「グ、グググウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」
六体のメイドロボが描く魔法陣。その中心で川名先輩に取り憑いていたガディムが、彼女の肉体から引き剥がされる。
そしてそのまま断末魔の悲鳴と共に、最悪の破壊神は細かい光の粒子となって消滅しようとしていた。
「綺麗ね」
「神々しく御座います」
「ふ、ふえ〜。『メイド・イン・ヘブン』って凄いんですね」
「…………そうだな」
私と裏葉さんとオボロさん。それに心配になって学校に来てしまった栗原さん。
私達四人は学校の運動場で並んで体育座りをしながら見送っていた。
来栖川エレクトロニクスの研究成果『メイド・イン・ヘブン』で昇天しつつあるガディムを。
珊瑚ちゃんを救出した私達は、オボロさん達と合流するために生徒会室へ向かった。
だけど私達が着いた時、既にオボロさん達は結界破りの術者(なんか赤紫髪ツインテールの幼女だった)を倒していた。
なんか大量の学園生徒を操っていたラルヴァ憑き(どうも生徒会長らしい)をイルファさんがやっつけたのが効いたらしい。
とりあえずガディム側の圧倒的だった数の有利もなくなり、私達の反撃が開始された。
勿論、あのゾンビっぽい生徒の群れがいなくなっても、他の何人かのラルヴァ憑き達が襲い掛かってくる。
ラルヴァの魔力が上乗せされ、人間としてのリミッターを解除したラルヴァ憑き達は強かったわ。
でも、合流した私達を止められるほどでは無かった。
向かってくる相手を一人、また一人と皆で力を合わせて倒していく。
『やっちゃってくれるね。甘く見ていたつもりはないんだけど』
どうにかあらかた片付けたところで……川名先輩、つまりガディムが直々にお出ましになった。
数の上では逆転していた分、狭い校舎の中はかえってこちらが不利。
そう考えて私達はガディムを運動場に誘い出して、最終決戦に持ち込んだわ。
持ち込んだのはいいけど……ガディムは強い、強すぎだったわ。
RPGで例えたら「これイベントボスじゃね?」って思って戦闘放棄したくなるくらい。
だって“あそびにん”なわけ勿論ないんだから、ガチでイオ○ズンっぽい爆裂魔法とかバンバン使ってくるし。
「余の手刀こそ世界最強の剣だ」と言わんばかりに素手でオボロさんと斬り合いするんだもの。
もうむちゃくちゃ強かった、いやアレはむちゃくちゃどころじゃなくて、くちゃくちゃ強かったわ。
ハッキリ言って私なんて全然役に立てなかった、もう珊瑚ちゃんと一緒に逃げ回るので精一杯。
それでも裏葉さんが術法でガディムの攻撃をしのいで、オボロさんが僅かな合間を縫って切り込みをかけてくれた。
イルファさんも私を庇いながら、珊瑚ちゃんから渡された「まどうアーマー」のパーツで反撃を仕掛ける。
そんな戦闘がどれくらい続いたかしら。
実際は大した時間じゃなかったと思うけど、もう数時間ぐらい戦った気がする。
ガディムもそれなりに消耗していたけど、私達の消耗のほうが激しかった。
「まどうアーマー」のパーツのエネルギー残量も底を尽きかけて、オボロさんの体力も裏葉さんの精神力も限界に近かった。
「これはもう駄目かも知れない……」そんな風に思いかけたその時、援軍が来たのよ。
来栖川エレクトロニクスのトラックから降りてきたのは、五体のメイドロボだったわ。
緑髪でロリっぽいのと、茶色の髪でスタイルのがいいのと、ピンク髪でやたら巨乳なのと、黄色髪で甘えん坊っぽそうなやつ。
それになぜか太田加奈子さんと瓜二つで、まるで本人がコスプレしたようなメイドロボもいた。
とにかくその五体のメイドロボが、イルファさんと一緒に何かをするからもう少しだけ時間を稼いで欲しいと言ってきたの。
何が何だか分からなかったけど、他に手段もない私達はメイドロボ達に従ったわ。
もちろん目の前で何かをしようとするメイドロボ達を、ガディムがボサッと見守るはずもなかった。
メイドロボ達に襲い掛かろうとする破壊神を、オボロさんに裏葉さんが最後の力を振り絞って止めに掛かる。
私? い、一応頑張ったわよ。珊瑚ちゃんと一緒にイルファさんから渡された「まどうアーマー」パーツで援護を。
そうやっているうちに準備が整って発動したの。
固有結界『メイド・イン・ヘブン』とやらが――
なんかガディムを中心に六角形に並んだメイドロボがピカーとか白く光り出して、でっかい魔法陣を作ったわ。
アレね、ほらダ○の大冒険でいうところのミ○カトールに近いんじゃない? 破邪呪文ってやつ。
あっちの世界だと六芒星は邪悪っぽいけどこっちの世界じゃ違うようね。
「さんちゃ〜ん。さんちゃ〜〜ん。ウチ…ウチ…めっちゃ心配したんやで……」
「ごめんなぁ瑠璃ちゃん。でももう大丈夫や」
体育座りでならんだ私達の隣で、珊瑚ちゃんとその双子の妹の瑠璃ちゃんが再会を喜び合っていた。
うんうん、仲良きことは美しきことかな。
斬り殺されたり焼き殺されたりしなくてよかったわね、アンタ達。
「オボロさん…大丈夫?」
複雑な表情でガディムの昇天を見送るオボロさんに、私は思わず尋ねた。
「……問題ない。怪我は幾つもしたが、命に別状はない」
「そうじゃなくて…その、妹さんの敵だったんでしょ。自分の手で倒したかったんじゃ……」
「目的はガディムを始末することだ。これで……よかったんだ」
そうは言ってるけど膝を抱えている手にギュッと力が込められている。
やっぱり不本意だったんだろうな……
「これからオボロさんはどうするの?」
ガディムの昇天を見送り、栗原さんの家に帰る途中で聞いてみた。
「どうせならこの世界の見物とかしてみない」
学校が再開されるには最低一週間はかかるらしい。
まぁ運動場は激しい戦闘で大穴がボコボコあいて、校舎もあちこち壊されている。
なにより結構な数の生徒が軽くない怪我をしてる。
後始末なりなんなりに時間が掛かるのは当然だろう。
その間私も栗原さんも暇だ、ちょっとした休みを楽しめる。
それなら元気のないオボロさんを元気づけたいと思ったんだけど――
「悪い、俺は準備が整い次第すぐにでも帰るつもりだ」
「そう……そっか、それはそうよね」
オボロさんは物見遊山でこっちの世界に来たんじゃない。
早く戻って妹さんのお墓に花を添えたり、敵討ちの報告とかをしたいんだと思う。
本人は異世界で骨を埋める覚悟もしてたけど、裏葉さんのおかげで元の世界に帰れるそうだ。
「裏葉、手間を掛ける」
「これも知り合ったよしみでございます」
「じゃあね。オボロさん、裏葉さん、栗原さん」
「ああ」
「失礼いたします」
「そ、それじゃあね。七瀬さん」
交差点で、栗原さんの家に戻るオボロさん、裏葉さん、栗原さんと別れた。
裏葉さんの法術の準備は二、三日中に整うらしい。
その時にまた改めてお別れをしよう。
オボロさんは嫌がるかも知れないけど、お別れパーティーを開くのも悪くない。
……私もオボロさんも栗原さんも食べ役で、裏葉さん一人で料理を作らないといけないかも知れないけど。
あ、でもメイドロボのイルファさん達に手伝ってもらえばいいか。
「終わった……のかな」
一人になり、空を見上げながら呟いた。
夕暮れが雲や空を真っ赤に染め上げている。
今日一日で本当に色々あった。
朝から来栖川重工に行ってイルファさんに会って、へりで学校に送ってもらって。
そこから学校に突入して、今さっきまで世界の存亡賭けて戦っていたんだもの。
「お腹も空いちゃったし、早く帰ろう」
そう言えばお昼ご飯も食べていない気がする。
こんな腹ぺこ状態でよくガディム相手に戦えたと、我ながら感心してしまった。
改めて自分の体を見回すと、服も肌も汚れまくっている。
あんだけ激しいバトルしたんだし、汚れて当然か。
「何か拭くものは……あ、これって」
ポケットから出てきたのは、オボロさんから渡されたバンダナだった。
もう二度と光ったりはしないだろうし、光ってもらっては困る。
「オボロさんに返さなきゃね」
そう呟いてバンダナをポケットに入れ直した。
(でも……剣の稽古のお礼ってことで、貰っちゃってもいいかな)
オボロさんとした早朝稽古。久しぶりに本気で剣を振るった。
ほんの僅かな出会いと付き合いだったけど、一つくらい何か形に残る思い出があっても悪くないと思う。
(明日か、お別れのときにでも聞いてみよう)
日も沈みかけて辺りが薄暗くなり、まばらに星も見えてきた。
とりあえず私達の世界は守られたようだ。
ぶっちゃけ色々とアレでソレな結果だけど、平和な日々というのはいいものだ。
これからもこの穏やかな日常を守りながら、私らしく生きていこう。
そう思った。
Fin
またまた物語が終わって5時間も主役選択がされてないとは…
だが選択スレは滅びぬ、何度でも蘇るさ!
という訳でまずは作品選択
A 誰彼
B White Album
C ナイトライター(with 雀鬼's)
D リトルバスターズ!
E うたわれるもの
F Planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜
G 鎖
H CLANNAD
I フルアニ
J Kanon
K Routes
L ONE
M Filsnown
N テネレッツァ
O 雫
P 天使のいない12月
Q まじかる☆アンティーク
R こみっくパーティー
S ToHeart2
T 痕
U Tears to Tiara
V To Heart
W AIR
X MOON.
リトバスはまだ早いのでは?ここはGだ
おお、思ったより選ばれるの早くてよかったです。
では主役選択
A 折原明乃
B 片桐恵
C 早間友則
D 岸田洋一
E 香月恭介
F 綾之部珠美
G 折原志乃
H 綾之部可憐
I 香月ちはや
D
は、早っ!でも悪役なら何とかなるかな…少し書いてみます
作品が選ばれたら主役選択出るまでリロードしまくるって
昔の癖が出ただけだよ
つっても今俺しかいなさそうだけど、選択者
ククク…俺は岸田洋一。パ○ワくんに出てたア○シ○マじゃないぞ。
俺は葉鍵作品の中でも数少ない、
生粋の悪役の一人だ。だが、俺はどうも他の悪役と比べて
知名度も選択率も少ない。そこで、俺は…
A ある一人の『女』を犯す事にした
B 他の悪役に弟子入りする事にした
C 敢えて善人の役をやってみようと思った
D 全国鬼畜友の会に出席する事にした
まずは普通に悪役らしくA
そう、俺は悪役だ。強姦魔としての実力なら
他の悪役には負けない自信がある。
女を陵辱し、怯えさせ身も心も破滅させてこそ悪役冥利に尽きる。
だがしかし!!ただ普通の女を犯すだけではただの三下だ。
この俺の偉業をサプライズに彩り伝説として残すには、
一般人を犯すのでは駄目だ。そんな事は誰にでも容易くできる。
それにただでさえ陵辱は食傷気味の上にスレの空気を悪くする危険性がある。
だから、普通では駄目だ。弱い女を犯すだけでは駄目なんだよ!!
俺は自分を知っている。俺は悪役だ。だが、ただの人間だ。
某電波使い兄妹の兄の方みたいに相手を強制的に屈服させる能力がある訳でも無し、
某火戦試挑体のように超人的な肉体を持っている訳でもない。
某FARGO研究員のようにバックに強力な組織がある訳でもない。
何の後ろ盾も無く、拳銃一発、ナイフ一刺で死ぬようなただの人間だ。
一般人しか出ていなくてSFファンタジー要素も全く無い原作を今だけは恨む。
俺にあるのはせいぜい普通の一般人よりは鍛えられた体と、『策』だけだ。
だがこの『策』にかけては俺は負けない自信がある。他の誰にもな。
こんな俺が葉鍵キャラ最強スレなんかに書いたら一笑され煽られるような
化物キャラを屈服させられたら、それは悪役冥利に尽きるんじゃないか…?
フフフフフ…それこそが名誉!それだけが生きがいだ!!
俺は予め調べておいた資料を手にし標的を選ぶ。
中途半端は駄目だ。ちょっと喧嘩が強いとか、腕に自信がある一般人ではいけない。
俺如きが平手で挑んだらまず勝てない連中を選出した。
知恵と策謀だけで俺は果たしてこいつを犯せるのか…!?
その女の名は、
A 月島瑠璃子。電波を使う一般人なら廃人確定の女だ。
B 柏木千鶴。 …怪物らしい。俺ですら悪寒が走る。
C スフィー。 噂によると魔法を使うらしいが…。
D 岩切花枝。 …何故かこの女を見ると腹が立ってくる。
E カミュ。 …燃やされた恨みを返して…何を言っているんだ俺は?
F 天沢郁未。 不可視の力というやはり超常的な力を使うらしい。
G 川澄舞。 剣術を使うだけでなく魔物を召還する能力があるらしい。
E
ヒッ!
一つの写真に目が止まった。瞬間、俺は恐ろしいほどの戦慄を覚えた。
写真に写っているのは何故か羽の生えている、胸の大きい少女だ。
これだけでもう普通の人間ではない事が解るが、何故か俺は脅えてしまった。
何故脅えるんだ?俺はこの女とは何の面識も無いというのに!
………思い出した。そうだ。こいつは俺が何度も見る悪夢に出てきた女だ!
その夢の中で俺は、ある小娘を騙し、犯した。だがその直後この女が現れ、
あろう事か変身し、俺は成す術も無く焼き殺されてしまうのだ。
夢とはいえ俺が焼かれ、消し炭にになっていく時の熱さ、苦しみ、
まるで本当にあった出来事のように感じた。
だがそれは所詮夢に過ぎない。だが、夢とはいえあれが正夢だとしたら…、
やはり俺が真っ向から挑んで犯せるような相手ではない。
だが、俺はやらなければならん。この程度の女も犯せないようでは
俺は葉鍵の悪役に名を残す資格はないッ!!
それにこの夢が事実だったとしたらあの時の恨みを返す目的もある。
何時の恨みかは解らないがとにかく江戸の恨みを長崎で返すくらいの意義はあるだろう。
そうと決まれば早速、『策』を練らねば。策謀、演技、心理戦こそが俺の得意とする所だ!
カミュを犯す為にまず何をする?どう挑む?犯すのは最終地点、まずは外堀から埋めていくとするか。
A まずは彼女の知り合いから情報を得る事にする
B まずは武器、防具の調達だ。一般人としてできる限りの装備は揃えておきたい。
C 悪には悪の繋がりがある。同じ鬼畜・犯罪者仲間に連絡をする
C
ピポパポピポパ プルルルル…ガチャッ
「もしもし、聖ユリ○ンナ病院ですか?比○坂竜○さんは…」
俺は今掟破りにも板違いのミ○クのキャラクターに電話をかけている。
他の会社には鬼畜道を極めた大先輩達が沢山いる。
悪役として、陵辱を極める者として、鬼畜と罵られる者として
誰しもが憧れ目指すであろう外道の極みだ。
そういう鬼畜の大先輩から助言を頂ければ、
必ず俺の野望成就に役立つはずだ。
俺は何としてでもあのカミュという超人を犯す!
その為なら板違いも鉄の掟も糞くらえだッッッッッ!!
シュト○ハイムのような一発ネタとして見逃せッ!!!!!
「ええ?いない!?…そうですか、失礼しました」
比○坂竜○さんは外出中との事だった。最近復刻版やらパチスロやらで
また出番が増えて大忙しらしい。次にア○スソ○トに電話をかけ、
ラ○スさんを呼び出す。ラ○スさんといえば鬼畜王と称えられるほどの男だ。
厳密には悪役ではないかもしれないが、それでも話す価値はある。
「はあ?戦国時代に出張中って…わかりました」
ラ○スさんも忙しいようだ。
シリーズ化して未だに作品が出ている先輩方が羨ましい。
俺もここまで名を轟かせる鬼畜になりたい…!!
『もしもし』
「あの〜そちらは伊○○作さんのお宅ですか?」
『ああ、そうだけど』
「そうですか。失礼ですが貴方は遺○さんですか?」
『ああ?俺は鬼○だよ!兄貴!!電話だ』
『もしもし』
「遺○さんですよね?」
『なーに人の電話勝手に取ってんだ臭○!!もしもし、俺が遺○だ』
「貴方が噂の…夜分遅く申し訳ありません!」
『ほ〜うお前がLeafに入った鬼畜の新人か』
三回目にしてようやくエ○フの鬼畜代表、○作三兄弟に連絡が取れた。
○作さん達はゲームと違い実生活では優しく、後輩の面倒も良い。
まさに鬼畜の鏡だ。俺は○作さんに憧れて鬼畜になろうと決心したんだ。
『いいか、陵辱に必要なのは忍耐、そして狡猾さだ』
『違うって兄貴、愛だよ、愛。陵辱にも愛は必要だぜ』
『どんな人間にも必ず弱みがある。それを調べ、脅し、陵辱するんだ』
○作兄弟は皆俺のような若輩者の新人に丁寧にアドバイスしてくれた。
『お前は俺達と同じで知略とずる賢さで立ち回るタイプだ。長所を伸ばしていけよ、ククク…』
「はい!ありがとうございます!!必ずや戦果を上げてみせます!!」
丁寧にお礼を言って電話を切る。やはり先輩方の助言は違う。
俺では思いもしない人の騙し方、犯し方、強者への対処法を教えてくれた。
俺はやるぞ!先輩方に恩を返す為にも俺は陵辱を成功させる!
そして葉鍵悪役列伝に名を残すんだ!!
A さらに他の悪役の助けを借りる(人物指定・今度は流石に葉鍵キャラでw)
B 事前調査をしよう。カミュの身辺調査を行う
C カミュの攻撃に対する対策を練る
D その前に食事に行くとするか…
B
俺はカミュの身辺調査を行う為に街へ出た。
策で獲物を狩る俺の普段の姿は、実に真面目で誠実そうに見えるだろう。
実際近所では一人暮らしの勤勉な好青年で通っている。
この演技力も俺の数少ない武器の一つだ。
今の俺なら高速実験船くらいなら一人で騙し討ちして制圧できると自負している。
まずは事前に調べておいた奴が住んでいる場所に伺ってみるか。
確実に、一つづつ駒を進めていこう。失敗は…俺の死だろうからな。
あの女のいる場所は…
A 御神夜龍神社。この神社で巫女をしているらしい。
B 秋葉原のコスプレ喫茶。なるほど、背中の羽根を誤魔化すには持ってこいだな
C 新宿歌舞伎町。犯罪の匂いが漂う場所だ。
D 動物園…!?珍獣扱いされて売り飛ばされたのか?
Dw
『葉鍵動物園』
駅から徒歩10分の場所にある、この街の名物動物園。
若いカップルから家族連れまで、大勢の人が楽しむ憩いの施設。
そう、あの女のいる場所はなぜか動物園だった。
いやいや、あの女の住所が動物園なのにもちゃんと理由がある。
無論その理由も調べてある。
事前の調査に抜かりはない。
その理由とは……
A 本当に「人の言葉を喋る鳥人間」として飼育されている。マジかよ……
B 実は動物園の飼育係として住み込みで働いている。まぁ常識的な理由だな
C ……実は住所不定で、たびたび動物園の餌をかっぱらってるのが目撃されてるので一応住所扱いになっているだけ
a
なんと本当に「人の言葉を喋る鳥人間」として飼育されているらしい。
何だと!?だが、考えてみればそれは最もな話だ。
俺は一人納得しながら葉鍵動物園へと向かった。
「2000円になります」
俺は入場料を払い、葉鍵動物園に入った。
カミュは見世物の珍獣扱いで捕らえられているらしいからだ。
しかし…2000円は高い!なんだこの入場料は!?
サンシャイン水族館の入館料より高いじゃないか!!
こんなにボッタくるほど、この動物園は価値がある動物を飼っているのか?
そう愚痴りながら歩いていると、目の前に看板が立っていた。
『空を飛ぶハーピーをついに捕獲!』
『半鳥半人の美少女カミュ!ご見学の方はこちらへ』
『現代に生きる空想生物!あと20メートル先です』
「……やっぱりな」
俺はまた一人頷く。考えてみればこの現代の社会で羽根を生やし
飛行する人間等がいたら珍獣扱いされるのは無理もない事だ。
他の家族連れや観光客は皆カミュがいるという場所へ向かっている。
しかし妙な話だ。俺の夢で見た記憶が真実ならあの女は
魔法を使い変身も出来るはず。ただの人間に捕まえ檻にぶち込む芸当が可能だろうか?
だが、今は考えても仕方が無い。俺もその場所に向かった。
「これは凄いな…」
付いた場所は動物園の動物を入れる場所にしては広く、
小屋や檻というよりは巨大な応接間のような場所だった。
動物にしてはコアラやパンダ…いやそれ以上の破格の扱いだ。
いや、動物なのか?動物ではないだろう。だとしたら俺は
陵辱どころか強姦ならぬ獣姦者になってしまう!!違うッ!!
違うんだ!そうだと思いたい。俺は人ごみを掻き分け、
最前列の場所まで移動する。やはり全面に強化ガラスが張ってあるな。
この厚さなら銃弾どころかミサイルの直撃にも耐えそうだが…ここまでする必要があるのか?
『では、鳥人カミュの法術ショー午後の部を行います』
ナレーションの声が場内に響き、建物の電気が落とされる。
同時に安っぽいミュージカル調の曲が流れ、ショーアップライトが
ガラスホールの内部、中心部を照らす。舞台が競り上がり、
一人の美しい少女が姿を現す。そこにいたのは紛れも無くカミュだった。
俺が襲うべき女が今、目の前にいる。いるのだが…
A カミュは疲れきっていた。全く動かない。目が澱んでいる。
B カミュは疲れを見せる事無く、普通に笑って芸を始めた
C カミュは俺の方を向き、微笑んだ。…俺を知っているのか?
D カミュは突然暴れだし、ガラスをぶち破り逃走した
a
目の前にいるカミュは憔悴しきっていた。
おそらく何度も休まず芸を強要させているのだろう。
目は澱み濁りきっている。そう、この目は…俺も何度も見てきた。
陵辱され、心を壊され、精神をすり潰された廃人の目だ。
「おい、どうしたんだ?ショーは始まらないのか?」
「早く芸を見せてよ!高いお金払っているのに」
他の客が騒ぎ始めている。見世物の主役が微動だにしないのだから当然だろうな。
だが、この『壊され』っぷりはどういう事だ?
俺も悪役だが一般人の代表だから解る。凡人が正面から太刀打ちできる相手じゃない。
曲りなりにも異形の者である彼女をどうやって捕まえ、芸を強要させるほどに『壊した』?
俺はそれが気になって仕方が無かった。
「きゃあああああ!!」
突然、彼女が叫び声を上げた。何だ?俺は周りを見る。
他の客は気づいていないが舞台装置が数ミリ空いていたのを俺は見逃さなかった。
なるほど、あれはテーザーガンか。死なない程度の電流を流して躾ている訳か。
「……これでは駄目だな」
このカミュという女は完全に弱りきっている。こんな女を犯しても意味はない。
一般人では敵わないような女を犯さなければ俺はいつまでも悪としても鬼畜としても3流以下だ。
目の前でうなだれている女は強さではもうそこらの三歳児のガキにも劣る。
今の彼女ならひ弱な中学生でも襲えるだろうよ!それでは駄目だッ!!
俺はこの場を離れる事にした。やらなければいけない事が出来たからだ。
A この動物園の園長を脅す。場合によっては殺人も陵辱もやむを得ないッ!!
B この見世物小屋の牢屋を破壊する。カミュには今は逃げて頂くとしようか
C 何者かの肩が立ち去る俺にぶつかった(人物指定)
D この女にもう用は無い。他の強い女を捜す事にする
C 御堂
ドッ
立ち去る俺の肘に何者かの肩がぶつかった。
「ゲーック、すまねえな兄ちゃん…てめえは岸田か!」
「…御堂さんでしたか」
この小男は御堂。話の冒頭でも言ったが
軍の秘蔵の強化兵・火戦試挑体にして、俺の悪役としての先輩にあたる。
だが、俺はこの人を嫌いだった…。
「こんな場所で何をしているのですか、御堂さん」
俺は外面だけはどんな人間に対しても敬語で優しく接する。
この男の前では俺の本性も知れているから無駄ではあるのだが、
それでも形式的に先輩と後輩としての上下関係は守る。
「ケケケ…あそこでくたばりかけてる女がいるだろ?」
御堂は俺が出てきた場所を指差す。
上からの命令でな、あの女をよ…
A 犯せ、と言われたんだよ
B 殺せ、と言われたんだよ
C 逃がせ、と言われたんだよ
D さらえ、と言われたんだよ
C
「あの女をこの動物園から逃がせってよ」
あの女?カミュを?あの女を逃がすというのは俺にとっても悪い話ではなかった。
俺が襲い犯すべきなのはあんな痩せ犬のように疲れ果てているような廃人ではない。
万全の状態の超人。それを知恵と策謀だけで弱らせ、屈服させる。それこそが陵辱だ。
青い果実が熟するまで殺さずに待つ…そう言ったのは
どこかの少年漫画雑誌の無期限休載中の漫画の悪役だったか。
「それで、どうやって逃がすつもりなのですか」
「ゲーック、どうしようかねえ?はっきり言えば簡単な任務なんだけどなぁケッケッケッ!」
そう言い御堂は下卑た声で笑い出す。……これだ。これだから俺は御堂が嫌いなのだ。
「このまま正面から乗り込んで掻っ攫ってもいいし、夜に奇襲をかけてもいい」
この男は『持って』いる。俺に無い物を。
「死にかけを守ってるのは強化ガラスだけだしなあ、楽勝だなゲッゲッゲッ」
この男は『持って』いる。俺が欲しい力を。
「鳥人を捕まえたぐらいだから少しは骨のある奴が出てくるかもしれねぇが、俺の敵じゃねえなあ!」
この男は『持って』いる。この自信を保つだけの強さを。
……だから俺は嫌いなのだ。人間は生まれながらに国、肌の色、体格等に違いを持ち、
それによって贔屓され差別される。この御堂という男は生まれながらにして
強化兵、仙命樹、無敵の身体能力、射撃能力、回復能力と優遇されすぎるほどの設定を持つ。
俺と御堂ではもうこの時点で駄馬とサラブレッドほどの差が付いてしまっているのだ。
それに引き換え、俺は何もない。鎖のキャラは設定的には全員一般人だ!!
魔法も必殺技もなく、ビームを撃つみたいな超展開も何も無い!
それどころか強力な組織の一員でもない!俺は何の後ろ盾も無い、ただの人間だ。
だから俺はさっき悪役の先輩方に連絡する時も月島や御堂に連絡はしなかった!
そんな異常な力を持つ奴の力など借りず、あくまで『人間』の悪役として、
人間の『鬼畜』として、一花咲かせたかった。たとえそれで死ぬ事になってもだ!!
それをこの男はいけしゃあしゃあと…!!
実際御堂ならこの後正面から切り込んで、軍人が百人現れたとしても
余裕で任務を遂行するだろう。俺が二百人いても敵うかどうか。
それぐらい一般人と強化兵の差は離れているのだ。
「…で、だ、お前もあの女に何か用があるんじゃねえのか?」
「…え、ええ」
「どんな用なんだ?」
「それは御堂さんには関係ないでしょう」
「そうかい。ゲッゲッゲ、あの女の事なんだがな」
「何ですか」
「俺は逃がせと命令されてはいるがその後の事は知らん」
「…どういう意味ですか?」
まただ。言いたい事はもう顔に出ているのに勿体ぶって話す。
強者の驕り甚だしいそのそぶりを弱者の俺は顔に出さず聞きに徹する。
「少し遊ぼうかと思ってなあ。ゲーック、お前に聞きたい」
「何でしょうか」
「お前、俺の任務を手伝え」
…やはりな。自分一人で容易く片付く仕事をわざわざ人に手伝わせる。
「後輩のお前にも良い所見せてやんなきゃなあ、ゲゲゲゲゲ!」
「何を手伝うのですか?御堂さんなら楽勝の任務でしょう」
「任務じゃねえよ。これはもはや遊びだ遊び。で、お前にやってもらいたいのはな…」
A 説得だな。たまには暴れずに解決するのも面白ぇ
B 陽動だな。正面突破は俺がやるからてめえは裏方に回れ
C 探索だな。あの女を縛り付けている原因があるはずだ
D 身代わりだな。カミュが捕まってる施設は水の中にあるんでなあ、俺の代わりに行ってきてくれや
悩むが・・・・・・・・・・Dだな
「身代わりだな。カミュが捕まってる施設は水の中にあるんでなあ、俺の代わりに行ってきてくれや」
「それは…………手伝うと言うよりほとんど一人での仕事になると思いますが」
「そうでもねえさ、ここの警備は異常に厳重だからな。
お前が行ってるうちに俺がそっちのほうを片付けておいてやる」
…話としては悪くない。確かに並の人間ではここの警備は歯が立たないだろう。
だからこそ御堂がでて来たのだろうが、その御堂が唯一歯が立たないのが水だ。
そこさえどうにかしてくれれば後は俺が面倒見てやると言われてるようなものなのは癪だが、
それほど無敵の男の唯一の弱点に関して優越感に浸れるのは悪くない気分だ。
「いいだろう、引き受けた」
言われたとおりに動物園の裏手に向かうと、そこに“動物の宿舎”があった。
それはまるで堀に囲まれた砦のようで御堂が突入を渋るのも分かる。
物陰から伺うと、唯一かかっている橋の上では――『α』が『β』と『γ』していた。
α
A.カミュ B.岩切花枝 C.上月澪 D.『その他人物名』
β
A.インカラ B.石原麗子 C.○作 D.『その他人物名』
γ
A.警備 B.酒盛り C.口喧嘩 D.アナルセックス
(1レス1選択)
α
A
β
B
γ
D
「お前にやってもらいたいのは一番肝心な突入さ」
「突入を? なぜ俺が?」
この男は好戦的な人間だ。
一番好き勝手ができる「突入」を俺に譲るなど、普通は考えられない。
それに遊びとはいえ上の命令とやらで動いているはず。
軍人にとって任務の放棄は最も忌避すべきのはずだが……
「ああ実はな、ステージでショーをしているとき以外、カミュは特別な場所に捕らえられているんだが……
そこに入るためには水を避けられない場所があるそうだ。さすがの俺も水だけは大の苦手でな。お前に頼みたいんだよ」
なるほど、合点がいった。
火戦試挑体、御堂。
仙命樹の力を得た無敵の旧日本軍兵士。
だが唯一弱点がある、それは「水を極端に恐れる」ことだ。
「お前が断るのなら誰か別の手頃な人間を捜すだけさ、どうする?」
さて、どうするべきか。
カミュが捕まっている場所がどう特殊なのかはよく分からない。
それに上手く逃がせたとして、俺が襲うに値するほどにすぐ回復するかも不明だ。
何より、御堂の手伝いをするというのが気に入らない。
化け物女性キャラはカミュだけじゃない、他の女に目標を移したほうがいい気がする。
とはいえ、お膳立てが揃っているのも事実。
俺の選択は――
A なるたけ単独犯がいい、別の女にターゲットを移す
B 御堂と協力をする
A
ギャース、書き負けた……orz
…orz
1レス1選択なら
>>582は最初しか有効にならんのじゃ?
いや、そもそも○作とか混ざってる本文を有効にするべきか、から問題な気がするけど。
有効ならβがDで冬弥
γ
D
あんまり本文をリコールするのは気が引けるけど一応選択で決めようか
A ○作とか選択肢に混ぜるのはマズいだろう。
>>581には悪いけどリコールする
B ○作は選ばれなかったんだし、
>>581は有効にして以降γの選択をしてもらう
あ、もうγも選ばれてたのね…orz
ここで突然携帯か……
いや、問うまい。選んだのが正義で、書ける限り続ければいいのが選択スレだしな。
でも流石に
>>587書いてこれを選ぶわけにはいかんので俺は保留。
ここでグダグダにする訳にはいかんのでBにしておく
それで状況を整理すると、
>>581で選ばれた選択肢は1レス1選択で
αA βD γDで
カミュと冬耶がアナルセックスしている、で問題ないんだよね?
確認するなら訂正するけど冬弥だよ、ホワルバの藤井冬弥のつもりで指定した。
他にいないよな?
あとはそれでいいと思われ。
おまえらそんなにアナルセックス好きか
「ハア、ハア、ハア………」
「………………………………」
それは異様な光景だった。わざわざ橋の上、宿舎の入り口の前で
これ見よがしに一人の男がカミュを犯していたからだ。
あの男は…誰だ?面を見た限りでは単なる学生風の優男だな。
次にずり下がったズボンの辺りを見る。下半身の筋肉も
それほど引き締まってる訳じゃない。こいつはただの素人、一般人だな。
能力者なら分が悪い所だが、ただの堅気なら…俺でも楽に倒せる。
しかし、見た所尻の穴を犯しているようだが…なっちゃいないな。
陵辱とは相手を追い詰め絶望させ少しづつ壊していく所に美学がある。
既にあの女は壊れているじゃないか。あれだけ乱暴に犯されているのに何の反応もない。
抵抗も叫びもせず犯されるがままの女など肉便器にも劣る。それなら死体を犯す方がまだいい。
俺はこんな生物ですらない『物』を犯す為にここまでやってきたんじゃない!
やはりここは助けてやるべきだな。
それにしてもこんな目立つ場所で蛮行に及ぶなんて、
どう考えても罠か誘っているようにしか見えないのも事実。
さて、ここで『策』を考えろ。足りない頭で考えろ、岸田洋一。
俺が他の連中より優位に立てるのはこの策と知恵だけなんだからな。
そろそろ御堂が警備の連中を片付けている頃か。
俺はこの後どう動くべきか?
A このまま普通に奇襲をかけ、冬弥をぶちのめす
B 得意の演技力を最大限に利用する。警備の振りをして話しかける
C 考えていると、他の何者かが冬弥に襲いかかった(人物指定)
D その時、銃声が聞こえた。御堂が暴れ始めたようだな
c オボロ
俺が考えていると、カミュを犯している男の背後に
もう一人男が『いた』。現れたというより、いつの間にかそこに『いた』んだ。
いつの間に現れた!?それを考えた時には、その男は次の行動に移っていた。
「……おい」
「えっ?…がああっ!!」
犯している男が間抜けな声を上げた次の瞬間、そいつは股間を蹴り上げられていた。
勃起している剥き出しの男根を蹴られたんだ。その痛みは想像するだけで気絶しそうなほどだろう。
現れた男は悶絶しているそいつにはもう目もくれず、カミュの元に駆け寄った。
「カミュ、おいカミュ!!大丈夫か、しっかりしろ!!」
「………………………………」
だが、カミュはやはり反応しない。
「きさまあああぁぁぁぁぁ!!」
激情した男はさらに呻いている男を蹴り、殴りつける。
…何者だこいつは?目の前で殴られている方は全くの素人だが、
今現れたこの男は、違う。出来る奴だ。それは現れた時の素早さ、身のこなし、
露出している筋肉の張りを見ても解る。華奢だが締まった良い筋肉をしている。鍛えられているな。
よく見ると、耳が少し尖っている。何だこれは?奇形にしては整っているし…
カミュを助けに来たという事は…同族、超人の類と認識した方がいいか?
耳が尖った男は刀を抜き、脅えている男の喉笛に突きつける。
「言え。誰の差し金だ?何故こんな事をする?どんな理由があって?」
「そ、それは…」
「いいか。今からは真実だけを答えろ。嘘を付いたら…即、首を落とす」
あの腰に携えている二本の刀が奴の武器か。やはりこの男はマジだな。
キレてはみたがすぐ相手を殺さない。聞き出せる事は聞き出す魂胆だ。
嘘を付いたら即殺すというのも、本当だろう。この状況で躊躇する訳が無い。
そしてこれだけ奴が暴れて叫んでも、誰も助けに来ずサイレン一つすら鳴らないという事は、
御堂が既に警備の連中を制圧したという事だ。
A オボロは冬弥から何かを聞き出すと、宿舎の中へと入っていった
B オボロは冬弥を斬り殺し、カミュを抱き上げ去ろうとした
C そこに一発の銃声!御堂がオボロに襲いかかった
D このタイミングでカミュが意識を取り戻し、飛び去っていってしまった
C
ターン!!!
「なっ!」
「うげっ!」
優男を尋問していた男が、とっさに身を翻した。
瞬間、さっきまで男がいた場所に銃弾が撃ち込まれたようだ。
優男のほうは男が身を翻したときに、頭を打って気絶している。
「御堂か……相変わらず正確な狙撃だ」
様子を見ながら俺は呟いた。
どこにいるのかは分からないが、橋の周囲からあの男を狙っているのだろう。
ターン!!!
「くっ……卑怯だぞ! 出てこい! 姿を出せ!」
今度も男は銃声と同時に飛んだが、左足を銃弾が掠めたようだ。
「まったく……やってられないな」
様子を眺めながら俺は一人毒づいた。
橋の上で繰り広げられる死闘に、俺が入り込む余地はない。
一人の人外が人間離れした狙撃を行い、もう一人の人外がかろうじてかわし続ける。
一般人レベルの俺が手出しできる状況では無かった。
「とはいえ、じきに決着は着くか」
いくら超人的な体力とカンで銃弾をかわそうにも、限度があるだろう。
御堂は姿を現さない。現す必要はないし、そもそも水場の近くなので現れられない。
唯一橋の上の男ができるのは、弾切れまでかわし続けることだが……
A 何発かの後に、とうとう御堂の銃弾がオボロの胸を貫いた
B ? 狙撃が止んだ? 御堂に何かあったのか?
C 「オ……ボロ……」ここでカミュが意識を取り戻した
B
その後何発かの銃弾を耳の尖った男は避け、見切り、叩き落した。
だが突然御堂から銃撃がぴたりと止んだのだ。
「?…どういう事だ…?」
狙撃が来ない。弾丸を装填しているにしては時間がかかりすぎている。
何かあったのか?トラブルか、もしくはさらに他の奴が御堂に襲いかかったか…
そうなると今カミュを浚えるのは俺しかいないという事になる。
「やはり連中が………おい、そこのお前!」
男は俺のいる方向を向き声をかけた。やはりバレていたか…
俺は姿を見せようとする。しかし、その前に声がかかる。
「いや、出てこなくていい。一言言わせてくれ」
まさか俺が御堂の仲間だと気付いていないのか?
この状況で見ず知らずの俺をただの一般人だと思っているのか?
御堂の狙撃はまだ撃たれない。おかしい。明らかに妙な状況だ。
耳の尖った男は言った。
A カミュを連れて逃げろ!彼女は大事な『鎖』なんだ!
B カミュを守ってやってくれ!俺は狙撃手を潰す!
C お前も…彼女の力が目当てなのか?
D お喋りはそこまでだ!御堂の銃撃が再度オボロを襲う!
A
「カミュを連れて逃げろ!彼女は大事な『鎖』なんだ!!」
『鎖』?鎖とはどういう意味だ?だがここでこの女を逃がすというのは
実に好都合だ。御堂からもカミュは逃がせと言われているしな。
だが、引っかかる。なら何故御堂が銃撃を中止した?
カミュを逃がすという意味においては両者とも意見は同じ。戦う必要性がない。
だが目の前の男がカミュを助けようとしたら御堂は狙撃をしてきた。
その理由は?御堂の追撃は未だ放たれない。
「…解った」
考えても仕方が無い。俺はカミュの元に駆け寄る。
「俺の名はオボロ。…カミュを頼む」
奴の目を見る。俺の事を敵だと疑いもしていない、真剣な目だ。
俺の事を疑っていないのか、それとも…
とにかく俺はカミュを抱いて、この場から逃げ去る事にした。
……軽い。俺が捻じ伏せ、陵辱し蹂躙しようと思った怪物は
俺が思っている以上に華奢で軽かった。俺が屈服させたかったのはこんなか弱き者なのか?
違う!違うはずだ。でなければ俺が襲う価値等全く無いのだから。
俺がカミュを抱いて逃げ去ろうとしても、御堂の攻撃は来ない。
最悪俺を殺すかもしれないという選択肢も考えていたが、それも違うようだ。
一体どうしたのだろうか。オボロは黙って見送っている。
…色々な可能性を考え、推理する。未だ目覚めぬ『鎖』を抱きながら俺は走る。
走りながら俺はこう考えていた。
A 御堂はオボロの仲間に殺されたのではないか?
B オボロは俺の事を知っていたのではないか?
C 御堂もオボロもあの優男もグルで、俺にカミュをさらわせるのが最大の目的なのではないか?
C
御堂もオボロもあの優男もグルで、俺にカミュをさらわせるのが最大の目的なのではないか?
――明らかに突拍子もない仮定なのは分かっている。
お調子者キャラが片手をかざしながら「だったんだよ!」と叫べば、
場面にいる全員が「な、なんだってー!?」と切り返しそうな仮定だ。
だが……もしも、もしもだが。
この状況が最良の結果であるとするならば、そこに至るために彼らが描いた構図は
『全員がグルとなって、俺がカミュを直接さらわせる作戦』になる。
散々繰り返してきたが、俺は並の人間。名推理が出来るわけではない。
だから今の状況が何であるか、正直言ってさっぱりだ。
言い換えれば彼らに深謀があっても察する事など到底不可能、
『鎖』が何の事かなんて独力で調べられるはずもない。
しかも所詮一般人なら必要なときに取り戻すのは簡単だろう。
一旦預けておくには最高の相手だ、これくらいは自分でも分かる。
「…どうするかな」
ひとりごちて、抱えているカミュの様子をうかがうと――
A 「…………」相変わらずの放心状態だ、こういう時にはありがたい
B 「……い、いやぁぁぁ!」くっ、こんなタイミングで暴れだした!?
C 「おしりに……もっとぉ……」まずい、くぎゅボイスの甘ったるさにはさすがの俺も参りそうだ!
D 「○○……○○に……」なんだ、そこに行けと言いたいのか?(地名を指定)
B
「い、いやあ!いやああああああ!!」
まずい!このタイミングで目を覚ましてしまったか!
「や、やめてえええぇぇぇ!!カミュに酷い事しないでぇぇ……」
やはりあの動物園で凌辱の類を受けたのは間違いなさそうだな。
とにかくこのまま騒ぎになるのはまずい。
俺はタクシーを拾い、彼女と共に乗った。
羽根を生やしたカミュはあまりにも奇発な格好だ。
帰り道の電車や歩きで人目に晒して目立つ訳にはいかない。
ましてやこうも騒いでいたらなおさらだ。
運転手に聞かれたら最新鋭のコスプレだと誤魔化しておこう。
車の中で俺は考える。
全員がグルとなって俺にカミュをさらわせるのが目的だとすれば、
確かにあの時御堂の狙撃が止んだ合点がいく。
でなければ御堂クラスの超人が御堂を襲ったとしか考えられないからだ。
御堂の「俺の任務はカミュを逃がす所まで」という言葉と
オボロがカミュを救う時の態度。目。表情。
そのどちらにも嘘は無いと考えるならばこう結論付けるのが自然だ。
しかしだとしたらなぜ優男にカミュを犯させた?
無傷で助けるのが目的ならばそれは余計な事だろうに。
そもそも何故、俺なんだ?俺が強い女を捜し襲おうとしていたのは
俺が個人的に調査し俺一人で立てた計画だ。それが漏れる事もなければ
他の連中が手助けしてくれる理由もメリットも何も無い。
俺が一般人だという事を利用しているとしたら、
危険を被るのは俺なのではないか…?
そう考えている内に、俺は自分のマンションに着いてしまった。
…結局、この女を一番来させたくない自分の城に連れてきてしまったのだ。
女は車の中で騒いでいる内にまた寝てしまった。よほど疲労しきっているのか。
運賃を払い、部屋に入る。前述の通り俺はこの近所では
とても真面目で誠実な好青年で通っている。そんな俺がこんな女を部屋に連れてくるとは。
住み家の近くでは犯罪を犯さないのは鉄則なんだがな…。
といっても、まだ俺はこの女を犯すつもりはないが。
自分の家で無力な女を犯す。そんなのは実に簡単、容易い事だ。
以前の俺なら何の躊躇いも無く犯し、壊し、殺し、快楽の限りを尽くしただろう。
だが、それをやってしまえば俺はただの三下だ。小物以下の下衆野郎だ。
盗人にも三分の理、悪人にも美学がある。俺は自分の美学の為にも、まだ強姦はしない。
「ん…」
『鎖』のお目覚めだ。まず俺に出来る事は…
A 「気が付いたかい?」優しく声をかける事だ。
B 「砂糖はいくつかな?」暖かいコーヒーを入れてやる事だ。
C 「それを着るといい。」女物のパジャマだ。どうしてこんな物を持っているかは聞くな。
D 「結婚してください!!」俺の中で欲望は純愛に変化した!!
E 「京都は日本の首都なんどすえっ!!」アラ○ヤマの物真似をする事だけだ。
Eに吹いたw
>>611 選択じゃないならそう断っておかないと次の書き手に真に受けられるぞww
ダメモトでC
「き、京都は日本の首都なんどすえっ!!」
「………へ?」
し、しまった!見事にはずしたあ!!パ○ワくんネタなんて
そうそう年端も行かない小娘に判る訳がなかった!
やはりストレートに鬼○郎の物真似で攻めるべきだったか?
「……プッ」
「ぬあ?」
「プッ…クスクス…キャハハハハハ!!」
カミュは笑い転げている。どうも俺の渾身の一発ギャグではなくて
それをはずしてショックを受けていた俺の顔がおかしかったらしい。
寒いギャグをはずした後のリアクションで受けるなんて、俺はダン○ィ坂野か!!
「と、とにかく…これを着るんだ」
今彼女が着ている服は相当汚れ、擦り切れている。
あれだけの乱暴と非道な扱いを受ければ当然だろう。
俺は女物のパジャマを投げてやる。ちなみにイチゴ柄の滅茶苦茶キュートなパジャマだ。
しかもサイズが大きめなのでだぶだぶで袖から手が出きらないという萌え萌え仕様だ。
な、何故俺がこんなのを持っているかって!?そ、そりゃ俺は強姦魔だ!犯罪者だからな!!
色々あるんだよ、色々!!そ、それ以上は詮索するな、詮索するなあ!!
彼女は特に逆らわず、もそもそとパジャマを着だした。
羽根が引っかかって上手く着られないでいる。
(か、可愛い…)
がああああああああああ!!!!!違う、違うぞ!!
俺はやましい事等何も考えていない!!襲わん犯さん!!
俺の犯罪美学はこんな事で挫けたりはしなあああいいいいい!!
「…どうしたの?」
「い、いや、何でもない。それより驚かしてしまい、すまなかったね」
「そういえば、ここはどこなの?」
「ここは僕の家さ。そういえば自己紹介がまだだったね。僕は岸田洋一」
俺は早速人当たりの良い善人モードに意識を集中し、演技を行う。
今はまだ聞きたい事もあるし、彼女の前ではこの性格のまま徹するのがいいだろう。
「カミュは確か知らないおじさんに捕まって、ずーーっと檻の中で芸をやらされて…」
「………」
「疲れても無理やり起こされて、夜になると変なお薬を飲まされて…その後はよく覚えてないの」
「もう大丈夫だ。僕は頼まれて君を助けたんだ。もう怖い目にあう事はないよ」
「うっ、ぐすっ、ふえぇぇ…!」
どうやら安心して一気に気が緩んだのだろう。
カミュは泣き出し俺にしなだれかかってきた。
普通の女なら目が覚めた瞬間に知らない部屋で知らない男と二人きりなんて状況なら
まず叫ぶか脅えるか暴れだすか、何にせよろくなリアクションはとらないだろう。
ましてやお目覚め一発、ギャグかましたりパジャマを着ろとせがむ変人ならなおさらの事だ。
そういう辺りこの女は純粋なのだろう。…だから利用される。だから俺のような悪党共に襲われ浚われ犯される。
結局の所、純粋な性格なんて乙女の秘密の日記帳の中だけにあればいいんだ。現実には不必要な物だ。
ぷにっぷにっ♪
そ、それはそうとして、カミュが俺に抱きつき泣いている訳だが
この胸の大きさ、弾力性はなんだ!?パジャマ越しでもしっかり伝わるやわらかさ!
いいいいかん、俺は何もしない!今だけは禁欲を貫くと決めたのだ!!
この状況を打破しなければ!!
A 俺は冷静にカミュから離れて聞いた。「オボロという男を知っているかな?」
B 俺はクールにカミュを引き剥がし、こう言った。「そういう遊びは大人になってからだぜベイビー」
C その時インターホンが鳴った。まずい、隣に住んでいる(人物指定)さんだ!
D こうなったらネコ耳もつけてみよう。勿論どこで手に入れたかは聞くな。
A
「オボロという男を知っているかな?」
俺は気を取り直し、質問を始めた。
「オボロ…オボロ兄さまの事?」
「うん。僕は彼に君を助けてくれと頼まれたんだ」
「そんな、兄さまが生きているはずない!」
生きているはずがない?どういう意味だ?
「だってオボロ兄さまはカミュを庇って…」
「まさか死んだ、っていうのかい?」
あの時俺にカミュを助けろと言った男は間違いなく自分でオボロだと名乗った。
あいつが幽霊や幻の類でない事は間違えようのない事実だ。
「オボロ兄さまはカミュと一緒に逃げていたの」
「仲間だったのかい?」
「うん。でも怖いおじさん達に襲われて、先にオボロ兄さまが…」
「捕まった、と?」
「捕まったんじゃない。カミュの目の前で撃たれたの」
撃たれた?それで死んだのならばあの時会ったオボロはゾンビだという事になる。
撃ち所がよくて助かったか、何らかの能力か回復でもしたのか?
「カミュはそのまま捕まってしまって、後は…思い出したくない」
なるほど、カミュとオボロは仲間同士だったが捕まり、
オボロはその場で始末され(結果生きていたが)
カミュはあの動物園の連中に捕まった(もしくは売り飛ばされた)
生きていたオボロはカミュを助けるべく動物園に向かい、
御堂も任務としてカミュを逃がした。そして偶然居合わせた俺に
御堂がカミュを助ける手伝いをさせ、オボロも俺にカミュの保護を任せた。
現状で起きた事柄を整理するとこんな所か。
しかし、こう考えるとあまりにも出来すぎている。
さっきは御堂とオボロ全員グル説も考えたが、
カミュの話だとオボロは一度撃たれ死にかけている。
仲間同士だというオボロがカミュにそこまで大掛かりな嘘を付くだろうか?
だからといって流石にカミュまでグルで嘘を付いているとも考えにくい。
そもそもカミュ達はどこからやってきたのか?
何故捕まらなければならないのか?『鎖』とは何か?
知りたい事はまだ沢山ある。次に何を聞くべきか。
A 君達は一体どこからやってきたんだい?
B カミュちゃんを捕まえた怖いおじさん達は何者なんだ?
C 『鎖』という言葉に何か心あたりはないかな?
A
「カミュちゃんやオボロさんはどこから来たんだい?」
人当たりの良さそうな笑みを浮かべながら、落ち着いた声でカミュに聞く。
俺は引き続きカミュに警戒されないよう、善人モードで質問した。
質問内容は――カミュ達の出身、出自、どこからやって来たのかだ。
羽を生やし魔法を使う少女に、獣耳で常人離れした身体能力を持つ男。
コスプレ少女兼手品師だとか、鍛えられた格闘家がコスプレしただとかではないだろう、今さら。
明らかに俺のような一般人とは『異なる』存在だ。
恐らくはそれ故に何者かに捕まったり、御堂達に逃されようとしている。
「カミュ達はね――
A 信じてもらえないかも知れないけど、こことは別の世界から来たの」
B ……ある研究所で人工的に生み出された実験生命体、それがカミュ達なんだ」
C ……ごめんなさい、どうしてかカミュもよく分からないの」
B
「……ある研究所で人工的に生み出された実験生命体、それがカミュ達なんだ」
やはりか。俺はさほど驚かなかった。御堂もそうだが、
実験や手術で超人化する人間を俺は知っている。
だが実験生命体…この言い方は手術強化の類ではなく、
まるで0から作られた存在のようだ。
「カミュはずっと、ずーっと狭いお部屋の中で暮らしていたの」
「毎日毎日、知らないおじさんに変な事をされて凄く嫌だった」
変な事…レイプ?いや、言葉通り考えるな。これは人体実験の類と考えるのが妥当だ。
「カミュちゃんが作られた理由というのは、自分では知ってるのかい?」
「解らない。カミュが自分を実験生命体だと知れたのは、オボロ兄さまが教えてくれたからなんだ」
あの男の名がここで出るか。オボロがこの女を救いたいという気持ちは本当なのか?
「カミュがもう死にたいと思いつめていたある日、オボロ兄さまがカミュを助けてくれたの」
「カミュは兄さまと一緒に研究所を出た。カミュはもう飛ぶ元気もなくて、兄さまがおぶってくれた」
俺としてはその研究所が何なのかも気になる所だが…
「走る兄さまに背負われながらカミュは振り返って、今までカミュがいた建物を見たの」
「どんな建物だった?」
「う〜んとね…」
A ミズシマ研究所と書いてあった
B 軍隊の施設みたいだった
C 長瀬エレクトロニクスと書いてあった
D 篁バイオテクノロジーと書いてあった
A
「ミズシマ研究所。そう書いてあったよ」
ミズシマ…?確か前にテレビで…そうだ。
少し前のオカルト番組やSF番組に出演しては
狂人扱いを受け、ネタ芸人呼ばわりされていたあのミズシマ博士か?
彼は雑誌にテレビ全てのメディアでこう叫んでいた。
『今のままでは人類は絶滅する』
『人の殻を破らなければ21世紀を生き抜く事はできない』
『人間は、さらに進化しなければならない』
『遺伝子レベルからの改革、一般人からの変貌』
『倫理やモラルに縛られていては未来は無い』
マスコミも最初は彼の常軌を逸脱した言動に注目していたが、
メディアのネタの移り変わりは激しく数年もしない内に忘れ去られていった。
俺自身もこんな事を冗談で言ってるのでなければ気違いの戯言としか思えなかった。
まさか本当にこんな生命体を作り出しているとはな。
「で、逃げ続けた先であの動物園の連中に捕まった訳なんだね」
「うん…」
これで憶測とはいえ大体の見当が付いた。
ミズシマ研究所から実験体のカミュとオボロが逃走した。それだけの事だ。
だが、何故かカミュ達を捕らえる者と逃がす者達が存在する。
あの動物園の連中はどうだ?単純に異形の珍獣だと思い見世物にしたと考えるのが妥当だし
御堂がカミュを逃がす任務を受けたという事からも、動物園の連中は
研究所とは無関係の敵と考えるのが普通だ。
しかし、なら何故オボロは殺そうとした?カミュだけ必要でオボロは不必要と考えたか?
御堂もそうだ。途中で銃撃を止めたとはいえ明らかにオボロを殺そうとしていたのは明白。
御堂を雇っていたのがミズシマ研究所だと考えると、カミュだけ逃がしてオボロを殺す理由が解らない。
大体この逃がす、という選択も理解不能だ。ミズシマ側に立って考えれば脱走した実験体を捕獲する事が重要だろう。
御堂を使って動物園から逃がすより、最初から御堂にカミュを捕獲させるなり
動物園と交渉してカミュを引き渡して貰えばいいだろうが!
何故捕らえる、のではなく逃がす?オボロも俺を信用してカミュを預けた。
何故だ?何故こんな回りくどい事をしてまで犯罪者である俺にこの女を預ける?
それに何の意味がある?誰の思惑が絡んでいる?考えろ。必ず理由があるはずだ…。
A 『鎖』という単語について何か心あたりがないか聞く
B オボロという人物について詳しく聞く
C その時、電話がかかってきた(人物指定)
Cオボロ
プルルルルル・・・
その時、電話が鳴った。
「カミュちゃん、ちょっと待っててね」
俺はにこりと笑って電話の方へ向かう。
「もしもし」
「…カミュは無事か?」
この声は…オボロか!
「あの…どうして僕の」
「そんな似合わない態度を取らなくていい。いつも通りに喋ってくれ」
この男は俺の本性をお見通しって訳か。
「解った、そうさせてもらう。何故俺の家の電話番号を知っている?」
「簡単な事だ。お前がカミュの事を調べていたように、俺もお前の事を知っている」
オボロが俺の事を知っている?カミュの事を俺が調査していた事も…
待て、そういえばミズシマ研究所で作られている実験生命体なんて極秘事項もいい所だ。
そんな情報を何故俺が調べ、知る事が出来た?何故動物園にカミュが囚われている事を
俺如きが容易に知れたんだ?…わざと情報を流させて、俺の元にカミュを匿わせるのが目的だったのか?
「…何もかもお見通しという事か?」
「そういう事だ」
「だったら一つどうしても聞きたい事がある」
「何だ?」
「どうして俺なんだ?」
「………」
「なんで俺を使った?何故お前は俺にカミュを預けた?何故俺でなければならないんだ?」
「………」
「俺はお世辞にも自分を真面目な男だとは思っていない。犯罪者でしかないんだ」
「………」
「今にも俺がカミュの事を襲い犯してしまうかもしれないんだぞ?そんな危険を考えなかったのか?」
「……………………」
「答えろッッッ!!俺をここまで振り回した理由を!!」
「………それを答えるのは、あんたの人生にも関わる。それでもいいか?」
「構わないさ」
俺は所詮悪人。襲い犯し殺し殺されるのが日常だ。
今更身の危険がどう変わろうと、知った事か。
「岸田洋一…。あんたは…」
だがその後に続いた一言は、本当に俺の人生を一変させた。
A あんたは能力者だ。偽の記憶を植えつけられている
B あんたはミズシマが作ったクローンだ。本物の岸田洋一じゃない
C あんたも俺達と同じ実験体だ。作られた存在なんだよ
CCCCCCCCCCCCCCCCC
「あんたも俺達と同じ実験体だ。作られた存在なんだよ」
………………………………………………………………は?
何を言ってるんだ?こいつは?頭が沸いてるのか?
「あんたはミズシマが初期に作ったサンプルの一人なんだ」
………………………電話の向こうで男が何か言っている。
俺はそれを呆けた面で聞いていた。他人から見たらさぞ低脳な顔に見えただろう。
オボロの話によると、俺は十年以上前に起きた
高速実験船バシリスク号大量虐殺事件の犯人の遺伝子から作られた実験体で
サンプルの元になった犯人は船を乗っ取り乗組員と乗客のほとんどを虐殺、
女性は全員強姦したらしい。そんな犯人が死刑執行される前に
極秘に採取しておいた遺伝子からデータを抽出、培養して作られたのが俺だとか。
………俺は馬鹿面をして固まっていた。
そんな話をいきなりされて、平常でいられると思うか?
俺は記憶している。何年何月にこの世に生まれ幼少時代過ごした場所も、
初めて殺した男の顔も、初めて犯した女の顔も、全部覚えている。
その記憶に嘘があるっていうのか、ええ!?
「いや、お前は誰も殺しちゃいない」
「…何だと?」
「お前は元のデータの死刑囚の記憶に酔っているだけだ。誰も殺していないし誰も犯していない」
「いい加減にしろ!罪を犯す事こそ悪人の美学だ!それを貴様は否定するってのか?」
「…あんた、自分で自分が丸くなっていると思っていないか?」
「どういう意味だ!?」
「あんたの元のデータの死刑囚はもっと好戦的だったし本性を現した時の口調ももっと汚かったらしい」
「そ、それは…」
「強い女しか犯さないと心に決めていたそうだが、その時点でもう可笑しいんだよ」
「………」
「だからこそ俺はカミュをあんたに預けられたんだ。襲う訳が無いと踏んでいたからな」
訳がわからない。俺は俺ではないのか?俺が俺でないとしたら
俺の記憶は一体…?嘘を付いているとしか思えないが…
「とにかく俺は今からそちらへ向かう。カミュを頼む」
一方的に俺を無残に混乱させた電話は一方的に切られた。
「はは…ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
俺は笑った。突然自分の人生を根本から否定され、笑うしかなかった。
A ほどなくして、オボロが家にやって来た
B 俺は俺の人生をもう一度思い出し振り返ってみた
C カミュが俺に声をかけてきた
b
俺は元の部屋に戻りオボロが来るまでの間に
PCを立ち上げ、ネットで検索をかけた。
同時に自分の過去の記憶を思い出す。
そういえば俺は今の今まで自分が過去に犯した犯罪の場所を
振り返った事がまるでなかった。中にはニュースやワイドショーで
取り上げられるほどの事件も起こしたはずなのに、だ。
平成○○年………俺が3人の女を監禁し、三日三晩犯したあげく
全員バラバラにして殺した。その場所は…この辺りだ。
モニターに地図が写される。そこには…
…???なんだこれは?警察署が立っていた。
まさか。俺が女を監禁したのは小さいバラック小屋だ。
警察署など近くにある訳がない!!この警察署が立てられたのは…昭和△△年!?
俺が事件を起こす数十年も前からこの場所には警察署が!?
そんな、そんなはずはない!だったらあの事件はどうだ?
平成□□年に俺が起こした雑居ビル立てこもり虐殺事件だ。
俺はあの事件で善良な人間の振りをして20人もの人間を虐殺した。
これはニュースにもなったしマスコミを騒がせる大事件になったはずだ。
ビルの名前に月日まではっきり覚えている。これで打ち込んで検索をかけてやる。
検索結果が出た。俺はそれを凝視した。………!?
「馬鹿なッ!!」
確かに事件はあった。ビルの名前も表示された。だがこれは…。
『雑居ビル連続爆破事件、犯人の金森弥太郎を逮捕』
何だこれは!?誰だこいつはッ!?俺はビルを『爆破』なんてしていない!
こんな顔のこんな名前の犯人など面識も無い!!全く関わりの無い出来事だ!!
その後も俺は記憶を頼りに検索するが、俺の記憶の中で起きた事件は
実際には全くの他人のした犯罪か、事件を起こした場所に矛盾がある等して
全て否定されてしまったのだ…。
「じゃあ、俺は本当に何もしていないのか…?」
A オボロが家にやってきた
B その時メールが届いた。差出人不明
C 家の外が騒がしい。何かあったのか?
A
ピンポーン
玄関のインターホンが鳴り響く。誰かなんて見なくても解る。
「…オボロか?」
「そうだ」
ドアを開け、奴を迎え入れる。
「カミュは無事か?」
「向こうにいる」
オボロは部屋の奥に入っていった。
「オボロ兄さま!」
「カミュ!気が付いたんだな!」
二人は抱き合って感動の再開としゃれこんでいる。
俺はそれを冷めた目で見つめていた。いや、腹が立っていた。
今すぐこの場で二人ともくびり殺して自殺してやりたくなるような
衝動的な怒りがこみ上げてきたが、俺は抑えた。感情は殺す。冷静になる。
そして心は冷静にしたまま俺は二人に近寄り…一気にオボロの胸倉を掴み上げた。
「答えろ。さっきの話、あれは真実なのか?」
カミュの前だがもう体裁を取り繕う必要も無い。
「ああ、事実だ」
オボロも胸倉を掴まれたまま顔色一つ変えず答える。
「岸田さん、どうしたの?」
「カミュ、少し黙っていてくれ」
オボロは俺の手を振り払い、さらに話し始めた。
「自分の記憶に矛盾がある事に気付いたか?」
「……ああ、悔しいがその通りだ」
俺の人生、犯罪歴、美学が全て打ち砕かれてしまった。
普通の精神を持つ人間なら自分が全く罪を犯していない事を
当然だと思いこそすれ、わざわざ喜んだりはしないだろう。
だが、俺は悪人だ。自分が悪である事に誇りを持ち
罪を犯す事に喜びを感じる。それを否定されるのは死んだのと同じ事だった。
「お前も自分の記憶が偽りの物だと気付いたのか?」
「そうだ。だから俺は脱走を決意した。カミュと一緒にな」
「…俺が作られた理由はなんだ?」
目の前の二人も俺も全てミズシマ博士が作った実験体だというのなら、
俺にだって作られた理由があるはずだ。
「それは岸田、お前だけじゃない。これから全てのサンプルに聞かれるであろう質問だな」
「どういう意味だ?」
「そして全てのサンプルに同じ答えを返さねばならない」
A ミズシマの作った遺伝子を人から人へ拡散するのが目的だ
B もうすぐ『人間狩り』が始まる。それを止めるのが目的だ
C 殺人者の遺伝子を集め、戦闘に特化した怪物を作るのが目的だ
A
「ミズシマの作った遺伝子を人から人へ拡散するのが目的だ」
「拡散、だと?」
「そうだ、ミズシマが作った遺伝子には二種類ある」
「一つはカミュやオボロ兄さまみたいな動物や鳥類と人間の遺伝子を掛け合わせるタイプ」
「もう一つは岸田のような外見上は普通の人間と同じタイプだ」
オボロの話によると、動物の遺伝子と掛け合わせるタイプは
獣の生命力や防疫力、肉体強化を図るのが目的だったが
やはり耳や羽根や尻尾などの外見上に人ならざる箇所が残ってしまう。
俺の体に流れている遺伝子は、すぐには効果が訪れず
数年をかけて力を発揮するらしい。この遺伝子は
性交をすれば感染し、例えばこの遺伝子を持つ男性が女性とセックスすれば
精子を伝って女性にも遺伝子が混ざり、当然これで妊娠すれば生まれる子供にも遺伝子は含まれる。
俺はそんな遺伝子と凶悪死刑囚の遺伝子を掛け合わせて生まれた実験体らしい。
「この遺伝子を持つ男性が他人と交われば交わるほど遺伝子は散らばっていく」
「そして遺伝子を移された女や生まれた子供が大人になってセックスしても…」
「そういう事だ。何十年もかかるが確実にミズシマの作る遺伝子が世界中に広がっていく」
記憶自体は作られた物でも、性衝動や本能は遺伝子のデータ元の人間の特性を濃く受け継ぐ。
だから最初の遺伝子を広める人物のデータ元は、俺の元データのような強姦魔、
ホストやAV男優に風俗嬢と『不特定の他人と性交する回数が多い』人間から取ったらしい。
遺伝子を気付かせずにバラ巻く最初のサンプル。それが俺だったという事だ。
つまり、俺は『生きていた』のではない。『生かされて』いたにすぎないんだ…!!
「では、俺は常に監視されていたのか?」
「常に、じゃあない。だが監視している者がいるはずだ」
「俺の遺伝子は体にどんな効果を与えるんだ?」
「それが解らないんだ。だが、岸田のようなサンプルが活動してもう数年経つ」
「効果が目に見えて現れるのはそろそろだという事か」
「俺はそれを確認する為と、お前のようなサンプル全員に会い注意を促すのが目的なんだ」
オボロ達の遺伝子ですら外見を人間として取り繕う事はできない欠陥がある。
俺の遺伝子にも何か不都合がある可能性があるという事か。そしてそれは発症するまで解らない。
A そういえば、あの時言った『鎖』ってどういう意味だ?
B そんな事を言っていると早速俺の体に異変が起こった!
C そこに他のサンプルが現れた(人物指定)
D 突然ガラスを割り敵が乱入してきた!何者だ?(人物指定)
A
「そういえば、あの時言った『鎖』ってどういう意味だ?」
カミュを連れて逃げろ、彼女は大事な『鎖』なんだ!
オボロは俺にカミュを預ける際にこう叫んだ。
この鎖というのが俺は気になっていた。
「その事なんだが……岸田は鎖と聞いて何を連想する?」
「やはり縛る、繋げる、絡みつく、拘束するという辺りか」
「だろうな。俺もそんな感じだ。で、それは置いといてだ」
「何が言いたいんだ?」
「───『糖鎖』という言葉を知っているか?」
糖鎖?砂糖を逆さまにした言葉か?…解らん。
「待ってくれ、今調べる」
俺はまたPCの前に座り糖鎖を検索する。話術や演技の知恵はあっても
こういう知識はないとは…自分が情けねえ!
糖鎖について検索し調べていく。糖鎖とは、
解析が完了したヒトゲノム遺伝子に続く次の生命の設計図として
研究が進められている人間を構成する大事な物質の一つのようだな。
ちなみにDNA、タンパク質、糖鎖。この3つが生命の三大設計図と言われている。
糖鎖はタンパク質や脂質等と結合し、色々な糖質や栄養素を体中に送り込み、
自然治癒力を上げ、60兆個から成す人体細胞全てを覆っている
とにかく生命体になくてはならない重要な物らしい。
人間一人一人の血液型も免疫作用もこの糖鎖により決まっているという。
「難しい話だが、遺伝子と同じくらい人体に必要な物なのは解った」
「いや、俺も研究所を脱出する時に少し調べただけに過ぎない」
「それで、この糖鎖とお前の言った『鎖』に何の関係があるんだ?」
「……こっちに来い。カミュ、少し待っててくれ」
オボロは玄関の方へ向かい、俺を呼びつけた。カミュに話したくない事なのか?
「それで、何の話だ」
「──人は生まれる時も、生まれてからもずっと『鎖』に縛られている」
「どういう意味だ?」
「例えばDNA。これが鎖状の形をしているのは知っているだろう?」
「ああ、それぐらいは知っている」
「糖鎖もそうだ。細胞同士を繋げ、絡まっている『鎖』だ」
「だからなんだ?その話とお前の言う『鎖』に何の関係があるんだ!」
「ミズシマ博士はこの『鎖』を引きちぎり、人間を解き放つのが目的だった」
「それは知っている。以前テレビでそんな電波な事をしきりに叫んでいたからな」
「だが、その『鎖』を外したら俺達はもはや人ですらなくなってしまう」
「いい加減にしろ!勿体ぶらずに結論を言ってくれ!!」
俺が怒鳴ると、オボロは真剣な眼差しで言った。
「カミュを守って、いや助けてほしい」
「なんだと?」
「カミュは──」
A ミズシマ遺伝子を無効化する抗体を持っている。人を人のまま繋げられる『鎖』だ
B 糖鎖の影響でタンパク質が変異し、もうすぐ変身してしまう。『鎖』が解かれてしまう
C カミュが死ねばミズシマ遺伝子を持つ全ての人が暴走する。彼女自身が世界の安全を支えている一本の『鎖』なんだ
悩むがC
「もしカミュが死ねば……俺やお前、それにミズシマ遺伝子を持つ全ての人間が暴走してしまうんだ」
「ぼ、暴走だと?!」
「ああ。詳しくは知らないが、カミュの生命反応とミズシマ遺伝子を持った人間の『糖鎖』とは、密接な関係があるらしい」
「…………」
あまりの展開に言葉を失ってしまう。
……『鎖』とはそんな意味だったのか。
「早い話、俺やお前の正常さとカミュの命は一蓮托生ってことか」
「それだけじゃない。他のミズシマ遺伝子の持ち主や、そいつ等と性交を持った人間やその子供もだ。
だからカミュを助けてほしい。彼女自身が世界の安全を支えている一本の『鎖』なんだ」
オボロの懇願。目は真剣そのものだ。
犯罪者の遺伝子と記憶を持つ俺に、真摯な態度を崩さない。
それだけカミュを守りたい、助けたいと考えているのだろう。
と、ここで俺は一つの疑問を思いついた。
……いや、思いつかなかったほうが良かったのかも知れない。
だが思いついた以上、聞かねばならないものだった。
「一つ聞きたい。カミュが死ねばミズシマ遺伝子の持ち主が暴走するって言ったよな」
「ああ」
「少なくともお前達のような、動物や鳥類と掛け合わせたタイプはごく少数だろう」
「珍獣扱いされるぐらいだかな」
「それで、俺のような最初から『ミズシマ遺伝子の拡散』を目的としたタイプはどれくらいいるんだ?」
「……俺達よりいくらか多いのは確かのはずだ」
「仮に他の俺と同じタイプの人間が、既に何人かの女と性交をしてしまったとしても……
カミュの死で暴走してしまう人間って、世の中全体から見たらごく少数じゃないか?」
「…………」
「…………」
気まずい沈黙が俺達の間に流れた。
オボロの目が「何で気が付いたんだよ、このバカ!」と言っているように思える。
「だからって、岸田。世の中のために進んでカミュを死なせて自分も暴走するなんて認められるか?」
「No! 絶対にNoだ!」
俺はそんなお人好しでは無い。
「もちろん俺もだ。だがお前のように考える人間も当然いる。自分達が助かるために少数を切り捨てようとする連中が」
「そういう連中がカミュの命を狙っているのか?」
「ああ、そういう事だ」
「だとして! 俺達に対抗策はあるのか?! 俺達は圧倒的少数者で厄介者なんだぞ!」
声を荒げる俺に、オボロは渋い表情を浮かべた。
「……手段が無くはない」
「何だそれは? 勿体ぶらずに言え!」
A 「……計算上、カミュの子供から暴走を無効化できるワクチンが採取できるらしい」
B 「ミズシマ遺伝子を持つ人間の中に、暴走を無効化できるワクチンが採取できる突然変異種がいるらしい」
C 「……カミュを、仮死状態のまま永遠に『死なせない』ようにするんだ」
A
「……計算上、カミュの子供から暴走を無効化できるワクチンが採取できるらしい」
「子供だと?」
「そうだ。人体は上手くできていて、悪い因子を進化や遺伝情報から取り除くように出来ているのかもしれない」
確かにその子供からワクチンを取り出せばミズシマ遺伝子かに対する安全は保障されるだろう。
問題はまだあるんだが…、それより気になるのは、
「こんなガキに子供だと?」
悪いがカミュはどう見ても13、4歳ぐらいにしか見えんガキだ。
胸だけは発達しているが。子供が子供を生むってのか?
いくら最近は高校や中学でガキを生んだり捨てたりしてる馬鹿女が増えてるとはいえ。
「お前がカミュを連れて研究所から逃げたのはいつだ?」
「半年ほど前だな」
この時点で無理がある。半年でどうやって子供を生む?早産にもほどがあるぞ。
大体、妊娠してるなら今カミュの体型は腹ボテになってなきゃまずいだろうが!
「待ってくれ。岸田、お前は普通の人間の常識で話をしているだろう?」
「…じゃあ、常識的に生まれた子供ではないという事か?」
「それに、カミュの子供という言葉も言葉通りに捉えているだろう?」
「それ以外何が考えられる?」
「まず、俺やカミュ達の肉体は遺伝子工学で培養され作られた」
「俺も作られた存在だというのならば、同じ原理で人工的に作られただろうな」
「鋭いな。俺達は普通の人間の数十倍の勢いで成長し生み出された」
「それを前提に踏まえたとして…、どういう事になるんだ?」
「詳しい説明はこれからするが…、驚かずに聞いてほしい」
「今更これ以上驚く事などあるか!」
A 「実は、既にカミュは子供を生んでいる」
B 「カミュのデータを親元として作られた実験体がいるらしい」
C 「カミュと交わりを持った男がさらに他の女と交わって、それで生まれる子供からもワクチンは採取できる」
Aかな
「実はな……カミュは既に子供を産んでいる」
「なっ!!!」
これ以上驚く事など無いと、さっきの言葉がもう覆ってしまった。
「カミュが……子供を……」
思考が混乱する。言葉が続かない。
「カミュは妊娠から出産まで、普通の人間のように10ヶ月も時間を必要としない。
受精から一週間足らずで、赤ん坊を産むことができる」
「そんな……まさか……」
「お前もだが、俺達が普通じゃない存在なのは十分理解しただろう」
「…………」
確かにオボロもカミュも普通の人間じゃない、オボロに言わせれば俺もそうらしいが。
通常の妊娠から出産までを基準に考えるなど、無意味なのかも知れない。
だが――それでも――
(カミュが……あのカミュが……何かの冗談だろ)
モノマネのネタをハズした時に見せた、楽しそうに笑った顔。
パジャマを着せた時に見せた、安心しきった表情。
あの無邪気で純粋なカミュに、そんな過去があったなんて――
(ん、待てよ?)
カミュの過去に少なからぬショックを受けていた時、脳裏にごく素朴な疑問が浮かんだ。
「ちょ、ちょっと待て。カミュは既に子供を産んでいると言ったな」
「ああ」
「おかしいじゃないか。だったら子供からワクチンを作って問題は解決するハズだ」
「…………」
「なのに何故カミュは追われている? 御堂は手を出してくる?」
そうだ、子供がいるならワクチンが作れる。
ワクチンをミズシマ遺伝子の持ち主に摂取させれば、それで全てカタがつくはず。
「……実は――
A カミュの子供が、行方不明なんだ」
B カミュの子供は……死んでいるんだ」
C ワクチンが採取できるのは(男・女)の子だが……カミュが産んだのは(女・男)の子なんだ」(組み合わせを指定)
う〜ん、どの選択でどう変化するかさっぱり想像がつかん
Bでいいや
「カミュの子供は……死んでいるんだ」
「どういう事だ!?」
「その前に俺達が研究所を脱出した後の事を話さなくてはならない」
オボロはさらに語りだした。カミュを助けだしミズシマ研究所から逃げた後の事を。
「俺がカミュを助け出した時には、既に腹は少し膨れていた」
「その時点で誰が父親なのかも解らないのに種付けされてたって訳か」
「人工授精だろうとは思うが、とにかく人間の胎児なら3、4ヶ月といった辺りだろう」
「そこまで成長が早いとは…」
「研究所から離れ追っ手が来ないのを確かめた後、すぐに俺は医者を探した」
だが、ただでさえ羽根を生やしているような異形の者。
しかも僅か数日で成長し出産するなんて非科学的な状況を
まともに受け入れてくれる病院がなかなかあるはずもなく…
「やっとカミュを受け入れてくれる病院を見つけた時は、カミュはもう限界だった」
陣痛がいつ始まってもおかしくないほどカミュは腹が膨れ上がっていたのだ。
「その病院の医者は俺達の姿を見ても何も騒がず、すぐに入院の準備に取り掛かった」
「まさにギリギリセーフだったのか」
「医者は明日にはもう出産するだろうと言い、俺を安心させてくれた。
俺は連日カミュの為に動き回った疲れもあり、そのまま病院のソファーで寝てしまったんだ」
そしてオボロは目を覚ました。が、ここで事件が起こる。
「俺が起きると明らかに様子がおかしかった。嫌な予感がした」
「何があったというんだ?」
「結論から言うと…、カミュが浚われていた」
「病院内の状況はどうなっていたんだ?」
A 病院の医者や看護婦も全て消えていた
B 血と死体だらけだった。何者かに襲撃され、荒らされた跡がある。
C いや、病院そのものが『なかった』。俺はまったく知らない場所で寝ていたんだ
B
「病院の中はそれはもう凄まじい事になっていた…」
オボロの話を聞いて俺は絶句した。夜中に目を覚ますと
病院の廊下、病室、ナースルームを問わず血の海。
患者や看護婦は全員殺されていた。
「俺は血相を変え、カミュのいる病室に走った」
オボロはカミュの病室に向かう。だが、そこには誰もいなかった。
目の前にあるのは誰も寝ていないベッド、割られたままのガラス窓、そして…
「――血溜まりの中に捨てられていた、赤ん坊の死体だったんだ…」
「それがカミュの子供だったというのか?何故解る?」
「俺達の体を見れば解るだろう?体のどこかに必ず普通の人間とは違う特徴が出来る」
「ああ、そうだったな」
「その子も背中の肩甲骨の辺りに羽根が少し生えていた。それでカミュの子供だろうと解ったんだ」
その後オボロはカミュが生きていると信じ半年間も一人で捜索を続け、
ミズシマ遺伝子に関する知識、情報、一部の感染者の居場所等を頭に叩き込んだ。
そしてついに動物園にカミュが囚われている事を嗅ぎ付ける。
「後は知っての通りだ。…やっとカミュを助けられた」
「……しかし、無茶苦茶をやるもんだな」
「岸田、お前があの時いてくれたのは偶然だった。だが、俺は必然だと思っている」
「必然だと?」
「何も知らず生きていく俺達実験体が真実を知る為のな」
「ところで、オボロが病院で目が覚めた時には既に皆殺しだったと言ったな?」
「ああ、そうだ」
「じゃあ何故オボロ、お前は助かったんだ?お前も寝ている内に殺されたかもしれないんじゃないか?」
「敵の立場で考えろ。俺が目を覚ましたら、俺は当然反撃するしカミュの元へすっ飛んでいくだろう?」
「ああ、そして敵の立場で考えればカミュを殺さずに攫うという事はだ、」
「カミュが死ぬと不味いという事を既に知っているという事になるな」
「カミュの子供だけは殺していったというのも、ワクチンが子供から作られるのを知っていたからと予想できる」
「やはりカミュを攫った連中はミズシマの手の者か、カミュの必要性を解っている連中と考えるべきか…」
「しかしミズシマの関係者だったら、カミュを攫った後研究所にまた戻すはずだ」
「だから気になるんだ。病院でカミュを攫った連中は誰なのか。半年もの間何をしていたのか」
「あの動物園の連中はどうなんだ?本当に見せ物目的だけでカミュを捕まえたと思うか?」
「確かに、言われてみれば…それに、あれから半年も経っている」
「…何か考えがあるようだな」
「俺はカミュを助けるのに必死で動物園の内情までは考えていなかった。だが…」
「だが?」
「半年もあれば、何でもできる。これはあくまで予想に過ぎないが…」
オボロは語りだす。
「これはあくまで予想なんだが…」
A あの動物園に、カミュが産み落とした他の子供がいるのではないか?
B あの動物園は、ミズシマ研究所と裏で繋がっているのではないか?
C あの動物園で、カミュは既に新しく種付けされているのでは?
C
「あの動物園で、カミュは既にまた妊娠しているのでは?」
「おい、それは今度こそ本当に考えが早すぎるんじゃないか?」
カミュが妊娠すれば常人の数十倍のスピードで成長するのは聞いた。
しかし、そうだとしても今のカミュの腹部は全く膨れてなどいない。
「だから言っただろう、これはあくまで予想だと。だが――」
その時、部屋の奥からカミュが顔を覗かせた。
「うぷ、気持ち悪い…」
「カミュ!どうした!?まさか…岸田ッ!洗面所は?」
「こっちだ!」
オボロはカミュを抱えて洗面所に向かった。まさか…
流し台から吐く声と水を流す音が聞こえる。
「岸田、この辺に病院はあるか?」
「何?ではやはり…」
「ああ、一応見てもらった方がいいだろう」
とはいえ、まともな病院ではカミュのような外見の人が行って
いきなり取り合ってくれるとは思えない。
それに表立った病院だとまた襲撃されるかもしれない。
だが、心配ない。何も問題はないのだ。
「オボロ、今度は俺に任せてくれ」
俺は病院に電話をかける。といっても普通の病院じゃあない。
前にも言ったろう?悪には悪の、裏には裏の繋がりがある。
小さいのではヤクザの指詰めの治療から
大きいのでは臓器ブローカーから買った内臓の移植手術まで、
そういう裏の仕事を生業としている闇医者はいるもんだ。俺はある病院に電話をかけた。
その病院は…
A 霧島診療所。表向きはただの診療所だが裏では絶大な人気を誇る。
B 石原診療所。御堂がいつも世話になっている診療所らしいが…
C 助産師エルルゥ。「何だと!?」その名前を聞いた途端オボロが反応した!
c
俺はとある産婦人科に電話をした。
この産婦人科は、所謂訳ありの仕事を裏でやっていて
堕ろせなくほど成長した胎児の堕胎等
犯罪が絡む仕事も請け負う、まさに裏の産婦人科だ。
この婦人科なら子供を産みに来た女がヤクザだろうが犯罪者だろうが
奇形の障害者だろうが、どんな奴でも対応してくれるだろう。
表立った病院ではないので敵に襲われにくいというメリットもある。
ここにエルルゥという凄腕の助産婦がいるらしい。
噂ではどんな難産でも何なくこなし、母体に苦痛を与えず
出産させられる、若くして産婆のスペシャリストと言われるほどだとか。
さらに薬学にも詳しく薬の調合の分野でも有名らしい。
ただ、こんな裏の世界にいながら子供を堕ろす仕事には立ち会わず、
あくまでも出産する仕事しか受けないらしい。
何故これほどの女が表の世界ではなく裏の世界に生きているのか?
とにかく俺はその産婦人科に電話をかける事にした。
「もしもし、○○産婦人科ですか?そちらにエルルゥさんは…」
「何だとッ!?」
突然、オボロが叫んで俺の目の前に詰め寄ってくる。
「あ、はい。解りました…今電話に出すってよ」
「今、エルルゥと言ったな?本当にエルルゥという名前なんだな?」
「ああ、間違いないが」
「そいつは俺達と同じ半獣半人の実験体だ!研究所で名前を聞いた事がある」
「何だとッ!?」
「俺達以外にも研究所から逃げた実験体がいたとはな…」
思わずオボロと同じ事を言ってしまった。
いや、だとすれば何故これだけの腕前を持ちながら
裏の世界に生きているのか納得がいく。カミュやオボロと同じ外見だとしたら、
表の世界では目立ちすぎる。奇異の目で見られすぎるからだ。
しかしこれは好都合だ。オボロ達と同じ実験体なら俺達に快く協力してくれるだろう。
「もしもし」
「エルルゥさんですか?」
「はい、そうですが…」
ここで俺は裏の仕事の合言葉を言う。
「ルクスゥト」
「!!──────解りました。どのような仕事ですか?」
オボロが俺に換わってくれという身振りを見せる。俺は受話器を渡した。
「ミズシマ遺伝子の実験体の女性がいる。妊娠しているかどうか調べてほしい」
「ミズシマ!?どうしてその名前を知っているのですか?」
「俺はオボロ。お前と同じ実験体の一人だ。いや、逃げてきた仲間という方が正しいか」
「そこまで知っているなんて…」
「今すぐにお前の力が借りたい。同じ実験体として」
「………」
しばらく沈黙の時が続き、エルルゥは言った。
A 解りました。今すぐにこの病院に来てください
B 解りました。私がそちらに伺います
C 待ってください。今どうしても手が離せない用事があるんです
B
「解りました。私がそちらに伺います。それまで女性を安静に寝かせておいて下さい」
「解った、住所は――」
オボロは俺の家の住所をエルルゥに伝え、電話を切った。
「ほらカミュ。もうすぐお医者さんが来るから」
「うん……ありがとう岸田さん」
電話の後、俺達はカミュをベッドに寝かせた。
「……すぅ……すぅ」
疲れていたのだろう。少しするとカミュは穏やかな寝息を立てだす。
未だに信じられなかった。カミュの幼い寝顔を見ていると。
彼女が既に一度子供を出産し、しかもその子供は殺され、あまつさえ再び妊娠させられた可能性があるなんて。
エルルゥが来るまでの間、俺とオボロは現状を整理するために話し合い始めた。
「……ところで、半年前にカミュが出産した子供を殺し、カミュを浚った連中が現れたんだよな」
「ああ」
「そいつ等はカミュもお前も殺さなかった、だがワクチンの取れる子供は殺した」
「その通りだ」
「そこから考えると、連中は『ミズシマ遺伝子の暴走無力化』を嫌っていると考えられる」
「なるほど」
「だが、カミュ自身は殺さなかった。彼女を殺せばすぐにミズシマ遺伝子は暴走しだすはずなのに」
「確かに…不思議だ」
「ここからは俺の予想だが、カミュを浚った連中は、ミズシマ遺伝子がより広まるのを待っているのではないか?
十分に世の中にミズシマ遺伝子が広まったところで、カミュを始末して大勢の人間を暴走させる。
今カミュを殺してしまっても、少数の人間しか暴走しないからだ」
「ならカミュを死なせないように監禁しておくのじゃないか、カミュに新たな子供を妊娠させるなど話があべこべだ」
「俺はカミュを浚った連中と敵対関係にある別の連中が、カミュを浚い返したのだと考える。
そいつ等はワクチンを作り出すために、動物園の連中にカミュを引き渡した。
あるいは動物園の連中自身が、カミュを浚った連中と敵対関係にあるのかも知れない。
こう考えれば色々と辻褄が合うんじゃないか?」
「間違っていないようには聞えるが……」
俺の話を聞き、オボロは複雑そうなな顔を浮かべる。
正直なところ、俺だってそうだ。仮説に仮説を重ねて自論を語っているに過ぎない。
真相に迫りたければ、調べねばならない事が山ほどある。
A しばらくすると、エルルゥが俺の家に来た。
B ……しばらく待ってもエルルゥが来ない、何かあったのか?
C その時、御堂から電話が掛かってきた
c
俺はオボロと現状について話し合いながら、エルルゥの到着を待った。
そろそろ到着するころか、そう思ったその時。
「電話? こんな時に一体誰だ?」
不意に電話のベルが鳴った。
俺はオボロとの会話を一旦切り上げ、受話器を取る。
『はい、もしもし』
『ゲーック。元気か岸田』
『み、御堂…さん』
独特の口癖、聞き覚えのある中年ボイス。
電話の主は御堂だった。
(御堂……コイツの立場もよく分からん)
御堂はカミュを「逃す」のが組織からの任務だと言っていた。
それが本当なら、もうコイツの仕事は終わっているはず。
なのに何故、今さら俺に電話を掛けてきたんだ。
予定と違って、俺が乱入してきたオボロと協力してカミュを逃したからか?
ならば何故あの時、オボロをキッチリ仕留めようとしなかったんだ?
どうしてオボロを狙撃し、そして中途半端に止めたのか?
単に敵と勘違いしただけだったのか?
他に理由があるのか?
俺は御堂の次の言葉を待った。
A 『仕事も終わったし酒でも飲まないか。良い気分だからおごってやるぞ』
B 『予定通りオボロと接触できたか?』よ、予定通りだと?
C 『俺の組織がカミュを引き渡せと言ってるんだが、どうだ?』
Bだな
岸田さんらしさが失われてきてる
「予定通りオボロと接触できたか?」
予定、予定通りだと?何を言っているんだ?
「御堂さん、予定通りとはどういう意味ですか?」
「お前には黙っていたがな…俺の本当の任務は
『オボロ達と岸田洋一』を合流させる事だったんだよ」
何?では…
「俺がお前と動物園で会ったのは偶然じゃない。
あの日にお前が動物園にカミュを見に行く事も、
オボロがカミュを助けに向かう事も全て知ってたんだよ」
「!!」
「その上で俺はお前をカミュ救出に誘い、
わざと手加減してオボロを狙撃した。オボロとお前を接触させる為にな」
やはり御堂の行動は全て計算づくだったのか!
不自然な出会いや撤退だと思ってはいたが…
「まさかオボロがカミュをお前に預けるとは思わなかったぜ。
そこまで確認して、俺は去った訳だ」
「………………」
「オボロがカミュをお前に預けたままボサッとしてる訳ねえよなあ。
当然、オボロとまた会っているんだろう?それとももうそこにいるんじゃねえか?ケケケ」
「御堂さん、貴方はカミュやオボロ達にとって敵ですか?味方なのですか?」
俺は敢えて会話に答えず、御堂に聞いてみた。
「カミュやオボロ達…だけじゃねえなあ!『お前』も入ってるんだぜ、実験体の岸田さんよ」
な…に!?御堂は俺が実験体だという事も知っている?という事は、
「それらは全て御堂さんに任務を下した組織から聞いた事ですか?」
「ケケケッ!そうだ。任務を受ける前にお前らの事は一通り聞いてある」
「その組織は一体何者なんですか!?」
「ゲーック、そいつぁ守秘義務って奴だ、言う訳にゃあいかねえな!」
糞が!それが解ればこの先の行動の指針も決められそうだったのに!
「…だがこれだけは教えてやる。今俺はお前らにとって敵か味方かと、そう言ったな?」
「はい、言いました」
「答えは、どっちでもねえ。次の任務で味方になるかもしれんし敵に回るかもしれねえ」
「それはどういう意味で…!?」
「俺は仕事として、組織に金を貰い任務を果たしただけだ。
もう前の仕事は終わった。次の命令次第では…」
「協力もするし、殺す事もあるという事ですか」
「そうだ。俺は傭兵だからな…情やエゴで動いたりはしねえ」
御堂のような化物を敵に回したくはない。
だが御堂を操る組織が掴めない以上はどうしようもない…!
「ただ、今の所はお前らが殺されるなんて事はないと思うぜ」
「何故なんですか?」
「俺が命令を受けた組織は、お前達実験体同士を集め、合流させる方向で動いているらしい」
「集める?実験体を殺さず、捕まえもせずに?何の目的で?」
「それは解らねえし、俺にとっちゃどうでもいい事だ。とにかく俺が話せるのはここまでだな」
「そうですか…」
「ただ忘れるなよ。あくまで今の組織はお前を殺さないだけで、他にお前達を狙ってる連中がいるかもしれねえ」
それはいる可能性が大きいだろう。カミュを病院から攫った奴等も気になる。
「案外そういう連中に俺が雇われるかもしれないぜ?ゲッゲッゲ!!」
「御堂さん、笑えない冗談ですよ」
「ケケケ、まあいい。お前とオボロ達が行動を共にしているのを確認できたら
俺はそれでいいんだ。気が向いたらまた連絡してやる。またな」
一方的にかかってきた御堂からの電話が終わった。
だが御堂の謎の行動の理由が解った事と、御堂を雇っている組織が
少なくとも俺やカミュの命を脅かす存在ではない事が解っただけでも収穫というべきか。
A ほどなくしてエルルゥが家に到着した
B 再度電話がかかってきた。御堂やエルルゥではない。誰だ?
C 家の側で叫び声が聞こえた!この声はエルルゥか!?
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