立て続けで失礼。>7からと>218からの続きです。貴明と郁乃の浮気モノ。やや鬱?
「悪いが、それはできない」
郁乃の言葉が冗談でも、俺の回答は変わらなかったろう。郁乃が本気であるなら、尚更だ。
「ふーん、即答するもんね。さっきの、お姉ちゃんに言いつけようか?」
この反応は、想定の範囲内。
「それはしないだろ。お前は」
郁乃がどう変わったとしても、不要に愛佳を傷つける筈がない。そこは変わらない筈だ。
「まあね」
そして、こういう所は素直な郁乃だった。
「あーあ、落ち着いちゃったか。人にさんざ恥かかせておいて」
「すまん」
「目隠し、外していいよ」
俺はアイマスクを外した。
郁乃は、布団を被り直して俺に背中を向けていた。
「寝る。出てって」
声に表情はない。
ばたん。
部屋を出て、廊下を抜けてダイニングに戻る。
一人になると、軽はずみな言動への後悔が押し寄せてくる。
「うあ~~~なにやってんだ俺~~」
郁乃が俺に対してその手の感情を持っていたとすれば、昨夜からの俺の言動は彼女を傷つけただろう事は想像に難くない。
しかもさっき俺が郁乃にした事は、悪戯とか勢いで許される範疇の行為ではない。
結局、俺はファウルラインを大幅に過ぎてから踏みとどまった事で、愛佳と郁乃と二人とも裏切る結果になったわけだ…
「はあ…」
ため息をついて視線を壁の時計に向ける。
14時25分。愛佳は、今日も帰ってこない。
早く戻って来て欲しいような、戻って来て欲しくないような…
夕方、といっても冬の日が窓から落っこちた後、郁乃はひょっこりと起き出してきた。
とっさに声をかけられない俺を後目に、平然とテーブルに着く。
「う~、寝過ぎて首が痛いわ」
「熱、下がったのか?」
少しだけ恐る恐る、声を掛ける。
「たぶんね」
これまた何事もなかったような返答。額を触って確かめる勇気は、今の俺にはないが、確かに顔色は良くなっているようだ。
「なんかお腹も空いてきたし」
「今おかゆ作ってたんだけど、普通の飯食えそうか?」
「カレーはちょっと重い…作ってくれてるならおかゆでいい」
「りょーかい」
とりあえず郁乃と普通のやりとりができた事にほっとする。
料理の合間に台所からダイニングを伺うと、郁乃はぼんやり外を眺めていた。
「ごちそうさま」
「お粗末様」
「意外と美味いもんね。けっこう料理とかするの?」
「たまにだなあ。愛佳を手伝う事はちょくちょくあるけど」
「そういえばぶっちゃけ、お姉ちゃんの料理はどう?」
「ひいき目なしに上手いと思うぞ。どんどんレパートリーが増えてるし」
「へえ」
「ただ、時々分量間違えたり刃物が危なかったり火事を起こしそうになったり」
「やっぱりね」
二人分の食器を台所に運び、テーブルを拭きながらのやりとり。これも問題なし。
いっそ昼間の事を話題にして片づけてしまいたいとも思ったが、自分から話題を振るのは怖かった。
「うーん、なんか疲れたな」
片づけを終え、客間に寝っ転がる俺。そういえば布団敷きっぱなしだった。
「喰ってすぐ寝ると牛になるわよ」
「あはは、そんなのあったなぁ…」
昨夜からの色々で疲れていたのか、すぐに睡魔が襲ってくる。
なにか言い返してくる郁乃の声を遠くに聴きながら、俺は眠りに落ちてしまった。
夢うつつ。誰かが部屋に入ってきたような雰囲気に、しかし俺の目は覚めなかった。
もぞもぞと布団が動く。ああ、愛佳が入ってきたのか。
愛佳と俺は布団を並べて寝ているが、その気になると愛佳は時折こっちに潜り込んでくる。勿論、逆もある。
ほら、ズボンに手がかかる感触、まったくしょうがないなあ
「…」
パンツも一緒に降ろされて、解放された下半身に息がかかる。
下半身、寝ている間に元気になっている。絶好の餌食だなこれは。
にゅるっ。案の定、俺の一物に唾液と口腔の感触。うあ、こりゃ防戦一方になりそう…
「?」
そこで、なんとなく違和感を感じた。いつもならすぐに作戦行動に移る筈の口が、そのまま停止している。
次の瞬間、ぐっと深く銜え込まれる感触。そのままぎこちなく擦られる俺のナニ。
妙にテンポが悪いな、愛佳ともあろう者がどうした…愛佳?
って確か俺は愛佳の実家に来てる筈じゃないか。ご両親が起きてきたらどうするんだ…
って出張だっけか…ってか愛佳もお泊まり…アレ?俺は夢を見てるのか…にしては感触が生々し…
「!!!」
やっと目が開いた。
何故か顔面にかかっていた掛け布団をどかすと、俺の下半身に張り付いているのは、愛佳よりも赤の薄い栗色の髪の毛。
「い、いいい郁乃っ、お前なにやってっ…つっ…」
回答なし。とはいえ、解答はほぼ明白、要は昼間の再戦ということなんだろう。
夕食時の様子で話が終わったつもりでいたのは、どうやら俺だけだったようだ。
無論、俺の答えは決まっている。
「やめろってば」
言葉は無駄と知りつつも声を掛け、無反応の郁乃の頭に手を掛ける。
その瞬間、股間に鈍い痛み。俺は反射的に手を引っこめてしまう。
男性器には骨はない。女性の顎の力でも簡単に噛み切る事が可能だと言う。
今の郁乃は、ごく軽く噛みついただけだろう。それでも背筋に冷たいものが走った。
実力行使で俺の動きを封じた郁乃は、引き続きぎこちなく口を動かす。
本気に噛みつくわけはないとわかっていても、郁乃の頭に手を触れられない俺。完全に気圧されていた。
ならばいっそ萎えてしまえと思うのだが、哀しいかな股間は刺激への反応を優先して屹立している。
ぐちゅっ、くちゅっ、ぐちゅっ。黙々と続く、稚拙な口戯に、なす術なく追い込まれていく。
「くっ」
郁乃の動きは舌を這わせて口を前後するだけの単純なものだったが、舐める位置は自然とズレた。
それが偶然、俺の敏感な部分に合致する。郁乃は俺の反応に気づいてはいない。ただ執拗に作業に没頭している。
ヤバい。限界が近い。といって、郁乃に掛ける言葉もない。
これが愛佳なら会話など無くとも状況を察知して対応してくれるのだが、
ビュクッ、ビクビクッ、ビクッ
「ん!っっ!!」
口淫は無論、男のモノに触れたこともないであろう郁乃には、不意の射精になってしまった。
「う、んぐぐっ、くふっ!」
放たれた精液を準備もなく口腔に受け、嚥下も吐出もできずに口内に留める少女。
「だああっ、吐け吐け無理すんなっ!」
ようやく硬直から解放された俺は、慌てて郁乃の背中をさすろうと手を伸ばす。
だが、郁乃はその手を払いのけた。再び、また遅れを取った俺の腰に抱きつく。
ごぽっと大きな音がした。まだ大きさを保った俺の欲望を、生暖かい液体がつつむ。
郁乃の口から溢れた唾液と精液が股間をぐしょぐしょに濡らす。
「うぅぁっ」
ボトボトと流れ落ちる液体の感触に思わず腰が動くと、肉棒の根元から零れた半濁の雫が郁乃の顔に跳ねた。
それに反応してか、わずかに郁乃が顔をあげる。
郁乃は、泣いていた。顔の上半分を涙に、下半分を唾液と精液まみれにして、なお行為を続けようとする。
「なんで…」
なんでそんな事するんだ、らくしないぞ。ヤケを起こすのは、お前の芸風じゃないだろ。
そんな様なことを言いかけて、じゃあ俺は何をしている、何をした。
俺の行為が郁乃をその気にさせた。だから郁乃は、プライドを捨てて意思表示をした。
俺はそれを拒絶した。郁乃は諦めてくれなかった。
最初に手を出した俺に拒絶する資格なんてない。俺がそうしたのは、郁乃を信用したからだ。
郁乃は強い子だから、大丈夫だと。すぐに「普通」に戻れると。
だが昼間の痴態。あまりに直裁的な懇願。そして滅茶苦茶な扇動。涙。
目の前の郁乃は、その行為は、もう常識の範疇を越えている。壊れてる。
このまま拒絶を続ければ郁乃は壊れたままになる。俺のせいで。本気でそう思った。
だから、俺は、今だけ、一度だけ、そう自分に言い聞かせて、
自分で付けた優先順位を、入れ替えた。
「郁乃」
気持ちを決めて声を掛けると、郁乃が初めて反応する。やっぱり敏感な奴だ。
「郁乃、わかった。わかったから、顔、あげろよ」
そっと頬を両手で挟んで、俺の股間から引き抜く。こちらを向いた郁乃の唇から唾液が糸を引く。
「郁乃のはじめては、俺が貰うから」
言葉を選ぼうとして選びようがなく、結局ストレートな表現になった。
ゆっくりと、郁乃の目に焦点が戻る。同時に、頬が紅く染まる。俺は、そんな郁乃の頭を優しく撫でた。
「ごめんな。いつも鈍くてさ」
「………」
なにか口のなかでぶつぶつ言いかけて、結局声にならずに視線を逸らす郁乃。
大方、別に好きなわけじゃとかなんとか、悪態をつこうとしてたんだろう。
「とりあえず口ゆすげ、気持ち悪いだろ」
頷いたものの座り込んだままの郁乃の為に、台所でボウルと水を持ってくる。
ついでに俺も股間が悲惨な状況なので、手近な布巾でさっと体液を拭き取った。後で洗わなきゃ。
戻って客間、まずは郁乃にうがいをさせる。ボウルに吐き出した水は、白く濁っていた。
「えーっと、確かここに…」
「…いつも持ち歩いてんの?」
旅行鞄のポケットから、コンドームを取り出す俺を見て、郁乃が初めてまともに言葉を発した。
「俺の今の給料じゃ子供育てるのは難しいからな」
愛佳と子供、いずれは作りたいに決まっているが、無計画な真似ができる生活状況でもない。
あと、俺も愛佳も、けっこう所構わずその気になっちゃうので備えあれば…
「ふーん、成長したもんね」
「なに?」
「学園時代はアンタが気にしないからお姉ちゃんが常時携帯してたって聞いたけど」
「だああっ!そんな事しゃべってたのか愛佳はっ!」
「まあ、いろいろとね」
くつくつ。まだ全然涙声だけど、郁乃らしい邪悪な笑みに少し安心。
「つ、着けようか?」
「いやいい。それ以前に、まだ無理」
インターバルの間に、俺の息子は通常モードに移行している。ズボンが半降ろしなのがちと情けない。
「あ、ちっちゃくなってる」
「言うな。こっちが普通」
「なんか可愛い」
「触らんでいいっ」
「でも、おっきくしないと着けらんないんでしょ?」
「俺の心配はしなくていいの。それよりお前の方が問題だ」
「う…こっちから頼んだんだから、痛くても我慢するわよ」
我慢はしてもらうだろうが、なるべく負担は軽くしたい。
「うーん、とりあえず、脱げ」
暖房の温度を上げる。
「~~っ」
パジャマに手をかけると、背中を丸めて縮こまる。でも、逃げない。
猫でも撫でるように優しく扱いながら上を脱がしていく。ところどころ赤く染まった白い肌。
「あ、あんまり見ないでよっ」
「う、悪い」
改めて上半身を裸にしてしまうと、どこから手をつけていいかわからない。
試しに正面から抱き寄せてみる。
「っ!」
いっしゅん身体に力が入ったものの、素直に引き寄せられる郁乃。
前傾姿勢でとんっ、と俺の胸に顔を預ける。
両手で頭を撫でて、背中を撫でて、左手を背中に残したままそっと右手を乳房に伸ばす。
郁乃の胸は、手のひらに少し余るくらい、量感はないけど柔らかい。
「う」
微妙なうめき声。
「痛い?」
「痛くはないけど…よくわかんない」
揉むというより撫で回すといった感じで乳房を弄びながら、先端部分を突っついてみる。
「あうっ」
またちょっと反応する郁乃。
愛佳ほど派手なリアクションはないが、そこは愛佳が特殊なんだろう…自信はないけどさ。
引き続き、胸をいじり回しつつ、横抱きから後ろ抱きへと体勢を替えていく。
完全に郁乃の背中が俺に預けられると、首筋に唇を寄せ、解放された左手をもう一方の乳房に這わせる。
「う…あ…汗臭くない?」
「全然」
答えて、今度は両手で郁乃の乳房を責め始める。
「あ…ん…ん…んっ…」
愛撫のテンポが速くなると、郁乃の声も続けて挙がるようになった。
俺は右手を左の乳房に移した。左手で乳房全体を揉みながら、右手の指で先端を擦り上げる。
「はぅ…ぅあっ!」
さっきよりも固くなった乳首を摘むと、一瞬身体が震える。
後ろからこっそり覗き込むと、顔を真っ赤にして固く目を瞑っている。
悪戯心を起こして、俺は手を休めずに郁乃の耳に口を近づけた。
そのまま、こちらの動きには全く気づく様子のない郁乃の耳に、ふっと息を吹きかける。
「ふあんっっ!?」
びくんと身体を起こす郁乃を押さえつけ、再び両手を左右の乳房に戻して、先端を人差し指で爪弾く。
「あ、ひゃう、やっ、やんっ」
郁乃は身体をくねらせながら、太股を擦り合わせていた。
頃合かな。俺は右手を胸から下に降ろすと、多少力を入れて閉じられた両脚の間に差し入れた。
「んあっ」
そのまま股間全体を押さえつけて揺り動かす。
閉じようとする太股の片方を左手で掴み、逆に開かせる。自由度を増した右手が、さらに秘所を刺激する。
「あ…や…やだ…下着…」
パジャマのズボン上からではわからないが、濡れた感覚があるのか郁乃が狼狽える。
郁乃の脚の間は暖かくで触り心地が良く、もう少し続けたい気持ちもあったが、濡れた下着は気持ち悪いだろう。
預けられた背中から身体を外して布団に仰向けに寝かせ、ズボンに手をかける。
「下も脱がすぞ、いいか?」
「聞くなぁそんな事ぉ」
かぼそい抗議の声を肯定に聞いて、俺は郁乃のズボンと下着を脱がす。
下穿きを腰から引き下ろす時、秘所から染み出していた愛液が微かに糸を引く。
思わず脱がせた下着を見つめそうになって、羞恥で一杯の郁乃の目つきに慌てて横にどかす。
こうして、俺の目の前で、郁乃は生まれたままの姿になった。
「み、見るなとは言わないけど、あんまりじろじろ見ないで」
仰向けのまま下から見上げる郁乃。さっきも似たような事言われたな。
「カッコ悪いのは自分でもわかってるんだから」
「そんなことない。綺麗だよ」
これは率直な感想。手足が細くて胴が目立つ郁乃の身体。
確かに一般的な意味での肉感には欠けるかも知れないが、愛佳とは違った繊細さを感じる。
「気休めはいらない…あ」
郁乃の右脇に座って、左膝の内側に手をかける。
左手で右の太股を押さえ、そのまま肩を入れると、抵抗なく脚が開いていく。
「っっ…ぅ」
あられもない格好をさせられた気恥ずかしさに、郁乃は両手で顔を覆う。
体液を滴らせ、脚を大きく開いてもなお開ききっていない割れ目を指で押し広げる。
くちゅっ、いやらしい音をたててさらに染み出す体液。綺麗な襞を伸ばすように右手を動かす。
「ふあっ…や…やぁ…あん…」
郁乃がイヤイヤをした。昼間は一度も拒絶の言葉を発しなかった彼女だが、今は俺が行為を止める心配がない、ということか。
もちろん止める気はなく、俺は郁乃の秘所を10本の指で解きほぐしていく。
「んんっ、あ…ふぁっ…あ…ちょ、そ、そこは…」
右手の指が、侵入口に辿り着く。そこは十分に湿っていたが、いざ指を滑り込ませるとかなり強い抵抗があった。
やっぱり難儀するかな。俺は無理に指を奥に進ませようとはせずに、浅い部分で細かく振動させる。
「あっ、ふあっ、なにっ、…ひゃうっ、わかんないっ、んんっ」
至って素直な郁乃の反応を見ながら、左手で内壁を掻き分け、敏感な突起を探す。
「ひゃふぅっっ!」
そこを人差し指で押さえると、ひときわ大きな声があがった。
郁乃の体内に挿入した右手の中指に、さらに粘性の液体が絡みつく。それを頼りに、俺は指を少し奥に進めた。
きゅっと締め付ける郁乃の女の部分。指を前後に動かして内壁を擦りながら、進入経路を広げていく右手。
左手で下腹部の方から秘裂をまさぐり、肉芽を優しく刺激すると、郁乃は激しく身をよじる。
「ひゃっ、はうっ、あんっ、うあっ、やっ、また、あんっ」
郁乃の声色が一段高くなる。俺は手を早めながら、郁乃の中心部に口を近づけた。
「え…やっ…息が…はうっ…かかっ…ひゃうううん!」
ある程度から奥には進まない指を抜き、そこに唇をつける。入り口の周辺部を舐め上げると、女の味がした。
舌を強く動かしながら、空いた右手も襞壁を責める側に回して一気に郁乃を追い込む。
「あ…っ!…こんな…の…っ…やっ…くる…はうっ…あんんんんっっっ!」
ぐじゅっ、と多量の愛液を秘所から溢れさせて、郁乃は絶頂に達した。
「あ…あぁ…はぁ…はぁ…」
涙ぐんだ目で横を向く郁乃。昼間もそうだったのだろうが、今回はそれで終わらせるわけにはいかない。
俺は布団の脇に出して置いたゴム製品に手を伸ばし、手早く装着する。郁乃の身体を弄っているうちに、男根は目一杯に膨張していた。
「郁乃、いくぞ」
「ぁ…ぁ…ぅ…うん…」
まだ快感の余韻の中にいる郁乃。落ち着かせない方がいいだろう。
だらしなく開いた脚の間に自分の腰を入れ、郁乃の膝を立たせる。
位置を確かめるように両手で秘所を押し広げると、俺は怒張を膣口に押し当てて、郁乃の体内に侵入した。
「く…ぅあああっ!!」
郁乃の口から大きな声が漏れる。指とは比べものにならない程太い肉棒の挿入は、半分ほどで止まってしまった。
「はっ…はぁっ…あっ…はっ…」
上手く息が吐けない郁乃の口を掌で塞ぎ、郁乃の体内から出た熱い呼気を、そのまま郁乃に吸わせる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
呼吸が落ち着いたところで、俺は侵攻を再開するが、
「っつぅっ!」
痛みを訴える郁乃の声にまた動きが止まる。
もう2年も前のことで記憶は定かでないが、愛佳の時よりも抵抗は数段キツい。ような気がする。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶじゃないけど…いいわ」
強がる言葉、俺は再び腰を進ませようとするも、
「っっっっ!」
歪む郁乃の表情に、堪らずまたストップをかけてしまう。
「い、一度抜こうか」
思わず怯んだ俺の言葉に、しかし郁乃は首を振る。
「…ご、ごめん、ちょっとだけ待って」
そういって、放り出されていた掛け布団に手を伸ばすと、布団の端を銜えた。
「ひひよ。ひへ」
真剣な表情に、俺も覚悟を決めた。
「わかった。舌、噛むなよ」
ぎゅっと目を瞑る郁乃、俺は身体を前に傾けると、体重をかけて一気に郁乃を貫いた。
「~~~~~~っっっっっ!!!!」
布団を口一杯に詰め込んでいても、郁乃からは言葉にならない悲鳴があがる。
郁乃の奥まで入り込んだ俺の怒張、その根元に、愛液とも違うぬるりとした感触があった。
俺の股間、イコール郁乃の股間を見下ろした俺の目に写る、鮮やかな赤。
それほど量は多くないようだが、破瓜時に出血したようだ。
苦労して侵入した郁乃の内部は、やはり強烈な締め付けで、快感も動きたいという欲求もあったが、
「~っ、くはぁっ、はひゅっ、はぁ…うぁ…」
青息吐息の郁乃、ここは撤収した方がいいか…
「い、いいわよ、動いて」
「え?」
「ま、まだ…さ、最後までやってないでしょ」
苦痛に満ちた表情で、そんな事を言う。
「これ以上動いたって、痛いだけだろ」
「う…」
流石に否定はしない。だが、
「痛いからって、嫌だとは限らないわよ」
「!」
「だから…あたしが最後までして欲しいの」
笑ったつもりか、口の端を無理矢理歪める郁乃。
「せっかく最初で最後の機会なんだから」
その言葉にはっとする。
普通なら段階を追って進んで行けばいい道のり。でも、俺と郁乃に次はない。あってはならない。
だから、
「わかった。途中で遠慮はできないから覚悟しろよ」
「ふん、死にはしないわよ」
強がって郁乃、再び布団に噛みつく。
「ほっひほほ、ははひははははいへへ」
そっちこそ、膣内には出さないでね。か。
「わかってるよ」
気づかないうちにコンドームに穴が開いてる確率ってのは、これが結構高いんだそうな。
会話に気を逸らしている間も全く衰えない男根に呆れつつ、俺は律動を始めた。
「っ!んんっ!」
相変わらず郁乃のそこは怒張を強く締め付け、俺の動きに伴ってひっついてくる。
突き込むたびに陰唇全体が内側に巻き込まれ、引っ張り出すたびに外にめくれあがっているのではないかと不安になる程だ。
一往復ごとに、熱い内壁で擦れる刺激は強烈で、そう長くは保ちそうにない。
「~っ!ぅっ!ぁっ!」
布団を強く銜えこんで必死に耐えている郁乃にとっても、その方がいいだろう。
パンッ、パンッ、パンッ
膝を曲げさせ、おむつを替えるようなポーズをさせているので、俺の下腹部が郁乃のお尻に当たって音を立てる。
俺が腰の動きを加速させると、音も速くなり、そして
「くっ、うっ、郁乃っ、もう少し、だ、か、らっ」
「くっ!、ふっ!、ふはっ、はぁっ!」
苦痛に歪んだ郁乃の口から
「ぁっ!くっ、お、おへえひゃんっ!!」
お姉ちゃん。そんな単語が出たのがきっかけになったか、じんっと男性器が痺れる感触。
俺はそのまま腰を突き入れたい衝動を抑えて、郁乃の体内から俺を抜き出した。
どくっどくっどくっ
先端から迸った精液が、ゴムの蓋に受け止められる。
愛佳との時は付けたら100%愛佳の中で果てていたので、なんだか妙な光景だ。
郁乃のそこは、二人の体液で光っている。
行為の最中に零れた液体で汚れたシーツ、その中に混じる、純血の赤。それを見て、
ああ、俺、郁乃とセックスしちゃったんだな。改めて、そう思った。
「っ…はぁっ…んぐっ…くぅっ…」
放心していたのは一瞬だろう。郁乃の嗚咽混じりの荒い息に、俺は我に返る。
「大丈夫…なわけないな。よく頑張った」
「ん…んっ…はぁ…ぁ…」
郁乃の隣りに添い寝するように横になり、頭を抱き寄せる。
「ぐすっ…す…ん…へ、へいき…」
涙ぐみながらもやはり強がる郁乃。でも、髪を撫でているうちにだいぶ落ち着いてきた。
「…ありがとう。ワガママ、聞いてくれて」
「済まないな。酷い男で」
「それはそうね」
ふふっ、郁乃には似合わないような優しい微笑。
どきりとした俺は、それを隠すように身体を起こす。
「さて、落ち着いたら後始末だな」
「あ、うぅ…任せた」
部屋の惨状を見遣り、郁乃が身勝手な事を言う。
ふーん、そう来るかい。じゃあ、な、
「よし任された。んじゃ、風呂入るから一緒に来い」
「へ?」
「まずはお前の後始末だろ。身体洗ってやる」
「え、え、い、いいっ、自分で…」
「洗えないだろその指じゃ」
「あ゛」
硬直する郁乃。
「そ、そうだけどっ、でもっ、ちょっとっそのっ」
「諦めろ。そのまんま寝るのも気持ち悪いだろ」
目を白黒させる郁乃の姿にちょっと悪戯心が起きてるのは否定しないが、郁乃の身体を洗う必要があるのも事実だ。
「だいじょうぶ、変なことしないからさ」
「手をわきわきさせながらいっても信用ないっ!」
「真面目なアフターサービスですよお客さん♪」
事実、俺は真面目に郁乃の身体を洗ってやった。
まあ、変なことしなかったかと言われると、ちょっとだけしちゃったけどさ。
着替えた郁乃を部屋に戻す。
「あたしも片づける」
郁乃はそう言い出したが、また熱を出したらどうすると無理矢理寝かしつけた。
「なんか落ち着かないなあ」
ベッドに入ってもぶつぶつ行っている郁乃だったが、疲れたのだろう、俺が髪を撫でてやると、
「今日、何回目だろ…頭撫でられるの…」
そんな事をいいながら、すぅっと眠りに落ちていった。
やっと貴明に郁乃を抱かせることができましたが、郁乃本人が更に無茶になってますな
「痛いからって…」は鎖のちはやの台詞から盗作。あとエピローグが少しだけある予定です
>>387 リアルタイムキターッ!
ダークではなく、滲み出る背徳感がまたなんとも・・・
あとは回収ですか。wktkしながら待ってますんで
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
>>373-387 読了。いつもお疲れ様であります。
いくのんの反応が可愛いです。
でもこの流れは切ないなぁ。
エピローグも楽しみにしています。
>>387 乙。
こういう背徳感漂わせる雰囲気の郁乃SSは個人的に好きなので
もっと書いて欲しい次第w
エピローグ、楽しみにしてます。
略奪愛か、いいね。
>>393 いや、略奪愛ではないだろ。
自己満足と言ったほうが正しいような。
後半キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
GJ&乙です!またまたおっきしました。
エピローグwktkです!
396 :
387:2006/05/15(月) 06:43:10 ID:tlWwwtBo0
>389-395
感想どもです。おっきしていただけると書いたかいがあります
エピローグはエロ無いし略奪にもならない予定ですのであんま期待しないでください
坐薬からスタートしてテーマは>394の言う通り郁乃の自己満足なんですが、
貴明が愛佳を裏切るシチュに苦労して、けっきょく郁乃に殆ど逆強姦させてしまいました
いっそ坐薬の勢いでヤっちまった方がまだ自然だったかもしれません。
ここまでさせると中半でも指摘された「郁乃らしさ」が保てているかどうかも気になる所で、
文中に「らしい」「らしくない」「似合わない」なんて言葉が直接入ってしまっているのは
その表れですがどうにもセコいですね。エロでキャラの個性を出すってのもまた難しい…
コンドームを使う辺りが逆に生々しかったな
今度は勃起するようなのをひとつ。
とっさの機転でタマ姉を誤魔化せたのはいいけれど、雄二箱を安全かつ鑑賞可能(これは由真の
要望なのだが)とするには、このまま由真たちの部屋には置いておけない。由真はるーこと花梨を
仲間にし、彼女たちの部屋に雄二箱を移す作戦に出た。
宇宙人だろうとミステリマニアだろうとるーこも花梨も女の子、Hなことに興味がないはずはない。
由真のその言葉は正しかったらしい。由真に連れて来られ、雄二箱の中身を見せられた彼女たちは、
初めは拒絶する姿勢を見せたものの雄二箱の妖しい魅力には逆らえず、たちまち虜となってしまった。
作戦はほぼ成功、あとはるーこたちに事情を説明して箱を移せばいい。そう安心した俺だったが、
いつの間にか珊瑚ちゃんが部屋にいて、雄二箱の中身を読んでいた! 珊瑚ちゃんに雄二箱の中身を
読ませたなんて瑠璃ちゃんに知られたら……。慌てて珊瑚ちゃんから本を取り上げるが、見せないと
タマ姉に言いつけるなどと言われては、その本を返すしかないワケで……。
仕方がないので、珊瑚ちゃんも含め、るーこと花梨に事情を説明する。
「ま、まぁ、うータマたちを騙すのはいささか気が引けるが、仕方がないな。
るーは預かっても構わないぞ、うーかりはどうだ?」
「う、うん、るーこがいいなら花梨もいいよ。
そ、その代わり……」
「その代わり?」
「もう少し……、読んでても、いい?」
写真集を手にしながらおずおずと尋ねてくる花梨。出来れば一刻も早く雄二箱をるーこたちの部屋
に持ち運びたいのだが、まぁ、協力してくれるんだからそのくらいは、な。
「ああ、いいよ」
俺がそう答えると、花梨、それにるーこも、手にした写真集を再び読み始める。
「それじゃ、あたしも」
喜々として雄二箱をあさる由真。そんな三人を、やれやれと肩をすくめて見ていると、
「なーなー、貴明」
俺の服の袖をくいくいと引っぱる珊瑚ちゃん。
「何、珊瑚ちゃん?」
「これなんやけどな~」
手にした写真集の一ページを指さす珊瑚ちゃん。当然その写真は、その……、何と言うか、女優
さんと男優さんが……、いたしちゃってる写真でして。
珊瑚ちゃんは女優さんを指さすと、
「この女の人、環に似てへん?」
タマ姉に似てる? この女優さんが?
うーん、言われてみると……、髪型とか、目元とか、それから、その……胸が大きいトコとか、
確かに珊瑚ちゃんの言うとおり、タマ姉っぽい感じがするなぁ。
今更言うまでもないが、この写真集は雄二が買ったもの。と、言うことは……
「雄二、お前……」
「ちょ、ちょっと待て貴明! お前何か変な誤解してないか!?」
俺の冷たい視線に慌てまくる雄二。
「いや、さ、お前にシスコンの気があるとは前から思ってたけど、まさかここまでとはなぁ……」
「だ、だから違うっての!
た、たまたま、美人で胸の大きいモデルさんだったから、いいなぁと思って買っただけだって!
姉貴に似てるなんてこれっぽっちも思わなかったぞ!」
「『姉と弟 禁断の関係』やて」
写真集のタイトルを読み上げ、追い打ちをかける珊瑚ちゃん。
「ぐ、偶然だって偶然! このテの品物じゃありふれたタイトルだろ!?」
いや、「だろ!?」って俺に聞かれても……
「ふーん、雄二って実のお姉さんにそういう感情抱いちゃってるんだ。……気持ち悪っ」
「ぐはぁっ!!」
由真の容赦ない言葉にのけぞる雄二。
「あ」
「ん? どうした由真?」
「ねぇ見てたかあき。コレ、優季に似てると思わない?」
由真が指さす写真には、長い黒髪、清楚な顔立ちのお嬢さんが、あられもない姿で……
「あ、そう言えばこの写真の女の子、何となくるーこに似てるかも」
「そ、それは本当か、うーかり!?」
るーこが花梨の手にある写真集を覗き込む。気になるので俺も――
「み、見るな、うー!」
俺が覗こうとすると、慌てて写真を手で隠するーこ。
「俺にも見せてくれよ。別にお前本人が写ってるワケじゃないだろ」
「あ、当たり前だ! 誇り高きるーがこのような写真など――」
「ならいいじゃない。よっと」
「あ、うーゆま!」
俺に代わり、写真集を取り上げる由真。俺も見てみると……
「あー、うん、確かにるーこっぽいかもね」
うん、俺もそう思う。髪の色こそ違うけど、日本人離れした顔立ちや、どことなくミステリアスな
雰囲気といい、るーこに通じるものを感じる。外国の人か、それともハーフかな、このモデルさん?
「る、るーになど全然似ていないぞ! うーたちの目は節穴か!?
よく見ろ! 髪の色も違うし、る、るーはこんなにふしだらな姿になど……」
「はいはい、そんなにムキにならないの。別にいいじゃない、似てたって。
むしろホラ、地球人の中にるーこにそっくりさんがいたってのは、調査とやらの重要な情報になる
んじゃないの? よかったわねー、るーこ☆」
あからさまにるーこをからかっている由真。そう言えばこの二人には料理の因縁があるんだったな。
と、そこへ、
「でもこっちは由真ちゃんっぽいんよね」
花梨が別の写真集を開いて見せる。制服(しかもうちの学校のとよく似てる)を着たモデルさんが
教室内で乱れまくってる写真なのだが……うん、結構似てる、かも。
「え、えええっ!?」
驚く由真。そして、
「ほう、確かによく似てるな、うーゆま。
どうした、何をそんなに慌てている? 別にうーゆま自身の裸でもあるまい」
お返しとばかりにニヤリと笑うるーこ。
「う、ぐぐぐ……」
悔しげに唸る由真だが、いい加減俺には他に気になって仕方がないことがある。
「おい雄二、お前まさか、みんなのそっくりさんを選んで買ってるんじゃ……」
「い、いやいやいや! たまたま、偶然だって!」
「タマ姉、優季、るーこに由真、他にもあるんじゃないのか、そっくりさん」
「な、無い無い! これ以上は無い!」
必死でそう否定する雄二。だが、
「なーなー、貴明」
再び俺の袖を引く珊瑚ちゃん。俺の予想が正しいなら、
「この漫画なんやけど」
ホラあった。写真じゃなくて漫画だけれど、そのタイトルが、
『おねだりツインズ どっちがいいの?』
「雄二ぃぃぃ!!」
「……ぐ、偶然……だと、思います……」
その後、由真たちの雄二箱を物色する目的は、Hなことへの好奇心から、そっくりさん探しへと
変貌を遂げた。
「もうこれ以上は無い、絶対無いって!」と叫ぶ雄二の声を無視し、ひたすら箱の中をあさりまくる
由真たち。その中で、
『メイドの告白 -ご主人様、ご奉仕させてください-』
『昼下がりの人妻 娘には内緒で』
このようなタイトルのDVDを発見し、それぞれイルファさん、春夏さんとの近似性を疑うものの、
どちらも女優さんの外見があまり似ておらず、単なる雄二の好み――メイドさんはともかく、人妻
好きでもあったとは俺も初めて知ったのだが、とりあえずその二件はそれで落ちついた。
「な、な! 俺の言ったとおりだろ」
安心した様子の雄二だが、俺はお前の人妻好みが、将来向坂家に厄介事を持ち込んだりしないか、
他人事ながら一抹の不安を感じるよ。
「まだ全部調べたワケじゃないわよ」
フンと鼻をならす由真。
るーこと珊瑚ちゃんはそっくりさん探しに没頭している。しかし、
「……」
手を止め、眉をひそめる花梨。
「どうした、花梨?」
俺が話しかけると花梨は俺を見て、だがふぅとため息をつき、
「やっぱ、いないんよね」
「いないって、何が?」
花梨は雄二箱のとなりに山のように積まれた、検閲済みのHアイテムを見つめ、
「花梨の、そっくりさん」
自分に似ているモデルさんがいなかったことを気にしてるのか。……まぁ、花梨ってかなり個性的
だからなぁ、髪型とか。
でもさぁ、H関係のモデルさんだぞ。似ている人がいないからって、落ち込むものかなぁ?
大体アレ、本来は雄二個人のものであって、つまり雄二は普段一人でそれを見ながら、よからぬ
妄想に耽ってたりするんだよ。そのネタになりたいとでも言うのか?
「そうだよね、いるハズないよね。
ミステリに夢中で、色気なんかナノ単位すら持ち合わせていないような、こんな私のそっくりさん
なんて、いるワケないんよね……」
うーん、見るからに落ち込んでいる。俺にはよく分からないけれど、これもまた複雑な乙女心と
言うものなのだろうか?
ここはフォローをすべきなのだろうけど、何て言えばいいのやら。「そんなこと無いぜベイビー、
雄二のボンクラに見る目がないだけで、俺にはお前がナンバーワン、いやオンリーワンさ」とでも
言うか? ……ご免なさい、恥ずかしくて言えません。
「……まぁ、その、花梨だけじゃなくて、このみや郁乃のそっくりさんもいなかったし、さ。
あ、そう言えば愛佳のそっくりさんだって――」
いなかったな、そう言おうとしたが、
「あ、愛佳発見」
由真が一冊の写真集を見ながらそう言った。その時、
「ひゃうっ!?」
ドタゴロバターン!
部屋の外から誰かの声と、何かが派手にコケたような音。誰だ!?
慌てて部屋のドアを開けてみると、
「ま、愛佳!?」
「いたた……あ!」
俺と目が合い、愛佳は、
「や、ご、ご免なさい!
の、覗くつもりなんて決してなくて、でも、たかあきくんや由真たちがずっとお部屋から戻って
来なくて、その内るーこさんも花梨さんもお部屋に行っちゃって、みんなで何してるのか気になっ
ちゃって、階段上って部屋の前まで来ちゃって、それから、えっと……」
必死に弁明の言葉を紡ぎ出そうとする愛佳だが、今はそれよりも周囲を警戒、よし、愛佳以外誰も
いない。それなら、
「た、たかあきくん!? わわわっ」
愛佳の手を掴み、半ば強引に部屋に引き入れ、ドアを閉める。
「あっちゃー、愛佳、いたんだ」
愛佳の姿を見て、額にぺちんと手を当てる由真。
「え、由真、だってさっきあたしの名前――」
「まぁ、こうなったら仕方がない。愛佳も仲間にするしかないわね」
由真は立ち上がり、写真集を手にしてゆっくりと愛佳に近づく。
「ゆ、由真、仲間って何のこと?」
由真の怪しい雰囲気に恐れを抱いたのか、愛佳が後ずさる。
「愛佳ぁ、いいもの見せてあげるね。愛佳にはチョット刺激が強過ぎかも知れないけど」
「え、ゆ、由真、何なのそれぇ!?」
後ずさり後ずさり、ドアに背を当てる愛佳。可愛そうな気がするが、部屋から出すワケにはいか
ないので、ドアを開けられないよう押さえる俺。
「た、たかあきくん!?」
「ダメよぉ、たかあきに頼っても。たかあきだって仲間、なんだから」
クククッと笑う由真。おい、どうでもいいが不気味だぞ。
「え、え、えええっ!? や、やだよぉ由真、怖いからやめてよぉ!」
「大丈夫よぉ、怖い事なんて何もないから。ホラ見て、みんな楽しそうでしょぉ?」
……いや、みんなお前のおかしな芝居に「?」って顔してるぞ。
「か、花梨さんたち、どうしちゃったのぉ!?」
けれど、すっかり怯えた愛佳には、そんな花梨たちが「楽しそう」に見えてるようで。
「さぁ愛佳、コレを見て」
写真集を開いて、愛佳の目前に近づける由真。
「……ひゃ、ひゃあ! ――ムグッ」
悲鳴を上げようとする愛佳の口をとっさに手で塞ぐ。――ゴメン愛佳、タマ姉に聞かれるから。
「シーッ、大きな声出さないの。 どう愛佳、凄いでしょ?」
「……(もがもが)」
真っ赤な顔でふるふる震えている愛佳。どうやら由真の質問に答える余裕すらない程、頭の中が
パニックになってる様子。
「愛佳、こっち来て」
写真集を戻し、俺に愛佳の口を押さえたさせたまま、由真は愛佳をベッドの方に連れて行く。愛佳
も震えてはいるものの、特に抵抗はしない。
それまでベッドに座っていた雄二を手で追い払い、由真は愛佳をベッドに座らせる。俺も一緒に
ベッドに座る。
それで一旦、愛佳を落ちつかせるのか……、と思いきや、
「さあ愛佳、もう一度しっかりご覧!」
またも愛佳に写真集を無理やり見せる由真。
「……!?(もが~!?)」
再びパニック状態で足掻く愛佳を、仕方がないので押さえつける俺。
「抵抗したってムダよ、いいからしっかりご覧なさい! 凄いでしょ、いやらしいでしょ!?
でもね、誰もがこうやって、大人の階段を上っていくのよ!
大丈夫よ、恥ずかしいのは最初のうちだけ。慣れればそれが段々と――」
「!!(もが~っ!!)」
……ああ、心の中で愛佳の悲鳴が聞こえる。「助けてたかあきくん! 由真をとめて!」って。
でも今はこうするしかないんだ。許してくれ愛佳。
「……な、なんかよぉ、すっげえヤバい雰囲気なんだけど」
この光景にさすがの雄二も引いてる様子。だが由真は構わずに、
「ホラ、この写真の女の子、愛佳に似てると思わない?
それで、その愛佳似の女の子にイケナイことしちゃってる男の人は、たかあき似だね」
……あの、由真さん、さすがにそれは無理があります。俺、この男優さんほど筋肉質じゃないし、
全身日焼けもしてないし。愛佳も首を振って否定するが、やはり由真は構わず、
「そして次のページが凄いのよ! 愛佳とたかあきがなんと……」
自分も興奮しまくってる由真が、ページをめくろうと――
ガシッ!!
由真の手首を掴む誰かの手。そして――
「あなたたち、何をしてるの?」
穏やかだが、確実に怒りを孕んだ声。いつの間に来たのか、タマ姉がそこにいた。
泣いてる愛佳をなだめつつ、そそくさと立ち去る花梨たち。
俺、雄二、由真はその場に正座させられ、約三時間、たっぷりとタマ姉のお説教を食らった。
雄二箱がどうなったかって? そんなの言うまでもないことだ。
つづく。
どうもです。第56話です。
巷で話題の某涼宮さんと、我らが黄色ちゃんの人気の差について考えてみたり。
やっぱ、髪型でしょうか?
河野家読みました~遂に鬼にみつかってしまいましたねw
次回はどんな展開になるのか楽しみで~す。
>>408 GJ!!
ちなみに涼宮某は花梨の数倍ブッ飛んでる気がしますよ?
ちょwww、最後の愛佳と由真のやりとりがサイコーでした。
次回に期待してます。
>>408 河野家、喜多ーーー!!!
どんどん墓穴を掘って逝く雄二が哀れでなりませんな^^;
もう少し時間があれば、『淫らな生徒会長 -貴方が望むなら-』 とかも
発掘できたかもしれませんね~。
まあ、3時間の正座&説教で済んだのなら、命に別状はないし良かった良かったw
>>387 後半、喜多ーー!!
坐薬ネタだけに、処女は喪失せずアナルのみ、かと思ってましたw
思いつめて犯る郁乃んもエロくて良いですが、やはり憎まれ口をきく
郁乃んがかわいいですね。
エピローグを楽しみにしてます。
>>410 黄色は被害与えるのは周辺だけど
ハルヒは世界に影響与えちゃうからなw
てかハルヒはポニテがよかった
雄二はあと何回地獄を見れば解放されるんだろうな
(´・ω・) カワイソス
あと少なくとも何千回かな
(´・ω・`)河野家作者は雄二に酷いことをしたよね
(´・ω・`)向坂家作者はもっと酷いことをしたよね
そうだ! 向坂家マダー?
「何もしない人ほど批評家になる」
自分がバカにされないことに意識を集中する。
これが劣等意識がもたらす「引き下げの心理」なのです。
部下の行動、妻の言動、何かのコラムに批評することで
「自分の方が偉いんだ!凄いんだ!」と自分で確認しなければ、気がおさまらない。
だから、良いところより、批判することにのみ、すぐに意識が向く。
なぜ、人を誉めること、よい所を認めることにこれほど、ある人は抵抗感を持つのか。
誉めないまでも、一つの考え方としてとらえる事ができないのでしょう。
演劇や舞台の批評文ばかりを見て、あの舞台はキャスティングミスさ、
台本の流れが問題さと、退屈と苛立ちにアグラをかいて、人を批判するより、
一生懸命作っている演出家や出演者の方が人生を楽しんでいるし、心からの友達も多いはず。
何もしない人ほど批判精神ばかりを育てて、人生を孤独にする傾向があるのです。
批判ばかりがクセになると、自分の小さな行動に対しても「くだらない」「意味がない」
と自分にも批判精神は向いてしまい、自分の前向きなエネルギーまでもが枯渇します。
421 :
名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 14:47:28 ID:E2l+PjvK0
向坂家期待上げ
422 :
名無しさんだよもん:2006/05/16(火) 16:45:36 ID:PNbdN1g60
>>408 GJ!
雄二カワイソス(´・ω・)なハズなのに大ウケしましたw
>>420 をどれはいったいなにをいいたいのか、と
>>423 オナニーはしてる奴だけが気持ちいい。
他人のオナニー見て文句つけてる奴は性欲を溜めてしまい、
しまいにはその性欲を全く欠くことになってしまう。
もっとも、オナニーはそもそも誰かに見せるものではない。
自慰行動を自己の意思で公開するがごとき行為をする者は性的異常者ともいえ、
公開したマスターベーションを批判されるといっそう興奮を覚えるのである。
そして批判した人間を貶すことで更に変態的な自慰に取り組むことができるのだ。
ということだと思うよ。
なるほど。 勉強になるな。
女の子のオナニーを見るのは楽しいが
ふふっ……。
俺は相手が男でも全然構わないぜ。
や ら な い か ?
い や だ ア ッ ー !
ウホッ
今日も最初についたので、生徒会室の鍵を開けて中にはいる。
「せ、先輩と、笹森さん…。いったいなんですか?」
そこには、まーりゃん先輩と笹森さんがいて、驚きを隠せない私。
「いやー、昨日面白いことがあったって聞いたから~」
「面白いこと……なんてありませんっ!」
昨日、大変な事になっていたらしい。
私は、笹森さんに寝かされて、マットの上に横になって…。
気づいたら河野さんが私の……えっと……掴んでいて…。
私の意識がないうちになにがあったのかよくわからないんだけど…。
それより、なんでまーりゃん先輩がそれを…?
「さーりゃん、ちょっと、両手出してくれる?」
「えっ?は、はい」
まーりゃん先輩の言う事を素直に従ったのが、間違えだった。
両手にがちゃり、と手錠をつけられる。
「せ、先輩っ!これ、なんですか!?」
「何って、手錠だけど?」
「そんなことじゃなくて……」
「生徒会長、ごめんなさいっ!」
そういって、私は笹森さんに背後から口を布でふさがれる。
「よしよし、かもりんはさーりゃんと、そのあたりに隠れていてくれたまへ。
そろそろたかりゃんがやってくるはずだぞっ!」
「は~い」
身動きできない私は笹森さんとともに、入り口の方からは見えない場所にいく事に。
しばらくすると、鍵が閉まってる扉を開けようとしたときにする特有の音がする。
あれ、今日は久寿川先輩まだ来てないのか、という声。河野さんの声。
そして、少しすると、扉が開けられる。
こっちからは見えるので、河野さんが入ってきたとたんに足払いをかけられたのが見えた。
「はーっはっはっはっは!」
「まーりゃん先輩!!今日はいったいなんですか!!またパンツみえてます!!」
「ワザとみせているのだ」
「分かってます!迷惑ですから、やめてくださいっ!!」
「なんだよ~つれないな~。さーりゃんのことに関しては興味津々のクセしてさー。
まぁ今はおいといて、昨日は面白い事があったそうじゃないかー」
ニヤニヤしながら、先輩が言っている。
「いや~、その場にいられなくてひじょ~~に、残念だった」
「そうですか。それは残念でしたね」
河野さんは、投げやりの態度でそれに答えている。
それがおきに召さなかったのか、まーりゃん先輩はふてくされたような表情に。
「へーなんだよなんだよ。そんなこと言うんだ。だったらいいよ。今日もやってやるよ」
河野さんが、その言葉で固まったのが、こっちからでも分かった。
「今…なんと…?」
「一度で聞き取れよー。つかえねーなー。もう一度だけだぞっ!」
もう一度まーりゃん先輩が言って、愕然としている河野さん。
そんなに、昨日の私は酷かったんだ…。
「ダメです」
その後、われに返ったかのように河野さんはきっぱり言った。
けれど、まーりゃん先輩は有無を言わさず、私の時のように手錠をかける。
「また手錠ですかっ!?」
「同じ手に何度もかかるなんて、たかりゃんは学習能力ないな~」
貴明さんが、明らかに険しい顔になったのがわかった。
「むふふ、主役の登場~っ!」
まーりゃん先輩が指をぱちっと鳴らすと、笹森さんが私を引いて貴明さんの前に出た。
「ちょ、何してるんですか、あんた達は!?」
私は口までふさがれていているので、貴明さんをじっと見つめる。
「何って、面白いこと」
「面白い事って…!!そうだ、タマ姉!このみ!雄二!早くきてくれえええ」
「ん?まっても無駄だぞ?既に、手は打ってある」
そう言ってニヤリとする先輩。
もう、私達は、まーりゃん先輩に逆らう手立ては残っていないようだった。
・
・
・
「では、かもりん、お願いいたすっ」
「任せといてなんよ!」
昨日と同じように寝かされる私。
いったい、どうなってしまうんだろう…。見当もつかない。
でも抗う手段はない。もう成り行きに任せるしかない。
私は、あきらめたような目で河野さんを見つめた。
河野さんも、私のほうを見てくる。
「俺が久寿川先輩の代わりに、実験台になります!」
そして、河野さんは叫んだ。
その言葉に、私は驚いた。そして、とっても嬉しかった。
でも、私なんかの代わりをさせちゃいけない。私はそう思い、首を横に振る。
あなたは、私なんかの代わりになんて、ならないで。そんな意味をこめて。
しかし、河野さんは気づいていないのか、その言葉を取り下げようとはしなかった。
「ほう、たかりゃん君。愛するさーりゃんを守るというか。
その思いに免じて、ご希望通り君を使ってあげよう」
いや、だめっ!あなたはそんなことしなくて良い人なの!
「じゃぁ、たかちゃん、準備はいいかな?」
まーりゃん先輩が不敵に笑う。
「ああ…。いつでも、どうぞ…」
私のマットに寝かされる河野さん。
ごめんなさい――私なんかのせいで――。
「じゃあいくよ…。わん・つー・すりーっ!」
***
河野さんが催眠術をかけられてから、もう5分が経っていた。
口をふさいでた布と手錠はは取られ、今は自由に動ける。
「あっれぇ…おかしいなぁ、昨日はできたんだけど…」
「なんだ、失敗かぁ」
先輩は残念そうな顔をする。
「うー、お役に立てず、すいません」
悔しそうな、笹森さん。
「いーや、もう当初の目的は達成できたから、とりあえずいいのだ」
その言葉を聴き、私はドキッっとした。
「当初の目的…?先輩、いったいなんですか…?」
「さーりゃんは気にしなくていいことなのだー」
「も、もしかして、河野さんに…」
「さーて、かもりん。そろそろ、催眠を解いてやろうじゃないか」
今、話を逸らされた…。先輩…やっぱり…。
「はーい、では…。わん・つー・すりーっ!」
河野さんは目をさま――してなかった。
笹森さんは苦笑い。
「あはは……起こすほうも失敗しちゃったみたい…」
「えっ―――!?」
思わず声を上げてしまう。
「そ、そんな…」
「も、もっかい…。わん・つー・すりーっ!」
笹森さんが、もう一度起こそうとするも、やっぱり河野さんは寝たままだった。
「もしかして、たかりゃんこのままずっと目を覚まさないかも…?」
「はは………最悪……そうかも…」
「い、いや…!そんなの…イヤ!」
河野さんが目を覚まさなかったら私…私…。
近くでマットの上で寝ている河野さんのほうを見る。
私は我慢できずに、胸に涙で酷くなってしまった顔を埋める。
「うう…。もっと…もっと早く、あなた会いたかった…。ちゃんと、言いたいこと…
言いたかった…。なのに…なのに…。バカ、河野さんのバカっ…!
起きないでいるべきだったのは私だったのに…。私なんかを庇って…」
まだ、いいたい事があった。まだ、言って欲しい事があった。
まだ、したい事があった。まだ、して欲しい事があった。
なのに…なのに…。河野さんは、目を覚まさなくなった…。
何でこんなことになっちゃったの…?誰が河野さんにこんなことをしたの…?
「ごめん、さーりゃん…」
先輩が、私の後ろで力なくそういった。
その言葉さえが私を憤らせる。
「謝るくらいなら起こして!河野さんを起こしてよっ!!」
先輩に背を向けたまま、大声で怒鳴りつける。
「ごめん…。でも、もうどうにもできないよ…」
先輩の目が、顔が、声が、逃げられない事実であるのを物語っていた。
でも、信じたくなかった。認めたくなかった。
足が震える。そして、その足で先輩に歩みより、つかみかかる。
「河野さんを起こして!河野さんを返して!!」
もうよくわからない。
ただ、涙と共に怒鳴り声をあげ、ただ乱暴に先輩の体を揺さぶる。
先輩は、もう何も言わなかった。
ただ、罪悪感に際なわれたような目で、ずっと私を見つめていた。
「河野さんを…!河野さんを…!かえ――」
そのとき、覚えある感触が、私の胸から。
歪んだ視界でみたそこには、誰かの手。
「久寿川先輩っ……やめてください…」
この声…。この手…。見なくても、誰のものだか分かる。
「う…う…うわああん」
私は胸を触られていることではなく、目を覚ましてくれたことが嬉しくて再び大声で泣き出した。
「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!久寿川先輩、ごめんなさいっ!!」
そんな彼の慌てた声さえも、嬉しく感じた。
***
「じゃ、じゃぁ先輩…騙してたんですね…!」
「いやー、さーりゃんがどれくらいたかりゃんの事を思ってるのかちょっと確かめたくってね」
それで、あんな手の込んだことを…。
というのも、今日の催眠術は解かない限り起きないというもので、それを解くときは、
あたかも解いたかのように見せて、実は格好だけだったらしい。
それで、私が先輩に掴みかかっている最中に後ろで笹森さんが河野さんの催眠術を解いたみたい…。
「もう……。先輩なんて、だいキライです…」
「もうさーりゃんったら、あたしの演技にもろに引っかかってくれて、騙すかいがあったよ」
だって、演技に見えなかったんだもん…。そんなこと判断してる余裕もなかったし…。
「でも、私もごめんなさい…。掴みかかっていっちゃって…。痛くありませんでした?」
「いやー、もうめちゃくちゃいたかったよ~。骨折れちゃったかも。
これは、もうさーりゃんに裸エプロンで毎朝お出迎えしてもらわなきゃ直らないなぁ」
「――――」
そ、そんなこと…普通できるはずないわ……。で、でも、もし…………。
「本当にすいませんでしたーーーー!!」
そんなことを考えていると、後ろから声が聞こえる。
そちらを見ると、河野さんが、床に頭をこすりつけて土下座していた。
「こ、河野さん、どうしたの!?頭を上げて?」
私は、慌ててやめさせる。
「先輩の…その…おっぱいを2日も続けて…。本当にすいませんでした!
いくら手段が浮かばなかったからって、許されることじゃないと分かってます!
先輩をあんなに泣かせる程傷つけてしまって…本当に申し訳ありませんでした!!」
私は、にっこりしながら答える。
「じゃあ、河野さん…。今日、私と一緒に帰ってくれたら、許してあげるわ」
本当は勘違いしている河野さんを騙すようだけど、私はそういった。
「えっ…?」
河野さんの驚いた顔が、とても可愛く見える。
「お、俺でいいんですか……?」
私は、うなずく。
「で、でも俺―――」
私は、河野さんの唇を人差し指で抑える。
「あなたじゃないとダメなの――。あなたがいいの――」
河野さんは、驚いた顔のままコクコクっとうなずいた。
私は、またにっこり微笑んで人差し指を離した。
「先輩、私達、かえり――、ってもういない……」
先輩と笹森さんにサヨナラの挨拶をしようと振り返るも、二人ともいなくなっていた。
「それじゃぁ、河野さん、いきましょうか」
「は、はいっ!」
***
二人で歩く夕焼けの道。私は、口を開く。
「河野さん。ひとつお願いしていい……?」
今日を経て、思ったこと。お願いしたいこと。
「俺に出来ることなら、何でも」
ただの押し付けかもしれないけど…。それでも、私は約束して欲しかった。
「私に何も言わないで、どこか遠くにいったりしないで…」
「もちろんですよ。先輩を置いて行ったままどこかにいったりなんて、絶対しません」
河野さんは、私が何でこんなことを言ったのか分からないだろう。
でも、そう力強く答えてくれたことがとても嬉しかった。
「ありがとう……」
「久寿川先輩。俺もひとつお願いしてもいいですか?」
「な、何かしら…?」
「今日みたいに、何が起こるかわからなかったり、危険な可能性のあるようなことは、
全部俺に任せてください。先輩はそんなことしないで欲しいんです…。お願いできますか?」
私の事を心配してくれている。
それがたとえ他の人に対してと同じように心配していると分かっていても、私は嬉しかった。
私だけが特別なんだって、自分を騙すことが出来るから。
「ごめんなさい。それは、出来ないわ」
でも私は、河野さんのお願いを断った。
「な、なんでですか!?」
あなたを危険な目にあわせたくないから。
もちろん、そんなことを言えない。だから、私はこう言った。
「そうゆうのも、生徒会長の仕事だから――」
あてつけって事は分かっているけど、私はそう言った。
「で、でも――」
河野さんが何か言おうとしたけど、私は分かれ道というのを利用し河野さんの声を遮り言う。
「それじゃあ――また、明日」
私は、にっこり微笑みながら言った。
「は、はい。また、明日」
河野さんも別れ道についていた事に気づき、そういった。
そして、私達はそれぞれ帰路についた。
今日、もし河野さんがいなくなったら、って言う事に気づかされた。
だから、河野さんが私の傍にいてくれている間に……。
私は立ち止まり、空を仰ぐ。4月の春の風が、吹き抜けて、髪が揺らされる。
「どうすれば、私はあなたの特別になることが出来るの?」
私は今はもう隣にいない彼に向かって言った。
もちろん、ここにいない彼は答えてくれなかった。
でも私は気にせず、また歩き出した。
いつか、特別になれることを信じて――。
441 :
あとがき。:2006/05/17(水) 21:53:40 ID:udmp7dKo0
感情的になったささらを書きたくて、やってしまいました。
さーりゃんはこんなんじゃないっ!って方、すいませんでした。
やっぱりいい文章書くのって難しいですね~。
>>441 乙&GJ。
さーりゃんがいい味だしてるのです。
なんか最近の作者さんは謙遜しすぎじゃない?
いや、堂々とされるよりはよっぽど良いけどさ。
もう少し自信持っても良いと思う。
やはり花梨は最高だな。
他のキャラは引き立て役でしかない。
やはりまーりゃん先輩は最高だな。
他のパンツじゃ萌えが足りない。
やはり胸は掴まれるためにあるのだなぁと思いました、まる。
くそー XRATED未プレイだから嫁ねえorz
>>441 あんた三宅じゃねえのか!ささらシナリオ独特の萌えと気分の悪さを久しぶりに味わったぞ!
すぐやれ。特急で。
とっきゅーとっきゅーとっきゅー
ぱおぱおー
とっきゅーとっきゅーとっきゅー
ぱおぱおー
さあ月曜日ですよオマエ等
(^ω^)向坂家wktk
珊瑚ちゃんと言うイレギュラー要素が加わったものの、るーこと花梨を仲間に引き入れることには
成功した。雄二箱を自分たちの部屋に隠すことも快諾してくれた二人。まぁ、もうちょっと箱の中身
を鑑賞したいと言うお願いくらいは聞いてあげるべきだよな。
そんな中、珊瑚ちゃんが写真集の中にタマ姉のそっくりさんがいるのを発見。次いで優季、るーこ
と次々そっくりさんが見つかり、いつしかそっくりさん探しに没頭する由真たち。花梨は自分のそっ
くりさんが見つからないのを気にするけど、まぁ、花梨は髪型が個性的だからね、うん。
いつからかは知らないが、そんな俺たちを覗いていた愛佳。見つけた以上は仲間に引き入れるしか
道はない。嫌がる愛佳に無理矢理写真集を見せようとする由真と、それに手を貸す俺。だがそこに、
さながら時代劇の主人公のごとく唐突かつナイスタイミングで現れるタマ姉。俺と雄二と由真はタマ
姉のキツイお説教を食らい、雄二箱は……
「――分かった、三人とも?」
「……はい」
「……へぇーぃ」
「……ご免なさい」
揃ってタマ姉に頭を下げる俺たち。
「ふん……、まぁ、このくらいでいいでしょう。
じゃあ三人とも、そろそろお昼だから下に降りましょう」
そう言って俺たちを立ち上がらせようとするタマ姉だが、
「……」
「……」
「……」
「どうしたの? 立ちなさい」
「いや……、その」
「ぐ、ぐぐぐ……」
「うう……」
……いや、だってさぁ、三時間も正座させられてたんだよ。そんないきなり立てと言われたって、
足がしびれて立てませんって。
悶え苦しむ俺たちを見て、タマ姉はやれやれと、
「この程度で立てないなんてだらしないわね。仕方がない、しびれが治ったら降りてきなさい」
タマ姉は雄二箱を抱え、部屋を出ていこうとする。
「な、なぁタマ姉」
「何、タカ坊?」
「それ……どうするの?」
分かっていることとは言え、念のため聞いてみる。
「決まってるじゃない、全部捨てるわよ。
本は資源ゴミ、DVDとビデオは燃えないゴミの日ね。とりあえずそれまでは私の部屋に」
「全部、捨てちゃうの?」
「そうよ」
当然、と言った顔のタマ姉。
「あのさタマ姉、それは勘弁してくれないかな。
前にタマ姉言ってただろ、それなりのものなら見逃すって。だから、それなりのものだけ残して
やってくれないかな」
「まぁ、確かにそう言ったわね。けど」
タマ姉は雄二をギロリと睨み、
「私の目を欺こうとした根性が気に入らないわ。それを加味したら没収程度で許すんだもの、むしろ
感謝してほしいくらいだわ」
「は、ははは……」
最早雄二は完全に諦めている模様。けど、
「確かにこんな手の込んだことをやらかしたのは俺もどうかと思うけど、雄二だって男なんだしさ、
やっぱその、いくらタマ姉が止めても、そういうのを見たいって気持ちはどうしても止められないん
だよ。俺も男だから、それは理解出来るって言うか、共感できるって言うか。
だからさ、頼むからそれなりのものだけ、何とか」
この通り、と頭を下げる。
俺がこんなにしつこく食い下がるのは雄二への友情故に、と言いたいところだが、やっぱタマ姉に
気づかれたのは、俺と由真が愛佳相手にドタバタやったからだという後ろめたさからだったりする。
そもそも俺の家にこんなもの送りつけた雄二はアホだと思うけど、バレた原因が俺たちにある以上、
これではあまりにも雄二が哀れすぎる。
「あたしからもお願いします、環さん」
頭を下げてるので見えないが、由真も頭を下げた模様。俺が思ったように、バレたのは自分たちの
せいだという自覚故だろうか?
「そうね……、あなたたちがそこまでするなら、まぁ、ね」
頭を上げなさい、と俺たちに言い、タマ姉は雄二箱を床に置くと、
「それじゃあ、これから中身を確かめて、それなりのものは雄二に返すわ。それでいいわね」
「うん、ありがとうタマ姉」
タマ姉は、写真集や漫画はパラパラと流し読みし、DVDは俺のゲームで早送りで見て(操作した
のは当然だが俺)、ビデオはこの部屋にデッキが無いので保留とし、そんな感じで雄二箱の中身を
一通り確認した結果、雄二の手元には3冊の写真集のみ返還された。ちなみに、それらの写真集の
モデルさんは河野家メンバーズの誰にも似ていない。何となくホッとした俺。
「よ、よかった……。全滅は免れた……」
写真集を抱きかかえ、涙ぐむ雄二。まぁ、その、よかったな。
「それから雄二」
「?」
「これは……、よくないわ」
困った顔でタマ姉が雄二箱から出したのは、『姉と弟 禁断の関係』。
「うえっ!? い、いやそれは」
「雄二……、あんたが私のことをそこまで想ってくれてたなんて、私知らなかったわ。
でもね雄二、私たちは血の繋がった実の姉弟なの。これだけはどう変えようもない事実。だから
私は、あんたの想いには応えてあげられない。人として、それだけは出来ないわ」
「い、いや、ホントにたまたま――」
「人の道に戻りなさい雄二。
あんたはね、頭の中身さえもう少しマトモなら、姉の私から見てもいい男なのよ。人として正しい
道を歩んでさえいれば、きっとあんたにも素敵な恋人が出来るはずよ。私が保証するわ。
いい、頑張るのよ雄二、いえ、一緒に頑張りましょう雄二! あくまで姉の私と一緒に、頑張って
更正するのよ!」
「……」
興奮気味のタマ姉に両肩をガシッと掴まれ、無言の雄二。その表情が投げやり気味に見えるのは
俺の気のせいだろうか?
まぁ俺としても、親友が道を誤るのは好ましくない。頑張れ雄二。
足のしびれなら、タマ姉の検閲中に治ってる。なので俺たちも一階の居間へ。
「……」
「……」
「……」
「……タカくんのエッチ」
居間に入るなり、優季、郁乃、瑠璃ちゃん、このみの冷たい視線。
「いやー、貴明センパイたち、災難でしたねぇ、ウヒョヒョ」
「……どうも」
よっちとちゃるもいつの間にか来てるし。
そうだよなぁ。俺たちが何をしでかしたかなんて、そりゃ伝わってても当然だよなぁ。
「……面目ない」
言い訳の言葉など最早何の意味もない。今はひたすら非難に耐えよう。
「由真さんまで一緒になって、るーこさんや花梨さん、珊瑚ちゃんをHな本でたぶらかして、しかも
嫌がってる愛佳さんにまで無理矢理見せようとするだなんて、酷すぎるんじゃありませんか?」
優季の矛先が由真に向く。いかん、この二人は以前大喧嘩してる。まさかまた――
「……ま、愛佳には悪いことしたと思ってるわよ。ゴメン、愛佳」
意外にも優季の言葉に腹を立てることもなく、愛佳に頭を下げる由真。
「うん、もういいよ由真」
「俺も悪かった。許してくれ愛佳」
由真の後追いって感じだけど、とにかく俺も謝る。
「た、たかあきくんまでもういいよぉ。あたしのことも含めて環さんに怒られたんだから、それで
もう十分ですよ。あたしならもう平気ですから」
「お姉ちゃん簡単に許し過ぎ。ついさっきまであんなにワンワン泣いてたのにさ」
やや呆れ気味の郁乃。
「そ、そんなことない! そんなワンワンなんて泣いてないし、もっと早く泣き止んだよぉ」
慌てふためく愛佳が可愛いなぁ、なんて思ってたら、
「貴明ぃ!!」
ゲシッ!!
「ぐあっ!?」
いきなり俺を蹴ったのは、言うまでもなく瑠璃ちゃんだ。
「さんちゃんたぶらかしてHな本見させるなんて、この、へんしつしゃーっ!!」
「あかんよ瑠璃ちゃん、貴明のせいちゃうよ」
瑠璃ちゃんを止めようとする珊瑚ちゃんだが、
「さんちゃん黙ってて! みんな貴明が悪いんや!
Hな本なんか読んで、おまけにさんちゃんにまで……、この、このぉ……!
貴明のスケベーっ! へんたーい! ごーかんまーっ! ウチだけ仲間外れーっ!!」
ゲシッ!! ゲシッ!! ゲシッ!!
罵声とともにキックの連打。その痛みに耐えつつ、瑠璃ちゃんはムエタイとかキックボクシング
とか習って、エクストリームにでも出場したらいいかもなんて思ったり。あと最後の仲間外れって?
瑠璃ちゃんは何十発か――とにかく数えられない程俺を蹴りまくり、倒れ伏す俺に「昼の支度が
あるから、このくらいで勘弁しといたる!」と言い残すと、キッチンへのしのしと向かった。
俺は雄二に肩を担がれ、ふらふらとソファーへ。
「大丈夫、タカくん?」
さっきの怒りはどこへやら。心配そうなこのみ。
「だ、大丈夫大丈夫、いつものことだし」
「いつもって、貴明センパイ、いつもあんな何十発も蹴られてるんスか? ハードッスねぇ」
まぁ、普段は一発なんだけどね……。
「……耐え忍ぶのも愛」
いや、愛じゃないし。
「そう言えば環さん」
由真は、るーこ、花梨、珊瑚ちゃんを順に指差し、
「この三人は、お咎め無しなんですか?」
「おい由真、もういいだろ」
俺としてはもう雄二箱絡みの話は沢山だ。だが由真は納得してないようで、
「そりゃあ誘ったのはあたしだけど、それに乗ったのはるーこと花梨自身だよ。珊瑚ちゃんに至って
は誘ってないのにいつの間にか読んでたし。
あの箱の中身を読んだのが悪いって言うなら、この三人だって同罪じゃないですか、環さん?」
その言葉に、るーこと花梨が縮こまる。
「そやな~、読んだんが悪い言うなら、ウチも同罪やな。環、ウチのこと叱って」
珊瑚ちゃんもそう言って、タマ姉の前で正座する。それを見たるーこと花梨も、珊瑚ちゃんの両脇
で正座をし、叱ってくださいとばかりにタマ姉を見つめる。
「うーん」
タマ姉は顎に指を当て、
「私としては、この三人を咎めるつもりは無いんだけどね」
「ええっ!? どうしてですか環さん!?」
由真のその声は、疑問と言うより抗議の色。
「年頃の女の子だもの、性的なことに興味を示すのは当然じゃない。
まぁ雄二の集めたあれは過激すぎだけど、読んだこと自体を責める気にはならないのよね」
「ならあたしだって!」
「由真は雄二やタカ坊と結託して、私を欺こうとしたでしょ。おまけに嫌がる愛佳に無理矢理読ませ
ようとするなんて、親友失格よ。さっきも言ったのに、まだ分かってくれなかったのかしら?」
「あ……、いえ、そんなことは決して!」
慌ててブンブン首を横に振る由真。
「とは言え、どうやらお咎め無しだと収まりが悪いみたいだし……」
タマ姉は少し考え、
「それじゃあ、るーこたちは」
ペシッ、ペシッ、ペシッ
いきなり三人の額にデコピン。痛いと言うより驚いた顔でタマ姉を見るるーこたち。
「はい、お仕置き。
いい、もうあんな過激なのは見ちゃダメよ」
「る、る~」
「ご、ゴメンなさい」
「うん、分かった~。フツーにHぃの見る~」
かくして一件落着、と言いたいものの……、最後の珊瑚ちゃんの言葉が気になる。フツーにHぃの
って、まさか珊瑚ちゃん、これからは自分で買って見るつもりじゃ……
さっきも言ったが、俺としてはもうこれ以上雄二箱絡みの話は沢山なのだ。それなのに、
「――じゃあ、雄二センパイのコレクションは全部没収されたワケじゃないんスね」
よっちがそれを許さなかった。
「まぁな。三冊だけ返してもらえたよ」
「じゃあ、その三冊は、今どこにあるんスか?」
「貴明の部屋に置いたままだけど?」
「へぇ~っ、ほぉ~っ」
天井を見てニヤニヤと笑うよっち。何かイヤな予感。
「環さん、念のため確認しますが、環さんが検閲済みの三冊、読むのは構わないんスよね?」
「まぁ、あのくらいは、ね」
「それなら、ちょいと……」
立ち上がり、キシシッと笑いながらドアへと歩くよっち。
「ちょっと待てよっち、どこへ行く?」
「決まってるじゃないッスか貴明センパイ。ちょっくら拝見させてもらうんスよ」
「え!?」
「いや~、実を言うとあたしも読んでみたかったんスよね~。男の子の読むエッチな本。
ホントは由真さんたちが読んだ方を読みたかったんスけど、まぁそれは諦めるとして、せめて残り
の三冊だけでも、ねぇ。環さんのお許しも出たことだし。ホレ、いくよキツネ」
「了解」
よっちに呼ばれ、すっくと立ち上がるちゃる。そして、
「このみも、行こう」
このみに手を差し出すちゃる。
「え、えええっ!? わ、わたしはいいよ。そんなの別に見たくないもん!」
真っ赤な顔で、ちゃるの手を引っ込めさせようとするこのみ。何故かチラチラ俺を見つつ。
「わ、私は瑠璃ちゃんの手伝いですから!」
そう言って立ち上がり、すたすたとキッチンへ向かう優季。このタイミングで立ち上がったら、
そっちに行くと誤解されるって思ったんだな。と、
「……」
よっちを見つめている郁乃。もしかして……行きたいのか、二階へ?
と、その視線によっちも気づき、
「一緒に行く、郁乃ちゃん? あ、今のダジャレじゃないからね」
「だ、誰も行きたいだなんて――」
「まぁまぁ、そんなつれないこと言わないで一緒に行くっしょ。ホレ」
郁乃の前にしゃがみ、背中を向けるよっち。
「……」
やはり本音には逆らえないようで、郁乃は不承不承、よっちの背中におぶさった。
つづく。
どうもです。第57話です。
突然、PCのディスクが壊れてしまいました。orz
幸い河野家を含む全てのSSはフロッピーにバックアップを取っておいたからよかったものの、全く
頭になかったのが辞書ファイルのバックアップ。
PCを復旧させて河野家書こうとしたら、辞書が生まれたての赤ちゃんになっちゃったせいで変換
に手間取りまくり。愛佳や優季、タマ姉の名前が出てこないし、「さんごちゃん」で変換したら
「三吾ちゃん」になったり……
そんな感じで悪戦苦闘の57話でした。
>>467 今週も楽しませて頂きました。
それにエロ本を見た事が学校にばれたら停学なんだよな、と昔の事を思い出しましたw
>>467 河野家、喜多ーーー!!!
淡々と雄二箱の内容を確認するタマ姉こえぇ~w
タマ姉も、こういうのには免疫なさそうなのになあ^^;
しかし、ちゃるとよっちはどこから湧いたのやらw
次回が楽しみです。
PCの方は、ご愁傷さまでした。
いっそ、USBメモリーか何かに辞書とかも
まとめてバックアップをとっておいた方が
よいかもしれませんね^^;
>>467 今まで自分が書いたテキストを、片っ端から辞書ツールで読み込ませてトレーニングさせると良いよ。
IMEでもATOKでもok
>>458-467 乙&GJ&辞書南無であります。辞書はきっついすなぁ…。
ともあれ、ちゃる&よっち&このみん&いくのんの年下組の今後の絡みが楽しみだったり。
今回の個人的GJは瑠璃ちゃんの反応とタマ姉の『姉と弟 禁断の関係』に関する反応。
もう毎回楽しみです。ご馳走様ですw
このまま18禁方向にもできる展開だなwww
>>473 あらすじ
雄二箱のお陰でかなり性欲をもてあました俺、これは一般の高校生にとっては当然の事だと思う。
それに最近は皆と一緒に生活しているから、中々処理する機会も無く、とうとう我慢できなくなった俺は・・・・・・
「流石に夜中の二時には皆も起きてこないよな」
自分の寝床となっているリビングで一人呟く俺。
「思い立ったら吉日という言葉の通り、さっさと済ませるか」
MySonをシコシコしごき、もう少しだなと思った瞬間にガチャリとドアが開き、るーこが顔を出した。
「うーよ、まだ起きていたのか、そろそろと寝ないと明日がつらくなるぞ」
半分眠った目を手で擦りながら、るーこはリビングに入ってきたが、
その次の瞬間に俺がどんな状況か認識したらしい。
「う・・・うーよ!何をやっている!」
赤面しながら声を上げるる-こ。
「え・・・えと・・・これはな・・・その・・・ええっとな・・・」
何をやっていると言われても・・・愚息を喜ばせていましたとでも言うべきだろうか、
処理している所を見られて焦る気持ちとのんきな考えが頭をよぎったが、
何と言えばいいのかわからず、るーこも何も言わずにお互いが静寂に包まれたが、とうとうるーこが口を開いた。
「その・・・うーよ、る・・・るーが・・・して・・・やろうか?」
るーこが顔をこれでもかと言ふ位に高揚させていいたまひける。
こうでちゅか?わかりません。
>474
続きよろしく。
>>473 あらすじ
雄二箱のお陰でかなり性欲をもてあました俺、これは一般の高校生にとっては当然の事だと思う。
それに最近は皆と一緒に生活しているから、中々処理する機会も無く、とうとう我慢できなくなった俺は・・・・・・
「流石に夜中の二時には皆も起きてこないよな」
自分の寝床となっているリビングで一人呟く俺。
「思い立ったら吉日という言葉の通り、さっさと済ませるか」
「ビックリするほどユートピア!ビックリするほどユートピア!」
ツマンネ
あらすじ
(中略)
……もう少しだなと思った瞬間にガチャッと扉が開き、雄二が顔を出した。
「わりぃ、貴明…。俺も昼間の一件で寝つけなくてね…。」
言いながらゆっくりとベルトを緩め、ズボンをパンツごと脱ぎ捨てる。
廊下から入る明かりが逆光となり雄二の表情はよく分からない……、だが腰に反り立つ雄二のイチモツは俺に優しく、そして雄弁にこう語りかけていた。
「や ら な い か ? 」
うほっいい展開
なわけねえwww
480 :
名無しさんだよもん:2006/05/23(火) 17:20:33 ID:Lm5KBeLU0
ありえない展開のほうがいいな。
あらすじ
(中略)
人肌程度に暖めた素うどんに自分の息子を突っ込みしごき始める。
纏わり付くような刺激を受け、俺はたちまち精を放出してしまう。
「…はぁぁ、俺もなにやってるんだか」
こんな時にわざわざ凝ったオナニーに興じる自分に、どうしようもなく脱力する。
と、その時、
「…うーん、誰か起きてるの?」
ガチャっと扉が開き半分寝ている状態のこのみが顔を出す。
「こ、このみ!」
俺は慌てて手に持っている素うどんをテーブルの上に放り出し、ずり下げていたズボンを上げる。
「…あ、タカくん? あーーっ!」
寝ぼけていたこのみだが、なにかに気が付いたのかあっという間に目が覚めて大声を出す。
「ど、どうした? このみっ! 別に俺はなにもしていなかったぞ」
平静を装っているが、内心はビクビクものだ。
「タカくん、ずるいよ。一人でお夜食食べてるーっ」
ガクッ! この、いやしんぼめ。
「えへー、タカくん。このみも一緒におうどんを食べたいなー」
「ちょww
>>481 このみは「タカくんこれはんぶんこしようよ~」今にも目の前にあるうどんに手を出そうとしている。
やばい、どうする。
1.わかった、仲良くはんぶんこだ。
2.これは俺のだ。食べたかったら自分で作れ。
3.よし、俺はもういいから全部残さず食べろ。
俺の想像したのと全然ちげえwww
臭いとろろうどんだな。
精がつくって言うかついてるって言うか。
このみ「このうどん タカくんのベッドと同じにおいがするでありますよ~。」
流れを完全に無視してあれなんですが。
初SS置いていきます。至らぬ点はご容赦下さい。
>>357 遅くなりましたが、以前は優しみ溢れるレスをありがとうございました。
その言葉を励みにしこしこ書き上げました。
「ちょっとたかちゃん!もう見たこの記事?」
珍しく先に部室に着いたので置いてあったミステリな雑誌(月刊む~む~)で時間を潰していたのだが、
けたたましく現れた待ち人の声で現実に引き戻された。
「どうしたの笹森さん、そんな慌てて。宇宙人とビッグフットの朝帰り2ショット写真でも見付けた?」
「あ、それもちょっと魅力的かも。ってそうじゃなくて、これなんよ!」
ズビッと目の前に紙を突き出される。どこかのサイトをプリントアウトした物のようだ。
どうせまたろくでもない物を用意して来たんじゃないのかと思いつつも、
無視したらしたでやいのやいの五月蝿いので仕方なく目を通してみる。
「えーと、何だって…。」
英国防省、空飛ぶ円盤は存在しないと研究報告書で結論??
ttp://www.zakzak.co.jp/top/2006_05/t2006050805.html 「ねえ、どう思うたかちゃん。わざわざイギリス国防省がUFOの存在を否定するなんて、怪しいと思わない?
これは国家機密的何かの隠蔽工作に違いないんよ!」
「国家機密的何かって言われても…。大体隠蔽工作ならこんな大っぴらにする方が怪しまれるんじゃないの?
それこそ笹森さんみたいな人達が居る団体とかに…」
と言っているうちに想像(妄想?)の虫が変な羽を広げ始めた。
***********************************************************************************
花梨A「イギリスがUFO、ううん地球外生命体に関して何らかの情報を隠しているのはほぼ間違いないんよ!」
花梨B「そうなんよ、民衆の知る権利をないがしろにするなんて紳士の国が聞いて呆れるんよ」
花梨C「ミステリ研究会英国支部の私達としては、ここで負けるわけにはいかないんだからっ」
花梨D「貴明会員!ありったけの食料(タマゴサンドしかないけど)を用意して!これから英政府に対して持久戦だよ!」
花梨A「絶対に情報公開させてやるんだからぁっ!」
花梨B「もうこっちは実力行使だって辞さない覚悟なんよ。並み居る敵はこのタマゴ爆弾
(自作、作製方法はゆで卵をレンジでチン、良い子は真似しないでね)で!」
花梨C「ほら何してるの、ミステリ研英国支部は貴明会員の双肩にかかってるんだよ!」
花梨D「私の予定だと貴明会員は政府との交渉、その裏で密かに行われる政府からの刺客との戦闘、食料確保と
八面六臂の大活躍をするんだから。そして最後は愛する私達を助けるために…うぅ」
花梨ABCD「…たかちゃんっ、可哀想」
「何で俺ばっかそんな目に遭うんだよ!そもそも何だよこの笹森さんだらけのアヤシゲな集会は!
一人居れば十分って、うわ何で押し倒ちょっ泣きながら服脱がす意味がわかんな…アッー!」
***********************************************************************************
「…ちょっと、ねえ、たかちゃん?たかちゃん!」ユサユサ
「ッヒイィ!!」
花梨に揺さぶられて我に返る。
「ヒイィって何よヒイィって!こんな可愛い娘目の前にしてそんな声あげるなんて。
何か言いかけて止まっちゃったから心配して声掛けてるのに、全然反応しないんだもん」
本当に心配してくれていたのか、少し困った顔だった花梨だが、
俺の悲鳴が気に食わなかったらしくすぐに表情を変えプリプリ怒り出した。
「え?あ?あ、そう、ごめん、何か今見てはいけない物が見えたって言うか思い出したくないって言うか」
「?変なたかちゃん、それより話を戻すけど、これ、やっぱり私としては気になるんよ…」
俺のしどろもどろな言葉に訝しげな様子の花梨だったが、特に追求せず本題に戻ろうとする。
さすがミステリ研会長。ミステリに対する飽くなき情熱。
でも俺はまださっきのダメージから回復出来ていなかったので適当に受け流す。
「あー。気にしなくていいんじゃない」
「たかちゃん!」
バン!と机を叩く花梨。ついでに身を乗り出して机に乗っかり俺の顔に手を伸ばしてくる。
「何でいーっつもそんなやる気ないの!もう名誉会員の称号は剥奪なんよ、たかちゃんは一生会長専用奴隷に決定!」
「ひあ!ほんはほほひはへれも、らひらいひふへいよはいいんにらっれはろは
(いや!そんな事言われても、大体いつ名誉会員になってたのさ)」
頬の肉をぐにんぐにん引っ張られながらも口答えをする俺。
きつくやられていないので痛くは無いのだが、その、ちょっと近いんですけど、顔。
図らずもじっと見詰め合う事になり気恥ずかしくなってきたので、花梨の手を外して椅子から立ち上がる。
「それに名誉会員だろうと、専用奴隷だろうと、笹森さんの俺に対する扱いって変わらない気がするんだけど」
さすがに言われっぱなしも癪なので、じとーっとした目付きで頬をさすりながら言ってみる。
「~すぴ~すぴぴ~すぴ~♪」
明後日の方向を見て口から何やら空気を漏らす花梨。
「いや、だから、口笛吹けてないし。何も誤魔化せてないよ、それ」
「うぅ~元はと言えばたかちゃんが意地悪言うからなんよ~、気にならないの?イギリスだよ?
ミステリの本場だよ?ミステリの宝庫なんだよ?ねぇ、たかちゃ~ん~」
いつの間にか机を降りてにじりよってくる花梨。
何だかここ最近甘え方が一段とパワーアップしている気がする。
それとも前からこんなだったのかな。今はこっちが意識し過ぎてるだけで。
あぁもうそんな目で見るな、捨てられた子猫か。
うっかり手を出すと懐いて離れなくなりそうな所なんてもうそのまんまだ。
にゃあにゃあ言いながら足元にまとわりつく猫花梨を想像しつつ。
「そう言われてもなぁ。気になるって言ったってほいほい行けるもんじゃないでしょ、イギリスなんて」
「諦めちゃ駄目だよ、たかちゃん!ミステリ研会員なら不屈の精神で物事に当たらないと!」
「…で、具体的に何か考えてるの、そう言う笹森さんは」
「………えーっと………密航?」
「却下、って言うか何でいきなりド犯罪な発想なのさ。もっと真面目に考えてるかと思えば」
「飛行機は無理でも、北欧ツアーのクルーザーなら何とか忍び込めるんじゃないかなーって」
「本気で言ってたのかよ!無茶言うな!大体忍び込んでイギリス着けたとしても、それから
どうすんのさ。そもそも笹森さん英語話せるの?きゃんゆーすぴーくいんぐりっしゅ?」
「え?あ、うー、うーん。ぱ、ぱーどぅん?」
「…もういい。ごめん、悪かったよ。そんなひょっとこみたいな顔しなくていいから」
「してない!失礼だよたかちゃん!私の事あほの子だと思ってるでしょ!」
「Unidentified Mysterious Animalなんて澱みなく言った時は英語得意なのかと思ったけど、
やっぱり自分が興味無い事にはからっきしだね」
「んー、だってUMA自体日本人が考えた造語だから」
「へー、そうなんだ。って本当どうでもいい知識だな」
「どうでもいいとは何よー、たかちゃんたまにミステリ研とは思えない暴言吐くんよね」
「無理矢理会員にしたのはどこの誰だよ」
「えへへ…」
舌を出して照れたように笑う花梨。
う、く、駄目だ。いつもこの笑顔にしてやられて余計な苦労背負い込んでるんだ。
これは悪魔の微笑みなのだ。魅了されちゃいけない、気をしっかり保て俺!
などと花梨から視線を逸らし一所懸命自己暗示を掛けていると、じっと見詰められている事に気付いた。
「ん?どうかした笹森さん」
「ねぇ、たかちゃん」
「うん」
「新婚旅行は、イギリスにしようよ」
「ぶぴっ」
「うわわ、たかちゃん、えんがちょ!」
吃驚し過ぎて鼻水吹いた。
「さ、笹森さんが変な事言うからだろ!!何言い出すんだよいきなり!!!」
「え~、変かなぁ。まぁ確かにアマゾンの奥地とかアフリカの秘境も魅力的だとは思うけど、
はいバッチィのふきふきしましょうね~」
「変なのはそっちじゃなくて!!あと自分でふくから!やめれ恥ずかしい!!!」
「んふ、照れ屋さんだね、たかちゃんは」
「あああ、もう、ほんとに、何でいきなりそんな方向に話飛ぶかな…」
「だって、やっぱり結婚したら、新婚旅行はしたいでしょ?その旅行をミステリーツアーにしたら
一石二鳥じゃない!?もう、花梨ちゃんってば天才!」
「…はいはい。そうですね。笹森花梨会長は大天災です…」白旗宣言。
「でしょ~♪」心からって感じの満面の笑みでにこにこする花梨。
まったく、先が思いやられる。俺達の将来が一番ミステリだよ。
心の中で愚痴りながらも、目の前の笑顔に抗えない自分を感じていた。
黄色い悪魔に取り憑かれた俺の受難はまだまだ続いていくんだろう。
この笑顔に魅了されながら、多分ずっと。
おしまい
リンク先の記事を見てネタのとっかかりはすぐ思い付いたんですが、
なかなかどういう流れにするか定まりませんでした。難しいですね。
少しでも楽しんで頂ける人が居れば幸いです。
黄色い悪魔キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
496 :
357:2006/05/26(金) 07:20:42 ID:NyzC1GHw0
よく見たらアンカー間違ってたし~。
それにしてはあんな意見を励みにしてくれるとは。
いや、技術的には向上しているような気がする。
でもやっぱり会話主体ってところはあまり変わらないのな。
内容的には「そう言えばこんな話あったな」と思ったけど、これを真正面からネタにしてくるとは。
勢いはあるから一気に読めるのは読める。
それに会長に対する>494さんの愛も感じる。
しかし「!」や「?」の後に一マス開けるとか
「」の後にすぐ文を続けない、そこは改行するべしとか
文頭は一マスあけるべしとか言う基本的なことを守れていれば尚良かったと思う。
今回も甘めかも。
まぁ、これに懲りずに頑張って書き続けてくれると見ている方としても嬉しいんだけど。
俺は応援してるよ。
マサル会議を思い出したのは俺だけでいい……
>>495 ミステリ研の黄色い奴は化け物かーヽ(´ー`)ノ
まぁ化け物チックな髪飾りはしてますが。
>>496 優しみレスありがとうございます。
会話主体になってしまうのは、自分そういうのしか書けないっぽいです。
自分で書いといてなんですが台本とかト書きっぽいような。
勿論その類のも書いた事ないんですけど。
と言うか指摘されている通り文章のいろはみたいのもなっちゃいませんし…。
会長はLOVEです。ろべですよ。自分でも何でこんな好きなのか良くわからんです(;´Д`)
今回これ書くだけでもかなり燃え尽きてるので次回があるかどうかはまったく分かりません。
ネタと気力があれば…。でも応援ありがとうございます。嬉しいです。
>>497 オチにキャンディーオンディー掴み取り持ってきた方が良かったでしょうか?(;´Д`)
499 :
リュックン:2006/05/26(金) 21:19:00 ID:b82D2bJI0
テスト、レスが出来たら感動物・・・
>>498 GJ!
花梨の魅力がよく表現できててすごく楽しめたよ。
会話の流れもセンスを感じた。
イルファさんをカラオケに連れて行くSSを書いてくれ・・・俺には書けなかった。
>>493の最初だけみるとタカ棒がイッちゃいそうな気がする
503 :
名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 20:45:04 ID:7T4UhAm7O
河野家マダー?
三時間の正座と説教。それだけで済むならまだしも、雄二箱の中身全没収というのはあんまりだ。
俺はタマ姉が以前言っていた台詞を持ち出し、”それなりなもの”だけ雄二に返してやってくれと
頼む。由真も一緒に頭を下げてくれ、タマ姉は自ら検閲の後、”それなりな”写真集三冊のみ雄二に
返してくれた。よかったな、雄二。あとタマ姉の言うとおり、実のお姉さんに邪な想いを抱くのは
俺もどうかと思うぞ。
居間に戻った俺を待っていたのは、このみたちの冷たい視線。いつの間にかちゃるとよっちも家に
来ており、俺たちの悪行は彼女たちにもしっかり伝わっていた。まぁ、仕方がない。非難の言葉も
瑠璃ちゃんのキックも、甘んじて受けるしかないのだ。けど連打はキツイよ瑠璃ちゃん。
るーこ、花梨、珊瑚ちゃんがお咎め無しなのが気に入らない由真。るーこたちも罪の意識から、
自ら罰してくれとタマ姉に頼み、聞き入れたタマ姉は三人にデコピン。まぁ、そんなもんでしょ。
もうすぐ昼飯だってのに、二階へ行こうとするよっち。三冊の写真集だけでも拝見したいとのこと。
ちゃるはこのみにも声をかけるが、このみは必死でそれを断る。一方郁乃も興味があるようなのだが、
自分から素直に行きたいとは言わない。けどよっちにあっさり見抜かれ、仕方なくと言った感じで
よっちの背中におぶさる郁乃だった。
ちゃる、よっち、郁乃が二階へ行ってから約30分後。
「貴明ー、もうすぐご飯出来るから、あの三人呼んでー!」
瑠璃ちゃんにそう言われたので、ドアを開けて廊下に首だけ出して、
「おーい、ご飯出来るから降りてこいよー!」
と呼びかける。……………………返事がない。
「ったく、しょうがないなぁ」
ぼやきつつ、二階へ。部屋のドアをコンコンとノックすると、
「あ、はーい、どうぞッスー」
よっちのお許しをいただいたのでドアを開けると、ちゃるとよっちが写真集を熟読中。
「呼んだのに聞こえなかったのか? 昼飯だってさ」
「あ、そうなんスか? いやー、つい夢中になっちゃって」
顔を上げ、えへへと頭をかくよっち。
「……不覚」
おやおや、珍しくちゃるが顔を赤らめてる。
あれ? 郁乃がいないぞ――って、ベッドの布団が盛り上がっている。何やってんだ郁乃のヤツ?
ベッドを指差してよっちを見ると、
「いや、写真集読み始めたかと思ったらいきなり布団に潜り込んじゃったんスよ。呼びかけても全然
出てこないし」
全く意味不明な郁乃の行動だが、とりあえず今は布団の中から出てもらわないと。
「おーい」
ベッドに近づき、布団をめくると、
「うあっ!?」
中の郁乃が慌てて写真集を後ろ手に隠す。どこから持ち出したのかペンライトで照らしながら、
布団の中で読んでいた模様。
「何やってんのお前?」
「べ、別に」
「そんな読み方してたら目を悪くするぞ。ただでさえ郁乃、目が弱いっていつも愛佳が気にかけて
いるのに」
「そんなの貴明に関係ないでしょ! いいから元に戻してよ!」
「ダーメ。もう昼飯だから呼びに来たんだ、読書ならその後にしてもらおうか」
言い返す間も与えず、布団をひっぺがす。うつぶせに寝ていた郁乃の全身があらわになり、後ろ手
に隠していた写真集も丸見え。
「な、何すんのよスケベ!」
などとのたまう郁乃だが、別に裸で寝ていたワケではないので誤解無きよう。
ついでと言っては何だが、どれ、郁乃がどんな本を読んでいたのかなっと。
「あ、こら!」
郁乃から写真集をひったくり、内容を確認。――ふむふむ。
「うーん、郁乃もこういうことに興味を持つようになったか。いやー、大きくなったなぁ郁乃。
お兄さんチョット感動」
「だ、誰がお兄さんよ!? 成長を見守られた覚えも無いし!」
「そうして郁乃も一人前の女性になって、やがて生涯の伴侶と巡り会い、嫁いでいくんだねぇ。
その日を思うとお兄さん悲しいよ。ううっ」
「目薬使ってまで泣きマネするな! って言うかその目薬どこから出したのよ!?」
勿論普段から常備……してるハズなどなく、この目薬はPCの横の引き出しに入れて置いたもの。
長時間PCの画面見てると目が疲れるから、そんなとき重宝するんだよね。
「な、何か貴明センパイ、郁乃ちゃん相手だとエラくノリノリッスね」
チョット驚いた様子のよっち。まぁ、言われてみるとその通りかも。だって、
「いや、こいつ面白いし」
「な!?」
俺のその一言に真っ赤になって怒り出す郁乃。そういうところが面白いんだよな――って、
ガブッ!!
「痛たたたたた!! お、お前何して!?」
い、郁乃のヤツ、俺の左手に噛みつきやがった!
「ふがーーーっ!!」
うなり声をあげる郁乃。こ、こいつ本気で噛んでやがる!
「や、やめろ郁乃、って痛たたたたた!! こ、こいつ、離せって!」
郁乃の頭を掴んで離そうとするが、郁乃の顎は思いの外強く、力を入れても離すことが出来ない。
「ふぅーーーっ! ふぅぅぅーーーっ!!」
「わ、悪かった! 俺が悪かった! からかったりして本っ当に悪かった!
反省してる、反省してるから勘弁してくれ郁乃! く、食いちぎられる~!!」
幸い食いちぎられこそしなかったものの、俺の左手には郁乃の歯形がくっきりと。あ、ちょっと血
がにじんでる。うう、痛かったよう。
「――ふん」
郁乃はまだ不機嫌そう。文句の一つも言いたくなるが、言うとまた噛まれるのでやめよう。
「……これもまた愛」
だから愛じゃないっての。
「なーんか、ジェラシっちゃうなぁ」
そんな俺と郁乃を見て、何故かよっちがふてくされる。この状況のどこにジェラシーを感じるの
だろうか?
「貴明センパイ、面白い女ならここにもいるじゃないッスか」
あたしあたし、と自分で指差すよっち。自分で自分を面白い女と言うのもどうかと思うのだが。
「なのに貴明センパイ、あたし相手だと態度がぎこちないと言うか、よそよそしいと言うか、少なく
ともさっきの郁乃ちゃん相手みたいに軽口叩いたりなんかしないッスよねぇ」
「そ、そうかな?」
「そうッスよ。あたし、貴明センパイにからかわれたことなんて今まで一度もないッスよ。中学の頃
からの知り合いだってのに、いつまで経っても他人行儀なんだから。
なのに、ついこの間知り合ったばかりの郁乃ちゃんにはこれだもの。不公平ッスよ」
「こんなヤツに馴れ馴れしくされても、ちっとも嬉しくないんだけど」
郁乃の不満にも構わずよっちは、
「やっぱ接し方の問題かなぁ? 郁乃ちゃんみたく憎まれ口を叩きつつも、そこはかとなく構って
くれなきゃイヤみたいなオーラを発する……
ええと、こんな感じかな? ――貴明センパイのバカー、アホー、優柔不断ー、あたしをお姫様
抱っこしてー、みたいな?」
「……あんた、あたしのことバカにしてるでしょ」
郁乃の、枕を掴む手がわなわなと震え、その直後、よっちの顔面に枕が命中した。
などとバカをやってたせいで、危うくこの部屋に来た目的を忘れそうになっていた俺である。
「とにかく、昼飯食いに下行くぞ。ホラ、郁乃」
ベッドの上の郁乃におぶさるようを促すが、郁乃はまだ不機嫌なのか、プイと横を向いてしまう。
「貴明センパイ、郁乃ちゃんはあたしに――」
「今度は、私の番」
よっちを押しのけ、ちゃるが郁乃に背中を向ける。
「乗れ、郁乃」
「……」
3秒ほど間をおいて、郁乃はちゃるの背中に体を預けた。
「じゃ、出発」
郁乃を背負って、すっくと立ち上がるちゃる。おお、結構力あるんだな。
ちゃるは難なく郁乃を運び、見守っていた俺は一安心。
「遅~い!」
居間に入るなり、瑠璃ちゃんの怒鳴り声。
「悪い悪い、ちょっと色々あってさ」
キッチンのテーブルに一席空きがあったので俺はそちらへ。ちゃるたちは居間のテーブルへ。
テーブルの上にはすでに昼食が。お、今日は天丼か。しかも揚げたてで美味そう。
「さっき、貴明さんの悲鳴っぽい声が聞こえましたけど、大丈夫ですか?」
隣の優季が心配そうに俺を見る。
「ああ大丈夫大丈夫」
と、手を振ってみせるが、
「ど、どうしたんですかその手!? 歯形が! 血が!」
しまった、つい噛まれた方の手を見せてしまった。
何か言い訳を、と考えている間もなく、優季はテキパキと救急箱を持ち出し、俺の手を取り、応急
手当をし始めた。う、消毒液がチトしみるな。
「誰に噛まれたのタカ坊、と言うか、誰に噛まれるようなことをしたの?」
タマ姉の冷ややかな視線。
「いや、郁乃をからかい過ぎちゃってさ。はは」
「い、郁乃、たかあきくんに噛みついたの!?」
「貴明が悪いのよ。あたしのことバカにするから」
「ご、ごめんねたかあきくん。郁乃ったらいくらなんでも噛みつくなんて――」
妹の代わりに謝ろうとする愛佳だが、
「だからいいんだって。悪いのは俺なんだからさ」
「う、うん……」
肯いてはくれるものの、今ひとつ納得のいっていない様子の愛佳。
「年下の女の子をからかうなんてあまり感心しないわね。ちゃんと謝ったの、タカ坊?」
「も、勿論。なぁ郁乃」
「……まぁ、一応ね」
「そう。ならいいわ」
一番怖いタマ姉はとりあえず納得してくれたようだ。やれやれ。
「はい、出来ました。これに懲りたら、もう郁乃ちゃんをからかったりしちゃダメですよ」
応急手当の終わった左手をポンと叩く優季。はは、まるでお袋に叱られたみたいだ。
「もうええ? みんな早よ食べて。せっかくの揚げたてがシナシナになってまうわ」
しびれを切らしたように瑠璃ちゃんが急かす。確かに天ぷらは揚げたてが一番だからな。
「それじゃあみんな、いただきます!」
いつも通りにいただきますを言って、さて、食うか。
エビ、魚(多分キスだろう)、イカ、カボチャ、ピーマン、春菊、へぇ、シイタケまであるぞ。
どれから食べようかなぁ。……うん、まずは春菊から。――うお! サクサクしてて美味い! タレ
がまたいい味してるなぁ。で、そのタレがしみたご飯を一口。――うん、いいねぇいいねぇ! この
タレだけでご飯が食えそう。
「美味しいよ、瑠璃ちゃん」
「わ~い、瑠璃ちゃん貴明に誉められた~。好感度アップや~☆」
「さ、さんちゃん変なこと言わんといて!」
手を挙げて喜ぶ珊瑚ちゃんと、顔を赤くしながら姉を止めようとする瑠璃ちゃん。いつも微笑ま
しい姉妹だよなぁ。
「いつもながら瑠璃ちゃんの料理の腕には感服するなぁ。あたしももっと修行しなくちゃ」
そう言いつつ、シジミのみそ汁をずずっと口にする由真。
「ねぇるーこ、私のピーマンとるーこのエビ、交換しない?」
何とも不釣り合いな取引を持ちかける花梨である。って言うかピーマンだって美味しいのに。
「断る。るーは全ての具を食べたいのだ。どれ一つとして、うーかりに譲れるものなどないぞ。
それにだ、好き嫌いしていると大きくなれないぞ、うーかり。ピーマンもちゃんと食え」
「し、失礼な!? 花梨、ピーマンだって食べられるよ! ……エビの方が好きなだけで」
そりゃ大抵はそうだろうけどさ。とにかく予想通り、花梨のトレード交渉は失敗に終わった。
「おや、山田さん、エビを残してらっしゃいますけど、お嫌いなんですかエビ?」
イヤにかしこまった口調で相方に話しかけるよっち。
「……これは最後に、」
「あらまぁ、やっぱりお嫌いなんですねエビ。それじゃあ」
ちゃるのエビを横取りし、即座に口に入れるよっち。
「よ、よっち!?」
となりのこのみもビックリするが、よっちはそんなのお構いなしにエビをもぐもぐと咀嚼し、飲み
込んでしまった。……凄い、こんな外道初めて見たぞ。
パキッ!
何かが折れる音。もしやと思ってちゃるを見ると――うわ、箸が折れてる。(ちなみに割り箸じゃ
なくて普通の箸)
周囲が静かに見守る中、ちゃるは左手の丼、そして右手の折れた箸をテーブルにそっと置き、
「……表へ出ろタヌキ。今日こそ引導を渡してやる」
「や、やめてよちゃる! ケンカなんかダメだよ! よっちもホラ、早く謝って!」
必死で仲裁しようとするこのみだが、
「すまないこのみ。いくらこのみの頼みでも、それだけは聞けない」
怒りが収まらないちゃる。心なしか髪が逆立っているような……?
「じゃ、じゃあ、代わりにこのみのエビをあげるから!!」
「……このみ?」
このみはまだ手つかずだった自分のエビを取り、それを何の惜しげもなくちゃるの丼に置いた。
「ホラ、食べて」
うっすら目に涙を浮かべ、それでもちゃるに微笑むこのみ。……お前ってヤツは、何て、何て友達
思いなんだよ! チクショー! 俺まで泣けてくるじゃねぇか! よし、こうなったら、
「このみ、丼持ってこっち来い」
「――え、何、タカくん?」
トテトテとやってきたこのみ、その丼に俺は、
「ホラ、半分こだ」
俺のエビの半分を置いてやった。
「た、タカくん……、いいの?」
「いいも何も、もうあげちまったんだから、それはお前のだよ。ホラ、食え」
「タカくん……うん、食べるね」
このみはパクッとエビを食べ、
「おいひい……おいひいよタカくん……」
「こら、口にものを入れてしゃべるなって、いつも言ってるだろ」
「うん……うん」
全く、怒っているのに笑うとはけしからんぞ、このみ……。
パチ……パチ……パチ……
最初に手を叩いたのはタマ姉、そして、
パチパチパチパチパチ……!
タマ姉に続き、みんなが俺とこのみに笑顔で拍手を。……みんな、みんな、ありがとう。
「……なにこの連中?」
雄二、うるさいよ。
とまぁ、みんなで幸せなお昼のひとときを過ごせたものの、これでハイおしまいとなるほど、我が
河野家メンバーズは甘い集団ではない。昼食後、緊急会議が催され、その結果、
「あいたたたたた!! う、噂には聞いていたけど実際食らうとマジで痛いッスねコレ!
ちょ、ちょっと環さん!? あたし女の子なんだからもう少し手加減ってギブギブギブッス!!」
よっちは女子の中では初めて、タマ姉のアイアンクローの餌食となった。
つづく。
どうもです。第58話です。
>>471さん、アドバイスありがとうございました。
言われたとおりにしてみたら、辞書はほぼ元通り! いや~、こんな機能があるなんて今まで
全然知らなかったッス。ノ(´д`*) ホント、助かりました。
まいど乙です。
タマ姉・・・・w
いいぞ、よっちのツンレデもどき、最高だwww
間違えたwwwwwwwwwwwww
乙です。
面白いんだけど……冗長し過ぎというか。
新展開を切に願う。
ピーマンのてんぷらなんてものが存在するのか……
天ぷら定食に結構ついてこないか?
520 :
518:2006/05/29(月) 23:22:56 ID:+dsFhL8y0
てんぷら定食自体あまり喰わんが……
どちらにせよ、一度もお目にかかったことがない……
ナスの天麩羅はガチ。
実家では、ししとうの天麩羅代わりにピーマンの天麩羅が出たが、
ちゃんとした天麩羅屋ではピーマンは少ないかも。
あとナス嫌い
>>513 乙でした。
俺も海老天取られたら大激怒するね。
例えよっち相手であろうと許さないね。乳鷲掴みにしてキレるね。
ちなうんですちなうんです別によっちの乳が揉みたいだけとかそう言う事じゃn(ry
>>518-522 うちの実家だと、ちくわの天麩羅とか魚肉ソーセージの天麩羅とか出てたなw
シソの葉の天麩羅うめぇっすよ。
524 :
名無しさんだよもん:2006/05/29(月) 23:47:24 ID:ECF77KaGO
乙です
瑠璃ちゃんの天丼ですかぁ~美味しそうですね
ピーマンの天麩羅は窪みで麺つゆをすくって御飯かっこむと美味いんだよな。
それより薩摩芋の天麩羅って普通は出ないのか?
>>525 俺はサツマイモのてんぷら大好きだぜ。
インゲン、レンコン、ナス、ピーマン、かき揚の野菜天丼はマジ美味い
サツマイモの天麩羅は、美味いんだが妙に甘くて嫌だ。
よっちの至る所をアイアンクロー会場はここですか?w
乙でした。
>>527 俺もあんまし好きじゃないなぁー 胃にもたれそうでさ・・・
自分のお勧め天丼の具といえば、「蓮根」「ピーマン」「玉葱」「茄子」
「カボチャ」「アスパラ」「海老」「枝豆」かいな
俺は「アスパラ」「レンコン」「キス」「海老」「オクラ」「桜海老」「納豆」「カボチャ」「茄子」「枝豆」…っていい加減スレ違いだな。
何気に今回の見所は郁乃かも。ツンデレを超えてマジギレしてるのはあまり見ない。
俺今日昼飯天丼だったしww
でも瑠璃たんが作った天丼食いてぇ
大葉の天ぷら。葉っぱだから味より噛みしめた時の香りって感じなんだが
やはり衣がカリッとしてると嬉しい。
なんで天ぷらの話で盛り上がってんだw
天ぷらはナス
これは譲れん
サツマイモとかぼちゃはガチ
やはりここは王道の海老で
薩摩芋と南瓜の天麩羅ってよ
おかずっつうよりデザートくせえんだよ
デザートくせえんだよおぉ!!
あとこの話題スレ違いなんだよおおぉぉぉ!!!
てんぷら☆さんらいず てんぷら☆さんらいず
イチド タベタラ モウカエレナイ
これは天ぷらネタでSS書けってことか・・・?
そういや昔、三題噺のSS版みたいなのがあったよな。
天麩羅、愛佳、デザートでSS作れ、って感じの。
…アイスクリームの天麩羅という文字が頭に浮かびました。
なぜか揚げる前になくなっちゃうんだよな?
妹を愛するあまり郁乃の天ぷらを揚げてしまう愛佳
揚げる前はやばいだろwww
そういうのはこのみたんの役目。
こんがりと揚げたタマ姉だったものをゲンジ丸に食べさせる黒このみたん(´Д`)ハアハア。
こ「おいしい?ゲンジ丸?」
ゲ「おふおふ」
こ「えへ~っ、よかった~。」
ゲ「おふおふおふ」
こ「おかわり?いいよ。まだまだ沢山あるからいっぱい食べてね。」
冷蔵庫には処理しきれなかったタマ姉の体が…
>>543 だってアイスクリームとカステラだぜ?
…タネまで飲むかはわからんが。
ここが天麩羅スレでつか?
俺の家かにかまの天麩羅とか出てきた事があるwww
俺の家なんか水で溶いた小麦粉の天麩羅だぜッ!?
549 :
名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 02:40:55 ID:47dtedOP0
巨大な天カスかw
家は春になるとふきのとうの天麩羅が出る、ほろ苦くて(゚д゚)ウマー
天麩羅とかって食べるやつの性格出るよな。
「何よ突然」
目の前にはじゅうじゅうと音を立て煮えたぎる油。溶かした小麦粉。色とりどりの野菜たち。
見まごうことなき天麩羅パーティーだった。
……っていうか天麩羅パーティーってなんだ。
「ほら、高級店とかであるじゃない。目の前で天麩羅上げてくれる店。あれ一度やってみたかったのよ」
相変わらず衝動と欲求で生きているんだな。おまえは。
「どーいう意味よ」
いや別に。昔受けた数々の仕打ちを忘れてなんかいませんよ俺は。
「しつこいわねえ、あんたも。アタシそういう男嫌い」
MTBで轢かれそうになったのをあっさり忘れろというそっちもたいがいイイ性格だと思うぞ。
しかしこの野菜類は俺が買ってきたからわかるんだが、この高級車海老セットは一体?
「お母さんが持っていけって」
お袋さんが?
「貴明によろしく、だって」
うわ、あとでちゃんとお礼言っとかないとな。
「……意外。あんたそういうのきちっとするんだ」
そりゃまぁいずれはお義母さんと呼ばせてもらうんだし。
「――お義母さんねぇ」
? 何その気になるリアクション。
「意外と手強いかもよ」
そうか? 話に聞く限りじゃ気さくそうな人だと思うけど。
「うーん……。気さくっちゃあ気さくなんだけど」
けど?
「いや、ほら。あれでもお祖父ちゃんと争ってお父さん勝ち取った人だし」
……手強そうだな。
「がんばってね~」
おのれ薄情者め。
それで性格の話なんだが。
「天麩羅で性格わかるっていうやつ?」
まぁ天麩羅に限ったことじゃないけど。
塩で食べるか天つゆで食べるかとか、揚げる具材の違いとかでその人のことがわかるよな。
「あ。たしかに、そういうのあるかも」
基本的には味がないんだしな。何つけて食べてもいいわけだし。
だから俺はおまえがソースで食べたとしても驚かないぜ。
「な、何よ文句あるっての?」
せっかくの高級食材を一山いくらのウスターソースで食うのはいかがなものかと思ってな。
「いいじゃない。これはこれで美味しいんだから」
うーん。もったいない。
「うちはみんなこれなんだからいいの!」
……んー、じゃあ俺も試してみるかな。
「どういう風の吹き回よし?」
郷に入っては郷に従え。万が一長瀬家天麩羅パーティーにお呼ばれしないとも限らん。
その日のために試しておくのも悪くないだろ?
「……ま、いいけど」
そういうわけで由真、おまえもこの塩で食ってみろ。
「えー、嫌よ。塩味なんて」
それが河野家ルールだからだ。それにこれ、ただの食卓塩じゃないぞ。
「どう違うってのよ」
赤穂の天然塩。その車海老に負けずと劣らない高級品だぞ。
見えないところにこだわる。それが河野家クオリティなのだ。
「わかるようなわからないような……」
タマ姉ん家なんかはどっちも普通にあるけどな。
「わびしい話ねぇ」
おまえが言うなって。
「アイスの天ぷらってあるじゃない」
イカ天をくわえながら、何を素っ頓狂なことを突然に。
どうせくわえるならこの極太のちくわをだな。
「まぁ聞きなさいって。アイスの天ぷらってあるでしょ?」
あるな。変り種の屋台なんかでたまに見かける。
外側熱々で中身が冷たいという不思議な食感がけっこうイケる。
「あれって不思議だったのよ。熱い油で揚げたはずなのになんで中身溶けてないのか」
アイスの中の空気が熱伝導を妨げるからだとか聞いたことあるな。試したことはないけど。
「冷凍庫の中にアイス買ってあるのよね」
……待て。
「試してみたいと思わない?」
なんか非常に嫌な予感がするのだが。
「学術的興味ってやつよ。しかも成功すれば美味しいデザートになる。一石二鳥じゃない?」
嬉々として冷凍庫へ向かう由真を止められるはずもなく――。
天麩羅とかって食べるやつの性格出るよな。
「あーもー! しつこいわよ!」
大量に飛び跳ねた油を拭きつつ。後片付け。
何故俺はあの時の自分が感じた嫌な予感を信じなかったのか。
由真の投入したアイスは油の中であっさ融解。
しかも手加減できない性格が災いして一度に大量に入れたものだからその被害や推して知るべし。
飛び散る油にパニックを起こし、タネの入ったボウルを落としたせいで
その被害はさらに拡大したことは言うまでも無い。
「次は上手くいくと思うのよね」
やめろって。
[おわれ]
乙~。
ホントに天ぷらネタで書く強者が出るとは。
朝から笑わせてもらいましたw
久しぶりにスレ覗いたら面白いことになってたので投下。
とある鳩のSSサイトにインスパイアされてこういう書き方になりました。(向こうは綾香だけど)
あのサイトの味が大好きなので……。こういうのもパクりなるんだろうか。
食い物ネタはこのみか愛佳にするべきかと思ったが。
結局由真ED後の、だらだらとした二人の日常ということで。
スレ汚し失礼しました。
由真でくるとは予想外。GJでした。
ちなみにアイスの天ぷらは通常のアイスよりも低い温度で凍らせてから
衣を着けて短時間で揚げるのがコツだったはず。
家で作る場合はシューアイスを揚げるのでも出来るみたい。
言い回しからしてキョン君かと思ったw
560 :
名無しさんだよもん:2006/06/01(木) 17:53:06 ID:nGsybl7+O
そういえばなんちゃら荘の作者ってどうなったの?
>>560 みなさんの評判によっては続編も考えますとか言ってたやつか
たしかにキョン風の語りだ
言われてみればそんな感じだ。むしろ浩之チックを意識したのに。
絶望した!知らぬ間に影響を受けている自分に絶望した!
>>555 天麩羅、喜多ーー!!
しかし、アイスの天麩羅で失敗はともかく、普通火傷しないか?^^;
まあ、どちらにしろ、性格が出るのは間違いないw
SSS(スーパースイーツスクランブル)のすれと
間違えた俺が来ました・・・帰ります・・・
シャフトセキュリティシステム?
古いネタだな。
若いのには分からんかも?
>569
今CSで再放送してたりするし、必ずしも分からない訳でもないかと。
でもSSSの名称は原作でないと出なかったか?
スレ違い…
貴明「おーい、由真。これやってみないか?」
由真「何これ? アニメキャラクター占い? 面白そうじゃない。やってみてよ」
貴明「ええと、何なに……。いくつかの質問にYESかNOで答えるんだな」
貴明「『自分のやることはいつも正しいと思っている』」
由真「YES」
貴明「『正義を行使するには多少の犠牲はやむを得ないはずだ』」
由真「YES」
貴明「『正直今の日本のおまわりさんは不甲斐ないと思う』」
由真「YES」
貴明「『ガンアクションなどの派手な映画が好きである』」
由真「YES」
貴明「『人からよく真っ直ぐな人間だと言われる』」
由真「YES」
貴明「『NOと言える日本人だ』」
由真「YES」
貴明「えー、『正義のためなら何をしてもいいという貴方はぶっちゃけ独善者です、
けして自分に嘘はつかないがその自分に正直なところは周りに非常に迷惑をかけています。
そんな貴方のキャラクタータイプは大田功巡査です』だって」
由真「うがー! 適当なこと言ってんじゃないわよ!」
太田さんとレミィを足して2で割るとちょうどいい
スーパーSSの事かと思ったのは俺だけでいい
スイスイ・スーダララッタ・スラスラスイスイスイの略だな、間違いない。
576 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 00:52:22 ID:z2YsbWivO
月曜が来ましたよ
なんつーか天麩羅づくしの一週間だった希ガス
ここですいすいsweetの略だ、と言ってみる俺戦略信者。
楽しみ。
581 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 20:07:47 ID:gmWSZyAO0
面接官「特技はセックスとありますが?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「もっとセックスするとは、どういうことですか?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「え…」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「・・・で、そのもっとセックスは当社において働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いや、当社には昼間から始める輩は多分いません。それに公でするのは犯罪ですよね。」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いや、あのですね・・・」
貴明 「何だかわからないけど熱い!」
面接官「ふざけないでください。それに熱いって何ですか。だいたい・・・」
貴明 「よくわからないが、クリはここ!」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「いいですよ。やって下さい。セックスとや…せ、せっくす……たかあきくんに、せっくすされてる……」
貴明 「もっとセックスする!」
面接官「ひ! ひ! ひぃあ……! き、きつい……! たかあきくん、きついよぉ……!」
貴明 「鳴かせる! 俺はケモノになるぞ」
面接官「だから続行っっ!」
雄二の写真集を読みに二階に上がったちゃる、よっち、郁乃。それから30分後、もうすぐ昼食
だからと呼びに行くと、熟読していたちゃるとよっちはともかく、何故かベッドに潜って読んでいた
郁乃。それが面白くて俺はつい郁乃をからかい過ぎ、怒った郁乃に噛みつかれてしまった。後でタマ
姉にも叱られたけど、いい加減俺も自重しないと、な。
昼食は瑠璃ちゃんが作った天丼。いつもながら瑠璃ちゃんの作る料理はマジで美味い。全員が舌鼓
を打つ中、よっちは何とちゃるのエビを横取りしてしまう。よりにもよってエビだぞエビ、なんと
言う外道! そして、怒りに震えるちゃるを何とかなだめるべくこのみは、自分のエビを惜しげも
なくちゃるに譲る。このみはホントにいい子だよ。俺のエビを半分あげたって惜しくなんかないさ。
勿論よっちの悪行は断罪される。タマ姉のアイアンクローで悶絶するよっちであった。
昼食も終わり、断罪も済み、さてこれからどうしようかと思っていたら、
「カラオケ?」
「はい~、どうッスかねぇ、みんなで?」
アイアンクローのダメージでソファーにぐったりしつつも、よっちがそう提案。
「カラオケ、ねぇ……」
「あ、いいねそれ! カラオケなんて久しぶり」
「わ~い、カラオケ~」
由真と珊瑚ちゃんは速攻で賛成するが、
「駄目よ」
きっぱり却下のタマ姉。
「ええ~、どうしてですか環さん?」
「全くもう、どうしてみんな、あんな不良のたまり場なんかに行きたがるのかしら。
そんなところへノコノコ行って、不良に襲われでもしたらどうするの?」
「ふ、不良?」
ポカーンとする由真。――あー、そうだった。タマ姉はゲーセンとかカラオケとかにもの凄い偏見
持ってたんだっけ。
「あのさタマ姉、前にも言ったけど、カラオケなんてそんな不健全な場所じゃないって。
俺らみたいな普通の学生とか、家族連れやお年寄りの皆さんだって行ったりしてるよ」
「そう言えばお母さんもこの間、近所の人たちとカラオケ大会やったって言ってた」
このみ、ナイスフォロー。
「いい加減食わず嫌いはよせよ姉貴。いいじゃんカラオケ、みんなで行こうぜ」
「……」
これだけ周囲から諭されても、なかなか自分の考えを曲げようとはしないタマ姉。
「一つ聞きたいのだが」
そう言って手を挙げたのは、
「るーこ?」
「カラオケとは何だ、うー?」
……まぁ、宇宙人だものな、カラオケを知らなくても当然か。
「まぁ簡単に言えば、歌を歌う場所のことだよ。音楽が流れる機械があって、その音楽に合わせて
歌を歌うんだ」
「”うー”ではそのような場所でしか歌を歌えないのか? そう言えば学校でも歌は音楽室で歌って
いるが、あれもカラオケなのか?」
「……ま、まぁ似たようなもんだ。要は音の迷惑を気にせずに歌える場所ってことだ」
「ほう、それは面白そうだ。うーたちの歌を聴いてみたいし、るーも是非歌ってみたいぞ」
るーこの目が期待に輝く。ところでるーこって、地球の歌を知っているのか?
結局多数決で決めることとなり、賛成10、反対1、保留3で、カラオケ行きが決定した。
ところで、保留の3人なのだが、
「あの……、貴明さん、私、カラオケって行ったこと無いんです」
「……花梨も」
「……」
カラオケ未経験の優季、花梨、郁乃である。
「大丈夫だよ。慣れればすぐ楽しめるって」
「でも私、新しい歌とかあまり知らないし……」
「童謡、民謡、懐かしの歌、最近のカラオケって種類豊富なんだよ。きっと優季が知ってる歌だって
必ずあるさ。それとも優季って、歌が嫌いとか?」
「あ、いいえ! 歌は好きです、大好きです!」
イヤに強調する優季に驚きつつも、
「な、なら大丈夫だって。心配しないで一緒に行こう。
花梨と郁乃も、さ」
「う、うん……」
今ひとつ乗り気じゃない様子の花梨と、
「……何か、面白くなさそう」
郁乃が不機嫌なのは、もしかしてまだ写真集のことを根に持っているからだろうか?
「そんなことないよ郁乃。最初は上手く歌えないかもしれないけど、友達と一緒に歌ったりするとね、
とっても楽しいんだから。勿論あたしだって、郁乃と一緒に歌ってみたいな。だから、ね」
大好きなお姉ちゃんにそう言われると、何も言えなくなる郁乃なのだ。
「へぇ、委員ちょ、カラオケ行ったことあるのかよ」
「あ、うん、由真と何度か……ひゃうっ!?」
唐突に愛佳をグイッと引き寄せ、由真は、
「雄二知らないでしょ。愛佳って歌上手いんだよ~」
「や、やめてよ由真。恥ずかしいよ」
「ねぇ愛佳、またアレ歌ってよ。緒方理奈の『Blue memory』。アレ何度聴いてもいい
のよね~☆」
「な、何ぃっ!? 委員ちょが緒方理奈ちゃんだと!?
しかも、数ある中でも誰もが名曲と褒め称えるあの歌をか!?
聴きたい、是が非でも聴きたい! この通りです愛佳様、是非お聴かせください!!」
イヤ雄二、何も土下座までしなくたって。
「や、や、そんな、あたし上手くないよ~」
ホラ、愛佳も困ってるし。
「あ、でもよっち、行くのはいいけど、これだけの人数で大丈夫かな?」
このみがそう尋ねると、いきなりよっちはソファーから立ち上がり、
「それならば大丈夫! ちゃあんと駅前のカラオケ屋、予約取っておいたから!
あそこの大部屋なら14人でも余裕余裕! ついでにコレ、割引券!」
「……用意周到」
割引券を片手にピースサインのちゃる。――確かに用意周到だが、俺たちに話を持ちかける方が
先ではないでしょうか?
あからさまに行きたくなさそうなタマ姉だったが、多数決で決まったのだから仕方がない。俺たち
は家を出て、駅前のカラオケ店へと足を運んだ。
よっちが予約を取っておいたお陰で俺たちは待たされることもなく、大部屋へと案内された。
「うわー、ホントに広いねー」
入り口の前で部屋を見回すこのみの背中を押し、
「ホラ、後がつかえてるから座れ座れ」
「あ、うん。ねぇ、タカくんはどこに座るの?」
「そんなの決めてないよ。いいから適当に座れって」
「うん……」
そうして、U字型の席に全員を座らせ、店員さんにドリンクの注文を聞かれ(割引券のお陰でドリ
ンク一杯目はタダ)、雄二が「じゃあとりあえず生ジョッキで」と言ってタマ姉のアイアンクローを
食らったのを横目に、全員からの注文をまとめて店員さんにお願いした。で、最後の俺は入り口に
一番近い席、偶然なのか、このみの隣に座る。
「えへ~」
何故かニコニコ笑うこのみ。
「貴明、歌う順番はどうする?」
「やっぱ、席順?」
由真はそう提案するが、
「適当でいいだろ。歌いたい歌を見つけたら歌うってことで」
と言うことで、広い部屋の割には3冊しかない楽曲表をみんなで回し見する。
「ええ~っ! こ、こんな曲まであるの~!?」
いきなり大声を上げ、立ち上がったのは由真。
「じゃああたし一番!」
リモコンを引ったくり、楽曲表の番号を入力。少しして前奏が――ってこれ、どっかで聞いたよう
な気がするぞ……?
「マジカル~ マジカルハートフール♪
あ~なたに胸がキュンキュン♪
気~づいてわたしのお~もい~♪
まじかるハートフルデイズ~♪」
これって、あのギャルゲーの主題歌じゃん! こんなものまで配信されてるのか!?
し、しかも、
「う、上手い……」
持ち主の雄二でさえ認めてしまう程、由真の歌は上手だったりする。おまけに振りつきだし。
「ずっと秘めてた この想い
今すぐ あなたに伝えたい
夜空の星が わたしを照らし
あなたに届け メテオストーム!」
「す、凄ぇ! 間奏の台詞まで完璧だ! このフルバージョンはゲームじゃ聴けないのに、由真の
ヤツ一体!?」
そ、そうなのか。もしかして由真、この主題歌のCD買ったとか?
「まじかるハートフルデイズ~♪ ゲッチュ!
ご静聴、ありがとうございましたー!」
パチパチパチパチパチ!
ノリノリで最後まで歌い上げた由真にみんなが拍手。これが何の歌なのかはともかく、歌が上手
だったのはみんなが認めるところなのだろう。
「では、次はるーが歌うぞ」
二番手を名乗り出たのは、意外にもカラオケ初体験のるーこ。
「るーはこれを歌いたい。どうすればいい、うーゆま?」
「あ、うん。じゃああたしがリモコンやってあげるから、曲が始まったら画面の歌詞を見ながら、
このマイクで歌えばいいよ、はい」
るーこにマイクを手渡し、リモコンを操作する由真。親切だな。
そして前奏が始まり、るーこが歌い出したのは――
「あれ、これって……」
「へぇ……」
タマ姉が感心するのも無理はない。諸般の事情で曲名および歌詞は明かせなかったりするのだが、
この歌は一昔前のアメリカのカントリーミュージックってヤツで、今は遠い故郷への思いを綴った、
明るくて優しいけどちょっぴり切ない、まるで今のるーこを表すかのような歌だ。ちなみにこの歌、
日本のアニメ映画の主題歌として日本語訳されたものもあるのだが、るーこが歌っているのは本家
本元の英語版。
るーこは最後まで歌い上げ、そして、
パチパチパチパチパチ!
みんなからの拍手にやや驚きつつも、るーこはマイクをテーブルに置いた。
「ふぅ。いささか緊張したが、結構気持ちのいいものだな」
「凄いじゃないるーこ! 英語の歌なのにあんなに流暢に! どこで覚えたのよ!?」
やや興奮気味の由真に圧されつつ、
「か、かつて”うー”を訪れた”るー”の記録の中には”うー”の歌の情報もあった。”うー”の
歌はどれも素晴らしいと思った。とりわけこの歌は……、るーも、歌ってみたかった」
「るーこ……」
少し寂しげなるーこに、胸が痛くなる。だから、
「上手かったぞ、るーこ」
「……そうか、誉めてくれて嬉しいぞ、うー」
こんなことしか言えないけど、俺は――
「ホントに上手。さすがは外人さんですね、るーこさん」
……愛佳の中では未だに、るーこ=外人らしい。
各々注文したドリンクも届き、俺は自分が注文したコーラを飲みつつ、さて何を歌おうかと楽曲表
をペラペラめくっていると、
ガタンッ!
「た、タマ姉?」
いきなり立ち上がったタマ姉にみんなの視線が集中する。そしてタマ姉は、
「……まさか、まさか、この曲があるなんて」
「ど、どうしたのタマお姉ちゃん?」
このみの言葉に、しかしタマ姉は、
「ううん、それだけじゃない。
こっちは『左門捕物帖』第三期の主題歌『男なら燃えろ』、こっちは『暴れん坊奉行』第八期の
挿入歌『裁いて候』ね。え! ま、まさか、『江戸の白狼』の主題歌まで!? す、凄いわ!!」
どうやら時代劇関係の歌の充実ぶりに驚いている様子。
「ど、どれにしようかしら……。
最初は『暴れん坊奉行』……、い、いえ! やっぱり最初は王道中の王道、この曲よ!
由真、51773!」
「あ、はい!」
タマ姉は由真にリモコン入力を命じ、そして俺に、
「タカ坊、一緒に歌いなさい!」
「え、俺!?」
「そう、私が介さん、タカ坊は角さんね!」
介さん角さん? ……あー、アレね。誰もが知ってるあのご長寿時代劇。うん、アレなら何とか
歌えるだろう。
歌詞は画面を見て何とかなったし、タマ姉の指示で角さんパートも無事こなせた。ふぅ、何とか
歌い終えたぞ。
「カラオケって……、最高……」
悦にいるタマ姉。――まぁ、タマ姉から偏見を取り去ることが出来たのは僥倖だな。
拍手の中、マイクを置くと、
「じゃあ次、花梨行きまーす!」
これまたカラオケ初体験の花梨。さっきはあまり乗り気じゃなかったのに、どうしたんだ?
「へぇ、花梨、何歌うの?」
「あのねたかちゃん、最近、すっごく面白い小説読んだんよ。
宇宙人とか超能力者とかを探している女の子と、その子に振り回される男の子のお話。まるで花梨
とたかちゃんみたいなんよ!」
は、小説? ……チョット待て、それは、
「でね、その女の子が凄いの! いきなりミステリ研みたいなグループを立ち上げたかと思ったら
問答無用で男の子を仲間に引き込んじゃうの!」
それは花梨も同じだね、いやでもそれは、
「たかちゃんのPCで情報集めに色々なHPとかブログとか見てたら、最近やたらとその小説のこと
が話題になってたんよ。それで気になって試しに買ってみたら、もう面白いの何のって!
でね、最近それがアニメになったんだけど、その主題歌をこのカラオケで発見しちゃったんよ!
これはもう歌うしかないでしょ!」
俺のPCを無断使用したことは置いといて、だからそれはマズイ
「アニメ見てみたいんだけど、たかちゃんの家だと何故か映らないんよねー。アンテナの問題かな?
ねぇたかちゃん、いっそケーブルTVに加入しない? そしたら地方局でもバッチリ見られるし」
「ねぇ花梨、番号は?」
「ああゴメン由真ちゃん。ええと、97154でお願ーい!」
程なく前奏、そして花梨はマイクを手に、
「答え~は~いつもわ♪」
「ダメだぁぁぁぁぁ!! 花梨がそれを歌っちゃダメだぁぁぁぁぁ!!」
つづく。
どうもです。第59話です。
最近友達との予定が合わず、カラオケご無沙汰で久しい俺です。
ああ、カラオケ行きたいなぁ。アニソン+特撮ソング歌いまくりたいなぁ……。
けれど一人じゃ行けない俺。(´・ω・`)
592 :
名無しさんだよもん:2006/06/05(月) 21:08:21 ID:z2YsbWivO
乙&GJ
カラオケですかぁ~まさか花梨からあのアニメが出て来るなんてww
>>591 いつも乙です。
ところで最後の花梨の歌はハルヒのOP・・・いや何もないです。スイマセン。
毎週乙
郁乃と姫百合姉妹が何歌うのか気になる
>>591 乙。初めてリアルタイムで読んだ
ところでイルファさんまだー(AA略)
愛佳が歌うまいって
あのキャラソンだとものすごく疑わしいような(笑
乙。タマ姉から偏見を取り払うきっかけに時代劇の歌か。恐れ入った。
キャラソンの中ならこのみの歌が一番好きな私が来ましたよ。
乙です、まさかハルヒネタで来るとはw
それにしても昨日のハルヒは凄かった。
>>591 河野家、喜多ーーー!!!
しかし、皆との共同生活の中で、由真はいつ
「まじフル」の主題歌CDを買って、振り付けまで覚えてるんだろう?^^;
何となく、このみは軍歌で、貴明は洋楽を歌うような気がするけど
愛佳とか郁乃んとか優季とか、まだまだお楽しみは来週以降ですね。
>>598 同意。
花梨の中の人の歌を目当てに買ったはずなので
結局一番聴いてるのは、このみの歌だったりする。
編曲がいいのか、妙に印象に残るんですよね^^;
ついでに、ふと思った。
まさか、まーりゃん先輩が乱入してきて
「ジンギスカンの歌」を歌ったりしないでしょうねw
やはりここはハレ晴れユカイも歌って貰わねばなるまい(w<黄色
んでバックダンサーは・・・・・・誰が相応しい?
眼鏡は由真だな。
男は主人公と雄二くらいしかおらんだろう。
>>604 ワロス。GJ!
でも黄色が中心だとなぜか気にくわない俺がいる。
さーりゃんの背の低さが気になるな。
キャラ的にはぴったりだけど。
そういえば会長は163cmあるのか。
ま、一発ネタだからしゃーない。
外見的に、長門はちゃるっぽい気がするが
髪形や性別が違おうとも、
るーこ、草壁、琴音の三人以外認めませんっ!
左から
宇宙人、未来人、超能力者
と言いたいのだろう
ちなみに配置
主人公 宇宙人 ハルヒ 未来人(小柄で巨乳) 超能力者
……このまま次の月曜までハルヒの話で進んだりしないだろうな。
614 :
名無しさんだよもん:2006/06/06(火) 22:24:37 ID:kiJjkr4mO
じゃあ次はハルヒSSかww
それじゃスレ違いになるじゃまいか
TH2のキャラを1~2行、チョイ役で出せばおk。
駄目w
618 :
名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 12:55:08 ID:GDCE95XhO
笹森花梨の憂鬱ってタイトルで書こうと思ったがあえなく断念orz
ハルヒEDを実写で再現した馬鹿共を、Youtubeで見たな。
…例のビデオカメラで同じことをやろうとする雄二、
巻き込まれる宇宙人やらタイムワープする人やらロボやら。
リアルタイムキター
でいいんだよな。
それとも甜菜?
ってよく見たら一時間以上前
馬鹿か俺
623 :
名無しさんだよもん:2006/06/07(水) 18:40:26 ID:F2C4Aphb0
たのむ。神姫百合ssを紹介してくれ。
>>623 神姫 百合ssに見えた俺はラノベヲタ
627 :
名無しさんだよもん:2006/06/08(木) 14:25:55 ID:Q6rJ5YI1O
花梨「貴ちゃん!!新しい宇宙人を呼ぶ呪文が分かったんよ」
貴明「どんなの?」
花梨「シンドラーシンドラー」
貴明「・・・・・・」
>>628 正直、強化リレーハーネス・サンダービームの方が気になる。
サンヨーテクニカは不良品が多いからおすすめしかねる
某場所の小説読んで思ったんだが、切り傷は良いけど、火傷した指をしゃぶったら
余計にひりひりすると思うんだよな。
火傷は冷やして症状の悪化を止めるのが効果的な応急処置と聞いたが。
重度の場合とかは知らんけど。
指しゃぶっても唾液が乾くことによる冷却効果くらい?
火傷したら大根おろしにつけろって、ばっちゃが言ってた!
>>632 口内の方が温度高いから痛くならないか?
>>633 火傷にはアロエが効くという事を覚えた妹が、俺が炒飯作ってて火傷した時
アロエヨーグルト投げつけてきた事思い出した。
アロエって効くのだろうか?
月曜がやってき(ry
>>635 どうなんだろうな、俺は子供の頃腹痛起こした時に
アロエを飲めば治るって言われて飲まされた、直ぐ治ったかは記憶にない。
アロエって植物のあれだろ?
飲んで聞くかはしらないが直接塗るのは炎症系の症状に効く
火傷とか突き指、皮膚炎とか。
一応口内に含むのはありだが(火傷した箇所よりも温度が低いため)
氷水などで冷やした方が良い。処置の基本だが早ければ早いほど良い
さあ月曜日
640 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 18:04:15 ID:0pbr4vVRO
うん月曜日
河野家を一話から読みたい
俺はどうすればいい
教えてくれ雄二たち
643 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 18:27:56 ID:vD1gTs2k0
>>1から順番に乗ってるリンク踏んで探せ
要領がよければ3分で見つかる
おまえらの優しさに脱帽
サンクス!
さてはイルファさんだね?
昼食の後、よっちの提案でカラオケに行くことになった俺たち。偏見ガチガチのタマ姉やカラオケ
未経験のるーこ、花梨、優季もいるけど、まぁ、何とかなるでしょ。
事前によっちが予約していた――俺たちに相談するよりも先に、だが、そのお陰でカラオケ店では
すんなり部屋に通された。まぁ、結果オーライかね。
三冊しかない楽曲表をみんなで回し見し、一番手は由真。何やら聞き覚えのある前奏だなと思った
ら、あのギャルゲーの主題歌、しかも振り付きで! CD買って練習してたのか?
二番手はカラオケ初体験のるーこ。るーこが歌ったのはアメリカの有名なカントリーミュージック。
その歌詞の通り、故郷に思いをはせながら歌ったのだろうか。
三番手はこれまた意外にもタマ姉。「カラオケなんて不良のたまり場」などと言ってたタマ姉なの
だが、その偏見に満ちた心は、タマ姉が愛して止まない時代劇関係の歌の充実ぶりによってあっさりと氷解し、かくして俺と一緒に某ご長寿時代劇の主題歌を歌い、悦に入るタマ姉だった。
四番手は花梨なのだが、何を歌うのか尋ねると、何故か最近読んだ小説の話をし出す。最近話題の
小説とかで、アニメにもなって、その主題歌が配信されているのだそうだが……、チョット待て花梨、それはマズイ! 花梨は歌っちゃいけないんだよ、いろんな事情で!!
「何で歌っちゃいけないんよ~?」とぶーたれる花梨をなだめている間に、
「ほな、ウチら歌う~」
手を挙げたのは珊瑚ちゃん。
「瑠璃ちゃん、アレ一緒に歌お」
「ちょ、ちょっとさんちゃん――」
珊瑚ちゃんに手を引かれ、立ち上がる瑠璃ちゃん。
「さ、さんちゃん止めよ。ウチ歌えないよ」
「なんで? いっつもウチと一緒に歌ってたやん」
「そ、それはさんちゃんと二人きりやったから……」
周囲を見回しオドオドする瑠璃ちゃん。
「大丈夫や瑠璃ちゃん。みんな瑠璃ちゃんの友達やん、何も心配することあらへんよ」
珊瑚ちゃんは慣れた手つきでリモコンを操作し、程なく前奏。
「ほないくで瑠璃ちゃん☆」
「う、うん」
珊瑚ちゃんはノリノリで、瑠璃ちゃんはやや緊張気味に歌い始める。……ああこの曲、確か二人組
のアイドルユニットが歌ってたっけ。最近片方が不祥事起こして活動停止してるらしいけど。ちなみ
にこの曲、大昔の二人組アイドルユニットが歌ってたもののカバー曲らしい。
最初のうちこそぎこちない瑠璃ちゃんだったが、場の空気に慣れてきたのか、次第に歌と振りが
珊瑚ちゃんと同調していき……、凄い、完全にピッタリになった。さすがは双子、まるで本物みたい
じゃないか。もっとも本物は双子じゃないけど。
パチパチパチパチパチ!
歌い終えた姫百合姉妹に惜しみない拍手の嵐。
「どやった、貴明~?」
「凄いよ珊瑚ちゃん、それに瑠璃ちゃんも! 二人がこんなに上手だったなんて、俺今まで全然知ら
なかったよ!」
「そう言えば貴明と一緒にカラオケするの初めてやったもんな~。
ウチいつも瑠璃ちゃんに貴明も誘お言うてるのに、瑠璃ちゃん恥ずかしがって――」
「ちゃ、ちゃうもん! 恥ずかしいんちゃうもん! 貴明嫌いやからやもん!」
「イヤよイヤよも好きのうち~☆」
「ちゃうもーん!!」
「ねぇ愛佳、そろそろ歌ってよ」
由真がとなりの愛佳を肘で小突く。
「え、えっと……、歌わないと、ダメ?」
「ダーメ。じゃ、マイク持ってね、はい」
由真は愛佳にマイクを手渡すと、愛佳が迷う間も与えずリモコンを操作。そして前奏が流れると、
「キターーーーーッ!!
待ってました委員ちょ! L・O・V・E、ラブリー愛佳!!
それでは歌っていただきましょう、緒方理奈の『Blue memory』!!」
興奮しまくりの雄二。少し落ち着け。それに何だそのレトロな声援は?
その声援に覚悟を決めたのか、愛佳はマイクを両手で持ち、そして――
「――あなたとー わたしのブルーメモリー♪
お、終わりです」
「……」
愛佳の歌が始まった途端に黙り込んだ雄二。苦い表情で口を開け――
「キャーーーッ! もう最高!!
やっぱ愛佳の『Blue memory』はいいわね~、緒方理奈そっくり、いやそれ以上かも!
愛佳、偉い! 愛佳、凄い! 愛佳、愛してる~!!」
拳を振り上げ大絶賛の由真。
「そ、そんなに誉めないでよ由真、恥ずかしい……」
「い、いや、いくらなんでも理奈ちゃんにはとても――」
グイッ!
「そっくり、だったわよね?」
光の早さで雄二の目の前に現れ、襟首掴んで雄二を睨みつける由真。うわ、怖っ。
「……は、はひ」
雄二も命は惜しいらしく、コクコクと肯く。
「だって、愛佳。緒方理奈ファンの雄二からお墨付きまでいただいちゃったわよ。よかったわね」
「え? う、うん」
やや恥ずかしそうに微笑む愛佳。
「お、おい由真、強引に誉めすぎじゃないか?」
由真に近づき、耳元に小声でそう言うと、
ガシッ!
いきなり由真は俺にヘッドロック。……すいません、顔に柔らかいのが当たってますけど。
「ああでも言わなきゃダメなのよ愛佳は!
前に愛佳の歌にダメ出ししたら、あの子すっごい落ち込んで、それから半年くらいカラオケに行け
なかったんだから!」
愛佳に聞こえないよう小声で必死に説明する由真だが、それより俺は顔の柔らかいのが気になって
仕方がありません。
「あの、どうだった郁乃?」
姉にそう尋ねられ、郁乃は、
「……う、うん、よかった」
「ホント? 郁乃にそう言ってもらえると嬉しいな」
微妙な顔で答えた郁乃だったが、幸い愛佳は気にならなかったらしい。よかったよかったところで
俺は顔の柔らかいのが気になって仕方がなくてどうしましょう。
「郁乃ちゃんも気を遣ってくれたようだし、まずは一安心ね。
ふぅ、親友への気配りも大変だわ」
安堵のため息をもらす由真だがそれより何より俺は顔に当たってる柔らかいのが(略
妹に誉められ上機嫌の愛佳は、
「そうだ、郁乃も何か歌ってみたら?」
「ええっ!?」
ビックリした郁乃はすぐさま、
「あ、あたし、歌なんて歌ったことないからいい!」
しかし愛佳は笑顔で、
「誰だって最初は同じだよ郁乃。
大丈夫、上手く歌えなくても、みんな馬鹿にしたりなんかしないから、ね」
「そうだよ郁乃ちゃん。わたしだってそんなに上手じゃないけど、みんな聴いてくれるよ」
「郁乃ちゃん、ファイトッス!」
「……頑張れ」
このみ、よっち、ちゃるが郁乃を励ます。
「……」
けれど、今一歩踏み出せない様子の郁乃。このみはそんな郁乃を見てうーんと腕を組んで考え、
「あ、そうだ!」
このみは楽曲表をペラペラめくって、
「うん、見つけた。
ねぇ郁乃ちゃん、この曲知ってる?」
楽曲表を見せられた郁乃は、
「え、えっと……」
「知らないかな? こんな歌なんだけど」
このみがサビの部分を歌って聞かせる。すると、
「あ、それラジオで聴いたことあるかも」
「ホント!? じゃあ一緒に歌おうよ!」
「え、でも歌詞とか全然覚えてないし――」
「歌詞なら画面に出るから大丈夫だよ。分からないところはテキトーテキトー!
珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃん、ちゃる、よっち、一緒に歌ってくれる? ドーン・オブ・ザ・娘。の
『LOVELOVE魔神』」
「おっけー☆」
「う、うん、ええよ」
「……了解」
「よっしゃ! いっちょやったるっしょ!」
郁乃を中心にこのみたちが集結、よっちがリモコン操作し、俺でも知ってる超有名なヒット曲の
前奏が流れ始める。
「じゃあいくよ、せーの!」
元気よく歌い始めるこのみたち。郁乃はそんなこのみたちに戸惑いながらも、やがて意を決した
のか口を開く。郁乃の歌声は最初は聞こえず、けれどこのみやよっちたちの元気な歌声に誘われる
ように次第に、次第に大きくなって、そしてハッキリとスピーカー越しに俺たちの耳に届く。それは
決して上手じゃないけれど、なぁに初めてのカラオケだ、下手で当たり前。
「な、何か、一年生組、凄いね」
その歌声、あるいは結束力に圧倒される花梨。
「……あたしたちもさ、後で一緒に歌おうか?」
愛佳、るーこ、花梨、優季にそう持ちかける由真。
「あ~あ、私だけ独りぼっち」
三年生のタマ姉がそうぼやく。――ま、まぁ、こればかりはどうにもならないね。
るーこ、タマ姉、花梨、郁乃と来ると、次に来る候補者は自ずと限られるワケで。
「わ、私ですか!?」
「うん、カラオケ未経験者は優季で最後だからね。優季も経験しちゃってよ、はい」
由真からマイクを手渡され、
「ええと、それじゃあ……」
楽曲表をペラペラめくるものの、なかなか決められない様子。
「優季は、歌いたい歌って、ある?」
俺がそう尋ねると優季は、
「ええと、そうですね……。
あ、古い曲なんですけど、『時を旅する少女』って、あるでしょうか?」
『時を旅する少女』? ――ああ、そんなタイトルの映画があったっけ。どれ、楽曲表の曲順の方を
調べて……お、発見。
「あったよ、ホラ」
「あ、これですこれ。原口知美さんが歌ってた、映画の主題歌。
母が好きでよく歌ってた歌なんです。それで私も好きになっちゃって」
優季の代わりにリモコンで曲番を入力し、程なく前奏。
「始まった。じゃあ歌って、優季」
「はいっ」
快活な返事。そして優季が歌い出す。
映画は確かそのタイトル通り、主人公の少女がタイムスリップしてしまう物語。主題歌であるこの
歌も、その物語になぞらえた歌詞になってるようだ。
そして肝心の優季の歌だが、
「~♪」
もうね、上手い! の一言につきる。俺、優季の歌って今まで聞いたこと無かったけど、こんなに
上手だとは思わなかったよ。……もっともそれを言ったら、由真やるーこたちもそうだが。
――しかし、何だろう? 優季の歌に聴き惚れてるのは素直に認めるけど、それとは別に、優季と
この歌の組み合わせに『何か』を感じる……? 既視感? 夢にでも出てきた? いや違う、でも
何なのかサッパリ分からない。でも『何か』があるような……?
奇妙な感覚を覚えつつも、優季の歌は無事終了。
パチパチパチパチパチ!
「あ、ありがとうございます」
拍手の中、照れつつペコリと頭を下げる優季。
「じゃあ次、あたしが歌うッス!」
優季からマイクを引ったくるよっち。
「ちょっと待ってよ。あんたさっき歌ったばかりじゃない」
由真がそう言うと、よっちはサラリと、
「さっきのは郁乃ちゃんのサポートッス。なのでこれがあたしの一曲目ってことで」
この言葉にうーむと考え込む由真を後目に、よっちはさっさとリモコン操作。曲が流れ、よっちが
歌い出す。
――おお、よっちの歌声もさることながら、曲自体も結構いいな。桜が舞い散る季節に芽生えた
恋心を表現した歌詞と、明るく優しい曲調。なんか初々しいって感じでいいねぇ。
パチパチパチパチパチ!
「いや~、どうもッス、どうもッス」
曲が終わり、拍手を受けてえへへと頭をかくよっちに、
「いい歌だったよ。今の、何て歌なんだ?」
「貴明センパイ知らないんスか? 池田春菜の『Hello』ッスよ」
「ふぅん。初めて聴いたけどいい歌だな」
「でしょ。これ聴くと何か恋をしたくなっちゃうんスよねぇ~☆
あ~あ、あたしも素敵な人と巡り会ってお付き合いしたいな~」
「よこせ。次は私だ」
半ば妄想状態のよっちから、マイクを取り上げたのはちゃる。
こちらも慣れた手つきでリモコンを操作し、曲が流れてちゃるの歌が始まる。
――これまた相方に負けず、いい歌声だなぁ。普段のちゃるとはまるで別人だよ。しかも、曲自体
もこれまたいい感じだなぁ。不安とか悩みとか、そんな弱さを乗り越えて、未来への道を心の灯火で
照らしながら歩いていこう、そんなメッセージが込められた曲。心に染みるなぁ。涙出てきそう。
パチパチパチパチパチ!
「……どうも」
拍手を受け、やや顔を赤らめるちゃる。
「いやー、いい歌だったよマジで。今の何て歌か教えてくれるか?」
「……Suaraの『トモシビ』」
「『トモシビ』かぁ。タイトルもまたいいなぁ。Suaraさんだっけ? 実際どんな感じの歌声
なんだろう、気になるなぁ」
俺の肩をポンポンとよっちが叩き、
「センパイセンパイ、知ってますか? さっきあたしが歌った『Hello』と、キツネが歌った
『トモシビ』、何と一枚のCDにカップリングされてるんスよ」
「な、何いっ!? それは本当なのか!?」
「ええ本当ッス。池田春菜さんの『Hello』とSuaraさんの『トモシビ』、この二曲が収録
されたマキシシングルが、定価1,260円(税込み)で絶賛発売中ッス!」
「こ、こんな名曲二曲が一枚のCDで聴けるとは、なんてお得なんだ!」
「でっしょ。これは絶対、買いッスよね!」
「ああ、一家に一枚、是非買っておくべきCDだな! よし、さっそくみんなでCD屋に――」
「あなたたち、いい加減にしなさい!」
……タマ姉に怒られてしまいました。
つづく。
どうもです。第60話です。
……あの、一応断っておきますけど、わたくし別にCD関連業者の回し者ではありませんからね。
毎週乙
宣伝キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
貴明ウラヤマシス(´・ω・`)
657 :
名無しさんだよもん:2006/06/12(月) 20:57:23 ID:1l7+S5sY0
>>655 乙です
よしさそっくCDを買いに行こうww
>>655 乙です
これから追っかけます
子供のこーろのゆめは~
色あせな~い落が~きで~思う~まま描き滑らせて~
乙です
どうでもいいけどSuaraと言えば夢想歌がなかなかいい曲だ
お疲れさまです。
描く未来へとつな~がる
ところで②人組アイドルって・・・だれ?
「ともしび」って、八代亜紀じゃないの? と、ボケてみる漏れはどう考えてもオサーンです。本当に有難うございます。
貴方のぉ~ 命のぉ~ ともぉ~しびがぁ~ もうすぐぅ~消えるとぉ~ 聞かぁされた……
>>655 CD宣伝、喜多ーーー!!!
えぇ、もちろんCDは持ってますとも。
原口知美さんの『時を旅する少女』を収録したCDもw
で、これから一週間このスレの話題はCDっすか?^^;
664 :
名無しさんだよもん:2006/06/13(火) 00:24:33 ID:zrmlgiTgO
ということは次はCDのSSですねww
>>662 ぁああ!・・・いたなぁそんなの。すっきりした。あんがとぉ!
お前ら少しは委員ちょについて触れてやって下さい。
ひ~だまりのなか~♪
668 :
ヤニボン:2006/06/13(火) 04:27:45 ID:CEaY9er80
@ノハ@
(*‘д‘)y-~~ <ウチの事呼んだ?
ヤニボンいたな~そんなのも
ま、もう帰って来れないだろうけどね
671 :
名無しさんだよもん:2006/06/13(火) 20:34:17 ID:q57ZbWs4O
てか個人的にFeeling Heart出して欲しい…
古いか(笑)
672 :
名無しさんだよもん:2006/06/14(水) 20:50:42 ID:a6DtW2cX0
月曜まで一週間をきった
>>664 CD→歌→歌手→由真
なるほど。次は由真SSか。
674 :
名無しさんだよもん:2006/06/15(木) 04:34:33 ID:vnCC4myp0
待てぃ草壁さんを忘れるでないわ!
燃え上がれ闘志、頑張れ女の子
女道、華々道 向坂環と鰹節
679 :
名無しさんだよもん:2006/06/16(金) 14:27:35 ID:p0tC0DYt0
1192作ろう ジンギスカ~ン~
794ウグイス ジンギスカ~ン~
1941発 ジンギスカ~ン~
ひつじ ひつじ ひつじ肉~
最強の証 クィーン トゥ ハート
我が心明鏡止水 されどこの掌は烈火の如く はタマ姉を見る限りそのままのような気がする。
やめて!好きな作品にタマ姉絡めないで!
石破天驚アイアンクロー
唐突にニャホニャホタマクローっての思い出した
To Hear道
TAKABOU
インドの子供がなりたいものは… 懐かしい
今日は生徒会は休み。
なので、放課後担った今、家に帰るだけとなった。
しかし、私は昇降口で立ち往生。
なぜかというと、激しい夕立が丁度降り始めてしまったから。
いつもは折り畳み傘を常備しているけれど、今日に限って忘れてしまった。
ふぅ、と溜め息ひとつ、私は雲で覆われた天を仰ぐ。
雨は断続的に降り続き、一向にやむ気配はない。
特に予定があるわけではなかったけど、私は濡れて帰ることに。
早足で校門まで歩き出す。
その間で、冷たく、強く、雨が降りつけて、私の髪や制服をぬらしていく。
寒さを感じずにはいられない。
校門を出るまででこんなでは、家にたどり着けるかどうかすら怪しい。
と、言っても着かなければならないのだけれど。
そんな事を考えながら、坂を下っている最中に、唐突に雨が止んだ。
――――私の周りだけ。
何がおきたかわからず、硬直する。
しかしすぐに気づき、後ろを振り返ると、そこには河野さん。
右手に持つ折畳み傘を私が濡れないようにさしている。
「久寿川先輩、傘、忘れたんですか?」
肩で息をしながら、河野さんは私に言う。
「え、ええ…。いつもは鞄の中に入れておくのだけれど…」
私がそう言うと、河野さんはにこりと微笑む。
「なら、小さいけど、これ使ってください」
「だ、ダメよ!河野さんが濡れてしまうわ!」
「俺は大丈夫です」
「大丈夫じゃないわ!」
「ホント大丈夫ですから、心配しないで使っちゃって下さい」
どうやら、お互い引く気はないらしい。
そこに、ある案が思いつく。
でも、それはとても恥ずかしい案。
こんなことを頼むのはおかしいと思うけど……。
ちょっと勇気を出してみても、いいかも……しれない。
「こ、河野さん、その…なら…もし…良かったら…」
言葉がしどろもどろになる。
顔はどんなになっているのか、想像したくない。
「傘に、入れてくれないかしら……?」
きょとんとする河野さん。
何を言われたのか分かっていなさそう。
しかし、すぐにそれも変わり、慌てたようになる。
「せ、先輩っ!?」
肯定されなかったら、とたんに恥ずかしくなる。
「ご、ごめんなさい、私…何言ってるんだろ…迷惑よね…ごめんなさい」
ごめんなさいを二度も…。何してんだろ、私…。
「河野さん、また明日」
これ以上河野さんと一緒にいると、さらに失敗を重ねてしまいそう。
そう思った私は、河野さんに背を向け、急いで歩き出す。
しかし、誰かに制服の袖を掴まれて、動けなくなる。
その人物を振り返って見る。
そこには、さっきとは違い、顔を赤くして俯き気味の河野さん。
「久寿川先輩、待ってください…。その、俺なんかとでいいなら…」
今度は私がきょとんとする番。何を言われたのかわかるのに、少し時間がかかってしまう。
その言葉の意味をやっと理解すると、私の顔も真っ赤になった。
蚊の鳴くような声で、ありがとう…、というのが精一杯だった。
傘は二人入るには狭いため、体が密着してしまう。
河野さんの鼓動が聞こえる。とても早い鼓動。
女の子が苦手と言っていたから、そのせいかもしれないけど、私は【そうではない】と自己暗示。
私のことを特別だと思ってくれてるから――――。
自分に良いように、思い込む私。
「先輩、濡れてませんか?」
「え、ええ。大丈夫よ。ありがとう、河野さん」
河野さんの匂い、息遣い、声。
それが、今私の近くに…。
そんなことを考えると、自然と顔が熱くなってくる。
密かに胸に手を当てると、私の鼓動もものすごい早さでなっている。
今は理由が必要だけど、いつかはきっと自然に1つの傘に2人で入ることが出来るようになれば…。
そうすれば、いつか鼓動も遅くなるかもしれない。
――――そんな日がくればいいのに。
そして、いつもの別れ道。
河野さんは迷うことなく、いつもとは違う…私の家のあるほうへ、足を向ける。
「先輩、家まで送りますね」
「あ、ありがとう…」
うわずった声で返す。
河野さんには悪いとは思ったけれど、もう少しこのままでいたかったから、来てくれてうれしかった。
「雨が弱くなってますね。もうそろそろ止むんでしょうかね」
「そ、そうかもしれないわね」
河野さんの言うとおり、雨は最初よりだいぶ弱くなっていた。
私達が家に着くまでは雨が降っていて欲しい…。
自分勝手に私はそう願っていた。
しかし私の願いとは裏腹にどんどん雨は弱まり、もう傘がなくても歩ける程になった。
いつ、河野さんが傘を畳んで帰っても、おかしくない。
内心、そのときがくるのを恐れながら、歩き続けた。
でも、河野さんは結局傘をさしたまま私の家まで一緒に来てくれた。
その頃には既に雨は完全にやみ、雲もほとんどなくなっている。
「ありがとう、河野さん」
このありがとうには、2つの意味。
濡れないようにしてくれた事と、私のわがままに付き合ってくれたこと。
「いえいえ、御礼に及びませんよ」
河野さんは笑いながら言う。
多分、河野さんは前者のほうに対しての言葉なんだろう。
「また、忘れたなら言ってくださいね」
「あ、ありがとう…」
そう言うと、河野さんはやっと傘を畳む。
私は思い切って疑問に思っていたことを聞こうと、声をかける。
「ねぇ、河野さん、どうして―――」
私のわがままに付き合ってくれたの?ましてや、雨が止んだ後まで。
そう聞こうと思って止める。
「ごめんなさい、なんでもないわ」
答えは分かっていた。
河野さんは誰に対しても優しいから、迷惑だけど仕様がなく付き合ってくれた。
そんなこと分かりきっていた。疑う余地もない位に。
私はどんなに自分は河野さんにとって特別な存在なんだって思い込んだところで、結局気づいているのだ。
ただ、そう自分が思っているだけで、実際はそんなことないんだ、って。
「あ…先輩、あっち見てくださいよ」
唐突に河野さんが言う。
私は言われたとおり、河野さんが指差す方を見る。
雨上がりの空。
そこには綺麗な虹。
それは燃えるような赤と神秘的な瑠璃色のコントラストを描く空に、架かっていた。
その優美な姿を余す事無く、私達に見せ付けて。
近くにある沈みかかり始めた夕日よりその存在感はあり、見るものを皆圧倒していた。
それは、ちょっとだけど勇気を出した私への、神様からのご褒美かと錯覚する程のものだった。
「綺麗……」
「ですね…」
私達は虹を見ていた。薄れゆく虹が完全に消えるまで、ずっと。
そして、お互いを見合う私達。
「河野さん、また明日。今日はありがとう」
自分でも驚く位、優しい声。
「はい、また明日」
河野さんの顔や声も、優しさが溢れていた。
河野さんと別れて歩き出す。
しかし、すぐに立ち止まる。
また勇気を出してみても、いいかもしれない――。
そんなことを考えながら、私は天を仰ぐ。
ほとんど瑠璃色になった空には、もう、虹はない。
その代わりに、転々と輝く星々と、一際目立つ三日月がある。
もう、虹はない。
でも、それで良い。
2人で見ることができたから、1人で見れなくても…。
また、2人でみたい。
今すぐにではなく、河野さんの特別に、私がなって…それから。
虹が私を応援してくれた気がした。
きっと、河野さんの特別になる事が出来る、と。
私は水溜りを避けながら、また歩き出した。
次に虹がみれたときには、特別になれてますように―――――。
そんな事を見えない流れ星にお願いしながら――――。
693 :
↑の作者:2006/06/18(日) 00:15:43 ID:ngPtOAxT0
最近雨が多く降る中、ふと思い浮かんだSSです。
前作と同じようなものになってしまいましたね~。
今回もまた、こんなのささらじゃない!って方が
いらしたら、すいませんです。ご容赦ください。
精進しなければなりませんねw
いやいや、良いモノを読ませて頂きました!thx
>>693 乙!ですが、
言わせてもらうと物理的に夕日のそばに虹は出ません。
あといきなり2行目の
>なので、放課後担った今、家に帰るだけとなった。
で萎えそうになりました。
まぁ初期ささらの性格は丁寧に捉えてると思われます。
ご精進あれ。
>>693 GJ!
久々に良ささらSSを読ませて頂きました。
今の季節にあってるのもいいですね。
次回作も期待してます。
>695
虹については…ほら、アレだよ。
神様からのご褒美は奇跡に満ち溢れたものだったんだよ。
奇跡は起きないものよ。
奇跡は起きます、起こして見せます!
奇跡はおこらないから奇s(ry
(´・ω・)っ【光の玉】
ギャルのパンティおくれ!
703 :
名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 20:59:09 ID:4ubPJ9ph0
_____
(\ ∞ ノ
ヽ、ヽ ノ
`ヽ)__ノ
704 :
あいつと一緒(1):2006/06/18(日) 22:12:40 ID:XouZ8QFN0
今日は1時間目から保健体育の授業だったが、代わりの講師が教室に入ってきた。
授業内容は、各自プリントを渡され、穴埋め形式で、全て埋めることだった。
「たかあき。ちょっと教えて欲しいんだけど。」
隣のクラスから来たのは由真だった。
由真はプリント片手に俺の席に近づいた。
そうか。由真のクラスも同じだったよな。
「どれどー。」
俺は由真が指すところで絶句してしてしまった。
そこは男の身体の特徴を示す文書が穴埋めになっていた。
しかもいかがわしい図まではっきりとプリントされていた。
これってわざとやっているんじゃないだろうな。あの体育講師めぇ。
「とりあえず教科書に載っているから、わからないところはー」
俺がいい終わるところで由真が言って来た。
「たかあきは知っていることだから教えて欲しいのよ。そこのところお願い。」
由真はそういうなり、手のひらをあわせて俺にお願いをしてきた。
「そういわれると断れなくなるからやめてくれよ。」
「だったら、教えてくれる?」
「ああ。」
結局、由真に教えるはめになってしまった。
705 :
あいつと一緒(2):2006/06/18(日) 22:13:26 ID:XouZ8QFN0
1時間目の休み時間。
「貴明!大丈夫か?」
「ああ。全く、大恥をかいてしまったよ。」
さっきの時間のことだ。由真がただこれるから、俺が全て教えるはめになってしまった。
「そういや。長瀬さん、さっきの時間。いたんだよな。」
「なによ。雄二。たかあきから教えてもらったんだから、あたしはあれのことは気にしてないわよ。」
由真は恥ずかしいのかそっぽを向く。
「た、貴明が教えただと。」
雄二がそういうなり俺の襟首を掴んできた。
「なんだよ。雄二。」
「貴様!!女の子に向かって、アレのことも全部教えたのか。かー。お前は恥というのは知らんのか。」
「だーかーら。由真がどうしてもっていうから。教えてやったんだよ。お前がいうことか。」
「ふふふ。人間の身体の特徴は知っていて当然なわけよ。この世は男と女しかいないんだから」
それはもっともな意見なんだが。雄二は俺の襟首を手から離した。
「だったらそういえばいいじゃないかよ。まぎわらしいこというんじゃないぜ。」
雄二はやれやれといった表情で言った。
「でも男の身体に関しては興味をそそる内容だったわね。」
由真。お前は何を言い出すんだよ。
「えっと、こうなんか。棒みたいなもの。」
「手つきで表現するなよ。」
「それと、なんでかな。あれは男だけにあって女はあんなものが入るのかな。」
どんがらがっしゃ~ん。雄二と俺はこける。
706 :
あいつと一緒(3):2006/06/18(日) 22:14:22 ID:XouZ8QFN0
「お前な。いちいち手つきで表現しなくていい。じゃなくて、お前は女だろ。そんな話をしている時点でエロいんだよ。」
俺は由真に釘を打つ。だが、由真はあっけらかんとして言った。
「なんでよ。」
「そこで肯定するな!!」
「た、貴明!!お前らの話。聞いていると、特に長瀬さんは萌えるんだよな。」
ドゲシッ!!顔面に靴底が入る。
「すぐに復活!!今日は白か。初々しくていいよな。」
ドゲシッ!!また顔面に靴底が入る。
「由真よ。スカートを気にしてくれよ。雄二に見られているぜ。」
「忠告ありがと。たかあき。でもね。棒の下になんでタマがついているのよ。あれは何が入っているの?」
どんがらがっしゃ~ん。また雄二と俺はこける。
「お前な。知っているかのようにいうなよ。」
「貴明。俺はもうついていけないわ。長瀬さんには悪いが、激萌え~なんだよな。」
ドゲシッ!!またまた顔面に靴底が入る。
「あたし何か言ったのかな。ああそうね。あの棒はどうして大きくなったり小さくなったりするのよ。不思議だよね。」
どんがらがっしゃ~ん。またまた雄二と俺はこける。
「お前。自覚ないだろ。」
「え?なんのことよ。たかあき。」
こいつは自分で言ったことについて全く自覚もないみたいだ。
「お前が言っていること。つまりな。エロすぎるんだよ。」
「それにどうしてあたしなのよ。あたしに萌える必要なんかないわよ。」
自分で言って萌えるとかいうなよ。
707 :
あいつと一緒(4):2006/06/18(日) 22:15:16 ID:XouZ8QFN0
「長瀬さん。悪いんだけど、今の話、萌えるんですけど。俺の気のせいかって。ぐふー」
由真は雄二に裏拳を腹に入れる。
「まだあったわね。あれとそれの合体。あれを出されると気持ちいいの?」
どんがらがっしゃ~ん。由真。いい加減にしてくれ。
「お前は再三いうなっていったのに。」
「貴明。俺は、俺は、長瀬さんに3000点。それにエロすぎてボーナス1万・・ぐふー」
由真はまた雄二に裏拳を入れる。
「それにボーナスってなによ。クイズじゃないんだから。あたしにそんなものに入れないでよ。」
「貴明。悪いけど、俺はマジでついていけない。長瀬さん最高にエロいっすよ。」
ドゲシッ!!顔に靴底が入る。
「たかあきにとっておきなこと考えちゃったわ。」
なにか嫌な予感。まさか。いうのか。
「たかあきとなら何回してもいいわよ。」
どんがらがっしゃ~ん。お前の頭はそれしかないのか。
708 :
あいつと一緒(5):2006/06/18(日) 22:16:08 ID:XouZ8QFN0
「貴明!!聞いたか。」
「ああ。」
「長瀬さん。あんたはエロい。こどごとなくエロい。」
「どうしてそうなるのよ。雄二、あたしは思ったこと言っただけじゃない。何処がエロいのよ。」
自覚ねぇなこいつは。
「♪たかあきとずっこんばっこんされてー。あたしはー」
「こんなところで変なネタで歌を歌うな!!」
「貴明よ。」
「なんだ。雄二」
「こんなやつほっておいてさ。次の授業の準備でもしようぜ」
「ああ。」
由真をほっておいて次の授業の準備をしたのだった。
709 :
名無しさんだよもん:2006/06/18(日) 22:18:31 ID:QWk3S6VyO
いやったぁぁぁぁぁぁぁ!!
ToHeart2XRATEDゲットォォォォォォォォ!!
710 :
708の作者:2006/06/18(日) 22:22:20 ID:XouZ8QFN0
思いついたこと書きました。感想を待っています。
711 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 00:00:05 ID:30RiyAGZO
月曜が来ましたよ
>>710 乙
序盤はよかったけど最後がgdgd
あと雄二が長瀬さんって呼ぶのはどうかと
>>710 おつ~。う~、何を伝えたいのかよくわからん。これは設定は由真ルートのアフターストーリーでOK?
にしても、『長瀬』由真にしてはなんだかそんなキャラじゃないように思えるし、
『十波』由真にしても、公衆面前でそんな話するほど節操無しじゃないような…。
それよりは、二人きりの場面でそうさせたほうが由真っぽいかも。
勢いはあったけど、ちょっと由真のキャラが微妙だな
>>713の言うみたいに二人きりとかなら有り得るかもしれないけど
キャラ掴めてない気がするね。メイドロボ姉妹あたりは本編出ないから
えらいことになってもしょうがない面もあるけど、由真でこれはちょっと。
あと、日本語の微妙な部分がちょい目立つ。
暗い月曜日
>>710 次の河野家が投下される前に、由真SS乙。
CDネタじゃなかったのかw
確かに後半キャラが変わってますね^^;
あと、さすがに同じネタを連発しすぎると
ひいてしまいます。
でも、こういう話をする時は
長瀬モードで眼鏡をかけてる時の方が
萌える気がするのは漏れだけですか?^^;
別に眼鏡属性はありませんがw
タマ姉の陵辱SSって無いっすか?
ニーソで足コキなのがあればグッド・・・ってこれじゃ陵辱じゃないか。難しい。
>>710 とりあえず乙。
まず句読点の使い方だな。
会話での読点が必要以上に多いから、感情が無いように感じる。
あとはやっぱり由真のキャラかな。
由真の場合、『エロイ単語を知らずに言う』もしくは『エロくない言葉なのにエロく聞こえる』って感じだと思う。
河野家マダー?
721 :
708の作者:2006/06/19(月) 20:25:15 ID:AJfb75ZH0
いろいろと感想どうもです。これらを次回にもちこまないよう気をつけます。
皆さん。ありがと。また作るかも知れないのでその時まで。
722 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 20:43:18 ID:cHJgOPfB0
カラオケ五番手は姫百合姉妹。珊瑚ちゃん以外の人の前で歌うのは初めてだからと緊張する瑠璃
ちゃんだったけど、いざ歌ってしまえば姉の珊瑚ちゃんとピッタリ合わせ、二人組アイドルの歌を
振り付きで歌ってみせるのだった。しっかしみんな歌上手いなぁ。
六番手は愛佳。歌うのが緒方理奈の歌ということで、待ってましたとはしゃぐ雄二だったが、肝心
のその歌は……。い、いや、由真が俺の顔に柔らかいのを押しつけてまで言うくらいなんだから、
上手かったですよ、ええ。
七番手は郁乃なんだけど、カラオケ未経験の郁乃は歌う歌すら決められない。そこで立ち上がった
のがこのみ、姫百合姉妹、ちゃるとよっちの一年生組。みんなでヒット曲を元気よく歌い、それに
つられて郁乃も歌声を響かせる。初めてにしては上出来だよ、うん。
八番手は優季。選曲したのは映画『時を旅する少女』の主題歌。優季の歌声に聞き惚れつつ俺は、
優季とその歌の組み合わせに奇妙な『何か』を感じたりして……
九番手はよっち。歌ったのは池田春菜の『Hello』。そして十番手のちゃるが歌ったのは
Suaraの『トモシビ』。どちらもいい歌だなぁと感動してたら、何とこの二曲が一枚のCDで
聴けると言うではないか! これは是非CDを買いに――、って済みません、やりすぎですね。
「俺の番だな」
そう言って立ち上がったのは雄二。
「お、雄二、何歌うんだ?」
俺がそう尋ねるが、雄二は何も言わずにリモコン操作。感じ悪いなぁ。
程なく前奏。――うーん、聞いたことがあるような、無いような。
「あ、『SOUND OF DESTINY』」
「知ってるのか、由真?」
すると由真は意外そうな顔で、
「知らないのたかあき? これ、緒方理奈のヒット曲だよ」
「ああ、そうなんだ。俺、緒方理奈ってあまりよく知らないからなぁ」
などと俺たちが話しているうちに雄二が歌い始め――
「~♪」
「え、えええっ!?」
人が歌ってる最中に大声をあげる由真だが、無理もない、俺もビックリだ。雄二の歌声は、まるで
アイドル歌手そのものって感じで――
「そ、そっくり……」
呆然と由真が呟く。どうやらその歌声、本物にそっくりらしい。
驚いてるのは俺と由真だけではない。他のみんなもあっけにとられ――
「……なんか、気持ち悪い」
顔をしかめる郁乃。……ま、まぁ、歌声の主が雄二じゃなぁ。
「はっはっは! どうよ諸君、この俺様の美声に酔いしれたかな?」
完璧なまでに歌い上げた後、ふんぞり返って高笑いする雄二。
「す、凄い……。まるで本物の緒方理奈が歌ってるみたいだったッス……」
「う、うん……」
よっちの言葉にこのみがコクコクと肯く。しかし、
「あ、分かった! さては雄二、声を変換したでしょ!」
雄二に指を突きつける由真。
「声を変換?」
「最近のカラオケには男声を女声に変換する機能とかがあるのよ。きっとそれを使ったんだわ!」
由真のその指摘に、しかし雄二はフフンと鼻で笑い、
「んな機能になんか頼らねぇよ。
大体、最近の音声変換機能には、男声を”緒方理奈の声”にする機能でもあるってのか?」
「ぐ……」
言い返せない由真。確かに雄二の言うとおり、さすがにそこまで高度な機能はないだろう。
「それなら雄二、あの声は?」
「おいおい貴明忘れたのかよ? 俺様が七色の声の持ち主であることを」
七色の声? ……ああ、そう言やこいつ、そんな特技持ってたっけ。
「だが、七色の声と言うこの天性の力を持ってしても、緒方理奈ちゃんのあの美声を再現するのは
至難の業だった……。
来る日も来る日も修行に明け暮れ、この声を会得するまでに要した時間、およそ一年ッッッ!」
「そ、そう言えば夜な夜な雄二の部屋から歌が聞こえていたけど、あれはまさか雄二の歌声!?」
タマ姉の顔が青ざめたのは、弟の超人的な能力を知ったためか、はたまたその気色悪さ故か。
「君たちに言いたいことがある」
雄二はこのみたちを見回すと、
「君たちは、自らが女性であることに胡座をかき、何の苦労もせずに得た歌声でカラオケを堪能して
いるつもりだろうが、俺から言わせればそのようなもの、児戯にも劣る自己満足でしかないッッッ!
声帯を破壊する一歩前まで己が声を磨き上げ、性別という高く厚い壁を乗り越え、緒方理奈という
名前の聖なる音域に達した時、人は、カラオケとは何なのか、いや、歌うとは何なのか、その答えを
知ることが出来るのだッッッ!!」
……何か力説しちゃってますけど、この人。って言うか意味分からん。
「……ゆ、雄二、あんたってヤツはそこまで……」
あれ? 由真が圧倒されてるよ?
「か、勝てるワケなんてない……」
うわ、愛佳も落ち込んじゃった。さっきの自分の歌と比較したのかな?
そんな愛佳を見下ろし雄二は、
「精進せよ委員ちょ。キミの中にある緒方理奈への情熱をもっと燃やすのだッッッ!
日を置かず、歌い続けなさい。キミならあるいは、俺を超えられるかも知れない……」
そう言い残し、何故か部屋を出ていこうとする雄二。
「お、おい雄二、どこへ行くんだ?」
「トイレだッッッ!!」
あ、そうですか。行ってらっしゃい。
「こ~のみっ! 次はこのみの番だよ!」
はいっ、とこのみにマイクを差し出すよっち。
「え、でもわたし、さっき郁乃ちゃんと一緒に――」
「だから、アレはあくまで郁乃ちゃんのサポートっしょ! ささ、歌って歌って」
「う、うん、でもこのみ、まだ歌を決めてないんだ……」
そう言って楽曲表を取ろうとするこのみに、
「……なら、アレを歌って」
「え? ――あ、アレ!?」
ちゃるに言われた途端、このみはカァーッと頬を赤らめ、
「だ、ダメだよちゃる! あ、アレは三人の時だけの……」
ん? 三人の時だけ歌うアレって、一体なんなんだ? うーむ、何となくイケナイかほり。
「このみ、それ歌え」
「え、タカくん!? ダメ、絶対ダメ!」
手をブンブン振るって拒否の姿勢。何か必死だな。でもそういうのを見るとますます聴きたくなる
のが人のサガってヤツで。
「ちゃるとよっちは聴かせられて、俺たちには聴かせられないのかよ。そりゃあないよ、なぁ」
ここでチョット卑怯な手。周囲のみんなに同意を求める。
「確かに気になる。あたしたちにも是非聴かせて欲しいな」
ホラ、早速由真が乗ってきた。
「うんうん、聴かせて聴かせて」
花梨の好奇心だって黙っちゃいない。
「うーこのの特別な歌か。るーも是非聴いてみたいぞ」
好奇心じゃ、るーこも負けていないな。
「あ、うう……」
徐々に追いつめられるこのみ。よし、もう一押し――
「無理強いはよくないわよ。このみも困ってるじゃない」
ちっ、やっぱタマ姉が黙ってないか。よし、それなら、
「ああー、うん。確かにタマ姉の言うとおりだよね。
ゴメンなこのみ、無理強いするつもりは無かったんだけど、聴いてみたかったからさ」
「あ、うん」
あっさり引き下がった俺にキョトンとするこのみ。
「ね、ねぇタカくん……」
「ん?」
「そんなに……聴いてみたい?」
「そりゃ、このみの特別な歌なら聴いてみたいよ。けど、無理しなくていいよ」
「あ、あのね……」
よし、食いついたぞ。ホレ言え、歌うと言え!
「その、歌ってもいいけど、約束してくれる?」
「約束?」
「うん、その、わ、笑わないって」
笑わないと約束? 笑っちまうほど恥ずかしい歌なのか?
「あ、ああ、分かった、笑わない。約束する」
俺のその口約束に安心したこのみは、
「うん、じゃあ、歌うね」
腹を決め、リモコン操作。程なく前奏が流れるのだが、――なんか、のんびりな前奏だなぁ。
そしてこのみはマイクを口に――
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
今日も天気だ ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
親子で仲良く ぱおーぱおー♪」
……ゴメンこのみ、約束、守れないかも。
いかん、笑いが今にも……、下唇をぐっと噛んでこらえる俺。ってか何だよその歌はよ!?
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
雨の日だって ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
パパはひとりで ぱおーぱおー♪」
あ、由真が自分の脚をグーで殴って、必死に笑うのをこらえてる。
他のみんなも笑うまい笑うまいと、各自創意工夫で何とかこらえている。そんな中平然としてる
のは、タマ姉、るーこ、珊瑚ちゃん。
「童謡ね。なんだかこのみらしいわ」
俺たちとは違う意味で笑ってるタマ姉。
るーこは無言で、このみの歌に聴き入ってる。るーこにはこれも貴重な”うー”の情報なのか。
「ぱおーぱおー♪」
珊瑚ちゃんに至っては、一緒になって歌ってるし。
そう言えば、この歌を最初にリクエストした二人は――おや、普通に聞き入ってるぞ?
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪
水がなくても ぱおーぱおー♪
ママぞうさん こどもぞうさん♪
パパとライオン がおーがおー♪」
笑うのを必死でこらえつつ、ちゃるよっちの元へ。
「な、なぁ教えてくれないか。二人ともどうして、そんな平気で聴いていられるんだ?」
すると二人はホワワンとした笑顔で、
「いや~、このみのコレ聴くと、胸がホンワカするんスよねぇ~
イヤなこととかあっても、このみのコレ聴いたら一発で吹っ飛んじゃうんスよ~」
「……癒し系」
い、癒し系? 俺にはタダのマヌケな歌にしか――
「水飲みぞうさん ぱおーぱおー♪」
ぐああっ、この歌何番まであるんだよ~!?
癒しだったり地獄だったりの、このみの歌がようやく終わった。つ、疲れた……。
「た、タカくん、どうだった?」
幸いにして笑いをこらえきった俺ではあるが、このみのこの質問、何と答えたらいいのだろう。
と、とりあえず落ち着いて、ええと……
「よ、よかったよ、このみ」
「ホント? えへ~」
「お、俺が頼んだら、また歌ってくれるか?」
ホントは「俺がいいと言わない限り、決して俺の前で歌わないでくれ」と言いたいところを、出来
るだけ柔らかく遠回しにそう言い換える。
「うん!」
嬉しそうに答えるこのみに、チョット罪悪感。
「さて、これで残るは……」
みんなが一斉に俺を見る。――ああそうか、歌ってないのは俺だけか。
「さて、それじゃ何歌おうかな――」
まだ決めてなかったので、楽曲表を手に取る。と、
「はーいリクエスト! ねぇねぇたかあき、修三と昭夫の『青春アディオス』歌って!」
は? リクエストって何だよ由真のヤツ?
「あ、じゃあ貴明センパイ、あたしはKET-TONの『Real Face-off』!」
「お姉ちゃん、梅平建の『ウメケンサンバ弐』が聴きたいな」
「ほなウチ、ニンニク幼女帯の『愛のゾンビ』~☆」
よっち、タマ姉、珊瑚ちゃんが次々とリクエスト。ってか最後の『愛のゾンビ』って何ですか?
「ちょ、ちょっと待ってくれよ! そんないきなりいっぺんに言われても困るし、そもそも何で俺
だけリクエスト制なワケ!?」
「このみちゃんだってよっちたちのリクエストだったじゃない」
「う……、そ、それは確かに」
由真の指摘にあっさり負ける俺である。
「なら、まずは一番最初にリクエストしたあたしからってことで」
「うう……。あ、でも修三と昭夫って二人組じゃないか。俺一人じゃ――」
「ああ、その曲なら俺歌えるぞ。一緒に歌ってやろうか?」
ゆ、雄二、余計なことを……
結局、雄二と二人で『青春アディオス』を歌った俺。うろ覚えだったけど何とかなった。
パチパチパチパチパチ!
みんなが拍手をしてくれるのは嬉しいんだけど……
「じゃあ次、『Real Face-off』ッスね!」
ホラ来た。一人言うことを聞いたら他のみんなも黙っていない、いつものパターンだよ。
「『ウメケンサンバ弐』も忘れずにね」
「『愛のゾンビ』~☆」
「じゃあタカくん、わたしはタッチー&岬の『正夢物語』!」
「うー、ジョンカーペンターズの『Tomorrow once more』を知っているか?
あれはいい曲だぞ」
「あ、あの、貴明さん、幹原敬之さんの『もう恋なんてしないかもしれない』って曲なんですけど、
ご存じですか?」
ぐあ! このみ、るーこ、優季までリクエストしてきやがった!
「ま、待ってくれ。それ全部歌わなきゃならないのか!? 知らない曲もあるし!」
「リクエストには応えなくちゃ。知らない曲はリクエストした子と一緒に歌えば?
いやー、連チャンで何曲も歌えるなんて羨ましいなぁー。たかあきって得だよね」
ゆ、由真のヤツ、他人事だと思って……
何か言い返そうかと考える間もなく、次の曲の前奏が。……うぅ、歌えるかなぁ?
つづく。
どうもです。第61話です。
サッカーから目が離せず、危うく61話が書ききれなくなるところでした(^^;
普段はJリーグとか見もしないのに、国際試合は見てしまう。俺もミーハーだよなぁ。
乙です。
もじるのがうまいですねwww
リアルいただきました!このみのあの歌は一体・・・何かネタあったのかな?
駅の街時間にw-zero3でスレチェックしたらリアルでキテター。
とりあえず雄二それはキモイよ。
736 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 21:05:46 ID:sjfGtWA10
河野家乙
始めてリルタイムで読めました
また面白いのよろしく
自分もss書いてるがまだまだと凹み中
毎週乙
なんか雄二が大志に見えた件
このみヤベェw頭が破壊されそうだ
河野家乙でした、このみにポケモン言えるかな歌わせたいw
来週はイルファさんが乱入して愛のメモリーを歌いそうな勢いだw
乙です。
まあこのみの歌はまだマシだよ…ナンバガ歌ってドン引きされた俺にくらべればw
個人的には「はじめてのチュウ」を雄二と歌いたい。
741 :
名無しさんだよもん:2006/06/19(月) 23:47:04 ID:30RiyAGZO
>>1
乙
このみが歌う歌はこのみのイメージソングだと思っていたのにまんまとはめられました。
乙でした
久しぶりにシングル聞いてみたけど、雄二はこんな声で歌ってるのか
まあ、よっちの声真似した前歴もあるしOKw
ところで今頃CD-EXTRAだと気付いた俺ガイル
なんかSS書庫を見てたら、以前に中途半端な形でうpしたSSを
今さらながらちゃんと完成させたいと思った。これは未練だろうか……。
君に書き手としての素養があるということだ。
頑張って完結させてくれたまえ。
>>732 河野家、喜多ーーー!!!
今週の雄二はアツい、アツいぜーー!!っと思ってたら
結局おいしい部分(?)は、このみにもってかれましたねw
是非ともゆりしぃにリアルで歌ってもらいたい!
この曲で語呂合わせを作って、ラジオに応募すれば
ひょっとしたら歌ってくれるのかな?w
そして、最後は結局こうなりましたか^^;
思い出してみれば、お姫様だっこのリクエストから
作中でまだ一日しか経ってないんですねw
というか、このペースだと長くて長くて長かった土曜日を
抜きそうなんですが^^;
何にしても、来週も楽しみにしてます。
今、このスレの最初の方を読み返してて気づいたんだが
そういえば「オトナになる方法」のエピローグって
upされてませんよね?
結構楽しみにしてたので、まだupする気があれば
お願いします>作者さま
さて、そろそろ黒このみの出番かと…
いつまでカラオケネタを引っ張るつもりかと小一時間
ネタ
たかあきキュンが記憶喪失になる
751 :
387:2006/06/20(火) 20:35:33 ID:HiswMBQg0
>746
えーと、すんません。郁乃に目的達成させて気が抜けたのと、
ちょっとSSじゃない作業にかまけていた(る)ので手が着いてません。。。
完結はさせるつもりですが本当になにもない予定ですし、当分忘れててくださいw
752 :
746:2006/06/20(火) 21:18:33 ID:wdoleuOb0
>>751 わかりました。
漏れが記憶喪失にでもなっておきますw
またいつかその気になったら、完結させてあげてください。
小さな性器、皮剥け男の子!
素敵な春夏
いつも一人,ずっと一人
陽だまり官能少女
ストレンジ・ノンカウンター
ローストにされたあいつを食べよう
真夜中の姦行で
どこぞのAVタイトルみたいだ
>>751 俺が書いてるネタと奇跡的に一致(´・ω・`)
>750
記憶喪失になった貴明。皆ここぞとばかりに自分に都合のいいイメージを押し付ける。
このみ「いつもこのみにお菓子やジュースをおごってくれたよ」
環「しっかりとした『いい男』だったわよ」
愛佳「えっと、書庫の整理を手伝ってくれてました」
由真「アタシにちょっかいばっかりかけてくるヤツ!」
優季「運命の人です♪」
るーこ「うーはダメダメな男だ。これを機に革命されろ」
花梨「たかちゃんはそれはもう熱心にミステリ研の活動に打ち込んでいたんよ!」
珊瑚「ウチと瑠璃ちゃんといっちゃんとラブラブやったー」
瑠璃「ウチとさんちゃんにえっちぃことするごーかんま!」
ささら「私にはなかなか手を出してくれなかったわ」
貴明「ちょ、ちょっと待ってください! みなさんの話を総合すると
『女性が苦手でヘタレで積極性もなく、性癖にも問題があるのに、
そのくせ複数の女性と関係を持つ度量があってさらに気前がよく、
しかも部活動にも熱心に参加してボランティアまでこなす人格者』
というひどくわけのわからない人格になってしまいますよ!」
全員「うっ……」
貴明「そこの君! 本当の俺はいったいどっちなんだ!? 前者? それとも後者か?」
雄二「…………こ、後者かな」
貴明「何故顔を背ける」
>>750 んじゃ、俺も一つ便乗して…
由真「貴明、記憶喪失になったって…。それじゃあたしのこと覚えてないの!?」
貴明「すまん」
由真「五千円貸してたことも?」
貴明「そうだったのか」
愛佳「だめだよぉ~、由真。可哀相な人騙しちゃ~」
由真「ああ、一万円って言えばよかった…」
GS美神とらんま1/2だな
水を被ると貴子になるんですね。
萌え
ツンデレラになるのか・・・
な ら ば よ し !
761 :
厳島貴子:2006/06/22(木) 04:13:09 ID:f9W2Nin00
___
, ´ `丶
./ 〃 / ノl 人、 ヽ
// 〃 イ ,ィ //ヾヾ、、 ',
l l リレ !//ノノ ヾ=!i l
l .V __ __ i トー6 <お呼びかしら?
ヾ,i `" `" ! !ノ〈ハ〉
Lil 〕> ! ! l ll 、
.lハ 人ヽ Lll ヽ
. L!`ゝ __ イ┬、ヽヽ `ヽ
l √ ヽ 0_,l 〉リ )
ノィ l ト</ヽ__>=l 、(
フ `ヽcロ/゙ヽ_lっ l ヽヽ_
〈 ヾ7 /ー-'"! )ヽ)
(・∀・)カエレ!
つまり貴明が女装して寺女に入学する話を書けと。
ネタ
たかあきキュンと誰かの
中身が入れ代わる
折れは玲於奈を推薦したい
尾崎?
ネタといえばこのみ×郁乃というのを考えたら既に書かれていた(『修学旅行の夜』)
たぶん同級生だし、愛佳が貴明を確保してしまう前提なら落ち着き先として良いかも
貴明とこのみが入れ替わる話があったと思うが……
あれ、結局どうなったんだ?
一発のネタSSじゃなかったっけ?
ていうか本編だしな。
>貴明とこのみが入れ替わる話
「もうどうにもとまらない」のことジャマイカ?
途中で止まってるようだが。
誰がうまいことを言えといったw
どうもです。
済みません、風邪をひいてしまいました。なんでこんな時期にひくかなぁ……?
なので、明日の河野家はお休みさせてください。
ホント、ご免なさい。m( __ __ )m
>>773 乙です
まあゆっくり体休めて治してくださいな
ゆっくり養生して下さい、この時季って気候が中途半端で意外と体調崩しやすいのでお気を付けて。
こんな時こそ向坂家を!
777 :
名無しさんだよもん:2006/06/26(月) 02:23:53 ID:j6Tv2+lR0
お休みは残念ですが、ゆっくり休んで英気を養ってください。
私も風邪なのか、ここ一ヶ月ほど微熱が出たりおなかの調子がおかしかったり・・・・・・。
本当に体調には気をつけてください。
河野家の作品内時間て結構たっていると思ったのですが、生活費って大丈夫なんでしょうか?
水道光熱費はまだしも食費は直に響くはずですが誰も気にはしないんでしょうか?
それと、現在貴明は机がないんですが勉強はどうしているんでしょうか?
居間とか台所のテーブルでやっているならもっと複数人でやるっていう流れになりそうな気もするし、
そもそもタマ姉がいるなら予習復習までやる勉強会とかやりそうですが。
サンデーのハヤテみたいに、
1年連載してても一ヶ月しか
時間進んでいない感じやもしれん。
779 :
名無しさんだよもん:2006/06/26(月) 10:09:55 ID:9AyR1ls/0
>>773 河野家の中の人、喜多ーーー!!!
最近、妙に蒸し暑かったり、しとしと雨は降ったりで
どうしても体調を崩しやすいですので
どうぞご自愛ください。
来週(以降)を楽しみにしてます。
>>776 同意w
>>777 前スレ終了時に、河野家のイベント一覧を作ってみましたが
それによると、最初に河野家に由真がやってきたのが火曜日で
それから連載一周年以上たっても、まだ3週間と過ぎていない
という現実があったりしますw
一応、マジメに考えてみると、水道・光熱費は
まだ一ヶ月経ってないから何ともいえませんがw
普通に貴明の親の口座から自動引き落としでしょう。
生活費は口座を分けるか、直に送ってるかのどちらかっぽい。
しかし光熱費その他は、貴明一人よりは格段にかかってるはずだから
引き落とし額を見て、親は不審に思うでしょうねw
食費は、あの女性陣だと皆で買い物に行って
その後、折半って感じかな?
一応、全員が押しかけたという自覚はあるはずだから
生活に必要な金を出し渋るキャラはいなさそうだし。
勉強は、、、してないんじゃない?w
なによりも風呂の順番が気になる……
貴明の後だと、奴のだし汁の中に入ってるわけだな。
ただ女性陣のあとだと
そこに貴明が入ってることに・・・
784 :
781:2006/06/26(月) 20:33:34 ID:F8ZBG71F0
食費光熱費とかはタマが出してくれるんじゃね?
あのシブチンがそんな事するわけないじゃん
出すなら珊瑚姐さんさ
女性陣の入浴時間が気になるな……
ひとり30分だとしても、三時間……
あれだ、タカ坊が誰かと一緒に
入ればいいんじゃね。
余計に時間掛かっちゃうじゃん!
女性陣は、ペアによっては2人まとめて入ってるのかもね。
同室どうしで入れば3組だから、それでも一時間半。。。
実は地下に銭湯があるとか
それなんてシャドウレディ?
ネタ
かたあきキュンが
交通事故にあう
かた・・・あき?
>>792 いや、亜空間にあるんだろ
で、貴明・女って暖簾がかかってるんだよw
798 :
名無しさんだよもん:2006/06/27(火) 18:08:02 ID:GXpB9kWYO
ネタ
貴明
謎の箱開ける
おじいさんに
ネタ
たかあきが
走り屋になる
トゥーハアッート2
801 :
タカくんと白雪姫 1/6:2006/06/27(火) 23:39:33 ID:kji2dGIBO
「このみー!早く起きなさーい!」
朝も早くから柚原家にはこのみを起こす春夏さんの声がこだましていた。
このみと恋人同士という関係になってから、このみは毎日俺のために朝早起きするようになった。だから前みたいにこうやってこのみが起きてこないというのは本当に久しぶりだった。
「はあ…、最近は自分で起きるようになったから安心してたのに…、やっぱり油断しちゃだめね。悪いけどタカくん、ちょっと見てきてもらってもいいかしら?」
「えっ!?」
いくら幼なじみとはいっても、普通男に寝ている年頃の娘の部屋に行って起こしてこいというだろうか?
「あら、私はタカくんを信用してるから頼んでるんじゃない。タカくんなら手を出す前に逃げちゃいそうだし。」
そんな信頼いりませんよ、春夏さん…。
802 :
タカくんと白雪姫 2/6:2006/06/27(火) 23:41:33 ID:kji2dGIBO
仕方なくこのみを起こしに来たが、流石に部屋に入るのはマズいよな…。その…、パジャマとかがめくれてあられもない姿になってるかもしれないし…。けっ、決して妄想してるわけじゃないぞ!
コンコン。「お~い、このみ~。早く起きないと遅刻するぞ~」
………無反応。やっぱり入るしかないのか…。
「このみ~、入るからな~」
中に入ることにする。カチャ。キイと扉が音をたてるが、やはりこのみは起きそうになかった。
「すぅすぅ…」と小さな寝息をたててこのみは幸せそうに眠っていた。
「おーい…」と声をかけるがやっぱり起きそうにない。
803 :
タカくんと白雪姫 3/6:2006/06/27(火) 23:42:40 ID:kji2dGIBO
「んぅ…。」
寝言か?
「タ、タカくん…」
「なんだ?」
「く、くすぐったいよぉ…」
なんて夢みてるんだ…?そして夢の中の俺は何をしているんだ…。
「くぅ…」
…こうして寝顔を見ると、このみって可愛いよな…。ほっぺとか、唇とか、瑞々しいし、それでいて柔らかそうで…いかん!何考えてるんだ!
まだ起きそうにないな…。そういえば白雪姫を起こすのも王子様のキスだっけ…って!ダメだ!春夏さんに釘をさされてるんだから!でも…
何を思ったのか、俺の体は勝手に動いて、上半身がこのみに覆い被さるようになっていた。俺の理性はあっさり負けてしまったようだorz
このみの顔が近くなる。唇も段々と。後5cm。このみの息づかいを感じられる。…あと3c
その時気がついた。
このみの目が、開いている。しばしの沈黙ののち、
「うひゃあああぁ!」
「うわあああぁ!」
804 :
タカくんと白雪姫 4/6:2006/06/27(火) 23:43:56 ID:kji2dGIBO
「タ、タタタタタカくん????!」
「このみ、お、おま、お前起きてたのか????!」
二人ともトマトになってしまった。
「このみ、起きてるならさっさと起きろよ!」
「わたしだって今起きたら、目の前に…タカくんが…」
思い出してしまったのか、またこのみの顔は上気している。
「と、とにかく!今から着替えるから出てって!」
追い出された。
④円
806 :
タカくんと白雪姫 5/6:2006/06/27(火) 23:45:19 ID:kji2dGIBO
「むぅ~、タカくん、寝ている女の子の部屋に入るなんて“まなーいはん”であります!」
「だって、お前が起きてこないのが悪いんだろ」
「ふーんだ。許してなんかあげないもん」
今、このみが中で着替えているため、扉を隔てて話をしている。
「だからって勝手に入る言い訳にはならないよ~。それに寝起きにあんなこと…」
「あ~…、とにかくこのみ、ごめんな。このみが可愛かったからつい…」
ガチャ。着替え終わったらしい。このみが部屋から出てきた。
「…ホントに可愛かった?」
「そりゃ…可愛かったよ…」
そういうとこのみは、
「えへ~」
となって、
「もう、仕方ないなぁ。今日の帰りにアイス奢ってくれたら許してあげる♪」
とのことらしい。まぁ、悪いのは俺だし、このみの嬉しそうな顔が見れたからいっか。
807 :
タカくんと白雪姫 6/6:2006/06/27(火) 23:48:16 ID:kji2dGIBO
そして今日の帰り…
「ア~イス~、アイス~、タっカくんとアイス~♪」
俺とこのみはいつものアイス屋にむかっていた。このみは俺の腕に抱きつきながら歌を口ずさんでいる。
そして、坂を下りきった頃、突然このみが聞いていた。
「ねぇ、今朝タカくんはなにしようとしてたの?」
「今朝って、ああ、あれか…」
「…えっちしようと思ったの?」
「違う違う!このみがなかなか起きないから…」
「キスしようと思った?」
図星。
「いや、なんか突然、白雪姫のこと思い出してな…」
「王子様のキス?」
「…」
ガラじゃねぇ…。
ひとり頭を抱えていると、急にこのみが立ち止まった。
「どうした、このみ?」
「う~ん。じゃあさ、」
「?」
「明日は、タカ王子のちゅーで起こしてね♪」
808 :
タカくんと白雪姫 あとがき:2006/06/27(火) 23:50:40 ID:kji2dGIBO
初SSです。さらに携帯で書いたので見にくいかもしれません。
駄文ですが、読んでくださる方がおりましたら、感想や、ご指摘をよろしくお願いします。
GJ
よかった 乙
いい
GJ
なかなかよいね
GJ!
815 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 13:17:44 ID:V+xkN0XeO
これからも頑張ってください
816 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 19:50:10 ID:QetkXJId0
GJ!!
>>809-816 君ら本当にちゃんと読んで言ってる?
というかなんだこりゃ。スクリプトか。
じゃあちゃんと読んでみたオレがここで一つ感想を・・・
会話はいいんだが、どうしても貴明の心のセリフがパッとしない・・・
だが、タイトルからどういう展開かだとかが読めてしまうのも少し残念
ネタ自体もありがちといえばありがち
批判ばっかで悪いね・・・
でも一発ネタ系でラブラブネタは難しいんだがまぁ前線した方だとは思う
テンプレの保管庫とかで他の人の作品も見てみて
少し参考にしてみてもいいんじゃないかな?
次回は頑張れ、もっと頑張れ。
確かにGJ!と言うだけならもっと具体的にどのようなところが
良いと思ったとかも書いてあげたほうがいいんでない?
820 :
名無しさんだよもん:2006/06/28(水) 21:30:21 ID:P7D4DWtZ0
河野家の中の人
次回待ッテルゼ
どうせならキスしてるときに春夏さんが目撃して
そのまま3(ry
このみッてそんなに照れたり恥ずかしがったりするキャラだったっけ?最近落合ゆりかの性でこのみの性格がわからなくなってきている。
ゆりん星の王子だしな
エンディングでは、親のいるところでも
タカくんべったりとか書いているから
河野家ばかりだから
ネタ投下
たかあきキュンがテストでアカテンを取る
俺は河野貴明。17歳、高校二年生だ。
俺の通っている学校は県内で唯一の商業高校であり、県内最悪のDQN高として悪名高い東藍鳩第二高校(通称:東鳩二高)だ。
この学校に安心できる日なんて一日もねえ。
思いやり?協調?そんなもの入学と同時に便所に流しちまった。
827 :
名無しさんだよもん:2006/06/30(金) 21:47:07 ID:x87DcZ290
>>826 河野貴明 ◆.CzKQna1OU 氏ね。
828 :
通りすがり:2006/07/01(土) 19:11:57 ID:k9zCWvwF0
~ツインビルにて~
「ビルの管理人には悪いけど・・・」
そういって俺は消火器を持ち、俺と由真の間を防ぐガラスを割りに行く。
パリリィィィィィン・・・・
見事一発でガラスは割れたが
「あ・・」
俺の目の前には血まみれの由真がいた
830 :
名無しさんだよもん:2006/07/01(土) 21:47:20 ID:XA8+H9Z2O
ここも活気が無くなってくなぁ…
1日1回はSSが投稿されてた頃が懐かしいよ…
職人を住人が捨てた挙句新規職人が来なくなった結果がこれだわな。
SS系スレッドの末路はこんなもんだからまぁしょうがないだろう。
……寂しいな('A`)
FDさえ出れば…FDさえ出れば…
葉からの燃料補給が途絶えたらいずれこうなるのは明白
だからとっととFDを
「たーかちゃーん! 部活だよ~!」
帰りのHRが終わった直後、突然我らが会長こと笹森花梨が教室に突入してきた。教室の中に居る人間全員の視線が、花梨と俺に注がれている。はぁ、相変わらずこいつは、思いついたら一直線というか、人の都合を考えないというか。
「なんだよ花梨、いきなり」
「だから、部活なんよ!」
そう言って、花梨は俺の腕にしがみついて引っ張ろうとする。
むっ、胸が当たっとりますよ、会長。これが噂の「当ててんのよ」ですか? 意外と大きいな……。
「たかちゃん、目がえっちぃ。……もう、昨日あんなに頑張ったのに、まだたりないの?」
花梨は、一瞬だけ何かを発見したような顔をした後、両手を頬に添え、顔を赤らめながらそんな事を言い出した。俺と花梨は、その、恋人同士だが、まだそこまではいっていない……残念ながら。
つまり、花梨の嘘というわけだが、もちろんクラスメイトはそんな事情は知らないので、すっかり信じてしまっている。女の子たちは眉をひそめながらヒソヒソと話しているし、雄二率いるモテないボーイズは眼球が焼き切れそうなくらいの殺気を送ってきている。
なんてタチの悪い嘘を吐くんだコイツは。ほら、藁人形を持ち出してるヤツまでいるじゃないか。くそっ、この状況から逃れるには……とりあえず教室から離れよう。雄二にはあとで話せばいい。
「なんちゃって。たかちゃんビックリした? って、キャーーー!」
俺は花梨を引っ張って教室から走り去った。
つ、疲れた……。とりあえず、ミステリ研の部室である第二倉庫まで走ってきた。一緒に走らせた花梨も、肩で息をして座り込んでいる。
「もう、たかちゃん。いきなり、激しすぎるんよっ」
別に変な意味は篭っていないはずだが、なんだかエロく感じる……走った疲れで赤くなった顔と、荒い呼吸のせいだろうか。乱れたスカートから覗く太ももがなんとも……。いかんいかん、そんな事より教室にまで乗り込んできた理由を聞かなくては。
「花梨があんな事を言い出すからだろ。それで、部活って言ってたけど、なんか見付けたのか? 普段なら部室で待ってるのに」
やっと本来の目的を思い出したのか、立ち上がり満面の笑みを浮かべながら、
「裏山にツチノコが居るらしいんよ! これはミステリ研として断じて放ってはおけないんよ!」
そして、手早く探索用の道具をバッグに詰めて、「出発進行ー」と右手を掲げながら部室を出ていってしまった。
帰ったら怒られるだろうなぁ……
「こらっ、たかちゃん。何やってるの、早く来る!」
「ちょ、花梨、痛い! 耳引っ張るな!」
「ごめんね、たかちゃん」
花梨は目に涙を浮かべながらそう言った。
結局ツチノコは居なかった。俺は元々期待していなかったのだが、花梨には相当ショックだったようだ。
「まぁまぁ、何も見付からないのはいつものことだしさ。そんなに気を落とすなよ」
さりげなくひどい事を言った気がするが、花梨はそれにも気付かずうつ向いたままだった。これは、相当重症だな。
「違うよ。もちろんツチノコに会えなかったのもあるけど、たかちゃんに怪我をさせちゃったから……」
そうなのだ、俺は山の中を探索している時に、木の枝か何かで右腕を切ってしまった。これは俺の不注意のせいだから、そんなに花梨に気にされてもなんだか申し訳ない感じがする。
「何言ってるんだよ、こんなの怪我のウチに入らないよ。ほら、絆創膏も貼ってもらったし」
花梨は、女の子らしく、と言っていいのかわからないが、絆創膏を常備していたのだ。俺が怪我をした時も、慌ててバッグから出したそれを貼ってくれた。
「でも、まだ痛いんだよね? 血も止まってないみたいだし」
実はかなり痛かったりする。傷口は洗ったので化膿はしていないのだろうが、痛い事には変わり無い。あまり心配をさせたくないから、大して痛くない風に装おっていたが、バレていたようだ。
「やっぱり、たかちゃんもこんな女の子嫌だよね。街に遊びに行ったり、一緒に遊園地でデートするような、普通の女の子がいイタッ! 何するのさたかちゃん!」
「デコピン」
「そんなのわかるよ! 何でいきなりデコピンするの!?」
「花梨がバカな事を言うからだろ。俺は好きで付き合ってるんだから、さ」
「たかちゃん……大好き!」
花梨が抱きついてきた。な、なんなんだいきなり。
「『愛してるから付き合ってるんだ』だなんて、もう。たかちゃんったら素直なんだから」
「言ってないよ! 歪曲されてるよ!」
「じゃあ、たかちゃんはわたしのこと好きじゃないの?」
むぅ、いきなり真顔になって聞いてきやがった。顔に血液が昇ってきているのがわかる。
ズルいぞ、これは。……しょうがない、真面目に答えよう。
「す、好きだよ」
くそう、言ってしまった。たった二文字の言葉を言うのがこんなに恥ずかしいなんて。いや、世の中のカップルはこれくらい普通に言ってるんだ。恥ずかしくない、恥ずかしくない。そうやって自分を騙そうとしたが、一度昇った血液は簡単には下がらなかった。
「私もだよっ! 大好き!」
そう言って、花梨は俺の首の後ろに手を回して、自分の方に引き寄せて、
「ちょ、花梨っ、んっ」
キスしてきた。柔らかな感触と、かすかな甘さを唇に感じる。
「あの、花梨さん?」
「なに、たかちゃん」
「なんでいきなり?」
「駄目だった?」
「いや、嬉しかったけど……」
もちろん嬉しくないわけがない。ただ、心の準備が出来ていなかった。こんな不意打ちは卑怯すぎる。文句のかけらも出てこない。
いつの間にか、さっきまでのしんみりした空気は消えていた。まぁ、花梨が元気になったんだし、良しとするか。
「じゃあ、そろそろ帰ろうか」
「うん。よっし、それじゃあ、たかちゃん隊員に今のうちに命令。明日朝五時に学校に集合! ツチノコも朝早くなら油断して姿を見せるかもしれないんよ!」
元気になりすぎだった。もしかしたら、墓穴を掘ったかもしれない……。でも、それでも良いかとも思う。
どうせ明日も見付からないだろう。また落ち込んだ花梨を慰めるために、タマゴサンドを作って、持ってくるのも良いかもしれない。
以上です。お目汚し失礼しました
GJ。
また花梨ルートやろうかなぁ…
俺も花梨みたいな彼女欲しい
843 :
名無しさんだよもん:2006/07/02(日) 23:59:57 ID:W+UTqHZPO
月曜日が来ましたよ
845 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 01:34:34 ID:042HNVDz0
846 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 10:47:00 ID:2P5NY8vP0
488 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/02/29(水) 10:19:16
竹石圭佑って名古屋の?
19くらいだろ、俺と同学年だし。
大学行ったか知らんけど…つーか話したことすら無い。あいつウザいから嫌われてたし。何か言動が気持ち悪かった。
女好きか知らんが、高校ん時、竹石が男子の後輩か何かのケツを掘ったって噂なら聞いたことならある。
噂かと思ったが、アイツかなり変な奴だったからホントかも知れないが
847 :
名無しさんだよもん:2006/07/03(月) 12:11:26 ID:m0SP57C+0
>>844 河野貴明 ◆.CzKQna1OU 死ね。
↑THROUGH
そろそろですか。
カラオケ十一番手は雄二。緒方理奈のヒット曲を選んだ雄二だったが、そのあまりにそっくりな
歌声に俺たちは愕然とする。元々他人の声マネが上手な雄二だが、緒方理奈の歌声を得るまでには
およそ一年間の修行をつんだとのこと。そんな雄二は、自分の歌とのレベルの差に肩を落とす愛佳を
優しく励まし、トイレへと去っていった。なんかよく分からんけど格好いいなぁ。
十二番手はこのみ。ちゃるよっちの「アレ」なるリクエスト、しかしこのみは俺たちを意識して
断ろうとする。けれどそんな風に勿体ぶられたら聴きたくなるよなぁ。俺を始め、由真や花梨たち
からも是非聴かせてくれと声が挙がり、観念したこのみは、曲を聴いても絶対に笑わないことを条件
にマイクを手に取った。そして歌が始まり――それは、もの凄くマヌケな歌詞の童謡で、俺はこのみ
との約束を守らんと、必死で笑いをこらえるのだった。
地獄の数分が終わった後、いよいよ俺の番。さて何を歌おうかと考える間もなく、由真を筆頭に
次々リクエストが。またしても彼女たちの要望を断り切れない俺は、いつものごとくリクエスト曲を
順番に歌っていく羽目に陥るのだった。
歌いました。全リクエスト七曲、全て歌い上げました。
さすがに連続はチョットきつかったな。ノドが少し痛い。あれ以上リクエストが無かったのは不幸
中の幸いだな。
しかしまぁ、この七曲を歌ってる最中も色々あったな。珊瑚ちゃんのリクエスト曲は知らない歌
だったので珊瑚ちゃんに一緒に歌ってもらったら、歌の途中で突然珊瑚ちゃんが腕を組んできて微妙
に柔らかい感触が伝わってきたかと思ったら瑠璃ちゃんに蹴られたりとか、タマ姉のウメケンサンバ
はタマ姉指導のもと、振り付きで歌わされたりとか、優季のリクエスト曲も知らない歌だったので
優季に一緒に歌ってもらったら、失恋した男の心境をやたら具体的に綴った歌詞だったせいか、感極
まった優季が歌の途中で泣き出してしまい、慰めるのに一苦労だったりとか、まぁ、これ以上は長く
なるので割愛させてもらう(十分語った気もするが)。
満場の拍手の中、どっかりと腰を下ろす。もうこれ以上は歌わないからな。
「お疲れさま、タカくん」
このみが笑顔でそう言ってもらえるのは、悪い気はしない。
「ああ、疲れた疲れた」
とりあえず、すっかり氷の溶けたコーラで渇いたのどを潤す。そんな俺の次にマイクを手に取った
のは、先程俺に歌を妨害された花梨。
花梨は立ち上がって周囲を見回し、そして、
「るーこ、それに優希ちゃん、一緒に歌ってくれる?」
「るーが歌える歌なら構わないぞ、うーかり」
「わ、私ですか? 私、最近の歌ってよく知らないんですけど……」
「大丈夫だよ! なんかピーンときちゃったんよね、この三人ならバッチリ歌えるって!
由真ちゃん、97185でお願い」
由真がリモコン操作し、程なく前奏が流れ、
「ナゾナゾ~みたいに 地球♪」
「だからエンディングもダメだっての!!」
「何で歌っちゃいけないんよ~?」と、懲りもせずぶーたれる花梨。まぁ事情があるとは言うものの、
カラオケ初体験の花梨が勇気を出して歌おうとしたのを二度も邪魔してしまったワケで、このまま
だとさすがに花梨が可哀想だと思った俺は、
「じゃあ、それ関連は抜きにして、何か他の歌を俺と一緒に歌わないか?」
「たかちゃんと、一緒?」
花梨はうーんと考え、
「……あ、あああっ!
え、で、でも、どうしよう~?」
突然顔を赤らめ、イヤイヤと身体をくねらせる花梨。一体何を思いついたんだ?
とりあえず、そのまましばらく待っていると、
「……あ、あのね、たかちゃん」
意を決したのか、上目遣いに俺を見て、花梨が口にした曲名は――
「そ、それか」
俺も知ってるその曲名。そうきたか、と思わずにはいられない。
またまた諸般の事情により曲名は言えないが、その歌は俺たちが生まれるよりずっと前に大ヒット
した歌で、愛し合う男女が昆虫たちに見守られながら結婚式を挙げるという何ともメルヘンチックな
歌なのだ。ちなみにこの歌、デュエット曲であるものの、実際の所カップルが歌うよりも、結婚式で
友人代表が新婚さんに送る歌としてベタと言うかメジャーな歌だったりする。
正直、こっ恥ずかしいので断りたいのだが……、まぁ、仕方がない、か。俺がうんと肯くと、
「ホント、やったぁ!」
飛び上がって喜ぶ花梨。俺は由真に曲名を言い、「うわ、よくそんな恥ずかしい曲歌うわね」と
でも言いたげな由真の視線には努力して無反応を装い、そして流れる曲に合わせ、花梨と二人、周囲
の何とも言えない視線を浴びつつも、きっちり最後まで歌い上げるのだった。
その後、各々もう一曲ずつ歌って、カラオケ大会は終了となった。
カウンターにマイクとリモコンを返却し、さて会計だが、当然のように自分の財布で支払おうと
するタマ姉に、
「チョット待ってくださいッス環さん。いつもいつもゴチになってばかりじゃ申し訳ないッスよ。
ここは割り勘にしましょうよ」
よっちのその提案にみんなも肯く。やや驚いた顔のタマ姉だったが、
「まぁ、それでもいいわよ」
と、あっさりよっちの提案に賛成、かくしてこの場は割り勘となった。(ちなみにるーこの分は
俺持ちである)
「うーん」
カラオケ店を出た後、財布の中を見ながら眉をひそめる由真。
「どうした由真?」
「あ、いや、その……」
由真は苦笑いを浮かべ、
「そろそろ、厳しくなってきたんだよね」
厳しくなってきた? ああ、財布の中身が少なくなってきたってことか。
「お前、今いくら残ってるの?」
「の、覗くな!」
財布の中を覗こうとしたら、慌てて財布を引っ込める由真。
「由真ちゃんもそうなの? 実は私もなんよね」
こちらも苦笑いの花梨。
そう言えば、この同居生活が始まって、そろそろ三週間が過ぎようとしている。
現在河野家の家計全般は、タマ姉が一手に掌握している。タマ姉は俺の家に住み着いた直後、海外
の俺の両親に連絡し、「自分がタカ坊の面倒を見ます」と言って、なんと生活費の一切をタマ姉が
預かることにしてしまったのだ。これにはさすがに俺も驚いたが、相手がタマ姉でしかも俺の両親も
それを認めた(むしろ「よろしくお願いします」と頼まれたそうな)以上、俺には最早それを反対
することなど出来なかった。かくして、小遣いすらタマ姉からもらう羽目に陥った俺である。
そして由真たちの生活費についてだが、実は由真たちは生活費を一切払っていない。と言うより、
タマ姉が「今は払う必要はない」と断っているのだ。優季などはお母さんからある程度のまとまった
お金をもらって来てたのだが、タマ姉はそれを受け取らなかった。
「あなたたちの生活費は、将来あなたたち自身が職に就いてから返してもらうわ。
結婚して専業主婦になった場合は――まぁそのときは、あなたたちの旦那様に請求しましょう。
一応言っておくけど、踏み倒そうだなんて思わないでよ。必ず返してもらうからね」
タマ姉のその言葉にやや圧倒されながら由真たちは肯き、彼女たちの生活費も現状、タマ姉(+俺
の親からの仕送り)が全て賄っている。とは言うものの、合計七人もの生活費、果たしてそれだけで
賄いきれるものなのかなぁ? とは疑問に思っているのだが……。
と言うワケで、生活費を払っていない由真が何故財布の中身が寂しくなるのだろうってアレ?
考え事をしてたらいつの間にか由真が消えてるぞ?
一体どこへ――あ、いた。新しく出来たっぽい店の前で、メイドさんみたいな服を着た女の人から
何かもらってるぞ。その横では雄二がしっかりメイドさんウォッチしてるし。
とりあえず俺も近づいてみると、
「新装開店でーす。よろしくお願いしまーす」
あ、俺もメイドさんにもらっちゃった。チラシだなこれ。――へぇ、メイド喫茶なんだ。新装開店
のお知らせと、アルバイトスタッフ募集中と書いてある。
「ねぇねぇ、ここ、今日オープンなの!?」
やや興奮気味に雄二がメイドさんに尋ねると、
「はい、ツンデレ妹萌えキュン@メイドカフェ、本日開店でーす。
今ならお席も空いておりますので、よろしかったらどうぞ、ご主人様☆」
とりあえず流行ってそうなものを煮こごりにしてみました的な店名だが、雄二は大喜びで、
「空いてるってよ貴明! 入ろうぜ入ろうぜ!
どんなメイドさんがいるのかな~? んじゃ、おじゃましまーすってあだだだだ!!」
いざ入店、その直前でタマ姉のアイアンクローが雄二の顔面をとらえた。
「どこに入ろうとしてるのよ雄二。ホラ、さっさと行くわよ」
雄二はそのままタマ姉にズルズルと引きずられ、俺たちもそれに続き、メイド喫茶を後にした。
「まだ見てるのか、それ?」
メイド喫茶から随分遠ざかったのに、未だにチラシを見ている由真である。
「バイトしようかな、あたし」
などといきなり言い出しやがった。
「バイトって、あのメイド喫茶でか?」
「うん。そろそろ懐具合も厳しいからね」
「厳しいって、何にそんな金使ってるんだよ? 生活費払ってるワケでもないのに」
「う、うるさいわね! 女の子は何かとお金がいるのよ!」
「いるって、例えば?」
俺の質問に由真は指折りながら、
「え、えっと……、この間主題歌CD買っちゃったし、アンソロコミックも結構面白かったから全部
読んでみたいし、今度キャラソン出るらしいからお金貯めておかないといけないし……」
何か、由真がどんどん悪い方に染まっていってる気がする。
「私もバイトしようかなぁ。ミステリ研の活動にも何かとお金が入り用だし」
由真のチラシを覗き込む花梨。そう言や最近ミステリ研もご無沙汰だな。
「ほう、うーゆまとうーかりは働くつもりなのか。ならばるーも働くぞ」
るーこも話に加わろうとする、しかし、
「駄目よ」
タマ姉がキッパリ言い放つ。
「ええ~、どうしてですか、環さん?」
「お金の問題ならもう解決済みでしょ。アルバイトする暇があるなら勉強なさい」
「でも……、やっぱ生活以外でもお金がいるし……」
「必要なものがあるなら私に言いなさい。買ってあげるから」
「いや、それはその……」
歯切れが悪い由真だが、言いたいことはよく分かる。
「由真たちだって自分で好きに使える金が欲しいんだよタマ姉。今までは手持ちの金でやってこれた
けど、そろそろ厳しいみたいだし」
「成る程ね……」
ふぅん、とタマ姉は腕を組んで少し考え、
「なら、由真、花梨、るーこ、優季、瑠璃ちゃんには、これからはタカ坊と同じようにお小遣いを
渡すから、それでやりくりなさい」
「えええっ!?」
名前を呼ばれた五人が驚く。
「た、環さんからお小遣いだなんて、私、受け取れません!」
「う、ウチも!」
優季と瑠璃ちゃんがブンブン首を横に振る。
「あら、どうして?」
「だって、ただでさえ生活費でお世話になってるのに、この上お小遣いだなんて――」
「だから、それはあくまであなたたちに貸しているだけなんだから、その分将来返す額が増えるだけ
のことよ。要らないと思うなら、そうね、貯金でもしておきなさい」
「は、はぁ……」
納得できたかどうかはともかく、そう答えるしかない様子の優季。
「あの環さん、ちなみにお小遣いはいくらもらえるのでしょうか?」
由真の質問にタマ姉は、
「そうね、まぁ雄二やタカ坊と同額で、月三千円ね」
「少なっ」
由真より先にそう呟いたのはよっち。そうだよなぁ、少ないよなぁ。
「た、環さ~ん、もう少し何とかなりませんかぁ?」
「ミ、ミステリ研の活動資金を~」
タマ姉に取りすがる由真と花梨。そうだよなぁ、少ないよなぁ。
「三千円あれば十分でしょ。それ以上は贅沢です」
頑と譲らないタマ姉である。ケチ。
「ほな、ウチがおごって――」
「珊瑚ちゃん」
珊瑚ちゃんに対し、珍しく厳しい視線を向けるタマ姉。珊瑚ちゃんもハッと何かに気づいた感じで、
慌てて例のカードを引っ込めた。――なんだ?
「うう、ならあたし、やっぱバイトを――」
言葉の途中で由真の額を軽くデコピンし、タマ姉は、
「メイド喫茶は駄目」
「ええ~、なんでですか~?
あ、さては環さん、メイド喫茶を風俗とかと勘違いしてませんか?」
「この間TVで見たわよ、メイド喫茶。
お客さんを『ご主人様』って呼んで、お金次第で色々サービスするのよね。全く、いかがわしい
ったらないわよ。あんな所で働くのを認めたなんてあなた方の親御さんに知れたら、責任者である
私の立つ瀬がないわ」
タマ姉の言葉だけだと、ホントに風俗と大して変わらんな。サービスと言ってもじゃんけんとか
記念撮影とか、それほどいやらしいものではなかったと思うが……。
「とにかく、由真が何と言ってもメイド喫茶は絶対に駄目。
そうね、どうしても働きたいと言うなら――」
そこでタマ姉は何故かほくそ笑み、
「新聞配達ならいいわよ。健全だし朝のいい運動になるだろうし。
あ、それとも内職なんてどうかしら? いっそみんなでやってみましょうか。造花作りとか袋貼り
とか。ボールペンの組み立てとかもあるらしいわね」
タマ姉も意地悪だなぁ。新聞配達なんて早起きの苦手な由真が出来るワケないし、ちまちました
連続作業の内職なんて絶対投げ出すに決まってる。それを分かってて言うんだものなぁ。
「……か、考えておきます」
由真はそう答えるが、まぁ、やらんだろうな。
「……UFO探知機の組み立てとか、内職にないかなぁ?」
まずないだろうね、花梨。
「そう言えば、るーこはどうするの、将来の返済?」
確かに花梨の疑問ももっともだ。なんたってるーこは宇宙人だし。
るーこはポケットからマッチ棒を取り出し、
「”ちー”ならば今すぐにでも返せるのだが、これではダメなのだろう?」
その質問に無言で肯く俺。
るーこはしばし考え、
「ならば、もしるーが”るー”に帰れたら、借りた金はいずれ必ずうータマに返そう。
”るー”には先人の”るー”が持ち帰った”うー”の貨幣が保管されているはずだ。
るー本人か、それが無理なら代わりの”るー”がうータマに返しに行く。これは”るー”の誇りに
かけて誓うぞ」
……何となくだが、旧札かドル紙幣あたりで返済されそうな気がする。
「もしるーがこのまま帰れない場合は――」
るーこはそこで意味深な笑みを浮かべながら俺を見て、
「そのときは、るーはうーの嫁になろう。それならるーの借りた金はうー持ちだ」
などとのたまいやがりましたとさ。
つづく。
どうもです。第62話です。
休み明けの今回は、貴明たちのお金についてのお話になりました。
皆さんから疑問にお答えしましょうって感じで、チョット露骨かなぁとも思いましたが(^^;
(しかも完全に答えてないし)
河野家お疲れ様です。
どんどん悪い方に染まっていく由真に笑わせていただきましたw
るーこの爆弾発言の後どうなるかが楽しみです。
しかし河野家が投下される前には予告レスがされることが多々あるな。
偶然なのか?ww
このスレの常連は投下される時間帯が分かるんじゃないか?
863 :
名無しさんだよもん:2006/07/04(火) 02:59:42 ID:9z5DDnNG0
河野家 キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
いつも楽しく読まさしてもらってますm(_ _)m
一話のボリュームも決して少なくないのに、長編をこれだけ続けてるのは頭が下がる
>>864 つっこむのも野暮かもしれないが
今回のはテキストになおして約210行(12KB)
(電撃文庫あたりのサイズでいえば8P分)
ボリュームでいえばSSとしてみても普通か少なめ。
ある程度の時間がとれるなら1週間でこれだけ書くのは難しくないかと
毎週定時きっかりに仕上げてくる根気と熱意には脱帽ものだがね
ついに河野家まで批判するようになったか
このスレからSSがなくなったらどうするきだ
867 :
名無しさんだよもん:2006/07/04(火) 20:51:40 ID:ObhilSMF0
ssじゃねえが喪板にこんなのが・・・
28 :('A`):2006/07/04(火) 12:52:44 O
「この戦争が終わったら、俺、エロゲ買うんすよ」
30 :('A`):2006/07/04(火) 12:55:01 0
>>28 こういう台詞言う奴は死んじゃうんだよな
43 :('A`):2006/07/04(火) 13:10:24 0
>>30 「おい!しっかりしろ!」
「すいません・・・もう・・ダメみたいです・・・」
「バカな事言ってんじゃない!帰ったらエロゲー買うんだろ!」
「そ、そうでしたね・・こんな事になるなら・・・来る前に買えば良かった・・・」
「しっかりしろ!衛生兵!衛生兵はまだかー!!」
「自分の事ぐらい・・・自分が一番わかります・・。」
「・・・」
「お願いが・・あります・・・。」
「何だ・・・?」
「無茶な願いかも・・しれませんが・・・
俺の変わりに・・・エロゲー・・買ってくれませんか・・・?」
「何を買えばいい・・・?」
「いいんですか・・?東鳩2を・・・お願いします・・・」
「解った・・誰からクリアすればいい?」
「タマ姉を・・・グッ、お、お願いします・・・。」
「解ったタマ姉だな。必ずタマ姉からクリアしてやる。」
「あ、あり・・が・・とうございます。ぉ俺、天国から・・見てま・・・す。」
「ああたっぷり抜けよ。おい
>>28 !
>>28 !
>>28 ーーーーーー!!!」
「た、ただいふぁ~………ぽてっ。」
「お帰り。お疲れだな」
「おかえんなさい…なにやってんの?」
愛佳は帰ってくるなり、靴も脱がずに玄関に突っ伏した。
バッグに顔を埋めて動かない姉に、遅れて出てきた郁乃が呆れた声を掛ける。
「あ、いくのただいまぁ。怪我ふぁどう~?」
くぐもった声で応える愛佳。
「その状態で人の事心配しないでよ。平気だけど」
壁によりかかって郁乃。玄関は郁乃の部屋からすぐなので、松葉杖も使ってない。
「だいじょぶかぁ?」
突っ伏した愛佳の隣りにしゃがんでこれは俺。
「う、うん。へーき」
むく、ようやく愛佳が顔をあげて靴を脱ぎ出すがいかにも眠そう、いつもまん丸な瞳が、今は半分以上閉じている。
「寝てないんだろ」
「うん」
ふん、と聞こえそうな気抜けっぷりで頷く。
「昨夜もおとといも由真が寝させてくれなくてぇ~」
なんかエロいなその言い方。
「そのくせ昼間も元気なんだよぉ~?信じられない~」
「相変わらず無駄に元気そうでなによりだ。後先考えんから今頃ダウンしてるだろうが」
「めちゃくちゃはしゃいでた。あたしもだけど」
ほにゃっと思い出し笑い。幸せ笑顔。
「長瀬先輩、あたしに会う度に<愛佳はどうしてる?>だったから無理もないわ。決まって続きは…」
みなまで言うな。
「「貴明と一緒じゃ苦労してるでしょ」」
ほら、やっぱり。
「あはは、ハモったぁ~♪」
へらへらと笑う愛佳。む、これは寝不足だけでなく、酔っぱらっいも入ってるかも。
「・・・苦労させてる自覚があるわけ?」
冷たいお言葉はハモられた郁乃から。
「あくまで由真の言動を客観的に予測したまでだ。」
しかし、どうせそんなもんだろうとは思ったが、一字一句一致しやがったか。
「ちなみにあたしにも同じ事言ってたよぉ~…ぱたんきゅ~。」
再びへろへろと廊下に転がる丸っこい(太いという意味では断じてない)体…なんとなく連想ゲーム、口をついて出た言葉は
「「芋虫」」
また酷い所で意見の一致を見る俺と郁乃。お互い顔をしかめる。
言われた愛佳は、全然堪えてない様子でにこにこしながら、
「貴明くんと郁乃、仲いいね~」
「…」
いや、表情にはなにも出てない、と、思う。
「なにバカいってんの。お湯貼ってあるから、お風呂入って寝たら」
「ありがと~、そ~する~」
あっさり流した郁乃の言葉に、愛佳はなんとか立ち上がると、ふらふらと風呂場に向かっていった。
「…あたしも寝る」
壁に手をついて自分の部屋に戻る郁乃。ぱたん、と扉が閉まる。
まだお昼前なんだが、などと言っても仕方のない状況。することがないので、俺も客間に戻る。
「…しかし郁乃のやつ、平然としやがって」
俺の方は落ち着かない。なんとなく部屋を見回してしまう。
勿論、昨夜のうちに昨夜の諸々の痕跡は片づけてある。
あるのだけれど。
犯罪者は現場に戻る。そんな言葉に、妙に説得力を感じたりした。
「まんがか?」
「漫画家」
「なんだよそれ」
「将来の夢だって」
「…演歌歌手じゃなかったっけ?」
「え、演歌じゃないけど、声楽科に通ってる」
「それが何故に漫画家?」
「んーと、本人曰く、なんだか学祭で顔の良く似た同人漫画家と間違えられて」
「ほう?」
「揉めてたら漫画家本人とバッタリ会って大喧嘩になって」
「おい」
「良くわかんないけど張り合って絵描き勝負してボロ負けして」
「良くわからないがありそうだ」
「でも意外と巧かったらしく意気投合して目指せプロと」
「動機の部分がいい加減すぎ」
「うーん、昔から絵は上手かったけどねぇ」
愛佳も苦笑。
「で、ロクに学校にも行かなくってお爺さんとも大喧嘩中だって」
「確か学園時代も似たようなことしてたよな。進歩ねぇ」
呆れる俺。
「別に、人の勝手でしょ」
で、ひとこと会話に参加して淡々とトランプをめくる郁乃。
3人で遊んでいるのは神経衰弱。正直、ちょっと選択を誤ったかも知れない。
愛佳の成績の良さは当然として、実は郁乃の頭も半端ないのだ。
二人とも記憶力が抜群に良いために、一度めくられたカードをミスする事が殆どない。
かくして、常に中盤以降は愛佳か郁乃が一人でカードを取りまくる展開。俺の出番、全くねえ。
今回は郁乃が残り20枚全取り確定コースに入っていて、俺と愛佳が雑談してたのは、そのせいもある。
雑談のネタは、将来の進路。
由真の。
内容は上記のとおり。
別に、いいんだけどさ。所詮由真の人生だし。
「ほい、終わり。これで6勝6敗ね」
「むっ、次は負けないぞっ」
カードを取りきって勝利宣言は郁乃。張り切ってるのは愛佳。俺は蚊帳の外ですねそうですね。
ちなみに時刻は夜早く。出張から戻った両親の相手を俺に任せてぐーすか寝ていた二人は共に元気そう。
「郁乃は、進路決めたのか?」
ちょっと気になっていた事を、カードをシャッフルしながら聞いてみる。
「進学。理系。」
「理系だと、体大変じゃない?」
「数学系ならそうでもない、と、思う」
また心配症の愛佳に、結構適当な郁乃。
「人相手にしてるより数字相手の方が気楽だし」
これまた消極的な理由だな。
「駄目なら教師かな」
「そっちは思いっきり人相手だろうが。」
思わずツッコミが口から飛び出した。
「うっさいわね、色々あんのよ」
色々あるのは、主としてお前の精神構造じゃないのか。
と、今度は口に出さずに心で呟く。
「目標があるのは良いことだよぉ~」
郁乃の事には我が事以上に力の入る愛佳は、ぐっと拳を胸の前。
「今から勉強大変だろうけど、頑張って」
「別に勉強はあまり大変じゃないけど、気持ちは素直に受け取っておくわ」
姉の激励に鷹揚に頷く妹。
とはいえ、愛佳が与えたのは気持ちだけではない。
自身が進学しない事で、経済的に余裕のない小牧家に郁乃が進学する途を作った。
愛佳自身は否定するだろうが少なくとも傍目から見れば一面の真実だ。
「大変といえば、貴明くん大変だったでしょ?」
「え?」
思わずシャッフルの手が止まった。
「郁乃が動けないからって、台所仕事に洗濯までしてもらっちゃって」
「いや…まあ…普段もそれなりに家事してるし」
「あ、あれれ?び、びみょ~に皮肉を感じる発言かも~」
「別に必要な時に必要な手伝いをして貰ってるだけでしょ。引け目に感じる事ない」
「正しいが、お前は少し引け目を感じろ。世話のしがいがない」
「貴明くん、郁乃のお世話もしてもらったの?」
ぼす。
俺が何か言いかける前に、枕が顔面に飛んできた。
「言うな。絶対言うな。言ったら殺す。」
「まだ何も言ってねえええええ」
危なかった。
何でもない愛佳の問いに、一瞬顔が凍りかかった。枕のお陰で誤魔化したと思うけど。
「え?なになに?なにがあったの~?」
目を丸くして興味津々の愛佳。
「黙秘権を行使するわ」
「いいもん、貴明くんに聞くから」
「…大した事じゃないって」
枕を顔面に押し当てたまま、大嘘。
「本当に大した事じゃないわよ。言ったら殺すけど」
こっちは嘘なのか本当なのか、小牧家に来てからこっち、郁乃の心情は俺にはわからん。
「殺されるのは嫌なのでご希望には沿えそうにないぞ愛佳」
「ぶぅ~、仲間外れ~」
ふくれる愛佳だが、さほど深刻な様子はない。
いつか、愛佳が言っていた。
<郁乃って小さい頃から隠し事が多くてね>
<信用されてないのかなーってずいぶん悩んだりしたんだけど、最近はそうでもないんだ>
<郁乃は、私にとって必要な事は言ってくれるから>
<郁乃が言わないってことは、私には聞く必要がないんだって、そう思う>
俺も、その結論には同意できる。これまでも、そして、これからも。
これも、きっとそういう事なんだろう。それが一般的な意味で、誠実とは呼べなくとも。
ピルルルルルル ピルルルルルル
「あ、携帯鳴ってるよ」
「うん…ちょっとごめん…あれ?雄二から?なんだろ?」
ピッ
「貴明だけど、どうした?」
「…」
「もしもし?雄二?」
「(ね、ねぇ、これどこ押せば話せるの?)」
「(そのまま喋ればいいんだよ)」
「へ?」
この声、タマ姉か?
思わず電話を耳に近づけると突然、
「あ、えーっと、タカ坊!?聞こえるー!?」
「うわっ!?」
スピーカーから流れてきたのはやっぱりタマ姉の声。しかも声量特大。
「た、タマ姉?ええっと、聞こえるからもっと声小さく」
「あ、ご、ごめんなさいっ」
声が遠ざかる。ほっとして会話を続ける。
「びっくりした。でも、久しぶり」
「…」
あれ、返答がない。
電話の向こうで、またもボソボソ会話している模様。
「(電話離しすぎだよ)」
「(だ、だってうるさいって言われたし)」
「(声がでかすぎるの。マイクの性能が良いから普通の声で喋ればいいんだって)」
「(なんか落ち着かないのよ)」
・・・そういやタマ姉って文明の利器が苦手だったっけ?
「あ、あー、本日は晴天なり。えーっと、これくらいで大丈夫かしら?」
「うん」
苦笑しながら俺。
「声を聞くのも久しぶりだけど、元気そうね。」
「まあね。タマ姉も変わりない?」
タマ姉と雄二は共に自宅からそれぞれの大学に通っている。
「ええ、誰かさんがさっぱり連絡をよこさない事以外は、問題ないわ」
う。
「今、戻ってきてるんですって?」
ぐっ?
「…誰から聞いたの」
「このみからよ。一昨日から戻ってきてる筈だけど連絡来ないって寂しがってるわ」
「ごめん、ちょっと忙しくてさ。あれ?でもなんでこのみが…」
「ああ、あたしが言っといた」
しれっと補足したのは、横で話を聞いていた郁乃。こいつが情報源だったのか。
「まったく困った子ね。それで、いつまでこっちにいるの?一度くらいは顔を出しなさいよ」
「うん…そうだな、水曜日か木曜日なら行けると思うけど」
「そう?わたしはどっちも空いてるわ。じゃあ、このみに替わるわね」
「え?このみいるの?」
「(はい、これ、このままでいいの?」
「(うん、ありがとうタマお姉ちゃん)」
ありゃ、本当にこのみの声だ。
「もしもし、えっと、…タカくん?」
「ああ、このみか。」
「うん、このみだよ…タカくんだよね?」
「ああ、俺だ」
確認を繰り返し、なんとなく沈黙してしまう二人。
言葉に迷って視線をめぐらすと、そんな俺を見ている二人。
あー、愛佳、俺の事は拳握りしめて応援してくれなくていいから。
「えーっと、郁乃から連絡いってたんだってな。電話しなくて悪かった」
気を取り直して言葉を掛けると、
「ふぇっ?ううんっ、タカくん忙しいから電話したら悪いかなと思ったんだけど、
このまま戻っちゃったらどうしようっと思って、たまたまタマお姉ちゃんの所に用事があったから
話してみたらユウ君が電話してくれるってことになって、でもごめんね突然、夜だし、迷惑だったよね?」
一転、堰を切ったようにしゃべり出すこのみ。
俺は、自分から連絡しなかった事を少し後悔した。
「いや、こっちこそごめんな」
「それでさ、タマ姉にもちょっと喋ったんだけど、水曜か木曜にそっちに顔だそうと思うんだけど、時間ある?」
「えっ?」
そういう流れで連絡してきたのだろうに、不意を打たれたようなこのみの声。
「…」
そして沈黙。
「あれ?用事あったか?だったら別な日にでも」
「だ、大丈夫っ!!」
っ!大音量に耳が鳴る。
「うわっ、いきなり大声出すなよ」
「ごめんなさい…」
今度は逆に聴き取りづらいくらい小さくなる声。
「…だいじょうぶ。明日でも、明後日でも大丈夫だよ。」
ぽつぽつと区切れる。
「このみはいつでもタカくんに会いたいよ…」
語尾が詰まって、涙声になってくる。
俺は少し慌てて、そして、なんでもないふりで明るく続ける。
「俺もみんなに会いたいよ」
「タマ姉も空いてるっていうし、久しぶりに雄二と4人で遊ぼうぜ」
当たり前の台詞。ただ、
このみに、でなく、みんなに、になったのは…
よりによって電話の相手にそんなのを意識したとは、思いたくないんだけど。
「うん、ユウ君、水曜日大丈夫?」
「(あ、水曜はちょっと…木曜なら…)」
電話の向こうで雄二の声、用事があるとは雄二の癖に生意気な。
「もしもし?水曜日はユウ君がデートだから駄目だって」
既にこのみの声に涙の跡はない…なぬ?雄二がデート?
「へー、雄二彼女いるんだ」
「はい!レオナさんというすごい美人の女子大生でありますよ隊長!このみは知らなかったけど学園も一緒だったんだって」
「へえ」
「タマお姉ちゃんが言うには、タカ君も知ってる筈だって。タマお姉ちゃんを追いかけて転校してきてたとの事であります」
「ぶっっ、あの3人組の一人か」
誰が誰だか名前は忘れたが、あまり良い思い出のない相手だ。しかし雄二とくっつくような物好きが…まあ、変人ばかりではあったな。
「(おい、余計な事をべらべら喋るな。替われよ)…もしもし、俺だ」
「お前か」
「ああ、俺だ」
このループは意味ねぇ。
「横で聞いてた。木曜日な。せっかくだからウチに泊まるか?」
「ああ…いや、夜はちょっと、どっちかっつーと午前集合で街を回りたいな」
木曜の夜に、特段用事があったわけではないんだけど。
さっきのタマ姉とこのみの声、
長電話の俺をニコニコしながら見ている愛佳、
つまらなさそうにカードを弄びながら会話を聞いている郁乃、
それぞれの声と姿を心に留め置きながら、俺はまた、なんとなく心を構えてしまった。
「そうか、(泊まり駄目だってさ)」
「(えぇ~、つまんないの)」
「(仕方ないよ、タカ君も忙しいんだよ。)」
受話器の向こうの声を聞いて、すぐに少し後悔するが、撤回する気にもなれない。
「じゃあ10時集合で、この辺も結構変わったから案内してやる」
「楽しみにしてるよ。」
「じゃあな。」
長々と続いた電話は、相手が雄二になった途端に素っ気なく切れた。
まあ、男同士はこんなもんだ。
「お待たせ、長電話で悪かったな」
「えへへ、同窓会決定?」
ずっと話を聞いていた愛佳がにっこりと笑う。
「うーん、面子がタマ姉雄二にこのみだからなあ」
意味もなく天井を見上げてしまう。
「どっちかっていうと、近況を無理矢理報告させられる会になりそうだ」
「ふふっ、負けずに色々聞いてきたらいいよ。気になるでしょ?」
同窓会帰りの先達は、したり顔。
「そうだな。」
俺と愛佳がこの一年間で新しい生活を築いてきたように、みんなもそれぞれの人生を進んでいる。
たった1年前まで、あれだけ近くにいた雄二やタマ姉、このみの今を殆ど知らない事に、俺は改めて気づく。
「あたしも由真から色々聞いたし。色々聞かれたし」
変わらぬ友情を保つだろう愛佳と由真の進む道も、この先深く交わるとは限らない。
「このみ先輩にはあたしから大分貴明情報が流れてるけどね。ま、楽しんできたらいいわ」
そして郁乃ですら、愛佳や俺との関係を、個人と個人のそれに変えようとしつつあるのかも知れない。
学園、クラス、幼馴染み、家族。
大小はあれど共同体の中で一心同体だった俺達。
それは、誰とでも近づく事が良い事だった時代。人を無限に好きになる事が、無条件で善だった頃。
あれからほんの僅かな時間。今はもうあの頃じゃない。
近づきすぎてはいけない事もある。郁乃と過ごした二昼夜は、後悔と共にそれを教えてくれていた。
もちろん、離れていくのが良いわけもない。場合に応じて、相手との距離を決めなければ。
優先順位を守れと、郁乃は愛佳に言った。じゃあ、郁乃自身はどうなんだろう。
何を、誰を、どこまで、どう優先するのか、それにどんな順位を付けるのか。
それを上手くやるのが大人だろうか。だとしたら、本当の大人なんているんだろか?
でも俺は、たぶん愛佳も郁乃も、その距離を、そのバランスを探していく。
自分なりの、大人になる方法を。
というわけで、エピローグです。正直、この貴明じゃ今後が不安ですね
無理矢理タイトルにこじつけましたが深い意味はありません。元々坐薬ネタだしー
他キャラの色々について、ゲーム内を確認すべき事項を怠ったかも知れません。反省
長くもない話でしたがえらい難産でした。読んでくれた方有り難うございました。
>>878 最後まで楽しませてもらいました。お疲れ様!
GJ。
こういう雰囲気、好きです。お疲れさまでした。。。
GJ。
ちょっとわが身を振り返ってみたり。
それにしても坐薬ナツカシス。
>>859 遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
しかし、由真がメイド喫茶でバイトだなんてことになったら
ダニエルが黙ってないんだろうなあ^^;
店にやってきて、メイドとしての心得をとくとくと語り出すか
反対にメイドに落ちぶれたことをさめざめと泣くかの
どちらかですなw
それにしても、由真の堕ちっぷりは目覚しいですね^^;
このまま逝けば、夏コミでコスプレとかしそうで
楽しみですw
>>878 エピローグ、喜多ーーー!!!
どうも、せかしてしまって申し訳ありません。
エピローグは派手ではなかったけど、蔭で
このみに連絡してあげたりとか
貴明のことを思い遣ってる郁乃んが
いじらしかったです。
えぇ、元が坐薬ネタだなんて信じられませんともw
読ませていただいて、どうもありがとうございました。
次すれ…
座薬ネタでここまでの大作にした熱意に感服いたしました
>>883 書き込みの頻度からすると、今たてるより夜たてる方が良くないですか?
と書いた本人は、夜は用事があって書き込めないんですが^^;
886 :
sage:2006/07/05(水) 19:30:15 ID:SGFIoWC00
>878エピローグ キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
ほんとお疲れ様でした!!
個人的に愛佳、いくのんが好きなのでこのSSも楽しく読まさしてもらいましたm(_ _)m
887 :
名無しさんだよもん:2006/07/07(金) 06:43:28 ID:kS+ZCUKgO
本当に過疎ってるな…
いろいろネタが溜まってるから、投下するも吝かではないんだが。
容量的に次スレ待ちかな?
じゃあ建てればいいじゃない
890 :
名無しさんだよもん:2006/07/07(金) 19:57:18 ID:cpdOm5dl0
テンプレぐらい真面目に貼れ。