第二回 葉鍵板最萌トーナメント 準々決勝 Round82!!

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737deathsh@dow ◆TGiSGYt4CQ
懲りずにSS(?)支援してみます。
第一部 その1
「ん...」観鈴は目を開けてふと周りを見渡した。
「あれ? お母さん...いない...お母さんどこ?」
起き上がろうとして手を突く...が掌は空を切った。
「え...?」そこに地面は無かった。
それもそのはず、観鈴の身体は空中に有ったのだ。
「え...何?...あたし...空に居る?」
普通の人ならば、ここでパニックに陥る事うけあいである。
普通の人間ならばの話だが...
「そういえば」観鈴は記憶を手繰って行く。
「お母さんの所へ歩いていって....ゴールして....
  その後...急にフワァーッと体が軽くなって...」
「ゴールして.....それで.....」
「あ!....あたし....あたし....死んじゃったんだ」
観鈴の眼に見る見るうちに涙が滲んでくる。
「あたし、今度こそ一人ぼっちになっちゃった....」
「観鈴」....どこからか声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声...懐かしい声...そして母を除いては
観鈴が最も聞きたかった声....
「往人さん!」思わず観鈴は愛しい人の名を叫ぶ。
観鈴の目の前にあちこちから光の粒が集まってくる。
そしてそれは形を象り始め、一羽のカラスになった。
「え....そら?」
「そう、そして...」カラスは観鈴に語りかけた。
カラスの姿は再び光りだし、光の粒が更に集まり出した。
やがてカラスの形から人間の姿に変わり、そこには愛しき人
そう、国崎往人の姿が現れたのだった。
「往人さん!」観鈴は往人に向かいその名を呼ぶ
そして駈け寄りその胸に飛び...ボテッ...コケた。(続く)
738deathsh@dow ◆TGiSGYt4CQ :2006/09/19(火) 05:16:55 ID:lZIfT5JS0
第一部 その2
「が、がお...」
ぽかっ
「い、痛い」あの日と変わらぬやり取り....
起き上がった観鈴は思わず「にははっ」と笑ってしまう。
しかしすぐに観鈴の瞳は涙で溢れだし、立ち上がりざま往人の胸に飛び込む。
「うっ..ぐっ...ひぐっ....うあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
        往人さん!往人さん!!往人さぁーん!!!!」
往人の胸に飛び込んだ観鈴は声の限りに名を呼び、泣きじゃくった。
「会いたかった...ずっと、ずぅーっと会いたかった....
      往人さんに会いたかった...会いたかったよぉ...」
尚も泣きじゃくる観鈴を往人は優しく、しっかりと抱きしめた。
「俺もだ観鈴、俺も...ずっとずっとお前に会いたかった。」
往人は自分の胸に顔を押し当て泣きつづける観鈴の髪を
目を閉じ、愛しむようにそっと撫でる。
観鈴は往人の胸でこれまでの思いをぶつけるかのように
更に大きな嗚咽をあげて一層激しく泣きだし...暫しの時が流れた。
「ぐしゅ...」ようやく泣き止んだ観鈴にハンカチが手渡される。
ハンカチで涙と鼻水でグシャグシャになった顔をキチンと拭き、
観鈴は顔を上げて往人を見つめ...目を閉じた。
往人もそれに応じ観鈴に顔を近づける。
キスを交わす観鈴の閉じた瞳から一筋の涙が新たに流れる...
地上から遥か高い空の上...二つのシルエットは一つに重なった。(続く)
739deathsh@dow ◆TGiSGYt4CQ :2006/09/19(火) 05:20:26 ID:lZIfT5JS0
第一部」その3
往人と観鈴は抱き合ったまま暫しの時を過ごした。
抱き合ったまま往人は観鈴をみつめ、話を始めた。
「観鈴、実はな...」
往人はあの日の夜以降の事を観鈴に全て話した。
観鈴と共に過ごした最後の日...8/4の夜の事、そらの正体、
自分の生い立ちと母の事を往人は観鈴に
時間を掛けてゆっくりと順序立てて説明した。
往人が「そら」で有った頃に失われていた記憶は
現在全て戻っており、更には神奈備命や柳也の事、
そして全ての始まりが遠く1000年前に遡る事にまで言及した。
「そして...」さらに往人は続ける。
「観鈴、俺とお前がこの世界最後の翼人のはず...だった...」
往人は言葉を濁す。
「だった...って他にも居るって事?」観鈴は聞き返した。
「ああ」往人は再び観鈴に話し始めた。
「本来なら俺達より先にこの空に昇る翼人が居た。
  だが何らかの理由で最後に来る筈の俺達がそいつより先に来てしまった。
   理由は俺にも判らないがそれまでの間、俺達はここで待たねばならない」
「いつまで?」観鈴は聞き返す。
「わからない。だが今、俺達にはまだ時間が
   かなり残されている事だけはハッキリと感じる」
そう言うと往人は観鈴を抱いていた腕を外し、観鈴から少し離れる。
その瞬間、往人の背中の部分が光り始め、往人の背に黒い翼が出現した。
同時に観鈴も自分の背中の「部分」が次第に熱を帯びてくるのを感じた。
が、以前の様な痛みや苦しみや焼けるような発熱感は無く、
寧ろ優しく心地よい温もりのような暖かさを感じた。
気が付くと観鈴の背中には白い翼が生えていたのだった。
740名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 05:22:05 ID:xfc5K7ut0
[[LK219-JLRW3g9x-DC]]

初めて泣いたエロゲー…最初であり、今だコレのみ
人になんて言われ様とマイベストエロゲはAIR!!!

そして俺の娘<<神尾観鈴>>に一票!!
741deathsh@dow ◆TGiSGYt4CQ :2006/09/19(火) 05:22:43 ID:lZIfT5JS0
第一部 その4
「これが.....あたしの翼?」観鈴は後ろを振り返り
生前には感じるだけで見えなかったが、
今ここに来て初めて目にした自分の翼を見て往人に訊ねた。
「そうだ。」往人は答えた。
観鈴は改めて自分の居る場所の下を見る。
いつか見た夢そのままの光景が観鈴の眼下に広がっていた。
「往人さん、あたしお母さんに会いたい」観鈴は言った。
「......」往人は少し考え込む表情をし、
黙っていたが、再び観鈴に話し始めた。
「観鈴、俺達は既に地上で生きる人間ではない
  母さんに会う事はできる...だが、お前に母さんが見えても
   母さんにお前の姿は見えない...観鈴、お前はそれでも良いのか?」
「...うん」
観鈴は一瞬躊躇したが、すぐに往人を見つめ返事をした。
「わかった。じゃ、今から俺についてきてくれ」
「はい!」観鈴は大きく返事をすると
先行する往人の後を追うように飛び始めた。
飛ぶと言う行為自体観鈴は初めての筈なのだが
体が記憶しているのかいとも簡単に身体は前に進み始めた。
(続く)
なおこの続きは
ttp://www.geocities.jp/lksaimoe2/lksm2076.htmの412がその5
415がその6になります。
また、第二部は後程投下いたします。