葉鍵ロワイアル4企画スレ

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453エリートが故に ◆kk3zPeLc7k
 南のホール。
 機械的に呼ばれ、そして狂気の島へと放り出されていくコテハンたち。
 あるものは諦観し、またあるものは憤怒し、またあるものは泣きながら。
 やがて、ホールに残る参加者は、2人と、ひとつの肉塊なった。
 
 
「マンコスター伯爵」
 
 二律背反の声が響くと、マンコスター伯爵は気だるげに腰をあげた。
 
「……」
「なんですか?(w」
 
 うつろな目でこちらを睨むマンコスター伯爵に、二律背反がたずねる。

「あぁ……死にてぇ」
「……」
 
 マンコスター伯爵は、近くに横たわる、それを見下す。
 目を見開き、血の海に埋もれた山下大先生の成れの果てを。
454エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:39:17 ID:1oUSfSwr0
 どうして、これが自分でないのか。
 あのとき、一番に声を上げていたのが自分なら、きっと死ねたはずだった。
 痛みは……なかったと思う。
 エリート生活。 そんなもの、自分には苦痛しか与えてくれなかった。
 なんど、死にたいと思ったことか。
 憂鬱を酒と、葉鍵板でごまかした。
 ネット上でなら、いくらか憂さ晴らしもできた。 事実、そうしてきた。
 だがここ最近は、その効果も薄れてきたように思う。
 社交辞令も、生活も、なにもかも全てが苦行だ。
 マンコスター伯爵は、死への羨望に苛まれていた。

 息絶えた【それ】を見て、羨ましかった。

「……誰か殺してくんねぇかなぁ」
「だったら、デイバッグを受け取りなさい?」
 二律背反が、デイバッグをマンコスターに投げよこす。
 が、マンコスターの手は動かず、デイバッグは音を立てて床に落ちた。
「……」
 それを見つめるだけのマンコスターに、二律背反が声を掛ける。

「そこに銃が入っていたら、あなたの思うようになさい」
「……」
「銃なら、死ぬのも怖くないでしょう?」
「……そうだな」
 銃なら、痛みを感じる前に死ねるだろう。
 マンコスターはデイバッグを拾い、外に出た。
455エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:40:03 ID:1oUSfSwr0
 マンコスターはホールを出てすぐ、壁にもたれる。
 デイバッグを開き、中を確認する。
 食料、水、地図……武器は。
 死ねる、道具は……。
「……ない」
 そこにあるのは、文房具のコンパス。
 こんな針じゃ、死ねない。
「……」
 大きく、息を吐く。
「……」
「……」

「ミルフィーユ桜葉」
「――は、はいっ」

 すぐ後ろでは、二律背反の声に、最後の参加者が、立ち上がる。
 そうだ。
「……これで」
 マンコスターは頭に描いた作戦を遂行しようと息を潜める。
 やがて、デイバッグを胸に抱えたミルフィーユ桜葉が外に出てくる。
 マンコスターの手には、コンパス。
 そして――。
「――ひっ!」
 ミルフィーユ桜葉の息が、詰まる。
 首筋に立てられた、コンパスの針。
 震える、体に、ちくちくと針が当たる。
 これでは殺せないけど、他人に恐怖を与えるのには十分だった。
 マンコスター伯爵は相手が反撃して来ないのを確認すると、重々しく口を開いた。
456エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:42:00 ID:1oUSfSwr0
「……デイバッグを開け」
「ひっ……ひぃ……」
「開けえっ!」
「は、はいっ!」
 マンコスターの一喝に、ミルフィーユが畏怖しながら従う。
 コンパスの針を立てたまま、目を瞑る。
「武器をよこせ」
「……は、はいっ」
 ミルフィーユが差し出したそれを、マンコスターは受け取る。
 これが、銃なら。
 ……俺は、死ねるだろう。
 死ぬのが望みでも、傷つくのは、好きじゃない。戦闘の末に死ぬのはまっぴらだった。
 だから、俺は、人を傷つけて、そして、自分で死のう。
 さぁ。俺を殺してくれ。
 目を開けて、【それ】を確認する。
「……」
 絶望。
「……」
 掌の中にあるそれは、なにか古ぼけた銀製の鍵がひとつ。
 こんなものじゃ。こんなものじゃ。俺は死ねない。俺は。
 俺は。
 死ねない。
 殺し合いの島に放り投げれても、自分は死ねない。
457エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:42:43 ID:1oUSfSwr0
「……」
「……あ、あの、僕をどうするんですか……?」
 ミルフィーユのおびえきった声が、マンコスターを現実に引き戻す。
「……ああ」
 マンコスターは、ミルフィーユを開放した。
 ぺたん、とその場に崩れ落ちるミルフィーユが、こちらを見上げる。
 脅えきった、自分よりも10も若い男の双眸が、
『死にたくない』
 と、訴えていた。
 自分は、こんなにも死にたいというのに。
 それに直面したこいつは、死にたくないと嘆願している。
 吐きそうだった。
「……」
「……あ、あの」
「……行けよ」
「は、はいっ……?」
「行けって…………イケェェェェッッ!!!」
 マンコスターは、咆哮をあげると、
「は……はぃぃいいいいいい!」
 ミルフィーユは、覚束ない足取りで立ち上がり、デイ自分のバッグを抱えるとなんどもつまづきながら遁走した。
「……くそ」
 それを見送ると、マンコスター伯爵は、糸が切れたように腰を落とした。
 
458名無しさんだよもん:2007/06/04(月) 01:44:01 ID:IbIJh8i/O
回避
459高彦大先生 ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:45:03 ID:IbIJh8i/O
自己回避
460高彦大先生 ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:45:52 ID:IbIJh8i/O
回避
461名無しさんだよもん:2007/06/04(月) 01:47:16 ID:IbIJh8i/O
回避
462名無しさんだよもん:2007/06/04(月) 01:48:12 ID:IbIJh8i/O
まだカケン……
463エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:49:24 ID:1oUSfSwr0
 膝を抱え、目を瞑る。
 あの目を、見ていると、嘔吐しそうだった。
『死にたくない、死にたくない』
 そう訴える男の目が、なぜかひどく、恐ろしかった。
「……ぐ……ぁ」
 口元を押さえ、わなわなと体を震わせる。
 よせ。
 よしてくれ。
 誰か。
 誰か。
 誰か。
 誰か俺を殺してくれ。
 痛みもなく。眠るように。
 世界を、終わらしてくれ。
 誰でもいい。
 誰でもいいから、俺の脳天に、鉛の弾をぶち込んでくれ。
 なあ?
 なあ!
「…なあ……なあ?……あ……………うわああああああああああああ!!!!!!!」

 マンコスターの絶叫を、聞くものは、いなかった。
464エリートが故に ◆kk3zPeLc7k :2007/06/04(月) 01:50:21 ID:1oUSfSwr0
マンコスター伯爵(東大愛佳@自治いいんちょ)
【時間 11:00】
【場所 I-05(コテハン用スタート地点すぐ)】 
【持ち物 コンパス、古ぼけた鍵(銀製)】
【状況 しばしの後、移動を開始する】
【状況2 死にたがりだが、殺されたくはない】

ミルフィーユ桜葉
【時間 11:00】
【場所 I-05(スタート地点から、全力疾走中)】
【持ち物 なし(食料等はある)
【状況 恐怖・疾走】

地図
ttp://www.geocities.jp/hr2_routes/map3.jpg
自分が改変したやつしか見当たらなかったので……。
とりあえあず、書いてあるスタート地点は無視で、
I-05 の海岸付近をコテハン用スタート地点。
A-02 の岬(S1のとこ)をスタッフ用スタート地点としとく