葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ4

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280へタレロワイヤル

消防署の日は暮れていた。
・・・七瀬が気がつくと、12名のネ申が、消防署の前にいた。

敵だろうかと警戒する七瀬。
そのうちの一人の男が、消防署に近づき、大声で話し始めた。
あまり聞いた事のない声。だが聞いた事はある声。

          /            i |        ',
        i   i   |     / ハ! /      i
        |! i   | | !  j/  }j/イ / /  |
         N、 !≧x{!  /k=≦二 j/イrく /   
          ヽハ,r''"'∨  ´''""'ヽ  レ⌒}'   
             `i    !        fj /    はははははは
             、 く          /rク       助けに来てやったぞ藤井冬弥君!
             \ 、;:==ヲ'  / !′      ともにこの困難を乗り切ろうではないか!
                \` ‐ '゜. く  ノi
                i了    j/  \
              __r┴辷ァ弋7    /\


鳴海孝之。彼だけでなく、歴代のエロゲ界の名作の主人公が、その前に立っていたのだ。
エロゲ板では伝説となっている彼等。
そして彼等の伝説の初代に君臨していたのがこの藤井冬弥。
初代の王を助けるために今ここに藤井の魂を受け継ぐ後輩たちが全て集結したのである。
281へタレロワイヤル:2006/10/21(土) 16:32:29 ID:Nm+WtW/q0
確かに面子だけは凄まじい。
これを見てそばにいた七瀬は鳴海に向かって一言だけ。

「帰れ」
すぐドアを閉めて消防署の鍵を全部閉めた。


§§§§藤井冬弥くんのために板を越えて助けにきたらしいすばらしい主人公たちの一覧§§§§

 鳴海孝之さん(皇帝)
 伊藤誠さん 衛宮士郎くん※1 黒崎崇くん 宮本浩くん 白銀武くん
 鳩羽一樹くん 柊空也さん 朝霧達哉くん 人見広介くん 来栖秋人くん 鍋島志朗くん

以上。各自所持品無し。食料・水・なし。
※1能力制限のため他キャラ召還不可。の他のキャラも能力制限はあったりなかったり

七瀬留美
 【時間:1日目午後6時】
 【場所:C−05・鎌石村消防署】
 【所持品:P−90(残弾50)、支給品一式】

藤井冬弥
 【時間:1日目午後7時15分程】
 【場所:C−06】
 【持ち物:H&K PSG−1(残り4発。6倍スコープ付き)、他基本セット一式
      鳴海孝之さん 伊藤誠さん 衛宮士郎くん 黒崎崇くん 宮本浩くん 白銀武くん
      鳩羽一樹くん 柊空也さん 朝霧達哉くん 人見広介くん 来栖秋人くん 鍋島志朗くん】

 ※備考 どっから湧きでたかは謎
282屍の階梯:2006/10/21(土) 20:18:38 ID:6re/h2B20

「……よろしいのですか?」

濃紺のスーツに身を固めた女性、榊しのぶはモニターから眼を離すと、
背後に立つ白衣の男に尋ねた。

「……何がかね?」
「―――神尾観鈴の件です。
 彼女は肉体的には明らかに死亡しています」
「何故、放送で死亡リストから外したのか、と?」
「はい。差し出がましいとは存じますが」
「そうだね。本来、君が知る必要のないことだ」
「……申し訳ございません。以後、慎みます」
「なに、構わないよ。今日は気分がいいからね。
 君の権限上、問題のない範囲で説明してあげよう」
「……ありがとうございます」

そう聞いても、榊の表情は晴れない。
素性の知れない男の物言いが、榊にはいちいち不気味に感じられていた。

「ははは、そう固くならないでくれ。
 私も君も軍属じゃあないんだからね」
「……」
「いやなに、簡単な話だよ。
 我々が神尾観鈴と呼称している少女は、『殻』にすぎないんだ」
「殻、ですか」
「そうだ。本来、神尾観鈴という少女の生死など我々にはどうでもいい」
「……」

ならば何故、という問いを差し挟むことは赦されない。
プログラムは絶対だった。
283屍の階梯:2006/10/21(土) 20:19:18 ID:6re/h2B20
「必要なのは、その中身―――これ以上は言えないがね。
 知れば君は死ぬことになる……はっははは、冗談だよ、冗談」

笑えない。
男の言葉が冗談などではないと、榊は身に沁みて理解していた。

「ま、そういうことだよ。
 本当に死なねばならないのは、『今』の神尾観鈴なのさ。
 だから、発表はしないし我々もアレを死んだとは考えない。
 それだけのことさ」

片目を瞑って、にやりと笑う男。
榊は目を伏せて、嫌悪感が表情に滲み出すのをかろうじて避けた。
モニターを見つめ続ける男は、独り言のように続ける。

「……殺しあえ、殺しあえ化け物ども。
 お前たちの屍が、我が国を高みへと導くんだ……」

そんな言葉などまるで耳にしていない、という風に一礼すると、
榊は退出する。
そう振舞わざるを得なかった。
ここは、そういう国だ。

モニターの中では、箱庭の地獄が続いている。


【時間:18時過ぎ】
284名無しさんだよもん:2006/10/21(土) 22:25:32 ID:ObsdkngR0
>>281

誰一人として知らない私は逝ってヨシでつか?
285笹森花梨の憤慨:2006/10/21(土) 23:06:34 ID:XBJ3A7QQ0
「あーん、もう! どうして何もないかなぁ!」
ホテル跡5階の一室にて、笹森花梨は一人タンスやらクローゼットやらを漁っていた。
「幽霊は出てこないし、面白そうなのも何も無いし、宇宙人の解剖跡もないし!」
幽霊はともかく、宇宙人などを期待するのはさすがにお門違いというものであろう。しかし花梨はめげずにゴミ箱の中身を漁り始める。
かりん は コ゛ミは゛この なかを しらへ゛た!
なんと! しようす゛みティッシュ をてにいれた!
「いるかぁーーっ!」
肩で息をしつつ次の部屋へと向かう花梨。すでに探索した部屋は十を超えていた。エディや智子が見たらさぞかしあきれ果てるだろう。
隣の部屋、511室のドアノブを回す。今までもそうだったのだが、どの部屋もロックがかかっていない。いや無理矢理こじ開けられたというべきで、鍵が壊された部屋が少なからずあった。
もちろん鍵が壊れてない部屋も数多くあるのだがそれにしても鍵が壊されている部屋のほうが多過ぎる。
おまけにキーピックなどで開けられたなんて可愛いものではなく、鍵の部分に拳銃弾と思われる銃痕がついていたり、斧などでドアそのものを半壊させられた部屋もあった。
(誰かが、強盗にでも入ったのかな?)
そうに違いない。でなければ、ここまで何もないというのはおかしすぎる。しかしここであきらめないのがスクープハンター、いやミステリハンター花梨の使命だった。
がちゃ、とドアを開け、中を見渡す。相変わらずの殺風景な部屋だった。だが花梨はそこで妙な違和感を覚えた。
「何だか、妙に綺麗なんだよね〜。まるで掃除されたみたいな…」
普通、こういう放置された部屋は埃などが積もっているのが当たり前だ。花梨がこれまでに調べた他の部屋もそうだった。が、ここは他に比べて埃の量が少ない。
「ふっふっふ、パンピーの目は誤魔化せても私の目は誤魔化せないんよ。きっと、ここに何かあるはずっ!」
喜び勇んで部屋の中を捜索し始めた。
まずは机から探す。すると、引出しの一つに鍵がかかっていた。
286笹森花梨の憤慨:2006/10/21(土) 23:07:25 ID:XBJ3A7QQ0
「およ? 鍵なんて今までかかっていなかったのに」
ますます怪しい。…となれば、実力行使しかないっ!
部屋にアレがないかと探す。アレさえあれば問題なくこんな鍵開けられる。
「あっ、あったぁ〜!」
花梨が見つけたのは一本の針金。そう、花梨はピッキングをしようとしていた。
普段からミステリ研活動のためと称してこっそり備品やら何やらを持ち出していた花梨には鍵開けなど朝飯前になっていた。
器用に針金を曲げて鍵穴に指し込む。5分くらいの格闘の後、カチリ、と鍵が開く音がした。
ビンゴっ! さっすが花梨ちゃん、これくらい当然!
机を勢い良く開ける。すると、あるものが出てきた。
「…なんだろ、これ? 日記…? それに、宝石…」
花梨が取り出したものは血に染まった手帳と青い宝石だった。宝石はともかくとして、どうして手帳が?
「ま、何でもいいや。なんだかバイオハザードみたいなんよ」
状況は全然違うが。花梨は宝石をポケットに仕舞い、手帳を読み始めた。ひょっとしたら『かゆ、うま』とかそういうことが書かれているかもしれない。
最初の数ページをパラパラとめくってみる。

三日目
このくそったれたゲームももう三日目や。最初何人もおった参加者の連中ももう半分以下、いやもうひょっとしたら3分の1を切ってるかもしれへん。
和樹も、瑞希っちゃんも、牧やんも彩ちゃんも千紗ちぃも、あの大バカ詠美も、みんな死んでもうた…多分こみパの面子で生き残ってるのはウチだけやろうな。
今ウチに出来るんはこうやってまた後に来るはずの、次の参加者達に向けてメッセージを残してやるだけや…
287笹森花梨の憤慨:2006/10/21(土) 23:08:29 ID:XBJ3A7QQ0
「何なの、これ…」
手帳に書かれていたのは花梨が期待していたようなものではなく、悲壮な思いを綴ったひとりの人間の日記だった。しかも文面を見る限り、この島では以前にも殺し合いがあったと推測できる。
…それも、今回と同規模の。
花梨は日記のページを読み進めていく。しばらくは状況のメモや死亡者のリストが書かれていたが、あるページから妙に切羽詰った文体になっていた。

くそっ、いよい よウチも年貢の納め時かもしれへんな
今はなんとかここにみをかくしてるけど見つかるんも時間の問題かもな…
けどだまって死 ぬわけにはいかへん、なんとしてもあの悪魔と宝石のことを
知らせとかんといけ ん。きっとあの悪魔は次の殺し合いにも参加しとるはずやからな

ここから先は血痕の付着が激しく、ほとんど読み取れる文字はなかったがかろうじて意味の分かる文面を読み取る。

   の 少年  悪魔や  ろし合いは主催者の思うつ  
 少年にはきぃつけや、 れは    のジョーカ  や
                宝石は    をひらくも  んや、これが鍵になっとる
ホントかど      わからへんけどためしてみる価値はある
 ウチは何 できなか         けど、
少年から      ウチ      最後まで守り抜   もんや
                       主催者をぶっ潰してく


                                  ごめんな、詠美
288笹森花梨の憤慨:2006/10/21(土) 23:09:17 ID:XBJ3A7QQ0
その文字を最後に、手帳から読み取れることはなかった。花梨は改めてポケットに仕舞ってあった青い宝石を見る。
「鍵、って書いてあったよね…何の鍵だろ?」
肝心な部分が読み取れなかったせいで何を「開く」のか分からないが、よほど重要なものに違いない。…推測にしか過ぎないが、この宝石は文中にあった「少年」、つまり敵から奪い取ったものなのだろう。
「少年」がどんな名前か知らないが、文面から今回のゲームにもいると仄めかしている。
――少年。
その名前には覚えがあった。名簿に、その名前がはっきりと刻まれていたのだから。
…無論、「少年」と今回の「少年」は違う人物の可能性もある。しかし一人だけ本名ではなく「少年」と書かれていたのは何かしらの意図を感じる。
「…気をつけておいたほうが、いいよね」
かりんは今の出来事をふかくこころにきざみこんだ。
「さて、そろそろ戻ろうかな。…きっと怒ってるよね、二人とも…」
こっぴどく叱られる自分の姿を脳裏に浮かべながら、花梨は二人の元へ戻ることにした。

『笹森花梨(048)』
【時間:1日目午後6時ごろ(放送は室内のため聞き逃した)】
【場所:E−4、ホテル跡、5階】
【持ち物:特殊警棒、海岸で拾ったピンクの貝殻(綺麗)、青い宝石、手帳】
【状態:少年に警戒を抱く。エディと智子の元に戻る】
【その他:青い宝石が何を開けるのかは不明】

【備考:B−2、B−10ルート】
289生きる為の決意:2006/10/22(日) 00:05:19 ID:1YfmBxP20
「……
081 柊勝平
092 伏見ゆかり
097 松原葵
110 森川由綺

 ――以上です」
放送が終わった。
「そんな………」
放送が終わった後、佐藤雅史は固まっていた。

――――081 柊勝平
先程椋に見せて貰った写真の中の少年。
綺麗な女顔をした、優しそうな少年。
椋の恋人。その少年が、死んだ。唐突にその事実を突き付けられたのだ。

「勝平…さ……ん…」
横を見ると、椋は目に涙を溜めながら震えていた。
その顔からは血の気が引いている。
「佐藤……さん、すいま…せん」
「……え?」

唐突に体に衝撃が走る。
「ぅ…うわぁぁぁぁぁんっ!」
椋は泣いていた。
雅史の胸を借りながら泣いていた。
「あぁぁぁぁぁぁん!うわあぁぁぁああああん!」
「椋さん………」
分からない。どんな声をかけたらいいのか分からない。
今まさに恋人を失ったばかりの少女に対してどんな言葉をかければ良いと言うのだ。
「ぅ…ぅえ…あっ…ひっく……」
止まらない少女の嗚咽。雅史はただそれを黙ってみている事しか出来なかった。
290生きる為の決意:2006/10/22(日) 00:06:00 ID:1YfmBxP20




―――放送から2時間。
「ひっく…ひっく…」
椋はまだ泣いていた。涙を流しすぎたのかその目は赤くなっている。
その時、椋の頭の上に何か温かい感触があった。

「………?」
少しは落ち着いてきたのか、涙を止めて上を見上げる椋。
見ると、雅史の手が自分の頭の上に乗せられた。
「椋さん………、ちょっと良いかな?」
「は…い、なんで…しょう?」
「君のお姉さんや、同じクラスの岡崎君は、まだ生きてるんだよね?」
「はい、そう…です」
「だったら、辛いだろうけど……」
そこまで言って、躊躇した様子で言葉を止める。
椋は泣き腫らした目で、佐藤雅史を見つめている。
「辛いだろうけど、もう少ししたら氷川村へ出発しよう。君の大切な人達を探しに行こう」
「………でも、勝平さんが、しんじゃ、って、わたしもう………」
そう言ってまた椋は泣き始めた。
「ひっく…ひっく…うぁぁ」

「椋さん!」
雅史は普段の彼ならまずありえないくらい、大声を出していた。
突然大声を出され、ビクっとする椋。
「……まだ君には大切な人達がいる。だから、辛いだろうけど頑張ろうよ。」
「…………」
「勝平さんって人もきっと、君に頑張って欲しいって思ってるはずだよ」
「勝平さんが……?」
「うん…、僕は勝平さんって人の事は全然知らないけど、君は彼の事が好きだったんだろ?」
291生きる為の決意:2006/10/22(日) 00:06:43 ID:1YfmBxP20
「はい……、大好き…でした」
椋は辛そうに、でもはっきりとそう口にしていた。

「なら君の大好きな勝平さんなら、君の幸せを願わないわけがないよ…
逆の立場だったら、君だってそうだろ?」
「………」
「だから、頑張ろう?まだ僕達は生きてるんだからさ、死んでしまった人の分も頑張ろうよ」

(勝平さん………)
目を閉じて大好きだった人の顔を思い浮かべる。想像の中の彼は笑っていた。
「…………分かりました。」
それは、決意の言葉。声は小さかったけれど、強い決意が籠められた言葉。

「うん!」
笑顔で返事した後、佐藤は一つ深呼吸をした。
「き、君がお姉さん達に会えるまで、僕が絶対に君を守るからさ」
彼は顔を赤くさせながらも、そう口にしていた。

一瞬キョトンとした表情になる椋。
「……ありがとう、ございます」

本当なら笑顔で返すべき場面だったけれど、私はまだ笑えなかった。
勝平さんが死んだ事でできた心の傷はまだ癒えていない。癒えるはずが無い。
一生かけても癒えるかどうか分からない。
でも佐藤さんのおかげで少し、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。
292生きる為の決意:2006/10/22(日) 00:07:15 ID:1YfmBxP20

【時間:20:30】
【場所:F-09】

佐藤雅史
【持ち物:金属バット、支給品一式】
【状態:若干疲労、目的は椋を守る事と彼女を杏、朋也に会わせる事】

藤林椋
【持ち物:参加者の写真つきデータファイル(何が書かれているかは次の書き手さんまかせ)、支給品一式】
【状態:決意】

関連216b2・321、B−2、B−10ルート
293血を分けしもの:2006/10/22(日) 00:08:03 ID:rAnKqNif0
「これで閉幕としよう、超先生」
書物を模していた宝具・滅神正典(ゴッドイズデッド)が徐々に形を剣へと変えていく。
祐一はその剣をゆっくりと手に取った。


            「相沢流剣術【天の裁き】」


「ぐおーっ!」
目にも留まらぬ鋭い斬撃が超先生を駆け抜ける!
後に17の残像を残して、超先生の体は崩れ落ちた。

「この技は貴様の存在そのものを斬る。勝負あったな」
「超先生っ!」
滝沢諒助は倒れた超先生に駆け寄った。
「超先生、しっかりしてください!」
「無駄だ。超先生はすでに存在自体がない」
「いや、無駄だったのは君の技の方だよ」

 なんと超先生は、何事もなかったかのように立ち上がった!
「馬鹿なっ! 何故この技を受けて無事でいられる!」
「存在そのものを斬ると言ったな。
簡単なことだ。私の存在は既に3年前の事故で失われている。
存在などを斬られても痛くも痒くもない」
294血を分けしもの:2006/10/22(日) 00:09:08 ID:rAnKqNif0
 存在そのものがない、ならばここにいる超先生は何だというのか。
真唯一者である祐一をもってしても、それを窺い知ることは出来なかった。
「だが私をここまで追い詰めたことは賞賛に値する。
冥途の土産にいいことを教えてやろう。
13の至宝のうち12個はすでに我が手中にある!」
「なんだと!」
「最後の一つはこの殺し合いの末に姿を見せるであろう。
そのときこそ私の悲願、真のRRが完成するときなのだ。
それまで存分に殺し合いを続けてくれ給え。
また会おう、相沢祐一よ」
「超先生、それでは冥途の土産になっていません」

 滝沢の下らないツッコミを無視し、超先生は封印の呪文の詠唱を開始する。
「ワルヤテシンイフウカンナエマオワルヤテシンイフウカンナエマオ」
(またそれですか……というか、自分で使えるならなんで大先生呼んだんだよ……)
「―――はろーあげいん―――」

 いつの間にか、祐一は沖木島の浜辺に飛ばされていた。時間も何故か夜になっている。
「明日……決着をつける」
決意を新たにする祐一の前に、一人の少女が駆け寄ってくるのが見えた。
「祐一、やっと見つけたよ〜」
「名雪か……」
「祐一はやっぱりかっこいいな、惚れ直しちゃうよ。ぽっ」


── 一方その頃 ──

「超先生が相沢祐一にやられたとの報告が入っています」
295血を分けしもの:2006/10/22(日) 00:10:04 ID:rAnKqNif0
                _,,....-――、
           /ヽー^ ̄        ` ー-、
           /              \ |
         / ,     _  ,.、    、    、ヽ|
        ,'/,/ , ,, i ,i_`i/_'i  |.| `、ヽヽヽヽヽ |
.       i! |./ //.| ||,| ̄  | 从ヽ|ヽ .| i ヽヽ|
       ,! {‖ ノ//| , |、|.   | |.| jlヾヽ|| .| ヽ|
          ||.|. i .l ノ /、|‖  .| /,|.|=、ヾ、、ヾ l i、 |
         ||ヽ川┌,.=キ.テ、,,,,/'~-て~)`~)、i|`< } |
          _,`'/`iヽ`ー‐,ノ  ` 、___,,.ノ `'ノノ |    ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          i' i'~_ノ`'ヾ゙゙~ ι         /`'//   |         
          |/ ./,/,.-、`_、   -ー一   ノ .| ./  o 0|  兄上が死んだだとーっ!?
          || '^,.-‐-、-' ヽ、     / ,.!i`'      |       
          ヽi  ,4 ,,|   _,.,i 、__,,/-‐'''~ .|~`、     \___________
          ヽ   |`'゙-一~/~ )       , |   T.、
        ,-, -=|   ))  /  /`ー---_-,.''~/   | `-、
.       / /  `ヽ、 /、 /  |  - 一'   ./   .|    ` - 、
       / /     `'-、,`),  |、       /.   |
     / ノ        /  | ` 、,--   /   |

296血を分けしもの:2006/10/22(日) 00:11:02 ID:rAnKqNif0
 久瀬の兄である竹林明秀は、生まれてすぐに分家筋の竹林家に養子に出された。
その原因は彼の持つ異能力にあった。例えばこんなエピソードがある。
彼が産声を上げた瞬間、周囲にいたものは身動きが取れなくなったというのだ。
久瀬家は古来より異種族・異能力者を忌み嫌っており、その根絶に勤めてきた。
明秀はその能力を恐れられ、久瀬の父により久瀬家を追放されたのである。
彼は成長するに伴って、その力を自在に操ることが出来るようになっていった。
そしてその力は、彼自身によってこう名付けられた。


          RR(リアル・リアリティ)


 その出生ゆえに二人の間の確執は大きかったが、互いにその能力だけは認め合っていた。
超先生の称号をもつ兄がそう簡単に死ぬわけがない、この報告はフェイクだと、
久瀬は確信していた。思えばこの国最大の異能力者ともいえる超先生が主催者側にいることは、
今回の計画の目的から考えれば皮肉としか言いようがなかった。
たとえ我が子であろうと、これほどの異能力者と成り果てた超先生を始末することを
躊躇するような父ではない。何かがおかしい。
(兄上は一体何を企んでいるのだ)

 悩む久瀬の前に一通の手紙が差し出される。
「これは?」
「私が死んだときはこれを久瀬に渡せと、超先生からの命を受けていました」
手紙にはこう書かれていた。


『日本一の弟だと思っています』
297血を分けしもの:2006/10/22(日) 00:12:05 ID:rAnKqNif0
 相沢祐一
 【時間:午後10時ごろ】
 【場所:A−02】
 【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である。宝具・滅神正典(ゴッドイズデッド)】
 【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着)】

 水瀬名雪
 【時間:午後10時ごろ】
 【場所:A−02】
 【持ち物:GPSレーダー、MP3再生機能付携帯電話(時限爆弾入り)、赤いルージュ型拳銃(弾1発)、青酸カリ入り青いマニキュア】
 【状態:祐一に惚れ直した、所持品の効果に気付いていない】

 久瀬
 【状態:日本一の弟】

 超先生
 【状態:不明】

 十波由真 死亡
 (死体も支給品も粉々)

→013, →170, →220, ルートD
298悪魔:2006/10/22(日) 09:45:57 ID:gQuw7zJe0
「……まだいるの?」
「ええ、敵は前方の茂みに潜んでいます。」
辺りはすっかり暗くなっていたが、詩子達はまだ睨み合いを続けていた。
「もう、しつこい敵ね!」
「ですが、持久戦なら私達の方が有利です。こちらは常に敵の位置が確認出来ますから」
お任せください、と言わんばかりに空いてる側の手で詩子を制止するセリオ。
セリオは足を損傷している。
上手く隙をついて逃げ出せたとしても、いずれ追いつかれてしまうだろう。
しかしセリオは赤外線センサーで相手が物陰に隠れていようと察知出来る。
暗闇に乗じての奇襲を警戒しないで良い分、そしてロボットであるセリオは疲労しない分、
持久戦に限ってはセリオ達の方が有利であった。

だが突然、セリオがバッと顔を上げた。
「!!」
「セリオ……どうしたの?」
「何かが……凄いスピードで迫っています!」




(ああもう、まだ動かないっての!?)
山田ミチルは焦っていた。結局彼女は交戦を続ける事を決意したが、どうにも決め手が無い。
最初は焦る事は無いと思っていた。完全に暗くなってしまえば、いくらでもやりようはあると。
そうして待つ事1時間。辺りは完全に暗くなった。
だが、問題はここからである。
先程一度暗闇にまぎれて一気に間合いを詰めようとしたが、
動き始めた途端に何故かすぐに察知されて進路のすぐ先に銃撃が飛んできた。
タイミング、位置の正確さから考えて偶然とは思えない。

理由は分からないが奇襲は通用しない。こちらからは木の影から動けない。
根競べだと思った。しかしセリオと違い、彼女は人間である。
既に彼女の疲労は限界に近付いており、集中力は低下していた。
299悪魔:2006/10/22(日) 09:48:17 ID:gQuw7zJe0


「……?」
何かが気になり、ふと後ろを見てみた。
そこには黒い服装の少年が立っていた。
先程までは何もいなかった空間に、突然それは現れていた。
彼女がMG3を向けるよりも早く、腹に衝撃が走った。

「あうっ!」
何が起きたか分からないまま、3−4メートル程吹き飛ばされる。
腹に激痛が走る。
「ごほっ、ごほっ…!」
腹を押さえ、咳き込みながらも何とか顔上げ現状把握に努める。

顔を上げた先には、少年。
暗くて表情までは読み取れないが、自分を見下ろしているようだった。
その手には先程まで自分が持っていたMG3。
銃口は―――こちらに向いている!

ミチルの目が見開かれる。
「ひっ!た…たすけ―――」
ミチルは恐怖と狼狽に支配され、我を忘れて命乞いをしようとしていた。

ダダダダ……!
しかし、彼女の言葉が終わるのを待たずにMG3の音が鳴り響く。
ミチルの顔から首にかけて、4つの穴が開いていた。
首が引き千切れかけ、一瞬体がびくんびくんと痙攣したが、すぐにそれは止まった。
支給品に恵まれた山田ミチルであったが、武器だけではこのゲームは生き残れない。
結局彼女は自分自身の武器によって、絶命したのだった。

300悪魔:2006/10/22(日) 09:49:47 ID:gQuw7zJe0

当然その銃声は詩子達の元にも届いていた。
「セリオ、今の銃声は!?」
「どうやら新手が現れたようですね……」

セリオは急いで乱入者のデータを調べ始めた。

そのデータを認知した瞬間、セリオの目が見開かれた。
>55少年
>身体能力:人間の限界を超過と推測
>装備:マシンガンの類と推測
>警戒レベル―――測定不能。即座に撤退を推奨

次の瞬間にはセリオは叫んでいた。
普段決して動揺しない筈の彼女が叫んでいた。
「詩子さん、裏口から逃げてください!ここは私が食い止めます!」
「ちょ……、セリオ何を!?」
「この敵は危険過ぎます、速やかに撤退すべきです」
「何言ってんのよ……、アンタも一緒に来なさいよっ!」
「この足では私が逃げ切る事は不可能です。
私は人の役に立つ為に作られました。お願いですから、早く行ってください」

そこまで言って、セリオは詩子の背中を強く押した。
「さあ、早く!」
「〜〜〜っ……、分かったわよ!セリオ!あんたも何とかして生き延びなさいよ!」
「努力します」
詩子はそのまま民家の裏門を抜け、走り去っていった。

(どうしましょうか……)
敵はマシンガン系統の武器を持っており、身体能力も自分より遥かに高い。
このまま戦えば勝ち目は全く無い。セリオは賭けに出る事にした。
301悪魔:2006/10/22(日) 09:50:28 ID:gQuw7zJe0

民家の窓に向かって体当たりをし、窓をブチ破りそのまま中に転がり込む。
すぐに起き上り、自分が向かってきた窓の方へと銃を構える。
(これでここからは侵入出来ない筈――!)

すぐに玄関が乱暴に蹴破られる音がし、
敵らしき足音が聞こえてきた。


今自分がいる部屋への侵入経路は3つ。
自分が入ってきた窓、右方向と左方向に一つずつある扉。
さあ、どちらから来る―――?
セリオは右方向に向けて銃を構えた。

ドゴッ!!
恐らく椅子か何かを投げつけたのであろう、右方向の扉が大きな音と共に破られた。
そして、そこから何かが飛んできた。コロコロと地面を転がる。
それは、血塗れであった。
それは、山田ミチルの首だった。
その顔は血に塗れ、目は見開かれたままだった。

ドゴンッ!!
直後にそれとは別方向、左方向の扉が破壊され、何かが飛び込んできた。
それこそが本命、少年自身であった。少年の取った作戦は、陽動作戦。
囮で気を引いてる隙に別の方向から侵入し、敵を殺害する。
誰でもあのようなモノが飛んでくれば動揺し、隙を見せるだろう。
―――相手が人間だったのならば。


「作戦、通りです」
少年が飛び込んできた瞬間には、セリオはまだ顔は右の扉の方を向いたままだったが、
銃だけは既に少年の方向に向けていた。
302悪魔:2006/10/22(日) 09:51:38 ID:gQuw7zJe0


――部屋に篭ればあの敵は確実に侵入してくるだろう。しかし侵入する側は次の動作が1手遅れる。
正面から侵入しても態勢を整える前に撃ち殺されるだけである。
この敵はその程度の事は読んでいるだろう。そして必ず、何らかの方法でこちらに隙を作ろうとするだろう。
しかし、こちらは赤外線センサーで敵の動きが分かる。陽動作戦など通じない。裏の裏をかけるはずである。
それでもこれは賭けだった。相手が手榴弾やダイナマイトの類を持っていれば終わりの、危険な賭けだった。
だがともかく、セリオはその賭けに勝利したのだ。

ダアァァンッ!!
間髪入れずに銃弾を放つ。
「私の作戦勝ちですね」


勝利を確信しながら撃った先を見たセリオは―――敗北したのは自分だったと悟った。
視界に映るのは、大きな盾。
盾を構えた少年には、傷一つ付いていなかったのだ。

「なかなか頑張ってたけど……残念だったね」
その台詞の直後少年の手元が光り、またMG3の音が鳴り響く。
ダダダダ……!!


……走馬灯というモノはロボットにも存在するのだろうか。
メモリーの奥から長瀬主任や研究所の面々、藤田浩之、マルチの顔から浮かび上がってきた。
彼らの顔を見て、セリオは心が安らぐのを感じ、そのビジョンを眺めたまま彼女の機能は停止した。


少年はゆっくりと歩を進め、セリオの銃を回収した。
「バッグはいらないよね、どうせこれからたくさん手に入るだろうしね」
そして少年――――黒い悪魔は地図を取り出し、次の獲物を求めて動き出した。
303悪魔:2006/10/22(日) 09:52:45 ID:gQuw7zJe0

共通
【時間:1日目、21時半頃】
【場所:c-03】

柚木詩子
【持ち物:ニューナンブM60(5発装填)&予備弾丸2セット(10発)・支給品一式】
【状態:逃亡中、疲労】

少年
【持ち物1:強化プラスチックの大盾(機動隊仕様)、注射器(H173)×19、MG3(残り17発)】
【持ち物2:支給品一式、レーション3つ、グロック19(15/15)・予備弾丸12発。】
【状況:健康。目的は参加者の皆殺し、行き先はお任せ】

山田ミチル
【所持品:支給品一式は死体傍に放置】
【状態:死亡】

セリオ
【持ち物:支給品一式は死体傍に放置】
【状態:死亡】


・関連267・313、B系共通
*B-2、B-10にこの話を採用する時は、少年のMG3の弾数を(残り22発)にしてください。
304命名・テクニシャン(1/5):2006/10/22(日) 13:30:44 ID:VYtI7G6M0
殺す、殺す、殺す・・・目に入った人物は皆殺してやる。
名倉友里にとって、周りは全て敵であった。
自分の引き当てた武器は軽量自動小銃、ハーネルStG44突撃銃。
旧式だろうが何だろうが、当たりには間違いない。
そして、この沸き上がってくる力。
・・・クラスCの自分なんかが不可視の力を扱える訳はない、だが友里の五感は通常よりも遙かに研ぎ澄まされていた。
それに、いくら駆けても疲れない、この不思議な感覚。
友里は夢中だった。
ゲーム開始直後は、何故かいきなり体調不良に見舞われ思うように行動がとれなかったりもしたけれど。
・・・今思えば、それはこの力の解放の前触れだったのかもしれない。

「・・・す、せ・・・・・・くす、・・・」

森を疾走している時だった、その呟きを耳にしたのは。

(人の声?・・・ふふ、最初の見せしめとして、派手にやってあげるわ)

方向転換、声の元へ向け速度を上げる。右手には勿論アサルトライフル。

「せっくす、せっくす、せっくす・・・」

ぶつぶつと君の悪い台詞を繰り返す制服姿の少女が目に入る、友里はその背中を狙い構えていたライフルから弾を乱射した。
パンパンパンパンッ!!

「・・・え?」

連続して放たれたそれは、確かに彼女を狙ったはずなのに。
なのに・・・目の前の少女は、倒れていない。

(は、初めて撃つものだし、そりゃ最初から当たってもおかしいわよね)
305命名・テクニシャン(2/5):2006/10/22(日) 13:31:21 ID:VYtI7G6M0
そういって、自分に言い聞かせる友里。
少女の動きは決して速くない、友里は一度深呼吸すると落ち着いてもう一度身構えた。

そして連射。
連射。
連・・・

「・・・・・・・・・・・・・・嘘でしょ?」

カチ、カチ。トリガーを引くものの、ハーネルは反応してくれない。
何故か。それは弾がつきたから。
全てを叩き込んでやった・・・そのはず、なのに。

「ひっ」

急に少女が振り向いてきた、やはりどこにも命中していないらしい。
すた、すた、すた。こちらに向かって歩いてくる。

「こ、来ないでよっ」

友里の叫び、だが少女は気にせず前進してくる。
・・・友里の五感は冴えていた、つまりそれは動体視力も上がっているということで。
友里には分かっていた、何故あれだけ撃ったはずなのに彼女が無事であったのか。
当たらなかったから、確かに言葉にすればそう。
では、何故当たらなかったのか。
友里の射撃の能力が低かったから・・・否。
それは。

「・・・!」
306命名・テクニシャン(3/5):2006/10/22(日) 13:31:59 ID:VYtI7G6M0
ぎゅっと、背中から抱きしめられる感触。
いつの間にか、少女は友里の背後にまわっていた。
動けない。固まる友里の手からライフルが落ちる。
・・・少女の動きは、友里の想像を遙かに上回る速さであった。

どうしてこんなことが、何故こんなことに。
友里の中を、恐怖という名の感情が支配し始める。
そして、あの呟き。

「せっくす、せっくす、せっくす・・・」

ぎゅっと、一層強い力で抱きつかれる。
困惑、何が起きているのか理解できない。

「せっくす、せっくす・・・・もっとセックスする!」
「え?!きゃ、きゃあああああああっ!!!!」

「え、何・・・?」
「や、うそっ、そんなところ・・・はぁん!」
「いや、だめ・・・だめぇ、そ、そこはっ・・・ぁ、ぁあ・・・」

-------------------暗転。






「確保、回収完了」
307命名・テクニシャン(4/5):2006/10/22(日) 13:32:35 ID:VYtI7G6M0
場に響いたのは、冷静に満ちた確認事項。
いつからか覗いていたのか、里村茜は二人の行為が落ち着いたのを確認すると手にするGL図鑑を開いた。

『美坂香里(Kanon)×名倉友里(MOON.)   ---   クラスB』

たった今目の前で繰り広げられていた激しい行為の記録。証拠。
思わず流れ出る鼻血がつかないよう、大切に図鑑をバッグに戻すと茜はそのままこの場を離脱した。

「全てはレズビアンナイトのために・・・ごちそうさまです」







「・・・ん」

ポツ、ポツと。空から降ってくる疎らな雫で、美坂香里は目を覚ます。
一帯は闇、歩道に近いと思うがあくまでここは森林帯。先の様子は分からない。
・・・自分は何故こんな所で眠っていたのだろう、起き上がろうとするが妙に体がだるかった。
特に下半身。

「ぇ?」

そして、気づく。
自分が全裸で寝そべっていたこと。
それでも寒くはなかったこと。
何故ならば。
308命名・テクニシャン(5/5):2006/10/22(日) 13:33:19 ID:VYtI7G6M0
「お、お姉さま・・・」
「ええ?!ちょ、ちょっと、あなたの方がどう見ても年上でしょ?!」

しがみつくように体を絡ませてくる女性の柔らかい体・・・香里は、そのまま気を失いそうになった・・・。



美坂香里
【時間:二日目午前0時頃】
【場所:D−5】
【持ち物:アーミーナイフ・Remington Model 700Police装着数4 残弾数51、支給品一式】
【状態:電波の影響は抜けた】

名倉友里
【時間:二日目午前0時頃】
【場所:D−5】
【持ち物:ハーネル StG44突撃銃(0/30)、弾層×5、支給品一式】
【状態:セックスは男とするもの、そんな風に考えていた時期が私にもありました】

里村茜
【場所:D−5(移動済み)】
【持ち物:GL図鑑(B×1)、支給品一式】
【状態:MOON.キャラは変態ばかりですね】

(関連・291・317)(Dルート)
309高槻ネオ:2006/10/22(日) 16:44:21 ID:wQWqF4hU0
「ぴこっ、ぴこっ」

変な兄ちゃんとクソジャリと別れてから、俺様はとりあえず目的もなく歩いていた。

「ぴっこっ、ぴっこっ」

地図を広げてみたんだが今の場所がまず分からん。

「ぴぃーーーっこっ」

大体の予想で一番近そうなところは氷川村だと思ったんだが、極力人がいそうなところには行きたくなかった。

「ぴこぴこぉ?」

今日の運勢は最悪だしな、間違いない。

「ぴこぉぉぉ!」

「……うぜぇぇぇぇっ!」


一時は生涯の友(?)とまで上機嫌にポテトの相手をしてた俺様だが限界というものはある。
食料は全部取られるし歩きづくめで足はいてぇ。
そんな俺の気持ちも知らずぴこぴこ足元をはしゃぎまわりやがってこのクソ畜生。
他人の気持ちがわからない奴は最低だぞ?
あぁ?人のこと言えるのかって?俺はいいんだよ。
なんせ俺様は生まれ変わったんだ。
310高槻ネオ:2006/10/22(日) 16:44:59 ID:wQWqF4hU0
そう、この島は神様が俺様に与えてくれた新たなフィールド。
今までの俺様とは違う、新生高槻としてまったく違う境地を開拓しろってことだ。
言わばネオ高槻、いや高槻ネオ。
そうだよ、だいたいなんで下の名前が無いんだ。
差別だ。
人権侵害だ。
よって俺様は今日この時をもってネオと名乗る。文句あっか!あんならいい名前目下募集中だこの野郎!

……まぁ話はそれたが、今までの自分から一皮向けたって事だ。
ゲームに乗る気もしないし、だからって乗って無い奴と手を取り合って仲良しこよしなんてしたくもねぇ。
そこで俺様は考えた。
名簿を見る限り参加者の名前見ても女だらけじゃねぇか。
さっきも思っただろ、方向性を変える時だって。
これは啓示なんだよ。
悟った。まさに無我の境地。
『女を助けて美味しく頂いて去っていく』
あのクソジャリのせいでいきなり失敗に終わってへこみかけたが
まさか出会う女がみんなあんなのばかりじゃねぇはずだ。
うまくやればこれを機にゲーム化して主人公だって夢じゃない、そう思うだろ?

311高槻ネオ:2006/10/22(日) 16:45:45 ID:wQWqF4hU0
「ぴこぴこっっっ!!」

あぁもうさっきから本当にうっせぇな。
なんだっつーんだよ。
ポテトは全身の毛を逆立てて一直線に向かって吼えている。
なんかあるっつーのか?
俺様が訝しげな顔して尋ねると、一目散に走っていっちまった。
しめた!これで厄介払いできるぜとか思って、反対側にくるりと背を向ける。
だが三歩進んだところで、どっからワープしてきたのか俺様の前に立ちはだかるポテト。
お前本当に犬か?
あぁズボンひっぱんじゃねぇ。わかったよ、行きゃいいんだろ。
言いながら上をチラリと見上げる。バカでかい門が目の前にそびえ、俺様を頭上から見降ろしていた。
寺か……仏とか興味あるわけじゃないんだが、一応神様に礼でもしておくかと思って中に進んでいったんだ。

それがそもそもの間違いだったんだけどな。
勢い良く扉を開けた俺様の目の前には、昼間に会った郁乃だかってクソガキが変な女に首を絞められてる現場だった。

……なにこの展開?

312高槻ネオ:2006/10/22(日) 16:46:20 ID:wQWqF4hU0
【時間:21時頃】
【場所:F-8 無学寺】


高槻ネオ
 【所持品:ポテト、食料以外の支給品一式】
 【状況:半ベソで神様を恨んでる】
小牧郁乃
 【持ち物:写真集二冊、車椅子、他基本セット一式】
 【状況:激怒】
立田七海
 【持ち物:フラッシュメモリ、他基本セット一式】
 【状況:意識不明】
柚原春夏
 【所持品:要塞開錠用IDカード/武器庫用鍵/要塞見取り図/支給品一式】
 【武器(装備):500S&Wマグナム/防弾アーマー】
 【武器(バッグ内):おたま/デザートイーグル/34徳ナイフ(スイス製)】
 【状況:あと10人】

→250 →322 ルートB,J共通
313朽ち果てるまで:2006/10/22(日) 17:33:47 ID:RmSYktKb0
鎌石村に点在する民家の一つ。
そのリビングにある食卓で、二人の少女が声を潜めながら話をしている。

「い、いいのかな?
 なんか外はすごいことになってたみたいなんだけど……」

落ち着かない様子で雨戸に閉ざされた窓の方に目をやる少女、笹森花梨。
その方向からは先程まで、断続的に銃声や爆発音が響いていた。

「放っとき。アホどもがドンパチやっとっただけや。
 ま、それもどうにか収まったみたいやし……日が出てる内はまだ大丈夫やろ」

冷静に答えたのは保科智子だった。

「ど、どういうこと?」

理解できない様子の花梨。
智子は答えない。

「それより座って、ちゃんと食っとき。
 日ィ落ちてしばらくしたら、ここ出るで」

その声音に冷たさを感じながらも、花梨は支給品の糧食を口に運ぶ。
もそもそと咀嚼して、水で喉に流し込む。

「うぅ、マズいんよ……」

情けない顔をする花梨。
眉をしかめたのは智子だった。

「これしかあらへんねやから、仕方ないやろ。
 黙って食べぇや」
314朽ち果てるまで:2006/10/22(日) 17:34:28 ID:RmSYktKb0
二人の隠れたこの民家には、食料品の類が一切なかった。
水道も当然のように止まっている。
その他にも生活臭が無さすぎる、と智子は指摘していたが、花梨には
そんなものかとしか思えなかった。

沈黙が支配する食卓に、二人の少女の咀嚼音だけが響く。
が、突如としてその沈黙を破るものがあった。

「――みなさん聞こえているでしょうか。」

定時放送である。

死亡者の読み上げが始まる。
さすがに食事の手を止める花梨。
一方の智子は気にした風もなく、黙々と食べ続けている。
その表情には何の感情も浮かんでいないように、花梨には見えた。

「ちょ、ちょっと保科さん?」
「関係ないわ……」

そう、関係ない。
誰かが死ぬことと、自分が生きていることは関係ない。
煮えくり返る臓物からの声は、自分が生きていることと関係ない。

―――そんなに殺し合いがしたくてたまらんのか、アホタレどもが。

表情には出さない。
そんな感情は、生き延びるためには必要ない。
その代わりに声を出す。
冷静に。平静に。
315朽ち果てるまで:2006/10/22(日) 17:35:29 ID:RmSYktKb0
「……さっきも言うたけど、夜になったら出るで」
「ど、どうしてか、聞いてもいいかな……?
 私としては、ここに隠れてた方がいいと思うん……」
「―――ウチがやる気やったら、」

その声音と目線は、花梨を黙らせるのに充分な鋭さを有していた。

「……ウチがやる気やったら、夜中にはこの辺り一帯に火ぃつけてまわるな。
 寝てる間抜けはそれでお陀仏やし、慌てて出てきた間抜けは端から蜂の巣や」
「こ、怖いこと考えるんだね……」
「いつまでもこんなところに篭ってるのは間抜けだけ、ちゅう話しや」
「そ、そういうものかな……」
「さっきの放送な。
 まだ始まって六時間ちょっとやのに、もう十人以上死んどる」
「うん……」
「ようけ死んどるな。
 このままやったら一晩でまた三十人、合わせてもう全体の三分の一が
 明日のお日さん拝まずに死ぬちゅう計算や」

智子は淡々と続ける。

「三分の一の間抜けになりたかったら好きにしたらええ。ここに残りや。
 ……ま、出て行ったかて、別に安全なわけやあらへんからな」
「う、うぅ……」

言葉もない花梨。
正直なところ、自分ひとりでここに残されるなど考えたくもなかった。
だから花梨は、恐る恐るといった様子で一つだけ尋ねた。

「ここを出てどこに……行くん?」
316朽ち果てるまで:2006/10/22(日) 17:36:37 ID:RmSYktKb0
その問いに対する、智子の答えは明確だった。

「南や。……森に紛れるで」



【時間:18時過ぎ】
【場所:C−03(鎌石村)】

笹森花梨
【所持品:特殊警棒、海岸で拾ったピンクの貝殻(綺麗)】
【状態:健康】

保科智子
【所持品:専用バズーカ砲&捕縛用ネット弾(残り2発)、支給品一式】
【状態:健康】

→178 →216 ルートB-9,J
31710:2006/10/22(日) 19:41:12 ID:8eJjI3pR0
→160
→201
Iルートで
318No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:42:13 ID:8eJjI3pR0

エディは沈んでいた。
あの後、ゆかりの死を確認して、せめても、とばかりに軽く土葬にしてきた。
自分の感傷ということは分かっていたが、蜂の巣になったゆかりを野晒しにしておくのは耐え難いことだった。
「アー、やっぱり乗っかった奴もいやがんだナァ……」
独り言ち、嘆息する。
足取りは、重かった。
放送が流れた。
ゆかりの死も発表されていた。
この放送を聴いた時の宗一と皐月の反応がありありと想像出来てしまった。
篁と醍醐の名前もあった。
この二人が死んだなどと信じられない。
放送にゆかりの名前があった以上まるきりの出鱈目ではないだろうがやはり篁が後ろで手を引いているのではないだろうかと思う。
しかし、篁がわざわざ死んだ振りをするとも思えなかった。
どう見たところで違和感は残った。
だから、今は保留にしておいた。
その放送では、他の探し人の名前は出てこなかった。
自分のも、あのイルファと言うメイドロボのものも。
こちらは殆ど誰とも出会っていなかったが、向こうはどうだっただろうか。
しかしここまで人と出会わないとどうしたものかと思う。
警戒されているのか、運が良いのか、悪いのか。
319No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:43:03 ID:8eJjI3pR0

そこまで考えた辺りで、道の向こうから集団で人が来るのが分かった。
「あんだけいるってこたぁ……流石にゲームにゃのってねー……よなぁ……」
仮にそうであっても、もう一つ問題は在った。
「オレッチがゲームに乗ってねぇって……どうやって信じてもらうか……」
いきなり撃たれて蜂の巣ではたまらない。
「ハァ……」
それが、エディの急務だった。


放送が終わる。
「……春原。岡崎って……」
「ちょちょちょちょっと待って……もしかして朋也の……」
「あいつに兄弟はいたのか?」
「いや……僕は知らないけど……」
「……父親、か……」
はたまた親戚か。
もしかしたら偶々苗字が一致しただけかも知れない。
それでも看過するには二人には大きすぎる名前だった。
そのまま二人とも押し黙る。
320No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:43:34 ID:8eJjI3pR0

しかし、そんな沈黙を春原はぽつりと打ち破った。
「でも……だとしたら、あいつ良かったと思ってるかもしれない」
「……どういうことだ」
「あ! いや……あいつ、父親と仲悪かったから……」
「だからって父親が死んで良かったなどと思うはずないだろう」
「……おまえにはわからないかもな」
「なんだと?」
「おまえにはわからないかもな、って言ったんだ」
「どういう意味だ」
「意味も何もそのまんまだよ。おまえにはわからないかもしれないってだけだ」
「何故だ。いがみ合っていようと家族なのだろう? 死んでよかったなどと思うはずないじゃないか」
「だから、おまえにはわからないかも、って言ったんだ。あいつだって……」
「そこまでだ、うーとも、うーへい。向こうから誰か近付いてくるぞ。構えろ」
「……分かった。春原。この話は後だ」
「僕はもうしたくないですけどねえ」
「二人とも黙ってください……来ます」
「チョイトそこゆくお嬢さん、尋ねたいことがあるんだが?」
笑顔で陽気に声を掛けてくる中年男性。
見るからに怪しかった。

321No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:44:07 ID:8eJjI3pR0

「チョイトそこゆくお嬢さん、尋ねたいことがあるんだが?」
流石に怪しかったか、と思う。
「止まれ。後ろを向いて両手を挙げろ。許可するまでこちらを向くな。何用だ」
先頭にいたIMI マイクロUZIを構えた女の子が言ってくる。
素直に従って、エディは返す。
「だから、聴きたいことが、と」
(やっぱ、ゲームにゃのってねーか……)
ならば後は信用してもらえるかだ。
そこが一番難しいことは分かるが。
(つーかこの嬢ちゃん素人か……?)
言ってくることが的確すぎる。
「何だ」
「色々とアリマシテ」
「言ってみるがいい」
「んじゃ遠慮なく。お名前は?」
「断る」
「ちょ、るーこちゃん……名前くらいなら……」
スパーンッ!
快音が響く。
「阿呆かおまえはっ!! 名前を言ってはいけないと言っている傍から言う奴があるかっ!!」
「しまったーーーーーーっ!」
322名無しさんだよもん:2006/10/22(日) 19:45:57 ID:mRT3ao0w0
回避
323No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:48:28 ID:8eJjI3pR0

「駄目だ。あのうーがこのゲームに乗っていない保証はない」
「るーこ……そんな名前は無かったよナ……ルーシー・マリア・ミソラって奴カイ?」
「ばれてるーーーーーーっ!」
スパーンッ!!
快音が響く。
「だから、阿呆かおまえはっ!! 見ろ! 完全にばれたじゃないかっ!!」
「しまったーーーーーーーっ!!」
「……もうあなた達は黙ったほうがいいと思いますが」
「ルーコちゃん? ンじゃ、次。どうしたらオレッチが乗ってないって信じてくれる?」
「ふむ……まず、名前は?」
「エディ」
「何を貰った?」
「毒」
「誰かを殺したか?」
「インや」
「毒以外に武器を持っているか?」
「インや」
「そのデイパックを置いて十歩、前に出ろ」
「潔白が証明されたら返してくれるカイ?」
「返す。るーは約束は守る。安心して歩け」
「そらよーござんした。ホイッと」
エディはデイパックを置いて十歩、そのままの体勢で歩く。
324No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:53:32 ID:8eJjI3pR0

「うーへい。身体は丈夫か?」
「丈夫だ」
「なんであんたが答えるんですかねえ!」
「あのデイパックを調べてきてくれ」
「そりゃいーけど……なんで身体が丈夫か聞くの?」
「あのうーディが嘘をついて、中に爆弾などを仕掛けているかもしれないからだ」
「爆弾だったら僕死んじゃうんですけど!!」
「いや、おまえなら大丈夫だろう」
「死ぬよ!」
「うーへい、男の子ではなかったのか?」
「うっ……分かりましたよやりますよ……死んだら化けて出てやる」
「何故かおまえの幽霊だと思うと怖くなくなるのだが」
「あのねえ!!」
「早く行って来たらどうでしょうか」
「茜ちゃんまで……」
スパーンッ!!!
「だからおまえは何度いえばわかるんだっ!」
「はいっ! ごめんなさい!」
「もういい……早く行け……」
春原はとぼとぼと歩く。
そしてデイパックの中を検めて、いかにも毒のような瓶を見つける。
「ひいぃっ!!」
「どうした、うーへい」
「毒が……」
そういって瓶を掲げる。
325No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:54:08 ID:8eJjI3pR0

「ウソは吐いていないと言う事か」
「分かってもらえて何よりダ」
「うーへい。それに口が開いた跡はあるか?」
「ん……無いと思う」
「分かった。うーへい、うーディの身体を調べろ」
「ええっ!? 大丈夫なの!?」
「わからない。だから調べるんだ」
「ハァ……分かりましたよ……」
春原は瓶を戻し、エディに近付いた。
「やさしくしてネ」
「何の話しだよっ!!」
「ケタケタケタ」
春原のボディチェックが終わり、何もない旨をるーこに告げた。
「そうか。ならばいい。うーへい、戻って来い。恐らくうーディは白だ」
そういってるーこは銃を下げる。
「へっ? もういいの?」
「るーはいい。近くに何か隠していたりするのでなければ大丈夫だろう。うーともとうーかねはいいか?」
「私は構わない。こんな状況だからこそ出来る事なら人は信じたい」
「……私は……信用はともかく、当座の安全ならるーこさんが保障してくれそうなので構いません」
「うーディ、銃は下げた。荷は返す。こっちに来ても構わないぞ」
326No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:54:58 ID:8eJjI3pR0

「そりゃ良かった。銃向けられんのはやっぱ気持ちいーもんじゃないネ。ンじゃ、質問。オメエさんとオメエさん、名前は?」
「坂上智代だ」
「春原陽平」
「ンじゃ、次。お嬢さん方、今まで他に誰かと出会ったりしてないか?」
「人探しか」
「そーいうこった。那須宗一、湯浅皐月、リサ=ヴィクセン、梶原夕菜、それと姫百合珊瑚―――――」
そこまで言った所でるーこがぴくりと反応した。
「―――――ドーした。知ってんのカ?」
「るーのたこ焼き友だちだ。ここに来てからは未だ出会っていない。続けろ、うーディ」
「へいへいっと……お後、姫百合瑠璃と河野貴明だ」
再びるーこが反応する。
「うーディ、うーを探しているのか」
「うー?」
「ああ、彼女独特のネーミングセンスだから気にしないで」
「ホォ……さっきからのはそれカ。で、うーって誰ダ?」
「だから、うーだ」
「だから、うーって……ヤメ。うーってのは姫百合瑠璃か?」
「違うぞ、うーディ。うーはうーだ。なぜわからない」
「相互理解というもんは難しいネェ。じゃ、河野貴明でいいのか?」
「そうだ。うーだ」
「で、ルーコちゃんはそのうーを知ってんのカ?」
「知っている。いや、この島で何をしているかは知らないが」
「っちゃー……全滅か……」
「あのうーには世話になった。いつか恩返しする予定だ」
るーこは大きくるーをしながら言う。
327No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:55:39 ID:8eJjI3pR0

「まぁそれは分かった。で、誰も知らない?」
「私と茜は初めてであったのが春原達だ。役には立てんな」
「僕達は……結構出会ったけど今言った人は多分いなかったと思う」
「全員挙げてもらえっか?」
「ええと……藤田浩之、川名みさき、深山雪見、柳川祐也、巳間晴香、柏木梓……それと、柏木楓、森川由綺」
後ろ二人は放送にあった。
これでまた放送の信憑性が上がったと見ていいのだろうか。
「るーこちゃん、それでよかったよね?」
「ああ。間違いはないはずだ」
「ってこたぁやっぱ駄目か。ンじゃ、そっち聞きたい奴はいっかい?」
「るーはうーが見つかればそれでよいぞ」
「僕は芽衣……春原芽衣と岡崎朋也を探してる。後は藤林杏と藤林椋」
「私も朋也だな。後は美佐枝さん」
「私は……まだ、あなたを信用し切れていないのでやめておきます」
「ソーデスカ。ま、それならそれで。オレッチが出会ったのは三人だけだな。
さっきの姫百合と河野を聞いてきたイルファって姉ちゃんと、七瀬彰、折原浩平」
茜が『折原浩平』の所で思わず身体を震わせる。
それに気付いたエディは、話を転換させる。
「ンで、折原浩平と七瀬彰は鎌石村に向かってた。けっこー前だから今は知らんがネ」
茜はそっぽを向きながら、それでも注意深く聴いていた。
エディはそれを見て取って、笑みを浮かべる。
328No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:56:16 ID:8eJjI3pR0

「そしてイルファって姉ちゃんがこの道を逆回りしてる。オレッチと適当なところで落ち合うつもり」
「うーディ、この先の村に行くのはお勧めできない」
「ドーして?」
「この先にマーダーがいるかもしれない。るーたちはそれに襲われて散り散りになった」
「やっぱ参加者がいやがったのか……」
「それでも行くのか?」
「あーまー、いかにゃならんでショ」
「そうか。武運を祈る」
「エディさん」
「ん? なんだいトモヨちゃん」
「これは、いるか?」
そういって智代はエディに手斧を示す。
「……? いーのカ?」
「マーダーがいるかも知れないのに手ぶらという訳にもいかないだろう。なに、私は身軽な方がいい」
智代は笑って、自分の腕を叩いた。
「茜、すまないな。だが、どうにもならなかったら大人しく殺されてやるから安心してくれ」
「……いえ。私がそれを使っても碌な事にならないでしょうから構いません。
エディさんがマーダーを殺してくれるならそれに越したこともないですし」
茜は消極的な了承を出す。
何処までが本心か。
「ンじゃ、ありがたくいただきマス。そだ。因みに皆さんどちらまで?」
「ホテル跡だ」
「了解。ほんじゃ、お気をつけて」
「ああ。うーディも」
そういって、別れていく。
再び見える事はあるのか。
それは、神ならぬ身に分かることではなかった。
329名無しさんだよもん:2006/10/22(日) 19:57:38 ID:mRT3ao0w0
回避
330No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:58:53 ID:8eJjI3pR0

「しっかし……ここまで一人も引っかからないたぁ……運のない……」
情報だけは増えていくが、それが探し人に一向に繋がらない。
しかもこの先の村には参加者がいるかもしれないという。
さらに、ゆかりの死を知った宗一と皐月の動向も気になる。
あんまり愉快な想像にはならない。
「前途多難……だネェ……」
嘆息と共に吐き出して、エディは歩き出した。


「さて。うーかね」
るーこはいきなり茜を呼んだ。
「なんですか?」
「どうするのだ? 鎌石村まで行くのか?」
「! ……何故ですか?」
「先程うーディがうーへいの名前を出していた時に反応していただろう」
「ええっ!? 僕!?」
「おまえじゃなくて浩平という奴だろう」
「何だ紛らわしい」
「……気付かれましたか」
「ああ。で、どうするのだ?」
「……いえ、構いません。ホテルに向かいましょう」
「いいの?」
「もう時間も遅いです。今から村に行くとなると夜の街道を歩くことになります。何より、今るーこさん達と別れるわけにもいきませんので」
武器の無い茜が夜中一人で街道を歩く。
この状況では自殺行為といっても過言ではなかった。
「そうか。ならばいい。行こう」
そうして、一向はホテル跡へと向かっていった。
331No.332 情報は宝:2006/10/22(日) 19:59:35 ID:8eJjI3pR0

エディ
【持ち物:瓶詰めの毒1リットル・手斧・デイパック】
【状態:意気消沈・人探し続行中】
春原陽平
【所持品:スタンガン・デイパック】
【状態:健康】
ルーシー・マリア・ミソラ(るーこ・きれいなそら)
【所持品:IMI マイクロUZI 残弾数(30/30)・予備カートリッジ(30発入×5)・デイパック】
【状態:健康】
坂上智代
【所持品:デイパック】
【状態:健康】
里村茜
【所持品:フォーク・デイパック】
【状態:健康】
共通
【時間:一日目午後六時半頃】
【場所:F-03】

>>322>>329
感謝
332nobody:2006/10/23(月) 00:32:59 ID:CdWQnNvv0
おかしい。
この島はおかしい。
あの木の陰にも、あの岩の後ろにも武器を持った人がいる。
みんなみんな、私を狙っている。
そもそもこの島に連れてこられたのは何でだろう。かゆいな。
決まっている。
私を殺すためだ。
みんなして私を殺そうと狙っているのだ。がり。
そう考えれば合点がいく。
藤井君が助けに来ないのも。
七瀬君が来てくれないのも。がりがり。
みんな私が邪魔だから、殺そうとしてるんだ。
さっきの女も、あんな顔をして私を殺そうとしていたに違いない。
そうだ、あの注射。
解毒剤? 栄養剤? そんなわけがあるか。ばりばり。
あれは毒だ。
私を殺す毒だ。
だから蛆虫がわくんだ。
この身体はもう蛆虫でいっぱいなんだ。かゆい。
私は死ぬ。
私はもうすぐ死ぬ。
だけどただで死んでなんてやるものか。
私を狙うやつらを一人でも多く道連れにして死んでやる。がり。
武器はないけど、私にはまだこの手がある。この足がある。
この頭も、この歯も、この蛆虫の詰まった身体ぜんぶが私の武器だ。ぶち。

 ―――みなさん、聞こえているでしょうか―――

ほら、あそこにいる。うるさい。
私を狙う愚かな刺客が立っている。うるさいな。
私はアレを殺すんだ。
走って。近づいて。この手で。この手で。このてで。この
333nobody:2006/10/23(月) 00:34:01 ID:CdWQnNvv0
その女性は、明らかに正常ではなかった。
響き渡る放送も聴こえないかのように、足取りも覚束ないまま歩いていた。
その手指は己の首を掻き毟るように蠢いており、そうして長瀬源蔵の目の前で
盛大に血を噴出して倒れた。

「ポン中の類、かの……これでは手の施しようもあるまい」

まだ微かに引き攣れを起こしているようだが、すぐにその息の根も絶えよう。
この境遇への恐怖ゆえにクスリに手を出してしまったのかもしれない。
これでも前の戦争を生き抜いた身だ。
惨たらしい死に方をする者などは見慣れているが、しかし。

「一体全体、最近の若者はどうしてしまったというんじゃ……!」

先刻の少年といい、この女性といい、これでは何を語ったところで
理解してもらえるものかどうか。
見れば、倒れた女性は既に動いていなかった。
余程の苦しみの中で息を引き取ったものか、その死に顔は苦悶に満ちていた。

死亡者の読み上げは続いている。
リストの中には来栖川の名前も、由真の名も無かった。
そのこと自体には安堵する源蔵。

(じゃが……)

眼前に倒れ伏す骸が、源蔵の心に影を落とす。
この女性の名は、次の放送で読み上げられることになるのだろう。
そしてそこには、由真の名が並んでいるかもしれない。
絶望と苦痛に歪んだ遺体の貌が、由真のそれと重なろうとする。
慌てて首を振り、不吉な想像を打ち払おうとする源蔵。

が。
334nobody:2006/10/23(月) 00:35:09 ID:CdWQnNvv0
「―――ッ!」

背後に、息を呑むような気配。

(また……若者か)

ゆっくりと振り向こうとする源蔵の心中は、苦渋に満ちていた。



【時間:18時頃】
【G-5 神塚山麓、山道】

長瀬源蔵(072)
 【所持品:防弾チョッキ・トカレフ(TT30)銃弾数(6/8)・支給品一式】
 【状態:普通。由真を探す】

澤倉美咲(094)
 【所持品:なし】
 【状態:死亡】

→126 →171 →216 ルートB-10,J
335nobody(改訂):2006/10/23(月) 01:00:45 ID:CdWQnNvv0
しまった、これじゃB-10で手詰まりになりかねない。
>>333の、「>死亡者の読み上げは続いている。」以降を以下の文に、
また時刻を【19時前】、場所を【G-4】へと修正お願いいたします。
申し訳ありません。
―――――――――

死亡者の読み上げは、とうに終わっている。
その中には来栖川の名前も、由真の名も無かった。
ひとまずそのこと自体には安堵する源蔵。

(じゃが……)

源蔵は立ち尽くし、黙考を続ける。
眼前に倒れ伏す骸が、源蔵の心に影を落としていた。
この女性の名は、次の放送で読み上げられることになるのだろう。
そしてそこには、由真の名が並んでいるかもしれない。
絶望と苦痛に歪んだ遺体の貌が、由真のそれと重なろうとする。
慌てて首を振り、不吉な想像を打ち払う源蔵。

(この女とて、人並みの幸せもあったろうにな……)

女性の遺骸に合掌し、しばしの間その冥福を祈っていた源蔵が
歩き出そうとした、その刹那。

「―――ッ!」

背後に、息を呑むような気配。

(また……若者か)

ゆっくりと振り向こうとする源蔵の心中は、苦渋に満ちていた。
336結局のところ ◆6cJovHvx6g :2006/10/23(月) 07:31:28 ID:zy6eqJZS0
「とりあえず、ここから行ってみようかな」
少年は広げた地図を仕舞い、ゆっくり山を下りていこうとした。
姫君の復活という崇高な目的の為に、参加者達を殺す為に。
だが、結局それはかなわなかった。

少年の耳に鋭く風を切る音が聞こえたのとほぼ同時に少年の右足は何かに撃ち抜かれていた。
続いて腹部、左足、胸部、右腕、喉…体の様々な部位を何かが貫き、少年は大きくバランスを崩して後ろに倒れこんだ。
喉を潰された為に呼吸すらままならず、全身から伝わる激痛をおして左手でやっと右腕を持ち上げる。
するとそこにはわずかばかりの穴が広がっていた。

がさ…がさ…
草を掻き分けるような音がし、足音が少年に近づいてくる。
音がする方向を少年は見ようとするが、全身を打ち抜かれて思うように体が動かない。
そのうち少年の視界のほうに足音の主が姿を現した。
美しいブロンドの髪をポニーテールに纏める美人でスタイルのよい女性。
ただ、その女性の手には大きな石が抱えられていた。

「グッバイ、ボーイ」
女性はそう言い捨てると持っていた石を少年の頭上に振り下ろした。

(結局、今回もまた姫君の復活を成しえることは出来なかったのか……)
少年が最期にそう考えることと、少年の頭骨が砕かれるのはほぼ同時のことだった。

「ンー、戦利品はレーションかー。 上出来カナ?
出来ればガンが欲しかったけど、仕方がないネ」

337結局のところ ◆6cJovHvx6g :2006/10/23(月) 07:32:10 ID:zy6eqJZS0
ゲーム開始直後に遡る。
ブロンドの美しい女性、宮内レミィは早々にゲームに乗ることを決意し、デイバッグを開け……。

「ノォー……」
そして愕然としていた。
彼女の支給品はパチンコ… 石を飛ばす武器である。
武器といえば武器には違いないが、どちらかというとおもちゃのイメージのほうが強い。
ゲームに乗ることを決意していた彼女にとって殺傷能力の期待できないパチンコが支給品だったことを考えれば、
彼女の愕然ぶりも当然といえた。
だが、彼女の認識を覆すものがデイバッグの中に入っていたのだ。
それがサプリメントのケースに良く似たケースに入っていた6mmスチールボールだった。
いわゆる、BB弾とよばれるプラスチックの球。
それと同サイズのスチールボールは、高速で射出されると
コンクリートに穴を穿ち、ガラス瓶を砕く事無く貫通せしめる能力を有している。
これにより、一見はずれに見えたパチンコが実に殺傷能力の高い武器へと変貌を遂げていたのである。

得物を入手した彼女だったが、最初に目をつけたのが山頂の少年だった。
最初は、いつでも少年を撃てる様に構えていたが、少年はまるで動こうとしない。
彼女は自分の癖を既に把握していたから、動こうとしない相手を狙撃しようとは思わなかった。
構えをといて、少年が動くのをじっと待ち……結局6時間もの時間が経過する羽目になった。
途中、死亡者の報告があったがゲームに乗った彼女には関係のない話だった。
放送を機に少年が動き…そして冒頭へと繋がる。

338結局のところ ◆6cJovHvx6g :2006/10/23(月) 07:33:27 ID:zy6eqJZS0
さて、少年が呟いていた姫君という存在。
それが真実なのかどうかは既に知る由もない。
全てはただの妄言だったのかもしれないし、そうではなく本当に姫君という存在があるのかもしれない。
だが、少年の弁を借りるのであれば、過去に幾度となく失敗を重ねたという姫君の復活というものは、
結局のところ、世界の意思によって否定され続けているということなのだろう。

おそらくこれからも永遠に。


【55 少年 死亡】

【107 宮内レミィ】
【支給品:パチンコ、6oスチールボール*90(ケース付き)、レーション三日分、デイバッグ×2、大きな石は放置】
【状態:健康】
【目的:ゲームの優勝】

【時間:18:20】
【場所:F-05、神塚山山頂】

注:スチールボールは100発入り。レミィは試射で4発使用している。定価は2000円。

-
→294
⇔313
ルートH
339岡崎ナイトクラブ:2006/10/23(月) 15:14:10 ID:iHNz2fi00
午後六時の死者の放送を、岡崎直幸はボーっと聞き流していた。
息子の名前は上がらなかった。安心した。

(・・・私は、朋也君のために何かできることがあるのだろうか)

支給されたのは腕にはめる鉄の装甲、それに何故かドス。
よく分からない組み合わせだった。

開始後にすぐ鎌石郵便局を目指し、そして隠れ続けた直幸はずっとここで時間を食いつぶしていくつもりだった。
しかし、こんな自分にももしできることがあるのなら。

直幸は、無言で鉄の鎧を装着した。
瞬間、みなぎるパワーと熱意・・・・・・・・・・そして、愛。

「朋也君は私が守る!」

叫んだ。大声で、叫んだ。

「朋也君は私の姫だもん!!」

岡崎直幸、再出発。



岡崎直幸
【時間:1日目午後6時頃】
【場所:C−4(鎌石郵便局)】
【所持品:鉄拳、ドス、支給品一式】
【状態:朋也君を守る】

Dルート
340ひでぶっ:2006/10/23(月) 21:05:40 ID:sy44NueF0
──日本家屋。

どどどどどどどどどどどど

がらっ!


---------------------------------------------------------------------------------------------

          _,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『遠野の状態を確認しようと台所を見に行ったら
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ         絵柄からして全然別人だった』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    いたる絵は同じ絵を二度と書けないとかデッサンが違うだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /::::::::::::::::::::::::::::;;:::::::::: ̄`ー-{:::...  イ   もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
           北川潤
---------------------------------------------------------------------------------------------
広瀬:「はぁ?」

北川:「いいから見てみろ!早く!」
341ひでぶっ:2006/10/23(月) 21:06:41 ID:sy44NueF0
──台所。

彼は、広瀬をひっそりと台所を覗かせて、台所にいた女を指差した。
台所には美凪が後片付けをしている筈だった。
然し広瀬は、その姿を見てぎょっとした。
そこにいるのはドラ○もんクラスの3等身のバカでかい女だった。

「奴」は、その巨体をぴょこぴょこ動かしながら家事を続けている。


北川:「だろ?」
広瀬:「・・・・・・(沈黙)」
北川:「・・・・・・・・・・・・・」
広瀬:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(さらに沈黙)・・・・・」





「誰あのデブ」




あのデブ↓
http://07th-expansion.net/Graphic/Pic/Cckey/Minagi.JPG
342名無しさんだよもん:2006/10/23(月) 21:07:26 ID:sy44NueF0
【場所:日本家屋(周りは砂利だらけ)】【B-5】 

時間 放送終わったあたり

北川潤  (30番)
【持ち物:SPAS12ショットガン(8/8+予備12)防弾性割烹着&頭巾 九八式円匙(スコップ)水・食料、支給品一式、携帯電話、お米券×2 】
【状況:ポルナレフ化 】
広瀬真希 (87番)
【持ち物:消防斧、防弾性割烹着&頭巾、スリッパ、水・食料、支給品一式、携帯電話、お米券×2 和の食材セット4/10】
【状況:誰だよ】


遠野美凪 (69番)
持ち物:消防署の包丁、防弾性割烹着&頭巾 水・食料、支給品一式、特性バターロール×3 お米券数十枚 玉ねぎハンバーグ】
【状況:ひぐらし】

遠野美凪 特殊能力 「ひぐらし化」 腕の太さ×2 拳のデカさ×10 足の太さ×2 
                       攻撃力30倍  3頭身

【その他】
北川のショットガンの弾数をさらに追加しました。
343大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:22:17 ID:1QU8fn360
ちーっす、この島に来てからというもの、女(チビ限定)にはバカにされる、吊るされてリンチされる、犬に命を助けてもらっている、と人生の存在意義を疑りたくなってきた高槻でーす。
まぁよ、さっき俺様の生き方は『ハードボイルドな漢を演出しつつムチムチなおねーちゃんを美味しく頂く』という路線に変更したわけよ。
それがどうよ、何よこの状況。いつか会った郁乃だか七海だとか言うチビどもが血走った目をしているオバサンにやられているではないか。
俺様は正義のヒーローなんかじゃねえ。それは自負している。しかしこんな切羽詰った状況を一山百円のミカンみたいに扱う神様はどうよ?
本当の悪は神様なんじゃないかと思えてきた。だから俺様は神様を軽蔑する意味合いもかねてこう言ってやったさ。
「ぴっこり」
…違うぞ、今のは俺様のセリフじゃねぇぞ、おいそこ、何笑ってる! 言ったのはこの隣のこん畜生だっつーの!
ええいもう、結局何を言いたかったのか忘れてしまったがハードボイルド路線に変更した以上目の前のヒロインのピンチを見過ごすわけにはいかない。
俺はポテトを引っ掴むと女のドタマに向けて投擲した。
「うらぁっ! 必殺、ポテトカタパルト弾っ!」
「ぴこ〜〜〜〜…」
情けない声をあげながら女の側頭部に突進していくポテト。俺様の存在などまったく意に介してなった女はまともにその直撃を食らう。流石俺様、甲子園のハンカチ王子も真っ青だ。
「…!?」
バランスを崩した女がよろめく。そこに間髪いれず飛び蹴りをかます。おお、かっこいいぞ俺。いっぺんこーいうのやってみたかったんだよな。
飛び蹴りを食らった女は床に無様に転倒する。その衝撃でバッグからおたまやらナイフやら銃が出てくる…って、げっ、結構強力な武器が多いんじゃね? おたまはどうかと思うが。
それでようやくこちらに気付いた女が血走った目をこちらに向ける。
「邪魔を…しないで!」
転がっていたリボルバーを掴み銃口をこちらに向ける。長細いバレルが俺様の胴体を捉える。
344大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:23:18 ID:1QU8fn360
「真剣やべっ!」
とっさに避けようとするが、既にトリガーに指はかかっている。間違いなく死ぬ。ああちくしょう、俺の死に際のセリフもこんなもんなのか…
「ぴこっ!」
しかしそんな俺様の窮地を救ったのはまたもやポテト。女の顔面に体当たりする。銃口が反れ、紙一重で俺様の横を弾丸がすり抜けていく。助かった!
「このっ…ナメんじゃねえぞコラァ!」
女の銃を蹴り上げ、銃をどっかにやる。流石俺様、セリエAもビックリだ。
だが怯まなかったのは女の方だ。すぐさま別の銃を拾って俺様に向ける。おいおいなんて執念だよ、このオバサン!
「お願い、死んで!」
お願いと言われても俺様だってまだ死にたかない。また銃を引っ掴んで投げてやろうとする。
その時、一発の銃弾が俺様と女の間を切り裂く。俺様はぎょっとして顔を反らす。女も同様だった。
音のする方を向いてみると、そこにはいくみんだったか七ミリだったか忘れたが、まあとにかくチビの片割れがリボルバーを構えていたとさ。
「…いいかげんにしなさいよ。あんた、おかしいわよ、どうかしてるわ」
おいおい、俺様は違うぞ。肩をすくめてみせるが車椅子のチビは低い声で続ける。
「七海がまだ生きてるから今回は見逃してあげる。…さっさとどこへでも行きなさいよ」
銃口が女のほうへと向けられる。どうやら俺様ではないみたいだな。
「ぴっこり」
うるせえ、てめえに言われなくても分かってたさ。これで俺様まで撃たれたらシャレんなんねーぞ。
一方の女は形勢不利と判断したか、自らのデイパックとナイフを掴んで外へと一目散に逃げていった。はっ、ざまぁねえな。
念のために扉の外へポテトを放って調べに行かせる。俺? んな危ねえことするかよ。
345大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:24:15 ID:1QU8fn360
「ぴこぴこ、ぴこーっ」
どうやら本当に逃げたようだ。安全になったと分かると急に肩の力が抜けた。
「ふーっ、この高槻様がここまで大立ち回りを演じたのは久々だな…」
さてチビの方へ目を向けるとチビは大きな声で倒れているもう一人のチビのところへ行き、懸命に声をかけている。
「しっかりしてっ! どこもケガはないの!?」
しかし車椅子の上だからか安否を完全に確認できていないようだ。
ふふん、いよいよ俺様の見せ場のときだ。ここいらでカッチョよく介抱してやって俺様のファンの第一号の出来あがりってわけだ。
俺様はつかつかと歩いて行き、倒れているチビの状態を確認してやる。
「ちょっと、あんた七海に…」
「いいから黙っとけ。ギャーギャー喚くな」
「なっ…ふん、分かったわよ」
ご不満そうな声で言う車椅子のお姫様。そんなチビ慰めるようにポテトが膝の上に乗っかる。
「ぴこぴこぴーこ、ぴこっ」
あん? 口だけの男だから気にするな? …後でリフティング十回の刑な。
「ぴ、ぴこぴこぴこっ」
ぶんぶんぶんと激しく全身で違うと言い張るポテト。当の車椅子のチビは何が何だか分かっていないようだったが。
さて肝心のほうはと…まずは脈を調べてみようと手首を持ち上げる。うおっ、柔らかい…しかもすべすべだ。うむ、将来いい女になるな。
「ちょっと、真面目にやってるの?」
背後から野次が飛ぶ。…危うく本来の目的を忘れるところだった。
346大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:25:02 ID:1QU8fn360
うむ、脈に異常はない。命に別状はないようだ。気を失ってはいるが、じきに気がつくだろう。
「大丈夫だ。死んじゃいない、気を失ってるだけだ」
「そ、そう…良かった。…ところで、どうしてあんたここにいるの? 前のことといい、タイミング良く現れすぎなんじゃないの?」
んなこと知るかよ…文句ならポテトに言ってくれ、と言いたいのを我慢して俺様はとっておきの決めセリフを言った。
「ふん、前にも言ったはずだ。俺様はハードボイルド小説の愛読者だってな」
決まった、これでファンが一人出来たぞっと。…お? 何だその目は。その疑いの目は。
「もしかして…あんたって…」
何かまた嫌な予感がする。大いなる誤解の予感が。
「…ロリコン?」
…グッバイ、ハードボイルド。

高槻ロリコン
 【所持品:ポテト、食料以外の支給品一式】
 【状況:(精神的に)死亡】
小牧郁乃
 【持ち物:500S&Wマグナム(残弾13発、うち予備弾の10発は床に放置)、写真集二冊、車椅子、他基本セット一式】
 【状況:高槻をロリコン認定】
立田七海
 【持ち物:フラッシュメモリ、他基本セット一式】
 【状況:意識不明】
柚原春夏
 【所持品:要塞開錠用IDカード/武器庫用鍵/要塞見取り図/支給品一式】
 【武器(装備):34徳ナイフ(スイス製)/デザートイーグル/防弾アーマー】
 【状況:あと10人】

【その他:おたまは床に放置されたまま】
347大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:27:58 ID:1QU8fn360
【備考:B系、Jルート】
348大いなる誤解の予感:2006/10/23(月) 23:30:29 ID:1QU8fn360
ごめんなさい、春夏の欄をこのように変更してください
柚原春夏
 【所持品:要塞開錠用IDカード/武器庫用鍵/要塞見取り図/支給品一式】
 【武器(装備):34徳ナイフ(スイス製)/デザートイーグル/防弾アーマー】
 【状況:あと10人、屋外に逃走】
349もう一度あの坂をあの人と:2006/10/23(月) 23:39:37 ID:8hvP5ppb0
「………岡崎さん、なんでそんな格好してるの?」
十波由真が尋ねてくる。
このゲーム内では明らかに場違いな三角帽子。
気にするなというのは無理な相談であろう。

「……これが俺の支給品だったんだよ」
「変人殺人鬼はね〜、体だけ大きくなったかわいそうな大人なんだよ」
「……………」
由真の目が疑惑の目つきに変わっていく。

「だから、これをつけてるだけで寄ってくる知り合いがいるってだけだからな。大体俺は変態でも殺人鬼でもねえよ!」

ボコッ!
「にょわっ!」
腹がたったので、みちるにゲンコツを浴びせておく。

「うぅー、やったなー!」
みちるの体が沈み込み、そして……
「みちるキーーーーーーックッ」

ガスッ!

朋也の鳩尾にみちるの蹴りが直撃する。
「ぐおぉっ!!」
子供の蹴りとは言え、当たり所が悪い。
朋也は腹を押さえながら崩れた。
「べーだっ!」
勝ち誇るみちる。長身の男が少女相手に悶絶している。
一般的には実に珍しい光景であった。
350もう一度あの坂をあの人と:2006/10/23(月) 23:40:26 ID:8hvP5ppb0


――丁度その時、島内に放送が響き渡り始めた。
「――みなさん聞こえているでしょうか。
 今から僕は一つの放送をします。」
「えっ!?」

……
……
013 岡崎直幸


「え……、岡崎って……」
由真は放送で呼ばれたその名前に驚き、朋也の方を振り向いた。
「そんな……親父が…」
朋也は絶句していた。

……
……


 ――以上です」


立て続けに知り合いの名前が呼ばれた。
このゲームのルールは知っていたが、彼はまだ修羅場らしい修羅場に遭遇していない。
だから彼にはまだ実感が無かった。
このゲームでは容赦なく人が死んでいくという実感が。

だが、既に知人が数名死んだ。
特に父の死は彼に衝撃を与えていた。
351もう一度あの坂をあの人と:2006/10/23(月) 23:41:05 ID:8hvP5ppb0

(俺と親父は他人同然の関係だったんだ。同じ家で寝泊りしてはいるが、ロクに会話もしない。
親父にとって、俺は単なる話相手でしか無かったんだ。俺も親父を避けていたはずだ。
俺と親父は他人。他人なんだ。なのに――)

「なんで……涙が出るんだよ……」
視界が霞んで見える。朋也の頬を涙が伝う。

「岡崎朋也………」
「岡崎さん………」
心配そうに朋也を見ている由真とみちる。
彼女達の知り合いの名前は放送で呼ばれた中には無かった。
「くそっ……、くそっ…!」
涙を流しながら地面を蹴る朋也。
実の父親を失った者に、かける言葉など存在しなかった。



―――あれから1時間。
「はぁ……、はぁ……、すまん……取り乱しちまった…」
心配そうにしているみちると由真に声をかける。
「ううん……仕方ないよ……」
みちるも普段の明るさは影を潜め、俯いている。


ようやく朋也は落ち着きを取り戻しつつあった。
落ち着いた後に訪れる感情は、焦り。このゲームは着実に進行している。
渚などは自分が守ってやらなければすぐに殺されてしまうんじゃないのか?
「とにかく、いつまでも悲しんでられねぇ…早くみんなを探そう」
352もう一度あの坂をあの人と:2006/10/23(月) 23:41:57 ID:8hvP5ppb0

それからもう一つ、今一番言うべき台詞があった。
「後な、さっきは本当に悪かった……俺はもう大丈夫だから、出来るだけ明るくいこーぜ」
暗くなっても良い事ないしな、と苦笑いしながら付け加える。
「……もう、しょうがないな〜、変態殺人魔は」
「そうね…どうせなら楽しくいかないとね」
その一言が効いたのか、彼らの雰囲気は幾分マシになっていた。

父親の死は辛かったけど、まだ彼にとって一番大切な人は生きているから。
支えあってきた人はまだ生きてるから。
(渚―――無事でいてくれよな)
だから朋也は前を向いて歩き始めた。渚と一緒に、またあの坂を登る為に。
353もう一度あの坂をあの人と:2006/10/23(月) 23:42:35 ID:8hvP5ppb0
十波由真
【時間:19:10】
【場所:E−2の街道】 
【持ち物:ただの双眼鏡(ランダムアイテム)】
【状況:朋也達と行動を共にする。まだ少しだけ空腹。デイパックはD−1に放置状態】

岡崎朋也
【時間:19:10】
【場所:E−2の街道】 
【持ち物:お誕生日セット(クラッカー複数、蝋燭、マッチ、三角帽子)、支給品一式】
【状況:渚や友人達の捜索をする。パンを一つ消費】

みちる
【時間:19:10】
【場所:E−2の街道】 
【持ち物:武器は不明、支給品一式】
【状況:美凪の捜索をする】


【備考:関連189・ルートB系共通】
354彼の者は世界でただ一人の罪を背負い:2006/10/24(火) 00:01:28 ID:Jf7GkXH30
「祐一〜」
抱きついてくる名雪を祐一はそっと引き剥がした。
「今はそんなことをしている場合ではない」
「その姿の祐一を見るのは久しぶりだね」

 もう随分と昔のことだ。幼くして華音市一の魔法使いと讃えられた月宮あゆは、
7年前の戦いで木から転落、重傷を負い記憶を失った。
その場に居合わせた祐一は、そのショックにより唯一者として覚醒、
圧倒的な力で敵軍を壊滅させた。
祐一はそのときの出来事を深く語ろうとしないため、名雪はその重大さをわかっていない。
それだけではない。引っ越した後にも、唯一者としての想像を絶する戦いがあった。
ことの真相を知っているのは祐一本人と水瀬秋子のみである。
名雪は祐一について何も知らないと言っていい。

「でも私は、祐一には普通の学生に戻って欲しいな」
「それは出来ない。俺はすでに罪人だ」
「祐一は何も悪いことしてないよ」
「それでも罪人なんだよ……」

 祐一はそれだけ言うとその場を去ろうとした。
「待ってよ祐一。私も連れて行って」
「これは俺の戦いだ。名雪を巻き込むわけにはいかない」
「待って!」
355彼の者は世界でただ一人の罪を背負い:2006/10/24(火) 00:02:12 ID:Jf7GkXH30
―――ぐ〜―――

 その瞬間、名雪の腹の虫が鳴いた。
「あはは……バッグ投げちゃったから今日何も食べてないや。お腹空いちゃったよ」
「これでも食べておけ」
祐一は名雪の好物であるいちごサンデーを作り出し、彼女に手渡した。
世の中には魔法で和菓子を作るしか能のない馬鹿もいるが、祐一に出来ないことなど何もない。
「お前の持っている携帯電話には時限爆弾が入っている。
ルージュは拳銃、マニキュアは青酸カリ入りだ。使い方を誤るなよ」

「待てよ!」
注意を促し改めて去ろうとした祐一に、改めて声がかけられた。
「今度は春哉か……何の用だ」
振り向くと、戦闘機から一人の男が降りてくるところだった。
「偉そうなこと言っときながら二度も封印されて飛ばされてたのは誰だよ」
「覗き見とは趣味が悪いな」
「そう言うなよ。いい物持ってきてやったんだから」
そういうと、彼は一枚のお札を祐一に渡した。
そこには『破露揚握琴』と書かれている。

「封印対策の護符だ。これがあれば『はろーあげいん』は効かない」
「余計なことを……さっさと帰れ」
祐一は札をしまい、名雪と春哉に背を向けて歩き出した。
「おい、せっかく来たんだから俺にも手伝わせろよ」
「お前の出る幕ではない」
「……わかったよ……所詮SSランクの俺じゃ役立たずってわけか。頑張れよ、祐一」
春哉はそう言ってステルス機に乗り込み、颯爽と去っていった。
356彼の者は世界でただ一人の罪を背負い:2006/10/24(火) 00:03:05 ID:Jf7GkXH30
 歩いていく祐一を見送りながら、名雪は涙を流していた。
「祐一……どうして私はいつも置いていかれるの……
私、祐一がいないともう笑えないよ……」
「それは名雪が未熟だからですよ……」
「お母さん!」
いつからそこにいたのか、名雪の後ろに母である秋子が立っていた。
「お母さん教えて! 祐一の罪って一体何なの!?
どうして私には何も教えてくれないの!?」
詰め寄る名雪に秋子はゆっくりと答える。
「祐一さんはこの世界そのもの。この世界の人々の命を削って生きているのです。
それは唯一者として生まれた彼に課せられた業。
これ以上は名雪には教えられません。いえ、名雪には知る資格などない」

 秋子はそう言うと、名雪の足元に支給品のレイピアを投げた。
「お母さん……?」
名雪は事態が飲み込めていない。

「名雪を甘やかして育ててきたことは、私の犯した最大の過ちでした。
わたしと戦いなさい、名雪。どんな手を使ってもかまいません。
武器を使いたければ使いなさい。毒を使いたければ使いなさい。はめ技を使いたければ使いなさい。
わたしを倒すことが出来ないのであれば、あなたは今ここで死ぬことになるでしょう」

「お母さん……何を言ってるの?」
357彼の者は世界でただ一人の罪を背負い:2006/10/24(火) 00:04:03 ID:Jf7GkXH30
 相沢祐一
 【時間:午後11時ごろ】
 【場所:B−02】
 【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である。宝具・滅神正典(ゴッドイズデッド)、護符・破露揚握琴】
 【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着)】

 水瀬名雪
 【時間:午後11時ごろ】
 【場所:A−02】
 【持ち物:レイピア、GPSレーダー、MP3再生機能付携帯電話(時限爆弾入り)、
  赤いルージュ型拳銃(弾1発)、青酸カリ入り青いマニキュア、いちごサンデー】
 【状態:祐一がいないともう笑えないよ】

 水瀬秋子
 【時間:午後11時ごろ】
 【場所:A−02】
 【持ち物:支給品一式】
 【状態:水瀬家当主】

 秋浜春哉
 【場所:残魔大先生のSSの中】
 【状態:原作? 何それ】

 【備考:祐一が生きている限りときどき脈絡もなく誰かが死にます】

→327, ルートD
358名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 00:05:39 ID:n9jsjp1E0
【状態:原作? 何それ】

と言い切ってるコトにワラタw
359名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 00:22:48 ID:bztl/eNc0
いくらDルートはなんでもありでも他人のSSとわかるものをひっぱってくるなよ…
360残酷な現実(1/3):2006/10/24(火) 01:45:30 ID:3kqCCjAA0
立ちつくしていた。
高い場所に位置するスピーカーから流れてくる残酷な知らせ、相良美佐枝は呆然と動けずにいた。

(・・・本当に、殺し合いを強要させられてたんだね)

そこには知人の名前も含まれていた、目の前が暗くなっていく。
それと同時に、護身として身につけていたウージーの重さも増した。
嫌になる、何故こんな目に合っているのかと。

小牧愛佳、来栖川芹香を残して食料を調達にきた美佐枝は、本来の目的をひとまず置いておき村の散策に時間をかけた。
状況としては子守のようなものだ、あの子等を守ってやらねばいけないのである。
そのためにまず必要なのは、情報。
・・・本当に、この村は安全なのか。ゲームに乗った輩がわんさかいたのでは話にならない。
疲労は勿論自分にも溜まっている、だがとにかく休ませている彼女等の体力を何とかせねば逃げることすら困難になってしまうのだ。
大丈夫、目立つ要素のない建物だからまず人目にはつかないだろう。

自分はあえて危険な道を行く。だが、これが美佐枝のやり方。
動ける者が動けばいい、それは「できるから」という理由があるから。
自分はできる、やることができる。だから先導する。

(現役は引退したつもりなんだけどね・・・)

ちょっとした呟き。でも、今はそんなことを考えている暇はない。
民家の密集した地帯をさ迷い歩き続け数時間経つが、本当に百人以上の人間が押し込まれたと思えない程、ここは静かであった。
・・・地図で確認したところ、村と名のつく場所は三つしかない。
その内一つがこれだとすると・・・他では余程賑わっている可能性もあるだろう。
そんなことを考えていた時だった。・・・放送が、行われたのは。

たった数時間。それだけで、こんなにも命を落とした人がいるという事実。
思わず顔も歪んでしまう。あまりにも・・・残酷な、現実であった。
361残酷な現実(2/3):2006/10/24(火) 01:46:16 ID:3kqCCjAA0
(本当に、私らはこれを乗り切れるというの・・・?)

答えの出ない問い。
美佐枝は負の感情を取り除くべく、今度は民家の中の食料探しに精を出すことにした・・・。






が。

「おいおい、まさかこんなにも不発とは・・・」

民家は多い、確かに多い。
だが、そのほとんどが・・・施錠済み。
窓はある、割って入ることは可能だろう。
だが、それには大きなガラスの破壊音という副産物もついてくる。
今、それをやるのは危険だ。避けたい。
そんなことをしていたので、時間はまたまた過ぎてしまい。
何とか食料は確保できたが、缶詰四個に支給品と同じパン二つと戦果は時間と比例しない。

自分の受け持つ仕事は済んだ。だから、さっさと戻れば良かった。
・・・だが、美佐枝は、最後に寄り道をすることにした。


最も危険だと踏んでいた場所、役場付近。
確認しておきたかったのだ、最後の最後でここに留まっていても本当に平気かどうかを。
見た感じでは特に異常は感じられない。
・・・だが、イヤな臭いが鼻をつく。
362残酷な現実(3/3):2006/10/24(火) 01:47:10 ID:3kqCCjAA0
(何かが焦げたような・・・)

瞬間、予想をしていなかった所から人の叫び声が響いた。

「た、助けて、お願い!」
「わっ、何だ一体」

無防備に駆け寄ってくるのは一人の少女・・・年頃は愛佳や芹香と同じくらいであろうか。
敵か味方かも分からない美佐枝に向かっていきなり駆けてくる・・・人を選んでいる暇はないということだろう。

「友達が、友達が私を逃がすためにあいつを、あいつを」
「分かったから落ち着け・・・」

その時、彼女達から少し離れた場所から、ドゴッ、ドゴンッ!という派手な音が鳴り響いた。
続いて銃弾の連射音、少女の体がふらつき美佐枝は慌てて肩を抱く。

「セ、セリ、オ・・・?」
「こりゃまずいね。一端ここから離れないと、私らも巻き添えを食うよ」
「いやよ!セリオの安否を確かめなくちゃ!!」
「馬鹿、あんたを逃がすためにその子は足止め役を買ってでたんだろ。
 今あんたに何かあったらその子も報われないだろ・・・」

泣きそうな表情、でも歯を食いしばって堪えている少女。
美佐枝は一つ溜息をつき、彼女の手を取った。

「少し、ここらで時間を潰してから行けばいい。
 ・・・とにかく、事情を話してくれ」
363補足:2006/10/24(火) 01:47:46 ID:3kqCCjAA0
相楽美佐枝
【時間:1日目午後9時30分】
【場所:C−3】
【持ち物:ウージー(残弾25)、予備マガジン×4】
【状態:食料確保完了、愛佳と芹香の元へ向かう途中】


柚木詩子
【時間:1日目午後9時30分】
【場所:C−3】
【持ち物:ニューナンブM60(5発装填)&予備弾丸2セット(10発)・支給品一式】
【状態:少年のもとから逃げてきた】

(関連・216・260・328)(B−2・B−10)
(関連・208・216・328)(B・B−4・B−9)
364二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:28:10 ID:9TJiAIoN0

「…それ、わたしのお母さんかも、しれない」
 観鈴の小さな呟きは、鎌石消防署に大きな静寂を落とした。
 だが、その静寂も長くは続かなかった。
「……ちょっとみんな、裏に行ってもらえるかい?」
 口を開いたのは緒方英二だった。
 英二の言葉尻には、微かな緊張と、そして冷徹さが込められていた。
 視線を落とした観鈴以外の環、祐一、芽衣が、英二の視線の先を辿る。
 そこにいたのは……大きく肩で息をしながらレミントンを構える篠塚弥生だった。
「ちょっと、どういうことっすか?」
 祐一は咄嗟に立ち上がり、身構えた。
「知り合いですか?」
 コルトガバメントを構え、環も尋ねる。
「まぁ、ね……ちょっと二人っきりで話がしたいんだ」
 英二はそれだけ答えると、首で『行け』と合図した。 
 並々ならぬ雰囲気を察した二人は仕方なく、芽衣と観鈴と共に、未だ目を覚まさない藤林杏を抱え裏へと姿を消した。
「……英二さん」
 その間際、芽衣が名残惜しそうに英二の名前を囁いた。

365二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:29:07 ID:9TJiAIoN0
「どういうつもり? そんな物騒なもん構えて」
 外に出た英二は、弥生と3Mくらいの距離で立ち止まった。
 レミントンの全長は約170CM。銃口は超至近距離で英二を捕らえていた。
「……」
 英二の質問にしかし弥生は答えない。
『判っているくせに』
 そう冷たい瞳が語っている気がした。
「……」
 事実、英二には大体のことは察しがついていた。 たぶん、由綺の死。
 それが彼女をこんな行動に駆り立てているんだろう。……彼女はもう、自分の知っている篠塚弥生ではないのだ。
 今ここに英二がいなければ、芽衣や祐一は落命していたに違いない。
 だからこそ、皆を裏手に非難させたのだ。
 だが逆に言えば、まだ『知り合い』を殺すまでは吹っ切れてはいないということ。
 交渉、改心の余地はあるはずだ。
「……由綺ちゃんのこと、だよね」
「……ええ」
「俺達を殺すの?」
「…………貴方なら、察しがつくのではありませんか?」
 口紅に彩られた口唇が、ゆっくりと蠢く。
 実に冷静に、実に無駄がなく、実に艶やかで。
 そんないつもの彼女だからこそ、英二は恐ろしかった。
「復讐、ね……やめなよ、んなくだらんことはさ。スマートじゃないよ」
「くだらない……?」
「俺だって理奈死んでるんだよ。すごく悲しいし、辛い」
 英二はメガネの奥の瞳を僅かに潤ませる。しかしそれにも弥生は動じなかった。
「……」
「犯人をこの手で殺してやりたい」
「…………でしたら――」
「――でもさ」
「…………」
「君にも話したことあったかな? ……ラブソングと感情の話」
366二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:30:46 ID:9TJiAIoN0
「……恋人の死様を冷静にフォーカスに納める行為がそれ、という……?」
「そう、それ。 さすがに記憶力いいね」
「……私に由綺さんの死を諦めろと? 貴方はそれが出来ると?」
「別にそうはいってないさ。 それに、二人の死を甘受することなんて、多分一生無理だと思う」
「でしたら」
「――ただ、もう少し別のやり方があるんじゃない?」
 英二は芽衣たちの消えた方をちらりと見やった。
「……」
「……とりあえず、ここにいる連中には手出しはさせない。 ……それに、ここにいる全員の無実は俺が証明する」
「――でしょうね」
 小さく、本当に小さく、弥生が呟いた。
 もしここに由綺や理奈を殺した人間がいるのなら、英二が黙っていないはずだ。
 けれど……自分はもう、引けないのだ。
「――ですが、私にはあなたのいう『他のやり方』が、思いつきません」
「……考えなよ、あなた頭いいじゃない」
「私は……明晰ではありません。 こんな方法しか、思い浮かばないのですから」
「だから殺すわけ? 関係ない人間も……俺も……青年も」
 『青年』。この名前がでたとき初めて、弥生は表情を僅かに歪ませた。
 だがそれは、話、交渉の破綻を意味していた。
「――お話は以上です。 さようなら」
 弥生は再び無表情な仮面を纏い、トリガーに手をかけた。
 

 パンッ!
 
 乾いた音が、夜空に響いた。

367二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:31:29 ID:9TJiAIoN0


 突如響いた銃声に、消防署内の面々はハッと顔を上げた。
 いち早く飛び出したのは芽衣だった。
「おいちょっと待てって、危ないだろーが!」
 祐一もショットガンを手に彼女を追う。



 ――硝煙が、ゆらゆらと夜空に舞い上がる。火薬の臭いがあたりに広がる。

 
 篠塚弥生は、銃を構えたそのままに、立ち竦んでいた。
 そして……英二も同様に。

 しかし一つだけ先刻とは異なること。
 それは……英二の手に支給武器の拳銃――ベレッタM92――が握られていること。
 銃弾を放ったのは、英二の方だった。
 


 レミントンは重量4s。女性が構える続けるには重すぎた。その為、初動が遅れたのだった。
 だが一方の英二が放った銃弾も、弥生を貫くことはなかった。
 弾丸は弥生から大きく逸れ、闇へと吸い込まれていった。
 
 しかし『外れた』わけではない。『外した』のだ。
 
368二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:33:36 ID:9TJiAIoN0
「――どういうおつもりで?」
「失せろ」
 M92を構えながら、英二が唸るように口を開いた。
 メガネの奥には、明らかな怒気が見て取れた。
 だが同時に、知り合いへの思慕も。
「君を殺したくはない……だが、彼女らを殺させることも出来ない」
「――」
「最終通告だ……失せろ」
 もう一度。
 英二はトリガーに手を掛け、重々しく呟く。
「嫌だと申しましたら?」
「……撃つよ。迷うことなく」
「…………わかりました」
 弥生は小さく頷いた。 
 その刹那。
 パンッ!
 二度目の銃声が、夜空に響いた。
369 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:34:56 ID:jUpcQEmSO
じこかいひ
370二度の銃声 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:35:29 ID:9TJiAIoN0

 ようやく外に出た二人が見たもの。
 それは、仰向けに倒れた篠塚弥生と銃を構えた英二、二人の姿だった。
 
 芽衣は時間が止まったかのような錯覚を受けた。
(どうして……どうして……)
「どうして……?」
 震える芽衣の言葉。
「…………」
 それに答える術を、英二は持ち合わせていなかった――。
 ただ一言、
「……ごめん」
 懺悔だけが、口をついた。

緒方英二
【持ち物:ベレッタM92(予備の弾丸や支給品一式は消防署内)】
【状態:疲労はあるものの外傷等はなし。弥生を撃つ】
春原芽衣
【持ち物:なし(持ち物は全て消防署内に)】
【状態:疲労はあるものの外傷等はなし/呆然】
相沢祐一
【持ち物:ショットガン】
【状態:体のあちこちに痛み】
篠塚弥生
【持ち物:レミントン(M700)装弾数(5/5)・予備弾丸(15/15)・ワルサーP5(8/8)・支給品一式】
【状態:重症(急所は外れている)】
※杏、ボタン、観鈴、環は消防署内に
※消防署内に救命道具ある……はず
371 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:37:24 ID:9TJiAIoN0
補足

関連227、312あたり
B-10で
372 ◆/EyftfKRBU :2006/10/24(火) 02:40:36 ID:9TJiAIoN0
やべー久しぶりだから色々不備が。
【時間:7:30】
【場所:c−05】

……他は大丈夫……かな?(かなり不安) 
373永遠にブルー:2006/10/24(火) 03:57:05 ID:n2pUziSM0

「はぁっ……はぁっ……」
「くぅ……っ!」

夜闇に沈む森の中。
人目を避けるようにして濃厚な愛撫を交し合う二つの影があった。
弾む吐息が、行為の激しさを物語っている。

「はぁっ……ところで、何で僕たち縁もゆかりもないはずなのに
 こんなんなっちゃってるんですかねえっ!?」
「いや、俺に聞かれても……くっ!」

全裸で絡み合っているのは、春原陽平と住井護だった。
主に下半身が色々と筆舌に尽くしがたいことになっている。

「……あえて言うなら……愛?」
「僕ら会って20秒くらいで服脱いでましたよねえっ!?」
「そんな気もするな……」

二人の出逢い……それはかれこれ数時間前に遡る。



「………浩之くん、陽平くん、わたし、聖闘士じゃないよ……」

立ち止まった少女、川名みさきが困ったような顔で呟く。

「ま、そりゃそうだろ……」
「うーん、でも誰かに尾けられてるってのは気分良くないわね」
「いっそこっちからアプローチしてみるってのはどうかな」
「そ、それはいくらなんでも危ないんじゃないかな?」
「るー」
374永遠にブルー:2006/10/24(火) 03:58:02 ID:n2pUziSM0
しかしみさきは、口々に意見を言い合う同行者たちの方を向くと、
真剣な顔で口を開いた。

「聖闘士は君たちだよ、浩之くん、雪ちゃん、るーこちゃん……」
「……は?」

目を点にする一行。
みさきは気にした風もなく続ける。

「わたし、気づいちゃったんだよ……実はわたし、女神アテナの
 生まれ変わりだったんだ」
「何ィ!?」

衝撃の告白に驚愕の色を隠せない浩之たち。
しかし、そう言われてみればそんな気もしてくる。

「後光が射してる……ような気がするな」
「昔っから、みさきは只者じゃないような気はしてたけど……」
「何だかわからないがすごいんだな、うーさきは」
「ちょ、ちょっと皆さん? 何で普通に受け止めてるの!?」

周りの人間のテンションについていけない春原。
そんな春原を置き去りにするように、会話は続く。

「そうか……俺って聖闘士だったんだな……」
「実は昔、ちょっと憧れてたんだ」
「それで聖闘士って何だ、うーへい」
「あー……えっと、聖闘士っていうのはね」

少年漫画の説明を始める春原。
当然のように彼を置いて話は進む。
375永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:01:57 ID:n2pUziSM0
「そういえば、アテナって○織さんじゃねえの?」
「それは先代だよ」
「え、じゃ沙○さんどうなっちゃったんだよ」
「それは秘密だよ」
「じゃ、じゃあ聖○とかは?」
「それも秘密だけど、みんなすごいことになっちゃってるね」
「き、気になるわね……」
「そうか、聖闘士というのはすごいんだな……るーも聖闘士なのか、うーさき」
「そうだよ、よろしくね」
「いやその、僕には何がなにやら……」

無視される春原。

「私、射手座なのよね……伝説の黄金聖闘士なんて、やっぱり私には
 最強が似合うってことかしら?」
「雪ちゃんは顔がこわいから牡牛座」
「あんた私の顔見たことあったっけ!?」
「ほらこわい、やっぱり牡牛座だね」
「あんたねえっ!?」
「嫌なら蟹座」
「牡牛座でいいわよ、牡牛座でっ!!」

どうも蟹座は嫌らしい。

「お、おい、それで俺は何の聖闘士なんだ!?」

ちょっとわくわくしている浩之。
彼とていまだに少年の心を忘れてはいない。
グラビアもついていない週刊少年誌は、十年来の愛読書だった。

「浩之くんは鳳凰星座でいいよ」
「でいいよ!?」
376永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:03:32 ID:n2pUziSM0
「気に入らないかな?」
「い、いや……若干の引っかかりはあるが、オイシい役どころだしな……。
 まあいいだろ、俺のことはフェニックスのヒロと呼んでくれ」
「嫌だよ、なんかかっこ悪いよ」
「お前、何気にひどいな……」

微妙に意気消沈している。

「るーはるーだぞ、うーさき」
「るーこちゃんは遠い星から来たんだよね……?」
「そうだ」
「じゃ、ペルセウス星座」
「何でペルセウス!?」

落ち込みながらも思わずツッコんでしまう浩之。

「響きが宇宙っぽいかな、って……だめかな?」
「ペルセウスは人名だぞ……」
「よく考えたら星座ってぜんぶ宇宙の星だからね。
 なんでもいいかなあって」
「適当すぎるだろ……」
「るー」
「なんか気に入ってるみたいだし、別にいいけどな……」

るーこは手を空高く掲げている。
その横で、目を輝かせている少年がいた。

「ぼ、僕は……!?」

満を持して、といった様子で尋ねる春原。
結局状況に順応することにしたらしい。
が。
377名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 04:05:45 ID:jr6HUZkMO
回避
378永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:06:12 ID:n2pUziSM0
「そんなの知らないよ」
「へ……?」

みさきのすげない一言に、春原は呆然とするほかなかった。

「陽平君は聖闘士じゃないからね。天敗星とかじゃない?」
「何で僕だけ冥闘士なんですかねぇっ!?」

無駄に詳しかった。

「そんなわけで、この世界に危機が迫っているんだよ……」
「そりゃ、アテナの聖闘士としては見過ごせない事態だな……」
「なんかやる気出てきたわ……牡牛座だけど、この際やってやるわよ!」
「るー」

春原のことなど忘れたかのように話に花を咲かせる一行。
見向きもせずに歩き出してしまう。

「ちょ、ちょっと、僕はどうなっちゃうんですかねえっ!?」
「知らねーよ、お前もいっぱしの冥闘士ならハーデスにでも助けてもらえ」
「いや僕そんなんじゃないですからっ!?」

無視。

「ほ、ほんとに行っちゃったよ……これから僕はどうすれば……」

とぼとぼと歩き出す春原。
379永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:18:41 ID:n2pUziSM0

どれほど歩いただろうか。
気づけばとっぷりと日が暮れていた。
辺りは鬱蒼とした木々に覆われている。

「ここは……どこなんだろう……」

力なく呟く春原。
孤独感がその全身を責め苛んでいた。
そしてそれが、彼の命運を分けることになる。

「な……!」

春原が行く手に立ち塞がる影の存在に気づいた時には、もう全てが遅すぎた。
その人物はニヤリと笑うと、手にした銃をゆっくりと春原に向けた―――。




「それこそが誰あろう、この住井護だったというわけだな……うっ」
「いやだから、どうして今の回想からこういうことになっちゃってるんですかねえっ!?
 ……ひぃぃっ!」

住井の責めに喘ぐ春原。
と、そんな二人を熱く見つめる視線があった。
二人の愛し合う、そのすぐ近くの茂みの陰。

(うわ……あんな風にするんだ……すご……)

観月マナである。
その手に持った厚い本が、ぼんやりと青い光を放っている。
心なしか、その光はマナが初めて手にした時よりも強くなっているようだった。
380永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:19:44 ID:n2pUziSM0
(この図鑑……すごい)

先刻のことである。
あてどもなく森を歩いていたマナは、向かい合う二人の影を見た。
慌てて茂みへと隠れたマナだったが、一方の男に向けられた銃口を見た瞬間、
手にしたBL図鑑から不思議な声が響いたかと思うと、突如として青い光が
二人の男に向けて飛び出したのだった。

『―――カップリング成立』

声は、そう聞こえた。
青い光に包まれた男たちは、おもむろに服を脱ぎだすと、火照った身体を
重ね合うようにして森の褥へと横たわったのだった。

(あれが……BL図鑑の力……)

認識を新たにするマナ。
だが思考に耽溺するその間も、視線は二人の男から決して離れはしなかった。



【時間:午後11時すぎ】
【場所:F−7】
春原陽平
 【所持品:スタンガン、他支給品一式(ただし、ここまで来る間に水を少し消費)】
 【状態:生き地獄】
住井護
 【所持品:コルトパイソン】
 【状態:アッー】
観月マナ
【所持品:BL図鑑・ワルサー P38・支給品一式】
【状態:腐女子Lv1】
381永遠にブルー:2006/10/24(火) 04:23:30 ID:n2pUziSM0

「……ところで、聖衣はどうしたんだよ?」
「さあ、どっかに封印されてるんじゃないかな?」
「あんた、ホントに女神……?」
「新人だからね」
「頑張れ、うーさき」


【時間:16時ごろ】
【場所:G−3】
川名みさき
 【所持品:支給品一式】
 【状態:女神に覚醒】
藤田浩之
 【所持品:折りたたみ式自転車、他支給品一式(ただし、ここまで来る間に水を少し消費)】
 【状態:鳳凰星座の青銅聖闘士】
深山雪見
 【所持品:支給品一式】
 【状態:牡牛座の黄金聖闘士】
ルーシー・マリア・ミソラ(るーこ・きれいなそら)
 【所持品:支給品一式】
 【状態:ペルセウス星座のるー】

※SIG P232(残り7発)、IMI マイクロUZI(残り30発)と予備カートリッジ(30発入り×5)、
スタングレネード(×3)はG−3付近に放棄。聖闘士は武器を使わない。

→002 →084 →317 ルートD−2
382もっと恋しよう:2006/10/24(火) 04:25:16 ID:n2pUziSM0
住井護と春原陽平の愛の交歓は終わる気配を見せずに続いている。
何だかんだでもう強制力は解かれているはずなのだが、この二人は
そういう星の下に生まれついたのかもしれない。

「うぅん……なんだか運命のいたずらを感じるぞ……ぬふぅ」
「ひぃぃっ! そんな不思議な運命の巡り合わせは心から否定したいッ!(;゚皿゚)」


二人が愛の営みを行っている、そのすぐ近くの茂みに潜む少女がいた。
観月マナである。
マナは目を皿のようにして、二人の行為を間近で見つめ続けている。
時折メモを取るような仕草をしているあたり、研究熱心である。

「くっ……いくぞ……っ!」
「はぁ……っ、ひぃぃーーー……!!」

最後の一発が終わる。
同時に絶頂へと達した二人は、そのまま気を失ってしまったようだった。
かれこれ数時間もまぐわい続けていたのだから、いかに青い性欲の全盛期といえど
体力の限界などとうに越しているに違いなかった。

と、マナの手にした図鑑がひときわ強い光を帯びる。
浮き出てきた文字は、

『住井護(ONE)×春原陽平(CLANNAD)   ---   クラスB』

同時に、ちゃららちゃ、ちゃっちゃっちゃーーーー! と、奇妙な音が図鑑から響いた。


みづきまな はレベルがあがった!
383もっと恋しよう:2006/10/24(火) 04:26:09 ID:n2pUziSM0
【時間:午後11時すぎ】
【場所:F−7】

春原陽平
 【所持品:スタンガン、他支給品一式(ただし、ここまで来る間に水を少し消費)】
 【状態:気絶(ひぃぃ)】
住井護
 【所持品:コルトパイソン】
 【状態:気絶(アッー)】
観月マナ
【所持品:BL図鑑・ワルサー P38・支給品一式】
【状態:腐女子Lv2】

→257 or「永遠にブルー」 ルートD共通
384心の嵐:2006/10/24(火) 10:27:40 ID:SNsVoXc60
梓は柳川を睨みながら、一歩一歩歩み寄ってくる。
「や・な・が・わぁ………」

その声を聞いた柳川に戦慄が走る。
とてもとても重い、憎しみが篭った声。
梓は凍り付いた顔で柳川を直視している。今の梓の心は深い闇に捉われていた。

柳川の後ろには、震える少女が二人。
柳川は武器を選ぼうとしていた。
柳川はM4カービンを手にしようとし―――楓の顔が脳裏に浮かび、銃ではなく出刃包丁を選んだ。
それを逆向き、いわゆる峰打ちの状態に持ち替える。

「一人で十分だ……下がってろ」
そう言った柳川だったが、正確にはそれは少し違っていた。
この武器で二人を守りながらでは、目の前の異形には勝つ自信が無かった。
包丁を構える柳川を見て、梓も警棒を構える。怪力によって振るわれる警棒はまさに凶器。
まともに直撃すれば良くて骨折、当たり所によっては一撃で命を奪われる可能性すらある。

「かつて俺を止めようとしていた貴様がゲームに乗り、
殺人者になった貴様を俺が止めようとするとは……皮肉な事だな」
フン、とまるでリサのように肩をすくめながら口にする。

しかし、予想外の言葉が梓の口から飛び出した。
「何を勘違いしてるんだい?私は楓の仇を取りにだけだ」
彼女は憎悪の感情のみを含んだ声で、そう口にしていた。

「は―――――?」
呆気にとられている柳川。俺が楓を殺した……だと?
「俺は楓を殺してなど…」

「オマエガァァァァーッッ!!!」
柳川が喋り終わるのを待たずして、梓は一気に間合いを詰め殴りかかってくる―――!
385心の嵐:2006/10/24(火) 10:28:42 ID:SNsVoXc60
ガキィッッ!!!
風を切り、お互いの武器が交差する。

「お前が!!お前が楓を!私の大事な妹を殺したんだっ!!」
間断無く、休む事なく繰り出される梓の猛攻。
周囲に轟音が鳴り響く。風を切る音だけでも相当のものだ。

「柏木の娘よ、それは勘違いというものだ、あれは俺がやったんじゃない!」
柳川はそれを凌ぎながらも、説得を試みている。

「嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だぁ!!アンタが今までやってきた事、忘れたとでも思ってるのか!」
だが梓の攻撃は止まらない。梓はただがむしゃらに己の武器を振るっている。
それはさながら嵐のようであった。激情の、憎しみの嵐のようだった。
彼女の心の嵐は収まらない。

「止めろっ!今の俺は鬼に支配などされていないっ!!」
「信じるもんか……、信じられるもんかぁっ!!」
今の彼女は柳川への憎しみと殺意以外、何も考えていなかった。

―――否、考えられなかった。
このゲームの異常な緊張感、妹の死、冷徹な狩猟者と化した姉の姿。
思考を全て憎しみに委ねなければ、私は狂ってしまう!
柳川がどう説得しようとも、梓は止まりそうになかった。
今の梓は憎しみの対象である柳川本人の言葉は一切信じない。
「…………っく……」
柳川が説得を諦めかけたその時。

「待ってください!!」
梓を止めたのは柳川ではない第3者――倉田佐祐理の声だった。
「!?」
「貴女は……、貴女は勘違いしています…………」
目の前の存在に恐怖しながらも、決して視線は外さなかった。
386心の嵐:2006/10/24(火) 10:30:38 ID:SNsVoXc60
「アンタは誰だ………?」
「私は倉田佐祐理、柳川さんに救われた者です………」
佐祐理はそう言ってから、震えそうになる足を強引に押さえ込んで、梓の方へと歩み寄っていった。

佐祐理の方へと向き直り、話に聞き入る梓。
「柳川さんは自分の体が、そして心がどれだけ傷ついても必死にこのゲームを止めようとしていました。」
「………………………」
佐祐理は表情を歪めながらも、言葉を続ける。
「本当は人を傷付けたくないのに、ゲームに乗った人を止める為に必死に戦っていました。」

そして最後に、
「だから柳川さんは絶対に、こんなゲームには乗りません。佐祐理は、そう信じています。
―――佐祐理は、柳川さんに救われましたから」
今までで一番強い声で、そして最後には笑顔で、はっきりとそう言い切っていた。
佐祐理はあははーっ、と照れ笑いしている。

驚愕で梓の目が見開いていた。
「それは本当なのか……?」
「ああ、俺は楓と一緒にいたが、殺していないし、ゲームに乗ってなどいない。
俺の目的はこのゲームに乗った連中と主催者を殺す事だけだ」
「…………………………………」
柳川の目は真剣だった。以前の人を見下した目とは、明らかに違っていた。
これは私のよく知っている人―――千鶴姉と同じ、奥底に深い悲しみを宿した目だった。

私だって馬鹿じゃない、ここまでされたら分かる。コイツ達は嘘は言って無い。
柳川は楓を殺してなどいなかったのだ。
でも―――

「分かったよ………」
梓は俯きながら呟くようにそう口にしていた。
これで勘違いから始まったこの争いは終わるはずだ、この場にいる梓以外の全員がそう思った。
だが―――
387心の嵐:2006/10/24(火) 10:31:44 ID:SNsVoXc60

「でも、じゃあ何でお前と一緒にいた楓は死んだんだ……?」
「――――!」
梓は、再び柳川に向かって駆け出していた。

「くっ!!」
ガキィッ!!
「何でなんだよ!」
大きな動作で警棒を振り上げ、渾身の力で振り下ろす。
「お前は狩猟者だったんだろ!?」
ガキィッ!!

「お前は強いんだろっ!?」
ガキィッ!!
一撃毎に梓は叫んでいる。
聞こえるのは包丁と棍棒がぶつかる音と―――泣き叫ぶような、梓の声。

「それがなんでっ!!」
ガキィッ!!

「なんで楓を守りきれなかったんだよぉぉぉぉぉ!!!」
ガキィィィッッ!!
彼女の頬には涙が流れていた。

「…………………」
柳川は答えられない。

梓は大きく振りかぶり、再び警棒を振るった。
それは迫力のある一撃だったが、いかんせんモーションが大きすぎる。
柳川はその一撃をバックステップで空振りさせ、
勢い余って前のめりになってしまった梓の手を狙って、包丁の背の部分で殴りつけていた。
ギィィン!!
388心の嵐:2006/10/24(火) 10:33:07 ID:SNsVoXc60
「うあっ!」
梓の警棒が弾き飛ばされる。

「くそっ……」
――――勝てない。
梓は柳川に挑む前から知っていた。自分と柳川の力量差を。
自分では柳川に勝てない事を。柳川に一人で挑めば命は無いであろう事を。

「くそっ……、ちくしょぉぉぉぉぉ!!」
それでも、それでも彼女は引き下がれなかった。
諦められなかった。何かに気持ちをぶつけずにはいられなかったのだ。
梓は素手になろうとも、捨て身の覚悟で柳川に殴りかかっていた。
次の瞬間には、自分はやられているだろうという確信を抱きながらも。


ドゴォッ!!!
「――――え?」
「カ……ハ……」
―――しかし、結果は逆だった。
先程まであれほど見事に梓の猛攻を凌いでいた柳川の脇腹に、
あっさりと梓の拳がめり込んでいた。
柳川は包丁を取り落とし、腹を押さえながらその場に崩れんだ。

「お前……、なんで………?」
梓は動けない。状況が理解出来ない。
なんでこの男はわざと、攻撃をもらったのだ?
「あれ、は」
柳川はうずくまりながらも、顔を上げた。
「…………」
「あれは―――俺のせい、だ………すま、ない…」
苦痛に顔を歪めながらも、そう口にしていた。
389名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 10:34:56 ID:xhti/6OPO
回避
390心の嵐:2006/10/24(火) 10:43:23 ID:sifNyrtY0
「柳川さんっ!!」
「大丈夫ですか!?」
佐祐理と、もう一人の少女、美坂栞が駆け寄ってくる。

「もう……、もう止めてくださいっ!!」
佐祐理は梓と柳川の間に割って入り、吹き矢を手に立ちはだかっていた。
その手は震えていた。いや、手だけではなく体全体が震えていた。

「お願いします……、もうこれ以上この人を傷付けないでください…」
それでも、やはり視線だけは真っ直ぐに、梓を見据えていた。

(この子……こんなに震えてるのに……)
佐祐理のその姿を見ていたら、梓はもう何も出来なくなってしまった。
吹き矢を脅威と感じたからではない。吹き矢など奇襲以外ではさしたる脅威にはならないだろう。
ただ、今までの佐祐理の行動を見ていて、どれだけ柳川が慕われているかがもう分かってしまったから。
自分の行為がただの八つ当たりに過ぎないと認めざるを得なくなってしまったから。

「……ちくしょうっ!!」
梓はどうしたら良いか分からなくなり、その場から逃げ出した。

梓は叫んでいた。
森の中を駆けながら、ただひたすらに叫んでいた。
それはこのゲームにおいては非常に危険な行為だったが、
ぶつけるところの無くなった思いを少しでも発散する為に、梓はひたすら叫ぶしかなかった。
391心の嵐:2006/10/24(火) 10:44:46 ID:sifNyrtY0

【時間:1日目午後11時ごろ】
【場所:G−9、海の家】

柏木梓
【持ち物:特殊警棒、支給品一式】
【状態:咆哮。これからの行動目的は次の書き手さん任せ】

倉田佐祐理
【所持品:自分と楓の支給品一式、 吹き矢セット(青×5:麻酔薬、赤×3:効能不明、黄×3:効能不明)】
【状態:心配、ゲームの破壊が目的。】

柳川祐也
【所持品@:出刃包丁、ハンガー、鉄芯入りウッドトンファー、M4カービン(残弾30、予備マガジン×4)】
【所持品A、自分の支給品一式】
【状態:左肩の治療は完了したが、直りきってはいない。梓の一撃で脇腹の骨にヒビが入っている】

美坂栞
【所持品:リサと自分の支給品一式、二連式デリンジャー(残弾2発)】
【状態:健康、香里の捜索が第一目的】

→関連265・285、ルートB-9、B-10、B-11、B-12

>>389
回避多謝
何故かそれでも規制引っ掛かり続けたので、
繋ぎ直して投稿しました
392ノートの行方(前編):2006/10/25(水) 08:20:09 ID:lUX1IQax0
「ない、ない、ない…」
部屋の中をひっくり返し、そこら中をごそごそとかき回して何かを探している様子の一人の少女。
一見無表情で慌てている様には見えないが、その身体の動きから察するにそう見えないだけで大事なものだろう。
真紅に染まった髪が目の前を覆い隠し、やぼったそうにそれをかき上げ汗を拭く。
「エビル、まだ見つからないの?」
紫色の長髪をたなびかせた女性が静かにエビルと呼ばれた少女に近づくと、懸念そうに尋ねる。
「ルミラ様…うん、どこ行ったんだろう」
「かれこれ半日近く探してて、それでも無いならどこかに忘れて来たのでは?」
「かも…」
動かす手を止め、シュンと項垂れる。
「ったく、ドジだな」
言いながら、今度は青いショートヘアの少女が毒づきながら現れた。
「お前後寿命どれくらいなんだよ?」
「ここ数十年使ってなかったからわからないけど…そんなに長くないと思う」
「まったく、自分の命に関ることぐらいちゃんと覚えとけよ」
「まぁまぁイビル」
イラついたように攻めたてるイビルだったが、言葉に棘は無く、彼女なりに心配してるようだった。
それをわかっているのだろう、たしなめながらも半笑いのままルミラが言った。
「心当たりは?」
「わからない…持ち出した事だって最近無かったと思う」
「困ったわね」
三者三様に首をかしげ、そして大きく溜め息をついた。
「あぁそうだ、あの子に頼んでみたらどう?」
ポンっと手を叩きながらルミラはからかう様に言う。
「あの子?」
「ほら、バイト先の…なんて言ったっけ、随分ラブコールされてるみたいじゃない」
どこか笑いを噛み殺しているその顔に、表情は変えなかったものの少し苛立ちを覚えながらぶっきらぼうに返す。
「別に…芳晴はそんなんじゃない」
いつもと同じ禅問答。
その決まった答えに、眼前の二人はニヤリと口元を緩め
393ノートの行方(前編):2006/10/25(水) 08:21:14 ID:lUX1IQax0
「ニブイって…」
「罪だな…」
と呆れ返るように言うのだった。


「ノート?」
「…あぁ」
「大事なそれを無くしてしまったから探すのを手伝って欲しいってことですか?」
「そうだ」
両手を胸の前に合わせ、何か念じるように目を閉じ、そして項垂れながらエビルは言う。
「普段ならどこに在っても感知できるんだが、今はなにかに邪魔されてる感覚で一向に特定できないんだ」
「なるほど…」
「それで芳晴の都合さえ良ければこれから手伝ってもらいたいと思ったんだ」
「悪いわけが無いじゃないですか! 江美さんのためなら例え火の中水の中! 親の葬式の最中だって駆けつけます!」
かねてから休日はエビルと過ごしたいと願っていた芳晴に取って、まさに降って沸いたような嬉しい提案だった。
だが、後ろでずっとニヤニヤ笑いながら自分を見ている二人が気になってしょうがない。
「えーっと、…もしかして後ろのお二人もご一緒で?」
「当然だろ」
「当然でしょ」
芳晴の言葉を最後まで言わせず、ルミラとイビルの声が見事にハモる。
ガクッと肩を落としたものの、ここでへこんでいてもしょうがない、江美さんといられるだけでも良しとしようと思い直す。
「で、あのおチビちゃんはどこ?」
「へ?」
ルミラの問いに虚を付かれ、思いもよらぬ間の抜けた声を上げる芳晴。
「あなたに探し物ってできるの?」
「あー、えーと…もしかして俺の仕事ってコリンに頼むってことだったり…します?」
せっかく五月蝿いあいつを誤魔化して家出てきたって言うのに…。
三人が同時にうなずいたのを見て、肩どころが全身の力が抜け、芳晴はがっくり地面にひざまづく。
394ノートの行方(前編):2006/10/25(水) 08:21:58 ID:lUX1IQax0
家に帰って事のあらましを説明するも、コリンの反応は当然のことながら淡白なものだった。
「"物"探しは管轄外だなぁ…」
ポリポリとポテチを頬張りながらめんどくさそうにコリンは答える。
「そのノートにエビルさんの魔力が篭ってるならある程度わかるけど、ジャミングかかってて自分でもわからないんでしょ?」
質問にコクリと頷いたエビルに対して、両手を挙げてお手上げポーズ。
「んじゃむりむーりー、他当たってちょー」
ゴロンと背を向けるとポテチの袋に再び手を伸ばした。
苛立ちを押さえながら芳晴はその袋を取り上げる。
「おーまーえーなー」
「だって別にやる理由とか無いじゃん! いっつもないがしろにしてる癖に都合良い時だけ、はいお願いします、じゃないよっ」
相当ご冠の様子で取り付く島も無いコリンに頭を抱え込む芳晴。
「私で良かったら手伝いましょうか?」
どこから現れたのか、いつの間にか芳晴の隣にユンナが立っていた。
「あーっ! 何いい子ぶってんの?」
「しょうがないでしょ! 私にだって引け目はあるんだから…」
煽り口調のコリンの言葉に叫び返すも、後半はゴニョゴニョと声は小さくなっていた。
「これから芳晴がなんでもするからって土下座して頼み込む予定だったのに、ぶち壊しジャン!」
「知らないわよそんなの!」
そして始まる睨み合い罵倒しあう二人の醜い争い。
こうなってしまうともう止まらない。
いつもながらの喧嘩に溜め息しか出てこない。
「んー、ゴホンッ」
唐突に起きた咳払いに、二人の抗争がピタリと時が止まったように収まる。
「で、どっちが?」
ギラリと歯を光らせながら笑みを浮かべているが、まったく不釣合いなドスの聞いた声でルミラが尋ねていた。
すでに頼んでいるじゃなくて脅しているよな…。
正直なところ二度と敵には回したくない。
芳晴とまったく同じことを考えたであろう二人が尻尾を丸めたのはその数秒後のことだった。


395ノートの行方(前編):2006/10/25(水) 08:23:45 ID:lUX1IQax0
――同時刻、とある商店街のとある一角。
一般人の目には見ることさえも出来ない店が、そこには存在していた。
普段はほとんど訪れることの無い客を待ちながら、カウンターに座っている店主ことショップ屋ねーちゃん。
だが今日はいつもとまったく違っていた。
その手に持つ一枚の紙の内容を何度も見ては、溜め息を繰り返している。
始まりは、二週間ほど前に舞い降りた上物の依頼。
100人分をゆうに超える量の食料や雑貨、非合法な武器のたぐいから用途のわからない謎アイテムまで。
確かに裏の世界に関る人間なら、自分の店は人間の目には絶対映らないのだから絶好の隠れ蓑だろう。
特に疑問も持たず言われたとおりに準備をした。
そして今日がその代金の受取日だった…はずなのだが、送られてきたのは大きなボストンバック。
中には一枚の紙切れと怪しく黒光る数個の首輪。
なんだなんだと憤慨しながらその手紙の内容を見て愕然とする。

『今回は依頼した品の調達、真にありがとうございました。
 本来であればこのバックの中には相応の代金を納めさせていただく予定でしたが
 こちらの不手際で、此度我等が主催するゲームにあなた方もエントリーされていた事が発覚したのです。
 かと言って極わずかでも事情を知ってしまったあなたを参加させるのは、他の参加者の手前差別化ともなり芳しくありません。
 そこで、ゲームから除外する代わりに、お連れできなかった下記の方々を出来るだけ多くこちらに連れて来て欲しいのです。
 本来であれば我々の手で行うべき点ですが、すでにゲームは始まっていてしまって手が回らない現状なのです。
 手段は問いませんが、この件に関しての説明は一切他言しないようにご注意願います。
 バックに同梱した首輪は各々に必ず着用させ、前回依頼したものと同じようなものをそれぞれに持たせてください。
 これが終わり次第、前回とあわせた報酬をお勉強させていただいた上でお支払いさせていただきたく思います。
 至らない面をお見せしまして申し訳ありません、よろしくお願いいたします』
396ノートの行方(前編):2006/10/25(水) 08:24:30 ID:lUX1IQax0
そしてその内容に続く名前は以下の名前だった。
・城戸芳晴
・コリン
・ルミラ
・エビル
・イビル
・フランソワーズ
・メイフィア
・アレイ
・たま
・ユンナ


時間【沖ノ島島外】
備考【関連17、死神のノートがあるルート】
397ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:37:36 ID:lUX1IQax0
「…うーん、やっぱだめだね」
「…同じく」
言いながらコリンとユンナが目を開け、身体を覆う光が収束する。
「ちゃんとやってんのかよ?」
「やってるよ!」
イビルの顔はやっぱりなと言ったようにあきれ返っており、頬を膨らましながら必死に反論するコリン。
そしてその答えを聞いたエビルの表情は曇っていた。
「すまなかったな芳晴、無駄な時間をとらせた」
「ちょっ、無駄って言い方はないん…」
エビルに向かって言いかけながらも、隣のルミラの形相に開けた口がパクパクと動くだけのコリン。
「無駄なんてそんな、力になれなくて申し訳な…」
「本当だよ」
「本当ね」
またしても芳晴の言葉は二人の無慈悲な言葉によって遮られる。…グウの音も出ない。

「ちょっとちょっと、待ちなさいよ!」
当てが外れたわねと苦笑しながら、エビルの肩を抱いて部屋を出ようとするルミラを
コリンが小さな身体をバタつかせながら必死に呼び止める。
「まだまだこれからなんだから!」
「へーぇ」
言い切ったコリンの前にゆっくりと足を進ませるルミラ。
白く長い右腕をコリンの顎に伸ばしゆっくりなぞると、妖艶な笑みを浮かべる。
「後は何が出来るのかしら? お・ち・び・ちゃ・ん?」
流れるような淫靡なしぐさに、情け無いと思いながら鳥肌が抑えられず芳晴は思わず腰を抑える。
コリンも同性ながら同じ感情を抱いたのだろう。
だが負けん気のほうが勝ったようで、顎をくいっと振りルミラの手を跳ね除けながら言う。
「力がダメならここよ、ここ」
ふんぞり返りながら自身の頭を指差す。鼻息は荒く得意満々といった顔だ。
「何か詰まってたっけ?」
ズデン! と思いっきり背中からた俺込むコリン。
398ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:38:10 ID:lUX1IQax0
お約束というかなんというか、律儀な奴だ…狙って無いだろうけど。
「…ルミラさんルミラさん」
芳晴がルミラにそっと耳打ちをする。
「ん?」
「あいつ単純なんだからあんまり煽らないでください…」
「だっておもしろいじゃない?」
「後で泣くのは俺なんですから…」
「…聞こえてるんですけど?」
さすがだ。
自分の悪口は絶対聞き逃さない地獄耳。
芳晴は全てを諦めた。
とにかく自分に出来ることはたった一つしか無いと悟る。
考えた瞬間に身体はすでに動き、そして地面に両手をついてはいつくばっていた。
「頼む! なんでもするからっ!」
一同の時間がほんの一瞬だけ止まる。
「ホントに土下座したよ…」
ポツリとイビルが呟いた言葉をかわきりに巻き起こる爆笑の渦。
耐えろ、耐えるんだ俺。今俺が耐えれば全てが丸く収まる。
あぁ、江美さんまでそんな笑って、そんな笑顔出来る人だったんだ…ってちがう!
いやいかん、ここで顔を上げたら何も変わらないじゃないか。
俺は石だ、何も聞こえない、何もわからない、今起こってることは全て夢だ。
だが、じっと耐えるその姿に漢を感じるものは誰もおらず笑い声だけがこだましていた。

ひとしきり笑って満足したコリンは、またもふんぞり返りながら自論を語り始めていた。
「ま、困った時は考える。知恵が人類を進化させてきたんだから」
必死に目配せする芳晴に同情の視線を送りながらも、今度はルミラも何も言わず言葉の続きを待つ。
「人類の知恵って言えば、道具を使えると言うこと。はい、それじゃ道具と言えば? 3、2、1、はい」
ビシッと一直線に芳晴を指差す。
「へ?」
「はいブブー」
399ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:39:35 ID:lUX1IQax0
唯我独尊すぎて頭がついていけない。
「いつものあの店に決まってるじゃない。ほんっとばかね…。
 とりあえずは行動ってことで行ってみましょ、なんか良い方法あるかもだし」
結局人任せかよ…。
喉元まで湧き上がってくる言葉を必死に飲み込んで耐える芳晴の姿はまさに天晴れと表現するしかなかった。


「――と言う訳なんです」
死神のノートを探したいと告げられたショップ屋ねーちゃんは胸を弾ませていた。
記憶が正しかったら、裏ルートで入手したそれらしきものを依頼の品に混ぜて送った記憶はある。
ノートから感じていた魔力と目の前の女性から発せられる魔力がまったく一緒なのだからほぼ間違いないだろうとも考える。
しかも自分達から探しに行きたいとまで言っている。
まさに鴨がネギをしょってきた状態の展開に、どうやって集めようか必死に悩んでいたわけだから文句のあるわけも無い。
多少人数が少ないが、出来るだけと手紙にはあったし六人もいれば十分であろう。
喜びを表面に出さないように、冷静に振舞う。
「場所の特定は出来ないけれど、それ自体の存在は感じることは出来る?」
「…ああ、おぼろげだが」
ショップ屋ねーちゃんの言葉にエビルは一度目を閉じ集中すると、頷いて返す。
「それなら良いものがあるよ」
そう言いながら取り出したのは、一枚の純白のシート。中央には青白く光りながら魔法陣が描かれていた。
「特定の魔力に反応して、物体を移動させる不思議アイテム、応用すれば探したいものの魔力のところへ飛んでいける優れもの」
「へぇ…」
ご都合主義な気もするが、この人はドラ○もんだと思えばたいした問題では無いだろう。芳晴はそう自分を納得させる。
「特定できて無いから周辺になるとは思うけど、大丈夫でしょ。あとこれ、首につけて」
手渡されたものは、これまた今度は魔法とは縁がなさそうな機械めかした首輪。
「魔方陣と同調させやすくするためのアイテムだから絶対外さないで、勿論移動してからも」
カチャカチャと無機質な音を立てながら首輪をはめる一行を尻目に、流れるような作業で奥からバックを取り出すと各々に手渡す。
400ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:40:37 ID:lUX1IQax0
「で、これは向こうに飛んでから必要そうなものを入れておいたんだけど。あ、これはサービスで」
妙に手際がいいのは気のせいだろうか?と不安を覚える芳晴。
実はこの魔方陣、初施行で実験台にされるんじゃないだろうな。
落ち着いて考える間も与えないまま着々と準備を進めるショップ屋ねーちゃんは
全員の手を握らせ、テキパキと指示を出す。
エビルは目を瞑って言われたとおりに意識を集中しだした。
するとどうか。魔法人の放つ光が天を指し、全員の身体が包まれボンヤリと青白く輝きだした。
それに合わせて目を瞑り精神を集中させるように、意識を落ち着かせる。
頭の中が真っ白になっていく感覚を覚え、全身から力が抜けていく。
突如脳天から全身が引っ張られ宙に浮くような錯覚にとらわれ、全身に強い衝撃と同時に芳晴の意識は闇へと落ちていった。

「ふぅ…」
転送は成功したようで、眼前から六人の姿は忽然と消えていた。
後は向こうに本当についているかの確認。
受話器を取ると、手紙に書かれていた番号をゆっくりと押す。
Prrrrr...Prrrrr...
短いコール音の後、男とも女とも取れない甲高い声で『もしもし』とだけ発せられた。
裏の世界の人間を相手に声がどうこうとかはさいたる問題ではなく、営業用口調で返した。
「もしもし、ご依頼の件のお伺いしたいのですが、頼まれた人間は送れたと思うのですが」
『あぁそのようだね。お礼を言うよ、ありがとう』
「で、報酬のほうはいかほどで?」
『…気が早いね』
「それだけが取り柄でして」
肩透かしなどはくらいたくも無いし、こう言う交渉は迅速に済ませて忘れるに限る。
『今すぐにお届けできると思うよ。多分生涯で二度と見れないほど綺麗な花火だ』
「花火?」
ちょうどその時、机の片隅にポツンと置かれたボストンバックが、小さくカチ…カチ…と音を立て始めた。
『ほら言ったよね? あなたはゲームから除外するって』
「え…それは一体どう言う意味……」
401ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:41:45 ID:lUX1IQax0
ドガァァァァァァァン!!

あたりはつんざくような爆音に包まれ、ショップ屋ねーちゃんの言葉は最後まで語られることは無くかき消された。
店の中はボロボロに焼け焦げ、弾け飛び、生きてるものはそこにはいなかった。
だが、誰もその店の存在がわからない現状、彼女の死を知るものもまたいなかった。
たった一人、主催者を除いては…。


―気が付くと芳晴は見知らぬ灯台の頂上に倒れていた。
全身が強く痛い。気絶でもしていたのだろうか。
辺りには誰の姿も無く、眼前に広がる月と星空と海だけが芳晴を見つめていた。
訝しげに思い、そしてある事実に気付く。
――エクソシストの力が働かない
「まぁ…良いか」
元々生活にその力を依存していなかった芳晴はさも気にして無い様子で起き上がり、とりあえずどうするか考える。
「とりあえずみんなを探すかな」
江美さんに会いたい、コリンはうるさそうだな、最初に出会うのがもしもルミラさん達だったら何を話そう。
いろいろな考えが頭の中を巡りながら、芳晴は灯台を降りていった。

城戸芳晴
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:エクソシストの力使用不可、他のメンバーとの合流、死神のノート探し】
402ノートの行方(後編):2006/10/25(水) 08:45:14 ID:lUX1IQax0
コリン
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:天使の力使用不可、死神のノート探し】
ユンナ
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:天使の力使用不可、死神のノート探し】
エビル
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:死神の力使用不可、死神のノート探し】
ルミラ
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:吸血鬼の力使用不可、死神のノート探し、暇潰し探し】
イビル
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:悪魔の力使用不可、死神のノート探し、暇潰し探し】
ショップ屋ねーちゃん
【状況:死亡】

時間【二日目0:00頃】
備考【身体能力お任せ】
   【特殊能力ほぼ制限で同上、特にルミラは治癒能力は多少あっても不死能力は無しのように、ちゃんと死ぬ設定で】
   【芳晴・コリン・ユンナはノートがどのようなものかは知らず、エビル・ルミラ・イビルは知ってます】
   【芳晴のスタート場所はI-10琴ヶ崎灯台、それ以外のキャラのスタート場所はお任せ】
   【島へ飛んだ時間は1回放送後、到着時間は各自誤差あり。芳晴は気絶していたので上記の時間】
   【前編同様17関連の死神のノートがあるルート全て】
403ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:08:42 ID:kkH0VtWI0
来栖川綾香とその一行は高速移動を続けていた。
相変わらず本部との通信は回復しないままだった。
セリオがサテライト経由で入手する情報の精度も怪しいものではあったが、
それでも無いよりはよほどマシである。
藁をも掴む思いでHMX-12マルチの位置情報を検索し、得られた地点へと
急いでいる。

声が聞こえたのは、そんな時であった。

「……はて、そこを行かれるのは綾香お嬢様ではありませぬか」

その老人の声を聴いた瞬間、先行する綾香の挙動が一瞬だけ乱れたことを、
セリオは感知した。

「綾香様。お返事をなさらなくてよろしいのですか」
「……」

無言で地面を蹴り、速度を上げる綾香。
心なしか、その額に汗が浮いているように見える。

「綾香お嬢様、芹香お嬢様もご一緒ですかな。おお、セリオまで」

声が、離れたように感じられない。
既に時速にして40km/hは超過しているというのに、だ。

「綾香様、発汗と体温、心拍数の急激な上昇が検知できます。
 身体的に異常があるのならば休憩を取られることをお奨めいたします」

答える代わりに、KPS−U1改に増設されたブーストを全開にする綾香。
空気の壁を切り裂き、綾香の姿が一気に加速する。
だが。
404ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:10:16 ID:kkH0VtWI0
「綾香お嬢様、聞こえませぬかな」

声は、近くなったようにすら感じられる。
振り向けない綾香。

「……無視して振り切るわよ、セリオ……!」
「はい、綾香様」

あえて林道を外れ、木々の間に身を躍らせる綾香。
芹香を抱えたセリオがそれに続く。

「目がぐるぐるして気持ち悪いです……」

不平をこぼすのはセリオの腹についたイルファの首である。
時速80km/hを超す速度で夜の森に入りながら、木々の間を正確に抜けていく
綾香とセリオ。
セリオの暗視機能、レーダー波による測定と綾香の野性的な勘をNBSによって
組み合わせた、離れ業である。

「さすがにこれなら……!」

綾香が呟いた瞬間。

「―――綾香お嬢様」

すぐ目の前に、突如として人影が現れた。
綾香は速度を緩めることもせず、そのまま肩を前にして突っ込む。
乾燥重量180kgのショルダーアタックである。
影はひとたまりもなく吹き飛ばされる、かに思えた。
衝撃。
405ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:12:19 ID:kkH0VtWI0
「……私でございます、綾香様」

人影は、ゆらりと前に出した右手一本で、平然と綾香の突撃を受け止めていた。
綾香の静止を見て、セリオもまたその疾走を止める。
抱えられた芹香が人影を見て、だにえる、と呟いたのが、間近にいる
イルファには聞こえた。

「だ……ダニエル……」

綾香の言葉は、それと判るほどに震えている。
果たしてそこに立っていたのは、来栖川家家令、長瀬源蔵その人であった。

「このダニエル、来栖川に仕える身として心より御身を案じておりました。
 お怪我もないようで何よりでございますな、芹香お嬢様、綾香お嬢様」

言葉とは裏腹の厳しい視線。
その眼光に射竦められ、綾香は言葉もない。
黙り込む綾香をどう見たか、ダニエルは言葉を続ける。

「さて、ご遊興も充分に堪能なされましたな。
 はや日も暮れておりますし、そろそろお戻りいただきますぞ」

その奇妙な言葉に、綾香は問いを返す。

「……戻る? 戻るって、どこへよ……?」
「これは異なことを仰る。芹香お嬢様、綾香お嬢様がお戻りになるのは
 来栖川の家に決まっておりましょう」
「家、って……あんた、このプログラムのこと判ってんの……?
 たしかに私らは特別扱いだけどさ、」
「この」

綾香の言葉を遮るように、源蔵が続ける。
406ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:13:20 ID:kkH0VtWI0
「このダニエルめが、お戻りくださいと申し上げております。
 ……私めの言葉、お館様のそれとお考えいただいて結構」
「お、お爺様が……?」
「然様。この度の一件について、本家でお館様がお待ちです。
 早々にお戻りいただくようにとの命にて、不肖ダニエルめが
 まかりこしました」

背に冷や汗が流れるのを、綾香は感じる。
雲行きが非常に良くない。

「じゃ、じゃあ運営本部を通してそう言えば済む話じゃない……。
 わざわざダニエルが参加者になる必要なんて、」
「来栖川の恥は来栖川で片付けよ、とのお言葉にて」

うわ本格的にヤバい、と綾香は思う。
恥、という表現を来栖川総帥である祖父が使ったのだとすれば、
これは非常にマズい状況だ。
ダニエルの言葉に従えば、本部と連絡がつかない現状でも、
本土に戻ることは難しくはないかもしれない。
しかし、このまま戻れば、待っているのは親族会議という名の
断罪裁判だ。
良くて一生、座敷牢。
悪ければ……考えたくもない。

生き延びるには、そして少なくとも現在の地位を守るためには、
何らかの成果が必要だ。
それもKPS−U1改の実戦データなどという些事ではない、
来栖川本家にとって価値をもつ成果が。
それはたとえば第零種の掃討であり、その旗印としての来栖川の名だ。
ちょっとした遊び心のつもりが随分と高くつくことになったものだ、と
内心で溜息をつきながら、綾香の思考はまとまっていく。
いずれにせよ、この場を切り抜けなければ自分に未来は無い。
407名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 15:15:06 ID:lDuNsR4cO
回避
408ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:16:13 ID:kkH0VtWI0
切り抜ける。
言葉通りの意味だ。

「ほう……その銃をどうされるおつもりかな」

己に向けられた銃口を目にしながらも、源蔵はこ揺るぎもしない。
NBSを通じてセリオもまた、源蔵を攻撃対象と認識している。
抱えていた芹香を降ろし、自身に搭載された火器を展開する。

「見た通りよ……私はまだ、帰らないわ」
「……お戯れを。我侭もいい加減になされませ」

言うや、源蔵の視線が変わった。
厳しく綾香たちを見据えていた眼光が、酷く怜悧な印象のそれへと変わったのである。
同時に、周囲の空気が源蔵を中心に渦巻きはじめる。
それを見るや、綾香が叫んだ。

「セリオ! オールバースト! 欠片も残すなっ!!」

自身もためらいなくトリガーを弾く。
無数の弾丸が、音速に等しい速度で源蔵へと放たれる。
その殺意の群れは、源蔵を肉片へと成すべく殺到し、

「哈」

一言の下、その悉くが地に落ちていた。
その非現実的な光景を前に口元を引き攣らせる綾香に、源蔵が言い放つ。

「このダニエルを、よもや飛び道具で仕留められるなどと、本気で
 お考えではありますまいな……?」
「化け物め……!」
409名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 15:39:44 ID:r8WE3Upo0
書き逃げ?

時間などの状況書かないと、続くの人が困るんだが…
410ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:41:09 ID:kkH0VtWI0
悠然と立つ源蔵に、瞬きするよりも速く、綾香とセリオが飛び掛る。
乱れた襟などを直していた源蔵はそれを見やると、その鉄塊の如き拳を固める。

「樊ッ!」

綾香は戦慄していた。
四本の腕、四本の足に膝、二つの頭。
機械の力で強化された、変幻自在の同時攻撃が源蔵を襲っていた。
だが、そのすべてが源蔵に届かない。
その場に立ち尽くすように動かない源蔵の、その二つの拳が、
あらゆる打撃を受け、弾き、砕いていた。
数多の打撃と、正確に同数の防御。
攻防は一瞬だった。
必殺を狙った一打をあっさりといなされ、綾香は慌てて距離をとる。

(どうして……!
 私の格闘術はセバスチャンの免許皆伝……世界だって獲ったのに!)

乱れた呼吸を整えようとしながら次の一手を見定めようとする綾香の
内心を読んだように、源蔵が口を開く。

「源四郎など、来栖川家令の中では一番の小物……。
 今度はこちらから、参りますぞ―――!」

目の前に立つ源蔵の姿が、膨れ上がったように綾香には感じられた。
闘気。
そんなものが形を成すなど、漫画の中の出来事だと思っていた。
これまで一歩たりとも動かされることのなかった源蔵の足が、ゆっくりと
踏み出される。
源蔵の右の拳に、全身のバネが集中していくのがわかる。
わざわざそれを見せ付けているのだと認識はしても、身体がついてこない。
かわせない、殺られる、と確信した。
411ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:42:25 ID:kkH0VtWI0
「―――! …………、え?」

源蔵の拳は、綾香の眼前、数センチで止まっていた。
押し退けられた風が、遅れて綾香の長い髪を激しくはためかせる。

「……呪い、でございますかな」

そう呟いた源蔵の左足に、うすぼんやりとした靄のようなものが、
絡み付いていた。
芹香の放った呪詛が、文字通りの間一髪で綾香を救っていた。

この機を逃す手はなかった。

「セリオ! 離脱する!」

なんだか逃げてばかりだな、などと益体も無い思考が綾香の脳裏によぎるが、
ともあれ今は源蔵から逃れるのが最優先事項だった。
全力で逃走を試みる綾香一行。

見る間に小さくなるその背を見やりながら、源蔵は静かに呟く。

「……あまり、おいたをなされますな」

溜息をつくや、気合一閃。
硬質な音が響き、足に纏わりついていたモノが砕け散った。

   ―――これも貧乏が悪いのかなぁぁぁ―――

余人には聞こえ得ぬ断末魔を残して消える何か。
それを気に留めることもなく、源蔵は歩き出す。

その足取りに、揺るぎはない。
412ダニエル・ザ・ラブハンター・キラー:2006/10/25(水) 15:43:13 ID:kkH0VtWI0
【22:00頃】
【D−7】

【37 来栖川綾香】
【持ち物:パワードスーツKPS−U1改、各種重火器、こんなこともあろうかとバッグ】
【状態:焦燥】

【60 セリオ】【持ち物:なし】【状態:グリーン】
【9 イルファ】【状態:どっこい生きてるド根性】

【38 来栖川芹香】
【持ち物:水晶玉、都合のいい支給品、うぐぅ、狐(首だけ)】
【状態:若干疲労】
【持ち霊:うぐぅ、あうー、珊瑚&瑠璃、まーりゃん、みゅー、智代、澪、幸村、弥生】

【72 長瀬源蔵】
【所持品:防弾チョッキ・トカレフ(TT30)銃弾数(6/8)・支給品一式】
【状態:普通】

→126 →319 ルートD−2

>>409
あー、規制引っかかってたのよ。携帯の回避って意味ないのかね。
助かった、ありがとう。
413名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 15:44:46 ID:r8WE3Upo0
スマン、10分も書き込みないからてっきり…って思ったっすw
414柳川さん絶好調(1/2):2006/10/25(水) 23:17:50 ID:OXnA+EE90
「メッ!!おいたはメッ!!」

つかつかつか、ぱしん!

「痛いっ、な、何するんですか・・・」
「人にこんなモノむけちゃダメです!没収!!」
「返してよ〜、私はそれで冬弥君を守るんだから〜」
「メッ!!こんなもの、こうしてやる!」

ガンガン!!グシャ!

「ふう。これで使い物にならない、と」
「ガーン・・・私の銃が・・・」

柳川の勇士を、楓は見守り続けた。

「ほら、ここ座る!正座!!」
「すんすん・・・うえ〜ん、冬弥君助けて・・・」
「甘えない!」

柳川の説教は三時間弱続いた。
柳川の勇士を、楓は見守り続けた。
ちょっと、由綺が可哀想になってきた。

「フゥ・・・これくらいで許してやるか」
「うえ〜ん、うえ〜ん」
「泣かない!これしきのことで涙を無駄使いしない!!」
「・・・お疲れ様です」
415柳川さん絶好調(2/2):2006/10/25(水) 23:18:27 ID:OXnA+EE90
泣き続ける由綺の背を、楓は優しく撫でた。
その時、辺りにノイズがかった人の声が響き渡る。

「・・・定時放送だと?」

緊張がかった柳川の声に、二人も押し黙る。

『2 藍原瑞穂
15 緒方理奈
27 河島はるか
・・・・・・・・・・』

「え?」
きょとんとした由綺の声。
楓が声をかけようとした時だった。

「何?!貴之だと?!!!」

表情が一気に険しくなる柳川。

「・・・いえ、貴明です。42番の河野・・・」
「ノン!貴之が死ぬはずない!!何かの間違いだ!!!」
「ですから」
「俺確かめる!俺行く!!」

柳川は全速力で走り去っていった。
楓の声を無視して突っ走る彼に、二人は二の句が告げなかった。
416補足:2006/10/25(水) 23:19:03 ID:OXnA+EE90
柳川祐也
【時間:1日目午後6時】
【場所:平瀬村住宅街(G-02上部)】
【持ち物:出刃包丁・ハンガー・支給品一式】
【状況:貴之が死んだなんて嘘だ!】

柏木楓
【時間:1日目午後6時】
【場所:平瀬村住宅街(G-02上部)】
【持ち物:コルト・ディテクティブスペシャル(弾丸12・内6装填)・支給品一式】
【状況:貴明です】

森川由綺
【時間:1日目午後6時】
【場所:平瀬村住宅街(G-02上部)】
【持ち物:破壊された89式小銃・支給品一式】
【状況:誰?】

(関連・76)(Dルート)
417名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 23:26:00 ID:IZiLHtEN0
状況意味不明すぎ
418名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 00:15:17 ID:E4BvMsYE0
とりあえず上げてみる
419名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 00:40:15 ID:KEW813Ae0
ギャグ?
420ここはだれ:2006/10/26(木) 01:26:55 ID:UufaOPD0O
沖ノ島(おきのしま)は、福岡県宗像市にある宗像大社の神領で、
玄界灘の真っ只中に浮かぶ周囲4kmの孤島である。


「……どこ、ここ」
「沖ノ島だろ。すぐ上の行も読めねーのか」
「ここに、ノートがあるの……?」
「全然そんな感じしないんだけど」
「きっと指定が曖昧だったんだよ……」
「で、どうすんの」
「船で帰るしかないんじゃ……」
「どこに船があるのよ」
「天使が餓死とか洒落になんないわ……」
「まぁいいじゃん、ウチら失うものなんかなんもねーよ。
 そんな気がする」
「とりあえずこの島を探してみようか……」
「無駄に広いな」

クダを巻く枠外作品一行。
彼らの冒険は始まったばかりである。

「ちなみにここ、女人禁制らしいよ?」
「知るか、人じゃねーもん」

城戸芳晴・コリン・ユンナ・エビル・ルミラ・イビル
【持ち物:支給武器不明、支給品一式】
【状況:力使用不可、死神のノート探し】

時間【二日目0:00頃】
備考【ナイトライターご一行様の次回作にご期待ください!】
421さぷらいずぎぎぎ:2006/10/26(木) 09:45:35 ID:41Mgbfmi0
 岸田洋介は由真と花梨を船室に押し込み、カッターナイフを二人に向けた。
「さあ、おとなしく犯されてもらおうか。
おっと、下手に動くとこのカッターナイフが火を吹くぜ!」

 岸田の発言に由真と花梨が固まった。
(こ、この人ギャグセンスおかしいんよ!)

 岸田は入り口を塞いでいるため二人に逃げ道はない。
彼が船室に入る隙を突こうと、二人が機をうかがっていたときのことだった。
花梨の全身が急に光を放ち、支給品もろとも粉々に砕け散ったのである。
「か、花梨っ!?」
「何だっ!?」

 突然の事態に、由真も岸田も呆気にとられていた。
だが逃げ出すチャンスは今しかない。
花梨に何が起こったのか、それを考えるのは後にまわし、
由真は岸田を突き飛ばして船の外に向かって駆け出した。
「しまった、待ちやがれこの雌豚ッ!」
それを岸田は急いで追いかけた。

 定時放送の都合上、とりあえず6時間ぐらい由真は岸田から逃げ続けられたらしい。
凄い体力だ。俺は参った。

 紆余曲折の末に、由真はとうとう岸田に捕らえられてしまった。
なお、二人とも疲労のため定時放送はよく聴いていない。
422さぷらいずぎぎぎ:2006/10/26(木) 09:46:08 ID:41Mgbfmi0
「はぁ、はぁ、やっと捕まえたぜ。一体どういう体力してんだよテメェ」
「そ、それはこっちのセリフよ、この変態……ぜぃ、ぜぃ」
「まあいい。苦労したが、やっとお前をレイプできる。
覚悟しやがれこの雌豚」
「こ、これで勝ったと思うなよっ!」

 由真はそう言って岸田の金的を蹴り上げようとしたが、
軽く岸田にいなされ、服を破り捨てられてしまった。
「くっ」
「お嬢ちゃん、処女か?」
どこぞの吸血鬼のようなことを言いつつ、岸田は自慢の男根を由真に突き立てた。

「い……」
由真が悲鳴をあげようとしたそのとき、花梨のときと同様に由真から光が溢れ出した。
「またか、一体何なんだ!」
岸田はその光に巻き込まれ、そして……


     ガラクタ人形のなかにいる……


 気が付いたとき、彼は殺風景な部屋の中にいた。
(何処だ、ここは?)
体の自由が利かなかった。どうやら今は椅子に座らされているらしい。
前方にはモニターが置かれており、幼稚園ぐらいの子供が一人それを観ているようだ。
モニターには、髪の色が銀で、目の色が紫で、背中に6枚の銀色の羽が生えていて、
何だかよく解らない凄い鎧を装備した物凄い美少年が戦っている映像が映っていた。

(わけがわからねえ)
岸田は何とか体を動かそうとした。
423さぷらいずぎぎぎ:2006/10/26(木) 09:46:43 ID:41Mgbfmi0
  ぎぎぎ

  ぎぎぎ

  恐ろしいほどにぎぎぎ

  びっくりするほどぎぎぎ


 ただひたすらに奇怪な音だけが響く。
(お、おいおい。意味分かんねぇよ! 何だかよく分からないけど、行くぜっ!)

 さらに頑張って体を動かそうとすると、かろうじて腕が動いた。

  ぎぎぎ

  ぎぎぎ

 不気味な音が鳴り響く。
「……なんか変なのがきた」
モニターを観ていた幼女が異変に気付いて目の前にやってきた。
(なんだこのガキ……)
「えいっ!」
彼女は何を思ったか、ガラクタ人形の目に指を突き刺した。

(うおーっ! 目がっ! 目がーっ!)

 彼女は満足したらしく、誇らしげにモニターの前に戻っていった。
424さぷらいずぎぎぎ:2006/10/26(木) 09:47:33 ID:41Mgbfmi0
 【時間:すでに終わっている】
 【場所:幻想世界】

 岸田洋介
 【持ち物:なし】
 【状態:ぎぎぎ】

 岡崎汐
 【持ち物:不明】
 【状態:ロワ観戦中】

→042, →048, →327, ルートD
425名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 13:21:31 ID:8Gr5QQBU0
(てっきり、お母さんがどこにいるのか分かってるんだと思ってたよ……)

 既に1時間以上も島の上空を飛び続けながら、神奈は未だに晴子を見つけられなかった。

「ええい、目覚めたばかりで本調子ではないのだ! 建物や林の中に紛れておれば見逃しもするわ」
(でも、術とかそんなので探せないの?)
「余とて、なんでもできる訳ではない。この世でなんでもできるのは……“いふゐち”ぐらいのものだ」
(“いふゐち”ってなに?)
「余も詳しくは知らぬが、そういう何でもできる万能の存在として微かに翼人の記憶に残っておるのだ」
(それはいいけど……もうすぐ日が暮れちゃうよ)
「今しばらく待っておれ、すぐに見つけてやる!」

 その時、地上から銃声が聞こえた。
 見下ろすと、女が男と銃を突き付け合っている。男の近くには少女が一人。

(あ! お母さんだ)
「おお、あれがおぬしの母か。あの者共と戦っておるようだな……おうおう、派手に撃ちよるわ」
(早く助けてあげて!)
「うむ、任せよ」

 撃ち合う両者の間に降り立った神奈は、晴子の敵―――英二と芽衣に向けて翼を広げた。

「人よ、己が罪を知れ。汝らが余に与えし千年の悪夢、その報いを―――受けよ!」
(にはは、そのセリフ、すごく必殺技っぽい)
「一々茶々を入れるでないと言っておる!」

 ぶわっ。

「なんだっ!?」
「きゃあ!」

 神奈の翼からどす黒い瘴気が溢れ、たちまち英二と芽衣を包んだ。
426名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 13:22:50 ID:8Gr5QQBU0
 ・
 ・
 ・

「はっ」

 気が付くと芽衣は部屋の中に立っていた。

 ―――英二さんと一緒にお兄ぃちゃんを探して歩いてたら、いきなり女の人が撃ってきて……。

 芽衣は急いで辺りを見回した。そこは、

「私の部屋……?」

 ―――そっか、夢だったんだ。そうだよね。あんな事本当にあるはずないもん。

「はぁ……」

 芽衣は安堵の溜息を漏らした。

 ガチャ。

 その時、部屋のドアが開いた。

「だれっ!?」
 まだ夢の恐怖が抜けきっていない芽衣は思わず怯えた声を出してしまう。

「やあ、芽衣」
「お兄ちゃん……? 無事だったの……じゃなくて学校は?」
 遠くの町の高校に通っていて家にはいないはずの兄がドアから顔を出していた。
「ちょっと、芽衣に会わせたい人がいてさ……ああ、入ってよ」
 陽平に続いて同じ年頃の背の高い男が入ってきた。
427名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 13:26:19 ID:8Gr5QQBU0
「紹介するよ。僕のスタディの岡崎さ」
「おいおい、春原、それを言うなら『ステディ』だろう」
「あ、いけね」
「こいつぅ」
「てへっ☆」
「『てへっ☆』じゃねーよ、可愛すぎるぞ春原、この野郎! 可愛すぎるからチューの刑だ!」

 むちゅう。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 芽衣は知っている人が見れば兄そっくりだと思ったであろう表情で絶叫した。 

 2人はたっぷり5分は愛し合ってからようやく顔を離した。
 唇と唇の間がキラキラと光る糸で結ばれていた。

「ごちそうさま」
「あふっ……上手すぎるよ岡崎……」

(ガクガクガクガク……)

 その光景は兄の身に起きた事を理解するのに十分な物だった。

「芽衣、見ての通りだ。僕、高校で本当の自分を見つけたんだ。これからはこいつと一緒に生きていく。死ぬまでな……」
「嬉しいぜ、春原!」
 2人は抱き合う。

「ああぁ……」

「じゃあ、僕はいくよ。元気でな」

 絶句する妹を置いて陽平は朋也と手を繋いで部屋を出て行く。
428名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 13:28:10 ID:8Gr5QQBU0
「お兄ちゃん! 待ってっ! そっちの世界に行っちゃだめぇーーっ!」

 芽衣は駆け出した。男の恋人と共に遠ざかる兄の背中を追って。

「芽衣ちゃん! 危ないっ! そっちは―――」

 英二は叫んだ。だが、その声は届かず、

「おにいちゃーーーーーん……」

 芽衣の姿は崖の向こう側に消えた。

「あ……ああぁ……」

 崖の方へ2、3歩足を踏み出したところで英二の膝が崩れた。

「む……おぬし、何故余の悪夢を受けて狂い死なん……?」

 地面に蹲って震えてはいるが、まだ正気を保っている英二に神奈が問い掛ける。

「悪夢……? ははは……理奈を失い……そして今、あの子まで見殺しにしてしまった……。
 この現実が既に悪夢そのものだからじゃないかな……」

 英二は自嘲的な笑みを浮かべながら言った。

「そうか、ならば物理的に死ぬがよい」


 ポーーーーーーーーーーン…………………………グシャ。


 神奈の一声で高々と空に打ち上げられた英二は数秒後に地面に激突して死んだ。
429名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 13:34:55 ID:8Gr5QQBU0
(にはは……障害は即排除。私たちすごく悪役っぽい)
「まあ、余は平行世界では“らすぼす”を演じたぐらいだからな」
(へいこうせかいって?)
 翼人の記憶を覗けばすぐに分かることだったが、そこに気付かない観鈴は神奈に訊ねた。

「平行世界とは……そうだな、お主の場合で言えば、国崎往人が診療所の娘や天文部の娘と乳繰り合うような世界だ。
 あるいは、動けなくなったお主が部屋の中で一人寂しく死んで腐り果てるような、そんな別の可能性を辿った世界のことだ」
(が、がお……そんなのいらない)
「うむ。余もこの世界では違った結末を迎えたいものよの」
(どうしてだろ……酷い結末のような気がするな……)

 057 春原芽衣 【死亡】
 014 緒方英二 【死亡】

 神奈
 【持ち物:ライフル銃】
 【状況:晴子に会えて一安心】

 024 神尾晴子
 【持ち物:銃】
 【状況:あまりの出来事に呆然】

 【時間:18時過ぎ(第1回定時放送の少し後)】
 【場所:海岸沿いの崖の近く。詳細は次の書き手にお任せ】

※Dルート。255「ずっと、幸せなばしょ…へ」の続きです。

タイトル忘れてた。>>425-429「妹と兄の見た悪夢」でお願いします。
430みづきまなのしらないばしょで(1/2):2006/10/26(木) 14:47:26 ID:9RjuhHm50
「うんうん、マナちゃん順調なようだね。
 キリシマ博士もいい子見つけてくれて良かったわ〜」
「そうですね、開始一日目ですでにクラスBを二つなんて想像を絶するスピードです。」

主催者達とは別の部屋のモニターにて、島の様子を見守る男女がそこにいた。
貴族のような豪華な椅子に座り、片手ではワインをくゆらせながら女は問う。

「里村茜の方はどうかな?」
「現在、クラスBのガールズパワーを一つ回収した模様です。」
「そう・・・厄介だね〜、やっぱりっ」

溜息。まず、女としてはGL側の人間が主催の方に近いことすらやりずらい現状であった。
あちらは支給品に図鑑を混ぜられたのに対し、こちらは危険を省みず持ち込むことから考えなければいけない。
上手くいったからいいものの・・・失敗したら、まずキリシマ博士が無事でいられることはなかったであろう。

「ただ、図鑑はあくまでカップリングに対する保持者の萌えパワーがなければ成り立ちませんし。
 里村茜自身が自分に萌えることもないでしょう、それだけが救いですよ」
「にゃはははは☆彼女が自ら葉鍵の女の子達を狩っちゃったら、もうこっちの不利にも程があるもんね!
 ここら辺は図鑑の性能の限界に感謝感謝〜」
「これからどうします?キリシマ博士に連絡をとり、指示を仰ぎますか」
「今はいいわよ、進行に問題ないっしょ」
「・・・キリシマ博士、この子に全てを伝えなかったようですし、それが裏目に出なければいいのですが・・・」

男は今一度、モニターの中のマナに目をやった。
夢中で春原陽平と住井護の交尾シーンを見つめる姿は純粋そのもの、あどけない少女のものである。

「BL図鑑で集めたボーイズパワーは確かにガールズパワーを相殺するものの、
 その代わり少しでもガールズパワーを上回った場合はこちらのプロジェクトが実行されるということ。
 それが、真のBL計画の目的だということを」
「BL計画終末作戦『モーホーパラダイス(略してモーパラ)』、
 全葉鍵キャラを柳川色に染める乙女の夢・・・う〜ん、ゾクゾクしちゃうね!!」
431みづきまなのしらないばしょで(2/2):2006/10/26(木) 14:48:45 ID:9RjuhHm50
「統帥、落ち着いてください」
「ああんっ、ごめんごめ〜ん☆
 ・・・でも、あなたがこちら側についてくれるとは思わなかったわよ、みやたくん。
 スフィ−ちゃんなら面白がって同調してくれるとは思ったけど〜」

統帥と呼ばれる女の不思議そうな眼差し・・・宮田健太郎は、苦虫を噛み潰したような表情でそれに答えた。

「俺、存在感ないですから・・・」
「にゃははははは☆そんなこと気にしてたら生き残れないぞ〜」
「で、でも・・・ぐす、まじアン自体『パンパン』としか言われないし、もう俺どうしようかと・・・。」
「や〜んもう、泣かないでっ」
「ゆ、結花は結花でリアン抱えてGL側いっちまうし、もう俺、ひっく、ほ、ホモでも何でもいい、で、出番が・・・欲し・・・」

涙する健太郎を、女は優しく胸に抱く。
その温かさに、彼の涙腺は緩む一方で。

「頑張れみやたくん、君ならきっといいへたれ攻めになれるよ!!」
「とうすい・・・」

女・・・BL計画司令部統帥、葉賀玲子は彼の背中を撫でながら、強い決意を口にする。

「全ては『モーホーパラダイス(略してモーパラ)』のために!
 頑張ろうね、みやたくんっ!!」
「うーん、おっぱいおっぱい」
「にゃははははは☆みやたくん、裸エプロンの刑になりたいのかな?」
432補足:2006/10/26(木) 14:49:43 ID:9RjuhHm50
葉賀玲子
【時間:2日目午後0時近く】
【場所:主催者達とは別の部屋】
【所持品:いおりゅん衣装、貴族椅子、ワイングラス、コルトガバメント】
【状態:やる気満々】

宮田健太郎
【時間:時間:2日目午後0時近く】
【場所:主催者達とは別の部屋】
【所持品:五月雨堂エプロン、コルトガバメント】
【状態:おっぱい】

(関連・329・342・343)(Dルート)
433油断と誤算:2006/10/26(木) 17:13:56 ID:CKJp1NUXO
「なんだ、なんだよこれ!」
いきなりの焼きつくような熱と光に視界を奪われ、雄二たち一同は混乱していた。
同様に状況把握も出来ずに右往左往とうろたえる一同の隙を良祐は見逃さなかった。

にやりと頬を上げると、ドラグノフを抱えると身を隠していた木から身体をそっと乗り出す。
武器らしい武器が確認できるのは一人。
隠し持っているのかもしれないが、混乱しているこの状況ですぐさま取り出し自分に向けて攻撃など出来ないだろう。
当たりをつけたのはベレッタトムキャットを持つ月島瑠璃子―まっすぐに銃口を向け「あばよ」と呟いた。
「皆さん右です!」
だが、トリガーを引こうとしたその瞬間上がった思いもよらぬ声に銃口はぶれ、
銃弾は瑠璃子を討ち貫くことは無くその頭上を超えていった。
「銃!?」
目を押さえながらも発せられる雄二の叫びに、良祐はチッと舌打ちをする。
問題はそれよりも今の声だ。
その主のほうを睨みつけるように確認すると、そこにはモップという場違いな武器を抱えている一人の少女…マルチ。
ブルブルと震えてはいるものの、その目はキッと自分を睨みつけていて苛立ちを募らせた。
糞、何故あいつは平気なんだ!
ロボットであるマルチにスタングレネードが効かなかったことなど良祐は知る由も無く、
理由の是非はともかく自分を視認できているマルチを一番の障害と一瞬で認識し、銃口をマルチに向けた。
だが、マルチの行動が一瞬だけ早かった。
目の前は真っ暗になり、良祐の頭に割れんばかりの衝撃が響いた。
何が起きたかもわからずドラグノフを落とし、両手を当てながら悶絶する。
ドサッと良祐の足元に転がったのは、マルチにより顔面に投げつけられたモップだった。
当の本人は当たると思っていなかったのか困惑の表情を見せていたが、すぐ我に変えると再び叫んでいた。
「みなさん! いまのうちに!」
腰を抜かしたままへたりと座り込んでいる沙織の手を取り、マルチは叫ぶ。
その声を頼りに雄二も手探りにマルチの身体を掴み駆け出した。

そんな中、瑠璃子は視界を奪われた状況でも一人冷静に思案していた。
敵、銃を持っている、誰を狙っていた?
決まっている、私だ。
434油断と誤算:2006/10/26(木) 17:15:18 ID:CKJp1NUXO
この中で狙うとしたら目に見えて武器を持っている自分を真っ先に狙うだろう。
どうする? 撃つ? 逃げる?
弾数が限られている中、非力な自分が勝ち残るためにはこれは大事なところで使わなければならない。
普通に撃って当てれる自信も無いのにこんな目が見えない状況で当てれるはずも無い。
だからと言ってこの状況で逃げ切れる…?
「ふざけるな、餓鬼どもぉっ!」
顔面を押さえながらヨロヨロと立ち上がった良祐の怒号が飛ぶ。
思考はかき消され、その声に反応して瑠璃子は銃口を良祐に向けた。
勿論前など何も見えていない。
だがこうしていても圧倒的に自分達は不利だろう。
そう悟った瑠璃子は運にかけた。
ドンッと弾丸は飛び出されたものの、それは良祐の身体とは見当違いの方向へと飛んでいく。
「!?」
再び耳に響いた銃声に雄二は焦りながら走るスピードを速めた。
マルチも同様に後ろを振り返ると、ついて来ているとばかり思っていた瑠璃子が未だ先ほどの場所にいるでは無いか。
「瑠璃子さん、こっちへ! 雄二さん、このまままっすぐ走ってください、沙織さんをお願いします!」
沙織の手を雄二に握らせ雄二が頷いたのを確認すると、踵を返して瑠璃子の元へ駆け寄るマルチ。
その間も瑠璃子はゆっくりと下がりながらも銃弾を発射していた。
二発、三発、四発と撃ちだすも無情に空へと消えていく。

顔面が割れるように痛む中、憎悪に満ちた顔で瑠璃子を睨みつけながら良祐は零れ落ちたドラグノフを拾う。
一瞬で殺してほしかったと哀願するくらいの惨めな苦痛を与えてやる。
そう考える彼の怒りはもはや収まらなず、ゆっくりと銃口を瑠璃子に向けた。
トリガーに手をかけた彼の思惑は、思いもよらぬ出来事によって再び遮られた。
自信の周囲が青白く光っていることに気付く。
…なんだ!
435油断と誤算:2006/10/26(木) 17:16:45 ID:CKJp1NUXO
足元にはどこかで見たことのあるような図形が広がり、良祐を包んでいる。
そして考える余裕も与えられず、それは良祐の身体に強い衝撃と共に舞い落ちた。
「ぐぉっ!!」
頭上から振ってきた人の姿に良祐は体制を崩す。
その声を瑠璃子は聞き逃さなかった。
ダンッ ダンッ ダンッ カチカチカチ...
「ぐあぁぁぁっ!!」
間発いれずに全弾を撃ち尽くす。
その中の一発が良祐の左太ももにめり込み、苦悶の表情を上げながら倒れ込んだ。
「瑠璃子さん、早く!」
良祐は瑠璃子の手を取り逃げていくマルチを、足を押さえながら必死に追った。


だが襲い来る激痛が自身の身体をうまく操ることが出来ず、苦渋に満ちながらも良祐は追跡をそこで諦めた。
瑠璃子だな、覚えたぞ! お前だけは絶対に俺の手で殺してやる、何があろうともだ!

足を引き釣りながら元いた場所に戻るとそこにで良祐が見たものは地面に横たわり、気絶している一人の女性だった。
気絶しているのか、死んでいるかのようにピクリとも動かない。
たった今起きた、思い出しただけでも腹にすえる出来事が良祐の癇に障った。
人の狩りを邪魔しやがって!
ドラグノフの銃口がまっすぐと女性に向けられる。
苛立ちを隠すことも無く、乱暴に発射された銃弾は心臓へと一直線に吸い込まれ
口から少量の血が吐き出されると共にそのまま女性は絶命した。
「…くそっ、とりあえずこの傷を何とかしないと…」
溢れ出る血を押さえ、転がるバックを手に取ると、良祐はゆっくりと立ち上がり引き釣りながらもその場を去っていくのだった。

残されたのは一人の女性…ユンナの死体。
何が起きたのかを理解することも無く、苦痛を感じることも無く、到着直後に彼女はゲームからリタイアすることになった…。



436油断と誤算:2006/10/26(木) 17:20:11 ID:CKJp1NUXO
向坂雄二
 【所持品:死神のノート(ただし雄二たちは普通のノートと思いこんでいる)、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
新城沙織
 【所持品:フライパン、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
マルチ
 【所持品:支給品一式】
 【状態:逃走】
月島瑠璃子
 【所持品:ベレッタ トムキャット(残弾数0/7)、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
巳間良祐
 【所持品1:89式小銃 弾数数(22/22)と予備弾(30×2)折りたたみ式自転車・予備弾(30×2)・支給品一式x3(自身・草壁優季・ユンナ)】
 【所持品2:スタングレネード(1/3)・ドラグノフ(残弾8/10)・H&K SMG U(6/30)、予備カートリッジ(30発入り)×5】
 【状態:右足を激痛、描かれて無い所持品はそのへんにおいてあるはず】
ユンナ
 【状態:死亡】

共通
 【場所:I−7】
 【時間:午後7時40分】
 【備考:雄二たちが合流できたかどうかや逃げた先、良祐の行き先などは不明】
 【→293 →346 ⇔349のB-10関連】
437タイミング:2006/10/26(木) 18:18:51 ID:JdYYp9kI0
「こいつは相当やばい感じがするナ……」
場所はホテル跡511室。
エディは血に染まった手帳を閉じながらそう言った。

「少年……何者やの……?」
「そいつはまだ分からなイ。手帳の少年が名簿の少年と同一人物なのかも分からなイ。
それでも警戒するに越した事はないナ」
花梨がエディ達の所に戻った後、彼女を待っていたのは叱責ではなかった。
二人とも手帳の内容の解明に追われ、それどころでは無くなっていたのだ。
しかしいかんせん読み取れない字が多すぎる。511室も隅から隅まで探したが、新しい発見は無かった。

「でも、鍵って何を開くもんなんやろうな?」
「もしかして脱出経路を開く鍵とか?それだったら助かるんよ!」
「いや、残念ながらそれはないだろウ……、主催者側はそんな物を用意する意味が無いだろウ」
「やっぱそんな美味しい話はあらへんか…」
溜息をつく智子と花梨。
「まあそんなに落ち込むナ、この宝石が何か重要な役割を持ってるのは間違いないだろうしナ」
「宝石が鍵になるって、ミステリの匂いがぷんぷんするんよー」
「まあとにかく今日は休憩だナ、今無理しても体力がもたなイ」
「それじゃ移動せえへんか?1階で泊まった方が万が一の時逃げやすいやろ」
「そうだナ」

エディを先頭に階段を降りる。
そして彼らが階段を一階まで降りた時、フロントの方から声がした。
「これは……サツキちゃんの声じゃねぇカ!」
エディが嬉々としてフロントへと飛び込む。
その時一発の銃声が鳴り響いた。



438名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 18:19:50 ID:JdYYp9kI0

――――皐月達はホテル跡のフロントで立ち尽くしていた。
「―――今、なんて?」
「残念じゃが、放送で呼ばれた中におまえさんの探し人の一人―――伏見ゆかりさんの名前があったのじゃ……」
その言葉に皐月の頭の中が真っ白になる。
「ゆか…り……」
脳裏に親友の顔が浮かぶ。
目から涙が溢れる。震えが止まらない。何も考えれない。
「ゆかりぃぃぃ!!」
私はこんな状況でも絶望していなかった。
宗一がいるから。きっと宗一なら、何とかしてくれると思っていたから。
また宗一とゆかりと3人で元の生活に戻れると信じていた。
それが、その希望が早くも砕かれた。目の前の景色が歪む。

「!?」
そんな時、奥の廊下から誰かが飛び出してきた。
敵だ!
私は反射的にその影に向かって銃を引いた。


ダァァンッ……


「エ…?」
その場にいる全ての者が固まっていた。
目の前で起きた惨事が理解できずに。
皐月の銃の銃口から煙が上がっている。
――銃弾は、エディの腹を貫いていた。
エディが、腹部から血を迸らせスローモーションのように、
ゆっくりと倒れた。

「え……エディさ…ん?」
439タイミング:2006/10/26(木) 18:20:48 ID:JdYYp9kI0
皐月は飛び出してきた相手が誰か、ようやく気付いた。
それは彼女もよく見知った男であった。

「そんな…私敵が来たと思って反射的に……」
後30分再会が早ければ、後30分再会が遅ければ、無事に再会を果たせたはずである。
だが、タイミングが悪すぎた。
極端に不安定な態精神状態になっていた今の皐月にとって、
何者かの急な乱入は引き金を引くのに十分過ぎる理由だった。


エディは倒れたまま動かない。
その腹からはとめどもなく血が溢れてきている。
「嘘……嘘でしょ……?」
皐月は現状がまだ理解出来ない。いや、理解出来ても認める事が出来ない。
自分がエディを撃ったという事実を。
「あんた…何やっとんのや!!」
ようやく智子が状況を飲み込み、専用バズーカ砲を皐月に向かって構えた。
「いや…いやぁぁぁぁぁっっ!!」
それを見た皐月は錯乱しながらホテルの外へと駆け出していた。
彼女は恐怖と自責の念に支配されていた。

「待たんかい…この…」
「ダメ!エディさんの治療が先なんよ!」
花梨は皐月を追おうとした智子を制した。
智子がエディの元へと駆け寄る。
「エディさん、大丈夫かいなっ!?」
「こいつ…は、まずい…かもナ…」
エディは吐血しながらも何とかそれだけを口にした。

「は、早くしないと…そこの二人も救急道具探すのを手伝ってよぉ!」
花梨に言葉で幸村もこのみもようやく硬直が解け、慌てて救急道具を探し始めた。
440タイミング:2006/10/26(木) 18:23:05 ID:JdYYp9kI0

「あかん…あかん……止まらへん!」
血が止まらない。真っ赤な血が溢れ続ける。
仲間が放った弾による傷から血が吹き出し続けている。
エディの体からは急速に体温が失われていっていた。

【場所:E−04】
 【時間:1日目18時30分】
幸村俊夫
【所持品:支給品一式】
【状態:動揺】

湯浅皐月
【所持品:38口径ダブルアクション式拳銃(残弾7/10)、予備弾薬80発ホローポイント弾11発使用、セイカクハンテンダケ(×2)、支給品一式】
【状態:混乱、逃亡】

柚原このみ
【所持品:ヌンチャク(金属性)、支給品一式】
【状態:動揺】

ぴろ
【状態:健康。フロントに置いていかれた】
441タイミング:2006/10/26(木) 18:23:40 ID:JdYYp9kI0

笹森花梨
【持ち物:特殊警棒、海岸で拾ったピンクの貝殻(綺麗)、青い宝石、手帳】
【状態:動揺】

エディ
【所持品:支給品一式、大量の古河パン(約27個ほど)】
【状態:腹を撃たれ瀕死】

保科智子
【所持品:支給品一式、専用バズーカ砲&捕縛用ネット弾】
【状態:動揺】
【ルートB-10、関連202,298,325】
442血の色の溝:2006/10/26(木) 18:25:16 ID:AU+rdMMT0
貴明を見送った雄二たちは、診療所への道を急いでいた。

「くそ、すっかり日が暮れちまった……!」

雄二が毒づく。
ほんの数百メートルが、ひどく遠い。
一度は収まった苛立ちが、再び鎌首をもたげている。
原因はといえば、はっきりしていた。

「雄二さん、沙織さんは少し休ませてあげないと……」

またか。
思わず舌打ちする雄二。

「さっきも休んだだろ」
「ですけど……」

見れば、沙織は瑠璃子に抱えられるようにして俯いている。
その足は止まっていた。

「何だよ。今度は何だ。疲れたのか。何か思い出したのか。
 また藍原とかいう子のことか……!」

雄二の低い声に、沙織の肩が震える。
見る見るうちに、その眼に涙が溢れてくる。

「雄二さん……、あの、それは」
「死にたいのかよッ!!」

堪えきれず、雄二が大きな声を上げた。
びくり、と身を震わせて、沙織はその場にしゃがみ込んでしまう。
443血の色の溝:2006/10/26(木) 18:26:56 ID:AU+rdMMT0
「新城さん、大丈夫だよ……」

すかさず瑠璃子がその肩を抱いて囁きかけている。
たまらずマルチが雄二に抗議の意を示した。

「そ、そんな声を上げないでください……。
 沙織さんはちょっと疲れてるんです、だから……」
「判ってるよ、んなことは!」

雄二のトーンは収まらない。

「お前らこそ本当にわかってんのか、貴明がいなくなったってことは、
 今の俺たちは殆ど丸腰なんだぞ!
 こんなところでモタモタしてたら、誰かに見つかっちまうだろうが!」
「いえ、あの、まだ瑠璃子さんの銃もありますし……」
「はァ?」

マルチの指摘に、雄二は片眉だけを上げて答えた。
沙織の肩を抱く瑠璃子の方に向き直ると、トゲのある声で言い放つ。

「じゃ、それ、寄越せよ……。俺が持ってた方が安全だろ」
「嫌だよ」
「……」
「これは私が預かったものだからね……私が持ってる」

にべも無い返事にも、雄二の表情は変わらない。
もう何度も繰り返されてきた問答だった。
改めてマルチに向き直る雄二。

「な? 話にならねえ」
「……」
444血の色の溝:2006/10/26(木) 18:27:35 ID:AU+rdMMT0
「もし誰かと会った時に月島が逃げたりしたら、俺らはただの的だぜ?
 いや、もしかしたら隙を見て俺らに銃を向ける気かもな。おー怖え」
「瑠璃子さんはそんなことしませんよ、雄二さん……」
「どうだかな」

言葉を切ると、雄二は周囲を見渡す。

「誰かさんのせいでもう日も暮れちまったからな。
 どっから狙われてるか知れたもんじゃねえ」
「雄二さん……」

困ったような顔のマルチ。
この人が苛立っているのは、本当はわたしたちにじゃない、とマルチは感じている。
きっと貴明さんがいない今、自分がわたしたちを守らなきゃいけないという思いが
強すぎて、それでイライラしているんだろう、と思う。
優しい人なのだ。だけど今はそれが、噛み合ってない。
わたしはこの人に何をしてあげられるんだろう、とマルチが考えた、その時。

何かが弾けるような、大きな音が響いた。
夜の闇に沈んで見通せないが、木々を隔てた一本向こうの道だろうか。
雄二が強張った顔で呟く。

「お、おい、今のって……」
「じゅ、銃の音ですよね……?」

答えるマルチ。
その返答に、雄二は眉をしかめる。
発砲したということは、銃器で武装した誰かが交戦しているということだ。
つまりそれは、人を殺す覚悟のある誰かが、すぐ側にいるということ。
銃声は、人を殺す音だ。
まずい、と思って振り向いた時には遅かった。
445血の色の溝:2006/10/26(木) 18:28:24 ID:AU+rdMMT0
「いやああああああああああああああああああああっ!!」

沙織が絶叫していた。
半狂乱で瑠璃子の腕を振り解くと、立ち上がって走り出す。
向かう先は、目指す診療所の方向。

「お、おい待て、待てったら新城! ……畜生、こんな時に!」

舌打ちして後を追う雄二。
慌てるマルチと、遅れて瑠璃子が走り出す。


「……はぁ、はぁ……っ、……クソッ、どいつもこいつも!」

動かなければならない時には座り込み、状況を見定めなければならない時に限って
無闇に走り出す。
理不尽とすら思える行動に、雄二は苛立ちを通り越して怒りを覚えていた。
どうして誰も俺の話を理解しない。
どうして誰も俺の言う通りにしない。
どうして誰も、とそこまでを脳裏で吐き散らしたところで、

「チッ……おい、新城! 今度は何だ!」

新城沙織が、道の真ん中でへたり込んでいた。
その肩は震えている。
先程までと比べても、どうも様子がおかしい。

「何だってんだ……って、おい……ありゃあ……」

沙織の視線の先を追った雄二が見たのは、

「あれが、診療所……?」
446名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 18:31:43 ID:pinh+Ago0
回避いる?
447名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 18:31:44 ID:JdYYp9kI0
kaihi
448名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 18:31:46 ID:upbS5UkPO
回避
449血の色の溝:2006/10/26(木) 18:32:08 ID:AU+rdMMT0
小さな建物。
カーテンがはためいていた。
開いた窓が、きいきいと音を立てている。
奇妙に静まり返ったその屋内。
ひときわ強い風が吹き、はためいたカーテンの、その向こう。

割れた窓から、壁一面に飛び散った、赤黒いモノが見えた、気がした。

こみ上げる嘔吐感を、嫌な味の唾を吐き捨ててどうにか堪える。
状況が示す結論だけを考えようとする雄二。
それ以外のことは、想像してはいけない気がしていた。
答えは、すぐに出た。

「ここも……駄目だってのかよ!」

遅れてきたマルチと瑠璃子がすぐ後ろで息を呑むのを、雄二は感じる。
危険、の二文字が雄二の思考を覆い尽くす。

「立て、新城……! すぐここから離れるぞ……!」

雄二の張り詰めた口調にもまるで反応しない沙織。
それを見るや、雄二は沙織の肩を掴んで強引にその身を引き起こそうとする。

「……ひっ……ぃぁ……っ!」

怯えたように雄二の手を払いのける沙織。
雄二は思わず声を荒げる。

「いい加減にしろ! 立て、走れよ!」
「ぁ……ぁあ……」

そんな雄二の表情を見て、更に恐慌を深める沙織。
450血の色の溝:2006/10/26(木) 18:33:08 ID:AU+rdMMT0
泥沼だった。
見かねてマルチが声を出す。

「瑠璃子さん、わたしと瑠璃子さんで沙織さんを……」
「うん」

すぐに頷く瑠璃子。
それを見て雄二は何かを言おうとしたが、結局口をついて出たのは、
状況への対処を優先させる言葉だった。

「……、じゃあ走るぞ……。とにかくここから離れるんだ」

宵闇が、一行の行く手に広がっていた。


 【場所:I−7】
 【時間:午後6時30分頃】
向坂雄二
 【所持品:死神のノート(ただし雄二たちは普通のノートと思いこんでいる)、ほか支給品一式】
 【状態:焦燥】
新城沙織
 【所持品:フライパン、ほか支給品一式】
 【状態:恐慌】
マルチ
 【所持品:モップ、ほか支給品一式】
 【状態:困惑】
月島瑠璃子
 【所持品:ベレッタ トムキャット(残弾数7/7)、ほか支給品一式】
 【状態:推移を見定める】

→281 or 304 →310 ルートJ系
>>446-448 サンクス。
451油断と誤算(改定用):2006/10/26(木) 18:52:48 ID:CKJp1NUXO
顔面が割れるように痛む中、憎悪に満ちた顔で瑠璃子を睨みつけながら良祐は零れ落ちたドラグノフを拾う。
一瞬で殺してほしかったと哀願するくらいの惨めな苦痛を与えてやる。
そう考える彼の怒りはもはや収まらなず、ゆっくりと銃口を瑠璃子に向けた。
トリガーに手をかけた彼の思惑は、留璃子の放つ銃弾によって再び遮られた。
ダンッ ダンッ ダンッ カチカチカチ...
「ぐあぁぁぁっ!!」
間発いれずに全弾を撃ち尽くされたその中の一発が良祐の左太ももにめり込み、苦悶の表情を上げながら倒れ込んだ。
「瑠璃子さん、早く!」
良祐は瑠璃子の手を取り逃げていくマルチを、足を押さえながら必死に追った。
だが襲い来る激痛が自身の身体をうまく操ることが出来ず、苦渋に満ちながらも良祐は追跡をそこで諦めた。
瑠璃子だな、覚えたぞ! お前だけは絶対に俺の手で殺してやる、何があろうともだ!怒りは抑えきれるものではないにしろ、溢れ出る血を見て冷静さを取り戻そうと首を振る。
「…くそっ、とりあえずこの傷を何とかしないと…」
溢れ出る血を押さえ、転がるバックを手に取ると、良祐はゆっくりと立ち上がり引き釣りながらもその場を去っていくのだった。
452油断と誤算(改定用):2006/10/26(木) 18:54:15 ID:CKJp1NUXO
向坂雄二
 【所持品:死神のノート(ただし雄二たちは普通のノートと思いこんでいる)、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
新城沙織
 【所持品:フライパン、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
マルチ
 【所持品:支給品一式】
 【状態:逃走】
月島瑠璃子
 【所持品:ベレッタ トムキャット(残弾数0/7)、ほか支給品一式】
 【状態:逃走】
巳間良祐
 【所持品1:89式小銃 弾数数(22/22)と予備弾(30×2)折りたたみ式自転車・予備弾(30×2)・支給品一式x2(自身・草壁優季)】
 【所持品2:スタングレネード(1/3)・ドラグノフ(残弾9/10)・H&K SMG U(6/30)、予備カートリッジ(30発入り)×5】
 【状態:右足を激痛、描かれて無い所持品はそのへんにおいてあるはず】


共通
 【場所:I−7】
 【時間:午後7時40分】
 【備考:雄二たちが合流できたかどうかや逃げた先、良祐の行き先などは不明】
 【→293 B-10関連】
453血の色の溝(ルートB系):2006/10/26(木) 19:28:59 ID:AU+rdMMT0
以下、「血の色の溝」ルートB系用の改訂箇所を列挙いたします。

・貴明を見送った雄二たちは、 〜 日が暮れちまった……!」

どうにか追っ手を振り切った雄二たちは、診療所への道を急いでいた。

「くそ、まだ見えねえのか、診療所ってのは……!」


・「お前らこそ本当に 〜 「雄二さん……」

「わかってんのか、俺たちはたった今、命を狙われたんだぞ!
 こんなところでモタモタしてたら、さっきの奴が戻ってくるかもしれないだろうが!」

言うと雄二は、沙織の肩を抱く瑠璃子の方に向き直ると、トゲのある声で続ける。

「お前の銃も弾切れだしな……何も全部撃ちきることはなかっただろうによ」
「さっきは、ああするより他に仕方なかったんだよ」
「そうですよ雄二さん、瑠璃子さんは悪くないです……」
「今度は庇いあいかよ……話にならねえ」
「雄二さん……」


・【時間:午後6時30分頃】→【時間:午後8時前】
・所持品からマルチのモップを削除、瑠璃子のベレッタの残弾を0に
・→281 →353

※すみません、元の「血の色の溝」も一点、修正をお願いします。

・夜の闇に沈んで見通せないが、木々を隔てた一本向こうの道だろうか。

夜の闇に沈む木々に反響して、方角は判然としない。
454おばさんとおっさん:2006/10/26(木) 21:40:42 ID:wHOfGnPw0
「はぁはぁ……」
左肩から帯びた熱に身体はふらつき、秋生の息は荒い。
右腕に抱える死体となってしまった愛妻の身体を支えるのも億劫なほどだ。
勿論気持ちのうえでは手放すことなど出来るわけも無いのだが、身体がついてはきてくれない。
そんな秋生を不安げに見つめる渚と佳乃。
「お父さん……どこかで少し休みませんか?」
「何を言ってんだ、俺は大丈夫だぞ」
だが自分でもどこかから回りしているのはわかった。
娘に心配をかけているのもわかったし、気合だけではすぐにどうにもなるものでも無いかもしれない。
「でも……」
そんな顔をされるのが耐えられなくなり、秋生は小さく深呼吸しながら言った。
「……そうだな、すまん。どこかで少し休むとするか」
辺りを見渡しても人影は無い。
だが先ほどの銃声を聞きつけて人が集まってくるかもしれないし、ここに座り込むわけにも行くまい。
目に付いた一軒の家をしばし眺めると、激痛に苛まれながらも佳乃にS&W M29手渡した。
「……あそこの家にしよう、もし変な奴がいたらすぐ逃げるんだ」
二人がコクリと頷くのを確認すると、ゆっくりとドアを開けた。

「またお客さんですか?」
暗くなった部屋から落ち着き払った声がかけられる。
455おばさんとおっさん:2006/10/26(木) 21:41:13 ID:wHOfGnPw0
佳乃は思わず銃口を向け、秋生も身構える。
「心配しないでください。私は別に何もする気はありません」
その声と共に部屋に明かりが灯り、パソコンの前に座る天野美汐がクルリと椅子を回しながら答えた。
秋生が抱えた早苗の死体に一瞬顔をこわばらせるものの、動揺を見せない口調で続けた。
「先ほどの銃声ですか……」
渚と佳乃の顔が悲痛に曇るが、秋生は気にせず語った。
「ああ、殺し合いに乗っちまった馬鹿がいたもんでな……こいつは俺の妻だ。助けられなかったよ」
「あなたも殺したんですか?」
「……いや、殺せなかった。ここで殺しちまったら理由はどうあれあいつらと何もかわんねーしな。
 んま、不可抗力とは言えすでに一人殺してる俺が言える台詞じゃねーんだけどな。……で、だったらあんたはどうするんだ?」
「別にどうもしません、殺し合いに参加するつもりもありませんし、あなたが人を殺していようが、目的が何であろうが私には関係ないことです」
美汐のその言葉に秋生は警戒を少し緩めて聞き返した。
「つまり俺達がいても何も関係ないって事か?」
「ええ、何か目的があって来られたのでしたらどうぞご自由に」
少し考え秋生はゆっくり後ろで警戒している二人を見ると、小さく笑いながら言った。
「そうか、いやすまねぇ、驚かすつもりも戦うつもりも俺らには無い。ただ少し休ませて欲しいだけだ」
「はい、ちょうど暇をもてあましていたところなので私はかまいませんよ」

支給品の食料を開け頬張りながら、秋生は今までのことを美汐に話していた。
あまり興味がなさそうな顔をしながらも黙って頷きながら美汐は相槌を打っている。
456おばさんとおっさん:2006/10/26(木) 21:42:05 ID:wHOfGnPw0
さすがに早苗の話になると部屋の隅に横たえられたその死体にチラリと目をやると、静かに目を閉じていった。
「ご冥福をお祈りします……」
「どこかで眠らせてやりたいんだがさすがに余裕が無くてな……。
 食うもん食って休んだら裏にでも埋めてやろうと思う、良かったら手伝ってもらえるか?」
「ええ、構いませんよ」
物静かに微笑む少女に秋生は先ほどからずっと疑問に思っていたことをぶつけてみた。
「何もする気は無いって言ってたが、んじゃ何をしていたんだ?」
言いながら先ほどまで美汐のいた場所に視線を移す。
そこには一台のパソコン。
「見てみますか?」
秋生が頷くのを見て、美汐はパソコンに向かい電源をつける。
「こりゃ……」
画面に映った『ロワちゃんねる』のページ。
ゆっくりとページがスクロ−ルされにつれて、秋生は驚きの声を上げる。
渚と佳乃も何事かと後ろに来て驚愕していた。
「何か変わったことがあれば……と思って暇潰しに見ている感じだったのですが」
「なるほどな……だが無事で何よりだったな」
それは『自分の安否を報告するスレッド』の美汐自身の書き込みを見て出た発言だった。
美汐の顔が一瞬だけ嬉しそうに変化するのだったが、それに気付くものは誰もおらず、沈痛なそれにすぐ変わり答えた。
「ええ、本当にびっくりしました……」
言いながらパソコンの電源を切る。
「おお、消しちまうのか?俺も何か書こうと思ったんだが……」
「あ、はい、構いませんよ」
電源を付け直し、椅子を秋生にゆずる。
「んー、なんて打つかな」
457おばさんとおっさん:2006/10/26(木) 21:42:37 ID:wHOfGnPw0
カタカタと慣れない手つきでキーボードを叩く。

3:レインボー:一日目 18:59:55 ID:H54erWwvc

岡崎の小僧、生きてるか?
放送で呼ばれなかったから生きてるんだろうな。
渚のことは心配するな、俺が見つけた。
だから安心して自分の身を守ることに集中しろ。
後真琴と相沢って奴も心配するな、美汐って嬢ちゃんも元気ピンピンだ。
お前らも死ぬんじゃねーぞ。

居場所や落ち合う場所も書きたかったのだがそれをすると殺し合いに参加した奴がやって来るかもしれない。
早苗の死も今は奴を混乱させるだけだと書くのは止めた。
何度も訂正しながらも秋生は送信ボタンを押した。

早苗の死体を家の裏手に埋め、四人は手を合わせて静かに冥福を祈る。
「こんなとこで味気ない墓ですまないな……渚も小僧も絶対守るからよ」
渚の瞳からはボロボロと涙が零れ落ち、秋生はゆっくりとその身体を抱きしめながら呟いた。
鞄と武器を持ちながら秋生は美汐に声をかける。
「本当に一緒に行かないのか?」
その質問に、少し困ったように考えながら美汐は自嘲するように返す。
「ええ……」
「そうか……心配するな、お前の知り合いにあったらここにいることを伝えてやる」
強制することも無く秋生は美汐を背に手を振り、渚と佳乃も頭を深々と下げるとそれに続いて去っていった。

458おばさんとおっさん:2006/10/26(木) 21:43:13 ID:wHOfGnPw0
古河 秋生
 【持ち物:S&W M29(残弾数2/6)、ほか支給品一式】
 【状態:左肩裂傷手当て済み】
古河 渚
 【持ち物:薙刀】
 【状態:正常、秋生に同行】
霧島 佳乃
 【持ち物:鉈】
 【状態:正常、秋生に同行】
天野 美汐
 【持ち物:様々なボードゲーム・支給品一式】
 【状態:正常、一人家に留まる】
共通
 【時間:19:30頃】
 【場所:I-07】
 【備考:秋生生存ルート、224と284に関連 B-11ですが違いが診療所だけなのでB-10準拠に変更お願いします】
 【    他の生存ルートに使いたい人がもしいたら早苗とか佳乃とか適当に改変しちゃってください】
459マーダーキラー:2006/10/26(木) 22:49:56 ID:B3g0r7qc0
鎌石村へ向かっていた名倉友里であったが、響き渡ったマシンガンの音を聞いて即座に踵を返していた。
今は平瀬村内部を走っている最中だった。

友里は最初、自分にも十分勝機があると考えていた。
能天気な生活を送っていた連中に、施設での過酷な生活を送っていた自分が負ける筈が無い。
強敵は少年や郁未、葉子といった同じ施設の者だけだと、そう考えていた。
だがこのゲームは友里の想像より遥かに過酷なゲームであった。

二人の少女に対しての襲撃は失敗し、手傷を負い、武器を失った。
それに先程聞いたマシンガンの音。素手で動くのは自殺行為だった。
武器があった時でさえ、ただの少女二人相手に遅れをとったのだ。
(早く…早くもっと強力な武器を探さないと…!)
自信を打ち砕かれ、彼女は焦っていた。


だから、
「あらあら、そんなに急いでどこに行くんです?」
すぐ近くまで寄っていてきた人物にすら気付かなかった。

「――え?」
振り向くと、そこには女――水瀬秋子が立っていた。

「そんなに走り回ると、かえって危ないですよ?」
秋子は微笑んでいたが、その右手には包丁、左手には銃が握られていた。

(――――まずい)
友里は心の中で舌打ちした。
今自分は素手だ。それに目の前の女からは何か、底知れぬモノを感じる。
今戦ったら殺される―――!
(ここは何とかやり過ごすしかないわね…)

「そうですね…ありがとうございます」
460マーダーキラー:2006/10/26(木) 22:51:17 ID:B3g0r7qc0
「いえいえ。肩を怪我してるようですが、一体どうしたんですか?」
「これは突然襲われて……銃で撃たれたんです」
友里は肩を抑えながら口にする。
「それは大変でしたね」
「ええ……もうどうしたらいいか分かりません…」
「でしたら、私と一緒に行動しますか?人数が多い方が心強いですし」
理想通りの展開だ。
この女は甘すぎる。隙を見て武器を奪って終わりだ。
「私は水瀬秋子です。よろしくお願いします」
秋子は笑顔で挨拶をしていた。こちらを疑っている様子は微塵も無い。
「名倉友里です。よろしく」
友里も笑顔で挨拶をしていた。
勿論作り笑いだったが、間抜けな獲物に対しての感謝の気持ちもあったのか、
思ったより自然に笑顔が作れていた。

「では一緒に来てください。」
そうして友里は秋子の後に続いて歩きだした。
後ろからでよく見えなかったが、武器を点検しているのか秋子は銃を弄っているようだった。

暫くして友里は違和感を覚えた。
どうもおかしい。村から離れていって、森の中を進んでいるではないか。
「あの……本当に道は合ってますか?」
「大丈夫ですよ。それより、友里さんは支給品は何だったんですか?」
「トンファーでしたが…襲われた際に落としてしまいました」
そう言って表情を曇らせる。その演技は実に見事なものであった。

「そうですか…ではこの銃をお持ちください」
「…え?」
「私一人が武器を全部持っていても仕方ありませんから。護身用にどうぞ」
秋子は足を止め、振り返ると銃を差し出してきた。
友里は笑いを堪えるのに必死だった。この女はお人好し過ぎる。
461マーダーキラー:2006/10/26(木) 22:52:32 ID:B3g0r7qc0

「ありがとうございます」
笑顔で受け取り、その銃を即座に秋子に向ける。
「あら……、どういう事です?」
「見ての通りよ…お馬鹿さん、ありがとうね。そしてさようなら!」

そして友里は迷わずに引き金を引いた。だが、銃口からは何も発射されなかった。
「え?」
おかしい。何度も引いてみたが、銃弾が発射される事は無かった。

「無駄ですよ?あなたを試す為に、弾丸を抜いておきましたから」
「な……」
その時、友里の右肩に衝撃が走った。
自分の右肩に、包丁が「生えて」いた。
「あああぁぁぁぁっ!!」
直後に走る激痛。
「友里さんはマーダーのようですね」
秋子は友里の右肩から乱暴に包丁を引き抜いた。
「な…んで…?」

「単にカマをかけただけですが……、強いて言えばあなたは落ち着き過ぎていましたね。
では、私の娘が受けた苦しみを何倍にもして与えてあげますね」
そう言って、秋子は笑顔を浮かべた。それは、日常で見せるような笑顔。
しかしその顔は返り血を浴びており、手には包丁。
そんな異常な状況にも関わらず、その笑顔は穏やかだった。
「う……あ……」
この女は狂っている。冷静に、狂っている――――
恐怖で何も考えれない。
友里はその場に座り込み、腰が抜けたまま動けなかった。
462マーダーキラー:2006/10/26(木) 22:53:53 ID:B3g0r7qc0

「本当なら長時間かけて苦しめたいのですが、家を長時間空けるのは危険ですので」
包丁が振るわれる。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっっ!!」
次の瞬間には友里の左手の人差し指が、地面に落ちていた。
「手っ取り早く、罰を与えますね……さて、何本目に死にますかね?」

夜の森に悲鳴がこだましていた。その悲鳴は数分間鳴り響いていたが、やがて何も聞こえなくなった。
もしかしたら名倉友里は、このゲームの参加者の中で最も不運だったと言えるかもしれない。
何しろ、彼女はこれまで死んだ者の誰とも比べ物にならない程の苦痛を伴う死を与えられたのだから。

名雪を襲った張本人は既にこの世にはいなかったが、秋子はその事実を知らない。
だから、秋子は戦い続ける。
――――マーダーに無慈悲に苦痛を与え続ける、マーダーキラーとして。



【時間:午後10時頃】
【場所:F−02】

水瀬秋子
【所持品:IMI ジェリコ941(残弾14/14)、木彫りのヒトデ、包丁、殺虫剤、支給品一式×2】
【状態・状況:健康。主催者を倒す。ゲームに参加させられている子供たちを1人でも多く助けて守る。
 ゲームに乗った者を苦痛を味あわせた上で殺す】

名倉友里
【所持品:無し】
【状態:悶死】


【ルートB系共通、関連187・267・290】
※友里が聞いた銃声は、267話の山田ミチルのマシンガンの音
463restart:2006/10/26(木) 23:54:23 ID:2rwDA3UN0
ようやく渚が少しだけ落ち着きを取り戻したころ、佳乃がそれを見計らって言った。
「お墓…作ってあげようか」
その言葉に渚ははい、と返事して父の体を持ち上げようとする。しかし、それはあまりにも重過ぎて引きずって行くことすら出来ない。佳乃と二人掛かりでようやく外へ引き摺っていくことが出来た。
「ふぅ〜、次は早苗さんの番だね…」
「…はい。急ぎましょう」
涙声ながらもしっかりと口に出す。佳乃はうん、と言い急いで早苗の体を持ち出す。秋生ほど体が重くなかったが、二人の心にはそれ以上のものがのしかかっていた。
秋生の隣に寝かせた後、佳乃は穴を掘る為のスコップを持ってこようとした。
「あの、ちょっと待ってもらえませんか?」
「え? 何? どうしたの」
「その…もう一人の方も一緒に埋めてあげようと思うんです」
渚の言葉に目を見開く佳乃。
「どうして!? だって、この人たちがキミのお母さんやお父さんを殺したんだよ!?」
「…確かにそうです。今でもこの人を許す事はできません…ですけど、亡くなってしまわれたのなら誰だって平等に弔ってもらう権利があります。…それはわたし一人の思いとは別な事だと思いますから」
渚はそこで一呼吸置き、
「それに、たぶんもうお父さんはその人と仲良くやっているころだと思いますから」
今出来る限りの精一杯の笑顔で渚は答える。
「分かったよ…キミがそう言うなら、私はそれに従うよ。…それじゃ、運んであげようか」
それから葉子を運び終えた後、二人は診療所にあったスコップを持ち出し穴を掘り始めた。二人とも非力なせいで作業は遅々として進まない。
気がつけば、既に夕日は沈み夜の世界になっていた。それにもかかわらず半分ほどしか作業は終わっていない。渚も佳乃も汗と涙、そして土で顔は汚れきっていた。
そんな時に、二人とも――いや正確には渚は知らないのだが――存在を忘れていた少年がようやく帰ってきた。
464restart:2006/10/26(木) 23:55:25 ID:2rwDA3UN0
「…おい、何だよ、これは? 何があったって言うんだ?」
帰ってきた宗一の目の前にあったのは、つい先程まで共に過ごしていた仲間の遺体、そして食料調達の合間に出会った男の姿だった。
宗一の存在にようやく気がついた佳乃が、あ…と小さく声を漏らす。
「宗一くん…」
渚は眠っていたので宗一のことは知らなかったのだが、佳乃が名前を呼んだことからきっと敵ではないのだろう、と判断した。
宗一は呆然としながらも調達してきた食料を二人の前に置き、その中からおにぎりを取り出しながら二人に尋ねた。
「…これを食べながらでいいから、順を追って説明してくれ」
     *     *     *
渚と佳乃から一部始終を説明され、宗一はまたしても自身の行動に後悔した。
どうして、あの時俺はあの視線の意図に気がつかなかった? あの二人は妙に俺を気にしていた。もし診療所に残っていたら、少なくとも、この二人は死ぬ事は無かった。
「クソッ!」
宗一が拳を地面に叩きつける。ゆかりだけに留まらず仲間を守れなかったことに対して。自らの無力さに激怒して。
「俺がっ、俺があんなことさえしなけりゃ! 何が世界一のエージェントだよ、そんな肩書き、何の役にだって立ちやしない…ちくしょう!」
「宗一くん…」
佳乃がかける言葉を見つけられずにいると、渚が横から声を出した。
「あの、そんなに自分を責めないで下さい」
地面に顔を向けていた宗一が渚に顔を向ける。
「わたしは、あなたのことはそんなに知りませんが…ですけど、わたしたちのためにこの食べ物を持ってきてくれたんですよね。でしたら、その行動はきっと無駄じゃないと思います。
もし食べ物を持ってきてくれなかったら、きっとわたしはお腹が空いてお父さんとお母さんのお墓を作ってあげられなかったと思います」
えへへ、とほんの少しだけ笑いながらおにぎりを口にする渚。
宗一は心が落ち着いていくのを感じた。
(両親を目の前で殺されたって言うのに…励まされてるのは俺のほうじゃないか。しっかりしろ、俺! そうだ、まだこの二人は生きてる。だったら、この二人を最後まで守り抜く!)
465restart:2006/10/26(木) 23:56:16 ID:2rwDA3UN0
拳を作って思いきり自分を殴った。頭が揺れるほどの衝撃が宗一の気を元に戻した。
「…ありがとうな。目が覚めた。これからは絶対に何があっても後悔しない」
立ちあがって、側に置いてあったスコップを手に取る。
「まずは埋葬を済ませよう。俺にかかれば、こんなもんすぐに終わるぞ」
怒涛の勢いでざくざく穴を掘り始める宗一。渚と佳乃がおおー、と感心した面持ちで見ていた。
十分もしないうちに、三人分の墓が出来あがった。
「さて、後は埋めるだけだ。何かやり残したことは無いか」
「あ、少しだけ待って下さい」
渚が三人の死体に近づき、互いの手を握り合わせた。それから手を合わせる。
(お父さん、お母さん、行ってきます)
短く祈りをささげた後、渚が宗一に向き直る。
「もう大丈夫です。埋めてあげましょう」
渚の言葉に頷いて、三人がかりで墓に埋めてやった。
「…さて、これからどうするか。このまま診療所に残るか、それともどこかに移動するか」
宗一の言葉に、佳乃が手を上げる。
「あのね宗一くん。私はここに残った方がいいと思うな。お姉ちゃんのことは気になるけど、焦っても見つかるわけじゃないし…それに、すごく疲れたから」
渚も佳乃も、墓作りで疲労困憊だった。宗一はそれを汲んで今晩は診療所で休憩することにした。
「…そう言えば、まだお前には自己紹介してなかったな。俺は那須宗一」
「あっ、私もまだキミには自己紹介してなかったよね。霧島佳乃だよ。これからもよろしくね」
「わたしは…渚、古河渚です。よろしくお願いします、那須さん、霧島さん」
466restart:2006/10/26(木) 23:56:47 ID:2rwDA3UN0
霧島佳乃
【時間:午後7時30分】
【場所:I-07】
【持ち物:なし】
【状態:疲労困憊】

古河渚
【時間:午後7時30分】
【場所:I-07】
【持ち物:なし】
【状態:疲労困憊】

那須宗一
【時間:午後7時30分】
【場所:I−07】
【所持品:FN Five-SeveN(残弾数20/20)包丁、ロープ(少し太め)、ツールセット、救急箱、ほか水・食料以外の支給品一式、おにぎりなど食料品】
【状態:健康。渚と佳乃を守る】

【その他:早苗の支給武器のハリセン、及び全員の支給品が入ったデイバックは部屋の隅にまとめられている。秋生の支給品も室内に放置】
【備考:B−10ルート。281話の続き】
467名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 00:28:58 ID:+NO3j7hp0
素晴らしく簡単に取り乱すエージェントですね
468加速する嘘:2006/10/27(金) 07:13:06 ID:/4Pwsh0dO
敬介は全く動くことが出来ずに固まっていた。
自身に突きつけられている拳銃が、動かせることを拒絶している。
晴子の性格だ、間違いなく下手なことを言えば撃たれるだろう。
唾をゴクリと飲み込みながら、なんと言えばいいものか頭を必死に巡らせる。
「…とりあえず銃を降ろして落ち着いてくれないか?
 僕は君を殺そうとなんて思って無いし、この子もそうだ」
「選択肢は二個言うたよな?あんたの考えなんか知らんわ、それとも撃たれたいんか?」
聞く耳も持たず言い放つと晴子がトリガーに手をかける。「…だからって、人殺しをしてなんて観鈴が喜ぶとでも思ってるのか?」
敬介のその一言に晴子は顔を曇らせ、動揺したのがすぐわかった。
「それに全員殺したって生き残れるのはたった一人って言われてる。君と観鈴が一緒に生き残ることはできないんだ。
 だったら、他の方法を探したほうが全員の為に良いに決まってるじゃないか」
「じゃかあしいわ!」
溜まりかねたように晴子が叫んだ。
「んなもん、言われなくてもわかっとるわい。
 でもな、その他の方法ってなんやねん?それが見つからずに二十四時間立ったら全員お陀仏やで? だったら、うちが人を殺すたびに観鈴は二十四時間生き延びれる。
 そして最後に二人残って、うちが死んだら観鈴は無事に帰れるやんか!」
――全員殺して、自分も死ぬ。
晴子の発言に敬介は戦慄を覚えた。
「正しいことだとか思ってない!合わせる顔だってホントは無いわっ!
 …でもな観鈴に生きてもらうことだけがうちの願いなんやっ!」
そして震えながら涙を流しながら、再び銃を握る手に力を籠めた。

答えようの無い選択だった。
469加速する嘘:2006/10/27(金) 07:14:31 ID:/4Pwsh0dO
協力してもこの場を去っても、どちらにしても最終的に自分は殺されるということ。
観鈴を守り、晴子も理緒も守りながら皆で生き延びる術を探す。
切実に発せられる義母の言葉の前には、自分の考えなどは甘ったるいものにしか聞こえないだろう。
同じ親でありながら、いや本当の親でありながらどこか楽観的な考えを持っていた自分の説得など通るわけも無い。
それほどまでに晴子の発言は的を得ていた。
だがそれを認めるわけにもいかなかった。
晴子のことが大好きな観鈴の為にもこれ以上は止めなくてはならない。
敬介は決意を込めた瞳で言う。
「―君の気持ちはわかった。だが手伝うと言った場合この子はどうする?助けてくれるのか?」
「アホか?殺すにきまっとるやろ」
晴子の発した『殺す』と言う単語に理緒は涙目に怯えながらも鋏を晴子に向ける。
だがそれを覆い隠すように敬介が理緒の前に立ち、言った。
「言うと思ったよ、だから僕はこうするんだ」
言うや否や、敬介は晴子に向かって駆け出した。
反射的に銃弾が飛び出し敬介の左肩にそれは命中した。
苦痛に顔を歪めるも足は止めずに晴子の眼前へと突き進み、銃を持つ右腕を掴むと後ろ手に抑えながら理緒に向かって叫びつけた。
「僕のことは気にせず今すぐ逃げるんだ!」
「っ…でもっ!」
暴れる晴子をなんとか組み伏せその手から銃がこぼれたのを見ると、すかさず地面に落ちたそれを足で思いっきり蹴飛ばす。
「いいからっ!!」
敬介の剣幕に、迷いながらも理緒が後ろを振り向いたまさにその瞬間、どこか能天気な声が頭上を通過した。
「また偉い所に出くわしたもんだ…」

声の主――古河秋生は頭をぼりぼりと掻きながらそう言うと、銃口を敬介と晴子のほうに向けたまま理緒に尋ねる。
だが理緒は涙目になりながらかぶりを振っていた。
470加速する嘘:2006/10/27(金) 07:15:36 ID:/4Pwsh0dO
それも当然だろう。
いきなり現れたのは服は血に染まり銃を抱えた男に、薙刀や鉈を抱える少女。
至極まともになどまったく見えず足はすっかりすくんでいた。
「あああ、勘違いするな、別に俺達は殺し合いに参加したりしてねーぞ?」
怯え、警その二人の均衡を崩したのは、自身を組み敷いた敬介の股間を蹴り上げて抜け出した晴子の声だった。
晴子はすぐさま蹴られたH&K VP70の元に走りよりそれを手に取った。
秋生と理緒、そして渚と佳乃は敬介を庇うように晴子に対峙する。
またこんなくだらない殺し合いに乗っちまった奴か…と溜め息をつきながら渚から薙刀を受け取ると後ろに四人に向かってそっと呟いた。
「よくわからんが渚、そいつを連れて逃げろ」
「お父さん!?」
「ああ今度は戻ってくるなよ、平瀬村のどっかの家でじっと隠れてるんだ。なーに、大丈夫だ。さっきもそうだったろ?」
「でも…」
秋生の顔と、左肩から血を流しながら苦しそうに抑えている敬介の顔を何度も見直すと、小さくコクンと頷いた。
理緒も敬介も秋生達が敵ではないと理解し、同じように頷く。
「すいません…」
「気にすんな、ただ俺の娘のこと頼むぜ」
「…わかりました」

ゆっくりと距離をとる四人に対し晴子は銃口を向けながら言う。
「逃がすとおもっとるんかいな?」
「んじゃあんたは俺が追わせると思ってんのか?」
秋生はニヤリと笑うと晴子へと向けてS&W M29の照準をつけた。
471加速する嘘:2006/10/27(金) 07:17:04 ID:/4Pwsh0dO
「ちっ…」
晴子の銃口が秋生へと切り替わった瞬間、「いけっ!!」と叫ぶと同時に晴子と四人の間に銃弾を打ち込んだ。
けたたましい銃声に晴子の動きが一瞬止まったのを見逃さず、四人は平瀬村へのほうへと走っていく。
「まちいやっ!」
だが秋生は再び銃口を向け、それに気付いた晴子も口惜しそうに舌打ちしながら秋生を睨みつけた。
(あと一発か…正直きついな)
そう思いながら左手に握る薙刀に力をこめた。

晴子は銃口を向けたままではあるものの、一向に攻めてくる気配はなかった。
秋生の目をじっと睨みつけながら何かを考え、そしてその口がそっと開いた。
「…あの子娘さんなんやろ?」
「ああ」
聞こえていたのか、と秋生は頷いた。銃を握る手に篭る力は変わらない。
「なんでほっとくん?守らなくていいんか?」
「守るさ、あんたの目覚まさせたらすぐだ」
「はぁ?覚ますってなんやねん、うちだって娘守るために動いてるっちゅうねん」
「は?それこそ意味がわかんねーな」
意味不明にしか捉えられなかった晴子の発言だったが、娘を守ると言う言葉が気になる。
「何もせず二十四時間立ったら全員ドカンっての聞いてなかったんかい。
 同じこと何度も何度も言うのも馬鹿らしいねんけどなぁ…たった今も敬介のアホに説明したばっかやっちゅうのに…」
「ちょっと待て、今なんて言った?」
「あぁ?何度も言うのが馬鹿ら…」
「違う、その後だ!誰に説明だって?」
「敬介のアホのことか、あんたの娘と一緒に行った男や。ややこいけどな、うちの娘の父親や」
「そいつ…橘敬介か?」
472加速する嘘:2006/10/27(金) 07:18:25 ID:/4Pwsh0dO
「なんや知り合いだったんか?」
初めてここで秋生の表情に焦りが見えた。
「橘敬介って奴もゲームに乗ってるって…まさか!?最悪じゃねーか!」
思わず平瀬村の方角に視線を飛ばす。だが四人の姿などすでに影も形も見えなくなっていた。
今すぐ向かえば追いつけるかもしれない、そう考えて駆け出そうとするも晴子の放つ銃弾が足元に突き刺さっていた。
「なんや敬介…考えとること一緒やったんか。そうならそうと言ってくれりゃええのに…」
勝ち誇ったように笑うその顔に秋生は背筋を凍らせる。
「待っててぇな…すぐうちもそっち向かうで。一緒に観鈴守ろうな…」
473加速する嘘:2006/10/27(金) 07:38:17 ID:/4Pwsh0dO
神尾晴子
【所持品:H&K VP70(残弾数13)支給品一式】
【状態:秋生と対峙】
古河秋生
【持ち物:S&W M29(残弾数1/6)、薙刀、ほか支給品一式】
【状態:左肩裂傷手当て済み、晴子と対峙】
晴子秋生共通
【場所:G−3】

古河渚
【持ち物:敬介の持っていたトンカチと繭の支給品一式(支給品不明・中身少し重い)】
【状態:正常、平瀬村に向かって逃走】
霧島佳乃
【持ち物:鉈】
【状態:同上】
橘敬介
【所持品:なし】
【状況:左肩に銃弾による傷、同上(支給品一式+花火セットは美汐のところへ放置)】
雛山理緒
【持ち物:鋏、アヒル隊長(13時間20分後に爆発)、支給品一式】
【状態:正常、同上(アヒル隊長の爆弾については知らない)】
四人共通
【場所:G−3から平瀬村方面に逃走】

【時間:1日目22:40頃】
【備考:秋夫生存ルートで関連は318と356 今のルート配分だと多分B-11とJ-3】

474覚めない夢(1/5):2006/10/27(金) 09:42:29 ID:g1XGa0bp0
「Oh!このノート、本物だったネッ!」

宮内レミィはそう言って、目の前で倒れ伏せた少女達の生死を確認した。
首筋に手首、どちらも脈拍は感じられない。
このノートに書いてある通り、ただ人の名前を書いただけ。
それだけで、この効果。

「どういうMagicなのカナ。全然分からないヨ」
「そうだな、俺もこの状況がさっぱり分からねえ・・・説明してくれるよな、レミィ」

レミィの背後から響いた声は、彼女も聞き馴染んだ少年のもの。

「ヒロユキ!ハァイ、元気してた?」
「おう、バリバリだぜ。・・・で、これは一体どいうことだ」
「Why?」
「彼女等は、レミィを襲ってきたのか?だから、反撃したのか」
「何のコト?」
「・・・これは、レミィがやったことだろ?」

彼女の近くには二人の少女が倒れていた。動く気配はない。
それは先ほどレミィ自身も確認したことだから、答えはすぐ出た。

「Yes、このデス・ノートに名前を書くだけで人をmurderできるかチェックしたんだヨ!」
「は?」
「だから、このノート!ハイ、面白いヨ、見て見て〜」

レミィが浩之に押し付けたのは、あのボロボロの大学ノートであった。

「何だ、これ」
「拾ったヨ。ここ、人の名前を書くだけで殺せちゃうの!Let's Murder☆」
475覚めない夢(2/5):2006/10/27(金) 09:43:05 ID:g1XGa0bp0
ビリ。
レミィのはしゃぐ声とそれは、同時に起こった。
ビリイィィ。
レミィの表情が固まるとそれは、ますます大きな音を辺りに響かせた。

「・・・ヒロ、ユキ?」

ビリ、ビリ、ビリ。
浩之は、無言でそれを引き裂いた。
ビリ、ビリ、ビリ。
彼女の話が本当であれ、嘘であれ。もうこれで悲しむ人が出ないように。
ビリ、ビリ、ビリ。
レミィはただ、それをぼーっと見つめていた。
浩之の行動を、止めようとはしなかった。

「はぁ、はぁ・・・」

風が吹く。紙ふぶきとなり、ノートの断片は目の前から掻き消える。
そして、それは舞散る花びらのように、島全体に広がっていった。

「Oh・・・モッタイナイ。」
「ああ、そうだな。レミィが言うとおり、もしあのノートに書くだけで人を殺すことができたんなら、このゲームはお前で優勝間違いなかっただろうな」

はぁ、と一つ溜息。
浩之は、レミィの目を覗き込むようにして・・・言った。

「なぁ、お前さ、本当にいつものレミィか?」
「ン?当たり前ヨ」
「いやさ、ほら。お前、弓矢持つと豹変すんじゃん。それじゃないのか?」
「???」
「そっか、・・・そっか。まいったな」
476覚めない夢(3/5):2006/10/27(金) 09:43:41 ID:g1XGa0bp0
ポリポリ、頭をかく。
どう対処すればいか・・・彼は、思いつかないでいた。
大声で叱咤すればいいか、真面目に説き伏せるべきか。
だが、どちらもする気にはなれず。
あまりにも、彼女は無垢で純粋な・・・いつものレミィだったから。
だから、浩之はこのような問いかけしかできなかった。

「レミィはそれで、いいと思ってるのか」
「ン?当然ヨ」

即答。あまりの清々しさに二の句が告げない。
そして、それに続いたのはまたもや予想だにしない言葉。

「だって、これは夢ダモノ」
「・・・は?」

浩之の声が間抜けに響く。
レミィはいつもの、あのニコニコとした懐っこい表情で話し続けた。

「明日起きたら、いつものようにオハヨーって皆と会えるから大丈夫ネ。
 この子達もそう、今回はゴメンナサイ。でも、今度会ったら謝るヨ、ちゃんと!」

呆気に取られる。気がついたら、苦笑いしかできない自分がいた。

「・・・そうか。レミィがそう言うなら、俺は止められないな」
「そうヨ、ヒロユキ。今日のワタシは一味違うネッ」

痛感。自分の言葉は、レミィに届かない。送らずとも分かる。
そう。だって、こうやってやり取りしている間に、レミィはこちらに向けて弓を構えてきたのだから。
矢もセット済み、それはいつでも放てる状態で。
もう、浩之にできることはなかった。
477覚めない夢(4/5):2006/10/27(金) 09:44:16 ID:g1XGa0bp0
・・・正気のようで正気ではない彼女をどう説得するか、思いつくことができない自分は惨めだった。
だから、彼は微笑んだ。
せめて、彼女の夢が悪い形で覚めないようにと、一抹の望みを含ませて。それは、情けであり、同情でもあった。

「じゃあな、レミィ」
「ウン!グッバイ、ヒロユキ」
「また、明日」

ヒュンッと矢が放たれる。それは、一瞬の出来事。
狙い通り、レミィの矢はしっかりと浩之の眉間を貫く。
外すつもりなど、毛頭ないことが窺える一撃だった。

「ウ〜ン、もう疲れたネ。そろそろ休もうカナ〜」

つかつかと動かなくなった浩之に近寄り、はじめに殺した少年よろしくレミィは躊躇なく矢を引き抜いた。
溢れる彼の血にも気を止めずそこから歩き出す彼女は、やはりいつも通りの明るさのままのレミィだった。
だが。ここにきて、ふと罪悪感という感情も出てくる。

『あたし皐月、この子繭。今さ、人を集めて脱出図ろうと思ってんのさ!
 よかったら、手伝ってよん』
『みゅ〜〜♪』
『わ、イタタっ!髪、引っ張らないで〜』

それは、結局数分しか保たなかった仲間に成り得たかもしれない少女達の声。
そして。

『また、明日』

大切な、友人の声。

「ウン、また明日ネ、ヒロユキ」
478覚めない夢(5/5):2006/10/27(金) 09:44:53 ID:g1XGa0bp0
大丈夫、目が覚めたらいつもの部屋で、いつもの毎日が待っているはずだから。
草むらにごろんと横になり、レミィは静かな眠りについた。




宮内レミィ
【時間:1日目午後9時過ぎ】
【場所:F−8】
【所持品:和弓、矢・残り5本(回収したので)、他支給品一式】
【状態:ゲームに乗っている】

藤田浩之 死亡

椎名繭  死亡

湯浅皐月 死亡

支給品は全て放置。

(関連・5・150)(Aルート)

まとめさんへ
失礼しました、352の時間を午前0時に訂正してください
指摘ありがとうございました
479名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 09:45:37 ID:1hrfBw4e0
言っちゃ悪いがアホ臭いつまらん上にしらける話だな
480名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 10:39:09 ID:y64ZCtib0
つーか、紙屑にしてもデスノって使えるんだよな?w
481名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 10:48:08 ID:GPRfvvGYO
ちょ、デスノ島全体に広がったwww
482Hになれ藤林杏:2006/10/27(金) 17:26:24 ID:PiRvao+s0
「あたしに今出来ること……うーん、特に思いつかないわ」
藤林杏は、相変わらずロワちゃんねるの閲覧を続けていた。
「椋は今頃何をしてるんだろう」
そう言って、妹の様子を思い浮かべる。


「あ、そこのイケメンお兄さん、私とセックスしましょう」


「……イケメン狩りしてるに決まってるわね……
少しでも心配したあたしが馬鹿だった……」
彼女は視線をパソコンに戻した。
「あ、レスが付いた」


 死亡者報告スレッド

3:びろゆぎ@管理人:一日目 14:36:47 ID:haKarowa3
 >2
 訂正します。013岡崎直幸は誤報。

 PM14:30:00時点の追加死亡者一覧
483Hになれ藤林杏:2006/10/27(金) 17:27:06 ID:PiRvao+s0
 031霧島佳乃
 033草壁優季
 034久寿川ささら
 041上月澪
 042河野貴明
 043幸村俊夫
 045小牧愛佳
 046坂上智代
 048笹森花梨
 052沢渡真琴
 054篠塚弥生
 061醍醐
 068月宮あゆ
 077那須宗一
 080仁科りえ
 083雛山理緒
 092伏見ゆかり
 115柚原このみ


「朋也のお父さんは誤報だったんだ、よかった……って何この人数っ!」
杏はその後に続く死亡者の数に驚愕した。
「ゲームに乗ってる人ってそんなに多いんだ……あ、新しいスレッドが立ってる」
484Hになれ藤林杏:2006/10/27(金) 17:28:00 ID:PiRvao+s0
 厳選無修正画像満載!!

1:名無しさんロワもん:一日目 14:42:15 ID:erogeota1
 女子○生に生出しほんとにいいのかこれ!
 ttp://********.******.******.html


「業者かよ!」
杏は思わず大声でツッコミを入れてしまった。
「いや、でもこれはこの島でしか使えないはずだし……
もしかして主催者の罠? うーん」
これは見ない方がいいのではないか、そうは思いつつも、
彼女はそのスレッドを閉じることが出来なかった。
ごくりと生唾を飲み込む。
無修正の文字に、彼女の性的好奇心は著しく刺激されていたのだ。

「まさかいきなりパソコンが爆発なんてことはないわよね?
別に……見ても……大丈夫……よね? まあいいや、見ちゃえ」
彼女はリンクをクリックした。

「あ、あ、あ、あーん!」

 途端に大音量で女性の喘ぎ声が再生された。
画面には若い男女が交わる様が映し出されている。モザイクは入っていない。
「ちょ、ちょっと、いきなりっ!? 人が来たらやばいって!」
そう言いながらも、杏は画面から目をそらすことが出来なかった。
「こ、これマジですごいわ……こんなの見せられたらあたしもう……」
彼女は自らの秘所に手をのばし、
画面の中の男女を自分と想い人の朋也に見立ててまさぐり始めた。
この間に誰もこの場所を訪れなかったことは、彼女にとって非常に幸運だったと言えるだろう。
485Hになれ藤林杏:2006/10/27(金) 17:28:54 ID:PiRvao+s0
「ああ、朋也! 朋也! もっと突いて!」
さらにもう片方の手を胸にあて、揉みしだく。
「あぁーー!」




「軽く10回ぐらいイっちゃったわね。まああと90回ぐらいはイけそうだけど。
オナニーってなんでこんなに気持ちいいのかしら。
なんかもう殺し合いとかどうでもよくなってきたわ。
ご飯食べてオナニーして寝るだけ。それでいいんじゃない?
だいたい椋はおかしいのよ。寝ても覚めても
イケメンとセックス、イケメンとセックス、それしか頭にないのかしら?
女は愛する者のために処女をとっておくものよ。
私の処女膜は何度でも再生するとか言って、セックスの神にでもなったつもりなの?」

 その通りである。

「ああ! なんだかイきたりないわ。やっぱりあれがないと!」
彼女はそう言って愛用のバイブを取り出そうとしたが……
「ない! あたしの朋也2号と3号がない!」
例に漏れず、彼女の所持品は主催者により没収されていたのであった。
なお、1号は過度の使用に耐え切れず天に召された。
「なんてことなの……限定生産の特製品にオリジナルの改造を施した
あたしの朋也2号、3号が……」

 彼女はがっくりと項垂れた。
興が冷めたらしく、再びロワちゃんねるの閲覧に戻る。
「あら、またスレッドが立ってるわね」
486Hになれ藤林杏:2006/10/27(金) 17:29:58 ID:PiRvao+s0
 参加者支給品報告スレッド

1:びろゆぎ@管理人:一日目 18:05:22 ID:haKarowa3
 このスレッドでは、現在までに判明した参加者の支給品を報告していきます。


 彼女はこのスレッドを読み進め、ひとつの支給品に目を止めた。

 057春原芽衣 猪(ボタン)

「ボタン!? ボタンがこの島にいるの!?」
そう、そこには杏が手塩にかけて数々の性技を仕込んできた性猪ボタンの名があったのである。
「そうとわかればこんなことしてられないわ!」

 彼女に出来ること、それはボタンの捜索、あとオナニー。


 藤林杏
 【時間:午後6時過ぎ】
 【場所C−06鎌石消防分署】
 【持ち物:ノートパソコン(充電済み)、包丁、辞書×3(英和、和英、国語)、支給品一式】
 【状態:オナニーマスター、ボタンを探す】

→089, ルートD
487名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 18:24:15 ID:s5iWVue+0
杏はそんなキャラじゃねえだろ
488名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 19:50:26 ID:/i1VZvn70
同人ネタにまみれたみたいなキャラばっかりの中で
今さらそれを言うかよ、しかもDで
489名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:29:37 ID:cf/gHMq90
                   __   __
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                 イ:.,'/:.:ゝ    ` ’      /   |):.:.:.l:l|
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             /⌒ヽ!_jハ:.:.:.l  マ弋irーz≦r }/.:.: //:.:: .:!:リ
             |  ノ´ {ヘ:.:{ ヽ}  {   }/:.:. イ∧`∨/  , -、
             l  ∧  \ヾ.  ト、_j__∠ -='´  /  \/  ヽ
             ゝ/  \  \  ヽ } /  _, -='   ノ    ノ
             l 7   l`ト、   \ Y_  -='´     / l  ,/
                 ∨ ⌒ヽV / ̄ >子‐< ̄ ̄l フ¨ ̄   | / )
               l     V  └'┬─'┘   !/ /⌒  |  /
             l       l      |       /      l / )
             |      }  (ニ二ニニ)   /        l /
             |      !    |     / /     /'´
              l         |     l     /        /


                            Kanon   月宮あゆ
490名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:30:08 ID:cf/gHMq90
                   __   __
                 _⌒>‐-  ヽ´___ヽー- 、
               ∠ニ '´   ̄   ´  ̄ ̄ ̄ `\`ヽ \
                   /:/./ // /./ /.!. ヽ  \ ヽ ハ
               //:/:/:/:.:/:.:./|:.:/:./:.:l:.:.:.:.l:.:.:.:l:.:.:.ヽヘ∧
              /.: イ:.l:.:!:.:;{.:-,'‐!/l:ハ:∧:.:.:j:.:.:. l:.:.:ヽ∨ l
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                   Yヽi.:! x:=ミ      ィ=x 'イ:.: /リ.:.: l|
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                 〃 |:.l:{.:.:.:.|_>,、      ィ/:.:.  |:.: :.:!:l|
             /⌒ヽ!_jハ:.:.:.l  マ弋irーz≦r }/.:.: //:.:: .:!:リ
             |  ノ´ {ヘ:.:{ ヽ}  {   }/:.:. イ∧`∨/  , -、
             l  ∧  \ヾ.  ト、_j__∠ -='´  /  \/  ヽ
             ゝ/  \  \  ヽ } /  _, -='   ノ    ノ
             l 7   l`ト、   \ Y_  -='´     / l  ,/
                 ∨ ⌒ヽV / ̄ >子‐< ̄ ̄l フ¨ ̄   | / )
               l     V  └'┬─'┘   !/ /⌒  |  /
             l       l      |       /      l / )
             |      }  (ニ二ニニ)   /        l /
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              l         |     l     /        /

                                
                            Kanon   月宮あゆ
491名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:30:50 ID:cf/gHMq90
                   __   __
                 _⌒>‐-  ヽ´___ヽー- 、
               ∠ニ '´   ̄   ´  ̄ ̄ ̄ `\`ヽ \
                   /:/./ // /./ /.!. ヽ  \ ヽ ハ
               //:/:/:/:.:/:.:./|:.:/:./:.:l:.:.:.:.l:.:.:.:l:.:.:.ヽヘ∧
              /.: イ:.l:.:!:.:;{.:-,'‐!/l:ハ:∧:.:.:j:.:.:. l:.:.:ヽ∨ l
              l/ |:.:l:.l:.:'ハ:.:l '    ヾ ヽ/丁:メ!:.:.l:.:l:|   !
                l:.:.!:ヽ:{ ヽ! _      _ j:/ }:V:.:.l:|   |
                   Yヽi.:! x:=ミ      ィ=x 'イ:.: /リ.:.: l|
                 /:./:.:{ '´xx  '_   xx`ヾ //l :.:.:.: l|
                 イ:.,'/:.:ゝ    ` ’      /   |):.:.:.l:l|
                 〃 |:.l:{.:.:.:.|_>,、      ィ/:.:.  |:.: :.:!:l|
             /⌒ヽ!_jハ:.:.:.l  マ弋irーz≦r }/.:.: //:.:: .:!:リ
             |  ノ´ {ヘ:.:{ ヽ}  {   }/:.:. イ∧`∨/  , -、
             l  ∧  \ヾ.  ト、_j__∠ -='´  /  \/  ヽ
             ゝ/  \  \  ヽ } /  _, -='   ノ    ノ
             l 7   l`ト、   \ Y_  -='´     / l  ,/
                 ∨ ⌒ヽV / ̄ >子‐< ̄ ̄l フ¨ ̄   | / )
               l     V  └'┬─'┘   !/ /⌒  |  /
             l       l      |       /      l / )
             |      }  (ニ二ニニ)   /        l /
             |      !    |     / /     /'´
              l         |     l     /        /

                                
                            Kanon   月宮あゆ
492名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:31:21 ID:cf/gHMq90
         _ .. --==ニ¨ `ヽ- ―- 、
       .._ニ-‐ァ―――-   :.‐'´   ..  \
     /´  /:ィ/:_. - ´  .:/  ヽ:  \:.. {:. ヽ
    { \/∠ -'_二  :// .:/ ヽ:  lヽ:.  ヽ:.\:|
      /´ フ´  .:// / :/  | }  |:. ト:.  l:.  \_
     / / .:ィ :/ /ノ :/ | / { :|:. ∧ :!|:.  l:. `ヽ ̄´
      //i :/ /  ィ /{ .:!:ハォ:7 丁「「:. }:. | l ! トヽ
        /  | ..:!/イ7´丁ミヽト{ /'ァz=≠トv .ト: | | |
        | /| ../|{ fr筰ミト  ´ ´ヤぅ刈イ:  ト.}: :|!|
        ∧! !:/ 小.`辷:リ     `フ7′/.:レ } ハ
          /{イ:/ハ    '_  /´/:.   /l: /′
         / ´ |l j .:.\   ‘ニ’  /: ,.. ノ}//
        ハ ̄ ̄ ̄`ヽl>ュ.. _ イ:イイムハ{ _ノ{_
       ノ ̄ ̄ ̄  ‐- 、 ヽ/}  |/_j_.ゝ┴‐´三弐
     ≦三三三-_ _  \ト/´__.. -==―――`i、
      l!        ̄`ヽzzzzf´ ̄         lト}
     rヘ          |  _ |           l| {
     ノ、__i!        fヽ ! | ハ           |ハ
      { __,、!        _| {| ! |     __     |  !
     ヽ ノ{_l!      }ハ、 ヽハ. ヽ  /´'/     lト.、|
      ト、 _,l!___ {. l\ ` ー  \j  {    __j-:、:\
      レ|   {ト:ヽヽ:`ヽ._ ̄`        |-‐ニ-――-、::ヽ|
     _ 上L._  ヽ\\ヽ:ト.二、      {´_: -‐  ̄ `ト、:ヽ{
  /´:.:.:.:.:.:_`ヽ }/ >`-/7く_> 、     ` ー‐- 、 ! ヽ:}
 ⌒ヽ- ´{  `ヽ:\{:.:,.孑{zトミ:.:`ヽミヽ、         ├‐ ´
       \   ノ7ァニj彳_/:{`ヽ〉_/`j┬ \       j
         ̄ /:リ: : : : /:.:.| ̄  ̄` Lト、  ト、      /
        /:/ : : : / : :j : : : : : : : | : :  ̄:} ` ー‐'
493名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:31:52 ID:cf/gHMq90
         _ .. --==ニ¨ `ヽ- ―- 、
       .._ニ-‐ァ―――-   :.‐'´   ..  \
     /´  /:ィ/:_. - ´  .:/  ヽ:  \:.. {:. ヽ
    { \/∠ -'_二  :// .:/ ヽ:  lヽ:.  ヽ:.\:|
      /´ フ´  .:// / :/  | }  |:. ト:.  l:.  \_
     / / .:ィ :/ /ノ :/ | / { :|:. ∧ :!|:.  l:. `ヽ ̄´
      //i :/ /  ィ /{ .:!:ハォ:7 丁「「:. }:. | l ! トヽ
        /  | ..:!/イ7´丁ミヽト{ /'ァz=≠トv .ト: | | |
        | /| ../|{ fr筰ミト  ´ ´ヤぅ刈イ:  ト.}: :|!|
        ∧! !:/ 小.`辷:リ     `フ7′/.:レ } ハ
          /{イ:/ハ    '_  /´/:.   /l: /′
         / ´ |l j .:.\   ‘ニ’  /: ,.. ノ}//
        ハ ̄ ̄ ̄`ヽl>ュ.. _ イ:イイムハ{ _ノ{_
       ノ ̄ ̄ ̄  ‐- 、 ヽ/}  |/_j_.ゝ┴‐´三弐
     ≦三三三-_ _  \ト/´__.. -==―――`i、
      l!        ̄`ヽzzzzf´ ̄         lト}
     rヘ          |  _ |           l| {
     ノ、__i!        fヽ ! | ハ           |ハ
      { __,、!        _| {| ! |     __     |  !
     ヽ ノ{_l!      }ハ、 ヽハ. ヽ  /´'/     lト.、|
      ト、 _,l!___ {. l\ ` ー  \j  {    __j-:、:\
      レ|   {ト:ヽヽ:`ヽ._ ̄`        |-‐ニ-――-、::ヽ|
     _ 上L._  ヽ\\ヽ:ト.二、      {´_: -‐  ̄ `ト、:ヽ{
  /´:.:.:.:.:.:_`ヽ }/ >`-/7く_> 、     ` ー‐- 、 ! ヽ:}
 ⌒ヽ- ´{  `ヽ:\{:.:,.孑{zトミ:.:`ヽミヽ、         ├‐ ´
       \   ノ7ァニj彳_/:{`ヽ〉_/`j┬ \       j
         ̄ /:リ: : : : /:.:.| ̄  ̄` Lト、  ト、      /
        /:/ : : : / : :j : : : : : : : | : :  ̄:} ` ー‐'
494名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:32:51 ID:cf/gHMq90
     _ ,. -‐ー― 、                     ,.‐'"        `ヽ
  _,.-´             ヽ                   /              \
,/        、  ヽ \ ヽ                /   /  / Vヽ         'i
    i   ヽ  ヽ  ヽ  ゝ'               i'   i i 'i i i-―-| l  l  i   'i
     | i、  'i ヽ ヽ,. ゝ´                     | | トi'、l l ||   | |. |_|,. | i i l
:::::::.... | | ヽ  i,. ‐ ´ ,. ヽ                 i‐- t|._,|七0ミぇ    未ニ!.,L//| | ,!
::::::::::::::'i i `く   ,/   ` 、              _l _,.'i__i弋i:::: j|     |ト:::,.,!|i'/ !,r/_
:::::::::::::::::::::r‐,ス        i               !   | | !  ー       ‐- "/`y'ノ  `,
::::::::::::::::::::i' `l_      i^l.ノ              ヽイ"/` 'ヽ   l ̄ ̄|   /`y' )- ., /
::::::::::::::::::::::`- t:::...     ,`'                 / ,/ .:::/ `:..., !、__,ノ ,. イ`yK    `,
::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::/                !‐7 .:::/  :,-:::´....::´/ .:/'i::::::`ヽ人
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::::::::::::::::::::::::::::`Y ´    ヽ   ,.  -‐ '"       / .:::/   .i'i  /  :/    'i:::::!,:::::. ヽ
、::::::::::::::::::::::::::/:::::::::...    i,"        .......:::::::::::::::// ::/     i'i ,/ :/     'i::::i,:::::::.  ヽ
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495名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:33:24 ID:cf/gHMq90
        ____
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.   l :::::l:: ::::ト;ヾ;:::トl;:::|l::ハl:::;ト:,:|リ
    l:::::::l::::::::||`ト、L,Vリ_∠Lハlリ
.    l:::::::l:::::::|ヽ ̄ツ  _.ヽ_ツハ|
    L_;::l:::::::l,  ̄,、‐'´ 〉ヽ l::::.|
      \::::::ヘ   r==ォ 人:::|
        ヽ、:少.、└‐',ィ   }::|
        >,l:}   `  .[ ̄廾、
        ノ.:.:X, イ¨|:\/.:.:.:.:.:.:`'  、
       /.:.:.:.V/ \/.:.:.:.:.:.:.:..:.:.:/ \
    く,:.:.:.:.:.:.:.:.:V¨| .|>'.:.:.:.:.:.:..:_/     !
   r'´ ` 、.:.:.:.:.:.ヽ| /.:.:.,、-:'フ´   l   l
   | ヽ   \`'‐--┴'r'::::_/     l | l   l
   |  ヽ   `ー‐┼‐| ̄      ', l l   l
.   |   Y    /:::|::ト、        { l    l
    ! 、  l     {::::::|::l:::l         V   l
   } \l    l::::介、::|       |    l
.    |  .`、   V | | V        |     l
    |   ヽ     | |            |    l
496名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:33:55 ID:cf/gHMq90
         ,. ´ ̄ ―- 、
        /:::::::::::::;:::::::::::::::::ヽ
       /::::::::::::r二ニr、 ̄、ニv=-、
.      /::::::::::/   ヘ∨ヘ |=-、`\
      i:::::::::/ i / i |‐`⌒| i::| `ヽ                _  -―    ̄7/ `  、
      /:::::::::iイ i ムハ|_,. ,/斗ォ:!  |     r、_  -― _z ニ /        .//:.r,⌒ヽ./
     /::::::::::::::iハi,ト|二フ'ト- ´ハ|      r ´7//// `               /ハ:.:ゝ、_ノ/
    /::::::::::::::::::ヘ.     ゝ /::::i     ノ /////      __    -―  メ, `  ̄ /
   /::::::::::::; -―-\ ー_´/:::::::i    く-―       ̄  /:/     //  l:i r ヽ _/
  /:::::::::::/  ´ ̄  >- く:::::::::::::i    < _三_      .〈:〈     〈〈  ゝ'、ゞ ク
 /::::::::::::/´  / _ -‐  ̄ ` - ' _ ,.  ´ ̄    ` y/-7´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/::::::::::::/   / /          ´    、7´ ̄`r,、/'-/
:::::::::::/   :/ イ                `ー _/ー´i`,i
::::::::::i  i /  |:              ー _   ̄`i ̄
::::::::::!  i /.   i:.:..                ー-イ
:::::::::|  i /ヘ   ` ゝ、 __ -― ヽ  ` ー ‐- イ
:::::::::i i/:.:{::::`ー`ヽ_,.- ´:::::::::ヽ   `,i /` ―-r‐ ´
:::::::::|. {:.:.:.:.Y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、 ノ ` ‐ _/
:::::::::! `i.:.:.ヘ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ
497名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:34:27 ID:cf/gHMq90
            ,. -ォ大、-、 _
.          / ´iV//| ハVハヽヽ
          // i.:.i ` |i |! |` |! :i ',:ヘ
.         | i |斗ニ―-ニ‐-|:. i:}
         ハ:.:. k七i`  ´亡ハイ /イ
.         l (ハ、ゝ  __'_  /イィ:.|
         l :i `ー'、  `ー ´  ./,ノ |
        l :i i  i:ゝ、    イ:.i :i |
.        l :i i  i:.:.:.|  ̄ |:.i:.:.i:. :i i
.       l :i :i  i:./     `ヽr- _ i
       l :i :i_ - ´_ 、   -‐ ´:i|   ヽ
       /://     ` ´    ,r| .i  }
      //.{  Y     :i  _,.rrvく_.Y  ハ
     // /ト、ェrv‐r-rv:{ィくv ´ ̄ `i:  i ',
     /  / i :{´ ̄ ̄` Y ´     i: /i
    ノ :/  ハ :',           /: ハ:.i  ',、
   / :/  /:ハ :',         イ:. ハ:.ト、   \
.  / ,/  /:/  i :.∨´       :ト、 |:.:.i:.: :i  i , ヽ
 / //  /.:/ /ハ :/        i V:.:i.:.:.  i  !ト、.i
 i://  /.:/ .:.:.:.:∨           ∨::.:  :|  !| i |
 |i i  /.:/ .:.:.:.:.:i/            ',:.:  i  i| i|
 |i.|i  :i.:/ .:.i.:.:.:./             ', .:.:i / ./
 i:i| i  ';i  .:.:i.:.:/         /     i .:./ i ,/
  ';|: ';:. ヘ .:.∨     /   /      |:/  | |i

498名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:35:18 ID:cf/gHMq90
      _,r、        _,、__         __,、_         _,r、        _,、__         __,、_
     ,<ヽ/:::::: ̄\     /::|::::::::::::::\__   ∠_::::::::::::::::ヽ、     ,<ヽ/:::::: ̄\     /::|::::::::::::::\__   ∠_::::::::::::::::ヽ、
.    /::/,イ:;イ::i:::::::::::ヽ  ノ―ァ、::li:::ト=ニユ  ノ:〜ヘ:::::::::i:::〜:l)   /::/,イ:;イ::i:::::::::::ヽ  ノ―ァ、::li:::ト=ニユ  ノ:〜ヘ:::::::::i:::〜:l)
    ハ:ト、_ |リ.V l=ニLフヽ .〉l:::ムL `ヽ_ェハ:::l:〈.  ):::ヽ:l厂リVィtヽ:::|l  .ハ:ト、_ |リ.V l=ニLフヽ .〉l:::ムL `ヽ_ェハ:::l:〈.  ):::ヽ:l厂リVィtヽ:::|l
.   (入ーヘ 、__'イ:::|:::::イ L| 代リ.r- ヒリ_ノ:|ノ.  〈:,>、:lニr-、じ'_l |   .(入ーヘ 、__'イ:::|:::::イ L| 代リ.r- ヒリ_ノ:|ノ.  〈:,>、:lニr-、じ'_l |
    ヽ,>・_`ー‐|:;ノ__ノ  rヽト, ̄.o ̄ノ廾,    ヽ-ト、 ワ_,ノ レ .   ヽ,>・_`ー‐|:;ノ__ノ  rヽト, ̄.o ̄ノ廾,    ヽ-ト、 ワ_,ノ レ
    >iレ二> ̄¨´     Fヘ__フ立夭、_人)    ,<X入       .>iレ二> ̄¨´     Fヘ__フ立夭、_人)    ,<X入
   [;F< ̄  \      \ィ`'エエ´\ノ     / i  iメヘi、    .[;F< ̄  \      \ィ`'エエ´\ノ     / i  iメヘi、
   ノ`'┴--ト、, >_      >-VV-<      /_/_,\厂i,>、  .ノ`'┴--ト、, >_      >-VV-<      /_/_,\厂i,>、
  <::::::::::::::::_了└'      /:::::::::::::::::\     ○' |::::::::::::::::X  <::::::::::::::::_了└'      /:::::::::::::::::\     ○' |::::::::::::::::X
   `‐rt-<\___rォ      フ7‐-‐t‐l ̄      L;、-―マ´   `‐rt-<\___rォ      フ7‐-‐t‐l ̄      L;、-―マ´
     ヽヽ `--┴L|    r、</    .| |            \ヽ、    ヽヽ `--┴L|    r、</    .| |            \ヽ、
      `<>、         ヽ,/     H               ト| `<>ーァ  `<>、         ヽ,/     H               ト| `<>ーァ
       ノノ            
499名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:36:50 ID:cf/gHMq90
                             _,、 -――-、__
                         ,、-‐'´   ,、 -―-/ ―==--、
                        //.:.:        l  ヽ  \
                        /.:.:.:. .:. .:./'フ/   ヽ   ヽ   .\
                         _l.:.:.:.:.:.:.X、  l/l.:: ィ :. \      ヽ
  i⌒ヽ                    /.:ト、.:、:ム==ミ、.| l:::::ハ;ィ:: .:.:    . ;',
  |   ヽ     } ̄ ̄`'  、       /i.:.l.:.:.|〈.iヘ'カ.i` ',::ム___|_l.:.:l.: .|l  .:. .:|il
  ヽ   \    {        `'  、_ . il|.:.l:.:〉| ‐`‐'     クテ、|:ハ::::/ィ .:. ..:.:.::|リ  __ヽ\\ヽ l | l ////∠
.   \   \ └―┐.:.:.:.:.:.:.:.:.:..:.>、|.l.:.',.l、\   r.    ヒ__ク |=V/.: .:.: .:.:.:.:|  ニ              二
     \    \_、、-┴-‐ヘ_,へ<⌒\Nl小  、      ー'  イ.:.:. .:.:.:.:ィ.:.i:l 三 ナルちゃんだあ〜! 三
    i ̄\    \    \\ \. ヽ'rr-、'.、  `' =    .//.:.:.:.:.:.:.ノソノリ  =_              _ニ
  r' ´i   >    \_          \ヽヽ...<ヽ____ , ィ升'.:.:.:.:.:_.:(ノ      /〃/// l | | l ヽ\\ヽ
 / ,   / ノ _   ヽ         ヽヽ .ヽ    ∠V\|V\( ヽ
/  l l   ヽ、, ┴.    }      ';. ノ ヽヽ, ',  /  ',ヽ_
ヽ. '. ヽ    / r   __ ノ  ノ__   ∨ rー-、ヽ', ノ   ノj.} \
 ヽ. ',  \__|  } ノ=' ̄フ /ヘ   ,-‐' .', 〈―-、 ヽ,∨===彡'   L┐
  ヽ\__>-‐'フ7¨ ノ  .l \     ∨    「iYニニ'ー-ァ-‐' \
.       l     .{ r/   |     l  |  -‐'´ ムィ.:.:  ヽ<     \
      \   l/     |     ';  〉、.:.:.:.:;.イ | ̄\.:  |      \
        \___リ      }      ヽ ヽ.:.:.:.:.:/ l.:.:  .:. ノ ̄ ̄ ̄    \
500名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:37:27 ID:cf/gHMq90
   /  //    /  \   \          l
   |/ /   | .く|_ /|  ` ー.t、_ , ゝ   l ヽ  ヽ
     / |  | ./ ヽ`ト、| |.   | \__\ ̄ \ ヽ ヘ
    ノ,ノ∧  |Λ_、|`ヽ|\  ヒ'´-\_ヽ \  \|\ |
   / 丿 ヽ. |、`弋z冫、  \|t';豸)`7、 |`ー-、_ ヽ. \
     /  |.\|   "   ,    `ニ´ ´/ ノ |  `ヽ、
    ノ_,ン-∧ |ヽ     '、.      //  / 丶 ノ
  ´ ̄  / ヽl. `、   、  __,   ノ ./  /    ヘ
      |      丶、 ヽ、_ _ノ   /ノ /   i   ヽ
      |      ./-l`-、_ , - '´ |. /  i  |    |
     _ |rー/ヽ | /  ヽ      ノ    /ー-|、_ ヽ ヽ、
    /  /  X_/   ノ    / ´/    丿  ` `、 )  ヘ
    | 、/  ( ./-、_     ./ ノ    /|     ヽ|ヽ  |
    | ||   //   `、   , -ー|   /|:| 、     } ヽ |
.    | |.  /(          |  /  |:| ./     |  /
     | | /.  `          |. /   |:||      l
     /、/-、_        ,   ∨    |:||      |       
.    /ー-、  ヽ_     ./    , ー-、ノ ̄ヽ.      l
   /   `、, 、 ヽ_ /:i  ノ ̄. _ ,   _ ,,ヽ     |
   (      ``ヽ、 ヽ,、/ ̄, - '´   `´  .l.     l
.   ヽ        ,〉_〈           i..     | 
     `-、    _ ,、,、   ヽ          丿      l
    /  ``i ´    `´`´`ヽ、 _    _, -'ハ      ヽ
.   /     ヽ          `` ' ´  / ヽ      ヽ
                                   
                                   
                                    
                                   
                        
501名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:38:01 ID:cf/gHMq90
                 ___,,,,,_ 
             , - '  ̄   _   ヽ _
           / , - 、  / ヽ  / \ 、
           /l /  ヽ /  _  ヽ l  _ ヽヽ
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         /i::::l   i::::l      !:::!  _ !::'   ヽ_   ))
         / ‘"_ ヾ"     " /    ̄ヽ    | iヽ, 
(((       i ,-    ヽ、     /   □  i    | ゛i   )))
        }'  口   !      ヽ     /    |ノ 
   ((    !ヽー- ' ´   ,   r   __, - '´  /
         ヽー--─""´     ̄ ̄      /
         ヽ、                 /
           ヽ,             ,..-、∠
       _  ,-"7:::/":ー:-.________ノ::::/ フ ̄゛- '  ̄ヽ、
     ,/ "´ ! /:/::::i::::::::::::::::::::::/:/::/  /        i
     l     y::::i::::::ヽ:::::::::::::/:::/:::::/  l          i
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        Y:::::::::!:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::/  l     !    /
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502名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:39:34 ID:cf/gHMq90
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     /   /  //     /"'k:::: /" l;yT;;;;;;:::;;:::::::;;:: i    / 
    /   /   //      . i   /::  i ノ!"ィ;;:::;;::::;;;;::::: /   /  
   /   /  //   ..  ..:::...l  ,/::::: / i__....oヽ;;;;;;;::::://  /   
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/   /  //.;'  ...:;;:::::::,,.:::;:/   !::::/ ,-- 、/ :::ヽ; li|   /
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503名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:40:21 ID:cf/gHMq90
                                  r=、_ /フ
._                             _  ノ◇ー=―ヽ‐、
ヽヽ                           ヾf ̄ \ ヽ \ヾ-、
 ヽ_`ヽ 、_                      =f´7 .{ ミ=、ヽゝ、\ ヽヽ.ヽ
 シrー -<、ヽ                   / } i lハヾ,ノィiヾヽ、ハリ:. i
. f、ヽ7ヽ、  `ヽ 、 _              /  /l ', {7弌     / .7s}:.:.:.|  無礼者め!
  ヽく`ヽニ=、     ー 、             レ { 从{` ' r-、  { .:}イ:.:.:.:l
        `丶、     `  - ._        j _.ヽj ヽ、 ヽ '  人 |.:.ヽ:.:.!
           `丶 、        ̄ ヽ‐‐r ヾ \ヽ f 、7-、 < リ.:.:.:ヽ{
                ヽ 、 _      》ヽ \ \ヽ リ. トX ̄  T 7\ヾ、
                      \   / / /. \ \ ∨小ヽミニス、ノシ-┴ 、
                     ー´ー<スイ   \ヽ ミ}Oソ==-、へ-ミ ニ、 ノ
                          ヽ、_  ヽ / ,'       ヾヽ≧―
                             ス _ ∨〈        ∨ /
                             ノ  ヽ./ ヽ、_ __ 人_〈
                           /   /人ノ /ヽ----='\ 人__
                          //   // /ヽ - ´  ̄   Y  ヾ
                        //   /  /  ヾ-、
                       //  / ノ―// ̄ヽ ヽ     l
                                              
                                                
                                               
504名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:41:22 ID:cf/gHMq90
              /                                   ヽ
           .'     /       l       ハlト                        '.
          .'     ,         |      | ! |         /!               !
           .'      _i        ,!      i ! |      //'     /'!        ! l
         ,     /ハ!       /l__ _ノ_/.ノ       // .!   / |       ハ !
           !    | V      '==,=- ._\ `''ー―- 、/ , -L___/‐/        ! l:!
            !     V       / ハ r::::c ヽ ヽ      /,. === /       ! l:!
         !     /      ,' ゝ`_´_ノ         '!ハr:c/          ! ノ
         l     /      /               `ーィ          ,'
         |   /      ハ                  /,'   /    イ
         |  /       Lハ                  /    /   / リ
         レ        /  '             ′    `ー ァゝ__ノ
        /          /    \      ― - ‐      .イ    |
       '         /、. __      \             イ        |
      '          ' ‐‐--- 、`、   ` 、. ___ ,.   '    l       , |
     /        /     ,jl\\.、    /!      /!    / |
      /        /ヽ    ... rメメr\ヽ` 、 | !ト!      / ,'     / ! !
    ./      / - 、: ヽ,, 7ム:::::::フィ毛::::\\ヽ.!| !::::\ / /    ,  ノ l
   /     ハ   ノ::::r= ォ::::::::::ケハゝ:::ト .\\| !:::::::::::/´\ // ノ
505名無しさんだよもん
               _,..  -−─−- .._
                 /<._         ` 、
               /、   !   !     ` 、  \
          ,∠  ` - ._ !   ! ',     \  \
          {,イィ´レヘ_/、ハ i  ,  、     ヽ   丶
               f r'_ '`ヾハ. i  '、  、      丶.   \
               |  トヽ   ヽ! i  丶 丶      ヽ    ゝ、
            ,!  |j| }、    ト !   \ \     ',     } `
          i´  lノ       !.ト、     ゝ  `     、 ヽノ
             '、 __      !| ,ゝ、 丶   、   \ }ヽノ
            丶 ,}     リ |/ `,、 ト、 /\ Lゝl-─ 、
    /`}_        `¨‐-  _,.   ヽ/≦ノ‐V  ̄ ヾ!      \
   /   j            ,. -─`< ̄ヾヽ二_ ̄      __,、   \
  {   ノ          /        `′ `ト,. -‐  ̄  \   丶
   ヽ  ヽ       /         、   、 l            \    `、
    ',    \  /    _,.. 、      ;':.   ' j           `丶  `ー、
      、    ` '´     / ! 丶 ._  '  __,. - ´l                {.   、}
     丶         /    !      ̄ ̄    」            ! ´ノ、 ソ
      \  _,. ´       、      _,.. -‐ ´ !           `´`¨´
         `¨´          ゝ-‐   ̄      ,.ヘ._
                  ヽ      _,. ' _,. -'^ ‐- 、_,. -‐:¬;-‐┐
                      \    -‐' ´      /.:.::::::::::f´.:.:.:.:|
                      !`          /.:.::::::::::::_;ノ.:.:.:.:.:.}
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                       !   _.. ‐ ´. .: .: .: .: .:.:.:::ノ :