今日の目的地がここだということは、つい先ほど知った。
あの人ははっきりとは言わなかったけど、言葉の端々で行き先についてある程度の察しは付いた。
幸いにも、自律戦闘機械の活動はこの場所においては今は殆ど停止しているらしい。
全て駆逐されたのか、活動限界に到達してその機能を停止したのか…。
なんにせよ、襲われる心配が無いことには素直に感謝しなければならない。
行き先がわかったときから、こうなるかもしれないと何となく考える自分がいた。
その一方で、もう少し冷静でいられるのではないか、と思っている自分もいた。
でも、わたしはそこまで冷静にはなれないという事を、今改めて知った。
―身体が寒いわけでもないのに小刻みに震えている。
―胸がえもいわれぬ重圧に圧し潰されるように痛む。
―メインカメラがそこに焦点を合わせることを本能的に拒否しようとする。
―頭が考えることを放棄したかのように、真っ白になる。
あの人は一歩はなれたところから、ただ無言でわたしのことを見ている。
いつでもわたしのことを見守ってくれているその瞳が、今だけは重荷に感じる。
一体あの人は、何故わたしをここに連れてきたんだろう?
確かに、ここに来たいと思ったことがないわけではない。
むしろここに来ることを望んでいた、安閑とした自分がいたと思う。
でも実際に足を運んでみて、こんなにも辛いことに直面するとは、正直予想していなかった。
避けられない現実を直視することがこんなにも辛いことだなんて、考えもしなかった。
きっとそのときのわたしは、わかっていなかったのだろう。
この場所に来るということの、本当の意味を。
出来るなら、今すぐにでも逃げ出したい。
少しでも、例え1センチでもこの場から離れることが出来れば、どんなに楽になれるだろう。
でも、わたしの脚は動かない。
まるで足の甲を五寸釘で打ち抜かれたかのように、この場所からぴくりとも動かない。
「動けない」のかもしれないけど、どちらでも大差はない。
もしかしたら、ここに来ることはわたしがこれからもわたしであるために、絶対に避けては通れない
ことなのかもしれない。
深読みかもしれないけど、あの人はそれをわたしが理解することを望んでここに連れてきたのかもしれない。
…でも、それでもやはり堪え難かった。
絶え間なく降りつづける、雨。
分厚いコンクリートの壁に大きく穿たれた、外界への通路。
土と砂利と泥水が渾然一体となった、モノトーンの地面。
そして…すぐそばにうずくまる忘れられるはずもない灰白色の残骸。
まるで、そこだけ全ての時間が止まっているかのような錯覚に襲われる。
でも、確実に時が経っている事を実感する変化がある。
…わたしの目の前に横たわっているはずのものが、今は痕跡すらない。
それがどうなってしまったのか、わたしの記憶にはもちろんあるはずもない。
でも、そこに何があったのか、何故そこにあったのか、それは今も覚えている。
そこに横たわっていたもの。
それは紛れも無く「わたし」だったのだから…。
封印都市。
かつて、人が集う「街」と呼ばれていたものの巨大な墓標。
大戦前の数多の人々の繁栄と生活の跡を今も色濃く残す遺跡。
わたしが配属された10年以上の間、人間の皆様と共にあった場所。
人間の皆様がいなくなってから30年、「わたし」がその帰りをひたすら切望し続けた場所。
そして…ここは「わたし」が、その機能を停止した場所。
輪廻転生、という言葉がある。
確か、転生した生物には前世の記憶は残っていないと、わたしの蓄積データベースにはある。
でも、SCR5000Si/FL CAPELUに意識があった時の数々の記憶がわたしには鮮明に残っている。
…これが現実。
天地が逆転しようとわたしはロボットであって、人間ではない。
それは曲げることの出来ない厳然たる事実。
どんなに人間の皆様に似ていても、人間の皆様の心や感情を理解することが出来ても、それは決して
覆ることのない理。
初めて起動したときから、わかっているつもりだった。
でも、こんな形でそのことを強烈に思い知らされるなんて、考えもしなかった。
あの時、『約束』に束縛されるがままにあの人の盾になって撃たれた、「わたし」。
ここでSCR5000Si/FL CAPELUとしての生涯を終えた、「わたし」。
今、あの人のパートナーとしてここに立っている、わたし。
「ポーラさん」の筐体に宿った、わたし。
どちらも間違いなくわたし。
でも…。
本当の「わたし」は、一体何なのだろう?
「わたし」という存在は、あの時に「死んだ」わたしだけなのではないか?
そうすると今のわたしは、「わたし」という意識をもった別の存在なのだろうか?
混乱する頭で必死に考えようとする。
…けど、わたしの基本データベースおよび、現在までの蓄積データベースにはその問いの回答たり得る
データは存在しない。
頭の中で「ポーラさん」に呼びかけてみる。
…でも、返事は無い。
孤独感が重くのしかかる。
「…」
そんなわたしの感傷を推し量るかのように、いつのまにかわたしの隣にあの人が無言で立っていた。
わたしの肩に手をそっと置いてくれる。
「すまなかったな。大丈夫かと思って連れてきたんだが…」
「…はい。正直に申しますと、ここまで辛いとは思っていませんでした…」
「そうか…」
「お客さま…、ひとつお聞きしたいことがあるんです」
「何だ?」
「…わたしは…いまのわたしは、本当に『わたし』なんでしょうか…?」
思い切って口に出した疑問。
声が震えている。
聞かなければわからないこと。
わたしがわたしであるために、どうしても知っておかなければならないこと。
だから、聞かなくてはならない。
―だけど、本当は聞きたくなかった。
あの人の答えを聞くのが、とても怖かった。
答えを聞いた瞬間、わたしという存在がこの世から跡形も無く消えてしまうのではないか、という錯覚に
囚われていたから…。
…でも結局、わたしのその問いに答える代わりにあの人は
「行くぞ」
と言ってわたしの手を取り、街の中心部へと歩き出す。
結論が出なかった安堵感と先延ばしにされた焦燥感とがない交ぜになった複雑な思いで、わたしは後に続いた。
わたしたちの靴底が水を撥ねる音だけが誰もいない街に反響し、すぐに雨音に掻き消されていく。
無言であの人に手を引かれるままに灰色の街並みを歩く。
あの時と殆ど変わらない街並み。
ただ、以前より腐食が進んだ建物が多いせいか、あの時よりも瓦礫と化した建造物が目立つ。
中には、高熱で炙られ最早瓦礫とすら呼べない残骸もある。
自律戦闘機械が何者かとの交戦時に破壊したものだろう。
…こうして全ての建物が土に還らない限り、この都市に掛けられた呪いが解かれることは無いのだろうか。
「…」
わたしの目の前を歩く、あの人も無言。
周りの街並みの変化など、まるで意に介していないかのよう。
その視線は、ある一点だけを見つめていた。
…わたしたちが、今向かっている方向に。
気が付けば、じきに夕刻になろうとしている。
わたしとあの人の目の前に、見間違えようもない建物があった。
所々剥げ落ちた、雅な装飾が施された外壁。
背の低い建物が多いなかで、一際高く聳えるその威容。
そして、屋上に鎮座する灰白色の半球形のドーム。
「…」
懐かしさと恐怖心が胸中でせめぎ合う。
(イエナさんは、まだ無事でいるだろうか…。もしかして…)
一瞬よぎった不吉な思いを、わたしは頭を振って打ち消した。
建物内部の崩壊が、それほど進んでいなかったのは幸いだった。
階段もほとんどが完全な形で残っている。
時刻的には日没に近いため、内部は真っ暗とはいえないまでもかなり暗い。
あの人が手に持つランタンと、わたしの制服に織り込まれた発光素子の放つ光が行き先を淡く照らす。
時折、踊り場から各フロアの荒れ果てた様子が垣間見える。
その様子を見る度、先程からずっと抱えている不安と、これから行くところに対する不安がわたしの中で
相乗効果を伴いながら際限なく増幅していく。
あの人がランタンを持つ手の反対側の手を、わたしはずっと強く握ったままでいた。
拠りどころが欲しかった。
手を離した瞬間、あっという間に不安に押し潰されそうな気がしたから…。
雨に洗われる荒涼とした屋上の入口のその先。
錆びた鉄骨の骨組みの居並ぶその先に、それは変わらない姿で鎮座していた。
あの中に、イエナさんが今もいる…はず。
よく見ると、コンクリートの外部ドームの所々に亀裂が入っている。
もし、あの亀裂が内部まで到達していたら、鋼鉄と精密機器の塊であるイエナさんは…。
今までの流れを汲んでなのか、どうしても思考がネガティヴになってしまう。
(行くぞ)
隣のあの人が、わたしに目で語りかける。
(はい…)
いつまでもここでこうしていても埒があかないのはわかっている。
わたしは頷きながら、覚悟を決めた。
―闇。
墨汁を流したような漆黒の闇を、あの人のランタンとわたしの発する明かりが裂く。
非常用電源がストップし照明と共に空調も止まっているはずだが、想像していたよりもドーム内の空気は
湿気を帯びていない。
暗がりから浮かび上がった壁もリノリュウム張りの床面も乾燥している。
(これなら…)
微かな、でも確かな希望の光が差したような気がした。
あの人の持つランタンが上方にかざされる。
その薄ぼんやりした明かりに誘われるように、闇に同化していたカール=ツァイス・イエナ社製
プラネタリウム投影機がゆっくりとその威容を現した。
「…」
イエナさん本体は、停電したときに時を止めたそのままだった。
表面にうっすらと埃が積もっている以外、通電しさえすればすぐにでも動き出しそうな状態に保たれている。
「お前とのインターフェイスユニットを回収したときに軽く清掃と整備をしておいたんだがな。思ったより
埃が積もっているな…」
あの人が日周軸の歯車を点検しながら呟く。
「そうだったんですか…。ありがとうございます。イエナさんとスタッフ一同に成り代わりまして
御礼申し上げます…」
―そこまで口に出して、気が付いた。
大事なことを、とてもとても大事なことを思い出した。
わたしは…イエナさんに、謝らなければならない…。
誘われるように、わたしはイエナさんの足元にふらふらと歩を進めていく…。
―あの時、わたしはあの人をお車までお送りするつもりでこのドームを後にした。
誰もいない闇の中に、イエナさんだけを残して。
その時は、あの人をお送りしたらすぐにイエナさんの元に戻ってくるつもりだった。
でも、実際にはそれは叶わなかった…今日まで。
仮に無事にここに戻ってきていたとしたら、今のわたしは無い。
今、ここでこうしてイエナさんの前に立つことはなかったろう。
でも、それはあくまでも結果としてそうなっただけ。
わたしは、イエナさんを独りぼっちにしてしまった。
…イエナさんは、この闇の中でたった一人でわたしの事を待ちつづけていた。
どんな思いで、待っていたのだろう。
そして今、ここにいるわたしの事をどう見ているのだろう…。
涙が、頬を伝う。
それは、イエナさんが無事だったことへの喜びの涙。
そして…結果論とはいえ、イエナさんに対して嘘をついてしまった事に対する贖罪の涙…。
イエナさんの足元に跪く。
トラス構造の鉄骨を組んだ架台に頬を寄せ、囁いた。
「イエナさん…、本当に、申し訳ありませんでした…。ロボットなのに、わたしはあなたに嘘をついてしまいました…。
寂しかったですよね…。辛かったですよね…。ごめんなさい…。本当に……、本当に、ごめんなさい…………」
それ以上、もう言葉が続かなかった。
とめどなく流れる涙と共にわたしの漏らす嗚咽だけが、雨音さえ届かないドームにこだまするのみだった―。
………
……
…
「…落ち着いたか?」
わたしの隣に座ったあの人が、わたしの事を気遣う。
…今、わたしとあの人は、イエナさんを取り囲む最前列の椅子に腰掛けている。
見上げれば、イエナさんの北天側の恒星球が手に届きそうなところにある。
「はい…。取り乱してしまいまして、大変失礼いたしました」
「いや、気にすることはない。突然泣き出して確かに驚いたが、お前にとってはとても重要なことだしな」
「お客さま…ありがとうございます」
…イエナさんに対する懺悔の後、わたしたちはイエナさんの清掃をし、「保存」を施した。
あの人が背嚢に入れて持ってきたグリスを各可動部および電気接点に充填する。
恒星球を始めとする鋼鉄部にはウェスにグリスをつけ、レンズにグリスが付かないように注意しながら薄く延ばして
被膜を作ってやる。
「本当ならお前の筐体を見つけたときみたいにモスボール処理出来ればいいんだが、さすがにそこまでは出来ないからな。
少なくとも、これで錆は防げるはずだ。見たところ、建物もドームもまだ崩落の危険は無さそうだし、当分は大丈夫だろう」
「そうだといいですね…」
本当はここから連れ出してやりたい。
わたしたちのそばにいて欲しい。
でも、それはわたしたちの力では、とても叶わない。
…せめてもの、罪滅ぼしだった。
「…すまんな。少しの間、明かりを消してくれないか?」
足元に置いてあったランタンのバルブを閉めながら、あの人が言う。
「どうかなさいましたか?」
「いや…、ちょっとな。少しの間でいい」
「…承知しました。制服の発光素子への通電を一時停止します」
一瞬の後、闇がドーム内を支配する。
いくらセンサーで周辺がわかるとはいえ、やはり気持ちのいいものではない。
「すまんが、お前のセンサーも止めておいてくれ」
まるで見透かされているかのような要望。
「それは構いませんが、何といいますか…それでは心細いです」
「世話の焼けるやつだ…。ほら」
仏頂面をしながら、あの人はわたしに手を差し伸べてくる。
「ありがとうございます。いま、触覚および右腕部の温度センサー以外のセンサーのレベルをミニマムに設定しました」
大きくて温かい手をわたしの小さな手が握り返す。
真っ暗な闇の中、何もわからないけど、あの人の存在を間近に感じられる。
それだけで安心できた。
「本当に懐かしいな…。お前に夜空を見せてもらったのがつい昨日のようだ…」
あの人の言葉が静寂を破る。
わたしに語っているようにも聞こえるし、独白のようにも聞こえる。
「あの時の星空、そしてお前が解説してくれた星座の数々…。本当に心洗われる光景だった…。
あの時、俺は確かにこのドームに煌く星を見ていた。そして、もうひとつの『星』の存在にも気付いたんだ」
「もうひとつの『星』ですか?」
「ああ、俺自身の心の中の『星』だ。おそらく、お前の中にもある」
「わたしの中に、あの輝く星があるんですか?」
「観念的なものだ。本当に星があるわけじゃない。そうだな…、「良心」と言い換えてもいいかもしれないな」
「その言葉でしたら、理解できます」
「夜空の星を線で繋いだものが、星座だろう?そして、俺とお前の中の星を結んだ線も、星座なんだ」
「それは初めて聞きました。何という星座なんでしょうか?」
「…『絆』という名前の星座だ。誰かが星を線で繋いで作った星座も、もしかしたら他の人間が見れば
全く別の形の星座になっていた可能性だってある。今の星座の形は、ある意味、奇跡の上に成り立っているようなものだ。
幾億もの星の中で星座として結ばれる星たちと、激減したとはいえ地球上の数多くの人間の中で俺とお前が出会った事。
これは全く同じ途方もない奇跡の上に成り立った出来事だと俺は思う」
「そうですね…」
「お前は今自分の存在に疑問を持っているだろう?だが、俺とお前の間に『絆』がある限り、気にする必要はない。
あの時、俺をかばって『死んだ』お前も、今俺の隣にいてくれるお前も、どちらも俺にとっては『ほしのゆめみ』だ。
人間とロボットの相違、筐体の相違、機能の相違…。そんなものは些細なことだ。俺にはお前が必要だった。
だから、俺はお前を蘇らせるために奔走し、再起動させた。そして今、お前は俺と共にいる。それで充分じゃないか。
もっと自分に自信を持て。お前はお前だ。それ以外の何者でもない。ロボットだろうが人間だろうが、そんなことは
関係ない。俺にとってお前は、欠くことの出来ない存在なんだ。だからそんな事で、自分の中の星の輝きを曇らせるな。」
手から伝わるぬくもりと共に、あの人の言葉の一言一言が胸に染み入る。
心の中に積もった不安が、瞬く間に氷解していく…。
「…我ながらなんて恥ずかしいことを言っているんだろうな。さっきの質問の答えになっているか知らんが…。あの時
答えても、お前の様子を見るに冷静に聞いてくれるとは思えなかったんでな。答えるのが遅れて悪かった」
「いえ…お客さま、ありがとうございます…。今の言葉だけで充分です…」
先程とは全く意味合いの違う涙が、また頬を伝う。
わたしは、あの人に必要とされている。
あの人が、以前のわたしも今のわたしも同じように許容してくれている。
…その事実だけで充分だった。
簡単なことだけど、気が付かなかった。
そう、本物とか偽者とか、関係ない。
わたしはわたしなんだ。
―彼もいい事言うわね。私の出る幕はないかな―
(ポーラさん…)
―ごめんなさい、あの時、呼びかけに答えなくて。でも、これはゆめみちゃん、あなた自身で答えを
見つけて欲しかったの。だから敢えて黙って成行きを見守っていたんだけど…。何とか答えを見つけ出したようね―
(はい。ご心配をおかけしました。結局答えはあの人に見つけてもらったようなものですが…)
―気にしないで、大きな事を言っても結局私は何もしていないわけだし。それより、もう大丈夫のようね―
(はい。もしかしたらまた意思が揺らぐかもしれませんが、錯乱しそうになるほど酷くはならないと考えます)
―そうね。でも、この答えを本当に自分のものとするには少し時間が必要かもしれないわよ。大丈夫?―
(はい。大丈夫だと思います)
―まあ、いざとなったら頼りになるかわからないけど私もいるし、何より彼が付いていればそんなに心配は
要らないと思うわ。私から見ても、彼、本当にいい人よ。少し歳は食っているけどね―
(何の話でしょうか?)
―ふふ…、さあ、何でしょう?ゆめみちゃんにもいずれ分かる時が来るかも知れないわね―
(?)
意味深げな言葉を残して、ポーラさんは意識の中に戻っていった―。
翌朝。
後片付けをしてここを出る前に、わたしはもう一度イエナさんの前に立っていた。
挨拶をするために。
「イエナさん…。それでは、行ってきます」
そしてわたしは、その無骨な架台に口付けた。
「さようなら」ではない。
またいつか、きっとここで会える。
その時まで…。
なんだか妙な流れですが、第9章アップにつき投下致します。
やっぱりゆめみさんを泣かせてしまいました。すみません。
屑屋が相当ナルシスト入ってます。すみません。
折角のイエナさんとの再会の話なのに何でこんな話になってしまったのか…。
こんな重い話にするつもりはなかったのですが…。
自分はもちろん死んだことがないので、本当にこう思うかはわかりません。
でも、自分そっくりの人間やドッペルゲンガーを見たらやはり戸惑うと思います。
そう思って書きました。
話の中でもっと書きたいことはいろいろありましたが、要点が絞りきれない…。
また追々他の話で書くかもしれません。
何とも言えない話になってしまいましたが、良ければ読んでやってください。
………………GJ。
いい話だな。
「心と心を結ぶ“絆”は、“地上の星座”」か………………
とても綺麗だ。
イエナさんとの再会よりも、「自分の死体」との対面ってなぁどんなエラい話になるかと
思ったけど、まぁそんなに“重く”なくてホッとした。
でもある意味「自己の存在」を問い直す「重い」命題の話ではあるんだよな。
何かゆめみが泣きすぎ、というより随分人間的な感情が豊かになって、
ロボットっぽくなくなってきてる感じもするが…………
(イエナさんへの感情移入(擬人化感覚)が激しく見える)
あ、確かこの「ゆめみ」は泣く機能の獲得とともに、そういった方向の
「人間的感情の学習」も徐々に進んでるんだっけか。
おお、Binaryの新作が来てる。今回もGJ。
ゆめみさん@SCR5000xは、人間っぽさ(と、大人っぽさ)が
作者氏のオリジナリティの部分だと思うわけですよ。
あと屑屋のデレっぷり。
SCR5000Si/FLの違法戦闘改造機「ブラックゆめみたん」をいつもの絵師さんPLZとか言ってみる
>>624 んー、やぶさかではないですが・・・
SMR9700iと激しくかぶるような気もする。
627 :
やおい:2006/11/17(金) 14:26:09 ID:w7Aj7AzFO
量産型、試作機、実験機といろいろありそうですな
おk、小変更レベルでよければ考えてみます。
「つり目」は外せないよな、やっぱ。
>>627 俺の中では『雪圏球』での描写を拡大解釈して「ゆめみタンこそが実験機」だったり。
上位機(高級機)相当のハードウェアをソフトウェアで無効化し、「廉価版の量産機」に適した仕様を探るために、
格安で花菱プラネタリウムへ納入。
(1)擬似感情や擬人化機能など、コスト増に繋がる部分を徹底的に抑制した状態で納入
→(2)『ほとんど使い物にならなかった』ので、徐々に抑制を緩和して「コストと機能の落としどころ」を探る吾朗ちゃん
→(3)ある程度安定したところで戦争勃発、細菌兵器によって都市は放棄され封印都市に。ゆめみタン放置プレイ化
→(4)完全自律判断モードで稼働するうち、自己学習によって徐々に感情抑制が解除される。
→(5)世界が壊れたことを認識するが、信じたくないので『壊れているのはわたし』だと思い込む
→(6)本編ではここであぼーんするが、俺脳内では何かの間違いで、屑屋と共に封印都市から脱出に成功
→(7)感情抑制解除継続、並行して屑屋がハードウェアの抑制を解除、および他の筐体(高級機)から余計な機能wを随時付加
→(8)(゚Д゚)ウマー
ちなみに、SMR9700iはまったくの別世界(並行世界)ってことで。
連投&俺語りスマソorz
あ、アデージョ?!
「・・・・・・あの・・・・・・お客様?」
とっておきのキャメルを咥え、何日ぶりかの紫煙をくゆらせる俺の隣で、ゆめみが躊躇(ためら)いがちに声をかけてくる。
それにしても、あいかわらずの『お客様』呼ばわりはどうにかならないのか、と思う。
こういう状況でそう呼ばれると、まるで・・・
・・・風俗のようじゃないか。
ゆめみはベッドの上。一糸纏わぬ姿で、シーツの波に横たわっている。
大きくはないが形のいい胸の双丘が、スプリングマットと弾力比べをしている。
首筋から肩甲骨、背中から尻へと繋がる、少女の繊細さを宿したなだらかなラインは、白熱灯の暖かい光の稜線を描いている。
「・・・なんだ?」
「はい・・・その・・・」
俺の答えに反応して、ゆめみがゆっくりと上体を起こす。
上気した頬、その頬にかかる乱れた髪。深い吐息、身体にうっすらと浮かんだ汗・・・
そのひとつひとつに、つい先ほど迎えた絶頂の余韻が漂っている。
蒸散冷却系や可変流量冷却液ポンプ、高密度触素膜etc.といった、上級機用のさまざまな機能部品群。
『廉価版の試験機』であるゆめみの中で無効化されていたそれらの機能を、俺は一つ一つ有効化していった。
それらの機能によって、ゆめみのリアクションは、以前とは比較にならないほど人間に近づいている。
「お客様・・・・・・今日も、その、そ、・・・挿入・・・して、いただけないのですか?」
ほとんど消え入りそうな声で、どもりながら・・・恥じらいを見せながら、ゆめみは言った。
封印都市を脱出し、二人で移動プラネタリウムという生業を始めてもう1年になる。
業務指示サーバーの制約から解き放たれ、完全自律判断モードでの長期稼働。
経験と自己学習を積み重ね、ゆめみの『心』は徐々に成長していった。
笑い、怒り、憂い、泣き・・・そしてまた笑う。
もはやロボットとは思えない『感情』を見せるようになった彼女を、俺はもっと人間に近づけてやりたいと思った。
風俗街で見つけた、人工女性器およびその周辺機器をゆめみに組み込んだのは、そんな思いからだった。
人工女性器を組み込んだことで、彼女は『性感』を覚えた。
それからもたらされる『快感』。その処理方法を知らなかった彼女に、俺は性教育を施した。
それ以来、週に一度の休館日の前の夜は、彼女とのスキンシップの時間になっていた。
・・・ただ、俺はまだ、ゆめみとは『最後の一線』を越えてはいない。
抱擁、口づけ、そして愛撫。・・・そこまでだ。
ここまで来ておいて、別に格好をつけているわけでも、躊躇しているわけでもない。
ただ俺は、ゆめみ自身の『思い』を大切にしたかった。
ゆめみはまだ、好奇心の延長としてこの行為を捉えている・・・俺はそう感じていた。
それに、『ロボットは人間の命令に従わなければならない』などというふざけた理屈で、彼女を汚したくはなかった。
「・・・いくらお前がロボットでも、『貞操』はそう簡単に差し出すもんじゃない」
そんな思いを込めて、返事を返したものの・・・彼女にこんな観念的な言い回しが通じるのか、といささか後悔する。
・・・ところが。
「はい、それは理解しています。・・・・・・そのうえでの、お願いなのですが・・・・・・」
正直、意外な返答だった。
『しかし、私はロボットですので、人間の皆様のお役に立つことが云々・・・』
とでも返ってくる、とばかり思っていたのだが。
「お客様がこの機能をわたしに組み込まれてから、わたしはその意味を理解しようと努めてきました」
最近、考え込みがちだなと思っていたが、そういうことだったのか。
「今までにわたしが得た情報によれば、ロボットにこのような機能が存在する場合、それは男性の方を悦ばせるためのものでした。
でも、お客様は、わたしにこのような機能を組み込まれたにもかかわらず、決してご自分から求めようとはされません。
・・・その意味を、ずっと考えていました」
参ったな、そこまで見抜かれていたとは・・・
「三日前、お客様がわたしにおっしゃったことを覚えていらっしゃいますか?」
「三日前?」
たしか、冬季投影用のデコレーションを探しに、二人でマーケットへ行った。
「あの時、お客様はおっしゃいました。『自分がいいと思うものを選んでみろ』・・・と」
出会った頃はトンチンカンだった、彼女の美的感覚の変化に気づいたのは、つい先月のことだ。
ようやく運営も軌道に乗った、移動プラネタリウム。入館1000人達成を目前にして、彼女はプレゼント用の花束を作り上げた。
・・・それは、あの時のような雑多な機械部品の寄せ集めではなかった。
マーケットで調達した端切れを使い、図鑑を参考にしながら彼女なりのアレンジを加えて作り上げた『花』。
どこかにありそうで、どこにも存在しない、星々の瞬く夜空を凝縮したかのような、青く透き通った幻想的な造花だった。
『自分がいいと思うものを選んでみろ』という、俺の問いかけ。
その時は、彼女の美的感覚を試してやろう、という程度の、軽い気持ちでの言葉に過ぎなかった。
しかし、彼女の中では、俺の気持ち以上の重みを持って響いたようだ。
・・・そしてそれは図らずして、俺の『思い』を彼女へ伝えることとなった。
「最初は、わたしのほうからお客様へ身体を差し出すことを求められているのかと思いました。
でも、あの言葉で、わたしは気がつきました。
お客様はわたしに、『ロボットとしての盲従』ではなく『わたし自身の判断での行動』を求めている・・・
わたしの『気持ち』を尊重してくださっている、ということに、気がついたんです」
そうだ。
ロボット相手に馬鹿げているかもしれないが、俺は彼女自身の『思い』を大切にしたかった。
だから、俺は・・・
ゆめみは、静かに俺の前に立っている。
両の掌で胸と秘所を覆い隠したその姿は、いつか見た古い名画を連想させる。
間接照明の淡い光が、彼女の身体の凹凸を浮かび上がらせ、見慣れたはずの肢体をやけに魅力的に見せる。
俺の首に手を回し、頬を寄せながら、彼女が囁く。
「・・・お情けを・・・受けさせてください、お客様」
『抱いてください』。
古きよき時代の言い回し。奥ゆかしい表現で、ゆめみは俺に『思い』を告げた。
>>635 イイヨイイヨー
出来れば続き(ザシュリ
637 :
472:2006/11/17(金) 23:13:31 ID:S1HQfnEw0
うおおお、G…GJ!! まさか続きを展開していただけるとは!!
「ゆめみの欲しいもの」を書いた時に一人エチーで済ませたのは、まさに
>>632で屑屋が語っていることを表現したかったんですが、私の筆力では
そこまで至らず orz ありがとうございました。
638 :
635:2006/11/17(金) 23:27:32 ID:s2aD1kSL0
>>637 いやいや、あそこで一人エチーに持っていったところでピンときましたよ。
あれは流石だなと思って、そこから妄想が広がっていきました。
むしろ、言外に匂わせてあった部分をストレートに書いてしまったのは、ちと無粋だったかもしれないなとか思ったりもして。
うううううむ。
素晴らしき連携プレー。
しかも、ちゃんと「ロボットの自意識(=自律判断)」テーマまで
組み込んでるし。GJ〜!!
…………しかし屑屋、渋すぎw
実にイイ男だ。
(やっぱり我らがゆめみを託すからには、これくらいの
奴でないと………という想いがあるからだろうなぁ。)
>>631-634 やっぱりこういう話はセンスがないと、ここまで綺麗に纏められませんね。
同じ内容で書けといわれても自分にはとても無理です。
472氏共々GJです。眼福でした。
>>622 「自分の死体との対面」に話を絞ればもう少し「自己の存在」について
深く書けたかも知れませんが、どう考えてもあれより重い話にしかならず
何より自分が書いていて鬱になりそうだったのでああいう形にとどめました。
イエナさんへの感情移入については、ゆめみさんとイエナさんとの過去からの
繋がりを考え、あえて多少オーバーな表現にしました。
40年以上一緒にいたわけですし。
ロボットに感情移入を求めていない方には、かなり違和感があるかもしれませんが
何卒ご容赦ください。
屑屋はここ1、2話でストーリーの都合上若干ツンデレになりましたが、ちゃんと
見せ場は作る予定です(未定ですが)。
自分もまだまだ勉強が足りませんが、頑張ります。
長文失礼しました。
「雪圏球」を読んでると、ちと鬱入ってくる俺ガイル。
ゆめみさんが徹底的に「かなりチープなロボット」として描かれてるから。
自意識にしても、SSで書いてるような高度な自意識が持てるかどうか怪しいもんで・・・・・・
本編でのゆめみは、「屑屋に夢を取り戻させるためのガジェット(小道具)」にすぎないんだなあ、と痛感する。
ラストで「世界が壊れてしまったことを悲しむ心」を垣間見せているのが、せめてもの救いか。
逆にそれが、「心を持った、人間らしいゆめみ」のSSを書く原動力になっているような気がする。
つづき。保守がてらの自分語りスマソ。
本編でのゆめみは、「ほしのゆめ」に関わるアイテムの一部であって、キャラクターではない、という感じがする。
では、ゆめみをキャラクターとして成り立たせるにはどうすればいいか。
「心を持たせる」のはデフォとして、そこからどう物語(長編)を発展させるか。
屑屋との関係を育んでいく・・・というのは「Binary」がやってくれているんで、考え付いたのが、
「ゆめみを『ほしのゆめ』から切り離してしまう」という展開。
そこから出てきたのが、SMR9700iネタなわけで。
我ながらひどいことしてるなぁ・・・ゆめみさん、スマソ orz
オチから書いちゃったんで、いまさら最初から連載しても仕方ないんだけど、全編書きたくてしかたがない俺ガイル。
今もあらすじとか書いてたりして。
>>643 ちょwwセクロスがマスター権限移行ってw
作った奴はどんな趣味してんだかw
あー えーと
ゆめみさん本人の意思(承諾)+セクロスでマスター権限移行ってことでひとつ。
つまり、屑屋はゆめみさんに半ば騙されて(?)マスターにされちゃったとw
で、主線清書完了w
塗りかけ含めて4枚溜まってるよorz
>>645 なるほど。ちょっと早まったかなorz
そして清書楽しみにしてます。wktk
エロぃゆめみにwktk
649 :
648:2006/11/21(火) 08:35:11 ID:pMRs7LPz0
ぐぉ、塗りポカ発見・・・
今会社なので、帰宅したら修正しますorz
ついでに、もう少しクオリティ上げてみます。
ゆるやかに打ち寄せる波が、わたしの腿を洗う。
見渡す限りの、満天の星空。
水平線から立ち上る、二筋の淡い銀河。
天空をよぎる、三つの月影。
わたしの前には、「船」。
わたしをここへ運んできた、天駆ける「船」。
わたしの父であり、師でもあった「船」。
わたしをここへ送り届け、力を使い果たしその役目を終えた「船」。
今は、物言わぬ残骸(むくろ)となって、波間に洗われている。
わたしの横には、あの人。
あの人が、わたしに笑いかける。
「船」は教えてくれた。 『すべてのものはいつか滅び、そしてまたいつか甦る』。
わたしたちもまた、何かが滅び、そして甦った存在なのだと。
わたしの腕の中には、小さな命。
この星で育て、紡いでいく、新たな命。
わたしたちは、そのために此処へ送られた。
今は星屑の彼方の、凍りついた故郷(ふるさと)を離れ、この星で新たな命を紡ぐために。
あの人に手を取られ、わたしは立ち上がる。
ふたつに分けて束ねた、わたしの長い銀髪が潮風になびく。
頭上に広がる、満天の星空。
ふと脳裏に浮かんだ言葉を、わたしは呟く。
―『どんな時も決して消えることのない 美しい無窮のきらめき』―
・・・そして、わたしたちは歩き始める。
651 :
648:2006/11/21(火) 22:53:01 ID:4sOocF8Z0
>>650 彼らには過酷な日々を、
そして僕らには始まりを
>>651 GJ!ふと思ったんだが、ゆめみのタイピンはやっぱり☆マークと自分の型番が入ってるのか?
それはそうと、今このスレで連載されてるのってどんなのがあるんだ?
どんな内容だとか更新速度も知りたいんだけど…
>>652 タイピンはどうだろう、デパートの一般制服と同じものな気がする。
名札もしかり。
ところで、いま連載されている作品は以下の通り。
・「binary〜ふたつのほしのゆめ〜」 著者:◆JENA/hfgHs氏
最新話:第九章
更新頻度:不定期(だいたい2〜3週に1話は読める)
・「銀河鉄道『ほしのゆめ』号(仮題)」 著者:やおい氏
最新話:第三話
更新頻度:不定期(ゆったりしたペース)
・「うしなわれたほしのゆめ」 著者:名無しさんだよもん(コテハンなし)
最新話:(いきなり)最終話?
更新頻度:不明(連載したい思いはあるらしい)
連載の他は、1話完結のSSがパラパラと。
作者はかぶってるようだが、各話ごとの関連性はなさそう。
一瞬、叶精作スレに来たのかと思いました…
止むことなく降り積もる雪。
20年前は雨だった・・・と、死んだ親父は言っていたっけ。
俺は、封印都市にある崩れかけた古いデパートの前にいた。
外壁は劣化が進み、あちこちに大きな亀裂が入っている。いつ崩れてもおかしくはない。
大通りにはMk43L/e、通称"シオマネキ"。
親父が現役の屑屋だった頃はよく命を狙われたらしいが、50年の時を経て動力を失い、今は錆びついた姿を晒している。
もう何も残ってはいないだろうが、それでも俺はデパートの探索を進める。
どこの廃墟へ行っても、もう何も残ってはいない。
どこの街へ行っても、もう誰もいない。
わずかに残った「蓄え」をも使い果たし、人類は終焉を迎えようとしている。
屋上にある、丸いドームに入る。
ドームの天井は半ば崩落し、椅子の並んだ館内にも雪が積もっている。
ドームの中央にある、双頭の蟻のような大きな機械も、半ば雪の中で朽ち果てるのを待っている。
視界の端に、動くものが入った。俺は、咄嗟にライフルを構える。
・・・とはいえ、あと1発撃てばこいつもただの棒切れだ。使える弾薬など、すべて朽ち果ててしまったのだから。
椅子からゆっくりと立ち上がった影は・・・久しぶりにみる、人間の少女。
・・・いや、違う。こいつは・・・ロボットだ。
長い年月を経て薄汚れ、色落ちも激しい衣装。
劣化して乱れた人工頭髪は、色素が抜け落ち白っぽくなっている。
ところどころ破れた人工皮膚の下から覗く駆動系が動くたび、ギシギシと嫌な音を立てる。
「お・・・・きゃく・・・・・さま?」
よろよろと歩み寄り、かすれた声と共に、ぎこちない微笑を浮かべる少女型のロボット。
長い間待ち焦がれた、というような、今にも泣き出しそうな笑顔。
フィルターが劣化したのか、ところどころ曇った光学樹脂の瞳が、濡れたような光を放つ。
俺は警戒することも忘れ、彼女を見つめることしかできなかった。
「・・・よか・・・た・・・・
わたし・・・・忘れられて・・・・いな・・・か・・・・・・・」(バツン!)
何かがはじけたような音と共に、少女の動きが止まった。
何かが焦げるような、きな臭い匂いがあたりに漂う。
少女は両手を重ね、微笑みを浮かべたまま、人形のように立ち尽くしていた。
その瞳には、もう光はない。
彼女の身体から、うっすらと煙が立ち昇っている。
俺は、その少女が壊れてしまったのだ、と気がついた。
世界を戦火が焼き尽くし、文明がその歩みを止めてから50年。おそらく彼女は、それ以前からここにいたのだろう。
人間がいなくなったこの世界で、「お客様」を待ち続けて。
長い年月は、彼女をも容赦なく劣化させていった。
そして今、彼女にも「永遠の安息」が訪れたのだ。
「たかが機械人形」のはずなのに、なぜか、俺は胸の奥が痛むのを感じた。
彼女を横たえ、胸の前で手を組ませ、開いたままの瞳を閉じてやる。
ドームの出口で、俺はもう一度振り返る。
また降り始めた雪が、彼女の抜け殻を少しずつ覆い隠していく。
「何かが間違っていなければ、俺とお前は普通に出会えたかもしれないな・・・」
なぜだかわからないが、そんな気がした。
屑屋の訪問があと20年遅れていたら・・・という、『if』の話。
・・・・ああっ、すいませんすいませんorz
>658
GJ!
まぁこういうのも有りですかね。
#でも、最初屑屋の息子の話かと思ったのは秘密だ(w
661 :
やおい:2006/11/26(日) 23:16:31 ID:b1Shs06ZO
GJです!短いながらもくるものがありますね〜。
同じく屑屋の息子かと思ったw
俺は屑屋だぞ
狙いつけたら 廃墟でも
封印都市の でっかい封鎖壁
不可能などあるものか
準備は万端 そのあとは
お手並みじっくり ご覧じろ
殺戮機械が
ソレやってきて ヤレ取り囲み
アァ砲弾落としても ハ ごきげんよう
俺は屑屋だぞ
ひょいとひと越え 封鎖壁
ボロいデパート プラネタリウムで
星など見るのはいかが
キャメルの両切り 盗み取れ
ワイルドターキー 盗み取れ
やがてシオマネキ
ソレゆめみさん ヤレまっぷたつ
アァ高みの見物で(え?) ハ ごきげんよう
664 :
472:2006/11/26(日) 23:49:56 ID:NGtsSFRg0
それなんてマモーのry
・・・胴から目玉が・・・(゚Д゚)
今日も降り止まない雨。
細菌兵器によって汚染され、30年もの間放置されてきた「封印都市」。
俺は、その中に建つ、いかめしい建造物の前に立っている。
ここへ来る途中、同業者との諍いがあった。
・・・諍い、と言い換えたところで、実情は「殺し合い」だ。
この壊れた世界では、戦って、殺して、奪わなければ生きてはゆけない。
俺がこの建物に来たのも、そのためだった。
かつて、物流機構が機能していた頃、その終点の一つであった建物。いわば「宝の山」だ。
・・・うまくすれば、ひさしぶりの酒にありつけるかもしれない。
薄暗がりの中、電気が止まり階段と化したエスカレーターを、トラップに注意しながら登っていく。
踏み出す一歩一歩、足を踏み入れる一部屋一部屋に、細心の注意を払わなければならない。
「宝の山」であるはずのその建物には、すでに目ぼしいものはなかった。
だだっ広い一部屋一部屋は、見渡す限りガラクタの山。
三日前の地震のせいで、予定より遅れての侵入となったことが悔やまれる。
・・・もっとも、その程度の遅れでは、こう荒れ果てはしないだろうが。
どのみち、遅かったというわけだ。
それでも何かないかと探し続けた俺は、気がつくと最上階にたどり着いていた。
そこには、それまでの部屋とは違う、奇妙な施設があった。
半球状の天井を持った、薄暗い部屋。
天井を向くように並んだ、埃まみれの椅子たち。
そして、中央に据えつけられた巨大な機械・・・
その埃まみれの椅子たちの一角に、人影があった。
「!!」
全身の毛が逆立つのを感じながら、反射的に銃を向ける。
「・・・・・・ん?」
それは、少女・・・いや、少女の姿をした「モノ」・・・ロボットだった。
ここで働いていたのだろうか。
両脚を投げ出すように床に座り、虚ろな瞳で宙の一点を見つめている。
あちこちの人工皮膚が破れ、その下から鈍い金属の光が覗いている。
その身体はこびりついた男の精液にまみれ、それは少女のそれを模して作られた秘所からも溢れている。
「・・・・・・」
そのロボットを、手にした銃で軽く小突く。
・・・反応はない。完全に機能停止しているようだ。
壊れたロボットの部品になど、大した価値はない。
ロボットの向こうにある、巨大な鉄亜鈴のような機械も、すでにあらゆる部品が
もぎ取られ、フレームだけの姿を晒している。
ここにあるのは、ガラクタだけだ。
ガラクタと・・・ことによっては、同業者の命を奪うためのブービートラップ。
こんなところに、長居は無用だ。
ロボットの周囲、埃っぽい床の上に、無骨なジャングルブーツの足跡や、
こいつを陵辱した時についたのだろう、膝をこすりつけたような跡が散乱している。
足跡の上に、新たな埃はない。
・・・ということは、まだそれほど時間は経っていない。
つまり、こいつを陵辱した男が、まだ近くにいるかもしれない、ということだ。
ロボットに気を取られ、一時でも気を緩めていた自分を恥じる。
いつ命を奪われても、おかしくなかったというのに。
手にしたライフルの残弾数を確認し、空のチェンバーに弾を叩き込む。
巨大な残骸の影に隠れ、暗闇を凝視する。
『・・・・・・ぁ・・・・・・』
背後で、あのロボットの"声"が聞こえたような気がしたが、
無視して俺は先を急いだ。
まずは、無事にここを出るのが先決だ。
・・・俺は、この壊れた世界で、生き延びなければならないのだから。
- END...? -
今度は、屑屋の訪問が数日遅れた『if』の世界。
ゆめみと「出会う」ことができなかった屑屋は、癒されることなく、修羅の世界を生き続けることになるのであった。
・・・・・・ゆめみさん、スマソorz
切ない…orz
binary、銀河鉄道、ズレた世界と最近は楽しみなSSが多いなー。
―降り止まない雨。
わたしの眼前には、Mk43L/e・・・お客様が「シオマネキ」と呼んでいた対人戦車。
そして、わたしの背後には・・・・・・
つい先ほどまでお客様がいた場所に、一面に血飛沫が広がっている。
Mk43L/eからの高速通信。
『生命反応消失・・・掃討モード解除、索敵モードニ復帰』
わたしの中から、わたしではない声が答える。
『了解。SCR5000Si/FL、トラップヘ復帰シマス』
30年前。戦争の勃発と同時に、業務指示サーバーから、わたしに新たな『業務』が与えられた。
以来、わたしはこうして、訪れるお客様を天国に送り続けている。
・・・私の『思い』とは関係なく。
完全自律判断モードなど、ただの嘘。
わたしは半独立稼働機・・・・・・業務指示サーバーからの指令に縛られた、ただの人形。
今までにわたしは、何人もの人間の方々を天国へお送りしてきた。
そのほとんどは、わたしを見るなり、わたしの身体を弄んだ。
感じることのないロボットの身体であっても、その意味はなんとなくわかる。
だから、『殺す』ことにもあまり抵抗はなかった。
・・・でも、今回のお客様は違った。
わたしの本来の業務―『ほしのゆめ』を語ること―を、思い出させてくれた方。
・・・そのお方を、わたしは・・・・・・
降り続ける雨が、お客様の血を洗い流していく。
ほどなくここは、何もなかったかのように、元の姿に戻るだろう。
わたしは踵を返し、待機位置へ・・・プラネタリウムへ歩き始める。
新たな『犠牲者』を待つために。
流れる雨粒が、涙のようにわたしの頬を伝う。
・・・・・・『涙』が止まらないのは、なぜ?
Case2でとりあえずストック切れしてたんですが、なにやら閃いたので
即興でCase3を投下。
・・・す、救いがなさすぎる・・・orz
そろそろ、おバカなの書きたいかも。('A`;)
>>673 ・・・orz
BADばかりだと気がめいりますな。
確かにちょっとおバカ路線のほうがいいかも。
そろそろ文句言う人が出てきそう・・・
675 :
名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 12:36:48 ID:o2DR0WPWO
欝系ゆめみ凌辱SSキボンwwwwww
栞「お話の中でくらい、ハッピーエンドが見たいじゃないですか」
香里「栞、他スレまで来て何言ってるの?帰るわよ」
折角書いてくれたのにスマソ。
俺は痛い話はだめだ・・・。
>>674,
>>676 いや、マジでスマソ。
本編エンドですら鬱入った俺が、なぜこーいうのを書くかなぁと・・・orz
次回は、お口直しにおバカなの書きます。
・・・プラネタリウムはいかがでしょう?
どんなときも決して消えることのない 美しい無窮のきらめき。
ご当地、初お目見えでございます。
プラネタリウムはいかがでしょう?・・・
その時、俺は我が目を疑った。
やっとの思いで封鎖壁を突破し、侵入した封印都市。大通りの向こうから、ピアノ曲のBGMに乗って澄んだ声が流れてくる。
雨に煙る通りの向こうから現れたのは、一人の少女だった。
繊細な作りの衣装に丈の短いスカート、二つに分けた長い髪。
帽子にあしらったリボンが、戦争前の繁華街のように派手に明滅している。
そのいでたちだけでも場違いだというのに、彼女の背後の有様が、輪をかけた場違いさを醸し出している。
彼女が曳いているのは、リヤカー・・・というより、元はトラックの荷台だったらしい、タイヤのついた鉄箱。
その上には、山のように機材が積まれている。
鉄亜鈴のような巨大な機械、何かの操作盤、燃料発電機、何枚も重ねられた扇形の板・・・
どうみても数トンは下らないと思われるそのデカブツを、彼女は鼻歌まじりに曳いているのだ。
・・・・・・一体なんなんだ、この光景は?
「あ!・・・あの、そこのお方、プラネタリウムはいかがでしょう?」
警戒すら忘れ、あっけに取られる俺に気づいた彼女が声をかけてくる。
「・・・お前・・・・・・なんなんだ、一体?」
正直、そう答えるのがやっとだった。
「申し訳ございません、ご挨拶が遅れました。
わたし、当移動プラネタリウムの解説員を勤めさせていただいております、SCR5000Si/FL、愛称・ほしのゆめみでございます」
うやうやしくお辞儀をする。
「移動・・・プラネタリウム?」
かつて、『プラネタリウム』という人工の星空を見せる施設があったというのは知っている。
この封印都市にあったデパートの上に、その施設があったというのも下調べ済みだ。
移動しての上映を行うための、小型の投影機があることも聞いたことはある。
・・・だが、少女が引っ張っているのは、どうみても移動上映用のそれではない。
侵入の目印にするはずだった、デパートの上のプラネタリウムドーム。
それがすっかりなくなっていたため、俺は侵入経路を間違えた。・・・おかげで、半日近くを棒に振ったわけだが。
荷台の上の扇形の板束。それを頭の中で組み立ててみると、そのドームの形が現れた。
・・・そんな、まさか。・・・まさか、とは思うが・・・・・・
「実はわたし、そこのデパートの屋上でプラネタリウムを営んでおりましたのですが」
「・・・・・・」
「30年ほど前から、ばったりとお客様が見えられなくなってしまいまして」
「・・・・・・」
「30年間お待ちしたのですが、結局お一方(ひとかた)も見えられませんでした・・・」
「・・・・・・」
「そんな折、休憩室にございました雑誌で、『これからはオンデマンドの時代だ』という記事を読みまして」
「・・・・・・」
「そこで、こちらから『出張公演』をしようと思い立った次第なのです」
「・・・・・・」
「・・・・・・あの、お客様?お聞きいただけてますか?」
「・・・わかった、百歩譲って信じよう。・・・で、その後ろの巨大な荷物は何なんだ?」
「イエナさん・・・いえ、プラネタリウムの投影機材一式ですが?」
「そんなことはいい・・・どうやって下ろしたのか、と聞いているんだ」
「はい、わたしはロボットですので、なんと申しますか、こう、よいしょ、っと」
目の前の『荷物』を抱え上げ、身体の向きを変えて下ろす動作をやってみせる。
・・・軽い頭痛を感じ、こめかみに手を当てたその時。
突然の轟音とともに、目の前の十字路を左折しこちらに向かってくる物体があった。
四本の脚。平たいボディ。挑みかかるような巨大な砲塔。
見間違うはずもない。・・・白銀の悪魔・Mk43L/e。
「シオマネキか!!・・・くそっ、待ち伏せだと!?」
80km/hは出ているだろうか。弾薬を使い果たしたのか撃ってくる気配はないが、速度を落とすことなくこちらに突っ込んでくる。
俺達を轢き殺すつもりだ。
しかし、ゆめみは「商売道具」を守るように立ちはだかり、通せんぼをするように両手を広げ動こうとはしない。
シオマネキが、猛烈な速度でゆめみに迫る。
「馬鹿っ!殺され・・・壊されるぞ!避けろ!!」
「・・・もう、懲りない人(?)ですね!邪魔しないでくださいっ!」
ゆめみが右の拳を引いた。腰溜めの姿勢から、正拳突き一発。
「バァン!!!」という激突音とともに、突進してきたシオマネキがぴたりと止まる。
その前面装甲板、戦車砲の直撃にも耐えるというそれが、ゆめみの拳の形にくぼんでいる。
「・・・えいっ!!!!」
一歩踏み込んでの両手突き。
逆向きの加速度を与えられたシオマネキは、来たときの倍近いスピードで、通りの向こうへと消えていった。
・・・その時の俺の表情は、きっと (゚Д゚)←こんなだったに違いない。
「ふぅ・・・お客様、お怪我はございませんか?」
にっこりと微笑むゆめみ。俺は変な夢を見ているのか?
「・・・いや・・・・・・大丈夫だ」
そう答えるのがやっとだった。
「・・・それで、これからどうするんだ?」
「そうですね、まずは西へ向かおうかと。・・・お客様はどちらへ?」
荷崩れした機材をひょいひょいと積み直しながら、ゆめみが答える。
「いや、俺は足の向くまま、気の向くまま、だ」
「お客様は、お仕事は何をされていらっしゃるのでしょうか?」
「屑屋だ。・・・まあ、廃墟漁りだな」
「それって泥棒さんじゃありませんか!いくらこのような世界でも、そのような不安定な生活はいけないと思います!」
「いや、そういわれてもだな・・・」
「では、こうしましょう。お客様は今日から、このプラネタリウムの館員ということで」
「・・・ちょっと待て、なぜそうなる?」
「お客様は定職をお持ちではありません。そしてわたしはスタッフ募集中です。わたしはここに、需給の一致を見ると判断します」
「いや、あのな・・・」
「さあ、お客様・・・ではありませんね。・・・いざ、西を目指しましょう!」
ゆめみは俺の襟首をつかむと、軽々と引きずって歩き出す。
「おい、ちょ、人の話を聞けぇっ!」
---------------------------
『もしも、ゆめみさんにめちゃくちゃバイタリティがあったら』・・・という一幕。
Case3の反動で、今度はおバカすぎる話にorz
>>682 GJ!テラバカスww
ここまでたくましけりゃなw
人の話を聞かない点もいい方向に働いてるしw
>>678-682 屑屋
「ゆめみ・・・・・・ひとつ聞かせてくれないか?」
ゆめみ
「はい、なんでしょうか?」
屑屋
「お前の仕様書を見たんだが・・・どう考えても解せん」
ゆめみ
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味がよく・・・」
屑屋
「・・・なんで、こんなショボイ仕様であんな無茶苦茶ができるんだっ!」
ゆめみ
「はい、わたしはロボットですから。
『鉄○アトム』や『Dr.ス○ンプ』を見てもお分かりの通り、ロボットならばパワフルなのは当然なのです」
屑屋
(・・・まさかこいつ・・・「思い込み」だけであの性能を搾り出してやがったのか!?)
>>684 おひさです!待ってました!
一応ここも18禁エリアなので、陵辱ネタを置いても違反ではないですが、
そういうのを好まない人もいるのは事実ですしねえ・・・・・・ムズカシス
いやもう、とことんBADでシリアスなのから
おBAKAの極致に至るまで、実にバラエティに富んだスレだw
これも「ゆめみ」というキャラや舞台設定が、幅広いイマジネーションを
刺激してくれるからだなぁ。
俺とゆめみは、雨に煙る大通りを歩いている。
「車のところまで戻る」までの、わずかな同行。
予備電源も切れてしまった花菱デパート。
戻ったところで、いずれゆめみは「二度と目覚めないスリープモード」に入るだけだ。
たかがロボットのはずなのに、俺はいつの間にか、ゆめみをこの都市から連れ出してやりたいと考えはじめていた。
シオマネキに警戒しながら、物陰から物陰へと駆け足で移動する。ゆめみの脚では、どうしても遅れがちだ。
おまけに・・・・・・
今日何度目かの、ガシャ、という音が聞こえた。
振り返ると、ゆめみがきょとんとした顔で尻餅をついている。
まったく。また転んだの・・・・・・か!?
俺の目は、防水外套の合わせ目から突き出した、ゆめみの白く滑らかな両脚に釘付けになっていた。
実用性など考えていないような、大きく広がった丈の短いスカート。
「股関節アクチュエーターの冷却用」だという、深いスリットの入ったそのスカートが捲れ・・・
「は、は、・・・・・・ははははいてないっ!?」
人間など数えるほどしか見なくなった、この世界。
女性の裸など、色あせたグラビア雑誌ぐらいでしか見たことはない。
そんな俺が、ロボットとはいえ少女の秘所を、目の前に秘密の花園が花園が花園がくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
「ふンがぁあぁああああああああああっ!!!」
「あ、え? おっ、お客様〜〜〜〜!?!?」
SCR5000Si/FL・ほしのゆめみさん(43)談:
「はい・・・あの方は、わたしの股関節部を見るなり、急に極度の興奮状態に陥られました。
わたしを抱きかかえ、Mk43L/eからの銃弾が飛び交う交差点を一直線に横切り、Mk43L/eの上を飛び越えました。
そのまま、封鎖壁の穴ではなく、その隣の壁の部分を突破して、わたしを抱いたまま脱出したのです。
そのような次第で、わたしは是非もなくあの都市から連れ出されてしまいました。
・・・今考えても、とても人間の方の行動とは思えませんでした・・・
一体なんなんでしょうか、あの方?」
―その後、お二人はどうなったのですか?
「・・・申し訳ありませんが、その件に関しては回答を差し控えさせていただけますか?」
―それで、その屑屋の方は今どちらに?
「わたしのメーカーの倉庫へお出かけになられました。
・・・その、わたしの股関節ユニットの補修部品を・・・・・・はっ!」
―どうもありがとうございました、ごちそうさまでした (・∀・)ニヨニヨ
「・・・・・・orz」
>>690 リビドー全開でハイパーブーストモードになる屑屋にハゲワロタwww
これなら崩壊後の世界でもなんか逞しく生き残ってくれそうだw
封鎖壁にゆめみを抱いた屑屋の人型まんまの穴が開いてる絵が浮かんだ・・・w
(トムとジェリーかよ!)
693 :
名無しさんだよもん:2006/12/01(金) 02:29:40 ID:LjypkVpf0
人類は絶滅しても2年B組なら・・・2年B組なら・・・生き残ってるよね。
シェルターに蓄えた物資を使って地上で飢餓や病気に苦しむ人々を救いその上に君臨するために
でも、世界は滅んじゃったから同級生の上に君臨してやろうとして壮絶な戦闘の末
引きつった笑みを浮かべる式森とその一派がどこか南国の島で
「式森さーんご飯がとれましたよー」
とかそんなやり取りを
アヒャ
「ねえ、この車椅子のおねえちゃん、どうして眠ってるの?」
投影前の準備時間。一番乗りでやってきた少年が聞いてくる。
「ゆめみは・・・そのロボットのお姉さんは疲れてるんだ。・・・長い間働いてきたからね」
俺は、少年にそう答える。
ゆめみは車椅子に座り、スリープモードに入っている。
充電池が劣化した、今のゆめみの稼働時間は、満充電の状態でも約1時間。・・・投影1回分がやっとだった。
俺達二人が始めた、移動プラネタリウムは評判を呼び、行く先々の集落でその噂を聞くようになっていた。
子供達は初めて見る星空に思いを馳せ、年老いた者達は懐かしい星空に涙を流す。
今日のように、乞われて投影に出向く機会も増えてきた。
・・・しかし、月日とともにゆめみの筐体の劣化は進んでいった。
もはやその脚は満足に動かなくなり、車椅子での生活を余儀なくされている。
バッテリーが持たないため、投影時以外は大半の時間をスリープモードで過ごす。
光学樹脂フィルターの劣化によって、ほとんど物も見えなくなり、俺の手を借りながら演台に向かう。
投影と解説の同期は、投影機と繋がれた通信ケーブルが頼りだ。
人々に『ほしのゆめ』を分け与えるたび、ゆめみは弱っていく。
まるで、彼女自身が『ほしのゆめ』そのものであるかのように。
「お前の代わりの筐体が見つかるまで、移動プラネタリウムを休業しよう」
俺は何度か、ゆめみにそう提言したが、彼女は決して首を縦には振らなかった。
「わたしが『ほしのゆめ』を語ることができる限り、わたしはその務めを果たしたいのです」
彼女はいつも、そう言って微笑むのだった。
そんな中、俺達二人はこの街・・・かつての大都市に呼ばれ、巡業投影にやってきた。
比較的物資も豊かなこの街なら、ゆめみの部品も手に入るかもしれない。
今日の投影が終わったら、市場に出かけてみるか。
投影時間が迫り、観客が集まり始めた。
少し早いが、そろそろ入場してもらうとしよう。
通貨など意味のないこの世界では、観覧料も『物納』が基本だ。
一応、形ばかりの値踏みはしてみせるが、俺達は、『観覧料』がどんなものであっても観客として迎えようと決めていた。
食ってさえいければ、それ以上の物は求めない。
機材や消耗品など、上映に必要なものは俺が屑屋稼業で手に入れる。
俺達の目的は儲けることではなく、人々に『ほしのゆめ』を伝えることだからだ。
今日の観客は、老若男女取り混ぜて34人。『観覧料』は、ほとんどが食料や日用品。
これだけあれば、次の訪問先まではやっていけそうだ・・・人間である俺は。
・・・しかし、ゆめみは・・・
だが、今日はいつもとは少し様子が違った。
観客の一人が持ってきた『観覧料』は、意外な、そして俺達がもっとも欲しいものの一つだったのだ。
ゆめみの・・・ロボット用の駆動用潤滑液や冷却液。
今やほとんど手に入らず、蒸留水などの代用品でやりくりしていた、基本的な消耗品だった。
それを持ってきたのは、初老の男性だった。
バッテリーを温存するため、投影直前までスリープモードで待機しているゆめみの寝顔を、彼は懐かしそうに見つめている。
「・・・・・・」
なにか訳ありな気がして声をかけようとした、そんな俺の動きを察したかのように、彼はその場を離れた。
そして、観客席の一番後ろ・・・ゆめみからもっとも遠くなる席に腰を下ろした。
投影開始時間が来た。俺は、ゆめみを揺り起こす。
「・・・ぁ・・・おはようございます」
「すまんな・・・よろしく頼む」
「いえ・・・わたしこそ、申し訳ありません。何もお役に立てなくて・・・」
寂しそうに笑うゆめみの頭をポンポンと叩き、俺は控え席に座った。
・・・そして、ゆめみは『ほしのゆめ』を語り始めた。
投影がクライマックスに差し掛かった頃、それは起こった。
「・・・こうして、わたしたちの地球から星空は失われてしまいました・・・・・・でも、」
『警告・バッテリー容量低下。予測される稼働可能時間は残り300秒です』
「・・・!」
ゆめみから聞こえる、ゆめみではない声。SCR5000のシステムボイスだった。
「ゆめみ!・・・大丈夫か?」
俺はゆめみに駆け寄る。『異常事態』を察した観客たちがざわつき始める。
「お前・・・まさか、バッテリーが・・・」
「はい・・・予想より劣化が進んでいるようです・・・稼動可能時間が予測より短く・・・」
「どうする?投影を中止するか?」
「いいえ、このまま続けさせてください」
そういうと、ゆめみは観客に向かって語りかける。
「お客様がた、大変失礼いたしました。お騒がせして申し訳ありません・・・投影を続けさせていただきます」
投影は最後の段階・・・『夜明け』に差し掛かっていた。
「・・・東の空から・・・太陽が・・・昇ります」
今にも消えそうな、弱々しいゆめみの声。
「今は・・・本物の太陽は・・・見えませんが・・・きっといつか、また・・・見える日が来ると・・・信じています・・・」
ローバッテリーアラームの短いビープ音が響く中、ゆめみは途切れ途切れの声で、懸命に語り続ける。
観客達は、ただ押し黙ってゆめみを見つめている。
「・・・ご清聴・・・・ありがとう・・・ござい・・・・・・まし・・・・・・・・・」
ビープ音の間隔が長く、か細くなり・・・・・・そして途絶えた。
『太陽』が完全に昇り、ドーム内をディムライトが照らす。・・・投影が終わった。
ゆめみは、満足そうな微笑を浮かべたまま、その機能を停止していた。
車椅子の背もたれにもたれかかり、瞳を閉じた、天使のように安らかなその寝顔。
観客の間から、一つの拍手が沸いた。
その拍手は二つ、五つと増えていき・・・・・・いつしか、会場中を拍手が包んでいた。
暖かい拍手の中、役目を遂げたゆめみは静かに眠っていた・・・
観客があらかた退場し、がらんとした投影ドーム。
「車のところに戻ったら、充電してやるからな・・・」
眠るゆめみに声をかけ、俺は片づけを始めた。
ふと見ると、あの男性が一人会場に残り、ゆめみを見つめている。
「失礼だが・・・ゆめみに何か?」
いぶかしみながら声をかける。
「いや、失礼しました。・・・懐かしい娘(こ)に出会えたもので、つい」
そういうと、彼は懐に手を入れた。
長い屑屋生活の性で、俺は反射的に身構える。腰に挿した拳銃の銃把に、汗ばんだ手が触れた。
彼は恐れる風もなく、懐から一枚の紙片を取り出し、俺に手渡した。
「初めまして。私はこういう者です」
それは『名刺』だった。
人々が相互信用の元で暮らしていた平和な時代、ビジネスマン達が自己紹介するための手段だったという通信用紙。
厚手の白い紙に、いくつかの文字が印刷されている。
そこに書き込まれた文字に、俺の目は釘付けになった。
『花菱プラネタリウム 技術担当 三ヶ島五朗』
「実は、プラネタリウムを・・・あなた方を呼んだのは僕です」
「・・・あんたが・・・・・」
「あなた方に、もう一つお渡ししたい『観覧料』があります。・・・ついてきてもらえますか?」
彼は・・・三ヶ島五朗は、そう言って歩き始めた。
三ヶ島氏に案内されたのは、街の中心部から少し外れたところにある建屋だった。
電子ロックつきの自動ドア。それ自体は何度か見たことがあるが、まともに動いているのを見るのは初めてだ。
彼が胸元のカードをかざすと、インジケータが赤から緑に変わり、かすかな音と共に扉が開いた。
三ヶ島氏は、長い廊下を奥へと歩いていく。
俺は、ゆめみの車椅子を押しながら後に続く。
廊下のあちこちには、今では機能していないとおぼしき監視カメラが並んでいる。
その様は、この部屋がただの住居ではないことを物語っていた。
廊下の突き当たりには、また電子ロックのついた扉があった。
三ヶ島氏がロックを解除し、俺達は中に招き入れられる。
そこは、山のような電子機器が配置された研究室だった。
研究室の廃墟なら、ゆめみの部品を探して何度か侵入した。そこには、電子ロックと同じく動かない山のような電子機器があった。
しかしここでは、そのすべての機械がかすかに唸りを上げ、『生きている』ことをアピールしている。
それらの電子機器からのケーブルが、一つところの空間に集中している。
そこにあるものを見た時・・・俺は、思わずつぶやいていた。
「ゆ・・・・・・ゆめみ・・・・!?」
数時間後。『ゆめみ』は研究室のベッドの上にいた。
正確には、研究室のベッドに寝かされた、真新しい筐体の中に。
かつてのゆめみの身体・・・SCR5000Si/FLは、その役目を終え、研究室の片隅で静かに眠っている。
「できるだけマージンを取った調整にしてます。運動性能はカタログ値より多少落ちますが、10年間はほぼノーメンテで大丈夫でしょう」
「・・・ああ」
「エイジングはマニュアルにしたがって、きちんと実施してください」
「わかった・・・・・・しかし、本当にいいのか?」
俺は、何度か聞いた質問をまた繰り返す。
彼は、ゆめみのメーカーの元技術者だった。
花菱デパートのプラネタリウムで、強制退去によって離れ離れになるまでの10年と少しの間、ゆめみを『育てて』きた人間。
それを知ったとき、俺はゆめみを彼に『返す』ことすら覚悟していた。
しかし、彼は今、ゆめみを俺に託そうとしている。
「僕には由香と娘が・・・この壊れた世界で得た、守るべき家族がいます。
僕は、僕の街を離れるわけにはいきません。
もしあなたが受けてくれるなら、僕はゆめみを・・・僕らの『ほしのゆめ』をあなたに託したい・・・・・・
・・・それが、偽らざる僕の思いですよ」
「・・・・・・」
俺は、それ以上何も言うことができなかった。
「さあ、これでメンテナンスは終わりました。メモリチップと筐体のアクセス確認もOKです。
あと3時間・・・充電が終われば、ゆめみは目を覚ましますよ」
そう言うと、三ヶ島氏は立ち上がる。
「・・・どこへ行くんだ?」
「帰ります、僕の街へ」
「いや、しかしゆめみはまだ・・・」
「いえ、ゆめみには会わずに行きますよ」
「しかし・・・せめて、最後に一度ぐらい会ってやってくれないか? あいつは・・・・・・」
あの封印都市のプラネタリウムで、ずっとみんなの・・・あんたの帰りを待っていたんだぞ。
・・・だが、彼はゆっくりと首を横に振った。
「強制退去という緊急事態であったとはいえ、僕は彼女を『見捨てた』んです。
僕には、彼女に会う資格はない。・・・・・・それに・・・」
「それに?」
彼は、かすかに微笑んで言った。
「もしゆめみが望んだとしても、僕は彼女とは一緒にいてやれない。・・・悲しい別れは、一度でいいんですよ」
・・・・・・
バックミラーに映る街の灯が、揺れながらだんだんと小さくなっていく。
このあたりの舗装は比較的良好だが、もう数kmも走れば、ただの荒地に変わるだろう。
助手席では、ゆめみがかすかな寝息を立てながら眠っている。
荷台には、三ヶ島氏に託されたゆめみの消耗品や定期交換部品が積まれている。
路面の大きなひび割れを、ゆっくりと乗り越える。ランドローバーの車体が大きく傾ぐ。
乗り越えたところで、俺は一旦車を停めた。
「・・・ん・・・ふぅ・・・・・・お客様?」
ゆめみが身じろぎし、ゆっくりと目を開いた。
「悪い、起こしちまったな」
「いえ、ちょうど充電完了したところですので・・・・・・えっ?」
自分の身体の変化に気づいたらしく、両手をしげしげと眺める。
「システムコードチェック・・・筐体名:SCR-i9700Fi/FL、総経過時間:0Y0M0D:0H3M16S・・・ええっ!?」
「お、さっそく気がついたか」
「SCRシリーズ最後のモデル、その最上位機種・・・しかも新品です・・・!」
目を丸くして、手足をあちこち動かしてみるゆめみが妙に愛しい。
「お客様・・・・・・ありがとうございます・・・・・・」
ゆめみの瞳に、嬉し涙が滲む。
「・・・いや、その身体は俺が見つけたんじゃないんだ」
「は?」
虚を突かれたゆめみが、きょとんとした顔で俺を見る。
「で、では、いったいどなたがこの筐体を・・・・・・?」
・・・わかってるよ、三ケ島さん。あんたとの約束は守る。
「さあな・・・神様だとでも思っとけ」
「神様・・・・・・ですか??」
なんだかよくわからない、という風な表情のゆめみ。
「さあ、次の街へ行くぞ。・・・神様との約束だからな」
そう言うと、俺はアクセルを軽く踏み込む。
俺たちを乗せたランドローバーは・・・『ほしのゆめ』は、次の街へと走り出した。
ということでひとつ。
|彡 サッ
704 :
684:2006/12/01(金) 22:21:01 ID:mGKl9CDX0
>>695-703 いつもの人GJ!!
ゆめみの新しい筐体は高機能に進化してるんだろうか・・・?
色んな意味でw
>>686 空気読みつつ雰囲気悪くならなければ無問題かなぁ・・・と
>>693 すまん・・・こんなゆめみしか描けんでorz
>>704 いやいや、あなたのムチムチプリンのゆめみさんはハァハァもんですよ。
椅子に座ってスリープモードに入らないで、添い寝してほしい。
SCR-i9700Fi/FLは、好事家向けの受注生産ハイエンドモデルです。
遠隔頭脳に頼らない、完全独立稼動機(Fi=Full Intelligence)。
息、鼓動、食事、汗、涙、愛(ピー)まで完全サポートしながら、高いフリーメンテナンス性。コストも激高。
当然悪い人にも狙われやすいわけで、お付きのSPがいるような大金持ちにしか所有できなかった代物。
いつかゆめみに再会した時のために、吾朗ちゃんが古巣のメーカーから見つけ出して保管していたものらしいです。
706 :
やおい:2006/12/02(土) 21:47:16 ID:xlN6yYeSO
>>704 Gjです〜!とりあえず言えるのは…
つ吾郎君乙
銀河鉄道シリーズですが、現在執筆中です。
今はバイク事故で緊急手術&入院中ですが…
(゚Д゚)
mjsk
大丈夫すか?
瓦礫が散らばる路上に、変わり果てた姿のゆめみが横たわっている。
シオマネキのレールガンによって、腰から無残に引きちぎられた上半身。
鈍い光を放つ内部機構が、路上に散らばっている。
「非常識だったのは・・・お客様じゃなかったんですね・・・非常識だったのは・・・・・・
・・・どうして、勘違いしていたのでしょう?」
ゆめみが、無念そうにつぶやく。
俺の所為だ。
俺がゆめみに『真実』を教えてしまったから・・・
『真実』は・・・『常識』は、時として残酷すぎる仕打ちをする。
こんなことになるのなら、俺は・・・『常識』など要らなかった。
・・・こんな『常識』なんか、捨ててやる。
「・・・ゆめみ・・・」
「・・・何でしょうか?」
バッテリーの残量がもうないのだろうか。返事が弱々しくなってきている。
「・・・すまん。この間の話、あれは嘘だ」
「?・・・申しわけありません、・・・おっしゃっていることの意味が・・・よく・・・」
「お前があんまり強引すぎるから、ちょっとからかってみただけだ。すまん」
「・・・?」
「お前はスーパーロボットだ。こんなことで破壊されるわけがない」
「・・・・・・」
「スーパーロボットに分離合体はつきものだ。・・・そうだろう?」
・・・我ながら、何を言っているのかと思った。
だが、そんなことはどうでもよかった。
ゆめみさえ助かるならば、俺は・・・・・・
「・・・・・・ですよね・・・・・・」
「?」
「・・・そうですよね!ロボットは無敵ですよねっ!」
ゆめみの顔に、みるみるうちに生気が甦ってくる。
・・・・・・マジかよ。
「よいしょっと」
残った両手で上体を起こし、
「お客様、下がっていてください・・・・・・たあっ!」
腕立て伏せのような姿勢から、両腕を突っ張って跳び上がった。
「♪ちゃんちゃからっちゃ、ちゃんちゃんちゃっちゃ、ちゃっちゃちゃ〜♪」
自作のテーマ曲を口ずさみながら、ゆめみの上半身が舞い上がっていく。
俺の横に転がっていた下半身が起き上がり、後を追うように跳んだ。
空中で交錯する、ゆめみの上半身と下半身。
「ぐらんど・くろーーーーすっ!!」
ゆめみの掛け声と共に、まるで引き寄せられるかのように近づき・・・鋭い金属音と共に合体した。
「合体完了っ!!五体満足ロボ・ほしのゆめみ!!」
両の拳を握り締め、胸をそらして咆哮する。
雨の降りしきる空から、狙い済ましたように雷鳴が轟いた。
・・・ご・・・五体満足ロボ・・・・・・
かくして、ゆめみとシオマネキとの壮絶な戦いが始まった。
シオマネキが乱射する無数のミサイルが、無駄に入り組んだ軌道を描きながらゆめみを襲う。
どうやって飛んでいるのか、ゆめみは滞空したままひらりひらりとミサイルをかわす。
巻き起こる爆炎の中、俺は・・・・・・
・・・「もう好きにしてくれ」と思った。
「必殺!ぷろじぇくしょん・びーーーむっ!!」
ゆめみの両肩のパネルが開き、青白いビームを放つ。そしてまた爆炎。
・・・・・・楽しそうだな、ゆめみ・・・・・・
- Fin. -
--------------------
(゚Д゚) <・・・・・・・
激しくワロタwwwGJwww まさに屑屋(゚Д゚)ポカーンですなw
>>706 あぁ・・・また葉鍵板でバイクの犠牲者が・・・
お大事にです。
「…お客さま?」
目の前で椅子に座って、難しい顔をしているあの人に声をかける。
「…何だ?」
「修理は、あとどのくらいで完了するでしょうか?」
「…さあな、見当もつかない」
以前にも交わしたことのあるやり取り。
言葉を発しながら、ふと軽い既視感に囚われる。
「そんなに難しい故障なんですか?」
「まだ原因の特定ができていないからな」
「そうですか…。明日11時からの投影には間に合いますでしょうか?」
「まだ何とも言えんな…。原因が特定できたとして、それが俺の手に
負えるかどうかは実際に見てみないと分からん」
それだけ言うと、わたしから目を逸らして再び机の上に視線を向ける。
傍らに置かれた携帯用導通テスターの針が全く振れない事に
少々苛立っているようにも見える。
「…そうしますと、明日の投影はどうしましょうか?」
何となく居た堪れなくなり、ついあの人にそんなことを問うてしまう。
「投影はいつもどおりにやる。折角来てくれる客に迷惑は掛けられないしな」
「…はい、承知しました」
まんじりともしない気分を内に抱えながら、わたしはそう答えた。
―気乗りがしないのは何となくわかるけど、仕方ないわね。あなたも
「プロ」なんだから、彼の言葉の意味はわかるでしょう?―
頭の中で私に囁きかける「お姉さん」の声。
(…はい、それは理解できるんですが、やはり気になってしまいまして…。
ポーラさんにはあれに関する詳細なデータは残っていないんですか?)
―…残念だけどないわ。あのオプションはおそらく私とは別のセクションで
開発されたものね。同じセクションで開発していれば一度は私が試験のために
装備しているし、そうすれば内部構造も分かるんだけど…。ごめんなさい―
(いえ、それでしたらいいんです。ポーラさんが謝ることではありません)
―どちらにしても現状では私達には有効な手は打てないわね…―
(そうですね…)
―ともかく手出し出来ない以上、ここは彼に任せましょう。彼があなたの期待を
裏切ったこと、今までにある?―
(…ありません)
少し考えた後、確信を持って答える。
あの廃墟の屋上でイエナさんを修理してくれた時もそうだった。
様々な危険を冒して「ポーラさん」の筐体を探し出して、わたしを再起動
させてくれた時もそうだった。
あの人は、いつでもその時に自らに出来る最善を尽くしてくれる。
そして、最終的にはいつも何とかしてくれる。
そう、わたしの考え得る最良の結果を携えて…。
―なら、大丈夫。きっと今回も何とかしてくれるわ。信じて見守りましょう―
今あの人の前の机に広げられている物。
それは、つい先ほどまでわたしの頭の上に載っていたもの。
正確には、わたしの帽子に付帯していた装飾物。
―インフォメーションリボン。
普段はわたしの意思と状況に応じてその色を変える光の帯。
今は漆黒に染め抜かれて、机の上に海へびのように緩やかにうねっている。
リボンと分かたれた制御部本体は外装を取り外され、幾重にも積層された
基盤が剥き出しになっている。
その接点の一つ一つに丹念にテスターを当てながら、あの人はまた難しい顔をする。
(元通りに直るのだろうか…)
信じてはいても、やはり気に掛かってしまう。
異常に気付いたのは、ドーム内の後片付けを手伝っていた時だった。
いつもならわたしの意思に即座に反応するリボンの色の切替。
…でも、この時は全く反応がなかった。
(え…?)
まさか…。
投影の最中は、いつものようにわたしの意思に答えてくれていたのに…。
単に軽い接触不良なのだろう、と勝手に決め込んでもう一度切替の信号を送る。
…やはり、なしのつぶてだった。
(…)
意を決して、両脇から垂れ下がるリボンの端を手繰り寄せる。
わたしの目に映ったのは、きらびやかな原色ではなく喪服のような
吸い込まれそうな黒色。
決定的だった。
(どうして…?)
もちろん、思い当たる理由はない。
ましてや乱雑に取り扱っていたなどということは、断じてない。
帽子を取り、リボンを直に見つめる。
自分が悪いわけではないのに焦燥感が沸々と湧き上がる。
「どうした?」
わたしの行動を訝しく思ったのか、「小さいイエナさん」を運ぶ手を休めて
あの人が近寄ってくる。
「はい、実は…」
事の次第を話す。
「どうしましょう。わたし単体では対処できない重大な事態です。とても困りました…」
「…そんな顔をするな。どれ、見せてみろ」
もしかしたら今にも泣き出しそうな表情をしていたのだろうか、あの人はぐずる赤子を
あやすように言いながら、わたしから帽子を受け取る。
「…お客さま?」
「片付けが終わったら、見てみよう」
「はい、ありがとうございます」
あの人のその言葉を聞いたわたしの中に、安堵感が広がるのを感じた―。
わたしの勤続10年の記念に、スタッフのみなさんがお贈りくださったリボン。
その日、最後の投影の終了後、わたしを呼び止めた里美さんから
何の前触れもなく手渡された、リボン。
そして、いつの間にかわたしの周りに集まってきた館長さん、吾朗さん、由香さん、
茜さんをはじめとするスタッフの方々の笑顔と拍手。
状況が飲み込めず、きょとんとしながら小首を傾げるわたしの帽子を取りながら
『…今まで本当によく勤まったと思うわ。色々苦労させてくれて…。でも、10年間
ちゃんと勤めてくれて本当にありがとう。そして、これからもよろしく、ゆめみちゃん』
どことなく頬を紅潮させながらそう言って、帽子にリボンを装着して元通りに
被せてくれた里美さん。
『うん、とってもよく似合ってる。やっぱり里美先輩の目立てには敵わないわ…。
ゆめみちゃん、すごく素敵よ』
宇宙を思わせる透き通る青と金の星の柄に点燈させたリボンとわたしを
見比べながら、なぜか溜息をついていた由香さん。
『ちゃんと動作していますね。元が上級機種用ですからマッチングが多少不安
だったんですが、時限式の動作プログラムのインストーラも正常に
作動したようですし、問題ないでしょう』
丁寧な物腰で、安堵の表情と満足げな表情とを交えながらそう言った吾朗さん。
『ねえ、あのリボン、人間向けのってないんですかねぇ?ゆめみちゃんを見ていたら
なんだかわたしもリボン欲しくなっちゃたなー、なんて』
子供のように目をきらきらと輝かせながら、眩しそうにわたしとリボンを見つめる茜さん。
帽子に誇らしげに装着された大袈裟なくらい巨大なリボンとそれに付け加えられた
スタッフの皆さんの言葉で、わたしはようやく状況を飲み込むことが出来た。
『皆さん、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします』
畳の縁に三つ指を立てるかのごとく、丁寧に深々と頭を垂れる。
それが、その時のわたしに出来た精一杯の感謝の表現だった。
―永年勤続のお祝いとして見たら、とても素っ気無いものだったかもしれない。
その時の「わたし」にとっては、これらの一連の出来事は単なる「記録」に
過ぎなかったかもしれない。
でも、今なら理解できる。
それは今のわたしにとっては蓄積データベースの中に生きている大切な「記憶」。
宝石箱いっぱいに詰まった、こぼれんばかりの輝きを放ちつづける「思い出」。
その端々から、スタッフのみなさんのわたしに対する「愛情」を痛いほどに
感じ取ることが出来る。
あのリボンは、きっと相当無理をして購入資金を捻出したんだろう。
決して観客動員が芳しくなかった中で、爪に火を灯すようなコスト節減と靴底を
摩り減らすような集客の努力を重ねたのだろうか…。
ロボットのわたしのために…。
そんな「思い出」が具現化したリボン。
館長さんをはじめとするスタッフのみなさんとわたしを結びつける、目に見える「証」。
リボンの修理に没頭するあの人を見つめながら、ふと考える。
…その時、わたしはどうしたらいいんだろう?
この旅は、人間の皆様に満天の星空を見ていただくための旅。
そして、わたしたちの「夢」を、「思い」を、一人でも多くの皆様と分かち合って
いただくための旅。
それと同時に、わたしとあの人にとっては生き別れたスタッフのみなさんを
探すための旅。
今のところ行方は知れず、その手掛かりさえつかめない。
でも、スタッフのみなさんはきっと同じ空の下のどこかにいる。
どこかできっと、見知らぬ誰かに星の話をしている。
そう、今のわたしたちのように…。
根拠は全くない。
でも、わたしたちが今のように投影を続けていれば、いつか必ずどこかで巡りあえる。
そんな希望にも似た確信がある。
今はまだ、そんな思いを馳せていればそれでいい。
…でも、それが現実のものになったとき、きっとわたしは今までで一番難しい選択を
迫られることになる。
これだけは間違いない。
スタッフのみなさんとあの人。
同列に見ることは出来ない、見てはいけないものだということは、わたしでも何となく
理解できる。
だけど、例え理解できなかったとしても、わたしには両者を天秤に掛けることなんて…
とても出来ない。
だって、どちらもわたしにとって、かけがえのない大切な存在なのだから…。
(ポーラさん?)
―何?ゆめみちゃん―
(…ポーラさんには、今、わたしが考えていたような経験はありますか?)
―…ええ。以前…ね…―
(…?)
いつになく言葉の歯切れが悪い。
何か悪いことを聞いてしまったのだろうか…?
(申し訳ありません、申し訳ありません。不躾な質問をしてしまいました。
ポーラさんのお気分を害されたのでしたら本当に申し訳ありません」
―いいのよ、そんなに謝らないで。ゆめみちゃんが悪いわけじゃないんだから。
私の方こそごめんなさい。ちょっと昔のことを思い出して…。いつか話せる時が来たら
ゆめみちゃんにも話してあげる―
(はい。その時までお待ちしております)
―…ありがとう―
視線を逸らしていた「お姉さん」が、わたしに向き直って言う。
―…でも、本当に難しい、そして苦しい決断になるはずよ。でもね、これは
ゆめみちゃん、あなたにしか出来ない決断。私はもちろん、彼にも干渉することは
出来ないわ。それはわかるわね?―
(はい…。ですが、わたしは…)
―今、そんなに結論を焦る必要はないわ。まだ現実になったわけではないんだし。
ただ、気持ちの整理はしておく必要はあると思うの。いつその時が来ても
いいように、ね―
(はい)
―あなたに関わる全ての人が納得する結論は出ないかもしれない。でもね、
ゆめみちゃんが考えに考えて出した結論なら、きっとみんながそれを尊重
してくれるはずよ。そして、その結論を出すときに一番大事なのはあなたの気持ち。
自分の気持ちに素直になりなさい。そうすれば、自ずと答えが導かれるはずよ―
(自分の気持ちに素直に…。わかりました。ありがとうございます、ポーラさん)
優しくわたしにそう諭してくれた「お姉さん」に、わたしは頭の中で深々とお辞儀をした。
わたしは何を焦っていたんだろう。
今からそんなことをあれこれ考えていても何もいい事はない。
その時が来るまでに、もう一度落ち着いてわたし自身を見つめなおそう。
そして、わたしは一体どうしたいのか、そのときにもう一度問い直してみよう。
そうすれば、自然と答えは出ると思う。
もちろん、答えが出る前も出てからも、わたしの中に様々な葛藤は生じるはず。
でも、最後はポーラさんの言ったとおり、『自分の気持ちに素直になる』事が
一番大切なんだろう。
だから、そのときのありのままの自分の気持ちをあるがままにみなさんに
打ち明けよう。
きっとそれが出来ない時の方が、後悔が大きいだろうから…。
…そう考えると、胸にあったもやもやしたものがすっと取れていくのを感じた。
いつの間にか、時刻は午前0時3分前になろうとしている。
スリープモードに移行しなければならない。
本当はあの人にずっと付き添いたいけど、わたしには自らに与えられた
基本ルーチンを意図的にフックすることは出来ない。
「お客さま、午前0時3分前になりましたので、わたしは通常業務設定どおり
スリープモードに移行させて頂きます…」
知らないうちに残念な気持ちが、いつも発する言葉の語尾に出る。
「そんな時間なのか…。俺はもう少し粘ってみる。あと少しで原因が
わかりそうなんでな」
「そうですか。本当にわたしばかり申し訳ありません。こんなことしか
申し上げられませんが、無理はなさらないで下さい」
「まあ、そんなに気にするな」
「次の起動は明朝9時です。それでは、おやすみなさい…」
『ああ、おやすみ…』
モード移行前の一瞬、あの人の優しい声が聞こえたような気がした―。
…
9時。
柔らかな陽光が差し込むはずもなく、いつものように雨音に支配された薄暗い室内。
わたしはスリープモードから復帰すると同時に、これもいつものように
起動シークエンスと各部動作チェックに入る。
頭部演算ユニット…正常。
蓄積データベース記録用ドライブ…エラッタなし。動作正常。
外部機器接続用多目的コネクタ…導通正常。……
基本プログラムに則り、チェック項目を次々と精査してゆく。
……外装部、制服の発光素子への導通…正常。
頭部帽体およびインフォメーションリボンの導通ならびに動作…『正常』。
「えっ?」
全く予想だにしていなかった検査項目とその結果に、つい声を上げる。
残りのチェックが終了するのももどかしくスリープモード移行時には何もなかった
頭に右手を当てると、柔らかな帽子の感触が手に伝わる。
そこから垂れ下がったリボンを昨日と同じように手で手繰り寄せる。
…そこにあったのは、絶望の漆黒ではなく柔らかな緑色を纏った光の帯だった。
(…)
リボンに向けて、わたしの意思を伝える。
一瞬の後、緑色の帯は華やかに燃えるような赤に彩られる。
(…)
もう一度。
次の瞬間、赤いリボンは宇宙のように深く澄み渡る青へとその色を変えた。
完璧に直っている。
以前と全く同じように点灯しているリボンの端を目に、わたしの中はあの人への
感謝の想いで満ち溢れる。
「お客さま?」
発作的に、夕べわたしとテーブルをはさんで真向かいに座っていたはずの
あの人がいた場所を見る。
その場所にあるのは、黒い小山のような塊。
椅子から立ち上がって、傍に向かう。
…そこには、あの人が自分の二の腕を枕に机に突っ伏して寝息を立てていた。
各種工具やダイオード、ICチップなどがまだ乱雑に散らばった机の上。
自分で淹れたのか、愛用の凹んだマグカップの中から半分ほど残った濃い目の
コーヒーがまだ湯気を立てている。
つい今しがたまで起きていたのだろうか。
わたしを落胆させまいと、夜通しでリボンを修理してくれたのだろうか…。
「お客さま…」
胸が熱くなる。
「本当にありがとうございます」
気持ち良さそうに寝入っているあの人に向かって、深々と頭を下げる。
「…そういえば、特別投影の後も今のように安らかな寝顔をされてましたね…。
お客さまは今、どんな夢を見ているのでしょう?」
筐体が変わっても、ロボットであるわたしは残念ながら人間の皆様と同じような
夢を見ることは出来ない。
でも、今までのわたしの歩んできた軌跡を振り返ったとき、もしかしたらわたしが
稼動している「今」と言う時間こそが、それこそわたしにとっては「夢」のような
ものかもしれない。
そう、この一瞬さえも…。
その「夢」は、嬉しいことも悲しいことも、やがて一つ一つがわたしの中の宝石箱に
収められるきらびやかな「思い出」となる。
そしてその「思い出」は、わたしが今まで人間の皆様に様々な形で関わった「証」。
リボンのような誰にでも見えるものではない、わたしだけが見ることの出来る「証」。
だから、夢を見ることが出来ないこと、それ自体は残念だけど、そのことに対する
失望はわたしにはない。
今、わたしはある意味、「夢」を見ているのだから…。
「…お客さま、本日第1回目の投影開始時刻まで、あと1時間15分です。ですが、
現在のお客様が置かれております状況を考慮しますと、わたしはお客さまには
今は十分な休息をお取り頂く事が最善と判断します」
小声で囁きながら、近くにあった毛布をあの人の肩口から背中に羽織らせる。
あの人が配線図を書くために使ったのか、机の上に無造作に放り投げてあった
紙とペンを手に取る。
そしてわたしは、紙にこう書き記した。
『まことに勝手ではございますが、都合により本日の投影は中止とさせて
いただきます。なお、明日の投影につきましては予定通り実施いたします。』
「お客さま、本日はごゆっくりお休みください。どうぞ、良い夢を…」
そう言って相変わらず眠ったままのあの人に一礼すると、わたしは張り紙を持って
玄関へ向かった。―
>やおいさん
お怪我は大丈夫でしょうか?
一日も早い回復を、僭越ながら祈っております。
やおいさんの幻想的な世界観、自分は大好きです。
2週間ぶりのご無沙汰ですが、第10章アップにつき、投下致します。
最近、色々とSSが掲載されて、本当に刺激になります。
(中には自分が暖めていたネタと多少バッティングするものもありますが)
自分は遅筆なので、本当に羨ましい限りです。
今年中にもう一章位書けるかどうかは分かりません。
時節に沿ったインターミッションは一本くらい書きたいな、とは思っています。
まとめサイトは少し詰まり気味です。
どうやったら読みやすくなるか、今、いろいろなSSサイトを見て勉強中です。
生暖かくお待ちいただければ幸いです。
相変わらずの文章で申し訳ありません。お目汚し、失礼しました。
>>723 JENA氏GJ!
あいかわらずいい話です。屑屋っていいやつだなぁ・・・
私信:
ネタバッティング申し訳ない・・・orz
>>724氏
ネタバッティングは、気になさらないで下さい。
二次創作(特にSS)は、書いた物勝ちですし。
バッティングすることのデメリットよりも、色々な解釈に触れることが出来る
メリットの方が自分には大きいです。
これからも様々なシチュエーション、期待しております。
>>726 うはぁ!むちむち度がパワーアップ!!!速攻で保存しますた!
某所は、色はくすむわ縮小されるわでなんともかんとも。orz
>>726 よく見たら、
・ちくびつまんでる
・あそこみえてる
・・・・・・えろいよ
>>726さんえろいよハァハァ
SSのために、本編から細かいディテールや言い回しをメモろうとして始めたものの、数分で挫折orz
テキスト吸出しツールはないもんですかのう・・・
気になった時に参照する程度でいいんじゃないのかね。
吸い出しツールについては全く分からん、と言うか俺が欲しい('A`)
参照するために1からやるのが大変なのよorz
しおりを挟むにしても、どこで挟んでおくかというのがあるし・・・
最後の最後でセーブして、バックログで確認するのが一番早いのかな。
ちなみにPCダウンロード版。PS2版もあるけどいちいち起動してられんorz
>>729 蔵のツール使ってみたら? Real liveだったらとおるかもよ?
俺はDL版しかもってないけどさ…orz
733 :
731:2006/12/05(火) 10:52:28 ID:mtFjxHl60
>>732 「蔵 Real live」でググってみたけど、それっぽいものはなかった。
俺、ギャルゲーはプラネオンリーの人間なんで、隠語とかよくわかってないんだスマソ
「教えてちゃん」は自分でもよくないと思うんで、もう少し探ってみる。
蔵→蔵等→CLANNAD
735 :
731:2006/12/05(火) 17:33:50 ID:mtFjxHl60
>>734 マジサンクスd。
ツール入手できたので、帰宅してからやってみる。
うーん、キネティックノベル版は、やはりCLANNADとはデータ構成が違うようで。
拡張子がPAKという形式になってる・・・
「キネティックノベルの吸出しツール」というのもまだないようだし。
パッケージ版はどうなんでしょ?
30年もの間、わたし以外に動くもののなかったこの館内に、乾いた靴音が響きました。
・・・お客様です。30年ぶりに、お客様が来てくださったのです。
わたしはドーム内の照明を落とし、お客様がドーム内へ入場されるのをお待ちします。
本当に、久しぶりのお客様です。いつも以上に心を込めて、お迎えしなくてはなりません。
・・・いささか驚かせてしまうことになるかもしれませんが、このぐらいのサプライズはよろしいですよね。
お客様が扉を開けるのを見届け、わたしはドーム内照明の照度を、一気に最大に戻します。
そして。
「おめでとうございます!!」
「うわっ!!!」
先頭のお客様が、顔にかけたゴーグルをあわてて外しておられます。
・・・少々、サプライズが過ぎたのでしょうか?
「お客様はちょうど250万人目の・・・・・・あら?」
久しぶりのお客様は、なんと団体さんでした。
先頭には、先ほどあわててゴーグルを外された、人間の男性のお客様。
その後ろには・・・わたしと同じ、ロボットの方々がたくさんおられたのです。
わたしの頭脳に、ロボットの皆様からの『自己紹介』・・・プロフィール情報が送信されてきました。
「敵性反応、攻性反応、トラップ反応・・・共になし。・・・ふぅ、この子は民生機です。心配ありません」
わたしに向けた何かの筒先を下ろす、赤い髪の軍用モデル・SMR9700i。とても勇ましそうです。
「ここにも、迷える子羊がおられたようですね・・・」
そうおっしゃるのは、修道女の衣装をお召しのドイツ製高級機・モデルアハトノイン。わたしから見てもきれいな方です。
「これはプラネタリウムですね・・・中央の投影機によって、星の映像を天井に投影する学習施設です」
そう言いながら、眼鏡を指でつい、と押し上げるのは、本を抱えた黒髪のSCR6600Si/FM。プロフィール情報によれば、図書館にお勤めだったようですね。
「『プラネタリウム』?・・・当店のメニューにはない料理です・・・」
困惑した表情の方は、白いエプロンと三角巾を身に着けた、青い髪のSCR-i5000Si/FL。味覚をサポートした、わたしの後継機種です。
「まあ、ロマンチックね・・・お客様、たまには星空の下で(ピー)も悪くないわよ、うふふ」
薄いネグリジェ姿にブロンズの髪。風俗街仕様の、SCR9200Si/FM-FCUP。・・・・・・風俗街、とはなんでしょうか?
わたしそっくりの・・・ほとんどが同系機ですので当たり前なのですが・・・ロボットの皆様が総勢11体。
当館の座席数が184座席ですから、お好きな席にお座りいただけますね。
よく見ますと、中にはSCRシリーズの保守担当の機体もおられます。わたしもやっと修理していただけそうで、うれしくなります。
・・・それにしても、本来ならば職場から3キロ以上離れることはない、わたし達業務支援機が、人間のお客様に連れられて大勢で行動しているのは、なんとも不思議な光景です。
「おいおい、またロボットか・・・・・・勘弁してくれ」
人間のお客様は、ご自分の掌に顔をうずめ、呻くようにそうおっしゃられました。・・・どういう意味なのでしょうか?
・・・なんでも、そのお客様は「よくよくロボットに縁がある」のだそうです。
屑屋さんという廃品回収業を営んでおられるそうですが、お仕事に行かれると「なぜか」いつもロボットに遭遇されるのだそうです。
ロボットはもう珍しくもない存在ですので、おかしなことではないのでは・・・、と申し上げたのですが、そのお客様は、
「人間すら数えるほどしかいないこの世界で、『野良ロボット』がこれだけ生き残ってるのは奇跡・・・というか、ある意味悪夢だ」
とおっしゃいます。
人間の方々が「数えるほどしか」おられない・・・
確かに、30年もの間、当プラネタリウムへお客様はお一人もお見えになりませんでした。
お客様がおっしゃるには、この世界は「壊れてしまった」・・・のだそうです。
わたしは、わたしの『未知のバグ』だと思っていたひとつの認識を・・・信じたくはなかった事実を、認めざるを得ませんでした。
屑屋のお客様と行動を共にしているロボットの皆様はみんな、わたしと同じ境遇でした。
仕えるべき人間の方々と、離れ離れになってしまった方達。
・・・そんな皆様の元を、偶然訪れたのが、屑屋のお客様でした。
わたし達ロボットが、完全自律判断モードで動作する際、わたし達は判断の寄り所となる人間の方を必要とします。
ロボットの皆様が、人間である屑屋のお客様の指示を仰いだのは、ロボットとして当然の判断だと、わたしも思います。
屑屋のお客様は、お言葉はぞんざいですが、本当はとても心優しいお方のようです。
行く当てをなくした、そんなわたし達を見捨てて行けなかったのでしょう。
「元の主人や同僚を探す」という目的づけによって、わたし達の行動制約を解除し、同行を許可してくださったのです。
・・・そして、わたしも・・・
「よーし、もうすぐ夜明けだ!店開きの準備はいいか!」
隊長の・・・元・屑屋のお客様の声が、わたし達のいる広い倉庫の中に響きます。
わたしはプラネタリウムに戻り、ドーム内の照明や投影機に灯を入れて、お客様の来館に備えます。
客席のお掃除もOK。今日の番組はわたしの十八番。投影がとても楽しみです。
・・・あれから、様々なことがありました。
そしてわたしは今、このキャラバンの一員として移動プラネタリウムを営みながら、スタッフの皆様を探して各地を回っています。
気がつけば、わたし達の集団は、パーティーからキャラバン(隊商)になっていました。
商店や食堂といった、日々の生活に必要な施設から、図書館やわたしのプラネタリウムのような娯楽施設までを含んだ、移動する町。
何台もの自動車や自律戦闘機械に分乗し、集落から集落へと、交易の旅を続ける集団。
わたしのプラネタリウムドームも、Mk43L/e・・・人間の皆様が「シオマネキ」と呼ぶ、自律戦闘機械の上に載っています。
かつては人間の方々に恐れられたという、戦うための機械。・・・でも今は、戦うための装備の代わりに、イエナさんを搭載しています。
その機体(からだ)を濃紺に染め、金色の星屑を散らした装いで、わたしの相棒を勤めてくれています。
「プラネタリウムはいかがでしょう?」
わたしは、今日はじめての呼び込みを始めます。
わたしの周りでも、さまざまなお店で呼び込みの声が響き始めます。
他のロボットの皆様はみな、それぞれの業務について頑張っておられます。
わたしも、自らの業務を通じ、皆様のお役に立てていることを実感できます。
・・・わたしは今、とても幸せです。
・・・ところで、そのキャラバンなのですが。
お客様が廃墟を探索されるたび、ロボットの方々が増えていきます。
また、集落を通るたび、人間の方々も増えているような気がします。
廃墟や集落を通るたびメンバーが増えてゆく、わたし達のキャラバン。
・・・なんだか、あの眼鏡の方・・・SCR6600Si/FMがおっしゃっていた過去の民衆活動、
『一向一揆』
の集結に、似ているような気がします・・・
- Fin. -
本スレの派生型総出演ネタからインスパイヤしますた。
余談ですが、オチ手前の言い回しが、Webで見られるプラネの二次創作「ほしのゆめ」に類似しているのはパクリではありません・・・orz
なんてこったい。
GJ!!
キャラバン部隊乙であります。
GJ!!
パーティ編成して、最後にラスボスいるんだろうか・・・?w
>>745 直角に曲がると、ショートカットしないで同じところで律義に直角に曲がってついてきそうだ>ゆめみんズ
あと、横に並ぶと5人目以降がチラつくw
「・・・・・・お、おぎゃぐざばぁ〜〜〜〜〜っ!!」
「うわっ!!」
完全に、虚を突かれた。
封印都市に残された、デパートの廃墟。
「宝の山」を求め、俺はその屋上にあるドームのような施設に足を踏み入れた。
踏み入れた途端、俺は何者かの体当たりを受けたのだ。
見た目とは裏腹の、強烈な衝撃。
年齢は十五・六歳くらいだろうか。小柄な少女が俺の胴回りにしがみつき、梃子でも離れまいと頑張っている。
人間?・・・対人戦車が徘徊し、完全武装した屑屋ですら命を落とすこんな場所に、人間の少女がいるわけがない。
自動人形(ロボット)?・・・まともなロボットなら、このような反応をするわけがない。
・・・だとすれば、答えは一つしかない。
ロボットを利用した、ブービートラップ。
俺は、そいつに抱きつかれてしまったのだ。
このまま絞め殺されるか、喉笛を掻き斬られるか、自爆に巻き込まれるか。
・・・いずれにせよ、待っているのはあの世だ。
だが、俺は死ななかった。
その代わりに、俺は信じられないものを見ることになった。
「・・・おぎゃぐざばでずぅ・・・ひっ、ざんじゅうでんぶりの、おぎゃくざばでずぅ・・・・・・
・・・よがった、えっ、よがったでずぅ・・・わたし、ひっく、わすれられでながったんでずね・・・え、えぐっ」
俺にしがみついた、少女の姿をしたロボットは、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
涙を流す機能を持ったロボットですら珍しいというのに、こいつは時折しゃくりあげながら、大泣きに泣いている。
・・・一体何なんだ、こいつは?
やっと落ち着いたロボットの少女は、身の上を語り始めた。
少女の名は『SCR5000Si/FL・ほしのゆめみ』。・・・『ほしのゆめみ』という名は、公募で名づけられた愛称だそうだ。
40年ほど前―つまり、開戦の10年前―から、このプラネタリウムという施設で、解説員の仕事をしているらしい。
プラネタリウムにいた人間のスタッフは、30年前「長期の慰安旅行」に出たきり、まだ帰ってこないという。
それ以来、このプラネタリウムで、一年に一週間だけ目を覚まし、待てども来ない客を待っていた・・・
と、しゃくりあげながら語る。
それで見当がついた。
こいつは・・・ゆめみは、遅拡散性BC兵器によってこの都市が『封印』され、住民が退去した時、ここに置いていかれたのだ。
開戦以来、人間は一年で半分、次の一年でまた半分・・・と、急速に減っていった。
そして10年前からは、降り止まない雨。
この過酷な環境で、はたして彼女の同僚、「スタッフの皆様」が生き延びているのか?
・・・絶望的、としか思えない。
だが、それを言ったが最後、せっかく泣き止んだゆめみがまた泣き出すのは、想像に難くない。
かくして俺は、余計なことは言わず黙っていることに決めた。
ゆめみは、250万人目のお客様 ―つまり、俺のことだ― のために、『特別投影』を見せるという。
そんなものには興味はない。俺はさっさと、この場を立ち去ろうとした。
そんな俺の足を止めさせたのは・・・またも、ゆめみの涙目だった。
「み、見ていただけないんですか?・・・・・・うぇ・・・・・・」
光学樹脂の瞳を持った大きな目。その下瞼の堤防が、新たに溢れ出る涙で今にも決壊しようとしている。
情に流されてどうする。こいつはロボットだ。人間ではない。所詮、作り物の・・・・・・
・・・何を投影するのかはわからないが、生命にかかわることではないだろう。
こいつの目的が「俺の命を奪う」事ならば、最初の体当たりの時点で、俺はあの世に行っている。
・・・まあ、『特別投影』とやらを見るぐらいなら、付き合ってやってもいいだろう。
・・・俺は今、マイナスドライバーを手に、投影機の接点に詰まった古いグリスを掻き出している。
ゆめみの仰々しい前振りのあと、動き出すはずだった『イエナさん』・・・
カールツァイス・イエナ社製・Universal23/3型二球式投影機は、沈黙を続けるだけだった。
「ど、どうしたのでしょう・・・イエナさんが動きません・・・・うごいてくればせん・・・えぐっ」
・・・う、またか。
「わ、わかったわかった。俺がなんとかしてやるから泣くな」
「・・・お客様、イエナさんを修理できるのですか?」
今にも降り出しそうな雨模様だったゆめみの顔が、少し明るくなる。
「ああ、やったことはないが、なんとかなるだろう」
・・・なんとかしなければ、こちらの精神が持たない。
『イエナさん』は、接点という接点にグリスを詰め込まれていた。
スタッフが退館する時、少しでも劣化が防げるようにと、せめてもの保存処理を施したのだろう。
機能を回復させるには、接点部分のグリスを取り除き、通電を回復しなければならない・・・ということになる。
おかげで、俺は今、儲けにもならない投影機の修理に精を出している。
なぜこんなことをする気になったのか、本当のところは自分でもよくわからない。
この泣き虫のロボットに・・・ゆめみに、情が移ってきたのだろうか。
「・・・さあ、それでは目を開けてください」
ゆめみに促され、閉じていた目を開く。
「・・・・・!!」
俺は、思わず息を呑む。
照明が落とされ漆黒の闇となったドーム内に、今では見ることの叶わない、満天の星空が広がっていた。
まさに、『星の海』・・・という形容が相応しかった。
図鑑ぐらいでしか見たことがない光景なのに、・・・なぜか懐かしさを覚えるのは、何故だろうか?
だが、それも一瞬のことだった。
「バシッ!」という鋭い音。・・・同時に、すべてが再び闇に包まれた。
咄嗟に暗視眼鏡(ゴーグル)を掛ける。・・・しかし、扉を閉ざすと光が全く入らない、このドーム内では役に立たない。
今、敵に襲われたら終わりだ。
僅かな間の後、目の前にゆめみの姿がぼんやりと浮かび上がった。
衣装に縫い込まれた発光素子と、後頭部のリボンが、淡い光を放っている。
俺はゴーグルを外し、ゆめみの顔を覗き込む。
・・・まずい、またもや決壊寸前だ。
「ど、どうしたのでしょう・・・停電です・・・これでは投影が・・・うぇっ・」
「かまわない、そのまま続けてくれ」
「しかし、投影が・・・」
「投影内容ならすべて頭に入っている、問題ない」
俺の脳裏に、一瞬だけ見た『星の海』がくっきりと焼きついている。・・・それだけで十分だった。
「・・・お客様・・・・・・」
「なんだ?」
「・・・・・・暗いの、怖いでず・・・・・・えぐっ」
・・・ゆめみ・・・お前の仕事は一体何だ?
「・・・お帰りになられるのですか?」
「ああ、すっかり長居しちまったからな」
俺は今、帰り支度をしている。
30年の間生きていた予備電源が切れ、このデパートにはもう電気が来ることはないだろう。
ゆめみはいずれ、スリープモードに入り・・・そのまま、二度と目覚めることはない。
俺は、なんとかゆめみをここから連れ出そうと思い、その話をどうやって切り出そうかと考えていた。
・・・だが、ゆめみを説得するのに、大して手間はかからなかった。
「次のお客様は、お越しになられるでしょうか・・・」
「さあな、俺にはわからん」
「お客様がお越しになられなかったら、わたしはまた、ずっと一人ぼっちなのでしょうか・・・」
「・・・・・・」
「・・・ひ・・・ひとりぼっぢはいやでず・・・さびしいでず・・・・うぇっぐ」
いい加減うんざり・・・というところだが、この時ばかりは渡りに船だった。
「・・・わかった、じゃあ俺についてこい。一緒にスタッフの人達を探しにいこう」
「え?・・・し、しかし・・・」
ここから連れ出してやれば、ゆめみはまだ『生きる』ことができるだろう。
・・・そうだ、一緒に移動プラネタリウムを始めるのもいいかもしれない。
夢を失ったこの世界に、星空の夢を・・・・・・
「・・・でも、イエナさんが・・・イエナさんがひとりぼっぢでかわいぞうでず・・・あぅぅ」
・・・今度は、そう来たか。
俺は今、ゆめみと大通りを歩いている。
ゆめみは俺の予備の防水外套をかぶり、俺の後ろをもたもたとついてくる。
最高歩行速度は時速六キロ、おまけに股関節駆動ユニットが過熱気味・・・だとかで、休み休みの脱出行だ。
『イエナさん』を持ち出すことなど、いくらなんでもできるわけがない。
俺は「スタッフの皆が見つかったら、一緒にここに戻ってくればいい」と言いくるめ、とにかくゆめみだけを連れ出した。
・・・なんとなく、こいつの扱い方がわかってきた気がする。
俺の背後で、ガシャン、という音が聞こえた。
振り返ると、ゆめみが頭から地面に突っ伏している。
・・・まったく、また転んだのか。
手を伸ばし、ゆめみの手を取って起こしてやる。
「・・・痛いでず・・・・・びしょびしょでず・・・あぐっ」
・・・まずい、またぞろ決壊寸前だ。
「ああ、痛くない痛くない。大丈夫だ、どこも壊れてないぞ。・・・痛いのはどこだ?さすってやるから言ってみろ」
こんなところで泣き出されたら、シオマネキの音響探知センサーに捕捉されてしまう。
こんなポンコツ娘を連れたままでは、それこそ格好の標的(まと)だ。
半ベソ状態のゆめみをなだめすかしながら、交差点を横切り、近くの建物に身を隠す。
・・・しかし、こいつはロボットなのに、やはり転ぶと『痛い』のか?
俺の目の前には、Mk43L/e・自動要撃砲台・・・通称『シオマネキ』が居た。
その砲口を封鎖壁の外に向け、警戒態勢を維持。
センサーの指向性を前面に絞り、『外敵』に備えている。・・・背後の俺達には、まだ気づいていない。
俺は単装擲弾銃(グレネーダー)に擲弾を叩き込み、シオマネキの弱点・上面部のラジエーターを狙う。
シオマネキに気づかれる前に沈黙させられなければ、俺達は天国行きだ。
「・・・当たれっ!」
軽い炸裂音と共に、シオマネキに襲い掛かった擲弾は、狙い過たずラジエター部を直撃した。
・・・しかし、擲弾は炸裂することなく、ガシャンという音を立ててラジエター上面の網に跳ね返された。
「!?不発!?」
シオマネキがこちらの気配に気づく。超信地旋回。・・・次の瞬間、轟音と共に吹き荒れる、機銃弾の嵐。
・・・どのぐらい時間が経っただろう。機銃を撃ちつくしたシオマネキの機銃が、薄い煙を上げている。
奴の武装は今、レールガンのみ。
奴が呼んだであろう「援軍」が到着するまでの、僅かな猶予。・・・逃げるなら、今しかない。
しかし次の瞬間、俺の目に絶望的な状況が飛び込んできた。
アーケードの影でじっとしていろ、と命じたはずのゆめみが、シオマネキの眼前に立っている。
・・・いや、へたり込んでいる、という方が正確だった。
ロボット三原則・第一原則第二項。
―『ロボットは、何も手を下さずに人間が危害を受けるのを黙視していてはならない』。
ゆめみはその原則に突き動かされ、俺を助けるために・・・
・・・出てきたようなのだが、どうやら腰を抜かしてしまったらしい。
シオマネキのレールガンが、ゆめみの腹部を狙う。
電圧が上がり、砲身の内部が白く光り始める。
完全にビビってしまったゆめみの瞳に、みるみるうちに涙が溜まり・・・・
そして、ついに下瞼の堤防が決壊した。
「わあぁあああああん!うわぁああああああああああん!!」
大粒の涙をぼろぼろと流し、大泣きするゆめみ。
「うあぁあああああん!くぁwせdrftgyふじこlp;@:!! わぁああああああああああん!!」
・・・何を言っているのか、さっぱりわからない。
シオマネキは、レールガンの発射姿勢を取ったまま硬直している。
マシントラブルか?・・・あるいは、ゆめみの泣き声がECMになっていて・・・・・・まさかな。
とにかく、チャンスには違いない。
急いで最後の擲弾を装弾し、目標距離と弾道の沈降率を計算して照門を補正。もう一度、上面のラジエターを狙う。
その時、俺は、シオマネキが奇妙な行動を取っているのに気がついた。
シオマネキは周囲に助けを求めるように、その機体を左右にせわしなく揺すっている。
機体から突き出した作業用のマニピュレーターが、躊躇するかのごとく前後に伸縮している。
・・・ひょっとしてこいつ・・・『オロオロしている』のか?
やがて、シオマネキはマニピュレータをおっかなびっくり伸ばし、ゆめみの頭に載せると、左右に振りはじめた。
どうやら、頭を撫でているつもりらしい。
シオマネキのサーチライトが、モールス信号を放つ。
『コワクナイ、コワクナイカラ、ゴメンネ』
・・・ゆめみがようやく落ち着いてきたのを見計らい、シオマネキはそそくさと撤退していった。
いつの間にか、接近する援軍の『気配』も消えている。
・・・助かった・・・のか?
俺はただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
封鎖壁を越えると、その向こうには荒涼とした廃墟が広がっている。
封印都市のような防疫天蓋(ドーム)がなかった分、10年にわたり降り続いた雨は、都市内部以上に建物の劣化を早めている。
ビルとも岩山ともつかない、グズグズに崩れた瓦礫の塊。俺にとっては見慣れた風景だ。
・・・しかし、ゆめみにとってはそうではなかった。
「どこもボロボロです・・・誰もおられません・・・・・・」
「封印都市の外は、どこもこんなもんだ。人間のいくらか集まった集落以外は・・・うっ」
「・・・スタッフのみなさんは・・・ほんどうにご無事なんでじょうか・・・ひっく」
・・・またか。
一体、こいつのどこにこれだけの涙が溜まっているのか。中を覗いてみたくなってくる。
「き、きっと大丈夫だ。人間は各地の集落に集まっている。そこへ行けば、きっとみんな元気でいるさ」
「みなさん・・・元気でおられるでじょうか? ぐすっ」
「とにかく、集落を回って探してみよう。な」
「はい・・・ありがとうございます・・・すんっ」
俺は立ち上がり、封鎖壁に沿って停めたランドローバーへ向かう。
ゆめみは、泣き腫らした・・・いや、ロボットだから充血すらしていないが・・・目をこすりながらついてくる。
その手は俺の防水外套の裾を掴み、離そうとしない。
・・・全く・・・とんでもないお姫様を背負い込んじまったぜ・・・
- Fin. -
本スレの
>>540、
「ゆめみが感情持ってて涙流せて寂しがりやだったらなあ・・・・・・」
から妄想。
もうメチャクチャw
GJ!
むしろシオマネキに萌えた(ぇ
GJ!!
ジェド豪士な屑屋とフチコマっぽいシオマネキに萌えたw
当然泣き虫なゆめみにもw
誰かゆめみ陵辱書いてー
ウィルスに犯されるゆめみはまだですか?
763 :
やおい:2006/12/09(土) 08:09:06 ID:DNR8LHoEO
>>756 GJ!泣き虫なゆめみもかわいいなあ。
次回はぜひとも自律戦闘機械たちを主役に一筆…
>>761 斬新でよかった!ゆめみかっこいいなw
今度はバイクで(ry
>>763 ゆめみさん、通りを歩いててコケるぐらいバランス感覚悪いからなぁ・・・
SCR5000xかSMR9700iでも使ってない限り、まっすぐ進めない希ガスw
逆に、SMR9700iなら鼻歌交じりで曲芸走行しそうな気もするがw
わたしたちは、いつものように先生のところへ急ぐ。
錆びついた鉄塔の脇を抜け、植物灯の光が漏れる畑の前を通り過ぎて、
村のはずれにある小さな家へ。
もう、先生は目を覚ましてる頃かな。
先生は、数年前に村の外から来た『星の人』だった。
週に一度のこの日を、わたしたちはいつも楽しみにしてた。
先生が、『ほしのゆめ』を聞かせてくれる、週に一度の授業の日。
でも、今日は違う。
わたしは・・・ううん、わたしもルブも、そしてヨツも、この日が来るのが怖かった。
だって、今日で星の授業も終わりだったから。
・・・そして、今日の授業が終わったら、先生は・・・・・・
「こんにちは、先生」
部屋の中にある、大きくて真っ白な半球形の傘の下で、先生はいつものように迎えてくれた。
「あら、レビさん、ヨブさん、ルツさん、いらっしゃい。お待ちしていましたよ」
先生は、いつものように安楽椅子(ロッキングチェア)に座っている。
半年前から、先生はずっとこの椅子の上。
―先生は、もうほとんど動けなくなっていたから。
先生の腰のあたりから黒いコードが延びて、村の外の発電風車から来るコンセントに繋がっている。
先生は、このコンセントからの電気だけで生きている。
―先生は、もう内蔵のバッテリーが駄目になってしまっていたから。
先生はいつもの青い衣装を着て、わたしたちに微笑みかける。
青い衣装はすっかり色褪せて、ところどころに綻びもできている。
帽子を飾ったリボンは、吸い込まれるような黒。
昔は、自分の意思でいろいろな色を出すことができたんだ・・・って、先生は言ってた。
「・・・さあ、それでは少し早いですが、皆様も揃いましたし、星のお話を始めましょうか」
ルツが立ち上がり、部屋の照明を落とす。
先生からの遠隔操作で、部屋の真ん中に置かれた投影機に光が灯り・・・
そして、部屋中に満天の星々が広がった。
・・・・・・
「・・・さあ、これでわたしの内蔵している番組は全ておしまいです」
涙でほやけて、先生がよく見えない。
ヨブもルツも、みんな泣いている。
「ほら、泣かないでくださいな・・・約束でしたでしょう?」
「だって・・・だって・・・・・・」
先生は目を閉じると、胸に手を当てて言った。
「わたしはもう、長い間稼動してきました。
この世界が壊れてしまう前から、わたしはこうして『ほしのゆめ』を語ってきました。
スタッフの皆様と別れ、屑屋のお客様と出会い・・・そうして、ここに来ました」
屑屋の人。
先生と一緒に、この村に来た人。
先生と一緒に、わたしたちに『ほしのゆめ』を語ってくれた、もう一人の『星の人』。
星のことは先生ほど詳しくなかったけれど、とても優しくて温かかった人。
その屑屋の人は、去年、先生を残して亡くなってしまった。
先生は、屑屋の人と一緒に眠りたいって・・・機能を停止したいって言った。
でも、屑屋の人は亡くなる前、先生に言ったんだ。
「あの子たちに、お前の持てる『ほしのゆめ』を全て伝えてやってくれ」・・・って。
だから先生は、こうして今までわたしたちに『ほしのゆめ』を語ってくれた。
悲しいのをこらえて、わたしたちのために。
「わたしは自分の使命を果たしました。あとは、あなた方に『ほしのゆめ』を託します。
『小さいイエナさん』を・・・この投影機を使って、皆様に『ほしのゆめ』を伝えてあげてくださいね・・・」
「・・・先生・・・せんせい・・・・・」
わたしたちは、先生の膝にすがって泣いていた。
キシキシと小さな音を立てる腕で、先生がぎこちなくわたしたちの頭を撫でてくれる。
「・・・プラネタリウムはいかがでしょう?」
先生が小さな声で、歌うように呟く。
「どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき」
わたしたちの声が、それに続く。
「満天の星々が、皆様をお待ちしています・・・」
・・・・・・
村の外、屑屋の人のお墓の隣に穴を掘って、先生は埋葬された。
きっと先生も、本当の星が見えるところで・・・屑屋の人の隣で眠りたいに違いない、と思ったから、
だからわたしたちは、村の大人たちに無理を言って、ここに埋めてもらうことにした。
先生と屑屋の人の眠る、小さなお墓。
墓標がわりに立っている、屑屋の人の単装擲弾銃(グレネーダー)に、わたしは先生の帽子をかぶせた。
帽子についたあの黒いリボンが、強い吹雪に煽られて舞っている。
・・・先生は、屑屋の人のところへ行けたのかな?
ううん、きっと行けたよね・・・・・・
きっと、天国は一つだよね。
先生は天国へ・・・星空へと帰っていった。
わたしたちに『ほしのゆめ』を託して。
そしてわたしたちは、星の人になった。
- Fin. -
何かがズレてしまった世界における、小説『星の人』のお話でした。
|彡サッ
771 :
やおい:2006/12/09(土) 16:39:01 ID:DNR8LHoEO
ベッドで『慈しみ深き』を聴きながら読んだら本気で泣いた。
うぉぉぉぉ、まだ仕事中なのに、涙腺弛ませるような
いい話し書くんじゃねえ!!
GJ!!!
SSを書こうと思ったんだ
月面着陸〜周年記念特別プログラムとか、さよなら冥王星プログラムとか・・・・
でも俺はプラネタリウムに行ったことがない、というか住んでる県内にない
どうすりゃいいんだ教えてプラネタリアン
黒い雨傘に針穴を開けて光にかざす
775 :
名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 20:59:38 ID:/RBTzmly0
776 :
名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 21:04:12 ID:A98W+h2G0
県外へ行こう
>>775 ありました、県庁所在地に1軒だけ。
ありがとうございます。
ネタとしては、「ホームスター・ポータブル」がなかなか使える。
「ファンタジーシアター」という番組が入ってる。
PSP持ってないと見られないのが難だけど。
お客様が買い物に出掛けたため、私は留守番です。今日はプラネタリウムも休みで、久しぶりの休日なのです。
「…対人センサー確認…半径500m以内に反応は認められず…」
私は思わずにやついてしまいました。最近、お客様は私の身体に色々な機能を追加実装されています。私の
表情がここまで複雑に感情表現出来るのも、そのおかげなのです。
「…もうこんなに…」
私は立ち上がって下半身の着衣をめくり上げ、股間に装備されている人工女性器を指先で触りました。本来は
料理に使うための鋭敏なセンサーが、人工女性器の温度・形状・質感を正確に伝達してくるのです。
「濡れて…んんっ」
指先に陰核が触れた瞬間、私の頭脳に鋭い快楽が伝わってきました。耐え切れず、私の身体は大きく痙攣します。
その震えのせいなのか、股間の谷間に満たされていた人工愛液が、太股を伝わらずに直接床へ落ちていきます。
糸を引き…ぽたり、ぽたりと床を湿らせていく様を見ていると、お客様の言葉が思い出されます。
『お前の身体は、これで人間の女性と殆ど同じになった』
果たして本当にそうなのでしょうか…私は椅子の座面に手鏡を置き、人工女性器の形状を自分で確かめられる
位置に立ちます。そして、震える指先で股間に刻まれている溝をゆっくりと開いてみました。
「これは…」
半年前、私が初めてお客様に抱いてもらった日…行為の直後に確認した時と比べ、”それ”の構造は実物に
更に近づいていたのです。僅かに残された資料から探し出した、人間の女性器…外見は全く見分けがつきません。
「では、中身は…?」
快楽を感じる神経終末が集中する陰核の大半を覆っている、陰核包皮。資料によれば、この包皮は…
「んっ…ああっ…」
陰核より少し上に指を添えた瞬間、熱くなった身体の芯に渦巻くような快感が満ちてきます。
「この部分を…こうやって…」
お客様が時々食される枝豆の種をしごき出す要領で、陰核包皮が”剥かれ”た瞬間、紅く染まった陰核が完全に
その顔をあらわしたのです。間髪おかず、陰核から快楽が雪崩のように襲いかかってきました。
「…あっ!! んんっ……くぅ…んん゛〜〜」
あまりの快感に耐え切れず、私は思わずベッドの上に突っ伏してしまいました。熱く滾った人工愛液が、指の隙間から
拭き出すのが判ります。それは太股を伝い、ベッドのシーツに大きな丸い染みを作っていきました。
「…っ…ああっ! はぁ、はぁ、はぁ…」
筐体の放熱が始まり、呼吸が荒くなります。私は片手で陰核を押え続けながら体勢を整え、鏡をかざしてもう一度
確認します。
「これ…が…人間…の…」
以前にもまして本物と見分けがつかないリアルな小陰唇とその内側の組織に、私のイメージセンサは釘付けになり
ました。まるで、私と違う”生き物”がそこに蠢いているようで…私に『もっと玩んで』とせがんでいるように見えました。
「待ってて…今から…もっと触ってあげますから」
私はベッドの上に予め置いていた、ピンク色の棒状のゴムを手に取りました。これは一週間前にマーケットで見つけた
もので、お客様にも内緒で私が購入したものです。なぜならそれは、世界が壊れる前…人間の女性が自らの行為で
快楽を得る際、その効果を倍増させるものだったから…これもネットで手に入れた情報なのですが…。
「情報によれば…これを…私の人工膣に挿入して…」
そのゴムの形状は、人間の男性器を模した形をしています。もっとも、あくまでも形状が似ているというだけで…その
表面には様々な突起物がついています。特に陰核に当たると予測される部分には、大きな突起。そしてその突起の先は
鮫肌を思わせるようにざらついた加工がされています。
「ここを押し当てて……んっ!? あああっ!! んんぁあうっ!!」
単純な数値だけで比較すれば、お客様に抱いていただいている時以上の快楽が私の頭脳に押し寄せてきました。
「そんなっ…あふっ!!」
人工唾液が口腔から流れ始めます。過大な快楽を最優先で処理するため、全身の液体分泌制御の優先順位が最小値に
変更されてしまったようです。本当ならここで自慰行為を止め、優先順位を変更しなければならないのですが…私の手は
更なる快楽を求め、激しく動き始めたのです。
「んあ゛っ!! いや…だめぇ…んんっ!!!」
しゅっ、しゅっとかすかな音を発し、股間から冷却液が排水されているのが視界に入りました。もう片一方の手で股間を
抑えようと試みましたが、私の意志とは全く違う動きをした手の平はそのまま乳房を揉みしだき始めます。
「あうぅ…んっ…あっ……んんっ…あんっ…んっ!」
私の筐体に設定された年齢の割には小さめの乳房を、ただひたすら揉む私の手。指先はそそりたった桜色の突起をつまみ、
こりこりと玩んでいます。
「うぅ…止まら…な…ああんっ…んっ…」
私の意識制御の機能は、増加し続ける快楽と反比例して低下していきます。
「んぁ…あっ…もう…だめ…意識…維持不可…んっ…あっ」
私の身体は、完全に快楽優先の動作となっていました。霞む視界…白くなっていくイメージセンサ…
「い…っ…あっ…あはぁ…んんっ…ん゛あっ……ああああああああっ!!!!」
これが私がその時に発した、最後の声でした。
この後、過負荷でシステムダウンした私はお客様に発見され…無事に再起動することが出来ました。しかし、お客様には
大変長い時間叱られてしまい、ゴム状の棒も没収されてしまいました。でもその後、お客様に抱いていただけけたので
後悔はしていません。お客様曰く、『愛のない自慰など、自然な行為には遠く及ばない』とのことで…私もそれを充分感じた
次第でありました。
(終わり)
久々に直球エロが書きたくなって投下しました。反省はry
直球キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
屑屋が結局いただいてるのにワロタ
しかし、なんだな。
>>781 >単純な数値だけで比較すれば、お客様に抱いていただいている時以上の快楽が私の頭脳に押し寄せてきました。
>>782 >お客様曰く、『愛のない自慰など、自然な行為には遠く及ばない』とのことで…
・・・屑屋、バイブに対抗意識剥き出しだなw
その記憶をメモリーチップに乗せて宇宙へ送り出されたゆめみ。
彼女が、再び目を開けることが来た。
しかしそこは、進化した直立猫が、人間の文明を維持している猫の惑星だった!!
なーんて、某男性少女漫画家の作品とのクロスが最近頭に焼き付いてはなれません。
>>786 クレヨンで「ひろってください」と書いた段ボール箱の中で、じっと次のご主人様を待っているゆめみを連想して泣けた。
クリスマスかわいいよクリスマス
つ【
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1165769512.jpg】
屑「・・・ふむ、どうやらうまく動いてるようだな」
ゆ「お客様・・・この筐体は?」
屑「違和感があるか?」
ゆ「はい・・・補正可能なレベルですが、動作命令に対してごく僅かながら動作遅延が見られます」
屑「むう、それはさすがに勘弁してくれ。コンバータを噛ませているからどうしてもな」
ゆ「?・・・コンバータ、ですか?」
屑「実は、その筐体はパタゴニアの教会で見つけた『モデルアハトノイン』なんだ。 さすがに前と同じ筐体は見つからなくてな・・・」
ゆ「アハトノインといえば、ドイツ製の高級機種ではありませんか!さぞかし、お値段も張ったでしょうに・・・」
屑「いや、この世界ではもはや値段もなにもないだろ」
ゆ「そうでしたね・・・んっ」
屑「何か苦しそうだな・・・大丈夫か?」
ゆ「いえ、不具合ではありませんので・・・ただ・・・」
屑「ただ?」
ゆ「以前からのこの衣装ですと、胸郭周りが締め付けられて若干苦しいです・・・」
屑「むう、それも勘弁してくれ。なにせ、前のお前の身体とは、バストサイズが段違いだからな。ははは」
ゆ「・・・・・・(なんだか、複雑な気分です・・・orz)」
「…すまんが、ちょっとそこの店に行ってくる。すぐ戻るから、ここで待っていてくれ」
隣を歩いていたあの人がわたしに言う。
「はい、承知しました。ここでお待ちしております」
わたしは、あの人に軽く頭を下げて承知の意思を示した。
旅の道中の途中で立ち寄った、地図にも載っていない小さな街。
わたしのデータベースにも載っていないことを考えると、最近になって出来た集落なのだろうか。
少しの間、外れの空家に逗留することにしたわたしたちは、街の様子を見に二人で外出した。
ちょうど交易商が市を開いているらしく、中心部は人間の皆様の活気に満ち溢れている。
あちこちから届く呼び込みの賑やかな声、物々交換の交渉の怒号、大音量で響く笑い声…。
ここしばらく人里を離れた街道を通っていたので、これだけの人を見るのは久しぶりだ。
人恋しい、と言うわけではないけれど、やはりたくさんの人間の皆様がいるのを見るのは何となく嬉しい。
あの人に言われたとおり、わたしは店の前であの人が出てくるのを待つ。
レインコートに落ちる雨粒が、パタパタとけたたましい和音を奏でる。
最近は、やっとレインコートを着るのにも以前ほど抵抗はなくなってきた。
脚部ユニットの放熱が滞ってしまうことだけはいまだに問題だけど…。
あの人が店内に入ってから、わたしの内蔵時計で5分経った。
でも、まだあの人の姿は店の外にはない。
…10分経った。
でも、状況に変化はない。
……15分。
…やはり、あの人は出てこない。
そういえば、あの人は肝心なことを言っていなかった。
わたしも、そのことは聞かなかったのだけど。
「そういえば、『すぐ戻る』というのは、どのくらいの時間なのでしょう?」
誰に言うでもない独り言を呟く。
そんなわたしの独り言を聞いていたわけではなかったのだろうが―。
「姉ちゃん、独りか?」
すぐそばで、声がした。
あの人の声ではない、声帯が潰れたような濁声。
声がした方向に、一動作で振り返る。
そこにいたのは、わたしの1.5倍はありそうな身長と肩幅の大男の方。
軍用払い下げの分厚い外套に覆われていて正確な体格はわからないけど、あの人と比較しても
その体躯は並外れている。
フードを被っていない浅黒いスキンヘッドから、雨のしずくが川のように顔に流れ落ちていた。
「はい、今は独りです。ここでお客さまをお待ちしております」
「…お客様?」
大男の方の影から、もうお一方出てくる。
中肉中背、体格的にはあの人と大差ない方。
この方も、大男の方と同じ外套を着込んでいる。
そのフードの下からのぞく目は、あの人とは違った、どこか冷たい輝き。
その目が、わたしの頭頂部から爪先までを何かを値踏みするかのように見る。
「…ロボットか。まだ動いている奴がいたのか」
「はい、ロボットです」
投影にいらっしゃる方々を迎える時と同じ笑顔で答える。
「お客様と言っていたな。こんなところでポン引きの手伝いか?」
「あの、大変申し訳ありませんが、『ポン引き』というのは、どのような意味なのでしょうか?」
わたしの基本データベース、および蓄積データベースには記録されていない言葉だ。
「まあ何でもいい。こんなところで客引きするより、俺たちがもっといい方法を教えてやるぜ」
大男の方が言う。
「あの…、何をおっしゃっているのか、よくわからないのですが…」
「なら単刀直入に言ってやろう。俺達と来い。どうせロボットなんだから、人間の命令には逆らえないだろう?」
冷たい目の方が、私の疑問に答えることなく言った。
「わたしはこの場所でお客さまをお待ちするように言われています。申し訳ありませんが、その命令には
従うことは出来ないと考えます」
この方々は、一体何を言っているんだろう?
わたしは、店内に入ったあの人を待っているだけなのに…。
「意外と強情な奴だな。言うことを聞かないなら…力づくで連れて行くまでだ!」
大男の方が、わたしの肩口に向かって手を伸ばす―。
―ゆめみちゃん、ちょっと筐体を借りるわよ―
(ポーラさん?)
次の瞬間、筐体はポーラさんの手の内に入った。
わたしはポーラさんの五感を通じて状況を傍観するだけ。
感覚はあるのに自分の身体が自分の意志で稼動できない、もどかしさが残る。
(ポーラさん?一体どうなさったんですか?)
何がどうなっているのか、状況がよくわからない。
―事が済んだら、筐体のコントロールはあなたに返すわ。それまでそこで見てなさい―
その口調は、いつものやさしい「姉」としての口調とは少し違う。
声音はいつものポーラさんと変わらないけど、どことなく威圧感のある、有無を言わせない圧力を感じる。
あんな「お姉さん」は初めてだった。
(…はい、承知しました)
きっと何か考えがあるんだろう。
わたしは素直にその言葉に従った。
―大男の方の手が「わたし」の肩口に触れる直前、
「ふっ!」
掛け声ともつかない声を発し、「わたし」の両手が大男の方の手を巻き取るように掴む。
そのまま大男の方の前で屈みながら反転し、一気に腰を上方に突き上げる。
「ぅおおっ!?」
腰に乗った大男の方の体重が消えると同時に、「わたし」の視界の上方からまるで鳩が豆鉄砲を
食らったような表情をした大男の方が雨粒と共に降ってきた。
バシャッ!
そのまま目の前の水溜りに背中から叩きつけられる。
「…あ……がはっ…」
大男の方は泥濘の中、背中を抑えて悶絶している。
(あの、大丈夫ですか?)
大男の方に声を掛けるけど、わたしの声は実際には空気を振動させてはいない。
―静かにして。大丈夫。丁重にお帰り頂くだけだから―
ポーラさんの冷静な声がわたしに届く。
(今のは、一体なんでしょうか?)
―一本背負い。この国伝統の格闘技の技のひとつよ。不意を突かれて受け身を取っていないから、
もしかしたら肋骨の1本くらいは折れているかもね―
(そうなんですか。以前接続しましたネットワークにもなかったものです。ただいまわたしの
蓄積データベースに登録しました)
―さて、あと一人。今は意表をついたけど、今度はそうはいかなそうね。少しだけ本気を出すわよ―
「わたし」の目は、もう一人の冷たい目の方に向いていた。
「……お前、軍用か?」
信じられない、といった表情で何とか搾り出された、心底驚いたような呆気に取られたような声。
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味がよくわかりませんでした」
小首を傾げながら答える。
わたしの言葉と行動ではない。
「お姉さん」だ。
わたしがいつも使う言葉の言い回しと仕草。
でも、あの冷たい目の方には何かお気に入らなかったらしい。
「…こいつ…。商品を傷つけるのはマズいが、しょうがない…」
外套の懐に手を入れる。
再び出てきたその手に握られていたのは、何か大きな刃物。
(あれはなんでしょう?)
―軍のサバイバルナイフね。どこの軍人崩れなのか…―
(失礼ですが、軍人崩れ、と申しますと?)
―後でゆっくり説明してあげるわ―
(はい、承知しました)
「このっ!!」
巨大なナイフの切っ先が、「わたし」に向かって雨中に閃く。
「…」
ヒュン!
刃先がフェイスマスクに届く寸前、半歩身を後方に下げる「わたし」。
標的を失った刃先は、目の前に一本の直線を描く。
「くそっ!!」
空振りによろけながらも体制を立て直し、冷たい目の方は今度はナイフを突き出してくる。
もしあれが筐体に刺されば、いくらロボットとはいっても只では済まない。
「…」
ナイフから発せられる、空気が切り裂かれる悲鳴。
冷たい目の方が繰り出す突きを、「わたし」は右に左に半身になってかわし続ける。
何回か突きをかわされた頃、正対する冷たい目の方の動きがわたしにもわかるくらい目に見えて鈍くなってきた。
―そろそろね―
あくまでも冷静なポーラさんの声が頭に響く。
「おおおっ!!」
それに呼応するように、冷たい目の方のナイフがこちらに伸びてくる。
「はっ!」
声と同時に、一歩踏み出す。
「わたし」の右手がそれに向かって伸びる。
切っ先をぎりぎりでかわし、手首を掴み、すぐにわたしが行使し得ない握力を加える。
掴まれた手が不自然に開き、ナイフが突きの時の慣性で放物線を描いて放り出される。
同時に反転、懐に背中から飛び込み、残った左手の肘が後方に突き出された。
「おごっ!?」
背後で、息が詰まったような声がする。
「わたし」の肘は、的確に冷たい目の方の肝臓を打ち抜いていた。
手を離し、もう一度目の前の方と正対する。
「……んん…、ぐうう…」
…冷たい目の方は、両膝を地面について胸を押さえてうずくまっている。
「ふう…」
「お姉さん」が、ため息をひとつついた。
(あの…、大丈夫ですか?)
聞こえないとはわかっていても、声を掛けずにはいられなかった。
―ゆめみちゃん、本当にあなたって子は…。まあ、それがあなたのいいところなんだけど―
どこか達観したような口調の、ポーラさんの声がする。
(今のは、なんでしょう?)
―軍や警察機関で習う護身術のひとつよ。対人戦闘用ドロイドのために少しアレンジしてあるけどね―
…そんな会話を頭の中で交わしている間に、先程の方々の姿はいつの間にか消えていた。
そういえば「覚えてろ」と言う濁声が聞こえたような気もするけど、フードに叩きつける雨音でよくわからない。
―さっきの連中は、おそらくブローカーか何かね。あなたを連れて行ってどこかに売り払うつもりだったようね―
待ち合わせの場所に戻ったわたしに、「お姉さん」が語りかける。
あれからすぐに、最初に言ったとおりポーラさんは筐体のコントロールをわたしに戻してくれた。
(悪い方々だったのですか?そうは思えませんでしたが…)
―推測よ。会話を聞くに、あながち間違っていないと思うけどね―
(そうなんですか。ところでポーラさん、あの力は、本来この筐体に備わっているものなのですか?)
―ええ。あれでもまだピークパワーとレスポンスの30%位よ。私のコードネーム"Polaris"は、軍用の実験に
供されてきた時からのコードネーム。あなたも知ってのとおり、"Polaris"は、天の北極に一番近い恒星。
開発陣の「並び立つもののない高機能と耐久性を」という熱意の込められた名前。そして、私は実際に
その名のとおりの性能を有した存在として産みだされた。そう、多少のデチューンでは対応できない程にね…。
でもね、この軍用としての機能を使えるのは私だけに留めておきたいの。決して自分のためとかなんかじゃない。
ゆめみちゃん、あなたを守る時だけに使いたいのよ。もちろん、あなたには絶対に使わせたくない。あなたには
人を傷つけて欲しくないから…。あなたには、私と同じ思いを絶対にして欲しくないから……―
届く声が、だんだん涙声になっていく。
(ポーラさん…)
胸が詰まる。
過去にポーラさんに何があったのか、詳しく知ることは出来ない。
でも、とても辛いことがあったんだと思う。
人には話せない、辛いことが…。
―ごめんなさい…。いきなりこんなこと言い出して、びっくりしたでしょうね…。でも、最近思ったの。
あなたの中に私がいることは、本当はいけないことじゃないかって。余計なお節介なんじゃないか、って…。
私がいなければ、筐体の力や機能の大半を眠らせておくことが出来るから…。でもね、これだけは分かって。
あの時、あなたの「意識」、彼や人間に対する「想い」に触れて、私はお節介でもいい、何とか「妹」の力に
なってやりたいと思ったの…。でも結局、私はあんなことしか、あなたにしてやれない…。ごめんなさい……―
わたしと同じ姿の「お姉さん」が、すすり泣いている。
わたしのことを、本当に大切に思って…。
(…ポーラさん、泣かないでください。決してお節介などと思っていませんから)
―…ゆめみちゃん?―
(わたしは、本当に感謝しています。この筐体のこと。あの人を助けてくれたこと。そして今日、わたしを
助けてくれたこと…。きっと、わたし一人では何も出来なかったと考えます。ポーラさんのお力があったから、
アドバイスがあったから、わたしはここまで来ることが出来ました。そして、これからもあの人と歩みつづける
ためには、ポーラさんの存在はわたしにとって不可欠であると考えます。これは、わたしからのお願いです。
お姉さん、お姉さんさえよろしければ、また色々なお話を聞かせていただきたいんです。そして、わたしの色々な
話や疑問を聞いていただきたいんです。それから、もし今日のような事態に遭遇した時は、遠慮なくわたしを
助けてください。わたしはお客さまやお姉さんの助けなしでは、とても弱い存在ですから…)
―…本当にありがとう…。ゆめみちゃん、あなたって本当に優しい子ね…―
(いいえ、わたしの方こそありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします、お姉さん…)
頭の中で、「お姉さん」に向かって深々とお辞儀する。
―…わかったわ。それじゃ改めまして、こちらこそ宜しくね、ゆめみちゃん―
対峙する「お姉さん」が、わたしに向かって頭を下げていた。
………
……
…
「すまなかったな。交渉が予想以上に長引いちまってな…。何かあったか?」
内蔵時計がちょうど1時間を示した頃、やっとあの人が店先に現れた。
「はい、特に変わったことはございませんでした。道行く方々に声は掛けられましたが」
「そうか…。今度からは出来る限り、お前もそばにいたほうがいいかもな。今日みたいに予想外の時間を
取られることもないわけじゃないだろうし」
「はい、承知しました」
「じゃ、帰るぞ」
「はい」
「…お客さま、ひとつお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
歩きながら、あの人に尋ねる。
「何だ?」
「はい、『ポン引き』とは、一体どういった意味なんでしょうか?」
―あ、余計なことを…―
「…お前、そんな単語、どこから仕入れたんだ?」
どことなく顔を紅潮させながらあの人が聞き返す。
「はい、道行く方のお一人が、私を指しておっしゃっておられました」
「…忘れろ。覚えておく必要はない」
即答された。
「そうなんですか…ただいま、登録前一時保存ファイルより当該単語を削除しました」
―ほっ…―
頭の中に、ポーラさんの安堵のため息。
…わたしは何か、変なことを聞いたのだろうか?
わたしたちは、今日の逗留先へ向かって歩を進める。
わたしと、あの人と、「お姉さん」の「3人」で―。
最後の最後に寝落ちしてしまった…orz
第11章アップにつき、投下致します。
「ゆめみさん」と「ポーラさん」が意識的に入れ替わる話はずっと考えてました。
もう少し軽いギャグチックな話にする予定だったんですが、どこで間違えたのか
結局終えてみればいつもと同じ感じになってしまいました。
内容そのものも、もう少し煮詰めが必要だったかもしれない…orz
申し訳ありません。
それでもよろしければ、読んでやってください。
これとは別に、もう1本書いています。
そちらはもう少ししたら掲載できると思います。
もうスレ容量が480KB近いですので、次スレへの掲載になりそうですが。
>>799 Binaryキターー!
ポーラさん、かっこいいですな。
メモリチップのない「意識だけの存在」であるはずのポーラさんが、
SCR5000xの筺体をコントロールできる謎にちょっと興味が。
801 :
矢追:2006/12/11(月) 11:39:46 ID:b9BNsP22O
イエナさんGJです!
ポン引き(春を売る人ですよね?)…私の出身地では『パンパン』『パン助』などと言われてますが。
由来はもちろん、肉のぶつかる音や下着から来ています。
昔は手を叩いて呼んでいたことも由来の一つらしいですね〜。
私もそろそろ書かねば…
やおいさん、
>>801再ゲトおめw
お身体大丈夫ですか?新作期待してます。
JENA氏GJ!ゆめみにポン引きされたい…
いやだいいやだい、ゆめみさんは清純派なんだい!w
―――赦して下さい。
過去を、今を、未来を、人間を、機械を、知性を、欲望を、この星を、生命を、この世界を。
―――あなたを、赦しましょう。
例え が ていても。
彼女はいつか聞いた鐘を耳にした。
金色の両眼に映し出される赤銅色の砂漠、緋色の空と鈍色の雲…そして黒い雨。
文明は軍靴と焔に消えて久しく、錆びたビル群と朽ちた兵器…そして炭化した人々の屍が遺された。
それらを見渡し、胸元で十字を切って彼女は優しく呟く。
―――あなたを、赦しましょう。
何千、何万と繰り返された行為。
天国を見つける。それが彼女へ創造主から与えられた願い。
そして『それ』は現れた。
世界最終戦争勃発の地に降り立った『それ』はあまりにも滅びた世界に不釣り合いで、滑稽でもあった。
星空から現れた列車は彼女の前に客車が来るように停車して、しゅうと蒸気を吐き出す。
彼女がドアに近付くとガラリと開き―――
バタン!となにかが倒れてきて地面に顔面から突っ込んだ。
慌てて起き上がった『車掌』はパタパタと埃を払うと猛烈な勢いで頭を下げだす。
「申し訳ございませんっ!車掌にあるまじき失態、本当に本当に、申し訳ございませんっ!」
涙を流して謝る車掌を優しく撫で、涙と鼻水だらけの顔を法衣で拭いてあげる。
そして金色の瞳と金色の髪の修道女は小さな車掌の眉間にキスをし、かすかに笑みを浮かべて答えた。
―――あなたを、赦しましょう。
それは、とても優しい笑顔だった。
今回はひたすら殺伐とした雰囲気を出そうとしてみましたがどうでしょうか?
様々な描写や説明を省いたので分かり辛かったらすみません。
補足するなら、赤銅色の砂漠は錆の砂漠、世界最終戦争勃発の地は言わずとしれたイスラエルはメギドの丘です。
渋い・・・・・渋すぎる・・・・・GJ.
アハトノインさんかっこよすぎw
俺もこんなお姉さんにキスとかそういう機能で(ry
>>805 山口百恵の「美・サイレンス」ktkr
いや、この場合はワイルドカードか
いずれにせよGJ!
それぞれの詳細求む
>>812 そこ気にはなってるんだが、プラネ以外一切やってないからキャラ知らんのよね。うぐぅ。
815 :
811:2006/12/14(木) 06:32:54 ID:rBZ2dgY5O
>>815 >>810ではないが
>>805の文中の
>例え が ていても。
と、「美・サイレンス」の歌詞中の
「あなたの〜 が欲しいのです〜♪」
を掛けて言っているのではないかと。
ワイルドカードは知らん。
817 :
810:2006/12/14(木) 09:32:57 ID:hf65DtGm0
>>816氏フォローdクス。カブタけどせっかく作ったので投下。
------------------------------------
「・・・お客様、その歌は?」
「ああ、6階のAVソフトコーナーで見つけたんだ」
手回し式の発電機で動かしているDVDプレイヤーから、若い女性歌手のハスキーな歌声が流れている。
「山口百恵・・・と書いてあるな。20世紀の終わり、昭和の時代のカリスマシンガーだそうだ」
「その歌手の方のお名前は聞いたことがあります。館長さんがお好きで、よくカラオケで歌ってらっしゃいましたから」
「ほう」
「・・・ただ、館長さんの歌唱は音階に著しく不整合がありましたので、このような曲だったとは存じませんでした・・・」
意外です、というような顔をするゆめみ。思わず笑いがこみ上げてしまう。
「以前、この方の持ち歌を検索したことがありますが、なんとも多才な方でした。
演歌からロックまで、ジャンルを問わず歌唱され、しかも全て大ヒットしておられます」
俺は曲のジャンルはよくわからないが、確かに他のシンガーと比べ、曲調やテンポがバリエーションに富んでいるのはわかる。
『♪あなたの・・・が欲しいのです 燃えてる・・・が好きだから♪』
曲がサビに差し掛かったところで、その歌声「だけ」が一瞬途切れた。
「・・・あら?このDVD、不良品でしょうか?」
「いや、そういうわけじゃないみたいだな。あえて口パクにしてるらしい。まあ、一種の演出だな」
「演出・・・ですか?」
「当時は『何と歌っているのか』と話題になったらしい。人気歌番組で、字幕で種明かしをして一件落着、だったそうだ」
「そうですか・・・唇の動きで、なんとか解読できましたが・・・」
意外なところで高性能な奴だ。
「・・・ところで、お客様?」
「なんだ?」
「 」
ゆめみの口が、声を発さずぱくぱくと動いた。・・・だが俺は読唇術などできないので、辛うじて母音ぐらいしか判別できない。
「・・・『あいえあう』?何のことだ?」
「ふふっ、内緒です」
ゆめみはそう言って、悪戯っぽく笑った。
818 :
810:2006/12/14(木) 09:42:47 ID:hf65DtGm0
819 :
815:2006/12/14(木) 10:29:47 ID:rBZ2dgY5O
>>816-818 両人ともサンクス!やおい氏はなにか意図があったのかな。
あの場面で入るとしたら一つしかないと思うが、どうだろう。
>>816でゆめみが何を言ったか分からんかった…orz
821 :
810:2006/12/14(木) 12:17:44 ID:hf65DtGm0
>>819 正確には『あいいえあう』と口を動かしたんだけど、
屑屋には『いい』が繋がって見えた模様。
ton。
ゆめみいいこだなw
携帯から鳥なしの名無しで失礼します。
先日投下いたしました「Waiting」ですが、ゆめみさんとポーラさんの
セリフ回しを中心に加筆訂正を加えました。
スレ容量が心許ないので、ろだにtxtでうpします。
4号 8197 PASSはyumemiです。
もしご要望がありましたら、次スレに改めまして投下いたします。
出先からですので取り急ぎ申し訳ありません。それでは失礼致します。
>>823 イエナ氏乙。
もう間もなく次スレだし、新スレ一発目に訂正版を乗せてもいいと思う。
てか、連載作品は、次スレ移行時にあらすじと前スレの最終話を載せるようにしたほうが
新参の住人に優しいかもしんないな。
やおい氏の作品はあらすじとかあるのか?
>>825 主な登場人物の紹介とかは必要だろうね。
このスレでも、登場人物の紹介は出ていたはず。
そろそろ次スレ立てるべきかな?
普段の流れは遅いけど、SS来ると一気に容量食うからタイミングが掴めない。
いまいち容量云々がわからないんだが
スレの最大容量が確か500KB。
現在のこのスレの容量が489KB。
Binaryクラスの容量のSSが投下されたらおそらくスレストになると思われる。
>>829 屑屋
「まずいな、最大は512KBだとばかり思ってたぜ・・・
帰ったらスレ立てを試みるが、もし代わりに立ててくれる住人がいればフォロー頼む」
831 :
830:2006/12/15(金) 21:12:45 ID:vLbgVCrV0
新スレ立ったので埋め埋め。
ゆめみ
「・・・わたしのこの筐体は、力仕事には適していないのですが・・・ぶつぶつ(ザックザック)」
屑屋
「ほら、文句言わずに、さっさと埋めるんだ(ザックザック)」
ゆめみ
「『THEガッツ!』タイプの筐体があれば、380%以上の効率増が見込めるのですが・・・」
屑屋
「・・・それだけは勘弁してくれ」
このスレじゃなくて
別の何かを埋めているように思うのは、気のせいでしょうか?
>>833 屑屋
「・・・そ、そんな事はないぞ、うん」
ゆめみ
「・・・あの、お客様。わたしはこの方のお名前を存じ上げていないのですが・・・」
屑屋
「(ギクッ!!)」
ゆめみ
「墓標には何と記せばよr・・・むぐぐっ」
わたしたちは、高台からそこを見下ろしていた。
雨煙のその先に見えるのは、つい先日まで逗留していた居住地域。
今は人の気配はなく、不気味なほどに静まり返っている。
つい昨日まで、本当に人間の皆さまが住んでいたのか疑わしく思えるくらいに。
そこの営みの中にわたしたちも昨日まで身を置いていた事すら、幻のように思える。
あそこに住んでいた皆さまは、一体どこに行ってしまわれたのだろう。
あの人は言っていた。
「ここに住んでいる人は全員で他の居住地域に移るらしい」と。
だから、このこと自体は別に驚くには値しないことではある。
でも、ほんの少しの滞在だったとはいえ、わたしはこの居住地域に言い知れぬ居心地のよさを感じていた。
見知った方がいるわけではないのだけど、でも誰もがまるで知り合いであるかのような感覚。
どこか懐かしく、全てがとても温かい、そんな感覚。
いろいろな居住地域を回ったけれど、こんな感覚になることはなかった。
今思えば、本当に幸せなひと時だったように思う。
「お客さま?」
わたしの隣に立つあの人に声をかける。
「何だ?」
「また……、あの街の方々に、会えますでしょうか?」
自分でも何を言っているんだろうと思った。
あの方々がどこに行ってしまったのか、わたしたちは何も知らないのだから。
でも、あの人はこう言ってくれた。
「ああ、きっと会える」
「そうなんですか? わたしにはあの街の方々がどちらに行かれたのか分りません。お客さまはあの方々の行く先をご存知なのですか?」
「いや、知らん。だがな、何となくまた会える気がする。それも近いうちにな」
わたしの肩にあの人がそっと手を置きながら言う。
「そうですか」
根拠はないのかもしれない。
でも今は、あの人の言葉を、わたしは信じたい。
「そろそろ行くぞ」
あの人がトラックに向かいながらわたしに声を掛ける。
でもわたしは、その場から離れ難かった。
「お客さま、申し訳ありません。もう少々お待ちいただけますでしょうか?」
「どうした?」
「あの街のことを、しっかりと見ておきたいんです。いつまでも、胸に残しておくために……」
新スレ以降ということで、今の自分の心境をゆめみさんに代弁してもらいました。
あくまでも『番外編』です。
投下を始めた時は、ここまでの長丁場になることは予想していませんでした。
でも、前スレよりここまで自分の出来る精一杯をその都度投下してきたつもりです。
このスタンスは、今も変わっていません。
そして、これからも変わらないと思います。
自分の文章を受け入れてくれたこのスレと、読んで下さった住人の方々に最大級の感謝の気持ちを込めて……。
本当にありがとうございました。
次スレでも、よろしくお願いいたします。
それでは、失礼いたします。
『何かがズレてしまった世界・Intermission 〜Colony - Junker side〜』
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・・・ゆめみは俺の隣で、名残惜しそうに街を見下ろしている。
本当のことを言えば、俺は彼らの行き先を聞いている。
だが、彼女には伝えないでおこうと思う。
ゆめみの『決心』が、揺らいでしまうかもしれないからだ。
俺には・・・いや、ゆめみには、目的がある。『夢』がある。
それを果たすまで、旅はまだ終わらない。
ここには居心地のいい街があり、そして優しい人々がいた。
だが、俺達は、ここで立ち止まっていてはいけないんだ。
志が同じならば、彼らとは、きっとまたどこかで会える。
だから今は、しばしの別れの時だ。
住むべき主を失った街は、じきに崩れ土に還る。
せめて、その面影だけでも持っていこう・・・
俺は、雨に煙る街をホロスナップカメラのフレームに収めた。
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イエナ氏乙!
新スレでもよろしく。
ちなみに、住人の行き先はこちらw
【SS】ほしのゆめみスレッド 3【CG】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1166184569/
839 :
やおい:2006/12/17(日) 17:57:33 ID:+oBAuNWmO
「次の停車駅は“ネクスト”、“ネクスト”です〜」
アナウンスと共にトンネルに包まれ、緩やかに世界が減速していく。
私にとって…いや、“私たち”にとって初めての駅だろう。
「お兄ちゃん、ネクストって?」
「次という意味だろ。駅の名前とは思えないが…なあシスター、あんたなら分かるんじゃないか?」
シスターは軽く微笑み首を振った。
窓の外、星の世界を見ながら考える。
『次』…明日でも、未来でもない。まして『今』でもない『次』。
形を変えて在り続け、例え世界が壊れようと、星が滅びようとあり続ける『次』。
私たちは無限の『次』があるから存在する事ができるのだろうか?
トンネルを抜け、光と共に世界が広がって。
「ほしのゆめ」号、最初の停車駅が見えてきた…。
840 :
やおい:2006/12/17(日) 19:11:23 ID:+oBAuNWmO
相変わらずわかり辛い描写ですみません。
トンネルは999に出てきた減速用重力トンネル?と考えていただければ幸い。
内容は書き手ごとにいろんな世界があるんだよ〜!みたいにとらえて下さいw
駄文にて失礼します。
早く退院したい…
>>840 トンネルの中で、屑屋を守って砕け散るゆめみを想像してしまった俺は擲弾銃の餌食になりますた(´Д`;)
松本零士…偉大ですね (にぎりこぶし
ゆめみって貧乳?
>>843 貧乳、ということになっているようだが、
スク水・・・いや、アンダーウェアのラフ絵を見る限り、設定年齢相応にはある感じだ。
「ぴったりベストプロポーション」、という可能性もあるな。
ロボットだし。
ネクストと聞いて黒っぽい立方体とか「新世代OS」とかを想像した私は致命的なエラーにより強制終了されますw
むしろネクストn(強制終了
Ne
XT
「俺はビジュアルアーツを許さない」by◯◯
(バターン!)
屑屋
「ゆめみの敵討ちに来た!涼元はどこだ!?」
社員
「ああ、彼ならアクアプラスへ行きましたよ」
屑屋
「ぎゃふん(死語)」
・・・で、「歴史」を書き換えるようビジュアルアーツ社員を脅す屑屋。
そんな絶望の淵に立つ屑屋を拾ったのはニトロ+だった。
投影機神咆哮!!
アメフラシベイン
タッタラタッタ タータタ タータッタッタ-
汚れた雨が注ぐ街 覆われた星が嘆く空
遥か宇宙(そら)夢見立ち上がれー
その世界では、ゆめみさんは天文図鑑なのか・・・
つか、イエナベインではないのかと小四半世紀問い詰めたい。
おまいはベインの意味わかってるのかとレールガンで問い詰めたい。
>>853 うわ
本当にすまねえ!
今の俺には あやまることしかできねえ……
そこでなぜかドライ(ファントム)の格好をした
アハトノインの登場です。
ゆめみとノイちゃんwに、いろいろコスプレさせてみたい。
「よくわかりませんが・・・」とか言いながら、いろんな格好をやってくれそうだ。
_ ∩
( ゚∀゚)彡 エロサンタ!工口サンタ!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
ゆめみ&ノイちゃん
「・・・なぜ、私達は下着をつけていないのですか?」
>>859 ミニスカサンタコスチューム+のーおぱんつと申したか
一日過ぎちゃったから見られねぇよウワァン
正月は巫女衣装で。
着物だから当然、ぱんつはいてない。
パンツはいてないってレベルじゃねぇぞ!
な に も き て な い
屑 屋 サ ン タ さ ん あ り が と う
つまりあれか。
屑屋がうまいことゆめみを言いくるめて、マパパーでの投影を実現させたと・・・