あゆのアトリエ 〜ハカギブルグの錬金術師〜

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1名無しさんだよもん
うぐぅ。
2名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 18:53:38 ID:ZOn1GUXS0
              )
             (
         ,,        )      )
         ゙ミ;;;;;,_           (
          ミ;;;;;;;;、;:..,,.,,,,,
          i;i;i;i; '',',;^′..ヽ
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           .¨.、,_,,、_,,r_,ノ′
         /;:;":;.:;";i; '',',;;;_~;;;′.ヽ
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        ".¨ー=v ''‐ .:v、,,、_,r_,ノ′
       /;i;i; '',',;;;_~⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′..ヽ 
       ゙{y、、;:...:,:.:.、;、;:.:,:.:. ._  .、)  、}
       ".¨ー=v ''‐ .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′   糞スレにうんこ置いときますね
      /i;i; '',',;;;_~υ⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′.ソ.ヽ
      ゙{y、、;:..ゞ.:,:.:.、;:.ミ.:,:.:. ._υ゚o,,'.、)  、}
      ヾ,,..;::;;;::,;,::;):;:;:; .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′
3名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 19:54:24 ID:YZJsuqNj0
白痴が集いし邪教の館へようこそ。
何がお望みかな?
4名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 20:19:33 ID:K751BbcO0
あゆがアトリエしたら誰がてめぇにエリクシル剤飲ませるんじゃヴォケェ
5名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 23:43:36 ID:yvzEHztI0
イリス系は認めない
6名無しさんだよもん:2006/06/20(火) 07:45:02 ID:sQYYPWEp0
                          _ -‐、 _
               _,, -- ‐¬─--<  _ ´  `ヽ
             ,. '´,. -_‐… フヾ'''…‐-`_`ヾミi    ',
            /∠、/ ヽ/1  \    `ヾ、ヽ    l
          /,イ / /` '"l l、  \i'⌒ヽ、 \\   !
           `'\レ' /      !iヽ   \ - 、ヽ  ヾヽ l
           /,ィ /       !i ヽ.    \ ` iヽ、ヾヽ.l
         (  {:{ {  ̄`丶   ィ‐''ヘ     `、 , レ_ゝ!o}i
          ヽ、 !i l  、,,,,、    '、  \、   ヽ ノ _`ヽハ
        ♥  ( `i>、! `"rァヾ    ヽ __  ヾ、、   Y´   `ヽ!
           >ヘ_ l` 、ヾソ     '´ヾ `'  iヾヽ  }      }l
            {./n ゚l  `´ r      丶  __メヽ人_  _ノ !
              ハl l ハ     `        /° }   宕   l!  うぐぅ!
           / N' , ヘ   `ー-一'   /从 /    n   !l
          √ l !` ̄ ゝ、     ,  'ト  ̄ ナ─-、 │l  !l
       __/ │ l    | ` ` -- ´-一^' |      '、 l !  !l
      /   ′ │ l   人__      _人、     ヽ | l  !!l
      /       l  ! /´ /   `♀´ ̄ヽ   }       ヽ! l  !!l
    〈, - 、     `´ /  /    n   ヽ  l      {  l  !!l
   /   \     /  / ヽ、   ハ    ヽ l       ! ,ハ  !l !
 /       \  i′ /    ` l  ! '´ ̄ ̄∨    ,. - "´ ̄`く l l !
厶_  o     ヽ  レ'      l  |     l  /         ヽ l l !
 ̄ 7`‐ _ 、 o   >'^ヽ、      l_j     〈  /      o   〉l l l
  /    `‐、、 /    \   :.   ,.r''´ ̄`ヾ∨ o ,,. -- ─‐弋Ul l
 ヽ      Y       ヽ ::  /       ヾ  /       |Ul!
7名無しさんだよもん:2006/06/21(水) 01:41:02 ID:J8vyJUh+0
LV7うに
8名無しさんだよもん:2006/06/22(木) 08:44:39 ID:Dc/JYp/9O

ぷに
9名無しさんだよもん:2006/06/22(木) 14:30:53 ID:MdmqKW3aO
)´д`)
10あお:2006/07/02(日) 06:30:05 ID:GNrQ+7jz0

「うぐぅ、やっとハカギブルグに帰ってこれたよ」
ボクの名前はあゆ。これでも錬金術士の卵なんだよ。
ここ半年位、ある錬金術師の先生の下で修行を積んでたんだけど、
1週間前、もう教えることはない。後は自分で修行を積め。
って言われて、それで、故郷に戻ってきたんだ。
でも…、そう言った時の先生の顔、かなり引き攣ってたんだよね…。

え、違うよ! 追い出されたんじゃないよ!
そりゃ、洞窟の奥から採ってきた霊水をこけてぶちまけちゃったり、
巨大な魔物から手に入れた牙を、うっかり落として無くしちゃったり、
小火を起こして、先生の本を燃やしちゃったりしたけど……、

………うぐぅ、やっぱりボク追い出されちゃったのかなぁ。

「…ううん、これから頑張ればいいんだよ」
ボクはグッと拳を握り締めて、気合を入れる。
そうだよ、だってボクには夢があるんだから。
住み慣れた町に向かって、ボクは思いっきり駆け出した、
これは、ボクの夢への一歩なんだ!




ズデッ

「うぐぅ、こけたよ…」
11名無しさんだよもん:2006/07/15(土) 22:41:03 ID:wtaRUHvc0
オツ
12名無しさんだよもん:2006/07/18(火) 07:13:19 ID:gpqp03NIO
ふむ
1310:2006/07/25(火) 06:38:19 ID:40WZgcFq0
半年振りの町は、色々と変わってるように見える。建物の並び、木や草の色、心なしか人の姿も、
でもね、今はそんな風に風景を楽しめる気分じゃないんだ。

「待てや、こらぁーッ! 久しぶりに見たと思ったら、偽金で勘定済ませようたぁ、いい度胸だ!」
「うぐぅ! それは別の国のお金なんだよ!両替所に持っていけば、換金できるよ!」
「信用できるかぁ!」

うぐぅ、酷いよ!お金が足りなくて食い逃げしたことまだ根に持ってるなんて。
いつもならすぐ撒けるけど、今日は荷物を背負ってるから逃げきれないよ。
うぐぅ、こんな事なら秋子さんの所で荷物整理してから、屋台に行けばよかった。
でも、しょうがないんだよ、たい焼きがボクを呼んでいたんだ。

「なにやってんだ、お前は」
「うぐぅ、今忙しいんだよ、早く逃げないと…って、
 ゆ、祐一君!何でこんなところに!」
「街中を食い逃げして走り回ってる女の子がいるって聞いたんで探してたんだ」
「ありがとう、ボクを探してくれたんだね」
「いや、守衛に引き渡して礼金を貰おうと思ってな」
「うぐぅ!酷いよ祐一君!半年振りの再会なのに!」
「そうだったな、食い逃げの修行の成果を試してたんだろ」
「錬金術の修行だよ!!」

うぐぅ、相変わらず、意地悪だよ祐一君。

「あ、こんなところにいやがった!」
「わぁ!追いつかれた!」
「さぁ、タイヤキ10個で100キー、耳をそろえて払ってもらおうか」
「うぐぅ、祐一君払って…」
「……半年振りの再会で、食い逃げの代金を払わせるか普通」
「よ、良かったね。世界初だよ」
「そぉ言うことをほざけるのは、この口かぁ!!」
「うぐぅーーーーっ!」
14名無しさんだよもん:2006/07/25(火) 10:57:58 ID:GefNaZNRO
うぐぅ〜♪
(うにを投げる)
1510:2006/07/27(木) 07:22:44 ID:qpE4wSl50
「おかえりなさい、あゆちゃん」
「おかえり、あゆちゃん」
「うん、ただいま。秋子さん、名雪さん」
「色々とあったでしょうけど、まずはお疲れ様。ゆっくり休んでね。
 もうすぐ夕食だから、その時にでもゆっくりと旅の話を聞かせて頂戴」
「はい! ありがとうございます」
「ちょっと待っててね、祐一はお皿並べといて」
「へいへい」

やっぱり秋子さんと名雪さんは優しいなぁ、本当のお母さんとお姉さんみたいだよ。
そんな風にボクが感慨にふけってると、
隣に座っていた祐一君が、トントンとボクの肩をたたく。

「で、錬金術って何が出来るんだ?」
「えっと、色々出来るよ。例えば、鉄を金に変えたりとか」
「なにっ!じゃあ、早速やって見せてくれ!」
うぐぅ、祐一君、目が光って怖いよ

「今のボクには無理だよ、金を精製するには凄い技術と貴重なアイテムが沢山いるんだもん」
「やはりうぐぅでは無理だったか…」
「失礼だよ!いつかはボクだって立派な錬金術士になってみせるよ」
「そうかそうか。まぁ、がんばれ」
「うぐぅーーーっ!!」

やっぱり祐一君は意地悪だよ、鬼だよ!
1610:2006/07/29(土) 04:18:10 ID:/BDlBVLz0
夕食を食べながら、ボクは色々と旅の話をした。
モンスター退治を引き受けた事や、妖精たちから依頼を受けた事、港町で珍しい物を見つけた事、
一通り話し終えた後、名雪さんがにっこりと笑ってボクに聞いた。
「ところで、あゆちゃんはこれからどうするの?」
う、改めて聞かれると、ちょっと困るよ。
「とりあえず、錬金術の修行は続けるんだろ」
「うん、でも、錬金術は色々と物がいるから、どこかに場所を借りないと…」
「その心配は要りませんよ、あゆちゃん」
「え?」
「うちの離れをあゆちゃん用に用意しましたから」
「え、ええぇ!」
そんな…、秋子さんの家に泊めてもらってるだけでも十分なのに、そんな迷惑はかけられないよ。

「す、すいません、でも、ボクは…」
「あゆちゃん、私達、家族だよね」
「うぐぅ、名雪さん…」
「家族だから、家族のために助けたいって思うのは当たり前だよ」
「家族…」
「うん、あゆちゃんはもう家の家族だよ」

家族、
そう言われた瞬間、ボクはなんだか申し訳なかったり、
なんか気分がグルグル回ったりで、ごちゃ混ぜで分からなくなって、
ただ、とってもとっても嬉しくて、
「あ…、りがとう…、名雪さん…、秋子さん…、あと祐一君…」
「俺はついでか」
「あはは、おいしい所取られたね、祐一」
「あらあら」
「うるさい。ほら、あゆももう泣くな」
「うん…、グス…」
うぐぅ、ボク…、みんなの家族で本当によかったよ。
1710:2006/07/30(日) 09:26:05 ID:a7cDelZg0
次の日、早速、ボクは荷物を解いて準備にとりかかった。幸い、秋子さんが掃除したり、棚や木箱や、錬金術用の大鍋まで用意してくれてたから、午前中には、一通りの支度が整った。
「フゥ…、終わったよ」
「おぉ、それらしくなってるじゃないか」
「見てないで手伝ってよ、祐一君」
「手伝って良いのか?俺は何が何やらさっぱりだぞ」
うぐぅ、祐一君使えないよ。
「今、何か失礼なことを考えなかったかお前」
「…イタタタ!!考えてない、考えてないよ!」
うぐぅ、女の子に梅干しなんて酷いよ。

「さて、終わったようだし、そろそろ行くぞ」
「うん、よろしく頼むね。祐一君」
「で、昨日の話は本気なのか?」
「うん、まずは10万キー貯める。それを目標にするよ」

家族だから。それだけでボクの面倒を見てくれて、錬金術の場所まで用意してくれた秋子さん。
でも、家族だから。だからこそ、ボクは秋子さんに頼りっきりになっちゃいけない。
秋子さんに錬金術の力で絶対に恩返しする。10万キー貯める事はその第一歩なんだ。
横を見ると祐一君がフゥと息をついて、歩き出した。
「まぁ、お前が決めたなら、俺がどうこう言うことじゃないな」
「ありがとう。だから、色々教えてね祐一君」
「仕方ないな。取りあえず、まずは酒場に行くぞ」
「お酒飲むの?」
「アホか。酒場じゃ、仕事を斡旋してもらえるし、
 外に行く時、仲間を集めるのにも都合がいいんだ」
「ふ〜ん、あ、でも外行く時は祐一君に付いて貰えばいいよね」
祐一君、冒険者だし。
「いいけど、賃金はもらうぞ」
「うぐぅ、家族なのに…」
「知らん」
18名無しさんだよもん:2006/07/31(月) 13:08:35 ID:TUYLmKbi0
「ここが、酒場なんだね」
「そうだ。さっさと入るぞ」
ボクの目の前には丸木の看板に「BAR KANON」って書かれてる、大きなレンガ造りのお店。
祐一君は扉を開けてまっすぐにカウンターでグラスを磨いている男の人にフレンドリーに声をかけた。
「うぃっす、マスター」
「あぁ。相沢か、そっちの子は?」
「あゆあゆです、うぐぅと鳴きます」
「祐一君!初対面の人に何言ってるんだよ!」
「そうかい、初めましてあゆあゆ。私はここのマスターの石橋だ」
「うぐぅ……」
「ハハハ、ここのマスターは物事に頓着しないんだ」
…うぐぅ、祐一君がやたらマスターと親し気な理由が分かったよ。
「で、マスター。コイツに仕事斡旋してやってくれませんか?」
「ん、わかった」
「よし、次行くぞ」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!それだけでいいの!」
「何か問題あるか?」
「いや、もっと名前の登録とか、身分証明とか…」
「めんどい」
「だ、そうだ。心配するな、あれでも、変なヤツはしっかりチェックしてる」
「…いいのかなぁ。なんか心配だよ」
「あぁ、これは来店祝いだ。シャリオミルクをどうぞ」
「わー!いいんですか。ありがとうございます」
うぐぅ、いい人だよ。マスターの石橋さん。

「俺としては、お前の方がなんとなく心配なんだが…」
19名無しさんだよもん:2006/07/31(月) 22:11:00 ID:+JpF/uks0
 
20名無しさんだよもん:2006/08/02(水) 01:10:48 ID:TqUKYlaF0
「あー。シャリオミルク美味しかったよ」
「そりゃよかったな。おっと、着いたぞ」
祐一君が指差したのは、一軒のお店だった。
えと、「ウェポンショップ ノースリヴァー」か。

「武器屋さん?」
「そうだ、外に行くなら色々と物入りになるだろ」
「でも、ボク剣とか使えないよ」
「心配するな。色々と他の武器も売ってる。おーい、いるかー」
「ん、相沢か。いるよー」
あ、北川君だ。挨拶挨拶。
「北川くん、お久しぶり」
「お、月宮さん。帰ってきてたんだ。暫くぶり」
「あぁ。で、早速だがコイツになんか見繕ってやってくれ」
「それはいいけど、月宮さんの得意な武器は何だ?」
「えっと、ボク武器使ったことないんだ」
「じゃあ、色々試してみるか」
21名無しさんだよもん:2006/08/02(水) 01:13:49 ID:TqUKYlaF0
「まずはオーソドックスに剣からいこう」
「じゃあ、振ってみるね」
ブン!スポッ。ヒュー…グサッ
「うわぁ!あぶねえ!」
「どうすれば、剣が後ろに飛んでいくんだ?」

「お、重くて持てないよ」
「槍は体格的に辛いだろ」
「それが持てないんじゃ、斧や大剣も無理か」

「うぐぅ、ナイフで指切った…」
「北川、包帯持ってきてくれ」
「こりゃ、扱うのは無理だな」

「どうかな、祐一君」
「爪を付けたまま、こっちに走ってくるな!」
コケッ
「あっ」
「いてえぇ!」
「包帯がまた要るな……」

「うぐぅ…」
「ムチを自分で踏んづけて転ぶヤツなんて初めて見たぞ」
「オレもだ」

「やっぱ、まともな武器は危なすぎるな。杖にしてくれ」
「って、分かってるなら初めから杖にしてよっ」
「あゆ、人生には回り道も必要なんだぜ」
「今は関係ないよっ」
「お前らいいコンビだよな」
うぐぅ…、ただ単にいじめっ子といじめられっ子な気がするけど…。
2210←入れ忘れてた:2006/08/04(金) 23:15:12 ID:pKWNBD220
「ま、こんなもんだろ。初回だし、少しまけとくな」
「うん、ありがとう北川君」
買った木の杖と布の服を身に着けて、これでなんとなくボクも冒険者っぽく見えるね。
「見た目だけだ。見た目だけ」
「うぐぅ、気分だけでも浸らせてよ」
「よし、武器はこんなもんだし。次は雑貨店だ」
雑貨か、そうだね、色々と入り用になるかも。
「じゃ、色々ありがとう、北川君」
「おう、今後ともご贔屓に〜」

「えーっと「美坂雑貨店」か。ここは香里さんと栞ちゃんがやってるんだね」
「おぉ。よく分かったな」
「…そりゃ見れば分かるよ」
「北川ん所は、英語だったから読めなかったんだろ」
「うぐぅ、いいんだよ。外国語はりーでぃんぐよりひありんぐだもん」
「ほほぅ、じゃあ、何か一つ喋って見ろ」
「あいきゃんのっとすぴーくいんぐりっしゅ!」
「…お前、よく旅が出来たな」

「人の店の前で漫才やらないで頂戴」
「あ、あゆさん、久しぶりです」
声をかけられて振り返ると、
呆れ顔の香里さんとニコニコ顔の栞ちゃんが立ってる。
2310←入れ忘れてた:2006/08/04(金) 23:17:27 ID:pKWNBD220
「あ、こんにちは、お久しぶりです」
「はい、こんにちは。で、今日はどうしたの」
「あぁ、今度こいつが錬金術師として店をやるんでな。その顔見せと町の案内だ」
「へぇ、凄いわねあゆちゃん」
「そうなんですか、よろしくお願いしますね、あゆさん」
「うん、任せてよ」
まだちょっと自信ないけど…

「でも錬金術師って珍しいわね、どうして、その道を目指したの?」
「うん、錬金術師さんには恩があるんだよ」
「恩?」
「7年前の話だけどね。ボクはよく祐一君と遊んでいたんだ。
 それで、ボクいつも、祐一君が来るまで木の上で待ってたんだけど…」
「…あ、聞いたことあります。それであゆさん木から落ちちゃったとか」
「うん、そこを通りすがりの錬金術師さんが助けてくれたんだよ」
「そう…。良かったわね」
「だから、ボクは立派な錬金術師になって、いつかきっとあの錬金術師さんと会ってお礼を言うんだ」
「は〜、立派です。何か歌劇みたいですね」
「でも、何で木なんか登って待ってたの?危ないじゃない」

(ピク…)

「あ、それは祐一君が木登りを教えてくれたからだよ」
「「………」」
「あ、あれ。何で、みんな変な顔してるの?」
「祐一さん、逃げましたね」
「全く…」
「あ、祐一君。置いてかないでよー!」
うぐぅ、何であんなに急いでるんだろ祐一君。
24名無しさんだよもん:2006/08/11(金) 05:46:32 ID:5/JjDBCvO
続きマダ
25名無しさんだよもん:2006/08/11(金) 10:51:05 ID:rE6i+D4O0
がんがれ
2610:2006/08/13(日) 00:30:36 ID:7o00Lovf0
レスがついた事にビックリ。
あぁ、見てる人は見てるんだなぁと何気に感慨深く思ったり。
2710:2006/08/13(日) 00:35:04 ID:7o00Lovf0
「ただいまー」
「ふー、やれやれ」
「お帰りなさい、あゆちゃん、祐一さん」
家の扉を開けると、顔を出した秋子さんの方から美味しそうな匂いが漂ってきた。今夜はシチューだね。
「もうすぐ、ご飯にしますね」
「あれ? 名雪はまだ帰ってないんですか?」
「えぇ、今日の仕事はちょっと遠くらしくて」
「ふーん」
名雪さんはお仕事かぁ。名雪さんの仕事ってなんだろ?
「荷馬車での運送屋だ」
「へぇ、そうなんだ。…って、なんで祐一君、ボクの考えてる事が!」
「お前の顔見てたら、それ位分かる。あからさまに知りたいオーラを出してたからな」
うぐぅ…、ボクそんなに分かり易いかなぁ…。
「さぁ、出来ましたよ、ご飯にしましょう」
「あ、はーい。いただきます」
う〜ん、美味しい。ボクも色々な町の料理を食べたけど、やっぱり、秋子さんの料理が一番だよ。
と、幸せに浸っているボクに秋子さんが尋ねてきた。
「それで、あゆちゃんは一人でやれそう?」
「う、まだ不安、です…」
今日一日は、ずっと祐一君の後を連いていっただけだし…、
2810:2006/08/13(日) 00:36:43 ID:7o00Lovf0
「そう。じゃあ祐一さん、お願いしますね」
「ま、仕方ないですね。引き受けますよ」
「え?え?何の話?」
な、なんか二人の間では話が通じてるみたいだけど。
「昨日、話したんだがな、お前一人じゃどうにも不安だ」
「だから、祐一さんに、しばらくあゆちゃんのアドバイザーをやってもらおうと思ったのよ」
「えっ。でも、ボク…」
いくらなんでも、祐一君に悪いよ。祐一君だって冒険者なんだし。
「心配するな」
祐一君は心配するボクの肩をたたいて微笑んだ。

「別にタダでやるわけじゃないからな」
「へっ?」
「雇用費はもちろんきちんとツケとくぞ、アドバイザー代として」
「うぐぅっ!そ、それなら、アドバイスとかいらないよ」
「駄目だな。お前一人じゃ絶対失敗する、最早これは決定済みだ」
「も、もしなかなか一人前になれなかったら?」
「はっはっは、どんどん借金が増えるだけだな」
「あ、秋子さん!祐一君に何か言ってください」
「了承」
「決まりだな」
「うぐぅーーーっ」
ううぅ、祐一君の笑顔を見たとき、何となく嫌な予感はしたんだよ。
だってものすごく優しい笑顔だったんだもん!
29名無しさんだよもん:2006/08/16(水) 08:48:22 ID:F/IoTWeX0
「うぐぅ…」
「まだ唸ってるのか、お前は」
「当たり前だよ…、こんなのある意味詐欺だよ…」
一応、格安で請け負ってくれるって言ってたけど、
「失礼な事言うな。金貰う以上仕事はきっちりやるさ。
 お前のようなボケっ娘でも半人前程度にはしてみせる」
「……祐一君(ぷるぷる)」
「ん、感動したか?」
「怒ってるんだよっ!」
ふぅ、寝る前なのにあんまりからかわないでよ。
「じゃあ、おやすみ」
「おう、明日からビシバシ行くからな」
うぐぅ…、やだなぁ…。
「あ、そういえば祐一君」
「ん?」
「この奥の部屋は誰が使ってるの?」
人気がないのに、なぜか小奇麗になっているのが、ちょっと引っ掛かる。
秋子さんがきれい好きって言っちゃえば、そうなんだろうけど。

「………」
「祐一君?」
「ちょっと前にな、沢渡真琴ってヤツが使ってた」
「へー、知らない子だね、その子は今どうしてるの?」
「知らん。俺と喧嘩して勝手に出て行った」
「え?」
「この話はあんまりしたくないんだ。じゃあな」
祐一君はちょっと怒った様子で、自分の部屋に入っていった。
…うぐぅ、ボクがいなかった半年間に何があったんだろ。
今度、秋子さんか名雪さんに聞いてみよっと。
30名無しさんだよもん:2006/08/16(水) 09:04:25 ID:jLG6EO+dO
支援
31名無しさんだよもん:2006/08/19(土) 01:58:16 ID:Kogwj/ia0
「おはよう、祐一君」
「うーっす」
なんか、祐一君眠そうだなぁ、やっぱり名雪さんの従兄弟だからかな。
「さてと、いよいよ今日からが本番だ。やることは分かってるな」
「う、うん」
「おし、じゃあ昨日やった事をまとめてみろ」
「うん」
えっと、昨日の事を思い出して…、
「酒場でミルクを飲んで、武器屋で武器を試して、雑貨屋で祐一君が逃げた」
「…だ・れ・が、お前の行動をそのまま語れと言った」
「いはい!いはい!ほっへひっはははいへ(いたい、いたい、ほっぺひっぱらないで)」


「…酒場で依頼を受けて、雑貨店でアイテムを揃えて、
 外に行く時は武器屋で武器を買って、仲間を雇います」
「そうだ」
「うぐぅ、酷いよ。ちょっとした勘違いなのに…」
「秋子さんから、お前のことを任されてるからな。愛のムチだ」
…その割には、ボクをいじめてる時やたら楽しそうだよね。祐一君。
「じゃあ、まずは酒場から行くね」
「あ、そうそう。酒場は依頼受ける他に、最近の噂話も聞けるぞ、
 ま、聞く前には、一杯頼むのが礼儀だけどな」
「ボク、お酒飲めないよ」
「じゃあ、ジュースでも頼んどけ」
うぐぅ………
3210:2006/08/19(土) 01:59:17 ID:Kogwj/ia0
「いらっしゃい、おや、この前のあゆあゆか」
「だからあゆです! 月宮あゆ!」
「そうか、よろしくあゆ」
「うぐぅ…、疲れるよ…」
「マスター、なんか簡単な依頼ありますか?」
「そうだな、こんな所か」

『硬くて重い金属 7個 』
『オニワライタケ 24個』
『なんか材木   6個 』

「なんか適当な依頼だね…」
「それがマスターの味だ。これでも苦情がついたことはないらしい」
「う〜ん、どうしようか? 祐一君」
「材木と金属ならこの街で買えるぞ、オニワライタケなら近くの森に生えてる」
「よ〜し、じゃあ、全部受けます」
「OKOK、任せたよ」
「じゃ、行ってきまーす」
「あ、おい……、行っちまったよ」
「一杯飲むか?」
「んじゃ、パチパチ水ください」


十分後、

「ただいま」
「お、戻ってきたか」
「祐一君、オニワライタケとか売ってないよ」
「オニワライタケは外に生えてるつっただろうがぁ!」
「うぐぅーーーーー!!」
「一杯飲むか?」
「止めてよ、マスターー!」
3310:2006/08/23(水) 20:11:40 ID:rsy0+rYj0
「いいか、材木は雑貨屋で、金属は鍛冶屋だ。ちゃんと聞いとけ」
「うぐぅ、雑貨屋は昨日行ったけど、鍛冶屋さんはどこ?」
「あぁ。言ってなかったか、北川ん所の丁度裏手にあるんだが。一人で行けるか?」
「うぐぅ、子供扱いしないでよ」
「オニワライタケを、店で売ってると勘違いしたヤツが何を言うか」
「……うぐぅ。それで鍛冶屋さんの名前は何ていうの?」
「『クマさんとタヌキさん』だ」
「祐一君! ボクはまじめに聞いてるんだよ!」
「いや、嘘じゃねえって、ほんとだよ」
う〜ん、祐一君はしつこく嘘はつかないと思うけど、一応確かめておかなきゃ、
「マスターさん、本当ですか?」
「あぁ、確かにそんな名前だ」
……なんで鍛冶屋がそんな名前なんだろ。

「ほら見ろ。俺の言ったとおりだろ」
「祐一君、嘘つきだもん」
「天邪鬼だからな、相沢は」
「うぐぅ、マスターにまで言われるとは…」
あ、久しぶりに祐一君をやりこめることが出来たよ。ちょっと気持ちいいかも。
「じゃあ、また行ってきまーす」
「あ、そうだ、あゆ。鍛冶屋行くんだったら、これついでに頼む」
祐一君はそう言って、ボクに腰の剣を手渡した。
「これ、どうするの?」
「最近切れ味が悪いんでな、本格的に鍛えなおそうかと思ってたんだ」
うぐぅ、自分で行けばいいのに…、

「お金はどうするの?」
「心配するな、いつも通りだと言えばいい」
「分かった。じゃ行ってきまーす」
うぅ、重い。ずっしりしてて、気を抜くとよろけちゃいそうだよ。
3410:2006/08/28(月) 23:21:31 ID:ZDGdHpOu0
祐一君に教えてもらったとおり、北川君のお店から裏手に少し行った所に、
そのお店はぽつんと建っていた。
大きな煙突からモクモクと煙を出して、時折金属同士を叩きつけるような音がするから、
確かに鍛冶屋さんみたいだけど……、
かわいいウサギとクマの絵を描いて、
丸文字で『鍛冶屋 クマさんとタヌキさん』って書くのはどうなのかなぁ……。

「…えーっと、お店はどっちかな」
右見て、左見て、あ、左にドアがある。行ってみよ。
「すいませーん、誰かいますかー?」
「……誰?」
あ、声がした。誰かいるんだね。
「えーと、鉄を少し売ってください、あと剣も研いで欲しいんですけど」
「分かった、今行く」
無愛想な返事がして、こっちに向かってくる足音が聞こえてきた。
うぐぅ、怖い人じゃないといいけど……。

「…いらっしゃい」
「え? え? お姉さんがお店の人ですか?」
鍛冶屋さんっていうから、体の大きな男の人がやってると思ってたのに、
出てきたのは凄く綺麗なお姉さんだった。
まぁ…、体の一部は大きいけど、……うぐぅ、ちょっと羨ましい。
3510:2006/08/28(月) 23:23:04 ID:ZDGdHpOu0
「その剣」
「え?」
「その剣は、祐一のもの」
あ、そ、そうだ。剣を渡さなきゃ。
「ボ、ボク、ゆ、祐一君です」

……………………うぐぅ、間違えた。

「……あなたは祐一じゃない」
「あ、えと、違うんです! 祐一君の紹介ですって言おうとして…」
「祐一…、もしかしてあゆ?」
「え、なんでボクの名前を知ってるんですか?」
「祐一が言ってた、幼馴染がもうすぐ帰ってくるって」
あ、なんだ、祐一君が前以て言ってたのか……

「背と胸が小さくて、うぐぅとよく鳴くドジっ娘だって」
「祐一君の馬鹿ぁーーーーッ!」
36名無しさんだよもん:2006/08/30(水) 21:09:37 ID:wGhp+GofO
3710:2006/08/31(木) 01:20:32 ID:EnG/ojjO0
言い方は悪かったけど、祐一君が言っておいてくれたおかげで、
鍛冶師の舞さんは鉄を安く売ってくれた。結果オーライ、なのかな?
「ありがとうございます。舞さん」
「ん、別にいい」
頭を下げるボクに、舞さんは優しくそう言ってくれた。
うん、ボクも舞さんに何かしてあげたいな。
「あ、そうだ、舞さん。ボク錬金術師なんです、まだ卵だけど…」
「錬金術師?」
「えっと、色んなものを混ぜたり、組み合わせたりして新しい物を造る職業です。
 それで、もしボクが珍しい鉱石や金属を練成できたら舞さん観てくれませんか?
 あ、あの。もしよかったらですけど…」
「……それは本当?」
「は、はい」

ガシッ
う、うぐぅ! 急に舞さんに手を掴まれた。
「…うれしい。凄く助かる」
舞さんは表情は余り変わってないけど、手を握ったままジッとボクを見つめてくる。
「あ、は、はい。まだ未熟ですけど」
「…構わない、もしいい素材が出来たら持ってきて」
そっか。こんな風に助けになるのも錬金術師の道の一つなんだ。
「はい!任せてください」
舞さんの手を握り返して、ボクはもう一度しっかり返事をした。
38名無しさんだよもん:2006/08/31(木) 05:11:42 ID:inNtA3Xm0
密かな良スレの予感
3910:2006/09/02(土) 01:10:38 ID:clxG/kzA0
……うぐぅ、鉄って結構重いよ。
さっき祐一君の剣を持ってたほうがましだったなぁ。

とりあえず麻袋に入れて、背中に背負ったけど、重くてまっすぐ歩けない……、
大丈夫です、なんて言わずに、舞さんに手伝ってもらえばよかったかなぁ。
おまけにここって坂道で、結構滑りやす……

ズルッ、
「うぐぅッ!!」

いたたた…、足がもつれて、思いっきり地面に鼻を打ちつけちゃった。
えっと鉄は…、鉄…

「あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい、大丈夫です」
うぐぅ、近くにいたお姉さんに変な所見られちゃった。
鉄を拾い集めて、早く行こう。恥ずかしいし。

「あ、お手伝いしますよ」
「え?」
ボクが顔を上げたら、お姉さんはボクが散らばした鉄の塊をせっせと拾っていた。
重いのに、わざわざ手伝ってくれるんだ…。
「あ、ありがとうございます」
「あははーっ、たいした事じゃありませんよ」
お姉さんはそういって朗らかに笑った。
40名無しさんだよもん:2006/09/02(土) 22:02:48 ID:UK+KQQLD0
wktk
4110:2006/09/03(日) 21:55:53 ID:Uc5ZXZhI0
ふぅ、と一息ついて、ようやく全部拾い集めた鉄を、ボクはもう一度背負いなおし、
手伝ってくれたお姉さんにお礼を言った。
「ありがとうございます、助かりました」
「それはいいんですけど…、大丈夫ですか?」
「うぐぅ…、あんまり大丈夫じゃないかも、…です」
まぁ、せっかく集めても鉄の重さが変わるわけじゃないし、
持ち直したら、また重くてフラフラする。

「じゃあ、運ぶのもお手伝いしますよ」
「えぇ! いくらなんでも悪いですよ」
「大丈夫です、佐祐理はこれでも力持ちですから」
お姉さん…じゃなくて、佐祐理さんはボクの後ろに回ると、袋を持ち上げて、
そのままボクの歩幅に合わせるようにして、一緒に歩いてくれた。
「うぐぅ、何度もすみません」
「いえいえ、構いませんよ」
「お姉さんの名前、佐祐理…さん、って言うんですか」
「ふぇ? なんで知ってるんですか?」
「今、自分で言いましたよ」
「あははーっ、そういえばそうでしたね」

……この町はやさしい人が多いけど、変わった人も多いような気がするなぁ。
4210:2006/09/05(火) 03:16:26 ID:42QujkGe0
佐祐理さんが手伝ってくれたおかげで、その後は転びもせず、どんどん進めた。
良かった。これなら、思ったより早く酒場につけそうだよ。
「ふぅ、もう少しですね」
「がんばりましょうーっ」
酒場までは後どのくらいかな?そう思ってボクが道の先を見ると、
遠くから立派な馬車が走ってくるのが目に入った。
「うぐぅ、商店街にあんな馬車が来るなんて珍しいね。佐祐理さん」
「………」

馬車はそのまま、まっすぐにボク達の前まで来て、「止まれ!」の号令で止まった。
そこから、眼鏡をかけた厳しそうな男の人が降りてくる。
「探したよ、倉田さん」
男の人はボクの方をチラッと見てから、佐祐理さんに近づいてきた。
「佐祐理さんの知り合い?」
ボクは後ろを振り返ったけど、袋が邪魔して佐祐理さんの顔は見えない。
でも、何故だろう。ボクはその時、佐祐理さんが何か酷く緊張してるような気がしたんだ。
4310:2006/09/06(水) 07:35:12 ID:JAyf4EZC0
「……ご用件はなんでしょうか?」
「言わないと分からないかい?」
「……わかりました。舞に会ったらすぐ戻ると、お父様に伝えてください」
佐祐理さんの言葉に、男の人はほぅと驚いたように肩をすくめる。
「珍しい。今日は随分素直だね」
「その代わり、一つ頼んでもいいでしょうか?」
「頼み?」
佐祐理さんは黙ってボクを男の人の前に押し出した。

「この子を酒場まで送り届けてもらえませんか?」
「……その子を?」
「はい」
男の人があからさまに怪しんだ顔でボクを見る。
その男の人に佐祐理さんはもう一度頭を下げた。
「…まぁ、別にいいさ。そちらの約束を果たしてもらえるならね」
「はい、お願いします」
「しかし、理解しがたいね、彼女のような人間にそうも執着するなんて」
「はい、お友達ですから」
「なるほど、よく聞くセリフだ」
男の人はそう言うと、馬車の扉を開けて、ボクの方に振り向いた。
「何してるんだい。さっさと来ないか」
「え、で、でも、」
ボクが佐祐理さんのほうを見ると、佐祐理さんは申し訳なさそうにボクに頭を下げた。
「…すみません。最後までお手伝いできなくて」
4410:2006/09/08(金) 16:22:36 ID:DIYUXRpM0
馬車が走り出し、姿が見えなくなるまで、佐祐理さんはこっちをじっと見つめていた。
佐祐理さん、どうしたんだろう、何か訳がありそうだけど。
一緒に乗ってる男の人に、佐祐理さんの事、聞いてみようかな、
「あ、あの〜」
「何かな?」
「え、えっと、お名前なんですか?」
「久瀬だ」
「そ、そうなんですか。あの、ボクは月宮あゆです」
「そうか」
「あ、あの、佐祐理さんのお友達なんですか」
「顔見知り程度だね」
「そ、そうなんですか。佐祐理さん、優しいですよね」
「そうだね」
……う、うぐぅ。会話が続かない。

「あ、あの〜、佐祐理さんって偉い人なんですか?」
「…何故、そう思うんだい?」
「え、だって、こんな立派な馬車で迎えに来てくれる人がいるから…」
「成る程ね、まぁ、それほど間違ってはいない。彼女は良家の御息女だ」
「りょうけのごそくじょ?」
「……貴族の娘だよ」
わぁ、やっぱりそうなんだ。なんとなく上品だとは思ったけど。
「へ〜、凄いんですね」
「…月宮さん、だったね」
「はい、そうです」
「少し静かにしてくれないか」

…………うぐぅ、怖い。
4510:2006/09/11(月) 01:26:16 ID:YcHY5HAa0
その時、ガッタンと馬車が止まった。窓からは見慣れた酒場の看板が見える。
「ついたよ」
男の人は先に降りてボクの為にドアを開けてくれた。
顔は怖いけど、この人じぇんとるまんだ。

「ありがとうございました」
「別に君の為じゃない、佐祐理さんとの契約の為だから気にしなくていい」
「うぐぅ……」
「さて、じゃあ僕は失礼する」
男の人は、そのまま馬車に乗り込んで、走り去っていった。
悪い人じゃなさそうだけど…、一言多くて、なんか怖い人だったなぁ…。
はぁ、なんか疲れた。とりあえず、依頼品の鉄を持っていこっと。

「それ本当か?」
「あぁ、まじだって、実際にあった奴もいる」
酒場の扉を開けると、話し声が聞こえてきた。
この声は…、北川君だ。ボクがいない間に来たのかな。

「そんな馬鹿な手に引っ掛かる奴がいたら見てみたいな」
「まぁ、洒落になってないけどな」
「確かにそうだ、ハハハハ」
「祐一君!」
ボクの声に振り向く祐一君。
4610:2006/09/11(月) 01:27:53 ID:YcHY5HAa0
「お、帰ってきたか」
「帰ってきたかじゃないよ!
 酷いよ! 人が一生懸命働いてるのに、祐一君は無駄話して遊んでるなんて」
「人聞き悪い事言うな。遊んでたわけじゃないぞ、情報収集だ」
「でも、荷物運ぶのくらい、少しは手伝ってよ」
「いや、違うぞ。初めはお前一人で色々やらせた方が身になると思ったんだ」
「……本当?」
「俺が嘘言った事あるか?」
祐一君はピカーンって歯を光らせた。ものすごく胡散臭い。

「沢山あるよ」
「うぐぅ…」
「うぐぅ、まねしないでよ」
「うぐぅ…」
「うぐぅ、まねしないで」
「うぐぅ…」
「うぐぅ! まねしないでってば!」
「あ〜、そろそろツッコンでいいか?」
北川君が呆れたように、口をはさんだ。
4710:2006/09/13(水) 08:01:54 ID:dtB2t0wa0
祐一君は振り向きつつ、北川君に笑みを返す。
「いや、北川に期待したんだ」
「アカデミー時代から本当に変わらないな、お前」
「うぐぅ、ボクは少し変わって欲しい」
祐一君って、昔から悪ノリが好きだったんだね、知らなかったよ。
でもどっちかと言えば、余り知りたくなかった気がする…。

「ま、それはともかく、早く依頼品をマスターに渡して来い」
「あ、うん。マスター、これ依頼品です」
ボクが背負った袋の中身を見せると、
マスターはチラッと確認してから、お金を包んでボクに渡してくれた。
「おめでとう、あゆ。初の依頼達成だ」
「え、えへへ。ありがとうございます」
祐一君にもちょっと手伝ってもらったけど、
なんか、一人でやり遂げたって感じがボクの心の中にフワフワ浮かんでくる。
うぐぅ、なんか凄くうれしいよ。
「こうやって依頼をこなしていけば評判も高まって、自然と君に直接依頼を頼む人も増えるだろう、
 それまでがんばりなさい」
「はい!」
4810:2006/09/16(土) 02:57:30 ID:ggCGaqOS0
マスターに一礼して、ボクが席に戻ると、祐一君と北川くんが拍手で出迎えてくれた。
「依頼の初達成、おめでと、月宮さん」
「ありがとう、北川君」
「まぁ、大変なのはこれからだぞ、あゆ」
「うぐぅ、分かってるよ」
まだ依頼は二つもあるしね、頑張らなきゃ10万キーは遠いよ。
「あ、ところで、さっき何の話してたの」
「ん、あぁ。この近くに盗賊団が出るって話をな」
「と、盗賊団が出るの!? うぐぅ、怖いよ」
「んー、アレも盗賊団っつうのかねぇ、
 まぁ、盗みを働く集団って言えばそうなのかもしれないけど」
震えるボクの二つ隣で、北川君は首をかしげながらランドージュースを一口飲んだ。
?? なんかよく分からないなぁ。盗むけど盗賊団じゃない?

「どういう事? 祐一君」
「あぁ。つまりだな、その連中は……子供なんだ」
「へ?」
「この付近を歩いてると、泥団子やら、うにやらをボコボコ投げて来る子供達が現れる。
 そんで、怒ってそいつらの方に向かうと……」
言いながら、祐一君は右手を下から上に動かした。
「バサーっ、てな具合で手網やロープを使った罠に嵌められて、お金や物を盗まれるそうだ」
「うぐぅ…、随分変わった盗賊団だね」
「幸い被害はそれ程でもないらしいけどな」
「この付近では出ないらしいけど、月宮さんも遠くに行くなら気をつけな」
「うん、分かったよ」
盗賊団かぁ、あんまり怖くはなさそうだけど…、
でも、気を付けた方がいいかもね。
49名無しさんだよもん:2006/09/17(日) 07:23:47 ID:inF13EA10
良スレ保守
5010:2006/09/19(火) 22:42:03 ID:6ZW/KNHM0
「あ、そろそろ次の依頼品を買ってこなくちゃ」
やる事は色々あるんだから、あんまり、のんびりしてられないよ。
空になった袋をもう一度背負いなおして、と、
今度は、さっきみたいにこけない様にしないとね。
「そっか、大変だな、月宮さん」
「材木はどこで売ってるか分かってるな」
「うん、栞ちゃんと香里さんの雑貨店だね」
「あ、美坂ん所は、使える物も色々売ってるから、ついでに見てきたら?」
「うん、わかった。じゃあ、行ってきまーす」
よーし、今度も頑張るよ。
そう意気込んで、ボクは美坂雑貨店に向かった。

「こんにちはー」
「あ、あゆさん。いらっしゃい」
お店番をしてた栞ちゃんがにっこり笑って、こっちを向く。
「えーっと、なにか材木が欲しいんだけど」
「材木ですか? ならアイヒェなんてどうです」
アイヒェか、安くて一般的によく使われる材木だね。

「うん、それにするよ」
「はい、毎度ありがとうございまーす」
栞ちゃんは元気良く返事しながら、アイヒェをテキパキと包んでいく。
その間、手持ち無沙汰なボクは店内を見渡してみた。
「うわー、凄いね。食料品や日用品の他に、薬草や本まで置いてある」
「はい、品揃えの良さがウチの売りですから」
「ふーん」
でも、気のせいかな。なんか薬に関わるものが多いような気がする。
本は薬草学の物が多いし、薬草の種類も専門の店に負けないくらい豊富だし。
ちょっと雑貨店にしては、変わってるかな。
5110:2006/09/22(金) 20:56:10 ID:o6XC8DQW0
「はい、できましたよ」
「あ、ありがとう」
まぁ、たいした事じゃないよね。
ボクはそう思いなおして、綺麗に包装されたアイヒェを受け取った。
「あ、そうだ、これも良かったらどうぞ」
思い出したように、栞ちゃんはボクに本を差し出す。
「これは?」
「野外で採れる薬草の辞典です。あゆさんがこれから外に行くなら必要だと思いますよ」
薬草辞典か…、欲しいけど、あんまりお金ないし。
「ごめん、今は買えないよ」
「あはは、良いんですよ、もうその本は要らないんです」
「え?」
「内容、全部覚えちゃいましたから」
「え、えええぇぇ!!!」
し、栞ちゃん、凄すぎるよ。
5210:2006/09/22(金) 20:57:48 ID:o6XC8DQW0
「栞ちゃんって、頭いいんだね。知らなかったよ」
「そんな事ないですよ、大事なのは継続する努力です」
うんうん、と訳知り顔に頷く栞ちゃん。
そっか、どんな事でも続けるのが一番だよね。

「うーん、でも貰うだけじゃ悪いから、他に何か買ってくよ」
「そうですか、じゃあ、調合用の機材なんてどうです?」
栞ちゃんは棚から天秤を下ろして持ってきてくれた。
うーん、でも基本的な機器類は秋子さんが用意してくれたし。
「ごめん、もうちょっと専門的なのがいいな」
「そうですねー、じゃあ遠心分離機はどうですか?」
「遠心分離機かぁ、そういえば、まだなかったね。じゃあ、それを」
「ありがとうございます。あとはふいごはどうですか?」
「ふいご? うーん、まだ必要ないかな」
「でも、あると便利ですよ。ワンタッチで楽々火起こし、
 この町の敏腕鍛冶師、川澄さんも愛用してます」
「え、舞さんも。…じゃあ、買おうかな」
「はい、お買い上げありがとうございまーす」
「え、とじゃあ、ボクそろそろ」
「あと細工道具はどうですか。細かな作業に最適ですよ」
う、うぐぅ、なんか、雰囲気が怪しくなってるような。
53名無しさんだよもん:2006/10/15(日) 00:07:27 ID:YASloGid0
がんばれ
54名無しさんだよもん:2006/10/18(水) 04:16:11 ID:S9vZmNRH0
あげ
55名無しさんだよもん
もうすぐ生殺し1ヶ月か