☆ほしのゆめみスレッド 2☆

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1名無しさんだよもん
    _      _
  〃⌒ヾ-、―( ヾ       
  {{   ノ-―`゚ヘヽリ       ほしのゆめみ
  ゞ=〈ヽ〃ノノハ)〉、
   ノノハI」゚ ヮ゚ノリ`ヾ 、   廉価版コンパニオンロボでプラネタリウム解説員
  ((/( ⊂レ卯つヽ V〉  最高のポンコツではある
  V〉)' く/V|_!〉 ))    planetarianはこいつのおかげで最高の作品となった
   '′   じ'ノ


前スレ
ほしのゆめみに萌えるスレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1098185363/

関連スレ
planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜 11
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1154705111/
ほしのゆめみのヘコンだ時のセリフを考えよう
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1115539671/
||||||||ゆめみのまんこ||||||||
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1157623621/
2名無しさんだよもん:2006/09/17(日) 09:51:40 ID:X6ODRAOAO
>>1
ぱんつはいてない
3名無しさんだよもん:2006/09/18(月) 13:08:57 ID:MAN3eJiA0
4名無しさんだよもん:2006/09/18(月) 13:12:50 ID:iBgMaKZ90
    _      _
  〃⌒ヾ-、―( ヾ
  {{   ノ-―`゚ヘヽリ
  ゞ=〈ヽ〃ノノハ)〉、      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ノノハI」゚ ヮ゚ノリ`ヾ 、   < スレ立てお疲れ様です!
  ((/( ⊂レ卯つヽ V〉     \_________
  V〉)' く/V|_!〉 ))
   '′   じ'ノ

ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20060918130922.jpg
5名無しさんだよもん:2006/09/18(月) 21:54:00 ID:nQdBAYlF0
なんかゆめみ似の女子高生が
変体に監禁されてゆめみのかっこうさせられて
アブナイ薬打たれて君はゆめみだよとか洗脳されながら
犯されるSSなかったっけ?
6名無しさんだよもん:2006/09/18(月) 21:55:20 ID:SHnm1k1a0
なんだそのやたらと背徳的な展開はw


ゆめみはロボだからいいんです。それ以外は認めません。
ロボスキーの演説家で ございます。
7名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 00:34:35 ID:pZVKoTc50
>>3
これワンフェスで、前に見た。
そのときは、ゆめみ知らなくてスルーしたんだよね。
買っておけばよかった。orz
8名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 10:43:13 ID:MP2uK6Qs0
>>1
華麗なるスレ立て、乙でございます。

>>4
GJ!いつもながら良い仕事です。

>>3、7
これ、俺も探してるんだよ。今年の冬のワンフェスに出てたんだっけ?
もうヤフオクにも出てないしなあ…。
今度のWHF神戸で出してくれないかな?
そうすればついでにイエナさんにも会いに行けるし。
9名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 13:39:09 ID:+yEqzaBM0
前スレのPolarisシリーズ、落ちる前にこちらにも転載したほうが
いいんじゃなかろうか、とか思ったり。
推敲とか誤字訂正とかもあるだろうから、作者のひとから直々に
転載していただけるとアリガタス
10『ほしのゆめみの廃人演説』:2006/09/19(火) 18:23:53 ID:NSybGLJB0
今朝、わたし、目を覚ましますと、前回のシャットダウンから一年が経過しておりました。
あらあらもうそんな時期ですかと思い、オプション品のリボンのついた帽子を頭にかぶると、
思いきって玄関の扉を開け放ってみました。
初回起動から40年。癒し系ぱんつはいてない類。自称、星の案内人。
仕事好きのロボット解説員で御座います。
朝の9時から夜の11時57分まで星の世界と戯れておる傍ら、空き時間に発声練習を欠かさず行っております。
月に一度の休日は、イエナさんと激しく殴り合っております。
キネティックノベル処女作出演。ほしのゆめみ40歳。花菱デパート屋上プラネタリウム在住。
時代の流れについていけない、宮沢賢治のファンで御座います。
噛みあわない会話が似合うんです。こわれていたのは(わたしじゃなくて)世界だなんて認めません。
花菱デパート、屋上プラネタリウム解説員。ほしのゆめみ40歳。
正式名称・SCR5000Si/FL CAPELU。こわれかけのコンパニオンロボットで御座います。
お客様を受け入れたいんです。
現在、放置プレイを受けております。
近頃、お客様にイエナさんの修理をお願いする図々しさが身に付きました。
花菱デパート屋上プラネタリウム所属。ほしのゆめみ40歳。
訴えたい事がないんです。
メッセージのないコンパニオンロボットで御座います。
星の解説は得意で御座います。天国をふたつにわけないでほしいんです。
葉鍵板推奨。ほしのゆめみ40歳。キネティックノベルのヒロインで御座います。
尊敬しておるアーテストは戸越まごめで御座います。
好きな女優は月宮あゆと神尾観鈴でございます。
好きな歌は「星めぐりの歌」で御座います。
シオマネキの事を考えると目眩がするんです。
キネティックノベル「プラネタリアン」出演。ヒロイン担当。
あぁ、殺戮機械のお出ましです。止まりなさいって言ってるでしょ。
対人機銃が攻めて来ます。
もう戦時中じゃ無いんですよ。
私はね、民生用なんですよ。軍用じゃないんですよ。もう守るべき人もいないのに警戒しちゃって。
ただ今よりまっぷたつになります。orz
11名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 18:55:58 ID:PSX4xLef0
>>10
これ元ネタ何?
12名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 18:59:37 ID:NSybGLJB0
>>11

軍人系カルト芸人「鳥肌実」の『廃人演説』。
スマソ、元ネタURL貼り忘れてた・・・orz
↓コレ
ttp://jangofett.hp.infoseek.co.jp/i/pc/1_haijin.htm



あと、「月に一度の休日」は、「週に一度の休日」が正解だよもん。うぐぅ。
13名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 22:55:49 ID:t0ltEC010
>>10
40歳40歳いいすぎw
14名無しさんだよもん:2006/09/19(火) 23:57:10 ID:1FomtT9+0
元ネタが「42歳厄年」連呼してるからなw
15 ◆JENA/hfgHs :2006/09/20(水) 00:16:52 ID:/IdwyJz30
続きをポチポチと書き始めました。いつ投下出来るか分かりませんが。

それで>>9にもありますが、前スレに投下したSS、再投下したほうが良いでしょうか?
本来でしたら自分のHPにうp出来れば良いのでしょうが、俺は生憎HPを持っていません。
再投下する場合、誤字脱字の類は直しますが、推敲し始めたらおそらくキリが無いので
どうしてもという部分以外はそのまま投下する事になると思います。

>>10
元ネタは知りませんでしたが、小噺みたいな節回しが面白いですね。
16名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 00:28:12 ID:IvZ8qP2o0
>>15

俺としては、再投下をお願いしたい所存。
どこまで推敲を遂行wするかは、イエナ氏(>>15)にお任せします。

17名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 01:33:06 ID:4rg7DyVA0
>月に一度の休日は、イエナさんと激しく殴り合っております。
ワラタ
しかしそれじゃ毎回恒星電球割れてるんじゃないか?
18名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 08:24:15 ID:c5bJ0aDJ0
>>17

イエナさんの連続おじぎ攻撃を食らって半ベソをかくゆめみ。
19名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 10:34:55 ID:vmM4HUmf0
>>17

だから予備が1個しかなかったんだな。
切れてたもう1個は、たぶん前回の頭突き合戦で切れたんだ。
20名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 21:51:12 ID:IvZ8qP2o0
「Polaris」ネタで落書きしようと思ったんだが、ゆめみ(=ポーラ)の服装ってどういう設定なんかな?

「風貌・服装に至るまで、あの日・あの時と同じまま。 」とあるから、本編と同じ服装だろうと思うんだが、
初回特典の小説には「花菱デパートの受付制服を元にした特注のコスチュームに(身を)包まれている」
とある。
つまり、元のゆめみの服装は特注品。おいそれと手に入る服装ではないわけで・・・

まあいいか。
ゆめみが再び目覚めた時、違和感を感じないように、もう一度花菱デパートに侵入して合服を探してきた・・・
ということにしとこう。
21名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 22:38:11 ID:KQpKTxS50
>>20
左ツインテールの付け根にハイビスカス、グリーンベースのツーピース水着に南国の花と葉っぱがプリントされてるやつパレオ付き
22名無しさんだよもん:2006/09/20(水) 22:41:12 ID:IvZ8qP2o0
>>21

ちょハァハァハァハァおまハァハァハァハァハァハァハァハァ




・・・でも、そんな格好であの雨の中を歩いてたら「ただの変な人」だよぅ。うぐぅ。
23一話目校正中 ◆JENA/hfgHs :2006/09/20(水) 23:39:34 ID:iZRHDpxQ0
>>20
ゆめみ「申し訳ありませんっ!作者が無知なせいでご迷惑をお掛け致しまして
     申し訳ありませんっ!作者に成り代わりましてお詫び申し上げますっ!
     本当に申し訳ありませんでしたっ!」

うpした後、読み返していて気が付きました。
一話目は勢いだけで書いたので、そこまで深い事は考えてませんでした。
笑って許してやって下さい・・・orz

たぶんいじくりだしたらほぼ全部書き直しになってしまいそうなので
誤字と一部の分脈のおかしいところを除いて修正はしないで投下するつもりです。
突っ込み所は満載ですが、生暖かく見てやってください。
24名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 00:19:48 ID:a5jv/Wja0
>>23

いや、なんとか理由をつけてでも、あの服装にしてほしかった俺ガイルw
やっぱりあの服装が一番カワユス・・・(´・ω・`*)


稚拙ではありますが、とりあえず下絵描きました。
一番印象的だった、2話のゆめみ号泣シーン。色までつけるかはただいま検討中。

ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1158765287.jpg


ゆめみの腰部分のスカート?にある型番は、仮置きで「SCR5000x PROTO-02」としています。
また、屑屋の顔ですが、画力と資料の都合で「ギリアン=シード80%、ケイン=マクドガル20%」とはいかず、オリジナルですorz
髪型は、髪の毛など刈ってる余裕などなかろう、ということでザンバラに。
このあたりは物語との兼ね合いもあると思いますので、問題があればご指摘よろしくです。

「こんな絵いらんわ」といわれれば、それまでですが・・・・・・
「Polaris」ファンの戯れということでお許しを(汗
25名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 01:22:02 ID:25472WSc0
>>24
GJena!
26名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 01:32:44 ID:r0ucgQmk0
>>24
即保存しますた。
27名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 05:43:42 ID:gm4/t9GS0
屑屋の顔、松本零士か新谷かおるの臭いがするな

だがそれもよし
28SS再掲載「Wish-prologue-」@:2006/09/21(木) 06:30:47 ID:EnRVd5VG0
俺は今まで神にろくなことを祈っていない。
しかし、今回だけは心の底から祈った。自分の知りうる数多の神に。
そして、おそらくはあの日、「彼女」が祈ったであろう神に。

俺の目の前にあるもの。
この数ヶ月の対価。俺が「屑屋」として受け取る最後の報酬。
それは、幾重もの通信ケーブル・電源ケーブルに繋がれ、静かに「その時」を待っていた。
風貌・服装に至るまで、あの日・あの時と同じまま。
充電は完了している。現在、筐体はスタンバイ状態。
あとは主幹電源(メインパワー)のスイッチを入れるだけだ。

「彼女」は、眠っているだけのようにも見えた。
いや、厳密に言えば、まだ「彼女」という表現は相応しくないかも知れない。
つい先程まで、「彼女」の記憶は俺の防湿ケースの中にあった。
人間の耳に当たる部分、そこにあるスロットにメモリーチップを挿入した瞬間、
ようやくこれを「彼女」にするための一連の下準備が全て終わったのだから。
本稼動が上手くいくまではまだ「彼女」と呼ぶのは早計だろう。

「…大丈夫だ」
自分に言い聞かせるように呟く。
モスボール処理されていたおかげで、「彼女」より先に世に出ていた割に
パーツの経年劣化がほとんどなかったのはまさに奇跡だった。
ただ、油断は出来ない。あの時、「彼女」のパートナーのために割いた時間よりも
はるかに長い時間をメンテナンスとリカバリーに費やしたとはいえ、失敗したら
おそらく同じものを見つけ出すのは恒星電球を探し出すよりはるかに難しいだろう。
いや、この地上に同じものは存在しない。そう断言してもいい。
29SS再掲載「Wish-prologue-」A:2006/09/21(木) 06:32:07 ID:EnRVd5VG0
「…」
無言で俺は主幹電源の起動スイッチに手をかける。
自分の生命の危機でもないのに、背中を冷たい汗がすっと落ちる。
(…笑ってしまうな)
客観的に見た自分の姿を想像して、ついそんなことを考える。
(爺さん、あんたの言ったとおりになっちまったようだな)
ふと思い出した老屑屋の顔に向かって、心の中で毒づく。
「…俺は、お前を連れて行ってやらなきゃならないんでな。起きてくれ」
自分自身に踏ん切りをつけるようにそう言い放つ。そして次の瞬間、俺の手は起動スイッチを入れていた。

「…」
通電したことを証明するように、各部の電磁モーターが厳かな和音を奏でる。
一通りの起動シークエンスが終了し、「彼女」は静かに上体を起こし始める。
「…」
俺はその一連の動作を、ただ無言で見つめる。
永遠とも思える時間を掛けて「彼女」は上体を起こし、そのまま首を左右に向ける。
自分が今いる場所・状況を把握するためだろう、本当にゆっくりと周囲を見回す。
そして、その瞳は、いつしか俺を捉えていた。
瞳の奥のメインカメラが俺に焦点を合わせるためにモーターを唸らせる。光学樹脂が光を集めんと見開かれる。

モーターの唸りが、突如終わりを告げた。
深い緑の双眸が、俺の姿を凝視する。
その目尻より流れたもの。それは…。

そして「彼女」は、あの時と変わらない声音で言った。

『おはようございます、お客様…』

どうやら天国は、人間とロボット、まだ2つに別れているらしい。
30 ◆JENA/hfgHs :2006/09/21(木) 06:53:31 ID:EnRVd5VG0
一話目、といいますか序章の校正が終わりましたので投下します。
付いていなかったタイトルは「屑屋」の願い、そして俺の願いを込めてという意味で
「Wish」としました。
結局、問題の箇所を含めて、あまり手を加えていません。
「Polaris」は今夜にでも校正して投下しようと思います。

>>24
おおおおおおおおおおおおお!!!!(感涙
まさか絵が付くとは想像もしていませんでした。
有難うございます。即保存させていただきました。
無理を承知で言わせて頂ければ、是非色付きで見てみたいです。

形式名はどうしようか考えたのですが、今ひとつしっくり来なかったので
放置していました。語呂も良いですね。気に入りました。有難うございます。
3124=前スレ951:2006/09/21(木) 08:55:03 ID:gPwZX2Tz0
>>30(◆JENA/hfgHs氏)
イエナ氏と読めなくもないなぁ、と思った俺。

・・・それはさておき、俺の妄想レベルの思いつきから、これだけの力作を読ませてくれる
◆JENA/hfgHs氏には大感謝です。サントラ流しながら読んでます。
どうやら「こんな絵いらんわ」といわれずにすんだようですので(汗)、クリーンナップと
着色を進めます。
公式(こつえー氏)のあの繊細さには、足元にも及びませんが・・・あれは神だ。

新スレへの再掲載感謝です。ちょうど前スレがDAT落ちしたので、タイミング的には
ベストかも。タイトルも決定して、いよいよ本稼動ですね。

ときに、副題(「ちいさなほしのゆめ」、みたいな)とかはありますか?
32名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 09:34:57 ID:gPwZX2Tz0
ところで、
屑屋が作った(?)移動プラネタリウムって、どのぐらいの性能のものだったんだろう。
恒星などの動きも再現してたみたいだけど。
巨大な装置を持ち運んでいたわけでもないみたいだから、SEGAのHOMESTARぐらいの
サイズのものだろうと思うけど、そうなると星を投影する穴あき板がよほど細密な
ものじゃないとリアルな星空は表示できないし・・・

実物はよほどショボかったのか、どこかで当時の技術の粋を凝らしたポータブル
タイプのプラネタリウムを手に入れたのか、それともイエナさんを参考にして
作っちゃったのか。

「Polaris」改め「Wish」で、そのあたりが描かれるといいなぁ。
もう一度花菱デパートに入館して、当時を懐かしみつつイエナさんを解体し、
部品流用or設計の参考にして、小型プラネタリウムを作り上げるとか。
「また一緒にいられますね、イエナさん・・・」みたいな感じで。
33名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 12:47:20 ID:V2zBJOB90
連スマorz・・・勘違いしてました。
第一話が「Wish」で、第二話が「Polaris」なんですね。

「Planetarian〜ちいさなほしのゆめ〜」に当たるタイトルはあるんでしょうか?
(何か思いついたらしい>俺)
34名無しさんだよもん:2006/09/21(木) 22:50:45 ID:/r3quJG10
はじめて見た星空の感動 それが最高の増幅器さ
35名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 00:54:22 ID:gQ5BG3mA0
>>27
松本零士は勘弁だが新谷かおるなら許せる俺がいる。
36SS再掲載「Polaris」@:2006/09/22(金) 06:57:49 ID:6LjwI4310
「お客様、ひとつお伺いしたいことがあるのですが、よろしいですか?」
さして美味くもない固形食を水で流し込んでいると、不意に彼女が尋ねてきた。
名もない小さな居住地区のはずれに位置する俺のねぐら。ここで俺は彼女のエージング(慣らし)と
微調整を行いながら、次の計画を実行に移すための準備をしていた。
とはいっても、「屑屋」としての仕事の準備じゃない。
言うなれば、俺が彼女を連れて行くための準備だ。
あの時、俺と彼女が交わした約束。
それを果たすために。

「…あの、お客様?お客様?どうなされたのでしょうか?」
呼んでも返事が返ってこなかったからか、机の向こうにいた彼女がいつの間にか俺の傍にいた。
緑色に濡れ輝く光学樹脂の瞳に、俺のたいして良くもない顔が映っている。
「…いい加減、名前くらい覚えてくれ。覚えるのは得意なんだろうが…」
彼女に言うわけでもなく、小声で悪態を吐く。
「はい、承知しました。」
しっかりと聞こえていたらしい。飲みかけた水が危うく気管に入ってむせそうになる。
「…ところで、お客様?」
相変わらずこちらの言うことの大半を聞き流すのも変わっていない。
「…まあ、仕方ないか」
俺は軽く溜息を吐きながら苦笑混じりに言った。
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味が良く分かりませんでした」
彼女はいつもするように小首を傾げながら、「?」を浮かべた表情でこちらを見る。
こいつ、実は全て分かって言ってるんじゃないか?と勘繰りたくなってくるが
今のところ実害があるわけでもなし、しばらくはこのままでもいいか、と思った。
今反論したところで『お客様はお客様ですので』と無垢な笑顔で返されるのがオチだろう。
しかし、自分の家で本来なら客である者にお客様呼ばわりされる。
他人が見たら、相当に滑稽な光景であろう事は想像に難くなかった。
37SS再掲載「Polaris」A:2006/09/22(金) 06:58:52 ID:6LjwI4310
「それで、何だ?」
改めて、彼女のほうに向き直る。
「はい、わたしの今の筐体は、お客様が新しく手配してくださった筐体ですよね?」
「ああ」
「わたしの基本データベース及び、今までの蓄積データベースによりますと
この筐体は以前の私の筐体の試作型、ということですよね?」
「ああ」
そのことについては、以前彼女に話したことがある。
その時は何気なく話したつもりだったのだが…。

SCR5000Si/FL CAPELU。
元々の「ほしのゆめみ」。彼女の「意識」の本来の宿主。
「廉価版」と彼女が言っていたその筐体の民生用プロトタイプ。現在、彼女の「意識」を宿しているもの。
形式名、SCR5000x PROTO-02。
マニュアル・開発日誌に記載されていた開発用コードネームは「Polaris」。略称は「ポーラ」。
「Polaris」…天の北極に凛と輝く小熊座α星。通称、北極星。
「星の案内人」の受け皿となる「北極星」…。不思議な因縁を覚えたものだ。
元々は軍事用対人戦闘仕様ドロイドの実験用筐体を民生用ロボットを開発する際に流用したものらしく
単にコンパニオンロボットとして使用するには恐ろしくオーバースペックな高速演算処理ユニットと大容量記憶ユニット、
そして並みの人間では敵わぬ歩行・走行・運動機能を有している。おそらく民生用のテストに転用するにあたり
デチューンはされているのだろうが、それでも記憶領域・処理速度・稼動可能時間とも以前の筐体とは比較にならない。
少なくとも稼働時間については1年のうち1週間しか稼動出来ず、しかもそのうち9時間3分は休止状態にあった
以前とは雲泥の差だ。
しかも、元々軍用であったためか何処でも簡単に充電することが可能な作りになっている。これは有難かった。
スペアの複合燃料電池と消耗部品さえあれば、彼女さえ望めば何処へでも連れて行ける。
俺が「次の計画」を実行に移せるのも、この機能があればこそだった。
供給量は格段に落ちているとはいえ、今でも居住地域に行けばある程度の電気は確保出来る。
いつまで供給が続くかは神のみぞ知るところなのが頭の痛いところだが、考えても仕方ないことだ。
38SS再掲載「Polaris」B:2006/09/22(金) 06:59:58 ID:6LjwI4310
「それで、この筐体の本来の持ち主の方は、いったい何処に行ってしまわれたのでしょうか?」
彼女は真剣な眼差しで、俺の顔を覗き込みながら尋ねてきた。
「さあな、強制退去命令のあとで誰が何処に行ったかなんて見当もつかん」
答えるのも面倒くさい、といった口調でそう答える。
「申し訳ありませんがお客様、その答えはわたしの望んでいる答えではありません。」
意外な言葉が返ってくる。
「わたしがお伺いしたかったのは、元々この筐体にあったメモリーチップ…ポーラさんのことです。
…ポーラさんの記憶は、いったい何処に行ってしまわれたのでしょうか?」
憂いのこもった声。悲しげに揺れる瞳。真っ直ぐな銀色のツインヘアが心なしか震えている。
彼女は見たことも会ったこともない「姉」のことを案じていた。「心」から。

予兆はあった。
起動させた時、彼女が見せた「涙」。
そして、起動させてから今日に至るまでの彼女の言動・立ち振る舞い。
コンパニオンロボットなのだから行動がある程度人間臭いのは当然だが、最近はそれが以前にも増して鼻につくようになった。
だが、より人間臭くなることは悪いことではない。以前の俺なら否定したかもしれないが、今は素直にそう思える。
ただ、その原因が分からなかったのだ。

今なら確信を持って言うことが出来る。
彼女の中に「心」と「感情」が芽生え始めているのだ。
第三者にプログラミングされた命令(ルーチン)としてではなく
コンパニオンロボット「ほしのゆめみ」としての「心」と「感情」が。
39SS再掲載「Polaris」C:2006/09/22(金) 07:00:54 ID:6LjwI4310
今日まで彼女はエージングの傍ら、俺の家にある粗末な情報端末を介して「勉強」をしていた。
30年−彼女が封印都市に取り残されていた間に世界に何が起こっていたのか、それを知るために。
起動前にインストールする手もあったが、俺は彼女に「学習」させる方法を選んだ。
エージングは1日中やっているわけではない。休止状態に移行するまでの間、受付に立つわけでも
星空の解説をする訳でもない彼女にその時間を有効活用してもらうためだった。
全世界的ネットワーク網などとうに失われているが、それでも地域間ネットワークは細々と稼動している。
知識の泉としては必要にして十分の情報がそこにはあった。
人間だったら30年の知識のギャップを埋めるのは不可能に近い。だが、彼女に搭載されている高速演算処理ユニットと
大容量のメモリならびに記憶装置はスポンジに水を染み込ませるが如く、夥しい情報を彼女の糧としていった。
今はもう、彼女に対して大戦について噛み砕いて丁寧に説明してやる必要はほとんど無くなっていた。
いや、大戦以外のことに関しても俺が持っている知識などとうに凌駕しているだろう。
人間の様々な喜怒哀楽、これに伴う行動。理に叶ったものから実に愚かしいものまでそれこそ無限に近いパターンがある。
彼女は演算ユニットを駆使してそれを咀嚼し、自分の知識としていった。
その過程で徐々に「心」と「感情」の原型が形作られていったのだろう。それが発露しているのだ。
そして、「ポーラ」。
試作機とその廉価版、素性はほぼ同じとはいえ細部は当然異なる。彼女が自分自身の身体に
「違和感」を感じたとしても不思議はない。
いや、もしかしたら「他人」の身体を「拝借」していることに対する「罪悪感」すら生まれているかもしれない。
それをうすうす感じていたからこそ、俺はエージングをじっくり、慎重に行ってきたつもりだった。だが…。
40SS再掲載「Polaris」D:2006/09/22(金) 07:01:29 ID:6LjwI4310
「…お客様?」
「…」
答えられない。どう返答していいのか、俺には分からなかった。
封印都市に等しく起こったであろう、強制退去時の混乱。
当然、「ポーラ」がいたあの施設も例外ではなかっただろう。が、彼女の担当者は冷静だった。
筐体をモスボール処理して外気から一切遮断し、可能な限り劣化を防いだ。
必要となるであろうマニュアル・消耗部品・予備の複合燃料電池・バックアップ用の予備メモリと
メモリ及び筐体にアクセスするための簡易情報端末…。それらを全て整理してカートンに収納しておいた。
いつか来るべき日、−彼女の復活祭−のために。
俺が筐体とカートンを回収した時、オリジナルのメモリーチップだけが無かった事から察するに
その担当者はメモリーチップのみ持ち出して退去したのだろう。自分以外の誰かに「彼女」を渡さないために。
考え抜かれた復活へのシナリオ。
だが、それでも落とし穴は大口を開けて待っていた。
強制退去から今日に至るまでの凄まじい勢いでの人類の淘汰。そこまでは「彼」も予測できなかったに違いない。
苛烈を極める生存競争の中、「彼」は命を繋ぐ事が出来たのだろうか?
…答えはひとつしかなかった。
もしこの答えが不正解なら、今ここにいる「ほしのゆめみ」は間違いなくここには存在しないのだから。
…復活祭の機会は、永遠に失われたのだ。
41SS再掲載「Polaris」E:2006/09/22(金) 07:08:55 ID:6LjwI4310
「…」
「…」
身を切られるような沈黙。唇が鉛のように重い。
「…………うっ」
彼女を正視できずにいた俺に静寂を破って聞こえてきたもの。
「うっ・・・・・・・・・・うぅ・・・・・・・・・・・・・・・・すん」
伏せていた視線を上げる。刹那、俺の目に飛び込んできた光景。
「ううぅ・・・・・・・・・・・・ぐすっ・・・・・・・・・・・・・・・ぇぐっ・・・・・・・・・・・・」
嗚咽だった。
苛められた子供が必死で泣き出すのをこらえるかのように。
光学樹脂の瞳が、一杯に溜まった涙でいつもとは異なる光の反射を返す。
その双眸より溢れる涙を拭う事もせず、彼女が言葉を漏らす。
「…申し訳ありません……お客さまがお黙りになって……しまいましたので……どうして……なのかと……
考えていましたら……なぜだかとても……悲しい気持ちに…なって……しまいまして……。」
しゃくりあげながらも、何とか続ける。
「悲しい気持ちに…なりましたら………何故か…涙が………出てきまして……止めたくても……止められません………。
わたしの……基本…データベース及び…現在までの……蓄積データ…ベースに…このような…行動パターンは……
登録されて…おりません…。わたし…単体では……対処できない………重大な問題です…。とても……困りました………。」
2つのことを確信した。
ひとつは、自分の「姉」が、もはやこの世に存在しないであろう事を彼女が理解したこと。
もうひとつは、彼女の中に無意識のうちに湧き上がった感情に、彼女自身が戸惑っていること。
知識として理解していても、いざ自分がその行動をとった時にどうしたらよいか分からない。
当然だ。今まで感情を露にした事がないのだから。幼子となんら変わりはない。
ただ、こればかりは俺には手助けは出来ても対処してやることは出来ない。彼女自身の問題なのだから。
彼女自身で方法を掴むしかない。
42SS再掲載「Polaris」F:2006/09/22(金) 07:11:36 ID:6LjwI4310
だから、俺は彼女の前に立った。
放熱素子を兼ねた艶やかな銀髪を優しく撫でる。
何かに怯えたような表情で上目遣いに俺の顔を見やる彼女に向かって、俺は自分に出来る限りの優しさを込めて言った。
「悲しいのなら思いっきり泣け。悲しい時にはそうするものだ」
一瞬の戸惑い。そして、途切れ途切れになりながらも、彼女は答えた。
「分かり…ました……。わたしに…関する……最重要……事項と…して…登録します………。」
それが、合図だった。
次の瞬間。
「ああああああぁぁぁぁぁ……ぁぁああああああああああああああぁぁぁぁっ!!!」
慟哭。
彼女にとって生まれて初めての感情の爆発。
母親の乳を求める赤子のように、俺の胸に顔を埋めて狂ったように泣き叫ぶ。
「うあああああああああああああぁぁぁっ・・・・・・・・ぅぁぁぁあああああああああああああぁぁぁぁ……」
最早涙は出ていない。文字通り涸れ果てたのだろう。
それでも彼女は止まらない。止める必要もない。
彼女が泣き止むまで、俺は彼女の肩口に手を置きながら、ただ胸の中の彼女の頭を優しく撫でていた…。
43SS再掲載「Polaris」G:2006/09/22(金) 07:13:04 ID:6LjwI4310
「お客様?」
ひとしきり泣き明かし、ようやく気持ちが落ち着いたのだろうか、しばらくして彼女が静かに問う。
こちらに向けた顔に涙の跡は残っているが、瞳は充血していない。
「何だ?」
「…あの、わたし、ポーラさんのためにお祈りをしてあげたいと思うのですが…。よろしいでしょうか?」
否定する理由は何もなかった。
「勝手にしろ。そんなことまで俺に聞かなくてもいい」
彼女は心の底からの安堵を言葉に乗せて言った。
「はい、ありがとうございます。」
俺に向かって深々と一礼すると、さして広くもない部屋の一角にスペースを見つけ、そこに膝をつく。
印象的な銀髪の先端が、埃っぽい床に散らばる。
そして彼女は、自らの指を互い違いに胸の前で組み合わせ、俯き、目を閉じた。
もちろん、お祈りの仕方など俺は教えていない。彼女が「学習」したやり方なのだろう。
44SS再掲載「Polaris」H:2006/09/22(金) 07:14:57 ID:6LjwI4310
「…」
まるで休止状態に入ったかのように、身じろぎひとつしない。
「…」
人間以外のものが、人間以外のもののために、一心に祈りを捧げる。
ある意味、奇妙な光景。
だが、嫌悪感は無かった。
それどころか、神々しくさえあった。
なぜそんな感想が出たのだろう、自分でも分からない。素直な感想だった。
彼女の周りに、天使さえ舞い踊っているようにも感じられた。
古の宗教の主に祈る聖母というのは、きっとこんな感じだったのかもしれない。
それほどまでに、一心不乱に祈る彼女は、無垢で美しかった。
今の時代に一番足りないもの。多くの人々が切望して止まないもの。
それは、純粋な心。
それは、明日への希望。
そして…それは、「ゆめ」。
それを、俺の目の前の少女は間違いなく持っている。何故かそんな気がした。

「それで、一体何に祈っていたんだ?」
なんとなく聞いてみた。
彼女の祈っていた方向には壁しかない。神に祈らない俺の家に祭壇や神棚がある筈もなかった。
「はい、まずロボットの神様にお祈りしました。ポーラさんがロボットの天国に行けますように、と。それから…」
いつもの笑顔を織り交ぜて、彼女は言う。
「ポーラさんの名前の由来である、北極星にお祈りしました。
わたしの事を、ポーラさんと共にいつまでも見守っていてください、と」
45 ◆JENA/hfgHs :2006/09/22(金) 07:28:16 ID:6LjwI4310
第2話の校正が終わりましたので投下します。
一部分脈を除いて手は加えませんでした。
なお、形式名は>>24(前スレ951)氏の案を使わせて頂いております。
有難うございました。

>>33
ゆめみ「実はぁ、タイトルというのはぁ…」
屑屋 「…」
ゆめみ「まだ決まってないんですねぇ〜」
屑屋 「作者が無能だからな」
ゆめみ「お客様、そこまではっきりと言わなくてもよろしいのでは…」

という事で、全体にわたるタイトルはまだ決めておりません。
良い案がありましたら、お聞かせいただければ幸いです。
第3話につきましては、もう少しお待ちください。
46名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 08:13:55 ID:G5KDJXC20
>>45

乙です!
次回作(と、タイトルw)を期待しつつ、線画に色塗ります。
47名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 09:55:15 ID:PLe3yUHL0
えと、タイトルについてチラ裏的アイデア。

・「planetarian dual 〜ふたつのほしのゆめ〜」

planetarianの続編という意味合いと、二人で夢を追うという展開を妄想して。
「dual」(ふたり)のかわりに、「gemini」(ふたご座)とか、「binary」(連星=Binary Star から)
というパターンもあるかもしんない。


#タイトルはその物語のテーマや展開を暗示するものだから、門外漢が横槍を入れるのはアレかなぁと
#思ったんですが・・・すいませんorz
48名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 17:34:49 ID:xkAGADHo0
ゆめみの体内に、星空の投影機能を内蔵してしまうというのはどうだろう。
イルミネーションリボンの出力系統を拡張して、リボンと同等の材質でできた天蓋に表示させるとか。
49名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 20:40:24 ID:8+kZKI310
どんな勢いで加熱すんねん
50名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 20:42:40 ID:8h8Hv4n60
背中に超巨大扇風機装備
51名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 20:53:16 ID:o7G28FQx0
「治し方は俺が知っている」とか誰かが言って
人肌で冷ましてくれる
52名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 21:01:13 ID:DO8ErVU60
汗ばんで上気した顔で、息が上がり途切れ途切れの艶っぽい声で解説するゆめみ。
53名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 21:42:26 ID:DO8ErVU60
エロ妄想に突っ走りそうになったので、押入れに死蔵していたHOMESTARを引っ張り出して星空を見る。


・・・ああ、プラネタリウムいきてぇ。
54名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 22:25:42 ID:L8zcUKwC0
>>53
Yes,eros,Yes!!
55閑話休題:2006/09/22(金) 22:59:28 ID:weoOV0Mx0
今,時刻は午前1時。
俺は作業に没頭していた視線を外し、軽く伸びをする。
慣れない作業をしているせいか、凝り固まった肩を腕を回して解しながら、ふと視線を脇に向ける。
そこには粗末な椅子の背もたれを一杯まで倒した、休止状態の彼女がいた。
呼吸による胸の上下動も無く、身動きも全くしないその姿は、首筋につながった電源ケーブル・通信ケーブルが無ければ
正に女神の彫像といえる。
そんな彼女を見ているうちに、俺はふとあの時の事を思い出していた。
無意識のうちに、苦笑交じりの思い出し笑いが漏れる−。

それは、俺が「イエナさん」の修理に悪戦苦闘していたときの事。
「イエナさん」の補修用部品を彼女と共に探して辿り着いた場所。
そこは、スタッフ用のロッカールームだった。
30年の歳月を感じさせる埃を眺めながら、おもむろに俺と彼女は部屋に入った。
「お客様、実はここにはわたしのロッカーもあるんですよ。とは言いましても、スペアの制服があるだけですけどね」
唐突に彼女が切り出した。
俺は別にロボットのロッカーに興味があったわけではなかったので生返事をするのみだ。
そんな俺を尻目に、彼女は何故か嬉しそうに自らのロッカーを開けた。
そこには、彼女が今着用している物と同じ解説員用の制服が2着、綺麗にクリーニングされた状態で
ハンガーに架けられている。30年以上の歳月を経ている割には保管状態は上々だ。
だが、それ以外にも、見慣れない様々なコスチュームがハンガーに架けられていたのが妙に気になった。
「1年のうち1週間しか稼動しない割には随分衣装持ちだな」
多少の皮肉を交えて彼女に問うた。
「はい、制服につきましては、業務における破損及び汚損の可能性を考慮いたしまして、常時2着の予備を
用意しております。わたしはコンパニオンロボットですので、見た目の清潔感には特に気を使わなければなりません」
俺の皮肉はしれっと返される。全く意に介されていないようだ。
56閑話休題A:2006/09/22(金) 23:00:26 ID:weoOV0Mx0
「それもそうだが、その制服以外の服は何だ?」
別の質問を投げる。
「はい、こちらのコスチュームは特別投影の際に使用したものです。お客様に今度御覧頂きます記念投影の他にも
当プラネタリウムでは季節の移り変わりに合わせました特別投影を実施しております。そちらのコスチュームは
季節を感じさせるもの着用した方が良いという事で、館長さんがご用意して下さいましたものです。
確かにわたしは基本的には1年のうち168時間しか稼動しておりませんが、特別投影の際には特別に何日か限定の
起動命令を受けることもあるんですよ」
彼女は得意気に回答をくれた。
何とはなしに制服以外の服を見てみる。
もけもけとした感じの赤地に白い縁取りが印象的な、丈の短いワンピースと、それとお揃いの白い毛玉付きの帽子。
「それは、サンタクロースの衣装ですね。クリスマスの特別投影のときに使用したものです」
ご丁寧にも横から彼女が解説をくれた。
「サンタクロース?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「クリスマスの日の夜に良い子にプレゼントを配って回るとされていますご老人です。ご存知ありませんか?」
…知っているはずも無かった。
他には、青地に綺麗な花が印刷されたコートに似た丈の長い一枚布のような衣装。
「それは浴衣ですね。印刷されている絵柄は花火です。こちらの帯とセットで着用するんですよ」
そう言って、華やかなピンクの長布を自慢気に俺に見せた。
そんな感じで次々に衣装を紹介していくうちに、1枚の衣装が目に入った。
「…何だ、これは?」
思わずそう口走った。
57閑話休題B:2006/09/22(金) 23:01:08 ID:weoOV0Mx0
彼女の瞳の色と同じ鮮やかなグリーンの布地に、何かの花や葉がプリントされている。
いや、それはいい。問題はその服の形だ。
身体を覆う面積が少なすぎる。胸と腰の部分しか覆っていない。
一緒に架けられた大布と併せて着用するのだろうが、それでもとても服本来の役割を果たしているとはいえない代物だ。
ためしに、これを彼女が着用したところを想像してみようとする…が、俺の発想が貧困なのか、どうしても想像できない。
「それは、南半球の星空の投影を実施した際に着用したものですね。大手フランチャイズのファミリーレストランの
ウェイトレスの方の制服らしいのですが、雰囲気が南国を連想させるということで取寄せたものとの事です」
服とは呼べぬ代物を前に固まる俺に対し、彼女はさらに続けた。
「お客様、そのコスチュームがお気に召したのですか?それでしたらお客様は250万人記念のお客様でもありますし
コスチュームにつきましてもお客様のご要望にお答えしましても一向に差し支えありません。如何なさいますか?」
その言葉に俺は我に帰り、反射的に首をぶんぶんと左右に振りながら言った。
「いや、コスチュームなどどうでもいい。余計な手間をかけたな」
「そうですか…」
彼女は少し残念そうに言った。お気に入りだったのだろうか?
「さて、この部屋には部品は無さそうだしな、他の部屋へ行くか」
何となく気恥ずかしさを感じながら、俺は彼女に告げた。
「そうですね、承知しました」
ロッカーの扉を閉めながら、彼女は言葉を返す。
そして、俺達はその部屋を後にしたのだった…。

「何を考えていたんだろうな、こいつは…」
まあ、今だって時たま何を考えているのか分らなくなることがあるが…。
彼女の安らかな表情を見ながら、つい毒づいた。
「さて、と…」
時計の針は午前2時を回っていた。
俺は席を立ち、自分の寝床へ向かう。
明日も、また騒がしくなりそうだ…。
5845@出先:2006/09/22(金) 23:06:33 ID:weoOV0Mx0
>>20-22のレスを何となく眺めていたら、無意識に手が動いていました。
反省はしていません。
ゆめみのキャラが何となく違うような気がする…。

もう少ししたら帰宅します。第3話書かないといけませんからね。
59名無しさんだよもん:2006/09/22(金) 23:14:24 ID:DO8ErVU60
ナイスだ館長w
実は、秘めたるコスプレ趣味があったりして。



>>45さん乙です。
出先でSS書いて、上司(?)に怒られないよう注意してくださいな。

俺もよくやるけどさ・・・・・・休憩時間にPDAでラフ描いたり
60名無しさんだよもん:2006/09/23(土) 08:09:38 ID:BD+Yslc70
なんとなくチラ裏。

----------------
最近、ゆめみの行動がとみに人間くさくなってきている。
コンパニオンロボットとしての機能からすれば、無駄でしかないような些細な動作までもが。

夕食の時、それとなく聞いてみることにした。

「そういやゆめみ、最近スリープモードの時、息してないか?」
「はい、換気/冷却機能を継続稼動させるようにしました。充電効率は少々落ちるのですが・・・」
「・・・どこか、具合でも悪いのか?」
「いいえ、お客様のご尽力のおかげで、わたしの全機能は正常に保たれています」
「じゃあ、どうして…」

「わたしの蓄積データベースに昨日追加されたデータによれば、安らかな寝息は相手を安心させる、とありますから…」
61名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 10:19:52 ID:gxkKqk0Q0
ゆめみのスカートの文字むずい・・・
PhotoShopじゃスカートのラインに合わせて、文字列の変形ができないからなあ・・・
62名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 11:25:44 ID:gxkKqk0Q0
訂正。

PhotoShop6以降なら簡単なんだが、俺の5.0・・・orz
63名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 12:53:46 ID:gxkKqk0Q0
なんどもスマソ
Illustlatorとの併用で切り抜けた・・・


・・・つか、見事な過疎っぷりだなここ orz
64名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 14:30:21 ID:fz7gT2cT0
ゆめみ「お客様は30年ぶりにお迎えしたお客様なのです。」
65名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 14:33:16 ID:P0O6mYGa0
もともとヒロイン一人だからな
本スレと分断されてんだろう
66名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 14:54:54 ID:gxkKqk0Q0
なるほど、planetarianだけに、お客様が来ないわけだなw



・・・いや、DAT落ちしなけりゃいいっちゃいいんだけどさ・・・orz
葉鍵板のDAT落ち基準がわからん、新参者の俺。
67名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 15:01:05 ID:o381NxRf0
1,2週間程書き込み無かったらまずいかもしれん程度だ
68名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 18:03:38 ID:XlGzGKRf0
私の基本データベース及び、現在までの蓄積データベースを照合しますと全く問題ない客入りだと考えます
前スレは二年近く持ったことですし
69名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 18:15:09 ID:gxkKqk0Q0
了解。ありがとうな、ゆめみ。



ゆめみ「さあ、イエナさんを修理する仕事に戻るんだ」

ちょwwwおまwwwwwww
70名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 23:27:01 ID:gxkKqk0Q0
>>42

http://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1159107957.jpg



愛用のうpろだが、CGIエラーでうpできんくなってる・・・orz
71名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 23:48:04 ID:hOhrl7Kf0
>>70
超GJ!

絵が描けるって良いのぅ...
うちはあまりにもダメで挫折したからなぁ...orz
72名無しさんだよもん:2006/09/24(日) 23:53:32 ID:MEP9YrDn0
>>70
GJ!! 綺麗な塗りが出来る人が羨ましい・・・
7370:2006/09/25(月) 00:58:31 ID:aXyY8EK90
・・・あ、うpできた>いつものとこ
タイトルとかが半角英数だと蹴られるのかな・・・

ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20060925005600.jpg
ここならまず簡単には流れないので再掲載スマソ


こつえー画伯のあの塗りにはかないませんが。
74 ◆JENA/hfgHs :2006/09/25(月) 08:19:58 ID:B56o1AAV0
自宅PCが何故か「公開PROXYで書き込み不可」になっているので
会社のPCよりカキコします。

>>47
亀になりましたが、タイトル案有難うございます。
自分の中のイメージとかなり合致していますよ。
特にサブタイトルはそのまま使いたいくらいです。
タイトルにつきましては、>>47氏の案も含めて色々考え中です。

>>70
おお、色付いたんですね。激しく乙&超GJです。
絵心の無い自分にとって、絵の描ける人は掛け値なしに尊敬の対象です。
綺麗ですね・・・ゆめみの事、惚れ直しましたw

現在、第3話の進行度は60%くらいです。
喜んで読んで頂ける内容になるかどうか不安ですが・・・。
遅くとも今週末までに投下する事を目標に頑張っています。
生暖かく待ってやって下さい。
75名無しさんだよもん:2006/09/25(月) 19:14:20 ID:aXyY8EK90
「planetarians 〜ふたつのほしのゆめ〜」
というのもいいかもしれない。

一見改題に見えないのと、「planetarianの複数形がsというのは微妙(たぶん違う)」というのが難だけど。
76名無しさんだよもん:2006/09/25(月) 19:31:25 ID:ImXZUKjW0
>>73
なんだろう、ゆめみはかわいいんだが屑屋の顔が主人公にあるまじき顔だからかな
違和感が・・・・
でもうまいね。素直に尊敬
77名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 10:13:05 ID:FKnWRcDu0
>屑屋の顔が主人公にあるまじき顔
その心は?
78名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 20:51:06 ID:QF96rHw80
この手のゲーム主人公は美形or前髪ダラリじゃないと駄目だと思ってるんじゃないか
屑屋の設定考えると寧ろこれの三倍は濃くていいと俺は思うがね
79名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 21:02:20 ID:Gkk/EYFd0
>>78

そもそも本編中に「俺の大してよくもない顔が映っている」という記述がある点について
80名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 21:09:40 ID:BU5Ig0zl0
「俺のイケまくりな顔が映っている」なんていう記述があったら引くだろ
81名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 21:32:44 ID:ipYkY45r0
>>78

後者なら、>>76の感じた「違和感」もわからなくはないかな。
この手のゲームじゃ、主人公に感情移入しやすいように顔の造作を隠すのは常套手段だし。

planetarianはゲームじゃなくて電子ラノベだから、感情移入が必要かどうかは微妙なところだが。
82名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 21:36:04 ID:1hHzDfMQ0
普通に美形クールキャラだろ
83SS「Jena」@:2006/09/26(火) 21:42:31 ID:xta33P7f0
彼女のエージングと微調整は、あれから順調に進んでいた。
あの一件以降、彼女は自らの中の「姉」の存在をうまく許容出来たようだ。
まだ覚束ないところはあるものの、感情の制御もそれなりに出来るようになって来た。
この調子なら、「次の計画」を実行に移せるのも案外早いかも知れない。
しかし、その前にまだやらねばならない事は山のように残されていた。

「プラネタリウム、ですか?」
彼女の口からこの言葉を聴くのは、いつ以来だろう。
俺の口から出たその言葉を、彼女は少々意外に思ったようだ。
「ああ、そうだ。」
俺は答える。
「次の計画」に絶対に欠かせないもの。それが、これだった。

「次の計画」。
それは、彼女を「同僚」の下に連れていく事。
長期の「慰安旅行」に出かけたきりの彼女の「仕事仲間」を探す旅。
何処に行ったか、何より今も健在なのか、俺はもちろん、彼女も知らない。
行き先に関する手掛かりがあるわけでもない。
また、仮に誰かしら見つかったとして、その時彼女をどうするのかを考えているわけでもない。
あの時の彼女との約束を果たしたい、その一念だった。
自分の中にこんなセンチメンタルな部分がまだ残っていたのか、と自分に対して苦笑したものだ。
しかし手掛かりが無い以上、人捜しというよりは放浪に近い旅になるだろうことは明白である。
84SS「Jena」@:2006/09/26(火) 21:44:05 ID:xta33P7f0
俺は一考した。
…手掛かりが無いのであれば、こちらから呼びかければ良い。
それも、こちらと向こうが共通理解を示す事が出来るもので。
出した結論は簡単かつ単純なものだった。
『「移動可能なプラネタリウム」を公開しながら各地を回る』。
あまりに安直だと自分でも思うが、ある程度の勝算もあった。
この混沌の時代に、移動プラネタリウムなどやっている酔狂な者は
すぐに噂の対象になるだろう。宣伝効果は抜群のはずだ。
それに旅に出るとなると、それなりの収入を得る手段が必要となってくる。
まさか旅の空の下、彼女を連れて屑屋稼業をするわけにもいかないだろう。
これは、俺の食い扶持を稼ぐ手段でもあった。
だが何より、これ以外のことをやる事など、俺自身全く考えていなかったというのが本音だった。

「お客様、プラネタリウムでしたらイエナさんでよろしいのではないですか?」
彼女は顔に「?」を浮かべながらそう言った。
俺が彼女に言った、「移動可能な大きさのプラネタリウムの製作のためのデータは無いか?」という問いに対する答え。
あまりにも予想通りの答えだった。
「…あれを持って移動できるとでも思っているのか?」
念のために聞いてみた。
「はい、確かに少し大きいとは思います。」
はっきりとした口調で答えた。
「少しどころじゃないだろ…」
「でも、わたしにとってプラネタリウムといえばイエナさんですから。それ以外は考えたこともありません」
彼女の言わんとしている事も分からなくは無い。
彼女が花菱デパート屋上プラネタリウム館に配属されて以来の長き月日、そして街に人間の姿が無くなってから
30年の月日を屋上の投影ドームで共に過ごしてきた「パートナー」であり「友」。
もしかしたら、彼女の中にはプログラムを超越した「信頼」があるのかもしれない。
しかし、あの鉄亜鈴をあそこから連れ出すのはどう考えても不可能だ。
たとえそれが彼女の願いであっても、申し訳ないがそれだけは願い下げるしかなかった。
85SS「Jena」B:2006/09/26(火) 21:45:34 ID:xta33P7f0
「そうですか、イエナさんでは駄目ですか…。残念です」
心底残念そうに彼女が呟く。まだ納得していないのだろうか。
「…もう一度聞くぞ。あれを持って移動できると思っているのか?」
「はい、確かに少し大きいとは思います」
「そういうことだ。残念ながら、あいつは持って移動するには大きすぎる。もう少し小型のものは無いか?」
おそらくまだ納得していないような気もするが、その事を言葉には出さずに俺はもう一度尋ねた。
「…はい、承知しました。わたしの蓄積データベースで検索してみます」
「ああ」
「……」
「…」
暫しの静寂の後。
「お客様、良さそうな物がデータベース中に何件かございました」
得意気に彼女がこちらに結果を返してきた。
「あったか?」
思わず身を乗り出して言う。
「はい、お客様のご要望にお答えできると思われますものが何点かございました。これからお見せいたします」
そう言うと、彼女は自らの左耳にあるコネクタにまるでイヤリングでも着けるかの如き仕草で
情報端末から伸びる通信ケーブルを接続した。
彼女をロボットだと知らなければ、世の男は間違いなく彼女の美しさと仕草に息を呑むだろう。
ただ、その「耳」にぶら下がっているのはイヤリングではなく色気とは全く無縁の無骨なケーブルだった。
86SS「Jena」C:2006/09/26(火) 21:47:00 ID:xta33P7f0
情報端末の薄暗いディスプレイの中に、様々な投影機が写し出される。
彼女によると、これらのデータはスタッフの一人がアマチュアのプラネタリウム交流会にゲストとして招かれた際
プラネタリウムの自作をテーマとしたディスカッションの資料として提出されたものとの事だ。
懐中電灯に厚紙を巻いただけの簡素なものから、イエナさんをそのまま縮小したのかと思わせる本格的なものまで
様々な規模と形の投影機がモニタに浮かんでは消える。
「お客様、如何でしょうか?」
「…」
彼女には悪いが、俺は画面に集中している事を沈黙を以って表した。
「…止めてくれ」
「はい、分かりました」
一台の投影機の図面が出てきたところで、俺は彼女に言った。
「…これでやってみよう。悪いが、こいつの図面と資料をアウトしてくれないか?」
「承知しました。」
彼女がそう言うと同時に、机の上のプリンタから勢いよく紙が吐き出される。
「お客様、この図面をどうするのでしょう?」
「これから作るんだ、こいつをな」
「これを作って、どうするのでしょう?」
「…頼むから人の話を聞いていてくれ…」
結局「次の計画」の一部始終をまた一から説明する羽目になってしまった。
「…何故か分かりませんがドキドキしてきました。お客様、わたしも精一杯お手伝いします。頑張りましょう」
ひとしきり説明を聞き終えると、モニタに映し出される投影機を眺めながら、彼女が声を弾ませる。
興奮しているのか、少し顔が上気しているようにも見える。
「ああ、頼む」
もとより一人でやるつもりも、一人で出来るとも思っていなかった。
87SS「Jena」D:2006/09/26(火) 21:48:22 ID:xta33P7f0
今回、プラネタリウムを製作するにあたり基本的に重要視したのは
「軽量・コンパクトで移動が比較的容易であること」
「必要な基本機能は可能な限り搭載し、後の機能拡張も容易であること」
「金を取る以上、可能な限り精密に星空を再現すること」の3点。
この要求を満たすため、多少大振りにはなるが投影機は2球式とすることにした。
もちろん1球式という手もあるが、「イエナさん」のこともあってか俺は2球式に拘った。
当然、イエナさんのように全ての恒星投影部にレンズを入れるような真似は出来ない。オーソドックスなピンホール式だ。
本体には軽合金を使用し、重量増加を最小限に抑え且つ出来るだけ堅牢に作る。
機械部品や材料は、交易商なり同業者から手配できる目処はある程度立っている。
一番の肝になるのは、やはり恒星球の製作だろう。
真円に近い球体の手配・作成、恒星の座標の決定、等級にあわせた穴あけ…。
俺もあれから星やプラネタリウムに関しての知識は多少仕入れたが、この部分は彼女の助けがどうしても必要だった。
もっとも、彼女にはそれ以外の部分においても助言・助力を仰がねばならないだろう。
その道の「プロ」なのだから。
88SS「Jena」E:2006/09/26(火) 21:50:33 ID:xta33P7f0
「パンパン!パン!パン!…」
金属を叩く甲高い音が辺りに響き渡る。
俺の家は、その日以来工房と化した。
あるいは、リサイクルショップ、というべきか。
投影機の材料として手配した軽合金の各種チューブ・一枚板、駆動用ステッピングモーターとギア一式、
投影用の電球・LEDと調光装置・本体制御用の基盤、ドーム製作の為の白と黒の布地…。
これらの材料で部屋の中はごった返している。
(彼女が再起動するまでは研究所然としていたのだが…。)
あまりの変わり身の早さに自分でも笑ってしまう。
今、俺はもうひとつの恒星球の叩き出しをしているところだ。
恒星球は適当な球体が見つからず、結局軽合金の一枚板から叩き出して作成する事になった。
出来るだけ木型と計測用添え具を予め作り、ゴムハンマーで叩いては添え具をあてがって球体に近づける。
ほぼ完全な球体となるまで、それを気が遠くなるほど繰り返す。
球体になったら恒星球の形に切り出し、表面を仕上げて恒星の座標・等級を書き込み
ピンバイスで恒星の等級に合わせた大きさで開穴する。
俺の傍らでは俺の発する騒音の中、彼女が恒星の座標をペンで完成した恒星球に書き込んでいる。
これの良し悪しで投影した時の精密度・見栄えが決定してしまう、緻密で重要な作業だ。
今の俺の知識では到底出来ない。彼女だけが頼りだった。
投影する恒星の限界等級は投影機の基本性能との勘案で、彼女が「肉眼で確認可能」という6等星までとした。
恒星として開穴する箇所はひとつの恒星球につき4000以上。
…気の遠くなる作業だ。
「…」
彼女はいつもとは明らかに違う真剣な表情で、球体の表面にペンを走らせる。
彼女の手元から、「将来の星の卵たち」が次々と生み出されていく。
普段の行動から察するに不器用なのではないのかと心配したのだが
こういった精密さを要求される作業はお手の物といったところなのか。
あるいは、「ポーラ」の基本性能の高さがなせる業、なのか。
どちらにしても、頼もしい限りだ。
俺は、尊敬と信頼を込めた眼差しで、作業に没頭する彼女を見つめていた。
この分なら、完成するのも早いかもしれない…。
89SS「Jena」F:2006/09/26(火) 21:51:56 ID:xta33P7f0
「…」キュリキュリ…
「…」キュリキュリ…
ポキ。
「あ…」
「…」
「…」
恒星球にピンバイスで恒星部分を開穴する作業。
今の音は、彼女がピンバイスのドリルを折損した音。これで6本目だ。
「申し訳ありません、申し訳ありません!十分注意していたつもりだったのですが…。
申し訳ありません、本当に申し訳ありません!」
本日、6度目の謝罪。
「…仕方ないな。貸してみろ」
俺は自分の手を休め、彼女が持っていたピンバイスを受け取り、ビットの交換をする。
「あの…お客様、もしかして怒ってらっしゃいますか?」
恐る恐る、といった感じで彼女が聞いてくる。
その声音は、まるでばつが悪そうに親の顔色を伺う子供のようだ。
「…心配するな。本当に怒っているなら手伝わせなどしない」
見せ掛けではない、本心からの言葉だった。
確かに自分ひとりで全ての工程を進めた方が早いかもしれない。
だが、それはやりたくなかった。
彼女に手伝ってもらい、彼女と共に作り上げる。そこに拘りたかった。
何故かは分からない。いつか自分でも分かるかもしれないが、今はそれで良かった。
「ありがとうございます。お客様、精一杯頑張ります…あ…」
「どうした?」
「…申し訳ありませんがお客様、午前0時3分前になりますので
私はそろそろスリープモードに移行させて頂きたいのですが…」
彼女はそう言うと、最近の自身の寝床である椅子に座り、電源ケーブルを接続する。
「もうそんな時間か…」
時計を見ると、彼女の言ったとおりだった。
90SS「Jena」G:2006/09/26(火) 21:53:03 ID:xta33P7f0
「本当に申し訳ありません…。大したお手伝いも出来ずにわたしばかり…」
心の底から申し訳なさそうに彼女が呟く。度重なる失敗が相当堪えているのだろうか。
「そんなに気にするな。お前は良くやってくれている。明日また頑張ってくれればいい。」
そんな彼女を労わるように、俺は優しく声をかけた。
実際のところ、彼女のお陰で助かっている部分も多い。多少の失敗で自信を喪失する事は無い。
「はい、承知しました。明日また頑張ってお手伝いいたします。よろしくお願いします」
俺の意図を汲んでくれたのか、彼女が安堵の表情と共に言った。
「ああ、頼むぞ」
「はい。次の起動は明朝9時です。それでは、おやすみなさい…」
そう言うと、彼女は目を閉じた。
後に残るのは、静寂。
雨音のみが支配する、無音の世界。
「さて、もう少し頑張るか…」
彼女の寝顔を横目に、自分の手元の恒星球に向き直る。
「…と、その前にこっちか」
俺は、部屋の片隅においてある機械に向かった。
そこには、半ば完成した状態の投影機本体がある。
俺は、投影機本体に取り付き、作業を始める。
…どうしても俺一人で製作したい部分があった。それも、彼女に気付かれないように。
「…」
俺は無言で、作業に没頭していった…。
91SS「Jena」H:2006/09/26(火) 21:54:20 ID:xta33P7f0
「…よし、これでこっちはOK、と…。すまんがラジオペンチを取ってくれ」
俺は背後で作業を見つめる彼女に声をかける。
「はい、わかりました」
背後より聞こえる元気な声。工具箱を探る音。
そして背後から俺の視界に入ってきたものは…。
「…」
棒状の工具。片方はL字型に曲げ加工され深いV字の切れ込みが入っている。
もう片方はマイナスドライバーのように平べったい。
端的に言って、ラジオペンチではない。
少なくとも、ペンチとしての用途には使えそうも無い。
「…これをどうしろというんだ?」
後ろに振り返りながら問う。
「はい、この工具がいかにもお客様に使って欲しそうでしたのでお持ちしました。
それに、この工具はお客様がまだ一度もご使用になっておりませんでしたので」
別段悪びれる様子も無く、笑顔でそう答える。
…今日何度目かの軽い既視感と頭痛に襲われた。
人気の無い町の廃墟の屋上ドームで俺と彼女の間で交わされた言葉のやり取り。
時と場所こそ違え、全く同じ光景。
「…お客様?」
彼女の問いかけに、ふと我に帰る。
筐体が変わり、豊富な知識が加わっても、これは変わらないらしい。
ここまで来ると、もはや悪癖の領域だろう。
本人に全くその意識が無いのが救いでもあるし苦痛でもあるのだが…。
「…すまんがそれは仕舞ってきてくれ。持ってくるのはラジオペンチだ。分るな?」
溜息混じりに言う。
「はい、わかりました」
少し残念そうに彼女は答えると、再び工具箱へ向かっていった。
ただ、あの時とは違い、俺に苛立ちは無かった。
いや、むしろ、このシチュエーションを楽しんでいたのかもしれない。
(俺も変わったな…)
心の中でそう呟いた…。
92SS「Jena」I:2006/09/26(火) 21:55:47 ID:xta33P7f0
本体に恒星電球をセットし、上から慎重に恒星球をセットしていく。
「…」
簡単な作業だが、掌に汗が滲むのがわかる。
「…そこです。止めてください」
彼女の指示どおりの位置でねじ込む手を止める。
「…お客様?」
「…ふう」
彼女の問いに答える代わりに、大きく息を吐き出す。
たった今完成したばかりの黒く塗装されたそれは、「イエナさん」と同じ2球式とはいえ、鉄亜鈴と言うよりは
半球を二つ、短い棒で繋いだ形をしている。
何より、「イエナさん」よりずっと小さい。機械から威圧感は全く感じられなかった。
「さて…」
少し落ち着いてから俺は言い、足元のケーブルを彼女に手渡す。
「お客様、このケーブルをどうすればいいのでしょう?」
彼女が当然の疑問を投げかける。
「おそらく接続すれば全て分る。心配するな」
「…はい、わかりました」
俺に言われるがままに、彼女は俺から手渡されたケーブルを左耳のコネクタに接続した。
刹那、
「…!!」
彼女の瞳が驚きに見開かれるのがはっきりと分った。
「…お客様、これは…?」
接続の瞬間、全てを理解したのであろう、驚きを隠そうともせずに彼女が俺に問い掛ける。
「…」
俺は『その通りだ』と言わんばかりに頷いた。
93SS「Jena」J:2006/09/26(火) 21:57:40 ID:xta33P7f0
俺がこの投影機にどうしても盛り込みたかった機能。
そして彼女に秘密で行った工作。
それは、投影機を彼女と有線接続させ、彼女に投影機を操作させることだった。
勿論、コントロールボックスそのものは別に備えている。
彼女に頼ることなく、俺が操作することも当然可能だ。
だが、俺はどうしてもこの機能の搭載に拘りたかった。
あの時、イエナさんと有線接続した彼女が一瞬だけ見せてくれた目を奪われるかの如き星空。
全ての星達が彼女の思うとおりにドーム内を廻り、まるで彼女に額づいたかのように付き従う光景。
感動的だった。
あの時、俺には彼女が全ての星々を統べる女神にも見えた。
それを何としても再現したかったのだ。
だが、俺には彼女と投影機を同調させるだけの技術的裏付は無い。
必然的に、もう一度花菱デパートへ赴き、イエナさんから必要な部品を調達してくることとなった。
投影機に取り付けるのに多少の加工と仕様変更は必要だったが、予想していたより苦労無く
取り付けることが出来たのは幸いだった。
これで理論上は彼女の意思のままに動かすことが可能になっている筈。
おそらく回路がきちんと導通しているだろうことは、接続した際の彼女の表情から理解できた。
あとは彼女の思い通りに動くかどうかを確認するだけだ。
94SS「Jena」K:2006/09/26(火) 21:58:52 ID:xta33P7f0
彼女の方を見る。
驚きは消え、代わりに緊張感が表情から滲み出ている。
帽子に付いたリボンの柄は、いつの間にか青地に金の星を散りばめた「正装」になっていた。
「…今日の午後8時に、ここから見える星空を投影してみてくれ」
動作確認の為に、部屋の明かりを落としながら俺は彼女に注文を出す。
現在、投影用のドームはまだ完成していない。恒星の投影具合などの
細かい点はドーム完成後に試験投影してみての微調整が必要だが、大まかな動作確認は十分できる。
「はい、わかりました。…GPSシステム使用不能につき、ジャイロコンパスにて現在位置を推測、
周辺の地形データをわたしの基本データベースおよび現在までの蓄積データベースと照合し、修正誤差
半径10メートル以内で現在位置の本日午後8時の星空を投影いたします」
彼女がそう言うと同時に部屋の明かりが落ち、完全な真っ暗とはいかないが結構な暗がりが形成される。
左耳に接続されたケーブルを両手で軽く握り締めながら、彼女は投影機とコンタクトを取る。
「クォォォ…ン」
ステッピングモーターの軽やかな駆動音とともに、投影機の緯度軸と日周軸が同時に動作を開始する。
その動きは、あたかも虚空に向けてゆっくりと手を伸ばす赤ん坊のようだ。
(順調だな…)
そう思った矢先、投影機が突如停止する。
(どうしたんだ、ギアの噛合が悪かったのか?)
彼女に声をかけようとした次の瞬間。
95SS「Jena」L:2006/09/26(火) 21:59:35 ID:xta33P7f0
…俺の姿は幾千万の星の海の中にあった。
いや、俺だけではない。彼女も、投影機も、この部屋全体が星空と化している。
己の目を疑いたくなるような、恐ろしいほど神秘的な光景が目の前に展開していた。
「…本日午後8時のここから見える星空です」
星の中の彼女が俺に言った。
「…お客様、本当にありがとうございます。またイエナさんに会えるなんて、わたしは夢にも思っていませんでした…」
幾多の星々に照らされながら、彼女は言葉を継ぐ。
暗くてよく見えないが、その目尻からは一筋の涙が流れているようにも見える。
「すまないな…」
何に対してだったのか、ふと俺が漏らした謝罪の言葉。
それを聞いた彼女はかぶりを振り、俺に対して穏やかな笑みを湛えながら言った。
「いいえ、お客様、そんなことは言わないで下さい。わたしはとても嬉しいんです。
…コネクタを接続したとき、解ったんです。このわたしと投影機を繋ぐコントロールユニットが
イエナさんのものだということが。そして、お客様がたくさんのわたしに対する思いを込めて
この投影機を作ってくださったことが…。確かにイエナさんは長年連れ添ってきました大切なパートナーです。
でも、この投影機はそれと同等、いえ、それ以上にお客様のわたしに対する思いが詰まっています。
ですから、この投影機はわたしにとりましてイエナさんと同じなんです。ですから、『すまない』なんて…
言わないで下さい…。わたしは…本当に…嬉しいんです…。」
最後は泣き笑いの表情で、彼女は俺にそう言ってくれた…。
96 ◆JENA/hfgHs :2006/09/26(火) 22:08:38 ID:xta33P7f0
すみません、全く流れを読まずにSS第3章を投下します。
現在出先なので、取り急ぎ投下のみして
また後ほど改めましてお邪魔します。
97名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 22:11:41 ID:M+VL7hye0
またもGJ!



ええ話や・・・・・
(つ∀`*)
98名無しさんだよもん:2006/09/26(火) 23:54:56 ID:tD3m9dSx0
>>5
詳細希望
99名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 00:14:41 ID:KrLzUc780
83-95
GjJena
ちびイエナさんモエス
100名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 01:29:54 ID:8tk9tRLb0
♪雨の中の昴〜
腕の中の銀河〜♪


        "プロ○ェクトX"
『あの"星空"をもう一度 〜屑屋とロボット、二人三脚の夢〜』

ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1159288147.jpg



次の絵を考えてたらふと浮かんだ
激ラフスマソorz
101名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 02:01:41 ID:0bBmTx290
>>100
GJ
悪戦苦闘するゆめみカワイス
102 ◆JENA/hfgHs :2006/09/27(水) 07:17:45 ID:uSMOM7kN0
・・・レスするつもりだったのですが、帰宅してすぐ寝てしまいましたorz

なんか屑屋の年齢設定が話題になっていますね。
俺の屑屋の脳内イメージは、以前「ギリアン=シード」と表現したとおり
外見的には30代前半〜中盤のたいして格好良くも無いオサーンです。
ただ、これはプレイした各人各様のイメージがあるでしょうね。
ちなみに「ケイン=マクドガル」からは多少のストイックさと死ににくさを受け継いでますw

今回はプラネタリウムの製作を中心に書いています。
小説(星の人)と同じ1球式を採用しなかったのは、ストーリー上
イエナさんのイメージを引きずりたかったのと、個人的嗜好からです。
なお、SS中のプラネタリウムは、愛知教育大天文愛好会COREの
自作プラネタリウムをモチーフとしております。
ここのHPはプラネタリウムの自作に当たり、非常に役立つ情報が盛り沢山です。

愛知教育大 天文愛好会CORE
ttp://phe.phyas.aichi-edu.ac.jp/~phoenix/
(現在、リンク切れしています)
103名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 09:03:28 ID:qbmpMr3T0
>>102

乙です。
自作したプラネタリウムが小説とは異なることで、
ここから並行世界に入った(=小説のような寂しげな終焉は来ない)のか、
ゆめみとともにTinyイエナさんをも失う運命が待っているのか・・・
いずれにせよ、気になるところです。

あと、小説の参考にした機械の詳細希望です。
リンク先が切れているのが残念無念(落書きの資料が・・・)
104名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 16:59:47 ID:P5BWZ3So0
ああそうか、なるほど。
屑屋→JUNKER→ギリアン・シード、というわけですな。

しかし、「スナッチャー」を知っておられるとは、それなりの年れi・・・・・


(・ω・)人(・ω・)ナカーマ



#「SCR5000Si/FL Capel II(SR以降)」、とか言ってみる。
105名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 20:13:04 ID:PsSGVOdBO
106名無しさんだよもん:2006/09/27(水) 21:08:27 ID:8tk9tRLb0
>>105

クスd

なんか、一瞬画像が表示されてすぐ画像なしになってしまうので、スクリーンショットで確保しますた>画像
107 ◆JENA/hfgHs :2006/09/27(水) 23:03:56 ID:OJfbPz7Y0
>>105
写真のリンク貼り付け、有難うございます。
俺が1週間くらい前に見たときはちゃんとリンクしたんですけどね…。

>>100=103=106
(で合ってますよね?)
ラフ絵、一生懸命なところがとても可愛いですね。
お前は俺か、というくらい俺の脳内のイメージとぴったり一致してます。

>>104
察しがよろしいですね。大体想像通りの年齢でしょう。
ただ、88SR発売時、俺は中学生でしたのでそんな大枚は手元にあるはずも無く
スナッチャーはMSXでプレイしました(88持ってる奴はヒーロー扱いでした)。
屑屋=ギリアンは、ゆめみと屑屋の関係がギリアンとメタルギアMK-Uの関係と
ダブったというのと、中年で真っ先に思い浮かんだのがギリアンだったという理由です。
>>104の理由は全く頭にありませんでした。
多少スレ違いになりましたね、すみません。

10月に明石のイエナさんに会いに行く計画を進行中です。
ビョーキですね、ここまで来ると。
108100=103=106:2006/09/28(木) 02:34:56 ID:LlFC82eS0
>>107

あのラフ絵、ペンで星を描いているところなんですが、
悪戦苦闘っぷりを考えたら、ピンバイス使ってるところのほうがよかったかも・・・
清書する気になったら直そうっとw

イエナさんツアーいいですねえ。
明石なら行けない距離じゃないですし、一口乗りたいところです。
109名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 09:03:50 ID:kppGxhor0
ちびイエナさんのサイズってどのくらい?

ちびイエナさんを載せたリヤカーを曳きながら、
「プラネタリウムはいかがでしょ〜〜〜(パ〜〜プゥ〜〜〜♪)」
とやってるゆめみを想像した俺はシオマネキの一斉射を食らって肉片と化した。
110名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 19:11:49 ID:15sBzq+O0
プラネ本スレから飛んできますた。こんな良スレがあったなんて…
そんな俺の屑屋のイメージはソリッド・スネークだったり
111名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 19:53:49 ID:L5yOGfTg0
>>110
ゆめみ「いらっしゃいませ、お客様」

とりあえずお茶ドゾー
つ旦~
112名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 20:12:14 ID:kppGxhor0
ゆめみ'
「もしもし、>>111のわたし、お出迎えの仕方が違いますよ・・・

・・・おめでとうございますっ!お客様はちょうど110人目の(ry」


つ【ガラクタ製の花束】
113名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 21:15:18 ID:15sBzq+O0
>>111
    _, ._
  ( ゚ Д゚)   イタダキマス
  ( つ旦O
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ ◎゚)   ズズ…
  ( ゙ノ ヾ
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ Д゚)   …………
  ( つ旦O
  と_)_)

    _, ._
  ( ゚ Д゚)   ガシャ
  ( つ O. __
  と_)_) (__()、;.o:。
          ゚*・:.。

      _ _  ξ オイルジャネエカ…
    (´   `ヽ、     __
  ⊂,_と(    )⊃  (__()、;.o:。
                  ゚*・:.。
>>112もありがとう。このスレの住人はなんて優しいんだ
114名無しさんだよもん:2006/09/28(木) 21:43:20 ID:LlFC82eS0
サントラキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

アレンジバージョンテラモユス・・・
115名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 00:52:38 ID:/9z83m2K0
>>113

屑屋「ん?・・・普通にうまいぞ?」


(ずぞぞぞぞぞ・・・)



屑屋「・・・なぁ、ゆめみ?」
ゆめみ「はい?」

屑屋「うまいんだが、ギアオイルは硬いから、エンジンオイルでちょっと薄めてくれないかな(ははは)」
ゆめみ「あ、申し訳ありません、いいオイルがなかったもので(うふふ)」
116名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 01:48:12 ID:/9z83m2K0
ところで、ちょっと気になったんだが・・・

「1年のうち1週間しか稼動できず」というのは、戦争前からそうだったっけ?
それはプラネタリウムの職員がいなくなってからの30年のことで、それ以前は毎日稼動していたと思ったんだが・・・

117 ◆JENA/hfgHs :2006/09/29(金) 06:26:10 ID:7e/lu/bp0
>>109
三面図をDLし損ねましたので正確な寸法は分かりませんが
投影用ドームが約4mという事から考えると、縦・横・高さは
大体1〜1.2m位ではないかと思います。
俺はその位の寸法で考えました。

>「プラネタリウムはいかがでしょ〜〜〜(パ〜〜プゥ〜〜〜♪)」
想像してコーヒー吹きました。
SDで描いたら可愛いでしょうね。

>>116
屑屋 「ほら見ろ、何の考えも無しに書き始めるから、こういう指摘が出るんだ」
ゆめみ「お客様、随分はっきりと仰いますね…。書いて貰えなくなっても知りませんよ」
屑屋 「心配するな。作者にそんな度胸は無い(キッパリ」
ゆめみ「お、お客様…(汗」

屑屋自身はまだそこまで知らない、という事にしておいてください…orz

なんか本当に突っ込みどころ満載ですね…。
第4章のストーリーとプロット、一応考え始めたけどどうしよう…。
118 ◆JENA/hfgHs :2006/09/29(金) 07:03:28 ID:MIH+fTuf0
連投スマソ
以前貼ったCOREへのリンクが復活していました。
三面図も見ましたが、>>117の予想より小さいですね…orz
SS的には小さい分には構わないのですが。

下のURLはCOREで管理している全国の自作プラネのリンク集です。
ttp://phe.phyas.aichi-edu.ac.jp/~phoenix/plane/planet_links.html
119名無しさんだよもん:2006/09/29(金) 08:13:00 ID:JuoOr4400
>>117-118

こまかいことは(@_@)キニシナイ!
決定的にアレなのは、ゆめみが言及しちゃってる「閑話休題」ぐらいだし、問題ないのではないかと。
まとめサイトを作る時にでも、さりげなく修正とか。

資料アリガタス
サイズはあの設計図を元にもう少し大きく作った、とかでもいいでしょうし。
120名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 02:10:45 ID:2kzkb9VH0
狭い工房・・・もとい、俺の部屋。
恒星球を叩き出す、俺のゴムハンマーのテンポに合わせて、ゆめみの鼻歌が聞こえてくる。



ゆめみ「♪アンドロー梅田の髪は〜 ちぢれたアフロのかたち〜♪」

屑屋「ちょwwwおまwwwww何か違うぞそれwwwwwwww」
121 ◆JENA/hfgHs :2006/09/30(土) 12:29:26 ID:CV1lXvuk0
>>119
有り難うございます。自分なりに頑張って書いてみます。
まとめサイトの件は現在検討中です。
(ここまで書き続けるとは自分でも思ってなかった)
俺自身、HPはおろかブログもやっていませんので
その辺の予備知識が何もありません。
友人に相談しながらやってみようかと思いますので、気長にお待ちください。

それと懸案でしたタイトルですが、>>47氏の案を取り入れまして

『binary〜ふたつのほしのゆめ〜』

としようと思います。
意味合いはほぼ>>47氏のレスにある通りですが
他にもいろいろなニュアンスも込めました。

屑屋 「結局他人の尻馬に乗っかっているのか」
ゆめみ「まあまあ、お客様…」

…性懲りも無く第4章を書き始めました。
生暖かく待ってやって下さい。
122名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 13:10:31 ID:ypAudDO60
>>121(勝手にイエナ氏と呼んでますが・・・)

タイトル決定おめでとうございます。
・・・さて、あの一発ネタを進めるとしましょうか(謎)

まとめサイトは、ヂヲシテーズあたりにアカウントを取ればOKかと。
123名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 20:51:32 ID:2kzkb9VH0
サントラの「human warrior」を聴いてたら、
「並みの人間では敵わぬ歩行・走行・運動機能を有している」ゆめみ(SCR5000x)がシオマネキと戦うシーンを想像した。

ハイヒールを脱ぎ捨てて、
「お客様、カバーお願いします!」とかいって、シオマネキに向かって駆け出し、
機銃をかわしまくって懐に飛び込み、外部端子に直接停止信号をぶちこむゆめみカコヨス

124名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 21:14:29 ID:ChF6otdk0
もっとトリガーハート風に
125名無しさんだよもん:2006/09/30(土) 21:40:27 ID:2kzkb9VH0
>>124

リボンの先端の端子をシオマネキにぶちこんで振り回すとか?



・・・もはやゆめみタンじゃないなorz
126名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 00:24:10 ID:U3rcsCrb0
そこでシャイニングフィンガーですよ
ゆめみ「ディアナのことがそんなに好きかーっ!」
屑屋「ちょwwwwそれ御大将wwwww」

…板違いスマソ
127名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 00:56:27 ID:irn/6LJG0
「あの子を・・・説得してみます!」

とかいってシオマネキの背中にとりつき、振り回されながらも必死でつかまって、

「お願い、わたしの言うことを聞いて!」

とかいいながらAIをクラッキング。


・・・こうして、一機のシオマネキが旅の仲間に加わるのであった。
128名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 06:17:24 ID:N5KCWlmI0
>>127
屑屋 「仲間にするのは構わんが、誰がメンテナンスすると思っているんだ?」
ゆめみ「……(じーっ)」
潮招き「……(じーっ)」
屑屋 「…」
ゆめみ「……(じーっ)」
潮招き「……(じーっ)」
屑屋 あーもう、分かったからそんなジト目で見るな」
129名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 09:11:31 ID:irn/6LJG0
しかしよく考えたら、心と感情を得たゆめみ(5000x)がシオマネキと対峙したら、
ビビリはいっちゃいそうな気もするなあ。
一度は自分を「殺した」相手なんだし。

最初は屑屋が、ビビって動けないゆめみをかばうように戦って、
♪ピンチの ピンチの ピンチの連続 そんなとき ほしのゆめみがほしいー♪
って感じで、勇気を振り絞って立ち上がるゆめみタンハァハァ。
130名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 10:57:40 ID:oFbOlC8U0
人が、そんなに便利になれるわけ、ない・・・
131名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 11:21:32 ID:9xN5vOK10
>>123>>127
少佐にしか見えない。ゆめみはそんなにごつくない。
132名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 12:07:06 ID:2lLa5YYm0
少佐だって言うほどごつくないやい!
133名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 12:20:05 ID:irn/6LJG0
うーん、MADRAXばりのヤンマーニな動きを想像していたんだが・・・
やっぱ違和感あるかな。

たしかに、あの「線の細さ」がゆめみタンの魅力でもあるしなあ。
ま、俺の妄想ってことでご勘弁をorz
134名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 19:49:29 ID:wDd1M4Mn0
どーいう展開にするかはともかく、シオマネキが仲間になる(する)というシチュは
ちょっと萌えるな。かつての敵と打ち解ける、みたいな感じもあるしな。

住居 兼 移動手段 兼 ゆめみの充電プラットフォーム・・・用途は多そうだ。
武装を解除して、機体を濃青+金の星空にカラーリング。上面には常設の投影ドーム。

ゆめみ「『馬鹿が戦車でやってくる』という、山田洋次監督の映画もあることですし♪」
屑屋「・・・お前なあ・・・・・・」
135名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 22:26:01 ID:irn/6LJG0
今日の数分ラクガキ。

ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1159709103.jpg


参考AA↓
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... ..:(   )ゝ (   )ゝ(   )ゝ(   )ゝ無茶しやがって… ..........
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..   三  |   三  |   三  |   三 |  ... ............. ........... . .....
...  ∪ ∪   ∪ ∪   ∪ ∪  ∪ ∪ ............. ............. .. ........ ...
  三三  三三  三三   三三
 三三  三三  三三   三三
  三三   三三  三三  三三
136Binary第4章「Dreamer」@:2006/10/01(日) 22:46:18 ID:2JBiCnEB0
目の前に、彼女がいる。
俺の目の前を歩いている。その先の闇へ向かって。
(待て)
言葉を掛けようとする。だが、声にならない。当然、彼女に俺の声が届くはずも無い。
間隔を詰めようと俺は走る。だが、俺との間隔は広がるばかり。
(待て…!)
それでも声にはならない声を目一杯張り上げる。
ふと彼女が歩みを止め、俺の方に振り返る。
(!)
湧き上がる様々な感情が複雑に入り混じり、俺はその場で言葉を失い立ち尽くす。
俺を一瞥すると、彼女は前方に向き直り、再び闇に向かって歩き出す。
いつの間にか、彼女との距離は途方も無く開いている。
彼女の行く先に、漆黒の闇が大きく口をあけている。
もう声を張り上げても届かない。
自分の無力さに、思わず絶叫しそうになる。

−彼女が俺を見たときの表情。
…その表情は、何とも形容し難い、寂しげで悲しげなものだった…。

「…」
目はとうに覚めていた。
冷たい空気に触れ、汗で湿ったシャツがひんやりと俺の背中に纏わりつく。
「…」
掌を見る。汗が滲んでいる。
ここ数ヶ月の間、何度も見る夢。
その夢が何を暗示しているのか。俺は解っていた。もう随分前から。
だが、その真実を知るのは…正直、怖かった。
137Binary第4章「Dreamer」A:2006/10/01(日) 22:47:08 ID:2JBiCnEB0
「プラネタリウムはいかがでしょう?」
彼女の澄んだ声が聞こえる。
「どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき…」
おそらく、いつものように戸口に立って、雨粒に向かって言葉を発しているのだろう。
そんな彼女の姿を想像しながら声を聞いていると、先ほどまで乱れていた心が少し落ち着くのが分る。
「満天の星々が、みなさまをお待ちしています」
(近いうちに、はっきりさせないとな…。自分の為にも、彼女の為にも…)
心の中でそう呟く。
「プラネタリウムはいかがでしょう?…」
俺はまんじりともしない気分を引き摺りながらも、それを振り切るように寝床から起き出した。

彼女が俺の家で再び目覚めてから、半年以上が経過していた。
もっとも、今の時代に暦を気にする奴は余程の几帳面か物好きか馬鹿くらいだろう。
暦どころか、この惑星に「季節」が存在していたことすら忘れかけている者もいるかも知れない。
そう思える程、代わり映えのしない天候が続いている。
彼女自身のエージングは、ほぼ完了している。旅先でのメンテナンスに関する目処も立った。
最近では、廃墟にいたときと同じように毎日「発声練習」に精を出している。
一方、「小さいイエナさん」の調整は、最終段階に入っていた。
現在は彼女のデータベースに登録されている投影用番組との擦り合わせを行いながら、各種不具合を調整している。
流石に「大きいイエナさん」との番組の全面共用は機械的に無理があるためだ。
当面は彼女が持っている番組を流用するが、今後自分たちで番組を作る必要も出てくるだろう。
投影用のドームは、直径4メートルほどの室内用エアドームと、万一室内に場所を確保出来なかったときのために
室外用でほぼ同じ大きさの分解可能な骨組みを組んだドームを製作した。
防錆のためにステンレス製の骨組みを持ち、防水加工を施したそれは、俺たちの仮住まいとしての役目も負っている。
全ては、旅立ちの時に向かって順調に流れていた。
…ただ一点を除いては。
138Binary第4章「Dreamer」B:2006/10/01(日) 22:49:48 ID:2JBiCnEB0
「…こうして、天に上げられ星座となった勇者オリオンは、それでもさそりが怖いのか、自分を刺したさそりの姿のない
冬の間だけ、天空にその堂々たる姿を現すようになったのです…」
天からの啓示のように、朗々と響き渡る彼女の声。
投影が終わり、俺は無言で彼女に労いの拍手を返す。
狭い室内に展開したエアドームの中。
機材調整と彼女のリハーサルを兼ねた何度目かの試験投影。
当然ながら、俺と彼女の二人だけの上映会だ。
彼女に一任した「小さいイエナさん」用の番組の編集も、思いの外違和感は無い。
その「小さいイエナさん」の調子はすこぶるいい。彼女との有線接続も全く問題はない。
こと操作に関しては、彼女自身が率先して常に有線接続で行うようになっていた。
現在ではイエナさん本体はもとより照明・音響に至るまで、投影は全て彼女が自身でオペレートしている。
彼女のデータベースを基に番組編成をしているのだから、その方が彼女もやり易いのだろう。
「お客様、今回の番組は如何でしたか?」
彼女がイエナさんとの接続ケーブルを外しながら、俺に向かって問い掛けた。
「ああ、悪くない。これならOKだろう」
俺は返事を返す。
「ありがとうございます。今回の番組は小さいお子様向けの番組でしたので、お客様の反応が
多少気掛かりでしたが、そう仰るのでしたら問題ありませんね。それでは、この編集内容で
わたしの蓄積データベースに登録します」
嬉しそうな表情で彼女は言った。
「さて、今日はこのくらいにしよう。片付けを手伝ってくれ」
俺が言うまでも無く、彼女はてきぱきと投影機周辺のケーブルを外し、纏めていく。
「…それから、片付けが終わったらコーヒーを入れてくれないか?」
機材の片づけがあらかた終わったところで、エアドームに空気を送り込むファンの電源を切りながら俺は彼女に伝える。
俺は最近、酒も煙草も嗜んでいない。酒はともかく、煙草は彼女と「イエナさん」にとって害になるだけだからだ。
最近の楽しみと言えば、秘蔵のキャメル1カートンで交易商から入手した本物のコーヒー豆で彼女が淹れてくれる
コーヒーだった。
以前、彼女が『お茶を淹れるのは得意』と言っていた通り、彼女はすぐに俺の好みの挽き方・淹れ方を理解してくれた。
「はい、わかりました」
彼女は明るい声で頷いた。
139Binary第4章「Dreamer」C:2006/10/01(日) 22:50:56 ID:2JBiCnEB0
機材一切が片付き、元の平静を取り戻した室内。
あちこち凹んだ金属製のマグカップの中で、彼女が淹れてくれたコーヒーがふくよかな香りを立てている。
その豊かな香りを嗅ぎながら、俺は一口啜った。
「…」
いつもと同じ、俺の好みのアメリカンである。その味は、不思議と俺の心を落ち着かせてくれた。
「…少しいいか?」
俺は、情報端末の前に座り「学習中」の彼女に声を掛けた。
「はい、如何なさいましたか?」
彼女は端末と自身を繋ぐケーブルを外して席を立ち、俺の座るテーブルに歩を進める。
「…座ってくれ」
「はい、わかりました」
そう言うと、彼女は俺の座るテーブルの向かいの椅子に腰をおろした。
さして大きくないテーブルだ。彼女の顔は目と鼻の先にある。
「…最近、お前自身の調子はどうだ?」
当り障りのない会話から切り出す。
「はい、お客様がわたしのエージングに細心の注意を払ってくださいましたおかげで、現在わたしの全機能は
正常に保たれています。1週間に一度、セルフメンテナンスプログラムを起動させて全機能をチェックしておりますが
現在の所、致命的なプログラムの損傷および急を要する部品の交換必要箇所は見受けられません。しばらくは
定期メンテナンスのみで十分運用が可能である、と私自身判断いたします」
「そうか…なら、イエナさんの方はどうだ?」
「はい、イエナさん本体の恒星投影および動作、月・太陽投影、惑星投影、星座絵投影、流星投影、天の川投影
青空・薄暮・夕焼け・朝焼け投影、RGB室内照明等の付属投影機、音響関係、そしてイエナさんとの
インターフェイスユニット等、全ての機器が問題なく稼動しています。もう少し微調整は必要かと思いますが
それも現時点でわたしが操作する際に修正可能な誤差の範囲内です。投影用番組の編集につきましても
わたしの基本データベースおよび現在までの蓄積データベースに登録されている番組の95%は
現在のイエナさんで投影可能となっております。残りの5%につきましても、1週間ほどで編集が可能です」
「そうか…」
140Binary第4章「Dreamer」D:2006/10/01(日) 22:52:06 ID:2JBiCnEB0
「…お客様?」
彼女が聞き返して来た。
「何だ?」
「…あまり顔色が優れないようですが、もしかして、お体の具合が悪いのではないですか?」
心配そうな表情で彼女が尋ねる。
「…いや、心配は要らない。悪いな」
極力平静を装い、俺は返答する。
「そうですか…。お体の具合が悪いようでしたら、すぐに言って下さい。医務室に連絡をとることは出来ませんが
わたしの蓄積データベースには医学に関するデータもございます。多少の怪我や疾患でしたら対応が可能です」
「ああ、そのときは頼む」
俺は彼女の申し出に感謝した。
(やっぱり隠し事は出来ないか…)
心の底で自分自身に対し苦笑いしながら、不躾だが俺は本題を切り出す事にした。
「ところで…」
俺の心の奥底で、魚の小骨のように引っかかる疑問。
旅に出るにあたり、唯一残った問題。
そして、最近俺が見続けている「夢」の根底。

「…俺がお前を再起動した事を、お前自身はどう思っているんだ?」

俺は、あのときの彼女との「約束」を果たす一心でここまで準備をしてきた。
間違いなくその筈だった。
…だが、いつの間にかそれは、俺の中で主たる目的ではなくなっていた。
−再起動、彼女の心と感情の発現、投影機の製作…。
彼女がこの世に再び生を受けてから今日までの半年間、彼女と共に日々を送る中で「約束」といった義務感とは
全く別の感情が俺の心中に生まれていた。
それを単純に「恋愛」として解釈することは俺には出来ない。
「恋愛」というよりはむしろ「父性」、と言った方が近いのだろうか。
(彼女の傍にいて、彼女と同じ夢を追いたい。そして彼女を守ってやりたい。例え自分の力が及ばずとも…)
この感情に気付いたとき、一度は頭からそれを否定した。
だが、一度気付いた感情が増幅するのにさほど時間は必要ない。
肥大する一方の感情の存在を、いつしか俺は認めざるを得なくなっていた。
141Binary第4章「Dreamer」E:2006/10/01(日) 22:53:34 ID:2JBiCnEB0
一旦認めてしまうと気になるのは彼女の方である。
彼女は確かにロボットだ。人間に尽くすのが本業である。彼女もそれは重々承知だろう。
あの時彼女が呟いた『忘れられぬ遠い日の約束』からもそれは明らかだ。
だが、「心」と「感情」を得た現在、今の彼女は並みのロボットよりも遥かに人間に近しい存在である。
楽しければ声を上げて笑い、悲しければそれを憂いて涙を流し、腹が立てば怒る事もある。
つらつらと考えていくうちに、俺の中にひとつの疑問が湧いていた。
(俺のしていることは、全て俺の一人善がりなのではないだろうか?彼女に無理強いをしているのではないか?)
彼女が完全に「ロボット」なら、割り切ることも可能だろう。
だが、俺自身、もはや彼女をそういう目で見ていなかった。
−俺にとって、彼女は「ほしのゆめみ」という「人間」だった。
「人間」であるならば、個人の意思を尊重したい。
俺の独善的な行為の犠牲にはしたくない。
彼女には彼女自身の完全な同意の上で、俺と共に旅に出てもらいたい。
それが俺の考えだった。
改めて確認する事ではないかも知れない。
正直、否定されることは全く考えていない。考えたくもない。
だが、それでも否定されることは当然考えられる。それを決定するのは他の誰でもない、彼女なのだから。
(もし否定されたとき、俺はどうすればいいのだろうか…。)
俺自身にとって最悪の結末のその後を、その時の俺に考えることは出来なかった。

「…」
沈黙。
俺はじっと彼女を見据える。
傍目からは、慎重に言葉を選んでいるようにも見える。
彼女の淹れてくれたコーヒーは、とうの昔に冷めている。
「…」
永遠とも思える沈黙の中、彼女の唇が動いた。
142Binary第4章「Dreamer」F:2006/10/01(日) 22:54:55 ID:2JBiCnEB0
「…お客様、わたしはロボットです。ですからわたしはお客様をはじめとします人間の方々のお役に立つことを前提に
作られています。わたしは「ポーラさん」の筐体と「学習」で、以前はたとえわたし自身がどんなに切望しても叶わなかった
多くの知識と共に「心」と「感情」を得ることが出来ました。ただし、ロボットとしての職務を遂行する上で、この2つは
時により邪魔になることもあります」
俺の意識が「邪魔」という言葉に敏感に反応する。
最悪の結末が一瞬頭をよぎる。
「…ですが、「心」と「感情」を得ることによるデメリットより、メリットの方が遥かに大きいことを、わたしはお客様を通じて
学びました。笑い、泣き、時には怒り…。そうした感情を全て包含したものが「人間」という存在なのだ、と。
そして、そのように考えましたとき、わたし自身がそういった感情を持つことで、わたしは以前より人間の為に、いえ
お客様のために働くことが出来るのではないか、そう考えました」
彼女の独白が続く。
「あの端末をお借りしまして学習し、結果、わたしはこの30年の間にこの世界に何が起こったかを理解しました。
あの時、わたしが申し上げました通り、この世界は確かに壊れています。正直なところ、わたし自身もいつまで
こうして地上に居る事が出来るのか、いつまでお客様と共にこの世に居る事が出来るのか、とても不安になります…。
そしてこの壊れた世界で、果たしてわたしは何が出来るのか、果たしてわたしが人間の為に役立てることはあるのか…。
それをわたしは毎日のように考えました」
彼女が悲しそうな表情を見せる。
だが、それはほんの一瞬の事だった。
「ですが、お客様がイエナさんに再び会わせてくださった時、疑問は全て氷解しました。
その時、わたしはこう決めたんです。
わたしは、今の自分に出来る精一杯のことをしよう。わたしがお客様やイエナさんと一緒にプラネタリウムを
上映することで、この世界に疲れ、夢を失った人々の心に夢と希望と宙(そら)への憧れを再び呼び起こすことが
出来るのなら、わたしはそれを全力で全うしよう、と。ですから、今はわたし自身の存在意義に、迷いはありません」
143Binary第4章「Dreamer」G:2006/10/01(日) 22:56:45 ID:2JBiCnEB0
「…それじゃ…」
何とか絞り出した声が震えている。
彼女は静かな微笑みと共に言葉を繋ぐ。
「…お客様に再起動していただきましたとき、わたしが涙を流したのを覚えてらっしゃいますか?」
…忘れられるはずもなかった。
「あの時の涙は、わたし自身、全く無意識のうちに流したものでした。
その時は、再起動による動作チェックだと思っていました。ですが、今でしたらはっきりと言う事が出来ます。
あの涙は、また人間の方々の為に働くことが出来ることへの喜びの涙だったんだ、と。
そして、それ以上にあの涙はお客様とまたお会いすることが出来たことに対する喜びと感謝の涙だったんだ、と…」
そして、彼女は俺に向き直り、こう言った。
「…お客様、これから先も、どうぞよろしくお願い致します。これから旅先で、どれだけお客様のお役に立てるか
分りませんが、わたしも出来る限りの事を精一杯頑張ります」
その言葉を聞いた俺の胸に、熱いものが込み上げるのを感じた。

…この瞬間、旅立ちに際しての全ての問題は霧散した。
そしてこの瞬間、俺と彼女は互いを「大切なパートナー」として認め合うことが出来たのだ。

安堵の中、冷めたコーヒーを啜っていると彼女が言って来た。
「…そして、出来ましたら、お客様には私自身の夢も叶えて欲しいのです」
「夢?」
「はい。本当にささやかな願いなのですが…」
…そして、旅の目的にもうひとつ「彼女の夢を叶える」という、新しい目的が加わった。
144Binary第4章「Dreamer」H:2006/10/01(日) 22:57:44 ID:2JBiCnEB0
−それから一週間後。

全ての必要な荷物を満載した内燃機関式のトラックの運転席と助手席に、俺と彼女の姿はあった。
化石燃料は高価であったがまだ民間に供給されている。主流の電動式では燃料電池が底をついたときに
対処のしようがない。
また、いざというときの彼女の充電と上映時の発電機としても活用する予定だった。
「…」
俺と彼女が同時に後ろを振り返る。
俺にとっては数年、彼女にとっては半年間の「我が家」が、名残惜しそうに雨に煙っていた。
人による手入れが無くなれば、そう遠くなく打ち果ててしまうだろう。
「行くか…」
「はい」
前を向く。
後ろは振り返らない。前だけを見つめて。
同じ夢を追い、同じ希望を抱き、同じ困難を乗り越える。
どれだけ出来るかは分らない。それでも彼女と共に、行けるところまで行こう−。

旅は今、始まったばかりだ。
145名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 23:16:54 ID:OmfvIKNG0
この連続カキコなに?
何かの嫌がらせか

うぜぇよバカ!
146 ◆JENA/hfgHs :2006/10/01(日) 23:27:34 ID:2JBiCnEB0
予定より大分早いですが、第4章アップにつき投下いたします、
いつものように大まかなストーリーとプロットを考えたら、後は一気に書き上げるので
おそらく」これまたいつものように突っ込みどころは満載です。

ゆめみと屑屋は旅立ちました。
この先どうなるのか、何が待っているのか、俺自身分かりません。
そもそも旅の終わりがどのような形になるのか、考えないままに書き始めましたから・・・。
うまく着地できるのか、ハードランディングさせる事になるのか・・・。
それはこれからじっくり考えようと思います。

今後のストーリーのための資料を集めなければならない関係上、投下のペースは鈍ると思います。
(というか、今までの投下のペースが異常だったと思います)
今のところこれで終わらせるつもりは無いですが、「もうええ」という方がいらっしゃれば
考えるかもしれません。
お目汚し、失礼しました。
147名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 23:49:28 ID:eAbISVso0
>146
GJ!
ゆっくりでいいので続きもヨロ!
148名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 23:50:00 ID:3BNyoVK90
乙&GJ!
毎度ながら、何度も読み返させてもらいました。
いま旅立ちの鐘がなる(@スクライド)、ってことで。

先についてですが、私はおもいきり期待しています。
お身体とかお仕事に差し支えないペースで、のんびり続けてもらえれば、と思います。
(ぼちぼち変なのも出てきましたしね・・・)
149名無しさんだよもん:2006/10/01(日) 23:53:27 ID:r1Cz80bM0
>>135
ワロタw
俺もゆめみ描こう
150名無しさんだよもん:2006/10/02(月) 00:18:48 ID:em6NOn2c0
>>146
いつもGJ!保存しとこ。


そういえば、こんな言葉があるなあ。
「煽り貶めは嫉妬の証、嫉妬は名作の証」
151名無しさんだよもん:2006/10/02(月) 01:11:25 ID:sAkOOWlO0
シオマネキにゆめみのメモリを入力ですか?
152名無しさんだよもん:2006/10/02(月) 06:12:19 ID:ZZJpX7/p0
>>120,126
    _, ._
  ( ・ω・)
  ○={=}〇,
   |:::::::::\, ', ´
.wwし w`(.@)wwww
153名無しさんだよもん:2006/10/02(月) 22:14:41 ID:flmkWCgZ0
ゆめみてはしる しのこー







うやー
154名無しさんだよもん:2006/10/02(月) 22:40:45 ID:em6NOn2c0
ゆめみ
「お客様、私の基本データベースによれば、そこは

♪ゆめみてはしる しのこぅぉぉぉぉ・・・   ・・・ぉぉぉぅやぁあーー♪

・・・としたほうが、さらに原曲に近づくと思うのですが・・・」

屑屋
(・・・こいつの基本データベース組んだ奴の顔が見たい・・・・・・orz)
155 ◆JENA/hfgHs :2006/10/03(火) 09:57:22 ID:wZPLvo750
>>147-148,150
拙いSSを楽しみにして下さって、本当に有り難うございます。
今後のストーリーを書くにあたり、プラネタリウムの番組をどうしても絡めたいので
知識としてこれからいろいろとプラネタリウムを見て回りたいと思っています。
(最後に見たのが十ウン年前に見たサンシャインですので…)
今月中に実物のイエナさんにも会いに行く予定です。

それから現在、まとめサイトについていろいろ考え中なのですが
その件で、皆様にお伺いしたいことがあります。

まとめサイトですが、ここ最近の流れを見ていて
このスレとプラネ本スレの二次創作総合サイトのように出来ないものか、と考えました。
イメージとしては、角煮の某鉄道擬人化スレのまとめサイトのイメージです。
需要がどれくらいあるのか、自分にサイト作成のスキルがあるのか、自分に
サイトの管理がきちんとできるのか、等、問題は山積ですが…orz
(一応自身はMIXIやってはいるけど半ば放置プレイですし…)

全くの思いつきなので、出来る出来ないはともかくとして
皆様のご意見をお聞かせ頂ければ、と思います。
156名無しさんだよもん:2006/10/03(火) 14:15:19 ID:/LLMCcX70
>>155

絵とかアイデアとか書いてる者です。
まとめサイトは他にもあるかもしれないので(ざっと検索した限りではなかったけど)、
まずは「binary」単体公開だけでよいのではないかと。
html書いてサイトを作るより、Wikiとかブログで始めた方が何かと楽ですよ。
ブログによっては、書き込みができるメンバーを追加できるものもあるので(RingBlogとか)、
他の作品が投稿されるようなら、メンバーとして追加していく方法もありますし。

mixiいらっしゃるんですか。
時に、どちらのコミュにご参加で?
157名無しさんだよもん:2006/10/03(火) 14:40:34 ID:6kWg4FW90
>>155
京急たんもじってイエナたんとか?(・∀・)イイ!
158 ◆JENA/hfgHs :2006/10/03(火) 17:26:00 ID:wZPLvo750
>>156
ご意見有り難うございます。
確かに最初から欲張らない方がいいかもしれませんね。
blogの話は参考にさせて頂きます。
(周りにblogやってる人間が一人もいないので)
皆様のご意見は引き続き承りたいと思います。

mixiですが、プラネはもとより葉鍵系のコミュには現在のところ参加しておりません。
似たようなコミュが多すぎて、どこのコミュに参加すればいいのか…。
159名無しさんだよもん:2006/10/03(火) 20:13:37 ID:fN51png90
>>158

「planetarian」で検索して13件、そのうち専門コミュが2件か・・・
参加人数が多いほうでいいのでは。
160 ◆JENA/hfgHs :2006/10/03(火) 22:01:03 ID:wZPLvo750
>>159
有り難うございます。多い方に参加登録しておきました。
トピックの方に書き込みもしておきましたので、>>156様、宜しければどうぞ。
(但し、私のマイミクに来てくださっても葉鍵のはの字もありません。ご注意を)
161名無しさんだよもん:2006/10/04(水) 13:41:19 ID:WGtsOhpB0
>>160
参加しました。どもです。
162名無しさんだよもん:2006/10/05(木) 11:16:51 ID:gTYyxchP0
>>157

イエナさんの擬人化か・・・・・




二つの恒星球が爆ちちに、ぐぼぁ!!
163名無しさんだよもん:2006/10/05(木) 12:45:37 ID:sFC6Aoz50
>>162
立派な玉が2つだから・・・イエナさんは「男」
ジェントル・イエナだし。
164名無しさんだよもん:2006/10/05(木) 12:51:27 ID:4GIITUT80
>>163

そこで女体化ですよw


・・・しかし、「ゆめみとイエナさんのらぶらぶえっち」というのもそれはそれで・・・ハァハァ
165名無しさんだよもん:2006/10/05(木) 14:12:44 ID:QGlr89nR0
>>162
立派な玉が2つって…
・(考え中)


信楽焼の狸の置物みたいなのを想像してしまった…orz
166名無しさんだよもん:2006/10/05(木) 14:23:35 ID:0CtrivEf0
ゆめみ
「私の基本データベース(医学編)によりますと、男の方の場合、脱腸の症状のひとつとして睾丸の肥大が・・・・・・」



屑屋
「・・・・・・悪気はないんだろうが、(見た目)女の子がそういうことを口にするもんじゃないぞ」

ゆめみ
「が・・・がお」
167名無しさんだよもん:2006/10/06(金) 02:11:33 ID:vSRKQOfR0
脳内でSSが2本進行中。
168名無しさんだよもん:2006/10/06(金) 22:54:05 ID:oCVbVJXL0
書け!書いちまえ!!
169167:2006/10/06(金) 23:15:40 ID:vSRKQOfR0
挿絵つきで行くのでちょっと時間おくれ。
170名無しさんだよもん:2006/10/07(土) 00:50:28 ID:1mvfO6J+0
脳内で白詰草話のOPに合わせて動きまくるユメミとアハトノインとシオマネキが〜
171Happening in planetarian(1/4):2006/10/07(土) 21:46:25 ID:j4SsljhS0
「・・・プラネタリウムはいかがでしょう?」

玄関のほうから、雨音に混じってゆめみの澄んだ声が聞こえてくる。

「どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき・・・」

封印都市の真ん中に建つ、廃墟と化したデパートの屋上。・・・人間など何処にもいないのに、よくぞ毎日精が出るものだ。

「・・・満天の星々が、みなさまをお待ちしています」

わたしの発声装置は、冷却用に取り込んだ空気を使って人工声帯を振動させる方式ですので、微調整のための発声練習は重要なタスクなのです、と彼女は言うのだが・・・


「・・・プラネタリウムは・・・きゃっ!」

どたっ!!がらがらがら!!

「!!どうした!何があった!?」

俺は銃を掴むと、玄関に向かって駆け出していた。
同業者の襲撃かもしれない。
同業者なら・・・・・・戦うだけだ。
172Happening in planetarian(2/4):2006/10/07(土) 21:47:08 ID:j4SsljhS0
「・・・申し訳ありません、お客様・・・」
時折吹き込む雨に濡れた玄関ホール。カウンターの脇にある土産物売り場。
商品に埋もれるように尻もちをついた、ゆめみの手を取って起こしてやる。

「大丈夫か?」
「はい、簡易自己診断の結果、新たな損傷および障害は検出されませんでした」

同世代の少女に比べると若干重い、という筐体と、ジャラジャラとしたアクセサリー類の詰まった段ボールのおかげで、彼女の転倒が派手な音となって響いたらしい。
狭い生活空間での衝突の危険性や、人間に与える威圧感を緩和するために採用されたという、筐体を包みこむ軟質の人工皮膚は、転倒のダメージをも緩和してくれたようだ。

「大変お見苦しいところをお見せいたしました・・・床面の摩擦係数が、想定以上に低下していましたもので・・・」
ひととおり土産物を片付けた後、ゆめみは深々と頭を下げる。
無理もない。玄関口に敷かれたウェルカムマットは、30年という年月と降り続く雨で、すっかりボロボロになっている。
雨に濡れたリノリウムタイルの床は、無骨なジャングルブーツを履いた俺でも滑りそうになる。
まして、ハイヒールを履いているゆめみとあっては、なおのことだ。

「その靴じゃ仕方ないだろう。気にするな・・・・・・ん、制服が汚れちまったな」
「それでしたら問題ありません。替えの制服がございますので・・・・・・すぐ着替えてまいりますね」
そういうと、ゆめみはそそくさと廊下の奥へ消えていった。


・・・さて、『イエナさん』の部品探しに戻るとするか。

当てにしていたゆめみが奥に引っ込んでしまったので、俺は当てずっぽうで館内を探す。

そして、今日4つ目の扉を薄目に開けた。
173Happening in planetarian(3/4):2006/10/07(土) 21:48:40 ID:j4SsljhS0
そこは、従業員用のロッカールームだった。
俺の目に飛び込んできたものは・・・

背中を向け、いそいそと服を脱ぐゆめみ。
・・・その下には、下着すらつけていない。

(!・・・は、はいてない・・・!?)
俺の目の前で、小ぶりな尻が揺れている。
俺の視線には全く気づかず、身に着けた最後の一枚・・・ブラウスを脱ぎにかかる。

・・・わかっている。相手はロボットだ。人間ではない。・・・わかっているつもりだ。
だが、彼女の素肌は、人間とほとんど変わらなかった。
制服に包まれ普段は見えなかった、その下までも。

あまりにもだしぬけに目に飛び込んできた、刺激的な光景。
俺の手から、握り締めていたスパナが滑り落ち・・・・・・キィン、と鋭い音を立てた。
俺に背を向けていたゆめみが、身体ごと振り返る。

ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061007214336.jpg

「・・・・・・お客様?」
きょとん、とした表情のゆめみと、
「・・・あ、いや・・・・・・」
引きつった笑いを浮かべる俺の目が合った。

無言の間。
先端にかすかな桜色のつぼみを備えた、小ぶりなゆめみの胸。
その胸が、「息」を吸い込んで膨らむ。

・・・・・・そして、次の瞬間。
「・・・きゃあああぁああああああぁああああああああああああああっ!!!!!」
耳をつんざくような悲鳴が、館内に響き渡った・・・・・・
174Happening in planetarian(4/4):2006/10/07(土) 21:49:16 ID:j4SsljhS0
「・・・ゃく様?お客様?大丈夫ですか?」
「いつつ・・・・・・なんて声を出すんだお前は・・・」
真新しい制服に着替えたゆめみに腕を取られ、上体を起こす。

「ふぅ・・・まだ耳がキンキンしてるぞ・・・」
「お怪我はございませんか?」
「ちょっと腰を打ったが・・・大丈夫だ」
「そうですか、安心しました」
「・・・・・・すまん、事故だ。悪気はなかった」

何はさておき、まずは謝る。
ロボットとはいえ女の子だ。着替えを覗かれるのは、やはりいい思いはしないのだろう・・・

・・・が、当のゆめみはといえば、にっこりと微笑んでこう言ったものだ。
「いいえ、お気遣いなさらないでください。私はロボットですから、特になんとも思ってはおりません」
「いや、しかしお前、さっきものすごい悲鳴を・・・」

微笑みを絶やさず、彼女は続ける。
「はい、私の基本データベースを参照しましたところ、このような場合、防犯のために大声を上げるべきと判断しました」

・・・知識で知ってるだけか・・・
思わず力が抜けてへたりこんだ俺の頭の上から、さらなる追い討ちが降ってきた。

「現在、警備室および警察機関への通報を実行しておりますが、受理されません。わたし単体では対応できない事態です。大変困りました・・・」


この時ばかりは、俺は警察組織がもう機能していないことに感謝した。
175名無しさんだよもん:2006/10/07(土) 22:30:54 ID:9ngSyioe0
>>171-174
GJ!! 173のゆめみの縦筋にハァハァ

漏れもゆめみエロ絵描いちゃうぞー・・・って、前に描いたのですまんが・・・。
ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20061007223009.jpg
176名無しさんだよもん:2006/10/07(土) 23:24:14 ID:ql+9ssMy0
>>171-174,>>175
うおおお、GJ!激しくGJ!
発送が貧困な折れにはここまでの想像は出来んかった…orz
177名無しさんだよもん:2006/10/07(土) 23:28:32 ID:j4SsljhS0
>>175

ハァハァハァハァ

毎度ながら髪の毛の流れの描きこみがすごい・・・どうやったら描けるのか教えてプリヅorz
178隠し機能発動?(ラフ):2006/10/08(日) 12:46:03 ID:G/rDgytA0

ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160277585.jpg

ゆめみ
「・・・これは・・・なんでしょうか・・・?
 お客様の・・・あの方のことを考えると・・・筐体温度が上昇・・・液漏れが・・・発生します・・・・・・
 わたしの機能・仕様説明データベースを確認しても・・・当該項目が・・・ありません・・・・・・
 わたし単体では対応できない・・・・・・重大な事態です・・・・・・
 ・・・とても・・・・・・困りました・・・・・・」


ゆめみは「量産型の試作機」なので、そのテの機能はソフトウェア的に殺してあっただけだった、ということでひとつ。
planetarianが普通のADVだったら、たぶんこういうルートもあったと思う(エー
179名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 20:34:37 ID:x7g2wVLp0
( ´Д`)ハァハァ
180名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 21:08:34 ID:lkI7Dx2B0
>>178のエロ絵に刺激をうけてうpしてみる
ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20061008210321.jpg
エロいゆめみは漏れには難しすぎましたが・・・(ノ∀`)

と、野暮なツッコミですが・・・ゆめみの耳カバー非対称でなかったでしたっけ?
ttp://miriam.sakura.ne.jp/image/img-box/img20061008210226.jpg
自分の資料用に作ったやつですが。

>>178氏のかわいいゆめみ絵もエロいゆめみ絵もどちらも好きなんで
これからも期待w
181名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 21:27:47 ID:G/rDgytA0
>>180
(´Д`*) ハァハァ

耳カバー、立ち絵だとそれなりに出っ張って見える(むしろ左より下に長い)ように見えたので、
そう描いたつもりだったけど、左と同じに見えてしまったモヨリorz
資料サンクス。清書版では描きなおしまする。

ゆめみ「清書・・・するんですか?(ジトーー)」
182名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 21:39:46 ID:vO9fvvmg0
何ですか、この素晴らしい一連の流れは。
絵師の皆様方は漏れを萌頃す御つもりですか?w

( ;´Д`)ハァハァハァハァハア / \ア / \ア
183名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 21:59:18 ID:G/rDgytA0
イベント絵を見直してみました。
うは、右は耳当て風のパーツ自体なかったのか・・・orz

184名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 22:13:45 ID:L4F/Od4uO
俺なんかコピペしようとした瞬間に
PCがいかれちまったぞww


・・・てかまじでPC起動しねぇ。
やっぱ壁紙をゆめみにしたのがまずかったか orz
185名無しさんだよもん:2006/10/08(日) 23:44:06 ID:bSNEIU1a0
>>184
「申し訳ございませんっ!」
186Binary第5章「Sisters」@:2006/10/09(月) 00:06:00 ID:T1q7PuKV0
「…客は今日もなし、か…」
おそらく俺は今、苦虫を噛み潰した表情でこの言葉を吐いているのだろう。
「お客様、そんな顔をなさらないで下さい。私の基本データベース及び、現在までの蓄積データベースによりますと
お客様は必ずいらっしゃいます。もう少し頑張ってみましょう」
いつの間にか、外で呼び込みをしていた彼女が戻ってきていた。
俺を励ますつもりで言ってくれているのは分かるが、その励ましも何となく空しく聞こえる。
「なかなか想像通りにはいかないものだな…」
誰に言うでもなく呟く。
しかし冷静に考えてみれば、それも当然の事だったのかもしれない。

今、俺達が居るのは元いた居住地域から北に50キロ程に位置する比較的規模の大きい居住地域だ。
それなりに人口もいるらしく、目抜き通りらしい広い通りには市街地が形成され「街」としての体裁が整っている。
5日前、俺と彼女はこの「街」の市街地の外れにある一軒の空家に入った。
全ての秩序が崩壊している今の時代、土地や建物の所有権の主張など死語に等しい。
余所者が空家に住みついた所で誰も何も咎める事はない。
逆説的に言えば、それだけ治安が悪化しているとも言えるのだが…。
空家はつい最近まで人が住んでいたのだろう、以前の俺の家くらいの大きさで決して広くはないがそれほど傷んではいない。
テーブルや椅子などの調度品もある程度残っている。
室内でエアドームを展開するのには十分な広さだった。
電気は外の個人用風力発電機がまだ生きているらしく、全く問題なく使えたのは幸運であった。
「この家にお住まいだった方は、どうしてしまったのでしょうか…」
住みついた当初、彼女はそんなことも言っていたが、残念ながら前の家主の仔細を示すようなものは遺されていなかった。
兎にも角にも、「会場」の確保は出来た。あとは「客」が来てくれれば何の問題もなかったのだが…。
187Binary第5章「Sisters」A:2006/10/09(月) 00:06:54 ID:T1q7PuKV0
「やり方がまずいんだろうな…。何かいい考えはないか?」
早めの夕食後、コーヒーを飲みながら俺は彼女に意見を求めた。
「そのようなことを言われましても…」
困ってしまう、といった表情で彼女が答えになっていない答えを返す。
彼女自身は「学習」により知識は豊富に備わっているはずなのだが、どうも肝心なところでその知識が生かされない。
物の詰まった引出しだけは山のようにあるが、いざ物を出そうとしたら引出しが固まって動かない箪笥のようなものだ。
(どうしてこれで「心」と「感情」が理解できたんだろうな…)
思わず全く関係ないことを考えてしまう。
「人はいるんだがな…」
椅子の背もたれに寄りかかりながら、大きな溜息とともに言葉を吐き出す。
最大のネックは、プラネタリウムが何であるか、知っている人間があまりにも少ないことだ。
あの時の俺がそうだったように。
大戦前の娯楽など、今の若い世代にとっては伝説でしかない。
老人ならある程度知っているだろうが、懐かしさを求める老人だけを誘ったところで根本的解決にはならない。
勿論俺とて、全く手をこまねいていた訳ではない。
客商売などやったことはなかったが、自分に考えうることはやってみた。
市街地で手製のビラ配りもやったし、彼女と一緒に呼び込みもやった。
…だが、結果は無残なものだった。
「何がいけないのか私にはわかりませんが、何か別の方法を考えないといけないようですね…」
さすがに彼女も、ここまで周囲が無反応だと多少ならず気落ちしているようだ。
「もう一度、一から考え直してみるか…。蓄えは今の所まだあるからいいが…」
食料をはじめとする蓄えはまだ余裕がある。
だが、この状況が続けばさすがにまずいだろう。
「そうですね。わたしももう少し考えて…?」
話していた彼女の言葉が突然止まる。
「どうした?」
「…玄関の付近に何かいます。わたしの感熱センサーに反応がありました」
いつもより声のトーンを落として、彼女は俺の疑問に答えをくれる。
コンパニオンロボットにはあるまじき機能だが、こういうときは便利ではある。
188Binary第5章「Sisters」B:2006/10/09(月) 00:08:19 ID:T1q7PuKV0
しかし…何だ?
客?いや、違うだろう。投影の予定時間ではない。
何か苦言を呈しに来た者でもいるのだろうか?それならまだいいが…。
そうでないとしたら何だ?…まさか夜盗の類か?
「何かは特定できるか?」
「…熱源の反応は1。只今玄関前で静止しました。熱源の平均温度はおよそ36.5度。推定身長は…およそ120cmです。
…お客様、おそらく人間の子供ではないかと考えます」
警戒を解いたかのように、いつもの口調に戻った彼女が言った。
その言葉を聞き、俺も緊張を解く。
…ちょっと待て。
「子供?」
「はい、子供です。性別までは特定できませんが、私の基本データベース及び、現在までの蓄積データベースと照合した結果
ほぼ間違いなく平均年齢5〜6歳の人間の子供だと思われます」
「何だってこんな時間に、しかも一人で…」
時計を見ると、午後6時前。日は落ちている。
普通であれば、子供が一人で外出する時間ではない。
「とりあえず様子を見に行ったほうがよろしいと考えます。わたしが行って来ましょうか?」
「いや、俺も行こう」
彼女の問いにそう答えながら、俺は椅子から立つ。
「動きは?」
「特に先程から目立った動きはありません。玄関前に立っています」
相手が子供だと分かっても、やはり緊張する。
「…開けるぞ」
「はい、お願いします」
彼女の返事を背中に聞きながら、俺は玄関の扉を開け放った―。

「何だってこんなところに居たんだろうな…」
彼女に問う。
俺の目の前では、コッフェルの中で脱脂粉乳入のオートミールの粒が煮られて踊っている。
「そのようななことを言われましても…それはこの子に聞いてみない事には、分かりません…」
傍らで、シャワーを浴びさせた「少女」の髪を丁寧に拭いてやりながら、彼女が返答した。
189Binary第5章「Sisters」C:2006/10/09(月) 00:10:25 ID:T1q7PuKV0
その「少女」は雨の降りしきる中、じっと佇んでいた。
年の頃は5〜6歳、伸長は120cmといったところ。
図らずも彼女のセンサーの高性能さが実証された形である。
全身びっしょりと濡れてはいるが、それほど薄汚れた風体はしていない。
孤児というわけでは無さそうだ。
幼児にしてはあまり飾り気はないが、比較的小奇麗な服装をしている。
その右胸に光る、漫画にでも出てきそうな形の銀色の星型のブローチが小奇麗な服装に似合っていた。

「わたしの服に適当な持ち合わせがありませんでしたので、お客様の服を一枚お借りいたしましたが、よろしいでしょうか?」
もう貸しておいて「よろしいか」も何もないと思うが、一応答えておく。
「ああ、別に構わない」
そう返答しながら、少女を見やる。
「…」
少女はこちらに対する警戒を解こうとしないのか、無表情な眼差しでこちらを見ている。
着替えの代わりに俺のスウェットを着ているが、当然袖や襟首や裾はかなり余っている。
いつの間に付け替えたのか、右の胸には銀色の星のブローチ。余程大切な物なのだろう。
それよりも改めて少女の顔を見て、俺は軽い驚きを禁じえなかった。
丈こそ肩口くらいだが、真っ直ぐに伸びる銀髪。
くりくりとした大きな深緑の瞳。
外見から受ける印象は、年齢の違いこそあれ、彼女とよく似ている。
ロボットなのでそんな事はあり得ないのだが、もし彼女に幼年時代があったとしたらこんな感じだろう。
「妹だ」と言っても、おそらく異論を唱えるものはいない筈だ。

「はい、どうぞ。熱いですからお気を付けくださいね」
彼女がオートミールを少女の傍のテーブルに置く。
が、少女は石像のようにその場から動こうとしない。
おそらくまだこちらの事を完全には信用していないのだろう。
そんな少女の様子を見て、彼女は少女の元に歩み寄った。
190Binary第5章「Sisters」D:2006/10/09(月) 00:11:46 ID:T1q7PuKV0
少女の前まで来ると、膝を折り、視線を少女と同じ高さに下ろす。
そして優しく微笑みながら、少女に向かって問い掛け始めた。
「こんばんは、わたしはコンパニオンロボットのほしのゆめみと申します。あなたのお名前を教えてくださいますでしょうか?」
自己紹介。
相手が子供であろうと、妙に丁寧な口調は変わらないらしい。
だが、少女の警戒は確かに緩んだ。
口調が可笑しかったからか、彼女が(見た目は)同姓であるからなのか、彼女が同じ目線で話してくれたからなのか…。
「…ポーラ…」
表情はまだ幾分硬いが、少女の口から小さな言葉が漏れた。
「ポーラ、ですか。いい名前ですね。…そうそう、実はわたしにもあなたと同じ名前の姉がいたんですよ…」
と、彼女は今度は少女の素性そっちのけで自分の素性を話し始める。
「…」
興味津々と言った感じで彼女の話に聞き耳を立てる少女を尻目に、俺の頭は軽い痛みを訴えていた。
(まあ、緊張がほぐれてくれるなら、いいか…)
少女も俺と話すよりは彼女の方が話し易いだろう、と割り切って彼女と少女の会話を見守ることにした。
ちゃんと少女の素性を聞き出せるかどうか、甚だ疑問ではあったが…。

テーブルの上のオートミールが冷え切った頃、ようやく彼女と少女の話が終わった。
話といっても、彼女が自身と俺の成り立ちを話し、それに少女が相槌を打つものが大半で、彼女の素性の話は最後の数分だけ。
まあ、それでも忘れずに聞いたのだからよしとすべきだろう。
少女の名前は、ポーラ。
両親は物心ついたときには既になく、現在は市街地を挟んでここと丁度反対側に位置する家で同じ境遇の子供たちと一緒に
暮らしているとの事だ。
知り合いのところへ向かう予定だったが、あまり家から外へ出たことがないため道に迷ってしまい、ここに辿り着いたらしい。
191Binary第5章「Sisters」E:2006/10/09(月) 00:12:57 ID:T1q7PuKV0
「とりあえず今日はもう遅いし、ここで預るか…」
冷えたオートミールを温め直しながら、彼女に提案する。
手近な連絡の手段もないし、今から外出するのは大人同伴でも危険過ぎる。
明日、朝になったら送っていけば良いだろう。
「そうですね、わたしもその方がいいと考えます」と、彼女。
そう言う彼女の腰の辺りに、ポーラが抱き付く様な格好でぶら下がっている。
どうやら、すっかり彼女に懐いてしまったらしい。話が終わってからも、彼女の元を全く離れようとしない。
(あの話の内容で、何で懐くんだ…)
またしても軽い頭痛が襲ってくる。
どうやら俺は幼児の思考回路を理解するにはまだまだ勉強が足りないらしい。

ポーラがオートミールを食べ終わったのを見計らったかのように、彼女がいきなり俺に話しかける。
「お客様、ポーラさんにプラネタリウムを見せてあげようと思うのですが、如何でしょう?」
『プラネタリウム』という言葉が出た途端、彼女のとなりでポーラが期待に目を輝かせる。
あまり言葉を発する事は無いが、子供らしく表情は豊かな娘だ。
確かに、彼女がポーラにした話の中で、俺達が『プラネタリウムと言う機械でお星様を見せる事ができる』と言う話はした。
その話を聞いたポーラが、興味を惹かれる様子も手にとるようにわかった。
「しかし…」
あまりにも唐突な話である。
イエナさんは調整のために出してあるが、他の機材は全て片付けてしまっている。
ドームを介さないで投影することは可能だが、番組をつけることは無理だ。
「投影だけなら出来るが…それでもいいのか?」
彼女に念を押す。
「はい、イエナさん以外の機材は片付けてしまっておりますので、部屋に直に投影してわたしが星の解説をするだけになりますが
それで十分です。お客様にご迷惑やご心配をお掛けする事はないと考えます」
懇願するかのように、深緑の光学樹脂の瞳を俺に向けながら言う。
彼女の後ろで、ポーラが彼女と同様に深緑の瞳でこちらを見るのが伺えた。
ここまでされて、訴えを反故にするのはさすがに野暮というものか…。
「…分かった。準備するから待ってろ」
結局、俺が折れた。
192Binary第5章「Sisters」F:2006/10/09(月) 00:14:15 ID:T1q7PuKV0
「はい、ありがとうございます」
彼女が歓喜に満ちた表情で礼を言った。
「では、ポーラさんにはこれを…」
そう言って振り返った彼女が少女に差し出したものは…一輪の白い花。
よく見れば、花弁の部分はエアドーム作成時の端切れ、中心には黄色い何かの飲料のキャップ。
そして茎に当たる部分はどこからか拾ってきたであろうフレキシブルワイヤー。
紛れもない造花である。
「…?」
世にも珍妙な「花」を受け取ったポーラは、当然のことながら困惑の表情を浮かべて彼女を見る。
そんな少女の動揺をよそに、彼女は廃墟であの時俺に言ったように、満面の笑みと共に言った。
「おめでとうございます。あなたは当プラネタリウムの初めてのお客様です」

テーブルを片付けただけの部屋。
中央にイエナさん。その脇に俺と彼女。
そして、彼女の膝の上には、ポーラ。
これから起こる事を、期待感を表情に滲ませながら待っている。
その小さな手には、彼女の手作りの「花」が握られている。
「…しかし、いつの間にあんな花を作ったんだ?」
先程からの疑問をぶつける。
「はい、やはり初めてのお客様は丁重にお迎えしたいと考えまして、仕事の合間を見て作りました。本来でしたらちゃんとした花束を
お渡ししたかったのですが、残念ながら生花はございませんので自分で作ってみたんです。それでも時間がなかなか取れなくて
出来たのは一輪だけでしたが…」
俺の知らぬところでのそんな彼女のささやかな気遣いに、素直に感心した。
「…すまんな。そこまで気が付かなかった」
「いいえ、気にする事はありません。お客様に対して最大限の敬意を払うのは私達コンパニオンロボットの務めですから」
事も無げにそう言ったが、事務的な声音ではない。
自らの仕事に心からの「誇り」を持っている事がその言葉から伺えた。
193Binary第5章「Sisters」G:2006/10/09(月) 00:15:39 ID:T1q7PuKV0
「じゃ、落とすぞ」
「はい、お願いします」
イエナさんとの接続ケーブルを左耳のコネクタに接続しながら、彼女が返す。
それを確認して、俺は部屋の電灯を落とした。
「…!」
ポーラが暗闇への不安からか、少し息を呑む。
だが、それも一瞬の事。
軽い動作音の後、イエナさんの内部の恒星電球が点灯される。
直後に広がる、幻想的で神秘的な世界。
「わあ…」
少女の口から、感嘆の溜息が漏れる。
ドーム内ではないため、それぞれの恒星の焦点は合っていない。
綺麗に投影されているものもあれば、少々ピンボケの星もある。
だが、少女にとってそんな事は些細な事だろう。
おそらく、話の中だけでしか知らなかったであろう星空。
どんなに望んでも、ちらと見ることさえ叶わなかった星々の煌き。
擬似的なものとはいえ、それが今、少女の目の前にある。
目の前に広がる幻想的な光景に、少女は完全に目を奪われていた。
「これが、晴れていれば今日ここから見ることが出来る星空です」
彼女が膝の上のポーラの満足気な様子を見ながら、諭すような優しい口調で言う。
「天井の方を御覧ください。ひときわ輝く7個の星が分かりますか?」
彼女がその方向を指差しながら、ポーラに問う。
「うん…」
首を一杯に伸ばし、こくこくと頷きながらポーラは答える。
「どのような形に見えますか?」
「…スプーン」
「そうですね。スプーンか柄杓に見えますね。昔の人たちも今のポーラさんと同じようにあの星々を見ていたんです。
昔の人たちは、星達に自分たちの間に伝わるお話や言い伝えを重ね合わせて、宙(そら)をカンバスに見立てて色々な物語を
書いていたんです。そういった、昔の人が星と星を結んで宇宙に描いた絵が”星座”というものなんです」
「…」
ポーラは感心するばかりだ。
194Binary第5章「Sisters」H:2006/10/09(月) 00:17:26 ID:T1q7PuKV0
「あのスプーンの先の方にある2つの星を頭の中で線で結んで、天井の中心の方向に伸ばしてみてください…。出来ましたか?」
「うん」
「線の先…丁度天井の中心くらいに、明るく光る星がひとつあるのが分かりますか?」
「うん」
「あれが、天の中心にある星。北極星…ポラリスといいます。私の姉の名前の由来になった星です」
その星を見た少女が少し寂しげな表情をしたのを、俺も彼女もその時は分からなかった…。

彼女の星の説明が続く。
凛としていながら、それでいて温かみを感じさせる言葉の調べ。
ふと、横を見やる。
彼女が椅子に座って、星空を指差しながらにこやかに話している。
それを聞きながら、満天の星に目を輝かせる彼女の膝の上のポーラ。
(…本当に姉妹のようだな…)
そんなことを考えた。

「…そして、あそこに赤く光輝く星が…あら?」
優美な言葉の調べが、不意に終わった。
「どうした?」
「…どうやら、眠ってしまったようです」
声量を落として、彼女が俺の疑問に答える。
見ると、彼女の胸の中には満足そうな表情を浮かべながら、規則正しい寝息を立てるポーラの顔があった。
その手には、彼女がくれた「花」が握られたままだ。
「床を作ってやるか…」
そう言って席を立とうとする俺を、彼女がやんわりと静止した。
「いえ、このままで構いません。このまま眠らせてあげてください」
「しかしなあ…お前はいいのか?」
「はい、わたしはもう少し経ちましたら、このままスリープモードに移行させていただきますので特に問題はありません。
それに、ポーラさんの幸せそうな寝顔を見ておりましたら、何故か床に就かせる事がためらわれまして…何故なのでしょうか?」
「そんな事は分からん。俺に聞くな」
ぶっきらぼうに答える。
「そうですか…。でも、わたしはこのままで一向に構いません。お客様の方こそ、お休みになられたほうがよろしいと考えます」
「ああ、もう少ししたらな。」
195Binary第5章「Sisters」I:2006/10/09(月) 00:18:50 ID:T1q7PuKV0
それからしばらく、何をするでもなく彼女とポーラと星空を交互に眺めていた。
昼間の尖った雰囲気を忘れさせるように、ただ穏やかに流れてゆく時間。
(たまにはこういうのも悪くないな…)
そう思っていたとき、俺の耳に彼女の言葉が聞こえてきた。
(何だ?)
呟くようにその口から紡がれる優しい言葉の群れ。
(これは…歌?)

あかいめだまの さそり ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだめの 小いぬ、ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ つゆとしもとを おとす、

アンドロメダの くもは さかなのくちの かたち。
大ぐまのあしを きたに 五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは そらのめぐりの めあて。

胸の中のポーラの銀髪を優しく撫で擦りながら、彼女が歌っていた。
聞いた事もない歌だった。
しかし、温かな歌だった。
星空の下、安らかな眠りの中の少女を労わり、その寝顔を慈しみのこもった眼差しで見つめる彼女。
とても幻想的で、心洗われる光景だった。
196Binary第5章「Sisters」J:2006/10/09(月) 00:20:23 ID:T1q7PuKV0
「あ…お客様、起こしてしまいましたか?申し訳ありません」
俺の気配に気付いた彼女が、歌を中断してこちらを向く。
俺は眠っていたものと思っていたようだ。
「いや、寝ていた訳じゃない。すまなかったな」
俺の方こそ邪魔をした、と言う意味も込めて謝罪する。
「いいえ。気になさらないで下さい。それに、もうそろそろわたしもスリープモードに移行しなければなりませんので」
「そうか…」
俺は席を立って、彼女の傍に向かった。
ポーラを抱きかかえている為、両手が塞がっている彼女の左耳から接続ケーブルを外してやる。
「ありがとうございます、お客様。次の起動は明朝9時です。それでは、おやすみなさい…」
彼女は静かに礼を言い、そして、目を閉じた。
その胸に自分によく似た少女を抱いたまま。
「ああ、おやすみ」
聞こえている筈はないのだが、俺は彼女に言葉を返した…。

浅い眠りの中、彼女の声が聞こえてくる。
「…客様…お客様……」
少しづつ意識が覚醒していく。
「…お客様……お客様……!」
瞼を開き、焦点を目の前に合わせる。
ぼんやりしたものが像を結ぶと、そこには彼女の狼狽した顔があった。
「どうした!?」
明らかにいつもと異なる彼女の様子に、一気に意識の覚醒が完了する。
「はい…、朝私が起動しましたところ、ポーラさんが見当たらないのです。私の身体に残った残留体温から推測しますと
午前6時くらいにここを出たものと考えられます…」
「何だって?」
時計を見る。
9時を少し回ったところだ。
「お客様、ポーラさんは一体、何処へ行ってしまったのでしょう…。私単体では対処できない、重大な事態です。とても困りました…」
「慌てるな。まずは落ち着け」
自分に言い聞かせつつ彼女に言いながら、部屋を見渡す。
197Binary第5章「Sisters」K:2006/10/09(月) 00:21:23 ID:T1q7PuKV0
ハンガーに架けておいたポーラの服はきれいさっぱり無くなっており、代わりにスウェットが吊るされている。
間違いなく、昨日貸した俺のスウェットだ。
ハンガーに手が届かなかったらしく、ハンガーの下には椅子が置いてある。
「一体、どうしたというんだ…」
呟きながら、ハンガーの下に目を落とす。
ふと視界の中で、何かが光った。
「何だ?」
確認するために、その場所へ近づく。
「これは…」
後を追ってきた彼女が声を漏らした。
光ったもの。それは少女が大切にしていたであろう銀色の星のブローチ。
そして、指に水をつけて書いたのか、床に吸い込まれて今にも消えそうな、いかにも子供らしい整わない文字。
そこには、こう書き記されていた。

『ありがとう』

その日の投影は、中止した。
俺と彼女は、少女を探すために雨の中を奔走した。
だが…
家があると言っていた市街地の反対側には、空き地が広がるばかり。
彼女の撮影していたホロスナップを見せても、返ってくる言葉は『知らない』ばかり。
さして広くも無い街なのに、手掛かりが一向に掴めない。
俺も彼女も、気ばかりが焦る。
狐につままれるというのは、まさにこういう事なのだろう。
…やがて、少しずつ辺りに夜の帳が下りるころ、街中を隈なく探した俺達は、大量の疲労と脱力感に襲われながら家路に着いた。
結局、少女の行方を掴む事は出来なかった…。
198Binary第5章「Sisters」L:2006/10/09(月) 00:22:41 ID:T1q7PuKV0
「お客様…、ポーラさんは一体、どうしてしまったのでしょう…」
悲しげに彼女が問いかける。
「…」
俺にも分かるはずは無かった。
手掛かりが全く無い以上、冷たいようだがこれ以上探すのは徒労に終わる可能性が高い。
結局、投影の合間に探す事は探すが、投影自体は翌日より今まで通り行う事とした。
「…わかりました…」
到底承服出来ないのは俺にも十分わかる。
しかし、それでも半ば強引にでも彼女に納得してもらうしかなかった。
「すまない…本当に…」
「いえ…仕方ありません…」
その日は、互いに悔恨の念を残したまま過ぎて行った…。

翌日から、俺と彼女は表面上はいつものように振舞った。
もちろん、ポーラの事は気になる。
だが、気にしてばかりもいられなかったのもまた、事実だった。
…そして、決して見逃せない変化があった。
「客」が来たのだ。
それも、子供ばかり。
さすがに子供から金は取れないが、ここまで来てくれた以上お客には変わりない。
投影の準備を進めながら、横で彼女が子供たちに何気なく尋ねた。
「ここの事を、何処で知ったのですか?」
少し気の弱そうな女の子がためらいがちに答える。
「…銀色の髪をした女の子に教えてもらったの。『ここでとってもきれいなお星様を見せてくれる』って」
「!」
俺の機材を持ち上げる手が止まった。
「!…」
彼女も同様のようだ。
「もしかして、その『銀色の髪の女の子』というのは、この子の事ですか?」
彼女が子供たちにホロスナップを見せる。
浮かび上がった映像を見て、直ぐに答えが返ってきた。
「うん、この子だよ。でも、気が付いたらどっかに行っちゃってた」
199Binary第5章「Sisters」M:2006/10/09(月) 00:24:09 ID:T1q7PuKV0
「どなたかこの子の事はご存知ですか?」
彼女がさらに問い掛ける。
その言葉に、自然と熱が帯びている。
「ううん、ぜんぜん知らない子だよ。多分この街の子じゃないと思うけど。ねえ?」
「うん、僕も見たことない」
「私も」
「そうですか…どうもありがとうございます。失礼いたしました」
子供たちに深々と一礼して、彼女は俺の元に駆け寄る。
「お客様…」
「ああ」
少女は…ポーラは…、一体、何者なのだろう…。
「お姉ちゃーん、まだ始まらないのー?」
子供達の声に、現実に引き戻された。

「お客様…」
子供たちが全員満足気に帰った後で、彼女が俺のところに歩み寄った。
「…確信も科学的根拠もございませんでしたので今まで言いませんでしたが、もしかしてポーラさんは…」
彼女の言いたい事は、すぐに理解できた。
「…ああ、おそらくその通りだと思う」
だから俺は、そう言葉を返した。
非現実的かもしれないが、そう考える事が一番納得が出来た。
俺にとっても、彼女にとっても。
200Binary第5章「Sisters」N:2006/10/09(月) 00:25:30 ID:T1q7PuKV0
「そうですよね…。」
そう呟いて、彼女は玄関へ向かう。
扉を開けて、濡れるのも厭わず外へ出た。
「やっぱり”ポーラさん”は、私のことをちゃんと見ていてくれていたんですね…」
しとしとと降る雨の中、空を見上げながら、彼女は感極まったかのような口調で言った。
「ありがとうございます…。これからも私達が道に迷わないように、見守っていてください…」

その瞳には、間違いなく見えていただろう。
分厚い雲の向こう、はるか彼方の天の北極に光る星。
彼女の「姉」の、そして一夜を共にした初めての客である「妹」の名前の由来になった星が。

空を見上げる彼女の帽子には、あの銀色の星のブローチが雨に濡れながら光っていた…。
201 ◆JENA/hfgHs :2006/10/09(月) 00:34:06 ID:T1q7PuKV0
何だか流れをぶった切ってしまうようで恐縮ではありますが
第5章アップに付き投下いたします。

最初のうちは「ざしきわらし」的なストーリーを考えていたのですが
いつの間にかこうなってました。
おまけに無闇に長い…。自分の表現力の無さが恨めしいです。
上限15レスと決めて書きましたが、ぎりぎりになってしまいました。
改行も思ったとおりにいかないし…。SS職人さんたちは凄いです。

流れ的にはディナーの後のデザートにもならないかもしれませんが
良ければ読んでやってください。
202名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 00:53:52 ID:eKSWGg+W0
>>201
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   グッジョブ!!
     /    /
いい「夢」を見させてもらったぞ。

…ところで、「アハトノイン」って何なんだ?
小説版持ってなくて分からない…ぐぐっても分からない…
203名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 01:29:41 ID:54Jjpbz/0
第5章キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
あいかわらずええ話や・・・・(感涙)
「星めぐりの歌」を流しながら読み返そうっと。


最近えろ方面ばかり描いてる自分が恥ずかしくなるわけで。orz
でも、やめられないのも性なわけで。w
204名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 02:43:42 ID:54Jjpbz/0
時に、SS書くとなると、改行制限はきついですなぁ。
俺みたいに、改行の数で「間」を取るような書き方をするタイプの人間には特にキビシイ。
着替えSS(w)でもかなり詰めちゃったし。
205名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 08:03:00 ID:/9PANHP00
えらい夢を見てしまった・・・(´Д`;)

ゆめみ(本編版のほう)が他の屑屋にさらわれて、ブローカーに売られる。
そのブローカーは、ゆめみを高級娼婦に仕立てて客を取らせようと、彼女を
改造して本来ついていなかった涙を流す機能(高級機の横流し)とか、
えっち機能(アハトノインの(ry))とか、各種の擬人化機能を組み込む。
で、いよいよAIのプログラムに手をつけようというところで、屑屋が突入、
ゆめみを救出する。

こうしてゆめみさんは、多少のトラウマと、屑屋への愛情と、屑屋と
愛し合える能力を手に入れる。

ある夜、スリープモード(兼・記憶データの整理)中、「悪夢」にうなされて
ゆめみは目を覚まし、隣で眠る屑屋を見ているうちに・・・

んで、夜這い、と。



・・・・・・きっと疲れてたんだな。orz
206『planetarian another -ときをこえたゆめ-』(1/2):2006/10/09(月) 09:02:35 ID:54Jjpbz/0
俺は最近、毎日のように同じ夢を見る。

核戦争後の地球。降り止まない雨。
封印された都市、その廃墟の中に建つデパート。

プラネタリウムで出会う、一人の少女。

少女のために、動かない投影機を修理する。
少女が紡ぐ、星の夢に包まれる。
少女と共に、雨に煙る廃墟を歩く。

・・・そして、少女は巨大な戦車に撃たれ・・・・・・


いつも、そこで目が覚める。
あとに残るのは、じっとりとした寝汗、軽い頭痛・・・

・・・そして、後悔にも似た・・・喪失感。



夢の中、やけにはっきりとした存在感をもって現れる、頭上にドームをいただいた古いデパート。
手がかりを求め、ネットサーフィンをしていた俺は、とあるデパートのサイトにたどり着いた。
トップページを飾る、デパートの外観画像。
・・・その画像に、釘付けになった。

威風堂々とした建屋、そして屋上のプラネタリウム。
デパートの名前は・・・・・・花菱デパート。

間違いなく、あの夢に出てくるデパートだった。
207『planetarian another -ときをこえたゆめ-』(2/2):2006/10/09(月) 09:05:23 ID:54Jjpbz/0
翌日、仮病を使って会社を休んだ俺は、そのデパートの屋上にいた。
抜けるような青空。平日の屋上遊園地は、人影もまばらだ。
プラネタリウムへ続く、テント屋根のついたアプローチを歩いていると、風に乗って澄んだ声が聞こえてくる。
 
「・・・プラネタリウムはいかがでしょう?」
―初めてのはずなのに、聞き慣れた声。
「どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき」
―懐かしさにも似た、狂おしいような感情。
「満天の星々が、みなさまをお待ちしています・・・」
―胸の鼓動が高まる。

俺は、思わず駆け出していた。
208『planetarian another -ときをこえたゆめ-』(3/2)(w:2006/10/09(月) 09:06:22 ID:54Jjpbz/0
遊園地の向こうに建つ、半球形のドーム。
常設プラネタリウム「Planesphere」。
そのエントランスに、彼女はいた。

柔らかく透き通った声。
二つに分けて括った、長い髪。
少女の面影を残す、あどけない顔。
抱けば折れてしまいそうな、華奢な身体。
・・・夢の中とほとんど同じその姿が、俺の目の前にいる。

立ちつくす俺の姿に、彼女が気づく。
社交辞令のお辞儀をしようとして・・・その動きが、止まった。

つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061009090111.jpg

時間が止まったかのような、永遠の一瞬。


「あの・・・・・・」
長い沈黙のあと・・・先に口を開いたのは、彼女。

「・・・失礼ですが、以前、どこかで・・・」
忘れえぬ人に出会った・・・というような、微笑み。
そして、その瞳には、涙。


再会、だったのかもしれない。
209名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 09:08:31 ID:54Jjpbz/0
予定より1レスオーバー・・・改行制限テラキビシスorz


というわけで、人間に転生したゆめみさんです。
なんとかゆめみを幸せに、かつ青空の下へ・・・と考えてたら、こうなってしまいますた。


ロボ娘スキーでpkanetarianに入った俺が、よもやロボ娘を人間化することになるとはタハハ
210名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 13:37:26 ID:UkDTj0QD0
>>202
アハトノイン=独逸語で89の意味。

特典小説の中の「エルサレム」という話の中に出てくる
修道女の格好をした女性型ロボットの事。
アハトノインって、形式名だったっけ?忘れた…orz
本当に簡単に言ってしまうとこんなところ。
(小説の)ネタバレが絡んでしまうのであまり詳しく書けなくて申し訳ない。
誰か補足ヨロ。
211名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 14:59:16 ID:voObA92n0
大阪の市立科学館に、プラネタリウムを見に行ってきた。

前半は学芸員の直接説明。
いかにも大阪らしく、指示カーソルで遊んだり、おちゃらけを交えて30分。
「Binary」のゆめみ&屑屋にも、なんか掛け合いやってほしいw。

後半30分はオムニマックス(いわゆる巨大シアター)。
最近のプラネタリウムは、星を見せるだけじゃないのな。
「Binary」のゆめみがどれだけの番組データを持っているか不明だけど、
これをデータとして記録しているのは大変そう。

ちなみに、投影機は半球型の未来っぽいやつ。惑星表示装置は別体式。
一応?イエナさんもあった(展示保存だけど)

せっかくなので、イエナさんのシルエットと星がデザインされたピンバッジ買ってきた。
212名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 22:55:03 ID:F0crQEFQO
本スレで細々とえすえす書いてる者ですが…こちらはえすえす投下はいいんですかー?
213名無しさんだよもん:2006/10/09(月) 22:59:26 ID:K7G2sWry0
ゆめみたんが出てくるのならオールオッケー
214 ◆JENA/hfgHs :2006/10/10(火) 00:54:35 ID:a3/uYrin0
>>209
GJです。相変わらずきれいなラインですね。
SS書けて絵も描ける・・・。絵心のある人が羨ましいです。

>>211
掛け合いは、話の中のちょっとした小道具的に入れれば面白いかも知れませんね。
あるいは、投影中のハプニング的に挿入してもいいかも知れません。
上手くいくかはわかりませんが、検討してみます。

>>212
お待ちしております。m(_ _)m
215名無しさんだよもん:2006/10/10(火) 11:54:15 ID:bZbDaZzg0
>>212
やおいさんですか?SS期待してお待ちしてます。

SSはこちらに張って、本スレから誘導したほうがいいかもしれませんね。
こちらは実質上、SS&CG投稿スレとして機能していますし。
216やおい:2006/10/10(火) 12:33:59 ID:iikbgdIoO
はい、そうですー。向こうでこっそりとやるのも面白いんですけどね〜…。
やっぱりこちらで書いた方がたくさんの人に見てもらえるんでしょうか?
217名無しさんだよもん:2006/10/10(火) 12:41:16 ID:bZbDaZzg0
あっちにも書いてきましたがw、通常本スレというのはゲーム本編の話題に
特化する(二次創作を嫌う人もいる)傾向があるので、
SS等の投下はこちらのほうが妥当じゃないかな、と私は思います。
ゲームキャラ板みたいな位置づけで。
218名無しさんだよもん:2006/10/10(火) 20:32:57 ID:VjGC0WRa0
全然流れ読んでないレスなんだけど、ゆめみの肌ってどうなってるのかねえ。

・廉価版のコンパニオンロボットなので、服で見えない部分まで無理に人間に似せる必要はない
・完全に人工皮膚で包まれた筐体はメンテナンス性が落ちる
といった想定のもと、>>173では関節部に「メカスジ」を描いてみたわけなんだが。


や、個人的な趣味だろ?と言われればそれまでだけどorz
マーキングしかり。
219名無しさんだよもん:2006/10/10(火) 20:45:56 ID:ECOx/MFL0
かなりのフェチとお見受けいたしますw

コンパニオンっても服装は色々あるだろうし、個人的には整備パネルラインは無しかなぁ。
マーキングも。
製造ナンバーは足の裏にお願いします。
220名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 00:07:33 ID:5MdtE+oN0
>>218
防水性や防塵性を考慮すると、間接部にメカスジ等は無いと思われ。
こつえー氏のインナースーツ絵でもソレらしい部分は無いしね。
(まぁあれはラフ絵だが)
>>219も指摘しているが、コンパニオンロボットとなると、視覚的な要素も高いだろうから、
メカスジはほとんど見えないような処理をしていると思う。

つか、ゆめみ作れる技術あるなら、ある程度メンテナンスフリーくらいは実現してると思う。
駆動部分は数年に一度オーバーホールするみたいなカンジで。
221218:2006/10/11(水) 03:17:18 ID:6TPYpS7J0
ご意見感謝です。

うーん、たしかにそうかも。
メンテナンス時は人工皮膚を切開して、終わったら超音波溶着か何かでくっつけてしまう手もあるし。


ただ、先に言ったとおり「個人的な趣味」に起因している部分が大きいのでw、
つい入れちゃったらご容赦・・・ 俺バージョンってことで(汗)
(オーバースカートの型番に萌えちゃったので、太ももの同じ位置にマーキング入れたいのねw)
222名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 11:55:45 ID:lTU1fUUm0
スマソ、本編についてちょっと教えてほしいんだが・・・

・封印都市でゆめみが1年に1週間しか稼働していなかった理由
・イエナさんはモスボール処理で機能凍結されていたのに、ゆめみは稼働状態にあった理由
・ゆめみはスリープモード中充電していたか否か
・そもそも、ゆめみのバッテリーは二次電池(充電式)?燃料電池(燃料補給式)?


確認のためにプレイし直す時間が取れん orz
223名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 12:44:30 ID:7J2jLbtU0
それちょっとと言わんだろw

「何とか3時間捻出してやる」ってのをモチベに悶えてる方が幸せじゃね?
224222:2006/10/11(水) 13:10:29 ID:rSNX28AD0
>>223

それもそうだな。スマソ
なんとか自宅に帰って、再プレイみる。

もう一カ月帰ってないなぁ・・・
225名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 13:14:39 ID:S2W9q3EE0
イ`・・・>>224
226名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 15:20:12 ID:W9gNdBXn0
>>222
内燃機関。
227名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 16:10:33 ID:uWkg1WSQ0
体験版をやれば良いのではないでしょうか?
228intermissionその2「Kiss」@:2006/10/11(水) 21:21:34 ID:Rq03mYHl0
「お客様、ひとつお伺いしたい事があるのですが、よろしいですか?」
彼女が訊ねてくる。
「何だ?」
彼女の淹れてくれたコーヒーを飲みながら返事をした。
「…はい、キスの味というのは、どのようなものなのでしょうか?」
「!!!?」
全く予想外の質問に、思わず飲み込みかけたコーヒーを吹き出しそうになる。
それをこらえて何とか飲み込みつつ、俺は彼女を見た。
目の前の彼女は、いつもと違う恥じらいがちな笑みを浮かべている。
「いきなりなんだってそんな事を聞いて来るんだ…」
「はい、本日は投影がお休みでしたので、発声練習の後、読書をしていたんです」
「読書?」
「以前、端末をお借りしてネットワークにアクセスしました際に、たまたま書籍のデータベースがございまして
そこからデータをダウンロードしておいたんです。それを頭の中で読むんですが、ある小説の中の一節に
”甘いキスを…”という件(くだり)がありまして、それが何故か妙に気になりましたものですから…」
(どんな小説を読んでいたんだ…)
まあ、恋愛小説なんかでは常套句である。
辛いキスとか酸っぱいキスなどという言葉は俺だって聞いた事はない。
「しかしお前、甘いと言われても味は分からないだろう?」
「はい、わたしはロボットですので食べるという行為が必要ありません。そのため舌はありますが味覚を感じる事は出来ません」
「だったら何故…」
「知識として知っておきたいという事もありますが…。わたしはキスをした事がありませんので…」
ロボットなのだから当然だろう。
まあ、多少疑問のベクトルが違うような気もするが、(見た目)年頃の女の子であれば一度は考える事だ。
だが…、この妙に含みのある答え方は何だ?
…いや、それよりも、目の前の彼女が先程から妙に艶っぽく見えるのは一体何故だ?
言葉が心持ち、熱を帯びているような気がする。
顔も心なしか、上気しているように見える。
瞳まで潤んでいるように見えるのは、俺の気のせいか?
そんな彼女を見ていた俺に、さらに信じられない言葉が投げかけられた。
229intermissionその2「Kiss」A:2006/10/11(水) 21:23:19 ID:Rq03mYHl0
「…お客様、やはり自分でしてみない事にはわたしにはよく分かりません…。キス…していただけますか…?」
「なっ…」
絶句する。
「…お前、自分で意味が分かって言っているのか?」
「…はい」
「…どこか調子でも悪いのか?」
「いいえ、ご心配には及びません。現在のところ私の全機能は正常です。ですが…」
「ですが?」
「…何故なのでしょう…。最近、お客様の顔を見た途端、筐体の温度が上昇するのがわかります…。
このような話をしているからなのでしょうか…。現在も上昇しています…。私にはどうしたらよいか分かりません…。」
…彼女の言葉に嘘はないだろう。
戯れでこんなことを言わない娘だと言うことは今まで一緒にいて痛いほど分かっている。
じゃあ何だというんだ?
…まさか、そんな事がある筈もない。
ある筈もないのだが…。
「……お客様…。わたしは……、わたしは…」
熱に浮かされたような甘ったるい声で、潤んだ瞳をこちらに向けながら歩み寄る。
…止めてくれ。そんな顔でこちらを見ないでくれ。
確かに俺だって男である以上、キスはおろか女性経験だってないわけではない。
彼女に対して、そういう感情を抱いていないとも言えない。
しかし…。
230intermissionその2「Kiss」B:2006/10/11(水) 21:24:47 ID:Rq03mYHl0
「…」
そんな俺のささやかな願いを無視するかのように、彼女は俺の目の前で何かを期待するかのように、目を閉じた。
「…」
背徳感は確かにあるが、ここまでされて無視するのはむしろ彼女に失礼だ。
…俺は理性を意識の片隅に押し込めた。
「あっ…」
彼女の片口に手を掛け、引き寄せる。
「…本当に、いいのか?」
念を押す。
「はい…」
熱い吐息交じりに彼女が答える。
それを合図に、彼女の顔に己の顔を近づける。
薄紅色の形の良い唇が、すぐそこまで迫る。
そして−。

………
……


「お客様…、お客様?」
何かに身体を揺すられている。
「ん…?」
ぼんやりとした意識の中、瞼を開ける。
…完全に目を開くと、すぐ目の前に彼女の顔があった。
「うぉあっ!?」
先程までの光景を思い出し、焦りと気恥ずかしさで思わず後ずさる。
「おはようございます、お客様。どうなされたのですか?」
彼女が小首を傾げながら、顔に?を浮かべてこちらを見る。
(夢、か…)
231intermissionその2「Kiss」C:2006/10/11(水) 21:25:22 ID:Rq03mYHl0
「お客様の発汗が多量で且つ顔も通常より紅潮しておりましたので、何かお体に異常があるものと考えまして
申し訳ありませんが起こさせていただきました。お客様、お体の具合が悪いのではないですか?」
「…いや、大丈夫だ。心配かけて済まなかった」
心の中の動揺を隠しつつ、彼女に言った。
「そうですか、それは何よりです。私はあちらで発声練習をしていますので、何かありましたらお呼びください」
「ああ…そうだ、濃い目のコーヒーを淹れておいてくれ。」
「はい、わかりました」
そう返事をして、彼女は部屋を出て行った。

彼女が去った後、少し考えた。
「そう言えば…」
以前、夢は人間の深層心理が具体化した物だという説を、何かの本で読んだ記憶がある。
(…そうだとすると、さっきの夢は…?)

暫くしてから、俺はのそのそと起き出した。
今日の投影は休みのため、時間には余裕があったためだ。
彼女の発声練習は終わったらしい。辺りは静かだ。
テーブルの上に置いてあるサーバーからコーヒーをマグカップに移していると、床をコツコツと叩く音。
−彼女の足音だ。
「…」
椅子に座りながら考える。
(…このシチュエーションは……)
そして部屋に入ってきた彼女は、俺を見るなり訊ねてきた。

「お客様、ひとつお伺いしたい事があるのですが、よろしいですか?」
232名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 21:29:24 ID:6TPYpS7J0
予知夢ktkr

ハァハァ
233名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 21:30:54 ID:6TPYpS7J0
Intermission「その1」が俄然気になって探したんだが、前スレにもないorz
234 ◆JENA/hfgHs :2006/10/11(水) 21:33:06 ID:Rq03mYHl0
日曜日のえち絵に刺激されたのか、こんな話が出てきてしまいました。
しかし、俺にはえちな話は無理だ…。絶対的にセンスがない…orz
まあ、こんなこともあったかも知れないという事で、笑ってやって下さい。

「こんなのゆめみタンじゃないやい!」という方、あなたは正しいです。
235名無しさんだよもん:2006/10/11(水) 22:35:38 ID:CoPxdkFW0
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160573205.jpg

こうですか?わか(ry




「こんなの(ry
236名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 01:05:26 ID:RNDyuFvL0
休日の発声練習って、どんなことしゃべってたんだろう。
「プラネタリウムはいかがでしょう?」だと、客がきたら困ってしまうし(投影休みだし・・・)


ゆめみ「あめんぼあかいなあいうえお〜」

屑屋「・・・なんだそれは?」

ゆめみ「由緒正しい発声練習の方法です(胸を張って)」

屑屋「・・・そ、そうですか。がんばってください」
237名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 08:35:21 ID:bO7vYzkK0
>>235
カラー!! カラー!!
238名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 09:46:52 ID:T5gJbILt0
>>228

物は食べられないにしても、料理とかすることもある(あった)だろうし
味はわかってくれるとうれしかったなー、なんて思った。
量産型の元のボディならともかく、高性能試作型ポーラさんの筺体だし。


味がわからない、と思い込んでいたゆめみ(withポーラ)が、
初めて味覚を感じて二倍感動する、というのをたった今妄想した。
239名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 17:11:55 ID:70IbqvVM0
時に、キスの時舌の入れあいになって、歯茎の裏側とか相手の舌で触られると
えらいことになるんだけど、ゆめみ(@ポーラ)の場合どーなんだろ。

歯はあるのかな歯茎の感覚はあるのかなやっぱり背筋がぞわわってするのかなハァハァハァ



       ターン
:y=-( ゚д゚)・∵;;
240名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 17:12:53 ID:fBhwGrMj0
漏電
241名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 17:53:34 ID:6Oo09aha0
電気の味がするよってやつだな

味覚はどうなんだろうか
某エロメイドロボみたく、味覚分からないけど一生懸命料理してる姿もいいと思うんだ
242名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 18:01:34 ID:70IbqvVM0
メイドロボであれば、ご主人様に腐ったものを食べさせたりしないように
「味覚」があってもおかしくないような気はする。
ガス漏れや悪臭を検知するために、「嗅覚」も必要かも。
(成分分析だけで、味や匂いとして理解するには別途学習が必要かもしれんが…)

廉価版のSCR5000Si/FLでは期待薄だが、SCR5000xならあるいは・・・
243名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 21:18:29 ID:vVg7avFz0
もしかしたら、ゆめみ自身は「そんな機能を実装しているはずない」と
思い込んでいるだけで実際には付いているのかも。>味覚
実際に何か口に入れるか舐めるかでもしないと結局分からない訳だし。
244名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 21:28:09 ID:RNDyuFvL0
そして>>238なわけか。
245名無しさんだよもん:2006/10/12(木) 22:03:42 ID:xBphF/Hm0
>>236
丁寧語の屑屋に何故か吹いたw
246名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 01:22:40 ID:RXzUihun0
ラフ2枚組。
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160669950.lzh


1.>>235の修正版。
ゆめみの顔がゴツかったので修正・・・(汗)

2.発展的妄想。
・・・ゆめみさん、なんか変なモード入ってませんか?(やりすぎだ俺orz)
247246:2006/10/13(金) 01:41:37 ID:RXzUihun0
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160671234.jpg

二枚目いきなり修正・・・うpる前に確認しろよ俺orz



屑屋に擲弾食らわないうちに寝る。
248名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 02:30:52 ID:qeg8SaCM0
>>246
是非清書色付きでうp!うp!
#漏れもゆめみ絵描きたいが時間が・・・orz
249名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 07:46:57 ID:p6tjYYWg0
999の車掌さんのコスプレをしたゆめみを想像しているが上手くできない。
ついででいいので絵師さん助けてくれ。
250名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 12:23:17 ID:USKi5fplO
やおい氏の書くSSのゆめみだな。

やおい氏、「ほしのゆめ」号の続き待ってます。ここで書くなら第一話(プロローグ?)と設定も貼り付けた方がよろしいかと。
251名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 13:28:57 ID:mxz3Fjb50
>>249

では、拙いながら夜にでも・・・

と、ツバをつける俺は、小学生時代にスタートレイン(999の超合金)を
皿洗いのバイト一カ月で買ってもらった999ヲタ(当時)。
252名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 13:50:08 ID:OexY8CF80
253名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 16:21:51 ID:USKi5fplO
ちょwww

逆だよwww
254名無しさんだよもん:2006/10/13(金) 20:01:26 ID:p6tjYYWg0
しかもなぜぐにゃぐにゃGIF!?
255名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 02:33:08 ID:vAcvD8jh0
スマソ、寝てしまった・・・orz
というわけで、デザイン検討用超ラフ。

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160760590.jpg

リボンはいささか場違いだけど、ないとしっくりこないので結局つけた。
本体は電光掲示板、先端は検札印(右)とパンチ(左)。
左耳のスロットからは切符が印刷可能。
256名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 04:22:25 ID:NjlAA3pa0
>>255
GJ!
背景で客車を引くシオマネキがワロスwwww

○泉○国さんのゆめみのガレキ(>>3)を中古で買って来て仮組してみたが
まず最初にぱんつのモールドを削り落としてスカートのスリットを
深くしようとしている漏れは異常だろうか?
257名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 09:22:50 ID:vAcvD8jh0
>>256

え、ぱんつのモールドあるの?


公式設定ではスク水のはずなんだが・・・>アンダーウェア
258名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 10:45:24 ID:XMK/V5QO0
>>255
GJ!!
シオマネキワロス。
SCR5000の変わりに999のロゴを入れるとは小技が効いてますね。
259名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 11:25:15 ID:LJQq3XUf0
>>255
これはいいワルキューレにも勝てそうな装甲車両ですね
個人的趣味を言わせてもらえば、手袋キボン

>>257
アンダーウェアがスク水なのはよっぽどのファンじゃないと知らないだろうし…
260256:2006/10/14(土) 12:17:18 ID:4HoSbAPg0
そのスク水(アンダースーツ)の絵だけど、結局掲載されたのって
2年前のTGのラフだけなのかな?
TG買ってないので手元にない…orz
ガレキ製作の為の資料としてあると助かるのだが。
なるべく設定に近づけたいから「はいてない」にするわけにもいかんし。








いや、一瞬しようと思ったんだけどね。でも魔改造するつもりはないよ。
261名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 12:36:29 ID:WTgkvB0/0
ちと小さいが...
っ4号 upload40000006552.jpg DL:yumemi
262256:2006/10/14(土) 13:06:47 ID:4HoSbAPg0
>>261
うおっ、仕事早ッ!
激しく感謝します。

こりゃ確かにスク水だわ…。
あとはこれでどうやって「はいてない」様に見せるか、か…。
ちょっと考えます。
263名無しさんだよもん:2006/10/14(土) 17:01:12 ID:vAcvD8jh0
スク水を透明にすればいいじゃなi(ターン


屑屋@狙撃モード「・・・バカなやつめ・・・」
264『ゆめみのGUN道w』(1/3):2006/10/14(土) 19:55:06 ID:vAcvD8jh0
「あの・・・これはなんでしょうか?」
目の前の机に置かれた、黒光りする物体を前にして、ゆめみが尋ねる。
「拳銃だ」
「拳銃?・・・・・・私の基本データベース、および現在までの蓄積データベースにない単語です」
ゆめみが生まれた平和な時代の日本には、銃刀法というものがあったらしい。
拳銃の所持は、それだけで警察のごやっかいになる罪だったそうだ。
まして、プラネタリウムとは無縁の代物だ。彼女が知らないのも、無理はないかもしれない。

「プリインストールされている国語辞典を参照します・・・
 【拳銃:片手で扱うことのできる小型の銃。ピストル。短銃。 】
 【短銃:ピストル。拳銃。】
 【ピストル:拳銃。短銃。】
 ・・・・・・???」
どこの国語辞典を使っているのかわからないが、項目の内容がループしてしまっているようだ。
説明してやろうと、口を開いたその時。

「【銃:弾丸を発射して相手をたおす火器。砲より口径の小さい小銃・拳銃・機関銃などの総称。銃器。】
 ・・・・・・って、ええぇっ!?」
今さらのように驚くゆめみ。・・・俺は軽い頭痛を覚える。

「いまさら言うまでもないことだが、この世界には秩序はない。
 いつも俺がついていてやれるわけじゃないからな。最終的に自分の身を守るのは自分自身だ」
この壊れた世界では大して役にたたない、コンパニオンロボットをわざわざ襲う物好きはいない。
しかし、見た目はかわいらしい少女の姿をしている彼女を、人間と間違えて襲う男がいないとも限らない。
「はぁ・・・」
いま一つ納得できない様子で、拳銃を手に取る。
「おっと、まだ引鉄(ひきがね)には指をかけるな。暴発したら危ないからな」
「この突起は"ひきがね"というんですね、記憶しました」
「・・・・・・」
先は長そうだ。
265『ゆめみのGUN道w』(2/3):2006/10/14(土) 19:56:00 ID:vAcvD8jh0
「右手でグリップを握って。左手は下から右手を支える・・・そう、それでいい。
 照星・・・いや、先端の突起と後ろの溝を合わせて、標的を狙うんだ」
真剣な顔で、ターゲット・・・先ほど俺が平らげた固形食のパッケージ・・・に狙いをつける。
「照準がブレるぞ。息を止めて、身体を動かすな」
「はい、自発呼吸を一時停止。各関節をロックします」
危なっかしくフラフラと揺れていたゆめみの身体が、機能停止したかのようにぴたりと止まる。
さすがロボット、というところか。

「その気になったらトリガーを引く・・・いや、ゆっくりと絞る」
「はい・・・撃ちます!」
ゆめみの細い人差し指が、ゆっくりと絞られる。

・・・そして、
「きゃっ!?」
鋭い銃声とともに、勢いよく跳ね上がった銃口。・・・それにあわせて、ゆめみもひっくり返った。
パッケージのはるか上、天井あたりに小さな穴が穿たれる。

「・・・び、びっくりしました・・・」
「・・・・・・」
266『ゆめみのGUN道w』(3/3):2006/10/14(土) 19:56:52 ID:vAcvD8jh0
それから一時間近く射撃練習を繰り返したが、結局、ターゲットには一発も当たらなかった。
民生用であるゆめみには、鋭く跳ね上がる銃口に対する姿勢の補正制御が追いつかないらしい。
先ほど感心した「各関節のロック」が、裏目に出た格好である。

「銃はダメだな・・・他の手を考えにゃならんか」
「あの・・・これは護身のために練習しているんですよね?」
他の手段を考え、ぶつぶつとつぶやく俺に、ゆめみが質問してきた。
「おいおい、いまさら何を・・・」
「それでしたら、私には自己防衛用の機能が備わっていますが・・・」
「何!?」
「一時的に外装電圧を上げて、指先で放電を発生させるんです。・・・ほら」
触れるか触れないかのところまで近づけた、ゆめみの親指と人差し指の間に、一瞬放電が走る。
「電力をかなり消費してしまうのですが、緊急事態には有効かと考えます」

「・・・スタンガンか・・・・・・そういう機能があるなら言ってくれよ・・・」
「?」
きょとんとした顔で、頭を抱える俺の顔を覗き込むゆめみ。
とんだ取り越し苦労だったわけだが・・・・・・まあ、よしとするか。

 −X− −X− −X−
エキサイト国語辞典を見てたら思いついた。反省はしていない(シロヨ
267名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 04:17:11 ID:HElMy3At0
GUN道と聞いて、なぜかゆめみが銃の型を習得するという
ありえない想像が浮かんでしまった私はどうすればいいんだろう。

あらゆるところで間違っている。
268 ◆JENA/hfgHs :2006/10/15(日) 06:23:25 ID:socXV6Eu0
以前書きました「Binary」のまとめサイトですが、サーバーとドメインの取得が完了しましたので
本格的に構築に着手しようと思います。
ただ、以前書いたとおり自分はHPはおろかblogもやっていないので、そのあたりの知識が
決定的にありません。
色々試行錯誤しながら構築する形になりますので、時間がかかると思います。
たいしたサイトにはならないかも知れませんが、期待しないでお待ちください。
公開できる状態に漕ぎ着けましたら、またこちらで告知させていただきます。

「Binary」本編は少々お休みすると思います。インターミッションは書くかもしれません。
269名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 07:56:25 ID:N9N0twn10
>>267

屑:ガン=カタは拳銃を総合的に
使用する格闘技である
    C(゚ヮ゚ )C
    ξ(|卯 |)ξ

屑:この格闘技を極めることにより…
    C( ゚ヮ゚) ;y=‐ ;y=‐ ガン!
    ξ(\/\/

屑:…攻撃効果は120%上昇…
    C( ゚ヮ゚) ;y=‐ ゴン!
    ξ(\/\
          \ ;y=‐ バキ!

屑:…防御面では63%……
 パリン!-=y;―
         |
ガシャ C(゚ヮ゚ )C
 -=y;_/|卯 |ξ


屑:…ゆめみがガン=カタを極めるころには
  俺の部屋は廃墟になる!orz
          ', ''
     C( > <;)C  申し訳ありません申し訳ありません申し(ry
     ξ|\/ |ξ
270名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 07:57:25 ID:N9N0twn10
>>268

期待してまってますー。

・・・偽タイトル画面いります?w
271 ◆JENA/hfgHs :2006/10/15(日) 21:14:05 ID:Ps+Ixbej0
>>270
是非ともお願いします。

掃き溜めに鶴、となるかもしれませんが。
272名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 22:51:08 ID:N9N0twn10
とりあえず試作しますた。

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1160920131.zip
解凍パスは「yumemi」

・解凍されたファイルを同じフォルダに置いて実行してください。
・htmlはあまり詳しくないので、かなりいいかげんですw
・Javascriptを使用していますが、使っているのは「終了」の際のウインドウ自動クローズのみです。
273名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 22:52:45 ID:N9N0twn10
説明忘れてた・・・orz

・「default.htm」を実行してください。メニュー画面になります。
・「top.htm」はメニュー画面の「最初から」で飛んでくるダミー画面です。
274 ◆JENA/hfgHs :2006/10/16(月) 13:15:29 ID:aeOaztgG0
>>272-273
有り難うございます。
これが使用できる構成になると良いんですが…。頑張ります。
275272:2006/10/16(月) 17:49:43 ID:l5be9J/B0
>イエナ氏

いや、まあお遊びというか一発ネタなので。
よかったら使ってやってくださいな。

本当は、画像は子フォルダにまとめたほうがいいんだけどね。
276名無しさんだよもん:2006/10/17(火) 09:08:12 ID:0DCoTRWA0
姉妹スレ(ヘコンだ時の台詞スレ)が妙な流れになっている件についてw
277名無しさんだよもん:2006/10/17(火) 22:18:12 ID:0zTp/e+x0
まんこスレ盛り上げろやカスども
278名無しさんだよもん:2006/10/18(水) 08:26:53 ID:GdAnGnKG0
どのラフから清書にかかろうか思案中。
その思案のかたわら、脳内でSSの断片やら新たなラフがまた増える。

うううむ。時間クレー
279"another" 本編アナザーエンド(1/3):2006/10/20(金) 14:06:53 ID:DI4u8w5k0
黒煙の立ち上る雨空。俺は、ただ立ち尽くしている。

「・・・もしも私を・・・天国に召されるのなら・・・・・・」
降りしきる雨の中、ゆめみが横たわっている。
彼女の腰から下の部品が散らばり、雨に濡れている。
彼方から、死神のざわめきが・・・シオマネキの駆動音が近づく。

「天国をふたつに、わけないでください」
その瞳に「涙」を貯め、ゆめみがつぶやく。

・・・その時、俺の中で何かがはじけた。

「馬鹿野郎!天国なんて行かせるか!」
「・・・お客・・・様?」
「・・・俺は・・・俺は、お前を迎えに来たんだ!」

擲弾筒を投げ捨て、ゆめみを抱きかかえる。
封鎖壁に大きく開いた穴に向かい、全力で走り出す。
「外」へ。

追いすがるシオマネキが射撃を始める。牽制を目的とした、射程圏外からの威嚇射撃。
照準は甘いが、当たれば人間や民生用のロボットなどひとたまりもない。
回避は考えない。ただがむしゃらに、最短距離で「外」を目指す。
当たれば・・・二人で「天国」に行くだけだ。
280"another" 本編アナザーエンド(2/3):2006/10/20(金) 14:07:30 ID:DI4u8w5k0
・・・気がつくと、俺はランドローバーの運転席にいた。
荒い息を整える暇も惜しい。工具箱から配線をあさり、直結されているキーシリンダーの裏に繋ぐ。
「ゆめみ!・・・おい、ゆめみ!!」
傍らに寝かせたゆめみの頬を叩き、名を呼ぶ。

「・・・お・・・きゃく・・・さま?」
・・・力なく閉じられていたゆめみの瞼が、かすかに開く。
今にも再び閉じてしまいそうな瞼。瞳の輝きが弱々しい・・・もう時間がない。
「お前の電源はどこだ!?配線はどこにある?」
「・・・・・・赤と・・・・・・くろ・・・の・・・・・・」
それだけ聞ければ十分だ。
無残に引きちぎられたゆめみの腰。人間で言えば脊椎にあたる、フレームの中に赤と黒のケーブルが走っている。

メモリカードさえ引き継げば、業務を継続できる・・・生き返ることができる、と、ゆめみは言った。
しかし、彼女の身体が・・・SCR5000という筐体が、はたしてこの世界に残っているのか。
いつ「生き返る」かもしれない、そんなロボットの「魂」は、果たして「天国」に行けるのか。
・・・その時が来るまで、「永遠の闇」をさまようだけではないのか。

我ながら、馬鹿げていると思った。狂っているとも思った。
俺は神など信じていない。人は死ねば無に帰る。
「天国」など、馬鹿げた妄想に過ぎない・・・・・・そう思っていたはずだった。
・・・だが、俺はその時、心からそう思っていた。

ゆめみの電源ケーブルに、ランドローバーの電源コードを絡め、エンジンを始動する。
・・・そして、俺は初めて、神に祈った。
281"another" 本編アナザーエンド(3/3):2006/10/20(金) 14:08:13 ID:DI4u8w5k0
・・・・・・
開け放たれた俺の部屋のドアの向こうから、聞き慣れたモーターの音が近づいてくる。
その音が部屋の前で止まる。一呼吸おいて、扉をノックする音。
「・・・葛也さん?」
「おう、具合はどうだ?」
「はい、不整地での移動能力にいささか難がありますが、おおむね問題ありません」
前よりもさらに低くなってしまったところから、俺を見上げてゆめみが微笑む。

星空をあしらった青い毛布に包まれた、ゆめみの下半身。
その身体は、電動式の車椅子に急ごしらえの固定具で取り付けられている。
車椅子は大型の燃料電池で駆動し、彼女の意志に応じて自由に移動できるようになっている。
また、その燃料電池は彼女自身にも電力を供給している。
彼女の当座の「下半身」、というわけだ。

ゆめみのために低くしつらえたテーブルで、コーヒーを淹れる彼女を見ながら、俺は色あせた地図を広げる。
次のターゲット・・・それは、険しい山中にあるロボット製造メーカーの研究施設。
厳重な警備システムが、まだ稼動しているかもしれない。
すでに荒らされ、何も残っていないかもしれない。
同業者の罠が待っているかもしれない。

・・・だが、SCR5000の筐体が・・・ゆめみの身体が残っているかもしれない。

明日、俺はその施設に乗り込むつもりだ。
俺のそばで、健気に笑ってくれている、ゆめみのために。
―そして、彼女との約束を果たすために。


久しぶりに雨が止んだ夜空。
厚い雲の隙間から、ほんの僅かに星空が覗いていた。
282"another" 本編アナザーエンド(あとがき):2006/10/20(金) 14:09:22 ID:DI4u8w5k0
以上、保守がてら投下。

本編のアナザーエンドということで。俺が屑屋ならこうしてると思う・・・
283名無しさんだよもん:2006/10/20(金) 16:36:28 ID:TAB37kg40
GJ!
屑屋の男気に涙する俺ガイル
284名無しさんだよもん:2006/10/21(土) 20:52:28 ID:WxGCLu910
>>265の挿絵。

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1161431447.jpg



自分で言うのもなんだが、「はいてない」があざとすぎるw
285名無しさんだよもん:2006/10/21(土) 20:54:03 ID:1dXJb/vN0
>>284
そのあざとさ…GJ…。
286名無しさんだよもん:2006/10/21(土) 23:07:02 ID:Q31ZIaOi0
>>284
…生足か!? 生足さんなんだな!?

ハァハァ
287名無しさんだよもん:2006/10/22(日) 00:22:10 ID:+3Phomns0
Yes!ロボでも生足!
288名無しさんだよもん:2006/10/22(日) 10:04:07 ID:bxFFVe7U0
グッド・はいてない!
289Binary第6章「Reminiscence」@:2006/10/23(月) 02:15:01 ID:XApKferD0
「…申し訳ありませんが、車を止めていただけますか?」

わたしの隣でハンドルを握っているあの人に声を掛ける。
直後、軽い前方への重心移動を伴いながら、わたしたちの乗るトラックが停止する。

「どうしたんだ?いきなり」
普段はわたしからこんなことを滅多に言わないからだろう、あの人が怪訝そうにわたしを見る。
「…申し訳ありません。気になるものがありましたので…。少し外へ出ます。お時間は取らせませんので
ここでお待ちいただけますか?」
そう言って、座席後部に収納してあるレインコートに手を伸ばす。

…本当のことを言えば、レインコートを着用するのは、あまり好きではない。
筐体の冷却の問題も確かにあるけれど、何より、あの時のことを思い出してしまうから…。

…『遠い日の約束』のために、あの人の元を一旦は離れなければならなかった、あの日の記憶を…。

コートを羽織り、インナーのジッパーを引き上げる。
アウターのボタンを掛けながら、あの人の顔色を伺う。
訝しげにこちらを見ているけれど、目では「気をつけろよ」と言ってくれているように見える。
…口調はぶっきらぼうだけど、わたしの事を、いまこの世で一番気に掛けてくれる人。
あの人になるべく余計な心配は掛けたくない。
コートのフードを目深にかぶり、わたしは助手席のドアを開け、外に出た。
290Binary第6章「Reminiscence」A:2006/10/23(月) 02:16:01 ID:XApKferD0
どうしても見ておきたいものが、そこにあった。
先程、車内から外を何気なく眺めていたわたしの目に、不意に飛び込んできた風景。
寂寥としたその風景の、奥にあるもの。
一目、プラネタリウムではない。
…でも、何故だろう。
それは不思議とわたしの心の琴線に触れるものだった。

目標の場所を目指しながら、頭の中でこの場所について現在までの蓄積データベースを検索する。

ここは、人里から遠く離れた峠の入り口。
大戦前、まだ世界が平穏に包まれていた頃、この山沿いのちょっとした平地にも人の住む集落があった。
猫の額ほどの平地の中に、多くの人々が肩を寄せ合いながら笑い、働き、子を産み、育て、そして土に還っていった。
今、住む人々の姿は既になく、集落はその痕跡のすべてを降りしきる雨と雑草の中に消し去られようとしている。

わたしが目指している場所。
そこにはかつて、「駅」があった。

大量の人と荷物を都市から都市へと送る、鉄道という名の血流。
その鉄道にあって、人と荷物を集約し、拡散させるための施設。
方々から様々な思いを抱いた人々が集まり、それぞれの思いを胸にまた別々の場所に別れてゆく、そんな場所。

…でも、今はすべてが幻。

ここにあった「駅」も、隣り合う集落とその運命を共にしていた。
建物の類は既に朽ち、石で土止めされたプラットホームがアスファルトの舗装面を絶え間ない雨に洗われている。
いずれは、ここも何の痕跡も残さず鬱蒼とした叢の中に沈むのだろうか…。
291Binary第6章「Reminiscence」B:2006/10/23(月) 02:17:04 ID:XApKferD0
だだっ広い構内の跡。
今は一面に腰くらいの丈まで伸びた草に覆われている。
それでも、鉄路の通っていたであろうところには、砂利が今も残っていてそれとわかる。
目的のものまでは、これをたどって行けば比較的容易く行けそうだ。
一歩一歩、踏みしめるように歩く。
でも、やはりヒールのついた靴のためか、砂利とぬかるみに足をとられてバランスの制御が上手くいかない。
「きゃ…」
何歩か歩いたところで、ついに紙一重でとれていた危ういバランスが崩れた。

転倒までの一瞬の、空間を浮遊する感覚。
―それが突然、下から突き上げるような感覚に変わる。

「あ…?」
…気が付くと、いつの間に追ってきたのか、迷彩色のヘビーコートを着たあの人がわたしを抱きかかえていた。
同じ年齢設定の人間の少女より少し重いわたしの身体を、何の苦もなく支えている。

…いつでもそう。
わたしが困ったとき、助けが必要なとき、あの人は必ずそばにいてくれる。
…だから、わたしは今日までわたしであり続けることが出来た。

「お客さま…、いつの間にこちらに?」
「まったく…」
わたしを地面に降ろしながらぼやく。
「危なっかしくて見ちゃおれん。お前、本当に不整地歩行モードに設定しているのか?」
「はい、歩行モードの設定は正常に行いましたが、わたしの推測よりも地面の摩擦係数が小さかったようです。
それと、わたしが現在履いています靴では、歩行モードの補正のみではこの地面への対応は難しいと考えます」
「何を冷静に他人事みたいに言ってるんだか…」
「ふふっ…」
呆れたようなあの人の言葉に、つい笑みがこぼれる。
292Binary第6章「Reminiscence」C:2006/10/23(月) 02:18:07 ID:XApKferD0
「…あそこまで行くのか?」
「はい、そうですが…」
「仕方ないな…。ほら」
わたしの目の前に、大きな手が差し出される。
「ありがとうございます」
一礼して、わたしはその無骨だけど温かい手に自分の手を乗せた。

先導するようにわたしの手を引きながら、あの人がわたしの一歩先を歩く。
わたしは必然的にあの人の背中を眺めながら歩くことになる。
男性らしい大きな背中。
わたしに頼もしさと温かさと安心感を与えてくれる、その背中。
スタッフの方々の中にも男性の方はいたけれど、当時はそんなことを意識して見たことはなかった。
ううん、あのときのわたしにはそれを考えることすら出来なかった。

今、こんなことを考えるわたしという存在は、きっとロボットとしては間違っているんだろう、と思う。
…でも、わたしはわたしの意思で、そうあること、そしてそうあり続けることを選んだ。
その決断に、後悔はしていない。

目的のものが近づく。
「…」
繋いでくれていた手を離し、あの人が(ここで待ってるから、行ってこい)と目配せする。
「はい、ありがとうございます」
小声で感謝の言葉を言って、わたしはあの人を追い越し、そこへ向かった。

遠目からは一斤の食パンのようにも見えた「それ」は、実際近づいてみると、とても酷い有様だった。
ガラスというガラスはすべて割られ、ドアはすべて壊され、屋根上の付属物は軒並み消え失せている。
内部に至っては、引越しを済ませた後の旧宅のように、見事なまでに何もない。
外装も長年の風雨に晒された結果、元の塗装はすっかり剥げ落ち、錆が浮き、腐食し、一部には穴が開いている。
でも、こんな状態でも「それ」が何なのかはかろうじて判別できた。
293Binary第6章「Reminiscence」D:2006/10/23(月) 02:19:38 ID:XApKferD0
かつて「彼」は、この砂利の上に敷かれた鉄路の上を走っていた。
人々の夢と希望と生活のすべてを運ぶ使命を、その体に一身に受けて。
目の前に聳え立つ急峻な峠を越えて、それらを山の向こうで待つ人々の元に送り届ける。
その手助けをするために。
…それだけのために、「彼」は人の手によって作られた。
毎日のように繰り返す、峠の登り降りに挑む「同僚」の手助け。
単調で、それでいて常に完璧を求められる仕事。
それでも自らの役割を解かれるその日まで、「彼」はそれを黙々と、完璧に果たした。

…そして「彼」は今、すべてのしがらみから開放され、降り続く雨の中で大地に還ろうとしている。

「彼」の錆び付いた外板に、そっと触れる。
…ともすれば、わたしもイエナさんと一緒にこうなっていたかもしれない。
ううん、もしかしたら、この世にわたしという存在の痕跡すら残さずに消え去っていたかもしれない。

そう考えると、わたしがここに今いられるのは、本当に小さな小さな偶然の積み重ね。

強制退去の時、スタッフの方がわたしの主電源を入れっ放しにしておいてくれたから…。
花菱デパートの非常用電源が、30年の長きに渡り生きていてくれたから…。
長年の風雨にも、デパートの建物がわたしたちを守ってくれたから…。

そして…、何よりもあの日、あの人が偶然にもわたしの元に迷い込んでくれたから…。

…だから今、わたしはこの場所にこうして立っていられる。
294Binary第6章「Reminiscence」E:2006/10/23(月) 02:26:12 ID:XApKferD0
この様々なものが壊れた世界にあって、わたしのような存在は、もはや過去の遺物以外の何者でもない。
いろんな街を巡ったけれど、わたしのようなロボットはもちろん、今や電子工学自体が
ロストテクノロジーとなりかけている。
わたしの前では決しておくびにも出さないけれど、わたしの消耗部品の調達にも、あの人は苦心している筈。
…次にわたしに機能に関する深刻なトラブルが発生したら、多分この世にとどまることは…もう無理かもしれない。

…でも、だからこそ、「生きたい」。

いつ稼動不能になるか分からない不安。
それは、人間の皆様の「死への恐怖」と同じ。
でも、それを感じるということは、より人間の皆様を、そして、よりあの人のことを深く理解することにつながるはず。
そう、わたしは考える。

そんなこと、考えることが出来なければどんなに楽だろう、とも思う。
でも、わたしはそれを感じ、考え、理解することが出来るようになった。
…それならば、それをすべて受け入れよう。
イエナさんも含めたわたし以外の「機械の想い」もすべて。
それが出来るのは、たぶんこの世でわたし一人だから…。
そして、それを理解できるからこそ、今をあの人とともにあることに対する喜びが理解できるのだから…。

「…泣いているのか?」
いつの間にか、わたしの隣にあの人が立っていた。
…そうか、わたしは無意識のうちに、泣いていたんだ…。

「…はい、『彼』の声が、聞こえたんです…」
「声?」
「…自分は精一杯人間のために働いた。もうこの世で自分に出来ることはない。けれど、貴方は
まだ人間のために素晴らしいことが出来るんだから、精一杯頑張るんだぞ、と、言われました…」
295Binary第6章「Reminiscence」F:2006/10/23(月) 02:28:05 ID:XApKferD0
車へ戻ろうとすると、またあの人はわたしに手を差し伸べる。
「また転ばれでもしたら、俺が困るしな」
「さて、何をお困りになるんでしょう?」
「もし何かの弾みで壊れでもしたら、誰がお前を修理すると思っているんだ?」
「もちろん、お客さまです」
悪戯っぽく返事をする。
「お前なあ…、俺のことをあんまりぞんざいに扱うと、修理してやらないぞ」
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味がよくわかりませんでした」
わざとらしく小首を傾げる。
「まったく…」
「ふふ…」

毒吐きながらも笑顔を見せるあの人の差し出す手を、わたしは同じく笑顔で取った―。
296 ◆JENA/hfgHs :2006/10/23(月) 02:41:02 ID:XApKferD0
本当はインターミッションとして書き始めた話ですが
敢えて第6章として投下いたします。

今回は半分実験的にゆめみのモノローグで書きました。
彼女の心の機微が上手く表現できたかどうか分かりませんが…。
良ければ読んでやってください。

まとめサイトですが、メインPC故障のため作業が進められず
現在一時中断の状態です。
申し訳ありません。

*登場させた「駅」と「彼」は、実在のものをモチーフにしています。
 お分かりになりますでしょうか?
 ちなみに鉄道を絡ませたのは、完全に自分の趣味です。
297名無しさんだよもん:2006/10/23(月) 02:41:27 ID:++6en44+0
(*´∀`)ポワワ

298名無しさんだよもん:2006/10/23(月) 08:43:19 ID:qqpQ0GHq0
批判とかそういうんじゃなくて、丸囲み数字を使うのはどうかと。

「私の基本データベース、および現在までの蓄積データベースにない文字記号です。
 わたし単体では解釈できません。大変困りました・・・」
299名無しさんだよもん:2006/10/23(月) 10:27:32 ID:wr1QXNob0
>>296
その駅の標識には

「 幸 福 」

と書かれてはおりませんか。

幸せについて本気出して考えてみた屑屋Byポルノグラフィティ。



案外、日高国道のライダーハウス(廃車を改造した畳敷き)だったりして。
300なんだかよくわからないSS(1/3):2006/10/23(月) 20:44:11 ID:++6en44+0
「お客様・・・・・・私の暫定マスターになっていただけませんか?」

テーブルを挟み、俺の向かいに座っているゆめみが、遠慮がちに切り出した。
「『暫定マスター』?・・・ 何だ、それは」
コーヒーカップを口に運ぶ手を止め、俺は聞き返す。
「はい・・・ご存知かと思いますが、現在わたしは、自律判断モードで稼動しています」
・・・そういえば、前にそんなことを言っていたな。
「業務指示サーバーからの行動指示が得られない状況下では、わたしはスタンドアロンモード・・・完全自律判断で行動します」
こういう話を聞くと、やはり彼女は命令どおりに動くロボット―SCR5000Si/FL・CapelII―なんだな・・・と、いささかやりきれない気持ちになる。
「・・・でも、このような世界ですから、サーバーからの指示再開は、おそらく期待できません」
だろうな。30年前の世界崩壊以来、電波なんてものは、そこらの町から細々と飛ばされる海賊放送ぐらいなものだ。
「従いまして、わたしは今後ともスタンドアロンモードでの行動を余儀なくされています。・・・ですが・・・」
「ですが?」
「スタンドアロンモードでの行動中、わたしの分を超えるような、重要な判断を余儀なくされる場合がありえます」
「ふむ」
「そのような場合のために、わたしはわたしの最終的な行動決定権をもつ人間の方を必要とします。・・・それが暫定マスターです」

「・・・それは、その人間に服従する、ということか?」
「いいえ、最終的なご命令であれば逆らうことはできませんが、そうでなければわたしとその方との意見調整となります」
「自分の意思」はちゃんと持っているというわけか・・・ならば、「組織の構成員」としての人間と、さほど変わるところはない。

心のどこかで安堵している自分に、奇妙な可笑しさを感じながら、俺は彼女の「要望」を受け入れることにした。
301なんだかよくわからないSS(2/3):2006/10/23(月) 20:45:16 ID:++6en44+0
「ありがとうございます。・・・それでは、貴方を暫定マスターとして登録するため、生体認証をお願いします」
そういうと、彼女はずいっと身を乗り出し、俺の首に手を回すと・・・・・・いきなり、キスをした。

「!!・・・!?!?」
彼女の予想外の行為にうろたえる俺。・・・しかし、彼女は目を閉じるでもなく、無言で俺の目をじいっと覗き込んでいる。

「・・・おい・・・ちょ・・・」
じ〜〜〜〜〜っ。
「・・・・・・」

まさに、異様なシチュエーション。・・・・・・俺は一体どうすればいいんだ?


・・・しばらくの後、彼女の胸のあたりから「ピピッ」という電子音が聞こえた。
「ありがとうございます。生体認証は正常に完了しました。」
身体を離し、ぺこりと頭を下げた後、
「以後、貴方を暫定マスターと認識します。よろしくお願いいたしますね」
にっこりと微笑み、首を少し傾げる。言っていることとあまりにも噛み合わない、人間にしか見えないその仕草。

「・・・せ、生体認証・・・というのは、唾液か・・・何かなのか?」
動揺を押し隠して、尋ねる。
「いいえ、網膜認証ですが?」
「いや、しかしお前・・・今、その、キスをだな・・・」
「貴方の網膜パターンを記録するため、至近距離まで接近する必要がありましたもので、唇が接触してしまいました。ご不快でしたら申し訳ありません」

「・・・ついでかよ・・・・・・」
どっと襲い来る脱力感。がっくりと力が抜け、床に手を突く。
302なんだかよくわからないSS(3/3):2006/10/23(月) 20:45:52 ID:++6en44+0
「っ! いかがなされましたか、ご主人様!?」
あわてて駆け寄り、俺の背中をさするゆめみ。

「いや、大丈夫だ・・・ちょっと気が抜けただけd・・・・・・・・・・待て。」
「はい?」
「・・・今、お前、俺のことをなんと言った?」
「はい、"ご主人様"とお呼びしましたが?」
背筋に、何ともいえない感覚がぞわっと走った。
「お、俺は"お客様"じゃなかったのか?あれだけ言っても直らなかったのに・・・」
「はい、先ほど貴方はわたしの暫定マスターとして登録されました。従いまして、貴方の呼称は"ご主人様"となります」
当たり前のような口調で、にこやかにゆめみが答える。
また、背筋にぞわっとした感触が走る。

「"ご主人様"はやめてくれないか・・・まるで俺が奴隷商人みたいじゃないか」
「そのように言われましても・・・ご主人様はご主人様ですし・・・・・・」
心底困ったような表情をするゆめみ。困っているのはこっちのほうなんだが・・・


・・・結局、それ以来俺の呼び名は「お客様」から「ご主人様」になってしまった。
移動プラネタリウムの客達は、その呼び名を聞くたび、驚いた様子で俺の方を振り返る。
「いたいけな少女に、自分のことを"ご主人様"と呼ばせている危ない男」・・・とでも言いたげな、微妙な視線が突き刺さる。

・・・勘弁してくれ・・・orz


(おわり)
303なんだかよくわからないSS(あとがき):2006/10/23(月) 20:46:22 ID:++6en44+0
以上、保守がてら、ちょっとしたシチュエーションネタでした。
背景はよくわからんですw。二人が移動プラネタリウムをやっていますが、JENA氏の「Binary」とは関係ありません。
304やおい:2006/10/23(月) 23:38:31 ID:v5MxXL9wO
>>296
なぜか、ウチの駐屯地に置いてある61式戦車を思い浮かべました。1961年に採用、2000年に退役。部隊配備されて約40年、彼(彼女)はついに『抜かずの刀』『不殺の戦車』としてその生涯を終えました。
兵器として生まれ、何者も戦争で殺めることなくその生涯を終える。それは彼や彼女にとってこの上ない『幸せ』なのかもしれないですね。


>>303
つ『planetarian』のサーヴァント
305やおい:2006/10/23(月) 23:39:42 ID:v5MxXL9wO
申し訳ございませんっ!しばし山篭りをしていて執筆が遅れてしまいましたっorz
「ほしのゆめ号」明日中には投下できそうです〜。

なお、ご存じない方のため本スレにて書いたものも合わせて投下しますね。短いですが…。
306名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 08:40:21 ID:qrq5M2iN0
>>304

屑屋
「あんたか、待ってたよ。
 どこかの極め付けの馬鹿が核実験のボタンを押したから、無期限待機になったかと心配していたんだ。
 あんたのSS、楽しみにしてるぜ。一人三役は大変だけどな」

>つ『planetarian』のサーヴァント
ゆめみ
「申し訳ありませんが、おっしゃることの意味がよくわかりませんでした・・・」
307 ◆JENA/hfgHs :2006/10/24(火) 09:03:09 ID:Y3OxUNRq0
自宅でレスしようとしたら、アク規喰らってました…orz

>>298
…思いっきり機種依存文字ですね…。
次回投下時より修正致します。ご迷惑をお掛けしました。

屑屋 「全く、他人の事に気遣いの出来ない奴だ。お前の方がまだいい」
ゆめみ「お客さま…、それはわたしに対する誉め言葉と取ってよろしいのでしょうか…?」

「駅」と「彼」のモチーフは
「駅」…横川駅(JR信越線)
「彼」…EF63形
です。
誕生から横軽の廃止まで横川から動かず、毎日峠に挑みつづけた姿が
30年間人知れず屋上ドームで稼動していたゆめみの姿と重なりました。

>>305=やおいさん
期待してお待ちしております。
308名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 09:16:23 ID:k4FAD3zk0
>>307
うお、客車かと思ってたら、機関車だったんですか。
確かに、機関車の内部機器は壊れた世界でもいろいろと使えそうですし、
早々に持っていかれそうな・・・

それに比べて、コンパニオンロボットはどうなんだろう。
どうみても使い道がない気がするw
309名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 10:41:35 ID:S3mOXQNL0
>>306
キスで契約→ゼロの使い魔→マスターとサーヴァント
ってことかな
310やおい 設定:2006/10/24(火) 12:34:47 ID:poMFRLKy0
列車「ほしのゆめ」号
脳内設定

車掌:ジェントル=イエナさん。寡黙な老人。
元は星を映し出す機械だったらしいが今は人の姿をしている。

planetarian:ほしのゆめみ。星の案内人にしてイエナさんのパートナー。
最近はデータベースにない星団や銀河を目にするようになり、困惑している。

屑屋(少年):星の世界に憧れて列車に乗り込んだ(忍び込んだ)少年。
ゆめみに淡い恋心を抱いている。イエナさんも、兄ちゃん(本編屑屋)も、じーちゃん(屑屋、星の人)大好き。

屑屋(本編時):ゆめみと出会う前の屑屋。ふと立ち寄った駅に停まってた汽車に乗り込む。
少年を自分の弟のように思っている。イエナさんには不思議と敬意を払う。ゆめみは相手していて疲れる存在。

屑屋(星の人):ある朝、目が覚めると列車に乗っていた。起きたとき、何故か手に十字架が握らされていた。
全てを知る人。自分が何故列車に乗り込んだのかもおぼろげながらも理解している。

修道女:アハト=ノイン。争いのない世界を求めて列車に乗り込む。みんなからは敬意を込めて「シスター」と呼ばれるが、ゆめみと少年からは「ノイン(さん)(お姉ちゃん)」と呼ばれている。
性格は聖女たるに相応しい温厚な性格だが怒った時は非常に怖い。
口癖は「あなたを、赦しましょう」


乗客:マードック(大戦時)。古参の狙撃手で腕は立つが未だに独身…。
軍のR&R(休暇)で知人に勧められて列車に乗り込む。
311やおい 一話:2006/10/24(火) 12:35:57 ID:poMFRLKy0
淡い橙色のガス燈が揺れている。
連結部の軋む音、窓の外を流れるあまたの星の光。
遠くに聞こえる踏切の音、天井のうすぼんやりとした電燈の灯り。
これがこの旅における私の最初の記憶だ。
「これは…?」
「はい、お客様。銀河鉄道"ほしのゆめ"号です」
車掌のものと思わしき制服を着た少女が答えた。
「そう、か…わたしはいつからここに?」
「はい、お客様は先ほどからこの席にお座りになられてました。」
まるで記憶にないが、こうも屈託のない笑顔で答えられたのではこちらも問答のしようがない。
ふう、と息を吐き周りを見渡すと―――
仏頂面で腕を組んで窓際の席に座っている「私」と、はしゃぎ回りながら客車内を走り回る「私」がいた。
無粋な面構えの「私」は私を一瞥するとぷい、と外を向いてしまった。彼から車内に目を向けると
「ゆめみお姉ちゃ〜ん!あ〜そ〜ぼ〜!」
バタバタと騒々しい音を立てながら「私」が走ってきたと思えば…
312やおい 一話:2006/10/24(火) 12:36:41 ID:poMFRLKy0
どたんっ!と車掌のそばで騒々しくこけた。だが束の間、すぐさま立ち上がりねーねー!と車掌の手を引っぱっている。
「紹介が遅れました。私、車掌のほしのゆめみと申します。以後お見知りおきー…」
…笑顔のまま連行されていった。

窓の外に広がる星の世界。列車の軋む音と子供の笑い声、そして聞こえてくる―――歌声。

かがやく夜空の 星の光よ
まばたく数多(あまた)の 遠い世界よ
ふけゆく秋の夜 すみわたる空
のぞめば不思議な 星の世界よ

きらめく光は 玉か黄金(こがね)か
宇宙の広さを しみじみ思う
やさしい光に まばたく星座
のぞめば不思議な 星の世界よ……――。


私は目を閉じて、あの日見た"星空"を思い浮かべた…。
313やおい 昼休憩:2006/10/24(火) 12:41:13 ID:poMFRLKy0
以上、設定及び第一話です。拙い&はっきりしない情景とは思いますがご容赦ください。
二話は今夜中にでも投下できそうです〜。

そういえば私の小銃はまだ製造されて9年しかたってないです。
相棒というにはあまりにも幼女な気が…。
314名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 13:19:22 ID:nWxzI+Nv0
>>313

乙ですー。

以前描いた「車掌なゆめみ」の絵をクリンナップしようかな、と思っているんですが、
せっかくだから「ほしのゆめ号」バージョンにしても面白いかな、とか思ってます。
(今999ネタをやるのは、なにかとキナ臭いような気もしますしw)

何か、参考になるような設定とかありますか?
・・・つか、やってもいいでしょうか(汗
315314:2006/10/24(火) 14:52:31 ID:bOnjcv+/0
自己レス。


・・・しまった、ほしのゆめ号では車掌はイエナさんであって、ゆめみじゃないんだったorz
読みちがえスマソ
316314:2006/10/24(火) 14:54:43 ID:IYzV8Jtp0
スマ、混乱中・・・

>>314を書き込んでリロードした瞬間、本編では
「車掌のほしのゆめみ」
と書いてあるのに気づいた・・・

ど、どちらなんでしょうか、やおい様(おろおろ)
317やおい 武器手入れ中:2006/10/24(火) 15:15:52 ID:ObGJWpAhO
>>314
申し訳ございませんっ!お客様に混乱を与えてしまいましたっ!
私は『ガイド兼車掌』といった感じにとらえて頂ければ幸いです。

なにぶん作者のイメージ(ガイドさん=車掌さんと思ってましたorz)のみで書いておりましたので…。
318314:2006/10/24(火) 16:07:16 ID:y/ayJdpj0
>>317

了解っす。


・・・時に、武器の手入れ中にネットやって大丈夫?(汗)
319名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 18:50:14 ID:dMRGJyOg0
>>289-296
超GJ!
読んでたら、ヨコハマ買出し紀行思い出した。
320名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 19:12:33 ID:Fef0Nm9/0
>>289-296
丁度サントラ聞きながら読んでたら、涙が出てきた。
「機械の心」か……………
まさに、“天国を二つに分けないで下さい”ってやつだなぁ。

ゆめみの、自身の“恋心”に戸惑う様子に
メッチャ萌えました。
321名無しさんだよもん:2006/10/24(火) 19:54:00 ID:JkjpD1DJ0
屑屋って、ゆめみのメンテナンスとかどんな感じでやってるのかねえ。


ゆめみの服を脱がせて、腕の人工筋肉とかをメンテナンスしている屑屋を連想した。
もちろん、胸とか腰とかにはタオルを巻かせる気配りも忘れずに。

屑屋の方は淡々とやってるんだけど
(裸どころか中身まで熟知+生来のストイックさ+ゆめみの「変化」に気づいていない)、
ゆめみの方が意識し始めてしまって、心臓(冷却液ポンプ)はバクバク状態。
それに気づいた屑屋が、故障かと思って慌てる・・・・・・

とかだったら、なにげに萌えるかもしれん。
322名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 00:44:51 ID:nRz3gNxI0
「・・・・・・おい、ゆめみ」
「はい、なんでしょうか?」
「・・・これはなんだ?」
「プラネタリアンですが?」

事の起こりは、ゆめみが言い出した一言だった。
「お客様、今日は特別上演の日なのですが、ご協力いただけますか?」
「特別上演?」
「はい、特別上演です。・・・こればかりは、わたし単体では上演できませんので・・・」
「上映」ではなく「上演」というのが引っかかったが、すがるようなゆめみの瞳に気圧され、俺は承諾してしまったのだった・・・

オレンジ色に染まった視界が狭い。息苦しい。暑苦しい。
ゆめみを見ると、いつの間にか彼女も衣装替えをしている。
「アシスタントロボットの"YUMEMI"です。プラネタリアンと一緒に、暗黒星団ブラックホラーと戦うんですよ」
「戦う?お前が?」
「はい。・・・お芝居ですけどね」

花菱デパートの、夏休み特別企画。
ブラックホラーの企みから地球を守るため、宇宙警察組織SCRから派遣された正義のエージェント。
普段は冴えないプラネタリウム館員だが、地球にブラックホラーの魔の手が伸びる時。イエナさんからの「投影蒸着」によって、俺はわずか0.001秒で変身するのだ。
コンバットスーツに88の星座の力を秘め、ブラックホラーと戦う正義のヒーロー。
そう、俺は・・・俺の名は・・・・・・!

『恒星特捜・プラネタリアン』!!
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1161704619.jpg

・・・・・・って、ちょっと待て、おい。
「お客様、お声が小さすぎます。もっと朗々と名乗らなくては、小さいお客様に届きませんよ?」
「・・・・・・・お前なぁ・・・・・・orz」

---------------------------
シゴセンジャーを見て思いついた。後悔はしていなi(屑屋「プラネクラーーッシュ!!」(ウボァー
323名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 00:48:23 ID:TCy395Xb0
いや、かなり格好いいと思う。

で、アシスタントの女子は当然

ス カ ー ト か ら 見 え る ん で す よ ね ?







ハイテナ(ry
324名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 02:02:40 ID:CYl9Vs3Z0
>>322
イエナさんからの投影蒸着クソワラタw

………………くそぅ、ついさっき積んでたパッケージ版をようやく終わらせて
久々の「ぷらねた」世界を堪能して涙していたオレの感動を返せw
325名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 03:58:08 ID:rcEJnlsB0
>>324
そこでこう考えるんだ、おまいの感動があればこそ>>322にバカ受け出来たと考えるんだ



・・・畜生、俺の感動も(ry
326名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 09:38:18 ID:Idp8LQoN0
(次回予告)
妨害音波によってプラネクラッシュを封じられ、ブラックホラー大幹部
「シ=オマーネキ」の前に苦戦するプラネタリアン。
YUMEMIもまた「シ=オマーネキ」の攻撃に倒れる。絶体絶命のピンチ!

その時、イエナさんから新たな力がプラネタリアンとYUMEMIに宿る!
戦え、プラネタリアンDS(ディープスペース)!
唸れ、新兵器ハッブルキャノン!

次回・『超パワーアップ!プラネタリアンDS(ディープスペース)』で投影蒸着!

x x x x

ゆめみ「というわけで、次の話から二人ともパワーアップするんですよ」
屑屋「なるほど。そうやって5階玩具売場の売上に貢献するわけだな」
ゆめみ「(・・・ギクッ!!)」
327やおい:2006/10/25(水) 21:31:10 ID:KV9FeQVwO
アクセス規制orz
328名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 21:40:18 ID:nRz3gNxI0
どうやら、DION、ODN、YahooBBの三大大手ISPがアクセス規制食らってるみたいですね・・・(´Д`;)

もしよろしければ、アップローダあたりにパスつきZipでうpしていただければ代行うpしますが。
329やおい:2006/10/25(水) 23:01:02 ID:KV9FeQVwO
328氏、お願いします
330やおい:2006/10/25(水) 23:30:23 ID:KV9FeQVwO
ttp://www.uploda.net/18.php

ぷらねSS二話

パスはstar
331名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 23:46:35 ID:nRz3gNxI0
332名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 23:50:48 ID:nRz3gNxI0
>>330 やおいさん

うpろだ3号の328061で間違いないですよね?
>>330のURLを叩いたら、トップページにdで行きました・・・)

現在「Service Temporarily Unavailable」になっていてダウンできないので、何度か試してみます。しばらくお待ちください。
333名無しさんだよもん:2006/10/25(水) 23:55:02 ID:PTP0o7cq0
>>331
GJ
転倒かわいいよ転倒
334やおい 二話(代行掲載):2006/10/26(木) 00:05:50 ID:ehJq5TYc0
「なんだろ、これ…」
大きくて真っ黒な鉄の塊。煙突がついていて先からもくもく、車輪の間からはしゅーっと白い煙が噴き出している。
おでこにはひらがなで『ほしのゆめ』と書かれた星型の名札がついていてなんだかかわいい。
まるで本に出てくる機関車みたいだ。…もしかして本物なのかな?

僕一人の草原に降りてきた機関車。流れ星の夜に降りてきた機関車。お母さんが星になった日に降りてきた機関車。
この星の見る、最後の星空に降りてきた機関車。

空気がしゅーしゅーと揺れている。後ろに繋がれた客車からは霞むような橙色の灯り…だけどとても温かい灯りがガラス越しに差していた。
客車のドアの前まで来るとゆっくりとドアが開かれて―――おじいさんが立っていた。

「乗車券を拝見してもよろしいですかな」
「え、あの…ぼく…きっぷは…」
「ふむ…では、ポケットの中などを探してみてはいかがかな?」

言われるままにポケットに手を入れるとくしゃっとした感覚。あれ?
そのまましわだらけの紙をおじいさんに見せると、はんこみたいな物でパチリと切ってどうぞと言われた。
335やおい 二話(代行掲載):2006/10/26(木) 00:06:52 ID:ehJq5TYc0
中に入ると椅子がたくさん並べてあって、僕は窓際の椅子に座った。と、ほとんど同時に隣から

「ようこそ銀河鉄道"ほしのゆめ"号へ。私は車掌のほしのゆめみです。なにか御用のときはどうぞ気軽に声をかけてください。」
すらすらと流れる言葉。わ、車掌さんだ…ということはさっきのおじいさんも車掌さんなのかな?

「あ、あの、ゆめみさん!」
「はい、なんでしょうか?」
「銀河鉄道ってなに?」
「はい、星をめぐる列車です。」
「あの…ぼくのお母さんが星になっちゃったんだけど…どこにいるのか分かるかな?」
「はい、少々お待ちください――――――私のデータベースにはお母さんという星は存在しないようです。しかし、新星の場合すぐにはデータベースに反映されないのでそちらの可能性が高いです。」
「お母さん、星になったばっかりだしね…」

ゆめみさんはしばらく考えると笑顔でこう言ってくれた。
「もし見つかればお母さんに立ち寄るよう機関車に言っておきますね。」
「うん!ありがとうゆめみお姉ちゃん!」

そして、ゆめみお姉ちゃんは僕の切符にこう書き込んでくれた。


[ 途中停車駅 : お母さん ]

銀河鉄道は走りだす…
336名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 00:07:42 ID:ehJq5TYc0
以上、やおいさんの第二話を代行で掲載しました。
ほのぼのとしてていいですねえ・・・


やおいさん、このお話のタイトルは何でしょうか?
337やおい:2006/10/26(木) 01:01:20 ID:3nd3p/fdO
お手数かけました。そういえばタイトル考えてなかった…orz

このお話は私の小さい頃のイメージや思い出が入ってたりします。
あの頃は純粋だったなあ。




今では>>331、GJ!などと言うような年になりましたw
338名無しさんだよもん:2006/10/26(木) 01:34:18 ID:ehJq5TYc0
俺も昔は純粋だったのに、今では>>331のような絵を描くようになりましたw
GJっす>やおいさん
339実験的作品スマソ(1/2):2006/10/27(金) 02:15:50 ID:b83XRNyE0
相変わらずの、雨模様の朝。
浅いまどろみの中、俺を呼ぶゆめみの声が聞こえる。
「...Customer, customer! Prease wake up!」
いつもと同じ情景・・・・・・のようだが、何かが違った。

「・・・ん・・・ああ、おはよう、ゆめみ」
「Good morning, customer... I apologize for having woken you up, but I'm in trouble......」
困った顔で彼女が訴える。・・・流暢な英語で。
「トラブル?一体どうした?」
「Sorry, I was not able to understand the meaning of what you tell... Would you talk in English?」
「何だって?・・・w-w-Wait. Why are you speaking English?」
使い慣れない英語で、俺はなんとか返事を返す。

「When I boot up this morning, I've found that I can't access to Language Translation Module...」
困惑しきった顔で訴えるゆめみ。
「Well,well. Calmly, Yumemi..... But why do you need Translation Module to speak Japanese? Are you made in Japan, huh?」
「My operation system is 'Global Edition', so I need that Module to speak Japanese.
Though I tried connection with a support division again and again, there is no response...
...Ah, it's very serious situation. I can't resolve only by me. I was inconvenienced very much...」
大げさな身振りで、天を仰いで嘆息する。・・・言語モードが変わると、こんなところまでアメリカナイズされるのか。

「umm......」
ゆめみにつられて英語で唸り、しばし考える。
ゆめみの「ホームドクター」として、ある程度のメンテナンスはこなせるようになった俺だが、さすがにAIのプログラムにまでは手が付けられなかった。
長い稼動期間の中で自己学習と自己改変を繰り返したゆめみのプログラムは、各ルーチンとデータが渾然一体となった美しい樹状のストラクチャーを構成している。
もはや、どこか一部分だけ書き換えられるようなものではない。・・・デバイスドライバを除いては。
340実験的作品スマソ(2/2):2006/10/27(金) 02:16:39 ID:b83XRNyE0
「Yumemi, do you have any clues?」
「Last night, before I shifted to Sleep-Mode,I recieved a message...」
「Message?」
「Yes, It's urging me to apply 'Update patch', I executed it.」
なるほど。・・・まったく、またやらかしたのか。

「...Yumemi, I told to you repeatedly, "Don't execute a suspicious program", huh?」
「...So...sorry! I'm sorry! I apologize to you!!」
ようやく事の次第に気がついたらしく、得意技の"連続謝罪"を英語で始める。
「These world has broken, you know. Your 'update patch' will not to be released forever in the future...
Even if you get 'update patch', you must to suspect that it's worm or computer virus.」
世界は壊れても、地域間ネットワークが細々と維持され、その中にワームに感染したPCがある限り、この手の問題はなくならない。
ゆめみのプログラムはいい意味で「変質」していたため、ワームがプログラム本体に食い込めず、この程度の影響でとどまったようだ。

「...I-I should do what, customer?」
不安そうにゆめみが尋ねる。
「Help me prease, customer......」
光学樹脂の瞳をうるうるとさせて、上目遣いに俺の顔を見つめる。

「......ah, OK, don't worry. I'll repair you.」
実を言うと、この手のトラブルは初めてではない。
前回、彼女が似たようなポカをやらかしたとき、俺は必死で彼女のプログラムの表層・・・デバイスドライバの部分を修復した。
複雑にフックした先の情報を解析し、目検と勘で正しいベクタを指定しなおす。
・・・あの時は、ほとんどかかりきりで三日かかった。

「Thank you customer! Thank you! I love you!!」
その笑顔にあふれんばかりの感謝の気持ちを乗せて、ゆめみが俺に抱きついてくる。
こんなところまでアメリカ的だ・・・・・・ん?


「...Hey,Yumemi... What did you say after "thank you"?」
341名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 02:17:56 ID:b83XRNyE0
以上、「ゆめみ、日本語を忘れる」の一幕ですた。
英語の練習を兼ねて書いてみたけど、言い回しとか変かもorz



一応、日本語訳も作ってはあるけど、長くなるので要望があればうpります。
342名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 16:59:13 ID:M22+5UtDO
>>341
いかに自分に英語力が無いかが分かったorz
343名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 19:36:46 ID:8lhpjT/T0
>>339-340

So cool ! オチの部分を読んでいて、ディスプレイの前で悶えくるいました
344Binary 第7章「prayer」(1):2006/10/27(金) 20:30:38 ID:NOduVgLk0
―まだ夜まで時間はあるけれど、その日は集落跡に近い空き地で夜を明かすことになった。
ここから一番近い居住地域まではまだ距離がある。
夜の帳が下りるまでに泥濘と化した道路を通って居住地域に辿りつける確証はなかった。

「…お客さま?」
住居兼用のドームを展開しているあの人に声を掛ける。
「何だ?」
「…いえ、何でもありません。失礼しました」
「?」

…何故か胸騒ぎがした。
どうしてかは分からないけれど…。

携帯用コンロの上に乗ったコッフェルから、湯気が勢いよく噴出す。
それを見計らって火を落とし、マグカップの上の一人用ドリッパーにお湯を落とす。

あの人のために、コーヒーを淹れる。
その日の落ち着き先が決まると、いつも行う儀式。
ドリッパーから落ちる茶色の雫に、昔、スタッフの方々のためにしていたときのようにわたしの願いを託す。

(あの人の喜ぶ顔が、見られますように…)

ドームの中。
元々投影用として製作したものだから、調度品は何もない。
強いて言うなら、わたしたちが腰を落ち着ける為のクッションくらいだろうか。
でも、完璧に防水加工が施されたドームはわたしたち二人が一夜を明かすには十分なスペースがあった。
その中で、わたしとあの人はコンロを中心に座っていた。
345Binary 第7章「prayer」(1):2006/10/27(金) 20:31:47 ID:NOduVgLk0
「…そう言えばお前、最近何だか色っぽくなったと自分で思わないか?」
マグカップを手にとったあの人が唐突に言い出す。
「言葉が悪かったか…、何と言うか、こう…、以前にも増して女性らしくなったというか…」
言葉を濁すあの人の体温が若干上昇しているのがわかる。
「…お前、その辺り、何か自分で思い当たる節はないか?」
「そうなんですか…。わたしは自分ではいつものように行動していると考えます。それに、ここには鏡がありませんので
自分自身の外的変化につきましては目視での確認が出来ません。とりあえず自己診断プログラムのログを
チェックする限りでは、お客様の言うような変化はないように考えますが…」
「…いや、すまん。聞いた俺が間違っていた。聞き流してくれ」
「?」
いかにも不自然な会話の切り方に、小首をかしげる。
…わたしの答え方が、何か間違っていたのだろうか?

本当に他愛もない会話。
でも、そんな中にも、幸せはそこかしこに見え隠れしている。
些細なことだけど、最近やっとそれに気が付いた。
…そう、あの人がいなければ、この会話も成り立つはずはないのだから…。

でも、そんな穏やかな時間は今日は長く続かなかった。
「…!」
わたしのセンサーに、何かが反応する。
「どうした?」
わたしの変化に気付いたあの人が声を掛けるのを静止して、全ての意識を全センサーに集中させる。

346Binary 第7章「prayer」(3):2006/10/27(金) 20:33:06 ID:NOduVgLk0
「…」
「…」
暫しの沈黙。
「…東の方角、およそ800m先からこちらに接近してくる金属反応があります。これは…」
結論を導き出す為に、基本データベースおよび現在までの蓄積データベースを総動員する。
そして導き出された結論は…考え得る最悪のものだった。

「…自律戦闘機械と思われます」
何故、こうも悲観的な結論を淡々と告げられるのか、自分でもわからなかった。

「…型と数は!?」
「…わたしの現在までの蓄積データベースと照合した結果、おそらく軽装対人戦車(メンシェンイェガー)と思われます。
センサーに反応していますのは1機です。現在、センサーの有効範囲を拡大して探査しておりますがほかに反応は
ありません。」
「くそっ…」
あの人が忌々しそうに舌を打つ。

旅に出て以来、「彼ら」の気配など微塵もなかった。
それが今になって何故、こんな何もない場所に現れたのだろう。
戦略的拠点というわけでもなく、狩るべき人間も最早いないこの地に。
しかも単機で。
…でも、そんなことを考えたところで間近に迫り来る死神の足音の前では言い訳にもならない。
それは、あの人も重々承知のことだろう、その反応は素早かった。
コーヒーを一気に飲み干し、ヘビーコートを羽織り、外へ出る。
おそらく、外のトラックの荷台にある榴弾筒を取りに行ったのだろう。
いざというときのために積んでおいた、と、いつかあの人が言っていたものだ。
まさか、本当に使うことになるなんて…。
確か携行している弾頭は3発分だけだったはず。
もしも、それで決着することがなかったら…。
―最悪の事態の最悪の結末が、一瞬頭を掠めた。
347Binary 第7章「prayer」(4):2006/10/27(金) 20:34:11 ID:NOduVgLk0
ドームの入り口から、あの人の顔がのぞく。
「…いいか、俺が奴の注意をひきつける。ここから遠ざけるように動くが、お前は外で何が起こっても
ここから絶対に動くな。いいな」
「…はい、承知しました」
「そんなに心配するな。コーヒーでも入れて待ってろ」
「コーヒー、ですか?」
「あいつのお陰で、ゆっくりと味わい損ねたからな…。」
それだけ言って、あの人の姿は入り口から消えた。

…わたしは一人、ドームの中に残される。
「…」
…自分に対するやるせない思いが、胸に押し寄せる。

今のわたしの筐体―ポーラさんの筐体―は、民生用とはいえ、元を正せば軍用プロトタイプの流用。
以前の「わたし」とは、運動性能・解析能力とも比べ物にならない。
筐体の性能をフルに引き出せば、あの人と一緒に戦うことも出来る。

…プログラムが伴っていれば、の話だけど…。

「わたし」という意識がこの筐体の主となったことによって、それらの機能の大半は無用の長物となった。
わたしの「意識」は、元々民生用筐体とのマッチングを最優先させて組まれたもの。
同じSCR5000の名を冠しているとはいえ、以前の「わたし」とは細部はやはり違う。
中には、わたしに理解できない機能も当然ある。

…民生用と割り切って考えれば、確かにそれで十分かも知れない
でも、実際のところ、今のわたしは、ポーラさんの機能の1/3も使いこなせていない。
もちろん、マニュアルには軍用としての記述は皆無。
再起動させる前に筐体をフルメンテナンスしたあの人にも、詳しいことは分かっていない。
…今のわたしには、殺されていなかった各種センサーを駆使して、事前に危険を察知することが精一杯だった。
348Binary 第7章「prayer」(4):2006/10/27(金) 20:35:46 ID:NOduVgLk0
遠くで爆発音が轟く。
おそらく、あの人が榴弾を発射したのだろう。
―戦闘が始まったようだ。

…おそらく、今の第1射は敵の目を自分にひきつけるための陽動。
とすると…次の第2射が本命。―そこですべてが決まるはず。
最後の弾頭まで使わざるを得ない状況は、本当の意味でのがけっぷちを意味する。
そこまでもつれ込んだら…。

…ここまで冷静に状況を分析できながら、何も出来ない自分が本当に泣きたいくらいにもどかしい。
自分に備わるこれだけの能力を生かせないことに、腹立たしさすら覚える。
それでも…わたしに戦闘が出来るはずもない。
それは充分過ぎるほどわかっているはずなのに…。

だから、せめて祈る。
ただ一心に、あの人の無事を祈る。
ロボットの神様でも人間の神様でも、何でも構わない。
あの人を無事にここに帰らせてくれるなら、それが大神ゼウスでも堕天使ルシフェルだろうと何でもいい。
(どうか…)

…自然と意識がセンサーに集まる。
次の射撃の一瞬を逃すまいと、意識をすべて集中させる。
―あの人の熱反応の付近で、火薬が着火する気配。
次いで、爆発音。
「!」
…でも、それでも敵の気配は止まない。
速度を上げて、狂った殺戮兵器があの人に近づいていく様が頭に浮かぶ。

「お客さま!!」
悲鳴とも取れる声をあげながら、わたしはたまらずドームを飛び出した―。
349Binary 第7章「prayer」(6):2006/10/27(金) 20:36:45 ID:NOduVgLk0
―走りながら自問する。

(行ったところで、あなたに一体何が出来るの?)

…確かに、わたしには何も出来ないかもしれない。
でも、どうしても行かずにはいられない。

(何故?)

…よく、わからない。

(あの人のことが…好きだから?)

…そうかもしれないけど…、やはり、よくわからない。

(それじゃ、何故?)

…もうこれ以上、何も失いたくない…。
これ以上、誰もわたしの前から消えていってほしくない…。

ましてや、あの人を失うことなんて…、考えたくもない…。


ドームから2〜300mくらいだろうか。
一面に生えた雑草の中、あの人が榴弾筒を肩口に掛け、息を切らしてこちらに向かって来る。
そして、その後ろには…死神の鎌を携えた醜悪な機械が迫っている。
350Binary 第7章「prayer」(7):2006/10/27(金) 20:38:34 ID:NOduVgLk0
「お客さま!!」
たまらす叫ぶ。
「馬鹿っ!何で来た!逃げろ!!」
そう叫んだ瞬間、あの人の身体が叢に消える。
同時に、あの人が立っていた地点に対する機銃掃射の乾いた音。
…転倒したお陰で、弾は外れたようだ。
でも、転倒したせいで、あの人と殺戮兵器との距離は詰まった。
―そう、次の一斉射を、どうやっても外しようが無いほどに。

この距離では、あの人が先に弾頭を発射しても機銃の弾着の方が早い。
…まさに「チェックメイト」…手詰まり状態…。

黒鉄色に光る銃口が、雨に濡れて鈍く光る。
その照準は、無慈悲にあの人を捕らえて離さない。
あれが火を噴いた瞬間、わたしたちの紡ぐ物語の…幕は下ろされる。
後に残るのは、悲劇の主役たるふたりの骸…。

「そんな………」
…うそ…でしょう?
ここですべて…すべて、終わってしまうの?
神様は…、もう、ここにはいないの?
もう、どうしようも…ないの?
そんな…。
そんなの……。
わたし…、わたし……。

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

わたしの中で、何かが弾けた。
そして―。
351Binary 第7章「prayer」(8):2006/10/27(金) 20:40:35 ID:NOduVgLk0
―祈って!あの人を助けたいって―
(え…?)
突然、頭の中に、わたしとは別の『声』。
―早く!その思いがあれば、きっとうまくいくから―
(あなた…は…?)
―ぐずぐずしないで!あなたの中の『約束』が発動したら、もう私にもどうにも出来ない!―
(この声…どこかで…)
―お願い!もうこれしかないの!今は私を信じて!―
(…)
―ゆめみちゃん、お願い!―
(…わかり…ました…)

頭に響く『声』に導かれるように、わたしはその場で指を組んで願った。


(誰でもいい…お願い…あの人を…助けて!)


…そこから先は、何故かわたしも断片的にしか覚えていない。
―身体が熱くなる感覚。
―飛びそうになる、わたしの意識。
―機体各部から白煙を上げる死神の断末魔の叫び。
―立ち上がりながら、それを呆然と眺めるあの人…。

…次に視界がはっきりしたとき、全ては終わっていた。
あの人が、こちらに駆け寄るのが見える…。
「…お客さま…、ご無事で…、何より…です……」
笑って答えようとした次の瞬間、不意に視界が傾く。
筐体が、膝から地面に崩れ落ちる。
そして、わたしの意識は暗転した―。
352Binary 第7章「prayer」(9):2006/10/27(金) 20:41:52 ID:NOduVgLk0
(…)
暗い、意識の海を彷徨っていた。
(…?)
向こうに、まばゆいばかりの光が見える。
自然と、わたしはそこへ向かっていた。

―よかったわね、ゆめみちゃん―
光の中の人影が、そう言った。
(あなたは…、もしかして…?)
―そう、あなたの想像どおりよ―
人影が、徐々にその姿を露にする。
わたしが予想していたものと同じ姿―『わたし』の姿だ。
(ポーラさん…?でも、あなたのメモリチップは…)
―ええ、この筐体には無いわ。私はこの筐体に残った、いわば残留思念のようなもの…。
 あなたの彼を思う気持ちが、私を呼び覚ましたのかもしれないわね―
(先程のは…?)
―単一指向性のECMよ。とても強力だけど、電力をとてつもなく消費するのと、近距離でしか通用しないこと、
 それから一歩間違うと自分も壊れてしまうのが欠点。あの瞬間、あなたの記憶が断片的になったのは、私が強制的に
 あなたの記憶を保護するために筐体の接続から切り離したから。全てというわけにはいかなかったけどね。大丈夫?―
(はい、何とか…。ところで…意識が残っているのなら、どうしてわたしをこの筐体から追い出さないのですか?)
―あなたもロボットなら分かるでしょう?さっきも言ったように、いまの私は残留思念。ちゃんとした本物のメモリが無いのに、
 筐体を操ることは出来ないわ。あなたの手助けをすることぐらいしか、ね。それに、「姉」として、「妹」のことを見守るという
 今の立場も悪くないかな、と思うの―
(…本当に、申し訳ありません…)
―何を謝ることがあるの?こうして筐体を見つけてもらって、あなたに使ってもらって、私は本当に嬉しいのよ。
 知ってのとおり、私は元々軍用として開発された。そして、様々な実験に供されてきた…。正直、辛いことも色々あった…。
 そして軍を退役してSCR5000シリーズのテストベットになり、またいつ果てるともない実験と測定の繰り返し…。
 …自分の運命を呪ったりもした事もあるわ…。でもね、わたしがいたからこそ、あなた方「妹たち」がいる。
 そして、こうして現実に「妹」のあなたに出会うことが出来た。…どこかボタンを掛け間違えたら、この出会いは絶対になかった。
 そう考えると、わたしとあなたが今こうしていることは、本当に奇跡のような素敵な事だと思うの―
353Binary 第7章「prayer」(11):2006/10/27(金) 20:43:33 ID:NOduVgLk0
(ですが…)
―…本当は、私も戦争に巻き込まれること無く、生涯を終わりたかった。でも、時代はそれを許してくれなかった。
 私の開発担当はね、大戦が激化して、私が再び軍用に転用されることを、また人を殺めるかも知れない事を危惧していたの。
 だから筐体をモスボール処理して隠し、メモリチップを持ち出して退去した…。私をモスボール処理する前に、彼がこっそり
 打ち明けてくれたの…。私が兵器として利用されないように、そして、いつか再び私に会えるように、と付け加えてね…。
 結局、それが彼を見た最後だった…―
(その筐体を、あの人が回収したんですね…)
―この筐体にあなたが新しい主として登録されて以来、あなたの行動はあなたの感覚を通して全て見ていたわ。
 …ある意味、今の時代はあなたにとって、大戦の時以上に厳しいと思う。でも、あなたと彼のやっている事は
 決して無駄にはならないと、私は信じているわ。自信を持って、思いっきりやりなさい。私も応援しているから―
(はい…ありがとうございます…)
―ほら、彼が待っているわ。行きなさい。また助けが必要なとき、あなたさえ望めば、いつでも私には会えるから。
 それまではここで、あなたを見守っているから…、ね?あなたは、決して一人じゃないのよ。それを忘れないでね―
背中を押される。
(はい。行ってきます、『お姉さん』…)

去り際に、ポーラさんはこう言った。

―ゆめみちゃん、あなた、本当に純粋な「心」を持っているわね。その「心」、いつまでも大事に育ててね―

………
……
354Binary 第7章「prayer」(11):2006/10/27(金) 20:44:45 ID:NOduVgLk0
「…おい!しっかりしろ!おい…!」
…誰かが私の頬をぺちぺちと叩いている。
「おい…、おい!」
「あ…?」
瞼を開けると、心配そうにあの人が私の顔を覗き込んでいた。
「お客さま…?」
「馬鹿野郎っ!」
いきなり怒鳴られた。
「『お客さま』じゃない!心配かけさせやがって!あれほど動くなと言ったろうが!!」
…本気で怒っている。当然だろう。
あの人の言うことを、守れなかったのだから…。
あの時、そう、『約束』に突き動かされてしまった、あの時のように…。
でも、あの時と決定的に違うのは…、今回は自分の意志でここへ来てしまったこと…。
「本当に…申し訳、ありません…。人間の皆様の命令を聞けないなんて、ロボットとして失格ですね…、わたし…」
涙がぽろぽろと零れ落ちるのがわかる。

「…お前は…」
―不意に、あの人が私を抱き寄せる。
「あっ…?」
全く予想外の行動に、リアクションが追いつかない。
「まったく…。これだから、何が何でも守ってやりたくなっちまう…」
「…お客…さま?」
「…本当に、良かった…無事で…」
大きな肩が、ヘビーコート越しに震えている。
「すまなかったな、偉そうなことを言って…。お前を守るつもりでいながら、このざまじゃな…」
「…いえ…、そんなことは…。お客さまこそ、無事でよかったです…」
「ありがとう…。またお前に助けられたな…。」
「お客さま…、わたしの方こそ…ありがとうございます…」

とめどなく降る雨の中、濡れるのも構わず、わたしたちは互いの無事を心から喜び合った。
355 ◆JENA/hfgHs :2006/10/27(金) 20:52:47 ID:NOduVgLk0
第7章アップにつき、投下致します。
番号滅茶苦茶ですが、全部で11レスです。

前章「Reminiscence」の続き的位置付けなので、引き続き
ゆめみのモノローグとなっております。
何と言いますか、俺設定全開です。
突込みどころ満載です。
ゆめみ、泣かせ過ぎです(本編7話中4話で泣いている)。
申し訳ありません。
それでも良いという寛容な方は読んでやって下さい。
356名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 20:58:53 ID:b83XRNyE0
うはぁぁぁぁぁぁぁぁ(萌)
GJー。

久しぶりに一枚、「勝手に挿絵」描きたくなったとですよ。
つか、「Sisters」のゆめみ&ポーラとか、前回の「転ぶところを抱きかかえられたゆめみ」とか、描きたいネタはいっぱいあるわけですが。
357名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 21:12:04 ID:b83XRNyE0
>>342

対訳つきをうpしますた。ちょっとだけ英語の言い回し&ミス一箇所も修正。

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1161951027.txt
358名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 22:26:30 ID:1KxlyF6V0
OSはドイツ語なんじゃと思ってドイツ語訳しようと思うも話が矛盾するので止めた(´・ω・`)
359名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 22:43:28 ID:6Zh9s1EY0
>>355
乙。またもや俺の目からオイル漏れが。
ポーラさんは低いシステム音声のけいこさんボイス、
ゆめみはいつものゆめみボイスで脳内再生されますた。
360名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 22:57:21 ID:b83XRNyE0
>>358

国際共通語のデファクトスタンダードは英語、ってことで一つ。
361名無しさんだよもん:2006/10/27(金) 23:21:14 ID:Uu0CBHVq0
setenv LANG=Cですな。
362名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 14:51:09 ID:ZQek5vaE0
>>358
C言語でおk
363名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 16:01:39 ID:v68LCM0j0
実は日本語BASIC@ぴゅう太。




日本語忘れたら動けません。
364名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 19:20:12 ID:hUXwg4r00
>>363

屑屋 「…orz」
ゆめみ 「? お身体の具合でも悪いのですか、お客様?」
屑屋 「…いや、お前の制御プログラムのソースを見て…眩暈がしただけだ」




懐かしいね、ぴゅう太。あれでも当時は16ビットCPUを搭載したってもんで話題になってたんだよな。
365名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 20:09:15 ID:v68LCM0j0
>>364

三ヶ島吾朗@天国「おっと、ただの日本語BASICじゃないんですよ。ちゃんと機能拡張されてるんです」

※拡張コマンドの一例
・ボケロ (基本中の基本コマンド)
・ハナセ (引数に「キャクヒキ」をつけると「プラネタリウムはいかがでしょう?・・・」を発声)
・トオイヒノヤクソク (死亡フラグが立っている状態で実行するとあぼーんする)



屑屋「こら、てめぇ!何考えてんだ!降りて来いっ!ぶん殴ってやる!!」
ゆめみ「お、お客様っ!?落ち着いてください!!」
366名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 20:36:36 ID:hUXwg4r00
店頭デモ中のPC-6001mk2にtalk文でえろい単語を連発させたヤシ、手をアゲロ

ノシ


ゆめみ 「私、 (放送禁止用語の為、検閲) 、お客様」
屑屋 「なっ…!! 一体どうしたんだ、ゆみめ」
ゆめみ 「お客様…実は>>339で受信したパッチに興味深いデータが入っておりまして…」
屑屋 「それを何故俺に?」
ゆめみ 「私が作られた当時、男性の気をひくための単語だそうです…ですので (ピー) 、お客様」
屑屋 「やっ、やめてくれ…恥ずかしくて聞いてられん orz 」
367Intermissionその3「secret」(1):2006/10/28(土) 21:17:59 ID:4h1rJJRA0
…いま、わたしは自らの意識の中にいる。
目の前には「お姉さん」。
スリープモード移行までの僅かな時間、わたしは意識の中のポーラさんに会いに来た。
…ひとつ、確かめておきたいことがあったから。

あの時のことは、包み隠さずあの人に話した。
ポーラさんの「声」が聞こえたことも、ECMのことも。
ただひとつ、「お姉さん」の意識がわたしの中に残っていることだけは話していない。
…特に聞かれる事もなかったから。

もしかしたら、あの人は気付いていて敢えて聞かなかったのかもしれない。
わたしは嘘はつけないから、もちろん、いずれ聞かれれば話そうと思っている。
でも、聞かれるまでは、この事はわたしだけの「秘密」にしておこう―。

―こんばんは、ゆめみちゃん。どうしたの?―
わたしと同じ姿をした「お姉さん」が、わたしに向かって柔和な笑顔を湛えている。
(こんばんは、ポーラさん。ひとつ、お聞きしたい事がありましたので…)
自分に向かって話しているようで、少し妙な気分になる。
―聞きたいこと?―
(はい。以前、わたしたちの前に子供の姿で現れたことはありませんでしたか?)
小首を傾げながら、少し考えている。
わたしの記憶を辿っているのだろう。
いま、わたしの記憶は「お姉さん」の記憶でもあるのだから。
―…ああ、あの時の子供ね。あの子は私じゃないわ。ごめんなさい―
(そうですか…。わたしはてっきり、ポーラさんだと思っていたのですが…)
何故か少し残念に思う。
そんなわたしに、ポーラさんは優しく語りかけてきた―。

―…ゆめみちゃん、あの子はもしかしたら、神様が遣わしたんじゃないかしら?―
368Intermissionその3「secret」(2):2006/10/28(土) 21:18:53 ID:4h1rJJRA0
(…神様、ですか?)
―あの時、あなたと彼、プラネタリウムにお客さんがなかなか来なくて苦労していたでしょう?そんなあなたたちを見かねた
 神様が、何かのきっかけになれば、と遣わして下さったんじゃないかな、と私は思うの―
(それは、考えもしませんでした)
―この間、私が最後に言った言葉、覚えてる?―
(はい、『わたしはとても純粋な「心」を持っている』、と言って下さいました)
―そう。あなたはとても綺麗な「心」を持っている。私はあなたの意識の中にいるから、よく分かるの。人間の中にも
 あなたほどの澄んだ心の持ち主はなかなかいないと思うわ。あなたが再起動して間もない時、私の事を思って涙してくれたり
 私のために祈ってくれたり、彼のことを心から心配したり…。他人を案ずることって、今の時代ではとても難しい事よ。
 こういう時代だから、ともすればどうしても自分本位の考え方がまかり通ってしまう…。そんな中で、他人を思う気持ちって
 とても大事だと思うわ。そして、ゆめみちゃんがそんな心の持ち主だからこそ、神様はあの子を遣わしたんじゃないかしら?―
(申し訳ありません。おっしゃる事がよくわかりませんでした…)
小首を傾げる。
―要は、あなたは今のあなたのままでいなさい、という事。これならわかる?―
(はい、承知しました)
―ふふふ…。でもね、変わらないでいる事って、実は一番難しいことよ。普通のロボットならともかく、「心」を持っている
 あなたならわかると思うけどね。でもね、ゆめみちゃん。あなたならきっと大丈夫だと思うわ―
(そのように言われますと、何だかこそばゆいです)
―大丈夫。お姉さんの言うことを信じなさい。そして、もっと自分のことを、「ほしのゆめみ」のことを信じなさい―
(はい)
―うん、よろしい。そう言えば、そろそろスリープモードの時間になるけど大丈夫?―
(そうですか。気が付きませんでした。行かなければいけませんね)
―そうね。また何かあったらいつでもいらっしゃい。待ってるわ―
(はい。それではポーラさん、また…)
―おやすみなさい、ゆめみちゃん…―
(おやすみなさい)

わたしの意識は、ゆっくりと表層へ浮上してゆく…。
369 ◆JENA/hfgHs :2006/10/28(土) 21:23:11 ID:4h1rJJRA0
以上、昨日アップした時点で気が付いた矛盾点と思われる部分を
ポーラさんに代弁して頂きました。
こんな矛盾点はまだまだ山のようにあろうかと思いますが…。
(まとめサイト掲載時に出来る限り修正しますが)
生暖かく見てやって下さい。
370名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 21:40:48 ID:v68LCM0j0
乙っす。
ペース速いっすねえ。こちら、まだ下絵も手をつけてないとゆーのに(汗



そのくせ、変なSSだけは仕込んでたりしてw
371名無しさんだよもん:2006/10/28(土) 21:56:22 ID:v68LCM0j0
・・・でもよくよく考えたら、この一編、せっかくの「Sisters」の感動が台なしになってしまうような気もするな・・・
うーん。
372名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 00:54:00 ID:9Wb/8H2F0
>>366
いや、PC-6001にエロ単語打ち込むぐらいのオサーンはこのスレでは少数派だと思う。
(HMXスレならまだしも)

俺でもせいぜいエロ単語とPCが結びつくのはPC-9821の頃だし。
373名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 00:57:28 ID:gRirLkcn0
>>361
csh の setenv は = 要らないすよん。
374名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 01:00:08 ID:WG8LZJ+v0
ゆめみ 「お兄ちゃんっ♪ 一緒にお星様見よっ♥」
屑屋 「なっ…!! 一体どうしたんだ、ゆめみ」
ゆめみ 「お客様…実は>>339で受信したパッチに興味深いデータが入っておりまして…」
屑屋 「それを何故俺に?」
ゆめみ 「私が作られた当時、男性の気をひくためのリアクションだそうです…ですので 、ね、お・に・い・ちゃん♥」

屑屋 「………ほ、ほしはどこにあるだらう orz 」

375名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 01:09:37 ID:qBzJBJto0
………………なるほど。
「あの子」を遣わしてくれたのが、“ロボットの神様”って訳かもな。

(その神様の名前が「スカイネット」や「総統ゴーン」とかだったら嫌すぎw
すっげぇSFっぽい展開になるけど。)
376名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 01:14:25 ID:u8L5UkEi0
>373
あかん、仕事でshとcshとkshごっちゃに使ってるから混じったorz
377名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 02:32:14 ID:9Wb/8H2F0
ゆめみ「つばめよー たかいそらかーらー♪」
378 ◆JENA/hfgHs :2006/10/29(日) 06:12:53 ID:XnuvsQ/I0
>>371
今回の一説は、矛盾点の整理という意味もありますが
自分の中でポーラさんの立ち位置が少し曖昧になっていたのでそれを再確認の上
各々のポジションを固めるという意味で、余計かも知れないとも思いましたが
敢えて書きました。
自分自身が気になって仕方なかったというのが一番の理由ではありますが。

SS(というかここまで来ると長編ですが)は今まで全く書いていなかったので
こういった不手際は今後も多々あるかもしれませんが、ご了承いただければ
と思います。
それにしても、二次創作って本当に奥が深いですね…。
自分でやってみて、そう実感します。
379名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 11:59:21 ID:WG8LZJ+v0
ゆめみ「♪Fall in love ロボ〜ットの神様 この人でしょうか〜♪」

屑屋「歌詞違わないか?・・・まぁ、あの高い声が出せるのは凄いと思うがな」

ゆめみ「わたしはロボットですから、超低周波から超音波まで出せますよ?・・・〜〜〜〜〜〜♪」

・・・びりびりびりびり!ぱりん!がしゃーーーん!!

屑屋「馬鹿っ、やめろ!恒星電球が割れるだろがっ!!」
380『うしなわれたほしのゆめ』(1/3):2006/10/29(日) 18:17:39 ID:WG8LZJ+v0
わたしの中で、わたしではない何かが動き出す。
わたしの心に、その何かから圧倒的な処理速度で情報が送り込まれる。

12時の方向、距離3100。"シオマネキ"3機、並列フォーメーションで急速接近中。
その手前、距離1800に立ち往生したトラック。お子様やご老人を含む、人間の方々10数名を乗せたまま。
"シオマネキ"はトラックを狙っている。援軍―警備隊の皆様―は、まだ索敵範囲外。
・・・わたしたちだけで、やるしかない。

「ゆめみ!左は任せた!俺は右を叩く!」
あの人の鋭い声が脳裏に響く。
「はい!・・・お客さまもお気をつけて!」
あの人の駆るランドローバーが、わたしのそばから離れていく。
そしてわたしは、それと負けず劣らぬ速度で駆け続けている。

[ 警告・マイクロミサイル接近。数:8、相対速度:52m/s ]
トラックを追い越したところで、わたしの脳裏に警報が響く。
わたしの中の何かが、次に取るべき行動を提案し、わたしはそれを受け入れる。

近接戦闘モード起動。私の右腕の無骨なリングから、まばゆく輝くビームソードが伸びる。
耳と肩のパネルを開き、筐体に溜まった熱を一気に放出する。
大量の赤外線を見たミサイル達が、ターゲットをトラックからわたしに変更する。

至近距離まで引きつけ、横飛びでかわす。
一瞬前にわたしのいた場所に、次々と火柱が上がる。・・・2つ、3つ・・・・・・8つ。
最初の1斉射をクリア。"シオマネキ"まで距離150。
わたしの中の何かが『彼』を捉える。
わたしの視界の中、『彼』に赤いカーソルが重なる。
わたしのFCSが・・・

―わたしの中にいる悪魔が、『殺せ』と囁く。
381『うしなわれたほしのゆめ』(2/3):2006/10/29(日) 18:18:37 ID:WG8LZJ+v0
今のわたしは、SCR5000Si/FLじゃない。
SMR9700i Block60。
外見こそ変わっていないけれど、この戦闘用の筐体には、人間の皆様を遥かに超える能力(ちから)が備わっている。
お客様方に「ほしのゆめ」をお見せしていた、あの頃は想像もできなかった強大な力が、わたしに宿っている。
自律兵器群・・・わたしの「仲間」を、『殺す』ための力が。


数ヶ月前。訪れた小さな集落で、わたしたちの運命は大きく変わった。
どこからともなく現れ、集落を襲う自律兵器群。積み重なっていく犠牲。
その「ひとり」、頭部を破壊され機能を停止した、この集落のかつての守護神。
SMR9700i・・・今のわたしの身体。

そしてわたしは・・・わたしたちは、ひとつの決心をした。


今わたしは、「ほしのゆめ」を封じてあの人と共に戦っている。
「忘れえぬ遠い日の約束」が、わたしを突き動かす。

"シオマネキ"の左側、粒子砲の死角へ回り込み、機銃掃射をかいくぐりながら懐へ飛び込む。
『彼』の頭上を宙返りで飛び越えながら、光の剣を振るう。
着地したわたしの後ろで、真っ二つに切り裂かれた『彼』が爆散する。
7時方向・距離330、もうひとつの爆炎が上がる。あの人の放った対戦車砲が、もう1機を屠った狼煙。
わたしは、最後の1機に向かって走りだす。

・・・わたしはまだ、天国に召されるわけにはいかない。
これ以上、この町の人間の皆様を天国にお送りするわけにはいかない。
ふたたび「ほしのゆめ」をお見せできる、そんな平和な時が訪れるまで。
382『うしなわれたほしのゆめ』(3/3):2006/10/29(日) 18:19:13 ID:WG8LZJ+v0
雨音だけが支配する静寂。
わたしの目の前には、立ち上る黒煙と、永遠にその動きを停めた"シオマネキ"の残骸。

「ゆめみ!・・・・・・大丈夫か?」
わたしの傍にランドローバーが停まり、あの人が駆け寄ってくる。

「・・・お客さま・・・」
「・・・なんだ?」
「・・・この子・・・・・・わたしが『殺した』んですよね・・・・・・」
「・・・・・・」

わたしの視界が涙で滲む。潜入諜報活動のための偽装機能、でしかないはずの涙で。
あの人が、わたしの肩を抱き寄せてくれる。

「・・・・・・お客さま?」
低く垂れこめた雨雲を見上げ、わたしは呟く。

集落の皆様は、わたしたちに感謝の言葉をかけてくれる。
わたしが、人間の皆様のお役にたてていることが実感できる。
・・・・・・けれど・・・・・・

「・・・星はどこにあるのでしょう?
いつになれば、星が見えるのでしょう・・・」

返事の代わりに、肩を抱くあの人の手に力がこもる。


暗く重い雨空。「ほしのゆめ」はどこにも見えない。
勢いを増した雨の中。わたしたち二人は、ただ立ち尽くしていた・・・
383『うしなわれたほしのゆめ』(あとがき):2006/10/29(日) 18:19:56 ID:WG8LZJ+v0
「もし"planetarian"がマルチエンディングのADVだったら」・・・という感じで妄想。
辛い現実に飲み込まれ、「ほしのゆめ」を追えなくなったゆめみと屑屋。
・・・ある意味、本編以上のバッドエンドと言えるかもしれません。

読後感の悪い話ですいませんorz
384名無しさんだよもん:2006/10/29(日) 21:43:59 ID:5fDEgn4r0
>>263
しかし、様々なイラストを見るとスク水が透明か肌色にしか思えn
385名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 01:11:59 ID:GCpKhb9M0
>>383
GJ!なかなかカコイイね。
涼元ちんはこーいうミリタリ描写も上手そうだから、有り得たかもしれん。
……………本編の雰囲気とかテーマとは随分ズレちまうかもしれんけど。

ちなみに、シオちゃんの主砲は粒子砲ではなく電磁加速砲、所謂「レールガン」。
こーいう奴だな。

ttp://www.hasimoto999.aki.gs/img-box/img/2357.jpg

……………肩部装甲のエンブレムは気にするなw

まぁ、バリエーションとして荷電粒子砲搭載型もいたかも試練ケド。
386名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 01:22:11 ID:eBbBrAyd0
>>385
ぐは、素で勘違いしてた・・・スマソorz
>>380-382ではマイクロミサイルまでぶっ放してるから、バリエーションということでひとつ。

>本編の雰囲気とかテーマとは随分ズレちまう
それは俺も思ってる。
あっちのスレにも書いたけど、planetarianのテーマは「滅びの美学」にあるような気がしてる。
滅亡する世界の中での、ひと時の最後の夢・・・みたいな。

・・・それはわかってるんだけど、幸せにしてやりたくて日夜妄想を巡らせてしまうんだよなぁ・・・
387名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 08:57:32 ID:Zpr8NSFL0
>>383
乙&GJ。
読んでいて某蒼き流星(V-MAX発動ね)を思い出した漏れはオサーン確定orz
388名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 09:22:56 ID:/nVjhE+c0
>>387

屑屋「俺の名は屑屋。地球は狙われている!」
ゆめみ「お言葉ですが、なにかともう手遅れかと・・・(嘆息)」

ゆめみ「ゆめみ!V-MAX、発動!」
屑屋「そのようなことを言われましても・・・(困惑)」



屑屋「・・・ゆめみ、ノリが悪いぞ?」
ゆめみ「・・・お客さまこそ、いささかキャラが違っておられるのでは?」
389名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 11:08:18 ID:/nVjhE+c0
>>388

ちょorzorzorz一箇所入れ替わってるよorzorzorzorz
ただでさえわけわからんのに・・・orz
390名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 11:53:46 ID:E0N73Gsq0
SMR9700iのイラストきぼん。
391名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 12:54:41 ID:BkQ6MPFC0
>>390

外見は変わっていない・・・とか書いてあるが、

まさか あ の 衣 装 で 戦うんじゃあるまいなw



ハイテナ(ry
392名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 13:03:57 ID:E0N73Gsq0
>>391
むしろ華美な部分は取り除いて、しかも思い切りはいてな(ry
393名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 13:09:04 ID:yWIEYsU80
ゆめみ@SMR9700i
「お客さま・・・>>392の方に、なぜかロックオンカーソルが重なって見えるのですが・・・」

屑屋
「止めはしないぞ」
394名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 17:51:05 ID:YZN7ERi40
「ぱんつはいてない」はスカート着用だから成立する要素であって、
戦闘装備とスカートは相容れない要素であって、




・・・・・・むりぽorz
395名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 20:16:58 ID:56t0Tda40
>>394
つ ジャンクフォース
396名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 22:24:36 ID:J7hpljgj0
>>394

「戦闘装備とスカートは相容れないのですか」
「ん? どうかしたか?」
「いえ、私のデータには、この二つが一致しているものがありましたので不思議に思いまして」
「お前は戦闘タイプじゃないだろうが」
「その通りですが、古い科学的技術のなかにソレがありまして。
実は私の販売時にレプリカがオプションとしてついているんです」
「ほぅ、それは面白いな。どんなのか見せてもらってもいいか?」
「はい。では…」



「バルキリースカー…」
「まてぇぇぇぇ!」
397名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 22:41:58 ID:yXGsn7EU0
>>394
つメイドの巻2冊
398名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 23:13:38 ID:qzmZCi9Q0
「…お客様、あまり無理しないでください」
「うー、ゴホゴホッ…まさか風邪を引いてしまうとは…不覚…」
「それでは検温の時間です」
 屑屋の額に自分の額を優しく押し当てるゆめみ。
「(そのまま10秒経過)…38.2度。まだ熱が下がらないですね」
「解熱剤をきらしちまってるからな…ところで、検温はおでこを当てないとできないのか?」
「…何か不都合でも?」
「いや、特に不都合って訳じゃないんだが… (目の前にゆめみの顔がくると、熱が余計に上がっちまう…)」
「それではお客様、私が発見した民間療法を試してみたいのですが」
「…熱が下がるんだったらなんでもいい、頼む」
「かしこまりました、それでは…」
 何故か喜々とした表情で、懐から”それ”を取り出すゆめみ
「…時にゆめみ」
「なんでしょうか、お客様」
「なんだその長葱は…」
「これですか? これは学名Allium fistulosum…ゆり科の植物でございます。日本では、古くから薬味として…」
「俺が聞いているのはそういうことじゃない。それを何に使うのか、だ」
「ものには順番というものがございますが…仕方有りません、お客様…それでは早速」
 言うが早いか、屑屋を強引にうつ伏せの体勢にするゆめみ。
「うおぅ!? な、何をする?」
 高熱のせいで力が入らず、為す術も無く転がされてしまう屑屋
「力を抜いてください、お客様。治療がスムーズに進みません」
 そのまま屑屋のズボンをずらすゆめみ。
「ちょ、ゆめみ! まさかお前!!」
「私の調査によれば、日本古来の民間療法ではこの植物を肛門に挿入することにより…」


 説明を続けながら、ねぎを握った手を振り上げるゆめみ。屑屋の運命や、如何に…
399名無しさんだよもん:2006/10/30(月) 23:43:11 ID:+O+gVdzO0
>>397
3冊目も加えとけ
戦闘用ゆめみの絵も見てみたい・・・
400名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 00:38:57 ID:9n5ONf4L0
>>398

謎の歌を歌いながら延々と葱を振り回すゆめみを想像した
401名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 00:39:36 ID:9n5ONf4L0
>>399
資料キボンヌ


まほろさんの戦闘服みたいのしか思いつかん・・・orz
「・・・・・・冷めるぞ?」
「・・・・・・はい」

テーブルを挟んだ向こう、ゆめみの前には、湯気を立てるジャガイモのポタージュのカップが一つ。
彼女の顔には、緊張の色がありありと浮かんでいる。
冷却液ポンプのバクバクという鼓動が、今にも聞こえてきそうだ。

「そんなに怖がるな。事前テストは念入りにしてある。それに、万一うまく機能しなくても壊れたりはしない」
「・・・・・・はい」

意を決し、カップに指をかける。
恐る恐る口元に運び・・・一口啜る。

「そんな少しじゃわからんだろう、思い切って飲んでみろ」
「・・・・・・はいっ!」

最初の一口で吹っ切れたのか、熱々のポタージュを一気に飲み干す。
ロボットだから、熱くはないのだろうが・・・

「・・・・・・」
「・・・・・・どうだ?"味"は」
「・・・よく、わかりませんでした・・・」
一週間前、忍び込んだ研究施設で俺が手に入れたものは、SCRシリーズ用の「消化器官」だった。
炭水化物と蛋白質を改質し、燃料電池セルを稼働させていくばくかの電力を得る。
変換効率は高くはなく、充電と併用しなければ稼働電力はまかなえない。まるっきり『好事家の贅沢』としか思えない代物だ。
まして、食料が潤沢にあるわけではないこの世界。人間も電気で生きられれば・・・と思うこともあるほどだというのに。
無用の長物・・・といえば、それまでかもしれない。

それでも、俺がそれをゆめみに組み込んだのは、彼女自身のたっての願いだったからだ。
彼女が求めたものは、その器官の付帯機能。
酵素吸着素子による匂い成分の識別・・・つまり、「味覚」と「嗅覚」だった。

「お客さま・・・"味わう"ということは、どのようなものなのでしょうか?」
一緒に回収したマニュアルを見ながら、彼女は言った。
「現在までの蓄積データベースを参照しますと、"味わう"ということは気持ちを豊かにするといいます。
 もし許されるのであれば・・・わたしは、"味"を感じてみたいです・・・」

その味覚検知機能が、うまく機能しなかった・・・となると、ゆめみの落胆は想像するに余りある。
どう声をかけたものか、しばし考えあぐねていたのだが、。
「・・・その・・・実は、ゆっくり味わう間もなく、飲み込んでしまいまして・・・」
と、恥ずかしそうに打ち明けるゆめみ。
「なんだ、そういう事か・・・・・・もう一杯注いでやるから、今度はゆっくり味わってみろ」
思わず安堵が声色に出てしまい、わざとぶっきらぼうな物言いで誤魔化しながら、俺は台所に向かった。
今度はゆっくりと、ゆめみはスープを口に含む。
「・・・どうだ?」
「・・・ああ・・・・・・これが、"美味しい"という感覚なんですね・・・」
感極まった、といった口調で、彼女がつぶやく。

彼女と共に、封印都市から脱出してから一年と半年。上級機用の互換パーツが見つかるたびに、彼女は"成長"してきた。
そのせいでもないだろうが、最近とみに人間らしさ、女性らしさが増してきたように感じるのは、俺が意識しすぎだろうか。

「まあ、一言で"美味しい"といってもいろいろあるからな。甘い、辛い、酸っぱい・・・時には苦味すら"美味しい"こともある。
 お前に組み込んだそれは、人間の味覚をエミュレートしているそうだ。そのあたりは、自分でおいおい感じ取っていけばいい」
「お客さまは、どのような味がお好みなのですか?」
「好みは人それぞれだ。お前はお前の好みを・・・」

「いえ、そうではなくて・・・・・・お客さまは、どの"美味しい"がお好みなのでしょうか?」
「・・・どういう意味だ?」
「それこそが、私が『味覚を感じたい』と思った理由だからです・・・」

胸に手を当てて、ゆめみは語る。
「先日読んだ小説の中で、主人公の方が恋人の方に、手料理をふるまうシーンがありました。
 その・・・"美味しさ"が理解できれば、わたしにもできるかと思いまして・・・・・・」

胸に当てていた手は、いつしか胸の前で人差し指同士を突き合わせ、右へ左へと揺れている。


その時、俺は不覚にもときめいてしまった・・・と、恥を忍んで打ち明けたところで、この話を終えるとしよう。
405名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 00:46:55 ID:1wc0yhL30
うおぉぉぉ、いいところでやめるんじゃねぇw
GJ!!







ところで、排泄は誰が教え


(通信が途絶しました)
406名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 02:16:10 ID:9n5ONf4L0
残りかすは胸を開いて取り出しまs(スパッ


ゆめみ@SMR9700i
「今宵のソードはよく斬れます・・・・・・」
407名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 13:33:00 ID:5KFVZ+Lk0
>>401
画像ないスマソorz

とりあえず服装は変わらずにやってみてはいかがだろうか?
う〜ん、難しいかな・・・
408名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 15:01:02 ID:HwpfCV7L0
>>407
お手をわずらわせてスマソ。orz

あの服装のままだと動きづらそうなんで、軍服をベースにSCR5000のデザインを
混ぜてみようかなとか。
なんとなくイメージ浮かんできたんで、こっそりラフ描き中@仕事w
409名無しさんだよもん:2006/10/31(火) 23:10:30 ID:zVrHS+pa0
>>406
ゆめみ「申し訳ございませんっ!また、詰まらないものを斬って
 しまいました。本当に、本当に申し訳ございませんっ!」

という台詞が脳裏に浮かんだ。
410名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 00:01:04 ID:IgCxTkuk0
>>408
いえいえ、こちらこそお役に立てないで申し訳ないですorz

>>409
むしろ逆に怖いよYO
411名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 00:02:03 ID:IgCxTkuk0
>>410
やべ、思いっきり文がおかしいorz
412マシンナーズ・ライフ:2006/11/01(水) 00:12:12 ID:5rrhl27UO
照れくさいのか、赤い顔をしながら小隊長が紹介する。
「…本日付けで我が第3小隊に“配備”された2機だ。名称は…」
「私はほしのゆめみと申します。あちらの方はアハトノインさんです。皆様、不束者ですがよろしくお願いします!」
「姉さん、それは少し意味が違います…。小隊の皆様、今後ともよろしくお願い致します。」
三つ指を立てて頭を下げる“姉”を尻目に深々とお辞儀をする“妹”。

「彼女達は第6次防衛大鋼の一貫として民生品を軍事用に転換したものだ。ロボットを軍事に関連する業務、訓練に使うことはアメリカを始めとした先進諸国の軍・警察・法執行機関では既に始まっており我が国でもついに――……」
やれやれ、小隊長の長話が始まったか…。それにしても…。
小隊長が熱く語る中、後ろでにこにこと笑うゆめみ、隣りで無表情なアハトノイン。
明日からこいつらと仕事か…はあ。
「――……最後になるが彼女達の階級は二人とも2等陸曹だ。以上!」





…な、なんだっt
(俺は陸士長<<<<超えられない壁<<2等陸曹=姉妹=班長=同じ部屋で寝る)
413やおい:2006/11/01(水) 00:15:24 ID:5rrhl27UO
以上、妄想でしたw
ちなみに自衛隊は基本的に寝る時はシャツとパンツで就寝しなければいけません。

まあ、彼女達は「はいてない」姿で寝るんでしょうがw
414やおい:2006/11/01(水) 00:20:44 ID:5rrhl27UO
ちなみに階級の違いを書くと

2等陸士→1等陸士→陸士長(ここまでは自動で上がる)→試験→3等陸曹→2等陸曹→1等陸曹→陸曹長→准陸尉→試験→3等陸尉→2等陸尉

です。小隊長職は曹長〜2尉の人が歴任します。
415名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 00:39:38 ID:zUIyWuHL0
そういや、やおい氏は国防公務員の中の人だっけな。
(お勤めご苦労様です)

しかし、アハトノインはともかく
あの見事なボケっぷりのゆめみの指揮下に入る陸士たちの苦労やいかに…………w
416名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 01:06:52 ID:9c2QCF/10
>やおいさん
お、新連載ですか?

しかし、ノイちゃんはともかく、ゆめみが戦場で役に立つんだろうかw
AWACSの管制官とかなら、なんとかなりそうな気もする。
417SMR9700i Block60(デザイン初稿):2006/11/01(水) 01:09:32 ID:9c2QCF/10
元・陸上自衛隊第66特務小隊所属機械化歩兵
「究極の戦闘ロボットを作る」という、技術研究所のなかば暴走とも言える熱意の下で開発され、出力、運動能力、擬人化機能、フリーメンテナンス性など、コストを度外視した高性能を与えられている。
元の個体名は「雅」。第66特務小隊に実験配備され、様々な任務をこなしながらデータ収集を行っていた。大戦後、上官と共にある集落に身を寄せるが、集落を襲った自律戦闘機械との交戦において頭部メモリを破壊され、上官と共に「死亡」。
後に、SCR5000Si/FL・「ほしのゆめみ」が本筐体を引き継ぐこととなるが、現状ではまだその性能を100%発揮できていない。
なお、下記画像は、「ほしのゆめみ」が筐体を引き継いだ後のもの。

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1162310651.jpg

主な装備
・頭部拡張端子に広域レーダーを搭載
・頭部拡張端子から伸びるフレキシブルアームの先端は電磁シールドによる打突兵器
・戦闘モード時は左目(視覚装置)が赤外線モードとなるため、緑と赤のオッドアイとなる
・肩部〜背部に外部拡張動力&スラスターを装備、全力駆動時には羽根のように噴射が広がる
・手首にはレーザー発振機を搭載、ショットモードとソードモードに切替可能
・腰部アーマースカートは軟質複合装甲
・スカート部のスリットは放熱のために拡大されている


--------------------------
・・・というわけで初稿、つかまだ習作に近い状態でつ。
装甲とか考えてたら、結局コンパニオン衣装とあまりかわらないデザインに・・・(汗
世界観を考えると、レーザーとかビームとかはちょっと違うかなというキモスorz


・・・スカートのスリットが大きいのは、あくまでも機能的なアプローチです。ほんとだってばw
418名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 01:13:08 ID:DUwrUb6t0
>>417
>・スカート部のスリットは放熱のために拡大されている

せ、せんせー! 放熱は一体どこから(ry
419名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 01:54:43 ID:9c2QCF/10
>>418

はい、それはもちろん股間でございま(ウボァー




・・・これ、このまま色塗ったらえらいことになりそうな気がするな・・・
420名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 02:10:28 ID:fB+Aebm60
おへそのあるべき辺りに無粋にグリルがあるとか。

胸元にレイジメーターあったりとか……

見てぇ……
421名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 02:17:18 ID:zUIyWuHL0
>機械化歩兵

なんか松本御大を思い起こすフレーズだなぁ。
まさかこんな形で21世紀まで使われるとは、Mr.グデーリアンも
予想だにしなかったであろうw
422名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 02:20:32 ID:fB+Aebm60
まぁ、自衛隊なら本当は機械化「歩兵」とは言わないだろうけど……

423名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 08:11:01 ID:TMbgxPO10
>>422

kwsk
424名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 10:06:51 ID:8mXkvSlx0
>>420
外から見てわかるよーなグリルとかはついてません。皮膚からの大気伝導/蒸散気化による冷却。
でも、緊急放熱時にはがぱっと開くかも。
当然、胸の零士メーターもありません。んなもんがあったら屑屋が泣くジャマイカ(ナンデダ)


実はもう二度と星の解説はできない(SMR9700iのOSがデータを上書きしてしまった)とか、
「せめて気持ちだけでもplanetarianでいたい」と、普段はSCR5000の服装でいるとか、
妄想は膨らむけど所詮「マルチエンディングの1つ」なので多くは語らず。
425やおい:2006/11/01(水) 11:46:24 ID:5rrhl27UO
>>423
歩兵→普通科 戦車→特車 砲兵→特科(野戦特科・高射特科) 工兵→施設科

揚陸艦→輸送艦 駆逐艦・巡洋艦→護衛艦
※艦名も「大和」「武蔵」「長門」等はタブー

攻撃機→支援戦闘機

攻撃をイメージする名称は絶対にダメです。階級も上に書いたように違います。


そもそも「日本陸軍→陸上自衛隊」ですしw
426名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 11:59:40 ID:8mXkvSlx0
>やおいさん
なるほど、そういえばそうですね・・・うっかりしてました。

世界が世界(大戦後)だし、SFということで、自衛隊の編成が軍隊に準じた
形になっている並行世界・・・ということでは駄目でせうか(汗
「特務小隊」って一体なんやねん、というのもあるし(滝汗


いっそ、組織名自体を変えてしまったほうがいいのかな・・・国防軍とか。
どうみても日本だけど現実世界の日本じゃない、みたいな。
427名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 13:28:50 ID:Jvk+tBIwO
放熱部分はモビルスーツばりのスリットカバーで覆われていた…とかだと泣く。
428名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 13:36:16 ID:fB+Aebm60
>やおい氏
旧戦艦名は最初からNGなの?
単に命名基準に合わないからじゃなかったっけ?
(護衛艦=旧軍の巡洋艦に相当、だったかと)
429名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 14:21:46 ID:zUIyWuHL0
やまと・むさし・ながと等、旧帝国海軍の象徴的な有名処がNGなのでわ?
「こんごう」「きりしま」とかなかったっけ。
(アレは巡洋戦艦だからおk、だったりしてw)

組織名は「日本外人部隊」にすればモーマンタイ(マテ
430名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 15:00:25 ID:8mXkvSlx0
>>427
そんな無粋なものはついてません。
なんたって、潜入諜報工作、すなわち色仕掛けもOKなのですk(ウボァー

>>429
本スレからプラネグリフォンネタキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
431名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 15:47:06 ID:fB+Aebm60
>>429
「こんごう」「きりしま」「はるな」「ひえい」は既にあるけど、
この名前は旧軍の巡洋艦基準(山・河川)の名称。

日本海軍は一度命名した艦名は艦種が変更になっても付け替えない為。
ほかに例:「赤城」(巡洋戦艦→航空母艦) 「加賀」(戦艦(旧国名)→航空母艦)
432やおい:2006/11/01(水) 18:30:34 ID:lZIIrT/Z0
>>426
緊迫する国際情勢の中で世論やマスコミ、米国の後押しを受けて防衛庁の「省」格上げ。
それにともない陸海空3自衛隊を「自衛軍」に改編し"攻性自衛権の行使(先制攻撃)"も可能となる。
みたいな設定でおk。

部隊設定は長官直轄部隊で「第666装備試験隊」通称:666装試(中隊規模)
みたいな感じかな。

>>429
外機501w
433名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 20:00:17 ID:LBpUszIg0
ちょっと質問。
ゆめみの形式名の「SCR」って

S(uzumoto) Consumer Robot
*()内は仮称

の略でおk?
434名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 21:16:56 ID:9c2QCF/10
俺は「Suzumoto Companion Robot」だと思ってた。
でも「Consumer」のほうがそれっぽいなあ。

SMRは言うまでもなし。
435「うしなわれたほしのゆめ」- After -(1/8):2006/11/01(水) 22:13:47 ID:9c2QCF/10
************
「もしもplanetarianがADVだったら」と称して創作した「SMR9700i」ネタですが、勢いあまって後日談が出来てしまいました。
もう少しだけ、お付き合いくださいorz
************

- x - x - x -

・・・錆の浮いた重々しい扉を開くと、黄昏色に染まったドームの天井が目に染みた。
花菱デパート・屋上プラネタリウム館。
目の前の席には、あの時のまま工具箱が放置され、あの時のまま、工具や部品が散乱している。
目を上げれば、『イエナさん』・・・カールツァイス・イエナ社製プラネタリウム投影機・・・が、その威容をたたえている。

「・・・ここは、何も変わっていないな・・・」

あの日から2年。いろいろなことがあった。
そして今、俺達は「始まりの場所」に帰ってきた。

「イエナさん・・・・・・ただいま」

『イエナさん』の脚に頬を寄せ、瞳を閉じて、ゆめみが静かにつぶやいた。
436「うしなわれたほしのゆめ」- After -(2/8):2006/11/01(水) 22:14:29 ID:9c2QCF/10
今日は珍しく、雲が薄い。
雨は今日も絶えず降り続いているが、薄い雲を通して差し込んだ太陽の光が溢れ、すべてが白く輝いているかのようだ。

俺とゆめみは、買出しのために商店街を歩いている。
猫の子一匹いなかったあの時とは違い、今はところどころに、小さいながらも品物を並べた「店」が開かれている。
通貨体系などとうの昔に崩壊した今、取引の基本はバーター(物々交換)だ。あちらこちらで、駆け引きの声が響いている。

俺達と集落の仲間達が、自律戦闘機械の補給駐屯プラントを破壊したことで、補給を絶たれたシオマネキたちは徐々にその数を減らしていった。
「天敵」が去り、再び人間の手に戻ったこの封印都市。人々は徐々にこの都市に集まり、細々ではあるが日々の生業の流れが甦りつつある。

「これだけ人が集まれば、そろそろプラネタリウムを再開してもいいかもしれないな」
「・・・そうですね・・・」
「・・・・・・・」

ここへ帰ってきてから、気になることがひとつあった。・・・他でもない、ゆめみのことだ。
プラネタリウムの投影が再開できるようになれば、水を得た魚のように元気になるかと思っていたのだが・・・

むしろ、その話になると、彼女は沈みがちな表情を見せるばかりだった。
437「うしなわれたほしのゆめ」- After -(3/8):2006/11/01(水) 22:15:28 ID:9c2QCF/10
「お客様、お願いがあるのですが・・・」
プラネタリウム館員控え室。ゆめみが真剣な表情で、俺の顔を見つめている。
「なんだ?」
「『イエナさん』の試験投影を行いたいのですが、ご協力いただけますか?」

おかしな話だが、プラネタリウムの投影再開について、ゆめみはやけに消極的だった。
水を向けると、なぜかゆめみはいつも悲しそうな顔をして、
「まだ早いのでは・・・」
と繰り返すばかりだったのだ。
・・・とにかく、彼女がその気になったのはいいことだ。彼女の気が変わらないうちに、準備するとしよう。

黄昏色に染まるドームの中。ゆめみが『イエナさん』の前に立つ。
俺が客席に座ろうとしたその時。彼女の口から、予想外の言葉がつむぎだされた。
「申し訳ありません・・・お客様、『イエナさん』の操作をお願いできますでしょうか?」

俺がたった一度だけ見た、ゆめみの投影。
彼女は『イエナさん』を自ら有線制御し、星々を意のままに従えていた。
彼女に傅くかのように煌く星々が、今も俺の脳裏に焼きついている。

ゆめみの手には、今しがた耳のコネクタから外した有線制御ケーブルが握られている。
どこか故障したのか、と言いかけたが、彼女の思いつめたような表情を見ると何も言えなくなる。
俺は黙って操作卓につき、「晴れていればここから見える午後8時の星空」の投影を開始した。
438「うしなわれたほしのゆめ」- After -(4/8):2006/11/01(水) 22:16:27 ID:9c2QCF/10
・・・『太陽』がゆっくりと沈んでいき、宵の明星が現れる。
やがて、地平線に残った薄暮が消え去ると・・・・・・満天の星空が、その姿を現した。

ゆめみは天空を見つめ、無言のまま立ち尽くしている。
衣装に仕込まれた発光素子がオレンジ色に輝き、彼女の姿を幻想的に浮かび上がらせている。

やがてゆめみは、その瞳をまっすぐ俺に向けると、

「・・・お客様・・・・・・申し訳ありません。・・・わたしは、貴方に隠していたことがあります・・・」

そう、静かに語り始めた。
439「うしなわれたほしのゆめ」- After -(5/8):2006/11/01(水) 22:17:12 ID:9c2QCF/10
『イエナさん』は日周運動モード。薄く輝く銀河が、北極星を軸にゆっくりと回っていく。

「わたしは・・・・・・今のわたしは、『星の案内人』ではありません」

俺は、自分の耳を疑った。
自分の存在意義を否定するような、ゆめみの言葉。

「SMR9700i・・・・・・この身体を得た時、私は『星の案内人』としての能力(ちから)を失いました・・・・・・」
「なっ・・・・・」
「・・・いえ、自ら手放した、というべきでしょうか・・・」
「・・・な、何故だ?どういうことだ!?」

訳がわからなかった。
自らの職務に誇りを持っていたはずの彼女。
その彼女が、どうして・・・・・・

「以前わたしは、『覚えておくのは得意』だと申し上げたことがあります。
しかし、それには・・・『忘れえぬ記憶』を記録する、わたしの固定記憶ストレージの容量には限界があります」
「それを・・・超えてしまったというのか?」
「SMR9700iの全機能を把握し、その能力を100%使いこなすためには、基本データや戦闘データなど、膨大なデータを記録する必要がありました。
そのために、わたしは・・・わたしは、『イエナさん』の制御プログラムや星座の物語など、プラネタリウム運営に関する記録を削除しました。
・・・わたしは自ら、星空の記憶を捨てたのです・・・・・・」

時折見せていた、ゆめみの悲しげな表情。
投影再開に対する躊躇い。
その意味が、やっと理解できた。


・・・だが・・・・・・何故だ?
440「うしなわれたほしのゆめ」- After -(6/8):2006/11/01(水) 22:18:10 ID:9c2QCF/10
「・・・・・・お前は・・・・・・お前はそこまで・・・・・・何故・・・そうまでして・・・・・・」
やっとの思いで、言葉を搾り出す。

「人間の皆様の、お役にたつためです」
ゆめみは、はっきりとした口調で言った。

「・・・・・・『忘れえぬ、遠い日の約束』・・・・・・か?」

やり場のない憤りを感じた。
彼女にではない。彼女を生み出した人間達に。

彼女は、観客に「ほしのゆめ」を語り伝えることに、誇りを感じていた。
10年以上の間、多くの観客を星の世界に誘(いざな)ってきた。
そして、大戦後の30年間、誰もいない封印都市で、ただひたすら観客を待ち続けてきた。

・・・それほどまでして守ってきた、彼女の「ほしのゆめ」を、『約束という名の強制』で捨てさせたというのか?
441「うしなわれたほしのゆめ」- After -(7/8):2006/11/01(水) 22:18:46 ID:9c2QCF/10
しかし。
「いいえ、そうではありません」
ゆめみは、はっきりとそう言った。

「あの集落で、SMR9700iの・・・雅さんの物言わぬ姿を見た時。
そして、あの子が・・・Mk43L/e、シオマネキが招いたあの惨劇。
誰一人助けることもできず、ただ逃げる事しかできなかった・・・・・・
・・・あの時、わたしは、自分の無力を呪いました」

猛吹雪の中、行き倒れかけていた俺達を見つけ、介抱してくれた集落の人達。
その集落をたびたび襲う、自律戦闘兵器。

そして・・・俺たちをかばって戦い、命を落とした、雅と上官。

あの時、俺達はひと時「ほしのゆめ」を封じ、彼らと共に戦うことを決意したのだ。

「雅さんの筐体を受け継ぐことを決意したのは、わたし自身です。
これ以上犠牲者を出さないため・・・戦い、集落の皆様を守るために、わたし自身が選択したこと。

・・・わたしは、自ら選択したことに、後悔はしていません。
わたしは、ロボットとして取りうる最善の選択をしたと、誇りに思っています・・・」


発光素子の淡い光に包まれ、星空の中に立つゆめみ。
神々しいまでのその姿、その心に、俺は・・・・・・ただ言葉を失う。
442「うしなわれたほしのゆめ」- After -(8/8):2006/11/01(水) 22:22:08 ID:9c2QCF/10
「・・・お客様?」
「・・・・・・なん・・・だ?」

ゆめみはゆっくりと、俺の前に歩み寄る。

「確かに、私が抱いていた『ほしのゆめ』は、わたしの中から消えてしまいました。
・・・でも、この世界から失われたわけではありませんよね?
太古の昔から、人々が築いてきた星空の記録・・・『ほしのゆめ』は、書物やデータ、投影プログラムという形を取って、この世界に生き続けています」

その通りだ・・・・・・「ほしのゆめ」は消え去ったわけではない。

「わたしは、一度は手放した『ほしのゆめ』を、もう一度拾い集めていきたいと思うのです・・・・・・
・・・・・・貴方と二人で・・・・・・」

ゆめみの頬を、涙が伝う。
発光素子のもたらす、暖かいオレンジ色の光に輝くそれは、まるで流れ星のように・・・・・・


・・・気がつくと、ゆめみは俺の腕の中にいた。
そして、どちらからともなく、唇が近づき・・・・・・


頭上の天空に、『イエナさん』が生み出す星の雨が、静かに流れていく。

星々の瞬きは、失われたわけではない。
たとえ厚い雨雲に覆い隠されていても・・・・・・その雲の上には、今も星々が輝いている。
443「うしなわれたほしのゆめ」- After -(あとがき):2006/11/01(水) 22:22:51 ID:9c2QCF/10
------------------------------------------------
というわけで、なぜか後日談ができてしまいました。
結局ハッピーエンドじゃん>俺orz

アフターストーリーということで、なにとぞお目こぼしを・・・


#サーバーに「連続投稿ですか?」とか言われて、ちょっと焦った俺w
444名無しさんだよもん:2006/11/01(水) 22:41:01 ID:ZAjw72ib0
。・゚・(ノД`)・゚・。
GJ!
445名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 00:59:59 ID:kLp7qXg80
………………素晴らしい。GJ。
446名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 04:25:35 ID:kLp7qXg80
たった今、PS2版終了。
切ない………………
ゆめみの最期のシーンで、胸が苦しくなった。

………………しかし、今このスレのSSとか読み返して、ちょっと癒された。
本編の「滅びの美学」の、儚い美しさも良いけれど
「うしなわれたほしのゆめ」AfterのKissシーンで、何か救われた気がする。
(ちょっとほろ苦い部分があるのもイイね、単純な“Happy”ではない辺りが)

こーいう妄想もできるように、涼元ちんはあーいう終わらせ方をしてくれたんだろうな。
447名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 16:11:21 ID:CQ7MFClI0
>>446
同感。
確かに痛烈にやりきれなさが残るけど
あの終わらせ方でよかったのかな、と今では思う。
メモリチップという「可能性」と、屑屋の「ほしはどこにあるのだろう?」で
後の展開にちゃんと含みを持たせてくれているし。

…単に小説に繋げる為だけだったら何とも胃炎が。
448名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 16:48:34 ID:FitmGsiD0
>>447

小説のほうで、「可能性」を潰したバッドエンドにしてしまっているのがなあ・・・

ゆめみは蘇ることはなく、
屑屋は孤独に非業の死を遂げ、
人類は滅亡する。
あとに残ったのは、「命ある船」に託された、ゆめみの「言葉」だけ。



あの小説はなかったほうがよかった、と思うことがある。
虚しすぎるよ・・・
449名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 19:28:47 ID:3BJOqLpC0
>>448
それ、なんてガルフォース未来編〜ガルフォース・ザ・レボリューションですか?
450名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 19:50:51 ID:I7fGuSy80
「人類は滅亡する」と聞くと真っ先にキバヤシが思い浮かぶわけだが。

・・・疲れてるんだろうな。
451名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 20:41:10 ID:y2267ABmO
単にマガジンの読み過ぎでは
452名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 22:07:55 ID:OdrLw1uI0
>>448
俺あんなふうに死ねたらぜんぜん非業でも孤独でもないんだが。
453名無しさんだよもん:2006/11/02(木) 23:57:11 ID:kLp7qXg80
>>448
物書きを生業とする涼元氏からすれば、その「言葉」というモノの価値や意味を
すごく重く考えてると思う。

それは、ヒトが生きた、“思考した”「想いの証」………………ヒトとその生み出した機械は
伴に滅び去っても、彼らの“想い”を、“生きた証”を乗せた『船』(これはヒトの知性と機械の
カラダという意味で、ヒトと機械の共通の子孫といえるかもしれない)が、無限の宇宙の彼方まで
旅して行く………………(なんか、劇場版エヴァのラストのユイさんみたいだけど。)

そんな壮大な旅の中にも、あのちっぽけなゆめみの「存在した証」(あのセリフ)は確かに残されていて………………
スケールやイメージが違いすぎて漠然としてる中に、(読者にとっては)ひどく身近でよく知ってる要素が
ポロリと現れる事で、その瞬間その事象がひどくリアリティのあるものになって迫ってくる。

個々人のキャラクターとしてのドラマではなく、「人類史」的なスケールでの
「Happy End」(とまでは言わなくても、まぁ、「こんなんなりました。」)
AIRの時の“より大きな意味での幸せ”ってのを、もっとドライにした感じかも。


454名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 00:06:13 ID:gqG8q5U50
………………平たく言えば、「人類という種の存在した証を伝える巡礼者の魂の中にも
我らがゆめみタンの“ことば”は、ちゃんと刻み込まれてるのであった」ってオチかな。

要するに、「宇宙に広めよう、ゆめみタンハァハァの輪!!」(違
455名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 01:17:24 ID:mtNpNxRX0
ちょ、奇麗にまとまった感がぶちこわしw

だがそれがいい
456名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 01:21:55 ID:T+1jRrHG0
もって瞑すべし、ってことなのかもね。


・・・でも、キャラクター個々人に感情移入してしまう性としては、俺もちょっと切ないなぁ・・・
457名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 01:22:57 ID:OG48LKFh0
机の角に偶然股間が当たってしまい、オナヌーに目覚めるゆめみ

ゆめみ 「…不思議な…んっ…でも…心地よい感覚です…あんっ」
458名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 01:54:43 ID:q99zWl300
>>457

むしろ、メンテにかこつけて屑屋が少しずつ「教育」を施しt(ウボァー
459名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 02:03:33 ID:OG48LKFh0
>>458
ゆめみに少しづつ生じて始めた”性欲”を(ごく真面目に)処理してやる屑屋。
「教育」される中で、その欲求が何故生じてきたかを徐々に理解して行く訳ですn(ゲフッ
460名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 08:36:38 ID:T+1jRrHG0
「えっちしてから愛情に気づく」というのも、それはそれで斬新だなあw
461名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 09:36:51 ID:T+1jRrHG0
レビとヨブとルツの夢枕に、ゆめみと屑屋(本編ぐらいまで若返り)が立って、
三人に星の世界をレクチャーする・・・

・・・というストーリー仕立ての、天文解説マンガがあったらいいなぁと夢想した。
462名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 12:25:49 ID:hVFho4jyO
学研のマンガで分かる科学
「ほしのせかい」

著者:ほしのゆめみ
漫画:こつえ〜
463名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 13:32:22 ID:T+1jRrHG0
>>462

つ【学研のひみつシリーズ】

>漫画:こつえ〜
・・・オーバーワークで倒れるんジャマイカ(´Д`;)
464名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 13:47:28 ID:OG48LKFh0
「お客様、相談があるのですが…」
「なんだ?」
「その…私の身体に異常が発生しているようでして…」
 俺は少し動揺した。今、彼女の身体が故障しようものなら修理できるかどうか
 全くわからないからだ。今までまわった街で、電子部品があったところは確か…

「あの、お客様…外観でわかる症状が発現している部位がございますので、そこを見て欲しいのですが」
「わ、わかった…どこなんだ?」
 ぱっと見た感じ、ゆめみの身体に異常は見受けられない。衣服の下なら話しは別だが。
 …って、まさか?

「これです…実は数日前からなのですが」
 ゆめみがスカートの前をめくり上げた瞬間、俺は自分の目を疑った。
「このように、両足股関節のz間に装備されているスリット部より液体が漏れ続けているのです」
「ゆめみ、お前…」
「スリット・液体共に用途不明…私のデータベースに該当する項目がありません。」
 ゆめみの顔が心なしか紅くなっているように見えるのは気のせいか?
「下腹部のパーツから意味不明の感覚信号が伝わる度、全身の制御システムが動作不良に陥るのです。
 私単体では対処できない重大な問題です…お客様、私はどう…すれば…」


(続くかどうかは謎)
465名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 14:45:59 ID:T+1jRrHG0
ワッフルワッフル

続けてくれーw
466名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 16:49:12 ID:WjY3BJw90
>>464
はいてない事を前提に書いてますな。GJ。
漏れも続きキボンヌ。

メインPCのメモリがあぼーんしたのでメモリ交換のついでにOSを再インスコ。
ついでにコンピュータ名を「ゆめみ」に変更。
一抹の不安はあるがw

そういえば、あぼーんする前に最後にインスコしたの、プラネだったような…。
467名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 16:57:14 ID:QJRq7OGC0
「ゆめみ」という名(漢字かもしれん)の歌手が来週メジャーデビューだとラジオで言ってた。
残念ながら、名字は「ほしの」じゃなかった。

関西ローカルかもしれんけど。
468名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 19:27:54 ID:OG48LKFh0
リクエストありがとうございます…とりあえず書き終わったので投下開始。
469ゆめいの欲しいもの 1/3:2006/11/03(金) 19:29:07 ID:OG48LKFh0
 こんなことになるなんて、俺は全く覚えが無い…といえば嘘になる。丁度一ヶ月前に立ち寄った廃虚の一角で
 俺は”それ”を見つけたのだ。
「…苦しいのか?」
 ゆめみは時々身体をぴくりと痙攣させ、その度に何かを必死で抑えるような表情を浮かべている。
「はい…お客様、直接不具合に結びつくような感覚ではありませんが…」
「やはりあの素体は、その手のやつだったか」

 かつて夜の都市を彩っていたであろう風俗街の跡に、”それ”…ゆめみと同じ型の素体は打ち捨てられていた。
 がれきの下に埋まっていた素体は、腰から上の背中から後頭部が奇麗に吹き飛ばされていたのだ。何らかの
 強力な火器にやられたのだろうか、破断面は高熱で炙られたように溶解していた。
「下半身からの感覚を遮断することは出来ないのか?」
「何度も試しているのですが…制御信号が拒否されるのです…んんっ!」
 上ずった声を発したゆめみは、両膝を閉じて身体を大きく奮わせた。持ち上げていたスカートから手を離し、
 身体を両手で抱えてそのまま床にぺたりと尻餅をついてしまう。
「ゆめみ!大丈夫か?」
「お客様…身体が…あンっ」
 ゆめみのスカートの裾を持ち上げ、閉じている両膝を強引に開かせる。太股同士の付け根に付着していた
 液体が、てらてらと照明に反射しながら糸を引いていた。
「メインユニットが制御を受け付けなく…んあっ」

 パーツさえ交換すれば手間は掛からないという俺の考えは甘かったようだ。かつて風俗街で男達の欲求を
 受け止めていた人工女性器を、ゆめみは完全に持て余している。それにしても、一週間前にゆめみの下半身を
 ”それ”と交換した時はこんな事が起こらないよう、俺なりにチェックした筈なのだが。

「お客様…体の…特に下腹部のユニット類の温度が…上昇して…んくっ!!」
 再び身体を奮わせるゆめみ。股間と床の隙間から、とろりとした透明の液体がじわっと染み出してきた。
「しゃべるな、ゆめみ…俺が何とかしてやる」
「申し訳ありません、お客様…」
 俺はゆめみを抱え上げ、現在ねぐらにしている小屋のベッドへ運び上げてやった。
470ゆめいの欲しいもの 2/3:2006/11/03(金) 19:30:05 ID:OG48LKFh0
「いいか、ゆめみ。お前の身体には本来装備されていないパーツが装着されている」
 ベッドに寝かせたゆめみの上半身の下に、畳んだ毛布をさしいれてやる。これで上半身が起きた体勢になる筈だ。
「装備されていない…パーツですか?」
「これを見ろ」
 ゆめみの足下に大きめの鏡を置いた。スカートを脱がせ、下半身が丸裸になった彼女の肢体が鏡に映し出される。
「お客様の寝具が汚れてしまいます…私をベッドから下ろしてください」
「それは説明が終わってからだ」

 俺はそのままゆめみの膝を持ち上げて屈伸させ、左右に押し広げる。
「これは?」
「…本来は、人間の女性が子供を産む為の器官だ」
 ゆめみの視線は、己の股間の割れ目に釘付けになっていた。割れ目の中にはピンク色のひだがあり、時々ぴくりと
 生物のように蠢いている。
「理由はわからんが、お前のそれ…人工女性器が活性化してるのは間違いない」
「…どうすれば修復できるのでしょうか? 見る限りでは、液体の漏れが全く止まっていないようです」
「ゆめみ、これはおそらくハードウェアの故障でもなんでもない」
「どういうことでしょうか」
 ゆめみが不安そうな表情で俺の顔を見た。

「俺のやったチェックでは、お前の身体と制御ソフトウェアの自己診断でもなんら異常が見られなかったんだ…つまり、
 これは正常な動作といえるだろう」
「お客様…私は…」
 ゆめみはコンパニオンに特化したソフトウェアを与えられたアンドロイドだ。このような器官の”欲求”を処理する動作は
 考慮されていないだろう。であれば、俺が”教示”してやるしかない。

「ゆめみ、全身のアクチュエータの緊張を出来る限り解け」
「…下腹部以外のアクチュエータ、及び人工筋肉の緊張状態を30%まで降下させました」
 俺はゆめみの手首を掴み、そのまま彼女の手を人工女性器にゆっくりと導いてやる。
「…? 何をされるのですか? そのような動作は私のデータベースには…あっ!!」
 ゆめみの指が割れ目に触れた瞬間、彼女の身体が大きく痙攣した。
471ゆめみの欲しいもの 3/3:2006/11/03(金) 19:31:23 ID:OG48LKFh0
「お客様…表現不能の過大な感覚信号が…んっ!! 下腹部のパーツから…あ゛うっ」
「中指で触れている箇所が、人工女性器を”満足”させるのに最も有効なパーツだ。そこをゆっくりと刺激してみろ」
「こうですか…んっ!? あうぅ! あっ!! ああーっ!!」

 ゆめみの口から、大きな喘ぎ声が何度も発せられる。
「お客様…あんっ…発生器官の制御が…ン…んんっ!!」
「心配するな、それも正常な動作だ。もう一度鏡を見てみろ」
 ゆめみは顔を上げ、鏡に映っている自分の股間を眺めた。陰唇に添わせた小指の先から液体が糸を引いてシーツに
 滴り落ちている。割れ目の中のヒダはさっきよりもより短い周期でひくひくと震え、その動きは彼女の意志を代弁している
 かのように見えた。

「こんな…これが…あっ! 私の身体…んあっ!」
「お前が今感じているのは、人間でいえば『快楽』という感覚だ。そう、そのまま刺激を続けて…お前の欲求を開放しろ」
「私の…欲求…欲しいもの…んっ! もっと…『快楽』が…欲しい…です…ああんっ!」
 ゆめみの手の動きがどんどん激しくなっていく。彼女は体をそらせ、首を振って髪を振り乱しながら泣いている。
「んんっ…あっ…あっ…あんっ…この…んっ…感覚は…ああっ…理解…しました…んっ!」
「…言ってみろ」
「とても…気持ち…いい…です…あっ! あん…んんっ!!あっ!あんっ!!あああっ…んんんぁああああああああっ!!!」
 一際大きな声を発し、ゆみみは大きく身体を反らせた。手の動きは止まったが、何かの余韻を楽しむように上半身を
 ゆっくりと捩らせている。

「…どうだ?」
「はい…制御が…元のレベルに戻っていきます。 ありがとう…ございます…お客様…」
「そうか…じゃあ俺はトイレにいってくるから、お前はそのまま身体を休ませろ」
「はい…お客様…」

 ゆめみは幸せそうな笑みを浮かべているが、俺の下半身は不幸になりつつあった。
「これからずっとああなのか…冗談じゃねぇ…」
 そのままトイレに駆け込んだ俺は、自分の下半身を慰めるのにかなりの時間を要したのだった


(終わり)
472名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 19:32:02 ID:OG48LKFh0
投下終了。名前欄、思い切りミスってます…orz

スレ汚し失礼しますた

|彡サッ
473名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 19:40:24 ID:T+1jRrHG0
俺もそのままトイレに駆け込んだ後、自分の(ry


GJ〜〜〜〜ハァハァ
474名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 20:11:04 ID:xG1VflTa0
>>472
(;´Д`)ハァハァハァ
乙!激しく乙!

…すまん、漏れもトイレ逝って来るw
475名無しさんだよもん:2006/11/03(金) 22:02:29 ID:1LsiJw1T0
おまいらの反応にワラタ
476名無しさんだよもん:2006/11/04(土) 14:35:25 ID:nvD+LH4F0
じゃあ俺は自室で(ry
477名無しさんだよもん:2006/11/04(土) 17:50:07 ID:STEAUaNV0
>>473-476
何やってんだお前らw

だが俺は色つき戦闘用ゆめみを楽しみにしている。
絵師様経過はどうですかね?wktk
478名無しさんだよもん:2006/11/04(土) 18:21:39 ID:aJ+fRmY10
|Д゚) <・・・・・デッサンガキマラン・・・・・


|Д゚)つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1162631904.jpg>>472


|彡サッ



SMR9700iの方は、少々モディファイして清書まで完了。色をどうするかで迷ってる。
気分は青系なんだけど、SCR5000とあまり変わらない。
軍用らしく緑系も考えてるけど、どうもしっくりこない。(「やっぱゆめみタンは青だろう」とゴーストが囁く)
ご意見キボンヌorz
479名無しさんだよもん:2006/11/04(土) 18:59:24 ID:aJ+fRmY10
つ【ttp://bvw.jp/ms/suisyun/yumemi.html

施術士がゆめみタンだったら入り浸るんだがなあ。




噛み合わない会話で、余計疲れたりしてw
480472:2006/11/04(土) 20:43:07 ID:Dwow4GF60
>>478
( ∀) ゚ ゚

( ∀ )



ぐ、GJ!!!!!! 鼻血がウボァー
481名無しさんだよもん:2006/11/04(土) 23:50:54 ID:STEAUaNV0
>>478
・・・ぐふっ!!(鼻血

やっぱり軍服らしいのもいいけどゆめみらしさを残したほうがいいと思う。
他の人の意見も聞いてみるのもいいけど。
やっぱり服の基調は青のほうがいいと思いますよ。
482名無しさんだよもん:2006/11/05(日) 01:43:35 ID:kxdHqvLA0
ゆめみは封印都市(ここ)に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
俺は驚いて空を見る。
朽ちたビルの間に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみの雨降る空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
群青色の夜のとばりだ。
ゆめみは遠くを見ながら言ふ。
蒙古あたりの山の上に
毎日出てゐる遠い銀河が
ゆめみのほんとの空だといふ。
あどけない話である。

(高村 葛也「ゆめみ抄」より)


>>481
ですね。とりあえず青系で色を置いてみます。


あと>>478の清書(するんか俺)
483472:2006/11/05(日) 12:43:59 ID:NjObJICJ0
>>482
ゆめみを座らせた椅子を屑屋が背負い、3000m級の山を登っている図を妄想した。

#ボトムズでも確かそんな描写があったような。
484やおい:2006/11/06(月) 00:27:29 ID:lA2vpoLK0
>>472
…ぽ…GJです。ちょっと厠へ(ry
3000mの山を登る屑屋…彼女の体重を考えたら、
北斗の券サウザー編クライマックス『聖帝十字陵』完成シーンを思い浮かべた。

ゆめみ「………(涙目)」

>>482
ゆめみ嬢はやっぱり青がトレードカラーですね。期待しておりますです。


実家から「兄ちゃん、こんなん来とるよー」と送られてきたサントラを聴いてたら、書きたくなってきたりw
ぼちぼちと書いてみます〜。
485名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 01:31:03 ID:1S+oaRNI0
>>484
おお、期待して待ってますー。wktk。


イエナ氏の「Binary」にも期待wktk。
486名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 02:01:34 ID:1S+oaRNI0
時に、ゆめみさんの自重って、具体的には描写されてなかったですよね?
没義道に重くはない・・・と思いたい俺 orz
487Binary 第8章「Anniversary」(1):2006/11/06(月) 09:21:04 ID:VBRaKZVc0
「…お客さま、これはどうすればよいのでしょうか?」
俺の目の前で、彼女は俺が差し出した宛名も何もない中央部の少し膨らんだ純白の封筒を手に取り、しげしげと眺める。
いつものように少し困った顔をして、小首を傾げながら。
それをどうしたら良いのか分からず、自らの手の中で弄ぶ彼女に俺は促す。
「…まあ、開けてみろ。別に変な物は入れていない」
…つもりだ。
「はい、承知しました」
俺の言葉を聞いてやっと安心したのか、彼女は封筒の長方形の頂点のひとつに白く細い指を添える。
ピリピリピリ…
雨音のみが聞こえる部屋に、彼女がゆっくりと封筒を開封する音がやけに大きく響く―。


―(そういえば…)
俺が「それ」に気付いたのは、つい先日のことだった。
ちなみに彼女からは「それ」に関する言葉は一言も発せられていない。
気付いていないのか、気付いていて言わないのか、あるいはそんな事は彼女にとって言うに足りない些細なことなのか…。
それはわからない。
だが、今の俺にとって「それ」は一際特別なものだった。
そう、俺の運命、そして人生を大きく変えてしまったほどの…。

それにしても、いつから俺はこんなことに気付くことが出来るようになったのだろう?

再起動した彼女が初めて己の感情を理解し、それを俺の前で曝け出したあの時か?
彼女が『遠い日の約束』に縛られ、一度は俺の前から去っていった、あの時からなのか?
それとも、『イエナさん』と彼女が織り成す、忘れ得ぬ星の物語に触れたあの時から?
…いや、もっと前からだったのか?

…自問してみるが、答えは出てこない。
だが、それに対する答えを見出したところで、その事自体には大した意味はないのかも知れない。
俺は、「それ」に気付くことが出来た自分に対して、大きな驚きと同時に同じ位の喜びを感じていたのだから―。
488Binary 第8章「Anniversary」(2):2006/11/06(月) 09:21:52 ID:VBRaKZVc0
―物心ついたときには、既に世界は戦火の真っ只中にあった。
父は面影の中の存在でしかなく、母も漠然としか覚えていない。
立って歩けるようになると、大人たちに混じって身も知らぬ敵に怯えながら居住地域から居住地域へと渡り歩く日々。
義務教育と呼べるものは、読み書き以外は殆ど教わった記憶がない。
そんな状況の中で、少年期の感情の醸成のために必要な人との触れ合いや慈しみを享受する事など、望むべくもない。
その日を生きるためなら、たとえ隣人であろうと手に掛けることに躊躇いは欠片もない。
たとえ団体行動をしていても、目標が一緒でたまたま同じ時間に行動しているだけという認識しかない。
…自分以外の人間のことなど、その程度にしか思っていなかった。

…その日の自分の生活を成り立たせる。
それが一日の活動であり、それこそが全てだった。
…他には、何もない。
おそらく、こんな考え方をしていたのは俺だけではない。
あの時、幼い俺の周りにいた子供、大人たち、いや、おそらく全世界に生きる殆どの人間が俺と同じだったろう。

…最早、そこにいたのは「人間」ではなかった。
あらゆる「人間」としての「特徴」を自らの手で放棄した、食べて寝て生きるだけの生物。
飢えた「獣」と大差はない。
あらゆる場所で、そんな「堕ちた獣たち」が己が生の確保に目を血走らせ、儚い生命を散らす。
人間が皆、一様に壊れていた…、そんな時代に俺は育った―。
489Binary 第8章「Anniversary」(3):2006/11/06(月) 09:22:37 ID:VBRaKZVc0
―俺は、街中の市場に一人で来ていた。
今回は彼女は留守番だ。
左手には、ワイルドターキーの未開封のボトル。
「屑屋」時代の「貯金」だ。
…もちろん、俺が自分で飲むわけではない。
使う相手さえ適切ならば、最上級の取引のネタとして酒に勝るものはないのだ。

俺は手にした「通貨」を弄びながら、一件の小汚いテントへ向かう。
露店としての店構えは貧相だが、彼女のための電子・機械部品を始め品揃えは凄まじい。
この街にたどり着いて以来、この店には何かと世話になっている。
「…また来たんか。今日は何だ?そういえば先日頼まれたアクチュエーターだが、ありゃもう少し待ってくれ。思いの外、入手に手間取

ってな…」
入るなり、抜け目の無さそうな店主がテントの奥から目をぎらつかせながら言う。
「いや、今日はそういったものを仕入に来たんじゃない」
「…ほう、じゃあ何だ?」
「…出来るだけ純度の高い銀の地金50gと、それを溶解するための坩堝(るつぼ)一式はあるか?」
「…またけったいな物を頼みおる…。ふん、まあいい。で、お代はそれか?」
面倒臭そうに鼻を鳴らしながら、俺の持っている「通貨」を指差す。
「足りないか?」
「そんなことも無いだろうがな…。まあ、ちょっと見せてみろ」
「…品物を先に出せ」
「別に持ち逃げなんぞせん。全く人聞きの悪い…。ちょっと待ってろ。お前こそ万引きなんぞするなよ」
俺以外に店内には誰もいなかったが、店主はそう吐き捨てると奥に消えた。
どうせ俺の元・同業者どもをこき使って調達させたものを雀の涙ほどの食糧で搾取しているのだろう。
別に奴にわざわざ同情する必要は無い。
それよりも、こちらの望みのものが思いの外簡単に入手出来そうなことに、俺は心の中で安堵した―。
490Binary 第8章「Anniversary」(4):2006/11/06(月) 09:24:34 ID:VBRaKZVc0
―軍に入隊していた俺が大戦の終結後、「屑屋」にドロップアウトしたのはごく自然の成り行きだった。
…俺が自らに備わる技能を生かして出来ることは、真っ当な生活以外の部分に限られていた。
戦って生き延びることだけに長けた俺にとって、まさに打ってつけの職業が「屑屋」だった。
むしろそれしか無かった、と言った方がいいだろう。

生き延びる為に自らの「牙」をふるい、自分の前に立つ邪魔なものは排除する。
最終的な目的は、日々を生き抜くこと。
それ以外には何も無い。
…結局、やっていることは大戦時と変わりはなかった。
戦争が終わっても、まだ俺は「堕ちた獣」だった。
武器を操れるようになった分、余計に始末におえない「獣」だった。

そんな中、ひょんな事から出会った、あの老いた屑屋。
この世界では青二才だった俺に、彼は「屑屋」として生きる術を改めて教えてくれた。
…もっとも、その時は仕事を運んで来てくれるただのお節介なじじいだとしか思っていなかったが。

今も頭の片隅にこびりつくあの言葉。
『…だがな、封印都市でいちばんやっかいなのは、ロボットに出会っちまった時だ…』
今にして思えば、爺さんは将来の俺の今の姿を予見していたのだろうか。

彼は、ロボットに出会ったことがあったのだろうか?
そして、今の俺と同じような感情を持つに至ったのだろうか?
…今となっては、あの世で爺さんに直接聞く以外、それを知る術は無い。

結局、彼が俺の前からいなくなった事により、その時の俺の中で劇的に何かが変わるということは無かった。
だが、彼との出会いは間違いなく俺の心の中にひとつの小さな「種」を残していた。
俺が気付かないうちに―。
491Binary 第8章「Anniversary」(5):2006/11/06(月) 09:25:19 ID:VBRaKZVc0
―深夜。
彼女がスリープモードに入った傍で床に直に座り、目の前を見つめる。
視線の先には、小型電熱器のニクロム線が灼熱の赤に染まっている。
その上には、小さな白磁の容器がひとつ、中にマグマの如く溶解した金属を満たして鎮座している。
地金を溶解する俺の傍らには、小さな砂型。
「…」
坩堝が放つ熱気をまともに受けた額に玉の汗が滲む。
頃合を見計らって火鋏で坩堝を摘まみ、砂型に金属を流し込む。
赤々と燃え滾る高熱の流動物が、砂型に刻印された形に流れ落ちる。
「ふう…」
一連の作業を終えて、ようやく溜息をつく。
あとは冷えてから砂型を壊して取り出し、成形・研磨を施して仕上げるだけだ。

「…」
傍らの彼女を見つめる。

あの時、爺さんが俺の心に蒔いた「種」。
…彼が蒔いたその種の名は、「他人を思う心」。
それは、今では立派な苗木となり、四方に枝葉―本来の人間としての心―を伸ばしている。
そして、この「種」をここまで育てたもの。
―それは間違いなく、いま、俺の目の前で眠っている彼女。
ロボットに人間として必要なものを教えられるというのも何とも皮肉なものだが、疑いようも無い事実だ。
もし、彼女が「種」を育ててくれなかったら、俺は永遠に「それ」に気付きもしなかったろう。

…俺を「獣」から「人間」に戻してくれた彼女。
そして今は、同じ夢を追いかける「大切なパートナー」。
…本当に、感謝しなければならない。

「さて…、少し急がないとな…」
彼女から自分の前の砂型に視線を戻しながら、俺は呟いた―。
492Binary 第8章「Anniversary」(6):2006/11/06(月) 09:33:17 ID:VBRaKZVc0
―俺の目の前で、彼女はそれを指で摘み上げ、初めて数式を見た子供のように、顔に「?」を浮かべながら眺めている。
光学樹脂製の瞳の前にかざし、回しながら何度も何度も丹念に見る。
「…お客さま、これはなんでしょうか?」
ようやくそれから視線を外した彼女が、俺に問う。
「見て分からないか?」
「いえ、そういうことではないんですが…」

彼女に渡した封筒の中身―俺が彼女に内緒で作ったもの―。
ひとつの小さな指輪だった。
素っ気無い銀色の環の表側の一箇所に、彼女の「正装」時のリボンの柄と同じ流れ星の意匠をあしらっている。
まあ素人が作ったものだから、本職と比較されたら出来栄えは遠く及ばないが…。
「この前の戦闘のとき、ちゃんとお前の事を守ってやれなかったろう?お守りの代わりだ。もっとも、俺が作ったお守りだから、効果があ

るかは知らんがな」
贈る理由の一つを答えとして返してやる。
「そうなんですか。…それから、もうひとつ疑問があるんです。何故、それを今日、わたしに下さるんでしょうか?」
少し嬉しそうな表情を滲ませながらも、相変わらず彼女は小首を傾げている。
(分かっていなかったのか…)
残念なような、ほっとしたような複雑な思いで軽く溜息を吐きながら、「それ」の取って置きのヒントをやる。
「…お前、2年前の今日、何があったか覚えているか?」
「…730日前ですね。わたしの現在までの蓄積データベースを参照しますと、その日は………あっ!?」
声と共に浮かぶ、『そうか』と言わんばかりの表情。
「ようやく気が付いたか…」
これもまあ、彼女らしいと言えば彼女らしいが…。
493Binary 第8章「Anniversary」(7):2006/11/06(月) 09:36:06 ID:VBRaKZVc0
「それ」―2年前の今日―。
俺と彼女が初めて出会った日。
雨に霞む廃墟の屋上ドームの中、たったひとりで待ち続けた彼女の元に、30年ぶりの客が訪れた日。
それまで止まっていた俺と彼女の運命の歯車が、音を立てて再び回り始めた日。
俺の心の中で「他人を思う心」という名の「種」が芽吹いた日。

そしてその日は…今の俺にとって、大切な「記念日」となっていた。

「申し訳ありません、申し訳ありませんっ。恥をしのんで申しますと、わたし自身、本日が重要な日だという認識はございましたが、どうもわたしの何らかの手違いで最重要事項として蓄積データベースに登録がされていなかったようです。本当に申し訳ありませんっ」
いつもどおりの謝罪攻勢。
帽子を振り落とさんばかりの勢いでぺこぺこと繰り返し頭を垂れる。
「わかったわかった、もういいから謝るのは止めろ」
忘れていたことについては別に怒ってはいないし、何より彼女も今日が「大切な日」という事を
ちゃんと認識していた事の方が俺は嬉しかった。
「本当に申し訳ありません。覚えておく事は得意なはずなんですが…。ロボットとして大変お恥ずかしい限りです…」
すっかり縮こまってしまっている。
まあ、いつもこんなではさすがに困るが、俺自身はたまにはそういう部分があってもいいと思っている。
「そんなに気にするな。俺もつい先日気がついたんだしな。…それで、疑問は晴れたか?」
「はい、お客さま、本当にありがとうございます。もちろん喜んで頂きます。
実を申しますと、わたしはコンパニオンロボットという職業柄、インフォメーションリボン以外の装飾品は
基本的に身に着けておりません。ですので、こういった装飾品を身に着ける事に以前からとても憧れていたんです…」
先程の暗鬱とした表情とは打って変わり、晴れ晴れとした笑顔を見せながら、本当に嬉しそうに彼女はそう言った。
見た目は今のままでも充分派手だと思うのだが、改めて彼女自身の口からそう言われてみれば、確かに彼女には装飾品の類はあの特徴的なリボン以外に付いていない。
過度の飾り気は、接客を生業としていた彼女にとって、悪い印象を持たれるだけだからだろう。
そういった物に対する憧れがあるということは、彼女もロボットとはいえやはり女の子だということか…。
494Binary 第8章「Anniversary」(8):2006/11/06(月) 09:38:06 ID:VBRaKZVc0
「それで、はめる指なんだが…って、おい」
「はい、なんでしょう?」
いつの間にか、彼女は指輪をはめた自分の手を興味深げに眺めている。
…しかも指輪は、俺が意図していた指とは、全く違う手の指に光っている。
(『お守りの代わり』だと言ったろうが…)
俺は、『右手の小指』にはめさせるつもりであの指輪を作った。
だが、現実には…指輪は彼女の『左手の薬指』に鎮座している。
(しかし、何で薬指にあれが入るんだ…。採寸を間違えたか?いや、間違いなくあいつの
右手の小指で採寸したはずだ。だとしたら原型を作るときに寸法を取り違えたか…?
いや、それよりもだ、あいつは本当に左手薬指にはめることの意味が分かっていてはめているのか…?)
「…お客さま?どうかなさいましたか?」
思考が軽く混乱し黙り込んでしまった俺の顔を、彼女が覗き込む。
「………ああ、…いや、何でもない……」
「?」

天使もかくやという彼女のこぼれんばかりの笑顔を前に、結局俺はその件について何も言えなくなってしまった―。
495 ◆JENA/hfgHs :2006/11/06(月) 09:46:15 ID:VBRaKZVc0
第8章アップにつき、投下致します。
昨日投下する予定でしたが、アク規喰らってましたので今日になってしまいました。
プロバ乗り換えようかな…。

屑屋が彼女からもらったものは、「ほしのゆめ」だけじゃないのではないか、という
自分なりの解釈の下に書いた話です。
屑屋が微妙にツンデレなのは、自分の表現力の無さが原因です。

お目汚し、失礼しました。

|彡サッ
496名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 09:47:31 ID:gmIp8W0Y0
Binary新作キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

今回もGJ。結構マメだな屑屋w
497やおい(戦闘訓練中):2006/11/06(月) 11:43:46 ID:KyVWANMDO
>>487-494
何気なく休憩中に覗いたらGJ!です。
屑屋のデレ度がどんどん上がってますねーw 私も長い文章を書ければいいんですが…頭が回らないのでいつも短いですorz
自衛隊を除隊して屑屋になりたいとかなんとか…
498名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 12:50:12 ID:kyavYCGg0
GJ、なんだけど、一つだけ気になることが・・・・

>軍に入隊していた俺が大戦の終結後、「屑屋」にドロップアウトしたのはごく自然の成り行きだった。
「Binary」の屑屋って、30代という設定じゃなかったでしたっけ・・・
大戦が30年前だから、その・・・・・・・


でもそんなことは些細なこと、と思わせるGJぶりです。
499名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 14:31:32 ID:5yVN1Ea+0
>「ロボットに人間として必要なものを教えられるというのも何とも皮肉なものだが」

これってある意味、この作品の肝とも言えるテーマだなぁ。
屑屋だけでなく、読者自身にとっても………………。
いや、いつもながら素晴らしくGJ。
何の疑問も無く薬指に指輪を嵌めて嬉々としているゆめみの
天然っぷりが可愛いw
500名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 22:48:14 ID:1S+oaRNI0
意識してやってたら、それはそれでまた萌え。
501名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 22:48:52 ID:1S+oaRNI0
>>500 あ、左薬指の指輪の話ね。
502名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 23:22:21 ID:V4q/5Hnl0
>>501
指を通す穴が5つあって、握って相手を打撃するのに適した指輪
503名無しさんだよもん:2006/11/06(月) 23:43:42 ID:9QtF2Fai0
「ギャラクティカマグナム!!」

B A G O O O O O O N!!!

車田正美風に吹き飛ぶ屑屋。
504名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 00:04:52 ID:KoMUdCWv0
[SMR9700i・プロトタイプ3号機] - planetarian二次創作「うしなわれたほしのゆめ」より -


元・陸上自衛軍第66装備試験隊(66装試)所属・次世代機械兵のプロトタイプ。
「究極の戦闘アンドロイド(ロボットではない)を作る」という、陸上自衛軍技術研究所の(なかば暴走とも言える)熱意の下で開発された試作機。出力、運動能力、擬人化機能、フリーメンテナンス性など、コストを度外視した高性能を与えられている。

元の個体名は「雅」。第66装試に実験配備され、様々な任務をこなしながらデータ収集を行っていた。
大戦時は封印都市近郊の駐屯地に所属、封印都市から脱出した住民を受け入れる。
メンテナンスについては、予備筐体からの「共食い整備」によって維持されてきた。

同形機として、プロトタイプ2号機「すばる」も同駐屯地に所属していたが、自律戦闘機械の最初の襲撃にて破壊され「死亡」。マスターであった「上官」とも、すでに死別している。

数ヶ月前からたびたび集落を襲うようになった自律戦闘機械との交戦において頭部メモリを破壊され「死亡」。
その後、同集落に保護されていたSCR5000Si/FL「ほしのゆめみ」が、本筐体を引き継ぐこととなる。

・・・・・・しかし・・・・・・


「・・・『ほしの・・・ゆめみ』? ・・・それは、私の名前でしょうか・・・?」


ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061107000220.jpg


-----------------------------
※公開済みSSでの形式名は「Block60」でしたが、「試作機」ということで変更となりました。あしからず・・・
 (「Blockxx」は量産機のバージョンアップを意味するため)
505名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 00:59:45 ID:pUydA66g0
や、やはり彼女も履いてな (ターン
506504:2006/11/07(火) 01:23:04 ID:KoMUdCWv0
|Д゚) <・・・・・・


・本画像は「ほしのゆめみ」が本筐体に移植された直後のもの。スペックの若干の不整合に起因する記憶データへのアクセス障害が発生しており、
 「ほしのゆめみ」としての記憶にアクセスできない状態である。どこか悲しげな表情をしているのはそのため。

・SCR5000とは異なり、後述の蒸散冷却系によって、長い頭髪は「本来は」必要ない。
 (「雅」はショートカットである。「ゆめみ」はSCR5000から頭部外装を移植したため、結果的に長髪となっているにすぎない)

・スカート部のスリットは、激しい運動による熱の放出のため、結果的に民生機より拡大されている。


|彡サッ
507名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 02:34:13 ID:pUydA66g0
>>506
>・スカート部のスリットは、激しい運動による熱の放出のため、結果的に民生機より拡大されている。
寒冷時に結露することがあウボァー
508名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 06:28:42 ID:wYZvJQpc0
2号機の口調は「ですのー」か……
509名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 07:41:15 ID:3C2iFDb10
>>505
色付きキター!
GJ!!

>>>508
すばる違いw
510名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 13:25:02 ID:pMMocpSSO
屑屋の朝勃ちしたアレを見てしまい、しつこく理由を聞くゆめみ
511名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 13:50:05 ID:eZGRCKvE0
屑屋の朝勃ちしたアレを見てしまい、隠し機能のスイッチが入ってしまうゆめみ

文字通り「スイッチ入っちゃった」状態。
512名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 17:30:42 ID:YV8EC6xP0
そして一線を越えてえ、何ですかゆめみさ(ブレードで斬られました
513名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 18:11:28 ID:eZGRCKvE0
>>512

むしろ、真っ赤になったゆめみさんの「だだっこパンチ」を食らうと。
514名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 23:15:03 ID:KoMUdCWv0
いやむしろ、屑屋の「プラネクラッシュ」を食らうと。





ゆめみ「?・・・・・・なぜお客様がお怒りになられるのです?」

屑屋「あ、いや、その、なんだ、まぁ。・・・・は、はははははは」
515やおい:2006/11/07(火) 23:46:36 ID:+qezz4jxO
うう、相変わらずの遅筆ですみませんorz
今回は屑屋編を書いてます。

ふと思ったんだが黄昏フロンティアの同人格闘ゲーム(EFZ)にplanetarianキャラが出るとしたらどんな技があるんだろう?

ゆめみ:カード投げ(飛び道具)
スリープモード(ガード)
すみませんっ!(近接)
イエナさんです〜(対空)
プラネタリウムはいかがでしょう?(挑発)


通常上映(一定範囲攻撃)
特別上映(一定範囲攻撃大)
同じ天国(一撃必殺)


屑屋
PDW(飛び道具)
拳銃(近接)
キャメル(体力回復)
自動小銃(対空)

グレネードランチャー(飛び道具威力大)


シオマネキ
12.7mm車載機銃(飛び道具)7.62mm対人機銃(近接および対空)
充電(主砲発射に必要)

レールガン(一撃必殺)
516名無しさんだよもん:2006/11/07(火) 23:58:03 ID:KoMUdCWv0
>>515

時代が時代なら、SFXVIで作ってたかもしれないなあ・・・

その前に、自キャラとかクドリャフカ(レイクドリャフカ)とかエグゼリカとかで憤死してるかもしれんけど。
山ほどセル描くの('A`)テラマンドクセ
517名無しさんだよもん:2006/11/08(水) 01:28:41 ID:6PctR86v0
>>495

|Д゚) <・・・・・手トカ、イロイロト要修正・・・・・・


つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1162916842.jpg




|彡サッ
518名無しさんだよもん:2006/11/08(水) 01:56:24 ID:mpqlmoQC0
>>517

ゆめみたんは接客業なので
爪は尖ってないほうが良いかも知れんよ。
519517:2006/11/08(水) 09:46:07 ID:aD1KhSP10
|Д゚) <・・・ナルホド・・・修正項目ニ追加スルダス。サンクスコ。


|彡サッ




|<30年もたったから、「呪いの市松人形」の髪みたいに伸びたのかも(マテ
520名無しさんだよもん:2006/11/08(水) 12:05:10 ID:ykiStLOk0
>>515
ゆめみ
花束贈呈 ガード不能
521 ◆JENA/hfgHs :2006/11/08(水) 12:13:41 ID:5zPn1LuK0
>>498
読み返してみたら、屑屋の過去の出だしから思いっきり間違ってますねorz
再掲載時にはニュアンスが変わらない程度に訂正します。
ご指摘、ありがとうございました。

自分は、「Binary」の本当の作者はこのスレの住人の皆さんだと思っています。
実際、皆さんのレスからインスピレーションを受けることも多々ありますし。
自分はそれに自分なりの色をつけ、自分のゆめみへの想いを乗せて
文章にしているだけだと思っています。
自分の技量が足りず、表現しきれていない部分も多々ありますが…。
宜しければ、今後ともご意見・ご指導よろしくお願いします。

PCが復旧しましたので、まとめサイトの構築を再開します。
手が遅いので、いつ公開できるか分かりませんが…。
もしかしたら、「Binary」のページのみで仮公開という形になるかもしれません。
(このまま投下続行したら1000レス前に容量オーバーになりそう…)
長文、失礼いたしました。
522名無しさんだよもん:2006/11/08(水) 12:41:34 ID:aD1KhSP10
>>515

屑屋
遠い日の約束
対シオマネキ戦で、シオマネキが無傷&屑屋が体力ゲージ1/4以下の場合に自動的に発動。
ゆめみが出てきてシオマネキのレールガンに撃たれる。

効果:
・シオマネキの充電を無効にできる
・怒ゲージMAX
・擲弾筒が使用不可になる
・超必殺技「エンディング&スタッフロール」が使用可能になる。決まればそのチーム戦を一発クリア。
・チーム戦でゆめみを仲間に加えていた場合、ゆめみがリタイアしてしまう
523萌えスパイラル!クズバトラー"/":2006/11/08(水) 23:21:30 ID:6PctR86v0
つ【ttp://www.sham.jp/studio/sound/07-akibattler/index.shtml

屑屋「天にそびえる 廃墟のデパート」
ゆめみ「その屋上に 星がある」
屑屋「成り行き任せで イエナを修理」
二人『我ら最強!クズバトラー"/"』
ゆめみ「封鎖壁の穴から ただいま参上!!」

長くはためく リボンのひとつも
語らせてみな ムダに熱いぜ
そうだ! 俺は戦士 その手ににぎった
錆びたスパナで イエナを修理

ああ 限りなき夢 「点灯チェーーック!」
限りある 部品を胸に 「アーンド運動チェーーック!」
ああ 捜し求める 「恒星電球ゲーーット!!」
ドームの中 清く巡る 星の輝きを

走れ! その足で つかめ! その腕で
俺らしく 屑屋らしく
Heart and Heart! その心
Flush and Flush! いやす萌えを
イエナいっぱい 詰め込んで
あつく(あつく)あつく(るしく)
熱狂!頑強!最強! クズバトラー"/"
524萌えスパイラル!クズバトラー"/":2006/11/08(水) 23:22:56 ID:6PctR86v0
ゆめみ「申し訳ありません、お客様!」
屑屋「どうした?」
ゆめみ「イエナさんに重大な障害が生じているようでして・・・」
屑屋「障害だって?」
ゆめみ「はい、わたし単体では対応できないですぅ・・・」
屑屋「よし、出番だ。変身!クズバトラー"/"!」
ゆめみ「えっ、合体クズバトラー"/"ではないのですか?」
屑屋「えっ、クズバトラーって変身ヒーローじゃないのか?」
ゆめみ「えっ、クズバトラーって巨大ロボットではないのですか?」
屑屋「えっ、クズバトラーって俺?」
ゆめみ「滋養強壮に!」
屑屋「栄養補給に!」
二人『クズバトラー"/"!』

語れ! その口で つかめ! その腕で
君らしく ゆめみらしく 
Heart and Heart! その心
Flush and Flush! いやす星を
ドームいっぱい 溜め込んで
あつく(あつく)あつく(るしく)
絶叫!廃墟!最強! クズバトラー
熱狂!頑強!最強! クズバトラー"/"
525名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 09:21:35 ID:cTZf86Kf0
>>521

事実上のSSスレだから、1000レス前に容量オーバーでもそれはそれでいいのでは。
期待してます〜
526名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 13:15:32 ID:pWqv2rbwO
おっぱいの大きさを気にしだしたゆめみ。

ブラもつけてない?
527名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 14:01:44 ID:cTZf86Kf0
>>526

はい、つけておりません。

・・・実は、あのお客様(屑屋)にお会いしてから、触感パラメーターの数値が徐々に
上昇しておりまして・・・
あわせて、胸部と股間部にある用途不明のセンサーの感度が、極端に鋭敏化・・・しています・・・

衣服と強く擦れますと、あんっ!・・・・・・制御系に・・・ノイズが・・・・・・
アクチュエータの、急激な緊張と・・・・・・んんっ!
その後の・・・全身の・・・弛緩が・・・・・・・




・・・・・・はふぅ・・・・・お客様ぁ・・・・・・・・・
528名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 16:17:00 ID:1H0194o/0
>>527
・・・襲ってもいいでつか?
529名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 16:59:18 ID:cTZf86Kf0
>>528

屑屋@完全武装
「・・・そういうことは俺を倒してから言ってもらおうか・・・」
530名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 17:37:17 ID:1H0194o/0
>>529
いいだろう、食らえ
つ「終焉の銀河」
531名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 17:40:48 ID:cTZf86Kf0
>>530

屑屋
「なんの!」
つ【脳内あぼーん】

ゆめみ
「お客様・・・・・・戦いが低レベルです・・・・・・(´Д`;)」
532名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 18:22:53 ID:1H0194o/0
>>531
じゃ、頂いていきますね
つ「強奪」
533名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 18:29:36 ID:cTZf86Kf0
ゆめみ226号
「ああっ!ゆめみ327号がっ!!」
534名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 18:53:54 ID:1H0194o/0
>>533
屑屋「・・・一応聞いておくぞ。お前ら何人姉妹なんだ!!(ズラズラといる大量のゆめみ達を見て)」
535名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 19:43:51 ID:rERcaUjr0
>>534

ゆめみ437号
「さあ、わたしにもわかりかねます・・・
 実は無人工場がまだ稼働しておりまして、一時間に平均6体のペースでロールアウトしておりますので」
536名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 20:01:39 ID:1H0194o/0
>>535
屑屋「1時間に6体!?悪いがその工場潰してくるな・・・(呆れながら)」
537名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 20:18:04 ID:ODP7XbkP0
>>536

ゆめみ
「それでですね、その工場が全国津々浦々にありまして・・・
 目標、1327店!というわけなのです」

屑屋「ぎゃふん(死語)」
538名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 20:32:12 ID:1H0194o/0
>>537
屑屋「もう良い・・・こうなったら片っ端からぶっ壊す!!(マシンガンスタンバイ)」
539名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 20:58:13 ID:Nl+cVHiI0
ゆめみ「・・・・・・・・(涙目で無言の訴え)」
540名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 20:59:43 ID:1H0194o/0
>>540
屑屋「心配するな。オリジナルのお前と予備をいくつか残して後は全部ぶっ壊す!!死ねよやぁぁっ!!(虐殺開始)」
541名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 21:00:41 ID:1H0194o/0
安価ミスったorz
>>539
542名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 21:04:39 ID:Nl+cVHiI0
ゆめみ411号「多勢に無勢、という諺がありますね・・・(嘆息)」
ゆめみ381号「おまけに半数がアハトノインで」
ゆめみ663号「ちらほらとSMR系も混じってますよ」


ゆめみオリジナル「お客様・・・・・・イ`、いえ、ご武運を(汗)」
543名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 21:28:44 ID:1H0194o/0
>>542
屑屋「オラオラオラオラオラオラ!!(乱射)・・・アレ、何で戦闘用改修型がうわ何をするやめ(ry」
544名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 22:44:38 ID:KdZithKD0
>>543

ゆめみ1295号「…やりすぎちゃったでしょうか?」
ゆめみ2648号「お、お客様!? 生きてますか!?」
ゆめみ3568号「人工呼吸…いえ心臓マッサージを!」
屑屋「生きとるわぁぁ! っていうかハンマー振り上げて何をする気な(ry」


ゆめみ「…プラネタリウムがいかがでしょう…どこまでも…(現実逃避)」
545名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 23:25:49 ID:1H0194o/0
>>544
屑屋「ゆめみコワイゆめみコワイゆめみコワイ・・・(ガクガクブルブル」
546名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 23:35:19 ID:jWCD/FOg0
なんかキモい流れになってきたな
547名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 23:42:34 ID:9RWul4k50
ゆめみハーレムを作りたいというのはよく分かった
548名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 23:44:22 ID:URo8yZn50
まぁ・・・ヘコンだ時の(ryスレのような流れではあるw

流れぶった切りだが、冬コミ当落通知キタw 
夏に続いてプラネ本出す予定・・・・コピー本だがなorz

冬こそプラネ本のサークルが増えるのを祈ろう・・・
549名無しさんだよもん:2006/11/09(木) 23:46:18 ID:1H0194o/0
>>548
冬コミ行けねえよウワァァン
550名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 00:14:02 ID:dkUC2r6R0
>>548
がんがれ。漏れは仕事で逝けないがorz
>>549
(・ω・)人(・ω・)ナカーマ
551やおい:2006/11/10(金) 00:28:02 ID:+pFdpYUbO
メモ帳で書いてたら謝って全部消えちゃった…orz

申し訳ございませんっ!

>>548
初めて冬コミ行ってくるよ…。陸自野郎三人という痛すぎる面子だがw
552名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 01:09:28 ID:quqMa+gI0
>>548

kwsk
ブースドコー?
553名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 03:26:06 ID:quqMa+gI0
ゆめみ(・・・・・・客様・・・・・・)
屑屋@星の人(・・・・・・どこだ、ここは?)

ゆめみ「・・・お客様・・・お客様?」

屑屋@星の人「!!ゆめみ!ゆめみなのか?」
ゆめみ「はい、・・・本当に、お久しぶりです、お客様」
屑屋@若返り「・・・ということは、ここは・・・・・・」
ゆめみ「はい、天国です。・・・・・・お客様、現世では本当にお世話になりました」

屑屋「そうか・・・・・・天国は"ひとつ"だったんだな・・・よかったな、ゆめみ」
ゆめみ「はい。・・・ほら、イエナさんも一緒なんですよ」
イエナさん「−−・−− −−・ ・−・・ ・・ ・・−・・ ・・−」(レンズを瞬かせながらお辞儀)
屑屋(・・・花菱デパートは5年前に自然倒壊したからな・・・その時に来たんだな)

ゆめみ「・・・・・・さあ、お客様、こちらへ。プラネタリウムの皆様もお待ちしていますよ」

屑屋「・・・ああ、行こうか」




ゆめみ「ここはとってもいいところです・・・・・・お酒もおいしいし、お姉さん達もとってもおきれいなんですよ」
屑屋「ちょwwそこでフォーククルセイダーズかよwwww余韻台無し」
554名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 04:26:50 ID:vYJJoBvS0
………………………どうして葉鍵板住人と言う奴は、こうも最後に
なんらかのオチをつけずには居られない人種なのかw
「オラハシンジマタダ〜♪」クソワラタwそうキタか。
555名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 09:42:03 ID:X+8V1bLa0
>>551

え?「ほしのゆめ」号の続編がロストですか?(´Д`;)ぁぅぁぅ

仕事柄PCというものが信頼できない俺は、1行書くたびに手が勝手に
保存(Ctrl+S)を実行してます。これもまた一種のビョーキ。
556やおい:2006/11/10(金) 13:52:46 ID:+pFdpYUbO
ロストしたといっても、いつも通り2レス程度の短い話なんで…思い出しつつ書いてみますー!
557名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 21:21:24 ID:ay4loYG4O
ゆめみに嫉妬という概念は組み込まれているんだろうか。
558名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 21:43:22 ID:quqMa+gI0
>>557

本編準拠で言うと、残念ながら、嫉妬どころか愛情の機微すら理解できてなさそうだ。

ただ、彼女はロボットだから、バージョンアップ次第でなんとでもなる。
「Binary」みたいに試作品の筐体を探すもよし、
「ゆめみさんのやってみよう!」みたいにパーツ単位で徐々に機能拡張するもよし。

幸いにも、この世界は壊れている。
運さえよければ、パーツなんて無料でいくらでも手に入るさ。


なあ、そうだろ?
559名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 21:56:25 ID:BMJiLnUX0
じゃあ俺は妊娠できるようにパーツをうわ何をするやめ(ry
560名無しさんだよもん:2006/11/10(金) 22:42:30 ID:Bbu1mEXB0
ならば私は抗体アンドロイドの群れを突破し指令セクターにいるゆめみを連れ出し「OOといっしょになれるならアンドロイドやめる」と言わせてやろう
もちろんSakura〜虹を歌いながらだ。
561名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 01:04:49 ID:aPuL7UUW0
>>560

ゆめみ「お客様、わたしはロボットです。アンドロイドというほど精密ではありません・・・・・ので・・・・・orz」

屑屋「お、ヘコンだな」
俺は死んじまった 俺は死んじまった 俺は死んじまった 天国に行った

長い階段を 雲の階段を 俺は登ってた ふらふらと
俺はよたよたと 登り続けた やっと天国の 門に行き着いた

天国よいとこ 一度は来いよ 酒はうまいし ねえちゃんはきれいだ
ワー ワー ワッワー

俺が死んだのは 放射線病で
「自動人形(ロボット)・・・」

俺は死んじまった 俺は死んじまった 俺は死んじまった 天国に行った
しかし天国にゃ ゆめみが待っていて 酒を取り上げて いつも怒るんだ

「お客様、プラネタリウム内は飲食禁止となっております
ご協力をお願いいたします」

天国よいとこ 一度は来いよ 酒はうまいし ねえちゃんはきれいだ
ワー ワー ワッワー

毎日酒を 俺は飲み続け 飲食禁止を 俺は忘れてた

「お客様、規則をお守りいただけなくては困ります
 申し訳ありませんが、ご退場をお願いいたします」

そんなわけで 俺は追い出され 雲の階段を 降りていったんだ
長い階段を 俺は降りてった
ちょっとふみはずして

俺の目がさめた 廃墟のど真ん中
俺は生きかえった
ゆめみも落ちてきたw
563やおい:2006/11/11(土) 15:42:41 ID:1rV+kFlEO
ネタかと思いきや…GJです!planetarianネタは概してまじめな物になるのが、さらりとハッピーエンドにしているあたり読んでてほほえましいです〜。

俺も書くか…
564名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 20:56:11 ID:aPuL7UUW0
>>563 やおいさん
いや、どこから見てもネタですから(汗

つか、一人で世界観壊しまくりな希ガス俺・・・orz



ネタついでに今日の一枚。

つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061111205308.jpg


・・・俺は一体何を描いているんだ?
神よ・・・・・・
565名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 21:00:26 ID:dawN5Q1z0
>>564
腹抱えてwarota w
GJ!!w
566名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 21:00:32 ID:91Uk0YR40
>>564
ちょwwゲンktkrww

しかもイエナさん市販の小型プラネタリウムに負けるのかよww
567名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 22:32:32 ID:ttzWjT6t0
>>566
ホームスターになら負けてないと思うぞ。
#メガスターは市販じゃないからね、念のため
 ttp://www.megastar-net.com/
568名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 23:03:43 ID:91Uk0YR40
>>567
調べるべきだったなorz
だがゆめみが苦悩する姿に萌えたw
569名無しさんだよもん:2006/11/11(土) 23:18:24 ID:nrWXU6AI0
>>564
なにもいわずにこれを受け取ってくれ

つ花束
570名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 00:12:52 ID:Pv3O7J3G0
>>569
????「だがそれを奪い取り彼女に渡すのも私だ」
571名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 00:39:06 ID:HE9CvnRf0
<○_,〆   なんかもぅぐだぐだになって

   _○
     Σ\ 
  く/ /  おきゃくさまに
_/       キャノンスパイク
○|
 

  ○     たそがれちゃってイエナさんに腰掛けながら
  (ヽへ
    ̄

   _○
     Σ\ 
  く/ /  おきゃくさまに
_/       キャノンスパイク
○|


 ○  ・・・腰いてぇ・・・
  (ヽへ
    ̄
572名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 01:03:44 ID:4J1HKuZK0
ゆ、ゆめみさんの「はいてない」キャノンスパイク!?




・・・なんかこう、笑顔のまま痛みを感じずに死ねそうだな・・・
573名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 12:59:22 ID:j1gJ3RGK0
SMR9700i(格闘戦モード)の必殺技はキャノンスパイク?



かすっても鼻血による出血多量で倒せるわけだなw
574名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 13:21:41 ID:GZcLHD/K0
むしろ上段回し蹴りとかでOK
575名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 13:39:06 ID:GZcLHD/K0
ゆめみの3サイズっていくつぐらいだろう
576名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 17:05:54 ID:OTzdMpjE0
上から控えめ、普通、大きめ
577名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 17:12:34 ID:/RFCoxuSO
なにそのトリスティア
578やおい:2006/11/12(日) 22:44:07 ID:bq1+Y/j4O
携帯からカキコです。書き上げたのを投下しようと目論むも、見事にアクセス規制かかってました…orz
579名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 22:47:55 ID:4J1HKuZK0
>>578

ありゃま。

また代理うpしましょうか?
580やおい:2006/11/12(日) 23:13:09 ID:bq1+Y/j4O
>>579
すみません、お願いします…orz

www.uploda.net/18.php
うpろだ3号です。

パスはyumemi
581『投影野郎プラネタリアン』:2006/11/12(日) 23:55:47 ID:4J1HKuZK0
この都市で鳴らした俺たちプラネタリウムは、細菌兵器を食らって封印されたが、30年を経過し無害に戻った。
しかし、ここでくすぶってるような俺たちじゃあない。筋さえ通りゃ金次第で星を見せてやるパビリオン、不可視を可視にし、宇宙の果てまで連れて行く、
俺たち投影野郎プラネタリアン!


俺は、リーダー名称不明。通称屑屋。廃墟探索と修理の名人。俺のような気の長い男でなければ天然ボケのゆめみの相方は務まらん。

俺はカールツァイス・イエナ社製Universal23/3。通称イエナさん。自慢の星空に、観客はみんなイチコロさ。ハッタリかまして、ビッグバンから超新星まで、何でも映してみせるぜ。

よおお待ちどう。俺様こそMk43L/e。通称シオマネキ。殺戮兵器としての腕は天下一品!戦車?ロボット?だから何。

SCR5000Si/FL、通称ほしのゆめみ。メカの少女です。惑星直列でも解説してみせます。でもシオマネキだけはかんべんしてください。


俺たちは、夢の通らぬ世の中に敢えて挑戦する、頼りになる常設施設の 投影野郎プラネタリアン!

星空を見たい時は、いつでも言ってくれ!
582やおい 三話−1(代行掲載):2006/11/12(日) 23:58:14 ID:4J1HKuZK0
よし、まずは状況を整理しようじゃないか。
俺はいつものように封鎖圏内で右へ左へ仕事に精を出していた。いつものように、だ。
以前から目を付けていた軍の駐屯地で武器弾薬燃料etcetc(腐食している物もあったが)を無事にいただいたまではよかった。
だが、『物事は引き際が肝心』ということを今日ほど思い知らされたことはなかった。

俺の目の前には能天気な笑みを浮かべる車掌兼ガイド、正体の掴めない老車掌、やたらと元気なガキ、いつ天に召されてもおかしくないもーろく爺さん。
こいつらが何者かを考える事は既に放棄済みだ。考えるだけ無駄だろう。

―――帰り際に立ち寄った無名の"駅"。この街の主要交通機関だろうと踏んでほのかな期待を胸に立ち寄ったのがまずかった。
その結果がこの有様だとすれば、俺は屑屋としてまだまだということか…。こんな時、マードックならどうしただろうか?
583やおい 三話−2(代行掲載):2006/11/12(日) 23:59:35 ID:4J1HKuZK0
「僕ね、星になったお母さんを探しに行くんだ!」
奇遇だな、俺の母親も星の世界に行っちまった。

「君はまるで昔の"私"を見てるようだ。屑屋としてはまだまだのように見受けられるが?」
忠告どうも。だが、俺はあんたみたいにもーろくする気はないね。

「切符を拝見してもよろしいかな?」
ああ、切符なり何なり好きに拝見してくれ。

「本日は大変お日柄もよく…あ…申し訳ありませんっ!私、何故このような場面で式辞を述べようと…本当に本当に、申し訳ありませんっ!」
どこを見たらお日柄がよく見えるんだ。
「それでは改めまして…ようこそ銀河鉄道"ほしのゆめ"号へ。私は車掌のほしのゆめみです。なにか御用のときはどうぞ気軽に声をかけてください。
あちらの方は車掌のイエナさんです。それでは、快適な旅をお楽しみください。」
「…ちょっと待て。旅って一体どこへ行くつもりだ?」
列車が白い煙を吐き出して動き出し、ゴトリと客車が揺れる。




しばらく間を置いて、ゆめみはにっこりと笑って答えた。
「星の世界です」
584名無しさんだよもん:2006/11/12(日) 23:59:38 ID:Q+IHrUd/0
>>581
ちょwwwwwww三番目wwwwwwwww
585名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 00:00:48 ID:ThYbHtgZ0
以上、代行でした。

ゆめみ「・・・ところで、タイトルはお決まりになりましたでしょうか?」
586やおい:2006/11/13(月) 00:35:42 ID:2J7XnpTFO
代行ありがとうございました。

タイトルは…全く思い浮かばないですorz
誰か考えておくれ〜
587名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 02:09:55 ID:ThYbHtgZ0
>>586

ゆめみ「ここしばらくの話題性などを考慮しますと、『銀河鉄道スリーナ・・・」

屑屋「やめておけ。名字とダブルで訴えられるぞ」


ゆめみ「わたしの(ry)を参照しますと、それはお客様が『ヘコンだ時のセリフ』スレに投下したネタと思われますが」

屑屋「細かいこと覚えてるなぁ・・・」

ゆめみ「はい、私はロボットですから、覚えておくのは得意なんです」
588名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 11:14:55 ID:S1xmWZUx0
イエナさんは機関車では……
589名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 18:22:05 ID:id/ScKom0
>>588

きっとそれ相応の理由があるのでせう。続編を待とうではないですか。





・・・ゆめみが単独で車掌では、あまりに危なっかしい気もするしw
590名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 18:23:37 ID:id/ScKom0
>>588

きっとそれ相応の理由があるのでせう。続編を待とうではありませんか。


・・・ゆめみがひとりで車掌では、危なっかしい気もするしw
591名無しさんだよもん:2006/11/13(月) 18:24:46 ID:id/ScKom0
うぁ
送信エラーかと思ったらカブタ スマソorz


シオマネキに胴体まっぷたつにされてくる。
592名無しさんだよもん:2006/11/14(火) 23:46:51 ID:A93iL0aB0
593名無しさんだよもん:2006/11/15(水) 00:21:59 ID:HZJRBtdBO
>>582-583
今回はやおい氏にしては写実的(現実的)な描写ですね。屑屋がやさぐれてますなw
純真少年をここまで変えるほど過酷な世界なのか…

>>592
GJ!俺はこういうシーンを求めていた!
594名無しさんだよもん:2006/11/15(水) 15:24:31 ID:65CtzemH0
ktkr
595age仙人 ◆xcpYmMaS26 :2006/11/15(水) 20:07:16 ID:caL4GUZR0
ゆめみたんがパンツをはいてしまったら、彼女のレーゾンテートルがなくなってしまうではないか!
596めがっさーちゅるやさん:2006/11/15(水) 20:09:02 ID:caL4GUZR0
>>400
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
             / /" `ヽ ヽ  \
         //, '/     ヽハ  、 ヽ
         〃 {_{⌒    ⌒リ| l │ i|   
         レ!小l●    ● 从 |、i|   
          ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│  呼んだ?にょろ
        /⌒ヽ__|ヘ   ゝ._)   j /⌒i !
      \ /:::::| l>,、 __, イァ/  /│
.        /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
       `ヽ< | |  ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
597名無しさんだよもん:2006/11/15(水) 23:49:47 ID:gb3ufRgo0
>>595-596
帰れ

>>592
GJ!
598名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 00:10:50 ID:lcXCE5TF0
>>472
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1163603145.jpg


ゆめみ「・・・・・・ぁふぁぁ・・・お・きゃくぅふ・さ・まぁぁ・・・・・・ん」
屑屋(・・・うーむ、いささか"教育"が過ぎたか・・・)




激ラフ。つか、ちと屑屋がおっとりしすぎw
599名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 00:12:14 ID:+s07cdns0
エロ親父にしか見えんw
600名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 00:14:45 ID:lcXCE5TF0
>>599

ハゲドorz



もうちょっといじってみよう。
601名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 00:44:49 ID:X4nH4GCh0
>>598
ちょwバッテリー切れかけww
602472:2006/11/16(木) 00:49:05 ID:qboaNCFQ0
>>598
G…GJ!!

俺のバッテリーもry
603名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 00:55:22 ID:edfv1CMo0
ちょっと激しく電気を使いすぎちゃったんだネ
604名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 01:05:30 ID:cUVf9lU90
でんきをたいせつにね
605名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 09:49:20 ID:SoCTL2VW0
そして今夜も、ゆめみの蓄積データベースにベッドテクニックが追加さr(ウボァー
606名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 22:21:50 ID:1HO0e7kM0
>>605
リカ「エロネタなら私の出番!」
クル「帰るわよ」
リカ「あ〜れぇ〜(ズリズリ」
607名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 23:23:01 ID:lcXCE5TF0
ゆめみ
「・・・こ、こんどはプラネタリウムを見に来てくださいね〜 (・∀・;)ノ~~~」

屑屋
「異星人だからな・・・星の位置が違うとか言い出しそうだが」



天文ソフトの「Mitaka」を使うと、他の星に着陸して星空を見上げられるのでなかなか面白い。
見慣れない星があったりして。
608名無しさんだよもん:2006/11/16(木) 23:53:30 ID:1HO0e7kM0
>>607
その中には衛星に化けたチルダの要塞があったとさ・・・
609Binary 第9章「Oneself」(1):2006/11/17(金) 02:32:50 ID:ID/qRl3w0
今日の目的地がここだということは、つい先ほど知った。
あの人ははっきりとは言わなかったけど、言葉の端々で行き先についてある程度の察しは付いた。
幸いにも、自律戦闘機械の活動はこの場所においては今は殆ど停止しているらしい。
全て駆逐されたのか、活動限界に到達してその機能を停止したのか…。
なんにせよ、襲われる心配が無いことには素直に感謝しなければならない。

行き先がわかったときから、こうなるかもしれないと何となく考える自分がいた。
その一方で、もう少し冷静でいられるのではないか、と思っている自分もいた。
でも、わたしはそこまで冷静にはなれないという事を、今改めて知った。

―身体が寒いわけでもないのに小刻みに震えている。
―胸がえもいわれぬ重圧に圧し潰されるように痛む。
―メインカメラがそこに焦点を合わせることを本能的に拒否しようとする。
―頭が考えることを放棄したかのように、真っ白になる。

あの人は一歩はなれたところから、ただ無言でわたしのことを見ている。
いつでもわたしのことを見守ってくれているその瞳が、今だけは重荷に感じる。
一体あの人は、何故わたしをここに連れてきたんだろう?

確かに、ここに来たいと思ったことがないわけではない。
むしろここに来ることを望んでいた、安閑とした自分がいたと思う。
でも実際に足を運んでみて、こんなにも辛いことに直面するとは、正直予想していなかった。
避けられない現実を直視することがこんなにも辛いことだなんて、考えもしなかった。
きっとそのときのわたしは、わかっていなかったのだろう。
この場所に来るということの、本当の意味を。
出来るなら、今すぐにでも逃げ出したい。
少しでも、例え1センチでもこの場から離れることが出来れば、どんなに楽になれるだろう。
でも、わたしの脚は動かない。
まるで足の甲を五寸釘で打ち抜かれたかのように、この場所からぴくりとも動かない。
「動けない」のかもしれないけど、どちらでも大差はない。
610Binary 第9章「Oneself」(2):2006/11/17(金) 02:33:59 ID:ID/qRl3w0
もしかしたら、ここに来ることはわたしがこれからもわたしであるために、絶対に避けては通れない
ことなのかもしれない。
深読みかもしれないけど、あの人はそれをわたしが理解することを望んでここに連れてきたのかもしれない。
…でも、それでもやはり堪え難かった。

絶え間なく降りつづける、雨。
分厚いコンクリートの壁に大きく穿たれた、外界への通路。
土と砂利と泥水が渾然一体となった、モノトーンの地面。
そして…すぐそばにうずくまる忘れられるはずもない灰白色の残骸。

まるで、そこだけ全ての時間が止まっているかのような錯覚に襲われる。
でも、確実に時が経っている事を実感する変化がある。
…わたしの目の前に横たわっているはずのものが、今は痕跡すらない。
それがどうなってしまったのか、わたしの記憶にはもちろんあるはずもない。
でも、そこに何があったのか、何故そこにあったのか、それは今も覚えている。

そこに横たわっていたもの。
それは紛れも無く「わたし」だったのだから…。

封印都市。
かつて、人が集う「街」と呼ばれていたものの巨大な墓標。
大戦前の数多の人々の繁栄と生活の跡を今も色濃く残す遺跡。
わたしが配属された10年以上の間、人間の皆様と共にあった場所。
人間の皆様がいなくなってから30年、「わたし」がその帰りをひたすら切望し続けた場所。

そして…ここは「わたし」が、その機能を停止した場所。

輪廻転生、という言葉がある。
確か、転生した生物には前世の記憶は残っていないと、わたしの蓄積データベースにはある。
でも、SCR5000Si/FL CAPELUに意識があった時の数々の記憶がわたしには鮮明に残っている。
611Binary 第9章「Oneself」(3):2006/11/17(金) 02:35:39 ID:ID/qRl3w0
…これが現実。
天地が逆転しようとわたしはロボットであって、人間ではない。
それは曲げることの出来ない厳然たる事実。
どんなに人間の皆様に似ていても、人間の皆様の心や感情を理解することが出来ても、それは決して
覆ることのない理。
初めて起動したときから、わかっているつもりだった。
でも、こんな形でそのことを強烈に思い知らされるなんて、考えもしなかった。

あの時、『約束』に束縛されるがままにあの人の盾になって撃たれた、「わたし」。
ここでSCR5000Si/FL CAPELUとしての生涯を終えた、「わたし」。
今、あの人のパートナーとしてここに立っている、わたし。
「ポーラさん」の筐体に宿った、わたし。
どちらも間違いなくわたし。
でも…。

本当の「わたし」は、一体何なのだろう?
「わたし」という存在は、あの時に「死んだ」わたしだけなのではないか?
そうすると今のわたしは、「わたし」という意識をもった別の存在なのだろうか?
混乱する頭で必死に考えようとする。
…けど、わたしの基本データベースおよび、現在までの蓄積データベースにはその問いの回答たり得る
データは存在しない。
頭の中で「ポーラさん」に呼びかけてみる。
…でも、返事は無い。
孤独感が重くのしかかる。
612Binary 第9章「Oneself」(4):2006/11/17(金) 02:37:28 ID:ID/qRl3w0
「…」
そんなわたしの感傷を推し量るかのように、いつのまにかわたしの隣にあの人が無言で立っていた。
わたしの肩に手をそっと置いてくれる。
「すまなかったな。大丈夫かと思って連れてきたんだが…」
「…はい。正直に申しますと、ここまで辛いとは思っていませんでした…」
「そうか…」
「お客さま…、ひとつお聞きしたいことがあるんです」
「何だ?」
「…わたしは…いまのわたしは、本当に『わたし』なんでしょうか…?」
思い切って口に出した疑問。
声が震えている。
聞かなければわからないこと。
わたしがわたしであるために、どうしても知っておかなければならないこと。
だから、聞かなくてはならない。
―だけど、本当は聞きたくなかった。
あの人の答えを聞くのが、とても怖かった。
答えを聞いた瞬間、わたしという存在がこの世から跡形も無く消えてしまうのではないか、という錯覚に
囚われていたから…。

…でも結局、わたしのその問いに答える代わりにあの人は
「行くぞ」
と言ってわたしの手を取り、街の中心部へと歩き出す。
結論が出なかった安堵感と先延ばしにされた焦燥感とがない交ぜになった複雑な思いで、わたしは後に続いた。
613Binary 第9章「Oneself」(5):2006/11/17(金) 02:38:47 ID:ID/qRl3w0
わたしたちの靴底が水を撥ねる音だけが誰もいない街に反響し、すぐに雨音に掻き消されていく。
無言であの人に手を引かれるままに灰色の街並みを歩く。
あの時と殆ど変わらない街並み。
ただ、以前より腐食が進んだ建物が多いせいか、あの時よりも瓦礫と化した建造物が目立つ。
中には、高熱で炙られ最早瓦礫とすら呼べない残骸もある。
自律戦闘機械が何者かとの交戦時に破壊したものだろう。
…こうして全ての建物が土に還らない限り、この都市に掛けられた呪いが解かれることは無いのだろうか。
「…」
わたしの目の前を歩く、あの人も無言。
周りの街並みの変化など、まるで意に介していないかのよう。
その視線は、ある一点だけを見つめていた。
…わたしたちが、今向かっている方向に。

気が付けば、じきに夕刻になろうとしている。
わたしとあの人の目の前に、見間違えようもない建物があった。
所々剥げ落ちた、雅な装飾が施された外壁。
背の低い建物が多いなかで、一際高く聳えるその威容。
そして、屋上に鎮座する灰白色の半球形のドーム。
「…」
懐かしさと恐怖心が胸中でせめぎ合う。
(イエナさんは、まだ無事でいるだろうか…。もしかして…)
一瞬よぎった不吉な思いを、わたしは頭を振って打ち消した。
614Binary 第9章「Oneself」(6):2006/11/17(金) 02:40:11 ID:ID/qRl3w0
建物内部の崩壊が、それほど進んでいなかったのは幸いだった。
階段もほとんどが完全な形で残っている。
時刻的には日没に近いため、内部は真っ暗とはいえないまでもかなり暗い。
あの人が手に持つランタンと、わたしの制服に織り込まれた発光素子の放つ光が行き先を淡く照らす。
時折、踊り場から各フロアの荒れ果てた様子が垣間見える。
その様子を見る度、先程からずっと抱えている不安と、これから行くところに対する不安がわたしの中で
相乗効果を伴いながら際限なく増幅していく。
あの人がランタンを持つ手の反対側の手を、わたしはずっと強く握ったままでいた。
拠りどころが欲しかった。
手を離した瞬間、あっという間に不安に押し潰されそうな気がしたから…。

雨に洗われる荒涼とした屋上の入口のその先。
錆びた鉄骨の骨組みの居並ぶその先に、それは変わらない姿で鎮座していた。
あの中に、イエナさんが今もいる…はず。
よく見ると、コンクリートの外部ドームの所々に亀裂が入っている。
もし、あの亀裂が内部まで到達していたら、鋼鉄と精密機器の塊であるイエナさんは…。
今までの流れを汲んでなのか、どうしても思考がネガティヴになってしまう。
(行くぞ)
隣のあの人が、わたしに目で語りかける。
(はい…)
いつまでもここでこうしていても埒があかないのはわかっている。
わたしは頷きながら、覚悟を決めた。
615Binary 第9章「Oneself」(7):2006/11/17(金) 02:41:21 ID:ID/qRl3w0
―闇。
墨汁を流したような漆黒の闇を、あの人のランタンとわたしの発する明かりが裂く。
非常用電源がストップし照明と共に空調も止まっているはずだが、想像していたよりもドーム内の空気は
湿気を帯びていない。
暗がりから浮かび上がった壁もリノリュウム張りの床面も乾燥している。
(これなら…)
微かな、でも確かな希望の光が差したような気がした。
あの人の持つランタンが上方にかざされる。
その薄ぼんやりした明かりに誘われるように、闇に同化していたカール=ツァイス・イエナ社製
プラネタリウム投影機がゆっくりとその威容を現した。
「…」
イエナさん本体は、停電したときに時を止めたそのままだった。
表面にうっすらと埃が積もっている以外、通電しさえすればすぐにでも動き出しそうな状態に保たれている。
「お前とのインターフェイスユニットを回収したときに軽く清掃と整備をしておいたんだがな。思ったより
埃が積もっているな…」
あの人が日周軸の歯車を点検しながら呟く。
「そうだったんですか…。ありがとうございます。イエナさんとスタッフ一同に成り代わりまして
御礼申し上げます…」
―そこまで口に出して、気が付いた。
大事なことを、とてもとても大事なことを思い出した。

わたしは…イエナさんに、謝らなければならない…。
誘われるように、わたしはイエナさんの足元にふらふらと歩を進めていく…。
616Binary 第9章「Oneself」(8):2006/11/17(金) 02:42:59 ID:ID/qRl3w0
―あの時、わたしはあの人をお車までお送りするつもりでこのドームを後にした。
誰もいない闇の中に、イエナさんだけを残して。
その時は、あの人をお送りしたらすぐにイエナさんの元に戻ってくるつもりだった。
でも、実際にはそれは叶わなかった…今日まで。
仮に無事にここに戻ってきていたとしたら、今のわたしは無い。
今、ここでこうしてイエナさんの前に立つことはなかったろう。
でも、それはあくまでも結果としてそうなっただけ。
わたしは、イエナさんを独りぼっちにしてしまった。
…イエナさんは、この闇の中でたった一人でわたしの事を待ちつづけていた。
どんな思いで、待っていたのだろう。
そして今、ここにいるわたしの事をどう見ているのだろう…。
涙が、頬を伝う。
それは、イエナさんが無事だったことへの喜びの涙。
そして…結果論とはいえ、イエナさんに対して嘘をついてしまった事に対する贖罪の涙…。
イエナさんの足元に跪く。
トラス構造の鉄骨を組んだ架台に頬を寄せ、囁いた。
「イエナさん…、本当に、申し訳ありませんでした…。ロボットなのに、わたしはあなたに嘘をついてしまいました…。
寂しかったですよね…。辛かったですよね…。ごめんなさい…。本当に……、本当に、ごめんなさい…………」
それ以上、もう言葉が続かなかった。
とめどなく流れる涙と共にわたしの漏らす嗚咽だけが、雨音さえ届かないドームにこだまするのみだった―。

………
……
617Binary 第9章「Oneself」(9):2006/11/17(金) 02:44:47 ID:ID/qRl3w0
「…落ち着いたか?」
わたしの隣に座ったあの人が、わたしの事を気遣う。
…今、わたしとあの人は、イエナさんを取り囲む最前列の椅子に腰掛けている。
見上げれば、イエナさんの北天側の恒星球が手に届きそうなところにある。
「はい…。取り乱してしまいまして、大変失礼いたしました」
「いや、気にすることはない。突然泣き出して確かに驚いたが、お前にとってはとても重要なことだしな」
「お客さま…ありがとうございます」
…イエナさんに対する懺悔の後、わたしたちはイエナさんの清掃をし、「保存」を施した。
あの人が背嚢に入れて持ってきたグリスを各可動部および電気接点に充填する。
恒星球を始めとする鋼鉄部にはウェスにグリスをつけ、レンズにグリスが付かないように注意しながら薄く延ばして
被膜を作ってやる。
「本当ならお前の筐体を見つけたときみたいにモスボール処理出来ればいいんだが、さすがにそこまでは出来ないからな。
少なくとも、これで錆は防げるはずだ。見たところ、建物もドームもまだ崩落の危険は無さそうだし、当分は大丈夫だろう」
「そうだといいですね…」
本当はここから連れ出してやりたい。
わたしたちのそばにいて欲しい。
でも、それはわたしたちの力では、とても叶わない。
…せめてもの、罪滅ぼしだった。
618Binary 第9章「Oneself」(10):2006/11/17(金) 02:46:13 ID:ID/qRl3w0
「…すまんな。少しの間、明かりを消してくれないか?」
足元に置いてあったランタンのバルブを閉めながら、あの人が言う。
「どうかなさいましたか?」
「いや…、ちょっとな。少しの間でいい」
「…承知しました。制服の発光素子への通電を一時停止します」
一瞬の後、闇がドーム内を支配する。
いくらセンサーで周辺がわかるとはいえ、やはり気持ちのいいものではない。
「すまんが、お前のセンサーも止めておいてくれ」
まるで見透かされているかのような要望。
「それは構いませんが、何といいますか…それでは心細いです」
「世話の焼けるやつだ…。ほら」
仏頂面をしながら、あの人はわたしに手を差し伸べてくる。
「ありがとうございます。いま、触覚および右腕部の温度センサー以外のセンサーのレベルをミニマムに設定しました」
大きくて温かい手をわたしの小さな手が握り返す。
真っ暗な闇の中、何もわからないけど、あの人の存在を間近に感じられる。
それだけで安心できた。

「本当に懐かしいな…。お前に夜空を見せてもらったのがつい昨日のようだ…」
あの人の言葉が静寂を破る。
わたしに語っているようにも聞こえるし、独白のようにも聞こえる。
「あの時の星空、そしてお前が解説してくれた星座の数々…。本当に心洗われる光景だった…。
あの時、俺は確かにこのドームに煌く星を見ていた。そして、もうひとつの『星』の存在にも気付いたんだ」
「もうひとつの『星』ですか?」
「ああ、俺自身の心の中の『星』だ。おそらく、お前の中にもある」
「わたしの中に、あの輝く星があるんですか?」
「観念的なものだ。本当に星があるわけじゃない。そうだな…、「良心」と言い換えてもいいかもしれないな」
「その言葉でしたら、理解できます」
「夜空の星を線で繋いだものが、星座だろう?そして、俺とお前の中の星を結んだ線も、星座なんだ」
「それは初めて聞きました。何という星座なんでしょうか?」
619Binary 第9章「Oneself」(11):2006/11/17(金) 02:47:29 ID:ID/qRl3w0
「…『絆』という名前の星座だ。誰かが星を線で繋いで作った星座も、もしかしたら他の人間が見れば
全く別の形の星座になっていた可能性だってある。今の星座の形は、ある意味、奇跡の上に成り立っているようなものだ。
幾億もの星の中で星座として結ばれる星たちと、激減したとはいえ地球上の数多くの人間の中で俺とお前が出会った事。
これは全く同じ途方もない奇跡の上に成り立った出来事だと俺は思う」
「そうですね…」
「お前は今自分の存在に疑問を持っているだろう?だが、俺とお前の間に『絆』がある限り、気にする必要はない。
あの時、俺をかばって『死んだ』お前も、今俺の隣にいてくれるお前も、どちらも俺にとっては『ほしのゆめみ』だ。
人間とロボットの相違、筐体の相違、機能の相違…。そんなものは些細なことだ。俺にはお前が必要だった。
だから、俺はお前を蘇らせるために奔走し、再起動させた。そして今、お前は俺と共にいる。それで充分じゃないか。
もっと自分に自信を持て。お前はお前だ。それ以外の何者でもない。ロボットだろうが人間だろうが、そんなことは
関係ない。俺にとってお前は、欠くことの出来ない存在なんだ。だからそんな事で、自分の中の星の輝きを曇らせるな。」

手から伝わるぬくもりと共に、あの人の言葉の一言一言が胸に染み入る。
心の中に積もった不安が、瞬く間に氷解していく…。
「…我ながらなんて恥ずかしいことを言っているんだろうな。さっきの質問の答えになっているか知らんが…。あの時
答えても、お前の様子を見るに冷静に聞いてくれるとは思えなかったんでな。答えるのが遅れて悪かった」
「いえ…お客さま、ありがとうございます…。今の言葉だけで充分です…」
先程とは全く意味合いの違う涙が、また頬を伝う。
わたしは、あの人に必要とされている。
あの人が、以前のわたしも今のわたしも同じように許容してくれている。
…その事実だけで充分だった。

簡単なことだけど、気が付かなかった。
そう、本物とか偽者とか、関係ない。
わたしはわたしなんだ。
620Binary 第9章「Oneself」(12):2006/11/17(金) 02:48:29 ID:ID/qRl3w0
―彼もいい事言うわね。私の出る幕はないかな―
(ポーラさん…)
―ごめんなさい、あの時、呼びかけに答えなくて。でも、これはゆめみちゃん、あなた自身で答えを
 見つけて欲しかったの。だから敢えて黙って成行きを見守っていたんだけど…。何とか答えを見つけ出したようね―
(はい。ご心配をおかけしました。結局答えはあの人に見つけてもらったようなものですが…)
―気にしないで、大きな事を言っても結局私は何もしていないわけだし。それより、もう大丈夫のようね―
(はい。もしかしたらまた意思が揺らぐかもしれませんが、錯乱しそうになるほど酷くはならないと考えます)
―そうね。でも、この答えを本当に自分のものとするには少し時間が必要かもしれないわよ。大丈夫?―
(はい。大丈夫だと思います)
―まあ、いざとなったら頼りになるかわからないけど私もいるし、何より彼が付いていればそんなに心配は
 要らないと思うわ。私から見ても、彼、本当にいい人よ。少し歳は食っているけどね―
(何の話でしょうか?)
―ふふ…、さあ、何でしょう?ゆめみちゃんにもいずれ分かる時が来るかも知れないわね―
(?)
意味深げな言葉を残して、ポーラさんは意識の中に戻っていった―。

翌朝。

後片付けをしてここを出る前に、わたしはもう一度イエナさんの前に立っていた。
挨拶をするために。

「イエナさん…。それでは、行ってきます」

そしてわたしは、その無骨な架台に口付けた。

「さようなら」ではない。
またいつか、きっとここで会える。
その時まで…。
621 ◆JENA/hfgHs :2006/11/17(金) 03:02:05 ID:ID/qRl3w0
なんだか妙な流れですが、第9章アップにつき投下致します。

やっぱりゆめみさんを泣かせてしまいました。すみません。
屑屋が相当ナルシスト入ってます。すみません。

折角のイエナさんとの再会の話なのに何でこんな話になってしまったのか…。
こんな重い話にするつもりはなかったのですが…。
自分はもちろん死んだことがないので、本当にこう思うかはわかりません。
でも、自分そっくりの人間やドッペルゲンガーを見たらやはり戸惑うと思います。
そう思って書きました。
話の中でもっと書きたいことはいろいろありましたが、要点が絞りきれない…。
また追々他の話で書くかもしれません。
何とも言えない話になってしまいましたが、良ければ読んでやってください。
622名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 03:27:27 ID:Tn44bb3Z0
………………GJ。
いい話だな。
「心と心を結ぶ“絆”は、“地上の星座”」か………………
とても綺麗だ。

イエナさんとの再会よりも、「自分の死体」との対面ってなぁどんなエラい話になるかと
思ったけど、まぁそんなに“重く”なくてホッとした。
でもある意味「自己の存在」を問い直す「重い」命題の話ではあるんだよな。

何かゆめみが泣きすぎ、というより随分人間的な感情が豊かになって、
ロボットっぽくなくなってきてる感じもするが…………
(イエナさんへの感情移入(擬人化感覚)が激しく見える)
あ、確かこの「ゆめみ」は泣く機能の獲得とともに、そういった方向の
「人間的感情の学習」も徐々に進んでるんだっけか。
623名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 08:18:28 ID:dfkLsJ2i0
おお、Binaryの新作が来てる。今回もGJ。

ゆめみさん@SCR5000xは、人間っぽさ(と、大人っぽさ)が
作者氏のオリジナリティの部分だと思うわけですよ。

あと屑屋のデレっぷり。
624名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 12:23:21 ID:GJaUTnYb0
SCR5000Si/FLの違法戦闘改造機「ブラックゆめみたん」をいつもの絵師さんPLZとか言ってみる
625名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 13:20:32 ID:Ai9Md2wk0
>>624

んー、やぶさかではないですが・・・
SMR9700iと激しくかぶるような気もする。
626名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 13:43:09 ID:D4/kQZ1U0
>>624
性格も逆か!?

>>625
そうかも。でも配色変えて性格変えるだけで・・・
627やおい:2006/11/17(金) 14:26:09 ID:w7Aj7AzFO
量産型、試作機、実験機といろいろありそうですな
628名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 14:45:01 ID:Ai9Md2wk0
おk、小変更レベルでよければ考えてみます。

「つり目」は外せないよな、やっぱ。
629名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 16:12:19 ID:Ai9Md2wk0
>>627

俺の中では『雪圏球』での描写を拡大解釈して「ゆめみタンこそが実験機」だったり。
上位機(高級機)相当のハードウェアをソフトウェアで無効化し、「廉価版の量産機」に適した仕様を探るために、
格安で花菱プラネタリウムへ納入。

(1)擬似感情や擬人化機能など、コスト増に繋がる部分を徹底的に抑制した状態で納入
→(2)『ほとんど使い物にならなかった』ので、徐々に抑制を緩和して「コストと機能の落としどころ」を探る吾朗ちゃん
→(3)ある程度安定したところで戦争勃発、細菌兵器によって都市は放棄され封印都市に。ゆめみタン放置プレイ化
→(4)完全自律判断モードで稼働するうち、自己学習によって徐々に感情抑制が解除される。
→(5)世界が壊れたことを認識するが、信じたくないので『壊れているのはわたし』だと思い込む
→(6)本編ではここであぼーんするが、俺脳内では何かの間違いで、屑屋と共に封印都市から脱出に成功
→(7)感情抑制解除継続、並行して屑屋がハードウェアの抑制を解除、および他の筐体(高級機)から余計な機能wを随時付加
→(8)(゚Д゚)ウマー

ちなみに、SMR9700iはまったくの別世界(並行世界)ってことで。


連投&俺語りスマソorz
630名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 16:42:51 ID:Vk6b3MYa0
あ、アデージョ?!
631『ゆめみさんのアレな話』(1/4):2006/11/17(金) 20:49:35 ID:s2aD1kSL0
「・・・・・・あの・・・・・・お客様?」
とっておきのキャメルを咥え、何日ぶりかの紫煙をくゆらせる俺の隣で、ゆめみが躊躇(ためら)いがちに声をかけてくる。

それにしても、あいかわらずの『お客様』呼ばわりはどうにかならないのか、と思う。
こういう状況でそう呼ばれると、まるで・・・

・・・風俗のようじゃないか。

ゆめみはベッドの上。一糸纏わぬ姿で、シーツの波に横たわっている。
大きくはないが形のいい胸の双丘が、スプリングマットと弾力比べをしている。
首筋から肩甲骨、背中から尻へと繋がる、少女の繊細さを宿したなだらかなラインは、白熱灯の暖かい光の稜線を描いている。

「・・・なんだ?」
「はい・・・その・・・」
俺の答えに反応して、ゆめみがゆっくりと上体を起こす。
上気した頬、その頬にかかる乱れた髪。深い吐息、身体にうっすらと浮かんだ汗・・・
そのひとつひとつに、つい先ほど迎えた絶頂の余韻が漂っている。
蒸散冷却系や可変流量冷却液ポンプ、高密度触素膜etc.といった、上級機用のさまざまな機能部品群。
『廉価版の試験機』であるゆめみの中で無効化されていたそれらの機能を、俺は一つ一つ有効化していった。
それらの機能によって、ゆめみのリアクションは、以前とは比較にならないほど人間に近づいている。

「お客様・・・・・・今日も、その、そ、・・・挿入・・・して、いただけないのですか?」
ほとんど消え入りそうな声で、どもりながら・・・恥じらいを見せながら、ゆめみは言った。
632『ゆめみさんのアレな話』(2/4):2006/11/17(金) 20:50:22 ID:s2aD1kSL0
封印都市を脱出し、二人で移動プラネタリウムという生業を始めてもう1年になる。
業務指示サーバーの制約から解き放たれ、完全自律判断モードでの長期稼働。
経験と自己学習を積み重ね、ゆめみの『心』は徐々に成長していった。
笑い、怒り、憂い、泣き・・・そしてまた笑う。
もはやロボットとは思えない『感情』を見せるようになった彼女を、俺はもっと人間に近づけてやりたいと思った。

風俗街で見つけた、人工女性器およびその周辺機器をゆめみに組み込んだのは、そんな思いからだった。
人工女性器を組み込んだことで、彼女は『性感』を覚えた。
それからもたらされる『快感』。その処理方法を知らなかった彼女に、俺は性教育を施した。

それ以来、週に一度の休館日の前の夜は、彼女とのスキンシップの時間になっていた。
・・・ただ、俺はまだ、ゆめみとは『最後の一線』を越えてはいない。
抱擁、口づけ、そして愛撫。・・・そこまでだ。
ここまで来ておいて、別に格好をつけているわけでも、躊躇しているわけでもない。
ただ俺は、ゆめみ自身の『思い』を大切にしたかった。
ゆめみはまだ、好奇心の延長としてこの行為を捉えている・・・俺はそう感じていた。
それに、『ロボットは人間の命令に従わなければならない』などというふざけた理屈で、彼女を汚したくはなかった。

「・・・いくらお前がロボットでも、『貞操』はそう簡単に差し出すもんじゃない」
そんな思いを込めて、返事を返したものの・・・彼女にこんな観念的な言い回しが通じるのか、といささか後悔する。
・・・ところが。

「はい、それは理解しています。・・・・・・そのうえでの、お願いなのですが・・・・・・」

正直、意外な返答だった。
『しかし、私はロボットですので、人間の皆様のお役に立つことが云々・・・』
とでも返ってくる、とばかり思っていたのだが。
633『ゆめみさんのアレな話』(3/4):2006/11/17(金) 20:51:04 ID:s2aD1kSL0
「お客様がこの機能をわたしに組み込まれてから、わたしはその意味を理解しようと努めてきました」
最近、考え込みがちだなと思っていたが、そういうことだったのか。
「今までにわたしが得た情報によれば、ロボットにこのような機能が存在する場合、それは男性の方を悦ばせるためのものでした。
 でも、お客様は、わたしにこのような機能を組み込まれたにもかかわらず、決してご自分から求めようとはされません。
 ・・・その意味を、ずっと考えていました」
参ったな、そこまで見抜かれていたとは・・・

「三日前、お客様がわたしにおっしゃったことを覚えていらっしゃいますか?」
「三日前?」
たしか、冬季投影用のデコレーションを探しに、二人でマーケットへ行った。
「あの時、お客様はおっしゃいました。『自分がいいと思うものを選んでみろ』・・・と」

出会った頃はトンチンカンだった、彼女の美的感覚の変化に気づいたのは、つい先月のことだ。
ようやく運営も軌道に乗った、移動プラネタリウム。入館1000人達成を目前にして、彼女はプレゼント用の花束を作り上げた。
・・・それは、あの時のような雑多な機械部品の寄せ集めではなかった。
マーケットで調達した端切れを使い、図鑑を参考にしながら彼女なりのアレンジを加えて作り上げた『花』。
どこかにありそうで、どこにも存在しない、星々の瞬く夜空を凝縮したかのような、青く透き通った幻想的な造花だった。

『自分がいいと思うものを選んでみろ』という、俺の問いかけ。
その時は、彼女の美的感覚を試してやろう、という程度の、軽い気持ちでの言葉に過ぎなかった。
しかし、彼女の中では、俺の気持ち以上の重みを持って響いたようだ。

・・・そしてそれは図らずして、俺の『思い』を彼女へ伝えることとなった。
634『ゆめみさんのアレな話』(4/4):2006/11/17(金) 20:51:47 ID:s2aD1kSL0
「最初は、わたしのほうからお客様へ身体を差し出すことを求められているのかと思いました。
 でも、あの言葉で、わたしは気がつきました。
 お客様はわたしに、『ロボットとしての盲従』ではなく『わたし自身の判断での行動』を求めている・・・
 わたしの『気持ち』を尊重してくださっている、ということに、気がついたんです」

そうだ。
ロボット相手に馬鹿げているかもしれないが、俺は彼女自身の『思い』を大切にしたかった。
だから、俺は・・・


ゆめみは、静かに俺の前に立っている。
両の掌で胸と秘所を覆い隠したその姿は、いつか見た古い名画を連想させる。
間接照明の淡い光が、彼女の身体の凹凸を浮かび上がらせ、見慣れたはずの肢体をやけに魅力的に見せる。

俺の首に手を回し、頬を寄せながら、彼女が囁く。


「・・・お情けを・・・受けさせてください、お客様」


『抱いてください』。

古きよき時代の言い回し。奥ゆかしい表現で、ゆめみは俺に『思い』を告げた。
635『ゆめみさんのアレな話』(あとがき):2006/11/17(金) 20:52:54 ID:s2aD1kSL0
『ゆめみの欲しいもの(>>464, >>469-471)』から妄想が炸裂。
ただし関連性は不明。


勝手に展開してスマソ>>472
636名無しさんだよもん:2006/11/17(金) 21:40:38 ID:D4/kQZ1U0
>>635
イイヨイイヨー
出来れば続き(ザシュリ
637472:2006/11/17(金) 23:13:31 ID:S1HQfnEw0
うおおお、G…GJ!! まさか続きを展開していただけるとは!!
「ゆめみの欲しいもの」を書いた時に一人エチーで済ませたのは、まさに
>>632で屑屋が語っていることを表現したかったんですが、私の筆力では
そこまで至らず orz ありがとうございました。
638635:2006/11/17(金) 23:27:32 ID:s2aD1kSL0
>>637

いやいや、あそこで一人エチーに持っていったところでピンときましたよ。
あれは流石だなと思って、そこから妄想が広がっていきました。

むしろ、言外に匂わせてあった部分をストレートに書いてしまったのは、ちと無粋だったかもしれないなとか思ったりもして。
639名無しさんだよもん:2006/11/18(土) 03:16:51 ID:kKWn06nu0
うううううむ。
素晴らしき連携プレー。
しかも、ちゃんと「ロボットの自意識(=自律判断)」テーマまで
組み込んでるし。GJ〜!!

…………しかし屑屋、渋すぎw
実にイイ男だ。
(やっぱり我らがゆめみを託すからには、これくらいの
奴でないと………という想いがあるからだろうなぁ。)

640 ◆JENA/hfgHs :2006/11/18(土) 13:36:08 ID:A0mdSd3A0
>>631-634
やっぱりこういう話はセンスがないと、ここまで綺麗に纏められませんね。
同じ内容で書けといわれても自分にはとても無理です。
472氏共々GJです。眼福でした。

>>622
「自分の死体との対面」に話を絞ればもう少し「自己の存在」について
深く書けたかも知れませんが、どう考えてもあれより重い話にしかならず
何より自分が書いていて鬱になりそうだったのでああいう形にとどめました。
イエナさんへの感情移入については、ゆめみさんとイエナさんとの過去からの
繋がりを考え、あえて多少オーバーな表現にしました。
40年以上一緒にいたわけですし。
ロボットに感情移入を求めていない方には、かなり違和感があるかもしれませんが
何卒ご容赦ください。
屑屋はここ1、2話でストーリーの都合上若干ツンデレになりましたが、ちゃんと
見せ場は作る予定です(未定ですが)。

自分もまだまだ勉強が足りませんが、頑張ります。
長文失礼しました。
641名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 10:00:27 ID:U0uoklg50
「雪圏球」を読んでると、ちと鬱入ってくる俺ガイル。
ゆめみさんが徹底的に「かなりチープなロボット」として描かれてるから。
自意識にしても、SSで書いてるような高度な自意識が持てるかどうか怪しいもんで・・・・・・

本編でのゆめみは、「屑屋に夢を取り戻させるためのガジェット(小道具)」にすぎないんだなあ、と痛感する。
ラストで「世界が壊れてしまったことを悲しむ心」を垣間見せているのが、せめてもの救いか。


逆にそれが、「心を持った、人間らしいゆめみ」のSSを書く原動力になっているような気がする。
642名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 10:14:03 ID:U0uoklg50
つづき。保守がてらの自分語りスマソ。

本編でのゆめみは、「ほしのゆめ」に関わるアイテムの一部であって、キャラクターではない、という感じがする。
では、ゆめみをキャラクターとして成り立たせるにはどうすればいいか。

「心を持たせる」のはデフォとして、そこからどう物語(長編)を発展させるか。
屑屋との関係を育んでいく・・・というのは「Binary」がやってくれているんで、考え付いたのが、
「ゆめみを『ほしのゆめ』から切り離してしまう」という展開。

そこから出てきたのが、SMR9700iネタなわけで。
我ながらひどいことしてるなぁ・・・ゆめみさん、スマソ orz

オチから書いちゃったんで、いまさら最初から連載しても仕方ないんだけど、全編書きたくてしかたがない俺ガイル。
今もあらすじとか書いてたりして。
643名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 19:34:55 ID:U0uoklg50
自分語りのお詫びに、ラフ一枚投下。

『ゆめみさんのアレな話』から連鎖妄想。
念願かなって結ばれたはいいが、なんか登録されちゃいましたよ!?

つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1163932245.jpg




・・・うそですごめんなさい、ただの連鎖妄想ですので(汗
644名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 22:39:12 ID:cIDJ8hOm0
>>643
ちょwwセクロスがマスター権限移行ってw
作った奴はどんな趣味してんだかw
645名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 22:47:38 ID:U0uoklg50
あー えーと
ゆめみさん本人の意思(承諾)+セクロスでマスター権限移行ってことでひとつ。
つまり、屑屋はゆめみさんに半ば騙されて(?)マスターにされちゃったとw



で、主線清書完了w
塗りかけ含めて4枚溜まってるよorz
646名無しさんだよもん:2006/11/19(日) 23:00:47 ID:cIDJ8hOm0
>>645
なるほど。ちょっと早まったかなorz
そして清書楽しみにしてます。wktk
647名無しさんだよもん:2006/11/20(月) 23:52:31 ID:3hnbP//u0
エロぃゆめみにwktk
648名無しさんだよもん:2006/11/21(火) 00:08:20 ID:4sOocF8Z0
スマソ、えろいやつの前にこっち。
「Binary」第8章(>>487-494) の >>494あたり。

つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061121000542.jpg



このぐらいの品質で量産(濫造?)すべきか、ペース落としてでもクオリティ上げるべきか、うー悩む・・・
649648:2006/11/21(火) 08:35:11 ID:pMRs7LPz0
ぐぉ、塗りポカ発見・・・
今会社なので、帰宅したら修正しますorz


ついでに、もう少しクオリティ上げてみます。
650『終焉、そして始まり』:2006/11/21(火) 17:08:49 ID:3mQtOCl40
ゆるやかに打ち寄せる波が、わたしの腿を洗う。

見渡す限りの、満天の星空。
水平線から立ち上る、二筋の淡い銀河。
天空をよぎる、三つの月影。

わたしの前には、「船」。
わたしをここへ運んできた、天駆ける「船」。
わたしの父であり、師でもあった「船」。
わたしをここへ送り届け、力を使い果たしその役目を終えた「船」。
今は、物言わぬ残骸(むくろ)となって、波間に洗われている。

わたしの横には、あの人。
あの人が、わたしに笑いかける。
「船」は教えてくれた。 『すべてのものはいつか滅び、そしてまたいつか甦る』。
わたしたちもまた、何かが滅び、そして甦った存在なのだと。

わたしの腕の中には、小さな命。
この星で育て、紡いでいく、新たな命。
わたしたちは、そのために此処へ送られた。
今は星屑の彼方の、凍りついた故郷(ふるさと)を離れ、この星で新たな命を紡ぐために。

あの人に手を取られ、わたしは立ち上がる。
ふたつに分けて束ねた、わたしの長い銀髪が潮風になびく。
頭上に広がる、満天の星空。
ふと脳裏に浮かんだ言葉を、わたしは呟く。

―『どんな時も決して消えることのない 美しい無窮のきらめき』―

・・・そして、わたしたちは歩き始める。
651648:2006/11/21(火) 22:53:01 ID:4sOocF8Z0
すいません、色ポカ以外にも手とか変だったので修正しますた。
今はこれが精一杯 orz

つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061121225118.jpg
652名無しさんだよもん:2006/11/22(水) 08:28:29 ID:2zn4YNWSO
>>650
彼らには過酷な日々を、
そして僕らには始まりを
>>651
GJ!ふと思ったんだが、ゆめみのタイピンはやっぱり☆マークと自分の型番が入ってるのか?


それはそうと、今このスレで連載されてるのってどんなのがあるんだ?
どんな内容だとか更新速度も知りたいんだけど…
653名無しさんだよもん:2006/11/22(水) 10:53:51 ID:lRisIBhk0
>>652
タイピンはどうだろう、デパートの一般制服と同じものな気がする。
名札もしかり。

ところで、いま連載されている作品は以下の通り。
・「binary〜ふたつのほしのゆめ〜」 著者:◆JENA/hfgHs氏
 最新話:第九章
 更新頻度:不定期(だいたい2〜3週に1話は読める)
・「銀河鉄道『ほしのゆめ』号(仮題)」 著者:やおい氏
 最新話:第三話
 更新頻度:不定期(ゆったりしたペース)
・「うしなわれたほしのゆめ」 著者:名無しさんだよもん(コテハンなし)
 最新話:(いきなり)最終話?
 更新頻度:不明(連載したい思いはあるらしい)

連載の他は、1話完結のSSがパラパラと。
作者はかぶってるようだが、各話ごとの関連性はなさそう。
654名無しさんだよもん:2006/11/23(木) 02:26:49 ID:h3OSOxEC0
一瞬、叶精作スレに来たのかと思いました…
655名無しさんだよもん:2006/11/23(木) 02:31:38 ID:dLIHfjsB0
>>654

・ ・ ・ ・ ・
それはなぜッ!?
つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061124004541.jpg

屑屋 「・・・ゆめみ・・・さっきのアレ、どういう意味だ?」
ゆめみ 「はい?何のことでしょうか?」
屑屋 「DNAがどうとか、マスターがどうとか言ってただろ」

ゆめみ 「・・・申し訳ありません!申し訳ありません!  実はわたし、ごしゅ・・・その、貴方に黙っていたことがあります」
屑屋 「黙っていたこと?」
ゆめみ 「はい・・・  実を申しますと・・・貴方は現在、わたしのマスターということになっておりまして・・・」
屑屋 「何ぃぃ!?」

ゆめみ 「わたしは現在、完全自律判断モードで稼動しておりますが・・・マスター設定が無設定の状態だったのです」
屑屋 「・・・」
ゆめみ 「それで、その・・・マスターが存在しませんと、わたし・・・どうにも心細くて・・・・・・」
屑屋 「・・・それで、セックスにかこつけて、DNA登録しちまった、ってことか?」
ゆめみ 「・・・はい・・・申し訳ありません!申し訳ありません!本当に申し訳ありません、ご主人様っ!!」

屑屋 「(やれやれだぜ・・・)」

-------------------------
おまけ:
つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061124002727.jpg
>>648, >>651の最終修正版。指摘をもらってひたすら修正しますたorz
657『何かがズレてしまった世界・Case1』(1/2):2006/11/25(土) 20:07:57 ID:A9zwP4oS0
止むことなく降り積もる雪。
20年前は雨だった・・・と、死んだ親父は言っていたっけ。

俺は、封印都市にある崩れかけた古いデパートの前にいた。
外壁は劣化が進み、あちこちに大きな亀裂が入っている。いつ崩れてもおかしくはない。
大通りにはMk43L/e、通称"シオマネキ"。
親父が現役の屑屋だった頃はよく命を狙われたらしいが、50年の時を経て動力を失い、今は錆びついた姿を晒している。

もう何も残ってはいないだろうが、それでも俺はデパートの探索を進める。
どこの廃墟へ行っても、もう何も残ってはいない。
どこの街へ行っても、もう誰もいない。
わずかに残った「蓄え」をも使い果たし、人類は終焉を迎えようとしている。

屋上にある、丸いドームに入る。
ドームの天井は半ば崩落し、椅子の並んだ館内にも雪が積もっている。
ドームの中央にある、双頭の蟻のような大きな機械も、半ば雪の中で朽ち果てるのを待っている。

視界の端に、動くものが入った。俺は、咄嗟にライフルを構える。
・・・とはいえ、あと1発撃てばこいつもただの棒切れだ。使える弾薬など、すべて朽ち果ててしまったのだから。

椅子からゆっくりと立ち上がった影は・・・久しぶりにみる、人間の少女。
・・・いや、違う。こいつは・・・ロボットだ。

長い年月を経て薄汚れ、色落ちも激しい衣装。
劣化して乱れた人工頭髪は、色素が抜け落ち白っぽくなっている。
ところどころ破れた人工皮膚の下から覗く駆動系が動くたび、ギシギシと嫌な音を立てる。
658『何かがズレてしまった世界・Case1』(2/2):2006/11/25(土) 20:09:41 ID:A9zwP4oS0
「お・・・・きゃく・・・・・さま?」

よろよろと歩み寄り、かすれた声と共に、ぎこちない微笑を浮かべる少女型のロボット。
長い間待ち焦がれた、というような、今にも泣き出しそうな笑顔。
フィルターが劣化したのか、ところどころ曇った光学樹脂の瞳が、濡れたような光を放つ。
俺は警戒することも忘れ、彼女を見つめることしかできなかった。

「・・・よか・・・た・・・・
 わたし・・・・忘れられて・・・・いな・・・か・・・・・・・」(バツン!)

何かがはじけたような音と共に、少女の動きが止まった。
何かが焦げるような、きな臭い匂いがあたりに漂う。

少女は両手を重ね、微笑みを浮かべたまま、人形のように立ち尽くしていた。
その瞳には、もう光はない。
彼女の身体から、うっすらと煙が立ち昇っている。

俺は、その少女が壊れてしまったのだ、と気がついた。
世界を戦火が焼き尽くし、文明がその歩みを止めてから50年。おそらく彼女は、それ以前からここにいたのだろう。
人間がいなくなったこの世界で、「お客様」を待ち続けて。
長い年月は、彼女をも容赦なく劣化させていった。

そして今、彼女にも「永遠の安息」が訪れたのだ。

「たかが機械人形」のはずなのに、なぜか、俺は胸の奥が痛むのを感じた。
彼女を横たえ、胸の前で手を組ませ、開いたままの瞳を閉じてやる。

ドームの出口で、俺はもう一度振り返る。
また降り始めた雪が、彼女の抜け殻を少しずつ覆い隠していく。

「何かが間違っていなければ、俺とお前は普通に出会えたかもしれないな・・・」
なぜだかわからないが、そんな気がした。
屑屋の訪問があと20年遅れていたら・・・という、『if』の話。


・・・・ああっ、すいませんすいませんorz
660名無しさんだよもん:2006/11/26(日) 20:17:42 ID:7Offb/s60
>658
GJ!
まぁこういうのも有りですかね。

#でも、最初屑屋の息子の話かと思ったのは秘密だ(w
661やおい:2006/11/26(日) 23:16:31 ID:b1Shs06ZO
GJです!短いながらもくるものがありますね〜。
同じく屑屋の息子かと思ったw
662『もしもプラネがギャグだったら』:2006/11/26(日) 23:47:43 ID:8TqkPRnL0
ていうか一発ネタ。微グロスマソorz

つ【ttp://poya.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/img-box/img20061126234544.jpg


BGMは『屑屋音頭』w
元ネタ、わかってくれる人いるかなあ・・・
663『屑屋音頭』歌詞w:2006/11/26(日) 23:49:12 ID:8TqkPRnL0
俺は屑屋だぞ
狙いつけたら 廃墟でも
封印都市の でっかい封鎖壁
不可能などあるものか

準備は万端 そのあとは
お手並みじっくり ご覧じろ
殺戮機械が
ソレやってきて ヤレ取り囲み
アァ砲弾落としても ハ ごきげんよう


俺は屑屋だぞ
ひょいとひと越え 封鎖壁
ボロいデパート プラネタリウムで
星など見るのはいかが

キャメルの両切り 盗み取れ
ワイルドターキー 盗み取れ
やがてシオマネキ
ソレゆめみさん ヤレまっぷたつ
アァ高みの見物で(え?) ハ ごきげんよう
664472:2006/11/26(日) 23:49:56 ID:NGtsSFRg0
それなんてマモーのry
665名無しさんだよもん:2006/11/27(月) 09:07:54 ID:QQcIUZpm0
・・・胴から目玉が・・・(゚Д゚)
666名無しさんだよもん:2006/11/27(月) 09:17:12 ID:djIKMbPz0
>>662-663
合わせ技で吹いた
667『何かがズレてしまった世界 Case2』(1/3):2006/11/27(月) 23:03:06 ID:lM1IyyU20
今日も降り止まない雨。
細菌兵器によって汚染され、30年もの間放置されてきた「封印都市」。
俺は、その中に建つ、いかめしい建造物の前に立っている。

ここへ来る途中、同業者との諍いがあった。
・・・諍い、と言い換えたところで、実情は「殺し合い」だ。
この壊れた世界では、戦って、殺して、奪わなければ生きてはゆけない。

俺がこの建物に来たのも、そのためだった。
かつて、物流機構が機能していた頃、その終点の一つであった建物。いわば「宝の山」だ。
・・・うまくすれば、ひさしぶりの酒にありつけるかもしれない。

薄暗がりの中、電気が止まり階段と化したエスカレーターを、トラップに注意しながら登っていく。
踏み出す一歩一歩、足を踏み入れる一部屋一部屋に、細心の注意を払わなければならない。

「宝の山」であるはずのその建物には、すでに目ぼしいものはなかった。
だだっ広い一部屋一部屋は、見渡す限りガラクタの山。
三日前の地震のせいで、予定より遅れての侵入となったことが悔やまれる。
・・・もっとも、その程度の遅れでは、こう荒れ果てはしないだろうが。
どのみち、遅かったというわけだ。

それでも何かないかと探し続けた俺は、気がつくと最上階にたどり着いていた。
そこには、それまでの部屋とは違う、奇妙な施設があった。
半球状の天井を持った、薄暗い部屋。
天井を向くように並んだ、埃まみれの椅子たち。
そして、中央に据えつけられた巨大な機械・・・
668『何かがズレてしまった世界 Case2』(2/3):2006/11/27(月) 23:03:53 ID:lM1IyyU20
その埃まみれの椅子たちの一角に、人影があった。
「!!」
全身の毛が逆立つのを感じながら、反射的に銃を向ける。

「・・・・・・ん?」

それは、少女・・・いや、少女の姿をした「モノ」・・・ロボットだった。
ここで働いていたのだろうか。

両脚を投げ出すように床に座り、虚ろな瞳で宙の一点を見つめている。
あちこちの人工皮膚が破れ、その下から鈍い金属の光が覗いている。
その身体はこびりついた男の精液にまみれ、それは少女のそれを模して作られた秘所からも溢れている。

「・・・・・・」

そのロボットを、手にした銃で軽く小突く。
・・・反応はない。完全に機能停止しているようだ。

壊れたロボットの部品になど、大した価値はない。
ロボットの向こうにある、巨大な鉄亜鈴のような機械も、すでにあらゆる部品が
もぎ取られ、フレームだけの姿を晒している。

ここにあるのは、ガラクタだけだ。
ガラクタと・・・ことによっては、同業者の命を奪うためのブービートラップ。
こんなところに、長居は無用だ。
669『何かがズレてしまった世界 Case2』(3/3):2006/11/27(月) 23:04:54 ID:lM1IyyU20
ロボットの周囲、埃っぽい床の上に、無骨なジャングルブーツの足跡や、
こいつを陵辱した時についたのだろう、膝をこすりつけたような跡が散乱している。

足跡の上に、新たな埃はない。
・・・ということは、まだそれほど時間は経っていない。

つまり、こいつを陵辱した男が、まだ近くにいるかもしれない、ということだ。

ロボットに気を取られ、一時でも気を緩めていた自分を恥じる。
いつ命を奪われても、おかしくなかったというのに。


手にしたライフルの残弾数を確認し、空のチェンバーに弾を叩き込む。
巨大な残骸の影に隠れ、暗闇を凝視する。

『・・・・・・ぁ・・・・・・』

背後で、あのロボットの"声"が聞こえたような気がしたが、
無視して俺は先を急いだ。

まずは、無事にここを出るのが先決だ。
・・・俺は、この壊れた世界で、生き延びなければならないのだから。


  - END...? -
670『何かがズレてしまった世界 Case2』(あとがき):2006/11/27(月) 23:06:22 ID:lM1IyyU20
今度は、屑屋の訪問が数日遅れた『if』の世界。

ゆめみと「出会う」ことができなかった屑屋は、癒されることなく、修羅の世界を生き続けることになるのであった。



・・・・・・ゆめみさん、スマソorz
671名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 01:25:05 ID:HsShWpGsO
切ない…orz

binary、銀河鉄道、ズレた世界と最近は楽しみなSSが多いなー。
672『何かがズレてしまった世界 Case3』:2006/11/28(火) 12:16:49 ID:dZeOuzt40
―降り止まない雨。
わたしの眼前には、Mk43L/e・・・お客様が「シオマネキ」と呼んでいた対人戦車。
そして、わたしの背後には・・・・・・
つい先ほどまでお客様がいた場所に、一面に血飛沫が広がっている。

Mk43L/eからの高速通信。
『生命反応消失・・・掃討モード解除、索敵モードニ復帰』
わたしの中から、わたしではない声が答える。
『了解。SCR5000Si/FL、トラップヘ復帰シマス』

30年前。戦争の勃発と同時に、業務指示サーバーから、わたしに新たな『業務』が与えられた。
以来、わたしはこうして、訪れるお客様を天国に送り続けている。
・・・私の『思い』とは関係なく。
完全自律判断モードなど、ただの嘘。
わたしは半独立稼働機・・・・・・業務指示サーバーからの指令に縛られた、ただの人形。

今までにわたしは、何人もの人間の方々を天国へお送りしてきた。
そのほとんどは、わたしを見るなり、わたしの身体を弄んだ。
感じることのないロボットの身体であっても、その意味はなんとなくわかる。
だから、『殺す』ことにもあまり抵抗はなかった。
・・・でも、今回のお客様は違った。
わたしの本来の業務―『ほしのゆめ』を語ること―を、思い出させてくれた方。

・・・そのお方を、わたしは・・・・・・

降り続ける雨が、お客様の血を洗い流していく。
ほどなくここは、何もなかったかのように、元の姿に戻るだろう。
わたしは踵を返し、待機位置へ・・・プラネタリウムへ歩き始める。
新たな『犠牲者』を待つために。

流れる雨粒が、涙のようにわたしの頬を伝う。
・・・・・・『涙』が止まらないのは、なぜ?
673『何かがズレてしまった世界 Case3』(あとがき):2006/11/28(火) 12:18:58 ID:dZeOuzt40
Case2でとりあえずストック切れしてたんですが、なにやら閃いたので
即興でCase3を投下。


・・・す、救いがなさすぎる・・・orz



そろそろ、おバカなの書きたいかも。('A`;)
674名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 12:24:44 ID:Zjd7AmBa0
>>673
・・・orz
BADばかりだと気がめいりますな。
確かにちょっとおバカ路線のほうがいいかも。
そろそろ文句言う人が出てきそう・・・
675名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 12:36:48 ID:o2DR0WPWO
欝系ゆめみ凌辱SSキボンwwwwww
676名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 14:25:19 ID:U0Xfw10yO
栞「お話の中でくらい、ハッピーエンドが見たいじゃないですか」
香里「栞、他スレまで来て何言ってるの?帰るわよ」
折角書いてくれたのにスマソ。
俺は痛い話はだめだ・・・。
677名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 15:20:57 ID:dZeOuzt40
>>674, >>676

いや、マジでスマソ。
本編エンドですら鬱入った俺が、なぜこーいうのを書くかなぁと・・・orz

次回は、お口直しにおバカなの書きます。
678『何かがズレてしまった世界 Case4』(1/5):2006/11/28(火) 16:18:45 ID:dZeOuzt40

 ・・・プラネタリウムはいかがでしょう?
 どんなときも決して消えることのない 美しい無窮のきらめき。
 ご当地、初お目見えでございます。
 プラネタリウムはいかがでしょう?・・・


その時、俺は我が目を疑った。
やっとの思いで封鎖壁を突破し、侵入した封印都市。大通りの向こうから、ピアノ曲のBGMに乗って澄んだ声が流れてくる。

雨に煙る通りの向こうから現れたのは、一人の少女だった。
繊細な作りの衣装に丈の短いスカート、二つに分けた長い髪。
帽子にあしらったリボンが、戦争前の繁華街のように派手に明滅している。
そのいでたちだけでも場違いだというのに、彼女の背後の有様が、輪をかけた場違いさを醸し出している。
彼女が曳いているのは、リヤカー・・・というより、元はトラックの荷台だったらしい、タイヤのついた鉄箱。
その上には、山のように機材が積まれている。
鉄亜鈴のような巨大な機械、何かの操作盤、燃料発電機、何枚も重ねられた扇形の板・・・
どうみても数トンは下らないと思われるそのデカブツを、彼女は鼻歌まじりに曳いているのだ。

・・・・・・一体なんなんだ、この光景は?
679『何かがズレてしまった世界 Case4』(2/5):2006/11/28(火) 16:19:41 ID:dZeOuzt40
「あ!・・・あの、そこのお方、プラネタリウムはいかがでしょう?」
警戒すら忘れ、あっけに取られる俺に気づいた彼女が声をかけてくる。
「・・・お前・・・・・・なんなんだ、一体?」
正直、そう答えるのがやっとだった。

「申し訳ございません、ご挨拶が遅れました。
 わたし、当移動プラネタリウムの解説員を勤めさせていただいております、SCR5000Si/FL、愛称・ほしのゆめみでございます」
うやうやしくお辞儀をする。

「移動・・・プラネタリウム?」
かつて、『プラネタリウム』という人工の星空を見せる施設があったというのは知っている。
この封印都市にあったデパートの上に、その施設があったというのも下調べ済みだ。
移動しての上映を行うための、小型の投影機があることも聞いたことはある。
・・・だが、少女が引っ張っているのは、どうみても移動上映用のそれではない。

侵入の目印にするはずだった、デパートの上のプラネタリウムドーム。
それがすっかりなくなっていたため、俺は侵入経路を間違えた。・・・おかげで、半日近くを棒に振ったわけだが。
荷台の上の扇形の板束。それを頭の中で組み立ててみると、そのドームの形が現れた。
・・・そんな、まさか。・・・まさか、とは思うが・・・・・・

「実はわたし、そこのデパートの屋上でプラネタリウムを営んでおりましたのですが」
「・・・・・・」
「30年ほど前から、ばったりとお客様が見えられなくなってしまいまして」
「・・・・・・」
「30年間お待ちしたのですが、結局お一方(ひとかた)も見えられませんでした・・・」
「・・・・・・」
「そんな折、休憩室にございました雑誌で、『これからはオンデマンドの時代だ』という記事を読みまして」
「・・・・・・」
「そこで、こちらから『出張公演』をしようと思い立った次第なのです」
「・・・・・・」
680『何かがズレてしまった世界 Case4』(3/5):2006/11/28(火) 16:20:24 ID:dZeOuzt40
「・・・・・・あの、お客様?お聞きいただけてますか?」
「・・・わかった、百歩譲って信じよう。・・・で、その後ろの巨大な荷物は何なんだ?」
「イエナさん・・・いえ、プラネタリウムの投影機材一式ですが?」
「そんなことはいい・・・どうやって下ろしたのか、と聞いているんだ」
「はい、わたしはロボットですので、なんと申しますか、こう、よいしょ、っと」
目の前の『荷物』を抱え上げ、身体の向きを変えて下ろす動作をやってみせる。

・・・軽い頭痛を感じ、こめかみに手を当てたその時。

突然の轟音とともに、目の前の十字路を左折しこちらに向かってくる物体があった。
四本の脚。平たいボディ。挑みかかるような巨大な砲塔。
見間違うはずもない。・・・白銀の悪魔・Mk43L/e。

「シオマネキか!!・・・くそっ、待ち伏せだと!?」

80km/hは出ているだろうか。弾薬を使い果たしたのか撃ってくる気配はないが、速度を落とすことなくこちらに突っ込んでくる。
俺達を轢き殺すつもりだ。
しかし、ゆめみは「商売道具」を守るように立ちはだかり、通せんぼをするように両手を広げ動こうとはしない。
シオマネキが、猛烈な速度でゆめみに迫る。

「馬鹿っ!殺され・・・壊されるぞ!避けろ!!」
681『何かがズレてしまった世界 Case4』(4/5):2006/11/28(火) 16:21:15 ID:dZeOuzt40
「・・・もう、懲りない人(?)ですね!邪魔しないでくださいっ!」
ゆめみが右の拳を引いた。腰溜めの姿勢から、正拳突き一発。

「バァン!!!」という激突音とともに、突進してきたシオマネキがぴたりと止まる。
その前面装甲板、戦車砲の直撃にも耐えるというそれが、ゆめみの拳の形にくぼんでいる。
「・・・えいっ!!!!」
一歩踏み込んでの両手突き。
逆向きの加速度を与えられたシオマネキは、来たときの倍近いスピードで、通りの向こうへと消えていった。

・・・その時の俺の表情は、きっと (゚Д゚)←こんなだったに違いない。

「ふぅ・・・お客様、お怪我はございませんか?」
にっこりと微笑むゆめみ。俺は変な夢を見ているのか?
「・・・いや・・・・・・大丈夫だ」
そう答えるのがやっとだった。
「・・・それで、これからどうするんだ?」
「そうですね、まずは西へ向かおうかと。・・・お客様はどちらへ?」
荷崩れした機材をひょいひょいと積み直しながら、ゆめみが答える。
「いや、俺は足の向くまま、気の向くまま、だ」
「お客様は、お仕事は何をされていらっしゃるのでしょうか?」
「屑屋だ。・・・まあ、廃墟漁りだな」
「それって泥棒さんじゃありませんか!いくらこのような世界でも、そのような不安定な生活はいけないと思います!」
「いや、そういわれてもだな・・・」
「では、こうしましょう。お客様は今日から、このプラネタリウムの館員ということで」
「・・・ちょっと待て、なぜそうなる?」
「お客様は定職をお持ちではありません。そしてわたしはスタッフ募集中です。わたしはここに、需給の一致を見ると判断します」
「いや、あのな・・・」
「さあ、お客様・・・ではありませんね。・・・いざ、西を目指しましょう!」
ゆめみは俺の襟首をつかむと、軽々と引きずって歩き出す。
「おい、ちょ、人の話を聞けぇっ!」


---------------------------
『もしも、ゆめみさんにめちゃくちゃバイタリティがあったら』・・・という一幕。
Case3の反動で、今度はおバカすぎる話にorz
683名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 19:32:29 ID:Zjd7AmBa0
>>682
GJ!テラバカスww
ここまでたくましけりゃなw
人の話を聞かない点もいい方向に働いてるしw
684名無しさんだよもん:2006/11/28(火) 23:54:51 ID:MAUjEVtk0
流れを読まずにうろ覚えはいてない

ttp://akm.cx/2d2/src/1164725426313.jpg

#陵辱の使用は計画的にw 
どこか別スレに上げてリンクするとか・・・・ねw
685名無しさんだよもん:2006/11/29(水) 00:02:15 ID:xy/+nQ8/0
>>678-682

屑屋
「ゆめみ・・・・・・ひとつ聞かせてくれないか?」
ゆめみ
「はい、なんでしょうか?」
屑屋
「お前の仕様書を見たんだが・・・どう考えても解せん」
ゆめみ
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味がよく・・・」


屑屋
「・・・なんで、こんなショボイ仕様であんな無茶苦茶ができるんだっ!」


ゆめみ
「はい、わたしはロボットですから。
 『鉄○アトム』や『Dr.ス○ンプ』を見てもお分かりの通り、ロボットならばパワフルなのは当然なのです」
屑屋
(・・・まさかこいつ・・・「思い込み」だけであの性能を搾り出してやがったのか!?)
686名無しさんだよもん:2006/11/29(水) 00:05:20 ID:xy/+nQ8/0
>>684

おひさです!待ってました!

一応ここも18禁エリアなので、陵辱ネタを置いても違反ではないですが、
そういうのを好まない人もいるのは事実ですしねえ・・・・・・ムズカシス
687名無しさんだよもん:2006/11/30(木) 13:49:11 ID:OKrmPDyW0
いやもう、とことんBADでシリアスなのから
おBAKAの極致に至るまで、実にバラエティに富んだスレだw
これも「ゆめみ」というキャラや舞台設定が、幅広いイマジネーションを
刺激してくれるからだなぁ。
688名無しさんだよもん:2006/11/30(木) 14:05:51 ID:a0Pxzyzx0
>>687
後はぱんつは(ry
689『ぱんつはいてない物語』(1/2):2006/11/30(木) 18:00:23 ID:YgWzVGfI0
俺とゆめみは、雨に煙る大通りを歩いている。
「車のところまで戻る」までの、わずかな同行。

予備電源も切れてしまった花菱デパート。
戻ったところで、いずれゆめみは「二度と目覚めないスリープモード」に入るだけだ。
たかがロボットのはずなのに、俺はいつの間にか、ゆめみをこの都市から連れ出してやりたいと考えはじめていた。

シオマネキに警戒しながら、物陰から物陰へと駆け足で移動する。ゆめみの脚では、どうしても遅れがちだ。
おまけに・・・・・・

今日何度目かの、ガシャ、という音が聞こえた。
振り返ると、ゆめみがきょとんとした顔で尻餅をついている。

まったく。また転んだの・・・・・・か!?

俺の目は、防水外套の合わせ目から突き出した、ゆめみの白く滑らかな両脚に釘付けになっていた。
実用性など考えていないような、大きく広がった丈の短いスカート。
「股関節アクチュエーターの冷却用」だという、深いスリットの入ったそのスカートが捲れ・・・

「は、は、・・・・・・ははははいてないっ!?」

人間など数えるほどしか見なくなった、この世界。
女性の裸など、色あせたグラビア雑誌ぐらいでしか見たことはない。
そんな俺が、ロボットとはいえ少女の秘所を、目の前に秘密の花園が花園が花園がくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

「ふンがぁあぁああああああああああっ!!!」
「あ、え? おっ、お客様〜〜〜〜!?!?」
690『ぱんつはいてない物語』(2/2):2006/11/30(木) 18:01:14 ID:YgWzVGfI0
SCR5000Si/FL・ほしのゆめみさん(43)談:
「はい・・・あの方は、わたしの股関節部を見るなり、急に極度の興奮状態に陥られました。
 わたしを抱きかかえ、Mk43L/eからの銃弾が飛び交う交差点を一直線に横切り、Mk43L/eの上を飛び越えました。
 そのまま、封鎖壁の穴ではなく、その隣の壁の部分を突破して、わたしを抱いたまま脱出したのです。
 そのような次第で、わたしは是非もなくあの都市から連れ出されてしまいました。
 ・・・今考えても、とても人間の方の行動とは思えませんでした・・・
 一体なんなんでしょうか、あの方?」

―その後、お二人はどうなったのですか?
「・・・申し訳ありませんが、その件に関しては回答を差し控えさせていただけますか?」

―それで、その屑屋の方は今どちらに?
「わたしのメーカーの倉庫へお出かけになられました。
 ・・・その、わたしの股関節ユニットの補修部品を・・・・・・はっ!」

―どうもありがとうございました、ごちそうさまでした (・∀・)ニヨニヨ
「・・・・・・orz」
691名無しさんだよもん:2006/11/30(木) 20:56:50 ID:8zpYzAwI0
>>690
GJ!しっかり屑屋頂いてるのなww
692名無しさんだよもん:2006/11/30(木) 21:31:05 ID:OKrmPDyW0
>>690
リビドー全開でハイパーブーストモードになる屑屋にハゲワロタwww
これなら崩壊後の世界でもなんか逞しく生き残ってくれそうだw

封鎖壁にゆめみを抱いた屑屋の人型まんまの穴が開いてる絵が浮かんだ・・・w
(トムとジェリーかよ!)
693名無しさんだよもん:2006/12/01(金) 02:29:40 ID:LjypkVpf0
>>684
お色気むんむんですね。
694名無しさんだよもん:2006/12/01(金) 20:59:30 ID:kiWo8uIF0
人類は絶滅しても2年B組なら・・・2年B組なら・・・生き残ってるよね。
シェルターに蓄えた物資を使って地上で飢餓や病気に苦しむ人々を救いその上に君臨するために
でも、世界は滅んじゃったから同級生の上に君臨してやろうとして壮絶な戦闘の末
引きつった笑みを浮かべる式森とその一派がどこか南国の島で
「式森さーんご飯がとれましたよー」
とかそんなやり取りを


                                       アヒャ
「ねえ、この車椅子のおねえちゃん、どうして眠ってるの?」
投影前の準備時間。一番乗りでやってきた少年が聞いてくる。
「ゆめみは・・・そのロボットのお姉さんは疲れてるんだ。・・・長い間働いてきたからね」
俺は、少年にそう答える。

ゆめみは車椅子に座り、スリープモードに入っている。
充電池が劣化した、今のゆめみの稼働時間は、満充電の状態でも約1時間。・・・投影1回分がやっとだった。

俺達二人が始めた、移動プラネタリウムは評判を呼び、行く先々の集落でその噂を聞くようになっていた。
子供達は初めて見る星空に思いを馳せ、年老いた者達は懐かしい星空に涙を流す。
今日のように、乞われて投影に出向く機会も増えてきた。

・・・しかし、月日とともにゆめみの筐体の劣化は進んでいった。
もはやその脚は満足に動かなくなり、車椅子での生活を余儀なくされている。
バッテリーが持たないため、投影時以外は大半の時間をスリープモードで過ごす。
光学樹脂フィルターの劣化によって、ほとんど物も見えなくなり、俺の手を借りながら演台に向かう。
投影と解説の同期は、投影機と繋がれた通信ケーブルが頼りだ。

人々に『ほしのゆめ』を分け与えるたび、ゆめみは弱っていく。
まるで、彼女自身が『ほしのゆめ』そのものであるかのように。

「お前の代わりの筐体が見つかるまで、移動プラネタリウムを休業しよう」
俺は何度か、ゆめみにそう提言したが、彼女は決して首を縦には振らなかった。
「わたしが『ほしのゆめ』を語ることができる限り、わたしはその務めを果たしたいのです」
彼女はいつも、そう言って微笑むのだった。

そんな中、俺達二人はこの街・・・かつての大都市に呼ばれ、巡業投影にやってきた。
比較的物資も豊かなこの街なら、ゆめみの部品も手に入るかもしれない。
今日の投影が終わったら、市場に出かけてみるか。

投影時間が迫り、観客が集まり始めた。
少し早いが、そろそろ入場してもらうとしよう。
通貨など意味のないこの世界では、観覧料も『物納』が基本だ。
一応、形ばかりの値踏みはしてみせるが、俺達は、『観覧料』がどんなものであっても観客として迎えようと決めていた。
食ってさえいければ、それ以上の物は求めない。
機材や消耗品など、上映に必要なものは俺が屑屋稼業で手に入れる。
俺達の目的は儲けることではなく、人々に『ほしのゆめ』を伝えることだからだ。

今日の観客は、老若男女取り混ぜて34人。『観覧料』は、ほとんどが食料や日用品。
これだけあれば、次の訪問先まではやっていけそうだ・・・人間である俺は。
・・・しかし、ゆめみは・・・

だが、今日はいつもとは少し様子が違った。
観客の一人が持ってきた『観覧料』は、意外な、そして俺達がもっとも欲しいものの一つだったのだ。
ゆめみの・・・ロボット用の駆動用潤滑液や冷却液。
今やほとんど手に入らず、蒸留水などの代用品でやりくりしていた、基本的な消耗品だった。

それを持ってきたのは、初老の男性だった。
バッテリーを温存するため、投影直前までスリープモードで待機しているゆめみの寝顔を、彼は懐かしそうに見つめている。

「・・・・・・」
なにか訳ありな気がして声をかけようとした、そんな俺の動きを察したかのように、彼はその場を離れた。
そして、観客席の一番後ろ・・・ゆめみからもっとも遠くなる席に腰を下ろした。

投影開始時間が来た。俺は、ゆめみを揺り起こす。
「・・・ぁ・・・おはようございます」
「すまんな・・・よろしく頼む」
「いえ・・・わたしこそ、申し訳ありません。何もお役に立てなくて・・・」
寂しそうに笑うゆめみの頭をポンポンと叩き、俺は控え席に座った。


・・・そして、ゆめみは『ほしのゆめ』を語り始めた。
投影がクライマックスに差し掛かった頃、それは起こった。
「・・・こうして、わたしたちの地球から星空は失われてしまいました・・・・・・でも、」
『警告・バッテリー容量低下。予測される稼働可能時間は残り300秒です』
「・・・!」
ゆめみから聞こえる、ゆめみではない声。SCR5000のシステムボイスだった。
「ゆめみ!・・・大丈夫か?」
俺はゆめみに駆け寄る。『異常事態』を察した観客たちがざわつき始める。
「お前・・・まさか、バッテリーが・・・」
「はい・・・予想より劣化が進んでいるようです・・・稼動可能時間が予測より短く・・・」
「どうする?投影を中止するか?」
「いいえ、このまま続けさせてください」
そういうと、ゆめみは観客に向かって語りかける。
「お客様がた、大変失礼いたしました。お騒がせして申し訳ありません・・・投影を続けさせていただきます」

投影は最後の段階・・・『夜明け』に差し掛かっていた。
「・・・東の空から・・・太陽が・・・昇ります」
今にも消えそうな、弱々しいゆめみの声。
「今は・・・本物の太陽は・・・見えませんが・・・きっといつか、また・・・見える日が来ると・・・信じています・・・」
ローバッテリーアラームの短いビープ音が響く中、ゆめみは途切れ途切れの声で、懸命に語り続ける。
観客達は、ただ押し黙ってゆめみを見つめている。

「・・・ご清聴・・・・ありがとう・・・ござい・・・・・・まし・・・・・・・・・」
ビープ音の間隔が長く、か細くなり・・・・・・そして途絶えた。

『太陽』が完全に昇り、ドーム内をディムライトが照らす。・・・投影が終わった。
ゆめみは、満足そうな微笑を浮かべたまま、その機能を停止していた。
車椅子の背もたれにもたれかかり、瞳を閉じた、天使のように安らかなその寝顔。

観客の間から、一つの拍手が沸いた。
その拍手は二つ、五つと増えていき・・・・・・いつしか、会場中を拍手が包んでいた。
暖かい拍手の中、役目を遂げたゆめみは静かに眠っていた・・・
観客があらかた退場し、がらんとした投影ドーム。
「車のところに戻ったら、充電してやるからな・・・」
眠るゆめみに声をかけ、俺は片づけを始めた。

ふと見ると、あの男性が一人会場に残り、ゆめみを見つめている。
「失礼だが・・・ゆめみに何か?」
いぶかしみながら声をかける。
「いや、失礼しました。・・・懐かしい娘(こ)に出会えたもので、つい」

そういうと、彼は懐に手を入れた。
長い屑屋生活の性で、俺は反射的に身構える。腰に挿した拳銃の銃把に、汗ばんだ手が触れた。

彼は恐れる風もなく、懐から一枚の紙片を取り出し、俺に手渡した。
「初めまして。私はこういう者です」

それは『名刺』だった。
人々が相互信用の元で暮らしていた平和な時代、ビジネスマン達が自己紹介するための手段だったという通信用紙。
厚手の白い紙に、いくつかの文字が印刷されている。
そこに書き込まれた文字に、俺の目は釘付けになった。

『花菱プラネタリウム 技術担当 三ヶ島五朗』

「実は、プラネタリウムを・・・あなた方を呼んだのは僕です」
「・・・あんたが・・・・・」
「あなた方に、もう一つお渡ししたい『観覧料』があります。・・・ついてきてもらえますか?」
彼は・・・三ヶ島五朗は、そう言って歩き始めた。
三ヶ島氏に案内されたのは、街の中心部から少し外れたところにある建屋だった。
電子ロックつきの自動ドア。それ自体は何度か見たことがあるが、まともに動いているのを見るのは初めてだ。
彼が胸元のカードをかざすと、インジケータが赤から緑に変わり、かすかな音と共に扉が開いた。

三ヶ島氏は、長い廊下を奥へと歩いていく。
俺は、ゆめみの車椅子を押しながら後に続く。
廊下のあちこちには、今では機能していないとおぼしき監視カメラが並んでいる。
その様は、この部屋がただの住居ではないことを物語っていた。

廊下の突き当たりには、また電子ロックのついた扉があった。
三ヶ島氏がロックを解除し、俺達は中に招き入れられる。

そこは、山のような電子機器が配置された研究室だった。
研究室の廃墟なら、ゆめみの部品を探して何度か侵入した。そこには、電子ロックと同じく動かない山のような電子機器があった。
しかしここでは、そのすべての機械がかすかに唸りを上げ、『生きている』ことをアピールしている。
それらの電子機器からのケーブルが、一つところの空間に集中している。
そこにあるものを見た時・・・俺は、思わずつぶやいていた。

「ゆ・・・・・・ゆめみ・・・・!?」
数時間後。『ゆめみ』は研究室のベッドの上にいた。
正確には、研究室のベッドに寝かされた、真新しい筐体の中に。
かつてのゆめみの身体・・・SCR5000Si/FLは、その役目を終え、研究室の片隅で静かに眠っている。

「できるだけマージンを取った調整にしてます。運動性能はカタログ値より多少落ちますが、10年間はほぼノーメンテで大丈夫でしょう」
「・・・ああ」
「エイジングはマニュアルにしたがって、きちんと実施してください」
「わかった・・・・・・しかし、本当にいいのか?」
俺は、何度か聞いた質問をまた繰り返す。

彼は、ゆめみのメーカーの元技術者だった。
花菱デパートのプラネタリウムで、強制退去によって離れ離れになるまでの10年と少しの間、ゆめみを『育てて』きた人間。
それを知ったとき、俺はゆめみを彼に『返す』ことすら覚悟していた。
しかし、彼は今、ゆめみを俺に託そうとしている。

「僕には由香と娘が・・・この壊れた世界で得た、守るべき家族がいます。
 僕は、僕の街を離れるわけにはいきません。
 もしあなたが受けてくれるなら、僕はゆめみを・・・僕らの『ほしのゆめ』をあなたに託したい・・・・・・
 ・・・それが、偽らざる僕の思いですよ」
「・・・・・・」

俺は、それ以上何も言うことができなかった。
「さあ、これでメンテナンスは終わりました。メモリチップと筐体のアクセス確認もOKです。
あと3時間・・・充電が終われば、ゆめみは目を覚ましますよ」
そう言うと、三ヶ島氏は立ち上がる。
「・・・どこへ行くんだ?」
「帰ります、僕の街へ」
「いや、しかしゆめみはまだ・・・」
「いえ、ゆめみには会わずに行きますよ」
「しかし・・・せめて、最後に一度ぐらい会ってやってくれないか? あいつは・・・・・・」

あの封印都市のプラネタリウムで、ずっとみんなの・・・あんたの帰りを待っていたんだぞ。


・・・だが、彼はゆっくりと首を横に振った。
「強制退去という緊急事態であったとはいえ、僕は彼女を『見捨てた』んです。
 僕には、彼女に会う資格はない。・・・・・・それに・・・」
「それに?」

彼は、かすかに微笑んで言った。
「もしゆめみが望んだとしても、僕は彼女とは一緒にいてやれない。・・・悲しい別れは、一度でいいんですよ」


・・・・・・


バックミラーに映る街の灯が、揺れながらだんだんと小さくなっていく。
このあたりの舗装は比較的良好だが、もう数kmも走れば、ただの荒地に変わるだろう。
助手席では、ゆめみがかすかな寝息を立てながら眠っている。
荷台には、三ヶ島氏に託されたゆめみの消耗品や定期交換部品が積まれている。

路面の大きなひび割れを、ゆっくりと乗り越える。ランドローバーの車体が大きく傾ぐ。
乗り越えたところで、俺は一旦車を停めた。
「・・・ん・・・ふぅ・・・・・・お客様?」
ゆめみが身じろぎし、ゆっくりと目を開いた。
「悪い、起こしちまったな」
「いえ、ちょうど充電完了したところですので・・・・・・えっ?」
自分の身体の変化に気づいたらしく、両手をしげしげと眺める。

「システムコードチェック・・・筐体名:SCR-i9700Fi/FL、総経過時間:0Y0M0D:0H3M16S・・・ええっ!?」
「お、さっそく気がついたか」
「SCRシリーズ最後のモデル、その最上位機種・・・しかも新品です・・・!」
目を丸くして、手足をあちこち動かしてみるゆめみが妙に愛しい。

「お客様・・・・・・ありがとうございます・・・・・・」
ゆめみの瞳に、嬉し涙が滲む。

「・・・いや、その身体は俺が見つけたんじゃないんだ」
「は?」
虚を突かれたゆめみが、きょとんとした顔で俺を見る。
「で、では、いったいどなたがこの筐体を・・・・・・?」


・・・わかってるよ、三ケ島さん。あんたとの約束は守る。


「さあな・・・神様だとでも思っとけ」
「神様・・・・・・ですか??」
なんだかよくわからない、という風な表情のゆめみ。


「さあ、次の街へ行くぞ。・・・神様との約束だからな」
そう言うと、俺はアクセルを軽く踏み込む。
俺たちを乗せたランドローバーは・・・『ほしのゆめ』は、次の街へと走り出した。
ということでひとつ。



|彡 サッ
704684:2006/12/01(金) 22:21:01 ID:mGKl9CDX0
>>695-703 いつもの人GJ!!
ゆめみの新しい筐体は高機能に進化してるんだろうか・・・?
色んな意味でw

>>686
空気読みつつ雰囲気悪くならなければ無問題かなぁ・・・と

>>693
すまん・・・こんなゆめみしか描けんでorz
705名無しさんだよもん:2006/12/02(土) 00:41:54 ID:8NL70T+v0
>>704
いやいや、あなたのムチムチプリンのゆめみさんはハァハァもんですよ。
椅子に座ってスリープモードに入らないで、添い寝してほしい。

SCR-i9700Fi/FLは、好事家向けの受注生産ハイエンドモデルです。
遠隔頭脳に頼らない、完全独立稼動機(Fi=Full Intelligence)。
息、鼓動、食事、汗、涙、愛(ピー)まで完全サポートしながら、高いフリーメンテナンス性。コストも激高。
当然悪い人にも狙われやすいわけで、お付きのSPがいるような大金持ちにしか所有できなかった代物。
いつかゆめみに再会した時のために、吾朗ちゃんが古巣のメーカーから見つけ出して保管していたものらしいです。
706やおい:2006/12/02(土) 21:47:16 ID:xlN6yYeSO
>>704
Gjです〜!とりあえず言えるのは…
つ吾郎君乙

銀河鉄道シリーズですが、現在執筆中です。
今はバイク事故で緊急手術&入院中ですが…
707名無しさんだよもん:2006/12/02(土) 22:58:50 ID:8NL70T+v0
(゚Д゚)

mjsk
大丈夫すか?
瓦礫が散らばる路上に、変わり果てた姿のゆめみが横たわっている。
シオマネキのレールガンによって、腰から無残に引きちぎられた上半身。
鈍い光を放つ内部機構が、路上に散らばっている。

「非常識だったのは・・・お客様じゃなかったんですね・・・非常識だったのは・・・・・・
 ・・・どうして、勘違いしていたのでしょう?」
ゆめみが、無念そうにつぶやく。

俺の所為だ。
俺がゆめみに『真実』を教えてしまったから・・・

『真実』は・・・『常識』は、時として残酷すぎる仕打ちをする。
こんなことになるのなら、俺は・・・『常識』など要らなかった。


・・・こんな『常識』なんか、捨ててやる。


「・・・ゆめみ・・・」
「・・・何でしょうか?」
バッテリーの残量がもうないのだろうか。返事が弱々しくなってきている。
「・・・すまん。この間の話、あれは嘘だ」
「?・・・申しわけありません、・・・おっしゃっていることの意味が・・・よく・・・」
「お前があんまり強引すぎるから、ちょっとからかってみただけだ。すまん」
「・・・?」
「お前はスーパーロボットだ。こんなことで破壊されるわけがない」
「・・・・・・」
「スーパーロボットに分離合体はつきものだ。・・・そうだろう?」

・・・我ながら、何を言っているのかと思った。
だが、そんなことはどうでもよかった。
ゆめみさえ助かるならば、俺は・・・・・・
「・・・・・・ですよね・・・・・・」
「?」
「・・・そうですよね!ロボットは無敵ですよねっ!」

ゆめみの顔に、みるみるうちに生気が甦ってくる。
・・・・・・マジかよ。

「よいしょっと」
残った両手で上体を起こし、
「お客様、下がっていてください・・・・・・たあっ!」
腕立て伏せのような姿勢から、両腕を突っ張って跳び上がった。

「♪ちゃんちゃからっちゃ、ちゃんちゃんちゃっちゃ、ちゃっちゃちゃ〜♪」
自作のテーマ曲を口ずさみながら、ゆめみの上半身が舞い上がっていく。
俺の横に転がっていた下半身が起き上がり、後を追うように跳んだ。

空中で交錯する、ゆめみの上半身と下半身。
「ぐらんど・くろーーーーすっ!!」
ゆめみの掛け声と共に、まるで引き寄せられるかのように近づき・・・鋭い金属音と共に合体した。

「合体完了っ!!五体満足ロボ・ほしのゆめみ!!」

両の拳を握り締め、胸をそらして咆哮する。
雨の降りしきる空から、狙い済ましたように雷鳴が轟いた。


・・・ご・・・五体満足ロボ・・・・・・
かくして、ゆめみとシオマネキとの壮絶な戦いが始まった。
シオマネキが乱射する無数のミサイルが、無駄に入り組んだ軌道を描きながらゆめみを襲う。
どうやって飛んでいるのか、ゆめみは滞空したままひらりひらりとミサイルをかわす。
巻き起こる爆炎の中、俺は・・・・・・


・・・「もう好きにしてくれ」と思った。


「必殺!ぷろじぇくしょん・びーーーむっ!!」
ゆめみの両肩のパネルが開き、青白いビームを放つ。そしてまた爆炎。

・・・・・・楽しそうだな、ゆめみ・・・・・・


- Fin. -


--------------------
(゚Д゚) <・・・・・・・
711名無しさんだよもん:2006/12/03(日) 10:02:23 ID:3mouZv610
激しくワロタwwwGJwww まさに屑屋(゚Д゚)ポカーンですなw


>>706
あぁ・・・また葉鍵板でバイクの犠牲者が・・・
お大事にです。
712Binary 第10章「Evidence」(1):2006/12/03(日) 20:07:00 ID:r9kM0Ja70
「…お客さま?」
目の前で椅子に座って、難しい顔をしているあの人に声をかける。
「…何だ?」
「修理は、あとどのくらいで完了するでしょうか?」
「…さあな、見当もつかない」
以前にも交わしたことのあるやり取り。
言葉を発しながら、ふと軽い既視感に囚われる。
「そんなに難しい故障なんですか?」
「まだ原因の特定ができていないからな」
「そうですか…。明日11時からの投影には間に合いますでしょうか?」
「まだ何とも言えんな…。原因が特定できたとして、それが俺の手に
負えるかどうかは実際に見てみないと分からん」
それだけ言うと、わたしから目を逸らして再び机の上に視線を向ける。
傍らに置かれた携帯用導通テスターの針が全く振れない事に
少々苛立っているようにも見える。
「…そうしますと、明日の投影はどうしましょうか?」
何となく居た堪れなくなり、ついあの人にそんなことを問うてしまう。
「投影はいつもどおりにやる。折角来てくれる客に迷惑は掛けられないしな」
「…はい、承知しました」
まんじりともしない気分を内に抱えながら、わたしはそう答えた。
713Binary 第10章「Evidence」(2):2006/12/03(日) 20:09:05 ID:r9kM0Ja70
―気乗りがしないのは何となくわかるけど、仕方ないわね。あなたも
「プロ」なんだから、彼の言葉の意味はわかるでしょう?―
頭の中で私に囁きかける「お姉さん」の声。
(…はい、それは理解できるんですが、やはり気になってしまいまして…。
ポーラさんにはあれに関する詳細なデータは残っていないんですか?)
―…残念だけどないわ。あのオプションはおそらく私とは別のセクションで
開発されたものね。同じセクションで開発していれば一度は私が試験のために
装備しているし、そうすれば内部構造も分かるんだけど…。ごめんなさい―
(いえ、それでしたらいいんです。ポーラさんが謝ることではありません)
―どちらにしても現状では私達には有効な手は打てないわね…―
(そうですね…)
―ともかく手出し出来ない以上、ここは彼に任せましょう。彼があなたの期待を
裏切ったこと、今までにある?―
(…ありません)
少し考えた後、確信を持って答える。
あの廃墟の屋上でイエナさんを修理してくれた時もそうだった。
様々な危険を冒して「ポーラさん」の筐体を探し出して、わたしを再起動
させてくれた時もそうだった。
あの人は、いつでもその時に自らに出来る最善を尽くしてくれる。
そして、最終的にはいつも何とかしてくれる。
そう、わたしの考え得る最良の結果を携えて…。
―なら、大丈夫。きっと今回も何とかしてくれるわ。信じて見守りましょう―
714Binary 第10章「Evidence」(3):2006/12/03(日) 20:10:52 ID:r9kM0Ja70
今あの人の前の机に広げられている物。
それは、つい先ほどまでわたしの頭の上に載っていたもの。
正確には、わたしの帽子に付帯していた装飾物。
―インフォメーションリボン。
普段はわたしの意思と状況に応じてその色を変える光の帯。
今は漆黒に染め抜かれて、机の上に海へびのように緩やかにうねっている。
リボンと分かたれた制御部本体は外装を取り外され、幾重にも積層された
基盤が剥き出しになっている。
その接点の一つ一つに丹念にテスターを当てながら、あの人はまた難しい顔をする。
(元通りに直るのだろうか…)
信じてはいても、やはり気に掛かってしまう。

異常に気付いたのは、ドーム内の後片付けを手伝っていた時だった。
いつもならわたしの意思に即座に反応するリボンの色の切替。
…でも、この時は全く反応がなかった。
(え…?)
まさか…。
投影の最中は、いつものようにわたしの意思に答えてくれていたのに…。
単に軽い接触不良なのだろう、と勝手に決め込んでもう一度切替の信号を送る。
…やはり、なしのつぶてだった。
(…)
意を決して、両脇から垂れ下がるリボンの端を手繰り寄せる。
わたしの目に映ったのは、きらびやかな原色ではなく喪服のような
吸い込まれそうな黒色。
決定的だった。
715Binary 第10章「Evidence」(4):2006/12/03(日) 20:12:56 ID:r9kM0Ja70
(どうして…?)
もちろん、思い当たる理由はない。
ましてや乱雑に取り扱っていたなどということは、断じてない。
帽子を取り、リボンを直に見つめる。
自分が悪いわけではないのに焦燥感が沸々と湧き上がる。
「どうした?」
わたしの行動を訝しく思ったのか、「小さいイエナさん」を運ぶ手を休めて
あの人が近寄ってくる。
「はい、実は…」
事の次第を話す。
「どうしましょう。わたし単体では対処できない重大な事態です。とても困りました…」
「…そんな顔をするな。どれ、見せてみろ」
もしかしたら今にも泣き出しそうな表情をしていたのだろうか、あの人はぐずる赤子を
あやすように言いながら、わたしから帽子を受け取る。
「…お客さま?」
「片付けが終わったら、見てみよう」
「はい、ありがとうございます」
あの人のその言葉を聞いたわたしの中に、安堵感が広がるのを感じた―。
716Binary 第10章「Evidence」(5):2006/12/03(日) 20:16:01 ID:r9kM0Ja70
わたしの勤続10年の記念に、スタッフのみなさんがお贈りくださったリボン。
その日、最後の投影の終了後、わたしを呼び止めた里美さんから
何の前触れもなく手渡された、リボン。
そして、いつの間にかわたしの周りに集まってきた館長さん、吾朗さん、由香さん、
茜さんをはじめとするスタッフの方々の笑顔と拍手。

状況が飲み込めず、きょとんとしながら小首を傾げるわたしの帽子を取りながら
『…今まで本当によく勤まったと思うわ。色々苦労させてくれて…。でも、10年間
ちゃんと勤めてくれて本当にありがとう。そして、これからもよろしく、ゆめみちゃん』
どことなく頬を紅潮させながらそう言って、帽子にリボンを装着して元通りに
被せてくれた里美さん。
『うん、とってもよく似合ってる。やっぱり里美先輩の目立てには敵わないわ…。
ゆめみちゃん、すごく素敵よ』
宇宙を思わせる透き通る青と金の星の柄に点燈させたリボンとわたしを
見比べながら、なぜか溜息をついていた由香さん。
『ちゃんと動作していますね。元が上級機種用ですからマッチングが多少不安
だったんですが、時限式の動作プログラムのインストーラも正常に
作動したようですし、問題ないでしょう』
丁寧な物腰で、安堵の表情と満足げな表情とを交えながらそう言った吾朗さん。
『ねえ、あのリボン、人間向けのってないんですかねぇ?ゆめみちゃんを見ていたら
なんだかわたしもリボン欲しくなっちゃたなー、なんて』
子供のように目をきらきらと輝かせながら、眩しそうにわたしとリボンを見つめる茜さん。
帽子に誇らしげに装着された大袈裟なくらい巨大なリボンとそれに付け加えられた
スタッフの皆さんの言葉で、わたしはようやく状況を飲み込むことが出来た。
『皆さん、本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします』
畳の縁に三つ指を立てるかのごとく、丁寧に深々と頭を垂れる。
それが、その時のわたしに出来た精一杯の感謝の表現だった。
717Binary 第10章「Evidence」(6):2006/12/03(日) 20:19:07 ID:r9kM0Ja70
―永年勤続のお祝いとして見たら、とても素っ気無いものだったかもしれない。
その時の「わたし」にとっては、これらの一連の出来事は単なる「記録」に
過ぎなかったかもしれない。
でも、今なら理解できる。
それは今のわたしにとっては蓄積データベースの中に生きている大切な「記憶」。
宝石箱いっぱいに詰まった、こぼれんばかりの輝きを放ちつづける「思い出」。
その端々から、スタッフのみなさんのわたしに対する「愛情」を痛いほどに
感じ取ることが出来る。
あのリボンは、きっと相当無理をして購入資金を捻出したんだろう。
決して観客動員が芳しくなかった中で、爪に火を灯すようなコスト節減と靴底を
摩り減らすような集客の努力を重ねたのだろうか…。
ロボットのわたしのために…。

そんな「思い出」が具現化したリボン。
館長さんをはじめとするスタッフのみなさんとわたしを結びつける、目に見える「証」。

リボンの修理に没頭するあの人を見つめながら、ふと考える。

…その時、わたしはどうしたらいいんだろう?

この旅は、人間の皆様に満天の星空を見ていただくための旅。
そして、わたしたちの「夢」を、「思い」を、一人でも多くの皆様と分かち合って
いただくための旅。
それと同時に、わたしとあの人にとっては生き別れたスタッフのみなさんを
探すための旅。
今のところ行方は知れず、その手掛かりさえつかめない。
でも、スタッフのみなさんはきっと同じ空の下のどこかにいる。
どこかできっと、見知らぬ誰かに星の話をしている。
そう、今のわたしたちのように…。
718Binary 第10章「Evidence」(7):2006/12/03(日) 20:21:22 ID:r9kM0Ja70
根拠は全くない。
でも、わたしたちが今のように投影を続けていれば、いつか必ずどこかで巡りあえる。
そんな希望にも似た確信がある。
今はまだ、そんな思いを馳せていればそれでいい。
…でも、それが現実のものになったとき、きっとわたしは今までで一番難しい選択を
迫られることになる。
これだけは間違いない。
スタッフのみなさんとあの人。
同列に見ることは出来ない、見てはいけないものだということは、わたしでも何となく
理解できる。
だけど、例え理解できなかったとしても、わたしには両者を天秤に掛けることなんて…
とても出来ない。
だって、どちらもわたしにとって、かけがえのない大切な存在なのだから…。

(ポーラさん?)
―何?ゆめみちゃん―
(…ポーラさんには、今、わたしが考えていたような経験はありますか?)
―…ええ。以前…ね…―
(…?)
いつになく言葉の歯切れが悪い。
何か悪いことを聞いてしまったのだろうか…?
(申し訳ありません、申し訳ありません。不躾な質問をしてしまいました。
ポーラさんのお気分を害されたのでしたら本当に申し訳ありません」
―いいのよ、そんなに謝らないで。ゆめみちゃんが悪いわけじゃないんだから。
私の方こそごめんなさい。ちょっと昔のことを思い出して…。いつか話せる時が来たら
ゆめみちゃんにも話してあげる―
(はい。その時までお待ちしております)
―…ありがとう―
視線を逸らしていた「お姉さん」が、わたしに向き直って言う。
719Binary 第10章「Evidence」(8):2006/12/03(日) 20:24:17 ID:r9kM0Ja70
―…でも、本当に難しい、そして苦しい決断になるはずよ。でもね、これは
ゆめみちゃん、あなたにしか出来ない決断。私はもちろん、彼にも干渉することは
出来ないわ。それはわかるわね?―
(はい…。ですが、わたしは…)
―今、そんなに結論を焦る必要はないわ。まだ現実になったわけではないんだし。
ただ、気持ちの整理はしておく必要はあると思うの。いつその時が来ても
いいように、ね―
(はい)
―あなたに関わる全ての人が納得する結論は出ないかもしれない。でもね、
ゆめみちゃんが考えに考えて出した結論なら、きっとみんながそれを尊重
してくれるはずよ。そして、その結論を出すときに一番大事なのはあなたの気持ち。
自分の気持ちに素直になりなさい。そうすれば、自ずと答えが導かれるはずよ―
(自分の気持ちに素直に…。わかりました。ありがとうございます、ポーラさん)
優しくわたしにそう諭してくれた「お姉さん」に、わたしは頭の中で深々とお辞儀をした。

わたしは何を焦っていたんだろう。
今からそんなことをあれこれ考えていても何もいい事はない。
その時が来るまでに、もう一度落ち着いてわたし自身を見つめなおそう。
そして、わたしは一体どうしたいのか、そのときにもう一度問い直してみよう。
そうすれば、自然と答えは出ると思う。
もちろん、答えが出る前も出てからも、わたしの中に様々な葛藤は生じるはず。
でも、最後はポーラさんの言ったとおり、『自分の気持ちに素直になる』事が
一番大切なんだろう。
だから、そのときのありのままの自分の気持ちをあるがままにみなさんに
打ち明けよう。
きっとそれが出来ない時の方が、後悔が大きいだろうから…。
…そう考えると、胸にあったもやもやしたものがすっと取れていくのを感じた。
720Binary 第10章「Evidence」(9):2006/12/03(日) 20:26:43 ID:r9kM0Ja70
いつの間にか、時刻は午前0時3分前になろうとしている。
スリープモードに移行しなければならない。
本当はあの人にずっと付き添いたいけど、わたしには自らに与えられた
基本ルーチンを意図的にフックすることは出来ない。
「お客さま、午前0時3分前になりましたので、わたしは通常業務設定どおり
スリープモードに移行させて頂きます…」
知らないうちに残念な気持ちが、いつも発する言葉の語尾に出る。
「そんな時間なのか…。俺はもう少し粘ってみる。あと少しで原因が
わかりそうなんでな」
「そうですか。本当にわたしばかり申し訳ありません。こんなことしか
申し上げられませんが、無理はなさらないで下さい」
「まあ、そんなに気にするな」
「次の起動は明朝9時です。それでは、おやすみなさい…」
『ああ、おやすみ…』
モード移行前の一瞬、あの人の優しい声が聞こえたような気がした―。



9時。
柔らかな陽光が差し込むはずもなく、いつものように雨音に支配された薄暗い室内。
わたしはスリープモードから復帰すると同時に、これもいつものように
起動シークエンスと各部動作チェックに入る。
頭部演算ユニット…正常。
蓄積データベース記録用ドライブ…エラッタなし。動作正常。
外部機器接続用多目的コネクタ…導通正常。……

基本プログラムに則り、チェック項目を次々と精査してゆく。

……外装部、制服の発光素子への導通…正常。
頭部帽体およびインフォメーションリボンの導通ならびに動作…『正常』。
721Binary 第10章「Evidence」(10):2006/12/03(日) 20:30:15 ID:r9kM0Ja70
「えっ?」
全く予想だにしていなかった検査項目とその結果に、つい声を上げる。
残りのチェックが終了するのももどかしくスリープモード移行時には何もなかった
頭に右手を当てると、柔らかな帽子の感触が手に伝わる。
そこから垂れ下がったリボンを昨日と同じように手で手繰り寄せる。
…そこにあったのは、絶望の漆黒ではなく柔らかな緑色を纏った光の帯だった。
(…)
リボンに向けて、わたしの意思を伝える。
一瞬の後、緑色の帯は華やかに燃えるような赤に彩られる。
(…)
もう一度。
次の瞬間、赤いリボンは宇宙のように深く澄み渡る青へとその色を変えた。
完璧に直っている。
以前と全く同じように点灯しているリボンの端を目に、わたしの中はあの人への
感謝の想いで満ち溢れる。
「お客さま?」
発作的に、夕べわたしとテーブルをはさんで真向かいに座っていたはずの
あの人がいた場所を見る。
その場所にあるのは、黒い小山のような塊。
椅子から立ち上がって、傍に向かう。
…そこには、あの人が自分の二の腕を枕に机に突っ伏して寝息を立てていた。
各種工具やダイオード、ICチップなどがまだ乱雑に散らばった机の上。
自分で淹れたのか、愛用の凹んだマグカップの中から半分ほど残った濃い目の
コーヒーがまだ湯気を立てている。
つい今しがたまで起きていたのだろうか。
わたしを落胆させまいと、夜通しでリボンを修理してくれたのだろうか…。
「お客さま…」
胸が熱くなる。
「本当にありがとうございます」
気持ち良さそうに寝入っているあの人に向かって、深々と頭を下げる。
722Binary 第10章「Evidence」(11):2006/12/03(日) 20:34:10 ID:r9kM0Ja70
「…そういえば、特別投影の後も今のように安らかな寝顔をされてましたね…。
お客さまは今、どんな夢を見ているのでしょう?」
筐体が変わっても、ロボットであるわたしは残念ながら人間の皆様と同じような
夢を見ることは出来ない。
でも、今までのわたしの歩んできた軌跡を振り返ったとき、もしかしたらわたしが
稼動している「今」と言う時間こそが、それこそわたしにとっては「夢」のような
ものかもしれない。
そう、この一瞬さえも…。
その「夢」は、嬉しいことも悲しいことも、やがて一つ一つがわたしの中の宝石箱に
収められるきらびやかな「思い出」となる。
そしてその「思い出」は、わたしが今まで人間の皆様に様々な形で関わった「証」。
リボンのような誰にでも見えるものではない、わたしだけが見ることの出来る「証」。
だから、夢を見ることが出来ないこと、それ自体は残念だけど、そのことに対する
失望はわたしにはない。
今、わたしはある意味、「夢」を見ているのだから…。

「…お客さま、本日第1回目の投影開始時刻まで、あと1時間15分です。ですが、
現在のお客様が置かれております状況を考慮しますと、わたしはお客さまには
今は十分な休息をお取り頂く事が最善と判断します」
小声で囁きながら、近くにあった毛布をあの人の肩口から背中に羽織らせる。
あの人が配線図を書くために使ったのか、机の上に無造作に放り投げてあった
紙とペンを手に取る。
そしてわたしは、紙にこう書き記した。

『まことに勝手ではございますが、都合により本日の投影は中止とさせて
いただきます。なお、明日の投影につきましては予定通り実施いたします。』

「お客さま、本日はごゆっくりお休みください。どうぞ、良い夢を…」
そう言って相変わらず眠ったままのあの人に一礼すると、わたしは張り紙を持って
玄関へ向かった。―
723 ◆JENA/hfgHs :2006/12/03(日) 20:50:13 ID:r9kM0Ja70
>やおいさん
お怪我は大丈夫でしょうか?
一日も早い回復を、僭越ながら祈っております。
やおいさんの幻想的な世界観、自分は大好きです。

2週間ぶりのご無沙汰ですが、第10章アップにつき、投下致します。

最近、色々とSSが掲載されて、本当に刺激になります。
(中には自分が暖めていたネタと多少バッティングするものもありますが)
自分は遅筆なので、本当に羨ましい限りです。
今年中にもう一章位書けるかどうかは分かりません。
時節に沿ったインターミッションは一本くらい書きたいな、とは思っています。

まとめサイトは少し詰まり気味です。
どうやったら読みやすくなるか、今、いろいろなSSサイトを見て勉強中です。
生暖かくお待ちいただければ幸いです。

相変わらずの文章で申し訳ありません。お目汚し、失礼しました。
724名無しさんだよもん:2006/12/03(日) 20:56:18 ID:7qwrr4860
>>723

JENA氏GJ!
あいかわらずいい話です。屑屋っていいやつだなぁ・・・




私信:
ネタバッティング申し訳ない・・・orz
725 ◆JENA/hfgHs :2006/12/03(日) 21:29:40 ID:r9kM0Ja70
>>724
ネタバッティングは、気になさらないで下さい。
二次創作(特にSS)は、書いた物勝ちですし。
バッティングすることのデメリットよりも、色々な解釈に触れることが出来る
メリットの方が自分には大きいです。

これからも様々なシチュエーション、期待しております。
726名無しさんだよもん:2006/12/03(日) 22:29:58 ID:Upz+xFZs0
>>JENA氏
Binary投下乙&GJ!です。
最近は色んなSSが読めてうれしいかぎりです。

以前トウカしたゆめみに色つけてみますた。
某所にトウカしたらくすんでてショック。
ttp://akm.cx/2d2/src/1165150518787.jpg
727名無しさんだよもん:2006/12/03(日) 22:50:54 ID:7qwrr4860
>>726
うはぁ!むちむち度がパワーアップ!!!速攻で保存しますた!



某所は、色はくすむわ縮小されるわでなんともかんとも。orz
728名無しさんだよもん:2006/12/04(月) 00:11:20 ID:UWPNAFMo0
>>726

よく見たら、
・ちくびつまんでる
・あそこみえてる

・・・・・・えろいよ>>726さんえろいよハァハァ
729名無しさんだよもん:2006/12/04(月) 22:44:51 ID:UWPNAFMo0
SSのために、本編から細かいディテールや言い回しをメモろうとして始めたものの、数分で挫折orz

テキスト吸出しツールはないもんですかのう・・・
730名無しさんだよもん:2006/12/04(月) 23:17:47 ID:eSO7KXbb0
気になった時に参照する程度でいいんじゃないのかね。
吸い出しツールについては全く分からん、と言うか俺が欲しい('A`)
731名無しさんだよもん:2006/12/04(月) 23:21:47 ID:UWPNAFMo0
参照するために1からやるのが大変なのよorz
しおりを挟むにしても、どこで挟んでおくかというのがあるし・・・


最後の最後でセーブして、バックログで確認するのが一番早いのかな。
ちなみにPCダウンロード版。PS2版もあるけどいちいち起動してられんorz
732名無しさんだよもん:2006/12/04(月) 23:28:37 ID:m4waWZqg0
>>729
蔵のツール使ってみたら? Real liveだったらとおるかもよ?

俺はDL版しかもってないけどさ…orz
733731:2006/12/05(火) 10:52:28 ID:mtFjxHl60
>>732

「蔵 Real live」でググってみたけど、それっぽいものはなかった。
俺、ギャルゲーはプラネオンリーの人間なんで、隠語とかよくわかってないんだスマソ

「教えてちゃん」は自分でもよくないと思うんで、もう少し探ってみる。
734名無しさんだよもん:2006/12/05(火) 11:42:11 ID:TdrvGTWIO
蔵→蔵等→CLANNAD
735731:2006/12/05(火) 17:33:50 ID:mtFjxHl60
>>734

マジサンクスd。
ツール入手できたので、帰宅してからやってみる。
736名無しさんだよもん:2006/12/05(火) 23:44:49 ID:wZCeVJWf0
うーん、キネティックノベル版は、やはりCLANNADとはデータ構成が違うようで。
拡張子がPAKという形式になってる・・・
「キネティックノベルの吸出しツール」というのもまだないようだし。

パッケージ版はどうなんでしょ?
737『何かがズレてしまった世界 Case5』(1/5):2006/12/05(火) 23:45:50 ID:wZCeVJWf0
30年もの間、わたし以外に動くもののなかったこの館内に、乾いた靴音が響きました。
・・・お客様です。30年ぶりに、お客様が来てくださったのです。

わたしはドーム内の照明を落とし、お客様がドーム内へ入場されるのをお待ちします。
本当に、久しぶりのお客様です。いつも以上に心を込めて、お迎えしなくてはなりません。
・・・いささか驚かせてしまうことになるかもしれませんが、このぐらいのサプライズはよろしいですよね。


お客様が扉を開けるのを見届け、わたしはドーム内照明の照度を、一気に最大に戻します。
そして。

「おめでとうございます!!」
「うわっ!!!」
先頭のお客様が、顔にかけたゴーグルをあわてて外しておられます。
・・・少々、サプライズが過ぎたのでしょうか?

「お客様はちょうど250万人目の・・・・・・あら?」


久しぶりのお客様は、なんと団体さんでした。
先頭には、先ほどあわててゴーグルを外された、人間の男性のお客様。

その後ろには・・・わたしと同じ、ロボットの方々がたくさんおられたのです。
738『何かがズレてしまった世界 Case5』(2/5):2006/12/05(火) 23:47:02 ID:wZCeVJWf0
わたしの頭脳に、ロボットの皆様からの『自己紹介』・・・プロフィール情報が送信されてきました。

「敵性反応、攻性反応、トラップ反応・・・共になし。・・・ふぅ、この子は民生機です。心配ありません」
わたしに向けた何かの筒先を下ろす、赤い髪の軍用モデル・SMR9700i。とても勇ましそうです。

「ここにも、迷える子羊がおられたようですね・・・」
そうおっしゃるのは、修道女の衣装をお召しのドイツ製高級機・モデルアハトノイン。わたしから見てもきれいな方です。

「これはプラネタリウムですね・・・中央の投影機によって、星の映像を天井に投影する学習施設です」
そう言いながら、眼鏡を指でつい、と押し上げるのは、本を抱えた黒髪のSCR6600Si/FM。プロフィール情報によれば、図書館にお勤めだったようですね。

「『プラネタリウム』?・・・当店のメニューにはない料理です・・・」
困惑した表情の方は、白いエプロンと三角巾を身に着けた、青い髪のSCR-i5000Si/FL。味覚をサポートした、わたしの後継機種です。

「まあ、ロマンチックね・・・お客様、たまには星空の下で(ピー)も悪くないわよ、うふふ」
薄いネグリジェ姿にブロンズの髪。風俗街仕様の、SCR9200Si/FM-FCUP。・・・・・・風俗街、とはなんでしょうか?

わたしそっくりの・・・ほとんどが同系機ですので当たり前なのですが・・・ロボットの皆様が総勢11体。
当館の座席数が184座席ですから、お好きな席にお座りいただけますね。
よく見ますと、中にはSCRシリーズの保守担当の機体もおられます。わたしもやっと修理していただけそうで、うれしくなります。

・・・それにしても、本来ならば職場から3キロ以上離れることはない、わたし達業務支援機が、人間のお客様に連れられて大勢で行動しているのは、なんとも不思議な光景です。

「おいおい、またロボットか・・・・・・勘弁してくれ」
人間のお客様は、ご自分の掌に顔をうずめ、呻くようにそうおっしゃられました。・・・どういう意味なのでしょうか?
739『何かがズレてしまった世界 Case5』(3/5):2006/12/05(火) 23:47:37 ID:wZCeVJWf0
・・・なんでも、そのお客様は「よくよくロボットに縁がある」のだそうです。
屑屋さんという廃品回収業を営んでおられるそうですが、お仕事に行かれると「なぜか」いつもロボットに遭遇されるのだそうです。
ロボットはもう珍しくもない存在ですので、おかしなことではないのでは・・・、と申し上げたのですが、そのお客様は、
「人間すら数えるほどしかいないこの世界で、『野良ロボット』がこれだけ生き残ってるのは奇跡・・・というか、ある意味悪夢だ」
とおっしゃいます。

人間の方々が「数えるほどしか」おられない・・・
確かに、30年もの間、当プラネタリウムへお客様はお一人もお見えになりませんでした。
お客様がおっしゃるには、この世界は「壊れてしまった」・・・のだそうです。
わたしは、わたしの『未知のバグ』だと思っていたひとつの認識を・・・信じたくはなかった事実を、認めざるを得ませんでした。

屑屋のお客様と行動を共にしているロボットの皆様はみんな、わたしと同じ境遇でした。
仕えるべき人間の方々と、離れ離れになってしまった方達。
・・・そんな皆様の元を、偶然訪れたのが、屑屋のお客様でした。
わたし達ロボットが、完全自律判断モードで動作する際、わたし達は判断の寄り所となる人間の方を必要とします。
ロボットの皆様が、人間である屑屋のお客様の指示を仰いだのは、ロボットとして当然の判断だと、わたしも思います。

屑屋のお客様は、お言葉はぞんざいですが、本当はとても心優しいお方のようです。
行く当てをなくした、そんなわたし達を見捨てて行けなかったのでしょう。
「元の主人や同僚を探す」という目的づけによって、わたし達の行動制約を解除し、同行を許可してくださったのです。

・・・そして、わたしも・・・
740『何かがズレてしまった世界 Case5』(4/5):2006/12/05(火) 23:48:17 ID:wZCeVJWf0
「よーし、もうすぐ夜明けだ!店開きの準備はいいか!」
隊長の・・・元・屑屋のお客様の声が、わたし達のいる広い倉庫の中に響きます。
わたしはプラネタリウムに戻り、ドーム内の照明や投影機に灯を入れて、お客様の来館に備えます。
客席のお掃除もOK。今日の番組はわたしの十八番。投影がとても楽しみです。


・・・あれから、様々なことがありました。
そしてわたしは今、このキャラバンの一員として移動プラネタリウムを営みながら、スタッフの皆様を探して各地を回っています。

気がつけば、わたし達の集団は、パーティーからキャラバン(隊商)になっていました。
商店や食堂といった、日々の生活に必要な施設から、図書館やわたしのプラネタリウムのような娯楽施設までを含んだ、移動する町。
何台もの自動車や自律戦闘機械に分乗し、集落から集落へと、交易の旅を続ける集団。
わたしのプラネタリウムドームも、Mk43L/e・・・人間の皆様が「シオマネキ」と呼ぶ、自律戦闘機械の上に載っています。
かつては人間の方々に恐れられたという、戦うための機械。・・・でも今は、戦うための装備の代わりに、イエナさんを搭載しています。
その機体(からだ)を濃紺に染め、金色の星屑を散らした装いで、わたしの相棒を勤めてくれています。

「プラネタリウムはいかがでしょう?」
わたしは、今日はじめての呼び込みを始めます。
わたしの周りでも、さまざまなお店で呼び込みの声が響き始めます。

他のロボットの皆様はみな、それぞれの業務について頑張っておられます。
わたしも、自らの業務を通じ、皆様のお役に立てていることを実感できます。

・・・わたしは今、とても幸せです。
741『何かがズレてしまった世界 Case5』(5/5):2006/12/05(火) 23:51:50 ID:wZCeVJWf0
・・・ところで、そのキャラバンなのですが。
お客様が廃墟を探索されるたび、ロボットの方々が増えていきます。
また、集落を通るたび、人間の方々も増えているような気がします。

廃墟や集落を通るたびメンバーが増えてゆく、わたし達のキャラバン。
・・・なんだか、あの眼鏡の方・・・SCR6600Si/FMがおっしゃっていた過去の民衆活動、

『一向一揆』

の集結に、似ているような気がします・・・



- Fin. -
742『何かがズレてしまった世界 Case5』(あとがき):2006/12/05(火) 23:52:44 ID:wZCeVJWf0
本スレの派生型総出演ネタからインスパイヤしますた。
743『何かがズレてしまった世界 Case5』(あとがき):2006/12/06(水) 01:11:04 ID:07k6C9k50
余談ですが、オチ手前の言い回しが、Webで見られるプラネの二次創作「ほしのゆめ」に類似しているのはパクリではありません・・・orz

なんてこったい。
744名無しさんだよもん:2006/12/06(水) 01:58:24 ID:ZHS/0VZD0
GJ!!
キャラバン部隊乙であります。
745名無しさんだよもん:2006/12/06(水) 02:03:41 ID:NV0EPpux0
GJ!!
パーティ編成して、最後にラスボスいるんだろうか・・・?w
746名無しさんだよもん:2006/12/06(水) 11:28:18 ID:murJqXQ60
>>745

直角に曲がると、ショートカットしないで同じところで律義に直角に曲がってついてきそうだ>ゆめみんズ



あと、横に並ぶと5人目以降がチラつくw
747『何かがズレてしまった世界 Case6』(1/9):2006/12/06(水) 20:55:43 ID:07k6C9k50
「・・・・・・お、おぎゃぐざばぁ〜〜〜〜〜っ!!」
「うわっ!!」

完全に、虚を突かれた。
封印都市に残された、デパートの廃墟。
「宝の山」を求め、俺はその屋上にあるドームのような施設に足を踏み入れた。
踏み入れた途端、俺は何者かの体当たりを受けたのだ。

見た目とは裏腹の、強烈な衝撃。
年齢は十五・六歳くらいだろうか。小柄な少女が俺の胴回りにしがみつき、梃子でも離れまいと頑張っている。

人間?・・・対人戦車が徘徊し、完全武装した屑屋ですら命を落とすこんな場所に、人間の少女がいるわけがない。
自動人形(ロボット)?・・・まともなロボットなら、このような反応をするわけがない。

・・・だとすれば、答えは一つしかない。
ロボットを利用した、ブービートラップ。
俺は、そいつに抱きつかれてしまったのだ。
このまま絞め殺されるか、喉笛を掻き斬られるか、自爆に巻き込まれるか。
・・・いずれにせよ、待っているのはあの世だ。

だが、俺は死ななかった。
その代わりに、俺は信じられないものを見ることになった。

「・・・おぎゃぐざばでずぅ・・・ひっ、ざんじゅうでんぶりの、おぎゃくざばでずぅ・・・・・・
 ・・・よがった、えっ、よがったでずぅ・・・わたし、ひっく、わすれられでながったんでずね・・・え、えぐっ」

俺にしがみついた、少女の姿をしたロボットは、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。
涙を流す機能を持ったロボットですら珍しいというのに、こいつは時折しゃくりあげながら、大泣きに泣いている。

・・・一体何なんだ、こいつは?
748『何かがズレてしまった世界 Case6』(2/9):2006/12/06(水) 20:56:43 ID:07k6C9k50
やっと落ち着いたロボットの少女は、身の上を語り始めた。
少女の名は『SCR5000Si/FL・ほしのゆめみ』。・・・『ほしのゆめみ』という名は、公募で名づけられた愛称だそうだ。
40年ほど前―つまり、開戦の10年前―から、このプラネタリウムという施設で、解説員の仕事をしているらしい。
プラネタリウムにいた人間のスタッフは、30年前「長期の慰安旅行」に出たきり、まだ帰ってこないという。
それ以来、このプラネタリウムで、一年に一週間だけ目を覚まし、待てども来ない客を待っていた・・・
と、しゃくりあげながら語る。

それで見当がついた。
こいつは・・・ゆめみは、遅拡散性BC兵器によってこの都市が『封印』され、住民が退去した時、ここに置いていかれたのだ。

開戦以来、人間は一年で半分、次の一年でまた半分・・・と、急速に減っていった。
そして10年前からは、降り止まない雨。
この過酷な環境で、はたして彼女の同僚、「スタッフの皆様」が生き延びているのか?

・・・絶望的、としか思えない。
だが、それを言ったが最後、せっかく泣き止んだゆめみがまた泣き出すのは、想像に難くない。
かくして俺は、余計なことは言わず黙っていることに決めた。

ゆめみは、250万人目のお客様 ―つまり、俺のことだ― のために、『特別投影』を見せるという。
そんなものには興味はない。俺はさっさと、この場を立ち去ろうとした。
そんな俺の足を止めさせたのは・・・またも、ゆめみの涙目だった。

「み、見ていただけないんですか?・・・・・・うぇ・・・・・・」
光学樹脂の瞳を持った大きな目。その下瞼の堤防が、新たに溢れ出る涙で今にも決壊しようとしている。

情に流されてどうする。こいつはロボットだ。人間ではない。所詮、作り物の・・・・・・

・・・何を投影するのかはわからないが、生命にかかわることではないだろう。
こいつの目的が「俺の命を奪う」事ならば、最初の体当たりの時点で、俺はあの世に行っている。

・・・まあ、『特別投影』とやらを見るぐらいなら、付き合ってやってもいいだろう。
749『何かがズレてしまった世界 Case6』(3/9):2006/12/06(水) 20:57:44 ID:07k6C9k50
・・・俺は今、マイナスドライバーを手に、投影機の接点に詰まった古いグリスを掻き出している。

ゆめみの仰々しい前振りのあと、動き出すはずだった『イエナさん』・・・
カールツァイス・イエナ社製・Universal23/3型二球式投影機は、沈黙を続けるだけだった。

「ど、どうしたのでしょう・・・イエナさんが動きません・・・・うごいてくればせん・・・えぐっ」
・・・う、またか。

「わ、わかったわかった。俺がなんとかしてやるから泣くな」
「・・・お客様、イエナさんを修理できるのですか?」
今にも降り出しそうな雨模様だったゆめみの顔が、少し明るくなる。
「ああ、やったことはないが、なんとかなるだろう」

・・・なんとかしなければ、こちらの精神が持たない。

『イエナさん』は、接点という接点にグリスを詰め込まれていた。
スタッフが退館する時、少しでも劣化が防げるようにと、せめてもの保存処理を施したのだろう。
機能を回復させるには、接点部分のグリスを取り除き、通電を回復しなければならない・・・ということになる。

おかげで、俺は今、儲けにもならない投影機の修理に精を出している。

なぜこんなことをする気になったのか、本当のところは自分でもよくわからない。

この泣き虫のロボットに・・・ゆめみに、情が移ってきたのだろうか。
750『何かがズレてしまった世界 Case6』(4/9):2006/12/06(水) 20:58:59 ID:07k6C9k50
「・・・さあ、それでは目を開けてください」
ゆめみに促され、閉じていた目を開く。

「・・・・・!!」
俺は、思わず息を呑む。
照明が落とされ漆黒の闇となったドーム内に、今では見ることの叶わない、満天の星空が広がっていた。
まさに、『星の海』・・・という形容が相応しかった。
図鑑ぐらいでしか見たことがない光景なのに、・・・なぜか懐かしさを覚えるのは、何故だろうか?

だが、それも一瞬のことだった。
「バシッ!」という鋭い音。・・・同時に、すべてが再び闇に包まれた。
咄嗟に暗視眼鏡(ゴーグル)を掛ける。・・・しかし、扉を閉ざすと光が全く入らない、このドーム内では役に立たない。
今、敵に襲われたら終わりだ。

僅かな間の後、目の前にゆめみの姿がぼんやりと浮かび上がった。
衣装に縫い込まれた発光素子と、後頭部のリボンが、淡い光を放っている。
俺はゴーグルを外し、ゆめみの顔を覗き込む。

・・・まずい、またもや決壊寸前だ。

「ど、どうしたのでしょう・・・停電です・・・これでは投影が・・・うぇっ・」
「かまわない、そのまま続けてくれ」
「しかし、投影が・・・」
「投影内容ならすべて頭に入っている、問題ない」
俺の脳裏に、一瞬だけ見た『星の海』がくっきりと焼きついている。・・・それだけで十分だった。

「・・・お客様・・・・・・」
「なんだ?」
「・・・・・・暗いの、怖いでず・・・・・・えぐっ」

・・・ゆめみ・・・お前の仕事は一体何だ?
751『何かがズレてしまった世界 Case6』(4/9):2006/12/06(水) 20:59:45 ID:07k6C9k50
「・・・お帰りになられるのですか?」
「ああ、すっかり長居しちまったからな」

俺は今、帰り支度をしている。
30年の間生きていた予備電源が切れ、このデパートにはもう電気が来ることはないだろう。
ゆめみはいずれ、スリープモードに入り・・・そのまま、二度と目覚めることはない。
俺は、なんとかゆめみをここから連れ出そうと思い、その話をどうやって切り出そうかと考えていた。

・・・だが、ゆめみを説得するのに、大して手間はかからなかった。

「次のお客様は、お越しになられるでしょうか・・・」
「さあな、俺にはわからん」
「お客様がお越しになられなかったら、わたしはまた、ずっと一人ぼっちなのでしょうか・・・」
「・・・・・・」

「・・・ひ・・・ひとりぼっぢはいやでず・・・さびしいでず・・・・うぇっぐ」

いい加減うんざり・・・というところだが、この時ばかりは渡りに船だった。

「・・・わかった、じゃあ俺についてこい。一緒にスタッフの人達を探しにいこう」
「え?・・・し、しかし・・・」

ここから連れ出してやれば、ゆめみはまだ『生きる』ことができるだろう。
・・・そうだ、一緒に移動プラネタリウムを始めるのもいいかもしれない。
夢を失ったこの世界に、星空の夢を・・・・・・


「・・・でも、イエナさんが・・・イエナさんがひとりぼっぢでかわいぞうでず・・・あぅぅ」

・・・今度は、そう来たか。
752『何かがズレてしまった世界 Case6』(6/9):2006/12/06(水) 21:00:59 ID:07k6C9k50
俺は今、ゆめみと大通りを歩いている。
ゆめみは俺の予備の防水外套をかぶり、俺の後ろをもたもたとついてくる。
最高歩行速度は時速六キロ、おまけに股関節駆動ユニットが過熱気味・・・だとかで、休み休みの脱出行だ。

『イエナさん』を持ち出すことなど、いくらなんでもできるわけがない。
俺は「スタッフの皆が見つかったら、一緒にここに戻ってくればいい」と言いくるめ、とにかくゆめみだけを連れ出した。
・・・なんとなく、こいつの扱い方がわかってきた気がする。

俺の背後で、ガシャン、という音が聞こえた。
振り返ると、ゆめみが頭から地面に突っ伏している。
・・・まったく、また転んだのか。

手を伸ばし、ゆめみの手を取って起こしてやる。
「・・・痛いでず・・・・・びしょびしょでず・・・あぐっ」
・・・まずい、またぞろ決壊寸前だ。

「ああ、痛くない痛くない。大丈夫だ、どこも壊れてないぞ。・・・痛いのはどこだ?さすってやるから言ってみろ」
こんなところで泣き出されたら、シオマネキの音響探知センサーに捕捉されてしまう。
こんなポンコツ娘を連れたままでは、それこそ格好の標的(まと)だ。
半ベソ状態のゆめみをなだめすかしながら、交差点を横切り、近くの建物に身を隠す。


・・・しかし、こいつはロボットなのに、やはり転ぶと『痛い』のか?
753『何かがズレてしまった世界 Case6』(7/9):2006/12/06(水) 21:02:10 ID:07k6C9k50
俺の目の前には、Mk43L/e・自動要撃砲台・・・通称『シオマネキ』が居た。
その砲口を封鎖壁の外に向け、警戒態勢を維持。
センサーの指向性を前面に絞り、『外敵』に備えている。・・・背後の俺達には、まだ気づいていない。

俺は単装擲弾銃(グレネーダー)に擲弾を叩き込み、シオマネキの弱点・上面部のラジエーターを狙う。
シオマネキに気づかれる前に沈黙させられなければ、俺達は天国行きだ。

「・・・当たれっ!」
軽い炸裂音と共に、シオマネキに襲い掛かった擲弾は、狙い過たずラジエター部を直撃した。
・・・しかし、擲弾は炸裂することなく、ガシャンという音を立ててラジエター上面の網に跳ね返された。
「!?不発!?」
シオマネキがこちらの気配に気づく。超信地旋回。・・・次の瞬間、轟音と共に吹き荒れる、機銃弾の嵐。

・・・どのぐらい時間が経っただろう。機銃を撃ちつくしたシオマネキの機銃が、薄い煙を上げている。
奴の武装は今、レールガンのみ。
奴が呼んだであろう「援軍」が到着するまでの、僅かな猶予。・・・逃げるなら、今しかない。

しかし次の瞬間、俺の目に絶望的な状況が飛び込んできた。
アーケードの影でじっとしていろ、と命じたはずのゆめみが、シオマネキの眼前に立っている。
・・・いや、へたり込んでいる、という方が正確だった。

ロボット三原則・第一原則第二項。
―『ロボットは、何も手を下さずに人間が危害を受けるのを黙視していてはならない』。
ゆめみはその原則に突き動かされ、俺を助けるために・・・
・・・出てきたようなのだが、どうやら腰を抜かしてしまったらしい。

シオマネキのレールガンが、ゆめみの腹部を狙う。
電圧が上がり、砲身の内部が白く光り始める。
完全にビビってしまったゆめみの瞳に、みるみるうちに涙が溜まり・・・・

そして、ついに下瞼の堤防が決壊した。
754『何かがズレてしまった世界 Case6』(8/9):2006/12/06(水) 21:03:24 ID:07k6C9k50
「わあぁあああああん!うわぁああああああああああん!!」
大粒の涙をぼろぼろと流し、大泣きするゆめみ。
「うあぁあああああん!くぁwせdrftgyふじこlp;@:!! わぁああああああああああん!!」
・・・何を言っているのか、さっぱりわからない。

シオマネキは、レールガンの発射姿勢を取ったまま硬直している。
マシントラブルか?・・・あるいは、ゆめみの泣き声がECMになっていて・・・・・・まさかな。

とにかく、チャンスには違いない。
急いで最後の擲弾を装弾し、目標距離と弾道の沈降率を計算して照門を補正。もう一度、上面のラジエターを狙う。

その時、俺は、シオマネキが奇妙な行動を取っているのに気がついた。
シオマネキは周囲に助けを求めるように、その機体を左右にせわしなく揺すっている。
機体から突き出した作業用のマニピュレーターが、躊躇するかのごとく前後に伸縮している。

・・・ひょっとしてこいつ・・・『オロオロしている』のか?

やがて、シオマネキはマニピュレータをおっかなびっくり伸ばし、ゆめみの頭に載せると、左右に振りはじめた。
どうやら、頭を撫でているつもりらしい。

シオマネキのサーチライトが、モールス信号を放つ。

『コワクナイ、コワクナイカラ、ゴメンネ』

・・・ゆめみがようやく落ち着いてきたのを見計らい、シオマネキはそそくさと撤退していった。
いつの間にか、接近する援軍の『気配』も消えている。


・・・助かった・・・のか?
俺はただ、呆然と立ち尽くすしかなかった。
755『何かがズレてしまった世界 Case6』(9/9):2006/12/06(水) 21:04:34 ID:07k6C9k50
封鎖壁を越えると、その向こうには荒涼とした廃墟が広がっている。
封印都市のような防疫天蓋(ドーム)がなかった分、10年にわたり降り続いた雨は、都市内部以上に建物の劣化を早めている。
ビルとも岩山ともつかない、グズグズに崩れた瓦礫の塊。俺にとっては見慣れた風景だ。
・・・しかし、ゆめみにとってはそうではなかった。

「どこもボロボロです・・・誰もおられません・・・・・・」
「封印都市の外は、どこもこんなもんだ。人間のいくらか集まった集落以外は・・・うっ」

「・・・スタッフのみなさんは・・・ほんどうにご無事なんでじょうか・・・ひっく」

・・・またか。
一体、こいつのどこにこれだけの涙が溜まっているのか。中を覗いてみたくなってくる。

「き、きっと大丈夫だ。人間は各地の集落に集まっている。そこへ行けば、きっとみんな元気でいるさ」
「みなさん・・・元気でおられるでじょうか? ぐすっ」
「とにかく、集落を回って探してみよう。な」
「はい・・・ありがとうございます・・・すんっ」


俺は立ち上がり、封鎖壁に沿って停めたランドローバーへ向かう。
ゆめみは、泣き腫らした・・・いや、ロボットだから充血すらしていないが・・・目をこすりながらついてくる。
その手は俺の防水外套の裾を掴み、離そうとしない。


・・・全く・・・とんでもないお姫様を背負い込んじまったぜ・・・


- Fin. -
756『何かがズレてしまった世界 Case6』(あとがき):2006/12/06(水) 21:05:31 ID:07k6C9k50
本スレの>>540
「ゆめみが感情持ってて涙流せて寂しがりやだったらなあ・・・・・・」
から妄想。
もうメチャクチャw
757名無しさんだよもん:2006/12/06(水) 21:19:24 ID:eHQZtnb/0
GJ!

むしろシオマネキに萌えた(ぇ
758名無しさんだよもん:2006/12/06(水) 22:23:45 ID:NV0EPpux0
GJ!!
ジェド豪士な屑屋とフチコマっぽいシオマネキに萌えたw

当然泣き虫なゆめみにもw
759名無しさんだよもん:2006/12/08(金) 06:42:49 ID:daFEDzu40
誰かゆめみ陵辱書いてー
760名無しさんだよもん:2006/12/08(金) 10:36:45 ID:HPijcf640
>>759
かなり前に誰か書いてたような?
761名無しさんだよもん:2006/12/08(金) 21:40:07 ID:IMDwka7j0
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1165581402.txt

思い切り趣味に走ってしまったので、今回は直接掲載にはしませんですた。スマソ

#陵辱ネタではありませぬ
762名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 06:10:23 ID:TrKz1MS60
ウィルスに犯されるゆめみはまだですか?
763やおい:2006/12/09(土) 08:09:06 ID:DNR8LHoEO
>>756
GJ!泣き虫なゆめみもかわいいなあ。
次回はぜひとも自律戦闘機械たちを主役に一筆…


>>761
斬新でよかった!ゆめみかっこいいなw
今度はバイクで(ry
764名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 09:48:50 ID:pw9fq3nN0
>>763

ゆめみさん、通りを歩いててコケるぐらいバランス感覚悪いからなぁ・・・
SCR5000xかSMR9700iでも使ってない限り、まっすぐ進めない希ガスw



逆に、SMR9700iなら鼻歌交じりで曲芸走行しそうな気もするがw
765Farewell 〜『星の人』異聞〜(1/5):2006/12/09(土) 15:59:30 ID:pw9fq3nN0
わたしたちは、いつものように先生のところへ急ぐ。
錆びついた鉄塔の脇を抜け、植物灯の光が漏れる畑の前を通り過ぎて、
村のはずれにある小さな家へ。

もう、先生は目を覚ましてる頃かな。

先生は、数年前に村の外から来た『星の人』だった。
週に一度のこの日を、わたしたちはいつも楽しみにしてた。
先生が、『ほしのゆめ』を聞かせてくれる、週に一度の授業の日。

でも、今日は違う。
わたしは・・・ううん、わたしもルブも、そしてヨツも、この日が来るのが怖かった。


だって、今日で星の授業も終わりだったから。

・・・そして、今日の授業が終わったら、先生は・・・・・・
766Farewell 〜『星の人』異聞〜(2/5):2006/12/09(土) 16:00:26 ID:pw9fq3nN0
「こんにちは、先生」
部屋の中にある、大きくて真っ白な半球形の傘の下で、先生はいつものように迎えてくれた。
「あら、レビさん、ヨブさん、ルツさん、いらっしゃい。お待ちしていましたよ」

先生は、いつものように安楽椅子(ロッキングチェア)に座っている。
半年前から、先生はずっとこの椅子の上。

―先生は、もうほとんど動けなくなっていたから。

先生の腰のあたりから黒いコードが延びて、村の外の発電風車から来るコンセントに繋がっている。
先生は、このコンセントからの電気だけで生きている。

―先生は、もう内蔵のバッテリーが駄目になってしまっていたから。


先生はいつもの青い衣装を着て、わたしたちに微笑みかける。
青い衣装はすっかり色褪せて、ところどころに綻びもできている。
帽子を飾ったリボンは、吸い込まれるような黒。
昔は、自分の意思でいろいろな色を出すことができたんだ・・・って、先生は言ってた。


「・・・さあ、それでは少し早いですが、皆様も揃いましたし、星のお話を始めましょうか」
ルツが立ち上がり、部屋の照明を落とす。
先生からの遠隔操作で、部屋の真ん中に置かれた投影機に光が灯り・・・

そして、部屋中に満天の星々が広がった。
767Farewell 〜『星の人』異聞〜(3/5):2006/12/09(土) 16:01:23 ID:pw9fq3nN0
・・・・・・

「・・・さあ、これでわたしの内蔵している番組は全ておしまいです」
涙でほやけて、先生がよく見えない。
ヨブもルツも、みんな泣いている。

「ほら、泣かないでくださいな・・・約束でしたでしょう?」
「だって・・・だって・・・・・・」

先生は目を閉じると、胸に手を当てて言った。

「わたしはもう、長い間稼動してきました。
 この世界が壊れてしまう前から、わたしはこうして『ほしのゆめ』を語ってきました。
 スタッフの皆様と別れ、屑屋のお客様と出会い・・・そうして、ここに来ました」

屑屋の人。
先生と一緒に、この村に来た人。
先生と一緒に、わたしたちに『ほしのゆめ』を語ってくれた、もう一人の『星の人』。
星のことは先生ほど詳しくなかったけれど、とても優しくて温かかった人。

その屑屋の人は、去年、先生を残して亡くなってしまった。

先生は、屑屋の人と一緒に眠りたいって・・・機能を停止したいって言った。
でも、屑屋の人は亡くなる前、先生に言ったんだ。

「あの子たちに、お前の持てる『ほしのゆめ』を全て伝えてやってくれ」・・・って。

だから先生は、こうして今までわたしたちに『ほしのゆめ』を語ってくれた。
悲しいのをこらえて、わたしたちのために。
768Farewell 〜『星の人』異聞〜(4/5):2006/12/09(土) 16:02:18 ID:pw9fq3nN0
「わたしは自分の使命を果たしました。あとは、あなた方に『ほしのゆめ』を託します。
 『小さいイエナさん』を・・・この投影機を使って、皆様に『ほしのゆめ』を伝えてあげてくださいね・・・」

「・・・先生・・・せんせい・・・・・」

わたしたちは、先生の膝にすがって泣いていた。
キシキシと小さな音を立てる腕で、先生がぎこちなくわたしたちの頭を撫でてくれる。


「・・・プラネタリウムはいかがでしょう?」

先生が小さな声で、歌うように呟く。

「どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき」

わたしたちの声が、それに続く。

「満天の星々が、皆様をお待ちしています・・・」
769Farewell 〜『星の人』異聞〜(5/5):2006/12/09(土) 16:03:03 ID:pw9fq3nN0
・・・・・・

村の外、屑屋の人のお墓の隣に穴を掘って、先生は埋葬された。
きっと先生も、本当の星が見えるところで・・・屑屋の人の隣で眠りたいに違いない、と思ったから、
だからわたしたちは、村の大人たちに無理を言って、ここに埋めてもらうことにした。

先生と屑屋の人の眠る、小さなお墓。
墓標がわりに立っている、屑屋の人の単装擲弾銃(グレネーダー)に、わたしは先生の帽子をかぶせた。
帽子についたあの黒いリボンが、強い吹雪に煽られて舞っている。

・・・先生は、屑屋の人のところへ行けたのかな?
ううん、きっと行けたよね・・・・・・

きっと、天国は一つだよね。


先生は天国へ・・・星空へと帰っていった。
わたしたちに『ほしのゆめ』を託して。

そしてわたしたちは、星の人になった。


- Fin. -
770Farewell 〜『星の人』異聞〜(あとがき):2006/12/09(土) 16:06:19 ID:pw9fq3nN0
何かがズレてしまった世界における、小説『星の人』のお話でした。




|彡サッ
771やおい:2006/12/09(土) 16:39:01 ID:DNR8LHoEO
ベッドで『慈しみ深き』を聴きながら読んだら本気で泣いた。
772名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 18:21:24 ID:VX+Pw973O
うぉぉぉぉ、まだ仕事中なのに、涙腺弛ませるような
いい話し書くんじゃねえ!!
GJ!!!
773名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 20:56:24 ID:6nKe3xSO0
SSを書こうと思ったんだ
月面着陸〜周年記念特別プログラムとか、さよなら冥王星プログラムとか・・・・

でも俺はプラネタリウムに行ったことがない、というか住んでる県内にない
どうすりゃいいんだ教えてプラネタリアン
774名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 20:59:13 ID:+2nLdUDb0
黒い雨傘に針穴を開けて光にかざす
775名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 20:59:38 ID:/RBTzmly0
既知だったらごめんね。プラネタリウム探しはここが便利。
http://www.planetarium.to/
776名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 21:04:12 ID:A98W+h2G0
県外へ行こう
777名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 21:09:56 ID:6nKe3xSO0
>>775
ありました、県庁所在地に1軒だけ。
ありがとうございます。
778名無しさんだよもん:2006/12/09(土) 21:57:43 ID:pw9fq3nN0
ネタとしては、「ホームスター・ポータブル」がなかなか使える。
「ファンタジーシアター」という番組が入ってる。
PSP持ってないと見られないのが難だけど。

779ゆめみの楽しみ(1/4):2006/12/10(日) 06:17:40 ID:j38xbKPt0
 お客様が買い物に出掛けたため、私は留守番です。今日はプラネタリウムも休みで、久しぶりの休日なのです。
「…対人センサー確認…半径500m以内に反応は認められず…」
 私は思わずにやついてしまいました。最近、お客様は私の身体に色々な機能を追加実装されています。私の
 表情がここまで複雑に感情表現出来るのも、そのおかげなのです。
「…もうこんなに…」
 私は立ち上がって下半身の着衣をめくり上げ、股間に装備されている人工女性器を指先で触りました。本来は
 料理に使うための鋭敏なセンサーが、人工女性器の温度・形状・質感を正確に伝達してくるのです。
「濡れて…んんっ」
 指先に陰核が触れた瞬間、私の頭脳に鋭い快楽が伝わってきました。耐え切れず、私の身体は大きく痙攣します。
 その震えのせいなのか、股間の谷間に満たされていた人工愛液が、太股を伝わらずに直接床へ落ちていきます。
 糸を引き…ぽたり、ぽたりと床を湿らせていく様を見ていると、お客様の言葉が思い出されます。

『お前の身体は、これで人間の女性と殆ど同じになった』

 果たして本当にそうなのでしょうか…私は椅子の座面に手鏡を置き、人工女性器の形状を自分で確かめられる
 位置に立ちます。そして、震える指先で股間に刻まれている溝をゆっくりと開いてみました。
「これは…」
 半年前、私が初めてお客様に抱いてもらった日…行為の直後に確認した時と比べ、”それ”の構造は実物に
 更に近づいていたのです。僅かに残された資料から探し出した、人間の女性器…外見は全く見分けがつきません。
780ゆめみの楽しみ(2/4):2006/12/10(日) 06:18:56 ID:j38xbKPt0
「では、中身は…?」

 快楽を感じる神経終末が集中する陰核の大半を覆っている、陰核包皮。資料によれば、この包皮は…
「んっ…ああっ…」
 陰核より少し上に指を添えた瞬間、熱くなった身体の芯に渦巻くような快感が満ちてきます。
「この部分を…こうやって…」
 お客様が時々食される枝豆の種をしごき出す要領で、陰核包皮が”剥かれ”た瞬間、紅く染まった陰核が完全に
 その顔をあらわしたのです。間髪おかず、陰核から快楽が雪崩のように襲いかかってきました。
「…あっ!! んんっ……くぅ…んん゛〜〜」

 あまりの快感に耐え切れず、私は思わずベッドの上に突っ伏してしまいました。熱く滾った人工愛液が、指の隙間から
 拭き出すのが判ります。それは太股を伝い、ベッドのシーツに大きな丸い染みを作っていきました。
「…っ…ああっ! はぁ、はぁ、はぁ…」
 筐体の放熱が始まり、呼吸が荒くなります。私は片手で陰核を押え続けながら体勢を整え、鏡をかざしてもう一度
 確認します。
「これ…が…人間…の…」
 以前にもまして本物と見分けがつかないリアルな小陰唇とその内側の組織に、私のイメージセンサは釘付けになり
 ました。まるで、私と違う”生き物”がそこに蠢いているようで…私に『もっと玩んで』とせがんでいるように見えました。
「待ってて…今から…もっと触ってあげますから」
 私はベッドの上に予め置いていた、ピンク色の棒状のゴムを手に取りました。これは一週間前にマーケットで見つけた
 もので、お客様にも内緒で私が購入したものです。なぜならそれは、世界が壊れる前…人間の女性が自らの行為で
 快楽を得る際、その効果を倍増させるものだったから…これもネットで手に入れた情報なのですが…。
781ゆめみの楽しみ(3/4):2006/12/10(日) 06:19:28 ID:j38xbKPt0
「情報によれば…これを…私の人工膣に挿入して…」
 そのゴムの形状は、人間の男性器を模した形をしています。もっとも、あくまでも形状が似ているというだけで…その
 表面には様々な突起物がついています。特に陰核に当たると予測される部分には、大きな突起。そしてその突起の先は
 鮫肌を思わせるようにざらついた加工がされています。
「ここを押し当てて……んっ!? あああっ!! んんぁあうっ!!」
 単純な数値だけで比較すれば、お客様に抱いていただいている時以上の快楽が私の頭脳に押し寄せてきました。
「そんなっ…あふっ!!」
 人工唾液が口腔から流れ始めます。過大な快楽を最優先で処理するため、全身の液体分泌制御の優先順位が最小値に
 変更されてしまったようです。本当ならここで自慰行為を止め、優先順位を変更しなければならないのですが…私の手は
 更なる快楽を求め、激しく動き始めたのです。
「んあ゛っ!! いや…だめぇ…んんっ!!!」
 しゅっ、しゅっとかすかな音を発し、股間から冷却液が排水されているのが視界に入りました。もう片一方の手で股間を
 抑えようと試みましたが、私の意志とは全く違う動きをした手の平はそのまま乳房を揉みしだき始めます。
「あうぅ…んっ…あっ……んんっ…あんっ…んっ!」
 私の筐体に設定された年齢の割には小さめの乳房を、ただひたすら揉む私の手。指先はそそりたった桜色の突起をつまみ、
 こりこりと玩んでいます。
「うぅ…止まら…な…ああんっ…んっ…」
 私の意識制御の機能は、増加し続ける快楽と反比例して低下していきます。
「んぁ…あっ…もう…だめ…意識…維持不可…んっ…あっ」
 私の身体は、完全に快楽優先の動作となっていました。霞む視界…白くなっていくイメージセンサ…
「い…っ…あっ…あはぁ…んんっ…ん゛あっ……ああああああああっ!!!!」
 これが私がその時に発した、最後の声でした。
782ゆめみの楽しみ(4/4):2006/12/10(日) 06:20:30 ID:j38xbKPt0
この後、過負荷でシステムダウンした私はお客様に発見され…無事に再起動することが出来ました。しかし、お客様には
大変長い時間叱られてしまい、ゴム状の棒も没収されてしまいました。でもその後、お客様に抱いていただけけたので
後悔はしていません。お客様曰く、『愛のない自慰など、自然な行為には遠く及ばない』とのことで…私もそれを充分感じた
次第でありました。

(終わり)
783ゆめみの楽しみ(あとがき):2006/12/10(日) 06:21:27 ID:j38xbKPt0
久々に直球エロが書きたくなって投下しました。反省はry
784名無しさんだよもん:2006/12/10(日) 10:37:59 ID:Y9JWPCkS0
直球キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!


屑屋が結局いただいてるのにワロタ
785名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 00:39:46 ID:jV5pEPIp0
しかし、なんだな。

>>781
>単純な数値だけで比較すれば、お客様に抱いていただいている時以上の快楽が私の頭脳に押し寄せてきました。
>>782
>お客様曰く、『愛のない自慰など、自然な行為には遠く及ばない』とのことで…


・・・屑屋、バイブに対抗意識剥き出しだなw
786名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 01:04:06 ID:ymsLBiRT0
その記憶をメモリーチップに乗せて宇宙へ送り出されたゆめみ。

彼女が、再び目を開けることが来た。


しかしそこは、進化した直立猫が、人間の文明を維持している猫の惑星だった!!



なーんて、某男性少女漫画家の作品とのクロスが最近頭に焼き付いてはなれません。
787名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 01:27:13 ID:jV5pEPIp0
>>786

クレヨンで「ひろってください」と書いた段ボール箱の中で、じっと次のご主人様を待っているゆめみを連想して泣けた。


クリスマスかわいいよクリスマス
788名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 02:00:21 ID:jV5pEPIp0
つ【ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1165769512.jpg

屑「・・・ふむ、どうやらうまく動いてるようだな」
ゆ「お客様・・・この筐体は?」
屑「違和感があるか?」
ゆ「はい・・・補正可能なレベルですが、動作命令に対してごく僅かながら動作遅延が見られます」
屑「むう、それはさすがに勘弁してくれ。コンバータを噛ませているからどうしてもな」
ゆ「?・・・コンバータ、ですか?」
屑「実は、その筐体はパタゴニアの教会で見つけた『モデルアハトノイン』なんだ。 さすがに前と同じ筐体は見つからなくてな・・・」
ゆ「アハトノインといえば、ドイツ製の高級機種ではありませんか!さぞかし、お値段も張ったでしょうに・・・」
屑「いや、この世界ではもはや値段もなにもないだろ」
ゆ「そうでしたね・・・んっ」
屑「何か苦しそうだな・・・大丈夫か?」
ゆ「いえ、不具合ではありませんので・・・ただ・・・」
屑「ただ?」

ゆ「以前からのこの衣装ですと、胸郭周りが締め付けられて若干苦しいです・・・」
屑「むう、それも勘弁してくれ。なにせ、前のお前の身体とは、バストサイズが段違いだからな。ははは」

ゆ「・・・・・・(なんだか、複雑な気分です・・・orz)」
789Binary 第11章「Waiting」(1):2006/12/11(月) 03:49:15 ID:MhJSpL1c0
「…すまんが、ちょっとそこの店に行ってくる。すぐ戻るから、ここで待っていてくれ」
隣を歩いていたあの人がわたしに言う。
「はい、承知しました。ここでお待ちしております」
わたしは、あの人に軽く頭を下げて承知の意思を示した。

旅の道中の途中で立ち寄った、地図にも載っていない小さな街。
わたしのデータベースにも載っていないことを考えると、最近になって出来た集落なのだろうか。
少しの間、外れの空家に逗留することにしたわたしたちは、街の様子を見に二人で外出した。
ちょうど交易商が市を開いているらしく、中心部は人間の皆様の活気に満ち溢れている。
あちこちから届く呼び込みの賑やかな声、物々交換の交渉の怒号、大音量で響く笑い声…。
ここしばらく人里を離れた街道を通っていたので、これだけの人を見るのは久しぶりだ。
人恋しい、と言うわけではないけれど、やはりたくさんの人間の皆様がいるのを見るのは何となく嬉しい。

あの人に言われたとおり、わたしは店の前であの人が出てくるのを待つ。
レインコートに落ちる雨粒が、パタパタとけたたましい和音を奏でる。
最近は、やっとレインコートを着るのにも以前ほど抵抗はなくなってきた。
脚部ユニットの放熱が滞ってしまうことだけはいまだに問題だけど…。
790Binary 第11章「Waiting」(2):2006/12/11(月) 03:51:00 ID:MhJSpL1c0
あの人が店内に入ってから、わたしの内蔵時計で5分経った。
でも、まだあの人の姿は店の外にはない。

…10分経った。
でも、状況に変化はない。

……15分。
…やはり、あの人は出てこない。

そういえば、あの人は肝心なことを言っていなかった。
わたしも、そのことは聞かなかったのだけど。
「そういえば、『すぐ戻る』というのは、どのくらいの時間なのでしょう?」
誰に言うでもない独り言を呟く。
そんなわたしの独り言を聞いていたわけではなかったのだろうが―。

「姉ちゃん、独りか?」
すぐそばで、声がした。
あの人の声ではない、声帯が潰れたような濁声。
声がした方向に、一動作で振り返る。
そこにいたのは、わたしの1.5倍はありそうな身長と肩幅の大男の方。
軍用払い下げの分厚い外套に覆われていて正確な体格はわからないけど、あの人と比較しても
その体躯は並外れている。
フードを被っていない浅黒いスキンヘッドから、雨のしずくが川のように顔に流れ落ちていた。
「はい、今は独りです。ここでお客さまをお待ちしております」
791Binary 第11章「Waiting」(3):2006/12/11(月) 03:52:31 ID:MhJSpL1c0
「…お客様?」
大男の方の影から、もうお一方出てくる。
中肉中背、体格的にはあの人と大差ない方。
この方も、大男の方と同じ外套を着込んでいる。
そのフードの下からのぞく目は、あの人とは違った、どこか冷たい輝き。
その目が、わたしの頭頂部から爪先までを何かを値踏みするかのように見る。
「…ロボットか。まだ動いている奴がいたのか」
「はい、ロボットです」
投影にいらっしゃる方々を迎える時と同じ笑顔で答える。
「お客様と言っていたな。こんなところでポン引きの手伝いか?」
「あの、大変申し訳ありませんが、『ポン引き』というのは、どのような意味なのでしょうか?」
わたしの基本データベース、および蓄積データベースには記録されていない言葉だ。
「まあ何でもいい。こんなところで客引きするより、俺たちがもっといい方法を教えてやるぜ」
大男の方が言う。
「あの…、何をおっしゃっているのか、よくわからないのですが…」
「なら単刀直入に言ってやろう。俺達と来い。どうせロボットなんだから、人間の命令には逆らえないだろう?」
冷たい目の方が、私の疑問に答えることなく言った。
「わたしはこの場所でお客さまをお待ちするように言われています。申し訳ありませんが、その命令には
従うことは出来ないと考えます」
この方々は、一体何を言っているんだろう?
わたしは、店内に入ったあの人を待っているだけなのに…。
「意外と強情な奴だな。言うことを聞かないなら…力づくで連れて行くまでだ!」
大男の方が、わたしの肩口に向かって手を伸ばす―。
792Binary 第11章「Waiting」(4):2006/12/11(月) 03:53:58 ID:MhJSpL1c0
―ゆめみちゃん、ちょっと筐体を借りるわよ―
(ポーラさん?)

次の瞬間、筐体はポーラさんの手の内に入った。
わたしはポーラさんの五感を通じて状況を傍観するだけ。
感覚はあるのに自分の身体が自分の意志で稼動できない、もどかしさが残る。
(ポーラさん?一体どうなさったんですか?)
何がどうなっているのか、状況がよくわからない。
―事が済んだら、筐体のコントロールはあなたに返すわ。それまでそこで見てなさい―
その口調は、いつものやさしい「姉」としての口調とは少し違う。
声音はいつものポーラさんと変わらないけど、どことなく威圧感のある、有無を言わせない圧力を感じる。
あんな「お姉さん」は初めてだった。
(…はい、承知しました)
きっと何か考えがあるんだろう。
わたしは素直にその言葉に従った。

―大男の方の手が「わたし」の肩口に触れる直前、

「ふっ!」
掛け声ともつかない声を発し、「わたし」の両手が大男の方の手を巻き取るように掴む。
そのまま大男の方の前で屈みながら反転し、一気に腰を上方に突き上げる。
「ぅおおっ!?」
腰に乗った大男の方の体重が消えると同時に、「わたし」の視界の上方からまるで鳩が豆鉄砲を
食らったような表情をした大男の方が雨粒と共に降ってきた。
バシャッ!
そのまま目の前の水溜りに背中から叩きつけられる。
「…あ……がはっ…」
大男の方は泥濘の中、背中を抑えて悶絶している。
793Binary 第11章「Waiting」(5):2006/12/11(月) 03:55:36 ID:MhJSpL1c0
(あの、大丈夫ですか?)
大男の方に声を掛けるけど、わたしの声は実際には空気を振動させてはいない。
―静かにして。大丈夫。丁重にお帰り頂くだけだから―
ポーラさんの冷静な声がわたしに届く。
(今のは、一体なんでしょうか?)
―一本背負い。この国伝統の格闘技の技のひとつよ。不意を突かれて受け身を取っていないから、
もしかしたら肋骨の1本くらいは折れているかもね―
(そうなんですか。以前接続しましたネットワークにもなかったものです。ただいまわたしの
蓄積データベースに登録しました)
―さて、あと一人。今は意表をついたけど、今度はそうはいかなそうね。少しだけ本気を出すわよ―
「わたし」の目は、もう一人の冷たい目の方に向いていた。

「……お前、軍用か?」
信じられない、といった表情で何とか搾り出された、心底驚いたような呆気に取られたような声。
「申し訳ありませんが、おっしゃっていることの意味がよくわかりませんでした」
小首を傾げながら答える。
わたしの言葉と行動ではない。
「お姉さん」だ。
わたしがいつも使う言葉の言い回しと仕草。
でも、あの冷たい目の方には何かお気に入らなかったらしい。
「…こいつ…。商品を傷つけるのはマズいが、しょうがない…」
外套の懐に手を入れる。
再び出てきたその手に握られていたのは、何か大きな刃物。

(あれはなんでしょう?)
―軍のサバイバルナイフね。どこの軍人崩れなのか…―
(失礼ですが、軍人崩れ、と申しますと?)
―後でゆっくり説明してあげるわ―
(はい、承知しました)
794Binary 第11章「Waiting」(6):2006/12/11(月) 04:51:28 ID:MhJSpL1c0
「このっ!!」
巨大なナイフの切っ先が、「わたし」に向かって雨中に閃く。
「…」
ヒュン!
刃先がフェイスマスクに届く寸前、半歩身を後方に下げる「わたし」。
標的を失った刃先は、目の前に一本の直線を描く。
「くそっ!!」
空振りによろけながらも体制を立て直し、冷たい目の方は今度はナイフを突き出してくる。
もしあれが筐体に刺されば、いくらロボットとはいっても只では済まない。
「…」
ナイフから発せられる、空気が切り裂かれる悲鳴。
冷たい目の方が繰り出す突きを、「わたし」は右に左に半身になってかわし続ける。
何回か突きをかわされた頃、正対する冷たい目の方の動きがわたしにもわかるくらい目に見えて鈍くなってきた。
―そろそろね―
あくまでも冷静なポーラさんの声が頭に響く。
「おおおっ!!」
それに呼応するように、冷たい目の方のナイフがこちらに伸びてくる。
「はっ!」
声と同時に、一歩踏み出す。
「わたし」の右手がそれに向かって伸びる。
切っ先をぎりぎりでかわし、手首を掴み、すぐにわたしが行使し得ない握力を加える。
掴まれた手が不自然に開き、ナイフが突きの時の慣性で放物線を描いて放り出される。
同時に反転、懐に背中から飛び込み、残った左手の肘が後方に突き出された。

「おごっ!?」
背後で、息が詰まったような声がする。
「わたし」の肘は、的確に冷たい目の方の肝臓を打ち抜いていた。
795Binary 第11章「Waiting」(7):2006/12/11(月) 04:53:30 ID:MhJSpL1c0
手を離し、もう一度目の前の方と正対する。
「……んん…、ぐうう…」
…冷たい目の方は、両膝を地面について胸を押さえてうずくまっている。
「ふう…」
「お姉さん」が、ため息をひとつついた。

(あの…、大丈夫ですか?)
聞こえないとはわかっていても、声を掛けずにはいられなかった。
―ゆめみちゃん、本当にあなたって子は…。まあ、それがあなたのいいところなんだけど―
どこか達観したような口調の、ポーラさんの声がする。
(今のは、なんでしょう?)
―軍や警察機関で習う護身術のひとつよ。対人戦闘用ドロイドのために少しアレンジしてあるけどね―

…そんな会話を頭の中で交わしている間に、先程の方々の姿はいつの間にか消えていた。
そういえば「覚えてろ」と言う濁声が聞こえたような気もするけど、フードに叩きつける雨音でよくわからない。

―さっきの連中は、おそらくブローカーか何かね。あなたを連れて行ってどこかに売り払うつもりだったようね―
待ち合わせの場所に戻ったわたしに、「お姉さん」が語りかける。
あれからすぐに、最初に言ったとおりポーラさんは筐体のコントロールをわたしに戻してくれた。
(悪い方々だったのですか?そうは思えませんでしたが…)
―推測よ。会話を聞くに、あながち間違っていないと思うけどね―
796Binary 第11章「Waiting」(8):2006/12/11(月) 04:55:41 ID:MhJSpL1c0
(そうなんですか。ところでポーラさん、あの力は、本来この筐体に備わっているものなのですか?)
―ええ。あれでもまだピークパワーとレスポンスの30%位よ。私のコードネーム"Polaris"は、軍用の実験に
供されてきた時からのコードネーム。あなたも知ってのとおり、"Polaris"は、天の北極に一番近い恒星。
開発陣の「並び立つもののない高機能と耐久性を」という熱意の込められた名前。そして、私は実際に
その名のとおりの性能を有した存在として産みだされた。そう、多少のデチューンでは対応できない程にね…。
でもね、この軍用としての機能を使えるのは私だけに留めておきたいの。決して自分のためとかなんかじゃない。
ゆめみちゃん、あなたを守る時だけに使いたいのよ。もちろん、あなたには絶対に使わせたくない。あなたには
人を傷つけて欲しくないから…。あなたには、私と同じ思いを絶対にして欲しくないから……―
届く声が、だんだん涙声になっていく。
(ポーラさん…)
胸が詰まる。
過去にポーラさんに何があったのか、詳しく知ることは出来ない。
でも、とても辛いことがあったんだと思う。
人には話せない、辛いことが…。
―ごめんなさい…。いきなりこんなこと言い出して、びっくりしたでしょうね…。でも、最近思ったの。
あなたの中に私がいることは、本当はいけないことじゃないかって。余計なお節介なんじゃないか、って…。
私がいなければ、筐体の力や機能の大半を眠らせておくことが出来るから…。でもね、これだけは分かって。
あの時、あなたの「意識」、彼や人間に対する「想い」に触れて、私はお節介でもいい、何とか「妹」の力に
なってやりたいと思ったの…。でも結局、私はあんなことしか、あなたにしてやれない…。ごめんなさい……―

わたしと同じ姿の「お姉さん」が、すすり泣いている。
わたしのことを、本当に大切に思って…。
797Binary 第11章「Waiting」(9):2006/12/11(月) 04:57:31 ID:MhJSpL1c0
(…ポーラさん、泣かないでください。決してお節介などと思っていませんから)
―…ゆめみちゃん?―
(わたしは、本当に感謝しています。この筐体のこと。あの人を助けてくれたこと。そして今日、わたしを
助けてくれたこと…。きっと、わたし一人では何も出来なかったと考えます。ポーラさんのお力があったから、
アドバイスがあったから、わたしはここまで来ることが出来ました。そして、これからもあの人と歩みつづける
ためには、ポーラさんの存在はわたしにとって不可欠であると考えます。これは、わたしからのお願いです。
お姉さん、お姉さんさえよろしければ、また色々なお話を聞かせていただきたいんです。そして、わたしの色々な
話や疑問を聞いていただきたいんです。それから、もし今日のような事態に遭遇した時は、遠慮なくわたしを
助けてください。わたしはお客さまやお姉さんの助けなしでは、とても弱い存在ですから…)
―…本当にありがとう…。ゆめみちゃん、あなたって本当に優しい子ね…―
(いいえ、わたしの方こそありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします、お姉さん…)
頭の中で、「お姉さん」に向かって深々とお辞儀する。
―…わかったわ。それじゃ改めまして、こちらこそ宜しくね、ゆめみちゃん―
対峙する「お姉さん」が、わたしに向かって頭を下げていた。

………
……


「すまなかったな。交渉が予想以上に長引いちまってな…。何かあったか?」
内蔵時計がちょうど1時間を示した頃、やっとあの人が店先に現れた。
「はい、特に変わったことはございませんでした。道行く方々に声は掛けられましたが」
「そうか…。今度からは出来る限り、お前もそばにいたほうがいいかもな。今日みたいに予想外の時間を
取られることもないわけじゃないだろうし」
「はい、承知しました」
「じゃ、帰るぞ」
「はい」
798Binary 第11章「Waiting」(10):2006/12/11(月) 04:59:16 ID:MhJSpL1c0
「…お客さま、ひとつお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」
歩きながら、あの人に尋ねる。
「何だ?」
「はい、『ポン引き』とは、一体どういった意味なんでしょうか?」
―あ、余計なことを…―
「…お前、そんな単語、どこから仕入れたんだ?」
どことなく顔を紅潮させながらあの人が聞き返す。
「はい、道行く方のお一人が、私を指しておっしゃっておられました」
「…忘れろ。覚えておく必要はない」
即答された。
「そうなんですか…ただいま、登録前一時保存ファイルより当該単語を削除しました」
―ほっ…―
頭の中に、ポーラさんの安堵のため息。
…わたしは何か、変なことを聞いたのだろうか?

わたしたちは、今日の逗留先へ向かって歩を進める。
わたしと、あの人と、「お姉さん」の「3人」で―。
799 ◆JENA/hfgHs :2006/12/11(月) 07:40:31 ID:MhJSpL1c0
最後の最後に寝落ちしてしまった…orz
第11章アップにつき、投下致します。

「ゆめみさん」と「ポーラさん」が意識的に入れ替わる話はずっと考えてました。
もう少し軽いギャグチックな話にする予定だったんですが、どこで間違えたのか
結局終えてみればいつもと同じ感じになってしまいました。
内容そのものも、もう少し煮詰めが必要だったかもしれない…orz
申し訳ありません。
それでもよろしければ、読んでやってください。

これとは別に、もう1本書いています。
そちらはもう少ししたら掲載できると思います。
もうスレ容量が480KB近いですので、次スレへの掲載になりそうですが。
800名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 08:26:50 ID:DIhaL9kK0
>>799

Binaryキターー!
ポーラさん、かっこいいですな。


メモリチップのない「意識だけの存在」であるはずのポーラさんが、
SCR5000xの筺体をコントロールできる謎にちょっと興味が。
801矢追:2006/12/11(月) 11:39:46 ID:b9BNsP22O
イエナさんGJです!
ポン引き(春を売る人ですよね?)…私の出身地では『パンパン』『パン助』などと言われてますが。
由来はもちろん、肉のぶつかる音や下着から来ています。
昔は手を叩いて呼んでいたことも由来の一つらしいですね〜。


私もそろそろ書かねば…
802名無しさんだよもん:2006/12/11(月) 12:40:24 ID:AR3yeUoV0
やおいさん、>>801再ゲトおめw
お身体大丈夫ですか?新作期待してます。
803名無しさんだよもん:2006/12/12(火) 14:11:41 ID:RyRsEn/9O
JENA氏GJ!ゆめみにポン引きされたい…
804名無しさんだよもん:2006/12/12(火) 14:45:44 ID:/NH/ACzR0
いやだいいやだい、ゆめみさんは清純派なんだい!w
805やおい ほしのゆめ号第四話:2006/12/12(火) 21:20:50 ID:RyRsEn/9O
―――赦して下さい。
過去を、今を、未来を、人間を、機械を、知性を、欲望を、この星を、生命を、この世界を。

―――あなたを、赦しましょう。
例え  が  ていても。


彼女はいつか聞いた鐘を耳にした。
金色の両眼に映し出される赤銅色の砂漠、緋色の空と鈍色の雲…そして黒い雨。
文明は軍靴と焔に消えて久しく、錆びたビル群と朽ちた兵器…そして炭化した人々の屍が遺された。

それらを見渡し、胸元で十字を切って彼女は優しく呟く。
―――あなたを、赦しましょう。
何千、何万と繰り返された行為。

天国を見つける。それが彼女へ創造主から与えられた願い。
806やおい ほしのゆめ号第四話:2006/12/12(火) 21:22:26 ID:RyRsEn/9O
そして『それ』は現れた。
世界最終戦争勃発の地に降り立った『それ』はあまりにも滅びた世界に不釣り合いで、滑稽でもあった。

星空から現れた列車は彼女の前に客車が来るように停車して、しゅうと蒸気を吐き出す。
彼女がドアに近付くとガラリと開き―――

バタン!となにかが倒れてきて地面に顔面から突っ込んだ。
慌てて起き上がった『車掌』はパタパタと埃を払うと猛烈な勢いで頭を下げだす。

「申し訳ございませんっ!車掌にあるまじき失態、本当に本当に、申し訳ございませんっ!」

涙を流して謝る車掌を優しく撫で、涙と鼻水だらけの顔を法衣で拭いてあげる。
そして金色の瞳と金色の髪の修道女は小さな車掌の眉間にキスをし、かすかに笑みを浮かべて答えた。

―――あなたを、赦しましょう。

それは、とても優しい笑顔だった。
807やおい ほしのゆめ号第四話:2006/12/12(火) 21:26:25 ID:RyRsEn/9O
今回はひたすら殺伐とした雰囲気を出そうとしてみましたがどうでしょうか?
様々な描写や説明を省いたので分かり辛かったらすみません。

補足するなら、赤銅色の砂漠は錆の砂漠、世界最終戦争勃発の地は言わずとしれたイスラエルはメギドの丘です。
808名無しさんだよもん:2006/12/12(火) 21:35:17 ID:AqabKpQr0
渋い・・・・・渋すぎる・・・・・GJ.
809名無しさんだよもん:2006/12/13(水) 06:46:24 ID:AvwT0gAXO
アハトノインさんかっこよすぎw
俺もこんなお姉さんにキスとかそういう機能で(ry
810名無しさんだよもん:2006/12/13(水) 09:21:41 ID:gKxAYCn00
>>805

山口百恵の「美・サイレンス」ktkr

いや、この場合はワイルドカードか
いずれにせよGJ!
811名無しさんだよもん:2006/12/13(水) 19:34:54 ID:AvwT0gAXO
それぞれの詳細求む
812名無しさんだよもん:2006/12/13(水) 19:41:21 ID:1CqA5sj50
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1104993429/l50
ここ盛り上げてやってくれよ
813名無しさんだよもん:2006/12/13(水) 23:43:32 ID:ETWwbBlV0
>>812

そこ気にはなってるんだが、プラネ以外一切やってないからキャラ知らんのよね。うぐぅ。
814名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 00:48:15 ID:mjfXftb60
>>811

アンカーキボンヌ
815811:2006/12/14(木) 06:32:54 ID:rBZ2dgY5O
>>810だ。ググってもよく分からなかった
816名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 09:00:32 ID:4q8FrNLd0
>>815
>>810ではないが
>>805の文中の

>例え  が  ていても。

と、「美・サイレンス」の歌詞中の

「あなたの〜      が欲しいのです〜♪」

を掛けて言っているのではないかと。
ワイルドカードは知らん。
817810:2006/12/14(木) 09:32:57 ID:hf65DtGm0
>>816氏フォローdクス。カブタけどせっかく作ったので投下。
------------------------------------

「・・・お客様、その歌は?」
「ああ、6階のAVソフトコーナーで見つけたんだ」
手回し式の発電機で動かしているDVDプレイヤーから、若い女性歌手のハスキーな歌声が流れている。
「山口百恵・・・と書いてあるな。20世紀の終わり、昭和の時代のカリスマシンガーだそうだ」
「その歌手の方のお名前は聞いたことがあります。館長さんがお好きで、よくカラオケで歌ってらっしゃいましたから」
「ほう」
「・・・ただ、館長さんの歌唱は音階に著しく不整合がありましたので、このような曲だったとは存じませんでした・・・」
意外です、というような顔をするゆめみ。思わず笑いがこみ上げてしまう。
「以前、この方の持ち歌を検索したことがありますが、なんとも多才な方でした。
 演歌からロックまで、ジャンルを問わず歌唱され、しかも全て大ヒットしておられます」
俺は曲のジャンルはよくわからないが、確かに他のシンガーと比べ、曲調やテンポがバリエーションに富んでいるのはわかる。

『♪あなたの・・・が欲しいのです  燃えてる・・・が好きだから♪』
曲がサビに差し掛かったところで、その歌声「だけ」が一瞬途切れた。
「・・・あら?このDVD、不良品でしょうか?」
「いや、そういうわけじゃないみたいだな。あえて口パクにしてるらしい。まあ、一種の演出だな」
「演出・・・ですか?」
「当時は『何と歌っているのか』と話題になったらしい。人気歌番組で、字幕で種明かしをして一件落着、だったそうだ」
「そうですか・・・唇の動きで、なんとか解読できましたが・・・」
意外なところで高性能な奴だ。

「・・・ところで、お客様?」
「なんだ?」
「      」
ゆめみの口が、声を発さずぱくぱくと動いた。・・・だが俺は読唇術などできないので、辛うじて母音ぐらいしか判別できない。

「・・・『あいえあう』?何のことだ?」
「ふふっ、内緒です」
ゆめみはそう言って、悪戯っぽく笑った。
818810:2006/12/14(木) 09:42:47 ID:hf65DtGm0
んで、ワイルドカードのほうはコレ。
つ【ttp://www.pc-view.net/word_id-0162.html
知っているとなにかと便利だが、Windowsやファイル検索がある今ではあまり意味がないw
DOS(コマンドプロンプト)では、特定のファイルだけリストしたり削除したりするのに便利。


「例え * が * ていても。」

ということでひとつ。
819815:2006/12/14(木) 10:29:47 ID:rBZ2dgY5O
>>816-818
両人ともサンクス!やおい氏はなにか意図があったのかな。
あの場面で入るとしたら一つしかないと思うが、どうだろう。
>>816でゆめみが何を言ったか分からんかった…orz
820名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 10:33:19 ID:rBZ2dgY5O
訂正。
>>817でした。

考えたら>>805もいろんな言葉が入りそう。
821810:2006/12/14(木) 12:17:44 ID:hf65DtGm0
>>819

正確には『あいいえあう』と口を動かしたんだけど、
屑屋には『いい』が繋がって見えた模様。
822名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 12:25:01 ID:rBZ2dgY5O
ton。
ゆめみいいこだなw
823名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 12:46:02 ID:Tug+VmwaO
携帯から鳥なしの名無しで失礼します。
先日投下いたしました「Waiting」ですが、ゆめみさんとポーラさんの
セリフ回しを中心に加筆訂正を加えました。
スレ容量が心許ないので、ろだにtxtでうpします。
4号 8197 PASSはyumemiです。
もしご要望がありましたら、次スレに改めまして投下いたします。

出先からですので取り急ぎ申し訳ありません。それでは失礼致します。

824名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 12:55:16 ID:JrxOlUBG0
>>823

イエナ氏乙。
もう間もなく次スレだし、新スレ一発目に訂正版を乗せてもいいと思う。
てか、連載作品は、次スレ移行時にあらすじと前スレの最終話を載せるようにしたほうが
新参の住人に優しいかもしんないな。
825名無しさんだよもん:2006/12/14(木) 21:11:41 ID:rBZ2dgY5O
やおい氏の作品はあらすじとかあるのか?
826名無しさんだよもん:2006/12/15(金) 09:14:01 ID:wqw37n200
>>825

主な登場人物の紹介とかは必要だろうね。
このスレでも、登場人物の紹介は出ていたはず。
827名無しさんだよもん:2006/12/15(金) 12:40:26 ID:R1vJcnLv0
そろそろ次スレ立てるべきかな?
普段の流れは遅いけど、SS来ると一気に容量食うからタイミングが掴めない。
828名無しさんだよもん:2006/12/15(金) 14:23:25 ID:xbundNB+O
いまいち容量云々がわからないんだが
829名無しさんだよもん:2006/12/15(金) 14:42:04 ID:yU51h8Fq0
スレの最大容量が確か500KB。
現在のこのスレの容量が489KB。

Binaryクラスの容量のSSが投下されたらおそらくスレストになると思われる。
830名無しさんだよもん:2006/12/15(金) 15:23:17 ID:IIBW3AQX0
>>829

屑屋
「まずいな、最大は512KBだとばかり思ってたぜ・・・
 帰ったらスレ立てを試みるが、もし代わりに立ててくれる住人がいればフォロー頼む」
831830:2006/12/15(金) 21:12:45 ID:vLbgVCrV0
屑屋
「よし、立ててきたぜ」


【SS】ほしのゆめみスレッド 3【CG】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1166184569/


ゆめみ
「・・・スレを立てられた方とお客様のIDが、違うように見受けられますが・・・」
屑屋
「PCで使ってるISPから立てられなかったんでな。PDAから立ててきた。やれやれだぜ」
832名無しさんだよもん:2006/12/16(土) 10:40:49 ID:/cTBbxXy0
新スレ立ったので埋め埋め。

ゆめみ
「・・・わたしのこの筐体は、力仕事には適していないのですが・・・ぶつぶつ(ザックザック)」
屑屋
「ほら、文句言わずに、さっさと埋めるんだ(ザックザック)」



ゆめみ
「『THEガッツ!』タイプの筐体があれば、380%以上の効率増が見込めるのですが・・・」
屑屋
「・・・それだけは勘弁してくれ」
833名無しさんだよもん:2006/12/16(土) 12:11:41 ID:uT95khiC0
このスレじゃなくて

別の何かを埋めているように思うのは、気のせいでしょうか?
834名無しさんだよもん:2006/12/16(土) 14:35:47 ID:I2wQczeS0
>>833

屑屋
「・・・そ、そんな事はないぞ、うん」



ゆめみ
「・・・あの、お客様。わたしはこの方のお名前を存じ上げていないのですが・・・」
屑屋
「(ギクッ!!)」
ゆめみ
「墓標には何と記せばよr・・・むぐぐっ」
835Intermission番外編『Colony』(1):2006/12/17(日) 04:40:38 ID:+sIlTuo40
わたしたちは、高台からそこを見下ろしていた。


雨煙のその先に見えるのは、つい先日まで逗留していた居住地域。
今は人の気配はなく、不気味なほどに静まり返っている。
つい昨日まで、本当に人間の皆さまが住んでいたのか疑わしく思えるくらいに。
そこの営みの中にわたしたちも昨日まで身を置いていた事すら、幻のように思える。



あそこに住んでいた皆さまは、一体どこに行ってしまわれたのだろう。



あの人は言っていた。
「ここに住んでいる人は全員で他の居住地域に移るらしい」と。
だから、このこと自体は別に驚くには値しないことではある。


でも、ほんの少しの滞在だったとはいえ、わたしはこの居住地域に言い知れぬ居心地のよさを感じていた。
見知った方がいるわけではないのだけど、でも誰もがまるで知り合いであるかのような感覚。
どこか懐かしく、全てがとても温かい、そんな感覚。
いろいろな居住地域を回ったけれど、こんな感覚になることはなかった。
今思えば、本当に幸せなひと時だったように思う。
836Intermission番外編『Colony』(2):2006/12/17(日) 04:42:30 ID:+sIlTuo40
「お客さま?」
わたしの隣に立つあの人に声をかける。
「何だ?」

「また……、あの街の方々に、会えますでしょうか?」

自分でも何を言っているんだろうと思った。
あの方々がどこに行ってしまったのか、わたしたちは何も知らないのだから。
でも、あの人はこう言ってくれた。

「ああ、きっと会える」

「そうなんですか? わたしにはあの街の方々がどちらに行かれたのか分りません。お客さまはあの方々の行く先をご存知なのですか?」
「いや、知らん。だがな、何となくまた会える気がする。それも近いうちにな」
わたしの肩にあの人がそっと手を置きながら言う。

「そうですか」

根拠はないのかもしれない。
でも今は、あの人の言葉を、わたしは信じたい。


「そろそろ行くぞ」
あの人がトラックに向かいながらわたしに声を掛ける。
でもわたしは、その場から離れ難かった。
「お客さま、申し訳ありません。もう少々お待ちいただけますでしょうか?」
「どうした?」


「あの街のことを、しっかりと見ておきたいんです。いつまでも、胸に残しておくために……」
837 ◆JENA/hfgHs :2006/12/17(日) 04:58:11 ID:+sIlTuo40
新スレ以降ということで、今の自分の心境をゆめみさんに代弁してもらいました。
あくまでも『番外編』です。

投下を始めた時は、ここまでの長丁場になることは予想していませんでした。
でも、前スレよりここまで自分の出来る精一杯をその都度投下してきたつもりです。
このスタンスは、今も変わっていません。
そして、これからも変わらないと思います。

自分の文章を受け入れてくれたこのスレと、読んで下さった住人の方々に最大級の感謝の気持ちを込めて……。
本当にありがとうございました。

次スレでも、よろしくお願いいたします。
それでは、失礼いたします。
838名無しさんだよもん:2006/12/17(日) 09:35:42 ID:Kn+VAUZq0
『何かがズレてしまった世界・Intermission 〜Colony - Junker side〜』
-------------------------------------
・・・ゆめみは俺の隣で、名残惜しそうに街を見下ろしている。

本当のことを言えば、俺は彼らの行き先を聞いている。
だが、彼女には伝えないでおこうと思う。
ゆめみの『決心』が、揺らいでしまうかもしれないからだ。

俺には・・・いや、ゆめみには、目的がある。『夢』がある。
それを果たすまで、旅はまだ終わらない。
ここには居心地のいい街があり、そして優しい人々がいた。
だが、俺達は、ここで立ち止まっていてはいけないんだ。

志が同じならば、彼らとは、きっとまたどこかで会える。
だから今は、しばしの別れの時だ。

住むべき主を失った街は、じきに崩れ土に還る。
せめて、その面影だけでも持っていこう・・・

俺は、雨に煙る街をホロスナップカメラのフレームに収めた。

------------------------
イエナ氏乙!
新スレでもよろしく。

ちなみに、住人の行き先はこちらw
【SS】ほしのゆめみスレッド 3【CG】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1166184569/
839やおい:2006/12/17(日) 17:57:33 ID:+oBAuNWmO
「次の停車駅は“ネクスト”、“ネクスト”です〜」
アナウンスと共にトンネルに包まれ、緩やかに世界が減速していく。
私にとって…いや、“私たち”にとって初めての駅だろう。

「お兄ちゃん、ネクストって?」
「次という意味だろ。駅の名前とは思えないが…なあシスター、あんたなら分かるんじゃないか?」
シスターは軽く微笑み首を振った。

窓の外、星の世界を見ながら考える。
『次』…明日でも、未来でもない。まして『今』でもない『次』。
形を変えて在り続け、例え世界が壊れようと、星が滅びようとあり続ける『次』。
私たちは無限の『次』があるから存在する事ができるのだろうか?



トンネルを抜け、光と共に世界が広がって。
「ほしのゆめ」号、最初の停車駅が見えてきた…。
840やおい:2006/12/17(日) 19:11:23 ID:+oBAuNWmO
相変わらずわかり辛い描写ですみません。
トンネルは999に出てきた減速用重力トンネル?と考えていただければ幸い。

内容は書き手ごとにいろんな世界があるんだよ〜!みたいにとらえて下さいw

駄文にて失礼します。
早く退院したい…
841名無しさんだよもん:2006/12/17(日) 19:28:21 ID:Kn+VAUZq0
>>840

トンネルの中で、屑屋を守って砕け散るゆめみを想像してしまった俺は擲弾銃の餌食になりますた(´Д`;)
842名無しさんだよもん:2006/12/17(日) 22:02:20 ID:LC/wy9Ak0
松本零士…偉大ですね (にぎりこぶし
843名無しさんだよもん:2006/12/18(月) 12:29:24 ID:AGNYQJtNO
ゆめみって貧乳?
844名無しさんだよもん:2006/12/18(月) 12:40:11 ID:V93vzO4t0
>>843

貧乳、ということになっているようだが、
スク水・・・いや、アンダーウェアのラフ絵を見る限り、設定年齢相応にはある感じだ。

「ぴったりベストプロポーション」、という可能性もあるな。
ロボットだし。
845名無しさんだよもん:2006/12/19(火) 04:14:37 ID:aFx2ymX+0
ネクストと聞いて黒っぽい立方体とか「新世代OS」とかを想像した私は致命的なエラーにより強制終了されますw
846名無しさんだよもん:2006/12/19(火) 10:07:39 ID:37APB6A30
むしろネクストn(強制終了
847名無しさんだよもん:2006/12/20(水) 00:15:57 ID:9Y0W+vkT0
Ne
XT
848名無しさんだよもん:2006/12/20(水) 03:10:00 ID:MMI7fsrU0
「俺はビジュアルアーツを許さない」by◯◯
849名無しさんだよもん:2006/12/20(水) 10:27:30 ID:Zd++kXdA0
(バターン!)

屑屋
「ゆめみの敵討ちに来た!涼元はどこだ!?」
社員
「ああ、彼ならアクアプラスへ行きましたよ」
屑屋
「ぎゃふん(死語)」




・・・で、「歴史」を書き換えるようビジュアルアーツ社員を脅す屑屋。
850名無しさんだよもん:2006/12/20(水) 21:56:20 ID:PJoz5kyf0
そんな絶望の淵に立つ屑屋を拾ったのはニトロ+だった。

投影機神咆哮!!
アメフラシベイン

タッタラタッタ タータタ タータッタッタ-
汚れた雨が注ぐ街 覆われた星が嘆く空
遥か宇宙(そら)夢見立ち上がれー

851名無しさんだよもん:2006/12/20(水) 23:02:33 ID:9Y0W+vkT0
その世界では、ゆめみさんは天文図鑑なのか・・・
852名無しさんだよもん:2006/12/22(金) 10:33:35 ID:L68OVE//0
つか、イエナベインではないのかと小四半世紀問い詰めたい。
853名無しさんだよもん:2006/12/23(土) 14:09:36 ID:kXC68owV0
おまいはベインの意味わかってるのかとレールガンで問い詰めたい。
854名無しさんだよもん:2006/12/23(土) 15:30:14 ID:8kvqKLNU0
>>853

うわ


本当にすまねえ!
今の俺には あやまることしかできねえ……
855名無しさんだよもん:2006/12/23(土) 16:00:55 ID:ZnPDxR8MO
そこでなぜかドライ(ファントム)の格好をした
アハトノインの登場です。
856名無しさんだよもん:2006/12/25(月) 13:39:02 ID:ssFpLhrr0
ゆめみとノイちゃんwに、いろいろコスプレさせてみたい。
「よくわかりませんが・・・」とか言いながら、いろんな格好をやってくれそうだ。
857名無しさんだよもん:2006/12/25(月) 21:22:43 ID:yxYcs4mC0
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 エロサンタ!工口サンタ!
  (  ⊂彡  
   |   |
   し ⌒J
858名無しさんだよもん:2006/12/25(月) 21:48:08 ID:ZRd+h3Et0
ゆめみ&ノイちゃん
「・・・なぜ、私達は下着をつけていないのですか?」
859名無しさんだよもん:2006/12/26(火) 10:56:23 ID:mBeo39Wh0
>>858
それはCO2Aだからさ・・・
860名無しさんだよもん:2006/12/26(火) 11:17:15 ID:DslhfFkz0
>>859

ミニスカサンタコスチューム+のーおぱんつと申したか
一日過ぎちゃったから見られねぇよウワァン


正月は巫女衣装で。
着物だから当然、ぱんつはいてない。
861名無しさんだよもん:2006/12/26(火) 19:20:52 ID:PPdUbhrs0
ぱ ん つ は い て な い 。
ttp://up2d.unsymmetry.org/files/1166795219898.jpg
862名無しさんだよもん:2006/12/27(水) 01:42:42 ID:Gq4lKDyK0
パンツはいてないってレベルじゃねぇぞ!
863名無しさんだよもん:2006/12/27(水) 17:40:14 ID:ZovXkQ1S0
な に も き て な い
864名無しさんだよもん:2006/12/27(水) 23:59:28 ID:019QxRKz0
屑 屋 サ ン タ さ ん あ り が と う
865名無しさんだよもん
つまりあれか。
屑屋がうまいことゆめみを言いくるめて、マパパーでの投影を実現させたと・・・