ToHeart2 SS専用スレ 13

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792切ない願い 1/1
 じいさんの所で話していた由真が俺の元に帰ってきたのはついさっきの事だった。
 帰ってくるなり俺が飲んでいたミルクティーを奪い取り、一息に飲み干すと俺の隣の椅
子に座った。
「――それでどうなった?」
「なにが?」
「進路希望」
「あぁ、アレね」
「アレって進路の話に行ってたんじゃないのか?」
「それはそうなんだけど――そんなことより……んっ」
 由真の顔が近づき、唇に女の子の柔らかな唇が触れる。
 最近由真のスキンシップが過剰になっており、人目も憚らず街中でキスをしてくるよう
になった。
 正直なところ人前でこれは恥ずかしいのだが、拒むと拒むでむくれてしまうので、難し
いところではある。
 ……まぁほとんどの場合、気付いたときにはもうキスされてるんだけど。
「ねぇ――ところで、さ」
「ん?」
「――ちょっと言いにくいんだけど」
「どうした?」
 珍しく由真にしては歯切れの悪い返事だった。
 顔を赤らめ、俯いて言葉を紡ぐ。
 多分これはずっと胸に溜め込んでいた、彼女の秘密。



「宗教って興味ない? 創○○会って言うんだけど」

 できればそれはずっと秘密にしていて欲しかった。
 これは俺が思った、小さく切ない願い。