「・・・おめでとうございますっ!」
「うわっ!」
突然の閃光に、俺は暗視眼鏡(ゴーグル)をむしり取る。
俺の目の前には、自動人形(ロボット)の少女・・・ゆめみがいた。
詳しくは『planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜』本編にてご確認いただくとして、ここは話を進めよう。
「あなたはちょうど250万人目の・・・えっ?」
そう言いかけたところで、ゆめみは一瞬、その動きを停めた。
意外な人物に出会った・・・というように。
「・・・お客さま・・・もしや・・・・・・」
何かを確かめるように、ゆめみは俺の目をじっと覗き込む。
俺は虚を突かれ、単装擲弾銃(グレネーダー)を向けることすら忘れていた。
『・・・網膜パターン:サンプリング完了。蓄積データベースと照合・・・データベース内のエントリと一致しました』
最初の発声とは違う、淡々とした無機質な声。OSが発するシステムボイスだった。
「やっぱり・・・・・・お客さま、お久しぶりです。・・・まあ、こんなにご立派になられて・・・」
ゆめみは、久しぶりに出会った親戚のような口調で、感慨深げに言った。
「お前・・・俺を、知っているのか?」
ロボットには、知り合いはいないはずだ。
しかしゆめみは、
「はい、よく覚えています」
一点の淀みもなく、そう答えた。
「お客さまが前回、当館にお越しになられたのは、三十一年と百四十三日前でした」
「三十一年前?」
「はい」
・・・俺は、今年で三十二になる。
「お客さまが前回、ご両親と共に当館へお越しになられた時は、まだ赤ちゃんでいらっしゃいました」
・・・ならば、俺が覚えている筈もない。
「よく覚えていたな・・・」
「はい、わたしはロボットですので、覚えておくのは得意なんです。
・・・それに、あの日の出来事は、わたしの蓄積データベースに『特に重要な経験』として記録されていますので・・・」
ゆめみは、光学樹脂の瞳をインナーレンズごときゅっと細め、そして続けた。
「その日、お客さまがたが当館プラネタリウムの最終投影にお越しになられた際、あなたのお母さまは急に体調を崩されたのです」
確かに、お袋は身体が強いほうではなかった。
「お父さまは、病院へ連れ添って行かれることになりまして・・・
それで、わたしが一時、お客さまをお預かりすることになったのです」
・・・何だって?
「わたしの基本データベースには、育児や介護に関するノウハウが一通り登録されていましたし、お客さまも殊の外わたしに懐いてくださいましたので・・・
ちょうど翌日が休館日だったものですから、翌日の夜にお母さまが退院されるまで、わたしがお客さまのお世話をさせていただいたのです」
微弱な電圧によって曲率を変える、という光学樹脂の瞳が、濡れたような光を反射し、まるで潤んでいるかのように見えた。
「・・・そうか・・・俺はよく覚えていないが、世話になったな」
「はい。お役に立てて、わたしもうれしく思います。
・・・あの時はわたしも、様々な機能を実行させていただく、いい機会になりました」
「様々な機能?」
「はい。わたしのメンテナンス担当でした、三ケ島吾朗さんの発案もありまして・・・」
老人介護や育児といった、負担の大きい日常活動を補助する目的で開発されたのが、SCRシリーズの原点だった、とゆめみは言う。
ゆめみは業務支援に特化した廉価版の筐体だが、シリーズ共通のメインフレームや基本データベースなど、育児業務に対応しうる基本機能や、機能拡張の余地がそのまま残っていたのだそうだ。
三ケ島氏は、その機能を活用すれば、ゆめみに乳児の俺の面倒を見させることも可能だ、と考えたのだろう。
観客の身に起こりうる、いかなる突発的な事態にも対処できるように、と考えたのか。
それとも、単なる技術的探究心・・・言い換えれば『興味本位』に過ぎなかったのか。
・・・今となっては、彼の真意を知る術はない。
「例えばですね・・・」
ゆめみの頬が、心なしか紅潮しているように見えた。
「まだ乳児でいらっしゃったお客さまには、授乳の必要がありました。
・・・ですので、三ケ島さんはサポート部門に連絡を取り、オプションの授乳用パーツ一式を急ぎ取り寄せまして・・・」
・・・ちょっと待て。それはつまり・・・アレか?
「はい。わたしの胸部ユニットに授乳用パーツを組み込みまして、お客さまにはわたしの胸部バルブから、人工母乳(ミルク)をお飲みいただきました。
とても美味しそうにお飲みいただけて、わたしはとても嬉しく思いまし・・・(もごっ)」
俺は、慌ててゆめみの口を塞いだ。
・・・まさか、こんなところで『一夜の乳母』に会おうとは・・・
- Fin. -
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何やってんだよ、ゆめみ&吾朗ちゃん。
そして、何書いてんだよ俺。
世間には赤ちゃんプレイというものがあってだな
きょぬ〜ゆめみGJ
屑屋
「・・・・・・た、頼むから授乳の話はやめてくれ(ゼイゼイ)」
ゆめみ
「そうですか・・・せっかくの思い出話ですのに残念ですが、かしこまりました」
屑屋
「(・・・ふぅ・・・これ以上、この羞恥プレイには耐えられん・・・)」
ゆめみ
「・・・では、話題を変更いたしまして、
わたしがお客さまのおしめを替えさせていただいた時の・・・(ターーン)
・・・ああっ、お客さまっ!?なぜご自分をお撃ちになられたのですかっ!?お客さま〜〜〜!?」
屑屋……( ´д`)
「……客さま!お客さまっ!!」
「…ぅ…」
「…お客さま!…よかった、お気づきになられたのですね…」
「俺は…どうなったんだ?」
「申し訳ありませんっ!わたしがお客さまのお気持ちも考慮せず昔語りをしたばかりに、このような重大な事態に…」
「いや、俺の方こそ、みっともないところを見せたな」
「そうおっしゃっていただけますと、救われる思いです…ありがとうございます」
「やれやれ…よっこらしょ、っと、」
「あっ、お客さま、ご無理なさってはいけません。お客さまはまだ、新しいお体に慣れておられないのですから…」
「…ゆめみ、今なんて言った?」
「はい、まだ新しいお体に慣れておられないのですから、と申し上げました」
「なんだ、道理で俺の声が変に甲高いと………おい。」
「はい、何でしょうか?」
「この、胸のふくらみはなんだ?」
「はい、決して大きくはございませんが、よくお似合いです」
「そうじゃねえっ!この白魚のような指はなんだ!?」
「はい、わたしと同寸ですので…よろしければお鏡をどうぞ」
「…ま、まさか、俺は……(チラッ)」
「はい、"あなたは"SCR5000Si/FL CapelII…」
「ぎゃあぁあぁあ あ あ あ ぁ ぁ ……」
「…お客さま?…お休みになられたのですね…」
「……(気絶してるんだ、馬鹿っ!)」
>>98 密造軽油 って言うと、
重油と灯油を混ぜるのが一番多い方法
次に多いのが、食用油(ドレッシングなど)や、使った後のテンプラ油を濾過 (ザルなどでテンカスを取る)したものを灯油、または、軽油と混ぜる方法
ですね。
最近、ガソリン(レギュラーオクタン価、ハイオクタン価 とも)には、純度の高い食用アルコールなど(=酒)を混ぜる用になってきたとか。
たとえば、サトウキビやトウモロコシ、果物などで酒を造るそうで。
もしかして、ほしのゆめみさんの飲んだ軽油はテンプラ油混合ですか?
それとも、アルコール混合でしたか?