葉鍵キャラを性別反転させてみよう!その19

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224奇跡の交換1 1/6 ◆kd.2f.1cKc
 ボクの名前は倉田一弥。
 所謂幽霊やってる。
 ボクは小学校に入る前に死んでしまったから。
 本当ならこの世、にいてはいけない存在なんだろうけど、事情があって、
いわゆる成仏って事ができなかった。
 その事情って言うのは、ボクのお姉ちゃん、倉田佐祐理。
 佐祐理お姉ちゃんのボクに対する気持ちが強すぎて、逆にこの世、に
縛られ続けてしまった。
 まぁ、だからってそれほど困っているわけでもないんだけれど。
 ただ気がかりなのは、お姉ちゃんがボクの死に心を痛めて、内に閉じこ
もってしまったこと。
 お姉ちゃんは思いは強くても、普通の人よりは少し感覚がいいかな、程
度だから、時折ボクの姿は見えるらしいものの、声までは伝える事ができ
ない。
 外面は明るく振舞っているお姉ちゃんだったけど、内面では心に殻を作
ってその中に閉じこもっていた。
 ボクはお姉ちゃんを何とかその呪縛から解き放ってあげたかった。
 でも、ボクには常に側にいて見守っていることしかできなかった。
 弟として……側にいることしか。
225奇跡の交換1 2/6 ◆kd.2f.1cKc :2005/10/20(木) 03:05:31 ID:+vWtQl8i0

「…………」
 気がつくと、ボクはベッドの上に寝ていた。
 知っている部屋。僕の部屋だ。
 調度品はボクが暮らしていたときそのまま。でも絵本や、遊び道具とか
細やかな品は運び出されてしまっているから、殺風景な部屋。
 でも、何かがいつもと違う。
「!?」
 身体を動かそうとすると、重い。重力を感じる。
「えっ?」
 布団の重みを感じる……
「えっ、まさか、ボク……!?」
 ばっ、と飛び上がる。
 身体がある!? ボクの身体がある?
 自分の両手で自分自身に触れる。
 温かい、しっかりとした感触。
 それに、胸に手を当てれば、やわらかい感触越しにドクン、ドクンって心
臓の音がする。
 生きてる? ボク、生き返った!?
 それどころか、前より身体が大きくなっているような……
 ベッドから降りてみる。やっぱり見え方が違う。
「ボク……生きてる……それに……」
 身体が大きくなってる。胸も柔らかくて大きく…………
「ちょっと、待て」
 確かに生きてるけど……成長した身体だけど……
226奇跡の交換1 3/6 ◆kd.2f.1cKc :2005/10/20(木) 03:06:23 ID:+vWtQl8i0
 い、いや待て、最終確認だ……
 そろそろと手を伸ばして、あるべきモノの場所に手を伸ばす。
 ………………
 …………
 ……
 ない。
 つまり……これって、
「お、女の子になってるよぉっ!?」
 こ、こんないきなり、ど、どうすればいいんだよ!?
 ガタガタッ
 びっくぅ
 物音に背筋が跳ね上がるほど驚いた。
 よく見れば周囲は真っ暗。
 時計がないから正確にはわからないけれど、夜。たぶん深夜。
 ガチャ。
 部屋の扉が開いた。
「なんの……音?」
 少し怯えたような声の主は、ボクのよく知っている相手。
 でも。
「あなた、誰ですか……?」
 あぅぅ、佐祐理お姉ちゃんはボクの事がわからない。
 当然だよ……佐祐理お姉ちゃんが知っているのは子供のときのボク。
 まさかこんな姿になっているとは思わないだろう。
 どうしよう……どうはなせば解ってくれるのかな。
 佐祐理お姉ちゃんは目を真ん丸くしてボクを見ている。
 でも、ボクが一弥だってどうやって説明すればいいんだろう……
「…………かず……や……?」
「え?」
227奇跡の交換1 4/6 ◆kd.2f.1cKc :2005/10/20(木) 03:07:57 ID:+vWtQl8i0
 不意にお姉ちゃんが、ポツリ、と呟いた。
「もしかして、一弥、なの?」
「佐祐理お姉ちゃん、ボクのこと、解るの?」
 ボクの方も目を見開いて驚いてしまった。
「うん……解るよ。なんとなくだけど」
 お姉ちゃんはそう言ってボクに近づいてきた。
 お姉ちゃんの方が大胆で、ボクの方が身構えてしまう。
 ぎゅ……
 抱きしめられる。
 お姉ちゃんと触れ合っている。
 絶対にかなう筈のなかった想いが、現実になっている。
 ボクの方からも抱きつき返した。
 お姉ちゃんの身体から温もりを感じる。
 ボクはそっと目を閉じて、軽く顔を上げて……
 って、なにをやっているんだ、ボクは!
 ボクとお姉ちゃんは姉弟で、しかも今は女の子同士で──
 ちゅ。
「ん……」
 佐祐理お姉ちゃんが、唇を重ねてくれた。
 優しいキス。
「お姉ちゃん……」
 少し申し訳ないような気がして、ボクはお姉ちゃんを見上げる。
「今は特別……だからね」
 お姉ちゃんは少し悪戯っぽそうな顔をして、ウィンクしてきた。
 最後に……あの時見たお姉ちゃんの顔を思い出した。
228奇跡の交換1 5/6 ◆kd.2f.1cKc :2005/10/20(木) 03:08:55 ID:+vWtQl8i0

 場所を何もないボクの部屋から、お姉ちゃんの部屋に移す。
「でも、どうして女の子になってしまったんでしょうねー」
 お姉ちゃんが、少しは困っているような、けれどそれほど深刻そうでもな
い顔で言う。
 これがお姉ちゃんの地だから仕方がない。
 ちなみに、死人が生き返って、しかも成長していることに対するツッコミ
はなしか! という声もあるだろうけれど、それは佐祐理お姉ちゃんの許
容範囲内……って訳じゃなくて、それなりに理由があるんだけれど、それ
は後で説明する。
 それよりなにより、ボクの着る物がない。
 よくよく気がつけばボクは素っ裸だった。
 当然ボクの服なんかないし、残っていたとしても小学校前のサイズでこ
の身体がはいるわけがない。
 幸いというかなんと言うか、ボクの今の身体はお姉ちゃんとそれほど体
格差がなかった。
 だからパンツは借りられたけど、ブラジャーはぶかぶかだった。
「これは……買いに行かないといけないねー」
 お姉ちゃんが、ボクのおっぱいを下から持ち上げるようにしながら、言
う。
 少し気持ちいい。
「え……いいよ。わざわざ……」
 ボクはめんどくさそうに言ったけど、お姉ちゃんは少し強い調子で言い
返してきた。
「だめだよ、ブラはきちんとしたのをつけていないと……身体動かすと痛
かったりするよ」
「そうなんだ……うん」
 女の子の身体っていろいろあるんだな。
229奇跡の交換1 6/6 ◆kd.2f.1cKc :2005/10/20(木) 03:09:57 ID:+vWtQl8i0
 佐祐理お姉ちゃんの姿見でボクの身体を写してみる。
「うわぁ……」
 顔も佐祐理お姉ちゃんに似ている。比べると少し目つきがきついぐら
い。
 お姉ちゃんが貸してくれた、ピンク色のパジャマを着ているけど、凄く可
愛らしい。
 ただ、自分の姿だって言う自覚が少し薄かった。
「可愛いね、一弥」
「お姉ちゃん……」
 言われると、なんだか凄く恥ずかしい。
 でも、あまり嫌という感じじゃなかった。

 その後、ボクは佐祐理お姉ちゃんのベッドで、一緒に寝た。
 いろいろと話したい事があったけど、少し疲れていたらしくて、2人ともす
ぐに眠ってしまった──