第二回 葉鍵板最萌トーナメント 決勝戦 Round92!!
「せやけど、そう言う話はどうでもエエねん、問題はこの試合終了後や」
晴子は悪戯っぽい顔で笑うと観鈴のほうへ向き直った。
「観鈴、お前の最後の為すべき事はあの二人に
今日迄の感謝を此処に居る全員に伝える事を手伝う事や」
晴子はそう言うと競技場の観衆を指差した。
「手伝いって何をすればいいの?」観鈴は晴子に聞いた。
「・・・・・・・・・・・・・と言う訳や」
小一時間ほど晴子は二人に説明した。
「わかった、それじゃ行って来ます!」観鈴はそういって下へ降りていく
「気張りやぁ!」「頑張って来い!」二人は上空に残った。
投票が終了し、二人の選手はそれぞれの控え室に居る。
まず「神尾観鈴選手控え室」と書かれた部屋に観鈴は入って行った。
部屋には観鈴が一人で座っていた。
「ん?」気配に気付き、観鈴「選手」が振り返ったが
そこには誰も居なかった。
その瞬間、自分の中に何かが入り込んだ感覚が有った。
「え.........?」一瞬観鈴の身体が硬直したが
すぐに元に戻った。
「さて、それじゃ次は........」
観鈴「選手」はそう呟いて立ち上がると部屋を出て廊下を歩き出した。
観鈴が向かったのは「小牧愛佳選手控え室」と書かれた部屋だった。
小牧愛佳は畳に正座してお茶を飲んでいた。
両手に湯飲みを持ち小さく「ズッ」っとお茶をすする。
「ふぅーっ」湯飲みを持った両手が下がるとそこには
至福.....を通り越して
恍惚とすら言える表情の愛佳の顔が在った。
「!」突然、愛佳の両手から湯呑みが転がり落ちた。