、元気な子が多くて……」
呆然とした二人に愛想笑いを浮かべたのは、所属らしい所属がある方の代表格たる愛佳。
「図書室を託児所ってのは思い切ったなぁ」
「体育館だと、広すぎるんだよねー」
図書委員会と文芸部と家庭部による合同企画。来校者用託児所@図書室with絵本とか。
勉強机を撤去して、空いた空間に厚手のビニールシートとクッションで遊び場を作り、
本棚の列とは仕切りを立てて区切って行き来できないようにしてある。
「TVがないと大変だろ?」
幼子を鎮静化する最強のクスリである文明の利器は、遊び場には見あたらない。
代わりに、遊び場には小型の本棚が用意され、子供向けの本が並んでいる。
「TVやマンガじゃなくて、本を読んで欲しかったから」
本は、半分は図書室の備品で、残りは文芸部の自作。絵本は漫研も自主協力。
それらを世話役の生徒が子供達に読み聞かせていたり、子供同士で読んでいたり、
「じゃんけんぽんっ! えいっ!」
丸めた冊子でバシッとしたり。
「いてーっ、もっかいっ!」
「……読まれてないのもあるようですけど」
「さ、触ってもらうのが第一歩、かなぁ」
「しかし、大掛かりな企画だな」
「去年見てて、お子さん連れ多かったし、役に立てばと思って」
首謀者が述べる動機は単純だが、子供を預かるとなると安全責任もある。
養護教諭に校長まで絡んで、人脈の広い彼女でなければ難しい企画だったろう。
「仕切りは……ベニヤ板?」
「うん。今度の生徒会長さんが土木研究会出身だからいっぱい貰ったの」
「絵は?」
「知り合いの美術部の子が描いてくれたー」
板壁の一部に、小さな子が覗き込んでいる大きなマンガ絵。非公式な協力者も数多いようだ。
「なんだ、来てたのか」
声を掛けてたのは、その非公式な協力者の筆頭。つつっと玲於奈が逃げた。
「よう……プッ」
「笑うなよ」
貴明の格好は、学生服の上から白いエプロンと三角巾。言いつつ本人も苦笑している。
「似合ってるぜ、それ」
「ちぇっ。ガキんちょの相手は、雄二の方が得意なくせに」
公園で環が子供と遊ぶときに駆り出された回数は、雄二の方が若干多いだろう。
「言うなって、委員ちょの為ならえんやこらだろ」
「そういうの、俺だけじゃないよ」
からかった雄二を、貴明はあっさり流す。
「愛佳もさ、最近、人を働かせるのが上手くなったっていうか」
プルルルルル。
「いいんちょ、内線ー、生徒会室ー」
「ごめん、委員ちょ、ちょっとこれどうしよう」
「おーい、委員ちょいるー?」
「うぁあぁ、ちょっと待ってえ!」
「……あれでもか?」
「……人を働かせた3倍くらいは、自分で働いてるけどね」
@一年生の階。
「う〜ら〜め〜し〜や〜」
「「……」」
教室から出て二人の前にやって来たこのみは、不思議な仮装をしていた。
「怖くなぁい?」
「全然」
白いシーツに虎柄を描いたと思われる貫頭衣をすぽっと被って、頭も白の猫耳帽子。
裾からのぞくハイソックスの先は、不格好な猫スリッパでぺたぺた歩く。
顔に描かれた朱線は、血糊のつもりかヒゲなのか。
「うー、怖ーい人食いネコさんなのに」
拗ねたところで、
「お前のクラス、お化け屋敷なのか?」
「うんっ!」
元気に頷く様子は、どうにも噛みつくより喉を鳴らす方が似合う猫っ娘コス。
「でもね、みんなしてかわいーとか、だっこしたーいとか言うんだよ。なんでだろ?」
「まあ、な」
リアクションに困る雄二。
「け、化粧をした方が、上手くないのではないですか?」
珍しく玲於奈がフォローなどしていると。
「このみ、なにやってんの?」
廊下の騒ぎを聞きつけて、キコキコと馴染みの車椅子の音。
「郁乃か、遊びに来てやっ……のわぁっ!」
「きゃあっ!」
玲於奈が可愛い悲鳴をあげたのは、別にブリッコではない。
車椅子の上の少女は、設定ミイラか透明人間か、全身包帯ずくめだったが、
それ以上に、顔と手足の真っ白な化粧が強烈で、怖いというか気色悪いというか。
「け、化粧は、お上手なようですわね」
「84年版ゴ○ラで巨大化フナムシに吸血された船員の枯死体がモデルだって」
「……マニアックな奴が居やがるな」
「特撮好きみたい」
頷く郁乃。難病人に死体役ってのは悪趣味な気もするものだが、
この娘がそんなことを気にするタマでない事はクラスメートも理解しているのだろう。
「けっこう本格的だったねー」
「やたら凝ってたなぁ。オバケのメーク」
これは、教室から出てきたカップルの会話。
「しかし、そうするとチビッコの格好は……」
「このみーっ、小牧ーっ! どこーっ!」
教室内から、声が掛かった。
「あっ、ごめん。今戻るーっ!」
「んじゃ」
元気に身を翻すこのみと、無愛想に車椅子を回す郁乃。
「もー、あんたらはいっつも二人してえ」
教室の中から漏れ聞こえる、一年生らしい賑やかな会話。
「このみ、今度これ着てみない? うさぎうさぎ」
「うーっ、ウサちゃんじゃ怖くないよ」
「ちっちっちっ。世の中には、人間の首を切り落とす兎がいてね……」
「えっ、じゃあ、怖いかな?」
「怖い怖い。絶叫もん」
「着替えたら教えてね、写真撮るから」
廊下で顔を見合わせる、雄二と玲於奈。
「……要は、あれだな。チビッコは」
みんなのおもちゃ。
かように楽しく学園祭見物を続けていた二人だったが。
「腹減ったな。どっかの出店でメシでも食うか」
「あ、うちのクラス、喫茶店です」
玲於奈のなにげない一言が、転機になった。
「「お帰りなさいませ、ご主人様ぁ♪」」
入店した途端に、声を揃えて挨拶するメイドさん(偽)。
「うっ、なんですのこれ?」
「いや、だからメイド喫茶ってのはこーゆーもん。らしいぞ?」
雄二は、実は廊下の看板を見る前から、2−Aでメイド喫茶をしている事は知っていた。
無類のメイド好きである彼が、気にしていたのは言うまでもない。
行かなかったのは、玲於奈に遠慮して。
いっぽう玲於奈は、そもそもメイド喫茶と普通の喫茶店の区別がついておらず、
雄二がメイド好きであることだけは知っていたので、こういう事になったわけだが。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうかぁ☆」
「ああ、よろしくね」
「かしこまりましたぁ♪」
自分の彼氏がウェイトレスを見てニヤケているのを、気分良く思う女性はいるまい。
おまけに。
「お待たせしましたぁ」
「お、大盛りだな」
「制限時間内に召し上がれば値引きでございまーす」
「応援しますよぉ」
二人がかり。ノリノリで雄二にちょっかいを出すクラスメート。
「なによあの子、手伝いもせずに彼氏連れて客で来る普通?」
理由は、バックヤードのヒソヒソ話。確かに玲於奈も悪かろう。
数分後。
「く、食ったぞ」
「完食おめでとうございまーす」
チャッチャッ、とタンバリン振る女子生徒、距離がやたらと近い。
「ご褒美にデザートが……」
一人が雄二の顔を覗き込んだ所で、玲於奈が臨界点突破。
「結構です! 行きますよ、雄二さんっ!」
「え? あ、ああ」
「いってらっしゃいませご主人様ぁ♪」
ウェイトレスは最後までしなしな。カウンターの向こうから笑い声が聞こえた。
「まったく、悪趣味にも程がありますわ」
フロアを移動しても、まだ腹立ちの収まらない玲於奈。
「いやまあ、そうだがな」
曖昧な口調に、キリッと久しぶりに雄二を睨む。
「雄二さんは、ああいうのがお好きなんですの?」
「ぐ……」
言葉に詰まる雄二。
話を合わせればいいのは、分かっているのだが。
「あー、男はまあ、そういうとこもある」
「……」
一般論で逃げ、玲於奈はますます不機嫌に。
「まあそのなんだ、世の中には属性っていうのがあってだな」
火に油。
「……雄二さんがそういう趣味をお持ちなのは分かりました」
「い、いや、そういう事は……」
「もしお望みでしたら……」
玲於奈が何か言いかけた時、
「メイドカフェぇ〜、本物のメイドロボがいるメイドカフェだよ〜!」
廊下に、賑やかな声が響いた。
<1−C企画 喫茶”MACHINE MAIDEN”>
「まったく、どこもかしこも」
頬を膨らます玲於奈。
「今年の流行なのかもな」
雄二がなだめつつ、二人はその前を通り過ぎ、ようとしたが。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい。なんと来栖川重工の最新型だよ〜」
ぴくっ。
雄二はメイドロボも好き。最新型、という言葉に一瞬反応してしまう。
「寄りたいのですか?」
玲於奈の目が吊り上がる。
「いや、そういうわけじゃ……」
「そこの格好いいお兄さんっ!」
足を止めたのが、運の尽きだった。
客寄せの女の子が、飛びつきそうな勢いでぐわしっと雄二の肩を掴む。
「ねえねえ、よっていこうよー」
学年章は一つだが、とても一年生とは思えないタメ口と馴れ馴れしい態度。
(ってか、こんな子いたっけか?)
地色とは思えない綺麗な薄ピンクの長髪に、ちょっとぷにっとした愛らしい顔立ち。
入学式の時にひと通り新入生はチェックした−当時は彼女募集中だった−筈なのだが。
「転校生?」
「まあまあ、はるみのプライベートなんて気にしない。ささ、どーぞどーぞ」
「いや、俺たち飯食ったばっかでさ」
断って振りほどこうとした雄二だったが。
がきっ。
「なに!?」
少女に掴まれた肩が、万力に固定されたように動かない。
振り向くと、獲物を見つけたペルシャ猫のように、にまーっと女の子が笑った。
「遠慮しなくていいんだよっ、さ、さ」
「お、おい、いや、ちょっと待て、ちょっと待てって」
ずるずるずる。
外見からは想像もできない少女の怪力に、雄二はなす術なく引きずられていく。
なす術無く、なのだが。
「何をやっているんですの、雄二さん」
端で見ている玲於奈には、外見から想像できない少女の怪力はやっぱり想像できないので。
「入りたいなら素直にそうおっしゃっていただければ……」
「違う、誤解だ、ってっ、のわーっ!」
「はーい、イルファお姉ちゃん、珊瑚様、お客さんだよーっ!」
がらがら、ぴっしゃん。
雄二の姿は、扉の向こうに消えた。
「……」
残された玲於奈は、非常に楽しくない。
「別に、ダメと言っているわけではありませんのに」
空間に向かって独り言。周囲を気にして、人の流れに取り残された自分に気付く。
これ幸いと引きずられていった−ように玲於奈には見えた−雄二の後を追う気にはなれない。
「もう、知りませんっ」
踵を返した足に任せて、少女は立ち去った。
ので、特に目的地があったわけではないのだが。
「……何がいいんでしょう、あれの」
気が付くと自組の教室前。
入る気はないが、こっそりドアのガラスから室内を窺う。
と、
「えーっ、一日いるって約束じゃんかーっ」
バックヤード側の教室から、大きな声がした。
「ごめん、彼がバイト早引けできるって連絡きてさっ!」
「連帯感ないのー」
「ここまで頑張ったじゃない! あんた達こそあたしにばっか客任せてさーあ」
「あんたが一番客受け良かったんだからいーじゃない」
なにやら揉めている。
覗き込むまでもなく聞こえてくる会話に、足を止めてしまう玲於奈。
「とにかく、あたしは行くから、これお願いね」
「他のひと入らないんだよこのサイズ、細くてさー」
「ちょっとー、フォローちょーだーい!」
「ごめん、もう少し一人で頑張ってー!」
「うぞーっ!」
「困ったなあ、もう一着買っときゃよかった」
「誰かお客様の中にメイドが出来る方はいませんかー?」
詳しい事情はともかく、メイドの数が足りなくなったらしい事は判った。
困っているクラスメート。
メイド好きな雄二。
メイド服。
玲於奈の頭の中で、どんな化学反応があったのか。
「お願い、今日一日我慢してっ!」
「やだよぉ、なんとか着られるでしょ?」
「うーん……」
女の子達が首を捻っているところに。
「よろしければ、お手伝いしましょうか?」
教室の外から、玲於奈は声を掛けた。
それで、話は冒頭に戻る。
戻る前に、少し紆余曲折。
まず、玲於奈の提案の採否。
「なによアンタ、彼氏と喧嘩でもしたの?」
「今頃出てきたって……」
「やったっ! じゃ、後よろしくねーっ♪」
不満の声はあったが、前任者が渡りに船では是非もない。
玲於奈自身は、受け取ったメイド服コスの頼りない軽さに後悔したが、後の祭り。
つぎ、喫茶店の状況。
「いらっしゃいま……」
「違う、お帰りなさいませでしょ」
「お、おかえりなさい……ませ……ごしゅじンサマ……」
(おい、ドジっ子だぜ)
玲於奈のぎこちない接客は来店者にはなかなか好評のようで。
「おねーさん愛想ないなあ、もっと笑ってよ」
「な、何故貴方などにっ……い、いえ、申し訳ありませんご主人様」
(ツンデレだ)
(ああ、ツンデレだな)
どこから何がどう伝わったのか、なんだか客の数も増えてきて。
「うわー、人が途切れないよぉ」
「あたし疲れちゃった。暫く玲於奈に任せようっと。お客も喜ぶし!」
バックヤードはこんな会話。
最後。
「やれやれ、酷い目に遭ったぜ」
言いつつ微妙に鼻の下を伸ばしながら1−Cを出てきた雄二。
「玲於奈、探さなきゃな」
狭い校内、すぐ見つかるだろうとたかをくくって動き出したのだが。
「此処は……いるわけねーか。覗いてたら怒られるよな……」
2−Aの教室だけ、見事に通り過ぎていた。
「はい、できたわよっ、お願い」
「また、私ですの?」
パフェを乗せたトレイを渡されて、玲於奈はげんなり。
「さっきから一人ですのよ。貴方もフロアに入ってくださいな」
「ごめーん、服がほつれちゃってさー」
奥に座っている、もう一人のウェイトレス役の子に抗議したが、
彼女は体操着姿でメイド服を直している。……フリなのだが、玲於奈には判らない。
「はぁ。」
「頑張ってねー」
溜息をついてフロア側の教室に向かう玲於奈を、他の女子達が楽しげに見送った。
「お待たせしましたご主人様」
「待ったよぉ可愛いメイドちゃん」
「……っ」
ニタニタした声に、思わず顔をしかめる。
「なんだよぉ、笑顔笑顔」
別な男がバシバシとメニューを指さす「笑顔」欄。
玲於奈は、引きつった笑みを浮かべる。
「だめだなぁ〜、もっと愛想ないと」
「〜! こちらがっ! ご注文のブルーベリーパフェですっ!」
ご注文じゃないでしょぉ〜、などと下卑た笑いを浮かべた三人目の客。
ふと、玲於奈が持ったトレイ上の物体に目を向ける。
「あれ? 俺、ストロベリーじゃなかったっけ?」
「そ、そんな事はありませ、ございませんわ」
反射的に反論してしまう玲於奈。語尾だけ直す。
「えー、注文票見せてよー」
ねちっとした口調のクレームに、ポケットの注文票に目をやる少女だが、両手が塞がっている。
「取ってあげるよ」
それを見てニヤリと笑った一人目。いやらしい手が、玲於奈の腰に伸びた。
さわっ。
「きゃあっ!」
ガシャン。
「うわっ!」
体を触れられて、嫌悪に飛び退いた玲於奈の手からトレイが滑り、倒れたパフェが容器から溢れる。
「うあっちゃー」
溢れたヨーグルトは、テーブルを伝って客のズボンにびしゃりと落ちた。
「す、す、すみませ……」
狼狽える少女に、
「あーあ、どーしてくれんの?」
「困ったメイドちゃんですねー」
下品な表情で囃す二人。他には客も生徒もいない3対1。
「あ……う……でも、貴方が……」
「なにボサっとしてんだよっ!」
「ひっ?」
「こぼしたんだから、早く拭けってんだよ!」
一転して恫喝気味に迫る。思ったより性質の悪い連中だったらしい。
この辺では、バックヤード側でもフロアーの妙な雰囲気に気がついている。
ドアの前で人だかるクラスメート達。
「ねえねえ、なんかヤバくない?」
「先生呼んでこようか?」
「えーっ、騒ぎにすると怒られるよお」
「でも……もうっ、なんで男子いないのよっ。こんな時に」
その後ろから、ひょいと様子を覗き込んだ少女がいる。
「……」
眼鏡のその子は、オロオロする女子達を尻目に、すぐにバックヤードに消えた。
再びフロアー側。
「す、すみません、ただいまお拭きします」
別に突っぱねても良かったし、逆にタオルを取りに逃げる事もできたのだが、
動揺した玲於奈は、目の前のテーブル布巾を手に取って逃げ場を失う。
「そうそう、それでいいんだよメイドちゃん」
怒鳴った男が相好を崩して椅子をずらす。
「!」
布巾を握りしめて、玲於奈が固まった。
ズボンにべったりとついたヨーグルト。
掛かった部位が、腰から太股にかけて、いわゆる股間。
「ぁ……ぅ……」
凍りつく少女。男の股に手を伸ばすなど、彼女の行動規範では許されることではない。
「どうしたんだよ、冷たくて気持ち悪ぃんだよ」
また、声に怒気を含ませる客。
「〜っ!」
その声に気圧されて、玲於奈は半ば目をつむりながら手を伸ばす。
ズボンの下の方と、腰回りを拭いて、できるだけ手早く、あっさりと、その辺りを、
「なーんだ、もっとちゃんと拭いてよ、ほらここ」
ぐい。
手首を掴まれて、玲於奈の手が、男の体に押しつけられた。
そして、堅い感触。
「ひぃっ!」
叫んで飛び退く玲於奈は、掴まれた手首にバランスを崩して尻餅をつく。
「何すんだっ……おっ?」
自分の行為を棚に上げて文句を言いかけた男が、少女の姿を見下りてニヤリとする。
膝丈のスカートがめくれて、白い内股が奥まで覗いていた。玲於奈は、下に体操着は着ていない。
「いいカッコだねーメイドちゃん」
「これもサービスかい?」
残る二人も、玲於奈に好色な視線を向けて正面に回り込んでくる。
「い、いやっ」
あまりの事に、立ち上がる事も大声も出せずに後ずさる玲於奈。
男達は、なお露骨にスカートの内部を覗き込もうと首を伸ばす。
その時だった。
ばっしゃあーん。
豪快な水音がして、玲於奈の頬に飛沫が跳ねる。
「え?」
目をぱちくりとさせた少女の視界に、全身ずぶ濡れの三馬鹿客。
「げほっ! こほっ!」
「な、なんだぁ?」
男達と玲於奈が向けた視線の先に、逆さにしたバケツを持って少女が立っていた。
「あ? え? えーっと、長瀬、さん?」
同級生だ。名前は知っている。確か、自分の席で一人が多いメガネっ娘。
「なにすんだよっ」
「このシャツ高いんだぞ、弁償だ弁償!」
情けない格好で、新たな標的に文句を付ける男達。
長瀬はというと。
「あ、うーん、掃除の時間だから。えーと、ご主人様?」
なんだか意味不明だが、とりあえず相手の神経は逆撫でしそうな台詞で答える。
「ふざけんじゃねえぞっ!」
客は、当たり前のように激昂。
「ふざけてるのは、あんた達でしょう!」
それに言い返した声は、しかし、玲於奈のものでも長瀬のものでもなかった。
「此処は学校よ。女の子によってたかって、なにやってんのよ!」
「触りたかったらフーゾクいけっての!」
「痴漢で警察に突き出すわよ!」
いつのまにか、様子を見ていた女子生徒達が周囲に集まっていた。
口々に主張しながら、玲於奈を庇うように客に対峙する。
「い、いや、ボクらは別に、そういうわけじゃ…」
「そんな大袈裟な、ははは」
人数比が逆転して、ずっと年下の少女達に押される男共。
「あ、ゆきむらせんせーっ! こっちこっち!」
廊下から聞こえた声が、トドメになった。
「い、行こうぜ、もう」
「これお勘定ね、お釣りはいいからさ」
千円札を机に投げ捨てて、逃げるように教室を後にする。
「あー酷い目にあった」
「下の階にメイドロボがいるらしいぜ。寄ってみようや」
「やっぱガキよりロボだよなー」
去り際に、まだそんな事を言っていた。
「二度と顔見せんな変態どもーっ」
「おとといきやがれー!」
罵詈雑言で見送った2−Aメイド喫茶部隊。
「大丈夫、玲於奈さん?」
まだ床に座ったままの少女に、気遣いの声をかける。
「あ、は、はい」
差し伸べられた手を取って、玲於奈は立ち上がった。
ほうっと息を吐く。
「ありがとうございます」
玲於奈の謝意に、女子生徒達はちょっと顔を見合わせ、互いに視線を交わす。
「ごめんね、出てくるのが遅くて」
やがて、女の子達の輪から一人が代表して、玲於奈に頭を下げた。
支援
「い、いえ、そんな」
「あと、一人で働かせちゃって、こっちも、ゴメン」
「え?」
「午後、サボりっぱだったでしょアタシ」
これはもう一人のウェイトレスだった子の言葉。
「サボリだったのですか? あれ」
ぽかんと玲於奈。
「あちゃ、気付いてなかったか。言わなきゃ良かった!」
女子が舌を出す。
悪びれない様子に思わず玲於奈が口元を崩して、連れてみんなも笑う。
「今の客もさ、少し前から気付いてたんだけど、どうしたらいいかわかんなくて」
「長瀬さんが突撃してくれて助かったわぁ」
「あっ、そうだ」
それで玲於奈は向き直る。
「長瀬さんも、助けてくれてありがとうございました」
「ん……別に」
礼を言われた長瀬は淡々とした表情のままだったが、頬に色が付く。
「あたしも、着替えてて遅れたし」
「着替え?」
唐突な台詞に、皆が長瀬を見る。
「あれ? それアタシのメイド服?」
「あ、黙って借りた」
眼鏡の少女は、さっき別な子が繕うフリをしていたメイドコスに着替えていた。
「……なんで?」
「だって、メイドカフェだし」
フロアーに出る時はコスプレしなければ、という事か。
「……ぷっ、あははははははははっ!」
場にいる全員が笑い出す。全員には、玲於奈も含む。
長瀬はムッとした顔で何がおかしいのか問うたが、笑い声ばかり返った。
ところで店内は、しっちゃかめっちゃか。
ちらっと覗き込んだ客候補も、雰囲気を察して素通りしている。
「あーあ、喫茶店はお開きだね」
「後片付け、しちゃおっか」
売上は職員室に預けて、長瀬がぶちまけた水の清掃込みで撤収に30分。むろん玲於奈も手伝った。
「予定より、早く終わっちゃった」
「外の売店は、後夜祭までやるんでしょ? みんなで回らない?」
「いいねー」
そんな流れになって。
「玲於奈さんと長瀬さんも、一緒に来ない?」
グループの一人が、玲於奈の方に振り向いた。
「え、えーっとっ」
不意を突かれた申し出に戸惑う玲於奈。
行きたい気持ちもあるし、雄二を捜したい気持ちもある。
困って長瀬を見た。
眼鏡の少女は、暫し考えて、
「……由真」
ぼそっと自分の名前を口にする。
「へ?」
「名字、あまり好きじゃないから名前で呼んで」
「あ、う、うん、じゃあ、由真さん」
また唐突な発言に戸惑いながらも呼び直す同級生。
「呼び捨てでいい」
「あっ、それでは私も、玲於奈で結構です」
咄嗟に便乗する玲於奈。
「そう? じゃアタシは……」
いまさらな自己紹介が一回りするころには、二人が加わる流れが出来ていた。
ピリリリリリリリ。ピリリリリリリリ。
昇降口を出たところで、誰かの携帯が鳴った。
「あ、裏切り者からだ。もしもし、なによ。……えーっ、バッカじゃないのw」
最初は不機嫌そうな口調でも、すぐに明るい調子に変わる声。
「……うん、うん。はいはい待ってる。じゃ」
ピッ。
「ここでちょっと待ってね。もう一人来るから」
電話を切った子が、玲於奈と長瀬に話しかける。
「あっ、午前中にメイドさんをやっていた子ですか?」
「うん。玲於奈に押しつけて逃げた奴」
「で、なんだって?」
「彼氏が今からまたバイトだって帰ったんだって、こっち来るよ」
「なにそれ、アホじゃん」
あはは、とひとしきり笑って足を止める少女達。輪になって雑談が始まる。
「……そうそう、でねでね」
「……えーっ、嘘だぁ!」
トシゴロの娘達のカタマリは、話題がなんだか判らない程に賑やか。
その喧噪から、いつのまにか玲於奈は少し離れた。
(……さっきは、上手く入れましたのに)
今だって、別に冷たくされたわけではない。ただ、少し気後れして弾かれた。
(九条では、こんな事はありませんでしたのに)
向こうでは薫子が意識して間を繋いでいた事に、玲於奈は気付いていない。
(やっぱり、家柄が違う子とはソリが合わないのかしら)
最近封印していた思考法が、鎌首をもたげる。
がさ。
と、耳の端に引っかかった音があった。
「あら? なにかしら?」
玲於奈は音のした方、校舎に沿って植えられた生け垣を見る。
がささささっ。
「!」
茂みが波打って移動する。やっぱり、何かいる。
「ちょ、ちょっと外します。すぐ戻ります」
他の生徒に断って、校舎の端、茂みがざわめいた終点あたりに歩を進めると。
少し乱れた生け垣の上から。
「……カツラ?」
たぶん人間の髪か、それに似たような金色のモノが突き出ていた。
「落とし物でしょうか?」
誰かが使った仮想用の金髪カツラが校舎の窓から茂みに落ちた、のだろうか。
ちょっとおっかなびっくり、玲於奈は手を伸ばす。
もぞ。
「う、動いた!?」
驚いて声をあげた瞬間。びゅんっと凄い勢いで髪の毛が茂みに引っ込む。
茂みの中、何かが身を潜める気配。
「な、なんですかこれ……」
気味悪さと好奇心に息を詰めながら、玲於奈は生け垣を覗き込む。
まだ高い陽が微かに照らす、薄暗がりの藪の中。
光る2つの目。
「……へ?」
玲於奈の声から、間が抜ける。
……チラ。
「女の……子?」
茂みの中には、玲於奈と同じくらいの年格好の少女が、手足を縮めてこちらを窺っていた。
……ジーッ。
生け垣の内と外で見つめ合う二人。
低木の隙間から見える少女の姿は、綺麗な金髪に青い双眸、それと、
「メイド服? いえ、メイドロボ?」
はっきり見えないが、紺の長袖と白い胴着の組み合わせは、来栖川のHMXシリーズの制服に似ている。
「そういえば1年生の企画にメイドロボが……もうっ」
連れて行かれる雄二の姿を思い出して勝手に愚痴る玲於奈。
それは置いといて。
「しかしこの子は……」
さっきから一言も発せずに膝を抱えたままの金髪少女。
じっと玲於奈を見つめる瞳は、怯えと不安と、いくばくかの好奇心。
(なんだか、猫みたいですわね)
手を伸ばしてとーとーとー、をしてみたりして。
……ビクビクッ。
「あっ、じょ、冗談です、ごめんなさい」
大袈裟に怖がられて、慌てて玲於奈は謝る。
……キョトン。
謝られて、少女の方は今度は不思議そうな顔。
「なにもしませんから、出ていらしたら?」
目の前の存在が、人間がメイドロボかも定かではないとはいえ、
縮こまって怯えている少女の姿に冷たい感情は浮かばない。
それに。
(カスミ、元気かしら)
無言の癖に意思表示が明快なこの子は、黒髪の友人を連想させた。
……ソーッ。
玲於奈の優しい雰囲気に、少女が少し近寄りかけた、時。
「おーい、シルファやーい、出ておいでー」
ちょっとだけ覚えのある声が聞こえた。
「シルファぁシルファぁ、おういシルファぁ〜」
あまり真面目そうにも見えない呼び声を挙げていたのは、ピンクの髪をした学園の制服。
1−Cの教室前で雄二を引きずり込んだ、あの見覚えのない一年生だ。
その声に、金髪少女が反応する。
がさ……ごき。
立ち上がろうとして、灌木に頭をぶつけたらしい。
玲於奈が斜め上から覗き込むと、ぶつけた頭を抱えて凹んでいる。
「もう悪い奴らはお姉ちゃんが追っ払ったよぉ〜……あっ! いたぁーっ!」
……ビクゥン!
「えっ?」
大声に驚く様子を観察する間もなく。
「シルファをいじめるなあああああああっっっっ!」
ピンクの子が、全速力で突っ込んできた。
本気で速い。
「べ、別にいじめては……ちょ、ちょっとっ?」
玲於奈の至近距離に来ても、少女の勢いは止まらない。ぶつかる!
「きゃ!」
避ける事もできずに目をつぶった玲於奈に、しかし衝撃はやって来なかった。
代わりに。
「ふぎゃあっ!」
どしゃしゃしゃしゃーっ!
……!!
ごんっ。
悲鳴。生け垣を薙ぎ倒す音。驚いた無言。硬い音。
「?」
玲於奈が目を開けると。
「うぅぅ、三原則なんて嫌いだぁ〜」
ピンクの少女が豪快に生け垣に突っ込んで、意味不明の念仏を唱えていた。
「だ、大丈夫、で……」
「シルファをいじめるなあああああああっっっっ!」
がばっと起きあがって、さっきの録音みたいな大音量。
「い、いじめてませんけど、シルファっていうんですか、その子?」
耳を押さえながらピンク娘に問う玲於奈。
「そうだよっ、シルファは来栖川の最新鋭なんだよっ」
「そ、そうですか」
「凄いんだよっ! 高いんだよっ! 可愛いんだよっ! って、シルファ? どこ?」
キョロキョロと辺りを見回す女の子。
「貴方の後ろに……」
「へっ? ……ああっ!」
ピンクが後ろを振り返ると、金髪の子が目を回して伸びていた。
「シルファ! しっかりっ! 誰がこんな酷い事をっ!」
「……たぶん、貴方が」
玲於奈の前で直角に曲がって藪に突っ込んだ時、巻き込まれたのではないだろうか。
「はるみさーん、どうしたのですか? シルファ、いました?」
急展開に玲於奈が目を白黒させていると、また新手の声がした。
「あっ、イルファお姉ちゃん」
ピンク髪の子は、はるみという名前の模様。
……ムク。
金髪の子も気がついた。
ダメージはなかったようで、何事もなく起きあがる所はロボらしい。
「はるみさん、シルファさん、良かった」
はるみとは対照的な落ち着いた歩調で、声の主がやって来た。
シルファと呼ばれる子と良く似た顔立ちだが、茶色の瞳と青い髪。
服装も同じ紺と白のメイドルック。スカートの色だけが、少し違うようだ。
「二人とも、どうしたのですかその格好?」
茂みの中に立つはるみとシルファの姿を見て、青髪のメイドロボが呆れる。
「こ、これはその……」
しどろもどろになるピンク髪。
「こっ、この人がっ!」
「わ、わたくし?」
いきなり指をさされて、玲於奈は目を丸くしたが。
「シルファを見つけてくださったのですね。ありがとうございます」
青髪の娘は落ち着いたまま言葉を引き取って、玲於奈に頭を下げた。
「い、いえ、どういたしまして」
戸惑いながら言葉を返す玲於奈。この機体も、妙に人間くさい。
(最近のメイドロボは、ここまで進歩しているのかしら?)
玲於奈は、自分の家でメイドロボを使ってはいないが、
九条には採用している家庭も多く、学校を訪れた機体と何度か話をしたこともある。
それらは、確かに人間と意思疎通が取れるように工夫されてはいるものの、
やはり反応が定型的で表情も単純だったように思ったのだが。
「で、はるみさんは、何を?」
改めて、少女に問うイルファ。
「ボ、ボクはシルファを助けようとしただけだよぉ!」
ピンクが額に汗を浮かべて弁解する。彼女の方が立場が弱いようだ。
「てっきりこの人がシルファをいじめてると思ったから、それで……」
「突き飛ばそうとしたんですね?」
はぁ、と溜息をつくイルファ。
「うぅ、ボクもお姉ちゃんみたいに第一原則限定解除して欲しい」
「はるみさん、人前ですよ」
「あっ」
慌てて口を塞ぐピンク髪の少女。それで、玲於奈も謎な単語の意味に思い当たる。
ロボット三原則の一。「ロボットは人間に危害を加えてはならない」
(また、その危険を看過することによって人間に危害を及ぼしてはならない)
メイドロボの思考回路にも大概これが適用されているが、
用途によって承認を受けたごく一部に、人を制圧可能な機体が存在する。
青髪の娘がそれに当たり、ピンクの子がそうなりたい、と言うのであれば。
「あの……失礼ですけれど、貴方もメイドロボ?」
それなら二人の会話も、さっきの直角カーブも納得できる。
「あちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃちゃ」
玲於奈の言葉に、見事なくらいあたふたするピンク。
「まったく貴方は、試験期間を2週間も過ぎないうちにこれですか」
嘆息の青。
「ナイショね、これ、ナイショね?」
玲於奈に向かって手を合わせる“はるみ”。
「お願いっ、みんなに広まったら、テスト続行できなくなるんだぁ」
メイドロボが人間を詐称して良いのか、玲於奈の法知識は曖昧だったけど。
「え、ええ、それは、構いませんけど」
とりあえず、目の前で懇願する少女の必死さに頷いた。
「やったっ」
ぱんっ、と手を叩く女の子。
「ねっ、約束取れたよ、お姉ちゃん」
「……ちょっと待って……はい。テスト続行の承認が取れましたよ」
メーカーのどこかと通信しているのだろう。イルファが少し待って告げる。
「良かったぁ♪」
飛び跳ねて喜んでいるピンク色。見ている玲於奈の口元がほころぶくらい。
これまた、えらく感情表現豊かなメイドロボがいたものだ。
「まったく、危なかったなぁ、これもシルファが逃げるから」
……ムッ。
調子に乗ったはるみの発言に、金髪の娘が激しく不満そうな顔をした。
「はるみさん。元はといえば貴方が勝手に連れ出したのでしょう」
イルファも、厳しい口調で注意する。
「シルファは本来、無選別の対人接触を行う段階ではないのですよ」
「お客さんにあんな酷い奴らがいるとは思わなかったんだよぉ」
はるみが愚痴った客とは、もしかしたら玲於奈に絡んだ連中なのかも知れない。
「うん、そうだ! 悪いのはあいつらだ! シルファもそう思……」
……ジトーッ。
また他人のせいにしようとしたはるみの言葉が、シルファの抗議の目線で止まる。
「う……やっぱ……ボク?」
……コクッ。
「当然です」
きっぱりと縦に振られる金髪。青髪の娘も同調して頷く。
「ごめんなさい」
はるみはしゅんとなって、イルファに謝った。
「シルファも、ごめんね」
……ムゥ。
「悪気はなかったんだよ。ただ、ボクが外に出て、楽しかったから」
両手の人差し指を顔の前で付き合わせながら呟く。
……。
「……怖いだけだった? 全然、楽しくなかった?」
寂しそうな表情で尋ねると、シルファはへの字だった口元を戻す。
…………フルッ。
小さく左右に動く首。はるみが、ぱあっと明るい顔になる。
「楽しかったよねっ! ねっ!」
……コク。
「よかったぁっ!」
頷いたシルファに飛びつくはるみ。頬をスリスリ。
……ムギュ。
抱きつかれて金髪の少女は、迷惑半分にくすぐったそうな顔を見せた。
「本当に、ご迷惑をお掛けしました」
改めて、玲於奈に頭を下げるイルファ。
「いえ、別に迷惑は」
「そう言っていただけると助かります。ほら、行きますよ二人とも」
じゃれているシルファとはるみに声を掛ける。
その落ち着いた仕草は、玲於奈に一番の親友を思い出させた。
……スルッ。
そして、はるみの腕から抜け出してイルファの側に添うシルファ。
(ふふっ、本当にカスミと薫子みたい)
これまでの玲於奈に、メイドロボと人間を重ねる思考など有り得なかったが、
目の前の二機から九条の友人を連想するのは、意外にも悪い気分ではなかった。
「ああ〜、待ってよ〜!」
情けない声で茂みから飛び出してくるもう一体に、自分を重ねたいとは思わなかったけど。
「あ〜、おったー!」
「イっちゃーん☆ みっちゃんとしーちゃん見っけたんやねー☆」
大きな声に振り仰ぐと、校門の方から、二人の一年生が手を振っている。
双子だろうか、良く似た顔立ち。
「はい! ただいま連れて参ります」
「ボ、ボクは迷子になったわけじゃないよぉ!」
青髪の娘が手を振り返し、ピンクの子がトタタッと駆け寄っていく。
どうやら、あの子らがメイドロボ達の主人のようだ。
……ペコッ。
金髪の少女が去り際に振り返って、イルファの陰からちょこっと頭を下げる。
「あっ、バイバイ、優しいお姉ちゃん!」
それを目にして、行きかけたのにわざわざ戻ってきて手を振るはるみ。
じゃれつきながら双子と合流した三姉妹は、5人でやっぱり賑やかに去っていった。
「ふうっ」
メイドロボ達の嵐が去って、溜息をついた玲於奈。
時間的にはほんの数分のやりとりだったが、思うところは色々あった。
(あんなに人間くさいロボットが産まれて来ているだなんて……)
時代は、ずいぶんと進んでいるようだ。
(薫子とカスミは、どうしていますでしょうか)
親友に重なった少女達の姿は、玲於奈に一抹の寂しさをも催した。
トントン。
「ひゃうっ?」
後ろから肩を叩かれて、今日は何度目かわからない悲鳴をあげる少女。
「やっと見つけた。ったく、探したぜ」
振り返れば、ほんの数時間なのにずいぶん久しぶりに思える恋人の顔。
「雄二さん……」
ぎゅっ。
いきなり、玲於奈は雄二に抱きついた。
「お、おいおい、どうした。なんかあったか?」
周囲の目もある校舎前、戸惑いつつも少女の肩を抱く雄二。
「いえ、そういうわけでは、ないのですが」
色々あったにはあったが、ひととおり解決済みだし。
「ただ、少し……」
充電したい気分。雄二も、少女に応えた。
「にしても、どこにいたんだ?」
身体を離した後で、雄二が首を傾げる。
「2−Aです。喫茶店を手伝っていました」
「げっ。そこだけは見なかったぜ」
午後中探し回ってたんだぞ、と嘆く。
「メイドロボ喫茶に喜んで入って行かれたようでしたから、いらっしゃるかと思いましたの」
「お前なぁ……あれは無理矢理連れ込まれたんだって」
「あら、そうですか?」
もう怒ってはいないし、ずっと自分を探していたと聞いて嬉しく思うが、そこは信じてなかったり。
「ホントだって」
口を尖らす雄二。
「あの子ムリヤリ客連れ込んでたみたいでさ。中でメイドロボに怒られてたんだぜ」
「青い髪の子ですか? 可愛かったですね」
「そうそう、優しくて上品でちょっとお茶目入ってて、まさに理想のメ……あ」
力が入って、のち、シマッタという表情。
「いいですよ」
玲於奈はクスリと笑う。
「金髪の子もいたはずですけど。ぜんぜん喋らない」
「いや、いなかったけど……なんで知ってんだそんなの?」
「今さっき会ったんです。ここで。青髪の子も」
「マジか?」
「真面目ですよ。ロボットに言うのも変ですが、いい子達でしたね」
「すっかり人間だよなぁ」
二人の感想は概ね同意見。
(メイドロボ同士ですら、あんなにコミュニケーションを取れますのに)
自分は、何を拘っているのだろう。
「校内は終わっちまったけど、出店はまだやってるからさ」
誘いというより自然に、後夜祭を一緒に回ろうと言う雄二。
「玲於奈ーっ! 何やってんのーっ!」
同時に、校門の方から、声が掛かる。
「あ……」
玲於奈の視線は、隣の雄二と15メートル先の女子生徒達を往復。
「なんだ? あいつらと約束したのか?」
「彼氏と行くのーっ?」
ステレオで第二報。玲於奈は困った顔になる。
「え、ええっと……」
先に約束したのだから、同級生達の下に戻るべきだろう。
玲於奈自身、行きたい気持ちも当然ある。
でも、せっかく雄二と会えたのに。
それに、もしかしたら、向こうは義理で誘ってくれただけで、行かない方が……
とん。
迷う玲於奈の、背中が軽く叩かれた。
「えっ?」
「行ってこいよ」
ニカッと笑う雄二。
詳しい事情は知らなくとも、状況と、玲於奈の思考は分かったようだ。
「でも……」
「つまんなかったら、抜けて来りゃあいいさ」
俺はその辺ぶらついてるからさ。と、半分苦笑気味に付け加える。
「……はい」
それを聞いて、少女の顔が晴れた。
「どうすんのーっ!」
ぞろぞろと後夜祭に出てくる生徒や来校者の合間を縫って、届く声。
すでに移動を始めているクラスメート達。眼鏡の少女がこちらを伺っているのが見える。
「今、行きますーっ!」
目一杯元気に応えて、玲於奈は級友の下へ駆けた。
以上です。>313さん支援ありがとうございました。
15/31と20/31が二つあるけど間違い。あと21/31で「仮想用」→「仮装用」
俺はメイド喫茶もメイドイメクラも行った事ないのでアレですが、
もとより出し物ですので学生が暴走したらこんなもんかなー、と御容赦を
長瀬由真は、貴明と絡まないとこんな芸風かなと思って書いてみた
にしても今回は、長いし登場人物が多すぎました
遊びでシルミルをちょこっと出そうと思ったら、暴走して大量にレス使うし(−−;
三原則とか通信とかボクっ子とか人間詐称とか色々おかしい設定をしてますが、
その辺まとめて&学園祭も込みで、AD前の今しかできない妄想ってことでご勘弁
イルファも本編ではもっとお茶目な感じだと思うけど、お姉さん役なので控え目に
しかし、自分で書いといて何ですが、玲於奈の対人能力は小学生並ですね
ラストで雄二に「みんななかよし」の主題歌でも歌わせようかと思った(古い)
329 :
物書き修行中:2007/09/15(土) 19:14:44 ID:p4lRBdPl0
乙です
久々の新作面白かったです。
季節も丁度よく学校祭ネタですか。
生徒会長はイルカの曲芸部のひとでせうかw
漏れも現在急ピッチで同盟の続き書いてますが今しばらくかかりそうです。
書くならそろそろささらにも手をつけんとヤヴァイ。
河野家の人ってすげぇなあと今更にして改めて思う。週刊なんて書けねぇ。
いいんちょが、子供たちにいじめられてスカートめくられたら、マジ泣きするか、マジぎれするか・・・どっちだろう?
群像の人GJです!相変わらず台詞多めで読みやすかった
結構量あるのに一瞬で読み終わってしまったぜw
でも〆に入ってる感じが少しさびしく思えたり…もう一波乱くらいあるのかな?
>>328 乙
今現在一番楽しみなSSだわ
長くても一気に読めるのがいい
次回も期待
>>330 どこからともなく現れたいくのんがキレる
とうとうきましたねー。待ってましたww
毎度思いますが、よく考えていますね。
楽しませてもらってますヽ( ´ー`)ノ
題名もまかさそれでくるとはって感じでしたww
一箇所、会話文の中にwが入ってたのが気になりましたが、仕様
>329-333
328です。レスどもです。
>イルカの曲芸部
正解です。春高祭であ〜る達が暗幕の代わりに板きれもらった話があったので
このみのクラスの特撮好きの子、というのも国枝千里から連想しました
>河野家
自分で書いてみて、コンスタントに書き続けるというのがいかに凄い事か実感します
漏れは話によって長さが激変するので、毎回ほぼ同じ長さに揃えてたのも驚き
でも、物書き修行中さんの製作ペースも十分凄いと思います
>スカートめくり
愛佳は1回なら涙目笑いで許しそうですがしつこいと100tハンマーとか。郁乃は鉄拳
>長さ
話ごと場面ごとに長さが違いすぎるのは悩んでますが、どうにもならない感じです
台詞が多いのも、ぶっちゃけ地の文を書く筆力がないからですけど、台詞地の文とも
1レス内の文字量は極力減らすよう心がけてます。でもそのせいでレス数は増えたり
>〆
お察しのとおり、あと1.5エピソード(話数で3話)くらいの予定です。
ラスト一波乱は、どうも自分でもしっくり来てないんですが……
>題名
これのサブタイトルは、3分の2くらいがエロゲのタイトルかそのモジリです
エロゲじゃないのが1,2,4,6,10,11,15話。どうせなら統一すればヨカタ
今回のヤツは、主題歌の為に買ったけどWin95がないのでゲームはやってない(ぉ
>w
書き間違いではないのですが、どこまで使っていいんでしょうねこういうの?
これまで使った記号っぽいのは、♪★☆@w↑↓><ヽ (´ー`)┌ といったとこです
個人的には、顔文字やAAは(書式やフォントで意味不明になるので)マズイかなとは思った
自分もそうだけど、顔文字を無条件に嫌悪する人は結構居るよ。
メールやチャットの顔文字は、相手への「馴れ馴れしさ」を演出するものでもあるから、作品の中で使う時は注意したほうがいい。
作者や登場人物が頭悪そうに見えたり(珊瑚のセリフに☆を付けるのは、それを逆利用したキャラ付け)、読者を馬鹿にしているように感じるからね。
まあそんなのある程度上手くなれば何も言われなくなるけどね
登場人物が頭悪く云々とか読者を馬鹿に云々なんてもう個人の主観の範疇だし
セリフの語尾に♪をつけて楽しい、嬉しいといった感情を表現するのと
地の文を使って楽しい、嬉しいといった感情を表現するのは、
やってることは同じだけど、そこから伝わるものには大きな差があると思うよ
俺は前者を手抜きと見て、後者でしっかりと表現できている人を上手いと見る。
使うならどれがどれくらいって基準は決めようもないんだから
気になるなら使わなければいい。気にしないなら好きなだけ使えばいい
書式ルールでいうなら特殊記号な時点で使用は控えるべきだし、
顔文字は書式(縦書きなど)に対応できないので論外
>俺は前者を手抜きと〜
逆にしっかりというより硬い印象を受ける場合もありますね
まあそのあたりは地の文章によりけりですから何とも言えないけれど
というかこんな隔離板まで来てそんなに真面目な小説を読みたいんですか
「自分の言ってることは正しい」なんて主張は必要ありませんよ
>>338 ちょっとまってくれよ
誰がいつ「自分の言ってることは正しい」なんて主張をしたんだ?
これの話の元は記号の使用についてで
俺は記号をSSに使用するのは
(多用されたら)手抜きに見えるけど、書き手が気にならないのなら使えばいいと言ってる。
その上で、書式的な考えでありかなしかを判断するならなしだって言っただけ
そら、正しい日本語、読みやすい文体、気持ちの良い表現をしているSSを読みたいと思ってるってことに間違いはないけどさ
この考えを絶対的に正しいものとして考えた主張はしていないはずなんだがな
もちろん、自分の考えである以上、自分なりの正しさくらいはもって言ってるけどね
俺が語尾に音符をつけるときは、そのキャラ特性と声の響きを考えて必要だと思ったときで、
つけようがつけまいが、地の文での表現は変わらんがなぁ。
別に手を抜く目的でそうしているわけじゃないし、使ったからって手を抜けるわけでもない。
音色を塗っているだけだ。
>相変わらず台詞多めで読みやすかった
これは褒めてるのか?
ネット小説ってのが横書きなんだから、横書きに適した書式になるのは自然なこと
だから、俺は顔文字を使うのはアリだと思ってる(地の文とかで)
頻繁に出て来たらウザいし、俺は使わないけど
音符やら星やらの記号は、地の文プラスアルファで使ってる分には気にならない
ただ、「w」とかはちょっと気になるかな
まあ、究極のところ読者が面白いと思えばそれでいいんじゃね?金取ってるわけでもないんだし、作者の好きにやればいいと思う
桜の群像に限って言えば、俺は楽しんでるから文句は何もない
>>341 エロゲとかその二次創作とかに慣れてると、地の文が多いと読みづらい、って人がけっこう多いみたい
あと、普段小説読む読まないにかかわらず、キャラを前面に押し出したタイプの作品だと、地の文で描写するより、台詞を喋らせて欲しいって思うのかも
ラノベとかも(作品によるが)地の文少なめなのが多いし
本人としては褒め言葉として使ってるんじゃない?読みやすい、って言ってるくらいだし
連投スマソ
褒め言葉として使ったつもりなんだけど言い方が悪かったな。スマソ
334です。いろいろな御意見参考になります。
まず日本語としておかしい/嫌悪感を覚える人がいる、というのは心に置いて、
地の文で感情表現する代わりに記号一発で済ます、という事の善悪の判断が必要、
という事ですかね。台詞の音色というのも広い意味で感情表現の一種かと思いますし
桜の群像に関して言えば、顔文字は>334の理由でもう使う気はないのですが、
記号の方は、台詞だけで口調/感情を表現するのが難しい時に欲しくなります。
例えば愛佳の「しょうがないなぁもうっ」的な台詞の時は♪を付けたくなります
定型的な感情を表現するのに文章を割くのもどうか、というのもありますし。
でもwは、今回は女子が友達を明るく馬鹿にする台詞で自然に手が滑りましたが、
自分でも>335さん指摘のような印象を受けたので多分使わない。この辺はもはや感覚かな
>343
漏れのSSで台詞が多いのは会話から文を起こしてるのと作文能力のせいですが、
地の文が多いと読みづらいというのは漏れが正にそうです。本読んでないから(恥
でも「窓の中の物語」で縦書きにするとそういうのが読みやすい事もありますね
ちなみに桜の群像は、かちゅーしゃに最適化してるつもりですけど、縦にすると悲惨
>344
褒めていただいたと思いましたし、それは嬉しいですが、
褒め言葉でも貶し言葉でも内容は伝わりますので言い方はお気になさらずに
あくまで俺個人の意見だが"w"をつけると頭悪そうに見えるという意見には賛成だ。
333のレスを見ればわかるように…
333ですが、寝る前に、一日経って何か新しい作品が投下されたか確認にきたら、
何気なく書いたことが、結構議論されてるようで……。
正直、ここまで発展するとは思ってなかったです。
今気づいたら、333のカキコが「〜仕様」で切れてますね。
仕様ですかね?と聞くつもりだったんですが。
>>346 そうですね、wをたくさんつけるとバカそうに見えるのは間違いないですよ。
なにせそれをネタにしたようなものまでありますから。
しかし、wをつけることによって、柔らかさが生まれるのも事実ですので、
否定的になるのは如何なものかとw
待ってました、っていう明らかに好意的な言葉にwを添えても、柔らかさは生まれないと思うぞ。
へたすりゃちゃかしているように見えるくらいで。
逆にきつい言葉にwを付けると、バカにした感も出るが冗談だよ感も出る、かな?
体裁といえば、スレと書庫でも読み味が多少変わりますな
そういえば書庫の人毎度ながら更新乙! であります
で、書庫を眺めて個人的には「や・ゆ・よ〜」の続きないし中の人の新作を期待していたりするのですが・・・
>>349 ID:87kGJmQe0=lOwksNhb0か
反対意見に脊髄反射してるけど何がしたいの?
疑問系で自信も根拠もない反論するとか必死すぎだよ。
あんたのやってることは
>「自分の言ってることは正しい」なんて主張
じゃねーの?w
これが冗談だよって感じに取れるなら何も言うことはないな
ここって不思議な雰囲気なとこだな。昔気質っていうか
最近エロパロ板で流行の台詞並べただけの思考停止SSもどきとか全然見ないし
文法に関してもきっちりしてないとすぐに突っ込まれるし
物書き志望の人とか多いのかな
SSスレ自体が多いし、扱ってる内容が狭いわりに(外部サイトも含めて)SSが多く作られてるからな。
SS初心者用のスレがあるから、ってのも大きいかも。
>350
柔らかさとちゃかしは併存可能だと思うので、混ぜっ返して終わらせたかったんです
私(349=345)は>338さんではありませんが、気分を害したならすみませんでした
いきなりですが、一つSS投稿してみたいと思います。
処女作&掲示板に使い慣れていないので不満は多々あると思いますが、
そこは温かい目で見守ってくださると助かります。
355 :
愛佳SS−1:2007/09/20(木) 19:08:39 ID:58fLW91p0
ここは俺の家。
時刻はもうすぐ長かった1日にお別れを告げる時刻。
家のベットに横たわっている。
いつもは仰向けに…変わることのない天井を見ながら。
だが今日はいつもとは違って横向きで寝ていた。
俺の目線の先には一人の少女が。
同じベットですやすやと寝息をたてて寝ている。
その少女はいつもの平凡な日々とは違った一日を提供し、俺たちの関係を特別なものにした。
356 :
愛佳SS−2:2007/09/20(木) 19:09:21 ID:58fLW91p0
長かった授業も終わり、HRも終え、週毎に変わる掃除当番の順番が回ってきて、
いつもと変わらず適当に掃除を終え、いつものように俺は帰ろうとしていた。
「た、たかあきくん!」
ドアに手をかける寸前、不意に後ろから声を掛けられた。声の主の名前は小牧愛佳。
同じクラスで委員長役をしている女の子である。
「あの…たかあきくんにお願いがあります…なのよ」
遠慮の塊のような愛佳が人にお願いするほどだからよほど重大な事なのだろう。
というか話し方がやけにぎこちない。
「どうかしたの?」
「そのですね…今日は両親が出張で明日にならないと帰ってこないのですよ」
「うん」
「郁乃は病院ですから今日は私一人なんです」
「それで?」
「そ、それでですね…き、今日の夜は…私と一緒に過ごしてくれませんか?…な
のよ」
「…え?」
思わぬお願いに固まってしまう俺。
夜を一緒に過ごすってことは…お泊まり…ってことだよな。
愛佳にしては積極的すぎる気もするが…理由を問うためにも混乱状態の頭をなん
とか整理して言葉を出す。
357 :
愛佳SS−3:2007/09/20(木) 19:10:21 ID:58fLW91p0
「どうして…」
「え?」
「どうして一緒に過ごしたいのかな?」
「「……」」
しばしの沈黙の後…
「それは…」
「それは?」
「1人は寂しいから…というのは理由になりませんか?」
それがいつもと違った日を過ごすこととなったきっかけだった。
結局、俺はノーとは言えずこうして夜を一緒に過ごすこととなった。
泊まる場所は俺の家になった。
一度学校で別れて、愛佳がお泊まりセットを持参して夕食前に家にくることになった。
夕食前というのも愛佳が夕食作りをすると言い出したからである。曰く一宿一飯の恩義とのこと。
時刻は午後5時半になろうとしていた。
「ピンポーン♪」
呼び鈴が鳴る。どうやら愛佳が来たようだ。
「はいはい」
「お、おじゃまします…」
愛佳は制服姿で普段使っている登校用手提げカバンに、
お泊まりセットが入っていると思われるナップザックを背負い、
夕食用に買ってきたと思われる食材等の入ったビニール袋をカバンとは反対の手に持つ
という一風変わった…いや、変な格好だった。
358 :
愛佳SS−4:2007/09/20(木) 19:11:06 ID:58fLW91p0
「いらっしゃい。重かったんじゃない?持つの手伝うよ」
返事を聞く前にカバンとビニール袋を手に取りリビングに向かっていく。
愛佳は申し訳なさそうな顔をしながらも、同じくリビングに向かっていった。
「わあぁ…」
「そっか、初めてだよね?」
「由真以外のお家に来たのは初めてかも。しかも男の子の」
男子に対しての苦手意識があれば確かに男子の家にあがることは無いだろうが…。
由真以外に訪れたことのある家はどうやら少ないようだ。
「こっちも。タマ姉やこのみ以外の女の子を家に入れたのは愛佳が初めてだよ」
本当の話であるからしょうがないのである。
「へえぇ…」
愛佳は物珍しそうにリビングを眺め回っている。
その間に俺は2人分の飲み物をテーブルに置き、先に座って飲みながら愛佳の様子を見ていた。
一通り眺め終わったのか、俺の前に座る。
359 :
愛佳SS−5:2007/09/20(木) 19:11:53 ID:58fLW91p0
「今日の夕食は和風料理かな?」
ビニール袋の中身から推測して愛佳に尋ねる。
「うん。…和風は嫌い?」
「そんなことないよ。なんでも食べるし」
「今日は腕によりをかけてたかあきくんにおいしいと言われるような料理にするからね」
随分と気合いが入っているようで。
「それは楽しみだね。早速作るの?」
「う〜ん…今から作ればちょうどよさそうだから作らせてもらおうかな」
「よし、それじゃあ作ろうか。手伝うよ」
せっかくの機会なので手伝ってあげようと思ったが
「大丈夫。たかあきくんはテレビでも見ていて待っているだけでいいよ〜」
断られてしまった。
ここで無理に手伝おうとしても無意味だとわかっている。逆に迷惑がられるだけだろう。
「キッチンで何かわからないことがあったら聞いてね」
と一言伝えて、言われたとおりキッチンを背にテレビを見ながら待つことにした。
程なくして愛佳お手製の夕ご飯が完成した。
肉じゃが、おひたし、焼き魚…かなりスタンダードな和食。
しかし、どれもがおいしそうに仕上がっている。
連続投稿回避用
361 :
愛佳SS−6:2007/09/20(木) 19:14:51 ID:58fLW91p0
「どうかな?少し手間取ったから焼き加減とか自信がないんだけど」
「そんな心配がいらないくらいにおいしそうだよ。それじゃあいただこうか?」
「うん」
二人とも手を合わせて
「「いただきます」」
正直、これほどの和食は今までで食べたことがなかった。と思えるくらいおいしかった。
肉じゃがの味付けなんかは好みな味でプロ顔負けと言ってもいいくらいだった。
そのこともふまえた上で感想を述べると愛佳はとてもうれしそうな笑顔をしていた。
学校や書庫で見る愛佳の笑顔とはまた違い、嬉しさのなかに恥ずかしさも混じっているようなそんな笑顔だった。
「どうしたの?」
数秒の間に向けられていた視線に気づいたのか尋ねられる。
「な、なんでもないよ!」
…見とれていた。いつも見ていた笑顔より数倍楽しく、嬉しそうに笑っていた愛佳の笑顔は俺の視線を釘付けにしていた。
そのことを悟られないように振る舞おうとしたが、焦りからか噛んでしまった。
顔が少し赤くなっていたのが体温でなんとなく感じ取れていた。
そんな俺を見て愛佳は「ふふっ」と微笑んでいた。
362 :
愛佳SS−7:2007/09/20(木) 19:15:29 ID:58fLW91p0
夕食の片づけを一緒にした後、テレビを見ながら愛佳と話をしたりして過ごしていた。
「そろそろお風呂入る?」
「う〜ん…それじゃあ入らせてもらおうかな」
リビングを後にし、一人で風呂場で準備をしていた。
―1人は寂しいから…
「いくら寂しいからとさすがに風呂まで一緒…は無いよな」
そんな疑問が浮かび上がった。
「恋人という関係でもないから裸のつきあいはあるわけ無いよな」
答えは直ぐに出てきた。だが…
「恋人か…」
思わず口にしたその言葉が頭に引っかかった。
「俺から見たら愛佳は面倒見がいいし、家事や料理もできそうだし、
すこし天然なところや遠慮がちってところもあるが、かわいいし…」
考えている内に顔が赤くなってきているのを感じた。
冷ますために冷水で顔を洗う。
363 :
愛佳SS−8:2007/09/20(木) 19:16:11 ID:58fLW91p0
「恋人か…」
結局、お風呂を一緒に入るということは無かった。
当たり前のことだった。
が、少し期待もしていた。
ただ、仮に一緒に入ったときには緊張や興奮のあまり、心臓が破裂するのではな
いかという心配も出てきた。
そういった面で俺は安堵の表情を浮かべていた。
「次いいよ〜」
「うん、わかったよ」
そうこう考えてる内に愛佳がお風呂からあがってきたようだ。
風呂上がりの愛佳はピンクのパジャマ姿に様変わりしていた。
それを見た俺はまた目線釘付けになりさらに顔を赤くする羽目になった。
364 :
愛佳SS−9:2007/09/20(木) 19:16:46 ID:58fLW91p0
2人が交互に風呂に入り終わり、またテレビを見てなんとなく過ごしていた。
愛佳の事を意識してから口数が少なくなり、2人の間の空間には自然と静寂な空気に包まれていた。
「それではまた来週」
番組のスタッフロールが流れているのに気づき、ふと時計に目をやる。
11時。
今日は木曜日。明日も学校はある。
愛佳が普段いつ寝るのかは知らないが、明日のためにも寝るのがベストだと思っ
た。
「そろそろ寝る?」
「そうだね。明日も学校があるし遅刻するわけにはいかないよね」
愛佳も同じようなことを考えていたようだ。
「それで…愛佳はどこで寝る?」
こちらから場所を提供すれば何の問題もなかったが、愛佳のことも考えていたの
もあって忘れていた。
普通に考えれば別の部屋に設けるべきなのだろう。
ただ…
―1人は寂しいから
その一言が引っかかり一応本人に確認をとっておくべきだと判断した一言である
。
「たかあきくんが嫌でなければ…同じ部屋で寝たいです…なのよ」
結果、自分はベッドに、ベッド横のフローリングに布団を敷いて愛佳が寝るという形になった。
「それじゃ…おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
証明を消す。静寂な空気が流れる。
俺は簡単には眠れなかった。愛佳のことが気になっていた。
愛佳の気持ちを考えていた。
どうして一人が寂しいと言い始めたのか…
どうして俺を頼ったのか…
いろいろ考えたが結局それらしい答えも出ず、思案にふけっていた。
「たかあきくん?」
ふと、自分のことを呼ぶ声が聞こえた。
「もう寝ちゃったかな?」
「いや、まだ起きてるよ。どうしたの?」
「その…ね。そっちで寝ちゃダメかな?って思って。」
「え?」
思わぬ一言に思考を中断する域を越えて俺は少しの間固まっていた。
「寝る?一緒に?」
「ダメ…かな?」
愛佳は枕を抱きながら上目遣いでこちらを見つめていた。
どうもこういう顔をされると弱いんだよなぁ。
「う、うん…いいよ。こっちにおいで」
「ありがとう」
連続投稿回避用
連続投稿 〃
寝ているベッドはそこまで大きくなく、1人が寝るのにちょうどいいくらいの大きさだった。
片方は壁に寄せていて俺がそっちに寝ている。
逆端に愛佳が横たわっているが遠慮からかギリギリ、下手したら落ちるぐらいまでのところにいた。
一緒に寝るといってもいきなり抱きついて寝るわけもない。
これが当たり前だと俺は理解していた。
だが、それでは愛佳が窮屈すぎるだろうと思って声を掛ける。
「もうちょっとこっちにきなよ。」
愛佳は無言でこちらに近づいてくる。
が、密着してるわけでなく、まだ少し空間が空いていた。
俺はなんとなく愛佳と手をつなぐ。
最初は驚いてもいたが愛佳の顔は少し嬉しそうなでも恥ずかしさも含んだ笑顔に
なっていた。
「普段はいつも居る人がたった一日でもいないだけで、こんなにも寂しい思いを
するとは思ってもいなかったの」
「……」
「寝るときは部屋で1人というのは変わらないけど、家に自分以外の人が居るの
と居ないのとでは全然違かった」
愛佳の両親は昨日から出張だったようだ。
愛佳は昨日の今頃は1人寂しく過ごしていたのだろう。
それに耐えきれなくて親友である由真をさしおいて、俺に一緒に居て欲しいとお
願いしたということのようだ。
何故俺を選んだのか?考えるより先に体が動いた。
愛佳の頭を撫でてあげる。
「俺の両親はいつ帰るかわからない仕事で海外に出張して留守にしている。だから俺も1人なんだ」
「うん」
「最初は「誰もいないから自由だ」と思っていた。実際そのとおりだった。
でも誰もいない寂寥感が常に心の中に居座っていた。」
まさに愛佳と同じ事を俺も体験していた。
だから愛佳が感じた寂しさというのも凄く伝わってきたし理解していた。
「でも最近はそんな気持ちは無くなってきているんだ」
「え?」
「そう…愛佳のおかげなんだ」
「私の…おかげ?」
「最近は学校の教室でもよく話すようになったし、書庫での手伝いやお茶会とかで愛佳と一緒に過ごすことが多くなった。
その時間はとても楽しくて充実していて…今の自分には必要なことなんだ。」
愛佳の表情に変化があらわれる。
「必要…私が…たかあきくんに必要とされている…」
愛佳の目からは一筋の涙がこぼれ落ちていた。
「そう…今の俺には愛佳と存在が必要不可欠なんだ」
今まで気づかなかったほど心の奥に秘められていたこの思いを…
「もっと俺と一緒に居て欲しい。好きなんだ。愛佳のことが。だから…」
強く込められていたこの想い。
でも無意識の内に隠されていたこの想いを、言葉にして最愛なる人に届ける。
「うん。一緒に居たい。たかあきくんと」
少し涙ぐみながらも、手を繋いだまま俺に近づいてくる。
やがて2人の距離は0になる。
お互いの唇が触れ合う。
わずか数秒の出来事。
やがて離れた唇から出た言葉。
「たかあきくんのことが…好きです」
再び2人の唇が触れ合う。
多くの想いが伝わるように何度も。
強く想いが伝わるように長く。
それはどんなに美しく飾った言葉を伝えられるよりも想いが伝わるように深く。
時刻は長かった1日に別れを告げ、新しい1日の始まりを迎えた時刻。
俺は隣で寝ている大切な人をそっと抱き、眠りについた。
とりあえず投稿してみました。
連続投稿〜のコメは自分でやっときましたのでスルーで。
ところで、文章作るのって本当に難しいですね。
こんなの簡単とか思っていた自分が愚かでした。
実際に作ってみると自分の国語能力の無さに泣きました。
少し色々な本や文章読んで力つけたいと思いました。
さて、今回投稿したSSなのですが…いいタイトル思いつかず。
ここでも国語力の無さに泣きました。
たかあきと愛佳の性格がちょっと…いや、かなり違うのはそこは目をつぶってください。
多少自分のイメージで書いてしまった感があるので、読む際には気をつけてください。
次作作る際には気をつけたいと思います。
誤字&脱字ありましたらすいません。
また「こうしたほうがいい」「これはやめたほうがいい」「もうすこし〜」
等の指摘ありましたらご指導おねがいします。
GJ
>371
乙。
文章は良いんじゃないか? 鳩2SSにしちゃあ珍しく静かな雰囲気だね
個人的に思ったのは、読点がもっとあった方が見やすいかも、くらい
正直、俺があーだこーだ言えるレベルは通り越してるw
愛佳については、性格はそんなに違和感ないけど、言動は苦しいように思えた
二人は恋人未満の、初デート直前くらいの関係という設定のように思えるけど、
それで泊まりに行くとか、告白するのに同じベッドで寝るってのは無茶っぽい
原作でも順番を間違えたような二人ではあるので、その辺を意識して書いたのなら
テーマとしては面白いかも知れないが、にしてもありえない感じ
内容自体は、文章と相まって穏やかで雰囲気出てたと思うので、
愛佳が泊まりに来る、もっと他律的な理由があったら良かったな。次も期待してまつ
俺たちはまーりゃん先輩たちの協力で大人たちの手から逃れ、文字通り地の果てを目指
して逃げた。
逃げるときに渡されたリュックサックの中にはいろいろなものが詰め込まれていた。
二人の着替え数着(これは多分タマ姉とこのみ)、少なくない金額の現金(これも
タマ姉で出世払いの借用書付き)、某バランス栄養食数個とお茶のペットボトル(これは
たぶんまーりゃん先輩)、それに電話帳のようなヨレヨレに使い古された全国時刻表
(これも多分まーりゃん先輩)、その他エトセトラエトセトラ…さすがに某ゴム製品
1グロスが出てきたときは、ささらとふたりで真っ赤になった。
でも結局一番役立ったのは意外にもまーりゃん先輩の時刻表で、二人でこれを見ながら
あれやこれやと想像して行き先を決めた。
そして最後に乗ったのは南の島へ向かう連絡船だった。
本土のアウトドアショップでテントと炊事用具を買い込んで船に乗り、若いカップルの
キャンパーを装って南の島に上陸した。
元々住人の多い島ではなかったが、港から少しはなれた人気の無い浜の観光客向け
キャンプ地にテントを立てて、そこを俺とささらの当座の住まいとした。
季節がまだ夏には早いし、GWは過ぎていたから他には誰も居なかった。
飯盒で飯を炊き、缶詰をおかずに二人で食べ…お父さんと山歩きをしていたせいか、
ささらも飯盒飯は大丈夫だった…その日は疲れで日が暮れて間もなく同時に眠りに付いた。
次の日は朝日とともに目が覚めた。
「おはよう、貴明さん。」
テントを出ると、先に目を覚ましていたささらが水場から帰ってきたところだった。
「早いね…俺はまだちょっと眠いよ。」
「お父さんと山歩きに行ったときは大抵日が昇ると起きてたから、慣れてるの。」
顔を洗って身だしなみを整えてきたらしく、前髪がほんのり濡れていたが、長く豊かな
髪は乱れや寝癖もなくさらりと流れていた。
「朝ごはんは私が炊く準備をするから、貴明さんは顔を洗ってきて。」
「ああ、朝ごはんなら…よっと…ここに。」
俺はテントの中にしまってあった包みを取り出してささらに渡した。
「これ…おにぎり…?」
「具がなかったから塩むすびだけど。朝から炊くの面倒だから昨日作っておいた。」
「……」
ささらが困った顔でそのおにぎりを見ていた。
「…どうかしたの?」
「…ううん、なんでもないの。」
ささらが手を伸ばしかけて…でもその手はおにぎりをに触れる直前で止まってしまった。
「…やっぱり、駄目。」
「…あ!」
そうだった。
昨日飯盒で炊いたご飯は食べてくれたからすっかり忘れていたけど、ささらは手作りの
食べ物が食べられなかったんだ。
コンビニのおにぎりならともかく、俺が握ったおにぎりなんて食べられるわけが無い。
「…ごめん。俺、また…」
「ううん…いいの。あたしが悪いの。」
ささらがぽろぽろと涙をこぼしながら俺に謝る。
もう、ささらを泣かせないって決めたのに…俺は…
「…いつか、きっと食べられるようになるから。だから…」
−
「で、その後、たかりゃんは朝からその若い肉体を使ってさーりゃんを慰めた訳だ。」
「いや、そんなことはしてません。…ていうか、なんでここにまーりゃん先輩が居るん
ですか。」
「そんな細かいことは気にしちゃいかんよ、たかりゃんクン。なんとなくたかりゃんの
家の前を通りかかったあと、なんとなく電車に乗って、なんとなく船に乗って、気が
付いたら目の前にたかりゃんとさーりゃんが居たと言うわけだよ。」
「…それはストーカー行為って言うんですよ。」
だいたいまーりゃん先輩はリュックサックに寝袋装備で、俺たちがキャンプに出かけた
のを知ってるっていうのがばればれだった。
「いやー、たかりゃんとさーりゃんが愛をはぐくんだって言う南の島をあちしも見て
みたくってさー。…来ちゃった…てへ。」
「かわいく言っても駄目です。」
「たかりゃん冷たい……さーりゃんが居なくなった後、その寂しさを埋めるためにあん
なに激しく暖めあった仲じゃないかよー。」
「暖めあってませんから。そう言う誤解を生むようなことは言わんでください。」
「…貴明さん、まーりゃん先輩と仲いいのね…私だけ仲間はずれで寂しい。」
あの会話を聞いてて何でそうなるのか、ささらがちょっぴりいじけた。
俺とささらが南の島に逃げたのはもう去年の話だ。
あの後見つかって連れ戻され、ささらは夏休み前にアメリカへ旅立ち、クリスマスには
俺もアメリカに会いに行って婚約指輪を贈った。
そして今年の夏、向こうの高校を卒業したささらは大学へ進学するため日本へと帰って
きた。本人たちの知らない間に親たちの間で話しが付いていたらしく、ささらはわが家で
下宿することになっていた。
アメリカと日本では新学期の時期が異なるので大学へは来年俺と一緒に入試を受けて
通うことにして、今は俺に家庭教師をしながら、春夏さんに教えを請いつつ花嫁修業中だ。
一方俺はというと、ささらがアメリカに旅立った後も不抜けている暇などなく、航空
チケットと指輪を買うためにバイトを始めた。
加えて夏休み明けには、ささらの転校で会長に昇進していたタマ姉の指名を受けて、
俺が生徒会長の要職に付くことになってしまった。
副会長には人望があって委員長としても実績のある小牧さんを指名した。それに伴って
みんなの呼称が”いいんちょ”から”かいちょ”にバージョンアップした。呼ばれるたび
に「あたしは副会長で会長じゃない〜」って言ってたけど。
書記はこのみが続投し、会計には小牧さんつながりで妹の郁乃ちゃんが付いた。
もちろん非常勤顧問ことまーりゃん先輩は俺たちのときも健在だった。
そんな生徒会も色々あって1年経ち、先月郁乃ちゃんを生徒会長に指名して引き継いだ。
副会長はこのみで、ボケ役のこのみに突っ込み役の郁乃ちゃんでいいコンビだろう。
ちなみに書記は珊瑚ちゃん、会計はしっかり者の瑠璃ちゃんだ。
そうして1年ぶりに自由な時間が増えた俺は、ささらの誕生日にあわせて二人で思い出
の南の島を訪れることにしたのだった。
「まぁ、まーりゃん先輩は放っておいて、」
「冷たっ…世間の風の冷たさに絶望したっ!」
「今日の寝床を確保しないと。テントを立てなきゃ。ささら、手伝って。」
「はい、貴明さん。」
「ほら、まーりゃん先輩も、そんなところでゴロゴロしてないで手伝ってください。」
「ふんだ。待遇改善されるまであちしは動かん。」
「じゃ、一人で外で寝てもらいますよ。」
「ヒドイ!…ねえ、さーりゃーん。」
「…手伝わないと、ご飯もあげませんよ。」
「うお!さーりゃんまで…ちぇー、働かざるもの食うべからずか。世間は厳しいな〜」
まーりゃん先輩もぶうぶう文句を言いながら手伝い始めた。
それを見て俺とささらも笑った。
今は夏も盛りを過ぎて、去年ささらときたときと同じようにキャンプ場にはほとんど
人気が無かった。俺たち3人以外に在るのは木々のざわめきと打ち寄せる波の音だけだ。
テントを張った後、夕食の用意をする。
ささらが飯盒にお米を入れようとしていたのを見て俺は止めた。
「あ、ささら。それはいらない。」
俺はリュックの中をあさってアルミホイルの包みを取り出した。
「それは…」
「今なら約束果たしてもらえると思ってね。おにぎりを作って持ってきた。」
そう、去年食べられなかったおにぎりだ。
俺の家に下宿するようになって春夏さんに料理を習っているが、最近ではささらは自分
の作った料理は食べられるようになっているから、俺はささらが起きる前におにぎりを
作って持ってきたのだ。
なんとなくまーりゃん先輩も来そうな気はしてたので少し多めに作ってある。
そのおにぎりを手に取った。まーりゃん先輩に一つ渡す。
「…今なら、食べられるかも知れないわ。」
「さーりゃん…」
まーりゃん先輩は心配そうな顔をしていたけど、ささらの顔は去年とは違っていた。
俺はおにぎりをもう一つ手にとって差し出した。あの時と同じ海苔も何も無い塩むすび
だ。
ささらはそれをそっと、しかししっかりと受け取って…そして、口元へと運んだ。
一口食べようとして、少し躊躇した。
駄目か…まだ。
しかし、そんな俺の様子を見てささらは一度口元からおにぎりを離すと、柔らかく
微笑んで見せた。
「大丈夫…貴明さんも、まーりゃん先輩もそんな顔しないで。私だってあのときの私じゃ
ないんだから。」
そう言ってささらは一口おにぎりを頬張った。ゆっくりと咀嚼して、そして飲み込んだ。
「た、食べた…たかりゃん!さーりゃんが「手作り」のおにぎり食べた!」
「やった!やったよささら!すごい!」
「ありがとう、貴明さん、まーりゃん先輩。」
ささらが涙ぐみながら、もう一口おにぎりを頬張った。
「…おいしい…親しい人の手が作ったおにぎりがこんなに美味しいなんて、私知らな
かった。」
「おにぎりなんていつだって作るよ。約束したクッキーも実は春夏さんに習って覚えたん
だから、帰ったら作るよ。」
「うん…貴明さん…大好き。」
そう言いながらキスしたささらの唇はほんのりと塩味だった。
−
「ところで…そのおにぎり、中に何か入ってなかった?」
「どうして?…塩むすびだから、具は無いんじゃないの?」
「あ、いや…実は…」
今日はささらの誕生日だから…
「おおっ、こっ、これはっ!」
いきなりまーりゃん先輩が驚きの声を上げた。
「なんですか?」
「こ、これは…指輪じゃないかっ!」
しまった!渡すおにぎりを間違えたのか!
実はおにぎりに銀紙で包んだ指輪を仕込んであったのだが、さっき渡すときに間違えて
たらしい。
「たかりゃん…」
「な、何ですか。」
「いけない…いけないよたかりゃん。…いくらまーとたかりゃんがさーりゃんの居ない
寂しさを体で埋めあう関係だったからって…こんな物送られたら…まーはさーりゃんを
裏切れないよ…」
「いやいやいや、何でそう言う話になってるんですか。」
「貴明さん…」
「はっ、ささら…な、何でそんな責めるような目で俺を見るんだ!」
「さっきのはまーりゃん先輩の冗談だと思ってたのに…指輪を贈るような関係だった
なんて…」
「いや、冗談だって…そうでしょ、そうだって言ってくださいよまーりゃん先輩!」
「…ごめん、さーりゃん。」
「そうそう、これはまーりゃん先輩の冗談で…」
「ごめんね…あちしのおなかの中には、たかりゃんの子が…しかも臨月で今にも生まれ
そうなんだ…」
「うわ〜〜〜〜!なにばればれな嘘で火に油注いでるんですか!」
「ひどい、ひどいわ…貴明さんも、まーりゃん先輩も…もう誰も信じられない…」
「うわ、ささらもそんなみえみえの嘘を真に受けるし…ささら!…俺を、俺を信じて。」
嗚咽に震えていたささらの肩を抱いて、俺はこれ以上ないくらいの真剣な顔を向けた。
「…くす」
「…は?」
「…くすくすくす」
ささらの肩がさらに大きく震えだす…あれ?
「あー…だめだよさーりゃん。笑っちゃ台無しじゃん。」
「だ、だって…くすくすくす…貴明さんがあわててるのが可笑しくって…」
「ひ、ひどい…」
「あ?どうしたたかりゃん。」
「ひどい、ひどいよ二人とも…女の子怖いよ…」
「やば…たかりゃんの女性恐怖症ぶり返した?」
「え…そ、そんな、貴明さん!…ああ、ごめんなさい、ごめんなさい…まーりゃん先輩、
どうしたら…」
「あー…これは予想外。まーにもどうしたらいいか…と、とにかく…たかりゃん、ごめん、
ごめんよ〜」
俺の軽い女性不審は日が暮れるまで続いた。
その間ささらとまーりゃん先輩によって普段では無いほどのサービスが行われ、後日雄二にそのことを話したら血の涙を流しながら泣かれた…
382 :
物書き修行中:2007/09/20(木) 21:52:11 ID:rnlE0jVS0
ふひゅー、ぎりぎり間に合ったyo (;´Д`)
実は恋愛同盟のほうが筆がノッてしまい、けっきょく手をつけたのが昨日からだったり
して、危うく間に合わないところでした。
恋愛同盟のほうはこれから見直しと校正をするので、早ければ明日あたりにうp
できるかも知れません。
>>371 乙です。
私も最近SS書き始めたばかりなのですが、最近スレが寂しいのでお互いどんどん作品を
上げてAD発売まで盛り上げていきましょう。
あと連投は1レスごとに3〜4分程度待つようにすれば規制回避無しでも引っかかり
にくいですよ。
>>371 乙
確かに愛佳の言動に違和感はあったけど、本当に初めて?って位
文章もしっかりしているし、上出来だと思う。
後、タイトルでの番号の振り方は○/○○という表記にしてもらった方が
分かりやすくていいかも。
>>382 こちらもささら誕生日SS乙
この内容を二日で書き上げるとか、そのスピードには脱帽といった感じ。
後、雄二には別の機会にでもいい思いをさせてやってw
>382
毎度乙。由真、このみに続いて間がない所で連発できるってすごいな
アイディアもいいし、縁と塩も引っかけて、指輪でオチもついて、起承転結が明快
全然漏れの趣味だけだけど、起の要はおにぎり食えなかった事だろうから、
そっちを頭に持ってくるとか、状況説明の方はもっと簡単でもいいのかも
しかし話の流れが綺麗なSSだなぁ。正にGJ!
385 :
371:2007/09/21(金) 07:10:32 ID:/DylpRuhO
>>373 設定苦しすぎましたね。
一緒に寝るその口実を作り出すのがなかなか思いつかなかったので…。
以後、気をつけます。
>>382 間を置けばいいのですね。ありがとうございます。
駆け出しの初心者ですがよろしくおねがいします。
>>383 投稿初めてだったので、文入りきるかわからなくて○/○○とはできませんでした。
いろいろ見たところ30行くらいでの投稿が多いみたいなので、これからはそのような形で投稿させてもらいます。
>>371 出張が理由になる場合、今まで一度もそういった出張などによる短期の外泊が存在しないとは考えづらい。
というか、いくらなんでもおびえすぎのように思う。
一人でいることに臆病にならざるをえない理由がないと説得力に欠ける。
だったらいっそ愛佳自身が泊まりに行きたいと思っていて、親の出張を利用したとかそういう流れの方がまだ自然かなあ
貴明の設定とのリンクっていう発想はいいのだけど、それを当てはめただけって感じがする。
由真の家以外、友達の家に行ったことがないって結構凄いことになるんだけども。
男の子にしても外で遊ぶだけではないし、女の子ならば家の中で遊ぶ機会は多いのでは。
せめて、泊まりに来たのは初めて(またはは久しぶり)にした方が良かったと思う。
文章は流れを作れてない部分が多々あるかな。
読む時にもリズムみたいなのがあって、それを調節出来ていない感じ。
例の一つは、語尾に「〜〜た。」を多用しすぎなところ。した。だった。が何度も続くと読みづらくなる。
それと、もうちょっと話の尺度を伸ばしてでも、ベッドの中での会話を増やすと、
貴明と愛佳の、いわゆる見てるこっちが恥ずかしくなるような恋愛ってやつに近づけられたかな。
これだけだと綺麗な話だけで終わってて、それだけでも悪くはないけれど、盛り上がりがなさ過ぎる。
文章と台詞の割合が台詞に偏っていて、それでいて台詞が固まっていない作品だと、
台詞毎に改行を入れると隙間が多すぎるかも。
文頭の一文字開けをして、改行を挟まない方が見栄えがよくなるかもしれない。
どっちが読みやすいかは個人の感性によるのでどちらがいいとは一概に言えないけれど。
一人称視点なのに貴明の心情描写が少なすぎて、それが淡々とした雰囲気を生んでいるかな。
雰囲気自体は悪くないし、TH2らしさを損ねている感じはしないから大きな問題ではないけど、
悪い見方をすれば印象に残りづらいSSになってしまっている。
本を読む時に、どういうところが上手いのかを意識して読んでいけばもっと良くなると思う。
引き続き頑張れ。
それとついでに誤字 愛佳SS-10:証明→照明
>>382 1〜2で回想シーン。3で現在。4で現在までの経緯。っていう流れが非常に読みづらくしている。
3でまーりゃん先輩が出てきたときに、逃避行中に現れたようにしか見えなかった。
そういうサプライズを狙ってるんだと思うけど、錯誤させる意味がないからそれはミスだと思う。
すでに婚約指輪を贈っておいて、次の誕生日プレゼントも指輪というのはプレゼントの選び方が悪いんじゃないかな。
オチのためのネタフリに偏りすぎていて不自然さが目立った。
加えて、回想の中でのおにぎりは、ちょっと貴明の配慮が足りなすぎる気がするかなあ。
人の手で作ったものは食べれないっていうささらの問題は、意識していないと忘れてしまいがちなものではあるけれど
コンビニなどのおにぎりでは大丈夫〜と原作で言われているために、前もって準備してましたっていうのは
貴明がうっかりっていうより配慮が足りないって感じに見えてしまう。
話のキーになるので、ここの設定には力をいれて欲しかったかも。
4の経緯で、生徒会役員の状況だけをつらつら並べるのは脳内設定のひけらかしでしかないと思う。
その後どうなったか、を出すのにいいんちょが副会長になったってところまではいいけど、その翌年の話まで出しても
話にまったく絡まないし、原作にもリンクしないのでここは余分かな。
読みづらい構成になっていたって部分を除けばそれなりに読みやすい文章になってるし、
おにぎりも、構成上不自然さは感じるものの、話の軸になるように組み込んでるのは出来てる。
特に、逃避行中のアイテムに時刻表が入っていたのは小物の使い方として凄く上手い。
状況に合わせたアイテムや描写の選択はできているので、
後は物語の説得力や、読みやすい構成を意識できるともっと良くなると思う。
短いスパンでのSS投下おつかれさま。
スピードも確かに重要だけど、そこに捕らわれすぎて内容がおろそかにならないように気をつけて。
今後に期待してる。
すごく真面目に批評してる人がいてちょっと驚いた
他のSSスレのことは知らないけど、なかなかすごいことかも
便乗で俺もやってみる
>>371 確かに微妙に貴明や愛佳の性格が違うけど、そこら辺はゲームプレイし直したりして固め直せばおk
台詞をもうちょっとくだけた感じにしてもいいかも。話すときって「〜いる」とかじゃなくて「〜る」になるっしょ?
文章力自体は書いたり読んだりすれば自然と身に付くものだから、初でこれなら十二分に及第点は突破してるかと
>>386が指摘してるように、流れとしてところどころおかしなところがあるから、書いた後に簡単な要約を作ってみて、
それを見直すといいかも。そうすると矛盾点を見付けられる
んで、その矛盾点を解消するためにはどういう風にすればいいかを考えると、綺麗にいくかも
あと、焦点が散漫になってるっていうか、一番の山をはっきりさせられてないから(全体が淡々としてるんで)、
そういう大事な部分では貴明の内面とか、二人の行動とかをはっきり描写してやった方がいい
何はともあれ、次回作にも期待
>>382 回想で重要なのは塩むすびのくだりなんだから、「塩むすびを食べられない」ってのを最初にやった方がいいかも
その後ちょこちょこ背景を説明するとか。この辺は俺の趣味も入ってるけど
取り敢えず、時間軸が移動したときは、そうとわかるようにしてやった方がいい
> 「で、その後、たかりゃんは朝からその若い肉体を使ってさーりゃんを慰めた訳だ。」
> せっかく浸っていた想い出を、まーりゃん先輩が見事にぶち壊した。
とか。文自体はかなり適当にでっち上げたもんだから、出来悪いのには目を瞑ってくれ
あと、会話の間にもうちょい地の文が入ってるともっといいかも
五、六個会話が続いたら、貴明の内面とか、表情とかにも変化やら起伏が起こるだろうから
会話の部分と描写の部分が完全に乖離してる感じがあるんで
それと、余分がけっこう多くて、焦点がぶれてる感じ。生徒会関連だとかは、貴明が会長就任、郁乃に引き継ぎだけで十分かと
愛佳が副会長ってのはまだしも、郁乃たちの世代のメンバーになると蛇足感が強い
……言いたいことはほとんど
>>386-387が言っちゃってるんで、これ自体蛇足みたいなもんだけど
390 :
371:2007/09/21(金) 16:40:09 ID:/DylpRuhO
>>386 ナレーション的立場(?)の口調は押さえる。
貴明の心情描写を増やす。
文章の流れ、起承転結を作る。
わざわざ長文ありがとうございます。
引き続き上記のことを意識しながら次の作品頑張ります。
>>388 「〜いる」を「〜る」になるのはわかりますが、文章を書く際に不適切では?と思ってました。
構わないようなら以降、書くように心がけます。
簡単な要約…一番の山…指摘ありがとうございます。
>>390 誤解受けてそうなのでちょっと補足。
別にナレーション的立場のいわゆる第三者的視点なのは別に問題じゃないよ。
(淡々とした雰囲気のSSならむしろこういった軽い描写は有効だったりする)
同じ語尾を短い間隔で多用したらリズムが悪くて読みづらいってだけね。
語尾に使える文字はたくさんあるし、実際序盤は使い分けられている。
中盤から文尾に「〜〜た」が目立ってくるので、多分描写の内容を考える方に意識が持っていかれてるんじゃないかな?
それを、ちょっとだけ意識してみるくらいでいい。
ぶっちゃけ、出来上がった後読み直してみて、なんとなく読みづらいなと思ったら直すくらいでいい。
ヘンに意識しすぎると本当にこれでいいのかって疑いが生まれて書けなくなってしまう可能性があるからね。
>>390 ラノベでもエロゲでもいいんで、試しに会話文を追っていってみるといいよ
会話文では「〜る」とかくだけた感じになってることが多いんで
文章を書くといっても、堅苦しく考える必要はなくて、公文書ならともかくSSなんだから、もっと口語的になってもいい
>>391に補足すると、文章のリズムっていうのは、後から音読してみるとわかりやすい
読んだ後黙読しただけだとあまりリズムって気にならないことが多いから
文末だけに限ってだけど、「〜た。」が四つ続いたら、その内一つを現在形に直してみるだけで違ってくるはず
まあ、リズムについてはあまり気にしないで、一通り書き上がってから修正するような形でいいと思う
慣れれば自然とうまくなってくるもんだし
初であれだけの出来であれば、もう二、三本書けば普通に出来るようになってくると思うんで、頑張って
393 :
物書き修行中:2007/09/21(金) 19:40:25 ID:cyaie/VC0
>>387-389 今までいただいた中で最も嬉しいレスかも知れません
全体的に客観視が足りないということでしょうか
代表的なところで、
>>389さんのおっしゃられる例えがもっともそれを表している
気がします。
(作者の中でだけ時間が進んでると理解できていて、読んでる読者の方には解りずらい)
ちなみに指輪をチョイスしたことについては
>>387さんの指摘のとおり、オチのためで、
あえて指輪のチョイスにしました。
指輪は他のアクセサリーと違って往々にして意味を持つものなので、婚約指輪と
被るのですが誕生石の指輪ということにして、まーりゃん先輩にいじられる
足がかりとしています。
逆に、前回投稿したこのみSSでは貴明はタマ姉とこのみの間で宙ぶらりんの関係で
どちらにも決めかねている状態ということで、プレゼントのアクセサリーから指輪は
意図的に外して、イヤリングとしていました。
それと、手前味噌な話で申し訳ないんですが、前回投稿したこのみSS「対等の条件」が
書庫に入っていない模様なので、次回の更新時にでも出来れば追加をお願いします。m(__)m
>書庫の管理人様
>>393 高校生がそうやすやすと何度も買えるほど指輪は安くないというのと
婚約指輪を贈った翌年の誕生日にまた指輪を贈るというのはチョイスとしてはあんまりかなと。
それに、誕生石に意味があるのでしたら別に指輪にこだわる必要もないのではないですかね?
意味を持たせた弊害でとして作中のネタに違和感が生まれては本末転倒のような気が。
もっとも、作者様が違和感を感じない、もしくは意味を持たせることの方が重要であると考えられているのであれば
それでいいと思います。あくまで私はこうだと考えているだけなので
作者さん達もレビュアーさん達も乙
こんなに具体的なレビューがバシバシ上がった事がかつてあったろうか。多分ない
それだけきっちり読めるSSだって事でもあるな、2作品とも。
これでレビュアーさん達がSSあげてくれたらまさに神…いや、レビューだけでも十分有り難いです
>385
1レスの行数は32行。30行前後にして上下に空白行を入れると見やすい
文字数制限(1024文字だったかな?)もあるが、今回みたいな文体ならまず大丈夫
ってか30行前後で文字数の方に引っかかるなら、むしろ文章自体を見直す必要があるな
投下は、1分以内だと自動的にアウト
板で一定レス数が進むうちに5レス以上自分のレスがあっても連続投稿になる、筈
時間帯にもよるが、混雑時で2分、閑散時で3〜4分くらい空けとけば大丈夫かと
引っかかったら待ってればいいだけなんだけど。でも支援も風物詩だよね
>>395 ごめん、俺は一次創作専門で、二次創作は読むだけなんだ
他の人のキャラで小説書くのって難しいんだよね。だからそれだけでもSS書きさんはすごいと思う
レビューはしやすいのとしにくいのとがある
面白いかどうかとか、なんとなく勿体ないって思ったかどうかとかなんだけど、俺の場合
>>393 指輪に意味を持たせたいのであれば、その意味を作中で明示しないと
サファイアの指輪だってこととか、それがささらの誕生石だってことがわかれば、単なるオチのため、って印象も減らせると思う
他にも宝石言葉を利用したりとか
397 :
物書き修行中:2007/09/21(金) 20:49:54 ID:cyaie/VC0
>>394 別にどんな指輪かは(誕生石かどうかも)重要ではないわけですが…
しいて言えば「高校生がバイト代or貯金で買える程度の指輪(現実に数万程度で物はあります)」です。
意味としては、女性にとっては異性から貰う指輪というのは婚約指輪以外でも特別な意味を持つので、
(いわゆる「おもちゃの指輪でも嬉しい」という奴です)
それを逆手にとってまーりゃん先輩が貴明をいじるシチュエーションにしたかったということですが、
その辺は文章のニュアンスで読者を納得させられない私の技量の足りなさということで…
>397
個人的にはですね、今回の話なら「アメリカに行って婚約指輪を贈った」を削除して
おにぎりの中のを婚約指輪にしてしまっても良いような気がします
回想の塩むすびを冒頭に持ってきた方がって意見は、単発SSだからってのもありそう
連載ものの一話なら状況説明から立ち上がるのもいいけど、一本勝負ならとりあえずパンチ打って入る方が掴む、みたいな
>>397 だとすると余計に指輪自体の特別性が薄れてしまうような。
私としても、そういう展開にもっていきたいなら
>>398さんの言うように
婚約指輪の部分を無くしておにぎりのを婚約指輪にしてしまうというのがいいんじゃないかなと思います
ささらが人の手で作った物を食べられるようになったということとあわせて
二つの特別な事を重ねるという演出にもなりますしね
そこまで持ち上げると、渡すおにぎりを間違えるというオチがより際だちます。
まーりゃん先輩が貴明をいじるというオチをより良くするという意味でもこちらの方がいいと思います。
指輪を特別視するなら、指輪そのものに特別性を加味する必要があります
このままだと特別であるという意味を存分に込められてないで、「指輪=特別」というパターンになっているわけです。
大半の人にとって指輪は特別なものだと思うのですが、それを特別に感じるのは
やはりエンゲージリングなどの特別な状況をイメージするからではないでしょうか?
400 :
物書き修行中:2007/09/21(金) 23:15:16 ID:cyaie/VC0
結局、微妙に原作のフリを忠実に入れようとしたのが良くなかったのかなという
気がしてきた…
まあ、今回はこれ以上はキリがなさそうなので次へのの反省材料とします。
>>391 同じ語尾を連続するところですか。
そこらへんのバランスは他を参考にして、書いてるうちに整えるようにします。
指摘ありがとうございます。
>>392 口語表現を使って、読みやすくなるよう心がけます。
>>394 テンプレでそういった記述があったので入れなきゃいけないと思ってました。
でもよく見たら他の方の作品でも入ってないことが多いんですよね。
以降も30行を目安に、間隔を置いて投稿するようにします。
とりあえず2作目下書き完成。
早い!とか手抜き!とか言わないでくださいね。
一応ネタは温めてたものなので早めに完成しました。
あとは見直して完成度高めていきます。
投稿日は未定です。
とりあえず意欲のあるうちに数をこなしていきたいと思ってます。
温かい目で見守ってくださると助かります。
でも、ホント日本語って難しいですね。
日本人は識字率が高いとは言っても、それだけじゃ文章は作れませんよって話。
それはいつもと同じ帰り道なのに、なぜかいつもと違う感じがした。
目に見えて、なにかが違うというわけじゃない。
ただ、誰かに見られているようで、奇妙に落ち着かない。
後ろをなにかが通ったような気がして、振り向くけど、そこには誰もいない。
気のせいだ、なにかの思いこみだ、と自分に言い聞かせるけど、いやな感じは消えなくて――。
住宅街の角を曲がり、細い、人通りの少ない路地に入り込んだとき、俺はその予感が正しいことを知った。
一匹の猫が。
どこにでもいそうな、茶色い毛並みの、やや大きめの猫が、遮るように道のど真ん中に立って、俺の方を真っ直ぐに見ている。
今にも襲いかかりそうに、背中を大きく曲げて、前傾して。
猫に恨まれる覚えはないけど、虫の居所とかもあるだろうし、そもそも動物に理屈は通用しない。
これはまずいと、一歩足を引いたら――やっぱり。いつの間にか背後にも猫が。
不幸を呼ぶという黒猫が、横切るのではなく、退路を断つ。
振り向いたら、正面の猫は三匹に増えていた。
そして左右の塀の上から、車の下から、ありとあらゆる物影から、無数の猫が現れて、俺を取り囲む。
なんだ、一体? これが人間なら物取りかとでも思うところだが、あいにく俺は、ネコ缶もマタタビも持っていない。
襲われる理由なんかなにもない。訳を聞こうにも相手は猫だ。
「にゃ、にゃあ……」とかネコ語で挨拶してみたけど、やっぱり通じるはずもなく。
嫌な汗が浮かぶばかりで、じりじりと詰め寄る猫に、対抗する手段も和解する方法も思い浮かばない。
そういえば、大きめの猫は、本気を出せば人間の大人よりもはるかに強いとかいう、嫌な話を思いだした。
フーッ、と独得の息づかいが、背後から聞こえるたびに、冷や汗が落ちる。
わずかに包囲の薄そうな方向に足を動かせば、それを察して猫も動く。
十数匹の猫に囲まれた俺は、逃げる術さえ奪われて、後は狩られるのを待つばかり――って、なんで俺がこんな目に!?
その包囲網は少しずつ小さくなっていき、ついに、その時が来た。
正面の猫が飛ぶと同時に、一斉に、四方八方から猫が襲いかかってきた。
俺は反射的に、情けない悲鳴を上げるしか為す術がなく――、
「そこまでだ」
背中から、静かな声が、強く響く。
顔全体に、猫の腹の感触が被さった。……前が見えない。猫臭い。
さらにどさどさと、勢いを殺し損ねた猫たちが、俺の上に次々とのしかかる。
いつの間にか尻餅をついていた俺を、埋めるように。これがいわゆる猫布団という奴だろうか。
生暖かくて柔らかい、こんな時でもなければ結構気持ちいい感触が、全身に重い。
顔に被さった奴を引き剥がすと、そいつはもう殺気の欠片もない顔で、離せとばかりににゃーと鳴いた。
他の猫たちも、興味なさそうに俺を遠慮なく踏んづけては下りていき、そして行儀良く並んだ。
その視線の向こうには、雄々しくるーこが立っている。
……助かった。
よく分からないけど、るーこが猫を……にゃー達を止めてくれたことは間違いない。
俺は緊張が一気に抜けたのと、猫ダイブのダメージで、多少よろめきながらも立ち上がる。
「るーこ、助かったよ。ありが……」
「演習終了」
るーこは満足げにそう告げた。
……ええええええええっ!?
「るーこの仕業だったのか……」
いつもの公園に移り、七輪でサンマを焼くるーこを前に、俺はひたすら脱力していた。
さっきのネコたちは大人しく、サンマの順番待ちをしている。
この街、こんなに野良猫いたんだな……。
「まだ怒っているのか。狭量だな、うーよ」
「いや、怒っているっていうか、怒っているけど、でもなんかそれ以上に力が抜けたというか、もうなにをどう責めればいいんだか」
不意に、るーこは心配そうに、
「ちゃんと爪はしまうように言い聞かせていたが、怪我でもしたか?」
そんなことを言うから、怒れなくなる。
「……してないけど」
「そうか。なら問題ないな」
今度はしれっと。ああもう。やっぱり一度がつんといってやろうか――なんて、思うだけで言えない俺。
とにかく、理由だけでも聞いてみるか。
「で、なんだったの、あれ」
「演習だ」
「……俺を襲う?」
「そうじゃない。狩りの演習だ」
るーこは大まじめにそういった。俺は大きくため息をつく。
「なんでまた」
「見ろ、このにゃーたちを」
顔を洗う。体を舐める。あくびをする。どこからどう見ても、普通の猫たちだ。
「えぇと、このにゃーたちがなにか?」
「こうして大人しく、るーがサンマを焼くのを待っている。礼節を守るのは大事だが、それだけでは生きていけない。
自然の中に生きるのならば、狩りは避けて通れない。食料は、自らの手で確保するものだ」
「……だから、狩りを?」
「るー」
肯定のるーだ。
「この街のにゃーたちは狩猟本能が消えかけている。それもこれも、うーたちが悪い」
「俺たち!?」
「うーたちが港で、余った魚をくれてやったりするから、にゃーたちも楽に生きることを覚えてしまったのだ」
……いや、そうかもしれないけどさ。そんなこと俺に言われても。
「それで俺を襲わせたんだ?」
「本能の薄れかかったにゃーたちの、初級講座として手頃だった」
「あのねぇ」
「るーの罠に引っかかった、実績を鑑みての選択だ」
ううっ。いやな過去を。
不意にるーこは、俺を見て微笑んで、
「それにうーなら、こんな目にあわせても許してくれると思ったからな」
……そんな信頼をしてもらっても、嬉しくないけど。くそ、なんだ、ちょっと嬉しい。
るーこはサンマをひっくり返し、一部、焼けた部分をほぐして与えてやりながら、
「いいか、にゃーたち。これで分かっただろう。集団での包囲は、獲物を逃さず捕らえるのには都合がいい
単独で狩りをするメリットもあるが、状況と獲物によっては集団の方がいい」
分かってるんだか分かってないんだか、にゃーたちはるーこを見返すも、すぐにサンマに夢中になる。
「けどさ、人間を襲ったりしたら、まずいよ」
「大丈夫だ。うーはにゃーたちの口には余る。まずは本能を取り戻させ、徐々に素早い獲物にも対応できるように教育する」
なんかそのうち、この街から鳥の姿が消えちゃいそうだ。
「にゃーたちの本能か……」
たしかにあの瞬間、俺は限りない恐怖を感じたけど、嬉しそうに、るーこからサンマをもらっている姿は平和そのものだ。
るーこが危惧するのも分かるような気もするし、半面――、
「もっとも、安穏に生きていけるこの世界では、もう、にゃーたちには必要のないことなのかもしれないが」
俺の心を読んだように、るーこはちょっと、寂しそうに言った。
「るーでは、そんなに狩りが重要なんだ」
「生きる術だ」
当然とばかりに、るーこは頷く。
「るーはあくまでも実用的だ。生きるためには狩りをし、火を点けるためにはちーを使う。
たったそれだけだからこそ、その2つは貴いものとして、不変の価値を見いだされている。
うーの世界は効率を重視するあまりに、意味のない紙切れに価値を与えている。
それは本当に大切なものを見失わせる」
「そうかもなぁ……」
なんとなく分かる。
誰かが勝手に作って、誰かが勝手にこれだけの価値があると決めつけた紙切れ。
確かに便利だけど、本当は百円とかで刷れてしまうんだろうな。
そう考えると、確かにちょっと馬鹿らしい。
燃やしてしまうには、俺は現代人としての常識が身に付きすぎていて、とても出来ないけど。
「だからうーも狩りをやれ」
「うん……え?」
ぼーっと考えていたら、なんかとんでもないことに頷いてしまったような。
「ちょ、ちょっとまった。俺には狩りは無理」
「大丈夫だ、るーがコーチする」
いつもと同じ無表情だが、るーこは明らかに張り切っていた。
「いや、いいから。する機会ないから」
「バインダー式で、テキストも分かりやすく、わずか三日でたちまち狩りの名人になれるぞ」
「どこの通信教育だよ……」
「軽いジョークだ、うー」
「あのね」
肩が落ちた。
「手に職を付けることは大事だぞ」
「それは分かるけどさ」
やる機会、ないし。
「狩りが得意だと、たくさんいいこともある」
「例えば?」
一応、礼儀で、聞き返した。
「みんなで狩りをやったとき、仕留めたものは、一番おいしいところをもらえる」
まぁ、狩りで生計を立てるなら、いいけどさぁ。
「1人で大物を仕留めたものは、勇者として尊敬を集める」
「大物って言われても……」
「知っているぞ。虎とか象とか鯨とか。あれらを仕留めたら立派に勇者だ」
「無理無理」
「るぅ〜」
そんな泣きそうな顔をされても。
「勇者になりたくないのか」
「いや、なれるものならなりたいけどさ、俺には向いてないよ」
支援
るーこは不満そうだったが、不意に、顔を上げてるーをする。
これはいいアイデアだと言わんばかりの、輝かしい気配を発していた。
「うーに向いている獲物があった」
「なに、それ?」
ネズミとかの小物じゃないだろうな。
「しかも大きな特典付きだ」
「特典?」
ちょっと興味が湧いてきた。
「俺にも仕留められそう?」
「それはうーの努力次第だ」
るーこはすました顔で言う。
まぁ、そうかもしれないけれどさ。
「簡単なの?」
「いいや、非常に難しい」
「……じゃあ俺には無理じゃない?」
「そんなことはない。努力次第といったはずだ」
なんかもったいぶるなぁ。
「なんなのさ、それ?」
るーこは一瞬、目を伏せて、そして真っ直ぐに俺を見た。
いつもの得意げな笑顔に、わずかに挑発の色が混ざる。
「ついてくる特典は、次期族長の座」
え?
「獲物の名は、族長の娘だ」
そして、聞いた。
「狩る気はあるか?」
――俺は耳まで真っ赤になった。多分、それが答えになっていたと思う。
「ふんふふ〜ん…これで髪の毛も良しっと。リップも塗って…ふふふ。」
「あら、おめかしするのもいいけど、そろそろ学校に出かける時間じゃないの?」
「わかってるってばお母さん…でも手は抜けないのよ。女の矜持が懸かってるの。」
「あら…好きな男の子でもできたの?」
「う…ま、まあね。今好きな男の子の恋人の座を賭けて友達と勝負してるの。」
「まあ…おてんばの由真もやっとそういうことに目覚めたのね。」
「…実の娘をどんな目で見てるのか、よくわかったわ。とにかく、この勝負にはあたしの
女としてのプライドとか未来とか…とにかくそう言うものが懸かってるのよ。」
「将来はダニエルの名を継いでくれるんじゃなかったのかの?」
「あー、今はパスパス。今はたかあきのハートをゲットするのが最重要課題なの!」
「な、なんじゃと!ダニエルを継ぐ事よりも男の尻を追いかけることのほうが重要じゃ
と!…最近様子がおかしいと思っておったが、悪い男にたぶらかされておったとは。」
「げっ!おじいちゃん…いつの間に。」
「いかん!いかんぞ!男にうつつを抜かすなど、そんな一時の気の迷いに惑わされては
ならん!…ぬ、な、何をするのじゃ。」
「お父様、大人しくして下さい。由真、おじいさまには後でよく言っておくから、押さえ
ている間に行きなさい。」
「あ、ありがとお母さん。じゃ、いってきまーす。」
「いってらっしゃい。そうそう、そのたかあきくん一度連れていらっしゃいな。母さん
会いたいわ。」
「あー、考えとくわ。…って、やばっ。いってきます!」
「ゆ、由真〜わ、わしは許さんぞ!」
「あらあら、お父様…あちらで私と少しお話しましょう。もうみっちりと。」
「な…わ、わしも仕事に出かけねば、」
「ほほほ、あと30分は大丈夫ですよ。」
恋愛同盟 第5話 恋せよ乙女! 前編
「あ〜…家に帰るの気が重いわ。」
「どうした?元気が取り柄の由真にしちゃ珍しいせりふじゃないか。」
「…あんた、あたしのこと体力馬鹿だとでも言いたいの?」
「そうじゃないって…家で何かあったのか?」
たかあきにそういわれて、朝のやり取りを思い出した。
よりによって一番内緒にしてたおじいちゃんに貴明のことがばれるとは思わなかったわ。
「あ。」
あたしが朝の出来事を思い出して考えに耽っていたら、たかあきが声を上げた。
「ん?なに?」
「いや、またあのリムジンが停まってるなと思って。たしか由真の関係者だっただろ。」
「え?うそ?」
見覚えありすぎ。おじいちゃんのリムジンだった。
「…由真、どうかしたの?」
「愛佳…あれうちのおじいちゃんだ。」
「そういえば、乗ってたのは爺さんだったな…って、アレがおまえんとこの爺さんか?」
「たかあき…あたしの後ろに乗って。」
あたしはMTBに跨りながらたかあきに声をかけた。たかあきはあたしの言ったことを聞いていたのか、聞いていなかったのか、ぽかんとして突っ立ったままだ。
「…何で?」
「今にわかるから。死にたくなかったらさっさと乗る!」
「ちょ、ちょっと由真さん。どういう事ですか。」
あ、ドアが開いた。
「ほっとくと、筋骨隆々の老人にたかあきがどつき倒されて屍になっちゃうの!」
「はあ?なんだそりゃ。俺が誰に殺されるんだよ。」
「あそこにいるうちのおじいちゃんに。」
あたしが指を指すと、みんな校門のほうを見た。
そこには筋骨隆々でタキシード姿のうちのおじいちゃんが立っていた。
あ、たかあきの顔見たとたんに体が一回り膨らんだ。きっと頭にきて戦闘体制に入っ
たんだ。なんか叫びながら走り出した。
「貴様が由真を誑かした男かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「げ、何なんだありゃ。」
「乗って!愛佳と優季はヤックで待ってて!」
「あ、う、うん。」
「また乗るのか…よっと。」
「うわっ、どこ捕まってんのよ!」
よたよたしながら後輪の上に跨った貴明がふらついてあたしの体に抱きついてきた。
このむっつりすけべっ!
「よっと…つかまったぞ。」
たかあきはふらつきながらもあたしの肩に何とかつかまった。
もうおじいちゃんはかなり近くまで来ていた。あたしは裏山に抜ける道にハンドルを
切る。
「じゃ、いくわよ!しっかりつかまってなさい!」
「お、おう…って、うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
あたしは全速力でペダリングを開始。あっという間におじいちゃんを引き離した。
たかあきは後ろで固まってるみたい。
「貴明さん大丈夫でしょうか…」
「由真…たかあきくん壊さないでね…」
−
「ぜえぜえ…もう…由真の後ろには…二度と…のらねぇ…」
「はあはあ…あたしも…今日は…久々に…無茶したわ…はあ」
由真の家の爺さんはパワーはあるが足は無かったようで、すぐにぶっちぎって裏山に
逃げ込めたのだが、裏山の祠から街中に出たところで、待ち受けていたリムジンの猛追を
受けて30分以上も走り回ることになったのだ。
俺たちは商店街近くの駐輪場にMTBを置いてヤックに向かい、先に来ていた愛佳と
優季と合流した。
「お疲れ様です。」
「あ、ありがとう。」
喉がからからになっていたので、優季が差し出してくれたアイスティーをそのまま飲み
干した。
「はー、旨い。」
「…」
「…」
「…♪」
なんだか、愛佳と由真の視線が痛い。優季はニコニコしてるけど。
「な、なに?」
「…かんせつきす」
由真が責めるようなジト目で俺を見ながら答えた。
「間接…キス?」
「それ、さっきまで優季さんが飲んでたんだけど…」
そう言いながら愛佳が優季のほうを見ると…
ぽん。
「ああ、そうでした。貴明さんがあまりに水分を求めて居そうな感じでしたので、思わず
自分のを差し出してしまいまして。」
「…時々あんたが怖いわ、あたし。」
なんだかわざとらしく手を打って答えた優季を、俺もちょっと怖いと思った…
改めてセットを頼んで…ついでにさっき飲んでしまった優季の新しいアイスティと、
由真と愛佳のご機嫌取りのためにパンケーキとアップルパイも注文し、トレイ二つ分を
受け取って席に戻った。
そして落ち着いたところで、俺は改めて由真を問い詰めることにした。
「で、何で俺が由真の家の爺さんに狙われなきゃならんのか説明してもらおうか。」
俺が睨むと、由真の奴はぷいっと目線をそらした。
しかし、俺が視線をそらさないとわかると、由真は観念したようだった。
「…あんたがあたしと付き合ってるとおじいちゃんが思ってるから。」
「…は?」
「今までは内緒にしてたんだけど、今朝お母さんと喋ってる時にね…おじいちゃんに
聞かれちゃったのよ。それで朝から一騒動あって、今日は家に帰りずらかったのよ。」
俺の事家族に話してなかったのかよ…
「それで、なんでお爺さんが怒るんですか?」
「まあ、単純にあたしに悪い虫が付くのを心配してるんだろうけど…昔、小学生のときに
仲のいい男の子を家に連れてきた事があったんだけど、その時もおじいちゃんが凄んで
泣かしたことがあったわ。」
支援
あのごつい爺さんが小学生相手にガンを飛ばしてる様を想像すると、頭が痛くなって
くる。
「大人気ないなぁ…爺バカってことか?」
「貴明の話をしたら、お母さんは喜んでたわ。おてんばの由真もやっとそういうことに目
覚めたのね、だって。あたしを何だと思ってるのかしら。」
「色気が無いって事か。」
「たかあき…いっぺん死んで見る?」
「…ごめんなさい」
イイ顔で拳を見せる由真に俺は思わず謝った。
「とにかく、そういう訳だから、たかあきは殺されないように気をつけてね。」
「おいおい。」
しゃれになっていないぞ由真。
あの筋肉ダルマの爺さん相手じゃ戦う余地なんてありゃしない。逃げるしか無いだろう。
「貴明さん。」
「な、何かな優季。」
優季は心配そうな顔で俺の手をとって握ってきた。
「貴明さんを由真さんのお爺さんから守る手を思いついたんですが…」
「え、本当?教えてよ。」
「ええ…私が貴明さんの婚約者として名乗りを上げるんです。ほら、そうすれば由真さん
との仲も誤解ということで…」
などと、ニコニコ笑いながらとんでもない提案をしてきたが、すかさず由真がさえぎっ
た。
「却下。あんたドサクサ紛れになんてこと言ってるのよ。」
「えぇ…駄目ですか…しょんぼりです…」
「あ、じゃあ、代わりにあたしが…」
さりげなく愛佳が代わりに立候補する。
「愛佳も却下…あんた、何気に図太くなったわね。太くなるのはウエストだけにしとい
て。」
がーん、という顔の愛佳。
「…そんなことないもん…ウエスト太くないもん…ないもん…」
あ、完全にいじけちゃった…後でご機嫌とるの大変なんだよなぁ…
−
その夜。
俺は晩飯の支度をしていた。といっても、買い置きのカップラーメンにお湯を注ぐだけ
の毎度おなじみ3分クッキングだけど。
優季たちにばれるとお説教食らうんだけど、この簡便さに慣れるとどうにもまともに
料理する気になれない。そこそこ旨いし。
お湯を注いでキッチンタイマーを3分にセットする。
待つ間、テレビを見ながら時間をつぶそうと、カップラーメンを持ってリビングに移動
したところで、
ピンポーン
こんな時間に誰だろう。このみかな。春夏さんに言われて何かおかずを持ってきてくれ
たんなら嬉しいけど。
とりあえず手に持っているカップラーメンをテーブルに置こうとしたんだけど、
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!
ああ、もう、せっかちだな。こりゃこのみじゃない。このみはこんな押し方はしない。
仕方なくカップラーメンを持ったまま玄関へと向かった。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン!
「はいはい、今出ますよ。」
鍵を開けて玄関を開くと、そこに立っていたのは、
「由真…?どうしたんだこんな時間に。」
由真が立っていた。私服姿で、肩には大きなスポーツバッグを提げている。
それに少しご機嫌斜めの様子で怒ったような顔をしていた。
「たかあき。」
「な、なにかな?」
「今日泊めて…っていうか、今日からここに住むから。」
「おいおい、ちょっと待てよ。」
そう言っている間にも由真は俺を押しのけて家に入り、さっさと靴を脱いで上がり込ん
できた。そのままリビングへとずかずか入っていく。
「ちょっと待てよ。男一人の家に女の子泊める訳にはいかないだろ。」
「あたしは気にしないわ。」
「いや、俺が気にするっての。泊まるんなら愛佳か優季に頼めばいいだろ?」
「愛佳のところは今郁乃ちゃんが退院する寸前で色々忙しいし、優季のところにいきなり
行くのもちょっと気が引けるから、一人暮らしのたかあきのところにしたの。ここは
おじいちゃんにもばれてないし。」
「また爺さんがらみか。」
「それより、またそんなもの食べてるの?」
俺が手に持ったままのカップめんを指して由真が言う。
「んあ…ああ。」
「こんなの食べるなって行ってるでしょ、もう。まあ、あたしが何か作ってあげるから、
しばらく待ってなさいよ。」
そう言って俺からカップラーメンを取り上げるとしっしっ、と俺をリビングに追い返し
てキッチンに入っていった。
「いったいなんなんだ…」
俺はため息をつきながら、電話を手に取った。
−
あたしが冷蔵庫にある材料で適当に料理を作って、お腹を空かせて待ってる筈のたか
あきを呼びにリビングに戻ったら、そこにはこのみちゃんと、このみちゃんに似た若い
お姉さんが座っていた。
このみちゃんはあたしの顔を見るといつもの人懐っこい笑顔で挨拶してきた。
「あ、由真先輩今晩は。」
「ああ、丁度よかった。由真、こっちに座って。」
たかあきに手招きされて、あたしはよくわかんないまま隣に座った。
「えっと…どうも。長瀬由真です。…ねぇ、このみちゃんはわかるけど、こっちのお姉
さんはどちら様?」
あたしが一番の疑問をたかあきに聞いたら、そのお姉さんはほほほ、と笑い出した。
「まあ、あなたみたいな若い子にお姉さんなんて呼ばれるなんて…私もまだまだ捨てた
ものじゃないわね。」
「?」
「あー、こちら、うちの親が海外出張してる間の実質的な俺の保護者で、このみのお母
さんの柚原春夏さん。」
「え…えええ!若っ!」
このみちゃんって15歳…よね。うちのお母さんとほとんど同世代とは思えない。
でも、そのこのみちゃんのお母さんが何でここに?
「で、なんでこのみちゃんのところのおばさんが」
「は・る・か、と呼んでくださいな。」
い、今何かすごいプレッシャーを感じた気が…
「え、えっと…なんで春夏さんがここに?」
「言っただろ。女の子一人家に泊める訳には行かないって。だから監視役としてこのみ
にも泊まってもらうことにした。」
「突然タカ君から電話があって、このみを家に泊めて欲しいって言われたけど、保護者と
しては理由も聞かずにこのみを外泊させるわけには行かないし。それでこのみと一緒に
理由を聞きに来たんだけど…あなたが由真さんなのね。」
「は、はい…」
「どうしてタカ君の所に泊まるとか言い出したのかしら。まさか夜這い…とかではない
わね。まあ、家出かしらね…理由を話してくれないかしら。」
春夏さんはニコニコと笑っていたけど、そこには有無を言わせない迫力があった。
…言いたくないけど、仕方ないわね。
「おみあいです。」
「は?」
貴明が間抜けな返事で返すから少しむっとしながらもう一度言い返した。
「お見合いよ。…今日家に帰ったら、お見合いの写真があって、あたしのだっておじい
ちゃんが言うから…あたしはたかあきの事が好きだし、好きな人が居るのにお見合い
なんかしたくないって言って、大喧嘩して家を飛び出してきちゃった。」
「ふぇえ…高校生のうちからお見合いなんてあるんだねぇ。」
このみちゃんがおどろいた様子であたしを見てる。
「まあ、これでもそれなりにいいとこのお嬢様らしいからな。そういうこともあるんじゃ
ないか。」
「…これでも、ってどういう意味よ。」
あたしが睨んだら、たかあきの奴あさっての方向に視線をそらした。あとでしっかり
言い聞かせる必要があるわね。
「とにかく、由真ちゃんはお見合いが嫌で家出してきたと言うことね。…何はともあれ、
お家のほうには連絡したほうがいいわね。今頃ご家族が心配して探し回っているかも
しれないわよ。」
「…はい、でも…」
「大丈夫。私があなたのお母様と話してみるわ。電話をかけてくれないかしら?」
春夏さんがやさしく笑ってあたしを諭すように言った。
−
その夜、あたしは客間でこのみちゃんと二人で、いっしょに床に就いていた。
あの後、春夏さんとうちのお母さんとの間で話が付いて、このみちゃんも一緒という
条件で、たかあきの家に泊まれる事になった。
布団に入ってからは、女の子同士の気安さで胸の触りあいっことか…このみちゃんが
あたしの胸の大きさを羨ましがってた。環さんには負けるけど…ふざけあってるうちに、
いつの間にか眠っていた。
ふと目を覚ますと、まだ真っ暗だった。
時計を見ると1時ぐらいで1時間ちょっとぐらいしか眠っていなかった。
隣ではこのみちゃんが眠っている。あたしは一人っ子だから姉妹という感覚はぴんと
こないんだけど、でもこのみちゃんみたいな妹なら欲しい気がする。環さんが本当の妹の
ように猫かわいがりしているのもわかる気がする。
目がさえて眠れないので、キッチンでホットミルクでも飲もうと思って布団を抜け出し
た。
このみちゃんを起こさないよう忍び足で部屋を出て、階段を下りる。
そうしたら、キッチンの電気がついていた。入り口から覗くと、たかあきが居た。
「あれ、由真…眠れないのか?」
「うん…目が覚めちゃったの。そうしたらなんだか眠れなくって。」
「ふーん…お前も飲むか?ホットミルク。」
よく見ればたかあきはミルクパンで牛乳をあっためて居た所だった。
「なんだ…たかあきも眠れないのか。」
「まあな…今日は色々会ったし。ちょっと興奮して寝付けないって言うか、な。」
「……」
たかあきは温まったミルクを火から下ろしてカップに注いで、蜂蜜をひとさじ入れて
あたしに渡してくれた。
ゆっくりとかき混ぜた後で、ふうふうと冷ましながら一口すすった。
「あつっ」
「ゆっくり冷まして飲めよ。」
たかあきがあたしをみて笑う。
ふうふうと吹き冷ましながらずいぶんと時間をかけてホットミルクを飲んだ。
そして落ち着いたところで、あたしはたかあきに聞いてみた。
「ねえ…どうして泊めてくれたの?」
「どうしてって…追い出して欲しかったのか?」
「ううんそうじゃないけど…今日はごめん…あたし、迷惑かけてばっかり。」
「珍しくしおらしいじゃないか。明日は雨でも降るんじゃないか。」
「…失礼な奴。下手に出れば付け上がるんだから。」
「悪い悪い。でも、本当に迷惑なら追い返してるさ。…だけどさ、普段の由真なら、
あたしみたいなかわいい娘が泊まってあげてるんだから感謝しなさい、ぐらい言うだろ。
しおらしい由真なんてらしくないと思うぞ。」
笑いながらそう言うたかあき。でもあたしはその台詞に含まれたある部分が気になった。
「…あたしの事…かわいいと思ってくれてるんだ。」
あたしがそう言うと、たかあきも自分が何を言ったのか気が付いたみたい。
真っ赤になってしばらく口を押さえていた。
「あ…ああ…かわいくて魅力的だと思ってる。…そうじゃなきゃ、由真の事を女の子と
して気にするようにはなってなかっただろ。」
「そっか…そうだよね。そう思われてると思うと、ちょっと嬉しいかな。」
「でも、普段が普段だからな。」
「…あんたも、あたしの事をどういう目で見てるか頭の中一度調べてみたいわ。」
「ま、とにかく、俺の迷惑なんて気にするなって事さ。飲んだら寝ろよ。明日も学校なん
だからな。」
「うん…ありがと、たかあき。」
あたしはたかあきとキッチンを出ると、客間に戻って床に就いた。
今度は眠れそうだった。
−
「電話してもらえれば、私もすぐに行きましたのに。」
優季がそんなことを言ってため息をついた。
朝はたかあきとこのみちゃんと一緒に歩いて登校して、今は放課後。
優季と愛佳とたかあきと4人で玄関で靴を履き替えて出たところだ。
「別に抜け駆けして夜這いとかそんなんじゃないわよ。ただ家を飛び出して行く所が
無かっただけなんだから。」
「でも、言ってくれれば家に泊まってもよかったのに…」
愛佳も、あたしが遠慮した理由は話したのにそんなことを言っている。たかあきの家に
泊まってるのがやっぱり気になるみたい
「もー、愛佳も。お目付け役のこのみちゃんも一緒なんだから。」
「でも…」
「…おい、由真。あれ。」
たかあきが校門のほうを指すと、そこには見覚えのあるリムジンと、家のおじいちゃん
が立っていた。
「…みんな、裏門から帰ろう。」
そう言ってあたしは踵を返した。そうしたら、
「まて!由真!」
おじいちゃんが走ってあたしの所までやってきた。
「…おじいちゃん…」
「由真…」
あたしはしばらくおじいちゃんの顔が見られなくて、自分のつま先を見つめていた。
「由真…家に帰ってこんかの。」
「…嫌…あたししばらく帰らないってお母さんに言ったはずよね。」
「しかし…お前のような若い嫁入り前の娘が、一人暮らし男の家に泊まるなど、」
「二人っきりじゃないって言ったでしょ。」
「しかしな…悪いが、調べさせてもらったぞ。…河野貴明というそうじゃな、小僧。」
おじいちゃんはそう言ってたかあきをにらみつけた。
「おぬし、由真のほかにもそちらの2人とも付き合っておるそうじゃな。」
「あー…はあ、まあ…」
「由真…男と付き合うなとは言わぬ。じゃが、こんな女にだらしの無い男と付き合わず
とも、もっといい男がおるじゃろう。」
おじいちゃんは、あたしたちとたかあきとの詳しい関係も知らずに、たかあきを女たら
しと決め付けてそんなことを言った。まあ、女たらしな所があるのは否定しないけど、
たかあきとの関係はそんな単純なものじゃない。…そのおかげであたしたちは苦労して
いるわけだけど。
ともかく、あたしはそんなおじいちゃんの言葉が気に入らなかった。
「…おじいちゃんは、たかあきがそういう男で、あたしが男の見る目が無くて、たかあき
に弄ばれてるって、そう言いたいの?…そして、おじいちゃんの選んだ、確かな身元の
男と見合いして付き合えばいいって、そう思ってるの?なんであたしの進む先を勝手に
決めちゃうの?」
「い、いや…あの見合いの写真はの、」
あたしが怒ってるのがわかったのか、おじいちゃんはなんかしどろもどろになりながら
言い訳を始めた。でもあたしはそこで止まるつもりなんでもうなかった。
「そう。じゃあ教えてあげるわ。あたしたちはもうたかあきに身も心も奪われちゃってる
の。もうメロメロって訳。だから人前でこんなことだって平気で出来ちゃうの!」
そう言って、あたしはたかあきの首に両腕を回した。
「目ぇ閉じて。」
「え?」
たかあきが突然あたしに抱きつかれて目をぱちくりさせながら答えた。
あたしは、貴明が目を閉じるのも待たずに顔を近づけた。
「え?」
「ああっ!」
驚く優季と愛佳の声を聞きながら、あたしは自分の唇を、たかあきの唇に重ねた。
428 :
物書き修行中:2007/09/22(土) 11:46:03 ID:nnAs1E8Z0
>>416さん 支援サンクスです
舌の根も乾かぬうちに新作をうpさせてもらいました
でも実際には第4話うpし終わった後から書いてたので、なんだかんだで丸々
1月以上かかってます。またアホみたいに長くなってしまいました。
>>401 ちなみにですが、漏れの場合
・横80文字(全角だと横40文字になる)/ぶら下げ禁則あり/
25行/ページの設定のエディタで書く
・後で読み直してみて、誤字や開業位置を修正。
改行が極力単語を切らないようにする。
・大体1ページ単位(25行前後)でこぴぺしながら書き込み
という手順で書いてます。
漏れの場合は文章みっちり書く傾向があるので多分30行まで書くと
文字数制限にかかるw
後編は午後か夜にUPします。
気がつくと商店街のアーケードで、あたしは荒い息をしながらぽつんと立っていた。
どこをどう走ったのかわからないけど、たかあきとキスした気恥ずかしさで頭が沸騰
して、呆然としていたおじいちゃんの横をすり抜けて学校から飛び出したのは覚えていた。
「ああ、もう…あたしったら…なんであんなこと…」
キスしたとき、たかあきが驚いてあたしを見たのを思い出した。そして真っ赤になった
のも。そのときはあたしもきっと真っ赤だったに違いない。
思い出すと、自分の大胆さにあきれながらも、顔がほてってくるのを押さえ切れな
かった。
「…ファーストキス…しちゃった…」
自分の唇をなぞる。貴明の唇は、お昼休みに飲んでたカフェオレの味がした。
「……考えるとドツボにはまりそう…晩御飯の材料買って帰ろ…」
恋愛同盟 第5話 恋せよ乙女! 後編
「こんなところまでつき合わせて、すまんの。」
「ああ、いや、いいすけど…」
「それで、お話というのは…?」
「……」
俺と優季と愛佳は、キスした直後に尋常でなく真っ赤になった由真に置いてきぼりを
食わされしばらく呆然としていたのだが、我に帰った後で由真の爺さんに捕まった…訳
ではなく、頼み込まれて駅前のオープンカフェまでやってきたのだった。
「まず、おぬしらの関係を教えてもらおうかの。」
「あー、誤解の無いように言っておくけど、俺と由真たちはその…肉体的関係は…」
「わかっておる。わしはこれでも由真の家族じゃぞ。由真が生まれたときからの付き合い
じゃ。…あの子が虚勢を張って大げさに言ったのもわかっておるわ。」
「じゃあ…順を追って話すと…」
俺は1年生の終わりの、由真との出会いからゆっくりと話し始めた。
「なるほど、由真がの…」
由真が始めたこの奇妙な関係までを話し終えたとき、爺さんはそう言ってため息を
ついた。
「あの子が変わり始めた…いや、そうではないのぅ…昔の由真に戻ったと感じたのは、
春先じゃった。丁度小僧と出会った頃じゃ。」
「昔の由真?」
「…たかあきくん。前に言ったかもしれないけど、由真は始めてあったときから最近まで
は、もっとおとなしい子だったの。」
愛佳が言う。そういえば、前に由真と俺が話しているのを見て確かめてたことがあった
な…あんなふうに活発なところは見せたことが無かったのか・・・
「元々由真は明るく活発で、わしに似て負けん気が強いところもある子じゃったが、中学
に上がる頃には大人しく聞き分けのいい子になっておった。わしもいつの間にかそれに
慣れておったのじゃが…春先ごろから、わしの言葉に反発するようなそぶりを見せる
ようになったのじゃ。」
「おれはその負けず嫌いで活発な由真しか知らなかったから、どうも大人しい由真って
言うのが想像できないんだよなぁ。」
俺が苦労しながらしおらしい由真を想像しようと試みている横で、爺さんは遠い目をして、ほう、とため息を一つ付いた。
「昔の由真はの、それはそれは快活で可愛らしくてのぅ…それこそ、目の中に入れても
痛くないくらいじゃった。」
「爺バカでしょうか…」
「爺バカだよねぇ…」
遠い目をして熱く語る爺さんを見て二人が言う。
ほんと爺バカだよなぁ…。
「で、その由真がなんでそんなに大人しいふりなんかしてたんだ?」
俺の疑問に答えたのは爺さんではなく愛佳だった。
「…たかあきくん。由真がさっき言ってたよね…なんであたしの進む先を勝手に決め
ちゃうの、って。…由真は、おじいさんの跡を継ぐって言ってたけど…そのせいじゃ
ないかな。」
愛佳の問いかけに爺さんは苦い顔をして黙り込んだ。
しかし、しばらくして、その重い口を開いた。
「そうじゃな。恐らく、ダニエルのことじゃろう。」
「ダニエル?」
「ダニエルというのはの、わしがその昔、先々代の御館様よりいただいた執事の称号の
ようなものじゃ。」
「それで、そのダニエルさんがどうして由真さんと関係があるんですか?」
「うむ。」
一呼吸おくように、爺さんは紅茶を一口飲むと、ゆっくりと話し始めた。
「あの子は、昔からよくわしに懐いておった…わしの働く背中を見ておって、憧れたの
じゃろう。幼い由真がこう言ってくれたのじゃ。」
爺さんは目を閉じてゆっくりと呟いた。
『おじいちゃん、あたしダニエルになる〜』
『ダニエルになる〜』
『なる〜……』
はっ……言っているのは爺さんはずなのに、なぜか子供の頃の由真が見えた…
「わしも、その言葉がうれしくてのぅ…ついつい自分の持つ執事としての技能を由真に
教え込んでおったのじゃ。いつかダニエルの名を次いでくれると思うてのう。」
「でも、それが由真さんから将来進む道の選択肢を奪ってしまったということですね。」
「…そうじゃな。わしは家族として将来有望な道を由真に勧めたかったのじゃが、それが
由真を追い詰めておったのかもしれん。」
爺さんはそう言うと、がっくりと肩を落とした。
「由真があたしたちに話してくれました…たかあきくんが昔の自分を思い出させてくれた
って。昔はもっと色々な夢を持ってたはずなのに、いつの間にかおじいさんのの跡を
継ぐっていう道を…『なれる自分』を安易に選んで、それに自分を当てはめようとして
たって。」
それは多分、最初に同盟が結成された夜の女の子だけの話し合いで話されたことなん
だろう。俺の知らない話ではあったけど、優季は知っているような顔だった。
爺さんは悔しそうな、それでいて嬉しいような苦味を含んだ笑みを浮かべながら言った。
「わしは由真の将来のために良かれと思って様々に手を尽くしてきたつもりじゃった。
じゃから、最近由真が昔のように明るくなったのが、ショックじゃった。しかもそれが
おぬしのせいと知ってから、わしは年甲斐もなく嫉妬しておった…誰よりも由真に近い
はずのわしには成し得なかった事を成した、とな。」
「…それで、由真さんと貴明さんを引き離すためにお見合いを用意したんですか?」
「それなんじゃがのう…」
一転、爺さんは困ったように頭を掻いた。
「あれはわしが用意したものではなくてな…」
「は?」
「わしの姪が持ってきたものなんじゃ。そやつは縁談をまとめるのが趣味でのう…どうも
回りに縁談を薦められる人間が居なくなって、年頃の由真に話を持ってきたのらしい
じゃ。」
「じゃあ、爺さんが由真に見合いをさせようとしたってのは…」
「誤解じゃ。わしは娘に…由真の母親じゃが…しっかりと釘を刺されておるからのう。」
「…まあ、由真らしいって言うか…」
勝手に誤解して、勝手に怒ってたわけか。
俺があきれていると、爺さんは俺を見て頭を下げた。
「な、何だよ爺さん。」
「小僧…いや、河野貴明殿。由真の誤解を解いて家に戻るように言ってくれんかの。
わしに似て頑固じゃから、今のあの子はわしの言葉には耳を貸すまい。じゃが、お主の
言葉なら聴くじゃろう。」
頭を下げたままの爺さんを前にして、俺には断る言葉など見つからなかった。
何より、今のまま同棲する訳には行かない以上、いつかは由真を家に帰さないといけ
ないのだから。
「わかったから、頭を上げてくれよ爺さん。俺から説明してみるから。…もしそれでも
駄目なときは、優季と愛佳にも協力してもらうから。」
その言葉に二人も頷いた。
さて、家に帰ったら頑固でじゃじゃ馬なお姫様を何とか宥めてみないと…
−
今日はシチューにした。特に理由は無いけど鶏肉が安かったし、なんとなく食べた
かったから。
一口大に切ったにんじん、たまねぎ、じゃがいも、とりもも肉をフライパンで炒めて
香りを出した。その後、鍋で小麦粉とバターでルーを作って牛乳とコンソメスープで
伸ばし、炒めた具財を放り込んだ。後は煮込むだけだ。あたしは時計を見た。
支援
とっくに帰ってきてもいい頃なのにたかあきはまだだった。多分おじいちゃんに捕まっ
たか、逃げ回ってるかのどっちかだろうけど。でもさっき無理矢理キスして逃げて今は
顔をあわせるのが気まずいから丁度よかった。
おじいちゃんに捕まってないといいけど、捕まってたら…貴明ボコボコかしら。
…ううん、おじいちゃんはああ見えてやたらと暴力を振るったりしないから、大丈夫
よねきっと。
テレビを見ながら、時々シチューの火加減を見て過ごす。こうやってると、なんか
たかあきの奥さんになったみたいな気がする。
そんなことを考えて、実はすごく大胆なことを考えてたことに気がついて、自分一人で
真っ赤になってこっぱずかしさに身悶えてしまった。
あたし何考えてるのよ、なんてセルフ突っ込みしたりしてたら、
「ただいま〜」
たかあきが帰ってきた。
あたしは顔が赤くなっていたのを2、3回ばしばしと叩いて誤魔化して、玄関に迎えに
出た。
「…なに赤くなってんだ?」
ぜんぜん誤魔化せてなかった。
あたしは必死で頭の中で何とか誤魔化す台詞を考えた。でも駄目。さっきまで考えてた
事とか、学校でキスしちゃったこととかが、たかあきの顔を見たとたんに頭ん中でぐる
ぐる回りだして、逆に赤さが増しそうになった。
そしてそんな状態で何とかひねり出した台詞は、そのときはウイットに富んだジョーク
のつもりだったんだけど、言ってから赤面物の恥ずかしい物と気がついた。
「え、えっと…あなた、お風呂にします?お食事にします?そ、それともわ、わた、たっ、
わたしにします?」
噛んだ。思いっきり噛んだ。
しかも押しかけ状態この状況でこの台詞は洒落になってなかった。たかあきにマジで
「由真が食べたい」なんて言われた日にはあたしはどうすればいいのかしら。
だけど、たかあきは冷静だった。
たかあきは、はあ、とため息を一つつくとあたしの肩をぽんぽんと叩いて言った。
「由真…そういう台詞は冗談で言うものじゃない。」
「そ、そうよね…あ、あははは…」
安心すると同時に、ちょっとがっかりした。
あれ…ということはあたし少し期待してた…?うそ。
そんなあたしの落胆を感じ取ったのか、たかあきが驚いた顔で聞き返してきた。
「…まさか、マジ?」
「ち、ちがうわよっ!この馬鹿っ!」
「はぶっ!」
あたしは照れ隠しにたかあきを張り倒した。
−
シチューはまあまあの出来だったんだけど、味わってなんていられなかった。
あたしとたかあきは黙々と食事を進めていた。さっきの事もあるけど、校庭でキスを
した事はまだあたしの中では引きずっていて、気まずい状態だった。
たかあきは平気な顔してパクパク食べてるけど…なんであたしだけこんなに悩んでなく
ちゃならないのよ。
面白くないのでたかあきに話しかけてみた。
「ねえ、たかあき。」
「んー、何?」
「今日の放課後の事…突然奪っちゃって、ごめん。」
「え…?」
たかあきは一瞬何のことかわからないという顔をしていたけど、少しして顔が真っ赤に
なった。
「あ、ああ…気にしてない…つか、気にならないわけじゃないけど気にしてないから。」
たかあきも言葉使いが滅茶苦茶になりながら答えた。なんだ、忘れてただけなのか…
「感謝しなさいよ…あたしのファーストキスあげたんだから。」
「…気にしないで欲しいのか、気にして欲しいのか、どっちなんだよ…」
たかあきの困った顔を見てあたしはくすくす笑った。
食事も済んで、あたしとたかあきはテレビでも見ようということになった。
テレビの向こうではバス芸人がさいころを振ってその出目の悪さに打ちひしがれていた。
でもあたしの意識は、隣に座っている貴明に向いていて、なんだか落ち着かなかった。
「なあ、由真。」
たかあきが突然話しかけてきた。
「な、なによ。」
「お前が逃げた後さ…爺さんと話しをしたよ。」
やっぱり、おじいちゃんに捕まってたのか。
「…どんな話?」
「爺さんが、最近の由真は昔のように明るくなったって言ってた。そして、由真の笑顔を
引き出した俺に嫉妬してたって。…お前を追い詰めていたこと、爺さんが後悔してた
ぞ。」
「そっか…おじいちゃんがそんな事を…」
別におじいちゃんは悪気が会ってあたしにダニエルになれと言っていたわけじゃないの
はわかっている。ただあたしの将来を心配していただけだ。でも、今回のお見合いは別。
「でも、あたしを貴明から引き離すために見合いさせようとしたのは許せないの。」
それを聞いたたかあきは一つため息をついて笑って答えた。
「それも誤解だよ。あの見合いは、縁談をまとめるのが趣味の、お前の叔母さんが持って
きて置いてったものらしい。爺さんは無関係だよ。」
「え、じゃあ…」
もしかしてあたしが勘違いして一人で勝手に怒って立って事?
「まあ、由真らしいって言うか…一人相撲だな。」
「は……」
「は?」
「謀ったなぁぁぁぁ!」
あたしは思わず…半分は照れ隠しの意味も込めて…そう言いながらびしっとたかあきに
人差し指を突きつけた。
「…久しぶりだな、それ。」
「ううう…」
「ま、今日は泊まって行ってもいいけど明日は家に帰ってやれよ。爺さんが心配してる
ぞ。」
「おじいちゃんにどんな顔して会えばいいのよ…」
ずっとたかあきの家に居るわけには行かないのはわかってたけど、でもこの展開は
予想外だった。「あわせる顔が無い」というのはこういう状況のときだと思い知ったわ。
「それにしても…このみの奴遅いなぁ。柚原家の夕食はとっくに終わってるはずだけど…
電話してみるか。」
時計の針が9時を回っても一向にお目付け役のこのみちゃんが来ないので、頭を抱えて
いるあたしを置いて貴明が電話をかけに席を立った。
「…あれ、留守電が入ってる。」
ぴっ。
『用件は1件です』
『あ、タカ君、春夏です。実は急に家族で出かけることになってね、このみも一緒なので
今日はそちらには行けません。まあ、タカ君のことは信用してるけど、女の子を啼かせ
るようなことしたら駄目よ。』
「…ああ、春夏さん…なんか「泣く」の字が違う字になってる気がするのは俺の気のせい
でしょうか…」
『…でも、もし何かあった時は、私もタカ君の保護者代理として「色々」考えなくちゃ
いけないから。じゃあね、頑張ってね。』
「何をどう頑張れと…それとなにを「色々」なんでしょうか…」
たかあきが電話機の前でたそがれてる…
え、でも、ということは、今夜は…たかあきと…二人っきり?
夕方にあんなことがあったばっかりなのに。
しかも、さっきふざけ半分で玄関で言った台詞がよみがえってくる。
『…あなたぁ、お風呂にします?お食事にします?それとも…わ・た・し?』
・・
そこ、妙なしなを作って捏造してるな脳内のあたし。さっきとぜんぜん違うじゃん。
とはいえ、妙に意識しちゃって、またあたしの顔に血が上ってきた。
とりあえず…お風呂に入ってしばらく逃げよ。
「あ、あたし、お風呂入ってくる…覗いたら殺すからね。」
「…あー、はいはい。覗かないよ。」
「なんかその言い方むかつく。あたしは覗く価値なしって言い方よね。」
「…お前は…覗いて欲しいのか覗いて欲しくないのか、どっちなんだよ。」
「…乙女心は複雑なのよっ!…とにかく、覗くの禁止だかんね。」
そう言って、あたしは着替えを持ってお風呂場に逃げ込んだ。
「じゃ、風呂入ってくるから。」
「行ってらっしゃい…」
あたしと入れ替わりで貴明がお風呂場に行った。
覗かれはしなかったけど、あたしがお風呂から帰ってきたときにあたしの湯上り姿を見てたたかあきの目がエッチだった…気がする。
座ってても落ち着かない。喉が渇いたのでキッチンに行って何か飲もうとした。
キッチンに入ったところに、さっきまであたしがつけていたエプロンがあった。
そのエプロンを見ながら、なんとなくぼうっと考えてしまった。
エプロン…エプロン…エプロン…裸エプロンとか…裸エプロン!
や、やだ、あたしなに考えてるのよ!
『…あなたぁん、お風呂にしますぅ?お食事にしますぅ?それとも…わ・た・し?』
脳内のあたしがパワーアップしてた。裸エプロンで物欲しそうな顔でくねくねしてるっ
てどういうことよ!?
頭を振って妄想を追い出しながら冷蔵庫を開いた。何か飲んで頭冷やさないと。
ジュースを一本取り出してプルタブを開けると一気に飲んだ。キンキンに冷えた
ジュースを一気飲みしたせいで、すぐ後に頭痛が襲ってきた。くあー、効くー。
でもそれが去ってしまうとまた悶々としてきて落ち着かなくなってくる。
またジュースを飲もうかと冷蔵庫に手を伸ばしかけたところで、料理用においてあった
白ワインのビンが目に止まった。
そうだ…酔っ払ってしまえば気にならなくなるかも知れない…
そのときのあたしはそんなおバカな考えで頭がいっぱいになったまま、ワインのビンに
手を伸ばした…
−
気がついたら周りは真っ暗だった。なんか頭も痛い…
「よう、気がついたか。」
驚くほど近くからたかあきの声が聞こえて、思わずあたしは叫びそうになった。その
あたしの口をたかあきの手が押さえつけた。
え、うそ、このままあたし、たかあきに身も心も奪われちゃうの?
嫌じゃないけど…こんな強姦まがいなんじゃなくてもっと、こう、ロマンチックに…
「頼むから叫ばないでくれ…こんな夜中に大声で叫ばれた日にゃ、警察呼ばれちまう。」
そう言うたかあきの声は落ち着いていて、あたしが想像したようなケダモノ寸前の状態
じゃなかった。
「落ち着いたか?…手ぇ離すから、叫ばないでくれよ。」
こくこくとあたしが頷くと、たかあきの手があたしの口から離れた。
「なんでたかあきがあたしの布団に居るのよ。」
まず最初に、あたしはは最大の疑問をたかあきにぶつけた。
でもその疑問はあっさりと貴明に返された。
「一つ言っとくと、ここは客間じゃなくて俺の部屋で、ここは俺のベッドの中。」
ということは…あたしの方から夜這いしちゃったの!
でも、今あたしパジャマはちゃんと着てるし…
「…あたし、なんか変なことしなかった?」
「たっぷりされた…」
えええええ!
「な、何したの…」
「お前、半分以上あったワイン全部空けただろ…ぐでんぐでんに酔っ払ってたんだぞ。」
「…」
お、覚えが無い…
「酔っ払って俺に抱きつくわ胸当ててくるわ…挙句に危うくパジャマ脱いで裸になりかけ
たから両手を使えないように抱き抱えてたらそのまま寝ちゃって…起きてまた暴れられ
ても困るから、そのまま布団まで運んできて一緒に寝てた。」
「…もしかして、ずっと寝ないであたしの顔を見てたの?」
「ああ…さすがに女の子と添い寝状態でぐっすり眠れるほど神経太くないからな…」
「…すけべ。」
「何故に?」
「でも…一緒に寝られたのは嬉しいかな…愛佳と優季にばれたらやばいけど。」
「…そうだな…内緒にしておこう。」
あの二人の不敵な笑顔でも眼に浮かんだのか、たかあきもあたしの意見に同意した。
「そうと決まれば…えへへへ。」
たかあきにもっと擦り寄って、胸に頭を預けた。たかあきに抱っこされているような
状態で、胸元はたかあきのにおいがした。
「おい…あんまりくっつかないでくれよ…気になって眠れない。」
「責任とってくれるなら、エッチなことしてもいいわよ。」
「…勘弁してくれ。」
たかあきのため息があたしの前髪をくすぐった。
しばらくあたしたちは抱き合ったまま身じろぎもせずにいた。
たかあきの胸のトクトク言う鼓動だけがあたしの耳に聞こえていた。
「…ねぇ、たかあき。」
「うん?」
「…明日、デートしよ。」
「は?」
「前に約束したでしょ…二人だけでデート。」
「ああ…そうだな。」
「デートしたら…家に帰るわ。」
「そっか…」
「…あたしが帰ったら、さびしい?」
「そうかもな。」
「でも、帰らなくちゃ…」
「そうだな。」
「そうと決まったら、早く寝よ。」
「そうだな。明日寝不足じゃつらいし。」
「…じゃ、お休み。」
「お休み。」
目を閉じた。たかあきのトクトク言う鼓動の音が心地よくて、いつの間にかあたしの
意識は深く深く、沈みこんでいっていた。
−
次の日は飛び切りの晴天で、デートにはもってこいだった。
朝食を食べて大通りの映画館へ向かう。
見ることにしたのは、この間たかあきと映画を見に来たときにポスターが貼ってあった
”Hard To Say”。
素直になれないヒロインと主人公の男の子が恋する物語で、まるで今のあたしとたか
あきみたいな関係で、なんだか必要以上に感情移入しちゃった。
映画が終わって外に出るとお昼を少し過ぎたところだった。
お昼を食べるためにヤックに移動して、たかあきと映画の話をする。
「…今回は、ありえないって言わないんだな。」
「なにが?」
「この間映画見たときは…ディープキス見て、ありえない連呼してたろ。」
「ああ…今はああいう…キスしたくなる気持ちがなんとなくわかったから。」
「そうか……そういえば…昨日キスしちまったんだったな…」
たかあきが口元を押さえて赤くなった。
あたしも忘れかけてたのにまた思い出して顔がほてってきた。
「…思い出したら恥ずかしくて死にそうな気分になってきた。」
「…ごめん。」
お互い真っ赤になったままうつむいて、恥ずかしくて言葉を交わせなくなってしまった。
仕方なく、それからしばらく二人とも食べるのに専念する事になってしまった。
「もー、もうちょっとだったのに。」
「ま、鍛錬の差だよな。腕鈍ったんじゃないのか。」
ヤックを出た後でいつものゲーセンで久しぶりに対戦して、それが一段落して外に出た
頃には大分日が傾いてきていた。
「そろそろ帰るか。」
「んー…最後にあそこに行ってみない?」
あたしは、出来たばかりのツインビルを指差した。見上げると首が痛くなるような高い
ビルだ。
「この間、あの間の渡り廊下の開通式があったらしいわ。」
「ふーん。眺めはよさそうだな。」
「そうでしょ。…じゃ、競争よ。あたしはあっちから上るから、たかあきはそっち。
用意どん!」
「うわっ、いきなりかよ。くそっ。」
あたしは後れを取ったたかあきを差し置いてビルに飛び込んだ。
中に入るとエレベーターをホールを目指す。でも上半分に向かうエレベーターは行った
ばかりでしばらく帰ってきそうに無い。
「もー、最悪。」
たかあきならエレベーターに乗れないなら階段で上がるだろうからぼーっと待ってる
わけには行かない。
仕方なく中層階用に乗って上がれるところまで上がってそこからは階段を駆け上った。
「はっ、はっ、はっ、」
あたしが倒れ込みそうになりながら廊下に飛び込んだところで、誰かが私の体をしっか
りと受け止めた。
「お疲れ。」
たかあきだった。たかあきは少しも疲れた顔なんかしていなかった。
「…なんでそんなに普通なのよ。」
「丁度エレベーターが来ててね。まあ、日ごろの行いの差だろ…」
「…むかつくわ。」
あたしが膨れて見せると、それを見たたかあきは笑ってた。
太陽が水平線にかかって、ゆっくりと沈んでいこうとしていた。
あたしとたかあきは並んで立ったまま、その夕日を眺めていた。
「ねえ、たかあき。」
「なんだ?」
「あたし…たかあきに会うまで、将来の事なんて考えたことなかったんだ。」
「…夢とかは?」
「夢はいっぱいあった。…でも、おじいちゃんが自分の跡をあたしが継ぐと期待してて、
その道に現実味が増してくると、あたしにはそれ以外の道が見えなくなって、あたし
自身もその道を進むのが楽なんだってわかって、いつの間にかそれに自分を当てはめ
ようとしてたの。」
それは、周りが期待する「長瀬由真」のカタチ。
「…たかあきに出会って、ダニエル以外のものが見えたの。それまでのあたしは空っぽで、 ただおじいちゃんの言うままにダニエルを目指していただけの人形みたいなものだった
けど、たかあきと喧嘩して、たかあきと笑って…たかあきに恋して、昔見た、かわいい
お嫁さんになりたいって夢も思い出したわ。」
そう言いながらあたしはたかあきの肩と自分の肩をくっつけて、ぴったりと寄り添う。
「ダニエルを目指すのをやめた訳じゃないの。でも、たかあきと出会えたおかげで、
あたしの世界はぐんと広がった気がする…ありがとう、たかあき。」
「なんか、照れくさいな。」
たかあきは赤い顔をしてそっぽを向いてた。だからあたしはたかあきの顔に両手を
添えて、あたしの方へとぐいっと捻じ曲げた。
「なっ、何するんだよ由真。」
「人が感謝の言葉を述べてるんだから、ちゃんとこっち見なさいっての。」
そう言うと、かたあきは照れくさそうに笑ってくれた。
気が付くとたかあきの顔が近い。…どきどきする。
「ゆ、由真…」
「たかあき…」
たかあきの目があたしを金縛りにした。たかあきの瞳の中に、あたしの顔が映っていた。
「…好き…大好き。」
普段のあたしじゃない、もう一人のあたしが素直にその言葉を口にした。
それに導かれたように、たかあきの顔が近づいて、二人の距離が狭まる。
あたしは目を閉じた。
そして、あたしの唇に、たかあきの唇が触れた。
夕日が最後の輝きであたしたちを照らし出した。
どのくらいそうしていたのか。
唇を離したときには夕日は水平線の下に隠れて、茜色を押しのけて紺色の空が落ちて
きていた。
「……」
「……」
なんだか気まずい。
「…やっぱりあんたって、女たらしよね。愛佳にもそうやってキスしたんでしょ。」
「あー…その…つい…」
たかあきが何か言い訳しようとして言葉に詰まっていた。
でも、あたしはあたしで別のことを思っていて…
「今のが、ファーストキスだったら良かったのに…」
昨日のはあたしから無理やりしたから…って、あれって良く考えたら協定違反よね。
「…昨日のはノーカウントでいいんじゃないのか。」
「だめ…そう言うごまかしみたいなのはあたしが気持ち悪いのよ。」
「…ふふふっ…そう言うところは由真らしいな。」
貴明が笑う。なによ…笑わなくってもいいじゃないの。
「笑うな…」
「悪い悪い…じゃ、そろそろ帰るか。」
「うん。あたしもおじいちゃんが待ってるし…戻ろ、たかあきの家に。」
すっかり夜の黒に染まった空を背にして、あたしとたかあきはツインビルを後にした。
−
「ふんふふ〜ん…髪の毛も良し。リップも良しっと。」
「相変わらず気合が入っているのねぇ…おめかしするのもいいけど、そろそろ学校に出かける時間じゃないの?」
「わかってるってばお母さん。」
「今日もあの小僧と待ち合わせかの?」
「そうよ…って、おじいちゃん?!」
いつの間にか、後ろにおじいちゃんが立っていた。
「小僧によろしくの。…わしは何時でも由真を応援しておる。精一杯やって、後悔しない
ようにの。」
「う、うん…ありがと。」
まさか、おじいちゃんに応援されるとは思わなかったわ…
「まあ、おじいさまも認めてくださったみたいね。由真、がんばってたかあきくんを
ゲットしないとね。」
「う、うん…って、やばっ。いってきます!」
「いってらっしゃい。たかあきくん連れていらっしゃいな。母さん会いたいわ。」
「はいはい、考えとくわ。」
家を飛び出してMTBを自転車置き場から引っ張り出すと素早く跨って力いっぱいペダル
を踏み込んだ。あっという間に加速して風を切って走り出す。
昔のあたしは、自ら進んで周りを見ることをしなかった。でも今のあたしは、このMTBみたいに何処までもいける気がする。
街中を素早く走り抜けると丘の上の学校が視界に入ってきた。そして、その上り坂の下
で待つたかあきたちの姿も見えた。
たかあきはいつもどおりの顔。あたしはちょっと顔をあわせるのが恥ずかしかったけど、
でもあたしらしく、大きな声で挨拶した。
「おはよっ、たかあき!」
450 :
物書き修行中:2007/09/22(土) 14:44:19 ID:nnAs1E8Z0
以上、第5話でした。長々とどうもすいません。
おまけに改行ミスの見落としあるし… orz
>>434さん支援サンクスです
前回と今回は一応自分の中でテーマを決めて書いていて、
「原作で出てくる複線や要素を押さえながら、原作とは違う切り口で書いてみる」
ということを意識して書いています。
その試みがうまく行ったかどうかは客観的な判断にゆだねたいと思いますが、
自分としては今回はちょっと苦しいかなぁという感じ。愛佳と優季がほとんど動いてないし。
次回のテーマはすでに決まっていまして、原作でもチラッと触れられていましたが
5月後半〜6月に起こる、とある行事で行きたいと思います。
修学旅行か!
雄二EDってオチか!?
>>409 GJ。久しぶりにるーこSS読んだ気がするけど、るーこはかわいいよるーこw
文章も凄く読みやすくて内容も面白かったです。
忘れかけていたるーこ熱を思い出せて良かった。本当、ご馳走様です。
>>450 原作の要素を拾ってくような書き方は結構好きだし、読んでてそれほど苦しいものは
感じなかったので大丈夫だと思いますよ。サクサク楽しんで読めました。GJです。
強いて一つ言うなら、前編2で本題に入ったところで多少の状況説明がほしかったかも。
いきなり台詞で入ってきた小牧&草壁さんの存在がちょっとわかりにくいって言うか、
あ、二人も居たの?みたいな。口調や台詞のまわし方でわかるといえばわかるけど、
ここは地の文でのフォローがあった方が親切かな。
…なんて最近の流れに乗ってえらそうに批評してみたけど、修学旅行編期待してますw
>>409 ひじょーによかった。
無駄に熱のこもった猫の描写が凄く良い。
>409
GJ! >454の言うとおり、最初に猫の描写をうりゃーっとやって落とすので掴まれた
オチの照れ照れるーこも可愛いけど、途中ちょこっと貴明を褒めるとこもなかなか
あと俺は猫好き。ねこーねこー
>450
毎度GJ! これ書きながら合間で誕生日SSとかあげてるのか。器用だなあ
愛佳、由真ときて、次は本命の草壁さんですかね。戦いはこっからって感じかな?
しかしこの貴明は……正直ぶっこぉしたいぜ
>>409 序盤をほぼ地の文だけで書き続けて、場面変化後は台詞をメインにすることで雰囲気の違いを演出できるし、
それが作品内で上手く作用している。
タイトルから見るとオチは簡単に予想できそうなものなのに、ギリギリまでオチをもってこないことで逆にラストを期待させる構成が上手い。
最後に貴明に台詞で答えさせないで一気に終わらせたのも、ラストが締まってて良い感じ。
るーこSSで一番難しいのはるーこのキャラや設定を活かした内容で話を考えることだと考えてるんだけど
(実際るーこSSが少ないのはこの作りづらさが影響しているのではないかと)
るーこらしさや設定をまるで損ねないで作れているのは素直に上手いと思った。
「――、」「〜〜。……」はやらない方が良い
――も……も、も。も文を区切ってるから二重に区切ってることになる。
句読点の後すぐに……を使うなら句読点自体がいらない。
……や――を使用したタメは多用しない方がいい。
演出としては有効だけど、使いすぎると陳腐に見える。
ラスト一行の使い方は上手い。言葉で返せなかったっていう間も表現出来るので、タメが凄く活きてる。
>俺は緊張が一気に抜けたのと、猫ダイブのダメージで、多少よろめきながらも立ち上がる。
ニュアンスでは伝わるけど、文章としては意味は伝わらない。
他にもこういったフィーリング文章があるので、もう少し意識してみるともっとよくなると思う。
>456
……に頼りがちになるのは、俺も書いてて苦しむとこだな
書き手が読む速度を決められないという文章の泣き所で悩ましい
フィーリング優先で文章を崩すのは、俺は好きだからむしろどんどん使って欲しいが、
日本語としてはおかしいという自覚を持って使う必要はあるだろうね
でも、その例は意味が伝わらない文章だろうか?
「緊張が一気に抜けた」「猫ダイブのダメージ」はよろめく理由だから、読点は、
<俺は、緊張が一気に抜けたのと猫ダイブのダメージで多少よろめきながらも、立ち上がる。>
が正しいんだろうけど、(たぶんリズムを考えて)読点をずらしたのがフィーリング?
>>457 >>456さんはニュアンスでは伝わるけど、文章としては意味は伝わらないといっているので
文章としては正しくないということでは?
句点位置は書いた本人次第の意図次第だけど、この場合文章としては
<俺は、一気に緊張が解けたのと猫ダイブのダメージで、多少よろめきながら立ち上がる>
という感じじゃないかと思われ
459 :
見習い氷:2007/09/22(土) 21:24:48 ID:n+AeZLAAO
>>409>>450 乙&GJ
恋愛同盟由真編、楽しめる内容でした。
参考にさせていただきます。
改めまして401です。
番号だと紛らわしくなるので一応「見習い氷」とさせていただきます。
誠に勝手ですが、ご理解の程お願いします。
現在手直し中の2作目。
明日の夜に投稿予定です。
本当は今日でもよかったのですが、2作も投稿されてますし、自重します。
…由真SSなのですが、恋愛同盟後に載せれる内容ではございませんw
なので、明日の夜あたりに投稿するつもりです。
>>457 意味は通じるよ。
フィーリング文章の例をあげるなら「頭痛が痛い」とかかな。
これは極端な例だけども、助詞を正しく使えていなかったりして
部分的に見ていったら意味はわかるんだけど、全体でみると文章の通りに伝わってこない文章とか
感覚で伝えようとしちゃってる文章のことを、俺はフィーリング文章ってよんでる。
その文章は、多分だけど一気に詰め込みすぎてるんだよね。
そのままだと、俺には現在進行形で猫ダイブのダメージを食らったように見えてしまうんだな。
「緊張が解けてバランスを崩したところへ、猫ダイブを食らってよろめいたけど踏ん張って立ち上がった」
そのままの文章で読んだらこう見える。実際はそうじゃないって読んでいれば分かるけど。
基本的な対策は、分けるか、いっかいまとめるかかな。
俺は、一気に緊張が解けてへたり込む。
すぐも起き上がろうとしたが、猫ダイブのダメージが抜けきっておらずよろめいてしまった。
とか
俺は一気に緊張が解けたのと、猫ダイブのダメージで、すぐに起き上がることが出来なかったが、
多少よろめきながらもなんとか立ち上がる。
とかかな。
これが正解ってわけじゃないけど、その文章を崩さずに書くのなら、俺はこうする。
まあ俺は物書きでも文章に携わってる人間でもなから、変な部分はあるかもしれないが。
461 :
物書き修行中:2007/09/22(土) 23:11:29 ID:nnAs1E8Z0
>>409 さっき〆の書き込みしたときに書き忘れてしまったので、まずは乙
漏れもるーこのエッセンスが上手に使われてるSSと感じました
るーこを愛しているんでつね…ヽ( ´ー)ノ
漏れもこの間誕生日フルコンプを目指す旨発言してしまったので、いずれるーこにも
手を付けなければならんのですが、るーこはキャラが独特でかなり扱いに困るので
今からガクブル物だったりしてどうした物やら…
>>459 2本もというか、漏れが一人で馬鹿でかいものを上げてしまっている感があるので
面目ないです。
でも見直しは大事ですよ。2日もかけて見直ししたのに誤字と改行ミスが…orz
それに
>>453氏の指摘どおり、改めて読み直すとわかりづらい部分が…
まだまだ客観的視点で読み直す作業が出来てないお…
>>455 たしかに平行で書いていたのですが、由真とこのみの誕生日SSを書いてたあたりは
かなり詰まってたので、目先が変わっていい気分転換になりましたよ
それに由真SSについては由真のキャラクターを再確認する習作ともなったので
良かったかなと
462 :
409:2007/09/22(土) 23:31:42 ID:sWisZXe50
えーと、なんか盛り上がっているので、ちょいとくちばしを挟んでみよう。当事者だけど。
の前に、まずは読んでくれた人達、レスくれた人達に感謝を。
やっぱるーこSSって少な目なのかな。
実は俺、あんまり人のSS読んだり、サイト巡りしたりしないから疎いんだけど。
さて、フィーリングと言われたが。それはそれでまったくもって外れてない。俺は感覚とリズム重視型の書き手だから。
だから「これで通じる」と判断したところは、文法を無視するケースもある。言葉を削るのは日常茶飯事だ。
例に挙がった部分では、「ニュアンスで伝わってるならそれでいいや」と、判断してしまう。
これはもう、ごめん、気にしないでとしか言えない。
ただ、今回指摘された点に関しては、ちょっとその解釈は、俺の中にはないなぁと思った。
ダイブのダメージ自体は、現在進行形で、貴明の中に残っているのだから。動詞と名詞の違いかな。
詰め込み過ぎといわれたらその通りだけど。うーん、でもこれ一動作だから、まとめたいんだよなぁ。
悩む。
さて三点リーダーについて。
色々と取りざたされることの多い彼だけど、今回、多用という面に関しては、ちょっと多かったかもしれない。
けれど、用法としては、変えられない。
>「〜〜。……」 ←特にこれ。
句読点は区切りだけれど、三点リーダーやダッシュは息づかいであり、間合いだ。これは明らかに役割が違う。
ピリオドと休符記号の差だね、これは。
念のため、多少、周りの小説などを調べてみたが、「――、」も含めて(これは句点の方が一般的なようだが)、プロも普通に使っているし。
実の所、演出面とかはほとんど考えず、ただ、この時こういう風に言っているから、ここに間合いを挟むんだ。って感じで使っている。
俺にとって、あれは実際にキャラが喋ったセリフの空白を、文字で描いているだけにすぎない。
だから、多用という面に関しても、必要とあらば俺はいくらでも入れてしまうと思う。
先も言ったように、リズム重視であることもあって。
あと、今回は貴明一人称であることも、多めに目に付く原因の一つだと思うが。
色々細かく読み込んで批評してくれているのに、ほんと申し訳ないが、
俺はスタイルをほとんど変えずに、このまま突き進んでしまうと思う。
すまぬ。
ではまた。
>>409 >>462 遅ればせながらGJだった
久し振りにるーこSS読んだけど、展開の仕方がうまいな
ちゃんと話全体が一つのストーリーに沿って進んでるというか
自分も小説書く人間として言わせると、「――、……」みたいな書き方って自分なりのルールがあるんだよね
俺も演出云々よりも、「この間は“――”で、こっちは“……”かな」みたいな感じで使ってる部分あるし
俺はとくに気にならなかったけど、ダッシュとか三点リーダ多用する人はリズムとかそういう意味合いで使ってる場合が多い
演出的な意味で使われてる場合とじゃ使い方が違うから、その辺はその人の味なんだろうな、って思う
実際、俺は気になるほど多用されてるとは思わなかったし。むしろ一人称ならこんなもんだと思うけど
まあ、読者のみんながみんなこう受け取るわけじゃないだろうから注意すべきなのかもしれないけど
うまく伝わらなかった部分は、読点の位置をいじったり、語順を変えてみたり、言葉を増やしたり、色々やりようはあると思う
まあ、なんにしろ一番優先されるべきは面白いかどうかなんで、そういう意味では十分いい作品
次回作も期待してます
長文レスうざ
>462
読んでてそう思った人がいる、っていう事だけだから
自分のスタンスを持っているならそれを大事にするのが良いし当然だろうさ
……が多くなると気になるってのは一般論ではあるけど、
(広く言えば……に限らず、同じ語尾やフレーズや言い回しの反復って事だよね)
今回のSSでそんなに多いかってと俺はそうでもない気がするし
今のスタイル全然OK。次回作も期待してまつ
460だけど
>>462 俺は……と――を多用したりするとリズムが悪く感じるし、実際リズムが悪くなるほど多いと感じたのね。
間を意識してるのは読んでて分かったんだけど……や――は多いとリズムを壊すことにしかならないと思ったのでこう書いた。
考えがあってやってるってならそれでいいよ。
「――、」についてはすまない。こっちの勘違い。ただ一般的なのは「――。」だったと思う。
「〜〜。……」とやりたいなら改行すればいいと思うけど、ま、表現の方法だというならそれまで。
俺は文章として見るならそういう風にした方が綺麗だと思うけど。
文章的な綺麗さよりも表現したい描写を重んじるっていうならそれでも別に良いよ。
個人的には文章の書式的な綺麗さにもこだわって欲しいとは思うけど、強制するつもりはないし。
このレベルのストーリーの構築ができるなら、あとは文章を突き詰めていくのがいいかなって思ったので
あえて文章にだけいろいろと突っ込んでみたんだけど、大きなお世話だったみたいね。
引き続き頑張って。
「こ、こちら、お飲物です」
「『ご主人様』が足りてないんじゃないかね?」
「くっ!…わ、わたしがこんなこと…」
「二言はないんだろう?」
「…ご主人様、お飲物です」
「心がこもってないな。やり直しだ」
「ご主人様、お飲物でございます」
「はっはっはっ。くるしゅうない、くるしゅうない」
とある休日の一コマ。
由真がメイド服で雄二に奉仕している。
「もう!どうしてこうなるのよー!」
…自業自得だ。
「そこ!うるさいよ!」
ツインタワービルでの一件から、俺と由真は付き合っている。
付き合っても、付き合う前とやることは特段かわってない。
ただ、付き合ってきてから、由真はよくこっちのクラスに遊びにくるようになり、
同じクラスメイトである雄二とは、ゲーマー(?)同士の会話がよく飛び交っていたのを見ていた。
そして、いま、俺と雄二と由真の3人でゲームセンターに来ている。
雄二と由真のどちらが強いのかどうか確かめたいそうだ。
「さて、お手並み拝見といきましょうか」
「俺、このゲームやりこんでるから自信あるぜ」
「ふぅん。そんな自信、簡単にへし折ってあげるわ!」
こうして2人の熱い戦いが始まった。
「お、おかしいわよ!」
「あら?どうしたのかな〜?」
「く、くそぅ…」
結果、由真の惨敗。
「嘘だっ!」
「おいおい、あんまり騒ぐなよ。ほかの客に迷惑…」
「こんな程度か?全然本気出してないぜ」
「こ、これで勝ったと思うなよ〜!」
そう言い放った由真は凄い勢いで台を離れ、札を崩して100円玉に変えて戻ってきた。
「おい雄二。由真は単純だから挑発すると後で面倒なことになるぞ」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。圧倒的差で勝ち続ければすぐに落ち着くって」
「そうかなぁ…」
心配する俺を横目に由真と戦い続ける雄二。
反対の由真側を見ると、台の上には100円玉の山。
…連コインはマナー違反だぞ、由真。
「あのキャラのコンボ、威力高すぎない?」
「一応パワーキャラだしな。それにそっちが女キャラだから、HP少ないし」
「えっ!そうだったの!?」
「下手すりゃ3ゲージ使ったコンボで8割削るからな」
由真は負けに負け、あの100円玉の山を使いきったところで諦めたらしい。
今は相手の雄二からアドバイスや指導を受けている。
「ふぅん…なるほどね」
「おーい。これからどうするか?」
何もしてなかった俺が2人に尋ねる。
「負けたままで終わるのも気分が悪いわね…」
「おっ、やる気だな」
「そうね…ホッケーで勝負しましょうか!」
やる気満々の2人。すっかり意気投合している。
ホッケーはてっきり由真と雄二のタイマンで勝負するのかと思っていたのだが…
「俺は一人で。なんなら十波と貴明でやってもいいぜ?」
「援軍有りとは、随分余裕じゃない!」
「おいおい…」
「たかあき、やるわよ!雄二なんかケチョンケチョンよ!」
巻き込まれてしまった。
「そうだ!負けたら罰ゲームね!」
「げっ」
「望むところだぜ!」
「お、おい…由真」
「いくわよ!」
こうして罰ゲームを賭けたホッケー対決の幕を開けた。
「ちょっと!邪魔しないでよ!」
「あ、すぐ打ち返すなってば!」
「あらあら夫婦ゲンカですか?」
「「うるさい!」」
あっという間に点差が開いていく。
「そんなんじゃ」
カシャーン
「俺には」
カシャーン
「勝てないぜ!」
カシャーン
ピピーッ
ホッケー対決は雄二の圧勝。
由真と俺のチームワークは最悪だった。
由真はただ闇雲に打ち返すだけなのに対し、雄二は止めて的確に2人の間を狙ってくる。
それに1人のほうが事故らないし、即席となればなおさらのこと。
俺と由真はお見合いやぶつかったりと、醜態を晒していた。
ここは雄二が由真の性格を掴んで、口車に乗せて試合を組ませた雄二の策略だったのだ。
「さて、罰ゲームだが…」
「言った以上、二言はないわ」
「潔いじゃないか…よし!決めた。」
雄二のことだから何を言い出すかわからない。
下手したらあんなこと(ピー)や、こんなこと(ピー)とか
…少し由真の身が心配になってきた。
「よし!明日、貴明の家に来てくれ」
「「え?」」
「おい雄二。なに考えてるんだ?」
「いいからいいから。変なことはしないからよ」
…ニタニタ笑いながら話すのはやめようぜ、雄二。
「わかったわ。こうなった以上、なんでもやってやるわ!」
「それなら話は早い。んじゃ、さらば、お二人さん〜」
「お、おい」
言うやいなや店から出ていく雄二。
「まったく…勝手に決めやがって」
「負けたんだものしょうがないわ。明日の罰ゲームはどうなるのかな?」
「わからんな…」
支援
…そして現在に至る。
「二言はないと言うんじゃなかったわ!」
「いまさらそんなこと言っても遅いぜ?」
由真は上目遣いでこちらに懇願してくる。
「たかあき〜どうにかして〜」
「自分で言った罰ゲームだし…我慢してくれ」
そう言うほかなかった。
罰ゲームは雄二持参のメイド服に着替えてのメイドごっこ。
雄二は病気と言ってもいいほどのメイド好きである。
(…いや、オタク?マニア?まぁどちらでもいいが。)
衣装等も少ないながらも数点は持ってるほどのメイドマニアなのである。
まったく…いったいどこから手に入れたのやら。
「こんなかわいいメイドがいるなんて…幸せだ。くうぅっ」
由真のメイド姿を見て、あまりの感動に泣いている雄二。
そこまでメイドというものはおまえの心を動かすほどなのか。
そう思いながらメイド姿の由真の方に目を向ける。
由真の格好はメイドの定番ともいえる白黒を貴重としたもの。
スカートの先には白いフリルもこしらえてあり、頭には白いカチューシャ。黒いニーソックス。
よくある典型的なメイドの格好だった。
「ち、ちょっと、こっち見すぎよ」
「あ、あぁ悪い。こういった姿の由真は初めてだからつい」
「は、恥かしいから、あんまりこっち見ないでよね!」
雄二…なんとなくだが、わかる気がするぞ。
たまにはこんな由真も悪くないと思っていた。
「じゃあ次はマッサージしてもらおうかな。肩だけでいいや」
「わかりました。ご主人様」
…ヤケになったのか、マジメになったのか。
さっきの態度とはうって変わり、文句を一言も出さずに雄二の肩を揉んでいる由真。
「いかがですか?」
「おじちゃん、感激しすぎて死にそう」
「ありがとうございます」
「お、おいおい…」
由真に肩を揉まれている雄二を見ている俺。
なんとなく雄二がうらやましく思えていた。
「あ〜気持ちよかった」
「それはよかったです、ご主人様」
「おい、雄二。そろそろやめといたら…」
「じゃあ次は耳そうじをしてもらおうかな」
「かしこまりました、ご主人様」
「雄二…」
聞く耳を持たない雄二に少しイラッときた。
いや、雄二だけじゃない。
あれだけ嫌がっていたのに、今では板に付いたように奉仕している由真に対してもイラついていた。
もはや俺と由真の関係が彼女・彼氏の関係ではないように感じる。
雄二と由真がまさにその関係のように見えていた。
「あぁ〜いいねそこ。気持ちいいよ」
そんな気分になっている俺を余所に、いつのまにか雄二は由真に膝枕してもらっている。
さらに由真に耳掃除をしてもらっている。
(俺もまだしてもらったことないのに…。)
―ドクン
心臓の音が一瞬だけはっきりと聞こえた。
心の奥からじわじわ沸いてくるこの気持ち。
知っている。
雄二に向けられている感情は嫉妬であると。
わかっている。
雄二を憎みはじめていることを。
自分は由真が他の人に奉仕をしているのを見ているだけ。
まるで我慢大会のような生殺し状態であった。
雄二は由真を自分の好きなようにしている。
由真はどう思っているかしらないが。
ただ、雄二の行為は、俺に不満を募らせていた。
「あれ?」
「…」
そう思っていた矢先、由真は雄二の変化に気づく。
雄二は由真の膝の上で気持ちよさそうに寝ていた。
「そうとう気持ちよかったのかな?」
「さぁね」
少し不機嫌そうな声を隠すことなく返事をする。
「ま、いいや。寝かせておきましょ」
雄二をソファーに寝かせ、由真がこっちにくる。
「どう?この格好?」
「別に」
「たまにはこういったのも悪くはないわね」
「そうか」
そんな俺の冷たい態度を見て不満に思ったのか、由真は近くに寄ってくる。
「もしかして…嫉妬してた?」
―ドキッ
「し、してないよ」
「顔真っ赤だよ?」
確かに俺は図星を突かれて、顔を真っ赤にしていた。
「だって…」
「ん?」
「目の前で付き合っている人が、他の人とイチャイチャしていてるのを見ていたら…」
「え?」
「…あっ」
本音を漏らしていることに気づいた頃にはすでに遅かった。
心の中で思っていたことを知らずのうちに、言葉としていた。
しょうがない…ここは…。
「俺には我慢できなかった。だからやきもちを焼いていたみたいだ」
「え?あ、うん」
いきなりの言動に困惑した表情を浮かべる由真。
しかし、その表情は笑顔に変わる。
「そっか…へぇー。たかあきにもかわいいところあんじゃん」
「か、かわいいいうな」
「はいはい。よしよし〜」
由真に頭をなでられている。
でもそれは不思議と嫌ではなく、まるでお母さんにされているような。
もっとしてほしい。
俺をそんな気分にさせた。
「せっかくだし、たかあきにもしてやるか」
「ん?」
「ほら、こっちこっち」
自分の膝を叩いている。手には耳掻き。
少し躊躇もしたが、雄二は寝ているし、誰も見ていないことだから素直に横になった。
由真のふとももは柔らかくて、温かかくて…耳掃除との相乗効果でとても気持ちよかった。
「どう?」
「ああ。気持ちいいよ」
「そう。よかった」
いつもは些細なことでケンカしたり、対決したり、バカ騒ぎする仲。
そんな喧噪の中ではわからない由真の優しさに触れて、俺はとても嬉しくなった。
「由真」
「どうしたの?」
「さっきはその…冷たく言って悪かったな」
「いいわよ。気にしてないし」
「その…に、似合ってるぞ」
「あ、ありがとう…」
思わぬ一言に由真も戸惑いを隠せないようだ。
由真に背を向けているが、きっとそうだろうと思う。
「そ、そうね。さっきは冷たくあたられたから、お詫びに何かしてもらおうかな」
「…さっき気にしてないっていっただろうが!っ!」
反論するために上を向いた次の瞬間。
由真の顔が目の前にあった。
そして唇には湿った肉感。
あぁ。キスしてるんだな。そうわかったのは唇が離れてからだった。
「こ、これでチャラね」
俺がどれだけ落ち込んでいても、由真は俺を慰めてくれる。
それは今、この瞬間だけじゃない。
これからもずっとそうしてくれるだろう。
改めて俺にとって、由真は大切な存在なんだなぁと感じた。
乙
479 :
見習い氷:2007/09/23(日) 21:06:46 ID:NF8jtYO40
>>471 支援どうもです。
>>478 乙であります。
氷です。
今回は由真SSとさせていただきましたが…。
まったく自信がございませんw
ゲーセンでは高校生が初っ端ホッケーで遊ぶってのは微妙と思ったので雄二を戦わせました。
ちょっと長かった気もします。
メイド罰ゲーム後も少し雄二が多かったかも…。
たまには雄二にもいい思いを…ということで。
そのせいで肝心の貴明の出番が少ないように感じましたが、嫉妬→キスで威力倍増!
…ないですね。
一応文法等にも気をつけましたが、誤字&脱字ありましたらすいません。
ちなみに試験的に全キャラのSSを書くつもりです。
るーことか黄色い子とか双子とか…厳しいかもw
>479
乙! どんどん書いてくれたら読む側も嬉しい
読んでて、いっそ雄二×由真というのも面白そうだと思った
雄二に嫉妬する貴明も可愛いが(雄二も半分狙ってやってる……、いや、素か)
そういや由真シナリオの貴明って、結構積極的で、少し雄二に近い気がするかな?
個人的にはラストのキスで照れさせた方が落ち着くかな、という気もしたけど、
こういう、由真SSらしからぬ静かな終わり方もいいかもね。あ、照れてはいるなw
481 :
物書き修行中:2007/09/24(月) 01:27:30 ID:DQQPXfyz0
恋愛同盟 第5.5話 次回予告
北へ向かう寝台列車からー人の少年が姿を消した。
「いったいどうやって走行中の列車から姿を消したんだ!」
親友を探し、高校生探偵・向坂雄二が奔る。
行く先々で次々におそわれ、死んでいく女子高生たち。
「これで勝ったと…思うなよ…がくっ」
「きゅぅ…」
少女に隠された秘密とは?
「女の子には秘密がいっぱいって言うでしょ。」
そしてその背後に浮かび上がる、少年を巡る愛憎劇とは?
巧妙に仕組まれた時刻表トリックから浮かび上がる犯人は一体誰か?
「貴明を殺したのは…あんただ。」
向坂雄二の桃色の脳細胞が冴え渡る。
そして北の大地で繰り広げられた殺人劇の結末は…
「メイド萌え探偵向坂雄二の事件簿 〜寝台特急「北斗星」殺人行・消えた親友〜
最果ての地で見た女子高生の秘密 東京−札幌−旭川殺人ルート 犯人はヤス!」
ご期待下さい。
−
「…なんて感じだと、面白いと思いません?」
ニコニコしながらトンデモ発言をぶちかました優季に、みんな呆気に取られていた。
「…いや、俺殺されるの?それに犯人はヤスってタイトルでばらしてるし…っていうか、
ヤスって誰?…ああもう、何処から突っ込んだらいいのか…」
「何であたしも死ぬのよ…」
「いや、俺を主人公に選んだ優季ちゃんはさすが目が高いぜ。ついでにどう?貴明から
俺に乗り換えてみない?」
「ミステリーより、ミステリなんよ。北海道といえばUMAの宝庫、クッシーにトッシー
に支笏湖の巨大魚なんよ。タイトルは『笹森花梨探検隊シリーズ「恐竜か怪魚か!?
幻の巨大魚を北の大地に追え!」』」
「むっき〜」
ぽむぽむぽむ!
机を叩く音でみんながマジ泣き寸前の愛佳に注目した。
「もー、みんなまじめに相談してよぉ。行動予定表が提出できないと自由行動なくなっ
ちゃうよ。」
「「「「「はーい」」」」」
季節は春から夏へと移り変わろうとしている。
俺たちは修学旅行を目の前にして準備に余念が無かった。
そして、俺たちの心はすでに北の大地への期待ではちきれんばかりに膨らんでいた。
出発が待ち遠しかった。
485 :
物書き修行中:2007/09/24(月) 01:47:14 ID:DQQPXfyz0
毎度おなじみシャレ閑話ですが、次回は修学旅行をテーマにする予定です
何か新しい人も増えてますが、まあそれは本編を読んでのお楽しみということで
>>479 乙です
良かったと思いますが、一つだけ
冒頭で、由真が「わたし」といっているのは「あたし」としたほうが良いと思います。
るーこなどは一人称の自分の呼び名が独特なので別ですが、細かいことですが読者に
対して「あたし」「わたし」「私」のキャラクターの印象の差は意外に大きいので、
出来るだけ原作に忠実なほうがいいと思います。
テンプレにも在るんですが、以下が参考になるかと思います
ttp://botan.sakura.ne.jp/~siori/hth/leaf/th2rel2.html
486 :
物書き修行中:2007/09/24(月) 01:54:35 ID:DQQPXfyz0
↑とかいいつつ、漏れも結構間違ってますなw
487 :
見習い氷:2007/09/24(月) 07:02:25 ID:3V4EAmjWO
>>480 乙です。
出来るだけ多く書くよう努めますが、すでにネタ詰まりw
誰にしよう…。
>>485 乙です。
閑話期待してます。
一人称の呼び方間違ってましたね。すいません。
昨日、原作やろうと思ったらいつの間にか無くなってまして…。
キャラ設定なんかが脳内設定になってます。
原作と違う部分が多々あると思いますが、サイト等巡って正しい設定・知識を身につけなければなりませんね。
「……という訳」
久寿川先輩達に俺が女装するに至った経緯を一通り説明すると、最初こそ皆驚き半分、呆れ半分
といった表情を浮かべていたが、結局まーりゃん先輩のすることだからと得心したみたいだ。
「はあ、そういうこと。河野さんも災難だったわね」
溜息をつく久寿川先輩。その表情には同じ苦労を分かち合う同士への憐憫の情が感じられる。
「まあ、そういった経緯はいいとして……タカ坊、さっきはよくも私達を騙してくれたわね」
……どうやらタマ姉は、さっきのドッキリにご立腹のご様子。ひょっとしたら事情を話せば笑って済ませて
くれるんじゃないかという思惑は、ととみ屋のカステラ以上に甘かったらしい。
「え、えーと、言うまでもないと思うけど、さっきのドッキリの企画立案は……」
まーりゃん先輩だから、と言葉を続けようとして、その先輩がこつ然と部屋から消えていることに気付く。
「……あの、まーりゃん先輩は?」
「まーりゃん先輩だったら、さっきタカくんが説明してた最中、部屋から出て行ったけど」
……に、逃げやがりましたか。あの先輩。
「まあ、主犯がまーりゃん先輩だったしても、タカ坊がその片棒を担いだのは事実でしょう?」
「い、いや、さっきのはドッキリと言いつつも、実際は逆ドッキリみたいなものだったから、むしろ俺は被害者……」
「問答無用。タカ坊、覚悟できてるわね」
「ひ、ひえぇっ」
捕食者の目に変貌したタマ姉を見て、すぐさま回れ右して逃げようとしたものの、襟首を掴まれ即捕獲される。
「さーて、どうしてくれようかしら? 頬をつねるのも飽きたことだし、タカ坊もそろそろ雄二を見習って
アイアンクロー辺りにステップアップしてみる?」
「た、環お姉様、そ、それは勘弁……」
つうかそんなことされたら、耐性のついた雄二と違って常人の俺は確実に死ねる。
そんな、捕獲された小動物のように震える俺を見つめていたタマ姉だったが、突然その表情がふっ、と和らぐ。
「……なーんて、冗談よ、冗談。今回のところはタカ坊の可愛さに免じて許してあげる。
ん〜、子供の頃に女装させて遊んだ事あるけど、今だにこれだけの変貌を遂げるだなんて盲点だったわ。
『男子三日会わざれば刮目して見よ』とはよく言ったものね」
……いや、それ使い方が微妙におかしい上に、女装した相手に言う台詞じゃないような。
まあ、何はともあれ学園内での猟奇殺人事件発生という、最悪の事態は回避出来たみたいだ。
「あ〜もう、可愛い♪ 本当、こんな面白いことに気付かせてくれたまーりゃん先輩には逆に感謝しないと」
スリスリと頬をすり寄せて俺を抱きしめるタマ姉。や、やば、このパターンは……
ぎゅ〜
「や、やっぱ…り、た、タマ姉……ぐ、苦し……ぐえ」
いつもながら万力を彷彿させるタマ姉の抱擁。しかも今回に至っては何故か普段より出力が増しているようで、
すぐさま意識が遠のいていく。……ああ、ゲンジ丸、僕、眠くなってきたよ……
「……あの、向坂さん。河野さんの顔が紫色になってるのでその位で」
「え!? た、タカ坊、大丈夫? しっかりしなさい!」
「げほっ、げほっ……し、死ぬかと思った」
「そこまできつく抱きしめてないじゃない。全く、大袈裟なんだからタカ坊は」
……いや、さっきのは冗談抜きにヤバかったんですけど。
「あ、あはは。……けど、タカくん本当に女装が似合うよね。全然気づかなかったよ」
「いや、こっちとしては即座にバレると思ったんだけどな。むしろ十年来の付き合いの幼馴染が、実は俺の顔をろくに
覚えてなかったと知って、逆にショックを受けたくらいだし」
「うっ……え、えへ〜」
……笑って誤魔化したな。
「くそーっ、ショックなのはこっちの方だっつーの! あぁあああっ、よりにもよって初恋の相手がお前だったなんて
悪夢そのものじゃねーか!」
頭をワシャワシャと掻き毟る雄二。……ああ、そういえばこっちの問題も残っていたか。
「そう言えばそんな事言ってたわね。雄二、その話詳しく聞かせてもらえる?」
「あん? 詳しくも何も、ほぼそのまんまの話だよ。さっきの姉貴の話からすると、貴明の事を女装させて遊んでたみたいだし、
でっかいリボンのついた白い帽子と白いワンピースの格好にしたって、確か姉貴があんな服持ってた気がするしで、
もろビンゴじゃねーか!」
「ふーん? そう」
なにやら考え込むタマ姉。その様子だと当時の事を思い出したみたいだけど……
「いいえ、タカ坊を女装させたことはあったけど、そんな服を着せた記憶はないわね。……タカ坊も、さっきのは雄二に
釣られて話を合わせただけなんでしょ?」
「へ? いや、それは……あだだだだ」
違うと言おうとしたら、雄二から死角になる部分を思いっきりつねられる。これは話を合わせろって事なのか?
「そ、そうそう。暫く前、公園にわざわざ寄ってその話聞かされたことがあったろ? だから大まかな話は知ってたからつい。
悪いな雄二」
「……そうか、貴明じゃなかったのか。じゃあ、あの娘は実在するんだな。……よ、良かった、本当に良かった……」
感動に浸って一人さめざめと泣いている雄二を尻目に、不可解な行動をとったタマ姉に小声で話しかける。
「タマ姉、一体何を企んでるのさ?」
「別に、何も企んでないけど」
「いや、これだけ思わせぶりな行動とっておいて、何もない訳ないだろ」
「……初恋の思い出は、綺麗な方がいいじゃない」
「えっ、タマ姉、何か言った?」
「何でもないわよ。はい、この話はこれでおしまい」
早々と話題を打ち切るタマ姉。その前に何か呟いていたみたいだけど、生憎と声が小さくて聞き取れなかった。
……けどその際、タマ姉が一瞬浮かべた悲しげな表情に、何故か胸の奥がチクリと痛んだ。
「まあ、たかりゃんは悪いと思ったなら、後でゆーりゃんにメイド姿でも披露してあげれば?」
「……突然消えたかと思えば一体いつの間に湧いて出たんですか? ていうか俺を置きざりにして何処に行ってたんです
まーりゃん先輩!」
真っ先にトンズラしておいて、普通だったら一体どの面下げて戻って来たといったところだが、あいにくと相手は普通という
言葉と最も縁遠いまーりゃん先輩。案の定その表情にはなんら悪びれた様子もなかったりする。
「いや〜あちしも色々と忙しくてさ。それにこれまでの経緯を説明するだけだったら、たかりゃん一人でも充分でしょ?
わざわざ二人揃って若い命を散らす必要も無いだろうし」
「……その理屈だと、むしろ主犯のまーりゃん先輩が率先して責務を負うべきだと思うんですけど」
「だって、あたしよりたかりゃんを生贄に捧げた方がたまちゃんも喜ぶじゃん」
「まあ、確かにそうね」
「そういう問題じゃありません! あとタマ姉も納得しない!……大体忙しいとかいっても、実際のところは
ほとぼりが冷めるまで暇潰してただけでしょう?」
「うむ、その通りだ。はっはっは、って、ああうぅ〜」
そんなたわけたことをぬかす先輩に、遠慮なくこめかみをグリグリしてやる。
「あぁん、たかりゃん……そこ、そこは駄目……あっ、あっ」
「こめかみを圧迫してるのに、なんでアヘ声を出してるんですか!」
それを聞いてるこっちのほうが恥ずかしくなって慌てて手を離す。この人の感覚神経はどういう繋がり方をしてるんだ?
「ふっ、その程度のことで責めを中断するだなんて、あい変わらず素人童貞な反応だな、たかりゃんは」
「どんな反応ですかそれは! それにその、さも玄人さんには経験があるみたいな言い方はやめて下さい!」
「ちぇ〜。それにしても最近たかりゃん怒りっぽいぞ。ちゃんとカルシウムとってる?」
「先輩がそうさせてるんでしょうが!」
ぜぇ、ぜぇ……つ、疲れる。この先輩の相手は本当に疲れる。というより、もういい加減この先輩はグーで殴ってもいい気がする。
「で、たかりゃん。他にも何か言いたそうだったけど?」
「……いや、もういいです」
「そう? じゃあ話を戻すけど、ゆーりゃん、さっきのナイスアイディアだと思わない?」
さっきの……って俺のメイド姿云々言ってたやつか?
「いや、いくら雄二がメイドフェチとはいえ、俺のメイド姿なんて見たって嬉しくもなんとも無いだろう?」
「まあそうだな。こいつのメイド姿なんて見てもちっとも嬉しく……」
……なぜに言いよどむ? しかも顔を逸らした雄二の頬が何故か赤く染まっていたことに俺は一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「よーし、話も丸く収まったことだし次はたかりゃんお待ちかねの罰ゲームを発表するぞ」
くっ、覚えていたか。英単語は5秒で忘れるくせに、こんな時だけ記憶力を発揮するだなんてホント傍迷惑な先輩だ。
「で、何です? 今回はどんな辱めを受けなきゃならないんですか?」
「そう身構えなくてもいいって、今回は簡単だから。さっきと同じ要領で、ずっと女の子のフリをしてればOK」
そうか、ずっと女の子のフリをし続けるだけか……って、ずっと!?
「あの、それだと延々と女装の格好をし続けてなきゃいけないことになると思うんですけど……授業はどうするんですか?」
「まあ、そこは気合で何とか」
「……いや、どう足掻いても無理ですって」
そんな気合だけでどうにかなるような世界だったら、某浜口女史はオリンピックで金メダル量産してるでしょうに。
「ちぇ、しょうがないな。じゃあ授業が終わってからたかりゃんが家に帰るまで。これなら出来るでしょ?」
「まあ、それなら出来るか出来ないかの話であれば出来るんでしょうけど……」
「うむ、じゃあ決定。もし関係者以外に正体がバレたらさっきと同じく罰ゲームだぞ」
「実際やるとなると正直キツイものが……って、人の話を最後まで聞いてくださいよ!」
そんな俺の反論に対し、まーりゃん先輩は逆に呆れたような表情でこちらを見つめ返す。
「あ〜、たかりゃん? 前にも言ったけど今回の学食の件については、規制で衣装に縛りのあるさーりゃん達じゃなく、
あくまでたかりゃんがメインなんだぞ。つまりこのイベントが成功するか否かは、ひとえにたかりゃんの双肩に掛かっている訳だ。
なのにそんなやる気の感じられない、いまどきの無気力っ子みたいな体たらくでどうする?」
「……いや、むしろそこまで本腰入れてやるつもりだったんですか?」
「やるからには当然じゃん。目標は全国制覇だ!」
今回のイベントは俺を女装させるための方便と思っていたのに、予想に反して、やけにやる気を見せるまーりゃん先輩。
ただ、学食で全国制覇とかマジで意味が分からん。単に全国制覇って言いたかっただけじゃないのかと。
「あ〜、ちなみにさっき言った罰ゲームを前もって発表しておくと……」
そう言葉を区切ってからまーりゃん先輩は、さっきまで失踪していた間に持ってきたのか、机の下から黄金色の箱を取り出して
「この黄金BOXに入っている紙を引いてもらって、そこに書かれた罰ゲームを有無を言わさずやってもらうという塩梅。
ギリギリまで責め苦が分からないところなんか、Mっ気のたかりゃんには堪えられない素敵仕様でしょ?」
「勝手に人をマゾにしないで下さい! そもそもさっきの罰ゲームにしたって、まだやるとも言ってません!」
「なんでさ? たかりゃん今更往生際が悪いぞ。さーりゃんもそう思うでしょ?」
そう話を振られた久寿川先輩は、ひとつ溜息をつくと
「私も反対です。第一、今回の女装の件にしたって河野さんを騙したようなものなのに、罰ゲームまで設定するのは、
幾らなんでも河野さんに負担が掛かりすぎます」
毅然とした態度で俺の心境を代弁するかのような意見を述べる久寿川先輩。タマ姉がおそらく女装推進派に組している以上、
久寿川先輩こそが、この状況を打破する唯一の希望と言っていい。そんな俺からの期待の視線に気付いた先輩が
何も言わなくていいとばかりにコクリと頷く。……ああ、今の先輩が女神に見える。
それに対しまーりゃん先輩は、何だそんなことかといった表情を浮かべて
「さーりゃん、大丈夫だって。この罰ゲームはなにもたかりゃんだけでなく、ここにいる生徒会メンバー全員が対象だから」
「……はい?」
呆けた表情のまま固まる久寿川先輩。それは成り行きを静観していたタマ姉達も同様のようで、全員がその真意を
問いかけるように、まーりゃん先輩に視線を向ける。
「だって今回の売りはさーりゃんやたまちゃんに勝るとも劣らない、ぷりちぃなおにゃのこが萌え衣装で
接客するところなのに、本番前に女装のことが知れ渡っちゃったら学食の売り上げがガタ落ちになっちゃうでしょ?
そんなイベントの成否に関わる最重要機密事項に緘口令を敷く意味でも全員を罰ゲームの対象にする訳。
だからたかりゃんだけが罰ゲームする訳じゃないから、さーりゃんも変に気に病む必要は無いぞ」
「で、ですけど……」
その返しは想定外だったのか返答に窮する久寿川先輩。やっぱりこういった論戦となると、不測の事態にあまり強いとはいえない
久寿川先輩に対し、存在自体がイレギュラーなまーりゃん先輩が相手というのは、もはや天敵と言っても過言じゃないくらい
相性最悪な組み合わせみたいだ。
……おっと、のん気に分析してる暇は無かった。早く先輩のフォローに回らないと……。
「そういうことなら私も反対ね。タカ坊が女装するだけなら歓迎だったんだけど、私達まで巻き込んでの罰ゲームというのは
やりすぎじゃないかしら? そこまで堅苦しいのはちょっとね」
「……このみも秘密にしておく自信無いかも」
sien
そんな俺がもたもたしている間、先輩にフォローを出したのは意外にもタマ姉。そしてそれに追随するようにこのみも意見を述べる。
確かにこのみの場合、当人に話すつもりがなくても、ついうっかりという可能性が大いにありそうだ。
「まあ確かに、まーりゃん先輩の考えた罰ゲームなんざ、まず半端ねえ代物ばかりだろうしな。俺もパス」
最後の一人だった雄二も反対に回る。まあ今の俺の窮状を見たうえで罰ゲーム上等なんて言う酔狂な奴もいないだろう。
まーりゃん先輩にとっては下手に罰ゲームを設定したことが、逆に自身の首を絞める結果に繋がったみたいだ。
「そっか、みんな反対か」
困ったような声を上げるまーりゃん先輩。……だというのにその表情には全然困っている様子はない。
全員が反対派に回ったこの状況から、一体どんな巻き返しの手段があるっていうんだ?
「残念だな〜。黄金BOXに入れる罰ゲームはさーりゃん達も投函OKなのに」
まーりゃん先輩が呟いたその何気ない発言に、何故か俺を除いた反対派の全員がピクリと身を震わせる。
「あ〜あ、たかりゃんを合法的に、あんなことやこんなことできちゃう唯一無二のチャンスなんだけどな〜」
……ちょっ、ちょっと待った、何だよそれ。そんなものに釣られるヤツなんているはずが……
「こ、河野さんに、あんなことやこんなこと……」
「タカ坊を合法的に、か。……いいわね。一体何をやらせようかしら?」
「ど、どうしよう。タカくんに色々してもらえちゃうのかな?」
……何? この異様なまでの食いつきっぷりは。
「まあそんな訳だから、どう? さっきの件、考え直してみる気はない?」
「そ、そうね。今回はタカ坊に期待するしかないんだから、それを考えるとこれくらいの荒療治も仕方が無いわよね」
「う、うん。タカくん、責任重大なんだし」
まーりゃん先輩の甘言に乗せられ、あっさり寝返る幼馴染が二人。二人揃ってそんなに俺を辱めるのをご所望か。
「そうだな。罰ゲームは俺たちも対象なんだから、条件的にはあくまでフェアなんだし」
「ちょ、ちょっと待った。雄二、何でお前まで鞍替えしてるんだよ」
あれよあれよという間に、残る反対派は俺を含めて二人だけ。そのもう一人の久寿川先輩に目を向けると、
先輩はどこかぎこちない引きつったような笑みをこちらに向ける。ま、まさか……
「こ、河野さん……こういうのは、やっぱり普段から慣れておいたほうがいいと思うの」
……神は死んだ。
終わってみれば四面楚歌なこの状況、もはや罰ゲームの連鎖から逃れ出るすべは無いのか。……いや、まだあきらめるな。
和製カーネルおじさんも『あきらめたらそこで試合終了だよ』という名言を残していたじゃないか。
「ちょっと待った。よくよく考えてみたら、みんなは俺と話しているときだけ注意していればいいのに、それに対して
俺の方は女装している間、四六時中気を張ってなくちゃいけない。もうその時点でフェアじゃないと思うんだ」
「何言ってるのよタカ坊。むしろそのほうが好都合じゃない」
「……いや、こういった議論の場で、エゴ剥き出しな開き直りをされても困るんだけど」
「ああもう、男のくせに細かいこと言わないの。い・い・か・ら、やりなさい」
「……はい」
かくして試合終了のブザーが鳴る。安○先生……この境遇から脱却したいです。
「じゃあ、たかりゃんが性転換を決意してくれたということで続きいこうか」
「いや、そこまで了承してませんから。ていうか続きって何です?」
この期に及んで、まだ死人に鞭打つつもりですか? この先輩は。
「いや〜、だって肝心なことがまだ決まってないじゃん」
「……肝心なこと?」
「たかりゃ〜ん、偽名、偽名。たかりゃんがどれだけ完璧な女装をしても『河野 貴明』で呼んでちゃ一発でバレるでしょ?」
「まあ、それは確かに。けど、一体なんて名のればいいんですか?」
「大丈夫、その辺も抜かりなく考えておいたから。『クリスチーネ剛田』なんてどう? クリスチーヌと間違えやすいから
そこんとこ要注意な」
「よりにもよって、未だに本名不詳の国民的アニメキャラのペンネームとか、どんだけぶっ飛んだチョイスですか!」
「ちぇ〜、だったら『宮○路 ○穂』でどうだ」
「いや、それゲームが違います……ていうか、マジメに考える気ないでしょう?」
「全くたかりゃんは早漏……じゃない、せっかちなんだから。じゃあ普通に『河野矢 貴子』なんて名前はどう?」
「……なんか、いかにも即興で決めましたって感じで、すぐさまバレそうな名前だと思うのは俺の気のせいですか?」
逆にバレ易くして、罰ゲームをやらせるつもりなのかと邪推してしまう俺は、もう心がすさんでしまったんだろうか?
「大丈夫だって。一般的な認識として、さーりゃんみたいに普段から表舞台に立っている生徒会長ならともかく、
その他の生徒会役員なんて顔と名前も一致してない生徒が大半だから。ましてやたかりゃんなんて、当時生徒会長だった
あたしすらよく覚えてなかったでしょ?」
……ああ、そう言えばそんなこともありましたっけ。ていうか未だに記憶していたところをみると、何気に根にもってたんだろうか?
「けど、あまりに本名に似通り過ぎじゃないですか?」
「じゃあ逆に聞くけど、たかりゃんは全く違う名前で呼ばれて咄嗟に反応できる? その辺りも考えておかないと
すぐにボロが出ちゃうぞ」
……言われてみれば確かに、まーりゃん先輩の言うことは一理あるかも。
「まあ、本番となれば接する人数が半端なく増えるんで、偽名とはまた違った対策を取らなきゃならないだろうけど、
それまでは、とりあえずその名前を使用するということでいいでしょ?」
「はあ、分かりましたよ。じゃあその方向で」
なんか、まーりゃん先輩の思惑通りに事が進んでいる気もするけど、かといって代替案が他にある訳じゃないしな。
「うむ。ここまで決まれば、後は人目についている間、互いにどう呼び合うかを確認しとけばOK。まあ、似通った
名前にしたことで、たかりゃんはもとより、名前を呼ぶさーりゃん達も負担が軽くなってるから一石二鳥だな」
「そうですね。私は河野矢さんって呼べばいいから、ほとんど変わらないわね」
「流石にタカ坊は不味いわよね。まあ貴子って呼べばいいか。なんとなく語呂も似てるし」
「うーん、タカさんだと、とん○るずの人になっちゃうから、やっぱりタカ先輩って呼ばなきゃ駄目かな?」
「俺の場合は貴子って呼び捨てでいいよな?」
「そしてあちしはたかりゃんのあだ名を大幅リニューアルして、たかにゃんと呼んでやろう」
いや、それ一文字しか変わってないんですけど。
「まあ、俺への呼び方はそれでいいんじゃないかな。逆に俺からの呼び方としては、まーりゃん先輩、久寿川先輩、雄二、
このみはそのままでいいとして、タマ姉はどうしよう? いっそのことタマお姉様とでも呼んだ方がいい?」
俺の冗談交じりの発言に、タマ姉はげんなりした表情を浮かべ首を振る。
「あ〜それはやめて。前の学校で散々お姉様って呼ばれてたからもうこりごり。普通に先輩でいいわ」
「そう? じゃあタマ先輩って呼ぶよ。とりあえず呼び方はこれでOK?」
一応、念の為の確認だったのだが、意外にも雄二のヤツが不満そうに俺の肩をちょいちょいと軽くつついてくる。
「おいおい貴明、俺の名前は呼び捨てかよ。幼馴染相手にはもっと相応しい呼び方があるだろ?」
「何だよ、呼び捨てじゃ不満なのか? じゃあどんな呼び方がいいんだよ」
そんな俺の問いに、雄二はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりの表情を浮かべ、その言葉を口にした。
「雄二ちゃん、これしかねーだろ」
「却下」
「くはーっ!? 即決かよ。貴明、お前は幼馴染にちゃん付けで呼ばれる男のロマンが分からないのか?」
「いや、あいにくと俺には理解できないわ。第一、女装している間は幼馴染の関係ですらないんだから、その呼び方だとおかしいだろ?」
「まあ、それはそれ、これはこれ」
やけに諦めが悪いな。どうあってもちゃん付けで呼ばれたいのか?
「ふ〜ん、ちゃん付けで呼ばれるのが男のロマンなんだ。ユウくん、今度から雄二ちゃんって呼ぼうか?」
「チビ助が? あ〜、駄目駄目、あくまで同い年の女の子にちゃん付けで呼ばれるから萌えるんじゃねーか」
つくづく妙なところにこだわりのある男だな。それだけ細かいくせに女の子じゃなく女装した男に呼ばれるのはいいのか?
「あー、分かった分かった。雄二ちゃん♪ ……これでいいんだろ?」
そんな俺の呼びかけに、雄二は暫し固まっていたかと思えば、直後慌てて口元辺りを押さえうずくまる。
「お、おい!? どうしたんだよ、大丈夫か?」
「い、いや、不意打ちで呼ばれたもんだから、鼻血が……」
……雄二。お前、一度病院に行って検査してもらった方がいいぞ。……特に脳の辺りを念入りに。
まあそんなこんなで呼び方も決まり、ようやくひと段落。もう時間が時間だし今日のところはそろそろお開きかな?
「……」
そんな事を考えていると、向かいに座っていたこのみが無言のままじーっと俺を注視しているのに気付く。
いや、俺を見ているにしては少し視点が低いような。……ははあ、なるほど。
「ねえ、タカくん。ずっと気になってたんだけど、それってパッド入れてるの?」
「ああ、そうだけど」
そう、俺の胸は現在パッドの恩恵により、久寿川先輩やタマ姉に勝るとも劣らない双丘がそびえ立っていたりする。
「む〜、タカくんずるいであります」
「いや、そんなこと言われてもなあ……」
まあ、その気持は分からなくもないけど。
「ねえ、タカくん。ちょっと触ってみてもいい?」
「了承を得る前に回り込んで来るだなんて、もう既に触る気満々じゃないか。……しょうがないな、少しだけだぞ」
「やたー、じゃあ触るね」
俺からのOKが出た瞬間、まるでお預けを食らっていた飼い犬が餌に貪りつくみたいに、このみが俺の胸に手を伸ばす。
「うわぁ、柔らかくて気持ちいい。なんかマシュマロみたい」
「おいおい、乱暴に扱うなよ」
そんな、このみが俺の胸を玩具みたいにフニョフニョしている様を見てタマ姉も気になり始めたのか、このみに声をかける。
「このみ、そんなにいいの?」
「うん、なんか緩衝材のプチプチみたいに触るの止められないの」
「そう? そんなにいいんだ。じゃあ私も触らせてもらおうかしら? タカ坊、いいわよね?」
「いや、タマ姉はだ……どうぞ」
……なにもそんな顔で睨まなくても。
「うわ、何よこれ? まるで本物そっくりの感触じゃない。最近のパッドでこんなに凄いの?」
驚愕の声を上げるタマ姉。だが生憎と俺の方は、本物を比較できるほど揉みしだいた経験がないので、どれだけ凄いのか
実感できないけど。
「おいおい、そんなに凄いのか? そんなことなら俺にも……」
「雄二、あなたは遠慮しなさい」
「ごふぁっ!」
タマ姉のバックブローに沈む雄二。……合掌。そんな床に転がっている雄二に気を取られていると
「なっ!? タマ姉。何制服の下から手を突っ込んでるのさ?」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。ふーん、パッド入れてる訳だから、ちゃんとブラはしてるみたいね。
その中に収まっているパッドは……あら?」
なにやら違和感を感じたのか、怪訝そうな表情を浮かべるタマ姉。暫しそうしていたかと思ったら、突如何の前触れもなく
俺の制服のタイを引っ張って解いた上に、そのまま制服のファスナーを引きおろす。
「へ? た、タマ姉?」
そんな、あまりに急な出来事に俺が唖然としたままなのをいいことに、タマ姉はその勢いのままブラをたくし上げる。
直後、プルンという擬音とともに、今までブラに押さえつけられていた豊かな双丘が露になった。
「……」
目の前の光景が信じられないのか、タマ姉、そしてその一部始終を見ていたこのみ、二人してフリーズしたかのように動かない。
そんな暫しの沈黙の後、二人が驚愕の声を上げたのは全くの同時だった。
「な、なによこれ!?」
「えっ? ええええぇ〜!?」
「ど、どうした? 一体何があったんだ?」
「雄二、あなたは見ちゃ駄目」
復活した雄二がタマ姉の肩越しからこちらを覗き込もうとしたが、そこにノールックでタマ姉の目突きが繰り出される。
プス
「うぎゃあぁあああっ! 目がぁ〜目がぁ〜!」
それがモロに命中したのか床をのたうち回る雄二。……む、惨い。まあ雄二はこの際置いておくとして
「一応、パッドらしいんだけど……」
そんな俺の回答を補足するように、今まで成り行きを見ていたまーりゃん先輩が説明を加える。
「どう? 女体の研究に命を捧げた技術開発者集団、来栖川エレクトロニクスが、メイドロボで培った技術を惜しみなく
投入した最新型のパッドは。まあ、あまりにリアル過ぎて装着していない状態だと、まるで乳房周辺だけ切り取った
みたいでちょっとキモイんだけどな」
「メイドロボのことはよく知らないけど最新の技術って凄いのね。じーっと目を凝らさないと地肌との境目が分からないだなんて」
「うわ〜、本物の胸にしか見えないよ。いいなぁ〜、いいなぁ〜、タカくん」
「……」
「久寿川さん、興味があれば触ってみたら?」
そんな二人の盛況ぶりから、今まで遠巻きに様子を見つめていた久寿川先輩も興味を持ったらしく、それに目ざとく気付いた
タマ姉が先輩に声をかける。
支援
「河野さん、いいの?」
まさかこのみやタマ姉にOKを出しておいて、先輩だけ断るわけにもいくまい。
「ええ、いいですよ。どうぞ先輩」
「ありがとう。じゃあ、触らせてもらうわね」
そんな俺の返事に先輩は少し嬉しそうな表情を浮かべ、席を譲ったタマ姉に変わり、おずおずと手を伸ばしてくる。
フニュ
「……凄い。確かにこの肌触りとか本物としか思えないわ」
驚きの声をあげる久寿川先輩。それとは別に、このみはさっきから熱に浮かされた様に、もう片方の胸をモミモミし続けている。
そんな二人を正面から見据えるのが何故か気恥ずかしくなり視線を逸らすように天を仰ぐと、いつの間にか背後に回り込んでいた
タマ姉と目が合う。……何か嫌な予感が。
「えーっと、どうしたのかなタマ姉?」
「いやね、ちょっと気になったんだけど、タカ坊、下の方はどうなってるの?」
……やっぱりそのツッコミが入ったか。
「そ、それは……」
「それは?」
「うふ♪ それは禁則事項です(はあと)」
「何が禁則事項です(はあと)よ。ほら、さっさと見せなさい!」
「いやあぁああっ、スカート捲っちゃだめえぇええ!」
ガラッ
「あの〜失礼しま……あひぃあああ!?」
タマ姉が俺のスカートに手を掛けた瞬間、扉の方から悲鳴が上がる。だ、誰だ? よりにもよってこんな時に入ってきたのは。
慌てて扉に視線を向けると、そこに立ち尽くしていたのは、こういった間の悪い状況で抜群のエンカウント率を誇る、いいんちょこと
小牧愛佳その人だった。まあ小牧のことだから事前にノックくらいしていたんだろうけど、全員が夢中で気付かなければ意味はない。
そして小牧の眼前に写るのは、さらけ出された胸を揉みしだいている久寿川先輩とこのみ。そして背後からスカートを
捲り上げようとするタマ姉とそれに必死で抵抗する俺の姿。……どう見てもレズ真っ最中です。本当にありがとうございました。
「あ、あ、あ、あわわ」
扉の前であわあわ言ってる小牧に何か声をかけなければとは思うものの、この状況でどんなフォローを入れれば
いいのか妙案が思い浮かばない。それは久寿川先輩やタマ姉も同様らしく、引きつった表情で口を噤んだままだ。
そんな静けさに満ちていながらも一触即発のふいんき(←なぜか変換できない)の中、まーりゃん先輩が小牧にずいっと一歩近づく。
なにか起死回生の策があるのか? 皆の注目が集まる中、まーりゃん先輩はおもむろに制服のファスナーを下ろしながら一言。
「やらないか」
「ひっ!? ひぃいやあぁああああああああああああああああ〜〜!!」
パタパタパタパタ…ベシャ…パタパタパタパタ……
普段の小牧からは想像できない迅速さでその足音が遠ざかっていく。とはいえ途中慌てて転んだような、ベシャという
音が聞こえたのが、小牧らしいといえばらしいけど。
「ちぇ、なんで逃げちゃうのさ。俺はノンケだってかまわないで食っちまう人間なんだぜって言いたかったのに。って、あうっ」
「フォローを入れなきゃいけない場面で、トドメを刺してどうするんですか!」
……ああ、急場の出来事とはいえ、この先輩に任せたのがそもそもの間違いだった。
だが過ぎてしまったことをとやかく言っても仕方がない。これからどうすべきかを考えないと。
「……」
部屋がシンと静まり返る。あいにくと俺には、今更小牧にどんなフォローを入れればいいのか検討もつかない。
けど幸いにも生徒会には久寿川先輩とタマ姉、そんな学園でも指折りの人材が二人も揃っている。
二人なら……二人ならきっと何とかしてくれる。そんな静寂に満ちた生徒会室で、第一声を発したのは久寿川先輩だった。
「そ、そろそろ帰りましょうか?」
ズルッ
「そ、そうね。タカ坊、変な噂が立たないよう小牧さんにフォロー宜しくね」
「ちょっと待った。小牧をそのままにしておいて良いんですか? タマ姉もさらっと重要なことを言ったまま
撤収の準備に入らないでよ!」
つうか学園屈指のブレインが出した結論が、問題の先送りと丸投げってのはどういうことよ?
「けど今追いかけたところで、何の策もなければ更に状況を悪化させるだけだし、むしろ時間を置いたほうが
小牧さんも落ち着くと思うの。幸いにも彼女は辺りかまわず吹聴して回るような人ではないから」
クラスの委員長として生徒会に関わりのあることから、それなりに面識のある小牧の人となりを考慮にしたうえでの
久寿川先輩の意見。まあ、下手に藪をつつくのではなく、様子見するという理屈は分からなくはないけど……
「けどそれにしたって何もしないというのも危険じゃないですか?」
「だからタカ坊に頼んでるのよ。小牧さんの様子を伺いながら、それに応じて即座にフォローを入れられるのは、
同じクラスのあなたにしか出来ないんだから」
「……いや、同じクラスっていうことなら、雄二だってそうなんだけど」
「雄二じゃ当てにならないからタカ坊に言っているんじゃない」
溜息を吐くタマ姉。その雄二はというと、未だに床で悶えたまま……かと思いきや、ようやく復活したようで
よせばいいのに早速タマ姉に食って掛かる。
「こ、この暴力姉貴。俺を失明させる気かよ? 目突きなんてデンジャーな技使いやがって」
「大袈裟ね。まぶたの上からちょんと突いただけでしょ? 本当に失明させるつもりだったらしっかり抉ってるわよ」
「え、えぐ!?」
ナチュラルに物騒なことを言い出すタマ姉に、食って掛かった勢いはどこへやら、既に及び腰の雄二。
「それに名前を呼ばれただけで鼻血を出してたあなたが、あんな刺激的なものを見たら大変だと思って咄嗟に対応して
あげたんじゃない。それなのに感謝するどころか逆に食って掛かるだなんて。……弟の身を案じる優しい姉心を
解せないような愚弟には、少しお灸が必要かしらね」
「お、お姉様、私が悪うございました。だ、だからやめ、ぎゃああああ、割れる割れる割れる割れる、割、れ、る、わ……れ……」
「まあそういう事だからタカ坊お願いね。勿論私達も色々考えてみるから」
「さ、サー、イエッサー」
ビクンビクンと痙攣している雄二を掴んだまま微笑むタマ姉に、それ以外の返事をすることが出来ようか? いや、出来まい。
ただ、そうはいっても女装に続いての新たな頭痛のタネに頭を抱えたくなる。そんな現実から目を背けるように
窓の方へ目を向けると、いつの間にか外は綺麗な茜色に染まっていた。
以上、第六話投下させていただきました。支援有難うございます。
ちなみに今回出てきたパッドにつきましては、ゲーム中にそんなものは出てこないわけですが、
あれだけ人間そっくりのメイドロボがいる以上、そんなものが有ってもおかしくないんじゃないかと
いうことで捏造してみました。
しかし、毎日のようにSSが投下される、最近の盛況ぶりは嬉しい限りですね。
506 :
見習い氷:2007/09/24(月) 13:04:57 ID:3V4EAmjWO
>>505 乙です。
うーやばいよー話のネタがないよーw
>ちなみに今回出てきたパッドにつきましては、ゲーム中にそんなものは出てこないわけですが、
>あれだけ人間そっくりのメイドロボがいる以上、そんなものが有ってもおかしくないんじゃないかと
そのうちメイドロボならぬ、美男子的な執事ロボも開発されたりして・・・
>>505 笑わせてもらいましたwこういう笑えるのが書けるって凄いなー
509 :
物書き修行中:2007/09/24(月) 18:33:26 ID:DQQPXfyz0
>>504 乙です
相変わらずのテンポのよさとキャラの動きで、読んでて単純に楽しくなるSSでした
ご馳走様です
>>487 >>506 締め切りがあるわけではないのでゆっくり考えては?
ネタ出しの秘訣をアドバイスできると良いんですが、漏れも思いつきに近いんで…
それと5.5話の予告じゃなくて5.5話「次回予告」ってタイトルですんで
5.5話の本編はありませんよw
>505
乙。お値段はともかく、存在は間違いないだろうから捏造GJ(w <パッド
盛況ぶりには、貴公も貢献しているわけですから引き続きガンバです
>506
好きなペースで書けるのがSSの利点なわけで、思いついたら書けばいいっすよ
511 :
505:2007/09/25(火) 01:42:53 ID:UeGdE9xQ0
レスありがとうございます。
今回は結構長くなってしまった為、文字数制限ギリギリで区切ったのですが、
ここまで文字みっしりだと、傍目から見て読む気が失せるんじゃないかと
投下中に不安になりましたが、読んでいただき幸いです。
>>509 こちらこそ毎回楽しませてもらってます。修学旅行編、執筆頑張って下さい。
>>506 ゲームの方を無くしてしまわれたようですが、やっぱり、どうにか探し出して
ゲームを再プレイするといいんじゃないですかね? ネタの発掘だけでなく
各キャラの台詞回しも再確認出来るしで、一石二鳥だと思います。
>>511 文中のなぜか変換できないというのは仕様じゃないですよね。
ふいんき→ふんいき(雰囲気) です。まあ間違えやすいですが
ベタすぎて故意か天然か理解できないほどがいしゅつ(←何故か変換できない)
と思ったら最近のATOKはふいんきもがいしゅつも変換してくれるのねw
辞書に登録されてりゃ出る罠
まあ、本気で読み方間違えてる奴は(←なぜか変換できない)とは注釈はつけない罠
それが正しいと思ってるんだから。
書庫を見てみると、各キャラごとに作品数のバラつきがあったりするけど
環あたりが意外に少なかったりして、必ずしも人気順ではないところが
結構興味深いね。AD発売後はどうなるかな?
タマ姉は自分がメインになるとダメになる人だから。
518 :
見習い氷:2007/09/27(木) 23:51:55 ID:YOjQIec7O
確かにタマ姉ってメインになると性格変わる気がしますね。
そのせいでタマ姉らしくない雰囲気が生まれてしまうのはしょうがないか。
次はタマ姉の予定ですが少し苦戦しそう…。
いまちょっとテスト前なので、新作はしばしお待ちを。
ヤンデレSSってないかな?
イルファさんメインで、「瑠璃ちゃん解体新書」 とか
このみメインで、「ひぐらしの鳴くこのみ」 とか
スクイズ厨はどこもかしこもうざいな…
別にヤンデレ属性を否定するつもりは無いが、原作でそんな要素が無いキャラを
わざわざ病ませて楽しむような無理矢理な真似は正直勘弁して欲しい。
TH2にヤンデレ要素のあるキャラなんて居ねえだろ。
もうちょっと詳しく言うなら、例え病んでも自分を責めるばかりで
外に向けて発散するようなキャラが居ないと言うべきか。
ないかな?って訊かれてんだから「あるよ」ってだけ答えときゃいいのに
あるなら、具体例も教えてやれよ。
俺は知らんけど。
精神的にぶっ壊れたささらが、妄想の世界で貴明に抱かれて
実際は貴明はこのみとやってて、ささらのは妄想だって説明したら
ささらが貴明と、かばったこのみをナイフで刺して、その後自分を刺して死んだ。
っていうSSなら知ってるよ。
このみのなく頃にとか、りゅうおうたん保管庫とか、SS書庫のこのみの項とか見ると、
SSも探せば駄作が腐るほどありそうなんだがな<黒このみ
それはある日の小牧家での出来事。
「あれぇ…無いなぁ…」
「お姉ちゃん、何やってるの?」
キッチンに足を踏み入れた郁乃は、真剣にテーブルの下を覗き込んでいる姉の姿を
見かけて、そんな言葉をかけた。
スイーツ・トラブル
「あ、郁乃。ケーキの箱知らない?…たしかこの辺に置いたと思ったんだけど。」
そう言いながら愛佳は小さな箱をテーブルの上に身振りで描いて見せた。
だが学校から帰ってきてから今の今まで部屋で読書に耽っていた郁乃が知るわけもなく、
自他共に認めるツンデレ娘である郁乃はいつも通りそっけない返事で返した。
「そんなの知らないわよ。…それよりお腹すいたんだけど。」
「ごめんねぇ…とりあえず、たかあきくんに貰ったクッキーでも食べてて。」
そう言って愛佳はダイニングテーブルの上に載っていたクッキーの丸い缶を指した。
外国の有名な老舗菓子店の高級品と思われるそのクッキーは、傍に包み紙と外箱が
あって、今出したばかりといわんばかりの状態だった。
郁乃が缶をの蓋をあけると中には香ばしい香りを放つ様々なクッキーが納まっていた。
「これどうしたの?たかあきの奴外国に行ってた…わけないわね。」
「外国のご両親が送ってきたんだって。この間たかあきくんの家に遊びに行ってた時にね、
偶然ご両親からお電話がかかってきて…たかあきくんがあたしのこと紹介してくれて。
そしたらぁ、たかあきくんのお父さんに、息子をよろしくって言われちゃった。」
「あーはいはい、惚気はいいから。」
夢見心地で惚気始めた愛佳を生暖かい目で見ながら郁乃は1枚クッキーを口に運ぶ。
濃厚なバターの香りが口いっぱいに広がってかなり旨い。
「それでぇ、たかあきくんのご両親があたしにって、送ってくれたらしいの。」
「良かったわね、ついに親公認じゃない。…で、晩御飯はいつになるの?」
惚気をあっさりと受け流しつつ郁乃は話を本題に戻した。
小牧家は親が共働きの関係で晩御飯は愛佳の担当になることが多い。
そして、郁乃は少し前まで病人ではあったものの、姉に似て健啖家だった。
ぶっちゃけ、郁乃にとっては腹の足しにもならない惚気話よりも夕食の献立のほうが
重要だった。
「郁乃、そんなにお腹すいたの?…もしかして。」
「…何よその目。何か言いたいことでもあるの?」
「郁乃…お姉ちゃん怒らないから、正直に言ってほしいなぁ。」
「…なに、その子供を諭すような物言いは。」
突然変わった姉の様子に、郁乃は怪訝な表情を浮かべた。
「郁乃…あたしの買ってきたケーキ…お腹がすいて食べちゃったんじゃない?」
「はぁ?」
郁乃は自分が姉のケーキをつまみ食いした犯人と疑われているらしいことに、思わず
むっとしながら反論した。
「なんでお姉ちゃんのケーキをあたしが食べるのよ。」
「だって、お腹すいてたんでしょ?お腹がすくのは健康な証拠で、郁乃にとっては良い
ことなんだから、正直に行ってくれればお姉ちゃん怒らないよ?」
「だからあたしは食べてない!大体なんであたしがこそこそつまみ食いなんてしなきゃ
ならないのよ。つまみ食いはお姉ちゃんの得意技でしょ。」
「あ、あたしはつまみ食いなんてしないよぉ。」
売り言葉に買い言葉。ほのぼのした姉妹の会話から一転、言い争いに発展した。
「嘘おっしゃい。この間だってあたしが取っておいたプリン食べちゃったでしょ。」
「あ、あれは…郁乃が食べないのかと思って…賞味期限ぎりぎりだったしぃ。」
「やっぱりあれ食べたのお姉ちゃんだったのね。」
「う…そ、それはそれ、これはこれ、郁乃だってケーキ食べたんでしょ。」
「だから食べてないっての。…姉はどうしてもあたしをつまみ食いの犯人にしたい
のね。」
「だって、郁乃が正直に言ってくれないから…今、家にはあたしと郁乃しかいないんだし、
あたしは食べてないんだから郁乃しかいないじゃない。」
「もういいわ、あたしが何言っても聞く気無いんでしょ。…さよなら。しばらく家には
帰らないから。」
「い、郁乃!」
度々の入退院生活のおかげで手慣れた手際で荷物をまとめると、郁乃はあっさりと家出
した。
−
「というわけで、姉と喧嘩して家出してきたから。しばらくよろしく。」
「なんでウチに逃げてくるんだ。」
少しも悪びれることもなく堂々と言い放った郁乃を前にして貴明は頭を抱えた。
家でくつろいでいた貴明が来客のチャイムで玄関を開けたのは、すっかり暗くなった
夕食時の話である。
何を食べようかと頭を悩ませつつドアを開けた貴明は、玄関先に立っていた郁乃の姿に
驚いた。
そして郁乃はというと、驚いて停止状態の貴明に一方的に事情を説明し、家主の意向を
差し置いて勝手にあがりこんで、リビングでくつろいでいた。
「ところで、何か食べるものない?あたし晩御飯食べないで出てきちゃったから、お腹
ペコペコなのよね。」
「いや、俺もこれから晩飯なんだけど…って、本気で家に泊まるつもりか?」
「悪い?どうせ貴明しか居ないんでしょ。あたしが泊まるぐらいどうって事無いじゃ
ない。」
「いや、年頃の女の子が一人住まいの男の家に泊まるとか駄目だろうが。」
まるで自分の家で寝る事の何が悪いといわんばかりの口調に貴明が反論する。
だが郁乃は少しも心配した様子もなく答えた。
「それなら大丈夫よ。あんたウチの親にはかなり信頼されてるから。それとも、あんた
女なら見境無しに襲うような節操無しなの?もしかして姉妹丼やって見たいとか…ああ、
やだやだ、男って女を性欲の対象としてしか見られないのかしら。」
「人を色魔みたいに言うなよ。」
貴明がげんなりしながら反論すると、郁乃はニヤニヤしながら貴明に言った。
「姉とはさんざ乳繰り合ってるでしょう。前に姉の太股の内側にキスマーク付いてたの
知ってるわよ。あんな場所についてたらサカってますって言ってるようなもんじゃ
ない。」
「うっ…いや、アレは…」
征服欲に駆られて愛佳の白い内腿に付けたキスマークのことを思い出し、貴明は言葉に
詰まった。
「ま、姉に仕返しするためにあんたを誘惑して寝取るってのも手よね…どう?やって
みる。」
郁乃がニヤニヤしながら、しなを作って見せた。
しかし、いい加減うんざりしていた貴明はその誘いにため息で返した。
「アホか。そんなことするかよ。お前はこのみと同じで俺に取っちゃ妹みたいなもので、
恋愛対象じゃない。」
「ま、そうよね。将来姉と結婚したら義妹になるかもしれない相手に手を出すわけには
行かないわよねぇ。」
「…う、五月蝿い。」
「ま、からかうのはこれくらいにして…それにしてもお腹空いたぁ…」
貴明を弄るのにも飽きた郁乃はそう言いながらお腹を押さえた。タイミングよく、
きゅう、とかわいい音がお腹のあたりから聞こえてきた。
「そんなに腹減ってるのかよ。…食いしん坊なのは愛佳と一緒か。」
「うっさい。」
「…そういえば。」
貴明は何か思い出したのか、キッチンに引っ込むと冷蔵庫をあさり始めた。
「何やってるのよ。」
「いや、愛佳に貰ったケーキがあったなと思って。とりあえず食うだろ?」
「…ケーキ?」
妙な符合を見せる単語の登場に、郁乃は引っ掛かりを感じて貴明に問いただしてみた。
「それいつ姉から貰ったの?」
「今日うちに来たときに持ってきてくれたんだ。親が送ってきたクッキーの包みを渡した
ら、愛佳の奴夢見心地で大事そうに抱えて帰っていったんだけど、代わりにケーキ置い
ていったんだ。」
「…あんた、あたしのさっきの説明聞いてたわよね。」
「ああ…それがどうかしたのか…あれ?ケーキ?」
「…あんたたちは…ばかっぷるじゃなくて真性のバカよ!」
激昂した郁乃の拳が貴明の横っ面に炸裂した。
−
「しかし、グーで殴ることないだろ。グーで。」
貴明は張られたシップの上から右頬を撫でながら、熱心にケーキを口に運んでいる郁乃
抗議した。シップの下には青黒くくっきりと郁乃の小さな拳の跡が付いている。
ここは女の子の間ではケーキが美味しいことで有名なカフェである。
貴明をノックアウトした後、郁乃がかけた電話によって愛佳は自分の色ボケによるポカ
ミスを知ることになり、あらぬ疑いをかけてしまった郁乃に平謝りすることとなった。
そして、そのお詫びとして郁乃から提示された条件が、このカフェでのケーキ食べ放題
である。
言っておくが、このカフェのメニューにはケーキ食べ放題などない。郁乃の一人食べ
放題であり、その代金は愛佳の懐からまかなわれるのであり、そのあたりが愛佳に対する
罰なのである。
「ねえ、郁乃ぉ…お腹壊すよ?少し頼むの控えたら…
学校帰りにカフェに直行し、メニューにあるケーキを片っ端から頼んでは食べ始めた
郁乃に、愛佳は心配そうに声をかけた。半分は言葉どおり郁乃の体を心配してのものだが、
残り半分はケーキを食べる郁乃への羨ましさと自分の懐を心配してのことである。
「大丈夫よ。お姉ちゃんが自分で言ってたでしょう。あたしはのお姉ちゃんの買ってきた
ケーキをこっそりつまみ食いするような食いしん坊なんだって。…あ、すいませーん、
この「秋の特選フルーツショート」と「新栗のモンブラン」追加で。」
「い、郁乃ぉ〜〜〜〜」
「…諦めなよ。今回は愛佳が悪い。」
「たかあきくんの意地悪ぅ〜」
すでに半べそ状態の愛佳の横で、ケーキを頬張る郁乃は上機嫌だった。
×愛佳−郁乃○ 決まり手:うっかり
532 :
物書き修行中:2007/09/28(金) 22:58:51 ID:nksN8nKY0
流れを無視して投下してみまつた
小牧姉妹物ですが、久しぶりに3人称で書いたら何かうまくかけないYo(´・ω・`)
困ったもんだ
>>517 まあ、ゲームをやってればわかる話だけど、タマ姉は実は臆病者だからねぇ
普段は面倒見が良い姉御肌だけど、実際のところ貴明に対しては
極端に臆病で小心者という側面があるから。
だから貴明がタマ姉に好きだといったとたんに、3点フルコースサービスで
貴明を逃げられないようにし、さらに自分の家に囲い込んでこのみの手からも
遠ざけるなど、あの手この手で貴明をがんじがらめにしてしまうという…
キャラとしてキライというわけではないけど、個人的にはTH2の中では
実際に居たら付き合いたくないヒロインのトップかもしれん。
決まり手吹いたwwwww
いい決まり手じゃない!
ナイス決まり手!
作者さんお疲れ様です。
関係ないけど、今さっきようやく「河野家〜」を読み終えたけど、すごかったな。
536 :
見習い氷:2007/09/29(土) 16:28:45 ID:FP3ybtutO
決まり手:うっかり
うははw
毎度ながら乙です。
雰囲気掴むためにXRATEDを、文章読むのに「半分の月が昇る空」を借りました。
テスト中なのでまだ手をつけてませんが、それぞれから学び、次作を投稿したいと思います。
半月は…やめといた方が……
半月はハルヒやシャナ以上に文が下手だからな
読むなら狼かミミズクくらいにした方がいい
539 :
物書き修行中:2007/09/29(土) 21:28:02 ID:Y1Gauv0T0
決まり手の一行は、何か締りが悪いので最後に1行付け足しただけ
だったんですが、何か予想外に受けてるw
「半分の月が昇る空」というのがどういう話かは知らないんですが、
文章を読んで血肉とするという意味ではラノべは向いてないなぁ、
と30代のオサーンのワシは思ったりします。
理由は色々ありますが、単純に書き手のスキルが駄目な場合もあるし、
人によっては独特の書き方をする人もいるので。
個人的にラノべ自体は好きなんですけどね。さくさく読めるし。
漏れがラノベの作家でうまいなぁと思った人は賀東招二かなぁ。
世界観の作り方の上手さとか、設定を巧みに利用した物語の組み立ての
上手さとかが企画上がりの人らしくてラノベにしてはすごく密度の高い話が
かける人かなと思ってたりします。
まあ、この辺はものすごく個人的見解なので。そうじゃねえって人も居ると思います。
ところで、TH2のOVA第3話見たんですが、なんかまーりゃん先輩が傍若無人な人を
通り越してはた迷惑な痛い人になってるのはどうだろう…
それに時々作画がいい加減なところがあるのが気になる。
前2作が良かっただけに色々がっかり感が拭えない…
プロとして下手っていうよりアマチュアレベル以下だよなあれ
ラノベは文章を読むというよりも話を楽しむことに重きを置いてるからね。
後は読み易さか。
だから単純に文章レベルを上げたいならラノベはあまり向かないと思う。
とはいえ
>>539が上げた賀東招二とか、個人的には秋田禎信なんかは上手い作家だと思う。
ただ文章に意識向けすぎると雰囲気が硬くなり過ぎることもあるし、そこら辺は一長一短だよね。
半月はやったモン勝ちのネタを書いたラノベ。
似たようなの書いたら間違いなく外れる。
…いや、半月好きで全巻持ってますよ?
あれ、書き込んでないのにオレがいる?
それはそれとして・・・
何というか半月は文の書き方が良く言えば超主観的、悪く言えばそれがダメなとことなるとこ
話自体は面白いとは思うけど、
あの文の書き方を真似るなら東鳩2をもう一度やったほうがいいんじゃないかと
超ご都合主義な話の流れ
存在する意味が分からないキャラクター群
あれを手本にしてSS書いたらダメSSの典型が書けるだろうと思うのは俺だけか
なんかその半月とか言うラノベ叩きの流れになるならそろそろやめとけ
>>393 指摘thx
調べたところ、ほかにも何作か保管漏れていたようで
早速修正しますたm(__)m
>546
更新乙!
548 :
物書き修行中:2007/09/30(日) 21:16:04 ID:S7xK473o0
>>546 対応ありがとうございます&更新乙ですm(__)m
「ふふーん…いつもいつも好き勝手してくれてたからね…覚悟しなさいたかあき。」
俺を見下ろした由真が不敵に笑った。
一方俺はというと、自分の部屋の自分のベッドに上で、すっぽんぽんの状態で両手両足
を縛られて貼り付け状態という、これ何て○ランス書院?と言わんばかりの状態だった。
−
時間は少しさかのぼる。
俺と由真が恋人同士の間柄となってからも、やることはあまり変わらなかった。増えた
のはキスしたり文字通りヤる事ぐらいで、大部分はデートと称して二人で遊びに行ったり、
二人で勝負したり、まあそんな感じだ。
今日も今日とて放課後に2人で繰り出したのはいつものゲーセン。いつもの勝負だ。
「ぬぐぐぐぐ…次はこれで勝負よっ。」
格ゲーで俺が圧勝したために、由真は別のゲームでの勝負を提案した。それは、格ゲー
と並んで俺たちの間では因縁の勝負となっている脱衣麻雀だ。
最初にやった時は由真が負けてゲーセンで本当に脱衣しそうになって止めたのだが、
恋人同士になってからの対戦では、やる事はすでにやってる仲なので俺の家で存分に脱衣
してもらい、その後美味しくいただくという流れが出来ていた。
そう言うご褒美もあって、今のところ俺の全勝が続いている。
そしてその雪辱を果たさんと由真は俺に挑んできたのだ。
「ふふーん、解ってるだろうけど、負けたらいつものアレだからな。」
「くっ…このむっつりスケベ。今日こそは勝って復讐するのよ。」
俺たちは向かい合わせの筐体の前に着席。そしてゲーム開始。だがしかし、
「あ、天和」
「え?」
「…あ、それあたり。」
「は?」
「…あ、ツモ。」
「…あ、ありえん。」
どういうわけだか、いつもと立場が逆転して由真は高額手で上がりまくり、あっという
間に俺はマイナス転落してあっさり負けたのだった。
「さて、たかあき。今日はあたしの言うことを聞いてもらうわよ。」
−
「どう?今の気分は。」
「…おまえ、SM趣味だったのか。」
「違うわよっ!」
「とはいえ…いつもと立場が逆で俺が自由を奪われてる以外は一緒じゃないのかこれ?」
客観的に見るとかなり情けない状態ではあるが、まあナニをいたそうとしている部分で
は変わりない。
「そう言っていられるのも今のうちよ。」
由真はにやっと笑うと、自分のセーラーに手をかけた。
1枚ずつはらりはらりと脱ぎ捨て、そして下着も脱ぎ去って由真も裸になった。
活発な由真らしいメリハリの利いたプロポーションを目にすると、思わず俺の「バール
のようなもの」もいきり立った。
「勃ったわね。」
そう言いながら由真が取り出したものは、
「…輪ゴム?」
「そうよ。これをこうして…」
由真は輪ゴムを2重の輪にすると、はちきれんばかりに膨張しているマイサンの根元に
はめた。
「うあ、イテ、痛いって。」
「この状態でかわいがってあげるわ。イきたくてもイけない状態でね。」
「う、ちょ、や、やめろ。」
「じゃあ、行くわよ。…む…ちゅ。」
それからの数時間は天国のような地獄といっても良かっただろう。
「ふ…あ…ん…ふっ、はっ、はっ」
由真は口、胸、素股ときて、現在騎乗位で俺を攻め立てている。
「く…輪ゴム外してくれ…ち、千切れる…」
「ふっ…駄目…は、はっ…ま、参ったって…言っても…許してあげない…ん、あ」
由真の生の感触が俺のナニをこすりあげて物理的刺激を与え続け、目の前で弾む由真の
肉体…特に、腰を振るたびにたゆんたゆんと揺れるバストと、快感で蕩けた淫靡な由真の
表情が…視覚的刺激を与えて俺に性的興奮を与え続けている。
そして性的興奮にあわせてナニが勃起の度合いを強め、それに従い体積が増すのだが、
それに伴って根元にはめられた輪ゴムがぎりぎりと食い込んで強烈な痛みを与えてくるの
である。
おまけにすでに数度絶頂の波が襲ってきていて尿道もパンク寸前である。
これは…マジで使用不能になるかもしれん。
そんな事を思いながら、ナニの痛みとイきそうでイけないその中途半端な快感で意識が
朦朧となり始めていた。
「ん…あ…はん…は…いきそう。」
由真が何度目かの絶頂を前にフルフルと背筋を振るわせた。
「…う」
朦朧とした意識の中、俺もまた絶頂を迎えようとしていた。
「ん…はっ、あっ、ああっ」
由真のアソコが俺のナニを強烈に締め上げた。そのとたん、俺もまた何度目かの絶頂を
迎えた。
「うあっ!」
溜まりに溜まったものが、今度こそ噴出せんと、今までに無い圧力で押し出された。
そのとたん、
ぷちん
「うわぁっ…あ〜〜〜〜〜〜〜」
俺は体を痙攣させながら、溜まりに溜まっていたありったけの精液を、情けない声と共
に由真の中へとぶちまけた。
「あっ…熱っ…すご…」
体内に噴出した大量の体液の熱さに由真のうめき声を漏らした。
まるで魂まで搾り出すかのような長く大量の射精に、俺は意識が朦朧となりながらも、
今まで味わったことも無いようなえもいわれぬ快楽を味わっていた。
「あ…はあっ、あっ、はっ」
由真もまた、俺の体にしがみついてびくびくと体を震わせながら俺の射精を受け止め
続けた。
かなり長い間二人ともぐったりしていたが、先に正気に戻ったのは由真だった。
「な、なんで…なんで出ちゃったのよ。」
「…お前やりすぎだよ。溜めすぎて輪ゴムが圧力に負けて切れたんだ。」
「う、うそ…」
「おかげで出た瞬間は物凄い気持ちよかった…二度とやりたくないけどな。今までで一番
大量に出たんじゃないかな。」
「あああ…ど、どうするのよ!」
なぜか由真は慌てふためいていた
「どうするのよ、って…出ちゃったものはしょうがないだろ。」
「今日は危険日なんだってば。それなのにあんなにどばどば出しちゃって。」
「え゛」
今度は俺があわてる番だった。
「な、なんでコン○ームとか付けなかったんだよ!」
「それじゃ感触が鈍くなってお仕置きにならないでしょ!ううう…出来たら責任とって
貰うからね。」
「うっ…」
由真と結婚するのはやぶさかではないが、それは未来の話であって、こんな展開は想定
外だった。
結局、由真の次の生理が来るまで、毎日戦々恐々としてすごさなければならなかった。
だけど、その間ウエディングドレスのカタログを見る由真の顔が何処となく嬉しそう
だったのは気のせいではないだろう。
554 :
物書き修行中:2007/10/01(月) 22:54:40 ID:YevblON70
死体分け、もとい、したいわけ由真編でした
一応俺史上最高エロ…かな?
恋愛同盟書かなきゃと思いつつ、書かなきゃと思っているものとは
別のネタがぽんぽん出てくるんですよね、これが。
ところで、昨今の高校の修学旅行って何泊ぐらいの日程なんですかね。
なんせ当方当年とって三十ウン歳なもんで、修学旅行はもう20年近くも
前の話…どなたか知りませんか?
支援
うお……まだ続くと勘違いしたあげくあとがきの後に支援なんて……
吊ってきます……
じゃぁ俺も支援
558 :
物書き修行中:2007/10/01(月) 23:12:41 ID:YevblON70
うあ…番号間違ってましたな
最後5/5に書き直すの忘れた
漏れも吊ってくる……
560 :
見習い氷:2007/10/02(火) 00:46:20 ID:xTBUCa5GO
私のところ(私立)は3泊4日でしたね。
修学旅行と言うよりは研修旅行でしたが。
やっと試験終わりました。
…結果?
…聞かないでくださいw
さて、これから作っていかねば。
短いな。うち公立だけど、5泊はしたぞ。6泊だったかもしれん。
俺は公立だったが修学旅行は海外で3泊5日だったぞ
俺のところは2泊3日だったよ、俺は途中で陸上の試合があったからかえって1泊2日だったけど。
中学と違って高校の修学旅行はしょぼくて、きびしくてつまらなかった・・・orz
5泊6日 私立高校
修学旅行なんてなかった。男子校だからどうでもいいけどさ
俺達の前の年までは、移動ホームルームっていう1泊2日のクラス行動があった
566 :
物書き修行中:2007/10/02(火) 21:45:17 ID:/hwNoK/v0
>>559-565 結構色々あって面白いですな
大体間を取って4泊5日ぐらいというところでしょうかね
ちなみに漏れが高校のとき(北海道)はたしか2泊5日で、寝台特急泊が2泊ありました。
(寝台が3段だったのでたぶん「ゆうづる」か「はくつる」)
当時青函トンネル開通直後で、青森まで特別列車でとろとろ走っていったのですが、
トンネルに入った瞬間歓声をあげた覚えがあります。
風景が変わらないので10分ぐらいで飽きましたが。
話が脱線しましたが4泊5日を目安にプロット組んでみる。
当方鉄分高い人間なので飛行機じゃなく列車で組む予定。
関東の公立だったけど6泊7日だったよ。
うちの高校ひどいことに、
京都→沖縄→京都→沖縄→京都→沖縄
と1年ごとに換わるのよ。
もちろん俺らの年は京都でしたがorz
お前ら、甘いぜ
俺の高校なんか、修学旅行先がオーストラリアから国外情勢鑑みて北海道に変更だ
まあ、俺の先輩は高校にでかいバッグ運び込む前日にハワイ行き中止されたんだけどな
569 :
563:2007/10/02(火) 23:48:15 ID:BQwIEH8e0
うちの高校(県立)は、修学旅行先が香川と岡山で2泊3日。
さらに新幹線の中ではおしゃべりやトランプ禁止。途中の買い食い禁止。夜中は完全見回り状態で騒げず。
岡山の藩校なんて時間がめちゃくちゃ長く感じたよ。
中学(東京へ修学旅行)では、先輩はサリン事件のおかげで色々大変だったし、
俺たちは国会議事堂に行く朝に、ニュースで「国会に車が突っ込んだ」って放送されたし・・・
上野では外国人に「テレカ?テレカ?」って偽造テレカ売られそうになったし・・・
宿は東大近くにあるぼろい旅館だったし(俺の後輩はTDLのオフィシャルホテルやプリンセスホテルとかだったらしいが)
小学校(伊勢へ修学旅行)は・・・特に問題なかったかな?
570 :
見習い氷:2007/10/03(水) 00:54:16 ID:Q9Dnf9VTO
>>569 それは災難ですね。
せっかくの行事が台無しになるのはある意味思い出に残りますがw
新作とりあえず完成しました。
タマ姉ssです。
また違った設定やオリジナル要素含んでたりするんで、何かありましたら指摘よろしくお願いします。
3日の夜に投稿予定です。
…しばらく日を空けていたから書き方忘れてましたよw
四つ葉のクローバーには4つの意味が込められている。
一つは『誠実』
真心がこもっていて,うそ・偽りがないこと。
次に『希望』
将来に対する明るい見通し。
さらに『幸運』
運のよいこと。しあわせ。
そして『愛』
価値あるものを大切にしたいと思う,人間本来の温かい心。
―クローバーで結ばれたとある2人のとある物語―
「いい天気ね」
「そうだね」
「気持ちいいわね」
「うん。とても暖かくて眠くなりそう」
「タカ坊。せっかく一緒にいるんだから寝ちゃだめよ」
「わ、わかってるよ、タマ姉」
ついこの間まで咲いていた桜はいつの間にか散り、桜並木は緑の葉をつけていた。
今、俺はタマ姉と一緒に河原に寝そべっていた。
「今日はいい天気ね。そうだ。せっかくだから河原にまで行ってみない?」
貴重な休みである日曜日の朝、タマ姉は突然家にくるなりそう言ってきた。
「いや、今日は遠慮しとくよ。」
正直、今日は家でのんびり過ごしていたかった。
しかし、タマ姉はそう簡単には譲らない。
「ダメよタカ坊。家に籠もってばかりでは体が弱くなるわ。太陽の光を浴びて、健康になるのよ」
「でも…」
「いいから早く着替えなさい。お姉さんが手伝いましょうか?」
「わ、わかったよ。着替えるからちょっと待ってて」
結局俺は、半分脅迫気味に連れ出されたわけだった。
「確かに気持ちいいなぁ」
半強制的に外に出されたが、出てみると外は暑すぎず、寒すぎず。
空には雲一つなく、太陽の光を遮るものは何一つ無かった。
太陽の光もまた体をぽかぽかさせ、心地よかった。
「でしょ?小さい頃はよく一緒に外で遊んだものね」
「俺と雄二とこのみはいっつもタマ姉と遊んでたっけな」
「あの頃はまだホントに小さかったわね」
木陰に仰向けに寝ながら昔を懐かしむ俺とタマ姉。
―「タカ坊は、生涯ワタシのことを愛しつづけることを誓います。
もしワタシたちが離ればなれになることになっても、
かならず再会して想いをそいとげることを、ここに誓います」
まだ小さい頃の話。公園で行われた小さな告白。小さな儀式。
まだ小さかった頃の俺には理解できなかった。
返事をすることもできなかった。
それからタマ姉とは離ればなれになった。
しかし、タマ姉はこの春、九条院から帰ってきて、俺の通ってる学園に転校した。
一緒に過ごしてきた日々。
そしてついこの間。
―「タカ坊は、生涯ワタシのことを愛しつづけることを誓います。
もしワタシたちが離ればなれになることになっても、
かならず再会して想いをそいとげることを、ここに誓います」
再び耳にした告白の台詞。
前と違い、声には決意のこもっているように聞こえた。
俺は迷うことなく返事をする。
―「私、河野貴明は、生涯、向坂環のことを愛しつづけることを誓います」
それから俺とタマ姉の関係は幼なじみから恋人となった。
支援
「………ぼ…………と…る?」
「ん?」
「タカ坊?ちゃんと聞いてる?」
「え?ああ。聞いてるよ」
「タカ坊。聞いてなかったって顔にでてるわよ」
どうやら少しの間自分の世界に入り込みすぎていたようだ。
「もう…せっかく話をしてたのに聞いてないなんて。」
「ごめん、少し考え事していて。で、なんだっけ?」
「クローバーよ」
タマ姉が手に1つのクローバーと手にしながら問いかける。
「え?」
「覚えてない?まぁあれの前日の話だから覚えてないのも無理無いかな…」
クローバー?なんだ?しかもあの告白の前日?
「う〜んと…」
ダメだ…全く覚えていない。
「…タカ坊はクローバーに込められた意味って知ってる?」
確か前に調べたことがあったな。
「えっと、『幸運』と『希望』。それから…」
「そう。それに『誠実』と『愛』よ」
「そうそう、それそれ」
「でもね他にもあるのよ?」
「他に?」
あ、クローバーの話、思い出したぞ。
「他の意味はね…」
そうだ。あれは確か…
時を遡る。
「みつけたわ!」
「たまおねえちゃんすごおい!」
「おいたかあき!みつけたか?」
「いや、まだ…あ、あった!」
4人の子供が地面を食い入るように目を凝らして何かを探している。
「なかなかないなぁ…四つ葉のクローバー」
きっと一度は体験したことがあるだろう。
幸運の象徴である四つ葉のクローバー。
たくさんの三つ葉の中から稀にある数少ない四つ葉のクローバー。
目を凝らさないと意外と見つけられない四つ葉のクローバー。
4人の子供はその四つ葉のクローバーを探している。
ひょんとしたことで、子供というのは夢中になるもので、日が暮れるまで探し続けていた。
「このみ1つしかみつけられなかった…」
「このみ、がんばったわね」
「おれなんか7つ見つけたぜ!」
「ゆうじ、それ葉をちぎってるだろ!ごまかすなよ!」
…雄二はこのころからこんなだったか。
「ゆうじ!うそはダメよ!」
「アテテテテ!いたい!いたい!」
…タマ姉のアイアンクローもこの頃からか。
「タカ坊ははいくつ見つけた?」
「ぼくは3つ」
「あら、わたしは4つ見つけたわ」
この頃から既にタマ姉は俺たちの上だったな。
何をしてもタマ姉を上回ることは出来なかったな。
支援
「そっか…タカ坊。これ、あげるわ」
「え?」
突然、タマ姉からクローバーを渡される。
「できれば…大切にしてほしい」
「え?あ。うん」
当時はわからなかった。今考えるとそのときのタマ姉の表情には寂しそうに感じた気がした。
「ゆうじ!帰るわよ!」
「はいはい。またな、たかあき」
「バイバイ、ゆうじ」
「またね!たまおねえちゃん!」
「またね、このみ」
そして、翌日には告白され、返事を聞かぬまま、タマ姉は九条院に行った。
「他の意味はね…『私を思いだして』っていう意味があるの」
「『私を思いだして』…か」
そうか。あの時既に、タマ姉はもう会えなくなることわかっていたんだ。
クローバーに込められた意味を知っていて俺にあげたのか。
そしてその翌日にあの告白…。
俺はあの時気づいてやれなかった。タマ姉の気持ちに。
あの時に返事をしていたら。
クローバーの意味を知っていたら。
今の関係が嫌というわけではない。
ただ、今とは違う形でタマ姉と。
そう考えていた。
「それともうひとつあるのよ」
タマ姉の顔に赤みを帯びる。
「『私のものになって』」
「そ、そんな意味があるの?」
なんとなくタマ姉らしい感じがした。
「私もこれに気づいたのは最近なんだけどね。あの頃はまだ幼かったしね」
…小さいときからそんなこと言うようなのは困りものだが。
「でも、時間は掛かったけど実現したし」
タマ姉が寄り添ってくる。
あぁ…やわらかい…じゃなくて。
「お、俺は物、なのかな?」
一応聞いてみる。
「ほら、よく聞くじゃない。『俺の物は俺の物。お前の物も俺の物。』って」
…なんというジャイアニズム。
タカアキの目の前が真っ暗に…なる寸前に。
「ふふっ、冗談よ、タカ坊」
本気だったら俺はこの人から一生逃げることは出来ないのだろう。
「タカ坊。好きよ」
突然の告白。さらに近づいてくる。
顔が近い。
いまにもキス出来そうな距離。
「俺も。好きだよ。タマ姉」
自然と重なる唇。
タマ姉が震えているように感じたが、徐々に震えもとれ、唇を甘噛みされる。
なんとなくそういった仕草にホッとしてしまう。
その日の午後。
俺とタマ姉で商店街を散策し、とある店で四つ葉のクローバーのデザインをしている指輪を発見した。
内側に字を彫れるらしく、お互いの名前と字を彫ったのを注文し、2人で薬指にはめている。
まるでエンゲージリングのように。
〜I Love You Forever〜
GJ!!
583 :
見習い氷:2007/10/03(水) 21:52:58 ID:ZryIK9fl0
以上、タマ姉SS投稿させていただきました。
今回は小さい頃の4人を登場させてみました。
このみ→まだ小さいから言葉使いに特徴つけるためにひらがな
貴 明→このみよりは年上だが、雄二と区別するために一人称「ぼく」
雄 二→「おれ」正直どうでもよか(ry
タマ姉→漢字も交え普通に
こんな設定でやってみました。
久しぶりだったので粗いとは思いますがご了承を。
設定もオリジナル入ってるかも…。
誤字報告&指摘等ありましたらお願いします。
…次は誰書こうかな。
あと、テンプレの「容量が480k?」で越えてますがどうしたらいいのでしょう?
こういう掲示板使い慣れてないからどうすればいいか。
>>574 >>577 支援どうもです。
>>582 とりあえずGJ
584 :
物書き修行中:2007/10/03(水) 22:39:40 ID:dVatFDxQ0
>>583 乙です
漏れも良く突っ込まれるけど、時間の行き来がある部分がわかりずらいかなと思った
でも全体的にあまあまな感じでいいんじゃないかとオモタ
あと次スレ立てですが、漏れもやったこと無いけど、葉鍵板のページの一番下に
新規スレッド作成ボタンがあるのでそこからやると思われ
でも立てた直後に過疎ったりするといきなり即死したりするんで…
でも何事も経験だからやって見るかのう…
>>1-2のテンプレ張ればいいんだよね?
585 :
物書き修行中:2007/10/03(水) 22:56:27 ID:dVatFDxQ0
>>583 乙。
以下気になった部分の指摘とかなんで、ウザかったらスルーしてくれ
まず、回想部分。
>>584も言ってるように、ちょいとわかりづらい
前後一行か二行空けて区別するとか、鉤括弧を二重鉤括弧(『』)にすると少しはわかりやすいかも
あと、やっぱりリズムがちょっと気になる
やっぱり「〜た」で終わる文が多いんで。それと、句読点で区切った文の長さが似通ってる部分が多いのもその一因かと
次に、ダッシュについて。文章作法云々ってわけじゃないけど、ダッシュは「――」みたいな感じで二つ繋げた方がいい
一つだけだと、漢数字の「一」に見えるんでちょいと紛らわしい。それと、『――「』って使わないで、『――』だけでもいいかと
最後にもう一つ。前に「〜いる」を「〜る」って書いてもいい、って言ったのは俺なんだが、ちょいと誤解があるみたいなんで
一人称でも、地の文では「〜いる」って書いた方がいい(場合によっては「〜る」でも可)。俺が言いたかったのは会話文
会話文は話し言葉なんで砕けた感じで書いていいんだけど、描写とか説明を担当している地の文だと砕けた表現はそぐわないんで
まあ、何はともあれ、話の展開としては良くなったかと
最近はすっかり珍しくなった気がするタマ姉小説ってことで楽しめた
文章が読みやすくなればもっと良くなると思うんで、また次回作に期待
四つ葉のクローバーを渡すっていう遠回しな告白の翌日にリアル告白だと
なんか無理に原作につなげましたって感じの無理矢理感を感じる。
やるなら告白しようと思った理由を追求するから意味があるんじゃないかね
588 :
見習い氷:2007/10/04(木) 11:55:47 ID:eyfHAH5lO
>>584 いい言葉が見つからなくてそのままにしちゃいました。
>>586 書き方すっかり忘れちゃってましたね。
回想と会話文、ナレーションの部分も以降考えさせていただきます。
>>587 設定ミス…ですかね。
cloverの意味を考えるとあの前にとか考えてましたが、ダメでしたね。
1レス目を読んで菜々子ちゃんSSキタコレ!と思った俺は決してロリではない。
>>558 輪ゴムとかで尿道塞いでても射精はするよ
膀胱に逆流するけどね
591 :
物書き修行中:2007/10/04(木) 20:24:29 ID:75ItoBAN0
>>590 いや、女の体はようけ解らんけど、男の体の方は男30ウン年やってますから
言われなくても知ってますが…輪ゴムでやったことは無いけどね
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スレ埋めーーーーーーっ! 終わりっ!