ToHeart2 SS専用スレ 13

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682名無しさんだよもん
>>672-677
GJ!
UMAかわいいなぁ

683名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 09:18:24 ID:K5mHlGky0
>>667
>映っているのは―おじいちゃんのたかあきが抱き合ってる姿―

これはこれで!
684683:2006/04/10(月) 09:19:28 ID:K5mHlGky0
× >>667
○ >>677
685名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 17:14:04 ID:IX3gYGX+0
>>678-684
初めてだったから不安だったけど、ウケてくれたようでなによりだ(´・ω・`)
愛佳verも少し考えたけど、オチが思いつかね。
686河野家にようこそ 第52話(1/9):2006/04/10(月) 20:46:21 ID:0COeZ2FX0
 ワガママこのみをおんぶして二階の部屋まで運んだ俺。そんな俺の代わりに郁乃をおんぶしてきた
由真は郁乃の着替えを手伝おうとするが、郁乃は自分でやるの一点張りで、愛佳ですら手伝うのを
許さなかった。そんな郁乃の態度を愛佳は気に病むが、俺にはアレが、友達相手に見栄を張ってる
ように見えた。なんて口にしたら由真には兄貴ぶるなとイヤミを言われたが、愛佳はそれに肯き、
郁乃とこのみたちが親友になれたらいいと喜んだ。
 るーこと珊瑚ちゃんの部屋を訪ねる俺。しかし二人は「るー」のコミュニケーション中で、俺の
ことなど全く相手にしてくれなかった。寂しい……。
 居間に戻って牛乳を飲んでいると、愛佳がやってきた。二人してソファーに座って牛乳を飲んで
いると、愛佳はさっきの俺を引き合いに出して、俺が郁乃のことを好きなんじゃないか、なんて爆弾
質問をかましてくるものだから、思わず牛乳を吹いてしまった。

 派手に吹いてしまった牛乳はテーブルや床に飛び散り、俺と愛佳はとりあえず、牛乳の後始末を
することにした。
「ごめんなさい、たかあきくん」
 テーブルを拭きつつ、愛佳が謝る。
「謝らなくていいって。汚したのは俺なんだから」
「でも、あたしがあんなヘンなこと聞いちゃったから……」
「まぁ、確かにビックリしたけどさ、ホントにもういいから」
「は、はい……」
 床を拭きながら考えて、俺は、
「郁乃ってさ、面白いヤツだよな」
「え?」
「初めて会ったとき、あいつ、俺に敵意剥きだしなのが見え見えでさ、なのにあいつ、俺じゃなくて
愛佳に憎まれ口を叩いたんだよな。『姉の男好きにも困ったものね』なんてさ。
687河野家にようこそ 第52話(1/9):2006/04/10(月) 20:46:52 ID:0COeZ2FX0
 もうさ、一発で分かっちゃったよ。郁乃は愛佳のことが大好きで、それなのに姉さんが自分を差し
置いて他の誰かと遊んでいたのが腹立たしくて、憎まれ口を叩いてるんだって。
 本当に愛佳のことが嫌いなら、玄関の前で出迎えたりなんかしないだろ? しかもあの時って事前
に帰るって連絡していたワケでもないのに、玄関を開けたら郁乃がいた。コレって、郁乃が愛佳の
帰りをあの場でずっと待ってたってことだよな。そのくらい郁乃は、愛佳のことが大好きなんだよ」
「たかあきくん……」
「姉さんの前でこんなこと言うのは失礼だけどさ、郁乃って、意地っ張りで口が悪くてひねくれ者で、
だけど根が素直なのかウソをつくのがヘタクソで、そういうトコが見てると面白くてさ、だから俺も
ついからかっちゃうんだよな、それであいつがムキになるのがまた面白くて。ははは」
「たかあきくん、ホントに失礼だよ。郁乃が聞いたら本気で怒るよ」
 むー、と眉をひそめる愛佳。
「う……、ゴメンゴメン。いやぁ、ちょっと調子に乗り過ぎだな、俺。
 まぁとにかく、俺は俺なりに郁乃のことを気に入ってるワケで。結婚したいとか彼女にしたいとか
は思わないけど、まぁ、好きか嫌いかと聞かれたら、好き、かな。あくまで友達として。
 これがさっきの質問の答え」
「え? あ、はい」
「あと、さっき愛佳、郁乃に親友が出来るといいなって言ってたろ。実は俺もそう思ってるんだ。
郁乃と瑠璃ちゃん、このみ、それに珊瑚ちゃん、同じ一年生四人が親友になれたらいいなって」
「そうですね。同じ学年のこのみちゃんたちが郁乃の親友になってくれたら、郁乃の学校生活は凄く
素敵な三年間になるはず――」
「さっき郁乃が愛佳たちの手伝いを拒んだとき、瑠璃ちゃんが『郁乃の好きにさせて』って言ったの
を聞いてさ、俺ビックリしたんだけど、その後、すっげえ嬉しくなったんだ。
 以前の瑠璃ちゃんは珊瑚ちゃんしか見てなくて、他の人間は敵だとさえ言ってたのに、この家で
みんなと一緒に暮らすようになって、それが段々変わっていってる気がしてたんだ。さっきの郁乃の
688河野家にようこそ 第52話(3/9):2006/04/10(月) 20:47:28 ID:0COeZ2FX0
ことだって、瑠璃ちゃんは瑠璃ちゃんなりに郁乃のことを考えて、郁乃の思うとおりにさせたいって
思ったから、ああ言ったんだと思うんだ。昔の瑠璃ちゃんなら絶対にあんなこと言わなかったよ。
瑠璃ちゃんは段々、周りのみんなを気に掛け始めているんだ。
 このまま行けばもしかしたら……、いや、今のところソレはちょっと欲張りかな」
 俺はほんの一瞬だけ、もしかしたらこのまま行けば、珊瑚ちゃんとの”姉妹喧嘩”も解決するの
では、なんて考えてしまった。安易な楽観視はいけない。まだまだこれからだぞ、俺。
「郁乃だけじゃなくて、瑠璃ちゃんのことも……。たかあきくんって――凄いなぁ。
 ところで、たかあきくん」
「ん?」
「二階の廊下でたかあきくんが郁乃の話をしたとき、由真がたかあきくんに『いつから郁乃のお兄
さんになったのよ』って怒ったでしょ。……あれ、きっとヤキモチですよ」
「や、ヤキモチ!?
 え、どういうこと? 何で由真がヤキモチ? って言うかどうして愛佳が分かるの?」
 すると愛佳はクスクスと笑い、
「内緒、です」
 え、えええ〜? そりゃないよ愛佳〜。

「じゃあ、お休みなさい、たかあきくん」
「ああ、お休み、愛佳」
 愛佳が居間から出ていくのを見送り――さて、じゃあ寝るとしますか。
 ソファーに横になり、毛布を掛けて、お休みなさい、と。……ん? 廊下の方から声が聞こえた
ような? 愛佳の……声?
 ガチャッ。
 ドアの開く音。愛佳、戻ってきたのか?
689河野家にようこそ 第52話(4/9):2006/04/10(月) 20:47:59 ID:0COeZ2FX0
「貴明〜」
 え!? さ、珊瑚ちゃん!?
 トテトテと足音が近づき、
「る〜☆」
 仰向けで寝てる俺の目の前に、いきなり顔を出す珊瑚ちゃん。普段お団子にしている髪が解かれて
いるせいで、その髪がバサッと俺の顔に。
「わわっ!? ちょ、ちょっと珊瑚ちゃん!?」
「あ、ゴメンな〜」
 俺の顔に覆い被さった髪をかき上げて、珊瑚ちゃんはソファーの移動、その場に座る。
 俺も身を起こして、
「どうしたの珊瑚ちゃん?」
「あんな、さっき貴明、部屋来たやろ? せやけどウチ、るーこと激論中やったから、貴明のこと
構ってあげられなかったんや。ゴメンな貴明」
 手を合わせて、堪忍や、と頭を下げる珊瑚ちゃん。
「あー、やっぱそうだったんだ。いや、気にしなくていいよ。俺、怒ってないから」
「ホンマ? よかった〜」
「参考までに聞きたいんだけどさ、俺には『るー』って言い合ってるだけにしか聞こえなかったん
だけど、アレ、何を議論してたの?」
「たこ焼き〜」
 やっぱそうだったか。
「で、たこ焼きの何について?」
 すると珊瑚ちゃんは途端に真面目な顔になり、
「たこ焼きの材料として、チーズはアリかナシかで論争してたんや。
 ウチはチーズもアリや思うけど、るーこはたこ焼きにチーズなんか邪道や言うて断固否定するんや。
690河野家にようこそ 第52話(5/9):2006/04/10(月) 20:48:30 ID:0COeZ2FX0
たこ焼きは庶民の食べ物や、そんなんにウチ、正道も邪道もあらへん思うんやけど、長年庶民の味と
して歴史を積み重ねてきたたこ焼きやからこそ、安易な発想による材料の追加は慎まれるべきやって、
るーこは一切妥協せぇへんのや。結局、両者物別れや」
 宇宙人のクセに、たこ焼きに関してはいやに保守的だな、るーこ。
「あとな、たこの入っていないたこ焼きをたこ焼きと認めるべきかどうかでも意見が割れたんや。
ウチ、何個かある内の一つくらいはたこが入ってなくてもご愛敬や言うたら、るーこ、たこの入って
いないたこ焼きなんて詐欺と一緒や言うて怒るんや。そんなんでいちいち怒ってもしゃあない思うん
やけどな〜。貴明はどう思う?」
「う、うーん……、たこ焼きにたこが入ってないのは、俺もダメだと思うなぁ」
 俺がそう答えると、珊瑚ちゃんはちょっとむくれて、
「貴明もお堅いなー。ほな、たい焼きに鯛が入ってなかったら、貴明文句言うん?」
 強引な比喩である。
「いや、たい焼きとたこ焼きは根本が違うから。
 そんなこと言いだしたら、人形焼には人形入れなきゃならなくなるし、大判焼には大判いれなきゃ
ならなくなるよ。更に、お好み焼きには――」
「お好み焼きには?」
「上で寝てる、このみを入れなきゃならなくなる」
 少し、沈黙。その後、
「きゃはははは! た、貴明それアカンて〜! このみ、鉄板の上で熱い熱い言うて大騒ぎや〜!」
 大笑いする珊瑚ちゃん、お好み焼きの具となって鉄板で焼かれるこのみを想像したのだろう。確か
に笑え……、いや、鉄板の上で焼かれるこのみ……ちょっと怖いかも。
「え、えっと、話を元に戻して、と。
 まぁ、たこの入ってないたこ焼きはイヤだけど、一個くらいなら多分、まぁいいやって妥協して、
文句は言わないだろうな、俺の場合。
691河野家にようこそ 第52話(6/9):2006/04/10(月) 20:51:08 ID:0COeZ2FX0
 あ、それから、チーズ入りたこ焼きについてだけど、俺、今までチーズ入りのたこ焼きって食べた
こと無いんだけどさ、もし実際にあるなら食べてみたいかも。結構合うんじゃないかな、たこ焼きと
チーズ」
「ホンマに、ホンマにそう思う? やた〜!
 あんな貴明、商店街にあるんや、チーズ入りたこ焼き売ってるお店。今度一緒に食べに行こ?」
「へぇ、あるんだ。うん、いいよ」
「わ〜い、約束やで〜☆」
 がばっ!
「うわっ!?」
 またもいきなり抱きついてくる珊瑚ちゃん。珊瑚ちゃんの身体が俺に密着し、その柔らかい感触と、
甘い香りが俺の脳を刺激し……
 っていかーん!! あの悲劇を繰り返してはいかん!! (パオーン!)は断じていかん!!
「珊瑚ちゃん、ダメ!」
 言葉は厳しく、だけど出来るだけ優しく両肩を掴み、珊瑚ちゃんを引き剥がす。
「えー、つまらんなー」
「つまらなくてもダメなものはダメ。そろそろ部屋に戻って寝な――」
 引き剥がした後、すぐ手を放してしまったのは俺のミス。俺の言葉が終わる前に珊瑚ちゃんがまた
近づき、その唇が――

 ちゅっ。

 ――な、なんとか、咄嗟に顔を背けて、唇にキスは回避できたぞ。――頬にされたけど。
 珊瑚ちゃんは直ぐさま離れ、不満そうな顔で、
「貴明、避けたらあかんよ〜。ちゅーは口にせな〜」
692河野家にようこそ 第52話(7/9):2006/04/10(月) 20:51:40 ID:0COeZ2FX0
「あのね珊瑚ちゃん、いい機会だから言っておくけど、今後は抱きつくのもちゅーもダメ!
 こういうのは本来、結婚してからするものなの!」
 我ながら古い貞操観念だなと思うが、珊瑚ちゃん相手にはこのくらい言って聞かせる必要がある。
ましてや今は、真夜中に寝間着姿の男女が二人きりという危険な状況。俺だって健全な男子だ、この
まま挑発されてると、いつケダモノとなってしまうか分かったものではない。
「ほな貴明、ウチと結婚する?」
「しない」
「貴明、ウチのこと嫌いなん?」
 たちまち珊瑚ちゃんが悲しそうな顔に。うっ……そんな顔で見ないでくれよぉ。
「嫌いじゃないって。でも、結婚はしないの」
「ほなウチ、お妾さん?」
「どうしてそう言う言葉を知ってるかなぁ……。
 そう言うことじゃなくて、俺はまだ学生だし、誰と結婚したいとか考えてもいないし、そもそも、
誰が好きなのか、自分でもよく分かってないし……。と、とにかく、ダメなものはダメ!」
「うう〜、貴明のいけずぅ〜」
 珊瑚ちゃんは立ち上がり、
「ええもん、ヘタレの貴明なんかもうええもん。
 こうなったらウチ、貴明の代わりに、るーこにちゅーしたるもん」
「へ? るーこに?」

『るーこ、ちゅーしよ☆』
『う、うーさん……』
 ちゅっ。
693河野家にようこそ 第52話(8/9):2006/04/10(月) 20:52:12 ID:0COeZ2FX0
「だ、ダメー! 想像したらなんかすっげえイケナイ感じだし、それでるーこがおかしな道に目覚め
たら、ヘタしたら惑星間問題に発展するかもしれないからダメ!!」
 立ち去ろうとする珊瑚ちゃんの手を掴んで引き留める。すると珊瑚ちゃんはクルッと振り返り、
「ほな、貴明にちゅーしてもええ?」
 ぐ、ひ、卑怯だよ珊瑚ちゃん……。

 結局俺は、珊瑚ちゃんと三度目のキスをしてしまった。俺、いろんな意味でダメだ……。

 ……
 ……
「――タカ坊」
 ……タマ姉の、声?
 眠い目を開けて……、あ、タマ姉だ。あれ? でもタマ姉は、家に帰ってるハズだよな?
「……タマ姉、なんで?」
 ぎゅ〜っ!
「あいひゃひゃひゃひゃ!」
 痛って! 頬をつねられた!
 その痛みで一気に目が覚め、改めて目の前を見ると――確かに、タマ姉がいた。
「もう、少しでも早くタカ坊の顔が見たくて帰ってきたのに、なんで? はないでしょ」
「そ、そうなんだ……、えっと……」
 時計を見ると――げ、まだ6時前だよ。
「いくらなんでも早すぎだよタマ姉〜。日曜なんだから、もう少し寝かせてよ〜」
 脱力感と眠気が一気に襲ってくる。眠い、寝たい。
「ええ〜っ。せっかく帰ってきたのよ、積もる話もあるじゃない。二人きりでお話ししましょうよ」
694河野家にようこそ 第52話(9/9):2006/04/10(月) 20:52:43 ID:0COeZ2FX0
「積もる話って、たった一日だけじゃないか。話なら後でするから、もう少し寝かせてくれよ〜」
「んもう、つれないタカ坊。
 でも確かに少し早すぎたかも……。タカ坊が眠いのも仕方がないわね。
 じゃあ、せっかく帰ってきたんだから、せめて挨拶くらいはしてくれる、タカ坊?」
「挨拶? ああ――」
 そっか、タマ姉は”帰って”きたんだ。だったら――
「お帰り、タマ姉」
「うん、ただいま、タカ坊。じゃ、お休みなさい」
 タマ姉の優しい笑顔に見守られ、俺は再び眠りの渕へと……

「ええっ!? タマお姉ちゃん、いつ帰ってきたの!?」
「って言うか環さん、なんでたかあきに膝枕してあげてるんですか!?」
「しーっ、静かにして。タカ坊が起きちゃうでしょ」
「たかあきくん、環さんの膝枕でぐっすり寝てる……」
「なんか貴明の寝顔って面白いね、お姉ちゃん」
「すっかり安心しきった寝顔だぞ。まるでうータマがうーのママみたいだ」
「貴明、赤ちゃんみたいや。可愛いなぁ〜☆」
「ヨダレなんかたらして、ホンマ、格好悪いんやから」
「たっだいま〜! 帰ってきたよ、たかちゃ〜ん! って、いきなりたかちゃん浮気中!?」
「ただいま帰りました、貴明さん――え、ど、どうして貴明さんと環さんが!?」
「花梨も優季も静かにして。もう少しこのまま寝かせてあげましょう」
 ……みんなの声が聞こえ……、いや……、多分、夢、だろう……。

 つづく。
695河野家にようこそ の作者:2006/04/10(月) 20:53:14 ID:0COeZ2FX0
どうもです。第51話です。

やっと、やっと長い土曜日がおわった……。
696名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 20:55:55 ID:NDBom6/hO
河野家GJ!       いつも乙です
697河野家にようこそ の作者:2006/04/10(月) 20:56:05 ID:0COeZ2FX0
ぎゃあ、間違えた。
51話です。じゃなくて、52話です。
698名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:03:07 ID:SDMNEZxC0
毎週乙であります
699名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:10:25 ID:x+Wolp/50
キスシーンを省略したのはいけないとおもいます!

700名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:11:35 ID:nOLnxoiJ0
どうでもいいし悪くも無いが河野家へのレスすらも淡白になってきたな。
701名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:17:15 ID:0WM7zVqH0
河野家いらねってレスが来るから控えてるんだろw
702名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:21:30 ID:rLlgtd6x0
>>695
毎回乙

長い土曜日が終わり
長い長い日曜日が始まるわけですねw
703名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:30:01 ID:ul4XG6BE0
>>695
河野家喜多ーーー!!!

やっと長い長い長い土曜が終わりましたか。
そう言えば、そろそろ連載一周年ですが、SS内時間ではいったい
何日が過ぎたのでしょうか^^;
いつか数えてみたいと思いつつ、時間がなくて数えられません。。。

先週もどなたかが書いてましたが、貴明がやや勘が良すぎる気がしますね。
郁乃んのこととか、もう少しニブい貴明でいてほしいような。
あと、>>689 4/9の9行目 「ソファーの移動」->「ソファーに移動」?

来週は賑やかに始まりそうですね。 楽しみにしてます。
704名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:36:01 ID:ThqMk/xtO
>>695
河野家北―――ヽ(`・ω・´)ノ―――!!!
やっと長い長い土曜日が終わりましたね。1日にこんだけの事がある貴棒って……
タマ姉達が帰って来たから日曜日は更に大変になるんでしょうねw
来週も期待してまふ(´・ω・`)
乙でした〜。
705名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 21:36:56 ID:kp0ceUVr0
いやに饒舌な貴明がほんのちょいと気にはなったんだが、相変わらずの定期更新乙。
706向坂家へようこそ:2006/04/10(月) 22:52:57 ID:deRH1IIOO
…ンポーーン…ピンポーーン…
呼び鈴の音で目を覚ます。
鷲掴みにした目覚まし時計を睨みつけ時間を確認。
――AM9:00
(休みの日くらいゆっくり寝かせろよな…)
ほっておけば姉貴かお手伝いさんが出るだろう…、そう決め込み布団を被り直す。

ピンポーーーン…ピンポーーーン…………ピンポピンポピンポーーーン!!!
「ダーーーッ!うるせぇ!!
てか何で誰も出ないんだよ!」
あまりの粘着ぶりに 業を煮やし、着のみ着のまま玄関へ駆け付ける。
「はいはい、お待たせしました!どなたですかっ!!」
「やっ、おはよう。良い朝だね、向坂君。」
玄関前には日曜なのに、学ラン姿で、腕には大袈裟なギブスをした…
「………委員、長?何やってんだ?」
「立ち話もアレだね。上がらせてもらっていいかな?」
そう言うと勝手に玄関に入り込み、靴を脱ぎ始める。
「あー…、あと、僕は腕がコレだから、それを持って来てくれないか?」
ギブスの巻かれた腕を軽く上げ、さっき立っていた場所に置いてある大きめのスポーツバッグを指差す。
「お、おいちょっと待てって。」
 
707名無しさんだよもん:2006/04/10(月) 23:04:15 ID:deRH1IIOO
 
「…で、何の用だ。こんな朝っぱらから?」
取り合えず居間に通し、腰を落ち着ける。
「ふむ…、さすがは名門向坂家。立派なたたずまいだ。」
妙に芝居がかったセリフと芝居がかった仕草でぐるりと部屋を見渡す。
「そりゃど〜も。」
(…何か嫌な予感がする。)
「ところで向坂君。確か…お姉さんが居たと思うんだが。」
「あん?姉貴?姉貴なら当分帰って来ねえよ。」
「そうか…。なら都合が良い。
短刀直入に言おう。
……何も聞かず、しばらくこの僕を泊めてやってくれないか?」
「な、なんだってーーー!!!」

―――――続く
708小牧姉妹と一泊二日 前置き:2006/04/10(月) 23:37:22 ID:h0eyfcI10
最萌支援のつもりが長くなったので投下してみまつ。全9シーン42レスの予定
題名どおり、単に小牧姉妹と旅行にいきたいなーという妄想で書きました。でわ
709小牧姉妹と一泊二日(1)1/6:2006/04/10(月) 23:38:08 ID:h0eyfcI10
「すまん、遅れた」
「ううん、全然待ってないよ」
「37分」
「そうか、俺は待たれていなかったのか」
「あわわ、そういう意味じゃないってばあ!」
「冗談冗談、バスが遅れてさ。でもいい天気で良かったな」
「絶好の行楽日和で…だよねっ」
「ちょっと風が強くない?」
「愛佳今ですます語で喋ろうとしなかった?」
「ええっ?そんなことないよぉ」
「昨夜から妙にハイテンションだから…」
「そっかあ、俺の気のせいかな」
「…わざとらしく無視すんなぁ!」
「…見たくないから無視してたのに」
「その歳で現実逃避?」
「お前には悪いが逃避したくなるほど苦労はしてないな」
「ふん、自堕落な人間はこれから苦労するから楽しみにしてなさい」
「目の前に苦労の種がいるし」
「ふ、ふたりともぉ〜いきなり喧嘩しないでよぉ〜(><)」
「ただの」
「単なる」
「「言葉遊び」」
「だ」
「よ」

ここまでの台詞上から順番に
俺、愛佳、雑音、俺、愛佳、俺、愛佳、雑音、俺、愛佳、雑音、俺、
雑音、俺、雑音、俺、雑音、俺。愛佳、俺、雑音、俺と雑音、俺、雑音
710小牧姉妹と一泊二日(1)2/6:2006/04/10(月) 23:38:57 ID:h0eyfcI10
俺こと河野貴明、愛佳こと小牧愛佳(まんまだ)。同級生。
面識自体は入学当初から会ったが、2ヶ月ほど前にひょんな事から親しくなり、
色々あって今では学園のほぼ全生徒公認(バ)カップルになってしまった。
…ついカッとなってやった。別に反省はしていない。むしろ良くヤった俺。
雑音こと小牧郁乃。歳は俺達のひとつ下。小さい頃から難病持ち。
愛佳の妹だけあって根は結構素直なのだが、長い闘病生活のせいか幹と枝葉が歪みまくっている。

「ふん、誰のお陰で姉を連れ出せると思ってるのよ」
「つ、連れ出すって誘拐じゃないんだからぁ」
きっかけは、デパートのくじ引きだった。

「からんころ〜ん、大当たり2等賞〜温泉旅行ペアチケット〜っ!」
ベルが壊れたのか、抽選所のおっさんが口で効果音を出していた。
そんなことはどうでもいい。問題は、賞品への対処だ。
温泉旅行お?、ペアチケットお〜?
「う〜〜〜む」
「うああああ………どうしようどうしよう………どう、する?」
なんか上目づかいでこっちをみる愛佳。頬ちょっと赤い。あ、もう完全に意識してる。
「…どうするって言われても…」
いや、二人で買い物して当てたペア旅行券、そりゃ二人で使いたい。
っつーか愛佳と温泉旅行、そりゃあ、行きたい、けど。
「……由真に頼んで…でも…」
俺が何も言わないのに既に親の目を誤魔化す算段をしている愛佳。誉めるところか悩む。
だがしかし、我らは哀しい学生身分、俺はともかく両親同居の愛佳を泊まりがけに連れ出すのは現実的には難しい。
友達の家に〜ってのが常套手段だろうが、愛佳の友達一番手である由真は、この手の事には全く向いてないと来た。
愛佳は、親しい友人は少ないが交友関係自体は極めて広いので、探せば協力者の一人や二人は見つかりそうだが、
もとより他人に面倒をかけるのを良しとしない性格、加えて親を騙すのも気が引けるだろう。
俺の方のツテは…あてにならないか、頼んだら一生ネタにされそうな面子ばかりだ…
711小牧姉妹と一泊二日(1)3/6:2006/04/10(月) 23:39:44 ID:h0eyfcI10
諸般の事情を考慮して、
「愛佳の家で使いなよ。両親にプレゼントするとか」
苦渋の決断。
誘えば悩むのが目に見えているから、敢えて誘わなかった。
「う、うん…」
愛佳も、俺が誘わない以上はこれ以上追及もできずに頷く。ああ俺って意気地なし。
「あ、でも二人で買ったレシートなんだから分けないと悪いよ、金券ショップで換金…」
「いいからいいから」

そんなわけで、とりあえず諦めた旅行だったのだが、共犯者は意外な所に現れた。
その夜、河野家、っても俺しかいない。
プルルルルルルル
「はい、河野です」
「ああ、お兄ちゃん?(はぁと)」
ガチャ。
い、いかん、鳥肌が立って思わず電話切っちまった。
プルルルルルルル
「気色悪い単語で話をはじめんなっ!」
「わわっ、ごめんなさいごめんなさいっ!」
「…あ、愛佳か。悪い、また郁乃だと思った」
「郁乃、後ろで泣いてるよぉ。いきなり切られたって」
「涙が出るのは体調がいい証拠だろ。おめでとうと伝えておいてくれ」
郁乃の無数にある病状のひとつに、涙が出なくなるってのがある。
「くすっ」
そのわかったような笑みはなんだ愛佳。まあいいけど。
「で、用件なんだったの?」
「あ、じゃ、じゃあ替わるね」
替わらなくていいのに。
712小牧姉妹と一泊二日(1)4/6:2006/04/10(月) 23:40:53 ID:h0eyfcI10
「(別に替わらなくていいのに…)あ、もしもし」
「じゃあ替わるな」
「うっさい。照れ屋な姉を持つと苦労すんのよ」
「?」
「用件その1、ありがと」
「???」
「旅行券、使わせてもらうから」
「ああ、あれか。ってお前が使うのか?」
「姉のものは私のもの。私のものは以下省略」
「勝手にしろ。でもなんで愛佳が照れるんだ?」
「ペアチケットでしょ。姉も一緒よ」
「そうか。そりゃよかった。」
この姉妹は仲は良いけど色々複雑なので、一緒に旅行というのは貴重な経験だろう。
「親御さんも一緒?」
「仕事が忙しいって。だからこっちにお鉢が回ってきたのよ」
「っつーことは二人だけ?大丈夫かおい?」
ここんとこ体調良好で入院もしていないとはいえ郁乃は外では車椅子だし、愛佳は学園屈指の非力娘、二人で旅行というのはかなり不安なものがある。
「用件その2、土曜の午後3時、S駅前集合」
「は?」
「ふーん、お姉ちゃん、貴明は行きたくないって」
「(え、あ、そ、そう…急だし…仕方ない…かな…)」
「待てこらっ!!!とりあえず説明しろっ!」
「説明もなにも、聞いたまんまよ。姉に替わるわ、ほい」
「え、ええっ?、あ、あのねっ、せっかく貰ったチケットだからってお父さんとお母さんに見せたんだけど、
二人とも仕事が忙しくて日程が取れそうになくって、最近郁乃が調子良くて、お医者さんに遠出OKが出たから、
滅多にない機会だから郁乃と二人で行って来なさいって事になってね、でも私腕力ないしちょっと不安だし、
貴明くんにこんな事頼むのもなんだか悪いんだけど、できれば一緒に…来てほしいなあ…
………なんて………ダメ?」
愛佳の妙に長い説明を聞いているうちに、俺は落ち着いて事情を理解した。
………ダメなわけあるかこのバカ愛佳。
713小牧姉妹と一泊二日(1)5/6:2006/04/10(月) 23:41:39 ID:h0eyfcI10
「郁乃に替わってくれ」
「え?」
「とりあえず替わってくれ」
「う、うん…」
落ち着かない様子で電話を替わる愛佳
「なによ。」
「郁乃」
「ん?」
「グッジョッ(キラン)!」
ガチャ。
電話切られた。
言葉の隅々まで感謝の意を込めて誉めてやったのに、失礼な奴だ。
ともかくリダイヤル。
プルルルルル、プルルルル、プルルルル、プルルルル…あれ、出ない?
「はい、小牧です」
母親が出たぞおい。
「あ、あのっ、私、小牧さんの同級生の河野と申します。いつもお世話になっております。
えーっと、連絡網の担当が不在だったので直接お電話しました、愛佳さんいらっしゃいますでしょうか?」
咄嗟に口から出任せる。
「お待ちください」
特に不審がられた様子はなかったが。
チャ〜ラ〜ララ〜ラ〜ララ〜♪チャラ〜ラ〜ララ〜♪
チャララ〜ラ〜ララ〜ラ〜ラ〜♪ラ〜ラ〜ララ〜♪
ラ〜ラ〜ララ〜ラ〜ラ〜ラ〜ララ〜ラ〜♪
保留の音楽は、とても長く感じた。
714小牧姉妹と一泊二日(1)6/6:2006/04/10(月) 23:43:15 ID:h0eyfcI10
「ご、ごめんなさいっ!郁乃がうっかり受話器外したまんまだったみたいでっ!」
それは明らかに故意、わざとであります隊長。
「お母さん、なんか言ってた?」
「えーっと、クラスの連絡ってことにしたから適当にでっちあげておいて」
今まで掛けた事ないからバレないだろう。二度目はわからんが。
「うん…ごめんね」
「いや、安易に掛け直したこっちが迂闊だった」
「連絡手段、考えなきゃね」
「ポケベルでも買うか」
「(ちょっと貸して…)今どき売ってないわよそんなもん」
「いきなり電話を奪うな。人の電話には出ろ、そもそも、突然切るな」
「自分の事を棚に上げて。あんたが気色悪い声出すからでしょ」
それはお前も一緒だろうが。
「ま、ともかく、OKね。じゃあ宿教えるから自分の予約取って」
「ペアチケットをお前が使って、俺は自腹か…」
「なにか不満でも」
「全くない」
それは本心だ。
「結構。ちなみに一泊1万8千円からだってさ」
「ぐっ。っつーか、今からで予約取れるかな…」
「取れなきゃ近くのビジネスホテルでもいいわよ」
「それは俺が嫌だ」
無事、予約は取れた。一泊2食付き2万円だった。

<続く>
715小牧姉妹と一泊二日(2)1/3:2006/04/10(月) 23:46:11 ID:h0eyfcI10
ほ、本当に来ちゃったよ〜
新幹線とは違って窓の外の景色がゆっくり流れる在来線。行き先は、とある温泉旅館
ボックス席の向かいには妹の郁乃、あ、車椅子は畳んで席の脇にくくりつけてます。
そして、そしてそして、私の隣には…貴明くんがいます…どうしよう…
家族旅行も数少ない我が家だけど、郁乃と二人で旅行するのは今回が初めて。
「うーん、荷物も結構多いなあ…」
「男手が欲しいわよね」
「お父さん仕事だから仕方ないよ」
楽しみだけど、不安と緊張も同居していた準備中、郁乃が突拍子も無いことを言い出しました。
「あのさ」
「なあに?」
「貴明呼ぼうか」
「え、ええええ〜っ!?」
「そんなに驚くこと?お姉ちゃんは元々アイツと行きたかったんでしょ?」
「そんなこと…」
「変な気は遣わなくていいわ。電話番号教えて。念のため言っとくけど、母さんには内緒よ」
「そ、それは、もちろん、うん、ないしょ。」
ああっ神様、悪い子の私をお許しください。
それから、郁乃が貴明くんの家に電話かけて約束を取り付けて、
学校のみんなに見られないように、3つ先の駅で待ち合わせして、
貴明くんが遅刻したので電車の予定を2本遅らせて、幸いボックス席を3人で占領できて、
とりあえず落ち着いたのはいいんだけど、ぜんぜん落ち着かないのは私の気持ち。
なにを喋ったらいいかわからずに、気が付けば手はお菓子の袋へ…
「3箱目だぞそのトッボ」
「う゛っ、けほけほっ」
いやだなぁ、そんなの冷静に数えたらダメですよタカアキクン
716小牧姉妹と一泊二日(2)2/3:2006/04/10(月) 23:46:58 ID:h0eyfcI10
ピピピピ、ピピピピ
「あれ?アラーム」
「薬の時間。お姉ちゃん水くれる?」
「あ、うん」
郁乃はポーチから薬の袋を取り出します。
「多少は薬も減ったか?」
「入院してた時とはダンチね。でも症状が良くなったから無くせるって薬でもないから」
郁乃の薬は、一度飲み始めたら急に減らす事はできないんです。
会話の間に、私は水筒のフタを開けて水を注いで郁乃に手渡しました。
「んぐっ、んぐっ」
こくこくと薬と水を飲む郁乃。
こういう時の郁乃って、仕草が子供っぽくて可愛い。
あっ、普段も可愛いんですよ。ただちょおっと手厳しい発言が多くて大変大変。
「つくづく難儀な奴だな。食事も制限あるんだろ」
「まあ、誰かさんみたいにお菓子食べ放題ってわけにはいかないわね」
ほら、さっそく。
「う…ごめんなさい」
あ、いけない、また怒られる。反射的に謝ったって。
「直す気もないことで謝らないでよね」
やっぱり。
「別に直す必要もないし」
口調はきついけど、これがたぶんフォロー。
「ブタになっても知らないけどね」
これは追い討ちぃ。
717小牧姉妹と一泊二日(2)3/3:2006/04/10(月) 23:47:41 ID:h0eyfcI10
「顔は、郁乃の方が丸いんだけどな」
「む、これは半分生まれつき、半分薬の副作用」
「子供の時からほっぺぷにぷにだったよねぇ」
「否定はしないけど、お姉ちゃんに言われたくもない」
「うーむ、そういえば愛佳も結構」
ぷにっ
「あひゃぁ?」
突然、ほっぺをつままれました。びっくり。ちょっとどきどき。
ぷにぷに、続けて私の頬をつっつく貴明くん。
「心なしか、最近とくに膨らんできたような…」
え゛。
「それは顔?それとも体?」
え゛、え゛。
「両方かな」
え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛
そ、そういえば最近貴明くんが私を触るとき以前より力が入ってるような気がしたんだけど、
あれがもしかして私のお肉が、でも体重は増えてない筈だけど、ああでも最近体重計に乗ってないし、
やっぱりカロリーはE=MC~2なわけで、ここが我慢の腹八分目!
「た、たかあき、くん」
「ん?」
「これ・・・もう食べないから・・・あげる・・・」
母猿断腸、私は震える手で、貴明くんに食べていたトッボを差し出しました。
「いや、だから3箱目の最後の3本を寄越されても」
「無駄だと思うけど」
二人揃って、適切なツッコミです。
「そ、それもそうかな。じゃあ、食べちゃおうっと」
「「まだ食うんかいっ!」」
もぐもぐ。
718小牧姉妹と一泊二日(3)1/6:2006/04/10(月) 23:50:09 ID:h0eyfcI10
「お、おろ、あれ?」
「あれ?じゃないっ、人を殺す気っ!」
「わかってるよ。でもなんか車道に向かっていく…」
気づいてない人も多いけど、歩道って大概車道に向かって傾いてる。
車道っていうよりも、側溝に向かって、なんだけどね。雨水が流れるように。
だから、たかが車椅子を押すのでも慣れてないと、今の貴明みたいに…
「だから車道に寄るなあっ!」
「おっかっしいなあ」
「あはは。きっと貴明くんの潜在意識が郁乃を車に轢かせようとしてるんだよ」
わかってる癖に嬉しそうなのは姉の愛佳。
初めて外で車椅子を持ったとき、そのまま側溝にあたしを落っことした人間の台詞かねそれが。
まあ、その時姉は自分も一緒に落っこちて、体で庇ってくれたんだけど。
「うーん、そうなのか。それなら納得できるけど」
「納得するな」
「そんなんじゃダメダメ、替わるよ貴明くん♪」
「嫌だ。愛佳より下手だってのは、納得できん〜!」
「だああっ、車椅子押して走るなあ!」
「た、貴明くん待って待ってえ〜」
そんなこんなで、姉と貴明は荷物持ちと私持ちを交代しながら、駅から宿までの道をぎゃあぎゃあ進んでいった。
・・・ちなみにぎゃあぎゃあ言ってたのは、主にあたしだ。悪いか。
719小牧姉妹と一泊二日(3)2/6:2006/04/10(月) 23:51:07 ID:h0eyfcI10
「うわあ、おっきぃ」
懸賞の賞品になるだけあって、宿は立派なもの。
病院は建物自体は大きいけど内部にはなんとなく閉塞感があるので、
こういう天井の高いところを見ると、
「郁乃、なにぼへ〜っと見上げてるんだ?」
「うっさいバカ。なんでもないわよっ」
ちょっと圧倒されてただけ、とは言いたくない。
「ほえ〜天井たか〜い」
素直に圧倒されている人、約1名。上ばっか見て歩いてるとひっくり返るよ、姉。
「わきゃっ!?」
「おっと」
言ってるそばからコケた姉を、貴明が支える。
「あ、ありがとう」
以前の姉なら必ず謝罪の言葉が出ていたんだけど、少しは性格改善しつつあるみたい。
「………重かった?」
「………そうでもない」
「い、今の間は(涙目)」
前言撤回。やっぱバカ姉。
720小牧姉妹と一泊二日(3)3/6:2006/04/10(月) 23:51:52 ID:h0eyfcI10
「うわあ、広い」
あたしの姉って、文学少女の割に語彙が少ないのかしらね。
チケットで取った部屋は、いわゆる特別室ってやつらしく、
寝室と茶の間が別々になった畳の部屋に、窓際にもしっかり洋室。
洗面所も広そうで、部屋のお風呂もユニットでない普通の風呂桶だった。
しかも、
「えええ、露天風呂ぉぉぉぉおおお」
「なんだって!」
くるくると部屋を巡っていた姉の声に貴明もお風呂場へ。
いちおーここは女の子二人の部屋なんだけど…
とか思いつつ、あたしも移動。車椅子は入り口に置いてあるので、座ったままズリズリと。
立って立てないことはないんだけど、部屋の中ならこの移動方法が早い。見てくれなんか、気にしない。
「これは凄い」
うわー、本当だ。風呂場から外に出られる作りになっていて、
竹の囲いの中で湯気がもうもう。しかも4,5人は入れそうな、ごく普通の露天風呂。
「よし、愛佳さっそく一緒に入ろうかっっ痛てっ!」
「ええっとそれはぁぅぁ貴明くんだいじょうぶっ!?」
今のは貴明が言い終わる前に、あたしの投げた石鹸入れが命中しただけ。
その短時間で驚いて赤面してもっぺん驚いて心配する忙しい姉。
「なんだ郁乃、三人で一緒に入りたいならぅぉぇぃもういいませんっ!」
よろしい。あたしは右手に掴んだ洗面器を床に戻した。いそいそと部屋に戻る。
「あれ、い、郁乃?なんか怒った?」
そんなことない。姉は人の機嫌を気にしすぎ。
急いだ理由?単にタイルでお尻が冷えたから。
721小牧姉妹と一泊二日(3)4/6:2006/04/10(月) 23:52:40 ID:h0eyfcI10
「ふぇっ?あ、あんっ、やだっ、ひゃう」
肌を這い回る10本の指。身をよじっても、上から手で押さえても
泡にぬめった手は押さえきれずにあたしの弱い所に到達してしまう。
「やっ、そこはダメっ」
「くくっ、ふふふふふっ」
狼狽したあたしに、背後からいやらしい笑みをふきかける指の主。
「うふふっ、きれいにしてあげるよぉ〜郁乃ぉ〜」
「だあっ!背中だけ流してくれればいいのっ!」
「遠慮しな〜いのお〜♪ほら、ほら、この辺?それともココ?」
「ちょっと、こら、抱きつくな、うひゃあ、腋はダメ、ってくすぐるなぁひゃあ!」
今は湿疹が収まってるけど、あたしは皮膚が弱い。
なので、傷をつけないようにタオルやスポンジは使わずに体は手で洗う事が多い。
だから、姉が妙に可愛い笑顔で「背中洗ったげるね?」などど言い出した時点で、いろいろ警戒すべきだったのだけど。
「くひゅうっ!そこは洗わなくてっうぁんっ、やめっ、あんっ」
「郁乃は細いねー」
「そりゃお姉ちゃんに比べれば誰だってふゃっ!?」
「うんうん♪」
「人の身体弄って納得するなあ」
「いや、それでもおっぱいおっきくなってきたかなあって」
「う、うるさーいっ!」
さっきから背中にぐにぐに当たってる物体の持ち主には言われたかないやい(涙)
722小牧姉妹と一泊二日(3)5/6:2006/04/10(月) 23:53:31 ID:h0eyfcI10
おかしい、普段ならあたしの方が絶対優位な筈なのに、立場が逆転している。
女ってのは、男が出来ると裸のつきあいに強くなるんだろうか…って
「どこ洗う気だ姉ーっ!」
「いいからいいから♪」
「良くない、ちょ、ちょっと、や、ふひゃ」
「いいからいいから♪」
「い、いい加減にしろーっ!」
狼狽のあまり、思わず大声をあげて振り向いたあたし。
ちょっとした無敵状態だった姉も、驚いて動きを止める。
「あ、嫌だった?」
「え」
「ごめんなさい、調子に乗ったかも…」
途端にしゅんとする姉。
え、えーっと、その、
「べ、別にいやじゃあ、ない…」
下を向いた姉に思わずそう答えた、が、失策だった。
「郁乃」
「な、なによ…」
「かわいぃいいいいいいい〜〜〜〜〜〜!!!」
いきなりむぎゅううううっと抱きついてくる姉。
非力な姉など振りほどくのは容易い筈なんだけど、何故かそうする気は起きなかった。
…いや、あたしも姉に負けないくらい非力なんだけどさ。そういう事じゃないような。
723小牧姉妹と一泊二日(3)6/6:2006/04/10(月) 23:55:58 ID:h0eyfcI10
かっぽーん
「ふああ〜〜〜あ〜〜あ」
「気持ちいいよねえ〜〜〜ええ〜〜〜え」
大騒ぎの数分後、あたしと姉はまだ明るさの残る空の下で、温泉を二人占める幸せを満喫していた。
「貴明くんは大浴場に行ったのかなあ」
「自分の部屋で少し休むっていってたから、寝てるんじゃないの?」
「うーん、少し可哀想かな」
「一緒に入りたかった?」
「いやそれはそんなことはその…」
真っ赤になりつつ、否定はしない姉。
「お邪魔虫だったかな、あたしは」
「そんなことないっ!」
予想通りのリアクションありがとう。
「冗談よ」
「冗談でも言わないのっ」
そんな会話をしながら、湯煙に浸る時間はあっという間に過ぎた。おそらく、楽しかったからだろう。
「今、何時?」
「あ、もう6時半だ、あがろうか」
「ん」
隣りに寄ってきた姉に支えられて縁にあがる。姉はそのままあたしの腋に肩を入れ、二人で立ち上がる。
身体が温まっているので、そんなに痛くないし足に力も入る。そのまま部屋まで歩いてこられた。
あたしが部屋まで戻ると、姉は一度風呂場に戻った。
露天風呂の岩で皮膚が傷つかないようにと、縁石や底に敷いたバスタオルを回収してくる。
「んしょ、んしょ、ととっ」
水を吸ったバスタオルを抱えてふらふら風呂場を歩いてくる姉。
かようにいささか非力な姉では、そう重くはない…と思う…私を支えるのも大変だろう。
それでも、肩を貸してくれる姉の真剣な顔を見ると、いつも不思議な信頼感が湧いた。
…ただし、倒れないというより、倒れても一連託生で納得できる、って部類の信頼かも知れない。
<続く>
724小牧姉妹と一泊二日(4)1/5:2006/04/10(月) 23:58:51 ID:h0eyfcI10
水色のブラジャーちらちら。けっこう谷間。

考えてみれば、食事は部屋に運んでもらう方が明らかに勝ったのだけど、
二人には食事場所も個室が用意され、俺もフロントに頼んで同席することができた。
食事の内容も同じ、ただ二人にはソフトドリンク飲み放題。俺も便乗。
「酒買ってくれば良かったかなー」
「貴明くんが酔っぱらったら止める人がいないから却下です」
「息の根なら止めてあげるけど?」
それは御免被りたい。
「はい、ジュースで悪いけど」
愛佳がオレンジジュースの瓶を傾けてお酌してくれる。
「いつもお世話になっております」
「いえいえこちらこそ」
「ふふっ」
お辞儀した格好で顔だけあげてにっこり笑う愛佳。
ありそうで無い不思議な光景に和む。けど、
白地に藍染めの浴衣に、濃緑の半纏を羽織った格好、
胸元はもう少し気を付けた方がいいんじゃないか、愛佳。
「郁乃も、お疲れさま」
「姉、胸元」
ちっ、冷静に指摘しやがったか。
「へ?あ、あぅ…」
今更こっちにそんな視線を向けられましても。はい、もうしっかと目に納めました。
裸を見たことも一度ではない仲だけど、こういうのは雰囲気というか、チラリズム万歳というか。
ちなみに郁乃の方は浴衣の上にトレーナーを被っている。
対策するような胸はないから、保温のためだろう。
「…なんか失礼な目つきをされた気がする」
「気のせいだろ」
725小牧姉妹と一泊二日(4)2/5:2006/04/10(月) 23:59:50 ID:h0eyfcI10
「まあいいわ、ごちそうさま」
「おいしかったねー」
愛佳がちょこまかと動き回っていたが、席は二人が並んで向かいが俺。
二人並んで箸を置き、ちょっと行儀悪く座椅子にもたれて足を伸ばした。
性格が似てなくても姉妹は姉妹というべきか、姿勢がなんとなく似ている。
お膳の下からすらりと伸びた4本の脚。
「今日はあんまりむくんでないねえ」
「歩いてないから」
「でも遠出したのに。調子いい?」
「悪くはないわ」
「ふーん」
にこにこ嬉しそうにしながら、愛佳は足で郁乃の足をつっつく。
「やめなよくすぐったい」
「えへへ、なんとなくぅ」
浴衣の裾はそんなに長くない。愛佳が脚を動かす度に、膝の内側から太股の浅い部分あたりがちらほら。
不覚にもちょっと意識してしまい、視線を外しながら照れ隠しを呟いた。
「ったく、仲の良いことで」
「あ、妬いた妬いた?」
妙にテンションが上がった愛佳が、座椅子を離れて隣りにやってくる。
「なんでそうなるかな」
「そんな照れなくてもお」
「ジュースで酔っぱらったのかしら?」
まさか隠れて酒飲んでたわけじゃないよな…
ついた勢いか、愛佳は俺の肩に手を回してしなだれかかってきた。
「貴明くーん」
顔を寄せてくる愛佳。本当に酔ってるのかと思ったが、目を見ると冗談っぽい。が、
ちゅっ
いやねえ、こーんな至近距離に主観的的に見て世界一可愛い唇があったら、ちゅーしたくなると思いませんか?
726小牧姉妹と一泊二日(4)3/5:2006/04/11(火) 00:00:42 ID:KgLj1D1E0
「!!!」
人をゆーわくしておきながら、キスに固まったのは愛佳の方。
みるみるうちに顔中真っ赤に染まり、そのまま俯いてしまう。
何度となくしている行為でも、不意打ちされると耐性がない性質らしい。
いや、俺もかなり赤面してるだろうけど。
「〜〜〜」
横から視線を感じて、郁乃の存在を思い出す。
やべ、郁乃の面前で愛佳に手をだしちまった、これは殺される?
と思いきや、
「・・・うぁ」
こっちも頬を赤くして硬直している。ここでも姉妹そっくりな反応。
二人とも可愛いんだが、揃って時間停止されてしまったため、なんだか収まりの悪い状況に陥ってしまった。
困ったな。ここはひとつ定番のギャグでも…
「なんだ郁乃、うらやましいのか?じゃあ郁乃にも」
わざとらしく前に出て郁乃の方に動いた瞬間。
スパーンッと気持ちよい音と後頭部に衝撃。

…物理的なツッコミは予測していなかった。
後ろを振り向くとスリッパ握りしめた愛佳。
「い、痛かった?」
「痛くはないけど、それ、どっから出した?」
「こ、こんなこともあろうかと袖の下に…」
ホントかよ。
727小牧姉妹と一泊二日(4)4/5:2006/04/11(火) 00:01:51 ID:KgLj1D1E0
「うーん、部屋まで歩こうかな」
食事を終えて戻る時、郁乃がそんなことを言い出した。
「疲れてるから今日はやめなよ」
「動ける時には動いておきたいから」
郁乃の病状はその日の体調によって変動するので、炎症の状態を見ながらリハビリする事になる。
筋肉は使わなければ衰えるだけなので、体調が良い時は無理しない範囲で歩いた方がいいことはいい。
とはいえ、今日は慣れない遠出で体力を消耗しているので愛佳の心配ももっともではある。
「たいした距離じゃないでしょ」
どっちにしろ、言い出したらきかない郁乃、壁に手を付いて立ち上がる。
「っ」
小さく顔が歪む。こればっかりは本人にしかわからないが、相当痛いらしい。
心配そうに見守る愛佳の肩に軽くつかまり、郁乃はスリッパを引っかけて廊下に出た。
俺は空の車椅子を押して後を追う。エレベーターまでのごく短い道のりを、極めてゆっくりと歩く三人。
「い、いいよ」
エレベータが昇り出す時の負荷で転ばないよう、愛佳が少し強く郁乃を支えて、俺達は客室フロアに戻る。
廊下は結構長い、すれ違う人達は、悪意や憐憫にならぬように気を遣った目でちらっと郁乃に視線を向ける。
「い、郁乃、もういいよ。乗って乗って」
「すぐそこじゃない。今更ばからしい」
とはいえ、僅かな距離でさっきより速度が落ちている。表情も辛そうだ。
勝ち気な性格からは意外だが、郁乃は無理に辛いのを隠す方ではないようだ。
隠すとかえって愛佳が心配する事を経験しているのだろうか。
支える愛佳の方は、真剣な表情で郁乃を見つめている。
「そんな顔するようなことじゃないわ」
「そう…だけど…」
「青い顔してなに言ってんだよ」
「む、そんな顔してない」
このへんまでは、ほのぼのとしていた。
728小牧姉妹と一泊二日(4)4/5:2006/04/11(火) 00:02:35 ID:KgLj1D1E0
急転直下、というか、一寸先は闇、というか。

「毎回こんな感じなのか?」
俺は深く考えて話を振ったわけでもない。
「うん…できれば替わってあげたい…」
愛佳も自然に答えた。
その、なんでもないように見えた一言に、郁乃の態度が急変した。
「できもしないこと言わないでよ。」
悪態をつかれ慣れている俺にも向けられたことがないような冷たい声。
「あ、ご、ごめん」
愛佳が青ざめているのも、言葉よりはその温度のせいだろう。
「そんなつもりじゃ…」
郁乃は答えない。愛佳の肩から手を離して、壁に沿って歩き出す。
「いく、の…」
今にも泣き出しそうな姉に、歯を食いしばって歩く妹。
なんでこんな事になるかなあ。
「郁乃〜」
つとめて、のんびりした声を掛けてみる。
「〜っ、別になんでもないからっ」
郁乃はようやく愛佳を振り返ると、そのままドアを開けて部屋に入っていった。
って、ここ俺の部屋!?
「郁乃の部屋はあっち…」
「寝る」
バタン。ガチャ。
「鍵閉めたよ…」
「いくのぉ〜」
涙目の愛佳と廊下に取り残された俺。

郁乃の言動はよくわからん、というのが正解かな。
<続く>
729小牧姉妹と一泊二日(5)1/5:2006/04/11(火) 00:03:48 ID:KgLj1D1E0
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。郁乃を怒らせちゃったよぉ…
いい加減な事いうなっていつも怒られてるのに、
「自分が犠牲になれば他人が救われるって発想やめたら」
そんなのも言われた事あるのに。成長のない私ぃ。
「あー、ここで突っ立ってても仕方ないか」
貴明くんの言葉に、とりあえず私たちの部屋に移動移動。
「えっと、お茶淹れるね。お菓子食べる?」
「いや、今メシ食ったばかりだし。。。ってか風呂入ってないんだよな…あちゃ、荷物俺の部屋だ」
「あ、浴衣ならLサイズのあったよ。タオルとかも使ってないし」
郁乃の肌に合わないとまずいのでタオルとアメニティは一通り持参です。
私は押し入れを開けて備え付けの入浴セットを貴明くんに渡しました。
「あ、ごめん、んじゃ借りる。下着は…まあいいか」
入浴セットを抱えて、立ち上がり、ちょっと考え込む貴明くん
「あのさ…せっかくだからここの風呂借りていい?」
「え?あ、うん、どぞどぞ」

部屋に一人になると、、ますますさっきの事が思い出されます。
なんであんなに怒ったんだろう。そりゃ良くない発言だったけど、機嫌も悪かったような。
ああ、食事の時はしゃぎすぎたかなぁ、三人で食事なんて初めてだったからついつい、
でも郁乃も結構楽しそうだったのに、やっぱりお風呂の時の事を根に持ってたのかな、
ああ、でも「できもしない」って言ってたから電車でお菓子を我慢できなかったのが悪かったんじゃ…
貴明くんは気にすることないっていうけど。ああ、落ち着かないぃいい。
思わずお菓子袋に手が伸びるけど、ダメダメ、それじゃ進歩ないと思い直す。
かうなる上はお風呂にでも入って気を紛らわす…あああ貴明くんが入ってるんだった。
大浴場の方に…でも部屋開けちゃうし、郁乃から電話でもあったら困るし…
私はなんとなく窓の外を見遣りました。露天風呂は、竹囲いに遮られて見えません。
730小牧姉妹と一泊二日(5)2/5:2006/04/11(火) 00:04:24 ID:KgLj1D1E0
入ってるんだよね、貴明くん…
「一緒に入りたかった?」
郁乃の言葉を思い出す。否定はしなかった。
以前に一緒に温泉でも行こうって言われた時は、冗談にしたけど嬉しかったし…
せっかくだから…
私は、再度お風呂に入る準備を始めてしまいました。
ああ、郁乃の怒られたばっかりなのに貴明くんの事優先なんて、ちょっと自己嫌悪。

身体はさっき洗ったから、シャワーで汗流すだけでいいかな…やっぱりもっぺん洗おう。
貴明くんが外から戻ってきたらどうしようとか、部屋の電話が鳴ったら聞こえるかなとか考えながら、
手早く内風呂で身体を洗った後、そーっと引き戸を開けて、外に出ます。
わわ、入ってる。貴明くんは、風呂の真ん中で、こっちに背を向けていました。
何故だか私は、音をたてないようにお湯に入り、静かに貴明くんの背中に…
「振り向いてもいい?」
「うきゃあっ!」
気づいてたよお。
「え、ええっと、あの、ちょっと恥ずかしいからとりあえずそのままで」
「…残念だけど、わかった」
私はそっと貴明くんの背中に寄りかかりました。
どきどきどきどきどきどきどき
背中合わせだと心音はわからないけど、貴明くんの呼吸は伝わってきます。
どきどき、どきどき、とくん、とくん、とくん…。
黙ってお湯に浸っているうちにどきどきが収まってきました。
そうしたら、またさっきの事が頭に浮かびます。郁乃…
ああ、郁乃に怒られたら貴明くんの事考えて、貴明くんの隣りに来たら郁乃の事考えて、
ほんっと、私っていい加減な人間だぁ…
731小牧姉妹と一泊二日(5)3/5:2006/04/11(火) 00:06:07 ID:KgLj1D1E0
「郁乃の事は、気にしなくていいと思うぞ」
「ふあっ!?」
見透かしたように貴明くん。たしかに、見え見えだったかもしれないけど。
「本人も気にするなっていってたし、別に悪い事言ったわけじゃない」
「でも、貴明くんの部屋に閉じこもっちゃったよ」
「あれは、半分ふて寝で、半分は策略だろう」
「策略?」
「俺と愛佳を同じ部屋に泊めようって」
「あ゛」
収まった動悸がまたどきどき。
「でも、少なくともあの時はすごく怒ってた…」
「…」
貴明くんは、少し考え込んだようでした。
「愛佳さ、郁乃にああいう事言ったの、初めて?」
「ああいう事?」
「自分が替われればって」
「うん…そういえば…」
「そっか、本人や家族に言う台詞じゃないもんな」
今まで、郁乃と話すときは二人きりかお父さんお母さんとだから、
自分が替わって病気になるなんて言葉は出るわけなかったんだ。
「た、貴明くんを他人と言うつもりはないんだけど…」
「いや、むしろ嬉しいよ。家族でもないのに、そこまで入り込んでるってのはね」
「そう言ってくれると…けど、なんであんなに…」
私の呟きに、貴明くんは少し考え込みました。そして、ぽつんと話し出しました。
「前に、病院で待ち合わせして、愛佳が遅れた事あったよな」
732小牧姉妹と一泊二日(5)4/5:2006/04/11(火) 00:06:42 ID:KgLj1D1E0
「?うん。ごめんね、あの日は確かバスが渋滞してて」
「あの時も散々謝られたから今更謝らなくていいって。それよりあの時…」
ちょっと間をおいて、貴明くんは続けます。
「病室入ったら郁乃がずいぶんうなされててさ、心配して見てたんだが、
 目を覚まして言った言葉が「良かった。指が痛い」って。」
「え?」
「変な台詞だよな。俺もそう思って、寝ボケてるうちに郁乃に聞いてみた」
「なんって?」
「夢を見たんだってさ」
郁乃が見た夢の内容は、こういうものでした。
「朝起きたら、突然身体が軽くなって、歩いても痛くない。走っても息があがらない
 自分は死んだのかなと思ったけど、普通に学校に通ってるみたい。
 家に帰って、食事制限もなくて、薬も飲まなくて良くて、景色もはっきり見える。」
「病気が治る夢…」
「まあ、ある意味悪夢かも知れないな」
現実には、治ってないんだから。
「でも、どうして?」
それなら目を覚まして良い事はないと思うのに。
「夢には続きがあってね」
再度、貴明くん。
「全然元気なのに、親が病院に行くからって言い出して、不審に思いながらついていった。
 到着したのはいつもの病院。お医者さんと両親がなにやら話しをしてから病室へ、
 やっぱり治ってないのかなって思ってドアを開けたら…」
「開けたら?」
「いつも自分が寝てるベッドに、愛佳が寝ていたんだって」
「!」
「そっから先は詳しく話してくれなかったけど、まあ、夢の中でぎゃあぎゃあ喚いてたら目が覚めたらしい」
「…」
「で、目が覚めたら普段どおり自分が病気のままだったから、「良かった」ってさ」
733小牧姉妹と一泊二日(5)5/5:2006/04/11(火) 00:07:32 ID:KgLj1D1E0
「郁乃…」
涙が出そうになって、私はタオルで顔を覆いました。
「郁乃は強いな…それに比べて私は…」
「そうかな?」
「そうだよ」
「俺から見たらさ」
ジャバッと水音、貴明くんがタオルで顔を拭いた音でしょうか。
「郁乃は、愛佳にガッチリ甘えてると思うぞ」
「そ、そんなことないよ」
「あるよ。いつも気分に任せて言いたい放題だろ」
「それは私が…」
「さっきも言ったが、なにも悪くない。今日だって。それは郁乃も良くわかってる筈だ」
「そうなのかな…」
「そうだよ。ま、郁乃にとってはいいストレス解消なんだろ」
「だったら…嬉しいなあ」
「ん?」
「郁乃が私に甘えてくれるんだったら、めいっぱい甘やかしてあげたい…」
「本人のためにならなくても?」
「そういう教育は、他の人にお願いしたいな。貴明くん、どう?」
「俺も郁乃には甘いからなあ…」
確かに、いつも口喧嘩してるけど、貴明くんは郁乃に優しいです。
「可愛いもんねー」
「まあ、な」
「ふふふっ」
背中越しに、貴明くんも笑ってる雰囲気が伝わってきます。
貴明くんと郁乃の話ができて、なんだかやっと落ち着いてきました。
あ…安心したら、なんだか…眠く…
すぅ。
<続く>
734小牧姉妹と一泊二日(6)(エロ有り)1/5:2006/04/11(火) 00:09:58 ID:KgLj1D1E0
「愛佳?」
「すぅ…くぅ…」
おいおい。ここは風呂の中だぞ?
背中で寝息を立て始めた愛佳に心の中でツッコむ。
まあ、郁乃の言葉にヘコんでたようだったから、寝られるくらい安心したならいいことだけど。
後で夢の話を郁乃に言わないように釘刺しておかないと…無駄か。今度は俺が郁乃に怒られるなあ。黙ってる約束だったのに。
「くひゅー、すぴゅー」
おいおい、本格的だよ。
がくん。
「とっ」
唐突に、愛佳の背中が俺の背中から滑り落ちる感触。
俺は慌てて振り向いて愛佳の肩を支え、愛佳の顔面がお湯に落下するのを防いだ。
「ふひゃあっ、あれ、わたし、寝てた?」
「ほっといたら完全にお湯に沈没してたな」
「あ、ごめんなさい。なんだかホッとしちゃって…」
うーん、良い事なんだろうけど…
「な、なに?」
「一緒に風呂入ってて、安心して寝られてしまうってのは男としてどうかなーと」
っつーかさ、ずっと背中併せだったから我慢していたけど、今や愛佳の裸体が思いっきり目の前にあるわけで。
俺は肩を支えた腕を、そのまま愛佳の体に回して、後ろからそっと頬を寄せた。
「へ、た、たかあきくん?…」
「一緒に風呂入るの、はじめてだな」
「そ、そうだね…」
「愛佳、あったかい」
「…貴明くんも…火照ってる…」
735小牧姉妹と一泊二日(6)(エロ有り)2/5:2006/04/11(火) 00:10:42 ID:KgLj1D1E0
左手を愛佳の首を抱きかかえ、右手で頭を撫でる。
愛佳がこちらにもたれかかってくると、少し後傾した愛佳の体の前面が、俺の位置からも見えてくる。
ここの温泉は濁り湯ではないので、お湯の中にゆらめく乳房と、お腹のライン、
足を伸ばして座っていたので、前方に伸びる両脚が、光の加減で屈折して見える。但し、脚の根元までは見えてない。
俺は頭を撫でた手で愛佳の頬をこちらにむけて、そっと口づけた。
「んっ…」
食事の時はちょっとついばむ程度のキスだったけど、今度はもう少し深く。
この姿勢だとあまり自由は利かないのだが、舌を差し入れると、愛佳は素直にそれを受け入れた。
「んふぅ、ぅ、ちゅ…く…んん…」
口腔を嬲りながら、左手を首から下に降ろして手前の乳房に触れる。
瞬間、びくっと唇が震えたが、上から俺の唇を擦りあわせるように被せると、また体から力が抜ける。
結構久しく感じていなかった愛佳の柔らかさに、俺は我を忘れて左手を動かし始めた。
「あっ、やあっ…ふあ…んっ…たかあきく…んんんぅっ…!」
いつのまにか離してしまった愛佳の唇から可愛い声が零れる。
左の胸から右の胸、なだらかな麓から既に固く尖った頂、五指全てで愛佳を感じた。
「やっ、ちょっと早っ、あん…んあっ、いま摘まれるとっ…っぅ!」
悲鳴に似た喘ぎに、俺は少し手を休めた。右手で崩れ落ちそうな体を支える。
「あ…たかあきくんに、おっぱいさわられるの、ひさしぶり…きもち…い…ふああんっ!」
少し優しくしようと思った矢先の愛佳の発言に再びキレた俺。
ぐっと抱き寄せて体を密着させると、右手も乳房に届かせて、両手の指で二つの乳首を弾く。
「ひゃっ!あうっんっ、そんなのっ…ちくび…びりびりして…んっ!んんぁぁん!」
上体を反らしてよがる愛佳。このまま胸だけでイきそうな勢いだが、それも勿体ない。
「はあ…はぁ…あぁ…あ…?…あ…それは…」
今度は完全に愛佳の背後に回って後ろから抱きすくめ、両脇から手を入れて、
左手は引き続き上半身を弄り、右手を腰からお腹を滑らせて愛佳の最も敏感な部分に伸ばす。
お湯の中では良くわからないが、そこはぬめっているように感じた。秘裂を押し広げると、指は簡単に奥に侵入する。
「ああ…はぁっ、ここ…弄られてる…んんっ」
736小牧姉妹と一泊二日(6)(エロ有り)3/5:2006/04/11(火) 00:11:31 ID:KgLj1D1E0
「こっちも、久しぶりだな」
「ふあっ?うん…うんっ!、ん、あ、ああっ!」
後ろから覗き込んでも湯中では良く見えない。完全に手探りだが、これでも愛佳のは大体把握しているつもり。
人差し指を深く挿しこみ、中指で入り口を振動させる。左手も動員して肉襞を嬲りあげ、隆起した肉芽を押さえた。
「あ…あ…そんなっ、やあっ、ひゃうぅ、きちゃ…んうぅ!」
こうも素直に反応されると、ちょっと苛めたくなる。
「気持ちいい?」
「あっ、はふぅっ、うんっ、うんっ、気持ちいい…ひゃっ!」
「俺としてない時、自分でしたりする?」
「そ、そんなこと…ああっ…はんっ!」
挿入する指を二本にして、内壁を激しく擦る。愛佳は俺の腕の中で激しく身をよじる。頭が当たりそうになって慌てて避ける。
「そんなこと?」
少しペースダウンして、再び聞き返す。後で怒られそうだが、ちょっと興味あるし。
「えっ、いや…そんなの…あっ、あのっ…」
「正直に応えたら、続けてあげる」
「うぅ…んん…その…だって…たかあきくん、帰り道とか良く触るし…その…途中な時もあるし…」
うわ、そんな事情ですかごめんなさい…ってかつまりそれは回答としては、
「それで?」
「………してます……きゃうっ!?あんっ!」
もう辛抱たまらん。俺はもう全力で愛佳の欲求不満を解消にかかった。
右の中指を愛佳の内部で前後運動させながら、左で秘所全体を激しくまさぐる。左右に振られる愛佳の首筋に口をつけて強く吸いあげる。
「ひゃあっ!んあっ!あぁあぁ!もうっ、たか、たかあきくんっ!わたしっ!あっ!ふあっ!うああああああんっっ!!」
がくんと身体が前後に揺れて、愛佳は果てた。ふらりと前方につんのめるのを抱き留めて、顔面をお湯から救う。二度目か。
「はあっ…はあっ…はぁ…ぁ…」
「可愛い」
「あうぅ…」
俯く愛佳。ふと、背中にあたっている俺の感触に気付く。
737小牧姉妹と一泊二日(6)(エロ有り)4/5:2006/04/11(火) 00:12:21 ID:KgLj1D1E0
「あっ、た、貴明くん全然気持ちよくなってないよねっ!?」
「いや、愛佳が良ければ俺も気持ちいいんだけど」
「だ、だめだよそれじゃあ」
何がダメなのか良くわからないが、愛佳には愛佳なりの考え方があるらしい。
くるっと正面を向くと、お湯の中で俺のモノに触れ、お湯面を見つめて…
「あ、あのね、ちょっとそこに座って?」
俺を風呂の縁まで押しやって、縁石に座らせると、脚の間に身体を入れてくる。
外気に触れて少し冷めかけた一物を両手で包んで撫で回す。うあ、お風呂でふやけた愛佳の手がなんとも微妙な感触。
すぐに最高潮クラスに育った物体を上目遣いに見つめる愛佳。すうっと顔を近づけて…
ペロッ。可愛い舌で舐めあげた。しかもいきなりカリ。
「うっ」
「へへっ」
俺の反応に満足気に笑うと、愛佳はかぷっと肉棒をくわえこむ。横笛というか、ハーモニカというか、そういう態勢。
そのまま左右に首を動かす。口の中では、舌をぴったりと巻き付かせて棒の下半分を舐め回す。
愛佳の顔の動きに合わせてびくびくっと震える俺のアレ。既にかなりやばい状況
それに気づいてか、愛佳は横往復運動を収めると、今度は正面に向いて先端部を銜え、
そのまま自分の口腔内に男を挿入させた。じゅくっと唾液に包まれる俺の怒張。
ぐちゅ、くちゃ、くちゅ、ぐちゃ。
わざと音を立ててるのか、愛佳の口から怒張が出入りする度にいやらしい水音が鳴る。
唇から零れた唾液が、糸を引いて袋の部分まで流れる。それを掬い取るように手を添えて、ふにふにとこね出す愛佳の両手。
「ま、愛佳、ちょっと、もう、ヤバイ…」
「ふん、ひふへほひひよ」
愛佳はを離さずに応えると、さらに勢い良く前後に棒をしごく。
口奥に入る時には喉まで達し、唇付近まで戻された時には舌が激しく絡みつく亀頭は、痺れるような快感に限界を迎えた。
びくんっ、と迸りの予兆が来た瞬間、愛佳は思い切り奥まで肉棒に吸い付いた。
「うあっ、愛佳っ!」
びゅくっ、どくっ、どくっ、びくっ…
暫くぶりの射精は、結構な量が出たが、愛佳はこくこくと飲み干してゆく。
738小牧姉妹と一泊二日(6)(エロ有り)5/5:2006/04/11(火) 00:13:12 ID:KgLj1D1E0
「おいしくはないんだけど…貴明くんが嬉しそうだったから…」
以前に精液を飲んで貰った時の愛佳の言葉が思い出される。
全然意味ない行為だし、美味しくないっていうより気持ち悪いだろうし、無理強いはしてないつもりなんだけど、
何故か愛佳のこういう姿に喜びを感じてしまう俺。それは、愛佳にとっては強制されてるのと同じなのかも知れない。
「…すごく…気持ち良かった」
だから素直に感謝。
「えへへ…どういたしましてっ♪」
そして、物凄く満足そうな愛佳の表情。もうね、可愛過ぎ。
しかし攻守交代が一巡したからには次は…
「へくしっ」
「あ、寒かったよね…ってほああ」
「そっちは茹だってるぞ」
俺はさっきから脚しかお湯に浸かってないし、愛佳は入りっぱなしだし。
「続きは部屋で…いいかな?」
「は、はい…」
あがる前に、二人で身体を洗いっこしたのはいうまでもない。

「ちょっとだけ、郁乃の様子を見てくるね、貴明くん、部屋の鍵貸してくれる?」
浴衣に着替えた所で、愛佳がそう言い出した。
「ああ」
お預けを食った気分で、俺は愛佳に鍵を渡す。
部屋の入口まで歩いていって愛佳、ふと振り返る。
「あれ?鍵?」
「さっきは声掛ける雰囲気じゃなかっただろ」
「ああ、そっか」
至極簡単に納得してくれるな。
深く考えると俺がこっちの部屋に来る理由もない事になりかねないんだが。
えーと、あの、そう、既成事実は作ったもん勝ちってことで。
739小牧姉妹と一泊二日(7)1/3:2006/04/11(火) 00:13:56 ID:KgLj1D1E0
睡眠中寝苦しくなって、半分目が覚めた。ぼうっと意識が開く。
見慣れない天井に、いつもと違うベッド。
「ああ、こっちは洋室だったんだっけ…」
ちょっと頭を動かすと、鈍い痛みが頭蓋骨の中に響く。
経験上、自分がどういう状態なのかは概ねわかる。
熱出しちゃったなあ。
大した事はなさそうだけど。やっぱりはしゃぎ過ぎたかも知れない。
解熱剤が必要な程の発熱ではないと思うので、そのまま寝ることにする。
姉には「なんで言わなかったの!」って怒られるんだろうけど。
明日の朝に下がってるかも知れないし。せっかく貴明と二人になれただろうに邪魔したくないし。
なんとはなしに部屋を見渡す。例の特別室ほどじゃないけど、シングルにしては広い部類。
点けっぱなしのフットライトで薄暗く照らされた部屋。
病室で相部屋の人がいない時もそうだけど、体調が悪い時って、一人だと圧迫感を感じる。
「寝よ」
とにかく目を閉じる。穏やかな睡眠とは言い難いが、熱で薄れた意識がぼうっと消えてゆく。
どれくらい微睡んだだろうか。
ガチガチャと扉の鍵を開ける音。
貴明が荷物でも取りに来たのか…にしてもノックくらいして入りなさいよ。って元々アイツの部屋だけどね。
ひたひたと近づいてくる足音。
あ、この静かにしようとして何故か気配が全然静かでない感じは…
「いくの、寝てるよね?」
姉だ。
「えへへ、今日はごめんね」
別に謝る必要はない。
「それと、ありがとう。」
ん?
「気を遣ってくれたでしょ。私と貴明くんに」
別に…
「まったく、困った子なんだから」
半分くらいは、アンタのせいだ。
740小牧姉妹と一泊二日(7)2/3:2006/04/11(火) 00:14:35 ID:KgLj1D1E0
「いい子いい子…」
頭に添えられる柔らかい手。あ、冷たくて気持ちいい…
「あれ?郁乃、熱い!?」
バレた。
額に手を当てて体温を測る姉。
「ど、どうしよう、と、とりあえず救急車っ!?」
とりあえずで救急車なんて呼ばれたらかなわないので、あたしは目を開けた。
「たいしたこと…ないわよ」
「あ、起こした、ごめん。そっか、じゃないや、えっと、タオルタオル、体温計体温計…」
姉はあたしの荷物を取りに行こうと、慌てて部屋を出ていく。
「座薬座薬」
いらん。
バタンと扉が閉じた瞬間、また一人になって、ふと不安になる。我ながら情けない。
でも、意外な位早く、今度はバタバタと騒がしく、部屋の人数が増える。
「で、どれが病気用具なんだ?」
病気用具なんて単語があるだろうか。貴明まで呼ばなくてもいいのに。
「え〜っと、確か…あ、それは下着のバッグっ」
おい。

ピピピピッ、ピピピピッ
「8度1分」
「ん、そんなもんかもね」
「ほい、洗面器」
「ありがとう」
貴明が洗面器に水を入れて持ってくると、姉はタオルを絞って額に乗せてくれた。
すーっと、額から体温が奪われていく感覚。なんとなく、安心する。
741小牧姉妹と一泊二日(7)3/3:2006/04/11(火) 00:15:20 ID:KgLj1D1E0
「やっぱり遠出で疲れたんだね」
「はしゃいでたしな」
「うー、否定はしないわ。まあ、一晩寝れば治るわよ」
「うん、ついててあげるから、安心して寝ててね」
「ごめん…せっかく二人でイチャついてたのに」
「ええええーっ?な、なななななんのことお?」
「やっぱりイチャついてたんだ」
「う゛」
「そっちが仕向けたんだろうが」
「だからごめんって言ってんじゃない」
「そ、そんな事どうでもいいんだよぉ」
「そうか、俺の事はそんな事なのか…」
「ああっ、そういう意味じゃなくてねっ?」
「いーよーだ。そのうち埋め合わせて貰うから」
「なんか…その言い方怖いよ貴明くん」
「ぷっ」
「ぶぅ〜、郁乃が笑うぅ〜」
「くくくっ…っつつつ」
痛たたた。思わず笑ったら頭痛がぶり返した。
「ああっ、大丈夫?汗かいた?シーツ替えようか?」
「そんなでもないからいい」
「なんなら俺が着替えさせてやるぞ」
「死ね」
「遠慮するな。どうせさっき腋を拭くときに結構見えた」
「死ねっ!死ねっ!今ここでっ!」
「ああっ、郁乃の顔が真っ赤に!興奮させちゃダメだよ貴明くん」
「ああ、悪い、ついつい」
こういう時でも普段どおりなのは有り難いと言えば有り難いけど。
「えっ〜と、それで座薬の入れ方は…」
だからそれもいらんっ!
742小牧姉妹と一泊二日(8)1/3:2006/04/11(火) 00:16:28 ID:KgLj1D1E0
翌日になっても、郁乃の熱は下がらなかった。
よって観光の予定は中止。朝食もそこそこに、早めの電車で帰宅することにする。
「タクシー呼んで貰ったから、すぐ来るってさ」
「ありがとう。こっちも家に電話入れたから、とりあえず帰ろ」
「ごめん。あたしのせいで」
「ふふっ、私と郁乃に「ごめん」は無しでしょ?」
そんな約束あったのか。愛佳はいつも謝っているように見えるが。
「う、でも二人じゃないし」
「愛佳と郁乃の間でそうなら、俺にもそれは無しだ」
「…ありがと」
「そうそう、それでいいの♪」
いつも自分が言われている事を言って得意そうな愛佳であった。

来るときは歩いた道のりをタクシーで駅まで。帰りの電車も、無事ボックスを占領できた。
熱で寒気がするという郁乃に、愛佳と俺の上着をかける。
「くしゅん」
「ぶるるっ」
くしゃみをしたのは愛佳。身震いしたのも郁乃じゃなくて俺。
車内は、ちょっと冷房が効きすぎていた。郁乃でなくとも肌寒い。
「冷房効きすぎ、かな?」
「ちょっと車掌に言ってくる」
〜ただいま、空調機の故障のため、車内の温度が若干低くなっております〜
クレーム阻止を狙ったようなタイミングで、アナウンスが流れた。
「故障か」
「止めたら暑いだろうし、仕方ないかな」
「こんなにいらないわよ」
そんな俺達の様子に、上着を返そうとする郁乃。
「あ、全然平気」
「なんなら上半身裸でもいいぜ」
「それはやだぁ」
743小牧姉妹と一泊二日(8)2/3:2006/04/11(火) 00:17:12 ID:KgLj1D1E0
「あんたらねぇ…そっちが風邪ひいたらあたしに移るでしょ」
郁乃も言い出したらきかない性質だ。無理にでも愛佳に上着を戻す。
当然押し返そうとする愛佳、膠着状態に陥るかと思われた瞬間、
「じゃあ、一緒にかぶろ?」
名案か迷案か、愛佳が郁乃の左隣りに移動して、二人まとめて自分の上着にくるまる。
「ちょ、ちょっと、恥ずかしいよ」
「でも、これならあったかいでしょ?」
「う…まあ…」
いやはや、なんとも微笑ましい光景ではないか。
「貴明くんも」
「ああ…っておいっ!」
「だって上着ひとつじゃ小さいし、貴明くん寒いでしょ?」
そうは言うがな愛佳。俺は男だし他人だし。そもそも郁乃が怒るだろう。
「…はい」
が、郁乃は、少し愛佳の方に身を寄せて、狭いながらも俺が座るスペースを空けた。
「あんたが来ないと姉も出るって言うでしょ」
確かに予測できる行動だ。こうなると、俺一人で意地を張るのも居心地が悪い。俺は覚悟を決めて、郁乃の右隣に移動した。
愛佳の上着を郁乃と愛佳に、俺の上着を郁乃と俺に、それぞれ掛け直す。
小柄な郁乃が真ん中とはいえ、二人用の席に三人座るのはかなり狭く、
必然的にお互いの体が密着する姿勢。郁乃は、やはり熱っぽい。
「郁乃、暑くないか?」
「…あったかい」
どきっとするくらい素直な口調。
「うん、あったかいね」
愛佳は、上着の下で郁乃の手を握っているようだ。
郁乃の右手が、俺の左手に触れた。手を引っ込めかけて、しかし相手が逃げないのでこちらもそのまま留まる。
やや間をおいて、俺はそっと郁乃の手を握った。かなりの覚悟が必要だった。
郁乃は、そのまま背もたれに深くよりかかって目を閉じた。
向こう側の愛佳が見える。顔を見合わせて、なんとなく頬が緩む。
短い時間、三人、穏やかに過ごした。
744小牧姉妹と一泊二日(8)3/3:2006/04/11(火) 00:17:48 ID:KgLj1D1E0
「気をつけて帰ってね」
「ああ。そっちもな。帰ったらちゃんと寝ろよ、郁乃」
「ガキじゃないんだから余計なお世話よ」
「旅行ではしゃいで発熱なんて、どう見てもガキだ」
「うるさいっ」
「ああ、喧嘩しないの〜」
帰りもまた3駅前で降車して、姉妹はタクシー、俺はバス。
まあ、俺はそのまま電車でも良かったんだが、やはり名残惜しかったのでお見送り。
車椅子と荷物をトランクに放り込む。来るときも感心たくらい結構な量だが、
先ほど電話を入れたお陰で、小牧家には母親が待機している筈、まあ大丈夫だろう。
郁乃と愛佳はまたも二人で上着を被って車に乗り込む。
服の下では、まだ手をつないでいるようだ。
色々面倒な二人だが、こういう時にはつくづく仲の良い姉妹だ。
「…色々ありがと。楽しかった」
車の中から呟く郁乃。
「突然素直になるな。気色悪い」
「ふん、結構嬉しいくせに、こういうの」
「いつも素直ならもっと嬉しいぜ、お兄ちゃんは」
「うわ、気色悪い」
「結構嬉しいくせ…」
「嬉しくないっ!」
「はいはいそこまでそこまで、じゃ、じゃあ、またね〜!」
ブロロロロロロロ…

タクシーが走り去ってから、気が付いた。
愛佳ーっ!俺の上着上着!
745小牧姉妹と一泊二日(9)1/6:2006/04/11(火) 00:19:42 ID:KgLj1D1E0
大丈夫だったんだろうか。
郁乃の体調も、愛佳が持っていった俺の上着の処遇も気になる。
連絡しようにも、愛佳携帯持ってないしなあ。
旅行の翌日、俺はそんな事を考えながらリビングでぼんやりしていた。
カチャカチャ
ん?なんか玄関の方で音がする?
気になって玄関に出てみたが、誰もいなかった。あ、そういえばチャイム壊れてたっけ。
セールスでも来て、諦めたかな?リビングに戻った俺は、そこで窓の外に奇妙なものを見た。
愛佳だ。いや愛佳が奇妙とは言わない…ちょっと変な時も多いけど。奇妙なのは仕草で、
なんか上の方を見上げて、真剣な表情。右手を握りしめて、それをがばっと振り上げて、
へろっ、と小石かなにかを投げた。コケンっと庇にあたって跳ね返る。
「う〜〜〜っ」
納得のいかない様子の愛佳。なにやらひとしきり唸った後、
再び地面を探して石を見つける。また、大仰に振りかぶって、投擲!
ぶんっ、今度は庇には当たらない。というか、投げたものを見失って左右を見渡す愛佳
すけん。
「ふえ〜〜〜〜ん」
人間が、自分の投げた石に脳天を直撃される場面というのは、なかなか見られるものでもないな。
しばらく地面にしゃがみこんで凹んでいた愛佳。気を取り直して、再び…おい。
今度は握り拳二つくらいの石を両手で抱えている。なんか重さでよろよろと。
流石非力娘。いやそうじゃなくて、そんなん投げたらガラス割れるって。
「うー、せー、のぉ!」
「なにやってんだ愛佳」
「わきゃあっ!」
慌てて窓を開けて声をかけると、それ以上に慌てた愛佳は、バランスを崩して盛大に後ろに尻餅をついた。
私服の巻きスカートが遠慮なくめくれ上がって、今日は白か、素晴らしい。
746小牧姉妹と一泊二日(9)2/6:2006/04/11(火) 00:20:13 ID:KgLj1D1E0
「げ、玄関のチャイムが鳴らないから、部屋にいると思って、石投げて気づいてもらおうと思って、それで」
リビングでソファーに座るなり言い訳を始める愛佳。
「ノックくらいしてくれればいいのに。まあ、俺も悪かった」
お茶を出す。お茶菓子もまあ適当に。
「郁乃、大丈夫か?」
「うん、熱も下がって、一応今日病院にいったけど」
「そっか」
「今日はその報告と、これを返却に」
スポーツバッグから取り出したのは、昨日持って行かれた俺の上着
「それ…見つからなかった?」
「タクシー降りる前に気づいて隠したから大丈夫だと思う」
それは愛佳にしては上出来だ。郁乃が気づいたのかも知れないが。
「いずれ、愛佳のご両親とも会いたいな」
「そうだね…もう少し落ち着いたら…」
郁乃が学校に復帰したらそっちでも接点できるし、機会があるかもな。
卒業前には、きちんと話をしておきたい。
「それとそろそろ携帯電話」
「欲しいよねぇ」
「俺の家は一人だからいいんだけどさ」
「うん…だんだん悪いコになっていくなぁ私」
苦笑する愛佳。笑い事でもない気もしないでもないが。
「今日時間ある?街にでも行くか?」
「そ、それなんだけど」
「ん?」
「その…もし…時間あったら…」
急にモジモジしだす愛佳。
「おとついの埋め合わせ、したいな…」
ああもうっ!ほんんっとうに悪いコになりましたね委員ちょさんはっ!
747小牧姉妹と一泊二日(9)(エロ有)3/6:2006/04/11(火) 00:21:03 ID:KgLj1D1E0
ザーッ
一昨日のやり直し、ってわけでもないのだが、とりあえず二人でお風呂場へ、
体が冷えないようにシャワーをかけながら、お互いの身体を手洗いする。
「あ、あははっ」
「なに?」
「おととい郁乃を洗った時に散々騒がれたんだけど、気持ち分かるかも」
「恥ずかしい?」
「なんか照れるよぉ…うひゃっ!」
郁乃、なにされたか知らないが安心しろ、仇は俺が取ってやる。
「あっ、貴明くん、それは、洗ってるんじゃなくって…あんっ」
石鹸を塗りたくった手で愛佳の体中を撫で回す。
肩から背中、腰、お尻まで満遍なく触った後、無抵抗なのを良いことにお尻の間から前に手を回した。
「ひゃあっ!そんなのっ!」
体の下から腹部に手を伸ばされて、愛佳は腰を浮かす。
俺は愛佳が転ばないように左手で支えながら、股間を腕で持ち上げて、四つん這いの姿勢にさせた。
「ど、どう…するの?」
肘を風呂場の床につけてお尻を突き出す格好で振り向く愛佳。不安そうな表情がまた可愛い。
逆向きに腰を抱きかかえ、太股を開くと、お尻を覗き込むようにして後ろから秘所をまさぐる。
「ふえっ…あ…やぅ…んっ!…んっ…っはぁ!」
身をくねらせる愛佳。露天風呂と違って狭い風呂場では体が密着して肌が擦れ合う。
「とっ」
滑った拍子に体勢が入れ替わり、愛佳の目の前に俺の股間が来る。
シャワーで石鹸を洗い流すと、ごく自然にそれを口に含もうとする愛佳だが、
「今日はいいや」
「ん?」
「それより…」
再び四つ足愛佳の後ろに回りこんで、後ろから腰を抱く。
「早く、愛佳に入りたい」
「あ…、わたしも…貴明くんが…欲しい…」
748小牧姉妹と一泊二日(9)(エロ有)4/6:2006/04/11(火) 00:21:55 ID:KgLj1D1E0
同意の言葉に、俺は風呂場のドアを開けて、用意しておいたゴムを手にとった。
ちなみに、持ってきたのは愛佳の方だ。
それを愛佳が受け取ると、既に張りつめた怒張に丁寧に被せてくれた。
俺のモノを見つめる目つきが、ちょっと物欲しそうだったのは気のせいだろうか。
「後ろ、向いて」
「…はい」
三度四つん這った愛佳のそこを触って確かめる。もう完全に準備完了の雰囲気。
「あああっ!」
俺は、ゆっくりと愛佳に入った。往復はさせずに根元まで楔を打ち込む。
うっ、ヤバイかも知れない。愛佳の内部は、熱くぬめってあまりにも快い。
一度抜いて貰わなかった事を、俺はかなり後悔した。これは長持ちしそうにない。
「た、た、たかあき、くぅんぅ」
切なそうな愛佳の声に意識を戻す。
俺は、ちょっと卑怯だが、動かずに背中に覆い被さり、胸に手を伸ばそうとする。
「や、やぁ…お願いです…もう…わたし…」
が、愛佳の哀願に手が止まる。
「いじわる…しないでぇ…」
あまりにもいじらしい声に、俺は覚悟を決めた。愛佳の腰を両手で押さえると、いきなり強く動き出す。
「ひゃうっ!ああんっ!ありが…と…ううんっ!ふあっ!あっ!いいっ!ひあんっ!」
律動に合わせて絡みつく愛佳の内壁、強烈な快感に、あっというまに射精感を覚える。
ごめん、愛佳。情けない俺を許しておくれっ!
「ああっ、はうっ、やだっ!もうきちゃうっ!あんっっ!あ!ごめんなさいっ!わたしっ!わたしぃい!」
だが、愛佳の方も予想以上に早く絶頂を迎えようとしていた。やはり貯まってるものがあったのだろうか。
「くっ、まなかっ、まなかっ!」
「たかあきく…ああ…ああああああんっっっっ!」
どくっ、びくっ、どくんっ、びゅくびゅくっ
なんというか、男としては哀しいくらい早かった今回の俺だが、時間以上に強烈な交渉だった。
愛佳の方も急激に上り詰めたせいか、半ば意識を飛ばした虚ろな目で俺を振り向く。
「こ、こんなに早くイッちゃったの…はじめて…ごめんね…で、出た?」
いや、思いっきりフィニッシュしてるんだが、気づかないくらい乱れてたのか…
749小牧姉妹と一泊二日(9)(エロ有)5/6:2006/04/11(火) 00:22:39 ID:KgLj1D1E0
「出た。っつーか、俺の方こそヤバかった」
「よかった…あはは、久しぶりだったから…あ…また…おっきく…」
挿入したままの俺の一物は、不本意な一戦のリベンジを果たすべく再度起動を開始していた。
「ん…んぁん…なんだか…」
愛佳の女の部分も、まだ満足できないとばかりに俺を締め付けている。
「まだ…いけるよね?」
「うん…こんどは…もう少しがんばる…」
「それは俺の台詞」
事実、俺は頑張った。愛佳も、頑張った。

紅い日差しが、リビングを染めている。
眩しさに目を開けた俺は、心地よい疲労に毛布にくるまったまましばし微睡む。
夕日から顔を守ろうと右腕を上げると、毛布に新しい空気が入り、肌を直接撫でる。
あ、裸で寝ちまったんだっけ。俺は右手を下ろし、左半身に触れる体温を意識する。
「くぅー、すぅー」
俺の左腕を枕に、生まれたままの姿で愛佳が眠っている。
「うふふふひぃー」
なんだか間抜けな寝息、顔には何が幸せなんだろうってくらい腑抜けた笑みが浮かんでいる。
俺も、何がこんなに幸せなんだろうってくらいの幸せを感じて、愛佳の髪に唇を寄せた。
「んふぅ〜、あ、たかあひふん?」
「起こした?悪い」
「ううん〜、大好きぃ〜」
明らかに寝ぼけて、べとっと抱きついてくる愛佳。俺の胸に顔をスリスリ。
う、俺の下半身が反応してる。あれだけヤった後なのに。
結局風呂場で二発、脱衣所で散々乳繰り合った後、リビングの台所で立ちバック、最後はソファで…
俺も相当グロッキー、一戦ごとに気絶寸前だった愛佳は、後始末の途中で早くも寝息を立てていた。
それでも裸の愛佳に抱きつかれると元気になりかかるのは若さ故。
とはいえ、さすがにこれ以上はヤバイ。ここで手を出したら絶対に家に帰したくなくなるし。
…あれ?愛佳、帰らなくていいのか?
750小牧姉妹と一泊二日(9)6/6:2006/04/11(火) 00:23:16 ID:KgLj1D1E0
「愛佳?」
俺は愛佳をつっついた。
「うう〜ん、もう…」
「食べられないのはいいけど、時間大丈夫か?」
「ん〜、ん、んんぅ〜」
やっと目が覚めてきたのか、むくっと起きあがり大きく伸びをする愛佳。
すとんと両手を下ろすと、なんの防備も無く突き出された乳房がぷるんと揺れる。
思わずじっと見つめる俺。愛佳はきょとんとした様子で、左右をきょろきょろ。
「あ、あれっ?私っ?えっ?えええ〜っ!?」
「いや今更驚かれても」
「はううぅ…」
毛布を胸に巻いて、というより抱きかかえて縮こまる愛佳。
「ああ、寝ちゃたんだっけか」
「そらもう盛大に」
「うぅ…なんだかかなり恥ずかしい事をしてたような記憶がないでもないぃ〜」
「それも今更」
「うん…そうだね…あははっ」
愛佳にしては意外と照れもなく、むしろ屈託なく笑う。俺も同じ。
そう、幸せな事を恥ずかしがる必要は、どこにもないんだから。
「服、着ないと…って、あれ?今何時?」
「だから最初にそう聞いた」
時計を指さす俺。顔を向ける愛佳。
「へっ?もうろくじぃ〜っ!?」
ベタなギャグかと思ったが、愛佳は本気で焦っているらしい。
「お父さんもお母さんも夜出かけるから、郁乃についてあげないといけないんだった。
というか買い物頼まれてたんだけどもう時間ないい〜。それ以前にバスの時間がぁ〜!」
「いいから暴れる前に服を着ろっ!」
裸のまま外に出ていきそうな勢いで慌てる愛佳。
ドタバタと着替えて、身づくろいもそこそこに飛び出す姿を見て思った。
やっぱり、愛佳は悪事には向いてないな、と。
751小牧姉妹と一泊二日 終わり:2006/04/11(火) 00:25:31 ID:KgLj1D1E0
以上です。あう、この長さでも直し忘れが結構…<続く>すら入ったり入らなかったり…
まあ、そもそも細かい事いう出来じゃないや。スレ汚し失礼しますた。
752名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 00:26:56 ID:uBAUdZPJ0
長編GJ
良かったYO!
753名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 00:32:27 ID:kHPCqFan0
ヴォッキした。GJ!
754名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 00:39:18 ID:PTreUtd+0
>>706-707
向坂家、喜多ーー!!
真・委員長、喜多ーー^^;
来週を楽しみにしてますw

>>751
何つうか、ぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪^^;
最初の「全9シーン42レスの予定」を見た瞬間、「マジか〜!?」と思いましたが
郁乃んとの掛け合い有り、エロ有りでたっぷり楽しませてもらいました。
また、この3人のチン道中(?)が見たいですね。
755名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 01:03:30 ID:zjrk/lvG0
GJ !
756名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 02:08:02 ID:CuNwSEL70
GJ !

757名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 12:54:32 ID:Zc4i9I4u0
機体No.181【貴明GJ】
758名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 16:51:24 ID:cahhWOyN0
長いwwwwひたすら長いwwwwwww


しかしGJ!!
759名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 17:41:47 ID:Nj0If9KK0
>>757
市ね
760名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 17:53:20 ID:O04SIs/q0
久々にこのスレの存在意義を確認させるようなSSが来た感じがする。
761名無しさんだよもん:2006/04/11(火) 23:45:40 ID:8LoToLWjO
これを機に流れが戻ると良いな(´・ω・`)
定期的にある言い争いはもうイラネ('A`)
762名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:12:00 ID:IRtjIctE0
今なら言える






















クソスレあげ
763名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 00:16:09 ID:RvHs9UJW0
>>751
エロい。 エロいよ、愛佳。
かわいい。 かわいいよ、郁乃。
764名無しさんだよもん:2006/04/12(水) 10:23:45 ID:i/S9kjnj0
>>695
作者の視点=貴明の視点になり過ぎているような。
他の方が指摘しているように勘が良すぎるし、よく喋る。
何人もの女の子の調整役を担わなければならず、
一人一人に対して愚図愚図した態度をとる貴明を描写するのは
面倒で話もなかなか収拾しないだろうから仕方ないとは思うが。
765無題 1/3:2006/04/13(木) 00:52:01 ID:XK6JjpdC0
「とまあ、いつの間にかゲーセンに来ていた訳だが」

しかし、無意識のうちにゲーセンに来れる俺達も凄いと思う。

「ふふふ、これは運命ね。たかあき、いざ勝負!」
「ここのところ毎日ゲーセン来てないか?それにどの辺が運命なのかが分からないんだけど」
「ふふん、臆したか河野貴明。あたしに負けるのが怖いか?怖いんだな?」

そう言われてしまっては、勝負を放棄する訳にはいかない。
もとよりそんな気はないが。

「そんな訳あるか。今日は何をするんだ?」
「今日は、これよ!」
766無題 2/3:2006/04/13(木) 00:52:47 ID:XK6JjpdC0
そう言って由真が指差した先には、見覚えのあるゲームが。

「これよ、って、麻雀か?」
「そうよ。前回はちょーっとあたしの調子が悪かったけど、今回は負けないんだからっ」
「まあいいけど。でも麻雀って本来4人でやるものだろ?今回も残りはCPUか?」
「他の誰かを呼んで来る訳にもいかないし、CPUなら平等だし。赤の他人にあたしとたかあきの真剣勝負に水をさされる訳にはいかないわ」

まあ、他の人を呼んで来るとは思っていなかったから、確認だけだった。
一応これもデートだから、邪魔されたくないというのもある。
聞いた訳ではないが、多分由真もそう思ってると思う。
でも、もう少し普通のデートもできないものか…。
未だにそういうのはお互い恥ずかしいのだ。
俺達らしいといえば、俺達らしいんだけど…。

「分かった。じゃあやるか」
「今度こそ、あたしの実力、見せてやるっ」

そう言って、俺達は隣り同士に座った。
一応仕切りはあるので問題は無いが、麻雀というゲームの特性上、一応向かいに座った方が良いのかもしれない。
だが、それでも隣りに座るのは、やはり心境の変化というものなのだろう。
767無題 3/4:2006/04/13(木) 00:55:11 ID:XK6JjpdC0
「今回も俺の勝ちだな」

そう、また結果は俺の勝ち。
昔は俺が圧勝だったけど、今では勝負の勝ち負けは5分5分。
詳しくは知らないが、由真は色々と努力をしたらしい。
無駄な努力と言われてしまえばそれまでだが、もっと俺と勝負を楽しみたかったらしい。
だけど、由真はこういった駆け引きのゲームにはまだ弱い。

「違うっ!あのCPU、絶対たかあきをひいきしてたっ!」
「CPUは平等だって言ったのはそっちだろ?」
「むー、これで勝ったと思うなよー!」
768無題 4/4:2006/04/13(木) 00:56:01 ID:XK6JjpdC0
由真の決め台詞は久しぶりだな。
久しぶりといえば、前に麻雀をやった時を思い出した。
流石に今度は脱ぎ始めることもないだろう。

「じゃあ由真、麻雀で負けた方は何をするか、分かるよな?」

軽い冗談のつもりで言ったのだが、

「…」

由真は俯いてしまった。

「…由真?」
「……分かった」
「…え?」
「その代わり、たかあきの家、行こ」

由真は顔を赤くして俯いたまま、そう囁いた。


以降、由真は麻雀のゲームの前を通る度に顔を真っ赤にするようになった。
それでも、たまに麻雀はやるのだけど。
769名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 01:08:20 ID:XK6JjpdC0
以上です。
すみません、>>765, >>766 はそれぞれ1/4、2/4ですね。
SSを書くのは初めてなので、色々お見苦しい所等あるかと思います。
素晴らしいSSの後なので、より見劣りするかもしれませんが、恥ずかしながら投下させていただきました。

この場をお借りして…、
>>751
GJ!
770名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 01:48:46 ID:W9a1B8qO0
>>769
どこかで見たような話、、、と思ってたら、最後で^^;
由真、かわええのぉ。
是非ともたかあきの家に行った後も書いてくだされw
771名無しさん@お腹いっぱい。:2006/04/13(木) 08:04:30 ID:0haLsp5y0
河野家の終わりはやっぱりハーレムENDにケテ〜イ!!!!
772名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 08:32:52 ID:kpACk26+0
>>771
寧ろ怒涛の鬱展開の悪寒。
773名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 08:56:23 ID:0haLsp5y0
欝展開ハンタイ!!!!!違う意味の欝展開は向坂家の雄二だけでイイヨ(プッ
やっぱりラブラブがベストなんや!!
774名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 11:23:25 ID:DPb+cJo30
まあ待つがよい。邪推は心の中に留めておけ。
この手の話題、経験上よく荒れるんだ。
775名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 11:26:29 ID:qDfXA6cWO
小牧姉妹GJ!
電車の中でケータイで全部読んじまったー
パケ代幾らかかったかなあ…


あと、熱出した時は座薬入れないと駄目だと思います。
ぬぷっと。
776名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 12:13:16 ID:wMkKIIzv0
座薬は副作用があるから病弱郁乃に容易く使えるものなのかな。
他に服用してる薬との相性もあろう。
777向坂家へようこそ:2006/04/13(木) 14:57:03 ID:+fqHdV7hO
―――あらすじ
休日に惰眠をむさぼる雄二の前に現れた委員長。
「理由も聞かずにしばらく泊めて欲しいと!」言う委員長に驚きを隠せない雄二。


「…で、仮に泊めるとして何日くらいの予定なんだ。」
「出来るかぎり、かな」
「………」
「………」
「委員長の親は知ってるのか?」
「大丈夫。『親友の家にしばらく厄介になる』と伝えてある」
『親友』と言う言葉を強調する委員長。
「………(嫌な予感がプンプンするな)」
「………」
「悪い、委員長。やっぱ無…」
「おっと…、忘れていたよ。
つまらない物だがどうぞ…。」
俺の言葉を遮り、スッとテーブル越しに
何かを置く。
俺は自分の目を疑った!!
目の前には一枚のDVD――緒方理奈メイドコス限定耳カバーver――が……。
「こっ、これは…!?」
「なぁに、お近付きの印に。
…確か、雄二はこの子の事が好きだったんだよな。
ところで何か言いかけていたみたいだが…何かな?」
「好きなだけ泊まってけよな、委員長!!」


今思えば、コレが今から始まる非日常の入り口だったのだと……

―――――続く
778名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 15:28:35 ID:tvo7R7hb0
さりげなくwktkしてるから頑張ってくだされ
779名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 16:59:08 ID:tKEEX85q0
>>776
副作用とかそういう問題じゃねえんだよ。ロマンだ!
780名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 18:00:10 ID:CFkGEVftO
なんだかオラwktkしてきt(ry
781名無しさんだよもん:2006/04/13(木) 21:38:01 ID:NOyfzqMx0
なんなら座薬と偽ってフリスク挿れるとか。まぁ、鬼畜確定だけど。
782769:2006/04/13(木) 21:43:34 ID:Sarwh4tIO
>>770
ありがとうございます。
私の書いた由真が可愛いと言っていただけるとは、感激です。
当初は続きも書こうと思っていたのですが、私にはまだ18禁を書くだけのスキルは無いので。
ご期待に添えなくて申し訳ないのですが…。
783名無しさんだよもん:2006/04/14(金) 07:42:10 ID:vcesBM3TO
座薬は赤ちゃんのおむつを変える時の体制が一番入れやすいそうだ
784名無しさんだよもん:2006/04/14(金) 09:45:20 ID:kl4IiR+X0
痔(の疑い)で触診受けたときもその体勢だったよ。
785名無しさんだよもん:2006/04/14(金) 17:54:54 ID:VEVU20760
という訳で次のお題は郁乃に座薬。
786名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 01:14:48 ID:LH2lA5LF0
媚薬?
787名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 01:39:25 ID:hPPySnK/0
唇から座薬
788名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 01:57:41 ID:757YjLs50
>>785
愛佳が居ない状況で発熱した郁乃
やむなく彼女に貴明が座薬を挿入する羽目に。

「あんたに入れられるくらいなら死ぬ」
と嫌がる郁乃を宥めすかして、何とか目隠しで妥協させ
座薬を入れさせられる貴明。
しかし目隠しが災いしてあちこち余計なところを
望まずとも触りまくってしまう貴明。


翌日に座薬の事を学校でポロっと言ってしまった愛佳に
昨日のことを思い出させられて大羞恥な郁乃と
そのとばっちりを受けた貴明

その姿を見て羨ましがるささら(何

そんなシチュが脳内で完成し、それだけでオレ満足した。
789名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 02:45:22 ID:eFy306S00
>>788
脳内で満足せずに、書くんだ。 ここに。
790名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 04:45:56 ID:SXFyQ1Th0
791名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 15:06:17 ID:o1nZ7ecz0
>788
黄金世代だな、貴様!
SS化希望。
792切ない願い 1/1:2006/04/15(土) 16:27:33 ID:Tu+Q8y3A0
 じいさんの所で話していた由真が俺の元に帰ってきたのはついさっきの事だった。
 帰ってくるなり俺が飲んでいたミルクティーを奪い取り、一息に飲み干すと俺の隣の椅
子に座った。
「――それでどうなった?」
「なにが?」
「進路希望」
「あぁ、アレね」
「アレって進路の話に行ってたんじゃないのか?」
「それはそうなんだけど――そんなことより……んっ」
 由真の顔が近づき、唇に女の子の柔らかな唇が触れる。
 最近由真のスキンシップが過剰になっており、人目も憚らず街中でキスをしてくるよう
になった。
 正直なところ人前でこれは恥ずかしいのだが、拒むと拒むでむくれてしまうので、難し
いところではある。
 ……まぁほとんどの場合、気付いたときにはもうキスされてるんだけど。
「ねぇ――ところで、さ」
「ん?」
「――ちょっと言いにくいんだけど」
「どうした?」
 珍しく由真にしては歯切れの悪い返事だった。
 顔を赤らめ、俯いて言葉を紡ぐ。
 多分これはずっと胸に溜め込んでいた、彼女の秘密。



「宗教って興味ない? 創○○会って言うんだけど」

 できればそれはずっと秘密にしていて欲しかった。
 これは俺が思った、小さく切ない願い。
793名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 16:29:00 ID:s8dt8kzO0
やめろw
794名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 16:31:16 ID:0uMfGsQS0
ちょwwwww洒落になってねぇwwwwwww
795名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 16:36:39 ID:ZexBlU39O
郁乃「…で、そのナントカ先生って受けなの?攻めなの?」
796名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 16:45:51 ID:NlN4VFRh0
>>792
ある日デートに誘われて一緒に出向いた先は創○○会の集会でした、というオチもいいなw
797名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 16:51:59 ID:5/cimWEF0
よっち「河野センパイってかっこいいスね〜」
このみ「うん♪タカくんはカッコイイであります!」
よっち「よし!あたしセンパイに告白してくる!!」
このみ「えぇ!?」
ちゃる「じゃあ私も…」
このみ「ちゃるまで!?うぅ〜…じゃあ私も告白するであります!!」
よっち・ちゃる「「どうぞどうぞ♪」」
798名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 17:10:37 ID:5/cimWEF0
>>797
間違ったΣ(´Д `)
スルーしてくれ。
799名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 17:19:08 ID:s8dt8kzO0
いや問題ないw
800名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 17:20:55 ID:h9tMWYIV0
これはこれで良いんじゃないか?
801名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 17:24:16 ID:vXAVl4PQ0
>>79
XRATEDの由真は手塚まきなんだよ。生天目じゃないと思え。
由真を創価学会員と同じにすんな。
802名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 19:37:12 ID:jyuuSavE0
伊藤 「なばは創価?」
生天目「創価じゃないってば」
伊藤 「選挙ではどこへ入れるの?」
生天目「選挙なんていかないって」
伊藤 「じゃあ池田先生は好き?」
生天目「え、いや…」
伊藤 「いいじゃん、みんなやってることなんだから。池田先生は悪い人じゃないよ。なばも尊敬してるんでしょ?」
生天目「うーん…聖教新聞はとってるけど…」
伊藤 「みんなーなばは創価ですよーーw」
生天目「これで勝ったと思うなよぉぉぉ!」
803名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 19:38:23 ID:SXFyQ1Th0
>>792
ここにまで火種をまくなよ
804名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 19:52:24 ID:vIH0mUKX0
>>802
よく分からないけど、ワロタ
805hage:2006/04/15(土) 19:52:48 ID:gPvd+fAL0
全くだ('A`)
806名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 20:52:33 ID:2u1AweQp0
ネタに目くじらを立てんでも。
不謹慎だが…
807名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:14:33 ID:hPPySnK/0
何故だろう、超先生を思い出した…。
808名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:17:23 ID:s8dt8kzO0
亡くなった人をふと思い出すとき
そいうときって霊が近くにいるとき
809SUPPOSITORY PANIC 1/12:2006/04/15(土) 21:30:04 ID:5/cimWEF0
「ほんとにいいの?たかあきくん。」
「うん、郁乃のことは俺に任せて行ってきなって。」
「でも…」
「いいのよ、ただの風邪なんだから。薬だってもらってきたし、心配しなくても大丈夫。」
「本人もこう言ってるんだから。」
「うん…郁乃もゴメンね?」
「だから大丈夫だって。むしろ、コイツが変なことしないか心配したほうがいいんじゃないの?」
「たかあきくん…」
「なっ!絶対しないって!!愛佳もそんな心配そうな目でみるなぁ〜!!」
「ふふっ、信じてるからね。それじゃ行ってきま〜す。」
「「行ってらっしゃ〜い」」
810SUPPOSITORY PANIC 2/12:2006/04/15(土) 21:31:34 ID:5/cimWEF0

両親は仕事で、愛佳もどうしても外せない学校の用事があるらしい。
日曜日だというのに大変だなぁ。
それなのに郁乃が朝から熱を出したとかで、こうして俺が看病に来てるというわけだ。
「ほんとに何かしたら握りつぶすわよ?」
まぁ、こんだけ減らず口叩けるんだから大丈夫だろう。
「なにもしないよ。ほら、さっさとベッドに入って今日はおとなしく寝てな。」
郁乃がベッドに入るのを見届けてから、ふと思ったことを聞いてみる。
「そういえば、熱何度くらいあるんだ?」
「朝は7度2分くらいだったけど…」
「そうか、念のためにもっかい測っとけ。はい、体温計。」
郁乃に体温計を渡してしばらく待つ。
ピピピッと音がして郁乃から体温計を受け取る。
「はい。」
「どれどれ?…なっ!!」
体温計には、38,1℃の表示。
「何度だったの?」
「熱あがってるよ。38度ある。お昼時には起こしてやるからしばらく寝てな。」
「どうりでぼ〜っとすると思った。悪いわね、お願いするわ。」
「ん。それじゃあ俺リビングにいるから…」
そう言って部屋から出ようとすると、ピンッと服の袖を引っ張られる。
811SUPPOSITORY PANIC 3/12:2006/04/15(土) 21:32:14 ID:5/cimWEF0
「ちょっと待って。」
「なんだ?」
「……ここに…いて…」
少し赤かった顔をさらに真っ赤にさせて言う郁乃。
やっぱり熱で色々不安になっているんだろう。
「でも、変なことするんじゃないわよ!」
不安…なのか?
「いいよ。本適当に借りるな?」
今日くらいはこいつのわがままに付き合ってやるか。
本棚から適当に本を数冊とり、イスをベッドの横に持っていって腰掛ける。
「じゃあ何かあったら声かけてくれ。」
「ん、わかった。おやすみ…」
そう言うと早々に規則正しい寝息をたてて寝てしまった。
疲れてたんだな・・・やっぱり寝顔は愛佳に似てる。
かわいいな…って何考えてんだ!?
余計なことを考えないように、とりあえず本の世界に没頭した。
812SUPPOSITORY PANIC 4/12:2006/04/15(土) 21:33:30 ID:5/cimWEF0

ふぅ…
気が付くとすでに時計は12時を回っていた。
腹減ったな・・・そろそろ郁乃を起こすか。
「郁乃、起きろ〜」
「ん〜…うん・・・・うん・・」
寝ぼけてる…
「大丈夫か?」
「・・うん……あれ?なんであんたがいるのよ?」
「寝ぼけるな。お前の看病だろ。」
「そうだったっけ。で、なに?」
ふぁ〜と欠伸をしながら郁乃が聞いてきた。
「あぁ、もうそろそろ俺も腹が減ったしな。食欲あるか?」
「そうね。朝ごはん食べてないから少しおなかすいたし。お願い…ってあんたが作るの!?」
「まさか。愛佳がおかゆ作っといたってさ。温めてくるからちょっとまってろ。」
「そう、よかった。あんた料理できなそうだもん。」
「失礼な。これでも独り暮らししてるんだぞ?」
「じゃあ出来るの?」
「ぐぅ…」
確かにインスタントに頼りっぱなしだしなぁ…
813SUPPOSITORY PANIC 5/12:2006/04/15(土) 21:35:02 ID:5/cimWEF0
「じゃあよろしくね。」
そう言いながら郁乃は上体を起こす。
「無理すんなよ。」
「大丈夫よ。もう大分楽だし。」
「熱は・・・・まだあるじゃないか。もう少し横になってろ。」
郁乃の額に手を当てながら、そう言った。
「なっ!?」
郁乃の顔は真っ赤だ。
「ほんとに大丈夫か?」
「〜〜〜〜〜!!さっさと取って来い!!!」
枕投げてきた。


キッチンに向かうと机の上におかゆと…菓子パンとメモ?
メモを見てみると、

たかあきくんはコレで我慢してね
本当は作りたかったんだけど、時間なくて…
                −愛佳−
愛佳の気遣いに苦笑しながら、おかゆの入ったなべを火にかける。
ってゆうか、菓子パン買い置きしてあるんだ…
814SUPPOSITORY PANIC 6/12:2006/04/15(土) 21:36:07 ID:5/cimWEF0
なべをお盆にのせ、郁乃のもとへ。
「おまたせ〜。熱いから気をつけろよ。」
おかゆを小皿に分け、れんげを渡してやる
「あっ!」
が、郁乃はれんげを落としてしまった。
「どうした?」
「…手がしびれて上手く持てないのっ!」
そっか、こいつ寝起きはほんとに弱いんだったな。
痺れがとれるまで待ってたら、おかゆが冷めるかもしれないし…
恥ずかしいけど、仕方ないか。
余ったら貰おうと思っていたので、れんげは2本持ってきていた。
「ほら、郁乃。あ〜ん」
うぅ、やっぱり恥ずかしい。
「な!?何してんのよっ!」
「いや、おかゆ冷ましちゃうのももったいないしな…」
「う…しょうがないわね・・あーん」
「ん。上手いか?」
「う、うん。おいしい。も、もう大丈夫だから!」
「そうか?んじゃ、はい。」
そう言って郁乃に小皿とれんげを渡す。
「全く…わかっててやってんのかしら・・・・」
なにかぶつぶつ言ってるけど、気にしないでおこう。
「おかわりいるか?」
「うん」
なべの中はすっかり空っぽになってしまった。
全部喰いやがった…まぁいいか、パンあるし
815名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:36:33 ID:salEn4vN0
>>792
ワロタw




笑えねぇよ(゜Д ゜)
816SUPPOSITORY PANIC 7/12:2006/04/15(土) 21:37:23 ID:5/cimWEF0
愛佳が用意してくれたパンを食べながら、郁乃の薬の事を思い出す。
「そういえば、薬どこだ?」
「机の上。水持ってきてもらえる?」
「ちょっと待ってろよ。」
とりあえず薬を出しておこうと思い袋から取り出す。
「え!?」
「なに?」
「郁乃…薬って・・・・これ・・」
「え?……って、はぁ!?」
そう、薬といっても入っていたのは座薬だったのだ。
「自分で出来る?」
「…出来ないわよ。」
「じゃあ俺が…」
「ッ!?あんたにやられるくらいなら、死んだ方がマシよ!!!」
だよなぁ…愛佳も何時帰ってくるかわかんないし、かといって何時までも放っておくと悪化するかもしれないし…
そうだ!
「じゃあ、俺目隠ししてるからそれで入れるってどうだ?」
「いやよ!!なんで…ツッ!?」
少しよろけて頭を抑える郁乃。
「ほら、無理すんなよ。それにこのまま放っておいたらまた愛佳心配するぞ?」
「うぅ〜・・・絶対見るんじゃないわよ…」
817SUPPOSITORY PANIC 8/12:2006/04/15(土) 21:38:44 ID:5/cimWEF0


何とか郁乃を宥めて、目隠しするということで落ち着いた。
「じゃ、じゃあいくぞ・・」
「は、早くしなさいよ!恥ずかしいんだからっ!!」
つっても見えないからなぁ…ここらへんか?
ぷにっ
「ひゃうんっ!?」
「ご、ごめん!?」
もうちょっと上か?
むにむに
「あっ…ん・・っ…はぁ・・・」
「郁乃…変な声出さないでくれよぉ〜・・」
「あ・・あんたがぁ…変なトコ触るからでしょうがぁ〜・・・・」
やばいやばいやばい。普段があれだからあまり意識してなかったけど、郁乃だって女の子だ。
そんな声出されたら俺のタカ棒が…って落ち着け、俺!!
ツプッ
「・・そこぉ…」
ここか!?ここでいいんだよな!?後は少し押し込めば…
ず…ぷっ・・
「あっ…あぁ〜・・・」
あぁ、その声やめてって…
818SUPPOSITORY PANIC 9/12:2006/04/15(土) 21:39:48 ID:5/cimWEF0

ガチャ

「郁乃、ただいま〜♪たかあきくんもお疲れさ…ま・・・・」
「お、お姉ちゃん!?」
「え!?愛佳!?」
今の状況を整理してみよう。
(見えないけど)下半身丸出しで俺にお尻向けてる郁乃。
目隠しして郁乃のお尻の指突っ込んでる俺。
うん、アウト。
「たかあきくん…信じてたのに・・・・」
「ち、違うんだ!!愛佳!!」
「そ、そう!!違うの!お姉ちゃん!!」
とっさにそんな言い訳じみた言葉が出てくる。てゆうか郁乃も同じこと言ってるし…
「わ、わたしだってお尻はまだなのにぃ〜〜!!郁乃のばかぁ〜!!!」
「「そっちかよっ!!!」」
819SUPPOSITORY PANIC 10/12:2006/04/15(土) 21:40:32 ID:5/cimWEF0

次の日
なんとか愛佳の誤解を解いて、今は3人で登校中。
「ったく…愛佳も早とちりしすぎだよ。」
「だってぇ…」
「もうその話はいいからっ!!」
真っ赤な顔で怒鳴る郁乃。熱は下がったようだけど、とりあえず謝っておこう。
「ごめんな、郁乃」
「ごめんね、郁乃」
「だぁ〜〜!!もういいって言ってるでしょ!!!」
「およっ?なになに?なにがあったの?」
どこからともなく聞こえた声に愛佳が答える。
「たかあきくんが昨日郁乃に座薬を〜ってどちら様ですか!?」
「ほっほ〜う♪そうかそうか、たかりゃんはそうゆうプレイが好きかぁ〜」
「なっ!?ま、まーりゃん先輩!?」
そう、そこにいたのはゴッデス・オブ・卑怯ことまーりゃん前生徒会長。
820SUPPOSITORY PANIC 11/12:2006/04/15(土) 21:41:09 ID:5/cimWEF0
「やっほ〜たかりゃん♪」
「い、今の聞いてました?」
「だいじょ〜ぶ、このことは一字一句漏らさず尾ひれも付けてさーりゃんに伝えといてあげるから☆」
最低だよ、この人・・・
「やめてくださいよ!!」
「でわ、さらばだ☆」
「あっ!!逃げた!!!」
まぁ、久寿川先輩のほうは後で誤解を解いておけばいいか…
そんなことを思いながら郁乃を見ると、真っ赤な顔でプルプルと体を震わせていた。
あっ、やな予感。
「たかあき…あんたってやつはぁ〜!!!!!」
「げふぅ!!!」
く、車椅子で突っ込んでくるとは…ガクッ。
821SUPPOSITORY PANIC 12/12:2006/04/15(土) 21:41:49 ID:5/cimWEF0

放課後、まーりゃん先輩から話を聞いたであろう久寿川先輩の誤解を解きに生徒会室へとやってきた。
「失礼しま〜す。」
「こ、河野さん!!」
「はいっ!?」
部屋に入るなり、先輩が声をかけてきた。
「私も…熱があるの…」
「へっ!?」
「だから・・・・コレ…入れてもらえるかしら・・・・・」
そう言う先輩の手には…座薬。
「せ、先輩!!だからそれは誤解で…」
「…いやなの?」
「え!?」
「…いやなのね・・」
「いや、だから先輩…?」
「…いやなんだ・・・」
「あーーー!!!もう!!」
まーりゃん先輩、恨みますよ…
822名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:43:38 ID:cJ2IAbwt0
リアルタイムキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

823SUPPOSITORY PANIC あとがき:2006/04/15(土) 21:45:40 ID:5/cimWEF0
>>788のプロットを見て書いてみた。
細部は違うけど、おれの脳内ではこうなった。
タイトルの意味は「座薬騒動」。
タイトルに一番迷った末、そのままにした。
つか、「ざやく」って漢字もしかして「坐薬」のほう?
824名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:53:14 ID:19+rFS5s0
さーりゃん!さーりゃん!( ゚∀゚)∩
                  ⊂彡
825名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:58:12 ID:8K+zdgJU0
>>823
GJ!!!!!
最後にささらが出てくるなんて思わなかったけど、マジ最高。

さーりゃん、可愛いよ、さーりゃん
ささらとのその後も期待、と言ってみる。

ともかくお疲れでした!
826名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 21:58:25 ID:7QL/avTd0
話よりも小牧姉妹とささらを侍らす貴明に感動した。
827名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:14:37 ID:RsZEbl1V0
目隠しして尻に指突っ込んでるってどんな特殊なプレイだと思ったのかw
828名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:15:09 ID:MMXfmAbI0
>>823
(・∀・)イイ!!座薬いいよ座薬
829名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:21:46 ID:MnrngQjU0
|ω・`)
・・・・・あとで投下しようかと思うんですが
新人でも良いですか・・・?
830名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:24:07 ID:19+rFS5s0
投下するのは構わない。むしろ大歓迎。どんとこい。
でもsageてくれると嬉しい。
831名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:30:04 ID:ppRbicji0
半角文字のせいで、ほとんどNGになってて読めなかった
832名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:33:21 ID:46Wp6VOK0
由真かタマ姉でアナルセックス→痔→タカ棒がポラギノール軟膏注入というシチュきぼん
833名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:37:01 ID:MnrngQjU0
|ω・`)・・・sage忘れゴメソ
最近TH2やって愛佳のしかないけどおk?
同じSS書きの人に質問なんですが
会話ほとんどなくてもいいですかね?
834名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 22:49:27 ID:5/cimWEF0
>>822>>824-828
ありがd(・ω・)
>>831
ゴメン(´・ω・`)
>>833
俺もまだ2,3個しかSS書いてないけど、いいと思うよ?
俺は会話だけになりそうで、むしろうらやましいw
835名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 23:08:08 ID:MnrngQjU0
|ω・`)>>834 そ、そうですか
なんだか文が短くて縦に長いんです。
正直こんなの描いたの5年ぶりくらいなので自信がないっす・・・
836788:2006/04/15(土) 23:10:59 ID:757YjLs50
>>823
SS化乙&ありー
GJでした! つか、指突っ込んだのかよw

帰宅したら自分で書いてみようかと思ってみたけど
いい出来のがあぷされたんで良かったよ。
837名無しさんだよもん:2006/04/15(土) 23:18:02 ID:eFy306S00
>>823
よし、座薬喜多ーー!!
12/12の続きもよろしくw

>>798
バッチリ。
838792:2006/04/15(土) 23:37:07 ID:Tu+Q8y3A0
>>792の作者です。
拙作を読んでくださった方、ありがとうございます。
某氏の創○○会員疑惑が表立ち、それから五分足らずで作り上げた作品なのですが、
拙作で気分を害された方もいらっしゃるようで、その方々には深くお詫び申し上げます。
あくまでネタはネタと受け止めて頂ければ恐縮です。
839名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 00:01:33 ID:X6RIn0f/O
これが>>838が最期に残した書き込みだった…
840名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 00:45:17 ID:wlmgUNNP0
南無ぅ。
841名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 00:53:06 ID:DqfVzW+P0
>823
郁乃&愛佳に笑い、さーりゃんに萌えた。まーりゃん先輩GJ!
でも普通に考えると坐薬って自分でも入れられるよーな気が…
842名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 01:28:07 ID:RXpHd4zE0
>>792
生々しすぎるんだけど(笑
843785:2006/04/16(日) 01:44:58 ID:3SZT6hAj0
>823
GJ!!!!!
いやー、なんでも言ってみるもんだw
844名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 01:51:31 ID:qN1Z9qm10
>>832
ネタとか抜きにしてもアナルセックスで痔になることは多いよ。慣れていない人間ならばなおさら。
由真なんか強がって(or恥ずかしがって)我慢してるうちに余計に悪化して病院行く羽目になりそうな気がする。
845愛佳:2006/04/16(日) 02:34:43 ID:kYF62eH00
名前を呼ばれるたびに、胸の鼓動が高鳴った
そのだいすきなひとの唇が、私の名前を紡いでくれる
それだけでも十分だった

正直言って、ここまで好きになるはずじゃなかった
貴方のことを、いつもどこかで探していた
貴方の顔を、もっと見て居たかった
貴方の胸に、ぎゅっと抱いてほしかった
貴方の唇に触れてみたかった
いつか髪を鋤いてくれたその手に
いつもも少し近くに行きたかったけれど
中々出来なくて言葉を飲んだ
846愛佳:2006/04/16(日) 02:35:30 ID:kYF62eH00
私は荷物をまとめていた
もうここに来ることはないのだと思いながら
それは妹の手術の日
時期はずれのサクラを探して駆け回った初夏
サクラが見たいといったあの子のために
私たちは必死でサクラの木を捜して駆けずり回った
偶然にもサクラのような枝を見つけて
サクラだと誤解してくれることを期待して病院を出た
病室からの帰り道、私は学校に足を向けていた
彼も心配そうに付いて来てくれたのが嬉しかった
午後の暖かな日差しに浮かび上がる図書館の秘密基地
できるだけ手際よく後片付けを終えて
こんな日がまだ続くだろうと買っておいたお茶請けを見る
幸せな時間がもう訪れないという絶望感で胸が一杯になる
泣いてはいけないと、心に誓う
ここで泣いたら、二人の時間は悲しい思い出になってしまう
少なくとも彼には、楽しい思い出でありますようにと願っているから
「ねぇ。これみんな食べちゃお」
後ろで見守っている彼に悟られないように
できる限り明るく告げるが、声は喉をなかなか通ってくれない
もしかして声が震えていたのかもしれない
彼を来客用のいすに無理やり座らせて、隠していたお菓子をありったけ
机に運んで封をといていく
彼は戸惑っているようだった
甘いものでも食べながら笑って話をする
そしてここを出たら、彼と笑ってさよならをするのだ
いつのまにか机の上はお菓子だらけになったが
彼はまだ手をつけていなかった
847愛佳:2006/04/16(日) 02:36:46 ID:kYF62eH00
しょうがなく私は彼の座ったいすの前のいすに座ってお菓子を口に入れる
甘いお菓子はどうして人を幸せな気分にするのだろう
こんな幸せを、どうしてもう彼と分かち合えないのだろう
こうして傍にいることをただ願っていたのに
涙がもう目の隅に溜まっているのに気づいて私は他のお菓子を口に入れる
呆気にとられていた彼が私の様子に気づかないで居てほしくて
私はただ食べつづける
彼の進まない手が苛立たしかった
『そうだね』って言って欲しかった
このお菓子の山の高さがが、私の業の深さなのだと思う
そしてこれがなくなったら、私は彼と作業をし始める前の私になれる
そんな気がする
848愛佳:2006/04/16(日) 02:37:39 ID:kYF62eH00
時々喉を詰まらせても、私は食べつづける
酷い姉はこんなところで、好きな人とお菓子を食べている
妹はそんな私を見て落胆するだろう
でも、それもこれで最後だ
彼の視線を感じながらも、私は彼にお菓子をすすめた
「たべないの・・・?おいしいよ?おかし」
口の中のお菓子を気にしないで私は言う
お菓子を飲み下して、私は次のものに手を出した
口の中に叉食べ物を詰め込む
「お、おい!」
不意に彼は聞いたことのない声をあげる
ちょっとビックリして私は一瞬気を抜いてしまう
涙がこぼれたのが分かった
自分でもわかるくらいに大粒の涙
「どうしたの?たかあきくん・・・ほら、まだこんなにたくさん残ってるよ」
それでも自覚するわけにはいかない
自覚したら・・・きっと彼に甘えてしまう
言いながら声が震える
きっと酷い顔をしているんだろう
「こんなに・・・いっぱい・・・」
喉はそれ以上の声をあげてはくれそうにない
胸が苦しい。視界が一気に霞む
頬を、涙が伝う
「ぜんぶ・・・私の前からなくして・・・」
849愛佳:2006/04/16(日) 02:39:07 ID:kYF62eH00
ああ泣いてしまった・・・
そう思えば思うほどに、涙があふれる
もう止められない時間
終わっていく私たちの時間
胸を打つほどに・・・綺麗なオレンジの世界
私の愛した空間
向かい側に座った彼を思った全て
850愛佳:2006/04/16(日) 02:41:38 ID:kYF62eH00
次の瞬間私の体は彼の腕の中にあった
向かいに座った彼がテーブルの上を乗り越えて私を抱きしめた
抱きしめられた反動で私たちはいすに倒れこむ
シャツ越しに彼の体温を感じる
それは私を守るかのような
嗚咽が喉を駆け上がる
肩が震えて、力が入らない
ねぇ、本当にごめんなさい
私の声は出なかった
彼の体が私を覆い尽くす
彼の重みを感じる
優しくて強い彼の腕の中
涙は止まらない
今だけでも
この世界の時間を止めてほしい
彼の胸の中で泣き声だけは聞かれたくなかった
声をあげたら彼はきっと悲しむ
彼は悲しまなくてもいい
私が誘わなければ、こんな思いをさせずにすんだのだ
でも少しだけ
少しだけこの時間を私にください
何度祈っても願いを叶えてくれなかった神様
もう何も要らないから
彼だけでも私にください
ねぇ神様
851愛佳:2006/04/16(日) 02:45:21 ID:kYF62eH00
私が泣くのをやめたころ
彼の戸惑いが手にとるように分かり始めた
思わず抱いたはいいが、今更になって緊張の度合いを強めていく
彼の胸の鼓動が大きくなっていく
彼は少しだけ体を引いて、私の背中、肩をまさぐる
いとおしい
素直にそう思えた
「た・たかあきくん・・・」
気が付かないうちにいとしい彼の名を呟いていた
こんな私なんかに気を使わないでいいのに
もうずっと前から、求められたら答える決心はついていた
やがてぎこちなく、行き場を失った手が私をなで始める
痛いほどの緊張感が私に伝わる
はじめて貴方が私の髪に触れた時も
はじめて胸を触られた時も
本当は少しだけ期待していた
期待するだけでも私の奥が濡れるのを、彼は知らない
この日を・・・本当はずっと待っていた
「予行練習なんかじゃない・・・」
彼の私に聞こえるようにそういって
決心したように、私の胸のふくらみに触れた
自分の意志とは関係なく与えられた感覚に私は少し驚いてしまう
息がしづらい。下腹部がうずく
ここまで来て引き下がれないのは私も一緒だった
852愛佳:2006/04/16(日) 02:47:26 ID:kYF62eH00
「あ・・あのさ・・・」
彼の口から思わぬ弱気な発言が飛び出す
「もし嫌だったら・・・」
さっきから彼の喉が何度も生唾を飲んでいるのが分かる
言いよどんで私の反応を気にしながら・・・
少しの沈黙
中々声が出ない私は、彼の胸で首を横に振った
意味を取り違えたのか、彼は慌てて言葉を続ける
なにか綺麗なことでも言ってはぐらかす気だ
思ったとおりはぐらかしの言葉が後に続いたので
なんだかおかしくて吹き出してしまう
「たかあきくん、止める言い訳ばっかり」
彼の言葉を遮るように私は言った
「私のほうが男の子みたい」
言ってから私は俯く
胸まで触って今更後に引くはずがない
彼に抱かれる私を想像して、私のほうがいやらしいみたいだと・・・
少しだけ本心をさらけ出したみたいで恥ずかしさがこみ上げる
彼は私の顔を見て、確かめるように「いいの・・・?」と呟く
まるで私が誘ったみたいで、顔が熱くなる
「嫌じゃない・・・。ホントだよ・・。嫌じゃないから、じっとしてるの」
言ってから言葉を頭の中で反芻すると
かなり恥ずかしいことを言っているのがわかった
「してもいいの・・・?」
彼はどうしてもハッキリ言って欲しいらしい
恥ずかしくて顔を見れない
下腹部がキュンとして、下着に何か染み込んでいくのを感じる
「こ、これ以上・・・」
喉が震えた
「言わせないで・・・」
853835:2006/04/16(日) 02:52:19 ID:kYF62eH00
|ω・`)・・・「愛佳」前半ですが・・・つたない文でゴメンなさい
まぁ台詞は一切自分のものではないところが気になりますね・・・
多分だれか書いてるような愛佳視点の独白文ですが
・・・続き・・・読みたいですか?
854名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 03:26:35 ID:1R8x+PVw0
おねがいしまつ。
855名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 04:21:23 ID:G8poUrUS0
>>853
こ、これ以上言わせないで・・・
856835:2006/04/16(日) 08:22:20 ID:kYF62eH00
|ω・`*)・・・ごめん・・・まだ書きかけやねん・・・
ってかゲームと同じ流れは・・・つまんなくないかと
どうしよ?
857名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 08:42:36 ID:haJtLAXu0
>>856
ゲームとは同じ場面でも別の視点からだからつまらなくないよ。
858名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 09:25:27 ID:8P3KMzIz0
>>853
まず視覚的に読みにくい文であると感じた。
ちゃんと句点を使え。内容以前の問題だ。
続きを書くなら直すがいい。
859835:2006/04/16(日) 09:35:09 ID:kYF62eH00
|ω・`)>>858・・・使おうとすれば使えるが
あんまり使わないように意識して抜いてるの
(深い意味はない)
読みにくいとは思うが、やっぱダメかな?
860名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 09:46:50 ID:998LaB4W0
本編よりも|ω・`)が気になってしょうがないのは俺だけか
861名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 11:45:51 ID:SG+6eMz4O
内容は激しく期待してるけど、中の人がちょっとうじうじしすぎ。
途中で反応確認したりせずに、肚括りなされ。
862名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 11:49:28 ID:OTlUcwDk0
>>859
意図して使ってるならそのままでいいんじゃない。
句点ないとダメな読者なら読まなければいいだけだ。
863名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 11:52:02 ID:ONZr3j/80
>>853
今やめたらそこまでの半端状態で評価されるよ。

で、途中で反応窺われたから言ってしまおう。
正直、ポエミーなので読み飛ばした。
句点なし短文連打はもうおなかいっぱい。
864名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 12:22:43 ID:rLzKM9wI0
改行ばかりだねぇ。文の終わりに句点を用いないのは論外だし、
かと思えば箇所によっては使っている。他人に読ませるなら
文章として最低限の体裁は整えましょうってことかな。
あと短い文を箇条書きにずらずらと羅列してるだけでたどたどしいね。
それだけ表現したいことがあるのだろうけど、まとまりもほしいところだ。
865835:2006/04/16(日) 12:32:42 ID:kYF62eH00
うむ参考になるなぁ、人の意見は。
実際書こうとは思うが、多分何日かかかるよ
居間で書いてるので投下は深夜だろうし
でも、貴重なご意見をみんなありがとう
866名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 13:16:08 ID:5VrQ1gjM0
>835のは極端(故意)だろうけど、改行が多い方が読みやすい意味もあるんだよな
あと空白行を使うかどうかも悩む。そのへんセオリーとかあるの?
867名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 13:49:02 ID:rk5kT8xcO
>>859
携帯から読む分には改行は全く問題ない。内容は良いと思うので続きマダー
868名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 14:35:33 ID:TJqVNsD50
書く側としては色々な方からの指摘は参考になりますよ。GJ、面白いと言ってくれる人もできればそれだけでなくどういったところが良いと
思ったのかなど具体的にもっと書いてもらえるとありがたいんですけども。
869835:2006/04/16(日) 14:40:25 ID:kYF62eH00
一人称で書いても、口頭文(とでもいうのか)での心情は書きたくない性格なので
ゲームとはかけ離れた感はありますね。あえて突っぱねているが、これは箇条書きにしか見えないね
今読み直してみたら。確かに「、」を使うべきところで使ってなかったり、「。」でくくってしまったほうが
読みやすいかもですね。深い意味もなく抜いただけなので逆効果だったのか・・・
>>861の言うとおりウジウジしているかもしれないが
ぶっちゃけ「他の人の意見や、物の見方の違い」というのが得たくて投下したわけで。
870835:2006/04/16(日) 14:42:00 ID:kYF62eH00
あれ?>>868の人が同じことを言ってくれてるww
871The 薬(1):2006/04/16(日) 15:41:17 ID:X6RIn0f/O
「…それじゃあ委員会に行くけど、大丈夫?」
この『大丈夫』と言うのは一体、誰に向けての言葉なのだろうか…などあまりい意味の無い考え事をしながら愛佳を書庫から送り出す。
となると、当然郁乃と二人っきり。
ここは暇つぶしに全力でからかってやるのが未来の義兄様の仕事だ。
(…なんてな)
ハハッと思わず苦笑い。
そんな事したら命がいくつあっても足りないよな。
「何よ…、急に笑いだして。良いお医者さん紹介してあげようか?」
相変わらずの口の悪さ。仕返しに『こいつと付き合う奴は苦労するだろうな〜』という視線を投げ掛けてやる。
「あんた、今失礼な事考えてたでしょ。」
「えっ!?まさか〜。」
本日二度目の苦笑い。
「…そうそう、イイ物見せてあげるわ。」
「イイ物?何?食べ物?」
俺の問いかけに答えず自分の鞄をガサゴソと物色する郁乃。
「ん…、あった。これ。」
そう言って鞄から取り出されたイイ物とは、ピンク色で見掛けは女の子らしいが、側面に『大往生』と書かれた…
「スタン、ガン?」
そう、スタンガン。
「そ、良いでしょ。今日貴明と二人っきりになるかも…って話してたら姫百合さんが貸してくれたの。」
872名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:07:30 ID:1roo8T9Y0
>>835
俺は、句読点云々ってよりも、ちょっと全体的に表現がクドく感じた。
例えば、文中に「私」と「彼」を多用しすぎというか、文章の雰囲気自体は悪くないんだから
もっと削るべきところは削って、まとまりのある作品に仕上げてくれればよかったのになと。

あとはまあ、これは俺個人の希望なんで無視してもらって構わないんだが。
別に締め切りがあるわけじゃないんだし、どうせだったら全部書き上げてから投下すれば
よかったんじゃないか?
前編(という体で)投下して、「続き読みたいですか?」とか、向上心があるっていうよりも
構ってチャンみたいに見えるからさ。
873The 薬(2):2006/04/16(日) 16:09:48 ID:X6RIn0f/O
「お姉さんの特製らしく最大出力なら牛でも倒せるらしいわよ…。
試してみる?」
すっ、と珊瑚ちゃん特製スタンガンを近付けてくる。
「わっ、止めろって!」
「冗談よ。そんな事したら姉になんて言われるか。
運がよかったわね。」
「は、ははは……はぁ…」
ありがとう、愛佳。
「ところで、郁乃。」
「何よ、改まって。」
「悪いけど…お前の気持ちには、応えられない。」
「………」
「俺には愛佳がいるから。
本気で、好きなんだ。愛佳の事が…。だから、ごめん。」
バチバチバチ…
無言でスタンガンのスイッチを入れる。
「一度、死んでみる?」
顔先、5cmまで迫る青白い光。
「わーーーっ!待った待った!!落ち着けって!!」
「落ち着くのはあんたでしょ!何いきなりぶっちゃけてんのよ!!」
「と、取り合えず…、それを、下げ…下げてください。」
何とかスタンガンをしまわせ、改めて向き合う。
「いや…、お前、顔がすごく赤かったからてっきり愛の告白かと…」
「……あんた、馬鹿でしょ。真性の。
なんで姉はこんな奴に…」
かなり失礼な事を言われる。
「朝から少し熱があるの。分かった?」
874名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 16:14:14 ID:X6RIn0f/O
ω・`)ノ 
先をこされたが座薬投下です。
携帯厨だから遅くてスマソ。
評判がよければ後で投下すます。 
875河野家にようこそ の作者:2006/04/16(日) 18:13:33 ID:i8qdDMzx0
河野家の作者です。
えっと、今、決心したので書きます。明日の河野家はお休みさせてください。

皆さんに指摘され、改めて読み直してみると、確かに貴明が饒舌過ぎると自分でも思いました。
で、それを気に掛けながら53話をついさっきまで書いていたのですが……どうも、筆が(と言うか
キータッチが)進みません。
このまま書いていて、もしかすると明日に間に合うかもしれませんが、なんか、満足のいくものを
書ける自信がない、と言いますか……。
(ちなみに俺はいつも、日曜日にまず全体を書いて、一日おいて、月曜に見直し・修正の上、書き
込みをしています)

いい機会といってはアレですが、ちょっと以前の話を読み直したりして、自分の中の貴明像を描き
直してみます。
済みませんが、少し、時間をください。来週の月曜には必ず投下しますので。
心待ちにしてくださっている方たちには、ホント、ご免なさい。m(_ _)m
876名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 18:21:06 ID:WC1oL2fI0
>>875
毎度乙であります。
週刊として書くのは義務じゃないし納得いくものが出来るまで考えると良いかと。
楽しみに待ってるのでがんばってください。
一度本編をやりなおしてみるのも良いかもしれないですよ。
877名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 18:30:55 ID:siYrsCPz0
内面描写っていうか、漠然と気づくような事を、事細かに口に出して説明させすぎな感が確かに
来週まで乙であります
878名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 18:41:49 ID:8ShISqv00
>874
座薬の競演キター。携帯からSSとは凄い根性ですな。。。続きよろ
>875
毎回楽しませてもらっとります。
書きたい時に書くのがSSなんですから焦る必要も謝る必要も全然ナッシングです
仕事で書いてる週刊漫画だってほいほい休載してるけドナー
879名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 19:10:34 ID:4jQsTzhN0
>>823
 「坐薬」が正しいらしいけど、「座薬」でも桶ラスィ
880山崎荘ストーリー小説「To Heart2編」の作者:2006/04/16(日) 19:43:49 ID:iOWL/6uk0
はじめまして山崎荘ストーリー小説「To Heart2編」の作者です。
新しい小説を5月14日(日)より毎週1話ずつ投下させていただきます。
一応ですが、全20話の投下予定です。それ以降は、皆さんの評価次第では
続編(21話以降)も検討しております。本編投下するまで皆さんお楽しみに
881名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 20:10:03 ID:KLeslyff0
>>880
お楽しみにって…
882名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 20:14:54 ID:hrtuJx2H0
ここは皮肉屋が多いスレですが
ss作家さん無くては成り立たないので
頑張ってください
883823:2006/04/16(日) 20:32:15 ID:27nLUlau0
やっぱり自分の書いたSS褒められるとうれしいなw
携帯からみんなの感想読んでほくそえんでた俺は、周りからみたら相当変なやつだったろう。
>>874
スタンガンこえぇwww
続きが楽しみだ(^ω^)
>>875
乙です。頑張って下さいw
>>879
そっかぁ。よかったー(・ω・)

ところで、>>672-677>>809-823が俺なんだけど…

俺、実は東鳩2やったことないんだ。
違和感無かったかなぁ?
884名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 20:38:10 ID:jICFQZ91O
山崎荘って何?
885名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 20:41:19 ID:8ShISqv00
>883
特に問題なかったよ。せっかくだから原作もやって見て自分で判断してくれ
886883:2006/04/16(日) 22:20:33 ID:27nLUlau0
>>885
ありがとうw
でも、金ないからしばらくは買えねorz
またなんか思いついたら投下しまつ。
887名無しさんだよもん:2006/04/16(日) 23:30:01 ID:NL+gjn/2O
携帯から投稿してみたいが実際のスレにどうなるかわからないから困る
888名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 02:05:54 ID:U7qFosRzO
山崎荘とかシランガナ
期待もなにもねぇよ
889名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 02:27:05 ID:wHs6teZc0
つーか(^^)の類でしょ名前からして
反応は餌となるだけ
…とはいえ絶対反応する連中いるだろうから、まあ今後、拒否反応でスレを自沈させないようにな
890名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 22:30:59 ID:6dEC8Sd/0
 
891名無しさんだよもん:2006/04/17(月) 23:45:51 ID:cM4jQr1Y0
>>875
河野家、喜多ーーぢゃなくって、中の人、喜多ーーー!!!
別に義務ではないのですから、ご自分が納得できるように書くのが一番かと。

あと饒舌という点では、貴明もそうですが、愛佳も若干饒舌気味ですね。
以前に優季を叩いて落ち込む貴明を励ます時(第40話)も、愛佳にしては
しゃべりすぎかな?と少し感じました。
まあ、原作通りの設定で、貴明と愛佳が2人きりだと、話がなかなか進まず
2人きりのシーンだけで4話ぐらいかかってしまいそうですが^^;
というか数えてみると、長い長い長い土曜だけで10話経過ですかw
現行スレだけでは収まりきらないわけだ^^;

>>777
そういえば、感想を書くのを忘れてました。
つうか、こちらも月曜連載かと勘違いしてましたw
さりげなく楽しみにしてますので、続きをお願いします^^;

>>883
とりあえず、PS2版でもXRATEDでもいいから、お金ができたらプレーしませふw
892名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 01:44:22 ID:dbE6iK1EO
>>890
そりゃ愛甲よ。もう見てのとおりよ。
893The 薬(3):2006/04/18(火) 15:02:20 ID:dhxTjuxMO
「熱?大丈夫か?」
「ん〜…、平熱より少し高いくらい。
何?心配してくれてるの?」
「当たり前だろ。」
「………」
少し驚いた顔をする郁乃。
「あ、あんたはふざけてる時と真面目な時のギャップが激しいのよ!
ま、まぁ…ありがとう心配してくれて。」
最後の方はゴニョゴニョと聞き取りずらかったが、こう面と向かい合って郁乃に礼を言われるのも…
「意外といいもんだな。」
「はっ?何が?」
思わず口に出してしまった。
俺は馬鹿なのか?
「じゃ、じゃあ奥でバーコード貼ってるから何かあったら呼んでよ。」



「…もう4時か」
作業に没頭すること約30分。慣れてきたのか、小棚の一つを貼り終えてしまった。
そう言えば郁乃はどうなったのか。
休憩がてらソファーのある場所へ向かう。
「………」
郁乃爆睡。
そりゃ静かだよなぁ…、と思った時点で異変に気付く。
894The 薬(4):2006/04/18(火) 15:32:22 ID:dhxTjuxMO
横長のソファーに横になる郁乃。
荒い息に、時折漏れるあえぎ声。
「お、おい!大丈夫か!?」
ユサユサと体を揺すると、ゆっくりと目を開ける。
「…ん、お姉ちゃん帰ってきた?」
「いや、まだだけど…。それより熱は?気分はどうだ?何か飲むか?え〜っと、え〜っと…」
やばい、愛佳いないしどうすれはいいんだ?
ビシッ…
「えっ!」
「いいから…、落ち着き、なさい」
相当、テンパっていたんだろう。
郁乃に頭を叩かれる。
「ご、ごめん。えっと、何かしてほしい事はないか?」
病気の事はまったく分からない為、そう言って素直に指示をまつ。
「鞄の中に…、薬、あるから…取ってちょうだい。」
言われるまま、郁乃の鞄を物色すると、病院名と郁乃の名前、あと薬の名称?らしきものが書かれた紙袋を見付だす。
「郁乃、これか?」
紙袋を見せると、こくりと頷く。
「よし。じゃ、じゃあ…」
紙袋から薬を取り出す。
「………」
「………」
今、俺の手元には鉄砲の弾丸の形をした……
どこからどうみても座薬です
895名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:41:46 ID:UTTm+UlkO
wKtk
896名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 17:46:26 ID:smmhPubF0
本当にありがt…支援
897名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 19:49:00 ID:oh1CFLLA0
座薬ネタは一発ネタだよなぁ。
つーかよっぽど意識が朦朧としてなきゃ自分で入れられるだろ。
でないと自分の尻も拭けんぞ。
それとも郁乃はトイレも誰かの介助がないとダメなのか?
898名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 20:02:34 ID:abujBPN/0
じゃぁ、アナリスクのほうが良いってかこのやろう。
899名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 20:03:26 ID:wWovxA/N0
郁乃のトイレの介助なら俺に任せろ。
900名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 20:13:51 ID:DenS34dH0
闘病生活の長い郁乃だし、一人で入れられるだろ。
身体の動かない爺じゃるまいし。
901名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 20:37:17 ID:UbjXVxIa0
そこをうまいこと言いくるめてインサート

寝起き狙えばいけそう
902名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 20:43:34 ID:si4JU0qE0
こんなときこそ手がしびれる設定が使える
903名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 21:06:46 ID:zzqS9Vaz0
おまいらはいつも俺に妄想の活力をくれる。
なんだか盛り上がってまいりました。
904名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 21:56:47 ID:oh1CFLLA0
つまり朝一だと手がしびれて自分で出来ないから愛佳がいつもフキフキしてあげてるのか。

905名無しさんだよもん:2006/04/18(火) 22:47:34 ID:B/oufRkA0
今までは世話焼きのお姉さんが毎回入れてくれたので
郁乃自身では座薬挿入経験が無く、ひとりで入れるのは無理説を唱える。
906名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 10:23:01 ID:J2YaAUoN0
入院経験から言うと自分でできることは自分でやるものだぞ。
自分でできるのに過度に世話を焼くのは患者にとってもあまりよろしくない。
妹思いの愛佳がそんな勘違いをするとは思えないが・・・

座薬については分からんが浣腸は看護士さんがしてくれたぞ。
907名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 12:11:41 ID:BZfAETK2O
目隠しは郁乃にする方が感度も上がって
お互いに一層興奮するのでおすすめ。
908名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 13:23:38 ID:LLxdOpfg0
目隠ししたら他人にやってもらう意味ないっしょ
ましてや興奮するためにするものでもないんだし
909名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 16:51:22 ID:n+6Ett2y0
一ヶ月くらい忙しくてとまってたSSを投稿したいけれど、
座薬ネタ・郁乃の流れを止めてしまうのが忍びない(´・ω・`)
910The 薬の人:2006/04/19(水) 18:21:26 ID:m4qm+lEZO
かめへんよ。続きはしばらくうpできないから。
みんな、おまいのssを期待してるから早くうp汁
911冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:00:13 ID:n+6Ett2y0
朝、自分の使っているシャンプーのにおいに包まれて目を開ける。
すると、眼前にささらの気持ち良さそうな寝顔が。
驚きのあまり、声をあげそうになるのを抑えられたのは、昨日の夜の出来事を思い出したから。
「シャンプーのにおいは、ささらの髪からか…」
俺は、ささらが起きないように小声で呟く。
時計を遠目でみると、いつもより若干早い時間。
昨日と今日の起きる時間が逆だったら、昨日はもう少し余裕があったかもな…。
でも、もしそうだったら今日ここにいる俺はいないんだよな…。
それはそれで、ちょっと嫌かもしれない…と思わず苦笑する俺。
そういえば、ささらがいつも俺の寝顔を見てるっていてたなぁ。
…今日は俺が見てるかな。いつものお返し(?)だっ。
そして、ささらの顔をじっと見詰める。
その幸せそうな寝顔は、どんな夢をみているんだろうか…。
俺は、ささらから天井に視線を移す。
「貴明さん」
そう急に呼ばれ、驚いて声の聞こえたほうを向く。ささらは、先と同様に眠っていた。
しかし、その顔は先ほどまでの笑顔ではない。どこか寂しさを覚える顔。そして、言う。
「貴明さんは…日本に帰りたいの?私と離れたいの?」
ドキッとした。
寝言は、人の本心を曝け出す。それがたとえどんなことだろうと。
少しでも心に巣食う不安や暗い部分まで全部。
何よりも、悪気がない…どころか、意識すらない状態で言うって事だろう。
そんな状態で言った人に対して、とやかく言う事は出来ない。
ましてや、世界中で一番好きな相手となったら、なおさらだ。
しかし、その一言で、俺の中に心の迷いが生じた。
『離れても、次に会うときはその分まで幸せになれる。』
―――――俺は、ささらと離れたいのか?
912冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:01:14 ID:n+6Ett2y0
「うん…わかってるわ、ママ、先輩。ちゃんと渡さないと…ダメ…だよね…」
今度はまた違うことを言う。さっきとは違う、悲しそうな顔をしながら。
―――渡す?いったい誰に?そして何を?
ささらのお母さんとまーりゃん先輩が関係していることを考えると、【誰】は俺だろう。
―――すると、いったいなにを渡すんだ?
ささらの顔から視線をそらそうとして、やめる。
ささらの悲しい顔はみたくない。だけど、それも俺の好きなささらの一部。
受け入れてあげるべきなのである。むしろ、この顔を笑顔に変えるのが俺の役目だ。
でも、今の2つの台詞から導きだされるものは――――。
まさか――!?
「―――貴明さん、おはよう」
目を覚ましたささらが、笑顔で俺に言った。そして、俺もそれに笑顔で答えた。
「うん、おはよう、ささら」
俺は、それを考えるのを一時的にやめた。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「〜♪♪〜♪〜♪♪〜〜〜♪♪♪〜♪」
ささらが朝食を作ってくれている。いつまで続くのかは分からないけど、今では日常の一コマ。
「ご飯までもうすこしかかりそうだから、のんびりしていてね」
「うん、わかった」
そう言われた俺は、部屋を出てトイレに。
――ふぅ、すっきりリフレッシュ!
手を洗い、再び戻ろうとしたときに、ささらの部屋の扉があいているのに気づく。
そして、扉を閉めようとしたときに、部屋の中に見覚えのある1枚の紙片が。
これをみたら、さっきの予想が明確なものになる。
なぜか俺の直感がそういっていた。
913冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:01:45 ID:n+6Ett2y0
俺はそれに引き寄せられるように部屋に入っていく。
徐々に像がはっきりとしてくるその紙片は――――搭乗券。時間は今日の夕方。
何故か、あまり驚きはなく冷静な判断ができた。
なるほど。そういうことか…。やはり予想はあたっていた。
しっかし、どうやってこれを…ってどう考えても、まーりゃん先輩だろうな…。
チケットってところを見ると、水族館の時と同じだなぁ…。まぁ、今回は金額や重大さが段違いだけど。
あの人、親が3000円より多くもたせない、みたいなこと言ってたような…。まぁ、いいか。
まーりゃん先輩から、搭乗券に意識を戻す。
きっと、まーりゃん先輩はささらに渡させるために、これを渡したんだろう。
いざ、搭乗券を前にすると、また迷ってしまったのだろう。不安の中を。
だから…寝言だけど、あんなことを言ったんだろう。
そして、俺は―――。
俺自身は、どう思っているんだろうか――――?
ささらの部屋の窓から見える空は、青く澄み渡っていた。
しかし、そんな空とは正反対に、俺の心はどんどん曇っていくのがわかった。
変われたと思ったのに、またもとに戻っているのか?
俺がこんなんじゃ、ささらの決心を鈍らせるんじゃないのか?
俺は―――――どうすればいいんだ?
しかし、その心の迷いが作り出す迷宮は、すぐに出口が見つかることになる。
ああ、そうか…。ああ、そうだったのか…。
さっきの心の曇りが嘘のようになくなっていく。その様は、可笑しくて笑ってしまうほどだ。
あの時、俺はあの言葉を理解できなかった。どうして?っと本気で聞きたかった。
だけど、今なら分かる。その意味が、十分すぎるほどに。
俺の心の雲が一掃され、今日の空のように澄み渡っていた。
ふと、ささらの部屋の時計をみると、随分と時間が経っていたのに気づく。
俺はそっと部屋を出て、音を立てないように扉を閉めると、ささらが朝食を作るリビングへ戻った。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
914冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:02:30 ID:n+6Ett2y0
「今日はどうする?」
朝食を食べ終わりそうになり、何気なく言った俺の一言。
今日で終わるであろう、日常的になってしまった一コマの1つ。
「えっと…もしよかったらなんけど…」
言いにくそうな感じ。
今日が最後の一日になるかもしれない(ささらのためを思うと、なるべきなんだろう)ので、思い出になるようなところにいくのかな。
搭乗券の時間が夕方なのも、最後にどこかにいける時間を残すためのまーりゃん先輩の気遣いないのかもしれない。
「今日は…家にいて、ゆっくりしない?」
意外だった。今まで毎日どこかしらには出かけていたから、余計に。
でも、慌(あわただ)しい一日にするより、落ち着いた一日のほうがいいかもしれない。
「いいね、そうしようか」
「ホントにいいの?貴明さんはどこかいきたいところはないの?」
「ささらの行きたいところが、俺の行きたいところ。ささらが家にいたいなら、俺も家にいたいんだよ」
俺は笑顔で言った。ささらは、照れたように顔を朱色に染める。
そんなささらの頭を、撫でる。
特に意味や理由はない。ただ俺がそうしたかっただけだ。
でも、ささらは照れたような笑顔になってくれた。それだけで、俺は幸せだった。
もしかしたらささらの決断を鈍らせることになったかもしれない、と少し反省。
俺は、残り少しとなった朝食を食べる。
そうだ…。あれの用意をしなきゃなぁ…。
今日で帰ることになるだろうから、それまでにはなんとしても。
と言っても、既に渡す物自体は準備してある。後は渡すだけ、なんだけどね。
「ふぅ〜、ご馳走様。今日もおいしかったよ」
ささら特性調味料、【愛】が含まれている朝食は、最後の日でも相変わらずとても美味かった。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
朝食後のデザートである、ヨーグルトを食べる。
一昨日と同様に、美味い。
ささらの料理が無条件で俺の口に合うというのを差し引いても、十分に美味いといえるものだった。
915冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:03:01 ID:n+6Ett2y0
「あ…飛行機雲…」
ヨーグルトを食べながら、窓の外の真っ青な空を見て、ささらが言う。
「すっごいな〜。青い空に、一筋の飛行機雲。まるで、空を二つにわけてるみたいだよ」
「2つの空…。飛行機雲が邪魔をするせいで、決して触れ合うことが出来ない…。まるで、私たちみたい…」
その言葉は、ささらの口から出た。
今まで聞いたことのなかったような表現。
ささらが違う人になったような錯覚すら覚えた。
「ご、ごめんなさ―――」
「うん、確かにまるで俺たちみたいだね。遠い距離があるせいで、決して触れ合うことができない」
ささらが言い切り、話が逸らされる前に、俺が遮って言う。
「えっ?」
驚いた声。顔も、ものすごく意外だ、って感じの顔をしている。
俺はその顔を見て、でも、と続ける。
「ほら、後ろのほうも見て?後ろのほうは、雲も消えてまた1つになってる。触れ合ってる」
さっき以上に驚いた顔をして、俺が言ったほうをみる。
「あ…」
「つまり、一時の別れなんて、どってことないんだよ。どんな隔たりがあろうとも、2人はまた会える。
ちゃんと、また触れ合うことができる」
ささらは、その意味を理解しているみたいだった。
それで、敢えて突然に単刀直入言ってきた。
「貴明さんは…日本に帰りたいの?私と離れたいの?」
寝言のときと一語一句同じ。もしかしたら、ささらはあの時おきていたのかもしれない。
俺は正直な感想を言う。
「ささらがいないのはイヤだ。一緒じゃなきゃ毎日の強さ耐えられないって思うときもあるくらい。
それは、今回こっちにきて、ささらと一緒に過ごして、改めて思った」
今の言葉には、何一つ余計なものに包まれていない。
俺の正直な思いの言葉。
916冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:04:54 ID:n+6Ett2y0
「だけど…。だけど、やっぱり、ダメなんだと思う。それじゃ、ダメなんだと思う。
ささらと一緒にいたいからって理由で、いつまでもささらに依存してちゃダメなんだ。
ささら、NYに行く日に言ってたよね。
『でも、それじゃあ、私、ダメになっちゃう。私たち、だめになっちゃう』って。
俺、聞いたときいまいち理解できなかったんだよね。
でも、こっちにきて、ささらとまた一緒に過ごして分かったんだ。
我が儘で作った時間の中ですごしていたらダメなんだって。
後ろめたい事が一切ない中で過ごさなきゃダメなんだって。
最初にも言ったけど、ささらの傍にずっといたい。でも、それは今じゃまだ叶わない願いなんだと思う」
「ありがとう…ありがとう、貴明さん…」
そう言うと同時に、ささらの目から大粒の涙が零れた。拭う事を忘れたかのように、ただ泣き続けた。
そんなささらを、俺は抱きしめた。
離さないように、ぎゅっと。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 
「貴明さん…実は、渡さなくちゃならないものがあるの…」
しばらく経ち、だいぶおちついたささらが、とうとう切り出してきた。
「ここで、まっててくれる?」
「うん、わかった」
俺は、頷きながら、言う。
ささらが、部屋をでる。そして、少したった後に戻ってくる。
「貴明さん、これ…」
ささらが差し出すのは、俺がさっきみた搭乗券。
「ごめん。実はさ…それさっきみちゃったんだよね。」
「やっぱり…。そう思って、さっき突然聞いてみたの。日本に帰りたいのかって」
「そうだったんだ…。急に核心部分に迫ったから、何事かと思ったよ」
ささらは、笑顔になる。可笑しくて笑ったという感じだった。
俺は、半分わかっていることを聞く。
917冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:07:06 ID:n+6Ett2y0
「でも、どうやってこれを?」
「まーりゃん先輩が私から絶対に渡せって、昨日渡してきたの。貴明さんに、色々やってもらったお礼だーって」
やはり、予想通りの返答が返ってくる。ついでに、これも言っておこう。
「やっぱり水族館のときと同じノリだったんだね」
ここまで見事に予想が的中するのを見ると、俺もあの人の行動パターンが読めてきたのかもしれない。
渡された搭乗券を見直すと、時間まで少し余裕があった。
「ねぇ、ささら。時間まで、もう少しあるみたいだから、最後にこのあたりを一緒に歩かない?」
「荷物の整理はできてるの?」
「実は、一昨日荷物をまとめたまま、面倒だからほとんど出してないんだよね」
俺は笑いながら言う。
「じゃあ、いきましょ、貴明さん」
「うん」
一緒に家を出て、歩く。もちろん、手をつないで。
つなぐ手から伝わるものは、揺るぐ事がないほど強い思い。
――導いた選択。
――確認しあった思い。
――繋がりあう心。
ささらに会いに、NYに来て、本当によかった。
俺は今、心からそう思っている。
 * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
最後に回りながら、NYに来てあったことを色々と思い出す。
自由の女神像の前と、クリスマスツリーのあったショッピングモールに行けなかったのが心残りだったが、
それでも、最後に一緒に散歩してよかったと思う。
そして、もう時間が間近となる今、空港に到着していた。
「はは、半年前と逆になったね」
「ふふ、そうね。なんだか可笑しいわ」
俺が笑いながら言うと、ささらも、笑いながら同意してくれた。
918冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:08:40 ID:n+6Ett2y0
あの時と違うのは、もう遣り残したことがないって事だろうか。
「そうだ、ささら。俺からの今回最後のプレゼント。昨日の夜に買いにいったもの」
そういって、俺はポケットの中に隠していた小さな箱の中に収められた物をささらに手渡す。
「これを…。ごめんなさい、棘棘しい言い方をしちゃって…。でも、ありがとう…。あけて…いい?」
「もちろん。むしろ、いますぐあけて欲しい」
俺から了承を得ると、箱をそっと開ける。
その中に収められていたのは、白い少し太めの紐。いわゆる、リボン。
「白いコート・白い手袋に合わせて白いリボンにしてみました。
本当は、黒にしようかな、って思ったんだけど、ちょっと違うささらもみてみたくてね」
購入した理由をちょっと解説。
「つけてみて…いい…かな?」
ささらは、本当にわくわくしてるように聞いてきた。
無論、俺は頷く。
今つけてる黒いリボンをはずし、俺がプレゼントした白いリボンを同じようにつける。
「ど、どう…かな?」
思わず、くらっとしそうになった。
「自分で、選んでおいて言うのもあれなんだけど…よく似合ってる…」
私服のときのように上下黒とは対照的に、上下白。とてもとても似合っている。
上から下まで完全に白い姿は一種の精霊や女神をも思わせるほどだった。
さらに、首からさげる銀色のペンダントがさらなるチャームポイントを作り出している。
「ありがとう、貴明さん」
ささらは、少しはにかむように笑って言った。
時間はゆっくりに過ぎていく。しかし、それでも、常に刻々と過ぎていっている。
もう、時間はほとんど残っていなかった。
「ねぇ、ささら。最後に、一度キスしていいかな?」
「私も…したかったの」
そう言うと、一歩近づいてこちらを向き、目を閉じる。
俺も、それにつられるようにして、顔を近づけていく。目を閉じる。そして、唇を重ねる。
919冬のNYのひと時のやすらぎ〜最終日〜:2006/04/19(水) 19:15:16 ID:n+6Ett2y0
少しして、二人ともそっとはなれる。
もう残り時間はなかった。
俺は名残惜しい気持ちを抑えて、言う。
「それじゃあ、元気で。また、手紙や電話送るね」
もしかしたら、声が震えていたかもしれない。
「うん、待ってる。私からも、手紙送るし、電話もするわ」
ささらも、目の淵に涙が溜まっていた。
「ありがとう」
そんなささらを、最後に、もう一度だけぎゅっと抱きしめる。
ささらがずっと傍にいてくれてるのを、確認するように。
離れた後、ささらに笑いかける。
ささらも、同じように笑い返してくれた。
「それじゃあ…。また、今度」
「うん、貴明さん、また今度」
そういって、俺はささらに背を向け、歩き出した。
この先、生麦が何回も東にある月と西にある日をみたら、俺たちはまた会える。
その時にはきっと――――。
920↑の中の人:2006/04/19(水) 19:19:08 ID:n+6Ett2y0
以上です。一ヶ月以上あいてたから、もう忘れられてそうですねw
とりあえず、これで終わりです。
一応エピローグも、近日に書き終えて、投稿しようかな、と思っています。
きっと今回も、誤字脱字あると思いますので、
なにかありましたら、よろしくお願いします^^
長々とすいませんでした〜
921名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 21:19:01 ID:aUfvAT890
乙。

座薬に関してはそんなに突っ込まなくていいんじゃないのかw
922名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 21:36:25 ID:si8Ww8h70
座薬だから突っ込むんだろww



とか、思ってしまった俺ってorz
923名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 22:14:49 ID:ZPnZhz+P0
ちょっと座薬ネタしつこい。
郁乃スレでやればいいじゃない。
煮詰まったらSSでも投下してくれ。
924名無しさんだよもん:2006/04/19(水) 23:33:52 ID:M5/WO2eL0
the・ヤック
925名無しさんだよもん:2006/04/20(木) 00:44:54 ID:wKuCv+0+0
>>920
乙であります
なんだかじわ〜っときちゃったよ…
ささらルートもういっかいやり直してこようかなぁ

>>924
シンプル1500シリーズですか
926名無しさんだよもん :2006/04/21(金) 18:16:32 ID:INJJuZE50
>>924
ヤクドナルドはヤクドやないの?
927名無しさんだよもん:2006/04/21(金) 19:09:55 ID:NOnGqlnv0
愛佳「なんでやねん」
928名無しさんだよもん:2006/04/21(金) 21:05:10 ID:PPlAGseP0
最近ちょっとしたSSを思いつき始めたのだが、
いまひとつ話がうまく繋げられなくて困ってるorz
1と4はなんとなく決まってるが2と3が思いつかない感じ。

まぁ、公開できる勇気はないが・・・
929名無しさんだよもん:2006/04/21(金) 21:32:51 ID:2agXyEPHO
>>928
堅苦しく考えるな、心で感じりゃいい
930名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 10:26:51 ID:FgUceXDz0
起承転結ができてない物書きはプロでもゴロゴロしてるからな。
931名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 11:05:31 ID:XHwsWAMD0
>>930
別にそれにこだわる必要はないと思うが
俺的には起転々結とかもありだと思う
932名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 11:56:25 ID:sqSbocIt0
色んなところのSS読むと、起だけで話が終わってるのとか多いもんな。
933名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 12:01:15 ID:E+eyGgeVO
>>927
美凪「あっ…、いいツッコミ…」
934名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 16:49:04 ID:ofP05W5w0
むしろ起承承承でそのままフェードアウトするのが多い。でもシチュが萌えればそれもアリ
935名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 17:56:03 ID:xaZBzLxZ0
いや、ちゃんとイかないとスッキリしないから駄目
936名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 22:21:01 ID:6x3FT4jp0
書いた人間は起のつもりだが、見てる方から言わせてもらえばどう見ても転です、とか
937名無しさんだよもん:2006/04/22(土) 22:55:11 ID:BMFkpf330
俺は最後がケツならなんでも良いけど。
938名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 00:02:09 ID:+ftzXK8+O
みんなSS読むときに起承転結とか考えながら読んでるのか
939名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 01:09:07 ID:AFQPMw0NO
俺は起承転結とか特に気にしない。SSを読まして貰えるだけで満足。
940名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 01:35:49 ID:4gHJZptq0
俺も起承転結とかあんまり気にしてないけど、句点打ってなかったり
誤字が多すぎたりする文章見るとそこで読む気なくしてしまうな。
941名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 02:09:13 ID:a9dnipUt0
俺は場面の描写だけで、話に意味の無いSSが嫌だな。主題が無いタイプ。
942名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 02:25:57 ID:Kewv6dP70
おまえの好みなんかどうでもいい
943名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 07:23:47 ID:yKG2KZTS0
そういうのは、ソノシチュエーションというか萌えとかそういうのが目的なんじゃないのかなー
944名無しさんだよもん:2006/04/23(日) 16:51:00 ID:j9ulkSTW0
起承承結のマターリもそれはそれで。
945名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 04:51:30 ID:rkQxMrZS0
月曜日がやって来ましたwktk
946名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 12:04:50 ID:LHkp3zUmO
月曜日がやってきましたgdgd
947名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 13:00:00 ID:9zxf6a250
河野家はたぶん来るだろうから、投下後は即次スレ準備した方がいいかもね。
もしくはもう950だから次行ってもいいんだけど。
948名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 20:07:40 ID:66vnhq6k0
容量まだあるから次スレじゃなくてもいいだろ
先に言っておくけど、河野家定期更新乙。
949河野家にようこそ 第53話(1/9):2006/04/24(月) 20:51:41 ID:zpeUDIz40
 意地っ張りで毒舌でひねくれ者で、だけど愛佳のことが大好きな郁乃。俺はそんな郁乃が嫌いじゃ
ないし、そんな郁乃が、瑠璃ちゃんたちと友達になれたことを嬉しく思う。郁乃や瑠璃ちゃんが、
互いにふれ合うことで得るものがあったなら――なんてことも思ったり。派手に吹いてしまった牛乳
の後始末をしながら、愛佳にそんな話をしてしまう、ちょっと恥ずかしい俺だった。
 愛佳が部屋に戻ったすぐ後、今度は珊瑚ちゃんがやって来た。るーことのたこ焼き議論に熱中する
あまり、俺を無視してしまったことを謝る珊瑚ちゃん。全然怒っちゃいない俺は、むしろその話題に
登場したチーズ入りたこ焼きの方が気になって、珊瑚ちゃんと食べに行こうと約束。喜ぶ珊瑚ちゃん
の、いつものハグ&キス攻撃を何とか防いだものの、それが不満な珊瑚ちゃんは、代わりにるーこと
キスすると言いだした! るーこをイケナイ道に目覚めさせるわけには行かず、結局、珊瑚ちゃんの
言いなりでキスしてしまう俺、でした……。
 翌朝、帰ってきたタマ姉に起こされる。けど時計を見るとまだ6時前。とりあえず帰ってきたタマ
姉には「お帰り」と挨拶し、もう少し寝かせてもらうことに。
 心地よい眠りの中、花梨や優季、みんなの声が聞こえる。夢、だろうか……

 ……ん〜、なんか、いい匂い。……きっと、バターが焼ける匂い。
 その匂いに誘われ、目を開ける――
「おはよう、タカ坊」
「……あ、おはようタマ姉」
 優しく微笑むタマ姉。ああ、そうだった。タマ姉、帰ってきたんだ。
 で、まだ眠かったから二度寝して……、あれ? 後頭部の感触がいつもの枕と違うような……?
 確認のため、手を伸ばして頭の下に――
 ふにょ。
 枕とは違う、けど柔らかいもの……
「あんっ、タカ坊ったら」
950河野家にようこそ 第53話(2/9):2006/04/24(月) 20:52:12 ID:zpeUDIz40
 ペシッ。
 いて、手を叩かれた。
「いきなり太股触るなんて、ちょっと大胆じゃないの、タカ坊」
 ああ、タマ姉の太股触っちゃったのか……
 ……
 ……
 ……って、
「えええええっ!?」
 慌てて起きて、振り返ると、ソファーに座ってニコニコ笑ってるタマ姉。その場所はさっきまで俺
の頭があった場所で、つまり、俺、タマ姉に膝枕してもらってたってことか!?
「え!? ちょ、た、タマ姉!?」
「起きるなりそんなに慌てて、どうしたのタカ坊?」
「あ、タカくんやっと起きた」
 キッチンの方からこのみが駆け寄ってきて、
「おはよう、タカくん」
「あ、ああ、おはようこのみ……」
 ふと辺りを見回すと……由真、愛佳、郁乃、るーこ、珊瑚ちゃんに瑠璃ちゃん、更には花梨と優季
までいる。つまり、俺はみんなが見ている中、タマ姉の膝枕ですやすや寝てたのか!?
 ……こ、これは、恥ずかしいぞ。
「あ、おはようたかちゃん!」
「おはようございます、貴明さん」
「……あ! お、おはよう……。
 か、花梨と優季も帰ってたんだ」
 何故かソファーの上で正座して、そう答える俺。
951河野家にようこそ 第53話(3/9):2006/04/24(月) 20:52:43 ID:zpeUDIz40
「はい、もう少しで朝ご飯ですから、待ってて下さいね」
 優季はキッチンのテーブルの前に立って、朝食の仕度をしている様子。
「たかちゃん、じゃなかった、るーこのことが気になったから、朝イチで帰ってきたんよ。
 たかちゃん、私がいない間、るーこに何か変わったことはあった?」
 居間のテーブルに食器を並べつつ、花梨が尋ねてくる。
「あ、いや、別に」
「こら、タカ坊」
「え、なに、タマ姉?」
「花梨と優季に、挨拶は?」
 挨拶? ――あ、そっか、花梨と優季だってタマ姉と同じく”帰って”きたんだから、
「お帰り、花梨、優季」
「うん、ただいま、たかちゃん!」
「ただいまです、貴明さん」
 花梨と優季が笑顔で応える。――なんか、嬉しいかも。

 寝具を片づけ、顔を洗い、服を着替えて(居間にみんながいるので、元・俺の部屋で着替えた)、
居間に戻るとすっかり朝食の仕度が整っていた。
 居間のテーブルには、このみ、瑠璃ちゃん、珊瑚ちゃん、愛佳、郁乃、由真が座っていたので、俺
はキッチンのテーブルへ。こちらには、タマ姉、るーこ、花梨、優季がいて、
「どうぞ、貴明さん」
と優季に言われ、俺は優季のとなりに腰掛けた。
 おや? テーブルの真ん中にあるのは、ホットプレート? こんなの、俺の家にあったっけ?
「これ、家から持ってきたんです」
 疑問を口にする前に答えてくれたのは優季。
952河野家にようこそ 第53話(4/9):2006/04/24(月) 20:53:15 ID:zpeUDIz40
「優季の家から?」
「家に帰って、母と色々なお話しをしてたら、何故かこれの話になったんですよ。
 昔――父がいた頃は、これでよくフレンチトーストとか、お好み焼きとか、焼肉なんかにも使った
んですけど、母と二人になったら何故か使わないようになって、ずっとしまってたんです」
 そうか、優季の家、お父さんが離婚で……
「使わないまましまっておくより、貴明さんの家に持ってきた方が何かと使えるんじゃないかなって
思って。で、早速使ってみたんです、このフレンチトーストを作るのに」
 優季が差し出した皿の上には、四分割され、きつね色に焼き上がった食パンが。――うわぁ〜、
焼きたてで、バターの匂いが食欲をそそるなぁ。そう言や俺も、フレンチトーストなんて随分久し
ぶりだなぁ。ガキの頃はよくお袋が作ってくれたっけ。
「それでは皆さん」
 いつもの通り、このみの号令でみんな一緒に、
「いただきます!」
 では早速一口――うわぁ〜、コレだよコレ! ふんわり柔らかくて、噛むとじゅわ〜って卵と牛乳
の味がして、ほんのり甘くて、バターも効いてて――美味いってマジで!!
「美味いっ!」
 優季へ賞賛のサムズアップ。
「わぁっ、やった!」
 手を叩いて喜ぶ優季。
「はむっ、はむっ、おいひーい!」
 フレンチトーストを頬張るこのみ。こらこら、口にものを入れたまま喋るんじゃない。
「うん、美味しい。何枚でも食べられそう。
 ――あ、ねぇ由真、覚えてる? 前に二人で作ったよね、フレンチトースト」
「うんうん、作った作った。懐かしいねー。
953河野家にようこそ 第53話(5/9):2006/04/24(月) 20:53:46 ID:zpeUDIz40
 あたしと愛佳がそれぞれ焼いて、出来たのを取り替えッコして食べたんだよね。
 あたしが作ったのはちょっと焦げてたけど、愛佳、美味しいって食べてくれて、嬉しかったなぁ」
「アレは由真が無理やり取り替えて……」
「ん、何か言った?」
「あ、ううん! ほ、ホントに美味しかったよ、あのフレンチトースト」
 由真と愛佳、二人の思い出にはいささか食い違いがあるようだが、敢えて追求はすまい。
「確かに美味いぞ。だが……
 うーかべ、一つ尋ねるが、この料理はこのまま食べるだけなのか?」
「そのままでもいいんですけど、メープルシロップやジャムをつけても美味しいんですよ」
「甘さが控えめなのはそのためか。では、実際試してみるぞ」
 テーブルに置かれたジャムやシロップをかき集め、それぞれフレンチトーストに塗るるーこ。
 いつもならまず調理法を尋ねるるーこだが、それをしないのは多分、優季が作るのを見て覚えた
からだろう。作り方の次は食べ方もマスターしようということか。少なくともるーこがこのフレンチ
トーストを気に入ったのは間違いなさそう。
「ホンマに美味いなー。瑠璃ちゃんが作るのとはパンが違うけど、こっちもええなー」
 珊瑚ちゃんの言葉が引っかかる。パンが違う?
「違うの、瑠璃ちゃん?」
 俺がそう尋ねると、やや不満そうな顔で瑠璃ちゃんは、
「フランスパンや。フレンチトーストはフランスパンで作るのが正しいんや」
「え、そうなの?」
「当たり前やん。名前からしてフレンチ言うんやから、フランスパン使うのは当然やん」
「そうなの、優季?」
「え? いえ、私も初めて知りました」
 優季もやや驚き気味の様子。それなら、
954河野家にようこそ 第53話(6/9):2006/04/24(月) 20:54:17 ID:zpeUDIz40
「愛佳たちは知ってた?」
「フランスパンを使うフレンチトーストもあることは知ってましたけど、どっちが正しいかは……」
「どうなんでしょう、環さん?」
 いきなりタマ姉に話を振る由真。
「私もあまりフレンチトーストには詳しくないんだけど、そうねぇ……
 同じ料理でも国や地域によって、食材が違うことってあるじゃない? それと同じでこの場合、
どっちが正しいとは一概には言えないんじゃないかしら」
 まぁ確かにその通りだよな。カレーなんかも豚肉やら牛肉やら鶏肉やら、シーフードなんてのも
あるし。あ、確か羊肉を使うカレーもあったような……
「でも……、フランスパンやもん」
 素直に認めようとはしない瑠璃ちゃん。そのクセ、自分の分はちゃんと食べていたりする。
「お姉ちゃん」
「なに、郁乃?」
「さっきの話、あれ、ホント?」
「さっきの話って?」
 すると郁乃はムッとした顔で、
「あたし、お姉ちゃんのフレンチトースト、食べたことないんだけど」
「……え? えええっ!? そ、そう……だったっけ?
 えっと、その、ご、ゴメンね郁乃。今度、郁乃にも作ってあげるから、ね」
「別にいい。優季先輩のフレンチトースト、美味しいから」
 必死で謝罪する姉にそっぽを向いて、フレンチトーストを食べる郁乃。
 恐らく、妹の自分さえ食べたことのないフレンチトーストを由真に食べさせた愛佳が気に食わない
のだろう。全く、郁乃のヤキモチにも困ったものだ――ん? ふと気付くと、花梨が妙に深刻な顔。
「どうした、花梨?」
955河野家にようこそ 第53話(7/9):2006/04/24(月) 20:54:48 ID:zpeUDIz40
 俺が話しかけると、
「たかちゃん、どうしよう……」
「え、どうかしたのか?」
 再度問いかけると、思い詰めた表情で花梨は、
「どうしよう……、コレ、美味しいよ!」
「は?」
 イヤ、確かに美味しいけどさ、それがどうしたって言うんだ?
「タマゴサンドみたいにやわらかくて、ふわふわしてて、でもタマゴサンドじゃなくて、だけど美味
しくて……、こんな、こんな食べ物があったなんて」
「え、花梨、フレンチトースト食べたことないのか?」
「うん、初めて。
 パンと卵のコラボレーションで、タマゴサンド以外にこんな美味しい食べ物が世の中にあるなんて、
私、今初めて知ったよ!
 ねぇ、優季ちゃん!」
「は、はい!?」
 いきなり大声で名前を呼ばれ、ビクッと驚く優季。
「作り方、教えて! お願いっ!」
 手を合わせてお願いする花梨に優季は、
「あ……、ええ、いいですよ。
 あ、そうだ。花梨さん、これから貴明さんのおかわりを焼こうと思ってたんですけど、よかったら
手伝ってもらえませんか?」
「うん、喜んで!」
 ガタッと立ち上がり、優季のもとに駆け寄る花梨。優季からボールとさいばしを受け取り、俺の
おかわり用のフレンチトーストをその中から――って、
956河野家にようこそ 第53話(8/9):2006/04/24(月) 20:55:24 ID:zpeUDIz40
「ちょ、チョット待った! 俺、おかわり頼んだっけ?」
 ちなみに俺が今まで食べた枚数は8枚。食パン2枚分。
 他にもサラダやスープもあるし、フレンチトーストはもう十分なのだが……
 しかし優季は当然のように、
「食べますよね、おかわり?」
「え? いや、その……」
「遠慮しないでください。ほら、まだまだ沢山ありますから」
 花梨の持つボールの中身を見てみると――うわっ! 卵と牛乳を混ぜた液体の中に、ひたひたに
浸った食パンがどっさりと!
「貴明さん、お腹いっぱい、食べてくださいね」
「そうそう、たかちゃん、ここからはこの花梨ちゃんが焼いたげるから、どんどん食べてね!」
「あ、じゃあこのみも、おかわりー!」
「ウチもおかわり〜」
「あ、あの、あたしももう少しだけ、お、おかわりを」
 このみ、珊瑚ちゃん、愛佳が手を挙げる。よかった、俺一人じゃなくて……。

 このみたちだけじゃなく、由真やタマ姉もおかわりしてくれたので、用意されたフレンチトースト
は幸い、残さず食べ尽くされた。しかしやはり俺が請け負った枚数はハンパではなく、おまけに途中
で飽きたからと言ってジャムやらシロップやらをかけまくったのが裏目に出て、俺は食後のコーヒー
すら喉を通らない有様で、今はただ胃袋が無事に消化を終えるのを、ひたすらソファーに座って待つ
のみだった。
 今日が日曜日で本当によかった。この状態で学校まで歩くなんて、考えただけでも……
 ピンポーン。
 おや、チャイムが鳴った。お客さんか? 
957河野家にようこそ 第53話(9/9):2006/04/24(月) 20:55:55 ID:zpeUDIz40
 正直、今は動きたくないのだが、お客様を出迎えるのは一応俺の役目なので仕方がない。、
 腹が苦しいのを我慢しつつ、玄関へ。
「はい、どなたですか?」
 玄関のドアを開けると、
「まいどー、宅配便でーす」
 宅配便のおじさんが、大きめの段ボール箱を抱えていた。
「河野貴明さんは?」
「あ、はい、俺ですけど」
「こちら、河野貴明さん手渡し指定になってますので」
 おじさんから段ボール箱を受け取り――うわ、重っ! 何が入ってるんだこれ!?
「では、確かに。ありがとうございましたー」
 おじさんが去った後、受け取った伝票を見てみると……
「差出人は……雄二?」
 雄二が俺に何を? 伝票には「PC関係」と書かれてあるけど、俺、あいつにPCのパーツとか
もらう約束なんかしてたっけ? うーん、全然覚えがないぞ。
 しかも段ボール箱には「本人以外開封厳禁」とマジックで書かれてある。何なのこれ?
「貴明」
「うおっ!? 雄二、いつの間に!?」
「しーっ、大きな声出すな。貴明、今、お前の部屋に誰かいるか?」
「い、いや、みんな居間だから……」
「なら大丈夫だな、よし、それ持ってついてこい」
 こそこそと階段を上る雄二。一体何なんだ?

 つづく。
958名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 20:56:24 ID:ON3qK/We0
リアルタイム遭遇キタ━━━━━━≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━━━!!!!!
激しくGJ!
959河野家にようこそ の作者:2006/04/24(月) 20:56:41 ID:zpeUDIz40
どうもです。第53話です。

とりあえず一週休んで、過去の話を読み直したり、TH2本編をもう一回やり直してみたりして
ました。
これで心機一転、と行きたいところですが、さて……。
960名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 21:03:34 ID:lmxiFL6Z0
GJです。
河野家があると月曜日がいいものに感じますよ。
毎週ありがとうございます。
961名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 21:16:58 ID:YZnWr37bO
河野家北ーーーヽ(`・ω・´)ノーーー!!
フレンチトーストはとても美味しいものですよねw
先週はお休みされましたけど、もう一度TH2をやり直したりする辺りが流石作者様であります。
続きがとっても気になるので、来週も頑張って下さいね。
962名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 21:17:59 ID:dIG0MTlT0
河野家キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜ー!!
やっと月曜日が来た感じがする…w
963名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 21:56:21 ID:9UTqVG6h0
>>959
河野家喜多ーーー!!!
なんか、久しぶりって感じですね〜。
フレンチトーストと言えば、ダスティホフマンのクレイマークレイマーを
連想してしまう漏れはオジサンでしょうか?
つうか、雄二はダンボール箱の中に潜んで喜多のか^^;
どうせ隠しカメラを仕掛けるとか、ロクなことを企みそうにないけどw

以前のどなたかの書き込みによれば、1年前の4/26が第1話だったそうだから
だいたい連載一周年ですか。 おめでとうございます!
先日時間を作って、第1話から読み返しながら年表ならぬ日表を作ってみたら
1年の連載中に、河野家では19日しか経ってないのですねw
作った日表もupしようかと思いましたが、さすがに思い止まりました^^;
どこまで続くかは作者の方のみぞ知るところですが、これからも
楽しい河野家を楽しみにしてます。


で、今週の「向坂家へようこそ」はマダー?
964名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 22:01:11 ID:9UTqVG6h0
あ〜、あと、そういえば優季の家って母子家庭なのでしたっけ?
離婚とは書いてあったけど、その後再婚したかどうかは不明だったような。
もし母子家庭だとしたら、一人きりの母親を残して河野家へ入り浸るというのは
優季の母親には寂しいことですね。
965名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 22:04:41 ID:v/BVrcj+0
河野家にようこそキターーー!!!!!
面白い!!面白いですぞ〜〜!!!フレンチトースト食べたくなったよ。
966名無しさんだよもん:2006/04/24(月) 22:45:01 ID:xXOrGK600
再婚して無くても男の一人や二人いるだろ。
「河野家」での優季母が娘が邪魔だったとか。
967山崎荘ストーリー小説「To Heart2編」の作者:2006/04/24(月) 23:04:50 ID:KvbX40t10
先日お伝えした通り本編20話(以降皆さんの評価次第で続編)なんですが
取り合えず原稿は既に仕上がっております。後は追加と修正をするだけです
それと実は本編20話の予定でしたが2部構成となってしまいましたが、
投下予定は先日と同じです。それまで待ってて下さいね。

それと河野家にようこそはいつも読んでおります。
面白い展開ですね。今後頑張って書いて下さい。
968名無しさんだよもん
「山崎荘」で登録しておけばおk?