装飾し過ぎて意味不明な燃え
ラストバーチューズの妄念、凶々しき負の激情が波状の濁流となって、レイナックスを襲来する。
「ぁ――――ぐ」
瞬く間に紅蓮の狂気に飲み込まれたレイナックスは、徐々に正義の理念と思考を侵蝕され蹂躙されていった。
「終わりだ、レイナナ」
活動を停止したレイナックスを刺し穿つべく、レイドが悪しき刃の先端に暗黒の炎を収束させてゆく。
そしてまもなくエネルギーが凝縮し、純粋な力塊と化した凶刃を。
レイドが間髪入れず、レイナックスの眉間へ投げ放った。
ぎゅおおおん!
時を司る覇王が放った粛正の矢が空気を切り裂き、獣神の如き咆哮を上げ突き進む。
その絶望的なまでに死の匂いを伴った最速最凶、必中の魔弾を。
じゅっ!
それをも上回る最強最固、無限意志の絶対障壁が蒸発霧散させた。
「な………に?」
瞬間、世界が止まった。
否、変わった。
突如吹き荒れる暴風。
飽和した強大なエネルギーによって歪む周囲一帯の空間。
満ち溢れるまばゆい意志の光。
そして、その気高く聖なる光の奔流の中心に、威風を纏った伝説のワルキューレが現界した。
「ぢゃぢゃーん。河南子参上っ!とぉっ!」
「………は?」
そこにいる誰もが、メデューサに睨まれたかのように固まった。
「"私、レイナナ!オマエ、奴隷ナナ!" ウシシ。レイナナのキャッチコピーはこれでよしっと」
「てなわけでぇ、バカ鷹文!覚悟しろー」
どこかレイナックスの人格が変わったようだ。
「えぇぇぇぇぇ!なにそれー?」
レイドはおののいた。
「ほら、バカなことは止めて、さっさと地上に降りよ? でないとホレ、下見てみ?」
意図は理解できないが、しぶしぶ地上を見てみると……
鬼千鶴のオーラを纏った智代が、指をバキバキ鳴らしながら仁王立ちしていた!
「ひ、ひぃぃぃぃっ、ねぇちゃん…!」
完