1 :
名無しさんだよもん:
桜が舞う、暖かな季節。
新しい出会いや恋、そして友情に笑い、悲しみ。
すべてが始まり、終わるかもしれない季節。
季節といっしょに何かがやって来る、そんな気がする―――。
ToHeart2のSS専用スレです。
新人作家もどしどし募集中。
※SS投入は割り込み防止の為、出来るだけメモ帳等に書いてから一括投入。
※名前欄には作家名か作品名、もしくは通し番号、また投入が一旦終わるときは分かるように。
※書き込む前にはリロードを。
※割り込まれても泣かない。
※容量が480kを越えたあたりで次スレ立てを。
前スレ
ToHeart2 SS専用スレ 11
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1135597178/ 関連サイト等は
>>2
2 :
名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 13:18:23 ID:tzSPjTub0
>>1 乙です。 そろそろ河野家の時間かな?ワクワクテカテカ
突然やって来た春夏さんがきっかけで、俺は由真が今までウソの名字を名乗っていたことを知る。
由真の本名は『長瀬由真』。何故ウソをついてたのかは知らないけど、特に問題もなかったし、もし
かしたらワケありなのかもしれないので、とりあえずは不問とすることにした。
俺には内緒でタマ姉から相談を受けていた春夏さんは、優季、花梨、由真が家に連絡していないの
を知り、それを咎めるためにやって来たのだ。春夏さんの説得に優季と花梨は応じたが、由真は頑固
に応じない。だけど、そんな由真の心を動かしたのは、故郷に帰れないるーこの悲しげな顔だった。
由真は電話をし、両親に近況を告げた。
由真の後で電話をした優季と花梨は、揃って土曜日、一晩だけ家に帰ることになった。ついでに、
タマ姉も、春夏さんに諭されて帰ることに。その代わりに自分が泊まると言いだすこのみ……って、
愛佳たちもかよ!?
「お、お姉ちゃん!?」
郁乃も驚きの声をあげる。当然だよな、まさか自分の姉がこんな大胆なことを言うだなんて思って
もみなかっただろうし。かく言う俺も驚いてる。
そんな俺と郁乃の顔を見て、愛佳は、
「え、あ、あの、ち、違うの! ヘンな意味で言ったんじゃないの!
その、あたし、今まで友達のお家に泊まったことなんてなくて、だから、憧れてたんです。
友達と一緒のお部屋で、お布団に入って、電気消して、真っ暗なお部屋の中でいろんなことを話し
してるうちに寝ちゃってって、そう言うの、あたしもやってみたかったから……」
「愛佳……、そっか、あの時は、ね……」
由真がそう呟きながら、一瞬だけ郁乃をチラッ見たのを俺は見逃さなかった。
……多分、由真は以前、愛佳を自分の家に誘ったのだろう。だけど愛佳は断った。それはきっと、
郁乃のために……。
「そ、それにね、郁乃にもいい経験になるかなぁって、そう思ったの。
郁乃だって、お友達のこのみちゃんや瑠璃ちゃんと一緒に泊まるの、楽しそうって思うでしょ?」
「そ、そんなこと急に言われても……」
困惑気味の郁乃。
「うん、そうだね。わたしも郁乃ちゃんと一緒に泊まりたいな。
瑠璃ちゃんと一緒の部屋で、一緒に寝ようよ。きっと楽しいよ、郁乃ちゃん」
郁乃に駆け寄ってその手を取り、期待に満ちた眼差しで郁乃を見つめるこのみ。
そんなこのみに圧倒されつつ、郁乃は、
「う、うん……」
その返事を聞いた途端、このみは、
「やたー!! 土曜日は郁乃ちゃんも一緒だー!!」
郁乃の手を握ったまま、両手をブンブン上下に振る。おいおいこのみ、郁乃が壊れるって。
「どうやら郁乃もOKみたいだな。
でもいいのか愛佳? 郁乃って外泊しても大丈夫なのか?」
「ええ、退院後の経過はすこぶる良好で、逆に先生方が驚いてるくらいなんですよ。
それにあたしも一緒だから、もしもの場合の対処もバッチリです」
「ご両親には何て説明するんだ?」
「ううん、そうですね……」
少し考えた愛佳は、ちょっとイタズラっぽい笑みを浮かべ、
「”由真の所に泊まりに行く”って言っちゃおうと思います。これってウソにはなりませんから」
まぁ、それは確かに。あ、でも問題が一つ。
「それだと、愛佳のご両親が愛佳たちに急用とかで、由真の家に電話したら……」
「あ……」
しまったと言う表情の愛佳。その時、
「なら、わたしの家に行くと、ご両親にはお話しなさいな」
それは、春夏さんからの意外な提案。
「え、いいんですか、春夏さん?」
「タカくんたちの生活はもう認めてるんだから、ついでにこのくらいの協力はしてあげるわよ。
郁乃ちゃんとこのみ、仲がいいみたいだから、郁乃ちゃんがこのみの家に泊まるから自分も一緒に
行くってことにしておきなさいな、愛佳ちゃん。
ご両親には、わたしの家の電話番号を教えてあげて。もし連絡があったら、わたしがこっちに伝え
に来るから。それなら安心でしょ。あ、念のため」
春夏さんは俺に厳しい視線で、
「愛佳ちゃんたちにヘンなことしたら、どうなるか分かってるわよね、タカくん」
「しませんしませんって! 信用してくださいよ春夏さん」
「信用はしてるけど一応、ね」
ホントに信用されてるのかな……? ……ん、珊瑚ちゃんが俺の前に来たぞ?
「なーなー貴明、ほんならウチも土曜日、貴明の家に泊まってもええ?」
「うん、別にいいけど。……あ、イルファさんは?」
珊瑚ちゃんとイルファさんは日曜日に遊びに来る予定だった。ってことは、イルファさんも一緒に
俺の家に泊まるのか?
「うん、いっちゃんはな、研究所に帰そう思うねん」
「え?」
イルファさんを研究所に帰す? どういうこと?
「いっちゃんな、最近、みっちゃんやしっちゃんのことよく話すんや。
多分会いたいんやと思う。研究所には、この前の足の故障んとき以来ずっと行ってないから。
せやから土曜日、いっちゃんは研究所に帰して、ウチは貴明の家に泊まりたい思うんやけど、ええ
やろか?」
成る程、そう言うことか。
イルファさんに二人の妹がいるのは前に聞いたことがある。人間同様の感情を持っているイルファ
さんなら、自分の妹たちに会いたいと思うのは何の不思議もない。それに、あの生真面目なイルファ
さんのこと、普段はきっと、瑠璃ちゃんがいない分、自分が頑張らないとと気を張ってるに違いない。
研究所に帰るのは、イルファさんにとってはいい骨休めになるかもな。
「じゃあ、イルファさんは日曜日も?」
「うーん、いっちゃんに決めてもらうわ。貴明の家に行きたいとも言うてたし」
「そうだね。じゃあ……」
部屋割りのことを考える。愛佳は優季の代わりに由真と同じ部屋(元、俺の部屋)、このみは花梨
の代わりに……いやそれだと郁乃と一緒に出来ないから、珊瑚ちゃんも一緒に、四人で瑠璃ちゃんの
部屋か……。まぁ、この四人は揃いも揃って小柄だから、二人ずつベッドで寝ても何とか……
「ほな、ウチはるーこの部屋に泊まる〜」
「え?」
意外だ。てっきり珊瑚ちゃん、瑠璃ちゃんと一緒がいいと思ってたのに?
「それでいいの、珊瑚ちゃん?」
「うん、ウチ、るーこと一緒がええ」
「ほう、嬉しいぞ、うーさん。久しぶりにたこ焼きについて、じっくり語り合うとでもしよう」
るーこが微笑む。またあの意味不明な『るー』だけのやりとりを、夜通しやるつもりだろうか?
ふと、瑠璃ちゃんの方を見る。今の話を聞いていたのか、自分ではなくるーこを選んだ珊瑚ちゃん
を寂しげに見つめる瑠璃ちゃん。しかし、
「ねぇねぇ瑠璃ちゃん、誰と誰が一緒のベッドで寝ようか?」
「え? う、ウチは別に……」
「じゃあ、郁乃ちゃんは誰と一緒がいい?」
「あ、あたし、寝相悪いから一人の方が……」
「えへ〜、実はこのみも寝相悪いんだ。この間なんか、朝起きたら頭が枕と正反対だったし。
あ、そうだ! じゃあ、タカくんにお願いして、ベッドくっつけてもらおうよ! そしたら三人で
一緒に寝られるから」
「え? う、うん……」
「ちょ、ちょっとこのみ、あたしは寝相が悪いからって……」
「そんなのお互い様だよ。あ、でももしわたしが寝ぼけて抱きついちゃったりとかしちゃったら、
その時は二人ともゴメンね。あと、わたしって寝言言うクセもあるらしいから、もしもヘンなこと
言っちゃったりしたら、お願いだから内緒にしてね。それと……」
はは、瑠璃ちゃんは郁乃共々このみに振り回されて、寂しいどころじゃなくなったか。
「おーい、俺は構わないけど、ベッド動かすとき手伝えよー」
「うん、お任せだよタカくん!」
腕をまくり、力こぶを作って見せようとするが、ぺったんこ。
しかしまぁ、土曜日はまだ先なのに、このみのあのはしゃぎようといったら。よっぽど楽しみなん
だろうな。
「何だかなぁ……。あそこまで喜んでるの見ると、家を出る身としてはちょっと複雑な心境だね」
「ですね。私、やっぱり帰るの止めちゃおうかな」
「お、おいおい花梨、優季も……」
俺が慌てるのを見ると優季は、
「ふふっ、冗談ですよ貴明さん。楽しい土曜日になるといいですね」
「だね。たかちゃん、くれぐれもるーこのこと、よろしくね」
「ま、全く……」
言い忘れていたが、春夏さんが家に来たのは、そろそろ夕食が出来上がりって頃。
「そう言えば春夏さん、お食事は?」
タマ姉がそう尋ねると、
「わたしは最近、主人の帰り待ちよ。どこかの誰かさんが、ここのところ毎日のようによそ様のお宅
でご馳走になっているから、一人じゃ寂しくてね」
「え、えへ……」
春夏さんのイヤミに、苦笑するこのみ。
「それにしても……」
春夏さんの顔をまじまじと見つめる由真。
「どうした、由真?」
「若い……、とても子持ちには見えない……」
「や、やぁね由真ちゃんったら。おだてたって何も出ないわよ」
照れる春夏さんが由真の肩をポンポン叩く。しかし由真はその後、とんでもないことを口にした。
「あの、ぶっちゃけ聞きますけど、春夏さんって本当にこのみちゃんの実のお母さんなんですか?」
「……はぁ?」
いきなり何を言いだすかと思えば、相変わらず由真の発想はぶっ飛んでるなぁ。そう思って春夏
さんを見ると……、え? 春夏さんが青くなって震えてる?
「ど、どうしたんですか春夏さん?」
俺の声に、他のみんなも春夏さんに視線を集中させる。
「遂に……、遂に、この時が来てしまったのね……」
二、三歩、後ろによろける春夏さん。
「え? な、何言ってるの、お母さん?」
うろたえ気味のこのみを見つめ、春夏さんは、
「……このみ、落ちついて聞いてちょうだい。実はあなたは――」
『素敵な夜ね、あなた。見て、星があんなにキレイ』
『はっ! 夜間歩行訓練に最適であります、春夏殿!』
『こうして二人きりで、夜の土手を歩くなんてロマンチックね』
『はっ! この堤防ならば、集中豪雨による増水にも充分耐えうると思われます、春夏殿!』
『もう、あなた、いい加減その春夏殿って呼び方はやめて。私たち、もう夫婦なんだから』
『はっ! これは誠に失礼いたしました! 反省いたします、春夏殿!』
『もう、しょうがないんだから。――あら? ねぇあなた、今、何か聞こえなかった?』
『何でありましょうか春夏殿? 小官には特に何も聞こえなかったであります!』
『ううん、確かに聞こえた。川の方から……、今も聞こえるわ、赤ちゃんみたいな泣き声が』
『赤ん坊、でありますか』
『ええ、間違いないわ。多分あの草むらの辺り。行ってみましょう、あなた』
『了解しました! 小官はこれより、春夏殿の護衛任務に就きます!
春夏殿は、小官の後に付いてきてくださいであります!』
「そうして、わたしと主人は川辺の草むらに入っていったの。すると――」
『どう、あなた?』
『草が踏まれた跡があります! この草むらに誰かが入ったのは間違いないのであります!
それに春夏殿のおっしゃる通り、自分にも赤ん坊の泣き声が聞こえるのであります!』
『泣き声が段々近くに……、あなた、何か見える?』
『夜間のため視界が悪く、現在のところ要救助者を確認できないであります。
これは、非常勤とはいえ最低限度の装備を携帯していなかった小官のミスであります! この
責任は後ほど……』
『責任とかどうでもいいから、とりあえず先に進みましょう。
……泣き声はどんどん大きくなってるのに……、どう、あなた!?』
『もう少し先に……、あ! 前方約10m先に、段ボール箱発見! 要救助者が入っているものと
思われます。直ちに現場に急行するであります!』
『あなた、待って!
……はぁ、はぁ……、……あ、あなた、赤ちゃん、赤ちゃんよ!』
『要救助者、発見! これより呼吸及び脈拍の確認を』
『いいからどいて! ――おお、よしよし。まだ夜は寒いのにこんなところに置き去りにされて、
一体どうして……』
『これは小官の推測でありますが、状況から見て恐らく要救助者は、家族の育児放棄によりこの場に
放置されたのだと思われるのであります!』
『つまり捨て子ね。こんなに可愛いのにどうして……。
……ねぇ、あなた、だったらこの子、私たちの子にしましょうよ。
わたし、子供がほしいっていつも言ってたでしょ。きっとこの子は、天からの授かりものよ!』
『同感であります! では、現時刻より要救助者は、小官たちの養子と認定するであります!』
『だって、よかったわね、赤ちゃん。
――この子、女の子ね。そうだ、名前、考えてあげなくちゃ。どんな名前がいいかしら?』
『名前、でありますか? ……申し訳ございません。小官、思いつかないであります』
『困ったわねぇ……、あら? あなた、この段ボール箱』
『段ボール箱、でありますか? ”お好み焼きのもと”と書いてありますが、それが何か?』
『お好み焼き……、おこのみ……、このみ……、
そうだわ! この子の名前、”このみ”でどうかしら?』
『はっ! さすがは春夏殿、素敵なネーミングセンスであります!
小官も”このみ”がいいと思うであります!』
『うん、じゃあ、今日からあなたは柚原このみね。――見て、あなた。この子、笑ってるわ』
『春夏殿のおっしゃるとおりであります! 可愛らしい笑顔であります!
この笑顔、何だか胸に暖かいものを感じるのであります! これが父性本能でありましょうか!』
『ふふっ、あなたっていい父親になれそうね。
わたしも頑張って、いい母親にならなくちゃ。ねー、このみ』
「……」
全員、無言。
「……あの、春夏さん、どう考えても作り話にしか聞こえませんけど?」
その沈黙に絶えかね、口を開く俺。って言うか、おじさんキャラおかしいし。
「……やっぱりそうかしら? そうよねぇ。ちょっとデタラメ過ぎたわね。春夏さん大失敗ね。
こんな作り話じゃ誰も騙され――こ、このみ!?」
驚く春夏さん。このみがどうかした――げえっ!? こ、このみが泣いてる!
「ひ、ひっく……、こ、このみ、お母さんたちの本当の子じゃなかったの? 捨て子だったの?
お、おまけに、このみの名前、お好み焼きからとったの? このみ、お好み焼きなの!?
う、うわああああああああああああああああああん!!」
「ちょ、ちょっとこのみ、本気にしないの!
こんなの嘘っぱちに決まってるじゃない。何、信じて泣いちゃってるのよ、全くもう……」
このみを抱き寄せ、よしよしと背中を叩く春夏さん。
「ぐすっ……で、でも、お好み焼き……」
「だから嘘だってば。段ボール箱からとったわけでも、お父さんとの初デートで食べたお好み焼きが
おいしかったからでもないから、安心して、このみ」
春夏さんがそう言ってこのみを慰め……え、初デートでお好み焼きって、なに? まさか……
「やっぱり春夏さんはこのみちゃんの実の母親なんだ。
それにしては春夏さん、どう見ても若過ぎる……。おかしいとは思いませんか、環さん?」
「由真、きっと考えるだけムダよ。……私も不思議には思ってるんだけど」
つづく。
どうもです。第42話です。
……えー、とんでもない事件が起きてしまいましたね。
……その、何と言いますか……、
『この物語はフィクションです。
実在する人物、事件とは一切関係がありません』
ということで。(^^;
それから、
>>1さん乙です!
15 :
4:2006/01/30(月) 20:44:46 ID:1DD5MAbw0
>>14 河野家喜多ーーー!!!
久しぶりにリアルタイムで読めて嬉しい!
しかし、は、春夏さんたら^^;;
前回のぐ、ぐぐ、ぐっじょ〜ぶっ♪から一転、なんてことをw
しかし、そうかあ、お好み焼きだったのかあ。
>>8 しかし、「うーさん」って、、、釣りバカ日誌ですか?w
新スレのっけから河野家乙!しかしお父さん・・・w
今回は笑ったわww
しかし「とんでもない事件」が素でわからん俺がいる…。
時事問題に疎いのもたいがいにせえとOTL
フルメタか…
河野家キタ━━(゜∀゜)━━!!
毎週楽しみにしとりますよー。
今回は純粋にワロタww こういうのもたまには良いかもです。
GJ!!
>>1 スレ立て乙!
>>14 お疲れ様です。
爆笑させてもらいました。このみのお父さんって…w
中盤のこのみや郁乃達のやりとりも微笑ましい。
隙がないですな。
22 :
名無しさんだよもん:2006/01/30(月) 23:58:11 ID:prVLZEQk0
河野家キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!とはじめて言ってみる。
由真スキーの俺にとってはMOTTOMOTTO由真のツンデレを押し出して欲しいとか勝手に願ってみたり。
ここでは書いてないけど物書きのハシクレとして週一ペースのあなたには感服。
頑張ってください!
>>18 おそらくモテる呪文云々でお縄になったDQNの事件じゃね?
はいはいsage忘れsage忘れ
こうして俺の告白はなんとか成功した。
だいぶ無様なやり方かもしれないけど、それでも俺と愛佳は晴れて恋人同士だ。
おかげで修学旅行も楽しかった。
あの後特別なことがあったわけじゃない、ただ恋人だというだけで俺は浮かれていた。
そんな楽しい日々がこれからずっと続くと思っていた。
しかし、そうは問屋がおろさなかった。
「な、なんじゃこりゃ〜〜!!!」
静かな図書室に俺の悲鳴が響き渡った。
修学旅行から帰還して数日後、俺は郁乃に呼び出されて図書室に来ていた。
「図書室で騒がないでよ、みんなの迷惑でしょ」
戸惑う俺に、郁乃は平然とそう告げた。
そりゃ郁乃の言うことはもっともだが、俺に迷惑掛けまくってる奴が言う台詞ではない。
ちなみに郁乃は退院して、元気に学園に通っている。いまは文芸部で活動している身分だ。
他の先輩には礼儀正しいのに、俺のことだけこき使いやがる。
「郁乃、この原稿はなんだ?今度は何の嫌がらせだ?」
「嫌がらせとは失礼ね。貴明が前から私の小説読みたがってたから、見せてあげたのに」
「何言ってやがる!これはお前の小説じゃなくて、俺と愛佳の…」
「貴明と姉が、どうしたの?」
「う…ぐぐ…」
郁乃が俺に手渡した原稿には、あの日の俺と愛佳の告白劇が記載されていた。
しかも大幅に脚色されて、すごい内容に進化している。
ちきしょう、なぜこいつがこんな物を?
「許可も取らずに、人のプライバシーを物語にするんじゃねえよ…」
俺は凄みを効かせて郁乃に迫るが、郁乃はまるで動じない。
「許可なんていらないでしょ。これは作り話よ」
「何をいうか。登場人物の名前は変えてあるが、これは紛れもなく…」
「だって、こんな恥かしいまねするやつ、現実にいるはずないでしょ?」
郁乃はそう言うと、いつもの底意地の悪い笑みを浮かべた。
ぐ…そう来たか…だが、別に俺も愛佳も別に他人に恥じるようなことは…
「ドラマの真似して告白なんて、恥かしすぎ」
「いや、それはだな…」
「しかも、場所間違えてる。最低」
「い、いや、でもな…」
「告白の台詞なんてまるでストーカーみたい。何?断られたら一生付きまとうわけ?」
「う…でも…」
うう…こうして他人に冷静に分析されれば、そりゃ恥かしいさ。
でも、告白なんてそんなものだろ?
やってみると、なかなかうまくいかないんだぞ…
しかし、郁乃は急に真顔になって、ため息とともに告げた。
「あのね、貴明の告白だけど、二年の高木さんと由真さんに見られてた」
「な、なんだとぉ!」
俺の天敵である由真と、人間スピーカーと呼ばれる高木に見られていたのかよ!
こ、この世の終わりだ…
高木というのは郁乃と同じ文芸部の生徒で、無責任な噂をふりまいては、
その噂を元に小説を書いたりする性質の悪いやつだ。
「ちなみにこの小説書いたの、本当は高木さんだから」
だからこんなに性質が悪いのか…
郁乃が由真から聞いた話では、愛佳が『班のみんなと別行動をとりたい』
と申し出た時点で高木に怪しまれていたらしい。
しかも、愛佳が俺と合流したのを見て疑いを深め、由真と一緒に俺と愛佳を丘まで追跡した。
迂回して丘の裏側に廻り、獣道から展望台の真下に潜り込んでいたらしい。
つまり、俺たちの足元に潜んでいたわけだ。
ちくしょう…そこまでするかよ!乙女の好奇心、恐るべしだ。
「由真さんは他人にはしゃべらないって約束してくれたけど、
高木さんの口を封じるのは無理だった」
郁乃は再びため息をつきながらそう説明してくれた。
「そ、そうだよな…」
「まあ、高木さんの噂はほとんどガセネタだってみんな知ってるから、
徹底して知らん振りしかないと思う。他に目撃者はいないからなんとかなるよ。
しばらくは貴明もおとなしくしててね」
「わ、わかった…」
ふう…郁乃のおかげで、なんとか最悪の事態だけは回避できそうだな…
それにしても郁乃が俺のためにここまでしてくれるとは。
まあ、俺のためというより姉のためだろうけど。
「すまない、郁乃。助かった」
さすがに一言、礼を述べる。
普段の俺なら絶対言わないけど。
郁乃は俺の言葉にちょっと驚いたようだが、すぐに天使のような微笑を浮かべてこう言った。
「別にいいよ、お礼なんて言わなくて…ただし、この貸しは高くつくから」
ちきしょう、やっぱりそうなるか…礼なんか言うんじゃなかったな。
「とりあえず、この本を家まで運んでくれる?」
本はまるで山のように高く積み上げられていた。
ああ、もちろん俺は運んだよ。馬車馬のようにな。
その後数日間は、ほんとにひどい目に会った。
例の噂が広まって、俺も愛佳もさんざんからかわれた。
特に俺と愛佳の告白の台詞は何度も引用され、俺と愛佳にとって猛烈に
恥かしい言葉となって、ある意味永遠に記憶に残った。
しかし、俺たちはシラを切り続け、、そうこうするうちに、
高木はまた新しいネタを発表し、嵐は過ぎ去った。
とはいえ、真実を目撃した由真と、事情を知っている郁乃は、
その後もこのネタで俺をからかい続けるのだが。
騒動が落ち着いてしばらくして、俺はようやく愛佳に会うことができた。
それまでは二人で会うことも避けるようにしていたのだ。
もちろん噂対策のためだ。
「すまない、愛佳。俺が無計画だったせいで、こんなことになって…」
まず、俺は愛佳に謝った。本気で百回頭を下げたい気分だった。
「そんなに謝らないで…たかあきくんは、悪く無いよ」
愛佳はそう慰めてくれたが、俺の気は収まらなかった。
やっと愛佳と恋人同士になれたというのに、俺たちは最近ほとんど会っていない。
「せっかく愛佳が返事をくれたのに…俺の不注意で…」
愛佳は落ち込む俺を見て困っていたが、不意になにかを思い出したように笑い出した。
「ねえ、たかあきくん。これってあの時と逆になったみたいだね」
「あの時?」
「告白の時。あたしが何度も謝って、たかあきくんはそんなに謝るなって、笑ったよね」
「そうだな…」
あの時は愛佳にやたらと謝られて困ったよな。今の俺もそれと同じなんだろうか。
「それに、たかあきくんはそれくらいボケてくれたほうが、かわいいよ」
おっと、そうきたか。
言い返されてみると恥かしいなあ、その台詞。
「それと、あたしはあの時のこと、後悔してないから…」
愛佳はそれだけ告げると、『それじゃ、あたし用事があるから』
と言って慌てて立ち去った。あれは照れ隠しかな…
もちろん俺も後悔なんてしてないよ、愛佳。
あれだけどたばたしたわりには進展しなかったけど、一歩だけは前に進んだ。
そんな俺たちの関係だった。
以上になります。
読んでくれた方がいましたら、ありがとうございます。
>>28 告白事件の完結編、喜多ーー!!
いやあ、GJです。
個人的には、UMAも出してほしかったけどw
しかし、過去スレがわけのわからん流れに^^;
なんか荒らしが来てるね。
まあ、過去スレ埋めてくれる分には問題無いか。
31 :
名無しさんだよもん:2006/01/31(火) 02:40:51 ID:V34wEdNcO
>>28 GJです
てかいきなり俺と同じ苗字がでてきたんでビビりましたよw
おまえら(てか世間)は高木って聞くとそれしか思いうかばねぇのかよ
高木虎之助とかいるだろうに
>>33 豊と同じくらい思い浮かぶ奴が限られてるじゃねーか。
>> 33
普通は由一だろ。
三四郎だろ
Capture1―『まーりゃん』
「み、見失ったぁ!?」
これは流石に想定外だ。
(た、タカくん達、渡り廊下の屋根の上を走って旧校舎に逃げ込んだ
んですけど、その後で先生達に追い付かれそうになって消化器を使っ
ちゃって……)
近くに隠れていたトイボット達まで一緒に目眩ましを食らってしまっ
たと言うことらしい。セキュリティが一番甘い校舎に隠れたこと自体
は良い判断なのだが、それが裏目に出たか。
(どーやら、まだ捕まってはいないみたいなんだけど……)
(まーりゃん先輩!)
(ええっ? どど、どうしよう!?)
(こうなったら、俺達が陽動を……)
(あんたが出て行ったって、事態は悪化するだけなの!)
(だからって、そんな悠長に構えてる場合じゃないだろ? あいつら、
完全に追いつめられてるんだぜ!?)
(雄二、少し落ち着きなさい!)
(なんで姉貴はそんなに冷静なんだよっ!?)
「総員、その場を動くな。現状を維持!」もはや選択肢はない。木の
上から飛び降りて、原付のキーを回す「アタシが時間を稼ぐから、出
来るだけ早く二人を見つけてくれ。その間、タマちゃんが指揮を取る
ように。」
(……了解。珊瑚ちゃん、お願いね?)
(おまかせやー。)
Capture2―『17』
「ど、どうしよう? 私の所為でママが困ってるぅ……」
「大丈夫だから。あとは私に任せておきなさいって!」
粉末状の化学消化剤を浴びて真っ白になってしまった顔を拭ってやる
と、その下から潤んだ瞳が………現れるはずもいない。だが衛星通信
システムで常にデータリンクしている私達は、互いの感情や思考を音
声入出力デバイスを使ったアナログ通話では及びも付かない早さと正
確さで認識することが可能だ。
「どう? 見えるようになった?」
「う、うん。でもぉ……」
「大丈夫だから。」姉さんが居ない今こそ、私が他の子をしっかり支
えてあげないと!「貴明様達は私が必ず見つけるから、あなたは階段
を見張っててちょうだい?」
この子のボディ(ペンギン)では足が短すぎて階段を昇れないし、屋
上の子達を動かすわけにも行かない。ここは一番動きやすいタイプの
ボディ(クマ)の私が二階を調べなければならない。
「珊瑚様、瑠璃様、いまから二階に向かいます!」
よちよちと近きで柱の陰に走ってゆく背中を見送ってから、改めて純
白に染まった無数の段差(私の背丈の三分の二はありそう……)を見
上げてみる。メインボディさえ完成していれば、等という何の役にも
立たない仮定論を頭から追い払って最初のステップへと全身のバネを
使って飛びつく。
「てやっ!!」
ぴょん! じたばたじたばた………こてん。
「……な、なんのこれしきっ!!」
てけてけ、ぴょーん! すたっ、つるっ、じたばたじたばた………ころころん。
「だ〜っ! メインボディだったら、こんな階段っ!」
だったら今頃、こんな所に居られるわけがないという冷静な解析は頭
の隅に押し込む。私が悪いんじゃないもん!
「お、お姉ちゃん……」
「だ、大丈夫、大丈夫っ!」
こ、こんな事ならシマウマかアヒルのボディをお強請りしておけば良
かった(注:アヒルの羽はダミーです)よぉ! というかクマの形し
てるの筈なのに何で指も爪もないのよぉ!? よーし、こうなったら
目一杯に助走を付けて……
「おお、お姉ちゃん、後ろっ!」
「何? 後ろって………きゃん!?」
ふわり、と足下の感触が消えて体が勝手に上昇していく。しまった、
見つかっちゃった?
「あ〜ん、も〜っ! は〜な〜し〜て〜!!」
じたばたじたばた、じたばたじたばた。
「暴れるな、うーの妖精。粉が飛び散って煙いぞ。」
「へ? だ、誰ですか?」
「名乗るほどの者ではない、通りすがりの『るー』だ。」
「る、るー?」
「るー☆」
「る…るー……?」これで良いのかな? というか「どど、どうやっ
て私達の乱数通信に? しかも衛星経由の専用回路の筈なのに!?」
「うーの原始的な指向性電波通信に割り込むくらい、るーにとっては
造作もないこと。るーでは超光速感応通信が常識だぞ?」
「ちょ、ちょうこうそく………なに?」
「よし、着いたぞ。うーは奥から二番目の部屋だ。これで、他の時空
列での恩は全部返したと伝えておくがいい。るーの誇りのかけて。」
「えっと、だから貴女はいったい………って誰もいないっ!?」
Capture3―『まーりゃん』
「こにゃにゃちわーっ♪」
『………………………………………………』
「うわ空気重っ、てゆーかお呼びでない?」
場を少しでも和らげようと颯爽とした笑顔で参上してやったというのに
、まるで銀河共和国分離主義派軍の会議場に飛び入り参加したジェダイ
騎士を見るような視線を一斉に浴びてしまった。
「分かってるとは思うが、今はお前に構ってる暇はないんだ。何を企ん
でるのか知らんが、別の機会に出直してくれんか?」
「なにを仰いますやらマイ・ティーチャー。当事者の端くれとして後輩
の様子を見に来ただけだっての。」ついでに手なんぞ摺り合わせてお伺
いをたててみる「で、二人のどうなったでやすか?」
「お前そっくりの往生際の悪さで困ってるよ……」
ちょっと先生、言葉を選んで下さいよ、と周囲の呟き。
「だったら、僭越ながらアタシめがもう一度……」
「いらん! 余計な手を出すな!」
「が、がびぃぃぃーん……!」
「……先生、そろそろ……」
「ああ、そうですね。始めましょうか?」
「けど、無理矢理お縄にしてお白砂に引き立てるだけじゃ、また同じ事
の繰り返しになるような気もするなぁ……」
「………なに?」
「いや〜。独り言でげすよ、旦那♪」おし! 足を止めた!「でも銀行
強盗とか籠城犯でもネゴシネイトの機会くらいは与えられるのに、いき
なり強行突破じゃ……あたっ!?」
「これでも一番穏便な方法を選んだつもりだ! これ以上長引いて話が
大きくでもなったら、あいつらの将来にも響くだろうが!」
「横暴だ〜! 体罰だ〜! 幼児虐待だぁ〜!!」
「自分で幼児とか言うなっ。」
Capture4―『環』
(タマお姉ちゃんっ、二階の音楽室にいたよっ♪)
(さんちゃん、流石や!)
(るーっ☆)
「よしっ!」これでイニシアチブはこちら側に戻った「このみ、そのま
ま裏を回って旧校舎の角まで移動。慌てなくても良いから落ち着いて、
見つからないようにね?」
(りょ、了解でありますっ!)
「雄二、準備は良い? 合図をしたら一気に駆け抜けるのよ? それか
ら小牧さんをしっかりエスコートしなさいよ?」
(合点承知っ♪)
「笹森さんは、雄二達と合流してネットを運んで頂戴。重いと思うけど、
まだ時間はあるから落ち着いてね?」
「任せといてって!」
「あとは……まーりゃん先輩ね……」
携帯を取り出し、事前に登録しておいた先輩の携帯にかける。あらかじめ
マナーモ−ドに設定してある先輩のそれは、着信音を出すことなくスカー
トのポケットの中でコールに合わせてバイブレーターのみを作動させる筈。
(ぴぴぴぴぴ………とるるるる、とるるるる、とるるるる……ぴっ)
正確に三回、鳴らしたから一旦切る。出来るだけ自分の意図を悟られない
ように、しかし出来るだけ派手に先生方の気を引いてたまーりゃん先輩の
肩がぴくりと反応したのを確認してから、もう一度電話をかける。
(ぴぴぴぴぴ………とるるるる、とるるるる、……ぴっ)
もう一度、三回鳴らす。タカ坊達が隠れているのは二階の……
(ぴぴぴぴぴ………とるるるる、とるるるる……ぴっ)
………音楽室。
そして、まーりゃん先輩が芝居がかったオーバーアクションで先生方の注
意を引きつける瞬間を狙って。
「雄二、いまよ!!」
Capture5―『まーりゃん』
「あたっ! 教師がぽこぽこぽこぽこ人の頭をグーで殴るなっ! これ以
上お馬鹿になったらどーしてくれるんだよっ!?」
「良いからお前は黙っとれっ!」
「先生、そろそろ始めないと人目が……」
「あ、ああ……」とアタシとの談笑(?)に夢中になっていた元担任が我
に返る「……じゃあ、始めましょうか。」
「はい。それでは、打ち合わせの通りに。」
「いいか? 絶対に余計なことはするなよ!?」
「さー・いえっさー!」
と口先だけ確約して、校舎に向かう背中をアカンベーで見送ったアタシは
急ぎ回れ右してタマちゃんとの合流ポイントに所に向かう。いよいよ大詰
めだ。
「…………配置は?」
「予定通りに。あとはタイミングだけです。」
「よしよし、少し計画は狂ったが結果オーライだな。」
大股で校舎の裏側を進むアタシとタマちゃん。その視線の先では他のメン
バー達が息を殺して最後の出番を待っている。
「二人は?」
(まだ音楽室の中や。大太鼓を持ち出してるみたいやなー。)
「転がしたら、どんな音がするんだろうなぁ?」
「タカ坊ったら………安くないのよ、あれ。」
(タマお姉ちゃん。タカくん、気づいてくれてるかなぁ……?)」
「大丈夫よ。タカ坊を信………」
「人事は尽くした。あとは天命に賭けるのみっ!」
「「うわ………」」
(先生達が中に入ったみたいやー。)
「まーりゃんのパパンとママンは?」
(一緒、みたいだね……)
「よし!」これで校舎の外は最も手薄になったはず「B班、索敵モードに!」
「このみと瑠璃ちゃんは、此処に誰も来ないかどうか見張ってて頂戴。珊瑚
ちゃんは引き続き状況報告!」
(はいなー。)
(るー☆)
(りょーかいでありますっ!)
がこがんがこんがこん………がしゃん!
「うほっ、良い音だにゃー♪」
「貴明のやつ、ほんとにやりやがったぜ!」
「感心してる場合じゃないでしょ! 二人は!?」
(三階……ううん、三階を通り越して屋上に向かっとるよー。)
「でかしたぞ、たかりゃん! タマちゃん、ネット展開だ!」
「雄二、笹森さん、小牧さん!」
それっと、息を合わせたと掛け声とともに三メートルほどの大きさのネット
が地面の上に広がる。
(屋上に出たで。先生達も後に続いとるー。)
「いいぞ! いますぐ旧校舎の出口を全て施錠! 歩哨も撤収!」
(るー☆)
焼け石に水かもしれないが、これで数秒は稼げるはず。慌てた教師共がキー入
力で手間取ってくれれば尚よし。
「全員、揃ったな? じゃあ気合い入れて引っ張るぞ。せーのぉぉぉっ!!」
「「えーーーーーぃっ」」
Capture6―『環』
どさどさっ!
「「わわわーーーーーーっ!」」
流石に十メートル以上の高さから落下した二人分の体重の衝撃は半端ではな
かった。一瞬、持って行かれそうになってしまう一同。
「………………………………」
「………………………………」
ネットの真ん中で仰向けになったまま、放心状態のように真上の青空を見上げ
ている二人。それも、しっかりと手を繋いだまま。
「……た、タカくん? 久寿川先輩?」
「二人とも、どこも打ってない?」
「だ、大丈夫ですか?」
「おーい、貴明ー?」
「も、もしかして幽体離脱とかしてるん?」
「はぁ、想像以上に重いんやなー……」
「るー☆」
そんな周囲の騒ぎが聞こえているのかいないのか。やがて、ゆっくりと首を回
して互いの顔を確かめ合った二人は。
「………うふ、うふふふふっ♪」
「ははははっ、あはは……!」
「こりゃお主ら、二人の世界に浸っとらんと………うわっ!?」
「まーりゃん先輩っ! まーりゃん先輩っ!!」
ちょっと怖くなったのか、恐る恐る近づいた途端にネットから飛び出した久寿川
さんにぎゅうぎゅうに抱きしめられ、息も出来なくなってしまったらしいまー
りゃん先輩。そしてタカ坊の方は……
「…………この馬鹿野郎、無茶しやがって!」
「おめぇにだけは言われたくないぞ。この大馬鹿野郎っ!」
……どうやら私が分け入る隙は無さそうだった。
Capture7―『まーりゃん』
走り出した二人が振り返ることは、一度も無かった。繋いだ手から伝わってくる
互いの温もりと想いだけを頼りに校門から駆け出し、前だけを見つめ、アっとい
う間に朝の町並みの中に消えてしまう。全くもって薄情な若造共だ。
「よし」そして、アタシの役目もやっと終わる「……作戦終了、総員撤収!」
はいっ、と嬉しそうに返事をして、一斉に走り出すアタシの可愛い後輩達。
「…………まーりゃん先輩?」
が、その中の一人だけが想像通りに立ち止まり、満足感に浸りつつ皆の背中を見
送るアタシへと振り返った。
「あの……」
「責任者は、責任とるためにいるからなぁ。あっはっはっはっはぁ!」
「………………………………」
「……とまぁ建前はさておきだ。これで本当に最後だからな。ちょいとくらい最年長
者らしく好付けてみたって罰はあたらんだろ。あとを頼むぞ、タマちゃん副会長?」
「まーりゃん先……」ふっと口元に浮かぶ寂しさ「………卒業、おめでとうござ
いますっ、会長!」
「うむっ!」
えっへん、と胸を張るアタシに微笑みを見せたタマちゃんも、もう振り返ろうと
はしなかった。長い尻尾をぶんぶん振り回しながら遠ざかってゆく。
「………とはいえ、どーしたもんか………あたっ!?」
「やっぱりお前かっ!」アタシの脳天にゲンコツくれやがったのが誰かは、今更
いうまでもない「余計なことをするなと言っただろうがっ!」
「余計な事じゃないやいっ! 後輩達の為に粉骨砕身、誠心誠意の覚悟をもって
皆様の………あたたっ! 元教え子の頭を木魚みたいにぽんぽんぽんぽん叩くな
ぁっ! これ以上背が縮んだらどーしてくれるんだよぉ!?」
「………………で?」
「ほえ?」
「これで、心残りはなくなったか?」
「あー……」痒くもない頭を掻いてしまうアタシ「……最高の送辞も貰っちゃっ
たし、ま、いーかな?」
桜の季節が、終わろうとしていた。
というわけ(?)で無事に完結です。
お付き合い頂いた皆様、ありがとうございました。
………花梨と委員長のファンの方々、本当にスミマセンですぅ(汗
次の機会があれば、愛佳かロボ姉妹辺りを扱ってみたいですねw
>>28 お疲れ様でした。
ラストが暖かい話は良いですね。
>>14 乙です。
うわ洒落になってねぇ〜w
春は終らないマダー?
まーりゃん可愛いよまーりゃん
でも、俺ニートだけどたまにパートタイム教師もやってるので、
ささらシナリオの先生達にマジ同情。っつーか、最悪の事態にならなくてホントよかったね。
それニートちゃう
フリーターだよな。
NEET:労働意欲の無い人
フリーター:定職に就いてない人
魂のニート
二位斗で一発えすえすを
すっきりとした寝起き。しかし、同時に不安がよぎる。
昨日の約束を守るために、雪に降っていてもらわなければならない…。
俺は、少し緊張してカーテンの前に立つ。深呼吸をした後、思い切って開ける。
「やった!よかった!ありがとう、お天気お姉さん!」
外は昨日と同様の銀世界。
俺は昨日の天気予報の金髪の美人(といっても、ささらには到底およばないが)
のねえちゃんに思わず心のそこからお礼をしていた。
この際、天気を予報したのは観測機や天気予報士だろうっていう突っ込みはなしだ。
釈迦でもキリストでもなんでもいい、とにかくありがとう…!
俺は、雪を降らせてくれた全ての者(物?)に一礼。
ルンルン気分で、部屋を出る。思わず鼻歌なんかも歌っちゃったりして。
そして、朝食の用意をしていたささらに、おはよう、と挨拶をする。
「おはよう、貴明さん」
「今日も雪降ってよかったよ。昨日の約束が果たせる」
俺は笑いながら言った。
「うん――。楽しみにしてるから―――」
ささらも、にっこり笑って俺に答えた。
「でも、その前にまず朝食よ、貴明さん」
そう言って、出来上がったばっかりの朝食をエプロン姿で運んでくるささら。
その姿に、俺は言いようのない感動を覚えた。
「何そんなに喜んでるの?」
「いや、なんでもないよ…」
そう言って、俺は運ばれてきた牛乳を飲む。
「今の私たちって、夫婦みたいよね」
ささらは明るくそんなことを言って見せた。
それを聞き、俺は思わず飲んでいた牛乳をブーーッ吹く。
「ごほっごほっげほっ」
「た、貴明さん……だ、大丈夫!?」
「ごめん、すぐ拭くから…」
私がやるわ、というささらを制して俺は台布巾と雑巾で牛乳を拭き取っていく。
「もう、バカね。どうして突然牛乳を拭いたりするのよ」
ささらは呆れたような口調だったが、顔は笑顔。
「いや、突拍子もなくあんなことを言われて、つい」
「だって、そう思わない?」
「まぁ、たしかにそうだね。ささらのエプロン姿を見て、俺も同じことを思ったよ」
にっこりしながらささらは言う。
「あなた、ご飯が冷める前に、食べて?」
「い、いただきます」
「はい、めしあがれ」
そう言って本日のささらの手作り朝食を頂く。
ささらって夫婦ネタ好きだよな…。学校にいたときも同じようなこと言ってたし。
そんなことを愛妻(?)朝食を食べながら考えていた。
でも、そんな夫婦ごっこもちょっと照れくさいけど悪い気はしないなぁ。
そんなことも思ってしまう俺だった。
「愛する妻が作った料理はどう?あなた」
まだささらは続けていたが、俺は普通に返した。
「うん、やっぱり美味い。毎日ありがとう、ささら」
ささらはにっこり微笑んだ。
「いえいえ、あなたのためだもの」
「…やっぱり、恥ずかしいね」
俺は、へへっと笑いながら言う。
「もう、今のうちに慣れておかないと、本番でもできないわ」
「まぁ、そうかもしれないけど…。でも、練習っているものかな?こうゆうのって」
「何事にも事前に慣れておくことは、大切なことよ」
たしかに、ごもっともな意見です。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ねぇ、貴明さん。ひとつお願いしてもいい?」
朝食を食べ終わった後、ささらはなにやら俺に聞いてくる。
「ん?なに?」
「私からのもうひとつのプレゼントなんだけど…」
そう言うと、ささらは冷蔵庫を開けて、ヨーグルトを持ってきた。
「もしかして、ずっと隠してたのってこれ?」
「うん…。ヨーグルト…今度こそ食べてくれるかしら…?」
…ヨーグルト?今度こそ?いったい何の話だ…?
記憶の中を【ヨーグルト】で検索。
残念ながら、ヨーグルトを含む記憶は見つかりませんでした。
「う、うん…ありが…とう?」
そう言って、俺はヨーグルトをとろうと腕を伸ばす。
しかし、ささらが腕を引っ込める。その顔は、どこかご不満。
「貴明さん…もしかして…覚えていないの?」
「イヤ~ソンナワケナイジャナイカ。バッチリオボエテルオボエテル」
「やっぱり…。私にヨーグルトを5つも食べさせたのに…」
ヨーグルトを5つも食べさせた…。
「あああああ!!!!!あのときね!!」
俺はやっと、ヨーグルトを含む記憶を検索することに成功。
「貴明さんが食べたそうだったから、きっと喜んでくれると思ってせっかく
買ってきてあげたのに…結局食べてくれなくて…」
「あれは、別にヨーグルトが食べたかったわけじゃなくて…」
ささらは、俺の言葉を完全に無視して話し続ける。
「喜んでくれるって思ったのに…。
なのに…食べてくれなくて…。喜んでくれなかったのかと思って…
だから無理に食べたのに…結局最後の1つを食べちゃって…」
なるほど…そうゆう事だったのね…。
あの時のささらの珍行動の理由をいまさらながら俺は知った。
しかし、濡れ衣を着せられたままでいるわけにはいかない。
「だから、俺は別に――」
「今度こそ、ちゃんと食べてくれる…?」
「うん、食べる、食べるからさ。俺の話も聞いてよ〜」
「な、なに?」
俺の必死な訴えはやっと、ささらに通じた。
しかし、いざ言うとなるとかなり恥ずかしい…。
「あの時は…えっと…実は…」
「やっぱりヨーグルト食べたかったのね?」
だめだ、また振り出しに戻っている…。恥ずかしがらずに言え、河野貴明!
「その…ささらの可愛さに見入っていたから……」
ささらが、ぽかん、とした顔をしている。
「あのときは気付かないでごめんね。今度はちゃんと食べさせてもらうよ」
「うん――」
俺は、スプーンでヨーグルトをすくい、食べ始める。
「美味い…。今まで食べた中で一番だよ」
「もう…大げさよ、貴明さん」
「いやいや、本当に」
俺は、正直な感想を伝えながら、素朴な疑問を問いかけた。
「でも、なんで手作りにしたの?」
「市販のは食べてくれないけど、私の手作りなら食べてくれると思ったから…」
「えーっと…別に市販のが嫌いってわけではなかったんだけどね…。
で、でも、こっちのほうが市販よりずっとおいしいよ」
「ふふ、貴明さん、ありがとう」
「ありがとうを言わなきゃいけないのはこっちだよ」
俺は笑いながら言った。
「ありがとう、ささら」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
ヨーグルトを無事食べ終え、約束の雪だるまをつくるため、公園に来た俺達。
昨日同様、たくさんの子供と大人が居たが、昨日と何か違う。
「貴明さん、あれっ」
「みんな…一箇所に集まってる…何かやってるのかな?」
「あそこにあるのって…昨日私たちが作ったサンショウウオ親子…」
「えっ!?」
言われてみると、確かに俺達が昨日作った親子の場所にみんな密集している。
しかも、数人の子供は昨日の俺達のように背中にのぼっている。
その中に俺の知っている顔があったようなきがするが、気のせいだろう。
「はは…遊具にされちゃってるみたいだね…。どうする?
あの親子の隣に作る予定だったけど、あれじゃ無理そうだよね」
俺は公園に来る途中に決めた作る場所について、ささらに問いかける。
「そうね…。それならあっちで作りましょ、貴明さん」
そう言って昨日同様に俺の腕を引っ張りながら走る。
流石の俺も2回目になれば多少は慣れて、今度は間抜けな声を上げずについていく。
到着した場所は、まだあまり手をつけられていない場所だった。
「貴明さん、早く始めましょ」
「よしっ…最初はカエルだったよね?」
「うんっ」
サイズも決めておいたので、昨日と同じように作り始める。
「〜〜♪〜〜♪」
ささらの鼻歌を聞きながら、雪ガエル作りを進める。
そんな楽しい気分に浸っているささらとは対照的に俺は少し憂鬱な気分になっていた。
遅かれ早かれ明日の事を言わないといけないよな…。
いつ言うべきかな…。今はとりあえず言わないにしても、絶対言わなきゃならない。
あー…プレゼントを渡すときにしよう。そうしよう。
「貴明さん、楽しくない…の?」
急にささらに話しかけられて、我に返る。
「ため息ばかり…。嫌なら止めてもいいのよ?」
「そんなことないよ。ささ、手を休ませてないで作っちゃおう」
知らぬ間に、ため息がでていたのか…。注意しなきゃな。
そんなことを考えているうちに、雪カエルが無事完成。
「おー、なかなかの出来栄えになったね」
サンショウウオ親子ほどとは言わないが、なかなかいい出来になった。
「次はクラゲよ、貴明さん」
ささらはよほど雪遊びが楽しいのか、休む暇を与えずクラゲ作りを開始する。
俺としては少し休みたかったのだが、ささらに言われた以上仕方がない。
さすが、山登りやサンショウウオ狩りなどをしてるだけはあるなぁ。
俺はささらの体力に思わず関心していた。正直、俺以上は普通にあると思う。
「貴明さん、疲れてる…?疲れてるなら、休んでもいいのよ?」
「うーん、じゃぁ少しだけいいかな…?ごめんね」
そう言って、俺は近くにあるベンチで腰を下ろす。
ささらも俺に隣に座り、体を俺のほうに寄せてくる。
「貴明さん、私のために無理してくれなくていいのよ?言いたいことがあるなら、
ちゃんと言って?言いたい事を言えないような関係は、良い関係とは言い難いわ」
俺は、ささらに言われて気付く。
「そうだね…。たしかに、相手の機嫌ばかり考えて何も言えないのはダメだね。
ありがとう、ささら。ささらも何か言いたいことがあったら言ってね?」
そういうと、ささらは俯いてしまった。
俺は、ささらが何を考えているか大体分かった。
しかし、それに対しては俺は……―――。
ささらが悲しそうな顔をしているのに耐えられなくなり、俺は声大きめで言う。
「よし、お待たせ。次、つくり始めようか」
ささらには、いつも喜んでいて欲しい。
そう思う俺が今出来ることは、雪クラゲをつくる事だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「よしっ完成!」
約束の3つ目であるクラゲ(一般的な型)もとうとう完成。
二人の合作第三作目も、なかなかいい感じの作品になった。
「貴明さん、これにはのっちゃダメよ?」
「分かってる。こいつに乗ったら、触手と共に俺の骨まで折れるよ」
そう、精密に再現したせいで、触手が細い。カエルやサンショウウオとはわけが違う。
「でも、貴明さんと一緒に何かができてよかった…。ありがとう、貴明さん」
「いや、俺も楽しかったよ。あり―――グハッ」
急に俺の後頭部に固い何かが当たった。
そちらの方向をみると、また1つ雪球が向かってきている。しかも、標的はささら。
俺は慌ててささらの前に立ち、その雪球からささらを庇う。
「きゃっ…た、貴明さん…大丈夫?」
「ああ、それにしても、なんなんだいったい…どこのガキだ?」
「ガキで悪かったな、ガキで。そんなことを言うたかりゃんは、こうしてやる!」
「ま、まーりゃん先――グハッ」
爆撃を行ってきてたのは、なんとま―りゃん先輩。
サンショウウオ親子のところで見たのは、見間違えではなかったようだ。
「ちょっと、やめてください、いったいなんですか」
「いや、暇だったから二人と遊ぼうかなと思って」
それで不意打ちか…。さすがゴッデス・オブ・卑怯の通り名は伊達じゃない。
「一昨年のエクストリーム大会の時のようにはいきませんよ…!」
俺はまーりゃん先輩の顔面目掛けて、即席の小さい雪球を投げつける。
「あいたっ、やったな、たかりゃん!なら、これならどうだ!」
「ま、まーりゃん先輩、や、やめて!?」
ささらの訴えも空しく、まーりゃん先輩はささらのほうに特大雪球を投げる。
もちろん、それはささらにあたらず、庇った俺に当たる。
あの人、俺が庇う事を分かってて投げてるな…。本当に外道だ…。
「一人じゃだめだ…ささらも、参戦を…!」
「でも―――」
「相手がその気でいる以上、やらなければこっちがやられる!」
「言ってることはかっこいいが、あたし達がやってることはしょぼいぞ、たかりゃん」
俺は、まーりゃん先輩に言われて、恥ずかしくなり、大声で言う。
「そ、そんなの分かってますよ!」
「雪合戦でそんなに熱くなるなんて、たかりゃんもガ――あいたっ」
ささらの投げた雪球がま―りゃん先輩を直撃。
そして、更なる二段攻撃!今度は2つ同時に飛ばされる。
それはまるで拳銃のように、まっすぐまーりゃん先輩を射抜く。
「あだっあうっ、さ、さーりゃん、容赦ないね…」
流石STRの高さは伊達じゃないな…。運動神経はダメダメだけど。
「ご、ごめんなさ――きゃっ」
「ふはは、やっとあたったぞ!さーりゃんに反撃開始だ〜っ!」
俺は慌てて、ささらの前に立ちふさがる。
「俺が守るから、どんどん攻めちゃって!」
「そんな…でも――」
「いいから!まーりゃん先輩をそろそろギャフンといわせてやる!」
「わ、わかったわ…」
その腰のチャンピオンベルト(実際はないが)も今日が最後だ!
「ふふ、甘いぞたかりゃん。くらえっ奥義!【まーりゃん大空襲】!」
そう言って、眼にも留まらぬ速さで大量の雪球を投げつけてくるまーりゃん先輩。
それのほとんどが俺にあたり、俺のHPは爆発的な速さで減っていく。
そして、俺はセンスのない名前の奥義を前に、倒れるのだった。
「あたしに勝とうなんざ、10000年早いぞっ!あいたっ」
「まーりゃん先輩のバカッ!」
「さーりゃんはまだやるきなんだなっ―あいたっおうっぐはっ」
戦死した俺の意識は、そこで途絶えるのだった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「うへ…結局ささらが勝ったの?」
「いやー、たかりゃんを倒したら、さーりゃんったらマジになっちゃってねー。
あたしの【まーりゃん大空襲】を全部かわして、さらに連続攻撃されちゃって。
流石のあたしも、立っていられなかったよ」
「ご、ごめんなさい――」
どうやら、とうとうチャンピオン交代のときのようだ。
「じゃあ、お詫びとして今からさーりゃん家に行かせてもらうね」
ぅぉぃっ、なんつーずうずうしさだ…。そこがまーりゃん先輩らしいともいえるが…。
「それは別に良いけれど…ね、貴明さん?」
「よし、すぐ出発だ!たかりゃん、遅れるなっ!?」
「へいへい、分かりましたよ…」
まーりゃん先輩とささらの後をとぼとぼと歩いていく。
本当はこの後プレゼントを受け取りに行って、渡したかったのにな…。
しょうがない、まーりゃん先輩が帰った後にするしかないか…。
「なんだ、たかりゃん。さーりゃんとの甘い時間を奪ったのがそんな気にくわんか?」
「…そうかもしれませんね…」
俺は素っ気無く答えた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
家に着き、折角なのでささらにまーりゃん先輩と話してもらっている間に、俺はNYに
きて初クッキーをささらに味わってもらうため(ささらには、まーりゃん先輩が来てくれ
たから、と誤魔化しておいたが)急いでクッキー作りをしていた。
「よし、後は焼くだけだ」
俺はオーブンにクッキーを入れて時間をセット。
ああ、この数十分が待ち遠しい。早く、ささらに食べて欲しい…。
クッキーは日本でも食べてもらったのだが、さらに上達した物を食べてもらいたい。
美味しいって言って、喜んで欲しい…。そんな思いが俺の中を駆け巡っていた。
そして数十分後に待ちに待った、ちーんっという音が鳴る。
俺は、出来上がったクッキーをお皿に盛り、二人のいるところまで持っていく。
「お待たせ。どうぞ召し上がってみてください」
「ふむ。その誠意を受け止め、食ってやろう。感謝したまへ」
まーりゃん先輩はついでであるが、それは言わない。むしろ、言えない。
「ささらも、食べて?この河野貴明特製クッキーは結構自信なんだ」
「ありがとう、貴明さん」
そう言ってささらも、河野貴明特製クッキーを手に取る。
「うむ、なかなかの味だ。あたしにさらに美味しい料理を提供できるよう、励めっ!」
「ささら、どう?」
あたしは無視かい、というまーりゃん先輩を本当に無視し、ささらに尋ねる。
「うん、前に食べたときよりおいしい…。貴明さん、ありがとう――私のために…」
私のためにって…感付かれてたか…。まぁ、無理もないか。
そんな中、まーりゃん先輩が急に話をきりだす。
「いやーしかし、たかりゃんもとうとう明日には帰国か。またさびしくなるな!」
「まーりゃん先輩はいつからこっちに住んでる人になったんですか」
「いやー、ほんの数日前からだ」
俺は苦笑する。そして、ささらのほうをちらっと見る。
すると、ささらは俯き、かすかに震えている。雫が顔を伝って落ちている。
「さ、ささら…?どうしたの?」
「なんでもない…なんでもないの――」
「さーりゃん、たかりゃんのお菓子が不味かったなら正直に言ったほうがいいよ?」
俺はまーりゃん先輩をジロリと見ながらもささらに言った。
「うん、俺のクッキーが口に合わないなら、無理して食べないでいいよ」
「違う…ちがうの…」
「さーりゃん…」
「―――」
俺もまーりゃん先輩も、ささらが泣いている理由を察した。
まーりゃん先輩が、こっちを見てきた。
その眼は、「ささらが何かをしでかすかも…」と言っていた。
「う…うぅ…」
ささらの嗚咽が漏れる。
「ささ―――」
俺がそこまで言うと、ささらは急に席を立ち、そのまま自室まで走っていってしまった。
「…ごめん、たかりゃん。言い出しにくいだろうから、あたしが言ってあげようって
思ったんだけど、逆効果だったね…」
「いえ…恐らく俺と二人でも、明日の話になったらこうなっていたと…」
「そっか…」
「…まだプレゼント渡してないんだけどな…」
俺はつぶやくように言った。
「ん?たかりゃん、何か言った?」
「いや、なにも」
まーりゃん先輩は俺の答えを聞くと、遠い眼をして言い始める。
「さーりゃん、きっと明日が永遠の別れ、みたいな感じに思ってるんだろうね…。
あたしの卒業式の時みたいに、いつもどおりを装えなくなっちゃったみたいだね」
俺はまーりゃん先輩を見ると、まーりゃん先輩は力なく笑っていた。
「どーしてあの子はこうも“バカ”なのかな…。
今会えなくなっても…次会うときは会わなかった分も含めて幸せになれるのに…」
「でも、まーりゃん先輩。人は人と離れている間に気持ちが変わりやすい
って言うじゃないですか。だから、次会うときが幸せだとは限りませんよ?」
まーりゃん先輩は、あからさまにムっとしたような顔と声で言う。
「たかりゃん、それ、さーりゃんとたかりゃんの関係もそうなると思って、言ってるの?」
「まさか。俺のささらへの思いは、一生変わりません」
「だったら、さーりゃんが恐れるものは何もないはずだよ。
たかりゃんはどうしてそうさーりゃんが間違っている事をしているのに、庇うの?
……悪いけど、それは優しさなんかじゃない」
そう言うと、まーりゃん先輩は席をたち、ささらの部屋まで歩いていく。
優しさじゃない…?
俺は、優しさで言っていたのか?
まーりゃん先輩が視界から消えると、いわゆる虫の予感というやつがした。
俺は、ま―りゃん先輩の後を急いで追う。
まーりゃん先輩は、俺が慌てて来たことなど気にもしない様子で
ささらの部屋のドアをノック。そして部屋の中にいるささらに言う。
「ちょっと、さーりゃん、分かってるの?」
まーりゃん先輩は、夜に俺の家に来たときのような雰囲気だった。
「さーりゃん!そんなことしてても何の解決にならないんだよ!?」
まーりゃん先輩は扉越しにささらに怒鳴りつける。
「…こんなことしても、たかりゃんに迷惑かけるだけだって、どうしてわからないの!?」
押さえつけられた扉の向こうからは、ささらの嗚咽が聞こえてきていた。
「わかってる―――わかってるもん―――でも――でも――」
消え入りそうな声がそう言ったのが聞こえた気がした。
まーりゃん先輩は激しい口調で言う。
「何?たかりゃんの気持ちが変わるかもしれないってのが怖いって言うの?」
ささらからの返事はない。
「それとも、たかりゃんとの幸せな時間がなくなるのが嫌だからなの?」
また、ささらからの返答はない。
「さーりゃん…さーりゃんがそういうことして、もしたかりゃんがこっちに
残って…それでどうするの?たかりゃん、日本戻れないんだよ」
「一人じゃダメなの…嫌なの…ずっと一緒にいたいの…」
まーりゃん先輩は黙り込む。
「ねぇ貴明さん…。貴明さんは私と一緒にいたくないの…?
私といて幸せじゃないの…?私は信じちゃだめだったの…?」
俺はそれらを全て否定しようとするが、
まーりゃん先輩が堪えかねたかのように大声に掻き消された。
「もう、さーりゃん!そうやってだだこねて……たかりゃんがそうゆう事
言われたり、されたりして、どう思っているか分かってるの?」
「わかんない――わかりたくない―」
「じゃあ、あたしが教えたげる。たかりゃんはね――――」
俺はまーりゃん先輩が次に何を言い出すか察した。
その言葉を言わせては…絶対にダメだ!!
「そんなこと言って欲しいなんていったは覚えない!」
俺はまーりゃん先輩にむけて怒鳴って言っていた。
まーりゃん先輩は俺が急に大声をあげて、驚きを隠せないでいた。
「たかりゃん…」
「俺は先輩にそんなことを言って欲しいと頼んだ覚えはありません」
俺は再び、抑え目の口調で言い、それに…と続ける。
「俺の思いや考えている事は、俺以外にはわからない…」
しかし、まーりゃん先輩は俺に対して怒鳴ってきた。
「たかりゃん、まださーりゃん傷つけるのを怖がってるの!?
好きって言うのはそんな感情なんかじゃない!そんなの愛情じゃない!」
そう言って、まーりゃん先輩は玄関のほうへ向かい、家を出て行った。
既に外は暗くなっていた。
俺は、そのまま呆然と立ちすくんでいた。
前に皆に言われた言葉が、再び俺に言ってくる。
――じゃあ、いまの久寿川さんは幸せなの?
――さーりゃん、悲しませて、いったい何守ってるの?
――幸せになるしかないよ、タカくん
――大事なのは一緒にいたいかどうかだけなんだよ!
皆、ありがとう。皆に言われたから気付けたんだよ。
俺が本当にすべきことを。傷つけるのを恐れている場合じゃないと。
それに、間違ったって傷つけるつもりがないならきっとなんとかなる…。
俺は、ささらの今の心境を改めて考える。
ささらは別れというものを恐れている。確かに別れは良いものじゃない。
ただ、ささらの場合は離れるのが怖いってだけじゃないんだと思う。
別れることによって、俺から愛がもらえなくなる。
多分……そうなるのが怖いんだ。
だけど、もちろん離れたからって俺の思いがかわるはずがない。
だが、俺はどうやってそれを伝えればいいだろうか。
よく聞くように、口で言うだけなら誰でも出来る。
それを態度で示すからこそ、説得力がある。意味がある。
どうやって態度で示そうか……?どうするのが一番良いのだろうか……?
そんな時、俺は自分のつけているものに気が付く。
それには、S.K.の文字がしっかり彫り付けてあった。
そうか…そうだよ…。なんのためのプレゼントだ…。
――離れていても…俺達はひとつ。
そのためのお互いのイニシャルを入れたペンダントじゃないか。
ささらは、俺から渡されないと受け取らないって言っていた。
そう、俺が直接渡すという行為が態度で示すことになるだろう。
『ペンダントを渡す』『嘘偽りのない思いを伝える』
その行為できっとささらは分かってくれる。
俺は、天井を見つめながら、呟くように言った。
「まーりゃん先輩。俺は傷つけるのを恐れているんじゃない。
もちろん、自分の気持ちを守っているつもりもない。
伝えたいことを…いや、伝えなければならない事を伝えるんです…」
それこそが俺のやるべきこと。
そして、俺以外の誰一人として出来ないこと。
――私みたいなダメなコが、誰かの特別になれるなんて思っちゃいけなかったの
俺の特別は――ささら以外はありえない。
――ささら、俺のこと――信じてる?
――信じてる。なにがあっても。この体を失っても
信じていて…ささら。俺が絶対に幸せにする。
なにがあっても。この体を失っても。
それが俺の命の使い方――使命――。
俺は決意を固めた。
「ささら…俺の話を聞いてくれない?」
俺は扉越しにささらに話しかける。しかし、返事はなかった。
俺は少し気を落とす。
まぁ、すぐ出てきてくれれば苦労しないよな…。
そんな事を思っていると、何か耳に入ってきた。
―――すぅ――すぅ――すぅ――。
まさか…寝てる…?
それがわかると、何故か俺は少し安心していた。
泣き疲れて寝ちゃうなんて…もう副長なんて呼ばれていた面影すらないな。
――そう、本当のささらはこんなに可愛い女の子なんだ。
こんなささらを置いたまま日本に帰れるはずがない。
――さて、ささらが寝ている間にプレゼントを受け取ってくるかな…。
もし起きて、俺がいないのを見て勘違いされると困るので、
机の上に【プレゼントを受け取りに行ってきます】と書いたメモ用紙を置いておく。
そして俺は、寝ているささらを起こさないようにそっと家を出る。
隣に人がいないのってこんなに寂しいものなんだな…。
俺は一人歩きながらそんなことを感じずにはいられなかった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
昨日のアクセサリー店で片言英語でなんとか昨日頼んだ品を受け取り、
店員の笑顔(営業スマイルなのかもしれないが)に見送られながら、店を後にする。
小さい箱に入れられ包装されたペンダントに、今後の俺達の全てがかかっている。
「お前も随分と責任重大な任務を課せられたな」
俺は、歩きながらペンダントに向かって言った。
勿論、返事が返ってくることはなかったが。
「お前の本当の持ち主にちゃんと渡すからな。それまで、俺に味方してくれよ。
お前も俺なんかに持ってもらうより、ささらに持ってもらったほうがいいだろ?」
ペンダントは答えてくれないが、きっと同意しているはずだ。
そんなことを言ってる間に家にたどり着く。
家に入ってみると、ささらは相変わらず部屋で閉じこもっている(寝てる?)ようだった。
俺は、おもむろに時計を見ると、ささらのお母さんが帰ってくる時間になっていた。
…いつのまにか、こんな時間になっていたのか…。
いつもなら空腹になっている時間だったが、食事をする気さえ起きない。
だが、ささらのお母さんはお腹をすかせて帰ってくるだろう。
そう思い、夕食の支度を始める俺。
そして、だいたいが出来上がったときにささらのお母さんが帰ってきた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
「あら、河野君、ささらはどうしたの?」
「えっと、その、ですね…」
俺はどう話すべきなのか考える。
そんな俺をみて、ささらのお母さんは大筋のことを理解したようだった。
「ささらが何かやったのね?」
「えっと…その…一応そうですが、ささらのせいってわけじゃないんです。
とりあえず、ご飯を食べてください。その間に話します」
俺はそう言って、出来上がった料理を机に持っていく。
「先に食べていてください、一応ささらに声かけてきます」
そう言って、俺はリビングを出て、ささらの部屋の前まで行く。
耳を澄ますと、かすかに寝息が。
寝たまま…か。
俺はそれを確認すると、リビングに戻った。
「寝ちゃってるみたいです…。おまたせしました」
そう言って、ささらのお母さんと二人、夕食を食べる。
俺は、まーりゃん先輩が来てからの出来事を伝えた。
「なるほどね…。河野君、ごめんなさいね…」
「いえ、俺が及ばなかったばかりにささらに悲しい思いをさせているので…」
そこで、ささらのお母さんはふふっと笑う。
「河野君…。あなたはささらを幸せにできる?」
それは、前にも言われたこと。
そして、俺が言葉を詰まらせたこと。
――いつも自分に問いかけていたこと。ささらを幸せにできるのか?
――もちろん、幸せにしたいと願ってる。でも、俺にはなんの裏づけもなかった。
―――しかし、今の俺には自信を持って言える。
「できます……いや、してみせます…!必ず…」
「そう…。信じているわ。その言葉…」
俺は、若干俯きながら答えた。
「任せてください…。俺は、ささらを喜ばせるためにここまで来たんですから…」
そう、俺がNYに来たのは、ささらを悲しませるためになんかじゃない―――。
――――ささらを……喜ばせるためだ!
ささらのお母さんは、微笑んで言った。
「流石、河野君ね。やっぱりあなたじゃないと、ささらはダメなままだったわ」
「いや、そんなことはないと思いますけど…」
「信じているわ、あなたのこと。ささらは、自分を見失っている。そんなあの子を
救ってあげられるのは…河野君、あなただけよ」
その言葉を聞き、プレッシャーを感じる俺。つい、自信なさげになる。
「期待に答えられるよう、最善を尽くします…」
「…でも、今日は寝たほうがいいわ…。たしか、昼の便に乗るって言ってたわよね?」
「そうですけど…でも、寝てる時間なんかないと思うんですが…」
「今日は疲れているでしょ。
こんなことがあったんだし、今日はゆっくり休んだほうがいいわ」
それに…と続ける。
「あの子、今寝ちゃってるんでしょ?」
俺は、その事実を言われて思い出す。
「そうでした…。では、明日に…ですね。では、後片付けをしてお風呂を
借りさせてもらったら、今日はもう休むことにします」
「河野君、後片付けは私がやるから、お風呂に入っちゃって良いわよ」
「すいません、ありがとうございます」
ささらのお母さんの気遣いに感謝して、お言葉に甘えさせてもらうことにした。
風呂につかり今日一日の疲れを癒す。
いつもはこのひと時がたまらん、などとオヤジクサイことまで考えるほどなのだが、
今日はそんな気分になれない。やはりささらのことが気になる。
ささらは辛い思いをしているのに、俺は風呂なんかに悠長に入っていていいのだろうか。
そんな思いがあり、カラスの行水の如く風呂からあがる俺。
寝間着に着替え、ささらの部屋の前に行く。
「おやすみ、ささら。明日はきっといい日にしてみせるから…また明日…」
寝ているのか起きているのかわからない。
だが、扉の向こうにいるはずのささらにそう言うと、部屋を後にした。
自室の毛布を被り、今日は何も考えずにさっさと寝ることに。
起きていても悪い予感ばっかり頭をよぎるので、
早く寝てしまったほうがいい。
俺は睡魔に夢の中へ誘われていった――。
ぐああ…長すぎたああ…はい、長すぎでしたorz
一話に詰め込みすぎましたよ…orz
また誤字脱字恐らくあると思いますので、スイマセン(´・ω・`)
次回は、ささらが何かやってくれます。
(いっぱしに次回予告なんかしてみる。)
ふぃ、失礼しました。
GJ!!
GJ
タカ坊は本当にダメだな
雄二だったらもっと上手くいったんだろうなぁ
>>78のレスを見て思い出したので、告知。
次回の貴明は、なかなかかっこよくするつもりです。
一部、貴明らしいヘタレ部分も出すつもりですが、
基本的には、ささらとであって色々乗り越えてきて
成長してきた貴明みたいな雰囲気をだせればいいな、と思ってます。
まぁ、そのようにだせなくても、行動力のある貴明に
していこうと思いますので、読んでいてくれてる方は
期待していてください(´・ω・`)(ォィッ
この貴明はそんなにヘタレてないから俺としては好印象。
泣き虫さーりゃんテラカワイス(*'Д`)
最近単発SSが少ない気がするので誰か書かないかな、と希望してみる。
枕元で目覚まし時計がなってる。
もう、朝か・・・・・・なんだか、とても寝足りない気がする。朝眠たいのはいつも変
わらないけど、今日は、特に・・・・・・
「たかくーん、起きてるー?」
ああ、いけない、このみが迎に来た。早く・・・・・・起きなくちゃ。俺が遅れちゃ、
珊瑚ちゃんたちまで待たせてしまう。
「タカくん遅いよ〜。早くしないと、みんな待ってるよ」
「ごめん、このみ。今すぐ準備するか──
あれ、どうしたんだろ、急に、風景が回転して
おいおいこのみ、なに逆立ちなんてしてるんだよ。スカートの中、見えちゃうぞ。それ
に大声なんて出して、恥ずかしいやつだなぁ。
「タカくん!!」
「あれ? このみ、俺・・・・・・何で倒れてるんだ?」
慌てて立とうとするんだけど、立てない。立てないと言うか、全身に力が入らない。
「タカくん、凄い熱だよ。だめだよ、起きてないでちゃんと寝てないと」
え、俺そんなに熱あるか? そう言われてみれば、なんだか体がだるい気がするけど。
「そう言われてみれば、じゃないよ。タカくん、凄い顔色悪そうにしてるのに、自分でわ
かってないんだから」
「いや、顔色なんて自分じゃ見れないし」
「とにかく、みんなには伝えておくから、タカくんはしっかり寝なくちゃだめだよ。ここ
で無理しちゃ、治るものも治らないんだから」
こういう時のこのみの迫力は、さすが春夏さんの娘だなぁなんて関心させられる。
「それじゃあこのみ、悪いけど、みんなに言っておいてくれないか。あ、珊瑚ちゃんと瑠
璃ちゃんには、心配しなくていいからって伝えておいてくれ。また、前みたいに心配して
来てくれて、うつしちゃうといけないし」
このみが出て行って、誰も居なくなった家の中。
熱があるっていうのは本当みたいだ。だんだん意識が朦朧としてきて、体の関節まで痛
くなってきた。
ああ、こりゃ本当に風邪だな。前のように仮病じゃなくて。
昨日も夜更かししてたしなぁ、仮病のバチがあたったかな。いや、あたったんだろう。
熱のせいで目の前が霞む。
頭がぼーっとする。寝ているのに天井が回る。頭が痛い。
コチコチとなる目覚まし時計の音がうるさい。
なのになんでこんなに静かなんだろうこんなに辺りは明るいのにまるで俺だけしかいな
いみたいだ。
たぶんきっと俺だけしかいないんだ。
寒気がする。全身布団を被ってるのに何でこんなに寒いんだろう。
意味もないのに涙が溢れてきただって誰もいないだから恥ずかしくなんてない。
だから誰もいなくなっちゃったんだ俺だけしかいないんだ。
バチがあたったからだから俺だけしか居なくて珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんもイルファさん
も誰もいないんだ。
頭がギリギリするからだがザリザリ。
道路を走る車の音がガリガリさせる。なんでだれもいないのにくるまが俺を。
だって仕方ないだって俺だけしかいないんだから車が俺を、だから俺は一人だけになっ
ちゃって。
「貴明さん」
だから俺の目の前にイルファさんが居るのはおかしい。
「貴明さん、私のことがわかりますか?」
俺は一人だけなんだから。
でも俺だけは嫌だ。一緒にいたい。だれも俺だけなんてイルファさんと一緒にいたい。
「たかあ──ひゃっ!? た、貴明さん?」
「イルファさん、イルファさん、いるふぁさん」
イルファさんが俺の腕の中にいてくれる。ぼろぼろぼろ涙が止まらないけど、もう俺だ
けはいやだから俺はイルファさんが沢山一緒にいるんだ。
「俺、もう一人だけは嫌だよ。イルファさんとずっと一緒にいたい。瑠璃ちゃんと珊瑚
ちゃんと一緒にいたいよ、でもみんなどこかに行っちゃったんだ、俺だけになっちゃった
んだよ。いやだ、ずっと一緒にいてよ、どこにも行かないで、イルファさん」
「・・・・・・怖い夢でも見たのですか?」
おでこを撫でる、心地よい手の感触。イルファさんの声が聞こえる。
もう大丈夫だ。ずっと、イルファさんが一緒に・・・・・・
目が覚めたのは、もう太陽もかなり傾いたころだった。
相変わらず全身が鉛みたいにだるいけど、朝から比べればずいぶんと楽になった気がす
る。
「お目覚めですか? 貴明さん」
と、他に誰もいないはずの俺の部屋から、聞き慣れた、こちらを安心させてくれるよう
な声がする。
「あれ、イルファさん? どうして?」
「ああ、まだお熱があるのですから、あまりご無理をなさらないでください。朝、珊瑚様
からご連絡をいただいたんです。貴明が死にそうになってるから、助けてあげてー、と」
そうなんだ。
そういえば、枕はいつの間にか水枕に代えられているし、頭の上には氷嚢が乗せられて
いる。
「えっと、それじゃあもしかして午前中から俺の看病しててくれたの? ご、ごめん、迷
惑かけちゃって」
「もう、貴明さんったら。病気の方をお助けするのは当然のことじゃないですか。貴明さ
ん、もし私が来なければ今でもうなされていたに違いありませんよ」
イルファさんは、まるで子供を叱るように俺のことを覗き込んでくる。
「じゃあ、ええと、ありがとう。俺、イルファさんのおかげで命拾いできたみたいだね」
そう言うと、今度こそイルファさんは笑顔を見せてくれた。
でも、今でこそこうやって笑っていてくれるけれど、ずいぶんと心配をかけてしまった
んだろうと思う。なんと言っても、イルファさんがやってきていろいろ看病してくれたこ
とに気が付かないくらい、意識をなくしてしまっていたんだから。
「ねえ、イルファさん。俺、寝てる間うなされて変なこと言ったりしてなかった?」
そういえば、意識を失っている間ずいぶんとひどい悪夢を見ていた気がする。
内容は全く覚えていないんだけど、そのとき、寝言で妙なことを口走っていないとも限
らない。
「いえ、確かにうなされてはいましたけれど、何もおっしゃってはいませんでしたよ。そ
れよりも、貴明さん。何かお飲み物をお持ちしましょうか?」
言われて、ずいぶんと喉が渇いていることに気が付いた。
そういえば汗もたくさんかいたみたいだし、イルファさんには申し訳ないけど、もう少
しだけお言葉に甘えさせてもらうことにした。
「じゃあ、何かスポーツ飲料でもお持ちしますね。それと、着替えもご一緒に。何かおめ
しあがりにはなれそうですか?」
「えと、それじゃあ、おかゆか何か、食べやすそうな物を」
「はい」
その後、夕方ごろ珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんがお見舞いにきてくれた。うつしちゃうとい
けないので、部屋の入り口の所で顔をみせてくれただけだったけど、俺が良くなってきた
のを見て安心してくれたようだ。
ふたりは暗くなる前に家に帰ったけれど、イルファさんだけはもう一日、俺の看病をす
るために残ってくれることになった。大分マシにはなってきたとは言え、まだ自分ひとり
じゃまともに歩くこともできなかったし正直ありがたいと思う。
「それではおやすみなさいませ、貴明さん。ゆっくり、休んでくださいね」
「うん、おやすみイルファさん。ありがとう」
笑顔を向けてくれるイルファさんを見ながら、ゆっくりとまぶたが下りていく。
今度は、さっきのように悪夢にうなされることもないだろう。だって、すぐそばにイル
ファさんがいてくれるんだから・・・・・・
・・・・・・だから、もう、おれは・・・・・・俺だけ一人になんてなることは・・・・・・
『私は、貴明さんを一人ぼっちにしてどこにも行きませんよ。私だけではなく、瑠璃様も、
珊瑚様も、ずっと貴明さんと一緒にいます。だから安心してください。ずーっと、一緒に
いましょうね』
俺もイルファさんに看病して欲しかった、っていう話。
皆さんも、風邪には気をつけてください。
郁乃いいね
>>89 GJ
けど、タカ棒そんなに具合悪そうだったら、
このみは春夏さん呼ぶんじゃないかなあとちと思った。
94 :
1/3:2006/02/02(木) 11:40:13 ID:qeVj1AIA0
じりりりりりりりり……
鳴り続けていた目覚まし時計を止める。そのまま少しずつ覚醒していく頭の中で、
今日が4月3日、春休みの土曜日であることと、大事なことを思い出した。
生徒会がないこと。だから起きなくて良いこと。目覚ましを切っとけば良かったこと。
そして、二日間久寿川先輩に会えない、こと。
日曜日以外で春休みはじめての休み。だというのに身体は起き上がるのを拒否し、
なにかしようとする気力が浮かばない。
宿題があるわけでもなく、誰かと遊ぶ(この春休みは遊んだ記憶もないが)約束もなく、
時間だけをもてあます状況。同じ体勢のまま頭の中だけで思考妄想過去回想がはじまる。
過去といっても、それはここ二週間くらい。俺が思い出すのはたった一人のひと。
「久寿川先輩、今頃どうしてるかな……」
「さーりゃんなら朝方出かけたぞ。出がけに一乳揉んできたからな」
「へぇ……」
「寂しいのか、たかりゃん」
「そんなことはないけどさ。寝てれば二日なんてあっという間だし……」
違和感がある。これはどこかで聞いた声だ。
神経を頭から身体のほうに回すと、背中になにかあったかいものがあるのがわかる。
布団じゃない。自分で熱をだしているもの。
「ま、ま、ま、」
「マレーネ・ディートリッヒ?」
「まーりゃん先輩!」
ベッドの上で半回転した俺の前に、卒業したはずの生徒会長殿の顔が映った。
95 :
2/3:2006/02/02(木) 11:42:11 ID:qeVj1AIA0
「ひっ、人のベッドで何やってるんですかぁっ!」
「寝顔を視姦してた」
「どっ、どこから沸いて出たんですかっ!」
「排水口から……じゃなくて、ちゃんとドアから入ったよ」
「か、鍵は」
「近くに落ちてたから、それで」
「それは隠してあるんですっ!」
「まあまあ、いーじゃん。すでに終わったことだし」
とっさにベッドの上で距離をとった(といってもほとんど至近距離だが)俺は
ため息をつく。この人には何をいってもしょうがないことを久しぶりに実感した。
最近見直してたのに。
「……はぁ。もういいです。で、なんでここにいるんですか」
「いや、バイトが休みで暇と性欲を持て余してるのだ。
遊びにいったらさーりゃんは旅行に行っちゃうし。
で、同じく暇と性欲を持て余してそうなたかりゃんに暇つぶしと穴埋めを
手伝ってもらおうかと」
「帰れ」
「なんだよう、ちゃんと録音用にメタルクロームのテープとカセットデッキも
持って来たんだぞ。ビデオがないのが残念だがな。
いえーとかいって上半身半裸で一枚の布団を二人でかけてピースサインとか
出してるところを取れないのはくやしい。これも貧乏がいけないのだわ」
「帰れ」
「こないだあるところでスカウトされちゃってさー、参考にってことで
見せてもらったのを音だけテープで取ってきたんだよ。すげぇぜこれ」
「いらないからテープ回さないで帰れ」
「ほら、ここなんかすごいよ。もっとセックスする! とか言ってるし」
「言いません、普通。帰れ」
「ちゅぱ音がないのがもったいないな。あ、止めんなよたかりゃん」
「……わかりました。しばらくつきあいますから。で、なんですか」
あきらめた。午前中くらいで帰ってくれるといいな。期待しろ、午後の俺。
96 :
3/3:2006/02/02(木) 11:44:34 ID:qeVj1AIA0
「ちっ、つまらんな。まぁいいや。早速だが、正直なとこ、さーりゃんはどうよ。
毎日生徒会室で何やってんだ、いったい。エロ行為か。
あれか、アイスとか食べさせてんのか」
「なんでアイス食べさせてんですか」
「さーりゃん冷たいの駄目だからさ、あたしが口の中で溶かしたのを無理やり」
「したんですか、あんた!」
「逃げられた。口の中にバニラアイスいれたまま追いかけたんだけど、
段差につまづき廊下にぶちまけた瞬間教師にみつかりました。あわてて
精子をこぼしたと言い訳したのですが、どうみてもアイスです。
本当にありがとうございました」
「……」
「冷たい目で見んなよ。さびしーぞ。で、本当のとこどうなの?
チスくらいしたのか?」
「手も握ってません!」
「なんだよ、バトンタッチした時に言っただろ、触れてあげてって。
まあしょうがないか。たかりゃん童貞だし。あうっ」
無言で頭に拳固を落とした。強めに。
「事実だろー。まったく。で、ここで当初の予定に戻るわけだが、
ということで、よし、ここはお姉さんが一肌脱いでやろう。
安心しろ、うまいぞ。あたし。
あれだ、14歳を犯す機会なんか16歳を過ぎたらもうないはずだからな。
倫理的には。お得だな。だいじょうぶ、ちゃんと毛は書かないように指定するから」
「いや、指定とか関係ないから、ちょっと。やだっ、近づかないで」
「あたしの準備は整ってるからな。さて、はじめるか。
たかあきのおっぱいも食べてとか言わせてやるからな」
「ちょ、ちょっと待って、アッー!」
それはそんな一日目の、はじまりの朝だった。
>>94-96 続きが来るまで全裸に正座で待機してる。
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
「4、5、っと。
ああー、一回休みなんよー」
「次はこのみの番でありますよー」
「なかなか興味深い遊びだな、うー」
「ちょっと季節はずれだけどな。
うわっ、このみ、腕立て100回かよ! しかもペース速っ!
…そ、それじゃ、るーこの番だぞ」
「うむ。るーがサイコロを振ってやる。感謝しろ、うー」
ころころころん
「いち、に、さん、うーむ」
「なになに…、
るーこ、歌なんてうたえるのか?」
「当然だ。歌はいいぞ。るーの生み出した文化の極みだ
では、コホン
るーるる、るるる
るーるる、るるる
るーるーるーるー、るーるるー」
「徹○の部屋!!!」
『来栖川エレクトロニクスよ、永遠に』 1/3
来栖川製メイドロボ、HM-17三姉妹が発売された。
DIAを採用し人間に近い感情を持ち、人と同じように柔軟な判断ができる新しいメイドロボは発売と同時に飛ぶように売れた。
老人医療の現場、共働き家庭の留守番&子供の遊び相手など、感情を持った彼女たちは触れあう相手に優しく柔軟に接することができた。
恋人代わりに買う男性も徐々に増えだし、来栖川エレクトロニクスの工場は休日返上のフル操業となった。
街にはメイドロボがあふれかえり、感情豊かな彼女たちはどこでも暖かく迎えられた。
しかし、そんな中一つの事件が起こってしまった。
それはあまりにも不幸な悲しい出来事だった。
メイドロボを購入した男性に捨てられた女性が、その男性をナイフで刺し殺すという事件がニュースを賑やかせた。
そして、主を失ったHM-17bは感情のセーブが効かなくなり、主を殺した主の元彼女をナイフで殺害し、死体の原型が無くなるまで破壊し尽くしたのだ。
現場から回収されたHM-17bが一瞬テレビの画面に映ると、来栖川エレクトロニクスにはメイドロボの返品が押し寄せた。
事件を起こしたHM-17bは全身血まみれで、背筋がゾッとするような冷たい笑顔をしていた。
『来栖川エレクトロニクスよ、永遠に』2/3
「おっちゃん、辞めてしまうん?」
「ああ、後のことは君たちに任せたよ」
今日、一人の男が来栖川エレクトロニクスを去っていく。
長年、メイドロボ開発の中心にいた彼は今回の事件の責任を取る形で去っていく。
「でも、HM-17bに搭載されたDIAはウチが作った物や……責任はウチにある」
すがるように。
しかし、長瀬は優しく微笑みながら言った。
「メイドロボはまだまだこれからだ。 君たち若い世代の技術者がもっともっと頑張って育てて行かなくてはならない」
「でも……」
「それにね、私は嬉しくて仕方がないんだ。 確かにHM-17bは事件を起こしてしまった。 これはなんとしてでも対策を取っていかなくてはならない」
「……」
「でもね、回収されたHM-17bのデータを見たとき、私はこの仕事をして良かったと思ったよ」
殺された男性と事件を起こしてしまったHM-17bは真剣に愛し合っていた。
人とロボットの垣根を超えて深く結ばれ合った二人。
強い絆があったからこそ、それを壊した相手を本気で憎んだ。
HM-17bは本当の意味で人と同じ感情を持ちえたのだ。
もちろん殺人がいけないことだというのは当然だ。
しかし、そこまでの思いを持ったメイドロボが誕生したことに長瀬は感動さえ覚えた。
だから、職を失うことなど少しも惜しくはない。
生きて、これからを見届けられるそれで十分だ。
『来栖川エレクトロニクスよ、永遠に』3/3
「主任! 大変です。 返品されたメイドロボを返して欲しいと問い合わせが殺到しています」
駆け込んできた若い研究員がそう告げると長瀬はこれからを確信した。
「頑張るんだよ。 珊瑚君、君たちの娘達は君のことを待っている」
大丈夫、みんな知ってしまったのだ。
心を持ったメイドロボを家に迎えた時点で、ユーザーとメイドロボは『家族』となる。
簡単に離れることなど出来るはずもない。
姫百合珊瑚の手によりたくさんの問題を乗り越え、HM-17bはユーザーの元に帰っていくだろう。
来栖川エレクトロニクスよ、永遠に。
刺された男性→タカ坊
刺した女性→このみ
刺した女性を殺したメイドロボ→ミルファ
うはwwwwちょwwwww
あそこまでいくと実際製品化はしなさそうとか言ってみる
人格や感情と呼べるものを持ってるわけだし
学習型ってことは学習させなくちゃならないし
自我を持った時点でロボット3原則を破る気がする。
だって人間がロボットに勝る点なんて能力的にはほとんどないし。
フレーム問題の解消のためにダイコン、インg(ryを開発したんだっけ…?
>>104 1. 人に危害を加えない。
2. 人の命令に絶対服従。ただし1.に反する場合はこの限りでない。
3. 1.2.の条件に触れない限り、自己を守っても良い。
か。これってイルファ達は準拠してるんだろうか
イルファは貴文投げたから守ってないんじゃねえの?
危害の定義にもよるが
>>106 吹いたww堀江wwww
ロボット三原則っていうのはロボットの法律ではなく、作られたときにすでに組み込まれてる"本能のようなもの"らしい
人間とロボットの線引きをしないのか
三原則が通用しないのなら意味無いし
wikipediaにもあるけどそのあいまいさがSF小説での話の鍵になったりならなかったり
まぁ、この感じだと準拠してないんだろうねぇ、HMX-17シリーズは
>>89 んー、確かに綺麗な印象を受ける文ですね。
GJです(´∀`)
>>94-96 続き気にナル―――(゚∀゚)―――!!
性欲を持て余すって、ちょww どっかで聞いた事あるなwww
>>98 今のはちょっと意外だったぞ――――!!
シンプルイズベスト(・∀・)b
>>101 話は普通に楽しめました。けど、完全にAIとかで感情持ったらロボットにも人権が与えられたりしそう……
人権擁護法案はその形を変えロボット擁護法案となったのである…
みたいな。
貴明「メリークリスマス、このみ。」
このみ「タカ君、これ…?」
このみと付き合って初めてのクリスマス。
俺は念入りに選んだプレゼントをこのみに渡す。
このみ「……これ、首輪?」
貴明「うん。どう…、かな?」
このみは首輪を色々な角度から見回す。
このみ「えーと…、ゲンジマルにはちょっと小さいかな?」
あはは、と苦笑いを浮かべるこのみ。
貴明「ははっ!違うよ、このみ。」
このみ「えっ!?どういう事…?」
貴明「それは、このみの為に買ったんだよ。」
俺はゆっくりと手を伸ばし、このみの頬を優しくさすってやる。
とろんとした目にキャンドルの灯りが彩りを加える。
貴明「…このみ。
その首輪を着ける事でこのみは完全に俺のものになれるんだよ…。」
『無理にとは言わないけどね』と付け加え、俺はこのみの目を真っ直ぐ見据える。
このみ「ううん。タカ君…。うれしいよ。
…えっ、と似合う、かな?」
貴明「ああ、すごく似合ってるよ。」
貴明の口元が邪悪に歪む。
しかし今のこのみにはその事に気付く余地はない…。
このみなら本当に喜びそうだw
量産型HMシリーズにbとかっておかしくね?
>>117 携帯の色の違いみたいなもんなんだろ。
同シリーズ内でのバージョンの違いみたいな…きっと。
>>115 Sっ気のある俺にはこういうSSはたまらんねぇ
良かったよ。
ささら「 や ら な い か 」
>>115 だが所詮タカくん程度では、役割分担も含めてSMの主導権をこのみに握られて終了なような・・・
つか、春夏さんと柚原パパの夜ってそんな感じかと妄想して(*´д`*)ハァハァ
朝。
カーテンから漏れる光と、目覚ましの音で目が覚めた俺、奥村浩人は、軽く背伸びをして、目覚ましを止める。
時間は、午前7時。
そろそろ、あいつがくる頃かな。
「浩人しゃん?」
軽くノックしたあとで開いたドアからは、顔だけ覗かせる女の子がいた。
家の同居人の、サキミだ。
「えぅ? 起きていたんですかぁ。おはようございます」
「おはよう。いつも起こされるのも、癪だからな」
「えう〜。ちょっと残念です。あっ、これ制服ですぅ」
サキミは部屋に入ると、きちんとアイロンがけをした制服と靴下を渡してくれた。
おっ、消臭スプレーの匂いが変わっている。
「すぐ朝ごはんの支度しますから、早く用意をしてくださいねぇ」
人懐っこい笑顔を残して、サキミは去っていった。
これが、俺にとっての一日の始まり。
「さてっと、さっさと着替えますか」
素早く部屋着から制服に着替え、登校道具一式を持ってリビングへと行く。
キッチンからは、味噌汁のいい匂いと、焼き魚の香ばしい匂いが漂っている。
ふむ。実にうまそうである。
「あっ、浩人しゃん。牛乳と野菜ジュース、とちらを飲みますぅ?」
「野菜ジュースは、どんな割合なんだ?」
「サキミブレンドですぅ」
「なるほど」
サキミブレンドというのは、買い物時の野菜の値段によって変わる、日替わり調合のことで、大抵は、特売の野菜と果物に、ハチミツを混ぜる。
割合的には果物の方が強いので、飲みやすく仕上がっている。
「じゃあ、野菜ジュースで」
「はいですぅ」
サキミはジョッキに溢れんばかりに野菜ジュースを注ぐと、俺はそれを受け取って、一気に飲んでいく。
思わず、青汁のCMのようなことをやってみたいのだが、おいしいのでそれもままならない。
「どうですか?」
「んまいよ」
「えう〜。よかったですぅ」
締りのない笑顔を見せた後、サキミはテーブルに朝食を並べる。
豪勢ではなかったが、朝としてはこのぐらいがちょうどいい。
「どうぞ、召し上がれですぅ」
「ああ。いただきます」
手を合わせてから、俺は1人、朝食を食べ始める。
サキミはただそれを見ているだけ。
何故なら彼女は、メイドロボだから。
HM−15s。愛称「サキミ」。
かつて家に仕えていた量産型のHM−15を、来栖川エレクトロニクスの主任研究員で、父さんの上司である長瀬主任が、現在主流のHM−16のパーツを流用し、最新のOSを搭載してカスタマイズしてくれた、俺専用のメイドロボ。
なんでも、今までの試作、量産タイプのHMシリーズに搭載していたOSの概念とは異なっているそうで、より人間らしいことが出来るようになっているらしい。
しかし、まだ本格的な導入ではなく、サキミにはテストを兼ねてのプロトタイプが搭載された。
そのおかげで、他のメイドロボには見られない表情とか行動とかが見れて、まるで妹が出来たかのような想いをしている。
「そういえば、今日から身体測定ですよね?」
「みたいだな」
俺の通っている学園は、今日からクラスごとに身体測定があり、俺のクラスは男女共に来週ぐらいに実施される。
めんどくさいと思うのだが、校長が決めたことだからしょうがない。
ちなみにサキミも同じクラスに通っている。
心の成長と社会に適応できる順応性を高めるには、学校という場所は非常にいいらしく、またデータを取る上でも最適だという。
それと俺の要望で、耳カバーを取ってもらっている。
家ではメイドロボだが、学校ではクラスメイトになるので、この2つの環境の区別をつけるため(というか、俺の混乱を避けるため)ということを話したら、すんなりと許可が出て、今日に至る。
おかげで、サキミをメイドロボとしているのは、ごく少数に限られている。
「私は、どうなるんでしょうか?」
「それについては問題ないだろ? 保健の先生がうまくやってくれるはずさ」
「そうですねぇ」
長瀬さんから聞くところによると、医師の人たちは来栖川の関係者で、その助手にエレクトロニクスの関係者をつけると言っていたから、心配はないだろう。
「あっ、そろそろ時間ですよぉ」
「そうだな。後片付けは俺がやっておくから、早く支度してこいよ」
「はいですぅ」
慌しく、サキミは自分の部屋に戻っていく。
これもいつもの光景。
まあ、食べているのは俺だけなので、片付けるのは当たり前なのだが。
さらに言えば、男の支度なんぞ速攻で終わってしまうので、必然的に俺が時間が余ってしまうのである。
数分後。
「おまたせですぅ」
首にリボンをつけて、制服に身を包んだサキミが、カバンを持ってやってきた。
「どうですか?」
その場で一回りして、どこかおかしいところがないかと尋ねてくる。
まあ、いつも通りなので、別段指摘するところはない。
ただ……。
「うーん。スカート、もう少し長くしたほうがいいと思うぞ」
「えう? ……えぅ」
俺の言葉の意味に気づいたのか、サキミは慌ててスカートを降ろした。
というか、回ったら遠心力で舞い上がるというのが、未だにわかっていないらしい。
しかし……。
「青、か」
「えう〜!」
両手をブンブン回して抗議するサキミをなだめながら、俺たちは学校へと向かった。
「うふふ。それは災難だったね」
「はいですぅ」
「俺が悪いんじゃない。これが勝手に見せたんだ」
「えう〜。これ扱いはひどいですぅ」
通学路の途中で、ほぼ強制的にクラス委員長にさせられた、小学校の頃からの付き合いである小牧愛佳と合流した俺たちは、他愛無い話をしながら登校していた。
大抵は俺たちの朝のやり取りが話題になるのだが、対応の仕方が決まっている。
サキミ=サブボケ(イジられ役)。
俺=ツッコミ(ダブル)。
愛佳=メインボケ。
こんなやり取りが、サキミが通学をしてから続いている。
それまでは、愛佳と一緒に登校するなんてありえなかった。
通学路は一緒だということは知っていたが、遅刻ギリギリで飛び込む生活をしていたから、全く会う機会なんてなかったのだ。
「そういえばサキミちゃんは、新しいお友達は出来きました?」
「あ、はいですぅ」
「そうなんだ。よかったね」
「えぅ!」
「溶け込みの速さだけがとりえだもんな、お前」
「えう〜」
サキミの放つ独特のオーラは、色んな意味で人を寄せ付けるものがある。
それだけでなく、周りの空気までもほんわかとさせる作用もあるようで、サキミの周りはいつも和やかな雰囲気になっている。
かという俺は、そんな連中を気にすることなく寝ているだけなのだが。
「そういえば、ひろとくんってあまりお友達といないよね?」
「大抵寝ているからな」
「なんというか、寂しいね」
「ですぅ」
「……チョップ」
「えう!」
「あいた!」
愛佳には軽く、サキミには多少強く手投をかます。
本当ならサキミには思いっきりやりたいのだが、逆にこっちの手が痛くなるから、やりたくてもやれない。
「うう〜。女の子に暴力しちゃいけないんだよ」
「そうですよぉ〜」
「うっさい」
女どもの抗議の声を無視して、俺はずかずかと先に進んだ。
「えう〜。浩人しゃん、置いていかないでくださいぃ〜」
「機嫌直して〜」
元より怒っていないのだから、機嫌は良くもならないし悪くもならないのだが。
とかなんとかやっているうちに、学校についてしまった俺たちは、下駄箱で内履きに履き替え、教室に向かう。
まだ若干早い時間なもので、生徒の数もまばらで、うちのクラスにいたっては、俺たちが一番乗りのようだ。
「じゃあ、私は職員室に行ってきますね」
「ああ」
「えう」
愛佳が出て行くのを見送った後、俺とサキミも教室を出る。
目的は、新しく出来たコンピューター室に行くこと。
前年まで使われていた古いパソコン(ほとんどが寄贈品)が一掃され、今年からは新品の最新鋭のパソコンが導入された。
その中の一台に来栖川製のパソコンがあり、それはダイレクトに研究所へとデータ転送が出来るようになっている。
家にあるノートパソコンとは違い、ほぼ研究所で使われている機能が搭載されているので、細かい部分までの状態を見るには最適だ。
サキミに搭載されているOSはデリケートなため、一日一回、朝一にここに来て調子を見る。
もちろん、その辺の事情は担当の先生には話しは通してあるので、鍵は預かっている。
「ガラガラガラっと」
「何擬音を口にしているんだよ」
「いえ、なんとなくですぅ」
「……」
「えう〜。バカじゃないですぅ」
ときおり鋭いサキミの直感の感心しつつ、PC室に入り、さらに奥にある個室に入ってパソコンを起動させる。
来栖川の文字が表示され、個人用のログインパスワードを入力すると、ほどなくして、サキミの専用ツールが出てくる。
「ほれ、さっさと繋ぐ」
「はいですぅ」
サキミは専用の椅子に座って、パソコンから伸びているコードを手首に繋げる。
その際、首につけているリボンを手首にかぶせて、俺に見えないようにしてくれる。
正直、手首から見えるフレームを見るのは好きじゃない。
それは、サキミを改めてメイドロボだと認識してしまうから。
「データ、転送しましたぁ」
「ああ。それじゃ、プログラムを開始するぞ」
俺はキーボードから軽く入力した後、自己診断プログラムを起動させた。
すると、サキミとパソコンの方からモーターが回る音がして、画面にはものすごい速さで数字の羅列が高速で流れていく。
これで待つこと数十分。HRが始まるちょっと前までには終わる。
何も問題がなければ自動的にプログラムは閉じ、サキミも普通に起き上がる。
さて、暇になったな。
まあいつも通り、サキミの膝枕で軽く一眠りでもするか。
とそこで、俺は変わったものを発見した。
「クマ?」
目線の先には、一風ファンシーなぬいぐるみがあった。
確か、昨日まではなかった。
持ち主を確かめようとクマのぬいぐるみを手にとって、どこかに名前がないかと隅々まで見た。
と、そのときだった。
ビシ!
「なっ」
ぬいぐるみだと思ったクマが、突然攻撃を仕掛けてきた。
あまりの出来事に動揺して思わず落としそうになったが、寸前のところで片足を捕まえて、事なきを得た。
しかし、それがいけなかったのだろうか、クマは余計に暴れだした。
「だあああぁぁぁ! 大人しくしろ!!」
自分でも怖いぐらい出た大声で、クマはびっくりしたのか、急に大人しくなった。
「わ、悪ぃ。ごめんな、大声出して」
俺はクマを元の位置に戻して、そっと頭を撫でる。
「動くなんて思わなかったからさ。別にやましいことをしようなんて思っていないから、機嫌直してくれ。な?」
心のどこかで、どうしてぬいぐるみに許しを得ているのかと思いながらも、ひたすら撫でる。
するとクマは、短い両手で俺の手を取り、首を横に振る。
もういい、という意味なのであろう。
「にしても、こんなにダイレクトに表現を現すことが出来るとは。お前、すごいんだな」
えっへん。
心なしか、クマの胸が反れたような気がした。
「なあ、手にとって見ていいか? 今度は逆さまにしないからさ」
――うん。いいよ。
ジェスチャーから、許可を得たと読み取った俺は、改めて、クマ吉(勝手に命名)を手に取り、感触を確かめてみた。
触った感じはほとんどぬいぐるみなのだが、所々に固い部分があった。
「……なるほど。ありがとうな」
――どういたしまして。
クマ吉を机の上に置き、もう一度、礼の意味も込めて頭を撫でる。
「さてと…」
ちらっとパソコンの画面を見てみると、そろそろプログラムの終了が近づいていた。
「もう時間か」
――行っちゃうの?
「うん? …ああ。かなりめんどくさいけど、学生だからな」
――また来てくれる?
「そうだな…。今日は予定もないし、いいよ」
――うん。待ってるね。
はたから見れば、怪しい1人芝居にしか見えない光景を繰り広げているうちに、プログラムが終り、メッセージボックスには「るー☆」という文字が出ていた。
……これは無事に終わったと解釈していいのだろうか?
俺の疑問を打ち消すかのように、サキミの手首に伸びていたコードが外れ、元に戻っていった。
ほどなくしてサキミの方のOSも再起動し、閉じていた目もぱっちりと開いた。
「……えう〜」
うむ。この間延びした口調は、間違いなくサキミだ。
「気分はどうだ?」
「今日も問題はないですぅ。全部まとめて、オールグリーンですぅ」
「そっか。だったら、早く教室に戻るぞ」
「はいですぅ」
「……また後でな、クマ吉」
――バイバイ。
「えう?」
「何でもねえよ。えう〜のくせに気にするな」
「えう〜!」
全身で抗議するサキミを横目に、最後にもう一度クマ吉の頭を撫でて、俺たちは教室へと戻った。
<続>
ええ、とりあえず、新参者ですw
TH2初SSにして、オリキャラSSということで、かなり緊張しました。
改行とかがあまりうまくない辺りは、これから勉強ということで。
内容としては、姫百合姉妹ルートを中心に、サキミをゴリ押し(笑)的な内容にしてみようかと。
ちなみに、貴明は滅多に出ませんので、その辺りはご了承をw
それと、6が連続してある部分は、下が7になりますので、念のために。
では、さらば!
原作キャラを使えば二次創作になると思ってる奴が多いから困る
これってむしろ、原作キャラを半端に出すのやめて、
東鳩世界を舞台にした全く別の話にしたほうが、いいのかも。
(委員長に親しい男の幼馴染みがいる、ってのは原作の流れからしてやや無理があるし、
ミルファのお股を覗くのが貴明でなくオリキャラってのも、嫌がる人がいそう)
ま、そこまでやっちゃうと、二次創作って括りからややズレるから、
このスレの趣旨からは外れちゃうかもだけどね。
と、遠回しに追い出し工作をしてみるテスト
虹創作SSでオリキャラ展開は叩かれる元だから、
ここで投下しないで自分のサイトでおやんなさいな。
華麗にヌルー!!
空気読めない新人さん(´;ω;`)かわいそうです
二次創作の時点で既に原作から遠ざかっている
話にオリキャラを入れても入れなくても大して変わらない
虹よりはまだ2次創作してると思うけどね。
それにしたって、微妙な出来だよな
んだよ、叩くなよ。
俺は面白そうだと思って読んだぞ。
某28話まで進んでる、どっかで見たような展開だらけのミルファSSよりよっぽど面白そうじゃん。
微妙な出来、というのがネックなんだろうね。
原作とのクロスオーバーにしては矛盾点が幾つか浮遊してるし、そもそも吸引力
不足に思える。もっとパワフルなギャグを詰め込んで力押しで駆け抜ければ内容の
評価も上がるだろうけど。
サキミは悪いキャラじゃないと思うけど、ポジショニング的に必要とされる存在力を満たしてない。
それと主人公が無色系なのも残念でならない。
まあ明らかなスレ違いというのが大きいんだろうね。
ミルファとかほぼ名前だけのキャラ使ってるSSもあるからそこらへんのボーダーはやや曖昧になるけど
やっぱりここまで来ると二次創作の域を逸脱してると感じる人は多いんだと思う。
>>144も言うように、オリジナルとTH2のクロスオーバーって感じだねこれは。
某28話までいってるのはまあ目新しさと言う点では壊滅的だけど、
その分ありふれたシチュエーション詰め込むことでハズレが極力ないようにしてるんだろう。
あれはそういう王道的なとこが好きって人もいるんじゃない?
まあそうやって切り貼りしたネタを消化も昇華もできてないように見えるから嫌いって人も同じようにいるんだろうけどさ。
むしろサキミがもったいない。
せっかく面白いキャラなんだから、舞台の方をうまく準備してあげるべきだ。
がいぞん(なぜか変換できない)のキャラと絡ませるには確かにインパクトが弱い。
主人公がタカ棒と取って代わろうとしてるみたいに見えるのも、読んでて辛い。
「クマ吉」とかナチュラルに命名してるし。
>全部まとめて、オールグリーンですぅ
超先生を思いだしてちょっと泣いた。
まあ、オリキャラが絶対いけないわけではないし、
これよりずっとひどいSSも山ほどあるわけだけどね
つーかお前ら偉そうだな、何様だよ('A`)
中の人とかどうしてこんなに叩かれてるのか分からん。
ここから追い出しただけじゃ不満なのか馬鹿共。
オリキャラを主役に添えるのはこのスレではアリなのか?
またスパイラルしてますか。
そのせいで作家がどんどん居なくなっているのに…(つд`)
>>148 ここじゃ歓迎はされないと思う。
いや、むしろ此処までレスが付いてるのは良いことだと思うが?
全体的に見ても叩きと言うより「こうした方が」的な意見が多いし。
どーしよーも無いレベルの作品には、これだけのレスは付かない。
それに2ちゃんに投稿している以上、或る程度の批評は覚悟済みだろ?
サキミが鋼鉄天使くるみとかぶって見えたのは俺だけだろうか
どう読んでもどうしようも無いレベルの作品だと思うんだが・・・。
作者投影オリキャラ主人公に媚び媚び鍵系痴呆オリヒロイン、
原作主人公の立ち位置に取って代わらんとする超有能オリ主人公、
どうみても最低最強U-1SSのテンプレです、本当にありがとうございました。
そのうち原作キャラの名前だけ使ったファンタジー物やバトル物が跳梁跋扈しそうだな・・・。
別のゲームのSS投降掲示板がオリキャラだらけになって荒れた一件を思い出した
まあ、あれだ。
作者自身に文章力が無い訳じゃないから、他所でやれば結構ウケるんじゃないか?
ただ、原作に思い入れの有り過ぎる住民の多い葉鍵板に合わなかっただけで。
オリキャラ出すとよほど作者がうまくない限りご都合主義&主人公(もしくはオリキャラ)マンセーSSになってしまうからな
あと、こういう言い方は良くないと思ったりもするんだが
オリキャラ出すSSの作者ってオリキャラださないと話が書けない程の技量しか持ってないことが多い気がするわけで
その程度の技量じゃあ原作のキャラを原作っぽく書くことなんて出来るはずがないと思う
まぁ、こういうところに書くこということは、こういうアンチ的な考えを持った人間がいるところにSSを晒すことになるということを考えて
その上で投稿してほしいかな、とは思う。そういう時俺はスルーするけど、そうでない人が反応してスレが荒れるのも嫌だし
貴明「よく似合ってる。可愛いいよこのみ。」
そう言ってこのみの頭を撫でてやる。
『てへ〜』と気持よさそうに目を細める。
貴明「そうそう、このみに一つお願いがあるんだけど…。」
頭から手を離し、改めて向き直る。
このみ「なに、タカ君?」
貴明「そう、それ!
その、二人っきりの時は『御主人様』って呼んで欲しいんだ。
もちろん、変な意味で言ってるんじゃなくて純粋に…、ね?」
この通り!とこのみに手を合わせてお願いする。
さすがに最初は戸惑っていたこのみも押し切られる形で承諾する。
貴明「ありがとな、このみ。
こっちにおいで。」
手招きをして隣に呼び寄せ、それに応じ、コタツから立ち上がろうとしたその時、このみの膝が縁にぶつかり、上にあった飲み物を派手にこぼしてしまう。
このみ「あーっ!ご、ごめんなさいタカく…御主人様!!」
幸い、すぐに拭き取ったお陰で染みは残らなそうだ。
だが…
貴明「粗そうをする悪いこのみにはお仕置きが必要だね。」
『お仕置き』と言う言葉に反応し、許しを乞う様な瞳でこちらを見つめるこのみ。
その姿は貴明の被虐心をより一層刺激する。
貴明(くくっ…。このみぃぃ。お前は本当に『優秀』だよ!!)
このみ「タカくん、大変だよ〜」
貴明「どうしたんだ、このみ?」
このみ「あのね、このみのお布団が燃えちゃったんだよ」
貴明「大変じゃないか、それで怪我はなかったか?」
このみ「うん、大丈夫。 ちゃるが持ってきたDSで遊んでたんだけどいきなりDSから火が出てお布団に燃え移っちゃったんだよ。」
貴明「ちゃんと火は消えたのか?」
このみ「うん、大丈夫。 このみのPSPで消したから。 でも、お布団が焦げ臭くなっちゃったよ」
>>157 ごめん訳わかんない・・・
誰か解説して
ヒント:中の人
…でいいのか? PSPで消したとかよく和下欄
>>159 うん。 >中の人
PSPとかは改変コピペがネタ元。
,、i`ヽ ,r‐'ァ
`ヽ:: ::´
ヽ ヽ _ / /
ヽ \ __'´ ヽ _ / / ┌───────────────
ヽ ヽ 、ヽノノ))))〉 ,,/ , ' < ハヮヮヮアアアアァァァアアアアッッ!
ヽ ` ー 、.10)!´ヮ`ノュ_, - ' r' └───────────────
` 、_ /:<.`ш´>:: /
ヽ:::::::::::|::::::::"",r‐'
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/ ヽI,r''"""^~ヽ
/ ,/ ヽ ヽ
>>161 これにはワロタ
サキミとかセンスねぇなぁー
HMシリーズの名前にも合わね
余所のSSからネタパクってだらだらと28話も続けてる某氏よりはずっとマシ。
ミルファとかシルファの公式設定ってでないのかねぇ…
ミルファ→タカ坊大好きで、イルファより胸3cm増量
ロボサッカーで審判を欺いて反則を犯す気性の持ち主
シルファ→マザコンで引っ込み思案
イルファ→エロイ
一瞬、審判を犯すに見えた
>165の粘着っぷりもらんらんるー
164ウザイ
>>166 ちょ、イルファさんがエロイの一言だけで済まされてるw
いや確かにエロイけどな(*´Д`)
>>166 愛と本能の間で揺れ動くいけないメイドロボだろ
ようするにエロいってことだがoqz
173 :
172:2006/02/05(日) 01:28:40 ID:GrdSM0X40
ごめん ミスった
oqz→orz
何そのベラボー参上?
って言うか書かなきゃ突っ込まれなかったのに・・・
うわ、叩かれてる
ごめんよ
>>172 おれが訂正したばっかりに(つД`)
どうも、初めまして、新参者です。
ToHeart2で書くのは初めてなので、不安もありますが、
書いてしまったので、せっかくだから〜投下するほうを選ぶことにします
「あっ!そうだ…あたし、クラス委員長の仕事があったんですよぉ〜」
本棚を整理する手を止めて、そんなことを言い出したのは、
誰あろう、この書庫の”ヌシ”ともいえる小牧愛佳その人であった。
「「えっ」」
そして、彼女以外にその場に居合わせた二人が同時に声を上げる。
「ご、ごめんなさい〜、うっかりしてまして…」
拝むように手を合わせて二人に平謝りの愛佳。
しかし、当の二人はそんな愛佳の様子を訝しげな眼差しで見つめるのみであった。
(わざとだ…)
(絶対わざとだわ…)
この二人、河野貴明と長瀬由真に書庫の整理の手伝いを依頼したのは愛佳自身である。
その本人が、整理開始から5分も経たないうちにそんなことを言い出すのは、
普通に考えて、無理がありすぎるにも程がありすぎて、とても不自然に思えるだろう。
(いや、それでも小牧ならやらかしそうな気がしないでもないが…)
大っぴらでないながら人から頼られ、人から頼まれた多数の仕事をこなしているわりには、
意外とドジも多い。
(それにしても、な〜んかわざとらしすぎるのよね…)
思い起こしてみれば、最初の『あっ!そうだ…』も随分と棒読みだったように思える。
「それでは〜…1時間程は戻りませんので…」
「やけに具体的だな、おい!」
貴明のツッコミも無視して、当の本人は二人と目をあわせようともせず、カバンを持ってそそくさと立ち去ろうと扉に近づいていく。
何故か摺り足で。
「ちょっ…ちょっと待ってよ!」
堪りかねた由真が、去ろうとする愛佳の制服の袖を掴む。
くい止められる愛佳。しかし、由真の方を向こうとはしない。
「な…何勝手な気を利かせてくれちゃってんのよ…」
貴明には聞こえないよう、愛佳の耳元で囁く由真。
「えぇ〜…なんのことかなぁ〜?…」
あくまで由真の方は見ずにあからさまに惚けてみせる愛佳。
「だ〜か〜らー!あたしは貴明なんて…」
今度は大きな声で捲くし立てる由真、だが、
ガラッ ピシャンッ!
どうやったかはわからないが、由真の手からスルッと袖を抜いて、愛佳は扉の向こうへと消えた。
(逃げた…)
(逃げたな…)
ガチャリ!
「「何故鍵まで!!」」
二人同時にツッコむ。
中からいくらでも開けられるのに、わざわざ外から鍵を掛けるとは。
その行為に意味は無いように思われたが、愛佳が中の二人に何をさせたいのかは何となくわかってしまった。
(くぅううぅ……愛佳のヤツぅー…)
扉の前で呆然と立ち尽くす由真。
「由真…」
「うわぁっ!」
突然ポンと肩を叩かれ、思わず身じろぎする。
いつの間にか、貴明が由真に近づいてきていた。愛佳の消えた扉をただ見つめていた由真はそれに気づかなかったのだ。
「な…何よ!あんたまさかノセられようってんじゃ…」
段々と声が小さくなっていく、そして、
「……な…何ですか?気軽に声を掛けないでください」
思い出したように口調を変える由真。
そして、これ見よがしに片手でメガネの位置を直す。
あくまで、自分は貴明の知っている「十波」由真ではなく、「長瀬」由真なのだと主張しているようだった。
「……今更…言い直したって遅いんだよ…」
搾り出すように声を出す貴明。
その表情は、随分と差し迫っているように見えた。
「…やめてください」
頑なに拒絶する由真。肩に乗せられた貴明の手を振り払おうとする。
しかし、力の込められた手は、由真の身から離れようとはしなかった。
「…今は二人だけだ…だから…」
「二人だけだから、何だって言うんですか?まさか…襲おうってんじゃないでしょうね?…このケダモノ!」
貴明の手を退けようとする由真の手に力が込められる。しかし、動かない。
「…二人だけだから!その変な喋り方も必要ないんだよ!!」
そう言いながら、貴明は両手を使って由真を無理やり自分の方に向かせる。
「…な…何すんのよ!」
突然の力任せの行動に驚く由真。
目の前に現れた貴明は、真っ直ぐに由真の目を見つめている。
「由真…」
貴明が由真の名を呼ぶ。すると、何故だか由真の視界が涙で滲んでいった。
そんなに真っ直ぐ見つめられると、耐えられなくなる。
「やめてよ…やめてよ!あたしはあんたなんか…」
「由真!!」
不意に、貴明は由真の背中に手を回して、由真の身体をきつく抱き寄せる。
「…………」
予想外の出来事に、しばし言葉を失う由真。しかし、
「やめてよ!やっぱり襲おうってのね!ケダモノ…ケダモノォぉ!!」
泣き喚くような声を上げながら、貴明の腕の中で暴れだす。
しかし、貴明が抱き寄せる力は益々強くなり、由真を離そうとはしない。
「やめろよ!!そんな態度されると…俺は…つらく…て…」
「え…なに…」
聞こえてくる貴明の声がなんだかおかしい。いつもよりもくぐもって聞こえる。
「なん…で・・・何であんたが泣くのよぉ!」
由真は、貴明の声がおかしいのは泣いているからだとわかった。
自分を抱きしめる貴明の腕が微かに震えていることもそれを裏付けていた。
「…お前が好きだから……」
「えっ?!」
「お前が…由真が好きだから!だから泣けてくるんじゃないか!!」
貴明はそれだけ言うと、由真を抱きしめている腕を緩め、今度は由真の肩を掴んだ。
「由真…オレ…俺…」
由真の肩を掴んでいる手を、さらに由真の頬へとずらしていくと、由真の顔を両手で挟み込むように押さえる。
そして、由真に顔を近付けていく。
「ちょっ…何して…んぅっ…」
由真に拒否する暇を与えなかった。
貴明は強引に由真の唇を奪う。
「んんっ!…」
突然のことに由真は放心状態であった。
そして、気がつくと、貴明を振りほどこうともがき始める。
しかし、貴明は離れない。男の力で力強く、由真を離さなかった。
「…………」
「…………ん…」
やがて、諦めたように由真の力が弱まっていく。
それどころか、今度は何を思ったか、由真の方から貴明の背中に腕を回してくる。
「……由真…」
その気配を感じ取った貴明は、ゆっくりと由真から顔を離す。
「…いいのか?…」
真摯な眼差しで由真を見つめながら尋ねる。
一瞬だけ二人の目が合ったが、由真の方から視線を逸らしてしまった。
だが、その逸らせた方向は、さっきまでのようにあさっての方向ではなく、下の方。
照れたように、うつむき加減で逸らしたのだった。
「……いい…」
やがて由真から発せられたのは、消え入りそうな微かな声。
「え?」
貴明には由真が何を言ったのか理解できず、思わず聞き返してしまう。
すると、由真が突然ガバッと顔を上げた。
「良いっつーてんのよ!このバカ!!好きにしなさいよ!もー!」
顔を真っ赤にしながら、怒ったように捲くし立てる由真。
その態度を見て、半ば怒鳴られているにも関わらず、貴明は安心してしまうのだった。
(あぁ…いつもの由真だ。俺の知っている…)
そう思えば思うほど、貴明はしばらく我慢していた感情が溢れてくるようだった。
由真が愛しくてたまらない。
貴明はまた由真の顔に自分の顔を近付ける。
「もぉ……」
すると、今度は由真の方からキスをしてきた。
たまらなくなった貴明は、自分の舌先を、由真の唇に割り込ませる。
「んっ…」
一瞬、由真の表情に戸惑いが見られたが、何ら抵抗なく滑り込んでいく。
「…んっ!…んっ!…んん…」
由真の口の中で、由真の舌が、貴明の舌に絡め取られていく。
(あたし…普通のキスさえしたことないのに…)
それは不思議な感覚だった。
他の人の体温が、自分の口の中で動き回る。
だが、少しも嫌な気はしない。
何だか、頭の中が溶けて、浮ついていくようで、
ぼぅっとしてむしろ心地良かった。
「…んん…はぁっ…ん…んん…」
軽く息継ぎをしてキスを続ける貴明。
(柔らかい…女の子の唇って、こんなに…)
上気して赤くなった顔が由真からも一瞬垣間見えた。
由真も、自分の顔が赤くなってきているのが、自分でも判るほど興奮していた。
「……ぷはっ…ふぅ…はぁぁ…」
貴明がようやく口を離す。
二人の口の間には、二人の唾液が絡まり合って、糸となって伸びていった
「……………はっ!」
キスから開放された後、呆けたように固まっていた由真が気づいたとき、貴明の顔はまだ目の前にあった。
そして、その眼差しに、由真は一抹の不安を覚える。
まさか
「うわぁっ!!」
と思ったのも束の間、由真の身体が突然浮き上がった。
貴明が由真を抱えあげたのだ。
そしてそのままソファの上に倒れこんでいく。
「ちょっ…あんたまさか…」
「さっき…」
貴明は何かを言いながら、由真のスカートのホックに手を掛けている。
「さっき、『好きにしなさいよ』って言ったろ…だから…好きにする!」
由真の腰から、スルリとスカートが離された。
「うわっ…?!…え?…ちょっと…貴明!!…ってば…」
しどろもどろになりながら、下ろされていくスカートを片手で抑える由真。
「ダメだ!俺、もう我慢できないから」
「えぇっ!?ちょっ…やっぱりケダモ…んんっ…」
何か言おうとする由真の唇を、貴明の唇が塞ぐ。
貴明の右手は由真のスカートを外しつつ、左手は由真の頭の後ろに回され、抱き寄せていた。
(こいつ…器用なことを…ホントに初めてか?)
ともかくも、やられっ放しはダメ、と思う由真。
スカート片手で抑えつつ、もう片方の手で貴明の額をガシッと掴むと、力の限り引き剥がした。
「由真!」
しかし、貴明もなかなか引き下がらない。
狭いソファの上でもみ合う二人。
やがて…
私怨
ビリッ
という布地が裂ける音と
ズダンっ!
という大きな物体が滑り落ちる音が、書庫内に響いた。
「……っ……いったぁー……」
貴明とともにソファから滑り落ち、後頭部をしたたかに打ち付けた由真。
頭を抑えながらゆっくりと上半身を起こす。
「うぁっ!」
その過程で、由真は自分の手に握られているものを確認して驚く。
そこにあったのは、半ば切れ端となった自分のスカートの無残な姿だった。
「ごめん…由真…スカートは、また買ってくるから…」
貴明の声が聞こえる。
「あーぁ……もぉ……って…え?」
その貴明の声が聞こえてくる方向にゆっくりと目を向ける由真。
そして
「きゃぁあああああっ!!」
そこに見えたのは貴明の頭頂部のみ。
貴明の頭部は、由真自身の両太腿に挟まれた格好になっていた。
そして顔面は、下着姿も露になった由真の股間に張り付いている。
「いやぁっ!」
慌てて貴明を離そうと、足を開く由真。
「うぁっ!やっぱダメぇっ!」
しかし、その自ら足を開くという行為もやっぱりできない。
「うぐっ!」
再び閉じてきた由真の太腿に挟まれ、貴明が変な声を上げる。
「いやぁっ!もぉヤダ!バカ!」
開くことも、閉じることもできないのっぴきならない状態に追い込まれる由真。
「ちょ…由真…落ち着けって…」
貴明が由真の内腿に手を掛け、足を抑える。
「うぁぁあ…ちょっとぉー!バカ!ヘンタイ!」
内腿を貴明の指が這い回ると、何とも言えぬくすぐったさが伝わってきた。
「由真…由真…」
貴明はそのまま手を滑り込ませてグイッと由真の太腿を広げると、あろうことか、由真のパンティの端に手を掛けてきた。
「うあぁ!ちょっと!あんたが落ち着きなさいっつーーーの!!」
由真は正直、まだ心の準備ができていない。
というか、いきなりそこまで行くとは思っていなかった。
「エッチ!バカ!ヘンタイ!いやらしいっ!」
思いつく限りの言葉で罵倒する由真。
「うん…」
しかし、貴明の方は、意味の通らない生返事をするだけで。
スルリ
「あ……」
貴明の手が、由真の下着をずらしていく。
「さ、さげた…」
踏み込まれてはいけない領域に貴明が踏み込んできた。
半ば放心状態の由真。
貴明はもう止まらない。
スルスルと下着が下げられて行く。
力の抜けた由真の足を操作するように、貴明の手は由真の足からスルリと下着を抜き取った。
露になる局部。
「うぁ…ダ…メ…」
一糸纏わぬ姿となった由真の股間に、貴明が再び顔を近付けて行く。
「これが…由真の…」
貴明の目の前には、曝け出された由真の女性器。
控えめの陰毛は、柔らかな縦スジを隠し切ることは出来ず、陰唇の柔肉の形がはっきりと目で判る。
初めて見る女性の大事な部分。
貴明は自分の下半身に血液が集中して行くのを感じた。
「やだ…バカバカ!そんなに見るなぁっ!」
由真はもう、恥ずかしさのあまり頭が混乱してどうにかなりそうだった。
自分の下腹部を凝視する貴明をまともに見ることができず、自分の手で自分の顔を覆い隠している。
「とても…キレイだ…」
貴明の方は、もう完全に歯止めが利かなくなっている。
自らの指で由真の陰唇に触れ、少し横にずらして見せる。
白い恥丘の間に、ピンクの小陰唇が少し顔を覗かせた。
「ひ…ひろげるなぁ…」
珍しく弱々しい由真の声。
ゴクッ…
貴明の喉が動いた。
端から聞いても聞こえるほどに、はっきりと生唾を飲み込んだ。
「ここ……濡れてる?…」
露になった由真の小陰唇は、書庫内の柔らかな灯りを浴びて、鈍く光を放っている。
貴明は吸い寄せられるように、その場所へ顔を近付けて行った。
「うぅ…」
由真の陰部に貴明の息が吹きかかる。
その瞬間、由真の腰がピクリと震えた。
「ぅあんっ…」
由真が今までよりも高い声を上げる。
貴明の舌が、由真の陰唇に触れた。
そしてそのまま、僅かに開いている割れ目に沿って、舌を上下に動かす。
(…特に、味は無いんだな…)
それが、貴明が抱いた率直な感想だった。
ただし、由真の身体はそうはいかない。
如何に洗ったところで、ヒトの匂いと言うものがある。
由真の性器がもつ匂いが、貴明の鼻腔を擽っていた。
雌の匂い。
ひどく興奮する。
「ひぁあっ…」
次の瞬間、ヌルリとした異物感が由真を襲った。
唾液をタップリと含んだ貴明の舌が、由真の体内へと入り込む。
グニャリとした柔らかい感覚が中に入ってくる。
独特の柔らかさと複雑な動きをもつ舌の感触。
ゾクゾクとした悪寒が背スジを走り抜け、由真は思わず身を反らせた。
「やっ…やだ…バカぁ…動いて…んんっ…」
貴明が舌を動かすたびに、由真の性器も反応して、キュウキュウと締まってくる。
その舌を締め付ける感覚が、貴明の興奮を増長させる。
貪るように由真を欲する貴明。
このとき、貴明はふと触ってみた由真の割れ目の頂点が、硬くしこりを持っていることに気付いた。
(よくわからないが、クリはここ!)
そっと指で触れ、そこに被っている陰唇を割る。
「ひゃぅっ!!」
その瞬間、由真が今までに無い勢いで背を反らせた。
「やぁっ…ダメ…そこはダメなの…」
貴明の指が、微かに表面を通過しただけで、由真は暴れるように足を浮き上げる。
貴明の中で、今までなかった好奇心が首を擡げてくる。
紫煙
貴明は、両手の人差し指を使って割れ目の頂点辺りの陰唇を割り開く。
次に、静かに膣口から舌を抜き取ると、硬く尖らせたまま、その頂点を突付く。
そして、その部分を穿るように舌を食い込ませた。
「やっ…ダメッ!…ダメって言ってるのにぃ…」
食い込んだ舌に誘われて、遂に由真の陰核が露出する。
貴明は、誰に教えられたわけでもないのに、まるで、そうすることが当たり前であるかのように、
硬く充血した由真の陰核を、唇でそっと甘噛みした。
「うぁあああっ!ダメェェ!!」
次の瞬間、由真が一際大きな声を上げ、身体がびくんと波打つ。
「はぁ…はぁ…ひっく…うぅ…」
全身の力が抜けてしまったかのように、ぐったりと横たわる由真。
そんな由真の足元で、カチャカチャと音がする。
「もう、俺止まんないよ」
気だるげに目を開けた由真の視線の先には、自分のベルトを外している貴明の姿があった。
「だ…め…だめぇぇ…け…けだものぉ…」
身体にうまく力が入らない。
貴明のパンツが下ろされ、いきり勃ったペニスが姿を現す。
「そんな…まってよぉ…」
しかし、貴明は止まらない。
「俺はケモノになるぞ」
そういうと、自らのペニスの先を、微かに開かれた由真の膣口にあてがった。
「んくっ……!」
きつく閉じていた由真の唇から声が漏れる。
「あ……あ……ぁ……っっ!?」
ギチギチに硬くなった貴明の先端が、由真の割れ目を上から下へとなぞる。
やがて
「あ…あぁっ…!」
先端が、ヌルリと由真の中へと落ち込んだ
試演
「……って、いやぁあああああああああああああああああーーーーー!!」
突如として、病室に、妙な興奮した叫び声がこだました。
「河野くん!ダメだよぉ〜挿入までいっちゃっちゃぁ〜」
そして、液晶画面が割れんばかりのすさまじい勢いで膝元のノートパソコンを閉じる。
「何故ならあたしたちはまだ、がくせ…い…?」
そこまで言った所で、愛佳は傍らのベッドの上から浴びせられる怪訝な眼差しに気が付いた。
「…お…お姉ちゃん…?…」
はっとなる愛佳。
パソコン上で展開する文章に没頭するうち、いつの間にか声が漏れていたようだ。
「ご…ごめんね…起こしちゃったかなぁ〜…」
ここまでやっておきながら、なおも姉然とした態度をとろうとする愛佳であった。
「う…うん…あれだけ大きな声じゃね…ってか何やってたの?」
郁乃から向けられる視線は、まだ怖れを含んでいた。
「…あのね、明日決行する作戦のシナリオ作り」
「シ…シナリオ?…」
「うん…久々に文芸部としての本領を発揮してしまったわぁ〜」
「?」
郁乃にはいまいち理解できなかった。
しかし、そんな郁乃を無視して、遠い目をしながらの愛佳の話は続く。
「ふふふ…前に河野くんに文芸部としての活動を訊かれたことがあったけど、これはさすがに言えないわよねぇ〜」
今度はだんだんと顔が赤くなってきた。
「でも、二人きりになってからの展開はちょっと(意訳:かなり)強引だったかな〜
いやいや、この年頃の男の子なんておサルさんみたいなものだもの、これくらいは…ハッ!」
そこまで言った所で、愛佳は気付く。
「随分と長いこと書庫で二人っきりだったのに、何もされなかったあたしって一体〜…」
突然塞ぎこみ、半泣きになる。
(やば…お姉ちゃんってば、見てて面白すぎる)
「ところで…」
「な…なに?」
突然自分の方を向かれて、ビクッとなる郁乃。
「初めてでも、濡れるものなのかなぁ〜…」
「はぁ?」
「や、や、や、ごめん 郁乃にはこんな話だめだよね!」
「は?」
「所詮あたしなんて、経験の無い…やっぱり経験がないとこっちの道は難しいのかな…」
(お姉ちゃん……おもろい…)
翌日の放課後
「それでは〜…1時間程は戻りませんので…」
とにもかくにも作戦を決行することにした愛佳。
「やけに具体的だな、おい!」
(おおっと、予想通りのツッコミ…河野くんも通だねぇ〜)
思わずニンマリとしてしまう。
そして
ガラッ ピシャンッ!
シナリオ通り、速やかに書庫を後にした。
後は、逃げるようにその場を離れ、追ってこないことを確認する。
(よっし!ここまで成功!っと)
そのまま逸る気持ちを抑えながら、学食に行き、ホットな茶を購入して一服。
「ふぅ〜落ち着きますなぁ〜」
チラリと時計を見る。
「あ、もう20分も過ぎてる…そろそろ…」
次のステップへと移行する愛佳。
目指すは書庫。
『1時間は戻らない』といった手前、ほんの20分程度で戻ってきたことがばれると言い訳ができない。
書庫が近づくにつれ、自然と忍び足になって行く。
(でも、でも…見ないわけにはいかないもの〜)
ようやく書庫の前に辿り着く。
学食から、本来なら3分のところが10分もかかってしまった。
(うふふ…そろそろパンツ脱がせてる頃かなぁ〜 いけない、いけないわ、河野くん…)
随分と自分勝手なことを考えながら、音を立てぬようにそっと扉の端に手を掛ける。
そのとき
「ダメだ!俺、もう我慢できないから」
という貴明の声が中から聞こえてきた。
(えぇっ!まさか、河野くん、ホントにぃぃ〜)
自分で勝手に妄想しておきながら、まさか現実になるとは思っていたような、そうでもないような愛佳。
恐る恐る扉をずらして中を覗きこむ。
「やだやだやだ!なんでいっつもお尻ばっかりぃい!」
(えぇええええええええええええええええええぇ〜!!)
愛佳は思わず声が出そうになった自分の口を必死で塞いだ。
愛佳が覗き込んだ書庫。
そこでは愛佳には信じられない展開が繰り広げられていた。
支援
「だって!…良すぎるんだ…由真のあな…あなるが…」
「あなるいうなぁっ!!」
書庫の中では、下半身どころか靴下以外全裸になった由真がいて、
パンツ脱がすどころか、もう既に完全に繋がっていた。
(し…しかも、あな…あなるってど〜いうこと?……まさかお尻でぇっ!)
『まさか』とか考えながら、実はちゃんと知っている。処女だけど。
「ひゃぅあっ!」
愛佳が聞いたことも無い由真の甲高い声
(そんな…そんなそんなぁ…)
由真の身体がびくんと波打つ。
「や…ダメ…素早く抜くの禁止!!」
「へぇ…そうか、こういうのがいいのか」
そう言いながら、またズブズブと由真の尻の中に自分のモノを侵入させて行く貴明。
そして
「ひぅぁあっ!」
ズルッと素早く引き抜く。
その瞬間、硬くなった貴明のカリ首が由真の腸壁を引っ掻くように通り過ぎ、由真の背スジにゾクゾクと悪寒を走らせて行く。
「だ、だから、もっとゆっくりやれっつーーの!」
「ふーん…」
またズブズブと由真の尻の中に挿入していく。
「そーか、こういう快便の感覚がいいのか…」
「か、かいべんいうなぁっ!……ぅあぁっ!!」
また、一息に引き抜かれる。
それに伴い、由真の身体がブルッと震えた。
「あ!ヤバ!貴明…ちょっと待って!」
またズブズブと由真の尻の中に貴明のペニスが挿入される。
「だから待てと言ってるのにぃぃいいぃ!」
ズルッと素早く引き抜かれる。
フルフルと断続的に震える由真の身体。
「ふふふ…由真…イキそうなんだろ?」
「わ…わかってるなら止めろぉ…お尻でイクなんて…ぅあああっ!!」
突然、素早く律動を始める貴明。
ぱちゅんぱちゅんとリズミカルに腰が打ちつけられる音が書庫内に響く。
抜き出すときに力を入れることも忘れない。
「や……ちょ…ま…う…うぅぅううううぅ〜ーーー……」
由真は耐えようとしたが、我慢し切れなかった。
ソファの布をギリギリと握り締めながら、唇を噛み締めてビクッ!ビクッ!と続けざまに身を震わせる。
「ぅおっ!由真…イッてる?」
「う…うるひゃい…」
「ちょ…キツい…」
由真の全身の筋肉が一気に収縮している。
その内部に収まっている貴明のペニスはまるで捻り上げられるように急速に締め付けられた。
「うぁ…もうダメだ…」
「ウソ!…いま…中に出されたら…うぁああああっ!!」
今度はお構いなしに声が出てしまった由真。
尻の中でビクンビクンと貴明のペニスが跳ね回り、ドクドクと熱い粘液が流れ込んでくる。
「はっぁぁああ……あぁああ…もぉ……バカぁ…ヘンタイぃ……」
そのまま全身の力が抜けソファに突っ伏してしまう由真だった。
(そ…そんな…お尻の中に…出した?…)
一方で書庫の外。
力なくその場にへたり込む小牧愛佳の姿があった。
(せっかく、昨日あれから徹夜してあの先考えてきたのにぃ〜
そりゃ、あたしは経験ありませんよ…だから、恥ずかしいけど参考文献とか見て、必死でシナリオ作ったのにぃ〜
そんな…そんなとこまでいっちゃうなんて。河野くん早すぎるよぉ〜ケダモノぉ〜)
実は愛佳は知らなかった。
愛佳が作戦を立てるまでも無く、由真と貴明の二人はとっくに仲直りしていて、行くところまで行ってしまっていたのだった。
知らなかったのは愛佳だけ。
もっとも、学校でおおっぴらにそんな話できるわけない上に、人前では由真が常に本来の姿を見せないため、
愛佳には状態の進展がわからなかったのだ。
以前に図書館の棚卸に託けて二人を引き合わせたところ、意外にうまくいっていたようなので、
それに味を占めた愛佳が、『完全に二人きりにしてしまえば、事態はもっとうまくいくだろう』という観点の元、今回の作戦にいたったわけだが、
(完全にあたしの理解を超えてるよぉ〜)
そう思いながら、すっくと立ち上がる愛佳
「これで勝ったと思うなよぉ〜」
捨て台詞を残してその場から逃げ去ったのだった。
「あれ?由真、今何か聞こえなかったか?」
「し…知らない知らない!…もぉ知らない!……って何でまた大きくなってきてんのよぉ!」
射精後も由真の尻の中に収まったままの貴明のペニス。
また、ムクムクと首を擡げてきていた。
「いや、だってお前のあなるが…」
「あなるいうなぁっ!……っっはぁあああああぁんっ!!」
(おしまい)
度重なる支援ありがとうございました。
すみません、最初にエロありとか言うの忘れてました。
できれば、また、よろしくお願いします。
>>204 Good job!
期待して待ってます。
>>204 ひさしぶりのエロスだがそれがまたいい。GJですよ!
病室のシーンの冒頭でいいんちょが書庫に隠しカメラを設置してて、
それを病室のPCで見てたかと一瞬思ってしまったw
>>204 エロありだが、むしろワロタ。
えろく長いなあと思ったら、前半(いいんちょの妄想)と後半の
2部構成だったとは^^;
前半だけ読んで、よくある夢オチ話かと思た。
まあ、どちらにしても貴明はあなる好きということでw
さて、今日は月曜かワクワクテカテカ
しかし、エロ妄想小説を書きながら、自分で興奮してる委員ちょ萌えw
ワロスwww
この際、病院でノーパソを使っていいかどうか、という点は
度外視の方向でw
前スレ843-845の小ネタと丁度反対の内容か。
どっちにしろ委員ちょはエロいんだなw
忍耐を断ち切らせてくれる娘ですから
河野家マダー?
>>204 面白かった&素晴らしいエロスですた。
というか愛佳エロイよ愛佳w
来る……河野家が来る気配がするぞ!!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
優季と花梨、それにタマ姉が家に帰る土曜日、愛佳が俺の家に泊まりたいと言ったのは、何も友達
の家に泊まることに憧れていただけが理由じゃない。今までずっと病院暮らしだった郁乃にとっても
いい経験になると考えたからなんだ。
珊瑚ちゃんも泊まることになり、さて部屋割りはと悩む俺。このみ、郁乃、姫百合姉妹を同じ部屋
にするのはちょっとキツイかも……。だけど珊瑚ちゃんは、意外にもるーこと同室を希望する。それ
を聞いてしょげる瑠璃ちゃんだったが、このみが一緒なら寂しいなんて感じてるヒマもないだろうな。
由真のヤツは、春夏さんの若さに疑問を抱き、このみが実の子じゃないのではなどと言いだす。
それを聞いた春夏さんは何故か顔面蒼白。そして春夏さんは語る――実はこのみは川辺に捨てられて
いた子供で、『このみ』という名前も、入っていた段ボール箱に『お好み焼きのもと』と書かれて
いたところからとったものだったのだ! ――なんて、そんなの作り話もいいトコなのだが、このみ
はすっかり信じてしまい、泣き出してしまった。このみ、ピュアにも程があるよ……。
そして、土曜日の朝。いつものように登校する俺たち。
「はぁ……」
朝っぱらからため息の雄二。
「なんだよ雄二、タマ姉が帰ってくるのがそんなにイヤなのか?」
俺がそう尋ねても、雄二は何も答えない。ただ猫背気味にとぼとぼ歩くだけ。
まあ、すぐ近くにタマ姉がいるからな。ここでもし「そうだ」なんて答えたら、アイアンクローの
刑に処されかねない。
「どうせ部屋も散らかし放題だろうから、帰ったらキッチリ掃除させるからね、雄二。
あと、またおかしな本やビデオを持っていないかも調べるから」
「か、勘弁してくれよ姉貴……。俺だって男なんだぜ、Hアイテムの一つや二つ、持ってたって当然
だろうが」
雄二がタマ姉にHな品々を処分されたのは、確か先週の土曜日のこと。どうやら雄二、懲りずに
また何か入手したんだな。
でも確かに雄二の言い分も理解できる。俺だって一応男だしな。
「貴明からも言ってやってくれよ。同じ男としてさ」
「ま、まあ、タマ姉も少しくらいは見逃してやって――」
しかしタマ姉は首を振り、
「それなりのものだったら私だって見逃すけど、雄二が隠し持ってたのはどう見ても法律違反な品物
ばかりだったじゃない。この間はビックリしちゃったわよ、あ、あんな過激なの……。
向坂家に犯罪者がいるなんて知れたらいい恥さらしだわ。まさかあんた、またあんなもの買った
ワケじゃないわよね? 正直に言いなさい」
「ま、まさかぁ。そんなのあるはずないじゃないですか、お姉様……」
明らかにうろたえている雄二。あるな、間違いなく。
どうやら、雄二にとっては地獄の土曜日になりそうだ。
「おはようございます」
「おはよう……」
「貴明、瑠璃ちゃん、みんな、おはよーさん」
校門の前、いつものように俺たちを待っていた愛佳、郁乃、珊瑚ちゃん。
愛佳と珊瑚ちゃんは、いつもの鞄の他にもう一つ鞄を持っている。お泊まり用の寝間着や着替え
などが入っているのだろう。
俺たちも愛佳たちに挨拶を返し、一緒に学校の中へ。
「ふぁ……」
郁乃が人目をはばからず大あくび。
「どうした郁乃、寝不足か?」
「ふん、別に……」
「そう言えば、目も少し赤いような……?」
「の、覗き込むな!!」
おっとと……、顔を近づけたら突き飛ばされてしまった。
「昨日、なかなか眠れなかったみたいなんです。よっぽど今日が楽しみだったんですね」
「な!? お、お姉ちゃん、違うって言ってるでしょ!」
車椅子を押す愛佳の笑顔に、郁乃が噛みつく。
「郁乃ちゃんもそうなの? 実はこのみもなんだ。
何して遊ぼうとか、郁乃ちゃん、瑠璃ちゃんと寝ながら何を話そうとか、あれこれ考えてたら全然
眠れなかったんだよ」
「その割には元気そうだな、このみ」
「このみはね、お泊まりが決まった日からずっと、お泊まりエネルギーを充填してたでありますよ!
だから寝てなくても全然元気なのであります!」
「何だよそのお泊まりエネルギーって」
思わず笑ってしまう。
「むー、笑わないでよタカくん。
お泊まりエネルギーは、タカくんの家に泊まるぞーっていう気合いの源なんだよ。これが溜まれば
溜まるだけ、お泊まりが楽しくなるんだから」
あー、さっぱり分からん。
何となくもう一度愛佳たちの方を見る――そういや愛佳の鞄、大きくて重そうだな。
「愛佳、その鞄持とうか?」
「え? あ、や、いいですいいです! 大丈夫ですから!」
「いや、結構重そうだし。それ持ちながら郁乃の車椅子押すの大変だったろ?
ここからは俺が持つよ。ホラ、遠慮しないで」
「や、や、大丈夫、あたし、こう見えて力持ちですから!」
頑なに拒む愛佳は、車椅子から手を放し、鞄を抱きかかえてしまった。そんなにその鞄、俺に持た
れるのがイヤなのか?
「うん……」
愛佳の鞄を持つのを諦めた俺は、
「じゃあ、郁乃の車椅子は俺が押すよ」
「「え?」」
愛佳と郁乃、二人に驚かれてしまった。
「あ、あの、たかあきくん?」
「ちょ、ちょっと、勝手に車椅子動かすな!」
「このくらいのサービスはしてやるよ。今日は河野家宿泊特別キャンペーンってことで」
「何それ、ワケ分かんない!」
当然だ。自分でも言ってて意味が分からん。
「教室の階まで連れてってやるよ。そこから先は――」
「ああもう! 自分の車椅子くらい自分で動かせるっつーの!」
郁乃が自分で車椅子の車輪を回そうと力を入れる。――お、結構強いぞ? 見た目はこんな華奢
なのに、意外だな。
「こう見えてもリハビリはきっちりこなしてるんだから!」
自力で前に進もうとする郁乃。うん、その根性は認める。でも、頭を軽くチョップ。
ぺしっ。
「ぅえっ!?」
ヘンな声を上げ、両手を車輪から放して自分の頭を抱える郁乃。その隙に車椅子を押す俺。
「な、何すんのよ!?」
「体力は今晩まで取っておけ。このみが寝かせてくれないだろうからな」
「……うう、……勝手にしろ」
諦め、ふてくされ気味に背もたれに寄りかかる郁乃。
「たかあきくん、ありがとう」
やや前に進んでいた俺たちに駆け寄った愛佳が微笑む。
「いやいや、あくまで特別キャンペーンですから」
だから特別キャンペーンって何だよ、俺? ……もしかして、俺も結構浮かれてる?
「郁乃、たかあきくんに車椅子押してもらってよかったね。ほら、お礼言わなきゃ」
愛佳のその言葉に、郁乃はムッとした表情で俺に振り返り、
「お姉ちゃんの鞄、あれ、中身の大半お菓子だから」
「い、郁乃!?
な、な、何で言っちゃうの!? 内緒にしてって言ったのに〜!!」
むきーっ! と、鞄をブンブン振り回す愛佳。――あ、確かに中から、ガサガサとお菓子っぽい音
がする。
土曜日なので、授業は午前で終わり。
再び校門の前で集合。優季と花梨とはここでお別れだ。
「それじゃ貴明さん、行ってきます」
ペコリを頭を下げる優季。その別れの挨拶は、まるで実家に帰るお嫁さんみたいだ。
「お、お母さんに、よろしくな」
そんなことを考えるから、俺は俺でそれを見送る旦那さんみたいな返事になっちゃうし。
「たかちゃん、これ」
花梨が俺に手渡したのは――メモ?
「花梨の家の電話番号。もし何かあったら電話して。すぐ戻るから。
あ、それから、ビデオカメラは置いてきたから、何かあったら電話の後で、いや電話の前にビデオ
で……、でも、それだと電話が出来ないからやっぱ……」
「わかったわかった。もし何かあったら、俺はビデオカメラで撮影して、他の誰かに花梨に連絡を
させるから。それならいいだろ?」
「そう、そうだね! うん、これで安心だよ。
じゃあたかちゃん、行ってきまーす!」
全く、花梨まで『行ってきます』かよ。
「うん、行ってらっしゃい」
向坂家への分かれ道。タマ姉と雄二とはここでお別れ。
「じゃあタカ坊、みんなのこと、よろしくね」
はは、タマ姉はすっかりみんなの保護者だな。
「うん、分かってる」
「もし何かトラブルがあったら、一応春夏さんにはお願いしてきたけど、私の方にも遠慮せずに連絡
してきてね。すぐそっちに行くから」
「大丈夫だってタマ姉。そうそうトラブルなんて起きないよ。
それに今夜は、しっかり者の愛佳もいるし」
「え? あ、あたし、頼られちゃってます?」
急に名前を出されて、慌てる愛佳。
「何よ、それじゃあたしたちが頼りないみたいじゃない」
不機嫌そうな由真。
「いや、別にそう言う意味じゃないって。普段に加えて愛佳もいるから、100%の信頼が120%
になったって言いたかったんだよ」
「ふん、どうだか……」
「それってタカ坊、私がいなくなっても信頼度が落ちていないってこと? 私ってそんなに頼りない
お姉ちゃんなの?」
納得いってない模様の由真に加え、タマ姉からの思わぬツッコミ。しまった、タマ姉的には確かに
そう受け取れる言い方だったかも。
「あ、いや、そういうワケでは……」
参ったな、何てフォローすればいいかな……、などと俺が悩んでいると、
「ふふっ、冗談よタカ坊。
でも本当に、何かあったら遠慮なく連絡するのよ」
タマ姉が優しく微笑む。……はぁ、やっぱタマ姉には敵わないな。
「タマ姉……、うん、分かった」
さて、雄二にも挨拶――雄二、やっぱ沈んでるなぁ。
やっぱりあるんだろうなぁ、Hアイテム。多分それらはことごとく発見、没収され、そして制裁の
アイアンクロー、……ああ、その様子が目に浮かぶようだ。
「雄二。……その、何と言うか、頑張れ」
これから雄二に降りかかるであろう不幸を思い、せめてもの励ましの言葉を贈る。
「……おう、サンキューな、貴明」
雄二の力無い返事。その顔を見て俺は、絞首台の前に立たされた死刑囚ってきっとこんな顔になる
んだろうなぁ、などと、いささか不謹慎な想像をしてしまった。
家に到着。
『特別キャンペーン中』につき、郁乃の車椅子をここまで押してきた俺。だがこれは、俺にとっても
いい勉強になった。
長くなるので詳細は省くが、俺が学んだのは、車椅子はただ押せばいいというものではないという
こと。例えば、校門の前で最初に俺が郁乃の車椅子を押したとき、俺はいきなり車椅子を押したの
だが、これは決してやってはいけない。よくよく考えれば当然だ。いきなり自分のイスを動かされた
ら誰だってビックリする。押すときは「押しますよ」と一声かけてから押すこと。やや遠慮気味に
愛佳がそう説明してくれた後、俺はそのことを郁乃に謝った。
他にも色々と車椅子について教わり、俺は、普段それを実践している愛佳が凄いと思ったし、それ
を知る機会を得られたことにも感謝した。練習台にされた郁乃には迷惑だったかもしれないが。
「さて、到着っと。じゃ、上げるぞー」
愛佳から教わったとおり、車椅子をウイリー状態にして、玄関の段差に乗り上げる。
普段は玄関のドアを押さえて、愛佳が車椅子を上げるのを見守る俺だったので、勿論今回が初めて。
力を入れて、なおかつ、出来るだけ優しく……、よいしょ、っと、……よし、上がった。
「うん、上出来ですよたかあきくん。とても初めてとは思えない」
「そ、そうか? 何か嬉しいな……。
よ、よし! じゃあこの家にいる間は、俺が郁乃の車椅子を押してやるからな!」
「バカじゃないの? 家の中くらい自分で動くわよ」
そう言って、スイスイと自分で居間に入っていく郁乃。うう、調子に乗りすぎたかも……。
「た、たかあきくんゴメンね。郁乃ったら……」
「いや、いいんだ。少し調子に乗りすぎたみたいだし」
「で、でも……」
「何をしている、後がつかえているぞ。早く上がれ、うー」
後ろから、るーこの声。
いけね、俺と愛佳、自分たちはまだ玄関から上がっていなかった。慌てて靴を脱ぐ俺たち。
「じゃあタカくん、わたし、着替えてくるね」
直接見えないけど、外の方からこのみの声。
「着替え……。あ、そうだ、あたしたちも着替えなくちゃ。
たかあきくん、あの、手伝ってほしいんだけど?」
「うう……」
不満げに小さくうなる郁乃をおぶって、階段を上る俺。
そう、我が家には車椅子用のエレベーターなんて設備はないので、郁乃を二階に連れて行く際は、
こうして運んであげる必要があるのだ。郁乃はこれまで何度か我が家に来たことがあるけど、居間、
、キッチン、あとトイレしか入ったことがなかったので、これまた今回が初めて。
「なんだよ郁乃、何か不満か?」
「不満だらけ」
「そっか。まあ、少しの辛抱だから我慢してくれ」
「たかあきくん、大丈夫? 重くない?」
俺の後ろから、折り畳んだ車椅子を持った愛佳がそう尋ねてくる。
「いや、全然」
これは強がりじゃなくてホントのこと。やっぱり郁乃は軽い。こうしておぶっても全然負担に感じ
ないのだ。でも、まぁ、病気もよくなってるって言うし、郁乃はこれから成長していくのかねぇ……。
あ、今の俺、ちょっとオヤジくさかったかも。
「悪かったわね、こんな痩せっぽちで。これじゃ貴明も全然役得じゃないよね」
「別に郁乃でイイ思いさせてもらおうなんて思っちゃいないよ」
「むっ……」
その言葉が余程面白くなかったのか、
「下ろして。後は自分で這っていくから」
あら、もしかしてマジで怒ったのか? 郁乃の機嫌は難しいなぁ。――あ、そうだ。
「じゃあ郁乃、お姫様だっこしてやろうか?」
「――な!? う、ぅぅううう〜っ!!」
「痛てててて!! お、お前目に指入れるの反則反則!!」
つづく。
どうもです。第43話です。
河野家の、いつもと少し違う土曜日は、次回も続きます。
>230gj!
某ページの変更されたレイアウトを見て、本当に後追いしかできないんだと確信した。
今回の変更は流石に…
もうすこし捻ろうよ…
>235-236
定期的に湧くSSサイト叩き
>>230 乙です!毎回内容の良さに感服。
そしていくのん!いくのん!(AAry
行け貴明、そのままお姫様抱っこだw
>>230 毎回GJです!! いやー、郁乃んイイですねww
前はあんまり好きじゃなかったけど、最近郁乃んの良さに気づく漏れ(*´Д`)
来週も期待しとります〜。
流れから察するにまた中の人なんだろうけど、つーかなんでそんなに中の人嫌ってる人いるんだろ。
俺も今ぱっと見てきたけど特に後追いとか感じなかったけどな。
だいぶ前ってあの人ここのスレでもありがたがられてた記憶があるんだけどな。
誰かがでっち上げた架空のアドにほんとに郁乃SSあげたりと。
ここ何スレか見てなかったんだが、その間に一体何があったんだ。
煽りとかそういうんじゃなく、これ純粋な疑問。
>>241 おまいも郁乃の魅力をわかってきたか
良い兆候だ
これからも励めよ
>>242 俺ももう一度見てきたけど、速攻でレイアウト変更されたね。ここ見て変えたんだろうか。
これなら後追いでも何でもないし別にいいと思うよ。
でもまあ、誰も何も言わなければそのままだっただろうし、そういう気構えみたいなものが
ページのレイアウトだけじゃなくて作品にも出てるのがねえ……
スレ違いだから消えるが、あいつがやってんのは二次創作どころか三次創作だわw
空気悪くなってんなぁ…
河野家喜多!!!!!の人マダー?
お前らも粘着叩きに反応するなよ。そんなもんは放置プレイ
うーむ、微笑ましいな。
おさると、嬉々としてしておさるに餌をやるお子様とがか?
よく同人誌とかSSで下校中によっちとちゃるに遭遇ってあるけど、
寺女は確か全寮制じゃなかったっけ?
>>172 超遅レスなんだけど
oqzって横向きに寝ながらオネイニーしてるように見える
>>250 >寺女は確か全寮制じゃなかったっけ?
九条院とゴッチャになってない?
>>252 何で俺の書き込みがここまで影響受けてんだw
てか携帯だと打ち間違える
>>250 ゲーム本編で下校中によっちとちゃるに遭遇する場面があったと思うんだが。
このみシナリオの「おっきい・ちっちゃい」イベントとか、最終日のアイス屋とか。
>>230 だいぶ遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
って、本当にタイミング外してますねorz
>>233 「や、や、大丈夫、あたし、こう見えて力持ちですから!」
はい、せーの、ウソつけーーー!!!
PCの前で力一杯突っ込ませていただきましたw
しかし、郁乃んて室内でも車椅子の設定なんか。。
このみの元気を1/10000でも分けてあげたいw
>>246 何で待たれているのか、謎なんですが^^;
1,2月中、月曜は手が離せなくて、読むのがどうしても
1日遅くなってしまうのですorz
そんなわけで、来週も1日遅れで喜多ーーー!!!と叫ばせてもらいます。
>>242 叩いている人は、ごく一部だと思いますが。
適当にデッチ上げた/ikunonのアドレスに、わざわざupしてくれた時には
本当にやられた!と思いましたw
>>257 /ikunon
あれなw
あれはホントにキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!だったなw
何スレ前の話だっけ?
259 :
257:2006/02/08(水) 00:54:53 ID:WZ/qIkv40
IEで見てるんで、過去ログは見られませんが
中の人の更新記録によると、2005/10/7のようですから
SS専用スレ9で、3スレ前ですね。
もうそんなに昔になるのか^^;
もっともそんなことを言うと、河野家は一体何スレ前からになるのかw
ひょっとすると、河野家の中の人が書いていたアイス屋の話を
リアルタイムで読んでない人も結構増えてきたのかもしれませんね。
>>259 河野家は、SSスレ5の438(2005/04/26)からスタート
長期連載ですな
261 :
257:2006/02/08(水) 01:11:35 ID:WZ/qIkv40
>>260 長期というか、何というか^^;
既に習慣、もとい週刊と化してますし。
このままでいくと、連載一周年が無事に迎えられそうですね、
次スレぐらいにw
TH2のSSスレがここまで続くとは思わなかったよ
当時は
中の人のサイトで作品の横に登場キャラ付けたのは
俺が前にWeb拍手で提案したのが採用されたんじゃないかと思ったんだが。
メインの長編はともかく、短編は誰の話か書いといて欲しいって思ったのよ。
これは、余所のサイトでもそうだけどさ。
カップリング表記とか、登場キャラとかそういうのは無いと困るんよ。
こういうスレ直書きならしかたないけどさ。
で、中の人は「上手く見れない人はココから」の方も付けてくれると嬉しい。
俺は上手く見れない人なんで。
いや、言われなくてもわかってるよ。 Web拍手に書けってんだろ?
ついでに各SSをupした日付もあると便利だな。
久しぶりに見るとどこまで読んだか判らなくなる。
素直になれない女の子マダー?
それのサキミってキャラ「俺様日記」のマルチにインスパイアされてないか。
>>265 一応入院は終わりましたので、ぼちぼち書けると思いますが
まだ本調子ではなく特に腰が痛いのでPCに向かうのがちょっときついです。
気長に次作をお待ちいただければ幸いです。
>>268 早く治ると良いですね(´・ω・`)
作品の続きはマターリして待ってますね。
270 :
265:2006/02/09(木) 21:10:36 ID:xvPylrPMO
>>268 気長に待ちます、早く良くなるといいですね。
個人的に今一番wktkです。
>>268 余り無理なさらず様に・・・
でも俺もwktkしながら待ってますw
「はぁ…」
正直、今日は学校に行きたくない。理由は言うまでもなく、幼馴染3人衆のことである。
このみ、雄二、タマ姉は今日から普通に登校する。無論、俺も一緒に。
昨日小牧姉妹と別れてからこのみのお見舞いに行ったところ、
このみはすっかり元気になっていた。春夏さんにも
『明日からまた迷惑かけることになると思うけど、よろしくね』
と言われてしまったし、このみを迎えに行かないわけにはいかない。
迎えに行かなければいけないのだが、郁乃ちゃんとのことを知られると思うと気が重い。
いや、このみだけならまだいい。説明すれば分かってくれるし、
ごまかすことも可能だ。しかし、今日は親戚のところから帰ってきた
雄二とタマ姉も途中から一緒に登校する。この二人に見られたら
根掘り葉掘り聞かれて、あること無いこと話す羽目に陥るのは想像に難くない。
別にやましいことをしているわけじゃないのは分かっている。
だが今まで女の子が苦手、ということであまり女の子と接近が無かった
俺が郁乃ちゃんを抱き上げるのを見られたら…確実に誤解される。
俺は嘘が上手くないから、嘘をついて逃れることは出来ない。
しかし本当のことを言ったとしても、確実に信じてもらえないだろう。
『いいって、いいって。俺は分かってるよ、貴明にもとうとうこれが出来たんだろ?』
と言いながら嬉しそうに小指を立てる雄二の姿が、ありありと目に浮かぶ。
…くそっ、想像しただけで腹が立ってきた。
なんてことを考えてるうちに、かなり時間が経ってしまった。
郁乃ちゃんを運ぶことを考えると、これぐらいで家を出ないとまずい。
俺が行かないのは勝手だが、行かないと困るのは小牧姉妹だ。
いくら行きたくなくても、行かなくてはならない。
「はぁ…」
もう一度ため息をついてから、俺は家を出た。
「タカくん、おはよー!」
「お、今日は早いじゃないか。雨でも降るかな?」
「む〜、タカくんの意地悪。2日も家から出られなくて、すっごく退屈だったんだからね!」
なるほど、そういう理由で早起きだったのか。
ということは、明日からはまた遅刻ぎりぎりの日々が続くってことだな。
「タカくん、今失礼なこと考えてる顔してた!」
「そ、そんな顔してないって。早く行かないと遅刻するぞ」
「あ、待つであります!」
そんないつものやりとりを続けながら、雄二やタマ姉とも合流。
3日ぶりのやりとりに、俺以外は会話が弾む。
「貴明、元気ないけど何かあったのか?」
「いや、何でも無いよ」
「お前がそういう時は大抵何かあるだろ。言えよ。相談ぐらい乗るぜ?」
雄二の優しい心遣いも、今はうっとうしい物でしかない。
というか、相談したところで何の解決にもらならないのは明白だ。
何せ今の俺の悩みは、どのように小牧姉妹との関係をこの3人に伝えれば
被害が少ないか、というものだし。相談したら本末転倒である。
「…ま、言いたくなったら言ってくれ。無理強いするもんでもないしな」
「ああ、サンキュー」
今は理解のある親友である雄二が、5分もしないうちに180度変わるのは想像に難くない。
必然と分かっている困難から逃げられないのは、もはや意味拷問に近い気がする。
あ、胃が痛くなってきた…
「あの後姿は委員長?」
とうとうこの時が来てしまった。胃の痛みはきりきりと強くなるが、逃げ場なんて無い。
ええい、なるようになれ!
「委員長、おはよう…あれ、その娘は?」
「おはようございます、向坂くん。この娘は私の妹で郁乃。ほら、郁乃。ご挨拶」
「不出来な妹です。どうも」
そんなひねた対応しなくても、と思うが郁乃ちゃんだから仕方ない。
案の定小牧はそんな郁乃にわたわたしている。
「ごめんなさい、向坂くん。この娘、ちょっとひねてて」
「気にしない気にしない。ちょっとひねてるぐらいなら可愛いもんだぜ
何せうちのはどうしようも無いぐらいひん曲がって…
あだだだだだだ!!割れる割れる割れる!!」
言わなくてもいいことを言ったせいで、タマ姉必殺のアイアンクローを食らう雄二。
口は災いの元、ということわざは雄二のためにあるに違いない。
「うちの愚弟が何か言ったみたいですけど、気にしないでくださいね」
「あ、あはは…」
「お、お姉さま、謝ります、謝りますから離して……」
「タマ姉、それぐらいにしないと雄二が本当に死んじゃうって」
「ま、これぐらいで許してあげるわ」
ドサッという音と共にその場に崩れ落ちる雄二。
人が崩れ落ちるシーンを見慣れる日が来ようとは思いもしなかった。
「あ、あはー」
このみもいつもの微妙な顔で雄二を見ている。しかし、この状況に慣れていない
小牧姉妹はそうもいかない。特に小牧はおろおろしながら雄二とタマ姉を見ている。
「え、あの、え?向坂くん置いて行っちゃっていいんですか?」
「……死相が見えましたけど」
「いいの。あれぐらいで死ぬなら私の弟じゃないわ」
「は、はぁ」
「良く分かりませんが、実のお姉さんがいいというならそれで」
「はくじょうもの〜」
小牧姉妹からも裏切られた雄二が恨みの声を上げている。後で線香でも手向けてやろう。
その後このみが自己紹介をし、とりあえず全員知り合いになった。このみと郁乃ちゃん
はどうやら同じクラスらしく、このみはぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる。
「友達が増えたでありますよ〜」
そんなこのみを見る郁乃ちゃんはちょっと戸惑っている。
このみのような相手には毒を吐きづらいのかもしれない。
「あんた、今ろくでもないこと考えたでしょ」
「考えてないって」
「むぅ」
「何で鞄から辞書出してますか」
姉と行動が一緒なあたり、やはり姉妹らしい。最初は全然似てないと
思ったが、変なところで似ている。
「また変なこと考えた顔した」
「どんな顔だ」
「タカ坊は素直だからね。思ったことが全部表情に出るのよ」
「分かる分かる。タカくんって嘘つけないもんね」
…俺ってそんなに単純だろうか。救いを求めて雄二のほうを見る。
「ん?お前は単純ってわけじゃないが嘘をつけるタイプじゃないな。
浮気とかしたら100%ばれるタイプ。ま、浮気する甲斐性があるとは思えないけどな」
好き放題言ってくださりました。雄二に救いを求めた俺が馬鹿だった。
学校が近づいて来たとき、あることを疑問に思ったこのみがこう言った。
「そういえば、郁乃ちゃんって車椅子でどうやって階段上がるの?」
もっとも触れられたくないところに突っ込みやがって…
郁乃ちゃんもそれは同じなのか、顔を赤くして言葉を濁している。
すると、横から小牧が
「河野くんが手伝ってくれるの。郁乃を抱っこして3階まで運んでくれるんですよ」
とあっさり全部暴露してくださいました。にやにやしながら何てことをしてくださいますか。
「タカくんえらーい。さすがタカくんであります!」
「へぇー。あのタカ坊が女の子相手にそんなことするなんて…
タカ坊もとうとう色を知るお年頃になったのかしら?」
「ずっと女子が苦手女子が苦手と呪文のように言ってた貴明にも、
とうとうこれが出来たんだな。がんばれよ、貴明。応援してるぞ」
このみ以外は見事に誤解している。出来れば外れて欲しい予想だったが、やはりそう甘くは無い。
「そんなんじゃないって。純粋に手伝ってるだけだよ。ねぇ、小牧さん?」
「うふふ。さぁ、それはどうかな♪私は河野くんじゃないから、
河野くんがどんな気持ちで私たちを手伝ってくれるのかは分からないし」
何ですか、その世間話が好きなおばさん風な受け答えは。
誤解を確信に変えないでください。お願いですから。
「姉公認か。やったな貴明」
「タカ坊、大事にしてあげなきゃダメよ。女の子はか弱いんだから」
姉公認も何も俺は何もしてないぞ、雄二。それとタマ姉、タマ姉を見てたら
女の子がか弱いなんてとても思えません。
そんなことを考えながら、とうとう階段まで来てしまった。
「雄二、貴方は車椅子を持ってあげなさい」
「言われなくても分かってますよっと」
「え、ええ??そ、そんな。悪いですよ」
「気にしない気にしない。それより貴明、早く郁乃ちゃんを抱っこしてくれ」
いちいち大きな声で言わないで欲しいものだ。
「じゃ、いくよ?」
「うー…」
「な、何か?」
「…ふんだっ。さっさとしなさいよ」
何で怒られるのか、釈然としないまま3階まで運ぶ。
そういえば、郁乃ちゃんの機嫌途中からずっと悪かった気がするな。何でだろ…
「ま、いっか」
きっと何か気に入らないことでもあったんだろう。
そう自分の中で結論付けて、郁乃ちゃんと別れた。
ラスト4/5になってますが5/5の間違いです。すいません…
素直になれない女の子との日々書いてから毎回何かミスがある気がする_| ̄|○
3話は雄二たちの郁乃の出会いということで。今回幼馴染3人組はささらシナリオ後半と
同じく貴明の恋を応援する側に回ってもらいます。愛佳は由真シナリオの感じで書いてるつもりです。
今回の話は前回と違いラブコメ風味にする予定です。シリアスな話にはしない予定で。
腰が痛いと書きましたが、続きを気にしている方が1人でも居るとなると書いてしまうのが性分で…
皆様のご期待に応えられるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
>>277 god job!
いくのんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
リアルタイムで読ませていただきました。乙です。
なんか無理言ったみたいで…すいません。
wktk
ぐっどじょぶ
次作も楽しみにしております。
>>277 GJ(*^ヮ')b
wktkしてますが、ほんと無理しちゃだめッスよ。
>>277 GJです。貴明、今すぐ自分と代わt(ry
書いてもらえるのは嬉しいですが、無理せずお大事に…
きたーーー
>>277 素直になれない女の子の続き喜多ーー!!
今回は、郁乃んよりも委員ちょの世話好きおばさんぶりの方が萌えますね。
つうか、にやにやしながら暴露すんなよw
それより、何より、健康が第一ですから無理せずお大事に^^;
>>277 郁乃のラブコメとは楽しみですなあ。
とはいえお体はお大事に。
のんびりやって下さい。
>>277 続きキタ━━(゜∀゜)━━!!
良いですな〜、かなりGJです(*´∀`)b
何か無理に書かせたみたいで申し訳ないです……書いてくれるのは有り難いですが、あまり無理はせずにして下さいね。
「赤ちゃん可愛いでありますよー
でも、学校行きながらお世話するんじゃ、タマお姉ちゃん大変だねー」
「タマちゃんならそんなの平気よ。それより問題はタカくんね」
「まあ、そんなとこです春夏さん。
生活費から何から向坂の家に出してもらっている手前、俺も、下手な成績はとれないですから……」
「悪い女に引っかかったばかりに、苦労するな、貴あ……痛っ、割れる割れる!!」
「たかあきー、久しぶりやなー」
「珊瑚ちゃん瑠璃ちゃん! それにイルファさんにクマ吉も」
「うわちっちゃいなー、かわいいなー、まっ赤やなー」
「それは赤ん坊って言うくらいですから珊瑚様」
「さんちゃんそんな乱暴にさわったらあかんー、こわれてまうー」
「………」
「どうしたの、私の顔になにかついてるかしら、ミルファさん?」
「…ううう」
「ミルファさん?」
「……貴明のお嫁さんになっただけでも許せないのに、こんどは赤ちゃん産んだですって?」
「ミルファの気持ちはうれしいけどさ、俺は…」
「聞きたくなーい! ああ悔しいなあもう、
なんでこんなに可愛いのよこの赤ちゃん。なんで? ずるいよ」
「みっちゃん落ち着きやー。ほら、抱いてみるー?」
「うううう」
珊瑚ちゃんから手渡されて、赤ん坊を抱きとったミルファは、
しばらく複雑な表情でそのしわくちゃな顔を眺めていたが、
何を思ったか、突然、脱兎のごとくかけだした。
閑静な住宅地に雄二の絶叫が響く
「 姪 泥 棒 ! ! ! ! 」
>>286 一瞬意味わからなかったけど、意味がわかって吹いたwww
アホだろお前(褒め言葉)
す……すっげー!
久々に見た落語落ち!
289 :
名無しさんだよもん:2006/02/10(金) 16:00:50 ID:Tn/gOs0BO
ワロタwwww
ああ、そういう意味かwwwwワロタwww
>>286 理解するまでに3分位かかっちまったよww
こういうのが思いつくのがすごいな(´Д`)
とりあえずGJ!!
前スレのたかあきと愛佳の一発ネタとかもそうだけど、箸休めみたいでいいね
>286もワロタし肩たたき券も面白かった。同じ人?
きれいな水噴いたw
>>286、アンタあほだw(最大級の賛辞
>286 GJ!
でもマジでありえそうな展開やな。
この場合やっぱり向坂貴明になるんやろーなー。
でもよく考えたら男は18にならないと結こ・・・うわ何をするやめr
タカ棒は女扱いでおk
X-rated準拠だからおk
ご指摘ありがとうございます。
「ここどこだよ」を説明できてない点については反省してたのですが、
「いつの話だよ」については見落としてました。
珊瑚ちゃんの「久しぶり」とか、生活費云々とかで、数年後二人暮らしをはじめていて…と、
説明できたつもりになってました。どう見てもひとりよがりです。本当にありがとうございました。
ちなみに肩たたき券の人ではありません。 笑ってくれた皆さん、愛してるぜ
>>286(=298?)
漏れも理解するのに1分ほどかかりました^^;
そうか、雄二はこのためだけに存在していたのかw
あ、一応、愛佳との子供で郁乃んが「姪泥棒」と叫んでもいいんだっけw
むしろ郁乃んの子供で愛佳が(ry
>タマ姉を見てたら女の子がか弱いなんてとても思えません。
天魔の魔女と死の絶叫じゃあるまいしw
>>286は瑠璃ちゃんでもいけるな。
泥棒する人は変わるけど。
303 :
299:2006/02/12(日) 02:20:16 ID:zBnapnYg0
>>302 いや、それも考えたんだが、ちょっと笑えなかったので
敢えて書かなかった^^;
ちなみに、瑠璃の子供ならイルファが、産後もとい珊瑚の子供ならシルファが
「姪泥棒」か。。。
あの3姉妹(?)は、どうやっても泥棒になる運命なのかw
304 :
名無しさんだよもん:2006/02/13(月) 10:47:38 ID:agK18EOOO
ちゃる単独SSマダー?
よっちは長編大作があるのにちゃるは…。
ageスマソ。
長編書く人を、他ならぬスレ住人が追い出したからねえ
まあ、また奇特な作者さんが出てくるのを待ってればいいんじゃねえの?
クズSSをマンセーしていた連中が悪い。
糞は糞だとハッキリ言ってやらないから公開オナニーみたいな長編が増えた。
今の状態のほうがマシだよ。
>クズSS
河野家の事か……
河野家の事かーーーーっ!!
河野家がクズSSだとは少しも思わないが、、、
ところで、今日は月曜だなw ワクワクテカテカ
長編はご自分のサイトにおあげくださればいいのに。
ぶっちゃけ感想とか書かなくていいじゃんとか思い出した俺も居る
感想とか書き出すとマンセーだの叩きだのと荒れるからねぇ…
でもそうなると、書き手側のメリットってのがなくなるわけで
ちんぽ、ほしいのう
河野家は俺の毎週の楽しみなんだよ!
マンセーして何が悪い
このスレって職人さんの立場がやたら弱いよね。
>>307みたいに大したSSを書けないくせに偉そうな奴がいるし
>>317 職人は無償で投下してくれるわけだから
よっぽど酷いもんじゃないかぎり、こっちが文句言える立場じゃないのにな。
嗚呼、SSが投下されるだけで盛り上がってた頃が懐かしい。
あれだな、
初期のSSスレは雑誌の投稿コーナー
今のSSスレは有名週刊マンガ雑誌って感じだな。
皮肉な感じはするがな。
文句じゃなくて批評のつもりなんでしょ。
「糞」とか「クズ」の一言でも批評(藁
>>318 的確な表現だな。
確かに今は新規でポンポン投下できる状態じゃないよな。
河野家は楽しみなんだけど逆にそれ以外にこのスレを見る価値が無くなりかけてる気がする。
俺はどんなに文章構成力が低くてもその人が楽しんで書いてる作品が好きだな。
今ここの住人が求めてるものはちょっと違う気がする。
職人以外書き込まなければいいのに
>>320 激しく同意。
ちょっと言い方悪いけど、いまのスレの流れは「人気作者が書く人気シリーズ」のみに
票が集まってると思う。読者の要望に応える作家だけが生き残る、みたいな感じかな?
もちょっとネタが広いジャンルだったら、他スレからスカウトとかもあるけど……なぁ。
>>320 おいおい寂しいこと言うなよジョニー。
ここがなくなったら、俺はどこにSSあげりゃいいんだい。
ダコタのママだって俺がここにSS投下するの、いつも楽しみに待っていてくれてるん
だからよ。
いや、困るのよ、マジで。
気に入らなければ専ブラのNGワードに追加すればいいのに
アホくさ
短編っつーか一発ネタみたいなのは何度か投下したけど、
長編書いてもここに貼る気にはなれないな、確かに。
なにしろ自サイトに撤退しても延々粘着されるみたいだから。
>>323 上げてくれるのは大歓迎なんだ。
けど前みたいな「何時新作くるかな?ワクテカ」といった感じがあんまりしないんだよ。
前はこまめにチェックしないと新作がバンバン着てさ……今は月曜だけ来れば良いかなって感じ。
実際に今は1週間に河野家以外で2本しか上がってないしな。
あんまり懐古厨にはなりたくないんだけど……寂しい(´・ω・`)
>>326 気持ちもわかんでもない。
長編含めて数回投下したけど、どう評価されてるのかが分かり難かった。
別にマンセーが欲しい訳じゃないが、盛り上がれに欠けるのはなぁw
さてそろそろ「イタイ自称職人が云々」という煽りがあらわれる頃合いですぞ
>>328がどの作品書いた人かは分からないけどさ、例えば作者さんが「批評OK」って書いても
批判的な反応には、作者以外のスレ住人が「そういうこと書くな」ってレスつけてるのが現状なんだよ
そういう住人は自分が正しいことやってると思ってるだろうし、いなくなることもないから
ここはずっとこのままだと思うけどな
>>328 盛り上がりとかじゃなくて、どうでもいいのが投下されたから、
スルーされただけだと思う。
虹のときのように批判しても、作者は作品で答えるとか言って無視だし、
職人批判は許さねーと言うやつらとで、荒れるしな。
ま、本格的にやりたいならさっさと自サイト作ってそっちでやるが吉じゃねーの?
>>330 これのこと?
>141 :名無しさんだよもん :2006/02/03(金) 15:28:39 ID:VlU2W20n0
>二次創作の時点で既に原作から遠ざかっている
>話にオリキャラを入れても入れなくても大して変わらない
>
>
>142 :名無しさんだよもん :2006/02/03(金) 15:48:45 ID:HzV7insS0
>虹よりはまだ2次創作してると思うけどね。
>それにしたって、微妙な出来だよな
>
>
>143 :名無しさんだよもん :2006/02/03(金) 15:53:36 ID:SatKcgT/0
>んだよ、叩くなよ。
>俺は面白そうだと思って読んだぞ。
>
>某28話まで進んでる、どっかで見たような展開だらけのミルファSSよりよっぽど面白そうじゃん。
あ、この作者は 「批評OK」って明記してないから違うか。
てか文句言ってる奴らは面白いSS書けるのだろうか
>>335 それを言うとまた変な方向に行くと思うんだ。
長編は別としても短編の少なさが……バレンタインだからSS投下されると思ったんだけどなぁ。
多分そういうことを言い出すと今度は料理作るのと食べるのと違うだのといった
お決まりのパターンにシフトするだけですよ。
極めて不毛。
料理を振る舞ってもらって、あんまりおいしくなかったときに、
過剰にお礼をいったからといって怒られる筋合いはないが、
「ここがいまいちだよ」「こうしたらもっとおいしくなるよ」ならともかく
「まずい、こんなもん喰わせんな糞が」というのはどうか? ってことか
336を見て、やべぇバレンタインって今日だったっけ!?
って急いでSS書いてたら明日だった罠。焦った焦った。
>>339 勘違いさせてしまったか、すまん('A`;)
>>339 いや今日はバレンタインイブと言ってだなしっと団が以下略
343 :
304:2006/02/13(月) 18:14:20 ID:agK18EOOO
なんか俺が原因で雰囲気悪くなってますね(´・ω・`)
俺はただ、ちゃるのSSが読みたかっただけなんだ。
どこのSSスレでも大概1回はこんな流れになるから気にスンナ。
>>326 私からすれば、いろんな方から批評がもらえるこの板の存在はかなり貴重なのですが…
最近はWEB拍手などでもらえることが増えましたが、
やはりHPでは感想が多く集まらないこともありますし。
>345
作者の鑑ですな。
っつーか、>326にアンカーつけてるってことは、あの方ですか、
もしそれでこんな事を仰るんなら天使みたいな人ですな
>>344 そして収拾がつかなくなり荒れる…
もうそんな事態は勘弁…
>>333 いや、例えば
>>345のような作者さんの話
2chというか、webにアップする以上批評を覚悟しろってのは、こういう話題における決まり文句だが
んなの当然理解してると思うんだよ
でも、批評つか否定的な意見が出ると、作者さんは何も言わないのに周りの人間が文句言うだろw
感想に感想つけるのは無駄、それこそが不毛ってこと
仮に否定的な意見食らった作者さんが「キツイこと言われてもう書けない」なんて言い出したとしたら
そのときに初めて今のスレで話してるような話題が出てくるべきじゃないかね
そういう「打たれ弱い」作家さんが実際に出てきたわけでもないのに、作者さんが打たれ弱いことを
前提にして議論するのは失礼だと思うぞ
350 :
名無しさんだよもん:2006/02/13(月) 19:27:26 ID:mHV9PCSX0
誰かタマ姉の搾乳SSを書いてホシス(´・ω・`)
鬼畜でも陵辱でも読みてぇ〜
この際妊娠してないのに乳が出るっていう点はあえて虫の方向で
タマお姉ちゃんに不可能はないんです
某クソSS作者としては、スルーされるのが一番辛い
たとえ「死ね」とか「二度と来るな」といった罵声であっても、ないよりはマシ
(一応は)読んでもらえているわけだから
優季と花梨、それにタマ姉が自宅に帰り、代わりにこのみ、愛佳、郁乃、珊瑚ちゃんが我が家に
泊まる土曜日が来た。
だが、雄二にとっては地獄の土曜日のようだ。懲りずにHアイテムをまた入手した様子の雄二だが、
それをタマ姉に没収、さらに制裁のアイアンクローを食らうのは、ほぼ確定のようだ。南無。
朝からハイテンションのこのみ。何でも『お泊まりエネルギー』とやらを充填してたからだと言う
が、俺にはさっぱり分からん。一方、眠そうな郁乃。どうやら昨晩、なかなか眠れなかったらしい。
郁乃も内心、楽しみにしてたってことかな。
『河野家宿泊特別キャンペーン』と称し、俺は郁乃の車椅子を押すことに。だが、車椅子を押すこと
にも色々なルールやマナーがあることを俺は知る。
家に到着し、着替える郁乃を二階まで運ぶ俺。痩せてるからおんぶしても役得じゃないだろうと
拗ねる郁乃。別に役得を期待してたワケじゃないのだが、それが郁乃には気に入らない様子。なので、
じゃあお姫様だっこしてやろうかと言ったところ、何故か郁乃から目つぶし攻撃を食らって……。
「あ、危なかった……」
郁乃の目つぶし攻撃によってバランスを崩しかけた俺だったが、なんとか踏ん張り、階段を上り
きった。ああ、まだ目が痛い。
「い、郁乃、お前なぁ、危うく階段転げ落ちるところだったぞ! 全く……」
「……ふん」
背中の郁乃からは、反省の言葉は一切ナシ。
「たかあきくん、大丈夫?」
車椅子を持った愛佳が、えっちらおっちらと階段を上っているのが見えた。車椅子、結構重そう
だな。ひょっとして俺、郁乃じゃなくて車椅子を持った方がよかったかも……?
「ま、まぁ、なんとか」
「ふぅ……もう郁乃、たかあきくんになんてことするのよ」
階段を上りきり、妹を叱る愛佳。
「貴明がスケベなこと言うから悪いのよ」
「いや、スケベなことなんて言ってないぞ。お姫様だっこしようかって言っただけで」
「それがスケベだっつーの!」
うおっ!? 耳元で怒鳴られた!
「べ、別に変なところ触ったりするわけじゃないだろ。どこがスケベなんだよ?」
耳がキーンと鳴りながらも、言い返す。
「……お、お姫様だっこそのものがスケベなのよ……。
も、もういいから、さっさと部屋に運べ!!」
ぐあ、また耳元で怒鳴るし。鼓膜が破れたらどうするんだよ?
「ま、全く、郁乃の言うことはサッパリだよ……。運べばいいんだろ運べば」
女の子らしい扱いをしようと思ったからこそのお姫様だっこなのに、それをスケベ呼ばわりされる
とは……。疑問と不満が胸に残るものの、俺はとりあえず郁乃を部屋まで運ぶことにした。
郁乃を部屋(タマ姉と瑠璃ちゃんの部屋)に運び、俺は今、廊下にいる。着替えた後、郁乃を一階
まで下ろすのも俺の役目だからな。
「たかあき」
おや、由真が階段を上がってきた。るーこ、瑠璃ちゃん、珊瑚ちゃんも後に続いている。
「どうした、みんな?」
「あたしたちだって着替えないとね」
自分の着ている制服を指さす由真。ああ、そりゃそうだ。
「それより、さっき郁乃ちゃんの大声が聞こえたけど、たかあき、郁乃ちゃんに何かしたの?」
「いや別に。ただ、お姫様だっこしようかって言ったら、郁乃に怒鳴られた。あと目を潰されそうに
なった」
「ふーん、お姫様だっこ、ねぇ」
冷ややかな目で俺を見る由真。
「な、何だよ」
「そりゃ怒鳴られもするわよね。よくそんな恥ずかしいこと言えたもんだわ」
「えええっ!? な、何でだよ!? そ、そんなに恥ずかしいか、俺?
だって郁乃のヤツ、おんぶだと不満そうだったから……」
由真はやれやれと肩をすくめ、
「あのさたかあき、お姫様だっこって意味、ちゃんと分かってる?
『お姫様』なんだよ? お姫様をだっこするのは、誰の役目?」
「うーん、そりゃあ、お姫様なんだから……」
まあ、王子様だよな……、ん、王子様? ってことは俺が王子様? 郁乃がお姫様で、俺が王子様
……げっ!? た、確かに恥ずかしいぞコレは!!
「うわぁ……」
「ようやく気付いたって感じだね。いきなりそんな大胆なこと言われたら、そりゃ郁乃ちゃんじゃ
なくたって怒るわよ」
「い、いや、別にそういう気持ちで言ったんじゃないんだよ! 何て言うか、その、お姫様だっこの
方が、女の子っぽいからいいかなって思っただけで……」
「あー、恥ずかしい恥ずかしい」
俺の言い訳をまるっきり無視して、由真は部屋に入っていった。
「オヒメサマダッコとは何だ、うー?」
そんな今の俺にはいささか酷な、るーこの直球な質問。
「え、ええと……」
答えに窮する俺、だが、
「お姫様だっこはな、ラブラブや〜☆」
「さ、珊瑚ちゃん?」
「ほう、それはどういう意味だ、うーさん?」
「お姫様だっこは、ふつーのだっこちゃうねん。すきすきすきーな相手を運ぶときのだっこやねん」
「成る程、で、それをうーは、うーいくにしようとしたのか? つまりうーは、うーいくにホレて
いるということか?」
「ち、違うって!」
「貴明は見境無しのスケベぇやから、相手なんか誰でもええんや」
不機嫌そうにそう言い残し、瑠璃ちゃんは部屋に入っていった。他の二人も着替えるために部屋に。
「うう……、違うのに……」
一人、廊下に残され、寂しく呟く俺であった。
「どうぞ、たかあきくん、入ってください」
愛佳たちの着替えが終わり、俺は入室を許された。
部屋に入ると、並んでベッドに座っている愛佳と郁乃、それに瑠璃ちゃん。
「瑠璃から聞いたけど、この部屋って貴明の親の部屋なんだね」
どうやら機嫌は直ったみたいだ。郁乃が俺に話しかけてくる。
「そうだよ。まあご覧の通り、ごく普通の部屋だけどな」
「ふぅん……」
素っ気ない郁乃の返事だが、その目はキョロキョロと周囲を見回している。もしかして郁乃、他人
の家の寝室に入ること自体、これが初めてなのかも。
「で、どうしようか? まだこの部屋にいるか? それとも、居間に戻るか?」
「お昼ご飯の仕度もしなくちゃいけないから降りましょう。いいでしょ、郁乃?」
「うん」
「え、昼飯、愛佳が作ってくれるのか?」
「ええ、泊めてもらうんだもの、このくらいはしなくちゃ。
材料のことも環さんに聞いてるから、大丈夫ですよ。それにね」
何故か郁乃を見て笑う愛佳。そして、何故か恥ずかしげに下を向く郁乃。
「郁乃も手伝ってくれるんですよ。ね、郁乃」
「へぇ、郁乃って料理出来るんだ?」
「て、手伝うって言ったって、野菜の皮むきくらいしか出来ないけど……」
ごにょごにょと呟く郁乃。
「それだけでも大したものだよ。昼飯が楽しみになってきた。
よし、じゃあ降りようか」
郁乃の前に行き、背中を向けてしゃがむ。後は上ってきた時と同じく、愛佳に支えてもらいながら
郁乃が俺の背中に来るのを待って……
「あのさ、貴明」
「ん、どうした、郁乃?」
「……したいんでしょ。なら、すれば」
え、何を言ってるんだ、郁乃は?
意味が分からず、郁乃の方に振り返る。すると郁乃は、
「……だから、さ、その……、お、お姫様だっこ」
……え?
どうしよう。
俺、今、本当に郁乃をお姫様だっこしてる。
とりあえず、部屋を出て、階段の前まで来た。ここまで来るのもすげえ一苦労だった。
いや、郁乃が重いワケじゃない。確かにおんぶに比べて、お姫様だっこは腕に負担がかかる分だけ
若干つらい。でも、それは大した問題じゃない。何たって郁乃は軽いんだから。問題なのは……
「……」
俺の腕の中に収まって、小さく縮こまっている郁乃。そ、その様子が、何というか……
た、頼む、そんなに恥ずかしそうにしないでくれ! 俺まで恥ずかしくなってくるじゃないか!?
だああああ!! と叫びたくなるのを必死で堪える。へ、平常心、平常心……
「じゃ、じゃあ、降りるからな」
「う、うん……」
小さく返事する郁乃。よ、よぉし、行くか。……あ。
「郁乃……、あのな」
「な、何よ?」
「今、俺、大変なことに気付いた」
「大変なこと?」
「あのな……、階段、見えない」
「え!?」
そうなのだ。だっこしている郁乃が死角になって、自分の足元、つまり階段が見えないのだ。
どうする? やっぱお姫様だっこはやめて、おんぶで降りるか? おんぶなら足元はバッチリ見え
るから心配は要らないし……?
……いや、ここでやめるのはいけない気がする。何というか、今の時点でも十分恥ずかしいのだが
(ちなみに俺たちの後ろでは、愛佳たちがキッチリ見守ってくれてたりする)、ここでやめてしまう
のは、もっと恥ずかしい気がするのだ、男として。
うん、やめるべきではない。慎重に足場を確認しながら、ゆっくり降りていけばいいんだ。
よし、行こう。慎重に、慎重に、足を階段に下ろす。
「た、貴明、大丈夫なの!? 階段見えないんでしょ!?」
「あ、ああ、こうやって……、ゆっくり……、行けば……」
一歩、一歩と、足で段差を確かめながら、降りていく。
「よ、よし、大丈夫……」
「……」
ん、待てよ?
四、五段下りたあたりで、俺は足を止める。
「どうしたの、貴明?」
「そっか、こうすりゃいいんだ」
階段に対し、真っ直ぐに向けていた身体を横にする。うん、階段が見えるようになった。
その体勢のまま、カニ歩きで階段を下りる。……よし、見える分だけ、安心して下りられるぞ。
そのまま一歩一歩と下りてゆき――。
やった。時間はかかったが、無事、一階に到着。
「ふぅ……」
郁乃も緊張していたのだろう。安堵のため息が漏れる。
「やった、やりましたね、たかあきくん!」
ハタから見ていても危なっかしかったのだろう。愛佳が歓声をあげ、折り畳んだ車椅子を重そうに
運びながら階段を下りてきて……、あれ?
「なぁ愛佳、今、気付いたんだが」
「なんですか、たかあきくん?」
「着替えるためだけに二階に上がったんなら、車椅子、運ぶ必要無かったんじゃ……?」
「……あ」
「ええ〜っ! タカくん、何やってるの!?」
居間に入った俺と郁乃を見て、このみが驚く。
「ああ、このみ、もう来てたんだ」
「来てたんだ、じゃないよ! どうしてタカくん、郁乃ちゃんをお姫様だっこしてるの!?」
「あ、いや、郁乃、車椅子だろ。二階で着替えなきゃならなかったから」
「だったらおんぶすればいいじゃない。どうしてお姫様だっこなの?」
「ま、まぁ、細かいことは気にするなよ。じゃあ郁乃、ここでいいか?」
不機嫌そうなこのみをとりあえずスルーし、郁乃をソファーまで運ぶ。
「うん。下ろして」
郁乃をゆっくりと、ソファーに下ろす。――よし、完了っと。
「……ズルイ」
後ろから、恨めしそうなこのみの声。
「郁乃ちゃんだけズルイ。タカくん、このみもお姫様だっこして!」
「はぁっ!? 何言ってんだよこのみ、なんでお前をだっこしなきゃならないんだよ?」
「だって、ズルイもん!」
答えになってない。
「いやズルイとかじゃなくて、あのなこのみ、郁乃がまだうまく歩けないことはお前だって知ってる
だろ。なんで歩けるお前をだっこする必要が――」
「必要とかじゃないもん、ズルイのはズルイの!
このみもお姫様だっこしてくれないとヤダヤダ!!」
「幼稚園児かお前は!? 駄々をこねるな!」
「お姫様だっこ〜! このみにもお姫様だっこ〜!」
床に倒れてジタバタするこのみ。これじゃますます幼稚園児だ。
「ワガママ言っても、やらんもんはやらん!」
「う〜っ、それなら……」
ジタバタを止め、このみはスッと立ち上がり、
「必殺! 強制だっこ!!」
突如、俺に向かってダッシュ、そして身体を横向きにジャンプ! ってこれ、フライングボディー
アタックだろうが!
「ぐえっ!?」
小柄なこのみとは言え、勢い付きで全体重をぶつけられてはたまったものではない。俺はこのみを
受け止めきれず、そのまま倒れるしかなかった。
バターン!!
「こ、このみ……、これは……、だっこじゃねぇ……」
「えへ〜、何だか恥ずかしいでありますよ、隊長殿〜☆」
俺の腕の中で照れ笑いするこのみ。
結局俺は、このみをお姫様だっこし、何故か階段を上り下りする羽目になってしまった。
「そうかい、そりゃよかったね、このみ」
階段を上りきり、そしてまたカニ歩きで階段を下りる。うう、やっぱ恥ずかしい……。とにかく、
さっさと終わらせてしまおう。
――よし、到着。ん? 何で、るーこたちが一列に並んでいるんだ?
「終わったか。なら、次はるーの番だ」
「つ、次って、どういうこと?」
「このみもやるんやったら、ウチら全員、お姫様だっこしてもらお言うことになったんや〜☆」
「ちょ、ちょっと珊瑚ちゃん!? そんなの勝手に――、って、由真、愛佳、瑠璃ちゃんも!?」
「ま、まぁ、全員参加で決定だから……」
「全員参加、ですから……」
「……その、しゃあないやん。全員参加なんやから」
ま、マジかよ。俺、全員お姫様だっこで階段上り下り? これじゃ何かの特訓だよ……。
つづく。
どうもです。第44話です。
お姫様だっこだけで一話使ってしまいました。(^^;
河野家の、いつもと少し違う土曜日は、次回も続きます。
GJ
乙
・・・今居ない3人もするの決定なんだろうな、お姫様抱っこ。
>>330(ID:x16VQ5vK0)
「例えば作者さんが「批評OK」って書いても」
「スレ住人が「そういうこと書くな」ってレスつけてるのが現状なんだよ」
>>349(ID:x16VQ5vK0)
「いや、例えば
>>345のような作者さんの話 」
>>345 「私からすれば、いろんな方から批評がもらえるこの板の存在はかなり貴重なのですが… 」
「例えば」の話なのか、実際の「現状」なのか →整理が必要では?
実際に、作者が望んでても正当な批判が抑圧されてるのか、
>345氏のような、批判を望む作者が、それを叶えられていないと言えるのか。
→ 「いろんな方から批評がもらえるこの板の…」
まあいいや、河野家マダー
うわすみません、よく確認せずに古い話を蒸し返してて
しかもよりによって最後によけいな煽りを
一番スレの雰囲気を荒らしてる馬鹿は俺でした。
回線切手首つります
>>361 乙〜☆
しかし、お姫様だっこって実際すると凄く恥ずかしそう…。
>>361 乙
_, ,_
∧∧ (;゜д゜) (`Д´ ∩ < ヤダヤダ
⊂(;゚Д゚)/こ/つ〜 ⊂ (
> > ヽ∩ つ ジタバタ
〃〃
>>361 乙です〜。
お姫様が多いと貴明も大変ですなw
実際には恥ずかしくてできなさそうだ…
>>365 まあとりあえずもちつきたまへ。
バレンタインSS書いたんだけどこっちじゃなくて
ギャルゲ板の方に上げちゃったorz
何人か重そうなのいるけど大丈夫なんだろうか
軽 郁乃、珊瑚、瑠璃、このみ、るー子
普通 優季、花梨、由真、タマ姉、イルファ
重 愛佳
ある程度重くてもお姫様抱っこは意外と出来ると言ってみる。
まぁ階段の上り下りとなると重労働だろうけどな……。
でもタマ姉は「重」に分類され………あだだだっ! 割れる割れる割れるぅぅぅぅぅっ!!
体に密着させた方が楽に持てるので、意識しちゃって微妙にくっつくまいとする
愛佳とか由真あたりがキツそうだ。
まあ、ウェディングドレスとか着てなければ、平均的な腕力でもそれなりの体重までは可能。
ただし↑着てる相手だと、嫁の体重がいくら軽くても、
ありえない重さ&バランスの悪さでやたら持ちにくい。
つーか、写真取ってる人多いから簡単に下ろせないし、めっさきつい。
「重」は愛佳一人なのかw
ささらはどうだろう…割と軽いかも知れんな。
一番楽なのはミルファだろうな
イルファって普通なのか?
なんか思いっきり重そうなんだが。
あー、なんか郁乃に初めて萌えたw
…したいんでしょ?お姫様抱っこ←ここw
「皆さん、席についてください。今日は転入生がいますよ。」
朝のホームルーム。担任の山下先生がそう言って教室に入ってくる。先生の後から、少
し冷たいすまし顔の子が車いすに乗って入ってきた。……結構、かわいい。
教室がざわつく。
転校生が来る事自体、単調な学園生活にとっては大ニュースなのだが、それに加えて転
校生は車椅子に乗っている。いまどきベタな差別意識がある奴なんて――とりわけそれな
りに進学校で大人しい生徒が多いこの学園では――殆どいないだろうが、それでも目の前
に車いすに乗った人がいるという状況は身構えてしまうものがある。
『日本は障害者の社会進出が進んでない。だから日本人は車いすの人に対して変に身構え
たり差別したりしがちだ。欧米に比べて……』みたいなことをテレビでコメンテーターが
たまに言ってたりするけど、アメリカやヨーロッパの人だって同じじゃないんだろうか。
前に家族でアメリカ旅行に行った時だって、日本でたまに見かける程度にしか障害者なん
て見かけなかった記憶があるけど。
そもそも、「障がい者」とかいちいち文字にこだわる時点で身構えてんだよな……など
と考えているうちに先生が言葉を続ける。
「小牧さんはこの間まで入院していて、この度めでたく退院したので私たちのクラスに入
ることになりました。まだ、完全には回復していないので車いすを使っています。皆さん、
必要以上に構えることはありませんが気は使ってあげてくださいね。……それじゃ小牧さ
ん、自己紹介して。」
先生がそう言って転入生に自己紹介を促すと、車いすの女の子はどことなくだるそうな
感じで口を開いた。
「……小牧郁乃です。よろしくお願いします」
転校生が素っ気無い口調でそう言うと、情報通でおしゃべりな女子達が早速彼女の噂を
はじめた。
「小牧さんだって」
「あ、知ってるー。なんか有名なお姉さんが2年にいて、妹さんのために大勢の人でタイ
刻んで桜吹雪作ってあげたとか……」
「あー。あの桜吹雪!」
「図書館にできた新コーナーもあの子のためらしいよ」
「うそっ、CDコーナーできたのってあの子のためにお姉さんが作らせたんだ!」
「んー? でもそれは図書委員会の企画だって聞いたけど……」
「でもでも、あの子のお姉さんって超顔広いんでしょ、図書委員会を動かすくらいわけな
いよきっと」
「そうかもねー。いいなあ、お姉ちゃんに愛されてて」
「だよねえ。やっぱり病弱な妹だと心配で可愛いんだろうねー。うちの弟なんてアニメば
っか見ててキモいだけだよ」
「うわ。それ引くー」
あちこちから聞こえてくる話を総合すると、どうやら転校生の姉は有名人で妹の為に学
校でいろいろやったらしい。そういえば、季節はずれの桜吹雪の話は僕も聞いたことがあ
る。
そんな、クラス中の自分についての噂話が耳に入って身構えたのか転校生は少し固い表
情を見せていたが、やがて口を開いた。
「……趣味は姉いじめです」
「……」「……」
……教室の空気がもにょっとした。
オリキャラのヨカーン
ヨーカンおいしいよね
「あら?」
まだ寒い冬の昼下がり。豪勢になる予定の晩ご飯の材料が詰まった買い
物袋を両手にさげたから戻ったイルファは家(というかマンションのフロ
ア)中に立ちこめる甘苦い独特の香りを即座に検知していた。
「あ、お帰り〜。」
「お帰りなさい。」
「あらあら、まぁまぁ!」
戻ってみると案の定、ミルファとシルファが並んで台所に立っている。
というか押し合い圧し合いしながら、それそれに湯煎のボウルを一生懸命
にかき混ぜていた。
「二人とも、はりきってるのね。」そんな後ろ姿さえ、姉にとっては微笑
ましい限りであるらしく、柔らかい笑顔になるイルファ「私はお洗濯物を取
り込んでくるから、何か手伝うことがあったら呼んでね?」
昨夜の台所は彼女達のご主人様である珊瑚と瑠璃に占拠され手も足も出
せない状態だった。二人揃って貴明の為のチョコレートを作っていた様子
(と言っても珊瑚に出来る作業はのはチョコを溶かす程度だったが)と妹
達の姿が重なって、実際とても微笑ましい気分になる。
「まーかせてっ! 本場に行ってる姉様(現行機)から最強のレシピを転
送して貰ったんだから。本物のガト−ショコラとシフォンでで貴明を一発
撃沈よ〜!」
「わかってないなぁ、ミルファ姉さんは……」と溜息をつくシルファは精
密そうな作業に移っている「……本当に大切なのは見かけとか味とかじゃ
ないと思うの。心を込めて丁寧に作って、真心を伝えることが一番大事な
んじゃないかな。」
「そりゃ、珊瑚様は小食だから大きいのを作っても逆に気を遣わせてしま
うかも知れないけど、貴明は男の子だから沢山食べられる方が良いに決ま
ってるじゃない。美味しいものでお腹いっぱいになるって、最高に幸せだ
もんね………………たぶん。」
自分達に飲食の機能がないだけに、語尾が弱くなってしまうらしい。
「そ、それだけじゃないもん!」
よって、真っ向から否定も出来ない。
「じゃあ、何?」
「今晩は、私がチョコレートを一つずつ指で摘んで母様に『あ〜ん』して
あげるの! それからそれから『美味しいですか?』『めっちゃ美味しい
よ♪』って、二人で………きゃんっ♪」
嬉し恥ずかしを全身で表現するかのようにクネクネと身悶えしている姿
は恋する人間の乙女そのものである。
「わ、私だって貴明と寄り添って、フォークで一口ずつ食べさせてあげる
予定なんだから! しかもブランデー入りの大人の味で!」
ちなみに、この二人の予定表には相手側の都合という現実的な要素は一
切加味されていない。
「うふ、うふふふふふっ♪」
「くすくすくすくすっ♪」
とてもメイドロボの仕事場とは思えない一種異様な空間さえ構築されつ
つあったりする。
「オーブンが鳴ってるけど、ミルファじゃないかしら?」
そこへ山のような洗濯物を抱えたイルファが戻ってくる。もちろん涼し
げな表情で軽々と。
「あ、ありがと〜♪」
「……ところで……」と思い出したようにシルファ「……イルファ姉さん
はチョコ作らないで良いの? 瑠璃様に?」
「ああ、私は大丈夫よ。もう準備は出来てるから。」
「出来てる……の?」
「そう言えば、冷蔵庫の中に大きなボウルが入ってるけど、あれが姉さん
のチョコ?」
ええ、と柔らかく微笑むイルファに視線が集まる。
「でも中身は只のペーストだった様な……?」
「ねぇねぇ、イルファ姉さんはどんなの作ったの?」
「あ、私も聞きたい聞きたい! 教えてよー?」
「私?」
「「うんうん!!」」
「私はね………」と小首を傾げて頬を染めるイルファ「……お風呂場で、
体中に塗ったチョコレートを全部、瑠璃様に召し上がって頂くの。その後
交代して、私の手で瑠璃様にも塗って差し上げて………あぁん♪」
がーーーん、という擬音とともに頭上から降り注いできた無数の瓦礫で頭
を連打されたような衝撃がミルファとシルファの電脳を揺さぶる。
「あら? あらあら、どうしたの? 二人とも?」
「「ま……………まけた………」」
そんな平和な昼下がり、遠く離れた丘の上で終業のチャイムが鳴っていた。
時事に合わせての一発ネタでした、ぺこり。
カラーンカラーンと、はっぴを着た男性がまるで親の仇のように鐘を振る。
後ろに並ぶ列と商店街を行く野次馬からどよめきの声が上がる。
皿の上には、金色に光る玉が一つ。
「おおあたりー! 特賞、温泉一泊二日ペア旅行ご招待!!」
「あら、え、その・・・・・・」
それと、福引のレバーを持ったまま、戸惑うメイドロボが一人。
「た、貴明さん、どうしましょう、わ・・・・・・私」
「え、そ、そんなどうしましょうって言われても・・・・・・ええっと、とりあえずお
めでとう、イルファさん」
「というわけで、こういったものをいただいてしまったのですが・・・・・・」
と言って戸惑うイルファさんの手に握られているのは、“特賞”の熨斗に包まれた温
泉旅行の招待券。よくCMでも見かける、日帰りで温泉に入れることが売りのホテルの
物だ。
商店街でやっていた福引の景品だったんだけど、いや、まさかイルファさんが当てる
だなんて。
「いっちゃんすごいなー、温泉旅行や〜☆」
「はあ。ですが、本当に私がいただいてもよろしかったのでしょうか・・・・・・福引
の係りの方も、悩んでおいででしたし」
「イルファが引いた福引や、遠慮なんてすることない。もらっとき」
思ってもいなかった幸運に、イルファさんも少しとまどい気味だ。一緒に付いて行っ
た福引会場でも、混乱したイルファさんを落ち着かせるのにひと苦労だったし。
よほどビックリしたんだろうなぁ。福引のハンドルを握ったまま目を白黒させるイル
ファさんもなかなか新鮮で可愛らしかったと思う。
「ですが、メイドロボの私が旅行と申しましても。あ、よろしければ瑠璃様が行かれて
はいかがでしょう。ちょうど今度の連休で、学校もお休みですし」
「なに言っとんの。なんでうちがイルファの当てた旅行に行かんとあかんの。イルファ
が貰った物なんやから、たまにはゆっくりしてき」
瑠璃ちゃんは断るんだけど、イルファさんもどうしてもと言って譲ろうとしない。やっ
ぱり、“メイドロボが”と言うところが気になるようだけど。
でも、そんなこと気にせず行ってくればいいのに。
折角イルファさんが当てた温泉旅行なんだから、メイドロボだからとか変な遠慮せず
に思いっきり羽を伸ばしてくればいいと思う。特にイルファさん、いつも俺たちにあれ
これとお世話してくれて、ゆっくりする機会なんてあんまりないんだから。
「ねぇ、それじゃあイルファさんと瑠璃ちゃん、ふたりで行ってくればいいんじゃない
の?」
「イルファと?」
「ふたりっきりで!? い、いえ、ですがやはりそれでは」
ネタ出ししてて思ったんだが、BAD後の話とかはウケんだろうか。
るーこBAD後の貴明と他ヒロインについてとか割と話膨らみそうなんだが。
書いてるとどうにも暗くなってきてしまうが…。
それでもやっぱり遠慮するんだけど、『瑠璃ちゃんと』というところにかなり心動か
されたことは間違いないみたいだ。
「それに、私と瑠璃様両方が家をあけたのでは、おふたりのお世話をする者がいなくなっ
てしまいます」
「そんな一泊くらいだったら俺と珊瑚ちゃんだけでも何とかなるよ。だから気にせず行っ
ておいでよ」
もうちょっとっていう気はするんだけどイルファさん、なかなか首を縦に振ってくれ
ない。
「なーなー、だったら、4人みんなで行かん?」
「え、できるの?」
笑顔でうなずく珊瑚ちゃん。
「んーとな、ここのホテルやったら来栖川のグループやし、研究所のおっちゃんたちが
よく行っとるところだからできると思う。だから、あとふたり分追加してみんなで温泉
旅行や〜」
珊瑚ちゃんらしいその提案に、俺は笑顔でイルファさんと顔を見合わせる。
「これで行けるね。あ、イルファさんがいかないだなんて言ったら、誰が俺たちの面倒
を見てくれるんだろう?」
イルファさんは困ったような笑顔をうかべて、ようやくうなずいてくれた。これでよ
うやく、めでたしめでたしだ。イルファさんもこういうとき強情だよな。
あとは俺だけど、まあ、一泊くらいだったら、なんとか・・・・・・珊瑚ちゃんの家
でお世話になるようになって、生活もかなり楽になったし。
「あかん」
けれど、今度は瑠璃ちゃんがうつむいてしまった。
「う、うち、その日補習やから、いかれへん」
あたりに漂う、なんとなく気まずい雰囲気。
補習・・・・・・かぁ。
「あ、で、でも、三人とも、うちのこと気にせんで遊んできたらええよ。うちもイルファ
には、ゆっくりしてきて欲しいし」
wktk
25って、かなり長いな
「あかんよー、瑠璃ちゃん。そんなん瑠璃ちゃんだけおいてきぼりにしても、うちら楽
しないもん」
これで、話は振り出しにもどってしまった。
四人一緒に温泉旅行、いいアイデアだと思ったんだけどな。
「その招待券、日にちをずらしてもらうことはできないの?」
「はい。今度の連休のみの招待になるそうです・・・・・・」
商店街の福引じゃ、そこまでのサービスはしてくれないようだ。
「んー、じゃあ、そや。いっちゃん、貴明と一緒に行ったらええよ」
え、俺!?
「貴明さんと、ですか?」
「そや。いっちゃんも、貴明とだったら一緒に行くやろ?」
ちょ、ちょっとまって珊瑚ちゃん。そんな、みんなで行くならともかく、俺とイルファ
さん、ふたりでだなんて。
「いっちゃん、貴明とじゃいや?」
「い、いえ、そんなことはありません。ありませんが・・・・・」
慌てる俺と、困った顔のイルファさんの目が合った。
ああ、イルファさん、俺が迷惑に思うんじゃないかって心配してるんだ。
間違ったってそんなことないのに。俺は、ただイルファさんにお礼がしたいだけなん
だから。
「じゃあ、さ、悪いけど珊瑚ちゃん。招待券の半分、俺が貰っちゃっていいかな」
「貴明さん!?」
「瑠璃ちゃんも、いいかい? 俺がイルファさんと一緒に行っちゃっても」
「まあ、しゃあないわ。今回だけやで」
瑠璃ちゃんも、仕方がないって顔で許してくれた。今度ふたりには何かお返ししない
とな。
「じゃ、イルファさん。一緒に行くのが俺でいいかな。瑠璃ちゃんとじゃなくて申し訳
ないんだけど」
「私は・・・・・・はい。貴明さんさえよろしければ是非」
イルファさんは笑顔で応えてくれた。
う、うん。いざ行くつもりになると、やっぱり緊張が。いつも一緒にいるからって、
二人だけでどこかに、しかも泊りがけで出かけるんだから。
「えっと、それじゃあイルファさん、よろしくお願いします」
「はい、どうぞ連れて行ってくださいましね」
「それでは河野様、お部屋は12階、1203号室になります。どうぞごゆっくりおく
つろぎくださいませ」
緊張しながらフロントで部屋の鍵を受け取る。いくら事前に予約してあるからといっ
て、学生の身分でこんな大きなホテルにとまるのはどうしても緊張する。
「じゃイルファさん、行こうか。12階だってさ」
「はい」
いや、緊張してるのはそれだけじゃない。
今だって荷物を持って、一緒に横を歩くイルファさん。普段とはちがった、今回の旅
行のために用意したって言う、よそ行きの服装をしたイルファさんと一緒にいるという
ことは。今日が、普段とは違う特別な日なんだって、あらためて俺に教えてくれる。最
初、珊瑚ちゃんと瑠璃ちゃんに見送られて電車に乗るときは、お互い恥ずかしいような
くすぐったいような雰囲気のせいでまともに目を合わせることもできなかったくらいだ。
それでも途中イルファさんが、ゆっくりとだけど、俺の手を握ってくれたおかげで、
送迎のバスを降りるころには互いに腕を組んで歩けるくらい、その甘酸っぱいような空
気を楽しむことができるようになっていたんだけど。
ただ、やっぱり、周りの目と言う物は気になるわけで。
連休と言うこともあってか、ホテルのロビーは浴衣を着た宿泊客や、温泉に入りに来
た家族連れで賑わっている。
そんな中で腕を組んで歩く、どう見ても社会人には見えない男とメイドロボの組み合
わせというのはとにかく人目につくみたいだ。イルファさんは、もう完全に旅行の堪能
モードに入っちゃっていて気にならないようだけど。俺としては早いところ部屋に行っ
て、この落ち着かない状況から抜け出したい。
そりゃ、今回の旅行はイルファさんの慰安旅行なんだからイルファさんさえ喜んでく
れているのならそれで良いんだけど、だからといって俺が少しくらいくつろいだってバ
チはあたらないと思う。
「結構広いお部屋なんですね」
俺たちが入った部屋は、ホテルの雰囲気によく合った和風作りの部屋だった。二人部
屋のわりには結構広い。
とりあえず荷物をおいて、さて、どうしようか。ホテルの外に出かけるには、そろそ
ろ日も傾いてきたし、イルファさんでも誘って、ホテルの中を探検でも
「はい、どうぞ」
目の前のテーブルにお茶が差し出される。
紫電一閃
「いいのに、そんなことしなくても。せっかくイルファさん、ゆっくりしに来たんだか
ら」
「ですが、何もしていないというのも落ち着かなくて」
笑顔を向けるイルファさん。
いつもと同じ表情にも見えるんだけど、やっぱり旅行にきた事が楽しいのか、少しだ
けテンションが高くなってるみたいだ。なんだかソワソワと落ち着かずに部屋を眺め回
したり、かと思うと俺のことをじっと見ていたりする。
「あ、あの貴明さ──
部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「あ、はーい」
入り口まで行ってみると、仲居さんが夕食やなんかの説明に来てくれたみたいだ。
食事の時間や、あと大浴場の場所を説明してくれて、それとついでに、イルファさん
の分は夕御飯も朝食も用意しなくてもいいと伝えておく。
イルファさんがメイドロボだとわかると少しだけ驚いた顔をしたみたいだったけど、
すぐに了解してくれて戻っていった。やっぱり、普通の人はイルファさんが人間じゃな
いって聞くとびっくりするよな。
忘れないうちに、備え付けのパンフレットでお風呂や食堂の場所を確認しておく。
いや、イルファさんが聞いていてくれてるんだから万が一にも忘れる心配なんてない
んだろうけど。そこまでイルファさんに頼っていたんじゃ何のための旅行なんだかわか
らなくなってしまう。
「へー、家族風呂なんてのもあるんだ・・・・・・あ、そういえばイルファさん。さっ
き、何か言いかけてたみたいだったけど」
すると、イルファさん。何かを一生懸命に考えているみたいで、俺が話しかけている
ことにも気が付いてないみたいだ。
「え、あ、いえ、そんなたいしたことではないんです。お気になさらないでください」
と言われても、そう慌てられたんじゃかえって気になるよ。
「本当に、たいしたことではありませんから。あ、そ、そうだ私お風呂に行ってきます
ね」
まるで逃げるように部屋の外に出て行ってしまう。
あとに取り残された俺はもう何がなんだか。やっぱりイルファさん、俺と二人だけで
緊張してたのかな。でも、そう言う風な感じはしなかったけどなぁ。
そういえば、俺も思ったよりは緊張をしてない気がする。
そりゃ、バスの中やホテルのロビーで、他の人に見られてた時は心臓が破裂しそうな
くらいだったし、普段とは違う格好をしたイルファさんを見ればドキドキもするんだけ
ど。っていうかイルファさん、あれは絶対わざと、腕を組んで、慌てる俺で遊んでたん
だ。
でもまあ、部屋の中で二人っきりでいるからって、イルファさんのことを変に意識し
ないで済んでるのはありがたい。
「前の俺だったら、女の子と二人っきりの旅行なんて必死になって逃げ出してただろう
な」
イルファさんや、珊瑚ちゃん瑠璃ちゃんと出会えたことが俺を変えてくれたんだと思
う。
まあ、イルファさんや珊瑚ちゃんたち以外の、クラスの女の子なんかは今でも苦手だ
けど。
・・・・・・俺もどこか行ってこようか。
イルファさんとは行けなかったけど、ホテルの探検でもするか、それとも
「俺も温泉に入ってこようかな」
そう思ったなら善は急げだ。部屋の備え付けの浴衣を手に持って大浴場に向かう。
仲居さんに教えてもらったとおりエレベーターを下りていってみると、男湯の暖簾の
かかった入り口が見えてきた。
「すげっ・・・・・・」
大浴場は、テレビで宣伝するだけのことはある。うちの風呂どころか、珊瑚ちゃんの
家のお風呂と比べても比べようのないくらい、大きくて豪勢なところだった。
まあ、ホテルのと家のお風呂を比べること自体間違いだろうけど。
これだけ広いと、かえって落ち着かないような。何も武器も持たないで、ライオンの
いる檻の中に放り込まれた気分と言うか、丸裸でサバンナに置いて行かれた感じという
か。確かに裸ではあるけれど、とにかく心細くなって仕方がない。
「早く入るか」
それにいつまでも突っ立っていたんじゃ風邪を引いてしまう。
ちょっとしたプールくらいあるお風呂に、泡風呂、ハーブ湯なんてのもあるのか。あ、
露天風呂・・・・・・いや、別に混浴じゃなかったからってガッカリなんてして無いか
らな、うん。
いくつも種類のある温泉を眺めながら、とりあえず一つずつ試していくことにしてみ
ようとまずはハーブ湯から入ってみる。
結論から言うと、全部のお風呂を制覇しようと言う俺の考えは無謀な試みだった。
大体一時間後、脱衣所に出てきた時にはのぼせて真っ直ぐ歩くことも難しくなってし
まっていた。
「うー」だの、「あー」だのうめき声を上げながら給水気にかじりつく俺。ま、周り
の視線が痛いがここで恥ずかしがっていちゃ命に関わる。
おなかを壊しそうなくらいに水をがぶ飲みして、イスに座って扇風機の風を浴びてい
ると・・・・・・ようやく、頭もすっきりしてきてくれた。もう二度と、お風呂の制覇
なんて考えるもんか。
そういえばそろそろ夕御飯の時間になるな、なんて考えながら、まだ少しふらつく足
取りで部屋に戻る。
すると、イルファさんがまだ戻ってきていないみたいだ。俺より早く部屋を出て行っ
たのに、まだ戻ってきてなかったんだ。いくらイルファさんでも、そんな何時間もお風
呂に入ってるとは思えないし、どこか散歩にでも行ったのか。
噂をすればじゃないけど、俺がそんなのことを考えているとちょうど部屋の扉がノッ
クされた。多分イルファさんが戻ってきたんだと思う。
「お帰り、イルファさん。ずいぶんと長風呂だ──
扉を開けて、そこに立っていたイルファさんに俺は、次のセリフを言うことができな
くなってしまってた。
「申し訳ありません、少し長めにお風呂に入ってしまっていて・・・・・・貴明さん、
どうかなさいましたか?」
「え、あ、いやなんでもないよ。お風呂、どうだった」
「はい、あんなに大きくて広いお風呂に入るの、私初めてで。いろいろなお風呂もあり
ましたしとても気持ちが良かったです」
「あ、うん。良かったね」
そんなイルファさんの笑顔にも、上の空でしかうなずく事ができない。
だって、そうだろ?
目の前には、浴衣を着て、頭にはタオルを巻いて、ちょっとだけのぼせたみたいに肌
を赤らめてるイルファさんが、立っているんだから。
普段、珊瑚ちゃんの家で一緒にお風呂に入った時とは違う。なんというか、すごく色っ
ぽいイルファさん。
「そろそろお食事のお時間ですよね。申し訳ありません、私のことをお待ちくださって
いたみたいで」
「いや、俺も今お風呂から戻ってきたところだったから。それじゃあ行こうか、イルファ
さん」
「はい」
そう言うと、イルファさんはまた俺の腕に抱きついてきた。
とたんに伝わってくるイルファさんの体温と、石鹸の香り。さっきとは違って、浴衣
なんて薄着なものだからって、ちょ、ちょっとイルファさん、あたってる、あたってるっ
てば。
温泉でのぼせた上にこのイルファさんの積極的過ぎるスキンシップで、俺の頭は今に
もオーバーヒートしそうだ。そんな状態だったから、周囲からの注目を気にする余裕な
んてなかったし、せっかく用意してもらった豪華な料理も何を食べたんだかさっぱり味
を覚えていない。それどころかイルファさん、俺の横に座ってお酌、といってもお茶や
ジュースだけど、を始めだして。
気が付いたら、いつの間にか部屋でイルファさんのいれてくれたお茶を飲んでいた。
誰だよ、俺が女の子に慣れてきただなんて考えたの。
「どうか、なさいましたか?」
「え、あ、べ、別に何でも」
い、いけない。うっかりイルファさんのこと眺めてたみたいだって、あれ?
「イルファさん、こんな時間に充電?」
荷物の中から充電用のアダプタとノートパソコンを準備している。
珍しい。いつもなら俺たちが学校に行っているうちか、休みの日でも午前中のうちに
充電はしちゃって、こんな時間にすることなんて滅多にないのに。
今日だって、家を出る前にやってたのにな。やっぱり、どこかに出かけると電池の消
費量があがったりするんだろうか。
「あ、はい。確かにそう言う部分もあるので、長時間の活動が見込まれる場合バッテリ
パックを容量の大きな物に交換したりするのですが・・・・・・」
と、なぜかイルファさん、そこで突然歯切れが悪くなって。なんとなく、顔も赤いよ
うな。うつむいちゃってよくわからないんだけど。
「明日の朝充電する時間が取れるとも限りませんし。それに瑠璃様も珊瑚様もいらっしゃ
いませんので、その、おふたりの分まで・・・・・・私が貴明さんのお相手をさせてい
ただけたら、と」
・・・・・・あーあーあーあー、なるほどなるほど。
「あの、やはりご迷惑、ですよね。貴明さんもお疲れなのに、私ったら自分のことばか
り考えてしまって」
まったく、イルファさんも遠慮し過ぎだよ。この旅行はイルファさんのためにあるん
だから、イルファさんのしたいようにしてくれていいのになぁ、本当に困ったイルファ
さんだよ・・・・・・
「お、俺もう一回お風呂行ってくる! ごめん、イルファさん、ちょっと待ってて」
「は、はい、行ってらっしゃいませ」
今度は俺が、逃げるように部屋からとび出すはめになった。廊下にまで俺の心臓の音
が聞こえないか心配になるくらい胸がドキドキなっている。
そりゃ、期待していなかったと言えば嘘になるけど。でもあんな部屋で二人っきりの
シチュエーションで面と向かって言われちゃうと、こちらだって心の準備というものが。
べ、別にイルファさんと一緒にすることなんて初めてのことじゃないんだ。こんなに
緊張してたんじゃ、イルファさんをがっかりさせてしまいかねない。落ち着け、いつも
通り、いつも通りに・・・・・・
うううっ、思い出したら、よけい興奮して。
一人で顔を赤くしたり頭を抱えたり、たぶん別の人とすれ違っていたら間違いなく危
ない人だと思われていたに違いない。大浴場まで誰とも会わずに来れたのはラッキーだっ
た。
時間がもう遅いからなのか、大浴場に入っている人はさっきよりもずっと少なかった。
とりあえず興奮した頭を何とかしようと外の露天風呂に向かう。
表との扉を開けると、夜の空気がちょっとだけ俺の頭を冷やしてくれた。露天風呂に
は他の人影は誰もなくて、おかげでゆっくりと入ることができそうだ。
夜空にぱらぱらと浮かぶ星を眺めて、新鮮な空気を吸っているうちに、ようやく頭の
ほてりも治まってきてくれたのかもしれない。
大きく溜息ともうめき声とも取れるような声をあげて、俺はやっと、湯船に体の力を
抜くことができた。
「あの、貴明さん。そちらにいらっしゃいますか?」
何分くらいそうやって温泉につかっていただろう。俺が背にしている塀の向こう側か
ら、俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「イルファさん?」
「はい」
嬉しそうなイルファさんの返事が返ってくる。どうやら塀の向こう側は、女性用の露
天風呂になってるみたいだ。
「イルファさん、もう充電は終わったの? それより、よく俺がいることがわかったね」
「はい、呼吸パターンなどが、貴明さんのものと一致しましたので」
向こう側から聞こえてくる、イルファさんの声と水音。
向こうにイルファさんがいるってだけで、また変な想像をしそうになるのを慌てて打
ち消す。誰かこのこらえ性のない頭をどうにかしてくれ。
「あの、ありがとうございます貴明さん。いろいろと私のわがままを聞いてくださって。
本当ならメイドロボの私が、このような場所に来られるだけでも感謝しなくてはいけな
いのに、その・・・・・・」
やっぱり恥ずかしいのか、塀の向こう側でイルファさんの照れている様子が手に取る
ように伝わってくる。
「別に気にすることないよ。元はといえばイルファさんが福引を当てたんだし。逆に俺
までこうやって旅行に来れて、こっちがお礼を言わなくちゃ」
それに旅行に来れたおかげで、家にいるときよりも積極的なイルファさんを見ること
もできたしね。
いや、そんなことは口には出さないけど。
「俺はそろそろあがるよ」
そう言って湯船から立ち上がる。
「それでしたら私も」
「イルファさんはゆっくりしてていいよ。今はいったばっかりだろ? あ、でも・・・・・・
えっと、入り口の所で待ってるから。一緒に、部屋に戻ろうか。それから・・・・・・
いっぱい、しようか。二人っきりになることなんて、滅多にないし」
向こう側にいるイルファさん。うなずいてくれたみたい、かな?
次の日、カーテンの隙間から漏れてる朝の光と、それと体にかかるムニュムニュとし
てあったかい感触で目が覚めた。
目を覚まして一瞬、自分がどこにいるんだかわからなくなったけど。そういえば俺、
イルファさんと一緒に旅行に来てたんだっけ。
隣に目をやると、さっきから感じてる柔らかな物の正体。昨日、そのまま眠ってしまっ
たイルファさんがいた。
朝から裸のイルファさん。目の毒だよなぁ。
「おはよう、ございます貴明さん」
「お、おはよう、イルファさん。起こしちゃった?」
布団の周囲にばら撒かれている浴衣や下着を、手を伸ばして探しているとイルファさ
んが目を覚ました。
イルファさんが目を覚ますと、とたんにお互い何も着てないのが恥ずかしくなってく
る。
慌てて着替えていると、ううっ、笑わなくたっていいじゃないか。
「ですが、昨夜はあんなに恥ずかしいことを私にしてくださいましたのに、貴明さん、
裸を見られただけでそんなに顔を赤くするのですもの」
そ、そりゃ昨日はもう興奮してて無我夢中だったし、って言うかイルファさん。
もしかして昨日してるときからのスイッチ、はいったまま?
「さて、どうでしょう? 貴明さんがいけないんですよ。いっぱいしようなんておっしゃ
るから。私、本気にしましたんですよ」
いや、イルファさん、そんな色っぽい目なんかされると、ほら、今朝だしさ、朝から
俺の理性の限界の挑戦されても、ほら、ね?
「それともあれは嘘だったとおっしゃるんですか。あの後、このお布団の上であんなに
も私のことを愛してくださいましたのに、それは全て誤魔化しだったと」
ごまかしてなんて俺は本気でイルファさんと・・・・・・俺、もしかしてからかわれ
てる? そんなクスクス笑ってるところ見ると。
勝手に赤くなったり青くなったりしている俺の横で、イルファさんはゆっくりと浴衣
を着る。
「貴明さん、朝食までまだお時間もありますし、よろしければお風呂、一緒にはいりに
いきませんか」
「お風呂に?」
そういえば体もベタベタするし、朝風呂っていうのも悪くはないけど、一緒に?
「はい。そのために昨日のうちに家族風呂の予約もお願いしてありますし、いかがでしょ
う」
「いいね、行こうか」
せっかく一緒に温泉にきたんだから、ふたりだけで入れるなら願ったり叶ったりだ。
後は、頑張れ、俺の理性。
「それじゃあ、行きましょう貴明さん」
立ち上がった俺の腕に、イルファさんが抱きついてくる。
楽しそうなイルファさん。
俺は、イルファさんにこの旅行をプレゼントしてくれた神さまと、それと俺を選んで
くれたイルファさん両方に感謝をしながら。
今度は、俺が連れてきてあげたいな、なんて考えながら人気のない朝の廊下を、イル
ファさんと一緒に腕を組んで歩いていく。
終
脳内麻薬の命ずるがままにSS書くと、こうなりました。
僕にはイルファさん分が足りない!
支援くださった皆さん、どうもありがとうございました。
お疲れ様!
貴殿のイルファ分は全て俺がいただいた
そのせいで萌え死にそうだよ
>>388 BAD後の話か…
あくまで俺の意見だけど、短編なら読んでみたいけど。
>>414 終盤のいちゃつきぶりはGJ。
この部分のイルファさん分が足りない!
というか家族風呂で一緒のシーンのイルファさん分が足りない!
SSだと腹黒いイルファさんが多いけど、やっぱ素直なイルファさんもいいね
どっちもいい
イルファさんハァハァ
でもイルファは充電式じゃないぞ。
>>388 俺としても読んでみたい。
オリキャラがでしゃばってこなければ。
るーこのBAD後の話か。
アイス屋の菜々子SSは面白かったな
てか、BAD後の世界観で何を描くかによるんじゃないかなあ。
俺はどんなに鬱な話でも、BADENDを通過したって前提が上手く生かされていたりすれば
それはアリだと思う。
インパクトのためだけに誰々のBADENDにしました、みたいな話はゲンナリしちまうけどね。
例として挙げるのはアレだが、某ジャンクションと某虹は、そういう意味でちとキツイ。
423 :
345:2006/02/14(火) 21:45:24 ID:mKvYRpev0
超頑張ってますがどうしてもバレンタインSS書けそうもありません。
昨日のうちに書き上げとくんだった…こんな日に残業言われるとはつДT
ホワイトデーまでに書き上げればいいさ! 残業がんがれ
>>423 ガンガレ!
君のSSを読むまで俺のバレンタインは終わらない
我ながらクサイこと言ってしまったので吊ってきます
>>423 気にしない気にしない!
良くある話だってw
>>361 一日遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!!
一日経ってる間に、バレンタインでSS上がりまくってるし^^;
いやあ、郁乃んツンデレ路線まっしぐらですな。
というか、最後は由真、愛佳、瑠璃もツンデレ転向ですか?w
とりあえず軽量級が多い日で良かったね>貴明
>>378 いかにもありそうな話で、妙にうけました。
こちらも転校早々、ツンデレ路線まっしぐらですなw
漏れの勘では、郁乃んの様子を心配した愛佳が盗聴器とかを仕掛けていて
「趣味は…」の部分で授業中に隠れて食べてるお菓子をふく姿を想像して萌え〜w
>>384 さ、さすが、イルファさんだぜ!
漏れたちにできないことを平然とやってのけるッ!
そこにシビれる! あこがれるゥ〜!!
>>414 長文乙!
突発屋さんのイルファさんとの落差がまぶしすぎますw
とりあえず、22/25と23/25の間と、26/25以降を希望〜^^;
>>423(=345)
がんばれ!
漏れなんか、いつも残業だ!w
おまえはなんだw
>>363 いま、ふと思った。
ここにいない3人以外に、ちゃるとよっちが抜けてるw
あー、そういやここオリキャラは叩かれるんだったな。
でも続き書いちゃったんで空気読まずに投下。
・・・・・・最後にやったのがさーりゃんシナリオなせいか、タカ坊あんま好きじゃないんだ。
「あはは、おもしろい子だよね」
右隣の席から柚原さんが話し掛けてくる。
善良そうな笑顔をこちらに向けている彼女は転入生の風変わりな趣味にも動じていない
ようだった。最近、何かあったのか少し寂しそうな表情をすることはあったものの、さす
がはクラスの潤滑油、天然アイドル柚原さんだ。
この間の席替えで一番後ろの席になった時、どちらかというとまじめな僕は世間一般の
不動産評価基準に反して黒板や先生が遠くて微妙だななんて思ったけど、初めて隣の席に
なった柚原さんの存在のおかげで、今では席替えはそれなりに満足だったと今では思える。
……別に恋愛感情みたいなのはない――と思う――けど、誰にでも明るくて優しい柚原さ
んと会話する機会が多いこの席はなかなか快適だ。
「……まあ、そういう受け止め方もできるかな。でも、『だよね』ってなんか前から知っ
てた見たいな口ぶりだけど、柚原さん、あの転校生のこと知ってるの?」
「あ、うん。タカく……隣に住んでる先輩の彼女さんの妹なんだよ。しゃべったことはな
いけど、顔くらいは見たことあるんだ」
柚原さんはなぜか少しうつむきながら、そう説明してくれた。
ウジウジしたタカ坊よりオリキャラの方がマシなんじゃね?
空気は読んだ方がいいよ
察しと思いやりがあり、行動力あるオリキャラ主人公が
作者が自己投影した俺マンセーじゃなきゃいいけど。
それよりも、投下中は書き込みを控えるんだから
よくわからない投下の仕方はどーにかしてくれ
>>431 1年生の教室という設定だから、貴明でなくオリキャラを出すというのは
全然構わないと思うが、あまりオリキャラが個性を発揮して
イニシアチブをとりまくると、このスレでは引かれる傾向にあると思われ。
まあ、エロゲの主人公に受身が多いのと似たようなもんか。
投下が終わるまで書き込み待とうと思ってたんだけど、これで終わりだったのか。
もうちょいまとめて書いてから投下して欲しいかも
オリキャラ出さないと成り立たないような話なら、そもそもTH2SSじゃなくてもいいと思うんだが
むしろ聞いてみたいんだけど、それでもTH2にこだわるのはどうして?
オリキャラ出したいならオリジナルの小説書けばいいんじゃないの?
>>435 失礼。ちょっと反応見たかったんで。
速攻出て行けって雰囲気じゃないみたいだし、少し続き書いたし投下。
今後書くならちゃんと終了宣言します。
しかし、「察しと思いやりがあり、行動力あるオリキャラ主人公が作者が自己投影した俺マ
ンセーじゃなきゃいいけど。 」つーのはどう考えればいいのかな。
別にケンカ売るつもりじゃないけど、うじうじ考えたり、相手の気持ちに気がつかなけりゃい
いってもんじゃないと思うけど。 ex.さーりゃんシナリオ
由真シナリオのタカ坊みたいの好きなんだけどどうよ?
なんとなく言いたいことは分かるし、そんなの自分で考えろといわれればそれまでだができ
ればもう少し具体的な意見が聞きたいですわ。
んじゃ続き。
「えっと、それじゃあ席は……どうしようかしら」
先生は思案顔でクラスを見渡している。
柚原さんが手を上げた。
「せんせーい。私、少しだけど小牧さんと面識あるし、一番右後ろで廊下にも出入りしや
すい場所だから、もし小牧さんがよかったら私の隣どうですかー」
「あら、柚原さん、小牧さんと知り合いだったの。それは良かったわ。ちょうど右後はス
ペースも空いているし、車いすでも動きやすいわね。小牧さん、そこでいいかしら?」
「……はい」
「やたー。郁乃ちゃんと仲良くなれるといいな」
この子は神様が血も涙もない現代日本に使わした天使の化身かなんかじゃないだろうか。
……なんて妄想をしていたら、先生が車いすを押そうと一瞬手を出しかけてやめるのが
ふと目に入った。小牧さんは自分で車いすをこいでこちらの方に向かってきた。
山下先生は30台も半ばの、社会を担当している中堅女性教師だ。しばしば教師――と
りわけ社会科の――にありがちな変に強い使命感や熱血さみたいなのは持っていない、ど
ちらかといえば地味な先生。生徒とも少し距離を置いて付き合うタイプだから、一部の女
子なんかには「冷たい」と嫌う人もいる。
でも、僕はそうした態度は先生の公平さの表れに感じるし、冷めているようだけど、教
職を単なる労働みたいに考えていないような人でもない。実際、授業や担任としてのクラ
ス運営はしっかりとやっているし、理不尽な言動をするようなことも全くなかった。
たぶん、車いすの転校生がこのクラスに入ることになったのも学校側がそんな山下先生
を評価したからだろう。
……その山下先生でもやっぱり対応には戸惑うんだな。
そう考えると柚原さんは凄い。もしかして、テレビのコメンテーターが言うところの障
害者に身構えない欧米人ってのはみんなこんな性格なんだろうか。だとしたら、きっと戦
争なんか絶対しない平和な人たちに違いない。
「わたし、柚原このみ。よろしくー」
「よろしく。ていうか知ってるけど。貴明にフられた幼馴染じゃん」
「え? ……あ……えと…その……あははは……」
いきなりきっついジャブを放つ小牧(柚原さんにいきなり酷いコトいう奴なんて呼び捨
てで十分だ!)。
障害者側からいきなりすっごい壁を作るっていうケースは想定外だったぞ。いや、そも
そも障害者とか関係ないなこれ。
この転校生は悪魔の化身かなんかか?
今日は以上です。
ノシ
改行をちゃんとしてくれ、読みにくすぎる。
>>439 乙です。
>しかし、「察しと思いやりがあり、行動力あるオリキャラ主人公が作者が自己投影した俺マ
>ンセーじゃなきゃいいけど。 」つーのはどう考えればいいのかな。
完璧超人な主人公が、神通力並みの察しの良さと仙人並みの道徳観と知性で
全てを解決しちゃうような話の事じゃないかな?
つーかオリキャラだろうがOKの所なんていくらでもあるんだからそっちでやればいいじゃない
>>441 ん、難しいな。神通力で解決ってのくらいは避けれそうだけど……
半分くらい皮肉で言われてんのか(特に「察し」とかさ)と思ったけど、
その一方でずっと上の方見てみるとオリキャラでたら、「作者自己投影・マンセー」
と言っておけみたいな脊髄反射な批判としか取れないようなのもあったらか、気になったんよ。
できるだけ気をつけます。
>>440 改行ってどっちの改行の意味ですか?
折り返しのことだったら80でやってるんだが、長すぎるのかな。
それとも
>>386さんのみたいにもっと行間開けろってこと?
私の趣味としては
>>381さんや、もちっと空けるとしても河野家の人くらいの開け方が好きなんですが、
もうちょっと入れたほうがいいということですかい?
>>443 結局ここでは禁止なの?
スレ的には叩かれやすいけど、禁止とは見えなかったんですが。
禁止というルールが確立してんならやめるし。
例えば、まーりゃん先輩シナリオとか書くんだったら(読みたいです。誰かお願いw)
あのシナリオでささら差し置いてタカ坊と付き合ってしまうとかそっちの方が、まーりゃん先輩の性格的に
ありえないと思うし、そういうのの方がオリキャラ嫌って人同様に抵抗感じるんだけど。
ささらシナリオのタカ坊はあんまり好きじゃないけどシナリオ全体としては決して嫌いじゃないから
その雰囲気をむしろ壊しがちだと思うわけで。
(もちろん、そういうの書くのも自由だと思うし、読んでみたら結構いいということもあるだろうけど)
そりゃ岸田さんが出てきてToHeart2のキャラを(ryみたいのはさすがにダメかもしれんけど。
445 :
440:2006/02/15(水) 03:52:15 ID:K+0/i+qF0
>>444 例を挙げると、
>でも、僕はそうした態度は先生の公平さの表れに感じるし、冷めているようだけど、教
>職を単なる労働みたいに考えていないような人でもない。実際、授業や担任としてのクラ
>ス運営はしっかりとやっているし、理不尽な言動をするようなことも全くなかった。
↑これじゃ読みにくいから、
でも、僕はそうした態度は先生の公平さの表れに感じるし、冷めているようだけど、
教 職を単なる労働みたいに考えていないような人でもない。
実際、授業や担任としてのクラ ス運営はしっかりとやっているし、
理不尽な言動をするようなことも全くなかった。
↑こんな感じにしたほうがいいよ。
主人公にも何かしら落ち度を作っとかないと、マンセーだの何だの言われやすいかもね。
なんにせよお疲れ様
キッつい郁乃たんですな。殺意を抱いちゃったw
続き期待してますよ
なんか最近投下されるSSはちょっと読みにくいキガス。
決して内容が悪いわけじゃないんだけど。
>444
ルールにオリキャラに関する記述が無いと言う事は
「禁止されていない」
ではなく
「許可されていない」
と考えた方がいいぞ。ここに限った話じゃなく。
後、基本的にプロポーショナルフォントな環境で見る人間が大半だから、
文字数で改行すると行末が不揃いになってかえって見にくくなる。
>>443 ぶっちゃけオリキャラ出すにしても雄二ポジくらいのサブにしとけってこった。
サブで出すにしても元の世界観に馴染ませ難いのがオリキャラなのに、
主人公にした時点でそれはもう「僕の考えた理想のTH2」に成り下がるって事なんよ。
あとオリ主人公テンプレじみた冷静さを装った上から見下した様な幼稚な主観発言、
短絡思考、突飛な連想妄想を文章にするのは止めた方がいいかと。
正直オリ物やりたいならネギマSSでも書く事をオススメするよ。
451 :
450:2006/02/15(水) 05:18:42 ID:Y8sTUze80
完全なモブキャラ立場の、「郁乃とこのみのクラスメートの少年A」視点だったらいいんだろうな。
三人称の「神の眼」視点はSSとはあんまり馴染みにくいから、そのくらいなら許容できる気がする。
んで、なるべくキャラ薄くして、郁乃やこのみと必要以上に絡まなかったらオリキャラ独特の「寒さ」は回避できるかと。
そもそもToHeart2自体全編通して貴明の主観で語られてるわけだから、
それ以外の視点を出すとどうにもしっくりこないんだわな。
あと仮にまーりゃん先輩やちゃる・よっちみたいなサブキャラルートの話を書くなら、
中途半端に元のルート(ささらやこのみ)を流用するんじゃなくて一から考えるもんだと思うぞ。
まーりゃん先輩を例に出して言うなら、
先輩と出会ってから卒業式イベントくらいまでの大まかな流れは同じだとしても
その過程において変化、例えば貴明一人でささらを説得するんじゃなくて『二人で』それを行うとか。
大本は同じであっても、だんだん方向転換していけば最終的に展開は変わってくる。
終業式後のデートをささらじゃなくてまーりゃん先輩と行く、とかにしてそっから完全にオリジナル展開へと持ってくとか。そうすると、
「いやー、たかりゃんにはちょいと借りができちゃったからねー。お礼に今日はアタシがデートしてやるぞ。
狂喜しろ、たかりゃん。このイベントこなせばアタシとのフラグ立ちまくりだぞ」
「拉致から発生するフラグなんてないですよ! 借りなんていいですから早くこの縄解いてください!」
「む? ……つまりたかりゃんはアタシとのデートくらいじゃご不満だと?
仕方ないなー、こうなったらアタシの生パンもつけてやるか。ほーら、脱ぎたてだぞー」
「なんでそうなるんですか! ……って、こんなところで脱がないでください!
わかった! わかりましたからー! 嬉しいです! まーりゃん先輩とデートできてとっても嬉しいです!」
「ははは、こやつめ。最初っからそうして素直になっておればよいのだ。さっ、行くぞー」
と、こんな小咄が妄想できる。ちなみに拉致の実行犯はささらな。
第三者から見た素朴な疑問なんだけどさ、
オリキャラSSにそこまで総スカン食らわせるなら何故テンプレに、
「オリキャラSSは(荒れるもとなので)禁止」って入れないんだ?
現状じゃ投下する職人にもROMってる俺らにもメリットは無くて、
無駄な揉め事の原因を作ってるだけだと思うんだが。
オリキャラが出たのって、このスレからじゃないの?
途中来てない時期があったから良くわからない。
すんげー昔というか1スレ目に、図書委員のオリキャラから見た愛佳シナリオなぞりSS
なんてのがあった。別に叩かれもせずに5つくらい続き希望のレスがついてたけど、すぐに消えちゃったな。
オリキャラ視点であっても、なぞりと後日談とではまったく別物だと思うよ
某所のSS読んで、ヒロインと幸せになれなかった貴明のSSってのもなかなか味があるな、と思い直した
ダークではないけどシリアス風味でいい感じだった。短かったけど。
オリキャラものは表題に「オリキャラ」と付記しといてよ。
こっちでNGにするから。
そうすればわざわざ作者自己投影オナニーを目にしなくて済むし。
「あ、たかあきくんごめんね〜。
ちょっと由真が近所まで来てて、貸してた本を返してくれるんだって。
ちょっと出かけてくるから。悪いけど、ちょっと待っててね。
楽にしてていいから〜」
受話器を置いた愛佳はそう言って出掛ける準備をはじめた。
「ん? 由真だったら愛佳が行かなくてもあっちに越させればいいじゃん。
あいつムダに元気だから少しでも移動させてエネルギー消費させたほうがいいだろ」
「や、や、それはまずいですよ。
・・・だって、ほら、たかあきくんおうちに呼んでるとこ見られたら・・・」
あ・・・そういうことか。
さすがに俺たちが付き会っていることくらいは由真も知ってるだろうが、家に呼ばれて
いるという状況は由真に余計な邪推をされそうだしな。
・・・まあ、あながち邪推でもないのが痛いが。
とはいえ、今日はお邪魔虫の郁乃もいるから別にやましいことなんかないんだけど。
あいつ、ひね曲がった根性直すために車椅子バスケでも始めればいいのに。
愛佳が出て行ってしまったのでヒマ潰しに郁乃と遊んでやることにした。
ガチャ。
親密さをアピールするためにノックは省略して郁乃の部屋へ入る。
「よお、郁乃。 ん、ネットやってんのか?」
画面には怪しげな掲示板が映っている。
「・・・! た、貴明! ちょ、人のPCの画面覗くな!!」
「いいじゃないか、兄弟みたいなもんなんだし。なになに、
『郁乃萌えスレ』? ぷっ。お前、こんなの見てたんだ」
「だから覗くなっ!! ていうかそもそも勝手に入ってるな!
警察呼ぶわよ!」
「おいおい、俺はちゃんと愛佳に招待されて来てんだから警察はないだろ」
「姉はあんたを招待したかもしんないけど、あたしは貴明なんか招いた覚えはない。
だからあたしの部屋入ったら不法侵入。 出てけ!」
「いいじゃんか。ふむふむ、『郁乃のツンデレっぷりは神』?
ふぅーん……ポリポリ」
「ぅぅううー、だから覗くなってば!! あと勝手にあたしのボッキー食うな!!
それ一袋に4つしか入ってない高いやつなんだから! そして出てけっ!!」
赤面しながら複数の事柄について一気に怒る郁乃。
器用だな、こいつ。
「お前なんかこないだ愛佳の作ってくれたクッキー俺の分まで食べたじゃないか、
俺、結局2つしか食べられんなかったんだぞ」
「あ、あれはいいのよ。
あのクッキーは姉が私の為に作ったんだから」
俺の記憶だと、そのクッキーは愛佳の、
『たかあきくん、クッキー作ったの。その・・・よかったら食べに来てくれる?』
という、とってもありがたいお言葉で俺を招待してくれたという経緯があった上で出さ
れたものだったんだけどな。
少なくとも、郁乃の取り分が後でお腹を壊してトイレに引きこもらなければならないほ
どの割合だったとは思えない。
そうこうしているうちに愛佳が帰ってきたようだった。
「たかあきくん、ただいま〜」
「貴明ー、ちゃんと留守番してたか? まさか愛佳の部屋あさって下着とか盗んでないだ
ろうなー」
「あはは・・・結局、由真、遊びに来ちゃった」
・・・そうか、俺と愛佳が付き合い始めてから構ってやる回数が減ったから寂しかった
んだな。
ていうか、俺の留守番意味なかったじゃないか。
「も〜、由真ったら〜。 たかあきくんはそんなことする人じゃないよぉ〜。
ん、あれ〜? たかあきくん、郁乃の部屋にいるの〜?」
愛佳と由真が郁乃の部屋に入ってきた。
「お姉ちゃん!!」
突然、郁乃が愛佳に哀れそうな表情を作って呼びかける。
「え、え? どうしたの、郁乃?」
「う・・・あの・・・えっとね、・・・・・・ぐすっ・・・。
・・・お姉ちゃんがいない間に、バカ貴明がいきなり私の部屋に入ってきて・・・。
私の恥ずかしいところを・・・えぐっ・・・。 無理やり見たのよ」
「な・・・おい、郁乃」
とんでもないことを言い出す郁乃。
「え? うそだよね? たかあきくん、そんなこと、しないよね?」
「え・・・いや、そんなわけない・・・。
て、いや待てよ・・・あれ・・・?」
誤解を招く表現だけど、よく考えると郁乃は別にウソを言ってるいるわけではない
な・・・
「河野貴明ー!! あんた・・・ひょっとして本当に・・・」
「たかあきくん! まさか・・・まさか・・・」
しまった!
愛佳相手だからつい真摯に考えてしまった。
こういうときはとりあえず即座に否定しないと変な疑惑が深まるじゃないか!
「いや、違う、こんな発育不良未熟児のガキんちょにそんなことするわけないだろ。
こんな、バイパスの通った胸や未だに蒙古班のありそうなケツに誰が興味もつんだ
よ!」
とにかく、少しでも疑惑を薄めようと思いつく限り、否定の証言を試みた。
「あたしは恥ずかしいとこって言っただけで、胸とは別に言ってないんだけど。
いきなりそういう風に胸とかお尻とか言い出すのが自分のヘンタイさの証明ね」
「う・・・。 なっ・・・」
・・・だが、子悪魔は無慈悲な追い討ちをかけた。
お前、1秒前まで泣いてなかったっけ?
「じゃあなんですぐ否定しないのよ。あたし、あんなとこ見られたの初めてだったのよ。
その上、あんなものまで口に入れて・・・貴明、あたしの初めてかえしてよ」
郁乃の口撃は続く。
こうまで敏感に人が弱ったところに付け入る能力にはもはや感心せざるを得ない。
「あ・ん・た・はっ、愛佳をたぶらかしただけじゃ満足できないのかこのヘンター
イ!!」
「うそだよね? たかあきくん、うそだよね?」
もうだめだ、愛佳はともかく、由真は完全に有罪の心証を持ってしまった。
「く、卑怯な。郁乃、これで勝ったと思うなよ!」
「ヘンタイの癖に人のセリフ取るな!!」
事態の収拾がつかなくなってきた。
オロオロする愛佳が自分の方を見ていないのを確認しつつ、こっちへ向かってべーっと
短い舌を付き出す郁乃。
と同時に、何気にPCを操作して190(イクノ)ちゃんねるビューアも閉じている。
本当に器用な奴だ。
「ちょっと、貴明! どういうことなの、ちゃんと説明しなさいよ!
愛佳を傷付けるようなことはあたしがぜーったいにゆるさないんだからね!!」
「う、うわぁ〜ん・・・。 たかあきくん・・・。 う、うああっんっ・・・
たかあきくん・・・」
・・・郁乃め、今度絶対に車椅子バスケのチームに放り込んでやる。
おしまいです。
いい感じの鳥を見つけたんで、使いたなって書いてみました。
お目汚し、失礼しました。
あ、一番初めの愛佳のセリフ、書きかけのでした。
『ちょっと』かぶりすぎなんで、こっちに訂正します。
「あ、たかあきくんごめんね〜。
由真が近所まで来てて、貸してた本を返してくれるんだって。
出かけてくるから。悪いけど、ちょっと待っててね。
楽にしてていいから〜」
リアルタイムキター
途中、うpの間があったんで、なんか規制関係かと思って割り込みました。
でも、よく仕組みがわかってなくて、邪魔なだったみたいですスマソ
3/5の由真が雄二に見えた
>>361 いまさらながら河野家GJ。
お姫様抱っこで小さくなって照れる郁乃萌え。
個人的には瑠璃ちゃんや愛佳の抱っこも見たかった。
脳内妄想で補完します。
471 :
名無しさんだよもん:2006/02/15(水) 18:52:10 ID:DCk9L6g8O
>>361 漏れも今さらながら、河野家GJ&乙(´∀`)ノ
もう作者さんのお陰ですっかり郁乃萌えになってしまいました(´・ω・`)
今のマッタリ(?)した話の流れは個人的に好きです。
>>466 GJ&乙です(´∀`)ノ
作品中にリアルに感じられる物(郁乃ちゃんねるとか)が入るとまた新鮮味がありますね。
楽しませてもらいました(σ・∀・)σ
>リアルに感じられる物(郁乃ちゃんねるとか)
マ テ
オリキャラにしても、なんにしても今このスレで言える事は、
新人や現在進行中の作家が投稿し辛いって事だな。
レスとか見てると、河野家支援のレスばかりで、
他の作品に対するレスが少なめな気がしてならない。
つまらないからスルーってのも、どうかと思う。
〜〜を〜〜にみたいにするといいぽ、みたいなをレスしてあげれば
作者側も、指摘されたような部分を注意し、改良するだろうし。
とにかく、今のこのスレの現状では、有名どころはいいが、無名はし辛い…
と俺は思っているが、違ってたらスマソ
河野家マダーとか河野家乙とかも、形式的挨拶でしかないといえなくもないけどね。
もうちょっと冷静にいろいろ言える状況ならいいんだけど、
マンセーとなればマンセーの荒らし、叩きが始まったら歯止めが利かない、って感じだと、
安定した作品に無難なお礼を言うよりほかカキコのしようがないよ、怖くて。
でもそう馬鹿にしたものでもないんじゃない? たまには……と探そうとして挫折
>>473 俺はぶっちゃけ河野家以外の作品はどうでもいい。
そもそも感想レスなんて義務でするものじゃないし、
レスがないのはその作品にはそれだけの価値しかないから。
安定した感想が欲しければ、ここで何編か書いて興味を
集めてから虹の人や中の人のようにサイトを開いた方が早い。
このスレ殺伐としてるな
河野家が良い意味でも悪い意味でも、
このスレに大きな影響を与えたんよ。
河野家がメジャーになる前となった後のスレ比べりゃ分かる。
>>477 そうじゃないと思うけどな
毒にも薬にもならない、全キャラ登場ハーレムものだから残ったんだよ>河野家
で、このスレの住人が、そういった毒にも薬にもならないSSを求めてるだけっての話
別に河野家を批判するわけじゃなくて、需要と供給が一致したってことだろ
河野家だけ読んでない俺は、新人様をwktkしながら待ってるんだが…。
河野家はさっさと完結させてくれ
あー、あとついでに一つ
>>475の好みは否定せんけど、その作品にはそれだけの価値しかないって言い方は感心しないぞ
それじゃあここで認められなかった作品に価値がない、ってのが絶対的な事実みたいに聞こえる
逆にここが作家に見限られるようなスレでしかないのかもしれないんだからさ
河野家の作者は上手いSS作家だと思うよ。
でも、結果的に新たなSSが生まれにくい雰囲気になってる
誤解のない様いっておくが、河野家に責任は無いぞ。
人を呼べるSSがあること自体は、悪いことじゃないわな。
他のSSにとってもさ。
ちょっと表現の仕方が悪かったな。
別に河野家は悪くないけど、
間接的にSSスレにいろんな作用をもたらしたと言うかなんと言うか。
>>473 少年漫画に置き換えて考えてみよう。
結構長く続いていて且つ自分の好きな漫画ならば感想とか出るだろう。
しかし新連載の場合は冒頭だけ読んで読み続けるかどうかを判断するだろ?(俺だけかもしれんが)
読んだ人は感想は出すけど読まない人は当然出さない。
何故読まないというと冒頭部分だけ読んでつまらないと感じたから。
全員が読んでる訳じゃないという事を前提として考えるべきかな。
的はずれな意見なら訂正よろしく。
例の一件でシリアスな内容のSSが、嫌遠されるようになってしまったように思える
487 :
485:2006/02/15(水) 22:09:01 ID:jo5xXqbXO
ってリロードしてなかったらえらいこっちゃ。
(゚ё゚)
香 ば し く な っ て ま い り ま し た
また流れがアレになってきてるな。
つってもスレにとって決して無駄な討論ではないけどさ。
俺はアンチじゃないが、
河野家はちょっと引っ張りすぎな気もする・・・。
言っちゃなんだが、お前は間違いなくアンチだよ
>>490 そうか、そう思われても仕方が無いか・・・。
まあ俺がグダグダ言ってもしょうがないから離脱しますノシ
河野家はマターリと続き、完結しないところに価値があるんじゃない?
それこそ単発系の長期連載漫画みたいな存在だと思う。
で、スレの住人的の意向はどうなんだろ。
単発でも良いから作家が増えて欲しいのか?
河野家だけあれば良いのか?
長期連載に耐えられる作家だけが欲しいのか?
殺伐としたくない、それだけです。
まぁこのスレ自体が斜陽化してきてるのかもしれないが。
むしろ単発ネタの作家が増えて欲しいと思ふ。
時間が無い時なんかは長編は読むのが辛いし。
長期だろうが単発だろうが、俺はイルファさんSSの新作さえUPされるのなら
何も文句はないぜ。
>>492 いろんな人がいるんだから答えがでるわけない
難しいこと考えないで
作家はTH2のSSを書く
読者はそれをどう思ったか書く
だけでいいだろ。
>>492 俺は基本的に投下されたら最後まで読むよ。
連載もの等は最初を読んだあと、読むか読まないか選択するけど。
河野家はハーレム系だから読んでない。
>>493 それは激しく同意w
ただ、そろそろネタの限界が近づいてるのかもなぁ。
>>494 それも分かる。
特に仕事で疲れたりしてると……w
>>495 出来れば三姉妹丼ry
>>496 ごもっとも。
ま、参考意見が聞きたい程度に思って欲しい。
>>497 それが普通の反応だと思う。
だけど、一言だけでもレスつけると喜ぶ人もいるよ?
496だけど
>>498 どれにも当てはまらない。
短編だろうが長編だろうが
1年に1個だろうが毎日だろうがかまわない
ただ、良いSSが読みたい。そんだけ
>>499 さんくす!
だが、その目標へと向かうためには作家を呼んで育てる環境も必要じゃないかな?
偉そうな意見で申し訳ないが。
>>499 あなたの言う良いSSってのが聞いてみたいもんだな
まったりでいいじゃん、(´・∀・`)ナー
SSの質を問う前にまずは量だろ?質のいいSSのみを読みたいなら本屋行ったほうが手っ取り早いよ。言ってどうなるわけじゃなし
俺は更新を続けてるサイトさんもこのスレも毎日チェックしてる暇人だが、どの作者ももっと遠慮しないでこのスレに顔出して欲しい。遠慮する必要なんて無いだろう?
だって俺達、THが好きなんだから
こういう議論なんてまったく要らないから
どうせ文句いう奴には何言っても無駄
そういう人間だから文句を言うんだろうし
いいかげん学習すべきだと思うけどね
>>501 横レス失礼。
その問いは、一つ間違えると荒れる原因になりかねないかと……(汗
こう長々と議論してるのに
いっこうにSSが来ないのがカナシス
議論してて殺伐としてる所には投下しずらいだろうな。
これでSS投下して叩かれないほうが凄そうだし……
バレンタインSSが投下されてないのがテラカナシス
>>502 HP持ちの作者ならこの状態のスレに投下するようりも自分のところにアップするだろうなぁ。
(´-ω-`)
507 :
名無しさんだよもん:2006/02/15(水) 23:06:11 ID:U6koS5wv0
>>506 >バレンタインSSが投下されてないのがテラカナシス
や、一応一本だけは当日に投下してるw
ちょっと待ってろ、こんばん中には上げるからwww
>>500 意味がわからんよ?
スレでやろうって話?
いきなり話題変えないでほしいんだけど
環境なんて自分で整えてなんぼ
あと別にそういう意識を全員にしろとも思ってないから
>>501 いいSSの例ねえ
私を海に連れてって。とか
桜の咲く頃、とかあの辺かな
あくまで俺はいいと思ったという作品な。
長編短編で1個ずつ例としてだしてみた
>>502 量だけこなせばいいってものでもない。質を求めてこその量。
あと二次創作のTH2SSの話で本屋は関係ない
ついでにいえば市販品でも悪いの多すぎ、むしろ金だすから評価は厳しくなるし
まったりでいいといのは激しく同意。
春は終らないマダー?
>>506 投下しようかと思ったが、オリキャラ叩きとかの流れに
なってたからやめて自分のトコに上げた。
あと流れとは関係なく、ここは河野家の作者さんとかレベルの
高い人が結構いるからねえ…気が引けるってのもある。
>>508 wktkして待ってますw
SS作者さんならともかく、作者でもない一読者がSSスレで
こんな内容を議論したってしょうがない。
どうしても議論したければ、SSアンチスレででも議論すればいいだけのこと。
別にここにどんなSSを上げてもいいと思うし、読む側も気に入れば
感想(not 批評)を書き込むだけのこと。
強いて言えば、書く側はいろいろ工夫したりして書いてくださってるわけだから
感想を書く側も「乙!」の一言で済ませずに、どこが気に入ったとか
ここはこうした方がいいんでは?とか、少しスパイスを効かせるように
した方が面白いと思う。
まあ、そう言いながらも、来週の河野家をワクワクテカテカして待つ
漏れがいるわけだがw
じゃ、私も一本考えてみますかw
>>511 サイト持ちなのに、SS投下以外でココに書き込む作者さんもいるんだね
>>512 511みたいな人もいるし、一読者かどうかは分からんよw
案外作者さん側の割合の方が多かったりしてな
515 :
512:2006/02/15(水) 23:32:38 ID:U0H6shrG0
>>514 まあ、作者さんもいるとは思ったさw
漏れ自身は、紛うことなき一読者だが。
しかし、作者さんもこういう話題で議論したいものなのかね?
そういや、昔、SS職人の互助会みたいなスレってなかったっけ?
漏れの記憶違いかな?
>>508 漏れも待ってるよ。
私も議論にまぜれw
>>377以下、オリキャラSS書いた者です。
さて、オリキャラは風当たりが強いなら・・・・・・とできるだけ媚びようと頑張って
>>460 以下を書いて見たのですが、確かに叩かれはしないものの殆どスルーされますね(´・ω・`)
みんなSS批評より議論の方が好きなんだなあw
いや、それ以前に私の文章力の問題なのでしょうが。ごめんなさい。
>>450 いや、ネギマもう殆ど読んでないし。
もっとも、一応、一般教養として“ラブひな”と“AIが止まらない(だったっけ?)”は
全巻読んでいます。
で、私にとって赤松作品は決して悪くないと思うけど、赤松先生は徹底して読者の望む
ものを提供しようとしているのが感じられすぎ(それこそオレマンセーオナニー作品の対
極だと思います。誉めてるんですよ?)、読んでいてまあ快適ではあるのですが、いまひ
とつピンとくるものがないです。
あそこまで人を楽しませることに特化しないでもう少し赤松先生のオナニーが見たかっ
たです。ラブひなが終った時点で次回作品はそういうの期待してたんですが・・・
読者が心地いいだけでは逆にカタルシスにかけると感じます。
ネギま自体かなり良質な漫画だと思いますし、好きな人を批判するつもりもありません
が、「オリキャラ書きたかったらネギマSSとかでやれ」とか言われてもそれはちょっと。
でまあ、このスレでは赤松的スタンスの作品を望む声が大きいように感じます。そりゃ
あれだけ売れるんだもん、そうですよね。
でもね、オリキャラじゃなくても結局主人公である貴明には作者が自己投影されるんじゃないですか?
>「僕の考えた理想のTH2」
ってのは別に、原作準拠でも同じじゃないかと。
基本的にプロの小説ですらオナニーなワケで。
・・・赤松先生のは客を楽しませることを第一に考えた「ストリップ」なのかなあ。
極論かもしれないけど、
オリキャラ
景太郎「お、おい、待て、由真。 その牛乳は10日前の・・・」
賞味期限切れまくりの牛乳を一気飲みしてしまった由真の顔が一気に青くなる。
由真「け、景太郎・・・・・・ あたしにこんなもの飲ませて・・・・・・はかったわね〜!!」
今度は一転して赤い顔。
景太郎「いや、由真がいきなり人が持ってるもの奪って飲むから悪いんだろ!」
由真「よくもこんなもの飲ませてくれて・・・・・・」
グ、ギュルルル・・・・・・。
由真のお腹が危ない感じに鳴る音が聞こえる。
由真「これで勝ったと思うなよぉ〜〜!!」
由真は恨めしそうな顔をしながらトイレに走っていった。
だと、「自己投影キャラウゼー」なのに、
原作準拠
貴明 「お、おい、待て、由真。 その牛乳は10日前の・・・」
賞味期限切れまくりの牛乳を一気飲みしてしまった由真の顔が一気に青くなる。
由真 「こ、河野貴明・・・・・・ あたしにこんなもの飲ませて・・・・・・はかったわね〜!!」
今度は一転して赤い顔。
貴明 「いや、由真がいきなり人が持ってるもの奪って飲むから悪いんだろ!」
由真 「よくもこんなもの飲ませてくれて・・・・・・」
グ、ギュルルル・・・・・・。
由真のお腹が危ない感じに鳴る音が聞こえる。
由真 「これで勝ったと思うなよぉ〜〜!!」
由真は恨めしそうな顔をしながらトイレに走っていった。
なら、まあOKみたいな雰囲気は実際あると思う。
ということは、結局、「自己投影云々」という指摘は正しくなく、
「僕の大好きな由真たんをおまえが作った変なキモオリキャラとからませるなっ!」
ということだと思います。
まあ・・・・・・それならそれで大変理解できるんですが。
あと、「アカネマニアックス」のようにオリキャラが原作キャラに絡む作品はどう考える
のかな?
a.あーいうのも嫌い
b.プロが書いててうまいからOK。
c.本家がやるから許される
やっぱり、cですか?
>>469 そうですね。由真のセリフとしては違和感強いです。反省。
ご指摘感謝します。
でも、こういう突っ込みが入るってことは、やはり
「由真はこんなこと言わないぞ。かってに作者のキモイ希望投影すんな!」ってのはある
んじゃないでしょうかね。(別に469さんがそういう趣旨で言ったと捉えたわけではない
ですよ))
原作キャラが壊されるくらいなら・・・みたいな人は相当少数派なんでしょうね。
なお、
>>459さん他オリキャラウゼーという方へ
今後オリキャラネタを投下する際は「ikunon.r5s」のトリップつけときますので、(毎回
「オリキャラ」とか入れるのまではちょっと勘弁)お手数ですがNG指定してくださるよう
お願いします。(今度は自己主張ウゼーっていわれるのかなw)
できるだけ遠慮するので投下することはまあ受忍してください。
少数ですが読んで頂ける方もいるみたいですし。
最後に、別に私が叩かれるのは覚悟の上だからいいです。
でも、一般論としてオリキャラを脊髄反射で批判する人は、
もう少し自分が気に入らないものも、偏見持ってすぐ食わず嫌いしたりしないほうが人生
楽しいんじゃないかなと思いました。
長々とすみません。
しっかし、SS書くより議論するほうが楽し(ry
>>VFVLdZv90
オリキャラ書きたかったらねぎま書けっつーのは皮肉だと思うがw
あとabcってあげてくれたけど、cっておかしいだろ。本家がやりゃそりゃ公式だよ
TH2で言えば、ミルシルがオフィシャルで出たときどんなクズキャラであっても
それが公式になる。全体的にもう少し頭使ったほうがいいぞ^^;
521 :
512:2006/02/15(水) 23:49:03 ID:U0H6shrG0
>>519 なるほど。 作者さんでも議論したいのは良くわかったよw
というか、ひょっとすると、議論してるのは作者さんの方が多いのか?w
そうかも……w
本家がやっても、同じキャラの性格が変わることがあるけどな。
某リリカルとか。
お前ら377に乗せられてホント予想通りの糞スレ化じゃないか
なにやってるのよ
>>525 あれは1以来のとらハファンとしては衝撃的だった・・・orzおまけに田村かよ
正にこのスレは世紀末ですね。
誰か救世主来ないかな……
つまり結論は・・・
「もっとエロいSSを投下しろ」ということですね。
ストーリー性のあるシリアスなSS分が足りない…
>>520 解説どうも。
でも、「公式ならOK」って考えもそれはそれで違和感あるんだけどな・・・・・・
内容は結局重視されないということにもなりかねなくね?
まあ、公式は特別扱い、はい終了ってのもわから無くないですが。
>>523のツッコミとか
智代アフターを叩く人結構多いことを考えると、やっぱり「俺の平和で楽しい世界を汚すな!」
という意識こそがオリキャラ批判の源泉じゃないかと思います。
>ねぎまが皮肉
それはネギま好きな人やナギマSSかいてる人に失礼じゃないかな?
どのみち、これについてはほぼスレ違いでしたね。申し訳ない。
>>524 せっかく鳥つけてんだからNG指定よろ。
あと、
>>453の方、例示のまーりゃんSS書いてほしいな。
>>514 感想を書き込む程度ですけどね。
>>515=512
んー、
>>512で言われてることにほぼ同意かな。
自分自身は難しいこと考えないで思いついたままに
書いているだけです。
SS職人互助会のスレならあった気が。最近見てないけど…
>◆ikunon.r5s氏
正直、オリキャラSSがここまで叩かれるとは思わなかった…
私は許容派なので。
以前にここで一本上げた時「(台詞が)貴明っぽくない」って意見が
あったけど、河野貴明という名前を借りたオリキャラを動かしている
ようなものだしなあ。叩かれはしなかったけど。
って、リロードしてみたらやけに進んでるし…
>>528 俺は『残心』が好きだった
タマ姉とこのみのガチレズが素敵すぎだった
淡々とした文体も良かった
個人的には、ふたSSがほとんど存在しない現状は寂しい
赤松例えに出してるけどあれは一次創作だからな…AIとまは微妙w
オリキャラオナニーとは違うだろやっぱ
オリキャラが嫌われるのは一応とはいえ元キャラの枠制限が無いからだと思うねぇ
まぁ鳥つけてマンセーしてくれる人以外はあぼーんしてくださいって言ってくれてるんだからそうさせてもらうか
>>531 >でも、「公式ならOK」って考えもそれはそれで違和感あるんだけどな・・・・・・
たとえば、ミルファの髪の色だ
当初は茶色とした人がほとんどだったが、オフィシャルで赤だと決まったら
二次創作する側もそちらに従うしかない
オリキャラやクロスオーバーは一言で言うと厨臭い。
ミルファやシルファもゲームに出てないから、オリキャラに近い位置付けなんだよなぁ
ついでに言えば1のセリオも二次創作で一人歩きしたキャラだし
いくのちゃんねるは、文章の拙さもそうだけど、由真の台詞にしても
キャラを把握してないし、そこらへんでスルーされたんだと思う。
智代アフターは最後のアレが要因だから、オリキャラ云々は関係ない。
まじで、ほんとうにもう少し頭使ってくれ。
トリップつけたからそっちで勝手に避けろってなんか違くね?
>>535 公式が出てからの各HPの対応が中々面白かった。
あれはあれで良いイベントだったと思った俺はダメなのだろうか。
>>536 少なからず同意。
特にクロスオーバーは……ねぇ。
オリキャラもやり過ぎると何だかなぁって感じるし。
それなら本当に自分のサイトで書いててくれ、と。
俺としてはシルファメインのSSまだー?
「どうコメントしていいかわからない」という漠然とした要因からスルーされる場合もある
>>532 皮肉って対象(この場合は貴方)をバカにするものだから、ネギま好きの人を侮辱していることには
ならないと思いますよ。
あと、貴方はオリキャラに関して、なかなかしっかりした考え方をしてらっしゃるみたいですけど
小牧アフター?の出来がよかったら叩かれはしなかったのではないかと……
個人の好み以前に、あまり文章とかキャラの動かし方が面白くなかったと思います。
上手く言えないのですが、カッチリとラストまで書ききった貴方の作品を読んでみたいです。
なんだか口だけという印象が強いですので(そもそも読むだけの人間が言うなと思われるかも知れませんが
>>539 そう?そんなもんじゃね
どこでも荒らしがトリップ付けてくれれば楽になるよ
>>540 俺の場合……
過去に書いた作品については「茶色」のままとした
オフィシャル絵が出た後の作品については「赤」にした
>>541とはズレるが。
自分の場合、読んだSSが良いと思ってもきちんとした感想というのが
なぜか上手く書けないので、結局GJとか簡単なレスになるんだよね…
感じたことがはっきりと言葉に出来ないというか。
ごめん、
>>541全然関係ないしorz
頭冷やしてくる
>>545 的確な感想てのは本職のれびゅあーでもむずかしいもんだし、いいんじゃね?
そもそも何が的確なのか基準もあいまいだしな。
ナンダヨ!スレガススンデルカラ、SSガトウコウサレタノカトオモッタラコレカヨ!
俺脳内で『GJ!』とスルーは同義。
頭冷やそうかと窓開けたらまだ雨降ってるし…
>>547 サンクス。言われてみればそうだ。
>>548 俺か、俺が悪いのか?
>>549 なるほど、そういう見方もあるねえ。
素直になれない女の子は心からGJを送ってる。
どう感想をつけていいかわからず、ただ「GJ」と書くことはあるな
半角系のスレでファイルがうpされたときに、「キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!」とか
「d」などと適当に書くような感覚
ちまちまとSS書いてる私としては、このスレにこれだけ人がいて、このスレに
関心を持っていることがわかっただけでも嬉しいですけど。
もっと頑張ってSSを書きたいですね…
>>545 簡単な感想であっても私だったらとても嬉しいです。
たとえ一言でもどんなに遅れても、
私は私のSSにつけて頂いた感想は別にして大切に保存させて頂いています。
感想は無理に望めるものではないですが、
SS書いててGJがスルーだなんて感じる人はいないと思います。
2月14日セントバレンタインデー!
女の子が好きな男性にその気持ちを伝える日。だが男から女の子にその想いをぶち
まけてはいけないなんて誰が決めた!!
太平洋を挟んでアメリカに居るささらに、俺は、この聖なる日にずっと変わらない
想いを伝えるんだ。
そのための準備だって何週間も前からやった。
休みのたびにこのみの家に行っては、春夏さんにお菓子の作り方を教わった。
試作のチョコレートだっていくつも作って、ささらが喜んでくれそうな物を考えた。
おかげで今月は生活費がちょっとピンチだけど、ささらの笑顔のためなら三食試作チョ
コレートだってかまうもんか。今にも鼻血が噴出しそうなのも、ささらへの愛だと思
えば耐えていける。
そしてついに完成させることができたチョコレート。
定番のハート型のチョコレートにチョコレートクッキー。チョコレートケーキにチョ
コレートキャンディー。どれも会心の出来で、これならささらに俺の今の気持ちを十分
に伝えてくれるに違いない物ばかりだった。
俺はこれを食べてくれた時のささらの笑顔を思い浮かべながら、浮き立つ気持ちでそ
の手作りチョコをアメリカに送ったんだ。
なのに
「なんでささらから何も連絡がないんだろう・・・・・・」
>>554 確かに、これだけ議論されてるということはみんな関心を
持っているってことだね。荒れるのも困るけど…
>私は私のSSにつけて頂いた感想は別にして大切に保存
この人には勝てないと思いましたorz ソコマデシテナイノデ…
送ったのが3日前。食べ物だし、一番速い航空便で14日に間に合うように送っても
らったのに。
もう14日なんてとっくに過ぎて、今はもう15日。昨日の夜なんて、いつささらか
らの電話があってもいいように徹夜までしたのに・・・・・・おかげで眠たい。
ま、まさか、ささらに食べてもらえなかったとか!? また前みたいに、人の手作り
の料理が食べられないで・・・・・・そんな。俺の作ったものだけは、食べてくれるよ
うになったと思っていたのに。冬にアメリカに行った時だって、あんなの喜んで俺の手
料理を食べてくれたのに。
やっぱり俺じゃ、ささらの彼氏に相応しくなかったんだろうか・・・・・・
そんな風に、俺が家のリビングで一人悩んだり苦しんだりしていたところ。
玄関からチャイムの音と、扉を叩く音が。
きっと、ささらからのエアメールに違いない。
いいかげん不安のスパイラルに襲われて、ささらのことしか考えられなくなっていた
俺の頭には、そのチャイムの音がまるで天の声に聞こえたくらいだ。
でも、慌てて開けた玄関の前に立っていたのは、郵便局の職員でも、運送業者の制服
を着た人でもなくて。
大いばりで立つ、自称永遠の14歳の先輩だった。
「オッスたかりゃん、元気しとったかね」
ささらがアメリカに行ってからあんまり顔を見せなくなったと思ったら。と言うか先
輩、いつまでその制服着てる気ですか。ぶっちゃけ恥ずかしくないですか?
「何を言う。せっかくこのあたしが、制服マニアのたかりゃんのためにも、恥をしのん
でこうやってサービスしてやってるのに。この恩知らず! プレイ料金よこせ!!」
はいはい。で、何の用ですか。
「うむ、それだがな。聞いたぞ聞いたぞー。たかりゃん、バレンタインに女の子にチョ
コばら撒いてたんだってな。さーりゃんがアメリカに行っていないことをいいことに、
こっちで新しく彼女作る気かこのプレイボーイ野郎め。さーりゃんにバラされたくなかっ
たら、あたしにもそのチョコをよこせ」
まさか、そのためだけにわざわざ来たんですか。
「うん。悪いか」
「悪くはないですけど、暇そうですね」
昨日、俺が他の女の子にチョコを配ったって言うのは本当だ。ささらに送るために試
作したチョコレートが大量にできたので、捨てるのもなんだし、俺が一人で食べられる
量にも限界があるし、いつもお世話になっている人たちに渡したってだけなんだけど。
だから正確には女の子だけにあげた訳じゃないし。せっかくだから雄二のやつにもやっ
たら、涙流して喜んでやがった。男からチョコもらって、何がそんなに嬉しかったのか
ね?
冷蔵庫の中に入れておいた、残りのチョコを持ってくる。
先輩はいつの間にかソファの上に座ってくつろいでいて、こちらもいつの間にか用意
されていたジュースを飲んでいた。
「どうぞ、たいした物じゃないですけど」
「わーい、ありがとーおにーちゃん。ほほぅ、なかなか可愛らしくて凝ったラッピング
ではないか」
わざわざこのために、駅前のカルチャーセンターまで行って習った成果だろう。せっ
かく中身を一生懸命つくるんだから、外側も凝ったものにしないと。そのほうがささら
も喜んでくれるだろうし。
「んぐんぐ、意外と、むしゃむしゃ、いけるな、もぐもぐ、このたかりゃんの愛情入り
チョコレート。ごちそーさん」
何かチョコレートじゃない、別のものを食べるみたいに豪快に租借して、やっぱりい
つの間にか手に持っていた湯飲みを一気にすする。
いや、もう、先輩がこういう人だって言うのはとっくに慣れたけど。
「うむ、美味かったぞ。二重丸をあげよう。これからも精進するよーに」
なんにせよ、俺の作ったもので喜んでくれたのは素直に嬉しい。
「しかしたかりゃん、チョコといいラッピングといい、将来いいお嫁さんになれるぞー。
このあたしが言うんだから間違いない。どうせまーりゃんにも送ったんだろ。それでな
にか? 『甘いチョコレートをありがとう貴明さん。そうだ、ホワイトデーのお返し、
貴明さんは何が欲しい?』『そうだな。チョコレートよりもずっと甘い、ささらのキス
が欲しい』とかなんとか、国際テレフォンセックスに励んだんだろコンチクショー。お
前らなんて全国のもてない君の呪いで・・・・・・って、あれ?」
思い出した。
まーりゃん先輩のせいで忘れてられたのに、そのことを思い出してしまった。
ささら・・・・・・もう俺のことなんて忘れちゃったのかなぁ・・・・・・
「あれ、もしかしてまださーりゃんから連絡なかったりしてる?」
うなずく俺。
状態はさっきへ逆戻りだ。他人から指摘された分、さっきよりもひどいかもしれない。
「やっぱりささら、俺のことなんてもう忘れちゃったんですかね。遠距離恋愛ですし、
アメリカには俺なんかよりもずっとかっこよくて頼りがいのある男もたくさんいるでしょ
うし・・・・・・」
多分そのときの俺は、もう心がくじける寸前だったんだと思う。
じゃなかったら、よりにもよってまーりゃん先輩に相談を持ちかけるなんて真似をす
るはずがない。
けれどこのときばかりは、正常な判断能力を失っていたことが逆に幸いしたようだっ
た。
「あのなたかりゃん。たかりゃんは馬鹿か、アホか、間抜けか、敗北主義者か、それか
らえーっと、とにかく! あの時、たかりゃんとさーりゃんが一緒に逃げたのは何のた
めだ! あの時の二人の絆ってのは、そんな海を挟んだくらいで壊れる物だったのか!
45光年離れててもつながってる奴らだっているんだぞ!!」
最後のがよくわからないけど、まーりゃん先輩が本気で怒ってることはわかった。
「でも、15日になっても何も連絡がないのは、やっぱり、送ったチョコ食べてくれて
ないんじゃないかって・・・・・・食べてくれないどころか、また前みたいに人の手料
理を食べられなくなっていたんだったら。ささら、俺の料理食べれるようになったのに、
また、その前の二人に戻っちゃうんじゃないかって」
そうなったら俺は、またささらと同じ関係を築くことができるだろうか。今度はあの
時と違って、そばに、ささらがいないのに。
「あのなたかりゃん。たかりゃんが周囲の女子高生や主婦の皆さんから『なんで男がこ
んなところにいるのかしら』なんて目で見られながら、ラッピングスクール通ったのは
何のためだ? たかりゃんがさーりゃんのことをちゃんと想っているからだろ。じゃな
かったら、レジのお姉さんに白い目で見られても、スーパー中のチョコ買い占めるよう
なことはしなかっただろ。違うか!?」
「なんでそんなことまで知ってるんですか!?」
「たかりゃんをストーキングしてたからー☆ そんなことよりも、たかりゃんのそのさー
りゃんへの気持ちが伝わらないなんてことがあるはずない。たかりゃん、もっと自信を
もたなきゃ」
そう、だろうか。俺のこの気持ち、本当にちゃんと、ささらにまで届いているんだろ
うか。
「あー、そだ。チョコくれたたかりゃんに、お礼に良いこと教えてやろう。時差、って
知ってるか?」
急いで階段を駆け上がり、自分の部屋に飛び込む。
地図、地図! いや、それよりもネットで調べた方が速──
『おーいたかりゃん、電話だぞー。ちなみにだなー、今の時間だと、さーりゃんのいる
ところ、だいたい学校終わった夕方くらいだー』
俺は慌てて、今来た階段を降りていく。
終
508で
アメリカにナマモノって送れるんだろうか? とか 時差計算おかしくね? とか
あんまり厳密に考える人は嫌われます。
夢を失くした子供は嫌われるんです。
あとどうせなら、15日のうちにアップできればよかったな、と。それが残念。
GJ!
まーりゃん先輩最高だ!
おつかれちゃん。
変なトリが湧いてるところに投下して、
スレを通常モードに戻してくれてマジアリガト!(´▽`)
まーりゃん先輩いいキャラだよなあ。動かしやすい。
>>564 GJです。
ここには21歳以上しかいn(ry
ま、普通にいるだろうけど。
>>564 お疲れ様&GJ!
途中でレスが割り込んでしまって申し訳ないorz
あの二人には、まーりゃん先輩はやっぱりなくてはならない
存在ですな。
>>564 素晴らしいです、GJ!
話のまとめ方といい、キャラの動かし方といい、文句の付け所がありません。
いいSSをありがとうございました!
>>564 GJです。
あいかわらずなまーりゃん先輩もよいですが、
ささらのことで一喜一憂する貴明が、微笑ましくて良かったです。
バレンタインのようなイベント物のSSは投稿があると、それだけで嬉しいですね。
昼休みの屋上で俺はぼけーっと空を眺めていた。
ゆっくりと東に流れていく雲以外、俺の視界に動くものはなかった。
「――な〜に寝てんのよ」
そんな言葉と共に視界をさえぎった人影。
このちょっと舌足らずな声は…郁乃か。
「よお…」
「だらしないわね。もうちょっとシャキッとしなさいよ」
「俺はいつもこんなだぞ」
「いいから起きる!」
一体何なんだ…俺、郁乃に何かしたっけ。
身に覚えがないが、仕方なく俺はのそのそと起き上がった。
「で、一体どうしたんだ?」
「別に何もない」
「…は?」
俺があからさまに呆れた声で聞き返すと、郁乃は指でおさげを
いじりながら小声で返す。
「暇だったから…何か話そうかなって」
「それだけのために起こしたのか?」
「…うん」
「そっと寝かせておこうとかいう気は?」
「なかった――ってことはないんだけど、何か喋りたかったのよ」
よくわからんが、とにかく何でもいいので俺と話がしたかったらしい。
目も覚めてしまったし、どうせ放課後。この後の用事は何もない。
「しょうがないな、付き合ってやるよ。で、何の話をするんだ?」
「…何の話がいい?」
「俺が考えるのか」
言いだしっぺの郁乃が話題を考えていないのでは始まらない。
話題といっても何を話したものやら…
「話題の一つや二つ、あらかじめ用意しておきなさいよ」
「無理やり起こしておいてそういうことを言うか」
ふに〜っとほっぺたを引っ張ってやる。
おお、柔らかい。
「ふぁひふんほよ〜(何すんのよ〜)」
「どこの言語だ?」
ふよんふよん。
「ふぁ〜ふぁ〜ふぇ〜!(は〜な〜せ〜!)」
「んー、聞こえんなあ」
ぐにっ!
「いでででで!」
「ふぁなふぇっへひっへふへひひょ〜!(離せって言ってるでしょ〜!)」
「いひゃひゃひゃ!いふぁいいふぁい!!(いたたた!痛い痛い!!)」
お互いに相手のほっぺたを引っ張りながら謎の言語で話す。
ひとしきり引っ張り合った後、ほぼ同時に相手の頬から手を離した。
「いてて…お前、本気で引っ張ったろ」
「そっちがさっさと離せばよかったのよ」
まだ引っ張られていたところがジンジンする。
ふと見ると、郁乃も少し赤くなった頬をさすっていた。そんなに力は
入れていなかったと思うが、途中から加減できてなかったかも知れない。
「あ〜…その、悪かった」
「何を今更」
「いやほんとに悪かったって。つい出来心で」
「………」
ぐに〜っ。
まだ痛みの引いていない頬を再び両側に引っ張られる。
「いでででで!」
「反省してる?」
こくこく。
「もうこんなことしないって誓える?」
こくり。
「…まあ、信用しとくわ」
そう言うとようやく引っ張られた頬を解放してくれた。
やれやれ…こりゃ当分腫れは引きそうにない。それよりも郁乃の方は
もう痛みは引いただろうか。
「お前、もう痛くないのか?」
「え?」
まだちょっとだけ赤みの残った郁乃の頬に触れる。
「――っ!」
指先が触れたその瞬間、郁乃はびくっと肩を震わせた。
…や、やっぱり痛いのか?と思ったが。
「あ…」
「ど、どうした?やっぱ痛かったか?」
「え?あ…ち、違うわよっ」
郁乃の頬はなぜかさっきよりも赤くなっていた。
というかお前は何を焦ってるんだ?
「な、なんでこれくらいのことで…」
「?」
「うああ〜、な、何でもないからっ!」
なぜかパニック状態の郁乃にぽかぽかと頭を叩かれる。
でも力が全然入っていないので痛みはなかった。
「いや、何でもないならいいけど…」
「そ、そう。何でもないのよ」
今日の郁乃はよくわからない。
俺はその反応に首をかしげるばかりだった。
「…自覚がないって一番タチが悪いわね」
「なんだそりゃ」
「ああもう、何でもない。だから…」
そう言うと郁乃は俺の唇に人差し指を押し当てた。
「――今のは全部忘れて」
なかったことにしようってことか。
俺にはさっぱりだが、郁乃にとって今のことはどうやら重大だったらしい。
「了解」
「よろしい」
すっと立ち上がると、郁乃はすたすたと校舎に続くドアに歩いていく。
そのドアの前まで来た時、郁乃はこちらを振り返った。
「…鈍感」
頬を赤らめたままで何かを呟いたが、それが俺の耳に届くことはなかった。
最後に「じゃあね」と手をひらひらさせて郁乃は校舎の中に消えていった。
「――何だったんだろうな」
唇に未だ残っている、郁乃の指の感触。
そして手には頬に触れた時の郁乃の肌の感触が確かに残っていた。
「あれ、俺…」
触れた、郁乃の頬に。女の子の肌に。
この指先で…確かに。
(う、うわっ…そうか、相手が郁乃だからって意識してなかったけど――)
今更に自分のやったことの重大さを認識する。
無意識とはいえ、自分の方から郁乃の頬に触れたのだ。
「だ、だから郁乃はあんな反応を…?」
――でも、思う。
俺が触れた時に驚いてはいたが…拒絶、ではなかった気がする。
振り払われたりもしなかった。ただ、真っ赤になって。
「えーと、あれ?それってどういうことだっけ…?」
頬にそっと触れる。
少しだけ触れた貴明の指先の感触が、今もそこにある気がして。
「なんであのくらいで…動揺なんか…」
ポツリと呟く。
その答えはすでに自分の中にあった。
「――あたしも恋する乙女の仲間入り、か」
そう呟いた時、なぜか自然と笑みがもれていた。
577 :
569:2006/02/16(木) 02:34:55 ID:U0ud5+jD0
郁乃SSです。
即興で書いたので出来がよろしくないと思いますが
流し読みしてやってください。
リアルタイムキタコレ。お疲れ様です!郁乃んはやっぱ(・∀・)イイ!
でも………どっかで似たようなのを見たことがある気がする………。
>>578 マジすか…ちょっとSSリンクあたりで確認してきます。
何か既存のSSと被ったか?
冒頭部分と舞台設定がどこかで見たことがある気がするんだ。
ネタ的にはありがちなシチュだし少々被ってる可能性はあるんじゃないかな。
気にするほどじゃないと思うよ。いい感じの話だし。
郁乃ん喜多ーー!!
ありそうな設定なので、かぶっても不思議はないと思いますが
かぶるとしたら、由真あたりでしょうか?
まあ、由真のSSは少ないので、他キャラかもしれませんが^^;
>>580 あ〜…由真シナリオかな。屋上のイベント。
読み返したら思い出したorz
584 :
582:2006/02/16(木) 02:57:53 ID:zy/M9PEa0
と、書いてる間に、レス自体がかぶってるしw
>>583 一応、本家の由真シナリオでは、由真は貴明を起こそうとはしてないので
かぶってるとはいえないと思いますよ。
うん、確認したらUMASSだった。
でも内容自体が被ってるわけではないから気にしないで下さい。
お疲れ様でした。
>>577 GJなんだけど、キャラが郁乃ではないなw なんか由真っぽい。
ツンデレ(?)系って事で似てるけど郁乃はもっとトゲトゲor毒吐いてると思う。
いやまぁ良く考えれば郁乃あるける様になってるっぽいから
ある程度親しくなってる状態って考えるべきか。
>>577 (*´Д`)=3ハァ 漏れはもうすっかり郁乃ん萌えになりますた。
漏れ的にのほほんとして見れるSSでした、GJです!!
最近は郁乃んSSが連発しててかなり良い感じですね。
590 :
壊れた関係1:2006/02/16(木) 10:13:16 ID:xaC6Xrgs0
ウィッグを被り、服を着替えて鏡の前に立つ。
鏡の中に居るのは一人の少女『るーこ・きれいなそら』だ。
玄関から物音がする。彼が帰ってきたのだろう。
「ただいま、るーこ」
「おかえりだぞ、うー。帰宅したら早く手を洗え、うーは軟弱だ。死ぬぞ」
「軟弱ってなぁ……。まぁいいや、手洗ってくるよ。そしたらお茶にしよう」
そういって笑う彼。今まで私に見せていたのとは少しだけ違う笑み。
その笑みが少し嬉しくて、――憎い。
「? どうかしたか? るーこ」
「――なんでもないぞ。茶が冷める、早く手を洗え」
今の私は『るーこ・きれいなそら』。……『――――』じゃない。
591 :
壊れた関係2:2006/02/16(木) 10:13:46 ID:xaC6Xrgs0
最初はほんの悪戯なようなものだった。
壊れたようにして居なくなってしまった彼女の名を繰り返し呼び、
私を見ようともしない彼に苛立ちを覚え、そんな彼に復讐したくて彼女が残していった服を身に纏った。
彼女は小柄なほうで、背格好が私に似ていたことが幸いしたのだろう。
彼女の服を身につけ、ウィッグをつけてみればパっと見には見分けがつかなかった。
もちろんそんなものはただの変装、よく見てみれば私だとわかる。
騙すのは一瞬でいい、私がどんな思いでいたのかを思い知らせてやれればそれでよかったのだ。
だけど……
『るーこ! 帰ってきたのか! よかった……、急にいなくなって、すごく心配したんだぞ!』
彼は私が思っていたよりもずっと壊れてしまっていたのだ。もう私の顔なんてわからないほどに。
驚きのあまり何も言えないでいる私に向かって彼は語りかける。
『るーこ? どうしたんだ……具合でも悪いのか?』
『た……』
『?』
言葉が出ない。言ってはダメだ…。それを言ってしまえば私は彼の前に居られなくなる。
だけどもし言ってしまえば彼女の代わりに私が――!
『ただいま……』
声を絞り出したその瞬間、彼の中から――――という存在は消え去ってしまった。
592 :
壊れた関係3:2006/02/16(木) 10:14:17 ID:xaC6Xrgs0
「それでさ、るーこ。雄二のやつがそんなこと言って俺のこと馬鹿にするんだよ。まいっちゃうよ」
私の作った食事を食べながら、私じゃない人に向かって今日一日あったことを楽しそうに話す彼。
苛々する。彼は私のことになど眼中にないのだ。
そこにいる彼女しか眼に映っていない。それがたまらなく悔しい。
だけどそんな私の苛立ちは『るーこ・きれいなそら』にとっては何の関係もない。
今の私は私じゃない、るーこなのだ。そんな感情は、表に出してはいけない。
「うーじ達も相変わらずだな」
「みんな元気だよ。そうだ、るーこも前みたいに学園に来てみないか?」
……それは困る。私が彼女でいられるのは他の何処でもない、彼の家の中だけなのだ。
他の場所では『るーこ・きれいなそら』で居られる自信はない。
「……るーはうーと一緒にいられればそれでいい」
「るーこ……」
「安心しろ。るーは今十分幸せだ」
それは私も彼女も同じ意見だ。たとえ紛い物であっても、
彼と一緒に居られるというこの幸せだけはちゃんと存在している。
その事実さえあれば、私はそれでやっていける。
そうすれば何も恐れなくていい……。大丈夫……。大丈夫……。
593 :
壊れた関係4:2006/02/16(木) 10:15:27 ID:xaC6Xrgs0
そんな日々が幾日か繰り返されたある日の夜。ベッドの中で、彼に抱かれながら私は考える。
最近自分が何者かわからなくなってきている。
幼い頃の記憶が思い出せない、学園にいるときのことが思い出せない、
家族のことが思い出せない、友人のことが思い出せない。
そして自分の名前が思い出せない。
彼の手が、舌が、『るーこ・きれいなそら』に触れるたびに、私の記憶は塗りつぶされていく。
そこに恐怖が無いといえば嘘になる。今まで自分が生きた証、そしてそれを持つ自分自身が消えていくのはとても怖い。
だがそれ以上に自分は今幸せなのだ。彼とともに居られて幸せなのだ。
その狂おしいまでの幸福は私の恐怖なんてあっという間に飲み込んでいく。
私は誰だろう……。『――――』なの? それとも『るーこ・きれいなそら』?
もうどうでもいい。記憶なんて邪魔なだけだ。
完全に失くしてしまえばもっともっと彼を感じられるようになる。
そうして私の意識は溶けていく。
「私、幸せだよ」
(了)
594 :
388:2006/02/16(木) 10:16:21 ID:xaC6Xrgs0
郁乃んでマッタリしてる流れぶった切って、るーこBAD後短めに書いてみたので投下してみる。
『――――』は特に設定してない。とかってのはダメだろうか?
立ち直れるルートも考えているので、もし許されるならいつか投下してみたいなぁ。
スレ汚しだったらすまん。
>>594(=388)
乙。 スレ汚しどころか、漏れは楽しめました。
るーこBADということは、いつのまにか、るーこがいなくなって…
というやつでしたっけ?
漏れの読解力では、どちらかというと、るーこHAPPY後で
るーこの記憶を持たない(or 転生した)ルーシーが
自分の名でない「るーこ」の名前で呼ばれ続けて、「るーこ」を演じる、
みたいな解釈をしてしまいました。
るーこ本人ならともかく、人間に転生した場合などでは、るーこほど
達観してないだろうから、自分以外の女の名で呼ばれるのは
耐えられないだろうし。
まあ、その場合、ウィッグとかで変装する必要はないわけですがw
続きも楽しみにしてますので、またいつかお願いします。
というか、ここから立ち直れるんですか?w
>>594(=388)
ついでに、不真面目な感想w
「るーこ」を演じられるキャラで、見かけが似ていると言えば
同じカワタキャラの花梨かささらんでしょうか?w
小柄という点はともかく、るーこのことをある程度知ってるキャラは
結構限られるので、実は花梨の変装!?w
ミステリなんよ、たかちゃん。
でも、抱いたら、胸の大きさでバレるなw
これこそ、本当にスレ汚しの感想でした。 ごめんなさい^^;
>>586 実は自分もなんか由真っぽいよなあと思ってますたw
最近由真SSばっかり書いてたせいか…(´Д`;
>>594 乙です。前半の時点で
>>595と同じ解釈してた。
しかしヒロインの方もここまで壊れてきてるのに
立ち直りとか可能なんだろうかw
るーこを演じられそうなのはやっぱり花梨あたりだけど…
体型で考えると…ちゃる?w
ちゃるとよっちはAAが好き。
特に好きなのは流石兄弟。妹者を知ったらそれも好きになった。
けれど母者や父者は好きじゃないんだ。
な〜んでか♪ な〜んでか♪
それはね
二人はこのみが大好きだからさ。
双子の姉妹は見た目そっくり。けれど胸は妹の方がちょっと大きい。
それでも一時だけは姉のほうが巨乳だったんだ。
な〜んでか♪ な〜んでか♪
それはね
彼女がさんごだったからさ。
以上、堺すすむネタでした。
…解る人何人居るんだろう?
>>600 > …解る人何人居るんだろう?
こういう発言はあんまり気分良くないのでやめようや。
>>601 え?なんで?
気分は特に害してはいないが
同感
面白くはないがw
__
>>603 ヽ┃・∀・┃ノ呼んだ?
┃ ┃
ノ ̄ ̄く
俺は気分は害さないが呆れはしたかな・・・
そろそろSSスレだってのに痛いポエムとか投下しちゃう空気読めない子とか現れそう
606 :
388:2006/02/16(木) 18:35:19 ID:xaC6Xrgs0
>>595 立ち直りってのは単純にるーこBAD後からの立ち直りってことなんだ。
さすがにここから復活はキビシイw
誤解したならスマン。
あと偽るーこの中の人に関しては、
ある程度体型等が違ってても半壊貴明にはわからないってことにしてた。
その辺も説明不足だった。反省。
>>602 「わかんねーと思うなら載せるなよ」
ってことになるからじゃないか?
堺すすむとかいう奴のファンに失礼って意味じゃないの?
こんなとこに堺すすむファンなんて居るのか?
るーこBAD後からの立ち直りSSって、投下されたことなかったっけ?
ああ日本の社長?
オリキャラ荒しとか変なのが絶えないな、ここ最近。
宮尾と間違えてる人がいるな。
っつーか、ウクレレ漫談なんて誰でも知ってると思ったが。
俺がオサーンなのか。
まあ、あんま面白くなかったという点は禿同
一応、オチがわかんなかった人はメ(ry
どのSS界でも凋落の第一歩目がオリ物、クロスオーバー物、世界観改変物の氾濫だと歴史が証明してます。
>>613 SSの黎明期も、なんかそんなのが多かったような気がするが、
やっぱり、「すぐ思いついて、やってみたくなっちゃう」のかな、そういうの。
Fateのオリキャラの偉い人(オリキャラはあくまで脇役だけど)がずいぶん長く更新停止で寂しいです
板違いだねスマソ
笛もピンからキリまでって感じだからね
ほんと書き手の技量が違うだけでこんなに出来上がるものが違うのか!って感じ
結局の所書き手の文才
だな。
面白ければなんでもあり。
下手なら大人しく普通の書いてりゃいい。
寒い上にSSですらない
>>598とかはシネ
名指しはやめなさい。せっかく良いこと言ってんのに・・・
連載予告!!
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SSってのは萌える話を書いてナンボだろう
ヘタクソが粋がって作家先生ぶるとロクなことがない
>>620 だな、このスレには短編で萌える作品が足りない。
>>621 足りないのは作品じゃなくて作家だろうな
ここから追い出された連中程度の代わりならいくらでもいる
>>620ー621
だからさあ、そういう言い方するのやめようぜ?
へたくそなのに作家先生ぶって粋がってる人なんていないじゃん。そんなやついたか?
ちとSS書きを悪意を持って捉えすぎだぞ。そんなに作家連中を追い出したいのか、お前。
率直な感想が貰えるのが2chつーか匿名掲示板の利点だと思ってたんだがどうやら違うみたいだな。
ここは建設的な意見は皆無なのに、厳しい意見ばかりが先行しすぎてる。
かと思うと河野家マンセーのレスが並ぶあたりがわけ分からんよ。
もしかしてあんたらSS談義してた方が楽しいのか?
書いたものを不特定多数の人に読んでもらえて、コメントまでもらえる
こんなにいい場所はないだろ
叩かれて逃げ出すような不甲斐ない書き手はいらない
どんな評価であっても「読んでくれてありがとう」「叩いてくれてありがとう」と感謝すべきだ
>>623 代わりが居るなら何故投下がほとんど無いんだろうか……
>>625 お前もっと人の文章読めよ。SSも流し読みしかしてねえんだろ?
作家ぶってるとかテメエの脳内妄想で作家を叩いておいて、叩かれて逃げ出すような不甲斐ない書き手はいらない?
バカじゃねーの。お前みたいな読者こそいらねえって作家連中に切り捨てられろ、クズ。
つか、ここが敷居が高そうなSSを求めてそうで出し辛いんだろ
それに今は雰囲気が悪そうだし
だから議論も感想もいらないと何度言えば
>>627 気概のある書き手だけ残れって言ってんだよ
>お前みたいな読者こそいらねえって作家連中に切り捨てられろ、クズ。
おもしれえ、やってみろよヘボ作家
ちゃんとSS書いてる以上、下手だからって出て行けとかいう奴は最悪だな。
そっちこそ出てけ。
悪いとこ指摘されて逆切れしてる奴とか、マンセーしろって言ってる奴なんて別にいねえじゃん。
単に叩くんじゃなくどこどこが悪いとか、感想を述べるようにすればいいし、
できるだけ、いいところも見つけて誉めたりGJしてあげるべき。
そのうち、誰でもある程度は上達していくだろう。
そうすりゃ、良質SSが投下されるようになってみんな嬉しいだろ。
俺は例え拙いSSでも読みたいから、もっと新規参入して欲しい。
ただ、オリキャラは力量が足りないならやめておいた方がいいし、
SSかどうか怪しいやつは神レベルでもない限りやめとけってこった。
>>631 気概ある作家でもあなたみたいな人がいると思うと不愉快になると思う。
そもそも、なんで読者様様みたいな考え方ができるのか不思議。
書き手側も別に自分たちを読み手より上に置いていることはないと思うけど
だからって下に置いているってこともないだろう。
ここでは読むほうと書くほうが持ちつ持たれつの関係なんじゃないの?
読んでくれてありがとう、書いてくれてありがとう
ただそれだけのことじゃないかと思う
>>631 気概のある書き手? ここで叩かれつつも残るのが気概のある書き手なのか?
バカ言ってんじゃねえよ。
作品の批判だけなら構わんよ。だけどな、テメエみたいに作家自身の批判を始める奴がいるから
作家がいなくなるんだろうが。
それを自覚しろっつってるんだよ。いい加減に理解しろ。
どうも流れが悪いね…
せっかく数名が投下してくれたのに逆戻りしてる。
一服して落ち着いて!
つ旦
感想もらえるだけありがたいと思えといってる連中も、もっと書き手を尊重すべきだといってる連中もどっちも等しくウザイ。
ここは議論の場じゃない。そういう議論こそがSS投下を遠ざけてるっていまだに分からないのか?
そういうことは自分の胸のうちにしまって、自分が少しはまともな人間だと思い込みたいなら自分と反対の意見はおとなしくスルーしろ。
もしくはもっと言い方を考えて発言しろ。事を荒立ててどうするんだよ。
極端すぎるんだよ、何事も。お前等の中には作者マンセーか読者マンセーのどちらかしかねーのかよ。
ここは21歳以上の、さらに言えば精神的にも成人してるのが望ましい、なおかつ良識をもった大人が見る板にあるスレです。
小学生とか中学生とか、いわゆる自己中心的な餓鬼の話し合いじゃねーんだから少しは考えて発言しろよ。
クズだとかヘボだとか、餓鬼の口げんかはここじゃなくてほかでやってくれ。
ま、どうせ議論してるのは、議論している自分に浸って周りが見えないやつだし、いくら言っても無駄かもね。
普通に21歳未満はいると思うよ。
作家さんですらそうだったことがあったはず(過去形)
>>637 オマエモナー
>>635とか
>>636とかも意味ないこと書いてスレ消費するくらいならSS投下しようぜ。
さて、俺もこんなこと言ってしまった手前、SS書くわ。
荒れるだろうから投下はID変わってからにするけど。
>>639 もう昨日投下した。
しかしさすがにここ見るのが辛くなってきた…
匿名掲示板だし、いろんな人がいることは当然だと思いながら投稿して
ますけどね。
と言うか、昨日みたいに荒れてるところに投下するのも、人がいることわ
かりますしむしろラッキーくらいのつもりでいると、あんまり気にならない
ですかね。
投稿して一番気になるのは、何か言われることよりも、何も言われないこ
とや、そもそも読んでくれた人がいるかどうかも判らないことですから。
叩かれるってことは、少なくともその人は読んでいるわけですし。
何言ってもSS書けばOKってのも違う気がするが書かないよかマシか…
ホントに読むだけの読者って俺の他にどれだけいるのかなあ。
なんか、ここまでの流れを見てるとほとんどの人が作者さんみたいなんだけど・・・
作者さん同士が議論したり、作者さんが作者さんを叩いてたりするの・・・?
またこの流れかー。
SS書いて投下してスレを元に戻すから、
何かリクエストしてくれたまへ。
>>645 ささらEND後まーちゃん先輩が貴明を寝取って刃物上等の修羅場シーンキボン
おっとまーちゃんじゃなくてまーりゃん先輩
>>645 由真の萌えSSが読みたいです。
出来ればエロ(ry
ネタが思いつかない…
>>645 >>648と被るけど、由真で一本書けます?
エロじゃなくていいです。
漏れも読み手だな。
たまに作者さんにレスはするけど、それ意外はしない。
漏れは投下されたSSはほとんど全部読むけど、別に不快に思うような事はなかった。
だから、何でこんなに色々と議論して言い争ってるか分からない。
そろは漏れがただバカだからだろうけど、そんなに言い争うのは止めてくれ。
ここの作者は素人なんだ、作者なりに考えて書いてんだ、みんなは無償で読めるんだ、それで良いじゃないか。
あとは個人で読みたいのは読めば良い、ちょっと読んで自分がつまんないと思ったらスルーすれば良い。
誰が言ってたけど、ここは大人が居る場所なんだ。もっとそれに伴った発言をしようよ。
……偉そうな事をたくさん言ったかもしれないけど、平和になって欲しいから書きました。長文失礼。
流れを完全無視して一発ネタを投下。
「ねぇねぇ、タカくん!」
「うん?」
「お母さんが言ってたんだけどね? タカくん家、お手伝いさん雇
ったって本当?」
「お手伝いって……ホームヘルパーさんって意味? 初耳ね?」
「うんうん。なんでも、このみ達が学校行ってる時間に洗濯物干し
たりお掃除してる人がいるみたいなんだって、それも毎日。」
「ってこたぁ、住み込みか?」
「なによそれ? そんなことしたら貴明に怠け癖が付いちゃうだけ
でしょうに。何考えてるのかしら、おばさま達?」
「………いや、実は親父達にはまだ言ってなくて……」
「じゃあ何か? お前、おじさん達に黙って若くて可愛いメイドさ
んを雇って同棲してるって事か!?」
「………メイドさんて、やっぱり若くて可愛い人だけなの? タ
マお姉ちゃん?」
「そんなの雄二の勝手な……じゃなくて、タカ坊ぉ……!!」
「ち、違う違う! 俺が勝手にお手伝いさんを雇った訳じゃないん
だよ。第一、そんなお金もないだろ?」
「それは、まぁ……確かにそうね。」
「じゃあ珊瑚ちゃんか瑠璃ちゃん…………もないか。一緒に学校行
ってるし、イルファさんにしても毎日は無理だよなぁ。」
「タカくんタカくん、いったい誰なの?」
「じ、実は………………」
ぐはっ、書いてる間に話が落ち着いてる(*´Д`)
蒸し返すような発言申し訳ない……。
>>645 えっと、漏れもまーりゃん先輩とタカ棒の絡みが見たいですかね。
「来栖川のメイドロボだぁ! お前にはイルファさんつー最近型が
いるだろうが、このメイドロボブルジョワめ! その上自分専用の
を囲うなんて十年は早ぇ、代わりに俺が使うから寄越せ! という
か貸してください譲って下さいお願いしま………あだだだだっ、割
れる割れる割れるぅぅぅぅ!」
「………要するに、押しかけてきたっていうこと?」
「まぁ、書類上は珊瑚ちゃんの管理下での試験運用って事になって
るらしいんだけど、本人の強い要望で仕方なく。」
「じゃあ、タカくん家のも新型なんだ? イルファさんとそっく
りなの?」
「ま、まぁ……そんな感じかな……」
「………………ふむ。一度、会ってみたいわね? 良いでしょ?」
「も、もしかして、今日?」
「そうね。善は急げ、とも言うし。それとも……」じろ!「……何
か不都合でもあるのかしら、タカ坊?」
「ど、どうぞ………」
「わーっ、良いなぁ! ねぇ、このみも良いでしょう?」
「………まぁお隣さんだし、この際だから良いか。」
「やったぁー! ありがとうタカくん!」
「そう言えば雄二は? 雄二ももちろん………ってタマ姉! 雄二
が白目向いてるぞ!?」
「ああ、いつもの事だから心配ないわよ。でも置いていくのは可哀
想だし、タカ坊が運んであげなさい。」
「………………………………………………………」
「えっと………先に断っておくけど、イルファさんとは性格のプロ
グラミングが少し違うみたいだから……」
「良いからさっさと開けなさい!」
「どきどき、わくわく♪」
「ちくしょー、ちくしょー!」
「りょ、了解。では……」かちゃ「……た、ただい……」
「や〜ん! お帰りなさいっ、たかあ……」
「げげっ!」
(ばたん)(どすっ!)(ずるする、どてっ)
『ちょ、ちょっとぉ! いきなり閉めるなんて酷いよ貴明、開けて
よ開けてよぉ〜!!』
(どんどん! どんどんどん!)
「………い、いまの人がタカくん家のメイドロボさん………なんだ
よね? でもでも、このみにはイルファさんみたいなメイド服着て
なかったみたいに見えたけど……」
「というか、ありゃ明らかに裸エプ………あだだだだだだっ!」
「貴明ぃ? これは一体どういう事なのかしらぁ!?」
「……………それは俺の方が聞きたいっす…………」
655 :
645:2006/02/17(金) 01:00:43 ID:ej/yWIYe0
あい分かった。
ささらEND後にまーりゃんが由真と刃物で萌えなSSがお望みなのね!
気長に待ってておくれやす。
・・・ちゃんとしたやつマジメに書くから心配しないでw
以上っす。
慌てて書いたネタなので、某メイドロボの性格が若干破綻気味にも見えますが……(汗
あと現状でネタがあるとしたら少し過激なエチ系かな………
>>388 こういうのもアリだよなぁ……と勉強させて頂きました。
乙です。
>>577 もしかして、続きとかあります……?
ちょっと期待風味ですw
>>564 やっぱ、まーりゃん先輩は書いてて楽しいですからね。
いろんな意味で……w
怠け癖うんぬん言ってる台詞での貴明ってのは、タマ姉の台詞間違い?
それともさりげなく会話に入ってる由真?
あ、雄二か。ごめん。
愛佳が風邪を引いてドタキャンになったデート。
その結果、郁乃を連れてってやることになってしまった。
・・・本当はこんなのと行きたく無いけど、愛佳の頼みなら仕方が無い。
上映が終った。
外に出ると、郁乃は潤んだ目をしながらツンっと顔をそむける。
事故の後遺症で一週間しか記憶が持たなくなった妻と、その夫の物語。
将来を嘱望されていた判事だった夫は、妻のために職を捨てた。
そして、いつも妻の傍にいるために地元に戻って小さな古本屋をはじめる。
何度も何度も、出会いからやりなおして愛が芽生え始めたらまた一からやり直し。
夫の能力を惜しむ声も強かった。
「奥さんは気の毒だったが、あなたの能力は世の中に必要だ。せめて法律家として復帰したらどうか。弁護士なら時間だってそれなりに取れるだろう」
そういわれても夫は首を横にふる。
「私は、こういうやり方もあると思うんだ」
という謎のコメントとともに。
その意味は、次第に明らかになっていく。
古本屋がある街では、夫婦は誰もが知っている有名カップルになっていた。
中年なのにいつも付き合い始めたばかりの恋人のように手をつないで楽しそうに町を歩く夫婦。店内に入るといい年した夫婦がいちゃついて店番をしている古本屋。恥ずかしげもなく公園のベンチで一つのアイスを舐めあいながら幸せそうにしている中年カップル。
初めは同情的な視線や、侮蔑的な視線が向けられていたが、妻も夫も、変わることなく、週末には消えてしまう愛を繰り返し繰り返し紡ぎつづけた。
夫婦の存在は、触れ合った街の人々に優しさや愛をもたらし続け、心を温かいものに変えていく。
・・・そして、そんな2人が街に奇跡を起こす。
いつしか、その街では犯罪も、争い事も、どんどん減って、ついには1件の犯罪も、1件の訴訟事も起らなくなった。
その街は世界一、幸せな街となったのだ。
「うん。クサイけど明るい雰囲気でいい映画だったな」
「――ふん。 安っぽいわね。あんな話で感動ちゃって。
あんなほったらかしの古本屋、ホントにあったら万引きし放題ですぐ倒産よ。
だいたい、何なのよあの夫婦。 新興宗教?
これで最後に奥さん死んでたりなんかしたらあんたもう大泣きね」
郁乃さん、予想通りの反応ありがとう。
予想より酷いけど。
だいたい、郁乃だって目潤ませて真剣に見入ってたくせに。
・・・ていうか、最後に人が死ねば泣くって思ってる奴は反省しろ!
郁乃はそんなことをいいつつ、コソコソと鼻を掻くフリをして溢れた涙を拭おうとしている。
もういい加減、ぐしょぐしょだな。
使い古しであることを確認しつつも、俺は自分のハンカチを差し出す。
郁乃は俺の行動に目を見開き、やがて怒りながらハンカチを払いのける。
「いやがらせ?」
「映画で泣いたことくらい、どうってことないぞ」
「泣いてない!」
あせあせと郁乃は顔を下に向ける。
「――でもまだちゃんといってなかったわね。
ありがとう」
「なんだ? ハンカチの礼なら気にしなくていいぞ」
>>655 >ささらEND後にまーりゃんが由真と刃物で萌えなSS
ちょw
まあそれはさておきお待ちしております。
>>656 乙です&裸エプロンキタコレ!
もしかしていつもこんな出迎え方されてるのか?w
>>577 単発のつもりで書いたので続きは考えてなかったりします。
申し訳ない…ひらめけばあるいは。
「――違うわよ。姉とあんたがいままでいろいろしてくれたことよ」
「あんたと姉のおかげであたしはそれなりに楽しくやれてるわ。
それは、感謝してる。
・・・この記憶は・・・・・・事故にあったりしても一生忘れたりしない」
最後のほうは殆ど聞こえなかった。
「なんだって?」
「なんでもない。 礼を言っただけよ。
ほら、車椅子押して。 ここ出入り口の側だからいつまでもいたら迷惑」
「お前、自分で動けるじゃん」
「いいから、押して。
車いすの人に冷たくするとなんかの法律で罰せられるわよ」
・・・それは非常に恐ろしい社会だ。
でもまあ、代理と行った割にはそれなりに楽しいデートだったな。
>>658 指摘乙!
「タカ坊」が正しいですね。
さんくすです♪
>>657 ありがとうございますぅ!
665 :
名無しさんだよもん:2006/02/17(金) 01:11:58 ID:qDVMuq5X0
>>659 乙です。
てか割り込んでしまってるし…ホントゴメンナサイorz
>>659 GJ!郁乃んキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
でもそろそろ郁乃が彼女verのSSが読みたい。
ついでに
>>654でも同様のミス発見!
吊ってきます………・
>>663 マターリと暖かいお話ですね。
乙です。
>>662 まぁ、一発物ということで・・・w
>>659 乙です。
これでしばらくはここも平和になるよね?
ぐだぐだ議論後にこれだけ投稿が続くぐらい
このスレには自浄能力があるんだな
普段もこれくr(ry
思ったんだけどさ、
>>646みたいにシチュエーションやネタを読み手が提供していけばいいと思うんだけど。
で、書き手が気に入ったシチュやネタを拾ってSSを書くと
喜多ーーー!!!と叫ぶしか能のない、ただの一読者です。
>>656 突発屋さん
イルファさんの全身チョコレート・コーティングの次は、裸エプロンですか!?w
もうここまで来たら、シルファもなんかやっちゃってください^^;
PCの前でズボンを脱いで、もとい、ワクワクテカテカしながら待ってますw
>>659 GJです!
どちらかと言うと、郁乃んよりもこの映画の方が気になるんですがw
元ネタはあるんですか?^^;
673 :
名無しさんだよもん:2006/02/17(金) 04:05:03 ID:/XW3PqYg0
>>671 それもいいけど、それが当たり前の雰囲気になると書き手が書きたいものを
投下しにくくなる恐れもあるから、微妙なとこだろう。
もし要望するなら、少なくともリクした人は希望のが投下されたらそのSSが
不満な出来でも批評なり(悪いところを指摘するのはもちろん構わない)感謝なり
罵倒やスルー以外のアクションを取るべきだろうね。
でも、一番いいのは自分でそのシチュのSS書くことじゃないかな。
どんなに下手に感じたとしても投稿されれば俺はもの凄く嬉しいし、一生懸命読みたい。
最低限、GJは言うつもりだしできるだけ感想も書こうと思う。
ミスってageてしまった。
ゴメンナサイ
>>675 なんか元ネタみたような気がするんだけど
似たようなものは出てきてもドンピシャがみつかんねぇ
「ふああ…」
読んでいた本を閉じ、口に手を当ててあくびをする少女。
余程眠いのか、目はとろーんと垂れ下がっている。いや、それは
元からだったか。
「何か言った?」
「いや、何も」
ある晴れた土曜日の放課後。
授業は午前中で終わり。しかし家に帰っても特にやることはないし、
かといって出かけるところも思いつかず、俺達はこうして書庫で
のんべんだらりと読書にふけっていたわけだ。
「こんなところでだらだらと読書なんて不健康だと思わない?」
「思う」
「若者らしくないわよね」
「そうだな」
本棚から引っ張り出してきた小説を読みながら生返事を返す。
すると突如左の頬がぎゅーっと引っ張られた。
「あだだだ!」
「人の話はちゃんと聞きなさいよ」
「聞いてるって」
「話をする時は相手の目を見て、って習わなかったの?」
そういえば習ったような習わなかったような。
読みかけのページに栞を挟むと、俺は隣の少女――郁乃の方を向いた。
「…で、つまり暇だからどこかに行きたいわけだな」
「そういうことよ」
それじゃどこに行く?…とさっきも同じことを話し合ったような気がするが
結局は二人とも思いつかず、またソファーに座って読書となったのだ。
「それでどこに行くのか決めたのか?」
「まだだからあんたに聞いてるんじゃない」
「だから、俺はお前が行きたい所でいいって言ったじゃないか」
「そういうのが困るのよっ」
郁乃だけじゃなくて俺も楽しくないと困るらしい。
まあ俺のことまで考えてくれるっていうのはありがたいのだが…
「ぶっちゃけていい?」
「いいけど、ろくでもないこと言ったらスネを蹴るわよ」
よりによってスネですか。
そこに受けるダメージは涙が出そうになるほど。弁慶の泣き所とは
よく言ったものだ。
「俺としては、今日はこのままお前とまったりしてたいんだが」
「………」
びしっ。
頭にチョップをくらった。でも力は込めていなかったようであまり痛くない。
「予告と違う部位に攻撃するな」
「あんたがくだらないこと言うからよ」
「そんなにくだらなかったかな」
「うん」
すっぱりと即答されたが俺はめげない。
「いいか?つまり、お前と一緒に過ごせるなら俺は場所なんてどこでも
いいってことなんだよ」
「……」
ずんっ。
「ぐふおっ!み、みぞおち…」
今度はさすがに効いた。こ、呼吸が…
「…なにバカなこと言ってんのよ」
赤くなった顔を背けながら郁乃はそんなことを呟く。
――照れ隠しにしては今の一発はキツイんだが。
「まあ、あんたがどうしてもっていうならここでこのまま夕方まで
過ごしてあげてもいいけど」
「そうか、それは助かる」
「はあ…こんな天気のいい日に書庫に引きこもる男なんてもてないわよ」
それはまあ、こんな晴天の日に出かけない方がどうかしているのかも
知れないが。
「別にもてなくてもいい」
「へえ?」
「もう…お前がいるしな」
そう言ってやると、郁乃は俺の肩に頭をぽすっと乗せて
「――ま、それもそうね」
とちょっと嬉しそうに呟いた。
「眠い…」
窓からは暖かい光が入り込んできて、郁乃を眠りの世界に誘う。
昼寝をするにはこの書庫は絶好の環境だった。
「そのまま寝ていいぞ」
「肩、重くない?」
「重いわけないだろ」
俺が答えると、郁乃は身体ごと俺の方に寄りかかってきた。
「お、おい?」
「ん…もう限界」
目を半分閉じた状態でとすっ、と俺に向かって倒れこんできたのを
受け止める。ほんとに軽いなあ。
「夕方になったら…起こしなさいよ」
「わかった」
俺が返事をしてからわずかな時間で郁乃は静かに寝息を立て始めた。
この体勢で本を読むのはちょっと難しい。俺は本を読むのを諦めて、
栞を挟んだままテーブルの上に置いた。
(…平和だなあ)
すやすやと幸せそうに眠る郁乃の髪を梳きながら思う。
あまりにも穏やか過ぎて、ここだけが別の世界で時間が進んでいない
ように感じる。
「ふあ〜」
やがて俺も眠くなってきた。
下校時間のチャイムが鳴ればどちらかが気づくだろうから、寝てしまっても
大丈夫だろう。
(おやすみ――)
「だ…誰もいない?」
郁乃の心配そうな声を背に、廊下の様子をうかがう。
よし…誰もいない。書庫の扉に鍵をかけると、俺達は足音を立てない
ように、それでも早足で靴箱に向かう。
「どうしてあんたまで寝てるのよっ」
「しょうがないだろ、眠かったんだから」
過ぎたことを責め合っても仕方がない。
すっかり熟睡してしまっていた俺達の耳にはチャイムは全く聞こえず、
目を覚ました郁乃が窓の外の夕焼けに気づいて俺を叩き起こした時には
すでに5時を回っていた。
「それにお前は俺に抱きついて寝てたし」
「だ、抱きついてないっ!」
郁乃は真っ赤になって否定するが、あれを抱きついている以外に
どう表現したものか。
「まあ、この様子だと誰も残ってないみたいだから大丈夫だろ」
「…ならいいけど」
夕日に照らされた郁乃の顔は、いつもより大人びて見えた。
俺の視線に気づいたのかそうでないのか、郁乃も俺の方を向く。
「誰もいないなら…いいわよね」
「何が?」
謎の呟きに聞き返すと、答える代わりに郁乃は俺の手を握ってきた。
「うおわっ!?」
「べ、別に驚かなくたっていいでしょ」
「いや、いきなりだったから」
郁乃相手にこういうことをするのは慣れてきたとはいえ、不意打ちには
まだ弱いらしいな、俺。
「嫌なら離すけど」
「そうは言ってない」
お返しとばかりに俺も手を握り返してやる。
相変わらず小さい手だな…だけど、その温かさは大きく俺を包み込む。
「端から見てるとカップルには見えないだろうな」
「仲がいいようには見えないものね」
「むしろ兄妹に見えるかもな」
「あー、それは言えてる」
いつも言い合っていて、ケンカしてるようにしか見えないこともある。
でも、それも俺達なりのコミュニケーション。
出会った頃から続いているワンパターンなものだけど。
「もうちょっとまともな付き合い方はできないものかしらね」
「いいんじゃないか?俺達らしいといえば俺達らしいだろ」
「…ま、そうね」
手を繋いだまま、夕焼けの校舎の中を歩いていく。
この時だけは、どんなカップルよりも幸せだと言い切れる自信があった。
懲りずに郁乃SS。
連投規制に引っかかったorz
>>683 神キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!GJ!
>>683 GJGJ!!
最近の郁乃SSの多さには感激だ!!
>>683 GJ!!!
綺麗な文ですな。読んでて優しい気分になったよ
>683
GJ!
郁乃かわいいよ郁乃
>「むしろ兄妹に見えるかもな」
>「あー、それは言えてる」
このへん萌え転がりますた。
ただちょっと気負い過ぎかな。
文体をほめてる人もいるけど、漏れは、
もうちょい経験値を積むまでは、できるだけ平易な書き方に徹する/を目指す方、のがいいとオモタ
689 :
659:2006/02/17(金) 20:32:02 ID:hLNhJkLA0
>>672 元ネタは「博士の愛した数式」です。いい話なのでもしご存知無ければ是非読んでみてください。
加えて、それをインスパイヤしたんじゃないかなと思われる(ネタバレにつきメル欄)にも影響受けた気も。
あとは俺の個人的な願望みたいなのを都合よく妄想。
とはいえ、やっぱねーよwwwと思ってしまったのでいくのんに突っ込んでもらいました。
>>675 いや、中年カップル・・・
>>677 乙です。
本当に幸せそうで読んでて優しい気持ちになれました。
もっと郁乃SSが増えますように。
もちろん、他キャラのSSも楽しみに待っています。
>683GJ!
やっぱいくらタカ坊がヘタレでも、これくらいは受け答えしてくれないとストレス溜まるよなw
郁乃も積極性出てていい感じ。ただ素直じゃないだけってのとは一味違ってるね。
>>683 ちょww郁乃テラモエス(*´Д`)ハァハァ
良いですね〜、のほほんとした感じがしますた。GJ!!
しかし、本当に最近の郁乃ブーム(?)は嬉しいですね。
692 :
683:2006/02/18(土) 00:26:18 ID:A3QVuXQZ0
なんかすごいレスついてるw
読んでくれた&レスしてくれた方々に感謝。
>>688 文章が硬い、ということかな?
性格的な部分もあるかも知れない…今後は気をつけて書いてみます。
俺は688の日本語のほうが気になったけどなぁ
だな。
正確な日本語としておかしい、って場所はあるのかもしれない(俺はどうでもいいと思う)けど
会話文とのバランスもよくて、なによりテンポのいい文体だし、気にしなくていいんじゃないかな。
むしろ、夕方の5時に誰もいなくなる校内にちと違和感があったw
6時7時まで普通に部活動の生徒がいたりしたからなあ。
校「内」にはいないんじゃね?
697 :
683:2006/02/18(土) 02:22:10 ID:A3QVuXQZ0
>>695 予想外のところに突っ込まれたw
そこまで考えておりませんでした。
学生時代ずっと帰宅部で、終わったら速攻帰ってたよ…ゴメンナサイorz
それ以前に文芸部が居るなw
>>699 そんな過疎部が遅くまで残ってねえだろw
>>698 俺吹奏楽だったんだけどなwww
うちの学校は校外に音楽室あったから。
水葬音部は確かに遅くまで残ってたけど音楽室でぴっぴかぺっぺかぷーって吹いてたから
夕方だと誰もいない校舎の仲でグラウンドの方から野球部の声が、遠くから演奏が聞こえる…みたいな感じだったなぁ
吹奏楽部だ
何良くわからん事に
>>702 あの雰囲気いいよな。
夕暮れの校舎の中、
どこかから声や音が聞こえるんだけど近くに人の姿は無い。
そしてそれがとても遠い場所から聞こえているような感じで、
まるで自分だけ別の世界にいるような感覚。
差し込む夕日にオレンジ色に染まる教室。
もしかすると本当に、いつもの学校とは違う場所に迷い込んでいるのかもしれない。
朝っぱらからなに詩人やってんだか俺は。
「それじゃ、留守番お願いね?」
程よく晴れたお昼前。チャリリンと鍵の束をポケットに仕舞いなが
ら玄関に向かう姫百合邸のメイド(ロボット)頭のイルファ。鞄に
教科書を入れ忘れた瑠璃から持ってきて欲しいと頼まれた彼女
は早速(嬉々として)学校へと向かうところである。
「うん、いってらっしゃい♪」
無邪気な笑顔で「ばいばい」と小さく手を振っているのは同じボデ
ィで長い髪を三つ編みにしたシルファ。生来引っ込み思案で内向的
な傾向のある彼女が一人で外を出歩くことは滅多にない。
「そうそう。帰りに晩ご飯も買ってくるから少し遅くなるかも知れ
ないの。だからお洗濯を一人でしてもらえる?」
「うん、任せて♪」
まだ研究所から出て間もないシルファの教育のため、家事は二
人一緒に行うことが多い。こちらは河野邸に出張中の同型機
ミルファに言わせれば「経験値を並列化すれば楽なのにー!」
という事なのだが、ダイナミック・インテリジェンス・アーキテクチャ
を初めて実装して性格プログラミングも個々の成長に任せる彼
女らの試験運用に於いてはデータの統一化は認められていな
い。某メインプログラマーの言葉を借りれば「みんないっしょや
と、つまらんやん?」という訳である。
余談ではあるが、家事の分担率が大幅に低下してしまった瑠璃は珊
瑚とイルファの二人から徹底的に苦手科目を叩き込まれる時間が出
来てしまい精進と我慢の日々が続いている。
「ふ〜んふふっふふ〜ん♪」
少しばかり社交性には欠けるシルファだが、それでも家事が楽しい
のは他のメイドロボと同じ。主人から要求された作業とクオリティ
を達成することが一番の満足感に繋がるよう設定されているので苦
になる筈もない。家中の洗濯物を集めて………
「…………あ。」
………何故か動きが止まってしまった。
「こ、これは………」バスルーム脇の脱衣籠、その一番上に乗って
いたのは淡いピンク色をした高級素材の「………ま、ママの……」
意味もなくキョロキョロと周囲の気配を確かめてから、両手で掲げ
るように取り出して口元に寄せてみる。流石に人肌の温もりは残っ
ていないが、大きく息を吸い込んでみると珊瑚の残り香を感じるこ
とが出来る。いままで何度も試そうと思いつつ姉との共同作業では
為し得なかった密かな夢が浮かび上がってくる。
「すぅぅぅぅぅっ、すぅぅぅぅぅぅ……」
体温の上昇とともに思考回路の中に桃色の霧が立ちこめてくるよう
な感覚。何度も深呼吸して匂いを堪能しながら、片手でヒョイヒョ
イと籠の中を選り分け手元のモノと対になった下着を取り出す。
(どきどきどきどき…………)
体内時計を呼び出して現在時刻を確認。まだイルファが戻るには早
過ぎる時間であることを再確認してから念願の計画を迅速に実行に
移す。家中のカーテンを閉め、ドアロックを確認して、洗濯物の第
一陣を洗濯機に放り込み………急ぎ服を脱ぎ捨てる
「えへへっ………しあわせぇ〜♪」
全裸の上から珊瑚の下着を身につけてみると、想像していた以上の
幸福感が沸き上がってくる。愛しい相手の最も大切な部分を包んで
いた衣類を付けると、何だか互いの秘所同士を触れあわせているよ
うな錯覚と共に(経験は無いが)相手に隠れて間接キスをする時み
たいな背徳感で心の何処かが満たされてくる。こうなってしまうと
もう止まるに止まれない。千万一隅のチャンスを最大限に生かすべ
く、ロフトによじ登って誰もいない寝所の中に潜り込む。
「う〜〜〜〜っ、ママの匂い〜〜〜っ♪」
掛け布団を体に巻き付け、珊瑚愛用の枕(推定)に顔を埋めて頬擦
り、そのままゴロゴロと狭いロフトの中で転げ回る。
「ママ〜〜っ、ママ〜〜っ♪」
羽毛布団の柔らかさを味わい珊瑚(と瑠璃)の匂いを胸一杯に吸い
込みながらクネクネと身悶えていると、体温を帯びた羽毛布団の暖
かさが加わって全身を包まれている様な錯覚さえ感じてしまう。い
ままで決して叶う事の無かった「ママを独り占め」を文字通り全身
で楽しみながら………
(ぴんぽ〜ん。ぴんぽ〜ん)
夢の崩壊は、予想以上に早かった。
「…………これじゃ、ミルファのこと笑えないわね?」
そこから先は魔術師も真っ青の早業だった。鍵とお財布忘れちゃっ
た、とモニター越しに照れ笑いを浮かべるイルファのためにロック
を外してから慌てて服を着てカーテンを開け出迎えに走る。そんな
妹の微妙な着崩れと引きつった笑顔に気づかぬまま、居間から財布
を片手に戻ってきたイルファは何処か気まずそうな恥ずかしそうな
笑みを浮かべたまま食卓の上に置きっぱなしになっていた鍵の束を
チャリリンとポケットに仕舞って再び玄関に向かう。
「それじゃ、留守番お願いね?」
「うん、いってらっしゃい♪」
そうして安堵の溜息を隠しながら姉を見送ったシルファは、替えて
る暇がなかった下着を(渋々)洗濯物の第二陣に戻そうと服を脱ぎ
ながら視界の片隅に食卓を捉え……………
「………………………あれ? あれあれあれ?」
………ようやく違和感に気づいた。
私怨
以上っす。
これまた、メイドロボの性格が若干破綻気味にも見えますが
アンオフィシャルというか空想いうことでご容赦を……(汗
>>672 こんな感じで如何でしょうか?
>>683 乙です。
続きが見たいような、続くと野暮になってしまうようなデリケートな作品ですね。
独特の距離感が心地よいです。
712 :
名無しさんだよもん:2006/02/18(土) 06:04:37 ID:fZw2tuMI0
>>711 何度も思ったんだが、トリは必要無くね?
別に偽者が現れるわけじゃないし、
一番人気である河野家ですら付けてないんだからさ。
つーかトリ付けるのってこのスレ史上アンタが初のような・・・。
まあどうでもいいと言われればそれまでなんだがな。
そうだとしてもSS投稿にはトリップつけてないからNGにする意味ないな。
>>711 乙。
うーん、言おうか言うまいか迷ったんだが、どうも同じような作品が続いてるので言わせて欲しい。
なんつうか、貴方の作品って話の長さのワリに説明部分が多すぎるように思えるんですが。
独自の設定、世界観、キャラ観があるのはもちろん否定しないけど、その設定を小出しにしてる
ように感じるというか、貴方みたいな形式で「突発」で書くなら、もっと性格設定等が固まった
キャラを書いた方がいいのでは?
郁乃の話を書くときには、貴方独自の郁乃の設定を説明。
メイドロボの話を書くときには、貴方独自のメイドロボの設定を説明。
これだと、やっぱりクドくなりすぎると思う。
>>711 乙!
人の下着はいて喜ぶマニアックな描写が良かったw
>>713-715 鳥議論だけど、自己主張したいからSS書きたい人も多いんだろうから、
つけたくなる気持ちもわかる。
ただ、つけるんだったらSS投稿につけるだけにした方がいいし、
上の方の変な鳥みたいに、つけたままごちゃごちゃ語ると荒れる。
>>711のつけ方はそういう意味では良くないな。逆にしたほうがいい。
>>716 そういうのも少しは感じた。
ほどほどにしとかないとまたオリキャラ議論に戻るから多少、心に留めといたほうがいいかも。
>>713 ちょwww一番人気の河野家www
いつのまに一番人気になったんだよ
m9(^Д^)プギャー
河野家が付けてないからお前は付けるなて…そんなにマソセーしたいなら自分でサイト立ち上げて河野家に書いてもらえば、ぷっw
>711
というか、「この話とは直接関係ない設定」まで丁寧に説明してるところが、
冗漫な感じを与えているのでは? (記憶の並列化とか、瑠璃の勉強とか)
突発屋さんの身上は切れ味のいい短編なんだから、
もっとばっさりと省略していって良いと思う。
ともあれGJ
レスを付けて頂いた皆様、ありがとうございます。
最初に御礼申し上げます。
>>713-715 まとめてレスで失礼します。
実は以前より使用していたトリでして、付けた方がご意見を頂戴しやすいかと
思ったのですが、使い方の方を間違っていました。
申し訳ございません。
>>716 仰るとおり、無駄な贅肉が多いのかも知れませんね。
以後、留意させて頂きます。
>>717 これは完全に私の思慮不足でした。
次からは投稿の文頭部分に題名を付ける形にしたいと思いますが、
それで宜しいでしょうか?
>>719 ご指摘の辺りが私の悪い癖かも知れませんね。
更に精進させて頂きます。
>>720 それでいいと思いますよ。
続き期待しています。
722 :
名無しさんだよもん:2006/02/18(土) 17:07:17 ID:d40x/SSg0
>>720 いつも楽しみにしてます。
続きをお待ちしております。
sage忘れスマソ
>720
「説明臭くなく最低限の説明をする」が最近の俺テーマなので、つい出しゃばりました。
お互い精進しましょう。 続きをたのしみに以下略
「うぅぅぅ〜。ぐすっ……
たかあきくん、本、ありがとう。いいお話だったよ〜」
愛佳は顔をぐしょぐしょにしている。
感動してくれたみたいで良かった。
でも、元気付けようと、プレゼントした本なのに、
どことなく表情が暗いままなのが気になるな……
――郁乃がまた入院することになってしまった。
手術は成功したものの、経過が少し怪しいとのことで、
大事を取るために様子を見ることになったのだ。
当然、愛佳は気が気でない。
お見舞いを欠かさないのはもちろんだが、どこにいても不安そうで
何も手につかない様子だった。
見かねた俺は、今話題のノンフィクションを愛佳にプレゼントした。
まだ俺は読んでいないけど、なんでもひたむきに生きる人間の美しさを
描いた作品らしく、読めばきっと愛佳も元気が出るだろうと思ったのだ。
本のプレゼントについてのコンプレックスは少し気になったけど、
別に誕生日でもないし、たぶんもう克服しただろう。
「そうか、楽しんでくれてよかったよ。
でも、なんかまだ元気なさそうだけど、大丈夫か?」
「うん……。 このお話、とっても良かった。
……でもね……」
「――売れない小説家さんのお話だったの。
たまたま、友達が有名な売れっ子作家でコネがあったから、
デビューしちゃったなんて言われてて……」
「たまにいるな、そういう作家。 それで?」
「その人はそれで悩んでたの。
でも、彼はすごく小説を書くのが好きで、
自分の文章をみんなを楽しんでもらいたいと思ってた」
「普通だったら、人気がないと発表のチャンスはすぐなくなる
かもしれないけど、幸か不幸か出版社も売れっ子作家の友人だしと
気を使って、発表の機会は多かったみたいなの」
「なるほど、でもそれはその人にとって良かったかどうか微妙だよな」
「うん。そうなの。 それで……やっぱり、
それが原因で作品以外のことについても悪口を言う人が多かった。
でも、彼はそうした声に知りつつも、いつかは評価されようと執筆を続けたの」
「なかなか偉いじゃん。そういう姿勢はいつか報われるさ。
それで、最後にはいい作品が書けるようになったんだろ?」
愛佳は悲しそうに首を振った。
「……ううん。違うの。
何度本を出しても返品の山なのは変わらなかった」
「それで、彼はついに決心したの。
ペンネームを変えて、彼の全てをこめて長編を書き上げて、
もしそれが評価されなかったらもう小説家をやめようって」
「でも…ぐすっ……。 でもね……その作品もダメだったの。
しかも彼の作品中、最低の評価だった。
なまじ宣伝されてたから買った人も多いらしくて、
もうすごくボロボロにいわれたんだって……」
なかなか、厳しい話だな。
元気が出る本だって聞いたけど、もしかして俺、間違えたかな。
「彼は結局、筆を置いたの。
自分は向いていなかった。全く違う道を歩もう、そう思って」
「……でも数年後、それでも彼は諦められなくて、同人誌を始めたの。
やっぱり文章の世界で生きていきたい。そう思ってまた一から始めようと思って」
「なのに……。 ぅ……ぐすっ…なのにね……。
同人を始めてすぐ……。
彼は……事故にあって死んでしまったの……」
「ぅ……ぅぅ…ぅぅうえぇぇぇううああっっ!」
もう愛佳の顔はぐしゃぐしゃだ。
でも俺は、本の選択を完全には後悔しなかった。
それでもなお、その小説家の生き方は人々に勇気を与えたんだと思う。
それに、批判されたとはいえ、それなりに彼の作品を楽しんだ人も大勢いるだろう。
彼の人生は決して、不幸ではなかったハズだ。
――もちろん、郁乃が死んでいいなんてワケではないけれど、
やはりこの本は一生懸命に生きれば報われる、そう伝えたいんだと思う。
愛佳の涙を優しく拭ってやる。
「愛佳、ごめんな。 ちょっと本の選択が悪かったかもしれない。
でもやっぱり、彼は不幸じゃなかったと思うよ。
彼は……認められたんだと思う」
「…ぅ…ぅぅ…ひっく…。
でもね…あたし、気がついちゃったの。
とても残酷なことに。」
「残酷なこと?」
「うん……私が一番悲しかったのはね、
たかあきくんがくれた本の作者さんが……友人だった売れっ子小説家だったことなの。
この本の中では主人公の作品も少し引用されてたけど……
残念だけどやっぱりいまいちな文章だった」
「その一方で、この本自体は凄く文章が上手で感動的。
これって、すごく残酷だよね。彼だって一生懸命に頑張ったのに、
友人との差はこんなにも明らか…… こんなのって…… こんなのって……ひどい」
「どんなに頑張っても、一生懸命願っても、ダメなものはだめなんだ……
もしかしたら……郁乃だって…」
「違う!」
気がつくと怒鳴っていた。
でも、これは絶対に伝えなければ。
愛佳が悲しむのが嫌なのも当たり前だけど、この話をそんな風に解釈しては
その小説家が哀れすぎる。
「俺はまだ読んでないけど、この本はそんな風に受け取っちゃダメだ。
確かに、彼の文章はまだ稚拙だったかもしれない。
けど、最後にはいつかいいものになったはずだよ。
愛佳は事故で死んでしまったことに気を取られてそのことを忘れてる」
「あ……」
絶句する愛佳。
「そうか……そうよね。
彼は途中で死んでしまったけど、もし生きてたら分からないわよね。
やっぱり、努力は報われる…」
「うん。そうだ。きっと、郁乃はすぐよくなる。
そしたら、もっと3人で幸せな想い出を作っていこうな」
「たかあきくん……」
――綺麗な青紫色の夕日を背に、俺たちはキスをした。
>>718 コイツ馬鹿か?w
それともショボイSS書きの僻みか?www
お前も馬鹿だけどな
>>731 低レベルな釣りに釣られてスマンかった。
えーと、竹林さんのご冥福を心よりお祈りします。
今さら故人をネタにするなとかいう気はないのですが、(オイ
ギャグなら洒落にならないくらいのブラックジョーク
シリアスならやりすぎなくらいコテコテのお涙頂戴
とかいうふうにはっちゃける覚悟が、
こういう題材を扱う以上、欲しいところですかな。
中途半端な態度で人の死をイジられるとちょっと引く。
まあ、俺が引くだけでべつに悪いわけでもなんでもないんだけどね。
734 :
733:2006/02/18(土) 20:31:21 ID:VvZmr7CF0
あ、ごめん私怨が先行したカキコだったかな。
さんざんネタにした人に、突然死なれて、自分の立ち位置をほんと見失う経験をしたわけですよ
彼が欠点だらけの愉快な人物であったことにはかわりないんだけど、
じゃあそれをいままでどおりネタにしていいのか、それはオモシロいことなのか
彼の死後、軽やかに超先生ネタを用いる725に、嫉妬半分、
安全圏に身をおいてんじゃねーよ、という逆恨み半分ってとこですかな
クレーマー・クレーマー
『星空』(1/3)
草木も眠る丑三つ時。ゴミゴミと入り組んだ都会から遠く離れた広
い草原に走る細長いアスファルトは一本の河のよう。ネオンの無粋
な輝きもなく満点の星空を仰ぎ見るのに絶好のスポットである筈の
大草原の真ん中でハザードを点滅させているレンタルの軽ワゴンの
中では、一組のカップルがフロントガラス一杯に地図を広げながら
おおよそ『ムード』と呼ぶには程遠い大声で怒鳴りあっていた。
「だから、こういうのは昔から飛行場か遺跡の近くが良いに決まっ
てるって何度も言っただろ!?」
「そこが、たかちゃんのまだまだ未熟なところだね。飛行場じゃなく
って軍事基地とか飛行コース上が最近のトレンドなんよ?」
「トレンドって何だよトレンドって。じゃあ此処の何処が飛行コー
スだ自衛隊の基地だ? 街灯一つねぇじゃねぇか!」
「ふっふっふ〜」と相変わらず意味不明に余裕タップリな花梨が座
っているのは助手席「ここはぁ、飛行コースは飛行コースでもUF
Oの飛行コース付近なんよ。というか、ここ最近で目撃事件が最も
集中している場所から計算した推定飛行座標から何と、なぁんと
僅か2kmという第一次接近遭遇のメッカ!」
「……いま、なにげに『推定』とか言ったような………」
ハンドルにもたれ掛かった貴明の顔には『眉唾』という文字がハッ
キリ浮かび上がっている………ように見える。
『星空』(2/3)
「だって、UFOの大きさが正確に測定できないから誤差は避けら
れないっしょ? しかし方角はバッチリ。あと一時間くらいで目撃
時間帯だよ。」
二人の背後から一対のヘッドライトが減速しながら近づいてくる。
こんな場所に停めて地図を広げてる様子を不審に感じたようだが貴
明が前を向いたまま軽く手を振って心配ない旨を伝えると、こちら
の様子を伺うような速度ながらも横を通り過ぎて闇夜の中に消えて
ゆく。
「……その言葉を信じて、今日で一週間なんだけどなぁ……」
「UFO観測で大事なのはデータと機材と根気と、信じる力。せっ
かく二人で頑張ったんだし、やっぱミステリ研を名乗る以上は潰れ
る前に写真の一枚くらいは欲しいところなんよ。」
「ま、そりゃそうだけど……」
「でしょでしょ? やっぱ卒業の思い出とかも二人で色々作りたい
しね。それとも……」と、少し申し訳なさそうな顔になる「……迷
惑だった………かな?」
別の車が今度はチカチカとライトを点滅させながら接近している
のがバックミラー越しに見える。もう一度、さっきと同じように手を
振って横を通り過ぎて貰う。
『星空』(3/3)
「いや、そんなことはないけど……」実際、面倒だとか帰りたいと
かいう感情は沸かない。さっきからの議論だって単なる方法論の相
違だけだ「………これはこれで楽しんでるし、花梨と一緒に色々
調べるようになってから興味も出てきた。それに二人で旅行に来て
る事にはかわらないだろ? だから嬉しいよ。」
「た、たかちゃん………」
不器用だから真っ直ぐで、弱いから強がって、恐がりだから素直に
なれない。そんな花梨がとても可愛いと思える貴明。
「頑張ってUFO撮ろうぜ? な?」
「う……うん!」地図を片付け、カメラをいじっていた花梨が顔を
上げて照れくさそうに微笑む「……でも、たかちゃん。その、ちょ
っとくらいは、えと、ロマンティックも悪くないかなーとかも思う
んよ? だから……その………まだ時間もあるし……」
「………ちょっと息抜きしようか?」
「うん!」
そっと目を閉じ、小さな唇を捧げるように顔を寄せてくる花梨の横
顔を無粋に照らす新たなヘッドライトに早く行けよと手でサインを
送りながら、残った片手を柔らかい頬に添え優しく導く貴明。
そんな様子を邪魔しないようにか音もなく浮かび上がったヘッドラ
イトが重なり合った二人の頭上を通過して、静かに夜の闇に溶け込
んでいった。
以上です、こんな形式で如何でしょう?>all
しかし、我ながら年がバレそうなネタやな〜w
前にも書きましたが、花梨は苦手キャラなので……>言い訳
>>729 乙です。
少し物足りなさを感じないこともないですが、それは私が元ネタ(?)
を存じ上げていない所為なんでしょうね、やっぱ?w
>>739 ネタは別にどうこう言わないで書き方だけ言うね。
とりあえず60ポイント前後だと少し見難いから80ポイント(40文字)で横幅を
決めると見やすくなると思う。
後は台詞の「」のすぐ後には文章を持ってこない。
改行しないとすごく見難いから。例外で文章中にメッセージを入れて情景描写ってのなら
わかるけどこれだと違うと思う。
後は場面転換なり、台詞と描写パートの間に1行なりの間を開けると見やすくなる。
横幅の件を除けば「郁乃と映画」の方が文章的には見栄えは良いかな。
詰まってるだけで敬遠される場合も多いし。
こんなに短期間でポンポンとネタがでるのが羨ましい……GJでした!
741 :
名無しさんだよもん:2006/02/19(日) 00:20:46 ID:z4cKLV630
>711
乙です。俺自身の理解力が足りないせいか、シルファが最後に気づいた違和感が何なのか
分からないんだが、作品の雰囲気としてはなかなか良かったです。
>>733 なんか大変そうな人だな。
今まで叩いてたくせに死んだ途端超先生の作品マンセーしだした人ですか?
RRネタなんてToHeart2の中にもあるじゃん。
>>740 色々とご丁寧にありがとうございます。
「見せ方」というものもあるんですねぇ……
>>741 や、やや、こちらの書き方が悪いのでしょう(汗
実は冒頭付近と、最後のレスとで全く同じ擬音を使っているのですが………
744 :
672:2006/02/19(日) 01:32:14 ID:RvOFC6At0
>>689(=659)
「博士の愛した数式」ですか。
聞いたことがあるタイトルなので、今度探してみます。
でも、こんな映画があったら、本当に見てみたいですね。
って郁乃んはどうでもいいのか?>漏れ
>>675 True Color. いえ、何でもないです。
>>711 突発屋さん
遅くなりましたが、GJです。
これで、姪泥棒変態3姉妹が出揃いましたw
……、最後の違和感が何なのか、気づかない漏れがいたりするわけですが(汗;
なんで、イルファがポケットにいれたはずの鍵の束が、食卓に置きっぱなしになってるんですか?^^;
ひょっとして、読解力なさすぎですか?>漏れ
>>739 花梨SSも乙です。
でも少し花梨パワーとか、タマゴサンド分が足りないような気がしましたw
つうか、卒業前に免許とったんか、貴明^^;
なんか最近、全部にレスしようとしてる人をチラホラ見るけど、
流行かなんかですか?それとも春休みですか?
なんか最近、なんにでもケチをつけようとしてる人をチラホラ見るけど、
流行かなんかですか?それとも春休みですか?
>>746 もうちょっと面白い煽りしてください。
オウム返しはつまらないです。
まあ確かに全レスはウザい。
SSよりもレスの方に力入れてるんじゃないかと勘ぐりたくなる。
>>749 多少くどい面は無いでもないけど、別に作者以外だっているんだから
おまえみたいに文句しか言えない連中よりはよほどマシ。
>>750 勝手に一緒にしないでくれよ
お前も同類のくせに
お前等二人ともヤメロ
スレが荒れる
>>745 というか、全レスしてる人間っていますか?
最近は突発屋さん他、いくつもSSが上がってるので
気に入った作品(複数)にレスを付けたいと思うのは
自然なことだと思いますよ。
さすがに、あまり気にいらなかった作品にまで
レスするのはどうかと思いますが^^;
作品以外h(ry
全レスがウザイのかぁ……
まぁ、とりあえずスレが荒れるような言い争いはヤメレ(´・ω・`)
一人でルーターの電源カチカチやってるのかと思った
カミングアウト乙
>>753 作品だけじゃなくほとんど自分に関係ないコメントまで
レスしてるから全レスって言うんだろ。
自分の書いたSSの感想にレスするだけならまだしもな。
こういう場に自分ルールを持ち込む奴よりは遥かにマシ。
全レスがウザイってのも自分ルールなんだがな
まぁ、ソレ言い出したらきりがないわけで
もう少し空気を悪くしない言い方をしてほしい
いや、759は全レスうざいっていう自分ルールを
持ち込むよりましって言ってるんじゃねーの?
俺自身は個別のレスアンカーどうしても必要なとき以外は
軽くまとめて書けばいいのにと思うけど。
あら、俺勘違い?
全レス読みたくないならスルーすればいいのに…
アンカーをNGにすれば作品以外を大体アボヌできるし
お前ら馬鹿に釣られすぎ
本当に21歳以上か
荒れるからヤメロ言っとるだろうが
もうお前等レス返すな
それで万事解決
住民減らすきか?
お前がやめろよw
ああ、キム・ジョンイルの後継者争いと同レベルだ…
絶対的なルールなんて決められないのだから、現状の流れが気に入らないのなら読むのやめた方がいい。
そもそもルールなんか決めようとしたSSスレはほとんど廃れるのがこの板
こんな流れに乗ってはいけない
自動的にある程度の時間ごとで煽り合いが行われるようにでもなってんのか、
このスレは?(藁
仕様です
いや、このスレ面白いと思う。
確かに面白い。
あとはギャラリーが小競り合いしないように各自遠慮するだけだ。
話だけ読みたいなら、あれだ、多少更新が遅れるがまとめサイトって手もある。
まとめサイトからリンクで気に入るサイト探せばいい。
>>772 それならToHeart2 SS-Linksで漁ればよくね?
Webページでの公開がされてないのを読みたいならまとめサイトだけどな。
そういえば最近サブキャラクターのSSばかりでメインが少ないのが少し寂しい。
もうネタ切れの感があるのかなぁ……
ぶっちゃけここ最近は「突発屋」関係で荒れてる。
1と違って大して中身の無いゲームのSSで
ここまで持った方が不思議だw
そんな1に中身があったかのような発言はどーかとw
月厨乙。
型月のゲームも中身ペラペラだろw
エロゲに内容求める方が(ry
内容あるエロゲなんて、俺がやった中では水夏くらいだよ。
スレに全く関係ない流れワロスw
誰か餅米持って来い。つくから。
>>725のネタがアレすぎたうえに、その次の
>>736も微妙だったんで
コメントしづらい流れになったところで煽りが来てこの流れか……
まあ、なんのかんのいっても読者多いことがわかっていいじゃんw
どさくさにまぎれて水夏マンセーする
>>779に萌えたw
いや、漏れもすきだけどな。
>>773 メインキャラは最近ネタが浮かばないねえ。
俺の想像(妄想?)力が貧困なせいかも知れないがw
>>781 つ【餅米】【杵と臼】
>>736 草
い
な
大
中
臭
い
な
大
中
完全にキレた
w
河野家まだぁ(゜∀°)
まだ9時間弱ほど早い。
まあ、その時刻では漏れは読めないわけだがorz
素直になれない女の子マd(ry
俺が郁乃にお姫様だっこしてやろうかと言ったのは、決してやましい気持ちからじゃないんだけど、
それがどれだけ恥ずかしい提案か、俺はイマイチ分かっていなかった。由真に言われて、初めて気付
いている始末。俺ってバカだよなぁ。
だけど、分からないのが郁乃の気持ち。最初はあんなに嫌がってたクセに、着替え終わって階段を
下りるとき、郁乃は何故か、お姫様だっこしてもいいと言った。どういう心境の変化なんだ?
とにかく、郁乃をお姫様だっこして階段を下りることになった俺。俺の腕の中で恥じらう郁乃を
見て、同じく恥ずかしさを覚える俺だったが、一度始めたことを止めるわけにはいかない。平常心を
何とか維持し、俺は階段を下りた。
そんな俺と郁乃を見て、このみが自分もお姫様だっこしろと駄々をこねる。仕方なくこのみをお姫
様だっこして階段を上り下りする俺だったが、階段を下りると、何故か一列に並んでいるるーこたち。
それは何と、お姫様だっこの順番待ちだったのだ!
最初はるーこ。るーこはスリムだから、そんなに重くないと思うが……。
「じゃあ」
一言断って、るーこを抱き上げる――む、さすがに郁乃やこのみに比べたら、やや重いかも。
「大丈夫か、うー?」
「ああ、大丈夫大丈夫、じゃ、行くからな」
重い、などとは口が裂けても言えない。俺だってそこまでデリカシーの無い男じゃないからな。
階段を上る。――それにしても、るーこって……、柔らかいんだな。
あ、いや、別にるーこがガリガリだと思ってたワケじゃない。何て言うか、こうして改めてるーこ
に触れると、その柔らかさが実感出来て――、あ、突然思い出した。そう言えば俺、以前にもるーこ
をお姫様だっこしたことがあった。
初めてるーこと出会った、と言うか、空腹で倒れていたるーこを俺が見つけた日、俺は近所の公園
まで、るーこをお姫様だっこで運んだんだっけ。――そっか、二度目なんだな。
「……、お、重くないか、うー?」
不安と、恥じらいが混じったるーこの表情。
「大丈夫だよ、るーこ」
懐かしさを感じたせいか、思わず笑顔になる。
多分、るーこは一度目のことを覚えていない。「お前をお姫様だっこするのは、これで二度目だ」
と言おうかと思ったが、やっぱり止めておこう。るーこにとって、これが初めてのお姫様だっこ。
その方がいい、きっと。
「るーこの方こそ、大丈夫か? 怖くないか?」
「うーが大丈夫なら、るーも大丈夫だ。それに――」
るーこは、空いてる手で俺の胸にそっと触れ、
「……何だか、とてもいい気持ちだぞ、うー」
ドキッ!!
ぐああ! い、いつにもまして、るーこが可愛い! そ、そんなこと言われたら、俺……
い、いかんいかん! 平常心平常心!
るーこから目を離して、ただ階段を上ることに集中。一歩一歩、階段を上る。
「ど、どうした、うー?」
すまんるーこ、お前の質問に答える余裕は、今の俺にはない。
階段を――よし、上りきった。そのまま身体を横向きに、そして階段をカニ歩きで下りる。
上りよりも、下りる方が危険度が高いのだから、慎重に慎重に……。
よし、下りきった。これでるーこは終了。
「じゃあるーこ、降ろすぞ」
るーこを降ろし、立たせる。
「楽しかったぞ、うー」
そう微笑むるーこ。こっちは大変だったんだけど……、まあ、いいか。
次は珊瑚ちゃんの番。
「貴明、だっこ〜」
俺の首に抱きついてくる珊瑚ちゃん。後の方から「うう〜っ」とうなる声が聞こえてきたが、まあ、
とりあえず気にしないことにして、そのまま珊瑚ちゃんを抱きかかえる。――うん、やっぱり珊瑚
ちゃんは軽いな。
「じゃあ、行くよ」
「れっつご〜☆」
お姫様だっこで階段を上るのもいい加減慣れてきた。それはいいんだけど……
「珊瑚ちゃん、あのさ」
「どうしたん、貴明?」
「首……放してくれないかな?」
最初以来、珊瑚ちゃんは俺の首に抱きついたままなのだ。その分、他のコよりも密着度が増して、
その、何というか……、当たってるし。
しかし珊瑚ちゃんは、
「あかんよ。首に抱きつくんが正しいお姫様だっこなんやで」
「い、いや、お姫様だっこに正しいもなにも……」
「それにな、こんなことも出来るんやで〜」
すりすり〜。
「わわっ!? ちょ、ちょっと珊瑚ちゃん!?」
珊瑚ちゃんが頬ずりしてきた! うぁあ、だ、大胆過ぎだよ珊瑚ちゃん!
「た、貴明何してんのや!? このドスケベー!!」
後から瑠璃ちゃんの怒鳴り声。って、頬ずりしてるのは珊瑚ちゃんの方だって!
だが、瑠璃ちゃんの怒りの矛先はいつも俺に向かうのだ。弁解しようと振り向いた俺だったが、
時既に遅く、
ゲスッ!!
階段の高さをものともせず、瑠璃ちゃんの跳び蹴りが俺の腹にめり込んだ!
「ぐえっ!?」
る、瑠璃ちゃん、こんな状態で腹にキックは……
瑠璃ちゃんのキックで危うく倒れかけたが、あたかもダウン寸前のボクサーがロープにすがるが
如く、とっさに階段の手すりにすがり、何とか堪えた俺だった。
その後、珊瑚ちゃんのお姫様だっこを無事に終え、次は由真の番。
「しっかし、よくやる気になったよな、お前」
「な、何よ、あたしがやっちゃダメなワケ?」
「いや、別にそう言うワケじゃないけどさ……。じゃあ、抱くからな」
「な、何よ抱くって!? いやらしい言い方するな!」
顔を赤らめ、俺から遠ざかる由真。
「こら待て由真、この場合の抱くってのは、お姫様だっこって意味に決まってるだろうが。全く、
お前こそいやらしい想像してんじゃねぇよ」
「う……、ま、紛らわしい言い方しないでよ、もう……」
ぼやきながら戻ってきた由真を、
「じゃあ、今度こそ」
抱き上げる――あ、やばい、今までで一番重いかもしんない。
「だ、大丈夫?」
心配そうに俺を見る由真。……うう、いくらこいつ相手でも、さすがに重いとは言えないよな。
「余裕だ、このくらい」
カッコつけ半分にそう言い、階段を上る。
だが、ここに来て、今までの疲れが一気に押し寄せてきた。郁乃、このみ、るーこ、珊瑚ちゃんと
立て続けにお姫様だっこをし、おまけにさっきの瑠璃ちゃんの蹴り――そう言えば、漫画か何かで、
腹部のダメージはスタミナを奪うって言ってたっけ。とにかく、正直言って結構しんどい。
そしてそれはどうしても隠しきれない。段々呼吸は荒くなり、汗が出てきた。
「ちょ、ちょっと、本当に大丈夫なの?」
俺のあからさまな弱りぶりに驚く由真。
「だ、大丈夫、だっての」
だが、ここで負けては男がすたる。しかも、俺が今抱きかかえているのは由真だ。もしここで俺が
音を上げたら、こいつは俺をバカにして――違う、多分こいつは、自分の体重のせいだとでも勘違い
するだろう。それは……避けたい。
大丈夫、うん、大丈夫、まだまだいける。とにかく俺は階段を上る。
「たかあき……」
何か言いたげな由真。だけど、それに応える余裕はさすがにない。今は階段を上ることに集中する。
そして――上りきった。よし、じゃあカニ歩きで下り、っと。
下りる間は由真も無言で、俺はせっせとカニ歩き。――よぉーし、下りきった。
「ほい、終了、っと」
由真を降ろす。立ち上がった由真は、
「たかあき……そ、その、ありがとう、ね」
やや恥ずかしそうにそう言い残して、居間に引っ込んだ。
次は、愛佳の番。
「たかあきくん、大丈夫ですか?
あ、あの、あたしだったら別にしなくても……」
遠慮しようとする愛佳に、
「いや、大丈夫だから。じゃ、いこうか」
「は、はい……」
……あー、少し休憩時間もらった方がよかったかな? まぁ、今更遅いや。よし、じゃあ愛佳を、
「ひゃっ!?」
抱き上げられ、ビックリする愛佳。
……やばい、今までで一番おも――、い、いや、何でもありませんよ、何でも。
「あ、あの……、た、たかあき、くん……」
「何でもありませんよ……、え? な、何?」
「そ、その、大丈夫ですか……、あたし……」
真っ赤な顔の愛佳が俯き、モジモジしながら呟く。その仕草、何となくさっきの郁乃に似てる気が
する。やっぱ姉妹だなぁ。
「大丈夫だよ。愛佳の方こそ平気か?」
「え? ど、どうして?」
「だってさ、愛佳って、ついこの間まで男が苦手だっただろ? それがいきなりお姫様だっこって、
精神的にしんどいんじゃないかって思って」
「……はい、えっと、ドキドキしてます」
「じゃあ、やめ――」
止めようか、と言いかけた時、愛佳が真っ赤な顔で俺を見上げ、
「でも、気持ちの悪いドキドキじゃないです。だから……、たかあきくんが、いいなら……」
――言えないよ。そんな目で訴えられちゃ。
「そっか。じゃあ、行くぞ」
「は、はい……」
愛佳を抱きかかえ、階段を上る。
愛佳がどうこうじゃなくて、単純に疲れた。しんどい。もう休みたい。
でも、ダメだ。ここで止めたら愛佳だってきっと傷つく。それはいかん。断じていかん!
頑張れ俺! 負けるな俺! ホラ、愛佳の身体、柔らかいし温かいし、それにいい匂いがするし、
これって役得じゃん! 嬉しいだろ、たまらないだろ俺!
役得バンザーイ!! 脳内麻薬全放出ー!!
「あ、あの、たかあきくん、本当に大丈夫……?」
瑠璃ちゃんの、番だ。
「貴明……、ホンマ、大丈夫なん?」
大丈夫だよ、瑠璃ちゃん。ほら、瑠璃ちゃんはこんなに軽い。
「ちょ、ちょお、貴明! いきなり抱き上げるな!」
さあ行こうか瑠璃ちゃん。わっせ、わっせ、
「貴明、そんなに急がんと……」
わっせ、わっせ、
「た、貴明、目ぇどこ向いとるん? ホンマに大丈夫?」
何をそんなに心配してるんだい瑠璃ちゃん? 俺は全然平気だよ。
わっせ、わっせ、――ホラ、もう二階に着いた。じゃ、下りるからね。
カニ歩き、カニ歩き、
「貴明、貴明! ちっとはウチの質問に答えてや! 貴明、大丈夫なん!?」
カニ歩き――もう、うるさいなぁ。
「大丈夫だよ、瑠璃ちゃん、軽いし」
「やっと答えた……。貴明、ホンマに大丈夫?」
「大丈夫だよ、瑠璃ちゃん、軽いし」
「う、ウチ、軽ないもん……、さんちゃんより重いし……」
「大丈夫だよ、瑠璃ちゃん、軽いし」
「だからウチは! ……貴明、さっきから同じことしか言ってない。それによう見たら、目の焦点が
合ってない……」
「大丈夫だよ、瑠璃ちゃん――」
「貴明、あかん! もう止めよ! 貴明もう参っとる! 降ろして、貴明、降ろして!」
うーん、瑠璃ちゃん、何をそんなに怒っているのかなぁ? まぁ、瑠璃ちゃんはいつも怒っている
から、別に不思議じゃないか。
さて、カニ歩き、カニ歩き、
「た、貴明、下りるの止めぇ!」
カニ歩き、カニ歩き、……あ、一階に着いた。
瑠璃ちゃんを降ろして――やった。終わった。あ、なんか力が抜け――
バターン!!
「た、貴明!?」
『――タカ坊』
……タマ姉の声?
……目を開け、体を起こす。
どこだ、ここは?
果てしなく広く、真っ白な世界。足元は一面、雲のような白いもやがどこまでも――
『たかちゃん』
『貴明さん』
あ、上の方から花梨と優季の声が聞こえた。空を見上げると――
ああ、タマ姉、花梨、優季がいるよ。真っ白な服を着て、その背中には真っ白な羽根が生えていて、
その姿はまるで天使のような……、ああ、そうか、タマ姉たちは天使だったんだね。
『よく頑張ったわね、タカ坊』
「うん、俺、頑張った」
『郁乃ちゃんから瑠璃ちゃんまで、全員お姫様だっこしてあげたんだね、たかちゃん』
「うん、俺、お姫様だっこした」
『えらいですね、貴明さん』
「うん、俺、えらいよね」
俺の頭上で三人が、微笑みながら輪になって空を舞う。――ああ、終わったんだ、何もかも。
『いいえ、まだよ、タカ坊』
「――え、どうして?」
『だって』
『私たちがまだですよ、貴明さん』
「え!? た、タマ姉たちもお姫様だっこしなきゃならないの!?
っていつの間にか目の前に階段があるし! しかも階段長っ! この階段一体どこまで、ってか、
この階段はどこに続いてるの!?
ねぇ教えてタマ姉、って、三人とも一斉に降りてくるし!? まさか一度に三人? 無理! 絶対
無理だって! って言うか、あんたら背中に羽根生えてんだから飛んでりゃいいじゃんそのまま!
だ、だから一度に三人は無理だってば! うわ重い止めて止めて」
「止めてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
「わ、タカくん、気が付いた」
「……え?」
気が付くと、そこは居間のソファーの上。横にはこのみの姿が。
「ゆ、夢、だったのか……」
つづく。
どうもです。第45話です。
また、お姫様だっこだけで一話使ってしまいました。(^^;
河野家の、いつもと少し違う土曜日は、次回も続きます。
GJ!GJ!毎週楽しみにしてるんでガンガッテください
月曜の楽しみなんで
>>800 河野家GJ!! 初めてリアルタイムで読みますたww
愛佳スキーな漏れとしてはお姫様抱っこで恥じらう愛佳にキました。
うーん、いつの間にか漏れも毎週月曜の楽しみになってます(´∀`)
次回作も楽しみに待ってますね。
おお……これが……
まさか二話連続でお姫様抱っことは…GJですw
GJ!
すばらしい!
毎週月曜日は癒されます。
806 :
名無しさんだよもん:2006/02/20(月) 22:42:19 ID:f5T/cmE+O
GJです!
私も週刊河野家、楽しみにしてます。お姫様抱っこしてみてぇぇぇっ!
やっぱり愛佳が一番重かっ……うわなにをする
>>800 遅くなったけど、河野家喜多ーーー!!! &キリ番おめ。
やっぱり今週もお姫様抱っこでしたか^^;
ひょっとすると全員のお姫様抱っこが終わった頃に
3人が忘れ物を取りに帰ってくるかと思いましたが
夢オチで良かったですね>貴明
では、来週のタマ姉&花梨&優季、更にちゃる&よっちの
お姫様抱っこを期待してますw
つうか、これなら「ある日、階段の前にて」で個別に短編を作れるのでは?w
お疲れ様です。
お姫様抱っこ毎日やったらK1出れそうだ・・・
小牧とタマ姉どっちが重(ry
タマ姉はおっぱいまで筋肉だろうから重そうだな。
811 :
名無しさんだよもん:2006/02/21(火) 21:57:16 ID:BqaYIWVGO
つか体重は順番的にどうなっだだだだだっ!!わ、割れる割れるぅっっっ!!!!
身長165でバスト89とかどう考えても重・・・わ、割れ(ry
身長との割合を考えると奴も怪しいのでアリマ…痛っ、ゲンジマル、やめry
40キロ〜60キロの物体を抱えて階段を何度も下りたのか
タカ棒が腰痛めて夜頑張れなくなったら彼女らが困るだろうに・・・
60キロって、誰だろう…
60`って言ったらやっぱ、たまね……あだだだ割r(ry
うーん60`の人は居ないと思うが。雄二とか?w
草k(ry
よくよく考えたら…
いくのん以外は単に「貴明にお姫様抱っこしてもらう」が目的なんだからわざわざ階段往復する必要は…
…作家さんゴメンナサイorz
まとめ更新乙
>>818 いやいや。
ゆとり教育の犠牲者たる彼女たちにとっては、横並び意識が重要なのだから
最初にお姫様抱っこしてもらった郁乃んと「同じだけ」お姫様抱っこ
してもらうことに意義があるのだ。
実は、るーこだけお姫様抱っこが2度目だなんて知れたら、そりゃもうw
成る程。
ギャルゲーならではの結束力みたいなものを感じますなー(´・ω・`)
これも女心か…
822 :
名無しさんだよもん:2006/02/22(水) 00:55:12 ID:DPVXFETsO
主人公雄二のガチ恋愛長編マダー?
過去にあったじゃないか。
ただ心だけが
跳躍するジャンクション
この二つが雄二長編だな
前に投稿された雄二×たまねぇの続きが見たいな……
すっごい中途半端に投稿されたから続きが気になる俺ガイルorz
>>820 郁乃んと「同じだけ」なら往復しないで行きだけのはずだ。
これじゃあ郁乃んだけ少ないよ。
ジャンクションって・・・DQN丸出しで気分悪くなる
828 :
820:2006/02/22(水) 14:17:47 ID:+jzUys2X0
>>826 し、しまったorz
ということは、来週は「郁乃んのお姫様抱っこ上り編」でOK?w
あと、郁乃んは行きじゃなくて帰り(下り)ですね。
実験的で面白い文体だとは思うんだが…
俺もあの雰囲気が苦手ではじめの方しか読んでないな。
むしろふたなりの続きマダー(AAry
あの人はくまきち物とふたなりSSだけ書いてくれればいいよ
それは無理だろう。
オナニーは基本的に出すまで止めないからな。
前々スレで雄二SSを書きかけで放置してしまっている俺。
導入部だけだったんだがあんま好評ではなかったのでそのまま放置してしまった。
でもよく考えれば導入部だけで好評も何もあったもんじゃないよな。反省反省。
ジャンクションのあの文体はあの厨臭さが良くも悪くも雄二らしくていいと思ったがな。
あれは話に縦線持たせず雄二視点の貴明騒動をダラダラ書いてるほうが面白そうだ。
だから前半部はけっこう素直に楽しめた。オリキャラっぽいのが出てきて読むの止めたけど。
雄二SSは書きやすいんだけどな。ネタじゃなくてマジにするならヒロイン誰にするか悩む。
タマ姉END後のこのみをごっつぁんで頂きとか書くと叩かれまくりそうだ。書かないけど。
833 :
名無しさんだよもん:2006/02/22(水) 17:37:50 ID:oGOK9rq4O
「ただ心だけが」だってオリキャラ&オリ設定が(ry
そのジャンクション更新。
俺は待っていた。長かった……乙!
次回までまた1ヵ月待たないといけないと思うと気が狂いそうだ
THキャラとの絡みイイヨーイイヨー
ささらと志帆、レミィが関わるSSってないんかな?
雄二は厨臭いっつーか、ああいう年代を体現したキャラっていうだけだと思うけどねえ。
上に出てるから例に挙げさせてもらうが、ジャンクションの雄二はかなりイメージが違う。
なんつうか、大人の穿った視線で見た高校生、って感じがするんだよな…。
あれだったら、まだ「ただ心だけが」の雄二の方がイメージに近いよ、個人的には。
穿った視線というのは物事の本質を的確に射抜いた視線という意味になるよな。
835の文脈から判断するに「穿つ」の誤用をしてないか。
あ、すまん。完全に誤用だった。
捻くれた見方って意味で使ってたよ。
2 せんさくする。普通には知られていない所をあばく。微妙な点を言い表す。「−・ったことを言う」
(広辞苑増補二版)
まあ、広辞苑は古いし意外と的はずれなこともあるけど、
「穿った」には、深読みした、とか、重箱の隅をつついた、とかのニュアンスも感じるから、
単純に「本質を射抜いた」と言う意味には、俺は使わないかも。
まとめサイトでな〜んでかネタとその次のSSが一緒くたになってる件について
「或いは此も平穏な日々」のほうにもちゃんと収録されてるもよりだから、
まとめの中の人の単純なミスであろう
貫くという意味もあるから真っ直ぐなイメージがあるね
スバリ言い当てるみたいな感じ?
SSに「テラキモス」とか出てくるとホントさむい
勘弁して欲しい
読まなきゃいいじゃん。
貴公等早う郁乃若しくは瑠璃を穿つSSを上梓せぬか。ほれ。
>839-840
早速直しますた
>>845 まとめの人、いつもありがとう。
どんなSSでも淡々と収録していくその姿勢、素敵です。
>>845 まとめの人、激しく乙です!
おかげで、忙しくて読みそびれたままになったSSなどを
後から読むことができて、とても助かってます^^;
珍しく丸一日書き込みが無い。
変な議論で潰れるよりもマシだろ
「本の読み聞かせ?」
「そうなの。 突然委員会の仕事が入って、
どうしてもいけなくなっちゃって・・・
生徒会の会長さん、厳しい人だからはずすわけにはいかないの。
ごめんね、郁乃。 でも、たかあきくんと一緒だからいいでしょ?」
「あのバカなんかいないほうがいいわよ」
「そうなの?
でも、たかあきくんが来るって聞いてから、話聞く態度に
なってくれたような気がするけど・・・
郁乃、たかあきくんと結構仲いいからそれならOKなのかなって」
「そ、そんなことないわよ。
お姉ちゃんが来ると思って楽しみにしてるあいつがヘコむ
とこが見たいだけ」
「また郁乃ったらそんなこと言って・・・」
「とにかく、予定があるんだから仕方ないわよ。
あたしが代わりに行く。貴明がひとりで行ったりしたら
子供が泣き出すし」
――というような会話が小牧姉妹の間で交わされた結果、近頃愛佳が
市立図書館のボランティアで行っている子供たちへの本の読み
聞かせを郁乃とすることになった。
・・・今回は2人で役を分担することになっていたので、どうしても2人必要なのだ。
それに、俺だけが行っても子供達も微妙だろう。
やっぱり、こういうのは「おねえさん」がいないとダメだ。
いくら郁乃とは言え、子供相手なら少しは気を使うだろうしな。
図書館に着いた。
ここ数年にできたばかりの綺麗な建物。
歴史は浅くても、蔵書はライトな物から難しい専門書までしっかり揃えていて
市民の評判も上々だ。
郁乃の車いすを押してスロープを上がる。
バリアフリーも完璧だ。
「最近はこういうの作って体の不自由な方にも配慮してますって
アピールしなきゃいけないんだから、建物一つ建てるのも大変ね。
作りかけのガンダムみたいなやつの功績かしら」
その恩恵を最大限に受けているくせに、不穏当な軽口を叩く郁乃。
おまえの心のバリアが一番の障害だろうが。
司書のおじさんと軽く打ち合わせをした後、
俺たちは「読み聞かせルーム」に入った。
この企画はこぢんまりとしたもので図書館側は部屋の準備と広報をする程度。
もっとも、本は愛佳が選んでくれているし他には特に準備することもないので
後は読むだけだ。
――子供達が入ってきた。
「こんにちわーっ!!」
「こんにちわですぅ」
「るー!」
元気な子供達だ。
なんか変な挨拶の子もいたが、きっとなんかのアニメで流行っているんだろう。
支援
「なんだあのねーちゃん、車いすに乗ってるぞー」
「きっと、歩くのめんどくさいんですぅ」
「ずりー!」
「ねぇねぇ、なんでお姉ちゃんは足があるのに車いすなんか乗ってるのー?」
早速、子供らしく郁乃が乗っている車いすに反応する。
まあ郁乃だってああ見えて高校生。うまくあしらってくれ・・・
「あんたたちみたいなナマイキなガキを轢いてやるためよ」
「うわー、車女がおそってくるー!」
「こわいですぅ」
「るーっ!」
「・・・おい」
――なにはともあれ、子供達も静まったので読み聞かせを始めることにする。
実は俺たちも本の内容は知らない。
そんなことでいいのかと愛佳に聞いたら、
『もちろん、あらかじめ練習して上手に読んであげるのもいいけど、
読み手もどんな内容か知らない本を読んであげるのも、素直に感動やドキドキが伝わっていいのよ。
ゆっくり、丁寧に読むことを心掛けていればそれで大丈夫。
がんばってね、たかあきくん』
とのことだった。
『わらわはもうダメだ。このまま死んでいくのだ・・・』
『姫。そんなことを言ってはいかん。
お前はきっと良くなる。ほら、元気を出せ』
ある小さな国のお姫様。
彼女は重い不治の病気にかかって絶望していた。
王や后や周りのものが慰めても、未来を諦めているような彼女は
儚い表情をするばかりだった。
姫の病気は重くなる一方で、もはや明日をも知れない命となる。
彼女はもはや何をする気力もなく、ただ死を待っているようだった。
・・・しかし、后が第二子を懐妊したとのニュースを聞くと、姫は急に元気を取り戻した。
『なんと! わらわに弟か妹が生まれるのだな!
うふふ・・・ そうか、わらわに兄弟が・・・』
その日から、姫は毎日少しだが起きて自分の部屋で何か作業を始めた。
周りの者が何をやっているのかと聞いても、
『秘密じゃ。楽しみにしているがよいぞ』
と応えるだけ。
とにもかくにも、皆は王の第二子誕生に姫の回復と嬉しいニュースが重なり喜んでいた。
・・・しかし、第二子の王子が生まれる前に、結局姫は息を引き取ってしまう。
『あれは、生きる希望を持ったからあんなに元気になったのではなかったのか・・・』
なぜ、最後に姫があんなに楽しそうに日々を過ごしていたのか皆は
不思議に思うばかりだった。
だが、王子が5歳の誕生日を迎えた日に、その謎は明らかになる。
姫が一番信頼していた乳母が、王子にプレゼントを持ってきたのだ。
絵本だった。手紙も入っている。
『おとうとかいもうとかわからないけど、こんにちは。
わららは、お前に会うことができないかもしれないけど
わらわはお前のおねえちゃんだ。
ばあやにお前の5歳の誕生日プレゼントを渡しておいた。
絵本じゃ。わらわは体が弱くて外で遊ぶことはできなかったが、
絵を書くのが得意じゃ。だからお前にプレゼントを作っておくことにした。
お前に直接読んであげることができなくて残念じゃが、
ばあやに読んでもらうといい。
おねえちゃんより』
「おしまい」
そう言って締めくくると、静かに聞いていた子供達が感想をしゃべりだす。
「うううぅ、死んじゃったんだ・・・」
「かわいそうですぅ」
「るうー・・・」
泣いている子もいた。でも、わんわん泣いている子はいない。
これはただ悲しいだけのお話じゃない。
想いや希望を未来に伝える美しさが、きっと幾分かは子供達にも伝わったことだろう。
――読み聞かせ会はまずます成功したと言っても良かった。
支援2
「なかなか良かったぞ。お姫様」
郁乃の頭をなでてやる。
「な・・・。 いきなりなにするのよ」
「お前、目に涙いっぱい溜めて読んでたな。
あんなに心をこめて読むなんて、やっぱり愛佳の妹だよな」
「し、集中して読んだから目が疲れて涙が出ただけよ。
ほら・・・あれよ、まだ回復が十分じゃないのよ
それに、何よあの王様。娘が死にそうなのにお盛んなこと」
見え透いた言い訳をしつつ作品に根本的なケチをつける郁乃。
「・・・そりゃ娘が一大事だったら、余計世継ぎとかの問題もあんだろ。
つーか、照れなくてもいいんだぞ。お前の読み聞かせ、上手だった。
子供達も感動してたみたいだし」
なでなで。
「なでるな!!」
「おお、照れちゃって」
「う、うるさいわね! 姉に貴明が私に乗り替えたって言うわよ!」
まったく、そんなことを言い出して。
ま、こいつの扱い方はもう分かってる。
「それもいいかもな。さ、帰るぞ」
真っ赤な顔の郁乃を乗せた車いすを押して、
俺たちは小牧家へ向かった。
以上です。スレ汚し失礼。
支援どうもでした。
乙彼〜
乙〜!
乙!おつ!ぬるぽ!
最後のタカ棒の一言を冗談半分悪戯半分で姉に伝えてプチ修羅場になりそうw
乙〜
たださすがに読み聞かせは語呂悪いし、
素直に紙芝居で良くねと思った。
いや、普通に「読み聞かせ」って使うだろ。
小学校の国語のカリキュラムにも入ってるはずだぞ。
「朗読」ってのも違う気がするしな。
『或いは此も平穏な日々・3』(1/4)
「貴明〜!!」
うららかな日差しが心地よい日曜日の午前十時の駅前。
きっと約束した時間には遅れるだろうと見越しながらも
早めに到着した俺が時間潰しに取り出した携帯でサーフ
ィンしていると、なにやら軽快な駆け足の音が聞こえて
きた。
「貴明、貴明ぃ〜!」
「……って、やっぱり足速いなぁ………」
顔を上げると、ぶんぶん手を振り回しながら歩道を走っ
てくる小柄な少女。頭に二つ、お団子を結った彼女は何
故か一人っきり。
「っはぁ、はぁ………え? な、なんか言ぅた?」
「いや何でも。ところで、えっと………」
「せっかく来てもろうて悪いけど、今日のデートはキャ
ンセルや。瑠璃ちゃんがぁ、熱出してしもてん。」
ということは、ここにいるのは珊瑚ちゃんということに
して良いのかな。
「瑠璃ちゃんが? それじゃ仕方ないよな。」
「ごめんなー? 貴明ー?」
もともと三人でのデートを楽しみにしていたし、増して
や瑠璃ちゃんが病気となれば、それどころではない。う
るうると大きな瞳で下から見上げてくる彼女の髪を優し
く撫でながら代案を持ち出してみる。
『或いは此も平穏な日々・3』(2/4)
「それじゃ、せっかく来たんだし、お見舞いでも……」
「え……ええっ! えええっ!?」
「……って、何か都合わるいの?」
「えっと、えっと……ほら、お見舞いに来てくれるんは
嬉しいけど、貴明にうつしてしもうたらアカンて瑠璃ち
ゃんも言うてるし、ちゃぁんとイル………いっちゃん達
が看病してくれとるから心配せ……いらんよ?」
「そ、そう?」
「うん、大丈夫やー!」
ニコニコと不自然な程に愛想良く笑う顔中に浮かんだ脂
汗の滴については、指摘しないのが優しさというのもだ
ろうと思う。たぶん
「そ、それじゃあウチも帰るな? 瑠璃ちゃんにも宜し
ゅう言うとくから。」
と笑顔を崩さないままジリジリと後ずさる小さな体。
そして十分な間合いを取ったところでクルリとダンサー
みたいな綺麗なターンを決めて一目散に駆け出そうとす
る背中に一言。
「ああ瑠璃ちゃん、ちょっと待って!」
「え? なに? まだ何か話が………………あ。」
しぃーーーーーーーーーーーーーーーーん。
『或いは此も平穏な日々・3』(3/4)
「……………な、ななななななな何言うてんの貴明?
ウチは……」
「少し前に珊瑚ちゃんから電話があってね? 『寝坊し
たのは自分も悪いから怒ってないけど、映画には絶対に
行くから次回をお楽しみに』だって。」
「さ、さんちゃん………が?」
「それで、今日はイルファさん達のメンテナンスをする
そうだから二人で遊んできても良いってさ。とりあえず
一緒にゲーセンでも行かない?」
きっと瑠璃ちゃんにとってはホラー映画鑑賞から逃れる
苦肉の策だったんだろうけど、珊瑚ちゃんは妙な勘違い
をして『瑠璃ちゃん、貴明と二人でラブラブしたいんや
ったら素直に言うたらええのに、恥ずかしがり屋さんや
なー♪』と受話器の向こうでイルファさん達と笑ってい
た。
「た、たた………」
「ん?」
一方、目の前の瑠璃ちゃんの方はというと、顔中から血
の気が引いていって真っ青になったかと思うと、次の瞬
間には黄色へ、赤へと信号機のように次々と顔色を変化
させてゆき、やがて………
『或いは此も平穏な日々・3』(4/4)
「貴明の、アホぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぐほっ!?」
その体格からは想像できない様な強烈な右ストレートを
全身のバネを生かして俺の腹に叩き込んでくれる。とは
言っても予想の範囲内であり腹筋を張っていたので、さ
ほど痛くはなかったが。
「女の子を騙そうとするやなんて最低や! 貴明の嘘つ
きっ、変態っ、すけこましぃっ!!」
よろける俺を尻目に去ってゆく背中。瑠璃ちゃん、相変
わらず手も口も情け容赦ないよな。というか男の子を騙
そうとするのはアリなのか?
「………んでや!」
と、数歩進んだところで立ち止まって振り向く。
「ウチ、慌ててたからお財布、持ってへんもん! 今日
は全部、ぜぇ〜んぶ貴明の奢りやもん!!」
「あ………ああ!」
「せやから早よ来ぃや! た、貴明がおらんと何も出来
へんやろ!」
そんな瑠璃ちゃんの怒ったように照れたように頬を染め
た様子が愛しいと思えた日曜だった。
ま、姫百合姉妹ならメイドロボとも繋がるということで……(汗
>>554 層化工作員乙
棄権するくらいなら共産にでも入れとけ。
誤爆か?
それ以前に髪の色でバレバレじゃん、とか思った俺は汚れてますね。
髪の色もそうだけど声質でもバレそうな気がしないでも
匂いで直ぐに分かる。
瑠璃は料理のニオイが染み付いている。
_
. ´ , `ヽ
.ノ .八从リリ < 携帯でサーフィンしてみますた
. `ヽ!. ゚ー゚ノ
⊂` :'.⊃ /\ ◯
. | ⊥| //.\\ . /
. | ヽ / \\/
/// //
/ \ //
. / ○ \.//
/ .○ ○ /
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
876 :
875:2006/02/25(土) 18:54:51 ID:eV1Cqzuw0
>869
誰もフォローがないので、仕方なく俺が一言
この話は、バレバレなところがミソなのは明らかですから、
>872-4 は、ツッコミ待ちなのだと思います。
個人的には、「ネットサーフィン」って死語だと思っていましたが、
そうでもないんですか? メインのweb端末が携帯っていう世代のことはよくわからないです
中年ヲタオヤジなので。
梅雨にしては珍しく晴れた日、赤みを帯びた太陽の光が長い影をつくりだしていた。
ミルファは洗濯物を片付けながら物思いにふけていたが、やがて覚悟を決めると居間に向って行った。
「姉さん、洗濯物は片付けたよ」
「ご苦労様、シルファちゃんがお買い物から帰ってくるまでゆっくりしてて」
居間のソファに座り、料理の本を熱心に見入っている姉の姿を見て、どうしても確認したいことがある。
それは、今朝家を出る珊瑚がこっそりと耳打ちした一言。
「いっちゃん、貴明のないしょ(秘密)しっとるで〜」
平静を装いながら、姉の向かいのソファに腰掛ける。
「ねぇ、姉さんから見て貴明ってどんな感じ?」
「ミルファちゃん、貴明様でしょ、いいかげん直しなさい。でも、どうしたの急に?」
「だって、貴明ったら全然ボクの相手をしてくれないんだよ」
「貴明様…でしょ。それは、いきなりあのようなはしたない事しようとするからです」
「だってー、せっかく胸も大きくしてもらったのに…」
下から揉み上げるように両手で胸を持ち上げる。自己主張するように持ち上げられた胸が、
メイド服のボタンでせき止められる。手を離すと重力に逆らっていた胸がユサリと揺れる。
妹のその残念無念の表情に呆れながらもイルファはしばらく考えると
「そうねぇ…。やさしくて、頼りがいがあって、メイドロボだからと言って分け隔てない。
それに…」
何かを思い出したらしく、みるみる頬を染める姉を見てミルファはいぶかしげに話を続けさせる
「それに?」
「な、なんでもない、なんでもない」
「それに、それに?姉さん、なに?教えてよー」
「なんでもありません。さ、この話題は終わりにして、晩御飯の用意をしますね」
話を急に切り上げようとするあやしさ大爆発の姉に対して、最後の手段と
「じゃあ姉さん、記憶見させてくれる?」
ゴソゴソとポケットをさぐると、右手に握ったデータリンクケーブルを姉の鼻先に突き出す。
「そんな、プライベートな事だめに決まってます。どうしたの?」
「ちょっとだけ、どーしても気になることがあるんだよ。ちょっとだけだから」
最初は軽い口論だったのだが、痺れを切らしたミルファが実力行使に出てしまい、見せて見せないと
居間のソファを中心にぐるぐる回りはじめた。
しばらく回っていたが埒があかないとばかりにミルファが軌道修正し、姉の前に立つと姉の肩に手を伸ばす。
イルファは自分を捕まえようとした妹の手首をつかむと、流す・崩す・投げる、流れる動作で空中に
放り投げた。
ミルファの体は空中を一回転して背中から床に激突。
まさか投げ技を使われるとは思っていなかったのか、あっけに取られていた表情はすぐさま大胆不敵な
笑みに変っていく。
(ここまで嫌がるなんて、やっぱり珊瑚様の言葉通りだね)
確信する。
「さすが姉さん、『技のイルファ』の名は伊達じゃないね。でも、ボクも『力のミルファ』と
呼ばれたメイドロボ…」
むくりと起き上がると一人用のソファに手を置き、メキッと指を食い込ませ軽々と持ち上げ、姉に
向って放り投げた。
「姉さんパス」
あわてて、受け止める姉の背後に回りこむと
「捕まえたー」
と抱きかかえる。
だが、抱えることができたのは姉が高速で飛び上がったときの風の残像だけだった。
舌打ちして残念がるミルファを残し、イルファは空中で半ひねりすると床に着地し、
すかさず妹との距離を取る。
ゆっくりとミルファに顔を向けた姉の瞳には映りこんだ光が小刻みにゆれている。
センサーの情報量を増大させ間合いを測ってる。
「本気なんだね」
ミルファは両手を大きく広げイルファに向ってにじり寄ってくる。ミルファの背後に炎の闘気が立ち上る。
その炎の中から巨大な熊のぬいぐるみがミルファと同じように両手を広げイルファを威圧してきた。
それを受け、イルファの後ろに氷の闘気が吹きすさぶ。中から巨大なペンギンのぬいぐるみが姿を現すと
威圧する気を受け流す。
均衡はイルファが破った。ふぅ、と大きくため息をつくと、伏せ目がちに妹をちらりと見る。
昔から一度言い出したらきかない妹の性格を考えると、部屋が残骸の跡になるのは必至だった。
「怒らない?」
「えっ?」
「だから、話しても良いけれど怒らないかって聞いてるんです」
「怒らないよ…たぶん」
「本当に?」
「しつこいなぁ、怒らないてば!」
十分怒ってる妹を見つめ、もう一度ため息をした後にぼそっと、
「抱きしめられちゃいました」と。
ピクッと、頬の筋肉がつりあがったミルファだったが、がまんがまん。
「そ、それだけ?」
声が上ずってきてる。
「それに、見られちゃった…」
ピクピク、
「な、何を?」
「トイレに入っていたら、いきなり貴明さんが入ってきて、わたしの…」
両手を頬に当て真っ赤になりながら、きゃーはずかしーと身もだえする姉をぶん殴ってやろうかとの
思いをこらえ、
「そ、それだけなの?他にない?」
と、もはや完全に裏返った声で聞き直す。ないないと両手を振る姉。
ミルファはしばらく考えるようなしぐさをしてから
「なんだ、そんなことか…」
と肩をすくめると姉に背を向ける。
イルファは安心すると、とりあえず雰囲気が悪くなった居間の外に出ようと出口に向う。
半眼のミルファは背後から近づく無防備な姉が間合いに入ると、床体操のように身を投げ出す。
さらに両手を支点に体を回転させながら両足で姉の体をはさむと床に転ばかし、すかさずその上に乗る。
捕まえる・転ばす・固める、ミルファの得意技。
「あまいよ姉さん。それだけじゃないことくらい、見抜けないと思ったの?」
肉食獣が獲物の草食動物にいただきますと言うような雰囲気。
ミルファは姉に馬乗りになると、自分の右耳カバーを開きケーブルの端をコネクタに接続、
もう片側を姉の左耳カバーに接続しようとした。
「やめて、やめて」両手をぶんぶん振って必死に抵抗しようとする姉の手を器用にひざで押さえ込むと
(ぶっとい注射器を構えて『はーい、痛くないですよー』と笑顔で子供をあやしながらも、目だけマジ!
な看護師のごとく)
「だーめ」
と言いながら迫る。そして姉のコネクタにケーブルを接続すると、目をつぶり早速アクセスを開始。
が、記憶映像が上手く出てこない。砂嵐のようなノイズの映像が送られてくる。
「あれっ、む、防御障壁か、こしゃくな」
メイドロボのプログラムや記憶は防御障壁によって、自由に操作できなくなっている。
防御障壁を破るには、それなりの知識や技術が必要であるがミルファの能力は高くない。
あれこれと、試してみるが姉の防御の方が上らしく上手くいかない。
どうしようかと思案していると、玄関のチャイムが訪問者を告げる。
「ほ、ほらお客様ですよ」
「新聞の勧誘か何かだよ、居留守決定」
「あう」
あっさりと無視を決め込む。
再びチャイムが鳴るがそれも無視していると、玄関のドアが開き誰か入ってきたのを感じた。
むむ、不審者?と身構えていると、それは買い物袋を抱えた妹のシルファだった。
シルファは母である珊瑚の手伝いをしたいらしく、独学でロボット・情報処理・人工知能などを
勉強している。チャイムを鳴らしても姉達が開けてくれないので家のセキュリティに入り込み
電子ロックを外して入ってきたらしい。
居間で二人の姉を見つけ馬乗りでケーブルを接続している様子から事情を認識する。
「シルファちゃん、助けて!」
「シルファ、手伝って!」
捕らえられた天使と、捕らえた悪魔の両方から誘いの声。どうしようとシルファが躊躇していると
悪魔の方から
「珊瑚様のお宝映像があるかもよー」
と、人質を取った凶悪犯のごとく取引条件を提示される。
シルファの右手には、データリンクケーブルが握られていた。
シルファはイルファの左隣にちょこんと座ると、
ケーブルの接続をイルファとミルファの間に入り中継点になるように接続する。
こうすることによって、自分が防御障壁を破った映像をミルファに流せれるようになる。
「でも、ミルファ姉さん、記憶データと言ってもかなりあるよ、どうするの?」
「うーん、片っ端からみてみるしかないのかー。姉さんがこのうちに来た4月28日から
昨日までの範囲で、めぼしいものを検索してみて」
大雑把に指示をだす。シルファが検索を開始する。が、しばらくして
「やっぱり時間かかるよ、映像を飛ばしすぎると良くわからなくなるし…」
イルファは妹たちのやりとりに、わずかの希望を見出し、早く帰って来て瑠璃様と祈る。
瑠璃様なら、瑠璃様ならきっとなんとかしてくれる。でも珊瑚様だけだったりしたら…。
シルファが何か思いついたらしくミルファに提案する
「あ、インデックス(見出し)情報を検索してみようか?ちょっと待ってね」
メイドロボは膨大な記憶データから、必要な情報を素早く取り出せるようにする機能を持っている。
もし、重要な記憶ならここに情報が登録されてるはず。姉の情報を覗いてみてため息がでる。
「すごい、インデックス情報だけでも6万超えてる。料理や洗濯、お店の情報、あと瑠璃様の
データがいっぱい…だね」
「何かめぼしそうなのない?」
「うーんと、あれ、これって…」
しばらくの間シルファは自分が捕らえれた情報を何度も確認する。なにやら、信じられない様子で
無言のままでいる。
「あー、きっとそれだよ、おっけ、それできまり。で、何?」
痺れを切らせてミルファが説明を要求する。
「5月2日午後9時12分にインデックスがあるの。リピート再生(思い出してる)の回数は
17回、最新は昨日の午後3時21分ね」
「昨日の午後3時21分と言ったら、ボクとシルファが買い物に出てた時間だよね。姉さん、
一人で何を再生していたのかなぁ」
ふふふ、覚悟は良いかと、ミルファは邪悪な笑みを浮かべる。
支援
イルファは隠していたことが見つかり泣きそうになった。
かくれんぼで鬼に見つかった子供のようだが、今の妹は鬼より怖い。
「ささ、いってみよー」
ミルファが期待にまさしく胸躍らせて催促する。
記憶映像には、貴明が写っていた。ぐったりしてる?あ、起きた。瑠璃様が謝ってる。瑠璃様が貴明に
何かして、倒れてたのから目がさめたと。ふむふむと、状況判断に努る。
『そや、ええこと思いついた〜!!』
珊瑚様がこっちに来る。そして今はイルファの自分に向って耳打ちする…。
『わかりました。では、さっそく準備いたします』
自分がそう答える。
(って待て待て!、準備するって、準備だよね、準備したってことは、やっぱり準備するって事だよね)
とパニック。自分の体がお風呂場に向う。お風呂に湯を入れながらも、なにやら目線がうろうろしてる
のがわかる。
場面が動き、貴明を正面に捉えお風呂の準備ができたことを告げてる。慌てる貴明。
(うんうん、そうだよね)
『さあ貴明さん、お風呂場でお洋服を脱ぎ脱ぎしましょうね(はぁと)』
『貴明さんには、特別に私のすべてもごらんになっていただきますね』
(言った!確かに言った!言いやがった!)
「ねぇぇぇぇぇさぁぁぁぁんんんん」
地獄から這い上がってくる声を聞きたかったら、今ならここでサンプルボイスが聞ける。
とばかりにミルファは声をしぼり出す。さらに場面は続く。
「ボクが貴明を脱がそうとしたら『そんなはしたない真似はおやめなさい』って、止めたくせにー」
「そ、それはプログラムのバグで…」
「あー、下着も脱がしたー」
「セ、センサーが故障してたのよ…。だいたい、ミルファちゃんのは、脱がすじゃなくて、
引っぱがすだったでしょうに」
必死に言い訳をする姉を
(プログラムのバグやセンサーが故障してたら、ボクまでもおかしいことになるだろうが)
と言う瞳で、じっと見下ろした。
湯気が見える。その先に男性がいる。よく知ってる。いとおしくて、大好きで、ずっとそばに
いたいのに、でも遠い存在。なのに、なのに、なのに、今はこんなに近い。しかも全裸で!
「シルファ!姉さんのセンサー情報を私の体にも中継して!」
「いいの?あ、でも…それやると、私にも流れてきちゃう」
「や・る・の」
ミルファの背後から、闘気でできた熊のヌイグルミの手がにょっきり出てくる。
ちょっとの間躊躇していたが、シルファがセンサーの情報を中継しだした。
「「ひゃう」」
思わず声が漏れる。映像では貴明の背中のそばで上下しているだけなのに。
胸の先端、乳首のところに、貴明の肉を感じる。こすり上げる。乳首が抵抗を感じる。貴明の背中。
健康骨のでっぱりに乳首が引っかかり抵抗を増す。
気持ちよくないですか?と姉さんの記憶の中で自分が聞く。
(気持ちよくないの?ボクは、ボクはこんなに…。一生懸命、体を上下させる。
気持ちよくなって、気持ちよくなって、一緒に気持ちよくなって、貴明)
姉の上に乗ってるのも忘れて、ミルファは体を上下させる。メイド服の下の胸がたゆんたゆんと揺れる。
隣のシルファは、珊瑚様もスキンシップに参加した時点で、暴走気味になってきていた。
珊瑚様の甘い吐息。赤みのかかった頬。潤んだ瞳。
自分の視点では貴明をはさんで反対側で、珊瑚様の体が上下してる。
やがて上下していた映像が止まる。
そして右手に感じられたのは、熱くて固い肉の感触。それをなでまわす感触が伝わってくる。
(あ、貴明が逃げる。コラ逃げるな!)
後を追おうとすると、視点が一気にさがり…。
舌のセンサーは特に精密に感じることができる。
記憶の中の自分は、夢中で肉の棒を舐めまわす。下から上に何度も磨き上げるように上下してる。
そう思うと、唇や歯茎のセンサーが反応したりしている。
イルファが舐め上げるだけでなく、吸ったり軽く噛んだりして多彩な刺激を与えてるのがわかる。
(もう姉さんたら、このテクニックは覚えとこ。あっ、貴明と何か駆け引きをやってる。
ふむふむ、ここ(裏筋)が弱いのか勉強になるなぁ。あ、汁が出てきた。
自分が大きく口を開けて全体をくわえ込むのがわかる。口の中で、舌で、歯で、粘膜で刺激してる。
貴明の欲望がさらに大きくたくましくなるのを感じる。気持ちよくなってくれてる)
ミルファは溜まってきた唾液を気にもせず、架空の空間に浮かぶ貴明を舐め続ける。
よだれが糸を引きながら垂れていく。映像では珊瑚様が参戦。可愛い唇と舌で貴明の肉棒を舐めてる。
さらに視点が動くと映像は瑠璃様を捉えていた。
(なにやら股をモジモジさせてるのが可愛い。手を取り一回転。選手交代。
瑠璃様と珊瑚様が貴明の股間に仲良く並んで顔を埋めている。子犬が母犬のおっぱいを吸ってるみたい。
あ、なにやら取り合いに。それボクのものだから壊さないでね。
二人の動きが激しくなってきた。貴明の息も激しくなってきてる。いよいよかな。
って、姉さんこの角度じゃ見えない。こらカメラマンちゃんと撮影しろ)
ビクと貴明の体が硬直すると、珊瑚様と瑠璃様の顔が白い汁で染まっていく。
瑠璃様がすくって口に含む。珊瑚様は貴明の糸を引いて垂れてるのを先端から清め始めてる。
次はどうするのかな?とミルファが思っていると、信じれない体験が飛び込んでくる。
記憶の中で自分の手を貴明が引っ張る。
そして顔が近づいて、過去の姉の唇に貴明の唇がふれたのが伝わってきた。
(…いままでの事は姉さんが自分からやったこと。でも今のは違う。貴明が姉さんを求めたんだ。
姉さんの心拍が急上昇し、体温センサーもレッドゾーンに突入しそうになる。なによりも、
女としての機能がそれを喜んでいるのがわかる)
『俺としようか、イルファさん…』
『そ、そんな…お戯れはおよしください貴明さん』
(なにがお戯れだよ。お風呂場に入ったときから、期待していたくせに。貴明を受け入れるために
ここを湿らせておいてさ)
馬乗りで下になってる姉のスカートをめくり上げ、秘部に指を這わすと指に愛液がまとわりつく。
そのまま擦り上げてるとどんどん溢れてくるのがわかる。
イルファは恥ずかしさのあまり妹の顔をまともに見れず、されるがまま。
「姉さん、ここ、こんなになってるよ?」
と、姉に向って糸を引く恥汁を見せる。
『練習なんてできない。本気でするよ?』
『わかりました、貴明さん。本気で私のことを愛してくださいまし。私も貴明さんを本気で愛します』
(貴明の本気という言葉が、姉さんの心を射抜きボクの心には風穴を開ける。
姉さんの愛しますという言葉が、ボク達姉妹の関係に亀裂を入れる)
ミルファは体の反応が喜べば喜ぶほど、苦しい思いも募らせていった。
でも、そんな思いには関係なく肉体の疼きは次への行為を期待させる。
貴明の肉棒が膣の肉襞をいっせいに押し広げて入ってくる。
『あううっ!!』
姉さんの喘ぐ声が聞こえてくる。
(大きい、こんなにもいっぱいになるなんて)
貴明の分身をじっくり感じる間もなく、引き抜かれまた押し込まれるを繰り返される。
(気持ちいい、とっても…)
意識が半分飛びそうになるも、膣のセンサーから拾ってくる情報からいろんな事が伝わってくる。
意識の半分で、情報を分析しちゃうのがロボットの性なんだろうか?
貴明の先端が肉襞を擦り上げるとき、場所がいろいろと変化してる。
(きっと、姉さんが挿入時に腰の角度をいろいろと変えてるから。
それと、膣の圧力を輪切り状に強弱をつけ、子宮口に向けて波が移動するように動かしている。
これで、貴明の欲望を刺激し、絞り上げ、搾り取ろうとするなんて。ちょっと練習)
下にいる姉に気兼ねなく、腰を振り始める。溢れた愛液は下着を決壊し姉のエプロンにも染みを
作っていった。
イルファはあまりに激しく腰を振る妹に、わたしもあんなにはしたなく腰を振っていたのかと思うと
羞恥心で顔を真っ赤になる。
シルファはスカートの中に手をいれモジモジと何かしていたが、意を決するとイルファの手をとり
自分の蜜を溢れ出してる壷に姉の指を押し入れる。
「イルファ姉さん、中の動きはこれ、で、良いの?」
勉強熱心なのはいいが、意外と大胆に直接指導を申し込む。
イルファは押し込まれた指を膣壁にそって動かしながら、もう少し強弱が欲しいとアドバイスしてる。
「もう、姉さんたら、テクニシャンなんだから…、ご褒美あげるね」
と、ミルファは濡れ濡れの姉の淫穴に指をニ本ねじ込む。すぐに肉襞が絡みつき締め上げてくる。
その間も、貴明からの肉棒による杭打ちのような刺激が続いていた。
『もしかして夜専用のメイドロボだったりして』
貴明の言葉にミルファは腹をを立てる。
(そうか、そうか、それなら日没から夜明けまで相手してやる!だいたい、貴明が悪いんじゃないか、
全部、全部、貴明がボクを愛してくれないから、好きって言ってくれないから、ココロが不安に
染まっちゃうんじゃないか!悔し涙は出ないかわりに、この怒りは全部、貴明にぶつけてやる!)
疑似体験ももう終わりが近い。膣の中で固さを増し、一段と膨張した貴明の肉棒がはげしくセンサーを叩く。
「あっ、あああああーっ!!」
(気持ちよすぎて、飛んじゃいそ…)
やがて、放出された精液が流れ込んでくるのがわかる。貴明の子種を子宮の所で受け止めると、
肉襞にはあふれ出る熱い汁の感触。最後の仕上げとばかりに、膣の肉襞を総動員してむしゃぶりつく。
女の本能で一滴でも逃さないように。
ミルファは意識が半分飛びながらも、なんとか意地でこれだけは言った。
「姉さんだけ、ずるい」
一息いれてようやくイルファは開放された。
映像はまだまだ続いていたが、これ以上はミルファにとっては意味のないことだったので中断。
冷却された頭で肝心なことを思い出だすと、
「ところで姉さん、ボクとっても怒ってるんだけど」
「…ごめんなさい」
「本当に反省してるなら、それを行動で示していただきたいんだけど?」
しょげてる姉に向って両手を高く上げ、ミルファは宣言する。
「ボクも、貴明とせっくす、するーーーーー。だから手伝って!」
直球一本。目線をそらす姉の両肩をがっしり掴むと
「姉さん。このうちお金ならあるよ。
でも姉さんがどうしてもお金を稼ぎたくて、夜専門のメイド喫茶嬢になるなら止めない」
目をカッと見開き、鼻息も荒く姉に迫る。売り飛ばす気満々。さらには
「ひどい…、姉に好きな人を寝取られて、ハートブレイクな妹が、姉を簀巻きにして、夜専門のメイド
喫茶に売り飛ばすのを、涙をこらえてぐっと我慢し、ほんのささやかなお願いをしているのに、それを
聞けないというのね」
よよよ、と芝居掛かった声で追い詰め、しぶしぶと了承させた。
「姉さんが1回したから、ボク2回ね」
そっと、シルファが指を3本立てたのを、無言でその指を折り戻す。
「そんな、私だってしてみたいのに…」
「私も、ひさしぶりに…」
「姉さんが2回目するなら、ボク3回するよ?」
懲りずに4本指を立てたシルファに向って
「これ(人差し指)は貴明、これ(中指)これ(薬指)これ(小指)は珊瑚様としなさい、あげるから」
すでにもの扱い。それも良いかもと、シルファは倒錯の世界へ。
「でも、貴明さんそんなにできるかしら」
「スッポンでも食べさすとかさー。だって、何あの『夜専用メイドロボ』呼ばわり。おしおきが必要だね」
うんうん、と同意する二人。
あれこれと相談する姿は中の良い姉妹ではあるが、中身は宴に出された生贄をどう料理するか
思案している魔女そのもの。
その危険な会議を不意に鳴った玄関のチャイムが中断させた。
しまった、珊瑚様と瑠璃様の帰宅時間はとっくに過ぎてると、三人。
あたふたと、愛液でぐっしょりになった、エプロンや下着を着替えに走る。
ちょっと遅れて姉の後ろ姿を追いかけながらミルファはふと思う
(ありがとう姉さん、でもごめんは言わないよ)
「さんちゃん何か臭わへん?」
居間に入ってきた瑠璃は、鼻をくすぐる微妙な臭いを感じたらしく、鼻をクンクンと鳴らす。
愛液に含まれている香料が部屋に漂っていた。
原因の元の三人はばれませんようにとうつむいている。
珊瑚は三人を見回すと急に何かに気付いたらしく、ポンと手を打つとニコニコしながら居間から出て
行こうとする。
「さんちゃんどこ行くん?」
「電話〜」
と電話のある玄関に消えていった。
しばらくすると電話がつながったらしく会話する声が居間まで聞こえてきた
「でな、貴明…」
その名が聞こえると三人ともドキッと心拍がはやくなるのを感じる。
電話を終えたらしく、再び居間に顔をのぞかせた珊瑚は貴明が夕食に来ることを告げた。
三人がわれ先に夕食を作ると言い出すのをニコニコしながら見送ると瑠璃を伴って着替えに向った。
夕食もほぼ準備し終えたころ、玄関に来客を告げるチャイムが鳴った。
三人のメイドロボはいっせいに背筋をぴんと伸ばすように反応すると、またもやわれ先にと玄関に殺到する。
「「「いらっしゃいませ、貴明様」」」
三人の声が重なる。不意な出迎えに貴明が少し面食らっていると、姉妹の背後から
「貴明もうすぐご飯やで〜、はよう上がって〜」
と呼びながら珊瑚が姿を現した。
ミルファは貴明の手を引っ張ると、自慢の料理へと引きづっていこうとし、イルファも同じく貴明の手を
引っ張っていく。
その後を珊瑚が付いて行こうとすると不意にシルファが呼び止めた。
確認しなければならないことがある。
「あ、あの母様」
珊瑚は振り返らずにその場に立ち止まった。シルファが言いよどんでいると
「見たんやろ三人であれ?」
「で、ではやはりあれは母様が」
珊瑚の言葉にやはりと確信した。
イルファのメモリを覗いた時に発見したインデックスには堂々と「イルファのお宝映像(はぁと)」と
書かれていた。おまけにコメント欄には「しっちゃん、よくできました、みっちゃんとみてや」である。
ただ、それを当のイルファに発見されることなく情報を隠しこめることができるのは珊瑚しかいない。
でも何故?確信は新たな疑問を呼ぶ。その疑問に
「いっちゃんずるっこやねん。じぶんは貴明とらぶらぶしたのにみっちゃん邪魔するねん。
ひとりじめかっこわるい。ちゃんとわけたげな。だから…」
と、超平等恋愛理論を展開する。どうやらイルファは宇宙の法則に反したようだ。
「しっちゃんもしたない貴明と?ん?んん?」
くるりと向きを変え珊瑚はシルファの顔を覗き込む。
「そ、それはその…」
顔を真っ赤にするシルファにニコニコしながら
「み〜んな、らぶらぶなんやから当然や〜。じゃ、みんなで食べよな、た・か・あ・き」
「はい」
二人は他の魔女の待つ食卓に向って行った。宴はこれからだ。
おしまい
あとがき
はじめまして。初投稿者です。「とりあえず投稿しろ、話はそれからだ」というわけで投稿してみました。
SSという物自体はじめて書くのでドキドキものです。読んでくださった方には感謝いたします。
さて作品ですが、とりあえずミルファ主役です。他のSSを読むと、みんな可愛く書いてるなぁと感心
するのに、私が書くと姉をてごめにするは、売り飛ばそうとするはで、凶暴娘になってしまいました。
ファンの方ごめんなさい。一人称は「ボク」だし。
チラシの裏
書いていて、タイトルと内容が二転三転していきました。タイトルって難しいですね。
「イルファさんはテクニシャン」最初はイルファの一人エッチでした
「お姉さんはテクニシャン」 ミルファが姉のエッチを視姦するのが加わり
「その妹、凶暴につき」 ミルファが姉のエッチを強要しちゃった?ので、
「三姉妹の淫技授業」 シルファが加わり、エッチなテクを教えてもらう、フランス書院みたい?
「宴」 珊瑚と瑠璃が加わって
で、結局三番目になりました。
チラシの裏終わり
それと、支援してくださった方、ありがとうです。誰も見てないうちに、こっそりとUPするつもりだったので、
いきなり、「支援」の文字が見えてびっくりしました。
>891
SS初投稿ですかーGJ
ありえる話で楽しく読めました
また載せて下さいね
>891
エロ面白い。データリンクがある(言われてみればあって当然か)となると
貴明は三姉妹の誰かにしちゃったことは全員にする羽目になりそうだな
エロイ!
うむエロいですな
あと個人的な趣味で言わせてもらえば『ボク』のミルファが好き
ボク少女好きなんで
でも大衆受けしないだろうな
俺もボクっ娘は大好きだw(二次元限定)
後、熊とペンギンの闘気ワラタ
ただ、外部からの強制リンクは不可能の様な気がする。
イリーガル発生時のために、強制接続の手段は用意してある筈。
最低でも珊瑚たち研究者は見られるようになってないと、エラーの原因究明が出来ない。
>>891 乙でした&GJ。
初投稿とは思えないくらい上手かったですよ。
イルファの記憶を見ているミルファが興奮しだすあたりの描写、すごく巧いですな。
そのほかはわかりにくいとこも無駄なとこもあるけど、そんなのはいくらでも直せるわけで、
端倪すべからざる書き手が現れたなって感じ。
>>891 グッジョブです。
「ボク」ミルファも可愛いし、なんと言ってもシルファの味付けがいい!ハァハァ…
どうやら、期待のルーキーが現れたようだなw
仮面ライダーMと見てたら三次元ボクっ子も悪くないと思った
ボク女は殴りたい衝動に駆られる。
メイドロボって感覚に対するセンサーの信号を保存しておくとリプレイとか可能なんだろうな。
イルファの一人エッチってそのリプレイによる快感プラス自分の手による快感で
さぞすごいものだろうね。
中学時代、クラスにリアル僕女が数名いたのだが、ことごとく腐女子だった('A`)
もう10年以上昔の話だ
朝、日の光が俺を照らし、目を覚ます。
同時にその日のあがり具合を見て、慌てて時計を見ると【12:32】と示していた。
慌ててベッドから飛び降りて部屋をでる。
いつもささらが起こしてくれていたから、アラームセットすっかり忘れていた…。
く、今日という日に寝過ごすとは…俺ってどうゆう神経してるんだよ…。
自分で自分を呪うと同時に、気持ちが焦る。
俺はリビング、ささらの部屋、その他を探すもささらの姿を見つける事は出来なかった。
どこかにでかけた可能性が高いな……
そう判断した俺葉、急いで着替えて家を出る。
そして、扉を出てすぐに、門の辺りに人が立っているのに気づく。
その人は、ささら――――ではなく…
「まーりゃん先輩…」
まーりゃん先輩は、俺が来たのを確認するは否や歩み寄って来る。
その顔にいつものような雰囲気は一切なかった。
「さーりゃん…今朝早く出かけていった。やっぱりしでかしたね…。
昨日あの調子だったから、さーりゃん絶対何かしでかすとは思ってた。
今回はたかりゃんがさーりゃん悲しませたわけじゃない。さーりゃんが一人で
だだこねてるだけ。だから、たかりゃんはかまう必要はないよ」
俺はその言葉を聞いて、「ふざけるな!」と、怒鳴りつけそうになるのを抑えて、
だが若干怒鳴り気味に言った。
「誰が悲しませた、とかじゃない!俺はささらに悲しんで欲しくないんだ!!
いつも喜んで…笑顔でいてもらいたいんだ!!」
そう言った後、俺はまーりゃん先輩に何気なく問いかける。
「まーりゃん先輩。俺って、宝くじにあたっただけなんでしょうかね?」
その言葉に、いぶかしげな顔をするまーりゃん先輩。
「たかりゃん、何言ってるのかバカチンなあたしのも分かるように言ってくれる?」
「俺、雄二に言われたんです。『おまえは宝くじにあたっただけだったんだって。
あのとき、あそこにいたのは誰でもよかったんだ。おまえじゃなくたって、おまえと
おなじことができれば誰でもよかったんだろうさ』って」
俺は、宝探しの日のことをまーりゃん先輩に言う。
「俺、そのときからずっと心の中で『雄二の言うとおりだ』っていう気持ちと
『俺以外じゃだめだ』っていう気持ちが、葛藤してる―――」
「たかりゃん…」
「でも―――それも今日で終止符を打つことにします。
ささらを見つけ出せなければ、俺は宝くじがあたっただけだった。
ささらを見つけ出せれば―――俺以外はささらの特別にふさわしくない!!」
そう言って、俺はまーりゃん先輩の方さえ見向きもせず、走り出した。
「自分で問いかけてきながら、自分で答えをだすなら、あたしに聞く必要ないじゃん…」
「たかりゃん…彼女の…さーりゃんの領域に踏み込めるのは―――もうたかりゃんだけだよ…」
「あ…しまった…。さーりゃんがどこにいるか伝えてない…」
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
いつもの商店街…一緒に雪だるまを作った公園…ささらに贈るはずだった
プレゼントを買ったアクセサリー店…。どこにもいない…。
くそ…やっぱり俺は宝くじにあたっただけだったのか…?
――あの時の雄二の言うとおりだったのか…?
俺は、2日間降り積もった雪で何度も転びそうになりながら、走り続け、
ふと気付くと、ささらの家の前にいた。
まさか、ここにいるなんてことは…。でも、可能性はある!
俺は、家の中を隅々まで探し回る。しかし、ささらの姿をみつけることはできなかった。
もうだめか…?―――否…そんなことはない。絶対に大丈夫…。
でも、どこだ…もしかして、すれ違いになったりしたのかも…。
そう思い、俺はもう一度走ろうとしたときに、俺の前に人が立ちふさがった。
ささら――――かと、思ったが今回もまた、まーりゃん先輩だった。
まーりゃん先輩は先ほどは全く違う雰囲気で俺にむかって言い放った。
「たかりゃんにバトンタッチしてよかったよ。あたしはやっぱりもう用済みだね。
たかりゃん…さーりゃんがどこにいるか、あたし知ってる。実は、さーりゃんの
後をつけていってたんだ…。さっき教えてあげようと思ったんだけど、たかりゃん
走って言っちゃったから…」
まーりゃん先輩は力なく笑う。
「追いかければよかったんだと思う。だけど、不覚にもたかりゃんの言葉に
色々考えさせられちゃってね」
俺はささらが見つからないもどかしさも募り、まーりゃん先輩に怒鳴りつける。
「知っていたならなんで会ってすぐ教えてくれなかったんですか!!」
まーりゃん先輩は、ごめん…といいながら、急に大人びた雰囲気を見せた。
「でも、昨日のたかりゃん…さーりゃんがどこかにいっちゃった、って聞いたら…
さーりゃんを傷つけるの恐れて、逃げるように日本に帰るかもしれないって思った。
そんなたかりゃんだったら、教えないほうがいい―――。
もし、そんなたかりゃんがさーりゃんのところにいっても―――。
きっと…結局はさーりゃん傷つけるだけだから―――。
だから最初、教えないでいようと思ったの。
だけど、たかりゃんは必死にさがしてた。さーりゃん、探してくれた…。
ごめん、疑ったりして。やっぱりたかりゃんのさーりゃんへの思いは永遠なんだね」
そこで、まーりゃん先輩は一息入れる。気合を入れているようにも見えた。
「本題に入るよ。さーりゃんが居る場所は―――」
「先輩。俺…たった今…わかりました…」
俺は、まーりゃん先輩の言葉を遮って言った。
どうして俺は気付かなかったんだ…。そうだ…そうだ…そうだ…!
ささらならきっとあそこにいる…!!
「先輩、ありがとうございます!時間がないんでもういきます。
わざわざ、ありがとうございました!」
「まった、たかりゃん!ストップ〜〜!!」
俺はまーりゃん先輩に大声で言われて、仕様がなく後ろを振り返る。
「搭乗券、あたしに渡しておいて。さーりゃんみつけるまでは、日本に帰さないよ」
まーりゃん先輩はにやりと、だが真剣な声と面持ちで言った。
「わかりました。では、これを預けておきます…!」
そう言って、俺はまーりゃん先輩に搭乗券を渡した。
「よし、行って来い!チミが思うところにきっとさーりゃんはいるぞ!」
「はい、ありがとうございました…!」
俺は走り出した。
飛行機の出発時間という時間制限。そして、ささらがいるかどうかは、完全に賭け。
その2つが、まるで終業式兼まーりゃん先輩の追い出し式のときの再現に思える。
あの時は、まーりゃん先輩と『久寿川先輩』のためだった。
だが―――今回は俺と……『ささら』のためだ!
あの時は学校の一階から屋上までだったからまだよかったが今回はその数十倍かかる。
しかし、そこにささらがいるという希望がある限り、俺は走り続ける!
――俺の信じたささらなら、きっとそこに居てくれる―――
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
俺がついたそこは、綺麗な装飾どころか何も施されていない噴水だった。
3日前の夜に俺達が居た場所は、今ではうってかわって寂れた風景。
綺麗な飾りやツリーも何もない噴水の前、そこに――――――――彼女はいた。
俺の温もりが感じられるという白いコートと白い手袋をつけて―――ささらはそこにいた。
俺が息も絶え絶えの状態でささらに近づくが、ささらは俺に気付いていない様子だった。
息を落ち着かせて話しかけようとしているときに、俺は気付いてしまった。
泣いている―――。
いつもみたいに、うれしくて流している涙じゃない―――。
これは…深く傷ついて…悲しくてながしている涙だ―――。
俺が近づいても気付かないほど…深く傷ついている。
その傷をつけたのは―――傷つける原因を作ったのは――。
俺はささらを後ろから、ぎゅっと抱きしめた。
ささらの傷が少しでも癒えますように―――。
ささらの涙が、うれしくて流す涙に代わりますように―――。
そんな思いを籠めて、俺は…脆くてガラス細工のような世界で一番大事な女の子を
壊れないように優しく、離さないようにしっかりと抱きしめた。
「待たせちゃって、ごめん…」
「う…ぐすっ…だ…誰?」
「そんなこと…言う必要ある?」
「貴明さ…ん…私…の…こと…嫌い…に…なった…でしょ…」
ささらは泣きながら、俺に言ってくる。
「なんで?ささらの事が嫌いになる理由がないんだけど?」
「だって…私…貴明さんが…困るって…分かってるのに…こんなことばっかりして…
貴明さんを困らせて…迷惑かけて…。今日だって…私がどこか…にいけば…貴明さんは
探しに…きてくれるって思った。そうすれば…貴明さんは日本に帰らなくて済むって
思ったの…。こんなことばっかり考えて…。私はずるいの…。卑怯なの…。
私は貴明さんの特別になる資格なんてないの…。ふさわしくないの…。
ねぇ、貴明さん…こんなことばっかりする私なんて嫌いでしょ…。嫌いって言ってよ…。
また貴明さんと別れるのが、辛いの…怖いの…。こんな思いするくらいなら貴明さんに
嫌いって言って欲しい…。そうすれば、きっとこんな辛い思いしなくて済むもん…。
もう嫌なの…。大好きな貴明さんと離れるなんて嫌なの…。私、耐えられないの…。」
ささらは、俺に泣きながらそう告げた。
資格がない…ふさわしくない…。それは、いつかに俺が言った言葉。
もう迷わない。俺がしなくてはならないことは明白だ。
「ささら。ふさわしいかどうかなんて、どうでもいいんだ。」
俺は、かつて俺が言われたことを思い出しながら言う。
「そんなものは本当の好きっていう感情には必要ないよ。
本当に必要なのは…ただ、相手をどれ程思っているかどうかなんだよ」
今だからこそ、雄二が俺に伝えたかったことが分かる。
このときのために、雄二は俺にあの時の言ってくれたのかもしれない…。
「でも…私はダメな子だもん…貴明さんが思っててくれてるはずないもん…!」
「ささらは、そんな人のために、飛行機をキャンセルしてまで、
こんなところまで、きてこんなことして、こんなこと言うと思う?」
「―――」
ささらは、黙って俯いてしまう。
「理由…分かってくれるよね…?」
私怨
「でも…私、こんなことして困らせたのよ……?」
「ここまで別れを惜しんでくれて、俺はうれしいよ――」
「―――」
「イジワルしてきたり、わがままいったり、クラゲが好きだったり、別れが辛くて
泣いちゃったりするささらも…好きだよ。
そう…俺は、ささらの全てが好きだ―――いや―――」
俺は、言いなおす。
「愛してる―――」
生まれて初めて口にする言葉。さすがにちょっと照れくさい言葉。
けど、俺の思いを伝えるのにはぴったりな言葉。
後ろから抱きしめてるから、ささらの顔は見えない。
しかしささらは俺の言葉にはっとして俯いていた顔を上げたのがわかった。
きっと俺の思いは伝わったのだと思う。
「俺も寂しくなったり、辛くなったりする。だけどそれを超えた先には…きっと
今まで以上にすばらしい日々が待っているはず…。だから、きっと大丈夫だよ。
それに――俺達には、これがあるじゃないか」
俺は昨日渡しそびれたささらへのクリスマスプレゼントを渡す。
それは、銀色の鎖にT.K.の文字が彫られている銀色のリングを通したペンダント。
「俺は、今ささらが何を考えているかはわからない…。だけど、こうだったらいい、
って思っていることは分かるよ」
「――――」
「屋上から飛ぶとき、言ってたよね。『あなたを信じるという事は、私自身を信じる
ということだから』って。もう一度、俺を信じてくれない?
―――もう一度、自分を信じてみない――?」
「う、うぅっ貴明さんを信じ…うわぁぁぁん―――」
ささらはプレゼントを両手でぎゅっと掴みながら、再び泣き始めてしまった。
だけど、今度はきっとうれしくて泣いてくれている―――
俺は、ささらの正面から、もう一度ささらを抱きしめた。
ささらは、俺の胸のなかでずっと泣いていた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ありがとう…貴明さん…。ひとつ…お願いしてもいい?」
「いいけど、いったい何?」
「ここで、もう一度お口にちゅってして…?」
「わかった―――」
俺は、泣きすぎて顔がくしゃくしゃになってるささらの唇に、自分の唇を重ねる。
かすかに、涙の味がしたキスだった。
そっとささらの唇から離れると、ささらは笑顔になってくれた。
「あの時屋上に来たのが貴明さんで…よかった…本当によかった…」
俺は、ささらに言う事をじっと聞く。
「『なかったこと』にならなくて…よかった…本当によかった…。
貴明さんじゃなかったら…もし違う人だったら…きっと私、前までと変わることは
なかったと思うの…。本当の私を知る人は誰もいないままだったと思うの…
それどころか、私自身も本当の私をしらないままだったと思うの…」
面と向かって言われると照れてしまい、俺は言ってしまう。
「そんなことないよ。あの場にいて、俺と同じ事が出来れば誰でもよかったんじゃないかな」
「でも、それをしてくれたのは、貴明さん…とまーりゃん先輩だけだった。
他の人は、私の領域に踏み込もうともしてくれなかった…」
「――――」
「貴明さん、私たちの出会いは偶然なんかじゃない。必然だったのよ。だって、人と人と
が出会う確率は、数十億分の一なのよ?やっぱり運命だと思うの…。
だから―――そんなこと、言わないで?」
世界には数億人もの人がいる。その中で俺とささらが出会う確立。
それは――本当に運命的数値。人がどうこうできる領域外。
「もしかしたら偶然かもしれない。だけど、私たちは幾つもある偶然を隔てて巡り会えた。
それはもう、運命なんじゃないかって、思うの」
ささらは俺の目をじっと見て言う。
「少なくても、私はそうだって信じてる…」
「ささら…」
ささらに言われ、自信と安心を覚える。しかし、可笑しくなってきて、つい言ってしまう。
「ささら、すごい嬉しいけどさっきまで俺に慰められていた人が言う台詞じゃないと
思うけど…?」
俺はイジワルっぽく言うと、ささらの顔がみるみるうちに赤くなる。
「もう、バカ、バカ、貴明さんのイジワルぅ〜〜〜〜」
ささらが連続ぽかぽかパンチを繰り出してくる。
「はは、ごめんごめん」
「〜〜〜〜っ」
俺は、ささらにだけ聞こえるように、耳元でそっと言う。
「ありがとう、ささら―――――」
俺は唇をささらの唇にそっと重ねる。そして、そっと離す。
そして見ると、ささらはにっこり微笑んでいた。俺もまた、にっこり微笑み返した。
俺達は、本当の愛をかみしてい
「ひぇぇ、あぢーなぁ。ここだけ気温80度かぁ?カキ氷もってこ〜いっ」
たが、マヌケな声が現実世界に引き戻す。
そして、その声の主がいるであろう方向みて、愕然。
「ま、まーりゃん先輩……」
まーりゃん先輩はニヤッとして言う。
「二人のキスver2はもういいのか?あ、でも同じ場所だからverは同じかな?」
――――同じ場所…?ver2…?
俺はまーりゃん先輩の言葉を聞いて、嫌な予感を覚えた。
「なんで前もここでキスしたこと…知ってるんですか…?」
まーりゃん先輩の顔が突如ひきつる。
「いやー、なんでだろーねー…。そうだ、きっとエスパーだ。そうだ、それにきまってる」
「まーりゃん先輩…こっそり俺達のことを見てたんですね…!?」
「見てただけじゃないぞっ!写真も撮ってやったぞっ!!」
驚愕の事実をまーりゃん先輩は開き直って言い放ち、懐から写真を取り出す。
うぁ…そんなのをタマ姉や雄二に見られたら何言われるかわかったもんじゃない。
…もう今更かもしれない…けど…。
しかし、まーりゃん先輩はその写真を俺とささらにそれぞれ渡してきた。
「二人でもってな…二人の約束の証人。これがある限り、言い逃れできないよ…?」
「まーりゃん先輩…」
意外な言葉に驚く。
「ちゃ〜んとあたしのほうにはデータがあるから、二人が持ってていいのだ!」
ニヤけながら言うまーりゃん先輩。
「ちょっと、勘弁してくださいよ」
俺は苦笑しながらも、まーりゃん先輩の下手な照れ隠しに気付いていた。
「まーりゃん先輩…」
それはささらの声。
「なんだね、さーりゃん?」
「ありがとう…」
そう言って、まーりゃん先輩に抱きつくささら。
まーりゃん先輩の方は、何が起こっているのか分かっていないという感じだった。
だが、それも最初だけで、すぐにささらに手を回し、抱き返した。
「さーりゃんと、こんなに密着できたの、初めてだよ」
まーりゃん先輩は、ただ一言、それだけ言った。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「で、たかりゃんはどうするつもりなの?」
「まだ何も考えていませんが…とりあえず、親にでも連絡してみるつもりです」
俺の帰りについて。流石に飛行機代は残っていない俺は、仕様がなく親に頼ることに。
「ごめんなさい…」
「いやいやいや、俺こそごめんなさいだよ」
「でも私が――――――」
そこで、俺は人差し指でささらの唇を抑える。
ささらは驚いたようにこっちをみたが、俺は微笑んだまま何も言わなかった。
そうしたら、ささらも同じように微笑み返してくれた。
「さぁ、帰ろう?」
「うん―――――」
そう言って、俺とささらは手をつないで歩き出した。
――確かに、帰りの飛行機は逃してしまった。
――だが、それ以上に大切なものを離さなかった俺に、後悔は一切なかった。
二人で歩いている最中に、ささらが言う。
「ねぇ、貴明さん…。私のお金…使ってくれない?飛行機…」
俺は一瞬理解できなかったが、すぐにその申し出を断る。
「ごめん、せっかくだけど、それは遠慮させてもらえるかな」
ささらは俺を見上げながら言う。
「ささらとの事に関しては、自分の力だけでどうにかしたいんだ」
「私、貴明さんのために少しでもなにかしたいの…。罪滅ぼし…ではないけれど…」
また全部自分のせいにしてるな…。―――そうだ!
俺葉ふっと思いつき、ささらに提案する。
「じゃあさ、ずっと笑顔でいてくれないかな?」
「えっ…?」
きょとんとしている顔を見ながら俺は言う。
「俺はいつでもささらに笑顔でいて欲しいんだ。悲しい顔なんかして欲しくないんだ」
それは、単なる俺の我がままなのかもしれない。
だけど、確かに俺はそう思っていたし、そう願っていた。
「俺が望むのはそれだけ」
「貴明さん……。ホントにホント…?」
また涙目になっているささらに、俺は自信を持っていった。
「俺はささらには嘘は付かないよ」
俺のほうに体を寄せてくるささらに、俺も同じように体を寄せる。
「ありがとう、貴明さん…」
俺は、ささらのウェーブがかかった柔らかな髪を優しくなでる。
俺になでられ、ささらは気持ち良さそうにしていた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
二人でいられる時間が少しでも長引けばいい。そんな思いもあり、いつもよりもゆっくり
歩いていた俺は、突然言いようのない不安に襲われた。
俺は辺りをキョロキョロと見渡す。
「どうしたの?」
怪訝そうな顔で聞いてくるささらに、俺は聞き返す。
「まーりゃん先輩…何処いっちゃったんだろ…」
ささらも思い出したかのように、周りを見渡しながら言う。
「そういえば、私達が歩き出す前にみたいのが最後…」
あー、そういえばそうだったかも…。
「まぁ…いっか」
あの人のことは考えるだけ無駄だろうと判断する。
ぐうぅ〜〜っ。
それは、この場ににつかわしくない虫の音。もちろん腹の。
その音源のほうをおもむろに見ると、真っ赤な顔をして俯くささらがいた。
「ご、ごめんなさい…」
「ぷぷっあははは」
俺は、思わず笑い出す。
「そ、そんなに笑わなくても…」
頬を若干膨らませてるささら。そんな顔を見て俺は言う。
「ごめんごめん。そういえば、俺達朝から何も食べてないんだったよね。
すっかり忘れてたよ」
時計を見ると、既に昼は過ぎてやや夕方気味。確かに腹も減る。
「何か食べに行かない?今から帰って作るんじゃ時間かかるし」
ささらは、顔を朱色に染めながら俺の提案を承諾。
「私、行きたいところがあるの。ダメ…かな?」
「よし、じゃあそこにしよっか」
ささらの行きたいところにむかって出発したまではいいが、到着地点をみて唖然。
なんとそこは、日本でも有名な…
「ヤ、ヤック…?」
「い、いけなかった…?」
「いや、別にいいんだけど…良いんだけど――」
「貴明さんと、初めて食事したのがヤックだったでしょ?だから、今日はヤックがいいの。
美味しいご飯が食べられるお店よりも、今はここがいいの…」
ささらのその言葉に、いつの間にか、頷いていた。
中に入って俺は驚いた。何にかって言うと、それは…
「サイズがでかい…。さすが、アメリカだ…。日本とはケタが違う…」
「でも、あれでも最大のサイズじゃなかったのよ?今はもう売ってないみたいだけど…」
そういえば、某ゲームのサイトを見たときにマックが意味不明な理由で裁判を起こされた
というのがきっかけで、【スーパーサイズ】を廃止したっていうのを見たような…。
画像でみて、スーパーサイズはたしかに大きかったが…あの人達が食ってるのでも十分大きいです…。
適当に頼み、それぞれのセットを持ちテーブルの席に着く。
「ふふ、最初に食事したときのことを思い出すわ」
「そうだ、ささら。もう一回、コーラにチャレンジしてみてない?」
苦手といったものをすすめるのも何だが、当時のようにもう一度すすめてみる。
「色々食べれるようになった今なら、味覚も変わってるかもよ?」
ささらは悩んでるようなので、何気なく推してみる。
「そ、そうね…。じゃぁ、ちょっとだけ…」
俺は、自分の頼んだコーラをささらに渡す。そして、じっとその様子をうかがう。
ささらがストローにそっと口をつけて吸うと、コーラ特有の色がストローを染めた。
それと同時に、ささらがやはり顔をしかめる。
「やっぱりこの味…お薬にいっぱいお砂糖が入ってるみたいで、苦手だわ」
「そうかー。ごめんね、無理に勧めちゃって」
「それにしても、コーラって何でお薬の味がするのかしらね」
「詳しくはしらないけど、基はうがい薬だかなんかだったらしいよ。
調合中に、炭酸水を間違っていれたのを飲んだら美味しかったから、商品化したとか。
あ、でも飲んだんだから、うがい薬じゃないかも」
「そうなんだ…貴明さん、詳しいのね」
「たまたま何かで見たか聞いたかをしただけなんだ。いわゆる『しったか』ってやつ」
俺は苦笑しながら答える。
「だから、記憶違いがあるかもしれないけど、そこは許してね。
話を続けると、最初コーラは全然売れなかったんだよね。理由は――――」
と、俺は正しい保証のないコーラについての話をささらにし始めた。
途中、一人熱中して話していたのに気付き、話をやめようかと思ったが、
意外にもささらは楽しんでいてくれたらしく、話を続けるように促してきた。
水族館に行ったときの話し手と聞き手が逆になったような感じだった。
といっても、俺はコーラがとてつもなく好きというわけではないが…。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「あ、しまった…!」
日が落ちてきたので、ヤックをあとにし、夕飯の材料を買った帰り道に、
俺はたった今まで忘れていたことを思い出す。
「どうしたの、貴明さん?何か買い忘れたものでもあるの?」
ささらは俺が突然言ったので、驚いてこちらを向いて言う。
「いや、別に大丈夫。気にしなくていいよ」
よく買い忘れたって分かったなぁ。さっきまで材料を買っていたからかな?
「でも、いいの?大事なものじゃないの?なくて困ることはないの?」
「だから、大丈夫大丈夫、ノープロブレム」
確かになくてはとてもとても困るものだが、今は買いに行けない理由があった。
そこまで言うとささらは、そう、と言って再び前を向いて歩き始めた。
俺はそれ以上追及されなかったことを、密かに安堵していた。
そんなこんなで家に到着した時には、結構な時間になっていた。
ささらは、夕食の支度を始める。そう、このときを待っていた。
「ささら、ごめん、俺ちょっと出かけてくる」
「えっ、どこにいくの、貴明さん?」
「ちょっとそこまでね」
「ちょっとそこまでって――」
ささらが言い終わる前に部屋を出て、そして家を出る。
その後すぐダッシュになる俺。そして、雪で滑って転びそうになる。
危ない危ない、気をつけなくちゃな。怪我したらささらも心配するだろうし。
早く買いに行きたいって衝動に駆られる衝動を、必死に抑えながら歩く。
しかし、まただんだんと早歩き。そして走る。そして転びそうになって抑える。
結局、目的地につくまでずっとそれを繰り返していた。
数十分程歩き(?)、ささらをみつけたショッピングモールに着く。
あったあった、この店だ…。
その店の中に入り、いつもある商品を見る。その中でも二つの商品が特に目に付いた。
その二つというのは、黒か白。選ぶとしたら、どちらかだろう。
あー、優柔不断ってこうゆうときにすごい不便だな…。決められない…。
俺は、約20分間考えに考えたすえに―――。
買った商品をコートのポケットに入れて、帰路に着く。
つい、顔がにやけてしまう。だって買ったものは―――だから。
さて、ささらが心配しないうちに帰りますか。って、店で20分も潰した後の台詞じゃないな。
俺は一人で苦笑したが、心は小躍りをしそうなほどうかれていた。
そして、その気分のまま家につくと、玄関には頬を膨らませたささらが。
「もう、貴明さん、ちょっとそこまでって…。1時間はちょっとそこまでじゃないわ」
時計を見る。たしかに、1時間が経過しようとしていた。
「ごめん、ちょっと、色々あってね…」
「こっちは夜危ないから…もし貴明さんに何かあったら私…」
ささらは俺をじっと見つめながら言う。
「大丈夫、俺はささらを置いていったりしないって」
俺はやさしめの声で言う。ついでに、この場合の【いく】は【逝く】になる。
「貴明さん、どこで何をしてたの?教えてくれなきゃ、許さないわ?」
ささらは俺から視線を外さずに痛い一言を言った。
でもいえませんよ、これは。だってねえ…。
「いや、その、まぁ、その、あの…ねぇ」
俺はお茶を濁しながら目を泳がせる。
「私に言えないことあるんだ…」
ささらは頬を膨らませながら言う。
これもまーりゃん先輩の入れ知恵だろう。間違えない。くそ、先輩めっ…!
きっと、こんな風に言えばたかりゃんは隠し事できないとかなんとか言ったんだろう…。
ささらの純粋さにつけこんだ最悪の手口だ。ゴッデスオブ卑怯は伊達じゃないな…。
「じ、実は…」
俺はしぶしぶ買ったものをポケットから取り出
「ただいま、って、あら、河野君?」
そうとした瞬間、なんとささらのお母さんが扉を開け、運よく帰ってきた。
「はは、おかえりです」「ママ…おかえりなさい」
ささらのお母さんは、俺がいまだにここにいることに関して、何も言ってこなかった。
多分、大方理解したんだろう。
「何をしてるの、二人とも?玄関なんかで」
「そ、そんなことより夕飯できてますよ。早く食べちゃいましょう」
俺は必死に促す。ささらのお母さんも、そうね、といって家の中に入っていく。
ささらは結局俺が何をしてきたのか白状しない事に不満そうだったが、
リビングのほうにしぶしぶ入っていた。
ふぅ、危なかった。こいつを今出すわけにはいかない…。
俺は、そそくさとコートごと自室に置き、手洗いうがい後、リビングに向かう。
既にささらもささらのお母さんも席についていたので、俺も席に着く。
「すいません、おまたせしました。いただきます」
そして、食事を始めた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
「ごめんなさいね、ささらが迷惑をかけちゃって」
「そんな迷惑だなんて。全然そんなふうには思ってません。むしろ、俺が悪いです。
またささらを悲しませちゃって…。悲しませないって誓ったのに」
時は夕食が終わり、ささら入浴中の俺とささらのおかあさんの話の時間。
俺は今日の話をした。日本に帰るまでの事や、それまでお邪魔になる事など一通り。
「河野君、私が飛行機代払わせてくれないかしら?根本は私がちゃんと言わなかったのが
悪いのだから…」
俺はその申し出を、やはり断る。
「ささらも同じことを言いました。俺も同じ事を言います。ささらとの事は、出来るだけ
自分の力で、なんとかしたんです。だから、せっかくだけど、遠慮させてもらいます」
「そう…。流石、河野君だわ。やっぱり、ささらはあなたじゃないとダメね」
「といっても、親に金借りますけどね…。もちろん、全額返すつもりですが」
俺は苦笑しながら答える。借りるのも、力を借りてるのと同じのような気がしなくもない。
若干後ろめたさがあるが、それが最良の方法だろう。
そういえば、まーりゃん先輩に搭乗券渡したままだなぁ。
「河野君、ありがとうね、あのこのために…」
「俺は俺がやりたいようにやってるだけですよ。お礼を言われる身ではありません」
「それで、助かっている人がいるのなら、お礼を言ってもいいはずよ?」
「はぁ、イジワルですね…」
なんとなくささらの口調が俺のほうにまで侵食してきてると感じる今日この頃。
「だから、お礼を言わせてもらうわ」
ささらのお母さんが微笑みながら俺に言ったと同時に、ささらが部屋に入ってきた。
「今日は二人で何のお話をしてたの?」
「ふふ、二人の結婚式の場所のことよ。アメリカでも悪くないって離してたのよ」
「もう、バカね―――」
朱色にそまった顔で言うささら。
こうやって言われるのが楽しみになってるんじゃないのかな、と思った瞬間だった。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
風呂からでて、それなりの時間になったので、寝ることに。
そういえば、俺が風呂に入っている間は二人で同じように話してるんだよな…。
いったいなんの話してるんだろ。恐らく、おれについての話だろうけど。
ベッドの中で、そんなことを思っていると、ドアが何故か開いた。
そちらを見ると、なんとささらが俺のほうに近づいてくる。
「ねぇ、貴明さん…。今日、一緒に寝ちゃ…だめ…かな」
「え絵江画餌獲枝慧依重ヱ!?」
思わず変な漢字が出てしまうほど取り乱す俺。
「ダメならいいの…。でも…」
「そうだね、じゃあ一緒に寝ようか。きっと二人のほうがあったかいよ」
そう言って、俺は体をベッドの端に寄せ、ささらが入れるくらいのスペースを空ける。
ささらは、俺があけたところに入る。シングルベッドを二人で使うのはやはり狭いが、
それだけ近くにいられ、お互いの温もりを感じられるので、悪い気はしなかった。
むしろ、ささらとのこの距離が、嬉しく感じられた。
俺の顔の目の前にささらの顔がある。本当に離さなくてよかった。
俺はささらの顔をみて、改めてそう思った。
「ねぇ、貴明さん…。狭くない?」
「大丈夫。むしろ、ささらが近くにいるのが嬉しいくらい」
「もうっ、バカね――」
「はは、バカでいいよ」
俺は笑いながら答えた。
ささらはしばらく俺のほうを見ていたが、そのうちうつらうつらとなっていき、
最後には寝てしまった。
俺は寝てしまったささらを起こさないようにそっとキスを一回する。
「おやすみ、ささら」
そう言って、俺も、目の前のささらと同じように、眠りに着いた。
ふい、7話終了です、長々と失礼しました。
この話も、もうすぐ終わりです。今このスレの流れからして、
投稿すべきか迷ったんですが、とりあえず投稿することにしました。
感想や、誤字脱字などの指摘がありましたら、どうかよろしくお願いします。
>925
お疲れ様。
毎回楽しみにしてます。
(1/17)
そう判断した俺葉→そう判断した俺は
(5/17)
雄二は俺にあの時の→雄二は俺にあの時の事を
(7/17)
出会う確立→出会う確率
(10/17)
「ささらとの事に関しては、自分の力だけでどうにかしたいんだ」
↓
「ささらとの事に関しては、自分の力だけでどうにかしたいんだ」
ささらは俺を見上げながら言う。
(12/17)
画像でみて→画像でみた
(12/17)
行きたいって衝動に駆られる衝動を→行きたいという衝動に駆られるのを
みるとところどころ台詞が若干おかしいところがありますが、御了承をorz
今回ミスりすぎでした、スイマセンorz
余談ながら、買いに行ったのはエロ本じゃないですw
>>925 GJです
スーパーサイズってのが出て、
「スーパーサイズミニ」っていう映画を思い出してしまいました。
>925
(11/17)
歩き出す前にみたいのが→歩き出す前に見たのが
次回のまーりゃん先輩の活躍が楽しみ、と言った所。
それでは今回も春夏さん凌辱ssでしめるとしましょうか。
ちょw次スレまだ立ってないwww
今日は月曜日だぞ!
速やかに次スレきぼんだ!!
因みにオレは失敗した・・・・ orz
んじゃ、挑戦してみる。
失敗しま……したよぉ〜!
じゃあ俺がチャレンジ一年生。
>>925 久々に続きキタ―――(゚∀゚)―――!!
1話から毎回楽しみにしてます。貴棒が買ってきた物が気になりますね(゚Д゚)
後半マッタリした気分で読ませて頂きました。
それと、(2)で間違いが。
「(略)先に言っちゃった」
↓
「先に行っちゃった」
ですよね?(´・ω・`)
>>925 おお、いつの間にやら上がってる。お疲れ様です。
>「え絵江画餌獲枝慧依重ヱ!?」
貴明焦りすぎw
>>930 ちょwwwまたやるのかwwwww
>>925 乙、ずっと待ってました。タカ坊良い子だな、ほんとに。
>>930 今回はまーりゃんかよっちで
この流れですか?
>525 :名無しさんだよもん :2006/02/27(月) 10:29:41 ID:JGXNwYCg0
>ぴちぴちよっち
>
>
>526 :名無しさんだよもん :2006/02/27(月) 11:23:59 ID:+F9yChUz0
>
>>525 >なんとなくまーりゃん先輩がよっちにセクハラしてるところが思い浮かんだ
>
>527 :名無しさんだよもん :2006/02/27(月) 11:45:34 ID:Lkm2XR0z0
>(*゚∀゚)=3ハァハァ
埋め立てネタ、御意見上等!(1/3)
「あら?」
最初に感じたのは違和感。留守番が居るはずの自宅、そして隣の
の河野邸の明かりが一つもついていないのだ。しんと静まりかえっ
た家の中からは物音一つ聞こえない。
「あの子ったら、また寝ちゃった………え!?」
玄関のドアノブに触れた途端、扉は微かにキキキィと鳴きながらも
勝手に開いた。施錠どころかロックもされていない。出るときに鍵
はかけた筈だと思ったが?
「………………このみ?」
恐る恐る中を覗き込んで問い掛けても返事はない。暗がりの中、反
射的に確かめた足下には娘の通学靴が綺麗に並べられており、靴箱
も閉まったまま。少なくても見える範囲では出かけた様子は見受け
られない。
「……………このみ? いないの?」
(ウィーーーーーーーーーーーーーン………)
埋め立てネタ、御意見上等!(2/3)
「?」
もう一度。周囲の気配を探ろうと耳を澄ませてみると、何処からか
モーターか何かの駆動音が聞こえてくる。更に神経を集中させて音
源の方角を探ってみる。居間、台所、バスルーム、お手洗い、庭、
寝室、書斎………いや、これは。
「二階? このみの部屋?」
音を立てないよう忍び足で階段を上ると、目の前には扉が半開きに
なった娘の部屋。近づくにつれ、無機質で抑揚のない小型機械の駆
動音が大きくハッキリとしてきた。間違いなく、このみの部屋から
出ていると確信し、更に抜き足差し足でフローリングの廊下を慎重
に進み部屋の中の様子を窺う。
「!!」
先ず目に入ったのは、娘のベッドの上で胎児の様に丸くなった少女
の剥き出しの臀部。そして、そこから突き出し振動しているプラス
ティック製の棍棒のような二つの物体。ヴァギナとアナルと思しき
場所に差し込まれているそれが何なのか位は彼女の知識でも十分す
ぎるほどに推測できる。男性器を模した無骨で卑猥な玩具が、それ
自身が意志を持つかのように内蔵のモーターで少女の性器と排泄器
官を抉るたび、ぴくぷくと小さな体に震えが走る。
「このみ………このみっ!」
埋め立てネタ、御意見上等!(3/3)
この時、彼女が眼前の光景に惑わされずに冷静な判断力を少しでも
残していたなら、或いは娘の秘部から大量の愛液が分泌され全身の
皮膚には汗が浮き紅く熱く紅潮している事実に気づいたかも知れな
い。また娘は清純なままで、無理矢理に服を剥がされ性的被害にあ
ったに違いないという盲目的な先入観が無ければ、その体は全く拘
束されておらず、愛らしい顔が唾液と涙にまみれ大きな瞳が快感で
潤んでいる様子に何か作為的な気配を感じ取ったかも知れない。
………そして、その手の中に何かを隠し持っている事も……
「このみ、このみっ、大丈夫!? いま、お母さんが助けてあげる
から安………あぐっ!?」
バチバチバチッ! ベッドに駆け寄り小さな体を抱き起こそうとし
た瞬間、腹部に触れた何かから全身の毛が逆立つようなショックと
熱が放たれ、体中の筋肉という筋肉が硬直し脳内まで届いた電流が
思考まで麻痺させる。そして急速に薄れてゆく意識を必死にかき集
めながら見下ろした愛娘の手には、不釣り合いなほどに大きなスタ
ンガンが大事そうに握られている様子が。
「こ、この………み………」
「ごめんね、お母さん? でも言うこと聞かないと、もうセーエキ
飲ませてくれないってタカくんが言うの。だから、ちょっとだけ我
慢しててね? これからは、このみ達と一緒に………
あ、タカくぅ〜ん!」
以上です。
あとはご自由に調理してくださいませ。
>>937 乙ね、本当に乙だわ。
>>946 乙。春夏さん陵辱キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
俺は陵辱系書けそうにないんで他の人頼むわw
次スレが立つたびに春夏さん陵辱するのか?
このみ「タカくん、言われた通りにしたよぉ!!
だからぁ…」
俺はすり寄って来るこのみを無視し、床に寝そべる春夏さんに目を落とす。
このみ「このみ、言われた通りにしたよ…。
ねぇ、いいでしょ…」
そう言うと慣れた手付きでベルトを外し、ズボンを降ろそうとかかる。
貴明「このみ、アリガトな…。」
俺はこのみの頭に手を置き…
貴明「お前はもう…、用済みだよっっ!!」
力任せに首をねじ曲げる。
このみ「けっ…かはっ!!」
えへー、隊長、首のコリが取れたでありますよ〜
このみ父「わかっていないようだな小僧。利用されていたのはお前のほうだ!」
このみ父「これで保険金どっさりであります」
貴明「なっ!?」
このみ父「貴明くん…、キミは『これも計算の内かおじさん!』と言う。」
貴明「これも計算の内かおじ…はっ!!??」
このみ父「ふふ、そもそもこの春夏は………!!??
春夏はどこへ消えた!」
貴明「っっっ!?」
春夏「ふはははっ」
このみ父「そこかっ」
貴明「春夏さん! 仕留めた筈なのに!」
春夏「こ の 柚 原 春 夏 、生 来 目 が 見 え ん
そ の 私 に 目 つ ぶ し な ど 笑 止 千 万 ! ! ! !」
一同「な、なんだってー(AAry
このみ「…いや目つぶしじゃないし」
>>956 ちょwww予想外の展開に期待度上昇中wwwww
このみ父「おのれっ!っはぁぁぁl!」
このみ父は服を脱ぎ、力をためた。
春夏「ほう!これは すごい!戦闘力42000まであがりましたよ。
すばらしい戦闘力です。さすがは戦士型と言うだけありますね。」
しかし春夏は全く動じずに続ける。
春夏「参考までに私の戦闘力数をお教えしておきましょうか。
私の戦闘力は530000です…ですが、もちろんフルパワーであなたと戦う気はありませんからご心配なく…」
予想外の展開に思わず手に汗にぎってしまうが
>>959 ドラゴンボール・ネタはいい加減飽きましたw
このみ父「まぁ、そう言うなよ。分かりやすく説明してやるから。」
このみ父は一度脱いだ服を着なおす。
このみ父「これが普通の状態…。
で、これが先刻見せた一段階目だ。」
そう言ってパンツ一丁になる。
春夏「………」
このみ父「でこれが二段階目…。」
パンツを降ろし一糸纏わぬ姿になる。
貴明「な、なんて闘気だ!?
まさかこれ以上上があるなんて言わな…えっ!?」
このみ父「そして…これ…がっ…」
このみ父はイチモツに手をあてる。
ズルリ…
皮に包まれた亀頭が姿を現すと同時に今までとは比べ物にならない程の闘気が放出される。
このみ父「またせたな…。これが三段階目だ!!」
〜中略〜
このみに妹ができました。
このみ妹「フェティストの姉は可愛くて〜♪
それーでもー、根性無し男と恋に〜落ちました〜♪
私の姉は生ゴムマニアだった」
てかこのみ父包茎やったんか
ちょっとリアルでUMA攻略してくる
チュパカブラあたり
足のサイズが27であることに悩んでいるビッグフットならいいな。
このみ父「さあ、私の皮で君の亀頭を包むんだ貴明君!!」