夢と現実、欲望と理性、そして、癒やされぬ痕…。
別居中だった親父が突然の事故で死んで早一ケ月。
せめて四十九日の間くらいはと、長い大学の夏休みの終わり、俺はかねてから予定していた
旅行を取りやめ、田舎にある親父の実家へと訪れた。
幼い頃に両親を亡くし、俺の親父に扶養されていた従姉妹の姉妹達も、悲しみに明け暮れて
いた日々に決別し、徐々に明るい笑顔を取り戻しつつあった。
心に深い痕(きずあと)を残したまま、俺を優しく迎え入れてくれる彼女たち。だが事件は、
そんな彼女たちの心を、冷たく非情に引き裂いていった…。
「痕」総合 第十夜
「みんなひどい! いくら私が、ほんのちょっぴり料理が下手だからって……」
「ほんのちょっぴりって、あんた……。自分の料理食ったことあんの?
あれのどこがちょっぴりなんだよ」
「…………(じっと料理を見つめたまま動かない)」
「でも現に……味見したタマが……」
【前スレ】
「痕」総合 第九夜
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