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昇りゆく 童の羽根に 悲しみは
留め置くべし おのれ高野山 (字余り)
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歌訳:空高く昇ってゆく神奈の羽根から悲しみが溢れてくる。
高野山の法師達への恨み、忘れるものか。
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'´ ,、,、ヽ 神奈「余が空に縛られる原因となったのが、高野山の法師達なのだな
i. !{{{⌒}}} 〉. 最も、彼らも自分の身を守ろうと懸命だったのだ…」
| l !゚ ー゚ノi| 裏葉「ゲームをクリアした方の最初の書き込みが『おのれ高野山』だったので
l {x} y {x}i7)○ そこから神奈様のお可哀想な境遇を憂う時の定型句になったのでございます」
!i(t)=(t)i 神奈「高野山は現実に存在する山であるが、これは一応『ふぃくしょん』である。
ヾ.`t‐jノ'ノ 混同して余の仇とばかりに焼き討つでないぞ」
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翼翔[つばさか]る 命と月は 消えゆけど
月見むたびに 思い起こせよ
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歌訳:翼をはためかせしたこの身と夜空にかかる月は、夜明けとともに消え去りますが
月を見るたびに、(私のことを)思い出してください。
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'´,、,、 ヽ 裏葉「ふがいない私達を守るため、神奈様は夜空に消えたのでございます…
〈 {{{⌒}}}! l ああっ神奈様!お可哀想に…!(ぎゅううう)」
|i、゚ヮ ゚ il | 神奈「あだだだだだだ痛い!痛いぞ裏葉!
(ソ{x} y {x} l まあその、余の身体は消えはしたが、魂は確かに空にある。
,i(t)=(t)i ! 忘れないでいて欲しいというのは、わがままな願いであろうか…?」
ヾ.'t-jゞノ 柳也「俺たちはいつまでも覚えてるさ。忘れるわけが無い。
例え千年経っても…な」
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朝霧に 濡れにし 衣〔ころも〕干さずして
神奈の君が 山路越ゆらむ
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歌訳:朝霧のせいで濡れてしまった衣装を、干して乾かさずに
そのままで、神奈備命が、山路を越えていきます。
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/'´ `ヽ 神奈「これは余が暮らしていた社を逃げ出した時の歌だな
il!((《⌒》))) あの時はほんに酷い目におうたぞ」
il !!|.゚ ヮ゚ノi.| 柳也「十二単だからな。水を吸ってさぞかし重かっただろう
||l {x} y {x} __ . なんであんな着物で逃げ出そうなんて…」
|_ハつ_^_.つ/'/_/ 裏葉「おなごがお召し物に気を遣うのは当然でございますっ!
/〈.ノヽ_ヽ_ヽ_.)二|| 神奈様は高貴なるお方、お着替えもたくさん用意して」
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄| 神奈「もうよいっ!旅に大量の着物などいらぬわ!」
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空澄みて ふと思ひしは 神無月
高野の涙 忘れやはする
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空を見て、柳也はふと思った。
「もう神無月(十月)か・・・」
神奈と過ごした夏。あれから随分経っているのだ。
神奈はもういない。
だが、この空のどこかにいる。
「神奈」月の澄みきった空は、
神奈との思い出を風化させるどころか、想いを一層強くさせる。
あの夜、高野山に散った神奈親娘(子・親)の涙。
どうして忘れることが出来ようか、いや、出来はしない。
必ず、神奈を助けてみせる。
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仰ぎ見る 朱けき頬にも 焔映ゆ
焦がれも山路 囃子遥けく
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歌訳:祭りの炎は空に舞い上がり、あどけない横顔を染める
その心中の焦がれを表現するように
人里近くにいても交わることも許されない神奈の前途は
林に囲まれた山あいの道のように遥かなのだ…
_
'´,、,、 ヽ 柳也「旅の途中、どこかの村の祭を見かけた時の歌だな
〈 {{{⌒}}}! l 神奈「皆、本当に楽しそうに笑っておった。
|i、゚ー゚ il | 恥ずかしいことだが、余には友人などいなかったのでな…
(ソ{x} y {x} l 仲良く踊る村人達が、羨ましかったのだ」
,i(t)=(t)i ! 裏葉「神奈様には、私達がおります」
ヾ.'t-jゞノ 神奈「…そうだな。だから先は長くとも、余は歩いてゆけるのだ」
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色かはる 萩の裏葉を 見てもまづ
人のこころの 秋ぞ知らるる
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歌訳:萩の葉の裏側をみても、色が違うように、人の心にも表と裏があります。
裏葉の心もまた、秋の天気のようにうつりかわる二面性があることでしょう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_ 。 O
/'´ `ヽ _
il!((《⌒》))) '´,、,、 `' , 裏葉「神奈様、何をお考えに?」
il !!|.゚ ヮ゚ノi.| l l ^^ヾヽ l 神奈「ぎくっ、いや何でもない、何でもないぞ」
||l {x} y {x} __ . 、|ノ、゚ー ゚,iヽl
|_ハつ_^_.つ/'/_/ (、iiト y イii ) 柳也「俺も、裏葉だけは怖いからな…」
/〈.ノヽ_ヽ_ヽ_.)二|| ,l_>==<_」\___
|~ ̄] ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄| (.ノヽ_ヽ_ヽ_〉\/
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別れても なほも恋しき 人なれば
生まれ変わりて みたび相見む
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歌訳:別れても なおも恋しい人なので、
また生まれ変わって 二度三度と めぐりあいたい。
i|!l| Y ;/,,"" |lil|i!|";"゛ノ)|;;.;; : ,,、"";;(;; ;::゛ "" ";"゛ノ)|;;., ,、"";;( ;:
|li!|ノ )`~...,, ,,...,,, |!!il|!l;; ゛ヾ;;::i |l| Y ;;/ ,゛l|;; ゛ヾ;;:i|l | Y ;;/
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|!il| ,,..,.v l ノノ^^ヾ .l i. !{{{⌒}}} 〉 ! i.ノメリリk vM vvv|!llli!i| ,,,,
!ソ;ハjW " ノイ ゚ ー゚人| | l !゚ ー゚ノi| ,'l|(l ー ノ` "" w,,Mvw,.v
(. !iイ y !ト、). l {x} y {x}i7)○ ノン,ソー-ト、
`i!iつ=<__}. !i(t)=(t)i ´〈>ー廿-く〉
ノノム_/ ヾ.`t‐jノ'ノ )、__i.__.|
神奈、柳也、裏葉。
三人の物語は終わりを迎えたが、その絆は時を超えて蘇る。
The 1000th. summer― 神奈が空へ消えてから、ちょうど千年の夏。
翼人の少女と方術師の青年が、再び巡り逢う。