わたしは……わたしは……っ。>1のこと、わたし、子供の頃から大好きだった。だから子供の頃、>1と別れるって聞いたとき、すっごく泣いたんだよ。すっごく泣いたんだから……っ
でも、>1とは笑顔でお別れしたいと思って。好きだったから、>1にわたしの笑顔を覚えていて欲しかった。そして、いつかまた、>1に会えるって思って……
だからわたしは、>1と別れるあの時、精一杯の勇気を振り絞ったんだよ。結婚しようって約束したよね。わたしにとっては、あれは精一杯の勇気だった
もしかしたら、>1ともう会うことはないかもしれない。でも、わたしはそうしても>1が好きだった……。>1との繋がりを消したくなかった……っ。だから、約束をしたんだよ。
あれは、>1にとって、ささいな約束だったのかもしれないけど……。わたしにとっては、とても大切な約束だったの……っ
たとえ離れても>1との関係を、唯一、繋げてくれる約束だったから……っ。>1があの約束を受け入れてくれた時、わたしは本当に嬉しかった。だから笑顔で別れられたんだよ……っ
でも……。本当に長かった……。>1との再会までの時間は、わたしにとっては本当に長かった……。わたしは、一生懸命にハーモニカを吹き続けた。いつか、この音色が>1の耳に届くんじゃないか、って……
でも、年を経るにつれて、こんなことをしても、意味がないんじゃないかって思えてきた……。だって、こんな小さなハーモニカの音色なんて、こんな大勢の人がいる世界で、>1の耳にだけ届くなんてありえないもの……っ
それでも、わたしはこのハーモニカにすがるしかなかった……。あの約束にすがるしかなかった。わたしにとっての、>1との接点。それは、このハーモニカと、あの約束しかなかったから……っ
そして、四度目の引越しのとき……、この街に引っ越してきた時……。わたしの願いが、ようやく届いた……
夕暮れの屋上で……。>1が立っていた……。>1は最初、わたしのことがわからなかったみたいだけど……
わたしには、すぐにわかった。心臓が張り裂けそうだった。心が……飛び出しそうだった。
そして、これが最後のチャンスなんだって思った。神様がくれた、最後のチャンスなんだって。わたしの気持ちを>1に伝える、神様からの最後のチャンスなんだ、って……っ