【告知】
締め切りまで残り 7 時間を切りました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『おもいで』で、締め切りは本日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
投稿します。
WA、はるかで「ビタースヰート」。
4レス予定です。
ある秋の日の昼下がり、
はるかと冬弥はいつものように公園のベンチで寄り添っていた。
といっても、はるかの昼寝に冬弥が付き合わされただけだが。
「はるかってさ、いつもそのチョコ食べてるよな」
冬弥は、はるかが持っている板チョコを眺めて言った。
ハーシーズの板チョコ、ここに来る前にはるかがコンビニで手に入れたものだ。
「そう?」
チョコの入った口をもぐもぐさせながら答えるはるか。
「そうだろ。この間もそうだったし」
下から冬弥を覗き込むはるかの視線。
「よく見てるね」
まあな、と冬弥。
「それ、好きなのか?」
冬弥はこの、はるかが好んで手に取る銘柄が、あまり好きではなかった。
外国産のチョコレート特有のアクの強さが、彼の口にはどうにも合わない。
はるかは視線をずらして、手の上にあるチョコを見た。
その顔が冬弥には、いつもより少しだけ真剣な顔に見えた。
雨が降っていた。
夜半から降り出した雨は一向に止む気配が無く、
傘を差さずに歩いている人はいない。
その日河島家に集まった者達も同様に、皆傘を差していた。
空にかかった黒雲のように、誰もが沈痛な表情をして。
その集団から離れたところで、はるかは一人、傘も差さず立ち尽くしていた。
兄に親しかった人たちが嘆き、悲しむ様子を眺めていた。
何もかもが遠い世界の出来事のように感じられた。
肩に降り注ぐ雨がその冷たさを増していく。
指先の感覚が次第に失われていく。
このまま雨に打たれたら。
すべてを失えたら。
なにもかも。
それもいいかもしれないと思った時、
はるかは自分の肩に雨が当たらなくなっていることに気付いた。
「はるか…」
いつからそこにいたのだろうか、冬弥が傘を差し掛けていた。
「風邪、引くから…」
冬弥ははるかに傘を渡そうとした。しかし、はるかは傘を受け取ろうとしない。
視線を前方に固定したまま、動こうともしなかった。
しばらくの間その状態が続いていたが、
またいつとも無く雨粒がはるかの肩を打ち始めた。
別にどうとも思わなかった。
寒くなった、とは思った。
それだけだった。
不意にはるかの視界を、何かが横切った。
「これ、食べるか?」
一枚の板チョコが目の前で揺れていた。
どこかに買いに行ったのか、冬弥の息は切れ切れだ。
「ほら、遭難するとき、チョコレート持ってくって、言うだろ。
だからさ、はるかも食べろよ、チョコ」
何を言っているかは冬弥本人もよく分かっていないだろうが、
何を言いたいかは大体はるかにも飲み込めた。
おずおずと顔を近付け、包み紙を破いてあったチョコを一口齧った。
口の中に独特の食感と甘味が広がる。
おいしくはなかった。
でも、おいしかった。
「どうだろう」
「なんだそりゃ」
どっちだよ。冬弥は心の中で呟いた。
「好きとか嫌いじゃないよ」
「?」
「そういうのじゃないの」
包み紙を少し破いて、また一口。
「はるか、昔からそんなにチョコ好きだったっけ?」
「んー…」
「覚えてない」
「そっか」
少しだけビタースヰートな味がした、
そんなある秋の日の昼下がり。
一応終わりのようだが、つまったか? 連投回避。
>>274 ありがとうございます。助かりました…
ということで以上です。
ありがとうございました。
ラストかな、投下させていただきます。
タイトル;メモリー・メモリー
原作・キャラ;ONE/浩平と瑞佳
ジャンル;シリアス
レス数;6レス予定
それでは、参ります。
ただ、白い世界だけを思い出せた。
真っ白で、何も存在しない。
あるのは、自分と彼女だけ。
音は無く、ただ彼女と自分の声だけが空間に響いた。
遠く、遠く。
大切な世界が遠くにある。
そこに手を伸ばすことは、出来ない。
後悔、不安。
そのようなものは皆無。
ただ安心感と暖かさだけがそこにある。
まるで、古いアルバムを開いたときのような暖かさ。
思い出に浸り、美酒を嗜むかのような感覚。
しかし思い出は、昇華されて綺麗なものに幾らでもなる。
それはある種の幻想となり、現実から遊離する。
そして、それに溺れるようになった時に人は破綻する――。
そんな世界を、今創っていた。
「うーん……」
上手く行かない。
なかなか表現が上手く行かない。
困ったものだ。
当時のことを鮮明に思い起こすことなど、できようはずもない。
もう有に十年は経っているのだから、忘れるのは当然だ。
当時に書いておけば、鮮明な記憶として残ったのだろうが。
「……まぁ、オレがこんなことしてるなんて予想付かないよな」
「当然だよ、わたしだって驚いたもん」
妻がそんな風に台所から答えを返してきた。
「まあ、な。それはそうなんだが……」
後悔先に立たず。
どうやっても自分は今に生きている。
時により劣化した記憶を、どう描くか。
あの時の自分にとってはただの些事。
今の自分にとっては、大問題だ。
職業、作家。
何の因果か解らない。
ふと、書かねばならない意識に駆られて書いてみただけだった。
出来上がった作品を瑞佳に読ませてみたら、読書好きの彼女は面白そうに読んだ。
つい調子に乗って、文学賞に投稿してみた。
仕事の傍ら、コツコツ書き溜めていた作品。
そんなにまじめに書いてたわけではない。
ただ、あの頃の――妹と母と、そして世界――の記録を書き留めるために。
出した文学賞で、偶然にも入選してしまったことが悪かったのか。
それとも、自分が書き始めたことそのものが悪かったのか。
そもそも良かったのか悪かったのかさえ良く解らない。
瑞佳は瑞佳で、入選通知を貰った途端に会社にまで押しかけてきた。
なんというか、子供が産まれてなくて良かった気がする。
しかし、それから2年も過ぎた。
連載を貰って、会社も辞めた。
正直、未だに抵抗がある。
締切りを守るということは、高校時代から今までずっと苦手だった。
会社ですらプレゼン当日、ギリギリで仕上げて誤字を直す余裕すら無く書類をコピーしていた気がする。
ましてや作家、書かねば金が入らない。
しかし、浮かばない時はどう足掻いても書けないものだ。
それはこれまでの経験則で嫌というほど知っている。
だからこそ、このようなときに困るのだ。
「よいしょ、っと。……ご飯、出来たよ」
瑞佳は、妊娠している。
そろそろ六ヶ月になり、安定してきた頃だ。
一時期は家事を全て代わりにやる必要があるくらいにまで不安定だった。
編集との打ち合わせを二回連続でキャンセルする羽目になり、更に家ではちょっとしたことで怒られた。
彼女が皿を投げつける様なんか全く想像しなかった自分は仰天し、腰を抜かしたことがある。
そんなことを経て、彼女は「母」になろうとしている。
「母」――。
軽く二十年以上も前の記憶。
母の腕に抱かれていた頃。
妹にその座を奪われて、子供らしい嫉妬に駆られていたこと。
思い出せるのは、そんなことくらいだ。
捨てられた、というのには語弊があるだろう。
が、叔母の家に預けられた事は事実であり、瑞佳との付き合いもそのあたりから始まる、というのもまた事実だ。
感謝こそすれ、恨んでいるわけではない。
彼女の気持ちは、今では嫌というほど解る。
その意味では自分も、「父」になろうとしているのかもしれない。
最も、自分の記憶の中の「父」は無いに等しいのだが。
思い出としても母と妹のものばかり、やはり父が逝った時期が早すぎたのか。
そして、瑞佳との思い出は――。
「なあ、瑞佳」
思い出は、あるのだろうか。
母になろうとしている彼女は、少しずつ忘れていっているのではないか。
そんな不安にかられて、思わず彼女に尋ねていた。
「オレとの思い出で、一番古い奴って何だ?」
「んー……一番最初に会った時のことは、覚えてるよ?」
そう返ってくるだろうとは思っていた。
「懐かしいなぁ、あの時はこんな風に浩平と一緒になるなんて思ってなかったよ」
「オレもだな。ついでにこんな職で食ってるとは思わなかった」
そう呟くと彼女はふふ、と笑って言った。
「それもそうだね、でも」
彼女は、続けた。
「永遠に覚えてるよ、浩平のことは」
えいえんは、あるよ。
ここに、あるよ――。
一瞬、フラッシュバックした光景。
子供の頃の瑞佳が、髪を風に任せて佇んでいた。
「……浩平?」
「ん、ああ……いや、何でもない」
驚いた顔をして、瑞佳はオレの肩を揺すっていた。
「何でもない、ならなんで泣くの?」
「……え?」
気付いていなかった。
自分が涙を流していたことを、指摘されて初めて気付いた。
「――はは」
そうか、これが思い出か。
「……浩平?」
ただの記憶とは違う、何か暖かく、触ることのできない厳正なもの。
自分がなぞっていたものは、ただの記憶でしかなかった。
「瑞佳、メシ食っちまおう。終わったら、コーヒーを頼む。徹夜で書くぞ」
虚をつかれたような顔をしていた彼女は、我に返って。
「うんっ」
思い出のままの笑顔で、微笑んだ。
>>281 申し訳ない…バテた…orzってか今気付いた…orz
以上です、それでは失礼しました。
さすがに寝てたw
もういないよなぁ。とりあえず行きます。
Kanonで「それは二十年前からの策略」。8レスです。
大丈夫だろうか。
珍しく、部活が休みの名雪と並んで帰っていると、これまた珍しく、買い物途中の秋子さんと出会った。
「あ、いーところに来たっ。ちょっとぉ、祐一。これ持ってよぉ」
どうやら真琴もいたようだ。でかい紙袋に隠れていて見えなかった。
「一宿一飯の恩義と言うだろう。たまには恩を返すために、労働しろ」
「なによぉ、それ。いーから持つっ。男でしょ」
こら、勝手に押しつけるな。って、待て、秋子さんのビニール袋とか手提げとか、全部俺に持たせる気か。
秋子さんも「あらあら」ってニコニコ笑ってないで。
「じゃあわたしのもー」
こらこらこら。名雪まで便乗してきやがった。
「図に乗るな。むしろお前も半分もて」
「一宿一飯の恩義は返さないとね?」
「お前に返すいわれはないだろ」
「わたしはちゃんとお夕飯の準備とかしてるよ?」
「俺もお前を起こしたり、皿を並べたりと頑張ってるぞ」
「うーん、朝は眠いから記憶がないよ」
「おのれ。だったら今度、お前の朝飯を全部かっぱらってやる。記憶がないなら大丈夫だろ」
「ふぅ……分かったよ。自分の荷物は持ってあげるから」
「当たり前のことを、恩着せがましく言うなっ」
って、言い争いをしていたら、なぜか秋子さんがくすくす笑い出す。
「な、なんですか」
「いえ、なんだか懐かしいなって思ったんですよ」
「懐かしい?」
「ええ」
秋子さんは、俺の手から荷物を取り戻しながら、目を細める。
「昔、私も同じような会話をしながら、この道を歩いていたんだなぁって」
「え? この道って、秋子さん、もしかして学校――」
「ええ、祐一さんたちが今通っている、あの学校に」
へー。そりゃ、そういうこともあるか。近いし。
「祐一、知らなかったの?」
「全然聞いてないぞ」
そうか、秋子さんもあの学校になぁ……ってことは、制服も……これか!?
つい、名雪と秋子さんを交互に見比べてしまう。
かなり際どいデザインのこの制服に、身を包んだ秋子さん……。
なんだか犯罪の匂いがするのはなぜだろう。
「その制服にも、ちょっとした思い出があるんですよ」
俺の心を見透かしたような呟きに、一瞬、どきりとする。
「どんなですか?」
動揺をごまかすように、問いかける。
ってゆーか、やっぱり昔からこの制服なのか。
多分、二十年前後は昔の話なのに、随分と前衛的な学校だったんだな。
「その制服に替えるように訴えかけたの、私たちの代ですから」
あんたたちかいっ。
「学校とは、かなり激しくやりあうことになりましたけど」
それもまた楽しかったというように、秋子さんは微笑んだ。
「お母さん、意外とやり手だからね」
確かに秋子さんは、なんだかそういう過激派系列の行動も、似合わないようで、なぜか似合う気がする。
そっち側の遺伝子をどこかに落としてきた娘さんは、母親の横で同じ顔で微笑んだ。
「あたしも、その制服着たーい」
話題に参加できない真琴が、仲間に入れろと騒ぎ立てながら、手を上げてぴょんぴょん跳ねた。
「あの学校の試験に、合格できたらな」
「祐一だって受かったんでしょ、楽勝よぉ」
「鳴かぬなら、鳴くまで待とう、ホトトギスと言ったのは?」
「……へ? なにそれ?」
「豊臣秀吉の言葉だ。そんなことも知らないようじゃ、合格は無理だな」
「……家康だよ」
あれ?
試験問題の正答が不適切だったため、真琴は繰り上げ合格となった。
「じゃーんっ」
名雪の予備の制服を借り、やたらと嬉しそうにリビングに飛び出してきた真琴。
名雪より半回り小さい真琴だが、その程度の差だと、ほとんど無理なく着こなせる。
が、似合うかどうかはまた別の話で……、
「どーおっ」
なぜかえらそうに胸を張るが、なんというか、違和感しか感じない。
「なんか日本人形に洋服着せたみたいだ」
「……どういうこと?」
「似合わん」
蹴りが飛んできた。
ソファーに座り込んでいた俺は、とっさによけることが出来ず、まともに蹴りを食らう。
いや、けっしてスカートとも呼べない短い裾のせいで、もろに見えたパンツのせいじゃない。断じて。
「あー、これ動きやすいかも♪」
「だめだよ真琴、乱暴しちゃ」
他に止めるところはないのか、人として女として。
名雪も真琴を着替えさせるのに手間取ったせいか、まだ制服のままだ。
――それに加え、もう一人。
「あらあら」
それはこっちのセリフです、秋子さん。なんであなたまで。
まだ持っていることにも驚くが、それを着てまったく違和感を感じさせないのは、いろんな意味ですごい。
名雪と並んでいると、姉妹ですと言っても通用しそうだ。
「秋子さんもおそろいー♪」
「そうね、真琴もかわいいわよ」
「えへへーっ」
出来の悪い末っ子が、長女に頭を撫でられている。
このまま、水瀬家美人三姉妹というユニットでも組んで、売り出しかねない。
「お母さん、まだ持ってたんだ……」
「こんなこともあるかしらと思って」
即席水瀬家制服ファッションショー。観客は俺一人。
そんな事態を想定していたのだろうか、この人は。
見慣れたはずの制服も、リビングという場所に3人固まっていると、妙にシュールに見える。
赤色がやたらと視界を埋めて、目がちかちかしてきそうだ。
「祐一、仲間外れー」
「お前は俺がその服を着ているところを見たいのか」
「もう一着、予備有るよ?」
もう一度同じセリフを繰り返し、それより腹が減ったと秋子さんに告げる。
これ以上ほっとくと、なにを言われるか分かったもんじゃない。
「すぐに用意しましょうね」
「わたしも手伝うよ」
「あたしもー」
そして制服3人組は、そのままの恰好で台所へと向かった。
いや、エプロンを上から身につけて。今度は調理実習の雰囲気だ。
――背伸びして棚の上から調味料を取る秋子さんの姿に、俺は大人しく背を向ける。
やはり真琴とは違うな、などと横縞な、もとい邪な感想を抱きながら。
連投回避っ
私怨
そんなことのあった翌日の放課後。
例のやり取りのせいで、夢の中で女子の制服を着せられた俺は、軽い制服恐怖症にかかっていた。
廊下をすれ違うのにも、必要以上に大きくよけてしまう。
しかし、秋子さんたちが望んで変えたと言うが、またなんでだろう。
確かに目の保養にはなるが、それはあくまで男子からの視点だ。
よほど前のデザインが極悪だったのだろうか。
おっと、また前から制服が。思わずよけようとして――息を呑んだ。
「あきっ!?」
と、叫びかけた口が、人差し指にふさがれる。
そんなお茶目なことをしてくれたのは、間違いなく秋子さんだった。それも制服姿の。
「……なにしてるんですか」
「いえ、懐かしくなってしまいまして」
「普通に来ればいいでしょう」
「学生気分を味わいたかったんです」
すました顔で、大胆なことを。
まぁ、卒業生で保護者なら、来ても捕まったりはしないだろうけど……と思ってたら、知り合いに発見された。
訝しげな顔をした香里が、こっちを見ている。それ、名雪じゃないわよね、って目をして。
とっさにジェスチャーで回れ右しろと訴えるが、その不自然な動きが、秋子さんに気づかれてしまった。
振り向く秋子さん。固まる香里。秋子さんはさわやかに手を振るが、香里は振り返す余裕もない。
3秒ほど硬直してから、香里は俺の訴え通りに、回れ右をして去っていった。
「どうしたのかしら」
「いや、あれが普通の反応だと思いますよ」
「今風の女子校生らしい会話とか、楽しみたかったんですけど」
むちゃなことを考える人だ。
「せっかくですから、学校を案内してくれませんか」
「秋子さん、ここの卒業生でしょ」
「新校舎は、まだありませんでしたから」
って言われても、俺だって転校生だから、そんなに詳しくもない。
通り一遍案内すると、たちまちネタは尽きる。そして、旧校舎に入ったら、むしろ秋子さんの方が詳しかった。
「懐かしいですね」
という声に、俺は曖昧に頷きを返す。
俺はまだ、懐かしいと思えるような時間をここで過ごしていない。
卒業すれば、なんとなく思い返す日が来るのかもしれないけれど、それは先の話だ。
こっちの方では人が少なくなってきたのを幸い、俺は秋子さんに聞いてみた。
「秋子さん」
「なんですか?」
「どうして、その制服に替えようとしたんですか?」
「気になりますか?」
「ええ、まあ」
秋子さんはゆっくりと歩みを進めながら、まるでその時に戻ったかのように、遠い目をして語り始める。
懐かしむ、というだけではない、不思議な色合いの瞳。
「そんな特別な理由はありませんよ。
ですけど、当時の制服は、あまりわたしたちの間では評判が良くなくて、替えようって意見は前からあったんです」
なるほど。ごくありきたりだけど、分かる理由だ。
それにしても、このデザインはどうだろうと思うが。
「それで自分たちで制服をデザインして、こういうふうに替えたいって、直訴したんですよ。
でも予算の都合やら、モラルの問題やらで、なかなか学校は首を縦に振ってくれなかったんです」
デザインも自前なのか。もう少し穏便なのにしてれば、ことはスムーズに運んでたのでは。
「学校側だけだったら良かったんですけど、当時、お堅い生徒会長がいまして、その人も反対したんですよ。
なぜか学校と話す前に、その人が立ちふさがって、わたしたちと喧々囂々とやりあうことになりまして」
ふぅん、いつの時代にも久瀬みたいなのはいるんだな。
しかし喧々囂々とやりあう秋子さんって、想像できないな。これが若さか。
秋子さんは困難な闘いの記憶を、むしろ楽しそうに語る。
すぎてしまえば、いい思い出なのだろう。
「それでわたしたち、署名を集めて、デモをして、ビラをまいて。
何度も話し合いを重ねて、ようやく生徒全体での投票にまでこぎつけました」
「結果は?」
「この通りです」
秋子さんは微笑んで、制服の胸に手を当てた。勝訴、ってわけだ。
俺は脳内の過去久瀬に、ざまあみろと舌を出してやった。
「その生徒会長も、ずいぶん悔しがっていたんじゃありません?」
「いえ、そうでもなかったですよ」
「そうなんですか?」
「良くも悪くも、杓子定規な人でしたから。結果が出たら、あとはさっぱりしたものでした」
「へぇ、意外だ。嫌な奴かなと思ってたのに」
秋子さんはくすりと笑って、
「真面目で堅物なだけで、いい人でしたよ。確かに、誤解されやすい人でしたけど」
その口調に、秋子さんの目に浮かんだ、不思議な色彩の理由が分かった気がした。
秋子さんは、四方に視線を流しながら、懐かしさに目を細め、階段を上がる。
「それからしばらくして、待望の制服が導入されたので――最後に一言言っておこうって、呼び出しをかけたんです」
「勝利の証を見せつけて、ノックアウトしてやろうってわけですか」
「ふふっ。そうですね」
階段を上がり終えた先は、屋上に通じるドアで、その前の踊り場で秋子さんはくるりと振り返り、
「屋上に呼び出して、ちょっと早めに来て、ここで、彼が来るのを待ってたんです」
「……階段の上で?」
「階段の上で」
状況を、想像してみる。これは非常に魅惑的で、かつ危険な角度だ。
「……それは非常に目のやり場に困ったんじゃないでしょうか。特に真面目な人には」
「そうだったかもしれませんね」
さらりと秋子さんはうそぶくが、きっと計算づくだ。
もしかしたら、制服をこういうデザインにすれば、生徒会長が立ちふさがってくるっていう段階から、全て。
だとすると、生徒会長はまんまと釣られたってわけだ。
「で、がつんと一言言ってやれましたか?」
「おかげさまで」
「KO出来ました?」
「えぇ」
恐るべし勝利の証。
制服そのものがすごいのか、その中身がすごいのか、よく分からないけど。
しかし気になる……。もしかしてその人が、名雪の父親だったりするのだろうか。
聞いてみれば答えてくれるのだろうけど、なぜか聞く気になれなかった。
それからしばらくして、俺はその予感の正体を知った。
名雪に呼び出しをされたのだ。屋上に。
およそ二十年前に発動した策略が、俺をも絡め取ろうとしていた。
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 11 月 6 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>259-264 なくしたものの代わりに、手に入れたものを残そう(ONE)
>>270-273 ビタースヰート(WA/はるか)
>>277-283 メモリー・メモリー(ONE/浩平と瑞佳)
>>287-296 それは二十年前からの策略(Kanon)
感想〜
>>259-264 ほのぼのとしてていいお話。
みさきと浩平のやり取りもほんわかしていて安心して読めました。
でも浩平なら「顔、さわっていいかな?」 と言われたら「お返しに○○さわらせてくれたらなっ」、
とか返しそうだけどw
>>270-273 ハーシーズは冬弥の味。
今でも冬弥とのつながりを求めて食べてるんだとか、悲しい思い出を吹っ切る為ために食べてるんだとか
色んな事を考えたんだけど、明確な理由はないんだろうな。
そこにあるから食べる。なんとなく食べる。そんなものかな。はるかだし。
>>277-283 作家と浩平は違和感があったけどサラリーマンの浩平は想像しにくく、そうなるとクリエイター系に向いてるわけで、
順序だてて考えてみると意外と合ってる事に気がついた。
ちょっとした描写、例えば喧嘩している様子とか、仕事の仕上げの部分とか、
その辺りの部分が良い意味で作品にリアリティを与えてくれてると思う。
でもラスト近くの
>「永遠に覚えてるよ、浩平のことは」
この部分以降はなんか、話を締めようとして無理矢理付け足したような不自然な感じがした。
それまでが自然だっただけに。
>>287-296 単なる制服萌えSSかー、と思って読んでたけど最初の制服からして伏線になってたわけだね。
そう理解して読み直してみると、最初の制服着脱イベントから秋子さん学校来訪イベントまで含めて全て
名雪のためだとさえ思えてくるw
テーマと合ってて、きれいなオチもついている。最優秀作品に推しておきます。
ああ、でも
>>288から
>>289の流れは唐突だったかな。一レス分投稿し忘れたのかと思った。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>298 となっています。
感想期間は明日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
「さて、最終日に重役出勤です」
「感想書きの方が他に一人しかいらっしゃいませんし、頑張っていきましょう、セリオさん」
「本当は、書き手として参加した回は、流したいのですけれどね」
「まぁそこら辺は適当に罵詈雑言を尽くして、カムフラージュしましょう」
「えぇ。ポーカーフェイスはお手の物ですから」
「……といっては見ましたが、こんな時間で眠いので、頭の回転が低下してて、残念ながら今日はマイルド気味ですー」
>>259-264 『なくしたものの代わりに、手に入れたものを残そう』
「地の文少なっ」
「また問答無用なことを。読みやすくていいじゃないですか。
それに、最後のレスでは、会話が一言しかありませんよ」
「確かに、みさき様の内面が語られたりもしているのですが、周囲の状況などは必要最小限の説明に留めて、
>>262で時間を飛ばす際も、「ありましたとさ」という昔話風の一言で、分からせたりと、
えらくソリッドに削り落としてあるんですよ。それがテンポの良さを生み出してもいるのですが。
説明しなくても理解できる範囲内で書かれてはいますけれど、極めて二次創作的な作風と言えます」
「でも二次創作ですし」
「そうですが、ONEスレではなくこのコンペスレでは、もう少し周りに配慮した方が良かったかもしれません」
「数年後? の光景に関しての状況説明も、いっそ清々しいくらいにカットしてありますよね」
「恋人なのか、結婚してるのか、目が治った直後なのか、だいぶ経っているのか。今はいつでどこにいるのか。
想像の余地があるとも言えますけど、少し気になりますね。
書く必要有るか? といわれたら、いらないような気もするのですけど」
「結婚してからは、みさき先輩とは呼ばないと思いますよ」
「そうですね。ONEを知らない方の感想も聞いてみたいところです」
「会話はとにかく楽しげで、でも暖かみもあって、良かったと思いますー」
「北斗の拳ネタが少し気になりますが」
「顔の話なのに、いきなり胸の傷に飛びましたからね」
「最後にテーマに関して。
思い出というと、過去の出来事に捕らわれがちですが、この作品はそれに加えて、
未来のために今を素敵な思い出にしよう、という方向性が目を引きました」
「前向きなのはいいことです」
>>270-273 ビタースヰート(WA/はるか)
「これなんて読むんでしょうね、マルチさん」
「スケートですよ、きっと。確かこの辺りの日程で、大会やってましたから」
「なるほど、季節的にもそれっぽいですね、というボケはさておき」
「え? ボケ……?」
「マジか。さて、こちらは『なくしたry』とは対照的に、地の文というか、仕草の表現が少し多いように思います」
「中身は抽象的な感じなんですけどね」
「それははるか様というキャラクターの特異性に起因しているようですから、また違うと思うのですが。
筋立て自体は極めてシンプルですし。こんなことがあったから、今でもこれが好きなんです。というものですから」
「ちょっと食い足りない感じはしますね」
「はるか様のチョコ好きはどこから来ているのか、の一つの回答例ではありますけど、
意外性としては弱いですし、冬山の遭難じゃないんですから、そこは温かい飲み物だろうと」
「それ言ったら、ストーリーが成り立ちませんし」
「ですから、この説は少し説得力に欠けるのでは、と思うのですよ」
「確かに、んな日にチョコあげて、それから愛用するようになったなら、あげた方も憶えてるんじゃ、って思いました」
「憶えてないのはどっちだ、と突っ込みたくなります」
「表現技法は詩的な感じがするのは、はるかさんにあってますね」
「ですが、それも余計に、この作品の希薄さを際だたせてしまっている一因にもなってしまってるかもしれません」
「途中が階段みたいになってるところは、狙ったのでしょうか?」
「おそらくは。テーマは直球ですね。その思い出に関してなにも語らないのも、彼女らしいです」
>>277-283 メモリー・メモリー(ONE/浩平と瑞佳)
「最近出番の多い、浩平様のお話です」
「こっちはしっかり結婚、妊娠、就職までこなしてますね」
「飽きっぽそうなあの方が、こつこつ書き貯めた、というのに多少の違和感を憶えないでもありませんが。
むしろ閃きと体験を元にして、勢いと気まぐれで書き上げたら、たまたま評価された、の方がらしい気もします」
「それでつい作家になっちゃったら、産みの苦しみに悩んでしまったって感じですか」
「もっとも、過去の思い出の記録という側面からすれば、書き貯めもありかな、とは思いますが。
さて内容ですが。『彼女が皿を投げつける様』とありますが、初対面の時に、彼女は石を投げ付けてましたね」
「姿は見てませんから。てゆーか、イライラ瑞佳さんへの驚きですし」
「どことなく彼女が所帯じみた感じがするのは、それっぽくて良いと思います。
半面、浩平様は回想している自分に酔っている、みたいな、現世から浮いている感じがあります」
「唐突に涙まで流されると、感情の流れに置いてきぼりにされてしまいますね」
「なにを感じ取ったのかが、見えづらいのもその一因です。
それまでに、似たような感慨は抱いているのですよ。ですが、永遠というキーワードに――、
反応するのは分かるのですけど、そこまで琴線を揺さぶられるのはなぜなのか。
それまでの思いと違うのは何なのか、はっきりと突きつけられていないのです」
「瑞佳さんがそれだけ、大きな存在になっているという証なのかもしれませんけど」
「きっかけ、という意味合いでは、ここは定番のお腹にタッチなどして、
なにか実感が湧いたがゆえの、思い出の喚起、という手法もあったかと思います」
「ところで、タイトルは何でしょうか?」
「ちょっと分かりませんでした」
「適当にでっち上げてくださいよ。いつもみたいに」
「きっと妊娠して体重が倍増した瑞佳様が、体重計の目盛りが増えたと大暴れ。彼女が体重計を投げ付ける様なんかry」
「そんなことも、子供が産まれれば楽しい思い出になるという意味を込めて」
「こんなタイトルに……するかーーーっ!」
「落ち着け、セリオさん。眠くて脳が働かないのは分かったから」
>>287-296 それは二十年前からの策略(Kanon)
「これは恐い作品ですね」
「どこからどこまで策略なんでしょうね」
「きっとこの方のことですから、帰り道に遭遇して、こんな話題をふろうと言うところからスタートしているはずです」
「桶屋もびっくりですー」
「さて。確かにあの制服、デザインしたの誰やねんと思うほど、非常識なデザインではあります」
「そこら辺の解説が、ちょっと強引なとこはありますけど、でもなんとなく納得がいくという」
「『あの人なら、やりかねん』という、キャラの印象ばかりでなく、
最初の帰り道からのイベントが、うまく転がしてあるせいでしょう。
強いて言うなら、最後の策略へのつなぎ、相沢様の察しの良さとかが微妙でしたか。
いっそ下から相沢様が階段の上のパンツを見て、察するという形の方が自然だったのではないでしょうか」
「でもパンツ伏線は真琴さんの頃から張ってありますからね」
「そうですね。この話は制服と言うより、むしろパンツが必殺兵器だという印象を受けました」
「生徒会長も一撃KOです」
「全体的に、多少なりとも説明的なものを感じるのは、過去の流れを語るという構成のせいでしょうか。
ただ、この場合はあまり類を見ない解釈だけに、語りが入ってしまうのはどうしようもないかもしれません。
それに、相沢様のツッコミがあるおかげで、大分緩和されてはいますね」
「秋子さんが楽しげなおかげもあると思いますよ」
「テーマ的には、この作品は過去と現在が剥離せず、綺麗に絡んでいたと思います」
「他にはなにか足りないところとか、ここをこうした方がいいとかはないんですか?」
「やっぱりここまで来たら、名雪様もパンツを見せるべきだと思うんですよ」
「そんなことかいっ」
「皺とか食い込みとか柄とか、それぞれの個性に乗っ取った仔細な表現をですね」
「えー、これ以上下世話な話になる前に、今回はこれまでということで」
「大体横縞のパンツといったら、某サイトによるとむしろ私であるべきで――」
「もう引っ込んでください。それではー」
間に合わないかな…。時間が無いので、乱文な上に
雑な感想をごく軽くとなりそうですみません。
>>259-264 なくしたものの代わりに、手に入れたものを残そう(ONE)
言葉の選び方がきれいで、〆のレスだけペースを落として味わい
さらにうpですね。ただ、以前が軽すぎるような気も。コミック的。
>>270-273 ビタースヰート(WA/はるか)
ほぼ上の作品の逆なつくりっぽいかも。差し込み構成で余韻あり。
ぎりぎりで「語り足りない」にかかった感じ。渋い。
>>277-283 メモリー・メモリー(ONE/浩平と瑞佳)
5レス目から逆算して書かれたかと思うほど、あざといまでな切れ味。
状況説明に終始しているのが、逆に良く働いたのも。厳正→厳粛のような。
>>287-296 それは二十年前からの策略(Kanon)
作者の機知に富んだ様子を窺わせる作風。
ちょっと無理めな展開も、ギリギリギャグに落ちずにコメディ枠でしょうか。
他の作品がシンプルなだけに、ちょっと盛りすぎてぼやけた気もしますが、
尺も相応に長いので気のせいでしょう。
なんだかんだで娯楽性重視なので、「それは二十年前からの策略(Kanon)」に
星は差し上げたいです。それでは失礼。
まだ行けそうなので感想投稿。
適当でスマソ
・なくしたものの代わりに、手に入れたものを残そう
会話が多めな軽妙なやり取りは原作を彷彿させ、なかなか懐古心を刺激された。
締めとの落差が激しいのは、それが狙いなのだろうか。
・ビタースヰート
過去回想ものとしてはスタンダートなSS。安心して読める反面、意外性は乏しい。
2レス目だけの短い描写で、はるかの自暴自棄な様子が描けているのはお見事。
・メモリー・メモリー
非常に理性的な作品。
シナリオ通りの動きなのだろうが、そこに芝居感はなく、見事に生活臭を感じさせてくれる。
・それは二十年前からの策略
今回の作品群では一番長いのに、それを感じさせないのは構成が上手いんだろうな。
起承転結として見ると、転が弱く感じるが、それも些末な問題か。
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
感想の追加など、上記以外にも何かありましたら、遠慮なく書きこんでください。
※次回のテーマは『病気』に決定しており、開催時期は 11 月中旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
こんばんは。
>>259-264 『なくしたものの代わりに、手に入れたものを残そう』の作者です。
感想返しに来ました。
>>299氏
ほんわか風味はやはりみさき先輩の人徳によるところで。
返しに関しては、長森への告白からの「うん、いいよ」という返しに虚をつかれたように、
浩平はストレートな要求には弱いのかな、みたいな印象がありました。
ただ、「触らせてくれたらな」のあとで、「うん、いいよ」→大動揺みたいなのも楽しかったかもしれませんw
>>301セリオとマルチの毒舌感想会 マイルド風味氏。……氏? でいいのだろうかw
重役出勤ご苦労様ですw うーん確かに、二次創作って事に甘えて、あんまりいろいろ書いてません。
なんとなく軽やかな雰囲気に書きたかったので、指摘されたように、必要最低限ですませてしまいました。
時が飛んでからの状況は、やっぱり『未来への切符はいつも白紙なんだ』と言うことで。
そこに良き思い出を二人が描いてくれたらいいなと思います。と、うまくまとめたふりをしてみるw
でも、未プレイの方への配慮は、足りてませんでしたね。
北斗の拳ネタはなんか反射的に入ってしまいました。モヒカンはまだしも、胸の傷は確かに変でした。
>>305氏
最後のシーンが書きたかった部分なのですが、前半は少し筆のノリに任せて、軽すぎにしてしまったかもしれません。
もう少しなにか盛り込んでいても良かったかなと、指摘されると、悩んでしまいます。
書いてる最中は、「おk、これで完璧」とか思ったりしてるのですがw 全体のバランス感覚が甘いですね。
言葉づかいに関して、きれいだと言われるのは素直に嬉しいです。
>>306氏
ONE独得のノリはなかなか再現するのが難しいです。
ついさっき、完璧とかほざいた後になんですが、まだまだ自分でも違和感が。
みさき先輩のほのぼのモードに、テンションが引っ張られている感じがします。
締めとの落差も、半分はそれが原因で、狙ったもんじゃありませんね。
もう少し、例えばスタート地点を屋上にして、イベントを増加させるなどの手もあったかも。
以上。簡単ではありますが、感想返しとさせていただきます。ありがとうございました。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
書き手の挨拶、のテーマの決定などを行っています。
「感想期間に間に合わなくて(´・ω・`)ショボーン」という方も、感想を書き込んで
もらっても構いません。
※次回のテーマは『病気』に決定しており、開催時期は 11 月 14 日 からで予定しています。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
あと追記ですが、前回の感想の中で評価が高かった作品は、以下の通りとなっています。
『それは二十年前からの策略』
>>299 >>305 ということで、第五十四回の最優秀作品は『さまよう仮説』になります。
◆trkUQv9mLgさん、おめでとうございます。
……さまよう仮説?
>>311 きっとサイレントマジョリティを考慮に入れたんだよ。
きさまッ (クリップボードの中身を)見ているなッ
結構人いるのなw 他の感想返しマダー(・∀・/)/チンチン
じゃあ次のテーマはチンチンで。ごめん嘘。でも前に耳があったんだからry
そうだ。チンチン→大切な部分→宝物、とかどうだろう。
こんな連想の果てに出たテーマはやっぱり嫌かもしれないが。ああ、嫌もいいかもな。
>>277-283、メモリー・メモリーを書かせて頂いたものです。感想返し遅れてすみませんでした。
正直、今回は失敗して凹みました……。
立てておいたプロット途中からぶった切って、その後に繋げるにもパテじゃ消せない程の溝が出来てた感じです。
まあ、ご指摘のとおり、4レス目から5レス目の間でいい感じで切れてます。
言い訳をさせて頂ければ、最初は父親の話を書こうと思ってたのですが……何時しか消えてました。
時間ぎりぎりだったというのもありますが、やはり短い時間だと難しいですね……。
少し苦手なテーマだったというのもありますし。
ま、幾ら言い訳しても終わったことは詮無き事。
腕が足りなかったのも苦手なのも全て自分の精進が足りない為。精進させて頂きます。
そして、個別の感想返し、参ります。
>>299 読んで頂いてありがとうございます。
そして、やっぱりバレましたかorz
クリエイターまでは自分の中でもすんなり行ったんですけどね…精進させていただきます。
>>303 感想ありがとうございます。
確かにあの浩平の性格でこつこつ書き溜めたのは少し違和感があったかもしれませんね…。
そして浩平はある程度「現世から浮かせる」予定ではあったのですが、少し浮かせすぎましたね。
何を考えているのかが良く解らないレベルまで浮いてしまった気がします。
もう少し明確に書けてれば良かったのかもしれませんけど……。
>>305 ありがとうございます。
ああうう、確かに厳粛でしたorz
逆算して書いたわけではないのですけどね。
状況説明中心だったのが上手く行ったのは…偶然かもしれません。どうしてもそっちの方が書き易くて…。
>>306 ありがとうございます、理性的とこのスレで評されたのは二度目になりますね。
芝居臭が無い、ってのは嬉しいです。どうしても日常を書くと芝居臭さが板についてしまいがちなので…。
実際にはどんくらいの長さで、どんな流れが入るはずだったのだ?
>>287-296 『それは二十年前からの策略』を書かせてもらいました。
今回は、最優秀いただいた……のか? いいのか? えー、とりあえず、ありがとうございます。
実は、当初の予定では、もうちょっとギャグ寄りのタッチに仕上げて、
秋子さんが階段のところで、祐一を誘惑するような構想もありましたが、
なんか秋子さんが淫乱みたいに思えてしまうので没に。そこでget役は名雪に譲ることにしました。
>>299 ふ。根底に制服萌えがあることはもちろんですが。あれはやばすぎる。色々と。
名雪に秋子さんの遺伝子が入っているのか、と作中で書いたりもしましたが、
実は策を立てた秋子さんばかりでなく、名雪も一枚噛んでたりするのかも。
確かに見返してみると、
>>289はなんか唐突でしたね。真琴登場の前にでも、少し説明を加えればすむことでした。
>>304 どこまでが策略かは、なんか考えると恐くなりそうなのでみなかったことに。
やっぱあの制服は謎ですからね、気になります。謎多きあの制服の、一つの回答例ということで。
過去に関しては、回想として描いても、それはそれでくどそうですし、
指摘されたように説明的かなと思わないでもないんですが、自分ではあれが精一杯でした。
いいですね。名雪のパンツ。セリオさんがあの制服を着てくれるのも、とても素敵です。是非とも今度お願いします。
>>305 実の所、若干無理めな展開だな、という自覚はあったりもするのですが。
だから本当は、もうちょっとギャグテイストにする予定だったところ、
上で書いたような理由で、押さえたのが結果的にギリギリラインに乗ったのだと思います。
ぼやけた、って言うのは、やはり過去語りのところで、あまり大きな山を持って来れなかったからかも。
……てことは、本当はダメなとこをしっかり見抜かれている!? ひいいいっ(;゚皿゚)
>>306 ああ、やっぱり。転ですね、そこら辺ですね。そんな欠点があるのに構成がいいなどと褒められて良いのか。
ここは生徒会長がスパッツ愛好派だとでもでっち上げて、激しく対抗させるべきだったのだろうか。
いやそれじゃ話の流れが無茶苦茶に。なかなか難しいところであります。
それでは、皆さんありがとうございました。
お疲れ様です、「ビタースヰート」を書いた者です。眠いです。
まあアレですね、毎回指摘されていることなのですが、中身が薄いです。
捻りがない、進歩がない、つまらない。ないないずくめの3拍子です。
…いい加減に残り24時間切ってからネタを探し始める癖をなくさないとなぁ。
感想返し行きます。
>>299 明確なものがあっても言わないのではないかと思いまして、はるかは。
>>302 仕草の表現が多かったのは無意識です。癖ですね。
今回の作品には合わなかったかもしれません。
ストーリーの破綻については、何も言う事ありません。想像力不足です。
>>305 薄いと言われることは多いですが渋いと言われたのは初めてです。
ありがとうございます。
>>306 シンプルに表現しようとしてみました。
テンプレート的な表現になってしまった部分は反省です。
全体を通して「食い足りない」という意見を頂きました。
次回も感想を頂ける様に、読んで頂いた方に満足して頂けるように頑張ります。
では、回線吊って首切ってきます。ありがとうございました。
【告知】
第五十五回投稿テーマ:『病気』
投稿期間: 11 月 14 日の午前 8:00 から 11 月 28 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
>>ALL
すいません、何か寝ぼけていました…。
前回の最優秀作品は『それは二十年前からの策略』になります。
それでは回線切って吊りに行く前に次々回のお題を。
>>314氏からリクエストのありました『宝物』に決定したいと思います。
開催は12月中旬辺りになると思いますので、「病気でネタが浮かばない」
「二週間だと短すぎる」という方は、ぜひこちらのテーマで考えてみて下さい。
【告知】
締め切りまであと一週間となりました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『病気』で、締め切りは 11 月 28 日の午前 8:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください!
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ ,.'´ ヽ セリオ専用しおり ┃
┃ lヽ.ノリ))))〉 ┃
┃ ivゝ゚ -゚ノl⊃ 今日はここまで酷評しました ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
【告知】
いよいよ明日火曜日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『病気』で、締め切りは 11 月 28 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『宝物』で、開催時期は 12 月中旬になる予定です。
「あと二日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
投稿させていただきます。
テーマ的には間違ってない、と思います。
題材;Planetarian〜ちいさなほしのゆめ〜 本編及び付属小説
内容;ネタバレ有り。シリアス。問題に対してシリアス。ってか正直説教臭くてすみません。
タイトル;「生」
レス数;3レス
では、参ります。
足が、重い。
一歩一歩、前に進むのも大変だ。
義足がギシギシ軋む。
降る雨はだんだん強くなってきた。
前へ、前へ、前へ。
小高い丘の頂上近く、先はまだ見えない。
人の集落の明かりなど見えるわけもない。
洞穴も何もなく、雨から身を守るのは外套だけ。
ぬかるんだ土と、かじかんだ手先の感覚だけが身に伝わってくる。
黒い空は、強い酸性の雨を降らし、そこらのクズ鉄も、昔は価値があったであろう石の彫像も。
全てを、食んでいた。
身体が溶かされないのだけが救いかもしれない、が。
何時までもこのまま歩いていたら自分の身体ですらどういう影響が出ることか。
空気も悪く、こんな中を歩いていたらいつか身体を蝕むことだろう。
大戦の時に毒ガスをばら撒かれた地域でも、いい加減に変性しているだろうに。
土は薬品か何かに汚染され、痩せ地のための作物さえ実らない。
ある集落で、必死に雨から作物を守り、育ててる人を見た。
今にも枯れそうな弱弱しい作物を、必死で守り抜こうとしていた。
――結局、ダメだった。
浸透圧の関係なのかわからないが、土壌そのものを隔離しなければならなかったのかもしれない。
詳しいことは良く解らない。
と、考え事をしながら歩いていたのが悪かったのか。
ずっ、と身体が滑る感覚がした。
「――ッ!」
危ない、なんて思う間も無く。
泥濘に足を取られて、転倒していた。
「……つつつ」
転んで、手を泥の中についていた。
幸い、身体は何処も痛くなく、すぐ歩けるようだ。
ふと、自分の汚れた手を見た。
泥がついて、黒くヌラヌラと光っていた。
もしかしたらタール分も含まれてるのかもしれない。
それを眺めているうち、ふと、病んでいた事に気付いた。
自分の身体ではない。
人が、ロボットが、世界が、地球が。
皆、病んでいた――。
人がロボットを狂わせたのか。
人が世界を狂わせたのか。
人が地球を狂わせたのか。
考える意味はない。
ロボットを、他人殺しのために使ったのは、人間。
世界を、核で汚染したのは人間。
地球の生態系を悉く破壊し、それでもなおしつこく生き永らえようとしているのが人間。
人は、いや、人類は。
この星にとって、ウイルスでしかない存在だったのか。
そのことに気付いて、ふと涙が出そうになった。
――人間に、天国なんてあるわけがない。
償えぬ罪を犯した人類に、天国に行く資格などあるはずがない。
天国をふたつに、分けないでください――。
あのとき、そう言ったのは彼女だった。
今は、自分が願いたい。
天国が仮にあるのなら、罪在る人と罪無きロボットとを分けないでください、と。
思わずにはいられない。
天国を求めるなら、死ぬしかない。
生きるのが苦痛なこんな世界では、生きるよりも死ぬ方が身近で、容易い。
だが、何故自分は投影機なんかを抱えて集落を周り、星のあるべきだった姿を見せ続けているのだろうか。
こんなところで泥と土に塗れ、それでも必死で起き上がり、歩きつづけようとしているのか。
他人に見せたい世界があるからか?
それとも、自分が見た景色を他人に見せたいからか?
語り継がねばならない、という自身の存在の自己顕示の表れか?
全く解らない。
が――。
それでも、歩き続け、見せ続け、魅せ続け。
星の記憶を、語りつづけ。
そして、老いて、病んで死んでいくのだろう。
生き物としての運命。
星とともに、殉じよう。
そう思うと、立ち上がる気力が出た。
雨は、未だに病む気配は無い。
凌げる場所は、ここから近くは無い。
が、歩いていける気がした。
それが、自分に課せられた使命なんだろう。
病んだ惑星の中、中天に煌く星を語る。
なんと贅沢な、自分だけに許された使命なんだろうか。
そう思って、不自由な足を引きずって丘を登りきった。
一瞬だけ、空から光が差した気がした。
以上です、よろしくお願いします。
Planetarianの作品を投下して良かったのかどうか、ちょっと解りませんけど…。
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 12 月 5 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>326-328 「生」(Planetarian)
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>330 となっています。
感想期間は明日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
プラネやってるここの住人って二人ぐらいしかいなさそうな悪寒
うーん、原作の性質も掴むことすらままならず、
今回は感想を上げられそうもありません…。
上に同じです……。
「――どうやらここは、ロボ仲間の私が出るしかないようですね」
「ゆめみさん出てませんけどね。それではいきまーす」
「病んでる惑星、人間病原菌説はありふれたテーマですが、重さはかなりのものです。
それをこの短さで語るのは、少々厳しいものがあったかと」
「プラネタ未体験の人は、ちょっと掴めなかったようですしね」
「次に。彼がふと気づく、というのがまず唐突ですね。
そんなことは百も承知でなかったのか愚かな人間共め、と糾弾したくなります」
「考える時間だけは、たくさんあるでしょうからねー」
「彼の方向性はきれいでドラマしているのですけど。起承転結が早すぎると思います」
「星と病にもう少し繋がりを持たせればいかがでしょうか」
「ここは一つ、雨に打たれて、死にたくなってこのまま泥に溶けて病んだ大地に抱かれて死ぬのもいい、
というところで、ふと、気づくと雨が上がっていて、満天の星を見るとかどうでしょう」
「夢落ちですけどー」
「晴れませんからね、この世界。
ですが彼の意志の変遷のとっかかりとして、そういう演出があっても良かったと思います」
「彼の為している行動に、何らかの希望を持たせ、その象徴が星であるということも重ねるんですね」
「……どうしたのです、マルチさん。そんな知的なレスを入れて」
「たまにはいいことも言わせてくださーい」
「あるいは、何かの拍子で投影機が稼働して、小さなくすんだ星空を、目の前の壁に映すなど」
「とてもとてもちっぽけな希望ですけど、それは確かにすぐそこにあるんですよ」
「と、そんな感じで 彼自身は自分の行動原理が分からないにしても、
なにか方向性は示した方がいいと思います。理由を分からない、とすると読者を戸惑わせてしまうので」
「……ところで、天国の話題が出てますが、これで雨降らしているのが、
自律意志を持ったロボ気象兵器が人間を滅ぼそうとしてるという理由でしたら極悪ですよね」
「え? マルチさん知らなかったんですか?」
「Σ(゚Д゚; そ、それじゃロボットも天国にいけないんじゃ……。
……このスレの活動で、私達も地獄に落とされたりしないんでしょうか」
「閻魔様も、そこまで暇ではないでしょう」
「あの、主犯はセリオさんですので、私の方はどうかお目こぼしをー」
「あんですと!?」
ここだ…ここで栞を挟むんだッ!
-――-
'´ `
' , '´ 〃 / i !li ヽヾ` 、 ヽ.ヽ
' .
' ,' ! l i| !i !i ! ! .
. . ノナナノ リノノ/ノ!l l i | liヽ!
i ,' / ,ィ'´「i「` l´iヽ リノリ ノ '
!l ! !l ' |、ノr'| lJ! ' ! ' / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
!l | ゝ. --‐' , ー' ,! l |
l l i \ ' nィ | l ! < 栞の胸は挟めるほど大きくありません
ヽ.l_!_,.ゝ‐ァi^` .r- イ! l.! リ ' |
.ヘKァ‐r‐イバ、! レ、 \_____
/  ̄ iトl ´`ヽ
; ヽ , ! 「/ト、
. f〒 == 、_,ノ l / /K!
. ヾl iヽ ,. '⌒ヽ.' /X/ト、
l l / //VX/|Xヽ
【告知】
ただ今をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された
>>329さん、感想をつけてくださった
>>335さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
感想の追加など、上記以外にも何かありましたら、遠慮なく書きこんでください。
※次回のテーマは『宝物』に決定しており、開催時期は 12 月中旬になる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
今回、「生」を投稿させていただきました者です。
お読み頂いた方々、少しでも気に掛けていただいた方、どうもありがとうございました。
とりあえずplanetarianネタをこれまでのテーマの中でも浮かべる努力をしてました。
テーマ「花火」の時などは――そもそも原作キャラが一人も出ず、ただ世界観だけを借りるってノリになってしまいまして。
投稿できるものにすらならず、別の作品を投稿させていただきました。
その時にやめておきゃいいものを頑張って創作の課題としてたのは良かったのか悪かったのか…。
で、今回投稿させていただいたはいいものの、プレイしてる人が少ないんじゃないかなー、ということは大方予想してました。
そんな中、原作やってないと何が何だか、やってたとしてもなんかよく解らないものを書いてしまったのは、こちらの手落ちです…。
申しわけありませんでした。
やはりもう一つ考えてた小牧姉妹レズネタにしておけばよかったか……ッ!
>>335 ありがとうございました、やっぱり壮絶に解り辛かったですね…。
>意志の変遷のとっかかり
なるほど、その考え方は書いてる当時、全く思い浮かびませんでした。
今回の作品に関しては、感情の変化も、起承転結も、何処かしら抜けてるという批判が自身への戒めとなりそうな気がします。
>やはりもう一つ考えてた小牧姉妹レズネタに
_
,.'´ ヽ
lヽ.ノリ))))〉 詳しく聞かせてもらいましょうか
ivゝ゚ -゚ノl
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
書き手の挨拶、次々回のテーマの決定などを行っています。
「感想期間に間に合わなくて(´・ω・`)ショボーン」という方も、感想を書き込んで
もらっても構いません。
※次回のテーマは『宝物』に決定しており、開催時期は 12 月 12 日(火) からで予定しています。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
まだ感想OK? といってもたいしたコト書けないけど。
>>329 自分は結構気に入った。
たしかに分かりづらいし、短さゆえに説明不足な点もあるんだろう。
けど、このSSが主張しているテーマはまさにプラネタリアンのもので、
どうしようもない虚無感というか皮肉というか、そういうものが上手く描けていて
原作が気に入った人には共感しやすいと思う。
かくいう自分もプラネをやったのはもうずいぶん以前のことだけど、
当時の気持ちを懐かしく思い出したりしたよ。
個人的な欲を言えば、武器屋には、ゆめみのことを思ってほしかったなぁ。言葉の片隅にでもいいから。
やっぱプラネは彼女あってこその世界だと。
屑屋の間違いだよね?
感想を頂きましたので、感想返し追記をば。
>>341 ええ、ええ。最初は「恋の病」ってテーマでどう間違ったか小牧姉妹レズネタ向かいましたとも……ッ!
問題は、そのシーンを書けなくて なら無理して煮詰めずとも、と思って今回は外しました。
>>342 お読み頂きありがとうございます。
>ゆめみのことを思って
やりたかったんですけど、かませ所が書いてる最中に浮かばなかった、という自分の腕不足が原因だったと思われます…。
というか、原作やってない人以外への配慮が全く欠けてる時点で我ながら如何なものかと思ったりしました。
が、時間が無い時って人間無理矢理にでも締めさせるものなのですね…。
次回のテーマも頑張らせて頂きます。もうちょっと萌えを盛り込みながら。
次々回のテーマ、今流行りの姉とかいいと思うんだ。
>>343 ソレダ!!
全く勘違いしてた俺ハズカシス
>>344 作者さん乙〜 次作も期待してますよ
【告知】
第五十六回投稿テーマ:『宝物』
投稿期間: 12 月 13 日の午前 8:00 から 12 月 27 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
その次のテーマは?
俺の希望した姉かな?
思いつきで書いただけだから除外してくれても全然おk。
【告知】
締め切りまであと一週間となっています。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『宝物』で、締め切りは 12 月 27 日の午前 8:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください!
>>348 レスが遅れてすいません。
次回、宝物の次のテーマは、
>>345氏推薦の「姉」にしようと思っています。
>>349 そんなわけでネタが思いついたらよろしくお願いします。
【告知】
明日水曜日が締め切りとなっています。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『宝物』で、締め切りは 12 月 27 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『姉』で、開催時期は 1 月中旬になる予定です。
「あと二日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
投下いきますー
題材;鎖-クサリ-
内容;少しだけグロあり
主要キャラ;ちはや
タイトル;「アンクル・パピィのプレゼント」
レス数;3レス
「おにいちゃん……?」
「人違いだ。俺のことはアンクル・パピィと呼んでくれ」
その日、お兄ちゃんはなかなか学校から帰ってこなかった。
昨年よりも一人少ない三人で過ごすはずだったクリスマスイブ。
だけど、夕食の時間近くになっても、家にはあたし一人しかいなかった。
お母さんは仕事があるので遅くなる、先に食べていてと電話で言っていた。
お母さんは何度も「ごめんね」と謝ったから、あたしは泣きたくなるのを我慢して、ただ短く「わかった」とだけ返事をした。
七時になっても、まだあたしは一人だった。
朝のうちにお母さんが用意してくれていた食事を、テーブルの上に並べて、ぼんやりとアニメを見ながら時間を潰した。
「おにいちゃんどうしたんだろ……」
しばらくして、つい口からこぼれた。
こんなに遅い帰りは、今までなかった。
仕事で遅くなりがちなお母さんに代わって、食事の準備とかもしてくれる。
なのにこの日は、普段ならもう夕食を食べ終わっているような時間になっても帰ってこなかった。
お母さんに電話しようかと考えた頃になって、かすかに玄関の鍵が開く音がした。
あたしははっとして顔を上げ、お兄ちゃんを玄関まで迎えにいった。
だけどそこに居たのは、お兄ちゃんであってお兄ちゃんでなかった。
大きさの合わない大人サイズの背広。
視界を妨げてるんじゃないかというほど深くかぶっている山高帽。
裾を踏んでしまうスラックスをはいていない下半身。
お兄ちゃんと同じ背格好。
お兄ちゃんと同じ顔。
お兄ちゃんと同じ声。
お父さんの友達だったというアンクル・パピィに出会ったのは、このときで二度目だった。
最初はお父さんのお葬式で。
あたしと一緒に泣いてくれた。
今度は寂しくなったクリスマスイブ。
あたしと一緒に食事をしてくれた。
いつもあたしを助けてくる、あたしにとってのスーパーマン。
二人きりの食事が終わると、アンクル・パピィは赤いリボンに包まれた箱を鞄から取り出した。
あたしに向かってそれを差し出しながら、できるだけ大人な風を装って言った。
「ちはやはいい子だからな。これはアンクル・パピィからのクリスマスプレゼントだ」
「うん」
落とさないよう慎重に受け取ると、あたしは期待に胸をふくらませながら、ゆっくりと包装をといていった。
「あ、これ……」
箱の中にあったのは、見覚えのある小さなオルゴールだった。
手のひらに載るくらいの大きさで、音が鳴っている間二匹の猫がくるくる回るつくりになっている。
それは、前にお母さんとお兄ちゃんとデパートまで買い物にいったとき見つけて、欲しかったけど高くて言い出せなかったものだった。
「どうだ、気に入ったか?」
アンクル・パピィが訊いてくるけど、あたしはそのとき、嬉しさよりも遠慮が先に来た。
「でも、こんなたかいの、いいの……?」
小さな声でおそるおそる尋ねたあたしに、
「ちはやが笑ってくれるなら、どってことないよ」
お兄ちゃんは笑いながら言ってくれた。
そのときにはもう、お兄ちゃんに恋していたのかもしれない。
あたしは嬉しくなって、思わずアンクル・パピィに抱きついた。
アンクル・パピィの帽子が床へ落ちた。
上着のボタンが少し痛かったけど、気にせず力いっぱい抱きしめた。
アンクル・パピィが頭を撫でてくれるとなんだか気持ちよくなって、いつの間にかそのまま眠ってしまった。
翌日起きたとき、きちんと布団で眠っていたあたしの枕元に置いてあったオルゴールを見つけて、夢じゃなかったんだと、心からの笑みを浮かべた。
その日からそのオルゴールはあたしの一番の宝物になった。
嫌なことがあったときとかも、オルゴールの音を聞けばすぐに笑うことができた。
家に遊びに来たお兄ちゃんの友達の女の子が誤って壊してしまった後も、大事に保管し続けてきた。
――でも、もう家に取りに帰ることはできないだろうな。
そう思いはしても、悲しみはわかない。
だって今は、他の何よりも大切なものを手に入れることができたんだから。
「ちはやー。そろそろボートに移るぞ!」
あ、いけない、お兄ちゃんが呼んでる。
早く行かないと。
「それじゃあ、さようなら豚さん」
あたしは最後にそう言って、脂肪分の多い豚肉をナイフで捌く手を止める。
ナイフを無造作に投げ捨てると、立ち上がって小走りに駆け出した。
これから始まる、幸せに満ちた日常へと向かって。
こいつぁ、ちょっと昔の話だ。
あたしが小学校に上がるちょっと前、遠縁の子がうちに養子入りしてきた。
遠目に見た感じは、大人しそうなお嬢様。
きれいな黒髪は人形のように長く、おどおどした様子は、まさに世間慣れしてないご令嬢って感じだ。
多分、あたしなんかよりよっぽど綾之部家を継ぐにふさわしい、偶像。
変に影響を受けたら困るとでも思ったのか、あたしは正式に引き合わされもせず、
大人達が寄ってたかって、礼儀作法やら言葉づかいやら立ち振る舞いやらを仕込んでいた。
ああ、なにやってんだ。そんなもん真面目に受けることないのに。
適当に聞き流して、隙を見て逃げ出してしまえ。
って、んなことやるあたしだったから、代わりにあの大人しそうな子を連れてきたのだろう。
大人達はもうあたしに興味を見せず、盛んにその子に教育を施している。
なんでぃ、なんでぃ、昨日までは珠美お嬢様って追っかけていたクセにさ。
その子が来たから、あたしはもう用済みか? あたしはいらない子か?
なんか不条理な怒りに捕らわれたので、挨拶代わりに人の輪の中に、爆竹を投げ込んで逃走した。
聞き慣れない黄色い悲鳴が混じって聞こえたけど、いい気味だ、くらいに思っていた。
翌日も、なんかあたしはスルーされ気味だった。
畜生ぐれてやるぞ、なんて思ったけど、もうこの家的には十分ぐれているようなもんか。齢六才にして。
相変わらず、例の新顔は大人達に囲まれて――む?
なんか違う。
昨日となんか、表情が違う。
戸惑いの色はすっかりと失せて、なにもかも諦めたような、覚悟決めちゃった顔になっている。
前向きにではなく、ああ、もうこれで終わりなんだ、っていう後ろ向きの覚悟。
あたしと大して変わらん歳の子供が、あっさりと人生捨てに掛かっている。
がきんちょのあたしでもはっきり分かるくらい、絶望的な。
――ああ、そうか。
囲んでいる大人達は、彼女を飾り立てるものではなく、束縛する鎖だった。
あたしは無理矢理に蹴破って逃げたけど、あの子は捕らわれてしまった。
もしかしたら、あたしの代わりに。あたしのせいで。
だったら、あたしはどうすればいい?
あたしは子供で、彼女も子供で、この家から離れて生きていけるほど強くない。
けど、きっと、子供のあたしでもなんかできることがあるはずだ。
せめてあの表情を、和らげるようななにかを。
後先も展望も、なにも考えてなかったけど、その決意だけは本当だった。
あたしは病原菌かい。
そんなツッコミを入れてしまうほどに、あたしは完璧に彼女から隔離されていた。
おかげで未だに名前さえ知らん。
だけどようやく、午後3時。分刻みのスケジュールから彼女は解放され、敷地内の庭を、散歩しだした。
チャンス到来。
覚悟を決めたとは言っても、屋敷内では相当息が詰まる思いをしたのだろう。
屋敷から死角になっているような木陰に来て、わずかな解放感と、露骨に疲労した顔を交えて、ため息をつく。
あたしはその目の前に、ストンと着地した。
「いよぉ」
「え!?」
「いやいや、こう、ちょうど屋敷から伸びている枝を伝ってな」
目をまんまるにしている彼女に、にっと笑って怪しいもんじゃないと伝える。
だけど彼女は警戒心露わに、
「……あなた、誰?」
ときたもんだ。遠目には分かりにくかったが、結構目つききついのだな。
「珠の字とでも呼んでくれぃ。あんたは?」
たぶん、噂程度にあたしのことは耳にしていたのだろう、
「……可憐」
彼女は恐る恐る、といった感じながらも、名前を告げてくれた。
「綾之部……可憐」
自分を縛り付ける名字を無意識に繋げて。
あるいはそれは、決意の現れだったのかもしれないと、今なら思う。
「……あなた、珠美さん?」
「んむ。この家では主にそう呼ばれてはいるが、呼び捨てでかまわんぞ。
風の噂で、あんたの方がねーちゃんだと聞いた」
「……珠美?」
「ういうい」
ほんの少し、気を許した表情になった。
うむ、ここでもう一押しだな。
いつの世も、女の心を溶かすのはプレゼントと相場が決まっている。
「お近づきの印に、あたしのとっておきの宝物をプレゼントしよー」
ひょいと、さっき木の上で仕入れたばかりの取れたてほかほかを、彼女の胸の辺りに引っかけた。
すんげぇ悲鳴が響いた。
思わず耳を押さえる。
「なっ、なっ、なっ、これなんですのっ!?」
「あーあー、聞こえなーい」
「とっ、取って、取りなさいっ!」
「そんな、せっかくのあたしの好意を無にするつもりか」
「聞こえてるじゃないのっ! いいから、早くっ!」
「しょーがないのぅ」
あたしは脱皮直後のセミの抜け殻を、可憐の胸元からつまみ上げた。
「別に噛みついたり、血を吸ったりしないぞ? そもそも生きてるわけじゃないし」
「だっ、だからって、そんなものをいきなり人にくっつける人がありますか!」
「そんなものとはひどいのぅ。こいつは今年一番の大きさで、コレクションに加えようかと思っていたのを、
涙を飲んで可憐に回してあげたのに。あとで見せてあげよか?」
「いりませんっ!」
てな騒ぎが起こったせいで、大人共がたちまち屋敷からわらわらと。
なんだ、可憐様と珠美様を引き離せーって。
ロミオとジュリエットか、あたし達は。
……となると、やっぱここは逃避行するべきだな。お約束の展開的に。
「よし、逃げよう」
「え? ええっ!?」
あたしは可憐の手を引っ張って、駆け出した。
アホみたいに広いこの屋敷は、それに準じて庭も広く、ちょっとした森まである。
噂では迷い込んだ使用人が、死体になって発見されたとかいう都市伝説もあったり。いや、そこまで広くないけど。
だけど追っ手をまくには十分だ。
子供サイズをフルに生かし、茂みから茂みへと渡り歩き、えぐれた木の根っこ部分の、うろにはまってやり過ごす。
ここはお気に入りのスペースで、一人だとちょっと広く感じてたけど、二人だとちょっと狭い。
あたし達は肩を寄せ合って、息を殺し、足音が遠ざかるのを待つ。
触れた肌の間に、体温と汗がじわりとたまる。
やがて降ってくるのは、セミの声だけになった。
おらよ
「逃亡成功」
Vサインを繰り出したが、可憐にはジト目で責められた。あり?
「あたしは別に、逃げる必要なんてなかったんだけど」
「なにをいう。あたしら姉妹は二人で一つではないか」
「……姉妹?」
「そうであろ。……なぁ、ねーちゃん」
あらためてそう呼ぶには、ちょっと覚悟がいった。
今まで互いに一人っ子だったのだ。血の繋がらない他人が身内になるということに、少しは抵抗がある。
ただ、あたしたちは同じ綾之部の籠の中に捕らわれた身内だ。
そういうシンパシーはあたしにはあった。でも、可憐にはそう感じられるのか。
本当に本物の血を引いていて、なにもしなくても綾之部であるあたしに対して、
詰め込まれて綾之部にされる、可憐には。
「……セミ」
「へ?」
「よこしなさい、さっきの。もらってあげる」
「悲鳴あげないか?」
「平気よ。いきなりだからびっくりしただけで」
っていったけど、手に乗せる瞬間、やっぱり少し引いていた。
「握ると、壊れちゃいそうね」
「うむ、脆くて儚いから、大事にな」
「……気をつけるわ」
ぱくりと割れた、背中の断面が、なにかから解放された象徴にも見える。
地面という檻の中に捕らわれた、七年間の束縛からの。
ふと、樹上を見上げると、自由を謳歌するように、セミの鳴き声がいくつも重なっていた。
「珠美」
名前を呼ばれた。
あれなんだこりゃって変に思ったのは、それがねーちゃんから初めて名前を呼ばれた瞬間だったからだろう。
ちょいとどきりとした。
「戻りましょう」
「え、でも……」
そりゃ、こんな逃亡劇が長く続くわけはない。
息抜きであり、ちょっとした反抗程度の騒動だ。
けど、それでも自分は屈しないという意思の表れなのに、それを自ら覆すのは、納得がいかない。
「いいの」
可憐は例の、覚悟を決めた表情で言った。
だけどなんか、ちょっとだけなんかが違っていた。
「あたしはね、正面から立ち向かうっていうのも、嫌いじゃないのよ」
……そうか。
それがねーちゃんの、束縛への対抗か。
そういうことなら仕方がないな。
「しょーがない。自首ってーのは趣味じゃないけど、つきあってやるか」
胸を張ってえらそうにすると、可憐は対抗するように得意げに、
「一緒に怒られてあげるわ。あたしが、お姉さんなんだから」
どちらからともなく手を繋いで、互いに引っ張るように先に進む。
あたしも負けず嫌いだが、可憐も相当なもんだな。
なるほど。昨日のとも今日のとも違う、こっちの顔が、地の性格か。
いつしか固く手を握りしめあいながら、あたしらは綾之部へと戻った。
「ねーちゃんねーちゃん」
「ちょっと珠美! またそんなとこから……」
あたしは窓から顔を覗かせ、室内のねーちゃんを呼んだ。
今さらこの程度で慌てたりしないけど、さすがに心配顔で寄ってくる。
「もうっ。一体どうしたのよ」
「今年は大量だったぞ、ほれ」
まとめて十匹ほども、可憐の胸元にセミの抜け殻を引っかける。
すんげぇ悲鳴が響いた。
毎年やってるのに、慣れないのう。むしろこの悲鳴も含めて、夏の風物詩と化しつつある?
「たっ、珠美っ! いきなりはやめなさいって毎年っ……」
「うひゃひゃひゃひゃ」
「あ、こら! まちなさいっ!」
姉の怒声を尻目に、あたしは枝を伝って逃亡した。
いろいろ叱る声が追いかけてくるが、尻の重いねーちゃんでは、ここまで追っては来られまい。
――だがまぁ、なんのかんのいいつつも、今年もあの抜け殻コレクションは、
引き出しの奥のガラス瓶の中に大切にしまわれるのだろう。
あたしはそれを知っている。
投下します。
タイトル;誰にも秘密の宝物
レス数;5レス予定
ジャンル;ToHeart2/タマ姉・このみ/ほのぼの・シリアス
それでは、参ります。
陽が落ちていく空、四つの影法師が長く伸びている。
珍しい、私と雄二と、このみとタカ坊で帰る機会。
登校する時は一緒でも、帰るときはなかなか時間が合わなかったり。
合ったら合ったで、今度は皆で遊びに行って、帰る時間が遅かったり。
桜並木は春を待ち、枝を冬風に揺らせていた。
「えへへー、今日は必殺カレーでありますよー」
そう言いながら、タカ坊の腕に抱きつくこのみ。
幸せそうな笑顔、幸せそうな二人。
見ているだけでも、私の顔が綻んでくる。
「このみ、だから人前で抱きつくなって……タマ姉も見てるんだし」
そんなこのみに呆れたようなタカ坊の声。
照れた顔、顔を真っ赤にして――それでも、心底嫌、という表情ではなくて。
「あら、私のことはいいのよ? 今更隠すことでもないじゃない」
少し、そんな表情が羨ましかったりする。
そんな感情を誤魔化すように言うと、私の横から無神経な声がした。
「まあ、お前等は少しは気にしろ、とも思うんだけどな――ってあががっ!?」
雄二。
そういう発言は少しは空気を読んでしなさい。
額に指をめり込ませて――。
「割れる割れる割れるっ! あ、姉貴、俺が悪かった! だから離せっ!」
「反省してるなら、よし」
私はそう言って、腕の力をすっ、と抜いた。
「――え?」
下ろされた雄二は雄二できょとんとしている。
「……姉貴? 昼になんか悪いもんでも食ったか?」
「もう一度、今のされたい?」
「そっ、それだけは勘弁なっ!」
軽い怒気をこめて言うと雄二はそそくさと私から離れ、私達より数歩先を歩き出した。
「ま……別にいいか、姉貴の問題だしな」
ぼそっ、と雄二がそう呟いたのは、きっと気のせいじゃない。
聞こえない振りをして、このみとタカ坊を二人いっしょにぎゅっと抱きしめてみる。
「うわっ」
「わっ、タマお姉ちゃん?」
二人して、そんな声を上げて飛び上がりかけたり。
こういう所が、二人が恋人同士になっても可愛い理由なんだろうな。
「うわぁ、ぬくぬく〜」
蕩けたような表情で顔を私の胸に埋めるこのみの様子は変わらない。
「だからそういうのはやめてくれ、ってむぐぐ……」
思いっきりタカ坊の身体を私の身体に押し付けて、口をふさいだり。
こんなところも何時ものまま。
「むぅ……タカくんっ、タマお姉ちゃん以外だったら、絶対ダメなんだからねっ」
そう言ってこのみはタカ坊にも抱きついたり。
本当に器用、としか言えない。
「わっ、解ってるって! 全く、タマ姉もあんまりこのみと一緒に抱き寄せるのはやめてくれって」
あらあら、可愛い照れ方。
そんな心の声を外に出さずに、このみをタカ坊の方に押してみる。
「ほら、このみ。恋人さんが照れちゃってるわよ?」
「あ、あぅ……」
そんな風に軽くからかってみると、このみは顔を真っ赤にして俯く。
あぁ、もう、本当に可愛い。
「ほら、行くぞこのみっ」
そう言ってこのみの手を引くタカ坊の、私よりも大きな手。
――あの手が取っている手が、私の手だったら――。
そんな世迷言を首を振って頭の中から追い出す。
このみとタカ坊は幸せだ、それでいい。
雄二は雄二でいつまでもあんな性格だから、気付かないだけのこと。
遊びで女の子にアプローチをかけるのに、本気でアプローチをかけている女の子を避けているなんて。
こんな幼馴染達は、かけがえの無い宝物だと思う。
「お、懐かしいなあ、これ」
少し先を行っていた雄二が、ふと一本の桜の木を見て、そんな声を上げた。
「どうしたんだ?」
「いや、見てみろよ貴明、この印。昔、タイムカプセルだかなんだかこの下に埋めたろ」
そんな男二人の会話を聞きながら、そのタイムカプセルの中に何を入れたのか、思い出そうとしてみる。
確かに場所はこのあたり、埋めた記憶はあるけれど……。
「ねぇ、このみは覚えてる? 何を埋めたのか、とか」
「うーん……忘れちゃった」
自分でも覚えて無さそうなものを聴いてみると、少し考えこむような素振りを見せたこのみは、すぐにペロッと舌を出して誤魔化した。
「やっぱりね、私も覚えてなくて」
そう言ってこのみに笑いかける。
最も、無駄に終わるばかりだろう。
「いい時期だ、スコップ持ってきて掘り出すかー?」
「そうだなぁ……」
思案顔のタカ坊を眺めているうちに、とあることに気付いた。
あのタイムカプセルには、タカ坊に恋していた自分の姿が入っている。
あの頃の輝いていた思い出。
今、私が見たらきっと眩しくて目が眩みそう。
そして、過去の私が現在の私を見て。
その横にタカ坊がいないことに気付いて。
どんなネガティブな表情をすることか。
「――って、げ……待った待った! 貴明、貴明っ!」
「……どうしたんだよ、雄二。耳を貸せ、って」
口を耳元に寄せる男たち。
そっと耳を寄せてみる。
「何を、内緒話、しているのかなぁ?」
見つかったらヤバい本と答案が、って所までは聞こえちゃったり。
全く、我が家の弟は不出来というか、何と言うか。
「あ、姉貴……って、ぎゃ、わ、いだだだだだだだだ、割れる割れる割れるっ!」
さっきとは違って、全力。
雄二の額をがしっ、と掴む。
「まぁ、まだ掘り出さなくてもいいんじゃない? もっと時間が経ってからのほうが面白いじゃない」
そう言って私は笑った。
本当に笑えてるかどうかは怖くてわからない。
あの頃の自分に直面するのが怖くて。
「そうだよ、おじいさんおばあさんになってから掘り起こしたほうが面白いよ」
このみが明るく笑って、タカ坊の手をぎゅっと握る。
「流石にそれは時間かかりすぎだと思うけどな」
タカ坊も笑って、このみの手を握り返す。
「そうそう、別に今でなくてもな、ってまぁ、さっきと言ってることは違うわけだけどさ」
雄二は雄二で、肩をすくめている。
今日のご飯は、好物を一品くらい混ぜてあげようか。
やっぱり、今こうして四人でいることが宝物。
それは今も昔も変わらない。
でも――。
いつまでも掘り出されない、なんてことは無いけれど。
『恋をしている自分の姿』なんて昔の宝物は、もしかしたらいつまで経っても掘り出されたくないのかもしれない。
支援っ
>>368-371 以上です。
(1/4)を付け忘れました…。
レス数が予定より減ってしまいました…。
ってか携帯から素直に書き込んだほうが正解でした…。
支援自演が超恥ずかしいですorz
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 1 月 6 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
(通常7日+正月3が日=10日間)
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>353-355 アンクル・パピィのプレゼント(鎖-クサリ-/ちはや)
>>358-365 あの夏を閉じこめたガラス瓶(鎖-クサリ-/珠美)
>>368-371 誰にも秘密の宝物(ToHeart2/タマ姉・このみ)
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>374 となっています。
感想期間は本日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
元ネタ知らなすぎて、駆け込みも出来そうにありません。不明、申し訳なく。
鎖をあまり知らないけど、一応感想を書いておきます。
>>353-355 アンクル・パピィのプレゼント(鎖-クサリ-/ちはや)
原作をよく知らないので、自分には肝心な部分が分かりません。
特にラストの意味が知りたかったけど……
それでもなんとなく不気味に歪んだ愛情と言った感じは伝わってくるように思います。
ラスト数行の意味を考えさせてくれるところまではついていけました。
でもそれ以上は正直分からないです。
>>358-365 あの夏を閉じこめたガラス瓶(鎖-クサリ-/珠美)
個人的には一番普通に楽しめたのはこのSSでした。
全体的にストレートな内容で受け入れやすかった。
原作を少ししか知らないけどだいたい内容は分かったし。
お嬢様っぽい姉と元気な妹の中むつまじい姿は素直に楽しい情景だと感じます。
美しさというか、萌えというか、そういうものがこのSSにはあると思う。
それに宝物というテーマも生かせていると思います。
>>368-371 誰にも秘密の宝物(ToHeart2/タマ姉・このみ)
失恋したタマ姉が「四人でいることが宝物」と言うのは、理屈はわかるんだけどあまり感情的には納得できなかったです。
原作をプレイした時もこのみルートのラストで、
タマ姉があっさりこのみに貴明を譲ってしまったことが個人的に納得できない自分にとって受け入れにくいSSでした。
そういう個人的趣味を差し引いても、この分量で読者に失恋の重みを理解させ、納得させるのは難しすぎるのでは、と思います。
鎖については、葉鍵最萌の支援でちょっとした知識がある程度。
>>353-355 アンクル・パピィのプレゼント(鎖-クサリ-/ちはや)
豚って…あのお方のことですよね。トリップまで豚とは、何というか愛情を感じます。
本編未プレイなので、本編のどのシーンに具体的に繋がるのか分からないのですが、
ラスト数行で暗転させるところは巧いと思いました。淡々と残酷描写することで狂気が伝わってきます。
この手の手法はありがちと言えばありがちかもしれませんが、よく使いこなせていると思います。
>>358-365 あの夏を閉じこめたガラス瓶(鎖-クサリ-/珠美)
最萌の支援でもこの姉妹は気になっていましたが、素晴らしき姉妹愛。
珠美と可憐がお互いに、それぞれの方法で相手を思いやっている睦まじさに、心が洗われました。
キャラの魅力を引き出すという点では、抜群に成功しているSSだと思います。
表面では妹を叱りつつも、ひっそりと机にセミの抜け殻を溜め込む可憐に萌えて仕方ありません。
鎖をプレイしたくなってきたけど、陵辱苦手なのでやはりプレイできないです…。家庭用に移植されないかな…。
今回の最優秀作品に推します。
>>368-371 誰にも秘密の宝物(ToHeart2/タマ姉・このみ)
失恋ものというよりは、ほのぼのものとして楽しんで読めました。
雄二がさり気なく(?)姉を気遣っているところが、個人的には好きなポイントです。
内容にも文章構成など形式面でも素晴らしい出来だと思いますけど、ラストが弱いと思いました。
「あれ、ここで終わるの?」という読後感があります。
蛇足を加えるよりはいいのですが、もっと上手く着地できるんじゃないかと思いました。
いつも遅くなってすいません…
【告知】
かなり前をもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
追加の感想など、上記のもの以外にも何かありましたら、どんどん書きこんでください。
※次回のテーマは『姉』に決定しており、開催時期は 1 月中旬からになる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
感想の中で、評価が高かった作品は以下のとおりです。
『あの夏を閉じこめたガラス瓶』
>>378 投票数が少ないので、今回の最優秀作品は該当なしということにしたいと思います。
未来のSS作家さんのためにぜひ感想・投票を!
『アンクル・パピィのプレゼント』
>>353-355の作者です。
お二方感想ありがとうございます。
>>377 えと、分かりにくくてすいません。
解説しますね。
船旅に突如現れた殺人鬼によって、ちはやたちは極限状態に陥ります。
常識のたがが外れた兄妹は、抑圧されてきた想いを遂げ、結ばれます。
禁断の愛を育む二人にとって、二人以外の人間は全て意味のない存在であると同時に敵です。
だから知り合いのことを名前でなく記号で呼び、船に生き残っていた人間は全員殺しました。
この後も常識的な生活に戻るつもりはありません。
で、本作では愛称が『豚』のヒロインへの恨みを、死体に対してはらしながら、ちはやが過去を思い出してる、って感じで書きました。
数ある恨みの一つが、宝物のオルゴールを壊されたことなわけです。
ちなみにちはやの今の宝物は『お兄ちゃん』です。
絶対に無理だと思ってたものを手に入れたちはやは、他人がどう考えようと本人は幸せでしょう。
>>378 はい。豚大好きです。世間での評価は(最萌の結果と違って)低いですが。
>ラスト数行で暗転させるところは巧いと思いました。淡々と残酷描写することで狂気が伝わってきます。
>この手の手法はありがちと言えばありがちかもしれませんが、よく使いこなせていると思います。
ありがとうござますー。
残酷ですけど、覚醒ちはやにとっては単なるちょっとしたうさばらしなんで、表現が軽いのです。
こんばんは。今回、『あの夏を閉じこめたガラス瓶』を書きました。
感想ありがとうございます。
とりあえず、鎖はプレイ人口が少ないということで、知らん人にも分かる内容にして、
感想を書いてもらえるようにと気をつけてみました。お二方には大体通じたようで、よかったです。
ただ、知ってる人がみれば、なんかいろいろツッコミどころがあるかもしれません。
実は、もちろん綾之部姉妹のルートはクリアしてましたが、鎖をフルコンプしたのは今日の昼間だったり。
SSとの矛盾点とかは、なかったようなのでほっと一息なれど、まだ読み込みが足りないかもなーと戦々恐々。
珠美は書いていて楽しいキャラでしたが、もうちょっとはっちゃけてもよかったなと、原作をプレイしながら考えたりも。
えぇ、まぁすごいですよ、この子。いろいろとw
>>377 前述のような原作認知度のこともあって、内容自体はストレートに仕上げました。
珠美自体が、感性的には直球なところもあったので。
ちょっと綾之部綾之部くどいかなーとも思いましたが、楽しめていただけたようでなにより。
美しさとまで言われるとちょっと気恥ずかしい気分もありますがw
宝物は、あえてはっきりと形の残るものにしてみました。視覚的心理効果を考えて。
どちらにとっての宝物なのか、という点では少し捻りを利かせてみたりもしましたが。
>>378 実は自分も最萌支援で知った口です。
珠美のアイテム解説支援で、ショートカットの元気系、つるぺた、そして『脇見せ』と、色々ツボをつかれた勢いを買って、
最萌後にプレイをw なかなかおもしろかったですよ。でも家庭用に移植は無理w
陵辱シーンには、僕らの味方ctrlキーがある! コンフィグで「未読を飛ばせるようにする」のを忘れずに!
可憐はルートによっては困った面も見せますが、なかなかかわいげのある子で萌えられます。
珠美も元気で色々根性はいっていて、なにより姉思いのいい子です。
そういう魅力の一端なりと、伝えられたならよかったです。
余談ですが、「お、もしかして鎖SSコンペ初じゃね? (゚∀゚)アヒャwww」とか思っていたら、
別の方に先を越されるというアホな事態に見舞われたのは、でもずっと秘密。
それでは、ありがとうございました。また次回に。
トリップがあっていたかどうかすら不明になってます、すみません。
「誰にも秘密の宝物」の作者です。
読んでいただいた方々、感想を下さった方々、どうもありがとうございました。
そして、申しわけありません。なんというか、ミスリードさせてしまったみたいです……。
あくまで表に見える「宝物」が「四人でいること」で、「誰にも見られたくない、けど大切なもの」と言う意味での宝物、として「過去の自分」というものを出してみたりしました。
そして、当然それを書ききれてません――というか、ぶっちゃけ失恋はテーマ的にはどーでもよかったりします。
いえ、失恋というもの自体が確かに多少は関わってはいるのですが。
強いて言うなら、過去の自分への、純粋だった頃の憧憬、過去の自分が抱いていた、未来の理想――。
そんなもんを盛り込んでみようとしてみましたが。
まあ、一言で言えば。
4レスで書ききるブツじゃございませんでした_| ̄|○
正直精進が足りませんでした。
というか、前回にしろ今回にしろ、変なテーマ詰め込みすぎです、俺。
それでは、申しわけありません。今回は個別感想、上手く返せそうにありません…orz
失礼致しました。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
次々回のテーマの決定などを行っています。
「感想期間に間に合わなくて(´・ω・`)ショボーン」という方も、感想を書き込んで
もらっても構いません。
次回のテーマは『姉』に決定しており、開催時期は 1 月 15 日(月) からで予定しています。
※ないとは思いますが、閉鎖されるとの噂も飛び交っていますので…
テーマ上がってないな
俺は前回の宝物をあげたからパスしたいところだが
誰か出てくるんだ
次々回向けのテーマ積み残しリスト希望。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、
10年後、金曜日、姉、幼なじみ、おもいで、
冷、解放、運命、刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
自分で取ってみた。消化済みを削ってこんなもん。
拾ってみてなんだけど、えらく書きづらそうなのも多いし、
別にこれに縛られる必要はないなーと思った。
時期的にベタだけど、「ヴァレンタイン」とかどうでしょ。
【告知】
第五十七回投稿テーマ:『姉』
投稿期間: 1 月 15 日の午前 8:00 から 1 月 29 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
>>386 積み残しリスト、ありがとうございます。
次回からテーマ募集の際に貼らせていただきますね。
『姉』の次のテーマは
>>386氏に推薦いただいた『ヴァレンタイン』
にしようと思います。
そしてロッテのヴァレンタイン監督の萌えSSが投下された。
ボビーの萌えSSか……それはそれで、読んでみたい。
次々とボビーに寝取られてゆく葉鍵キャラ
久々にtakataka氏のSSを読もうとサイトに行ってみたら
閉鎖されていて激しく凹んだ俺に癒しのSSを
アーカイヴって便利だねぇ。
それさておき一昨日このスレがレイナナのSSで埋め尽くされている夢を見た。
初夢だった。
【告知】
ただ今投稿期間となっております。
今回のテーマは『姉』で、締め切りは 1 月 29 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『ヴァレンタイン』で、開催時期は 2 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
【告知】
締め切りまで残り数時間となりました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『姉』で、締め切りは本日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
投稿数ゼロキタコレ!
【告知】
ただ今を持ちまして投稿期間を終了させていただきます。
今回の投稿作品は 0 件でした…。
何はともあれ投稿を考えられていた皆さん、お疲れさまでした。
【告知】
投稿作品がなかったので、総括期間に移らせていただきます。
運営への意見や次々回のテーマを募集していますので、何かありましたら
どんどん書き込んでください。
積み残しのテーマは以下の通りとなっておりますので、テーマ選定の際に
ご参考下さい。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、
10年後、金曜日、幼なじみ、おもいで、
冷、解放、運命、刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
今回は我慢できない子が、投稿期間にノイズ入れるのが多かったような希ガス
作品0終了とは関係ないだろうけど
情けない言い訳をさせて頂くなら…
試験期間にPCのディスプレイがお亡くなりになり、携帯から投稿する余力もなく…
書きかけてたけど、私事で忙しくなったので…しばらくは投稿できないです。
もしまとめることができたら、他の該当SSスレにまわします。
もし巡回先でそれっぽいものが投稿されることがあったら、
「ああ、あの愚図か…」と鼻でお笑いください
>>402 つ「過去のお題」
今のうちに書き溜めしておくんだ!
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
次々回のテーマの決定などを行っています。
テーマは「過去のお題」に一票入っていますが、まだまだ募集していますので、
何か思いつかれたら遠慮なく書き込んでください。
次回のテーマは『ヴァレンタイン』に決定しており、開催時期は明日 2 月 6 日
午前 8:00 からで予定しています。
403だが別に「過去のお題」を推した訳でもなかったりする。
つか今開催されても402が書けてないだろうしw
まあ折角なんで「金曜日」に一票投じときます。
募集期間を過ぎてるんで、ダメならヌルーしてくだちい。
【告知】
第五十八回投稿テーマ:『ヴァレンタイン』
投稿期間: 2 月 6 日の午前 8:00 から 2 月 20 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
次々回のテーマは
>>405氏から推薦のありました『金曜日』 にしたいと思います。
開催時期は3月中旬を予定していますので、『ヴァレンタイン』でネタが
思いつかれない方は、こちらのテーマに挑戦して頂くのもいいかと思います。
もちっと告知してくれると嬉しい
あと8時が厳しいなら時間を変えてみてはどうか
まあまあ、マターリいこうぜ。
またーりいこうぜ
じかんをだいじに
わーどをつかうな
みんながんがれ
書けねええ・・。
正統なSSじゃなくてもいいのかね。
if的な要素が満載で、キャラのイメージを若干破壊するようなものでも。
例:みさき先輩は家では疎んじられており・・・
みたいなカンジの。
テーマにそってりゃなんでもええかと
俺も結構好き勝手書いてるし
SSの投稿を開始します。
原作は東鳩2 タマ姉END後?
主役は向坂雄二 ジャンルはシリアス。
タイトルは「忘れられたバレンタイン」
俺はただの傍観者だった。
あの三人の問題について、意見したことはほとんどない。関わってもいない。
それが答えの出ない問題だということに最初から気づいていたからだ。
それすらも逃げかもしれないけど。
結局、貴明はこのみじゃなくて俺の姉貴を選んだ。
まあ誰を選んだとしても誰かが泣くことになる。俺だってそれは分かってるつもりだ。
ただ、このみが落ち込んでも俺がしてやれることがほとんどないのも事実だった。
落ち込んでるのがもし姉貴だったらストレス発散にサンドバックになってやるぐらいのつもりはあったんだが……
ちなみにそれは笑い事じゃないぞ? 命がけだからな。
姉貴はこのみの悲しみに気づいていたのかどうなのか。
俺以上に理解していたのかもしれないし、敢えて忘れようとしていたのかもしれないし。
女心は分からない。たとえそれが実の姉であったとしても。
でも、姉貴は貴明への愛情に関しては遠慮なんてしなかった。
人目をはばかることなく貴明に抱きついたり、キスしたり。
それは姉貴らしいことではあったけど、このみにとって残酷なことだったとは思う。
でも、俺はそれを止めなかった。
ただずっと見ていた。
見てる方も辛いんだ、なんてことは口が裂けても言わない。
間違いなく一番辛いのはこのみだったと思う。それは言うまでもないことだ。
そして、あの2月14日だ。
貴明と姉貴にとって始めての特別なバレンタインだった。
そしてある意味このみにとっても特別な。
去年まで毎年このみは貴明にチョコを渡していた。
義理とも本気とも区別のつかないあのチョコの行方が気になっていた。
『今年のこのみ、貴明へのチョコレートはどうするつもりなんだろうな』
そして、姉貴と貴明はどうするつもりなのだろうか。
その答えは一枚のメモが教えてくれた。
朝、俺が目覚めたとき、朝食と一緒に食卓に置いてあった書置き。
『タカ坊と一泊旅行に行ってきます』
姉貴の文字だった。行き先は書いてない。
これで姉貴と貴明は2月14日にはこのみと顔を会わせない。
それが答えなのか? それとも逃げなのか。
姉貴が言い出したことなのか、貴明がそうしようと望んだのか。
それは分からない。
結局確かめなかったし。
このみは一人で公園にいた。
それを見つけるには随分時間がかかった。
この時間になると児童公園にはまったく人気は無い。
俺とこのみの二人きり。
「うん……来てくれなかったんだ。タカくん。
タマお姉ちゃんに内緒でって、そう言ったのがいけなかったのかな。
わたしそんなつもりじゃなかったんだけど。
ただこれを渡して、最後にして、忘れようと思ったのにな……」
いったいいつからそこに立っていたのだろう。
疲れきったようにそう呟いた。その顔はごまかすような笑顔だった。
殴ってやりたい。
そう思った。唐突に。
でも誰を?
姉貴か? 貴明か? それとも俺自身?
……それとも、いま目の前で涙を堪えて必死に作り笑いを浮べているこのみのことをか?
半年間。そうやってこのみは涙をこらえてずっと笑っていた。
俺もそれをただじっと見ていた。
なにもせずに。
俺はこのみを殴った。拳ではなく言葉で。そのかわり容赦なく。
「何で我慢するんだよ!
叫べ! 叫べよ! おもいっきり叫べ!
俺たちは生きてるんだ! 人形じゃないんだ!
たとえごまかしたってほんとの気持ちはここにあるんだ!
だから時には叫べ! 好きなことを叫べ! 言いたいことを叫べ!
一生に一度くらいは悪いことだって叫んでみろ! 人間だろ!
人間って、こんなに辛いときでも誰にもほんとの気持ちを言ってはいけないのか?! 違うだろ?!」
それがスイッチだ。
このみは泣き出した。
俺の胸倉を掴んで泣き叫んだ。獣みたいに。赤子みたいに。
小さな手に骨が軋むぐらいの力が込められていた。
このみは叫んだ。泣いた。ただひたすらに。そして言葉にならない言葉を吐き出した。
その言葉の中には俺に対する怒りもあった。
あいつのあんな言葉、聞いたのは初めてだったな。
そりゃそうだよな。失恋だって初めてのことだもんな。
十年間、ずっと好きだったんだもんな。
一生に一度だけのことなら、好きなだけ言えばいいさ。
全てが終わったとき、俺は一人だった。
そこにはもう誰も居ない。いや。ここには最初からだれも居なかったんだ。
地面には粉々に砕けたチョコレートがあった。
俺はそれを掃除した。一粒も残さず綺麗さっぱりと。
それを踏みつけたのは俺だ。このみじゃない。絶対に。
それから俺たちはそれぞれの人生を歩みだした。
姉貴と貴明は結婚した。
きっと幸せにやってることだろうよ。そうでなかったら許せない。
俺はちっぽけな商社に入社して忙しい日々が続き、姉貴とも貴明とも疎遠になり、月に一度会うかどうか。
このみとはもっと距離が遠い。
このみは女子短大に合格して、この町を去っていった。
バイトと仕送りで日々をやりくりし、今も別の町で一人暮らしをしているだろう。
姉貴の結婚式に一度会ったきりかな。そのときもちょっとあいさつしただけだ。
久しぶりにその姿を見て、『随分大人になったんだな』と思ったっけ。
全ては過去に過ぎ去っていく。
まあ、当然だけどな。だって俺達は人間だから。
でも、あのときこのみが流した涙も、ほとばしる言葉も、その想いの全ても。
俺は生涯忘れない。そして誰にも話さない。
投稿開始します。
予定レス:9
タイトル:無題
作品:CLANNAD
内容:春原、パロディ、純愛
「うわぁああああああああああああああっっっ!!」
春原陽平の絶叫が教室に響き渡る。
「な、なんなのよ、ったくッチャクッチャ」
藤林杏はグチャグチャと口にチョコを頬張りながらボヤく。
自分の行いの愚かさ、そして酷さに気づかないままに。
「あひゃああああああああっっ!!」
奇声を挙げ、春原は呆然と立ちすくむクラスメートを突き飛ばしながら教室から駆け出す。
そして、一路、屋上を目指した。
「なんなんだ・・・一体・・・」
「さあ・・・」
なにもわかっていない岡崎朋也と藤林椋は、呆然とした表情で、春原を見送っていた。
・・・・・・。
・・・。
屋上―そこには2月の寒い風がびゅうびゅうと吹き荒れている。
そんな場所に春原は一人、フェンスに背を持たれ、座り込んでいる。
フェンスの向こうでは、75点の夕日が真っ赤に燃えている。
「ふひゃは・・・・」
舌と唇は不気味な笑い声をつむぎだすが、その表情には、ショックのあまり、いつもの
ニヤけた一人笑いすら浮かばない。
そりゃあそうだ、なにせ、初めて貰った本命チョコを、藤林杏に食べられてしまったのだから。
人生最初で最後のプレシャス・ラブ―その始まりかもしれなかったチョコを食べられてしまったのだから。
藤林杏も、なにも悪気があってやったわけではない。ただ、まさか春原が本当に女の子から
チョコレートをもらえるなど信じていなかっただけなのだ。
ただ、春原が見栄を張って先週あたりから自分でチョコを買っておいてそれを自分で
ラッピングして学校に持ってきただけだと信じていただけだったのだ。
<カランコラン・・・>
誰かがポイ捨てた空き缶が春原の足元に転がってきても、春原は微動だにしない。
その代わりといってはなんだが、春原はポロリポロリとピンク色のヨダレを地面に垂れるばかりである。
彼は、ショックと寒さのあまり、気絶してしまっていたのだ。
よくみると、彼の左手にはチョコの空き箱が優しく、大切そうに握られており、そして、
その箱には一枚のキレイな色紙のカードが貼られている:
<Dear 春原陽平様へ From your T to Sunohara>
そのカードには、几帳面そうだが、れっきとした、女の子のかほりのする文字で、そう記されている。
・・・・・・。
・・・。
<ガラッ>
教室に、春原に本命チョコを渡した相手が入ってくる。
「春原陽平はいるか」
彼女が誰となしにそう尋ねると、
「あーっ、春原なら自殺しにいったぞ」
と朋也が返す。
「なにぃっっ!?それは大変だっ!私がアイツにチョコを渡した時からなにやら様子が
おかしかったが・・・」
坂上智代はつぶやき、教室をでようとする。が、藤林杏と岡崎朋也にがっしりと両腕を掴まれ、動きを封じられていた。
「なにをしているんだ?私はこれから春原のもとにいかなければならない。その手を離してもらいたいのだが」
「なにか変なこといってるわよ、この子」
「ああ・・・完璧にスノハラーゼヘリオバクターに感染してるようだ・・・」
朋也と杏は憐れみきった表情で智代を見つめている。
「はやく離せ。まさか力づくの勝負で私に勝てるとでも思っているのか?」
智代はギギギ・・と僧帽筋と上腕二頭筋に力を込め始める。盛り上がるしなやかな筋肉。
「まあまあ、ちょっと待ってくれ。聞きたいことがあるんだよ、お前に」
「なんだ?手短に頼むぞ」
智代の太ももが範馬一族のそれのように盛り上がる。杏はグラリと体勢を崩しかける。
「さっき、『私がアイツにチョコを渡した』って聞こえたけど、ここでいうところの
アイツって誰のことだ?」
「春原陽平だが?」
「「げぇーーーっっ」」
朋也と杏は衝撃のあまり、智代の腕を放し、よろけ、そのまま誰かの椅子に力なく座り込む。
そして、呆けた表情で、なにやら意味不明の呟きを発したまま、動かなくなる。
杏はだらしなく両足を広げたままで、一部の男子生徒の獣欲の眼差しにさらされるが、
妹がパクっと彼女の両脚を閉じ、スカートを整え、事なきをえる。朋也はピクピクと
小さく痙攣していたが、誰も怖がって彼に近づこうとしない。そう、彼はクラス一のアウトローだから。
「用はそれだけか?では、またな」
そんな二人を置き捨て、坂上智代は駆け出す。一路、春原を捜し求めて。
無論、走ったりはしない。春原ごときのために校則違反を犯す彼女ではないのだ。
競歩の動きで駆けているのだ、彼女は。やはり、愛のなせる業[わざ]なのか。
・・・・・・。
・・・。
その頃、春原は屋上で空手部崩れの不良2人に殴られていた。
「おいっ、金髪お前ジャマッッ!」
<メチィッ!>
春原の顔にトーキックがめり込む。
正中線三連撃を食らおうと、下段突きを食らおうと、春原は微動にせず、同じ場所で座り込んだままだ。
顔面をジャガイモのように腫らし、前歯を全て叩き折られても、春原は気絶したままのように見える。
もしや、死んでいるのではなかろうか?否。春原陽平の意識は朦朧とし、夢と現実の間をさまよっているのだ。
<ガスッ!>
春原の耳にスキンヘッドの不良の蹴りが炸裂する。しかし、曖昧な意識の中、
その蹴りもその痛みも、愛すべき坂上智代のそれに感じられるのであった。
(坂上智代・・・キミはSなのか・・・?ボクはMじゃないよ・・・)
そんなことを漠然と思いながら、春原は座り込んだまま、殴る蹴る突かれるの暴行を受け続けるのであった。
一方で。坂上智代は学生寮の春原の部屋にいた。
(うっ、臭すぎるぞ、この部屋は!!)
こみ上げる吐き気を必死に押さえ込む智代。
ゴミ袋が五袋ほど溜め込んである春原の部屋は、フィリピンのスモーキーマウンテンと
同等の悪臭に満たされている。毎日入り浸っている朋也などは慣れきってしまっていたが。
無論、そのゴミ山の中に、朋也が持ち込んだ家庭ゴミが随分と含まれていることは
本来いうまでもない。
不真面目な学生の見本と思える春原が放課後いる場所といえば、やはり自室だろう、
と思い、駆けつけたのはいいが、とんだ見込み違いであった。
智代はボヨンッとなにやら怪しげなピンク色のゴム筒を蹴飛ばしながら、部屋を飛び出す。
そして、そのまま一路、商店街のほうへと走る。
(アイツの携帯番号を聞いとくべきだった・・・!)
今では珍しくなった公衆電話ボックスの側を駆け抜けるとき、智代はそんなことを思った。
・・・・・・。
・・・。
「おいよお、こいつ飽きねぇ?」
「うんうん、飽きたべ、マジで飽きた」
スキンヘッドに向かってうなづきながら、制服のシャツの代わりにだっさいB系の
トレーナーでキメているデブがふんっ、と軽く力を込めて、春原の肩の辺りにローキックをかます。
日はすっかり落ち、吹きすさぶ風はその冷たさをいっそう増している。フェンスの
向こう側に見えるのは冬の夜景である。
「おいよお、こんなヤツほっといてラーメンでも喰いにいこうぜ、マジ寒いんですけど」
スキンヘッドがモニモニと両手をもみしだき、ウ〜〜〜ッと低くうなる。ついでに、
鼻もシュンシュンとすする。ジジ臭い不良もいるもんだ。
「ちょっと待つべ、こいつからラーメン代もらっとこ」
デブはしゃがみこみ、もはやボロ雑巾と化した春原の残骸の懐を探る。
(こいつ、なかなかいいガタイしてるべ・・・)
ゴソゴソ・・・、と懐をまさぐられても、春原は微動だにしない。顔はジャガイモ状態、
鼻血とその他の顔面出血でドロドロ、前歯は全てヤられ、鎖骨を一本折られ、首の筋も
痛め、全身に酷い打撲傷を負っている春原は、もはや指一本動かすことが出来なかった。
暴行の途中、さすがにすこしは
(え・・・?なんかヤバくないですか?コレ)
とは思ったが、坂上智代から渡されたチョコを喰われてしまったショックと比すれば
そのような危機意識などゴミ同然だった。春原は終いに考えることを辞めた。
そうして、今の春原があるのである。
<モソモソ・・・>
デブが春原の財布を盗み出す。その財布は、春原がクリスマスに芽衣からもらった、
ビニール皮でできた偽ブランド品の財布、2980円也であった。
「ぎゃはははははっ、みてみぃ住井ぃ、コイツこんなチャチな財布もってるべwww」
「くしししっ、ブランド品wwwww」
「おいおい、中身も2000円じゃんwww」
「「ぎゃーっはっはっはっは」」
二人が心無い哄笑を挙げながら春原の側を離れ、屋上の出入り口にきびすを向けた瞬間、
座り込んだ姿勢のままであった春原はドウっと地面に崩れ落ちる。瞬間。
<バァーーーーンッッ!!>
昇降口が勢いよく蹴り開けられる。
「うひゃあっ、なによ?!」
不良は昇降口のドアの左右に分かれる。その中央には、昇降口の奥の闇をバックに立たずむ美影身。
「「なにをしているか、お前らッッッ!!」」
<ビリビリビリ>
空気が震える。
引き締まったプロポーションの中に力強さとしなやかさを宿した女戦士の怒号が屋上に響く。
その目には怒りが燃え、それは灼光となって屋上の暗闇に映える。
「ま、まさかお前は・・・」
ヨロヨロとスキンヘッドがあとじさる。
「い、いや、あ、貴方様は・・・」
卑屈な声でデブがそう訂正した刹那。
<ズバグッッ!!>
すばやいステップインからの強烈なハイキックがデブに炸裂、脳・浸・透!!
デブはまるで横に刈り倒されるように、地面に叩きつけられる。なんたる威力の蹴りだろうか。
トドメといわんばかりに、無情の踵蹴りがデブの脂肪肝に炸裂する。
「はうぁっっ!」
意識が混濁しているはずのデブが情けない悲鳴をあげ、死んだ。ちょっとだけ死んだ。
「きゃ・・キャオラッッッ!!」
スキンヘッドは、相手の正体を知りつつも無謀な、半ばヤケクソの攻撃を仕掛ける。なんか半泣きだし。
跳び後ろ回し蹴りが美しき女戦士の側頭部を襲う!が!!
狙い済まされたスキンヘッドの蹴りは虚しく宙を切る。
伝説のストリートファイターと呼ばれたこともある美影身はスキンヘッドの蹴りの遥か上空を舞っていたのである。
「そんな脚力だけの、腰の入っていない跳び蹴りが私にあたるか!!」
<ゴウッ>
倶風を伴い、十二分に溜めの効いたドロップキックが禿頭の顔面に炸裂。
<バカッッ!!>
どこか軽快な音を立て、顔面を陥没させたスキンヘッドはフェンスまで―10m以上の
距離を―吹っ飛び、フェンスに湿った音を立てて激突し、そのまま動かなくなる。
そう、我らが愛すべき春原のように。
「春原ッッ!!」
外道を成敗した女戦士は青ざめた表情で、ヤムチャのように倒れこんだままの春原の下へと駆けつける。
すばやく脈を取り、春原が生きていることを確認すると一瞬安堵の表情を浮かべるが、
それは即座に後悔と罪悪感に満ちた表情へと変わる。
「すまない、私がお前をもっと早く見つけていれば・・・」
女戦士は春原をそっと抱き起こし、懐から取り出したやわらかくて良い匂いのするハンケチで
春原の鼻血をふき取る。カパカパに乾いてしまった血はパリパリと音を立ててはがれ落ちる。
ざっと春原の容態を確認すると、女戦士は携帯で救急車と警察に連絡を取る。
10分後にはどちらも駆けつけてくれるだろう。
しかし、頭部にキズを負った春原を動かすのは得策ではなく、かといってこのまま屋上の
冷たい風に吹きさらしにするわけもいかない。
そこで、女戦士はそっと、春原を抱きすくめ、そのしなやかな両脚を春原のそれに優しく絡め、自分の身体で暖めてやることにした。
(恥ずかしいだろうが、もう少しの我慢だぞ、春原・・・)
春原はどんなに殴られても蹴られても、決して、彼女の送ったチョコの箱を離さず、
かつ壊させずにいた。そんな春原を誇らしく思うと同時に、彼女は、春原をよりいっそう愛しく感じるのであった。
そして、春原は、どんよりとカーキ色ににごった意識の中、自分にチョコをくれた人の温もりを確かに感じ、安らかな息を付き始める。
・・・・・・。
・・・。
「えーと、じゃあ、キミが第一発見者なわけね?それで、キミがあの二人をとっちめた、と・・・」
「はい」
女戦士は閑散とした田舎警察署のロビーにいる。隣には年配の刑事が一人。
「そして・・救急と警察に電話した・・と。じゃあさ、そもそもなんで屋上に来たわけ?たまたま?それとも?」
刑事の質問に一瞬、少女の顔に激しい動揺が走る。
「あの・・・恥ずかしいのですが、その、彼に告白する、ために、その・・・」
少女は顔を真っ赤にし、うつむきながら答える。
年配の警官は、凛とした態度で答える若い少女戦士の瞳をじっと見つめる。
勤務暦20年。刑事畑ではないが、少年課で15年。ウソをウソと見抜くことに関しては自信がある。
最近のネット事件も笑ってスルーできるだけの度量を持ち合わせているつもりだ、本人としては。
(この子は・・・嘘をついてはいない・・・私にはわかる・・・)
よく見ると、少女の握り締めた拳は震えている。まさか、なにかやましいことでも隠しているのだろうか?否。
「ああ、彼氏さんが心配なのかい?話はまた明日聞くから、ね、はやく行ってあげんしゃいよ、お嬢さん。
病院は第4慈恩病院だから、ね」
刑事はニカッと不気味に微笑み、出口のほうへと彼女を促す。
「はいっっ!ありがとうございますっ!!」
少女はあせる気持ちを抑えて、几帳面にお辞儀をし、今度こそは、駆け出していく。
一路、春原の下へ。恋する少女の表情で。
「やれやれ・・・なんてあわただしいバレンタインなんだろうなあ・・・これも青春ってやつかね・・・」
刑事は受付のカウンターに身をもたれ、鼻くそをほじる。そして、ふっと、優しい笑みを一つだけ浮かべ――
「高原美奈子・・・か・・・。あの、喧嘩屋がねえ・・・」
・・・・・・。
・・・。
はぁ・・はぁ・・・」
坂上智代は町を4周し終え、駅の前のベンチに座り込む。
いかな彼女でも、全神経を集中させ、奔りながら春原を捜索することにはかなりの体力と精神力を要した。
しかし、それにも限界が来た。捜索は断念せざるを得ない。
どこを探しても春原は見つからなかった。
「はぁはぁ・・・高原先輩も・・はぁはぁ・・・最初からご自分でお渡しになればよかったものを・・・。
はぁはぁ・・・何故、私が代わりに渡して、しかも、はぁはぁ・・・
何故、今度は先輩が告白に行くから屋上で待て、ということを春原に伝えなければならないのだ・・・」
智代はベンチの上にゴロリと横になり、息を整える。
人の目など気にしたくなかった。
ただ、春原を見つけられずに、こうして休んでしまっている自分が腹立たしいだけだ。
しかし、横になった瞬間ゴコリとわき腹を押す硬い感触はそれ以上に気になった。
(そうだ・・・私もそういえば・・・)
ムクリと起き上がり、制服のポケットから「マツタケの山」の箱を一つ取り出す。
なんのラッピングもされていないそれには、コンビニのシールが一枚ペタっと貼ってあるだけ。
小袋を受け取らないのが智代の主義だ。
自分は誰に渡すつもりだったのか
―いや、こんなものを渡せるはずがない―
智代は苦笑いを浮かべ、一気に封を破り、豪快にザラザラーーーっとマツタケチョコを一口で平らげる。
そのときも、人の目など気にならなかった。
ただ、高原先輩、通称タカさんの恋が実りますように、と心の底から願うだけであった。
ただ、チョコを飲み込んだとき、胸の奥底が締め付けられるような優しい痛みを、
かすかに感じるだけであった。
〜終〜
以上です。
【告知】
ただ今投稿期間となっております。
今回のテーマは『ヴァレンタイン』で、締め切りは 2 月 20 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『金曜日』で、開催時期は 3 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
>>408放置が続いてすいません…。
今後は週一回は告知できるよう頑張ってみます。
さあさあ皆の衆、レッツトライ、SS投下汁。
でもこの時点で二つ集まってるってすごくね?
とROMってる俺が言ってみる。
あと義理チョコさえも貰えなかった俺すごくね?
このスレにROMがいたことに驚いている俺がいる。
ほとんど書き手兼任かと思っていたw
●その他
新規スタッフは随時募集中です。
志願していただける際には、具体的にどの役割を担いたいのか、ということを、
自らの技術や経験などを具体的に示しながら、お教えいただけると非常に助かります。
どうか、よろしくお願いいたします。
もうしわけございません、
>>437は誤爆です。
ご迷惑をおかけしました、どうか、ご容赦願います。
【告知】
いよいよ明日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『ヴァレンタイン』で、締め切りは 2 月 20 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『金曜日』で、開催時期は 3 月中旬になる予定です。
「今日明日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
SSの投稿を開始します
タイトル:それぞれの記念日を
原作 :kanon+CLANNAD
主人公 :相沢祐一
岡崎朋也
北川潤
――それはとある記念日に――
相沢祐一は主張する。
「いいかみんな。バレンタインというのは、日本では愛の告白の日のような意味で伝わっているみたいだけど、本来はそんな記念日ではないんだぞ。知ってるか?」
俺は言った。
だが返事は無かった。
「その昔。ローマの皇帝が戦争に出発する兵士たちに『結婚を禁じる』というお触れを出したんだ。兵士たちの逃亡を防ぐための規則だったんだけど……悲しい規則だよな。
そう思うだろ? みんな」
俺は訴えた。
だが頷いてくれる者はいない。
「そんな厳しい規則を破って、一組の夫婦を結婚させたのがヴァレンティヌス司教だ。司教は規則を破った罪で処刑された。命を懸けて二人の愛を守ったんだ。その事件が元
で彼が処刑された2月14日は真実の愛を結ぶ日として日本でも記念日として扱われてきた。だが……その歴史の中にはチョコレートなんて言葉は一言も無いよな? チョコなん
てお菓子会社の単なる経営戦略なんだ。くだらないだろ? そんなもの」
俺は主張した。
だが、みんなはただ静かに俺の言葉を聞いているだけ。
「それにヴァレンティヌス司教が伝えたかったことは愛の告白をすることじゃないんだ。司祭が伝えようとしたのは人間同士が争い、傷つけあう悲しい戦争を一日も早く終わ
らせなければならないという平和への願いなんだよ。な? わかるだろ?」
俺は叫んだ。
しかし……応えてくれる者はいなかった。
そこにはただ続く沈黙と睨むような鋭い視線、視線、視線。
「いや。だからみんなも争いをやめて、仲良く平和に……その……」
俺は……俺はどうすればいいんだ?
「……相沢くん? ずいぶん長々としゃべってくれたけど、言いたいことはそれで全部かしら?」
香織は静かに呟いた。岩をも貫き通すような鋭い声であった。
「ごまかさないで今年こそはちゃんと一人を選んでください。私たち一生懸命頑張って作ったんですから」
栞が真剣な目で言った。その真剣さがとても怖い。
俺はその圧力に負けて視線を部屋のテーブルに移す。
テーブルの上には色とりどりの、そして大小様々な、あるいは清濁併せ呑む……いや、これは違うか。
とにかく大量のチョコレートが山のように積み上げられている。
どうしてこんなことになったんだろう。
「あなたがあっちこっちで恋愛フラグをたてまくるから。最後にはこうなるに決まってるでしょ」
香織は冷たくそう言い放つが、俺には身に憶えの無いことだ。
「なんだよそりゃ。意味わかんねえよ」
「とにかくそろそろ誰か一人に決めなさいよ。いつまでもみんな一緒ってのも立派な結婚サギよ」
「いや、俺は別にそんなつもりで……」
そこまで言いかけて、集まった全員の視線が刃のように鋭く変わっていくのを感じる。
これ以上余計なことは口にするべきではない。
そう口をつぐんだ俺の前に、名雪がそっと進み出た。
「さあ祐一。わたしの雪うさぎチョコ貰ってくれる?」
「ゆ、雪うさぎチョコ? それは……」
名雪の差し出すそのチョコは、なんと七年前に俺が叩き壊した雪うさぎそっくりのチョコだった。
おい。それはないだろうが。
「祐一、このうさぎさん受け取ってくれる? わたし下手だけど一生懸命作ったんだよ?」
「あ、いや……それはさあ……」
「だめ……かな? うん、それでもいいの。わたしは今年受け取ってもらえなくてもずっと待ってるから。
七年間待ったんだし、それくらい平気」
そう言って名雪はそっと涙を拭う(真似をする)。
これを平然と断ることが許されるのだろうか?
これじゃあ告白じゃなくて告発だ。
七年たってもあの時の俺の罪に時効は成立しないのだろうか。
「うぐぅ……名雪さんのチョコを選ぶの? 祐一くん、ボクのこと食い逃げするつもりなんだ……」
「そ、そんなことしてない! 怖いこと言うなよあゆ!」
あゆの一言で一瞬にして部屋の気温が三度は下がった気がする。
「じゃあ、ボクが作った鯛焼きチョコ、食べてくれるよね?」
「お前もそれかよ。いい加減ベタすぎるぞ。 つーか、鯛焼きチョコってなんだよ!?
鯛焼きの形をしたチョコなのか? それとも鯛焼きの餡子の代わりにチョコが入ってるのか? その辺をまずはっきりさせろ」
「それはね、祐一くん。ボクのチョコを食べてくれれば分かるよ」
そうきたか。
「そ、それはずるいわよ!」
「そーだよ! ずるいよーー」
流れで押し切ろうとするあゆに他の女の子が食ってかかる。
「えっと……こういうパターンが始まった場合、
わたしは雪だるまチョコとアイスクリームチョコのどっちを作ってくるべきなのでしょうか?」
「いや、そんなことを俺に聞いたってわかるはずないだろ……」
困ったような顔で尋ねる栞に、俺はそう答えるしかない。
ただ全長十メートルの雪だるまチョコを本当に作ってこられたら、きっとすごく困るのは事実だろう。
いや、アイスクリームチョコだって十分困るぞ。
雪国のバレンタインの寒さは半端じゃない。
「栞ちゃんはタバスコ入りチョコで十分だよっ」
「そ、そんなこと言うひとだいっ嫌いです!」
その一言で栞も喧騒の中に巻き込まれてしまった。
がおがお騒ぐ女の子たち。
ふと見れば、見れば俺を中心として女の子てちがにらみ合い、火花をちらす構図が出来上がっていた。
台風の目。その中心だけは妙に静かだと聞くが。
今俺はその事実をリアルタイムで体験中だ。
彼女たちがにらみ合ってくれているその間だけは俺にもひと時の平穏が訪れるが、
それが収まればその感情の全てが増幅して俺に向かってくるに違いない。
果たして俺は今日を生きられるのだろうか。
ああ。記念日ってほんと怖いよなあ。
「……で、お前はなんでここに居るんだ?」
俺は一人争いに加わることもなく、みんなの失敗作チョコをかき集めて、ばりばり食っている真琴に尋ねてみた。
「あう? だって、なんだかみんな集まって楽しそうだから」
……お前はさっさと野に帰れ。
――そして、これはまた別の記念日に――
岡崎朋也は困惑する。
「なんでいまさらになってダダをこねはじめるんだよ、まったくお前という奴は」
「……」
「いったい何があったんだ? どうして急に気が変わったんだ?」
「……」
そう問いかけても、風子は少しの間無言で俺と目を合わせようとはしなかった。
ちらりとその顔を覗きこむと、なんだか少し泣きそうな顔をしていたので戸惑う。
これ以上つっこんで理由を聞いてみてもいいのだろうか。
それとも大人しく風子のわがままに付き合うべきなんだろうか。
俺と風子はこの町でも一番にぎやかで新しい街並みを歩いていた。
この通りは田舎みたいなこの町でもちょっとはましな……まあほんとにちょっとだけど、
それでも多少はおしゃれな都会の恋人気分を味わえる数少ない場所だ。
この町でカップルになった男女は休日には電車を乗り継いででもここにやって来ることが多い。そう聞いてる。
恋愛ドラマの風景に出てくる街並みに比べれば雰囲気は数段劣ることになるのだろうが、それも仕方ないこと。
他にはカップルが出かける場所なんてそうそうないんだ。この小さな町には。
だというのに、俺と風子がこの場所を訪れることはこれまでほとんど無かった。
風子がどう思っているかはよく分からないけど、少なくとも俺はこの場所を風子と訪れることを少し意識して避けていた。
この場所を風子と一緒に歩くと、どうしても俺と風子が”世間のカップル”からは浮いた存在というのを意識させられてしまう。
隣を歩いているちょっと垢抜けたカップルたちとどうしても自分を比べてしまう。
数年間、病院でベットに横たわり意識だけで学校を彷徨っていた風子。
数年間、学校で不良にも生徒にもなれずにふらふらしていた俺。
それだけの時間が生み出してしまった世間との溝というものは、やっぱり感じる。
風子のことは本当に、本当に好きだけれど……
でも、やっぱり俺と風子の関係は世間一般の”恋人”という概念からはどこかズレているように思う。
普段はそれほど気にしないことだけど、ここみたいな場所に来るとときどきそんなことを考えてしまう。
だからここには来なかった。
そして風子の方からここに来たいと言い出したこともなかった。
今日、この場所に呼び出されるまでは。
「風子は……」
その風子がやっと口を開く。
「風子はダダなんてこねてません。だいたい”ダダ”ってなんですか? そんな気持ち悪い物体を風子はこねたことありません」
「何だって言われてもなあ」
でもそう言われてみるとダダをこねるの”ダダ”っていったい何だろな、とふと考えてしまう。
ダダ。やはり物体なんだろうか?
黒いのか? 白いのか? なんとなく黒そうだが。
やっぱパン生地とかピザ生地みたいにこねるものなんだろうか?
こねるとなにが完成するのだろう。ダダ焼き?
「いや、そんなことはどうでもいいんだって。お前はどうして急に気が変わったんだよ?
あんなにヒトデキャンディーが欲しいって言ってたじゃないか。お前がそんな奇妙なリクエストをするから、
俺は町中探し回ってやっと売ってる店をみつけてきたんだぞ」
本当に苦労したんだぞ。
この寒い中、大の男がヒトデキャンディーを求めて何軒もの店を探し回る悲哀を少しは想像してみろっていうんだ。
行く先々の店員さんに『すいません、このお店にヒトデキャンディーってありますか』って聞いて回ったんだぞ。
そしてその時、対応してくれた店の一つで、若い女の店員さんに”クスッ”笑われたんだ。
あの瞬間、俺が失ってしまったものは大きい。
そこまで俺にさせておいて今更そんなものいらないだと? ふざけんな。
「なんでヒトデキャンディーじゃダメなんだよ? 俺も頑張って探したんだぞ」
「そんな子供の食べ物で風子をたぶらかそうとしてもそうはいかないのです」
「たぶらかすってなあ。お前があんなに欲しがっていたものだろうが」
「風子はそんなこと頼んだ覚えはないのです」
うわあ。おまえ無茶苦茶言ってるな。
「だいたいキャンディーなんて安すぎです。ホワイトデーは十倍返しが基本です。風子はそんなにお安い女じゃないのです」
「十倍返しねえ……」
それはあのバレンタインの風子からの贈り物を十倍にして返せという意味か?
俺はあのバレンタインの夜を思い出す。
『なんだよ風子。こんな時間になんで俺の部屋に……って、その格好はなんだよ!」
『バレンタインには風子自身をあげちゃいます……って、風子すごく恥ずかしいこと言ってます! エッチです!』
そしてその晩はいろいろとすったもんだ……いや、こすった揉んだがあったわけだ。
うむ。あれは記念すべき夜だったな。生涯忘れまい。
あの十倍のお返しをしろと。そう風子は言ったのか? そりゃあ……
「エロいな」
いや、もちろん俺は一向に構わない。まったく問題ない。
なにしろホワイトデーだもんな。俺の白いのも十倍にしてお返ししないといけないな。
俺の頭の中に十倍返し妄想が駆け巡る。
夢想の中の俺は男のパワーに満ち溢れ、素敵に無敵だった。
その想像だけで風子が妊娠してしまいそうだ。
「はっ! その顔はヘンなことを考えてますね! 朋也さんはエッチです!!」
「いや、だってお前が変なこと言うから」
「変なのは朋也さんです! 全身からどす黒いエロオーラが立ち上ってました! 朋也さんはすごいエッチです!」
見えるのかよ、エロオーラ。
「いや、だってお前があの晩のエッチを十倍にして返せっていうしさ」
「だ、誰がエッチを返せなんて言いましたか!」
風子は耳まで真っ赤になって叫ぶ。
「風子はあのとき一緒にあげたチョコレートの十倍返しをしろと言っているのです。
あのときのエッチは忘れて下さい! ……いえ、忘れないで下さい。忘れちゃだめです」
どっちなんだよ。
しかし、あのチョコの十倍返しか。そっちも大変そうだな。
「あのチョコの十倍まずいチョコなんてこの世に存在するのか?」
「失礼なこと言わないでください! あの素敵なチョコの十倍といったらどんな高価な宝石でも代用出来ないほどです」
言う言う。
「でも、それでは朋也さんが破産してしまうので、お返しの値段はほどほどでいいです」
「そりゃどうも」
俺の甲斐性の無さを理解してくれてどうもありがとう。
とでも言えばいいのか?
「えっと……いいですか? 女は……女の子は男のために可愛くなるのですから、
男は喜んでお金をだせばいいの。男にそうさせるのがいい女の条件なのよ……だそうですっ」
風子はなにやら怪しげな動作をしながらそう述べた。
手のひらにメモを忍ばせているらしい。
こっそり読んでいるつもりだろうが、こっちにはバレバレだ。
「そして、ホワイトデーはバレンタインよりも大事な儀式なのよ……です。えっと、
むかしの偉いお坊さんが死んだ日が2月14日。
でも、その偉い人に助けられた二人が本当に結婚式を挙げたのはその一ヵ月後の3月14日なのよ……だそうですっ」
だそうです、じゃねえよ。
「そしてその偉い人の名前が……名前……あれ?」
焦ってメモをひっくり返す。
名前がメモに書いてないらしい。
「えっと、確かその名前が……バントライン?」
惜しい。
風子にしてはよくそこまで憶えていたと褒めるべきかもしれないが。
だがしかし愛することの大切さを説いた司教様を、爆弾仕掛ける猫の名前に勝手に改変してはいけない。
「と、とにかく結ばれた二人にとってはホワイトデーこそが本当に大切な記念日なのです。
だからこういうところで男の甲斐性ってものがわかるんだからね……だそうです」
「だそうです、じゃないだろ。それお前が考えてる言葉じゃないし」
「ち、ちがいます。キャンディーなんかで喜んでる女の子は子供なのです。そんなのは大人の恋人関係ではないのです。
大人ならもっとすごいものをお互いに舐めて喜ぶものなのです。そうらしいです」
「お前、自分で言ってて意味分かってないだろ」
どうひっくり返しても風子のいつもの思考と違いすぎる。
きっと、友達にでもへんなこと吹き込まれただけなんだろう。
「とにかくホワイトデーを甘く見てはいけないのです。
結ばれた二人ににとってはバレンタインよりも大切な愛を証明する記念日なのです」
「……まあそれはいい。で、俺は何をすれば風子の男だと証明できるんだ?」
「高いものではなくてもいいから、ちょっとだけおしゃれなアクセサリーをねだるのが基本……だそうです」
「基本ねえ」
俺もその手のことを詳しくは知らないが、言われてみればそんなものかと思える。
すくなくともヒトデキャンデーよりはずっと普通のカップルらしいし。
けどなあ。
「まあ、お前がそうしたいって言うなら俺はそれでもいいんだけどさ」
「そうですか?」
「でもいいのか? アクセサリーなんて、本当はおまえが欲しいものじゃないんだろ?」
「そんなことは……ない、のです」
だったらもっと嬉しそうな顔しろよ。
「ヒトデキャンディーはもういらないのか? 本当はお前もそっちが食べたいんじゃないのか?」
「ヒトデキャンディーなんて……子供の食べるものなのです……」
「まあそうかもしれんが」
今時子供でも食べないかもしれない。
「風子は大人の女性です……朋也さんの恋人なんです」
風子がなんだか少し哀しそうな、それでいて必死な想いの伝わる声で呟いた。
「そっか……」
俺は考える。風子の気持ちを。
なぜ、いつも自分の考えを押し通す風子が今日に限って友達の言葉通りに行動しているのか。
風子だって、本当はヒトデキャンディーを食べて子供みたいに俺と遊んでいるほうが楽しいと思っているのだろう。
でも、それ以上に俺と恋人同士になっていることをみんなに認めさせたいと思っている……のだろうか?
それは分からないけど、
「わかった。行こうぜ風子。なんかいいアクセサリーが売ってるお店を探してみようぜ」
「……いいんですか?」
「ああ。行こう。何かいいもの売ってるかもしれないじゃないか。風子が好きなもの、俺が好きなもの」
考えているだけでは分からない。
風子の本当の気持ちも、二人にとって本当は何が大切なのかも
「風子に似合うアクセサリーだって、世界中必死で探せばどこかにあるかもしれないしな」
「し、失礼です! 風子は何でも似合います」
「そっか? じゃあそれを確かめさせて貰おうかな」
「望むところです。ばっちりきめた風子を見て惚れ直してください」
俺たちは歩いていく。
何処かへと、歩いて行く。
俺と風子はもう奇跡や幻想の中の恋人ではない。
風子はもう校内を徘徊する幽霊なんかじゃなくて、血の通った生身の女の子で、
俺とキスもして、エッチもして、たまには世間の常識に振り回されて。
それは少し窮屈でもあるし、夢のない話でもあるけど。
それが現実の恋人というものだ。
おおげさだけど、これが生きてるってことかもしれない。
それとも、本当は今までの俺達のほうが正しいのだろうか?
デートなんて言っても、いつも近所の公園や遊園地で子供みたいにはしゃぐ風子と遊びまわっていただけだ。
でも、それが俺にとっても風子にとっても本当に楽しい日々だった。
それも確かなことだ。
どっちが正しいのか。
それは分からないけど、その答えを探してみよう。
「なあ。もしヒトデのアクセサリーがあったら、欲しいと思うか?」
「そんな素敵なものがこの世にあるのですかっ?!」
風子が驚きの声を上げる。
「さあ……どうだろうな」
星型のならいくらでもあるだろうけどなあ。
見つかるだろうか。
「探してみようぜ。二人で」
「はいっ、行きましょう!」
ちょっと元気を取り戻してくれた風子と一緒に、まだ見ぬ店へと向かう。
……それにしても、俺そんなに金ないのになあ。
アクセサリーなんてほんとに買えるのかな。
ふう。
記念日って、ほんと金がかかるよな……
――そして、これもまた別の記念日に――
北川潤は問いかける。
よう、こんにちは。
俺は北川潤っていうんだ。よろしく。
みんなはブラックデーって知ってるか?
韓国では少しづつ有名になりつつあるらしいんだ。
日本ではまだまだ馴染みが薄いかもしれないけど、俺たちはぜひ日本でも流行らせようと思ってる。
素晴らしい記念日だからな。
「よう、北川。今年も居たか」
「ああ勿論だ。やっぱりこの日はいいよな」
「そうだな」
俺は気の合う仲間たちと一緒にこの小さな会場に集まっている。
男も女も服をはじめ靴、靴下、アクサリーなどすべて黒色。
葬式でもここまでやらないだろう。
だから初めてこれを見た人はちょっとびっくりするかもしれないな。
そんな格好をしたみんながコーヒーを飲んだり、イカ墨スパゲティを食べたりしてこの会場でくつろいでいる。
今日は四月十四日。別名ブラックデーだ。
この日になるまで記念日に何も貰えなかった男女が集まって、黒い服を着て黒い物を食べる。そういう一日。
バレンタインにもホワイトデーにも素敵な出会いが見つからなかった男と女の静かな記念日だ。
変な記念日だと思うか?
俺も参加するまではそう思ってたさ。
くだらないとさえ思っていた。
こんな連中の仲間になんかなりたくない。そんな気持ちがどこかにあったんだな、きっと。
でもな、俺たちは別に同情したり、貰えなかった奴を集めてお互いを見下したりしたいわけじゃない。
これはそんな集まりじゃないんだ。
たとえばさ……そう、
たとえば自分と同類だと思ってた親友が、実は密かにいろんな女の子に好かれていると知ったときに。
そしてバレンタインにはその親友が山ほどチョコを貰っているのに、俺は一つも貰えないという現実があったとき。
まあそんなの本当はたいしたことじゃないんだろうけどさ。
でもそんなことがあった日は、なんだか自分の価値とか見失いそうな暗い気持ちになることは俺にもあるさ。やっぱり。
でも結局、恋愛の歩幅なんてひとそれぞれだ。
こうやってここに集まってるみんなも、全然変な奴なんかじゃない。
話してみればそれがよくわかる。みんないいやつばかりだ。
たとえばあそこにいるバスケ部の女子。
バレンタインに先輩にチョコを渡したけど、”俺より背の高い女の子とは付き合えない”って言われちまったらしい。
もったいないよな。結構かわいいのに。
でも、きっと来年は素敵な相手が見つかるさ。
そうそう。この会場で相手をみつけたカップルだっているんだぜ。
まあ、そういう奴には俺達はみんなで頭から牛乳をぶっ掛けることにしている。
黒から白に変わってもらうといわけだ。
まあ、ちょっとは嫉妬も入っているのは確かだけど。
俺は思うんだ。
ここに居るやつらはみんなきっと普通のやつらで、でも今はいい出会いが無かっただけだって。
だから、この記念日は俺に”別に焦ること無いぞ”って教えてくれる。地味だけど素敵な記念日だ。
こんな記念日って、ささやかだけど、本当は大切なものだよな。
みんなもそう思うだろ?
以上が「それぞれの記念日を」です。
アンカーは
>>441-456 あと、序盤でコピペが乱れてしまいました。
申し訳ありません。
【告知】
締め切りまで残り数時間となりました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『ヴァレンタイン』で、締め切りは本日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
こんばんは。SS落とします。
Routesの宗一とゆかりの話で、4レス予定の軽いもの。
「それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに」
460 :
1/1:2007/02/20(火) 04:08:24 ID:sSP4izQ50
手作りチョコ、というフレーズに疑問を持ったことはないだろうか?
溶かして固めて、人によってはナッツ類を入れたり、クリームでトッピングしたり。
料理と呼ぶのもおこがましい、ちょっとした加工。
たまに焦がしたり、わけのわからない物体を製錬したりする超絶料理下手もいるが、おおむね、出来は大差ない。
「そーいちくん、そーいちくん」
俺の彼女、伏見ゆかりはエプロンをつけて、まるで新婚さんのようなムードを醸しだしながら、
きっちりと俺の言いつけ通りに、湯煎でチョコを溶かしている。
「カレールーとチョコレートって、似てると思いませんか?」
だが彼女の料理アレンジ能力は、俺の想像を少しばかり上回っていた。
ぽちゃんという重い水音が、鍋の中から聞こえてきた。
わざわざ聞いたのなら、止めるまで待ってくれ……。
「カレーを作るときに、チョコを隠し味に入れるっていいますし」
そういう話は聞くが、カレーとチョコの比率は、多分1:1ではないと思う。
かつてチョコだった液体は、困ったことに、手作りと呼ばれるにふさわしい改造を施されている真っ最中だった。
似てるよ、似てるけどさ……。
それは冷蔵庫の中の液体を、コーラだと思って飲んだら、実はめんつゆだったのと同じくらい味のギャップがあるよ。
吹くっちゅーねん。
「前から思ってたんですよ。チョコレートには、塩気と刺激が足りないと。この二つのSを補うことによってですね」
ゆかりは大発見、とでも言いたげに、得意げに語り出す。
そういえば、チョコは欧米人に発見された当初、南米の人達は、塩を入れて飲んでいたとか聞いたな……。
まさか21世紀にもなって、我が家を舞台にチョコの原点回帰が起きようとは。
「む。なんかいい塩梅になってきましたね」
次は文字通り、梅干しを入れるつもりじゃないだろうな。
エプロン姿でぐるぐる鍋をかき混ぜるゆかりは、確かにかわいい。
かわいいが、魔女がイモリやマンドラゴラとかを煮込んでいるようにも思えるのはなぜだろう。
鍋の中身は見えないというか見たくないから見てないが、香ばしい匂いは鼻の中に流れ込んでくる。
なんで甘い匂いじゃないんだろうか。
461 :
2/4:2007/02/20(火) 04:10:41 ID:sSP4izQ50
いっそ、中身を知らなければ、勢いをつけて飲み込んで、胃薬一瓶で片づいたかも知れないが、
料理過程を実演されると、口に入れるのさえためらわれる。
――そもそも、事の起こりは、我らが姫が、
「やっぱり料理は出来たてがよいと思うんですよ」
と、一見、真っ当な理屈を根拠に、真っ当じゃないチョコレートらしきものを、
俺の部屋で作ろうと乗り込んできた事から始まった。
冒頭で述べたように、手作りといっても限度がある――などと楽観した俺が甘かった。
せめて最初に、ゆかりが持ち込んだ材料をチェックしておけば、甘さのツケを、塩気で払うことにはならなかっただろうに。
「愛情1本、お腹に1本♪」
ヤク○ト投入。まぁカレーよりはチョコとの相性はいいだろうけど……。
愛情よりも、多分、乳酸菌の影響の方が強いと思う。5本も入れたら。
……1本じゃないのかよっ!
カレーの香ばしさと、チョコの甘さと、乳酸菌の甘酸っぱい香りが微妙にブレンドされて、なんだか凄い匂いになってきた。
頑張れ換気扇。今のところカレーの匂いが優勢だ。
「ところで宗一くん」
「らっきょ禁止」
「わ、なぜ分かったのですか!?」
「愛はほんと不思議さ」
「寄せては返す波のようですね」
仕方ないとばかりに福神漬けに手を伸ばすゆかり。
思わず突進してチョップを喰らわせる。
「こら」
「あいた」
「何を作ってるんだ君は」
「おいしいカレー味の……バレンタインチョコです?」
小首を傾げるな。かわいいじゃないか、くそぅ。言ってることは無茶苦茶なくせに。
で、突進したせいで、鍋――正確には、ボールの中身をまじまじと見てしまった。
かなり黄土色っぽい。ていうか、カレーにしか見えない。
462 :
3/4:2007/02/20(火) 04:11:50 ID:sSP4izQ50
「ところでゆかり」
「なんでしょう」
「カレーも飲み物?」
現実逃避のために、そんな問いを口にすると、ゆかりは真面目に考え込む。
「カレーさんだけなら液体ですけど、ご飯と一緒に食べるなら、食べ物ですね」
「そうでしたか」
「もしかして宗一くん、ご飯にこれをかけたいですか?」
「前衛的だな」
仮にもチョコを。
「料理界の革命ですね」
「確かに世界がひっくり返りそうだけど」
「念のため、レトルトのご飯を持ってきてよかったです」
おーい。もしかして、地雷踏んだ?
かけるの? マジで? 食べるのは? 僕?
ああ、レンジがなんかチンしてる。
いっそ最初からカレーにしてくれたら、もう少し真っ当に食えたかも知れないのに。
バレンタインなのにチョコがのけ者扱いなんて、どういう状況だ。
「もう少しですから、待っててくださいね」
うわ、笑顔が眩しい。このまま襲いかかりたいくらい。
――襲いかかる?
それはあれか、まだ夕食の支度の最中なのに……よいではないか、よいではないか、のコンボを決め、
事を終えた暁には、消し炭になった料理が残って、散々叱責を喰らうという、新婚さんいらっしゃいなあの展開か。
……これは、もしかして天啓ではないだろうか。
「ゆかり」
「はい?」
なんの疑いもなく振り向いたゆかりに、わずかに良心を疼かせながらも、俺は若い欲望をフル加速させたのだった。
むしろ俺の方がホワイトチョコレートをごちそうしてやったぜとでも言いたげな、オヤジくさい三十分が経過した。
まだ、くたりとしているゆかりを尻目に、鍋の中を確認すると、
予想通り水は全て蒸発し、ボールの中身は焦げ付いて固まっていた。
ミッションコンプリート。俺はさわやかな汗を拭い、達成感に酔いしれた。
その横で。
463 :
4/4:2007/02/20(火) 04:13:10 ID:sSP4izQ50
カコン。
どこから持ってきたのか、トンカチが振り下ろされ、焦げ固まったチョコカレーが砕かれる。
カコン、カコンと。無言で。なんか恐い。
あらかたボールから剥がれ落ちると、ゆかりはそれを、型に流し込んだ。ざらざらと、耳に障る、滑らかさに欠ける音。
固まったと言っても、無理に押し込めば柔らかさと粘りけで、なんとなくそれっぽい形にはなった。
そっと型を外すと、細かいヒビの入ったハート型の物体が、そこに鎮座していた。
かき混ぜるのをやめたせいで、重さの違いで層が分離したのか、カレールーっぽい黄色の縞が入っている。
ゆかりはさわやかな汗を拭い、達成感に酔いしれた顔で、
「ふぅ……完成しました」
あの、ゆかりさん。もしかして、怒ってます?
「宗一くんのために一生懸命作った、本命チョコです」
ずずいと俺に差し出す。うわ、黒苦い匂いが。
「最後の方は、ちょっと宗一くんのアレンジが入っちゃいましたけど、お焦げはおいしいものですから」
ああ、前にもそんな話を聞いたな。
「パンチが効いてますよ」
ちょこぱんちがゆかりの必殺技なのは重々承知だけど。
やっぱり、食べなきゃだめですか?
「はい、どうぞ」
俺の彼女はとてもかわいらしい笑顔で、愛情たっぷりの、焦げ茶色の塊を突きだした。
……いただきます。
まぁなんだな。人の好意はストレートに受け止めるべきだな。変なこすい計算とか策略とかしないで。
空になった胃薬の瓶を転がしながら、俺はそんな真理に辿り着いた。
「大丈夫ですか、宗一くん?」
なんか心配されるのも変な気分だけど、なに、俺は世界のナスティーボーイだぜ。
このくらいの苦境、軽く乗り越え……いたた、痛い痛い。
「あ、そういえば。さっきのレトルトライスがレンジに入ったままですね」
ぎく。
「あれでお粥を作ってきましょう」
いやちょっと待って、あ、だめ。声も出ないし力も入らない……。
……なんだ、ペキって。またカレールーでも入れてるのか。
俺は台所からもう嗅ぎたくない匂いが流れてくるのを感じながら、意識を薄れさせていったのだった。
自ら支援
>>460-463 以上です。
それから、なんとなく小ネタを思いついたので、おまけ。
もうすぐバレンタインということで、葵は敬愛する先輩に、チョコをあげようと心に決めた。
いやいや、告白しようとかそういう話じゃない。ちょっと感謝の気持ちを形にするだけだ。
そう心に言い聞かせながらも、でもどうせなら、手作りだよね。そんな風に気合いが入る。
手作りチョコといっても、そんな難しいことでもないだろうが、念のため、本か何か読んで……
と思っていたら、歩くデータベース、セリオさんが通りがかった。これ幸いと、
「セリオさん、ちょっとお願いがあるんですけど」
「なんでしょうか」
「あの、セリオさんのサテライトサービスで、手作りチョコの作り方って調べられますか?」
「少々お待ち下さい……分かりました。メモのご用意を」
「はいっ」
「まず、カカオの実をですね」
「いや、そこからじゃなくって」
いじょ。ではでは。
ただいま作成中。なんとか間に合わせます。
間に合った! 今から投下します。
天使のいない12月、『sweet sweet smile』
レス数、5。
「ザッハートルテあがったぞ!」
「はーい!」
あれから時紀は維納夜曲でのアルバイトを続けていた。
本人曰く、「特に他にすることがないから」らしいが、それでもそれなりに仕事をこなせ
るようになっていた。
雇用主の巣鴨文吾も、決して口には出さないが、そんな時紀を認め、すでに戦力として
数えていた。
さすがに今はまだその時期ではないが、もしこれから先も時紀がここで働いてくれる意
思があるなら、今以上の仕事をさせても悪くないかと考えていた。
文吾の姪の麻生明日菜、時紀の同級生の須磨寺雪緒もまだここで働いている。あれから
いろいろあったりはしたが、現状彼らの関係は概ね良好と言ってよかった。
しかし、ここ最近は彼ら維納夜曲最強の4人の布陣を以ってしても目が回るほどの忙し
さに見舞われていた。
その理由は、今日の日付にある。2月14日、そうバレンタインデー。
ここ維納夜曲でもバレンタインにちなんだセールを実施していたが、それが予想以上に
効果を上げてしまい、連日の大盛況だった。
お客さんが来てくれるのはもちろんいいことだが、このあまりの忙しさでは悲鳴を上げ
たくなるほどだった。
それでも特にトラブルもなく店を回すことができたのは、ひとえに男手の時紀の存在を
無視することができなかった。
そしてこの日の営業も無事終了。現在は閉店作業中。
「うぇ、マジ疲れた……」
フロアのモップがけをしながら、時紀は誰に聞かせるでもなく呟いていた。
「そうね。でも、バレンタインが終わったから、明日からはもう少し楽になると思う」
その言葉に反応したのが雪緒。テーブルを拭く手を動かしながら時紀と話をする。普段
あまり表情を崩すことがない雪緒だが、さすがにこの忙しさには堪えたのだろうか、少し
だけ疲労の色が見えていた。
「だといいけどよ」
「ハーイ、2人とももういいわよー」
明日菜がカウンターの中から声を掛ける。時紀の顔にも、安堵の表情が浮かぶ。
……だが、これからが時紀にとっての本当の受難であった……。
全ての作業を終え、文吾が3人を呼んだ。
「あー、明日菜、須磨寺、木田。3人とも忙しい中よくやってくれた。お前達がいてくれ
たからなんとか乗り切ることができた。これは、心ばかりの礼だ」
文吾は手に持っていた茶封筒を3人に手渡す。中身を確認すると、一万円札。しかも2
枚ずつ。
「こんなに……、いいんですか?」
「気にするな。それだけの数字が出ていたからな。それにこれからもよろしくって意味も
込めてな。頼んだぞ、特に……木田」
「え?」
文吾から名指しされた時紀は、一瞬わけがわからず呆然としてしまう。
「それじゃ、先に帰らせてもらう。明日菜、後は頼む」
「はい、おじさま」
そういって文吾は一足先に店を後にした。残された3人、それぞれの表情を浮かべてい
る。
「今の……何?」
「なーに言っちゃってるの。言葉どおりの意味でしょ。これからも、時紀君にここで働い
て欲しいってことじゃない」
「別に、そこまで言われるほどのことをしたわけじゃ……」
「そんなことない。店長、木田君のことを信頼してる。最近ずっと忙しかったし、それで
も何とかできたのは木田君がいてくれたから。木田君がいなければ、とても回せなかった」
「そう、君のおかげ」
明日菜と雪緒がさらにフォローをする。当の本人にとってはただ何も考えずに精一杯や
ってきただけだったので、そう言われてもピンとこないというか少しこそばゆいというか。
それは、時紀が他人に感謝されたり頼られるということに慣れていない、と言うよりそ
ういうことをやってこなかったからだが。
しかし、本人の思いは別にして、時紀は確かに変わりつつあった。仕事には真面目に取
り組んだし、タバコもやめた。
「とりあえず、まだ続けてくれるんでしょ?」
「……まあ、すぐに辞める予定はないけど」
自分では進路も考えてないから、積極的に続けたいのかどうかもよくわからなかったが、
それでもここは決して嫌いな場所ではない。とりあえず必要とされているうちはここにい
てもいいかなと思えるようになっていた。
「それじゃ、私も先に失礼します」
雪緒が切り出す。と、何か思い出したように自分のバッグに手を掛けた。
「そうだ、木田君」
「ん?」
「渡そうと思ってたんだけど、ずっと忙しかったから忘れてたわ」
「なんだ、これ?」
「……あのねぇ、今日は何の日だっけ?」
「あ、なるほど……」
「全く、どこか抜けてるんだから。ほら、時紀君」
「え?」
「え、じゃない。ちゃんと雪緒ちゃんにお礼言わなきゃ」
「あ、そっか……。ありがたくもらっておくよ」
「ちゃんと来月はお返しするのよ」
「わかってるよ」
「いいわ、義理だから」
「……そこまではっきり言われるのもなんだかな」
「木田君こそ、そういうこと言っちゃダメよ。だって、本命をもらう人がすぐ隣にいるん
だから」
不意に、時紀は明日菜の顔に目を移す。
あれから、2人の関係も依然として続いている。当時はいろいろあったが、そんな壁も
乗り越え、2人は本当の恋人同士になれたように思えた。
当然雪緒や文吾もそのことを承知だった。そのこと自体は大いに結構だったが、明日菜
がそのあまり時々暴走して、営業中の店内でも時紀にじゃれつくことがあるのが時紀のみ
ならずスタッフの悩みの種であった。
「それじゃ、先に上がります」
そして雪緒も帰っていった。残されたのは時紀と明日菜の2人だけ。
「……ふ〜ん」
突然、明日菜が時紀の前に立ち、じっと時紀の顔を直視してきた。
「な、なんすか明日菜さん?」
「べっつに〜。雪緒ちゃん、時紀君に気があるのかな〜って」
「な、なんでそうなるんだよ。たかが義理チョコだろ?」
「でも、時紀君だって義理って聞いてなんだか残念そうだし〜?」
「そ、そんなことないよ!」
なおもその悪戯っぽい視線をはずさない明日菜。
「そういえば、他の女の子からもチョコもらった?」
「なんで、そんなこと……」
「言いなさいよ〜」
「……栗原と真帆ちゃん、榊に……。あと、今朝うちでエミ公から」
「うっわ、時紀君モテモテ……」
「ぜ、全部義理だって。榊は板チョコだし、エミ公なんてチ○ルチョコだぜ。それでちゃ
んとお返ししろって言うんだから、もらわないほうがよかったよ」
「あ〜、そんなこと言っていいのかな〜? バレンタインにチョコをあげる、その行為自
体に女の子にはとっても大切なことなんだから、みんな傷ついちゃうわよ〜」
「……別にどうでもいいよ」
「あ、ひど〜い」
「だって……、俺が好きな人は明日菜さんだけだから。明日菜さん以外の女からもらった
って、全然嬉しくない」
「えっ……」
虚を突かれたように明日菜の表情が変わる。時紀も、自分でも恥ずかしかったのか顔を
逸らしている。それでも、時紀は続けた。
「俺は明日菜さんからもらいたいよ。好きな人からのチョコ、まだもらってないよ……」
心臓が早鐘を打っている。自分でも顔が熱くなるのを感じずにはいられなかった。
明日菜は驚いていた。時紀がこんなことを口にするなんて思ってもみなかった。
時紀は悪ぶっていても、決して嘘はつかない、いや嘘をつけない人間である。そんな彼
だからこそ、こういうことは冗談でも絶対に言わないことを明日菜は知っていた。
明日菜ももちろん時紀のことが好きで、それなりに時紀のことを知っているつもりだっ
たが、それでもこれには衝撃を受けずにはいられなかった。
……あたしは、まだ時紀君のことを全部知っているわけじゃない。そして……。
……あたしが思う以上に、時紀君はあたしを好きでいてくれている……。
そのことを痛感し、そしてまた明日菜の中に嬉しさがこみ上げてきた。
明日菜は時紀を強く抱きしめる。その豊満な胸に顔を包まれた形の時紀はあわや窒息し
そうになってしまう。
472 :
名無しさんだよもん:2007/02/20(火) 08:02:21 ID:ciqwnf9v0
自ら支援
わっふるわっふる
「ごめんね、時紀君。でも、とっても嬉しい……」
「……俺は、いつだって明日菜さんを信じてるよ」
「うん、あたしも信じてる。君のことも、君の愛も……」
「俺、明日菜さんのチョコが欲しい」
「もちろん。ちゃんと用意してるわよ。でも、ちょっと準備がいるから、少し待ってね」
「準備?」
「用意してくるから、声を掛けたら厨房に来て」
明日菜は一人厨房内へ入っていく。一体、チョコをもらうだけなのに何の準備がいるん
だろうと時紀は疑問に思ったが、とりあえず明日菜の言われた通りに待つことにした。
そして、数分後。
「時紀君、来て〜」
呼ぶ声がして時紀は厨房に移動する。そこで信じられないものを目にすることに。
「……あ、明日菜さん!? な、何して……」
明日菜は制服のボタンを全て外し、ブラジャーに包まれたたわわなバストや肌を露にし
ていた。
そして、明日菜が手にしているのは、調理用具のボウル。その中には茶色くどろどろし
た液体状の物体……固まる前のチョコレートだった。
「何って、バレンタインのチョコをあげるから……。えいっ」
掛け声とともに、明日菜はもう片方の手に持っていたヘラでボウル内のチョコを掬うと、
自分の体にかけた。
「やだ、こぼれちゃった……」
こぼれた……? 時紀の目には、どう見ても『こぼした』ようにしか見えなかった。
そんな時紀を尻目に、明日菜は妖しい視線を時紀に送る。
「ねえ……、これ綺麗にして……」
「えっ!? キ、キレイにって……」
「早く……。でないとシミになっちゃうから……。ほら、早く食べて……」
目の前の状況が飲み込めずにいる時紀。しかし、どうしてもそこから視線を外すことが
できない。
制服がはだけて、素肌を露出させる明日菜。その白い身体を覆う茶色の液体状のチョコ
レートが肌を滑って流れ落ちる様は非現実な光景だった。
それはいともたやすく時紀の理性を奪い取った。時紀は明日菜を調理台の上に押し倒し、
体中に舌を這わせた。
「や、やだ……。そんなにがっついちゃ……」
「だ、だって……、もう我慢できないっ……!」
ただでさえ2月に入ってずっと忙しかった二人は、デートをするどころか夜を一緒に過
ごすこともままならなかった。その間にたまりにたまったものを2人は全て吐き出してい
た。
「おいしいよっ……明日菜さん……」
「うふふ……、まだまだたくさんあるから、いっぱい食べて……」
明日菜は自分の顔、胸、腕、腹、脚……。全身余すことなくチョコまみれにしていった。
それを時紀はすべからく舐めとっていく。
そしてまた、明日菜も時紀にチョコをかけて舐めたり、互いの唇にチョコを塗ってそれ
を口付けで綺麗にしていったり。
こうして明日菜と時紀、世界中の誰よりも、チョコレートよりも甘い甘い、バレンタイ
ンの蜜月の夜を2人は過ごしたのだった……。
翌2月15日、なぜか前日は十分なストックがあったはずのチョコレートがなくなって、
この日はチョコレート関連の商品が販売できなかった理由は誰も知らない。
476 :
あとがき:2007/02/20(火) 08:10:43 ID:Mf3LFhoY0
wordで作ってたら、1ページあたりの量が1レスの容量を超えてて
5レスの予定が6レスに。
>>473さん、ありがとうです。
またギリギリに作り出したから、ちょっと詰めが甘いかなぁ?
まあ、しかたない。オチがいまいちいいのが思いつかなくて……。
エロくは作れたからいいかなw
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 2 月 27 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>414-418 忘れられたバレンタイン(TH2/雄二)
>>421-430 無題(CLANNAD/春原)
>>441-456 それぞれの記念日を(kanon+CLANNAD/祐一&朋也&北川)
>>460-463 それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに(Routes/宗一とゆかり)
>>468-471、
>>474-475 sweet sweet smile(天使のいない12月)
一言感想。
>>465 いっそカカオの種からやってしまえ、と(w
>>421-430 文体、構成、推敲が非常に荒削り。もっとキチンと推敲してから投稿しましょう。
再び同じ恥をかかないようにね。
内容についてはなにもいうことはない(呆れて)。
>文体、構成、推敲が非常に荒削り。もっとキチンと推敲してから投稿しましょう。
強調したいのかもしれないが、短い文章に同じ言葉を二つ入ってると語彙が少なく見られるぞ。
書くなら
>文体、構成が非常に荒削り。もっとキチンと推敲してから投稿しましょう。
だな。推敲が荒削りってのも違和感あるし。
てな感じで君も突っ込まれる側に十分なり得るんだから指摘「だけ」じゃなくて感想も書くナリよ。
お、俺今とてもいいこと言ったんじゃね?
初めてこのスレ見るけど、SSってそんな気にして書くものなの?
その作品に対する愛情表現の一種、みたいに考えていたから
ただ自己満足で書いてるんだと思っていたけど。
気にするのも気にしないのも、好きにすればいいと思う。
俺としては、自己満足的な要素は当然あるけど、自己満足だけではないな。
自分は好き勝手に書いてはいるけど、それで読んだ人がいいって思ってくれたら嬉しいね。
いきなり「まさに」はちょっと唐突な感じ
文章よりも、性格はもっとひどいけど
おまいら落ち着け
>>487 漢と漢の勝負の最中だから、ちょっと黙っててくれないか。
天下の公道で何やってるんだよ
ぬこがじゃれてる
479と484は句点の使い方が同じだな。
あと485はちゃんと読点使ってるぞw
ID変わる明日はどんなレスを書くのやら。
浮、い、て、る、って自覚したらどうかと思う。。。。。。。。。
問題は感想が来るかどうか
誰か感想書いてくれよ
では今回は早めに感想を書いておきます。
原作を知ってるSSだけに限らせてもらうのでご容赦を。
>>414-418 忘れられたバレンタイン(TH2/雄二)
自分の好みと明らかに違うので、内容についての感想は控えさせていただきます。
ただ作者の書きたいことは文章ではっきりと表現出来ているのではないかと思います。
>>421-430 無題(CLANNAD/春原)
強引すぎて笑えない、というのが一番素直な感想です。
1レス目まではわりと普通のギャグSSとして読めたと思うんだけど、そこから先のアクが特に強すぎると感じました。
その先は、どの部分がギャグなのかってことさえ判別しづらいほど読みにくい。
『75点の夕日』とか、杏のスカート直すところとか。
その辺は単発のギャグとしては嫌いではないんだけど、ギャグの質云々より全体が暴走気味で読みにくいと感じます。
また暴力表現がいきすぎてたのも気になる点でした。
あとこのSSは「The.ガッツ」関連?
そっちの方は良く知らないので、その点については申し訳ないと思います。
あのゲームも随分強引な内容らしいから、これもそういうSSなのかも。
でも自分にはその面白さが感じとれなかったのも事実です。
>>460-463 それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに(Routes/宗一とゆかり)
今回一番素直に楽しめたのがこのSSだったかと。
多分その理由は原作の雰囲気の再現度が高かったからだと思います。
ちっとも上達していないゆかりの料理の腕前には素直に笑わせて頂きました。
>>468-471、
>>474-475 sweet sweet smile(天使のいない12月)
結構面白かったです。
あの暗い原作をここまで明るく書けていることがなぜか嬉しいと感じました。
最初から最後まで徹底して甘いSSに仕上げたのは多分正しい判断だと思います。
ただ、自分は原作にも原作のキャラにもあまり思い入れが無いのでそれ以上の感想は書けないです。
投稿期間での雑談・感想期間での批評への批評など、ノイズで不穏な昨今ですが、空気を読まずに感想を。
>>414-418 忘れられたバレンタイン(TH2/雄二)
驚きはありませんが、卒なくまとまった作品だと思います。
選択シナリオ裏の後日談という、青臭いテーマな上一人称なのに、こうも適度にあっさり仕上げとは。
「誰だ?」というくらい格好良い雄二の、シンプルなお話にしたのが鍵?
また、整形と適当な文の長さが合わさり、歯切れよく読みやすいのも美点だと思います。
>>421-430 無題(CLANNAD/春原)
ちらほら標準的ではないとされる記法が見られます。気に障る人も居ることだけ、覚悟が要るかも。
慣れれば身につくだけの話ですし、中身と読みやすさ以外をここで重くは見ませんので、箇所の指摘は他の方にお任せします。
大筋を捻ったり色々細かく盛り込んだりで、サービス精神や意欲を感じます。
ただ、ネタがくどすぎて、せっかくのスピード感が殺がれています。また、面白成分を脇道に頼りすぎた印象があります。
読み物というよりは漫画のネームのようで、散漫気味。
もっと描写を丁寧にしないと、例えコメディのスパイスに使う分程度でも、シリアスを書くのは厳しいと思います。
が、構成と作文はそう酷くはありません。たぶん、世の葉鍵二次全ての中で中位程度。
>>441-456 それぞれの記念日を(kanon+CLANNAD/祐一&朋也&北川)
余談になりますが、一文で必ず一段落(というより一改行)で、字下げがきれいに入ってますね。一部の改行以外は読みやすかったです。
元ネタを混ぜる必然性の無さがどうしても気になり、まとまりを欠いた印象を受けました。
お題だけが共通項ですと、引き立てあわない断片が並んでいる様。クロスしていないクロスオーバーとでも言うのでしょうか、不思議な形。
題名からして、お話は独立していて構わないのでしょうし、繋がりを感じない方がおかしいのかも知れませんが…。
タイトルに忠実な各節のエピソードは、文章も題材選択もセンス良く、魅力的でした。キャラがらしく動いていて、安心できます。
実験的に改行をレンダ任せにして、一行に100字以上書いているのに、2レスも消費してすみません。あと、今更ですが読みにくいかもしれません。
>>460-463 それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに(Routes/宗一とゆかり)
これも形が整ってます。読点での改行って、わたしも入れるのよく迷います。
地獄料理というベタな題材で巧拙がはっきり出るところ、無駄も不足も感じさせず、テンポ良くコミカルに書けていて楽しめました。
キャラ視点で十分に面白さを引き出す、ギャグ/コメディのお手本の様。
>>468-471、
>>474-475 sweet sweet smile(天使のいない12月)
せっかくの整形ですし、行途中で改行は入れないほうが良いかもしれません。
板制限を活かしたあっまーいラブコメが、今回意外に希少なので、オーソドックスな割に埋もれませんでした。
新鮮さより完成度勝負で、きちんとオチに至るまでを粗末にせずまとめるなど、手堅い手腕を垣間見ることが出来ました。
……消毒済時紀に萌えるSS。こんなかわいい奴だったっけ。
すみません、内容とは無関係の見た目に関しての言及が多くって。ソース状態での見やすさって、レンダ後の見難さに繋がることが多いんですよね…。
横幅狭いと汚く桁折りされがちで、広いと一文が長いと追うのに疲れますし。多様な環境という難しさを、最近実感しているもので。
結びに。どれか一つと言うのが難しいので、
敢闘賞(驚き・感動) 該当なし
殊勲賞(テーマ・構成)
>>460-463 技能賞(作文・娯楽性)
>>414-418 といたします。作品数≠作者数と勘繰りつつ、失礼します。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>477 となっています。
感想期間は明日 27 日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>477 となっています。
感想期間は本日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
【告知】
ただいまをもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもご苦労様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
追加の感想など、上記のもの以外にも何かありましたら、どんどん書きこんでください。
※次回のテーマは『金曜日』に決定しており、開催時期は 3 月上旬からになる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
今回は投票数が少なかったので、最優秀作品は該当なしということにしたいと思います。
未来のSS作家さんのためにぜひ感想・投票を!
>399 に次々回用積み残し(-金曜日)あり。
難しそうなのが多いし、参考程度で。
普遍的なテーマは書きやすいし、出来も安定するけど、
インパクトと原作の意味が乏しくなるのかなと思った。
ていうか……金曜日って、ヤバくね?
ネタの幅的に。
そう言われると怖いけど、反対なら前回言うべきだったしなー。ちょっと後悔。
バレンタインは予想通り五つと多かったな。
五つで多いというのもちょっと悲しいな……
グズです・・・へへへ・・・
グズグズでサーセンwwww
今回「忘れられたバレンタイン」と「それぞれの記念日を」の2作を投稿させて頂きました。
それでは感想返しをさせて頂きたいと思います。
「忘れられたバレンタイン」
このSSに込めたメッセージと呼べるものが伝わるかどうか。
その一点だけに全ての意識を注いで書きました。他のことは捨ててます。
たとえば原作の再現度とか、普段はつけるはずの読者への『サービス』とも言えるものも全て。
メッセージが伝わったのなら成功ですし、伝わらなかったなら失敗でしょう。
故意にかなり文章を省略してみたので、それがひっかからずに読めたかどうかは気になる点ですが。
>>495 好きになれない方は当然いるだろうと想像していました。
やっぱりこういう内容は万人向けではないのでしょう。
それでも実際に書いてみないと感触はつかめないと思ったので。
>>496 逆に「驚きが無い」と仰る方もいるようですね。
失恋ものとしてはよくある内容だと言えるのでしょうか。
書いた者としてはその辺をどう受け止めていいのか難しいです。
「それぞれの記念日を」
こちらはギャグを含めサービス意識を強く持って書きました。
そのぶんテーマ性というかそういうものが弱くなったのかもしれません。
3つのシーンを並べてみたいと思ったのは、こういう形のSSが発表できる場所ってこのスレぐらいしかないだろうなと思ったので。
こういうものを書いてしまった理由としては基本的にそれに尽きます。
あと自分も
>>435みたいなクチですので。
最後のシーンみたいなのが書きたかったというのもありますが。
>>496 言われてみれば三つのシーンに関連性を持たせる努力、というのはあまりしてないですね。
纏まりがないという感想があっても仕方ないでしょう。
あえて三つ並べる必然性は多分無かったのでしょう。
その辺はバランス意識よりも「こういうの書いてみたかった」という気持ちの方が優先してしまったのでしょうね。
以上を持ってわたしからの感想返しとさせて頂きます。
読んでくださった皆様方、どうもありがとうございました。
510 :
476:2007/03/03(土) 14:09:57 ID:FHuSaYte0
今回『sweet sweet smile』を投下させていただいた
>>476であります。
運営の方、感想を下さった
>>495、
>>497の御二方、目を通してくださった
全ての方々に最大級の感謝を。
バレンタインがテーマと言うこともあり、原作から考えるとアフターストーリーになります。
内容が少し甘甘すぎて、天いなっぽくないとか時紀が時紀らしくないと
思われる方もいらっしゃるやもしれません。
でも、決して原作をないがしろにするつもりはなく、自分ではあくまで原作を踏まえて
その上で明日菜と時紀のその後の恋愛模様を描いてみたいと思いました。
自分は天いなが大好きで、特に明日菜シナリオが一番気に入ってます。
理由を聞かれるとなかなか一言で言い表すのは難しいのですが、自分なりの解釈では、
恋をすること、生きること。それは決していいものではなく、際限ない困難の上に成り立っている。
それでも、例え一人なら挫折してしまったり諦めてしまうような事態に直面しても、
隣で自分を支えてくれる人がいてくれたら、それがきっとかけがえのない宝物であり、
この先どんな辛いことが待ち構えていようと、二人なら乗り越えていけるはず。
そんなテーマがこめられているように感じられたからです。
ただ、天いなはそれを暗喩的というか、逆説的なテキストで表しているので、
「暗い」とか「欝な作品」なんて評価も受けてしまうのも仕方ないのでしょう。
あくまで自分の考えなので、他の人にも考えを押し付けるつもりはありません。
こういった作品は、「いや、自分はこう思う」とまた違った感想、十人十色の考えがあっていいと思いますし。
明日菜と時紀は、和樹と瑞希を超えるバカップルになる。そう思ってた時期が俺にもありました。
……って、今でも思ってますけどねw だからこんなSSを作ってみました。
では、ここらで失礼します。今一度、読んでくださった全ての方々に感謝の意を表します。
今月は某出版社に応募するコンクール用のオリジナル作品を作るため、次回の参加は見送るつもりです。
それが過ぎればまたこちらに戻ってきますので、どうぞよろしくです。
今更だけど感想でも書いとくかな。
時間がなくて適当感想になると思うんで、感想返しとかはヌルーしといてくだされ。
>忘れられたバレンタイン
舞台背景がきっちり書かれてるからプレイしてない人にも設定がわかりやすいね。
でも雄二が別人28号だから「東鳩2である必要があるの?」とか思った。
>無題
表現方法とか独特のものを持ってるんで、他の人のSSを見て基礎を学びつつ
その長所を伸ばして行って欲しい。
>それぞれの記念日を
祐一パートが北川パートの一部伏線になってる以外は三つに分ける必然性が薄いかな。
一つの主題に対して連作っぽく関連性を持たせれば、読んでる側もそれを探すような
楽しみ方ができるんじゃないかなー、とか思った。
>それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに
ゆかり可愛いよゆかり。
要はチョコ作るだけの話なんだけど、軽妙な会話が楽しくてあっという間に読み切ってしまった。
お約束の突っ込みとしては「オヤジくさい三十分間をkwsk!」
>sweet sweet smile
甘々だね。甘々。
18禁ならぬ15禁って所かな。むしろ直接的に書くより想像力を刺激して余計にエロいよーな。
翌日突っ込まれてる二人を想像してニヤニヤできたんで、オチはこれで十分かと。
やっと規制が解けた(;´Д`) この隙をついて感想返しを。
今回、「それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに」を投稿しました。
チョコの日にチョコを作るという直球ネタだけに、少し捻りとか足りなかった気もするけど、
軽いネタだからこれでいいのだろうかと悩んだりも。
最近、素直に楽しいとか普通に楽しめたとか言われ、もちろんそれは誉め言葉であり、ありがたいのだが、
次はもう少し違う方向性を目指してみようかとも考えてしまうひねくれ者の自分だった。
>>478氏
たぶん、チョコの作り方で検索だと、種の育成からは出ないかとw
セリオさんはこういう勘違い小ネタに便利な人だ。
>>495氏
去年の最萌なんぞに参加しつつ、いわゆる永田節をちょこちょこ練習してたりしたのですが、これがなかなか難しい。
まだ違うかなぁという実感を感じながらも、少しは近づいているだろうかと試行錯誤の段階なので、
雰囲気再現度が高いという評価はありがたいです。
ゆかりは味音痴とおおらかな性格のせいで、料理は上達しないでしょう。多分w
>>497氏
ネット上でのSS書式はもうずっとこれで統一ですね。個人的には、一番読みやすいと思ったので。
ネタはベタですね。巧拙がはっきり出るとか、そういうことは深く考えもせず、まぁなんとなく書けそうだったのでw
お手本の様とまで言われるには、読み返すと直したい部分も出てきたりして、少し面はゆい気も。
しかし、無駄とか不足とか、実はあまり考えずに書いているんだけどみんなはちゃんと考えている……んだろうなぁ。
>>511氏
ぬるー不許可w チョコ作るだけの話と言われるとあらためて中身のなさを思い知るw
お約束の展開としては、台所でエプロン装着済みとなれば、
流し台の上に潰れそうなほどにおっぱいを乗っけての立ちバックに決定であることは明白であります(ノ゚∀゚)ノ
宗一羨ましいよ宗一。
では、これにて。感想ありがとうございました。
余談だけど、投稿期間の雑談は、このスレやSSなどに関係することなら、並びに投稿の邪魔をしないなら、
保守の側面もあって、OKだったと思う。最近はめったに落ちないけどね。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
次々回のテーマの決定などを行っています。
「感想期間に間に合わなくて(´・ω・`)ショボーン」という方も、感想を書き込んで
もらっても構いません。
次回のテーマは『金曜日』に決定しており、開催時期は 3 月 6 日(火) からで予定しています。
なお、現在積み残しのテーマは以下の通りとなっておりますので、
テーマ選定の際に ご参考下さい。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、
10年後、幼なじみ、おもいで、冷、解放、運命、
刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
次々回のテーマだけど。
姉、バレンタイン、金曜日と
状況的なテーマが続いてるので次は観念的なテーマにしたいかな。
「本気」っていうのはどうでしょう?
個人的には「えっち」がとても見たいけどやっぱり難しいだろうし。
二つ合わせて「本気のえっち」とかしたら投稿数ゼロになりそうだなw
【告知】
第五十九回投稿テーマ:『金曜日』
投稿期間: 3 月 6 日の午前 8:00 から 3 月 20 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
次々回のテーマは、
>>515氏から推薦のありました『本気』にしたいと思います。
開催時期は4月中旬を予定していますので、『金曜日』でネタが
思いつかれない方は、こちらのテーマに挑戦して頂くのもいいかと思います。
【告知】
ただ今投稿期間となっております。
今回のテーマは『金曜日』で、締め切りは 3 月 20 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『本気』で、開催時期は 4 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
【告知】
いよいよ明日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『金曜日』で、締め切りは 3 月 20 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『本気』で、開催時期は 4 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
【告知】
締め切りまで残り数時間となりました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『金曜日』で、締め切りは本日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
今回は0件になりそうですか。
大大大遅刻が許されるなら、今からSSの製作を始めて24時間以内に提出しますが、
いかがなものでしょうか?
>>522 折角の申し出なのですが、さすがに日をまたいでの投稿受付は過去に例が
なかったようなので、今回はここで締めさせて頂きます。
お気遣い、ありがとうございました。
【告知】
ただ今を持ちまして投稿期間を終了させていただきます。
今回の投稿作品は 0 件でした…。
それでは投稿作品がなかったので、このまま総括期間に移らせていただきます。
運営への意見や次々回のテーマを募集していますので、何かありましたら
どんどん書き込んでください。
積み残しのテーマは以下の通りとなっておりますので、テーマ選定の際に
ご参考下さい。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、
10年後、幼なじみ、おもいで、冷、解放、運命、
刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
テーマは単に縛りや枷にしかなりそうもないものよりは、
ネタが膨らみそうなものにしたほうが、良いような気がしてきた。
今回、作品が一つも投稿されなかったことは、職人さんからの、告知さんやその他住民による
独善的で意地悪で融通の利かないテーマ設定への声なき抗議だったんだと思う。
声なき抗議とかESP効かし杉だろw
まあ俺の場合だと、今回もネタはあったけど時間がなくて執筆できんかった。
つか期末で忙しいから五月過ぎまでは投稿無理っぽい。
他の奴も同じじゃね?
卒業入学新学期と学生さんも忙しいだろうし。
あとヘタレた書き手からの意見だけど、投稿する人を職人とか言って区分されるのは
あまり嬉しくないかなー、とか。
同じこのスレの一人の住人として扱って欲しい。
投稿がなかった理由?
俺の場合ははっきりしてるぜ。
就職活動のバカヤロー!
前々回のバレンタインでは5つ投稿があったし、
今のままで問題ないと思うけどナー
難しいテーマの方がやる気が出るってなMっ気の
強い人もいるかもしれないしw
ただまああんまり難しいテーマが続くと書きにくい
だろうから 幼なじみ あたりでもPushしとくかね。
幼なじみって実質的なキャラ制限じゃね?
>>530 題材をそのままとらえるんじゃなくて幼なじみに
憧れたり妄想したりってなシチュも込みにしたら
ほとんどのキャラで書けないか?
もちろん幼なじみキャラを登場させるだけでも
テーマを消化したことになるから敷居はかなり
低いと思うけど。
消化されるためだけの縛りじゃ、落語のアレみたいだよ
最近テーマ選定とかに否定的、と言うか否定意見だけを述べる人がいるけど、
その場合代替案も同時に書きこまないといつまでたってもテーマが決まらないと思うんだ。
あげられたテーマに不満があるからその時に否定する。
これは後から投稿数が少なかったと愚痴るよりも全然良い事なんだけど、でも否定だけなら誰でもできるんだから、
せっかく考えて書く事に長けているSSスレの住人なんだし、もっと協力的になっても罰は当たらないと思うんだけどな。
俺は幼馴染でも別にいいし、積み増しテーマの中で咄嗟にネタが思いつくのは10年後、思い出、運命あたり。
これらのテーマだったらどれでもいいし、もちろん別のテーマになってもできる範囲で考える。
議論も盛り上がっているようなので、次のテーマである『本気』での
投稿開始を 3 月 29 日(木)の午前 8:00 からにしようと思っています。
引き続きテーマの追加、運営への意見等がありましたら
遠慮なく書き込んで下さい。
あと運営としてのスタンスですが、中立を旨として同票テーマがあった時のみどちらかを
選択するぐらいで、後は淡々と進行だけを続けて行こうと思っています。
(このスレの主役は皆さんなので)
もしもっと口出しして欲しいとか、もう少し静かにして欲しいとかありましたら
テーマのついでにでも指摘してやって下さい。
上記の告知と重複して恐縮ですが、よろしくお願いします。
間を取ってうたわれDTCを遊ぶんだ
うたわれでなくてわれものと略す。
おねではなくていちと呼ぶ。
東鳩でなくてToHと記す。
マイノリティ万歳。
終了の悪寒
【告知】
第六十回投稿テーマ:『本気』
投稿期間: 3 月 29 日の午前 8:00 から 4 月 5 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
『本気』の次のテーマですが、
幼なじみ
>>531、
>>533 10年後
>>533 思い出
>>533 運命
>>533 以上、合計二票獲得した『幼なじみ』にしようと思います。
開催時期は 5 月初旬を予定していますので、「二週間じゃ書けない」
「本気でネタが思いつかない」という方は、こちらのテーマでネタを
考えてみてください。
【告知】
ただ今投稿期間となっております。
今回のテーマは『本気』で、締め切りは 4 月 5 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『幼なじみ』で、開催時期は 5 月初旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
あれ? 投稿期間が一週間に?
すいません、締め切りは 4 月 12 日の午前 8:00 でした…。
あと一週間を切ってしまいましたが、よろしければ投稿お願いします。
安心したー。
必ず投稿スルメイカ。
【告知】
明後日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『本気』で、締め切りは 4 月 12 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『幼なじみ』で、開催時期は 5 月初旬になる予定です。
「あと二日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
>>544 ご指摘ありがとうございました。
投稿の方は無理のない範囲でお願いしますー。
544の人じゃないけど投稿。
題材は東鳩。一レスで終わる予定。
進級した浩之は、あかりと話していた。
「今回はこれだけだぞ」
「……浩之ちゃん。それ、半分以上だよ」
テスト、それも赤点の話のようだ。
何でもないように話す浩之に、あかりは悩ましげな溜め息をついた。
「浩之ちゃん。やればできるのに、もったいないよ」
「そんな事ねーよ」
あかりの言葉に、否定的な浩之。
しかしその口元はにやけており、実は満更でもないようだった。
時は流れ、今度は雅史と浩之。
「今回も残念だったね」
苦笑する雅史に、つまらなさそうな浩之。
テスト、それもまた赤点の話のようだ。
「浩之はやる気さえ出せばすぐに僕以上になれるのに。もったいないよ」
雅史の言葉に、「そうか?」と疑問符を投げかけながらも、浩之の頬は緩んでいた。
さらに時は流れ、志保と浩之。
「あかり泣いてたわよ。アンタ、ちゃんと反省してるんでしょーね!」
「……うっせーな。お前には関係ねーだろ」
腰に手を当てて浩之を指差す志保に、視線で応じる浩之。
「関係あるから言ってんじゃない!
あんなにみんなから勉強しろ、勉強しろって言われてたのに全然してないなんて……。
レベル落としてまで同じ大学選んでくれたあかりに申し訳ないとは思わないの!?」
いきり立つ志保を挑発するかのように、浩之は耳の裏を掻いた。
「……んなもんアイツが勝手に選んだだけだろ。オレには関係ねぇ、ンぐっ!」
浩之が最後まで言い終えるより前に、志保のビンタが炸裂した。
そして志保は、「最低っ!」との言葉を残して走り去って行った。
「オレも今回は本気で勉強してたんだよ。クソッ!」
浩之の呟きに、答える者はいなかった。
お、予定通り一レスで収まった。
タイトル「積み重ね」
>>548、
以上になります。
投稿開始。
ネタ元は、CLANNAD、タイトルは「無題」。
551 :
無題1/4:2007/04/11(水) 22:39:22 ID:lhOMxVWk0
ゴトッ。
ベチャ…。
弁当箱がビニールシートの上に落ちる、
その中身―ドロリとした、弁当らしきもの―がこぼれる。
それは、椋の弁当を朋也が一口食べた後のことであった。
「ちょ、キミはなにをやっているんですか・・・朋也君・・?(汗」
朋也の突然の暴挙に呆然とする春原、杏と椋。
「なにって…。ゴミを処理しただけだろ…」
冷然と吐き捨てる朋也。そして、忌々しげに、まるで死んだゴキブリを
部屋の隅に押しやるように、玉子焼きの出来損ないをつま先で蹴り飛ばす。
「あんたねええええええっっっ!!!」
杏に胸倉をつかまれ、ドン、と側の木の幹に押し付けられる朋也。
その口元には、いやらしい笑みが。
552 :
無題2/4:2007/04/11(水) 22:40:26 ID:lhOMxVWk0
オロオロする春原、ポカン、と口をあけ、呆然とした表情のままの椋。
一方で、杏は。
「あんたねえぇ、よくも人が作ったものを!!椋が一生懸命つくったものを!!」
怒りにまかせ、ブンブンと朋也の襟首を引っ張りまわす。
「一生懸命?」
「そうよ!!そりゃあ、あたしも手伝ったけど、あれは、あれは椋が!!」
杏の言葉に、顔を苦笑いにゆがめる朋也。
そして―哄笑。
「ぶわっはっははははははははははははははは!!!あれが?
あのゴミが一生懸命!!ひゃははははははははははははは!!!」
白目をむき出しながら笑う朋也。
「な、なによ…アンタ大丈夫…?」
青ざめた表情で、あとじさる椋。
553 :
無題3/4:2007/04/11(水) 22:42:24 ID:lhOMxVWk0
「あのなあ、ひゃはっ、ひゃひひ、それ、本気で言ってるのか?
ひゃきっ、あんな弁当、嫌がらせ以外のなんでもないだろ?
ちがうか?え?あ?ぶひゃはははははははははははは」
「え、あ、う、その」
言い返す言葉もない。
杏と椋は、固まったまま、朋也の狂態をみつめることしかできなかった。
彼女たちも、うすうす気がついてはいたのだ。自分たちの心の奥底に。
ゲロのようにまずい弁当を目の前にして、困惑する朋也を観賞することの楽しみに、愉悦に。
しかし、それらは決して悪意から生じたものではなかった。
多感な少女たちの、いたずら心から生じたものだったのだ。
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
白蝋のように青ざめた顔の椋は、地面に額をこすりつけ、謝罪の言葉を吐き出す:
今度から絶対においしいお弁当を作ってくるから、本当だから。
お願いだから、そんな顔でみないで。
みないでください。
554 :
無題4/4:2007/04/11(水) 22:44:50 ID:lhOMxVWk0
そんな椋のみすぼらしい姿を見下ろす朋也。
その目には、同情はおろか、動揺の一欠けらも宿っていなかった。
そこにあるのは、ただ、侮蔑―だけ。
「ふん…クソが…」
止めといわんばかりに、弁当箱をバキッと踏み潰し、ついでに春原に蹴りを見舞った後、
朋也はその場を離れた:
(親父と差し向かいでメシを食ったほうがまだマシだぜ!)
残された四人と一匹。
生暖かい春風の吹く中庭に、椋の謝罪の言葉が、まるで念仏のように、
不気味な重低音をかもし出しながら、流れていった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさぁい…
今度から本気でお料理お勉強するから…」
〜終〜
終了。
>>554の”四人”は、”三人”に訂正ヨロ。
【告知】
いよいよ明日が締め切りとなりました。
最後の追い込み、がんばっていきましょう。
今回のテーマは『本気』で、締め切りは 4 月 12 日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
おはよーございます
うたわれSSで8レス予定 カルラ主演
「闘争の中で見えるもの」です
ではいきます
558 :
1/8:2007/04/12(木) 07:43:40 ID:ewiIwJYj0
夜空に掛かる、月と浮雲。今夜の肴はそれと決め、カルラは杯に酒を満たす。
身に染み渡るような甘露に喉を鳴らしていると、不意に、月が翳る。
月明かりを遮ったのは、闇夜に溶け込む黒い翼――カミュだ。
「カルラ姉様」
遠慮しているのかしてないのか、カルラの視界を正面から遮っておきながら、少し離れたところに足をつく。
カルラにとっては親友の妹という立ち位置で、少しばかり親しみはあるが、これまで深く話したこともない。
しかもこんな夜更けに。
が、月の代わりにこの珍客を肴にするのもいいだろう。
「どうしましたの、カミュ?」
「えぇと、あのね?」
少し気に入らない、愛想笑いの悪癖。
「こっちに来なさいな」
「あ、うん」
座を示すと、やはり遠慮がちに近寄りながらも、子供らしく、ぴょんと跳ねるように座り込む。
当然のように、別の酒杯を出して、酒をつぐと、カミュの方が慌て始める。
「え? あ、あの?」
「あら、おつき合いしに来てくださったんじゃあないんですの?」
「か、カミュにはちょっと早いかなぁ」
「私は貴方くらいの歳には、もう飲んでいましたわよ」
「そうなの?」
「ええ」
と、出任せで丸め込むと、あらためて興味が湧いたようだ。
元々、背伸びしたい年頃ではある。
「さ、ぐっと煽りなさいな」
「う、うーん」
ちろっと舌で舐めてみて、何とも言えない表情をするのがおかしい。
どちらかといえば躊躇いが勝るようだが、こちらに向けられた視線に対し、
期待を込めて見つめ返すと、ほんとに一気に煽り立てた。
559 :
2/8:2007/04/12(木) 07:44:41 ID:ewiIwJYj0
「けほっ、けほっ!」
カルラ好みのきつめの酒だ。いきなり飲むのは相当きつい。期待通りの反応に、ころころと笑い声を立てる。
「少し貴方には早かったようですわね」
「だから言ったのにぃ」
早くも顔を赤らめ始め、ぴしゃぴしゃと頬を叩いている。
扇代わりか、背中の羽根をせわしなく動かすと、慌ただしい風が流れた。
「うー、ふわふわしそう」
「いつもふわふわしているじゃありませんの」
「そうかなぁ、いつもはもっとぴゅーんと……じゃなくってぇ。カルラ姉様に、聞きたいことがあったの」
酒のおかげで意識が危うくなりかけてるが、その分、舌も滑らかに回ってきたようだ。
「聞きたいこと?」
「うん。ここに来る前からお姉様と知り合いだったって聞いたんだけど、どこでどうしてどんな感じだったのかなぁって」
「ウルトに聞けばいいじゃありませんの」
「お姉様、笑って答えてくれないんだもん」
さては、ハクオロの時に口止めしたのを気にして、妹にも秘密を保ったか。
あの時は主が相手とあってか、珍しく、見栄のようなものが邪魔をしたが、今にして思えばいかにもカルラらしくない。
語りたいというほどでもないが、後ろめたさを憶えるようなことでもないはずだ。
「退屈な、長話になりますわよ」
それに、あのウルトリィの妹になら――。そんな期待もあった。
「いいのっ!?」
カミュは笑み崩れ、赤らむ眼差しを、こちらに向ける。
カルラは杯を軽く干して、カミュの目を丸くさせると、眼差しを伏せて、語りはじめた。
560 :
3/8:2007/04/12(木) 07:47:13 ID:ewiIwJYj0
二人が出会ったのは、今のカミュやアルルゥよりも、もっと年若いとき。
かたや、オンカミヤムカイの皇女として。かたや、ラルマニオヌの皇女として。
あちらの方から親交を求めてきた使者だったが、強さが至上のギリヤギナの対極に位置する、
平和主義の調停者とあって、出会う前から臆病者呼ばわり。
國全体がそうだったのだから、自然、カルラも同じに染まった。
ほとんど同い年だという、巫(カムナギ)見習いの白い羽根の少女が、いかにもひ弱に見えたのも、それを助長した。
元よりそういう侮蔑の目で見ていたのだから、仲良くなどなれるはずもない。
からかってやろうと軽い立ち会いを申し込んでも、やんわりと、だが強い芯を見せたまま拒絶するのも、また忌々しい。
今にして思えば、彼女の羽根や美しさに、嫉妬していた部分があったかもしれないが。
こういった国勢ではまともに国交が結べようはずもなく、
まったく成果を上げられぬまま、オンカミヤムカイの使者は、國へと帰った。
國の者の大部分は、それきり彼女らのことを忘れたが、不思議とカルラの心には、その白い印象が強く残った。
それからすぐに、國は滅びた。
――少しばかり、理不尽さを感じたのも事実だ。
父は死に、全てのギリヤギナは追い立てられ、残された希望は未だ幼いデリホウライ。
彼を逃がすために、國のものは全ての力を尽くし、犠牲となった。当然、皇女たる自分も含めて。
幾人もの追っ手を屠った末に、捕らえられ、鎖で繋がれ、剣奴となった。
もちろん、そうなったのは自分だけではないが、身分の凋落という意味では、自分が一番大きかっただろう。
ましてや、女だ。
その憂さを晴らすのには、戦って、相手を殺して生き延びることくらいしかなかった。
例えその相手が同胞だとしても、それでも血が沸き立つのが、ギリヤギナという種族だ。
それゆえに、滅びたというのに。
そんなことを考える余裕が出来ると、時に、赤い血だまりの中に、白い羽根が鮮烈に思い浮かぶ。
自分たちは間違っていたのだろうか。
空しさと疑問を憶えながらも、カルラは勝利を重ね続け、いつしか闘覇者に君臨していた。
それが偽りの地位であることは、彼女と彼女が倒してきた、同胞の骸だけが知っていた。
561 :
4/8:2007/04/12(木) 07:48:16 ID:ewiIwJYj0
敵をなくしたら、次の舞台はいくさ場だ。
死組として鎖に繋がれ、幼い同族を人質とされ。
だが今度は相手に斟酌の欠片もなく、容赦なく満遍なく抉り刻んで屍を山と積むことができる。
そうしているうちに、感覚も良心も麻痺してくる。敵と見れば、物言わぬようになるまで斬りつける。
血の色に酔っているときだけが、現実という理性からカルラを解き放ち、紅の本能に酔いしれることが出来た。
白い羽根の幻想は、いつしか見なくなっていた。
代わりに、現実となって現れた。
とある小国との戦いで、見事に策略が当たり、敵を完全に包囲。
後は草のように、首を刈り取るだけ――という段階で、調停者が現れた。
「双方、軍を引きなさい! ウィツァルネミテアの名において、この戦はオンカミヤムカイが預かります!」
そう、堂々と宣言したのは、血と炎と闇が統べる戦場に似つかわしくない、白い羽根の集団。
一瞬、誰もが足を止め、戦場に静寂が訪れようとしていた、その時――。
変わらず、血飛沫が宙に舞い、月を汚した。
ざわめきが走る。うろたえた悲鳴が上がる。それを追って、黒い影が走る。
獰猛な猛獣そのものの動きで、逃げる背中を叩き伏せ、膂力で首をもぎ折る。
事のついでに剣を奪い、ゆらりと立ち上がって次の獲物を探すのは、まさしく、カルラだった。
「あなた――!?」
集団の後ろに控えていた、小柄な影が飛び込んだ。
見覚えのある顔に白い羽根。ふと、殺戮に酔っていたカルラの顔に、凄惨な皮肉げな笑みが戻る。
「あら、お久しぶりですこと」
「どういうつもりですかっ。すでに調停は為されました。もう、戦う必要など――」
「聞いてませんわ」
「――え?」
「そういう命令を受け取ってませんもの。『この集落の者を全て殲滅せよ』という命令を違えたら、人質が殺されてしまいますわ」
言いざま、拾った剣を無造作に投げ捨てた。勢いよく。
それはぼうと突っ立っていた男の胸を深く貫き、そのまま背後の木に縫いつけた。
562 :
5/8:2007/04/12(木) 08:08:33 ID:3M0gnO3B0
思わず振り向いたウルトリィの視界の逆側を、カルラはすり抜ける。
制止の声に耳を貸さず、わずかに残った敵兵を、一人、また一人と屠っていく。
その行為に煽られたように、他の者も動き始めた。勢い、戦意が場に満ちる。
敵も味方も、調停者たるオンカミヤリューの人々も。
区別なく戦場に巻き込まれ、血煙の中での戦闘を余儀なくされる。剣戟の中に、方術の炎が、風が混ざり込む。
悲鳴と恐怖と混乱が満ちるただ中に、ウルトリィは投げ込まれた。
カルラが何を目的としているのか、分からない。
殺し足りないのか、それとも自分たちを巻き込みたかったのか、あるいは、命令を盾に取った、反逆行為のつもりなのか。
あまりに唐突に戦闘に巻き込まれたため、恐怖さえ上滑る混乱に翻弄される。
幾度も練習を繰り返した、術さえ口に上らない。が――。
誰かの投げた槍が、巫の一人を貫いた。
敬愛していた人が倒れる様が、やたらゆっくりと目に写る。遅れて飛んできた血飛沫が、頬に生温く当たった。
一瞬の間。そして――。
光をはらんだ風が、巻起こった。
大地が割れる。
ウルトリィを中心とした石混じりの白い竜巻に、人々は慌てて身を伏せる。
烈風のただ中で、一人、彼女の正面に立ちふさがる影があった。
哄笑が吹きすさぶ轟音さえも切り裂いて、ウルトリィに届く。
「そう。そうでしょう? 口先だけで戦うななどと言っても、誰も止まらない。
憎しみに焦がれている者は、平和など望みはしない。
血煙に酔っている者は、殺戮を躊躇いなどしない。それがあるべき姿ですわ」
一際、強くなった風がカルラに叩きつけられた。だが、彼女はこゆるぎもしない。
「今の貴方は、とても素敵ですわよ。かつて出会ったときとは比べものにならないくらい」
胸の前に広げた掌で、鋭く爪が伸びる。かまいたちが細かく彼女を切り刻んで、凄惨な表情を作っていた。
「――さぁ、はじめましょう」
563 :
6/8:2007/04/12(木) 08:10:00 ID:3M0gnO3B0
そして――次にカルラが気がついたときには、朝の光が差していた。
「……?」
後頭部に柔らかいものが当たる。ぼやけた視界には、こぼれるような金色の光。
よくよく見れば、逆さまになった人の顔だ。それも船を漕いでいる。どうやらひざまくらされているらしい。
「……首、切っちゃいますわよ」
その一言で、だけどまだのんびりとぼやけた様子で、ゆっくりとウルトリィは目を開く。
「……あら?」
何とものんきな反応だ。とてもゆうべ、あれだけ暴れて自分を叩き伏せた相手だとは思えない。
最後の方の記憶はないが、状況的に考えて、自分は負けたのだろう。
「おはよう」
「おはようございます……?」
まだぼけている様子なので、横髪を掴んで軽く引いてやった。するとようやく頭がはっきりしてきたようで、
「あ、あの、痛いんですけど」
「痛くしてるんですわ」
「やめてもらえないでしょうか?」
「私は体中痛いんですもの、これでおあいこですわ」
身じろぎすれば、体のあちこちに痛みが走る。と、向こうも顔をしかめて、
「私も、結構痛いのですけど」
そういえば、足を掴んで、地面に二回ほど叩きつけた覚えがある。
体の頑丈な自分より、負傷の度合いは大きいかもしれない。
「なら、おあいこと言うことで」
髪を離してやった。そういうことなら情けを受けてもいられないと、ひざまくらからも頭を剥がす。
身を起こしてみれば、知らぬ間に場所を移されたのか、血臭も漂わない、さわやかな朝に囲まれている。
「……いい天気ですわね」
「そうですね」
昨日の喧嘩が嘘みたいに、なにげないやり取り。あれを喧嘩と言っていいものかは迷うが、やはり喧嘩だろう。
両方とも元気に生きて、こうして会話しているのだから。
わずかな風を感じながら黙っていると、何度かためらう気配を見せてから、今度は向こうから口を開いた。
「あの後すぐ、戦闘は終わり、調停と相成りました。
私達の中から怪我人はでましたが、幸い、命だけは取り留めましたし」
「貴方のあの勢いを見たら、誰も逆らおうという気にはなれなかったでしょうね」
「ええ。貴方だけ、でした」
564 :
7/8:2007/04/12(木) 08:11:01 ID:3M0gnO3B0
なぜ戦いを継続したのか。そんな質問を言外に感じる。
理由は色々ある。
殺し足りなかったから。彼女らを巻き込みたかったから。命令を盾に取った、反逆行為のつもりだったから。
だけど何よりも――。
「私はギリヤギナですわ。血と殺戮に酔いしれ、弱者を虐げ、戦いの中でしか生きられない一族。そしてそれゆえに、滅びた一族」
それは真実だ。
だからいっそ、その定めに従って、滅びるのもいいだろうと言う考えもよぎった。
「だけどその欲望はきっと、誰でも持っているものだということを、証明したかったのかも知れませんわね。
ねぇ、あなた――私と全力で戦ったとき、歓喜にも似た衝動が、わずかでもその体を走らなかったかしら?」
ウルトリィは押し黙る。それを肯定と、カルラは受け取った。
「私は楽しかったですわ。自らのうちに眠る力を解放し、本気でぶつけ合う。あれほどの喜びがこの世にあって?
それが本能だというのなら、戦いこそが、あるべき姿なのではないかしら」
「なればこそ、人はその気持ちを抑えなければならないのです。戦いの結果、傷つくのを避けることは出来ないのですから」
「その代償をどこまで引き替えにするか、それは個人の自由でなくて?」
「戦いの中に、喜びを見いだす必然はないでしょう?」
「人によっては、そういう選択もありだとは思いますわ」
あっさりと。ウルトリィが拍子抜けするほど簡単に肯定する。
戦場にはほど遠い今の空気も、カルラには心地良いものなのだ。
酒の中に、食の中に、歌の中に。様々な場所に喜びは溢れている。
だけど戦いの中にもまた、それは確かにあるのだ。
「またいつか、やりません?」
今度は何か、違うものが見えてくるかも知れない。
「……私は、結構です」
「あら、ふられちゃいましたわ」
軽く笑って、カルラは、立ち上がった。
「そろそろ戻りますわ。同胞が殺されたら困りますし」
「それは私達が、間に立ってなんとか――」
「結構ですわ。命の借りなんて作ったら、これから先、一生窮屈ですもの。ごめんこうむりますわ」
565 :
8/8:2007/04/12(木) 08:12:11 ID:3M0gnO3B0
苦笑が返ってきた。
これで当分会うこともないだろう。もしかしたら一生。
それもまたよしとは思うが、多少は名残を惜しむ気持ちがあったのか、こんな質問が口をついてでた。
「――そういえば、貴方。名前はなんといったかしら?」
今度は本当に噴き出す声が聞こえた。
「……それからまた、ナ・トゥンクに戻ってしばらくは、いくさ場を渡り歩いていたんですけれど、
遠征にでる途中で船は難破。あとは知っての通りですわ」
とっくの昔に酒が回って、寝入っているカミュの横顔に、語りつける。
聞き手もいないのに、わざわざ最後まで語るところを見ると、
たぶん、聞いて欲しいというより、語りたいという気持ちがあったのだろう。
最後の一杯を干しながら、穏やかな寝息を聞いていると、なぜだか微笑ましい心地になる。
ウルトリィとはあまり似てない顔立ちに、正反対の漆黒の羽根。
あのまま國が滅びずにあれば、同じ皇女としてのつき合いもあったかも知れない。
そう思うと、少しばかり不思議な星回りも感じる。
まるでたくさんの妹が出来たような気持ちに浸れるなど、この國につくまでは想像もしなかったことだ。
薄掛けを掛けてやりながら、そんな運命の変遷に、ひそかに笑みをこぼした。
――そう。想像もしなかったことが、現実には起こるものだ。
「お父様の元へは、誰も行かせない――」
同じ髪、同じ羽根。だけど違う、紅の瞳。
ムツミと呼ばれるそれに変わったカミュは、オンカミヤリューの始祖にふさわしい力を全身に漲らせている。
妹のような感情を抱いたこともある相手に、だが、カルラの胸は高鳴った。
ウルトリィに匹敵、あるいは凌駕する力の持ち主を相手取ることに、全身の血が沸き立つのを禁じ得ない。
ああ、自分はどこまで行ってもギリヤギナなのだなと、まさに実感する。
彼女はこの戦いの中で、一体、どんな真実を自分に見せてくれるのだろうか。
「――さぁ、はじめましょう」
剣風が、渦を巻いた。
>>558-565 以上です。
5と6の間が飛んでるみたいですけど、最初からこんな感じですのでw
では。
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の皆様、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 4 月 19 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>548 積み重ね(ToHeart)
>>551-554 無題(CLANNAD)
>>558-565 +A8936(うたわれるもの/カルラ)
では感想行きます。
いつもどおり主観100%で書くので、違うと思ったらスルー推奨。
>>548 積み重ね(ToHeart)
浩之の成績不振に関しては説得力があったと思う。
三回に分けてその工程を描いている構成が効いてるのかもね。これも積み重ね。
それに今回のテーマを一番生かした内容だと思うし。
ただ自分のような読者には楽しみどころがあまり無かった。
例えばこの物語をブラックジョークとして笑うことも出来なかったし。
或いは教訓のようなものとして読者を納得させたかったのかもしれないけど、俺はそういう感銘を受けたわけでもないし。
そもそも何が目的の物語なのか俺には分からない。
だから読んだ時の感情を素直に書くことぐらいしか俺には出来ないか。
つまり、
「話の筋道には納得できたけど、なんかモヤモヤするものが残った」ってところ。
オチの一言は結構印象に残ったので、それが目的なら成功かな?
>>551-554 無題(CLANNAD)
不快感の強い内容だった。
作者がそれを狙って書いたのだとすれば成功している。その点に関しては潔いとさえ言える。
原作と比較して不自然な点も多いけど、それはきっと意図して書いているんだろう。
でも俺が読んで面白いと思ったわけではないし。
ギャグのつもりで書いたのなら、笑えた部分は全く無かった。
正直それ以外の感想は書きようが無い。
どこかを直すような内容じゃないだろうし。
>>558-565 +A8936(うたわれるもの/カルラ)
今回どれか一つを選べと言われたらこのSSになるかな。でもそれは消去法でしかないけど。
このSSは「面白い」と言わせるには、いろいろな部分が少し薄いように感じた。
特に読んでて「説明」されてると感じた部分が多かったのが、読者としては気になる点。
あと戦闘シーンに爽快感をあまり感じない。
このシーンを書くに当たって、作者としてはカルラというかギリヤギナの本性みたいなものを書きたかったのだろうか。
だから戦闘というよりは殺戮シーンなのか。
でも殺戮シーンとしての迫力も感じない。ウルト側に死人は出てないし。
まあ、死人が出てたらウルトと和解するのは難しくなるか。
その辺を作者がどう考えたのかは俺の無粋な想像でしかないけど。
とにかく娯楽要素が薄い戦闘シーンが読者の目にどう映るかは一度考えてみて欲しい。
読んで楽しかったのはむしろ序盤かな。カルラとカミュが話してるあたり。
一番の長所は物語に不自然さを感じさせなかったこと。
オリジナル要素が多いのに、その辺がよく出来てると思った。
ラストも含めて話の筋が通ってる。
以上。
消防レベルの書き手が約一名混じっているようです。
「一番乗りgetズザー ←プギャー」につきあっさり。推薦も弱目。
>>548 積み重ね(ToHeart)
なんだか寓話のような。胸{耳}が痛い……。
テーマとの関連といい、元作品の選択といい、構想の勝利です。
見所がオチのみなので、素直な作りの割に意外と人を選ぶかも。
安心できる筆力の下支えもあり、わたしは小品なりに楽しめました。
>>551-554 無題(CLANNAD)
荒み一辺倒で単調ながら、飽きが来る前に終わらせてあるのは+。
中身が無いのに濃い味、たまに読みたいジャンクフードタイプ。
元作品に没入しない質なので、個人的にはこの手もいけますが、
そうは感じない人もいるのではないかなーと、ちょっと心配。
>>558-565 +A8936(うたわれるもの/カルラ)
色々な意味で「これぞ正統派」な作品が来ました。
描かれざる可能性の挿話って王道ですね。しかも上手いの。
きれいではありますが上品さが上滑りしているきらいがあり、
題材・分量の割にインパクトが小さく思えました。
どちらかと言うと、キャラに思い入れのある人向け?
小ネタ風味ながらメタ的(?)に鮮やかな、
>>548に小さな星を。
結局長くなったと思いつつ、それでは。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>567 となっています。
感想期間は明日の午前 8:00 までとなっていますので、
まだの方はお早めにお願いいたします。
まだ行けるのか無味感想。
>積み重ね
短いながらも、いやいや短いからこそ印象に残るSS。
これは構成勝ちやね。
あと狼少年を思い出した。
>無題
持論だが、SSは自分の身銭を削ってできた子供のよーなものだと思っている。
その子供が名無しってのは少し不憫に感じるんで、感じている感情に任せてもいいから名前を付けてやって欲しい。
とかなんとか。
>闘争の中で見えるもの
抜群の安定性を誇って安心して読めるSS。
作品「らしさ」キャラ「らしさ」が全く損なわれておらず、テーマも上手く組み込んでいる。
ラストで本編にリンクさせている構成もお見事。
>司会の中の人
「闘争の中で見えるもの」が「+A8936」になってるぞw
【告知】
ただいまをもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手の皆さん、感想をつけてくださった読み手の皆さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもお疲れ様でした。
引き続きこのスレでは、今回の運営への意見、書き手の挨拶、
次々回のテーマの決定などを行いたいと思います。
追加の感想など、上記のもの以外にも何かありましたら、どんどん書きこんでください。
※次回のテーマは『幼なじみ』に決定しており、開催時期は 5 月上旬からになる予定です。
※今回決めるのは次々回のテーマです。お間違いのないように。
今回は投票数が少なかったので、最優秀作品は該当なしということにしたいと思います。
未来のSS作家さんのためにぜひ感想・投票を!
なお、現在積み残しのテーマは下記のようになっております。
またテーマ選定の際にご活用下さい。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、 10年後、
おもいで、冷、解放、運命、 刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
>>573 指摘頂くまで全く気づきませんでした。
最近ミスばかりですね…。◆cHCQpeVelk氏、感想人の皆さんを含め、
多大な迷惑をかけてしまい申し訳ありません。
そろそろ詰み残しテーマはいらないような気がする
別にあってもええやん
カソクするカソ!
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
次々回のテーマの決定などを行っています。
「感想期間に間に合わなくて(´・ω・`)ショボーン」という方も、感想を書き込んで
もらっても構いません。
次回のテーマは『幼なじみ』に決定しており、開催時期は 4 月 26 日 8:00 からで予定しています。
感想返しが無くてしょんぼり
次々回は5月末開始で初夏だから、「梅雨」とかどう?
ああ、一月ずれるのか。
GWを推薦しようかと思ったけど時期外れになっちゃうな。
こんばんは。何かとせちがらい世の中で。遅ればせながら感想返しなど。
闘争の中で見えるものの作者です。うわぁタイトルだせぇと自己嫌悪してしまいますが、
今回最後の最後でぎりぎりまで一番時間を食って悩みまくったのがこのタイトルでした。
ウルトとカルラはどうも本編の会話からガチバトルしたことがあったような雰囲気だったので、
今回「本気」がテーマなので、そこらを掘り下げてみようと試みたはいいですが、
>>569氏が言うように、ウルト側で死者を出すとどうも和解しづらいんですわ。
あと、カルラの打撃力が高すぎて、ウルトが一撃喰らったら死んでしまいそうでw
結局、過去のなれそめをパズルするのが目的になっていて、
戦闘シーンは本来大好きなはずなのに、なんか今回はあんま書かないで終わってしまったです。
不自然さを感じなかったというのなら、そのパズルが上手くいったのでしょう。
その分説明ぽく娯楽性に欠けるという欠点も出てるわけですが。
あー、うん。カミュとカルラの会話はいいですね。自分でなんですが。こっそり暗いネタを仕込んだりするのも楽しかったです。
>>571氏の言う綺麗なのは何だろうな。なんかうたわれSSとか、特定の雰囲気を書くときは、この文体になってしまいがち。
うーん……癖? もっとカルラの一人称に特化してもよかったんだけど。その方ががちっと出来たかなぁ。
迫力とか、殺戮とか、バイオレンスとか、感情移入とか。
完璧に補完型のSSなのでキャラに思い入れがある方がよいとは思いますが、俺個人はこの二人の萌えランク低めだったりw
カミュかわいいよカミュ。
>>573氏の言う「らしさ」はどうしてもこだわり抜いてしまうところかも知れない。
いや、二次創作作家として真っ当な方向性として、それはそれでいいんだろうけど。
ラストのとこは、入れようかどうしようかちょっと悩みましたわ。蛇足な気もするし、あった方がいい気もするし。
でもよく考えたら、冒頭の会話でカミュに振ってるんだから、なくてはダメだと。
しかしこの後下手にカルラがムツミ=カミュの腕とか吹っ飛ばしたらウルトはどうするんだろうなと考えたりも。
カルラ打撃力高すぎ。
以上です。ではまたいずれ。
レス返しお疲れ〜
こういう感想返し見る度にみんな色々考えて書いてるなーって感心する。
【告知】
第六十一回投稿テーマ:『幼なじみ』
投稿期間: 4 月 26 日の午前 8:00 から 5 月 10 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
今回「幼なじみ」の次のテーマは、推薦のありました「梅雨」に
したいと思います。
開催時期は 6 月初旬を予定していますので、「二週間じゃ書けない」
「幼なじみでネタが思いつかない」という方は、こちらのテーマで
ネタを考えてみてください。
試験的な意味でも久々に「なんでもあり」をやってみるべきかな。
でも、あのテーマって思ったほど作品集まらないんだよな。
過去を振り返る限りは。
本当は作家の書きやすさとかを心配するよりも、
読みたい読者が確実に居るようなテーマの方がいいのかもしれないな。
しまった。時間切れか。
コメントは無視してくださいorz
梅雨って、昔やった雨と被っている上にさらに狭い(´Д`,,)
金曜日の惨劇が繰り返されないか?
【告知】
締め切りまであと一週間となりました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『幼なじみ』で、締め切りは 5 月 10 日の午前 8:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください!
>>586 いえいえ、こちらこそ中途半端な時期に告知して申し訳ないです。
折角なので「なんでもあり」を積み残しテーマに追加させて頂きますね。
>>588 その辺りの判断は難しい所ですね…。
【告知】
いよいよ明後日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『幼なじみ』で、締め切りは 5 月 10 日の午前 8:00 です。
【告知】
明日木曜日が締め切りとなっています。
ここが踏ん張りどころです。皆さん頑張りましょう!
今回のテーマは『幼なじみ』で、締め切りは 5 月 10 日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
【告知】
ただ今を持ちまして投稿期間を終了させていただきます。
今回の投稿作品は 0 件でした。
投稿作品がなかったので、このまま総括期間に移らせていただきます。
総括期間は 5 月 17 日までと考えています。
運営への意見や次々回のテーマを募集していますので、何かありましたら
どんどん書き込んでください。
また、次回のテーマは「梅雨」で予定していますが、それにつきましても
意見がありましたら書き込んでください。
積み残しのテーマは以下の通りとなっておりますので、テーマ選定の際に
ご参考下さい。
ツインテール、クロスオーバー、過去のお題、 10年後、何でもあり
おもいで、冷、解放、運命、 刹那、夕立、雷、夏の夜、晩夏
幼なじみですら0なのに梅雨はねーか…。
ただ、ゲームってキャラ設定がかっちり決まってるから、
幼なじみではないキャラを捨てるようなもんだし、意外と難しかったのかも。
そういうことじゃなくて、ね。
ぶっちゃけこのスレでSS書いても、報われないから。
単なるGJじゃなくてまともな感想が2〜3返ってくる所は有意義だと評価。
だが視点を変えるとそれぐらいしか反応がないと考える事も可能。
なんかしてもらいたいためにSS書いてるのかよw 基準がさもしいな
598 :
名無しさんだよもん:2007/05/12(土) 19:03:45 ID:ckoJKlK60
その時、私はテレビで一人の男の人が演説をしているのを見ました。
その近くで父と母は荷物の整理をしています。
私が訪ねると母は「もうすぐ戦争がはじまりのよ」といいました。
私たちは、荷物を手に宇宙ドックに向かいました。地球に避難をするためです。
その時、一人の軍人さんが「来るな!」といいながら私たちを制止させました。
・・と同時に口から大量の血を吹き倒れます。
父が急いで、母と私にハンカチを手渡して言います。
「だめだ!空気を吸うんじゃない!・・走ろう、シェルターに避難するんだ!」
私は父と母に手を引かれ、走りました。
途中、空を見上げるとコロニーの窓から、人の形をした物が見えた気がしました。
シェルターに逃げ込むと父は母になにかを言っていました。母は顔を青くしたまま何も言えませんでした。
やがて、父が、そして母が、あの軍人さんと同じように血を吐いて倒れました。
私はどうする事もできずに、それを見ていました。
・・しばらくするとコロニー内に爆音のような物が響きました。
すべての物が・・父と母が・・そして私が、流されるように壁に叩きつけられます。
その時、私は感じました。地面がコロニー全体が何かに引き付けられるように移動して行くのを。
壁に押し付けられたまま、私は父と母と手をつなぎました。
その時、偶然にスイッチが入ってしまったラジオから、悪魔の囁きのように「ジークジオン!ジークジオン!」の声が響きます。
「父さん・・母さん・・」涙が頬を伝わります。気がつけば私も、口から血を吐いていました。
その時、大きな爆音と共に私の体は吹き飛び、火に焼かれました。
私は、父は、母は地球に帰る事ができるのかしら・・。今は、もう何も解りません。
599 :
名無しさんだよもん:2007/05/15(火) 23:21:35 ID:d6prDmzN0
東方こんぺとか盛り上がってるな。
羨ましい・・・
下げ忘れた。
サマソッ
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは総括期間に入っており、今回の運営への意見、
次回テーマの是非、次々回のテーマの決定などを行っています。
○○なら書ける、梅雨で執筆を始めてる、次々回は○○がいい。
何でも良いので、ご意見の程、よろしくお願いします。
なお、総括期間は明日 5 月 17 日の 8:00 までで予定しています。
悲壮感漂ってるなー
次回は梅雨、その次はなんでもありでいいんじゃないかね。
まあそんなとこが無難だろ。
【告知】
第六十二回投稿テーマ:『梅雨』
投稿期間: 5 月 17 日の午前 8:00 から 5 月 31 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
>>602-603 ご意見ありがとうございます。
このまま反応がなければどうしようかと冷や汗ものでしたw
次々回は「何でもあり」にさせて頂こうと思っていますので、
梅雨が難しい方はこちらのテーマでお願いします。
創作は自慰だ!sage
【告知】
締め切りまであと一週間を切りました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『梅雨』で、締め切りは 5 月 31 日の午前 8:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください!
【告知】
いよいよ明後日が締め切りとなりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『梅雨』で、締め切りは 5 月 31 日の午前 8:00 です。
また、次回のテーマは『なんでもあり』で、開催時期は 6 月中旬になる予定です。
「あと二日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
【告知】
明日木曜日が締め切りとなっています。
ここが踏ん張りどころです。皆さん頑張りましょう!
今回のテーマは『梅雨』で、締め切りは 5 月 31 日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
【告知】
ただ今を持ちまして投稿期間を終了させていただきます。
今回の投稿作品は 0 件でした。
投稿作品がなかったので、このまま総括期間に移らせていただきます。
総括期間は 6 月 7 日までと考えています。
二回連続で投稿がなかったコンペスレの是非を含めて、皆さんご意見の程、
宜しくお願いします。
ごめん、とだけ。色々…。
もう立て直しは無理じゃね?
司会的にどうよ?
俺が立て直して見せるさ。
ご意見色々ありがとうございます。
これまで代々続いてきたコンペスレをここで終わらせてしまうのは心苦しく、
かと言って需要も供給もない状況をどうすれば打破できるのかわからず、
途方にくれているのが現状です。
とりあえず次回のテーマは決定しているので、明日8時より「なんでもあり」
で募集を開始し、その結果を持って今後の方針を決めようと思っています。
もし他にご意見・感想・提案がありましたら、是非書き込んで下さい。
【告知】
第六十三回投稿テーマ:『なんでもあり』
投稿期間: 6 月 7 日の午前 8:00 から 6 月 21 日の午前 8:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
一つ、確認したいんだが、ここでいう「なんでもあり」ってのは、
どんなテーマでもいい、という意味なのか?
それとも、「なんでもあり」というテーマに沿って書け、ということなのか?
例:「春原、ヴァーリ・トゥードに挑戦する」
→なんでもありの格闘技に挑戦する春原。
指定した人の意図を見る限り、自由に書いてくれという風に見えるけど。
まあ好きなもの書けばいいんだと思うよ。
それで間違いってことはないでしょ。
これから投稿します。
・CLANNAD
・芳野祐介、古河夫妻、ジョニーさん
タイトル:「死なないで、汐ちゃん」
「もう二度と私たちの目の前に現れないでください。これが約束のお金、最後のお金
です。これで、貴方と私たちは無関係。おね、お願いします」
「うるせえ、さっさと金よこしなこのグズ!」
芳野祐介は、かつての妻の手から札束のつまった封筒を引ったくり、べっ、と地面に
つばを吐いた。いがらっぽく、すっぱい唾、いや、痰だった。
バタン、と目の前で、かつて自分も住んでいたことがあった幸せな家の扉が閉まると、
芳野祐介はくるりと踵を返し、夜の街へと向かった。
再開発が始まってから4年、芳野祐介が仕事を辞めてから半年。
ジョニーは半年前に死に、祐介は仕事をやめた。ジョニーのいない職場、ジョニーの
いない人生など真面目に送るに値しなかったからだ。
ヘロインにも再びを手を伸ばし、より刺激の強いクスリにも手を出した。公子に乱暴を
振るい、風子(処女)も無理やり犯した。口止めの為に暴力も振るったし、金もゆすれる
だけゆすった。その金で朝から酒を飲み、夜は女を買った。
しかし、そんな暮らしにも飽きてしまった。そう、どんな暮らしをしようとも、そこにはジョニーは
いなかった。ジョニーはもはやいなかったのだ。
酒も、女も、ギャンブルも、すべてむなしかった。心に残る何かを与えてはくれなかったのだ。
無論、公子なんかには何も期待できなかった。祐介にとって、彼女は確かに大切であった。
ジョニーと付き合い始めるまでは。しかし、ジョニーと初めて結ばれたあの夜以来、公子は
単なる性欲処理係&クッキングマシーンでしかなかった。
(ふんっ、きっちり100万かよ…クソマンコらしいぜ)
そんな公子から渡されたばかりの手切れ金を数え終え、祐介は誰もいないファミレス
を出た。初夏の生ぬるい風が祐介のギトギトの髪(洗髪したのは四日前)をドロリとなでた。
これからどうするか。どのように生きていくのか。彼にはまったく想像がつかなかった。
(100万じゃ、せいぜい半年くらいでオワっちまうな…)
食い扶持は自分で稼がなければなくなった。公子にたかっていたお陰で、自分の貯金
はそれなりに残っていたが、それを加味しても、半年くらいで手持ちの金は尽きてしまう。
はぁ、とため息をつきながら、祐介は住宅街のコンクリの塀に手をついた。すると、
ぷ〜ん、と香ばしい香りが彼の鼻腔を刺激した。そう、これはパンの香り、カルボニル酸だ(Yamaoka, 1992)。
祐介はうつむいていた顔を上げ、目の前にある店の看板に目をやった。
古 河 パ ン
(はっ、なんだ、こんなところまで来ちまったのか)
ファミレスを出てから、まるで夢遊病患者のように街を彷徨った祐介は、かつての後
輩、岡崎朋也の妻の実家の前にたどり着いていた。
(パン屋ねぇ…パン屋にヤニがあるわきゃねえよな…)
ヤニが切れきた時に起きる頭痛が少しずつ始まってきた。ショートホープをファミレスで
買わなかったことを祐介は後悔した。
すると。
「っだらああああぁっっ!!がねがぁざんがおらあああああっっ!!」
と、スジモノ特有の怒鳴り声が古河パンの扉越しに聞こえてきた。
“?!”
祐介はショーウィンドウにへばりつき、ちょっくら見物をすることにした…。ニヤけた口元から、
ファミレスで食べたイチゴサンデーの名残の、白いミルクの混じった白濁した涎を垂らしながら。
……。
…。
ゴドッッ!ボロボロボトボト…。
ヤクザの不恰好な蹴りが早苗のパンが山盛りになった棚をなぎ倒し、「お相撲さんのおっパイ」(甜面醤アボカド味)は
地面に散らばった。
「くっ……」
ただの客がそんなことをしたら一発でブチのめしたであろう秋生も、相手がヤクザではただ、
歯を食いしばって耐えるしかなかった。どんなに無頼を決めてみても、秋生は単なる一般人でしかなかったのだ。
「金ぇ、どうするんじゃい」
二人組みのヤクザ―闇金の取立て屋―のうちのアニキ分が、菓子パンを灰皿代わりにしながら秋生に問うた。
「あと、一ヶ月…!…一ヶ月待ってくれ!頼む!」
「じゃかあしゃああっっ!!」
バコッ、と灰皿パンが秋生の胸に叩きつけられた。ヒャハハハハ、と、二人組みの弟分が下品にあざ笑った。
「とんだ甘ったれじゃ、おめえはよ!今日返すって約束、ルール、そういったもんを本気に、真剣に考えんかった
おめえはとんだロクデナシじゃ!おらっっ!なんでもいいから金!FUCK YOU、ブチ殺すぞ?お?」
“?!”
と、怒鳴りながらも兄貴分は、作業場の入り口で緊張に身を硬くしているだけの早苗にいやらしい視線を降り注いでいた。
「そう、なんでもいいから金をかえせってんじゃ…奥さんに返してもらってもええんやぞ、ワシ個人的にはなぁ」
「ふ、ふざけるな!」
秋生は絶望していた。ヤクザのあまりにも現実的な提案に。そして、それに魅力を感じてしまっている自分の下劣さに。
「ウチんとこはリースだけやのうて“店”もやっとるんじゃ、奥さんは器量よしだし、カラダもでるとこでてるようやし
100万なんてあっというまじゃきの」
キャハハハハハハハハハハハハハハ!!と、弟分がまた嘲笑した。
「アニキィ、俺が一番最初にチンコいれていいっすか?あの店なら60Kでしょ?」
「ドあほ、一番最初に味見するのはこのワシじゃあ。なぁに、外見はよくても、クサマンちゅうのはよくあることじゃ、
ハハ、ワシはそんな役回りじゃ(笑」
と、下劣な冗談をはきながら、ヤクザは、目の前にいる美人の人妻を後背位で犯し、
(この尻は誰のものだ?この白い尻は誰のものだ?)
(貴方のよ、貴方のものよ)
と、いうやり取りを交わす未来を夢想した。
そう、借金のカタに、早苗にソープか、デリヘルか、それかもっとアングラのルートで、とにかく売春をさせる
という提案である。熟女系の女の需要はいつでもあるのだ。いつの時代、いつの場所にも。
「……」
早苗は黙っていた。屈辱と怒りに身を震わせながら。しかし、ほかにどのような返済手段があるというのか?
無論、相手はヤクザだ。カラダを売って金を返して、ほなさいなら、で済むはずがない。それからも脅されたり
たかられたりするだろう。しかし、しかし。秋生はギャンブルのための金を闇金に借りたのだ。法律的には、
秋生を守るものはもはやなにもない。兎にも角にも、金を作って返す、ヤクザを信じて返すしかないのだ。
芳野祐介は知っていた。再開発の前後、ヤクザがこの街に進出してきたことを。そして、
ヤクザというものの汚いヤリ口もしっていた。ミュージシャンだったころ、事務所の利権に
絡もうとしてきたヤクザはゴマンといたからだ。
公子や風子に暴力を振るい、犯しぬいていた自分のことを棚にあげながらも、芳野祐介は
怒りを禁じえなかった。かつての自分の後輩の義理の両親を脅し、金を搾り取ろうとするヤクザどもに。
また、芳野祐介はイラついていた。ヤニが切れた時の頭痛は、見物している最中にもますます激しくなり、
もはや耐え難いものとなっていたのだ。この鬱憤、この痛みをどこかにぶつけずにはおれない祐介は、
ある決意を以って店のドアを開いた。
カラン、カラン。
「なんじゃあ、お客さんかいの。毎日こうだとええのう、うぇーっはっはっはっは」
皮肉たっぷりに兄貴分は笑った。が、その下品な笑いもすぐに止まった。目の前に立ちはだかる
芳野祐介の目を見た瞬間。無論、職業柄ジャンキーなど見慣れている水瀬ではあった。しかし、
目の前にいる青年、芳野祐介の目はただのジャンキーのものではなかった。
しいていうなれば…それは恋する男の目であった。
「くぁwせdrfgtyふじこlp;@」
声にならない声で祐介を威嚇する弟分。しかし、まさに、そんな声は祐介の耳には届いていなかった。
彼の耳にはただ、ジョニーの歌声が鳴り響いていたのだ:
『そうYO!やっちゃいなYO、ユウちゃん!そいつらは人間のカスね!ボクらが額にギトギト汗して
電設のオシゴトしてるときにも、ハップン!マージャンとか女レイプしてるBASTARDたちNE!
キンダーファッカーマフィアNE!』
(BGM:FF2の反乱軍のテーマ)
祐介を無理やり押しのけようとする弟分。祐介の喉から漏れる怨嗟の唸り。彼はもはや、古河パンには“いなかった”。
そう、芳野祐介はジョニーと最後の晩餐を過ごしたあのファミレスにいたのだ。
ジョニーが些細な喧嘩の末にヤクザに刺されて死んだ、あの「『ヨナタン』西町店」に!!
“?!”
くわっ!と祐介の目は見開かれ、彼の手は傍にあったパン掴みを取った。一切の無駄のない動きで。
そして、そのパン掴みの両の先端は、あっというまに弟分の両の目玉に突き刺さり、まるで甘栗でも噛み
砕くかのようにほっこりとした動きで汚らしい目玉二つをくり貫いていた。
まるで、ショーウィンドウに並んでいるイチゴケーキのイチゴのように、鮮血で真っ赤に染まった眼球を。
「〜「う〜〜〜〜ッッッ!!」
おっっ」
「な…!!」
ジャバッ!
弟分の絶叫、兄貴分のうめき、秋生の驚愕、そして早苗の失禁する音・あるいは空洞になった眼窩から
迸る鮮血の音が重なった。そんな音の重なりの中、祐介は次の作業に入っていた。よどみのない動きで。
懐に手を差し込んで。
「ちょ、う、嘘だろ、ま、まて」
ジタバタと地面―早苗のパンが転がっている店の床の上―でのた打ち回る弟分を見捨てて逃げる気満々の
兄貴分は、試しに、ほんの試しに、祐介を制止の声をかけた。しかし、それは空しい行為であった。無表情を装いつつ、
本当は頭痛と怒りで割れそうな頭を抱えた祐介が振り上げる、ジョニーの形見の大型スパナの前では。
フォンッ、ドボォッッ!!
唐竹割の要領で、スパナは兄貴分の額に縦に食い込み、肉を裂き頭蓋を割った。しかも、何度も、何度も。
ガードをしようとした両腕を弾き飛ばし、ジョニーのスパナはヤクザの顔を蹂躙した。まるで、兄貴分こそが、
自分の持ち主―それはジョニーであり祐介である―の魂を奪ったヤクザであるかのように。
……。
…。
10分後。二人のヤクザ、年配の水瀬と若造の住井は死んでいた。兄貴分は脳漿を床にぶちまけ、
弟分は両目をくり貫かれた上に首の骨を蹴り折られて死んでいた。
古河夫妻は、なにをするでもなく、ただ、目の前の惨劇をみていることしかできなかった。まさか、
こんなことが起きるとは思わなかったのである。こんな事態に対処するすべなど知らなかったのである。
無論、汚い大人の打算―二人組みが死んでくれれば借金のほうも何とかなるかもしれない―
あまりにも浅薄な打算も、彼らの動きを止めていた、ということはいうまでもない。いずれにせよ、二人は、
警察に通報することすらできずに、作業場の奥でただただ、祐介の凶行を傍観することしかできなかった。
あるいは、自分たちにとっての救い主かもしれない、芳野祐介の殺戮行為を。
「はぁ〜あ、喉が渇いたな…」
当の芳野祐介は、なにも感じていなかった。怒りも、うらみも、ヤニ切れの頭痛も。古河夫妻に目撃されて
しまったという危機感も、人殺しをしてしまったという恐怖すらなかった。喉の渇きは別として。否、もう一つだけ、
そう、もう一つだけ、芳野祐介は強烈に感じていた。それは、ジョニーの為に戦えた、という誇り、満足感だ。
『ユウちゃんはSUGOIYO!GOISUUネ!』
(そんな…照れるぜ…)
祐介はほにゃっとした、幸せな笑みを浮かべながら鼻の上をコリコリと掻いた。ジョニーと楽しくおしゃべりする時の
癖であった。無論、今現在は脳内のジョニーとおしゃべり中であるが。
『ボク、そんなカッコEユウちゃんの為に歌うたっちゃうNE?あぁ、これはMARINESで覚えた歌じゃなくて、
ずいぶん昔にサンデージャポンで流行った歌だYO?ドゥーユーノウ・だんご大家族?ファミリー、OK、メーン?』
だんご大家族、という歌が流行っていたという記憶は祐介にもあった。たしか、だんごたちは皆で集まって家族を作りたい、
世界中に愛があればだんごたちはユナイトされる、と謳いあげる、ファミリアで全体主義的名な歌だった。
(それはうれしいな。この俺とそこに転がる哀れな下僕どもの魂の為に、一つ、歌ってくれよジョニー)
祐介はかつてのキザったらしい台詞回しを取り戻せたことを自覚した。ああ!なんという奇跡か…!
憎しみの果てにある殺戮の向こう側にはこれほどの幸せが、失ってしまったかつての幸福が待っていたのか!
芳野はそう、妄想した。ついでに勃起も。ビキチーン。超力招来坦々麺を食べてもいないのに、ビキチーン。
『だんごっ、だんごっ、だんごっ、だんごっ、どわんごっ、だんごっ、だんごっ』
脳内に鳴り響くジョニーの歌をBGMに、祐介はヒラリとカウンターの上に舞い上がり、昔、プロミュージシャンで
あったころに得意としていたステップを華麗に披露した。シャウッッ♪(=Shout!)
しかし、そんな二人だけのギグをジャマする存在が突如、現れた。二人も。秋生と早苗は若干正気と良識を取り戻し、
警察に通報しようとしていたのだ。
「ひゃ、ひゃくとうばん…!って、おい、早苗、『110』って押しても繋がらないぞ!」
「それは電卓ですよ、秋生さん。でも、ほんとうにおかしいですねえ…。繋がりませんねえ…」
古河夫妻は、夫は電卓をいじり、妻は電子レンジのボタンをポチポチやり、夫婦漫才に興じていた。
前言撤回、二人は正気は取り戻していなかったようだ。
『ヤっちゃいなYO!そいつらもカスYO!女のほうは金の為にカラダとプライドを売ろうとしたマンカスBITCH、
男のほうは女を売って楽をしようとしたファザーファッカーNE!ウチダシュンギークゥもプンプンよ!』
そんな二人を眺めていた祐介の脳内に、ジョニちゃんの歌声が鳴り響いた。その支離滅裂な内容も、
祐介にとっては神聖なるコマンドであり、迷うことなど何もなかった。雛ちゃんの歌声よりも朗らかで清らかな
ジョニーの命令を疑うことなど、どうしてできようか?狂人と化した芳野祐介に!
ビュビュッゴキッッ!
ありったけの力と狙いを込めた投擲により、ジョニーのスパナは背を向けていた秋生の頚骨を折った。
秋生は即死した。電卓を胸に抱えるようにして、前のめりにドウっと倒れこんだ。
「きゃ(サクッ
と、悲鳴を挙げる間もなく、早苗の後頭部には祐介が数日前、あいかわらずプーの春原陽平から
巻き上げたナイフが突き立った。早苗はズルズルと、電子レンジに寄りかかるようによろめき、
次の瞬間ぐにゃっと床に崩れ落ちた。仕置きは完了したのだ。祐介は、自分が藤田まこと演じる
中村主水になったような気がした。ちょっとだけ。すごぉくいい気分になった。かなり。
『だんごっ、だんごっ、だんごっ、だんごっ、だんごっ』
スパナを拾い、早苗の頭に生えたナイフを抜こうとした時、ジョニちゃんの歌声が再び、朗らかに、
高らかに鳴り響いた。
(そうだな、だんご大家族の再会…その感動をこの胸に…)
祐介は早苗の後頭部からナイフを乱暴に抜き取り、返す刀で早苗の眼窩につきたてた。
……。
…。
「お母さんのお母さんに会うのは久しぶりだね」
「うん、くししっ」
渚と汐は、久しぶりに実家に戻ってきた。ここ最近は朋也の仕事も忙しく、また、直幸の裁判(詐欺容疑)
などの日程が重なりロクに実家に帰れなかったのだ。
(お父さんたち、大丈夫でしょうか…)
渚のスカートの裾を握り締めながらはしゃぐ汐を尻目に、渚の心は沈んでいた。経営不振の実家のことが
気にならないはずはなかった。優しく、両親思いの渚であればなおさら。
古河パンの店が見えてきた時、渚と汐は、本来ならとっくに閉店してるはずの店から男が
よろめきよろめきでてくるのを夜目にみつけた。そして、その男が小さなビニール袋を片手に、
こちらへと向かってくることにも気がついた。
(お客さんでしょうか?ふふっ、もしかしたらお母さんのパンを押し付けられただけだったりして…)
渚は久しぶりに微笑んだような気がした。そして、自分の知り合いとそっくりだが、どこかまったく
似ていない男とすれ違う頃には、自分の好きな歌をなにげなしに口ずさんでいた。
「だんごっ、だんごっ、だんごっ」
汐もお気に入りの懐かしの歌。ジョニーも祐介も大好きな歌。
だから、祐介はくるりと振り返り、背中を向けて、古河パンの中に入ろうとしてる親子に、白刃を街頭の光に
青くきらめかせながら、踊りかかった。
『だんごっ、だんごっ、だんごっ』
祐介の片手のビニール袋の中のだんご大家族に、四人の家族が増えたのはそれからわずか20分後のことであった。
この夜、伝説の犯罪者・芳野祐介の偉大なるHeldensagenが開幕した、と後世の銀河帝国の歴史家マイネッケは伝えている
(H.マイネッケ著、MingMeih-Verlag刊『地球世紀時代における凶悪犯罪者〜アジア編〜第二巻』(銀河帝国暦56年)参照)。
終わり
申し訳ない、
>>623と624の間に以下の文章を追加です:
秋生のバクチの借金だけではない。古河パンの経営は行き詰っていた。金策は万策つき、
売り上げも一年前からどんどんと低下の一途を辿っていた。義理の息子や娘からの支援もたかが知れている。
だから、別口の闇金にも手を出している。
近所の人々は冷たかった。一見、秋生たちに愛想良くしていたが、古河夫婦がもはや落ち目であると知るや否や、
ひたすら無視、無関心の態度をとった。これが、この街の人情の実態であった。
そんなドン詰まりの日々を終えるには、ここ一度だけ、わかって死ぬしかない、と考えないでもない早苗だった。
「ひ、一晩だけ、いいえ、数時間だけ、待ってくれませんか…。二人だけで、考えたいんです…」
「早苗ぇっっ!!」
秋生は天井を見上げながら絶叫するしかなく、古河早苗はうつむきながら、ヤクザに頼み込んだ。か細く、震える声で。
「どうします?水瀬のアニキィ」
「まぁ〜あ、ええやろ。数時間ちゅうても、そやな、10時にはまたくるけんの、体中綺麗に磨いておくんやで?
あぁ、でもワシはコダワリ派やからね、腋毛は剃ったらあかんよ?なんなら奥の部屋に布団でも敷いといてや、
ふぉっふぉっふぉっふぉっふぉ」
二人組みは自分たちが“勝った”という気分に満されながら、兄貴分のほうは間もなく人妻の尻を容赦なく犯せる、
という期待で胸いっぱいに、店を出ようとした。すると。
カランカラン…。
弟分が内から開ける前に、店のドアは外側から開かれた。芳野祐介の手によって。
……。
…。
>>616 返答が遅れてすいません。
>>617さんからもフォロー頂きました通り、提案頂いた方の文脈から、
テーマ無し的なフリー題材として認識しています。
もちろん「なんでもあり」というテーマを設定して執筆頂いても全然
構いません。
【告知】
締め切りまであと一週間となりました。
作品の執筆は計画的に。
今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 6 月 21 日の午前 8:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください!
なんか嫌な予感。
今回もまともな投稿ゼロとかだったら泣く。
書けたら何か書くかもしれない。
……とは、いつも思ってるんだけどね。
くにへかえるんだな おまえにもかぞくがいるだろう
普通のSS求む!
【告知】
明日木曜日が締め切りとなっています。
ここが踏ん張りどころです。皆さん頑張りましょう!
今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは 6 月 21 日の午前 8:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
【告知】
締め切りまで残り 9 時間を切りました。
最後の追い込み、がんばっていきましょう。
今回のテーマは『なんでもあり』で、締め切りは明日の午前 8:00 です。
俺は悲しいよ。
アッー!!
締め切り勘違いしてた!
アッー!!
【告知】
ただ今をもって、投稿期間を終了させていただきます。
参加された書き手の方、ネタを考えられていた皆さん、どうもご苦労さまでした。
それでは、これから感想期間に入ります。
投稿された SS について感想、討論などをご自由に行ってください。
期限は 6 月 28 日の午前 8:00 までとさせていただきます。
以下が、今回投稿された作品一覧です。
>>619-628、
>>630 死なないで、汐ちゃん(CLANNAD)
あと今後の予定ですが、感想期間が終わった6/29から一週間かけて
コンペを継続するか否かの意見を募集しようと考えています。
下手な書き手が登場してからこのスレが過疎り始めた気がする。
そいつはちょいと違うな。
書き慣れた連中が卒業していったため、と解釈するのが道理だ。
・葉鍵SSの斜陽
・かってのSS書きの高年齢化、引退
・書き手、読み手減少によるモチベーションの低下
もう感想とかいらなくね?
このスレ放棄するかしないかさっさか採決とったほうがいいんとちゃうのん?
レビューいきますね、いつも通り主観満載で。
>>619-628、
>>630 死なないで、汐ちゃん(CLANNAD)
・CLANNADとヤクザという取り合わせは初めてなので新鮮。
・金銭問題とかリアル世界のにおいがするのはCLANNADっぽくはある。
・秋生達の店が経営難に陥っているということは十分にアリだと思う。
・文章は下手。もちょっと勉強して。
・過疎ってるスレに投稿してくれた政治的な意義は非常に高いと思う。
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>643 となっています。
感想期間は 6 月 28 日の午前 8:00 までとなっていますので、まだの方は
ぜひともよろしくお願いします。
>>647 投稿作が一つの場合は次のテーマまで感想を持ち越すのがこれまでの
流れなのですが、今回は次回開催が確定していない状況ですので……
>>647 お前がこのスレ放棄するのは自由だが。
なんでわざわざ採決せにゃならんのだ?
【告知】
現在、葉鍵的 SS コンペスレは投稿期間を終え、感想期間に入っています。
今回投稿された作品の一覧は
>>643 となっています。
感想期間は本日午前 8:00 までとなっていますので、お時間がありましたら
よろしくお願いします。
【告知】
ただいまをもちまして、感想期間を終了させていただきます。
投稿された書き手さん、感想をつけてくださった読み手さん、
そして生温かく見守ってくれていた ROM の皆さん、どうもお疲れ様でした。
引き続き総括期間に変わりまして、コンペスレ存続の是非を問う意見交換に
移りたいと思います。
どのようなものでも構いませんので、ご意見の程、よろしくお願いします。
もうゴールしていいよ
現状:
・前回、前々回、前々々回の投稿作品数0。
・今回の投稿作品数1。感想も1。
・言い訳、言い逃れ、多数。煽り、右に同じく。
はぁ…。
ほんと、ここにいた住人にとってこのスレはもはやどうでもいい存在なんだね。
存続に関する議論にすら参加しようとしない。
俺は存続に一票。
投稿作品が少ない状況が随分と続いているが、夏休みになれば学生組は戻ってくるかもしれないし、
もうすこし、このままで保守してみてはどうだろうか。
議論ていうか、
>>655が全てじゃないかな。
結局のところ誰かがSS投稿しないと始まらないスレだけど
誰も投稿しなくなっちゃってるから。
誰か一人でも頑張って投稿してるのなら俺も存続側に投票して
感想書きつつ応援していきたいけど、そういう人もいないし。
【告知】
現在、コンペ存続について意見を募集しています。
締め切りを 7 月 5 日(木)の 23:59 として予定していますので、
ぜひご意見の程、よろしくお願いします。
存続あるのみ。
期間を延ばしてみてはどうでしょうか。
3ヶ月に1回とか。
締め切りを緩くするのは考えてみたけど、心理的盛り上がりを欠いて、
作品数や感想が増えない気もする。一度試してみるのもありだけど。
とりあえず色々と思うところはあった。忙しいとかテンションとかの問題も。
このスレ、消すのは惜しいが、区切りをつけるのもありかもしれない。
そんな風に戸惑っている自分がいる。ちょいと気持ちの整理に振り返ってみた。
これで終わりになるのなら公表してみるか、みたいな気持ちも半分あって。
第一回 『楓のおもてなし(楓・イビル)』 『約束の桜(はるか)』
第二回 『坂を越えた向こうに(はるか)』 『時に歩いても(葵・マルチ)』
第三回 『突然の、雨と出会いと肩すかし(沙織)』
第五回 『その日は4月1日、いわゆるエイプリルフールだった(はるか)』
第六回 『生贄(美咲・弥生)』
第七回 『沈黙を暴くために(久瀬・舞)』
第八回 『しあわせになる方法(真琴・秋子)』 『恋人としての(梓・耕一)』
第九回 『空を繋ぐ声(セリオ)』
第十四回 『風が運ぶ願い(舞・香里・栞)』
第十五回 『君に届くなテレパシー(琴音)』
第十七回 『いつかなくしたもの、だけど見つけたもの、そして再び会えた人(瑠璃子・はるか) 』 『闇に閃く鈴の音(誰彼)』
第二十回 『あなたを想う音(沙織・瑠璃子・祐介)』
第二十三回 『揺らぐ仮面(セリオ)』
第二十四回 『神社御参拝・水瀬家の場合(水瀬家)』 『叶える代償(カミュ)』
第二十五回 『聞いてません(WHITEALBUM)』
第二十七回 『姉妹ごっこ(香里)』
第三十回 『一枚の思い出(イビエビ)』
第三十一回 『口吻最前線(アルルゥ)』
第三十二回 『冬巡り(エディフェル)』『もう来ない冬(名雪)』
第三十六回 『あなたはどこの星の人?(はるか)』
第四十回 『獣の歌(アルルゥ)』『眠れぬ夜には(秋子・真琴)』『(小ネタ)(セリオ)』
第四十一回 『人の不幸は蜜の味(Kanon)』
第四十二回 『最後の始まりの「alternating current」(理奈)』
第五十四回 『無くしたものの代わりに、手に入れたものを残そう(みさき)』『それは二十年前からの策略(秋子)』
第五十六回 『あの夏を閉じこめたガラス瓶(珠美)』
第五十八回 『それは日本国民なら十人中九人くらいは好きな香りのはずなのに(宗一・ゆかり)』
第六十回 『闘争の中で見えるもの(カルラ)』
これが今まで書いた全部。27回参加、36本投下。
Kanonが9本、ONE1本、雀鬼(NW)1本 雫2本 痕2本 東鳩5本 ホワルバ7本
誰彼1本 うたわれ4本 Routes1本 鎖1本 クロス2本(雀鬼・痕、ホワルバ・雫)。
うーん、こんなもんか。思ったより少し少ないかな。後半サボりがちだったし。
振り返ってみたが……困ったことに、俺は「どうしてもこのコンペスレでないと」とまでは思えてないw
もともと執着の薄い質なので、多分いつどんな状況で聞かれてもそんな感じで答えていただろうが。
愛着はあるけどね。やっぱ長いから。書き手としても読み手としても感想人としても。
して、四十二回から大分空いているのは、この時期第二回最萌が始まり、
そっちの方にテンションを奪われていたからなのだが、
そっちではほとんど短編だけど、SSを三桁以上書いたはず。正確な数は分からん。
そんなんだから、書ける場があれば、俺は書くのだと思う。
このスレが続くのなら、俺はまた気まぐれに、時間とアイデアがあればなにかしらを。
ただ俺も含めたこのスレ自体のテンションが落ちているのは確かだ。
構造改革とかの問題でもないし。
……うん、そうだな。このスレでも最萌でも、俺が管理側に一切関わらなかったのは、そういうの決めるのが面倒だからだ。
代わりにあくまでも一参加者として、だけど多分、屋台骨の1本を支える程度には色々やってきた。だから今回もそれでいいや。
このコンペスレが続くなら書くし、続かないならそれはそれで仕方ない。
書く、といっても毎回必ず参加しますということを約束するものではないけど。俺も生活があるし。
無責任ではあるが、実際保証できることではないしなぁ。
現にここのところは参加できてないし。
一つ言わせてもらうなら、期間を三カ月おきにしても、別に投稿数は増えないと思う。
時間的な問題じゃないから。むしろマイナス効果じゃないかな。
てーか、みんなはどの立場で意見を言っているんだか、少し気になる。
書き手は残っているんだろうか。
もうちょっと、明確な立場で意見交流をしたい。
新参者です。
他所の板で書いてみたのですが、その板の空気に合っていなかったようなので、
ここに投稿してもいいですか?
自分の書いたSSの客観的な評価を知りたいのが目的なんですが、いいでしょうか。
一応、Kanonネタです。
テンプレ嫁。空気に合う合わない以前の問題だ。
例え同じ年四回でも、無理に三ヶ月開催に薄めのばすよりは、
空白期間があってもいいような。先延ばし感は敵ー。
意見、まとまりそうにないなw
積極的に書くって人が一人もいないなら現状が続くだけではなかろうか。
今すぐ結論が必要だとも思わないな。
とりあえずこのスレの住人が互いに考えていることを少しでも知って、それが次に生きればいいと思う。
俺としてはこのスレに今後感想人、或いは投稿者として参加できる可能性のある人間が一体どれだけ居るのか知りたいと思ってるけど。
>>662みたいな長年参加してくれる人がいたなんて驚きだ。
そういうことを知ることが出来て嬉しいと思う。
出来ることなら同時参加して競ってみたいという気持ちはあるけど。
でもここ暫くこのスレには投稿してない。
一番の理由は生活環境が変わったことだけど、でも手ごたえの無さっていうのもあったな。
これまで投稿者と感想人の両面で参加して来たけど、自分が投稿したり感想を書くことではこのスレを盛り上げることは出来ないんだなと感じてしまった。
なにより投稿者としては自分に実力が無いことは分かってるしね。
それでも8月に入れば少し余裕が出来そうなのでなんとか参加したいと思ってる。
でもここは実質コンペしては機能してないな。票を入れてる人も一人ぐらいしか居ないしね。
俺は作者として参加するときは、流石に票は入れられないし。
だから自分がいくら気張ったところでコンペとしての参加はもうあり得ないかと感じてる。
あと、どんな形であれ無理に終わらせる必要があるとは思えない。
たとえ主催者が投げてもそれで終わりだと俺は考えない。
このスレにまだどれだけの可能性が残ってるのか、今はそれが一番知りたいよ。
とりあえず意見の募集期間は延長を要求。
【告知】
現在、コンペ存続について意見を募集しており、
締め切りを本日 7 月 5 日(木)の 23:59 として予定していましたが、
意見交流及び期間延長のお話しを受けています。
もし他に議論を続けたい、まだ意見を言い足りないとの方が
いましたら、一週間の期間延長も考えていますので、その旨書きこみ、
よろしくお願いします。
※期間はこのままでいい、もしくは他に意見がありませんでしたら、
間延びするのを避けるため、本日で一旦締めようかと思っています。
書き手です。
今週末まで議論の期間を延ばしていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
672 :
名無しさんだよもん:2007/07/05(木) 14:28:48 ID:q/pF9CUe0
存続希望。
>>671さんみたいな人がいる限り、残した方がいいのでは。
レスは無いけど、このスレの動向を気に留めてる人もいるだろうし。
>>663氏、
>>669氏に加え
>>671氏からも期間延長のお話がありましたので、
意見交流期間を 7 月 12 日(木)の 23:59 にまで延ばそうと思います。
12日には必ず一度切って次のステップに進みますので、それまでに
ご意見のほど、よろしくお願いします。
675 :
名無しさんだよもん:2007/07/06(金) 04:39:22 ID:i7pOAkGI0
どうすればいいんだ
【告知】
現在、コンペ存続について意見を募集しています。
締め切りは期間を延長して 7 月 12 日(木)の 23:59 となっておりますので、
ぜひご意見の程、よろしくお願いします。
ちょっと住民数が知りたいので点呼を取ろうと思います
書き手の人は書き手宣言してください
ノ 1、書き手です。
ノ 2、書き手です。
自分は前回と前々回投稿しますた。
>>676 アビスボートかあ
ノ 3、書き手です。
【告知】
現在、コンペ存続について意見を募集しています。
締め切りは本日 7 月 12 日(木)の 23:59 となっておりますので、
ぜひご意見の程、よろしくお願いします。
存続汁。
存続に一票。
このスレが過疎ってるのは、葉鍵板全体が過疎っているのが原因だと思われ。
新作の発表・発売の間隔が(2つのメーカーのそれしか扱っていないので当然だが)非常に
長いので、ぶっちゃけネタ切れ&モチ低下。
Kanonなんてもう何年前のゲームなんだか。
存続賛成
人が少なくても、いつまでもここにいて期待している人もいる。(俺もだけど)
期間を区切った多作品原作の競作というのは、もう難しいのかも知れません。
SSの投下自体は作品ごとのスレに行えるので、発表の場がここより他に無い訳でもありませんし。
そもそもの住人数を言い出すと、隔離板を支える必要も……、ですが。
存続するなら付いては行きたいと思っていますが、何の方策も思いつかずで見通しは厳しいと思います。
気楽な立場の新参感想屋風情が、しょんぼり分析とは偉そうですが。
昨日を持ちまして討論期間を終了させて頂きます。
意見を下さった皆さん、ありがとうございました。
頂きました意見を見てみますと、
・現状での継続希望派
・期間を変えての継続希望派
・継続を希望したいけど現実問題人がいないよ派
・スレがあれば書き込むかもしれないけど確約できないよ派
・もう無理だし諦めよう派
以上、大きく分けて五つに分類されると思います。
この中から主催者権限で決めてしまうのも一つの手ではありますが、
意見数がばらけている事、スレの主役はあくまで参加者の皆さんで
あるとの観点から、その方法は避け、住人の皆さんの手で選んでもらおうと
考えています。
そうなってくると何を持って選んでもらうのか、といった話ですが、
非常に短絡的な方法で申し訳ないのですが、住人の方々の多数決を持って
今後の方向性を決定したいと思っています。
具体的には
1.コンペ継続(現状での継続)
2.コンペ継続(期間を変えての継続)
3.コンペ中止
この三つの選択肢の中から一つ選んで頂き、集計時にまず1+2と3を比較して
3が多ければコンペ中止、1+2が多ければコンペ継続。
そしてコンペ継続の場合は今度は1と2を比較して、得票数の多かった方式で
コンペを再開する、と言った流れです。
そうなってくると重要なのは多数決を行う日程ですが、これは 7 月 15 日(日)の
0:00 から 23:59 、要は次の日曜日1日間の得票数で結果を出そうと考えています。
理由としては、重複投票を防ぐため、投票漏れを防ぐための二点で、投票期間を
長めに取ってしまうと、毎日投票する方が出てきたり、最終日に投票しようと考えて
忘れてしまう方が出てくる可能性がありますので、それを防ぐために一日間の投票で
結果を出そうと思っています。
(もちろん繋ぎ変え等でIDを変える事はできますが、そこまでする方はいないと思いますので……)
望む声がある程度あるのなら、中止する必要はないんじゃないのか?
予算とか掛かるわけじゃないんだから。
以上、長々と拙い文章で申し訳ありません。
もし他にもっと良い方法がありましたらお教えください。
特にありませんでしたら、15日の 0時より、投票の受付を開始しようと思っています。
>>688 確かにそうではあるのですが、継続を望んで頂く声が、SSの投稿及び感想に
結びつくかと考えると、なかなか難しいもので……。
今回「多数決」と言った手段を取ったのも、住人の方々に投票頂く事により、
「自分が選んで継続(中止)させた」との当事者意識を持って頂くのも目的の一つであったりします。
コストは予算(=現金)だけじゃないだろうが…
問題点があるというのなら、それがどこにあるかをいわないと、それは意見でもなんでもないよ
何に対して言ってるんだ?
これがゆとりか
出たよw
字面追うので一杯な、通俗的な意味での文盲イパーイ。
これでも創作系スレでーす♥
>>693 >>692だけど、このスレにおいてコストが掛かるというなら、それがスレを維持するに当たってどういう手間になるか。
コストってのは基本的にリスクなんだから、それがどんな問題になるかを明記しないと、議論しようがないってこと。
参加するのは任意だし、現在、管理している◆jDSrDt4dys氏以外は、コスト(手間)の問題はないと思うんだがな。
容量とかは現在、この板ではまるで問題になってないし。
【告知】
ただ今より、コンペスレの是非に付いての投票受け付けを開始します。
選択項目は、次の三つとなっています。
1.コンペ継続(現状での継続)
2.コンペ継続(期間を変えての継続)
3.コンペ中止
上記の中から一つ選んで頂き、簡単なコメントを添えて書き込んでください。
(コメントは強制ではありませんが、2番を選択頂いた方のみ希望される期間も書き添え下さい)
締め切りは本日の 23:59 となっております。
急な話かつ短期間で申し訳ありませんが、宜しくお願いします。
うお、タイミングいいんだか悪いんだかw
俺は「1」で。
期間延ばしても、さして事態が好転するとも思えないし。
「1」で投票。
人が少なくても書きたい人と読みたい人がいる限り、継続がいいのでは?
何も力になれないのに勝手なこと言って悪いけど。
1.のコンペ継続で。
自分はこれからもこのスレに投稿したいと思っているから。
人少ねー。
それはともかく、正直もういいと思うんだ。
SS投下スレは他にあるし、もはやコンペとして機能してないこのスレは
いらない子だと思う。
見ててなんか痛々しいし。
<<3>>
>>678 ノ 4、いちおー書き手。
ま、2つしか投下してないけど。
3
こういう話を投稿数0が常態になり始めたとき、してなかったことが不思議だわ。
してても今頃は同じく、スレの命数・需要が尽きたとは思うけど。
作品数の揃わないコンペに意味はあるのでしょうか。感想も書き難いの。
1
随分迷ったけど存続に一票いれようかな。
つぶすのはいつでも出来るし。
作品が上がったら感想くらいは書くつもりだけど。
とはいえ感想レスも少なくなって自分の主観感想が求められてるかどうかも怪しい。
無言投稿されると感想書いていいかどうかもわからん。
とりあえず「1」の現状維持での継続で
夏休みとかの書ける人の多くなりそうな時期のみ開催するとか、期間を変えることも考えたけど、
やっぱり効果あるかどうかわからないし。
余計に書き手や感想のモチベーションが下がる可能性もあるし。
ただ今を持ちまして、投票期間を終了します。
投票頂いた皆さん、ありがとうございました。
集計結果は以下のようになっております。
1.コンペ継続(現状での継続)
>>699、
>>700、
>>701、
>>704、
>>705 3.コンペ中止
>>702、
>>703 現状でのコンペ継続が五票、コンペ中止が二票で、
コンペ継続が決定しました。
>>697 私もできれば住人の方に議論頂いてこのスレの行く末を決めたかったのですが、
うまく意見をまとめきれず、このような形になってしまいました。
力不足で申し訳ありません。
【告知】
コンペ継続となりましたので、次回のテーマを募集したいと思います。
テーマ募集期間は 7/22(日)23:59 までとし、その後は従来どおり
投稿期間二週間、感想期間一週間、総括期間一週間を予定しています。
もし他に何かありましたら、このテーマ募集期間に書き込んでください。
(○日から始めて欲しい、開始時刻を○時にして欲しい、等)
継続決定おめでとう、と一応言っておこうかな。
みんなで投票して決まったことだからもう文句は言わないけど、
コストとかどうとか言うより決めたからにはなるべく参加して欲しいとは思うよ。
次回のテーマだけど、仕切りなおしということで
『はじまり』っていうのはどうかな。
このテーマがまずいっていうのなら早めに別のテーマ出さないとまた前と同じになるよ。
あと以前と同じ形式でやるのなら次々回のテーマまで募集しとかないと駄目なのかな?
**祝・継続**
お題は
>>708さんの言う通り「はじまり」でいいのでは?
あえて『花火』とか『祭り』とか上げてみたい。
今回外すと次回は九月(秋・・・でいいよね)になってしまうからね。
テーマ応募はプレッシャーがかかるわー。
ここ一二回くらいは大丈夫だろうけど、お題のせいにされちゃあ。
花火に一票
>>708 あ、そうですね。
今後も継続との意味では次回だけでなく次々回のテーマも募集しないと駄目ですね。
そんな訳で募集期間を一日過ぎていて恐縮ですが、できましたら次々回のテーマも
応募のほど、よろしくお願いします。
【告知】
現在、テーマ募集期間となっています。
次回(7/23〜)と次々回(約一ヶ月後)の二回分募集していますので、
何か良いテーマを思いつかれたら応募のほど、よろしくお願いします。
・次回(7/23): 「水風呂」
・次々回(約一ヵ月後): 「昼寝」
次々回のテーマ「真夏の少女」を希望。
717 :
名無しさんだよもん:2007/07/22(日) 12:17:17 ID:+Vym14Il0
次回:「花火」
次々回:「夏の終わり」
次回は「祭り」その次は「昼寝」がいいと思うよ、思うよ!
ただ今を持ちましてテーマ募集期間を終了させて頂きます。
応募してくださった皆さん、ありがとうございました。
募集結果は以下のようになっております。
次回(7/23〜)
はじまり 708、709
花火 710、712、718
祭り 710、712、718、719
水風呂 715
次々回(8月中旬?〜)
昼寝 715、719
真夏の少女 716
夏の終わり 718
よって次回テーマは四票集まりました『祭り』、次々回は二票得票しました
『昼寝』に決定したいと思います。
それでは引き続き、投稿受付開始の宣言を。
【告知】
第六十四回投稿テーマ:『祭り』
投稿期間: 7 月 23 日の午前 0:00 から 8 月 6 日の午前 0:00 まで。
テーマを見て、思いついたネタがあればどんどん投稿してみましょう。
面白い作品だったら、感想がたくさんついてきて(・∀・)イイ!!
もちろん、その逆もあるだろうけど……(;´Д`)
※投稿される方は
>>4-6 にある投稿ルール、FAQ をよく読んでください。
※特に重要なのが
・テーマに沿った SS を*匿名*で投稿する
・投稿期間中は作品に対して一切感想をつけない
※の二点です。他の各種 SS スレとは異なりますのでご注意を。
それでは、投稿開始っ!
良作に期待
ちょっと待った、
>>712と
>>718のどこに
「祭り」の二字が入っているのか小一時間問い詰めたい。
もし、自分の検討の結果、祭りにするのならかまわんが
単純に票数を見た結果だけで決定してるのなら早急に訂正しないと不味い。
(( ))ノ
__________ ( ) ))
////////// /\((⌒ )) ノ火
////////// /(⌒((⌒)) )), γノ)::)
////////// /(⌒( ⌒ ) ⌒ ) ゝ∧ノ ♪
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ( (( ⌒ )) .) ♪||
| | ̄ ̄| | (( ⌒ )) )), . ||
| | |.... コンペスレ | 从ノ.::;;火;; 从))゙ ヽ○ノ ←◆jDSrDt4dys
| | | | 从::;;;;;ノ );;;;;从 (へ >モウシラネッテ イッテイイ?
| | | | 从;;;;;::人;ノ;;;;;从人 く ○| ̄|_
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄↑スレ見てるメンツ
こんなオチだけは勘弁だぞ。
二二二二二二二二二二二二二二二|___
/ /ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~ヽ-┤
| |/'━━、 、━━ ヾ| ヽ.|
| | .<ニ●ン 、'<ニ●> | |
| | ` ' .| | ` ' .| | |\_/ ̄ ̄\_/| かけてやる。
.|  ̄  ̄| |. ̄ ̄ ̄ ◎)新河原石油 /| \_| ▼ ▼ |_/
 ̄|泡原液[危]||┌◎====⊃------/..|| \ 皿 / //泡原液
 ̄ ̄ヽ\二二二凵二二二.// ̄ ̄ヽ\|二[|]〜〜〜( マモノつつI=くニニニ二二二二
(※) l | || || |三三凵.|.| (※) |凵三|○ / /〉 〉 丶\ブシャーーーーーーッ
__ノ  ̄ヽヽヽ ノ ヽヽ__ノ (__)_)
1.コンペ継続(現状での継続)
でお願いします。今頃になってから一意見を書き込みます。
書き手としてやっていきたいですけど時間がないので板にくる
くらいしかできませんが、もし時間ができた時に書きたいです。
その時に板がなかったら投稿できません。このような意見も
あるということでお願いします。
司会役変わってもらった方がいいんじゃない?
頼りなさ杉。
そんな馬鹿なと思って見てみたら本当に間違ってるのな。
これはもう駄目だ。
以前ミスってから貼り付け前に推敲してるのに間違いだらけとか。
注意力散漫以前に頭沸いてるとしか言いようがない。
向いてる、向いてない以前に司会役ができない、こなせないと認識するしか他ないな。
とは言え途中でほっぽり出すのも無責任だろうから、新しい人が来るまでは続けようと思う。
だから司会役やってくれる、このスレを立て直してやるって人がいたらその旨書き込んでください。
マジ切実なんでお願いします。
俺にはもう無理だ。
>>723 わざとやってるように思われても仕方ないよなー。俺でもそう思う。
実際は単なる間違い。スマンとしか言いようがない。
だから次回のお題は『花火』に修正。訂正告知出しときま。
>>725 もう継続は決定してるんで大丈夫じゃないかな。
>>726 俺もそう思う。
【告知】
現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。
※前回お題を『祭り』と告知しておりましたが、実際の得票数は『花火』
の方が上との指摘を受け、お題を『花火』に変更致しました。
お手数ですがネタの軌道修正のほど、よろしくお願いします。
>>727 そんなに思いつめる必要は無いと思う。
司会の代役がいなければ、100%このスレは自然消滅するだろうが、
それはあなたのせいじゃない。むしろ今まで良く頑張ってくれた。
苦しくなったら辞めたい時に辞めてもいいんだよ。
727 のレスありがとうございます。725です。
とにかく投稿だッ!どでかい花火を打ち上げるんだッ!
投稿と聞くと登校に脳内変換されて学生服ハァハァを妄想する俺は間違いなく変質者
かのぴ〜乙
【告知】
現在、葉鍵的SSコンペスレでは投稿を募集しています。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。
テーマを見て思いついたネタがあれば、ぜひ投稿してください。
また、次回のテーマは『昼寝』で、開催時期は 8 月中旬になる予定です。
「二週間じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
>>729 一応自分から進んで引き受けた役目なので、メッキが剥がれた身では
あるけど、もう少し続けてみようと思う。
過分な言葉、ありがとでした。
【告知】
締め切りまで残り二日となりました。
そろそろラストスパートをかけていきましょう。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは 8 月 6 日の午前 0:00 です。
また、次回のテーマは『昼寝』で、開催時期は 8 月中旬になる予定です。
「残り数日じゃ短すぎて書けない」「テーマが難しい」という方はこちらの
執筆に力を注いでもらっても構いません。
リンク自体はべつにかまわんが、テンプレと他の投稿者達のやり方を見てはどうか
じゃあ先陣で。
タイトル「くやしがーる」
題材としたゲーム「Kanon」
登場キャラ「香里、名雪、祐一」
ネタバレとかは特にないっすー
最近あたし美坂香里の友人たる水瀬名雪の彼氏こと相沢祐一が部屋に引きこもっていて全然相手をしてくれないと愚痴るので、「ちょうど花火大会もあるし外に引っ張り出してみれば?」と答えた所、何故だかあたしまで連れていかれる羽目になった。
迂闊に口を滑らせて予定がないことまで伝えてしまったのが不味かったか。しかし彼氏とのデートに友人まで誘うとは、普通は思いも付かないだろう。
断われないこともなかったのだが、その場合もれなく毎日の愚痴が数倍に膨れ上がるのでさすがにそれは避けたかった。
なにせ名雪の愚痴には惚気が入る。聞いていて殺意の波動に芽生えることもしばしば、それに延長戦が加わるとなると我慢の限界を超える恐れがある。
あたしもこの年で前科持ちにはなりたくなかったので、渋々着いていくことを了承した。これが事の成り行き。
待ち合わせ場所に着いてみると既に名雪がいて、浴衣を着て手を振っていた。つくづく思うけどこの子は何を着ても似合う。今も周囲の注目を浴びているが全くそれに頓着していない。
ただ頭はあまり思わしくない。天然な部分もそうだし、学力といった点でも厳しいものがある。しかしその部分も含めて魅力を感じている男子生徒も学園には多いのではないだろうか。
そしてその名雪の寵愛を一身に受けているのが横にいる少年相沢祐一。昨年末に転入してきて鳶が油揚げをかっさらうが如く名雪のハートを獲得して一部男子から射殺さんばかりの目で睨まれていたのも記憶に新しい。
性格は自由奔放。と言えば聞こえは良いが、何を考えているのかわからない。最近ではインターネットにはまっているようで、なかなか部屋から出てこないそうだ。
今回も名雪が紅い生姜だの甘い言葉だの虹色のジャムなど飴と鞭をフル活用して何とか引っ張り出してきたそうだ。近づくあたしを見て驚かないのは、あらかじめあたしが合流することを聞かされているからだろう。
「香里は私服なんだね」
意外そうな名雪に当然のような顔で答えて相沢君を見ると、「香里、今日は一人なのか?」とこれまた一目見てわかる当たり前の事を聞いてきた。
二人とも似た物同士ね、などと心の中で少し愉快になりながらそうよと返すとこの男は
「うはwwwww花火大会で一人身wwwwくやしいのうwwwwくやしいのうwwwww」
気がつけばうずくまる相沢君の背中をさすっている名雪の姿があったけど、子供にでもぶつかったんだと考えることにする。
それより名雪、相沢君が見るサイトを制限しておきなさい。かなり悪影響がでているわよ。
それからは三人で回ったのだけど、歩いて早々にあたしは後悔していた。恋人同士で腕を組んでいる二人の後を付いていくだけのあたし。当然、面白いはずもない。
出店を一通り見た時点で花火大会開始の時刻となったので、あたしはそこで別れる事を提案した。すると二人はあっさり承諾。しかもまだいたの的な視線のおまけ付き。
少年にはボディブローを、少女にはこめかみグリグリを均等にプレゼントして会場を後にするあたしの背中から、爆音と色鮮やかな光りが伝わってきた。
あたしは歩くごとに遠ざかるそれを感じながら、来年こそは彼氏を作ろうと決心して家路につくのだった。
742 :
736:2007/08/04(土) 23:32:57 ID:6cQirkO00
>>737 すみません。即興で書いたもので。('A`)
リトルバスターズネタで葉留佳・佳奈多メインです。
>>738 さっそくレビューしていいですか?
ちなみに俺が書いたものはリトルバスターズのネタバレを含んでいるので、
クリアしてない人はクリアするまで読まないほうがいいです…
だからまずテンプレ読んでこい
感想は、感想期間に入ってからだ
>>744 空気読めなくてごめんよ。感想期間楽しみにしてる。
>>736 投稿ありがとうございます。
書き込み規制がかかっている、もしくは大作過ぎて貼り付けができない時以外は
こちらに書き込むのが慣例となっていますので、次回以降がありましたらこのスレに
投下をお願いします。
あと
>>744さんからお話がありました通り、細かい決まりはテンプレにのっていますので、
また
>>4-6を参照下さい。
【告知】
締め切りまで残り20時間となりました。
最後の追い込みがんばっていきましょう。
今回のテーマは『花火』で、締め切りは明日の午前 0:00 です。
締め切りを越えて投稿をしそうな方は、前もってお知らせください。
よほどの事がない限りは善処させて頂きます。
元ネタ:Kanon
題名:冬の花火〜真琴・爆誕〜
ネタばれ:有り
真琴が祐一の目の前に現れてから調度一年経った冬のある日。
祐一と名雪、そして美汐の三人は雪の降りしきるものみの丘の真ん中、ちょうど真琴が
息を引き取ったあたりにぽつねんと佇んでいる。
三人とも、頭や肩に降り積もる雪を掃おうともせず、ただ、立っているだけだ。
祐一の手には花火の詰め合わせ袋が下げられ、名雪のポケットにはチャッカマンが収められている。
美汐は、花火とチャッカマンを買わされて空っぽになったサイフをその懐に収めていた。
「あれからもうそろそろで一年なんですね」
美汐は地面に言葉をこぼす様にボソボソとつぶやく。
「ああ、真琴が死んでから、そろそろ一年だな」
祐一は俯き加減に、白目の部分が黄ばんできた目玉をギョロギョロと泳がせながら応じた。
美汐と祐一。二人の表情は、明らかに精神を病んだ者のそれである。
(早く家に帰りたいな…)
名雪だけは、ウンザリとした常人の顔つきで、どんよりと暗く曇った空を見上げる。
雪が鼻の穴にジャストミートした。
「ねえ、早く花火しようよ。あの子の為にも、花火しようよ」
鼻を軽くほじりながら名雪は二人の廃人を促した。
気の済むまで花火をさせてやって、死んだ人間の思い出をしゃぶらせてやろう。しかし、さっさとやれ。寒いから。さっさと済ませてくれ。
―名雪の本音はこんなところだった。
無理もない。年がら年中、死んでしまった真琴のことばかり考え、話し、想う祐一に、毎晩毎晩、
「真琴のナカに出すよっ、だすよっ、だすよっあ゛ーーーッッ!!」
と叫ばれながら犯されている名雪からすれば、当然の本音である。
「はい、祐一。気をつけてね」
無気力な表情で、花火の袋をムチムチとちぎり開けた祐一にチャッカマンを優しく握らせる名雪。その表情はまるで乙女だ。
その様子をじーーっと観ている美汐は、当然に名雪の本音に気がついている。なにせ、彼女にとって名雪は、真琴を死なせた人間No1なのだから。
どういう理屈でナンバー1なのかはわからないが、とにかく、美汐にとって名雪は憎い憎い名雪なのである。
(そんな演技なんてしないで、さっさと消えればいいのに、メスブタ…)
美汐は、さきほど名雪が真琴のための花火に一円も出さなかったことをチリチリと思い出しながら、心の中で呪った。
名雪が死ねばいいのに、さっさと死ねばいいのに、と。いつも通りの無表情の顔で、激しく呪った。
……。
…。
「え?」
名雪はポカン、とその意外と大きな口を開いたまま、閉じるのを一瞬忘れた。
「いいんですよ、名雪さんにはわからないですから」
美汐はその蔑んだ目と、ニヤニヤと薄笑いに端を上げた唇をヌラヌラと光らせる。
「あなたは黙ってて!!ねえ、今なんていったの祐一!!!」
名雪は鬼女の表情で叫んだ。空ろな目でウンコ座りをしながら、線香花火に火を点ける祐一に向かって。
「え…だからぁ、今日ぉ、これから花火すればぁ、真琴が帰ってくるんだってばYO」
「そうです、真琴は帰ってくるんですよ、こうやって花火をしてれば。まあ、名雪さんにはわからないでしょうけどね」
「〜〜〜ッッ」
絶句する名雪を横目に自分も線香花火に火を点し、祐一のそばにしゃがみこむ美汐。
シュワア…。
線香花火の淡くて小さな光が、限りなく黒に近い曇天の下、祐一と美汐の顔を照らし出した。
その表情のなんと穏やかなことか。なんと優しげで喜びと期待に満ち溢れていることか。
「あ、終わった…」
祐一の線香花火が燃え尽きた。
「悪ぃ、ミッシー、一本点けて」
「はい、祐一」
美汐は自分の持っていた線香花火を「祐一」に渡し、新しい線香花火に点火する。
「そういえば、今夜はどうするんですか?」
(…?)
「真琴を家に送ったらパーティーだな。なんならお前と俺と真琴で3P田中君でもするか?」
「ふふっ、相変わらずですね、祐一は。私の初めてを奪ったときも秋子さんと3Pでしたね」
次の瞬間、名雪の目がかっと見開かれた。
「「「「今、なんて、いったの?」」」」
名雪は、まるで粘土でこさえたような、硬くて無機質な表情で激しく問うた。つばが飛んだ。
「おいおい、名雪、だから、花火をすると真琴が帰ってくるんだってば」
「そうですよ、ほら、肉まんも雪の下に隠してありますし、ぴろだって連れてきましたし」
美汐はいつのまにか現れて、雪の上でゴロゴロと転がって遊んでいるぴろを指差した。名雪を、ニタァ、と邪悪で愉快な目で見上げながら。
「違う違う違う違うちがううううううううううううううううううっっ!!」
「おい、名雪?!ど、どうしたんだよ」
その目つき同様空ろな声で、祐一は一応名雪の心配をしてみた。線香花火の暖かな光をいつくしみながら。
「祐一、だめですよ…。ヒステリーとかじゃないんですか…。放っておくのが一番ですよ…」
「そうだな…。名雪もいろいろあったからなあ…。真琴が帰ってくるから興奮してるのかも。
去年の夏に、秋子さんがソープランドで働いてるって知ってからなんかおかしくてさあ」
瞬間。名雪の中でなにかが音を立てて砕け散った。そして。
「わあああああああああああああああっっっ!!!」
名雪は線香花火を楽しむ二人に襲い掛かった。
……。
…。
「やれやれ。せっかく真琴が帰ってくる日だってのに。一体どうしたんだよ…」
祐一は茫洋とした表情で、雪でピクピクと痙攣している名雪を見下ろす。
襲い掛かったはいいが、乳拳[黄龍]の段位を持つ美汐に返り討ちにされた名雪を。ちなみに、美汐は栃木出身である。
「うぎぎ…」
鳥山明チックな苦鳴を挙げながら、名雪は叫んだ。
「真琴なんて帰ってこない!!!花火なんかしたって帰ってくるわけないじゃない!!!」
「馬鹿いうな、かえってくるんだよ、真琴は。約束したんだから」
祐一のサッカーボールキックが名雪のわき腹に軽く一閃。しかし。
「ごふっ!!そっ、それは別の世界の話だよ!!別のゲームの!!同じVisual Artsでも別ブランドの!」
反吐を少しばかり吐きながら喚き続ける名雪。
「はあ?お前、大丈夫か?ゲームってなんだよ?」
祐一の顔が不審で引きつる。美汐の顔はほころんでいる。
「だからあ、ここは常雪の村じゃないんだよ、祐一、祐一は今別の世界に介入してるんだよ、わかってよ、ねえ!」
祐一は深く深く嘆息する。名雪の妄想に辟易、といったところである。
(こいつ、本当に真琴が嫌いなんだな…邪魔ばっかりして…)
「それでね、祐一、美汐はセプテントリオンの、はぁはぁ、ブランカの手下なんだよ、きっとそうだよ、真琴もきっとこいつに殺されたんだよ!!」
「……」
同情、憐憫、そして侮蔑の眼差し―
もはや祐一には、雪の上でカエルのように這いつくばって喚き散らす名雪にそれらを与えることしかできなくなっていた。
美汐はニタニタと笑っている。線香花火に興じながら。
「はあはあ、あのね、祐一、あゆちゃんはネットレース、ううん、あゆちゃんがOVERSで、あゆちゃんが死んじゃったから、から」
「名雪、お前、ちょっと休めよ…」
ゴシャッッ!!
名雪の顔面に重くてでっかい石が落とされ、名雪は意識を失った。
「…可哀想ですね」
心底悲しげな表情でつぶやく美汐。その声は楽しげで愉快げだ。
「ああ」
「でも、真琴には帰ってきてもらわないといけませんね」
「ああ。俺たちの家族だからな…。名雪と同じくらい、大切な…」
美汐と祐一は気を取り直して、新しい線香花火に火をつけた。
……。
…。
それから2分後。
ものみの丘へと続く林の斜面にて。
少女が走っている。
祐一のもとへ。美汐のもとへ。
え?冗談じゃないって?
(あうーーっ、あたしがいない間に祐一たちが狂っちゃったよ〜〜。秋子さんに電話して警察警察〜〜)
真琴は林の斜面を転がるように駆け下りて、最近はすっかり見かけなくなった公衆電話を探しに奔った。
今しがた、目撃したことをどこかの誰にかに伝えるために。
終わり
以上です。
こんばんは。時間ぎりぎりですが、投稿を。
東鳩2、るーこ主役で、
『いつか、星が、砕ける時まで』
4レスです。
では。
758 :
1/4:2007/08/05(日) 23:55:45 ID:E04Q8+Tk0
「うーよ、これは警告だ」
暗い夜道から突然現れたるーこが、いつものように、唐突に言いだした。
「ここは間もなく戦場になる。逃げた方がいい」
「……はいいいいいいっ!?」
が、内容はいつも以上にとんでもなかった。
いや、いやいや待て待て。るーこの言うことだ、話半分で聞いた方がいい。
とりあえずは落ち着いて。
「戦場って、どういう事?」
「硝煙の匂いがする」
「硝煙って……あの銃とか撃ったあとの、あれ?」
「うむ。だがこの大量の匂いからすると、何らかの爆発物だろう。
この街が消し飛ぶ前に、逃げた方が賢明だ」
と、シリアスな顔で言うるーこの背後で、閃光が走った。
「――遅かったな。始まったようだ」
どぱーんと、空に咲く大輪の花。赤に、白に、様々な色に。
光の輪はいくつも開いては、わずかな軌跡を網膜に残して消えてゆく。
るーこは表情を崩さないまま、
「航空戦力の迎撃か? 効率が悪いな」
「いやあのね、あれはそんなんじゃなくってね」
「攻撃ではないのか?」
「違う、違う」
「それでは信号弾か。あれにはどのような警告が込められている?」
「えーと、つまりね」
あれが花火という、一種の娯楽であることを説明するのに大分苦労した。
759 :
2/4:2007/08/05(日) 23:56:36 ID:E04Q8+Tk0
「……戦闘行為ではないのか?」
「違います」
「ちー数万本分の火薬を、空にばらまいて無駄にするとは、つくづく愚かだな、うーたちよ」
「そう言うなって。文化だよ、文化。火薬も戦争に使うより、平和なことに使う方がいいだろ」
「それも一理あるな」
るーこはあっさりと頷いた。
危険でないと分かったからか、るーこはじっと、連続する花火に視線を送る。
「もうちょっと、近くで見てみる?」
「るー」
肯定のるーだ。
今日の花火大会は、少し離れた町でやっているのだけれど、
河川敷に出ればちょうど川下の方角で、障害物が少なくて、よく見える。
そこまで行く途中に、コンビニによって、飲み物、食べ物を少し買い込む。あと、新聞も。
それから河に向かうと、同じ方向に歩く人達に、浴衣姿が目立ち始める。
るーこがああいうのを来たら……なぜだろう。すごく似合いそうな気がする。頭にキツネのお面とかつけてさ。
と、不意にるーこがこちらを向いて、ぎくっとする。
「るー?」
「な、なんでもない、なんでもない」
「何かやましいことでも考えていたのか?」
「なんでもないってば」
「怪しいぞ、うー」
いや、全然やましくはないんだけど……でも、言えないよな。
「あ、ほら。ここなんか特等席だぞ」
折良く、河川敷に着いたので、新聞を開いて座るように促し、るーこの不審な眼差しをごまかしにかかる。
ちょうどその時、一際大きな花火が上がった。
「ほら、すごいだろ、るーこ」
るーこは黙って、空を見上げた。
一つ花火が上がるたびに、周囲から歓声が上がる。
対照的に、じっと黙ったまま見つめるるーこ。
感動しているのか見入っているのか、よく分からない横顔が、色とりどりの光に照らされる。
……あれ? 悲しんでいる?
なんでだか、そんな気がした。
760 :
3/4:2007/08/05(日) 23:57:34 ID:E04Q8+Tk0
「……るーこ?」
「るー?」
振り向いた顔は、いつものるーこなんだけど。
「えぇと、楽しくない?」
「楽しいとは違う」
「つまらない?」
「それもちがう。ある種の美しさがあそこにある。だけど、儚さも感じる」
「あぁ、うん。日本人は、ああいう花火とか、桜の散る様とか、儚いものが好きなんだ」
「好きなのか」
「うん。……るーこは、嫌い?」
るーこは答えず、不意に立ち上がり、
「あれは滅びる星の輝きにも似ている」
俺はそれに、答える言葉を持たなかった。
深淵の宇宙の中で、数十億の時を過ごし、爆発する星達の一生。
プラネタリウムで見たことはあるけど、実際にはどんなものだか、よく分かりはしない。
あまりにもスケールが大きすぎて、俺たちの心では計り知れない。
その爆発は、銀河という規模にもなれば、何光年の広さに渡って、何万年と続くものなのだから。
だけど、るーこの視点ではそれを見渡すことができるのだろうか。
「……帰る?」
もしかして、つらいことでも思い出させてしまったのだろうか。そんな気がして。
だけどるーこは答えず、代わりにつぶやいた。
「あれはうーたちの一生にも似ている」
「え?」
「一瞬で、輝いて消えて、そのわずかな間に、交錯する」
るーこが、じっと俺を見る。
優しい……いや、違う。それはたぶん、愛おしさの籠もった眼差しで。秘やかな風のような微笑みをのせて。
「広い銀河の中で、るーとうーの軌跡が一瞬で交わったのは、とても美しいことだ」
光が、宇宙を裂くように輝き、るーこを照らす。
逆光が、るーこの体を透かしているみたいに見えた。
「るーこ……?」
761 :
4/4:2007/08/05(日) 23:58:23 ID:E04Q8+Tk0
知らず、手が伸びた。
だけど、ちゃんと指先にはるーこの柔らかい体温があって。
るーこも安心しろと言うように、少しだけ、力を込めて握り返してきた。
いつもなら、こんなことは絶対にやらないのに――その時は、ただほっとした。
ほっとしたまま、手を握り続けていた。
「大丈夫だ」
する、とるーこの手が、俺の手から抜け出す。
「るーは消えないぞ、花火のようには」
その後ろで、最後の花火が連続で上がり、やがて、闇夜になる。
照らす光は消えて、代わりに星が瞬いて、そして、でもやっぱりるーこはそこにいた。
ざわめきが周囲を満たす。いや、気づいてなかっただけで、ずっとざわめきはあったのかも。
不意に、長い髪が翻った。
「帰るぞ」
「あ、ああ」
さっさと歩き出するーこを、慌てて追いかける。
「あのさ」
「るー?」
「俺って、るーこの目の前で爆発した、花火なの?」
「そのほうがいいか?」
「え?」
「どうせ爆発するなら、星になるべきだ」
「……派手だから?」
「爆発するまで、ぐるぐる回るがいい」
回る?
なんだそれ……と思いかけて、ふと、気づく。
たぶんそれは、るーこの重力に捕まって、ぐるぐる回る衛星になれってことなんだ。
確かに、るーこには散々振り回されていて、衛星というのは情けないけどなんだかふさわしい。
「分かった、ぐるぐる回ってる」
いつか、星が、砕ける時まで。
「るー」
るーこは、いつも通りの”るー”をした。
以上です。
それでは。
・葉鍵SSの斜陽
・かってのSS書きの高年齢化、引退
・書き手、読み手減少によるモチベーションの低下
>>764 そんな既知のこと、今更蒸し返さなくていいじゃんよ
それに、読み手のレベル低下というのも足りない
投稿期間に雑談おっ始める目倉笛杉
総括期間突入保守sage