クッキー?
……ああ。
震える声でようやくそれだけ答えて、彼は、やっと少し笑った。
そして、かじかんでいるらしい手でぎこちなく包装を解くと、中からにっこりと笑みを浮かべたジンジャーマンを一切れ取り出して言った。
メリー・クリスマス、ささら。
ぽろ、と自分の目から涙が零れ落ちていくのがわかる。
クッキー、作ってきてくれる? 半年前に、自分自身が言った言葉がよみがえる。
震える唇を、そっと開く。
まるで、聖体を拝領するかのように緊張してしまう私に、あの人はぎこちなく笑みを浮かべて、そっとクッキーを差し入れてくれた。
冷え切って、少ししけってしまった、けれど。
ぱり、と一口噛み、ぎゅっと噛み締める。
手作りらしい、粗い、所々だまになってしまった生地。
ぽろぽろと涙が溢れてくる。
「おいしい、かな?」
自信が無さそうな声。
気遣うような目。
うん。
うん、うん。
とっても。
あとは、言葉にならなかった。ぽろぽろと涙を流しながら、夢中で残りを頬張った。
ぎゅうう、と噛み締めて、噛み締めて、あの人の手の感触を頭に感じて、
そして、私はクッキーがまだ口の中に残ったままで、
吹き出してしまいそうになって。
そして、涙で濡れた頬に、にっこりと、笑みを浮かべて言った。
MerryChristmas,MyDear…
end