あたしはまず浴槽と厠を調べる事にした。一見何の問題も無いように見えるが、さて。
まずは浴槽…には何も無い。厠も蓋の裏まで調べたが何も無い。
とりあえずここには何も無しか…。あたしは洗面所で顔を洗い、布団の方を調べようと移動する。
『ゴボゴボゴボ…』
その時だ。あたしは洗面台から流れる水の異音に気付いた。
これは排水溝に何かが詰まっている音だ。
普通の人間なら気付かないかもしれないが、常に水と共に生きるあたしは聞き逃さなかった。
洗面台の下の排水管を指で叩く。すると一部だけ反響音が妙になっている個所があった。
管の間接部を良く見ると、一度取り外してあるような痕跡がある。間違い無いようだ。
間接部を取り外し、その部分の中を覗く。
「かぷせる…か?」
排水溝の中には防水処理をした透明の器が入っていた。
「ぷらすちっく」の「かぷせる」という奴だ。その中に写真の「ねが」らしき物が入っている。
あたしは続けざまに衣装棚、布団の中も調べた。
やはり。ぱっと見は何も無いように見えるが
棚の引き出しの裏側に拳銃、布団の裏側には爆弾が隠されていた。
この部屋にいる人物は何者だ?破壊工作でも行うつもりなのか?そこまで考えた直後、
急にまだこの部屋にいる人物の名札を見てない事に気付き入り口に急いだ。
名札には岸田洋一…ともう一人、女らしき名前が書いてあった。
やはりあの男の部屋だったか。予想はしていたが奴も「かっぷるのもにたあ」として乗船したという事か。
奴のような暴漢がいる以上、他にも何やら悪しき目的でこの船に乗った輩がいるかもしれん。
調査の妨げになるならば、潰すのも致仕方ないか…。
そう考えると、急に岸田の事が気になりだした。
奴一人の力では脱出しきれないように縛っておいたが、女の連れがいるとしたら話は別だ。
岸田はあたしが人外だから勝てたが、普通の人間としてならなかなかの手練れ。
それだけの男と組むという女だとしたら、相当の切れ者か、
あたしと同じく力でも圧倒して支配している強者か。
とにかく岸田を捕えている地下倉庫に戻る事にする。
倉庫の近くにいくと話し声が聞こえる。
あたしは気配を殺し、慎重に近づく。
「無様ね…何かする前から捕まるなんて」
「お、俺だって計算外だったんだ!あんな化け物みたいな女があんた以外にいるとは…うぐっああっ」
あ奴が岸田の連れの女か。今の会話から察するに、この女もあたしと同じ異能力者か?
あたしは短刀を構え、さらに接近する。棚の裏側に身を潜ませ、
岸田と連れの女の姿を確認する。岸田は相変わらず縛られたまま、あたしの血により苦悶している。
女の方は…あたしが身を乗り出したその時!
A 「誰?」見つかった!?仕方ない、貴様も捕えさせてもらう!
B 「貴方はもう用済みよ」女は岸田を殺害した。何のためらいも無く。
C 「仙命樹か…仕方ないわね」女は服を脱ぎだした。なに?破廉恥な…それ以前に何故仙命樹を知っている!?
D 「そろそろ迎えが来る頃ね」異音が聞こえる。この音は…船か?飛行機か?
この女は何者か?
1 リサ・ヴィクセン
2 石原麗子
3 カルラ
4 カミュ
5 月島瑠璃子
6 柏木千鶴