葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ

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484名無しさんだよもん
訂正

SATSUKI ‐GUN道‐
>『茂みに向かった発砲した』
   ↓
『茂みに向かって発砲した』
485名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 00:26:34 ID:Gb4NnF0ZO
訂正箇所
>まとめサイトBルートまとめページ
・『郁美』→『郁未』
・Bには含まれない070が入っている
486鬼暴き編:2006/09/29(金) 00:49:49 ID:PUYqebVi0
 「―――くっ、っはぁ! ハァっ あの辺か……っ!」

 木々が生い茂る林道を佐藤雅史(049)が疾走する。
 汗が頬を振り切り、後方へ散る。雅史は懸命に前に進んだ。
 
 何故、彼がこうも必死に走っているのか。
 始めに方針を固めた雅史は、まずは人が集まりそうな場所を探していた。
 そのため各所を走り回っていたが、流石に肺活量が底を突きかけ、そして足を止めたときだ。
 確かに聞こえたのだ。決して遠くのない位置から―――人の悲鳴が。
 それが耳に届いたとき、雅史は息を整えていた事実を忘れて飛び出した。悲鳴の方向へだ。
 悲鳴を上げていたのは声質からいって女性のようだった。
 
 ―――助けるべき人は助けて、倒すべき敵は倒す。
 
 その方針に従うのならば、この先で繰り広げられている事態こそ、彼が解決すべき事象だ。
 風を切る雅史は支給品の金属バットを強く握る。緊張のためか、掌はじんわりと汗で湿っていた。
 そして、近づくにつれ悲鳴は高く、且つ怒声までも届いてきた。
 ―――近い。もう間近だ。
 高鳴る心拍数が彼を前へ前へと促した。それに抗わず、さらにスピードを上昇させる。
 両足が悲鳴を上げていたが、雅史の目にはもつれ合う二人の少女の姿を確認させていた。

(―――見えたっ!)
 
 雅史は喧騒に飛び出した。
487鬼暴き編:2006/09/29(金) 00:57:53 ID:PUYqebVi0
「やめろっ!」
「―――なっ!?」 
「え……」

 驚いたように、争っていた二人は動きを止める。
 二人の状態は、倒れこんだ一人の少女へもう一人の少女が馬乗りで押さえつけているというものだ。
 襲われているのは、現状を見る限り、倒れている少女だろうと一先ず見切りを付ける。
 雅史が馬乗りの少女―――柚木詩子(114)へと警告を飛ばそうと口を開きかけるが―――

「た、助けて……」

 それよりも早く、倒された少女―――藤林椋(091)が口を開いた。
 やはり、危機に陥っているのは椋だと確信した雅史は、バットを構えて詩子を牽制する。

「その子を離してやれ!」
「はぁ!? ちょっと待ってよ! この子がいきなりあたしに襲い掛かってきたんだよ!?」
「ち、違います……」

 雅史の一言に何故か詩子が激怒した。
 椋に至っても、涙目でこちらに救いを求めてくる。
488鬼暴き編:2006/09/29(金) 00:58:45 ID:PUYqebVi0
「じゃあ、あの拳銃はなんなの!? ひとりでに弾が出たって? そんなわけないじゃん!!」
「だ、だから、それは手違いで……」
「手違いで人が死んでたら堪んないわよ! それにさっきまでアンタそんな言い訳すら言わなかったじゃない!」
「それは、あなたが先に……」

 ……これは、どういうことだろう。
 バットを構えて固まる雅史を完全に視野の外において、二人は口論を続ける。
 やれやったやってない、と馬乗りの少女が激昂し、倒れた少女が言葉を濁す。
 詩子が椋へと襲い掛かったとすれば、今の現状も納得できる。
 しかし、詩子は椋の言葉を否定して、彼女の行為を追求している。
 それに拳銃という言葉。確かに近くに転がっており、しかも椋の所持品のようだ。
 さらに、悲鳴を上げたのは女性であるわけだが、襲っている者も女性だとは思わなかった。
 何より、悲鳴だけで二人の声色を判断する事も出来ない。
 
 ―――どちらかが、嘘をついていると言うことか? いや、もしくは双方誤解しているのか。
489鬼暴き編:2006/09/29(金) 01:00:14 ID:PUYqebVi0
 女の争いに口を出すことを躊躇っていた雅史だが、涼が哀願するかのような視線を向けたことで火の粉が飛んだ。
 
「わ、わたしやってないんです! 信じてください!」
「なに被害者面してんのさ! ねえ!? キミも早くこの危険な女の捕獲に手伝ってよ!!」

 堂々巡りの口論に決着がつかなかったのか、彼女達は第三者の雅史に救援を求める。
 だが、それは大いに困る。 
 完全に部外者の彼にとって、このような事態を平和的に解決させる手段がない。
 なによりも、二人は冷静さを失っており、正常な判断が出来ていないのではないか。
 
(よ、よし。まずは二人を落ち着かせよう)

 単純明快に襲われている者と襲っている者として隔てる事が出来れば話が早かったものを。
 複雑な展開の仲介役として、彼は心の中で嘆息して二人へ向き直った。
490鬼暴き編:2006/09/29(金) 01:02:57 ID:PUYqebVi0
 『佐藤雅史(049)』
 【時間:1日目午後2時頃】
 【場所:E−05】
 【所持品:金属バット・支給品一式】
 【状態:疲労。椋と詩子の仲介】

 『藤林椋(091)』
 【時間:1日目午後2時頃】
 【場所:E−05】
 【所持品:何かしらの拳銃・支給品一式】
 【状態:普通。詩子を何とかする】

 『柚木詩子(114)』
 【時間:1日目午後2時頃】
 【場所:E−05】
 【所持品:不明・支給品一式】
 【状態:普通。椋を何とかする】

 「その他:012の続きです。問題がなければ共通で」
491 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:05:40 ID:MVC12/VK0
投下します。
058と矛盾するのでルートD以外のルートで
492 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:08:54 ID:MVC12/VK0
「崩壊の足音」

 ズドォォォォン!!


 ホテルの前庭のど真ん中で先ほど二人が監禁にあっていた施設が爆発した。
「ひゃー、結構派手な音立てるねー」
柏木梓(017)はのんきな様子で前庭を見つめる。その様子を横から眺めるのは巳間晴香(105)
「調べてくるわ」
「調べてくるって何を?」
「もちろん、あの施設の爆破跡よ」
「……なんで?」
晴香はそういうと哀れみをこめた視線を梓に送る。
「あのねぇ、主催者はなんのためにあれを爆破したと思ってるの?」
「殺し合いをさせるためだろ。みんながあそこから動かなかったら困るじゃないか」
晴香は一瞬きょとんとした顔を浮かべた。
「ああ、そういう考えもあるわね」
「ほかにどういう考えがあるのさ」
「私はね、あの中に連中の痕跡が残ってると思う。その痕跡を隠すためにあの施設を爆破したって考えてるの」
「うーーん、でもそうだとしたら、なおさら痕跡なんか残さないよう爆破するんじゃない?」
493 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:12:51 ID:MVC12/VK0
「……そういわれると弱いけど、でもどんなことでも手かがりになるなら探すべきだと思う」
「……わかった。気をつけなよ。庭は見晴らしがいいんだから撃たれたりするかもしれないから」
「危険は承知のうえよ。でも一応二階から、人が来ないかどうか見てくれる?」
「わかった。まかせといて」
晴香は自分の支給品のボウガンを構えると、部屋から外に出て行く。
梓も続いて部屋を出て、階段を上った。手近な部屋に入り、外に目をやる。今のところ、人のいる気配はないし、姿も見えない。
「大丈夫そう?」
視界のしたから晴香がそう声をかけた
「うん。多分」
「オッケー。いってくる」
晴香は梓がはらはらするほど、ゆっくりとした足取りで施設の瓦礫に向かった。
 梓の原原が続くこと、二十分。ようやく、晴香が帰ってきた。
「ふぅ」
「なんで、あなたがため息つくのよ」
「いや、なんか気張りっぱなしで疲れちゃって」
「……先が思いやられるわね」
そういう晴香は言うだけあって平気そうな顔をしている。自分と同じ高校生とはとても思えない。
「まあ、いいわ。それでこれからどうする?」
と晴香は話題を振ってくる。
「え、あ、あぁ」
梓は考えた。自分がここにいるのは成り行き上、というか晴香に連れ込まれた、というほうが正しい。
494 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:14:35 ID:MVC12/VK0

 施設から出てきた自分にいきなりボウガンをつきつけ、一緒にゲームをぶち壊すことに協力しろと言い出し、とりあえず落ち着くためにホテルに連れ込まれたのだ。
 今まで、話してて悪いやつじゃないのはわかるが……。
 梓は持っていた名簿にちらりと視線を飛ばす。そこには自分とともに大事な家族の名前があった。
 耕一やちづねぇはあまり心配してなかった。心配するのが自然なのだろうが、どうしてもそういう感情が浮かばない。冗談抜きで殺しても死にそうのない連中とでも思っているのだろうか、自分は。
「それとも、無償の信頼ってやつ?」
「何気持ち悪いこと言ってるのよ」
「うるさいなぁ。ちょっとだまっててくれない」
問題は楓と初音だ。あの二人は無事なのだろうか。楓はまだ、こんな状況でも自分を失わずに生きてけそうだ。意外としぶといからな、あの子は。だが、初音はどうだろう。わけもわからずどこかで震えているのか。それとも気丈に振舞って私たちを探しているのか、もしくは……
「っ! 何を考えているんだ、私は!」
一瞬浮き上がってしまった初音の死のイメージを慌てて振り払う。
「私は、家族を探す。妹たちが心配なんだ」
「そう、わかったわ。じゃあとりあえず、この近場にある平瀬村に向かいましょう。人が多く集まるはずだわ。特に夜になれば」
「え、ちょ、ちょっと待って」
自分の言葉に従い、あっさりとを決める晴香に梓が慌ててしまう。
「なに?」
「え、あの、いいの。それで」
人が多い、ということはマーダーに当たる可能性も高いということだ。それは当然、晴香も承知しているだろう。
495 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:18:23 ID:MVC12/VK0
「構わないわよ。どのみち、ここから動きたいし、今晩の宿も確保したいし」
「あ、そ、そう」
「そんなに気を使わないでいいわよ。私が無理してあんたを連れ込んだんだしね。あんたの目的が私のと相反しない限り、協力するのは当然だわ」
「あ、えっと、悪いな、なんか」
「いいってば、じゃあ今日は徹底的にこの平瀬村の捜索をしましょ。あなたの家族はえー、全部で四人でしょ。なら一人は見つかるわよ。
ほかのプレイヤーに会えば、情報収集もできるしね。ほら、ぼやぼやしてないで、さっさと行くわよ」
「あ、わ、わかった」
梓はちらりと名簿に目をやる。
(まってなよ、みんな……って、ん?)
「ねぇ」
「ん?」
自分の問いかけに晴香が振り向く。
「あのさ、あんたの他にもう一人、巳間っていう人がいるけど、これ家族かなんかじゃないの?」
「義兄よ」
「探さなくていいの?」
その問いに、晴香が黙り込む。
(ひょっとしてまずいこと聞いた?)
梓のそんな考えが頭に浮かんぶと同時に、晴香は答えた。
「なんとなくだけど……会うのが怖いのよ」
496 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:22:51 ID:MVC12/VK0
「怖い?」
「ええ」
それっきり黙りこんで、晴香は歩き出す。慌てて梓が後ろからついてくる足音がする。
(良祐、あなたはまさかこのゲームに乗ったりしてないわよね)
昔の優しかった彼ならば、そんなことはないと断言できる。だがFARGOの施設であった彼ならどうだろうか。自信を持って断言はできない。
(いやなものね、家族さえ信じられないなんて)
自嘲気味にそうつぶやく。それを考えると梓がうらやましい。素直にそう思った。
 もし、もし万が一彼がゲームに乗るようならば、
(その時は、あなたを……殺すわ)


巳間晴香
【場所:ホテル跡(E-04)】
【時間:午後十二時半頃】
【持ち物:ボウガン、荷物一式】
【状態:異常なし】

柏木梓
【場所:ホテル跡(E-04)】
【時間:午後十二時半頃】
【持ち物:不明(次の書き手さんまかせ)】
【状態:異常なし】
497 ◆elHD6rB3kM :2006/09/29(金) 01:24:16 ID:MVC12/VK0
補足
・今後の活動方針は夜まで平瀬村の捜索・調査
498刑事の勘 ◆/EyftfKRBU :2006/09/29(金) 02:21:28 ID:sgIuBudJ0
 午後二時半  ―広瀬村住宅街―

【最初の支給品以外にも、武器・食料があるである筈である(食料の少なさ・武器(弾数)の貧困さ・主催者側の目的から推察)】
【そしてそれらは、爆破されたスタート地点(およびその付近にある建物=菅原神社など)以外の4施設・3村のいずれかにある筈である】

 上の二つはいずれも柳川の推察である。
 そして案の定というべきか、適当に入った家屋の台所で【出刃包丁】を発見した。
 柳川の推察は正しかったわけだ。 内心はもっと良い武器を期待していたのだが、ハンガーに比べれば何十倍もマシだろう。


 こうして新たな武器を手に入れた柳川祐也と柏木楓のコンビは人気の無い広瀬村の住宅街を歩いていた。幸いというべきか、この間、誰にも出会っていない。
 また不思議なことに、目に入る住居の全てが真新しく、まるでこのために新築されたようであった。そしてそれを裏付けるように、家内もまるで生活感が無かった。


 柳川は唐突に呟いた。 それは突然のようにも思えるが、実は柳川自身、ゲームスタート直後から抱いていた疑念でもあった。
499刑事の勘 ◆/EyftfKRBU :2006/09/29(金) 02:22:50 ID:sgIuBudJ0
「奴らは最後に『俺達にはいろいろと期待している』と言った。
        それは……俺達をなんらかの方法で監視していることの暗喩だと思う」
「……それって」
 楓はハッとする。
「十中八九、この首輪だろう」 
 柳川は軽く首輪をつまみ上げ、続けた。 
「そして、やつら――主催者側(恐らくは末端の兵士だろうが)は島の中(あるいは地下か近海上)に確実にいる」
 柳川は続ける。
「でなければ、不自然なんだ。爆破装置の起動可能距離にも限界はあるし、それにここは圏外であり、携帯電話などの遠隔操作は不可能」
「同様に首輪から送られる(と推察した)監視の映像もしくは音声の受信。これも島内に施設が無いとほぼ不可能なはず。 そう考えるのが自然だ」

「……」
 こくり、と楓が頷く。確かにそうだ。
「この考えはあくまでも推察の域を出ない。 ……がしかし、あながち間違ってはいないと思う」
「……」

 楓は神妙な面持ちで聞き入っていた。一方の柳川も、持論の展開に夢中だった。
――それが初動を遅らせる結果となった。

「そして奴らは俺らがそれに気づくのさえ承知で――」
500刑事の勘 ◆/EyftfKRBU :2006/09/29(金) 02:24:01 ID:sgIuBudJ0
柳川の言葉が途切れたかと思ったその刹那。
 パァン!パンッ!
「―ッ!?」
「きゃぁ!」
 二人の足元を二つ、何かが弾んだ。
 柳川は瞬時に楓の手を引き、路地裏に難を逃れたが――そこは行き止まり。逃げることは出来ない。
 カツ、カツ……。 足音が段々と近づいてくる。
「隠れても無駄。 ……次は外さないんだから」 
 おぞましい女の声に――二人は戦慄する。
 ゆっくりとしたその足取りは自信の表れか、はたまた二人の隠れた場所が行き止まりと知ってのことか。
(くそ、完全に俺の不注意だ……)
 柳川は自分を恨むと共に、外壁から僅かに顔を覗かせ、敵の姿を確認した。
 二人の先およそ15M――そこに、女はいた。
 綺麗な長い黒髪が、風に靡いている。 美しいはずのその顔は、いまは殺人鬼にしか見えない。
 ――そして手には89式小銃。 当たり武器。 

 とにかく、絶体絶命に間違いない。
「どうやらやるしかないみたいだぞ……、柏木の娘」
 楓のほうに振り向き、柳川が神妙に呟いた。
「ええ……」
 静かにそれぞれの武器を構える二人。参加者側との戦いは望むべきものではなかったが、そうも言っていられない様だ。

 女の足音が10M程先で止まる。
 ――『出て来い』という意味だろう。
「私が冬弥君以外の全員を殺して、冬弥君を助けてあげるの……私、頑張るね。冬弥君」


 ――虚ろなに笑い、銃を構える彼女は……
 
 森川由綺その人だった。
501刑事の勘 ◆/EyftfKRBU :2006/09/29(金) 02:27:33 ID:sgIuBudJ0

 柳川・楓・由綺
【時間:2:40】
【場所:広瀬村住宅街(G-02上部)】

 柳川祐也
【持ち物:出刃包丁・ハンガー・支給品一式】
【状況:緊迫】

 柏木楓
【持ち物:コルト・ディテクティブスペシャル(弾丸12・内6装填)・支給品一式】
【状況:緊迫】

森川由綺
【持ち物:89式小銃&89式小銃用銃剣・支給品一式】
【状況:冬弥以外の人間を抹殺することを決意】

※全共通ルート
502受け入れがたい現状(1/2):2006/09/29(金) 06:56:24 ID:Rrm9rM4K0
道無き茂みをひたすらかき分ける少女がいた。
「はあっ、はあっ、はあっ…」
もし少女の通った後を上空から観察していたら、あてもなく迷走しているようにしかみえないだろう。
だが少女にとってはとにかく人気がないところにという行動原理に縛られているのでやむをえないのかもしれない。
「はあっ…はあっ…」
少女はずっと走り続けていたのだろう、息切れが激しい。

「はあっ……はあっ……」
やがて少女の背丈をゆうに超える茂みを抜けたあたりで少女の足が止まった。
「はあっはあっ……はあっ………だ、誰も……はあっ…いませんよね」
茂みを背にして辺りを見回す少女。
どうやら幸い周りには少女に危害を与えるような動きはないようだ。
「はあ…はあ…危なかった…」
少女が着ているセーラー服はあちこちが裂け、胸リボンの片輪が切れてしまっていた。
スカートは多くのひっかき傷等で大腿の辺りまで裂けており、見る角度によっては少女の下着が見えてしまいそうだ。
傍目から見れば強姦されたと勘違いされてもおかしくはない。
「…痛い」
少女は全身に痛みを感じ、その箇所に視線を置く。
どうやら服が切れたのと同時にその下の柔肌にまでひっかき傷を作ってしまったらしい。
少女の体のあちらこちらに血がにじんでいた。
服が切れ、肌が裂けるのをいとわないほどの恐怖から逃げて来たのだろうか。
「何とか…逃げ切れたみたいですけど」
制服同様、所々裂けつつも何とか形を保っている頭の黄色いリボンが揺れる。

「これからどうすればいいんでしょうか…」
名倉由依(075)はつぶやいた。
503受け入れがたい現状(2/2):2006/09/29(金) 07:00:40 ID:Rrm9rM4K0
(あの人はひょっとしたら悪い人じゃなかったかも…目つきは悪いですけど)
茂みのそばで一休みしながら由依はそう考え始めていた。
周りに誰も敵意を持った者がいないからなのか、一時の間、走り続けたことで頭が冷えたのか。
「そうですよね。TVゲームの世界じゃないんですから、こんなことに乗る人なんていませんっ!
 こんなゲーム晴香さんと対戦するだけでおなか一杯ですよっ」
…それとも持ち前の明るさからなのだろうか、いずれにしても落ち着きを取り戻しているようだ。

「そうです。こんな思い…あのときだけで十分なんです。
 そういえば、郁未さんや晴香さん、葉子さんもここに来ているんでしょうか…」
明るかった表情に一瞬陰が入る…が
「まあ悩んでいても仕方ありませんね、まずはお姉ちゃんと合流しましょう! それからですっ」
そう自分に言い聞かせ、由依はとりあえず姉:友里を探すために歩き出した。


!!
不意に歩いていた少女の動きが止まる。
「あ、ああ、あああ……」
先ほどまでの明るかった表情がみるみるうちに青ざめていく。
「そ、そんな…」
少女の視線の先には人が倒れ……否、真っ赤な血で辺りを染めている死体が転がっていた。
「嘘…」
少女の願いはわずか数時の間で打ち砕かれた。
だがこの時点で自分が置かれている現状を知ることができたのは幸運なのかもしれない。



……ただ、この事実をあの少女が全て受け入れられるかはわからないが。
504受け入れがたい現状(補足):2006/09/29(金) 07:03:42 ID:Rrm9rM4K0
『名倉由依(075)』
【時間:1日目午後1時45分頃】
【場所:E−05】
【所持品:不明】
【状態:着衣に多くのひっかき傷、体中浅い切り傷、疲労気味。
     とりあえずお姉ちゃん(友里)との合流を目指す。
     理奈の死体を見て固まっている】

『緒方理奈(015)』
【時間:1日目午後1時45分頃】
【場所:E−05】
【所持品:不明】
【状態:死亡(049で既に死亡)】

【備考:036「眼つきの悪さが運のつき」、049「羅生門」の続き投下です。
     036、049とも全ルートとのため共通でよいと思われます。】
505名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 07:17:16 ID:LWk3UYgg0
>>504
何ために書いてるのかわからん
つまらん
506名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 07:28:57 ID:Gb4NnF0ZO
修正

076 刑事の勘
『広瀬村』→『平瀬村』
507君のために出来ること(1/3):2006/09/29(金) 08:44:59 ID:8jllTQ6r0
林の中に逃げ込んだ七瀬彰は、後ろをちらりと見、
誰も追ってきていないのを確認すると力なくうなだれた。
撃たれた右腕が焼けるように痛み、全身から汗がにじみ出ている。

なんでこんな事になったのか。
痛みで意識が遠くなりそうになる頭を必死に振り
思い描くのは最愛の人の顔。

−美咲さんを守る。

このゲームのルールを聞いたときにはただそれしか浮かんでは来なかった。
見ているだけだった普段の生活。
最愛の人と、親友と、くだらないことで笑いあう日々。
それだけでも楽しかった、幸せだった。
だが、今自分のそばには誰もいない。
そして彼女のそばにも……。

「!?」
気付いた時には背後に人の気配。
霧島佳乃(031)がそこに立っていた。
何かに取り付かれているのかのように目の焦点はあっておらず、虚ろに彰を見下ろしていた。
そして次の瞬間、首に黄色い布が巻かれる。
勢いよく締め上げられるそれの痛みと苦しみに呼吸が出来ない。
(まずい!)
頭の中が真っ白になっていく。
気が遠くなりそうになりながらも、振り解こうと腕を暴れさせた。
彰の肘が佳乃のみぞおちを殴打する。
一瞬布を握る手から力が抜けるのを感じると、腐乱に肘を打ち続けた。
首から圧力が完全に抜け、佳乃は腹を押さえて倒れこむ。
間髪いれず振り返り、髪の毛を掴みながら崩れ落ちようとする身体を引っ張ると
508君のために出来ること(2/3):2006/09/29(金) 08:45:36 ID:8jllTQ6r0
その顔面を思いっきり殴りつけた。
ブチブチッと言う音と共に左手には髪の毛だけが抜こり、佳乃の身体が吹き飛ばされる。
彰は迷わず佳乃の身体にまたがると、また一発二発と顔面を殴り続けた。
佳乃の顔が左右に揺れ、同時に口から鮮血が飛び散る。
何十発と殴ったのかもうわからない。
顔はどす黒く晴れ上がり、綺麗だった面影はどこにも残っていなかった。
佳乃の血で真っ赤に染まった拳を止める。
ゆっくりと辺りを見渡すと人の頭ほどの大きさをした大きな石。
荒ぶる息を押さえ、それを手に取り振り上げた。
それでも佳乃の表情に変化は無く、ただ虚空を見つめている。
……渾身の力を込めて石は振り落とされた。
グシャと鈍い音が響き、佳乃の身体はピクピクと数秒痙攣すると、そのまま動かなくなった。

……人を殺した。
湧き上がる吐き気を必死に押さえ込むと、知らぬうちに瞳から流れていた涙をぬぐう。
後悔している暇はない。
自分が立ち止まっている間にも最愛の人が自分と同じような目にあってるかもしれない。
ノロノロと力なく立ち上がると自身のデイバックを肩に下げる。
少し離れた草むらに佳乃のものであろうデイバックも発見し、迷わずそれを掴む。
中を見ると小さなアイスピックが出てきた。
腰とベルトの間にそれを入れ、ゆっくりと歩き出した。

彼の目は決意に染まっていた。
人が死のうとも、手にかけるのが自分であろうとも。
そして相手が親友であっても。
ただ愛する人を助けるため……。
この島においてその決意が、なんとも悲壮なものであることを彼はわかってはいなかった。
509君のために出来ること(3/3):2006/09/29(金) 08:46:19 ID:8jllTQ6r0
七瀬彰
【時間:一日目13:45】
【場所:E-3】 
【持ち物:武器:アイスピック、自身と佳乃の支給品の入ったデイバック】
【状況:右腕を負傷】
霧島佳乃
【時間:一日目13:45】
【場所:E-3】 
【持ち物:支給品一式は彰の手に】
【状況:死亡】
510:2006/09/29(金) 08:51:25 ID:GLxUb1uw0
 澤倉美咲(053)はじっと森の中に隠れていた。
 側には大きな透明の盾、それが彼女の支給品であった。
「何でこんなことになったんだろう…」
 昨日まではいつもと変わらない日常を送っていたのに、考えれば考えるほど訳のわからない事態だった。
(これからどうすれば…)
 まず自分はこのゲームに乗る、いや、それ以前に乗ることは出来ないだろうという事がよくわかっていた。
 自分には人を殺す力も勇気も到底無い、そう思っていた。
「私… このままこの島で死ぬしかないのかな」
 口に出してみるとぞっとする。
 ナイフで首を切られて死んでいる私、バットで撲殺されて死んでいる私、銃で頭を撃ち抜かれて死んでいる私――
 次々に浮かんでくる自分の死に様。
「そんなの嫌だな…」
 死にたくない、死にたくないよ…
 藤井くんに会いたかった。
 由綺ちゃん、七瀬くん、はるかちゃん、誰でもいいから知り合いに会いたかった…

何時間経ったであろうか。
ガサッ…
突然、背後より葉が擦れる音が聞こえた。
「…誰?」
美咲は反射的に振り向く。
「あの… 大丈夫ですか?」
そこには同じぐらいの歳の様に見える女性がちょっと怯えながら立っていた。
511:2006/09/29(金) 08:54:06 ID:GLxUb1uw0
「それじゃ梶原さんは弟さんを捜しているんですか?」
「はい」
その女性――梶原夕菜(022)は、安心したのか先程とはうって変わって明るい表情で頷いた。
「でもごめんなさい、ずっとここに隠れていたから、わからないの」
「そうですか…」
少しがっかりした表情を浮かべたが、すぐにまた明るく言った。
「それじゃ、一緒に行動しませんか?」
「いいんですか?」
 その言葉は嬉しかった、けど…
「多分… 私、足手まといになると思いますよ」
「そんなことありません」
 励ますように夕菜は微笑む。
「大丈夫! きっと助かります、そうちゃんなら何とかしてくれる、そんな気がするんです」
 そう元気に言って歩き出した。
「とりあえず、ずっとここにいるのは危ないと思うので移動しましょう。
 この先に洞窟があるの、大体この辺りは歩きまわったからわかります。
 そこで落ち着いて今後の事を話しましょう」

「あ、そうそう」
 洞窟に移動する途中、夕菜は大切なことがあると立ち止まる。
「この先には毒蛇や危ない虫が多いそうなんです、そう…私の支給品の取扱説明書に書いてありました」
「え、そうなんですか」
 驚く美咲。夕菜と出会った場所に行くまでに、すでにここを通っていたのだ。
「はい、ですからこれを」
 そして自分の鞄の奥から何かを取り出す。
「注射ですか?」
 その支給品にはラベルで『回復剤』『解毒剤』『睡眠剤』はては『精力剤』というものまで張られていた。
「そしてこれはワクチンのようなものだそうです」
 自分の腕を思い出したかの様にさすりながら話す。
「私はさっき美咲さんと会う前に使いました、どうぞまだ沢山あるんで遠慮しないで使ってください」
512:2006/09/29(金) 08:56:06 ID:GLxUb1uw0
 梶原夕菜はこのゲームに参加するつもりなど全く無かった。
 ただ義弟である宗一のことは常に気にかかっている。
 宗一とその仲間達は必ず皆を救おうとして、その為に今も走りまわっているだろう。
 そして必ずこのゲームを壊す。そう確信していた。
 しかし――参加者は120人もいるのだ。
 いくらなんでも…多すぎる。
 これ程の人数では善人ばかりでなく、進んで人を殺す者もいるだろう。
 そして錯乱して襲い掛かって来る者も、仲間同士の輪を乱すような者も
 怯えているだけで守られっぱなしなだけの者も、能天気な振る舞いで迷惑をかけ続ける者も…
 そういった人は宗一、いやゲームを壊そうと奔走しているすべての人達にとって障害以外の何者でもない。 
 誰もそうは言わないだろう、思いもしないかもしれない。しかしそれは事実なのである。
 進んで人を殺す者はまだいい、わかり易い敵だ。皆で協力して倒せばいい。
 だが足を引っ張る者が味方なら、最悪だ。
 誰もその者を排除できない…
 そうしてそういった人達を守るため、多くの人が傷つき死ぬだろう。もしかしたら宗一も…
 ならば、自分が進んで泥をかぶり排除しなければならないのだ、なぜなら――
(そう、あの日、何があってもそうちゃんを守ると決めたのだから)
513:2006/09/29(金) 08:58:06 ID:GLxUb1uw0
 効果はすぐに表れた。
「…っ!」
 何事か呻く美咲。
「だ、大丈夫ですか美咲さん!」
 そしてそれに慌てて駆け寄る夕菜。
(…本当にごめんなさい美咲さん、人の数も最低限減らすつもりなの)

 夕菜が洞窟の奥に破り捨てた取扱説明書、そこにはこう書かれていた。

『劇薬(H173) 危険! 人体に使用したらタイヘンな事になります。
 尚、ラベルの表示はすべて嘘っぱちです。皆を上手く騙しましょう』


『澤倉 美咲(094)』
【時間:1日目午後3時過ぎ】
【場所:F−05】
【所持品:強化プラスチックの大盾(機動隊仕様)、他支給品一式】
【状態:H173投与、早速効果が現れ始める】

『梶原 夕菜(022)』
 【時間:1日目午後3時過ぎ】
 【場所:F−05】
 【所持品:注射器(H173)×19、他支給品一式】
 【状態:普通。美咲の様子を見ている】
 【方針:ゲームを壊しやすくするために単独行動者や迷惑な人間を秘密裏に排除する】

 【その他:2人のスタート地点は鷹野神社(G−06) 】
514名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 10:16:21 ID:StyVhKLS0
>>412-414が素晴らしすぎるのでその続き
515“無”属性魔法:2006/09/29(金) 10:19:08 ID:StyVhKLS0
「ハァァァァァァァァァァ……!」

 Xランクの力を解放した祐一は光り輝く6枚の翼を翻し、諒に身構える隙さえ与えずに極大魔法を放った。


 エク ・ ス ・ ヒューム ・ ド
 地水火風冷雷闇光滅撃


 弱点もクソも無くあらゆる敵を葬る、必殺の全属性魔法だ。

 八色の奔流がXを襲う! ……だが。

 パッシィィィィィィィッ!!!

 なんと! 諒は微動だにせず地水火風冷雷闇光滅撃を弾いた。

「フ……ハハハハハハハッ!!」

「なに……」

「知らなかったのか? 超地球人3の身体を覆うインペリアリック・オーラはあらゆる属性の魔法を……遮断する!」

 諒はこの上なく得意げに自らの能力を語った。

「つまりッ! お前がいかに強力、いかに多彩な魔法を使おうともぉッ! 俺には通じないぃぃッ!!」

「……」

「ハハハハハハハハハハハハハハ…………ハッ!?」

 諒の右手があるハズの場所に黒い暗黒が広がっていた。
516“無”属性魔法:2006/09/29(金) 10:20:58 ID:StyVhKLS0
「な、なんだコレは……」

 諒は驚愕に満ちた表情で手首から先が無くなった右腕を見た。

「それは“無”だ」

「“無”っ? “無”だとっ!?」

 そう、超地球人3のインペリアリック・オーラはあらゆる属性の魔法を遮断する―――ただ一つ、“無”属性魔法を除いて。
 なぜならば、“無”属性魔法はあらゆる魔法を無効にするというインペリアリック・オーラの性質そのものを“無”くすからだ。

(は……ハッタリだっ!)

 有史、先史、神話、旧神話、あらゆる時代を遡っても、“無”を制御し得た者は“魔人”ティーユ=ワズィーアただ一人。
 そしてそのティーユ=ワズィーアも旧神との最後の戦いにおいて自らの無に飲み込まれて消えたとされている。

「ティーユ=ワズィーアでもない貴様が“無”を使いこなすなどとぉッ!」

 誇り高き超地球人は残された左手に銀色のオーラを集中させ、あらゆる物質を粉砕する一撃を振り下ろさんとする。

 祐一はスッ……と目を閉じ右手を掲げた。

「見るか―――虚無を」


 イベント ・ ホライズン
 事 象 深 淵
517名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 10:23:29 ID:StyVhKLS0

 ―――――カッ。

「ウッギャアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!………………」
「アアアアアアアッッ!!!!………………」
「!!!!………………」
「………………」
「…………」
「……」
「」


 「イベントホライズン」の虚無に呑まれ春日諒は消滅した。
 彼は死んだのではない。存在自体を否定されこの宇宙に最初から“無”かったことになったのだ。

「ティーユ=ワズィーア……か。そんな名だったこともあったっけな……」

 そう呟いた祐一の瞳には僅かに哀しみの色が浮かんでいた。
 彼の秘められた過去世……その全てが語られる日は果たして来るのだろうか……。

「り……諒!」
「うぬぬぬぬ……どうすればいいんだ……!」

 なお、何故この2人が「この宇宙に最初から“無”かったことになった」ハズの諒の敗北に動揺したのかは語り得ぬ事なので問うてはならない。

側近A(春日諒) 【消滅】

『相沢祐一(001)』
【時間:一日目12:06分頃】
【場所:島の上空】
【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である】
【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着)】
518名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 10:24:01 ID:StyVhKLS0
以上っす
519名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 10:48:30 ID:StyVhKLS0
誤字発見。
>>515
八色の奔流がXを襲う! ……だが。



八色の奔流が諒を襲う! ……だが。
520鬼暴き編の人:2006/09/29(金) 11:23:48 ID:PUYqebVi0
074を投下した者です。
059で既に詩子の支給品が確認されてますので、074の詩子の所持品に
ニューナンブM60(5発装填)&予備弾丸2セット(10発)とお手数ですが、訂正お願いします。
521鬼暴き編の人:2006/09/29(金) 11:26:26 ID:PUYqebVi0
ごめんなさい。もう一つ。
059の続きでもあります。
522名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 11:59:02 ID:Gb4NnF0ZO
投下します。Bルートです。
523無茶苦茶コンビ?:2006/09/29(金) 12:04:14 ID:Gb4NnF0ZO
「よし。こんなもんでいいだろ」
077番、那須宗一は現在氷川村のとある一軒家の中にいた。
仲間たちを探すため、そしてこのゲームに生き残るために使えそうなものを集めるためだ。

1時間ほど建物を物色した結果、彼は包丁、少し太めのロープ、ドライバーなどの工具一式が入ったツールセット、包帯・バンドエイド・マ●ロン(消毒液)などが入った救急箱を見つけた。

(使えそうなものは持てるだけ持っといて損はないしな)
さて、とその場を後にしようとしたその時、家の中に誰かが入ってくる気配がした。

(誰だ?)
すぐさまポケットから支給品のベレッタ トムキャットを取り出す。
もちろん、彼はゲームに乗る気など皆無である。あくまでこれを使うのは威嚇と防衛の時のみだ。

(――さあ、来やがれ)
この瞬間から彼は普通の高校生(といっても知り合いたちからは正体バレバレだが)那須宗一から世界NO.1エージェント、NASTYBOYに姿を変えた。

キィ…と音をたて、部屋のドアがゆっくりと開いた。
「動くな。止まれ。
抵抗しなければ安全は保障する」
宗一は入ってきた相手にすぐさま銃を突き付けた。
入ってきたのは自分と同年代の少女だった。

「わっ。いきなり脅かさないでよ」
少女――031番、霧島佳乃は銃を突き付けられているのにもかかわらず、いつもどおりの調子で宗一に言った。
「大丈夫だよ。君を殺したりなんかしないからー」
「……お前、恐くないのか?」
「そりゃ恐いよ。でも抵抗しなければ殺さないんでしょ? それなら平気だよ」
(ああ、なるほど―――)
まあ、恐怖心がないというのはこういう状況においては頼もしいものだ。そう思いながら宗一は銃を一旦下ろした。

524無茶苦茶コンビ?:2006/09/29(金) 12:07:21 ID:Gb4NnF0ZO
「――私はお姉ちゃんや往人君たちを探していただけだよ」
「そうか。それはすまなかった」

しばらく佳乃の話を聞いた結果、宗一は彼女は敵ではないと判断し、彼女と行動を共にすることにした。

「それで何か役に立ちそうなものはないかなーと思ってこの家に入ったんだ。鍵開いてたし」
「悪いが、この家にある使えそうなものはほとんど俺が既に拝借してしまった」
「え? 本当?」
「ああ」
「うーん…それは困っちゃったな。
あ。でもまだ使えそうなものの1つや2つは残っているかも」
ちょっとそこで待ってて、と宗一に言うと佳乃は一度部屋を出た。
「お、おい。やれやれ、なんなんだあいつは…?」
しかし、どこか皐月やゆかりに似ているなと宗一は思った。

「あ。宗一君見て見て!」
「ん? どうした佳乃?」
冷蔵庫から拝借した牛乳パックを手に宗一は佳乃のもとへ行く。
そこには……

「ほら。こんなものもあったよ」
「ぶっ――!」

思わず吹き出してしまった宗一。
それもそうだ。佳乃が持っていたものは――他でもなくコンドームだったのだから。

「主催した人たちも凄いねー。万一のためにこんなものも用意してあるなんて」
「い、いいから早くそれをもとの場所に戻しとけー!」

結局、役に立ちそうなものは他に見つからなかった。

525無茶苦茶コンビ?:2006/09/29(金) 12:09:03 ID:Gb4NnF0ZO
「よし。暗くなる前に少し場所を変えるか。確か佳乃のお姉さんは医者だったよな?」
「うん。お姉ちゃんは凄いんだよ!」
「よし。じゃあ、医者が行きそうな場所に行くか。
ちょうどこの村には診療所があるみたいだからな。もしかしたらそこにいるかもしれない」
「うん」
宗一たちは診療所を目指し、家を後にした。


 那須宗一
 【持ち物:ベレッタ トムキャット(残弾7)、バッグ】
 【状態:健康。皐月やエディたちを探す】

 霧島佳乃
 【持ち物:バッグ】
 【状態:健康。聖や往人たちを探す】

 【場所:I−06】
 【時間:午後3時50分】
 【備考:2人で行動して診療所へ】
526名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 12:15:29 ID:Gb4NnF0ZO
訂正

 那須宗一
 【持ち物:ベレッタ トムキャット(残弾7)、包丁、バッグ、ロープ(少し太め)、ツールセット、救急箱】
527守りたいものはありますか?(1/3):2006/09/29(金) 13:47:45 ID:8jllTQ6r0
気だるさが身体中を襲う中、春原芽衣はゆっくりと目を開けた。
上空から刺す太陽の光が眩しく瞳を焼き付ける。
「お、目が覚めたかい?」
未だはっきりしない意識の中で自分を見つめる影が呼びかけてくるのが耳に届いた。
「……お兄ちゃん?」
靄がかかった視界の中、思わずそう呟いてしまう。
そこで急激に意識がはっきりとし、自分になにが起きたかを思い出した。
銃を突きつけられ、そして銃声。
目の前にいるのは見も知らぬ男性。
勢いよく身体を起こし、震えながら後ずさった。
パサッと額に載せてあったハンカチが地面に落ちる。
額に手を当てハンカチと、目の前の男を交互に見比べた。
水面に映っていた顔とは明らかに全然違う顔。
(違う……私を撃とうとしていた人じゃない)
芽衣の心情を察したのか、目の前の男、緒方英二は
彼らしくない笑顔を浮かべてゆっくりと言った。
「もう、大丈夫」

自己紹介を軽く済ませ、池のほとりに並んで座る芽衣と英二。
支給品のパンに芽衣がかぶりつきながら小さく口を動かす様を、英二は慈しむ様な目で見つめながら話を続ける。
「それじゃ君はお兄さんを探しているんだね」
「はい、……探してるというより会いたいと言う気持ちですが」
探しているというわけではなかった。
さっきまでの自分はただ幻想に助けを求め、逃げていただけだったのだから。
そんな自分に嫌気が差したのか芽衣は思わずうなだれてしまう。
落ち込む芽衣の顔を見て英二は、手に持ったペットボトルの中の水を飲み込みそれをしまうと、バックから地図を取り出す。
「ここからだと人が集まりそうで一番近いのは……鎌石村か。
 でもさっきみたいにゲームに参加しちゃったのも同じことを考えるだろうね」
地図を見ながらブツブツと呟く。
528守りたいものはありますか?(2/3):2006/09/29(金) 13:48:34 ID:8jllTQ6r0
その様子を不思議そうに芽衣は見つめる。
「黙ってても始まらない……か」
地図をたたむとおもむろに立ち上がり、ぐいっと背伸びをする。
「よし、それじゃ行こうか」
二人分のデイバックを担ぐと、英二は芽衣にそっと手を伸ばした。
「え?」
芽衣は英二の行動の意味がよくわからず、おもわず首を傾げてしまった。
「え?って。いやまさかここでバイバイなんて言うような男に見えたかい?」
英二は苦笑する。
「一緒に探そう、君のお兄さんを」
「い、いえ……でも迷惑じゃ?」
「ふでそりあうも他生の縁……って言うじゃない?」
言いながら英二は理奈のことを思い出していた。
うまく知り合いに会えていればいいんだが……と馴染みの顔を思い浮かべる。
だがもしも知り合いに会うことが出来ず、一人きりで、いやそれならまだましなほうだ。
もしかしたら先ほどのようなゲームに乗った人間に出くわしてしまうかもしれない。
(さっきのはたしか藤井君の友達だったよな……)
最初は気付かなかったが、思い返すと芽衣を襲おうとしていたのはスタジオそばの喫茶店でアルバイトをしている少年のことだと思い出した。
(そんな風には見えなかったんだが……)
もしかしたら藤井君も?由綺も?
考えれば考えるだけ悪いイメージしか沸いてこない。
弥生君なら由綺を生き残らせるために平気で人を殺してるかも……冗談だよ。
ちょっと考えたら想像の弥生に怒られてしまい思わず頭をぽりぽりと掻いて謝った。
ともあれ、英二は何よりも早く理奈を見つけたかった。
そしてそれ以上に目の前の少女を兄に合わせてやりたいと思った。

差し出された英二の手を芽衣はそっと取って立ち上がると一言。
「自分の荷物、自分で持ちます」
もう一方の手でデイバックに手を伸ばす。
「いいからいいから」
529守りたいものはありますか?(3/3):2006/09/29(金) 13:49:27 ID:8jllTQ6r0
だが芽衣の手をひょいとかわして、届かない反対側に担ぎなおした。
子ども扱いされていると感じて、芽衣が頬を膨らませた。
ただ無言で芽衣の頭をなでるとそのままポンと軽く叩くと、
照れて少し紅くなった頬を隠すようにそのままゆっくりと歩き出した。
その後を小走りで追いかける芽衣。
再び二人は並び、林の奥へと消えていった。


春原芽衣
【時間:一日目14:45】
【場所:高原池から鎌石村のほうへ】 
【持ち物:支給品の中に入っていた食料と水を少し消費、他支給品】
【状況:多少疲れてはいるものの健康状態、春原陽平を探すため英二と行動中】
緒方英二
【時間:一日目14:45】
【場所:高原池から鎌石村のほうへ】 
【持ち物:武器拳銃、支給品の中に入っていた食料と水を少し消費、他支給品】
【状況:緒方理奈・森川由綺・藤井冬弥・篠塚弥生の4名を探しつつ、芽衣の手伝いの為同行】
530扉を求めて:2006/09/29(金) 14:18:10 ID:PUYqebVi0
 芳野祐介(118)と別れた相沢祐一(001)と神尾観鈴(025)は彼が離れた後、すぐさま荷物を纏めて場を離れた。
 始めは二人もある程度歩きながら今後の方針を離していたが、時間が経つにつれ次第に口数も減り、今では完全に沈黙している。
 原因は無表情で黙り込む祐一だ。
 芳野がいた時や出発間際はそれほどでもなかった。
 なんてこともない世間話や自身のことを話している内は気も紛れたのかもしれないが、二人になると考えることがあるのか祐一は口を閉ざしていた。
 それを、心配気味にチラチラ覗き見る観鈴。こういった雰囲気が苦手なのか、彼女は誤魔化すように拾った醍醐の荷物を漁っている。
 祐一が思うところは、先の戦闘だ。

(人助けとはいえ……撃っちまったんだよな)

 転がる醍醐の死体を見たときは、自分がやった惨状だとはいえ目を逸らした。
 初めての銃の感触と発砲、そして遠目からでも分かった肉が抉られる瞬間。 
 その光景が何度も何度も頭の中で繰り返される。
 確かに、殺すつもりで撃った。襲われていた観鈴や芳野が危険だと思ったから、迷うことなく発砲していた。
 放った弾が、醍醐へと正確に着弾した時は、安堵に口許を綻びもした。
 そして、芳野があまりにも普通にしていたこともあり、殺したという事実が麻痺していたのかもしれない。
 現に、今更になって手に震えが走ってきたのだ。
 殺したことに対する後悔はない。二人を助けることが出来たのだから。
 だが、直には割り切れそうにもなかった。
 人を助けるという理由を免罪符に、人を殺してもいいだなんて祐一も思ってはいない。 
 しかし、そうしなければ二人が危うかった。
 悪意がある人間は必ずしも全員ではない。人の価値観によって悪意は変わってくるのだから。
 第三者から見れば自分は悪かもしれないが、それでも自分は間違ったことはしていないと思わなければ、この狂ったゲームでは生き残れない。
 歩きながら荷物を漁る観鈴に、祐一はそっと目を向ける。

(人一人殺してまで彼女を守ったんだ。このまま無駄死にじゃ、助けてくれた芳野さんにも悪い。俺が殺したおっさんにも……な)
531扉を求めて:2006/09/29(金) 14:20:43 ID:PUYqebVi0
 醍醐にだって何か譲れない理由があったのかもしれない。
 今となっては知る術はないが、その想いを断ち切った者の責任として、彼女は守り通さなくてはならない。
 報いることは決して出来ないが、自分が後悔するつもりはない。
 そう決意を新たにした祐一へ、沈黙に耐えかねた観鈴が口を開く。

「……祐一さん、大丈夫……?」
「ん? なにがだ」
「そ、その……元気なかったから……」

 守った少女にまで心配されるとは。
 祐一は軽く観鈴の頭を小突いて苦笑した。

「何言ってんだよ。俺は大丈夫だって。神尾こそ、よそ見して歩いてるとすっ転ぶぞ?」
「こ、転ばないよっ」

 祐一も観鈴も本来の調子が戻ったかのように笑いあう。
 そうだ。あれこれと悩むのは性に合わない。
 普段通りにしていればいいのだ。かつて、名雪や香里、北川と楽しく話していたときのように。
 そして、皆で考えれば良い。ゲームの解決策を。
 あの日々に戻るまで、誰一人欠けることもなくだ。
 物事を前向きに考え出すと、先程の沈黙とは打って変わって、二人の間に話が弾んだ。

「んじゃ、その往人って奴や晴子さんって人を探してるんだな?」
「うん。往人さんとお母さんはちょっと意地悪だけど、とっても優しいから。祐一さんはどう?」
「俺か? 俺は……そうだな。香里と美汐、秋子さん辺りが冷静で頼りになるかもな」

(良い意味でも悪い意味でも……)

 内心、そう呟いた。
 彼女達は恐らく、このゲームでも冷静であろう。
 冷静であるが故に、高が外れないかが心配だ。
 それさえ考慮すれば、心強い仲間となるだろう。
532扉を求めて:2006/09/29(金) 14:22:00 ID:PUYqebVi0
「あゆや栞なんかは、恐怖で震えてそうだな……」
「にはは。女の人ばっかり」
「うっ……男だっているぞ。一人だけだがな……」

 そういえばと、学校での生活を思い返す。
 今の学校に転校してから僅か数日で、数人の女友達には恵まれた。
 しかし―――

(あれ? 俺の男友達って北川だけ……?)

 よくよく考えてみるとそうであった。友達が少ないことを改めて露呈する祐一。
 だが、それは北川一人で満足していたということもある。
 北川もこのゲームでの参加者の一人であるが、彼の死に際は想像できなかった。
 こんな無人島でもしぶとく逞しく生きているんだろうと、酷く愉快な情景を思い浮かべてしまう。
 奇しくも、その感想はとある少女と重なるわけだが。
 思わず笑みを浮かべてしまう祐一を、怪訝そうに見つめる観鈴であったが、ふと思い出したようにポケットから何かを取り出した。

「あ、そうだ。みてみて祐一さん。これ……なんだと思う?」
「これって……フラッシュメモリ……だな」
「ふらっしゅめもり?」

 観鈴が取り出したものは小さな記憶装置、フラッシュメモリだ。
 彼女が持っていたということは、これが支給品なんだろう。 
 それを受け取った祐一は、しげしげと眺める。

「USBコネクタか。パソコンがあればいいんだが……あるのかこんなところに……?」
「えっと、なにかなそれ?」
「ああ。パソコンの携帯型の記憶装置だ。見たことないか?」
「にはは。うち田舎だから、パソコンも見たことない」
「……それは、ある意味すごいな」
533扉を求めて:2006/09/29(金) 14:23:41 ID:PUYqebVi0
 今日日の子供は携帯電話だって慣れしたんでいるというのに、どんなド田舎だ。
 きっと電話だって黒電話に違いない。
 失礼な解釈をしつつ、祐一はメモリを観鈴に返す。

「ともかく、それ。重要かもしれないから落とさず持っておけよ」
「が、がんばる。それで、これからどうするの?」
「そうだな……。神尾の知り合いを探してもいいが、その前に―――」

 祐一はバックから地図を開く。
 現在は山の麓辺りを歩いており、元いた場所から地図を辿るとE−06付近だ。
 目視でもかすかに建物も見えることから、これは学校だろ。ならば、間違いないはずだ。
 そこから、さらに北西に向かって地図の上を指で走らせる。
 観鈴も横から覗き込み、指が止まった位置で呟いた。

「鎌石……村? ここに行くの?」
「過剰に人が集まる場所には行きたくないんだけどな。取り合えず、だ。パソコンを探してみよう」
「パソコンを? あっ! これを使うんだ」
「踊らされてる気もしないが、無闇に歩き回っても仕方ないしな。一先ず明確に目的を決めたほうが良いだろ」

 祐一は地図を畳み、代わりにコンパスを取り出した。
 しばらく、方角とコンパスを睨んでいた祐一だったが、方角を確認した後、畳んだ地図と一緒にコンパスをバックへと放る。

「よし。勝手に目的地決めたけど、神尾もそれでいいか?」
「あ、うん。私は祐一さんについて行くから」

 その言葉に頷いた祐一は、観鈴を連れ添って歩き出す。
 今度は、明確な目的意識を持って。
534扉を求めて:2006/09/29(金) 14:24:16 ID:PUYqebVi0
 『相沢祐一(049)』
 【時間:1日目午後4時頃】
 【場所:E−06】
 【所持品:S&W M19(銃弾数4/6)・支給品一式】
 【状態:普通。パソコン確保のため、まずは鎌石村へ】

 『神尾観鈴(025)』
 【時間:1日目午後4時頃】
 【場所:E−06】
 【所持品:フラッシュメモリ・支給品一式】
 【状態:普通。祐一の意向に従う】

 「その他:046の続きです。Dルート以外でお願いします」
535名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 14:40:51 ID:PUYqebVi0
ごめんなさい、訂正です。
状態の祐一の番号を001へ
536セブン・センシズ:2006/09/29(金) 16:41:59 ID:JVPacVVr0
(小声で)「ねえねえ、雪ちゃん」
「どうしたの、みさき」
「なんとなく、なんとなくなんだけどさ、後から人が来ている気がするんだよ…」
「ほ、ほんとなの?みさき」

みさきの勘は鋭い、しかも、今は生死を賭けた状況である
それこそ、信用するに値するものかもしれない

「みんな、ちょっといい?」

だから、私は前にいる藤田くんたちを呼んだ

「どうした?うーゆき」
「どうしたんだ?」
「?」

前を進む3人は不審気な表情を浮かべる

「みさきがね、後から誰かがついてきてるって…勘だけど信じていいと思う…」
「なんとなくよくない感じがするんだよ〜」

「よくないってことは……?」
「たぶん、このゲームに乗ったヤツなんだろうな」

浩之と陽平が話をしている途中に当たり前のような疑問をるーこが放つ

「???なんで、うーさきはそんなことが分かるんだ?」

「ば、バカ!五感の中で視覚を閉じた人間は[第七感]までマスター出来るんだ!
 「第七感」に目覚めた者は小宇宙を最大限まで増幅する事が出来るんだぞ!!」
「そ、そうなのか?るー、知らなかったぞ、うーさき、凄いぞ」
「………浩之くん、陽平くん、私聖闘士じゃないよ…」
537セブン・センシズ:2006/09/29(金) 16:53:48 ID:JVPacVVr0
436

気がつけば『お約束』? −春原の受難−

の続き

【時間:1日目15時50分】
 【備考:雪見とみさきのスタート地点は平瀬村分校跡】
藤田浩之
 【所持品:折りたたみ式自転車、他支給品一式(ただし、ここまで来る間に水を少し消費)】
 【状態:用心。知り合い・同志を探しに平瀬村へ移動中】
春原陽平
 【所持品:スタンガン、他支給品一式(ただし、ここまで来る間に水を少し消費)】
 【状態:用心】
ルーシー・マリア・ミソラ(るーこ・きれいなそら)
 【所持品:IMI マイクロUZI(残り30発)と予備カートリッジ(30発入り×5)、他支給品一式】
 【状態:用心。知り合い・同志を探しに平瀬村へ移動中】
川名みさき
 【所持品:スタングレネード(×3)、他支給品一式】
 【状態:敏感。知り合い・同志を探しに平瀬村へ移動中】
深山雪見
 【所持品:SIG P232(残り7発)、他支給品一式】
 【状態:用心。知り合い・同志を探しに平瀬村へ移動中】




538曲げられない信念:2006/09/29(金) 17:04:06 ID:nw7Wvowh0
殺した。人を。
公子は目の前に崩れ落ちた理奈の死体を見て未だに体の震えを止められなかった。
当然だ。人ひとりの命を奪ったのだ。軽いはずが、ない。
「うっ…うぐっ…」
吐き気を懸命にこらえる。しっかりしろ、これくらいで参ってどうする、伊吹公子。
罪悪感に苛まれる心を鞭打ち、ようやく平静を保つ。呼吸を整えた後、改めて理奈の死体を見下ろした。今度こそ、何も感じない。そう思いこむ。
しかし、公子も人だ。理屈では仕方が無いことなのだと分かっていても彼女の親族を思うとやりきれない気持ちもあった。
だからこそ、もう後には引けない。必ず祐介と妹を生き延びさせてみせる。そのためにも彼女の死を無駄にするわけにはいかない。勝手かもしれないが、これが伊吹公子の信念だった。
(さて、まずは彼女の武器の確認ね)
デイパックの中身を確認する。武器以外の支給品は全て同じだった。そして、肝心の武器。
(ナイフ、か)
少々がっかりしたが、役立たずの支給品よりはマシだ。そう思っていると、もう一つ紙切れが出てきた。武器の説明書だった。
(スペツナズ、ナイフ?)
皮肉にも、それは妹の風子に支給されたものと同一の品だった。無論、公子がそれを知っているはずもなかったが。
一通り使い方を確認する。柄の部分を押すと、ナイフの刃が飛び出す仕組みになっているらしい。つまりは、奇襲用の武器ということだ。
(これは使えそうね、でも、問題が一つある)
それは、刃は一度飛び出すともう二度と戻せないということだ。最後の切り札ということになる。
とは言え、手持ちの二連式デリンジャーも残弾は残り六発。最高でも六人しか殺せないことになる。何よりも、その隠匿性は女の身である公子にとっては十分切り札たりえるものであった。
その事から、今後有力な武器を手に入れるまでの主力はスペツナズナイフということになりそうだった。
539曲げられない信念:2006/09/29(金) 17:04:50 ID:nw7Wvowh0
それから、使えそうな食料品のみをデイパックに詰め、用意を整えた。これからどうするか。
単純に考えて、積極的に戦闘を仕掛けるのは得策では無い。自分は女であるし、体力も優れているわけではない。いっそのこと、どこかに紛れ込んで内側から切り崩していくか――
いや、それもダメだ。自分の服には、先程の戦闘で返り血がついてしまっている。自分に傷がついているならまだいいが、まったくの無傷。すなわち、殺し合いに参加しているととられてもおかしくない。
「…となれば、わたしより弱そうな人や、怪我人を狙っていくしかなさそうね」
ハイエナみたいではあるが、確実に殺っていくにはこれしかない。こんな序盤で、まだ怪我を負うわけにはいかないのだから。
とは言っても、祐介や風子が戦闘に巻き込まれない保証はない。的確に、素早く仕留めなければならない。公子は、自分の二つの武器を見た。
(…最後まで、わたしと、祐くん、風ちゃんを守ってくださいね)
まるでお守りのように愛しく見つめた後、この場に転がる理奈の死体をどうするべきか考えた。
(彼女にも、自分の生活や、愛する人があったはず。せめてもの礼儀として、埋葬しておくべきかしら?)
穴を掘ろうか、と考えたところで、公子はふと思った。
(もし、何も知らない人が、この子の死体を見たらどう思うかしら)
恐らく、大抵の人間は硬直し、判断力が鈍るはず。ならば、その隙こそ、攻撃をしかけられるはずなのでは?
悪くは無い策だった。彼女には申し訳無いが、囮になってもらう。埋葬はその後で行えばいい。
公子は中身が分からないようにデイパックを閉じた後、近くの茂みに隠れた。果たしてこの策、どう出るか。
しばらく待つ。するとがさがさという音と共に、体中に無数の細かい切り傷を負った少女が出てきた。しかも、たった一人で。公子に、好機が生まれた。
「あ、ああ、あああ…そんな、嘘…」
少女の体ががくがくと震え、今にもへたり込みそうだった。
公子の鋭い目が、少女――名倉由依を捉えた。
(殺るなら、今しかない――!)
540曲げられない信念:2006/09/29(金) 17:05:41 ID:nw7Wvowh0
『伊吹公子(007)』
【時間:1日目午後1時45分頃】
【場所:E−05】
【所持品:二連式デリンジャー(残弾六発)、スペツナズナイフ】
【状態:健康、服に返り血】

『名倉由依(075)』
【時間:1日目午後1時45分頃】
【場所:E−05】
【所持品:不明】
【状態:着衣に多くのひっかき傷、体中浅い切り傷、疲労気味。
     とりあえずお姉ちゃん(友里)との合流を目指す。
     理奈の死体を見て固まっている】

【備考:077話、「受け入れがたい現状」の続き】
541名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 18:08:57 ID:XkTEF72M0
こういう遭遇するところまでだけ書いて後は丸投げする書き手って無責任だと思う
542名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 18:24:46 ID:8nC6weoW0
一応B系のルート用として書いた作品を投下します
543ムティカパと篁():2006/09/29(金) 18:25:30 ID:8nC6weoW0
篁(063番)はスタート地点であった平瀬村分校跡を後にして1人道を堂々と進んでいた。
明らかに見るものからすれば無謀で隙だらけな行動に見えるが、彼の周辺は異様な空気で包まれていた。
これでは敵も近づきたくても近づけないだろう。

(ふむ……)
少し歩いたところで篁は自分の持っていたバッグに違和感を感じた。
手にした瞬間から異様に大きいとは思っていたが、やはり何か変だと彼は思った。

「開けてみればわかる話か……」
そう言うと彼はバッグを地面に下ろし、それを開帳した。

――刹那

グワッと勢い良くバッグから白い虎のような生物が飛び出した。
「―ぬ!?」
その生物―――ムティカパは次の瞬間には篁の喉を食いちぎらんと彼に飛びかかった。
それもかなりのスピードである。


―――普通の人間ならば次の瞬間には喉を噛み千切られお陀仏であっただろう。
しかし今回ばかりはムティカパも相手が悪かった。
なぜなら、たとえムティカパであっても理内の存在である以上、目の前に存在する理外の存在には敵うわけが無いからだ。
たとえそれが本来の力を封印されていてもだ。

「甘いわ……」
そう言うより早く、篁は人間とは思えぬスピードで蹴りを放ちムティカパの顎を蹴り飛ばした。
さすがのムティカパもこれには「ギャン!」と言う声をあげ空中を数秒間舞い、美しいアーチを描いて地面に落下した。
「ふむ……ただの虎ではないようだな。だが、所詮は理の内に存在するモノだ。私を滅ぼしたければ私と同等以上の存在でなければな……」
そう言いながら地面でグゥゥとうめき声を上げるムティカパに近づく。
544ムティカパと篁 (2/3):2006/09/29(金) 18:26:32 ID:8nC6weoW0
「………しかし、なかなかの動きだった。本来の私ならば先ほどの一撃で既に貴様は物言わぬ存在になっていたところだ。
だが、生憎今はどうゆうわけか力が封印されてしまっていてな………このまま殺すのは惜しい」

篁はムティカパの目を見た。そこにはこの世で生きるものの生命(いのち)の輝きが映っているように見えた。

「―――どうだ? この篁に一度命を預けてみるつもりはないか?
ちょうどこの島には貴様を楽しませてくれるであろう力ある者たちが数多く集まっている。その者たちを私と共に打ち滅ぼしてみる気はないか?」
それは事実上篁に服従し、敵を殺せという意味である。無論敵とは篁以外の参加者119名。そしてこのゲームの主催者たちである。
「それとも、やはり獣は自身の力に驕れる気など無いか?」
「……………」
ムティカパはしばらく篁の目をじっと見ているだけであったが、
しばらくするとすっと立ち上がり――――高い空に向かって咆哮をあげた。

それはムティカパの了解を意味していたものだったのかはわからない。
しかし、篁はその咆哮を聞くと
「――ならば行くがいい。貴様が求める強き力を持つ者の所へ……」
と呟いた。
次の瞬間にはムティカパも言われたとおり(かどうかはわからないが)その場を後にし、数秒後には篁の視界からは見えなくなっていた。


(――フン。面白い奴よ……さて、まずはこの島にかけられている術を見極めさせてもらうとしようか………)
そう思うと篁もその場を去った。
今自分が最初にするべきことを果たすために。


―――その後、篁は伊吹風子の持っていたスペツナズナイフによる不幸な事故によりゲーム序盤早々から脱落することになる。
だが、彼の意思――『この島にいる力ある者たちを打ち滅ぼす』という目標は彼がこの島で唯一存在を許した森の王に受け継がれた―――のかもしれない。

ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォ………

――夕刻の空に1匹の獣の咆哮が響き渡る……
545ムティカパと篁 (3/3):2006/09/29(金) 18:27:06 ID:8nC6weoW0

ムティカパ
 【状況:健康】
 【状態:常に移動しながら獲物を探している】

 【その他】
・この話は026『風子とスペツナズナイフ』の前事談です
546炎の中で祈る願い:2006/09/29(金) 19:26:15 ID:OXTogLXP0
「うぐぅぅ。怖いよぅ。」

月宮あゆ(68)は震えていた。ホテル跡の廃墟の傍に残る焼却炉の中で。

「さっきから銃声みたいなのはするし、待てとかなんとか言われるし。追いかけられるし。」
「しばらくここにいたら安全だよね。」
「それにしてもお腹がすいたなぁ。たいやき落ちてたりしないかなぁ。」

焼却炉から首を出してみる。でも外は安全とは思えなかった。

「まだ悲鳴が聞こえるよ・・・・ボクどうなちゃうの?」
「あ・・・・やばい!!」

誰かの足音が聞こえたような気がして慌てて焼却炉の中に引っ込む。
蓋がバタンと大きな音がして閉まった。

「うわ。真っ暗になっちゃった。」

暗さと怖さでがちがちと震えが走るのがわかった。

「でも....これがあるから。」

祐一に貰った天使の人形。真っ暗の中で懐にしまった人形を手で触る。
547炎の中で祈る願い:2006/09/29(金) 19:27:04 ID:OXTogLXP0
コン!

「――――――。」

誰かが外壁を叩いている音がして、あゆは息を詰めた。

コンコン。

「うぐぅ。ここには誰も居ませんよっ。」

ゴン。
今度はもっと大きい音がした。

ガチャガチャ。
扉をいじる音がする。

「神様。神様・・・・・。」

今にも扉を開けられたら・・・・どうしよう。
あゆは目を閉じた。
548炎の中で祈る願い:2006/09/29(金) 19:27:33 ID:OXTogLXP0
しかし、扉は開かなかった。扉をいじる音もしなくなった。

「・・・・助かった・・・の?」

あゆは扉を開けて出ようとした。

「あれ?おかしいな。開かない。」

中から一生懸命押すが扉が開かない。

「あれ?あれ?出られなくなっちゃったよ。」

その時、グィーンという機械音がしだした。
そして液体が強い勢いで内側に散布される。

「うわっ。何?.....これ石油?」

その瞬間。ボッという音と共に行きよいよく炎が吹き上がった。

「うわっ。」

炎はあっというまにあゆの衣服に燃え移る。
549炎の中で祈る願い:2006/09/29(金) 19:28:37 ID:OXTogLXP0
「うわわわ。熱い!熱いよっ。」

あゆは慌てて扉を叩いたり押したりしたがびくともしない。
炎が衣服の石油により、あゆの体に燃え移る。
慌てて服を脱ごうとしたが、もう焼却炉全体が燃えていてどこにも逃げ場が無い。

「ぎゃあああああああ。熱い!熱いよ!助けて!助けて祐一君。」

炎は髪の毛に燃え移る。炎を払おうにもその手足が燃えている。
火傷の火脹れがなんども破裂し、血が噴出してくるが炎は容赦なくあゆを包む。

「――――――。」

あゆは、もう声を上げる事もできず、酸素を求めて何度も咳き込む。
手足は火傷の痛みで痺れて何も感じなくなってきている。
唯一、あゆにできるのは顔を手で覆い、炎から顔を守る事だけだった。

「神様は・・・・・いなかったの・・・・?」
「神様が・・・いるのなら・・・ほんとうに最後の・・・・ボクの願いは・・」

あゆは最後に白くかすんだ景色を見た感じがした。

「もう・・・何も感じられない・・・・や。ばいばい・・・・祐一・・・く・・ん。」

焼却炉の中で人型の炎の塊が崩れて動かなくなった。
550炎の中で祈る願い:2006/09/29(金) 19:30:16 ID:OXTogLXP0
【時間:1日目午後4時頃】
【場所:E−04】
【所持品:不明】
【状態:焼死、犯人不明】
551名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 20:21:55 ID:Gb4NnF0ZO
書き手さんには悪いけどルート上の問題を防ぐため訂正
>ムティカパと篁
Bルートのみ
552538:2006/09/29(金) 20:27:13 ID:nw7Wvowh0
>>541
いや、むしろこういうところまで書いて次の書き手がどうするか、ってのを見てみたかったから
ここまでにしたんだけどな。リレー小説だし。
無責任ってなら続き書くよ?
553名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 20:31:41 ID:F6aiWT+b0
>>551
あっちでも書いたけど、書き手の意図次第でどうとでもできるから、
書き手に質問するのは自由だと思うけど、勝手に訂正とかやるのはよろしくないかと。
554名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 20:34:42 ID:8nC6weoW0
>>551
わざわざ代わりに訂正してもらってすいません
B系はムティカパ出てないと思っていたので・・・・
555名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 20:46:56 ID:lD56sHwU0
Eルート(佐祐理ゲーム非参加ルート)投下します。
556すれ違い(1/2):2006/09/29(金) 20:47:27 ID:lD56sHwU0
ゲーム開始からおよそ4時間と少々が経過した。
倉田 佐祐理(036)は殺人ゲームの始まった最初の地点である神社から、ひたすら北上を続けている。

美しい長髪とリボンには似つかない、ボロボロの衣服と擦り傷だらけの体。
背中には自分の身長とさほど変らない日本刀を背負っているところが
アンバランスな風体を醸し出している。

人との接触を出来るだけ避けるために、街道を避け、山沿いの道無き道を
選んだために、その歩調は遅く、疲労の通常の徒歩よりは遥かに多いはずだ。
いつ人に襲われるか、と思うと緊張感も張り詰めてしまい、尚更であろう。
途中、何度か疲労で座り込んでしまい、そのたびに弱気な自分が囁いてくる。

「逃げ回ったところでどうなるの?舞にも祐一さんにも会えないかもよ?」
「それだったら潔く、その切れ味の良さそうな刀で手首をすっと引いちゃえば?」

時には負けそうになるその声を、頭を強く振り追い払う。
大丈夫!舞なら、祐一さんなら、きっとこんなくだらないゲームにも
打ち勝てる強さがある。わたしは最後にそのお手伝いが出来ればいいのだ。

何度目かの気力を奮い起こし、立ち上がろうとした時だった。
……話し声が聞こえる……。
さっと木陰に隠れ、姿がこちらから見えないようにする。
何を話しているかは聞こえないが、どうやら男女1人ずつでの会話のようだ。
ーーー見つかるわけにはいかない!!
体がガクガクと振るえ、辺りの木々に伝わりそうになるのを必死でこらえる。

…5分?いや10分だろうか…?
しばらく隠れ続けていると、声の気配は無くなっていた。
557すれ違い(2/2):2006/09/29(金) 20:47:58 ID:lD56sHwU0
ふぅ、と溜息を1つ吐き出すと、再びその場にへたり込んでしまう。
しばらく立ち上がれそうにないので、水を飲んで気持ちを落ち着かせ、
休憩がてら、現在地点とこれからの進路を地図やコンパスを頼りに決める。

このまま北上を続けると、中学校に出てしまうのか。
まだ人と接触すべきでは無い。特に今の疲労困憊した状態で
ゲームに乗るような人と接触したなら、逃げ切れる自信も無い。

…それなら山沿いに西へ進みつつ北西に向かい、池の方へ向かおう。
このままでは水も無くなってしまうから、もし飲めるようなら補充もしたい。
いつまでも人のいない方へ進むわけにも行かないが、
今は様子を見つつ、少しずつ人のいそうな場所へと向かおう。

『倉田 佐祐理(036)』
【時間:一日目、午後4時半ころ】
【場所:E−6】
【所持品:封印した菊一文字、支給品一式(さらに水を消費。残りわずか)】
【状態:疲労が徐々に蓄積しつつも冷静を保つ】
【行動:E−5を多少掠めてD−4へ向かう】
【備考:ニアピン接触が祐一と観鈴だった事には気付いていない】

558名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 20:58:38 ID:8nC6weoW0
訂正

046 偶然 −幸運と不運−
>そう言うと祐介は歩きだした。
   ↓
そう言うと芳野は歩き出した。


067 気がつけば『お約束』? −春原の受難−
> 【備考:雪見とみさきのスタート地点は平瀬村分校跡】
> 【備考:るーこは雪見は「うーゆき」、みさきは「うーさき」と呼ぶ。SIG P232は本来はみさきの支給品で、雪見と合流後彼女のスタングレネードと交換した】
    ↓
 【備考:雪見とみさきのスタート地点は平瀬村分校跡。るーこは浩之は「うーひろ」、雪見は「うーゆき」、みさきは「うーさき」と呼ぶ。SIG P232は本来はみさきの支給品で、雪見と合流後彼女のスタングレネードと交換した】

ムティカパと篁
> 【その他】
>・この話は026『風子とスペツナズナイフ』の前事談です
   ↓
 【その他】
・この話は026『風子とスペツナズナイフ』のBルート限定の前事談です
559名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 21:07:49 ID:TPNgn5R50
>>558
邪魔だからこっちに書くなよ
560名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 21:12:15 ID:Gb4NnF0ZO
>>559
修正・訂正は本スレでやるんだよ
561名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 21:12:32 ID:8nC6weoW0
修正は本スレでやれと以前言われたんですけど・・・・?

>>558の訂正をさらに訂正します

> 【その他】
>・この話は026『風子とスペツナズナイフ』のBルート限定の前事談です
   ↓
 【その他】
・この話は026『風子とスペツナズナイフ』のB系ルート限定の前事談です
562クールになれ藤林杏 1:2006/09/29(金) 21:23:04 ID:tKRVth930
 自分の安否を報告するスレッド

1:藤林杏:一日目 12:34:08 ID:ajeogih23
 自分が今、どういう状態にあるか、報告するスレッドです。
 報告して知り合いを安心させてあげてください。

 私は、今は無事です。さしあたっては当面の危機もありません。
 それから、私は積極的に人を殺そうとは思っていません。攻撃された場合は別ですが。もし、あたしを見つけても撃たないでね。

 みんな、希望を捨てちゃ駄目よ。生き延びて、みんなでまたもとの町へ帰りましょう!



「まだ書き込みはナシ……か」
 彼女は鎌石消防分署の一室でノートパソコンを眺めていた。
 民家を出たのはいいが当ても無く彷徨うのは危険と判断し
 ここ鎌石消防分署に身を潜めることにした。
「みんな……まだ生きてるよね……?」
 杏はふぅとため息を吐き、まだ誰の書き込みのない
 『自分の安否を報告するスレッド』を閉じた。
563クールになれ藤林杏 2:2006/09/29(金) 21:24:20 ID:tKRVth930



1:死亡者報告スレッド/ 2:自分の安否を報告するスレッド



「――ッ!?」
 トップページに新たに立てられたスレッドの名前に杏は釘付けになる。
 ――死亡者報告スレッド。
 もしあたしの大切な人達の名前があったら――
 杏は恐る恐るそのスレッドにカーソルを合わせクリックした。



1:びろゆぎ@管理人:一日目 14:05:00 ID:haKarowa3
 ここは定時放送までガマンできないせっかちな人のための死亡者報告スレッドです。
 更新は随時行われますので気軽にご覧下さい。

2:びろゆぎ@管理人:一日目 14:05:01 ID:haKarowa3
 PM14:00:00時点の死亡者一覧

 002藍原瑞穂
 013岡崎直幸
 015緒方理奈
 027河島はるか
 063篁
564クールになれ藤林杏 3:2006/09/29(金) 21:25:57 ID:tKRVth930


 ――岡崎直幸。
 見覚えのある名前、朋也と同じ苗字。
「もしかしてこの人、朋也の――」
 朋也は普段、自分の家族についてあまり語りたがらない。
 春原から少し聞いたことがあるだけだ。
 父子家庭で父親との仲は良くない、と。
「朋也……」
 杏はいたたまれない表情でスレッドを閉じ、パソコンを電源を切る。
 既に五人の尊い命が失われている。
 それは積極的にゲームに乗った人間がいることの証左だった。

「椋……今は無事だけだけどもし……ううん、そんなネガティブなこと考えては駄目。
 藤林杏、今あたしができることだけを考えるのよ」


【藤林杏(009)】
【時間:午後二時過ぎ】
【場所C−06鎌石消防分署】
【持ち物:ノートパソコン(充電済み)、包丁、辞書×3(英和、和英、国語)】
【状態:精神的に少し動揺】
【その他:Bルート準拠】
565生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:28:23 ID:Srjw+3YU0
 カタカタカタカタカタカタカタカタカタ

「な、何をしてるんですか! 超先生!」

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチ

「諒がやられたんですよ! もうすぐあいつが迫ってくるんですよ!」

 恐怖に陥った滝沢が超先生へと声をかけつづけるが、超先生はひたすらモニターへと向かって作業をしている。

「そんな事してる暇があったら、早く何か対策を!」

 SSSランクである超地球人3の春日が負けたのだ。
 ただの超地球人にしかなれないSランクの滝沢は焦った。

「逃がしはしない」

 扉を開けて祐一が再びコントロールルームへと入り込んでくる。

「あ、あわわわ……」

 その姿を見た滝沢が怯えながら超先生の方へと後ずさりする。

「……どうした超先生。恐れて声が出ないのか?」

 ピタッ。
 音が鳴り止む。
 作業を停止した超先生が椅子に座ったまま振り向く。
566生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:30:12 ID:Srjw+3YU0
「…………春日は十分役に立ったよ」
「はっ? SSSランクでもこのXランクの俺の前には塵も同然だったんだぜ?」
「いやいや、奴の稼いだ時間は十分だった……おかげで何とか該当部分を終わらせれたよ」
「ちょ、超先生……」

 滝沢が名前を呼ぶのと同時にゆっくりと椅子から超先生が立ち上がる。
 不可思議な超先生の台詞と行動。
 
『…………この身は盗作でできている』

「念仏か? せっくだ。あいつと同じ技で葬ってやる」
            
『……血潮はインスパイアで心は模倣』

「イベント……」
           
『幾たびの叩きを超えてへこたれず。
 ただ一度の弁解もなく、ただ一度の謝罪もなし』

「ホラ……」
                 
『パクリ手はここに孤り、盗作の末に有り続ける』

「ズン!!」

『ならば、我が生涯にオリジナルは要らず。
 この体は…………無限の盗作で出来ていた!!』
567生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:31:03 ID:Srjw+3YU0
「こ、これは!」

 滝沢が叫んだ。
 超先生の詠唱が終わると共に辺りの空間が一転する。
 無機質のコンピューターだったはずのそこは辺り一体砂漠のような赤い世界へと変質した。

「何の技か知らないが既に遅い!!」

 しかし、祐一の手から放たれた無は超先生を包み込む。

「終った」

 その様子を見た祐一は満足げに呟く。
 そして踵を返して次は滝沢を狙おうとした時、

「おかしい、空間が壊れない……?」
「クックックック……当然だ。この技は貴様の為だけに生み出されたのだからな」
「なんだと!? 存在そのものが無事!? そんなはずは!?」
「あのゲームでこの発想を思いつかなかったら危なかったかもしれない」

 そして超先生を包んでいた虚無がゆっくりと晴れていく。
 すると段々と出てくる無事な超先生の姿、その横に一人の男が立っていた。

「この私がFa○eをプレイする事によって目覚めた奥義……Unlimited Great Teacher」
「超先生、それは目覚めたのではなくとうさ……「インスパイアだ!」
「はい」

 突っ込みかけた滝沢だが超先生の一括で口答えをするのを止めた。

「だ、だが、そんな技でXランクを防げるとでも!」
568生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:31:57 ID:Srjw+3YU0
「やれ」

 超先生の一声と共に横に現われた男が祐一へと襲い掛かる。

「消せないなら、実力で倒すのみ! くらえ!」

―――超神滅剣最大奥義ラグナロク―――

 祐一から放たれた奥義が男を襲う。
 ……しかし。

「無傷!? そんな!?」
「喰らえ」

 祐一の奥義をかき消し、男は距離を詰める。

―――秋浜流<一刀両断>

「こんなただの剣術……ぐはっ!」

 その一撃で祐一の肩がざっくりと切り裂かれる。

「俺の『七式斬撃剣』はどうだぁ!」

 突然、男の手の元に現われた大剣で祐一は再び切りつけられた。

「な、なぜ……」

 ふらふらと祐一が下がる。
 その顔は信じられないといった驚愕に満ちていた。
569生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:32:54 ID:Srjw+3YU0
「まだ気づかないのか……目の前の男が何ものであるのかを。
 彼こそは

 ……斬魔大先生! 貴様が決して敵う事の存在だ!」

「そ、そんな存在がいるなんて……」

「斬魔大先生だけじゃないぞ? 見せてやろう全てを超えし先生にのみ与えられた超先生の称号。
 その私がなすUnlimited Great Teacherの真の力を!
 いでよ! 秋雨! 蒼竜! 倉田大介!」
「こ、これは……」
「これがUnlimited Great Teacherの能力、この世のありとあらゆる先生、大先生と呼ばれし者達と順ずる者を自由に召還し使いこなす事ができるのだ。
 相沢祐一、しばらく島の方で遊んでいて貰おうか」

 ザッ。
 超先生が手を上げると四人の名だたる作家達が祐一を取り囲む。

「やれ!」

 そして超先生が手を振り下ろすと四人は一斉に詠唱を始める。

「「「「ワルヤテシンイフウカンナエマオワルヤテシンイフウカンナエマオ」」」」

(封印の言葉までパクリですか)
 
 滝沢はそう思ったが口に出すのは止めておいた。
570生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:33:39 ID:Srjw+3YU0
「く、くそう!」

 もがけどもがけど祐一は四人の囲みから逃げ出す事ができない。

「さらばだ、しばらく島で遊んでいたまえ」

 そして四人の詠唱が終わりを告げる。

「「「「―――はろーあげいん―――」」」」

「ちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」

 言葉と共に祐一は島の地上へとテレポートさせられる。
 このアジトへは戻ることのできない封印をかけられて。


「や、やったんですか……」

 元の部屋に戻ったコントロールルームで滝沢が呟いた。

「うむ、やはりU-1の隔離ははろあげが一番だな」

 そう言った超先生の顔は、一仕事を終えた者の清清しい物だった。


『相沢祐一(001)』
【時間:一日目12:10分頃】
【場所:島のどっかへ飛ばされた】
【持ち物:世界そのもの。また彼自身も一つの世界である】
【状態:真唯一者モード(髪の色は銀。目の色は紫。物凄い美少年。背中に六枚の銀色の羽。何か良く解らないけど凄い鎧装着。はろあげ(隔離)のせいで主催本拠地に行く事ができない)】
571生みの親はずりーよ:2006/09/29(金) 21:34:20 ID:Srjw+3YU0
言うまでもなくDルート
572名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 21:48:24 ID:JVPacVVr0
うわっ、どーなるのかと期待していたのだが…
正に無敵だな、超先生www
573名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 21:59:48 ID:8nC6weoW0
次スレ立てました

葉鍵ロワイアル3作品投稿スレ2
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1159534317/l50
574名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 22:37:46 ID:Srjw+3YU0

 ∫    ∧_∧___  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∫   <`ш´ >/ | < 新スレおめ。
  ~━⊂ へ  ∩)/ .|  | それでは残りを有効活用させてもらうかな。
   i'''(_) i'''i ̄,,,,,,/   | ひっそりとあほなSSの裏話でも一つ。するとしよう。
    ̄ (_)|| ̄ ̄   \________________________
575名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 22:41:47 ID:Srjw+3YU0
          ∧_∧
         < `ш´>  実は一番最初の予定では私は負ける予定だった。
       _φ___⊂)_   だが、死の間際に島をジャングル、草原と砂漠と何でもありの
      /旦/三/ /|    古今東西の猛獣溢れる場所へと変えるスイッチを押すという展開だった。
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
    | 誤爆死亡 |/
576名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 22:45:08 ID:Srjw+3YU0
          ∧_∧
         < `ш´>  そして朝鮮製MarkUが起動し、『葉鍵サバイバル2ルート』を作ろうと思ってた。
       _φ___⊂)_   だが、書いてるうちにU-1以上に収拾がつかなくなったのと長くなりすぎて破棄。
      /旦/三/ /|    やらなくて良かったと思っている。
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |
    | ハカサバ |/
577名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 22:48:22 ID:Srjw+3YU0
          ∧_∧
         < `ш´>  それでできたのが超SS。
       _φ___⊂)_   そんな超SSだが斬魔大先生の技名を調べるためにSSをわざわざ探して読みにいったのが何よりの苦痛だった。
      /旦/三/ /|    資料の為とはいえ、もう二度と読みたくない。
    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |    アビスボートをやった方がためになる。
    | 誰彼百円 |/
578名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 23:33:56 ID:5yBMqDRAO
わっふる
579名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 09:38:23 ID:Ha8pJX3L0
ugu
580名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 10:15:56 ID:UiWu9Qm9O
はわわ〜
581名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 11:01:48 ID:ecbJ6YNTO
ぴこぴこぴーこーぴーこーぴーこー
582名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 12:49:34 ID:xFF98HeG0
           ∧_∧
         < `ш´>
       _φ___⊂)_     このスレは作者に要望を書くスレになった
     /旦/三/ /|    私に書いてほしいシチュがあれば書いてくれ
      l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄l  |
      | 超495kB  |/
583名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 13:20:20 ID:suxrhJSv0
Routesの糞キャラたちが身勝手な理論でマーダーになって暴れまわり逆に正義の味方に瞬殺されるシチュよろ
584名無しさんだよもん
にはは