第二回 葉鍵板最萌トーナメント 決勝戦 Round91!!
観鈴は戸惑っていた......無理も無い話である。
観鈴が物心つく頃にはすでに晴子の家に居り、
生みの母親である郁子の顔は全く記憶に無かった。
それをいきなり生みの母親と言われても、すぐに納得できる事ではなかった。
だが、観鈴もまた晴子同様「為すべき事の記憶」が蘇り
地上に居た時の自分の思考や行動が
「運命」により制限されていた時と違い
今はこれまでの全てを知り、それを理解できるまでになっていた。
「観鈴......観鈴......ゴメンね」
郁子は観鈴の手を取り、自分の手に重なるとその上に大粒の涙を落とした。
「にははっ、お母さん久しぶりだね」観鈴は郁子が
自分の両手で包んだ左手の上に
更に自分の右手を重ね、再びにははっと笑った。
「私にはあなたにお母さんと呼んで貰える資格なんか無いのよ?」
郁子は首を横に振った。