第二回 葉鍵板最萌トーナメント 準決勝 Round87!!
まいは、ゆういちの事が大好きだった。そして、同じくらいにさゆりの事が大好きだった。
だから、ゆういちがさゆりの事をまいよりも好きな事、さゆりがゆういちの事をまいよりも
好きな事も知っていた。
ゆういちには、昔好きな女の子がいた。そして、その子がもう起きる事が出来ないほどの大怪我を
自分の目の前で負ってしまい、深い悲しみを持った時、そばにいてくれた子がいた。
その子もゆういちの事が大好きだった。
でも、ゆういちは悲しさのあまり、全部を心の深い場所、自分でも取り出せない場所に閉じ込めた。
やがて過ぎ去りし日は、ゆういちに思い出させた。あの時の悲しみと、その子の事も好きだった事を。
ゆういちはさゆりの事が大好きなのに、その子達への懺悔の気持ちから一歩を踏み出す事ができない。
さゆりには、小さい時に死んでしまった弟がいた。その子にはお姉さんとしての責任と威厳を持って接した。
本当は深い愛情を与えてあげたかったのに。弟は最後にお姉さんから愛情のかけらを少しだけ
もらって死んでいった。さゆりは全て自分のせいだと思ってしまった、決してそんなことはないのに。
それ以来さゆりはからっぽになってしまった。本当のさゆりはどこか違うところに行ってしまった。
今のさゆりは、遠くから眺めているだけの存在だ。でも、まいやゆういちと出会って、少しずつ
戻ってきていた。さゆりは、ゆういちの事が大好きになった。だけど、まいと交わした約束・・・
「未来永劫、二人が死んでしまっても」一緒にいるという約束と、弟への懺悔の気持ちに
縛られているあまりに、一歩を踏み出す事ができない。
・・・・・・
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