ToHeart2 SS専用スレ 1

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532名無しさんだよもん
ささらはエッチに寛容だろ……とか思ってしまう。
あの乱れっぷりとか見るとさ。
533名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 03:26:23 ID:Mf0TuoHHO
>>527
GJ!
俺もイルファさんのような嫁がほしいぜ…
534名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 03:41:26 ID:iWSaPqgmO
>>532
ささらのおっぱい食べて〜だしな
逆幼児プレイみたいな感じだったし
535クラスメイトごっこ 1/14:2007/07/08(日) 16:09:38 ID:fVP+AYth0

「タ〜カく〜ん!」
ガラガラっ!と勢い良く教室の戸が開かれる。
その声の主は俺の姿を確認すると、すたたたっ!っと
驚くほど機敏な動きで駆け寄って来た。
「一緒に帰ろっ♪」

校門で待ち合わせて一緒に帰る…というのは昔の話。
恋人と言う間柄になってからは、
放課後このみがこうやって俺のクラスまで迎えに来るのが日課になっていた。
そのおかげでクラスの奴らからは、すっかりバカップル扱いされてるわけなんだけど…。

「あのなぁこのみ…」
「なに?タカくん?」
「周りを良く見てみろ…。」
このみがキョロキョロと教室内を見渡す。

放課後とは思えない生徒の数。
揃いも揃ってみんな自分の席。
そして教壇にはクラス委員長である小牧の姿…。

…クスクスクスクス。
教室のあちこちから笑いが起こる。

「あわわわわ!も、もしかしてタカくんのクラス、まだ終わってないの!?」。

そう、普段ならとっくにクラスは解散している時間なのだが、
今日に限って饒舌に自分の青春時代を語り始めた担任に加え、その後の
「今日は連絡事項があるので時間をくださーいっ!」
という小牧の言葉によって、俺達のクラスは未だに帰りのHRを終れずにいたのだ。
536クラスメイトごっこ 2/14:2007/07/08(日) 16:11:35 ID:fVP+AYth0

「ったく…普通気づくだろ。そりゃ私語も多くてうるさかったけどさ…。」
「あぅ〜…。」
周りの視線に小さな体を更に小さくするこのみ。
俺だって穴があれば入りたいよ…。

「はーい、それでは続けますよー。あ、そうだ。柚原さん、良かったらそこの席どうぞ♪」
小牧がニコニコしながら俺の隣の席をちょいちょいと指差す。
そういえば横の席の奴、今日休んでたっけ。…って、なに促してるんですか!?

「おーっ!転入生だぁああ!」
「っていうか、むしろ飛び級?」
「よろしくねっ、このみちゃん♪」
「妹系だー!よっしゃあああ!」
「それでは、柚原さん、一言どーぞっ!」

クラスの奴らが一斉に騒ぎ始める。
相変わらずみんなノリ良いな…。
それに律儀にぺこぺことお辞儀で答えるこのみ。そして、

「え…えっと、柚原このみです!タカくんがいつもお世話になっています!」

…。

一瞬の沈黙の後、クラス中から爆笑の声が上がった。


うー…。
このみの奴余計なこと言いやがって。
あまりの恥ずかしさに目の前が一瞬真っ白になる。
当のこのみは何をそんなに笑われているのかわかないようで、きょとんとしていた。
537クラスメイトごっこ 3/14:2007/07/08(日) 16:14:16 ID:fVP+AYth0

「うひひっ!!いつもお世話って!!お世話って!!
 親かっつーの!!嫁かっつーの!!ぶわーっはっはっは!!!」
「お前は笑いすぎなんだよ、雄二!」
とりあえず、直ぐ後ろの席でクラス一、大爆笑している雄二を思いっきり殴っておいた。
「ひひっ!!ひっく…で、でも良かったなチビ助。
 ずっと貴明と同じクラスになりたかったんだろ?」
「うん♪」
笑いを堪えながら言う雄二にこのみが嬉しそうに答える。
はぁ…。死ぬほど恥ずかしいけど、このみが喜んでくれたのなら、まぁいいか…。
そう思いつつも、もう一度雄二を殴っておくことにした。


「静かにー、静かにー!も〜ぅ、上級生らしく静かにしてよ〜!」
いつものように少し涙目になりながらクラス中に訴える小牧。
…元はと言えばこの騒ぎ、小牧の一言が原因なんだけどね。
「そうだぞー。小牧の言うとおり、お前ら上級生らしくしろー。」
ぱんぱんと手を叩きながら続けて担任も言うと、いくらか教室の騒ぎは収まった。
というか先生…あなたも乗っかるんですね…。

「はい。それでは改めてっと、実は、図書委員会の新作図書を受け入れる仕事があるんですけど、
 その今日の当番がウチのクラスみたいなの。でもウチの図書委員、今日は二人とも休んじゃってて…」
そういえば今このみが座ってる俺の隣の席…、ここに座ってた女子も図書委員だっけ。
クラスを見渡すと、もう一人の図書委員の席も空席になっていた。

もしかして二人してサボり…?

「それで、今日一日代理の人を立てて仕事をやってもらいたいんですけど…。」
538クラスメイトごっこ 4/14:2007/07/08(日) 16:15:50 ID:fVP+AYth0

えええええええっ!
教室中から不満の声が上がった。
そりゃそうだ。そんなめんどくさそうな仕事、引き受ける物好きなんて居るわけが無い。
どうせ誰も立候補しなくてクジにでもなるんだろうな。
頬杖をついてどこか他人事のように考えていると…

じーっ。
…横からものすごーく視線を感じる。

「えへ〜♪」
「なんだよ、このみ。」
「ここの席の人は幸せだな〜って思って。」
「ん?なんで?」
「だってタカくんの横顔を毎日こうやって眺めていられるんだよ?いいなぁ…。」
「そんなもんこのみくらいしか見ないってば。」
「え〜、そんなことないよ。」
「そんなことあるの。」
「そうかなぁ…。ねぇタカくんタカくん、この席の人って…女の人?」
「あぁ、そうだけど?」
「むぅー!」

ぷくーっと頬を膨らませるこのみ。
「えーっと…もしかして妬いちゃったとか?」
「そりゃ妬くよぉ!このままじゃこの席の人がタカくんの事好きになっちゃう!」
「…なんだそりゃ。」
「そうだっ!こうしてっ、こうしてっと…。」
このみは両手をぐいと広げて、机の両端を持つと
そのまま俺とは反対の方へずずずっと机を引きずっていく。
…そんな事したって明日には直されると思うんだけど…。
539クラスメイトごっこ 5/14:2007/07/08(日) 16:17:38 ID:fVP+AYth0

「いや、このみ?たしかその子、他の学校の男と付き合ってたような気がするけど…。」
「だめだよ!お互いに浮気ってことも…、んしょっと。」
浮気って…、もう少し俺の事を信用しろよ。

それにしてもこのみのやつ、このままじゃ廊下にまで机を持って行きそうな勢いだな。
仕方が無い。
「ほらほら、このみおいでおいで〜。」
動物を呼ぶような手つきで手招きする。
「え?タカくん?」
「そんなことしたらこのみまで離れて行っちゃうだろ?ほら、おいでおいで〜。」
「えへへ〜♪」
机を引きずったまま、今度はこちらに向かってずずずーっと寄ってくる。
単純な奴め。
「到着であります!」
当初の位置よりもだいぶ近くなってるような気もするけど、まぁいいか。
「よしよし。」
このみの頭の上にぽんっと手を置いたところでふと異変に気がつく。

…。
なんか妙に静かじゃないか?

ギギギギ…っとロボットの様に首を回してみると、
教室に居る全員が俺達のやり取りに好奇の眼差しを向けていた。

「お、お前ら…甘すぎるぞおおおおお!」
雄二の叫びをきっかけに、教室中から
わー!とか、きゃー!とか歓声が上がる。
慌てて手を離すと、俺もこのみも顔を真っ赤にして俯いてしまった。
顔から火が出るってのは、こういう状態を言うんだろうな…。
540クラスメイトごっこ 6/14:2007/07/08(日) 16:19:39 ID:fVP+AYth0

そんな歓声の中、雄二はニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべると、
得意の七色の声を使って見せ付けるように一人芝居を繰り広げ始めた。
「この席の人がタカくんのこと好きになっちゃうぅ♪」
「そんなわけ無いだろ…俺にはこのみしか見えないんだから…ほら、おいで。」
「タカくん…あ、ああああこんなところで、だめええぇ♪」
「このみぃいいいいい…俺の子供を、ごふっ!」

雄二の胸に向かって遠慮なく右ストレートを放つ。
「んなこと言って無いだろっ!TPOをわきまえろよな。そんなんだからお前はモテないんだよ。」
「TPOって、さっきまで教室でいちゃついてた奴に言われたくねーよなぁ。」
うっ…痛いところを突いてきやがる…。
「お、そうだ!良い事思いついた。おーい!いいんちょー!!」
「え、は、はい!向坂くん!?」
俺とこのみのやりとりに顔を真っ赤にしていた小牧は急な呼びかけに驚き、声を裏返した。
「さっきの仕事っての、河野くんと柚原さんが適任だと思いまーす!」

雄二のその言葉に…
「賛成!」
「ナイス向坂!」
「放課後に二人きり…いや〜ん♪」
「二人の始めての共同作業、皆さんどうか暖かい拍手を!」
「パチパチパチパチ!!」
「結婚おめでとーっ。」
「かんぱーいっ!」
クラス全員が答える。

お前ら…その団結力をもうちょっと違うところで発揮しようとは思わないのか…。
541クラスメイトごっこ 7/14:2007/07/08(日) 16:22:14 ID:fVP+AYth0

「えーっと、河野くん、柚原さん…お願いしても良い…かな?」
他の奴らとは違って遠慮がちに聞いてくるあたり、さすが小牧といったところか。
やれやれ…。こうなったからには仕方ないよな。
「わかったよ小牧さん。謹んでお受けします。」
「うん!タカくん、がんばろうね!」
このみもやる気まんまんみたいだ。

「はい、そういうわけで今日は解散ー。」
クラスの様子をニヤニヤ眺めていた担任が大きな声をあげて、ようやく帰りのHRは終った。


「それじゃ頑張れよ。貴明、チビ助。でも頑張りすぎて学校で…ごぶぁっ!」
余計なことを言いそうな予感がしたので先に殴っておく。
「さっさと帰れ。」
「へいへい。お邪魔虫はさっさと退散させていただきますよー。」
「じゃあね、ユウくん。タマお姉ちゃんにもよろしくね!」
「あいよ〜。」


二人で雄二を見送っていると、申し訳なさそうに小牧がやってきた。
「ごめんね河野くん、本当はあたしがやるべき仕事なんだけど、
 今日はクラス委員の仕事が遅くまでかかりそうで…。」
「いいっていいって。俺も暇だったし、このみだってそうだろ?」
「うん!大丈夫だよ。任せてください!」
「このみちゃんもごめんね。違うクラスなのにウチのクラスの仕事押し付けちゃって…」
「いえ、ワタクシ柚原このみは、今日一日このクラスの生徒になったでありますよ!」
ぽんっと胸を叩いて答えるこのみを見て、小牧は嬉しそうに笑った。
542名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 16:27:00 ID:f7NZmErn0
私怨
543名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 16:28:46 ID:jiXBtWPA0
sien
544クラスメイトごっこ 8/14:2007/07/08(日) 16:29:03 ID:fVP+AYth0

「ふふふ♪このみちゃん可愛い!こんな可愛い彼女が居て河野くんは幸せ者だよ〜。」
「そ、そうかな?」
「それに二人って、すごく自然…って言うか、しっくりくるって言うか…とにかくお似合いだよ。」
「えへへ〜♪お似合いだってさ、タカくん。」
ちゃんと聞こえてるから繰り返さんでいい!恥ずかしいだろ。

「コホン!それでコレが仕事の内容ね。そんなに難しい仕事じゃないから心配しなくて大丈夫だよ〜。
 あぅ!もうこんな時間、それじゃあたしもう行くから、二人ともお願いしますねっ。」
プリントを一枚差出し、ぺこりと丁寧にお辞儀をしてから、てとてと…と小牧は走っていってしまった。
「タカくんタカくん、それで、仕事の内容って?」
小牧のお辞儀に、これまた丁寧にお辞儀を返していたこのみが頭を上げてプリントを覗き込む。

え〜っとなになに…
545名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 16:29:29 ID:RBDKz6FT0
しえん
546クラスメイトごっこ 9/14:2007/07/08(日) 16:31:13 ID:fVP+AYth0

…。

「あぁ疲れた〜。」
「意外と時間かかっちゃったね。」
「まったく、このみがバーコードを何度も曲げて張るからだろ?」
「うぅ、だって難しかったんだもん…。」
今まで作業していた図書室を後にし、荷物を取りに教室に向かって歩く。


俺達がやっていた仕事の内容というのは、
まず校門に仕入れられた新書を図書室まで運び、
本のカバーをはがした後、すでに用意されたバーコードを後ろの表紙に、
そしてシールを背表紙に張り、最後にそれを本棚に収める。
…という、小牧の言うとおり誰にでも出来るような単純な作業だったんだけど…

予想以上の本の数と、
予想以上のこのみの不器用さのために、
予想以上に時間がかかってしまっていた。
予想以上に。

「…。」
このみも自分で自覚しているのか、すっかり肩を落としていた。
「そんな落ち込むなって。ジュース奢ってやるからさ。」
「ほんと!?やたー♪」
両手を挙げ、喜びを露にする。
こういう時は何か餌を与えるのが一番だってことは長年の付き合いから熟知していた。

ほんの少し遠回りして、自販機でジュースという名の餌を買い与えると、
このみは尻尾を振ってよろこんでいた…様に見えた。
547クラスメイトごっこ 10/14:2007/07/08(日) 16:33:11 ID:fVP+AYth0

ガラガラガラ。
「ただいまー。」
教室の扉を開けると自分の家に帰ってきたような感覚に陥って、
ついそんな言葉を口にしてしまう。

時間が時間だけに教室には誰も居なかったが、
窓から差し込むオレンジ色の夕焼けによって昼間とはがらりと表情を変えた教室。
そこは誰も居ないという状況がとても良く似合っていた。

ドラマのワンシーンみたいだな。
…そんな風に考えながら自分の席に腰掛けると、いそいそと帰りの支度を始める。
「タカくん…。」
「あ、ちょっと待ってな。すぐ終るから。」
乱暴に教科書をかばんに詰め込む手が、何かの抵抗により不意に止まる。
俺の制服の袖をぎゅっと握るこのみの手。
「ん?どうかした?」
「あのね…私、もうすこしこの教室に居たい…。」
「へ?」
「だって…、明日になったら、また別々のクラスだから…。」

なるほど、そういうことか。

「それじゃ、少しだけだぞ?下校時間過ぎると色々めんどくさいからな。」
「やたー!」
そのまま隣の席に座ると、足をぶんぶん振って喜びを全身で表現する。
ほんとにわかりやすいよな、このみって。
548クラスメイトごっこ 11/14:2007/07/08(日) 16:35:30 ID:fVP+AYth0

「そんなに同じクラスが良いのか?」
「当たり前だよー!同じクラスになったら授業中ずっとタカくんを眺めるんだぁ♪」
「少しは黒板も見なさいっ。」
「わかってるよぉ。」
すねたような仕草。その頭にぽんと手を載せる。
「えへへ〜♪」
すぐに機嫌を直してしまうこのみが可愛らしくて、つい顔が綻んでしまった。

クラスメイト…。このみが同じクラスだったら…か。

そうだ!

さっとこのみの頭から手を離してから澄ました表情を作り、きちんと椅子に座りなおす。
「?」
怪訝な顔をしてるこのみは無視してっと。

「あーっ!しまったぁああ!宿題やってくるのすっかり忘れたー!
 ごめん柚原さん。見せてくれないかなぁ?」
パチッと手を合わせてこのみ…もとい柚原さんにお願いのポーズ。
「??」
「ほら、このみも。」
「えっと…どしたの、タカくん?」
「だーかーらー、クラスメイトごっこ。同じクラスになりたいんだろ?ほら、柚原さんも!」
「あ、うん。えーとタカく…じゃなくて、河野くんまた忘れたの?しょうがないなぁ。」
棒読みな台詞を吐きつつ、柚原さんはカバンからの適当なノートを取り出す。
「ありがとっ!恩に着るよ!」
「河野くんったらすぐ私に頼るんだから!少しは自分でやんなきゃだめだよ?
写してばっかりじゃ自分のためにならないんだからね。」
549クラスメイトごっこ 12/14:2007/07/08(日) 16:37:31 ID:fVP+AYth0

むむむ。そういう世話焼きキャラで来るか。
俺も負けじとノートとシャープペンを取りだし、答えを書き写す…フリをした。
「あ、柚原さん、ココ間違ってるよ?」
「え?あ、そう?ごめん。」
「あとココも。」
「うぅ…」
「あとココとココと、それにココ。あとココもだ!それにそれに…」

「もーっ、タカくーん!なんでそんなに私お馬鹿な設定になってるのぉ!?」
「タカくんじゃなくて河野くんだろ?まったく。これ位のアドリブ対応してもらわないと。」
「むーっ、それじゃ河野くんにはもう見せてあげないっ!」
ひょいっと俺の机から自分のノートを取り上げる。
「へへーん、残念でした。もう全部写し終わっていましたー。」
「むむむむむーっ!タカくんいじわるだよぅ!!」

頬を大きく膨らませて完全にむくれてしまっている。
やりすぎたかな?
「ごめんごめん、そんなに怒るなって。」
「うーっ。いいんだいいんだ。タカくんがそうやって毎日女の子に
 宿題見せてもらってる…っていうのは良くわかったんだから。」
「それは誤解だって!むしろ俺は見せてやってるくらいだよ。雄二とか雄二とか、あと雄二とかに。」
「ホントにー?」
「ほんとに。」
「ホントにホントにー?」
「ほんとにほんとにほんと!それよりほら、クラスメイトの気分は味わえた?」
「んーと、えーっと、…微妙かも。」
「…だよな。」
550クラスメイトごっこ 13/14:2007/07/08(日) 16:39:23 ID:fVP+AYth0

…。
ぷっ。

「「あははははっ」」
二人の笑い声が静かな教室に響いた。

〜♪〜♪〜♪
その直後、今度は下校時間を意味する音楽が校舎に響き渡る。

「あっ…、もう下校の時間だね…。」
それまで楽しそうに笑っていたこのみの顔に陰りがさす。
「あぁ。そうだな。」
「帰らなきゃ…。」
静かに立ち上がるこのみ。俺も同じように静かに立ち上がると、このみの腕を握る。
「タカくん?…わわっ!」
その手をぐっと引くと、バランスを崩したこのみがこちらに倒れこんでくる。
それをぽすっと胸で受け止めると、そのまま少しきつい位に抱きしめた。
「このみ…。もうちょっとだけ、クラスメイトでいよっか…。」
「…うん。」


クラスメイトで居られるのは今日一日だけ。
また明日からいつも通り別々の学年、別々のクラスで過ごすことになる俺とこのみ。
でも、そんなことちっとも問題じゃ無い…素直にそう思えた。

だって…二人の気持ちはこんなにも強く繋がっているのだから。

「タカくん…。違うクラスでも…私達いつも一緒だよね?」

その問いに、言葉ではなく唇を重ねる事で答える事にした。
551クラスメイトごっこ 14/14:2007/07/08(日) 16:41:03 ID:fVP+AYth0

そんな教室を密かに覗き見る影が廊下に二つ…。

「わわわっ!郁乃、ち、ち、ち、ちゅ〜ってしたよ!?」
「わかってるわよ、お姉ちゃん。恋人同士なんだからキスくらいして当然でしょ?」
「はわわわ、はわわわわわわ!またちゅ〜って!」
「はぁ…、何でこんな覗きみたいなことしなきゃなんないのよ。」
「しょ〜がないでしょ?あたしの荷物教室の中にあるんだから。
 それに、このみちゃんは郁乃と同じクラスでしょ?」
「そりゃこのみとは仲良いけどさ…。
 姉妹そろってコソコソ覗きなんて…なんか悲しくなってきた。」
「それは同感…。」

ひゅ〜。

熱々な空気をかもし出す教室の中とは対照的に、
小牧姉妹が身を潜める廊下はとても寒々としていた。



おわり。
552名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 16:46:37 ID:D2p2P4ErO
>>527
GJ!
でも草壁さんとささらはエッチに寛容だと思うぞ。特にささらなんかイルファ以上じゃね?
553↑の作者:2007/07/08(日) 16:48:11 ID:fVP+AYth0
>>519みたいに言われるような気がしていたので、
同時進行してた(…というより没にしようとしてた)このみSSも修正して投下。
とりあえず「けだものさん」での反省を活かして、ボリューム↓。
二つ目の作品で早くもボキャ貧が露呈し始めたけど、そんなこと気にしない。
あと、支援ありでしたー

>>521
指摘ありがとうございます。またやらかすところでしたw
554名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 17:33:19 ID:pwnLlRR80
>553
GJ。このみが2−Bに乱入ってシチュ、凄くいいな(*´∀`)
555名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 17:57:41 ID:w7Pf7nLd0
>553
やばい、このみがかわいいすぎる。そして最後の小牧姉妹も哀愁がただよってナイス!
あえてエロエロにしないでキスでしめるのがいいね〜

エロエロはタマねえでいいけど、ラブラブはこのみかいいんちょだよね。

本当にご馳走様でした。
556名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 21:43:08 ID:P+3Y2RKr0
>>530
草壁さんが84・54・80に対し委員長は83・58・84
どっちかっていうとスレンダー気味な草壁さんに対して委員長は下2つが4cmずつ太いからな。
ていうかこのみより細い草壁さんが異常
557名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 22:44:26 ID:9V8Ip7AWO
なんとなくage
558名無しさんだよもん:2007/07/08(日) 23:14:17 ID:orGzkjr00
【総連】「安倍一味には負けない」総連弾圧に対して措置取る…朝鮮外務省代弁人声明
ttp://news21.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1183572310/l50
「じゃあ、これは生徒会に出しておくから」
「いつも悪いわね」
「ううん。ついでだもん」
女子生徒から預かったプリントを片手に微笑むお人好し。
小牧愛佳。人呼んでいいんちょ。2−Aにも知り合いと用事は少なくない。
「さて、戻るとしますか……あ」
腰を上げた愛佳の横を通り過ぎる赤っぽい髪。
「玲於奈さ……ん……」
挨拶しかけた愛佳を無視して窓際の席に座る少女に、近寄る者はいなかった。

「あー、転校生ねー」
愛佳に礼を言っていた女子生徒が、眉をひそめる。
「なんか感じ悪いんだよね。愛想ないし」
「あの子一学期もいてさ、確か三人でつるんでてさ。お高くとまってたよねえ」
後ろの席から割り込む別な声。
「この前一度いなくなったのに、戻ってきたんでしょ? しかも一人で」
「そうそう、それなんだけど、聞いてる、小牧さん?」
「え? な、なんでしょう……?」
突然話を振られ、曖昧な返答で会話を流す愛佳。

「あの子さーあ、男追っかけて戻ってきたんだってよ」
「追っかけて? っていうか、こっちで付き合ってた男に未練があって?」
「うわ、友達より彼氏作り」
「くっついてんでしょ? だからクラスの事なんてどうでもいいって態度」
「それ関係ないじゃん」
「出戻りなんだからちったぁ頭下げてりゃいいのに。そう思わない? 小牧さん?」
流した会話は、だいぶ加速がついて戻ってきた。
「あ、あは……はは……」
彼女らのいう「男」の親友の彼女としては同調も否定もできず、愛想笑いで誤魔化すが、なお食い付いてくるA組女子軍団。
「あの子の彼氏って愛佳のクラス……」

とんとん。
「愛佳、ちょっと」
肩を叩いて愛佳を会話の渦巻きから救い出したのは、眼鏡の少女、長瀬。
「あ、由真、今いく。ごめんね、それじゃ、また」
これ幸いと離脱。教室後方に退避。
「なあに?」
まだ、愛想笑いが顔に残ったまま、長瀬に問いかける。
「……」
が、長瀬は妙な顔をして。
「……忘れた」
「はい?」
ニコ顔のまま首を傾げる愛佳。
「忘れたったら、忘れたの」
むすっと不機嫌顔。
どうやら、用事は愛佳を救い出す事そのものだったようだ。
「あは……ありがとう」
それに気づいて愛佳、"わかってるよぉ♪”なニコニコ顔。
「……」
「ひひゃひひゅははへへ(痛い由真止めて)」
長瀬は口を尖らせたまま、愛佳の頬を引っ張った。
それにしても。
「まずいなぁ、これは」
窓際の席で教室内に背を向ける玲於奈の姿を見て、愛佳は独りごちた。

一方その夜。小牧家。食後。
「お姉ちゃん、ちょっと、お願いがあるんだけど」
部屋に戻ろうとした愛佳に、郁乃が頼み事を持ちかけた。
「なになに、なあに? なにかな? なにかなっ?」
珍しく「お姉ちゃん」なんて呼ばれて「お願い」なんてされて、瞳をキラキラさせて勢い込む愛佳。
「……はぁ」
こうなるから滅多に頼まないのだけど。
図々しく溜息なんぞつきながら、郁乃は愛佳に依頼の内容を話した。

祝日明けの木曜日。晴れ。

「たかあきくん、今日、お昼、屋上で食べよ?」
相変わらず休み時間は飛び回っている愛佳が、戻ってきて貴明を誘った。
「ああ、うん、どこでも」
頷く貴明。
「仲のよろしいこって」
「ひとの事言えないだろ。最近は」
冷やかす雄二に貴明が反撃。
「そう、それでさ、向坂くん」
愛佳が続けた。
「向坂くんと玲於奈さんも、一緒にどうですか? お弁当」

屋上。
この時期、通り過ぎる風には冬の気配も含まれつつ、
お日様さえ出ていれば、まだまだ快適に過ごせる空間である。

「何故、私が河野さんなどと御一緒しなければならないのです?」
「そう言うなって、俺のダチだよ」
「分かってますけど……」
「ごめんなさい。無理に付き合わせて」
あまり筋合いはなさそうな玲於奈の不平にも、手を合わせて謝る愛佳。

「郁乃がですね、張り切ってお弁当作り過ぎちゃってですね」
「え、郁乃なの?」
「このみちゃんにお昼ご馳走するって約束したんだって。昨日二人で、丸一日かかったよぉ」
嬉しそうに貴明に説明する愛佳。
妹に頼まれて一緒に料理を作るなんて、無愛想な妹を持つ過保護な姉には至福の時だろう。
「張り切りすぎたのは、郁乃だけか?」
貴明が苦笑した。
「あ、タカくん、ユウくん、小牧先輩〜!」
四人が床にシートを広げていると、出入口から元気な声がした。

「遠くから声を掛けるな、恥ずかしい」
屋上には、ちらほらと他の生徒達の姿も見受けられる。
「今、行くよ〜♪」
が、雄二の注意も逆効果で、周囲の目など気にもせず手を振るこのみ。
普段なら、はしゃいで走ってきそうなシチュエーションだが、少女はまだ動かない。
理由は。
「……耳元で大声出さないで」
顔をしかめて左肩に掴まる級友の存在。
屋上に上がるエレベータはないため、郁乃も車椅子を踊り場において階段を昇ってきたのだ。
左腕には、ロフストランドクラッチ。右腕用を、このみから受け取って歩き出す。
転校から二ヶ月、だいぶ足と腕の力が付いてきて、かなりの距離を自足歩行可能になっていた。

「玲於奈先輩も、こんにちはです」
近づいてひょこんと頭を下げた、このみは玲於奈と面識がある。
「……誰?」
いっぽう、郁乃が玲於奈と会うのは初めて。にしても。
「し、失礼な子ですわね」
((いや、まったくだ))
初対面で無礼な態度に憤慨した玲於奈に、思わず心の中で頷く貴明と雄二。
「ご、ごめんなさい」
慌てて頭を下げる愛佳。郁乃はしれっとしている。

「玲於奈さんはね、ユウくんのカノジョだよ」
このみの、ストレートな、紹介。
「か、かかか、かのっ、じょっ!?」
一瞬で耳まで染まる玲於奈。
「あれ、ちがったっけ、ユウく……」
「違いませんっ!」
大声を出した玲於奈の顔は、集まった視線を受けて更に炎上した。

「とっとっと」
「わ、だいじょ……」
「ぶだからいい」
手を差し伸べようとした姉を押しとどめた郁乃。
「はい、郁乃ちゃん」
このみが、持参したクッションをシートの上に置く。
「ありがと」
郁乃は、クッションにお尻を落とし、貯水槽の基礎に背中を預けて足を左斜め前方に伸ばす。
ちょこん、とその隣に女の子座りするこのみ。
小柄な一年生二人で、こじんまりとした空間を形成している。

「しかし、すげー量だな」
雄二が呆れる重箱2つとタッパー2つ。ご飯は別容器。
「あははは……はい、たかあきくん」
「サンキュ」
愛佳が紙皿と割り箸を回す。
きっちり6膳、雄二達の分まで箸は用意されていた。
(……予定の行動?)
(さあて、どうでしょう?)
小声で聞いた貴明に、愛佳がとぼける。

「開けていい?開けていい?」
そんな会話は露知らず、このみがせっつく。
「どうぞ」
答える郁乃は、ちょっと視線を逸らして緊張気味。
「てりゃっ!たあっ!えいっ!」
やたら気合いを入れてご開帳。

「うわぁ……」
このみの目が輝いた。
ハンバーグ。ミートボール。サイコロステーキ。
いわゆるお子様メニュー。卵焼きもタコさんウインナーも完備。
「こ、これが全部、このみのもの……」
感動のあまり、握りしめた拳が震えている。

「食べたいって、言ってたでしょ」
「だからって片っ端から作るか、普通?」
郁乃の言葉に、貴明が呆れかえる。春夏だって、そんな事はしない。
「肉ばっかだと、身体に悪いぜ」
「あ、こっちはバランス考えたから、私が主担当で」
愛佳がもうひとつの重箱を開けると、春巻とか、しそ巻きとか、煮物とか、なかなか地味に色彩豊か。
「野菜もあるわよ」
郁乃が開けたタッパー2つはサラダと野菜炒め。なんだか豪快。
「で、できればピーマンだけは……」
このみが怯む。
「入ってない」
だが、郁乃が淡々と杞憂を払う。
「やたーっ、ありがとう郁乃ちゃん」
抱きつかんばかりに喜ぶこのみ。郁乃がのけぞる。
「う、まあ、喜ぶのは、味見てからにして」
「そうそう、食べて食べて」
姉妹の勧めを合図に、皆が箸を割る。
「いただきまーす」
真っ先にハンバーグに手を伸ばすのは、やっぱりこのみ。

ぱく。

「……」
「ど、どう?」
「おいしい……すっごくおいしいよ郁乃ちゃん!」
「……そう」
満面の笑顔になったこのみに、郁乃は照れてそっぽを向いた。

「タカくん、夜ご飯ちゃんと食べてる?」
「まあ、適当に」
「むー、またカップラーメン? だめだよ、ちゃんと栄養取らないと」
「そっちこそ、ちゃんと宿題やってんのか」
「えっ、えーっと、や、やってるよ、うん」
「学校で、アタシとね」
「い、郁乃ちゃん、それはいわない約束」
「……ウチのこのみがお世話になっているようで」
「あははは、ウチの郁乃もお世話になってますから」
並びは雄二から反時計回りに郁乃、このみ、貴明、愛佳、玲於奈。
重箱をつっつきながらの会話。
貴明は郁乃とも親しい−当人同士の意見はともかく−し、このみとは言わずもがな。
「ユウくんは、タマお姉ちゃんがいなくなってタルんでない?」
「なんだその言い草は。貴明ん時と違いすぎるぞ」
雄二も、幼馴染みの少女と接すると口が軽くなる。もとから軽いけど。

問題は。
「……」
「行ったり来たりで大変だったと思いますけど、落ち着きました?」
「え、ええ。まあ」
愛佳が気を遣っても、明らかに一人浮いている玲於奈。
「ごちそうさま」
ほとんど喋らないまま、早々に箸を置く。
「あ、あれ、お口に合いませんでした?」
「別に、そんな事はありませんわ」
「あのっ、お茶持ってきてますからっ」
「結構です」
愛佳の勧めを断って、玲於奈は席を立とうとする。

「……もう少し、いろよ」
だが、その玲於奈に、雄二が声を掛けた。
566名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 20:33:41 ID:1l3lqsanO
支援
「……はい」
いっとき逡巡したものの、再びぺたんと座り直す玲於奈。
愛佳がレジャーポットから注いだ緑茶を受け取って、両手で口元に運ぶ。
「「「……」」」
このみと郁乃、話題がない。貴明、話しかける勇気がない。
「えっと、か、薫子さんと、カスミさんは、元気ですか?」
挑戦者は、またも愛佳。

「どうして貴方に報告しなければならないのです?」
が、玲於奈は愛佳を睨みつける。
「そっ、それは……そうなんですけど……」
愛佳は玲於奈の視線に怯みつつ、なお接触を試みる。
「あ、ほら、前にこっちに居たときに、凄く仲良さそうでしたから」
「仲は今でも良いですわ」
それも、ぴしゃりと跳ねつける玲於奈。
過去形の物言いが気に障ったらしく、口調は更に冷たい。
「ですから、別に貴方などに気を遣っていただかなくても結構です」
追撃。
「家柄のない友人を作りに、この学校に戻ったわけではないのですから」
「……ごめんなさい……」
玲於奈の言い分も理不尽だが、おせっかいの自覚がある愛佳はしゅんとなる。
それを見て、玲於奈の顔にもチラッと後悔の色が浮かんだが、そのままそっぽを向いた。
「愛佳」
貴明が小さく声を掛けて、俯く少女の背中に触れる。
「ん……」
愛佳は、少年に視線を渡して微かに表情を和ませるが、ややあって再び顔を上げる。

「で、でもねっ、玲於奈さんっ」
まだ頑張る愛佳、だが。
「気を遣うなって言ってるんだから、放っておけばいいのよ」
矢は、横から飛んできた。

声の主を見るに、郁乃が仏頂面で玲於奈に冷ややかな視線。
「何か?」
「別に。アンタじゃ作ろうと思ったって友達なんて出来ないだろうって思っただけ」
「っ!」
玲於奈の顔が、カッと灼ける。
「前の学校の友達だって、いつまで友達でいてくれるかしらね?」
なお畳みかける郁乃。
姉の好意を袖にした玲於奈の行為に、相当怒っているようだ。
「あ、貴方に私の何が判るというの!」
「友達捨てて追っかけてきたんでしょ? 家柄のいい男をさ」
嫌な目で雄二を見る郁乃。
玲於奈の顔が、赤から白になる。口が開いて、言葉を探す。

が、その前に雄二の腕が伸びた
「うくっ」
右手で郁乃の胸ぐらを掴んで引き寄せる。身体が浮いて、郁乃が小さく呻いた。
「……周囲がみんな、貴明や小牧みたいなお人好しだと思うなよ」
低い声で凄むが、郁乃は唇を歪める。
「あら、気に障った? 向坂家のお坊ちゃま?」
「てめぇっ!」
雄二の左拳が振り上げられる。郁乃も、凄い形相で睨み返す。
その二人の間に、横から手のひらが割り込んだ。
「やめろよ。雄二」
貴明だった。
ぎろり、と雄二は鋭い視線のまま貴明をねめつける。
郁乃は、ちらっと横に視線を流しただけ。
続く睨み合い。

「……雄二さんが怒る必要は、ありませんわ」
打ち切ったのは、玲於奈の言葉。
「私が雄二さんに会うために此処に戻ったのは、事実ですから」

「「……」」
玲於奈の台詞に、睨み合っていた二人が毒気を抜かれた顔になる。
すっ、と雄二が手を離す。
「郁乃ちゃん、足、大丈夫?」
「ん、へーき」
無理な姿勢を心配した級友に、何事もなかった顔で答える郁乃。
貴明がほっと息を吐く。

「……にしても」
全員の視線が、玲於奈に集まる。
「な、なんですの、私、なにかおかしい事を言いました?」
「……いや、別に」
否定しつつ、雄二が右手で顔を覆う。
「良かった」
ニコっと玲於奈。さっきまでの邪気はどこへやら。

「「「うわ……」」」
貴明、郁乃、このみ、溜息のち沈黙。
「ゆ、ゆゆゆ、雄二くんっ!」
愛佳が突然、皆がぎょっとするような大声。
「な、なんだ?」
「玲於奈さんのこと、大切しなきゃだめだよっ!」
拳を握ってがんばれポーズ。何かのスイッチが入ったようだ。

「……ああ」
右手を顔に残したまま−赤い頬を隠すためだろう−、雄二は頷いた。
「あ」
雄二の態度で、自分の発言のストレートさに気づいたのか、
今頃になって、玲於奈も頬を染めた。
570名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 20:39:41 ID:vsXg6BRJ0
shien

「まったく。馬鹿には敵わないわね。ごちそうさま」
「郁乃ちゃん、もう食べないの?」
郁乃の皮肉と、このみの誤解。
「まだ食べるけど、これは食べていいわよ」
誤解は訂正。
そしてこのみの視線の先にあるミートボールの山は明け渡す。
「えっ? 全部、全部このみが食べていいの?」
このみ、目を輝かせて周囲に確認。
「「……どうぞ」」
苦笑しながら頷く貴明と、ニコニコしながら愛佳。
「やたー!」
バンザイしたこのみの手から、箸がすっぽ抜けた。

「あ゛」
からん、と転がる割り箸2本。シートの外。コンクリートの上。かなり砂まみれ。
「あ゜、あうぅぅっ」
このみが、形容しがたい声で唸る。
「愛佳、箸ある?」
「ご、ごめんなさい、家にちょうど6膳しかなくって……」
無情な会話。
「ぅうぅうぅうぅうぅぅ」
「おいおい、拾う気かよチビッコ」
雄二が呆れて声を掛ける間にも、このみの手はじりじりと箸に近づいていく。
「さ、最初だけ、最初だけ我慢すればきっと……」
その様子を見て。
「……よければ……」
私のを、と言い掛けた玲於奈だったが、

「このみ、こっち向いて」
その前に、郁乃が級友を呼んだ。

「い、郁乃ちゃん、止めてもムダだよ。このみはまだ……」
「口、開けなさい」
「へ?」
ぽかん、と開いたこのみの口に、郁乃が自分の箸でミートボールを放り込んだ。

むぐむぐむぐ。
「……えへへ」
泣きそうだった顔が、くしゃっと崩れて笑顔のこのみ。
「……」
しばし、少女の顔を見つめた郁乃。
やがて、無言で次のおかずに箸を伸ばす。
微妙に頬が緩んでいる。

ぽいっ。
むぐむぐむぐ。
ぽいっ。
むぐむぐむぐ。
ひょい。
「あ、トマト……」
「……これは、アタシの」
自分で食べて、次、卵焼き。
「うわぁ…」
郁乃が目標を目の前に突き出すと、このみはパクリと食い付いた。
「ひへへー」
もうこれ以上ないってくらい幸せ顔。
「……」
郁乃はポーカーフェースを装ってはいるが、どうみても頬が紅潮している。
「美味しい?」
「うんっ!」
そんな会話に、なんだか手つきも怪しくなって、郁乃はこのみの餌付けを続けた。
で。
「うあぁぁあぁ……」
一年生コンビの言動に、今度は愛佳が壊れる。
「カップルふた組を差し置いて、なんですかこの雰囲気は?」
「いや、俺に聞かれても」
「かくなる上は、たかあきくんっ!」
「はい?」
嫌な予感に身をすくめた貴明に向かって、愛佳。
「あ、あ、あ〜ぁんっ」
アスパラ巻きを差し出す。語尾も箸先も、ぷるぷる震えている。
「い、いや、愛佳、俺は自分の箸があるからさ……」
ぺし。
「い゛っ゛」
「無くなったねっ♪」
恋人の手から割り箸を叩き落とした愛佳は、再び貴明に迫る。
「あ〜〜〜んっっっぅ!」
「……ぱく。」
気迫に押されて、貴明は目を瞑って愛佳の箸をくわえた。
「あ、いいなあ、タカくんにあーん、このみも……」
「このみは、こっち」
「……はぐはぐ」
目移りしかけたこのみを、郁乃が引き戻して給餌続行。
「……」
寄り添う二組を前にして、玲於奈が雄二にちらっと視線。
「やらなくて、いいからな」
念のため、雄二は釘を刺す。
「……わかってますわ」
ほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。

「今度、私の手作り弁当でさせて頂きますから」
「え゛」
574名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 20:47:34 ID:EhWZ5Kmz0
深淵

「あ、そうだ」
周囲の生徒達がそそくさと逃げ出すような、ピンク色の昼食が終わって。
「これ、貰ったんだけど」
郁乃が、貴明に一枚の紙切れを投げてよこした。

「無料入館券?」
「水族館。今週から新装オープンだって」
「どうしたの? これ」
「星乃さんに貰った。けど、アタシは行く気ない」
通院先の看護婦の名前を出す郁乃。
生意気な郁乃は病院でも賛否両論だが、賛の方にはけっこう可愛がられている。
「1枚5名様までって、家族向けだよな、どうみても」
「制限はないでしょ」
「うーん」
「どうせデートで行くつもりだったでしょ? 使いなさいよ」
「二人で使っちゃうのもなぁ……」
元がタダでも、使用可能数を余すのはやっぱり勿体ない。

「向坂くん、よかったら一緒に行かない? もちろん、玲於奈さんも」
貴明が悩んでいると、愛佳が雄二を誘った。

玲於奈に直接声掛けしないあたりは学習しているようだが、
さっきの会話の内容を考えれば、十分チャレンジャーな申し出である。
「そうだな……」
しかし、相棒の様子を窺う雄二。
玲於奈は、気乗りはしないようだったが、雄二に任せると視線で示す。
少し考えて、
「じゃ、お言葉に甘えるか? この前行き損ねたしな、水族館」
「雄二さんが良いのなら、それで」
意外とあっさり、そういうことになった。

「じゃ、じゃあ、今週の日曜日。10時に現地集合で」
自分で誘っておきながら、雄二達の参戦に多少動揺しつつ愛佳が仕切る

「土曜の午後でも、いいんじゃないか?」
貴明の指摘。水族館なら、学校から行った方が近い。
「えっとね、日曜日だとキングペンギンのお散歩があるらしいの」
入館券の裏を見ながら、愛佳が解説。
ペンギン。
という単語に、玲於奈も反応しかかったがその矢先。

「ええっ! ペンギンのお散歩っ?」
裏返った声は、参加予定がないこのみ。
「あ、えっと、なんでもないよ。うん、なんでもないよ」
すぐに口に手を当てて否定するが、感情は明らかだ。
貴明と愛佳は、顔を見合わせて悩む、けど、これはちょっと誘いにくい。
が。
「このみ、行きたいの?」
「えっ、で、でも……」
「見たいんでしょ? ペンギン」
「うん……」
郁乃が少女の真意を聞き出して。

「たかあき、自費ね」
貴明の手からチケットを取り返した。

さっき行く気ないって言っただろ、とか、なんで俺なんだ雄二だって男だぞ、とか。
無駄な事は、貴明は口にしなかった。
577名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 20:54:37 ID:238ncZPa0
以上です。支援ありがとうございました。

なんかOVAでは郁乃の愛佳への呼びかけは「姉貴」らしいですが、
見てないし今更変えられないのでこのSSでは「お姉ちゃん」でいきます。
箸を落っことす場面はねがぽじから、星乃さんの名前は君望から拝借。
578名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 21:13:12 ID:piqWUjIr0
毎度ながらGJ。郁乃が相変わらずやってくれるw
たしかXRATEDじゃ「お姉ちゃん」って呼んでなかったっけ?うろ覚えだけど。
579名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 21:32:11 ID:vsXg6BRJ0
CDドラマでも「お姉ちゃん」だから、結論としては「どちらでもよい」
場面によって使い分けるのもアリ
580名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 21:38:04 ID:238ncZPa0
>578
読み返したら5月12日に「お姉ちゃん」呼びしてましたね。安心と、またも確認漏れを恥
581名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 21:46:13 ID:quVMkSnH0
GJ。
外だと「おふくろ」だけど
家だと「かあちゃん」みたいなもんか。
582名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 22:12:49 ID:1PHEbxIM0
俺なんて学校で先生を「おかあさん」って呼ぶぜ
583名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 22:59:24 ID:PZKCljCP0
この話はこのみと郁乃のらぶらぶ話でしょうか(笑
愛佳もいい味出してるし。
ほんとといい話でした。
584恋愛同盟2-真夜中のお茶会:2007/07/09(月) 23:13:42 ID:pJAwpFOu0
「それじゃ、3人でパジャマパーティをしましょう。」
「は?」
「へ?」
草壁さんの提案に、わたしと由真は思わずそんな答えを返していました。
だって、たかあきくんを賭けた勝負に対する条件で、そんなこと要求されるなんて思って
も居なかったから…

                    −

あの日。
たかあきくんと草壁さんが再会を果たして、そしてそれを目撃したあたしと由真が、屋上
で二人で大泣きした日に、わたしはたかあきくんのことを諦めようと決めた。
昔からいろいろなことを諦めてきたから、諦めるのは慣れていると思ってた。
だけど、一度たかあきくんを好きになった気持ちを諦めるのは簡単じゃなくて、クラスで
たかあきくんと草壁さんが仲良くしているのを見ると、また涙が出て来そうになるのを堪
えるのがとてもつらかった。

そんな風に悶々としてた時に、由真に呼び出された。
放課後に中庭に行ってみたらそこにはたかあきくんと草壁さんも居て、そこで由真はたかあきくんに向かって好きだってはっきりと告白した。
そしてわたしにも、どうするのか?って聞いてきた。
わたしはいきなりで驚いたけど、でもはっきりこの場で告白して断られたほうが諦められ
ると思って、たかあきくんに「好きだ」って告白したの。
そうしたら、由真ったら、

「あたしと愛佳は、河野貴明を賭けて、あんたに勝負を申しこむっ!」

だなんて、わたしはもうびっくり。
諦めるために告白したのに、草壁さんに挑戦だなんて…
由真ったらどうするのよ〜
585恋愛同盟2-真夜中のお茶会 2/12:2007/07/09(月) 23:15:18 ID:pJAwpFOu0
「えっと…お二人は貴明さんとはどういうご関係なんでしょう?」
当たり前の話だけど、草壁さんはわたし達にそういう質問を投げかけてきた。
「あたしは…ライバル、かな?…いろいろあって…その、ぱ、パンツ見られたりとか、
 か、体さわられたこともあったけど…でも、今では二人で居ると楽しいって、思えるよ
 うになったの。」
そう言いながら由真は胸を押さえて赤くなってる。
「いや、パンツ見えたのとかは不可抗力だろ…」
「…貴明さん、少し黙っていてください。」
草壁さんが笑顔のままそういって、たかあきくんを黙らせた。…な、なんか、草壁さんの
笑顔が怖いよぉ…っと、わたしも言わなくっちゃ。
「わ、わたしは、放課後に書庫の整理を手伝ってもらって…たまにそこで一緒にお茶した
 り、お互いの異性の苦手を克服するための訓練したり…とか。でもいつの間にか二人で
 書庫ですごす時間が楽しみになっていて、たかあきくん、って名前を呼ぶようになった
 頃には、たかあきくんと恋人同士になれたらいいのになぁって、思うようになってまし
 た。」
「……はぁ、そうですか。」
草壁さんちょっとあきれてるみたい。
「再会してわかったんですけど、貴明さん女の子には無条件に優しくしてしまうところが
 あるみたいで…貴明さんはお二人のことどう思っているんですか?」
たかあきくんは少し困ったような表情で、でもはっきりと草壁さんに答えた。
「確かに…由真と一緒に居るときは、鬱陶しいと思うこともあったけど、楽しかったし、
 小牧さんと…愛佳と一緒に作業していて、そういう関係になりたいと思った事もある。
 でも俺は草壁さんを…優季を選んだ。優季のことが一番大事だと思ったから。」
その言葉をきいて、わたしの胸がちくり、と痛んだ。わたしたちと草壁さんとの差はほん
の少しで、もう少しだけたかあきくんの方へ踏み込んでいれば、選ばれていたのはわたし
の方だったのかもしれない。
いつだって私は一歩引いてしまっていて、その度に、手に入れられていたはずの何かを逃
してしまっていたと思う。そして、今回もそれは同じだった。
586恋愛同盟2-真夜中のお茶会 3/12:2007/07/09(月) 23:16:42 ID:pJAwpFOu0
「ということは、貴明さんも二人に対する好意は少なからず持っているということです
 ね。」
うーん、という感じで草壁さんは少しの間考え込んでいたけど、しばらくして、
「わかりました。お二人の挑戦をお受けします。」
「ええっ、ちょ、ちょっと、草壁さん!」
「貴明さん。」
草壁さんはたかあきくんのほうに振り向くとにこっと笑って言いました。
「私は負けるつもりなんかありませんよ。ただ、お二人が真剣だから、勝負をお受けして
私が貴明さんのパートナーとしてふさわしいと認めてもらうだけです。もちろん、挑戦を
受ける側の権利として、幾つか条件を出させてもらいますけど。」
「条件?」
「ええ、まずは…」

                    −

そして夜の現在(いま)。
わたしと由真は草壁さんの部屋で、パジャマ姿で草壁さんと向かい合っていました。

草壁さんから提示された条件は、女の子同士のパジャマパーティに参加する事。
そしてその時にはたかあきくんとの馴れ初めとなった思い出に関わる品物を持参する事。
今日は丁度土曜日で授業も午前中だけだったから、一度家に帰って準備して再度集まるこ
とになりました。
ちなみに、たかあきくんは今日の話し合いの結果を明日報告するということで、この場は
帰ってもらうことになりました。
587恋愛同盟2-真夜中のお茶会 4/12:2007/07/09(月) 23:18:18 ID:pJAwpFOu0
わたしは一度家へ帰ってお泊りセットを用意すると、お母さんに友達のうちに泊まると伝
えてもう一度学校へと向かいました。
途中、駅前でちょっと買い物をして学校に急ぐと夕方の校門前には草壁さんが待ってい
て、それから暫くして由真があわててMTBで走ってきました。
そして、わたしたち3人は草壁さんのお家へと向かいました。
「でも、なんでパジャマパーティなんですか?」
道すがら、わたしは疑問に思っていたことを草壁さんに聞いてみた。
「お二人がどんな人か、それにどんな風に貴明さんを好きになったのか、知りたかったか
 らです。挑戦者がどんな性格の人かとか、どんなことが得意かとか、挑戦された側とし
 て知りたいのは当然ですよね。」
「それは……そうかもね。」
根っからの勝負好き…というか負けず嫌いな由真は感心したように答えてた。
でも由真は勝負事にはすぐ熱くなっちゃうから、草壁さんみたいな「敵を知る」っていう
やり方はしないものね…
「それに…本当はこっちのほうが目的なんですけど、私、数年ぶりにこの町に戻って来ま
 したから、親しいお友達が居ないんです。あなた方お二人となら、親しくなれそうだな
 と思って。」
「へ?何で?」
確かに、由真の言うとおり、勝負を申し込んだライバルと友達になるなんて、あまり聞い
たことが無いけど…でも草壁さんはにっこり笑うとこう答えた。
「私たちには貴明さんという共通項がありますから。」

たしかに、わたし達はたかあきくんによって結び付けられた関係だ。
でも恋のライバル同士にもかかわらず、喧嘩じゃなくてこうして3人パジャマ姿で夜のお
茶会を開こうとしている。
588恋愛同盟2-真夜中のお茶会 5/12:2007/07/09(月) 23:19:13 ID:pJAwpFOu0
「寝る前ですから、ストレートじゃなくて、ミルクティーにしますね。」
そう言って、草壁さんはポットからそれぞれのカップにミルクとお茶を注いだ。
わたしも紅茶が趣味だからわかるけど、草壁さんの入れ方はとても上手だった。
「むむむ、なかなかやるじゃない。」
由真が紅茶を一口飲んでそう言った。由真はお爺さんにお茶の入れ方を仕込まれたとかで
紅茶にはうるさいんだけど、その由真のおめがねにもかなったみたい。
「ねえ、草壁さん。」
「はい、何ですか、小牧さん…っと、私のことは優季で良いですよ。」
「あ、じゃあ、わたしも愛佳で…ってそうじゃなくって…わたし達って、ライバル同士に
 なるんですよね。」
「そうですね…恋のライバルですね。何だかちょっと素敵な響きかもしれませんね。」
「あのぉ…そうじゃなくって、その…たかあきくんを奪い合って争う仲のはずなのに、こ
 んなにまったりしちゃってていいのかなぁ、って思って…」
う〜ん、優季さんってちょっと変わってる…
「そうよ、勝負ってのはもっと殺伐としてるものよね。」
「でも、由真さんは貴明さんと勝負しているうちに好きになっちゃったんですよね。」
「うっ、言われてみれば…」
「ライバル同士だからって、いがみ合う必要は無いと思いますよ。それにさっきも言いま
 したけど、同じ人を好きになったわたし達には普通の友達同士よりも共感できる部分が
 あると思いますけど。」
そう言って優季さんはにっこりと笑う。
優季さんには、人を和ませる雰囲気みたいなものがあると思う。それが、わたしと由真を
うまく包み込んでしまっていた。
「じゃあ、まず、自己紹介から行きましょうか。」
589恋愛同盟2-真夜中のお茶会 6/12:2007/07/09(月) 23:20:23 ID:pJAwpFOu0
優季さんは、たかあきくんとは小学校の時の同級生で、ご両親の離婚のためにこの街を離
れていて、先日戻ってきて再会したみたい。別れるときにとても大事な約束をしていて、
優季さんはそれを心の支えにしていたんだって…そのことについては後で話すって言って
たけど…
由真は長瀬という、大財閥来栖川にお使えする執事の家系なんだって言ってた。わたしも
由真のお爺さんがなにか秘書みたいな仕事をしているのは聞いていたけど、来栖川のお屋
敷で働いていて、由緒正しい家系の跡継ぎだって言うのは初めて聞いた。確かに、由真の
お家は結構立派だったけど…
わたしも自分の自己紹介をした。自分の両親のこととか、入院している妹の郁乃の事とか
自分の趣味のこととか…途中で由真が私のことを食いしん坊だって優季さんに話すから、
すごく恥ずかしかった…そりゃ、確かに食べるのは好きだけどぉ…

そして、たかあきくんとの出会いに話は移った。
「お茶もあるし、丁度良いよね。」
わたしがバックから取り出したのは、駅前のデパートで買ってきた小さなスコーンの入っ
た紙袋。それを広げてみんなに勧めた。
「ほら、愛佳ってばいつも何か食べ物持ってるのよね。」
「だから食いしん坊じゃないってばぁ…これはね、たかあきくんがわたしを手伝って、初
 めて書庫に来てくれたときに出したお茶請けなの。」
そう、あの日から、わたしのたかあきくんへの思いは始まった。
他人を頼ろうとしなかったわたしに、たかあきくんは手を差し伸べてくれた。それはちょ
っとだけ強引で、遠慮の塊だったわたしの心の扉をちょっとだけ押し開けて…
そこから少しずつ、たかあきくんの優しさがわたしの心に流れ込んできて、いつの間にか
わたしの心をいっぱいにしていた。
そしてわたしは、たかあきくんが欲しいと、いつの間にか願うようになっていたの。
「ま、愛佳ってば…晩熟(おくて)な割りに、大胆ね」
「へ?」
590恋愛同盟2-真夜中のお茶会 7/12:2007/07/09(月) 23:21:40 ID:pJAwpFOu0
由真がほんのり顔を赤くしてあたしに言った。優季さんも顔を赤くしながら口を押さえて
わたしを見てる。わたしは、今しゃべっていたことを思い返してみた。
…たかあきくんが欲しいと…たかあきくんが…欲しい…って、ええええ!
「や、や、や、そ、そんなエッチな意味じゃなくって、ただ、たかあきくんと恋人同士に
 なれたらって意味で」
「わ、わかったから、落ち着きなさいよ……ふう、じゃあ次はあたしね」
こほん、と一つ咳払いをすると、由真は話し始めた。
「あたしがたかあきを初めて知ったのは、遅刻しそうな朝にMTBで走ってたときだった
 から本当はMTBが馴れ初めのアイテムなんだろうけど、でもあれは他にも色々思い出
 があるし…ということで、これかな。」
そう言って由真が取り出したのは眼鏡ケースに入れられた黒ぶちの眼鏡。
「そういえば、由真、最近その眼鏡かけてなかったよね。」
「うん、たかあきのせいで壊れてたの。昨日修理から戻ってきたばっかり。」
そう言って由真は眼鏡をかける。黒ぶちの眼鏡を掛けるとわたしの知ってる由真だ。
「まあ、貴明さんが壊したって…踏んじゃったりとかしたんですか?」
「ううん。あたしがたかあきに自転車で突っ込んじゃって、そのとき自転車から落っこち
 て生垣に突っ込んじゃって、ポケットに入れてたこれが壊れたの。」
「それって、貴明さんは大丈夫だったんですか?」
「あいつだって男の子なんだしそのくらいじゃ死なないわよ。」
「や、そういう問題じゃないと思うけど…」
「とにかく…眼鏡をかけたあたしはおとなしくて真面目な「長瀬由真」だったけど、あい
 つの前では眼鏡を掛けてない、元気で真っ直ぐな「十波由真」だったの。…そう、貴明
 が昔のあたしを思い出させてくれたの。昔のあたしは、もっと色々な夢を持ってたはず
 なのに、いつの間にかただ惰性でおじいちゃんの跡を継ぐっていう道を…『なれる自
 分』を安易に選んで、それに自分を当てはめようとしてたの。本当に『なりたい自分』
 は何なのかを考えないで。」
591恋愛同盟2-真夜中のお茶会 8/12:2007/07/09(月) 23:23:03 ID:pJAwpFOu0
そう言って由真は眼鏡をはずした。それがたかあきくんの知っている由真。学校では見せ
ない、元気で明るくて負けず嫌いの由真。
「眼鏡が壊れて、たかあきと一緒に居るようになって、あたしはいつの間にか、忘れてた
 昔のあたしに戻れてたの。…それに、いつの間にかあいつの隣が居心地が良くなって
 て、自分から勝負することであいつと一緒に居る理由を作ってたんだと思う。優季が現
 われなければ、これからもずっとそうだったんじゃないかなと思う。それで、いつか
 は…」
そう言って微笑む由真の顔は、わたしが見たことの無かった恋する女の子の顔だった。
何だかほほえましくなって、ついついあたしはからかいの言葉を挟んでしまう。
「ずっと一緒に、かぁ。そういえば昔の由真の夢にもかわいいお嫁さんって言うのがあっ
 たよねぇ。」
「わっ、愛佳っ!そんなこっぱずかしい話、優季にバラさないでよ。」
「良いじゃないですか。女の子なら1度くらいは夢見る物だと思いますけど?白いタキ
 シードの貴明さんにエスコートされてヴァージンロードを歩く自分の姿を想像すると、
 胸がどきどきしてきませんか?」
そう言って優季さんは目を閉じて自分のウエディングドレス姿を想像してるみたい。
由真もぼぉっとして宙を見つめて自分の姿を思い浮かべてるみたいだったから、わたしも
自分のウエディングドレス姿を思い浮かべてみた。

真っ赤な絨毯に散らされたバラの花びらの上を、白いタキシード姿のたかあきくんに手を
引かれて進むわたしは、緊張と歩きづらいドレスのせいでおっかなびっくり歩いてて、で
も少し前を行くたかあきくんと、このヴァージンロードを歩けるのが嬉しくて。
神父さんの前に並んだ席にはお父さんお母さんと一緒に元気になった郁乃の姿も見えて、
とても幸せな気分で神父さんの前に2人で立って。
そして、神父さんに誓いの言葉を言って指輪を交換した後、永遠の誓いのためにキスする
の。
「愛佳」
そう言って、たかあきくんはわたしの被っているヴェールを上げて、
「愛佳」
わたしの名前を読んで、顔を寄せてきて、そしてついに永遠を誓うキスが、
「愛佳ってば!」
592名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 23:23:34 ID:1PHEbxIM0
sien
593恋愛同盟2-真夜中のお茶会 9/12:2007/07/09(月) 23:25:16 ID:pJAwpFOu0
「うひゃあ!」
がくんと肩を揺さぶられてわたしは現実に引き戻された。
「もー、愛佳ってばあっちに行ったまま戻ってこないし。」
「あ、あはははは…ごめんなさい。」
「じゃあ、次はわたしの番ですね」
そう言って優季さんは勉強机の上にあった写真立ての一つを取り上げると、わたしと由真
に差し出した。
そこに写っていたのは髪を長く伸ばした笑顔がかわいらしい女の子と、どこか頼りなげだ
けど、でもやさしそうな男の子。女の子と男の子は手をつないでいて、男の子は恥ずかし
そうに横目で女の子を見ていた。女の子はレースのテーブルクロスらしきものを被ってい
て、まるでウエディングドレスのヴェールみたいだった。
「うわ…ミニたかあき…よね。これ。」
「その写真は、私が転校する前の日に撮った、貴明さんとの最後の写真です。」
確かに、女の子のほうは優季さんだ。でもご両親の離婚で大変な時期だったはずなのに、
なぜこんなに笑顔なんだろう。
「それは、貴明さんがくれた物のおかげです。」
「何をもらったの?」
「名前です……貴明さんは河野の名前をくれると言ったんです。」
「へ、も、ももも、もしかしてプロポーズぅ〜?」
思わず私は裏返った声で叫んじゃってました。
優季さんはちょっと困ったように、
「両親の離婚で高木の苗字では無くなった上に転校する事になって、私が自分という存在
 が無くなってしまうような不安に押しつぶされそうになっていた時に、貴明さんは自分
 の苗字をあげるから、何時だって河野を名乗れるよと言ってくれたんです。でも当時の
 貴明さんは小学生でしたから、女性が男性の苗字を名乗るというのがそういう意味だと
 は考えてなかったと思います。でも女の子は早熟ですから、当時の私は貴明さんとの結
 婚の約束だと思って。」
594恋愛同盟2-真夜中のお茶会 10/12:2007/07/09(月) 23:26:19 ID:pJAwpFOu0
そう言って写真立てを胸に抱くと、優季さんはかみ締めるように続けた。
「この写真は、もう一度貴明さんと再会した時の夢に胸を膨らませていた当時の私が、貴
 明さんにねだっていっしょに撮ってもらったものなんです。両親の離婚で当時は大変で
 したけど、この写真を見ると頑張れたんです。」
「じゃあ、貴明もその写真持ってて、それで再会したときあんたのこと一目でわかった
 の?」
それは多分あの中庭でのことだろうと思った。名乗るぐらいはしただろうけど、ほとんど
すぐにたかあきくんは優季さんのことがわかったみたいだったから…。
でも、優季さんはまた困ったような表情をした。
「いいえ…実は、貴明さんは私のことは忘れてしまって居ましたから…」
そして、少し考え込んで、
「…信じられるかどうか解りませんが、お二人には本当のことをお話します。」
そういうと、優季さんは小さな手帳…くずかごノートって言ってたけど…から1枚の切抜
きを取り出して、わたしと由真に差し出した。
「この間の流星雨の記事?」
「その隅のところを見てください。」
「えっと…流星群観測、少年はねられ死亡…被害者は河野…え?…たかあきくん?」
そんなばかな。こんな記事はありえない。だって、たかあきくんは事故にあいそうにはな
ったけど今も生きている。
「貴明生きてるし…えっと…記事捏造?」
「…由真…それ違うと思う。」
「それは、私があの流星雨の次の日に見た新聞の切り抜きなんです。」
それから、優季さんは私たちの想像を超えた話を話し始めた。
時を越えて深夜の学校での再会、真夜中のお茶会、そして流星雨の夜の出来事と…事故で
自分が身代わりとなろうとしたこと。
「自分が死ぬのは怖くなかったの?」
由真がそう聞いた。同時に、私ならどうしただろうかと考えた。
「たとえあの時私が死んでしまっても、貴明さんに生きていて欲しかったですから。きっ
 とあの時はその選択が正しかったのだと思いますし。…本来存在し得ないはずの私があ
 の場に居ることはありえなかったはずですから。」
私は果たして優季さんのように自分の命を差し出してもたかあきくんを守ろうとしただろ
うか?ただ慌てふためいて、そして何もできなかったかもしれない。
595恋愛同盟2-真夜中のお茶会 11/12:2007/07/09(月) 23:27:47 ID:pJAwpFOu0
「…それに、もし私のことも、約束のことも本当に思い出してもらえないのなら、私は、
 あの1週間の思い出だけで十分だと…それで死んでしまってもいいと、あの時思ってい
 たんです。…でも、貴明さんは思い出してくれた。」
優季さんの目からぽろぽろと涙が零れ落ちた。
優季さんが何年も暖め続けていた思い。それは単なる恋愛感情なんかで割り切れるものな
んかじゃなくて、そしてその思いが報われたのがわたしにはとても羨ましかった。
「…あたしは、自分を犠牲にして貴明を助けるなんて、考えられない。何が何でも二人で
 助かって…たとえ思い出してくれなくても、貴明に好きだって言わせるまでは諦められ
 ないな。」
由真の答えはとても由真らしい物だった。簡単に諦めてしまうわたしとは違う。
そんなあたしの顔を見た由真は、笑顔を見せてあたしに言った。
「愛佳だって、きっとその時になれば、優季とは違う答えを出そうとするんじゃない?」
わたしの表情で、わたしが何を考えているか読み取った由真が、フォローしてくれた。
由真と友達で居て良かった。すぐマイナス思考になってしまうわたしをいつも由真は救っ
てくれるから。そのことがとてもうれしかった。そして、ほんの少しだけど、勇気が湧い
てきた。
「今お話したことを信じるかどうかは、お二人にお任せします。でも貴明さんに対する私
 の思いは嘘偽りの無いことです。名前をもらったあの日から私は貴明さんを支えに生き
 てきたんです。」
「優季さん…わたしは信じます。あなたのたかあきくんに対する思い、しっかり受け取り
 ました。…でも」
「でも?」
私は、由真にもらった勇気を奮い立たせて、そして宣言する。
「でも、たかあきくんは譲れません。…今まで、望んだ物をいくつも諦めてきたけど、た
 かあきくんだけは譲れないんです。」
由真の表情が、その意気よ、とわたしに語っていた。そして由真もまた宣言した。
「そうよ、あたしも簡単には譲れない。優季の思いを知っても、あたしの気持ちは変わら
 ないわ。優季と比べれば、愛佳も私も、思いを重ねてきた期間は比べようも無いけど、
 思いの強さは変わらないつもりだから。」
596恋愛同盟2-真夜中のお茶会 12/12:2007/07/09(月) 23:28:43 ID:pJAwpFOu0
優季さんはさっきまでこぼれていた涙をぬぐうと再びにこっと笑った。
「それでこそ、貴明さんを掛けて競う「恋のライバル」です。」

                    −

その後、真夜中を越えるまで、私たちは話しあいました。
自分達が知っているたかあきくんのことを情報交換したり、自分達の趣味の話や子供の頃
のことを話したり、女の子同士の他愛の無い会話で盛り上がって3人並んで一緒に眠りま
した。
そうそう、私たちは、勝負するに当たってルールも決めました。

1つ、私たちは期限までの間河野貴明を愛することを止めない事。
1つ、この勝負には河野貴明本人を含む全員の認めるものだけが参加することができる。
1つ、河野貴明に対して自分からキス以上の肉体的接触をしてはならない。ただし河野貴
明からの望みの場合はこの限りではない。
1つ、最後に誰が選ばれたとしても、残りの者はこれを祝福すること。
1つ、誰が選ばれても、私たちは親友であり続けること。
1つ、当面の期限は夏休み末までとする。ただし全員の同意によってこの期限は変更可能
とする。

私たち3人の淑女協定ですねって、優季さんは言ってたけど、わたしは恋愛同盟かなって
思う。

明日の日曜日は3人でたかあきくんとデートってことになってるけど、このルールの事知
ったら、たかあきくんはなんて言うかなぁ…ちょっとだけ楽しみ…かも。
597物書き修行中:2007/07/09(月) 23:30:05 ID:pJAwpFOu0
>>592 支援thx
えらい難産でした。しかも後半グダグダだし。orz
やっぱ続き物はまだおいらには無理っぽい。続きのアイデアは幾つか浮かんでるけど…
せめてプロット起こして書けばいいんだろうけど、行き当たりばったりだし。
修行します。

にしても、いきなりスレがにぎやかになってきましたね。
河野家が終わったあと一時期はえらい過疎ってましたが。
598名無しさんだよもん:2007/07/09(月) 23:36:16 ID:1PHEbxIM0

でも、高木って誰だよw
599物書き修行中:2007/07/09(月) 23:54:44 ID:pJAwpFOu0
ぬは、何やってんだ俺。打ち首ものだyo o...rz

ついつい高城(たかしろ)を高城(たかぎ)って読んじゃう癖があるんで
高木の誤変換はそのためだと思われ…

しかも1行改行入れ忘れてるとこある…
600名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 00:27:44 ID:X67VBsVl0


もっと4Pする!!
601物書き修行中:2007/07/10(火) 01:06:27 ID:44Da2UNQ0
反省の意を込めて、即興で書いたものをお供えしてから寝ます。
もう過ぎてるけど一応タマ姉お誕生日SSということで。
602タマ姉の七夕 1/2:2007/07/10(火) 01:07:18 ID:44Da2UNQ0
7月7日。
世間的には七夕という行事の日だが、向坂環にとっては自分の誕生日でもあり、星に願い
を託す大事な日でもあった。

『タカ坊に思いが届きますように』

それが九条院に転校した年からの環の切なる願いであった。
毎年その決まった一言を書いて、誰にも見られないように一番高いところに下げて、天の
川の織姫と彦星に願った。
強く、強く……

そして、今年も7月7日がやってきた。
今年はもう、短冊は必要ない。だって願いは叶ったのだから。

「ということで、いつもの短冊は書かないわ。」
「ふ〜ん。じゃ、今年の願い事は無し?」
環と貴明は向坂家の縁側で、日が傾いて涼しくなってきた風に当たりながらそんな話をし
ていた。
庭先に立てられた笹の葉にこのみと雄二が色々と飾り付けをしている。
このみの短冊は「ととみ屋のカステラがいっぱい食べられますように」とか「お料理が上
手になってタカ君に誉めてもらえますように」とか、このみらしいもので、雄二のはやっ
ぱり「女の子に激モテするように何とか頼んます」とか「メイドロボは世界一ぃぃぃ」と
か雄二らしいとほほな代物であったりといつもどおりの光景である。
「今年の願い事なら、もうあそこにぶら下げてあるわ」
親戚筋から送ってきたとか言う甘夏を頬張っていたタマ姉が笹飾りの天辺を指差す。
603タマ姉の七夕 2/2:2007/07/10(火) 01:07:55 ID:44Da2UNQ0
ぶら下がっていたのは短冊というには変な紙が1枚。
白地に緑の印刷をした紙を4つに折りたたんで短冊状にしたもののようだ。
「なに?あれ。」
貴明が傍によって目を凝らすと、何か字が書いてある。
「えっと…婚姻…届!! ちょ、ちょっと、タマ姉!」
貴明が振り返ると環は2つ目の甘夏を攻略しにかかっていた。
「なあに?…タカ坊は、あたしと結婚するのはイヤ?」
「い、いやそうじゃないけど…まだ高校生なんだから早いんじゃないかと。俺まだ結婚で
 きる歳じゃないし。」
婚姻届にはお互いの名前と捺印までしてあるのが見えた。もって行けばその場で受け付け
てもらえる状態だ。
「だからそこにつるしてあるの。タカ坊が結婚できる歳ならお役所に出してるわ。」
ということは、来年は知らないうちに提出されているかもしれないと貴明は戦慄を覚えていた。環は、というといつの間にか3つ目の甘夏の解体に入っていた。
「…タマ姉、いくらなんでも食べすぎじゃないの?」
「そう?…何だかこの酸味がすごくおいしく感じて止まらないのよね。」
「…おい、貴明、それって…」
「なんだよ雄二?」
「いや、あのな、ゴニョゴニョ…」
雄二に耳打ちされた貴明は、顔色を変えて環の方に振り返った。

環は、果汁で濡れた指をぺろぺろと舐めながら、にやりと笑った。
604物書き修行中:2007/07/10(火) 01:09:43 ID:44Da2UNQ0
また改行ミスってるヨ orz
反省になって無いじゃん。欝だ。
605名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 01:16:46 ID:X67VBsVl0


もっと孕ませる!
606名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 01:20:41 ID:pIbB7YPi0
職人さん乙
みんなGJだぜ
607名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 01:45:47 ID:fTqvWVzv0
乙ー。この盛り上がりは嬉しい限りだw
雄二の一人称視点で書こうと思ったけど貴明視点との違いがはっきり出せなくて困る。
608名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 06:51:49 ID:wAUakpYG0
>597>604
乙。妄想愛佳ワロス。タマ姉は本当なのか策略なのか判らんのが良いねw
恋愛同盟はやっぱ続きが欲しいな。プロット起こすのは今からでも遅くないw
淑女協定で「そんな淑女協定があるかっ」みたいな台詞を連想したが、
作品が思い出せない(プリンセスブライドだったかなぁ…)

一段落の文章が結構長いので、段落の頭は一文字下げた方が読みやすいかも
または「したいわけ」シリーズの時みたいに空白行を入れてもらっても良いかと
609向坂雄二の一日 1/5:2007/07/10(火) 12:13:42 ID:fTqvWVzv0

―朝―

「雄二!おきなさい!」
「…あと…五分。」
「もう、仕方ないわねぇ。と、特別だからね…。」
布団の中にもぞもぞと何かが進入してくるのを感じる。えーと、姉貴?
「んぁ?姉貴?なにやってんだ?」
「雄二のために、その…優しく起こしてあげようかなって…」
直ぐ近くに姉の顔。なんか妙に頬が赤みがかっている気がするけど…。
「なんだよ急に。」
「べ、べつに?」
「きもちわりーからさっさと…ごふっ!」
「もぅ、雄二の馬鹿っ!」
俺の言葉に不機嫌そうにボディーブローをかますと、さっさと姉貴は部屋から出て行ってしまった。
なんなんだ?一体。


―登校中―

「うぃーっす。お?チビ助、今日は髪おろしてるのか。」
いつものリボンを外して髪をおろしているチビ助(このみ)。
「う、うん。もしかしてユウ君こういうの好き?女の子っぽい?」
「んー、別に。相変わらずガキっぽいな。」
ケラケラ笑いながら言うと、このみは少しむくれたまま下を向いてしまった。
「なんだ?腹でも痛くなったか?…ごぶぁ!」
思いがけない方向からこぶしが飛んでくる。
「んだよ姉貴!この男女!」
「ふんっ!さぁいきましょうか、このみ。」
「うん。いこっ!タマお姉ちゃん。」
姉貴とチビ助はすたすた歩き出してしまった。
やれやれ。今日は二人とも不機嫌みたいだな。触らぬ神にたたり無し。
610向坂雄二の一日 2/5:2007/07/10(火) 12:14:42 ID:fTqvWVzv0

…あ!
そこで重大な過失に気がつく。
「やべぇ…修学旅行のアレ、親の同意書忘れた…。」
「マズいだろ!アレ忘れたら修学旅行いけないって昨日担任も行ってじゃないか!」
「くそっ!取りに戻る!」
「頑張れよ〜。」
苦笑いを浮かべる貴明を背に、来た道を戻り始めた。


―再び登校中―

「くそっ!時間やばいな…。でも、まだギリギリ間に合うはずっ!」
久しぶりの本気ダッシュに、心臓がおかしな音を立てている。
「はぁ、はぁ。」
足もふらつく。ここまで休憩無しで駆け抜けてきたんだから当然か。
「うわっと!」
急に足がほころび、その場に転倒…

…しそうになったが、何とか持ちこたえる。
俺様の運動神経を持ってすればコレくらい余裕余裕!
塀の上に誰かいたような気もしたけど、気のせいだよな。
塀の上って猫じゃあるまいし。
611向坂雄二の一日 3/5:2007/07/10(火) 12:19:05 ID:fTqvWVzv0

―校門―

「なんとか…、間に合ったようだな…。」
膝に手を付き、肩で息をする。本当に久しぶりに本気で走った。
もう動きたくないぜ…。息を整えながらその場で少し休憩していると、
「うわぁ〜!どいたどいたぁ!」
「ん?」
後方から猛烈な勢いでMTBがこちらに突進してくる。
「うわっと!あぶねっ!」
ギリギリのところでそれをひらりとかわす。俺様の運動神経を持ってすれば…以下略。
それにしても危なかった。当たったらあの女の子も吹っ飛んでただろうなー。


―休み時間の廊下―

ふらふら〜っと廊下を歩いていると…。
どん!という衝撃と共にしりもちをついた女の子…散らばるプリント。
どうやらこの女の子とぶつかってしまったようだ。
「うおっ!わ、わりぃ!」
すぐに散らばったプリントを拾い集める。
「アンケート…。」
「へ?」
弱々しい女の子の様子に、罪悪感で胸が締め付けられる。
「アンケートに協力してくれませんか?…名前書くだけでいいんで…。」
「あ、あぁ。それくらいなら構わないけど…。」
差し出されたシャーペンを持ち、プリントに名前を…ってこれ、もしかして…
小さく書かれた文章に目を通す。…なるほど。
「悪いけど俺、部活やる気は無いんだわ。」
「うぅ…。」
かき集めたプリントを女の子に手渡す。
612向坂雄二の一日 4/5:2007/07/10(火) 12:20:25 ID:fTqvWVzv0

…危ない危ない。引っかかるところだったぜ。
貴明だったらこういうの、だまされてんだろうな。女に甘いし。
「それじゃ。」
女の子に適当に挨拶し、教室に向かった。


―次の休み時間―

生徒会長の悪口をいっぱい貴明に言ってやった。


―放課後―

貴明に一緒に帰宅することを断わられたので、一人とぼとぼ校門に向かって歩く。
その時…
「ふぅ、ふぅ。」
「ん?」
校門脇の死角になった辺りに荷物が積み上げられていて、
その辺りから悩ましい声が聞こえてくる。
「うぅ。うぅ。う〜ん。」
「…。」
…こんなところで大胆だな。まぁ邪魔しちゃ悪いし、そのまま帰るか。
卑猥な妄想をしながら学校を後にした。
613向坂雄二の一日 5/5:2007/07/10(火) 12:21:55 ID:fTqvWVzv0

―下校中―

ぽけーっと桜並木を歩いていると、
ぶわっ!っと強い風が吹き荒れ、舞い散る桜に目を奪われる。
その時、足元にやわらかい感触…。
ん?
足元を見てみると…
「お、おんなのこぉ!?」
俺が踏んで殺めてしまったのか、最初からココに倒れていたのか、
可愛らしい服を着た女の子がそこに倒れていた。
「えーっと、そうだ!とりあえず警察!」
すぐに近くの公衆電話から警察に電話する。
その後すぐに警官が駆けつけ、俺に少し事情を聞いた後、その女の子を保護していった。
うんうん。どうやら俺が踏み潰したわけでもなさそうだし、良かった良かった。


―その夜―

風呂にも入り、ベッドに入ったところで思い出す。
「やべっ!レポートの課題あるんだった!」
しかし、そのレポートは学校に置き忘れたまま…。
どうする…今から学校に行こうか。
「まぁいいや。」
明日先生に叱られて補講を受ければいっか。そう思いながら目を閉じる

睡眠に落ちていくまどろみの中
…なぜ俺はモテないんだろう…。
そんなことを考えていた。


おわり。
614↑の作者:2007/07/10(火) 12:35:37 ID:fTqvWVzv0
雄二視点の練習もかねてさささっと書いてみた。
…これは酷い雄二。
615名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 16:41:37 ID:9jkdAWiKO
フラグ全滅wwwwwwwww
616名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 17:04:37 ID:CiDxeulP0
>>614
久しぶりにTH2のSSスレを覗いたら、ふと目に止まって
盛大に吹いたwww
まあ、こっちが普通だよな。
お前は間違っていないぞ、雄二w
617名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 20:09:20 ID:JL90nAH9O
>>614
やべぇ、これ最高にいいわw
そうだよな普通こうだよな。雄二どんまいw
なにも間違ったことしてないのにな。ささらの悪口言ったくらいか?


618名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 20:56:29 ID:Causv2V5O
>>617
このみのことを褒めてやらなかったのがいけないな
619名無しさんだよもん:2007/07/10(火) 21:14:15 ID:w9VguyLv0
激しくワロタ >325-327のパワーアップ版か?
>617
実姉にフラグ立てたらそれはそれでどうよって感じだしなw
620名無しさんだよもん:2007/07/11(水) 00:41:44 ID:OnBAxmpR0
>生徒会長の悪口をいっぱい貴明に言ってやった。

強いて言えばこれでまーりゃんキックを喰らうフラグが立った。
無論喰らうフラグだけで進展はないが。
621名無しさんだよもん:2007/07/11(水) 08:21:03 ID:Zl7LQsEYO
>>614
こうやってフラグが徐々に貴明に移っていくんだろうなw
622名無しさんだよもん:2007/07/11(水) 19:18:31 ID:Rre4Murb0
やさしく起こすのはタマ姉がキャラ違うなw
623物書き修行中:2007/07/12(木) 22:57:51 ID:NiGvVBHA0
でむぱを受信したので投下してみます。

今回はキャラが違うとかの苦情は受け付けないんでヨロ
624バイオニック・MANAKA 1/7:2007/07/12(木) 22:58:46 ID:NiGvVBHA0
「そろそろたかあきくんが来る頃だしお茶の用意でもしておこうかな…
 …っと、今日のお茶菓子は舟和の芋羊羹〜。日本茶にも合うけど、紅茶にも合うんだよ
 ねぇ…でもおいしそう。…一つぐらいなら食べてもいいよね。うん、私が買ってきたも
 のだしぃ…じゃ、1個だけ…あーん」
 がちゃ
「ごめんごめん愛佳、遅くなって…」
「んぐぐっ」
「な、愛佳!どうしたんだ!」
 がん!…ごきっ、ごい〜ん!
「きゅう…」
「ま…愛佳…愛佳ぁぁぁぁぁぁぁんぁんぁんぁんぁんぁん……(エコー)」


 〜地上最強のいいんちょ〜 ばいおにっく・MANAKA


「…それで、先生、愛佳の容態はどうなんですか?」
「えー、喉に詰まっていた異物は胃に到達して普通に消化されるので問題ありません。
 そのほかの外傷は思いっきり何かに打ち付けたらしい両足小指の骨折と倒れたときに突
 きそこなった右手首の重度の捻挫と、倒れて頭打ちつけたときにできたコブぐらいです
 ね。意識が戻らない理由は不明です。」
「そうですか…先生、ありがとうございました。」
 俺は診察室を後にして、愛佳の病室へと向かった。そこで愛佳は黙々とねむっていた。
625バイオニック・MANAKA 2/7:2007/07/12(木) 22:59:23 ID:NiGvVBHA0
 あの日、俺が突然書庫に入ってきて、つまみ食いを見られた愛佳がびっくりして芋羊羹
を喉に詰まらせ、あわてた愛佳は棚の角に足の小指を力いっぱいぶつけ(しかも両足)勢
いあまって倒れそうになって右手をつこうとして全力でひねった挙句、顔から落ちておで
こに馬鹿でかいたんこぶを作って気を失ってしまうという、傍から見たらドリフのコント
かと言わんばかりの事件を起こし、それから3日、ずっと愛佳は眠り続けていた。

「せっかく愛佳と恋人同士になれたって言うのに…これから二人で(ぴ〜)とか(ぷ〜)
 とか色々やってみたかったのに…」
 後悔先に立たず。だって後からするから後悔なんだし。
 そんな俺の葛藤なんか知らずに愛佳は「バタピーがバタフライ〜」とか言いながら眠っ
ている。

「る〜」
「え?…珊瑚ちゃん…なんでここに?」
 いつものぽやや〜んとした声に振り向くと、来栖川の誇る天才美少女、珊瑚ちゃんがい
つものように「る〜」のポーズをして立っていた。その後ろには車椅子に乗って瑠璃ちゃ
んに付き添われた郁乃の姿もある。
「あたしが頼んだのよ…つまみ食いで意識不明なんて恥ずかしい姉を何とかするのに珊瑚
 が力貸してくれるって。」
「たかあき、元気出しぃ…おっちゃんに頼めば、来栖川のロボット工学とバイオ技術で、
 愛佳ねーちゃん何とかなるかもしれへんよ。」
「ほ、ほんとか!本当に何とかなるの?珊瑚ちゃん。」
「ホントや〜。まず愛佳ねーちゃん研究所につれていかな。いっちゃ〜ん、いっちゃ〜 
 ん。」
 そう言いながら珊瑚ちゃんはパンパンと拍手をたたいた。
626バイオニック・MANAKA 3/7:2007/07/12(木) 23:00:02 ID:NiGvVBHA0
 しゅた!
「うお」
 貴明の目の前に突如としてイルファが現われた。その瞳は冷たい光をたたえた鋭いもの
で、その身はいつものメイド服に包まれながらも長い赤マフラーが風も無いのに翻ってい
た。
「お呼びでしょうか珊瑚様」
「あ〜、愛佳ねーちゃん研究所に運んだって〜」
「かしこまりました」
 しゅた!
 イルファさんは愛佳を抱えあげると一瞬で再び消え去った。
「…イルファさんどしたの?」
「あ〜、たかあき」
 今まで沈黙を保っていた瑠璃ちゃんが重い口を開いた。
「イルファはな…この間さんちゃんにちょっと口答えしたときにいじられて、丁度さんち
 ゃんがはまっとった時代劇のお庭番のプログラム入れられてしまってん。」
「どや〜、いっちゃん格好良いやろ〜」
「いや、それはどうだろう。」
 瑠璃はますます重そうな口調で続けた。
「たかあき、よく言うやろ。天才とナントカは紙一重とか…研究所はそういう人間の巣窟
 やから、愛佳ねーちゃんも何されるか解らんで。」

 結果として、数日後、愛佳は元気になって帰ってきた。
 いや、いささか元気すぎる状態になって。
627バイオニック・MANAKA 4/7:2007/07/12(木) 23:00:50 ID:NiGvVBHA0
「みんなぁ〜静かにしてぇ〜」
 帰ってきた直後こそ愛佳に気を使っていたクラスメイト達も、3日も経つと元の状態へ
と戻っていた。
 いつものような私語の喧騒の中、HRを始めようと愛佳が奮闘している。
「静まれぇ〜静まれぇ〜」
 左手で教卓をぽむぽむと叩くがそれで静まるようなやわな人間はこのクラスには居な
い。
「むき〜!静まってってば〜!」
 そう言ってトサカに来た愛佳が両手を振り上げて教卓に振り下ろした。次の瞬間、

 どがぁぁぁぁぁぁん!

 教卓が粉々に粉砕された。一瞬何が起こったのかわからなかったクラスの全員の動きが
止まった。そして、一番最初に復帰したのは愛佳だった。
「や、や、や、わ、わざとじゃないですよ。つい力が入ったせいで」
「…さ、サー」
「へ?」
「も、問題ありません、サー!」
 あまりの破壊力の前に血迷ったクラスメイトの一人がそんなことを口走った。
「そ、そうだ…野郎ども!いいんちょのお話をしっかり傾聴しろ!」
「いいんちょをお呼びするときは最初と最後に”サー”をつけるんだ!わかったな野郎ど
 も。」
「え?え?え?」
「自分らは全員いいんちょの指揮に従い、いかなる困難な任務もやり遂げる所存。どうぞ
 存分に命令をお命じください!」
「「「「「「サー!イェス・サー!」」」」」」
「ええええええ?!」
628バイオニック・MANAKA 5/7:2007/07/12(木) 23:01:26 ID:NiGvVBHA0
今日新たないいんちょマジックの伝説が生まれた。

バイオニックパワー・その1
 右腕は1トンの重量物を持ち上げられる。振り下ろした場合は1トンの打撃力が発生す
 る。
 そこ、愛佳のほうが吹っ飛ぶジャンとか言わない。来栖川の技術はそれを可能とするの
 である。そういうことにしておいて。
 同様の理由で1トン持ち上げたときも愛佳の背骨が折れたりはしない。

「というわけで、姉がなぜかサイボーグになって帰ってきたって訳。」
 こめかみを押さえながら沈鬱の表情で郁乃が説明する。
「はぇ〜、なんかかっこいいねぇ」
 それに答えるこのみはというと、本気で感心した様に言う。
「かっこよくない。それにこれって姉みたいなどんくさい人間にものすごい性能のスポー
 ツカー運転させるようなもんだから。あぶないったらありゃしない…瑠璃の言うとおり
 天才とナントカは紙一重ね。ちょっと怪我した程度でサイボーグなんて…げほげほっ」
「あれ?郁乃ちゃん具合悪いの?」
「ちょっと熱っぽいけどたいしたこと無いわいつもの事だし…」
 ぼわっ!
 いきなり教室内に突風が吹き荒れた。
「わわわ〜!」
「きゃっ!な、何?」
 突風でこのみの小さな体がポーンと飛ばされ、教室の後ろあたりの机を幾つか巻き込ん
で派手な音と共に墜落した。
629バイオニック・MANAKA 6/7:2007/07/12(木) 23:02:05 ID:NiGvVBHA0
 育乃は車椅子にしがみついてかろうじて踏ん張ってしのぎきった。
「い、いくのぉ〜、何で熱あるって言ってくれなかったのよぉ〜」
「はっ…お、お姉ちゃん…なんでここに?」
「だ、だって、今熱あるって。」
「今お姉ちゃんここに居なかったわよね…一応聞くけど、どこで聞いたのそれ?」
「え?…教室でホームルームしてたら郁乃の声が聞こえてきて…」
「お姉ちゃんの教室って1階下よね…」

バイオニックパワー・その2
 愛佳の右耳は1km先の物音も聞き取ることができる、特に色恋沙汰の話と郁乃の声の
 場合は恐ろしいまでの性能を発揮する。

「しかも瞬間的に現われたけど…」
「い、郁乃が具合悪いって聞いたら居てもたってもいられなくってぇ…全速力で走ってき
 たのぉ…」

バイオニックパワー・その3
 愛佳の両足は時速95kmで走行することができる。ただし咄嗟の後ずさり等には瞬間
 的に音速に迫る速度を出すことも可能。その場合はソニックブームが発生するため周囲
 に甚大な被害をもたらす。

「あー」
郁乃が首をひねって視線をめぐらすと、無残に破壊された教室の引き戸が視界に入り再び
こめかみを押さえた。
630バイオニック・MANAKA 7/7:2007/07/12(木) 23:05:21 ID:NiGvVBHA0
 一方、貴明の居る教室では…
 ソニックブームで無残にも死屍累々となった教室の中で、貴明は一人呆然と立ちすくん
でいた。心なしか頬がこけていた。
「る〜」
「あ、珊瑚ちゃん…」
「愛佳ねーちゃん絶好調やな。あとでおっちゃんに報告しとかな。」
 いつものように両手を挙げてる〜のポーズの珊瑚にふらふらと向き直った。珊瑚の後ろ
には教室の惨状を見て頭を抱える瑠璃の姿も見えた。
 貴明もちょっと涙目になりながら、無駄とは思いつつも一応聞いてみた。
「ねえ、珊瑚ちゃん…愛佳の体元に戻せない?…つか、バイオニック義肢の移植って必要
 だったの?」
「え〜、だって愛佳ねーちゃん両足と右手怪我しとったやろ。」
「や、それはただの骨折と捻挫で1月もすりゃ直ってただろうし…それに耳はなんとも無
 かったはずだけど。」
「耳はサービスやて。」
「いや、サービスって…意識不明の治療のためじゃないの?」
「え〜、愛佳ねーちゃん寝とっただけやん。目覚ましがなったらあわてて飛び起きとった
 で〜」
「……」
「たかあき?…どうしたん?」
 ぱた。
 貴明はその場で倒れた。
「たかあき?たかあきぃ〜?」
 つんつん。反応が無い。たたのしかばねのようだ。
「さんちゃん…寝かしといたり。……だから言ったんや、ろくなことにならへんて。」

 たぶんつづかない。
631物書き修行中:2007/07/12(木) 23:07:18 ID:NiGvVBHA0
このネタがわかる人はたぶん30以上w

↓今日この記事見て工工工エエエエエエェェェェェェ(゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工
 (本当はν速板のだけどスレが落ちてるんで)
http://rate.livedoor.biz/archives/50396387.html

   ↓

バイオニック・ジェミーにあやまれーヽ(`Д´)ノウワァァァン

   ↓

なんかでむぱ受信

で、勢いで書いてみた。後悔はしないけど今は反省してる。orz
632名無しさんだよもん:2007/07/13(金) 01:19:19 ID:tGFX51lgO
書庫の更新マダ?
633名無しさんだよもん:2007/07/13(金) 11:22:14 ID:B+QcWzx80
>>631
チョwwwwwさらし者wwヒドスwwwwwww
車椅子とマネキンの足&毛布で良かったんじゃ??
634名無しさんだよもん:2007/07/13(金) 23:44:29 ID:JT6V6tDb0
>631
GJ!
地上最強の美女は知らなんだので、未来放浪ガルディーンのベリアルを想定したw
635名無しさんだよもん:2007/07/14(土) 10:11:12 ID:P62Jz+1a0
>>634
ガルディーンも結構古いと思われw
火浦功今なにしてんのかね?
636名無しさんだよもん:2007/07/14(土) 12:36:34 ID:pGE48+JF0
>>634
何か、今すごく懐かしい名前を見たww
637名無しさんだよもん:2007/07/14(土) 20:25:42 ID:0q24s0Z80
>632
スイマセン、前回作業後に更新分をUpするの忘れてました・・・
638名無しさんだよもん:2007/07/14(土) 20:54:35 ID:bNkCTHCT0
>>637
どんまい。
いつも更新ご苦労様です。
639物書き修行中:2007/07/15(日) 21:08:20 ID:eZ6QcvTd0
投下した後でもう取り返しがつかんですが…orz

「タマ姉の七夕」で婚姻届の紙、緑の印刷って書いてますが
婚姻届って印刷茶色か赤みたいですね。(´・ω・`)ショボーン
届け=緑ってイメージがあって反射的に書いてた。
やっぱ突貫で書くのはいかんね。
640名無しさんだよもん:2007/07/15(日) 23:38:01 ID:3SDnFQab0
書庫の管理人さんに訂正を依頼すればいいと思います
641物書き修行中:2007/07/15(日) 23:51:06 ID:eZ6QcvTd0
結局漏れが本物見たこと無いのが悪いんだけどね。
なぜなら草壁さんが漏れのヨメだから。(`・ω・´)シャキーン
愛佳も捨てがたいがな!

修正してもらえるんであれば、2/2の2行目

白地に緑の印刷をした紙を4つに折りたたんで短冊状にしたもののようだ。
        ↓
何か印刷をした紙を4つに折りたたんで短冊状にしたもののようだ。

つう事でおながいします。修正してもらえなくても恨んだりはしないですw
642名無しさんだよもん:2007/07/16(月) 14:27:22 ID:7xh8QwmJ0
>641
修正しておきましたyo
643名無しさんだよもん:2007/07/16(月) 15:59:14 ID:7/DtjUra0
>642
毎度更新乙です! 幾つかNGワードで消えてたSSがあったのでこれで読めるw 
「恋愛同盟−宣戦布告」のラストが後書き扱いになってるyo
644向坂 環 ◆u8YacDeZBU :2007/07/17(火) 14:10:29 ID:5v+kP2WB0
          /^ \  ,ヘヘ、
          l/, 二=‐宀ー〜-、
         l /          ` ヽ、
         l i /  /  / i  i    ヽ
        l i/ i /  /  iハ i i    ヽ
.        l i  i/  _厶L/_i iハi i  i  i
        | レi i ///∠/ノ i ナナトi i  i|
.       l  |i  i レ欠}f^   テマト||  i  ハi
        l  ハ  ト`辷ソ    .じ:ソソ  iノ / i   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       l  l  i ヽ     、 ゙^' /ノ ///  <  ん〜、我が性春、順風満帆
.      l  i  i  i|\  ー'  , イ「//     \
        l ii, ---  ∩-r 'i´ハ i |          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        /      | |       |
        |  |.    ||    |  |       
        |  | 。 __||___  。|  |            
        |  |、 /  |  |  ,|  |
        |  |  |    |、 |  |
        |  |  |_______/ l____|_  |        
         |.  |  /     |    /
         |.  |  |      |  /       
         | |  |     //|        
         | |   |__/|
645>526:2007/07/18(水) 03:25:26 ID:DP3/cdXO0
「花嫁は……」の続きです。かなり荒唐無稽な上、エロもいい加減です。
気に入らない方はスルーしてください。
646花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:27:33 ID:DP3/cdXO0
 ウェディングドレス姿のイルファを、よりによって自室のベッドに召喚――まさにそう呼ぶのがふさわしい状況だった――してしまった貴明。成り行きでベッドの上に正座した状態のまま、平謝りしつつ、ここに至る過程を彼女に説明した。
 当のイルファはと言えば、最初は本当に驚いていたものの、貴明の説明を聞くにつれて、ポッと顔を赤らめたり、イヤンイヤンと頬に両手を当てて身体をクネクネさせたりと謎な行動をとって、彼を戸惑わせた。

(やっぱり、メイドロボにとっては、そんな非科学的なことは計算外で、認められなくてオーバーフローしてるのかなぁ)

 そう言えば、何世代か前の来栖川製メイドロボは、頭がパンクすると湯気を出して止まってしまった……というような話を、雄二のヤツから聞かされたような記憶がある。

(イルファさん、大丈夫かなぁ……)

 そう心配したものの、珊瑚の開発したDIAは、意外にファジィで融通の利くものだったらしい。

 「なるほど、大体の事情はわかりました」

 まだ少し頬が赤かったものの、イルファは落ち着きを取り戻し、おおよその状況は飲み込んだようだった。

 「あ、ああ、うん。本当に信じられないような話なんだけど……」

 「いいえ、貴明さんがこんな嘘をつくような方でないのは、よく存じあげております。それに、実際このお部屋に出現した際の状況は、超常的な手段でないと説明がしづらいものでしたから」

 いまだ半信半疑な貴明よりも、むしろイルファの方が事態を受け入れているようだ。
647花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:28:57 ID:DP3/cdXO0
 「そうか、イルファさんが信じてくれてよかったよ」

 ホッとした気分で貴明が微笑みかけると、なぜかイルファの様子が微妙におかしくなる。

 (……そんな…あんな笑顔…反則ですわ……)

 「?」 

 よく聞こえないが何かブツブツ言っているようだ。

 「ああ、そうだ。そう言えばイルファさん、ここに来る直前はどこにいたの? 珊瑚ちゃんたちの家?」

 「いえ、今日は研究所でメンテナンスを受けていたのですが……」

 「それじゃあ、突然いなくなって、研究所の人が心配してるかもしれないね。そうだ! 電話を……」

 慌ててベッドから立ち上がろうとした貴明の手を、そっとイルファが掴んだ。

 「? どうしたの、イルファさん?」

 「その……研究所に連絡する前にひとつお伺いしたいことがあります。貴明さんは……その……」

 両手の人差し指をツンツンと突きあわせながら、真っ赤になったイルファが一瞬言いよどむ。が、すぐに意を決したかのようにキッと顔を上げて、貴明の顔を、目を真っ直ぐに覗き込んだ。

 「先程のお話ですと、私のことを”理想の花嫁”として思い浮かべていただいたとのこと。それは……私に異性としての魅力を感じて頂いていると、理解してもよろしいのでしょうか?」
648花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:30:01 ID:DP3/cdXO0
 「いいっ!? そ、それは……」

 「私は……貴明さんのことが好きです。私にとって、珊瑚様は”母”としての感謝と愛情の対象、瑠璃様は生きるための希望、”人生の道標”としての憧憬と敬愛を抱いております。
ですが、貴明さんに対する私の気持ちは、そのどちらでもない……けれどとても強い。たぶん……いえ、きっとこれが”恋”というものなのでしょう」

 真っ正面からど真ん中ストレートな告白を受けて、一瞬頭が真っ白になる貴明。

 「もし…貴明さんが、少しでも私に”女”としての魅力を感じてくださっているのなら……どうか、今晩一夜だけでも構いません、私を貴方の”お嫁さん”にしていただけませんか?」

 とても真剣で一途な想いをぶつけられ、混乱しながらも貴明は自分の心の奥底を探る。
 すると、驚くほど簡単に答えは出た。

 「……やっぱ、ヘタレだよな、俺。女の子の方から告白させちまうなんて」

 「? たかあき、さん?」

 そっと、イルファの肩に手をかけて、そのまま……強く抱き締める!

 「俺も、イルファさんのことが大好きだよ」

 「! 貴明さんっ!!」

 目を潤ませながらも幸せそうな満面の笑みを浮かべるイルファに、そっと唇を重ねる。
649花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:30:37 ID:DP3/cdXO0
 触れるだけの拙い口づけは、すぐに情熱的な熱いキスへと変わっていく。
 純白のドレス姿のイルファを強く抱き締める。

 「うれしい…です。貴明さん……夢みたい……」

 息継ぎの合間に途切れ途切れに呟くイルファの口を、貴明は再び貪る。

 数十秒か、あるいは数分か……ふたりは情熱的な抱擁とキスを続けるが、高まる興奮は、やがてそれだけで物足りなさを感じさせるようになる。

 いったん、唇を離し……けれど顔は近づけたまま、貴明は囁く。

 「――順番が逆になっちゃったけど……イルファさん、俺のお嫁さんになってください」

 「はい、喜んで……私を貴方の妻(もの)にしてください」

 イルファその言葉とともに、貴明は彼女をベッドの上に優しく押し倒した。

 すでに貴明の脳裏にはイルファをメイドロボとして見る意識はなく、このうえなく愛しい女性としてこのままずっと抱き締めていたいと言う気持ちで一杯だった。

 肩の露出したストラップレスのドレスを脱がしつつ、ゆっくりとイルファの肌を愛撫していく。
 まず肩から。そしてゆっくりと下りていき、やがて形良く膨らんだイルファの乳房に貴明の掌は辿り着いていく。

 「んんッ! あぁ……本当に、貴明さんに……触れていただけるなんて……」

 人工物だなんて微塵も感じさせない柔らかな感触に、貴明は思わず溺れてしまう。
650花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:42:25 ID:DP3/cdXO0
 「あっ……貴明さん、もう少しだけ優しく……」

 「! ご、ごめん。あんまりイルファさんのオッパイが気持ちよくて……」

 慌てて謝る貴明を、イルファは限りない愛しさを込めた眼差しで見つめる。

 「いいえ、私の乳房をそんなにも気に入っていただけたのなら、嬉しいです。もっと続けていただけますか?」

 返事の代わりに、貴明は膨らみの先端、色づいた赤い突起に口付ける。

 「……キャッ! も、もう、貴明さんったら!」

 悪戯っぽくたしなめながらも、イルファの目には隠しきれない欲情の炎が見えた。
 彼女が嫌がっていないことを確かめると、貴明も続きとばかりに右の乳房に舌を這わせる。もう一方の左の乳房は掌でもみしだく。眼を閉じて、イルファはその行為をじっと受け止め続けた。

 「……んッ……」

 女性経験どころか、キスさえも初めてだった貴明の舌使いは、それほど技巧が凝ったものではない。むしろ拙いと言った方が正確なのだろう。
 しかし、イルファにとっては彼の愛撫はいかなるジゴロのテクニックよりも身体を、心を燃え立たせる効果があった。

 (ああ……これが……愛しいという気持ち………)

 貴明の舌が肌の上を走り、乳房にぐっと押し付けられるたびにイルファは甘い吐息を漏らし、同時にそれが貴明にかつてない興奮を与える――という、無限のループが形成されていた。

 「やッ……あッ……はぅんッ」

 そうして、彼女の吐息が荒く、不規則になってきた頃合いを見はからって、貴明はゆっくりと舌を乳房から下へと侵攻させていった。
651花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:43:51 ID:DP3/cdXO0
「あぁ……はぁん……たか、あき、さぁん……」

 切れ切れに彼の名前を呼ぶイルファ。

 頭を下腹部の方まで進めた貴明は、イルファの両脚に手をかけて、いったん顔を上げる。

 「――ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、いい?」

 「……いい、ですよ。貴明さんの思う通りに……シて…ください……」

 その答えを聞いた貴明は、ゆっくりとイルファの下肢を開いていく。ほどなく、彼の目の前に両腿のあいだの薄い繁みとその奥のピンク色をした柔襞が姿を現わした。

 「うわぁ……綺麗だよ、イルファさんのココ」

 「ひッ……やぁん、そんなに……見つめない、で……うぁッ!?」

 おずおずと伸ばした貴明の指先に触れられて、ビクンッと、今までより一層大きくイルファの身体が跳ねた。

 「わ、悪い。強過ぎた?」

 「……ち、違います……大丈夫、ですから……」

 荒い息をつきつつ、イルファは首を振る。
652花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:44:33 ID:DP3/cdXO0
 「続けても大丈夫?」

 「は、はい。すごく気持ちよかった……って、は、恥ずかしいっ」

 すでに桜色を通り越して、真っ赤になって身悶えるイルファ。

 その反応に勇気づけられて、貴明は指を動かし始めた。

 「くうんッ!」

 と、またイルファがびくんと全身を震わせる。

 「……ちょ、ちょっと、待ってください」

 はぁはぁと、ひどく荒く息をつきながら、イルファは呼吸を整えようと努力する。

 「……も、もう、我慢できそうにありません。貴明さん、来てください」

 「ああ……」

 実のところ、貴明の方も一杯一杯だった。イルファの脚を抱えあげるような体勢のまま、彼女のソコに痛いほどに勃起した自分のモノ押しつける。
 そのまま正面から、覆いかぶさるようにゆっくりと身体を重ねる。
 くちゅり、と軽くソコを突ついたあと……ずぬゅっと水音を立てながら、貴明自身がイルファの秘肉に包まれていく――

 「あぁ……」
653花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:45:12 ID:DP3/cdXO0
 彼女の中は少し潜っただけでも、激しく収縮し、奥へと誘ってくるようだ。
 その上肉襞は包み込むように動き、まだ入り口から少し入っただけだというのに貴明のモノを締めつけてくる。
 極上の感覚だった。初めての女性体験だが、これが名器と言うものなのかもれない。

 「……うッ」

 一瞬、放出してしまいそうになったが、懸命にこらえる。

 「じゃ、じゃあ……続けるよ……」

 「はあはあ……はい…お願い……しますッ」

 余裕がないのはイルファの方も同じようだ。

 それでも続けているうちに何とかコツを掴み、ふたりの動きが徐々にスムーズになっていく。そして……。

 こつん。

 と、何か引っかかるものに貴明自身の先がぶつかった。

 (ま、まさか、こんなものまであるなんて……)

 「イルファさん、ちょっと痛いかもしれないけど……我慢してね 」

 「えっ!? は、はい」

 耳年増な雄二によれば、女の子にとって、いたずらにその瞬間を長引かせるほうがむしろ辛いらしいとのこと。濡れ具合や性感の高まり自体は十分そうなので、貴明は一気に奥へと押し入った!

654花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:46:14 ID:DP3/cdXO0
 ぷちっ!

 何かを突き破る感触。
 そして、障害を抜けた貴明自身が、一気にイルファの奥へと突き込まれた。
 背中に回されてた彼女の腕が、力の限りに俺の身体を抱きしめる。それだけでは納まらず、形のよい爪が背中に食い込む痛みを感じる。

 しかし、そんな程度の痛みなど、貴明にとっていかほどのこともない。腕の仲の愛しい女性は、もっと激しい痛みに耐えているのだろうから。

 顔には苦痛の表情と、両目から零れる涙が二筋。

 「……くぅ……や、やっぱり、ちょっと、いたいです、ね」

 「ごめん。大丈夫?」

 「い、いえ、平気です。それより……私、本当に貴明さんのモノになれたんですね」

 目の端に涙をにじませながら、ニコリと笑ってみせる目の前の女性が限りなく愛しい。

 貴明は、ぎゅっとイルファを抱き締めると、万感の想いを込めて口づけた。
 その姿勢のまま、ゆっくりと前後に動き始める。
 溢れ出る液体が潤滑油となって、やがて徐々にその動きが滑らかに、リズミカルに
なっていく。

 「あ、あ、あ、あ……」

 痛感よりも快感のほうが勝り始めたのか、彼女の喘ぎに艶めいたものが混じり
出した。
655花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:46:56 ID:DP3/cdXO0
 「……はぁ、んっ、くぅ、ふぅ…はぁん。貴明さん、す、凄く、いいです……あ、私、もう…ダメ……」

 淫靡なじゅぷじゅぷという水音が接合面から響いてゆく。

 「ぁん…そこ、ダメぇ…」

 すっかり上気した艶やかな顔が、心にもない拒否の声をあげる。

 貴明は、懸命に腰を動かしながら、両手でイルファの乳房をもみしだき、唇を貪り、舌を絡めあった。

 「ひぃああああああああッ」

 ついにイルファが、のぼり詰める。

 「あぁっ! いいっ! わ、私の中に出してっ! 一緒にイってくださいっ!! あああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

 彼女の膣がさらにぎゅぅっと痙攣するように貴明を締めつける。

 「う、うわぁあああああああああああっ!」

 叫び声を上げつつ、自身を膣内で痙攣させるように蠢かせながら、貴明はイルファの胎内に、びゅくびゅくびゅくと大量の精液をぶちまけた。

 「ひぃぃぃぅぅぅぅん、んぁ、あぁ…」

 貴明の熱いほとばしりを受けて、イルファは恍惚の表情を浮かべながら絶頂に達した。
 あまりの快楽の刺激に、完全に意識を飛ばしている。

 貴明の方も未知の快感と心地よい疲労に飲まれ、しばし意識を失った。
656花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:49:04 ID:DP3/cdXO0
 「ご、ごめんね、初めてなのに、無理させたみたいで……」

 意識を取り戻すとともに、自分のしたことが恥ずかしくなって、謝罪する貴明。

 とはいえ、ふたり並んでベッドに横たわったままなので、ある意味滑稽だ。
 実際、想いを通じ、一線を越えてしまったふたりあいだには、隠しきれない――というより、隠す気もない――ラブラブで甘甘な空気が漂っている。

 「い、いえ……貴明さんに、その……いっぱい愛していただいて、とてもうれしかったです……」

 恥ずかしそうに毛布にくるまり、チョロッと目から上だけのぞかせているイルファ。
 いつもはお姉さんっぽい雰囲気なのに、そういう仕草をするととてつもなく愛らしい。

 (う……これが萌えってやつなのか!?)

 普段、雄二が力説している数々の萌え理論にはいっこうに肝銘を受けなかった貴明だが、百聞は一見に如かず。いまの自分なら「イルファさんと萌え」という講演会を開いて演説することさえできそうだ。

 「え、えーと……そうだ! イルファさん、けっこう汗だくになっちゃったし、シャワーでも浴びない?」

 ちょっとアブない方向にいきそうになった思考を軌道修正し、何とか言葉をヒネり出す。

 「そ、そうですね……あら?」

 照れ臭そうに応えるイルファの声色が微妙に変化する。

 「? どうしたの、イルファさん」

 「おかしいですね。私どもメイドロボの皮膚には汗腺機能はついてないはずなのですが、貴明さんから出た汗だけにしては、何だか多過ぎる気が……」

 ――その後、シーツについた紅いシミや、彼女の目から流れるはずのない涙が出ていたことなど諸々の証拠から、イルファが”メイドロボ”と言うより”人間の女の子”と言ったほうがよい身体になっていることが発覚するのだが……、ま、それは別のお話。

「当然だ。うーの嫁ならば、うーの子が産めないとな(ニヤリ)」
657>花嫁はメイドロボ?:2007/07/18(水) 03:51:50 ID:DP3/cdXO0
以上、第2話です。10以上占領して申し訳ない。
前回予告したとおり、もう1話分ネタはあるんで、続きが書ければいいんですが……
658名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 04:02:50 ID:YTs15NsY0
gj。イイヨイイヨー、エロくてイイヨーw
しかしまさかの妊娠フラグ?続き期待してます。

それはそれとして…一応sageといた方が良いと思うな
659名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 05:55:36 ID:v03rqU+a0
>657
エロいの乙。メール欄にsage、と入れるのと、
できれば題名に1/11とか入れて全体のレス数がわかるようにして貰えると嬉しい
660名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 09:29:21 ID:dmc2liD/0
SS自体が3時50分とかの投稿で、4時や5時にマンセーと返すわざとらしい単発IDが2匹か
完全にジサクジエンのケースだな

ま、何はともあれお疲れさん。いつかそういうお返事が本当に別の人間から返ってくるようになるといいねぇwwwww

661名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 10:37:19 ID:/V5EKpgBO
>>657
乙です
イルファさん好きなんでハァハァさせていただきましたw
続き期待してます!
662名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 11:13:38 ID:YTs15NsY0
>>660
疑いすぎwwwせっかくSS投下も増えてきたんだし、またーりいこうぜ
663名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 11:31:26 ID:IhOKeOzH0
また自演&自演否定?
葉鍵ヲタってきもいね
664名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 11:51:49 ID:tR6yTagw0
自演の太鼓もちっていうのはSS主体のスレッドでは欠かせない存在ですよ
特にここまで過疎が深刻だったり、おのれの作品に自身がなかったりした場合はね
665名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 12:33:36 ID:VR8wmZXB0
乙さだよ
個人的にはロボのままが好きだけど、続きでどう料理するか楽しみ

あとsageは入れないと見ての通りだから、次回はお願いします
666名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 12:55:34 ID:J3xHKWpU0
なんか、ご覧のとおりってまるで実は俺の仕業ですって言ってるみたいだけどw
667名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 13:09:36 ID:VR8wmZXB0
と、このように何でもかんでも悪意として判断をする人もいるから
批判のレスも真面目な内容以外は気にしなくていいと思うよ

ま、どこのSSスレでも起きるお約束の現象だな
668花嫁はメイドロボ?痛い過去告白編:2007/07/18(水) 15:12:02 ID:V/1hRS0n0
痛い過去

厨房時代
好きなキャラの絡み(当然♂同士)を下手な絵で描いておき机の中に入れ、
何とテスト中に机の中を覗き、その紙を見て妄想しニヤニヤしていた

当然カンニングを疑われ「何見てるんだ、出しなさい」
自分の下手さも、男同士の裸絡みの絵がヤバイのも充分に自覚してたので
本気で青ざめた。見せたくない。見られたら死ぬ。でも見せなくてもカンニング疑われて死ぬ。

最終的に腐女子の汚点とカンニングの汚点を比べ、後者の方が重いと判断して紙を見せました
そのときの先生の顔なんて忘れた、知らない興味ない

普通に考えりゃカンニング疑われることくらい分かるだろうに
当時の自分に時と場合を考えろと説教したいよ
669名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 15:43:59 ID:FfGghfS70
つまり、どこのSSスレでもそのようなジサクジエンをやってるのですね
670花嫁は……作者:2007/07/18(水) 16:19:06 ID:BloCXyav0
*IDが違うのは別回線&PCから入ってるせいです
真面目な感想くれた方、サンクス。
誹謗系カキコに関しては……うーむ、私が2ちゃんに書いたSSはどうも槍玉にあげられる機会が多いです。厨くさい設定&文章がダメなのかしら。
ほかのHPに書いた場合はそれほどでも……あるか。某型月最低板でも非難轟々だったし。
一応、つづきは書く所存ですが、むしろエピローグ的なものなので、期待しない方が吉かと。
671名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 17:19:36 ID:FfGghfS70
そうだね。自分でも心当たりがあるなら直すべきだろうね
がんばれw
672名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 18:06:00 ID:A9vCo3oO0
>>670の文章がもうね\(^o^)/なにもわかってない

誤解のないよう初めに言っておくと、SS自体が叩かれることなんて滅多にないと思うよ。
悪意を持って原作のイメージをぶっ壊してたりする場合は叩かれるのかもしれないけどさ。
今回も内容に関して突っ込まれてるわけではないってのは、日本語読めれば分かるだろ。
具体的に言うと、自分に対する非難めいたレスを「誹謗系」なんて表現してみたりとか
わざわざ「続きは書くけど期待しないで」なんて書いて反応待ちっぽい感じだったりとか
そういう行為が鼻につくから槍玉にあげられるんじゃねーの?
敢えて言うなら、厨くさい設定&文章じゃなくて、厨くさい言動がダメなんだろうね。
673名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 20:03:27 ID:S3amTf260
>670
少なくとも漏れの>659が自演でないのは判る(当たり前w)から特に慰めはしない
SS投下は乙だが、>668みたいなのは意味が判らないし、
SSでないのにタイトルつけるのはSSと紛らわしくなるからやめてほしい。

あと個人的にはsageて欲しい。でも、また書いてね。煽りは気にすんな
674名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 20:40:50 ID:bVgoi4qK0
ここの姐さんに比べれば、まだまだだぜ!な過去がフィードバック

厨房の頃、質より量でホモ小説を集めてた
自室の本棚奥に隠してたけど

ベ ッ ド の 下 に エ ロ 本 を 隠 す

という設定に憧れ、ベッド下の右棚に表紙上にしてホモ小説を並べて収納
引き出せばズラ〜っとカオスな世界が楽しめる棚に大変身☆

しかし私は忘れていた…隣の左棚はベッドシーツ収納専用だということに…
母上が頻繁に開け閉めする棚だということに…

後はもう…言わなくても分かるよな…?
675670:2007/07/18(水) 21:22:22 ID:t2YM16Qb0
>672
>具体的に言うと、自分に対する非難めいたレスを「誹謗系」なんて表現してみたりとか
>わざわざ「続きは書くけど期待しないで」なんて書いて反応待ちっぽい感じだったりとか

あ〜、言われてみれば確かにそうかも。反応自体(つづけてヨシ/やめとけオラ)は期待していたので、あながち間違いではないのか。
”誹謗”と書いたのは、折角誉めてくれた人を自作自演扱いされたから、ちょっと頭に血が上ったかも。単純に「つまんねーよ」と言う評価ならスルーしたんだけどね。

ちなみに668は私が書いたのじゃないのであしからず。
676名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 21:42:09 ID:PLQnPc+D0
なんでお前はそんな全力で釣られたがるんだ
677名無しさんだよもん:2007/07/18(水) 21:58:59 ID:5yx+/z8T0
そういう手口で荒らしにかかってるだけだろ
678名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 00:46:59 ID:UZgRU8+z0
本当に何でも悪意として捉えるんだなw
679名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 01:15:31 ID:i/9MGbL10
本当じゃんw
680名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 05:25:51 ID:6vuw8vHX0
批判や煽りはともかく、せめてGJとだけは言っておこうぜ
っわけで>657GJ
681名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 21:17:23 ID:mWaz2Uv50
そうやって具体的な感想を出さず、「とりあえずGJと言っておけば良い」
みたいな反応が一番書き手のやる気を削るのに。
682名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 21:28:22 ID:G68jJHWr0
うーん、GJのみもノーリアクションも経験したが後者の方がだいぶ辛かった
どっちにしろ、次がんばろうと思うしかないのは一緒だけどさ

ひとつでも具体的な感想があがってきた時の嬉しいこと嬉しいこと。批判はもっと嬉しい
683名無しさんだよもん:2007/07/19(木) 21:58:39 ID:4ncqkhpQ0
>>681
それは被害妄想だ
つまらない作品にはGJもつけずにノーリアクションだから安心するんだ
684名無しさんだよもん:2007/07/20(金) 03:56:31 ID:jHh2DTuj0
ほんとここの住人は作家ばっかだな
685名無しさんだよもん:2007/07/20(金) 10:57:30 ID:d24MELB9O
読者より作家のほうが多かったりしてな
686名無しさんだよもん:2007/07/20(金) 20:29:59 ID:erRGFhql0
作者は普通一人だから、読者が作家より少ないってのは誰も読んでないって事だw
作家だって他の人の作品を読めば読者だし、読者だって書けば作家だし

まあ自分のサイト持ってSideStoryLinksに登録した方が読者は多いだろうが
687いくのんバスケ【仮】前書き:2007/07/21(土) 00:43:02 ID:S/KjN+1S0
ちょっと前に出だしだけ書いたSSがメール送信箱にあったので折角だからうp。
最初に見た友人に「ToHeart2である意味は無いし描写が意味不明」と言われorzってたけど、
今後のために意見、提案を下さい。面白い/続きが気になると思う人がいたら続き書きます。
こいつはこんなキャラじゃない、ここの部分の設定はありえない、○○は俺の嫁、なんでも
結構ですので。

これでOKかな。
688いくのんバスケ【仮】1:2007/07/21(土) 00:45:44 ID:S/KjN+1S0

「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、うくっ、ハァ、ハァッ……」

――広い部屋の中。あたしと貴明<アイツ>のリズミカルな吐息が響く。

「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、ハァ……」

――カラダが熱くてたまらない。さっき洗濯したばかりだというのにもう下着までグショグショ
だ。熱いあついアツイ……もう咽喉がカラカラだった。

「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、んっ、ハァ、ハァッ……」

――お互い限界が近いのはわかっている。ちなみに今のは咽喉に粘つく唾を飲み下した音だ。
誰もいない病院の一角、あたしと貴明がこんな事をしているなんて姉には想像もつかないだろう。
姉にはとても見せられない。

「ハァ、ハァ、ハァ……くっ!」
「――!!」

――あたしが一瞬気を許した隙を貴明が機敏に突く。この男は、苦手だ。細かい反応から
あたしの弱点を即座に見つけそこを重点的に攻めてくる。先ほどから同じところを往復していた
貴明の手はより大胆さを増してあたしを追い詰める。もう後がない。お願い、もう行かせて……!
689いくのんバスケ【仮】1:2007/07/21(土) 00:46:54 ID:S/KjN+1S0
「ハァ、ハァ、ハァ……」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァッ……」

――こんな形<なり>してあたしもオンナ、貴明<オトコ>の前には手も足も出ない。それが
悔しい、口惜しい。だから吐息を押し殺す。この男に聞かれるのは癪だ。でも後がないのは事実。
だから、あたしは最後の抵抗<わるあがき>を始めた。

――手を行き来する褐色の●に
――左手は添えるように優しく
――右手は和えるように激しく
――口が開いた。はしたなく涎が迸る……かまうものか
――蕩けてぶれる視界で対象を直視しながら
――放った。

……ボールは吸い込まれるようにネットを揺らした。自分でも驚く完璧なスリー・ポイント・シュート


――貴明は目の前の状況が飲み込めないらしく目を白黒させていた。 5−4。勝った……!
690いくのんバスケ【仮】3(ミスった):2007/07/21(土) 00:51:39 ID:S/KjN+1S0
 西暦2004年。年号で言えば平成十六年、皇紀では2664年……だったような気がする。
 映画ではタイムトラベルが可能になったりゴジラとモスラと三式機龍(改)が戦ってたり
幻魔の群れが巴里を襲撃してたり……あら?オーク巨樹だったかしら?まあ良いわ。

 とにかくちょっと昔の人たちが夢見た世界は所詮夢物語でしかなく、毎朝東日に顔をしかめ
通勤するお父さん達に嫌々学校に行く子供達、そして少数の暇な人たちを主成分に今日も世界は
回りつづけている。夢見がちな作家の皆さんはこんな“未来”は予想もつかなかったのか。
いや、まてよ。

『神は天にしろしめし、世はなべて事もなし』

 なんだ、19世紀からわかってたんだ。ようするに人生なんて暇。退屈。なんてツマラナイ、
オモシロクナイ、コノセカイ。そんなことをあたしが思うのもまああたしがそんな人々の「日常」から除け者に
されてるからなんだけどね。

 自分でも長い前振りだと思うけどとにかくこの年の五月十五日はあたしには忘れられない日となった。
。あたしが「日常」に組み込まれる日。この白亜の非日常から色褪せた日常に足を踏み入れられる日。
今日はあたしの眼の手術日なのだ。

 あたしの名前は小牧郁乃。今年から高校(おっと、大人の都合で“学園”と言わなきゃいけないのよね
)に通う事になったごく普通の女の子だ。強いて違うところを上げるとすれば、今までの十年間をほぼ病院
で過ごした位かな――
今のところは以上です。

この後、幼少期いくのんが小児バセドウ氏病及び糖尿病に罹患しそれにより
大元の病気が「自己免疫疾患」である事がわかります。

所変わって2004年の町田市。手術の成功後もなぜか歩く事のできない郁乃は車椅子付ながらも
外の生活を謳歌していました。ある日、郁乃は貴明と雄二がバスケットボールに興じているのを
みます。足元に来たボールを持ち上げ、なんとなく放ったボールは見事ゴールへ。このとき感じた
「このボールは入る」という感覚が忘れられず車椅子バスケを始める事に……

って感じで話を進めようと思います。リハビリもきちんとこなしており体力的には万全。下半身が動かないのは精神的
なものだ……って設定は苦しいですかそうですか。
692名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 01:27:35 ID:XTu5sBhvO
いくのんは目の手術してなかったっけ?
この地点でアウトじゃ……
693名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 01:41:15 ID:oO/LsvKQ0
690の前半の薀蓄部分丸ごといらんだろ。
694名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 01:56:28 ID:bnoSHyA/0
うむ、長期療養により体力が異常に落ちていたから車椅子生活なわけで、
よく食ってリハビリすればそのうち歩いたり走ったりさえもできる。
695物書き修行中:2007/07/21(土) 10:08:03 ID:8n2KPfVN0
恋愛同盟の続きが書けたんで投下します。
スレが荒れ気味だったんで少し投下を控えてる間におまけも書いたので
そっちも一緒に投下します。
全部で16レスあります。
696恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 1/12:2007/07/21(土) 10:09:19 ID:8n2KPfVN0
「タカ坊…私はタカ坊の事が好きよ。あの頃から、ずっと。」
 私の口から、その言葉が自然とこぼれていた。
 そして、じっとそれを聞いていたタカ坊は、少し間をおいて、ゆっくりと答えた。
「俺は…」


   恋愛同盟 第3話  向坂環の憂鬱


 最近、タカ坊の周りが騒がしい。
 いつものように通学路の途中でタカ坊とこのみと待ち合わせて学校へと行くんだけど、
最近その先に、
「おはようございます」
「たかあきくんおはよう」
「おはよっ」
 3人の女の子が合流するようになっていた。

 一人は長い黒髪が良く似合う日本的美人の娘−草壁優季
 もう一人は春の日向みたいに穏やかな娘−小牧愛佳
 最後の一人はMTBに乗る元気の塊みたいな娘−長瀬由真
 どういうわけだかこの3人が最近タカ坊と親しくしている。
 このみはというと、初日にあっさり手なずけられてしまっていた。素直なのはこのみの
良い所なんだけど…。
697恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 2/12:2007/07/21(土) 10:10:25 ID:8n2KPfVN0
 最初、雄二からタカ坊が転校生と付き合うことになったらしい、その転校生は小学校の
頃の同級生で、言ってしまえば私と同じような境遇でこちらに戻ってきてタカ坊と再会し
たのだと聞いて、私はタカ坊を諦める気になった。

 だがその後なぜか2人の女の子…しかもそれぞれに魅力的で可愛らしい女の子が増え
た。何時からタカ坊はそんな女ったらしになったのかしら。彼女が出来たとたんに苦手意
識克服…どころか逆に女好き…ってことは、さすがにありえないわね。

 雄二を締め上げて聞き出した所では小牧さんはタカ坊と同じように男の子が苦手だった
そうだし、長瀬さんは元々タカ坊に何かと突っかかってくるライバルのような間柄だった
らしい。でも私にはわかる。あの子たちはタカ坊に好意をもっている。

 なんだか腹が立つ。九条院に行ってからというもの、タカ坊に選ばれても恥ずかしくな
い様に学業もスポーツも家事もほとんどトップで頑張って来たし、何より女だって磨いて
きた。その辺の女の子に、女としては負けているとは思っていない。なのに私はあの輪の
外に居るのだ。

 そりゃ、私は素直じゃない。何度もタカ坊に私のことを「好き」と言わせようとしたこ
とがあっても、一度も自分からタカ坊に「好き」と言った事が無い。
 結局、自分は行動する勇気が持てなかったから、輪の外に居るのだ。
 なら、手遅れかもしれないけど、せめて行動しよう。

                   −
698恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 3/12:2007/07/21(土) 10:11:12 ID:8n2KPfVN0
「それじゃ、また明日。」
「はい、また明日。」
「それじゃあね、たかあきくん。」
「また明日ね。」
「そんじゃ貴明、久々にゲーセンで対決と行こうぜ。」
 私たちは貴明さんと校門で挨拶を交わして別れました。私たちは3人で用事があるの
 で、今日はここで貴明さんとお別れです。貴明さんは久々で男同士の友情を深めるとか
 で向坂君に引っ張られていきました。
「タカ坊は行ったみたいね。」
 いつの間にか、私たちの後ろに向坂先輩とこのみちゃんが立っていました。
「それじゃ、行きましょうか。雄二には軍資金を与えてタカ坊を引き止めるように言って
 あるから、暫くは帰ってこないわ。」

 私たちは向坂先輩のお家へと案内されました。
 とても広くて立派なお家で、武家屋敷というんでしょうか…大きなお庭には錦鯉まで泳
いでいて、向坂家というのが名家だというのがわかりました。
 私たちはそのお庭を見渡せる広い茶の間に通されました。愛佳さんはどうも落ち着かな
いみたい。由真さんはというと「結構立派な家ねぇ」とか値踏みしてるみたいです。
「小牧さん。別に取って食べたりしないから落ち着いて。」
 お盆にお茶の道具を乗せて現われた向坂先輩はそう言って愛佳さんを落ち着かせるとお
茶を煎れて私たちに勧めてきました。

 暫くお茶をすする音だけが静かな部屋の中に聞こえていましたけど、このみちゃんが最
初に口火を切りました。
「ねえタマお姉ちゃん、先輩たちまで呼んで今日は何の話なの?」
「最近のタカ坊について、かな。タカ坊に直接聞いても良いんだけど、あなた達から聞き
 たいと思って。…あなた達はタカ坊のことが好きなのよね?」
「「「はい。」」」
「で、誰がタカ坊の彼女なの?」
699恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 4/12:2007/07/21(土) 10:12:23 ID:8n2KPfVN0
 愛佳さんと由真さんは答えに困って私の顔を見たので、私が答えることにしました。
「一応、今のところは私が貴明さんの一番ということですが…」
 それから、私たち3人の間で取り決められた勝負とそのルールについてお話しました。
 お話の間向坂先輩は少しあきれた顔をしていましたけど真剣にお話を聞いてくださいま
した。

「…つまり、今あなた達はタカ坊の彼女に立候補してプレゼン中というわけね…」
「まあ、そういうことになります。」
「3つ又というわけではないのね…ところで、そのルールなら途中参加もOKって事よ
 ね。」
 向坂先輩の目が獲物を狙う目になってにやっ、と笑いました。あ、愛佳さんが怯えてま
す…やっぱり小動物系な愛佳さんは猫っぽい向坂先輩には弱いのかな。

「あなた達が認めれば私とこのみも参加可能って事よね。」
「た、タマお姉ちゃん!こ、このみもでありますか!」
「あら、このみだってタカ坊の事好きでしょ?」
「あ、あのぉ…向坂先輩と柚原さんはきっと駄目だと思います…」
 ぎろっ
「ひ!」
 愛佳さんが口を挟んだら向坂先輩がものすごい目でひとにらみしたので、愛佳さんはそ
のまま固まってしまいました。
「ちょっと、向坂先輩…愛佳に喧嘩売ってるんですか…代わりにあたしが買いますけ
 ど。」
「その子が私とこのみを否定するからよ。そりゃ、こちらは幼馴染でタカ坊との仲はあな
 た達よりもはるかに強固だから、脅威に感じるのもわかるけど。」
700恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 5/12:2007/07/21(土) 10:19:52 ID:8n2KPfVN0
「た、タマお姉ちゃん…長瀬先輩もやめてよ〜」
 竜虎相打つ、といいましょうか、剣呑な雰囲気のお二人をこのみちゃんが止めようとし
ていますけど、お二人の視線は互いの目をにらんだままです。ここはきちんと説明をしな
いといけませんね。
「向坂先輩…愛佳さんが駄目だといったのは、そういうことではありません。」
「…じゃぁ、何なの?」
「多分、貴明さんが認めないということです。この間、貴明さんと私たちがデートした時
 のことです…」
 私は、私たちと貴明さんがデートした、この前の日曜のことを話し始めました。

                   −
「え、タマ姉とこのみの事?」
 私たちはその日、駅前にあるオープンカフェのテーブルの一つに陣取って、前夜に話し
合った取り決めについて貴明さんに報告していました。

 一通り夜のお茶会の様子と、3人の間で取り決めたルールについてお話した後で、由真
さんが一つ質問をしました。
「あの二人って、たかあきとどういう関係なの?」
「…タマ姉とこのみは幼馴染だよ。タマ姉は雄二のお姉さんでこのみはお隣さん。このみ
 とはずっと一緒に育ってきて妹みたいなものだし、タマ姉は今年の春に戻ってきたばか
 りだけどその前から俺と雄二にとっては頭のあがらない存在だよ。このみには激甘だけ
 どね。」
「…本当にそれだけですか?」
701恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 6/12:2007/07/21(土) 10:21:27 ID:8n2KPfVN0
 私はじっと貴明さんの目を見て答えを待ちました。私から見ても、あの二人は貴明さん
に好意を持っているように見えましたから。でも鈍感さんの貴明さんは気づいていない可
能性も大いにあるんですけど。

 やがて、貴明さんは降参というように肩をすくめて見せた。
「実はね…昨日愛佳と由真に告白されて、帰ってから夜一人で考えてみたんだ。」
「…何をですか?」
「自分に向けられてる好意について。昨日告白されるまで、俺は愛佳と由真の気持ちにつ
 いて…自分に向けられている好意なんて考えもしていなかった。それが一体どんな好意
 なのかを。」
「……」
「だから、俺が気づかずに見逃している好意がないか、考え直してみたんだ。そして一番
 身近な好意…このみとタマ姉のことを最初に考えた。」
 貴明さんは冷めたコーヒーを一度口に運んで一息つきました。

「…むかしタマ姉が九条院に行く前の日に、俺はタマ姉に呼び出されて、そこでタマ姉に
 告白されたんだ。でも当時の俺は子供で、その告白が本気だとは思わなくて…タマ姉を
 傷つけた。…その時から、俺は女の子を傷つけるのが怖くなった…そして、昨日考える
 まで、その事を忘れていた…いや、目を背けていたんだ。」
「だから、たかあきは女の子にはやさしくしてしまうって訳ね。」
「うん…でも、きっとタマ姉も同じで、あのときのショックから抜け出せていないんじゃ
 ないかと思う。久しぶりに再会したタマ姉は、すっかり大人っぽい女性になってたけ
 ど、芯の部分はあの頃から変わってなかった。あの時はなんでタマ姉が突然戻ってきた
 のか解らなかったけど、もしかしたらあのときの答えが俺から聞きたくて戻ってきたん
 じゃないかと思ったんだ。再会したときも「タマお姉ちゃんすきすき大作戦」とか茶化
 してたけど、本当は俺から好きだって言う一言が引き出せないと、怖くて自分の気持ち
 が言い出せなくなってるんじゃないかって思ったんだ。」
 後悔しているような表情で貴明さんはそういうと、はぁ、とため息をついた。
702恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 7/12:2007/07/21(土) 10:23:18 ID:8n2KPfVN0
「じゃあ、このみちゃんの事はどう思ったんですか?」
「このみは昔から妹のような存在だったけど、俺のうぬぼれじゃ無ければ最近は半分恋人
 のようなものだったと思う。…実際俺とこのみは第3者から見れば恋人のような行動を
 していたし、もし何も無ければそのまま恋人になっていたんじゃないかって思うくら
 い、お互いに横に居ても疑問に思わない存在だったと思う。でも、俺はそれから目を背
 けて、兄妹のような立場で居ようとした。それはこのみを傷つけていたのかもしれな
 い。」
 そう言って貴明さんは口をつぐんだ。これらはあくまで貴明さんの推察ではあったけれ
ど、でも私にはそれほど的外れとは思えなかった。

「…もしお二人が、わたしたちと同じようにたかあきくんの恋人の立場を望んだらどうす
 るの?」
 少しして、愛佳さんが貴明さんに結論を促すように言った。
 貴明さんはその問いにはっきりと答えた。
「きちんと答えを出そうと思う。俺の中で二人の存在がどんなものか…もう答えはあるん
 だ。」

                   −
703恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 8/12:2007/07/21(土) 10:25:33 ID:8n2KPfVN0
 その通りだ。私は小さな女の子だったあの日から少しも変わってはいない。

 …いや、違う。

 私は小さな女の子だったあの時から、怖くて一歩も前へ進めなくなっているのだ。
 だから、今こそ勇気を出して一歩踏み出さないと。

 学校の裏山の祠の周りには、タカ坊と私以外にはこのみとあの子達3人しかいない。
 時折風が揺らす木々の葉音だけがざわざわと聞こえるだけだった。

 覚悟を決めて、目を開けると、目の前にはタカ坊がいる。
 あの頃と同じでちょっぴり頼りないけど、でもあの頃とは違って立派な男の子になった
タカ坊は、私の言葉を静かに待っていた。

 そして私はずっと言えなかった一言を告げた。

「タカ坊…私はタカ坊の事が好きよ。あの頃から、ずっと。」
 私の口から、その言葉が自然とこぼれていた。

 そして、じっとそれを聞いていたタカ坊は、少し間をおいて、ゆっくりと答えた。
「俺は…あの頃の俺は、タマ姉の事が大好きだった。だからタマ姉がふざけて言っている
 んだと思って、あの時拒絶してしまった。でも、タマ姉は真剣だった。…あの時は、ご
 めん。」
 タカ坊はそう言って頭を下げた。そして、続きの言葉を告げた。
「今度は、きちんと答えるよ。…タマ姉の気持ちは嬉しいけど、今の俺はその気持ちにこ
 たえられない。」
704恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 9/12:2007/07/21(土) 10:27:42 ID:8n2KPfVN0
 胸が苦しかった。タカ坊の胸に縋って、タカ坊を責める言葉を浴びせながら泣き出して
しまいたかった。でも、それは出来ない。タカ坊が次に何を言うか、知ってしまっていた
から。

「俺にとって、タマ姉とこのみは「家族」なんだ。恋愛感情じゃなくて、それ以上の強い
 絆を感じる姉妹(きょうだい)なんだ。だからこれからもずっと雄二と4人で一緒だけ
 ど、二人に対して恋人としての思いには答えられない。」
 
 じっと私の横で口をつぐんでいたこのみが、タカ坊の前に進み出ると目に涙を溜めなが
ら、タカ坊の目を見上げて自分の真摯な心を言葉にした。
「このみはね…このみは、一人の女の子として、たかくんの一番なりたいと思ってた。で
 も、たかくんは私の事家族だって言ってくれたから、ずっと傍にいても良いって言って
 くれたから、それだけでも嬉しいよ。ずっとたかくんの妹でいても良いんだよね。」
「うん…」
「明日は笑っておはようって、いうから、今だけ、泣いても、いいよね…」
「うん…」
 タカ坊がこのみの小さな肩を抱き寄せると、このみはタカ坊の胸で静かに泣きはじめ
た。私も、タカ坊の胸に縋って泣きたかったけど、でも姉としての立場が邪魔をして、素
直に泣けない。

 タカ坊はそんな私を見て、すっと手を差し出してきた。私は無意識にその手をとってい
た。
「タマ姉も、泣いてもいいんだよ。」
 その一言が、私の中で素直な心を邪魔していたプライドを溶かしてしまった。
 我慢していた涙がぼろぼろこぼれてきて止まらなかった。
705恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 10/12:2007/07/21(土) 10:29:51 ID:8n2KPfVN0
 私はタカ坊の胸に縋って泣いた。タカ坊は私とこのみの頭を撫でてくれた。それが心地
よくて、また涙があふれてきて、でも嬉しかった。

                   −

「おはようございます貴明さん」
「たかあきくんおはよう」
「おはよっ」
「3人ともおはよう」
 いつものように3人の子達と合流して、今日も7人で登校する。

「けっ、なぁんで貴明ばっかりもてるんだよ。まったく…って、ちょ、ギブ、ギブ、割れ
 る割れる割れる」
「あんたのそういうところが駄目なの。たまにはタカ坊を見習って下心なしで無償の奉仕
 をしてみたら?」
「見返りも無いのに奉仕なんてそんなの空しいっての…って、あの、お姉さまごめんなさ
 い…」
「あははは…タマお姉ちゃん、そのぐらいにしないとユウくん死んじゃうよ。」
「あ、あの、向坂先輩も…おはようございます…」
 小牧さんがちょっとおどおどしながら挨拶してくる。昨日は脅かしちゃったから仕方な
 いわよね…
「小牧さん…私の事は環でいいわ。私も愛佳ってよぶから。」
「え?…あ、あの…はい、環さん。」
 愛佳はきょとんとして私の顔を穴が開くほど見つめてたけど、少しして正気に戻ったみ
 たいであわあわとあわてていた。ほんと、ハムスターみたいな子ね。
「あなた達も環でいいわ、優季に由真。」
「はい!環さん。」
「解りました!環先輩。」
706恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 11/12:2007/07/21(土) 10:33:03 ID:8n2KPfVN0
「あなた達の勝負、私も見届けさせてもらうわ。…言っておくけど、たとえ勝負に勝って
 もタカ坊にふさわしく無いと思ったら、遠慮なくタカ坊を取り上げるわよ。」
 そう言って、ちょっと脅しを掛けておく。
「え、環先輩それずるい!環先輩はリタイヤしたんじゃ。」
「私は一度も降参するとは言ってないわよ。勝負には参加しないけど、タカ坊を誘惑する
 のは止めないわよ。…あなた達が争っている間にタマお姉ちゃんの魅力でタカ坊をめろ
 めろにして奪っちゃうってのもいいかもね。」
 そういいながらいつものようにタカ坊をぎゅっと抱きしめた。
「だ、駄目だよ、タマお姉ちゃん!」
「タマ姉!」
「盗られたくなかったら、せいぜい女を磨きなさい。そして私がうらやましいと思うくら
 いのカップルになりなさい。」
「環さん…」
「…私はタカ坊の恋人にはなれなかったけど、あなた達にはその資格がある。…タカ坊、
 しっかり考えて答えを出さないと許さないわよ。ほら!」

 私は抱きしめていたタカ坊の背中をバシッと叩いて優季たちの方へと放り出した。タカ
坊は勢いあまってよろよろと3人の方へとよろけて、そして倒れそうになって思わず目の
前のモノにしがみついたんだけど…

 ふにょん。

「あんっ。」
「へ?」
707恋愛同盟3 向坂環の憂鬱 12/12:2007/07/21(土) 10:40:50 ID:8n2KPfVN0
 タカ坊は由真にしっかりと抱きついて、その豊かな胸に顔をうずめていた。由真はって
いうと、タカ坊に顔をうずめられて色っぽいあえぎ声を上げていた。
「わわわっ、ご、ごめん!」
「……」
 由真は両手で胸を隠してプルプル震えている。やれやれ、ちょっとタカ坊にお仕置きが
必要かしら。
 右手の調子を確かめてタカ坊の頭へ向かって伸ばそうとしたんだけど、
「でーと」
「え?…由真?」
「二人だけでデートしたら許したげる。お昼と映画、全部おごりで。」
「わ、わかった…」
 なんだ、しっかりしてるじゃない。余計な心配だった見たいね。
「じゃ、今度の土曜にでも…」
「たかあきくん。」
「へ?」
「私も、たかあきくんとデートしたいなぁ…勿論二人っきりで。」
「ぐ…わかった。」
「ということは、当然私ともデートしてもらえるんですよね?貴明さん。」
「ううううう…」
「諦めなさい、タカ坊。優季たちには誠心誠意尽くすのよ。女の子を泣かすのは男として
 最低なんだからね。」
 この美人のタマお姉ちゃんとかわいいこのみを振ったんだから、このぐらいの苦労はし
てもらわないとね。
708恋愛同盟2.5 閑話:向坂雄二の悲劇 1/4:2007/07/21(土) 10:44:17 ID:8n2KPfVN0
 俺はその場から逃げ出した。
 走りながら空気中に光るものが飛び散っていたけど、涙なんかじゃない。
 これは心の汗なんだ…。


    恋愛同盟 第2.5話  閑話:向坂雄二の悲劇


 俺の日曜の朝は早い。
 理由の半分は姉貴にたたき起こされるためだ。休日だからとウッカリ寝過ごした日には
何されるのかわかったもんじゃねぇ。
 貴明のやつが空気読んで姉貴の気持ちに気づいてくれりゃ、今頃貴明と無事にくっつい
た姉貴は大人しくなってくれてたかもしれないが、優季ちゃんとくっついちまった今とな
っちゃそれも無理だろうし。
 …にしても、小学校の頃も結構可愛い子ではあったけど、大きくなってあんなに美人に
なって帰ってくるとわかってりゃコナかけておいたのになぁ。

 とにかくまだまだ布団と離れがたい気分を振り払って起きると服を着替えて身だしなみ
を軽く整える。Tシャツとストーンウオッシュのジーンズで高校生らしくサワヤカ系で決
めて、洗面所で顔を洗って髭をそって髪形を整える。鼻毛がちょいと伸びてたので少し切
って完了。うっし、今日もいけてるぜ。

 その後、小言を受けながら姉貴の用意した朝飯を食う。やれ箸の使い方が悪いのなんの
と言われながら飯を掻き込むと、余計な用事を言いつけられる前に洗面所で歯を念入りに
磨いて自分の部屋に戻ってパーカーを羽織り、まっすぐ玄関に向かい家を出た。

 門をくぐるときに後ろで姉貴が何か言ってたみてぇだけど、つかまると厄介なので聞こ
えないふりをして小走りで家から離れた。
709恋愛同盟2.5 閑話:向坂雄二の悲劇 2/4:2007/07/21(土) 10:47:01 ID:8n2KPfVN0
 とりあえず貴明の家に向かう。俺の好みの年上のおねぇさんは貴明みたいなちょっと頼
りない系が母性本能を刺激して良いらしい(姉貴談)から、何のかんのと理由をつけてナ
ンパの時は貴明を連れて行くことにしている。まあ、アレだ、おとりを使って鮎を釣るが
ごとく、年上で美人のオネェさまを釣るわけだ。貴明のやつがヘタレなせいで、いいとこ
に行く前にいつも逃げられるわけだけど。

 とか言ってる間に河野家に到着。呼び鈴を押したけど返事が無い。こんな朝っぱらから
出かけてるのかよ…しかたねぇ、今日は一人で行くか。
 俺は駅前に向かって歩き出した。貴明なんていなくても俺の甘いマスクがあれば十分よ
…いまだにナンパがうまく行ったためしないけどな…。

                   −

 太陽はもうとっくに真上を過ぎて午後に入っていた。
 俺はというと朝から声掛けしているにもかかわらず一人もつかまっていなかった。
 声の掛けすぎで喉はからからだし、昼を食っていなかったんで俺はナンパを一時中断し
て駅前のオープンカフェに向かった。どうにも旗色が良くない。飯食ったらショバを変え
て再挑戦だな。
 そんなことを思いながらオープンカフェまできたら、その隅のテーブルに見慣れた顔を
見つけた。貴明のやつ、こんなところに居やがったのか。しかも一緒にいるのは優季ちゃ
んといいんちょと隣の組の長瀬じゃんか。デート中にでも偶然会ったとかかねぇ。
 たかあきのやつ女が苦手とか言いながら何であんなに女の子に人気あるんだか…世の中
は理不尽だぜ、くそ。

 ま、コブ付きとはいえ、女の子と食うほうが飯は旨いからな。声でも掛けてみるか。
710恋愛同盟2.5 閑話:向坂雄二の悲劇 3/4:2007/07/21(土) 10:49:17 ID:8n2KPfVN0
「よう、貴明。」
「あ、雄二…もしかして、またナンパか?」
「おう。おまえこそ、優季ちゃんというものがありながら、いいんちょと長瀬を口説いて
 るんじゃねぇの?」
「あー…」
「…?」
 いつもならココで必死に貴明が否定すると思ってたんだけど、今日の貴明は妙に歯切れ
が悪い。
 仕方ないんでいいんちょに話を振ってみた。
「いいんちょもこんなバカップルと一緒にいないで俺と遊びに行かない?」
「あー、えっとぉ…ごめんなさい。」
 ま、いいんちょは男苦手みたいだし。予想の範囲内だな。そんじゃ、と長瀬のほうに声
をかけてみる事にした。
「じゃ、長瀬はどうだ?お茶ぐらいご馳走するぜ。」
「なんであんたと遊びに行かなきゃならないのよ」
 うわ、つめてぇ。でもこれぐらいで引き下がる雄二様じゃないぜ。
「貴明には優季ちゃんがいるからな。ここは俺も加えてダブルデートって事で」
「あたしあんたみたいな軟派な男って嫌いなのよね。」
 取り付く島も無ぇ。
「大体デートの相手ならあたしも愛佳も足りてるっての。」
「?相手なんていないだろ?」
 ここにいる男は俺と貴明だけだし…
「ま、まさか、おまえ…いいんちょとレ」
「違うわよこの馬鹿!」
「…じゃ、どこに相手なんかいるんだよ。」
 そういうと、長瀬は顔を真っ赤にしながら貴明の腕を取った。
「え?貴明は優季ちゃんと付き合ってるんだろ?」
「そうですよ。」
 そう言って優季ちゃんも反対側の貴明の腕を取った。
711恋愛同盟2.5 閑話:向坂雄二の悲劇 4/4:2007/07/21(土) 10:51:04 ID:8n2KPfVN0
「ま…まさかとは思うが、いいんちょまで」
「…うん…ごめんねぇ。」
 いいんちょは顔を赤く染めながら小首をかしげて俺に言った。うわ、恋する乙女の顔だ
よ。
 納得できない俺は貴明に向き直った。
「貴明!説明しろ!…説明によっちゃ、タダじゃおかねぇぞ。」
 3つ又なんて姉貴が知ったらどんなことになるか…なにより優季ちゃんと付き合うって
事で諦めた姉貴とちびすけの気持ちを踏みにじる気なら一発なぐらねえと気がすまねぇ。
「あー雄二、これには深いわけがあって…」
 貴明によると、長瀬といいんちょが優季ちゃんにライバル宣言して、優季ちゃんもそれ
を認めたとか言う。
「あ、ありえねぇ…」
「まあ…俺もそう思うよ。」
「ありえねぇ…女嫌いの貴明が激モテで、この雄二様は一人身だと〜」
「は?」
「こ、この恋愛帝国主義者めぇ〜!!!」
 この世の不条理さに打ち震えながら、俺は人差し指をびしっと貴明に突きつけると、
「これで勝ったと思うなよぉ〜!いつか俺様のハーレムを作り上げて見返してやるぅ〜」
捨て台詞を残してそのラブラブ時空から逃げ出した。目からあふれ出るのは悔し涙なんか
じゃないぞ。これは心の汗なんだぁぁぁぁぁ…。
「あ〜、雄二…」
「あ…あたしの台詞盗られた…」
「向坂くん、ああいう所がなければいい人なのにぃ…」
712物書き修行中:2007/07/21(土) 10:57:44 ID:8n2KPfVN0
というわけでタマ姉話&雄二哀れの2つでした。
途中ですが今回からちょっと体裁を変えました。

前回までの流れだと語り部が由真→愛佳と来たので優季になるべきなんですが、
ふつーにデート話書いてもつまんねぇというのと、女の子3人にモテモテ状態の
タカ坊を見てタマ姉が黙ってるはず無いということでタマ姉の話を書いてみました。
だもんで、語り部はタマ姉&時々優季となってます。
雄二話はそのすっ飛ばした分のプチ補完になってます。

ちなみに一緒に告白したはずのこのみの台詞がほとんど無いのは仕様です。
このみの描写を入れると文がくどくなるんであえてあまり書いてません。
713名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 11:40:22 ID:kuOTGw1q0
タマ姉。・゚・(つД`)・゚・。
714いくのんバスケ【仮】の人:2007/07/21(土) 12:26:14 ID:S/KjN+1S0
>>692、694の人
 リスクの少ない(でもゼロではない)目の手術をして体力が回復すれば学校に行ける、でしたよね。
確か。

 愛佳曰く郁乃の病気は「自分自身の抗体が自分を攻撃する」という事で「自己免疫疾患」と言う
事にしました。アジア人において視力障害から始まり、手足が痺れる原因、治療方法不明の病気
という事で「多発性硬化症」、愛佳が食いしん坊な事から自己免疫疾患の一種「バセドウ病」にも
罹患していると。
 目の手術さえすれば学校には行けますが患者の14%は慢性的に(普通の生活には支障のない程度に)
進行します。だから下半身に運動麻痺や感覚障害が出るなら上半身は達者でも車椅子生活かなと。

 でも設定に無理がありましたね。ちょっと車椅子バスケについて調べてきます。

>>693の人
 薀蓄というよりネタを詰めてみました。よく考えたら世間から隔絶されたいくのんがサクラ大戦やら
鬼武者やらあまつさえゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOSにタイムコップなんて知ってる訳ががありませんね。

 では丸ごとカットしてきます。
715名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 20:39:44 ID:Q9WfrKD60
>714
ネットで自己免疫系の疾患眺めていくのんスレで何人かと妄想垂れ流してたら
「実在の病気にあてはめようとするのキモい」って怒られた事あるな漏れw

色々考えるのは楽しいけど、作中で病名や症状が明言されてない以上
どこまでいっても「そんな感じの病気」って事に留まるしそれでいいんだろうね
もとから膠原病系の個別の病名は症状の名前みたいなもんだし
716名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 20:52:22 ID:XTu5sBhvO
まあ実際、甲状腺の疾患だったら、眼の手術は考えにくいしね
症状を見ればアリかと思うが、治療は甲状腺一部切除か投薬だろうし
中学高校とバスケやってたんで、車椅子バスケには期待
717いくのんバスケ【仮】の人:2007/07/21(土) 21:54:40 ID:S/KjN+1S0
>>715の人
そうですか……母の病状がいくのんの劇中の描写にそっくりな事もあり自己免疫疾患という
設定を思いつきましたが(←やや親不孝)、実在の病気にせず架空の病名(自己免疫疾患の一種)って事
にしましょうか。 治療にはミキュームの肝か仙命樹が必要と(ゲーム違)。

>>716の人
 母は手術をしたと思います。それが自己免疫疾患の治療の一環か別の病気かはわかりませんが。
幸い母はけろっと(日常生活に不満が無いほどには)なおりました。

ともあれ、はじめて続きを読みたいという人発見。やっぱり続き、書こうかな……?
718名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 22:57:00 ID:7xF7H3I80
正直に言って、今の時点で続きが面白そうだとは思えない。

今回公開した部分って、出オチと薀蓄だけなんだよね。
だから本筋がどんな話なのかサッパリわからない。
前半部みたいなギャグ中心で行くなら正直寒いし、後半部の知識垂れ流し状態で進めるならオナニー乙で終わりだし。
これらがアクセントや状況説明にしか使われないなら、また違った印象になると思う。
719名無しさんだよもん:2007/07/21(土) 23:29:46 ID:Mw7pW8K40
批判の感想っていうのはあんまり作者のためにはならないと思うけど、
本人が望んでるならたまには書いてみようか。

車椅子バスケみたいなテーマを書くには、
文章内容含めたすべての態度が不謹慎すぎて不快だと思った。
その組み合わせはちょっとなあ……
でも、ほかに読みたい人がいるっていうならやればいいと思うけど?
あと俺の感想にレスする必要はないです。
720いくのんバスケ【仮】の人:2007/07/22(日) 00:02:38 ID:2+3URBkh0
 設定に難がある、そもそも出だしの部分で面白そうと感じない、テーマに対する僕の態度が不謹慎
という事で、この作品は封印します。

 少しでも興味を示してくれた716の人には申し訳ありませんでした。

 次何か書いたらまたUPします。その時も批評等お願いします。マイナスの批評が文章力の糧となると
思うので。

 最後に、今後の参考までに少しでも“良かった”“面白くは無かったけどここの試みは悪くは無かったかも”
と思うところがあれば教えて下さい。とにかく、自分の文章力を磨きたいのです。
721名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 00:47:09 ID:Tmmm7bxk0
こういうスレで学べるのは、
文章力というよりは物語全体における雰囲気のような物だと思う。
文章力をつけたいと思うならもっと本を読むとか、
そういう事からしていくしか無いんじゃないかな。
一石二鳥で身につく物でもないし。
まぁ、次の作品を出すなら、
その作品に期待させてもらうし、応援させてもらうよ。
722名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 00:50:58 ID:7OrKsSMt0
おーい。一朝一夕だろ。
723名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 02:05:56 ID:KEFBVVuF0
とりあえず、最後まで書け
途中で投げるな、できないなら書くな
文章力云々なんて、最後まで書ける奴に初めて言う事だ
724名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 05:58:47 ID:MXXG70eH0
>>712

個人的にはデートの部分こそ是非見たかったんだが
725物書き修行中:2007/07/22(日) 12:33:17 ID:N71wt5VJ0
あとがきした時に忘れてたんでまず、書庫の管理人様、修正サンクスです。

>>724
こういう話の性質上デート話は書かざるを得ないので、そのうち書きます。
人数構成自体が普通じゃないんで、普通に書いても中のいい友達同士の遊びっぽい
話になっちゃうんで、ちょっと変則的な話で書きたいと思ってます。
726名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 13:23:26 ID:jk8ow6wdO
とりあえずオレは桜の群像が待ちどおしい。
てか最近ここのSSってイルファものがやたら多い気がするけどイルファってそんなに書きやすいのか?
あといくのんも。
727名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 13:29:44 ID:N71wt5VJ0
シルファやミルファほど詳細不明って訳でもなく、本編にも出てきて
取っ掛かりが合ってなおかつ想像の余地が大きいって事でしょう。

要するにキャラがある程度わかって妄想を膨らませやすい。
728名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 17:27:20 ID:FN5DaFQE0
いくのんもイルファさんと似たような位置ですな。骨格はあるけど肉付けは自由
その分ADで「俺の妄想と違うーっ!」が続出でしょうな。漏れには自分事ですけど
>726
桜の群像の作者です。待ってくれて有り難う御座います。来週末くらいにはなんとか
729名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 00:31:26 ID:oMdSECSt0
いくのん書きやすいかなーと思って見事に詰まった人もここに。
なんというか、どうデレさせるというか、どう氷解させるかが難しい気がしますよ。
730名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 02:04:44 ID:FUFQ13dU0
UMA・愛香好きの俺にSSを推薦してくれないかい
アナザーデイズがまちきれないぜ
731名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 17:51:49 ID:iIaV9ogG0
>>730
推薦ってどういう意味?

732名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 17:54:37 ID:dnoVEt/K0
>>730
名前を間違えるやつが愛佳好きとは片腹痛い。
733名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 21:23:12 ID:M503G94S0
「片腹痛い」って、たしか「みっともない」って意味だったよね、タカちゃん。(何の話だ)

愛佳SSなら我楽多工房の「優しい嘘を」てのが好き。でもここできくのはちょっとスレ違いかもと思う。

とりあえず、ToHeart2 SideStory Links に行く事を推薦する。
734名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 23:04:21 ID:3aRzEYbR0
とりあえず公式のシルファ立ち絵だけで飯が食えます
735名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 23:08:53 ID:9idi2iIv0
>>732
なんか書く前に調べれ
736名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 23:09:31 ID:9idi2iIv0
>>735
>>732じゃねえ、>>733
737名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 01:57:07 ID:n1+qhZQv0
>>735-736
>>733は別に質問として書いてるんじゃないだろ。
ちなみに、片腹ってのは当て字で、
周りから見て痛々しい、「傍ら痛い」ってのが正しいはず。
738名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 02:13:40 ID:cn42h0KcO
うーあげあしをとるのはみっともないぞ
739名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 02:29:08 ID:09sdWJ370
大辞林 第二版 (三省堂)

かたはらいたい 【片腹痛い】<

(形)[文]ク かたはらいた・し

〔中世以降、文語形容詞「傍(かたはら)いたし」の「かたはら」を「片腹」と誤ってできた語〕
 身のほどを知らない相手の態度がおかしくてたまらない。
 ちゃんちゃらおかしい。笑止千万だ。
「あの声で歌手とは―・い」
740名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 19:32:06 ID:U1tiklUO0
『傍らいたし』――そばで見聞きしていて心が痛む、いたたまれなくなる様子だ、つまりは
『みっともない』という意味だぞ、うー。

本来はるーのようにそばにいるものがいづらくなるほど立派なこと、優れていることを示す
言葉だったのだが……うーたちの言葉は移り変わりが激しすぎる。やはりうーたちは革命されるべきだな。

みたいな意味だった。でも激しくスレ違いなのでせめてるーこ口調で。
741名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 20:03:16 ID:vNsqtrx60
「『だらしない』は間違った表現で、正しくは『しだらない』と言うべき」
こういう語源厨と同レベル
742名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 20:27:56 ID:09sdWJ370
そうだね
よく語源の意味にこだわって突っ込みたがるヤシがいるけど
言葉の意味は時代と共に変わっていくので、現行の意味合いで
運用するのが普通と思うが。

だからこの場合は>732は別段用例として問題ないし、>733の1行目が
余計な突っ込みだって話だ。
743名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 20:31:05 ID:09sdWJ370
いや、>733のは突込みじゃなくてボケかw
744名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 21:00:32 ID:dZkWNCdM0
はいはい役不足役不足
745名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 21:37:18 ID:iv6T2lV50
そういや、少し前に注送と注迭の違いを力説してた香具師がいたなw

書き手が色々気にするのは理解できなくもないが、
読み手は単語よりも文章の意味と雰囲気を読むもんだろうと思うんだがね
746名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 21:37:25 ID:U1tiklUO0
>>743
はい。自分としてはボケのつもりだったというか……浅はかでした。

別に語源とか意味とかはどうでもよく、花梨が話の流れを読まない子感を出したかっただけです。言葉は生き物であり常に変化するという事は知っていますし語源厨がウザイのは僕も一緒です。

とりあえず
ToHeart2 SS好き同志にオススメSSを紹介したい→でもここではスレ違いっぽい→冗談っぽく言えばスルーしてくれるだろう
というだけの話。

んで740で質問じゃなく答えを知っててあえて書いたんだよ的な事を書こうとしたら途中でうp……orz
IDでわかるだろと思ったらID変わってるし。結果としてジエンぽくなってしまいましたが733、740は自分です。お騒がせして申し訳ありません。
ちなみに733後半は730への返答ね。

自分で言うのもなんですがスレ違い気味じゃないですか?今。
747名無しさんだよもん:2007/07/25(水) 21:39:56 ID:vNsqtrx60
それでは、『桜の群像』の続編でお楽しみください
748732:2007/07/25(水) 22:55:14 ID:iZiXskXd0
>>732を書いた後、一日経ってこのスレを覗きにきたら
話が発展していて驚いた…。
さすがにSS作家の人は言葉遣いに敏感ですね。
あまり言葉を選ばずに書き込んでしまって
スレ違いの話題を産んでしまってすみませんでした。
749名無しさんだよもん:2007/07/26(木) 15:25:50 ID:lbWjBW+x0
>>748
気にする必要ないと思うぞ。大体の意味が取れるなら問題ないし。
SSスレだからとかじゃなく、こういう話題でも無いとレスが付かないぐらい末期なだけだから。
750名無しさんだよもん:2007/07/26(木) 19:23:10 ID:JT7GFI37O
まあ、すぐ末期だの過疎だの言いたがるのも含めて日常だな
751名無しさんだよもん:2007/07/27(金) 01:24:49 ID:HdUbb+ZK0
>>1
※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。
752名無しさんだよもん:2007/07/28(土) 04:23:21 ID:gQtdg2e80
んじゃ立ててみる。
753名無しさんだよもん:2007/07/28(土) 04:27:09 ID:gQtdg2e80
立てました。

ToHeart2 SS専用スレ 20
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1185564280/
754名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:39:49 ID:M8Qfnj1p0
乙。

埋めは恒例の春夏陵辱か?
755名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 20:01:41 ID:3+ch54sQO
>>754
そんなのあんの?w
春夏さん好きだからいいけどw
756名無しさんだよもん:2007/07/30(月) 15:01:13 ID:vh7EDPKgO
新参乙。



夏なんだなぁ………
757名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:20:42 ID:HNPXgUkg0
うめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめうめ
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758名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:22:11 ID:HNPXgUkg0
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759名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:47:48 ID:HNPXgUkg0
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760名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:48:37 ID:HNPXgUkg0
>>759
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761名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:49:32 ID:HNPXgUkg0
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762名無しさんだよもん:2007/08/01(水) 08:51:03 ID:HNPXgUkg0
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763名無しさんだよもん
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         (^o^)ノ オワタ   三┌(^o^)┘オワタ          /|
         ノ( ヘヘ       三 ┘>     三 ┌(^o^)┘オワタ | ミ
   (^o^)ノ オワタ        三 ┌(^o^)┘オワタ    ┘>/   |   ミ \( ^o^)/ オワタ
   ノ( ヘヘ    (^o^)ノ オワタ  三  ┘> ┌(^o^)┘オワタ    /    ミ  |_/
          ノ( ヘヘ           三  ┘>  /   / |       ノ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   /   |  ミ
                                    |  /    |  ヽ(^o^ )ノ オワター      ミ \( ^o^)/ オワタ
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                              |        |         ミ          ノ ノ
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  ______    ______      |        |            |_/
  ||//        .||   ||//       ||     │        |            ノ ノ
  ||/       .||   ||/          ||     │        |
  ||        ||   ||._____________ ...||     │        |              ミ
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