葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ10

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1名無しさんだよもん
葉鍵キャラが殺しあう葉鍵ロワイアルの作品投稿専用スレです。

・書き手ルール
・このリレー小説の大きな特徴は、書き手は「どの話の続きを書いてもいい」ことです。
 納得できない作品があったらNGを出すのではなく、自分が納得できる展開を書いてください。
 あなたの書いた作品のほうが面白ければあなたの書いた作品の続きを誰かが書いてくれます。
 そうでなければ、放置されっぱなしです。適者生存。

・上記のルールのため、自分が投稿する作品にはどの作品の続きなのかを明記してください。
 その際には自分が書いたキャラの直前の作品ではなく、
 自分が投稿したいルートに投稿された最後の作品を書くこと。
 これは新たに物語を分岐させない場合でも同様です。
(もし、複数のルートが同時に成立した場合、読み手の方々にわかりやすくするため)

・上記のルールのため、自分が投稿する作品には必ず題名を明記してください。
・NGはありませんが、意図的にルートを分ける時以外は極力、前後の状況と矛盾しないようにしてください。

・書き手さんは投稿した作品の最後に出演したキャラの状況を明記してください。
 書く内容は時間、場所、持ち物、肉体的・精神的状況。
 例
 古河渚
 【時間:午後2時ごろ】
 【場所:ホテル跡(E-04)】
 【持ち物:デリンジャー(銃弾装填済み)、予備弾丸×9、水・食料一日分】
 【状況:ひざに擦り傷(血は止まってる)、極度の疲労】
2名無しさんだよもん:2007/03/14(水) 00:58:41 ID:c8ITAsK30
ゲームルール
【基本ルール】
・全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
・生き残った一人だけが、帰ることができる。
・プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
・プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収される。
 ただし義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。また、衣服は持ち込みを許される。
・ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給される。以下の物は「デイパック」に詰められ支給される。
 中身は「地図」「コンパス」「懐中電灯」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「ランダムアイテム」

【首輪について】 ・ゲーム開始前からプレイヤーは全員、首輪を填められている。
・開催者側は、いつでも自由に首輪を爆発させることができる。
・この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
・24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
・「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい(無理やり取り去ろうとすると、首輪が自動的に爆発する)。
・会場である孤島から脱出すると爆発する。
・プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。

【能力制限】
・特殊な能力を持つキャラはその力を制限される。
3名無しさんだよもん:2007/03/14(水) 00:59:16 ID:c8ITAsK30
参加者名簿&会場地図
1相沢祐一 2藍原瑞穂 3朝霧麻亜子 4天沢郁未 5天野美汐 6一ノ瀬ことみ
7伊吹公子 8伊吹風子 9イルファ 10エディ 11太田香奈子 12岡崎朋也
13岡崎直幸 14緒方英二 15緒方理奈 16折原浩平 17柏木梓 18柏木楓
19柏木耕一 20柏木千鶴 21柏木初音 22梶原夕菜 23鹿沼葉子 24神尾晴子
25神尾観鈴 26神岸あかり 27河島はるか 28川澄舞 29川名みさき 30北川潤
31霧島佳乃 32霧島聖 33草壁優季 34久寿川ささら 35国崎往人 36倉田佐祐理
37来栖川綾香 38来栖川芹香 39向坂環 40向坂雄二 41上月澪 42河野貴明
43幸村俊夫 44小牧郁乃 45小牧愛佳 46坂上智代 47相楽美佐枝 48笹森花梨
49佐藤雅史 50里村茜 51澤倉美咲 52沢渡真琴 53椎名繭 54篠塚弥生
55少年 56新城沙織 57春原芽衣 58春原陽平 59住井護 60セリオ
61醍醐 62高槻 63篁 64橘敬介 65立田七海 66月島拓也
67月島瑠璃子 68月宮あゆ 69遠野美凪 70十波由真 71長岡志保 72長瀬源蔵
73長瀬祐介 74長森瑞佳 75名倉由依 76名倉友里 77那須宗一 78七瀬彰
79七瀬留美 80仁科りえ 81柊勝平 82氷上シュン 83雛山理緒 84姫川琴音
85姫百合珊瑚 86姫百合瑠璃 87広瀬真希 88藤井冬弥 89藤田浩之 90藤林杏
91藤林椋 92伏見ゆかり 93古河秋生 94古河早苗 95古河渚 96保科智子
97松原葵 98マルチ 99美坂香里 100美坂栞 101みちる 102観月マナ
103水瀬秋子 104水瀬名雪 105巳間晴香 106巳間良祐 107宮内レミィ 108宮沢有紀寧
109深山雪見 110森川由綺 111柳川祐也 112山田ミチル 113湯浅皐月 114柚木詩子
115柚原このみ 116柚原春夏 117吉岡チエ 118芳野祐介 119リサ=ヴィクセン 120ルーシー・マリア・ミソラ

会場:沖木島(原作バトルロワイアルの舞台)
http://www.geocities.jp/hr2_routes/map3.jpg
4名無しさんだよもん:2007/03/14(水) 01:03:40 ID:c8ITAsK30
前スレ・関連スレ・まとめサイト・関連サイト
・前スレ
葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ9
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1167394239/

・感想・考察・運営スレ
葉鍵ロワイアル3感想・考察・運営スレ6
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1172035174/

・まとめサイト
http://www.geocities.jp/hr2_routes/index.htm

・補助サイト
http://3rd.geocities.jp/takatukirori/hakarowa3.top.html

・関連スレ
葉鍵ロワイアル統合スレ16
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1126394892/

・葉鍵ロワイアル3避難板(作品投下・会議用)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/7996/

・葉鍵ロワイアル3雑談所(荒れてる時の雑談用等)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/8314/

・葉鍵ロワイアル3@ ウィキ
http://www28.atwiki.jp/hakarowa3/
5名無しさんだよもん:2007/03/15(木) 19:16:23 ID:/EGrKqkI0
保守
6再会、再戦:2007/03/16(金) 21:40:37 ID:sdt3gwtm0
緒方英二が神尾観鈴と診療所へ戻った時にはもう、那須宗一の無残な亡骸しか残されていなかった。
その後直ぐに診療所を出て、仲間――環や敬介、リサ達の姿を探したが、成果は得られない。
そして、焦る心に追い討ちを掛けるように始まった放送。
次々と告げられる死者の名前。
そこで初めて国崎往人だけでなく、神岸あかりも死んでしまっていた事実が判明した。
「くそ……僕はなんて愚かなんだっ……!」
英二はその場に膝をつき、ぎりっと奥歯を噛み締めた。腕を大きく振り上げ、乱暴に地面を殴りつける。
皆、少しの間別行動を取ったばかりに、死んでしまっている。
芽衣の死からちゃんと学んでいれば――別々に動く危険性を学んでいれば、避けられた事態だった。
「僕がもっとしっかりしてれば、こんな事にはならなかったのにっ……!」
嗚咽にも近い声を漏らす英二。冷静になるよう努力はしていたが、もう駄目だった。
だがその時、英二の肩にぽんと白い手が乗せられた。
「観鈴君?」
英二が振り返ると、観鈴が真剣な瞳でこちらを見つめていた。
観鈴は小さく息を吸い込んで、それからゆっくりと想いを言葉にし始める。
「英二さんは悪くないよ……。だって英二さん、ずっと頑張ってたもん。ただほんの少し……運が悪かっただけだよ」
「そうかな……?」
英二が尋ねると、観鈴は手を突き出してブイサインを作ってから、答えた。
「そうだよっ。私も頑張るから……何も出来ないかも知れないけど一生懸命頑張るから……英二さんも、元気出して?」
「……そうだね。過ぎた事を悔やんでいても仕方ない。それより今度こそ……同じ過ちを犯さないようにしないとね」
英二はそう言うとすくっと立ち上がり、それからもう一度観鈴へ視線を移し、苦笑した。
「全く……これじゃ、どっちが年上が分かったもんじゃないな」
「にははっ、私強い子だもん」
観鈴も英二も大切な人はもう失ってしまったけれど――それでも祐一の願い通り、笑っていた。
二人は肩を並べ、まだ何処かで生きている仲間達を探す為に、再び氷川村の中を歩き出す。
  
   *     *     *
7再会、再戦:2007/03/16(金) 21:41:26 ID:sdt3gwtm0
「さて……これからどうしましょうか」
篠塚弥生は車で氷川村の中を移動しながら、次なる一手をどのように打つか、思案を巡らせていた。
柳川祐也への復讐も出来る事なら成し遂げたいが、今の武装でははっきり言って勝ち目が無い。
車による奇襲も、二回は通じないだろう。となるともう、復讐に固執してはいけない。
大事の前の小事、一番大切なのは優勝して由綺を蘇らせる事なのだ。
そう考えると自然に、これから取るべき道も定まってくる。
強敵を避け、まずは倒せる敵だけを殺してゆき、十分な武装を手に入れる。
その後は放送で状況を確認しつつ身を潜め、ゲームの終了直前になったらまた戦えば良い。
そこまで考えた時に、弥生の脳裏を一人の男の姿が過ぎった。
(藤井さんは……あれからどうなったんでしょうか?)
勿論、それはただの興味に過ぎぬ。自分から冬弥を見捨てた以上、どうなろうと気に病むつもりはない。
その上で予想すると――多分、冬弥は殺されていないと思う。
あの制服の少女と知り合いだったようであるし、意志の弱い冬弥の事、懐柔されてしまったと考えるのが妥当だろう。
となれば、次に冬弥と出会った時は敵同士という事になるが――問題無い。
敵として自分の前に立てば殺すだけだし、再び味方をしてくれると言うのなら弾除けとして使うだけだ。
由綺を生き返らせるという目的の為ならば、手段を選ばぬ悪鬼と化してみせよう。
そんな事を考えている最中、車の前方、街道の遥か先を二つの人影が歩いているのが見えた。
「音でこちらの存在はバレているでしょうし……ライトを点けますか」
弥生が車のフロントライトを点灯させると、街道が眩い光で照らされ、前方の光景が露となった。
すぐ傍に大きな木が何本も立っているので、轢き殺すのは難しいだろう。
だがそれよりも弥生は、こちらを振り向いて身構えている人物の正体に、意識を持っていかれていた。
8再会、再戦:2007/03/16(金) 21:42:17 ID:sdt3gwtm0
「あの人は……」
その人物こそ弥生に手痛い怪我を負わせ、諫めようとしていた――緒方英二だった。
弥生はブレーキを踏み、車をゆっくりと英二達の近くに停車させた。
素早い動作で左手にベアクローを取り付け、右手にFN Five-SeveNを握り締めて、地面に降り立つ。
弥生は冷たい目で英二を見据えながら、言った。
「……正直、また会う事になるとは思いませんでした」
英二は観鈴を庇うように一歩前に出て、キッと弥生を睨みつけた。
「挨拶は結構だよ。聞きたい事は一つだけ――君が、宗一君を殺したのかい?」
発せられた英二の声は、驚くほど低いものだった。
「ええ、殺しましたよ。上手く取り入って、隙を衝かせて頂きました」
弥生は小さく、しかしはっきりと頷いて、答えた。
「そうか……結局道を変えてはくれなかったんだね……」
「貴方は……貴方だけは、分かっていた筈です。由綺さんが生き返る可能性がある以上、私が『他のやり方』を選ぶ事など、ありえないと」
言われて英二は、何も反論が思いつかなかった。
そうだ――これは、分かり切っていた事なのだ。
ただの復讐だけならば、弥生だって断念してくれたかも知れない。復讐した所で、由綺は帰ってこないのだから。
しかし由綺を取り戻す方法があるとなれば、話が大きく変わる。
由綺に全てを捧げて生きてきた弥生が、ゲームに乗る以外の道を選ぶ事など、絶対に有り得ない。
説得は無意味、試すだけ時間の無駄だ。
これ以上の悲劇を防ぐ為には、目的を果たす為には――もう、道は一つしか用意されていない。
英二は持っていたベレッタM92の銃口を、弥生へと向けた。
ほぼ同時に、弥生が握り締めているFN Five-SeveNの照準も、英二の胸の辺りを捉える。
9再会、再戦:2007/03/16(金) 21:43:11 ID:sdt3gwtm0
「……観鈴君、下がっていてくれ」
弥生から視線を外さないまま、英二が短く喋る。
「で、でも……」
「頼む。僕は弥生君と――決着をつけなくてはいけないんだ」
二の句を告げさせないその口調は、鬼気迫るものがあった。
それで観鈴は自分が介入する余地など無いと悟り、大人しく後ろへ下がった。
弥生は英二達の様子を見て、軽い疑問を覚えた。観鈴を守るというのなら、寧ろ――
「下がらせるだけでいいんですか?私は貴方を殺した後、その観鈴さんという方も殺しますよ。
 観鈴さんを守りたいのなら、今のうちに逃がした方が良いかと思いますが」
「――また離れ離れになってるうちに仲間を失うのは、もう沢山だ。それに君に観鈴君は殺せないよ。
 僕が君を……殺すからね」
『殺す』。英二が初めてはっきりと口にした、殺意の言葉。それはとても、重く哀しい響きだった。
弥生は口元を僅かに歪め、しかし相変わらず、淡々とした口調で話す。
「やはり、貴方は私と違って強いですね……。大切な方を次々と失ったのに、全く迷わず、自分の信じた道を進んでいられる……」
弥生の言葉を受けた英二が目を丸くし、それから心底おかしそうに、皮肉な笑みを浮かべた。
その反応に弥生は訝しげな表情となったが、彼女の疑問はすぐに解決される事となる。
「迷わないなんて、そんな事はないさ。こう見えてもデリケートな方でね……理奈と由綺が死んだって知った時なんて、全てを失ったような気持ちになったよ。
 それでも僕が道を変えずにいられるのは……まだ、守るべきものが残っているからさ」
「……観鈴さんですか」
間を置いた弥生の返答に、英二は強く頷いた。
「ああ。僕はこれまで仲間を全く守れなかった。でも今度こそ――観鈴君だけは、絶対に守りきってみせる。
 その為になら、躊躇無く君を撃たせて貰う」
英二の鋭い殺気を一身に受け、弥生は静かに――どこまでも静かに、答えた。
「――分かりました。最後の勝負といきましょう」
由綺を失って、正反対の道を選んだ二人。
彼らの二度目の――そして、最後の対決が始まろうとしていた。
10再会、再戦:2007/03/16(金) 21:44:01 ID:sdt3gwtm0
【時間:2日目18:40】
【場所:I-6】

緒方英二
【持ち物:H&K VP70(残弾数0)、ダイナマイト×4、ベレッタM92(6/15)・予備弾倉(15発×2個)・支給品一式×2】
【状態:健康、目的は弥生を殺害して観鈴を守る】
神尾観鈴
【持ち物:ワルサーP5(2/8)、フラッシュメモリ、紙人形、支給品一式】
【状態:綾香に対して非常に憎しみを抱いている、脇腹を撃たれ重症(治療済み、少し回復)】
篠塚弥生
【所持品:ベアークロー、FN Five-SeveN(残弾数10/20)】
【状態:マーダー・脇腹に怪我(治療済み)・逃亡中・当面の目的は英二と観鈴の殺害、第一目標は優勝、第二目標は由綺の復讐】


【備考1】
・聖のデイバック(支給品一式・治療用の道具一式(残り半分くらい)
・ことみのデイバック(支給品一式・ことみのメモ付き地図・青酸カリ入り青いマニキュア)
・冬弥のデイバック(支給品一式、食料半分、水を全て消費)
・弥生のデイバック(支給品一式・救急箱・水と食料全て消費)
上記のものは車の後部座席に、車の燃料は残量40%程度、車は弥生達の近くに停車


→699
→748
11名無しさんだよもん:2007/03/17(土) 02:14:09 ID:+IPRQ8Oe0
つまんね
12名無しさんだよもん:2007/03/17(土) 02:30:03 ID:57i1xP0M0
猿は「とりあえず批判しとけ」を覚えた
13名無しさんだよもん:2007/03/17(土) 13:58:37 ID:HNqRnyLk0
                          サルでも              (  (
                   ,,.r'' ゛~~` ''ッ,,  つけねーぞ             )   )
                 、 ゛  ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,, ヾ.   こんなレス     ,.、   / /
                  ミ   ミ゛,へ.__, ,_ノヽ i.                .| |l   l ,´
                ミ    ミ, ( ・) {・フ 〉 ミ.          _-、i::| |ニニii '
            、,,,,ツi:     ミ,`~´ ヽ~〈  .ミ        /,‐ヽヽ`、||
          、シ``   i:      ,ゞ  'n.inヽ. .ミ          ( .〉〉/
         シ  //      ミ`    l.l ヽ"、         /  ノ
        ミ/ シ           彡 ,=こ二=.{ ミ,,      ,r'´ ,,、'゛
        ミi. /  /       ' ! w、`~^' vwv '、   ミ      〃 .ミ
       .ミ /     i:  /      `^^     \ ."   〃  ミ
      .ミ.:/ / / i:      v    !  ,,   \ 、 〃  ミ
      :i;     .i:   w      !!   ミ!:   ミ \\( ⌒ヽ
      :i;  /   i:      !!       .ミ キ    , ⌒`、_  )  )
      :il     .i:    !    w!    ミ .:i.   (_ (  _,ノ  ) ,
     :il   !  i:           ! ,〃゛  キ    ゞ、 __,  ノ ,
     .:il !   /~~````` " '''' = ‐- 、ミ  _,,,,_ミ,  il `  ー ´
     :il   ´ ―  ̄ - ,,. -‐‐-、、 ヽ. ヾ、  ゞ、 `  〃
     ゝ、wx.mn.!!++ナ'~      ヾ~ヽ、 ヽ、 ,, ~^^}´
        彡   〃  〃     }} /〉.〉〉〉i''"   〃
         彡、     {{     〃,__!////l |    〃
           X,,    》.   ≪.__`‐'.' '´,Uwwvw'、...,,,___
            ^^^^ !wニこ)こ)二)`) (_,,,..- 、...二⊃_).)
14ヒーローとヒロイン?:2007/03/20(火) 11:03:17 ID:mZwWUsQ20
様々な思惑が入り混じった不毛な戦いは、七瀬彰の死という形で幕を閉じた。
その後古河渚ら一行は元いた民家に戻り、体力の回復と怪我の治療に努めていた。
「はい、終わりましたよ」
「ああ、サンキューな」
岡崎朋也の手当てを終えた渚が、治療に使った道具を箱の中へと片付ける。
一人で大立ち回りを演じてみせた朋也だったが、貰った攻撃は素手による殴打のみだったので、その怪我は浅い。
治療が終わるのを待っていた秋生が煙草の煙を吸い込んで、それから尋ねた。
「おい小僧、これからどうする? もう暫くはここに留まって休むとしても……いつかは、動かなきゃならねえ」
朋也は腕組して、少しの間考えた。
確かにこのまま動かずにいても、状況は好転しない。いずれはこの島から脱出するか、主催者を倒さねばならない。
そしてそれを成し遂げるには、恐らく多くの人手が必要となる。
いざ動き始めた時に、生き残りが自分達しかいない、では話にならないのだ。
このゲームで生き長らえるには動かずにいる事が鉄則だが、その間に同じ志を持った他の参加者達はどんどん倒れてゆく。
あまり悠長に構えている訳にはいかない――しかし闇雲に動いても、効率が悪過ぎる。
「そうだな……まずは第三回放送を聞いてから、どうするか判断しねえか? 『ロワちゃんねる』ってのもあるし、情報を集めてから動くのが良いと思う」
それが朋也の出した結論だった。
扇動行為を行う者もいる以上『ロワちゃんねる』に過度の期待は出来ないが、具体的な行動に移るにはもう少し情報が欲しかった。
朋也はみちるに視線を移して、少し遠慮がちに口を開いた。
「みちるも――それで良いか? 美凪って奴と早く会いたいだろうけど、今動くのはマズイんだ」
みちるは一瞬寂しそうな顔をしたが、すぐに表情を戻して答えた。
「むむむ……仕方ないなあ。みちるも岡崎朋也に付き合ってあげるよ」
みちるの内心を察して僅かに表情を歪めた後、朋也は『ロワちゃんねる』にアクセスすべく、ノートパソコンの電源を入れようとした。
しかし突然、秋生が朋也の行動を手で制し、それから煙草を灰皿に捨てた。
「オッサン、どうしたんだ?」
「静かにしな――外に誰か来てやがる」
朋也の眉がぴくっと動き、渚とみちるの身体が緊張で硬直した。
15ヒーローとヒロイン?:2007/03/20(火) 11:04:13 ID:mZwWUsQ20
「……敵か?」
「そこまでは分からねえよ。ただ人の気配がするってだけだ」
外にいる何者かに気付かれぬよう、囁き声で会話を交わす。
朋也は秋生の鞄からトカレフ(TT30)を取り出して、意を決したように言った。
「俺が行ってくる。オッサンはみちると渚を守っててくれ」
「朋也く――」
渚が顔を歪め、朋也を呼び止めようとしたが、秋生が彼女の口を手で塞いだ。
朋也は一度渚の方へ振り返り、大丈夫だと言わんばかりに頷いた後、玄関の方へと歩いていった。
朋也が耳を澄ますと、確かに玄関の向こう側――門の辺りから、微かな音が聞こえてきた。
玄関にある背の高い靴箱、そのてっぺんにまで這い上がって身を隠し、来訪者の侵入に備える。
すぐに玄関の扉は開かれ――朋也は迷わず、現れた人影に飛び掛っていた。

     *     *     *
16ヒーローとヒロイン?:2007/03/20(火) 11:05:11 ID:mZwWUsQ20

嗚呼、神様仏様。私めが一体何をしたというのでしょうか?
みちるという子を探し、遠路はるばる鎌石村を訪れてみたものの、見つける事が出来たのは見知らぬ青年の死体のみ。
それでも諦めず私――北川潤と、相方兼主人の広瀬真希女史は懸命に一つ一つ、民家を探しておりました。
それもこれも今は亡き同胞、遠野美凪を思っての事。美しい友情を貫く為の、涙ぐましい努力なのです。
しかし私はほとほと、不幸の星の下に生まれているのでしょうか――

「ぐおっ!」
俺が民家の中に足を踏み入れると、突然背中に大きな衝撃が走った。
状況を把握する暇も与えられないまま、足を払われ、くるりと視界が回転する。
背中から床に叩きつけられた俺の目に入ったのは、ピエロ帽子を被った変な男だった。
男が俺に銃を向けながら、ドスの効いた声で話し掛けてくる。
「人ん家の前をこそこそとウロつきやがって……。怪しい奴だな」
いやいや、アンタの方がよっぽど怪しいですから。
大体そのダサい帽子は何だよ、それはギャグのつもりで被っているのか?
……なんて事は口が割けても言えません。この人、眼つきが危ないです。
変な事を言えば今にも発砲してきそうです。
問答無用で襲い掛かってきて、挙句の果てには不審人物扱い。
これが若者のモラル崩壊というものでしょうか、実に嘆かわしい事です。
「ちょ、ちょっと待ってくれ……俺はただ人を探して……」
「るせぇっ! 口八丁で誤魔化そうたって、そうはいかねえぞ!」
――会話が成り立ちません。助けてママン。
17ヒーローとヒロイン?:2007/03/20(火) 11:05:49 ID:mZwWUsQ20
「そこまでよっ! 潤を離しなさいっ!」
「――――っ!?」
俺が一人で先行して、民家に入ったのが幸いした。
窮地の俺を救う為に颯爽と現れたヒロイン、その名は広瀬真希。
その手に持ったワルサーP38の銃口は、しっかりとこのピエロもどきの暴漢に向けられている。
あっさりと負けて女に助けられる男……自分の存在意義に些かの疑問を感じるが、気にしないでおこう。
「クソッ、二人いたのか!」
「早く潤を解放しなさい。じゃないと、撃つわよ?」
忌々しげに真希を睨みつける暴漢だったが、絶対的優位はこちらにある。
「……という事だがどうする、ピエロの暴漢君? 俺達は殺し合いをするつもりは無いし、素直に武器を捨てた方が……!?」
男の尊厳を取り戻すべく俺が話し始めたその時、廊下の方からドタドタという足音が聞こえてきた。
新手――今来られたらどうしようもない。俺は背筋が凍りつく感覚を覚えた。
しかし廊下の向こう側から走ってくる奴らの一人、ちんまい女の子。
美凪から聞いていた容貌とドンピシャのその子を目にした瞬間、俺と真希は叫んだ。
「「――みちるちゃんっ!?」」
「にょわわっ!?」
知らない奴に名前を呼ばれて驚いたのか、みちるちゃんがピタッと立ち止まった。
「どうしてお姉ちゃん達、みちるの事知ってるの?」
真希が銃を鞄に戻した後、首に掛けた美凪のロザリオを持ち上げてみせる。
「これ、美凪の着けてたやつなんだけど分かるかしら? 私達は美凪の願いを叶える為に……みちるちゃんを探してたのよ」
18ヒーローとヒロイン?:2007/03/20(火) 11:07:13 ID:mZwWUsQ20
【時間:二日目・17:00】
【場所:B-3民家】
古河秋生
 【所持品:S&W M29(残弾数0/6)・支給品一式(食料3人分)】
 【状態:様子見。疲労小、左肩裂傷・左脇腹等、数箇所軽症(全て手当て済み)。渚を守る、ゲームに乗っていない参加者との合流。聖の捜索】
古河渚
 【所持品:包丁、鍬、クラッカー残り一個、双眼鏡、他支給品一式】
 【状態:様子見。左の頬を浅く抉られている、右太腿貫通(両方手当て済み)】
みちる
 【所持品:セイカクハンテンダケ×2、他支給品一式】
 【状態:驚き。目標は美凪の捜索】
岡崎朋也
 【所持品:トカレフ(TT30)銃弾数(6/8)・三角帽子、薙刀、殺虫剤、風子の支給品一式】
 【状態:様子見。マーダーへの激しい憎悪、疲労小、全身に痛み(治療済み)。最終目標は主催者の殺害】
北川潤
 【持ち物@:SPASショットガン8/8発+予備8発+スラッグ弾8発+3インチマグナム弾4発、支給品】
 【持ち物A:スコップ、防弾性割 烹着&頭巾(衝撃対策有) お米券】
 【状況:囚われのヒーロー。チョッキ越しに背中に弾痕(治療済み)】
広瀬真希
 【持ち物@:ワルサーP38アンクルモデル8/8+予備マガジン×2、防弾性割烹着&頭巾(衝撃対策有)×2】
 【持ち物A:ハリセン、美凪のロザリオ、包丁、救急箱、ドリンク剤×4 お米券、支給品、携帯電話】
 【状況:救いのヒロイン。チョッキ越しに背中に弾痕(治療済み)】

→743、B-13 B-16
19誰も予測できない事体:2007/03/20(火) 19:57:38 ID:4t2dA4Gs0
岸田洋一は腹の傷を庇いながら鎌石村を南下し平瀬村へと入ろうとしていた
足取りは普段よりも速度は遅く、的確だった。
(糞っ…高槻は何処にいるんだ、折角武器が手に入れたと言うのにっ!!)
岸田は自分の都合通りに行かない事に憤慨していた、ロワちゃんねるで鎌石村役場に来たのは手っ取り早く強姦するためだった…
あわよくば高槻が来ているかもしれないと言う彼の望みだった。
しかしそこに居たのは藤田浩之一人と女達の死体…電動釘打ち機や防弾アーマーを手に入れた時等と同様、生きた男と女の死体に巡り合う運命らしい。

鎌石村役場での藤田浩之に受けたダメージは大きかった、しかし得たものも大きかった
サブマシンガンとマグナム、マーダーとしての装備としては十分過ぎるものだった。
しかしその後に都合よく高槻とは出会わなかった。
これは朋也戦で出血多量に陥っている高槻にとって幸運であり、岸田にも幸運であった…彼の傷も決して浅くはない。
高槻を殺したとしてもその周りにいるであろう仲間達に殺されては意味が無いからだ。
20名無しさんだよもん:2007/03/20(火) 20:03:53 ID:4t2dA4Gs0
そして岸田の脳裏に一つの不安が過る。
(まさか他の誰かにブッ殺されたんじゃないだろうなぁ…高槻よぉ!!)
前回の高槻との戦闘は約12時間前、殺されていてもおかしくは無い…そんなことを考えていた。
(…放送はまだか!!高槻の名を…名を呼ぶんじゃねえぞ…。)
杞憂でしかないことを岸田は心の中で思う…宿敵と認めた高槻…奴をぶち殺すそれが念願だ。

―――定時放送まであと15分、岸田は放送を心待ちにしていた
そして彼が向かう平瀬村には高槻は居ない、決して彼の都合良くは行かない…。
それは他の平瀬村に向かう参加者とて同じだった…。

―――強力な武器や仲間を集めていく河野貴明

―――強力な武器を手に入れようとする朝霧麻亜子

―――今までリモコンスイッチで上手く行っていた宮沢有紀寧

―――首輪のレーダーを持つ来栖川綾香

―――そして首輪の枷の無いイレギュラー岸田洋一…。

誰の予測も出来ない戦いが起ころうとしていた…。

 
21名無しさんだよもん:2007/03/20(火) 20:05:09 ID:4t2dA4Gs0
【時間:二日目・17:45】
【場所:F−4】

岸田洋一
 【装備:電動釘打ち機(5/12)、カッターナイフ、鋸、ウージー(残弾25/25)、デザートイーグル(.44マグナム版・残弾7/8)、特殊警棒】
 【所持品:支給品一式、ウージーの予備マガジン(弾丸25発入り)×1】
 【状態:肋骨一本完全骨折・二本亀裂骨折、胃を痛める、腹部に打撲・内出血、切り傷は回復、マーダー(やる気満々)】

関連
ルートB-13 B-16
→749 745 755 764 
22名無しさんだよもん:2007/04/13(金) 16:14:50 ID:aI4sE14A0
保守
23王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:36:46 ID:F9mwRKHZ0

「衛星で確認してみますか?」とセリオが言うと、イルファとマルチ追加に使ったPCを接続しだした。


てか衛星使えるのかよ。てか
「アンタ、ダウンロードは15時間ぐらいかかるとか言ってなかった?」

 なんで15時間もダウンロードにかかる?Wi○nyとかじゃあるまいし。
「できるようになりました」とセリオが返す。

 ?

 よく分からないが、修理に使った端末を繋いで、衛星からの画像を見てみる。

 1時間ちょい前。

 セリオと私が確かに突撃している──
 白い髪の男との白兵戦。

 その間に、数体の凸がどうも後ろに隠していた姉さんに近づいている画像。
 まずい。
 森の中に姉さんは隠していたので、それがどうも裏目に出たか?

 ただ、森の中なので状況がよく分からない。葉っぱに隠れている。
 そして、葉っぱが無い凸が光線を放つ。と同時に。

 爆発と共に凸数体が消えた────


24王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:37:10 ID:F9mwRKHZ0
 しかし、その後の姉さんの動きは無い。
 そしてその場所に、それ以後凸が近づいた形跡も無い・・・

 その場所に行って見たが、鞄しか残ってなかった。その中に水晶がたくさん入った袋と姉さんの持ち物。

その中に、こう書かれていた。

     /  ヽ   
    ' -―-`、    「せりおとあやかへ たいせつなものですので荷物は預かっててください」
  <i ノリノ))) !>   「あやかへ ここのすいしょうはぜんぶあなたがもちなさい」
    i l i ゚ -゚ノi !    「さいごに いつもみまもってます」


・・・これだけ。

 「・・・・・・」

 死ぬ事を想定してたのか?それとも何か他に意味があるのか?
 水晶にしてもどれが祐介とかどれが初音とか書いてない。

 回収した弾数よりも水晶が多いことを考えると、空の水晶もあるのだろう。
 下手したら全部空なのかもしれないし、重要な霊・・・がいるのかもしれないし。

「・・・いつもみまもっています、てのが気になる」

「芹香様には首輪ではなく指輪にした通信機もつけて頂いていたのですが、
 生命反応はありません。但し死亡反応もなく」とセリオ。

「つまり、本当に不明」
「はい」
25王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:37:27 ID:F9mwRKHZ0
 頭が真っ白になっている。
 だが、最悪姉は死んだかもしれない。つまり・・・一人だけで戦わないとならない。
 (まああんまり戦力にもなってないが)
 しかし、どうやって凸を防ぐか。防げなければこちらも同じ運命。
 それにあの人。何してくるかいまいちよく分からないからな──
 考えられないけど無理やり考える。するとセリオが口を開いた。

「綾香様。坂上蝉丸と戦っても仕方ありません。問題は凸です。
 坂上蝉丸を倒せなくても、凸を絶滅できればそれで勝利になります」と、セリオは言う。

 まあ、凸そのものはウチの受注。
 だからあまりクライアントの凸を壊したくは無いんだけど・・・

「失礼ですが、そういう事を言っている場合でもないかと思われます。
 最悪の場合、島全体の砲撃が起こり、こちら側も死にます。凸の全破壊も仕方ないかと」

「凸の全破壊ねえ・・・」
仕方ない・・・か。

「でも、その凸を絶滅させる方法って」
「現在、凸は3部隊に別れ、神塚山を目指しているのが衛星でも確認できております」
サテライトが随分完璧に生きてる・・・てか頭よくなってねーかこいつ?

「そして、そこに最低予想数2万体の凸が集結すると思われます
 2万の全軍が纏まるわけです。」
・・・2万の全軍が集結・・・

「現在、天候は良いので、凸の位置のほとんどは捕捉できております。たとえ伏兵を仕掛けたとしても
 上空からは全て把握できます。または、天候が悪くとも位置推定が可能です」
・・・・・・・・つまり・・・・・・
26王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:37:49 ID:F9mwRKHZ0
その時、セリオの腹のケロンパが口を開いた。

イルファ:「綾香様。集結して攻撃に出るその直前を狙ってまとめてぶっ飛ばすのが一番効率的っていうのが演算の結論です。」
  綾香:「アンタまだいたんだ」
イルファ:「まだいたのとは失礼ですよ〜私だってこんな状態でも消えたくはないです」


 確かに。凸攻撃はその性質上、一斉砲撃をするには横1列に並ぶ必要性がある筈。
 
 なら、

     凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸

 多分こう並ぶだろうから

   綾→凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸凸→

の方向で貫通弾か何かで攻撃を仕掛ければ、多分ラクだろうなと。

でも山だから

         久
         ■凸≪========→
         ■■凸≪=======→
         ■■■凸≪=======→
         ■■■■凸≪======→       綾

向こうも段差利用してこんな感じで運用するんだろうな。と。
27王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:38:10 ID:F9mwRKHZ0


で、一番有利なのは乱戦が狙える接近戦な訳だ。さらに言えば日差しが薄い北から攻めるのが有効か?

 蝉丸と戦わず、ひたすら凸を狙い、1地区の凸を絶滅させてしまえば、そこは安全地帯になる。
 若しくは凸発射のインパクトの際に地形的に一番安全なのは凸と久瀬のいる本陣。
 つまり一気に本拠に突っ込めば、凸との戦いになるだけで凸ビームの一斉放射は受けにくい。
 上手くすれば凸同士の同士討ちになる可能性も秘めてくる。

 でも、正午の凸はやはり危険。かなり格闘テクが必要になるが。。。

しかし、
「私の演算で出した戦術は、近いですがそれではありません」とセリオは言う。

「でも、どうやれば3万体近くある凸を一瞬で倒せ・・・」
言いかけて少し考えた。
「倒せる・・・・方法はある・・・わね」
「はい」とセリオが言う。
                  ナマモノ
セリオとかと違い、あいつらは生物だからな。


28王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:38:34 ID:F9mwRKHZ0
 ごそごそとバックの中を見直す。まさに「こんなことがあろうかとバック」。
 その中に、その液体の入ったパックがある。
 プラリドキシムヨウ化メチル等と書かれた袋と、アラミド繊維の巻かれたジェラルミンのケースに
入った二つのケース。両方共にしっかりとした紙の封がされており、
 その中に・・・例の物がある。

「・・・・・サリン、サリン・・・・・・・・・っと」
「なんでそんなもん持ってるんですか〜?!」と腹のド根性生首が泣きながらほざく。

来栖川化薬工業で国家から極秘裏に承った毒ガスと解毒剤一式と毒ガス。
サリンの致死量はこれでも1万人以上の致死量があるものが10ケースある。つまり10万人だ。
あともうひとつのジェラルミンケースが、アラビア語で書かれていた袋・・・炭疽菌。あと解毒剤。

「これ(炭疽菌)、確か誰かに支給品で渡していたやついたはずなんだけど、そこんとこどうなのかな?
 誰が持ったのかまでは分からないからな・・・でも炭疽菌ユーザも結局見ていないし・・・」

「私はそれ持った人間が小麦粉か何かと間違えた説を主張します」というイルファ。

 どこのバ鍵だよ。こんなあからさまに怪しいもん小麦粉と考えるアホがいるかと思うか?普通。

セリオは続ける。
「私には生物科学兵器は通用しません。そして私の機体なら綾香様を担いででも60Kmでの移動が可能ですので
 安全な場所に避難させておいてから先に回り込んで攻撃を仕掛ける事は可能です。
 綾香様も毒ガス用マスクと解毒剤・若しくは抗生物質を使用状態でなら
 対毒ガス戦ではKPS-U1のサポートはまだ有効ですので、戦闘は可能かと」


29王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:39:41 ID:F9mwRKHZ0

言ってる事はまあ分かるが、かなり危ない橋だ。そもそも毒ガスも生物兵器も使う予定はなかった。
バトロアは個人対個人戦になる事が多いので、歴代バトロア史でも
対集団用の兵器を使うという事例をあまり見たことない。

ただ、相手が第零種であるなら話は別。KPS-U1でも勝てない位にエルクゥその他の戦闘力が強かった場合、
セリオやKPSからの銃撃で特殊弾頭に詰めて致死量1万人ぐらいの猛毒を一気に叩きつけるという
最後の手段もあったわけで、っていうかそちらを想定していたんだけど。

でもこれ大気汚染とかいろいろめんどい事あるからあんま使いたくないんだけどなーとか
久瀬も一気に死んでしまうんじゃねーかとか、あ、それなら坂神とかいう奴がサポートに回ってるんだから
いいかとも思ったりもして。

そもそも強化兵もサリンも第二次大戦の時の同盟国同士の開発だから恐らく
サリンとは行かなくても対毒ガス戦もマスターはしてるだろうし。
凸を絶滅させても久瀬と強化兵は死ぬ可能性薄いかもしれないなーとも思ったり。
おそらく護衛してるんだろうから。

・・・後遺症は残るかもしんないなー。お互いに。

毒ガス用の解毒剤余分にもってるこちらの方が有利ではあるけど。
セリオだけ単独で走らせるのも手だが・・・こいつ今どこまで信頼できるのかなとも思う。
そもそもセリオであの強化兵に勝てるかというと・・・負ける可能性もある。

せめて2対1で囲めれば・・・
30王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:40:21 ID:F9mwRKHZ0
やっぱ、炭疽菌がベストかなって思ってたら、セリオが再度口を開く。
「もう一つの方法もあります。できればそちらの方がお勧めしますが・・・」

まだなんかあったっけ。

その時、「綾香様、報告していいですか」と別の声がした。
イルファ:「今、HMX-13側が演算止めてるからCPUをこっちに使える状態になったんです。
      融合した状態から気になってるんですけど、こいつの演算速度、異常に遅いです。
      それで調べてみたんですけど、13時間34分32秒あたりから断続的にHMX-13クライアントが
      来栖川工業の三基の通信軍事衛星α・β・γに何万回もパスワードのクラック仕掛けてます」

「は?」

あせってるのか、腹のド根性イルファにゲシゲシとセリオが肘撃ちかましているがイルファは構わず言い続ける。
てか機械の汗って・・・

イルファ:「こんなことやってたら演算機能だいぶ落ちるはずですよ。
      別に私のCPU、本来なら要らないです。その作業の為にHMX-13側CPUのほとんどを使ってるから
      私のCPUが別に必要になるんです。だからこいつ動き遅くてポンコツなんですよぉ」

 そのパス・・・多分ここではアタシだけしか知らないものなんだけど・・・ね・・・機密パスワードだし・・・

イルファ:「き・・・緊急スリープは拒否!この・・・・・kscsysのAMTRSというプログラムを起動させるものらしい
      んです、これって何ですか?それとHMX-17側のOSにアタックしてダイナミック・インテリジェンス・
      アーキテクチャーの性能試験みたいな事やってるようなんです〜
      これ明らかに規則違反ですよね!あとセリオハードの再起動何回もやってます!
      戦闘中でも何気にOS書き換えてるんじゃないですか?だからいろいろ不具合がおk」

kscsysのAMTRSって衛星に搭載されている来栖川サテライトキャノンシステム・Amaterasのりゃk・・・・・・
31王を望む彼女:2007/04/14(土) 20:42:30 ID:F9mwRKHZ0
  綾香:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アマテラス?」
 セリオ:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
イルファ:「・・・・・・・・・・」
  綾香:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「へぇ〜」

「13時間・・・・・・ずーっと。ハックしてたんだ。来栖川一族しか知らない、うちの超重要機密を・・・」
「何・・・考えてたのかな?かな?」


機械の額に汗。



【時間:2日目午前11時】 【場所:G−7】

来栖川綾香
 【持ち物:各種重火器、こんなこともあろうかとバッグ(容量減り)
  サリン、プラリドキシムヨウ化メチル、炭素菌、ペニシリン系解毒剤、毒ガス用マスク
  水晶玉、都合のいい支給品、うぐぅ、狐(首だけ)、蝙蝠の羽、
  霊が入った水晶玉とそうでなさそう水晶玉たくさん。区別はつかない】
 【状態:ラーニング(エルクゥ、(;゚皿゚)、魔弾の射手)、短髪】

セリオ
 【持ち物:なし】
 【状態:(;゚皿゚)】
イルファ【状態:言ってやった言ってやった】
来栖川芹香
 【持ち物:大部分を綾香に譲渡。でも何か持ってるかも】
 【状態:死亡?】
32戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:10:22 ID:hE/lOjn00
空気が湿り気を帯びてきた。
雨が降る前の独特の臭いがしていた。
空は雲で覆われ、あたかもこの先良からぬことが起こりそうな気配が漂っている。
暗闇を照らしながら、折原浩平は立田七海と共に街路灯のつかない夜道を歩いていた。


高槻の元を経って約三十分。彼らは目的の鎌石村役場の玄関前に着く。
「おかしい。真っ暗じゃないか。岡崎の奴、役場に行くと言ってたはずだが」
「もしかしたら灯火管制をしているんじゃないでしょうか」
「そうかもしれないな。あいつら四人だったか。目張りした部屋でローソクつけてるのかな」
「でもお化けが出そうで怖いです」
ドアを開け一歩踏み入れた途端立ち止まる。
あたりは淀んだ空気に加え、独特の臭いが立ちこめていた。

「なあ、立田」
「こ〜へいさん、帰りましょう。古河さん達は居ないような気がします」
何かを感じるのか七海は浩平の手を引っ張る。
彼女の言うとおり、ここは素直に帰った方がいいかもしれない。
だが浩平は考える。
手ぶらで帰るのはいかがなものかと。
せっかく役場に来たからには何か情報を得るものがあるかもしれない。
「長居はしないから少しだけ中を見ていこう。えーと、灯りのスイッチは……」
玄関の電灯のスイッチを入れてみると、暗闇に慣れた目に眩しいほどの灯りがついた。
「これなら各部署の電灯も生きてるみたいですね」
「ああ、明るきゃ怖くねえだろ」
そう言いながらも体は震えていた。
第六感が「行かない方がいい」と訴えていた。
それでも浩平は勇気を出し通路を進む。
33戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:11:59 ID:hE/lOjn00
玄関を入って間もなく、広い室内は通路を挟んで両側に各部署の机が設置されている。
「どこかこの辺に……」
目星をつけたところを照らし、室内の電灯のスイッチを見つける。
全部つけると真昼のような明るさが、それまでの恐怖を一掃した。
左右を確認しようとしたところ──
「きゃあぁぁーーーーーーっ!」
静寂を破り、絶叫が響き渡った。

部屋の隅に四人の女性と一人の少年が横たわっていた。
その中の一人は浩平にとって大切な人、川名みさきではないか。
「待て、逃げるなぁっ!」
悲嘆に暮れる暇はなかった。
七海は大混乱に陥り、玄関とは反対側の裏口へと駆けて行く。
「開いててよかった! セブンなんとか」
鍵のかかってなかったドアを開け、七海は再び暗闇の中へと身を躍らせる。
だが外に出て間もなく何かに躓き転倒した。
「大丈夫かぁ? 立田ぁ」
「あっ」という小さな悲鳴とその後の物音からして七海が転んだと察する。
しかし浩平もまた「椰子の実のようなもの」に足を取られ転倒した。

「え、なに? これ、ヒドデ? ヒトデがこんなとこにいるわけ……」
手をついたところに氷のような冷たさのヒトデらしきものがあった。
手でまさぐると手首、そして腕と伝わって行く。
「どうした? 木彫りのヒトデでも落ちてたか?」
「違います! 誰か倒れてます。灯りつけてください」
「なにぃ!? 倒れてる? おお、今つけるぞ!」
浩平は急いで懐中電灯をつけた。
「きゃあぁぁーーーーーーっ!」
「うわぁぁぁっ!」
浮かび上がった光景を目にするや否や、七海は脱兎のごとく逃げて行った。
34戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:13:49 ID:hE/lOjn00
浩平は飛び退き、尻餅をついたまま大きく仰け反る。
照らされたその先には首のない少女──藍原瑞穂が横わっていた。
周辺を照らすと頭を割られた首が転がっている。
脳はスープ状と化し、頭部を蹴飛ばしたせいで付近に飛び散っていた。


放心状態から我に返るまでにどれくらい時間が経ったのかはわからない。
「げっ! 俺、この人の頭に躓いたのか」
気を取り直すと瑞穂の持ち物を調べることにする。
吐き気を堪え、着衣やデイパックを調べたものの、目ぼしいものはなかった。
「犯人が持って行ったのか。……あっ、しまった。立田のこと忘れてた」
浩平は声をからして七海の名前を叫び続けた。
しかしいくら叫んでも闇の彼方から彼女の返答はない。
暫し考えた末、裏口の外灯をつけるとみさき達の元へ戻ることにした。


五人の亡骸を観察すると改めてその惨状に驚かされる。
みさき以外は皆苦渋に満ちた表情をしている。
一人の女性は呼んで字のごとく全身蜂の巣にされていた。
隣の少女は一箇所を至近距離で撃ち抜かれていた。連射で。
また別の女性は顔面と喉を切り裂かれ、正視に堪えない状態である。
その隣に横たわるみさきだけは唯一人、穏やかな表情をしている。
彼女達とは別に、少し離れたところで横たわるというよりは転がっている、首を斬られた少年。
「おやっ? これは……」
少年──藤田浩之の腹部に刺さっている釘に注目する。
「釘打ち機を使う奴って、まさかアイツ、岸田が殺ったのだろうか」
調べてみると上着とカッターシャツの間に新聞紙や雑誌が仕込まれていた。
背中側にも致命傷はまったく見当たらない。
「もしかして……いや、間違いなく生きながら首を斬られたのか。恐ろしいことだ」
浩平は無学寺で岸田洋一に襲われたことを思い出し、その残忍さに体の震えが止まらなかった。
35戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:15:14 ID:hE/lOjn00
川の字に横たえられている四人の女性と、転がっている少年を見比べているうちにある疑念が沸き起こる。
(先輩達は同じ時間帯に死んでいる。彼は何をしていたのだろう)
推察の結果──
(ここで戦闘が起き、彼は「後始末」をしていたに違いない。その最中岸田に殺されてしまった)

改めてみさきを窺うと、胸のあたりの着衣に若干の乱れがあった。
視線を下半身へと滑らすと、スカートの裾から白い物が覗いている。
ぴらっとスカートを捲ると下着がずり下げられていた。
「まさか、岸田に純潔を奪われたのか。先輩、悪いけどちょっと見させてもらうよ。変なことはしないから」
浩平は恐る恐るみさきの秘所に顔を近づけた。
(綺麗だ。女の子のアソコを見るのはガキの頃の長森のタテスジを見て以来だな。ハァハァ……)

性交の気配は見当たらないが陰唇から「何か」がわずかに覗いている。
異物を摘み、ゆっくりと引き抜くと驚くことにそれはライターであった。
岸田は浩之殺害後、手痛い損傷を受けた腹立ち紛れにライターをみさきの性器に捻じ込んだのであった。
「岸田の野郎、許せん! 俺を差し置いて先輩のアソコに挿入しやがって!」
激昂したものの、頭に上った血はすぐに海綿体へと流れて行く。
「うぅ、悲しい時でさえ俺をカスタマイズするみさき先輩って、なんて偉大な女の子なんだ」
欲望を抑えきれず、ベソをかきながらみさきの胸へとダイビングする浩平。
「うわっ、パフパフできねえや。こんなにカチカチになって、御いたわしやあ、みさき先輩よ」
ふっくら柔らか仕上げと夢見るも、硬直したみさきの胸は浩平を満足させるものではなかった。
みさきの唇に触れてみると氷のような冷たさが指に伝わってくる。
「いつかお腹壊すくらいカレー食べさせてあげたかったのに。寒い時は体で暖めてくれるって約束したのに! ううぅ……」

一頻り涙を流すとみさきの腰を抱え、下着を元に戻してやる。
それから彼女の傍で膝を抱えながら七海の帰りを待つことにした。
「立田の奴、戻ってこないかなあ」
そのうちひょっこり戻ってくるのではないかと思ったが、時間だけが徒に過ぎて行く。
もしかしたら高槻の元へ帰ったのかもしれない。
他に行く宛てなどないのだから。
36戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:16:55 ID:hE/lOjn00
浩平は役場の外に出ると、外周を歩きながら七海を呼び続けた。
しかしいくら呼んでも返事はなかった。
(やっぱり帰ったに違いない。悪い方に考えるのは良くないことだ、うん)
夜の捜索は非常に危険であり新たな犠牲者を出しかねない。
溜息をつくと遺品のライターに火ををつけてみる。
炎を眺めているとみさきとの在りし日の楽しい思い出が浮かび上がった。
(時間が経てば先輩の美しい顔が見るに耐えないものになってしまう。衛生上の問題もあるし、役場を燃やそうかな」
今役場に火をつければ遠くにいる人からも見えるだろう。
(待てよ。これは俺の一存で決めてはならない。高槻達と相談しよう)


役場の門を出、表通りに出ると何気に道路の西の方に視線を送る。
真っ暗な闇の彼方には、昼過ぎに死んだ七瀬彰が骸を晒しているはずである。
(長森が死んだら俺も彰のようになるのだろうか。……いや、死者を生き返らせる発想なんて俺には理解できないことだ)
幼馴染みの長森瑞佳も性格からして自分と同じ考えに違いないと浩平は思う。
主催者は優勝したら望みをなんでも叶えるとはいった。
しかし殺し合いに乗った者達はなぜ死者を生き返らせることしか考えないのだろうか。
他にもっとまともなことがあるはずなのだが……。
七瀬留美と同行中に襲い掛かってきた柚原春夏という女性も、死んだ娘を生き返らせようと考えていたようだ。
(そういえば、あの時別れた藤井はどうしているのだろう)
思い出したように藤井冬弥のその後のことが気になった。
夕方の放送に彼の名前はなかったようだ。
彼は大切な人を殺した者に復讐すると言っていた。
もし目的を達したら死んだ人を生き返らせようと、我々に刃を向けるだろうか。

両手の傷がズキズキと痛み出した。
浩平はもう一度役場を振り返る。
七海が道に迷っていてもわかるように、玄関の外灯はつけてきた。
(もし帰ってなかったら高槻になんと報告したらよいものやら)
悲しみと不安と恐怖が交錯し、再び体が震え出した。
(長森、お前のいう通り俺にはしっかりした人が必要だ。先輩亡き今、頼れるのはお前しかいない。会いたいよう」
浩平は肩を落とし涙を拭いながら帰って行った。
37戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:25:29 ID:hE/lOjn00
一方七海は夢遊病者のように宛てもなく彷徨っていた。
瑞穂の惨殺死体を目にした後、何も考えずひたすら走り続けた。
疲れて走れなくなくなっても、とぼとぼと歩き続ける。
──コワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ……
恐怖のあまり彼女の目にはもう何も映っていなかった。

時間の感覚もわからないまま歩いていたが小石に躓き、ようやく我に返る。
あたりは漆黒の闇が支配していた。
月明かりも街路灯もなくまったく何も見えない。
「う〜、怖いよう。すももがいてくれたらいいのに」
ペットのヤマネに思いを馳せ、耳を澄ますと水の流れる音が聞こえる。
(あれっ? こんなところに川があったかな。私どのあたりまで来たんだろ)
立ち上がり、一歩を踏み出したその先は不運にも斜面になっていた。
ズルッと足が滑り体が前のめりになる。

「きゃあぁぁーーーーーーっ!」
三度目の悲鳴をあげながら奈落の底へと落ちて行く七海。
何かを掴もうとするも伸ばした手は虚空を掴むのみであった。
高鳴る鼓動を急停止するかのように、心臓を握り潰すような衝撃が襲う。
土手から川原までは三メートルほどの高さしかないが、したたかに胸を打ちつけてしまった。
(そ〜いちさん……私……死んじゃうの、かな)
激痛に苦しみながら七海の意識は遠退いていった。
38戦慄の浩平:2007/04/15(日) 13:26:45 ID:hE/lOjn00
【時間:二日目・20:20】
【場所:C-03鎌石村役場】
折原浩平
 【所持品1:S&W 500マグナム(4/5 予備弾7発)、34徳ナイフ、だんご大家族(残り100人)、日本酒(残り3分の2)、支給品一式】
 【所持品2:ライター、支給品一式×3(浩之2と瑞穂)】
 【状態:落胆、すすり泣き。頭部と手に軽いダメージ、全身打撲、打ち身など多数。両手に怪我(治療済み)】
 【目的:高槻達の元へ帰る】

【場所:D-03川原】
立田七海
 【所持品:S&W M60(5/5)、M60用357マグナム弾×10、フラッシュメモリ、支給品一式】
 【状態:胸部打撲、気絶】

(関連・387、548、731、734、749、786)
39朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:21:13 ID:K4r2tS/B0

───東京、首相官邸

 2日目、午前10時。

 日本から韓国・北朝鮮に通じる通信が途絶えた。
 朝鮮半島の済州島を除くすべての諸都市と、連絡がつかなくなった。

 総務省はこの連絡を受け、日韓の通信用海底ケーブルの総確認を通信会社全社に対し命令。


 2日目、午前10時50分。

 対馬の離島防衛の部隊から、ピンク色の『何か』が対岸の釜山市を覆いつくしたと報告が入る。
 運輸省が、韓国上空に飛び立った航空機4機の消息が不明、3機が成田に帰還した旨の連絡を受ける。
 詳細不明。

40朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:21:47 ID:K4r2tS/B0
 2日目、午前11時00分

 日本国防軍および米軍、緊急出動。哨戒機を朝鮮半島上空に展開


 2日目、午前11時05分。

 対バトル・ロワイヤル展開中の空母『あきひで』より連絡、
 バトル・ロワイヤル参加者の6.一ノ瀬ことみ、91.藤林椋の消息が沖木島から消滅、
 韓国・済州島付近で首輪を感知したとの第一報が入る。
 


 2日目、午前11時15分

 「韓国の日本大使館と連絡が取れません」
 「在韓米軍は!」
 「応答無し!」

41朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:22:14 ID:K4r2tS/B0
 2日目、午前11時20分。

 官邸に、軍からの伝令とマスコミの緊急ニュースが同時に飛び込んできたのは、午前11時20分だった。

 マスコミの報道は、大体以下のようなものだった。

 ・朝鮮半島全土の消息が午前10時から不明になっている
 ・朝鮮半島全土をピンク色の肉のようなもので埋め尽くされている
 ・朝鮮半島にいる邦人の生存が確認できてない。
  日本大使館およびソウルの各報道機関の支社との連絡が取れない。


 軍と外務省からは、フランス・カナダ・アメリカの通信軍事衛星の画像と、
 日本軍の通信偵察衛星との両方の映像が同時に入ってきた。

 いずれも、朝鮮半島全土を、ピンク色のツチノコのような化物が覆いつくす、おぞましい衛星映像。
 その『肉』は半島全土を覆いつくし、その四肢と思われる小さい出っ張りが中国とロシア方面、
 そして済州島方面に向いていた。


「地震です!午前11時18分検知!長崎に震度4!福岡に震度4!鳥取に震度5弱!新潟に震度3!津波5mの予想!」

官邸に、韓国と沿海で向き合っている各県の地震速報も入ってくる。

42朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:22:48 ID:K4r2tS/B0
───東京・首相官邸。

「何だ、これは!」

官邸の人間も絶句した。あまりに予想外の事態が発生した為だ。

「空母『あきひで』からの情報によりますと、91.藤林椋、6.一ノ瀬ことみの両名が島から消え、
 島の外に出た模様、現在の91.藤林椋、6.一ノ瀬ことみの両名の位置は、韓国・済州島の緯度にあるということです」

「済州島(チェジュ島)だと?!」

「恐らく……考えにくい事ですが・・・・この朝鮮半島を覆いつくす肉の正体は・・・
 沖木島で行われているバトル・ロワイヤル参加者、91.藤林椋、6.一ノ瀬ことみの両名の…」
「膣です」

 衆人、耳を疑った。

「・・・なんだと?」

軍の関係者は続けた。

「その・・・・・・」
「沖木島の結界を抜けてチ○ポ狩りに出たと・・・・・」

再び官邸は絶句した。

しばらくして、大臣の一人が、報告した軍人に問いただした。
「ひょっとして、あの藤林とかいう女の肉が、『あの』半島をチ○ポに見立てて自慰行動をしている…というのかね」
「はい・・・というより、状況証拠から見て、それ以外に・・・」
43朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:23:12 ID:K4r2tS/B0

「あの半島は形が男性の性器のようだと、かの朝鮮・韓国人自身が自慢していたくらいです…」
「ですので…藤林らは大きいチ○ポとしてあの半島を利用したと…」

軍の専門家の意見は続く。

「今は藤林らはとりあえず大きいチ○ポを入れて満足しているようです…」

ほかの大臣が声を荒げる。
「朝鮮半島にいた人間は!韓国国民だけでも6千万はいるんだぞ!」

しかし、それにも、軍人は冷静・・・というよりも呆然自失的な表情で答えた。
「…連絡が取れません・・・一切。通信から全て…
 在日米軍が緊急出撃をし、朝鮮半島にいる肉体に攻撃が開始されておりますが…」

報告の最中、別の回線から緊急連絡が入ってきた。
「アメリカ大統領からホットラインが繋がっております!戦略核を許可し、既に日本領内をミサイルが通過したと」
「した?」と主催者と思われる男性が聞いた。

44朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:24:27 ID:K4r2tS/B0
「はい。あと10秒でソウル市の位置に着弾」

というな否や、後ろの衛星映像が光り、ソウル市があったあたりだろう位置にキノコ雲が沸き立った。
続いて、太田、光州・の位置に閃光とキノコ雲が沸き立つ。
しかし、効果があまり見られない。
むしろ喜んでいるかのように朝鮮半島を覆いつくすピンク色の肉は震えて不気味な汁を出している。

「無駄な事」と久瀬防衛庁長官は言った。
「Uを超えるかも知れぬ女だ。核など効かぬ」


「…大気汚染をしただけだね」と、総理の横にいた少年は言った。
「超人なんていうレベルはとうに超えてるけど、どうすんの?アレ」


平壌だったと思われる位置にまた核が落ちたが、朝鮮半島を覆いつくすピンク色の肉は
震えてさらに不気味な汁を出していた。
45朝鮮半島、消滅:2007/04/21(土) 03:24:48 ID:K4r2tS/B0


 一ノ瀬ことみ・藤林椋 融合体

【場所:朝鮮半島のあった位置。頭は済州島あたりにあると予測される。】
【持ち物:書き手薬×2、性なる剣、性なる鎧、イケメン触手キョウ、イケメン触手トモヤ】
【状態:性神(The God of Sex)第二段階。オナニー中】

少年
【場所:東京・官邸】
【持ち物:不明】

主催者?
【場所:東京・官邸】
【持ち物:不明】

D系共通
46そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:53:16 ID:ZJMPne5p0
場所:G−5地点。晴れ。11時03分。

780体の砧夕霧が合体していく。
その様は奇異というより表現の仕様がない。
すごいというのか、なんというのか。久瀬本人ですらこの状況を喜んでいた。
これで砲撃すれば、一発で勝てるだろう・・・

そう思っていた矢先に、蝉丸の声がした。
その声は明らかに焦っていた。

「さっきの女はどこにいった?」
「え?」

呆然としていて、気がつかなかったが、いつの間にかに消えていたのである。

11時05分。周りを探してもまったく見当たらない。
そして山の上を見上げるとステッキ持ったピンク色の変な女の姿が見えた。

「・・・・あれ、佐祐理さん・・・・・・なら、山頂に行った・・・?」

坂神:「・・・山頂・・・?」
久瀬:「・・山頂・・」

「「え゛?」」
そこは、まさに向かおうとしている場所だった。気づいた時、およそ11時07分。
47そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:53:34 ID:ZJMPne5p0
*****

場所:F−5、神塚山山頂地点。11時3分。

「あははーっ!すんごいおこまりのようですねぇ〜?」

数十メートルはあろうかというその巨体を見ていたら、突然後ろから声がした。
突然声がしたので後ろを振り向くと、そこに、何かがいた。

「誰だお前は!」と秋夫が驚く。

 また、相変わらずなんの気配も感じさせないデンパな女が立っていた。

「佐祐理は難しいことはよくわかりませんが、魔法はなんでも叶えてくれますから、安心してくださいねっ
 さっきも坂神さんの願いをかなえてきたんですよ〜」

あきらかにこいつ何か人生勘違いしていると秋生は思ったが、今は余計な体力を使いたくない。

「いや、いろいろと困ってることだらけというか、大ピンチなんだがな・・・」と秋夫が返す。
「あはは〜それはたいへんですね〜」とのんきな声。

「はええ〜?大変なお怪我ですよ〜」

瀕死の状態の2人にやっと気がついたのか、という感じではある。
48そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:54:34 ID:ZJMPne5p0
 こういう脳がお花畑なのは非常に対応に困る。
 そういう点では坂神も秋生も同じだった。

(どうする?)と秋生は源蔵に聞く。
(どうするも、こうするもないじゃろ?このお嬢さんをかばって戦うだけじゃ)
 女子供ではもう、逃げられないじゃろ?)

(マジで?!)と再度問う。

 あきらかに『べつにこいつだけは死んだって誰もこまりゃしねーよ』的表情を浮かべる青年。
 彼の頭の中では、この女は『女子供』とは別の『デムパ』という分類にカウントされてるのだが
 この昭和一ケタの老人にはそういう分類法は無い。

「願いのう・・・」と源蔵が返す。

「そうじゃなあ・・・今なら、雨じゃな」
「はええ?」
「今は日光が邪魔なのじゃ。日光が無ければ勝てるのじゃがな・・・のう」
 あくまでも世話話的な話なのだが然し、それを受けた彼女。

「あははー、かんたんですよー♪
 でも佐祐理の魔法は一人一回までですよ〜?そんなことでいいんですか〜?」
 斜め上な答え。

「・・・まあそうじゃ。たとえば三日三晩、島の全てが大雨とか、の」
「あははーっ!簡単ですよー!」

手にした杖のようなものを振った。ピンクの杖。
すると。突然空に黒い雲が沸き出し、
ぽつりぽつりと雨が降り出してきた。

(え?・・・まじ?)と、さすがに驚く。
49そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:55:12 ID:ZJMPne5p0
そして30秒後。
スコールのような雨が島全体に一気に降り出した。

「あははーっ!佐祐理も濡れちゃいますよー!」

なんか楽しそうな声を上げる女。

*********

場所:G−5地点。神塚山山麓、11時10分丁度。

・・・佐祐理の位置を把握した大体3分後に、突然の。大雨。
予期すらしていなかった事が、平然と起きてしまった。

つまり、これはたった一人の倉田佐祐理というエセ天然によって
流れも全て無視し、久瀬の人格と人生の全てを無慈悲にもブッ壊された事を意味した。

50そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:55:26 ID:ZJMPne5p0

///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

久瀬と倉田家の確執について、Leafの名作・『White Album』で喫茶店『エコーズ』のマスターを勤め
KanonやKey関連の作品にも詳しいフランク長瀬氏はこう語る。

「我々の価値感的に見ると、彼が生徒会で行った行動についてあまり問題とされる行為は存在しない。
 彼は校舎内で暴力行為を振るう生徒の処分を求めたまでであって、その行為そのものに関しては
 むしろ道義的、学校政策上に見て正しいものと言える。

 3年生の倉田氏を差し置いて2年の久瀬氏が生徒会の実行権を握ったと批判される件についても、
 そもそも年長で実権を持つべき立場にあるべき倉田氏にあまりリーダーシップを感じない。
 国会議員の地位は倉田氏の方が上で年長者でもあるのにもかかわらず、2年の久瀬氏の方が学校内の
 実権を取っていたということは、むしろ久瀬氏の方が倉田氏よりもリーダーシップがあったことの証左では
 ないのか。」とし、その上で

「本来ならば、異常行動を起こす三年の川澄を諭すのが倉田の役目であると思われるが
 積極的にそのような行動を作品内で行うことはせず、むしろ相沢をけしかけて久瀬と戦わせようと
 してた可能性すら見受けられる。となると、本当に悪い人間は久瀬よりもむしろ倉田と相沢では
 ないだろうか」と語った。

///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

その間も、砧夕霧は融合を続けていく。
51そして突然のクロージングセレモニー。。:2007/04/25(水) 03:55:45 ID:ZJMPne5p0

 【時間:二日目午前11時10分ごろ】
 【場所:F−5、神塚山山頂。大雨】

古河秋生
 【所持品:ゾリオンマグナム】
 【状態:ゾリオン仮面・肋骨全損、肺損傷、瀕死】
長瀬源蔵
 【状態:貫通創3、内臓破裂多数、瀕死】

砧夕霧
 【残り24689(到達120)】
 【状態:進軍中】
融合砧夕霧
 【1090体相当】

倉田佐祐理
 【所持品:マジカルステッキ】
 【状態:何でもありな魔法少女】

 【場所:G−5、神塚山山麓。大雨】
久瀬
 【状態:呆然】
坂神蝉丸
 【状態:呆然】
砧夕霧コア
 【状態:健康】

解説はフランク長瀬さんでした。

 →810 ルート:D−5とかいろいろ
52霧島聖の投げっぱなしジャーマン:2007/04/26(木) 23:58:17 ID:40UYNpkT0
 やあ。

 最萎で黄色と人気を二分したえあーの霧島聖だ。
 
 なんかBL団とかいろいろ今訳わかんねー事やってるが。
 医者なのに医者らしいことしてないととかいう誰かの心の声が聞こえてきたから
 久しぶりにメスを使ってみようと思う。

 特に他意はない。

 ちなみに外科医なんだがうちの医院に手術台は無い。
 田舎なんで患者もいない。
 どうやって生計維持しているのかとかは、Airの佳乃ルートやりゃ書いてあるから。

 パチモン使うんじゃねーぞ。中古も禁止だ。
 Airってのはな。Keyの麻枝准っつう前田が毎日タミフル飲みながら
 よくわからない負のエネルギー振りまきながら必死で書いたもんなんだ。

 あ。デバスだっけ。どうでもいいよな。
 しょせん元旦早々Mixiで訳わからない事叫んで自爆する副作用があるだけだ。
 気になるなら毎日メンタルバランスチョコGAVAでも食ってろ。
 それでメンタルバランス直るなんて話聞いたことないがな。
53霧島聖の投げっぱなしジャーマン:2007/04/26(木) 23:59:34 ID:40UYNpkT0
 今日のクランケは、ここに転がってるひぐらし。
 (足元のデブを蹴る。)
 このままだとひぐらし厨がうぜえから、てっとり早く蘇生だ。
 材料は赤インクと糸と縫い針。簡単だろ。

 これを心臓縫い付けて復活させる作業に取り掛かる。
 ひぐらしの場合はこの赤い丸ボールみたいのが心臓だ。単純だろ。

 どうやって縫い付けるか?そんなん小学校の家庭科ででも習え。
 一回か二回はフェルトでサッカーボールとか縫うだろおまえらだって。
 六角形とか五角形とか訳のわからん形に布切って縫い付けていくんだ。
 
 そんな感じで縫い付けたら、あとは適当に血管とかくっつけていくんだ。
 こっからはめんどいからアロンアルファ使う。
 一応補足しておくが、医学用アロンアルファもあることはあるが、
 ひぐらしなんだから木工用でいーんだよ。

 あとは血管に赤インクでも流しこみゃ完成だ。
 なけりゃトマジューでいいぞ。赤けりゃいいんだ。

(ひぐらし、がばっと起き上がる。)

 ほい。おきたー
 後は鉈でももたせりゃりっぱなひぐらしだ。
 今日もいい仕事した。じゃな。

【時間:2日目午前11時ごろ】 【場所:B−5】

遠野美凪 【状況】 ひぐらし。復活。
     【持ち物】鉈とお米券
霧島聖  【状況】 復帰人。
広瀬   【状況】 そのまま。
54出奔:2007/04/27(金) 00:37:14 ID:J6/+qOqm0
折原浩平からの報告を受けた高槻以下三人の間に重苦しい空気が流れていた。
同行した立田七海が行方不明になったことは一大事である。
高槻は理解してくれたが、皐月と小牧郁乃は疑念の眼差しを向ける。
疲労困憊で帰宅した浩平を待っていたのは湯浅皐月の詰問だった。

「なんですぐに戻らなかったの? 七海は嫌がってなかった?」
「何もしないで帰るよりは情報収集した方がいいと思ったんだ。立田は……帰ろうと言ってたが」
「遊びじゃないのよ。命懸けってこと忘れてるんじゃないの?」
今更ではあるが、古河秋生らがいないと判断した時点で引き返さなかったことが負い目になった。
(言う通りだが湯浅の奴、なにカリカリしてやがんだ。ちょっとムカつくな)
皐月の個人的事情など知るよしもない。
親しい那須宗一が死亡し今また七海が行方不明になってしまい、皐月は情緒不安定に陥っていた。
傍目には勝気でしっかりしているが、意外と繊細な女の子のようだ。

「本当は猥褻なことしようとしたんでしょ? あの子ロリ系だから男の人にモヤモヤさせる要素があるもんね」
挑発的なその言葉が萎縮していた浩平の気分を転換させた。
「この非常時に馬鹿なこと、いや、俺がそんなことするかっ」
「服やズボンの汚れは何かしら?」
「追っかけて外に飛び出した時に、外で死んでた少女に躓いたんだってば」
「まあ湯浅、落ち着け。お前、月のモノが来てるんじゃないのか? それとも不定愁訴とかいうやつか?」
高槻が宥めようとしたが、
「来てなんかないわよっ!」
目を吊り上げ甲高い声をあげる。
「オッサン、月のモノってなんだ?」
「月と言えばMOONに決まってんだろ。あー、ドットつきだぞ。型の方じゃねえからな」
──クスクス。
失笑を抑えきれず郁乃がキャラ○コーンの袋で顔を覆っている。
55出奔:2007/04/27(金) 00:39:22 ID:J6/+qOqm0
「正直に仰い。暴行して殺したんでしょ?」
どこまでも皐月は挑発的である。
「テメー! 言って良いことと悪いことがるぞ。冗談は──」
「ヨシコさんなんて言わせないわよ」
「お前なあ……寒気がしてきたぞ。見た目と中身に相当の差があるな」
「埒が明かないわね。それではズボンの前が半分開いてるのは何かしら?」
皐月は立てかけてあったH&K PSG-1を取り、構える。
「わっ、開いてる。これはなあ……小便した後に締め忘れただけって、オイ、銃口向けるなよ」
「怪しいわね。話が出来過ぎてる気がするんだけど」
「なあ、俺の信用って、ちっぽけなものだったのか?」
「そうよ。いつ裏切るかもしれないのに七海を預けたのが間違いだったわ」
「湯浅、いい加減にしろっ」
高槻の手が皐月の手に触れた途端、
──カチャッ
迂闊にも引き金を引いてしまった。
だがH&K PSG-1が火を噴くことはなかった。

微かな金属音が場の緊張感を最高点に高める。
興奮していたとはいえ、うっかり引き金を引いてしまったがもう遅い。
(くっ、不発とは!)
「お前、引いたな?」
それまでの鬱屈が溜まりに溜まり、浩平は顔を真っ赤にして睨みつける。
(やる気ね? それなら──)
浩平の手が腰のホルダーに行くのを見るや、横っ飛びに床を転がり、伏せ撃ちの姿勢から撃つ。
しかしH&K PSG-1は沈黙していた。
56出奔:2007/04/27(金) 00:41:56 ID:J6/+qOqm0
背筋に冷たいものが走り顔面蒼白となる。
ゆっくりと目の前に影が立ちはだかった。
「ハイ、銃を捨てて、立って手ー上げてー」
「はあ……煮るなり焼くなり勝手にしなさいよ」
皐月は仕方なく指示に従った。
この距離ではどうあがいても逃げようがない。
「役場に行く前にお前の銃見といて良かったぜ」
「弾切れだったこと知ってたんだ。はぁ……」
項垂れたまま次の言葉を待つ。

「見えないけど脇のお手入れはちゃんとしてるか? 髭ボーボーは嫌いだぞと」
「へ?」
「さあて、お仕置きはどっちに穴開けようか。右のおっぱいにしようか。左のおっぱいにしょうか」
浩平は突き出ている二つの膨らみの先を交互に軽くつつく。
「折原、いい加減やめないか。仲間割れしてどうすんだ?」
「三……二──」
「あ、あぁぁぁ」
「一……バーン」
余裕の笑みをみせながらも浩平の目つきは真剣である。
「はあっ……撃たないの?」
「言っただろ。俺は殺し合いには乗らないって。但し岸田相手には例外だがな」
「……ごめんなさい。あたしが悪かったよ」
皐月はようやく非礼を詫び、頭を下げた。
「わかってくれりゃいいよ、ごがつ」
「ごがつ? ……折原君ってセンスなさ過ぎ。背中に氷入れられたみたいだわ」
苦笑しながら安堵の溜息をつく。
危うく浩平を撃ち殺すところだった。
弾が入ってなかったのは不幸中の幸いである。
全身汗びっしょりになり、着ている物が張り付いて気持ち悪さが募る。
57出奔:2007/04/27(金) 00:43:28 ID:J6/+qOqm0
一件落着に見えたが浩平は以外な行動を始めた。
水筒の水を補充し、拾ってきたデイパックから食料を詰め替え始める。
「何やってんだ、折原」
「信を失った以上、俺はあんたらといっしょに行動する気にはなれない。俺は俺のやり方で島を抜け出したい」
予想もしない宣言に皆戸惑いの色を隠せないでいた。
「行く宛てなんてないだろ? 単独行動は命を縮めるぞ」
「わかってるよ。せめて俺の探し人を見つけられたいいと思ってる。その先はまだ考えてないが」
「あたしが出て行くからあなたは居なさいよ。あたしが悪いんだから」
「いや、いいからいいから。またどこかで会おうな」
皐月の顔に焦りの色が浮かび、いたたまれなくなり、出て行こうとする浩平を背後から抱き締める。
「ねえ、行かないでよう」
「なあ湯浅。こういう時はまず「捕まえた」って言うんだぞ。気分は横断歩道の真ん中にいる感じでな」
「横断歩道? なになに……」
「そしてだな、公園の草むらで膝枕をするんだ。下から見上げるおっぱいはなかなかのもんだなあ」
口をあけて呆然としている皐月の目がみるみるうちに吊り上がる。
「ヘンタイ! 何訳わかんないこと言ってんのよっ」
申し訳ないと思っていた気持ちが吹き飛び、尻めがけて膝蹴りを浴びせる。
「グワァッ!」
浩平は尻を押さえながら床に転がった。
だがすぐに立ち上がりドアのノブに手をかける。
「クソッ、白いパンツはいてやがる。湯浅にはどどめ色がお似合いさ!」
「折原待てっ。二人とも冷静になれって……」
高槻の声を背に浩平は雨降る夜の闇へと姿を消した。

「あーあ、行っちゃた……」
「明日迎えに行ってやれ。行き先は役場だろう」
玄関にしゃがみ込む皐月にすうーっと手が差し伸べられた。
軽く会釈し手を借り立ち上がる。
見た目より案外いい人なのかもしれない。この男は……。
テーブルにつくと郁乃が紅茶を入れてくれる。
ややぬるめになっていたが気落ちした心を癒すのにはちょうど良かった。
58出奔:2007/04/27(金) 00:45:52 ID:J6/+qOqm0
「七海のことなんだけど、明るくなったら戻ってきたりして。生きていればね」
「そうだな。悪い方に考えないことだ。道に迷ってどこかで固まってるんだろう」
「もしかしたら古河さんが保護してるかもよ」
落ち込む皐月をよそに郁乃は雄弁だった。
「おおっ! 古河達のことを忘れていたぜ。あいつらもまだ鎌石村に留まっているのだろう。早く合流したいところだ」
「ふあ〜、なんだか眠くなっちゃった。もう遅いから休ませてもらうわ」

高槻は郁乃を見送ると寝室に向かおうとしたが足を止め、振り返る。
皐月の肩が小刻みに震えていた。
「元気出せ。肩が凝ってるなら揉み揉みしてやるぞ」
「アン! 何すんのよう。気持ち悪い」
首筋にフーッと息を吹きかえられ皐月は思わず立ち上がる。
「湯浅を頼りにしてるから明日は期待してるぞ。疲れただろうからもう寝な」
人相とは裏腹に優しい言葉をかける高槻。
冷え切った心に、俄かに暖かな日差しがさしたような気が満ち溢れる。
「そう言ってくれると嬉しいな。ありがとう、高槻おじさん」
「おじさんなんて言うんじゃねえ。お兄さんとでも呼んでくれい」
皐月は肩を抱かれ、はにかみながら寝室へと歩いて行くのであった。



その頃浩平は数軒先の民家の軒下で思案に暮れていた。
成り行きで飛び出したものの行く宛てはない。
雨の音を聞きながら闇の彼方を見つめるばかりである。
(まずは明日、みさき先輩を埋めてあげよう。後のことはそれからだ)
デイパックから大きな透明のゴミ袋を出すと、カッパ代わりに頭から被る。
(う〜、怖いな。しかし立田も怖い思いしてるんだろうな。どうか何事も起きませんように)
気を新たに引き締め浩平は去って行った。
59出奔:2007/04/27(金) 00:47:53 ID:J6/+qOqm0
【時間:二日目・21:30】
【場所:C-04】
折原浩平
 【所持品1:S&W 500マグナム(4/5 予備弾7発)、34徳ナイフ、だんご大家族(残り100人)、日本酒(残り3分の2)、ライター、支給品一式(食料は二人分)】
 【状態:大き目のビニール袋を被っている。頭部と手に軽いダメージ、全身打撲、打ち身など多数。両手に怪我(治療済み)】
 【目的:鎌石村役場へ。みさき埋葬後は未定】

【場所:C-4一軒家】
湯浅皐月
 【所持品1:H&K PSG-1(残り0発。6倍スコープ付き)、自分と花梨の支給品一式】
 【所持品2:宝石(光4個)、海岸で拾ったピンクの貝殻(綺麗)、手帳、ピッキング用の針金、セイカクハンテンダケ(×1個)】
 【状態:首に打撲、左肩、左足、右わき腹負傷、右腕にかすり傷(全て応急処置済み)】
高槻
 【所持品:コルトガバメント(装弾数:6/7)、分厚い小説、コルトガバメントの予備弾(6)、スコップ、ほか食料以外の支給品一式】
 【状態:全身に痛み、中度の疲労、血を多少失っている、左肩貫通銃創(簡単な手当て済みだが左腕を動かすと激痛を伴う)】
 【目的:最終目標は岸田と主催者を直々にブッ潰すこと】
小牧郁乃
 【所持品:写真集×2、車椅子、支給品一式】
 【状態:就寝中】
ぴろ
 【状態:就寝中】
ポテト
 【状態:就寝中】

【備考:要塞開錠用IDカード、武器庫用鍵、要塞見取り図、支給品×3(食料は一人分)は家に置いてあります。高槻達の翌日の行動は未定】

→801
60黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:53:01 ID:cTiTJV6I0

声がしたんよ。

懐かしい声。

───やあ。


・・・何なんよ。まだ寝てるんよ。


───なぜ。寝てるのかね


・・・私は死んだんよ。死んだら人間は霊界に行くんよ。


───死んだ?

・・・?

───まだ生きているではないか

・・・え?


61黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:53:16 ID:cTiTJV6I0



───君は、体が粉々になった程度で死ぬような女ではないはずだ。

なんのことだかわからないんよ。

───(゚w゚)なら私なら作る事が出来る

・・・・・・!

───君も分かっている筈だ・・・
─────この世に(゚w゚)がある限り

・・・・・・

───黄色は何度でも蘇る───っ!!!



62黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:53:43 ID:cTiTJV6I0
D-1海岸近く。

目覚めた時はまだ海岸にいた。

「久しぶりだなYellow」

目覚めた時に最初に目に入ったのは「通天閣」という文字。
霧島診療所の医師、そして最萎で最後まで戦った相手、霧島聖だった。

「何者かによって粉々にされていたようだったので、適当な材料で(゚w゚)を作り直した」
「適当な材料って何なん?」
「秘密だ」

「とりあえず復活してよかった。君にしかできない頼みがあってな」
「アンタとはそんな親密な仲じゃないんよ」

「まあ、そういうな」と聖は花梨を押さえた。

(゚w゚)で復活したとはいえ、彼女は服は着ていなかった。
そこでどっから出てきたのか赤いいつもの制服が出てくる。ただ、襟は四角い。

「服だが、TH1の型落ちした制服があるからそれ着てれば大丈夫だろう」と聖は言った。

服を見てみると、襟に『来栖川芹香』と書かれている。

黄:「・・・こんなのどこにあったんよ」
聖:「アイテムは宝箱の中と決まっているだろう」

「どこの宝箱なん?」と聞きなおすと、ずっと前に見た船の中を指差した。
宝箱があったんだろう。

63黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:54:07 ID:cTiTJV6I0
「そんなことより。早速だが君の力を借りたい」と聖が聞いてきた。

「君の血をこの船の中にいる葉大阪の死体どもに分けてもらいたい」
「死体とはどういうことなん?」

船が近くにあった。その船の中に死体が沢山転がっていた。
彼女と由真はそれを見て、逃げた。聖はおそらくそれの事を言っていたのである。

聖:「失血多量で死んでいる物が多数いる。
   したがって既にオペをして全て傷口は埋めてある。」

黄:「でも、既に死んでるやん」
聖:「通常なら蘇らない。だが、君の血に流れる葉大阪の血、そしてべんとらの力を持ってすれば
   99%はダメでも1%の可能性で奇跡は起こるだろう。」

黄:「じゃあほとんどダメなんよ」

聖:「よく聞きたまえ。100回やって1回成功するということだ」
黄:「100回やれば一回は奇跡が起こるってことなん?」
聖:「そういうことだ。つまり100回分の血を分けて欲しい。」
黄:「無茶いってもらっても困るんよ」
聖:「『魔法が使えたらって、思った事ないかなぁ?』が愛する妹の口癖でな」
黄:「もうそのレベルは魔法じゃないんよ」



64黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:54:23 ID:cTiTJV6I0
聖:「君はいくらでも体は組成するだろ?普通は組成しないのだよ。
   君は吊るされようが電流ショック食らおうがいくらでも生き返る人間だろう」

黄:「そんな設定TH2にはないんよ」
聖:「凸が3万体いる設定なんて誰彼にあったか?」
黄:「そういわれるとどうにでもなるような気がするんよ」

聖:「ただ、生き返る際に君のべんとら血を持つ異常な復活力を使った事は
   クランケには伝えないでおいて呉れたまえ。
   患者のQOL(Quality of Life,生活の質)を下げるような事は言いたくない」

黄:「アンタさっきから滅茶苦茶失礼なんよ」
聖:「いつもの事だ。気にするな」



聖は、黒髪の少女の遺体に黄色の血を注入し、頬をぺちぺちとたたいた。

聖;「はい。ワン・ツー、スリー・・・」
「はい。君の名前は?」

すると、目がぴくぴくと動き始め、口を開いた。
「あやのべ・・・可憐・・・です・・・」

意識は朦朧としているが、どうも目がゆっくり開く。

「はい、起きたー」

聖がガッツポーズをする。
65黄色で助かる命がある。:2007/04/27(金) 22:54:42 ID:cTiTJV6I0
同じような要領で、6人を蘇生させていった。

黄:「本当に黄泉がえったんよ・・・」
聖:「ところで綾之部ってあんま知らない顔だね」
黄:「知らずにやってたんかい」
聖:「あと残り全員も同じ事やれば復活するだろ」

黄:「ていうか、あんた本当に医者なん?」
聖:「お前は何を言ってるんだ」


2日目、午前11時。D-1 海岸近く、船の中。

笹森花梨 状況  最萎優勝者
     持ち物 新生(゚w゚)、TH1制服@来栖川芹香

霧島聖  状況  最萎準優勝。ドクター。ミス復帰人。
     持ち物 注射器

折原明乃 折原志乃 綾之部可憐 綾之部珠美 片桐恵 香月ちはや
状況:復活、意識朦朧。血だらけの服。

805→806→809→810→820→822

ルートD−2、ルートD−3、ルートD−4、ルートD−5共通。
66千堂和樹のワンマントークショー:2007/05/05(土) 04:33:23 ID:1asAPQpQ0
おっす。
なぜか今回HR3で名前すら出なかった千堂和樹大先生だ。
ブラザー2っていうよろすなサークルやってます。
よろしくな。

つうかお前ら。
こみパって憶えてるか? こみっくパーティ。

http://www.aquaplus.co.jp/cp/

ほれ、コレだ。好評発売中。
俺主役。手前に青い髪の男いるでしょ。
ってなんで自分で宣伝しとかんといけないのか。なあ。

まあ、今回は主催者側なんだが。
B系?では、名前すら出てこなかったよ。たぶん。
一応、建前上言っておかないといけないと思うんだ。
なめてない?あんたら、って。
岸田のように強引に上陸すりゃよかったかな。ちょっと後悔。

なんで岸田がタカ坊に殺されなきゃならないんだろうな。
レベル的には、マルチがモップでザク倒したって言ってるようなもんだぜ。
なんでかなー。なんでだろー。

まあ、いいや、関係無え。
どうせ死ぬんだし。死んだんだしか。
67名無しさんだよもん:2007/05/05(土) 04:34:15 ID:1asAPQpQ0
空母の中で、セキュリティの結構強い部屋にも入れるのが、今の俺の特権。
どういうご関係ですか?って兵士が聞いてきたからよ。

「・・・ヒューマノイド・ロボのデザインしてる関係で・・・」
「デザイン担当したのアンタだったの?」
「・・・ええ。」

まあ、ちゃんさまとの共同作業というか、やったのはうちの緑(女)。
俺のデザインは、横の耳だけ。
デザインはしたんだけど、直前で緑(女)のにされちまった。

まあ、この話来た時、あまり受ける気なかったんだけどね。
ちゃんさまがどうしてもやりたいいうから、やっただけなのよ。

 何度かね。綾/芹や長瀬主任と俺と九品仏・詠美・由宇でデザインとか話あってさ。
上から下まで、つうか性交時に必要な性器の形状まで含めて話があったんよ。

 なんでそんなことまで検討しないといけないのかって、それもこれも試運転時に
 12型でセックルしたバカがいるからなんだが。名前はいえないけど某藤田。

 アレ、マルチ性交事件って来栖川の内部ですら伝説になっててな。
 あの当時、マジでアレを入れることは想定はしていなかったらしいんだわ。
 ROM見たあと、ひっそりと下半身全部全とっかえしたららしいけどね。
 その後、来栖川の内部での奴の渾名が「漢・藤田」になってたってのは秘密だ。
 やってて「やべっ」て気がつかなかったのかね。いまだに謎なんだけど。

 でも、アレはアレで綾香嬢のお気に入りだから、あまりバカにもできない。
 やっぱ金持ってる奴はつえーよ。うん。
68名無しさんだよもん:2007/05/05(土) 04:34:29 ID:1asAPQpQ0

 ていうか、何でだろうな、今回のBRに藤田入ってるの。

 藤田の女関係の粛清入ってるっていう噂は常にあったけどな。
 ・・・綾香嬢と付き合ってたらしいんだけど、後で幼馴染の某赤に
 乗り換えたとか何とか。他方いろいろと手付けしてたらしいって話は有名だ。
 もう、お前ら自体が志保ちゃんニュースだよ。ええ。

 衛星とか大企業とか超能力者まで巻き込んでなにやってんだろうなあの男は。

 俺なんて見てみろ。すごいぞ。全ルートオタクEND。
 統一感があっていいだろ。少しは見習え。な。

 姫川琴音は付き合ってなかったらしいけど。あれは超属性だからな。
 てか、みんな1はなかなか死なねーよね。みんな。
 鳩2はけっこーこちとらバカスカ死んでるってのに。

 タマ姉なんて何で死んだかすらよく憶えてないもんな。
 ま、タマ姉っつーたって俺の方が年上なんだけどさ。
 みんなタマ姉って呼んでるよね。

 まあ、いいや。こっちは安全圏だ。


69名無しさんだよもん:2007/05/05(土) 04:34:58 ID:1asAPQpQ0


 でも、猪名川由宇。あれただモンじゃないね。
 イルファの声をどうするかという話をしてたとき、

「新京成電鉄新京成線でアナウンスしてる女いるからそれ連れてきいな」って
 いきなり言い出して。どっからそんな情報仕入れてきたのか謎だけど、
 声サンプル取ったらぴったり合ったから怖い。

 さすが由宇大師といわれてるだけある。恐ろしい。

 綾香に「何あれ?鉄ちゃん?」って聞かれたけど。
 鉄ちゃんじゃないはずなんだけどね。
 まあ、鉄ちゃんだったとしてもあまり違和感無いけどさ。
(坪内地丹の女版みたいだ)

 まあ、そんなこんなで。無駄話終了。
 長いって?いいだろ。出番無いんだから。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

空母・あきひで内 午前8時。

千堂和樹   状況:こちら同人の神。暇を持て余している。

D-2〜5


70黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:26:51 ID:c1WEC9Jf0
藤林杏は泣き喚く春原陽平を引き連れ、平瀬村役場の一室で疲れた体を休めていた。
部屋の明かりは点けず、机の中にあった使い古しのローソクで最小限の照明を得る。
小型の赤外線ヒーターに当たり、濡れた着衣を着たまま乾かす二人はどちらとも口をきかず、ただヒーターのランプを見ていた。
「雨、止まないね」
「うん」
いろいろと話題を振ってみるが、陽平は空返事をするのみである。
魂の抜け殻のような陽平を見るにつけ、杏の心は苛立ちが募るばかりであった。
陽平の気持ちがわからない訳ではない。
杏にしても行動を共にした観月マナが目の前で射殺されたのだから。
「あの二人、相討ちになるといいね」
朝霧摩麻子と来栖川綾香の殺人鬼同士の対決のことを振ってみる。
「もう、どうでもいいや」
「どうでもいいって? いい加減にしなさいよ! 女の腐ったみたいなウジウジした男って大っ嫌い」
杏の平手が飛びパシンと乾いた音が響く。
打たれた頬を押さえ呆然とする陽平。だがその瞳が憎悪に満ちたものに変わってゆく。
活を入れたつもりが予想もしなかった反応に杏はたじろいだ。

「てめぇ……。女の腐った奴だと? 僕だって、僕だってやる時はやるんだからなっ」
返り打ちが飛び杏は壁際に飛ばされる。
頬の痛みを堪え立ち上がり、怯むことなく睨みつける杏。
「ぶったわね。あんた、女の子をぶつなんて精根が腐ってるよ。顔に辞書めりこまれたいの?」
「おまえなんか、女と思ってねえや。めりこむのはおまえの方だ!」
陽平は杏のデイパックを掴み、彼女の顔目がけて投げつける。
デイパックにはボタンや辞書等が納まっており、顔に当たればただでは済まない。
──体が動かない!
目の前の陽平はもはや、いつものヘタレな彼ではなかった。
邪悪なオーラと異様な目つきに杏はこれまでにない恐怖を覚える。
「ぎゃああああっ!」
壁を背に頭がクラクラし、鼻に来るツンとした痛みを感じながら、杏は一瞬気を失いかけた。
鼻の下に温かい液体が流れ、それが血だと理解するに時間はかからなかった。
71黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:28:25 ID:c1WEC9Jf0
「どうした? いつもの威勢の良さは」
「嫌、やめて……やり過ぎだよ」
「やめない。やめるか。な〜にが『やり過ぎ』だ。ザケンナッ、目に物を言わせてやる」
陽平が右手の人差し指と中指をゆっくりと突き出す。
──目を突くつもりだわ!
そうはさせまいと目を閉じ両手で顔を覆う。
その場しのぎの策だが陽平の行動は予想もしないことだった。
鼻の穴に突き入れられ、そのまま持ち上げられる。
「イタイイタイイタイイタイイタイイタイ、痛いよぉ〜」
足が床から離れ体が宙に浮き、杏は激しくもがく。
「ハハ、無様だな。まるで豚だ。そういえばおまえ、猪飼ってたな。猪も豚も同じだからこれからはメス豚と呼ぼう」
「ごめん。謝るから許してぇ。お願い、許してぇー」
「痛いか? いつだったか、よくもバイクで轢いてくれたな。すごく痛かったんだからな」
陽平は指に力を入れ杏の体を更に高く持ち上げる。
「ごめんなさい! おフザケにしてはやり過ぎましたっ! 心を入れ替えますから許してください!」
言った直後、指を入れられたまま部屋の真ん中付近に投げ飛ばされる。
──狂ってる。いつもの陽平じゃない!
ルーシー・マリア・ミソラへの想いを軽視したのがいけなかった。
杏は体を震わせ恐怖におののくばかりである。
「今までヘタレヘタレって、さんざん馬鹿にしてくれたな。メス豚め」
「ヒッ、何するの?!」
両足首が掴まれる。
「豚が空飛ぶところ見たい。ハハハハハ、もっと泣け。もっと喚け」
「いやあーっ! やめてーっ!」
陽平は両足首を持ったまま回転を始める。俗にいうジャイアントスウィングである。
「とんでとんでとんでとんでとんでとんでとんでとんでとんで、まわってまわってまわってまわぁるぅう〜」
どこかで聞いた歌を口ずさみ、天井目がけて放り投げる。
「きゃあぁぁぁーっ!」
華奢な体が弾丸のごとく飛び、天井にぶつかり、そして床に叩きつけられた。
72黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:30:52 ID:c1WEC9Jf0
全身に激痛が走り意識が遠退いて行く。
仰向けに喘いでいると陽平が近づき歪な笑いを見せる。
捲れ上がったスカートからは白い下着が覗いていた。
「おや、純白の……いや、ちょっとシミがあるかな。よりどりみどり、いや黄色に染めてみよっと」
「やめてーっ! あぁーーーーーっ!」
陽平は容赦なく臍のあたりに飛び乗り圧をかける。
「イチニ、イチニ、イチニ……さあ、早く漏らしちまいな。でも僕は早漏は嫌いだぁっ」
体中の力が抜け、腹部で足踏みする陽平をどうすることもできない。
そのうち片足が少し下のあたり──膀胱を押し潰した。
「あああぁぁぁぁぁぁーっ!」
絶叫と共に股間から黄色い液体が湧き出し床に水溜りを作って行く。

陽平の暴走はなおも続いた。
しゃくり上げる杏の髪を掴み、彼女が作ったばかりの水溜りに鼻先を押し付ける。
「舐めろ。舐めて飲んでリサイクルするんだ。今はリサイクルの時代。リサイクル最高! 自分の小便を味わえ」
「ゲホッ、ハァハァ……もう、勘弁してください」
杏は仕方なしに舐めるがすぐにむせた。
自分の物とはいえ、排泄物を口にするのは女の子として耐え難い屈辱を感じざるを得ない。
それでも反抗的な態度を見せる訳にはいかず、泣きはらすのみである。

「なぜなんだ。椋ちゃんと同じ顔してるのに、おまえは醜い。椋ちゃんの出来損ないとして名を否定の『否』の字に改めろ」
「ううっ、藤林 いな、ですか?」
「そうだ。『藤林 否』だ。字が似ていてまさにピッタリだな。ハハハハ」
なぜこんなことになってしまったのだろう。
どうにか折檻は収まったが杏はただ怯え、うなだれるしかなかった。
73黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:32:23 ID:c1WEC9Jf0
陽平が水溜りに顔を近づけ臭いを嗅ぐ。
「アンモニア臭いな。椋ちゃんなら甘くていい匂いがするだろうになあ」
いくらか落ち着きを戻したが異常な行動は相変わらずだった。
部屋の片隅で蹲りじっと見ていると、何を思ったか陽平は背を向けヒーターにあたり始める。
(もう、精神が錯乱してるんだ。このままでは殺されるに違いない。殺やるなら今だ)
杏の心をドス黒い澱が包みこみつつあった。
音を立てないよう、傍に落ちているワルサー P38を拾い邪悪な背中に狙いを定める。
撃てばまず外れることのない距離なのだが、手が震えてどうしても撃てない。
「さっさと撃てよ。狙ってるのわかってるんだから」
「撃てないよ、あたし」
「もういいんだ。どうせみんな殺されるんだ。妹やるーこの元に行ってもいい。おまえに殺されるなら恨まないよ」
低く沈んだ声。陽平の声は悲しみに満ちていた。
「あたしだって妹が死んやりきれないのよ」
搾り出すような声で訴えるのがやっとだった。

それから暫くの間沈黙が続いた。
「撃たないのか? そうか……では、お別れだ」
荷物を手に陽平は部屋を出て行った。
──助かった。
杏は全身の痛みを堪えながら安堵の溜息をつく。
投げつけられたデイパックを開けてみるとボタンは泡を吹いて気絶していた。
「よかった。生きてた」
血に塗れた手で撫でていると、ふいに虚無感に襲われる。
──酷い目に遭ったけど、それでも陽平には傍に居て欲しい。
初めて見せた陽平の意外な性格にどこか惹かれるものがあった。
──もうヘタレなんかじゃない。
胸に切ない想いが溢れ、杏はよろめきながら後を追う。
74黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:34:53 ID:c1WEC9Jf0
(まだ止まないな。るーこの居たところはどのあたりになるだろうか)
陽平は玄関に佇み真っ暗な空間の彼方を凝視していた。
ぼうーっとしていると背後から駆け足の音が近づいてくる。
足音は真後ろで止まり、背中に柔らかく温かい物が押し付けられた。
「行っちゃ嫌。行かないで」
両脇から伸びた手が絡み陽平の腰を抱き締める。
「放してくれ」
「あたしを独りにしないで。陽平くん、勝手な言い分だけど、あたしを助けて欲しいの」
「お断りだ」
そう呟いたが陽平は振り払おうとはしなかった。
「……せっかく乾きかけたのに、また濡れちゃうよ」
押されるように庁舎内に引き戻される。腰に回された手は震えていた。
「なあ、杏よ」
「否でいいよ。『いな』で……」


先ほどまでいた小部屋に戻り、ヒーターの前に座らされる。
「ねえ、寒くない?」
「少しな」
ローソクが燃え尽き、あたりはヒーターの仄かな赤色に包まれた。

「ねえ、陽平くん」
「くん付けで呼ばなくてもいい。もう何もしないから」
「お願いだからあたしといっしょに居て……」
すがるような上目遣いが向けられていた。
「ああ、居てあげるよ」
肩に手を回し引き寄せると杏がピクリと体を震わせる。
二人してそのままじっと赤いランプを見つめる。
陽平はそれだけで満足だった。
75黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:41:03 ID:c1WEC9Jf0
足を投げ出していると杏が上に跨ってきた。
「こうするとあったかいよ」
「お、おい……」
敢えて拒まなかった。
ゆっくりと押し倒され、杏が体を重ねる。
陽平はなすがままにされていたが、やがて杏の背に手を回した。
「わがまま言ってごめんね」
「僕の方こそ酷いことしてごめんな。血舐めてあげるよ」
「ひゃあっ」
鼻血で汚れた鼻の下から口回りを舐められ、杏は一瞬大きく仰け反った。
だが後頭部を押さえられ、むず痒さに苛まれながらも身を任せる。
「杏、キスしていいか?」
「うん、いいよ」
互いに見つめ合い、そして唇が触れ合う。
杏の温もりを堪能しながら考える。
(何がなんだか訳がわからないままこんなことをしている。これは夢だろうか。まあ夢でもいい。こんな夢なら何度でも……」
悲しみから怒り、そして困惑へと目まぐるしく移り変わる思考に陽平は最後まで混乱していた。
76黒陽平の宴:2007/05/05(土) 08:42:39 ID:c1WEC9Jf0
【時間:2日目・21:45】
【場所:F-2平瀬村役場】

春原陽平
【持ち物1:FN Five-SeveNの予備マガジン(20発入り)×2、LL牛乳×3、ブロックタイプ栄養食品×3、他支給品一式(食料と水を少し消費)】
【持ち物2:鉈、スタンガン・鋏・鉄パイプ・首輪の解除方法を載せた紙・他支給品一式】
【状態:夢見心地、抱擁中(杏の下)。右足刺し傷、左肩銃創、全身打撲(大分マシになっている)・数ヶ所に軽い切り傷・頭と脇腹に打撲跡(どれも大体は治療済み)、疲労】

藤林杏
 【装備:ワルサー P38(残弾数4/8)、Remington M870の予備弾(12番ゲージ弾)×27】
 【所持品1:予備弾(12番ゲージ弾)×27、辞書×2(和英、英和)、救急箱、食料など家から持ってきたさまざまな品々、支給品一式】
 【所持品2:ワルサー P38の予備マガジン(9ミリパラベラム弾8発入り)×2、カメラ付き携帯電話(バッテリー十分、全施設の番号登録済み)、9ミリパラベラム弾13発
入り予備マガジン、他支給品一式】
 【状態:ハイな気分、抱擁中(陽平の上)。全身打撲、疲労】

ボタン
 【状態:気絶、杏の鞄の中に入れられている】

【備考】
役場の位置は地図上の「瀬」のあたり

(関連 797)
77He Returns:2007/06/01(金) 19:15:32 ID:jZfiAgxy0
―――闇よりなお深い闇。
 いかなる存在をも認めない虚無の胎に"彼”は漂っていた。

“………………”

 絶対不滅の存在である“彼”にとっても、この無の世界―――形容矛盾―――の異様な物理法則は猛毒であった。
 “彼”を構成する宇宙(cosmos)―――すなわち秩序―――が蒸発するように徐々に周囲と同化し意味を失っていく。

 だが、“彼”にとってその侵食は決して苦痛ではなく―――むしろ、優しく暖かく包み込むようだった。

“そう感じるのも当然か”

 と、顔も無いのに“彼”は苦笑した。

 そう、ここは“彼”が生まれた世界。
 “彼”はここで一つの点として生まれ、膨張し、やがて外の世界に飛び出して行ったのだ。

“一度はここに還った、だが、二度も還るとは思わなかった……”

 一度目の帰郷は、“彼”の“発生”以来最初にして最後の―――「全力の闘い」の結末だった。
 旧神とその眷属は滅び、“彼”もまた母なる“無”の懐に取り込まれた。
 それでも“彼”はほどなく“無”を抜け出し、再び人としての生を得た。
 どんなに強大な親も子供の独り立ちを止めることはできないのだ。
 そして、それは今も変わらない。
 ここから三度外の世界に出ることは容易な筈。

―――だが、

“……このまま消えるのも悪くない”

 “彼”は己の裡(うち)に脱出の意思を見出すことができなかった。
78He Returns:2007/06/01(金) 19:16:55 ID:jZfiAgxy0
 “彼”はすべてに飽いていた。
 何者にもなり得る、何でもできる万能の存在である“彼”には、他者も“他の世界”も何もかもが無意味に思えるのだ。
 あの時、あの無垢な少女に拒絶されたことは、きっかけに過ぎない。
 この何も無い世界は、今の“彼”の心そのものだ。ここに還るは必然。

 ……いや、そうではない。

“自分はそんな退屈すらも楽しみながら悠久を過ごしてきたではないか……”


 自問自答は続く(ここには自分しかいないのだから)。

“存在が劣化しているのだろうか……”

 肉体も精神も老いることなく永遠の青春を過ごす“彼”にも、あるいは“存在”の老化は訪れるのかもしれない。
 この“彼”に全く似合わない弱さ(“彼”は自分にそのようなものがあるかもしれないことを知ってひどく驚いた)は“存在の老い”故なのか。

“………………”

 結局、“彼”は無限の時間の中での緩慢な存在消滅に身を委ねることにした。

 真に自由な者は、自らの自由を否定することもできる。
 “彼”はあまりに自由な者であった。

79He Returns:2007/06/01(金) 19:18:07 ID:jZfiAgxy0
 そして、“彼”すなわち一つの“世界”が閉じようとしていた時、


―――……。


 声、が、聞こえた気がする。

 “彼”は僅かに残された、五官のいずれにも属さない感覚器でその“声”を拾った。

―――…………ぃ。

 それは奇跡を希う誰かの声―――すなわち……“彼”を呼ぶ声。
 ただそれだけで、“彼”の消えつつあった体は瞬時に“元の大きさ”に復元した。
 なんて―――単純で力強いレーゾンデートル!

―――………………ぃちぃ!

 その瞬間、“彼”はその世界を“観”た。

80He Returns:2007/06/01(金) 19:19:10 ID:jZfiAgxy0
 光が弾け―――彼は再びその懐かしい大地に立った。
 ―――否。そこは断じて“彼”が生き暮らした大地ではない。
 似て非なる紛い物だ。
 そこにも“彼”に成り得る可能性が存在した、という程度の。
 そして、その可能性も疾(と)うに消えていた。

 だが、そんなことは今の“彼”にはどうでもいいことだった。
 ここには風があり、土があり、海があり、そして……

 “彼”を想う者―――“彼”が想う者がいたから。


「あ……」

 とても直視できないような眩しく光り輝く姿であっても、彼女には確かにその人の存在が分かった。
 だから、大きな声でその人の名前を呼んだ。


「―――祐一!」
81He Returns:2007/06/01(金) 19:21:35 ID:jZfiAgxy0
【時間:二日目・05:21】
【場所:C-03・鎌石村役場前】

相沢祐一
 【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である。宝具・滅神正典(ゴッドイズデッド)、護符・破露揚握琴】
 【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着)】

水瀬名雪
 【持ち物:八徳ナイフ】
 【状態:祐一の回復魔法のおかげで超健康体】
 【目的:祐一……ぽっ。】

水瀬秋子
 【持ち物1:ジェリコ941(残弾9/14)、トカレフTT30の弾倉、澪のスケッチブック、支給品一式】
 【状態:祐一の回復魔法のおかげで超健康体】
 【目的:祐一さん……ぽっ。】

立田七海
 【所持品:S&W M60(5/5)、M60用357マグナム弾×10、フラッシュメモリ、支給品一式】
 【状態:祐一の回復魔法のおかげで超健康体】
 【目的:ゆ〜いちさん……ぽっ。】


【以下、祐一のワープの余波で死亡】
 折原浩平,北川潤,春原陽平,高槻,月島拓也,ボタン,ポテト,柳川祐也,久瀬

→693
→854
82名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 19:28:06 ID:PAcRYaOk0
>>77-81
日本語でおk
83Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:23:45 ID:ih5Q7BAR0
『今すぐ殺し合いをやめろ』

 祐一の放ったその声は―――十戒などといった人間の想像力が生み出した神の言葉ではなく―――真実、超越者の命令として参加者すべての精神に作用した。
 島のそこかしこで起きていた緊張が、対峙が、そして殺し合いが、ぴたりとやむ。
 超感覚で平和の実現を確認すると、祐一は名雪に言った。

「ちょっと出かけて来る」
「うん。ここで待ってるよ」

 参加者同士の殺し合いが止まったとはいえ、まだ島には敵意ある「主催者」が残っている。
 にも関わらず、名雪は―――この世に心配することなんて何もない―――そんな笑顔で祐一を送り出した。

(ゆ〜いちさん……)
 二人のその姿に強い絆を感じて七海はちょっぴり切なくなった。

(でも負けませんから……!)
 七海はその胸の内に咲いた小さな恋心に誓った。

84Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:24:34 ID:ih5Q7BAR0
 祐一のワープの余波で要塞内の全ての機器に重大な障害が発生した。
 青ざめた顔のスタッフたちがバタバタと走り回る。

―――だが、そう慌てることもないだろう。

 なぜなら、彼らの努力はもうすぐこの基地もろとも意味を無くすからだ。


「お前は相沢祐一! なぜ生きているっ!?」

 いつの間にか外から戻っていた醍醐が、驚愕の表情を浮かべながらも祐一の前に立ちはだかった。

「まあいい。どうやって我々の目を欺いたのかは知らんが……わざわざここに来るその傲慢さが命取りだっ!!」

 身に付けた近接戦闘術における絶対優位の間合い、最高のタイミングで醍醐は初撃を―――

「邪魔だ」

 衝撃波―――祐一にとっては軽く手を払っただけなのだが―――を受けて醍醐の体は壁を突き破り島を飛び出して遥か沖の海面に落下した。

―――どの段階で絶命したかは定かでない。

85名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 20:25:44 ID:SjykAcbFO
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86Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:25:48 ID:ih5Q7BAR0
「ほぉ……少しは“力”を持っているようだな」

 目前で起きた忠犬の死に眉一つ動かさずに主催者―――篁は言った。

「ならば私も強者に相応しい敬意を払うことにしよう……」

 言い終わるや、篁の背後に黒いオーラが沸き起こり、瞬く間に要塞を、島全体を、覆い尽くさんばかりに増大する。
 ある程度の霊視を備えた者であれば、そこに八つの顎を持つ大蛇の姿を見たであろう。

「“ラストリゾート”などという玩具さえ破れば私を倒せると考えておる者もいるようだが……」

 相手を己と同じ人外の者と見た篁は、もはや隠す必要も無いと本性を顕現させる。

「愚かな……あまりに愚か……! ハーハッハッハッ!!」

 まさに世界を飲み干さんとする大いなる蛇神を前に、しかし祐一は平静そのものだった。

「ここで今すぐお前を消す方法は、ざっと三万八千ある……」

 祐一はただ事実のみを淡々と伝える、といった口調で言った。

「だが、『それでは面子が保てない』とやかましく騒ぐ奴がいてな……まあ、いい。頼みを聞いてやるよ」

(相変わらず俺はこういう「お願い」に弱いな)
 祐一は内心苦笑すると、篁ではない“誰か”に向かって声を上げた。

「さあ、お前の願いをかなえてやる。さっさとそいつをよこせ!」

 祐一は“世界”に命じ、“世界”は“それ”を祐一に移譲した。
87高彦大先生 ◆kk3zPeLc7k :2007/06/01(金) 20:26:57 ID:SjykAcbFO
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88Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:27:57 ID:ih5Q7BAR0
“それ”は、一振りの矛だった―――いや、矛である筈がない。
“それ”は、祐一の持つ“滅神の書”と同じく矛の形をとった“何か”なのである。

「―――!」

“それ”を目にした篁はもはやいかなる言葉も出せなかった。

「今から俺は“この世界”の“執行者”として“世界”を選択するらしい……馬鹿げた茶番だろ?」

 嘆息すると、祐一はまるで重さを感じさせない動作で“矛”を振るった。
 断末魔を上げる間もなく蛇はこの世界から拭い去られた。



 そして、旅立ちの朝―――。

「えっとね……相沢祐一」
 祐一に助けられた後もずっと黙っていたみちるがおずおずと口を開いた。
「たすけてくれて、ありがとう。それに……ごめんなさい」

「どうして謝るんだ。なにか謝らないといけないようなことをしたのか?」
 祐一はこれ以上無い穏やかな笑顔をみちる向けた。

「んに……よくわかんないけど、そう言わないといけない気がしたの……」
 そういうとみちるは俯いてしまった。

 祐一は子供にするように―――事実、相手は子供だったが―――みちるの頭をくしゃくしゃと撫でた。
「んに〜……」
 みちるは幸せそうにぽーっと顔を赤らめる。

 その仲睦まじい姿に、16人分の鋭い視線が刺さっていたことに、果たしてみちるは気付いただろうか。
89Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:29:08 ID:ih5Q7BAR0
「祐一……」

 名雪が泣き出しそうな顔で訊ねた。

「ほんとうに行っちゃうの……?」
「ああ。俺にはしなくちゃいけないことがある……いや、ただしたいだけのこと、かな」

 何物にも束縛されない絶対自由の存在である祐一に義務という概念は存在しない。
 ただ心のおもむくままに進むだけだった。

「色んな世界が俺の助けを待ってるんだ。どの世界も、まだ歩き始めたばかりの赤ん坊みたいなもんだからな……。
 ……だから俺は行く。待っててくれるか?」
「うん……分かったよ。我慢するよ祐一。でも早く私のところに戻って来てね。また七年も待つの、私いやだよ……」
「ああ、任せとけ」

 祐一は子供にするように名雪の髪をくしゃくしゃと撫でた。

 その仲睦まじい姿に、葉子と佐祐理とささらと環と郁乃と智代と茜と七海と秋子と瑞佳と珊瑚と真希と杏とみちると皐月と詩子は、
名雪に対して軽い嫉妬を感じたが、この場は名雪に譲ることにした。

(でも、負けないんだから)×16

 少女たちはその胸の内に咲いた小さな恋心に誓った。

90Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:29:57 ID:ih5Q7BAR0
 そして祐一は別世界へワープした。
 今度はこの世界を傷つけないように、そっと通り過ぎるように。


「祐一―――!」

 祐一が去った瞬間、名雪は泣きながら母の胸に飛び込んだ。

「大丈夫……祐一さんはきっと帰ってくるわ……」

 そう言うと母は娘をそっと抱きしめた。

(そう……彼はいつでも私の傍にいる……)×17

 すべての命を育む太陽が島を照らしていた。


 ―――この素晴らしい朝を迎えられた少女たちを祝福するかのように。


91名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 20:30:07 ID:SjykAcbFO
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92Ultimate-One Episode 548768 "An End, or...":2007/06/01(金) 20:31:02 ID:ih5Q7BAR0
【生存者17人】
 鹿沼葉子
 倉田佐祐理
 久寿川ささら
 向坂環
 小牧郁乃
 坂上智代
 里村茜
 立田七海
 水瀬秋子
 水瀬名雪
 長森瑞佳
 姫百合珊瑚
 広瀬真希
 藤林杏
 みちる
 湯浅皐月
 柚木詩子

【――――――GAME OVER】



...and

相沢祐一
 【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である。宝具・滅神正典(ゴッドイズデッド)、護符・破露揚握琴、
  天の濡矛(世界の生成と消滅を司る程度の能力。祐一の所有する宝具の中では下等な部類)】
 【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着)】
 【目的:Dルート系の世界を“救う”】

To be continued to "D routes"!!
93名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 20:34:38 ID:ih5Q7BAR0
おわり

>>85>>87>>91
支援乙!超乙!!
94名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 20:49:46 ID:5qQnTnaf0
あほくさ
馴れ合い乙
95名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 20:52:10 ID:PAcRYaOk0
ネタニマジレスカコワルイ
96高彦大先生 ◆kk3zPeLc7k :2007/06/01(金) 20:54:37 ID:SjykAcbFO
You'reWellcome
97名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 21:02:34 ID:lKhPO/nQ0
うんこ
98名無しさんだよもん:2007/06/01(金) 21:06:06 ID:PAcRYaOk0
こあら
99名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 01:51:42 ID:mI0ajjcU0
どちらかというとB系エンドだな
100名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 11:55:16 ID:vscCXjWAO
どちらかというとお前の頭がエンドだな
101名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 14:19:08 ID:LA4OLu/u0
と携帯で旧管理人さんが仰いました
102名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 14:33:35 ID:4Pv5SMll0
とギャグの人
103名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 14:41:04 ID:4Ng/juWb0
昨日は作品叩いて今日は管理人叩き
適当に叩いてるのが丸判りだおw
104名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 15:02:55 ID:4Pv5SMll0
叩きなんざ真面目にやるもんじゃないだろw
105名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 23:09:34 ID:MgtYKc780
>>102-104
自演乙
106名無しさんだよもん:2007/06/02(土) 23:24:20 ID:xooszT2G0
なぜかwikiが書き込みできないように
なってるけど
107木箱都市 ◆meHRVyU6XE :2007/07/23(月) 20:58:37 ID:PjCMzstO0
書き手になりたいのですが、今からでも投稿できるでしょうか。
時間がないので今は投稿できないのですが。いつか投稿しようと思っています。
108高彦大先生 ◆SEnSEi.oZE :2007/07/23(月) 21:12:52 ID:19MrZD6U0
できますよ。
109ヽ(゚w゚)ノ ◆Key/ccB81o :2007/07/23(月) 22:31:52 ID:CHjkFiwp0
>>107
全く何の問題も無くできます。期待しております。
110名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 00:04:24 ID:sX/4Q+L40
最初からやり直しだそうですから
それまでお待ちください
111名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 00:09:53 ID:Pytw7Pny0
こら!w

自分が書きたいところから書けばいいと思うよ。
まあ、最初からでもかまわないけどさ。



続きから書くのであればいったいどこの続きを書こうとしているのかが気になるROMがここにいる。
112名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 00:16:25 ID:nx7BnnHB0
ここに投稿しても俺といる子と高彦と、あと時間があればサラダが喜ぶくらいで日の目は見られないと思うけど、
それでもよければ大歓迎。
113名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 00:26:44 ID:O79q2aYZ0
何がこら!だw
114名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 00:34:48 ID:sX/4Q+L40
リトルロワイヤルとかやるならそっちの方がええって
115名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 01:34:48 ID:Pytw7Pny0
いやあ、単に既に1ルート完結し、個別ルートが細々とやっている中で、
書き手参加しますというところにすごい興味がわいてな。
いったい彼(女)は何が理由で参加したいと思うようになったのかな、とすごい気になってな。
そんだけよ。
で、もしどこかのルートの続きを書きたいって人だったりしたら、また興味がわくわけで。


まあ、最初からだろうが続きだろうがどっちでもいいんだけどよ。
116名無しさんだよもん:2007/08/02(木) 17:02:17 ID:CT7iQloF0
感想スレの次スレ
葉鍵ロワイアル3感想・考察・運営スレ8
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186041165
117名無しさんだよもん:2007/09/03(月) 09:19:16 ID:2ryAd5e+0
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118名無しさんだよもん:2007/09/20(木) 11:36:11 ID:IFB1LiV+0
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119名無しさんだよもん:2007/10/09(火) 23:51:31 ID:oyw2GvxX0
manko
120名無しさんだよもん:2007/11/15(木) 18:13:35 ID:omaQzxFf0
 
121名無しさんだよもん:2007/11/20(火) 22:16:49 ID:qgYwM6Hu0
122名無しさんだよもん