カギルイ〜伊丹城御前試合〜

　　　　み　　し　　り

それはおよそ一切の流派に
聞いたことも見たこともない奇怪なCGであった

長森「ああ、あれこそは七瀬さん必勝の構え、
　　　 女豹逆流れのお姿・・・」

「西方　上月澪」
（こ・・・声は如何した）

「東方　川名みさき」
みさき「雪、もうよい」
雪見「お気をつけて」

（聴唖と盲目のヒロイン、このような取り組みが・・・）
「上月澪、川名みさき」
「いざ両名心置きなくプレイヤーのため存分に萌えを尽くされよ」

麻枝「このシナリオ、久弥どのの差配であったな」
久弥「いかにも」
麻枝「血迷われたか」
久弥「何と？」
麻枝「聴唖のヒロインに媚びることはできぬ、
　　　 盲目のヒロインにはこちらを認識することすらできぬ、ならばこのゲーム・・・」
麻枝「このような江炉芸と呼ぶに値せぬ見世物にてお庭先を汚したとあれば、
　　　 いよいよもってソフ倫に申し開きできぬ破目に陥り申す」
久弥「否！　見られい、麻枝どの！」
久弥「退屈な精神を持ったプレイヤーにあっては、
　　　 ヒロインに与えられた過酷な運命こそ
　　　 かえってその若い闘魂を揺さぶりついには・・・」

聴唖のヒロインの台詞は、胸を打つことができるのか？
盲目のヒロインの仕草は、プレイヤーの心を捉えることができるのか？

　　　　　　出来る　　　　出来るのだ

なんでこのスレスルーされてるんだ。勿体無い。

平成十一年　一月某日

折原家養子　折原浩平　ｴｲｴｿ逝き


浩平がONEの主人公という立場でありながら、
幼い頃の約束のためにｴｲｴｿの世界に
連れて行かれたのは、純愛ゲーの主人公にあるまじき
乱行をとがめられての事である。

浩平の暴虐伝説は数多く
毎朝起こしに来てくれる幼馴染を、
クラスメイト全員に輪姦させたとか、
七瀬留美のツインテールを切り裂いた等があるが、
それらは俗説であり、史実である事を証明できない。

「ONE〜輝く季節へ〜」でプレイできる
多くのシナリオの記述のみが、
浩平の驕暴を世に知らしめる唯一の
信憑すべき記録である。


カギルイ　「第一景　伊丹城御前試合」