葉鍵的 SS コンペスレ 17

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718名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 16:02:16 ID:4WU7pWCf0
次回:「花火」
次々回:「夏の終わり」
719名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 22:02:12 ID:2tNspIpe0
次回は「祭り」その次は「昼寝」がいいと思うよ、思うよ!
720 ◆jDSrDt4dys :2007/07/23(月) 01:01:32 ID:X7S1Djv90
ただ今を持ちましてテーマ募集期間を終了させて頂きます。
応募してくださった皆さん、ありがとうございました。

募集結果は以下のようになっております。

次回(7/23〜)
はじまり 708、709
花火 710、712、718
祭り 710、712、718、719
水風呂 715

次々回(8月中旬?〜)
昼寝 715、719
真夏の少女 716
夏の終わり 718

よって次回テーマは四票集まりました『祭り』、次々回は二票得票しました
『昼寝』に決定したいと思います。
721 ◆jDSrDt4dys :2007/07/23(月) 01:04:10 ID:X7S1Djv90
それでは引き続き、投稿受付開始の宣言を。

【告知】

第六十四回投稿テーマ:『祭り』

投稿期間: 7 月 23 日の午前 0:00 から 8 月 6 日の午前 0:00 まで。

テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)

※投稿される方は >>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが

・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない

※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。

それでは、投稿開始っ!
722名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 05:12:39 ID:NxI++OeY0
良作に期待
723名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 08:56:18 ID:ydeUB2Po0
ちょっと待った、>>712>>718のどこに
「祭り」の二字が入っているのか小一時間問い詰めたい。

もし、自分の検討の結果、祭りにするのならかまわんが
単純に票数を見た結果だけで決定してるのなら早急に訂正しないと不味い。

                      ((     ))ノ
      __________  (   ) ))
    ////////// /\((⌒   ))  ノ火
   ////////// /(⌒((⌒))  )),  γノ)::)
 ////////// /(⌒( ⌒ ) ⌒ )  ゝ∧ノ  ♪
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   ( (( ⌒ )) .)     ♪||
 |  | ̄ ̄|          |   (( ⌒ )) )),  .     ||
 |  |    |.... コンペスレ |   从ノ.::;;火;; 从))゙    ヽ○ノ ←◆jDSrDt4dys
 |  |    |          |  从::;;;;;ノ );;;;;从        (へ             >モウシラネッテ イッテイイ?
 |  |    |          | 从;;;;;::人;ノ;;;;;从人       く         ○| ̄|_     
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↑スレ見てるメンツ

こんなオチだけは勘弁だぞ。
724名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 09:32:05 ID:8HYECIJN0
二二二二二二二二二二二二二二二|___
/                     /ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ヽ-┤
|  |/'━━、   、━━ ヾ|          ヽ.|
|  | .<ニ●ン 、'<ニ●>  |           |
|  |  `  ' .| | `  '   .|           |  |\_/ ̄ ̄\_/| かけてやる。
  .|   ̄  ̄| |. ̄ ̄ ̄ ◎)新河原石油  /|  \_|  ▼ ▼ |_/
 ̄|泡原液[危]||┌◎====⊃------/..||      \  皿 /   //泡原液
 ̄ ̄ヽ\二二二凵二二二.// ̄ ̄ヽ\|二[|]〜〜〜( マモノつつI=くニニニ二二二二
(※) l | ||  || |三三凵.|.| (※) |凵三|○     / /〉 〉   丶\ブシャーーーーーーッ
__ノ    ̄ヽヽヽ  ノ  ヽヽ__ノ         (__)_)
725名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 19:21:22 ID:PjCMzstO0
1.コンペ継続(現状での継続)
でお願いします。今頃になってから一意見を書き込みます。
書き手としてやっていきたいですけど時間がないので板にくる
くらいしかできませんが、もし時間ができた時に書きたいです。
その時に板がなかったら投稿できません。このような意見も
あるということでお願いします。
726名無しさんだよもん:2007/07/23(月) 19:33:50 ID:tnkqFJoE0
司会役変わってもらった方がいいんじゃない?
頼りなさ杉。
727 ◆jDSrDt4dys :2007/07/23(月) 23:55:25 ID:X7S1Djv90
そんな馬鹿なと思って見てみたら本当に間違ってるのな。
これはもう駄目だ。
以前ミスってから貼り付け前に推敲してるのに間違いだらけとか。
注意力散漫以前に頭沸いてるとしか言いようがない。
向いてる、向いてない以前に司会役ができない、こなせないと認識するしか他ないな。

とは言え途中でほっぽり出すのも無責任だろうから、新しい人が来るまでは続けようと思う。
だから司会役やってくれる、このスレを立て直してやるって人がいたらその旨書き込んでください。
マジ切実なんでお願いします。
俺にはもう無理だ。

>>723
わざとやってるように思われても仕方ないよなー。俺でもそう思う。
実際は単なる間違い。スマンとしか言いようがない。
だから次回のお題は『花火』に修正。訂正告知出しときま。

>>725
もう継続は決定してるんで大丈夫じゃないかな。

>>726
俺もそう思う。
728 ◆jDSrDt4dys :2007/07/24(火) 00:05:41 ID:NQnjckiO0
【告知】

現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。

※前回お題を『祭り』と告知しておりましたが、実際の得票数は『花火』
 の方が上との指摘を受け、お題を『花火』に変更致しました。
 お手数ですがネタの軌道修正のほど、よろしくお願いします。
729名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 01:17:43 ID:R5hpubTX0
>>727
そんなに思いつめる必要は無いと思う。
司会の代役がいなければ、100%このスレは自然消滅するだろうが、
それはあなたのせいじゃない。むしろ今まで良く頑張ってくれた。
苦しくなったら辞めたい時に辞めてもいいんだよ。
730名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 09:45:10 ID:o4U+PiAO0
727 のレスありがとうございます。725です。
731名無しさんだよもん:2007/07/24(火) 19:25:37 ID:aGm6iAam0
とにかく投稿だッ!どでかい花火を打ち上げるんだッ!

投稿と聞くと登校に脳内変換されて学生服ハァハァを妄想する俺は間違いなく変質者
732名無しさんだよもん:2007/07/26(木) 05:50:03 ID:Q+bTM0FR0
かのぴ〜乙
733 ◆jDSrDt4dys :2007/08/01(水) 00:23:31 ID:+zuWpnAc0
【告知】

現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください。

また、次回のテーマは『昼寝』で、開催時期は 8 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
734 ◆jDSrDt4dys :2007/08/01(水) 00:36:43 ID:+zuWpnAc0
>>729
一応自分から進んで引き受けた役目なので、メッキが剥がれた身では
あるけど、もう少し続けてみようと思う。
過分な言葉、ありがとでした。
735 ◆jDSrDt4dys :2007/08/03(金) 22:58:38 ID:NvMnRHo40
【告知】

締め切りまで残り二日となりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。

また、次回のテーマは『昼寝』で、開催時期は 8 月中旬になる予定です。
「残り数日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
736名無しさんだよもん:2007/08/04(土) 23:19:01 ID:6cQirkO00
737名無しさんだよもん:2007/08/04(土) 23:20:59 ID:2B4w61VJ0
リンク自体はべつにかまわんが、テンプレと他の投稿者達のやり方を見てはどうか
738 ◆/U1d5W8tXM :2007/08/04(土) 23:24:51 ID:aiUHng6q0
じゃあ先陣で。
タイトル「くやしがーる」
題材としたゲーム「Kanon」
登場キャラ「香里、名雪、祐一」
ネタバレとかは特にないっすー
739 ◆/U1d5W8tXM :2007/08/04(土) 23:26:35 ID:aiUHng6q0
 最近あたし美坂香里の友人たる水瀬名雪の彼氏こと相沢祐一が部屋に引きこもっていて全然相手をしてくれないと愚痴るので、「ちょうど花火大会もあるし外に引っ張り出してみれば?」と答えた所、何故だかあたしまで連れていかれる羽目になった。
 迂闊に口を滑らせて予定がないことまで伝えてしまったのが不味かったか。しかし彼氏とのデートに友人まで誘うとは、普通は思いも付かないだろう。
 断われないこともなかったのだが、その場合もれなく毎日の愚痴が数倍に膨れ上がるのでさすがにそれは避けたかった。
 なにせ名雪の愚痴には惚気が入る。聞いていて殺意の波動に芽生えることもしばしば、それに延長戦が加わるとなると我慢の限界を超える恐れがある。
 あたしもこの年で前科持ちにはなりたくなかったので、渋々着いていくことを了承した。これが事の成り行き。

 待ち合わせ場所に着いてみると既に名雪がいて、浴衣を着て手を振っていた。つくづく思うけどこの子は何を着ても似合う。今も周囲の注目を浴びているが全くそれに頓着していない。
 ただ頭はあまり思わしくない。天然な部分もそうだし、学力といった点でも厳しいものがある。しかしその部分も含めて魅力を感じている男子生徒も学園には多いのではないだろうか。
 そしてその名雪の寵愛を一身に受けているのが横にいる少年相沢祐一。昨年末に転入してきて鳶が油揚げをかっさらうが如く名雪のハートを獲得して一部男子から射殺さんばかりの目で睨まれていたのも記憶に新しい。
 性格は自由奔放。と言えば聞こえは良いが、何を考えているのかわからない。最近ではインターネットにはまっているようで、なかなか部屋から出てこないそうだ。
 今回も名雪が紅い生姜だの甘い言葉だの虹色のジャムなど飴と鞭をフル活用して何とか引っ張り出してきたそうだ。近づくあたしを見て驚かないのは、あらかじめあたしが合流することを聞かされているからだろう。
740 ◆/U1d5W8tXM :2007/08/04(土) 23:28:04 ID:aiUHng6q0
「香里は私服なんだね」
 意外そうな名雪に当然のような顔で答えて相沢君を見ると、「香里、今日は一人なのか?」とこれまた一目見てわかる当たり前の事を聞いてきた。
 二人とも似た物同士ね、などと心の中で少し愉快になりながらそうよと返すとこの男は
「うはwwwww花火大会で一人身wwwwくやしいのうwwwwくやしいのうwwwww」

 気がつけばうずくまる相沢君の背中をさすっている名雪の姿があったけど、子供にでもぶつかったんだと考えることにする。
 それより名雪、相沢君が見るサイトを制限しておきなさい。かなり悪影響がでているわよ。

 それからは三人で回ったのだけど、歩いて早々にあたしは後悔していた。恋人同士で腕を組んでいる二人の後を付いていくだけのあたし。当然、面白いはずもない。
 出店を一通り見た時点で花火大会開始の時刻となったので、あたしはそこで別れる事を提案した。すると二人はあっさり承諾。しかもまだいたの的な視線のおまけ付き。
 少年にはボディブローを、少女にはこめかみグリグリを均等にプレゼントして会場を後にするあたしの背中から、爆音と色鮮やかな光りが伝わってきた。
 あたしは歩くごとに遠ざかるそれを感じながら、来年こそは彼氏を作ろうと決心して家路につくのだった。
741 ◆/U1d5W8tXM :2007/08/04(土) 23:30:47 ID:aiUHng6q0
>>739-740
以上です。
割り込んだ方になってたらスイマセヌ。
742736:2007/08/04(土) 23:32:57 ID:6cQirkO00
>>737
すみません。即興で書いたもので。('A`)
リトルバスターズネタで葉留佳・佳奈多メインです。
743名無しさんだよもん:2007/08/04(土) 23:34:43 ID:6cQirkO00
>>738
さっそくレビューしていいですか?
ちなみに俺が書いたものはリトルバスターズのネタバレを含んでいるので、
クリアしてない人はクリアするまで読まないほうがいいです…
744名無しさんだよもん:2007/08/04(土) 23:37:52 ID:2B4w61VJ0
だからまずテンプレ読んでこい
感想は、感想期間に入ってからだ
745名無しさんだよもん:2007/08/04(土) 23:43:35 ID:6cQirkO00
>>744
空気読めなくてごめんよ。感想期間楽しみにしてる。
746 ◆jDSrDt4dys :2007/08/05(日) 04:06:23 ID:H8tBuufU0
>>736
投稿ありがとうございます。
書き込み規制がかかっている、もしくは大作過ぎて貼り付けができない時以外は
こちらに書き込むのが慣例となっていますので、次回以降がありましたらこのスレに
投下をお願いします。
あと>>744さんからお話がありました通り、細かい決まりはテンプレにのっていますので、
また>>4-6を参照下さい。
747 ◆jDSrDt4dys :2007/08/05(日) 04:07:49 ID:H8tBuufU0
【告知】

締め切りまで残り20時間となりました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは明日の午前 0:00 です。

締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
748 ◆SCTij9jzag :2007/08/05(日) 20:56:39 ID:xesuFsq10
元ネタ:Kanon

題名:冬の花火〜真琴・爆誕〜

ネタばれ:有り
749冬の花火1/7:2007/08/05(日) 21:08:27 ID:xesuFsq10
真琴が祐一の目の前に現れてから調度一年経った冬のある日。

祐一と名雪、そして美汐の三人は雪の降りしきるものみの丘の真ん中、ちょうど真琴が
息を引き取ったあたりにぽつねんと佇んでいる。

三人とも、頭や肩に降り積もる雪を掃おうともせず、ただ、立っているだけだ。

祐一の手には花火の詰め合わせ袋が下げられ、名雪のポケットにはチャッカマンが収められている。
美汐は、花火とチャッカマンを買わされて空っぽになったサイフをその懐に収めていた。

「あれからもうそろそろで一年なんですね」

美汐は地面に言葉をこぼす様にボソボソとつぶやく。

「ああ、真琴が死んでから、そろそろ一年だな」

祐一は俯き加減に、白目の部分が黄ばんできた目玉をギョロギョロと泳がせながら応じた。
美汐と祐一。二人の表情は、明らかに精神を病んだ者のそれである。

(早く家に帰りたいな…)

名雪だけは、ウンザリとした常人の顔つきで、どんよりと暗く曇った空を見上げる。
雪が鼻の穴にジャストミートした。

「ねえ、早く花火しようよ。あの子の為にも、花火しようよ」

鼻を軽くほじりながら名雪は二人の廃人を促した。
気の済むまで花火をさせてやって、死んだ人間の思い出をしゃぶらせてやろう。しかし、さっさとやれ。寒いから。さっさと済ませてくれ。
―名雪の本音はこんなところだった。
750冬の花火2/7:2007/08/05(日) 21:11:07 ID:xesuFsq10
無理もない。年がら年中、死んでしまった真琴のことばかり考え、話し、想う祐一に、毎晩毎晩、

「真琴のナカに出すよっ、だすよっ、だすよっあ゛ーーーッッ!!」

と叫ばれながら犯されている名雪からすれば、当然の本音である。

「はい、祐一。気をつけてね」

無気力な表情で、花火の袋をムチムチとちぎり開けた祐一にチャッカマンを優しく握らせる名雪。その表情はまるで乙女だ。

その様子をじーーっと観ている美汐は、当然に名雪の本音に気がついている。なにせ、彼女にとって名雪は、真琴を死なせた人間No1なのだから。
どういう理屈でナンバー1なのかはわからないが、とにかく、美汐にとって名雪は憎い憎い名雪なのである。

(そんな演技なんてしないで、さっさと消えればいいのに、メスブタ…)

美汐は、さきほど名雪が真琴のための花火に一円も出さなかったことをチリチリと思い出しながら、心の中で呪った。
名雪が死ねばいいのに、さっさと死ねばいいのに、と。いつも通りの無表情の顔で、激しく呪った。
……。
…。

「え?」

名雪はポカン、とその意外と大きな口を開いたまま、閉じるのを一瞬忘れた。

「いいんですよ、名雪さんにはわからないですから」

美汐はその蔑んだ目と、ニヤニヤと薄笑いに端を上げた唇をヌラヌラと光らせる。

「あなたは黙ってて!!ねえ、今なんていったの祐一!!!」

名雪は鬼女の表情で叫んだ。空ろな目でウンコ座りをしながら、線香花火に火を点ける祐一に向かって。
751冬の花火3/7:2007/08/05(日) 21:12:28 ID:xesuFsq10
「え…だからぁ、今日ぉ、これから花火すればぁ、真琴が帰ってくるんだってばYO」

「そうです、真琴は帰ってくるんですよ、こうやって花火をしてれば。まあ、名雪さんにはわからないでしょうけどね」

「〜〜〜ッッ」

絶句する名雪を横目に自分も線香花火に火を点し、祐一のそばにしゃがみこむ美汐。

シュワア…。

線香花火の淡くて小さな光が、限りなく黒に近い曇天の下、祐一と美汐の顔を照らし出した。
その表情のなんと穏やかなことか。なんと優しげで喜びと期待に満ち溢れていることか。

「あ、終わった…」

祐一の線香花火が燃え尽きた。

「悪ぃ、ミッシー、一本点けて」

「はい、祐一」

美汐は自分の持っていた線香花火を「祐一」に渡し、新しい線香花火に点火する。

「そういえば、今夜はどうするんですか?」

(…?)

「真琴を家に送ったらパーティーだな。なんならお前と俺と真琴で3P田中君でもするか?」

「ふふっ、相変わらずですね、祐一は。私の初めてを奪ったときも秋子さんと3Pでしたね」

次の瞬間、名雪の目がかっと見開かれた。
752冬の花火4/7:2007/08/05(日) 21:16:30 ID:xesuFsq10
「「「「今、なんて、いったの?」」」」

名雪は、まるで粘土でこさえたような、硬くて無機質な表情で激しく問うた。つばが飛んだ。

「おいおい、名雪、だから、花火をすると真琴が帰ってくるんだってば」

「そうですよ、ほら、肉まんも雪の下に隠してありますし、ぴろだって連れてきましたし」

美汐はいつのまにか現れて、雪の上でゴロゴロと転がって遊んでいるぴろを指差した。名雪を、ニタァ、と邪悪で愉快な目で見上げながら。

「違う違う違う違うちがううううううううううううううううううっっ!!」

「おい、名雪?!ど、どうしたんだよ」

その目つき同様空ろな声で、祐一は一応名雪の心配をしてみた。線香花火の暖かな光をいつくしみながら。

「祐一、だめですよ…。ヒステリーとかじゃないんですか…。放っておくのが一番ですよ…」

「そうだな…。名雪もいろいろあったからなあ…。真琴が帰ってくるから興奮してるのかも。
去年の夏に、秋子さんがソープランドで働いてるって知ってからなんかおかしくてさあ」

瞬間。名雪の中でなにかが音を立てて砕け散った。そして。

「わあああああああああああああああっっっ!!!」

名雪は線香花火を楽しむ二人に襲い掛かった。
……。
…。
753冬の花火5/7:2007/08/05(日) 21:19:01 ID:xesuFsq10
「やれやれ。せっかく真琴が帰ってくる日だってのに。一体どうしたんだよ…」

祐一は茫洋とした表情で、雪でピクピクと痙攣している名雪を見下ろす。
襲い掛かったはいいが、乳拳[黄龍]の段位を持つ美汐に返り討ちにされた名雪を。ちなみに、美汐は栃木出身である。

「うぎぎ…」

鳥山明チックな苦鳴を挙げながら、名雪は叫んだ。

「真琴なんて帰ってこない!!!花火なんかしたって帰ってくるわけないじゃない!!!」

「馬鹿いうな、かえってくるんだよ、真琴は。約束したんだから」

祐一のサッカーボールキックが名雪のわき腹に軽く一閃。しかし。

「ごふっ!!そっ、それは別の世界の話だよ!!別のゲームの!!同じVisual Artsでも別ブランドの!」

反吐を少しばかり吐きながら喚き続ける名雪。

「はあ?お前、大丈夫か?ゲームってなんだよ?」

祐一の顔が不審で引きつる。美汐の顔はほころんでいる。

「だからあ、ここは常雪の村じゃないんだよ、祐一、祐一は今別の世界に介入してるんだよ、わかってよ、ねえ!」

祐一は深く深く嘆息する。名雪の妄想に辟易、といったところである。
754冬の花火6/7:2007/08/05(日) 21:22:24 ID:xesuFsq10
(こいつ、本当に真琴が嫌いなんだな…邪魔ばっかりして…)

「それでね、祐一、美汐はセプテントリオンの、はぁはぁ、ブランカの手下なんだよ、きっとそうだよ、真琴もきっとこいつに殺されたんだよ!!」

「……」

同情、憐憫、そして侮蔑の眼差し―
もはや祐一には、雪の上でカエルのように這いつくばって喚き散らす名雪にそれらを与えることしかできなくなっていた。
美汐はニタニタと笑っている。線香花火に興じながら。

「はあはあ、あのね、祐一、あゆちゃんはネットレース、ううん、あゆちゃんがOVERSで、あゆちゃんが死んじゃったから、から」

「名雪、お前、ちょっと休めよ…」

ゴシャッッ!!

名雪の顔面に重くてでっかい石が落とされ、名雪は意識を失った。

「…可哀想ですね」

心底悲しげな表情でつぶやく美汐。その声は楽しげで愉快げだ。

「ああ」

「でも、真琴には帰ってきてもらわないといけませんね」

「ああ。俺たちの家族だからな…。名雪と同じくらい、大切な…」

美汐と祐一は気を取り直して、新しい線香花火に火をつけた。
……。
…。
755冬の花火7/7:2007/08/05(日) 21:26:41 ID:xesuFsq10
それから2分後。

ものみの丘へと続く林の斜面にて。



少女が走っている。
祐一のもとへ。美汐のもとへ。

え?冗談じゃないって?

(あうーーっ、あたしがいない間に祐一たちが狂っちゃったよ〜〜。秋子さんに電話して警察警察〜〜)

真琴は林の斜面を転がるように駆け下りて、最近はすっかり見かけなくなった公衆電話を探しに奔った。
今しがた、目撃したことをどこかの誰にかに伝えるために。



                                                          終わり
756 ◆SCTij9jzag :2007/08/05(日) 21:28:46 ID:xesuFsq10
以上です。
757 ◆YOxUf3AVaI :2007/08/05(日) 23:55:05 ID:E04Q8+Tk0
こんばんは。時間ぎりぎりですが、投稿を。
東鳩2、るーこ主役で、
『いつか、星が、砕ける時まで』
4レスです。
では。
7581/4:2007/08/05(日) 23:55:45 ID:E04Q8+Tk0
「うーよ、これは警告だ」
 暗い夜道から突然現れたるーこが、いつものように、唐突に言いだした。
「ここは間もなく戦場になる。逃げた方がいい」
「……はいいいいいいっ!?」
 が、内容はいつも以上にとんでもなかった。
 いや、いやいや待て待て。るーこの言うことだ、話半分で聞いた方がいい。
 とりあえずは落ち着いて。
「戦場って、どういう事?」
「硝煙の匂いがする」
「硝煙って……あの銃とか撃ったあとの、あれ?」
「うむ。だがこの大量の匂いからすると、何らかの爆発物だろう。
 この街が消し飛ぶ前に、逃げた方が賢明だ」
 と、シリアスな顔で言うるーこの背後で、閃光が走った。
「――遅かったな。始まったようだ」
 どぱーんと、空に咲く大輪の花。赤に、白に、様々な色に。
 光の輪はいくつも開いては、わずかな軌跡を網膜に残して消えてゆく。
 るーこは表情を崩さないまま、
「航空戦力の迎撃か? 効率が悪いな」
「いやあのね、あれはそんなんじゃなくってね」
「攻撃ではないのか?」
「違う、違う」
「それでは信号弾か。あれにはどのような警告が込められている?」
「えーと、つまりね」
 あれが花火という、一種の娯楽であることを説明するのに大分苦労した。  
7592/4:2007/08/05(日) 23:56:36 ID:E04Q8+Tk0
「……戦闘行為ではないのか?」
「違います」
「ちー数万本分の火薬を、空にばらまいて無駄にするとは、つくづく愚かだな、うーたちよ」
「そう言うなって。文化だよ、文化。火薬も戦争に使うより、平和なことに使う方がいいだろ」
「それも一理あるな」
 るーこはあっさりと頷いた。
 危険でないと分かったからか、るーこはじっと、連続する花火に視線を送る。
「もうちょっと、近くで見てみる?」
「るー」
 肯定のるーだ。
 今日の花火大会は、少し離れた町でやっているのだけれど、
 河川敷に出ればちょうど川下の方角で、障害物が少なくて、よく見える。
 そこまで行く途中に、コンビニによって、飲み物、食べ物を少し買い込む。あと、新聞も。
 それから河に向かうと、同じ方向に歩く人達に、浴衣姿が目立ち始める。
 るーこがああいうのを来たら……なぜだろう。すごく似合いそうな気がする。頭にキツネのお面とかつけてさ。
 と、不意にるーこがこちらを向いて、ぎくっとする。
「るー?」
「な、なんでもない、なんでもない」
「何かやましいことでも考えていたのか?」
「なんでもないってば」
「怪しいぞ、うー」
 いや、全然やましくはないんだけど……でも、言えないよな。
「あ、ほら。ここなんか特等席だぞ」
 折良く、河川敷に着いたので、新聞を開いて座るように促し、るーこの不審な眼差しをごまかしにかかる。
 ちょうどその時、一際大きな花火が上がった。
「ほら、すごいだろ、るーこ」
 るーこは黙って、空を見上げた。
 一つ花火が上がるたびに、周囲から歓声が上がる。
 対照的に、じっと黙ったまま見つめるるーこ。
 感動しているのか見入っているのか、よく分からない横顔が、色とりどりの光に照らされる。
 ……あれ? 悲しんでいる? 
 なんでだか、そんな気がした。
7603/4:2007/08/05(日) 23:57:34 ID:E04Q8+Tk0
「……るーこ?」
「るー?」
 振り向いた顔は、いつものるーこなんだけど。
「えぇと、楽しくない?」
「楽しいとは違う」
「つまらない?」
「それもちがう。ある種の美しさがあそこにある。だけど、儚さも感じる」
「あぁ、うん。日本人は、ああいう花火とか、桜の散る様とか、儚いものが好きなんだ」 
「好きなのか」
「うん。……るーこは、嫌い?」
 るーこは答えず、不意に立ち上がり、
「あれは滅びる星の輝きにも似ている」
 俺はそれに、答える言葉を持たなかった。
 深淵の宇宙の中で、数十億の時を過ごし、爆発する星達の一生。
 プラネタリウムで見たことはあるけど、実際にはどんなものだか、よく分かりはしない。
 あまりにもスケールが大きすぎて、俺たちの心では計り知れない。
 その爆発は、銀河という規模にもなれば、何光年の広さに渡って、何万年と続くものなのだから。
 だけど、るーこの視点ではそれを見渡すことができるのだろうか。
「……帰る?」
 もしかして、つらいことでも思い出させてしまったのだろうか。そんな気がして。
 だけどるーこは答えず、代わりにつぶやいた。
「あれはうーたちの一生にも似ている」
「え?」
「一瞬で、輝いて消えて、そのわずかな間に、交錯する」
 るーこが、じっと俺を見る。
 優しい……いや、違う。それはたぶん、愛おしさの籠もった眼差しで。秘やかな風のような微笑みをのせて。
「広い銀河の中で、るーとうーの軌跡が一瞬で交わったのは、とても美しいことだ」
 光が、宇宙を裂くように輝き、るーこを照らす。
 逆光が、るーこの体を透かしているみたいに見えた。
「るーこ……?」
7614/4:2007/08/05(日) 23:58:23 ID:E04Q8+Tk0
 知らず、手が伸びた。
 だけど、ちゃんと指先にはるーこの柔らかい体温があって。
 るーこも安心しろと言うように、少しだけ、力を込めて握り返してきた。
 いつもなら、こんなことは絶対にやらないのに――その時は、ただほっとした。
 ほっとしたまま、手を握り続けていた。
「大丈夫だ」
 する、とるーこの手が、俺の手から抜け出す。  
「るーは消えないぞ、花火のようには」
 その後ろで、最後の花火が連続で上がり、やがて、闇夜になる。
 照らす光は消えて、代わりに星が瞬いて、そして、でもやっぱりるーこはそこにいた。
 ざわめきが周囲を満たす。いや、気づいてなかっただけで、ずっとざわめきはあったのかも。
 不意に、長い髪が翻った。
「帰るぞ」
「あ、ああ」
 さっさと歩き出するーこを、慌てて追いかける。
「あのさ」
「るー?」
「俺って、るーこの目の前で爆発した、花火なの?」
「そのほうがいいか?」
「え?」
「どうせ爆発するなら、星になるべきだ」
「……派手だから?」
「爆発するまで、ぐるぐる回るがいい」
 回る?
 なんだそれ……と思いかけて、ふと、気づく。
 たぶんそれは、るーこの重力に捕まって、ぐるぐる回る衛星になれってことなんだ。 
 確かに、るーこには散々振り回されていて、衛星というのは情けないけどなんだかふさわしい。
「分かった、ぐるぐる回ってる」
 いつか、星が、砕ける時まで。
「るー」
 るーこは、いつも通りの”るー”をした。
762 ◆YOxUf3AVaI :2007/08/05(日) 23:59:53 ID:E04Q8+Tk0
以上です。
それでは。
763 ◆jDSrDt4dys :2007/08/06(月) 00:19:03 ID:mDYBRtM90
【告知】

ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。

それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 8 月 13 日の午前 0:00 までとさせていただきます。

以下が、今回投稿された作品の一覧です。

>>736   無題(リトルバスターズ/葉留佳・佳奈多)
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1165247209/83-108
>>739-740 くやしがーる(KANON/香里・名雪・祐一)
>>749-755 冬の花火〜真琴・爆誕〜(KANON)
>>758-761 いつか、星が、砕ける時まで(ToHeart2/るーこ)

無題、冬の花火につきましては「ネタバレ有り」となっていますので、
原作未プレイの方は注意ください。
764名無しさんだよもん:2007/08/06(月) 23:21:37 ID:VjxR4tka0
・葉鍵SSの斜陽
・かってのSS書きの高年齢化、引退
・書き手、読み手減少によるモチベーションの低下
765 ◆jDSrDt4dys :2007/08/06(月) 23:32:50 ID:mDYBRtM90
スレの容量がMAXである512KBに近づいてきましたので新スレを立てました。

葉鍵的 SS コンペスレ 18
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1186409866/

投稿作に対する感想は新スレで行ってくださいますようお願いします。
また、こちらの投稿作に対する感想となりますので、二週間後の総括期間終了まで
このスレを埋めずに保守頂けますと幸いです。
766名無しさんだよもん:2007/08/07(火) 00:44:24 ID:BDNdgeCj0
>>764
そんな既知のこと、今更蒸し返さなくていいじゃんよ
それに、読み手のレベル低下というのも足りない
投稿期間に雑談おっ始める目倉笛杉
767名無しさんだよもん
総括期間突入保守sage